JP2005505305A - 固体支持体を使用してrnaを精製するための組成物および方法 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
(発明の背景)
核酸(例えば、デオキシリボ核酸(DNA)およびリボ核酸(RNA))は、研究および臨床的分析の分子生物学分野において広く使用されている。RNAは、天然に、各々それらの特定の機能に関連した、異なる特性を有する、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、リボソームRNA(rRNA)、およびウイルスRNAを含む様々な形で見出され得る。RNA発現レベルおよびパターンの分析は、例えば、発生遺伝学、薬物発見および臨床的診断といった分野において重要な情報を提供する。例えば、RNA分析は、正常な遺伝子機能および異常な遺伝子機能の両方に関して重要な診断情報を提供する。さらに、一般的な白血病に関係する全体的なDNA再配列は、異常ハイブリッドRNAの単離および同定により検出される。
【0002】
RNAを分析する一般的な方法は、ノーザンブロッティング、リボヌクレアーゼ保護分析(RPAs)、逆転写酵素ポリメラーゼ鎖反応(RT−PCR)、クローニング、インビトロ翻訳およびマイクロアレイ分析のためのcDNA調製が挙げられる。これらの分析から妥当なおよび一致した結果を得るため、RNAが、例えば、タンパク質、炭水化物、脂質およびDNAといった生物材料に共通する他の成分から精製されることが重要である。
【0003】
RNA精製法は、2つの一般的な区分(液相精製および固相精製)に分類される。液相精製において、RNAは液相内に残り、一方不純物は、例えば沈殿および/または遠心分離といったプロセスにより除去される。固相精製において、RNAは固体支持体に結合され、一方DNA、タンパク質、およびリン脂質のような不純物は、選択的に溶出される。両方の精製方法は、多くの工程、およびしばしば危険な試薬を必要とする従来の方法、並びにより少ない工程および通常ほとんど危険ではない試薬を必要とする迅速な方法を利用する。出発生物材料が細胞を含む場合、両方の方法は、混入物(例えば、DNA、脂質、炭水化物、タンパク質など)とRNAとの混合物を生じる、細胞またはウイルス性共破壊あるいは溶解工程を必要とする。このような混合物はまた、RNAを容易に分解し、そして除去および/または不活化されるべきRNaseを含む。
【0004】
元々、液相RNA単離法は、液体−液体抽出(すなわち、フェノール−クロロホルム)およびアルコール沈殿を使用する。おそらく、最も一般的に使用される液体−液体抽出法は、ChomczynskiおよびSacchiの「酸性グアニジウムフェノール」法(Chomczynski P,Sacchi N.、Single−step method of RNA isolation by acid guanidinium thiocyanate−phenol−chloroform extraction、Anal Biochem 162:156〜9[1987];米国特許第5,945,515号、同5,346,994号、および同4,843,155号)である。この方法は、以下の工程を含む:(1)グアニジウムイソチオシアネート(GITC)溶液でサンプルを抽出し、これに酸性媒体、フェノール、およびクロロホルムに連続して加える工程;(2)混合物を遠心分離し、フェノールにより変成したタンパク質が、中間層に見出され、核酸から除去され得るように、相を分離させる工程;(3)沈殿させるためにアルコールを加え、そしてそれにより、RNAを濃縮する工程;および(4)精製RNAを洗浄および再水和する工程。この方法は、RNAの精製を確実にするが、例えばクロロホルムおよびフェノールのような危険な試薬を使用する。カチオン界面活性剤による核酸の沈殿は、液相技術の別の例である(米国特許第5,985,572号、同5,728,822号、および同5,010,183号(MacFarlane))。