JPH07186758A - 車両の前後輪間駆動力配分制御装置 - Google Patents

車両の前後輪間駆動力配分制御装置

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JPH07186758A
JPH07186758A JP5337014A JP33701493A JPH07186758A JP H07186758 A JPH07186758 A JP H07186758A JP 5337014 A JP5337014 A JP 5337014A JP 33701493 A JP33701493 A JP 33701493A JP H07186758 A JPH07186758 A JP H07186758A
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Toshiharu Takasaki
俊治 高崎
Tomoyuki Hara
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    • B60K23/00Arrangement or mounting of control devices for vehicle transmissions, or parts thereof, not otherwise provided for
    • B60K23/08Arrangement or mounting of control devices for vehicle transmissions, or parts thereof, not otherwise provided for for changing number of driven wheels, for switching from driving one axle to driving two or more axles
    • B60K23/0808Arrangement or mounting of control devices for vehicle transmissions, or parts thereof, not otherwise provided for for changing number of driven wheels, for switching from driving one axle to driving two or more axles for varying torque distribution between driven axles, e.g. by transfer clutch

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Abstract

(57)【要約】 【目的】変速操作時のように駆動力が短時間に断続され
た時に、主として主駆動輪が大幅にスリップして生じる
スリップロスに係るエネルギ損を抑制すると共に、所望
する駆動力配分状態への移行を早めて制御応答性を向上
する。 【構成】検出又は算出された前後輪の速度差ΔNに応じ
てリニアに増加する基準トルク配分指令値T1 を算出す
ると共に、車両で検出される車速検出値V及び横加速度
検出値Ygに応じ且つ前記基準トルク配分指令値T1
同等かそれよりやや小さいトルク配分制限値TLIM を算
出し、前記変速操作時のように駆動力が短時間に断続さ
れたときに生じる前後輪速度差ΔNの急激な減少に伴っ
て,基準トルク配分指令値T1 が急激に減少した場合に
は、前記トルク配分制限値TLIM を制御指令値T2 に設
定出力することで、当該状況下での主駆動輪への駆動力
配分状態を小さくして前記ステップロスに係るエネルギ
損を抑制する構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,車両の前後輪の何れか
一方を主駆動輪とし、他方を副駆動輪として、当該主駆
動輪及び副駆動輪に相当する各前後輪の車輪速や車輪回
転数等の車輪回転状態の偏差に応じて、主駆動輪及び副
駆動輪に相当する両前後輪間の駆動力配分を制御可能な
車両の前後輪間駆動力配分制御装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】このような主駆動輪及び副駆動輪に相当
する前後輪間の駆動力配分を制御する装置,具体的に所
謂四輪駆動車両の前後輪間トルクコントロールシステム
等として知られるものには、種々のものがある。その中
には、例えば前後輪間の駆動力伝達系に、締結力の可変
制御によって伝達トルクを可変制御可能な可変トルクク
ラッチ機構を介装したものや,制限機構付き差動装置,
所謂リミテッドスリップセンタディファレンシャル機構
を介装したものなどがあり、これらの機構による伝達ト
ルクを調整することによって前後各輪への駆動力配分を
調整する。このうち、前記可変トルククラッチには、現
在,流体式や電磁式等のものが主として用いられてお
り、このうち流体式可変トルククラッチはクラッチピス
トンへの流体圧を制御することにより、また電磁式可変
トルククラッチは比例電磁ソレノイドへの電流値を制御
することにより、クラッチプレート間の摩擦接触力を可
変制御してその締結力を制御し、これにより前記伝達ト
ルクを制御する。
【0003】そして、これらの伝達トルク可変調整手段
を用いて四輪駆動車両の前後輪間駆動力配分を制御する
ものとしては、例えば本出願人が先に提案した特開平1
−204826号公報に記載されるものがある。この発
明原理について簡単に記述すると、まず、タイヤ特性と
して駆動力が負荷されたときにはタイヤが路面に対して
トラクションを伝達しようとするから、当該タイヤを含
む車輪の見掛け上のグリップ力は低下する。そこで、前
記特開平1−204826号公報に記載される前後輪間
駆動力配分制御装置では、通常定速走行状態で主駆動輪
となる後輪(即ち後輪を主駆動輪とする例えばFRベー
スの四輪駆動車両の後輪)に100%の駆動力が負荷さ
れるように設定し、一方で主駆動輪及び副駆動輪である
前輪及び後輪の夫々の回転状態を回転数や回転角速度等
から検出し、少なくとも主駆動輪である後輪の回転数や
回転角速度等の回転状態検出値が,副駆動輪である前輪
の回転数や回転角速度等の回転状態検出値よりも大きい
場合、即ち後輪回転状態検出値から前輪回転状態検出値
を減じた両者の偏差が正となるような場合には、タイヤ
特性,路面摩擦係数(単に路面μとも記す),車両旋回
状態等の制御因子を含んでも当該主駆動輪である後輪の
駆動力が大き過ぎるために当該後輪にスリップが発生し
ていると判断し、前記後輪回転状態検出値と前輪回転状
態検出値との偏差に応じた駆動力を前輪側に配分するた
めの前後輪間駆動力配分状態を算出設定し、この前後輪
間駆動力配分状態を達成するための制御信号を前後輪間
に介装された前記伝達トルク可変調整手段に出力し、こ
の制御信号を入力した伝達トルク可変調整手段では前記
前後輪間駆動力配分状態を達成して所定の駆動力,即ち
前輪駆動トルクを副駆動輪である前輪側に伝達して主駆
動輪である後輪のスリップを抑制する。
【0004】ここで、前記前後輪間駆動力配分状態を前
後輪間の駆動力配分比で示すと、この前後輪間駆動力配
分比が小さくなるほど、即ち副駆動輪への駆動力配分が
大きくなるほど、具体的には前後各輪への駆動力配分比
が50%:50%に接近するほどに車両の走行安定性が
向上する一方で,車両としての燃費が低下することは一
般に認識されていることであり、この燃費向上を意図と
して,定速走行状態と認識される前記前後輪間の回転状
態検出値の偏差が零の状況下では、副駆動輪の駆動力対
主駆動輪の駆動力の配分比を0:100%に設定してい
るのである。
【0005】なお、前記特開平1−204826号公報
に記載されるものを始めとする前後輪間駆動力配分制御
装置では、主として前後輪への駆動力配分制御の応答性
を高めるために,前記前後輪間駆動力配分比を算出設定
するにあたり、前記前後輪間の回転状態検出値の偏差が
零となる点を通って単純増減する駆動力配分比制御曲線
等の前後輪間駆動力配分制御曲線に則り,例えばマップ
検索するなどして当該前後輪間駆動力配分状態を算出設
定している。また、前記流体圧クラッチや電磁式クラッ
チ,或いは差動制限機構等の伝達トルク可変調整手段
は,凡そ機関,変速機の後段に設けられるのが一般的で
あり、具体的には変速機の出力軸のトルクを所定の分配
比で主駆動輪及び副駆動輪に相当する前後輪に伝達して
いる。また、前記前後輪間駆動力配分制御装置では、後
輪を主駆動輪とし、副駆動輪である前輪側への伝達トル
クを可変制御することとしているが、例えばFFベース
とする四輪駆動車両のような場合には前輪を主駆動輪と
し、副駆動輪である後輪側への伝達トルクを可変制御す
ることも勿論可能である。また、前記した定速走行状態
における駆動力配分比は0:100%以外の設定も勿論
可能である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記のよう
な前後輪間駆動力配分制御装置において、主駆動輪及び
副駆動輪に相当する前後輪への駆動力伝達が強制的に寸
断される状況を考える。理解を容易化する具体的な状況
は,手動変速機を備えた車両において、加速中に手動変
速するためにクラッチを断続する状況が挙げられる。こ
のような状況下では、主駆動輪及び副駆動輪に相当する
前後両輪の駆動力が一時的に寸断され、各輪は車両慣性
による惰性走行に伴って回転するだけであるから、理論
的に各輪の回転速度は車速と同等となって,少なくとも
前後輪のタイヤ外径が同等である場合には、前後両輪間
の回転数差や回転角速度差といった前記前後輪間の回転
状態検出値の偏差も一時的に零となる。このような状況
は、基本的には自動変速機を搭載した車両でも変速時に
発生するものであり、また特に変速操作を必要としない
状況でも,例えば運転者がクラッチペダルの踏込みを行
った場合にも発生する可能性がある。
【0007】ここで、前記特開平1−204826号公
報に記載されるような前後輪間駆動力配分制御装置で
は、前記前後輪間の回転状態検出値の偏差が零となる点
を通る単純増減制御曲線に則って,前記前後輪間駆動力
配分状態を算出設定しているため、前述のような駆動力
伝達の寸断によって前記前後輪間の回転状態検出値の偏
差が零となると、前後輪間駆動力配分状態は,副駆動輪
対主駆動輪の駆動力比で0:100%に設定されてしま
う。このように前後輪間駆動力配分状態が急激に変化し
ても、次いで主駆動輪及び副駆動輪に相当する前後輪に
駆動力が負荷された瞬間に,その駆動力に応じた前後輪
間の回転状態検出値の偏差に基づいて駆動力配分状態の
制御信号が出力されるのであれば問題はない。
【0008】ところが、どのような制御系でも相当の応
答遅れ時間は存在するもので、前記前後輪間駆動力配分
制御装置にも制御応答遅れ時間は存在する。実際の制御
応答遅れ時間には、言うまでもなく前記駆動力配分状態
の制御信号が出力されてから前記クラッチ機構や差動制
限機構等の伝達トルク可変調整手段であるアクチュエー
タが作動終了するまでの応答遅れ時間も介在するのであ
るが、ここでは前後輪の回転状態を検出してから前記駆
動力配分状態の制御信号が出力されるまでを制御応答遅
れ時間として考え、前記駆動力配分状態の制御信号が出
力されると即座にアクチュエータが作動終了するものと
して推論する。また、主駆動輪及び副駆動輪への駆動力
伝達も瞬間的に終了するものではなくて相当の応答遅れ
時間が存在し、それ故に車両で実際に発生する前後輪間
の回転状態の偏差も,相応の傾きをもって増加すると考
えられる。
【0009】ここで、前記従来の前後輪間駆動力配分制
御装置が、基本的に前記前後輪の回転状態を検出してか
ら前述のような制御を実行する,所謂フィードバック制
御系であることから、例えば前記変速中の駆動力零状態
に応じて所定の制御応答遅れ時間後に零に設定された副
駆動輪への駆動力配分状態を達成するための制御信号が
出力されている。この状態で、変速終了後にクラッチを
接続すると駆動力が主駆動輪に100%伝達されること
になるから、当該主駆動輪は急激な駆動力の増加に伴っ
て著しくスリップする。このスリップに伴う主駆動輪の
回転速度や回転数等の回転状態の増加も或る傾きを持っ
ている。そして、このスリップして増加する主駆動輪の
回転状態が,前記所定の制御応答遅れ時間後に検出さ
れ、更に前後輪回転状態検出値の偏差に応じた主副駆動
輪間駆動配分状態の制御信号が出力され、この制御信号
に応じてアクチュエータが作動するために、前述のよう
に制御信号の出力とアクチュエータの作動終了とがリア
ルタイムであるとしても、所望とする主副駆動輪間駆動
力配分状態への移行は,前記主駆動輪の回転状態の増加
の傾きと同等かほぼ同等にしか行われず、実際のアクチ
ュエータの作動量に応じて更に傾きは小さなものとなる
可能性もある。
【0010】このように或る傾きをもって主副駆動輪間
駆動力配分状態への移行がなされると、少なくとも当該
車両の車速又は加速度に応じた最適な駆動力配分状態に
至るまでの間、主駆動輪はスリップを継続する。この最
適な駆動力配分状態における主駆動輪のスリップ状態
を,最適な前後輪間回転状態検出値の偏差と等価なもの
とすると、この前後輪間回転状態検出値の偏差を越える
主駆動輪のスリップ分が,所謂スリップロスと称するエ
ネルギ損になる。ここで、時間軸と前後輪間回転状態検
出値の偏差との相関をグラフ化して考えてみると、前記
最適な前後輪間回転状態検出値の偏差を越える前後輪間
回転状態検出値の偏差,つまりオーバシュートの経過時
間累積分が実質的なエネルギ損となり、オーバシュート
の経過時間がスリップロス時間になると考えられる。従
って、前述のように主駆動輪に急激な駆動力が短時間に
負荷された結果、スリップする主駆動輪の回転状態検出
値が大きな傾きをもって急激に増加するような場合に
は、前後輪間回転状態検出値の偏差も大きな傾きをもっ
て急激に増加することになるから、前記最適な前後輪間
回転状態検出値の偏差を越えるオーバシュートの経過時
間,経過時間累積分はより一層大きなものとなり、その
分だけスリップロス時間,エネルギ損も大きいことにな
る。
【0011】このような問題を回避するためには、例え
ば前記前後輪回転状態検出値の偏差が急激に減少した場
