JP3301183B2 - 車両の前後輪間駆動力配分制御装置 - Google Patents

車両の前後輪間駆動力配分制御装置

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JP3301183B2
JP3301183B2 JP29365293A JP29365293A JP3301183B2 JP 3301183 B2 JP3301183 B2 JP 3301183B2 JP 29365293 A JP29365293 A JP 29365293A JP 29365293 A JP29365293 A JP 29365293A JP 3301183 B2 JP3301183 B2 JP 3301183B2
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wheel
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俊治 高崎
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    • B60KARRANGEMENT OR MOUNTING OF PROPULSION UNITS OR OF TRANSMISSIONS IN VEHICLES; ARRANGEMENT OR MOUNTING OF PLURAL DIVERSE PRIME-MOVERS IN VEHICLES; AUXILIARY DRIVES FOR VEHICLES; INSTRUMENTATION OR DASHBOARDS FOR VEHICLES; ARRANGEMENTS IN CONNECTION WITH COOLING, AIR INTAKE, GAS EXHAUST OR FUEL SUPPLY OF PROPULSION UNITS IN VEHICLES
    • B60K23/00Arrangement or mounting of control devices for vehicle transmissions, or parts thereof, not otherwise provided for
    • B60K23/08Arrangement or mounting of control devices for vehicle transmissions, or parts thereof, not otherwise provided for for changing number of driven wheels, for switching from driving one axle to driving two or more axles
    • B60K23/0808Arrangement or mounting of control devices for vehicle transmissions, or parts thereof, not otherwise provided for for changing number of driven wheels, for switching from driving one axle to driving two or more axles for varying torque distribution between driven axles, e.g. by transfer clutch

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,車両の前後輪の何れか
一方を主駆動輪とし、他方を副駆動輪として、当該主駆
動輪及び副駆動輪に相当する各前後輪の車輪速や車輪回
転数等の車輪回転状態の差に応じて、主駆動輪及び副駆
動輪に相当する両前後輪間の駆動力配分を制御可能な車
両の前後輪間駆動力配分制御装置に関するものである。
【0002】このような主駆動輪及び副駆動輪に相当す
る前後輪間の駆動力配分を制御する装置,具体的に所謂
四輪駆動車両の前後輪間トルクコントロールシステム等
として知られるものには、種々のものがある。その中に
は、例えば前後輪間の駆動力伝達系に、伝達トルクを可
変制御可能な可変トルククラッチ機構を介装したもの
や,制限機構付き差動装置,所謂リミテッドスリップセ
ンタディファレンシャル機構を介装したものなどがあ
り、これらの機構による伝達トルクを調整することによ
って前後各輪への駆動力配分を調整する。このうち、前
記可変トルククラッチには、現在,流体式や電磁式等の
ものが主として用いられており、このうち流体式可変ト
ルククラッチはクラッチピストンへの流体圧を制御する
ことにより、また電磁式可変トルククラッチは比例電磁
ソレノイドへの電流値を制御することにより、クラッチ
プレート間の摩擦接触力を可変制御してその締結力を制
御し、これにより前記伝達トルクを制御する。
【0003】そして、これらの伝達トルク可変調整手段
を用いて四輪駆動車両の前後輪間駆動力配分を制御する
ものとしては、例えば本出願人が先に提案した特開平1
−204826号公報に記載されるものがある。この発
明原理について簡単に記述すると、まず、駆動力が負荷
されたときにはタイヤが路面に対してトラクションを伝
達しようとするから、当該タイヤを含む車輪の見掛け上
のグリップ力は低下する。そこで、前記特開平1−20
4826号公報に記載される前後輪間駆動力配分制御装
置では、通常定速走行状態で主駆動輪となる後輪(即ち
後輪を主駆動輪とする例えばFRベースの四輪駆動車両
の後輪)に100%の駆動力が負荷されるように設定
し、一方で前輪及び後輪の夫々の回転状態を回転数や回
転角速度等から検出し、少なくとも主駆動輪である後輪
の回転数や回転角速度等の回転状態検出値が,副駆動輪
である前輪の回転数や回転角速度等の回転状態検出値よ
りも大きい場合、即ち後輪回転状態検出値から前輪回転
状態検出値を減じた両者の差が正となるような場合に
は、タイヤ特性,特に路面摩擦係数(単に路面μとも記
す),車両旋回状態等の制御因子を含んでも当該主駆動
輪である後輪の駆動力が大き過ぎるために当該後輪にス
リップが発生していると判断し、前記後輪回転状態検出
値と前輪回転状態検出値との差に応じた駆動力を前輪側
に配分するための前後輪間駆動力配分状態を算出設定
し、この前後輪間駆動力配分状態を達成するための制御
信号を前後輪間に介装された前記伝達トルク可変調整手
段に出力し、この制御信号を入力した伝達トルク可変調
整手段では前記前後輪間駆動力配分状態を達成して所定
の駆動力,即ち前輪駆動トルクを副駆動輪である前輪側
に伝達して主駆動輪である後輪のスリップを抑制する。
【0004】なお、前記特開平1−204826号公報
に記載されるものを始めとする前後輪間駆動力配分制御
装置では、主として前後輪への駆動力配分制御の応答性
を高めるために,前記前後輪間駆動力配分比を算出設定
するにあたり、前記前後輪間の回転状態検出値の差が零
となる点を通って単純増減する駆動力配分比制御曲線等
の前後輪間駆動力配分制御曲線に則り,例えばマップ検
索するなどして当該前後輪間駆動力配分状態を算出設定
している。また、前記前後輪間駆動力配分制御装置で
は、後輪を主駆動輪とし、副駆動輪である前輪側への伝
達トルクを可変制御することとしているが、例えばFF
ベースとする四輪駆動車両のような場合には前輪を主駆
動輪とし、副駆動輪である後輪側への伝達トルクを可変
制御することも勿論可能である。また、前記した定速走
行状態における駆動力配分比は0:100%以外の設定
も勿論可能である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記のよう
な前後輪間駆動力配分制御装置において、少なくとも前
後輪のタイヤ外径が同等で且つ定速直進走行状態である
場合には、タイヤ特性を考慮しない理論上での副駆動輪
及び主駆動輪に相当する前後輪の回転数や回転角速度等
の回転状態検出値は同等であり、前記前後輪間の回転状
態検出値の差は理論上で零であるはずである。ところ
が、実際の車両では車両前後方向車速が大きくなるに従
って走行抵抗が大きくなり、高速域での定速直進走行状
態では実際の前後輪間の回転状態検出値の差は相当に大
きな値となる。
【0006】しかしながら、前記特開平1−20482
6号公報に記載されるような前後輪間駆動力配分制御装
置では、前記前後輪間の回転状態検出値の差が零となる
点を通る単純増減制御曲線に則って,前記前後輪間駆動
力配分状態を算出設定しているため、特に高速域の定速
直進走行状態においては,FRベースの四輪駆動車両に
おける副駆動輪である前輪側へ,FFベースの四輪駆動
車両における副駆動輪である後輪側への大きな駆動力配
分変更制御が実施される。
【0007】ここで、前記前後輪間駆動力配分状態を前
後輪間の駆動力配分比で示すと、この前後輪間駆動力配
分比が小さくなるほど、即ち副駆動輪への駆動力配分が
大きくなるほど、具体的には前後各輪への駆動力配分比
が50%:50%に接近するほどに車両の走行安定性が
向上する一方で,車両としての燃費が低下することは一
般に認識されていることであり、この燃費向上を意図と
して前記前後輪間の回転状態検出値の差が零の状況下で
は副駆動輪の駆動力対主駆動輪の駆動力の配分比を0:
100%に設定しているのであるが、前記のように高速
域の定速直進走行状態では前後輪間の回転状態検出値
が零とならないために副駆動輪側への大きな駆動力配
分が実施されて車両の燃費は低下してしまう。
【0008】このような問題を回避するためには、例え
ば前記前後輪間駆動力配分状態を算出設定する制御曲線
において,前記前後輪間の回転状態検出値の差が零とな
る近傍に、副駆動輪側への駆動力配分変更制御を実行し
ない,所謂不感帯を設定しておけばよいことになるが、
そのようにしたのでは運転者による加減速度操作に対し
ても応答性が低下してしまうという二律相反する問題が
発生してしまう。
【0009】本発明はこれらの諸問題に鑑みて開発され
たものであり、前記運転者による加減速度操作に対する
応答性は高く維持しながら、定速走行状態における燃費
を向上することが可能な車両の前後輪間駆動力配分制御
装置を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本件発明者等は前記諸問
題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果,以下の知見を得
て本発明を開発した。即ち、例えば前記のように前後輪
間の回転状態検出値の差に応じて前後輪間の駆動力配分
を可変制御する前後輪間駆動力配分制御装置において、
例えば車両に作用する前後加速度や運転者による加速操
作,例えばスロットル開度の変化量や減速操作,例えば
ブレーキ液圧の変化量等の入力物理量を用いて車両が定
速走行状態にあるか否かを判定し、車両が定速走行状態
にある場合には例えば前記前後輪間の回転状態検出値
が零となる近傍に不感帯を設定して副駆動輪側への駆
動力配分比を小さくするなどにより燃費を向上し、車両
が定速走行状態にない場合には不感帯を設定しないで前
後輪間駆動力配分制御の応答性を維持することができ
る。つまり、車両が定速走行状態にあるか否かを判定
