JP2002155255A - 再剥離性粘着剤組成物および粘着製品 - Google Patents

再剥離性粘着剤組成物および粘着製品

Info

Publication number
JP2002155255A
JP2002155255A JP2000354594A JP2000354594A JP2002155255A JP 2002155255 A JP2002155255 A JP 2002155255A JP 2000354594 A JP2000354594 A JP 2000354594A JP 2000354594 A JP2000354594 A JP 2000354594A JP 2002155255 A JP2002155255 A JP 2002155255A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polymer
glass transition
transition point
sensitive adhesive
pressure
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000354594A
Other languages
English (en)
Inventor
Nobuhiro Kobayashi
信弘 小林
Naoki Tokimine
直樹 常峰
Shingo Kataoka
眞吾 片岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Shokubai Co Ltd filed Critical Nippon Shokubai Co Ltd
Priority to JP2000354594A priority Critical patent/JP2002155255A/ja
Publication of JP2002155255A publication Critical patent/JP2002155255A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Adhesive Tapes (AREA)
  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性が良好で、かつ再剥離性や、高温時
あるいは経時変化時の粘着安定性(具体的には、粘着剤
が高温にさらされた時の接着力昂進がない、あるいは粘
着層の初期接着力の増加がない)に優れた再剥離性粘着
剤組成物を提供する。具体的には、粘着製品の剥離時基
材テープ層や被被着体への粘着剤残存(糊残り)等がな
い再剥離性に優れた新規な粘着剤組成物を提供する。 【解決手段】 炭素数1〜25のアルキル基を有する
(メタ)アクリル酸エステル単量体を主成分とする単量
体成分を重合して得られる重合体(A)と、多価カルボ
ン酸化合物(B)とを含む粘着剤組成物であって、上記
重合体(A)が、多価メルカプタン部分と、多価メルカ
プタン部分から放射状に延びた第1重合体部分および第
2重合体部分とを有する熱可塑性付加重合体であって、
該第1重合体部分は、273K以上のガラス転移点を有
する高ガラス転移点型重合体からなり、第2重合体部分
は、273K未満のガラス転移点を有する低ガラス転移
点型重合体部分である事を特徴とする粘着剤組成物であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な粘着剤組成
物に関してであって、具体的には、耐熱性が良好で、か
つ再剥離性や、高温時あるいは経時変化時の粘着安定性
(具体的には、粘着剤が高温にさらされた時の接着力昂
進がない、あるいは粘着層の初期接着力の増加がない)
に優れた再剥離性粘着剤に関する。さらに具体的には、
粘着製品の剥離時基材テープ層や被被着体への粘着剤残
存(糊残り)等がない再剥離性に優れた新規な粘着剤組
成物に関してである。具体的には、星型ブロックアクリ
ル系重合体と多価カルボン酸化合物を含んでなる再剥離
性粘着剤組成物に関してである。上記星型ブロック系重
合体とは、例えば、多価メルカプタン存在下に不飽和単
量体を使用して重合して得られる重合体であり、特開H
09-53059号等に記載されているブロック重合体である。
【0002】
【従来の技術】従来、再剥離型粘着剤の成分としては、
天然ゴムや合成ゴム等の弾性体、またはアクリル系樹脂
に、可塑剤やシリコーン化合物等の添加剤を配合したも
のが知られており、この添加剤の配合によって接着昂進
(接着力の経時的上昇)を抑制し、再剥離性を良好にし
ている。
【0003】上記の欠点を改良するため、アクリル系樹
脂に配合する添加剤についていくつかの検討がなされて
いる。例えば、特開昭58−141271には、添加剤
として、エチレン性不飽和カルボン酸の誘導体にリン
酸、スルホン酸、又は硫酸あるいはそれらのアルカリ塩
を付加した化合物を用いる方法が開示され、また、特開
平10−287850には、添加剤として、非イオン性
界面活性剤を用いる方法が開示されている。
【0004】しかし、上記の方法によっても、接着昂進
の抑制は未だ十分なものとは言えず、特に高温・高湿条
件下で長時間曝された場合に、剥離時の被着体の汚染が
起こる傾向が高い。
【0005】しかしながら、上記従来の手法では、剥離
特性にばらつきが生じやすいという欠点があった。ま
た、ベースポリマーとしてアクリル系樹脂を用いた場合
には、該樹脂と添加剤との相溶性が必ずしも良好でない
ため、例えば、被着体に上記粘着剤を貼着して高温高湿
下に保存した後に剥離すると、粘着剤の一部が被着体表
面に転移し、被着体を汚染してしまうという欠点もあっ
た。
【0006】そこで、上記ベースポリマーである共重合
体を架橋することによって、被着体への粘着剤の転移を
抑えることを目的として、架橋剤を添加する方法が開示
されている。しかし、この方法では接着昂進の抑制がま
だ十分ではなかった。
【0007】一方優れた耐熱性(使用時の熱に対してよ
り粘着特性が安定な性質)を持つ粘着剤用ポリマーとし
て、特開H09-53059号には、多価メルカプタン存在下
で、第1段目に重合性不飽和単量体組成を用いて重合を
開始し、該第1段目の重合性不飽和単量体組成とは異な
る組成を有する第2段目の重合性不飽和単量体成分を加
えさらに重合させる事で、多価メルカプタン部分から放
射状に延びた、互いに組成の事なる重合性不飽和単量体
単位から構成された星型ブロック重合体が開示され、そ
れを使用した粘着剤製品が開示されているが、本発明の
目的である、耐熱性が良好で、かつ再剥離性や、高温時
あるいは経時変化時の粘着安定性(具体的には、粘着剤
が高温にさらされた時の接着力昂進がない、あるいは粘
着層の初期接着力の増加がない)にも優れるという点で
はまだ改良の余地があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明が解決
しようとする課題は、高温・高湿条件下で長時間曝され
た場合、あるいは、通常条件の使用でも長期間の経時変
化後であっても十分な接着昂進の抑制が働き、剥離時の
被着体の汚染がない、優れた再剥離性を有する感圧接着
剤組成物とそれを用いた再剥離型粘着製品を提供するこ
とである。より具体的には、同様に高温・高湿条件下で
長時間曝された場合、あるいは、通常条件の使用でも長
期間の経時使用後であっても十分な接着昂進の抑制が働
き、剥離時の被着体の汚染がない、優れた再剥離性を有
するアクリル系粘着剤およびその製品を提供することで
もある。
【0009】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者は、上
記の課題を解決すべく、特に再剥離性に有効なアクリル
系重合体の構造やその構造だけで目的達成が困難な場合
種々の添加剤も合わせて鋭意検討を行った。その結果、
アクリル系重合体として特定の構造である星型ブロック
構造を持つアクリル重合体に着目し、さらに添加剤とし
て、特定の構造を有する多価カルボン酸化合物を合わせ
て用いることにより、種々の被着体に接着可能で、高温
・高湿条件下で長時間曝された場合においても十分な接
着昂進の抑制が働き、剥離時の被着体の汚染がない、優
れた再剥離性を有する感圧接着剤組成物が得られること
を見いだし、本発明を完成させた。
【0010】すなわち、本発明の構成は、炭素数1〜2
5のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単
量体を主成分とする単量体成分を重合して得られる重合
体(A)と、多価カルボン酸化合物(B)とを含む粘着
剤用ポリマー組成物であって、上記重合体(A)が、多
価メルカプタン部分と、多価メルカプタン部分から放射
状に延びた第1重合体部分および第2重合体部分とを有
する熱可塑性付加重合体であって、該第1重合体部分
は、273K以上のガラス転移点を有する高ガラス転移
点型重合体からなり、第2重合体部分は、273K未満
のガラス転移点を有する低ガラス転移点型重合体部分で
ある事を特徴とする粘着剤組成物である。
【0011】より具体的には、上記重合体(A)の第1
重合体部分が、80℃以上のガラス転移点を有する高ガ
ラス転移点型アクリル系重合体部分からなり、第2重合
体部分が、−50〜−25℃のガラス転移点を有する低
ガラス転移点型アクリル系重合体からなり、第1重合体
部分と第2重合体部分との重量比が10:90〜35:
65である事を特徴としている粘着剤組成物である。
【0012】より具体的には、上記重合体(A)の第1
重合体部分が、メタクリル酸メチル単位90〜100重
量%および他の重合性単量体単位0〜10重量%からな
り、第2重合体部分がメタクリル酸メチル単位0〜10
重量%、アクリル酸ブチルおよび2−エチルヘキシル単
位80〜100重量%および他の重合性単量体単位0〜
10重量%からなる事を特徴としている粘着剤組成物で
ある。
【0013】より具体的には、前記多価カルボン酸化合
物(B)が、一般式HOOC−R−COOH(Rは炭素
数8〜28の飽和または不飽和炭化水素基)である。
【0014】またさらに具体的には、 前記重合体
(A)の有する官能基と反応しうる架橋剤(C)んでお
り、架橋され粘着剤として使用するものである。またさ
らには、前期粘着剤組成物から得られる粘着製品であ
る。より具体的には、本発明の粘着剤組成物を用いてな
る再剥離性粘着製品に関する。より具体的には、不揮発
分濃度が高いハイソリッド型再剥離性粘着剤組成物に関
してである。また別の形態にあっては、星型ブロックア
クリル系重合体と多価カルボン酸化合物を含んでなる再
剥離性の良好なアクリル系ホットメルト粘着剤である。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。
【0016】本発明の粘着剤組成物は、多価メルカプタ
ン部分と、多価メルカプタン部分から放射状に延びた第
1重合体部分および第2重合体部分とを有する熱可塑性
付加重合体を含み、第1重合体部分が273K以上のガ
ラス転移点を有する高ガラス転移点型重合体からなり、
第2重合体部分が273K未満のガラス転移点を有する
低ガラス転移点型重合体からなる。
【0017】本発明の粘着剤組成物は、準備工程と第1
重合工程と添加工程と第2重合工程とを含む製造方法に
より作られた熱可塑性付加重合体を含む。準備工程は、
多価メルカプタンと273K以上のガラス転移点を有す
る高ガラス転移点型重合体を生成しうる第1のα,β−
不飽和単量体とを含み第1混合物を準備する工程であ
る。第1重合工程は、多価メルカプタンの有するメルカ
プト基を発端として第1のα,β−不飽和単量体のラジ
カル重合を行って反応混合物を得る工程である。このラ
ジカル重合により、高ガラス転移点型重合体からなる第
1重合体部分が多価メルカプタン部分から放射状に延び
た重合体が生成する。添加工程は、第2のα,β−不飽
和単量体を反応混合物に加えて273K未満のガラス転
移点を有する低ガラス転移点型重合体を生成しうる第2
混合物を得る工程である。第2重合工程は、第2混合物
に含まれる単量体のラジカル重合を行う工程である。こ
のラジカル重合により、第1重合工程で生成した重合体
の多価メルカプタン部分から、低ガラス転移点型重合体
からなる第2重合体部分が放射状に延びた熱可塑性付加
重合体が生成する。
【0018】このため、熱可塑性付加重合体は、複数の
重合体部分が多価メルカプタン部分から放射状に延びて
いるという枝分かれ構造(星形ブロック構造)を持って
おり、効果的に相分離する。高ガラス転移点型重合体か
らなる第1重合体部分が不連続相を形成し、擬似架橋構
造を取るため、従来の一般的粘着剤と比較して凝集力が
高く耐熱性に優れている。第1重合体部分のガラス転移
点が高いほど耐熱性に優れた粘着剤組成物になる。ま
た、低ガラス転移点型重合体からなる第2重合体部分が
連続相を形成し、粘着性を発現する。第2重合体部分の
ガラス転移点が低いほど粘着性を高くする効果が大き
い。粘着性の発現は従来の一般的粘着剤と同じ機構によ
る。
【0019】本発明の粘着剤組成物は、必要に応じ上記
粘着剤組成物において、熱可塑性付加重合体を溶解およ
び/または分散した有機溶剤をさらに含む。第1の形態
の粘着剤組成物では、不揮発分濃度が60〜80重量%
であり、25℃における粘度が2万cps以下である。
このため、第1の形態の粘着剤組成物は、ハイソリッド
溶剤型粘着剤であって機械塗工性にも優れている。従来
の溶剤型粘着剤をハイソリッド化すると粘度が極度に高
くなるため低分子量化する必要があり、耐熱性を持たせ
るために多量の硬化剤を含む必要があるが、180°ピ
ールの低下、タックの減少または外観の低下を生じる。
本発明の粘着剤組成物は、上述のように相分離構造を利
用して高い凝集力を有するため、通常と同量またはほぼ
同量の硬化剤を含むことで耐熱性(たとえば80℃保持
力)を発現する。よって、粘着物性を低下させることな
く、ハイソリッド化が可能となる。
