JP3667214B2 - 固体撮像装置およびその駆動方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は固体撮像装置及びその駆動方法に係わり、特に画素毎に信号増幅部を有する固体撮像装置及びその駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体撮像装置の代表的なものには、ホトダイオードおよびCCDシフトレジスタからなるものと、ホトダイオードおよびMOSトランジスタからなるAPS(Active Pixel Sensor)と呼ばれるものがある。
【0003】
APSは、1画素毎にホトダイオード、MOSスイッチ、ホトダイオードからの信号を増幅するための増幅回路などを含み、「XYアドレッシング」や「センサと信号処理回路の1チップ化」などが可能といった多くのメリットを有している。しかし、その一方で1画素内の素子数が多いことから、光学系の大きさを決定するチップサイズの縮小化が困難であり、市場の大部分をCCDが占めている。近年、MOSトランジスタの微細化技術の向上と「センサと信号処理回路の1チップ化」や「低消費電力化」などの要求の高まりから、注目を集めている。
【0004】
図12に、APSの等価回路図を示す。図12において、Q1はホトダイオード101から浮遊拡散領域(FD)へ光電荷を転送する転送スイッチであり、Q2は浮遊拡散領域をリセットするためのリセットスイッチであり、Q3は浮遊拡散領域の電圧を出力するためのソースフォロワの入力MOSトランジスタであり、Q4は画素を選択するための選択スイッチである。また、102は電源線、103はリセットスイッチ制御線、104は転送スイッチ制御線、105は選択スイッチ制御線、106は信号出力線である。選択スイッチQ4を制御するための選択スイッチ制御線105を行方向に共通で配置し、行選択をおこない、1行一括で、ラインメモリに転送する方式でその動作について説明する。
【0005】
ある画素(行)の読み出しの際に用いられる駆動パルスを図13に示す。
【0006】
蓄積動作を開始する前に、図13中(a)のように、リセットスイッチQ2をONした状態で転送スイッチQ1をONし、ホトダイオード101を一旦リセットする。その後、蓄積を行う。読み出しをおこなうため、リセットスイッチをOFFし、浮遊拡散領域をフローティング状態とし、ついで読み出しのための選択スイッチをONする。入力MOSトランジスタQ3と信号出力線106に接続した負荷からなるソースフォロワにより、浮遊拡散領域の電圧に応じた電圧が信号出力線106に出力される。この出力を、メモリにサンプルリングする。即ち、リセットノイズのサンプリング(e)を行った。その後、浮遊拡散領域(FD)に光信号電荷を転送する(f)ため、転送スイッチを開閉する。転送(f)は、浮遊拡散領域がフローティング状態でおこなわれるため、浮遊拡散領域の電圧はリセット直後の電圧Vresから、Q/CFD(転送された電荷Q、CFDはFD部の容量)下がった電圧
VFD=Vres−Q/CFD
になる。すなわち、リセット毎に異なるリセットノイズを含むリセット電圧にQ/CFDが重畳されたことになる。この電圧に応じた信号が信号出力線106に出力されるので、この信号をサンプルリングした(g)。
【0007】
最終的に光信号は、先ほどの「リセットノイズ」の信号と「光信号+リセットノイズ」の信号を差分回路により、引き算を行い、リセット毎に異なる電圧にリセットされてしまうリセットノイズを除去することができる。
【0008】
特に、図中のホトダイオード101として埋め込みホトダイオードを用いた場合は、完全にリセットノイズを除去することができ、高いS/N比を得られることとなる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら近年のAPSにおいては、残像やランダムノイズの問題が発生している。以下、この原因について詳細に説明する。
【0010】
前述の通り、近年のAPSは微細MOSトランジスタを使用することにより、小さい画素サイズを実現している。このため、微細MOSトランジスタに起因した新たな原因による残像やランダムノイズが発生している。
【0011】