し、その判定結果に基づいて前後輪間駆動力配分の制御
特性を変更することで燃費の向上と応答性の維持とを両
立することが可能であることに着目した。また、これと
同時に前記前後輪間駆動力配分の制御特性の変更量,具
体的には前記不感帯の設定量等を、車両の前後方向車
速,加減速度,主駆動輪の加減速度,前後輪間の回転検
出値の差やその微分値等に応じて補正することで、当該
不感帯が不必要に大きくなって前後輪間の回転検出値
の大きさに前後輪間駆動力配分制御が追従できなくな
ったり、或いは当該不感帯が小さくなり過ぎて不要な前
後輪間駆動力配分制御を実施して燃費が低下したりする
ことのない最適な前後輪間駆動力配分制御を達成するこ
とが可能となることをも見出した。
【0011】而して本発明のうち請求項1に係る車両の
前後輪間駆動力配分制御装置は、図1の基本構成図に示
すように、車両の前後輪の何れか一方を主駆動輪とし、
他方を副駆動輪として、制御信号に応じて当該主駆動輪
及び副駆動輪に相当する前後輪間で機関からの駆動力の
配分を調整する駆動力配分調整手段と、主駆動輪及び副
駆動輪に相当する前後輪の夫々の回転状態を検出する前
後輪回転状態検出手段と、少なくとも前記前後輪回転状
態検出手段で検出された前後輪回転状態検出値の差に基
づいて、前記駆動力配分調整手段による前後輪間の主副
駆動輪間駆動力配分を調整するための制御信号を出力す
る駆動力配分制御手段とを備えた車両の前後輪間駆動力
配分制御装置において、車両に作用する入力又は車両に
発生している物理量を検出するための入力物理量検出手
段と、前記入力物理量検出手段で検出された入力物理量
検出値に基づいて、車両の定速走行状態を検出する定速
走行状態検出手段と、前記定速走行状態検出手段で検出
された定速走行状態検出値に基づいて、車両の定速走行
状態では前記副駆動輪への駆動力配分を小さくするため
に、前記前後輪回転状態検出値の差に基づく前後輪間の
駆動力配分調整の特性を変更する駆動力配分特性変更手
段とを備えたことを特徴とするものである。
【0012】また、本発明のうち請求項2に係る車両の
前後輪間駆動力配分制御装置は、図1の基本構成図に示
すように、前記駆動力配分特性変更手段は、前記入力物
理量検出手段で検出された入力物理量検出値に基づい
て、前記前後輪間の駆動力配分調整の変更量を補正する
駆動力配分補正手段を備えたことを特徴とするものであ
る。
【0013】
【作用】本発明のうち請求項1に係る車両の前後輪間駆
動力配分制御装置では図1の基本構成図に示すように、
車両の前後輪の何れか一方を主駆動輪とし、他方を副駆
動輪とする四輪駆動車両において、前記可変トルククラ
ッチや差動制限装置等の駆動力配分手段により、当該主
駆動輪及び副駆動輪に相当する前後輪間で機関からの駆
動力の配分を制御信号に応じた配分に調整可能とし、そ
の一方で前記前後輪回転状態検出手段により、前記主駆
動輪及び副駆動輪に相当する前後輪の夫々の回転状態を
車輪回転数や車輪回転角速度等から検出し、前記駆動力
配分制御手段では、少なくとも前記前後輪回転状態検出
手段で検出された前後輪回転状態検出値の差に基づい
て、前記駆動力配分調整手段によって行われる前後輪間
の主副駆動輪間駆動力配分が、例えば前記前後輪間回転
状態検出値の差が零のときに主駆動輪の駆動力を100
%,副駆動輪の駆動力が0%とし、当該差の増加に応じ
て副駆動輪への駆動力配分が所定の増加率で単純増加す
るように調整するための制御信号を,例えば所定の演算
式や制御マップに従って算出設定して出力する。一方、
車両に作用する入力又は車両に発生している物理量を検
出するための前記入力物理量検出手段では、例えば車両
の前後方向車速や前後加減速度等を入力物理量として検
出し、前記定速走行状態検出手段では、前記入力物理量
検出手段で検出された入力物理量検出値に基づいて、例
えば車両の前後方向車速が所定時間一定であるとか,前
後加減速度が零か或いはほぼ零に等しいとか,運転者に
よるスロットル開度の単位時間当たりの変化量が一定値
以下であるとかによって車両の定速走行状態を検出す
る。そして、前記駆動力配分特性変更手段では、前記の
ようにして定速走行状態検出手段で検出された定速走行
状態検出値に基づいて、車両の定速走行状態では前記前
後輪間回転状態検出値の差に対する副駆動輪への駆動力
配分が所定の不感帯を有し、この不感帯を越える前後輪
間回転状態検出値の差に対する副駆動輪への駆動力配分
が,車両の定速走行状態でない場合の前記副駆動輪への
駆動力配分よりも相対的に小さくなるために、前記前後
輪回転状態検出値の差に基づく前後輪間の駆動力配分調
整の特性を変更する。これにより、前記車両の定速走行
状態では前後輪間の回転状態検出値の差に対し,前後輪
間駆動力配分制御に適宜の不感帯を設定するなどの特性
変更を実施して、車両の前後方向車速の増加に応じて増
加する走行抵抗に対し、この走行抵抗に抗するために発
生する駆動輪のスリップをこの不感帯域で吸収すること
を可能とし、従ってこの不感帯域では副駆動輪への駆動
力配分を例えば0%として主駆動輪による二輪駆動状態
を維持して燃費を向上し、一方で車両の定速走行状態以
外では前記前後輪間の回転状態検出値の差に対する前後
輪間駆動力配分制御の不感帯を設定せずに応答性を維持
することが可能となる。
【0014】また、本発明のうち請求項2に係る車両の
前後輪間駆動力配分制御装置では、図1の基本構成図に
示すように、前記駆動力配分特性変更手段に設けられた
駆動力配分補正手段が、前記入力物理量検出手段で検出
された入力物理量検出値に基づいて、前記前後輪間の駆
動力配分調整の変更量を補正する。具体的には、前記入
力物理量検出手段で入力物理量検出値として検出された
車両の前後方向車速,加減速度,主駆動輪の車輪加減速
度,前後輪間の回転検出値の差やその微分値を用い、こ
れらの入力物理量検出値が大きい状態は、車両が定速走
行状態にあっても走行抵抗は大きい状況下にあると判定
されるから、例えばこれらの入力物理量検出値の増加に
伴って前記不感帯設定量等の前後輪間駆動力配分制御特
性の変更量を大きくするなどして補正し、これにより当
該不感帯等の制御特性変更量が不必要に大きくなって前
後輪間の回転検出値の差の大きさに前後輪間駆動力配分
制御が追従できなくなったり、或いは当該不感帯等の制
御特性変更量が小さくなり過ぎて不要な前後輪間駆動力
配分制御を実施して燃費が低下したりすることを回避
し、最適な前後輪間駆動力配分制御を達成可能とする。
【0015】
【実施例】以下、本発明の車両の前後輪間駆動力配分制
御装置の実施例を添付図面に基づいて説明する。図2〜
図6は本発明の車両の前後輪間駆動力配分制御装置を前
後輪間のトランスファに展開した第1実施例である。こ
の実施例では、FR(フロントエンジン・リアドライ
ブ)方式をベースにした四輪駆動車両用駆動力配分制御
装置のトランスファクラッチに適用した場合について説
明する。
【0016】図2において1は回転駆動源,即ち機関と
してのエンジン、2FL〜2RRは前左輪〜後右輪、3
は各車輪2FL〜2RRへの駆動力配分比を変更制御可
能な駆動力伝達系、4は駆動力伝達系3による駆動力配
分を制御する駆動力配分制御装置を示す。前記駆動力伝
達系3は、エンジン1からの駆動力を断続する図示され
ないクラッチと、このクラッチの出力を選択された歯車
比で変速する変速機12と、この変速機12からの駆動
力を前輪2FL,2FR側及び後輪2RL,2RRに分
割するトランスファ14とを備えている。そして、駆動
力伝達系3では、前記トランスファ14で分割された前
輪側駆動力が前輪側出力軸16,フロントディファレン
シャルギヤ18及び前輪側ドライブシャフト20を介し
て、前輪2FL,2FRに伝達される。一方、後輪側駆
動力がプロペラシャフト(後輪側出力軸)22,リヤデ
ィファレンシャルギヤ24及び後輪側ドライブシャフト
26を介して、後輪2RL,2RRに伝達される。従っ
て、本実施例のFRベースの四輪駆動車両では後輪2R
L,2RRが主駆動輪となり、前輪2FL,2FRが副
駆動輪となる。勿論、前記変速機12は自動変速機であ
っても差し支えなく、この場合には明確に分離されるク
ラッチ構造が存在しないこともある。
【0017】前記トランスファ14は、図3に示すよう
にトランスファケース28内に挿通された入力軸30の
同図の左方端部が前記変速機12の出力側に連結され、
この入力軸30はベアリング31等によって回転自在に
軸支されている。また、入力軸30の図3における右方
端部は,ベアリング32によって回転自在に軸支された
出力軸33に結合され、この出力軸33がプロペラシャ
フト22に連結されている。なお、後述するトランスフ
ァクラッチを除くトランスファの詳細な構造について
は,例えば本出願人が先に提案した特開平1−2048
26号公報を参照されたい。
【0018】一方、前記入力軸30の中央部には、前後
輪に対するトルク配分比を変更できる可変トルククラッ
チとしての電磁式多板クラッチ機構37が設けられてい
る。このクラッチ機構37は、入力軸30にスプライン
結合されたクラッチドラム37aと、このクラッチドラ
ム37aに回転方向に係合させたフリクションプレート
37bと、前記入力軸30の外周部にニードルベアリン
グ等を介して回転自在に軸支されたクラッチハブ37c
と、このクラッチハブ37cに回転方向に係合させたフ
リクションディスク37dと、クラッチ機構37の図3
における左方に配置されたクラッチピストン37fと、
このクラッチピストン37fの更に左方に対向配置され
た比例電磁ソレノイド50とを備えている。また、この
クラッチ機構37において、37hはドライブ側フリク
ションプレート37bに対してドリブン側フリクション
プレート37dを離間するためのリターンスプリングで
ある。また、このクラッチ機構37は、図3の左方端部
側に図示のように装着されたギヤトレインを介して前輪
側にも連結されている。即ち、前記クラッチハブ37c
は、第1のギヤ41aにスプライン結合され、この第1
のギヤ41aは、ベアリング40a,40bによって回
転自在な第2のギヤ41bに噛合され、この第2のギヤ
41bは、ベアリング42,43によって回転自在な第
3のギヤ41cを介して前述した前輪側出力軸16に連
結されている。
【0019】このため、前記電磁式クラッチ機構37の
比例電磁ソレノイド50への指令電流ISOL が零である
か或いは指令電流そのものが供給されていない場合に
は、前記リターンスプリング37hの弾性力により、前
記ドライブ側フリクションプレート37bとドリブン側
フリクションディスク37dとが離間している。従っ
て、この状態では入力軸30に伝達された入力トルクの
全部が出力軸33、プロペラシャフト22を介して後輪
2RL,2RR側に伝達され、当該後輪のみの二輪駆動
状態となる。一方、零でない比例電磁ソレノイド50へ
の指令電流ISOL が供給されている状態では,当該比例
電磁ソレノイド50の磁界強度に応じてクラッチピスト
ン37fのソレノイド側への変位が変化し、このクラッ
チピストン37fの変位に応じて前記ドライブ側フリク
ションプレート37bとドリブン側フリクションディス
ク37dとの間に摩擦力による締結力が発生し、これに
より全駆動トルクのうちの一部が出力軸16を介して前