合に,前記前後輪間駆動力配分状態を,その直前の状態
に保持してしまう,具体的には当該状況下で前記前後輪
間駆動力配分状態の制御信号を保持状態に維持してしま
うことが考えられるが、全ての状態でこの制御を実行し
てしまうと、例えば一定の加速度で車両を加速している
状態から定速走行状態に急激に移行した場合、車両を走
行抵抗に抗して加速するために消費されるトラクション
伝達分と車両が定速走行するために消費されるトラクシ
ョン伝達分との偏差に応じて主駆動輪の回転状態はスリ
ップの多い状態からスリップの少ない状態に急激に移行
し、その結果,前記前後輪回転状態検出値の偏差も急激
に減少すると考えられ、この場合にも加速中の前後輪間
駆動力配分状態に維持してしまうと副駆動輪への駆動力
が大きくなるから車両としての燃費は低下してしまう。
【0012】本発明はこれらの諸問題に鑑みて開発され
たものであり、前記スリップロスに係るスリップロス時
間とエネルギ損を抑制すると共に,必要な前後輪間駆動
力配分状態への移行という意味での制御応答遅れを小さ
くし、同時に燃費の低下を抑制回避可能な車両の前後輪
間駆動力配分制御装置を提供することを目的とするもの
である。
【0013】
【課題を解決するための手段】本件発明者等は前記諸問
題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果,以下の知見を得
て本発明を開発した。即ち、例えば前記のように前後輪
間の回転状態検出値の偏差に応じて前後輪間の駆動力配
分を可変制御する前後輪間駆動力配分制御装置におい
て、例えば変速操作に係るクラッチの断続のように,予
め設定される或る時間よりも短い時間内で主駆動輪又は
副駆動輪への駆動力が断続され、その結果,前後輪回転
状態検出値の偏差の絶対値が急激に減少した後に急激に
増加するような場合にのみ、前後輪間駆動力配分状態の
制御を補正すればよいことに着目した。具体的には、前
記スリップロスに係るスリップロス時間とエネルギ損
は、前記前後輪回転状態検出値の偏差の絶対値の急激な
変化のうち,特に当該偏差の絶対値が急激に増加すると
きに発生するものであるから、このときの主駆動輪への
駆動力配分を小さくするように補正すればよい。これを
具現化するには、前記前後輪回転状態検出値の偏差の絶
対値が急激に減少した後の,副駆動輪への駆動力の減少
量が小さくなるように前記前後輪間駆動力配分状態の制
御信号を補正すればよろしかろう。このようにすれば、
例えば前記変速終了時のクラッチ接続により主駆動輪に
負荷されるべき急激な駆動力のうちの所定配分比は,予
め用意されている前後輪間駆動力配分状態で副駆動輪側
に負荷され、結果的に前後輪回転状態検出値の偏差の増
加量は小さくなるから、当該車速又は加速度を満足する
最適な前後輪回転状態検出値の偏差を越える前後輪回転
状態検出値の偏差のオーバシュート分は小さくなると考
えられる。この時点で、所望する最適な前後輪間駆動力
配分状態への移行初期時刻は早められていることにな
り、前記スリップロスが発生している時間が短くなり、
また前記前後輪回転状態検出値の偏差のオーバシュート
の経過時間累積分として得られるエネルギ損も小さくな
る。そして、この間,実質的なエネルギ損としては、前
記副駆動輪への駆動力の減少量が小さくならないように
前記クラッチ機構や差動制限機構等のアクチュエータを
作動させておくエネルギ損が考えられるが、このエネル
ギは,駆動力の負荷のない或いは非常に小さな状態で各
アクチュエータを作動させるだけのものであるから、前
記スリップロスに係るエネルギ損に比して非常に小さな
ものと理解される。一方、前記のように副駆動輪への駆
動力の減少が小さくなるように前後輪間駆動力配分状態
を維持するにあたっては、一時的に行われる駆動力の断
続,具体的にクラッチの断続だけを考えればよいから、
前記検出される前後輪回転状態検出値の偏差の急激な減
少と急激な増加との経過時間が,或る所定時間より短い
か否かで前記の制御を実行する又は維持するか否かを判
定することができる。これによれば、例えば前記車両の
加速走行状態から定速走行状態への移行期に発生する前
後輪回転状態検出値の偏差の急激な減少から当該所定時
間が経過したら、前述のような制御を中止することによ
って不必要な燃費の低下を最低限に抑制することができ
る。
【0014】而して本発明のうち請求項1に係る車両の
前後輪間駆動力配分制御装置は、図1の基本構成図に示
すように、車両の前後輪の何れか一方を主駆動輪とし、
他方を副駆動輪として、制御信号に応じて当該主駆動輪
及び副駆動輪に相当する前後輪間で機関からの駆動力の
配分を調整する駆動力配分調整手段と、主駆動輪及び副
駆動輪に相当する前後輪の夫々の回転状態を検出する前
後輪回転状態検出手段と、少なくとも前記前後輪回転状
態検出手段で検出された前後輪回転状態検出値の偏差に
基づいて、前記駆動力配分調整手段による前後輪間の主
副駆動輪間駆動力配分を調整するための制御信号を出力
する駆動力配分制御手段とを備えた車両の前後輪間駆動
力配分制御装置において、前記主駆動輪又は副駆動輪へ
の機関からの駆動力伝達が所定時間より短い時間で断続
されて,前記主駆動輪及び副駆動輪に相当する前後輪回
転状態検出値の偏差の絶対値が急激に減少した後に急激
に増加する変化を検出する回転状態変化検出手段を備
え、前記駆動力配分制御手段には少なくとも、前記前後
輪間の主副駆動輪間駆動力配分を調整するための制御信
号を,前記回転状態変化検出手段の検出値に応じて補正
する駆動力配分補正手段を備えたことを特徴とするもの
である。
【0015】また、本発明のうち請求項2に係る車両の
前後輪間駆動力配分制御装置は、前記駆動力配分補正手
段は、前記回転状態変化検出手段により前後輪回転状態
検出値の偏差の絶対値が急激に増加する変化が検出され
たときに,前記主駆動輪に配分される駆動力を小さくす
るために、前記前後輪間の主副駆動輪間駆動力配分を調
整するための制御信号の変化量を補正することを特徴と
するものである。
【0016】
【作用】本発明のうち請求項1に係る車両の前後輪間駆
動力配分制御装置では図1の基本構成図に示すように、
車両の前後輪の何れか一方を主駆動輪とし、他方を副駆
動輪とする四輪駆動車両において、前記可変トルククラ
ッチや差動制限装置等の駆動力配分手段により、当該主
駆動輪及び副駆動輪に相当する前後輪間で機関からの駆
動力の配分を制御信号に応じた配分に調整可能とし、そ
の一方で前記前後輪回転状態検出手段により、前記主駆
動輪及び副駆動輪に相当する前後輪の夫々の回転状態を
車輪回転数や車輪回転角速度等から検出し、前記駆動力
配分制御手段では、少なくとも前記前後輪回転状態検出
手段で検出された前後輪回転状態検出値の偏差に基づい
て、前記駆動力配分調整手段によって行われる前後輪間
の主副駆動輪間駆動力配分が、例えば前記前後輪間回転
状態検出値の偏差が零のときに主駆動輪の駆動力を10
0%,副駆動輪の駆動力が0%とし、当該偏差の増加に
応じて副駆動輪への駆動力配分が所定の増加率で単純増
加するように調整するための制御信号を,例えば所定の
演算式や制御マップに従って算出設定する。一方、前記
回転状態変化検出手段では、例えば前記変速時のクラッ
チの断続等のように前記主駆動輪又は副駆動輪への機関
からの駆動力伝達が所定時間より短い時間で断続された
結果,前記主駆動輪及び副駆動輪に相当する前後輪回転
状態検出値の偏差の絶対値が急激に減少した後に急激に
増加する変化を検出し、前記駆動力配分補正手段では、
この回転状態変化検出手段で検出された前後輪回転状態
検出値に応じて,前記駆動力配分制御手段で算出設定さ
れた前後輪間駆動力配分状態の制御信号を補正する。こ
こで、本発明のうち請求項2に係る車両の前後輪間駆動
力配分制御装置では、前記駆動力配分補正手段が、前記
回転状態変化検出手段により前後輪回転状態検出値の偏
差の絶対値が急激に増加する変化が検出されたときに,
前記主駆動輪に配分される駆動力を小さくするために、
例えば前述のように副駆動輪に配分される駆動力が大き
くなるように,実質的に当該副駆動輪への駆動力の低下
量が小さくなるように、例えば前後輪間駆動力配分状態
が,前記前後輪回転状態検出値の偏差の絶対値が急激に
減少する直前の状態と同じとするとか、或いはそれより
も副駆動輪への駆動力配分比が少し小さくなる程度とす
るように、前記前後輪回転状態検出値の偏差の絶対値が
急激に増加するまでの前記前後輪間の主副駆動輪間駆動
力配分を調整するための制御信号の変化量を補正し、こ
の補正された制御信号をもって前記駆動力配分制御手段
は、駆動力配分調整手段への前後輪間駆動力配分状態の
制御信号として出力する。これにより、例えば前記変速
終了時のクラッチ接続により主駆動輪に負荷されるべき
急激な駆動力のうちの所定配分比は,例えば前記副駆動
輪への駆動力の低下が小さくなるように予め設定されて
いる前後輪間駆動力配分状態で副駆動輪側に負荷され、
結果的に前後輪回転状態検出値の偏差の増加傾きは小さ
くなるから、当該車速又は加速度を満足する最適な前後
輪回転状態検出値の偏差を越える前後輪回転状態検出値
の偏差のオーバシュート分は小さくなる。従って、この
オーバシュート分として発生しているスリップロスの経
過時間が小さくなり、また当該オーバシュート分の経過
時間累積分に相当するエネルギ損も小さくなり、同時に
前記前後輪の回転状態を検出してから所望する最適な前
後輪間駆動力配分状態への移行初期時刻は早められてい
るから、制御系全体の応答性は向上する。ここで、前記
駆動力配分補正手段は、前記駆動力配分状態の制御信号
を補正するにあたり、前記前後輪回転変化検出手段で検
出される前後輪回転状態検出値の偏差の絶対値の急激な
減少から急激な増加までの経過時間が、前記予め設定さ
れた所定時間より短い場合にのみ当該制御信号の補正を
行うこととすれば、例えば前記車両の加速走行状態から
定速走行状態への移行期に発生する前後輪回転状態検出
値の偏差の急激な減少時には前述のような補正制御は実
行されないことになり、不必要な燃費の低下を最低限に
抑制することができる。
【0017】
【実施例】以下、本発明の車両の前後輪間駆動力配分制
御装置の実施例を添付図面に基づいて説明する。図2〜
図6は本発明の車両の前後輪間駆動力配分制御装置を前
後輪間のトランスファに展開した第1実施例である。こ
の実施例では、FR(フロントエンジン・リアドライ
ブ)方式をベースにした四輪駆動車両用駆動力配分制御
装置のトランスファクラッチに適用した場合について説
明する。
【0018】図2において1は回転駆動源,即ち機関と
してのエンジン、2FL〜2RRは前左輪〜後右輪、3
は各車輪2FL〜2RRへの駆動力配分比を変更制御可
能な駆動力伝達系、4は駆動力伝達系3による駆動力配
分を制御する駆動力配分制御装置を示す。前記駆動力伝
達系3は、エンジン1からの駆動力を断続する図示され
ないクラッチと、このクラッチの出力を選択された歯車
比で変速する変速機12と、この変速機12からの駆動
力を前輪2FL,2FR側及び後輪2RL,2RRに分
割するトランスファ14とを備えている。そして、駆動
力伝達系3では、前記トランスファ14で分割された前
輪側駆動力が前輪側出力軸16,フロントディファレン
シャルギヤ18及び前輪側ドライブシャフト20を介し
て、前輪2FL,2FRに伝達される。一方、後輪側駆
動力がプロペラシャフト(後輪側出力軸)22,リヤデ
ィファレンシャルギヤ24及び後輪側ドライブシャフト
26を介して、後輪2RL,2RRに伝達される。従っ
て、本実施例のFRベースの四輪駆動車両では後輪2R
L,2RRが主駆動輪となり、前輪2FL,2FRが副
駆動輪となる。勿論、前記変速機12は自動変速機であ
っても差し支えなく、この場合には明確に分離されるク
ラッチ構造が存在しないこともあるが、変速時には主駆
動輪である後輪2RL,2RR及び副駆動輪である前輪
2FL,2FRへの駆動力は寸断される。
【0019】前記トランスファ14は、図3に示すよう
にトランスファケース28内に挿通された入力軸30の
同図の左方端部が前記変速機12の出力側に連結され、
この入力軸30はベアリング31等によって回転自在に
軸支されている。また、入力軸30の図3における右方
端部は,ベアリング32によって回転自在に軸支された
出力軸33に結合され、この出力軸33がプロペラシャ
フト22に連結されている。なお、後述するトランスフ
ァクラッチを除くトランスファの詳細な構造について
は,例えば本出願人が先に提案した特開平1−2048
26号公報を参照されたい。
【0020】一方、前記入力軸30の中央部には、前後
輪に対するトルク配分比を変更できる可変トルククラッ
チとしての電磁式多板クラッチ機構37が設けられてい
る。このクラッチ機構37は、入力軸30にスプライン
結合されたクラッチドラム37aと、このクラッチドラ
ム37aに回転方向に係合させたフリクションプレート
37bと、前記入力軸30の外周部にニードルベアリン
グ等を介して回転自在に軸支されたクラッチハブ37c
と、このクラッチハブ37cに回転方向に係合させたフ
リクションディスク37dと、クラッチ機構37の図3
における左方に配置されたクラッチピストン37fと、
このクラッチピストン37fの更に左方に対向配置され
た比例電磁ソレノイド50とを備えている。また、この
クラッチ機構37において、37hはドライブ側フリク
ションプレート37bに対してドリブン側フリクション
プレート37dを離間するためのリターンスプリングで
ある。また、このクラッチ機構37は、図3の左方端部
側に図示のように装着されたギヤトレインを介して前輪
側にも連結されている。即ち、前記クラッチハブ37c
は、第1のギヤ41aにスプライン結合され、この第1
のギヤ41aは、ベアリング40a,40bによって回
転自在な第2のギヤ41bに噛合され、この第2のギヤ
41bは、ベアリング42,43によって回転自在な第
3のギヤ41cを介して前述した前輪側出力軸16に連
結されている。
【0021】このため、前記電磁式クラッチ機構37の
比例電磁ソレノイド50への指令電流ISOL が零である
か或いは指令電流そのものが供給されていない場合に
は、前記リターンスプリング37hの弾性力により、前
記ドライブ側フリクションプレート37bとドリブン側