図14は微細MOSトランジスタを用いたAPSの断面構造図である。図15は図14の断面構造図に対応したポテンシャル図である。図14に示すように、ホトダイオードのn領域305上には表面p領域304が設けられ(埋め込みホトダイオードという。)、PWL(Pウエル)301と表面p領域304から延びる空乏層によりn領域305に蓄積された電荷が転送スイッチ(SW)302を介して浮遊拡散領域303に完全転送される。浮遊拡散領域303はリセット電極307にリセットスイッチ(SW)を介して接続され、所定のリセット電位に設定可能となっている。
【0012】
微細MOSトランジスタを用いたAPSにおいては、図15中のA、Bのような、ポテンシャルのポケットや障壁が生じてしまう。この結果、転送スイッチ領域にある電荷の一部がホトダイオードにもどってしまい、残像やランダムノイズを発生させてしまっている。
【0013】
ポテンシャルのポケット(図15のA)や障壁(図15のB)についてさらに詳細に述べる。
【0014】
微細MOSトランジスタを作製するためには、製造工程における熱処理の低温化、短時間化が必要となる、その結果、導電型を決定する不純物、たとえばボロンやリンなどの拡散は単純な熱による拡散ではなく欠陥を介した拡散など過渡増束拡散現象の影響が強くなってしまう。結果として、図15のBに当たる領域に、p型のウェル領域を決定するボロンが偏析してしまい、ポテンシャル障壁を形成してしまう。このような現象は、微細MOSトランジスタにおける逆短チャネル効果として知られている。
【0015】
この様な現象は、チャネル長L が、L<1μm以下、特にはL≦0.7μm以下の領域で顕著に表れる。
【0016】
一方、図15のAに当たる領域、すなわちホトダイオードのn領域305から転送スイッチ302に接続する個所は、信号電荷の転送特性を決定する個所であり、ホトダイオードの表面p領域304とn領域305との位置関係がきわめて重要である。特に微細MOSトランジスタを用いた場合、転送スイッチ302のゲートに印加する電圧を低くしなくてはならず、転送スイッチしたのポテンシャルを十分に押し下げることができず、電荷の転送が困難になってしまう。場合によっては、電荷の転送を促すため、図14に示すとおり積極的にn型からなるバイパス領域308を設ける場合もある。
【0017】
このようなバイパス領域308の幅は、0〜0.5μm程度であり、バイパス領域308の幅が狭すぎると転送が困難となり、転送の幅が広すぎるとポテンシャルポケットが生じてしまう。転送スイッチ302のゲートに印加する電圧が高い場合は、その電圧で転送を補うことができ、設計値をポテンシャルポケットができないように設定することは可能である。しかし、微細MOSトランジスタを用いた場合、電圧により転送を補うことができないため、その幅の制御性は0.05μm以下にもなり、微細MOSトランジスタのゲート長の制御性より厳しいものが要求される。結果として、ポテンシャルポケットが発生しやすくなっている。
【0018】
従来技術においては、以上説明したポテンシャルポケット(図15のA)やポテンシャル障壁(図15のB)により転送スイッチ302のゲート下に電荷が残留してしまう問題があった。
【0019】
この残留量は、転送スイッチ302のゲート電圧のハイレベル=VTXH、転送スイッチ302の閾値電圧=VTXthと浮遊拡散領域の電圧=VFDを用いれば、
残留量∝(VTXH−VTXth−VFD)
の関係がある。
【0020】
この残留電荷の一部もしくは全部がホトダイオードに戻ってしまい、結果として残像が発生する。また動作条件によっては、暗時においても残留電荷が発生し、この電荷がホトダイオードにもどってしまう。当然この残留電荷は熱的に揺らぐため、ランダムノイズとなってしまう。
【0021】
図16は転送スイッチの開閉のポテンシャルの様子を示している。図16(A)は浮遊拡散領域をリセットした直後のポテンシャル図である。ホトダイオードには信号電荷が蓄積された状態である。図16(B)は転送スイッチをONし、信号電荷を浮遊拡散領域に転送している状態のポテンシャル図である。この時、浮遊拡散領域のポテンシャルは信号電荷により上昇する。
【0022】
信号電荷の量によっては、転送スイッチのゲート下の表面ポテンシャルが浮遊拡散領域のポテンシャルより低くなるため、転送スイッチのゲート下にも電荷が発生してしまう。図16(C)は転送スイッチを閉める状態を表しており、転送スイッチのゲート下に誘起された電荷が浮遊拡散領域に移動しきれない様子を示している。この移動しきれなかった電荷がホトダイオード側にもどり、残像やランダムノイズの原因となってしまう。