輪側にも伝達される。この前輪側への伝達トルクΔTは
前述したように比例電磁ソレノイド50の磁界強度に比
例するから,間接的に当該比例電磁ソレノイド50への
指令電流ISOL の電流値に比例すると考えられ、ここで
は図4に示すように前輪側への伝達トルクΔTは指令電
流ISOL に対してリニアに増加するものとする。なお、
この電磁式クラッチ機構には既存の電磁パウダクラッチ
を採用することも可能であり、この電磁パウダクラッチ
を採用すれば,前記クラッチ機構に供給される指令電流
SOL に対する前輪側への伝達トルクΔTのリニア特性
はより確実なものとなる。
【0020】つまり前輪側への伝達トルクΔTは指令電
流ISOL の電流値に比例し、結局,締結力に応じて駆動
トルクが後輪側及び前輪側に配分伝達される。この前後
輪に対するトルクの配分比は、前記指令電流ISOL の電
流値に応じて(0:100〜50:50まで)連続的に
変更でき、具体的に指令電流ISOL が零か若しくは指令
電流ISOL そのものが供給されていない状態で0:10
0%、指令電流ISOLが設定最大値に等しい状態で50
%:50%となる。
【0021】一方、図2に戻って前記駆動力配分制御装
置4は、前記トランスファ14と、このトランスファ1
4に内装された比例電磁ソレノイド50と、前輪側回転
センサ54及び後輪側回転センサ56と、車両の前後方
向車速を検出する車速センサ52と、車両の前後加速度
を検出する前後加速度センサ49と、これらのセンサか
らの検出信号に基づいて前記比例電磁ソレノイド50へ
の指令電流ISOL の出力制御するコントローラ58とを
備えてなる。
【0022】前記前輪側回転センサ54及び後輪側回転
センサ56は、前記前輪側出力軸16及び後輪側のプロ
ペラシャフト22の所定位置に個別に装備され、各軸の
回転数を光学方式又は電磁方式で検知して、これに応じ
たパルス信号又は正弦波信号により当該車輪の周速度,
即ち車輪速度を前後輪回転検出値nF,nRとして個別
にコントローラ58に出力するように構成されている。
ここで、これらの前輪側回転センサ54及び後輪側回転
センサ56としては、例えば本出願人が先に提案した特
開平1−195126号公報に記載されるようなものを
転用可能であるとする。この前輪側回転センサ54及び
後輪側回転センサ56は、正に電磁方式により車輪回転
数に応じた正弦波信号をパルス信号に変換し、このパル
ス信号を当該車輪速度の前後輪回転検出値nF,nRと
して出力するものであるが、後述するように車輪回転数
から車輪速度への換算には車輪の外径,具体的にはタイ
ヤの外径がパラメータとして介在しており、もしも何ら
かの原因により初期設定されたタイヤ外径と現在装着さ
れているタイヤ外径が異なる(このようなタイヤを装着
した車輪を異径タイヤ装着車輪とも記す)場合には、検
出される車輪回転数と車輪速度との相関が崩れて正確な
車輪速度からなる前後輪回転検出値nF,nRを得られ
なくなる可能性があることを付記しておく。
【0023】また、前記車速センサ52は、車両前方車
速に応じて正方向に増加する電圧出力からなる車速検出
値Vをコントローラ58に出力する。また、前記前後加
速度センサ49は,車両の前後方向に作用する加減速度
を検出するためのものであり、具体的に車両の前方向き
に作用する正の加速度に対して正の,車両の後方向きに
作用する負の加速度(減速度)に対しては負であって且
つ夫々の方向の加速度の大きさに応じた電圧出力からな
る加減速度検出値Xgをコントローラ58に出力する。
【0024】前記コントローラ58はマイクロコンピュ
ータ70と前記指令電流ISOL を供給して比例電磁ソレ
ノイド50を駆動する駆動回路59とを備えている。ま
た、マイクロコンピュータ70は前記各センサからの検
出信号を各検出値として読込むためのA/D変換機能を
有する入力インタフェース回路70aと、演算処理装置
70bと、ROM,RAM等の記憶装置70cと、前記
演算処理装置70bで得られたクラッチ締結力制御信号
T を出力するためのD/A変換機能を有する出力イン
タフェース回路70dとを備えている。このコントロー
ラ58のマイクロコンピュータ70では、後段に詳述す
る図6の演算処理に従って,前記前後輪回転検出値n
F,nRの差から前後輪速度差ΔNを算出すると共に、
前記車速検出値Vに基づいて基準オフセット量L0 を算
出設定し、一方で前記前後加速度検出値Xgに応じて,
即ち車両が定速走行状態か否かに応じて設定された重み
係数K1 をこの基準オフセット量K0 に乗じてオフセッ
ト量Lを算出設定し、前記前後輪速度差ΔNとオフセッ
ト量Lとの差に所定の比例定数kを乗じて前輪側トルク
配分指令値Tを算出設定し、この前輪側トルク配分指令
値Tを駆動回路59に向けて出力する。
【0025】前記駆動回路59は、前記マイクロコンピ
ュータ70から出力される前輪側トルク配分指令値Tを
前記電磁式クラッチ機構37の比例電磁ソレノイド50
への駆動信号である指令電流ISOL に変換するために、
例えばフローティング形定電圧回路等で構成されてい
る。なお、この駆動回路59では,前輪側トルク配分指
令値Tが零であるときに前記指令電流ISOL が零,当該
トルク配分指令値Tが“50”であるときに指令電流I
SOL が最大電流値となるように所定の比例係数でリニア
に変換して出力する。
【0026】次に、本実施例のコントローラ内で行われ
る演算処理の基本原理について説明する。まず、前述の
ようなFRをベースとする四輪駆動車両では、駆動力が
負荷されたときに,トラクション伝達に消費される分だ
け見掛け上のグリップ力が低下することは既知である。
ここで、主駆動輪である後輪2RL,2RRの平均回転
数から得られる平均後輪速度の後輪回転検出値nRか
ら、副駆動輪である前輪2FL,2FRの平均回転数か
ら得られる平均前輪速度の前輪回転検出値nFを減じ
て、下記1式に基づいて前記前後輪速度差ΔNを算出す
るものと定義する。即ち、後輪が駆動力によってスリッ
プしている場合、前輪への駆動力配分を大きくすればよ
いのであるから、前記後輪の回転数nRから前輪の回転
数nFを減じた値に基づいてクラッチ機構のクラッチト
ルクが大きくなって前輪への駆動力伝達率が大きくな
り、これにより前輪の駆動力は大きくなる
【0027】 ΔN=nR−nF ……… (1) 一方で、この前後輪速度差ΔNが正である,即ち主駆動
輪である後輪2RL,2RRが副駆動輪である前輪2F
L,2FRに対して相対的にスリップしていると考えら
れる場合でも、その後輪2RL,2RRに伝達される駆
動力の一部は,前記車速の増加に伴って増加する走行抵
抗に抗するトラクション伝達のために消費されているわ
けであるから、この前後輪速度差ΔNだけから車両が定
速走行状態であるか,そうでないかを判定することは困
難である。
【0028】そこで、本実施例では図5に示すように基
本的には前記前後輪速度差ΔNに対して所定の比例係数
kでリニアに増加する前記前輪側トルク配分指令値Tを
算出設定し、この前輪側トルク配分指令値Tに応じて前
輪2FL,2FR側への駆動力配分比を制御するのであ
るが、定速走行状態である場合にはこの制御特性曲線を
前後輪速度差ΔNの正方向にオフセット量Lだけオフセ
ットして,実質的にこのオフセット量L間では前輪2F
L,2FR側への駆動力配分制御が実施されない,所謂
不感帯を設定することとする。つまり、定速走行状態で
あると判断された場合には、この不感帯であるオフセッ
ト量Lの範囲内の前後輪速度差ΔNに対して前輪2F
L,2FRへの駆動力配分が実施されない,主駆動輪で
ある後輪2RL,2RRのみによる二輪駆動状態となる
から、このオフセット量Lを走行抵抗に応じて適宜に設
定することで燃費を向上すると共に、この不感帯域を越
える前後輪速度差ΔNに対しては適切な前輪側駆動力配
分制御が実施されることになる。
【0029】さて、それでは次に前記車両の走行抵抗に
応じた適宜なオフセット量Lを算出設定するにあたり、
当該車両の走行抵抗に抗するトラクション伝達のための
消費駆動力と前記異径タイヤ装着車輪による車輪速度の
前後輪回転検出値nF,nRの誤差とについて考察す
る。まず、前記車両の走行抵抗に抗するトラクション伝
達のための消費駆動力が車速の3乗値に比例することは
既知であるから、前記不感帯として設定されるべきオフ
セット量Lの一部,つまり車両の定速走行状態下で走行
抵抗に抗するトラクション伝達のための消費駆動力に応
じた主駆動輪である後輪2RL,2RRの副駆動輪であ
る前輪2FL,2FRに対する相対車輪速度差,即ちオ
フセット量走行抵抗分L1 は、下記2式に従って、前記
車速検出値の3乗値V3 に対して,タイヤ特性や空気抵
抗係数等を加味した車両特性係数Aを乗じて得られる。
【0030】 L1 =A・V3 ……… (2) 一方、前述のような前輪側回転センサ54及び後輪側回
転センサ56により車輪回転数から換算された車輪速度
の前後輪回転検出値nF,nRには、タイヤの外径がパ
ラメータとして介在しており、初期設定されたタイヤ外
径と現在装着されているタイヤ外径が異なる異径タイヤ
装着車輪の場合には、検出される車輪回転数と車輪速度
との相関が崩れて正確な車輪速度を前後輪回転検出値n
F,nRとして得られなくなる可能性がある。しかしそ
の一方で、応急対応等の要請から或る程度の異径タイヤ
装着車輪に対してもシステムの作動を補償する必要があ
り、従ってこの補償範囲内の異径タイヤ装着車輪に対し
ても定速走行状態では主駆動輪である後輪2RL,2R
Rのみによる二輪駆動状態によって燃費を向上できるよ
うに、前記不感帯域であるオフセット量Lを広げておく
必要がある。ここでは、極端なタイヤ外径の変化がな
く,補償範囲内の異径タイヤ装着車輪においても走行抵
抗に抗するためのトラクション伝達に消費される駆動力
は、前節で設定されるオフセット量走行抵抗分L1 で吸
収されるとして、タイヤ外径の相違のみを考察する。こ
のようにタイヤ外径が初期設定と相違しても,定速走行
状態で車速と車輪速度とは,前記トラクション伝達に消
費される駆動力に相当するスリップ分を除いて,一致す
るはずであるから、具体的には演算処理に用いられる車
輪速度の検出値である前後輪回転検出値nF,nRと実
際の車輪速度との差の分だけオフセット量Lを広げれば
よい。従って、例えば異径タイヤ装着車輪のタイヤ外径
補償範囲が初期設定値の±x%といったように設定され
ているとすれば、(±x%/100)を異径タイヤ補償
係数Wとし、この異径タイヤ補償係数Wを車速検出値V
に乗じることで、異径タイヤ装着車輪に対するオフセッ
ト量Lの広がり分,ここではオフセット量異径タイヤ補
償分L2 を下記3式に従って算出設定することができ
る。
【0031】 L2 =W・V ……… (3) なお、前記異径タイヤ装着車輪のタイヤ外径補償範囲±
x%に応じて異径タイヤ補償係数Wを設定するにあたっ
て、前記1式及び前後輪速度差ΔNによる前輪側駆動力
配分制御の理論に従えば、主駆動輪である後輪2RL,
2RRに初期設定よりタイヤ外径の大きい異径タイヤを
装着した場合又は副駆動輪である前輪2FL,2FRに
初期設定よりタイヤ外径の小さい異径タイヤを装着した
場合には負の値に、主駆動輪である後輪2RL,2RR
に初期設定よりタイヤ外径の小さい異径タイヤを装着し