フリクションディスク37dとが離間している。従っ
て、この状態では入力軸30に伝達された入力トルクの
全部が出力軸33、プロペラシャフト22を介して後輪
2RL,2RR側に伝達され、当該後輪のみの二輪駆動
状態となる。一方、零でない比例電磁ソレノイド50へ
の指令電流ISOL が供給されている状態では,当該比例
電磁ソレノイド50の磁界強度に応じてクラッチピスト
ン37fのソレノイド側への変位が変化し、このクラッ
チピストン37fの変位に応じて前記ドライブ側フリク
ションプレート37bとドリブン側フリクションディス
ク37dとの間に摩擦力による締結力が発生し、これに
より全駆動トルクのうちの一部が出力軸16を介して前
輪側にも伝達される。この前輪側への伝達トルクΔTは
前述したように比例電磁ソレノイド50の磁界強度に比
例するから,間接的に当該比例電磁ソレノイド50への
指令電流ISOL の電流値に比例すると考えられ、ここで
は図4に示すように前輪側への伝達トルクΔTは指令電
流ISOL に対してリニアに増加するものとする。なお、
この電磁式クラッチ機構には既存の電磁パウダクラッチ
を採用することも可能であり、この電磁パウダクラッチ
を採用すれば,前記クラッチ機構に供給される指令電流
SOL に対する前輪側への伝達トルクΔTのリニア特性
はより確実なものとなる。
【0022】つまり前輪側への伝達トルクΔTは指令電
流ISOL の電流値に比例し、結局,締結力に応じて駆動
トルクが後輪側及び前輪側に配分伝達される。この前後
輪に対するトルクの配分比は、前記指令電流ISOL の電
流値に応じて(0:100〜50:50まで)連続的に
変更でき、具体的に指令電流ISOL が零か若しくは指令
電流ISOL そのものが供給されていない状態で0:10
0%、指令電流ISOLが設定最大値に等しい状態で50
%:50%となる。なお、これらの電磁式クラッチ機構
は,所謂流体式クラッチ機構に比して構造が簡潔である
ばかりでなく、アクチュエータとしての作動応答性に優
れ、例えば前記指令電流ISOL を零とすれば速やかに副
駆動輪である前輪2FL,2FRへの駆動力は零とな
り、当該指令電流ISOL の増減に応じて速やかに副駆動
輪である前輪2FL,2FRへの駆動力配分を可変調整
することが可能である。
【0023】一方、図2に戻って前記駆動力配分制御装
置4は、前記トランスファ14と、このトランスファ1
4に内装された比例電磁ソレノイド50と、前輪側回転
センサ54及び後輪側回転センサ56と、車両の前後方
向車速を検出する車速センサ52と、車両の横加速度を
検出する横加速度センサ49と、これらのセンサからの
検出信号に基づいて前記比例電磁ソレノイド50への指
令電流ISOL の出力制御するコントローラ58とを備え
てなる。
【0024】前記前輪側回転センサ54及び後輪側回転
センサ56は、前記前輪側出力軸16及び後輪側のプロ
ペラシャフト22の所定位置に個別に装備され、各軸の
回転数を光学方式又は電磁方式で検知して、これに応じ
たパルス信号又は正弦波信号により当該車輪の周速度,
即ち車輪速度を前後輪回転検出値nF,nRとして個別
にコントローラ58に出力するように構成されている。
ここで、これらの前輪側回転センサ54及び後輪側回転
センサ56としては、例えば本出願人が先に提案した特
開平1−195126号公報に記載されるようなものを
転用可能である。この前輪側回転センサ54及び後輪側
回転センサ56は、正に電磁方式により車輪回転数に応
じた正弦波信号をパルス信号に変換し、このパルス信号
を当該車輪速度の前後輪回転検出値nF,nRとして出
力するものであるから、後述するように車輪回転数から
車輪速度への換算には車輪の外径,具体的にはタイヤの
外径がパラメータとして介在している。このタイヤの外
径をネグレクトするには前記車輪回転数又は車輪回転角
速度をそのまま前後輪回転検出値として用いればよい。
【0025】また、前記車速センサ52は、車両前方車
速に応じて正方向に増加する電圧出力からなる車速検出
値Vをコントローラ58に出力する。また、前記横加速
度センサ49は,車両の幅方向に作用する加減速度を検
出するためのものであり、具体的に車両の左右方向何れ
に向きの横加速度に対しても,当該横加速度の大きさに
応じた正の電圧出力からなる加減速度検出値Xgをコン
トローラ58に出力する。
【0026】前記コントローラ58はマイクロコンピュ
ータ70と前記指令電流ISOL を供給して圧力制御弁5
0を駆動する駆動回路59とを備えている。また、マイ
クロコンピュータ70は前記各センサからの検出信号を
各検出値として読込むためのA/D変換機能を有する入
力インタフェース回路70aと、演算処理装置70b
と、ROM,RAM等の記憶装置70cと、前記演算処
理装置70bで得られたクラッチ締結力制御信号ST
出力するためのD/A変換機能を有する出力インタフェ
ース回路70dとを備えている。このコントローラ58
のマイクロコンピュータ70では、後段に詳述する図6
の演算処理に従って,前記前後輪回転検出値nF,nR
の偏差から前後輪速度差ΔNを算出して、この前後輪速
度差ΔNから基準となる基準前輪側トルク配分指令値T
1 を算出すると共に、前記車速検出値V及び横加速度検
出値Ygに基づいて,前輪側イニシャル駆動力(トル
ク)としての前輪側トルク配分制限値TLIM を算出設定
し、基本的には前記基準前輪側トルク配分指令値T1
前輪側トルク配分指令値T2 に設定するが、前回演算時
の前記基準前輪側トルク配分指令値T1 (つまり前回前
輪側トルク配分指令値T 2 に設定された基準前輪側トル
ク配分指令値T1 )が今回演算時の基準前輪側トルク配
分指令値T1 よりも大きい場合には、予め設定された所
定時間だけ前記前輪側トルク配分制限値TLIM を前輪側
トルク配分指令値T2 に設定し、このようにして設定さ
れた前輪側トルク配分指令値T2 を駆動回路59に向け
て出力する。なお、前記前輪側トルク配分制限値TLIM
とは、後段に詳述するように前記前後輪速度差ΔNが急
激に減少したり急激に増加したりしたときに、当該前後
輪速度差ΔNに応じて急激に減少したり急激に増加した
りするように算出される基準前輪側トルク配分指令値T
1 に対して、前輪側トルク配分指令値T2 の変化量を規
制するためのリミッタと考えてもよい。
【0027】そして、前記駆動回路59は、前記マイク
ロコンピュータ70から出力される前輪側トルク配分指
令値T2 を前記電磁式クラッチ機構37の比例電磁ソレ
ノイド50への駆動信号である指令電流ISOL に変換す
るために、例えばフローティング形定電圧回路等で構成
されている。なお、この駆動回路59では,前輪側トル
ク配分指令値Tが零であるときに前記指令電流ISOL
零,当該トルク配分指令値Tが“50”であるときに指
令電流ISOL が最大電流値となるように所定の比例係数
mでリニアに変換して出力する。
【0028】次に、本実施例のコントローラ内で行われ
る演算処理の基本原理について説明する。まず、前述の
ようなFRをベースとする四輪駆動車両では、タイヤ特
性として駆動力が負荷されたときに,トラクション伝達
に消費される分だけ見掛け上のグリップ力が低下するこ
とは既知である。ここで、主駆動輪である後輪2RL,
2RRの平均回転数から得られる平均後輪速度の後輪回
転検出値nRから、副駆動輪である前輪2FL,2FR
の平均回転数から得られる平均前輪速度の前輪回転検出
値nFを減じて、下記1式に基づいて前記前後輪速度差
ΔNを算出するものと定義する。即ち、後輪が駆動力に
よってスリップしている場合、前輪への駆動力配分を大
きくして相対的に後輪の駆動力を小さくすればよいので
あるから、前記後輪の回転速度に相当する後輪側回転検
出値nRから前輪の回転速度に相当する前輪側回転検出
値nFを減じた値に基づいて、前記クラッチ機構による
クラッチトルクを大きくして前輪側への駆動力伝達率を
大きくし、これにより前輪への駆動力を大きくしたい。
従って、本実施例では駆動輪である後輪にスリップが発
生した場合にのみ、前記前後輪回転差ΔNに基づいて前
輪側への駆動力配分制御を行う。なお、前輪にスリップ
が発生した場合には駆動力配分比は変更制御しないこと
とした。また、前記タイヤ特性からも推察されるように
車両を加速する場合にはその分だけ主駆動輪である後輪
2RL,2RRの駆動力は前記路面へのトラクション伝
達に消費されるが、車両が定速走行に移行した場合に
は,当該車両の定速走行で生じる走行抵抗に抗して車両
の定速走行を維持するためにもトラクションロスは発生
する。しかし、加速走行中のトラクションロスと定速走
行中のトラクションロスとでは,車両慣性に抗して車両
を加速する分だけ前者が大きいことは容易に推察され、
従って同じ車速でも加速走行中の前後輪速度差ΔNは定
速走行中の前後輪速度差ΔNよりもやや小さいことをこ
こで付記しておく。
【0029】 ΔN=nR−nF ……… (1) そして、前述したように前記電磁式クラッチ機構37で
は,その比例電磁ソレノイド50に供給される指令電流
SOL に比例して前輪側への駆動トルク配分ΔTを調整
することにより、前記前輪側トルク配分指令値T2 に応
じた前後輪駆動力配分状態を達成することができるので
あるから、この前輪側トルク配分指令値T2 に基準とな
る基準前輪側トルク配分指令値T1 が設定されるものと
し、この基準前輪側トルク配分指令値T1 は、車両が加
速走行中であるか定速走行中であるか減速走行中である
かを問わず,前記前後輪速度差ΔNを解消するためだけ
の駆動力配分を達成するものであるとすれば、下記2式
で与えられる。なお、kは所定の比例係数である。ま
た、図5の制御曲線に則って,当該基準前輪側トルク配
分指令値T1 が前輪側トルク配分指令値T2 として駆動
回路59に出力されれば、前後輪速度差ΔNが零の場合
にはこの前輪側トルク配分指令値T2 (=T1)も零と
なるから、このような状況下で比例電磁ソレノイド50
に供給される指令電流ISOL も零となり、従って前輪2
FL,2FRへの駆動力は零となって実質的に後輪2R
L,2RRのみによる二輪駆動状態となり、車両の燃費
が向上する。
【0030】 T1 =k・ΔN ……… (2) 次に、前記前輪側トルク配分制限値TLIM について説明
する。前述のように前記基本前輪側トルク配分指令値T
1 をそのまま前輪側トルク配分指令値T2 としてマイク
ロコンピュータ70から駆動回路59を経て比例電磁ソ
レノイド50に供給した場合、前後輪速度差ΔNが零の
場合には前輪2FL,2FRに配分される駆動力は零と
なるわけであるから、例えば前記変速操作等により変速
機12に設けられたクラッチ(前記電磁式クラッチ機構
37との差異を明確にするために機関クラッチと称す
る)を遮断して機関1からの駆動力がそれ以後に伝達さ
れないこととすると、前記前輪側トルク配分指令値T2
が如何様な数値であっても実質的に主駆動輪である後輪
2RL,2RRにも副駆動輪である前輪2FL,2FR
にも駆動力は伝達されないから、各輪2FL〜2RRの
回転周速度は車両慣性による惰性走行中の車速と同等か
ほぼ同等の回転状態に移行し、従って,少なくとも極端
にタイヤ外径の異なる異径タイヤ装着車輪を装着してい
る場合や,前後輪の何れか一方の旋回内輪が完全に接地
しないような高速急旋回状態や,前後輪の何れか一方
の,更に左右輪の何れか一方だけが路面摩擦抵抗の極め
て低い領域で慣性によりスリップしている状況等の特殊
な条件を除いては、前記前後輪速度差ΔNは零かほぼ零
まで急激に減少し,更に機関クラッチの接続後は急激に
増加することになる。
【0031】このように前後輪速度差ΔNが零かほぼ零
まで急激に減少し,再び急激に増加しても、前記前輪側
トルク配分指令値T2 (=T1 )がリアルタイムに減少
し,再び増加し、また前記電磁式クラッチ機構37もこ
の前輪側トルク配分指令値T 2 に対してリアルタイムに
作動を終了すれば問題は生じない。ところが、如何なる
システムにも応答遅れがあるように、前記前後輪速度差
ΔNを算出又は検出してから前輪側トルク配分指令値T
2 が出力されるまでの間にも,この前輪側トルク配分指
令値T2 の出力からクラッチ機構37が作動終了する間
にも応答遅れは存在する。従って、実際の前後輪速度差
ΔNが既に急激に増加しているにも関わらず,出力され
る前輪側トルク配分指令値T2 は当該時刻の前後輪速度
差ΔNを解消するために必要な前後輪駆動力配分を満足
する前輪側トルク配分指令値T2よりも遙かに小さく、
またこの出力に対して更にクラッチ機構37の作動終了
時刻が遅れるとすれば、後輪2RL,2RR,即ち主駆
動輪に負荷される駆動力は非常に大きなものとなって当
該後輪2RL,2RRは過大にスリップする。そしてこ
の過大なスリップによる主駆動輪である後輪2RL,2
RRの急激な増速は、当該車速又は加速度に最適な前後
輪速度差ΔN(=ΔN* )を満足する前輪側トルク配分
指令値T2 が出力され,更にアクチュエータであるクラ
ッチ機構37が作動を終了するまで継続することになる
から、その間,車両で実際に発生している前後輪速度差
ΔNは、前記最適な前後輪速度差ΔN* を大きくオーバ
シュートし、このオーバシュートの時間累積分がスリッ
プロスなるエネルギ損になる。しかも、このスリップロ
スが前記最適な前後輪速度差ΔN* に対する前後輪速度
差ΔNのオーバシュート分であると解釈すれば、前述の
ように過大なスリップによって主駆動輪である後輪2R
L,2RRが急激に増速するということは、前後輪速度
差ΔNの増加傾きが大きいことを意味し、従って前記ス
リップロスに係る時間は同じであってもそのオーバシュ
ート分に相当するスリップロスエネルギ損はより一層大
きなものとなることが想定される。
【0032】そこで本実施例では、前記変速操作時のよ
うに各輪2FL〜2RRへの駆動力の伝達が比較的短い
時間(ロジック上は所定時間より短い時間で判定する)
で断続され、その結果,この短い時間内に前後輪速度差
ΔNが急激に減少した後に急激に増加するような状況下
で、特に当該前後輪速度差ΔNが急激に増加しようとす
るときに、前述のような主駆動輪である後輪2RL,2
RRのスリップによる急激な増速を緩和し、当該前後輪
速度差ΔNの増加傾きを小さくする。具体的には、主駆
動輪である後輪2RL,2RRへの駆動力配分を小さく
