JP2605778B2 - 四輪駆動車の駆動力配分制御装置 - Google Patents

四輪駆動車の駆動力配分制御装置

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JP2605778B2
JP2605778B2 JP63028033A JP2803388A JP2605778B2 JP 2605778 B2 JP2605778 B2 JP 2605778B2 JP 63028033 A JP63028033 A JP 63028033A JP 2803388 A JP2803388 A JP 2803388A JP 2605778 B2 JP2605778 B2 JP 2605778B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、前後輪への駆動力配分比を制御可能なト
ランスファを備えた四輪駆動車の駆動力配分制御装置に
関する。
〔従来の技術〕
従来、四輪駆動車の駆動力配分制御装置としては、例
えば本出願人によって提案されている特開昭61−157437
号公報記載のものが知られている。
この従来装置では、前後輪の駆動力伝達系に個別に設
けた回転センサから回転信号を入力し、前後輪の駆動力
伝達系の回転速度差を演算し、その回転速度差が大きく
なるにしたがって回転速度の小さい方の車輪への駆動力
配分量を増加させるようにしている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、このような従来の装置にあっては、前
後輪の回転速度差がその増大方向へ変化して初めて前後
輪に駆動力を配分するためのクラッチの締結力が増加さ
れるという構成になっていたため、急速な変速機のシフ
トダウン,シフトアップ後の急加速時又は急発進時にク
ラッチ伝達トルクを増大させて四輪駆動方向に制御して
も、クラッチへの油圧印加に若干の遅れがあることか
ら、的確な駆動力配分の四輪駆動状態になる前に回転速
度差が大きくなり、クラッチの熱的負荷(回転速度差と
伝達トルクとの積に比例)が大きくなって、その分、ク
ラッチの焼付き等クラッチの耐久性が低下するという課
題が残されていた。
これを第11図に示した急発進時の場合について詳述す
る。アクセル開度Aを時刻t1〜t2の間に急上昇させる
と、後輪スリップが生じて回転速度差ΔNが上昇しよう
とする。制御装置は、この回転速度差ΔNを検出し、こ
の回転速度差ΔNを制御する値の指令電流iを演算し、
この指令電流iを油圧供給手段に供給する。しかし、ク
ラッチに対する油圧の立ち上がりは、同図中のΔtの如
く応答遅れがあるため、この応答遅れの間に回転速度差
ΔNが大きくなり、クラッチの耐久性が低下するという
未解決の課題があった。
この発明は、このような未解決の課題に鑑みてなされ
たもので、急加速時及び急発進時におけるクラッチの負
荷を軽減し、クラッチの耐久性を向上させることのでき
る四輪駆動車の駆動力配分制御装置を提供することを、
その目的としている。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するため、この発明は、第1図に示す
ように、回転駆動源の駆動力を前,後輪に配分するトラ
ンスファ内に装着され当該トランスファの前輪側と後輪
側との間の締結力を連続的に変更可能なクラッチを備
え、該クラッチの締結力を車両の走行状況に応じて変更
するようにした四輪駆動車の駆動力配分制御装置におい
て、車両の前後輪の回転速度差を検出する前後輪回転速
度差検出手段と、該前後輪回転速度差検出手段の検出値
に基づいて目標締結力指令値を演算する目標締結力演算
手段と、前記前後輪回転速度差検出手段の検出値に基づ
きクラッチ発熱量を加味して四輪駆動状態を維持可能な
許容締結力指令値を演算する許容締結力演算手段と、前
記目標締結力指令値が前記許容締結力指令値以下のとき