た場合又は副駆動輪である前輪2FL,2FRに初期設
定よりタイヤ外径の大きい異径タイヤを装着した場合に
は正の値に夫々設定すべきなのであるが、前記マイクロ
コンピュータ70で実行される図6の演算処理において
何れの車輪に如何様なタイヤ外径の異径タイヤを装着し
たかをインプットすることができないという前提の下
に、ここでは単に定速走行状態での不感帯であるオフセ
ット量Lを広げるためだけに,異径タイヤ補償係数Wは
正の値のみとする。勿論、この補正係数Wの正負,つま
り異径タイヤ装着車輪に対するオフセット量Lの増減
を,何れの車輪に如何様なタイヤ外径の異径タイヤを装
着したかに応じて変更設定できるようにしてもよい。
【0032】以上より、基本的なオフセット量Lは前記
オフセット量走行抵抗分L1 とオフセット量異径タイヤ
補償分L2 との和から算出できるのであるが、ここでは
下記4式に従って両者の和を基準オフセット量L0 とし
て算出する。 L0 =L2 +L1 =W・V+A・V3 ……… (4) さて、本実施例の具体的なオフセット量Lの算出におい
ては,この基準オフセット量L0 に定速走行状態である
か否かに応じて設定される重み係数K1 を乗じて行うこ
ととするが、定速走行状態であるか否かの判定は前記加
減速度検出値Xgが所定値B(ここでは前後加速度セン
サ49の検出精度から0.2g(gは重力加速度)とす
る)以下であるか否かで行うこととし、当該加減速度検
出値Xgが0.2g以下の場合には車両は定速走行状態
であるとして重み係数K1 を“1”に設定し、そうでな
い場合には重み係数K1 を“0”に設定する。
【0033】従って、前記オフセット量Lは,前節のよ
うにして設定された重み係数K1 を用いて下記5式で求
められる。 L=K1 ・L0 ……… (5) 更にこのオフセット量Lに基づき,前記図5の制御特性
曲線に則って前記前輪側トルク配分指令値Tを算出する
ために下記6式を用いる。
【0034】 T=k・(ΔN−L) ……… (6) 次にこのような発明原理に基づいて車両の前後輪間駆動
力配分を制御するためのクラッチ機構37への前輪側ト
ルク配分指令値Tを算出出力するために、前記コントロ
ーラ58のマイクロコンピュータ70で行われる演算処
理について図6のフローチャートに従って説明する。
【0035】この演算処理は、所定周期ΔT(例えば2
0msec)毎のタイマ割込処理として実行され、まず、ス
テップS1で、前記前輪回転センサ54からの前輪側回
転検出値nF及び後輪側回転センサ56からの後輪回転
検出値nRを読込む。次にステップS2に移行して、前
記車速センサ52からの車速検出値Vを読込む。
【0036】次にステップS3に移行して、前記前後加
速度センサ49からの前後加速度検出値Xgを読込む。
次にステップS4に移行して、前記ステップS1で読込
まれた前後輪回転検出値nF,nRを用い,前記1式に
従って前後輪速度差ΔNを算出する。次にステップS5
に移行して、前記ステップS2で読込まれた車速検出値
Vを用い,前記2式〜4式に従って基準オフセット量L
0 を算出設定する。
【0037】次にステップS6に移行して、前記ステッ
プS4で読込まれた前後加速度検出値Xgが所定値B
(=0.2g)以下であるか否かを判定し、当該前後加
速度検出値Xgが0.2g以下である場合にはステップ
S7に移行し、そうでない場合にはステップS8に移行
する。前記ステップS7では、前記ステップS6で車両
は定速走行状態であると判断されたとして前記重み係数
1 を“1”に設定してステップS9に移行する。
【0038】一方、前記ステップS8では、前記ステッ
プS6で車両は定速走行状態でなく,所定の加速中であ
ると判断されたとして前記重み係数K1 を“0”に設定
して前記ステップS9に移行する。前記ステップS9で
は、前記ステップS7又はステップS8で設定された重
み係数K1 及び前記ステップS5で算出設定された基準
オフセット量L0 を用い,前記5式に従ってオフセット
量Lを算出設定する。
【0039】次にステップS10に移行して、前記ステ
ップS4で算出された前後輪速度差ΔN及びステップS
9で算出設定されたオフセット量Lを用い,前記6式に
従って前輪側トルク配分指令値Tを算出設定する。次に
ステップS11に移行して、前記ステップS10で算出
設定された前輪側トルク配分指令値Tを前記駆動回路5
9に向けて出力してメインプログラムに復帰する。
【0040】次に本実施例の車両の前後輪間駆動力配分
制御装置の作用を車両の挙動に基づいて説明する。今、
路面に凹凸がなく平坦で且つ十分な摩擦係数を有する高
μ良路を極めて低い定速で直進走行しているものとす
る。このような高μ良路の極低定速直進走行時では、走
行抵抗そのものが小さいから車両を定速に保持するため
に費やされる主駆動輪,つまり後輪2RL,2RRのト
ラクション,即ち機関出力から路面に伝達される駆動力
は小さく、そのために当該主駆動輪である後輪2RL,
2RRのスリップは極めて小さい。従って、前記図6の
演算処理が行われるサンプリング時間毎に,前記ステッ
プS4で算出される前輪回転検出値nFと後輪回転検出
値nRとの差,即ち前後輪速度差ΔNは略零となる。
【0041】一方、前記オフセット量走行抵抗分L1
演算式2において,こうした極低定速での走行抵抗その
ものが小さいことから、車速検出値の3乗値V3 に乗じ
られる車両特性係数Aそのものは非常に小さい値である
ことは容易に推察されよう。従って、極低定速直進走行
状態であることから車速検出値Vも小さく、前記2式で
算出されるオフセット量走行抵抗分L1 も小さな値とな
る。また、前記オフセット量異径タイヤ補償分L2 の演
算式3における異径タイヤ補償係数Wそのものは,前述
のようにシステムの補償範囲x%に相当するものである
から、このオフセット量異径タイヤ補償分L2 が如何程
の数値となるかは断定できないが、何れにしても車速検
出値Vそのものが小さいからさほど大きなものでないこ
とは容易に推察される。従って、前記図6の演算処理が
行われるサンプリング時間毎に,前記ステップS5の4
式で算出される基準オフセット量L0 もさほど大きな数
値とはならない。ここで、極低定速直進走行状態である
から,前後加速度センサ49の検出精度を考慮しても、
前記図6の演算処理が行われるサンプリング時間毎に,
前記ステップS6では加速度検出値Xgは0.2g以下
であると判定され、その結果同ステップS7で重み係数
1 は“1”にセットされる。以上より、同図6の演算
処理のステップS9で算出されるオフセット量Lは何れ
にしても比較的小さな値となる。
【0042】このオフセット量L及び前記ステップS4
で算出された前後輪速度差ΔNを用いて、前記図6の演
算処理が行われるサンプリング時間毎に,前記ステップ
10の6式で算出される前輪側トルク配分指令値T
は、前記前後輪速度差ΔNが略零程度の非常に小さな値
であり,同時にオフセット量Lが比較的小さな値である
ことから、略零か又は小さな負の値となる。ここで、本
実施例では前述のように後輪側の駆動力配分が100%
の状態から前輪側への駆動力配分を制御するだけである
から、前記算出された前輪側トルク配分指令値Tが負の
値である場合には当該前輪側トルク配分指令値Tは零に
補正され、従って零又は略零の前輪側トルク配分指令値
Tが同図6のステップS11で前記駆動回路59に向け
て出力される。
【0043】このような零又は略零の前輪側トルク配分
指令値Tはマイクロコンピュータ70の出力インタフェ
ース回路70dによりD/A変換され、その結果,アナ
ログ電圧値からなる制御信号ST が駆動回路59に入力
される。そこで、この駆動回路59では、前記図4の出
力特性線図に従って零又は略零の指令電流ISOL が前記
トランスファ14内の比例電磁ソレノイド50に向けて
出力される。その結果,比例電磁ソレノイド50は全く
又は殆ど励磁されず、電磁式クラッチ機構37のピスト
レート37fには殆ど変位が発生しないから、前記
リターンスプリング37hによってドライブ側フリクシ
ョンプレート37bとドリブン側フリクションプレート
37dとは離間されたままとなり、当該電磁式クラッチ
機構37のクラッチハブ37cは駆動回転されず、ギヤ
トレインを介した前輪側ドライブシャフト16はフリー
な状態となる。従って、機関からの駆動力は100%,
プロペラシャフト22を介して後輪2RL,2RRに伝
達され、車両は主駆動輪である後輪のみによる二輪駆動
状態に維持され、従って車両全体としての燃費が低下す
ることはない。
【0044】次に、この極低定速直進走行状態から運転
者の意思でステアリングホイルを操舵することなく,ア
クセルペダルを踏込んで加速しようとする状態に移行し
た。このとき、アクセルペダルの踏込み量の変化率,即
ちスロットル開度の変化率が機関出力の変化率と等価で
あるとすれば、このスロットル開度の変化率がまず主駆
動輪である後輪2RL,2RRに伝達される駆動力の変
化率として生じ、これによって増加する機関出力を路面
に伝達するためのトラクションの急激な増加が発生して
当該後輪2RL,2RRはグリップ力が低下し、そのた
め当該主駆動輪である後輪2RL,2RRには前記駆動
力の変化率に応じたスリップが当該駆動力の変化率に対
して二次的に発生する。
【0045】従って、この極低定速直進走行からの加速
状態移行初期においては、前記図6の演算処理が行われ
るサンプリング時間毎に,前記ステップS4で算出され
る前輪回転検出値nFと後輪回転検出値nRとの差,即
ち前後輪速度差ΔNは、前記後輪2RL,2RRに伝達
される駆動力の変化率,即ち運転者のアクセルペダルの
踏込み量の変化率に応じた値となる。
【0046】一方、前記オフセット量走行抵抗分L1
相当する走行抵抗は,加速する車両の速度検出値の3乗
値V3 の増加に伴って増加し、前記オフセット量異径タ
イヤ補償分L2 も加速する車両の速度検出値Vの増加に
伴って増加するために、前記極低定速直進走行からの加
速状態移行初期においては、前記図6の演算処理が行わ
れるサンプリング時間毎に,前記ステップS5で算出さ
れる基準オフセット量L0 は、前記極低定速直進走行状
態における速度検出値Vを“1”としたときに同等の増
加率が3乗化される前記オフセット量走行抵抗分L1
増加にやや支配されながら増加する。
【0047】ところが、現在,車両が加速中であること
から、前記図6の演算処理が行われるサンプリング時間
毎に,前記ステップS6では加速度検出値Xgは0.2
gより大きいと判定されるため、同ステップS8で重み
係数K1 は“0”にセットされる。以上より、同図6の
演算処理のステップS9で算出されるオフセット量L
は,前記基準オフセット量L0 の如何に関わらず零とな
る。
【0048】このように現在,車両加速中のオフセット
量Lが零であることから、前記図6の演算処理が行われ
るサンプリング時間毎に,前記ステップS10の6式で
算出される前輪側トルク配分指令値Tは、前記ステップ
S4で算出された前後輪速度差ΔN,即ち前記主駆動輪
である後輪2RL,2RRに伝達される駆動力の変化率
に応じて変化する。つまり、運転者の意志で車両に大き
な加速度を発生させようとする場合には、必然的にアク
セルペダルの踏込み量の変化は大きく且つ速くなるはず
であるから、前記スロットル開度の開方向(以下正方向