【0020】本発明の粘着剤組成物の第2の形態は、ア
クリル系ホットメルト粘着剤である。この場合、熱可塑
性付加重合体は、第1重合体部分と第2重合体部分が多
価メルカプタン部分から放射状に延びているという枝分
かれ構造(星形ブロック構造)を持っているため、同分
子量の直鎖重合体・ブロック重合体・グラフト重合体と
比較してホットメルト時に低粘度となり作業性が良く、
使用温度(たとえば常温から60℃程度までの温度。以
下同様)で分子間のからまりが大きく従来公知のホット
メルト樹脂用重合体を含む粘着剤よりも大きな凝集力を
有し、よって耐熱性に優れている。第1重合体部分が、
80℃以上のガラス転移点を有する高ガラス転移点型ア
クリル系重合体部分からなり、第2重合体部分が、−5
0〜−25℃のガラス転移点を有する低ガラス転移点型
アクリル系重合体からなり、第1重合体部分と第2重合
体部分との重量比が10:90〜35:65であること
により、凝集力が向上するため耐熱性(特に耐熱物性)
に優れ、耐熱性および粘着性等のバランスがとれてい
る。また、重合体部分を構成する成分には金属イオンを
含まないため、溶融塗布時の熱安定性にも優れている。
しかも、熱可塑性付加重合体が30,000〜60,0
00の数平均分子量を有することにより、ホットメルト
作業性、耐熱性等の物性バランスが優れる。
【0021】本発明の粘着剤組成物は、より好ましくは
第1重合体部分がメタクリル酸メチル単位90〜100
重量%および他の重合性単量体単位0〜10重量%から
なり、第2重合体部分がメタクリル酸メチル単位0〜1
0重量%、アクリル酸ブチルおよび2−エチルヘキシル
単位80〜100重量%および他の重合性単量体単位0
〜10重量%からなること以外は、第5の態様のアクリ
ル系ホットメルト粘着剤と同じである。この場合、重合
体部分を構成する成分が(メタ)アクリル酸誘導体から
構成されるため、SIS等と比較するとホットメルト粘
着剤として耐候性に優れており、溶融塗布時の熱安定性
も良好である。
【0022】本発明の粘着剤組成物は、より具体的に
は、273K以上のガラス転移点を有する高ガラス転移
点型重合体からなる第1重合体部分と273K未満のガ
ラス転移点を有する低ガラス転移点型重合体からなる第
2重合体部分とを有する熱可塑性付加重合体を含む。こ
の熱可塑性付加重合体は、第1重合体部分と第2重合体
部分が枝分かれした構造(グラフト構造)を持ってお
り、相分離する。
【0023】本発明の粘着剤組成物は、好ましくは上記
重合工程において、準備工程と第1重合工程と添加工程
と第2重合工程とを含む製造方法により作られた熱可塑
性付加重合体を含むアクリル系粘着剤である。準備工程
は、多価メルカプタンと80℃以上のガラス転移点を有
する高ガラス転移点型重合体を生成しうる第1のα,β
−不飽和単量体とを含む第1混合物を準備する工程であ
る。第1重合工程は、多価メルカプタンの有するメルカ
プト基を発端として未反応メルカプト基を15〜85モ
ル%残すようにして第1混合物のラジカル重合を行って
反応混合物を得る工程である。このラジカル重合によ
り、高ガラス転移点型重合体からなる第1重合体部分が
多価メルカプタン部分から放射状に延びた重合体が生成
する。添加工程は、第2のα,β−不飽和単量体を前記
反応混合物に加えて−50〜−25℃のガラス転移点を
有する低ガラス転移点型重合体を生成しうる第2混合物
を得る工程である。第2重合工程は、未反応メルカプト
基を発端として未反応メルカプト基が2モル%以下に減
少するように第2混合物をラジカル重合する工程であ
る。このラジカル重合により、第1重合工程で生成した
重合体の多価メルカプタン部分から、低ガラス転移点型
重合体からなる第2重合体部分が放射状に延びた熱可塑
性付加重合体が生成する。この熱可塑性付加重合体は、
第5の態様の粘着剤組成物に含まれる熱可塑性付加重合
体と同じ作用効果を奏する。
【0024】本発明で使用できる熱可塑性付加重合体
(星型ブロック重合体)は、第1のα,β−不飽和単量
体がメタクリル酸メチル90〜100重量%および他の
重合性単量体0〜10重量%からなり、第2混合物中の
α,β−不飽和単量体がメタクリル酸メチル0〜10重
量%、アクリル酸ブチルおよび2−エチルヘキシル80
〜100重量%および他の重合性単量体0〜10重量%
からなることが好ましい。
【0025】本発明の再剥離性粘着剤組成物は、多価メ
ルカプタン部分と、多価メルカプタン部分から放射状に
延びた第1重合体部分および第2重合体部分とを有する
熱可塑性付加重合体と再剥離性を発現させる効果を有す
る多価カルボン酸を含む。
【0026】上記多価メルカプタン部分とは、後述する
多価メルカプタン(2以上のメルカプト基を有するメル
カプタン)から複数のメルカプト基のプロトンが解離し
た残りの部分(残基)を言う。多価メルカプタン部分と
しては、好ましくは、後述する3〜6価のメルカプタ
ン、より好ましくは、後述する4〜6価のメルカプタン
から複数のメルカプト基のプロトンが解離した残りの部
分である。この理由は、熱可塑性付加重合体が、同一中
心から放射状に延びた星型のブロック構造を持つため、
重合体部分間のからみによる効果(たとえば、高凝集
力)や相分離構造の形態変化が期待できるという利点が
あるからである。多価メルカプタン部分が2価のメルカ
プタンからメルカプト基のプロトンが解離した残りの部
分であると、粘着剤組成物の耐熱性が十分でないことが
ある。また、多価メルカプタン部分が7価以上のメルカ
プタンからメルカプト基のプロトンが解離した残りの部
分であると、熱可塑性付加重合体は重合体部分が同一中
心から放射状に延びた構造を取りにくいので、得たい物
性が発現しないおそれがある。
【0027】上記多価メルカプタンは、1分子あたり2
個以上のメルカプト基を有する化合物であり、1分子あ
たりのメルカプト基の個数が2、3、…であるメルカプ
タンを、それぞれ、2価のメルカプタン、3価のメルカ
プタン、…と言う。多価メルカプタンとしては、たとえ
ば、エチレングリコールや1,4−ブタンジオールのよ
うなジオールとカルボキシル基含有メルカプタン類のジ
エステル;トリメチロールプロパン、ペンタエリスリト
ール、ジペンタエリスリトールなど水酸基を3個以上有
する化合物とカルボキシル基含有メルカプタン類のポリ
エステル化合物;トリチオグリセリンなどのメルカプト
基を3個以上有する化合物;2−ジ−n−ブチルアミノ
−4,6−ジメルカプト−S−トリアジン、2,4,6
−トリメルカプト−S−トリアジンなどのトリアジン多
価チオール類;多価エポキシ化合物の複数のエポキシ基
に硫化水素を付加させて複数のメルカプト基を導入して
なる化合物;多価カルボン酸の複数のカルボキシル基と
メルカプトエタノールをエステル化してなるエステル化
合物などを挙げることができ、それらのいずれかを単独
で、または、2以上を合わせて使用することができる。
ここで、カルボキシル基含有メルカプタン類とは、チオ
グリコール酸、メルカプトプロピオン酸、チオサリチル
酸など、1個のメルカプト基と1個のカルボキシル基を
有する化合物である。なお、メルカプト基を1個だけ有
するメルカプタンは、重合体部分が放射状に延びた構造
を与えないため、熱可塑性付加重合体のメルカプタン部
分として使用できない。
【0028】上記多価メルカプタンは、星形ブロック構
造を有する重合体を形成する観点から、好ましくは3〜
6個のメルカプト基を有する化合物(すなわち、3〜6
官能性メルカプタン)、より好ましくは4〜6個のメル
カプト基を有する化合物(すなわち、4〜6官能性メル
カプタン)である。メルカプト基を1個だけ有するメル
カプタンは重合体部分が放射状に伸びた構造を与えな
い。メルカプト基を6個より多く有するメルカプタン
は、同一中心から放射状に伸びた構造とはならないた
め、得たい物性が発現しないおそれがある。
【0029】多価メルカプタンとしては、たとえば、ト
リチオグリセリン、トリメチロールプロパントリチオグ
リコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピオ
ネートなどの3官能性メルカプタン;ペンタエリスリト
ールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトー
ルテトラキスチオプロピオネートなどの4官能性メルカ
プタン;ジペンタエリスリトールヘキサキスチオグリコ
レート、ジペンタエリスリトールヘキサキスチオプロピ
オネートなどの6官能性メルカプタン;3価〜6価のエ
ポキシ化合物に硫化水素を付加した化合物、3価〜6価
のカルボン酸のメルカプトエタノール付加物などを挙げ
ることができ、その1種以上を使用する。
【0030】第1重合体部分と第2重合体部分は、多価
メルカプタン部分から放射状に延びている。重合体部分
が多価メルカプタン部分から放射状に延びているとは、
高分子1個あたり2個の重合体部分が多価メルカプタン
部分から2方向に延びた場合(直線状に延びた場合も含
む)と、高分子1個あたり3個以上の重合体部分が多価
メルカプタン部分から3以上の方向に延びた場合とを言
う。重合体部分の一端の炭素原子は多価メルカプタン部
分のメルカプト基に由来するイオウ原子に結合してい
る。
【0031】第1重合体部分および第2重合体部分は、
それぞれ、通常、数平均分子量が、1,000〜15
0,000、好ましくは3,000〜100,000で
ある。重合体部分の数平均分子量が前記範囲を下回ると
熱可塑性付加重合体に重合体部分に基づく特性を導入す
ることができないおそれがあり、上回るとホットメルト
粘度やハイソリッド溶剤型粘着剤の粘度が高くなるだけ
でなく製造時の粘度が高くなり、生産性の点で好ましく
ないおそれがある。
【0032】熱可塑性付加重合体は、高分子1個あたり
1以上の第1重合体部分と1以上の第2重合体部分を有
する。重合体部分は、重合性不飽和単量体が、ラジカル
重合してなる、単独重合体または共重合体の構造を有す
る部分である。ラジカル重合して得られる重合体部分
は、アニオン重合などのイオン重合により生成した重合
体部分よりも組成の種類が多様であり、使用される単量
体の種類もラジカル重合可能であること以外は特に制限
されないし、共重合体であることも可能である。
【0033】第1重合体部分は、273K以上、好まし
くは333K以上、より好ましくは353K以上のガラ
ス転移点を有する高ガラス転移点型重合体からなる。高
ガラス転移点型重合体からなる第1重合体部分は、第2
重合体部分とは相分離して不連続相を形成し、擬似架橋
構造をとるため、粘着剤組成物を耐熱性に優れたものと
する。第1重合体部分のガラス転移点が高いほど耐熱性
向上効果は大きい。
【0034】第2重合体部分は、273K未満、好まし
くは263K未満、より好ましくは250K未満のガラ
ス転移点を有する低ガラス転移点型重合体からなる。低
ガラス転移点型重合体からなる第2重合体部分は、第1
重合体部分とは相分離して連続相を形成し、粘着性を発
現する。第2重合体部分のガラス転移点が低いほど粘着
力を高くする効果が大きい。
【0035】第1重合体部分と第2重合体部分とのガラ
ス転移点の違いは、重合体部分が単独重合体からなる場
合には、重合体を構成する単量体単位の違い、重合体部
分が共重合体からなる場合には、単量体単位の違い及び
/又は単量体単位の割合の違いなどにより得られる。第
1重合体部分は、後述する第1のα,β−不飽和単量体
がラジカル重合して生成する高ガラス転移点型重合体か
らなる。また、第2重合体部分は、後述する第2のα,
β−不飽和単量体がラジカル重合体して生成する低ガラ
ス転移点型重合体からなる。
【0036】第1のα,β−不飽和単量体としては、ラ
ジカル重合により、273K以上、好ましくは333K
以上、より好ましくは353K以上のガラス転移点を有
する高ガラス転移点型重合体(単独重合体あるいは共重
合体)を生成するものであれば、いずれの単量体も使用
可能である。たとえば、(メタ)アクリル酸;炭素原子
数1〜20のアルキル基を有するアルキル(メタ)アク
リレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル
(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリ
レート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレー
ト、アダマンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエ
チル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、
メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル
(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メ
タ)アクリレートなどに代表される(メタ)アクリレー
ト類;α−メチルスチレン、ビニルトルエン、スチレン
などに代表されるスチレン系重合性単量体;メチルビニ
ルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニル
エーテル、酢酸ビニルなどに代表されるビニルエーテル
類;フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステル、フマ
ル酸のジアルキルエステル;マレイン酸、マレイン酸の
モノアルキルエステル、マレイン酸のジアルキルエステ
ル;イタコン酸、イタコン酸のモノアルキルエステル、
イタコン酸のジアルキルエステル;無水コハク酸もしく
は無水フタル酸とヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
トとのハーフエステル;(メタ)アクリロニトリル、ブ
タジエン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、