には当該目標締結力指令値を選択し、それが許容締結力
指令値を以上のときには、許容締結力指令値以下で且つ
少なくとも四輪駆動状態を維持可能な指令値を選択する
指令値選択手段と、該指令値選択手段で選択された締結
力指令値に基づいて前記クラッチの締結力を制御するク
ラッチ制御手段とを備えたことを特徴としている。
〔作用〕
この発明によれば、回転速度差検出手段の検出値によ
る車両の走行状況に応じてトランスフア内のクラッチに
与えるべき目標締結力指令値と、クラッチの発熱量を考
慮した四輪駆動状態を維持可能な許容締結力指令値とを
演算し、これらが指令値選択手段で選択される。すなわ
ち、車両の走行状況に応じた目標締結力指令値が許容締
結力指令値以上のときには、目標締結力指令値を制限す
る許容締結力指令値以下ではあるが、少なくとも四輪駆
動状態を維持可能な指令値を選択し、この指令値に基づ
いてクラッチ制御手段によってクラッチの締結力を制御
する。一方、目標締結力指令値が許容締結力指令値以下
の場合は、選択手段で目標締結力指令値を選択し、この
目標締結力指令値に基づいてクラッチ制御手段によりク
ラッチの締結力を制御する。このため、急変速時又は急
発進時にあってクラッチの回転速度差が大きい場合で
も、クラッチの締結力を前記許容締結力以下に抑制で
き、クラッチにかかる熱的負荷を著しく減少できる結
果、トランスファのクラッチの耐久性を大幅に向上でき
る。また、低摩擦係数路での急発進時でも、クラッチに
回転速度差があれば、少なくとも最小限以上の四輪駆動
状態が維持されるので、こうした低摩擦係数路での、ゆ
っくりではあるが滑らかな車両の発進を可能とし、その
後、車速の増速に伴ってクラッチの回転速度差が小さく
なれば前記目標締結力を指令値とする通常の駆動力配分
制御にも復帰することが可能となる。
〔実施例〕
以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
第2図乃至第8図は、この発明の一実施例を示す図で
ある。この実施例は、FR(フロントエンジン,リヤドラ
イブ)方式をベースにしたパートタイム四輪駆動車に適
用した場合を示す。
第2図において、1は回転駆動源としてのエンジン、
2FL〜2RRは前左〜後右側の車輪、3は車輪2FL〜2RRへの
駆動力配分比を変更可能な駆動力伝達系、4は駆動力伝
達系3による駆動力配分を制御する駆動力配分制御装置
を示す。
駆動力伝達系3は、エンジン1からの駆動力を断続す
るクラッチ10と、このクラッチ10の出力を選択された歯
車比で変速する変速機12と、この変速機12からの駆動力
を前輪2FL,2FR側及び後輪(常駆動輪)2RL,2RR側に分割
するトランスファ14とを有している。そして、駆動力伝
達系3では、トランスファ14で分割された前輪駆動力が
前輪側出力軸16、フロントディファレンシャルギヤ18及
び前輪側ドライブシャフト20を介して前輪2FL,2FRに伝
達され、一方、後輪側駆動力がプロペラシャフト(後輪
側出力軸)22、リヤディファレンシャルギヤ24及び後輪
側ドライブシャフト26を介して後輪2RL,2RRに伝達され
る。
トランスファ14は、第3図,第4図に示すように構成
されている。即ち、第3図において、28はトランスファ
ケースを示し、このトランスファケース28内に変速機12
の出力側に連結された入力軸30が挿通され、この入力軸
30はベアリング31等によって回動自在に軸支されてい
る。また、入力軸30の第3図における右端側は、プロペ
ラシャフト22に連結され且つベアリング32によって回動
自在に軸支された出力軸33に結合されている。ここで、
30Aは油路、34は出力軸33にスプライン結合された継手
フランジ、35はオイルシール、36はスピードメータ用ピ
ニオンである。
一方、前記入力軸30の中央部には、図示の如く、前後
