JPH07117510A - 車両のヨーイング運動量制御装置 - Google Patents

車両のヨーイング運動量制御装置

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JPH07117510A
JPH07117510A JP26269993A JP26269993A JPH07117510A JP H07117510 A JPH07117510 A JP H07117510A JP 26269993 A JP26269993 A JP 26269993A JP 26269993 A JP26269993 A JP 26269993A JP H07117510 A JPH07117510 A JP H07117510A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】目標ヨーイング運動量に,車両で実際に発生し
ている実ヨーイング運動量を一致すべくフィードバック
制御を行うにあたり、当該フィードバック制御の応答性
に関与する時定数やトータルゲインを,横加速度の増大
に伴って大きく設定することで、旋回初期の回頭性と旋
回中の外乱安定性とを両立する。 【構成】前後輪の回転差ΔNを補正するクラッチトルク
TNを算出すると共に、車速Vと操舵角θとを変数とす
る定常ヨーレートψ'* 0 を算出し、制御マップより横加
速度Ygの増大に伴って時定数τを大きく設定し、この
時定数τを用いて定常ヨーレートψ'* 0 に対して一次遅
れ系演算を行って目標ヨーレートψ'*を算出し、これか
ら得られる目標ヨー角加速度ψ"*等からヨーレート差Δ
ψ' ,ヨー角加速度差Δψ" を算出し、これらの偏差に
対応するヨーレート対応クラッチトルクTψ' を算出
し、両クラッチトルクの和を達成する制御信号を出力す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,車両に作用する入力や
車両に発生する物理量等から目標ヨーイング運動量を算
出し、実際に車両に発生しているヨーイング運動量を,
この目標ヨーイング運動量に一致させるようにフィード
バック制御を行う車両のヨーイング運動量制御装置に関
し、特にこのフィードバック制御を可能とした前後輪間
又は左右輪間の駆動力配分クラッチの締結力制御装置又
は差動制限装置や、車両の各輪に設けられたホイルシリ
ンダの制動力制御装置や、左右輪間のロール剛性を可変
としたスタビライザ制御装置又は能動型サスペンション
装置や、各輪の転舵角を個別に制御可能な四輪操舵装置
等に適用可能なものである。
【0002】
【従来の技術】このような車両のヨーイング運動量制御
装置を,例えば前記前後輪間又は左右輪間の駆動力配分
クラッチの締結力制御装置に展開したものとしては、例
えば本出願人が先に提案した特開平3−31030号公
報に記載されるものがある。この駆動力配分クラッチの
締結力制御装置では、具体的に車両の前後輪間又は左右
輪間に締結力を可変としたクラッチを介装し、このクラ
ッチの締結力を制御することによって機関から各輪へ伝
達される駆動力を可変制御可能とし、各輪の駆動力を制
御することで車両に発生するヨーイング運動量を制御す
ることを可能とする。
【0003】ここで、例えば車両の前後輪間で駆動力配
分制御を行う場合に、摩擦円の概念に基づいて,特に駆
動力についてのみ論ずれば、旋回又は転舵中に各車輪に
掛かる駆動力が増加すると当該車輪のコーナリングフォ
ースが減少する。従って、転舵旋回中の前輪への駆動力
を後輪へのそれに対して相対的に増加すれば,当該前輪
のコーナリングフォースが減少するから車両に発生して
いるヨーイング運動量,具体的にヨーレートやヨー角加
速度は減少し、これにより車両に作用するヨーモーメン
トが小さくなって車両のステアリング特性はアンダステ
ア方向に変化する。逆に、転舵旋回中の前輪への駆動力
を後輪へのそれに対して相対的に減少すれば,当該前輪
のコーナリングフォースが増加するから車両に発生して
いるヨーレートやヨー角加速度といったヨーイング運動
量は増加し、車両に作用するヨーモーメントが大きくな
って車両のステアリング特性はオーバステア方向に変化
する。
【0004】また、例えば車両の後左右輪間で駆動力配
分制御を行う場合に、旋回外輪となる後輪への駆動力を
旋回内輪となる後輪へのそれに対して相対的に増加すれ
ば,車両に作用するヨーモーメントが大きくなって車両
に発生しているヨーレートやヨー角加速度のヨーイング
運動量が増加し、車両のステアリング特性はオーバステ
ア方向に変化する。逆に、旋回外輪となる後輪への駆動
力を旋回内輪となる後輪へのそれに対して相対的に減少
すれば,車両に作用するヨーモーメントが小さくなって
車両に発生しているヨーレートやヨー角加速度のヨーイ
ング運動量が減少し、車両のステアリング特性はアンダ
ステア方向に変化する。
【0005】このようにして、例えば各車輪への駆動力
配分を制御することによって車両のステアリング特性を
変化させるために,前記駆動力配分クラッチの締結力制
御装置では、前記したヨーレートやヨー角加速度といっ
たヨーイング運動量に着目しており、そのような意味合
いからはヨーイング運動量制御装置として取り扱うこと
ができる。即ち、車両に実際に発生しているヨーレート
やヨー角加速度といったヨーイング運動量(以下,実ヨ
ーイング運動量とも記す)は、例えば車両に搭載された
ヨーモーメントジャイロ等のセンサを介して検出するこ
とができる。一方、既知のように車両で達成されるべき
ヨーイング運動量(以下目標ヨーイング運動量を記す)
は車速,操舵角又は転舵角を変数とし,タイヤ特性を含
む車両特性,具体的にはコーナリングパワやホイルベー
ス,トレッド又はこれらに関与するスタビリティファク
タ等に係る関数として求めることができる。また、この
目標ヨーイング運動量は、同じく車速,操舵角又は転舵
角,ヨーイング運動量等を変数とし,且つスタビリティ
ファクタ等の車両特性に係る関数として得られる定常ヨ
ーイング運動量に対して、オーバシュート及びアンダシ
ュートのない一時遅れ系として遅れ系演算を行うことで
求めることができる。そして、このようにして得られた
目標ヨーイング運動量に前記車両に実際に発生している
実ヨーイング運動量が一致するようにフィードバック制
御を行う。この際、目標ヨーイング運動量を実際の車両
で実現させるために、例えば目標ヨーイング運動量と実
ヨーイング運動量との偏差に,例えば前記車両諸元やス
テアリング特性を考慮した所定のフィードバック制御ゲ
インを乗じる等している。なお、このフィードバック制
御ゲインは、一般に車両諸元や車両特性によって一意に
決定する一定値に設定されている。また、実際に本駆動
力配分クラッチの締結力制御装置では、車輪のスリップ
状態を監視してそのスリップ率を最適状態に保持する制
御力をも合わせて算出制御している。
【0006】このようなヨーイング運動量制御装置は、
例えば本出願人が先に提案した特開昭60−16125
5号公報に記載される四輪操舵制御装置を含む補助操舵
制御装置や、同じく本出願人が先に提案した特開平5−
193332号公報に記載されるロール剛性可変制御を
可能とした能動型サスペンション及びスタビライザ制御
装置、或いは同じく本出願人が先に提案した特開平5−
24528号公報に記載される車両各輪の制動力を個別
に制御する制動力制御装置等にも広く展開されつつあ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、通常の空気
ゴムタイヤ付き車輪のタイヤ特性については、単位横す
べり角当たりのコーナリングフォース,即ちコーナリン
グパワは横すべり角の増大に伴って次第に小さくなるこ
とが知られている。これは横すべり角の増大に伴って発
生するコーナリングフォースの増加率変化によるもので
あり、横すべり角が小さいうちはその増大に伴ってコー
ナリングフォースは急激に増加するが、やがて横すべり
角が或る程度まで増大すると(実際には6〜20°前
後)その増加率が小さくなり、更に横すべり角が増大す
ると,当該車輪に係る荷重,即ち輪荷重の大きさによっ
てはコーナリングフォースが減少し始めるといった現象
に基づいている。ここで、横すべり角の増減は,即ち転
舵輪の転舵角,つまり操舵角に比例していると考える。
【0008】しかしながら、前記従来の車両のヨーイン
グ運動量制御装置では,操舵角や転舵角の増大に対して
前記ヨーイング運動量が,リニアではないとしても単純
増加するものとして捉えられており、多くの場合,前記
操舵角又は転舵角の増大率に伴う横すべり角の増加に対
するコーナリングパワ又はコーナリングフォースの増加
率の変化については考慮されていない実状がある。これ
を車両の実際の旋回に当てはめてみると、車線変更やコ
ーナー進入時の旋回初期にあっては操舵角又は転舵角に
伴う横すべり角が小さく,従ってタイヤのコーナリング
パワが大きい。このようにコーナリングパワが大きいと
いうことは,逆に操舵角又は転舵角に対する車両の旋回
応答性がよいことを意味する。一方、旋回中にあっては
操舵角又は転舵角に伴う横すべり角が大きく,タイヤの
コーナリングパワが小さいから、車両の旋回応答性は低
下していると言える。
【0009】ここで、前記従来の車両のヨーイング運動
量制御装置では,前記フィードバック制御ゲインや遅れ
系の時定数を一定値に設定していたため、これらの応答
制御係数を,タイヤのコーナリングパワが低下している
旋回中の車両の応答に目標ヨーイング運動量の応答を一
致するように設定した場合、前記車線変更やコーナー進
入時の旋回初期にはタイヤのコーナリングパワが高く,
車両の旋回応答性がよいので、結果的に目標ヨーイング
運動量に対して実ヨーイング運動量が大きくなってしま
い、両者の偏差がなくなるようなフィードバック制御を
行った場合には実ヨーイング運動量が減少してヨーイン
グモーメントが小さくなり、結果的に車両の挙動を抑制
する方向に制御が行われ,即ち回頭性が低下してしまっ
て軽快感に欠ける。逆に、タイヤのコーナリングパワが
高い旋回初期の車両の応答に目標ヨーイング運動量の応
答を一致するように前記応答制御係数を設定した場合、
旋回中のタイヤのコーナリングパワが低く,車両の旋回
応答性が低下している状態では目標ヨーイング運動量に
対して実ヨーイング運動量は小さく、両者の偏差がなく
なるようにフィードバック制御を行うと実ヨーイング運
動量が増大してヨーイングモーメントが大きくなる。こ
のことは、旋回中の車両の運動特性を過敏にしてしまう
から、旋回中の外乱に対する安定性を劣化させてしま
う。
【0010】このような諸問題に対して旋回中のコーナ
リングパワの変化率を考慮したヨーイング運動量制御装
置も存在している(例えば本出願人が先に提案した特開
平5−24422号公報に記載される制動力制御装
置)。しかしながら、このようなヨーイング運動量制御
装置では旋回中のコーナリングパワを随時算出し、この
コーナリングパワに応じてヨーイング運動量をフィード
