JP4603398B2 - 皮膚貼着用粘着剤とその用途 - Google Patents

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本発明は、絆創膏やサージカルテープ等の皮膚貼着材(粘着テープや粘着シート)の粘着剤層に有用なポリマーを含む皮膚貼着用粘着剤、およびその粘着剤を用いて得られる皮膚貼着材に関する。
皮膚貼着材(粘着テープや粘着シート)に用いられる粘着剤としては、古くはゴム系あるいは天然ゴム系の粘着剤が用いられていたが、粘着物性や水蒸気透過性が十分でない点や、アレルギー成分含有の問題などを背景に、最近はアクリル系ポリマーを主成分とするアクリル系粘着剤が主流となっている。
一般に皮膚貼着材は、滅菌ガーゼやカテーテルチューブの固定など、長時間にわたる皮膚への貼着を課せられることが多いため、皮膚貼着材に用いられる粘着剤は、工業用の貼着材に用いられる粘着剤に比べて粘着力と凝集力とのバランスが特に重要となる。アクリル系粘着剤においては、架橋剤の添加による架橋によって粘着力と凝集力とのバランスを実現することが多かった。しかし、架橋剤は、一般に毒性があるため、架橋反応に関与しなかった架橋剤が粘着剤中に残留した場合に、皮膚に対して悪影響を及ぼす恐れがある。このため、架橋剤を使用せずに粘着力と凝集力とのバランスを実現できるアクリル系粘着剤が望まれている。
アクリル系粘着剤の主成分のアクリル系ポリマーとしては、高粘着性付与を目的として、炭素数7〜17の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分として含む重合性モノマーを重合して得られるアクリル系ポリマーが良く用いられる。特に、アルキル基が2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基の(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、重合した場合に低いガラス転移温度を示し、高粘着性を付与するために有用である。しかし、これらの重合性モノマーは、アルキル基の炭素数の小さいものに比べて分子量が大きく、重合末期になると不飽和二重結合濃度が小さくなり、重合されずに反応系内に残存することが多い。しかも、これらの重合性モノマーは沸点が高いため、一旦残存してしまうとその量を低減しにくく、通常の皮膚貼着材(絆創膏やサージカルテープなど)を生産する際の乾燥条件下では揮発しにくく、また乾燥によって強制的に低減を図ると生産性が著しく低下するとともにエネルギーコストが増大するという問題がある。これら炭素数7〜17の(メタ)アクリル酸アルキルエステルは皮膚刺激性を示すので、皮膚貼着材に用いる場合には、これら重合性モノマーの残存量低減が必須の課題となる。また、これら重合性モノマーの残存量が多いと、粘着力と凝集力とのバランスの点でも悪影響を及ぼす。
従来技術として、架橋剤に頼らず皮膚に対する適度な接着性と凝集性を発揮できるアクリル系ブロック共重合体粘着剤が報告されている(特許文献1参照)。しかし、炭素数7〜17の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの残存モノマー低減のための対策は一切なされていない。
別の従来技術として、感圧性接着剤層中の残存モノマー量を0.2重量%以下となるように調整した外用医薬製剤が報告されている(特許文献2参照)。しかし、この技術は、重合によってアクリル系ポリマーを製造する際に多く残存したモノマーを、重合後に行う高温加熱、長時間加熱、重合体の濾過分離などの、生産性やエネルギーコストを犠牲にした付加的操作によって低減させるものであり、重合によって残存モノマーの低減されたアクリル系ポリマーが直接得られたものではない。
特開2001−181591号公報 特開平5−131022号公報
本発明が解決しようとする課題は、炭素数7〜17の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分として含む重合性モノマーを重合して得られるアクリル系ポリマーであって、炭素数7〜17の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの残存量が極めて少なく、架橋剤を使用しなくても粘着力と凝集力とのバランスに優れた、皮膚貼着材の粘着剤層に有用なアクリル系ポリマーを含む皮膚貼着用粘着剤、およびその粘着剤を用いて得られる皮膚貼着材を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った。その結果、炭素数7〜17の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分として含む重合性モノマーを重合するにあたり、該重合を3官能以上の多価メルカプタンの存在下で行うようにすれば、炭素数7〜17の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの残存量が極めて少なく、架橋剤を使用しなくても粘着力と凝集力とのバランスに非常に優れたポリマーが得られることを見出した。そして、この知見についてさらに検討を重ねた結果、前記重合性モノマーの重合を3官能以上の多価メルカプタンの存在下で行うことにより得られるアクリル系ブロックポリマーが前述した効果を発揮しうるのは、該ポリマーが特定の構造を有するためではないかと着想するに至った。つまり、前記重合性モノマーの重合を3官能以上の多価メルカプタンの存在下で行うことにより得られるアクリル系ブロックポリマーは、通常の直鎖状ポリマーやグラフトポリマーではなく、少なくとも3本の鎖状ポリマー部分がメルカプト基を中心にして放射状に延びている星型構造を有するものと考えられ、該構造が前述の効果に起因すると考えたのである。そこで、さらに、前記アクリル系ブロックポリマーの構造に着目して検討を重ねた結果、少なくとも3本の鎖状ポリマー部分がメルカプト基を中心にして放射状に延びている星型構造の複数個が互いに鎖状ポリマー部分で繋がっている特定の星型アクリル系ブロックポリマーであれば、前述した効果、すなわち、炭素数7〜17の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分として含む重合性モノマーを用いて合成してもその残存量が極めて少なく、架橋剤を使用しなくても粘着力と凝集力とのバランスに非常に優れたポリマーとなるという効果、をより一層高めることができることを見出した。本発明は、これらの知見により完成したものである。
すなわち、本発明にかかる皮膚貼着用粘着剤は、
アクリル系ブロックポリマーを含む皮膚貼着用粘着剤において、
前記アクリル系ブロックポリマーが、
3官能以上の多価メルカプタンの存在下で重合性モノマーの多段階ラジカル重合を行うことにより得られるポリマーであって、該ポリマー部分の全構造単位の50〜100重量%が炭素数7〜17の(メタ)アクリル酸アルキルエステル構造単位であり、かつ、前記多段階ラジカル重合中の少なくとも1つの素段階において多官能性モノマーが用いられているとともに、
炭素数7〜17の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが混合物の形で残存しており、その残存量が全不揮発分に対して900ppm以下である
ことを特徴とする
本発明にかかる皮膚貼着用粘着剤は、本発明のアクリル系ブロックポリマーを含む。
本発明にかかる皮膚貼着材は、テープ状またはシート状の基材上に粘着剤層を設けてなる皮膚貼着材であって、本発明の皮膚貼着用粘着剤を用いて前記粘着剤層が形成されてなる。