輪に対するトルク配分比を変更できる湿式多板クラッチ
37が設けられている。このクラッチ37は、入力軸30にス
プライン結合されたクラッチドラム37aと、このクラッ
チドラム37aに一体に結合されたフリクションプレート3
7bと、前記入力軸30の外周部にニードルベアリング38に
よって回動自在に支持されたクラッチハブ37cと、この
クラッチハブ37cに一体に結合されたフリクションディ
スク37dと、クラッチ37の第3図における右側に配置さ
れたクラッチピストン37eと、このクラッチピストン37e
とクラッチドラム37aとの間に形成されたシリンダ室37f
とを備えている。また、このクラッチ37において、37g
はディッシュプレートであり、37hはクラッチピストン3
7eに対するリターンスプリングである。
また、クラッチ37は、第3図に左端側に図示のように
装着されたギヤトレーンを介して前輪側にも連結されて
いる。すなわち、前記クラッチハブ37cは、ベアリング4
0A,40Bによって回動自在な第1のギヤ41Aにスプライン
結合され、この第1のギヤ41Aはベアリング42,43によっ
て回動自在な第2のギヤ41Bに噛合され、この第2のギ
ヤ41Bは第3のギヤ41Cを介して前述した前輪側出力軸16
に連結されている(第4図参照)。
さらに、前記トランスファケース28の側面所定位置に
は、後述する油圧供給機構から油圧(指令力)が供給さ
れる入力ポート46が設けられている。そして、この入力
ポート46は、トランスファケース28及びクラッチドラム
37aの内部に図示のように形成された油路47を介して前
記シリンダ室37fに連通している。
このため、入力ポート46にオイルの供給がない状態で
は、クラッチ37のシリンダ室37fの圧力が零であるか
ら、リターンスプリング37hのばね力によって、フリク
ションプレート37bとフリクションディスク37dが離間し
ている。従って、この状態では、入力軸30に伝達された
入力トルクの全部が出力軸33,プロペラシャフト22を介
して後輪側に伝達され、2輪駆動状態となる。一方、入
力ポート46にオイルが供給されている状態では、そのシ
リンダ室37fの加圧程度に応じてクラッチピストン37eに
よる押圧力が発生し、これに対応してフリクリションプ
レート37bとフリクションディスク37dとの間に摩擦力に
よる締結力が発生し、これにより、全駆動トルクの内の
一部が出力軸16を介して前輪側にも伝達される。この前
輪側へ伝達可能な伝達トルクΔTと油圧Pとの関係は、 ΔT=P×S×2n×μ×rm ……(1) である。ここで、Sはピストン37eの圧力作用面積,nは
フリクションディスク枚数,μはクラッチ板の摩擦係
数,rmはフリクションディスクのトルク伝達有効半径で
ある。
つまり、伝達トルクΔTは油圧Pに比例し(第6図参
照)、結局、締結力に応じて駆動トルクが後輪側及び前
輪側に配分・伝達される。この前後輪に対するトルクの
配分比は、入力ポート46に供給する作動油の圧力Pに応
じて「0:100」から「50:50」まで連続的に変更できる。
一方、第2図に戻って、駆動力配分制御装置4は、前
記トランスファ14と、このトランスファ14の摩擦クラッ
チ37の入力ポート46に作動油を供給する油圧供給機構50
と、前輪側回転センサ54と、後輪側回転センサ56とを備
えている。
油圧供給機構50、第4図に示すように、エンジン1を
回転駆動源とし、タンク62内のオイルを吸入,加圧して
前記入力ポート46に所定ライン圧の油圧を供給するオイ
ルポンプ64と、このオイルポンプ64の吐出側とタンク62
との間に併設された電磁比例制御形のリリーフ弁66とを
有している。このため、リリーフ弁66の比例ソレノイド
66Aに供給する指令電流iの値に応じてリリーフ弁66の
設定圧が定まり、この設定圧にオイルポンプ64及びクラ
ッチ37間の圧力が調整され、結局、油圧供給機構50が供