するために,相対的に副駆動輪である前輪2FL,2F
Rへの駆動力配分を大きくするために、前記前後輪速度
差ΔNが減少し,その結果,今回演算時の基準前輪側ト
ルク配分指令値T1 が前回演算時の前輪側トルク配分指
令値T2 より小さくなった場合に、前記所定時間tS
相当する時間だけ,前輪2RL,2RR側への駆動力配
分が低下しないように制限する前輪側トルク配分制限値
LIM を設定する。
【0033】この前輪側トルク配分制限値TLIM を設定
するにあたり、前記車速センサ52からの車速検出値V
及び前記横加速度センサ49からの横加速度検出値Yg
を変数とする。具体的には、旋回中に横加速度検出値Y
gが増加することはそれに先行して車両に発生するヨー
モーメントも増大しており、このヨーモーメントに抗し
て車両を所定の旋回ラインに一致させるためには、後輪
駆動か前輪駆動かを問わず,前後輪の駆動力を可及的に
等しくして走行安定性を向上するのが望ましい。しか
し、実際に横加速度が発生するや否や,本実施例のよう
にそれまでの後輪を主体とする駆動力配分を、一気に前
後輪で等しい駆動力配分に変更してしまったのでは、車
両としてのステアリング特性が著しく変化して運転者に
異様な感覚が起きる。そこで、本実施例では横加速度検
出値Ygに対して,比較的小さく設定された所定の比例
係数K1 を乗じて得られる前輪側トルク配分制限値横加
速度増加分TLIM1を設定する。また、車速検出値Vが増
加することは車両の走行抵抗が増大することになるか
ら,この増大する走行抵抗に抗して車両を加速する或い
は定速走行を維持するために必要なトラクションも増加
し、その分だけ前後輪速度差ΔNも増加すると考えられ
る。従って、前記車速検出値Vに対して所定の比例係数
Kを乗じて得られる前輪側トルク配分制限値車速増加分
LIM2を設定する。
【0034】そして、両者を和して前記前輪側トルク配
分制限値TLIM を算出設定すればよいのであるが、ここ
で前述のように今回演算時の基準前輪側トルク配分指令
値T 1 が前回演算時の前輪側トルク配分指令値T2 より
小さくなった場合に、この前輪側トルク配分制限値T
LIM が今回演算時の前輪側トルク配分指令値T2 に設定
されることを鑑みれば、この前輪側トルク配分制限値T
LIM が前輪へのイニシャルトルクとして与えられること
による弊害が考えられる。その一つが,所謂タイトコー
ナブレーキ現象である。つまり、センタディファレンシ
ャル機構を兼任する当該トランスファ14の電磁式クラ
ッチ機構37が,前記前輪側トルク配分制限値TLIM
よって差動を制限していると考えれば、低速・大操舵角
で発生する前後輪回転速度差がメカニカルに許容されな
くなるから,各動力伝達機構の動力伝達に無理が生じて
車両が停止したり機関が停止してしまうことがある。こ
のタイトコーナブレーキ現象を回避するためには、或る
程度以上の車速でしか前輪側トルク配分制限値TLIM
設定されないこととすればよい。つまり、前記前輪側ト
ルク配分制限値車速増加分TLIM2を算出する際に、前記
タイトコーナブレーキ現象の発生しない或る車速を不感
帯閾値V0 とし、これを越える車速検出値Vに対して前
述のようにリニアに増加する前輪側トルク配分制限値車
速増加分TLIM2が設定されることとすればよい。以上よ
り前輪側トルク配分制限値TLIM は下記3式で算出され
る。なお、横加速度検出値Ygは車速を変数とする関数
と考えれば前記不感帯閾値V0 以下の車速領域で,例え
操舵角が大きいとしても,発生する横加速度が非常に小
さいと考えられるから、ここでは特に横加速度検出値Y
gに対する不感帯閾値は設定していない。
【0035】 TLIM =K1 ・Yg+K2 ・(V−V0 ) ……… (3) なお、前記前輪側トルク配分制限値横加速度増加分T
LIM1を算出するにあたり、横加速度検出値Ygのみでは
本当に旋回中であるか否かの判定が困難であると考えら
れる場合には、例えば前左右輪速度差及び後左右輪速度
差を用いて旋回半径の大きさを算出し、この旋回半径の
大きさで横加速度検出値Ygを補正することにより、よ
り正確な前輪側トルク配分制限値横加速度増加分TLIM1
の算出設定が可能となる。また、前記前輪側トルク配分
制限値TLIM に関しては,夫々の増加分TLIM1,TLIM2
を比例係数K1 ,K2 によりリニアに算出設定するため
に、少なくとも前記車速検出値Vに不感帯閾値V0 を設
定している分だけ、加速走行中の前記基準前輪側トルク
配分指令値T1 よりも小さく,定速走行中或いは減速走
行中ではやや基準前輪側トルク配分指令値T1 の方が大
きくなる。
【0036】この前輪側トルク配分制限値TLIM を今回
演算時の前輪側トルク配分指令値T 2 に設定することに
より、前後輪速度差ΔNの急激な増加を誘う主駆動輪,
後輪2RL,2RRのスリップによる急激な増速を抑制
し、当該前後輪速度差ΔNのオーバシュート分に相当す
るスリップロスを小さくするのであるが、変速操作時等
に生じる比較的短時間内の前後輪速度差ΔNの急激な減
少及びその後の急激な増加を検出してから、当該前輪側
トルク配分指令値T2 を設定したのでは、前記した応答
性を向上する目的に合致しない。そこで、本実施例で
は、前述のように今回演算時の基準前輪側トルク配分指
令値T1 が前回演算時の前輪側トルク配分指令値T2
り小さくなった場合に、前記前輪側トルク配分制限値T
LIM を今回演算時の前輪側トルク配分指令値T2 に設定
し、予め設定された所定時間tS を経過し、しかも今回
演算時の基準前輪側トルク配分指令値T1 が前回演算時
の前輪側トルク配分指令値T2 以上である場合か,若し
くは基準前輪側トルク配分指令値T1 が前輪側トルク配
分制限値TLIM よりも大きい場合に、再び当該基準前輪
側トルク配分指令値T1 を今回演算時の前輪側トルク配
分指令値T2 に設定する。これにより、前述した加速走
行状態から定速走行状態に急激に移行したときに発生す
る前後輪速度差ΔNの急激な減少に対して、前回演算時
の前輪側トルク配分指令値T2 よりも今回演算時の基準
前輪側トルク配分指令値T1 は下回って設定されるか
ら、この移行初期は前記前輪側トルク配分制限値TLIM
が今回演算時の前輪側トルク配分指令値T2 に設定され
るが、その後,この定速走行状態が維持されて前記所定
時間tS が経過すると、今回演算時の基準前輪側トルク
配分指令値T1 が前輪側トルク配分指令値T2 に設定さ
れる。前述のように通常、この定速走行状態における基
準前輪側トルク配分指令値T1 は前記前輪側トルク配分
制限値TLIM より小さい値に設定されるから、前述のよ
うに所定時間tS が経過して当該基準前輪側トルク配分
指令値T1 が前輪側トルク配分指令値T2 に設定されれ
ば、副駆動輪である前輪2FL,2FRへの駆動力配分
は,主駆動輪である後輪2RL,2RRが車両の加速度
又は速度を維持するのに必要なトラクションロスに相当
する分だけとなるから、車両の燃費が向上する。
【0037】次にこのような発明原理に基づいて車両の
前後輪間駆動力配分を制御するためのクラッチ機構37
への前輪側トルク配分指令値Tを算出出力するために、
前記コントローラ58のマイクロコンピュータ70で行
われる演算処理について図6のフローチャートに従って
説明する。この演算処理は、所定周期ΔT(例えば10
msec)毎のタイマ割込処理として実行される。従って、
前記所定時間tS の計測には実質的にカウント値から構
成されるタイマNが使用されており、前記前輪側トルク
配分指令値T2 に前輪側トルク配分制限値TLIM が設定
されてからの経過時間tはN・ΔTで算出され、タイマ
Nが最大値NMAX であるときの経過時間tが前記所定時
間tS に相当するように設定されている。
【0038】この演算処理では、まず、ステップS1
で、前記前輪回転センサ54からの前輪側回転検出値n
F及び後輪側回転センサ56からの後輪回転検出値nR
を読込む。次にステップS2に移行して、前記車速セン
サ52からの車速検出値Vを読込む。
【0039】次にステップS3に移行して、前記横加速
度センサ49からの横加速度検出値Ygを読込む。次に
ステップS4に移行して、前記ステップS1で読込まれ
た前後輪回転検出値nF,nRを用い,前記1式に従っ
て前後輪速度差ΔNを算出する。次にステップS5に移
行して、前記ステップS4で算出された前後輪速度差Δ
Nを用い,前記2式に従って基準となる基準前輪側トル
ク配分指令値T1 を算出設定する。
【0040】次にステップS6に移行して、前記ステッ
プS2で読込まれた車速検出値V及びステップS3で読
込まれた横加速度検出値Ygを用い,前記3式に従って
前輪側トルク配分制限値TLIM を算出設定する。次にス
テップS7に移行して、前記マイクロコンピュータ70
の記憶装置70cに記憶されている最新の前輪側トルク
配分指令値T2 を読込む。
【0041】次にステップS8に移行して、前記ステッ
プS5で算出設定された基準前輪側トルク配分指令値T
1 が前記ステップS7で読込まれた最新の前輪側トルク
配分指令値T2 以上であるか否かを判定し、基準前輪側
トルク配分指令値T1 が前輪側トルク配分指令値T2
上である場合にはステップS9に移行し、そうでない場
合にはステップS10に移行する。
【0042】前記ステップS10では、前記ステップS
5で算出設定された基準前輪側トルク配分指令値T1
前記ステップS6で算出設定された前輪側トルク配分制
限値TLIM より大きいか否かを判定し、基準前輪側トル
ク配分指令値T1 が前輪側トルク配分制限値TLIM より
大きい場合には前記ステップS9に移行し、そうでない
場合にはステップS11に移行する。
【0043】前記ステップS11では、前記記憶装置7
0cに記憶されている最新のタイマNのカウント値を読
込んでからステップS12に移行する。前記ステップS
12では、前記ステップS11で読込まれたタイマNが
前記予め設定された最大値NMAX 以上であるか否かを判
定し、当該タイマNが最大値N MAX 以上である場合には
前記ステップS9に移行し、そうでない場合にはステッ
プS13に移行する。
【0044】前記ステップ9では、前記ステップS5で
算出設定された基準前輪側トルク配分指令値T1 を今回
演算時の前輪側トルク配分指令値T2 に設定してから、
ステップS14に移行する。前記ステップS14では、
前記タイマNのカウンタ値を記憶装置70c上でリセッ
トしてからステップS15に移行する。
【0045】一方、前記ステップS13では、前記ステ
ップS6で算出設定された前輪側トルク配分制限値T
LIM を今回演算時の前輪側トルク配分指令値T2 に設定
してから、ステップS16に移行する。前記ステップS
16では、前記タイマNのカウンタ値を記憶装置70c
の上でインクリメントしてから、前記ステップS15に
移行する。
【0046】前記ステップS15では、前記ステップS
9又はステップS13で設定された今回演算時の前輪側
トルク配分指令値T2 を記憶装置70cに更新記憶す
る。次いでステップS17に移行して、前記ステップS
9又はステップS13で設定された今回演算時の前輪側
トルク配分指令値T2 を前記駆動回路59に向けて出力
してメインプログラムに復帰する。
【0047】このアルゴリズムによれば、所定時間ΔT
毎に演算される図6の演算処理のステップ5で前後輪速
度差ΔNに応じた基準前輪側トルク配分指令値T1 が算
出設定されると共に、同ステップS6では車速検出値V
並びに横加速度検出値Ygに応じた前輪側トルク配分制
限値TLIM が算出設定される。ところが、同図6の演算
処理のステップS8で,前回演算時の前輪側トルク配分
指令値T2 と今回演算時の基準前輪側トルク配分指令値
1 とが比較判定され、更にステップS10で今回演算
時の基準前輪側トルク配分指令値T1 と前輪側トルク配
分制限値TLIMとが比較判定され、更にステップS12
ではタイマNのカウンタ値と予め設定された最大値N
MAX とが比較判定される。
【0048】その結果,今回演算時の基準前輪側トルク
配分指令値T1 が前回演算時の前輪側トルク配分指令値
2 以上である場合や,基準前輪側トルク配分指令値T
1 が前輪側トルク配分制限値TLIM より大きい場合や,
タイマNのカウンタ値が所定最大値NMAX 以上である場
合には全て今回演算時の基準前輪側トルク配分指令値T
1 が前輪側トルク配分指令値T2 に設定され、これと同
時にタイマNがリセットされる。このように今回演算時
の基準前輪側トルク配分指令値T1 が前輪側トルク配分
指令値T2 に設定されるのは、ステアリングホイルを運
転者が意識的に操舵しない通常直進加速走行状態や、ス
テアリングホイルを操舵したとしても車両にはさほど大
きな横加速度が発生していない通常旋回加速走行状態
や、加速走行から定速走行に移行した時刻から前記タイ
マNのカウンタ値が所定最大値NMA X を越えた,即ち前
記所定時間tS 以後の通常定速走行状態等であると判断
される。なお、これらの想定される走行状態は、図6の
ステップS8及びステップS10の判定条件から、何れ
も変速操作時を含んでいないことは前述のロジック構築
の原理通りである。
【0049】一方、これら以外の走行状態,例えば加速
走行中の変速操作時や,加速走行から定速走行に移行し
且つこの移行時刻から前記タイマNのカウンタ値が所定
最大値NMAX を越えない,即ち前記所定時間tS より以
前の定速走行状態や,減速走行状態や,車両に相当の横
加速度が発生している旋回走行状態等では、前記ロジッ
ク構築原理における前輪側トルク配分制限値TLIM の設
定条件からも明らかなように、前記図6の演算処理のサ
ンプリング時間毎にステップS13で当該今回演算時の
前輪側トルク配分制限値TLIM が前輪側トルク配分指令
値T2 に設定され、同時にそのサンプリング時間毎にタ
イマNのカウンタ値はインクリメントされる。
【0050】何れにしてもこのようにして設定された前
輪側トルク配分指令値T2 はマイクロコンピュータ70
の出力インタフェース回路70dによりD/A変換さ
れ、その結果,アナログ電圧値からなる制御信号ST
駆動回路59に入力される。そこで、この駆動回路59
では、前記図4の出力特性線図に従って当該制御信号S
T の電圧値に応じた指令電流ISOL を前記トランスファ
