JP3305709B2 - レニウム含有保護被覆 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ニッケル又はコバルトをベースとするスー
パーアロイからなる金属構造物、特にガスタービン構造
部材用のレニウム含有保護被覆に関する。

〔従来の技術〕

耐食性及び／又は耐酸化性を高める必要のある金属構
造部材用の保護被覆は、従来から数多く知られている。
これらの被覆の大部分は製品名MCrAlYのもとに公知であ
り、この場合Ｍは鉄、ニッケル、コバルトから選択され
る少なくとも１種の元素であり、他の重要な成分はクロ
ム、アルミニウム及びイットリウム、又は希土類の群か
ら選択されるイットリウム相当の元素である。この種の
代表的な被覆は例えば米国特許第4005989号明細書から
公知である。また米国特許第4034142号明細書からは、
ケイ素の付加的成分によりこの種の保護被覆の特性を更
に改良し得ることが公知である。更に欧州特許出願公開
第0194392号明細書から、種々の使用目的に応じて他の
元素が配合されている上記タイプの保護被覆に対する多
数の特殊な組成が公知である。この場合他の多くの選択
成分の他にレニウム元素を10％（重量％）まで配合する
ことが記載されている。しかしこの文献に示されている
すべての層のクロム含有量は一般に20％以下という僅か
な量であることから、また可能な配合範囲がほとんど特
異性のない広範囲に及ぶことから、ここに記載された被
覆は、例えば給気温度の高い定常ガスタービンの場合
（これは全負荷で運転される以外に部分負荷でも長時間
にわたって運転される場合）又はこれに類似した使用分
野例えば航空機のエンジンにおいて生じる特殊な条件に
対しては適正を欠いている。

〔発明が解決しようとする課題〕

本発明の課題は、この種の従来技術から出発して、平
均的な温度でもまた高い温度でも高い耐食性を有する保
護被覆を提供することにある。この腐食特性及び酸化特
性は600〜1150℃の温度範囲で、特に給気温度が例えば1
200℃を上回り部分負荷又は全負荷で作動する定常ガス
タービン装置においてこの保護被覆を使用することがで
きるように、改良されるべきである。他の使用分野に対
する被覆の耐食性及び耐酸化性も高められるべきであ
る。

〔課題を解決するための手段〕

本発明によればこの課題は、次の成分（重量％）： レニウム 1 〜20％ クロム 22 〜50％ アルミニウム（クロム及びアルミニウムの成分は合計し
て最低25％及び最高53％である） 0 〜15％ 希土類の群から選択される少なくとも１種の反応性元
素、特にイットリウム 合計 0.3〜 2％ ケイ素 0〜 3％ 鉄、ニッケル、コバルトから選択される少なくとも１種
の元素、有利にはニッケル及び鋭又はコバルト単独残り を含む保護被覆によって解決される。保護被覆はもちろ
ん通常の溶融条件によって生じる不純物及びこの種の合
金に関して通常の配合物を含んでいてもよい。更に文献
によれば、一定の選択成分は保護被覆に影響を及ぼさな
いか又は種々の観点からの製造又はその特性をむしろ改
善することが知られている。従って本発明はまた合計し
て最高15％、有利にはそれより少ない％量範囲で選択成
分を有する保護被覆を包含する。文献から公知の保護被
覆の代表的な選択成分及びその量は以下の通りである。

ハフニウム ０〜 5％ タングステン ０〜12％ マンガン ０〜10％ タンタル ０〜 5％ チタン ０〜 5％ ニオブ ０〜 4％ ジルコニウム ０〜 2％ 〔作用効果〕 本発明は、保護被覆において配合物としてのレニウム
が腐食又は酸化の影響下における被覆の寿命を著しく改
善し得ることを利用するものであり、この場合レニウム
の作用は、白金及び他の白金金属に比べて低廉であるに
もかかわらずその有用な作用に類似している。従ってレ
ニウムの添加は種々の目的に対して最適化された層を更
に改良することができる。

〔実施例〕

その使用分野にとって例えば定常ガスタービンの場合
の好ましい量範囲としては、レニウム１〜15％、有利に
は４〜10％、特に約７％であることが実証されている。
この使用に関しては延性の点でアルミニウムを７〜９
％、有利には約８％含むことが好ましい。約900℃まで
の平均的な温度で良好な耐食性を得るには、クロムを28
〜32％含むべきである。この場合１〜２％のケイ素量は
クロム及びアルミニウムの作用を助成し、またアルミニ
ウム成分により形成される保護作用を有する酸化アルミ
ニウム層の接着力を促進させる。25〜35％のニッケル量
は延性を改善し、また被覆された構造部材の基材（これ
がニッケルをベースとする基材又はニッケルを多量に含
むスーパーアロイである場合）に対する内部拡散を同時
に減少させる。残りの成分であるコバルトは高温での良
好な腐食特性を提供し、これはレニウム成分によって更
に改良される。