給する油圧Pは第7図に示すように指令電流iに比例し
て変化するようになっている。
また、前輪側回転センサ54及び後輪側回転センサ56
は、前輪側出力軸16及び後輪側のプロペラシャフト22の
所定位置に個別に装備され、各軸の回転数を光学方式で
検知してこれに応じたパルス信号による回転信号nf,nr
を個別にコントローラ58に出力するように構成されてい
る。
前記コントローラ58は、第4図に示すように、マイク
ロコンピュータ70と、マイクロコンピュータ70からの制
御信号をD/A変換するD/A変換器76と、このD/A変換器76
の出力に応じた指令電流iをリリーフ弁66に供給する駆
動回路78とを有している。
前記マイクロコンピュータ70はインターフェイス回路
80,演算処理装置82,ROM,RAM等の記憶装置84を少なくと
も含んで構成される。演算処理装置82は、各検出信号を
インターフェイス回路80を介して読み込み、予め格納さ
れている所定プログラムにしたがって駆動力配分制御の
ための演算・制御処理(第8図参照)等を行う。また、
記憶装置84は、演算処理装置82の処理の実行に必要なプ
ログラム及び固定データ等を予め記憶しているととも
に、その処理結果を一時記憶可能になっている。この
内、固定データとしては、第5図〜第7図に示す各制御
特性に対応した記憶テーブルを含んでいる。
第5図〜第7図を詳述すると、先ず、第5図は、前後
輪回転速度差ΔNに対する前輪側への目標クラッチ伝達
トルクΔTの制御特性を示したものである。これによる
と、目標クラッチ伝達トルクΔTは、ΔNの値によって
決定され、駆動力配分の制御は、伝達トルクΔTを回転
速度差ΔNの値に応じて増減させる。
また、第6図は油圧供給機構50の供給圧Pの変化に応
じて直線的に変化するクラッチへの伝達トルクΔTの値
を、第7図は指令電流iの増減に応じて増減する供給圧
Pの値を各々示している。
したがって、第5図に対応する記憶テーブルを参照す
ることにより伝達トルクΔTが決定されると、第6図,
第7図に対応する記憶テーブルを順次参照して、コント
ローラ58が出力しなければならない指令電流iの値が逆
算され得るようになっている。
次に、上記実施例の動作を説明する。
キースイッチがオンとなると、電源が投入され、コン
トローラ58での制御が開始される。そして、コントロー
ラ58では、所定のメインプログラムを実行するととも
に、所定時間(例えば20msec)毎のタイマ割込処理によ
り第8図に示すクラッチ伝達トルク可変制御を実行す
る。このクラッチ伝達トルク制御によりクラッチ締結力
が制御される。
一方、エンジンが回転されると、オイルポンプ64が作
動開始し、油圧供給機構50は指令電流iに応じた油圧P
をクラッチ37に供給可能になる。
まず、第8図のタイマ割込処理を説明する。
同図スイッチでは、演算処理装置82は、前記前輪側
回転センサ54及び後輪側回転センサ56によって検出され
た回転信号nf及びnrを順次所定時間ずつ読み込む。次い
で、ステップでは、ステップの検出信号から単位時
間当りのパルス数またはパルス間隔を演算することによ
って前輪側回転速度Nf及び後輪側回転速度Nrを各々算出
し、その結果を一時記憶する。
次いでステップに移行し、スリップ状況を認識する
ため、ΔN=Nr−Nfの式によりクラッチ板の相対速度差
ΔNを演算して、その結果を一時記憶し、ステップに
移行する。ここで、前後輪の回転速度差ΔNは、前記後
輪側のフリクションプレート(第4図37b)と前輪側の
フリクションディスク(第4図37d)との相対回転速度
に対応している。
ステップにおいては、上記ステップで演算した前
後回転速度差ΔNから、第5図に示す前輪側に伝達可能
な目標クラッチ伝達トルクΔTを演算する。この演算
は、演算処理装置82で記憶装置84に予め格納されている
第5図に対応した記憶テーブルを参照して、回転速度差
ΔNに応じた目標締結力指令値としての目標クラッチ伝