例えば、米国特許第5,985,572号は、選択した第4級アミン界面活性剤を使用して生物学的サンプルからRNAを単離する、新規な方法を開示する。危険ではない液相精製法は、低pH溶解および沈殿試薬を用いるHeath(米国特許第5,937,137)により開示された。しかしながら、液相法は、単調な沈殿工程を含むという点で重大な不利点を有し、それ故に自動化は困難である。従って、高処理量RNA精製の必要性は、固相法の開発をもたらした。液相精製と同様に、従来の固相法は高精製RNAを生成するために開発された。一般的に、これらの方法は、4つの一般的な工程を必要とする:RNAを放出するために細胞またはウイルス外被を溶解する工程;放出されたRNAを固体支持体に結合する工程;不純物を洗浄する工程;次いで精製RNAを溶出する工程。最初の2つの工程(細胞またはウイルス外被を溶解する工程および放出RNAを結合する工程)は、元々危険な試薬を必要とする。
【0005】
固相法は、例えば、そのような抽出に使用される固相の型に従って、シリカ樹脂またはイオン交換樹脂のいずれかに、大まかに分類され得る。固相核酸単離法に関して、膜フィルター、磁気ビーズ、金属酸化物、およびラテックス粒子を含む多くの固体支持体が使用されてきた。おそらく、最も広く使用される固体支持体は、シリカベース粒子(例えば、米国特許第5,234,809号(Boomら);国際公開番号WO95/01359(Colpanら);米国特許第5,405,951号(Woodard);国際公開番号WO95/02049(Jones);同WO92/07863(Qiagen GmbH)を参照のこと)である。核酸は、カオトロピック剤存在下でシリカに結合する。例えば、米国特許第5,234,809(Boomら)に開示された方法は、DNAをシリカ粒子に結合するために、例えば、グアニジンチオシアネートのような高濃度カオトロピック溶液を使用し、そして全血からDNAを精製するために、6つの遠心分離工程および5つの試薬を必要とする。
【0006】
特に、Boomは、以下を教示する;(1)生物材料をグアニジンチオシアネート、EDTAおよびTritonX−100からなる溶液、シリカとを混合する工程;(2)核酸をシリカに結合させる工程;(3)グアニジンチオシアナート、エタノール、アセトンの連続した洗浄によりシリカを洗浄する工程;ならびに(4)溶出剤で核酸を溶出する工程。この方法の不利点は、特定の懸濁液の使用、多くの遠心分離工程の使用、および例えばグアニジンチオシアナートおよびアセトンのような危険試薬の使用である。しかしながら、この方法は、DNA単離にうまく利用されてきたが、許容できないレベルのDNA混入により、RNA単離には適さない。
【0007】
先行技術もまた、核酸と低pHで結合し、そしてその核酸が高いpH(および/またはより高塩濃度)で溶出される、イオン交換樹脂の使用を教示する。米国特許第5,057,426号(Hencoら)を参照のこと。しかしながら、このような方法は、より小さな核酸および他の生物材料(例えば、タンパク質)から特有の電荷を有する長鎖核酸の選択的分離に、主に有利となる。このような方法では、長さおよび電荷に関わらず、生物材料の残部からのRNAの単離に成功しない。
【0008】
さらに、長鎖核酸は、使用するイオン交換法のための高塩濃度において、溶出されねばならない。一般的に使用される塩(例えば、NaClおよびKCl)は、分子生物学において使用される多くの酵素を妨げ得る。従って、多くの適用にとって、核酸のイオン交換単離は、最終的な脱塩工程を必要とする。
【0009】