本発明のアクリル系ブロックポリマーは、炭素数7〜17の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分として含む重合性モノマーを重合して得られるにもかかわらず、炭素数7〜17の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの残存量が極めて少なく、架橋剤を使用しなくても粘着力と凝集力とのバランスに非常に優れたポリマーである。したがって、このポリマーを含む本発明の皮膚貼着用粘着剤とそれを用いた粘着剤層を設けてなる本発明の皮膚貼着材は、皮膚貼着用として安全面、性能面ともに特に優れたものとなる。
以下、本発明について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。
〔アクリル系ブロックポリマー〕
本発明にかかる第一のアクリル系ブロックポリマーは、3官能以上の多価メルカプタンの存在下で重合性モノマーの重合を行うことにより得られるポリマーであり、該ポリマー部分の全構造単位の50〜100重量%が炭素数7〜17の(メタ)アクリル酸アルキルエステル構造単位である。このようなポリマーは、少なくとも3本の鎖状ポリマー部分がメルカプト基を中心にして放射状に延びている星型構造を有するものと考えられ、該星型構造を有することによって、炭素数7〜17の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分として含む重合性モノマーを重合して得られるにもかかわらず、炭素数7〜17の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの残存量が極めて少なく、架橋剤を使用しなくても粘着力と凝集力とのバランスに非常に優れたポリマーとなるのである。なお、本発明にかかる第一のアクリル系ブロックポリマーにおいて、使用することのできる多価メルカプタンおよび重合性モノマーについては後述する通りである。本発明にかかる第一のアクリル系ブロックポリマーにおける重合方法等については、特に制限はなく、ラジカル重合法など従来公知の方法を採用することができ、例えば、3官能以上の多価メルカプタン存在下、第1の重合性モノマーのラジカル重合を行い、次に第1とは異なる組成の重合性モノマーをラジカル重合する方法などを採用することができる。
本発明にかかる第一のアクリル系ブロックポリマーにおける好ましい態様は、多価メルカプタンの存在下で重合性モノマーの多段階ラジカル重合を行うことにより得られ、前記重合性モノマーの全使用量の50〜100重量%が炭素数7〜17の(メタ)アクリル酸アルキルエステルであり、前記多段階の中の少なくとも1つの素段階において多官能性モノマーを用いることである。このようにして得られたアクリル系ブロックポリマーは、星型構造の中でも後述するような特殊な星型構造を有するポリマー、すなわち本発明にかかる第二のアクリル系ブロックポリマーとなり、該第二のアクリル系ブロックポリマーであれば、前述した効果をより一層高めることができるのである。なお、本発明にかかる第一のアクリル系ブロックポリマーにおける好ましい態様の詳細については、第二のアクリル系ブロックポリマーの製造方法(第二のアクリル系ブロックポリマーを得るために特に適した製造方法)として、後述する。
本発明にかかる第二のアクリル系ブロックポリマーは、少なくとも3本の鎖状ポリマー部分がメルカプト基を中心にして放射状に延びている星型構造の複数個が互いに鎖状ポリマー部分で繋がった星型ポリマーである。すなわち、図1(この図では4本の鎖状ポリマー部分がメルカプト基を中心にして放射状に延びている)に示すように、メルカプト基3を中心にして4本の鎖状ポリマー部分2が放射状に延びている星型構造1を複数個(図1では2個)備え、これらの星型構造1が互いの鎖状ポリマー部分2で繋がっている星型アクリル系ブロックポリマーである。図1において、2つの星型構造1、1の各鎖状ポリマー部分2、2で繋がっている部分に黒丸が付されているが、この部分は後述する多官能性モノマーに由来する結合構造4である。
本発明にかかる第一および第二のアクリル系ブロックポリマーにおいては、アクリル系ブロックポリマーが有するポリマー部分(鎖状ポリマー部分)の全構造単位の50〜100重量%が炭素数7〜17の(メタ)アクリル酸アルキルエステル構造単位である。ポリマー部分(鎖状ポリマー部分)の全構造単位中、炭素数7〜17の(メタ)アクリル酸アルキルエステル構造単位の含有割合は、好ましくは、60〜100重量%、より好ましくは70〜100重量%、さらに好ましくは80〜100重量%、特に好ましくは90〜100重量%である。ポリマー部分(鎖状ポリマー部分)の全構造単位中、炭素数7〜17の(メタ)アクリル酸アルキルエステル構造単位の含有割合が50重量%未満の場合、粘着性を十分に付与できない。
本発明にいう「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸またはメタクリル酸を意味する。
本発明にいうポリマー部分の「構造単位」とは、ポリマーを構成する重合性モノマー由来の構造からなる単位を意味する。
炭素数7〜17の(メタ)アクリル酸アルキルエステル構造単位に対応する重合性モノマー、すなわち、炭素数7〜17の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸t−ブチルエステル、(メタ)アクリル酸ペンチルエステル、(メタ)アクリル酸ヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸ヘプチルエステル、(メタ)アクリル酸オクチルエステル、(メタ)アクリル酸イソオクチルエステル、(メタ)アクリル酸ノニルエステル、(メタ)アクリル酸イソノニルエステル、(メタ)アクリル酸デシルエステル、(メタ)アクリル酸ウンデシルエステル、(メタ)アクリル酸ドデシルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステルが挙げられる。本発明の効果をより十分に発揮するためには、(メタ)アクリル酸オクチルエステル、(メタ)アクリル酸イソオクチルエステル、(メタ)アクリル酸ノニルエステル、(メタ)アクリル酸デシルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステルがより好ましく、アクリル酸オクチルエステル、アクリル酸イソオクチルエステル、アクリル酸ノニルエステル、アクリル酸デシルエステル、アクリル酸2−エチルヘキシルエステルがさらに好ましく、アクリル酸2−エチルヘキシルエステルが特に好ましい。これらは1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明にかかる第一および第二のアクリル系ブロックポリマーが有するポリマー部分(鎖状ポリマー部分)は、炭素数7〜17の(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外の重合性モノマー(その他の重合性モノマー)由来の構造単位を全構造単位の50重量%未満の含有割合で含んでいてもよい。
その他の重合性モノマーとしては、ラジカル重合により単独重合または共重合が可能な重合性モノマーが挙げられ、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルなどの炭素数6以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類;(メタ)アクリル酸;α−メチルスチレン、ビニルトルエン、スチレンなどのスチレン系単量体;フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドなどのマレイミド系単量体;メチルビニルエ−テル、エチルビニルエ−テル、イソブチルビニルエ−テルなどのビニルエ−テル系単量体;フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステル、フマル酸のジアルキルエステル;マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル、マレイン酸のジアルキルエステル;イタコン酸、イタコン酸のモノアルキルエステル、イタコン酸のジアルキルエステル;N−ビニル−2−ピロリドンなどのビニルピロリドン;メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレートなど、一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸アルコキシポリアルキレングリコールエステル;(メタ)アクリロニトリル、ブタジエン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、ビニルケトン、ビニルピリジン、ビニルカルバゾ−ルなどのその他のビニル化合物;が挙げられる。