ビニルケトン、ビニルピリジン、ビニルカルバゾールな
どを挙げることができ、いずれかを単独で、または、2
以上合わせて使用することができる。
【0037】第2のα,β−不飽和単量体としては、第
2のα,β−不飽和単量体と第1重合工程で反応せずに
残存する第1のα,β−不飽和単量体との混合物が、あ
るいは、第2のα,β−不飽和単量体そのものが、ラジ
カル重合により、273K未満、好ましくは263K未
満、より好ましくは250K未満のガラス転移点を有す
る低ガラス転移点型重合体(単独重合体あるいは共重合
体)を生成するものであれば、いずれの単量体も使用可
能である。たとえば、エチルアクリレート、ブチルアク
リレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ドデシル
アクリレートなどの炭素数2〜18のアルキル基を有す
るアルキルアクリレート;ヒドロキシエチルアクリレー
ト、ヒドロキシプロピルアクリレート、メトキシエチル
アクリレート、エトキシエチルアクリレート、エトキシ
エトキシエチルアクリレートなどを挙げることができ、
いずれかを単独で、または、2以上合わせて使用するこ
とができる。また、273K未満のガラス転移温度を満
足する範囲内で第1のα,β−不飽和単量体を含んでも
かまわない。
【0038】第1重合体部分と第2重合体部分との組み
合わせを選択することで、耐熱性と粘着性、接着力と強
靱性などの相反する性能の両立が可能となる。たとえ
ば、熱可塑性付加重合体を粘着剤(感圧接着剤)として
使用する場合には、低ガラス転移点型重合体からなる第
2重合体部分が高ガラス転移点型重合体からなる第1重
合体部分よりも多くの部分、大部分を占めるように熱可
塑性付加重合体の設計がなされる。
【0039】熱可塑性付加重合体の数平均分子量は、1
0,000〜200,000である。数平均分子量が前
記範囲を下回ると、耐熱性が不十分であり使用時の凝集
力(保持力)が低下する。数平均分子量が前記範囲を上
回ると、粘着剤溶液の粘度やホットメルト粘度が高く取
り扱い性が悪くなる。耐熱性が十分高く、粘着剤溶液の
粘度やホットメルト粘度が十分低いというバランスを考
慮すると、熱可塑性付加重合体の数平均分子量は、好ま
しくは10,000〜100,000である。
【0040】本発明にかかる粘着剤組成物の好ましい例
を次に挙げる。 (1) 多価メルカプタン部分と、前記多価メルカプタ
ン部分から放射状に延びた第1重合体部分および第2重
合体部分とを有する熱可塑性付加重合体を含み、前記第
1重合体部分が273K以上のガラス転移点を有する高
ガラス転移点型重合体からなり、前記第2重合体部分が
250K未満のガラス転移点を有する低ガラス転移点型
重合体からなる、粘着剤組成物である。さらに好ましく
は、前記第1重合体部分が333K以上のガラス転移点
を有する高ガラス転移点型重合体からなり、前記第2重
合体部分が273K未満のガラス転移点を有する低ガラ
ス転移点型重合体である。
【0041】さらに好ましくは、前記第1重合体部分が
333K以上のガラス転移点を有する高ガラス転移点型
重合体からなり、前記第2重合体部分が250K未満の
ガラス転移点を有する低ガラス転移点型重合体である。
【0042】さらに好ましくは、前記第1重合体部分が
353K以上のガラス転移点を有する高ガラス転移点型
重合体からなり、前記第2重合体部分が273K未満の
ガラス転移点を有する低ガラス転移点型重合体である。
【0043】さらに好ましくは、前記第1重合体部分が
353K以上のガラス転移点を有する高ガラス転移点型
重合体からなり、前記第2重合体部分が250K未満の
ガラス転移点を有する低ガラス転移点型重合体である。
【0044】さらに好ましくは、第1重合体部分の数平
均分子量が1,000〜150,000、第2重合体部
分の数平均分子量が1,000〜150,000であ
る。さらに好ましくは、第1重合体部分の数平均分子量
が1,000〜150,000、第2重合体部分の数平
均分子量が1,000〜150,000である。さらに
好ましくは、第1重合体部分の数平均分子量が1,00
0〜150,000、第2重合体部分の数平均分子量が
1,000〜150,000である。さらに好ましく
は、、第1重合体部分の数平均分子量が3,000〜1
00,000、第2重合体部分の数平均分子量が3,0
00〜100,000である。さらに好ましくは、第1
重合体部分の数平均分子量が1,000〜150,00
0、第2重合体部分の数平均分子量が1,000〜15
0,000、熱可塑性付加重合体の数平均分子量が1
0,000〜200,000である。
【0045】さらに好ましくは、第1重合体部分の数平
均分子量が3,000〜100,000、第2重合体部
分の数平均分子量が3,000〜100,000、熱可
塑性付加重合体の数平均分子量が10,000〜10
0,000である。
【0046】本発明の粘着剤組成物は、準備工程と第1
重合工程と添加工程と第2重合工程とを含む製造方法に
より得られた熱可塑性付加重合体と多価カルボン酸を含
む。準備工程は、多価メルカプタンと273K以上のガ
ラス転移点を有する高ガラス転移点型重合体を生成しう
る第1のα,β−不飽和単量体とを含む第1混合物を準
備する工程である。第1のα,β−不飽和単量体および
多価メルカプタンについては、第1の態様においてすで
に説明したので、ここでは説明を省略する。
【0047】多価メルカプタンの存在下で重合を行う
と、多価メルカプタンのメルカプト基を発端として重合
が進行するので、分子量分布が狭く、高度に枝分かれし
た星形ブロック構造を有する熱可塑性付加重合体が生成
する。第1混合物は、第1のα,β−不飽和単量体10
0重量部に対して、多価メルカプタンを、たとえば0.
01〜10重量部含む。多価メルカプタンの量が前記範
囲を外れると第1重合体部分の数平均分子量が1,00
0〜150,000の範囲を外れたり、熱可塑性付加重
合体の数平均分子量が10,000〜200,000の
範囲を外れたりするおそれがある。この点を考慮する
と、多価メルカプタンの量は、0.05〜5重量部がよ
り好ましい。
【0048】第1混合物は、第1のα,β−不飽和単量
体と多価メルカプタンとを溶解および/または分散した
媒体をさらに含んでいてもよい。この媒体としては、単
量体と得られた重合体とが溶解するものであれば良い。
媒体の量は、第1のα,β−不飽和単量体と第2のα,
β−不飽和単量体との合計量に対して、たとえば0〜2
00重量%、好ましくは0〜100重量%である。前記
範囲を上回ると重合速度が低下したり固形分換算のコス
トが高くなったりして工業的に好ましくない。媒体とし
ては、たとえば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水
素類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;シク
ロヘキサンなどの脂環族炭化水素類;ヘキサン、ペンタ
ンなどの脂肪族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケ
トン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類などの有
機溶剤が挙げられる。有機溶剤は、単独溶媒でも混合溶
媒でもよい。
【0049】第1重合工程は、多価メルカプタンの有す
るメルカプト基を発端として第1のα,β−不飽和単量
体のラジカル重合を行って反応混合物を得る工程であ
る。ラジカル重合は、通常のラジカル重合方法である塊
状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などで行うこと
ができる。安価な重合体を得るためには、余分な揮発成
分を含まない塊状重合方法が好ましい。
【0050】重合温度は、30〜200℃が好ましく、
より好ましくは重合開始剤を使用しないで安定に塊状重
合できる100〜150℃である。第1重合工程には、
通常のラジカル重合開始剤(たとえば、2,2′−アゾ
ビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビスシクロヘ
キサンカーボニトリルなどのアゾ系重合開始剤;過酸化
ベンゾイルなどの過酸化物系重合開始剤など)を使用で
きるが、重量比で、通常、多価メルカプタンの1/3以
下、好ましくは1/10以下、より好ましくは使用しな
い。重合開始剤を前記比率よりも多量に使用すると、多
価メルカプタンから延びた重合体部分以外に、重合開始
剤から延びた重合体が多量に生成し、星形ブロック構造
を有する熱可塑性付加重合体の生成効率が低下してしま
う。
【0051】第1重合工程でのラジカル重合により、多
価メルカプタンの各分子において、1個または複数個の
メルカプト基のイオウ残基に273K以上のガラス転移
点を有する高ガラス転移点型重合体の炭素鎖一端の炭素
原子が結合した生成物が得られる。この生成物は、多価
メルカプタン部分から放射状に延びた第1重合体部分を
含み、未反応のメルカプト基を有している。第1重合体
部分は高ガラス転移点型重合体からなっている。イオウ
残基に効率良く第1重合体部分の一端を結合させるため
には、重合系中に必要以上の重合開始剤を添加しないこ
とが好ましい。第1重合工程でのラジカル重合は、たと
えば重合率30〜95%、好ましくは重合率50〜90
%、より好ましくは重合率60〜85%になるまで行
う。重合率が前記範囲よりも低いと、十分な耐熱性が得
られなかったり、あるいは、第1のα,β−不飽和単量
体が多く残るため第2重合工程で得られる第2重合体部
分の粘着性が不十分となったりするおそれがある。重合
率が前記範囲よりも高いと、残存するメルカプト基が減
少してブロック重合体の生成効率が悪くなり、十分な耐
熱性が得られないおそれがある。第1重合工程と第2重
合工程とで異なる重合体部分が生成しやすくするために
第1重合工程後、残存している第1のα,β−不飽和単
量体を揮発除去することも可能である。
【0052】添加工程は、第1重合工程で得られた反応
混合物に第2のα,β−不飽和単量体を加えて273K
未満のガラス転移点を有する低ガラス転移点型重合体を
生成しうる第2混合物を得る工程である。第2のα,β
−不飽和単量体については、第1の態様においてすでに
説明したので、ここでは説明を省略する。
【0053】熱可塑性付加重合体を粘着剤(感圧接着
剤)として使用する場合には、低ガラス転移点型重合体
からなる第2重合体部分が高ガラス転移点型重合体から
なる第1重合体部分よりも多くの部分、大部分を占める
ように熱可塑性付加重合体の設計がなされる。第1の
α,β−不飽和単量体と第2のα,β−不飽和単量体と
の組み合わせは、Tgが異なる重合体部分を有するブロ
ック構造を導入することで熱可塑性付加重合体の凝集力
を高めるという観点から設定される。まず、273K以
上のガラス転移点を有する高ガラス転移点型重合体を生
成しうる第1のα,β−不飽和単量体と、273K未満
のガラス転移点を有する低ガラス転移点型重合体を生成
しうる第2のα,β−不飽和単量体との組み合わせが挙
げられる。熱可塑性付加重合体の凝集力をより向上させ
るという点からは、好ましくは、333K以上のガラス
転移点を有する高ガラス転移点型重合体を生成しうる第
1のα,β−不飽和単量体と、250K未満のガラス転
移点を有する低ガラス転移点型重合体を生成しうる第2
のα,β−不飽和単量体との組み合わせ、より好ましく
は、353K以上のガラス転移点を有する高ガラス転移
点型重合体を生成しうる第1のα,β−不飽和単量体
と、250K未満のガラス転移点を有する低ガラス転移
点型重合体を生成しうる第2のα,β−不飽和単量体と
の組み合わせである。
【0054】第2のα,β−不飽和単量体の量は、第1
のα,β−不飽和単量体から生成する重合体100重量
部に対して、たとえば50〜2000重量部の範囲であ
る。この範囲を外れると熱可塑性付加重合体が星形ブロ
ック構造に由来する性能を持たないおそれがある。この
点を考慮とすると第2のα,β−不飽和単量体の量は1
00〜1000重量部が好ましい。
【0055】添加工程では、第2のα,β−不飽和単量
体を一括で添加する方法、滴下して添加する方法を採用
することができる。第2混合物は、第1重合工程で生成
した重合体と第2のα,β−不飽和単量体とを溶解およ
び/または分散した媒体をさらに含んでいてもよい。こ
の媒体としては、単量体と得られた重合体とが溶解する
ものであれば良い。媒体の量は、第1のα,β−不飽和
単量体と第2のα,β−不飽和単量体との合計量に対し
て、たとえば0〜200重量%、好ましくは0〜100
重量%である。前記範囲を上回ると重合速度が低下した
り固形分換算のコストが高くなったりして工業的に好ま
しくない。媒体としては、たとえば、トルエン、キシレ
ン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチルなど
のエステル類;シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素
類;ヘキサン、ペンタンなどの脂肪族炭化水素類;アセ
トン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンな
どのケトン類などの有機溶剤が挙げられる。有機溶剤
は、単独溶媒でも混合溶媒でもよい。
【0056】第2重合工程は、第2混合物に含まれる単
量体のラジカル重合を行う工程である。このラジカル重
合は、多価メルカプタンのうちの残存しているメルカプ
ト基の全部または一部を発端として行われ、低ガラス転
移点型重合体を生成する。この発端となるメルカプト基
のイオウ残基に第2重合体部分の一端が結合した生成物
が得られる。第2重合体部分は低ガラス転移点型重合体
からなる。この生成物は、未反応のメルカプト基を有し
ていてもよい。この場合には、第2重合工程を2回繰り