とも記す)への変化率が大きくなり、従って主駆動輪で
ある後輪2RL、2RRへの駆動力の変化率が大きくな
り、結果的に当該後輪2RL,2RRは大きくスリップ
しようとし,つまり前記前後輪速度差ΔNが大きくな
り、これにより前記前輪側トルク配分指令値Tは,前記
オフセット量Lの影響を受けることなく比較的大きな値
となる。一方、運転者の意志で車両に小さな加速度を発
生させようとする場合には、アクセルペダルの踏込み量
の変化は小さく或いは遅くなるはずであるからスロット
ル開度の正方向への変化率は小さく、主駆動輪である後
輪2RL,2RRへの駆動力の変化率が小さくなるから
前後輪速度差ΔNは小さくなり、これにより前記前輪側
トルク配分指令値Tは比較的小さな値となる。
【0049】このように運転者の意志に応じて直接的に
変化する前後輪速度差ΔNに応じた前輪側トルク配分指
令値Tは、マイクロコンピュータ70の出力インタフェ
ース回路70dにより制御信号ST にD/A変換され
て,前記駆動回路59に入力される。そこで、この駆動
回路59では、前記図4の出力特性線図に従って、凡そ
前輪側トルク配分指令値Tに対してリニアに増減する指
令電流ISOL を前記トランスファ14内の比例電磁ソレ
ノイド50に向けて出力し、当該比例電磁ソレノイド5
0はその指令電流ISOL の電流強度に応じた磁界強度を
発生するから、電磁式クラッチ機構37のピストンプレ
ート37fには当該磁界強度に応じた変位が発生し、こ
のピストンプレート37fの変位に応じて前記ドライブ
側フリクションプレート37bとドライブ側フリクショ
ンプレート37dとが押圧され,両者の摩擦力に応じて
クラッチハブ37cが駆動回転され、ギヤトレインを介
した前輪側ドライブシャフト16には当該電磁式クラッ
チ機構37の締結力に応じた駆動トルクが伝達され、そ
の結果,前輪2FL,2FRにも前記指令電流ISOL
電流強度に応じた駆動力が配分される。従って、機関か
らの駆動力は運転者の意志による主駆動輪の後輪2R
L,2RRのスリップに対してリアルタイムに前輪2F
L,2FR側にも配分され、当該主駆動輪である後輪2
RL,2RRのスリップを回避しながら車両の加速走行
を安定化する最適な四輪駆動状態に移行する。
【0050】また、一つの事例として,このような加速
走行中に、水溜まりのような低μ領域に後輪2RL,2
RRが進入した結果、当該後輪2RL,2RRに大きな
スリップが発生すると,図6の演算処理の前記ステップ
S4で算出される前輪回転検出値nFと後輪回転検出値
nRとの前後輪速度差ΔNは,前記安定した路面μ状態
における加速走行中の前後輪速度差ΔNよりも大きな或
る正の値となる。従って、図6の演算処理のステップS
10で算出される前輪側トルク配分指令値Tは、前記一
時的に且つ大きく増加した前後輪速度差ΔNに応じて一
時的に大きな値となり、このトルク配分指令値Tが同ス
テップS11で前記駆動回路59に向けて出力される。
従って、前記出力インタフェース回路70dから出力さ
れる制御信号ST も一時的に大きな正の電圧信号とな
る。
【0051】このように一時的に大きな正の制御信号S
T を入力した駆動回路59では,それをフローティング
形定電圧回路等によって,やはり一時的に大きな指令電
流I SOL に変換するため、この一時的に大きな指令電流
SOL が入力された比例電磁ソレノイド50の磁界強度
は一時的に大きく増加し、これによって電磁式クラッチ
機構37のピストンプレート37fは大きく変位するか
ら、ドライブ及びドリブン側のフリクションプレート3
7b,37dの摩擦力により当該電磁式クラッチ機構3
7は,最大で機関出力の50%までの車輪駆動力を前輪
2FL,2FR側に伝達し、その結果,主駆動輪である
後輪2RL,2RRの駆動力が小さくなってトラクショ
ンロスによるスリップが解消され、安定した定速加速走
行を連続的に可能とする。
【0052】これをはじめとして、例えば低μ路面での
発進時に後輪2RL,2RRに掛かる駆動力が大き過ぎ
たために当該後輪2RL,2RRがスリップした場合に
も同様のフィードバック制御が行われて後輪のスリップ
が解消され、車両の挙動が安定化される。なお、前記低
μ路面で前輪2FL,2FRにスリップが発生した結
果,前後輪回転差ΔNが或る負の値となったとしても前
記した実施例の原理並びに図4及び図5に示す制御マッ
プに従って後輪側への駆動力配分は変更制御されない。
【0053】前述のような加速走行を終了して,やはり
路面に凹凸がなく平坦で且つ十分な摩擦係数を有する高
μ良路において、所謂中速から高速での定速直進走行に
移行したする。このような高μ良路の中・高定速直進
走行時では走行抵抗は比較的大きく、これに抗しながら
車両を定速に保持するために費やされる主駆動輪,つま
り後輪2RL,2RRのトラクション,即ち機関出力か
ら路面に伝達される駆動力が大きいために、当該主駆動
輪である後輪2RL,2RRのスリップは比較的大き
い。従って、前記図6の演算処理が行われるサンプリン
グ時間毎に,前記ステップS4で算出される前輪回転検
出値nFと後輪回転検出値nRとの差,即ち前後輪速度
差ΔNは比較的大きな正の値となる。
【0054】一方、前記図6の演算処理が行われるサン
プリング時間毎に,前記ステップS5では、車速検出値
Vに基づいた基準オフセット量L0 が前記4式に従って
算出される。ここで、前記オフセット量異径タイヤ補償
分L2 については,前記極低定速走行時のオフセット量
異径タイヤ補償分L2 に対して,当該中・高定速走行状
態における車速検出値Vの比倍率にしかならないが、前
記オフセット量走行抵抗分L1 については,前記極低定
速走行時のオフセット量走行抵抗分L1 に対して,当該
中・高定速走行状態における車速検出値Vの比率の3乗
倍となり、従って車速検出値Vという変数については,
基準オフセット量L0 は,前記オフセット量走行抵抗分
1 に支配的に増加することになる
【0055】次に、車両は中・高速直進走行状態である
から,前記ステップS6では加速度検出値Xgは0.2
g以下であると判定され、その結果,同ステップS7で
重み係数K1 は“1”にセットされる。以上より、同図
6の演算処理のステップS9で算出されるオフセット量
Lは、オフセット量走行抵抗分L1 が支配的で且つ前記
前後輪速度差ΔNよりも大きな基準オフセット量L1
算出設定される。
【0056】このオフセット量L及び前記ステップS4
で算出された前後輪速度差ΔNを用いて、前記図6の演
算処理が行われるサンプリング時間毎に,前記ステップ
10の6式で算出される前輪側トルク配分指令値T
は、前記オフセット量Lに包含されるオフセット量走行
抵抗分L1 が,既に高μ良路の中・高定速走行状態の前
後輪速度差ΔNよりも大きな数値であることから、略
か又は小さな負の値となる。ここで、本実施例では前述
のように後輪側の駆動力配分が100%の状態から前輪
側への駆動力配分を制御するだけであるから、前記算出
された前輪側トルク配分指令値Tが負の値である場合に
は当該前輪側トルク配分指令値Tは零に補正され、従っ
て零又は略零の前輪側トルク配分指令値Tが同図6のス
テップS11で前記駆動回路59に向けて出力される。
【0057】このような零又は略零の前輪側トルク配分
指令値Tは、やはり零又は略零の制御信号ST として駆
動回路59に入力され、この駆動回路59からは、前記
図4の出力特性線図に従って零又は略零の指令電流I
SOL が前記トランスファ14内の比例電磁ソレノイド5
0に向けて出力されるために、比例電磁ソレノイド50
は全く又は殆ど励磁されず、電磁式クラッチ機構37の
ピストンレート37fには殆ど初期状態からの変位が
発生しないから(即ち、前記加速走行状態からはソレノ
イド50が励磁されていない初期状態に戻り)、前記リ
ターンスプリング37hによってドライブ側フリクショ
ンプレート37bとドリブン側フリクションプレート3
7dとは離間されたままとなり、当該電磁式クラッチ機
構37のクラッチハブ37cは駆動回転されず、ギヤト
レインを介した前輪側ドライブシャフト16はフリーな
状態となる。従って、機関からの駆動力は100%プロ
ペラシャフト22を介して後輪2RL,2RRに伝達さ
れ、車両は主駆動輪である後輪のみによる二輪駆動状態
に維持され、従って車両全体としての燃費が低下するこ
とはない。
【0058】一方、このような中・高低速走行中の水溜
まりのような低μ領域に後輪2RL,2RRが進入した
結果、当該後輪2RL,2RRに大きなスリップが発生
すると,図6の演算処理の前記ステップS4で算出され
る前輪回転検出値nFと後輪回転検出値nRとの前後輪
速度差ΔNは,前記安定した路面μ状態における中・高
低速走行中の前後輪速度差ΔNよりも大きな或る正の値
となる。従って、前記一時的に且つ大きく増加した前後
輪速度差ΔNに応じて図6の演算処理のステップS10
で算出される前輪側トルク配分指令値Tは、前記オフセ
ット量Lを越える当該前後輪速度差ΔNに応じた一時的
に大きな値となり、このトルク配分指令値Tが同ステッ
プS11で前記駆動回路59に向けて出力される。従っ
て、前記出力インタフェース回路70dから出力される
制御信号ST も一時的に大きな正の電圧信号となる。
【0059】このように一時的に大きな正の制御信号S
T を入力した駆動回路59では,それをフローティング
形定電圧回路等によって,やはり一時的に大きな指令電
流I SOL に変換するため、この一時的に大きな指令電流
SOL が入力された比例電磁ソレノイド50の磁界強度
は一時的に大きく増加し、これによって電磁式クラッチ
機構37のピストンプレート37fは大きく変位するか
ら、ドライブ及びドリブン側のフリクションプレート3
7b,37dの摩擦力により当該電磁式クラッチ機構3
7は,最大で機関出力の50%までの車輪駆動力を前輪
2FL,2FR側に伝達し、その結果,中・高定速直進
走行状態であっても主駆動輪である後輪2RL,2RR
の駆動力が小さくなってトラクションロスによるスリッ
プが解消され、安定した中・高定速直進走行を連続的に
可能とする。
【0060】次に、この中・高定速直進走行状態から運
転者の意志でステアリングホイルを操舵することなく,
ブレーキペダルを踏込むか或いはシフトダウン操作を行
って、結果的に車両に負の加速度,つまり減速度が発生
した場合を考察する。このような減速中の車両にあって
も、図6の演算処理のサンプリング時間毎に,ステップ
S4では前後輪速度差ΔNが算出されるが、基本的にこ
のような減速操作中にアクセルペダルを踏込むことはな
いからスロットル開度は略全閉状態となっており、その
結果,主駆動輪である後輪2RL,2RRには機関から
の主要な駆動力は伝達されないと考えられるために、少
なくとも前輪2FL,2FRがロックしない限り,前記
前後輪速度差ΔNは零か略零になる。一方、同図の演算
処理のステップS5では,減速中の車速検出値Vに応じ
た基準オフセット量L0 が算出され、減速中であるため
に同ステップS6では加速度検出値Xgは0.2g以下
であるとしてステップSで重み係数K1 は“”に設
定され、更にステップS9では前記基準オフセット量L
0 と等価なオフセット量Lが算出設定される。その結
果,同ステップS10で算出される前輪側トルク配分指