【0023】
CCDにおいては、電源電圧が高いため、最大信号電荷が転送されても、転送スイッチの表面ポテンシャルは、常に垂直CCDよりも高くなるため、転送スイッチのゲート下には電荷が発生することはない。
【0024】
微細MOSを用いたAPSにおいては、電源電圧が低いため、少なくとも最大信号電荷が転送した場合は図16(B)のような状態が生じてしまい、CCDのようなポテンシャル関係を形成するのが困難である。さらには、リセットの電圧が低い場合は、暗時においても図16(B)のような状態が生じてしまい、暗時におけるランダムノイズの要因となってしまう。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明の固体撮像装置は、光電変換部、浮遊拡散領域を含む信号増幅部、該光電変換部から該浮遊拡散領域に電気信号を転送するための転送スイッチ、を少なくとも有する画素の複数と、
前記転送スイッチがオフ状態となる第1のレベルと、前記転送スイッチがオン状態となる第2のレベルと、前記第1のレベルと前記第2のレベルとの間にある第3のレベルとを含み、前記転送スイッチをオン状態からオフ状態するときに前記第2のレベルから前記第1のレベルへと移行する間に前記第3のレベルを所定時間保持してなる、前記転送スイッチの制御信号を生成する信号発生手段と、
を備えたものである。
【0026】
また本発明の固体撮像装置は、光電変換部、浮遊拡散領域を含む信号増幅部、該光電変換部から該浮遊拡散領域に電気信号を転送するための転送スイッチ、を少なくとも有する画素の複数と、
前記転送スイッチがオフ状態となる第1のレベルと、前記転送スイッチがオン状態となる第2のレベルと、前記第1のレベルと前記第2のレベルとの間にある複数のレベルとを含み、前記転送スイッチをオン状態からオフ状態するときに前記第2のレベルから前記第1のレベルへと移行する間に前記複数のレベルの各々のレベルを所定時間保持してなる、前記転送スイッチの制御信号を生成する信号発生手段と、
を備えたものである。
【0027】
また本発明の固体撮像装置は、光電変換部、浮遊拡散領域を含む信号増幅部、該光電変換部から該浮遊拡散領域に電気信号を転送するための転送スイッチ、を少なくとも有する画素の複数と、
前記転送スイッチをオフ状態からオン状態にするまでの時間Tonと前記転送スイッチをオン状態からオフ状態にするまでの時間Toffとが、Ton<Toffである、前記転送スイッチの制御信号を生成する信号発生手段と、を備えたものである。
【0028】
また本発明の固体撮像装置は、光電変換部、浮遊拡散領域を含む信号増幅部、該光電変換部から該浮遊拡散領域に電気信号を転送するための転送スイッチ、を少なくとも有する画素の複数と、
前記転送スイッチがオフ状態となる第1のレベルと、前記転送スイッチがオン状態となる第2のレベルとを含み、且つ前記転送スイッチをオフ状態からオン状態にするまでの時間Tonと、前記転送スイッチをオン状態からオフ状態にするまでの時間Toffとが、Ton<Toffである、前記転送スイッチの制御信号を生成する信号発生手段と、を備えたものである。
【0031】
また本発明の固体撮像装置は、光電変換部、浮遊拡散領域を含む信号増幅部、該光電変換部から該浮遊拡散領域に電気信号を転送するための転送スイッチ、を少なくとも有する画素の複数と、
前記転送スイッチをオン状態からオフ状態にするための立下り速度Voffが10V/μsec>Voffである、前記転送スイッチの制御信号を生成する信号発生手段と、
を備えたものである。
【0033】
本発明の固体撮像装置の駆動方法は、光電変換部、浮遊拡散領域を含む信号増幅部、該光電変換部から該浮遊拡散領域に電気信号を転送するための転送スイッチ、を少なくとも有する画素の複数を備えた固体撮像装置の駆動方法において、
前記転送スイッチがオフ状態となる第1のレベルと、前記転送スイッチがオン状態となる第2のレベルと、前記第1のレベルと前記第2のレベルとの間にある第3のレベルとを含み、前記転送スイッチをオン状態からオフ状態するときに前記第2のレベルから前記第1のレベルへと移行する間に前記第3のレベルを所定時間保持してなる制御信号により、前記転送スイッチを駆動するものである。