ポリカチオン固体支持体はまた、混入物を含む溶液からの核酸の精製にも使用される。米国特許第5,599,667号(Arnoldら)参照のこと。ポリカチオン支持体は、大きさに基づいて選択的にヌクレオチド多量体を吸着し、より大きな多量体は、より小さな多量体よりポリカチオン支持体に対して高い親和力を有する。この方法は、正に帯電したカチオン固体支持体と負に帯電したヌクレオチドのリン酸骨格との間の親和力に、主に基づく。より大きなヌクレオチド多量体は、より高い電荷を有し、そして結果として、より小さなヌクレオチド多量体以上に優先的に結合する。従って、Arnoldの方法は、粗製生物材料からの全型のRNAの単離よりむしろ、大きさに基づいたヌクレオチド多量体の単離に適している。さらに、Arnoldの方法は、その方法自体を例えばアンモニウムイオン、イミニウム(immonium)イオンおよびグアニジニウムイオンを含むポリカチオン支持体の使用に制限する。
【0010】
最近の精製方法は、規定の緩衝液条件下のグアニジニウム塩の存在中においてRNAが優先的に沈殿するという原則を利用する。米国特許第5,972,613(Somackら)参照のこと。この方法において、RNAは、低温で、グアニジニウム塩の存在下、沈殿されるが、一方DNAは溶液中に残る。さらに別の方法は、リチウム塩の存在も加えて、この原則を利用する。米国特許第5,990,302(Kuroitaら)参照のこと。この方法では、生物材料は、リチウム塩およびカオトロピック剤(例えば、グアニジニウムイソチオシアネート(GITC))を含む酸性溶液中で溶解され、その後、RNAは、核酸結合キャリア(例えば、シリカ)と接触される。RNAはその後、低イオン強度緩衝液中でシリカから溶出することにより精製される。しかしながら、この方法は、例えばカオトロピック塩であるグアニジンチオシアナートといった危険物質の使用において不利である。
【0011】
シリカベースキャリアと併せた、カオトロピック物質の組み合わせ(例えば、4Mより大きいイオン強度で、グアニジンチオシアナート、グアニジン塩酸塩、ヨウ化ナトリウム、および塩化リチウム/尿素の混合物)が、Hillebrandにより教示された。WO95/34569を参照のこと。しかしながら、本発明は、前述のカオトロピック物質が添加されたシリカビーズのスラリーを含む一工程の方法に制限される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、RNA精製の分野を発展させるために、固相RNA精製ストラテジーの必要性がある。また、単純かつ迅速なだけではなく、自動化を適応性最大限にする範囲において固相精製ストラテジーに適した、試薬および方法の必要性もある。室温(すなわち、20〜25℃)で安定であり、危険ではなく(すなわち、腐食性または有毒ではない)、混合の必要性を除く非粒子状である、およびRNAの性質を保護する試薬の必要性がある。また、様々な生物出発材料を利用し、水和または乾燥に関わらず、臨床的実験室および研究室において見出されるように、特に慣用的単調試験に適用される場合に行われ得る、わずかな工程を有する方法の必要性がある。加えて、RNA精製試薬は、粒子を混入または後続の分析(例えば、逆転写酵素反応、増幅反応、ヌクレアーゼ保護分析、ノーザンブロッティング、並びにマイクロアレイおよび他の標識反応)の緩衝化能力またはイオン状態を妨げることにより、その後のRNA分析手順を阻害するべきではない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(発明の要旨)
本発明は、液体の生物学的サンプルおよび乾燥した生物サンプルから、実質的に純粋かつ分解されていないRNAを単離するための固体支持体を組み込む、試薬、方法、およびキットを提供する。精製RNAは、幅広く使用される分析法および診断法(例えば、実質的に純粋かつ分解されていないRNAを必要とする、RT−PCRおよびマイクロアレイ分析)における使用に適する。
【0014】
本発明は、様々な生物物質から、危険物質(例えば、フェノール、およびクロロホルム)、または危険なカオトロピック物質(例えば、グアニジニウム塩、尿素など)を使用せずに、RNAを精製するために使用され得る、独自の試薬の組み合わせを含む。さらに、本発明において教示される試薬および方法は、低塩試薬におけるRNAの溶出を可能にし、従って、先行技術に見出される単調な脱塩工程を除去する。本発明により教示される試薬は、中性から高pHの独自のRNA結合溶液、RNA洗浄溶液、およびRNA溶出溶液を含む。生物材料が、細胞材料またはウイルス材料を含む場合、RNA結合溶液は、RNA溶解溶液にもなる界面活性剤を含む。実質的に純粋かつ分解されていないRNAを精製するために、適した固体支持体との組み合わせにおいて使用された試薬は、実質的に純粋かつ混入を含まない。