バック制御する構成となっているため、演算に係る負荷
が大きく,そのための演算処理時間が大きくなってしま
うという新たな問題が発生する。
【0011】本発明はこれらの諸問題に鑑みて開発され
たものであり、前記目標ヨーイング運動量をフィードバ
ック制御するときの応答性を,車両のヨーイング運動に
よって発生する横加速度に応じて変更制御することで、
旋回初期或いは直進付近での回頭性若しくはそれによる
軽快感と旋回中の外乱安定性との両立を比較的簡易に可
能とした車両のヨーイング運動量制御装置を提供するこ
とを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本件発明者は前記諸問題
を解決すべく鋭意検討を重ねた結果,以下の知見を得て
本発明を開発した。即ち、車両の旋回状態において発生
する横加速度は,車速,タイヤと路面との摩擦係数,タ
イヤの横すべり角,これらに付随するコーナリングフォ
ース等を介在し、前記実ヨーイング運動量を目標運動量
に追従するようにフィードバック制御を行うにあたって
は,操舵入力に対して二次的に発生する車両挙動の評価
指標になることに着目した。従って、これらの諸要因に
基づいて結果的に発生した横加速度を用いて,例えばフ
ィードバック制御の応答性に関与するフィードバック制
御ゲインや遅れ系制御の時定数を変化させることで、操
舵入力や車速に対して変化するタイヤ特性に基づくコー
ナリングパワの変動を吸収できるのではないかと考え
た。即ち、目標ヨーイング運動量に実ヨーイング運動量
を追従させる制御においてフィードバック制御ゲインを
大きくすれば制御の応答性は鈍重化し、また遅れ系制御
の時定数を大きくすることでも制御の応答性は鈍重化す
る。そして、具体的に旋回が深まれば,即ち旋回中では
横加速度の増大するから、この横加速度の増大に伴って
フィードバック制御の応答性を相対的に鈍重化すること
で当該旋回中の車両の安定性を確保し、一方で横加速度
が小さい旋回初期や直進付近で,横加速度が小さいとき
にはフィードバック制御の応答性を相対的に鋭敏化する
ことでこのような状況下での回頭性を向上して軽快感を
付与できることを見出した。
【0013】而して本発明のうち請求項1に係る車両の
ヨーイング運動量制御装置は図1aの基本構成図に示す
ように、車両に実際に発生しているヨーイング運動量を
検出するヨーイング運動量検出手段と、車両に作用する
入力又は車両に発生している物理量を検出する入力物理
量検出手段と、前記入力物理量検出手段で検出された車
両に作用する入力検出値又は車両に発生している物理量
検出値に基づいて車両で達成すべき目標ヨーイング運動
量を算出する目標ヨーイング運動量演算手段と、前記目
標ヨーイング運動量演算手段で算出された目標ヨーイン
グ運動量に前記ヨーイング運動量検出手段で検出された
ヨーイング運動量が一致するように所定のフィードバッ
ク制御ゲインを用いてフィードバック制御を行うフィー
ドバック制御手段とを備えた車両のヨーイング運動量制
御装置において、車両に作用する横加速度を検出する横
加速度検出手段と、前記横加速度検出手段で検出された
横加速度検出値の増加に応じて前記フィードバック制御
ゲインを大きく設定するフィードバック制御ゲイン設定
手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0014】本発明のうち請求項2に係る車両のヨーイ
ング運動量制御装置は図1bの基本構成図に示すよう
に、車両に実際に発生しているヨーイング運動量を検出
するヨーイング運動量検出手段と、車両に作用する入力
又は車両に発生している物理量を検出する入力物理量検
出手段と、前記入力物理量検出手段で検出された車両に
作用する入力検出値又は車両に発生している物理量検出
値に基づいて車両で達成すべき目標ヨーイング運動量を
算出する目標ヨーイング運動量演算手段と、前記目標ヨ
ーイング運動量演算手段で算出された目標ヨーイング運
動量に前記ヨーイング運動量検出手段で検出されたヨー
イング運動量が一致するようにフィードバック制御を行
うフィードバック制御手段とを備え、前記目標ヨーイン
グ運動量演算手段は,前記目標ヨーイング運動量を所定
の時定数で与えられる遅れ系として算出する遅れ系演算
手段を備えてなる車両のヨーイング運動量制御装置にお
いて、車両に作用する横加速度を検出する横加速度検出
手段と、前記横加速度検出手段で検出された横加速度検
出値が小さいときに前記時定数を小さく且つ当該横加速
度検出値の増加に応じて当該時定数を大きくする時定数
設定手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0015】
【作用】本発明のうち請求項1に係る車両のヨーイング
運動量制御装置では図1aの基本構成図に示すように、
前記ヨーイング運動量検出手段では,例えばヨーレート
センサやヨー角加速度センサ等を介して車両に実際に発
生しているヨーレートやヨー角加速度といったヨーイン
グ運動量を検出する。一方、入力物理量検出手段では,
例えば操舵角センサや車速センサ等を介して操舵角又は
転舵角や車速等を車両に作用する入力又は車両に発生し
ている物理量として検出し、前記目標ヨーイング運動量
演算手段では,前記入力物理量検出手段で検出された操
舵角検出値又は転舵角検出値や車速検出値等の入力物理
量検出値に基づいて車両で達成すべき目標ヨーレートや
目標ヨー角加速度といった目標ヨーイング運動量を算出
する。そして、前記フィードバック制御手段では,この
ようにして算出された目標ヨーイング運動量に車両で検
出されるヨーイング運動量(実ヨーイング運動量)を追
従するようにフィードバック制御を行うにあたり、例え
ば両ヨーイング運動量の偏差に所定のフィードバック制
御ゲインを乗じ,このフィードバック制御ゲインの乗じ
られた両ヨーイング運動量の偏差が所定値,例えば零と
なるように、車両に講じられたアクチュエータを駆動す
る。ここで、本発明では旋回中に前記車両の諸要因を介
在して結果的に発生する車両の横加速度を横加速度検出
手段で検出し、この横加速度検出手段で検出された横加
速度検出値の増加に応じて,前記フィードバック制御ゲ
イン設定手段では,前記フィードバック制御に用いられ
るフィードバック制御ゲインを大きく設定する。これに
より、旋回中のように横加速度が大きい状況下では,前
記目標ヨーイング運動量と実ヨーイング運動量とのフィ
ードバック制御ゲインが乗じられた偏差は、横加速度が
小さい状況下のそれに比して相対的に大きくなるから、
この偏差を所定値,例えば零になるようにフィードバッ
ク制御すると、その応答性は,横加速度が小さい状況下
の制御の応答性に比して鈍重化し、車両の挙動は一時的
な外乱に対して安定化する。一方、旋回初期や直進付近
のように横加速度が小さい状況下では,前記目標ヨーイ
ング運動量と実ヨーイング運動量とのフィードバック制
御ゲインが乗じられた偏差は、横加速度が大きい状況下
のそれに比して相対的に小さくなるから、この偏差を所
定値,例えば零になるようにフィードバック制御する
と、その応答性は,横加速度が大きい状況下の制御の応
答性に比して鋭敏化し、車両の回頭性が向上して車両挙
動に軽快感が付与される。従って、本発明の車両のヨー
イング運動量制御装置では,横加速度の増大に伴ってフ
ィードバック制御ゲインを大きくすることで,車両の旋
回初期又は直進付近の回頭性を向上して軽快感を与える
と共に旋回中の外乱に対する安定性を確保することがで
きる。
【0016】本発明のうち請求項2に係る車両のヨーイ
ング運動量制御装置では図1bの基本構成図に示すよう
に、前記ヨーイング運動量検出手段では,例えばヨーレ
ートセンサやヨー角加速度センサ等を介して車両に実際
に発生しているヨーレートやヨー角加速度といったヨー
イング運動量を検出する。一方、入力物理量検出手段で
は,例えば操舵角センサや車速センサ等を介して操舵角
又は転舵角や車速等を車両に作用する入力又は車両に発
生している物理量として検出し、前記目標ヨーイング運
動量演算手段では,前記入力物理量検出手段で検出され
た操舵角検出値又は転舵角検出値や車速検出値等の入力
物理量検出値に基づいて,前記遅れ系演算手段により所
定の時定数で与えられる遅れ系の,車両で達成すべき目
標ヨーレートや目標ヨー角加速度といった目標ヨーイン
グ運動量を算出する。そして、前記フィードバック制御
手段では,このようにして算出された目標ヨーイング運
動量に車両で検出されるヨーイング運動量(実ヨーイン
グ運動量)を追従するようにフィードバック制御を行う
にあたり、例えば両ヨーイング運動量の偏差が所定値,
例えば零となるように、車両に講じられたアクチュエー
タを駆動する。ここで、本発明では旋回中に前記車両の
諸要因を介在して結果的に発生する車両の横加速度を横
加速度検出手段で検出し、この横加速度検出手段で検出
された横加速度検出値の増加に応じて,前記時定数設定
手段では、前記目標ヨーイング運動量の算出に遅れ系演
算の時定数を,横加速度検出値が小さいときは小さく、
横加速度検出値が大きいときは大きく設定する。これに
より、旋回中のように横加速度が大きい状況下では,前
記目標ヨーイング運動量の算出に用いられる遅れ系の時
定数が大きくなるから、前記フィードバック制御の応答
性は,横加速度が小さい状況下,即ち遅れ系の時定数が
小さい場合の制御の応答性に比して鈍重化し、車両の挙
動は一時的な外乱に対して安定化する。一方、旋回初期
や直進付近のように横加速度が小さい状況下では,前記
目標ヨーイング運動量の算出に用いられる時定数が小さ
くなるから、前記フィードバック制御の応答性は,横加
速度が小さい状況下,即ち遅れ系の時定数が大きい場合
の応答性に比して鋭敏化し、車両の回頭性が向上して車
両挙動に軽快感が付与される。従って、本発明の車両の
ヨーイング運動量制御装置では,横加速度の増大に伴っ
て目標ヨーイング運動量の演算遅れ系の時定数を大きく
することで,車両の旋回初期又は直進付近の回頭性を向
上して軽快感を与えると共に旋回中の外乱に対する安定
性を確保することができる。
【0017】勿論、これらの何れの場合にも目標ヨーイ
ング運動量に実ヨーイング運動量をフィードバック制御
することによって、車両のステアリング特性は最適な状
態に修正又は保持される。
【0018】
【実施例】以下、本発明の車両のヨーイング運動量制御
装置の各種実施例を添付図面に基づいて説明する。図2
〜図5は本発明の車両のヨーイング運動量制御装置を,
前後輪間の駆動力配分制御装置に展開した第1実施例で
ある。この実施例では、FR(フロントエンジン・リア
ドライブ)方式をベースにした四輪駆動車両用駆動力配
分制御装置のトランスファクラッチに適用した場合につ
いて説明する。
【0019】図2において1は回転駆動源,即ち機関と
してのエンジン、2FL〜2RRは前左輪〜後右輪、3
は各車輪2FL〜2RRへの駆動力配分比を変更制御可
能な駆動力伝達系、4は駆動力伝達系3による駆動力配
分を制御する駆動力配分制御装置を示す。前記駆動力伝
