JP3465833B2 - 溶剤型の粘着剤組成物 - Google Patents

溶剤型の粘着剤組成物

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JP3465833B2
JP3465833B2 JP15796195A JP15796195A JP3465833B2 JP 3465833 B2 JP3465833 B2 JP 3465833B2 JP 15796195 A JP15796195 A JP 15796195A JP 15796195 A JP15796195 A JP 15796195A JP 3465833 B2 JP3465833 B2 JP 3465833B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、溶剤型の粘着剤組成物
に関する。 【0002】 【従来の技術】粘着剤は、ホットメルト粘着剤、溶剤型
粘着剤、エマルション型粘着剤など種々のタイプを有す
る。ホットメルト粘着剤は、有機溶剤や水性媒体を全く
またはほとんど含まないため、作業環境、大気汚染、火
災の危険性、乾燥工程の不要、省エネルギーなどの点で
優れている。溶剤型粘着剤は、ホットメルト粘着剤に比
べて耐熱性および塗布作業性に優れ、エマルション型粘
着剤に比べて耐水性に優れているため耐水性を要求され
る分野では他に替わるものがない。しかしながら、環境
問題や省エネルギー、ラインスピードアップのため使用
する溶剤を減らす、いわゆるハイソリッド溶剤型粘着剤
が求められている 【0003】 【発明が解決しようとする課題】発明の課題は、上記
の事情に鑑み、環境問題、省エネルギー、ラインスピー
ドアップに対応できるハイソリッド型を含む、耐熱性、
塗布作業性、耐水性に優れた溶剤型粘着剤組成物を提
供することにある。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明にかかる溶剤型の
粘着剤組成物は、重合体として含む熱可塑性付加重合体
が、353K以上のガラス転移点を有し数平均分子量
1,500〜5,000の高ガラス転移点型重合体から
なる第1重合体部分と230K未満のガラス転移点を有
し数平均分子量3,500〜15,000の低ガラス転
移点型重合体からなる第2重合体部分とを有するグラフ
ト構造の重合体からなり、有機溶剤をさらに含み、不揮
発分濃度が65〜75重量%であり、25℃における粘
度が1万cps以下である。 【0005】 【作用】発明にかかる溶剤型の粘着剤組成物は、27
3K以上のガラス転移点を有する高ガラス転移点型重合
体からなる第1重合体部分と273K未満のガラス転移
点を有する低ガラス転移点型重合体からなる第2重合体
部分とを有する熱可塑性付加重合体を含む。この熱可塑
性付加重合体は、第1重合体部分と第2重合体部分が枝
分かれした構造(グラフト構造)を持っており、相分離
する。高ガラス転移点型重合体からなる第1重合体部分
が不連続相を形成し、擬似架橋構造を取るため、従来の
一般的粘着剤と比較して凝集力が高く耐熱性に優れてい
る。第1重合体部分のガラス転移点が高いほど耐熱性に
優れた粘着剤組成物になる。また、低ガラス転移点型重
合体からなる第2重合体部分が連続相を形成し、粘着性
を発現する。第2重合体部分のガラス転移点が低いほど
粘着性を高くする効果が大きい。粘着性の発現は従来の
一般的粘着剤と同じ機構による。しかし、耐熱性を出す
ためには、一般的粘着剤が架橋する必要があるのに対し
て、本発明の粘着剤組成物は架橋を必要としない。架橋
はその架橋条件により粘着力の低下あるいは経時変化を
起こすため、粘着剤や粘着製品の信頼性を損なう場合が
ある。本発明の粘着剤組成物は、信頼性の点で、それら
従来の一般的粘着剤よりも優れている。また、イソシア
ネート架橋を利用するものでは1週間程度の養生を必要
とするため生産効率が悪いが、本発明の粘着剤組成物で
はその必要はない。ただし、本発 明の粘着剤組成物を架
橋させて使用することは可能である。 【0006】の粘着剤組成物は、さらに有機溶剤を含
み、25℃における粘度が2万cps以下である。不揮
発分濃度が60〜80重量%であっても、25℃におけ
る粘度が2万cps以下である。このため、ハイソリッ
ド溶剤型粘着剤であって機械塗工性にも優れている。従
来の溶剤型粘着剤をハイソリッド化すると粘度が極度に
高くなるため低分子量化する必要があり、耐熱性を持た
せるために多量の硬化剤を含む必要があるが、180°
ピールの低下、タックの減少または外観の低下を生じ
る。本発明の粘着剤組成物は、上述のように相分離構造
を利用して高い凝集力を有するため、通常と同量または