達トルクΔTを決定する。
次にステップに移行し、クラッチ発熱量の許容値を
考慮して、回転速度差ΔNに応じたクラッチの許容締結
力指令値としての許容クラッチ伝達トルクTmaxを演算す
る。第9図にクラッチの相対回転速度ΔNとクラッチの
許容クラッチ伝達トルクTmaxとの関係を示す。前記記憶
装置84は、固定データとして第9図に示す特性が記憶テ
ーブルとして格納されている。演算処理装置82は、第9
図に対応した記憶テーブルを参照して、相対回転速度Δ
Nに応じた許容クラッチ伝達トルクTmaxを決定する。第
9図におけるクラッチ相対回転速度ΔNと許容クラッチ
伝達トルクTmaxとの関係を説明すると、次のとおりであ
る。クラッチ37の単位時間当りの発熱量は、前述のごと
く、クラッチ相対回転速度ΔNとクラッチ伝達トルクΔ
Tとの積に比例する。したがって、クラッチ発熱量の許
容量を考慮すると、 Tmax=f2(ΔN)=K1/ΔN ……(2) のごとくなり、ΔNとTmaxが反比例することになる。な
お、K1は“0"でない定数であることから、クラッチ相対
回転速度差ΔNの増加に伴って許容クラッチ伝達トルク
Tmaxも小さくなるが“0"にはならない,つまりこの許容
クラッチ伝達トルクTmaxが指令値として選択される限
り、車両は少なくとも四輪駆動状態を維持することにな
る。
次に、ステップに移行し、前記ステップにおいて
決定された目標クラッチ伝達トルクΔTが、ステップ
において決定された許容クラッチ伝達トルクTmaxより大
きいか否かを判定する。ステップにおいて、目標クラ
ッチ伝達トルクΔTが許容クラッチ伝達トルクTmax以下
と判定された場合には、ステップに移行して、クラッ
チ締結力指令トルクTを、前記ステップで得られた
ΔTに設定する。
一方、ステップで目標クラッチ伝達トルクΔTが許
容クラッチ伝達トルクTmaxより大きいと判定された場合
には、ステップに移行し、クラッチ締結力指令トルク
をステップで得られた許容クラッチ伝達トルクT
maxに設定し、クラッチ伝達トルクΔTを制限する。な
お、ステップにおいて、クラッチ締結力指令トルクT
をTmaxより小さい値に設定することもでき、クラッチ
発熱量を考慮して、適宜決定できる。
上記ステップ,において、クラッチ締結力指令ト
ルクTが決定された場合は、ステップに移行して指
令クラッチ締結力Pを演算する。この指令クラッチ締
結力Pは、クラッチ締結力指令トルクTに基づいて
前記第6図の記憶テーブルを参照して決定される。
次いでステップに進み、指令クラッチ締結力P
基づいて第7図に対応した記憶テーブルを参照すること
によって、油圧供給機構50のリリーフ弁66の比例ソレノ
イド66Aに供給すべき指令電流iの値が逆算される。そ
して、ステップでは、ステップで求められた指令電
流iの値に応じた制御信号をD/A変換器76に出力し、メ
インプログラムに復帰する。これによって、D/A変換器7
6は、入力した制御信号をアナログ化して、駆動回路78
に出力し、駆動回路78は、演算処理装置82で設定された
値の指令電流iを比例ソレノイド66Aに供給する。そこ
で、油圧供給機構50は、指令電流iに応じた油圧P(第
7図参照)をクラッチ37に供給し、クラッチ37の締結力
がクラッチ締結力指令トルクTを伝達可能な値に制御
される。
ここで、第8図のステップ〜の処理及び回転セン
サ54,56が前後輪回転速度差検出手段に対応し、ステッ
プの処理が目標締結力指令値算出手段に対応し、ステ
ップの処理が許容締結力指令値算出手段に対応し、ス
テップ〜の処理が指令値選択手段に対応し、第8図
のステップ〜の処理及びD/A変換器76,駆動回路78,
油圧供給機構50がクラッチ制御手段に対応している。
したがって、急加速、急発進等を伴わないで乾燥路等
の高摩擦係数路を走行する通常走行状態では、前輪側回
転センサ54及び後輪側回転センサ56で検出される前後輪