達系3は、エンジン1からの駆動力を断続する図示され
ないクラッチと、このクラッチの出力を選択された歯車
比で変速する変速機12と、この変速機12からの駆動
力を前輪2FL,2FR側及び後輪(常駆動輪)2R
L,2RRに分割するトランスファ14とを備えてい
る。そして、駆動力伝達系3では、前記トランスファ1
4で分割された前輪側駆動力が前輪側出力軸16,フロ
ントディファレンシャルギヤ18及び前輪側ドライブシ
ャフト20を介して、前輪2FL,2FRに伝達され
る。一方、後輪側駆動力がプロペラシャフト(後輪側出
力軸)22,リヤディファレンシャルギヤ24及び後輪
側ドライブシャフト26を介して、後輪2RL,2RR
に伝達される。
【0020】前記トランスファ14は、図3に示すよう
にトランスファケース28内に挿通された入力軸30の
同図の左方端部が前記変速機12の出力側に連結され、
この入力軸30はベアリング31等によって回転自在に
軸支されている。また、入力軸30の図3における右方
端部は,ベアリング32によって回転自在に軸支された
出力軸33に結合され、この出力軸33がプロペラシャ
フト22に連結されている。なお、このトランスファ及
び後述するトランスファクラッチの詳細な構造について
は,例えば本出願人が先に提案した特開平1−2048
26号公報を参照されたい。
【0021】一方、前記入力軸30の中央部には、前後
輪に対するトルク配分比を変更できる可変トルククラッ
チとしての流体式多板クラッチ機構37が設けられてい
る。このクラッチ機構37は、入力軸30にスプライン
結合されたクラッチドラム37aと、このクラッチドラ
ム37aに回転方向に係合させたフリクションプレート
37bと、前記入力軸30の外周部にニードルベアリン
グ等を介して回転自在に軸支されたクラッチハブ37c
と、このクラッチハブ37cに回転方向に係合させたフ
リクションディスク37dと、クラッチ機構37の図3
における右方に配置されたクラッチピストン37eと、
このクラッチピストン37eとクラッチドラム37aと
の間に形成されたシリンダ室37fとを備えている。ま
た、このクラッチ機構37において、37hはクラッチ
ピストンプレート37eに対するリターンスプリングで
ある。また、このクラッチ機構37は、図3の左方端部
側に図示のように装着されたギヤトレインを介して前輪
側にも連結されている。即ち、前記クラッチハブ37c
は、第1のギヤ41aにスプライン結合され、この第1
のギヤ41aは、ベアリング40a,40bによって回
転自在な第2のギヤ41bに噛合され、この第2のギヤ
41bは、ベアリング42,43によって回転自在な第
3のギヤ41cを介して前述した前輪側出力軸16に連
結されている。
【0022】前記トランスファケース28の側面所定位
置には、後述するクラッチ制御装置の一部を構成する圧
力制御弁66からの作動油圧が,指令力として供給され
る入力ポートが形成されており、この入力ポートから前
記シリンダ室37fに当該作動油圧が供給される。この
ため、前記入力ポートに作動油圧の供給がない状態,即
ちクラッチ機構37のシリンダ室37fの圧力が大気圧
若しくはほぼ大気圧に等しい状態では、リターンスプリ
ング37hの弾性力により、前記フリクションプレート
37bとフリクションディスク37dとが離間してい
る。従って、この状態では入力軸30に伝達された入力
トルクの全部が出力軸33、プロペラシャフト22を介
して後輪側に伝達され、当該後輪側のみの二輪駆動状態
となる。一方、入力ポートに作動油圧が供給されている
状態では,そのシリンダ室37fの加圧程度に応じてク
ラッチピストン37eによる押圧力が発生し、これに対
してフリクションプレート37bとフリクションディス
ク37dとの間に摩擦力による締結力が発生し、これに
より全駆動トルクのうちの一部が出力軸16を介して前
輪側にも伝達される。この前輪側への伝達トルクΔTは
供給作動油圧Pに対して下記1式で与えられ、図4に示
すように供給作動油圧Pに対してリニアに増加する。
【0023】 ΔT=P・S・2n・μ・rm ……… (1) ここで、Sはピストン37eの圧力作用面積,nはフリ
クションディスク枚数,μはクラッチ板の摩擦係数,r
m はフリクションディスクのトルク伝達有効半径であ
る。つまり前輪側への伝達トルクΔTは供給油圧Pに比
例し、結局,締結力に応じて駆動トルクが後輪側及び前
輪側に配分伝達される。この前後輪に対するトルクの配
分比は、前記入力ポートに供給する作動油の圧力Pに応
じて(0:100〜50:50まで)連続的に変更でき
る。
【0024】一方、図2に戻って前記駆動力配分制御装
置4は、前記トランスファ14と、リザーバ35b内の
作動油を加圧供給する流体圧力源35と、この流体圧力
源35からの供給油圧を可変制御して前記流体式多板ク
ラッチ機構37の入力ポートに作動油を供給する圧力制
御弁50と、前輪側回転センサ54及び後輪側回転セン
サ56と、車体に作用する横加速度を検出する横加速度
センサ51と、車両の前後方向車速を検出する車速セン
サ52と、図示されないステアリングホイルの操舵角を
検出する操舵角センサ53と、車両に実際に発生してい
るヨーレートをヨーイング運動量として検出するヨーレ
ートセンサ55と、これらのセンサからの検出信号に基
づいて前記圧力制御弁50の出力油圧を制御するコント
ローラ58とを備えてなる。
【0025】前記流体圧力源35は、図3に示すように
電動モータ35aによって回転駆動され,リザーバ35
b内の作動油を昇圧して前記クラッチ機構37の入力ポ
ートに供給するオイルポンプ35cと、このオイルポン
プ35cの吐出側に介装された逆止弁35dと、この逆
止弁35d及び前記入力ポート間の管路に接続されたア
キュームレータ35eと、このアキュームレータ35e
の接続点に接続されたリリーフ弁35kとを備え、この
アキュームレータ35eの接続点及びクラッチ機構37
の入力ポート間に前記圧力制御弁50が接続されてい
る。
【0026】ここで、電動モータ35aは、その励磁巻
線の一端がモータリレ35hを介して正のバッテリ電源
Bに接続され,他端が接地されており、モータリレ35
hがアーキュームレータ35e及び圧力制御弁50間の
管路のライン圧力を検出して作動する圧力スイッチ35
iの検出値に基づいて駆動制御される。即ち、スイッチ
ングレギュレータをなすトランジスタ35jのベースが
抵抗器R1 及び圧力スイッチ35iを介して正のバッテ
リ電源Bに接続され,コレクタがモータリレ35hのリ
レーコイルを介して正のバッテリ電源Bに接続され,エ
ミッタが接地されているために、アキュームレータ35
e及び圧力制御弁50間の管路のライン圧力が所定設定
圧力以上のときには,圧力スイッチ35iがオフ状態と
なり、スイッチングトランジスタ35jもオフ状態とな
って,モータリレ35hの常開接点tが開いて電動モー
タ35aが非通電状態となり、これに応じて電動モータ
35aが回転停止状態となると共に、当該ライン圧力と
しての所定設定圧力以上の作動油圧力はリリーフ弁35
kを介してリリーフされる。一方、アキュームレータ3
5e及び圧力制御弁50間の管路のライン圧力が所定設
定圧力未満のときには,圧力スイッチ35iがオン状態
となり、これに応じてスイッチングトランジスタ35j
もオン状態となってモータリレ35hが付勢されて,そ
の常開接点tが閉じて電動モータ35aが回転駆動され
ることにより、オイルポンプ35cによって当該管路の
ライン圧力が昇圧される。以上によって本流体圧力源3
5からは圧力制御弁50の一次側に向けてほぼ安定した
作動油圧が供給される。
【0027】前記圧力制御弁50は、所謂電磁比例制御
型の二次圧一定形減圧弁で構成されており、この減圧弁
で構成される圧力制御弁50のドレンポートとタンク6
2との間にドレン配管63が設けられている。この圧力
制御弁50は、その比例ソレノイド50aに供給される
指令電流ISOL の値に応じて当該減圧弁内に配設された
スプールの開度が定まり、これにより減圧弁の二次側,
即ちクラッチ機構37側の制御圧PC が一次側,即ち当
該減圧弁の入力ポートへの圧力変動に関わらず前記指令
電流ISOL に応じた設定圧に保持される。結局,クラッ
チ機構37の入力ポートに供給される作動油の圧力Pは
図5に示すように指令電流ISOL に比例して二次曲線的
に増減変化するようになっている。なお、この圧力制御
弁50に用いられる電磁比例制御型の二次圧一定形減圧
弁の具体的な構造としては,例えば本出願人が先に提案
した特開平2−68225号公報に記載されるものを参
照されたい。また、本実施例では通常定速直進走行時の
前輪側への伝達トルクΔTが中立トルクΔTN として,
この状態での前後輪の駆動力配分比が中庸状態で約2
5:75程度となるようにするため、この中立トルクΔ
N を達成するための前記圧力制御弁50の入力ポート
への供給圧Pを中立圧PN とし、この中立圧P N を達成
するための指令電流ISOL を中立指令電流IN とする。
【0028】一方、前記前輪側回転センサ54及び後輪
側回転センサ56は、前記前輪側出力軸16及び後輪側
のプロペラシャフト22の所定位置に個別に装備され、
各軸の回転数を光学方式又は電磁方式で検知して、これ
に応じたパルス信号又は正弦波信号による前後輪回転検
出値nF,nRを個別にコントローラ58に出力するよ
うに構成されている。また、前記横加速度センサ51
は、車体に作用する遠心加速度の大きさに比例した電圧
でなる横加速度検出値Ygをコントローラ58に出力す
る。また、車速センサ52は、車両前方車速に応じて正
方向に増加する電圧出力からなる車速検出値Vをコント
ローラ58に出力する。また、操舵角センサ53は、ス
テアリングホイルの操舵角に応じた電圧出力からなる操
舵角検出値θをコントローラ58に出力する。また、ヨ
ーレートセンサ55は、実際に車両に発生している実ヨ
ーレートに比例した電圧からなる実ヨーレート検出値
ψ’をコントローラ58に出力する。なお、これらのセ
ンサによる各検出値に応じた検出信号は、何れも車両の
幅左右方向に関わらず,検出対象となる入力物理量の絶
対値の大きさに比例した正の値である。
【0029】前記コントローラ58はマイクロコンピュ
ータ70と前記指令電流ISOL を供給して圧力制御弁5
0を駆動する駆動回路59とを備えている。また、マイ
クロコンピュータ70は前記各センサからの検出信号を
各検出値として読込むためのA/D変換機能を有する入
力インタフェース回路70aと、演算処理装置70b
と、ROM,RAM等の記憶装置70cと、前記演算処
理装置70bで得られたクラッチ締結力制御信号ST
出力するためのD/A変換機能を有する出力インタフェ
ース回路70dとを備えている。このコントローラ58
のマイクロコンピュータ70では、後段に詳述するよう
に前記前後輪回転検出値nF,nRの偏差に所定の第1
制御ゲインK1 を乗じて前記クラッチ機構37のクラッ
チトルクTNを算出すると共に、前記操舵角検出値θ及
び車速検出値Vに基づいて目標ヨーレートψ'*を算出
