JP2022001056A - メッセンジャーrnaの精製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】メッセンジャーRNAの精製方法の提供。【解決手段】本発明は、生体外合成したmRNAを含む不純調製物を変性条件に付すことと、ステップ(a)から得た不純調製物からmRNAをタンジェント流濾過によって精製することとによるステップを含み、ステップ(b)により精製したmRNAには、生体外合成で用いた未成熟中断RNA配列及び/または酵素試薬が実質的にない、メッセンジャーRNA(mRNA)の精製方法をとりわけ提供する。いくつかの実施形態では、ステップ(a)は、不純調製物にタンパク質変性剤を添加することを含む。【選択図】なし

Description

関連出願への相互参照
本願は、2013年3月14日出願の米国仮特許出願第61/784,996号の利益を主張し、その文献の全体が参照により本明細書に援用される。
メッセンジャーRNA療法が、様々な疾患の治療に対する益々重要な方法となっている。メッセンジャーRNA療法では、その療法の必要な患者にメッセンジャーRNA(mRNA)を投与することと、mRNAによってコードされるタンパク質を患者体内で産生させることとが必要となる。そのため、高純度で安全なmRNA産生物を確実に産生させることが重要である。従来、RNA精製は、典型的にスピンカラムを使用し、治療的投与及び大規模産生にとって望ましくないエタノールのような苛性溶媒または可燃性溶媒の使用を必要とする。
本発明は、医薬品として投与に適したmRNAをタンジェント流濾過(TFF)に基づいて精製する改善された方法を提供する。本発明以前には、RNA精製は、典型的にスピンカラムを使用し、治療的投与及び大規模産生にとって望ましくないエタノールのような苛性溶媒または可燃性溶媒の使用を必要とした。さらに、先行技術の方法では通常、未成熟中断物(premature abort)または「ショートマー(shortmer)」として知られる不完全転写物の分離ができず、それは、免疫賦活性が高いと報告されているものであり、その存在は、mRNAの医薬品有効成分(API)としての毒性及び耐用性プロファイルを大きく変更することがある。本発明は、mRNA産生混合物から反応物、酵素、副生物、特に、ショートマーを除去するのにタンジェント流濾過が驚くほど効果的であるという発見に部分的に基づく。本明細書に記載の通り、タンジェント流濾過を、特に、変性剤を用いた前処理と組み合わせると、未成熟に中断したRNA配列(即ち、ショートマー)も含めて、反応物、酵素、及び副生物を効果的に除去することができ、同時にmRNAの完全性も維持する。さらに驚くべきことに、本発明者らは、いずれの苛性溶媒または可燃性溶媒をも用いることなく水性緩衝液のみを溶媒として用いて、タンジェント流濾過が良好に実行できることを実証した。このようにして、本発明は、治療分野への大規模製造工程の応用から、より効果的で信頼性がありより安全なmRNA精製方法を提供する。
一態様では、本発明は、(a)生体外合成したmRNAを含む不純調製物を変性条件に付すことと、(b)ステップ(a)から得た不純調製物からmRNAをタンジェント流濾過によって精製することとによるステップを含み、ステップ(b)により精製したmRNAには、生体外合成で用いた未成熟中断RNA配列及び/または酵素試薬が実質的にない、メッセンジャーRNA(mRNA)の精製方法をとりわけ提供する。
いくつかの実施形態では、ステップ(a)は、不純調製物にタンパク質変性剤を添加することを含む。いくつかの実施形態では、ステップ(a)は、タンパク質変性剤を添加した不純調製物を室温で約1〜10分(例えば、約2〜9、2〜8、2〜7、3〜10、3〜9、3〜8、3〜7、3〜6、4〜10、4〜9、4〜8、4〜7、4〜6分)間インキュベートすることを含む。いくつかの実施形態では、ステップ(a)は、タンパク質変性剤を添加した不純調製物を室温で約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10分間インキュベートすることを含む。いくつかの実施形態では、ステップ(a)は、タンパク質変性剤を添加した不純調製物を室温で約5分間インキュベートすることを含む。いくつかの実施形態では、適切なタンパク質変性剤は、尿素、チオシアン酸グアニジン、KCl、ドデシル硫酸ナトリウム、サルコシル、他の洗浄剤、及びその組合せからなる群より選択される。
いくつかの実施形態では、ステップ(a)は、尿素を不純調製物に添加して約1M以上の結果的尿素濃度を達成することを含む。いくつかの実施形態では、結果的尿素濃度は、約2M以上、3M以上、4M以上、5M以上、6M以上、7M以上、8M以上、9M以上、または10M以上である。
いくつかの実施形態では、ステップ(a)は、チオシアン酸グアニジンを不純調製物に添加して、約1M以上の結果的チオシアン酸グアニジン濃度を達成することを含む。いくつかの実施形態では、結果的チオシアン酸グアニジン濃度は、約2M以上、3M以上、4M以上、5M以上、6M以上、7M以上、8M以上、9M以上、または10M以上である。
いくつかの実施形態では、ステップ(a)は、KClを不純調製物に添加して、約1M以上の結果的KCl濃度を達成することを含む。いくつかの実施形態では、結果的KCl濃度は、約2M以上、3M以上、4M以上、または5M以上である。
いくつかの実施形態では、タンジェント流濾過は、水性溶媒のみを用いて行われる。いくつかの実施形態では、タンジェント流濾過は、水を溶媒として用いて行われる。いくつかの実施形態では、タンジェント流濾過は、約100〜200mL/分(例えば、約100〜180mL/分、100〜160mL/分、100〜140mL/分、110〜190mL/分、110〜170mL/分、または110〜150mL/分)の供給速度及び/または約10〜50mL/分(例えば、約10〜40mL/分、10〜30mL/分、20〜50mL/分、または20〜40mL/分)の流量で行われる。いくつかの実施形態では、タンジェント流濾過は、約100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、もしくは200mL/分の供給速度及び/または約10、20、30、40、もしくは50mL/分の流量で行われる。
いくつかの実施形態では、ステップ(b)により精製したmRNAは、生体外合成で用いた未成熟中断したRNA配列及び/または酵素試薬を約5%未満(例えば、約4%、3%、2%、または1%未満)含有する。いくつかの実施形態では、ステップ(b)により精製したmRNAは、生体外合成で用いた未成熟中断したRNA配列及び/または酵素試薬を約1%未満(例えば、約0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、または0.1%未満)含有する。いくつかの実施形態では、ステップ(b)により精製したmRNAは、生体外合成で用いた未成熟中断したRNA配列及び/または酵素試薬を約0.5%未満含有する。いくつかの実施形態では、ステップ(b)により精製したmRNAは、生体外合成で用いた未成熟中断したRNA配列及び/または酵素試薬を約0.1%未満含有する。いくつかの実施形態では、ステップ(b)により精製したmRNAは、生体外合成で用いた未成熟中断したRNA配列及び/または酵素試薬を、臭化エイチジウム染色法及び/またはクーマシー染色法によって決定して検知できない程度に含有する。
いくつかの実施形態では、未成熟中断したRNA配列は、15未満の塩基(例えば、14、13、12、11、10、9、または8未満の塩基)を含む。いくつかの実施形態では、未成熟中断したRNA配列は、約8〜12の塩基を含む。
いくつかの実施形態では、生体外合成で用いる酵素試薬は、T7 RNAポリメラーゼ、デオキシリボヌクレアーゼI、ピロホスファターゼ、及び/またはリボヌクレアーゼ阻害薬を含む。いくつかの実施形態では、生体外合成で用いる酵素試薬は、T7 RNAポリメラーゼを含む。
いくつかの実施形態では、タンジェント流濾過は、生体外合成したmRNAにキャップ及びポリA尾部を添加する前に行われる。いくつかの実施形態では、タンジェント流濾過は、生体外合成したmRNAにキャップ及びポリA尾部を添加した後に行われる。いくつかの実施形態では、タンジェント流濾過は、生体外合成したmRNAにキャップ及びポリA尾部を添加する前及び添加した後の両方に行われる。
いくつかの実施形態では、生体外合成したmRNAは、長さが約1kb、1.5kb、2kb、2.5kb、3kb、3.5kb、4kb、4.5kb、または5kbより大きい。いくつかの実施形態では、生体外合成したmRNAは、1つまたは複数の修飾を含んで安定性を向上させる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の修飾は、修飾されたヌクレオチド、修飾された糖リン酸塩主鎖、5’及び/または3’非翻訳領域より選択される。いくつかの実施形態では、生体外合成したmRNAは無修飾である。
いくつかの実施形態では、ステップ(b)により精製したmRNAは、約95%より大きい(例えば、約96%、97%、98%、99%、またはそれ以上より大きい)完全性を有する。いくつかの実施形態では、ステップ(b)により精製したmRNAは、98%より大きい完全性を有する。いくつかの実施形態では、ステップ(b)により精製したmRNAは、99%より大きい完全性を有する。いくつかの実施形態では、ステップ(b)により精製したmRNAは、約100%の完全性を有する。
本発明はまた、mRNAを生体外で合成することと、生体外合成したmRNAを本明細書に記載の方法に従って精製することとによるステップを含む、メッセンジャーRNA(mRNA)の製造方法を提供する。
本発明はまた、本明細書に記載の方法に従って精製したメッセンジャーRNA(mRNA)を提供する。
本願で使用される場合、用語「約(about)」及び「約(approximately)」は同等語句として使用される。本願で約(about)/約(approximately)の付いた数字または付いていない数字は、当業者に理解されるどのような通常の変動をも包含するものとする。
本発明の他の特徴、目的、及び利点は、この後に続く詳細な説明で明らかである。しかしながら、本詳細な説明は本発明の実施形態を示す一方で、制限するものとしてではなく例示するものとしてのみ与えられていることを理解されたい。本発明の範囲内での種々の変更及び修正が、本詳細な説明から当業者に明らかとなる。
例えば本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
メッセンジャーRNA(mRNA)の精製方法であって、
(a)生体外合成したmRNAを含む不純調製物を変性条件に付すことと、
(b)ステップ(a)による不純調製物から前記mRNAをタンジェント流濾過によって精製することとを含み、
ステップ(b)により精製した前記mRNAには、生体外合成で用いた未成熟中断RNA配列及び/または酵素試薬が実質的にない、
前記方法。
(項目2)
ステップ(a)が、前記不純調製物にタンパク質変性剤を添加することを含む、項目1に記載の方法。
[項目2a]
ステップ(a)が、前記タンパク質変性剤の添加された前記不純調製物を室温で約5分間インキュベートすることを含む、項目2に記載の方法。
(項目3)
前記タンパク質変性剤が、尿素、チオシアン酸グアニジン、KCl、ドデシル硫酸ナトリウム、サルコシル、及びその組合せからなる群より選択される、項目2または2aに記載の方法。
(項目4)
ステップ(a)が、前記不純調製物に尿素を添加して約1M以上の結果的尿素濃度を達成することを含む、項目1〜3のいずれか一項に記載の方法。
(項目5)
前記結果的尿素濃度が、約2M以上、3M以上、4M以上、5M以上、6M以上、7M以上、8M以上、9M以上、または10M以上である、項目4に記載の方法。
(項目6)
ステップ(a)が、前記不純調製物にチオシアン酸グアニジンを添加して約4M以上の結果的チオシアン酸グアニジン濃度を達成することを含む、項目1〜5のいずれか一項に記載の方法。
(項目7)
前記結果的チオシアン酸グアニジン濃度が、約4M以上、5M以上、6M以上、7M以上、8M以上、9M以上、または10M以上である、項目6に記載の方法。
(項目8)
ステップ(a)が、前記不純調製物にKClを添加して約1M以上の結果的KCl濃度を達成することを含む、項目1〜7のいずれか一項に記載の方法。
(項目9)
前記結果的KCl濃度が、約2M以上、3M以上、4M以上、または5M以上である、項目8に記載の方法。
(項目10)
前記タンジェント流濾過が、水性溶媒のみを用いて行われる、項目1〜9のいずれか一項に記載の方法。
(項目11)
前記タンジェント流濾過が、溶媒として水を用いて行われる、項目10に記載の方法。(項目12)
ステップ(b)により精製した前記mRNAが、未成熟中断したRNA配列及び/または生体外合成で用いた酵素試薬を1%未満含有する、項目1〜11のいずれか一項に記載の方法。