【0034】
また本発明の固体撮像装置の駆動方法は、光電変換部、浮遊拡散領域を含む信号増幅部、該光電変換部から該浮遊拡散領域に電気信号を転送するための転送スイッチ、を少なくとも有する画素の複数を備えた固体撮像装置の駆動方法において、
前記転送スイッチがオフ状態となる第1のレベルと、前記転送スイッチがオン状態となる第2のレベルと、前記第1のレベルと前記第2のレベルとの間にある複数のレベルとを含み、前記転送スイッチをオン状態からオフ状態するときに前記第2のレベルから前記第1のレベルへと移行する間に前記複数のレベルの各々のレベルを所定時間保持してなる制御信号により、前記転送スイッチを駆動するものである。
【0035】
また本発明の固体撮像装置の駆動方法は、光電変換部、浮遊拡散領域を含む信号増幅部、該光電変換部から該浮遊拡散領域に電気信号を転送するための転送スイッチ、を少なくとも有する画素の複数を備えた固体撮像装置の駆動方法において、
前記転送スイッチをオフ状態からオン状態にするまでの時間Tonと、前記転送スイッチをオン状態からオフ状態にするまでの時間Toffとが、Ton<Toffである制御信号により、前記転送スイッチを駆動するものである。
【0036】
また本発明の固体撮像装置の駆動方法は、光電変換部、浮遊拡散領域を含む信号増幅部、該光電変換部から該浮遊拡散領域に電気信号を転送するための転送スイッチ、を少なくとも有する画素の複数を備えた固体撮像装置の駆動方法において、
前記転送スイッチがオフ状態となる第1のレベルと、前記転送スイッチがオン状態となる第2のレベルとを含み、且つ前記転送スイッチをオフ状態からオン状態にするまでの時間Tonと、前記転送スイッチをオン状態からオフ状態にするまでの時間Toffとが、Ton<Toffである制御信号により、前記転送スイッチを駆動するものである。
【0037】
また本発明の固体撮像装置の駆動方法は、光電変換部、浮遊拡散領域を含む信号増幅部、該光電変換部から該浮遊拡散領域に電気信号を転送するための転送スイッチ、を少なくとも有する画素の複数を備えた固体撮像装置の駆動方法において、
前記転送スイッチをオン状態からオフ状態にするための立下り速度Voffが10V/μsec>Voffである制御信号により、前記転送スイッチを駆動するものである。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。本発明者らは、検討の結果、図8に示す「立下り速度と残像の関係」を見出した。図9は転送スイッチのパルス波形の一例を示しているが、立下り速度とは、図中の立下り期間の電圧降下の速度を意味する。
【0039】
図8に示す通り、立下り速度の低下に伴い残像が減少している。立下り速度が遅いというのは、図16(D)に示すポテンシャル構造を維持する時間を長くすることができ、結果として残留電荷を浮遊拡散領域に排出することができことを見出した。
【0040】
立下り速度を500V/μsecとした場合、1%程度の残像が発生する。一般的に画像として許容できるノイズレベルは−46〜−48dB程度であり、立下り速度を500V/μsecとした場合には、このレベルを満たすことができない。これに対し、立下り速度を10V/μsec程度にすることで、上記レベルを達成することができ良好な画像を得ることができた。
【0041】
図16(D)のポテンシャル構造の特徴は、(1)転送スイッチのゲート下の表面ポテンシャルが浮遊拡散領域のキャリアのフェルミレベルより高く、(2)ドレイン電界の影響でBにあるポテンシャル障壁がなくなっていることである。
【0042】
この様なポテンシャル構造を維持する時間を長くすることで、転送スイッチのゲート下の残留電荷のほとんどを浮遊拡散領域に排出することができる。
【0043】
重要なことは、図16(D)に示すようなポテンシャル構造をある一定の期間保持することであり、たとえば、図10に示すように図16(D)に示すポテンシャル構造になる電圧に一旦保持し、その後OFFするような3値パルスでもかまわない。当然のことながら、3値パルスに限定されるものではなく、多値でもかまわない。また、図11に示すような曲線状にレベルが減衰する波形でもかまわない。
【0044】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を用いて詳細に説明する。
