JP3609321B2 - ダンボール封緘用テープ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶剤型の粘着剤組成物を用いたダンボール封緘用テープに関する。
【0002】
【従来の技術】
粘着剤は、ホットメルト粘着剤、溶剤型粘着剤、エマルション型粘着剤など種々のタイプを有する。ホットメルト粘着剤は、有機溶剤や水性媒体を全くまたはほとんど含まないため、作業環境、大気汚染、火災の危険性、乾燥工程の不要、省エネルギーなどの点で優れている。溶剤型粘着剤は、ホットメルト粘着剤に比べて耐熱性および塗布作業性に優れ、エマルション型粘着剤に比べて耐水性に優れているため耐水性を要求される分野では他に替わるものがない。しかしながら、環境問題や省エネルギー、ラインスピードアップのため使用する溶剤を減らす、いわゆるハイソリッド溶剤型粘着剤が求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記の事情に鑑み、環境問題、省エネルギー、ラインスピードアップに対応できるハイソリッド型を含む、耐熱性、塗布作業性、耐水性に優れた溶剤型の粘着剤組成物を用いたダンボール封緘用テープを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかるダンボール封緘用テープは、基材フィルム上に粘着剤層を有するダンボール封緘用テープにおいて、前記粘着剤層は、溶剤型の粘着剤組成物を前記基材フィルム上に塗布、乾燥して得られたものであり、前記溶剤型の粘着剤組成物は、熱可塑性付加重合体と該熱可塑性付加重合体を溶解および/または分散させた有機溶剤とを含み、前記熱可塑性付加重合体が、多価メルカプタンからそのメルカプト基のプロトンが解離した残りの部分である多価メルカプタン部分と該多価メルカプタン部分から放射状に延びた第1重合体部分および第2重合体部分とを有する星形ブロック構造の重合体であって、その25℃における粘度が2万cps以下であり、かつ、前記第1重合体部分が273K以上のガラス転移点を有する高ガラス転移点型重合体からなり、前記第2重合体部分が273K未満のガラス転移点を有する低ガラス転移点型重合からなる。
本発明にかかるダンボール封緘用テープでは、前記星形ブロック構造の重合体が、準備工程と第1重合工程と添加工程と第2重合工程とを含む以下の製造方法により作られた熱可塑性付加重合体であることができる。準備工程は、多価メルカプタンと273K以上のガラス転移点を有する高ガラス転移点型重合体を生成しうる第1のα,β−不飽和単量体とを含み第1混合物を準備する工程である。第1重合工程は、多価メルカプタンの有するメルカプト基を発端として第1のα,β−不飽和単量体のラジカル重合を行って反応混合物を得る工程である。添加工程は、第2のα,β−不飽和単量体を反応混合物に加えて273K未満のガラス転移点を有する低ガラス転移点型重合体を生成しうる第2混合物を得る工程である。第2重合工程は、第2混合物に含まれる単量体のラジカル重合を行う工程である。
【0005】
本発明にかかるダンボール封緘用テープにおいて、前記溶剤型の粘着剤組成物は、ハイソリッド型にする場合は、不揮発分濃度が60〜80重量%であることが好ましい。
【0006】
【作用】
本発明では、粘着剤組成物は、重合体として、多価メルカプタン部分と多価メルカプタン部分から放射状に延びた第1重合体部分および第2重合体部分とを有する星形ブロック構造の重合体である熱可塑性付加重合体を含み、第1重合体部分が273K以上のガラス転移点を有する高ガラス転移点型重合体からなり、第2重合体部分が273K未満のガラス転移点を有する低ガラス転移点型重合体からなる。
本発明では、前記星形ブロック構造の重合体が、準備工程と第1重合工程と添加工程と第2重合工程とを含む以下の製造方法により作られた熱可塑性付加重合体であることができる。準備工程は、多価メルカプタンと273K以上のガラス転移点を有する高ガラス転移点型重合体を生成しうる第1のα,β−不飽和単量体とを含み第1混合物を準備する工程である。第1重合工程は、多価メルカプタンの有するメルカプト基を発端として第1のα,β−不飽和単量体のラジカル重合を行って反応混合物を得る工程である。このラジカル重合により、高ガラス転移点型重合体からなる第1重合体部分が多価メルカプタン部分から放射状に延びた重合体が生成する。添加工程は、第2のα,β−不飽和単量体を反応混合物に加えて273K未満のガラス転移点を有する低ガラス転移点型重合体を生成しうる第2混合物を得る工程である。第2重合工程は、第2混合物に含まれる単量体のラジカル重合を行う工程である。このラジカル重合により、第1重合工程で生成した重合体の多価メルカプタン部分から、低ガラス転移点型重合体からなる第2重合体部分が放射状に延びた熱可塑性付加重合体が生成する。
【0007】
前記熱可塑性付加重合体は、このように、複数の重合体部分が多価メルカプタン部分から放射状に延びているという枝分かれ構造(星形ブロック構造)を持っているため、効果的に相分離する。高ガラス転移点型重合体からなる第1重合体部分が不連続相を形成し、擬似架橋構造を取るため、従来の一般的粘着剤と比較して凝集力が高く耐熱性に優れている。第1重合体部分のガラス転移点が高いほど耐熱性に優れた粘着剤組成物にすることができる。また、低ガラス転移点型重合体からなる第2重合体部分が連続相を形成し、粘着性を発現する。第2重合体部分のガラス転移点が低いほど粘着性を高くする効果が大きい。粘着性の発現は従来の一般的粘着剤と同じ機構による。しかし、耐熱性を出すためには、一般的粘着剤が架橋する必要があるのに対して、本発明に使用される粘着剤組成物では架橋を必要としない。架橋はその架橋条件により粘着力の低下あるいは経時変化を起こすため、粘着剤や粘着製品の信頼性を損なう場合がある。本発明に使用される粘着剤組成物は、信頼性の点で、それら従来の一般的粘着剤よりも優れている。また、イソシアネート架橋を利用するものでは1週間程度の養生を必要とするため生産効率が悪いが、本発明に使用される粘着剤組成物ではその必要はない。ただし、本発明に使用される溶剤型の粘着剤組成物を架橋させて使用することは可能である。
【0008】
本発明では、粘着剤組成物は、前記の熱可塑性付加重合体を溶解および/または分散させた有機溶剤をさらに含み、25℃における粘度が2万cps以下であるので、機械塗工性に優れる等、溶剤型の長所を備えている。本発明に使用される溶剤型の粘着剤組成物では、不揮発分濃度が60〜80重量%であっても、25℃における粘度が2万cps以下である。このため、ハイソリッド溶剤型にした場合でも機械塗工性に優れている。従来の溶剤型粘着剤をハイソリッド化すると粘度が極度に高くなるため重合体を低分子量化する必要があり、耐熱性を持たせるために多量の硬化剤を含む必要があるが、180°ピールの低下、タックの減少または外観の低下を生じる。本発明に使用される溶剤型の粘着剤組成物は、上述のように相分離構造を利用して高い凝集力を有するため、通常と同量またはほぼ同量の硬化剤を含むことで耐熱性(たとえば80℃保持力)を発現する。よって、粘着物性を低下させることなく、ハイソリッド化が可能となる。