(項目13)
ステップ(b)により精製した前記mRNAが、未成熟中断したRNA配列及び/または生体外合成で用いた酵素試薬を0.5%未満含有する、項目1〜12のいずれか一項に記載の方法。
(項目14)
ステップ(b)により精製した前記mRNAが、未成熟中断したRNA配列及び/または生体外合成で用いた酵素試薬を0.1%未満含有する、項目1〜13のいずれか一項に記載の方法。
(項目15)
ステップ(b)により精製した前記mRNAが、生体外合成で用いた未成熟中断したRNA配列及び/または酵素試薬を、アガロースゲル電気泳動法またはクロマトグラフィー法によって決定して検知できない程度に含有する、項目1〜14のいずれか一項に記載の方法。
(項目16)
前記未成熟中断したRNA配列が、15未満の塩基を含む、項目1〜15のいずれか一項に記載の方法。
(項目17)
前記未成熟中断したRNA配列が、約8〜12の塩基を含む、項目1〜16のいずれか一項に記載の方法。
(項目18)
生体外合成で用いた前記酵素試薬が、T7 RNAポリメラーゼ、デオキシリボヌクレアーゼI、ピロホスファターゼ、及び/またはリボヌクレアーゼ阻害薬を含む、項目1〜17のいずれか一項に記載の方法。
(項目19)
生体外合成で用いた前記酵素試薬が、T7 RNAポリメラーゼを含む、項目1〜18のいずれか一項に記載の方法。
(項目20)
前記タンジェント流濾過が、前記生体外合成したmRNAにキャップとポリA尾部が付加される前に行われる、項目1〜19のいずれか一項に記載の方法。
(項目21)
前記タンジェント流濾過が、前記生体外合成したmRNAにキャップとポリA尾部が付加された後に行われる、項目1〜19のいずれか一項に記載の方法。
(項目22)
前記タンジェント流濾過が、前記生体外合成したmRNAにキャップとポリA尾部が付加される前後の両方に行われる、項目1〜19のいずれか一項に記載の方法。
(項目23)
前記生体外合成したmRNAが、長さが約1kb、1.5kb、2kb、2.5kb、3kb、3.5kb、4kb、4.5kb、または5kbより大きい、項目1〜22のいずれか一項に記載の方法。
(項目24)
前記生体外合成したmRNAが、安定性を向上させるように1つまたは複数の修飾を含む、項目1〜23のいずれか一項に記載の方法。
(項目25)
前記1つまたは複数の修飾が、修飾されたヌクレオチド、修飾された糖リン酸塩主鎖、5’及び/または3’非翻訳領域からなる群より選択される、項目24に記載の方法。
(項目26)
前記生体外合成したmRNAが無修飾である、項目1〜23のいずれか一項に記載の方法。
(項目27)
ステップ(b)により精製した前記mRNAが、95%より大きい完全性を有する、項目1〜26のいずれか一項に記載の方法。
(項目28)
ステップ(b)により精製した前記mRNAが、98%より大きい完全性を有する、項目1〜27のいずれか一項に記載の方法。
(項目29)
ステップ(b)により精製した前記mRNAが、99%より大きい完全性を有する、項目1〜28のいずれか一項に記載の方法。
(項目30)
メッセンジャーRNA(mRNA)の製造方法であって、
mRNAを生体外で合成することと、
項目1〜29のいずれか一項に記載の方法を用いて前記生体外合成したmRNAを精製することと、
を含む前記方法。
(項目31)
項目1〜30のいずれか一項に記載の方法を用いて精製したメッセンジャーRNA(mRNA)。
以下の図は例示を目的としているに過ぎず、制限をするものではない。
尿素への曝露も含めて、提供される方法に従って精製したFFL mRNA試料の生体外転写における例示的なタンパク質レベルを、種々の対照のものとともに、ゲル電気泳動及びクーマシー染色法が示したによって表して示す。 提供される方法に従って精製した生体外転写試料における例示的なホタルルシフェラーゼ(FFL)mRNAレベルを、従来方法に従って精製したmRNAの場合と比較したものを、アガロースゲル電気泳動及び臭化エチジウム染色法によって表して示す。 5M尿素への曝露がある場合とない場合のTFFも含めた、提供される方法に従って精製したFFL mRNAの生体外転写試料における例示的なタンパク質レベルを、従来方法ゲル電気泳動及びクーマシー染色法に従って精製したmRNAと比較して示す。 提供される方法によって提供された翻訳された精製FFL mRNAから収集した例示的な蛍光データを、従来方法によって提供された精製mRNAと比較して示す。 プロテイナーゼK及び/または5M尿素への曝露も含めて、提供される方法に従って精製した因子IX(FIX)mRNAの生体外転写試料の例示的なタンパク質レベルを、従来方法ゲル電気泳動及びクーマシー染色法に従って精製したmRNAと比較して示す。 提供される方法に従って精製した生体外転写試料における例示的なFIX mRNAレベルを、アガロースゲル電気泳動及び臭化エチジウム染色法によって表して示す。 2M KClへの曝露も含めて、提供される方法に従って精製した嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)mRNAの生体外転写試料における例示的なタンパク質レベルを、従来方法ゲル電気泳動及びクーマシー染色法に従って精製したmRNAと比較して示す。 2M KClへの曝露も含めて、提供される方法に従って精製した生体外転写試料における例示的なCFTR mRNAレベルを、アガロースゲル電気泳動及び臭化エチジウム染色法によって表して示す。 2M KClへの曝露も含めて、提供される方法に従って精製した生体外転写試料における例示的なCFTR mRNAレベルを、従来方法に従って精製したmRNAの場合と比較したものを、アガロースゲル電気泳動及び臭化エチジウム染色法によって表して示す。
定義
本発明がより容易に理解されるように、まず所定の用語を下に定義する。次の用語及び他の用語に対する追加的定義も本明細書全体を通じて明記する。
動物:本明細書で使用される場合、用語「動物」とは動物界のいずれの動物をも指す。いくつかの実施形態では、「動物」とは、発達のいずれの段階かにあるヒトを指す。いくつかの実施形態では、「動物」とは、発達のいずれの段階かにある非ヒト動物を指す。所定の実施形態では、非ヒト動物は哺乳動物(例えば、げっ歯類、マウス、ラット、ウサギ、サル、イヌ、ネコ、ヒツジ、ウシ、霊長類、及び/またはブタ)である。いくつかの実施形態では、動物としては、以下に限定されないが、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、昆虫類、及び/または蠕虫類が挙げられる。いくつかの実施形態では、動物は、遺伝子導入動物、遺伝子操作動物、及び/またはクローンであってもよい。
約(approximately)または約(about):本明細書で使用される場合、用語「約(approximately)」または「約(about)」とは、関心の1つまたは複数の値に適用されるとき、述べられている参照値に類似した値のことを指す。所定の実施形態では、用語「約(approximately)」または「約(about)」は、他に記載がないか他に文脈から明らかでなければ、述べられた参考値から、いずれかのほう(大きいほうか小さいほう)に25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、またはそれ以下以内に入る値の範囲を指す(但し、かかる数字が、あり得る値の100%を超えると考えられる場合は除く)。
生物活性のある:本明細書で使用される場合、語句「生物活性のある」とは、生物学的系、特に生体に活性を有する剤の特性を指す。例えば、生体に投与されたときにその生体に生物学的効果を有する剤は生物活性があると考えられる。
発現:本明細書で使用される場合、核酸配列の「発現」とは、mRNAをポリペプチド(例えば、抗体の重鎖または軽鎖)に翻訳すること、多重ポリペプチド(例えば、抗体の重鎖または軽鎖)を無傷タンパク質(例えば、抗体)へと構築すること、及び/または、翻訳後にポリペプチドまたは完全に構築されたタンパク質(例えば、抗体)を修飾することを指す。この適用において、用語「発現」及び「産生」、並びに文法的相当語句は互換的に使用される。
官能的:本明細書で使用される場合、「官能的」生物分子とは、生物分子を特徴づける特性及び/または活性を示す形式における生物分子である。
改善、増加、または低減:本明細書で使用される場合、用語「改善」、「増加」、もしくは「低減」、または文法的相当語句は、ベースライン測定値、例えば、本明細書に記載の処理を開始する前の同じ個体における測定値、または本明細書に記載の処理をしていない1つの対照対象(または複数の対照対象)における測定値等と比較した場合の値を指す。「対照対象」とは、治療されている対象と同じ形式の疾患を罹患しており、治療されている対象とほぼ同じ年齢である対象である。
不純物:本明細書で使用される場合、用語「不純物」は、限局された量の液体、気体、または固体の中の物質で、標的材料または化合物の化学的組成とは異なるものを指す。不純物はまた夾雑物とも呼ばれる。
生体外:本明細書で使用される場合、用語「生体外」とは、例えば、多細胞生体内ではなく、試験管内または反応槽内、細胞培養液内等、人工的な環境内で起こる事象を指す。
生体内:本明細書で使用される場合、用語「生体内」とは、ヒト及び非ヒト動物等、多細胞性生体内で起こる事象を指す。細胞に基づく系に関する文脈においては、この用語は、(例えば、生体外系とは対照的なものとして)生細胞内で起こる事象を指すのに使用される場合がある。
単離した:本明細書で使用される場合、用語「単離した」とは、(1)(自然及び/または実験的設定において)最初に産生されたときにつながっていた成分の少なくともいくつかから分離され、かつ/または、(2)人の手によって産生、調製、及び/または製造された、物質及び/または実在物を指す。単離した物質及び/または実在物は、それが最初につながっていた他の成分の約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約99%より多くから分離されていてもよい。いくつかの実施形態では、単離した剤は、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約99%より多くの純度であってもよい。物質は、実質的に他の成分がない場合に「純」であると、この語は本明細書で使用される。本明細書で使用される場合、単離した物質及び/または実在物のパーセント純度の計算は賦形剤(例えば、緩衝液、溶媒、水等)を含むものではない。
メッセンジャーRNA(mRNA):本明細書で使用される場合、用語「メッセンジャーRNA(mRNA)」とは、少なくとも1つのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを指す。mRNAは、本明細書で使用される場合、修飾RNAと無修飾RNAの両方を包含する。mRNAは1つまたは複数のコード領域及び非コード領域を含有していてもよい。
mRNA完全性:本明細書で使用される場合、用語「mRNA完全性」とは、概ね、mRNAの質を指す。いくつかの実施形態では、mRNA完全性は、精製工程(例えば、タンジェント流濾過)の後に分解しないmRNAのパーセンテージを指す。mRNA完全性は、当分野で周知の方法を用いて、例えば、RNAアガロースゲル電気泳動によって決定してもよい(例えば、Ausubel et al.,John Weley & Sons,Inc.,1997,Current Protocols in Molecular Biology)。