返すことにより、第3の異なる組成を有する重合体部分
を導入し、第2重合工程を3回繰り返すことにより、第
3および第4の異なる組成を有する重合体部分を導入
し、第2重合工程の繰り返し数を増すごとにさらに異な
る組成を有する重合体部分を導入することができる。
【0057】ラジカル重合は、通常のラジカル重合方法
である塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などで
行うことができる。安価な重合体を得るためには、余分
な揮発成分を含まない塊状重合方法が好ましい。重合温
度は、30〜200℃が好ましく、より好ましくは重合
開始剤を使用しないで安定に塊状重合できる100〜1
50℃である。
【0058】第2重合工程には、通常のラジカル重合開
始剤(たとえば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリ
ル、2,2′−アゾビスシクロヘキサンカーボニトリル
などのアゾ系重合開始剤;過酸化ベンゾイルなどの過酸
化物系重合開始剤など)を使用できるが、重量比で、通
常、多価メルカプタンの1/3以下、好ましくは1/1
0以下、より好ましくは使用しない。重合開始剤を前記
比率よりも多量に使用すると、多価メルカプタンから延
びた重合体部分以外に、重合開始剤から延びた重合体が
多量に生成し、星形ブロック構造を有する熱可塑性付加
重合体の生成効率が低下してしまう。
【0059】第2重合工程の添加終了後、必要に応じ
て、熟成のためのラジカル重合を行うことも可能であ
る。第2重合工程で得られた反応混合物は、溶媒や残存
単量体などの揮発成分を含まない場合には、そのまま熱
可塑性付加重合体が得られる。反応混合物が揮発成分を
含む場合には、二軸押し出し機、薄膜蒸発機などの装置
で揮発成分を除去することにより熱可塑性付加重合体を
得る。
【0060】さらに好ましくは、第1重合工程の重合率
を50%以上とし、必要により残存重合性不飽和単量体
を揮発除去した後に第2のα,β−不飽和単量体を一括
で添加した場合は、高ガラス転移点型重合体からなる第
1重合体部分と低ガラス転移点型重合体からなる第2重
合体部分とを有する熱可塑性付加重合体(または、第1
の態様にかかる粘着剤組成物の熱可塑性付加重合体)が
得られる。
【0061】本発明の粘着剤組成物は、特定構造の熱可
塑性付加重合体と多価カルボン酸を使用しているので良
好な再剥離型ハイソリッド型溶剤型粘着剤を提供するこ
とができる。具体的には、熱可塑性付加重合体を溶解お
よび/または分散した有機溶剤、および多価カルボン酸
をさらに含み、不揮発分濃度が60〜80重量%であ
り、25℃における粘度が2万cps以下である。この
粘着剤組成物は、ハイソリッド溶剤型粘着剤である。
【0062】有機溶剤としては、上記熱可塑性付加重合
体が溶解および/または分散しうるものであればよく、
たとえば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;
酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;シクロヘキ
サンなどの脂環族炭化水素類;ヘキサン、ペンタンなど
の脂肪族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、
メチルイソブチルケトンなどのケトン類;メタノール、
エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコー
ル類などの有機溶剤が挙げられる。有機溶剤は、単独溶
媒でも混合溶媒でもよい。
【0063】上記の粘着剤組成物では、不揮発分濃度が
60〜80重量%である。不揮発分は熱可塑性付加重合
体である。不揮発分濃度が80重量%を上回ると2万c
ps以下の粘度を保ったまま粘着物性を満足させること
ができないという問題があり、60重量%を下回ると、
ハイソリッド化のメリットである、環境問題改善効果
(低VOC:揮発性有機化合物の低減)、省エネルギー
効果、ラインスピードアップ効果が低下するという問題
がある。粘着剤組成物の粘度を2万cps以下に保った
まま粘着物性を満足させ、かつ、ハイソリッド化のメリ
ットである環境問題改善効果、省エネルギー効果、ライ
ンスピードアップ効果の低下をより小さくするという点
からは、不揮発分濃度は、好ましくは65〜75重量%
である。
【0064】上記の粘着剤組成物は、熱可塑性付加重合
体が低分子量であるため、上記範囲の不揮発分濃度であ
っても、25℃における粘度が2万cps以下である。
粘度が2万cpsよりも大きいと塗布作業性または塗工
性が悪い。塗工性が良くラインスピードを上げるという
メリットがあるという点では、粘度は、好ましくは1万
cps以下である。粘度は、B型粘度計(BM型)、♯
4、30rpmの条件で25℃にて測定した値である。
【0065】上記の熱可塑性付加重合体が、たとえば1
0,000〜30,000、好ましくは13,000〜
20,000の数平均分子量を有するときには、ハイソ
リッドで低粘度でありながら、耐熱性と粘着物性とのバ
ランスに優れるという利点をさらに有する。熱可塑性付
加重合体を有機溶剤に溶解および/または分散する方法
としては、たとえば、重合工程時に共存させておくのが
通常の方法であり、場合によっては熱可塑性付加重合体
と有機溶剤を混合し加熱して溶解してもよい。
【0066】ハイソリッド型粘着剤組成物の好ましい例
を次に挙げる。 (1) 不揮発分濃度が65〜75重量%であり、25
℃における粘度が2万cps以下である。(2) 不揮
発分濃度が60〜80重量%であり、25℃における粘
度が1万cps以下である。(3) 不揮発分濃度が6
5〜75重量%であり、25℃における粘度が1万cp
s以下である。 (4) 上記(1)〜(3)のいずれかにおいて、第1
重合体部分が333K以上のガラス転移点を有する高ガ
ラス転移点型重合体からなり、第2重合体部分が250
K未満のガラス転移点を有する低ガラス転移点型重合体
からなる事が好ましい。
【0067】(5) 上記(1)〜(3)のいずれかに
おいて、第1重合体部分が353K以上のガラス転移点
を有する高ガラス転移点型重合体からなり、第2重合体
部分が250K未満のガラス転移点を有する低ガラス転
移点型重合体からなる事が好ましい。 (6) 上記(1)〜(3)のいずれかにおいて、第1
重合体部分が353K以上のガラス転移点を有する高ガ
ラス転移点型重合体からなり、第2重合体部分が230
K未満のガラス転移点を有する低ガラス転移点型重合体
からなる事が好ましい。(7) 上記(4)〜(6)の
いずれかにおいて、第1重合体部分の数平均分子量が
1,000〜10,000、第2重合体部分の数平均分
子量が1,000〜20,000である事が好ましい。
【0068】(8) 上記(4)〜(6)のいずれかに
おいて、第1重合体部分の数平均分子量が1,500〜
5,000、第2重合体部分の数平均分子量が3,00
0〜15,000である事が好ましい。 (9) 上記(4)〜(6)のいずれかにおいて、第1
重合体部分の数平均分子量が1,000〜10,00
0、第2重合体部分の数平均分子量が1,000〜2
0,000、熱可塑性付加重合体の数平均分子量が1
0,000〜30,000である事が好ましい。 (10) 上記(4)〜(6)のいずれかにおいて、第1
重合体部分の数平均分子量が1,500〜5,000、
第2重合体部分の数平均分子量が3,000〜15,0
00、熱可塑性付加重合体の数平均分子量が13,00
0〜20,000である事が好ましい。
【0069】(11) 上記(4)〜(10)のいずれかに
おいて、熱可塑性付加重合体の分子量分布(Mw/M
n)6以下である事が好ましい。 (12) 上記(4)〜(11)のいずれかにおいて、多価
メルカプタン部分が3〜6官能性メルカプタンの残基で
ある事が好ましい。 (13) 上記(4)〜(11)のいずれかにおいて、多価
メルカプタン部分が4〜6官能性メルカプタンの残基で
ある事が好ましい。
【0070】上記の他必要に応じて使用する他の共重合
可能なモノマーとしては、例えば、カルボキシル基、ヒ
ドロキシル基、メチロール基、アミノ基、グリシジル
基、燐酸基、スルホン酸基、エチレンイミン基、イソシ
アネート基等の極性基を有するモノマーがある。具体的
には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイ
ン酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、イタコン
酸、クロトン酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプ
ロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、N
−メチルアミノエチルアクリレート、N−トリブチルア
ミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチ
ルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタク
リレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレー
ト、ビニルピロリドン、グリシジルアクリレート、グリ
シジルメタクリレート、モノ(2−ヒドロキシエチル−
α−クロロアクリレート)アシッドホスフェート、ビニ
ルイソシアネート等が挙げられる。これら極性基を有す
るモノマーは、成分(A)を構成する前単量体成分中、
0.01〜25重量%含有していることが好ましい。
【0071】また、上記の極性基を有するモノマー以外
に、例えば、ビニルエステル、ビニルピリジン、酢酸ビ
ニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル、ブタジエン、クロロプレン等
のモノマーを使用してもよい。
【0072】本発明の再剥離型粘着剤に使用する熱可塑
性付加重合体であるアクリル系星型ブロック重合体
(A)の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは2万以
上、より好ましくは3万以上である。重量平均分子量
(Mw)が十分に高ければ、後述の架橋剤(C)の使用
量を少なくしても、十分な接着昂進の抑制が働き、剥離
時の被着体の汚染がない、優れた再剥離性を有する感圧
接着剤組成物が得られるので好ましい。より具体的に
は、重量平均分子量(Mw)は、2万から10万の範囲
が好ましく、さらに好ましくは、3万から8万の範囲で
ある。より好ましくは3万から6万の範囲である。な
お、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーション
クロマトグラフ(GPC)にて測定し、標準ポリスチレ
ンから作製した検量線より算出した。
【0073】本発明の再剥離型粘着剤に使用する熱可塑
性付加重合体であるアクリル系星型ブロック重合体
(A)のまた数平均分子量(Mn)としては、ホットメ
ルト粘着剤として好ましくは、2万から8万の範囲であ
る。より好ましくは3万から6万の範囲である。より詳
しくは、以下のように熱可塑性付加重合体を設計し重合
して得る事が好ましい。
【0074】具体的には、多価メルカプタン存在下にお
いて第1の重合時の行程に使用するα,β−不飽和単量
体を重合して得られる第1重合体部分が持つガラス転移
温度の好ましい領域および、第2の重合行程時に使用す
るα,β−不飽和単量体を重合して得られる第1重合体
部分が持つガラス転移温度の好ましい領域、つまりそれ
ぞれの付加重合体部分(セグメント)における好ましい
ガラス転移温度領域と、そのそれぞれの付加重合体部分
(セグメント)の好ましい数平均分子量の以下に記載す
る。
【0075】本発明の再剥離性粘着剤組成物に使用する
熱可塑性付加重合体(星型ブロック重合体)としては、
α,β−不飽和単量体、具体的には各種(メタ)アクリ
レートを用い以下の様な付加重合体部分となる様に多価
メルカプタン存在下に重合を行って得る事が好ましく、
下記に記載のガラス転移点および/または数平均分子量
の特性を持つ熱可塑性付加重合体(星型ブロック重合
体)と、所定量の多価カルボン酸と使用する事で再剥離
性に優れた本発明の粘着剤組成物を得ることができる。
【0076】また同様な条件にて得た熱可塑性付加重合
体と、熱可塑性付加重合体を溶解および/または分散し
た有機溶剤、および多価カルボン酸を使用する事で、不
揮発分濃度が60〜80重量%であり、25℃における
粘度が2万cps以下である様な、ハイソリッドでかつ
再剥離性も良好な溶剤型粘着剤組成物を得ることができ
る。
【0077】また同様に下記に記載のガラス転移点およ
び/または数平均分子量の特性を持つ熱可塑性付加重合
体(星型ブロック重合体)と、所定量の多価カルボン酸
と使用する事で、耐熱性にも再剥離性にも優れたホット
メルト粘着剤組成物を得ることができる。以下に再剥離
性に優れたホットメルト粘着剤組成物を得るための好ま
しい重合体の形態を説明する。
【0078】(1)第1のα,β−不飽和単量体とし
て、333K以上のガラス転移点を有する高ガラス転移
点型重合体を生成しうるものを用い、第2のα,β−不
飽和単量体として、250K未満のガラス転移点を有す
る低ガラス転移点型重合体を生成しうるものを用いて多
価メルカプタン存在下に重合する事が好ましい。 (2)第1のα,β−不飽和単量体として、353K以
上のガラス転移点を有する高ガラス転移点型重合体を生
成しうるものを用い、第2のα,β−不飽和単量体とし
て、250K未満のガラス転移点を有する低ガラス転移
点型重合体を生成しうるものを用いて多価メルカプタン
存在下に重合する事が好ましい。
【0079】(3)第1のα,β−不飽和単量体とし
て、353K以上のガラス転移点を有する高ガラス転移
点型重合体を生成しうるものを用い、第2のα,β−不