【0015】
本発明は、中性から高pHの独自のRNA結合溶液の使用を教示する。このRNA結合溶液は、RNA複合塩、好ましくは緩衝液中にアルカリ金属塩が存在するので、核酸が優先的に最適な固体支持体と結合することを可能にする。一つの実施形態において、RNA結合溶液は、例えば、界面活性剤のようなRNA結合溶液に細胞溶解能力を与える両親媒性試薬をさらに含む。このRNA結合溶液は、RNA溶解溶液としても言及され得る。RNA溶解溶液は、核酸が他の混入物(例えば、タンパク質、リン脂質など)以上に最適な固体支持体に優先的に結合するように、溶解に続いて放出される核酸に独自の結合性質を与えながら、生物材料を溶解する。本発明のRNA溶解溶液は、RNA複合塩(例えば、緩衝液中のアルカリ金属塩)、および随意的な両親媒性試薬の存在により、危険なカオトロピック物質(例えば、グアニジニウム塩、尿素など)を使用せずに、この優先的な結合を達成する。RNA複合塩は、核酸(例えば、RNA)の荷電したリン酸骨格と複合体化しているので、そのように呼ばれる。RNA溶解溶液における、両親媒性試薬は、好ましくは生物材料の溶解を補助する界面活性剤である。すべての型の界面活性剤が、本発明を実行するために使用され得るが、非イオン性界面活性剤は、高濃度塩溶液により可溶性であるため、好ましい。
【0016】
RNA結合溶液およびRNA溶解溶液は、緩衝化され、少なくとも約7(好ましくは、すくなくとも約8、より好ましくは、少なくとも約8.5、そして最も好ましくは、少なくとも約9)のpHを維持する。基本pHまでの中和は、核酸、特にRNAが固体支持体に結合する能力を高める。低pH試薬存在下の核酸の結合が著しく阻害されることも観察される。RNA結合溶液およびRNA溶解溶液は、所望のようにpHを調整する緩衝液を含む。緩衝液は、好ましくは、少なくとも約8のpKaを有する。好ましい緩衝液は、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris)である。
【0017】
適したRNA複合塩は、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、セシウム塩、およびルビジウム塩)を含む。好ましいアルカリ金属塩は、リチウム塩である。本発明の実行に使用されるリチウム塩としては、塩化リチウム、および臭化リチウムが挙げられるが、これらに限定されない。RNAの固体支持体に対する優先的な結合は、高濃度のアルカリ金属塩により高められる。好ましくは、アルカリ金属塩は、4〜10Mの間の濃度である。RNA溶解溶液はさらに、両親媒性試薬を含む。一つの実施形態において、両親媒性試薬は、界面活性剤である。界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、双性イオン性または非イオン性であり得るが、好ましくは非イオン性である。非イオン性界面活性剤の例としては、Tween、Triton、Tergitol由来の界面活性剤およびNonimdet分類の界面活性剤が挙げられる。好ましくは、界面活性剤は約10%の高濃度で存在する。アルカリ金属塩と界面活性剤の組み合わせはまた、各々中性から高pHの緩衝液中において前述の高濃度で、一般に生物材料と結びつく酵素(例えばRNase)の有害な影響を無効にするために役立つ。随意的に、RNA結合溶液およびRNA溶解溶液はまた、キレート剤を含み得る。
【0018】
本発明はまた、不純物(例えば、タンパク質およびリン脂質)を固体支持体から除去すると同時に、一方で核酸が固体支持体に結合し続けることを可能にするRNA洗浄溶液の使用を組みこむ。RNA洗浄溶液は、高濃度のアルコール、および6〜8Mの間の中性pHで緩衝化された、適した塩を含み、混入物(例えば、タンパク質、脂質など)を除去する。