し、この目標ヨーレートψ'*と実ヨーレート検出値ψ'
とのヨーレート偏差Δψ' 並びにこれらを微分して得た
目標ヨー角加速度ψ"*と実ヨー角加速度ψ" とのヨー角
加速度偏差Δψ" を算出し、このヨー角加速度偏差Δψ
" に予め設定された第3制御ゲインK3 を乗じた値と前
記ヨーレート偏差Δψ'とを加算して,更にこれに横加
速度検出値Ygに応じて設定された第2制御ゲインK2
を乗じてヨーレート対応クラッチトルクTψ' を算出
し、このヨーレート対応クラッチトルクTψ' と前記ク
ラッチトルクTNとを加算してクラッチ締結力Tを算出
し、このクラッチ締結力Tを達成する制御信号ST を前
記駆動回路59に向けて出力する。
【0030】前記駆動回路59は、前記マイクロコンピ
ュータ70から出力される制御信号ST を前記圧力制御
弁50の比例ソレノイド50aへの駆動信号である指令
電流ISOL に変換するために、例えばフローティング形
定電圧回路等で構成されている。なお、この駆動回路5
9では,制御信号ST が零であるときに前記指令電流I
SOL を中立指令電流IN となるように変換して出力す
る。
【0031】次に、本実施例のコントローラ内で行われ
る演算処理の基本原理について説明する。まず、タイヤ
特性として駆動力が負荷されたときにコーナリングフォ
ースが低下することは前述の通りであるから、前記のよ
うにスリップが発生している理由が転舵旋回によるコー
ナリングフォースの低下によるものか,或いは単に路面
の摩擦係数μの低下によるものかは定かでない。例え
ば、転舵旋回中に後輪が駆動力によるコーナリングフォ
ースの低下によってスリップし、その結果,車両のステ
アリング特性がオーバステア方向に変化しているような
状況下ではヨーレートが大きくなる。逆に転舵旋回中に
前輪が駆動力によるコーナリングフォースの低下によっ
てスリップし、その結果,車両のステアリング特性がア
ンダステア方向に変化しているような状況下ではヨーレ
ートが小さくなる。
【0032】前述のようにトランスファ14に内装され
たクラッチ機構37が,前後輪の駆動力配分を制御する
ものと捉えて,以上を前後輪側への駆動力配分制御によ
って解決するためには、後輪の回転数nRから前輪の回
転数nFを減じた値に,横加速度に応じた適宜の制御ゲ
インを乗じることによって、当該クラッチ機構のクラッ
チトルクを得ればよい。即ち、後輪が駆動力によってス
リップしている場合、前輪への駆動力配分を大きくして
相対的に後輪の駆動力を小さくすればよいのであるか
ら、前記後輪の回転数nRから前輪の回転数nFを減じ
た値に基づいてクラッチ機構のクラッチトルクが大きく
なって前輪への駆動力伝達率が大きくなり、これにより
前輪の駆動力は大きくなる。このように本実施例では駆
動輪である後輪にスリップが発生した場合にのみ、前記
前後輪回転差ΔNに基づいて前輪側への駆動力配分制御
を行う。なお、前輪にスリップが発生した場合には駆動
力配分比は変更制御しないこととした。
【0033】具体的に前記前後輪間の回転数の偏差,即
ち前後輪回転差ΔNは下記2式に従って求められる。 ΔN=nR−nF ……… (2) 一方、この前後輪間の回転数の偏差ΔNに乗じられる第
1の制御ゲインK1 は横加速度Ygに対する関数f1
用いて下記3式で得られる。
【0034】 K1 =f1 (Yg) ……… (3) 具体的にこの第1の制御ゲインK1 は横加速度の増加に
伴って,0≦Yg<Y 1 のときにK1 =Ka,Y1 ≦Y
g<Y2 のときにK1 =Kb,Y2 ≦YgのときにK1
=Kc(但し、0<Y1 <Y2 ,Ka>Kb>Kc)の
ようにして求めてもよいし、K1 =A/Yg(A:定
数)として求めてもよい。
【0035】このようにして設定された第1の制御ゲイ
ンK1 を前記前後輪回転差ΔNに乗じることによって,
当該前後輪回転差ΔNに基づくクラッチトルクTNが得
られる。なお、この前後輪回転差ΔNに基づく前輪側へ
の伝達クラッチトルクTNは、前記前後輪回転差ΔNに
対する相関を直接的に示した図6のような制御マップに
従って得ることも可能である。
【0036】次に車両に作用する入力又は車両に発生す
る物理量から得られる目標ヨーイング運動量に,車両に
実際に発生している実ヨーイング運動量を追従すべくフ
ィードバック制御を行う原理について説明する。まず、
目標ヨーイング運動量として設定される目標ヨーレート
ψ'*及び目標ヨー角加速度ψ"*の算出について説明す
る。
【0037】目標ヨーレートψ'*は前述したように車速
V,操舵角θを変数とし、車両諸元を係数として下記4
式で与えられる。 ψ'*=V/R R=KS ・L/ tan(θ/N) ……… (4) 但し、R:旋回半径,L:ホイルベース,N:ステアリ
ングギヤ比である。またKS:スタビリティファクタで
あり、このスタビリティファクタKS は旋回特性等に現
れる車両挙動安定性を示す係数であって,一般にスタビ
リティファクタKS が大きくなるほどステアリング特性
はアンダステア傾向であるとされる。
【0038】従って、目標ヨー角加速度ψ"*は前記4式
で求められる目標ヨー角加速度ψ'*の時間微分値で得ら
れるから下記5式で与えられる。 ψ"*=V’/R V’=dV/dt ……… (5) 一方、車両の実ヨーイング運動量のうちの車両で実際に
発生する実ヨーレートψ' は前記ヨーレートセンサから
の検出値で直接的に得られるから、その時間微分値から
実ヨー角加速度ψ" を算出することができる。なお、こ
の微分演算の代わりに,適正なカットオフ周波数を有す
るハイパスフィルタ処理等を採用することも可能であ
る。
【0039】次に、こうした目標ヨーイング運動量と実
ヨーイング運動量との偏差を零となるようにフィードバ
ック制御を行うために、各偏差を,夫々下記6式,7式
によってヨーレート差Δψ' 及びヨー角加速度差Δψ"
として算出する。 Δψ' =ψ' −ψ'* ……… (6) Δψ" =ψ" −ψ"* ……… (7) 次に、これらの目標ヨーイング運動量と実ヨーイング運
動量との偏差が零となるように実際の制御系,即ち前記
クラッチ機構を制御するために、ヨーレート差Δψ'
に,所定の第3の制御ゲインK3 を乗じたヨー角加速度
差Δψ" を加算し、更にその値に,横加速度Ygの大き
さに応じた第2の制御ゲインK2 を乗じて、ヨーレート
対応クラッチトルクTψ' を下記8式に従って算出す
る。
【0040】 Tψ' =K2 ・(Δψ' +K3 ・Δψ" ) ……… (8) ここで、各制御ゲインについて説明すると、既知のよう
にヨーレートを微分して得られたヨー角加速度は,複素
平面において位相が約90°進んでいる。逆に言えば,
ヨーレートはヨー角加速度に対して移動が約90°遅れ
ていることになる。従って、前記ヨー角加速度差Δψ"
は制御の応答性が高く,ヨーレート差Δψ' は制御の応
答性が低いことになるから、車両に所望される制御の応
答性に応じて少なくともヨー角加速度差Δψ" に掛かる
第3の制御ゲインK3 は予め設定しておくことができ
る。
【0041】これに対して、本発明では横加速度Ygの
増大に合わせて前記第2の制御ゲインK2 を増加する。
この全体に掛かるトータルゲインとしての第2の制御ゲ
インK2 を横加速度Ygの増大に伴って増加すること
は、前記ヨーレート対応クラッチトルクTψ' が相対的
に大きくなるから、これを達成するために制御系の遅れ
は大きくなる。また、横加速度Ygが小さいときには第
2の制御ゲインK2 は相対的に小さくなるから、前記ヨ
ーレート対応クラッチトルクTψ' が相対的に小さくな
り、従ってこれを達成するために制御系の遅れは小さく
なる。換言すれば、前記ヨーイング運動量として現れる
ヨーレートは操舵入力に対して一次遅れ系であることは
周知であるから、前記ヨーレート差Δψ' に直接的に乗
じられるこの第2の制御ゲインK2 を,横加速度Ygの
増減に応じて増減することは、フィードバック制御に係
る遅れ系の重要度,重みといったものを変更制御するこ
とになる。これに対して、前記ヨー角加速度差Δψ"
は,当該ヨーレート差Δψ' に対して約90°位相が進
んでいるから、前記第3の制御ゲインK3 を予め適正な
値に設定しておくことによって,前記第2の制御ゲイン
2 による遅れ系の重要度,重みをフィードバック制御
系に反映することができる。
【0042】以上より、このトータルゲインである第2
の制御ゲインK2 を横加速度Ygの増減に応じて増減す
ることで、ヨーイング運動量に関するフィードバック制
御の応答性を変更制御することができる。ここで、横加
速度は操舵入力に対して二次的に発生するものであるか
ら、車両における転舵旋回に着目すると,レーンチェン
ジやコーナー進入時のような旋回初期にあって操舵入力
が小さい状態では横加速度Ygも小さい。このような横
加速度Ygの小さい状況下で,前記第2の制御ゲインK
2 は小さな値に設定されるから、フィードバック制御の
応答性が高くなって車両挙動は鋭敏化するため、所謂車
両の回頭性が向上して軽快感とかきびきびした感じとか
が得られる。一方、旋回が深まるにつれて旋回中の横加
速度Ygも大きくなり、この横加速度Ygの増大に合わ
せて第2の制御ゲインK2 を大きな値に設定すれば、フ
ィードバック制御の応答性は次第に低くなって車両挙動
は鈍重化するが、これは逆に車両の旋回中の入力に対し
てスタビリティを高めることになるから、過渡的な外乱
に対しては安定性が向上して,コーナリング性能として
はしっとりした或いはしっかりとした感じが得られる。
【0043】これらの目的を踏まえて,前記横加速度Y
gに応じて第2の制御ゲインK2 は図7に示すように変
更設定される。同図に明示するように当該第2の制御ゲ
インK2 は横加速度Ygの増大に伴って次第に増加され
るが、横加速度Ygが或る所定値Yg1 以下の領域では
当該第2の制御ゲインK2 は或る所定値K21に維持さ
れ、逆に横加速度Ygが或る所定値Yg2 以上の領域で
は当該第2の制御ゲインK2 は或る所定値K22に維持さ
れる。これは、横加速度Ygの減少に伴って必要以上に
第2の制御ゲインK2 を小さな値にしてしまったので
は、直進走行時やその付近で車両の挙動が鋭敏になりす
ぎて却って不安定な感じを与えてしまう。従って、横加
速度Ygが或る所定値Yg1 以下の領域では,当該第2
の制御ゲインK2 を直進安定性を維持するための下限値
としての所定値K21に維持する。逆に、横加速度Ygの
増大に伴って必要以上に第2の制御ゲインK2 を大きな
値にしてしまったのでは、旋回中に与える操舵入力,即
ち運転者の意思に対して車両の挙動が追従し得なくなっ
て運転者に不安な感じを与えてしまう。従って、横加速
度Ygが或る所定値Yg2 以上の領域では,当該第2の
制御ゲインK2 を操舵入力に対して車両挙動を正確に追
従するための上限値としての所定値K22に維持する。
【0044】次にこのような発明原理に基づいて車両の
ヨーイング運動量を制御するためのクラッチ機構37の
締結力並びにその制御信号を算出出力するために、前記