Figure 0004603398
(一般式(1)において、X、YはそれぞれHまたはCHを表し、Zは炭素数1〜18のアルキル基を表し、nは2〜12の整数を表す。)
本発明の効果をより十分に発揮するためには、その他の重合性モノマーとして、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸、酢酸ビニルを併用することが好ましい。
また、その他の重合性モノマーとしてN−ビニル−2−ピロリドン(NVP)などのビニルピロリドンを用いると、得られる星型アクリル系ブロックポリマーの皮膚刺激性が少なくなる。その他の重合性モノマーとしての(メタ)アクリル酸は、得られる星型アクリル系ブロックポリマーに凝集力を付与することができるが、皮膚刺激性が強く、最終製品(例えば、皮膚貼着材)に極微量でも残存していると、敏感な皮膚を持つ人に対してはかぶれを引き起こす原因となる。N−ビニル−2−ピロリドンなどのビニルピロリドンは、得られる星型アクリル系ブロックポリマーに凝集力を付与することができるとともに、(メタ)アクリル酸よりも皮膚刺激性が低いという利点を有する。
また、その他の重合性モノマーとして一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸アルコキシポリアルキレングリコールエステルを用いると、得られる星型アクリル系ブロックポリマーの透湿性を向上させることができる。一般に、皮膚貼着材による皮膚のかゆみやかぶれの原因のひとつとして、皮膚から蒸発する水分(水蒸気)が皮膚貼着材中の粘着剤層で遮断されて内部で蒸れることが挙げられる。一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸アルコキシポリアルキレングリコールエステルは、得られる星型アクリル系ブロックポリマーの透湿性を向上させることができ、粘着剤として皮膚に貼着した際の皮膚のかゆみやかぶれを低減させることができるという利点を有する。この利点を発現させるために、その他の重合性モノマーとして一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸アルコキシポリアルキレングリコールエステルを含む場合は、そのモノマー由来の構造単位を星型アクリル系ブロックポリマー全構造単位の1〜45重量%で含むことが好ましく、10〜40重量%で含むことがより好ましい。一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸アルコキシポリアルキレングリコールエステルの含有量が1重量%未満の場合には、透湿性向上の効果がなく、45重量%を超える場合には、粘着物性バランスが崩れてしまう。
その他の重合性モノマーは1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明にかかる第一および第二のアクリル系ブロックポリマーは、炭素数7〜17の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの残存量が全不揮発分に対して900ppm以下であり、好ましくは700ppm以下、より好ましくは500ppm以下、さらに好ましくは400ppm以下、特に好ましくは300ppm以下、最も好ましくは200ppm以下である。
炭素数7〜17の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの残存量が全不揮発分に対して900ppm以下であることによって、粘着力と凝集力とのバランスが優れた粘着剤とすることができ、しかも、皮膚刺激性が極めて少ないために、皮膚貼着用粘着剤や皮膚貼着材に非常に好ましく適用できる。
本発明にかかる第一および第二のアクリル系ブロックポリマーは、とりわけ第二のアクリル系ブロックポリマーは、その特徴的な星型ブロックポリマー構造のためにミクロ層分離構造による物理的架橋が発現でき、架橋剤を使用しなくても粘着力と凝集力とのバランスを実現できる。
本発明にかかる第二のアクリル系ブロックポリマー(以下「星型アクリル系ブロックポリマー」と称することもある。)の製造方法は、多価メルカプタンの存在下で重合性モノマーの多段階ラジカル重合を行う従来公知の星型アクリル系ブロックポリマーの製造方法において、重合性モノマーの全使用量中の50〜100重量%を炭素数7〜17の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとするとともに、前記多段階の中の少なくとも1つの素段階において後述する多官能性モノマーを用い、重合後における炭素数7〜17の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの残存量を全不揮発分に対して900ppm以下とするように重合条件を適宜設定すればよい。以下、本発明にかかる星型アクリル系ブロックポリマーを得るために特に適した製造方法について説明する。
本発明にかかる星型アクリル系ブロックポリマーを得るために特に適した製造方法としては、多価メルカプタンを用いた多段階ラジカル重合方法において、その多段階の中の少なくとも1つの素段階において後述する多官能性モノマーを重合性モノマーと併用するとともに、反応系への全重合性モノマーの供給が完了した後に重合開始剤をさらに後添加する方法が挙げられる。このように後添加する重合開始剤を本発明では「ブースター」と称する。
多価メルカプタンの存在下で第1重合性モノマーのラジカル重合を行うと、多価メルカプタンのメルカプト基を発端として第1重合性モノマーがラジカル重合し、少なくとも3本の鎖状ポリマー部分がメルカプト基を中心にして放射状に延びている第1星型構造を構成する。その際、多価メルカプタンの一部のメルカプト基はこのラジカル重合の発端とならずに残る。そこで、さらに第2重合性モノマーを加えてラジカル重合を行うと、多価メルカプタンの残ったメルカプト基を発端として第2重合性モノマーがラジカル重合し、第1星型構造とは異なる第2星型構造を構成する。そして、このように多段階(本例では2段階)に行われるラジカル重合の際に、その少なくとも一つの重合段階において多官能性モノマーを併用すると、上記のようにして得られる星型構造同士が多官能性モノマーを介して結合され、星型ブロックポリマーとなる。このとき、ラジカル重合時に副成する重合性モノマーのホモポリマ−(メルカプト基を発端として生成しない鎖状重合体)も多官能性モノマーを介して、星型ブロックポリマーの鎖状ポリマー部分に結合する効果も期待できる。
本発明にかかる星型アクリル系ブロックポリマーを得るためには、前記多段階ラジカル重合方法が2段階からなることが特に好適である。すなわち、多価メルカプタンの存在下で重合性モノマーのラジカル重合を行う第1重合工程と、前記第1重合工程で得られた中間体ポリマーと多官能性モノマーの存在下で重合性モノマーのラジカル重合を行う第2重合工程とを含み、重合性モノマーの全使用量の50〜100重量%が炭素数7以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステルであり、反応系への全重合性モノマーの供給が完了した後にブースターをさらに後添加する製造方法が特に好適である。