従って例えば1200℃を上回る高い給気温度を伴う定常
ガスタービンに対しては、次の組成が適している。

レニウム 1 〜15％、有利には 4 〜10％ ニッケル 25 〜35％、有利には 約30％ クロム 28 〜32％、有利には 約30％ アルミニウム 7 〜 9％、有利には 約８％ ケイ素 1 〜 3％、有利には 約1.5％ イットリウム 0.3〜 2％、有利には 約0.6％ コバルト、溶融条件による不純物及び前記のような選
択成分 残り この保護被覆の好ましい一使用分野は、時として部分
負荷範囲でも運転すべきである全負荷で高い給気温度を
伴う定常ガスタービンの前翼及びその給気範囲の構造部
材である。

他の使用分野、例えば航空機エンジンに対しては同様
にレニウム成分がそこで使用される各層の寿命を高める
ことができる。この場合次の組成を例示することができ
る。

レニウム 1 〜15％、有利には 4 〜10％ クロム 22 〜26％ アルミニウム 9 〜15％、有利には 10 〜13％ 希土類の群から選択される少なくとも１種の反応性元
素、特にイットリウム 合計 0.3〜 2％ コバルト ０〜30％、有利には ０〜15％ ケイ素 ０〜 3％、有利には １〜 2％ 主としてニッケル、並びに不純物及び前記のような選
択成分 残り 特に約600〜850℃（いわゆるHTK II）での腐食に曝さ
れる層の場合にも、例えば次の組成での本発明によるレ
ニウム配合物が有利である。

レニウム 1 〜15％、有利には 4 〜10％ クロム 25 〜50％、有利には 35 〜45％ アルミニウム 0〜 3％、有利には 0〜 1％ イットリウム 0.3〜 2％、有利には 約0.6％ ケイ素 0 〜 3％、有利には 1 〜 2％ 主として鉄、コバルト、ニッケルから選択される少な
くとも１種の元素並びに不純物及び前記のような選択成
分 残り 本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、一
般にレニウムを一層少量又は多量に添加することによっ
て、種々の条件下における腐食及び酸化に対して特殊化
された層を改良する手段を包含する。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 フリートヘルム、シユミツツ ドイツ連邦共和国デインスラーケン、エ リザベートシユトラーセ39 (56)参考文献 特開 昭57−177952（ＪＰ，Ａ) 特開 昭51−33717（ＪＰ，Ａ) 特開 昭62−30037（ＪＰ，Ａ)