【0009】
【実施の形態】
本発明に使用される溶剤型の粘着剤組成物では、多価メルカプタン部分と該多価メルカプタン部分から放射状に延びた第1重合体部分および第2重合体部分とを有する熱可塑性付加重合体が用いられている。
多価メルカプタン部分とは、後述する多価メルカプタン(2以上のメルカプト基を有するメルカプタン)から複数のメルカプト基のプロトンが解離した残りの部分(残基)を言う。
多価メルカプタン部分としては、好ましくは、後述する3〜6価のメルカプタン、より好ましくは、後述する4〜6価のメルカプタンから複数のメルカプト基のプロトンが解離した残りの部分である。この理由は、熱可塑性付加重合体が、同一中心から放射状に延びた星型のブロック構造を持つため、重合体部分間のからみによる効果(たとえば、高凝集力)や相分離構造の形態変化が期待できるという利点があるからである。多価メルカプタン部分が2価のメルカプタンからメルカプト基のプロトンが解離した残りの部分であると、粘着剤組成物の耐熱性が十分でないことがある。また、多価メルカプタン部分が7価以上のメルカプタンからメルカプト基のプロトンが解離した残りの部分であると、熱可塑性付加重合体は重合体部分が同一中心から放射状に延びた構造を取りにくいので、得たい物性が発現しないおそれがある。
【0010】
多価メルカプタンは、1分子あたり2個以上のメルカプト基を有する化合物であり、1分子あたりのメルカプト基の個数が2、3、…であるメルカプタンを、それぞれ、2価のメルカプタン、3価のメルカプタン、…と言う。多価メルカプタンとしては、たとえば、エチレングリコールや1,4−ブタンジオールのようなジオールとカルボキシル基含有メルカプタン類のジエステル;トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなど水酸基を3個以上有する化合物とカルボキシル基含有メルカプタン類のポリエステル化合物;トリチオグリセリンなどのメルカプト基を3個以上有する化合物;2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−S−トリアジン、2,4,6−トリメルカプト−S−トリアジンなどのトリアジン多価チオール類;多価エポキシ化合物の複数のエポキシ基に硫化水素を付加させて複数のメルカプト基を導入してなる化合物;多価カルボン酸の複数のカルボキシル基とメルカプトエタノールをエステル化してなるエステル化合物などを挙げることができ、それらのいずれかを単独で、または、2以上を合わせて使用することができる。ここで、カルボキシル基含有メルカプタン類とは、チオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸、チオサリチル酸など、1個のメルカプト基と1個のカルボキシル基を有する化合物である。なお、メルカプト基を1個だけ有するメルカプタンは、重合体部分が放射状に延びた構造を与えないため、熱可塑性付加重合体のメルカプタン部分として使用できない。
【0011】
多価メルカプタンは、星形ブロック構造を有する重合体を形成する観点から、好ましくは3〜6個のメルカプト基を有する化合物(すなわち、3〜6官能性メルカプタン)、より好ましくは4〜6個のメルカプト基を有する化合物(すなわち、4〜6官能性メルカプタン)である。メルカプト基を1個だけ有するメルカプタンは重合体部分が放射状に伸びた構造を与えない。メルカプト基を6個より多く有するメルカプタンは、同一中心から放射状に伸びた構造とはならないため、得たい物性が発現しないおそれがある。
多価メルカプタンとしては、たとえば、トリチオグリセリン、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピオネートなどの3官能性メルカプタン;ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネートなどの4官能性メルカプタン;ジペンタエリスリトールヘキサキスチオグリコレート、ジペンタエリスリトールヘキサキスチオプロピオネートなどの6官能性メルカプタン;3価〜6価のエポキシ化合物に硫化水素を付加した化合物、3価〜6価のカルボン酸のメルカプトエタノール付加物などを挙げることができ、その1種以上を使用する。
【0012】
第1重合体部分と第2重合体部分は、多価メルカプタン部分から放射状に延びている。重合体部分が多価メルカプタン部分から放射状に延びているとは、高分子1個あたり2個の重合体部分が多価メルカプタン部分から2方向に延びた場合(直線状に延びた場合も含む)と、高分子1個あたり3個以上の重合体部分が多価メルカプタン部分から3以上の方向に延びた場合とを言う。重合体部分の一端の炭素原子は多価メルカプタン部分のメルカプト基に由来するイオウ原子に結合している。
第1重合体部分および第2重合体部分は、それぞれ、通常、数平均分子量が、1,000〜150,000、好ましくは3,000〜100,000である。重合体部分の数平均分子量が前記範囲を下回ると熱可塑性付加重合体に重合体部分に基づく特性を導入することができないおそれがあり、上回るとハイソリッド溶剤型粘着剤の粘度が高くなるだけでなく製造時の粘度が高くなり、生産性の点で好ましくないおそれがある。
【0013】
熱可塑性付加重合体は、高分子1個あたり1以上の第1重合体部分と1以上の第2重合体部分を有する。重合体部分は、重合性不飽和単量体が、ラジカル重合してなる、単独重合体または共重合体の構造を有する部分である。ラジカル重合して得られる重合体部分は、アニオン重合などのイオン重合により生成した重合体部分よりも組成の種類が多様であり、使用される単量体の種類もラジカル重合可能であること以外は特に制限されないし、共重合体であることも可能である。第1重合体部分は、273K以上、好ましくは333K以上、より好ましくは353K以上のガラス転移点を有する高ガラス転移点型重合体からなる。高ガラス転移点型重合体からなる第1重合体部分は、第2重合体部分とは相分離して不連続相を形成し、擬似架橋構造をとるため、粘着剤組成物を耐熱性に優れたものとする。第1重合体部分のガラス転移点が高いほど耐熱性向上効果は大きい。
【0014】
第2重合体部分は、273K未満、好ましくは263K未満、より好ましくは250K未満のガラス転移点を有する低ガラス転移点型重合体からなる。低ガラス転移点型重合体からなる第2重合体部分は、第1重合体部分とは相分離して連続相を形成し、粘着性を発現する。第2重合体部分のガラス転移点が低いほど粘着力を高くする効果が大きい。
第1重合体部分と第2重合体部分とのガラス転移点の違いは、重合体部分が単独重合体からなる場合には、重合体を構成する単量体単位の違い、重合体部分が共重合体からなる場合には、単量体単位の違い及び/又は単量体単位の割合の違いなどにより得られる。
【0015】
第1重合体部分は、後述する第1のα,β−不飽和単量体がラジカル重合して生成する高ガラス転移点型重合体からなる。また、第2重合体部分は、後述する第2のα,β−不飽和単量体がラジカル重合体して生成する低ガラス転移点型重合体からなる。