ほぼ同量の硬化剤を含むことで耐熱性(たとえば80℃
保持力)を発現する。よって、粘着物性を低下させるこ
となく、ハイソリッド化が可能となる。 【0007】 【実施の形態】発明の粘着剤組成物は、熱可塑性付加
重合体と有機溶剤とを含み、不揮発分濃度が60〜80
重量%であり、25℃における粘度が2万cps以下で
ある。この粘着剤組成物は、ハイソリッド溶剤型粘着剤
である。熱可塑性付加重合体は、高ガラス転移点型重合
体からなる第1重合体部分と低ガラス転移点型重合体か
らなる第2重合体部分とを有するグラフト重合体であ
る。第1重合体部分は、以下の第1のα,β−不飽和単
量体がラジカル重合して生成する高ガラス転移点型重合
体からなる。また、第2重合体部分は、以下の2の
α,β−不飽和単量体がラジカル重合して生成する低ガ
ラス転移点型重合体からなる。 【0008】第1のα,β−不飽和単量体としては、ラ
ジカル重合により、273K以上、好ましくは333K
以上、より好ましくは353K以上のガラス転移点を有
する高ガラス転移点型重合体(単独重合体あるいは共重
合体)を生成するものであれば、いずれの単量体も使用
可能である。たとえば、(メタ)アクリル酸;炭素原
数1〜20のアルキル基を有するアルキル(メタ)アク
リレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル
(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリ
レート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレー
ト、アダマンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエ
チル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、
メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル
(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メ
タ)アクリレートなどに代表される(メタ)アクリレー
ト類;α−メチルスチレン、ビニルトルエン、スチレン
などに代表されるスチレン系重合性単量体;メチルビニ
ルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニル
エーテル、酢酸ビニルなどに代表されるビニルエーテル
類;フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステル、フマ
ル酸のジアルキルエステル;マレイン酸、マレイン酸の
モノアルキルエステル、マレイン酸のジアルキルエステ
ル;イタコン酸、イタコン酸のモノアルキルエステル、
イタコン酸のジアルキルエステル;無水コハク酸もしく
は無水フタル酸とヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
トとのハーフエステル;(メタ)アクリロニトリル、ブ
タジエン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、
ビニルケトン、ビニルピリジン、ビニルカルバゾールな
どを挙げることができ、いずれかを単独で、または、2
以上合わせて使用することができる。 【0009】第2のα,β−不飽和単量体としては、ラ
ジカル重合により、273K未満、好ましくは263K
未満、より好ましくは250K未満のガラス転移点を有
する低ガラス転移点型重合体(単独重合体あるいは共重
合体)を生成するものであれば、いずれの単量体も使用
可能である。たとえば、エチルアクリレート、ブチルア
クリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ドデシ
ルアクリレートなどの炭素数2〜18のアルキル基を有
するアルキルアクリレート;ヒドロキシエチルアクリレ
ート、ヒドロキシプロピルアクリレート、メトキシエチ
ルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、エトキ
シエトキシエチルアクリレートなどを挙げることがで
き、いずれかを単独で、または、2以上合わせて使用す
ることができる。また、273K未満のガラス転移温度
を満足する範囲内で第1のα,β− 不飽和単量体を含ん
でもかまわない。 【0010】熱可塑性付加重合体は、たとえば、第1重
合体部分から第2重合体部分が枝分かれしたグラフト構
造、第2重合体部分から第1重合体部分が枝分かれした