コントローラ58のマイクロコンピュータ70で行われ
る演算処理について図8のフローチャートに従って説明
する。この演算処理は、所定周期ΔT(例えば20mse
c)毎のタイマ割込処理として実行され、まず、ステッ
プS1で、前記前輪回転センサ54からの前輪回転検出
値nF,後輪回転センサ56からの後輪回転検出値n
R,車速センサ52からの車速検出値V,横加速度セン
サ51からの横加速度検出値Yg,操舵角センサ53か
らの操舵角検出値θ及びヨーレートセンサ55からの実
ヨーレート検出値ψ' を読込む。
【0045】次にステップS2に移行して、前記2式に
従って前後輪回転差ΔNを算出する。次にステップS3
に移行して、前記3式又は前記記憶装置70cに予め記
憶された制御マップ等に従って第1の制御ゲインK1
算出設定する。次にステップS4に移行して、前記ステ
ップS2で算出された前後輪回転差ΔNに,前記ステッ
プS3で算出設定された第1の制御ゲインK1 を乗じ
て,前記4式に従ってクラッチトルクTNを算出する。
【0046】次にステップS5に移行して、前記ステッ
プS1で読込まれた実ヨーレート検出値ψ' を時間微分
してヨー角加速度ψ" を算出する。次にステップS6に
移行して、前記ステップS1で読込まれた車速検出値V
並びに操舵角検出値θを用いて,前記4式に従って目標
ヨーレートψ'*を算出する。
【0047】次にステップS7に移行して、前記ステッ
プS6で算出された目標ヨーレートψ'*を時間微分し
て,前記5式に従って目標ヨー角加速度ψ"*を算出す
る。次にステップS8に移行して、前記ステップS1で
読込まれた実ヨーレート検出値ψ' から前記ステップS
6で算出された目標ヨーレートψ'*を減じて前記6式に
従ってヨーレート差Δψ' を算出する。
【0048】次にステップS9に移行して、前記ステッ
プS5で算出されたヨー角加速度ψ" から前記ステップ
S7で算出された目標ヨー角加速度ψ"*を減じて前記7
式に従ってヨー角加速度差Δψ" を算出する。次にステ
ップS10に移行して、前記ステップS1で読込まれた
横加速度検出値Ygを用い,前記図7に示す制御マップ
に従って第2の制御ゲインK2 を算出設定する。
【0049】次にステップS11に移行して、前記ステ
ップS8で算出されたヨーレート差Δψ' ,ステップS
9で算出されたヨー角加速度差Δψ" 及びステップS1
0で算出設定された第2の制御ゲインK2 を用い、更に
予め設定されている第3の制御ゲインK3 を用いて前記
8式に従ってヨーレート対応クラッチトルクTψ' を算
出する。
【0050】次にステップS12に移行して、前記ステ
ップS4で算出したクラッチトルクTNと前記ステップ
S11で算出したヨーレート対応クラッチトルクTψ'
とを加算してクラッチ締結力Tを算出する。次にステッ
プS13に移行して、前記ステップS12で算出したク
ラッチ締結力Tを達成するための制御信号ST を形成
し,前記駆動回路59に向けて出力してメインプログラ
ムに復帰する。
【0051】次に本実施例の車両のヨーイング運動量制
御装置の作用について車両の挙動に基づいて説明する。
今、路面に凹凸がなく平坦で且つ十分な摩擦係数を有す
る高μ良路を定速で直進走行しているものとする。そし
て、このような高μ良路の定速直進走行時には、前記ク
ラッチ機構37による駆動力前後配分比を約25:75
として,これを以下,駆動力前後配分の中庸状態と記
す。
【0052】このような高μ良路の定速直進走行時で
は、前記図8の演算処理が行われるサンプリング時間毎
に,前記ステップS2で算出される前輪回転検出値nF
と後輪回転検出値nRとの偏差,即ち前後回転差ΔNは
略零となる。従って、前記図8のステップS3で第1の
制御ゲインK1 が或る値に算出設定されてもステップS
4で算出されるクラッチトルクTNは略零となる。一
方、直進走行時であるからヨーレートセンサ55で検出
される実ヨーレート検出値ψ' は略零であり、その微分
値であるヨー角加速度ψ" も略零となる。また、車速セ
ンサ52で検出される車速検出値Vは或る値となって
も,操舵角センサ53で検出される操舵角検出値θは略
零であるから、前記図8の演算処理のステップS6の4
式で算出される目標ヨーレートψ'*も略零となり、合わ
せてステップS7の5式で算出される目標ヨー角加速度
ψ"*も略零となる。以上より図8の演算処理のステップ
S8の6式で算出されるヨーレート差Δψ' もステップ
S9の7式で算出されるヨー角加速度差Δψ" も略零と
なっている。また、横加速度センサ51で検出される横
加速度検出値Ygも略零となるが、図8の演算処理のス
テップS10で図7の制御マップに従って算出設定され
る第2の制御ゲインK2 は或る値に設定される。これら
を総合して図8の演算処理のステップS11で算出され
るヨーレート対応クラッチトルクTψ' は略零となる。
従って、図8の演算処理のステップS12で算出される
クラッチ締結力Tは略零となり、駆動回路59に向けて
出力される制御信号ST も略零となる。
【0053】このように略零の制御信号ST を入力した
駆動回路59では,それをフローティング形定電圧回路
等によって駆動信号,即ち指令電流ISOL に変換する
が、この指令電流ISOL は前記中立指令電流IN となる
から、圧力制御弁50の比例ソレノイド50aの励磁状
態は変化せず,またスプールも移動されないから、当該
圧力制御弁50の二次側,即ちクラッチ機構37の入力
ポートに供給される作動油圧Pは変化しない。従って、
前後輪への駆動配分比は前記約25:75の中庸状態に
維持され、安定した定速直進走行を連続的に可能とす
る。
【0054】一方、車両の前後輪の夫々が,水溜まりの
ような低μ領域に後輪2RL,2RRが進入した結果、
当該後輪2RL,2RRにスリップが発生すると,図8
の演算処理の前記ステップS2で算出される前輪回転検
出値nFと後輪回転検出値nRとの前後回転差ΔNは或
る正の値となる。一方、ステップS3では略零である横
加速度検出値Ygに対して或る正の値の第1制御ゲイン
1 が算出設定されるから、ステップS4では或る正の
値のクラッチトルクTNが算出される。他方、車両に発
生する実ヨーレート検出値ψ' は未だ略零であり、操舵
角検出値θが未だ略零であることから、ステップS5〜
S10を経てステップS11で算出されるヨーレート対
応クラッチトルクTψ' は略零となる。従って、図8の
演算処理のステップS12で算出されるクラッチ締結力
Tは或る正の値となり、それを達成するためにステップ
S13で出力される制御信号ST も或る正の値となる。
【0055】このように或る正の値である制御信号ST
を入力した駆動回路59では,それをフローティング形
定電圧回路等によって前記中立指令電流IN よりも大き
い指令電流ISOL に変換するため、この中立指令電流I
N よりも大きい指令電流ISO L が入力された圧力制御弁
50の比例ソレノイド50aの励磁状態が増大し、これ
によってスプールが移動して当該圧力制御弁50の二次
側,即ちクラッチ機構37の入力ポートに供給される作
動油圧Pは上昇する。従って、クラッチ機構37の締結
力が大きくなって前輪2FL,2FRへの伝達トルクが
増加し、その結果,後輪2RL,2RRへの駆動配分が
前記中庸状態よりも小さくなって当該前輪2RL,2R
Rのスリップが解消されて安定した定速直進走行を連続
的に可能とする。
【0056】これをはじめとして、例えば低μ路面での
発進時に後輪2RL,2RRに掛かる駆動力が大き過ぎ
たために当該後輪2RL,2RRがスリップした場合に
も同様のフィードバック制御が行われて後輪のスリップ
が解消され、車両の挙動が安定化される。なお、このよ
うな低μ領域で前輪2FL,2FRのみがスリップし、
その結果図8の演算処理の前記ステップS2で算出され
る前輪回転検出値nFと後輪回転検出値nRとの前後回
転差ΔNが或る負の値となっても、前述の実施例原理並
びに図6の制御マップに従って前後輪の駆動配分制御は
実行されない。
【0057】一方、前記高μ良路の定速直進状態から定
速旋回状態に移行したとする。このとき、定速旋回状態
における旋回半径は比較的大きい場合を想定する。この
ように定速で旋回半径が比較的大きな旋回状態では、前
記図8の演算処理のうち,ステップS2で算出される前
左右輪2FL,2FRの車輪回転数の平均値である前輪
回転検出値nFと,後左右輪2RL,2RRの車輪回転
数の平均値である後輪回転検出値nRとの偏差,前後輪
回転差ΔNは略零であると考えられる。また、図8の演
算処理のステップS3では,旋回状態,即ち旋回の深さ
に合わせて発生する横加速度検出値Ygの変化に合わせ
て前記第1の制御ゲインK1 が算出設定される。しかし
ながら、前記前後輪回転差ΔNが略零であるために、ス
テップS4で算出されるクラッチトルクTNは略零とな
ってしまう。この略零に演算されるクラッチトルクTN
は前記旋回状態に関わらず,旋回初期からその収束期ま
で一様に変化しないものとする。
【0058】一方で、図8の演算処理においてステップ
S5ではステップS1で読込まれた実ヨーレート検出値
ψ' を時間微分してヨー角加速度ψ" が算出される。ま
た、ステップS6では操舵入力である操舵角検出値θ並
びに一定値である車速検出値Vに基づいて前記4式に従
って目標ヨーレートψ'*が算出され、次いでステップS
7では前記5式に従って目標ヨー角加速度ψ"*が算出さ
れる。そして、ステップS8の6式で算出されたヨーレ
ート差Δψ' 及びステップS9の7式で算出されたヨー
角加速度差Δψ" を用い、更にステップS10で横加速
度検出値Ygに応じて図7の制御マップに従って算出設
定された第2の制御ゲインK2 から、ステップS11で
前記8式に従ってヨーレート対応クラッチトルクTψ'
が算出される。ここで、前記のようにクラッチトルクT
Nが略零であることから、ステップS12で算出される
クラッチ締結力Tは略前記ヨーレート対応クラッチトル
クTψ' となり、このクラッチ締結力T,即ちヨーレー
ト対応クラッチトルクTψ’を達成するための制御信号
T がステップS13で形成出力される。
【0059】この制御信号ST を入力した駆動回路59
では、当該制御信号ST に応じた指令電流ISOL を圧力
制御弁50の比例ソレノイド50aに向けて出力し、こ
の指令電流ISOL を入力した圧力制御弁50では当該指
令電流ISOL に応じた供給作動油圧Pを流体式多板クラ
ッチ機構37に供給する。このとき、例えばFRを基体
とする本実施例の四輪駆動車両においてオーバステアが
発生したときを想定すると、このようなオーバステア状
態では,操舵入力である操舵角検出値θ及び車速検出値
Vに応じて設定される目標ヨーレートψ'*並びに目標ヨ
ー角加速度ψ"*に対して、実測される実ヨーレート検出
値ψ’及びその微分値であるヨー角加速度ψ" は大きく
なる傾向にある。従って、ステップS8で算出されるヨ
ーレート差Δψ' 及びヨー角加速度差Δψ”は共に或る
正の値となる。一方、ステップS10では旋回状態並び