第1のα,β−不飽和単量体としては、ラジカル重合により、273K以上、好ましくは333K以上、より好ましくは353K以上のガラス転移点を有する高ガラス転移点型重合体(単独重合体あるいは共重合体)を生成するものであれば、いずれの単量体も使用可能である。たとえば、(メタ)アクリル酸;炭素原子数1〜20のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレートなどに代表される(メタ)アクリレート類;α−メチルスチレン、ビニルトルエン、スチレンなどに代表されるスチレン系重合性単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、酢酸ビニルなどに代表されるビニルエーテル類;フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステル、フマル酸のジアルキルエステル;マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル、マレイン酸のジアルキルエステル;イタコン酸、イタコン酸のモノアルキルエステル、イタコン酸のジアルキルエステル;無水コハク酸もしくは無水フタル酸とヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとのハーフエステル;(メタ)アクリロニトリル、ブタジエン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルケトン、ビニルピリジン、ビニルカルバゾールなどを挙げることができ、いずれかを単独で、または、2以上合わせて使用することができる。
【0016】
第2のα,β−不飽和単量体としては、第2のα,β−不飽和単量体と第1重合工程で反応せずに残存する第1のα,β−不飽和単量体との混合物が、あるいは、第2のα,β−不飽和単量体そのものが、ラジカル重合により、273K未満、好ましくは263K未満、より好ましくは250K未満のガラス転移点を有する低ガラス転移点型重合体(単独重合体あるいは共重合体)を生成するものであれば、いずれの単量体も使用可能である。たとえば、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレートなどの炭素数2〜18のアルキル基を有するアルキルアクリレート;ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレートなどを挙げることができ、いずれかを単独で、または、2以上合わせて使用することができる。また、273K未満のガラス転移温度を満足する範囲内で第1のα,β−不飽和単量体を含んでもかまわない。
【0017】
第1重合体部分と第2重合体部分との組み合わせを選択することで、耐熱性と粘着性、接着力と強靱性などの相反する性能の両立が可能となる。たとえば、熱可塑性付加重合体を粘着剤(感圧接着剤)として使用する場合には、低ガラス転移点型重合体からなる第2重合体部分が高ガラス転移点型重合体からなる第1重合体部分よりも多くの部分、大部分を占めるように熱可塑性付加重合体の設計がなされる。
熱可塑性付加重合体の数平均分子量は、10,000〜200,000である。数平均分子量が前記範囲を下回ると、耐熱性が不十分であり使用時の凝集力(保持力)が低下する。数平均分子量が前記範囲を上回ると、粘着剤溶液の粘度が高く取り扱い性が悪くなる。耐熱性が十分高く、粘着剤溶液の粘度が十分低いというバランスを考慮すると、熱可塑性付加重合体の数平均分子量は、好ましくは10,000〜100,000である。
【0018】
熱可塑性付加重合体は、分子量分布(Mw/Mn)6以下であることが好ましい。
本発明に使用される粘着剤組成物の好ましい例を次に挙げる。
(1) 多価メルカプタン部分と該多価メルカプタン部分から放射状に延びた第1重合体部分および第2重合体部分とを有する熱可塑性付加重合体を含み、前記第1重合体部分が273K以上のガラス転移点を有する高ガラス転移点型重合体からなり、前記第2重合体部分が250K未満のガラス転移点を有する低ガラス転移点型重合体からなる、溶剤型の粘着剤組成物。
(2) 多価メルカプタン部分と該多価メルカプタン部分から放射状に延びた第1重合体部分および第2重合体部分とを有する熱可塑性付加重合体を含み、前記第1重合体部分が333K以上のガラス転移点を有する高ガラス転移点型重合体からなり、前記第2重合体部分が273K未満のガラス転移点を有する低ガラス転移点型重合体からなる、溶剤型の粘着剤組成物。
(3) 多価メルカプタン部分と該多価メルカプタン部分から放射状に延びた第1重合体部分および第2重合体部分とを有する熱可塑性付加重合体を含み、前記第1重合体部分が333K以上のガラス転移点を有する高ガラス転移点型重合体からなり、前記第2重合体部分が250K未満のガラス転移点を有する低ガラス転移点型重合体からなる、溶剤型の粘着剤組成物。
(4) 多価メルカプタン部分と該多価メルカプタン部分から放射状に延びた第1重合体部分および第2重合体部分とを有する熱可塑性付加重合体を含み、前記第1重合体部分が353K以上のガラス転移点を有する高ガラス転移点型重合体からなり、前記第2重合体部分が273K未満のガラス転移点を有する低ガラス転移点型重合体からなる、溶剤型の粘着剤組成物。
(5) 多価メルカプタン部分と該多価メルカプタン部分から放射状に延びた第1重合体部分および第2重合体部分とを有する熱可塑性付加重合体を含み、前記第1重合体部分が353K以上のガラス転移点を有する高ガラス転移点型重合体からなり、前記第2重合体部分が250K未満のガラス転移点を有する低ガラス転移点型重合体からなる、溶剤型の粘着剤組成物。
(6) 上記(1)〜(5)のいずれかにおいて、第1重合体部分の数平均分子量が1,000〜150,000、第2重合体部分の数平均分子量が1,000〜150,000である、溶剤型の粘着剤組成物。
(7) 上記(1)〜(5)のいずれかにおいて、第1重合体部分の数平均分子量が3,000〜100,000、第2重合体部分の数平均分子量が3,000〜100,000である、溶剤型の粘着剤組成物。
(8) 上記(1)〜(5)のいずれかにおいて、第1重合体部分の数平均分子量が1,000〜150,000、第2重合体部分の数平均分子量が1,000〜150,000、熱可塑性付加重合体の数平均分子量が10,000〜200,000である、溶剤型の粘着剤組成物。
(9) 上記(1)〜(5)のいずれかにおいて、第1重合体部分の数平均分子量が3,000〜100,000、第2重合体部分の数平均分子量が3,000〜100,000、熱可塑性付加重合体の数平均分子量が10,000〜100,000である、溶剤型の粘着剤組成物。
(10) 上記(1)〜(9)のいずれかにおいて、熱可塑性付加重合体の分子量分布(Mw/Mn)6以下である、溶剤型の粘着剤組成物。
(11) 多価メルカプタン部分が3〜6官能性メルカプタンの残基である、溶剤型の粘着剤組成物。