【0045】
(実施例1)
図1は、図12に示した画素を複数配列した場合の転送スイッチの駆動回路周辺を模式的にあらわした図である。図1において、1001は図12に示した画素構成と同じ構成の画素、1002は画素1001内の転送スイッチQ1を動作させるゲート駆動回路、1003は行ごとに転送スイッチを制御する走査回路である。
【0046】
本実施例においては、図2に示すゲート駆動回路を用い、図10に示す波形を形成した。図2においては、ローレベル、ミドルレベル、ハイレベルを出力するために、走査回路1003から走査回路の入力端子1105,1106,1107にそれぞれ(1,0,0)、(0,1,0)、(0,0,1)が入力されるよう設計した。ここで、“1”はHIGHレベル、“0”はLOWレベルである。走査回路の入力端子1105,1106,1107はそれぞれスイッチの制御端子に接続され、ローレベル供給線1102、ミドルレベル供給線1103、ハイレベル供給線1104からローレベル、ミドルレベル、ハイレベルの信号が各スイッチを介して出力端子1101に出力される。出力端子1101は図1の画素1001の転送スイッチQ1のゲートに接続される。
【0047】
具体的には、転送スイッチのハイレベルを5.0volt、ミドルレベルを3.0volt、ローレベルを0.0voltとした。ミドルレベルの保持時間は、0.5μsecとした。その結果、残像が0.1%以下であった。また、ランダムノイズが抑制され、特に暗時においては、電荷転送に起因するランダムノイズはなくなった。本実施例の結果、図8の立下り速度−残像のグラフより残像の改善が高いのは、図9に示す波形に比べ、図16(D)のポテンシャル構造をより長く保持できたためと考えられる。
【0048】
(実施例2)
本実施例に用いた、転送スイッチのゲート駆動回路を図3に示す。なお、ここでは図1の走査回路1003からの一入力端子を1206として示す。図3において、図1の走査回路1003の入力端子1206はpMOSトランジスタ1201のゲート及びnMOSトランジスタ1202のゲートに接続され、pMOSトランジスタ1201のドレイン及びnMOSトランジスタ1202のドレインは共通接続されて容量1204と電圧フォロワアンプ1205の非反転入力端子(+)とに接続される。nMOSトランジスタ1202のソースは定電流原1203に接続される。出力端子1207は図1の画素1001の転送スイッチQ1のゲートに接続される。
【0049】
容量1204の容量値と定電流源1203の電流値で転送スイッチQ1のゲートの立下り速度を決定した。
【0050】
この結果、図9に示すような台形波を形成した。本実施例における立下り速度は、10V/μsecとした。結果として、図8に示す通り、0.4%まで残像を抑制することができた。また、電荷転送に起因する、特に暗時のランダムノイズはなくなった。
【0051】
上述した実施例1においては、図16(D)のポテンシャル構造を形成する最適なゲート電圧は、3.0voltであったが、この電圧はホトダイオードの空乏化電圧などで変化してしまう。即ち製造ばらつきにより変動をうけてしまい、結果として残像やランダムノイズを改善できるサンプルの歩留まりが悪くなる場合があった。
【0052】
しかしながら、本実施例のような台形波を用いることで、あらゆるゲート電圧においてある一定の時間を実質的に保持するため、最適なゲート電圧がばらついたとしても、残像およびランダムノイズの特性は改善された。
【0053】
(実施例3)
本実施例に用いた、転送スイッチのゲート駆動回路を図4に示す。なお、ここでは図1の走査回路1003からの一入力端子を1301として示す。各MOSトランジスタはn型MOSトランジスタを使用した。
【0054】
図4において、図1の走査回路1003の入力端子1301はインバータを介してMOSトランジスタQ12,Q15に接続される。電源ラインとGNDラインとの間にはMOSトランジスタQ12,Q13,Q14が直列接続され、またMOSトランジスタQ11,Q16,Q21,Q31が直列接続される。MOSトランジスタQ15はMOSトランジスタ14のソース・ドレイン間に並列に接続され、MOSトランジスタ14のドレイン(MOSトランジスタQ13とMOSトランジスタ14との接続点)はMOSトランジスタQ11,Q16のゲートに共通接続される。MOSトランジスタQ11とMOSトランジスタ16とのドレイン接続点である出力端子1302は図1の画素1001の転送スイッチQ1のゲートに接続される。