グラフト構造を有する。第1重合体部分から第2重合体
部分が枝分かれしたグラフト構造を有する熱可塑性付加
重合体は、高ガラス転移点型重合体を生成しうる第1の
α,β−不飽和単量体と、片末端に重合性不飽和結合基
を有する低ガラス転移点型重合体とを重合開始剤により
ラジカル重合させることにより得られる。低ガラス転移
点型重合体としては、上記α,β−不飽和単量体より得
られる重合体の片末端に重合性二重結合を有する、いわ
ゆるマクロモノマーを用いることができる 【0011】2重合体部分から第1重合体部分が枝分
かれしたグラフト構造を有する熱可塑性付加重合体は、
低ガラス転移点型重合体を生成しうる第2のα,β−不
飽和単量体と、片末端に重合性不飽和結合基を有する高
ガラス転移点型重合体とを重合開始剤によりラジカル重
合させることにより得られる。高ガラス転移点型重合体
は、たとえば、スチレン、酢酸ビニル、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリルおよびメタクリル酸メチルから
なる群から選ばれる少なくとも1つを含むα,β−不飽
和単量体を重合することで作られる。高ガラス転移点型
重合体としては、通常の(メタ)アクリル系ポリマーの
重合に用いる有機溶剤、例えば酢酸エチル、トルエン等
の有機溶剤に溶解する市販のマクロモノマーを使用する
ことも可能である。市販のマクロモノマーとしては、た
とえば、片末端に重合性二重結合基を有する、ポリスチ
レン、ポリ(アクリロニトリル−スチレン)、ポリメチ
ルメタクリレート、ポリ酢酸ビニルなどを用いることが
できる 【0012】ジカル重合は、通常のラジカル重合方法
である塊状重合、溶液重合で行うことができる。重合温
度は、重合開始剤によって異なるが、たとえば30〜2
00℃、好ましくは60〜150℃である。重合には、
通常のラジカル重合開始剤(たとえば、2,2′−アゾ
ビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビスシクロヘ
キサンカーボニトリルなどのアゾ系重合開始剤;過酸化
ベンゾイルなどの過酸化物系重合開始剤など)を通常使
用される量使用できる。高ガラス転移点型重合体と低ガ
ラス転移点型重合体との組み合わせは、Tgが異なる重
合体部分を有することで熱可塑性付加重合体の凝集力を
高めるという観点から設定される。まず、273K以上
のガラス転移点を有する高ガラス転移点型重合体部分
と、273K未満のガラス転移点を有する低ガラス転移
点型重合体部分との組み合わせが挙げられる。熱可塑性
付加重合体の凝集力をより向上させるという点からは、
好ましくは、333K以上のガラス転移点を有する高ガ
ラス転移点型重合体部分と、250K未満のガラス転移
点を有する低ガラス転移点型重合体部分との組み合わ
せ、より好ましくは、353K以上のガラス転移点を有
する高ガラス転移点型重合体部分と、250K未満のガ
ラス転移点を有する低ガラス転移点型重合体部分との組
み合わせ、さらに好ましくは353K以上のガラス転移
点を有する高ガラス転移点型重合体部分と、230K未
満のガラス転移点を有する低ガラス転移点型重合体部分
との組み合わせである。 【0013】第2重合体部分の量は、第1重合体部分の
量100重量部に対して、たとえば50〜2000重量
部の範囲である。この範囲を外れると熱可塑性付加重合
体がグラフト構造に由来する性能を持たないおそれがあ
る。この点を考慮とすると第2重合体部分の量は100
〜1000重量部が好ましい。有機溶剤としては、熱可
塑性付加重合体が溶解および/または分散しうるもので
あればよく、たとえば、トルエン、キシレン等の芳香族
炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル
類;シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素類;ヘキサ
ン、ペンタンなどの脂肪族炭化水素類;アセトン、メチ
ルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン
類;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノー
ルなどのアルコール類など有機溶剤が挙げられる。有機
溶剤は、単独溶媒でも混合溶媒でもよい。 【0014】本発明にかかる溶剤型の粘着剤組成物で
は、不揮発分濃度が60〜80重量%である。不揮発分
は熱可塑性付加重合体である。不揮発分濃度が80重量
%を上回ると2万cps以下の粘度を保ったまま粘着物
性を満足させることができないという問題があり、60
重量%を下回ると、ハイソリッド化のメリットである、