令値Tは、略零か又は小さな負の値となるが、負の値の
前輪側トルク配分指令値Tは零に補正されるから、結果
的に零又は略零の前輪側トルク配分指令値Tが同図6の
ステップS11で前記駆動回路59に向けて出力され、
車両は主駆動輪である後輪のみによる二輪駆動状態に維
持され、従って車両全体としての燃費が低下することは
ない。もしも、手動変速機を有する車両において,前記
シフトダウン操作による減速効果を滑らかに且つ効率よ
く得るために、当該シフトダウン操作のタイミングに合
わせてアクセルペダルを踏込む,所謂ダブルクラッチ操
作等を実施し、結果的にアクセルペダルを踏込むタイミ
ングがずれて主駆動輪である後輪2RL,2RRに駆動
力が付与された場合においても、当該駆動力によって後
輪2RL,2RRがスリップし、このスリップによる前
後輪速度差ΔNが前記不感帯であるオフセット量Lを越
えれば,当該オフセット量Lを越える前後輪速度差ΔN
に応じた前輪側トルク配分指令値Tに基づいて、前輪2
RL,2FRへの駆動力配分が実施されて車両は安定し
た減速走行を連続する。
【0061】また、このような中・高定速直進走行する
車両が,濡れたアスファルト路面のようにやや低い摩擦
係数路面に進入したときのことを考察する。このような
低μ路面では,摩擦係数に依存するタイヤのグリップ力
は早期に低下してしまうから、主駆動輪である後輪2R
L,2RRの駆動力,即ち走行抵抗に抗して車両を低速
走行させるためのトラクションも比較的小さな値で飽和
してしまう。従って、これ以上のトラクションを伝達で
きない後輪2RL,2RRの駆動力は当該後輪2RL,
2RRをスリップさせてトラクションロスが発生する
ず、減速が生じない程度の低μ路面における中・高定
速直進走行を考えると、やはり前記図6の演算処理のス
テップS5では当該車速検出値Vに応じた基準オフセッ
ト量L0が算出され、ステップSで定速直進走行であ
るからステップS,S9に移行して、当該基準オフセ
ット量L0 と等価なオフセット量Lが算出される。一
方、前記後輪2RL,2RRにスリップが発生し、図6
の演算処理のステップS4で算出される前後輪速度差Δ
Nがこのオフセット量Lを越えると、同ステップS10
ではこのオフセット量Lを越える前後輪速度差ΔNに応
じた駆動力が前輪2FL,2FR側に配分され、結果的
に主駆動輪である後輪2RL,2RRは定速直進走行が
可能な程度にスリップしながら駆動力が小さくなり、そ
の配分された前輪2FL,2FRの駆動力によって,即
ち最適な四輪駆動力配分制御によって車両は安定した定
速直進走行が可能となる。もしも、前述のようにこの低
μ路面で減速した場合には、減速する車速検出値Vに応
じて基準オフセット量L0 が小さくなるから前記ステッ
プS6〜S9で算出設定されるオフセット量Lも小さく
なり、このオフセット量Lが小さくなった分だけ、前記
前輪2FL,2FR側への駆動力配分制御が早期に行わ
れ、結果的に最適な車速まで減速したタイミングで最適
な四輪駆動力配分制御によって車両は安定した定速直進
走行が可能となる。
【0062】また、このような低μ路面で加速する場合
には、前後輪速度差ΔNが初期状態から発生している分
だけ、前記中・高定速走行状態からアクセルペダルを操
作しないで自然に減速した場合よりも,更に早期に最適
な四輪駆動力配分制御が実施されて車両は安定した加速
走行が可能となる。以上がいずれも直進走行での本実施
例の前後輪間駆動力配分装置の作用による車両の挙動の
説明である。一方、車両の旋回走行における本実施例の
前後輪間駆動力配分装置の作用であるが、同じ後輪を主
駆動輪とする四輪駆動車両であってもそのステアリング
特性は車両によって様々であり、また前記加速度センサ
の取付位置や加速度検出値の算出方法等によって旋回中
に検出される前後加速度も一意に決定することができな
い。このような旋回走行中の車両挙動の改善について
は、例えば本出願人が先に提案した特願平5−2626
98号や同じく特願平5−262699号に記載される
ヨーイング運動量制御装置との併用で可能であるとし
て、ここではその詳細な説明を割愛する。
【0063】以上より、本実施例の図6の演算処理にお
けるステップS1が本発明の車両の前後輪駆動力配分制
御装置の前後輪回転状態検出手段に相当し、以下同様
に,ステップS2及びステップS3が入力物理量検出手
段に相当し、ステップS5が駆動力配分補正手段に相当
し、ステップS6が定速走行状態検出手段に相当し、ス
テップS9が駆動力配分特性変更手段に相当し、ステッ
プS9〜S11が駆動力配分制御手段に相当し、トラン
スファ並びに比例電磁ソレノイドが駆動力配分調整手段
に相当する。
【0064】次に本発明の車両の前後輪間駆動力配分制
御装置を前後輪間のトランスファに展開した第2実施例
を,図7を用いて説明する。本実施例の車両の具体的な
構造については前記図2及び図3に示す第1実施例と同
様かほぼ同様である。また、前後輪間の駆動力配分を制
御するための具体的な構造としてのトランスファや,そ
のコントローラ,各センサ類についても前記図2及び図
3に示す第1実施例と同様かほぼ同様である。更に、こ
れらのトランスファにより前後輪間の駆動力配分制御を
達成するためにコントローラから出力される指令電流I
SOL と前輪側への伝達トルクΔTとの制御曲線は前記図
4に示す第1実施例のものと同様かほぼ同様である。こ
こで、前記コントローラのマイクロコンピュータで処理
される演算処理の基本的なロジックは、前後輪速度差Δ
Nに基づいて前輪側トルク配分指令値Tを出力するとし
て前記第1実施例と同様かほぼ同様であって、結果的に
その制御マップを示す図5の制御曲線も第1実施例と同
様かほぼ同様のものとなる。
【0065】そこで、本実施例では前記コントローラ5
8のマイクロコンピュータ70で行われるアルゴリズム
のみが異なる。その概要は前記オフセット量走行抵抗分
1の算出に用いられる車両特性係数Aを学習制御する
か否かの相違であり、この車両特性係数Aを車両の定速
走行状態に応じて学習することで前記異径タイヤ補償分
2 をも吸収することを可能とする。
【0066】それでは本実施例の車両特性係数Aの学習
制御を構築する基本原理を説明する。例えば、前記第1
実施例において車両特性係数Aが、車両の走行抵抗に抗
して車両を定速走行させるために消費される主駆動輪の
駆動力,つまり後輪2RL,2RRのトラクション伝達
消費分を算出するためのものであることは前述のとおり
であるが、この車両特性係数Aは例え同一の車両であっ
ても,トラクション伝達のために消費される駆動力がタ
イヤ特性や路面μ等に依存していることから、これらを
考慮しなければ真の車両特性係数Aを設定することは困
難である。
【0067】つまり、車両は高μ路面から極低μ路面ま
で走行することを鑑みれば、前記第1実施例の図6の演
算処理において,前記車両特性係数Aを一意に固定して
車速検出値Vにのみ依存するオフセット量走行抵抗分L
1 は種々の路面μに対して十分に対応できるとは限らな
い。例えば、高μ路面に応じて前記車両特性係数Aを小
さく設定すれば、極低μ路面で前記不感帯に相当する
オフセット量Lは車速検出値Vにのみ応じて必要以上に
小さく設定され、結果的にこのような極低μ路面でタイ
ヤは早期にグリップ力を失うものの,当該車輪は或る程
度スリップした状態でも車両は低速走行できるにも関わ
らず、このスリップに伴う前後輪速度差ΔNが前記小さ
なオフセット量走行抵抗分L1 を早期に越えることにな
り、この時点で副駆動輪である前輪2FL,2FRへの
駆動力配分が実施されることになるから、車両全体の燃
費が低下する。逆に、極低μ路面に応じて車両特性係数
Aを大きく設定すれば、前記高μ路面では不感帯に相当
するオフセット量Lが大きく設定されてしまう。ところ
が、このような高μ路面で前後輪速度差ΔNが発生する
ということは,運転者は,例えスリップが発生しようと
も、前記主駆動輪である後輪2RL,2RRに大きな駆
動力を付与して,できるだけ速やかに加速しようとして
いると解されるにも関わらず、この前後輪速度差ΔNが
よほど大きくならないと四輪駆動状態に移行できないか
ら,定速走行状態における主駆動輪のスリップがなかな
か解消されずに車両の走行安定性が低下する。
【0068】また、これ以外にも前記第1実施例のよう
に前記車両特性係数Aを固定値とすると、例えば、下り
坂のような状況下では、重力が作用しているために実際
の車両の走行抵抗は相対的に減少し、実質的には運転者
によるアクセルペダルの踏込み量が減少しているから主
駆動輪のスリップも減少気味となる。逆に、例えば上り
坂のような状況下では重力に抗するために実質的には運
転者のアクセルペダルの踏込み量が増加しており、従っ
て走行抵抗は大きいと言える。そして、このような上り
坂で、前記二輪駆動状態を維持して燃費を向上するため
には、判定される定速走行状態から車両に作用する重力
の影響を軽減するために、オフセット量Lを比較的大き
な値に設定しなければなるまい。何故ならば、前後加速
度閾値を小さな値に設定したのでは,重力の影響で、運
転者は定速走行しようとしているにも関わらず,検出さ
れる車両の加速度検出値Xgはこの閾値を早期に越えて
しまい、四輪駆動状態に移行してしまうからである。
【0069】このような問題を回避するためには、最近
の定速走行状態における前記車両特性係数Aを当該定速
走行状態において随時学習し、これを前記オフセット量
走行抵抗分L1 の算出に用いる。即ち、前記のような高
μ路面における定速走行状態の車速平均値と前後輪速度
差の平均値との相関から、逆に前記オフセット量走行抵
抗分L1 の算出式,即ち前記2式を用いて、当該車両特
性係数Aを学習すれば、車両特性係数Aは前記のように
走行抵抗に応じた比較的小さな値になるはずであるか
ら、前記前後輪速度差ΔNに対して行われる副駆動輪で
ある前輪2FL,2FRへの駆動力配分,即ち四輪駆動
状態への移行を,この小さな車両特性係数Aに応じた小
さな不感帯,つまりオフセット量Lを越える時点まで早
くすることができ、その結果,定速走行状態における主
駆動輪のスリップを早期に解消して車両の走行安定性を
確保することができる。逆に、前記のような極低μ路面
では、車両特性係数Aは比較的大きな値となるから、前
記四輪駆動状態への移行は比較的大きな不感帯,つまり
オフセット量Lを越えた時点、つまり前記前後輪速度差
ΔNに対して遅れて実施され、車両の当該極低μ路面で
の燃費を向上することができる。勿論、この場合の不感
帯,つまりオフセット量Lは主駆動輪が或る程度スリッ
プしていても車両は安定して定速走行できることは、前
記車両特性係数Aの学習理論の上からも明らかである。
【0070】また前後加速度閾値を小さな値に設定すれ
ば、上り坂のように加速しにくい状況で,しかも主駆動
輪である後輪2RL,2RRに駆動力を負荷して当該後
輪2RL,2RRがスリップ気味な状態での大きな走行
抵抗に合わせても、車両特性係数Aを設定可能であり、
その結果,車両特性係数Aに応じて大きな値に設定され
た不感帯,即ちオフセット量Lを、スリップ気味な主駆
動輪による前後輪速度差ΔNはなかなか越えることはで
きないから、二輪駆動状態による燃費の向上を図ること
ができる。勿論、運転者の意志によって車両を加速しよ