核酸:本明細書で使用される場合、用語「核酸」とは、その最も広い意味において、ポリヌクレオチド鎖に組み込まれているか組み込むことが可能ないずれの化合物及び/または物質をも指す。いくつかの実施形態では、核酸は、ホスホジエステル結合によってポリヌクレオチド鎖に組み込まれているかまたは組み込むことが可能な化合物及び/または物質である。いくつかの実施形態では、「核酸」とは、個々の核酸残基(例えば、ヌクレオチド及び/またはヌクレオシド)を指す。いくつかの実施形態では、「核酸」とは、個々の核酸残基を含むポリヌクレオチド鎖を指す。いくつかの実施形態では、「核酸」は、RNA、並びに一本鎖及び/または二本鎖DNA、及び/またはcDNAを包含する。さらに、用語「核酸」、「DNA」、「RNA」、及び/または類似の用語は、核酸類似体、即ち、ホスホジエステル主鎖とは別のものを有する類似体を含む。例えば、いわゆる「ペプチド核酸」は、当分野で既知であり、主鎖内にホスホジエステル結合の代わりにペプチド結合を有し、本発明の範囲内であると考えられる。用語「アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列」は、お互いの縮重版であり、かつ/または同じアミノ酸配列をコードする全てのヌクレオチド配列を包含する。タンパク質をコードするヌクレオチド配列及び/またはRNAはイントロンを含んでもよい。核酸は、天然源から精製したり、組換え発現系を用いて産生させて任意で精製したり、化学的に合成したり等、できる。適切である場合には、例えば、化学的に合成した分子の場合、核酸は、化学的に修飾された塩基または糖、主鎖修飾等を有する類似体等のヌクレオシド類似体を含むことができる。核酸配列は、他に断りがなければ、5’から3’への方向で表される。いくつかの実施形態では、核酸は、天然ヌクレオシド(例えば、アデノシン、チミジン、グアノシン、シチジン、ウリジン、デオキシアデノシン、デオキシチミジン、デオキシグアノシン、及びデオキシシチジン);ヌクレオシド類似体(例えば、2−アミノアデノシン、2−チオチミジン、イノシン、ピロロ−ピリミジン、3−メチルアデノシン、5−メチルシチジン、C−5プロピニル−シチジン、C−5プロピニル−ウリジン、2−アミノアデノシン、C5−ブロモウリジン、C5−フルオロウリジン、C5−ヨードウリジン、C5−プロピニル−ウリジン、C5−プロピニル−シチジン、C5−メチルシチジン、2−アミノアデノシン、7−デアザアデノシン、7−デアザグアノシン、8−オキソアデノシン、8−オキソグアノシン、O(6)−メチルグアニン、及び2−チオシチジン);化学的に修飾された塩基;生物学的に修飾された塩基(例えば、メチル化塩基);介在塩基;修飾された糖(例えば、2’−フルオロリボース、リボース、2’−デオキシリボース、アラビノース、及び六炭糖);及び/もしくは修飾されたリン酸基(例えば、ホスホロチオエート及び5’−N−ホスホラミダイト結合)であるかまたはそれを含む。いくつかの実施形態では、本発明は、送達を促進または達成するために化学的に修飾されなかった核酸(例えば、ヌクレオチド及び/またはヌクレオシド等も含めた、ポリヌクレオチド及び残基等)を意味する「無修飾核酸」を特に対象とする。
患者:本明細書で使用される場合、用語「患者」または「対象」とは、提供される組成物が、例えば、実験上、診断上、予防上、美容上、及び/または治療上の目的のために投与されてもよいいずれの生体をも指す。典型的な患者としては、動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類、及び/またはヒト等の哺乳動物)が挙げられる。いくつかの実施形態では、患者はヒトである。ヒトは、出生前及び出生後の形式を含む。
薬剤的に許容できる:用語「薬剤的に許容できる」とは、本明細書で使用される場合、健全な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激作用、アレルギー応答、もしくは他の問題または合併症無しに、ヒト及び動物の組織と接触させて、妥当なリスク・ベネフィット比と釣り合う使用をするのに適切な物質を指す。
未成熟中断したRNA配列:用語「未成熟中断したRNA配列」とは、本明細書で使用される場合、mRNA合成反応(例えば、生体外合成反応)の不完全産生物を指す。様々な理由で、RNAポリメラーゼは、DNA鋳型の転写を完成させるとは限らない、即ち、RNA合成が未成熟に終了する。RNA合成の未成熟終了の考えられる原因としては、DNA鋳型の質、特定のポリメラーゼを対象とするポリメラーゼ転写終結配列の鋳型における存在、緩衝液の劣化、温度、リボヌクレオチドの欠乏、及びmRNA二次構造が挙げられる。未成熟中断したRNA配列は、所望の転写産生物の意図した長さよりも短いどのような長さでもよい。例えば、未成熟中断したmRNA配列は、1000塩基未満、500塩基未満、100塩基未満、50塩基未満、40塩基未満、30塩基未満、20塩基未満、15塩基未満、10塩基未満、またはそれ以下であってもよい。
塩:本明細書で使用される場合、用語「塩」とは、酸と塩基の中和反応から生じるか生じ得るイオン化合物を指す。
対象:本明細書で使用される場合、用語「対象」とは、ヒトまたはいずれの非ヒト動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ、もしくは霊長類)をも指す。ヒトには、出生前及び出生後の形式を含む。多くの実施形態では、対象はヒトである。対象は患者である場合があり、これは、疾患の診断または治療を行う医療提供者にかかるヒトを指す。用語「対象」は、本明細書において「個体」または「患者」と互換的に用いられる。対象は、疾患または障害を罹患する可能性があるか罹患しやすいが、その疾患または障害の症状を顕している場合もあればない場合もある。
実質的に:本明細書で使用される場合、用語「実質的に」とは、関心対象の特徴または特性の全体的またはほぼ全体的な範囲もしくは程度を表す質的状態を指す。生物学分野の当業者であれば、生物学的及び化学的現象は、完了に至ること、及び/もしくは完全状態に進むこと、または、絶対的な結果を達成したり回避したりすることが、仮にあったとしてもまれにしかないことを理解するものである。したがって、用語「実質的に」は、本明細書では、多くの生物学的及び化学的現象に特有の、完全性の潜在的欠如を捉えるために使用される。
実質的にない:本明細書で使用される場合、「実質的にない」とは、除去すべき物質(例えば、未成熟中断したRNA配列)の量が比較的にわずかしか存在しないか全く存在しない状態を指す。例えば、「未成熟中断したRNA配列が実質的にない」とは、未成熟中断したRNA配列が、約5%、4%、3%、2%、1.0%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、またはそれ以下(重量)より少ない不純物レベルで存在することを意味する。あるいは、「未成熟中断したRNA配列が実質的にない」とは、未成熟中断したRNA配列が、約100ng、90ng、80ng、70ng、60ng、50ng、40ng、30ng、20ng、10ηg、1ηg、500ρg、100ρg、50ρg、10ρg、またはそれ以下未満のレベルで存在することを意味する。
(詳細な説明)
本発明は、タンジェント流濾過に基づいて不純調製物(例えば、生体外合成反応混合物)からmRNAを精製する改善された方法をとりわけ提供する。いくつかの実施形態では、本発明による発明的方法は、(a)生体外合成したmRNAを含む不純調製物を変性条件に付すことと、(b)ステップ(a)から得た不純調製物からmRNAをタンジェント流濾過によって精製することとによるステップを含み、ステップ(b)により精製したmRNAには、生体外合成で用いた未成熟中断RNA配列及び/または酵素試薬が実質的にない。
本発明の種々の態様が以下の項で詳細に説明される。項分けの使用は本発明を限定することを意図しない。各項は本発明のいずれの態様にも適用することができる。この出願においては、「または(or)」の使用は、他に記載がなければ、「及び/または(and/or)」を意味する。
mRNAの合成
mRNAは、典型的には、DNAからリボソームへ情報を運ぶ種類のRNAと考えられている。mRNAの生存期間は典型的には、非常に短く、プロセシング及び翻訳を含み、それに分解が続く。典型的には、真核生物においては、mRNAプロセシングは、N末端の(5’)末端への「キャップ」の付加及びC末端の(3’)末端への「尾部」の付加を含む。典型的なキャップは7−メチルグアノシンキャップであり、これは、第1の転写されたヌクレオチドに5’−5’−三リン酸結合を通じて結合するグアノシンである。キャップの存在は、殆どの真核生物細胞に見られるヌクレアーゼに抵抗性を提供する上で重要である。尾部は、典型的にはポリアデニル化現象であり、これによりポリアデニリル成分がmRNA分子の3’末端に付加されるのである。この「尾部」の存在は、エキソヌクレアーゼ分解からmRNAを保護する働きをする。メッセンジャーRNAは、タンパク質を構成する一連のアミノ酸へ、リボソームによって翻訳される。
本発明によるmRNAは、種々の既知の方法のいずれによって合成してもよい。例えば、本発明によるmRNAは、生体外転写(IVT)によって合成してもよい。手短に言えば、IVTは典型的に、プロモーターを含有する線状または環状のDNA鋳型、リボヌクレオチド三リン酸のプール、DTT及びマグネシウムイオンを含んでいてもよい緩衝系と、適切なRNAポリメラーゼ(例えば、T3、T7、またはSP6RNAポリメラーゼ)、デオキシリボヌクレアーゼI、ピロホスファターゼ、及び/またはリボヌクレアーゼ阻害薬とで実行する。正確な条件は具体的な用途によって異なる。これらの試薬の存在は、いくつかの実施形態では、最終産生物において望ましくなく、したがって、不純物と呼ばれることがあり、これらの不純物の1つまたは複数を含有する調製物は不純調製物と呼ばれることがある。
本発明によるmRNAは、商業規模で精製してもよい。いくつかの実施形態では、mRNAは、バッチあたり0.1グラム、0.5グラム、1グラム、2グラム、3グラム、4グラム、5グラム、6グラム、7グラム、8グラム、9グラム、10グラム、20グラム、30グラム、40グラム、50グラム、60グラム、70グラム、80グラム、90グラム、100グラム、200グラム、300グラム、400グラム、500グラム、600グラム、700グラム、800グラム、900グラム、または1000グラム以上の規模で精製される。
種々の実施形態では、本発明を用いて、生体外合成した種々の長さのmRNAを精製してもよい。いくつかの実施形態では、本発明を用いて、長さが約1kb、1.5kb、2kb、2.5kb、3kb、3.5kb、4kb、4.5kb、5kb、6kb、7kb、8kb、9kb、10kb、11kb、12kb、13kb、14kb、または15kbを超える生体外合成したmRNAを精製してもよい。いくつかの実施形態では、本発明を用いて、典型的には、安定性を向上させる1つまたは複数の修飾を含有するmRNAを精製してもよい。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の修飾は、修飾されたヌクレオチド、修飾された糖リン酸塩主鎖、5’及び/または3’非翻訳領域より選択される。いくつかの実施形態では、本発明を用いて、生体外合成した無修飾のmRNAを精製してもよい。
典型的に、mRNAは、安定性を向上させるように修飾される。mRNAの修飾といった場合、例えば、RNAのヌクレオチドの修飾を含むことができる。こうして、本発明の修飾mRNAは、例えば、主鎖修飾、糖修飾、または塩基修飾を含み得る。いくつかの実施形態では、抗体をコードするmRNA(例えば、重鎖及び軽鎖をコードするmRNA)は、例えば、以下に限定されないが、プリン(アデニン(A)、グアニン(G))またはピリミジン(チミン(T)、シトシン(C)、ウラシル(U))、並びに、修飾ヌクレオチド類似体またはプリン及びピリミジンの誘導体としては、例えば、1−メチル−アデニン、2−メチル−アデニン、2−メチルチオ−N−6−イソペンテニル−アデニン、N6−メチル−アデニン、N6−イソペンテニル−アデニン、2−チオ−シトシン、3−メチル−シトシン、4−アセチル−シトシン、5−メチル−シトシン、2,6−ジアミノプリン、1−メチル−グアニン、2−メチル−グアニン、2,2−ジメチル−グアニン、7−メチル−グアニン、イノシン、1−メチル−イノシン、プソイドウラシル(5−ウラシル)、ジヒドロ−ウラシル、2−チオ−ウラシル、4−チオ−ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオ−ウラシル、5−(カルボキシヒドロキシメチル)−ウラシル、5−フルオロ−ウラシル、5−ブロモ−ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−ウラシル、5−メチル−2−チオ−ウラシル、5−メチル−ウラシル、N−ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、5−メチルアミノメチル−ウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオ−ウラシル、5’−メトキシカルボニルメチル−ウラシル、5−メトキシ−ウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、1−メチル−プソイドウラシル、ケウオシン、β−D−マンノシル−ケウオシン(queosine)、ウィブトキソシン(wybutoxosine)、及びホスホルアミデート(phosphoramidate)、ホスホロチオエート、ペプチドヌクレオチド、メチルホスホネート、7−デアザグアノシン、5−メチルシトシン、及びイノシン等、天然のヌクレオチド及び/またはヌクレオチド類似体(修飾ヌクレオチド)から合成してもよい。かかる類似体の調製は、例えば、米国特許第4,373,071号、米国特許第4,401,796号、米国特許第4,415,732号、米国特許第4,458,066号、米国特許第4,500,707号、米国特許第4,668,777号、米国特許第4,973,679号、米国特許第5,047,524号、米国特許第5,132,418号、米国特許第5,153,319号、米国特許第5,262,530号、及び第5,700,642号から、当業者に既知であり、これらの開示は参照によりその全範囲が本明細書に援用される。