(12) 上記(1)〜(10)のいずれかにおいて、多価メルカプタン部分が3〜6官能性メルカプタンの残基である、溶剤型の粘着剤組成物。
(13) 上記(11)〜(12)のいずれかにおいて、多価メルカプタン部分が4〜6官能性メルカプタンの残基である、溶剤型の粘着剤組成物。
【0019】
本発明で用いる熱可塑性付加重合体は、たとえば、以下に述べる熱可塑性付加重合体を製造する方法により作られる。
この製造方法は、以下に述べる準備工程と第1重合工程と添加工程と第2重合工程とを含む。
準備工程は、多価メルカプタンと273K以上のガラス転移点を有する高ガラス転移点型重合体を生成しうる第1のα,β−不飽和単量体とを含む第1混合物を準備する工程である。
第1のα,β−不飽和単量体および多価メルカプタンについては、すでに説明したので、ここでは説明を省略する。
【0020】
多価メルカプタンの存在下で重合を行うと、多価メルカプタンのメルカプト基を発端として重合が進行するので、分子量分布が狭く(たとえば分子量分布(Mw/Mn)6以下)、高度に枝分かれした星形ブロック構造を有する熱可塑性付加重合体が生成する。
第1混合物は、第1のα,β−不飽和単量体100重量部に対して、多価メルカプタンを、たとえば0.01〜10重量部含む。多価メルカプタンの量が前記範囲を外れると第1重合体部分の数平均分子量が1,000〜150,000の範囲を外れたり、熱可塑性付加重合体の数平均分子量が10,000〜200,000の範囲を外れたりするおそれがある。この点を考慮すると、多価メルカプタンの量は、0.05〜5重量部がより好ましい。
【0021】
第1混合物は、第1のα,β−不飽和単量体と多価メルカプタンとを溶解および/または分散した媒体をさらに含んでいてもよい。この媒体としては、単量体と得られた重合体とが溶解するものであれば良い。媒体の量は、第1のα,β−不飽和単量体と第2のα,β−不飽和単量体との合計量に対して、たとえば0〜200重量%、好ましくは0〜100重量%である。前記範囲を上回ると重合速度が低下したり固形分換算のコストが高くなったりして工業的に好ましくない。媒体としては、たとえば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素類;ヘキサン、ペンタンなどの脂肪族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類などの有機溶剤が挙げられる。有機溶剤は、単独溶媒でも混合溶媒でもよい。
【0022】
第1重合工程は、多価メルカプタンの有するメルカプト基を発端として第1のα,β−不飽和単量体のラジカル重合を行って反応混合物を得る工程である。ラジカル重合は、通常のラジカル重合方法である塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などで行うことができる。安価な重合体を得るためには、余分な揮発成分を含まない塊状重合方法が好ましい。
重合温度は、30〜200℃が好ましく、より好ましくは重合開始剤を使用しないで安定に塊状重合できる100〜150℃である。
第1重合工程には、通常のラジカル重合開始剤(たとえば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビスシクロヘキサンカーボニトリルなどのアゾ系重合開始剤;過酸化ベンゾイルなどの過酸化物系重合開始剤など)を使用できるが、重量比で、通常、多価メルカプタンの1/3以下、好ましくは1/10以下、より好ましくは使用しない。重合開始剤を前記比率よりも多量に使用すると、多価メルカプタンから延びた重合体部分以外に、重合開始剤から延びた重合体が多量に生成し、星形ブロック構造を有する熱可塑性付加重合体の生成効率が低下してしまう。
【0023】
第1重合工程でのラジカル重合により、多価メルカプタンの各分子において、1個または複数個のメルカプト基のイオウ残基に273K以上のガラス転移点を有する高ガラス転移点型重合体の炭素鎖一端の炭素原子が結合した生成物が得られる。この生成物は、多価メルカプタン部分から放射状に延びた第1重合体部分を含み、未反応のメルカプト基を有している。第1重合体部分は高ガラス転移点型重合体からなっている。イオウ残基に効率良く第1重合体部分の一端を結合させるためには、重合系中に必要以上の重合開始剤を添加しないことが好ましい。第1重合工程でのラジカル重合は、たとえば重合率30〜95%、好ましくは重合率50〜90%、より好ましくは重合率70〜85%になるまで行う。重合率が前記範囲よりも低いと、十分な耐熱性が得られなかったり、あるいは、第1のα,β−不飽和単量体が多く残るため第2重合工程で得られる第2重合体部分の粘着性が不十分となったりするおそれがある。重合率が前記範囲よりも高いと、残存するメルカプト基が減少してブロック重合体の生成効率が悪くなり、十分な耐熱性が得られないおそれがある。この第1重合工程と後述の第2重合工程とで異なる重合体部分が生成しやすくするために、この第1重合工程後は、残存している第1のα,β−不飽和単量体を揮発除去することも可能である。
【0024】
添加工程は、第1重合工程で得られた反応混合物に第2のα,β−不飽和単量体を加えて273K未満のガラス転移点を有する低ガラス転移点型重合体を生成しうる第2混合物を得る工程である。
第2のα,β−不飽和単量体については、すでに説明したので、ここでは説明を省略する。
熱可塑性付加重合体を粘着剤(感圧接着剤)として使用する場合には、低ガラス転移点型重合体からなる第2重合体部分が高ガラス転移点型重合体からなる第1重合体部分よりも多くの部分、大部分を占めるように熱可塑性付加重合体の設計がなされる。
【0025】
第1のα,β−不飽和単量体と第2のα,β−不飽和単量体との組み合わせは、Tgが異なる重合体部分を有するブロック構造を導入することで熱可塑性付加重合体の凝集力を高めるという観点から設定される。まず、273K以上のガラス転移点を有する高ガラス転移点型重合体を生成しうる第1のα,β−不飽和単量体と、273K未満のガラス転移点を有する低ガラス転移点型重合体を生成しうる第2のα,β−不飽和単量体との組み合わせが挙げられる。熱可塑性付加重合体の凝集力をより向上させるという点からは、好ましくは、333K以上のガラス転移点を有する高ガラス転移点型重合体を生成しうる第1のα,β−不飽和単量体と、250K未満のガラス転移点を有する低ガラス転移点型重合体を生成しうる第2のα,β−不飽和単量体との組み合わせ、より好ましくは、353K以上のガラス転移点を有する高ガラス転移点型重合体を生成しうる第1のα,β−不飽和単量体と、250K未満のガラス転移点を有する低ガラス転移点型重合体を生成しうる第2のα,β−不飽和単量体との組み合わせである。
【0026】
第2のα,β−不飽和単量体の量は、第1のα,β−不飽和単量体から生成する重合体100重量部に対して、たとえば50〜2000重量部の範囲である。この範囲を外れると熱可塑性付加重合体が星形ブロック構造に由来する性能を持たないおそれがある。この点を考慮とすると第2のα,β−不飽和単量体の量は100〜1000重量部が好ましい。