に車両の挙動に応じて検出読込まれた横加速度検出値Y
gに応じた第2制御ゲインK2 が設定されるが、何れに
してもステップS11で算出されるヨーレート対応クラ
ッチトルクTψ’は或る正の値となり、ステップS12
〜S13で算出形成出力されるクラッチ締結力Tを達成
するための制御信号ST もこのヨーレート対応クラッチ
トルクTψ’に応じた或る正の値となる。従って、駆動
回路59から圧力制御弁50に向けて出力される指令電
流ISOL は,前記中立指令電流IN よりも大きな電流値
となるから、クラッチ機構37へ供給される作動油圧P
も前記中立作動油圧PN より大きなものとなって当該ク
ラッチ機構37の締結力が増大し、その結果,前輪2F
L,2FRへの駆動力配分が大きくなって相対的に後輪
2RL,2RRの駆動力が低減し、前記オーバステア状
態が解消されてニュートラルステア方向に改善されて車
両挙動が安定する。
【0060】一方、昨今の車両のステアリング特性から
アンダステアが発生したときを想定すると、このような
アンダステア状態では,操舵入力である操舵角検出値θ
及び車速検出値Vに応じて設定される目標ヨーレートψ
'*並びに目標ヨー角加速度ψ "*に対して、実測される実
ヨーレート検出値ψ’及びその微分値であるヨー角加速
度ψ" は小さくなる傾向にある。従って、ステップS8
で算出されるヨーレート差Δψ' 及びヨー角加速度差Δ
ψ”は共に或る負の値となる。一方、ステップS10で
は旋回状態並びに車両の挙動に応じて検出読込まれた横
加速度検出値Ygに応じた第2制御ゲインK2 が設定さ
れるが、何れにしてもステップS11で算出されるヨー
レート対応クラッチトルクTψ’は或る負の値となり、
ステップS12〜S13で算出形成出力されるクラッチ
締結力Tを達成するための制御信号ST もこのヨーレー
ト対応クラッチトルクTψ’に応じた或る負の値とな
る。従って、駆動回路59から圧力制御弁50に向けて
出力される指令電流ISOL は,前記中立指令電流IN
りも小さな電流値となるから、クラッチ機構37へ供給
される作動油圧Pも前記中立作動油圧PN より小さなも
のとなって当該クラッチ機構37の締結力が減少し、そ
の結果,前輪2FL,2FRへの駆動力配分が小さくな
って前記アンダステア状態が解消されて、ニュートラル
ステア方向に改善されて車両挙動が安定する。
【0061】このように旋回状態におけるステアリング
特性の改善によって車両挙動は夫々の状況下で安定化す
るが、その過渡特性について考察すると、まず、直進付
近から旋回初期に掛けて操舵入力である操舵角或いは転
舵角が小さく,結果的に前後輪2FL〜2RRの何れも
横すべり角が小さい状態では、前述のように各車輪のコ
ーナリングパワは大きく、操舵入力に対する車両挙動の
応答性が高い。即ち、タイヤ特性そのものが,旋回初期
における回頭性を相対的に高めてくれることになる。一
方、こうした直進付近又は旋回初期においては車両に二
次的に発生する横加速度検出値Ygも小さく、前記図8
のステップS10で図7の制御マップに従って算出設定
される第2の制御ゲインK2 も小さな値となる。従っ
て、ステップS11で算出されるヨーレート対応クラッ
チトルクTψ' は、前記第2の制御ゲインK2 を比較的
大きな一定値に設定した場合に比して,相対的に小さな
値となる。この相対的に小さな値のヨーレート対応クラ
ッチトルクTψ' をクラッチ締結力Tとし、このクラッ
チ締結力Tを達成するための制御信号ST は,やはり前
記第2の制御ゲインK2 を比較的大きな一定値に設定し
た場合に比して,相対的に小さな値となるから、この小
さな値の制御信号ST に基づく指令電流ISOLを入力し
た圧力制御弁50が、それに見合う供給作動油圧Pを達
成するための所要時間は比較的短いものとなる。従っ
て、本実施例の車両のヨーイング運動量制御装置による
直進付近から旋回初期におけるフィードバック制御の応
答性は、前記第2の制御ゲインK2 を比較的大きな一定
値に設定した場合に比して,相対的に鋭敏になり、結果
的に車両の回頭性が向上して軽快感が付与される。
【0062】一方、旋回中期から旋回後期に掛けて操舵
入力である操舵角或いは転舵角は比較的大きく,結果的
に前後輪2FL〜2RRの何れも横すべり角が大きい状
態では、前述のように各車輪のコーナリングパワは小さ
く、操舵入力に対する車両挙動の応答性が低い。一方、
こうした旋回中期から旋回後期においては,実際的に旋
回後期にかけて行われる運転者の加速操作も合わせて,
車両に二次的に発生する横加速度検出値Ygが大きく、
前記図8のステップS10で図7の制御マップに従って
算出設定される第2の制御ゲインK2 も大きな値とな
る。従って、ステップS11で算出されるヨーレート対
応クラッチトルクTψ' は、前記第2の制御ゲインK2
を比較的小さな一定値に設定した場合に比して,相対的
に大きな値となる。この相対的に大きな値のヨーレート
対応クラッチトルクTψ' をクラッチ締結力Tとし、こ
のクラッチ締結力Tを達成するための制御信号ST は,
やはり前記第2の制御ゲインK2 を比較的小さな一定値
に設定した場合に比して,相対的に大きな値となるか
ら、この大きな値の制御信号ST に基づく指令電流ISO
L を入力した圧力制御弁50が、それに見合う供給作動
油圧Pを達成するための所要時間は比較的長いものとな
る。従って、本実施例の車両のヨーイング運動量制御装
置による旋回中期から旋回後期におけるフィードバック
制御の応答性は、前記第2の制御ゲインK2 を比較的小
さな一定値に設定した場合に比して,相対的に鈍重にな
り、特に外乱による過渡的な実ヨーレート検出値ψ' の
変化や運転者の無意識的な操舵入力からの操舵角検出値
θの変動に対して車両の挙動が安定し、結果的にしっと
り感とかしっかり感といった安定感が付与される。
【0063】勿論、前記第2の制御ゲインK2 には前述
のように上限値及び下限値を設定してあるから、例えば
直進付近における操舵入力に対して車両が過敏に反応し
過ぎたり、或いは旋回中における操舵入力に対して車両
が追従しなさ過ぎたりするようなことはない。また、レ
ーンチェンジ等のように比較的小さな操舵入力で車両が
軽快に回頭し且つ収束することが望まれるような場合に
は、前記旋回初期と同様の制御によってそれが実現され
る。
【0064】また、転舵旋回中にあって前後輪の回転数
差が発生した場合にも、前記図8の演算処理におけるス
テップS12で算出されるクラッチ締結力Tが,前記前
後輪回転差ΔNに基づくクラッチトルクTNと前記ヨー
レート対応クラッチトルクTψ' との和であるために、
ヨーイング運動量の制御を適切に行いながらそれらの回
転数差をも適切に補正することができる。
【0065】なお、前記実施例では前後輪回転差の補正
を同時に行うヨーイング運動量制御装置について説明し
たが、本発明の車両のヨーイング運動量制御装置では,
これを必ずしも同時に行う必要はなく、この補正制御機
能を削除する場合には前記図8の演算処理におけるステ
ップS2〜S4を削除すればよい。従って、前記図8の
演算処理におけるステップS1が本発明のうち請求項1
に係るヨーイング運動量制御装置のヨーイング運動量検
出手段,入力物理量検出手段,横加速度検出手段に相当
し、以下同様に,ステップS6,S7が目標ヨーイング
運動量演算手段に相当し、ステップS10がフィードバ
ック制御ゲイン設定手段に相当し、ステップS5,S
8,S9,S11〜S13がフィードバック制御手段に
相当する。
【0066】次に本発明の車両のヨーイング運動量制御
装置の第2実施例を図9〜図11に従って説明する。本
実施例では、前記第1実施例における目標ヨーレート及
び目標ヨー角加速度等の目標ヨーイング運動量の算出に
係る演算負荷を軽減してその処理時間の短縮を図ると共
に、前記第1実施例でフィードバック制御の応答性に関
与するトータル制御ゲインを可変制御したのに対して,
一次遅れ系演算処理における時定数を直接的に可変制御
してその応答性を制御しようとするものである。
【0067】本実施例でヨーイング運動量制御装置が適
用される車両の構成並びに前後輪間の駆動力配分制御装
置の構成は、前記図2,図3に示す第1実施例とほぼ同
様である。また、この駆動力配分制御装置を制御するコ
ントローラ58の構造的な構成も前記図3に示す第1実
施例とほぼ同様である。そして、前記コントローラ58
内のマイクロコンピュータ70で行われる処理の内容が
異なる。ここで、前記前後輪回転差を補正するためのク
ラッチトルクTNや,ヨー角加速度ψ" ,ヨーレート差
Δψ' ,ヨー角加速度差Δψ" ,クラッチ締結力T及び
クラッチ締結力Tを達成するための制御信号ST の演算
処理についても第1実施例と同様に行われるが、目標ヨ
ーレートψ'*や目標ヨー角加速度ψ"*の算出方法及びヨ
ーレート対応クラッチトルクTψ' の算出方法が第1実
施例とは異なる。具体的に本実施例では、目標ヨーレー
トψ'*を算出するにあたり、車速検出値V,操舵角検出
値θを変数とし且つコーナリングパワ,ホイルベース等
の車両特性から算出設定されるスタビリティファクタを
係数として定常ヨーレートを算出し、この定常ヨーレー
トに対して所定の時定数を用いた一次遅れ系演算処理を
行って当該目標ヨーレートψ'*を算出する。そして、目
標ヨー角加速度ψ"*は,このようにして得られた目標ヨ
ーレートψ'*を時間微分して得る。また、ヨーレート対
応クラッチトルクTψ' を算出する際に用いられるトー
タル制御ゲイン,即ち前記第2の制御ゲインK2 は一定
値に設定しておく。
【0068】従って、前記演算処理装置70bは、後述
する図11の処理を実行して、所定サンプリング時間Δ
T(例えば20msec)毎に前後輪回転検出値nF,n
R,車速検出値V,横加速度検出値Yg,操舵角検出値
θ,実ヨーレート検出値ψ' を読込み、前記と同様にし
て前後回転差ΔNからそれを補正するためのクラッチト
ルクTNを算出すると共に、車速検出値V,操舵角検出
値θを変数とし且つコーナリングパワ,ホイルベース等
の車両特性から算出設定されるスタビリティファクタを
係数として定常ヨーレートψ'* 0 を制御マップ又は算出
式によって求め、この定常ヨーレートψ'* 0 を一次遅れ
系演算するための時定数τを横加速度検出値Ygの大き
さに応じて制御マップ又は算出式によって設定し、この
時定数τを用いた定常ヨーレートψ'* 0 の一次遅れ系演
算によって目標ヨーレートψ'*を算出し、更にこの目標
ヨーレートψ'*を時間微分して目標ヨー角加速度ψ"*
算出して、実ヨーレート検出値ψ' を時間微分したヨー
角速度ψ" をも用いて,ヨーレート差Δψ' 及びヨー角
加速度差Δψ" を算出し、これらから前記第3の制御ゲ
インK3 及び一定値である第2の制御ゲインK2 を用い
てヨーレート対応クラッチトルクTψ' を算出し、前記
クラッチトルクTNとヨーレート対応クラッチトルクT
ψ' とを加算して得たクラッチ締結力Tを達成するため
の制御信号STを形成出力する。