第2重合工程では、第1重合工程で得られたポリマー溶液に第2重合工程で使用する重合性モノマーと多官能性モノマーとを混合して重合を行う。
第2重合工程では、第1重合工程で得られたポリマー溶液と第2重合工程で使用する重合性モノマーと多官能性モノマーとを一括混合して重合してもよいし、第1重合工程で得られたポリマー溶液に第2重合工程で使用する重合性モノマーと多官能性モノマーとを少しずつ添加混合してもよい。
特に好ましい第2重合工程の形態としては、(1a)第1重合工程で得られたポリマー溶液と(1b)第2重合工程で使用する重合性モノマーの一部と(1c)第2重合工程で使用する多官能性モノマーの一部とを必須に含む初期仕込み混合物(1)に重合開始剤を加えて重合を開始した後に、(2a)第1重合工程で得られたポリマー溶液と(2b)第2重合工程で使用する重合性モノマーの残りと(2c)第2重合工程で使用する多官能性モノマーの残りとを必須に含むモノマー混合物(2)および重合開始剤を少しずつ添加混合(好ましくは滴下混合)し、添加混合が終了した後(すなわち、反応系への全重合性モノマーの供給が完了した後)に、ブースターをさらに後添加する形態である。この方法であれば、第1重合工程で得られたポリマー溶液と第2重合工程で使用する重合性モノマーとが十分に均一混合できる。
初期仕込み混合物(1)に重合開始剤を加えて重合を開始した後に、モノマー混合物(2)および重合開始剤を少しずつ添加混合して重合する場合、その添加混合は滴下によることが好ましく、滴下時間は、好ましくは20〜300分、より好ましくは40〜200分、さらに好ましくは60〜120分である。添加混合を行う際の反応系の温度は、30〜200℃が好ましく、50〜150℃がより好ましい。
第1重合工程で得られたポリマー溶液(上記(1a)と(2a))は、第2重合工程で用いる際には重合が停止していることが好ましく、その時の重合率は、好ましくは50〜90%、より好ましくは55〜85%、さらに好ましくは60〜80%である。重合を停止させる方法としては、例えば、第1重合工程で得られたポリマー溶液に重合禁止剤を添加する方法やポリマー溶液の温度を下げる方法等を挙げることができる。
重合を停止させるために用いることができる重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、2,5−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチル)ハイドロキノン、2,5−ビス(1,1−ジメチルブチル)ハイドロキノン、メトキシフェノール、6−ターシャリーブチル−2,4−キシレノール、3,5−ジターシャリーブチルカテコールなどのフェノール類;N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩;フェノチアジン;などを挙げることができ、これらの1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。その使用量は、第1重合工程で用いた重合性モノマーに対して、好ましくは1〜10000ppm、より好ましくは10〜1000ppm、さらに好ましくは20〜200ppmである。重合禁止剤の使用量が1ppmよりも少ない場合は重合を効率的に停止させることができないおそれがある。一方、10000ppmよりも過剰であると、第2重合工程の重合が開始しなくなるおそれがある。
第1重合工程の重合は、ポリマー溶液の温度を40℃以下に温度を下げれば、実質的に停止させることが可能である。重合開始剤の分解速度は温度に依存しているので、ポリマー溶液の温度が40℃以下になればラジカルがほとんど発生しないからである。重合の停止をより確実にするためには、ポリマー溶液の温度を20℃以下に下げればよい。
以下において、本発明にかかる星型アクリル系ブロックポリマーを製造するために好適な方法に用いる原料を詳しく述べる。
本発明で用いることができる重合性モノマーは、その全使用量中の50〜100重量%が炭素数7〜17の(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。全重合性モノマー中の炭素数7〜17の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有割合は、好ましくは、60〜100重量%、より好ましくは70〜100重量%、さらに好ましくは80〜100重量%、特に好ましくは90〜100重量%である。全重合性モノマー中の炭素数7〜17の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有割合が50重量%未満の場合、粘着性を十分に付与できない。
炭素数7〜17の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの好ましい具体例は前述した通りであり、これらは1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明で用いることができる重合性モノマーは、炭素数7〜17の(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外の重合性モノマー(その他の重合性モノマー)を全使用量中の50重量%未満の含有割合で含んでいてもよい。
その他の重合性モノマーとしては、ラジカル重合により単独重合または共重合が可能な重合性モノマーが挙げられ、好ましい具体例は前述した通りであり、これらは1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明にかかる星型アクリル系ブロックポリマーを製造するために好適な方法では、多価メルカプタンの存在下でのラジカル重合を多段階行うが、各素段階では種類の異なる重合性モノマーを使用することが好ましい。ここに、種類の異なる重合性モノマーとは、化学的構造の違う重合性モノマーを意味するのみでなく、同一化学構造の重合性モノマーの組合せにおいて配合割合の異なる場合をも意味する。各素段階で種類の異なる重合性モノマーを使用する例としては、例えば、メタクリル酸メチル90重量部およびアクリル酸ブチル10重量部からなる第1重合工程で使用する重合性モノマーの組合せに対して、メタクリル酸メチル10重量部およびアクリル酸ブチル90重量部からなる第2重合工程で使用する重合性モノマーの組合せを挙げることができ、この場合は、得られる星型アクリル系ブロックポリマーがTgの大きく異なる鎖状ポリマー部分を有することになるので、本発明の効果を十分に発揮することができ、実用上の性能が高くなる。