添加工程では、第2のα,β−不飽和単量体を一括で添加する方法、滴下して添加する方法を採用することができる。
第2混合物は、第1重合工程で生成した重合体と第2のα,β−不飽和単量体とを溶解および/または分散した媒体をさらに含んでいてもよい。この媒体としては、単量体と得られた重合体とが溶解するものであれば良い。媒体の量は、第1のα,β−不飽和単量体と第2のα,β−不飽和単量体との合計量に対して、たとえば0〜200重量%、好ましくは0〜100重量%である。前記範囲を上回ると重合速度が低下したり固形分換算のコストが高くなったりして工業的に好ましくない。媒体としては、たとえば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素類;ヘキサン、ペンタンなどの脂肪族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類などの有機溶剤が挙げられる。有機溶剤は、単独溶媒でも混合溶媒でもよい。
【0027】
第2重合工程は、第2混合物に含まれる単量体のラジカル重合を行う工程である。このラジカル重合は、多価メルカプタンのうちの残存しているメルカプト基の全部または一部を発端として行われ、低ガラス転移点型重合体を生成する。この発端となるメルカプト基のイオウ残基に第2重合体部分の一端が結合した生成物が得られる。第2重合体部分は低ガラス転移点型重合体からなる。この生成物は、未反応のメルカプト基を有していてもよい。この場合には、第2重合工程を2回繰り返すことにより、第3の異なる組成を有する重合体部分を導入し、第2重合工程を3回繰り返すことにより、第3および第4の異なる組成を有する重合体部分を導入し、第2重合工程の繰り返し数を増すごとにさらに異なる組成を有する重合体部分を導入することができる。
【0028】
ラジカル重合は、通常のラジカル重合方法である塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などで行うことができる。安価な重合体を得るためには、余分な揮発成分を含まない塊状重合方法が好ましい。
重合温度は、30〜200℃が好ましく、より好ましくは重合開始剤を使用しないで安定に塊状重合できる100〜150℃である。
第2重合工程には、通常のラジカル重合開始剤(たとえば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビスシクロヘキサンカーボニトリルなどのアゾ系重合開始剤;過酸化ベンゾイルなどの過酸化物系重合開始剤など)を使用できるが、重量比で、通常、多価メルカプタンの1/3以下、好ましくは1/10以下、より好ましくは使用しない。重合開始剤を前記比率よりも多量に使用すると、多価メルカプタンから延びた重合体部分以外に、重合開始剤から延びた重合体が多量に生成し、星形ブロック構造を有する熱可塑性付加重合体の生成効率が低下してしまう。
【0029】
第2重合工程の添加終了後、必要に応じて、熟成のためのラジカル重合を行うことも可能である。
第2重合工程で得られた反応混合物は、溶媒や残存単量体などの揮発成分を含まない場合には、そのまま熱可塑性付加重合体が得られる。反応混合物が揮発成分を含む場合には、二軸押し出し機、薄膜蒸発機などの装置で揮発成分を除去することにより熱可塑性付加重合体を得る。
上記製造方法において、第1重合工程の重合率を50%以上とし、必要により残存重合性不飽和単量体を揮発除去した後に第2のα,β−不飽和単量体を一括で添加した場合は、高ガラス転移点型重合体からなる第1重合体部分と低ガラス転移点型重合体からなる第2重合体部分とを有する熱可塑性付加重合体が得られる。
【0030】
本発明に使用される溶剤型の粘着剤組成物のうち、熱可塑性付加重合体が上記製造方法で得られる場合の好ましい例を次に挙げる。
(1) 第1のα,β−不飽和単量体として、273K以上のガラス転移点を有する高ガラス転移点型重合体を生成しうるものを用い、第2のα,β−不飽和単量体として、250K未満のガラス転移点を有する低ガラス転移点型重合体を生成しうるものを用いた、溶剤型の粘着剤組成物。
(2) 第1のα,β−不飽和単量体として、333K以上のガラス転移点を有する高ガラス転移点型重合体を生成しうるものを用い、第2のα,β−不飽和単量体として、273K未満のガラス転移点を有する低ガラス転移点型重合体を生成しうるものを用いた、溶剤型の粘着剤組成物。
(3) 第1のα,β−不飽和単量体として、333K以上のガラス転移点を有する高ガラス転移点型重合体を生成しうるものを用い、第2のα,β−不飽和単量体として、250K未満のガラス転移点を有する低ガラス転移点型重合体を生成しうるものを用いた、溶剤型の粘着剤組成物。
(4) 第1のα,β−不飽和単量体として、353K以上のガラス転移点を有する高ガラス転移点型重合体を生成しうるものを用い、第2のα,β−不飽和単量体として、273K未満のガラス転移点を有する低ガラス転移点型重合体を生成しうるものを用いた、溶剤型の粘着剤組成物。
(5) 第1のα,β−不飽和単量体として、353K以上のガラス転移点を有する高ガラス転移点型重合体を生成しうるものを用い、第2のα,β−不飽和単量体として、250K未満のガラス転移点を有する低ガラス転移点型重合体を生成しうるものを用いた、溶剤型の粘着剤組成物。
(6) 上記(1)〜(5)のいずれかにおいて、第1重合工程で生成する重合体の数平均分子量が1,000〜150,000である、溶剤型の粘着剤組成物。
(7) 上記(1)〜(5)のいずれかにおいて、第1重合工程で生成する重合体の数平均分子量が3,000〜100,000である、溶剤型の粘着剤組成物。
(8) 上記(1)〜(5)のいずれかにおいて、第1重合工程で生成する重合体の数平均分子量が1,000〜150,000、熱可塑性付加重合体の数平均分子量が10,000〜200,000である、溶剤型の粘着剤組成物。
(9) 上記(1)〜(5)のいずれかにおいて、第1重合工程で生成する重合体の数平均分子量が3,000〜100,000、熱可塑性付加重合体の数平均分子量が50,000〜150,000である、溶剤型の粘着剤組成物。
(10) 上記(1)〜(9)のいずれかにおいて、熱可塑性付加重合体の分子量分布(Mw/Mn)6以下である、溶剤型の粘着剤組成物。
(11) 多価メルカプタンが3〜6官能性メルカプタンである、粘着剤組成物。
(12) 上記(1)〜(10)のいずれかにおいて、多価メルカプタンが3〜6官能性メルカプタンである、溶剤型の粘着剤組成物。
(13) 上記(11)〜(12)のいずれかにおいて、多価メルカプタンが4〜6官能性メルカプタンである、溶剤型の粘着剤組成物。
【0031】
本発明に用いられる有機溶剤としては、熱可塑性付加重合体が溶解および/または分散しうるものであればよく、たとえば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素類;ヘキサン、ペンタンなどの脂肪族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類などの有機溶剤が挙げられる。有機溶剤は、単独溶媒でも混合溶媒でもよい。