の回転速度差ΔNを略零であり、第8図の処理におい
て、ステップで演算される目標クラッチ伝達トルクΔ
Tは略零となり、且つステップで演算される許容クラ
ッチ伝達トルクTmaxは大きな値となるので、ステップ
からステップに移行して、目標クラッチ伝達トルクΔ
Tが指令トルクTとして選択され、これに基づいてス
テップで略零の指令クラッチ締結力Pが演算され、
これに応じて指令電流iが零となる。したがって、リリ
ーフ弁66が全開状態となって、オイルポンプ64のから吐
出される作動油が全てタンク62に戻されることになり、
クラッチ37に供給される油圧Pは零となって、クラッチ
37の締結力も零となり、後二輪駆動状態となる。
この後二輪駆動状態から例えば後輪側がスリップする
急加速状態とすると、前後輪に例えばΔN1で表される回
転速度差が生じ、これに応じてステップで演算される
目標クラッチ伝達トルクΔTの値が第5図に示すΔT1
なる。一方、ステップで演算される許容クラッチ伝達
トルクTmaxは、第9図でT1で示すように目標クラッチ伝
達トルクΔT1より小さな値となる。
このため、ステップからステップに移行して、指
令トルクTがT1に設定され、目標クラッチ伝達トルク
ΔT1が大きく制限されることになる。
この結果、第10図に示すように、高摩擦係数路での急
加速前の通常走行状態では、前後輪の回転速度差ΔNが
零で目標クラッチ伝達トルクΔTも略零であるので、第
10図のA点にあり、この状態から急加速状態に移行する
と、前後輪の回転速度差ΔNがΔN1に上昇することによ
り、目標クラッチ伝達トルクΔTはB点に示す値とな
る。このB点のクラッチ伝達トルクを指令値としてクラ
ッチ37を制御する場合、実際に前輪側にトルクが伝達さ
れると回転速度差ΔNが減少するが、クラッチ37の単位
発熱量は許容値を越えてしまうため、B点がB′点に移
行し、このB′点でクラッチが焼き付くことが予想され
る。そのため、上記実施例では前記第8図のステップ
において、許容クラッチ伝達トルクTmaxが演算され、ス
テップにおいて、許容クラッチ伝達トルクTmaxをクラ
ッチ締結力指令トルクTとする。すなわち、第10図に
示すように、B点に代えて許容クラッチ伝達トルクを表
すC点となるように制御する。
ここで、B点をC点として、C点におけるクラッチ締
結力指令トルクTに応じた締結力をクラッチ37にかけ
た場合は、このときの締結力が低いので、クラッチ相対
回転速度ΔNが増加して、クラッチの発熱量から定めら
れる許容値を越える可能性がある。そこで、第10図の実
線図示のように、演算用のクラッチ許容値は、点線図示
の実際のクラッチ許容ラインより低く設定される。
したがって、クラッチ締結力指令トルクがC点に制御
された状態で、クラッチ相対回転速度ΔNがD点まで増
加した場合には、D点の値を演算用のクラッチ許容トル
クラインを用いてE点になるように制御される。
このように、高摩擦係数路を走行する際の急加速時、
急発進時には、目標クラッチ伝達トルクΔTが許容クラ
ッチ伝達トルクTmax以下に制限される結果、クラッチ締
結力が実際に必要とされる締結力以下に制御されて、前
輪側へのトルク配分が減少するが、急加速,急発進の頻
度は少なく、しかも瞬間的であり、そのうえ後二輪駆動
状態に近いとはいえ四輪駆動状態が維持されるので、操
縦安定性が損なわれることはない。また、操縦安定性が
問題となる雪路,降雨路などの低摩擦係数路を走行して
いる場合には、タイヤのグリップ力が小さくなるため、
クラッチ37を通る伝達トルクは小さな値となり、クラッ
チに発生するクラッチ相対回転速度差ΔNがある程度大
きくても前記2式で得られる発熱量はもともと小さいか
ら、少なくとも瞬間的な或いは短時間でのクラッチの焼
き付きの問題はない。一方、このように低摩擦係数路で
は伝達可能なトルクがもともと小さいから、急発進時に
前記クラッチ相対回転速度差ΔNが大きくなり、その結