うとした場合,車両に前後加速度検出値Xgが検出され
れば,当該加速度検出値Xgは直ぐさま前記小さな値の
前後加速度閾値を越えて四輪走行状態に移行することが
できるので、車両の加速走行安定性を確保することがで
きる。
【0071】また、前述のように最近の定速走行状態の
判定に前後輪速度差ΔNが加味されているので、前記異
径タイヤ装着車輪での回転速度の誤差を補償するための
特殊な補償成分もこの前後輪速度差ΔNに包含されてし
まい、改めて前記第1実施例のようにオフセット量異径
タイヤ補償分L2 を算出設定する必要はない。以上の基
本原理を実現するために前記コントローラ58のマイク
ロコンピュータ70で実施される演算処理を図7のフロ
ーチャートに示す。
【0072】この演算処理で行われる定速走行の判定並
びに定速走行における不感帯の設定及び定速走行・加速
走行における前輪側トルク配分の指令は基本的に前記第
1実施例のものと同等かほぼ同等であり、具体的にはス
テップS25を除くステップS21からステップS40
が車両特性係数Aの学習処理に相当し、それ以外の処理
は基本的に図6の演算処理を踏襲している。但し、前述
のように前後加速度の閾値は第1実施例よりも小さい重
力加速度の0.1倍値0.1gとし、定速走行状態にお
けるオフセット量異径タイヤ補償分L2 は最近の定速走
行状態における前後輪平均速度差ΔNavに包含されると
してネグレクトする。また、この演算処理では最近の定
速走行状態における前記前後輪平均速度差ΔNav及び車
速平均値Vavを得るために、当該定速走行状態が所定時
間T1 経過したか否かを判定するためのタイマTを用い
ており、実際には時間の経過を得るために,個別のクロ
ックカウンタ処理によって現在時刻TN を計測してい
る。また、同図の演算処理においてT0 は初期時刻,n
avは前輪速平均値,nRavは後輪速平均値,Vavは車
速平均値を示し、夫々算出設定される毎に前記マイクロ
コンピュータ70の記憶装置70cに更新記憶される。
また、同演算処理中のf1 は定速走行中制御フラグを示
し“1”のセット状態で定速走行中,“0”のリセット
状態で定速走行中ではないことを示す。
【0073】この演算処理は、所定周期ΔT(例えば2
0msec)毎のタイマ割込処理として実行され、まず、ス
テップS21で前記記憶装置70cに記憶されている初
期時刻T0 ,前輪速平均値nFav,後輪速平均値n
av,車速平均値Vavを夫々“0”にリセットする。次
にステップS22に移行して、前記前輪回転センサ54
からの前輪側回転検出値nF及び後輪側回転センサ56
からの後輪回転検出値nRを読込む。
【0074】次にステップS23に移行して、前記車速
センサ52からの車速検出値Vを読込む。次にステップ
S24に移行して、前記前後加速度センサ49からの前
後加速度検出値Xgを読込む。次にステップS25に移
行して、前記ステップS24で読込まれた前後加速度検
出値Xgが所定値B(=0.1g)以下であるか否かを
判定し、当該前後加速度検出値Xgが0.1gより大き
い場合にはステップS26に移行し、そうでない場合に
はステップS27に移行する。
【0075】前記ステップS26では、車両特性係数A
を強制的に“0”にセットしてからステップS43に移
行する。一方、前記ステップS27では、前記個別のク
ロックカウンタ処理による現在時刻TN を読込んでステ
ップS29に移行する。前記ステップS29では、定速
走行中制御フラグf1 が“0”のリセット状態であるか
否かを判定し、当該定速走行中制御フラグf1 が“0”
のリセット状態である場合にはステップS30に移行
し、そうでない場合にはステップS31に移行する。
【0076】前記ステップS30では、前記ステップS
22で読込まれた前輪側回転検出値nFを前輪速平均値
nFavとして、後輪側回転検出値nRを後輪速平均値n
avとして、前記ステップS23で読込まれた車速検出
値Vを車速平均値Vavとして夫々記憶装置70cに更新
記憶してからステップS32に移行する。前記ステップ
S32では、前記ステップS27で読込まれた現在時刻
N を初期時刻T 0 として記憶装置70cに更新記憶し
てからステップS33に移行する。
【0077】前記ステップS33では、定速走行中制御
フラグf 1 を“1”にセットしてからステップS34に
移行する。一方、前記ステップS31では、前記記憶装
置70cに更新記憶されている最新の前輪速平均値nF
av及び後輪速平均値nRavを読込んでからステップS3
5に移行する。
【0078】前記ステップS35では、前記記憶装置7
0cに更新記憶されている最新の車速平均値Vavを読込
んでからステップS36に移行する。前記ステップS3
6では、前記ステップS31で読込まれた最新の前輪速
平均値nFavと前記ステップS22で読込まれた前輪側
回転検出値nFとの平均値を新たな前輪速平均値nFav
として記憶装置70cに更新記憶すると共に、前記ステ
ップS31で読込まれた最新の後輪速平均値nRavと前
記ステップS22で読込まれた後輪側回転検出値nRと
の平均値を新たな後輪速平均値nRavとして記憶装置7
0cに更新記憶すると共に、前記ステップS35で読込
まれた車速平均値Vavと前記ステップS23で読込まれ
た車速検出値Vとの平均値を新たな車速平均値Vavとし
て記憶装置70cに更新記憶してから前記ステップS3
4に移行する。
【0079】前記ステップS34では、前記ステップS
27で読込まれた現在時刻TN から前記記憶装置70c
に更新記憶された初期時刻T0 を減じて経過時間Tをタ
イマとして算出してからステップS37に移行する。前
記ステップS37では、前記ステップS34で算出され
た経過時間からなるタイマTが所定時間T1 より小さい
か否かを判定し、タイマTが所定時間T1 より小さい場
合には前記ステップS22に移行し、そうでない場合に
はステップS38に移行する。
【0080】前記ステップS38では、前記ステップS
36で算出され且つ記憶装置70cに更新記憶されてい
る最新の後輪速平均値nRavから前輪速平均値nFav
減じて前後輪平均速度差ΔNavを算出してからステップ
S39に移行する。前記ステップS39では、前記ステ
ップS38で算出された前後輪平均速度差ΔNavが負で
あるか否かを判定し、当該前後輪平均速度差ΔNavが負
である場合には前記ステップS40に移行し、そうでな
い場合にはステップS41に移行する。
【0081】前記ステップS40では、前記記憶装置7
0cに更新記憶されている最新の車両特性係数Aを読込
んでから前記ステップS43に移行する。前記ステップ
S41では、前記ステップS38で算出された前後輪平
均速度差ΔNav及び前記ステップS36で算出され且つ
記憶装置70cに更新記憶されている最新の車速平均値
avを用い,下記10式に従って車両特性係数Aを算出
設定してからステップS42に移行する。
【0082】 A=ΔNav/(Vav3 ………(10) 前記ステップS42では、前記ステップ40で算出設定
された車両特性係数Aを前記記憶装置70cに更新記憶
してから前記ステップS43に移行する。前記ステップ
43では、前記定速走行中制御フラグf1 を“0”に
リセットする。
【0083】次にステップS44に移行して、前記ステ
ップS41で算出された車両特性係数A又は前記ステッ
プS40で読込まれた最新の車両特性係数A又はステッ
プS26で強制的に“0”にセットされた車両特性係数
Aを前記ステップS23で読込まれた車速検出値Vに
じて,オフセット量Lを算出設定する。次にステップS
45に移行して、前記ステップS22で読込まれた前後
輪回転検出値nF,nRを用い、前記1式に従って前後
輪速度差ΔNを算出すると共に、前記ステップS44で
算出されたオフセット量を用い,前記6式に従って前輪
側トルク配分指令値Tを算出設定する。
【0084】にステップS45に移行して、前記ステ
ップS45で算出設定された前輪側トルク配分指令値T
を前記駆動回路59に向けて出力してメインプログラム
に復帰する。
【0085】次に本実施例の車両の前後輪間駆動力配分
制御装置の作用について説明するが、路面μの安定した
路面における極低定速走行状態から加速走行状態を経て
中・高定速走行状態に至る一連の作用は前記第1実施例
のそれとほぼ同様であるからその詳細な説明を割愛する
として、前記車両特性係数Aの学習制御による作用の正
確性を前記した特殊な路面μ状況下や坂道等で検証す
る。
【0086】まず車両が前記乾燥したコンクリート路面
等のような高μ路面を低速走行しているものとすると、
このような高μ路面では、車速検出値Vの大小に関わら
ず,前記図7の演算処理のステップS22からステップ
S37までの所要時間T1 で得られた前輪速平均値nF
avと後輪速平均値nRavとの差は小さい,つまり主駆動
輪である後輪2RL,2RRの定速走行状態でのスリッ
プ量は小さいと考えられる。このことは、各輪速平均値
nFav及びnRavと車速平均値Vavとの差が小さいこと
をも意味している。従って、同図7のステップS38で
算出される前後輪平均速度差ΔNavも小さな値となるか
ら、同ステップS41で算出される車両特性係数Aは小
さな値となる。従って、この高μ路面での定速走行状態
において図7の演算処理のステップS44で算出される
オフセット量Lは,勿論車速検出値Vの大小にもよる
が,相対的に小さな値となる。従って、この高μ路面で
の定速走行状態において、同図7の演算処理のステップ
S44からステップS45,S46で前輪側への駆動力
配分を実施するにあたっては、前記前後輪速度差ΔNに
対して行われる副駆動輪である前輪2FL,2FRへの
駆動力配分,即ち四輪駆動状態への移行を、この小さな
車両特性係数Aに応じた小さな不感帯,つまりオフセッ
ト量Lを越える時点まで早くすることができ、その結
果,定速走行状態における主駆動輪のスリップを早期に
解消して車両の走行安定性を確保することができる。
【0087】それでは、前記氷雪路面や濡れたタイル路
面のような極低μ路面における定速走行状態では、車速
検出値Vの大小に関わらず,前記図7の演算処理のステ
ップS22からステップS37までの所定時間T1 で得
られた前輪速平均値nFavと後輪速平均値nFavとの差
は大きく,つまり主駆動輪である後輪2RL,2RRは
定速走行状態でも常にスリップしているとも考えられ
る。このことは、特に主駆動輪である後輪2RL,2R
Rの後輪速平均値nRavと車速平均値Vavとの差が大き
いことをも意味していると言えよう。従って、同図7の
ステップS38で算出される前後輪平均速度差ΔNav
大きな値となるから、同ステップS41で算出される車
両特性係数Aは大きな値となる。従って、この極低μ路
面での定速走行状態において図7の演算処理のステップ
44で算出されるオフセット量Lは,勿論車速検出値
Vの大小にもよるが,相対的に大きな値となる。従っ
て、この極低μ路面での定速走行状態において、同図7
の演算処理のステップS44からステップS45,S4
6で前輪側への駆動力配分制御を実施するにあたって
は、前記前後輪速度差ΔNに対して行われる副駆動輪で
ある前輪2FL,2FRへの駆動力配分,即ち四輪駆動
状態への移行を、この大きな車両特性係数Aに応じた大
きな不感帯,つまりオフセット量Lを越える時点まで遅