Claims (24)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ニッケル又はコバルトをベースとするスー
   パーアロイからなる金属構造部材用保護被覆であって、
   重量％で表示して、 レニウム 1 〜20％ クロム 22 〜50％ 希土類の群から選択される少なくとも１種の反応性元素 合計0.3〜 2％ 鉄、ニッケル、コバルトから選択される少なくとも１種
   の元素及び不純物 残り からなることを特徴とするレニウム含有保護被覆。
2. 【請求項２】希土類の反応性元素がイットリウムである
   ことを特徴とする請求項１に記載のレニウム含有保護被
   覆。
3. 【請求項３】請求項１に記載の成分に加えてさらに、 アルミニウム、ケイ素ならびに選択成分の少なくともひ
   とつの元素を含み、これら元素の添加量は、それぞれ最
   大（重量％）で アルミニウム 15％（但しクロムと合計して最低25％及
   び最高５％） ケイ素 3％ 選択成分 15％ であることを特徴とするレニウム含有保護被覆。 （但し選択成分の元素名およびその最大添加量は以下の
   とおり） ハウニウム 5％ タングステン 12％ マンガン 10％ タンタル 5％ チタン 5％ ニオブ 4％ ジルコニウム 2％
4. 【請求項４】選択成分の添加量が最大で８％であること
   を特徴とする請求項３記載のレニウム含有保護被覆。
5. 【請求項５】アルミニウム添加量が８％あることを特徴
   とする請求項３記載のレニウム含有保護被覆。
6. 【請求項６】レニウムの量が１〜15％であることを特徴
   とする請求項１ないし５の１つに記載の保護被覆。
7. 【請求項７】レニウムの量が４〜10％であることを特徴
   とする請求項６記載の保護被覆。
8. 【請求項８】レニウムの量が約７％であることを特徴と
   する請求項７記載の保護被覆。
9. 【請求項９】アルミニウムの量が７〜９％であることを
   特徴とする請求項３ないし８の１つに記載の保護被覆。
10. 【請求項１０】ケイ素の量が１〜２％であることを特徴
    とする請求項３ないし９の１つに記載の保護被覆。
11. 【請求項１１】クロムの量が28〜32％であることを特徴
    とする請求項１ないし10の１つに記載の保護被覆。
12. 【請求項１２】ニッケルの量が25〜35％であることを特
    徴とする請求項１ないし11の１つに記載の保護被覆。
13. 【請求項１３】コバルトの量が25〜35％であることを特
    徴とする請求項１ないし12の１つに記載の保護被覆。
14. 【請求項１４】ニッケル又はコバルトをベースとするス
    ーパーアロイからなる金属構造部材用保護被覆であっ
    て、重量％で表示して、 レニウム 1 〜15％ ニッケル 25 〜35％ クロム 28 〜32％ アルミニウム 7〜 9％ ケイ素 1 〜 3％ イットリウム 0.3％〜 2％ コバルト及び不純物 残り からなることを特徴とする保護被覆。
15. 【請求項１５】ニッケル又はコバルトをベースとするス
    ーパーアロイからなる金属構造部材用保護被覆であっ
    て、重量％で表示して、 レニウム 1 〜15％ クロム 22 〜26％ アルミニウム 9 〜15％ 希土類の群から選択される少なくとも１種の反応性元素 合計 0.3〜 2％ ニッケル及び不純物 残り からなることを特徴とする保護被覆。
16. 【請求項１６】ニッケル又はコバルトをベースとするス
    ーパーアロイからなる金属構造部材用保護被覆であっ
    て、重量％で表示して、 レニウム 1 〜15％ クロム 25 〜50％ イットリウム 0.3〜 2％ 鉄、コバルト、ニッケルから選択される少なくとも１種
    の元素及び不純物 残り からなることを特徴とする保護被覆。
17. 【請求項１７】請求項16に記載の成分に加えて、さらに アルミニウムおよびケイ素の少なくとも一方の元素を含
    み、 その添加量はアルミニウムならびにケイ素共それぞれ最
    大で３％である ことを特徴とする保護被覆。
18. 【請求項１８】ニッケル又はコバルトをベースとするス
    ーパーアロイからなる金属構造部材用保護被覆であっ
    て、重量％で表示して、 レニウム 4 〜10％ クロム 25 〜50％ イットリウム 0.3〜 2％ 鉄、コバルト、ニッケルから選択される少なくとも１種
    の元素及び不純物 残り からなることを特徴とする保護被覆。
19. 【請求項１９】請求項18に記載の成分に加えて、さらに アルミニウムおよびケイ素の少なくとも一方の元素を含
    み、 その添加量はアルミニウムならびにケイ素共それぞれ最
    大で３％である ことを特徴とする保護被覆。
20. 【請求項２０】重量％で表示して、 レニウム ４〜10 ％ クロム 30 ％ ニッケル 30 ％ イットリウム 0.6％ アルミニウム 8 ％ ケイ素 1.5％ コバルト及び不純物 残り からなることを特徴とする請求項14記載の保護被覆。
21. 【請求項２１】重量％で表示して、 レニウム 4 〜10％ クロム 2 〜26％ 希土類の群から選択される少なくとも１種の反応性元素 0.3〜 2％ アルミニウム 10 〜13％ ケイ素 1 〜 2％ ニッケル及び不純物 残り からなることを特徴とする請求項15記載の保護被覆。
22. 【請求項２２】請求項21に記載の成分に加えてさらに最
    大で15％のコバルトを含むことを特徴とする保護被覆。
23. 【請求項２３】重量％で表示して、 レニウム 4〜10％ クロム 35〜45 ％ イットリウム 0.6％ ケイ素 1〜 2 ％ 鉄、ニッケル、コバルトから選択される少なくとも１種
    の元素及び不純物 残り からなることを特徴とする請求項17記載の保護被覆。
24. 【請求項２４】請求項23記載の成分に加えてさらに最大
    で１％のアルミニウムを含むことを特徴とする保護被
    覆。