環境問題改善効果(低VOC:揮発性有機化合物の低
減)、省エネルギー効果、ラインスピードアップ効果が
低下するという問題がある。粘着剤組成物の粘度を1万
cps以下に保ったまま粘着物性を満足させ、かつ、ハ
イソリッド化のメリットである環境問題改善効果、省エ
ネルギー効果、ラインスピードアップ効果の低下をより
小さくするという点からは、不揮発分濃度は、好ましく
は65〜75重量%である。 【0015】本発明にかかる溶剤型の粘着剤組成物は、
熱可塑性付加重合体が低分子量であるため、上記範囲の
不揮発分濃度であっても、25℃における粘度が2万c
ps以下である。粘度が2万cpsよりも大きいと塗布
作業性または塗工性が悪い。塗工性が良くラインスピー
ドを上げるというメリットがあるという点では、粘度
は、好ましくは1万cps以下である。粘度は、B型粘
度計(BM型)、♯4、30rpmの条件で25℃にて
測定した値である。熱可塑性付加重合体が、たとえば1
0,000〜30,000、好ましくは13,000〜
20,000の数平均分子量を有するときには、ハイソ
リッドで低粘度でありながら、耐熱性と粘着物性とのバ
ランスに優れるという利点をさらに有する。 【0016】熱可塑性付加重合体の第1重合体部分また
は第1のα,β−不飽和単量体により生成した高ガラス
転移点型重合体部分が、1,000〜10,000、好
ましくは1,500〜5,000の数平均分子量を有す
るときには、溶液粘度と粘着物性のバランスが取りやす
いという利点をさらに有する。熱可塑性付加重合体の第
2重合体部分または第2のα,β−不飽和単量体により
生成した低ガラス転移点型重合体部分が、1,000〜
20,000、好ましくは3,000〜15,000の
数平均分子量を有するときには、溶液粘度と粘着物性の
バランスが取りやすいという利点をさらに有する。 【0017】熱可塑性付加重合体を有機溶剤に溶解およ
び/または分散させる方法としては、たとえば、重合工
程時に共存させておくのが通常の方法であり、場合によ
っては熱可塑性付加重合体と有機溶剤を混合し加熱して
溶解してもよい。本発明にかかる溶剤型の粘着剤組成物
の好ましい例を次に挙げる。 (1) 不揮発分濃度が65〜75重量%であり、25
℃における粘度が2万cps以下である、溶剤型の粘
剤組成物。 (2) 不揮発分濃度が60〜80重量%であり、25
℃における粘度が1万cps以下である、溶剤型の粘
剤組成物。 (3) 不揮発分濃度が65〜75重量%であり、25
℃における粘度が1万cps以下である、溶剤型の粘
剤組成物。 (4) 上記(1)〜(3)のいずれかにおいて、第1
重合体部分が333K以上のガラス転移点を有する高ガ
ラス転移点型重合体からなり、第2重合体部分が250
K未満のガラス転移点を有する低ガラス転移点型重合体
からなる、溶剤型の粘着剤組成物。 (5) 上記(1)〜(3)のいずれかにおいて、第1
重合体部分が353K以上のガラス転移点を有する高ガ
ラス転移点型重合体からなり、第2重合体部分が250
K未満のガラス転移点を有する低ガラス転移点型重合体
からなる、溶剤型の粘着剤組成物。 (6) 上記(1)〜(3)のいずれかにおいて、第1
重合体部分が353K以上のガラス転移点を有する高ガ
ラス転移点型重合体からなり、第2重合体部分が230
K未満のガラス転移点を有する低ガラス転移点型重合体
からなる、溶剤型の粘着剤組成物。 (7) 上記(4)〜(6)のいずれかにおいて、第1
重合体部分の数平均分子量が1,000〜10,00
0、第2重合体部分の数平均分子量が1,000〜2
0,000である、溶剤型の粘着剤組成物。 (8) 上記(4)〜(6)のいずれかにおいて、第1
重合体部分の数平均分子量が1,500〜5,000、
第2重合体部分の数平均分子量が3,000〜15,0
00である、溶剤型の粘着剤組成物。 (9) 上記(4)〜(6)のいずれかにおいて、第1
重合体部分の数平均分子量が1,000〜10,00
0、第2重合体部分の数平均分子量が1,000〜2
0,000、熱可塑性付加重合体の数平均分子量が1
0,000〜30,000である、溶剤型の粘着剤組成
物。 (10) 上記(4)〜(6)のいずれかにおいて、第1
重合体部分の数平均分子量が1,500〜5,000、
第2重合体部分の数平均分子量が3,000〜15,0
00、熱可塑性付加重合体の数平均分子量が13,00
0〜20,000である、溶剤型の粘着剤組成物 【0018】 【実施例】以下に、具体的技術を示す。但し、実施例1
は本発明の技術的範囲からは外れる参考技術である。
下では、「%」は「重量%」、「部」は「重量部」のこ
とである。なお、数平均分子量(Mn)、分子量分布