くすることができ、その結果,四輪駆動による燃費の低
下時点を遅らせて車両の当該極低μ路面での燃費を向上
することができる。勿論、この場合の不感帯,つまりオ
フセット量Lは主駆動輪である後輪2RL,2RRが或
る程度スリップしていても車両は安定して低速走行でき
ることは、前記車両特性係数Aの学習制御理論の上から
も明らかである。
【0088】一方、路面μの状態に関わらず、車両で加
速度検出値Xgが検出されると、当該加速度検出値Xg
は直ぐに0.1gといった小さく設定された前後加速度
閾値を越えてしまうから、図7の演算処理で前記ステッ
プS25からステップS26に移行し、従って同ステッ
プS43でオフセット量Lは零となるから,ステップS
44で算出される前後輪速度差ΔNに応じた前輪2F
L,2FRへの駆動力配分制御がリアルタイムに実施さ
れ、車両の加速走行安定性が確保される。
【0089】次に、前記下り坂のように重力の影響を受
けて主駆動輪である後輪2RL,2RRがスリップしに
くい状態での定速走行状態を考察する。このような下り
坂では前述のように後輪2RL,2RRがスリップしに
くいから、走行抵抗は相対的に小さいと考えられる。従
って、車速検出値Vの大小に関わらず,前記図7の演算
処理のステップS22からステップS37までの所定時
間T1 で得られた前輪速平均値nFavと後輪速平均値n
avとの差は小さいと考えられる。従って、同図7のス
テップS38で算出される前後輪平均速度差ΔNavも小
さな値となるから、同ステップS41で算出される車両
特性係数Aは車速平均値Vavが大きくなればなるほど小
さな値となる。従って、この下り坂での定速走行状態に
おいて図7の演算処理のステップS44で算出されるオ
フセット量Lは,勿論車速検出値Vの大小にもよるが,
相対的に小さな値となる。従って、この下り坂での定速
走行状態において、同図7の演算処理のステップS44
からステップS45,S46で前輪側への駆動力配分を
実施するにあたっては、前記前後輪速度差ΔNに対して
行われる副駆動輪である前輪2FL,2FRへの駆動力
配分,即ち四輪駆動状態への移行を、この小さな車両特
性係数Aに応じた小さな不感帯,つまりオフセット量L
を越える時点まで早くすることができ、その結果,定速
走行状態における主駆動輪のスリップを早期に解消して
車両の走行安定性を確保することができる。つまり運転
者がアクセルペダルを踏込む操作を行わない限り、前輪
2FL,2FRへの駆動力配分制御による四輪駆動状態
とはならないから、この時点までは後輪2RL,2RR
のみによる二輪駆動状態を維持して燃費を向上し、しか
も後輪2RL,2RRにスリップが生じるや否や,速や
かに四輪駆動状態に移行して加速走行安定性を確保する
ことができる。
【0090】逆に、前記上り坂のように重力の影響を受
けて主駆動輪である後輪2RL,2RRがスリップし易
い状態では、走行抵抗は相対的に大きいと考えられるか
ら、車速検出値Vの大小に関わらず,前記図7の演算処
理のステップS22からステップS37までの所定時間
1 で得られた前輪速平均値nFavと後輪速平均値nR
avの差は大きく、同ステップS38で算出される前後
輪平均速度差ΔNavも大きく、同ステップS41で算出
される車両特性係数Aも相対的に大きな値となる。従っ
て、この上り坂での定速走行状態において図7の演算処
理のステップS43で算出されるオフセット量Lは相対
的に大きな値となり、同図7の演算処理のステップS4
4からステップS45,S46で前輪側への駆動力配分
を実施するにあたっては、前記前後輪速度差ΔNに対し
て行われる副駆動輪である前輪2FL,2FRへの駆動
力配分,即ち四輪駆動状態への移行を、この大きな不感
帯,つまりオフセット量Lを越える時点まで遅らせるこ
とができ、その結果,四輪駆動による燃費の低下時点を
遅らせて車両の燃費を向上することができる。
【0091】また、前述のように最近の定速走行状態を
判定して車両特性係数Aを算出するにあたり、前記異径
タイヤ装着車輪での回転速度の誤差は各輪速平均値nF
av,nRavに包含され、この各輪速平均値nFav,nR
av の差,即ち前後輪平均速度差ΔNavと車速平均値Vav
とから前記車両特性係数Aが算出されるから、改めて前
記第1実施例のようにオフセット量異径タイヤ補償分L
2 を算出設定せずとも、この車両特性係数Aに車速検出
値の3乗値V3 を乗じるだけで最適なオフセット量Lを
得ることができる。
【0092】以上より、本実施例の図7の演算処理にお
けるステップS22が本発明の車両の前後輪駆動力配分
制御装置の前後輪回転状態検出手段に相当し、以下同様
に,ステップS23及びステップS24が入力物理量検
出手段に相当し、ステップS22〜S42が駆動力配分
補正手段に相当し、ステップS25が定速走行状態検出
手段に相当し、ステップS44が駆動力配分特性変更手
段に相当し、ステップS44〜S46が駆動力配分制御
手段に相当し、トランスファ並びに比例電磁ソレノイド
が駆動力配分調整手段に相当する。
【0093】なお、前記各実施例では、前記前輪側への
駆動力配分制御の不感帯であるオフセット量Lを車速検
出値Vのみを変数として補正する場合についてのみ詳述
したが、この車速検出値Vの代わりに車両前後加速度を
始め,前後輪速度差,前後輪速度差の微分値,主駆動輪
の加速度等を変数として用いることも可能であり、その
具体的な演算処理は当該車速検出値Vの代わりにそのま
ま用いて係数を変更するだけでよい。同時に、前記各実
施例では、車両の定速走行を判定するために前後加速度
検出値Xgを用いる場合についてのみ詳述したが、車両
の定速走行を判定するためにこれらの入力物理量を用い
ることも可能である。
【0094】また、前記実施例では後輪駆動車両をベー
スにした四輪駆動車両について詳述したが、この種の四
輪駆動車両に限定されるものではなく、前輪駆動車両を
ベースにした四輪駆動車両に搭載されるトランスファの
クラッチ機構を制御するものであってもよい。この場合
は、前記した前後輪回転差ΔN=nF−nRとして演算
すればよい。
【0095】また、前記実施例ではクラッチ機構として
電磁式摩擦クラッチを用いた場合について説明したが、
本発明は駆動力を連続的に配分できるクラッチであれば
例えば流体圧クラッチ機構等にも採用できる。また、前
記実施例はコントローラ58としてマイクロコンピュー
タを適用した場合について説明したが、これに代えてカ
ウンタ,比較器等の電子回路を組み合わせて構成するこ
ともできる。
【0096】
【発明の効果】以上説明したように本発明の車両の前後
輪間駆動力配分制御装置によれば、車両の定速走行状態
で例えば四輪駆動状態への移行制御を実行しない不感帯
を設けるなどして,駆動力配分特性を変更することで、
定速走行状態における車両の燃費を向上することができ
る。また、この駆動力配分特性の変更量を,例えば車両
の走行抵抗に応じて補正することで、前記定速走行状態
における車両の燃費向上と四輪駆動走行による走行安定
性とを両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両の前後輪間駆動力配分制御装置の
基本構成図である。
【図2】本発明の車両の前後輪間駆動力配分制御装置を
前後輪間に介装されたトランスファに適用した一例を示
す概略構成図である。
【図3】図2の前後輪間の駆動力配分制御装置の一例を
示す概略構成図である。
【図4】図3の前後輪間の駆動力配分制御装置で行われ
る指令電流と前輪側への伝達トルクの相関関係図であ
る。
【図5】図3の前後輪間の駆動力配分制御装置で行われ
る前後輪速度差と前輪側トルク配分指令値との相関関係
図である。
【図6】本発明の車両の前後輪間駆動力配分制御装置の
第1実施例の演算処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の車両の前後輪間駆動力配分制御装置の
第2実施例の演算処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1はエンジン 2FL〜2RRは前左輪〜後右輪 3は駆動力系 4は駆動力配分制御装置 12は変速機 14はトランスファ 16は前輪側出力軸 18は前輪側ディファレンシャルギヤ 20は前輪側ドライブシャフト 22はプロペラシャフト 24は後輪側ディファレンシャルギヤ 26は後輪側ドライブシャフト 37はクラッチ機構 49は前後加速度センサ 50は比例電磁ソレノイド 52は車速センサ 54は前輪回転センサ 56は後輪回転センサ 58はコントローラ 59は駆動回路 70はマイクロコンピュータ
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−169326(JP,A) 特開 昭61−244628(JP,A) 特開 昭62−68135(JP,A) 特開 昭63−71428(JP,A) 特開 昭63−188524(JP,A) 特開 昭64−62922(JP,A) 特開 平1−195126(JP,A) 特開 平3−243424(JP,A) 特開 平4−5130(JP,A) 米国特許5752211(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60K 17/348 B60K 23/04

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の前後輪の何れか一方を主駆動輪と
    し、他方を副駆動輪として、制御信号に応じて当該主駆
    動輪及び副駆動輪に相当する前後輪間で機関からの駆動
    力の配分を調整する駆動力配分調整手段と、主駆動輪及
    び副駆動輪に相当する前後輪の夫々の回転状態を検出す
    る前後輪回転状態検出手段と、少なくとも前記前後輪回
    転状態検出手段で検出された前後輪回転状態検出値の差
    に基づいて、前記駆動力配分調整手段による前後輪間の
    主副駆動輪間駆動力配分を調整するための制御信号を出
    力する駆動力配分制御手段とを備えた車両の前後輪間駆
    動力配分制御装置において、車両に作用する入力又は車
    両に発生している物理量を検出するための入力物理量検
    出手段と、前記入力物理量検出手段で検出された入力物
    理量検出値に基づいて、車両の定速走行状態を検出する
    定速走行状態検出手段と、前記定速走行状態検出手段で
    検出された定速走行状態検出値に基づいて、車両の定速
    走行状態では前記副駆動輪への駆動力配分を小さくする
    ために、前記前後輪回転状態検出値の差に基づく前後輪
    間の駆動力配分調整の特性を変更する駆動力配分特性変
    更手段とを備えたことを特徴とする車両の前後輪間駆動
    力配分制御装置。
  2. 【請求項2】 前記駆動力配分特性変更手段は、前記入
    力物理量検出手段で検出された入力物理量検出値に基づ
    いて、前記前後輪間の駆動力配分調整の変更量を補正す
    る駆動力配分補正手段を備えたことを特徴とする請求項
    1に記載の車両の前後輪間駆動力配分制御装置。
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