本発明に使用される溶剤型の粘着剤組成物では、不揮発分濃度が好ましくは60〜80重量%である。この場合、この溶剤型粘着剤組成物は、ハイソリッド溶剤型粘着剤である。不揮発分は熱可塑性付加重合体である。不揮発分濃度が80重量%を上回ると、2万cps以下の粘度を保ったまま粘着物性を満足させることができないという問題があり、60重量%を下回ると、ハイソリッド化のメリットである、環境問題改善効果(低VOC:揮発性有機化合物の低減)、省エネルギー効果、ラインスピードアップ効果が低下するという問題がある。粘着剤組成物の粘度を2万cps以下に保ったまま粘着物性を満足させ、かつ、ハイソリッド化のメリットである環境問題改善効果、省エネルギー効果、ラインスピードアップ効果の低下をより小さくするという点からは、不揮発分濃度は、さらに好ましくは65〜75重量%である。
【0032】
本発明に使用される溶剤型の粘着剤組成物は、熱可塑性付加重合体が低分子量であるため、上記範囲の不揮発分濃度であっても、25℃における粘度が2万cps以下である。粘度が2万cpsよりも大きいと塗布作業性または塗工性が悪い。塗工性が良くラインスピードを上げるというメリットがあるという点では、粘度は、好ましくは1万cps以下である。粘度は、B型粘度計(BM型)、♯4、30rpmの条件で25℃にて測定した値である。
熱可塑性付加重合体が、たとえば10,000〜30,000、好ましくは13,000〜20,000の数平均分子量を有するときには、ハイソリッドで低粘度でありながら、耐熱性と粘着物性とのバランスに優れるという利点をさらに有する。
【0033】
熱可塑性付加重合体を有機溶剤に溶解および/または分散させる方法としては、たとえば、重合工程時に共存させておくのが通常の方法であり、場合によっては熱可塑性付加重合体と有機溶剤を混合し加熱して溶解してもよい。
本発明に使用される粘着剤組成物のうち、不揮発分濃度および粘度等の観点から好ましい例を次に挙げる。
(1) 不揮発分濃度が65〜75重量%であり、25℃における粘度が2万cps以下である、溶剤型の粘着剤組成物。
(2) 不揮発分濃度が60〜80重量%であり、25℃における粘度が1万cps以下である、溶剤型の粘着剤組成物。
(3) 不揮発分濃度が65〜75重量%であり、25℃における粘度が1万cps以下である、溶剤型の粘着剤組成物。
(4) 上記(1)〜(3)のいずれかにおいて、第1重合体部分が333K以上のガラス転移点を有する高ガラス転移点型重合体からなり、第2重合体部分が250K未満のガラス転移点を有する低ガラス転移点型重合体からなる、溶剤型の粘着剤組成物。
(5) 上記(1)〜(3)のいずれかにおいて、第1重合体部分が353K以上のガラス転移点を有する高ガラス転移点型重合体からなり、第2重合体部分が250K未満のガラス転移点を有する低ガラス転移点型重合体からなる、溶剤型の粘着剤組成物。
(6) 上記(1)〜(3)のいずれかにおいて、第1重合体部分が353K以上のガラス転移点を有する高ガラス転移点型重合体からなり、第2重合体部分が230K未満のガラス転移点を有する低ガラス転移点型重合体からなる、溶剤型の粘着剤組成物。
(7) 上記(4)〜(6)のいずれかにおいて、第1重合体部分の数平均分子量が1,000〜10,000、第2重合体部分の数平均分子量が1,000〜20,000である、溶剤型の粘着剤組成物。
(8) 上記(4)〜(6)のいずれかにおいて、第1重合体部分の数平均分子量が1,500〜5,000、第2重合体部分の数平均分子量が3,000〜15,000である、溶剤型の粘着剤組成物。
(9) 上記(4)〜(6)のいずれかにおいて、第1重合体部分の数平均分子量が1,000〜10,000、第2重合体部分の数平均分子量が1,000〜20,000、熱可塑性付加重合体の数平均分子量が10,000〜30,000である、溶剤型の粘着剤組成物。
(10) 上記(4)〜(6)のいずれかにおいて、第1重合体部分の数平均分子量が1,500〜5,000、第2重合体部分の数平均分子量が3,000〜15,000、熱可塑性付加重合体の数平均分子量が13,000〜20,000である、溶剤型の粘着剤組成物。
(11) 上記(4)〜(10)のいずれかにおいて、熱可塑性付加重合体の分子量分布(Mw/Mn)6以下である、溶剤型の粘着剤組成物。
(12) 上記(4)〜(11)のいずれかにおいて、多価メルカプタン部分が3〜6官能性メルカプタンの残基である、溶剤型の粘着剤組成物。
(13) 上記(4)〜(11)のいずれかにおいて、多価メルカプタン部分が4〜6官能性メルカプタンの残基である、溶剤型の粘着剤組成物。
(14) 上記(1)〜(3)のいずれかにおいて、第1のα,β−不飽和単量体として、333K以上のガラス転移点を有する高ガラス転移点型重合体を生成しうるものを用い、第2のα,β−不飽和単量体として、250K未満のガラス転移点を有する低ガラス転移点型重合体を生成しうるものを用いた、溶剤型の粘着剤組成物。
(15) 上記(1)〜(3)のいずれかにおいて、第1のα,β−不飽和単量体として、353K以上のガラス転移点を有する高ガラス転移点型重合体を生成しうるものを用い、第2のα,β−不飽和単量体として、250K未満のガラス転移点を有する低ガラス転移点型重合体を生成しうるものを用いた、溶剤型の粘着剤組成物。
(16) 上記(1)〜(3)のいずれかにおいて、第1のα,β−不飽和単量体として、353K以上のガラス転移点を有する高ガラス転移点型重合体を生成しうるものを用い、第2のα,β−不飽和単量体として、230K未満のガラス転移点を有する低ガラス転移点型重合体を生成しうるものを用いた、溶剤型の粘着剤組成物。
(17) 上記(14)〜(16)のいずれかにおいて、第1重合工程で生成する重合体の数平均分子量が1,000〜10,000である、粘着剤組成物。
(18) 上記(14)〜(16)のいずれかにおいて、第1重合工程で生成する重合体の数平均分子量が3,000〜6,000である、溶剤型の粘着剤組成物。
(19) 上記(14)〜(16)のいずれかにおいて、第1重合工程で生成する重合体の数平均分子量が1,000〜10,000、熱可塑性付加重合体の数平均分子量が10,000〜30,000である、溶剤型の粘着剤組成物。
(20) 上記(14)〜(16)のいずれかにおいて、第1重合工程で生成する重合体の数平均分子量が3,000〜6,000、熱可塑性付加重合体の数平均分子量が13,000〜20,000である、溶剤型の粘着剤組成物。
(21) 上記(14)〜(20)のいずれかにおいて、熱可塑性付加重合体の分子量分布(Mw/Mn)6以下である、溶剤型の粘着剤組成物。
(22) 上記(14)〜(21)のいずれかにおいて、多価メルカプタンが3〜6官能性メルカプタンである、溶剤型の粘着剤組成物。
(23) 上記(14)〜(21)のいずれかにおいて、多価メルカプタンが4〜6官能性メルカプタンである、溶剤型の粘着剤組成物。
【0072】
【実施例】