典型的には、mRNA合成は、N末端(5’)末端への「キャップ」の付加及びC末端(3’)末端への「尾部」の付加を含む。キャップの存在は、殆どの真核生物細胞に見られるヌクレアーゼに抵抗性を得させる上で重要である。「尾部」の存在は、mRNAをエキソヌクレアーゼ分解から保護するように働く。
このようにして、いくつかの実施形態では、mRNAは5’キャップ構造を含む。5’キャップは、典型的には、次の通り付加される:まず、RNA末端ホスファターゼが末端リン酸基の1つを5’ヌクレオチドから取り除き、末端リン酸を2つ残し;次いで、グアノシン三リン酸(GTP)がグアニリルトランスフェラーゼによって末端リン酸に付加され、5’5’5三リン酸結合を生じさせ:次いで、グアニンの7−窒素がメチルトランスフェラーゼによってメチル化される。キャップ構造の例としては、以下に限定されないが、m7G(5’)ppp(5’(A,G(5’)ppp(5’)A及びG(5’)ppp(5’)Gが挙げられる。
生体外転写反応から提供されるmRNAはいくつかの実施形態では望ましいことがあるが、細菌、真菌、植物、及び/または動物から産生される野生型mRNAも含めた、mRNAの他の源も、本発明の範囲内にあるとして企図される。
いくつかの実施形態では、mRNAは5’及び/または3’非翻訳領域を含む。いくつかの実施形態では、5’非翻訳領域は、mRNAの安定性または翻訳に影響を与える1つまたは複数の要素、例えば、鉄応答配列を含む。いくつかの実施形態では、5’非翻訳領域は、約50〜500ヌクレオチドの長さであってもよい。
いくつかの実施形態では、3’非翻訳領域は、ポリアデニル化シグナル、細胞内におけるmRNAの位置の安定性に影響するタンパク質に対する結合部位、または、miRNAに対する1つまたは複数の結合部位のうち、1つまたは複数を含む。いくつかの実施形態では、3’非翻訳領域は、長さが50〜500ヌクレオチドまたはそれ以上であってもよい。
本発明を用いて、種々のタンパク質をコードするmRNAを精製してもよい。ホタルルシフェラーゼ、因子IX、及びCFTRをコードするmRNAの精製の非限定的な例は、実施例の項で詳細に記載される。
変性条件及び変性剤
典型的には、分子間力を分断することによって、タンパク質または核酸の高次構造を一次的または恒久的に変化させることが、変性と呼ばれている。変性は、構造的変化を生じさせ、しばしば活性の消失へ至る。分子の未変性高次構造は通例最も水溶性があるため、分子の二次及び三次構造を分断することは可溶性に変化を引き起こすことがあり、溶液からのタンパク質または核酸の沈殿を生じさせることがある。驚くべきことに、本明細書に記載される通り、変性条件をタンジェント流濾過(TFF)と組み合わせて用いると、mRNA精製を促進することができ、同時にmRNAの完全性をなお維持する。
本明細書で使用される場合、用語「変性条件」とは、変性を引き起こし得るいずれの化学的または物理的条件をも指す。例示的な変性条件としては、以下に限定されないが、化学的試薬、高温、極端なpHなどが挙げられる。
いくつかの実施形態では、変性条件は、精製されるmRNAを含有する不純調製物に1つまたは複数の変性剤を添加することにより達成される。いくつかの実施形態では、本発明に適切な変性剤は、タンパク質及び/またはDNA変性剤である。いくつかの実施形態では、変性剤は、1)酵素(セリンプロテイナーゼまたはデオキシリボヌクレアーゼなど)、2)酸、3)溶媒、4)架橋剤、5)カオトロピック剤、6)還元剤、及び/または7)高い塩濃度による高イオン強度であってもよい。いくつかの実施形態では、個々の剤は、これらのカテゴリーの2つ以上に入るものでもよい。
いくつかの実施形態では、mRNA合成に用いたタンパク質とDNA鋳型を分解するために1つまたは複数の酵素を変性剤として用いてもよい。いくつかの実施形態では、適切な酵素としては、以下に限定されないが、キモトリプシン及びキモトリプシン様セリンプロテアーゼなどのセリンプロテアーゼ、トリプシン及びトリプシン様セリンプロテアーゼ、エラスターゼ及びエラスターゼ様セリンプロテアーゼ、サブチリシン及びサブチリシン様セリンプロテアーゼ、並びにその組合せ、デオキシリボヌクレアーゼI、II、及び/またはIVなどのデオキシリボヌクレアーゼ(デオキシリボヌクレアーゼ)、EcoRI、EcoRII、BamHI、HindIII、SpeI、SphI、StuI、XbaIなどの制限酵素、並びにその組合せが挙げられる。
いくつかの実施形態では、酸を変性剤として用いてもよい。いくつかの実施形態では、適切な酸は、酢酸、ギ酸、シュウ酸、クエン酸、安息香酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、アスコルビン酸、スルホサリチル酸、及びその組合せであってもよい。
いくつかの実施形態では、溶媒を変性剤として用いてもよい。いくつかの実施形態では、溶媒は、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エタノール、メタノール、デナトニウム、及びその組合せであってもよい。
いくつかの実施形態では、カオトロピック剤を変性剤として用いてもよい。カオトロピック剤は、水素結合及びファンデルワールス力など非共有結合力に干渉することによって、タンパク質及び核酸など巨大分子の構造を分断する物質である。いくつかの実施形態では、カオトロピック剤は、尿素、チオ尿素、塩化グアニジウム、チオシアン酸グアニジン、イソチオシアン酸グアニジウム、酢酸リチウム、塩化マグネシウム、ドデシル硫酸ナトリウム、過塩素酸リチウム、及びその組合せであってもよい。
いくつかの実施形態では、精製されるmRNAを含有する不純調製物は尿素で処理される。いくつかの実施形態では、結果的尿素濃度が約1M以上となるような量の尿素が添加される。いくつかの実施形態では、尿素は、結果的尿素濃度が約2M以上、3M以上、4M以上、5M以上、6M以上、7M以上、8M以上、9M以上、または10M以上となるように添加される。いくつかの実施形態では、精製されるmRNAを含有する不純調製物は、チオシアン酸グアニジンで処理される。いくつかの実施形態では、結果的チオシアン酸グアニジン濃度が約1M以上となるような量のチオシアン酸グアニジンが添加される。いくつかの実施形態では、チオシアン酸グアニジンは、結果的チオシアン酸グアニジン濃度が約2M以上、3M以上、4M以上、5M以上、6M以上、7M以上、8M以上、9M以上、または10M以上となるように添加される。
いくつかの実施形態では、還元剤を変性剤として用いてもよい。還元剤は、他の種に電子を与え、そうして還元剤自体は酸化される化合物である。いくつかの実施形態では、還元剤は、水素化アルミニウムリチウム、ナトリウムアマルガム、ジボラン、水素化ホウ素ナトリウム、亜硫酸、水素化ジイソブチルアルミニウム、亜リン酸エステル、一酸化炭素、2−メルカプトエタノール、ジチオスレイトール、またはトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン、及びその組合せであってもよい。
いくつかの実施形態では、pH、熱、及び/または重金属(鉛、水銀、またはカドミウムなど)の1つまたは複数もまた、変性剤として用いてもよい。極端なpHはタンパク質を変性させることが知られている。タンパク鎖の主鎖は中性であるが、タンパク質を構成するアミノ酸残基はしばしば酸性基及び塩基性基を含有する。これらの基は通常帯電しており、反対の電荷の基で塩橋を形成することがある。そのために、極端なpHは、これらの酸性基及び塩基性基上の電荷を変化させ、塩橋を分断することがある。
いくつかの実施形態では、pHの変化の激しさがより小さくてもまた、タンパク質の活性と可溶性に影響することがある。個々のアミノ酸のように、タンパク質は、負電荷の数が正電荷の数と等しくなる等電点を有する。これはしばしば、水溶性の最小点である。等電点のpHでは、分子上に正味荷電はない。個々の分子は、お互いに近づき、凝固し、溶液から沈殿する傾向がある。等電点のpHより上または下のpHでは、それぞれ正味負電荷または正電荷を分子は有する。そのために、タンパク質分子はお互いに近づくとき、同種の全体的電荷を有し、お互いに反発し合う。
いくつかの実施形態では、熱を変性剤として用いてもよい。熱は、タンパク質分子に動力学的エネルギーを供給し、その原子をより急速に振動させる。いくつかの実施形態では、これにより、水素結合及び疎水性相互作用などの比較的弱い力が分断される。熱はまた、殺菌で用いられ、細菌中の酵素を変性させ、そうして破壊する。
いくつかの実施形態では、水銀(II)、鉛(II)、及び銀などの金属イオンの塩は、ジスルフィド基や、酸性アミノ酸のカルボン酸イオンと強い結合を形成する能力を有するので、変性剤として用いてもよい。このようにして、それらは、ジスルフィド架橋及び塩結合の両方を分断し、タンパク質が不溶性金属−タンパク質塩として溶液から沈殿するようにする。
いくつかの実施形態では、高濃度の塩(高塩分)もまた、変性剤として用いてもよい。高濃度の塩は、水溶液からタンパク質と核酸の両方を沈殿させることが知られている。いくつかの実施形態では、高濃度の塩は、1Mと10Mを含めてその間であってもよい。いくつかの実施形態では、高濃度の塩は、2Mと9Mを含めてその間であってもよい。いくつかの実施形態では、高濃度の塩は、2Mと8Mを含めてその間であってもよい。いくつかの実施形態では、高濃度の塩は、2Mと5Mを含めてその間であってもよい。いくつかの実施形態では、高濃度の塩は、1Mより大きい濃度であってもよい。いくつかの実施形態では、高濃度の塩は、2Mより大きい濃度であってもよい。いくつかの実施形態では、高濃度の塩は、3Mより大きい濃度であってもよい。いくつかの実施形態では、高濃度の塩は、4Mより大きい濃度であってもよい。いくつかの実施形態では、高濃度の塩は、5Mより大きい濃度であってもよい。いくつかの実施形態では、高濃度の塩は、6Mより大きい濃度であってもよい。いくつかの実施形態では、高濃度の塩は、7Mより大きい濃度であってもよい。いくつかの実施形態では、高濃度の塩は、8Mより大きい濃度であってもよい。いくつかの実施形態では、単一の塩を変性剤として用いてもよい。いくつかの実施形態では、2つ以上の塩を変性剤として用いてもよい。
いくつかの実施形態では、変性剤として用いられる塩は、カルシウム塩、鉄塩、マグネシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、またはその組合せであってもよい。いくつかの実施形態では、変性剤として使用に適切な例示的で具体的な塩としては、以下に限定されないが、塩化カリウム(KCl)、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化リチウム(LiCl)、塩化カルシウム(CaCl)、臭化カリウム(KBr)、臭化ナトリウム(NaBr)、臭化リチウム(LiBr)が挙げられる。いくつかの実施形態では、不純調製物が付される変性剤は塩化カリウム(KCl)である。いくつかの実施形態では、KClは、結果的KCl濃度が約1M以上となるように添加される。いくつかの実施形態では、KClは、結果的KCl濃度が約2M以上、3M以上、4M以上、または5M以上となるように添加される。
いくつかの実施形態では、不純調製物を1つまたは複数の変性剤で或る時間インキュベートすることが望ましい場合がある。いくつかの実施形態では、不純調製物を変性剤で1分未満インキュベートする。いくつかの実施形態では、不純調製物を変性剤で1分間インキュベートする。いくつかの実施形態では、不純調製物を変性剤で2分間インキュベートする。いくつかの実施形態では、不純調製物を変性剤で3分間インキュベートする。いくつかの実施形態では、不純調製物を変性剤で4分間インキュベートする。いくつかの実施形態では、不純調製物を変性剤で5分間インキュベートする。いくつかの実施形態では、不純調製物を変性剤で10分間インキュベートする。いくつかの実施形態では、不純調製物を変性剤で1時間インキュベートする。いくつかの実施形態では、不純調製物を変性剤で2時間インキュベートする。
いくつかの実施形態では、不純調製物を1つまたは複数の変性剤で室温(例えば、約20〜25℃)でインキュベートする。いくつかの実施形態では、不純調製物を1つまたは複数の変性剤で室温より低い温度でインキュベートする。いくつかの実施形態では、不純調製物を1つまたは複数の変性剤で室温より高い温度でインキュベートする。
精製
いくつかの実施形態では、変性条件への曝露の前及び/または後に、タンジェント流濾過を用いてmRNAを不純調製物から精製する。いくつかの実施形態では、タンジェント流濾過は、生体外合成したmRNAにキャップ及びポリA尾部を添加する前に行われる。いくつかの実施形態では、タンジェント流濾過は、生体外合成したmRNAにキャップ及びポリA尾部を添加した後に行われる。いくつかの実施形態では、タンジェント流濾過は、生体外合成したmRNAにキャップ及びポリA尾部を添加する前及び添加した後の両方に行われる。