(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラ
フィー(GPC)によりポリスチレン換算値で求めた。
ガラス転移温度(Tg)は、パーキン・エルマー(Perk
in Elmer)社製示差走査熱量計「DSC−7」により求
めた。 【0019】消費メルカプト基量は、ジメチルホルムア
ミド溶剤のElleman法(比色法)により定量し
た。以下の実施例および比較例では、窒素導入管、滴下
ロート、温度計、冷却管を装備したマックスブレンド翼
(住友重機械工業株式会社製)を備えた1.5リットル
の4つ口フラスコを用いて重合を行った。 比較例アクリル酸ブチル289.5部、アクリル酸9部、HE
A1.5部、酢酸エチル300部を加え、窒素雰囲気下
83℃まで昇温した。ABN−E2部、酢酸エチル10
部を加えて重合を開始した。 【0020】重合開始10分後、滴下ロートからアクリ
ル酸ブチル675.5部、アクリル酸21部、HEA
3.5部、酢酸エチル200部、トルエン500部を3
時間かけて滴下した。滴下終了10分、40分、70分
後にそれぞれABN−E0.5部、酢酸エチル5部を加
えた。内温85℃にて90分間反応させた後、室温まで
冷却し反応を終了した。重合率は100%であった。
られた比較用粘着剤は、不揮発分濃度49.8%、25
℃における粘度13,000cpsの透明粘稠液であっ
た。数平均分子量3.2×10 4 、Mw/Mn=8.9
であった。 【0021】上記で得られた比較用粘着剤に硬化剤を配
合して粘着物性を評価した。その結果を表に示す。粘
着物性は優れているが、不揮発分濃度が49.8%と低
いにもかかわらず粘度が13,000cpsと高いもの
であった。 (比較例 A229.5部、アクリル酸2−エチルヘキシル(2
EHA)60部、AA3部、HEA4.5部、チオグリ
コール酸オクチル7部、酢酸エチル190部を加え、窒
素雰囲気下83℃まで昇温した。AIBN2部、酢酸エ
チル10部を加えて重合を開始した。 【0022】重合開始10分後、滴下ロートからBA5
30部、2EHA140部、AA7部、HEA10.5
部、酢酸エチル150部を3時間かけて滴下した。滴下
終了10分、40分、70分後にそれぞれAIBN0.
2部、酢酸エチル5部を加えた。内温85℃にて90分
間反応させた後、トルエン175部を加えて冷却し、反
応を終了した。重合率は100%であった。得られた粘
着剤溶液は、不揮発分濃度64.5%、25℃における
粘度9,900cpsの透明粘稠液であった。数平均分
子量2.1×104 、Mw/Mn=3.5であった。 【0023】この粘着剤溶液に対して、コロネートL5
5E(日本ポリウレタン社製のポリ イソシアネート化合
物:固形分55%)を1.68部(粘着剤溶液の固形分
100部に対する量)混合して、PETフィルム上に乾
燥塗布厚みが25μmとなるように塗布し、100℃で
2分間乾燥させた。その後、23℃で7日間養生した。
得られた粘着テープの180°ピール、ボールタック、
保持力(ステンレススチール)の評価結果を表1に示し
た。比較用粘着剤は後述の実施例と同量のコロネート
L55Eでは保持力が不足しているので、約4倍量を使
用した。その結果、180°ピールが極度に小さくな
り、また、柔軟性がなく脆い粘着剤となった。 【0024】(比較例メタクリル酸フェニル(PhMA)195部、アクリル
酸(AA)2部、HEA3部、酢酸エチル190部を加
え、窒素雰囲気下83℃まで昇温した。内温が83℃に
達した後、4価のメルカプタンであるペンタエリスリト
ールテトラキスチオグリコレート9部、2,2′−アゾ
ビスバレロニトリル(AIBN)0.8部、酢酸エチル
10部を加えて重合を開始した。 重合開始70分、10
0分後にそれぞれペンタエリスリトールテトラキスチオ
グリコレート4.5部、AIBN0.4部、酢酸エチル
5部を加えた。重合開始140分後、メタクリル酸フェ
ニルの重合率は80%に達し、生成した重合体の数平均
分子量0.5×10 4 、分子量分布(Mw/Mn)は
1.8、ガラス転移温度83℃であった。 【0025】メルカプト基の定量から、添加したペンタ
エリスリトールテトラキスチオグリコレート中の70モ
ル%のメルカプト基が消費されていた。よって、重合体
部分(PhMA/AA/HEA)の枝の数は、平均(4
×0.7=)2.8本で、その数平均分子量は(0.5
×10 4 /2.8≒)1800であることがわかった。
続いて、この反応液に滴下ロートからBA780部、A
A8部、HEA12部、酢酸エチル150部を2時間か
けて滴下した。この間内温は85℃であった。 滴下終了
10分後、40分後、70分後にそれぞれAIBN0.