【0019】
適した固体支持体と関連した、RNA結合溶液(またはRNA溶解溶液)、およびRNA洗浄溶液の単純性および効率は、単純なRNA溶出溶液(例えば、RNaseフリー水、または代わりに固体支持体からRNAを溶出する非イオン性界面活性剤を有するRNaseフリー水)の使用という結果となる。従って、先行技術の高塩洗浄溶液において一般に直面するRNA脱塩問題は、回避される。
【0020】
本発明はまた、生物学材料からのRNAの単離の方法を教示する。生物材料としては、例えば、細胞またはウイルスの懸濁液、体液および老廃物、全血、骨髄、バフィーコート、血漿、培養細胞、全ての懸濁液(例えば、細菌、ホモジネートした組織)、粗製または部分精製した核酸の混合物、および環境サンプルが挙げられる。環境サンプルとしては、例えば、空気、水または土壌が挙げられる。
【0021】
RNA結合溶液またはRNA溶解溶液の万能性および有効性は、RNA単離の2つの実行可能な代替法に役立つ。第1の方法において、生物材料を、固体支持体と接触させる前に、RNA結合溶液またはRNA溶解溶液と接触させる。一つの実施形態において、生物材料が、細胞材料またはウイルス材料を含む場合、RNA溶解溶液が優先的に使用される。この方法は、細胞を溶解し、そしてRNAを含む核酸を放出するために役立つ。第2の方法において、RNA結合溶液またはRNA溶解溶液は、固体支持体に直接添加され、そして固体支持体に結合することを可能にし、それにより工程を削除し、そしてこの方法をさらに単純化する。この後者の方法において、RNA結合溶液またはRNA溶解溶液は、固体支持体に直接適用され、そして次に生物材料と処理した固体支持体とを接触させる前に固体支持体上で乾燥させる。
【0022】
適した固体支持体は、セルロース、セルロースアセテート、ニトロセルロース、ナイロン、ポリエステル、ポリエーテルスルホン、ポリオレフィン、フッ化ポリビニリデン、およびこれらの組み合わせが挙げられる。固体支持体は、容器に入れられ得、または固定され得、栓流(plug−flow)RNA単離法または連続RNA単離法を可能にする。代わりに、固体支持体の材料は、適した容器に固定され得るまたは入れられ得る遊離状態(free−standing)の固体支持体(例えば、膜、ディスクまたはシリンダー)を作製するために、パックされ得る。一つの実施形態において、固体支持体は、繊維性または粒子であり、生物材料との最適な接触を可能にし得る。
【0023】
本発明はまた、生物サンプルから実質的に純粋かつ分解されていないRNAを調製する指示手段および以下の1つまたは全てを含むRNA精製キットを提供する:RNA結合溶液またはRNA溶解溶液、RNA結合溶液またはRNA溶解溶液で処理していないかまたは処理した、いずれかの固体支持体、RNA洗浄溶液、RNA溶出溶液または、これらの任意の組み合わせ。加えて、キットは、固体支持体を収容するための容器、実質的に純粋かつ分解されていないRNAを収容するための容器、およびそれらの組み合わせを含み得る。実質的に純粋かつ分解されていないRNAは、当業者に公知の後の分析(例えば、RT−PCR、インビトロ翻訳、ノーザンブロッティング、マイクロアレイ分析など)における使用に適したRNAである。
【0024】
(発明の詳細な説明)
本発明は、生物サンプルからのRNA精製の試薬、方法、およびキットを提供する。そのような前記の生物サンプルとしては、代表的に水性混合物の状態にあるかまたは乾燥した状態にある生物材料が挙げられ、この生物材料は、原核細胞または真核細胞の複雑な生物混合物を含む、RNAを含有する。好ましくは、本発明の方法およびキットは、幅広い範囲のRNAを単離する。候補RNAは、リボソームRNA、メッセンジャーRNA、トランスファーRNA、およびウイルスRNA、またはそれらの組み合せが挙げられるが、これらに限定されない。これら全ては、広い分子量範囲にわたって回収され得る。