14内の比例電磁ソレノイド50に向けて出力する。そ
の結果,比例電磁ソレノイド50は当該指令電流ISOL
の電流値に応じた磁界強度で励磁され、この磁界強度に
応じて電磁式クラッチ機構37のピストンピレート37
fが変位し、この変位量に応じて前記ドライブ側フリク
ションプレート37bとドリブン側フリクションプレー
ト37dとが摩擦接触し、この摩擦接触力に応じた駆動
トルク(駆動力)が当該電磁式クラッチ機構37のクラ
ッチハブ37cを駆動回転し、その駆動トルク(駆動
力)がギヤトレインを介して前輪側ドライブシャフト1
6に伝達され、更に前記動力伝達系を介して前輪2F
L,2FRに伝達されるから、後輪2RL,2RRへの
伝達駆動力はその分だけ減少して,前記図6の演算処理
で所望する前後輪間駆動力配分状態が達成される。
【0051】それでは次に、前記図6の演算処理によっ
て実施される本実施例の車両の前後輪間駆動力配分制御
装置の作用を車両の挙動に基づき,図7に示すタイムチ
ャートに従って説明する。このタイムチャートでは、時
刻t0 から車両がスタートし、その後,時刻t5まで所
定の正の加速度で車両を直進加速し、この時刻t5 から
時刻t7 まで直進定速走行した。その後、前方のコーナ
に合わせて時刻t7 から時刻t11まで所定の負の加速度
(減速度)で車両を減速した後,当該時刻t11から時刻
14まで定速走行し,更に当該時刻t14からコーナを脱
出するために所定の正の加速度で車両を加速すると共
に、時刻t9 より以前に所定の操舵角速度(単位時間当
たりの増加操舵角)でステアリングホイルを操舵し(切
り増しし),時刻t12より以前にステアリングホイルの
操舵角を一定に保持し,時刻t13より以前にステアリン
グホイルを所定の操舵角速度で切り戻し,時刻t16より
以前にステアリングホイルを中庸状態に戻した。その結
果,車両には操舵入力に対して二次遅れで発生した横加
速度検出値Ygは、時刻t9 から時刻t12までの間,所
定の増加率で増加し、その後,時刻t13まで一定に保持
された後,時刻t13から時刻t16まで所定の減少率で減
少した。一方、前記時刻t14で開始された加速は時刻t
17まで継続され、当該時刻t17から再び定速走行に移行
した。なお、本実施例では理解を容易化するために、加
速走行中であるか減速走行中であるかを問わず,各変速
操作は予め設定された各車速で実行されるものとし、例
えば1速から2速又は2速から1速への変速操作は車速
検出値Vが所定値V1 のときに実行され、以下同様に,
2速から3速又は3速から2速への変速操作は所定値V
2 のときに、3速から4速又は4速から3速への変速操
作は所定値V3 のときに実行されるものとする。そし
て、前記時刻t5 から時刻t7 までの時間の定速走行状
態の車速検出値Vは前記3速から4速又は4速から3速
への変速操作が実行される所定値V3 より大きく,時刻
11から時刻t14までの定速走行状態の車速検出値Vは
前記2速から3速又は3速から2速への変速操作が実行
される所定値V2 よりも小さく,時刻t17以後の定速走
行状態の車速検出値Vは前記3速から4速又は4速から
3速への変速操作が実行される所定値V3 より大きいと
する。従って、各変速操作は時刻t2 より僅かに以前に
1速から2速への変速操作が実行され、以下同様に,時
刻t3 より僅か以前に2速から3速へ,時刻t4 より僅
か以前に3速から4速へ,時刻t8 より僅か以前に4速
から3速へ,時刻t10より僅か以前に3速から2速へ,
時刻t15より僅か以前に2速から3速へ,時刻t16より
僅か以前に3速から4速への変速操作が実行された。そ
して、各変速操作に所要とする変速所要時間Δtは各変
速操作で一定であるとし、各変速所要時間Δtの前後で
は前記機関クラッチを必ず断続するものとし、これは自
動変速機を搭載した車両でも同様に実行されるものとす
る。また、前記各定速走行状態の時間は,前記演算処理
の説明で用いた所定時間tS よりも長かった。なお、車
両で検出された車両検出値Vや横加速度検出値Ygは,
実際にこのような急激な変化を示すものではなく、あく
までも理解を容易化するために強調されたものであるこ
とをここに付記しておく。また、前記各変速操作時には
機関クラッチが寸断されるから、正確にその時間は車速
は増減しない,若しくは車両に作用する重力加速度gに
よってのみ変化すると考えられるが、ここでもやはり理
解を容易にするために加減速度は連続して実行されるも
のとする。また、車両が走行する路面は,全域に渡って
凹凸がなく平坦で且つ十分な摩擦係数を有する高μ良路
であるとし、車速又は加減速度を達成するために路面へ
のトラクション伝達に消費される駆動力はほぼ車速のみ
に応じて増減するものとするが、同じ車速でも加速走行
から定速走行に移行したときには瞬時にトラクションロ
スに係る駆動力は減少し、また定速走行から減速走行へ
の移行時,減速走行から定速走行への移行時,定速走行
から加速走行への移行時にはトラクションロスに係る駆
動力変化は生じないものとする。
【0052】また、制御にあたっては前記図6の演算処
理によって前輪側トルク配分指令値T2 が出力されてか
らアクチュエータである電磁式クラッチ機構37が作動
を終了するまでの応答遅れ時間はネグレクトするものと
し、ここでは後段に詳述する前輪側トルク配分指令値立
上り時間Δt2i(又はt1i)についてのみ考察するもの
とする(所謂制御工学で一般に言う立上り時間とはやや
異なる)。また、前記図6の演算処理で用いられる前輪
側トルク配分制限値TLIM について、ここでは少なくと
も車速検出値Vに関しては,前記不感帯閾値V0 分だけ
基準前輪側トルク配分指令値T1 より小さい、つまり前
記2式における比例係数kと3式における比例係数K2
とは等価であるものとしてタイムチャートの説明を行
う。
【0053】さて、前記の条件下で,前記所定の加速度
で車両が加速する時刻t0 から時刻t5 までの時間で
は、前記図6の演算処理が実行されるサンプリング時間
毎に,検出される車速検出値Vが増加し,同時に当該時
刻における車速及び加速度を満足するために路面へのト
ラクション伝達に消費される駆動力が増加するから、各
変速操作直後を除いて,同図の演算処理のステップS4
で算出される前後輪速度差ΔNが増加し、その結果,前
記1速から2速への変速操作直後の時刻t2 からの前輪
側トルク配分指令値立上り時間Δt11,2速から3速へ
の変速操作直後の時刻t3 からの前輪側トルク配分指令
値立上り時間Δt12,3速から4速への変速操作直後の
時刻t4 からの前輪側トルク配分指令値立上り時間Δt
13を除き、同図6の演算処理のステップS5で算出され
る基準前輪側トルク配分指令値T1は増加し続ける。
【0054】そして、各変速操作が実行される時刻
1 ,時刻t2 ,時刻t3 の夫々の近傍では,当該変速
操作のために前記機関クラッチが寸断されるから、一時
的に主駆動輪及び副駆動輪に相当する前後輪2FL〜2
RRには駆動力が伝達されず、その結果,実際の車両の
各輪速度は車両慣性による惰性走行の車速検出値と同等
かほぼ同等となる。従って、各変速操作から所定の制御
応答遅れ時間Δtd が経過した後の時刻t2 ,t3 ,t
4 以後,前記変速所要時間ΔTと等価な基準前輪側トル
ク配分指令値立上り時間Δt11,Δt12,Δt13では、
図6の演算処理が実行されるサンプリング時間毎に,同
ステップS4で算出される前後輪速度差ΔNは零又はほ
ぼ零となり、結果的に同ステップS5で算出される基準
前輪側トルク配分指令値T1 も零かほぼ零に設定され
る。
【0055】一方、前記車速検出値Vが前記不感帯閾値
0 を越える時刻t1 以後、横加速度検出値Ygが零で
あるために,前輪側トルク配分制限値TLIM は、一定の
加速度で増加する車速検出値Vに応じて,前記基準前輪
側トルク配分指令値T1 と同等の傾きで増加する。従っ
て、前記時刻t1 から時刻t5 までに図6の演算処理が
実行されるサンプリング時間毎に,同図のステップS6
で算出される前輪側トルク配分制限値TLIM は,各演算
処理で得られる基準前輪側トルク配分指令値T 1 よりも
やや小さな値に設定される。
【0056】従って、この時刻t0 から時刻t5 までの
時間では、前記変速操作により前後輪速度差ΔNが零又
はほぼ零と検出される時刻t2 ,t3 ,t4 からの夫々
前輪側トルク配分指令値立上り時間Δt21,Δt22,Δ
23を除いて、常に基準前輪側トルク配分指令値T1
前輪側トルク配分制限値TLIM よりも大きく、前記図6
の演算処理が実行されるサンプリング時間毎の前回演算
時の前輪側トルク配分指令値T2 よりも今回演算時の基
準前輪側トルク配分指令値T1 が大きいから、同図のス
テップS8又はステップ10からステップS9に移行し
て当該基準前輪側トルク配分指令値T1 が前輪側トルク
配分指令値T2 に設定され、同ステップS14では常に
タイマNをリセットしながら、ステップS15で当該前
輪側トルク配分指令値T2 を更新記憶し、更にステップ
S16でこれを出力する。この前輪側トルク配分指令値
2 によるアクチュエータの作用は前記の通りである。
なお、ここに言う前輪側トルク配分指令値立上り時間Δ
21,Δt22,Δt23は、厳密には前記基準前輪側トル
ク配分指令値立上り時間Δt11,Δt12,Δt13と異な
るが、その詳細については後段に説明する。
【0057】一方、前記時刻t2 ,t3 ,t4 からの夫
々前輪側トルク配分指令値立上り時間Δt21,Δt22
Δt23では、前記図6の演算処理が実行されるサンプリ
ング時間毎に,前記ステップS5で算出される前後輪速
度差ΔNが急激に零に減少しようとするために、同ステ
ップS6で算出される基準前輪側トルク配分指令値T 1
も急激に零に減少しようとし、その結果,同ステップS
8,S10を経てステップS11に移行する。ところ
が、各変速操作に必要な変速所要時間Δt若しくは前記
前輪側トルク配分指令値立上り時間Δt21,Δt22,Δ
23は、前記所定時間tS よりも遙かに短く、従ってタ
イマNのカウンタ値は前記所定最大値NMA X に満たない
から、図6の演算処理ではステップS12からステップ
S13に移行して前輪側トルク配分制限値TLIM が前輪
側トルク配分指令値T2 に設定され、更にステップS1
6でタイマNのカウンタ値がインクリメントされ、ステ
ップS15で当該前輪側トルク配分指令値T2 を更新記
憶し、更にステップS16でこれを出力する。従って、
実際の車両における前輪2FL,2FRへの駆動力配分
は前記基準前輪側トルク配分指令値T1 が前輪側トルク
配分指令値T2 に設定される時間よりも、やや小さくな
る程度である。
【0058】次に、前記と同様の路面並びに走行条件下
で,前記所定の加速度で車両が加速する加速走行状態か
ら定速走行状態に移行し且つ当該定速走行状態を維持す
る時刻t5 から時刻t7 について考察する。この時刻t
5 から時刻t7 までの時間では、前記図6の演算処理が
実行されるサンプリング時間毎に,検出される車速検出
値Vそのものは前記時刻t5 と同等か又はほぼ同等であ
るが、各時刻において車速を満足するために路面へのト
ラクション伝達に消費される駆動力は,前述のように前
記時刻t0 から時刻t5 までの加速走行状態よりも小さ
いから、同図の演算処理のステップS4で算出される前
後輪速度差ΔNは、当該時刻t5 の加速走行終了時点の
前後輪速度差ΔNよりも変化量全体は小さいものの,急
激に減少し、以後,時刻t7 まで一定に維持されること
になる。従って、同図6の演算処理のステップS5で算
出される基準前輪側トルク配分指令値T1 も,前記時刻
5 で急激に,しかし減少量全体は僅かに減少した後、
前記時刻t7 まで或る一定の値に維持され続ける。な
お、この定速走行中は変速操作が実行されないと仮定し
たから、当該変速操作に係る基準前輪側トルク配分指令
値T1 の変動は生じない。
【0059】一方、前記時刻t5 から時刻t7 までの時
間に,車両には横加速度検出値Ygは検出されず、且つ
この時間の車速検出値Vは当該時刻t5 の状態に維持さ
れるから、前記図6の演算処理が実行されるサンプリン
グ時間毎に,同図のステップS6で算出される前輪側ト
ルク配分制限値TLIM は前記時刻t5 と同等かほぼ同等
に維持される。ここで、前述したように,前記加速走行
状態から定速走行状態に移行した際に発生するトラクシ
ョンロスの減少代,即ち前記図6の演算処理のステップ
S4で算出される前後輪速度差ΔNに応じて同ステップ
S5で算出される基準前輪側トルク配分指令値T1 は、
同ステップS6で算出される前輪側トルク配分制限値T
LIM よりも小さい。
【0060】従って、この時刻t5 から時刻t7 までの
時間のうち、時刻t5 から前記所定時間tS が経過する
時刻t6 までの時間は、前記図6の演算処理が実行され
るサンプリング時間毎に,同図のステップS8からステ
ップS10,S11,S12を経てステップS13で前
輪側トルク配分制限値TLIM が前輪側トルク配分指令値
2 に設定され、同時にステップS16でタイマNのカ
ウンタ値をインクリメントし、この前輪側トルク配分指
令値T2 を更新記憶し、更にステップS16でこれを出
力する。そして、前記時刻t6 又はその近傍における図
6の演算処理のステップS12でタイマNのカウンタ値
が前記所定最大値NMAX 以上となるため、ステップ9に
移行して基準前輪側トルク配分指令値T1 が前輪側トル
ク配分指令値T2 に設定され、同ステップS14では常
にタイマNをリセットしながら、ステップS15で当該
前輪側トルク配分指令値T2 を更新記憶し、更にステッ
プS16でこれを出力する。更に、この時刻t6 以後,
前記時刻t7 までの時間では、図6の演算処理が実行さ
れるサンプリング時間毎に,同図のステップS8で前回
演算時の前輪側トルク配分指令値T2 は今回演算時の基
準前輪側トルク配分指令値T1 と同等となるから、常に
ステップ9に移行して当該基準前輪側トルク配分指令値
1 が前輪側トルク配分指令値T2 に設定され、同ステ
ップS14では常にタイマNをリセットしながら、ステ
ップS15で当該前輪側トルク配分指令値T2 を更新記
憶し、更にステップS16でこれを出力する。この前輪
側トルク配分指令値T2 によるアクチュエータの作用は