【0055】
本実施例においては、行選択のための走査回路からの出力は、選択時にHighであり、また転送スイッチのゲートの共通制御線は、転送スイッチをONするときには、LOWとなるように設計した。また、転送スイッチはn型MOSトランジスタを使用した。
【0056】
本実施例の特徴は、以下の通りである。
(1)n型MOSトランジスタを直列に接続した出力部の構成を取っている。
(2)転送スイッチの立下り速度を転送スイッチのゲートラインの容量とMOSトランジスタQ21、Q31のON抵抗で決定している。
【0057】
立下り速度を10V/μsecになるように設計した。この際n型MOSトランジスタのサイズだけでは、小さい電流値を設計するのは多くの場所を必要とするが、本実施例のような構成にすることで、大きくサイズを変更することなく、駆動回路を構成することが可能となった。ホトダイオードからの電荷転送をするための期間である、ブランキング期間には時間的な制限があるため、転送スイッチをON時の立ち上がり速度は従来のように速くすることが求められる。従って、立ち上がり時間Tonと立下り時間ToffはTon<Toffとした。
【0058】
本実施例はまた、転送スイッチの制御線をオフ状態からオン状態とする際の駆動力が、オン状態からオフ状態とする際の駆動力に対し、実質的に高くなるように構成したものであり、その結果以下のような特性を得ることができた。
【0059】
以上のようにすることで、本実施例においては、残像が0.4%以下で暗時のランダムノイズのない良好な固体撮像装置が得ることができた。
【0060】
なお、本実施例では転送スイッチはn型MOSトランジスタ、ゲート駆動回路を構成する各MOSトランジスタはn型MOSトランジスタを使用したが、転送スイッチはp型MOSトランジスタ、ゲート駆動回路を構成する各MOSトランジスタはp型MOSトランジスタを使用しても本発明の効果を得ることができる。
【0061】
(実施例4)
本実施例に用いた、転送スイッチのゲート駆動回路を図5に示す。図5において、図4の構成部材と同一構成部材については同一符号を付する。本実施例では、図5に示すように、図4のMOSトランジスタQ21,Q31に替えて定電流源Icontを用いた。
【0062】
本実施例においては、行選択のための走査回路からの出力は、選択時にHighであり、また転送スイッチのゲートの共通制御線は、転送スイッチをONするときには、LOWとなるように設計した。また、転送スイッチはn型MOSトランジスタを使用した。
【0063】
本実施例の特徴は、以下の通りである。
(1)定電流源を含んだ出力部の構成としている。
(2)転送スイッチの立下り速度を転送スイッチのゲートラインの容量と定電流源の電流値で決定している。
【0064】
立下り速度を1.5V/μsecになるように設計した。立下り速度を定電流源で決定しているため、立下り速度を精密に設計でき、電源電圧の変動などに強い構成であった。結果として、残像が0.1%以下で暗時のランダムノイズのない良好な固体撮像装置が得ることができた。
【0065】
(実施例5)
本実施例においては、図2に示すゲート駆動回路を用い、ハイレベルの電圧=6volt、ミドルレベルの電圧=2.5volt、ローレベルの電圧=0voltとした。また、図12において、電源線102の電圧を3.5voltにすることで、浮遊拡散領域のリセット電圧を3.5voltに下げた。結果、暗時の信号を読み出した時点で図16(B)に示すポテンシャル構造になるよう駆動した。
【0066】
図16のAのポケットが非常に大きい場合、低照度側でのリニアリティが劣化してしまう問題があった。原因は、ポケットが大き過ぎるため、低照度領域の少ない電荷がポケットに捕獲されてしまうからであった。本実施例のように浮遊拡散領域のリセットレベルに対し転送スイッチのハイレベルを高くする動作にした場合、浮遊拡散領域から電荷でこのポケットを埋めるため、低照度側でのリニアリティが改善される。しかしながら、これだけではこのポケットに残ってしまう電荷によりランダムノイズが異常に増加してしまい、S/N比を著しく劣化させてしまう。これに対しては、ミドルレベルを保持することにより、ランダムノイズを低減することができた。