本発明で用いることができる多価メルカプタンとしては、例えば、エチレングリコールジチオグリコレート、エチレングリコールジチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールジチオグリコレート、1,4−ブタンジオールジチオプロピオネートなどエチレングリコールや1,4−ブタンジオールのようなジオールとカルボキシル基含有メルカプタン類のジエステル;トリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピオネートなどトリメチロールプロパンのようなトリオールとカルボキシル基含有メルカプタン類のトリエステル;ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネートなどペンタエリスリトールのような水酸基を4個有する化合物とカルボキシル基含有メルカプタン類のポリエステル;ジペンタエリスリトールヘキサキスチオグリコレート、ジペンタエリスリトールヘキサキスチオプロピオネートなどジペンタエリスリトールのような水酸基を6個有する化合物とカルボキシル基含有メルカプタン類のポリエステル化合物;その他水酸基を3個以上有する化合物とカルボキシル基含有メルカプタン類のポリエステル化合物;トリチオグリセリンなどのメルカプト基を3個以上有する化合物;2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−S−トリアジン、2,4,6−トリメルカプト−S−トリアジンなどのトリアジン多価チオ−ル類;多価エポキシ化合物の複数のエポキシ基に硫化水素を付加させて複数のメルカプト基を導入してなる化合物;多価カルボン酸の複数のカルボキシル基とメルカプトエタノ−ルをエステル化してなるエステル化合物;などを挙げることができ、これらの1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。ここで、カルボキシル基含有メルカプタン類とは、チオグリコ−ル酸、メルカプトプロピオン酸、チオサリチル酸など、1個のメルカプト基と1個のカルボキシル基を有する化合物を言う。
本発明で用いることができる多官能性モノマーとは、1分子当たり2個以上の重合性不飽和基を有する化合物である。1分子当たりの重合性不飽和基の個数が2であるモノマーを2官能性モノマーと言い、3であるモノマーを3官能性モノマーと言う。本発明で用いることができる多官能性モノマーは、星型構造のポリマー同士を結合するという観点からは、2個以上の重合性不飽和基を有する化合物(すなわち、2官能性以上のモノマ−)であることが必要であるが、一般的には重合性不飽和基数は多すぎない方が良く、2官能性モノマーか3官能性モノマーを用いることが好ましい。重合性不飽和基を4個以上有する化合物は、星型構造のポリマー同士を結合する結合構造の数を多くするという観点からはより好ましいと考えられるが、重合性不飽和基数が4個以上であると重合体が網目状の構造を形成して重合中にゲル化が起き易いからである。
本発明で用いることができる多官能性モノマーを例示すれば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリロキシプロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル〕プロパン、2−ヒドロキシ−1−アクリロキシ−3−メタクリロキシプロパンなどのジオールと(メタ)アクリル酸のジエステル化合物;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラキス(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサキス(メタ)アクリレートなどの1分子当たり3個以上の水酸基を有する化合物と(メタ)アクリル酸のポリエステル化合物;アリル(メタ)アクリレート;ジビニルベンゼン;などを挙げることができ、これらの1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明においては、多官能性モノマーと多価メルカプタンの重量比(多官能性モノマー重量/多価メルカプタン重量)は2未満が好ましく、0.05〜1.5がより好ましく、0.05〜1がさらに好ましい。この重量比が2以上になると、星型ブロックポリマー1分子当たりに含まれる多官能性モノマーの数が多過ぎるために、ポリマーが網目状の構造を形成して重合中にゲル化を起こすおそれがあるからである。
本発明においては、多官能性モノマーと重合性モノマーの重量比(多官能性モノマー重量/全重合性モノマー使用量)は0.05未満が好ましく、0.001〜0.03がより好ましく、0.001〜0.01がさらに好ましい。この重量比が0.05以上だと、製造時の粘度が高くなるために生産性の点で好ましくないからであり、この重量比がさらに多くなると、ポリマーが網目状の構造を形成して重合中にゲル化を起こすおそれがあるからである。ここに、全重合性モノマー使用量とは各段階のラジカル重合で用いられる重合性モノマーの重量を合計したものである。
本発明においては、ラジカル重合は、通常のラジカル重合である塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などで行うことができる。
ラジカル重合を行う際の温度は、いずれの重合工程の重合においても、30〜200℃が好ましく、50〜150℃がより好ましい。
ラジカル重合には通常の重合開始剤を用いることができる。重合開始剤としては、例えば、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチルなどのアゾ系開始剤;過酸化ベンゾイルなどの過酸化物系重合開始剤;などが使用できる。ラジカル重合において用いる重合開始剤の使用量は、重量比で、多価メルカプタンの1/3以下が好ましく、1/5以下がより好ましい。重合開始剤を上記比率よりも多量に使用すると、メルカプト基から伸びた鎖状ポリマー部分以外に、重合開始剤から伸びたポリマーも多量に生成してしまい、星型ブロックポリマーの生成効率が低下し易く、また、得られた星型ブロックポリマーの物性も低下し易いからである。重合開始剤を反応系に添加する際には、1度に投入してもよいし、分割して投入してもよい。分割投入の場合は、それぞれを一括投入してもよいし、逐次投入してもよい。
ラジカル重合には通常の溶剤を用いることができる。溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤;メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;ベンゼン、トルエンなどの芳香族系溶剤;メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのセロソルブ系溶剤;などが挙げられ、これらの1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明にかかる星型アクリル系ブロックポリマーを製造するための特に好適な方法においては、第2重合工程(3段以上の重合工程を含む場合には最後の重合工程)で使用する重合性モノマーの全ての反応系への供給が完了した後に、ブースターをさらに後添加することが好ましい。
ブースターとしては、前述の重合開始剤が挙げられ、これらの1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ブースターの使用量は、特に限定されないが、全重合性モノマーの使用量に対して、好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは0.2〜2重量%、さらに好ましくは0.3〜1重量%である。ブースターの使用量が0.1重量%未満であると、ブースターの効果が発現できず、5重量%を超えると、低分子量物が著しく生成して物性低下を招き、不経済である。
ブースターの添加方法としては、特に限定されないが、例えば、連続的に滴下する連続滴下法や、一定時間毎に添加する分割滴下法が挙げられる。
ブースターを添加する際の温度としては、特に限定されないが、30〜200℃が好ましく、50〜150℃がより好ましい。
ブースターの添加時間としては、特に限定されないが、1〜10時間が好ましく、2〜8時間がより好ましい。
ブースターの添加が完了した後は、好ましくは30〜200℃、より好ましくは50〜150℃で、反応系をさらに熟成させてもよい。具体的には、用いる溶剤の還流条件下(前記温度範囲内)で行うことが好ましい。熟成時間は、特に限定されないが、好ましくは1時間以上、より好ましくは2時間以上、さらに好ましくは3時間以上である。熟成時間の上限は特に限定されないが、通常は、10時間以内とすることが好ましい。