果、目標クラッチ伝達トルクΔTが前記許容クラッチ伝
達トルクTmax以下に制限され、副駆動輪である前輪に少
しだけ駆動力が付与される、つまり最小限以上の四輪駆
動状態が維持されると、車両はゆっくりと発進し、この
状態が継続すれば車両は少しずつ加速し続けることがで
きる。従って、車体の加速に伴って副駆動輪である前輪
速が増速し、やがてクラッチ相対回転速度差ΔNも小さ
くなるから、このクラッチ相対回転速度差ΔNに応じた
目標クラッチ伝達トルクΔTが前記許容クラッチ伝達ト
ルクTmax以下になると、前記第8図の演算処理のステッ
プ6からステップ7に移行し、当該クラッチ相対回転速
度差ΔNに応じた四輪駆動力配分制御を行って滑らかな
発進加速と操縦安定性とを確保することができる。
なお、乾燥路等の高摩擦抵抗路での発進時、クラッチ
での滑りをなくすより大きなクラッチ締結力で急速に完
全四輪駆動状態に制御することも考えられるが、こうす
ると前輪側のパワートレイン系(デフ,アクスル)に大
きな負荷トルクが伝達され、これに耐えるためには、パ
ワートレイン系の機械的強度を高めなければならず、よ
り重く,より大きなパワートレイン系とする必要がある
と共に、エンジン回転数も急激に落ちてしまいエンジン
トルクが低下して加速性能が低下することになり得策で
はない。
したがって、本実施例では、上述した処理を繰り返す
ことによって、急変速,急発進にかかる運転状態か否か
が的確に弁別され、そのような運転状態でない場合は、
クラッチの相対速度ΔNによって演算された目標クラッ
チ伝達トルクΔTが、クラッチ締結力指令トルクT
なり、この指令トルクに基づいて、クラッチの締結力が
指令される。また、急変速,急発進である場合には、演
算された目標クラッチ締結力ΔTを、許容クラッチ締結
トルクTmaxまで制限し、この許容クラッチ伝達トルクを
クラッチ締結力指令トルクとする。この指令トルクによ
り、クラッチ締結力が指令される。これによって、従来
のように、ΔNに追従して伝達トルクΔTを一義的に決
定する場合とは異なり、クラッチに多少の応答遅れがあ
り、クラッチの回転速度差ΔNが大きくなる状態でも、
クラッチの締結力Tを小さく抑制できることから、ク
ラッチにかかる熱的負荷(回転速度差ΔNと伝達トルク
ΔTとの積に比例)を著しく減少させることができ、ク
ラッチ37の耐久性を従来装置に比べて大幅に向上できる
という利点がある。
また、特に低摩擦係数路での発進時には、クラッチ相
対回転速度差ΔNが増加し易く、これに伴って目標クラ
ッチ伝達トルクΔTが増加すると、これを許容クラッチ
伝達トルクTmaxで制限することにより、逆に副駆動輪へ
の駆動力配分が小さい四輪駆動状態を維持して、ゆっく
りではあるが滑らかな発進加速を可能とすると共に、場
合によってはそのままクラッチ相対回転速度差ΔNに応
じた通常の四輪駆動力配分制御に自動復帰することも可
能となる。
なお、本実施例では、後輪駆動車をベースにした四輪
駆動車について説明したが、これに限定されるものでは
なく、前輪駆動車をベースにした四輪駆動車に搭載され
るトランスファのクラッチに対する装置であってもよ
い。この場合は、前後輪回転速度差ΔN=Nf−Nrとして
演算すればよい。
また、前記実施例では、締結力指令値としての目標ク
ラッチ伝達トルクΔTと許容クラッチ伝達トルクTmax
を比較した場合について説明したが、これに限らず各伝
達トルクΔT及びTmaxに基づいて算出したクラッチ締結
力又は指令電流を比較するようにしてもよい。
さらに、前記実施例では、クラッチとして油圧駆動に
よる湿式多板クラッチを用いた場合について説明した
が、この発明は駆動力を連続的に配分できるクラッチで
あれば、例えば電磁クラッチであってもよい。
またさらに、回転駆動源としては、エンジンに限らず
電動モータその他の回転駆動源を適用し得ることは言う
までもない。