【0067】
(実施例6)
本実施例においては、実施例1に示した転送スイッチのゲート駆動回路を用いたセンサブロックを用い、図6に示すブロック構成からなる、10bitデジタル出力の1チップ固体撮像装置を作製した。本発明を用いることで、センサー性能を維持しながら、0.35μmの汎用のロジックプロセスを用いた高性能なTG(タイミング発生ブロック)1501、PGA(プログラマブルゲインコントロールアンプ)1503とADC(ADコンバータ)1504を使用することができたため、安価で高性能なデジタル固体撮像装置を提供できた。
【0068】
加えて、図7に示す、画像圧縮などの信号処理ブロック1605を搭載することもできた。
【0069】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明によれば、微細MOSトランジスタを用いたAPSにおいても、以下の効果を得ることができる。
(1)ランダムノイズや残像の少ない良好な固体撮像装置を提供できる。
(2)プロセスばらつきによる特性劣化を抑制し、安価な固体撮像装置が提供できる。
(3)微細MOSトランジスタを用いた高性能なロジック回路やアナログ回路と併用することが容易となり、高機能な固体撮像装置の1チップ化が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に用いた転送スイッチのゲート駆動回路周辺の等価回路図である。
【図2】実施例1に用いた転送スイッチのゲート駆動回路の回路図である。
【図3】実施例2に用いた転送スイッチのゲート駆動回路の回路図である
【図4】実施例3に用いた転送スイッチのゲート駆動回路の回路図である。
【図5】実施例4に用いた転送スイッチのゲート駆動回路の回路図である。
【図6】本発明による1チップ固体撮像装置を示す構成図である。
【図7】本発明による1チップ固体撮像装置を示す構成図である。
【図8】本発明を用いた場合の立下り速度と残像の関係を示す図である。
【図9】本発明の実施例に用いた転送スイッチのゲートへの入力波形図である。
【図10】本発明の実施例に用いた転送スイッチのゲートへの入力波形図である。
【図11】本発明の実施例に用いた転送スイッチのゲートへの入力波形図である。
【図12】APSの代表的な画素等価回路図である。
【図13】APSの駆動タイミング図である。
【図14】微細MOSトランジスタを用いた場合のホトダイオード、転送スイッチ、浮遊拡散領域の断面図である。
【図15】図13のポテンシャル図である。
【図16】従来の問題点および本発明の原理を説明するためのポテンシャル図である。
【符号の説明】
101 ホトダイオード
1001 画素
1002 ゲート駆動回路
1003 走査回路
Q1 転送スイッチ
Q2 リセットスイッチ
Q3 入力MOSトランジスタ
Q4 選択スイッチ
Claims (11)
- 光電変換部、浮遊拡散領域を含む信号増幅部、該光電変換部から該浮遊拡散領域に電気信号を転送するための転送スイッチ、を少なくとも有する画素の複数と、
前記転送スイッチがオフ状態となる第1のレベルと、前記転送スイッチがオン状態となる第2のレベルと、前記第1のレベルと前記第2のレベルとの間にある第3のレベルとを含み、前記転送スイッチをオン状態からオフ状態するときに前記第2のレベルから前記第1のレベルへと移行する間に前記第3のレベルを所定時間保持してなる、前記転送スイッチの制御信号を生成する信号発生手段と、
を備えた固体撮像装置。 - 光電変換部、浮遊拡散領域を含む信号増幅部、該光電変換部から該浮遊拡散領域に電気信号を転送するための転送スイッチ、を少なくとも有する画素の複数と、
前記転送スイッチがオフ状態となる第1のレベルと、前記転送スイッチがオン状態となる第2のレベルと、前記第1のレベルと前記第2のレベルとの間にある複数のレベルとを含み、前記転送スイッチをオン状態からオフ状態するときに前記第2のレベルから前記第1のレベルへと移行する間に前記複数のレベルの各々のレベルを所定時間保持してなる、前記転送スイッチの制御信号を生成する信号発生手段と、
を備えた固体撮像装置。 - 光電変換部、浮遊拡散領域を含む信号増幅部、該光電変換部から該浮遊拡散領域に電気信号を転送するための転送スイッチ、を少なくとも有する画素の複数と、