従来式膜濾過
概して、膜濾過には、1つまたは複数の挿入された透過性膜を用いて固体を流体から分離することが含まれる。膜濾過はまた、粒子を気体試料から濾過するのに用いてもよい。2つの主な形式の膜濾過があり、溶解−拡散のみにより進行する受動濾過と、正圧または負圧(即ち、真空)を用いて力で液体または気体に膜面上を進ませる能動濾過とである。
従来式膜濾過はまた、「全量」濾過としても知られる。この形式では、供給物を膜に負荷し、正圧または負圧によって押し通す。全量濾過は費用が高くなく簡単であるが、主な欠点は、透過しないかまたは透過が緩慢な溶質(濃縮水とも呼ばれる)で膜を汚してしまうか詰まらせてしまうことと、濃度分極とである。概して、膜は、押し込む力が高いほど、より早く詰まるか汚損する傾向がある。膜が汚損したり詰まったりするに従い、濾過速度は落ち、ついには、フィルターを交換するかまたは浄化するまでは透過物が通過できなくなる。濃度分極は、非透過性溶質がフィルターの表面上に集まって、ついには一種の二次膜を形成する現象で、これは、膜上の透過性溶質の移動をさらに妨げる。結果として、典型的に、全量濾過がバッチ式工程では用いられる。
タンジェント流濾過
クロスフロー濾過とも呼ばれるタンジェント流濾過(TFF)は、濾過する材料が、フィルターを通り抜けるというよりはそれに沿った接線方向に通過する、一種の濾過である。TFFでは、望ましくない透過物は、フィルターを通り抜け、所望の濃縮水は、フィルターに沿って通過し、下流で集められる。所望の材料はTFFでは典型的に濃縮水に含有され、このことは、従来式の全量濾過で通常遭遇することの反対である、ということに留意することが重要である。
濾過する材料によって、TFFは通常、精密濾過か限外濾過のいずれかに用いられる。精密濾過は典型的には、フィルターが0.05μmと1.0μmを含めてその間にある孔径を有する場合として定義され、一方、限外濾過は0.05μm未満の孔径をもったフィルターを典型的に含む。孔径はまた、個々のフィルターに対して、分画分子量(molecular weight cut off)(MWCO)とも呼ばれる公称分画分子量(nominal molecular weight limit)(NMWL)を決定し、精密濾過膜では典型的に1000キロダルトン(kDa)より大きいNMWLを有し、限外濾過フィルターでは1kDa〜1000kDaのNMWLを有する。
タンジェント流濾過の主な利点は、従来式の「全量」濾過中であればフィルターの中に凝集してそれを塞ぐ可能性のある非透過性粒子(時に「濾過ケーク」とも呼ばれる)が、そうはならずにフィルターの表面に沿って運ばれるということである。この利点により、タンジェント流濾過は、概ねフィルターを除去したり浄化したりする必要がないために作業中止時間が大幅に低減されるので、連続稼動を必要とする工業工程で広く用いることができる。
タンジェント流濾過は、とりわけ、濃縮及びダイアフィルトレーションも含めたいくつかの目的のために用いることができる。濃縮は、溶液から溶媒を除去し、同時に溶質分子を保持する工程である。試料を効果的に濃縮するために、保持される溶質分子の分子量よりも実質的に小さいNMWLまたはMWCOを有する膜が用いられる。概して、当業者は、標的分子の分子量よりも3〜6倍小さいNMWLまたはMWCOを有するフィルターを選択してもよい。
ダイアフィルトレーションは、望ましくない小さい粒子をフィルターに通し、同時に、所望の大きい分子を、溶液中のそれらの分子の濃度を変えることなく濃縮水中に保持する分画工程である。ダイアフィルトレーションはしばしば、溶液から塩または反応緩衝液を除去するために用いられる。ダイアフィルトレーションは、連続的または非連続的のいずれかであり得る。連続的ダイアフィルトレーションでは、ダイアフィルトレーション溶液を、濾液が生成されるのと同じ速度で試料供給物に添加する。非連続的ダイアフィルトレーションでは、溶液をまず希釈し、次いで、出発濃度に濃縮し戻す。非連続的ダイアフィルトレーションは、溶質分子が所望の濃度に達するまで繰り返してもよい。
典型的なTFF工程で重要な少なくとも3つの工程変数:膜貫通圧力、供給速度、及び透過物の流量。膜貫通圧力は、流体をフィルターに通して推進し、それとともに透過性分子を運ぶ力である。いくつかの実施形態では、膜貫通圧力は、1平方インチあたり1ポンド(psi)と30ポンド(psi)を含めてその間である。
供給速度(クロスフロー速度とも言われる)は、供給路を通ってフィルターに沿って流れる溶液フローの速度である。供給速度は、流し去らなければフィルターを詰まらせたり汚損させたりして、そうして濾液フローを制限する可能性のある分子を流し去る力を決定する。いくつかの実施形態では、供給速度は、50〜500mL/分である。いくつかの実施形態では、供給速度は、50〜400mL/分である。いくつかの実施形態では、供給速度は、50〜300mL/分である。いくつかの実施形態では、供給速度は、50〜200mL/分である。いくつかの実施形態では、供給速度は、75〜200mL/分である。いくつかの実施形態では、供給速度は、100〜200mL/分である。いくつかの実施形態では、供給速度は、125〜175mL/分である。いくつかの実施形態では、供給速度は、130mL/分である。いくつかの実施形態では、供給速度は、60〜220mL/分である。いくつかの実施形態では、供給速度は、60mL/分以上である。いくつかの実施形態では、供給速度は、100mL/分以上である。いくつかの実施形態では、供給速度は、150mL/分以上である。いくつかの実施形態では、供給速度は、200mL/分以上である。いくつかの実施形態では、供給速度は、220mL/分以上である。
透過物の流量は、系から透過物を除去する速度である。供給速度が一定の場合、透過物流量を上げると、フィルターと平行方向に圧力を上げることができ、濾過速度の向上につながるが、同時にまた、フィルターの詰まりや汚損のリスクを上げる可能性も出てくる。TFFに用いられる原理、理論、及び装置が、Michaels et al.,“Tangential Flow Filtration”in Separations Technology,Pharmaceutical and Biotechnology Applications (W.P.Olson,ed.,Interpharm Press,Inc.,Buffalo Grove,Ill.1995)に記載される。また、TFFに改善のなされたものである高速タンジェント流濾過(HP−TFF)に関する記載については、米国特許第5,256,294号及び第5,490,937号を参照されたい。いくつかの実施形態では、流量は、10〜100mL/分である。いくつかの実施形態では、流量は、10〜90mL/分である。いくつかの実施形態では、流量は、10〜80mL/分である。いくつかの実施形態では、流量は、10〜70mL/分である。いくつかの実施形態では、流量は、10〜60mL/分である。いくつかの実施形態では、流量は、10〜50mL/分である。いくつかの実施形態では、流量は、10〜40mL/分である。いくつかの実施形態では、流量は、20〜40mL/分である。いくつかの実施形態では、流量は、30mL/分である。
本明細書に記載の種々の工程変数のいずれの組合せを用いてもよい。いくつかの実施形態では、タンジェント流濾過は、約100〜200mL/分(例えば、約100〜180mL/分、100〜160mL/分、100〜140mL/分、110〜190mL/分、110〜170mL/分、もしくは110〜150mL/分)の供給速度、及び/または約10〜50mL/分(例えば、約10〜40mL/分、10〜30mL/分、20〜50mL/分、もしくは20〜40mL/分)の流量で行われる。いくつかの実施形態では、タンジェント流濾過は、約100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、もしくは200mL/分の供給速度、及び/または約10、20、30、40、もしくは50mL/分の流量で行われる。
流量を上げて大(商業)規模精製に対応するには、タンジェント流濾過を約10L〜200L/分の供給速度で行うことが必要となる。(例えば、約10〜180L/分、100〜160L/分、100〜140L/分、110〜190L/分、110〜170L/分、もしくは110〜150L/分)及び/または約10〜50L/分(例えば、約10〜40L/分、10〜30L/分、20〜50L/分、もしくは20〜40L/分の流量)。いくつかの実施形態では、タンジェント流濾過は、約100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、もしくは200L/分の供給速度、及び/または約10、20、30、40、もしくは50L/分の流量で行われる。
上に記載の通り、TFFで用いられるフィルターは、種々の孔径、従ってNMWL、のいずれを有してもよい。いくつかの実施形態では、フィルターは、100kDa〜1000kDaのNMWLを有するものである。いくつかの実施形態では、フィルターは、200kDa〜700kDaのNMWLを有するものである。いくつかの実施形態では、フィルターは、200kDa〜500kDaのNMWLを有するものである。いくつかの実施形態では、フィルターは、300kDaのNMWLを有する。いくつかの実施形態では、フィルターは、500kDaのNMWLを有する。
いくつかの実施形態では、本発明のタンジェント流濾過は、水性溶媒のみを用いて行われる。いくつかの実施形態では、本発明のタンジェント流濾過は、水を溶媒として用いて行われる。
精製mRNAの特徴づけ
種々の実施形態では、本発明に従って精製したmRNAには、未成熟中断したRNA配列、DNA鋳型、及び/または、生体外合成で用いられた酵素試薬を含め、但しこれに限定されない、mRNA合成工程由来の不純物が、実質的にない。
本発明によって提供される具体的な利点は、未成熟中断したRNA配列(「ショートマー」とも言われる)を高度に除去または排除する能力である。いくつかの実施形態では、本発明による方法は、未成熟中断したRNA配列の約90%、95%、96%、97%、98%、99%よりも多くかまたは実質的に全てを除去する。いくつかの実施形態では、本発明に従って精製したmRNAには、未成熟中断したRNA配列が実質的にない。いくつかの実施形態では、本発明に従って精製したmRNAは、約5%未満(例えば、約4%、3%、2%、または1%未満)の未成熟中断したRNA配列を含有する。いくつかの実施形態では、本発明に従って精製したmRNAは、約1%未満(例えば、約0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、または0.1%未満)の未成熟中断したRNA配列を含有する。いくつかの実施形態では、本発明に従って精製したmRNAは、例えば、臭化エイチジウム及び/またはクーマシー染色法で測定して検出できない程度に、未成熟中断したRNA配列を含有する。いくつかの実施形態では、未成熟中断したRNA配列は、15未満の塩基(例えば、14、13、12、11、10、9、または8未満の塩基)含む。いくつかの実施形態では、未成熟中断したRNA配列は約8〜12の塩基を含む。
いくつかの実施形態では、本発明による方法は、T7 RNAポリメラーゼ、デオキシリボヌクレアーゼI、ピロホスファターゼ、及び/またはリボヌクレアーゼ阻害薬を含め、但しそれに限定されない、生体外合成で用いられた酵素試薬を、高度に除去または排除する。いくつかの実施形態では、本発明は、具体的には、T7 RNAポリメラーゼを除去するのに効果的である。いくつかの実施形態では、本発明による方法は、生体外合成で用いられた酵素試薬の約90%、95%、96%、97%、98%、99%よりも多くかまたは実質的に全てを除去する。いくつかの実施形態では、本発明に従って精製したmRNAには、生体外合成で用いられた酵素試薬が実質的にない。いくつかの実施形態では、本発明に従って精製したmRNAは、約5%未満(例えば、約4%、3%、2%、または1%未満)の生体外合成で用いられた酵素試薬を含有する。いくつかの実施形態では、本発明に従って精製したmRNAは、約1%未満(例えば、約0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、または0.1%未満)の生体外合成で用いられた酵素試薬を含有する。いくつかの実施形態では、本発明に従って精製したmRNAは、例えば、臭化エチジウム及び/またはクーマシー染色法で測定して検出できない程度に、生体外合成で用いられた酵素試薬を含有する。