代表的に、生物材料はまた、DNA、炭水化物、タンパク質。および脂質を含む。生物材料は、以下を含むが、これらに制限されない:体液(例えば、全血)、骨髄、血斑、血清、血漿、バフィーコート調製物、唾液および脳脊髄液、口内塗抹標本、培養細胞、細菌の細胞懸濁液または組織ホモジネート、固形動物組織(例えば、心臓、肝臓および脳)、体内老廃物(例えば、糞および尿)、空気、水、堆積物または土から得られる環境サンプル、植物組織、酵母、細菌、ウイルス、マイコプラズマ、真菌、原生動物、リケッチアおよび他の小さな微生物細胞。これらの生物材料の溶解物、ホモジネート、または部分精製サンプルもまた、使用され得る。一つの実施形態において、生物材料は、核酸の粗製混合物または部分精製混合物を含む。
【0025】
本発明の試薬、方法およびキットは、ゲノムDNAまたは他の不純物が比較的ほとんど混入していない実質的に純粋かつ分解されていないRNAを提供し、その結果このようなRNAは、後続のプロセス(例えば、RT−PCRおよびマイクロアレイ分析)において使用され得る。本明細書で使用される場合、「実質的に純粋な」とは、ゲノムDNA、炭水化物、タンパク質、脂質不純物が実質的にないことを意味し、その結果、このようなRNAは、当業者に公知の後の分析(例えば、RT−PCR、マイクロアレイ分析)において使用され得る。本明細書で使用される場合、「実質的に分解されていない」とは、非消化RNAまたはインタクトなRNAを意味し、これらのRNAは、標準技術を用いて、当業者によって、容易に測定され得る。つまり、RNAは、本発明の精製法の間、酵素的手段、物理的手段でまたは化学的手段で損傷を受けない。
【0026】
本発明の試薬、方法およびキットは、幅広い範囲の生物源および生活型を超えて、実質的に純粋かつ分解されていないRNAの精製に使用され得る。これら全てのRNAは、広い分子量範囲にわたって回収され得る。本発明を行って得られた実質的に純粋かつ分解されていないRNAは、純度、収量、大きさ、逆転写酵素または他のハイブリダイゼーションプロセス、増幅、ハイブリダイゼーション能などについて評価され得る。実質的に純粋かつ分解されていないRNAは、生物材料中に見出される総RNAの見本であり、そして代表的にmRNA、tRNA、rRNA、およびウイルスRNA組み合わせであるが、これらに制限されない。
【0027】
生物サンプルとしては、例えば、細胞懸濁液またはウイルス懸濁液およびそれらのペレット、体液、および組織ホモジネートなどが挙げられる。生物サンプルが細胞またはウイルスからなる場合、細胞またはウイルスは、この工程の前に数えられ得る。計数は、標準的な細胞カウント方法(例えば、電子細胞カウンター(例えば、CBC5 Coulter Counter、Coulter Corp.、Hialeah,FL)または視覚血球計算板(例えば、血球計、Bright Line、American Optical、Buffalo、NY))を用いて行われ得る。
【0028】
(1.試薬:)本発明は、3つのカテゴリーの試薬を含む。これらは各々、RNA結合溶液(加えて両親媒性の試薬を含む場合、代替的にRNA溶解溶液とも言われる)、RNA洗浄溶液、およびRNA溶出溶液である。
【0029】
((i)RNA結合溶液およびRNA溶解溶液:)RNA結合溶液は、核酸が優先的に最適な固体支持体に結合することを可能にする。RNA溶解溶液は、生物サンプルの有効な溶解を可能にし、核酸を放出し、そして核酸が優先的に最適な固体支持体に結合することを可能にする。RNA結合溶液は、以下の成分を含む:緩衝液;アルカリ金属塩;および随意的にキレート剤。RNA溶解溶液は、RNA結合溶液と同じ成分を含むが、加えて両親溶媒試薬(例えば、界面活性剤)を含む。RNA結合溶液およびRNA溶解溶液は、添加される強カオトロピック物質(例えば、グアニジニウム塩、尿素など)を必要としないという点で独特である。グアニジニウム塩および尿素は、強カオトロピック塩であり、水の構造を壊し、従って、他の溶質分子への強烈な効果を生じる疎水的相互作用の強度を減少させる傾向がある。