前記転送スイッチをオフ状態からオン状態にするまでの時間Tonと前記転送スイッチをオン状態からオフ状態にするまでの時間Toffとが、Ton<Toffである、前記転送スイッチの制御信号を生成する信号発生手段と、
を備えた固体撮像装置。 - 光電変換部、浮遊拡散領域を含む信号増幅部、該光電変換部から該浮遊拡散領域に電気信号を転送するための転送スイッチ、を少なくとも有する画素の複数と、
前記転送スイッチがオフ状態となる第1のレベルと、前記転送スイッチがオン状態となる第2のレベルとを含み、且つ前記転送スイッチをオフ状態からオン状態にするまでの時間Tonと、前記転送スイッチをオン状態からオフ状態にするまでの時間Toffとが、Ton<Toffである、前記転送スイッチの制御信号を生成する信号発生手段と、
を備えた固体撮像装置。 - 光電変換部、浮遊拡散領域を含む信号増幅部、該光電変換部から該浮遊拡散領域に電気信号を転送するための転送スイッチ、を少なくとも有する画素の複数と、
前記転送スイッチをオン状態からオフ状態にするための立下り速度Voffが10V/μsec>Voffである、前記転送スイッチの制御信号を生成する信号発生手段と、
を備えた固体撮像装置。 - 請求項1から請求項5のいずれかの請求項に記載の固体撮像装置において、前記光電変換部が埋め込み型のホトダイオードからなることを特徴とする固体撮像装置。
- 光電変換部、浮遊拡散領域を含む信号増幅部、該光電変換部から該浮遊拡散領域に電気信号を転送するための転送スイッチ、を少なくとも有する画素の複数を備えた固体撮像装置の駆動方法において、
前記転送スイッチがオフ状態となる第1のレベルと、前記転送スイッチがオン状態となる第2のレベルと、前記第1のレベルと前記第2のレベルとの間にある第3のレベルとを含み、前記転送スイッチをオン状態からオフ状態するときに前記第2のレベルから前記第1のレベルへと移行する間に前記第3のレベルを所定時間保持してなる制御信号により、前記転送スイッチを駆動する固体撮像装置の駆動方法。 - 光電変換部、浮遊拡散領域を含む信号増幅部、該光電変換部から該浮遊拡散領域に電気信号を転送するための転送スイッチ、を少なくとも有する画素の複数を備えた固体撮像装置の駆動方法において、
前記転送スイッチがオフ状態となる第1のレベルと、前記転送スイッチがオン状態となる第2のレベルと、前記第1のレベルと前記第2のレベルとの間にある複数のレベルとを含み、前記転送スイッチをオン状態からオフ状態するときに前記第2のレベルから前記第1のレベルへと移行する間に前記複数のレベルの各々のレベルを所定時間保持してなる制御信号により、前記転送スイッチを駆動する固体撮像装置の駆動方法。 - 光電変換部、浮遊拡散領域を含む信号増幅部、該光電変換部から該浮遊拡散領域に電気信号を転送するための転送スイッチ、を少なくとも有する画素の複数を備えた固体撮像装置の駆動方法において、
前記転送スイッチをオフ状態からオン状態にするまでの時間Tonと、前記転送スイッチをオン状態からオフ状態にするまでの時間Toffとが、Ton<Toffである制御信号により、前記転送スイッチを駆動する固体撮像装置の駆動方法。 - 光電変換部、浮遊拡散領域を含む信号増幅部、該光電変換部から該浮遊拡散領域に電気信号を転送するための転送スイッチ、を少なくとも有する画素の複数を備えた固体撮像装置の駆動方法において、
前記転送スイッチがオフ状態となる第1のレベルと、前記転送スイッチがオン状態となる第2のレベルとを含み、且つ前記転送スイッチをオフ状態からオン状態にするまでの時間Tonと前記転送スイッチをオン状態からオフ状態にするまでの時間Toffとが、Ton<Toffである制御信号により、前記転送スイッチを駆動する固体撮像装置の駆動方法。 - 光電変換部、浮遊拡散領域を含む信号増幅部、該光電変換部から該浮遊拡散領域に電気信号を転送するための転送スイッチ、を少なくとも有する画素の複数を備えた固体撮像装置の駆動方法において、
前記転送スイッチをオン状態からオフ状態にするための立下り速度Voffが10V/μsec>Voffである制御信号により、前記転送スイッチを駆動する固体撮像装置の駆動方法。
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