種々の実施形態では、本明細書に記載の方法を用いて精製したmRNAは、高度の完全性を維持する。本明細書で使用される場合、用語「mRNA完全性」とは、概して、精製後のmRNAの質を指す。いくつかの実施形態では、mRNA完全性は、タンジェント流濾過の後に分解していないmRNAのパーセンテージを指す。mRNA完全性は、当分野で周知の方法を用いて、例えば、RNAアガロースゲル電気泳動によって決定してもよい(例えば、Ausubel et al.,John Weley & Sons,Inc.,1997,Current Protocols in Molecular Biology)。いくつかの実施形態では、本発明に従って精製したmRNAは、約95%より大きい(例えば、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上より大きい)完全性を有する。いくつかの実施形態では、本発明に従って精製したmRNAは、98%より大きい完全性を有する。いくつかの実施形態では、本発明に従って精製したmRNAは、99%より大きい完全性を有する。いくつかの実施形態では、本発明に従って精製したmRNAは、約100%の完全性を有する。
実施例1.メッセンジャーRNA(mRNA)の生成と精製
mRNAの合成
以下の実施例のそれぞれでは、mRNAの合成を完全なリボヌクレアーゼ非含有条件下で実施した。全てのチューブ、バイアル、ピペットチップ、ピペット、緩衝液等は、他に明示的に断りがなければ、ヌクレアーゼ非含有である必要があった。
以下の実施例では、他に断りがなければ、mRNAを線状DNA鋳型から生体外転写によって合成した。所望のmRNA前駆体(IVT)構築物を産生させるために、線状DNA約100ug、rNTP(3.33mM)、DTT(10mM)、T7 RNAポリメラーゼ、リボヌクレアーゼ阻害薬、ピロホスファターゼ、及び反応緩衝液(10×、800mMヘペス(pH8.0)、20mMスペルミジン、250mM MgCl、pH7.7)の混合物をリボヌクレアーゼ非含有水と調製して、2.24mLの最終体積にした。反応混合物を37℃で20分〜120分の間インキュベートする。完了時、混合物をデオキシリボヌクレアーゼIでさらに15分間処理し、以上により、クエンチする。
5’キャップ及び3’尾部の付加
上述のIVTステップ(及び、場合によりその上に初期TFF濾過)から得た精製したmRNA産生物を65℃で10分間変性させた。別途、GTP(20mM)、S−アデノシルメチオニン、リボヌクレアーゼ阻害薬、2’−O−メチルトランスフェラーゼ、及びグアニリルトランスフェラーゼを一定分量ずつ、反応緩衝液(10×、500mMトリス−HCl(pH8.0)、60mM KCl、12.5mM MgCl)とともに混合し、8.3mLの最終濃度にした。変性後、mRNAを氷上で冷却し、次いで反応混合物に添加する。合わせた溶液を37℃で20〜90分の間インキュベートする。完了時、ATP(20mM)、ポリAポリメラーゼ及びテーリング反応緩衝液(10×、500mMトリス−HCl(pH8.0)、2.5M NaCl、100mM MgCl)を一定分量ずつ添加し、合計反応混合物を37℃で20〜45分の間さらにインキュベートする。完了時、最終反応混合物をクエンチし、以上により、精製する。
タンジェント流濾過による精製
以下の実施例では、他に断りがなければ、タンジェント流濾過(TFF)系は、濾過膜と蠕動ポンプ(Millipore Labscale TFF system)からなり、膜に沿った流体の接線方向循環は約130mL/分の供給速度であり、透過物に対する流量は30mL/分であった。使用したTFF膜は、MidiKros 500kDa mPES 115cm(Spectrum Labs)であった。使用前にフィルターカートリッジをヌクレアーゼ非含有水で洗浄し、0.2N NaOHでさらに浄化した。最後に、透過物と濃縮水のpHがpH約6に達するまで、系をヌクレアーゼ非含有水で浄化した。
実施例2.精製mRNAの分析
精製したmRNAにおける酵素の存在の試験
他に断りがなければ、精製の前後に存在したいずれの残留試薬酵素の存在をも決定するために、標準クーマシー染色タンパク質ゲル法を実施した。いくつかの場合には、加えてBCAアッセイを実施した。
アガロースゲル電気泳動アッセイによるmRNA完全性の評価
他に断りがなければ、メッセンジャーRNAのサイズ及び完全性をゲル電気泳動によって評価した。自己注入式(self−poured)1.0%アガロースゲルまたはInvitrogen E−Gelプレキャスト1.2%アガロースゲルのいずれかを使用した。メッセンジャーRNAをウェルあたり1.0〜1.5ugの量ずつ入れた。完了時、メッセンジャーRNAのバンドを臭化エチジウムを用いて視覚化した。
生体外mRNA完全性アッセイ
他に断りがなければ、HEK293T細胞を用いて、ホタルルシフェラーゼmRNAの生体外トランスフェクションを実施した。1マイクログラムの各mRNA構築物のトランスフェクションを、リポフェクタミンを用いて、別々のウェルで実施した。選んだ時点(例えば、4時間、8時間等)で細胞を採集し、それぞれのタンパク質産生を分析した。FFL mRNAについては、バイオルミネセンスアッセイにより、細胞可溶化液を分析して、ルシフェラーゼ産生の有無を調べた。
バイオルミネセンス分析
提供されるRNAの蛍光評価を含む実施例では、他に断りがなければ、Promega Luciferase Assay System(品目番号E1500)を用いて、バイオルミネセンスアッセイを実施した。ルシフェラーゼアッセイ緩衝液10mLをルシフェラーゼアッセイ基質に添加し、ボルテックスによって混合することによって、ルシフェラーゼアッセイ試薬を調製した。ホモジェネート試料約20uLを96ウェルプレートに入れ、続いて各試料にプレート対照20uLを入れた。別途、ルシフェラーゼアッセイ試薬120uLを(上に記載の通りに調製して)96ウェル平底プレートの各ウェルに加えた。次いで、Molecular Device Flex Station計測器を用い、適切なチャンバーに各プレートを挿入し、(相対的光単位(RLU)での測定で)発光を測定した。
実施例3.ホタルルシフェラーゼ(FFL)メッセンジャーRNA(mRNA)の生成と精製
この実施例は、種々の実施形態で、タンジェント流濾過(TFF)及び変性剤の組合せを提供される方法に従って用いて、高純度に精製したmRNA産生物を産生させ得ることを例証する。この実施例では、尿素をタンパク質変性剤として用いる。
この実施例では、ホタルルシフェラーゼ(FFL)RNA(下の配列番号1)の5ミリグラムバッチを、上に記載の生体外方法によって転写して、上述の中間構築物をキャップもポリA尾部もない状態で産生させた。この反応は、2.24mLの合計体積を維持し、完了時に等体積の10M尿素によってクエンチし、採集尿素濃度を5Mにした。得られた溶液を室温で5分間インキュベートし、タンジェント流濾過(TFF)系貯留部に移した。試料をヌクレアーゼ非含有水で希釈して200mLにし、ヌクレアーゼ非含有水1200mLで、一度に200mLの限外濾過によって洗浄した。これに続いて、試料を10mMクエン酸ナトリウム(pH6.4)200mLで処理し、続いて、ヌクレアーゼ非含有水で600mlの洗浄を行った。最後に、試料を約2mLに濃縮し、最終濃度を260nm(λmax)での吸収により決定した。
コドン最適化ホタルルシフェラーゼ(FFL)mRNA(配列番号1)
X2AUGGAAGAUGCCAAAAACAUUAAGAAGGGCCCAGCGCCAUUCUACCCACUCGAAGACGGGACCGCCGGCGAGCAGCUGCACAAAGCCAUGAAGCGCUACGCCCUGGUGCCCGGCACCAUCGCCUUUACCGACGCACAUAUCGAGGUGGACAUUACCUACGCCGAGUACUUCGAGAUGAGCGUUCGGCUGGCAGAAGCUAUGAAGCGCUAUGGGCUGAAUACAAACCAUCGGAUCGUGGUGUGCAGCGAGAAUAGCUUGCAGUUCUUCAUGCCCGUGUUGGGUGCCCUGUUCAUCGGUGUGGCUGUGGCCCCAGCUAACGACAUCUACAACGAGCGCGAGCUGCUGAACAGCAUGGGCAUCAGCCAGCCCACCGUCGUAUUCGUGAGCAAGAAAGGGCUGCAAAAGAUCCUCAACGUGCAAAAGAAGCUACCGAUCAUACAAAAGAUCAUCAUCAUGGAUAGCAAGACCGACUACCAGGGCUUCCAAAGCAUGUACACCUUCGUGACUUCCCAUUUGCCACCCGGCUUCAACGAGUACGACUUCGUGCCCGAGAGCUUCGACCGGGACAAAACCAUCGCCCUGAUCAUGAACAGUAGUGGCAGUACCGGAUUGCCCAAGGGCGUAGCCCUACCGCACCGCACCGCUUGUGUCCGAUUCAGUCAUGCCCGCGACCCCAUCUUCGGCAACCAGAUCAUCCCCGACACCGCUAUCCUCAGCGUGGUGCCAUUUCACCACGGCUUCGGCAUGUUCACCACGCUGGGCUACUUGAUCUGCGGCUUUCGGGUCGUGCUCAUGUACCGCUUCGAGGAGGAGCUAUUCUUGCGCAGCUUGCAAGACUAUAAGAUUCAAUCUGCCCUGCUGGUGCCCACACUAUUUAGCUUCUUCGCUAAGAGCACUCUCAUCGACAAGUACGACCUAAGCAACUUGCACGAGAUCGCCAGCGGCGGGGCGCCGCUCAGCAAGGAGGUAGGUGAGGCCGUGGCCAAACGCUUCCACCUACCAGGCAUCCGCCAGGGCUACGGCCUGACAGAAACAACCAGCGCCAUUCUGAUCACCCCCGAAGGGGACGACAAGCCUGGCGCAGUAGGCAAGGUGGUGCCCUUCUUCGAGGCUAAGGUGGUGGACUUGGACACCGGUAAGACACUGGGUGUGAACCAGCGCGGCGAGCUGUGCGUCCGUGGCCCCAUGAUCAUGAGCGGCUACGUUAACAACCCCGAGGCUACAAACGCUCUCAUCGACAAGGACGGCUGGCUGCACAGCGGCGACAUCGCCUACUGGGACGAGGACGAGCACUUCUUCAUCGUGGACCGGCUGAAGAGCCUGAUCAAAUACAAGGGCUACCAGGUAGCCCCAGCCGAACUGGAGAGCAUCCUGCUGCAACACCCCAACAUCUUCGACGCCGGGGUCGCCGGCCUGCCCGACGACGAUGCCGGCGAGCUGCCCGCCGCAGUCGUCGUGCUGGAACACGGUAAAACCAUGACCGAGAAGGAGAUCGUGGACUAUGUGGCCAGCCAGGUUACAACCGCCAAGAAGCUGCGCGGUGGUGUUGUGUUCGUGGACGAGGUGCCUAAAGGACUGACCGGCAAGUUGGACGCCCGCAAGAUCCGCGAGAUUCUCAUUAAGGCCAAGAAGGGCGGCAAGAUCGCCGUGUAY2
5’及び3’UTR配列:

GGGAUCCUACC(配列番号2)

UUUGAAUU(配列番号3)
最終反応体積9mL中、上に記載の通り、約5mgのTFF精製したホタルルシフェラーゼRNAにキャップと尾部を形成した。この反応混合物(6.7ml)の一部を5M尿素で室温(RT)で5分間処理し、TFFを用いて精製した。キャップ/尾部反応混合物約1.5mgを、水のみを用いてTFFによって精製し、単離した。別途、キャップ/尾部反応混合物の別の一部少量を、QiagenRNeasy精製キットを用い、公開されているプロトコールに従って精製した。単離した最終FFL mRNAのバッチ3つに等分し、下に記載の通り、HEK293T細胞へとトランスフェクトした。蛍光検出(FFL活性)によって細胞可溶化液を分析し、FFLタンパク質の有無を調べた。
この実施例では、この実施例の反応酵素を除去するために、FFL mRNA IVT反応混合物の一部を10M尿素に付し、5M尿素の結果的最終濃度を得た。この溶液を室温で5分間インキュベートし、次いで、上に記載の通り、TFFによって精製した。図1は、上述の尿素条件を用いたTFFの後に結果的に得られた単離したmRNAを明らかにするクーマシー染色タンパク質ゲルを示す。完了時に存在している検出可能酵素はない。
キャップと尾部の形成されたFFL mRNA産生物を産生させた後、TFFの方法を用いてさらに、最終標的mRNAを精製した。同じキャップ/尾部反応混合物の一部を別々に等分し、比較のために、尿素無しのTFFか、またはスピンカラム方法(Qiagen RNeasyキット)によって精製した。TFFまたはスピンカラムによって単離した最終mRNAの比較を、ゲル電気泳動を用いて行い、図2に示す。さらに、残留酵素レベルをタンパク質ゲルによって監視した(図3)。図2で、約1900ntで移動するそれぞれの「IVT」FFL mRNAバンドを、キャップと尾部(C/T)が形成された長さ約2100ntの最終mRNAとともに、はっきりと見ることができる。キャップ/尾部ステップの後にスピンカラム単離を用いて典型的に観察される「ショートマー」のバンドが、レーン4に実際に観察される。