以下に、本発明の実施例と、本発明の範囲を外れた比較例とを示すが、本発明は下記実施例に限定されない。以下では、「%」は「重量%」、「部」は「重量部」のことである。
なお、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算値で求めた。
ガラス転移温度(Tg)は、パーキン・エルマー(Perkin Elmer)社製示差走査熱量計「DSC−7」により求めた。
【0073】
消費メルカプト基量は、ジメチルホルムアミド溶剤のElleman法(比色法)により定量した。
(実施例1)
窒素導入管、滴下ロート、温度計、冷却管を装備したマックスブレンド翼(住友重機械工業株式会社製)を備えた1.5リットルの4つ口フラスコにメタクリル酸メチル(MMA)247部、アクリル酸ヒドロキシエチル(HEA)3部、酢酸エチル230部を加え、窒素雰囲気下83℃まで昇温した。内温が83℃に達した後、6価のメルカプタンであるジペンタエリスリトールヘキサキスチオグリコレート2.5部、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(ABN−E、日本ヒドラジン工業株式会社製)0.8部、酢酸エチル10部を加えて重合を開始した。
【0074】
重合開始70分、100分後にそれぞれジペンタエリスリトールヘキサキスチオグリコレート1.5部、ABN−Eを0.4部、酢酸エチル5部を加えた。重合開始140分後、メタクリル酸メチルの重合率は83%に達し、生成した重合体の数平均分子量Mnは1.3×104 、分子量分布(Mw/Mn)は1.9、ガラス転移温度90℃であった。メルカプト基の定量から、添加したジペンタエリスリトールヘキサキスチオグリコレート中の70モル%のメルカプト基が消費されていた。よって重合体部分(MMA/HEA)の枝の数は、平均(6×0.7=)4.2本で、その数平均分子量は(1.3×104 /4.2≒)3,100であることがわかった。
【0075】
続いて、この反応液に滴下ロートからアクリル酸ブチル738部、HEA12部、酢酸エチル740部を2時間かけて滴下した。この間、内温は85℃であった。滴下終了10分、40分、70分後にそれぞれABN−E0.2部、酢酸エチル5部を加えた。内温85℃にて90分間反応させた後、室温まで冷却し、反応を終了した。重合率は100%であった。
得られた粘着剤溶液は、不揮発分濃度50.1%、25℃における粘度3,500cpsの蛍光白色粘稠液であった。
包装テープ用として、PETフィルム上に乾燥塗布厚みが25μmになるように塗布し、100℃で2分間乾燥させた。180°ピール、ボールタック、保持力(ステンレススチール、ダンボール)、ダンボール封緘性の評価結果を表1に示す。
【0076】
実施例1の粘着剤は、架橋剤を使用しなくとも、保持力に優れるものであり、包装テープ用粘着剤として優れるものであることがわかった。
180°ピール、ボールタックは、上述した方法で測定した。
保持力は、ステンレススチール板またはダンボール板に25mm×25mmの接着面積でテープを貼り付け、2kgローラーで1往復圧着し、所定温度(40℃、80℃)でそれぞれ1時間調温した後、1kgの荷重をかけて落下するまでの時間または60分後のずれ(単位:mm)を測定して評価した。
段ボール封緘性は、1kg石油缶(2個用)梱包用段ボール箱と粘着テープを所定温度(5℃、40℃)に設定された恒温恒湿室内に1晩放置し、50mm幅で封緘し、1kgのローラーで側面を1往復圧着し、側面部分を30mmの長さに残してカッターナイフで切断し、24時間後テープのハガレを観察した。ハガレがないものを○、ハガレの生じたものを×で示した。
【0077】
(比較例1)
実施例1と同様の装置を用いて、ジペンタエリスリトールヘキサキスチオグリコレートを使用しない以外は同じ操作を行って比較用の粘着剤溶液を得た。得られた粘着剤溶液は、不揮発分濃度49.5%、25℃における粘度11,000cpsの白色粘稠液であった。
包装テープ用としてPETフィルム上に乾燥塗布厚みが25μmになるように塗布し、100℃で2分間乾燥させた。180°ピール、ボールタック、保持力(ステンレススチール、ダンボール)、ダンボール封緘性の評価結果を表1に示す。
【0078】
(比較例2)
実施例1と同様の装置を用いて、アクリル酸ブチル289.5部、アクリル酸9部、HEA1.5部、酢酸エチル300部を加え、窒素雰囲気下83℃まで昇温した。ABN−E2部、酢酸エチル10部を加えて重合を開始した。
重合開始10分後、滴下ロートからアクリル酸ブチル675.5部、アクリル酸21部、HEA3.5部、酢酸エチル200部、トルエン500部を3時間かけて滴下した。滴下終了10分、40分、70分後にそれぞれABN−E0.5部、酢酸エチル5部を加えた。内温85℃にて90分間反応させた後、室温まで冷却し反応を終了した。重合率は100%であった。
【0079】
得られた比較用粘着剤は、不揮発分濃度49.8%、25℃における粘度13,000cpsの透明粘稠液であった。数平均分子量3.2×104 、Mw/Mn=8.9であった。実施例1と同様の評価を行い、結果を表1に示した。
【0080】
【表1】
【0081】
実施例1の粘着剤は、保持力、ボールタック、段ボール封緘性のすべてにおいて優れていた。
比較例1および2の比較用粘着剤は、ボールタック以外すべての物性において実施例1のものに比べて劣っており、包装テープとしては使用できないものであった。しかも、保持力の試験では、比較用粘着剤は、凝集破壊を起こしており、SUS板に残っていた。
【0089】
次に、本発明に用いられる粘着剤組成物が、ハイソリッド溶剤型粘着剤である場合の実施例と比較例を示す。
(実施例2)
実施例1と同様の装置に、メタクリル酸フェニル(PhMA)195部、アクリル酸(AA)2部、HEA3部、酢酸エチル190部を加え、窒素雰囲気下83℃まで昇温した。内温が83℃に達した後、4価のメルカプタンであるペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート9部、2,2′−アゾビスバレロニトリル(AIBN)0.8部、酢酸エチル10部を加えて重合を開始した。
【0090】
重合開始70分、100分後にそれぞれペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート4.5部、AIBN0.4部、酢酸エチル5部を加えた。重合開始140分後、メタクリル酸フェニルの重合率は80%に達し、生成した重合体の数平均分子量0.5×104 、分子量分布(Mw/Mn)は1.8、ガラス転移温度83℃であった。
メルカプト基の定量から、添加したペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート中の70モル%のメルカプト基が消費されていた。よって、重合体部分(PhMA/AA/HEA)の枝の数は、平均(4×0.7=)2.8本で、その数平均分子量は(0.5×104 /2.8≒)1800であることがわかった。続いて、この反応液に滴下ロートからBA780部、AA8部、HEA12部、酢酸エチル150部を2時間かけて滴下した。この間内温は85℃であった。