前記の通りである。
【0061】次に、前記と同様の路面並びに走行条件下
で,前記車両の定速走行状態から所定の減速度で車両が
減速し,同時に旋回に至る減速旋回状態に移行する時刻
7から時刻t11について考察する。この時刻t7 から
時刻t11までの時間では、前記図6の演算処理が実行さ
れるサンプリング時間毎に,検出される車速検出値Vが
減少し,同時に当該時刻における車速及び減速度を満足
するために路面へのトラクション伝達に消費される駆動
力は減少するから、各変速操作直後を除いて,同図の演
算処理のステップS4で算出される前後輪速度差ΔNが
減少し、その結果,前記4速から3速への変速操作直後
の時刻t8 からの前輪側トルク配分指令値立上り時間Δ
14,3速から2速への変速操作直後の時刻t10からの
前輪側トルク配分指令値立上り時間Δt15を除き、同図
6の演算処理のステップS5で算出される基準前輪側ト
ルク配分指令値T1 は減少し続ける。
【0062】そして、各変速操作が実行される時刻
8 ,時刻t10の夫々の直前には,当該変速操作のため
に前記機関クラッチが寸断されるから、一時的に主駆動
輪及び副駆動輪に相当する後及び前輪2RR〜2FLに
は駆動力が伝達されず、その結果,実際の車両の各輪速
度は車両慣性による惰性走行の車速検出値と同等かほぼ
同等となる。従って、各変速操作から所定の制御応答遅
れ時間Δtd が経過した後の時刻t8 ,t10以後,前記
変速所要時間ΔTと等価な基準前輪側トルク配分指令値
立上り時間Δt14,Δt15では、図6の演算処理が実行
されるサンプリング時間毎に,同ステップS4で算出さ
れる前後輪速度差ΔNは零又はほぼ零となり、結果的に
同ステップS5で算出される基準前輪側トルク配分指令
値T1 も零かほぼ零に設定される。
【0063】一方、前記時刻t7 から車両で検出される
横加速度検出値Ygが増加を開始する時刻t9 までの時
間では、前輪側トルク配分制限値TLIM は、一定の減速
度で減少する車速検出値Vに応じて,図6の演算処理が
実行されるサンプリング時間毎に,同図のステップS6
で算出される前記基準前輪側トルク配分指令値T1 と同
等の傾きで増加する。このとき、前記時刻t7 における
前輪側トルク配分制限値TLIM は,当該時刻t7 におけ
る基準前輪側トルク配分指令値T1 よりもやや大きい値
になるから、この時刻t7 から時刻t9 までに時間に,
同図のステップS6で算出される前輪側トルク配分制限
値TLIM は,各演算処理で得られる基準前輪側トルク配
分指令値T1 よりもやや大きな値となる。そして、前記
時刻t9から時刻t11までの時間では横加速度検出値Y
gが所定の増加率で増加するから、当該時刻t9 から時
刻t11までの図6の演算処理が実行されるサンプリング
時間毎に,同図のステップS6で算出される前輪側トル
ク配分制限値TLIM は、前記時刻t7 から時刻t9 まで
に算出される前輪側トルク配分制限値TLIM の減少傾き
よりも小さな傾きで減少するか、或いは実際には比較的
小さな一定の増加率で増加する。
【0064】従って、この時刻t7 から時刻t11までの
時間では、前記変速操作により前後輪速度差ΔNが零又
はほぼ零と検出される時刻t8 ,t10からの夫々基準前
輪側トルク配分指令値立上り時間Δt14,Δt15を含ん
で、常に前輪側トルク配分制限値TLIM が基準前輪側ト
ルク配分指令値T1 よりも大きく、前記図6の演算処理
が実行されるサンプリング時間毎の前回演算時の前輪側
トルク配分指令値T2よりも今回演算時の基準前輪側ト
ルク配分指令値T1 が小さいから、同図のステップS8
からステップ10に移行し、前輪側トルク配分制限値T
LIM が基準前輪側トルク配分指令値T1 よりも大きいか
らステップS11,S12を経てステップS13で前輪
側トルク配分制限値TLIM が前輪側トルク配分指令値T
2 に設定され、同時にステップS16でタイマNのカウ
ンタ値をインクリメントし、この前輪側トルク配分指令
値T2 を更新記憶し、更にステップS16でこれを出力
する。
【0065】ここで、厳密を期するなら,図6の演算処
理が実行されるサンプリング時間毎にインクリメントさ
れるタイマNのカウンタ値は夫々,前記所定時間tS
経過する毎に前記所定最大値NMAX 以上となるから、そ
の演算処理時には同図のステップS12からステップS
9に移行して今回演算時の基準前輪側トルク配分指令値
1 が前輪側トルク配分指令値T2 に設定され、次のス
テップS14ではタイマNがリセットされる。ところ
が、次回演算処理時には、前輪側トルク配分指令値T2
よりも今回演算時の基準前輪側トルク配分指令値T1
小さいから、同図のステップS8からステップ10に移
行し、前輪側トルク配分制限値TLIM が基準前輪側トル
ク配分指令値T1 よりも大きいからステップS11,S
12に移行し、ここでタイマNのカウンタ値は再び前記
所定最大値NMAX より小さいからステップS13に移行
して、前輪側トルク配分制限値TLIM が前輪側トルク配
分指令値T2 に設定され、同時にステップS16でタイ
マNのカウンタ値をインクリメントし、この前輪側トル
ク配分指令値T2 を更新記憶し、更にステップS16で
これが出力される。そして、これらの前輪側トルク配分
指令値T2 によるアクチュエータの作用は前記の通りで
ある。
【0066】次に、前記と同様の路面並びに走行条件下
で,前記所定の減速度で車両が減速する減速旋回走行状
態から定速旋回走行状態に移行し且つ当該定速旋回状態
を維持する時刻t11から時刻t14について考察する。こ
の時刻t11から時刻t14までの時間では、前記図6の演
算処理が実行されるサンプリング時間毎に,検出される
車速検出値Vそのものは前記時刻t11と同等か又はほぼ
同等であり、また各時刻において車速を満足するために
路面へのトラクション伝達に消費される駆動力は,前述
のように前記時刻t11における減速走行終了時点と同等
か又はほぼ同等であると仮定したから、同図の演算処理
のステップS4で算出される前後輪速度差ΔNは、当該
時刻t11の減速走行終了時点の前後輪速度差ΔNと同等
かほぼ同等であり、従って同ステップS5で算出される
基準前輪側トルク配分指令値T1も,前記時刻t11と同
等かほぼ同等の値に維持され続ける。なお、この定速走
行中は変速操作が実行されないと仮定したから、この時
間中は変速操作に係る基準前輪側トルク配分指令値T1
の変動は生じない。
【0067】一方、車両で検出される車速検出値Vは一
定でも,横加速度検出値Ygが一定の増加率で増加を継
続する時刻t11から時刻t12までの時間では、図6の演
算処理が実行されるサンプリング時間毎に,同図のステ
ップS6で算出される前輪側トルク配分制限値T
LIM は、前記時刻t9 から時刻t11までの増加傾きより
も大きな増加傾きで一様に増加する。また、車両で検出
される車速検出値V及び横加速度検出値Ygが一定とな
る時刻t12から時刻t13までの時間では、図6の演算処
理が実行されるサンプリング時間毎に,同図のステップ
S6で算出される前輪側トルク配分制限値TLIM は、前
記時刻t12の値に維持される。そして、車両で検出され
る車速検出値Vは一定でも,横加速度検出値Ygが一定
の減少率で減少を開始した時刻t13から時刻t14までの
時間では、図6の演算処理が実行されるサンプリング時
間毎に,同図のステップS6で算出される前輪側トルク
配分制限値TLIM は一定の減少傾きで減少する。
【0068】従って、この時刻t11から時刻t14までの
時間では、常に前輪側トルク配分制限値TLIM が基準前
輪側トルク配分指令値T1 よりも大きく、前記時刻t11
又はその近傍で実行された図6の演算処理で,前述のよ
うに前輪側トルク配分制限値TLIM が前輪側トルク配分
指令値T2 に設定されているから、これ以後,前記時刻
14までの図6の演算処理が実行されるサンプリング時
間毎の前回演算時の前輪側トルク配分指令値T2 よりも
今回演算時の基準前輪側トルク配分指令値T1が小さい
から、同図のステップS8からステップ10に移行し、
前輪側トルク配分制限値TLIM が基準前輪側トルク配分
指令値T1 よりも大きいからステップS11,S12を
経てステップS13で前輪側トルク配分制限値TLIM
前輪側トルク配分指令値T2 に設定され、同時にステッ
プS16でタイマNのカウンタ値をインクリメントし、
この前輪側トルク配分指令値T2 を更新記憶し、更にス
テップS16でこれを出力する。なお、この時刻t11
ら時刻t14までのタイマNのカウンタ値に対する演算処
理は、前記時刻t7 から時刻11までの演算処理と同様に
実行される。そして、これらの前輪側トルク配分指令値
2 によるアクチュエータの作用は前記の通りである。
【0069】次に、前記と同様の路面並びに走行条件下
で,前記車両の定速旋回状態から所定の加速度で車両が
加速し,同時に旋回を終了して直進加速状態に移行する
時刻t14から時刻t17について考察する。この時刻t14
から時刻t17までの時間では、前記図6の演算処理が実
行されるサンプリング時間毎に,検出される車速検出値
Vが増加し,同時に当該時刻における車速及び加速度を
満足するために路面へのトラクション伝達に消費される
駆動力が増加するから、各変速操作直後を除いて,同図
の演算処理のステップS4で算出される前後輪速度差Δ
Nが増加し、その結果,前記2速から3速への変速操作
直後の時刻t15からの前輪側トルク配分指令値立上り時
間Δt16,3速から4速への変速操作直後の時刻t16
らの前輪側トルク配分指令値立上り時間Δt17を除き、
同図6の演算処理のステップS5で算出される基準前輪
側トルク配分指令値T1 は増加し続ける。
【0070】そして、各変速操作が実行される時刻
15,時刻t16の夫々の直前には,当該変速操作のため
に前記機関クラッチが寸断されるから、一時的に主駆動
輪及び副駆動輪に相当する後及び前輪2RR〜2FLに
は駆動力が伝達されず、その結果,実際の車両の各輪速
度は車両慣性による惰性走行の車速検出値と同等かほぼ
同等となる。従って、各変速操作から所定の制御応答遅
れ時間Δtd が経過した後の時刻t15,t16以後,前記
変速所要時間ΔTと等価な基準前輪側トルク配分指令値
立上り時間Δt16,Δt17では、図6の演算処理が実行
されるサンプリング時間毎に,同ステップS4で算出さ
れる前後輪速度差ΔNは零又はほぼ零となり、結果的に
同ステップS5で算出される基準前輪側トルク配分指令
値T1 も零かほぼ零に設定される。
【0071】一方、車両で検出される車速検出値Vが前
記所定の加速度によって一様に増加し,同時に横加速度
検出値Ygが前記時刻t13から時刻t14までの時間と同
等の減少率で減少を継続する時刻t14から時刻t16まで
の時間では、図6の演算処理が実行されるサンプリング
時間毎に,同図のステップS6で算出される前輪側トル
ク配分制限値TLIM は、比較的小さな一定の増加率で増
加するか、或いは実際には少なくとも前記時刻t13から
時刻t14までに算出される前輪側トルク配分制限値T
LIM の減少傾きよりも小さな傾きで減少する。その結
果,実質的に時刻t 15’で当該前輪側トルク配分制限値
LIM が前記基準前輪側トルク配分指令値T 1 を下回っ
た。そして、車両で検出される横加速度検出値Ygは零
に収束した後に車速検出値Vは前記時刻t14から時刻t
16と同等の増加傾きで増加する時刻t 16から時刻t17
は、図6の演算処理が実行されるサンプリング時間毎
に,同図のステップS6で算出される前輪側トルク配分
制限値TLIM は、一定の加速度で増加する車速検出値V
に応じて,前記基準前輪側トルク配分指令値T1 と同等
の傾きで増加するが、その値そのものは当該基準前輪側
トルク配分指令値T1 よりもやや小さな値に設定され
る。
【0072】従って、この時刻t14から時刻t17までの
時間のうち、時刻t14から前記基準前輪側トルク配分指
令値T1 が前輪側トルク配分制限値TLIM を越える時刻
16までの時間は、前記図6の演算処理が実行されるサ
ンプリング時間毎に,同図のステップS8からステップ
S10,S11,S12を経てステップS13で前輪側
トルク配分制限値TLIM が前輪側トルク配分指令値T2
に設定され、同時にステップS16でタイマNのカウン
タ値をインクリメントし、この前輪側トルク配分指令値
2 を更新記憶し、更にステップS16でこれを出力す
る。そして、前記時刻t16又はその近傍における図6の
演算処理のステップS10で,基準前輪側トルク配分指
令値T1 が前輪側トルク配分制限値TLIM を越えるた
め、ステップ9に移行して基準前輪側トルク配分指令値
1 が前輪側トルク配分指令値T2に設定され、同ステ
ップS14では常にタイマNをリセットしながら、ステ
ップS15で当該前輪側トルク配分指令値T2 を更新記
憶し、更にステップS16でこれを出力する。更に、こ
の時刻t16以後,前記時刻t17までの時間では、前記変
速操作により前後輪速度差ΔNが零又はほぼ零と検出さ
れる時刻t16からの前輪側トルク配分指令値立上り時間
Δt27を除いて、常に基準前輪側トルク配分指令値T1
が前輪側トルク配分制限値TLIM よりも大きく、前記図
6の演算処理が実行されるサンプリング時間毎の前回演
算時の前輪側トルク配分指令値T2 よりも今回演算時の
基準前輪側トルク配分指令値T1 が大きいから、同図の
ステップS8又はステップS10からステップS9に移
行して当該基準前輪側トルク配分指令値T1 が前輪側ト
ルク配分指令値T2 に設定され、同ステップS14では
常にタイマNをリセットしながら、ステップS15で当
該前輪側トルク配分指令値T2 を更新記憶し、更にステ
ップS16でこれを出力する。
【0073】一方、前記時刻t16からの前輪側トルク配
分指令値立上り時間Δt27では、前記図6の演算処理が
実行されるサンプリング時間毎に,前記ステップS5で
算出される前後輪速度差ΔNが急激に零に減少しようと
して,同ステップS6で算出される基準前輪側トルク配
分指令値T1 も急激に零に減少しようとし、その結果,
同ステップS8,S10を経てステップS11に移行す
る。ところが、各変速操作に必要な変速所要時間Δt若
しくは前記前輪側トルク配分指令値立上り時間Δt
27は、前記所定時間tS よりも遙かに短く、従ってタイ