本発明にかかる星型アクリル系ブロックポリマーを製造するための特に好適な方法においては、第2重合工程における重合開始時から前記熟成終了までの総時間が、好ましくは8〜20時間、より好ましくは9〜15時間、さらに好ましくは10〜12時間である。第2重合工程における重合開始時から前記熟成終了までの総時間が8時間よりも短いと、得られる星型アクリル系ブロックポリマーにおいて本発明の効果が十分に発揮できず、特に、炭素数7〜17の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの残存量が増えてしまうので好ましくない。第2重合工程における重合開始時から前記熟成終了までの総時間が20時間よりも長いと、生産性が著しく低下するとともにエネルギーコストが増大するという問題が生じるとともに、得られる星型アクリル系ブロックポリマーの性能も低下するおそれがあるので好ましくない。
本発明にかかる星型アクリル系ブロックポリマーを製造するために好適な方法としては、以上述べた以外にも、星型ブロックポリマーの従来の製造方法において用いられる一般的な方法が適宜用いられてもよい。
本発明にかかる第一および第二のアクリル系ブロックポリマーは、ポリマー溶液の状態で得られることが一般的である。第一および第二のアクリル系ブロックポリマーが溶液の状態で得られる場合、溶液中の不揮発分の含有割合は、好ましくは40〜70重量%、より好ましくは45〜65重量%、さらに好ましくは50〜60重量%である。溶液中の不揮発分の含有割合が40重量%未満であると、溶液粘度が低くなって塗工しにくくなり、また、揮発させる溶剤量が多くなるため、乾燥に多くのエネルギーを必要として不経済である。70重量%を超えると、溶液の粘度が著しく増加するためにハンドリングが悪くなる。また、溶液の粘度は、好ましくは1000〜30000mPa・s、より好ましくは2000〜20000mPa・s、さらに好ましくは3000〜10000mPa・sである。
〔皮膚貼着用粘着剤〕
本発明にかかる皮膚貼着用粘着剤は、本発明のアクリル系ブロックポリマーを含む。
本発明にかかる皮膚貼着用粘着剤は、本発明のアクリル系ブロックポリマー単独からなるものでもよいが、取扱いの容易さなどから、前述の溶剤を含んだポリマー溶液の状態であることが好ましい。
本発明にかかる皮膚貼着用粘着剤は、その他の添加剤として、皮膚貼着用粘着剤に用いられる従来公知の添加剤を含んでいてもよい。例えば、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどの多価アルコールに代表される可塑剤;ポリアクリル酸、ポリアクリル酸架橋体、ポリビニルピロリドンに代表される水溶性あるいは吸水性の樹脂;ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油系樹脂に代表される粘着性付与樹脂;軟化剤;充填剤;顔料;などを含んでいてもよい。
本発明にかかる皮膚貼着用粘着剤が溶剤を含むポリマー溶液の場合、溶液中の不揮発分の含有割合は、好ましくは40〜70重量%、より好ましくは45〜65重量%、さらに好ましくは50〜60重量%である。溶液中の不揮発分の含有割合が40重量%未満であると、溶液粘度が低くなって塗工しにくくなり、また、揮発させる溶剤量が多くなるため、乾燥に多くのエネルギーを必要として不経済である。70重量%を超えると、溶液の粘度が著しく増加するために塗工時のハンドリングが悪くなる。また、溶液の粘度は、好ましくは1000〜30000mPa・s、より好ましくは2000〜20000mPa・s、さらに好ましくは3000〜10000mPa・sである。
〔皮膚貼着材〕
本発明にかかる皮膚貼着材は、テープ状またはシート状の基材上に粘着剤層を設けてなる皮膚貼着材であって、本発明の皮膚貼着用粘着剤を用いて前記粘着剤層が形成されてなる。
粘着剤層は、テープ状またはシート状の基材上に直接的に設けられているに限らず、例えば、テープ状またはシート状の基材上に下塗り剤を塗布した上に粘着剤層が設けられている場合など、間接的に設けられていてもよい。
テープ状またはシート状の基材としては、粘着剤層をその上に設けることができるものであれば特に限定されないが、皮膚貼着を目的とするため、透湿性を有することが好ましい。
テープ状またはシート状の基材としては、具体的には、例えば、ポリエーテルウレタン、ポリエステルウレタンなどのウレタン系ポリマー;ポリエーテルポリアミドブロックポリマーなどのアミド系ポリマー;ポリアクリル酸エステルなどのアクリル系ポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系ポリマー;ポリエーテルポリエステル、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系ポリマー;などが挙げられる。これらの中でも、水蒸気透過性を有する点で、ウレタン系ポリマーやアミド系ポリマーが好ましい。
テープ状またはシート状の基材は、1種のみからなるものでもよいし、2種以上の基材を積層した積層体であってもよい。
テープ状またはシート状の基材の厚みは、その用途によって適宜選択すればよいが、好ましくは5〜100μm、より好ましくは10〜100μm、さらに好ましくは10〜80μm、特に好ましくは20〜60μmである。
テープ状またはシート状の基材として、水蒸気透過性であって非透水性である従来公知の多孔性フィルムを用いてもよい。
多孔性フィルムに好適な基材としては、具体的には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系ポリマーからなる多孔質プラスチックフィルムが挙げられる。
粘着剤層の厚みは、その用途によって適宜選択すればよいが、好ましくは5〜100μm、より好ましくは10〜100μm、さらに好ましくは10〜80μm、特に好ましくは20〜60μmである。粘着剤層の厚みが5μmに満たない場合には、十分な皮膚貼着性を発揮できないおそれがある。粘着剤層の厚みが100μmを超えると、皮膚貼着材全体として十分な水蒸気透過性を発現しにくくなり、蒸れの問題や、発汗時の皮膚貼着性低下の問題が起こりやすくなる。
本発明にかかる皮膚貼着材は、好ましくは、粘着剤層中における炭素数7〜17の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの残存量が全不揮発分に対して500ppm以下であり、より好ましくは400ppm以下、さらに好ましくは300ppm以下、特に好ましくは200ppm以下、最も好ましくは100ppm以下である。本発明にかかる皮膚貼着材は、このように粘着剤層中における炭素数7〜17の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの残存量が極めて少ないので、長期間使用しても皮膚刺激性がほとんどなく、粘着力と凝集力とのバランスの点でも優れている。
本発明にかかる皮膚貼着材は、従来公知の皮膚貼着材を製造する際に行われる処理が施されていても良いし、従来公知の皮膚貼着材に含まれる添加剤を含んでいても良い。
以下に、実施例および比較例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下では、便宜上、「重量部」を単に「部」と、「リットル」を単に「L」と記すことがある。また、「重量%」を「wt%」と記すことがある。
実施例および比較例における、測定方法および評価方法を以下に示す。
<粘度測定>
B型粘度計を用いて、25℃で測定した。回転数は毎分12回転とした。
<不揮発分測定>
熱風循環乾燥機中で、200℃×15分間乾燥させて、重量変化により算出した。
<残存モノマー量測定>
ガスクロマトグラフィーにより求めた。主な条件は以下の通りであった。
測定機器:島津製作所製、GC14A
カラム:キャピラリーカラム(島津製作所製、HiCap−CBP5、Middle Bore)