なおさらに、コントローラ58としては、マイクロコン
ピュータに代えてカウンタ、比較器等の電子回路を組み
合わせて構成することもできる。
〔発明の効果〕
以上説明したように、この発明によれば、車両の走行
状況に応じてクラッチに与えるべき目標締結力指令値
と、クラッチの発熱量を考慮しながら四輪駆動状態を維
持可能な許容締結力指令値とを指令値選択手段で選択す
ることにより、目標締結力指令値が許容締結力指令値以
下の場合は、この目標締結力指令値をそのままクラッチ
に指令する一方、当該目標締結力指令値が許容締結力指
令値以上のときには、この目標締結力指令値を許容締結
力指令値以下で少なくとも四輪駆動状態を維持可能な値
まで制限し、その制限された締結力指令値をクラッチに
指令する構成としたため、クラッチの応答遅れによって
クラッチの回転速度差が大きくなる状態でも、クラッチ
の締結力を抑制できることから、クラッチにかかる熱的
負荷を著しく減少でき、クラッチの耐久性が大幅に向上
すると共に、特に低摩擦係数路での副駆動輪への駆動力
配分を強制的に小さくしながら四輪駆動状態を維持する
ことによって、ゆっくりではあるが滑らかな,操縦安定
性に優れた発進加速を可能とする四輪駆動車を提供でき
るという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の概要を示す基本構成図、第2図はこ
の発明の一実施例の概略を示す構成図、第3図は第2図
の実施例におけるトランスファを示す概略断面図、第4
図は第2図の実施例におけるコントローラを中心とする
ブロック図、第5図乃至第7図は記憶テーブルに対応す
るグラフであって、この内、第5図は回転速度差ΔNと
前輪側への目標伝達トルクΔTとの関係を示すグラフ、
第6図は供給圧Pと目標伝達トルクΔTとの関係を示す
グラフ、第7図は指令電流iと供給圧Pとの関係を示す
グラフ、第8図はコントローラにおいて実行される処理
手順を示す概略フローチャート、第9図及び第10図はそ
れぞれクラッチ相対回転速度と許容クラッチ伝達トルク
との関係を示すグラフ、第11図は急発進時等のクラッチ
の作動遅れを説明するグラフである。 図中、1はエンジン、2FL,2FRは前輪、2RL,2RRは後輪、
4は駆動力配分制御装置、14はトランスファ、37はクラ
ッチ、50は油圧供給機構、54は前輪側回転センサ、56は
後輪側回転センサ、58はコントローラである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】回転駆動源の駆動力を前,後輪に配分する
    トランスファ内に装着され当該トランスファの前輪側と
    後輪側との間の締結力を連続的に変更可能なクラッチを
    備え、該クラッチの締結力を車両の走行状況に応じて変
    更するようにした四輪駆動車の駆動力配分制御装置にお
    いて、車両の前後輪の回転速度差を検出する前後輪回転
    速度差検出手段と、該前後輪回転速度差検出手段の検出
    値に基づいて目標締結力指令値を演算する目標締結力演
    算手段と、前記前後輪回転速度差検出手段の検出値に基
    づきクラッチ発熱量を加味して四輪駆動状態を維持可能
    な許容締結力指令値を演算する許容締結力演算手段と、
    前記目標締結力指令値が前記許容締結力指令値以下のと
    きには当該目標締結力指令値を選択し、それが許容締結
    力指令値以上のときには、許容締結力指令値以下で且つ
    少なくとも四輪駆動状態を維持可能な指令値を選択する
    指令値選択手段と、該指令値選択手段で選択された締結
    力指令値に基づいて前記クラッチの締結力を制御するク
    ラッチ制御手段とを備えたことを特徴とする四輪駆動車
    の駆動力配分制御装置。
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