飽和単量体として、230K未満のガラス転移点を有す
る低ガラス転移点型重合体を生成しうるものを用いて多
価メルカプタン存在下に重合する事が好ましい。
【0080】以下に重合体(A)の数平均分子量につい
て説明する。 (4)第1重合工程で生成する重合体の数平均分子量が
1,000〜10,000である事が好ましく、さらに
好ましくは3,000〜6,000である。さらに好ま
しくは、第1重合工程で生成する重合体の数平均分子量
が1,000〜10,000であって第2工程で生成す
る熱可塑性付加重合体の数平均分子量が10,000〜
30,000である事が好ましい。より好ましくは、第
1重合工程で生成する重合体の数平均分子量が3,00
0〜6,000であって、第2工程で生成する熱可塑性
付加重合体の数平均分子量が13,000〜20,00
0である事が好ましい。
【0081】<再剥離性に優れたハイソリッド型粘着剤
組成物>本発明の多価カルボン酸を必須成分として含
む、再剥離性に優れたハイソリッド型粘着剤組成物とし
て、好ましい不揮発分濃度と得られる粘度の関係および
使用が好ましい重合体(A)部分の形態を以下に説明す
る。
【0082】(1) 不揮発分濃度が65〜75重量%
であり、25℃における粘度が2万cps以下である事
が好ましい。(2) 不揮発分濃度が60〜80重量%
であり、25℃における粘度が1万cps以下である事
が好ましい。(3) 不揮発分濃度が65〜75重量%
であり、25℃における粘度が1万cps以下である事
が好ましい。(4) 上記(1)〜(3)のいずれかに
おいて、第1重合体部分が333K以上のガラス転移点
を有する高ガラス転移点型重合体からなり、第2重合体
部分が250K未満のガラス転移点を有する低ガラス転
移点型重合体からなる事が好ましい。
【0083】(5) 上記(1)〜(3)のいずれかに
おいて、第1重合体部分が353K以上のガラス転移点
を有する高ガラス転移点型重合体からなり、第2重合体
部分が250K未満のガラス転移点を有する低ガラス転
移点型重合体からなる事が好ましい。(6) 上記
(1)〜(3)のいずれかにおいて、第1重合体部分が
353K以上のガラス転移点を有する高ガラス転移点型
重合体からなり、第2重合体部分が230K未満のガラ
ス転移点を有する低ガラス転移点型重合体からなる事が
好ましい。
【0084】(7) 上記(4)〜(6)のいずれかに
おいて、第1重合体部分の数平均分子量が1,000〜
10,000、第2重合体部分の数平均分子量が1,0
00〜20,000である事が好ましい。(8) 上記
(4)〜(6)のいずれかにおいて、第1重合体部分の
数平均分子量が1,500〜5,000、第2重合体部
分の数平均分子量が3,000〜15,000である事
が好ましい。(9)上記(4)〜(6)のいずれかにお
いて、第1重合体部分の数平均分子量が1,000〜1
0,000、第2重合体部分の数平均分子量が1,00
0〜20,000、熱可塑性付加重合体の数平均分子量
が10,000〜30,000である事が好ましい。
【0085】(10) 上記(4)〜(6)のいずれかに
おいて、第1重合体部分の数平均分子量が1,500〜
5,000、第2重合体部分の数平均分子量が3,00
0〜15,000、熱可塑性付加重合体の数平均分子量
が13,000〜20,000である事が好ましい。
【0086】<再剥離性の優れたアクリル系ホットメル
ト粘着剤>本発明の多価カルボン酸を必須成分として含
む、再剥離性に優れたアクリル系ホットメルト粘着剤組
成物として、好ましい重合体部分の形態および必要に応
じ配合される粘着付与剤、ワックス不揮発分濃度と得ら
れる粘度の関係および使用が好ましい重合体(A)部分
の形態を以下に説明する。
【0087】上記多価メルカプタン部分と、多価メルカ
プタン部分から放射状に延びた第1重合体部分および第
2重合体部分とを有する熱可塑性付加重合体を含み、第
1重合体部分が80℃以上のガラス転移点を有する高ガ
ラス転移点型アクリル系重合体部分からなり、第2重合
体部分が−50〜−25℃のガラス転移点を有する低ガ
ラス転移点型アクリル系重合体からなり、第1重合体部
分と第2重合体部分との重量比が10:90〜35:6
5であり、熱可塑性付加重合体が30,000〜60,
000の数平均分子量を有するアクリル系ホットメルト
粘着剤である。
【0088】本発明の粘着剤組成物は、第1重合体部分
がメタクリル酸メチル単位90〜100重量%および他
の重合性単量体単位0〜10重量%からなり、第2重合
体部分がメタクリル酸メチル単位0〜10重量%、アク
リル酸ブチルおよび2−エチルヘキシル単位80〜10
0重量%および他の重合性単量体単位0〜10重量%か
らなる。第1重合体部分は、80℃以上のガラス転移温
度を有する高ガラス転移点型アクリル系重合体からな
る。第1重合体部分がガラス転移温度80℃未満のアク
リル系重合体からなると、凝集力が低下し、耐熱性が低
くなることがある。
【0089】第1重合体部分は、ガラス転移温度が80
℃以上の高ガラス転移点型アクリル系重合体からなって
いれば特に制限はなく、たとえば、メタクリル酸エステ
ル単位と必要に応じて他の重合性単量体単位の1種以上
とを含む重合体部分を挙げることができる。メタクリル
酸エステル単位とは、メタクリル酸エステルがラジカル
重合することによって得られるメタクリル酸エステルに
由来する単位であり、他の重合性単量体単位についても
同様に、他の重合性単量体に由来する単位である。
【0090】前記メタクリル酸エステル単位としては、
たとえば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸フェニ
ル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸シクロヘキシ
ル、メタクリル酸ジシクロペンタジエニル、メタクリル
酸アダマンチル等から由来する単量体単位を挙げること
ができ、それらのいずれかを単独、または、その2種以
上の単量体単位を併用してもよい。その中でも、メタク
リル酸エステル単位としては、ガラス転移温度−50〜
−25℃の低ガラス転移点型アクリル系重合体からなる
第2重合体部分との相性が良いという点でメタクリル酸
メチル単位が好ましい。
【0091】前記他の重合性単量体単位としては、たと
えば、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル
酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メ
タ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、フェニルマレ
イミド、ブチルマレイミド、イソプロピルマレイミド、
シクロヘキシルマレイミド等から由来する単量体単位を
挙げることができ、それらのいずれかを単独、または、
その2種以上の単量体単位を併用してもよい。
【0092】第2重合体部分は、−50〜−25℃のガ
ラス転移温度を有する低ガラス転移点型アクリル系重合
体からなる。第2重合体部分がガラス転移温度−50℃
未満のアクリル系重合体であると耐熱性が極度に低下す
ることがあり、ガラス転移温度−25℃を超えるアクリ
ル系重合体部分であると粘着性が不十分となる。第2重
合体部分は、ガラス転移温度が−50〜−25℃の低ガ
ラス転移点型アクリル系重合体からなっていれば特に制
限はなく、たとえば、アクリル酸エステル単位と、必要
に応じてメタクリル酸エステル単位および/または他の
重合性単量体単位とを1種以上を含む重合体部分を挙げ
ることができる。なお、上記と同様に、アクリル酸エス
テル単位とはアクリル酸エステルに由来する単量体単位
である。
【0093】前記アクリル酸エステル単位としては、た
とえば、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリ
ル酸2−エチルヘキシル等から由来する単量体単位を挙
げることができ、それらのいずれかを単独、または、そ
の2種以上の単量体単位を併用してもよい。
【0094】第2重合体部分に含まれるメタクリル酸エ
ステル単位および/または他の重合性単量体単位として
は、いずれも、上記高ガラス転移点型アクリル系重合体
で説明したのと同じものが例示される。また、第2重合
体部分の構造の一例としては、たとえば、メタクリル酸
メチル単位、(メタ)アクリル酸単位およびアクリル酸
ブチル単位を含む例である。
【0095】前記第1重合体部分がメタクリル酸メチル
単位90〜100重量%および他の重合性単量体単位0
〜10重量%からなり、前記第2重合体部分がメタクリ
ル酸メチル単位0〜10重量%、アクリル酸ブチルおよ
び2−エチルヘキシル単位80〜100重量%および他
の重合性単量体単位0〜10重量%からなると、アクリ
ル系ホットメルト粘着剤の耐熱性、粘着性および耐候性
が良好になるため好ましい。また、本来両立しにくいホ
ットメルト作業性と耐熱性の両物性に優れるようになる
ため好ましい。他の重合性単量体単位が(メタ)アクリ
ル酸単位および/または(メタ)アクリル酸2−ヒドロ
キシエチル単位であると、熱可塑性付加重合体にカルボ
キシル基および/または水酸基を導入することができ、
アクリル系ホットメルト粘着剤のホットメルト作業性を
保持し、耐熱性が向上するので好ましい。
【0096】本発明の粘着剤組成物がアクリル系ホット
メルト粘着剤である場合、メタクリル酸メチル単位を有
する熱可塑性付加重合体は、スチレン単位を含むものよ
りも、透明性および粘着物の物性について優れたものと
なる。さらに(メタ)アクリル酸単位および/または
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル単位を有して
いると、粘着性のバランスがとれたものとなる。
【0097】第1重合体部分および第2重合体部分は、
通常、数平均分子量が、2,000〜45,000、好
ましくは3,000〜40,000である。重合体部分
の数平均分子量が前記範囲を下回ると熱可塑性付加重合
体に重合体部分に基づく特性を導入することができない
おそれがあり、上回るとホットメルト粘度が高くなるだ
けでなく製造時の粘度が高くなり、生産性の点で好まし
くないおそれがある。
【0098】なお、第1重合体部分については、その数
平均分子量が2,000〜6,000であると、アクリ
ル系ホットメルト粘着剤において、十分な耐熱性を発現
し、かつホットメルト粘度を低く抑えることができるた
め好ましい。さらに取扱性に優れるようにもなる。第1
重合体部分(1)と第2重合体部分(2)との重量比
〔(1):(2)〕は10:90〜35:65である。
第1重合体部分の重量が上記範囲よりも少ないと耐熱性
が十分ではない。また、第1重合体部分の重量が上記範
囲よりも多いと粘着性が低下し、ホットメルト時に高粘
度となり作業性が低下することがある。
【0099】本発明の粘着剤組成物がアクリル系ホット
メルト粘着剤である場合には、該粘着剤は、必要に応じ
て、粘着付与剤、ワックス、その他の添加物等をさらに
含んでいてもよい。粘着付与剤としては、たとえば、ロ
ジン系樹脂、テルペン系樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香
族系石油樹脂、クマロン−インデン樹脂、アルキルフェ
ノール樹脂、キシレン樹脂などを挙げることができ、そ
れらのうちの1以上の樹脂を使用する。粘着付与剤は、
ホットメルト作業時の粘度を低減し、なおかつ、使用時
の凝集力を向上させる働きがある。粘着付与剤の使用量
は、熱可塑性付加重合体100重量部に対して、たとえ
ば1〜200重量部、好ましくは10〜100重量部で
ある。前記範囲を下回ると粘度が低減しなかったりまた
は凝集力が向上しなかったりするおそれがあり、上回る
とアクリル系ホットメルト粘着剤のタックが減少したり
凝集力が不足したりすることがある。
【0100】粘着付与剤は、たとえば、後述の製造方法
により得られた熱可塑性付加重合体を含む反応混合物と
混合することによりアクリル系ホットメルト粘着剤に含
まれる。反応混合物から揮発成分を除去する前または後
に、粘着付与剤を混合してアクリル系ホットメルト粘着
剤を得てもよい。ワックスとしては、たとえば、天然ワ
ックス、パラフィンワックス、ポリプロピレンワック
ス、ポリエチレンワックス、炭素原子数18以上の飽和
アルキル基を有する(メタ)アクリレートの重合体など
を挙げることができ、それらのうちの1以上のワックス
を使用する。ワックスはホットメルト作業時の粘度低下
効果を有する。ワックスの使用量は、熱可塑性付加重合
体100重量部に対して、たとえば5〜50重量部、好
ましくは10〜30重量部である。前記範囲を下回ると
粘度が低減しなかったりまたは凝集力が向上しなかった
りするおそれがあり、上回るとアクリル系ホットメルト
粘着剤のタックが減少したり凝集力が不足したりするこ
とがある。
【0101】ワックスは、たとえば、後述の製造方法に
より得られた熱可塑性付加重合体を含む反応混合物と混
合することによりアクリル系ホットメルト粘着剤に含ま
れる。反応混合物から揮発成分を除去する前または後
に、ワックスを混合してアクリル系ホットメルト粘着剤
を得てもよい。その他の添加物としては、たとえば、フ
タル酸エステル、アジピン酸エステルなどの(メタ)ア
クリル酸エステル重合体の可塑剤となる化合物;シリカ
粉、酸化チタンなどの充填材;ジチオカルバミン酸塩、
フェノール化合物などの酸化防止剤などからなる群から
選ばれる少なくとも1つの化合物である。これらの添加
物の量としては、たとえば、従来のアクリル系ホットメ
ルト粘着剤において採用されている量が挙げられる。
【0102】<再剥離性に優れたホットメルト樹脂組成
物の添加剤の詳細>本発明の再剥離性に優れた、多価カ
ルボン酸が必須のホットメルト樹脂組成物は、必要に応
じ以下に示す添加剤を配合することができる。
【0103】粘着付与剤としては、たとえば、ロジン系