2部、酢酸エ チル5部を加えた。内温85℃にて90分
間反応させた後、トルエン175部を加えてから冷却
し、反応を終了した。重合率は100%であった。 【0026】上記重合で、4価のメルカプタンであるペ
ンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート18部
の代わりにチオグリコール酸オクチル(TGO)7部を
使用した以外は同様の重合操作を繰り返して比較用粘着
剤溶液を得た。表に物性値を示す。この粘着剤の熱可
塑性付加重合体は、ブロック構造を有していないため、
ポリ(PhMA/AA/HEA)とポリ(PhMA/B
A/AA/HEA)が分離しすぎて粘着力も凝集力も不
十分なものであった。 (実施例 リメタクリル酸メチルのマクロモノマー(数平均分子
量2,000)250部、BA728部、AA8部、H
EA14部、チオグリコール酸オクチル(TGO)7
部、ABN−E0.8部、トルエン600部を仕込み、
83℃に加熱した。重合を開始してから3時間後、AB
N−E0.2部、トルエン5部を30分ごとに3回加え
て、90分間熟成を行った。重合率は100%であっ
た。 【0027】得られた粘着剤溶液は、不揮発分濃度6
2.0%、25℃における粘度7,800cpsの蛍光
色白色粘稠液であった。数平均分子量1.9×104
Mw/Mn=3.8であった。比較と同様にして粘
着剤物性を評価した結果を表に示す。実施例の粘着
剤は、不揮発分濃度が高く、25℃での粘度7,800
cpsで機械塗工性にも優れており、また、粘着物性も
バランスに優れるものであった。 【0028】 【表1】【0029】1)PMMAマクロモノマーMn=2,0
00 2)粘度は、B型粘度計♯4で、30rpm、25℃に
て測定した。 3)粘着剤固形分100部に対してコロネートL55E
の添加量を記した。 4)プローブタックは、荷重100g、接触時間1秒、
5mmφ、23℃の条件にて測定した 【0030】 【発明の効果】発明にかかる溶剤型の粘着剤組成物
、273K以上のガラス転移点を有する高ガラス転移
点型重合体からなる第1重合体部分と273K未満のガ
ラス転移点を有する低ガラス転移点型重合体からなる第
2重合体部分とを有する熱可塑性付加重合体と、有機溶
剤とを含み、不揮発分濃度が60〜80重量%であり、
25℃における粘度が2万cps以下であるので、粘着
性と耐熱性に優れ、環境問題、省エネルギー、ラインス
ピードアップに対応できるハイソリッド溶剤型粘着剤と
して有用である。 【0031】本発明にかかる溶剤型の粘着剤組成物は、
粘着テープ(クラフト紙、一軸延伸ポリプロピレン(O
PP)、セロハン、軟質塩化ビニル樹脂、ポリエチレ
ン、布、PET、フォーム、不織布などの基材が使用さ
れる。段ボール封緘用、軽包装シール用、保護用、電車
用、塗装マスキング用、両面粘着用などとして)、粘着
ラベル(紙、合成紙、軟質塩化ビニル樹脂・OPP・セ
ロハン・ポリエチレン・PETなどのフィルムが基材と
して使用される)、医療用粘着製品(絆創膏、貼布薬、
経皮吸収貼布薬など)などの用途に有用である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C09J 133/08 C09J 133/08 (56)参考文献 特開 平1−272679(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09J 201/00 C09J 133/08 C08F 2/00 C08F 291/00 C08L 101/12

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】熱可塑性付加重合体と有機溶剤とを含む溶
    剤型の粘着剤組成物において、前記熱可塑性付加重合体
    が、353K以上のガラス転移点を有し数平均分子量
    1,500〜5,000の高ガラス転移点型重合体から
    なる第1重合体部分と230K未満のガラス転移点を有
    し数平均分子量3,500〜15,000の低ガラス転
    移点型重合体からなる第2重合体部分とを有するグラフ
    ト構造の重合体であって、その不揮発分濃度が65〜7
    重量%であり、その25℃における粘度が1万cps
    以下であることを特徴とする、溶剤型の粘着剤組成物。
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