【0069】次に、本実施例のコントローラ内で行われ
る演算処理の基本原理について説明する。本実施例で
は、前記目標ヨーレートψ'*を算出するために定常ヨー
レートψ'* 0 を用いる。一般に、この定常ヨーレートψ
'* 0 は車速V,操舵角θを変数とし且つ前出のスタビリ
ティファクタKS ,ステアリングギヤ比N及びホイルベ
ースLを係数として用いて下記9式で与えられる。
【0070】 ψ'* 0 =V/(L・(1+KS 2 ))・(θ/N) ……… (9) また、目標ヨーレートψ'*はこの定常ヨーレートψ'* 0
に対して一次遅れ時定数τを用いた一次遅れ系演算を下
記10式に従って行うことで得られることも既知であ
る。 ψ'*=ψ'* 0 /(1+τs) ………(10) 但し、sはラプラス演算子(ラプラシアン)を示す。
【0071】ここで、前記9式によって定常ヨーレート
ψ'* 0 を算出することは勿論可能なのであるが、演算に
係る負荷は相当のものになることは回避し難い。そこ
で、本実施例では、前記9式に従った操舵入力である操
舵角検出値θと定常ヨーレートψ'* 0 との相関を,車速
検出値Vをパラメータとする図9の制御マップに示し、
当該読込まれた車速検出値Vに応じてこの制御マップを
線形補間して定常ヨーレートψ'* 0 を算出設定すること
とした。これによれば、少なくとも9式の複雑な演算に
係る演算負荷を軽減して,その処理時間を短縮すること
が可能となる。
【0072】一方、本実施例ではヨーイング運動量の車
両へのフィードバック制御の応答性を可変制御するため
に、前記目標ヨーレートψ' の算出に際して行われる一
次遅れ系演算の一次遅れ時定数τを可変制御する。一般
に、一次遅れ系フィードバック制御の時定数を大きくす
れば当該制御系の応答性は鈍重化し、当該時定数を小さ
くすれば当該制御系の応答性は鋭敏化する。従って、こ
の一次遅れ時定数τを横加速度Ygの増減に応じて増減
することで、ヨーイング運動量に関するフィードバック
制御の応答性を変更制御することができる。ここで、横
加速度は操舵入力に対して二次的に発生するものである
から、車両における転舵旋回に着目すると,レーンチェ
ンジやコーナー進入時のような旋回初期にあって操舵入
力が小さい状態では横加速度Ygも小さい。このような
横加速度Ygの小さい状況下で,前記一次遅れ時定数τ
を小さな値に設定すれば、フィードバック制御の応答性
が高くなって車両挙動は鋭敏化するため、所謂車両の回
頭性が向上して軽快感とかきびきびした感じとかが得ら
れる。一方、旋回が深まるにつれて旋回中の横加速度Y
gも大きくなり、この横加速度Ygの増大に合わせて一
次遅れ時定数τを大きな値に設定すれば、フィードバッ
ク制御の応答性は次第に低くなって車両挙動は鈍重化す
るが、これは逆に車両の旋回中の入力に対してスタビリ
ティを高めることになるから、過渡的な外乱に対しては
安定性が向上して,コーナリング性能としてはしっとり
した或いはしっかりとした感じが得られる。
【0073】これらの目的を踏まえて,前記横加速度Y
gに応じて前記一次遅れ時定数τは図10に示すように
変更設定される。同図に明示するように当該一次遅れ時
定数τは横加速度Ygの増大に伴って次第に大きく設定
されるが、横加速度Ygが或る所定値Yg1 以下の領域
では当該一次遅れ時定数τは或る所定値τ1 に維持さ
れ、逆に横加速度Ygが或る所定値Yg2 以上の領域で
は当該一次遅れ時定数τは或る所定値τ2 に維持され
る。これは、横加速度Ygの減少に伴って必要以上に一
次遅れ時定数τを小さな値にしてしまったのでは、直進
走行時やその付近で車両の挙動が鋭敏になりすぎて却っ
て不安定な感じを与えてしまう。従って、横加速度Yg
が或る所定値Yg1 以下の領域では,当該一次遅れ時定
数τを直進安定性を維持するための下限値としての所定
値τ1 に維持する。逆に、横加速度Ygの増大に伴って
必要以上に一次遅れ時定数τを大きな値にしてしまった
のでは、旋回中に与える操舵入力,即ち運転者の意思に
対して車両の挙動が追従し得なくなって運転者に不安な
感じを与えてしまう。従って、横加速度Ygが或る所定
値Yg2 以上の領域では,当該一次遅れ時定数τを操舵
入力に対して車両挙動を正確に追従するための上限値と
しての所定値τ2 に維持する。
【0074】こうして算出設定された一次遅れ時定数τ
を用いて前記10式に従い、前記定常ヨーレートψ'* 0
に対して一次遅れ系演算を行うことで目標ヨーレートψ
'*を得る。従って、目標ヨー角加速度ψ"*は、前記目標
ヨー角加速度ψ'*を時間微分する前記5式に従って求め
られる。
【0075】このようにして得られた目標ヨーイング運
動量と実ヨーイング運動量との偏差を零となるようにフ
ィードバック制御を行うために、各偏差を,前記6式,
7式によってヨーレート差Δψ' 及びヨー角加速度差Δ
ψ" として算出し、これらのヨーレート差Δψ' 及びヨ
ー角加速度差Δψ" を用いて,前記8式に従ってヨーレ
ート対応クラッチトルクTψ' を算出する。その際、前
記第3の制御ゲインK 3 を予め設定した値とするのは前
記第1実施例と同様であるが、本実施例ではフィードバ
ック制御の応答性に関しては前記一次遅れ時定数τによ
って変更制御可能であるから、前記第2の制御ゲインK
2 に関しても,所望の車両挙動を実現できる値に予め設
定しておけばよい。
【0076】次にこのような発明原理に基づいて車両の
ヨーイング運動量を制御するためのクラッチ機構37の
締結力並びにその制御信号を算出出力するために、前記
コントローラ58のマイクロコンピュータ70で行われ
る演算処理について図11のフローチャートに従って説
明する。この演算処理は、所定周期ΔT(例えば20ms
ec)毎のタイマ割込処理として実行され、まず、ステッ
プS21で、前記前輪回転センサ54からの前輪回転検
出値nF,後輪回転センサ56からの後輪回転検出値n
R,車速センサ52からの車速検出値V,横加速度セン
サ51からの横加速度検出値Yg,操舵角センサ53か
らの操舵角検出値θ及びヨーレートセンサ55からの実
ヨーレート検出値ψ' を読込む。
【0077】次にステップS22に移行して、前記2式
に従って前後輪回転差ΔNを算出する。次にステップS
23に移行して、前記3式又は前記記憶装置70cに予
め記憶された制御マップ等に従って第1の制御ゲインK
1 を算出設定する。次にステップS24に移行して、前
記ステップS22で算出された前後輪回転差ΔNに,前
記ステップS3で算出設定された第1の制御ゲインK1
を乗じて,前記4式に従ってクラッチトルクTNを算出
する。
【0078】次にステップS25に移行して、前記ステ
ップS21で読込まれた実ヨーレート検出値ψ' を時間
微分してヨー角加速度ψ" を算出する。次にステップS
26に移行して、前記ステップS21で読込まれた車速
検出値V並びに操舵角検出値θを用いて,前記図9の制
御マップから適宜線形補間により定常ヨーレートψ'* 0
を算出設定する。
【0079】次にステップS27に移行して、前記ステ
ップS21で読込まれた横加速度検出値Ygを用い,前
記図10に示す制御マップに従って一次遅れ時定数τを
算出設定する。次にステップS28に移行して、前記ス
テップS26で算出設定された定常ヨーレートψ'* 0
びステップS27で算出設定された一次遅れ時定数τを
用いて、前記10式に従って目標ヨーレートψ'*を算出
する。
【0080】次にステップS29に移行して、前記ステ
ップS28で算出された目標ヨーレートψ'*を時間微分
して前記5式に従って目標ヨー角加速度ψ"*を算出す
る。次にステップS30に移行して、前記ステップS2
1で読込まれた実ヨーレート検出値ψ' から前記ステッ
プS28で算出された目標ヨーレートψ'*を減じて前記
6式に従ってヨーレート差Δψ' を算出する。
【0081】次にステップS31に移行して、前記ステ
ップS25で算出されたヨー角加速度ψ" から前記ステ
ップS29で算出された目標ヨー角加速度ψ"*を減じて
前記7式に従ってヨー角加速度差Δψ" を算出する。次
にステップS32に移行して、前記ステップS30で算
出されたヨーレート差Δψ' ,ステップS31で算出さ
れたヨー角加速度差Δψ" 及び予め設定されている第2
の制御ゲインK2 及び第3の制御ゲインK3 を用いて前
記8式に従ってヨーレート対応クラッチトルクTψ' を
算出する。
【0082】次にステップS33に移行して、前記ステ
ップS24で算出したクラッチトルクTNと前記ステッ
プS32で算出したヨーレート対応クラッチトルクT
ψ' とを加算してクラッチ締結力Tを算出する。次にス
テップS34に移行して、前記ステップS33で算出し
たクラッチ締結力Tを達成するための制御信号ST を形
成し,前記駆動回路59に向けて出力してメインプログ
ラムに復帰する。
【0083】次に本実施例の車両のヨーイング運動量制
御装置の作用について車両の挙動に基づいて説明する。
まず、前後輪の回転差ΔNに基づいて当該前後輪回転差
ΔNを補正するクラッチトルクTNのフィードバック制
御については、前記第1実施例のそれと同様に実施され
るので,その詳細な作用の説明を割愛する。
【0084】また、算出された目標ヨーイング運動量,
即ち目標ヨーレートψ'*及び目標ヨー角加速度ψ"*に、
車両で実際に発生する実ヨーイング運動量,即ち実ヨー
レート検出値ψ' 及びヨー角加速度ψ" を追従させて車
両のステアリング特性を改善するヨーイング運動量のフ
ィードバック制御の主幹についても、図11の演算処理
のステップS26で制御マップから線形補間して得られ
る定常ヨーレートψ'* 0 を一次遅れ系演算して目標ヨー
レートψ'*を算出すること以外は、前記第1実施例のそ
れと同様に実施されるので,その詳細な作用の説明を割
愛する。
【0085】また、転舵旋回中にあって前後輪の回転数
差が発生した場合にも、前記第1実施例と同様にヨーイ
ング運動量の制御を適切に行いながらそれらの回転数差
をも適切に補正することができるので,その作用の詳細
な説明を割愛する。そして、前述のように旋回状態にお
けるステアリング特性の改善によって車両挙動は夫々の
状況下で安定化するが、その過渡特性について考察する
と、まず、直進付近から旋回初期に掛けて操舵入力であ
る操舵角或いは転舵角が小さく,結果的に前後輪2FL
〜2RRの何れも横すべり角が小さい状態では、前述の
ように各車輪のコーナリングパワは大きく、操舵入力に
対する車両挙動の応答性が高い。一方、こうした直進付
近又は旋回初期においては車両に二次的に発生する横加
速度検出値Ygも小さく、前記図11の演算処理のう
ち,ステップS27で図10の制御マップに従って算出
設定される一次遅れ時定数τも小さな値となる。従っ
て、この小さな値の一次遅れ時定数τを用いてステップ
S28の10式で算出される目標ヨーレートψ'*及びこ
れを時間微分してステップS29で得られた目標ヨー角
加速度ψ"*に、実ヨーレート検出値ψ' 及びヨー角加速
度ψ" を追従する本実施例のフィードバック制御系の応