樹脂、テルペン系樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石
油樹脂、クマロン−インデン樹脂、アルキルフェノール
樹脂、キシレン樹脂などを挙げることができ、それらの
うちの1以上の樹脂を使用する。粘着付与剤は、ホット
メルト作業時の粘度を低減し、なおかつ、使用時の凝集
力を向上させる働きがある。粘着付与剤の使用量は、態
様AからJまでのいずれかにかかるホットメルト樹脂組
成物100重量部に対して、たとえば1〜200重量
部、好ましくは10〜100重量部である。前記範囲を
下回ると粘度が低減しなかったりまたは凝集力が向上し
なかったりするおそれがあり、上回るとホットメルト樹
脂組成物を粘着剤として使用する際にタックが減少した
り凝集力が不足したりすることがある。
【0104】粘着付与剤は、たとえば、重合により得ら
れた熱可塑性付加重合体を含む反応混合物と混合するこ
とによりホットメルト樹脂組成物に含まれる。反応混合
物から揮発成分を除去する前または後に、粘着付与剤を
混合してホットメルト樹脂組成物を得てもよい。
【0105】ワックスとしては、たとえば、天然ワック
ス、パラフィンワックス、ポリプロピレンワックス、ポ
リエチレンワックス、炭素原子数18以上の飽和アルキ
ル基を有する(メタ)アクリレートの重合体などを挙げ
ることができ、それらのうちの1以上のワックスを使用
する。ワックスはホットメルト作業時の粘度低下効果を
有する。ワックスの使用量は、態様AからKまでのいず
れかにかかるホットメルト樹脂組成物100重量部に対
して、たとえば1〜100重量部、好ましくは10〜5
0重量部である。前記範囲を下回ると粘度低下効果が発
現されないおそれがあり、上回ると接着力または粘着力
が低下する傾向がある。
【0106】ワックスは、たとえば、重合により得られ
た熱可塑性付加重合体を含む反応混合物と混合すること
によりホットメルト樹脂組成物に含まれる。反応混合物
から揮発成分を除去する前または後に、ワックスを混合
してホットメルト樹脂組成物を得てもよい。
【0107】添加物は、たとえば、重合により得られた
熱可塑性付加重合体を含む反応混合物と混合することに
よりホットメルト樹脂組成物に含まれる。反応混合物か
ら揮発成分を除去する前または後に、添加物を混合して
ホットメルト樹脂組成物を得てもよい。
【0108】重合体(A)は、適量のカルボキシル基、
つまり適当な酸価を有することが好ましい。酸価は、対
象物質1g中の酸を中和するのに必要な水酸化カリウム
のmg数で示され、重合体(A)の酸価は3〜150で
あることが好ましい。より好ましくは3〜100、最も
好ましいのは10〜80である。重合体(A)の酸価が
3〜150であれば、重合体(A)の適量のカルボキシ
ル基が、多価カルボン酸化合物(B)のカルボキシル基
と適度な化学的相互作用が期待でき、多価カルボン酸化
合物(B)の接着界面への配向速度を適度にしたり、多
価カルボン酸化合物(B)との相溶性を良好にする効果
も期待できる。また、適量のカルボキシル基は架橋剤
(C)との反応点としても利用されうるので好ましい。
一方、重合体(A)の酸価が150より高いと、重合体
(A)が固くなって、良好な粘着性が得られない場合が
あり、また、多価カルボン酸化合物(B)との化学的相
互作用が強くなりすぎて、(B)成分の接着界面への適
度な配向を阻害することがあるので好ましくない。ま
た、重合体(A)の酸価が3より小さいと、重合体
(A)と多価カルボン酸化合物(B)との適度な化学的
相互作用がなく、重合体(A)と多価カルボン酸化合物
(B)との相溶性が低下したり、剥離時に被着体汚染を
生じたりして、好ましくない。
【0109】<多価カルボン酸(B)の説明>この成分
(B)のカルボキシル基は、遊離していても、一部また
は全部が塩の形(アンモニウム、カリウム、ナトリウム
塩等)となっていても良いが、有機溶剤への溶解性ある
いは重合体(A)との相溶性を考慮すると、遊離してい
る酸(COOH)が多いもの、あるいは全部が遊離して
いるものが好ましい。
【0110】前記多価カルボン酸化合物(B)は、分子
量が2000以下であることが好ましく、より好ましく
は1000以下、さらに好ましくは500以下である。
分子量が2000よりも大きいと、接着界面への適度な
配向が起こりにくく、再剥離性に欠けるので、好ましく
ない。
【0111】前記多価カルボン酸化合物(B)は、酸価
が180以上であることが好ましい。酸価が180未満
だと、成分(B)の接着界面への適度な配向が起こりに
くく、また、重合体(A)との相溶性が小さくなるので
被着体汚染の原因になることがあり、好ましくない。
【0112】前記多価カルボン酸化合物(B)として
は、トリメリット酸などの3価カルボン酸、エチレンジ
アミン4酢酸やトランス−1,2−シクロヘキサンジア
ミン4酢酸などの4価カルボン酸等が挙げられるが、本
発明においては、2価カルボン酸が好ましく、一般式H
OOC−R−COOH(Rは炭化水素基)で表される二
塩基酸化合物がより好ましい。
【0113】(B)成分が2塩基酸である場合は、適度
な極性を有するため、重合体(A)との相溶性に優れ、
かつ接着界面への配向が適度な速度で行われるので、接
着性と再剥離性とのバランスに優れる再剥離型感圧接着
剤組成物を提供できる。また、上記一般式HOOC−R
−COOHにおける炭化水素基Rも、2塩基酸の極性を
調節する役目を有し、重合体(A)との相溶性および接
着界面への配向性に関与していると推定される。
【0114】(B)成分が、一般式HOOC−R−CO
OH(Rは炭素数8〜28の飽和または不飽和炭化水素
基)である場合、上記一般式中のRは炭化水素基であ
り、飽和、不飽和、さらに、直鎖状、分岐状は問わない
が、好ましくは、炭素数8〜28の飽和または不飽和炭
化水素基であり、例えば、α,β−不飽和ジカルボン酸
または該ジカルボン酸の無水物とアルケンとの反応によ
り、または、さらに水素添加することによって得られる
アルケニル若しくはアルキル基を有する置換コハク酸
や、アルキル二酸等が挙げられる。
【0115】前記アルケニルコハク酸としては、オクテ
ニルコハク酸、ノテニルコハク酸、デセニルコハク酸、
ウンデセニルコハク酸、ドデセニルコハク酸、テトラデ
セニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸(三洋化成製
品:PDSA−DB)、ヘキサデセニルコハク酸、ヘプ
タデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸、ノナデ
セニルコハク酸、エイコセニルコハク酸、上記アルケニ
ルコハク酸の混合物(例えば、花王株式会社のラテムル
ASKの未中和品)などが挙げられる。
【0116】前記アルキルコハク酸としては、オクチル
コハク酸、ノニルコハク酸、デシルコハク酸、ウンデシ
ルコハク酸、ドデシルコハク酸、トリデシルコハク酸、
テトラデシルコハク酸、ペンタデシルコハク酸、ヘキサ
デシルコハク酸、ヘプタデシルコハク酸、オクタデシル
コハク酸、ノナデシルコハク酸、エイコシルコハク酸な
どが挙げられる。
【0117】前記アルキル二酸としては、デカン二酸、
ドデカン二酸、トリデカン二酸、エイコサン二酸、2−
メチルノナン二酸、8,9−ジフェニルヘキサデカン二
酸、SLB−12(岡村製油株式会社製)、ULB−2
0(岡村製油株式会社製)、SL−20(岡村製油株式
会社製)、SB−20(岡村製油株式会社製)、ST−
2P(岡村製油株式会社製)、IUP−22(岡村製油
株式会社製)、IPS−22(岡村製油株式会社製)な
どが挙げられる。上記の(B)成分の具体例の中でも、
極性のバランスが優れている点で、特にアルケニルコハ
ク酸が好ましく、アルケニル基の炭素数が13〜17の
アルケニルコハク酸が特に好ましい。
【0118】重合体(A)に対する(B)成分の添加量
は、成分(A)100重量部に対して、0.1〜20重
量部であり、好ましくは0.3〜10重量部であり、よ
り好ましくは0.5〜5重量部である。上記の添加量が
0.1重量部よりも少ない場合は、再剥離性が発現しに
くいので好ましくない。一方、上記添加量が20重量部
よりも多い場合は、初期粘着力が低くなり好ましくな
い。
【0119】重合体(A)への(B)成分の添加方法と
しては、特に限定されないが、例えば、重合体(A)の
溶液を作製した後に、その溶液へ直接、あるいは、溶剤
に(B)を溶解させたものを、所定量添加し、均一にな
るまで十分に攪拌する方法等が挙げられる。このとき、
(B)を溶解させる場合の溶剤は、重合で使用した一般
的な溶剤で、(B)の溶解が可能なものであれば特に限
定はされない。また、重合体(A)を重合する前あるい
は重合中に、反応系中に(B)を直接、あるいは、溶剤
に(B)を溶解させたものを添加してもよい。
【0120】本発明のハイソリッド型粘着剤組成物、具
体的には再剥離型ハイソリッド型粘着剤組成物は、上記
ベースポリマーである重合体(A)を架橋することを目
的とした粘着剤組成物であってもよく、その場合、架橋
剤(C)を含有していてもよい。上記架橋剤としては、
上記重合体(A)が有する反応性官能基と反応し得る官
能基を1分子当たり2個以上有する化合物であれば、特
に限定されるものではないが、例えば、多官能エポキシ
化合物、多官能メラミン化合物、多官能イソシアネート
化合物、金属架橋剤、アジリジン化合物等の、重合体
(A)の水酸基あるいはカルボキシル基と反応しうる官
能基を有する化合物が好ましく挙げられる。よって、本
発明の粘着剤用ポリマー組成物を架橋して粘着剤や粘着
製品とする場合には、上記重合体(A)に、上記架橋剤
(C)と反応する事のできる官能基を導入できる重合条
件を採用する事が好ましい。例えばOH基を導入する場
合は、水酸基を持つ(メタ)アクリレートを重合性単量
体成分として使用して重合体(A)を製造すればよい。
本発明における、特定構造の重合体(A)が持つ架橋反
応できる官能基の場所としては高ガラス転移点を有する
第1重合体部分に導入する事もできるし、低ガラス転移
点を有する第2重合体部分に導入してもかまわない。
【0121】上記多官能エポキシ化合物としては、1分
子当たりエポキシ基を2個以上有する化合物であれば特
に限定されるものではなく、具体的には、例えば、エチ
レングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレング
リコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオ
ールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA・エピク
ロルヒドリン型エポキシ樹脂、N,N,N’,N’−テ
トラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス
(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサ
ン、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシ
ジルトルイジン等が挙げられる。
【0122】上記多官能メラミン化合物としては、1分
子当たりメチロール基、アルコキシメチル基、イミノ基
のうちいずれかの官能基を2個以上有する化合物であれ
ば特に限定されるものではなく、具体的には、例えば、
ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチル
メラミン、ヘキサプロポキシメチルメラミン、ヘキサブ
トキシメチルメラミン、ヘキサペンチルオキシメチルメ
ラミン等が挙げられる。
【0123】上記多官能イソシアネート化合物として
は、1分子当たりイソシアネート基を2個以上有する化
合物であれば特に限定されるものではなく、具体的に
は、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MD
I)、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジ
イソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、
1,5−ナフタレンジイソシアネート、水素化ジフェニ
ルメタンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシア
ネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロ
ンジイソシアネート等のイソシアネート化合物;スミジ
ュールN(住友バイエルウレタン社製)等のビュレット
ポリイソシアネート化合物;デスモジュールIL、HL
(バイエルa.G.社製)、コロネートEH(日本ポリ
ウレタン工業株式会社製)等の、イソシアヌレート環を
有するポリイソシアネート化合物;スミジュールL(住
友バイエルウレタン社製)、コロネートL(日本ポリウ
レタン工業株式会社製)等のアダクトポリイソシアネー
ト化合物等が挙げられる。また、これら多価イソシアネ
ート化合物のイソシアネート基が活性水素を有するマス
ク剤と反応して不活性化したブロックイソシアネートを
用いることもできる。
【0124】上記金属架橋剤としては、特に限定される
ものではないが、具体的には、例えば、アルミニウム、
亜鉛、カドミウム、ニッケル、コバルト、銅、カルシウ
ム、バリウム、チタン、マンガン、鉄、鉛、ジルコニウ
ム、クロム、錫等の金属にアセチルアセトン、アセト酢
酸メチル、アセト酢酸エチル、乳酸エチル、サリチル酸
メチル等が配位した金属キレート化合物等が挙げられ
る。
【0125】上記アジリジン化合物としては、N,N’
−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカル
ボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−