TFF精製mRNAを用いると、キャップ/尾部ステップの後にショートマーバンドが存在しないことが明らかである。いずれかの精製方法を用いて相当量の酵素試薬を除去することは可能であるが、ショートマー不純物は除去できない。このことは、本明細書に記載のタンジェント流濾過方法が、mRNA転写中における、未成熟中断した配列の良好で効率的な精製方法であることを実証した。
提供されるmRNAが所望のタンパク質に翻訳され得るか否かを決定するために、単離したFFL mRNA構築物(TFF対スピンカラム)のそれぞれの比較を行った。下に列記する3つの構築物のそれぞれをHEK293T細胞にトランスフェクトし、対応するFFLタンパク質産生を、ルシフェリン(上述)へ曝露したときのFFL発光の形式でFFLタンパク質活性によって評価した。
FFL構築物:
1.TFF(尿素有り)によって精製したFFL IVT及びTFF(尿素無し)によるC/Tステップ
2.TFF(尿素有り)によって精製したFFL IVT及びTFF(尿素無し)によるC/Tステップ
3.スピンカラムによって精製したFFL IVT及びスピンカラムによるC/Tステップ
それぞれから産生されるFFLタンパク質の発光出力の比較を図4に表す。TFF精製したFFL mRNAの完全性を、記載した条件(5M尿素への曝露)の下、タンジェント流濾過工程の間中維持する。
実施例4.因子IX(FIX)mRNAの生成と精製
この実施例は、種々の実施形態で、タンジェント流濾過(TFF)及び変性剤の組合せを提供される方法に従って用いて、高純度度に精製したmRNA産生物を産生させてもよいことをさらに例証する。この実施例では、チオシアン酸グアニジンをタンパク質変性剤として用いる。
この実施例では、今回は因子IX(下記配列番号4)をコードする第2の種のmRNAを産生させ、精製した。最初に、因子IX(FIX)RNAの5ミリグラムバッチを、上に記載の生体外方法によって転写して、そのRNAをキャップもポリA尾部もない状態で産生させた。この反応は、2.24mLの合計体積を維持し、完了時にプロテイナーゼK(4mg/IVT反応1ml)の添加によってクエンチし、これを反応混合物中37℃で5分間インキュベートした。完了時、6Mチオシアン酸グアニジン(4.3mL、最終約4M)を添加し、得られた溶液を室温で5分間インキュベートし、TFF系貯留部に移した。試料をヌクレアーゼ非含有水で希釈して200mLにし、ヌクレアーゼ非含有水1600mLで、一度に200mLの限外濾過によって洗浄した。完了時、試料を約2mLに濃縮し、最終濃度を260nm(λmax)での吸収により決定した。
ヒト因子IX(FIX)mRNA(配列番号4)
X1AUGCAGCGCGUGAACAUGAUCAUGGCAGAAUCACCAGGCCUCAUCACCAUCUGCCUUUUAGGAUAUCUACUCAGUGCUGAAUGUACAGUUUUUCUUGAUCAUGAAAACGCCAACAAAAUUCUGAGGCGGAGAAGGAGGUAUAAUUCAGGUAAAUUGGAAGAGUUUGUUCAAGGGAACCUUGAGAGAGAAUGUAUGGAAGAAAAGUGUAGUUUUGAAGAAGCACGAGAAGUUUUUGAAAACACUGAAAGAACAACUGAAUUUUGGAAGCAGUAUGUUGAUGGAGAUCAGUGUGAGUCCAAUCCAUGUUUAAAUGGCGGCAGUUGCAAGGAUGACAUUAAUUCCUAUGAAUGUUGGUGUCCCUUUGGAUUUGAAGGAAAGAACUGUGAAUUAGAUGUAACAUGUAACAUUAAGAAUGGCAGAUGCGAGCAGUUUUGUAAAAAUAGUGCUGAUAACAAGGUGGUUUGCUCCUGUACUGAGGGAUAUCGACUUGCAGAAAACCAGAAGUCCUGUGAACCAGCAGUGCCAUUUCCAUGUGGAAGAGUUUCUGUUUCACAAACUUCUAAGCUCACCCGUGCUGAGGCUGUUUUUCCUGAUGUGGACUAUGUAAAUUCUACUGAAGCUGAAACCAUUUUGGAUAACAUCACUCAAAGCACCCAAUCAUUUAAUGACUUCACUCGGGUUGUUGGUGGAGAAGAUGCCAAACCAGGUCAAUUCCCUUGGCAGGUUGUUUUGAAUGGUAAAGUUGAUGCAUUCUGUGGAGGCUCUAUCGUUAAUGAAAAAUGGAUUGUAACUGCUGCCCACUGUGUUGAAACUGGUGUUAAAAUUACAGUUGUCGCAGGUGAACAUAAUAUUGAGGAGACAGAACAUACAGAGCAAAAGCGAAAUGUGAUUCGAAUUAUUCCUCACCACAACUACAAUGCAGCUAUUAAUAAGUACAACCAUGACAUUGCCCUUCUGGAACUGGACGAACCCUUAGUGCUAAACAGCUACGUUACACCUAUUUGCAUUGCUGACAAGGAAUACACGAACAUCUUCCUCAAAUUUGGAUCUGGCUAUGUAAGUGGCUGGGGAAGAGUCUUCCACAAAGGGAGAUCAGCUUUAGUUCUUCAGUACCUUAGAGUUCCACUUGUUGACCGAGCCACAUGUCUUCGAUCUACAAAGUUCACCAUCUAUAACAACAUGUUCUGUGCUGGCUUCCAUGAAGGAGGUAGAGAUUCAUGUCAAGGAGAUAGUGGGGGACCCCAUGUUACUGAAGUGGAAGGGACCAGUUUCUUAACUGGAAUUAUUAGCUGGGGUGAAGAGUGUGCAAUGAAAGGCAAAUAUGGAAUAUAUACCAAGGUAUCCCGGUAUGUCAACUGGAUUAAGGAAAAAACAAAGCUCACUUAAY1
5’及び3’UTR配列:
1
GGACAGAUCGCCUGGAGACGCCAUCCACGCUGUUUUGACCUCCAUAGAAGACACCGGGACCGAUCCAGCCUCCGCGGCCGGGAACGGUGCAUUGGAACGCGGAUUCCCCGUGCCAAGAGUGACUCACCGUCCUUGACACG(配列番号5)
1
CGGGUGGCAUCCCUGUGACCCCUCCCCAGUGCCUCUCCUGGCCCUGGAAGUUGCCACUCCAGUGCCCACCAGCCUUGUCCUAAUAAAAUUAAGUUGCAUC(配列番号6)
上記の方法をまた、上に記載の通り、但し、プロテイナーゼKのステップの間アクチノマイシンD(10μg/IVT反応1ml)を添加して、実施した。プロテイナーゼK(アクチノマイシンD有りまたは無し)でIVT反応をクエンチすることによって、全ての酵素の除去をやはり良好に達成することができる(図5)。プロテイナーゼKは、除去を促進することができるが、mRNA薬物原料を大規模に製造するには、この酵素を大規模に作製することが必要で、不必要な追加的コストを負うことになり、したがって、いくつかの実施形態では、望ましい方法ではないことがある。図6に示す通り、上に記載される通り(アクチノマイシンD有り及び無し)に産生したFIX mRNA、並びに5M尿素を用いて精製したFIX mRNAは、実施例3に記載のFFL mRNAに関する結果同様、検出できるレベルのショートマーを含有しない。
実施例5.嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)mRNAの生成及び生成
この実施例は、種々の実施形態で、タンジェント流濾過(TFF)及び変性剤の組合せを提供される方法に従って用いて、高純度に精製したmRNA産生物を産生させてもよいことをさらに例証する。この実施例では、塩化カリウムをタンパク質変性剤として用いる。
この実施例では、今回は嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR、下記配列番号7)をコードする第3の種のmRNAを産生させ、精製した。最初に、CFTR RNAの5ミリグラムバッチを、上に記載の生体外方法によって転写して、上述のRNAをキャップもポリA尾部もない状態で産生させた。この反応は、2.24mLの合計体積を維持し、完了時に2M KCl(約200mL)の添加によってクエンチした。得られた溶液を室温で5分間インキュベートし、TFF系の貯留部に移した。試料を、200mLの一定体積にて、ヌクレアーゼ非含有水中2M KCLで、3〜4ダイアボリューム(diavolume)に対してダイアフィルトレート(diafiltrate)した。この後、得られた溶液を、ヌクレアーゼ非含有水400mLで、一回200mLの限外濾過によって洗浄した。これに続いて、試料を1mMクエン酸ナトリウム(pH6.4)200mLで処理し、ヌクレアーゼ非含有水で600mlの洗浄を行った。最後に、試料を約2mLに濃縮し、最終濃度を260nm(λmax)での吸収により決定した。
コドン最適化嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)mRNA(配列番号7)
X1AUGCAGCGGUCCCCGCUCGAAAAGGCCAGUGUCGUGUCCAAACUCUUCUUCUCAUGGACUCGGCCUAUCCUUAGAAAGGGGUAUCGGCAGAGGCUUGAGUUGUCUGACAUCUACCAGAUCCCCUCGGUAGAUUCGGCGGAUAACCUCUCGGAGAAGCUCGAACGGGAAUGGGACCGCGAACUCGCGUCUAAGAAAAACCCGAAGCUCAUCAACGCACUGAGAAGGUGCUUCUUCUGGCGGUUCAUGUUCUACGGUAUCUUCUUGUAUCUCGGGGAGGUCACAAAAGCAGUCCAACCCCUGUUGUUGGGUCGCAUUAUCGCCUCGUACGACCCCGAUAACAAAGAAGAACGGAGCAUCGCGAUCUACCUCGGGAUCGGACUGUGUUUGCUUUUCAUCGUCAGAACACUUUUGUUGCAUCCAGCAAUCUUCGGCCUCCAUCACAUCGGUAUGCAGAUGCGAAUCGCUAUGUUUAGCUUGAUCUACAAAAAGACACUGAAACUCUCGUCGCGGGUGUUGGAUAAGAUUUCCAUCGGUCAGUUGGUGUCCCUGCUUAGUAAUAACCUCAACAAAUUCGAUGAGGGACUGGCGCUGGCACAUUUCGUGUGGAUUGCCCCGUUGCAAGUCGCCCUUUUGAUGGGCCUUAUUUGGGAGCUGUUGCAGGCAUCUGCCUUUUGUGGCCUGGGAUUUCUGAUUGUGUUGGCAUUGUUUCAGGCUGGGCUUGGGCGGAUGAUGAUGAAGUAUCGCGACCAGAGAGCGGGUAAAAUCUCGGAAAGACUCGUCAUCACUUCGGAAAUGAUCGAAAACAUCCAGUCGGUCAAAGCCUAUUGCUGGGAAGAAGCUAUGGAGAAGAUGAUUGAAAACCUCCGCCAAACUGAGCUGAAACUGACCCGCAAGGCGGCGUAUGUCCGGUAUUUCAAUUCGUCAGCGUUCUUCUUUUCCGGGUUCUUCGUUGUCUUUCUCUCGGUUUUGCCUUAUGCCUUGAUUAAGGGGAUUAUCCUCCGCAAGAUUUUCACCACGAUUUCGUUCUGCAUUGUAUUGCGCAUGGCAGUGACACGGCAAUUUCCGUGGGCCGUGCAGACAUGGUAUGACUCGCUUGGAGCGAUCAACAAAAUCCAAGACUUCUUGCAAAAGCAAGAGUACAAGACCCUGGAGUACAAUCUUACUACUACGGAGGUAGUAAUGGAGAAUGUGACGGCUUUUUGGGAAGAGGGUUUUGGAGAACUGUUUGAGAAAGCAAAGCAGAAUAACAACAACCGCAAGACCUCAAAUGGGGACGAUUCCCUGUUUUUCUCGAACUUCUCCCUGCUCGGAACACCCGUGUUGAAGGACAUCAAUUUCAAGAUUGAGAGGGGACAGCUUCUCGCGGUAGCGGGAAGCACUGGUGCGGGAAAAACUAGCCUCUUGAUGGUGAUUAUGGGGGAGCUUGAGCCCAGCGAGGGGAAGAUUAAACACUCCGGGCGUAUCUCAUUCUGUAGCCAGUUUUCAUGGAUCAUGCCCGGAACCAUUAAAGAGAACAUCAUUUUCGGAGUAUCCUAUGAUGAGUACCGAUACAGAUCGGUCAUUAAGGCGUGCCAGUUGGAAGAGGACAUUUCUAAGUUCGCCGAGAAGGAUAACAUCGUCUUGGGAGAAGGGGGUAUUACAUUGUCGGGAGGGCAGCGAGCGCGGAUCAGCCUCGCGAGAGCGGUAUACAAAGAUGCAGAUUUGUAUCUGCUUGAUUCACCGUUUGGAUACCUCGACGUAUUGACAGAAAAAGAAAUCUUCGAGUCGUGCGUGUGUAAACUUAUGGCUAAUAAGACGAGAAUCCUGGUGACAUCAAAAAUGGAACACCUUAAGAAGGCGGACAAGAUCCUGAUCCUCCACGAAGGAUCGUCCUACUUUUACGGCACUUUCUCAGAGUUGCAAAACUUGCAGCCGGACUUCUCAAGCAAACUCAUGGGGUGUGACUCAUUCGACCAGUUCAGCGCGGAACGGCGGAACUCGAUCUUGACGGAAACGCUGCACCGAUUCUCGCUUGAGGGUGAUGCCCCGGUAUCGUGGACCGAGACAAAGAAGCAGUCGUUUAAGCAGACAGGAGAAUUUGGUGAGAAAAGAAAGAACAGUAUCUUGAAUCCUAUUAACUCAAUUCGCAAGUUCUCAAUCGUCCAGAAAACUCCACUGCAGAUGAAUGGAAUUGAAGAGGAUUCGGACGAACCCCUGGAGCGCAGGCUUAGCCUCGUGCCGGAUUCAGAGCAAGGGGAGGCCAUUCUUCCCCGGAUUUCGGUGAUUUCAACCGGACCUACACUUCAGGCGAGGCGAAGGCAAUCCGUGCUCAACCUCAUGACGCAUUCGGUAAACCAGGGGCAAAACAUUCACCGCAAAACGACGGCCUCAACGAGAAAAGUGUCACUUGCACCCCAGGCGAAUUUGACUGAACUCGACAUCUACAGCCGUAGGCUUUCGCAAGAAACCGGACUUGAGAUCAGCGAAGAAAUCAAUGAAGAAGAUUUGAAAGAGUGUUUCUUUGAUGACAUGGAAUCAAUCCCAGCGGUGACAACGUGGAACACAUACUUGCGUUACAUCACGGUGCACAAGUCCUUGAUUUUCGUCCUCAUCUGGUGUCUCGUGAUCUUUCUCGCUGAGGUCGCAGCGUCACUUGUGGUCCUCUGGCUGCUUGGUAAUACGCCCUUGCAAGACAAAGGCAAUUCUACACACUCAAGAAACAAUUCCUAUGCCGUGAUUAUCACUUCUACAAGCUCGUAUUACGUGUUUUACAUCUACGUAGGAGUGGCCGACACUCUGCUCGCGAUGGGUUUCUUCCGAGGACUCCCACUCGUUCACACGCUUAUCACUGUCUCCAAGAUUCUCCACCAUAAGAUGCUUCAUAGCGUACUGCAGGCUCCCAUGUCCACCUUGAAUACGCUCAAGGCGGGAGGUAUUUUGAAUCGCUUCUCAAAAGAUAUUGCAAUUUUGGAUGACCUUCUGCCCCUGACGAUCUUCGACUUCAUCCAGUUGUUGCUGAUCGUGAUUGGGGCUAUUGCAGUAGUCGCUGUCCUCCAGCCUUACAUUUUUGUCGCGACCGUUCCGGUGAUCGUGGCGUUUAUCAUGCUGCGGGCCUAUUUCUUGCAGACGUCACAGCAGCUUAAGCAACUGGAGUCUGAAGGGAGGUCGCCUAUCUUUACGCAUCUUGUGACCAGUUUGAAGGGAUUGUGGACGUUGCGCGCCUUUGGCAGGCAGCCCUACUUUGAAACACUGUUCCACAAAGCGCUGAAUCUCCAUACGGCAAAUUGGUUUUUGUAUUUGAGUACCCUCCGAUGGUUUCAGAUGCGCAUUGAGAUGAUUUUUGUGAUCUUCUUUAUCGCGGUGACUUUUAUCUCCAUCUUGACCACGGGAGAGGGCGAGGGACGGGUCGGUAUUAUCCUGACACUCGCCAUGAACAUUAUGAGCACUUUGCAGUGGGCAGUGAACAGCUCGAUUGAUGUGGAUAGCCUGAUGAGGUCCGUUUCGAGGGUCUUUAAGUUCAUCGACAUGCCGACGGAGGGAAAGCCCACAAAAAGUACGAAACCCUAUAAGAAUGGGCAAUUGAGUAAGGUAAUGAUCAUCGAGAACAGUCACGUGAAGAAGGAUGACAUCUGGCCUAGCGGGGGUCAGAUGACCGUGAAGGACCUGACGGCAAAAUACACCGAGGGAGGGAACGCAAUCCUUGAAAACAUCUCGUUCAGCAUUAGCCCCGGUCAGCGUGUGGGGUUGCUCGGGAGGACCGGGUCAGGAAAAUCGACGUUGCUGUCGGCCUUCUUGAGACUUCUGAAUACAGAGGGUGAGAUCCAGAUCGACGGCGUUUCGUGGGAUAGCAUCACCUUGCAGCAGUGGCGGAAAGCGUUUGGAGUAAUCCCCCAAAAGGUCUUUAUCUUUAGCGGAACCUUCCGAAAGAAUCUCGAUCCUUAUGAACAGUGGUCAGAUCAAGAGAUUUGGAAAGUCGCGGACGAGGUUGGCCUUCGGAGUGUAAUCGAGCAGUUUCCGGGAAAACUCGACUUUGUCCUUGUAGAUGGGGGAUGCGUCCUGUCGCAUGGGCACAAGCAGCUCAUGUGCCUGGCGCGAUCCGUCCUCUCUAAAGCGAAAAUUCUUCUCUUGGAUGAACCUUCGGCCCAUCUGGACCCGGUAACGUAUCAGAUCAUCAGAAGGACACUUAAGCAGGCGUUUGCCGACUGCACGGUGAUUCUCUGUGAGCAUCGUAUCGAGGCCAUGCUCGAAUGCCAGCAAUUUCUUGUCAUCGAAGAGAAUAAGGUCCGCCAGUACGACUCCAUCCAGAAGCUGCUUAAUGAGAGAUCAUUGUUCCGGCAGGCGAUUUCACCAUCCGAUAGGGUGAAACUUUUUCCACACAGAAAUUCGUCGAAGUGCAAGUCCAAACCGCAGAUCGCGGCCUUGAAAGAAGAGACUGAAGAAGAAGUUCAAGACACGCGUCUUUAAY1
5’及び3’UTR配列:
1
GGACAGAUCGCCUGGAGACGCCAUCCACGCUGUUUUGACCUCCAUAGAAGACACCGGGACCGAUCCAGCCUCCGCGGCCGGGAACGGUGCAUUGGAACGCGGAUUCCCCGUGCCAAGAGUGACUCACCGUCCUUGACACG(配列番号5)
1
CGGGUGGCAUCCCUGUGACCCCUCCCCAGUGCCUCUCCUGGCCCUGGAAGUUGCCACUCCAGUGCCCACCAGCCUUGUCCUAAUAAAAUUAAGUUGCAUC(配列番号6)
この実施例では、反応酵素を除去するために、2M KClダイアフィルトレーションを用いた。大量の2M KClに曝露すると、反応混合物に存在する全ての酵素(T7ポリメラーゼを含む)の除去が良好であるとの結果が、タンパク質ゲル電気泳動によって決定した場合に、得られた(図7)。アガロースゲル電気泳動によって明らかとなったように、標的メッセンジャーRNAは、かかる条件への曝露の後でも無傷のままである(図8)。
さらに、CFTR IVT構築物のキャップ形成と尾部形成の後、2M KClを用いたTFFによって最終CFTR転写物(キャップ有りかつ尾部有り)を良好に精製することができる。この最終単離産生物を、スピンカラム方法によって精製した同じ産生物と比較すると、ゲル電気泳動によって決定した場合に、「ショートマー」バンドが大きく減少していることを観察する(図9)。
同等事項及び範囲
当業者は、本明細書に記載する発明の具体的な実施形態の多くの同等事物を認識し、単に日常的実験を用いてそれを確認することができるものである。本発明の範囲は、上記明細書に限定されることを意図されておらず、より正確には次の特許請求の範囲に明記する通りである。

Claims (18)

  1. メッセンジャーRNA(mRNA)を精製する方法であって、
    (a)生体外合成したmRNAを含む不純調製物を、前記不純調製物にカオトロピック剤を添加することにより、変性条件に付すことと、
    (b)前記生体外合成したmRNAにキャップとポリA尾部が付加される前に、ステップ(a)による前記不純調製物からの前記mRNAをタンジェント流濾過によって精製することと
    を含み、
    前記不純調製物が生体外合成反応混合物であり、
    前記タンジェント流濾過に用いられるフィルターが100kDa〜1000kDaの間の公称分画分子量を有し、
    ステップ(b)により精製した前記mRNAは、15塩基未満を含む未成熟中断RNA配列を5%未満含有する、
    方法。
  2. ステップ(a)が、前記不純調製物を前記カオトロピック剤とともに室温で5分間インキュベートすることを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記カオトロピック剤が、尿素、チオシアン酸グアニジン、ドデシル硫酸ナトリウム、及びその組合せからなる群より選択される、請求項2に記載の方法。
  4. (i)尿素を前記不純調製物に添加して、1M以上の結果的尿素濃度を達成するか;または
    (ii)チオシアン酸グアニジンを前記不純調製物に添加して、4M以上の結果的チオシアン酸グアニジン濃度を達成する、
    請求項3に記載の方法。
  5. (i)前記結果的尿素濃度が、2M以上、3M以上、4M以上、5M以上、6M以上、7M以上、8M以上、9M以上、または10M以上であるか;または
    (ii)前記結果的チオシアン酸グアニジン濃度が、4M以上、5M以上、6M以上、7M以上、8M以上、9M以上、または10M以上である、
    請求項4に記載の方法。
  6. 前記タンジェント流濾過は、水性溶媒のみを用いて行われる、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記タンジェント流濾過は、水を溶媒として用いて行われる、請求項に記載の方法。
  8. ステップ(b)により精製した前記mRNAは、生体外合成で用いた未成熟中断したRNA配列及び/または酵素試薬を1%未満、0.5%未満、または0.1%未満含有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記未成熟中断したRNA配列が8〜12の塩基を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  10. 生体外合成で用いた前記酵素試薬が、T7 RNAポリメラーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ(DNAse)I、ピロホスファターゼ、及び/またはリボヌクレアーゼ(RNAse)阻害薬を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  11. 記生体外合成したmRNAにキャップとポリA尾部が付加された後に、タンジェント流濾過を行うことをさらに含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記生体外合成したmRNAが、長さが1kb、1.5kb、2kb、2.5kb、3kb、3.5kb、4kb、4.5kb、または5kbより大きい、請求項1〜1のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記生体外合成したmRNAが、安定性を向上させるように1つまたは複数の修飾を含む、請求項1〜1のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記1つまたは複数の修飾が、修飾されたヌクレオチド、修飾された糖リン酸塩主鎖、5’及び/または3’非翻訳領域より選択される、請求項1に記載の方法。
  15. 前記生体外合成したmRNAが無修飾である、請求項1〜1のいずれか一項に記載の方法。
  16. ステップ(b)により精製した前記mRNAは、95%より大きい、98%より大きい、または99%より大きい完全性を有する、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記不純調製物が、反応物、酵素試薬および未成熟中断したRNA配列を含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
  18. メッセンジャーRNA(mRNA)の製造方法であって、
    mRNAを生体外で合成することと、
    請求項1〜1のいずれか一項に記載の方法を用いて前記生体外合成したmRNAを精製することと、
    を含む、方法。
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