マNのカウンタ値は前記所定最大値NMAX に満たないか
ら、図6の演算処理ではステップS12からステップS
13に移行して前輪側トルク配分制限値TLIM が前輪側
トルク配分指令値T2 に設定され、更にステップS16
でタイマNのカウンタ値がインクリメントされ、ステッ
プS15で当該前輪側トルク配分指令値T2 を更新記憶
し、更にステップS16でこれを出力する。従って、実
際の車両における前輪2FL,2FRへの駆動力配分は
前記基準前輪側トルク配分指令値T1 が前輪側トルク配
分指令値T2 に設定される時間よりも、やや小さくなる
程度である。そして、これらの前輪側トルク配分指令値
2 によるアクチュエータの作用は前記の通りである。
【0074】次に、前記と同様の路面並びに走行条件下
で,前記所定の加速度で車両が加速する加速走行状態か
ら定速走行状態に移行し且つ当該定速走行状態を維持す
る時刻t17以後について考察する。この時刻t17以後の
時間では、前記図6の演算処理が実行されるサンプリン
グ時間毎に,検出される車速検出値Vそのものは前記時
刻t17と同等か又はほぼ同等であるが、各時刻において
車速を満足するために路面へのトラクション伝達に消費
される駆動力は,前述のように前記時刻t14から時刻t
17までの加速走行状態よりも小さいから、同図の演算処
理のステップS4で算出される前後輪速度差ΔNは、当
該時刻t17の加速走行終了時点の前後輪速度差ΔNより
も変化量全体は小さいものの,急激に減少し、以後,一
定に維持されることになる。従って、同図6の演算処理
のステップS5で算出される基準前輪側トルク配分指令
値T1 も,前記時刻t17で急激に,しかし減少量全体は
僅かに減少した後,或る一定の値に維持され続ける。な
お、この定速走行中は変速操作が実行されないと仮定し
たから、当該変速操作に係る基準前輪側トルク配分指令
値T1 の変動は生じない。
【0075】一方、前記時刻t17以後のの時間に,車両
には横加速度検出値Ygは検出されず、且つこの時間の
車速検出値Vは当該時刻t17の状態に維持されるから、
前記図6の演算処理が実行されるサンプリング時間毎
に,同図のステップS6で算出される前輪側トルク配分
制限値TLIM は前記時刻t17と同等かほぼ同等に維持さ
れる。ここで、前記時刻t5 から時刻t7 の定速走行時
と同様に、図6の演算処理のステップS4で算出される
前後輪速度差ΔNに応じて同ステップS5で算出される
基準前輪側トルク配分指令値T1 は、同ステップS6で
算出される前輪側トルク配分制限値TLIM よりも小さ
い。
【0076】従って、この時刻t17以後の時間のうち、
時刻t17から前記所定時間tS が経過する時刻t18まで
の時間は、前記図6の演算処理が実行されるサンプリン
グ時間毎に,同図のステップS8からステップS10,
S11,S12を経てステップS13で前輪側トルク配
分制限値TLIM が前輪側トルク配分指令値T2 に設定さ
れ、同時にステップS16でタイマNのカウンタ値をイ
ンクリメントし、この前輪側トルク配分指令値T2 を更
新記憶し、更にステップS16でこれを出力する。そし
て、前記時刻t18又はその近傍における図6の演算処理
のステップS12でタイマNのカウンタ値が前記所定最
大値NMAX 以上となるため、ステップ9に移行して基準
前輪側トルク配分指令値T1 が前輪側トルク配分指令値
2 に設定され、同ステップS14では常にタイマNを
リセットしながら、ステップS15で当該前輪側トルク
配分指令値T2 を更新記憶し、更にステップS16でこ
れを出力する。更に、この時刻t16以後は、前記時刻t
5 から時刻t7 までの時間と同様に図6の演算処理が実
行されるサンプリング時間毎に,基準前輪側トルク配分
指令値T1 が前輪側トルク配分指令値T2 に設定され、
同ステップS14では常にタイマNをリセットしなが
ら、ステップS15で当該前輪側トルク配分指令値T2
を更新記憶し、更にステップS16でこれを出力する。
この前輪側トルク配分指令値T2 によるアクチュエータ
の作用は前記の通りである。
【0077】このように前輪側トルク配分指令値T2
基準前輪側トルク配分指令値T1 若しくは前輪側トルク
配分制限値TLIM の何れか最適なものに設定すること
で、前記車両のトラクションロスに応じた前後輪駆動力
配分が達成された場合には不必要な燃費の低下を抑制
し、前記減速若しくは旋回時の横加速度に応じた前後輪
駆動力配分が達成された場合には車両の走行安定性が向
上する。
【0078】また、一つの事例として,前記のような加
速走行中或いは定速走行中に、水溜まりのような低μ領
域に後輪2RL,2RRが進入した結果、当該後輪2R
L,2RRに大きなスリップが発生すると,図6の演算
処理の前記ステップS4で算出される前輪回転検出値n
Fと後輪回転検出値nRとの前後輪速度差ΔNは,前記
安定した路面μ状態における加速走行中の前後輪速度差
ΔNよりも大きな或る正の値となる。従って、同図6の
演算処理が行われるサンプリング時間毎に,同図のステ
ップS5で算出される基準前輪側トルク配分指令値T1
は、前記一時的に且つ大きく増加した前後輪速度差ΔN
に応じて一時的に大きな値となり、この一時的に大きな
値の基準前輪側トルク配分指令値T1 は,同ステップ8
又はステップS10を経てステップS9で前輪側トルク
配分指令値T2 に設定されるであろうから、この前輪側
トルク配分指令値T2 がステップS15又はS16で出
力された結果,前記出力インタフェース回路70dから
出力される制御信号ST も一時的に大きな正の電圧信号
となる。
【0079】このように一時的に大きな正の制御信号S
T を入力した駆動回路59では,それをフローティング
形定電圧回路等によって,やはり一時的に大きな指令電
流I SOL に変換するため、この一時的に大きな指令電流
SOL が入力された比例電磁ソレノイド50の磁界強度
は一時的に大きく増加し、これによって電磁式クラッチ
機構37のピストンプレート37fは大きく変位するか
ら、ドライブ及びドリブン側のフリクションプレート3
7b,37dの摩擦力により当該電磁式クラッチ機構3
7は,最大で機関出力の50%までの車輪駆動力を前輪
2FL,2FR側に伝達し、その結果,主駆動輪である
後輪2RL,2RRの駆動力が小さくなってトラクショ
ンロスによるスリップが解消され、安定した定速加速走
行を連続的に可能とする。
【0080】これをはじめとして、例えば低μ路面での
発進時に後輪2RL,2RRに掛かる駆動力が大き過ぎ
たために当該後輪2RL,2RRがスリップした場合に
も同様のフィードバック制御が行われて後輪のスリップ
が解消され、車両の挙動が安定化される。なお、前記低
μ路面で前輪2FL,2FRにスリップが発生した結
果,前後輪回転差ΔNが或る負の値となったとしても前
記した実施例の原理並びに図4及び図5に示す制御マッ
プに従って後輪側への駆動力配分は変更制御されない。
【0081】また、車両が,濡れたアスファルト路面の
ようにやや低い摩擦係数路面に進入したときのことを考
察する。このような低μ路面では,摩擦係数に依存する
タイヤのグリップ力は早期に低下してしまうから、主駆
動輪である後輪2RL,2RRの駆動力,即ち走行抵抗
に抗して車両を定速走行させるためのトラクションも比
較的小さな値で飽和してしまい、前述と同様に前輪2F
L,2FRへの駆動力配分をその分だけ早めて,車両の
走行安定性を確保することができる。
【0082】さて、それでは本実施例において前記変速
操作時に代表されるように比較的短時間に各輪への駆動
力が寸断され、その後,大きな駆動力が各輪に負荷され
た場合の作用について考察する。図8は、前記図7のタ
イムチャートの時刻t2 ,t3 ,t4 ,t16,t17に代
表される各変速操作時に,前記図6の演算処理で基準前
輪側トルク配分指令値T 1 が前輪側トルク配分指令値T
2 に設定出力されるものとして、当該各時刻の車両で実
際に発生している実前後輪速度差ΔNR 及び基準前輪側
トルク配分指令値T1 を,時間を拡大して詳細に描いた
タイムチャートである。一方、図9は、図7のタイムチ
ャートにおいて時刻t2 ,t3 ,t4 ,t17に代表され
る各変速操作時の実前後輪速度差ΔNR 及び図6の演算
処理で実際に設定出力される前輪側トルク配分指令値T
2 を,時間を拡大して詳細に描いたタイムチャートであ
る。なお、これらの各タイムチャートにおいて、実際の
車速又は加速度を満足する前記最適な前後輪速度差ΔN
* は前記各時刻において異なる筈であり、またこの最適
な前後輪速度差ΔN* における最適な前輪側トルク配分
指令値T* も各時刻において異なる筈であるが、ここで
は理解を容易にするために,夫々の零までの偏差が等し
くなるように縮小或いは拡大して一致させた後、表示さ
れる時間内では一定値であるとし、前輪側トルク配分指
令値T1 又はT2 と実前後輪速度差ΔN R は上下にオフ
セットした。また、これに並行して,各時刻の車速検出
値V並びに横加速度検出値Ygに応じて算出される前記
前輪側トルク配分制限値TLIM も前記と同等の倍率で縮
小或いは拡大して併記した。更に、実際の車両で発生す
ると考えられる実前後輪速度差ΔNR の検出から前記図
6の演算処理までに要する制御応答遅れ時間ΔTd は一
定値で存在するものとするが、実前後輪速度差ΔN R
増減傾きKΔNに対する,前記基準前輪側トルク配分指
令値T1 の増減傾きKT1 又は前輪側トルク配分指令値
2 の増減傾きKT2 は同等かほぼ同等であるとする。
そして、制御系の遅れを含んで基準前輪側トルク配分指
令値T1 若しくは前輪側トルク配分指令値T2 が前記理
想とする最適な前輪側トルク配分指令値T* に一致した
時点で、前記実前後輪速度差ΔNR は前記最適な前後輪
速度差ΔN* に収束するものを実線で示し、実際の制御
で発生すると思われる目標値からのオーバシュートに対
しては二点鎖線で示す。また、これらの増減傾きKΔN
〜KT2 は,夫々前後輪駆動力配分状態の変化に応じ
て、時々刻々変化する,具体的には経時的に傾きが小さ
くなるはずであるが、少なくとも前記実前後輪速度差Δ
R は前記最適な前後輪速度差ΔN* に収束する時点ま
でのこれらの増減傾きは一定であるとする。
【0083】まず、図8に示すように検出又は算出され
た前後輪速度差ΔNだけに基づいて設定された基準前輪
側トルク配分指令値T1 がそのまま前輪側トルク配分指
令値T2 に設定出力された場合を考察する。まず、車両
で実際に発生する実前後輪速度差ΔNR が時刻t
101 で,減少傾きが約無限大の状態で,急激に零まで減
少し、これから変速所要時間Δt後の時刻t103 で増加
傾きKΔNで急激に増加するものとする。一方、前記基
準前輪側トルク配分指令値T1 は,前記時刻t101 から
所定の制御応答遅れ時間Δtd 後の時刻t102 で,実前
後輪速度差ΔNR と同様に減少傾き約無限大として急激
に零まで減少し、前記時刻t103 から所定の制御応答遅
れ時間Δtd 後の時刻t105 で増加傾きKT1 で急激に
増加しようとする。従って、この基準前輪側トルク配分
指令値が立上るまでの立上り時間Δt1i(i=1〜7)
は前記変速所要時間Δtと同等かほぼ同等となる。とこ
ろで、前記変速操作時等のように前記時刻t103 で急激
に増大する駆動力が各輪に負荷されるときに、図8に示
すように基準前輪側トルク配分指令値T1 は零かほぼ零
に設定出力されているとすると、この駆動力は主駆動輪
である後輪2RL,2RRにのみ負荷されることにな
り、結果的に当該後輪2RL,2RRは急激に見掛け上
のグリップ力を失ってその車輪回転速度が急激に増加し
ようとし、一方、前輪2FL,2FRは車両の車速とほ
ぼ同等にしか回転しないから、実前後輪速度差ΔNR
当該時刻t103 から大きな増加傾きKΔNで増加する。
そして、前記時刻t105 で立上る基準前輪側トルク配分
指令値T1 も,この実前後輪速度差ΔN R の大きな増加
傾きKΔNと同等かほぼ同等の大きな増加傾きKT1
増加し、その後,時刻t106 で前記最適な基準前輪側ト
ルク配分指令値T* に到達した。従って、この時刻t
106 で理論上では前記実前後輪速度差ΔNR が前記最適
な前後輪速度差ΔN* に収束するのであるが、実際に
は,前記大きな増加傾きKΔNで増加する実前後輪速度
差ΔNR が,時刻t105 で当該最適な前後輪速度差ΔN
* をオーバシュートし、前記時刻t106 までの半分の時
間で,前記増加傾きKΔNと同じ大きさの減少傾き(−
KΔN)で減少した。この実前後輪速度差ΔNRが最適
な前後輪速度差ΔN* をオーバシュートしている時間,
即ち前記時刻t10 4 から時刻t106 までの時間をスリッ
プロス時間tSLと定義すれば、同じスリップロス時間t
SLでも,図8に示すような前記増減傾きの大きい場合に
は、このオーバシュートの経時累積分に相当するスリッ
プロスのエネルギ損がより一層大きくなることは容易に
想定される。実際には、このオーバシュート分は二点鎖
線で示すようにその極大点近傍が丸められるから若干の
減少はあるが、しかし同時に前記時刻t106 以後の揺り
返しも想定され、やはりオーバシュートが大きい分だけ
この揺り返しも大きくなると想定される。またそのよう
になると、実前後輪速度差ΔNR から算出設定される基
準前輪側トルク配分指令値T1 もハンチングが発生し、
制御系全体が不安定になることも想定される。
【0084】一方、前記図6の演算処理によって前輪側
トルク配分指令値T2 が設定出力された場合を図9に基
づいて考察する。このときも前記図8の場合と同様に、
車両で実際に発生する実前後輪速度差ΔNR が時刻t
201 で,減少傾きが約無限大の状態で,急激に零まで減
少し、これから変速所要時間Δt後の時刻t203 で増加
傾きKΔNで急激に増加するものとする。一方、前記前
輪側トルク配分指令値T 2 は,前記時刻t201 から所定
の制御応答遅れ時間Δtd 後の時刻t202 で,実前後輪
速度差ΔNR と同様に減少傾き約無限大として急激に前
記前輪側トルク配分制限値TLIM まで減少し、その後,
この前輪側トルク配分制限値TLIM に維持されるが、前
記時刻t203 で増加を開始した実前後輪速度差ΔN
R が,当該前輪側トルク配分制限値TLIM に相当する制