アジリジニルプロピオネート、ビスイソフタロイル−1
−(2−メチルアジリジン)、トリ−1−アジリジニル
ホスフォンオキサイド、N,N’−ジフェニルエタン−
4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)等
が挙げられる。
【0126】これら架橋剤は1種のみを用いてもよい
し、2種類以上を適宜混合して用いてもよい。上記重合
体(A)に対するこれら架橋剤の添加量は、成分(A)
100重量部に対して、0.1〜10重量部であり、
0.5〜5重量部の範囲がより好ましい。上記添加量が
0.1重量部よりも少ない場合、架橋点が不十分となる
ため架橋密度が十分でなくなり、凝集力が不足するおそ
れがあるので好ましくない。一方、上記添加量が10重
量部よりも多い場合は、架橋密度が高くなりすぎて、粘
着力が低下するために好ましくない。
【0127】本発明の再剥離型ハイソリッド型粘着剤組
成物は、上述の成分(A)、(B)、(C)以外に、必
要に応じて、通常の粘着剤に用いられる粘着付与剤を添
加してもよい。粘着付与剤としては、(重合)ロジン
系、(重合)ロジンエステル系、テルペン系、テルペン
フェノール系、クマロン系、クマロンインデン系、スチ
レン樹脂系、キシレン樹脂系、フェノール樹脂系、石油
樹脂系等の粘着付与剤が挙げられる。これら粘着付与剤
は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を適宜混
合して用いてもよい。上記重合体(A)に対するこれら
粘着付与剤の添加量は、特に限定されるものではない
が、重合体(A)100重量部に対して、5〜100重
量部の範囲内が好ましく、10〜50重量部の範囲内が
さらに好ましい。上記(A)成分に対する粘着付与剤の
添加量が5重量部よりも少なければ、被着体に対する粘
着性が改善されないおそれがあるので好ましくない。一
方、上記添加量が100重量部よりも多ければ、タック
が減少して、粘着力が低下するおそれがあるので好まし
くない。
【0128】また、本発明の再剥離型粘着剤組成物に
は、必要に応じて、通常の粘着剤に用いられる充填剤、
顔料、希釈剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定
剤等の従来公知の種々の添加剤を添加してもよい。これ
ら添加剤は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上
を適宜混合して用いてもよい。また、これら添加剤の添
加量は、所望する物性が得られるように、適宜設定すれ
ばよく、特に限定されるものではない。
【0129】このようにして得られる本発明の、多価カ
ルボン酸を必須に含む粘着剤、具体的には再剥離型粘着
剤組成物は、従来の粘着剤および接着剤の用途全般に用
いることができ、特に、再剥離が必要な用途にはいずれ
も使用可能である。本発明の再剥離型粘着剤組成物は、
粘着シート、粘着テープ、両面テープ等の粘着製品の粘
着剤および接着剤に特に好適に使用できる。より具体的
な用途としては、ガラス板、金属板、プラスチック板等
の保護フィルム用、塗装時に使用されるマスキングテー
プ・養生テープ用、建設部材等の仮押さえ用粘着テー
プ、使用後剥離が必要となるリサイクル関連粘着テープ
(片面あるいは両面テープ)用、熱線・紫外線吸収フィ
ルム用などが挙げられ、基材としては、例えば、クラフ
ト紙等の紙、PET(ポリエチレンテレフタレート)、
ポリエチレンクロスシート、ポリプロピレンシート、フ
ォーム(発泡体)、不織布などが挙げられる。なお、該
粘着剤あるいは接着剤は、上記粘着製品の片面あるいは
両面に粘着加工されていてもよい。また、上記の基材な
しで、上記粘着剤をそのまま用いてもよい。そして、本
発明の特徴でもある(B)成分の量を調整することによ
り、微粘着タイプから強粘着タイプまで粘着力の調節も
ある程度可能である。特に接着力や粘着力の昂進が抑制
できるので、粘着テープや両面テープ等で壁材に対して
各種部品(例えば、額縁、絵、時計、美術品、ポスター
等の比較的軽量な日常品)の添付、設置用の粘着材とし
て優れている。粘着テープとして使用してもいいし、壁
に直接塗布、コートすることでも適応することができ
る。勿論、逆に各種部品の方に施工して用いてもかまわ
ない。
【0130】粘着剤の粘着製品への加工方法としては、
特に限定されるものではなく、従来公知の種々の方法を
用いることができる。具体的には、例えば、基材に直接
塗布する方法、離型紙に予め塗布したものを転写する方
法等を用いることで、粘着剤を粘着製品に、容易に加工
することができる。
【0131】本発明の粘着製品は、軟質塩ビ用粘着剤層
の片面または両面に付着したセパレーターをさらに備え
ていてもよい。本発明の粘着製品は、軟質塩ビ用粘着剤
層を2つ備え、軟質塩ビ用粘着剤層の間に挟まれた支持
体と、軟質塩ビ用粘着剤層の、支持体とは反対側の片面
に付着したセパレーターとをさらに備えていてもよい。
【0132】本発明の粘着製品は、軟質塩ビ用粘着剤層
の片面に付着したセパレーターと、軟質塩ビ用粘着剤層
のもう片面に付着した基材とをさらに備えていてもよ
い。基材は、たとえば軟質ポリ塩化ビニル製基材であ
る。本発明に使用されるセパレーターとしては、たとえ
ば、シリコーン等の剥離剤により表面が直接に剥離処理
された紙基材、この剥離処理された紙基材の裏面にポリ
エチレンフィルムをラミネートした積層フィルム、ポリ
エステル・ポリエチレン・ポリプロピレンなどのプラス
チックフィルムが使用される。
【0133】本発明の粘着製品は、たとえば、軟質塩ビ
用の、粘着シート・粘着テープ・粘着ラベル・両面テー
プ等;あるいは、軟質塩ビ粘着シート、軟質塩ビ粘着テ
ープ、軟質塩ビ粘着ラベル等である。本発明の粘着製品
は、次の方法により作られるが、製造方法に限定はな
い。
【0134】セパレーターの片面に、本発明の粘着剤用
組成物であって、少なくともアクリル系ブロック重合体
と架橋剤と有機溶剤とを含むものを塗工し、乾燥した
後、セパレーター表面に形成された粘着剤層を、別のセ
パレーター、後述する基材または後述する支持体の片面
に重ね合わせて加圧(たとえば1〜5kg/cm2 の圧力
で)して転着する。2つのセパレーター表面に形成され
た粘着剤層を後述する支持体の両面に重ね合わせて同様
に加圧して転着することも可能である。
【0135】支持体の片面または両面に、本発明の粘着
剤用組成物であって、少なくともアクリル系ブロック重
合体と架橋剤と有機溶剤とを含むものを塗工し、乾燥
し、得られた粘着剤層を覆うようにセパレーターをはり
つける。
【0136】粘着剤層の乾燥厚みは、たとえば10〜1
00μmである。乾燥は、たとえば70〜100℃、熱
風乾燥器内で2〜10分間放置することにより行われ
る。この発明の粘着剤用組成物および粘着製品は、軟質
ポリ塩化ビニル成形品に適用される。軟質ポリ塩化ビニ
ル成形品は、粘着剤層が貼り付いた被着体であり、たと
えば、シート、テープ、壁紙、フォーム(発泡体)など
が可能である。
【0137】
【実施例】以下、本発明に係る実施例および比較例につ
いて説明するが、本発明は実施例により何ら制限される
ものではない。なお、以下において「部」は重量部を、
「%」は重量%を示す。なお、数平均分子量(Mn)、
分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションク
ロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算値
で求めた。
【0138】まず参考例として、本発明で使用した星型
ブロック型熱可塑性付加重合体を合成しその物性を測定
した。その次に所定量の多価カルボン酸を配合し粘着剤
組成物とし、その初期粘着特性並びに、耐熱テスト後の
接着力昂進の有無を観測した。
【0139】ガラス転移温度(Tg)は、パーキン・エ
ルマー(Perkin Elmer)社製示差走査熱量計「DSC−
7」により求めた。
【0140】(実施例1)窒素導入管、滴下ロート、温
度計、冷却管を装備したマックスブレンド翼(重機械工
業(株)製)を備えた1.5リットルの4つ口フラスコ
にメタクリル酸メチル(MMA)297部、アクリル酸
(AA)3部、酢酸エチル275部を加え、窒素雰囲気
下83℃まで昇温した。内温が83℃に達した後、4価
のメルカプタンであるペンタエリスリトールテトラキス
チオグリコレート4部、商品名がABN−Eである日本
ヒドラジン工業株式会社製の2,2’−アゾビス(2−
メチルブチロニトリル)〔以下同様に、2,2’−アゾ
ビス(2−メチルブチロニトリル)としてABN−Eを
使用した。〕0.8部、酢酸エチル25部を加えて重合
を開始した。重合開始80分、110分後にそれぞれペ
ンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート2部、
ABN−E0.4部、酢酸エチル12部を加えた。2時
間半後、メタクリル酸メチルの重合率は85%に達し、
生成した重合体の数平均分子量Mnは1.1×104 、
分子量分布(Mw/Mn)は1.9、ガラス転移温度T
gは90℃であった。
【0141】続いて、この反応液に滴下ロートからアク
リル酸ブチル(BA)693部、アクリル酸7部、酢酸
エチル650部を2時間かけて滴下した。この間内温は
85℃であった。滴下終了10分、40分後にそれぞれ
ABN−E0.2部、酢酸エチル12部を加えた。内温
85℃にて1時間反応させた後、室温まで冷却し反応を
終了した。重合率は100%であった。重合体の物性を
測定するために、酢酸エチルおよび残存単量体等の揮発
成分を除去し、その物性を測定した。
【0142】重合体は、粘着性を有しており、Mn=
3.20×104 、Mw/Mn=3.8,Tg=−45
℃および90℃であった。重合体部分(MMA/AA)
と重合体部分(MMA/BA/AA)との重量比〔P
(MMA/AA):P(MMA/BA/AA)〕は、
(300×0.85):(300×0.15+700)
=255:745=25.5:74.5であった。
【0143】上記で得られたアクリル共重合体溶液
(A)に、表1に記載の配合比率で添加剤(B)の50
%トルエン溶液を配合し、約10分間以上攪拌し、本発
明の再剥離型感圧接着剤組成物の溶液を得た。
【0144】なお、添加剤(B)としては、ラテムルAS
Kの未中和品(花王株式会社製) を用いた。こうして得
られた粘着剤組成物液から溶剤および残存単量体等の揮
発成分を2軸押出機を用いて揮発除去し、ホットメルト
粘着剤組成物を得た。このホットメルト粘着剤組成物を
GPDコーター(由利ロール機械(株)製)にて、塗布
厚みが25μmとなるように38μmPETフィルムに
溶融塗布し、粘着剤試料を得た。粘着物性を次の方法で
測定し、結果を表1に示す。
【0145】(粘着力試験) 常態 23℃、65%RHの雰囲気下で、粘着剤試料を25m
m幅で被着体であるステンレススチール(SUS)に貼
り付け、2kgローラーで1往復圧着して20分後、3
00mm/分の引張速度でPETフィルムをステンレス
スチールから180°剥離して強度を測定した。
【0146】熱処理後 上記の常態値測定時と同様に試料を被着体に圧着し、貼
り付けた状態で60℃において2日間熱処理した。熱処
理終了後、23℃、65%RHで1時間調温した後に、
測定を行った。測定方法は上記の常態値測定時と同様の
方法で行った。
【0147】(再剥離試験)上記の粘着力試験の時と同
様に試料を作製し、60℃で7日間熱処理した。熱処理
終了後、常温まで放冷した後、試験片の端を持って素早
く、またはゆっくりとはがした。この時の被着体への糊
残りの様子を観察した。この時の被着体への糊残りの様
子を以下の様に表した。 ○:被着体への糊残りなし ×:被着体への糊残りあり (実施例2)実施例1と同様の装置に、メタクリル酸メ
チル380部、酢酸エチル330部を加え昇温した。内
温が83℃に達した後、ジペンタエリスリトールヘキサ
キスチオグリコレート4部、ABN−E0.8部、酢酸
エチル25部を加えて重合を開始した。重合開始80
分、110分後にそれぞれペンタエリスリトールテトラ
キスチオグリコレート2部、ABN−E0.4部、酢酸
エチル12部を加えた。2時間半後、重合率が85%に
達したところで、アクリル酸ブチル620部、酢酸エチ
ル595部を2時間かけて滴下した。滴下終了10分、
40分後にそれぞれABN−E0.2部、酢酸エチル1
2部を加えた。その後1時間かけて重合を続けた後、室
温まで冷却し反応を終了した。重合率は100%であっ
た。得られた反応液から揮発成分を、2軸押出機を用い
て除去し、蛍光白色の重合体を得た。重合体は、粘着性
を有し、Mn=4.1×104 、Mw/Mn=3.6、
Tg=−45℃および90℃であった。
【0148】得られた重合体に同様にして表1に記載の
配合比率で添加剤(B)の50%トルエン溶液を配合
し、ホットメルト粘着剤(2)としてその粘着物性を測
定し、物性値を表1に示した。
【0149】
【表1】
【0150】(比較例1−2)添加剤(B)として多価カ
ルボン酸を用いない以外は、実施例1−2と同様の操作
を行い、粘着物性の測定を行った。結果を表1に示し
た。比較例の場合、上記再剥離試験を行うといずれも粘
着力の増加が確認された。
【0151】以上より、熱可塑性付加重合体である星型
ブロック重合体と多価カルボン酸を組み合わせる事で、
例えばホットメルト粘着剤の形態で、良好な初期接着力
と共に接着力の耐熱安定性が発現できることが判明し
た。つまり本発明の構成で、良好な接着力昂進の抑制が
発現できることがわかった。
【0152】次にハイソリッド型粘着剤の場合の実施例
と比較例を示す。
【0153】(実施例3)実施例1と同様の装置に、メ
タクリル酸フェニル(PhMA)195部、アクリル酸(AA)
2部、HEA3部、酢酸エチル190部を加え、窒素雰囲
気下83℃にまで昇温した。内温が83℃に達した後、