例えば、尿素は、水に溶解した場合、タンパク質の2次構造、3次構造、および4次構造を破壊し、続いてRNAからタンパク質の解離を引き起こす。グアニジニウム塩および尿素は、吸熱反応を介して水に溶解する。グアニジニウム塩および尿素の両方は、ホフマイスター順列により定義されたように強カオトロピック塩であると見なされる。ここでホフマイスター順列とは、相対的なカオトロピック強度に従ってカチオンおよびアニオンを並べる、広く使用されている系である(F.Hofmeister,On the understanding of the effects of salts,Arch.Exp.Pathol.Pharmakol.(Leipzig)24(1888)247〜260)。
【0030】
相対的に、リチウムカチオン(Li+)も塩化物アニオン(Cl−)も、Hofmeister順列において強カオトロピックではない。このスキーム下で、例えば、塩化物アニオンは、一般的にコスモトロープ(kosmotrope)と見なされ、そしてリチウムカチオンは、ナトリウムカチオンと同様の溶媒効果を示す;従って、LiClは、強カオトロープ(chaotrope)ではなく、そしてコスモトロープと見なされる。高濃度リチウム塩(例えば、LiCl)は、グアニジニウム塩酸塩または尿素での、RNase A中の3つのトリプトファニル基全てと比べると、RNase A中の3つのトリプトファニル基のうち1つだけを露出する(Ahmad F.,J Biol Chem 1983 Sep 25;258(18):11143〜6,Free energy changes in ribonuclease A denaturation:Effect of urea,guanidine hydrochloride,and Lithium Salt.)。これらの結果は、LiClが、2次構造、3次構造、または4次構造への全体的な影響なしに、タンパク質構造内の局所的撹乱のみを誘導することを示している。従って、LiClは、タンパク質変性についての広範囲の有用性を有するカオトロープではない。対照的に、グアニジニウム塩は、実質的に全てのタンパク質の変性において有効的である。その上、強カカオトロピック塩とは異なり、水中でのリチウム塩(例えば、塩化リチウム)の反応は、発熱反応である。例えば上記のような相違は、強カオトロピック物質(例えば、グアニジニウム)と本発明のアルカリ金属塩との間の相違を示し、そしてRNA結合溶液およびRNA溶解溶液の他の構成成分とこれらの相互作用に影響し、そして結果的に固体支持体に対するRNAの結合に影響する。
【0031】
RNA結合溶液またはRNA溶解溶液の第1の構成成分は、前記の溶液のpHを少なくとも約7、好ましくは少なくとも約8、より好ましくは約8.5、そして最も好ましくは約9に保つ緩衝液である。緩衝液は、好ましくは少なくとも約8のpHを有し、そして好ましくは10〜100mMの濃度で使用される。好ましい緩衝液は、Tris緩衝液である。随意的に、塩基は、RNA結合溶液またはRNA溶解溶液のpHを調整するために使用され得る。好ましくは、この塩基は、前記の溶液のpHを少なくとも7まで上げ得る塩基である。塩基は、好ましくはアルカリ金属水酸化物である。そのようなアルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および水酸化リチウムが挙げられる。中性から高pHのRNA結合溶液またはRNA溶解溶液は、核酸、特にRNAの固体支持体に結合する能力を高める。
【0032】
RNA結合溶液またはRNA溶解溶液の第2の構成成分は、核酸(例えば、RNA)に対する独自の結合特性を与えるRNA複合塩であり、その結果このような核酸は、他の混入物(例えば、タンパク質、リン脂質など)よりも固体支持体に優先的に結合し得る。好ましくは、このようなRNA複合塩は、アルカリ金属塩である。適した塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、およびリチウム塩が挙げられる。好ましくは、塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、および塩化リチウムである。最も好ましくは、塩は塩化リチウムである。好ましくは、塩は4〜10Mの間の高塩濃度で存在する。