限値相当前後輪速度差ΔNLIM に到達する時刻t204
ら前記所定の制御応答遅れ時間Δtd 後の時刻t
206 で、前記実前後輪速度差ΔNR の増加傾きKΔNと
同等の増加傾きKT2 で急激に増加しようとする。ここ
で、前記時刻t203 で立上る実前後輪速度差ΔNR の増
加傾きKΔNについて考察すると、この時刻t203 で前
後輪間駆動力配分状態は,前記最適な前輪側トルク配分
指令値T* よりやや小さい程度の前輪側トルク配分制限
値TLIM によって前輪側への駆動力配分を可能とする状
態に維持されているから、当該時刻t203 で負荷される
駆動力は前輪側にも配分され、その結果,当該時刻t
203 以後の実前後輪速度差ΔNR の増加傾きKΔNは、
少なくとも前記図8の場合よりもかなり小さなものとな
る。従って、この比較的小さい増加傾きKΔNで増加す
る実前後輪速度差ΔNR が前記制限値相当前後輪速度差
ΔNLIM に到達するまでに時間を要するから、前記時刻
202 から時刻t206 までの前輪側トルク配分指令値立
上り時間Δt2j(j=1〜3,7)は前記図8の場合よ
りも長くなるが、前述のように時刻t203 で前後輪間駆
動力配分状態は,前記最適な前輪側トルク配分指令値T
* よりやや小さい程度の前輪側トルク配分制限値TLIM
によって前輪側への駆動力配分を可能とする状態に維持
されているから、所望する前後輪駆動力配分状態への移
行のタイミングそのものは早くなっており、そういった
意味からは制御の応答性は速くなっている。また、前記
時刻t206 で立上る前輪側トルク配分指令値T2 も,こ
の実前後輪速度差ΔNR の比較的小さな増加傾きKΔN
と同等かほぼ同等の比較的小さな増加傾きKT2 で増加
し、その後,時刻t207 で前記最適な基準前輪側トルク
配分指令値T* に到達した。従って、この時刻t207
理論上では前記実前後輪速度差ΔNR が前記最適な前後
輪速度差ΔN* に収束するのであるが、実際には,前記
比較的小さな増加傾きKΔNで増加する実前後輪速度差
ΔNR も,時刻t205 で当該最適な前後輪速度差ΔN*
をオーバシュートし、前記時刻t207 までの半分の時間
で,前記増加傾きKΔNと同じ大きさの減少傾き(−K
ΔN)で減少した。この実前後輪速度差ΔNR が最適な
前後輪速度差ΔN* をオーバシュートしている時間,即
ち前記時刻t104から時刻t106 までのスリップロス時
間tSLは、図8の場合と制御応答遅れ時間Δtd が等し
いからほぼ同等であると考えられるが、同じスリップロ
ス時間tSLでも,図8に示すような前記増減傾きKΔN
の大きい場合に比して、同図9に示すような増減傾きK
ΔNの比較的小さい場合には、このオーバシュートの経
時累積分に相当するスリップロスのエネルギ損が小さく
なることは容易に想定される。実際には、このオーバシ
ュート分は二点鎖線で示すようにその極大点近傍が丸め
られ、しかも増減傾きそのものが小さいから、前記時刻
207 以後の揺り返しは比較的小さいと想定され、同時
に比較的早期に収束されると想定される。またそのよう
になると、実前後輪速度差ΔNR から算出設定される基
準前輪側トルク配分指令値T1 も早期に収束し、その意
味からも制御系全体の安定した応答性は向上していると
言える。
【0085】これを突き詰めると、前記前輪側トルク配
分制限値TLIM は基準前輪側トルク配分指令値T1 に近
づけば近づくほど,前輪側トルク配分指令値T2 の立上
り時間Δt2jは長くなる一方で、前記スリップロスに係
るエネルギ損は小さくなり、所望する前後輪間駆動力配
分状態への実質的な移行に係る制御応答性が向上する。
そこで、この基準前輪側トルク配分指令値T1 に前輪側
トルク配分制限値TLI M に一致させ,結果的に前輪側ト
ルク配分指令値T2 が変速操作時等のように駆動力が寸
断される時間中は、常に前輪側トルク配分制限値TLIM
と等しいその直前の基準前輪側トルク配分指令値T1
維持された場合の実前後輪速度差ΔNRを経時的に示す
タイムチャートが図10である。前記理論に従えばこの
場合は、実前後輪速度差ΔNR の増加傾きKΔNは更に
小さくなって,所望する最適な前後輪速度差ΔN* への
到達時刻は遅くなるが、制御系の遅れは皆無となり、理
論上のオーバシュートに伴うスリップロスに係るエネル
ギ損も零となる。実際には同図に二点鎖線で示すように
最適な前後輪速度差ΔN* に対するオーバシュートが発
生してスリップロスに係るエネルギ損が発生するとも考
えられるが、その場合には各制御系及び車両での応答遅
れによって実前後輪速度差ΔNR の増加傾きはより一層
小さなものとなって,当該オーバシュートも伴うスリッ
プロスに係るエネルギ損は非常に小さなものになると考
えられる。
【0086】また、各制御系の応答遅れそのものは短縮
し難いものであるとして、実質的に前記実前後輪速度差
ΔNR の立上り期の増加傾きKΔNを小さくするだけで
も、前記スリップロスに係るエネルギ損の減少には大き
な効果が期待できる。従って、各制御系の遅れ時間を正
確に調査して,当該実前後輪速度差ΔNR の立上り期の
増加傾きKΔNを小さくしたのが図11のタイムチャー
トである。この場合には、実前後輪速度差ΔNR の立上
り期まで前輪側トルク配分指令値T2 を,駆動力が寸断
される直前の基準前輪側トルク配分指令値T1 に維持
し、その後,当該前輪側トルク配分指令値T2 を前輪側
トルク配分制限値TLIM に向けて次第に減少し、実前後
輪速度差ΔNR が前記制限値相当前後輪速度差ΔNLIM
に到達した時刻から前輪側トルク配分指令値T2 を基準
前輪側トルク配分指令値T1 に設定する。この制御態様
によれば、少なくとも実前後輪速度差ΔNR の立上り期
における増加傾きKΔNは更に小さくなるから、当該実
前後輪速度差ΔNR の最適な前後輪速度差ΔN* に対す
るオーバシュートも減少すると考えられる。また、前記
最適な前輪側トルク配分指令値T* に対する実際の前輪
側トルク配分指令値T 2 の目減り分は、例えば前記電磁
式クラッチ機構37等のアクチュエータで消費されるエ
ネルギ損の向上分と考えれば、前記図10の場合よりも
僅かではあるがアクチュエータで消費されるエネルギ損
を低減することができる。なお、前述したようにアクチ
ュエータで消費されるエネルギ損は,前記スリップロス
に係るエネルギ損に比して遙かに小さいと考えてよい。
【0087】以上より、本実施例の図6の演算処理にお
けるステップS1が本発明の車両の前後輪駆動力配分制
御装置の前後輪回転状態検出手段に相当し、以下同様
に,ステップS8,S10〜S12が回転状態変化検出
手段に相当し、ステップS2,S3,S6,S13,S
16が駆動力配分補正手段に相当し、図6に示すフロー
チャート全体が駆動力配分制御手段に相当し、トランス
ファ並びに比例電磁ソレノイドが駆動力配分調整手段に
相当する。従って、本実施例では,前記回転状態変化検
出手段も前記駆動力配分制御手段に包含された構成とな
っている。
【0088】なお、前記実施例では、前記前輪側トルク
配分制限値TLIM の算出に車速検出値V及び横加速度検
出値Ygのみを変数として用いる場合についてのみ詳述
したが、この車速検出値Vの代わりに車両前後加速度を
始め,前左右輪速度差,後左右輪速度差等を変数として
用いることも、或いはそれらを併用することも可能であ
り、その具体的な演算処理は各パラメータで構成される
マトリックスから格子補間によって算出するなどの既存
の手段が採用できる。
【0089】また、前記実施例では、前後輪速度差ΔN
若しくはそれと一意に算出される基準前輪側トルク配分
指令値T1 が急激に減少したときのリミッタとして前輪
側トルク配分制限値TLIM を用いる場合についてのみ詳
述したが、要は前後輪回転状態検出値の偏差の絶対値が
急激に増加する変化が検出されたときに、前記主駆動輪
に配分される駆動力を小さくするように,前記前後輪間
駆動力配分を調整するための制御信号の変化量を補正す
ればよいのであるから、例えば前記図11で示すように
当該制御信号の減少量にフィルタをかけるなどしてもよ
いことは容易に理解されよう。
【0090】また、前記実施例では後輪駆動車両をベー
スにした四輪駆動車両について詳述したが、この種の四
輪駆動車両に限定されるものではなく、前輪駆動車両を
ベースにした四輪駆動車両に搭載されるトランスファの
クラッチ機構を制御するものであってもよい。この場合
は、前記した前後輪回転差ΔN=nF−nRとして演算
すればよい。
【0091】また、前記実施例ではクラッチ機構として
電磁式摩擦クラッチを用いた場合について説明したが、
本発明は駆動力を連続的に配分できるクラッチであれば
例えば流体圧クラッチ機構等にも採用できる。また、前
記実施例では主駆動輪及び副駆動輪である前後輪間の駆
動力配分調整手段として前後輪間に介装されたクラッチ
機構を用いた場合についてのみ詳述したが、この前後輪
間の駆動力配分調整手段にはその他の機構を用いること
も可能であり、例えば前述の差動制限付きセンタディフ
ァレンシャル機構を採用した場合には四輪駆動状態でセ
ンタディファレンシャル差動制限状態,二輪駆動状態で
センタディファレンシャルフリー状態とすればよい。
【0092】また、前記実施例はコントローラ58とし
てマイクロコンピュータを適用した場合について説明し
たが、これに代えてカウンタ,比較器等の電子回路を組
み合わせて構成することもできる。
【0093】
【発明の効果】以上説明したように本発明の車両の前後
輪間駆動力配分制御装置によれば、例えば変速操作時等
のように比較的短い時間内で主駆動輪又は副駆動輪への
駆動力が断続され、その結果,前後輪回転状態検出値の
偏差の絶対値が急激に減少した後に急激に増加するよう
な場合にあって、当該前後輪回転状態検出値の偏差の絶
対値が急激に増加するときの主駆動輪への駆動力配分が
小さくなるために、当該前後輪駆動力配分の制御信号の
リミッタ若しくはフィルタを設け、これにより主駆動輪
に負荷されるべき急激な駆動力は副駆動輪側にも配分さ
れて、当該主駆動輪の回転が目標値に対してオーバシュ
ートするスリップロスに係るスリップロス時間,及びエ
ネルギ損を減少すると共に、実質的な所望する前後輪間
駆動力配分状態への移行のタイミングを早めて制御系全
体の応答性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両の前後輪間駆動力配分制御装置の
基本構成図である。
【図2】本発明の車両の前後輪間駆動力配分制御装置を
前後輪間に介装されたトランスファに適用した一例を示
す概略構成図である。
【図3】図2の前後輪間の駆動力配分制御装置の一例を
示す概略構成図である。
【図4】図3の前後輪間の駆動力配分制御装置で行われ
る指令電流と前輪側への伝達トルクの相関関係図であ
る。
【図5】図3の前後輪間の駆動力配分制御装置で行われ
る前後輪速度差と前輪側トルク配分指令値との相関関係
図である。
【図6】本発明の車両の前後輪間駆動力配分制御装置の
第1実施例の演算処理を示すフローチャートである。
【図7】図6の演算処理による各トルク配分指令値の経
時変化を示すタイムチャートである。
【図8】特に変速操作時において従来制御に係るトルク
配分指令値の経時変化を示す詳細なタイムチャートであ
る。
【図9】特に変速操作時において本実施例に係るトルク
配分指令値の経時変化を示す詳細なタイムチャートであ
る。
【図10】本発明の車両の前後輪間駆動力配分制御装置
の他の実施例に係るトルク配分指令値の経時変化を示す
詳細なタイムチャートである。
【図11】本発明の車両の前後輪間駆動力配分制御装置
の更に他の実施例に係るトルク配分指令値の経時変化を
示す詳細なタイムチャートである。
【符号の説明】
1はエンジン 2FL〜2RRは前左輪〜後右輪 3は駆動力系 4は駆動力配分制御装置 12は変速機 14はトランスファ 16は前輪側出力軸 18は前輪側ディファレンシャルギヤ 20は前輪側ドライブシャフト 22はプロペラシャフト 24は後輪側ディファレンシャルギヤ 26は後輪側ドライブシャフト 37はクラッチ機構 49は横加速度センサ 50は比例電磁ソレノイド 52は車速センサ 54は前輪回転センサ 56は後輪回転センサ 58はコントローラ 59は駆動回路 70はマイクロコンピュータ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の前後輪の何れか一方を主駆動輪と
    し、他方を副駆動輪として、制御信号に応じて当該主駆
    動輪及び副駆動輪に相当する前後輪間で機関からの駆動
    力の配分を調整する駆動力配分調整手段と、主駆動輪及
    び副駆動輪に相当する前後輪の夫々の回転状態を検出す
    る前後輪回転状態検出手段と、少なくとも前記前後輪回
    転状態検出手段で検出された前後輪回転状態検出値の偏
    差に基づいて、前記駆動力配分調整手段による前後輪間
    の主副駆動輪間駆動力配分を調整するための制御信号を
    出力する駆動力配分制御手段とを備えた車両の前後輪間
    駆動力配分制御装置において、前記主駆動輪又は副駆動
    輪への機関からの駆動力伝達が所定時間より短い時間で
    断続されて,前記主駆動輪及び副駆動輪に相当する前後
    輪回転状態検出値の偏差の絶対値が急激に減少した後に
    急激に増加する変化を検出する回転状態変化検出手段を
    備え、前記駆動力配分制御手段には少なくとも、前記前
    後輪間の主副駆動輪間駆動力配分を調整するための制御
    信号を,前記回転状態変化検出手段の検出値に応じて補
    正する駆動力配分補正手段を備えたことを特徴とする車
    両の前後輪間駆動力配分制御装置。
  2. 【請求項2】 前記駆動力配分補正手段は、前記回転状
    態変化検出手段により前後輪回転状態検出値の偏差の絶
    対値が急激に増加する変化が検出されたときに,前記主
    駆動輪に配分される駆動力を小さくするために、前記前
    後輪間の主副駆動輪間駆動力配分を調整するための制御
    信号の変化量を補正することを特徴とする請求項1に記
    載の車両の前後輪間駆動力配分制御装置。
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