答性は、前記一次遅れ時定数τを比較的大きな一定値に
設定した場合に比して,相対的に鋭敏になり、結果的に
車両の回頭性が向上して軽快感が付与される。
【0086】一方、旋回中期から旋回後期に掛けて操舵
入力である操舵角或いは転舵角は比較的大きく,結果的
に前後輪2FL〜2RRの何れも横すべり角が大きい状
態では、前述のように各車輪のコーナリングパワは小さ
く、操舵入力に対する車両挙動の応答性が低い。一方、
こうした旋回中期から旋回後期においては,実際的に旋
回後期にかけて行われる運転者の加速操作も合わせて,
車両に二次的に発生する横加速度検出値Ygが大きく、
前記図11の演算処理のうち,ステップS27で図10
の制御マップに従って算出設定される一次遅れ時定数τ
も大きな値となる。従って、この大きな値の一次遅れ時
定数τを用いてステップS28の10式で算出される目
標ヨーレートψ'*及びこれを時間微分してステップS2
9で得られた目標ヨー角加速度ψ"*に、実ヨーレート検
出値ψ' 及びヨー角加速度ψ" を追従する本実施例のフ
ィードバック制御系の応答性は、前記一次遅れ時定数τ
を比較的小さな一定値に設定した場合に比して,相対的
に鈍重になり、特に外乱による過渡的な実ヨーレート検
出値ψ' の変化や運転者の無意識的な操舵入力からの操
舵角検出値θの変動に対して車両の挙動が安定し、結果
的にしっとり感とかしっかり感といった安定感が付与さ
れる。
【0087】勿論、前記一次遅れ時定数τには前述のよ
うに上限値及び下限値を設定してあるから、例えば直進
付近における操舵入力に対して車両が過敏に反応し過ぎ
たり、或いは旋回中における操舵入力に対して車両が追
従しなさ過ぎたりするようなことはない。また、レーン
チェンジ等のように比較的小さな操舵入力で車両が軽快
に回頭し且つ収束することが望まれるような場合には、
前記旋回初期と同様の制御によってそれが実現される。
【0088】また、本実施例では目標ヨーレート算出に
おいて一次遅れ系演算に係る定常ヨーレートを制御マッ
プの線形補間によって算出することとしたために、その
分だけ演算負担が軽減され、処理時間を短縮することが
できる。なお、前記実施例では前後輪回転差の補正を同
時に行うヨーイング運動量制御装置について説明した
が、本発明の車両のヨーイング運動量制御装置では,こ
れを必ずしも同時に行う必要はなく、この補正制御機能
を削除する場合には前記図11の演算処理におけるステ
ップS22〜S24を削除すればよい。
【0089】従って、前記図11の演算処理におけるス
テップS21が本発明のうち請求項2に係るヨーイング
運動量制御装置のヨーイング運動量検出手段,入力物理
量検出手段,横加速度検出手段に相当し、以下同様に,
ステップS26,S28,S29が目標ヨーイング運動
量演算手段に相当し、ステップS28が遅れ系演算手段
に相当し、ステップS27が時定数設定手段に相当し、
ステップS25,S30〜S34がフィードバック制御
手段に相当する。
【0090】なお、前記実施例では後輪駆動車両をベー
スにした四輪駆動車両について詳述したが、この種の四
輪駆動車両に限定されるものではなく、前輪駆動車両を
ベースにした四輪駆動車両に搭載されるトランスファの
クラッチ機構を制御するものであってもよい。この場合
は、前記した前後輪回転差ΔN=nF−nRとして演算
すればよい。
【0091】また、前記実施例ではクラッチ機構として
油圧駆動による流体式摩擦クラッチを用いた場合につい
て説明したが、本発明は駆動力を連続的に配分できるク
ラッチであれば例えば電磁クラッチ機構等にも採用でき
る。まら、前記実施例はコントローラ58としてマイク
ロコンピュータを適用した場合について説明したが、こ
れに代えてカウンタ,比較器等の電子回路を組み合わせ
て構成することもできる。
【0092】また、前記実施例では可変トルククラッチ
を付勢する作動流体として作動油を適用した場合につい
て説明したが、これに限らず水等の流体,空気等の気体
を適用し得ることは言うまでもない。また、圧力制御弁
としては、前記減圧弁に限定されるものではなく、他の
指令値に応答して二次側の圧力を制御可能な圧力制御弁
を適用し得る。
【0093】また、前記オイルポンプの回転駆動源とし
ては前記電動モータに限らず,エンジンの回転出力を用
いることも可能である。また、前記実施例では車両のヨ
ーイング運動量制御装置を前後輪間の駆動力配分装置に
展開したものについてのみ詳述したが、本発明の車両の
ヨーイング運動量制御装置は、目標ヨーイング運動量
に,車両に発生する実ヨーイング運動量を追従させるフ
ィードバック制御を行うものについてはあらゆる制御装
置に適用可能であり、例えば本出願人が先に提案した特
開昭60−161255号公報に記載される四輪操舵制
御装置を含む補助操舵制御装置や、同じく本出願人が先
に提案した特開平5−193332号公報に記載される
ロール剛性可変制御を可能とした能動型サスペンション
及びスタビライザ制御装置、或いは同じく本出願人が先
に提案した特開平5−24528号公報に記載される車
両各輪の制動力を個別に制御する制動力制御装置、或い
は同じく本出願人が先に提案した特開平2−29072
2号公報に記載される左右輪に駆動力を分配伝達する差
動制限制御装置等にも広く展開可能である。
【0094】
【発明の効果】以上説明したように本発明の車両のヨー
イング運動量制御装置によれば、目標ヨーイング運動量
に車両の実ヨーイング運動量を追従させるようにフィー
ドバック制御するときに介在する応答性を,車両のヨー
イング運動によって発生する横加速度に応じて変更制御
するにあたり、横加速度の増大に伴ってトータルフィー
ドバック制御ゲインを大きく設定するか,或いは遅れ系
演算の時定数を大きく設定することにより、旋回初期或
いは直進付近でのフィードバック制御の応答を鋭敏化し
て車両の回頭性を向上して軽快感を付与すると共に、旋
回中でのフィードバック制御の応答を鈍重化して過渡的
な外乱に対する車両挙動を安定化することを可能とす
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両のヨーイング運動量制御装置の基
本構成図である。
【図2】本発明の車両のヨーイング運動量制御装置を前
後輪間の駆動力配分制御装置に適用した一例を示す概略
構成図である。
【図3】図2の前後輪間の駆動力配分制御装置の一例を
示す概略構成図である。
【図4】図3の前後輪間の駆動力配分制御装置で行われ
る供給作動油圧と前輪側への伝達トルクの相関関係図で
ある。
【図5】図3の前後輪間の駆動力配分制御装置で行われ
る指令電流と供給作動油圧の相関関係図である。
【図6】図3の前後輪間の駆動力配分制御装置で行われ
る前後輪回転差と前輪側への伝達トルクの相関関係図で
ある。
【図7】本発明の車両のヨーイング運動量制御装置の第
1実施例で行われる演算処理の横加速度検出値に対する
第2制御ゲインの制御マップである。
【図8】図7の制御マップで設定される第2制御ゲイン
を用いて行われる車両のヨーイング運動量制御装置の第
1実施例の演算処理を示すフローチャートである。
【図9】本発明の車両のヨーイング運動量制御装置の第
2実施例で行われる演算処理の操舵角検出値に対して車
速検出値をパラメータとする定常ヨーレートの制御マッ
プである。
【図10】本発明の車両のヨーイング運動量制御装置の
第2実施例で行われる演算処理の横加速度検出値に対す
る時定数の制御マップである。
【図11】図9の制御マップで設定される定常ヨーレー
ト及び図10で設定される時定数を用いて行われる車両
のヨーイング運動量制御装置の第2実施例の演算処理を
示すフローチャートである。
【符号の説明】
1はエンジン 2FL〜2RRは前左輪〜後右輪 3は駆動力系 4は駆動力配分制御装置 12は変速機 14はトランスファ 16は前輪側出力軸 18は前輪側ディファレンシャルギヤ 20は前輪側ドライブシャフト 22はプロペラシャフト 24は後輪側ディファレンシャルギヤ 26は後輪側ドライブシャフト 35は流体圧力源 37はクラッチ機構 50は圧力制御弁 51は横加速度センサ 52は車速センサ 53は操舵角センサ 54は前輪回転センサ 56は後輪回転センサ 58はコントローラ 59は駆動回路 70はマイクロコンピュータ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両に実際に発生しているヨーイング運
    動量を検出するヨーイング運動量検出手段と、車両に作
    用する入力又は車両に発生している物理量を検出する入
    力物理量検出手段と、前記入力物理量検出手段で検出さ
    れた車両に作用する入力検出値又は車両に発生している
    物理量検出値に基づいて車両で達成すべき目標ヨーイン
    グ運動量を算出する目標ヨーイング運動量演算手段と、
    前記目標ヨーイング運動量演算手段で算出された目標ヨ
    ーイング運動量に前記ヨーイング運動量検出手段で検出
    されたヨーイング運動量が一致するように所定のフィー
    ドバック制御ゲインを用いてフィードバック制御を行う
    フィードバック制御手段とを備えた車両のヨーイング運
    動量制御装置において、車両に作用する横加速度を検出
    する横加速度検出手段と、前記横加速度検出手段で検出
    された横加速度検出値の増加に応じて前記フィードバッ
    ク制御ゲインを大きく設定するフィードバック制御ゲイ
    ン設定手段とを備えたことを特徴とする車両のヨーイン
    グ運動量制御装置。
  2. 【請求項2】 車両に実際に発生しているヨーイング運
    動量を検出するヨーイング運動量検出手段と、車両に作
    用する入力又は車両に発生している物理量を検出する入
    力物理量検出手段と、前記入力物理量検出手段で検出さ
    れた車両に作用する入力検出値又は車両に発生している
    物理量検出値に基づいて車両で達成すべき目標ヨーイン
    グ運動量を算出する目標ヨーイング運動量演算手段と、
    前記目標ヨーイング運動量演算手段で算出された目標ヨ
    ーイング運動量に前記ヨーイング運動量検出手段で検出
    されたヨーイング運動量が一致するようにフィードバッ
    ク制御を行うフィードバック制御手段とを備え、前記目
    標ヨーイング運動量演算手段は,前記目標ヨーイング運
    動量を所定の時定数で与えられる遅れ系として算出する
    遅れ系演算手段を備えてなる車両のヨーイング運動量制
    御装置において、車両に作用する横加速度を検出する横
    加速度検出手段と、前記横加速度検出手段で検出された
    横加速度検出値が小さいときに前記時定数を小さく且つ
    当該横加速度検出値の増加に応じて当該時定数を大きく
    する時定数設定手段とを備えたことを特徴とする車両の
    ヨーイング運動量制御装置。
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