4価のメルカプタンであるペンタエリスリト−ルテトラ
キスチオグリコレ−ト(PETG)9部、2,2’−アゾビ
スイソブチロニトリル(AIBN)0.8部、酢酸エチル1
0部を加えて重合を開始した。重合開始70分、100
分後にそれぞれPETG4.5部、AIBN0.4部、酢酸エチ
ル5部を加えた。重合開始140分後、PhMAの重合率は
80%に達し、生成した重合体の数平均分子量は0.5
×10、分子量分布(Mw/Mn)は1.8、ガラス
転移点は83℃であった。続いてこの反応液に滴下ロ−
トからBA780部、AA8部、HEA12部、酢酸エ
チル150部を2時間かけて滴下した。この間内温は8
5℃であった。
【0154】滴下終了10,40,70分後にそれぞれ
AIBN0.2部、酢酸エチル5部を加えた。内温85
℃にて90分間反応させた後、トルエン175部を加え
てから冷却し、反応を終了した。重合率は100%であ
った。得られた粘着剤溶液は、不揮発分濃度65.0
%、25℃における粘度8,800mPa・sの蛍光白
色粘調液であった。数平均分子量1.9×10、Mw
/Mn=4.5であった。
【0155】得られた重合体に表2に記載の配合比率で
ラテムルASKの未中和品の50%トルエン溶液、およ
び添加剤(C)としてコロネ−トL55E(日本ポリウ
レタン社製、ポリイソシアネ−ト化合物)を混合し、P
ETフィルム上に乾燥後の厚みが25μmとなるように
塗布し、80℃で3分間乾燥させた。その後、23℃で
7日間養生させた。得られた粘着テ−プの粘着物性を表
2に示した。
【0156】
【表2】
【0157】(実施例4)重合性単量体成分、多価メル
カプタン、溶剤を表2に示すものに変えた以外は実施例
3と同じ操作を繰り返して粘着剤溶液を得た。同様に粘
着テ−プを作成し、その評価結果を表2に示した。
【0158】(比較例3−4)添加剤(B)として多価カ
ルボン酸を用いない以外は、実施例3−4と同様の操作
を行い、粘着物性の測定を行った。結果を表2に示し
た。比較例の場合、上記再剥離試験を行うといずれも粘
着力の増加が確認された。
【0159】以上より、熱可塑性付加重合体である星型
ブロック重合体と多価カルボン酸を組み合わせる事で、
例えばハイソリッド型粘着剤の形態で、良好な初期接着
力と共に接着力の耐熱安定性が発現できることが判明し
た。つまり本発明の構成で、良好な接着力昂進の抑制が
発現できることがわかった。
【0160】
【発明の効果】本発明の特定構造の粘着剤用ポリマーと
多価カルボン酸からなる粘着剤組成物、具体的には再剥
離型感圧接着剤組成物は、あらゆる被着体に接着可能
で、高温・高湿条件下で長時間曝された場合においても
十分な接着昂進の抑制が働き、剥離時の被着体の汚染が
ない、優れた再剥離性を有する。また本発明の粘着剤組
成物、具体的には再剥離型感圧接着剤組成物は、星型ブ
ロック構造という特定の構造を有する粘着剤用ポリマー
を使用しているので、上記の着昂進の抑制が働き、剥離
時の被着体の汚染がない、優れた再剥離性効果に合せ
て、その特定構造に由来する良好な粘着特性の耐熱安定
性も合せて持つ粘着剤組成物、具体的には再剥離型感圧
接着剤組成物を提供する事が可能である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09J 175/04 C09J 175/04 Fターム(参考) 4J004 AA06 AA10 AA17 AB01 CA04 CA06 CB01 CB02 CB04 CC02 DA02 DA04 DB02 EA05 FA04 FA08 GA01 4J040 DM001 EC032 EC062 EC122 EF191 EF291 EF301 EF311 EF321 FA182 GA05 GA07 GA13 GA22 GA24 HB26 HC22 HC25 HD41 JA09 JB09 KA16 KA18 LA02 PA42 QA01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭素数1〜25のアルキル基を有する(メ
    タ)アクリル酸エステル単量体を主成分とする単量体成
    分を重合して得られる重合体(A)と、多価カルボン酸
    化合物(B)とを含む粘着剤用ポリマー組成物であっ
    て、上記重合体(A)が、多価メルカプタン部分と、多
    価メルカプタン部分から放射状に延びた第1重合体部分
    および第2重合体部分とを有する熱可塑性付加重合体で
    あって、該第1重合体部分は、273K以上のガラス転
    移点を有する高ガラス転移点型重合体からなり、第2重
    合体部分は、273K未満のガラス転移点を有する低ガ
    ラス転移点型重合体部分である事を特徴とする粘着剤組
    成物。
  2. 【請求項2】上記重合体(A)の第1重合体部分が、8
    0℃以上のガラス転移点を有する高ガラス転移点型アク
    リル系重合体部分からなり、第2重合体部分が、−50
    〜−25℃のガラス転移点を有する低ガラス転移点型ア
    クリル系重合体からなり、第1重合体部分と第2重合体
    部分との重量比が10:90〜35:65である事を特
    徴とする請求項1記載の粘着剤組成物。
  3. 【請求項3】上記重合体(A)の第1重合体部分が、メ
    タクリル酸メチル単位90〜100重量%および他の重
    合性単量体単位0〜10重量%からなり、第2重合体部
    分がメタクリル酸メチル単位0〜10重量%、アクリル
    酸ブチルおよび2−エチルヘキシル単位80〜100重
    量%および他の重合性単量体単位0〜10重量%からな
    る事を特徴とする請求項1または2記載の粘着剤組成
    物。
  4. 【請求項4】上記多価カルボン酸化合物(B)が、一般
    式HOOC−R−COOH(Rは炭素数8〜28の飽和
    または不飽和炭化水素基)である、請求項1から3のい
    ずれか1項に記載の粘着剤組成物。
  5. 【請求項5】前記重合体(A)の有する官能基と反応し
    うる架橋剤(C)を含む、請求項1から4のいずれか1
    項に記載の粘着剤組成物。
  6. 【請求項6】請求項1から5のいずれか1項に記載の粘
    着剤組成物を用いてなる粘着製品。
JP2000354594A 2000-11-21 2000-11-21 再剥離性粘着剤組成物および粘着製品 Pending JP2002155255A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000354594A JP2002155255A (ja) 2000-11-21 2000-11-21 再剥離性粘着剤組成物および粘着製品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000354594A JP2002155255A (ja) 2000-11-21 2000-11-21 再剥離性粘着剤組成物および粘着製品

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002155255A true JP2002155255A (ja) 2002-05-28

Family

ID=18827151

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000354594A Pending JP2002155255A (ja) 2000-11-21 2000-11-21 再剥離性粘着剤組成物および粘着製品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002155255A (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008174595A (ja) * 2007-01-16 2008-07-31 Somar Corp 冷却剥離型粘着剤組成物及びこれを用いた冷却剥離型粘着シート
CN102070990A (zh) * 2009-11-16 2011-05-25 琳得科株式会社 粘合剂组合物、粘合剂和粘合片材
JP2013209667A (ja) * 2013-06-12 2013-10-10 Somar Corp 冷却剥離型粘着剤組成物及びこれを用いた冷却剥離型粘着シート
EP2781535A4 (en) * 2011-11-17 2015-07-29 Three Bond Fine Chemical Co Ltd ACRYLIC RESIN COMPOSITION
JP2015151452A (ja) * 2014-02-13 2015-08-24 藤倉化成株式会社 粘着剤組成物
JP2020152898A (ja) * 2019-03-18 2020-09-24 株式会社日本触媒 粘着剤組成物
US11525024B2 (en) * 2015-07-13 2022-12-13 University Of Delaware Bio-based polymers from raw lignocellulosic biomass
US11732141B2 (en) 2015-07-13 2023-08-22 University Of Delaware Functionalized dimethoxyphenol monomers and methods for preparing such monomers

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008174595A (ja) * 2007-01-16 2008-07-31 Somar Corp 冷却剥離型粘着剤組成物及びこれを用いた冷却剥離型粘着シート
CN102070990A (zh) * 2009-11-16 2011-05-25 琳得科株式会社 粘合剂组合物、粘合剂和粘合片材
CN102070990B (zh) * 2009-11-16 2014-07-16 琳得科株式会社 粘合剂组合物、粘合剂和粘合片材
EP2781535A4 (en) * 2011-11-17 2015-07-29 Three Bond Fine Chemical Co Ltd ACRYLIC RESIN COMPOSITION
JP2013209667A (ja) * 2013-06-12 2013-10-10 Somar Corp 冷却剥離型粘着剤組成物及びこれを用いた冷却剥離型粘着シート
JP2015151452A (ja) * 2014-02-13 2015-08-24 藤倉化成株式会社 粘着剤組成物
US11525024B2 (en) * 2015-07-13 2022-12-13 University Of Delaware Bio-based polymers from raw lignocellulosic biomass
US11732141B2 (en) 2015-07-13 2023-08-22 University Of Delaware Functionalized dimethoxyphenol monomers and methods for preparing such monomers
JP2020152898A (ja) * 2019-03-18 2020-09-24 株式会社日本触媒 粘着剤組成物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5320683B2 (ja) 水分散型アクリル系粘着剤組成物及び両面粘着テープ
JP2001049200A (ja) アクリル系粘着剤組成物、該組成物を用いた粘着テープの製造方法および粘着テープ
JPH04502935A (ja) 粘着性付与された二重硬化感圧接着剤
WO1995018162A1 (fr) Polymere bloc, polymere d'addition thermoplastique, leurs procedes de fabrication et leurs utilisations
JP2007291299A (ja) アクリル系粘着剤組成物
JPH0953059A (ja) 粘着剤組成物
JP3204768B2 (ja) アクリル系感圧接着剤組成物及び両面テープ
JP6337492B2 (ja) 粘着シート
CN102648261B (zh) 光固化型粘合粘接剂组合物、光固化型粘合粘接剂层、和光固化型粘合粘接片
JP3411065B2 (ja) アクリル系感圧性接着剤組成物及び両面テープ
JPH10330722A (ja) アクリル系粘着剤組成物
JP2002155255A (ja) 再剥離性粘着剤組成物および粘着製品
JP2006199843A (ja) 粘着剤組成物、及びそれを用いた粘着シート
JP2002294193A (ja) 粘着剤組成物および粘着ラベル又はテープ
JP2003183596A (ja) 粘着テープの製造方法および粘着テープ
JPH10251609A (ja) 粘着剤組成物、および再剥離性粘着テープまたはシート
JP7166052B2 (ja) 粘着シート
JPH03292379A (ja) 感圧性接着テープもしくはシート
JP3464772B2 (ja) アクリル系ホットメルト粘着剤組成物
WO2014050369A1 (ja) 粘着テープ及び粘着テープの製造方法
JP3609321B2 (ja) ダンボール封緘用テープ
JPH10158617A (ja) 再剥離用水分散型感圧性接着剤組成物とこれを用いた再剥離用感圧性接着シ―ト類
JPH1025459A (ja) 粘着剤組成物
JPH05271634A (ja) 水分散型粘着剤組成物、粘着テープ又はシート及び貼付構造体
JP2001200235A (ja) 感熱性粘着剤組成物およびその製造方法ならびに感熱性粘着シート又はラベル

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040303