キャリアガス:ヘリウム
検出器:FID
インジェクション温度:200℃
検出器温度:250℃
<粘着物性試験用粘着テープの作製>
離型紙(カイト化学工業社製、商品名:SL70S)上に粘着剤を片面に、乾燥後の厚みが40μmとなるように塗工した後、熱風循環乾燥機により75℃で30秒間乾燥させ、さらに隣接する別の熱風循環乾燥機により100℃で30秒間乾燥させ、その後、厚みが25μmのポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略することがある)の片面に粘着剤を貼着し、一昼夜放置したものを粘着物性試験用粘着テープとした。
<粘着物性試験>
(1)初期粘着力測定
温度23℃、相対湿度65%の雰囲気下で行った。
被着体であるステンレス鋼板(SUS304:以下、SUS板と略することがある)およびベークライト板状に、幅25mmの粘着物性試験用粘着テープ試験片を載せ、この試験片上を、重さ2kgのゴムローラーで1往復させることによって貼着した。貼着してから25分後に、試験片の一端を180℃方向に速度300mm/分で剥離させたときの強度を測定し、これを初期貼着力(N/cm)とした。
(2)保持力測定
温度23℃、相対湿度65%の雰囲気下で行った。
被着体であるSUS板に、貼り付け面積が25mm×25mmとなるように粘着物性試験用粘着テープ試験片を貼着した後、25分後に50℃に昇温して放置した。放置20分後に1kgの荷重をかけて試験片が落下するまでの時間(時間)または24時間後の試験片のズレ(mm)を測定した。
試験片が落下しない場合は、測定値が小さいほど(ズレ幅が小さいほど)、落下した場合は測定値(時間)が大きいほど、保持力が優れている。
(3)ボールタック測定
温度23℃、相対湿度65%の雰囲気下で行った。
粘着物性試験用粘着テープを用い、傾斜式ボールタック装置を用いて測定した。助走路および粘着面測定部は、それぞれ100mmとし、傾斜角は30℃とした。
測定値が小さいほど(ボールが小さいほど)、タック性が劣っている。
<皮膚貼着試験用粘着テープの作製>
前述の粘着物性試験用粘着テープの作製において、厚みが25μmのポリエチレンテレフタレートに代えて、厚みが50μmのポリウレタンフィルム(日清紡績(株)製、商品名:モビロンフィルムMF50−T)を用い、皮膚貼着試験用粘着テープとした。
<皮膚貼着試験>
(1)皮膚接着性試験
健常人10名の上腕内側部に皮膚貼着試験用粘着テープを24時間貼着し、目視にて皮膚接着性を判定し、ポイントの平均値で表した。
4点:全く剥がれていない。
3点:ほとんど剥がれていない。
2点:末端が少し剥がれている。
1点:末端が剥がれている。
(2)皮膚刺激性試験
健常人10名の上腕内側部に皮膚貼着試験用粘着テープを24時間貼着したときに、かゆみや痛みを感じたかを事情聴取し、ポイントの平均値で表した。
4点:全く問題なかった。
3点:少しかゆみを感じた。
2点:かゆみを感じた。
1点:痛みを感じた。
(3)糊残り性試験
健常人10名の上腕内側部に皮膚貼着試験用粘着テープを24時間貼着した後、剥がした時に皮膚に粘着剤が残っているか否かを目視で判定し、ポイントの平均値で表した。
4点:糊残り無し。
3点:一部糊残り有り。
2点:糊残り有り。
1点:全面に糊残り。
<透湿性試験用粘着テープの作製>
離型紙(カイト化学工業社製、商品名:SL70S)上に粘着剤を片面に、乾燥後の厚みが40μmとなるように塗工した後、熱風循環乾燥機により75℃で30秒間乾燥させ、さらに隣接する別の熱風循環乾燥機により100℃で30秒間乾燥させ、その後、厚みが30μmのポリウレタンフィルム(日清紡績(株)製、商品名:モビロンフィルムMF30−T)の片面に粘着剤を貼着し、一昼夜放置したもの透湿性試験用粘着テープをとした。
<透湿性試験>
透湿性試験用粘着テープを用い、皮膚に貼着される粘着テープの透湿性評価方法として、JIS L1099のウォーター法(A−2法)を採用し、1時間ごとに重量変化を1mg単位で測定し、24時間換算した透湿量を求めた。測定時の温度は40±2℃、湿度は50±5%RHであり、フィルム基材としては30μmのポリウレタンフィルム(日清紡績(株)製、商品名:モビロンフィルムMF30−T)を用いた。
なお、対照実験として、ポリウレタンフィルム(日清紡績(株)製、商品名:モビロンフィルムMF30−T)の透湿性は980g/m・24hであった。
〔実施例1〕
(第1重合工程)
温度計、攪拌機、不活性ガス導入管、還流冷却器、および滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、メタクリル酸メチル(以下、MMAと略する)24部、ジペンタエリスリトール−β−メルカプトプロピオネート(以下、DPMPと略する)1.2部、溶剤として酢酸エチル24.82部を仕込んだ。
窒素気流下で攪拌し、83±2℃に保って、重合開始剤としてジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(和光純薬工業社製、商品名:V−601)(以下、V−601と略する)0.048部、溶解溶剤として酢酸エチル0.432部を加え、重合を開始させた。
重合反応開始から30分後に、MMA56部と酢酸エチル15.25部との混合物を120分間かけて、また、V−601溶液(V−601を0.084部とDPMP2.8部と酢酸エチル2.8部との混合物)を90分かけて滴下し、内温を還流下に制御しながら重合反応を行った。
上記のMMA56部と酢酸エチル15.25部との混合物の滴下終了後に、酢酸エチル2部を添加し、さらに130分反応を行った。
その後、重合禁止剤溶液(ヒドロキノンモノメチルエーテル0.04部と酢酸エチル0.36部との混合物)と希釈用酢酸エチル38.431部を加えて冷却し、中間ポリマー溶液(A1)を得た。
中間ポリマー溶液(A1)は、不揮発分が34.5重量%、粘度が90mPa・sであった。
(第2重合工程)
温度計、攪拌機、不活性ガス導入管、還流冷却器、および滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、第1重合工程で得られた中間ポリマー溶液(A1)60.9部、アクリル酸ブチル(以下、BAと略する)82.5部、アクリル酸2−エチルヘキシル(以下、2EHAと略する)89.78部、アクリル酸(以下、AAと略する)7.18部、テトラエチレングリコールジアクリレート(新中村化学工業社製、商品名:NKエステルA−200)(以下、TEGDAと略する)0.09部、溶剤として酢酸エチル170部を仕込んだ。
窒素気流下で攪拌し、86±2℃に保って、重合開始剤としてV−601溶液(V−601を0.336部と酢酸エチル10部との混合物)を加えて重合を開始させた。
重合反応開始から10分後に、中間ポリマー溶液(A1)142.1部、BA162.58部、2EHA209.48部、AA16.76部、酢酸ビニル(以下、VAと略する)29.93部、TEGDAを0.21部、および酢酸エチル176部からなる混合物と、V−601溶液(V−601を0.784部と酢酸エチル40部との混合物)とを、それぞれ80分かけて滴下し、内温を還流下に制御しながら重合反応を行った。
滴下終了後に、酢酸エチル10部を添加し、さらに60分反応を行った。
その後、ブースターとしてV−601溶液(V−601を1.68部と酢酸エチル40部との混合物)を30分毎に12分割ずつ滴下し、さらに還流下で120分反応を続けた。
その後、希釈溶剤として酢酸エチルを100部添加して冷却し、ポリマー溶液(B1)を得た。
ポリマー溶液(B1)は、不揮発分が53.3重量%、粘度が8220mPa・sであり、残存する2EHAは256ppm(対不揮発分)であった。
(粘着剤の調整)
ポリマー溶液(B1)の不揮発分100部に対し、テルペンフェノール樹脂(ヤスハラケミカル社製、商品名:YSポリスターT100)10部と、粘度調整のために酢酸エチル10部を混合し、粘着剤(C1)を得た。