【0091】
滴下終了10分後、40分後、70分後にそれぞれAIBN0.2部、酢酸エチル5部を加えた。内温85℃にて90分間反応させた後、トルエン175部を加えてから冷却し、反応を終了した。重合率は100%であった。
得られた粘着剤溶液は、不揮発分濃度65.0%、25℃における粘度8,800cpsの蛍光色白色粘稠液であった。数平均分子量1.9×104 、Mw/Mn=4.5であった。
この粘着剤溶液に対して、コロネートL55E(日本ポリウレタン社製のポリイソシアネート化合物:固形分55%)を1.68部(粘着剤溶液の固形分100部に対する量)混合して、PETフィルム上に乾燥塗布厚みが25μmとなるように塗布し、100℃で2分間乾燥させた。その後、23℃で7日間養生した。
【0092】
得られた粘着テープの180°ピール、ボールタック、保持力(ステンレススチール)の評価結果を表2に示した。実施例2の粘着剤は、不揮発分濃度が65%と高く、25℃での粘度が8,800cpsで機械塗工性に優れ、しかも粘着物性のバランスにも優れたものであった。
(実施例3)
重合性単量体成分、多価メルカプタン、溶剤を表2に示すものに変えた以外は実施例2と同じ操作を繰り返して粘着剤溶液を得た。
その評価結果を表2に示す。
【0093】
(比較例3)
比較例2で得られた比較用粘着剤に硬化剤を配合して粘着物性を評価した。その結果を表2に示す。粘着物性は優れているが、不揮発分濃度が49.8%と低いにもかかわらず粘度が13,000cpsと高いものであった。
(比較例4)
実施例1と同様の装置を用いて、BA229.5部、アクリル酸2−エチルヘキシル(2EHA)60部、AA3部、HEA4.5部、チオグリコール酸オクチル7部、酢酸エチル190部を加え、窒素雰囲気下83℃まで昇温した。AIBN2部、酢酸エチル10部を加えて重合を開始した。
【0094】
重合開始10分後、滴下ロートからBA530部、2EHA140部、AA7部、HEA10.5部、酢酸エチル150部を3時間かけて滴下した。滴下終了10分、40分、70分後にそれぞれAIBN0.2部、酢酸エチル5部を加えた。内温85℃にて90分間反応させた後、トルエン175部を加えて冷却し、反応を終了した。重合率は100%であった。
得られた粘着剤溶液は、不揮発分濃度64.5%、25℃における粘度9,900cpsの透明粘稠液であった。数平均分子量2.1×104 、Mw/Mn=3.5であった。
【0095】
比較例4で得られた粘着剤を実施例2と同様にコロネートL55Eで架橋させて粘着物性を比較した。比較用粘着剤は実施例2と同量のコロネートL55Eでは保持力が不足しているので、約4倍量を使用した。その結果、180°ピールが極度に小さくなり、また、柔軟性がなく脆い粘着剤となった。
(比較例5)
実施例2において、4価のメルカプタンであるペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート18部の代わりにチオグリコール酸オクチル(TGO)7部を使用した以外は実施例2と同様の操作を繰り返して比較用粘着剤溶液を得た。表2に物性値を示す。この粘着剤の熱可塑性付加重合体は、ブロック構造を有していないため、ポリ(PhMA/AA/HEA)とポリ(PhMA/BA/AA/HEA)が分離しすぎて粘着力も凝集力も不十分なものであった。
【0096】
【表2】
【0097】
2)粘度は、B型粘度計♯4で、30rpm、25℃にて測定した。
3)粘着剤固形分100部に対してコロネートL55Eの添加量を記した。
4)プローブタックは、荷重100g、接触時間1秒、5mmφ、23℃の条件にて測定した。
【0114】
【発明の効果】
本発明のダンボール封緘用テープに用いられる溶剤型の粘着剤組成物は、多価メルカプタン部分と、多価メルカプタン部分から放射状に延びた第1重合体部分および第2重合体部分とを有する熱可塑性付加重合体と、この熱可塑性付加重合体を溶解および/または分散させた有機溶剤とを含み、第1重合体部分が273K以上のガラス転移点を有する高ガラス転移点型重合体からなり、第2重合体部分が273K未満のガラス転移点を有する低ガラス転移点型重合体からなり、25℃における粘度が2万cps以下であるので、粘着性と耐熱性に優れ、特に架橋剤を使用しない場合は経時的な粘着力の低下または変化を起こしにくい。
【0115】
本発明のダンボール封緘用テープにおいては、クラフト紙、一軸延伸ポリプロピレン(OPP)、セロハン、ポリエチレン、布、PET、フォーム、不織布などの基材が使用される。
本発明に用いられる溶剤型の粘着剤組成物の不揮発分濃度が60〜80重量%であると、粘着性と耐熱性に優れ、環境問題、省エネルギー、ラインスピードアップに対応できるハイソリッド溶剤型粘着剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】粘着製品の1例の断面図である。
【図2】粘着製品の1例の断面図である。
【図3】粘着製品の1例の断面図である。
【図4】粘着製品の1例の断面図である。
【符号の説明】
1 支持体
2 粘着剤層
3 セパレーター
4 基材
5 両面粘着テープ
6 芯なし両面粘着テープ
Claims (3)
- 基材フィルム上に粘着剤層を有するダンボール封緘用テープにおいて、
前記粘着剤層は、溶剤型の粘着剤組成物を前記基材フィルム上に塗布、乾燥して得られたものであり、
前記溶剤型の粘着剤組成物は、熱可塑性付加重合体と該熱可塑性付加重合体を溶解および/または分散させた有機溶剤とを含み、前記熱可塑性付加重合体が、多価メルカプタンからそのメルカプト基のプロトンが解離した残りの部分である多価メルカプタン部分と該多価メルカプタン部分から放射状に延びた第1重合体部分および第2重合体部分とを有する星形ブロック構造の重合体であって、その25℃における粘度が2万cps以下であり、かつ、前記第1重合体部分が273K以上のガラス転移点を有する高ガラス転移点型重合体からなり、前記第2重合体部分が273K未満のガラス転移点を有する低ガラス転移点型重合からなることを特徴とする、ダンボール封緘用テープ。 - 前記星形ブロック構造の重合体が、下記の製造方法により作られた重合体である、請求項1に記載のダンボール封緘用テープ。
多価メルカプタンと273K以上のガラス転移点を有する高ガラス転移点型重合体を生成しうる第1のα,β−不飽和単量体とを含み第1混合物を準備する準備工程と、前記多価メルカプタンの有するメルカプト基を発端として前記第1のα,β−不飽和単量体のラジカル重合を行って反応混合物を得る第1重合工程と、第2のα,β−不飽和単量体を前記反応混合物に加えて273K未満のガラス転移点を有する低ガラス転移点型重合体を生成しうる第2混合物を得る添加工程と、前記第2混合物に含まれる前記単量体のラジカル重合を行う第2重合工程とを含む製造方法。 - 前記溶剤型の粘着剤組成物は、不揮発分濃度が60〜80重量%である、請求項1または2に記載のダンボール封緘用テープ。
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