(測定・評価)
粘着剤(C1)について、前述の測定・評価方法に従い、初期粘着力、保持力、ボールタックを測定し、皮膚接着性、皮膚刺激性、糊残り性を評価した。また、粘着物性試験用粘着テープ中に残存する2EHAの含有量を測定した。
結果を表4に示した。
〔実施例2〜13〕
実施例1において、モノマー組成、反応条件を表1〜3に示すように変更した以外は、実施例1と同様に行い、中間ポリマー溶液(A2)〜(A13)、ポリマー溶液(B2)〜(B13)、粘着剤(C2)〜(C13)を得た。
ポリマー溶液(B2)〜(B13)についての各種測定結果を表1〜3に、粘着剤(C2)〜(C13)についての各種測定・評価結果を表5〜6に示した。
なお、ポリマー溶液(B9)を調製する際には親水性モノマーとしてメトキシトリエチレングリコールアクリレート(新中村化学社製、商品名:AM−30G)を用い、ポリマー溶液(B10)と(B13)を調製する際には親水性モノマーとしてメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(新中村化学社製、商品名:M−90G)を用い、ポリマー溶液(B11)を調製する際には親水性モノマーとしてエトキシジエチレングリコールアクリレート(大阪有機化学社製、商品名:V#190)を用い、ポリマー溶液(B12)を調製する際には親水性モノマーとしてメトキシポリエチレングリコールアクリレート(新中村化学社製、商品名:AM−90G)を用いた。
実施例8〜13においては、優れた低皮膚刺激性を示し、皮膚接着性や糊残り性も非常に優れた結果が得られた。また、実施例9〜13においては、親水性モノマーを用いているため、透湿性が非常に高い数値を示した。
〔比較例1〕
実施例1において、モノマー組成、反応条件を表4に示すように変更した以外は、実施例1と同様に行い、中間ポリマー溶液(D1)、ポリマー溶液(E1)、粘着剤(F1)を得た。
ポリマー溶液(E1)は、不揮発分が51.3重量%、粘度が3360mPa・sであり、残存する2EHAは3920ppm(対不揮発分)であった。
粘着剤(F1)についての各種測定・評価結果を表7に示した。
〔比較例2〕
実施例1において、モノマー組成、反応条件を表4に示すように変更した以外は、実施例1と同様に行い、中間ポリマー溶液(D2)、ポリマー溶液(E2)、粘着剤(F2)を得た。
ポリマー溶液(E2)は、不揮発分が54.3重量%、粘度が5580mPa・sであり、残存する2EHAは964ppm(対不揮発分)であった。
粘着剤(F2)についての各種測定・評価結果を表7に示した。
〔比較例3〕
温度計、攪拌機、不活性ガス導入管、還流冷却器、および滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、2EHA175.14部、VA60.81部、AA7.3部、溶剤として酢酸エチル293.1部を仕込んだ。
窒素気流下で攪拌し、80±2℃に保って、重合開始剤として過酸化物(日本油脂株式会社製、商品名:BMT−K40)(以下、BMT−K40と略する)0.9部、溶解溶剤として酢酸エチル16.45部を加え、重合を開始させた。
重合反応開始から15分後に、2EHA262.7部とVA91.22部とAA10.95部との混合物と、アゾ系重合開始剤(日本ヒドラジン工業(株)社製、商品名:ABN−R)0.36部と溶解溶剤としての酢酸エチル60.95部とからなるアゾ系重合開始剤溶液とを、それぞれ90分かけて滴下し、内温を還流下に制御しながら重合反応を行った。
滴下終了から90分後に、希釈溶剤としてトルエン229.8部と、ABN−R1.85部と酢酸エチル22.5部とからなるブースターとしてのABN−R溶液の3分の1を添加し、さらに60分毎に残りのブースターを2回添加した。
その後、さらに180分間反応を行い、希釈溶剤としてトルエン162.3部を加えて冷却し、ポリマー溶液(E3)を得た。
ポリマー溶液(E3)は、不揮発分が36.5重量%、粘度が6030mPa・sであり、残存する2EHAは2890ppm(対不揮発分)であった。
ポリマー溶液(E3)の不揮発分100部に対し、ポリイソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業(株)製、商品名:コロネートL55E)1.5部を混合して、粘着剤(F3)を得た。
粘着剤(F3)についての各種測定・評価結果を表7に示した。
〔比較例4〕
比較例3で得られたポリマー溶液(E3)にポリイソシアネート系架橋剤を加えないで、粘着剤(F4)とした。
粘着剤(F4)についての各種測定・評価結果を表7に示した。
Figure 0004603398
Figure 0004603398
Figure 0004603398
Figure 0004603398
Figure 0004603398
Figure 0004603398
Figure 0004603398
本発明にかかるアクリル系ブロックポリマーは、例えば、絆創膏やサージカルテープ等の皮膚貼着材(粘着テープや粘着シート)の粘着剤層に極めて有用なポリマーであり、それを含む皮膚貼着用粘着剤としたり、その粘着剤を用いて皮膚貼着材としたりすることができる。
本発明にかかる第二のアクリル系ブロックポリマーのモデル図である。
符号の説明
1 星型構造
2 鎖状ポリマー部分
3 メルカプト基
4 結合構造

Claims (7)

  1. クリル系ブロックポリマーを含む皮膚貼着用粘着剤において、
    前記アクリル系ブロックポリマーが、
    3官能以上の多価メルカプタンの存在下で重合性モノマーの多段階ラジカル重合を行うことにより得られるポリマーであって、該ポリマー部分の全構造単位の50〜100重量%が炭素数7〜17の(メタ)アクリル酸アルキルエステル構造単位であり、かつ、前記多段階ラジカル重合中の少なくとも1つの素段階において多官能性モノマーが用いられているとともに、
    炭素数7〜17の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが混合物の形で残存しており、その残存量が全不揮発分に対して900ppm以下である、
    ことを特徴とする、皮膚貼着用粘着剤
  2. 前記重合性モノマーが酢酸ビニルを含むものである、請求項1に記載の皮膚貼着用粘着剤。
  3. 前記重合性モノマーが、ビニルピロリドンおよび/または下記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸アルコキシポリアルキレングリコールを含むものである、請求項1または2に記載の皮膚貼着用粘着剤。
    Figure 0004603398
    (一般式(1)において、X、YはそれぞれHまたはCH を表し、Zは炭素数1〜18のアルキル基を表し、nは2〜12の整数を表す。)
  4. 前記多段階ラジカル重合においては、前記重合性モノマーの全ての供給が完了したのちに、ブースターとしての重合開始剤の後添加もさらに行われている、請求項1から3までのいずれかに記載の皮膚貼着用粘着剤。
  5. ポリイソシアネート系架橋剤を含有しない、請求項1から4までのいずれかに記載の皮膚貼着用粘着剤。
  6. テープ状またはシート状の基材上に粘着剤層を設けてなる皮膚貼着材であって、請求項1から5までのいずれかに記載の皮膚貼着用粘着剤を用いて前記粘着剤層が形成されてなる、皮膚貼着材。
  7. 前記粘着剤層中における炭素数7〜17の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの残存量が全不揮発分に対して500ppm以下である、請求項に記載の皮膚貼着材。
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