【0033】
RNA溶解溶液は、加えて両親媒性試薬を含む。この試薬は、疎水性官能基(例えば、炭化水素鎖)に結合された親水基を有し、そして界面活性剤特性を有する化合物または分子から成る。一つの実施形態において、両親媒性試薬は、界面活性剤である。アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、および双性イオン性界面活性剤が全て使用され得るが、RNA単離は、非イオン性界面活性剤の使用により最適に達成される。非イオン性界面活性剤は、極性基を欠き、そして全ての界面活性剤のうち最も穏やかである。いくつかの非イオン性界面活性剤が使用され得るが、非イオン性界面活性剤は、好ましくはTween分類(Tween−20、Tween−40、Tween−60、Tween−80、など)、Triton分類(X−100、X−114、XL−80N、など)、Tergitols(XD、TMN−6、など)およびNoniodets(NP−10、NP−40、など)由来のものである。好ましくは、非イオン性界面活性剤は、2〜20%の濃度で、より好ましくは約10%で使用される。非イオン性界面活性剤の組み合わせもまた、使用され得る。例えば、TweenおよびTritonは、様々な割合(例えば、1:1の割合)で使用され得る。
【0034】
RNAの分解を妨げるため、RNaseを含まない水が、RNA結合溶液またはRNA溶解溶液において使用される。随意的に、キレート剤もまたどちらかの溶液において使用され、混入DNAの分解を妨げる。キレート剤の使用は、さらなる混入問題を引き起こし得る、DNAポリメラーゼの小さい断片への分解を妨げる。好ましくは、キレート剤は1〜100mMの濃度で存在し;より好ましくは、キレート剤は1〜10mMの濃度で存在する。好ましくは、キレート剤は、EDTAまたはCDTAである。
【0035】
RNA結合溶液およびRNA溶解溶液は、先行技術に使用された試薬に対して重要な利点を有する。RNA溶解溶液の場合、各々前述の高濃度で、中性から高pHの緩衝液において、RNA複合塩、および本発明により教示されるような界面活性剤の独自の組み合わせは、フェノール、クロロホルム、およびグアニジニウム塩のような試薬の使用なしに、RNAに有害な酵素(例えば、RNase)の不活化を促進する。加えて、RNA結合溶液とRNA溶解溶液の両方は、核酸に、最適な固体支持体ときつく結合するように、高い結合特性を与える。
【0036】
((ii)RNA洗浄溶液:)本発明はまた、低い塩濃度を有するRNA洗浄溶液を教示する。RNA洗浄溶液は、非核酸混入物(例えば、タンパク質、リン脂質など)を除去するために、核酸が結合した固体支持体の洗浄に使用される。RNA洗浄溶液は、好ましくは50%を越える濃度のアルコール、緩衝液および低濃度の塩を含む。随意的に、RNA洗浄溶液は、キレート剤を含む。本発明の目的において、低塩濃度は、後続の処理方法(例えば、RT−PCR)の阻害を妨げるために後続の脱塩工程が不必要とされる塩濃度を意味する。好ましいRNA洗浄溶液は、Gentra RNA洗浄溶液(Part.No.S2−0025,Gentra Systems,Inc.,Minneapolis,MN)である。
【0037】
((iii)RNA溶出溶液:)固体支持体に結合したRNAがn RNA溶出溶液を用いて優先的に溶出され得ると同時に、固体支持体に結合した混入DNAが残される。生物材料の溶解およびRNAの固体支持体への結合において使用された試薬、および本発明で教示された固体支持体の洗浄において使用された試薬の単純性は、簡単なRNA溶出溶液に適する。一つの実施形態において、RNaseを含まない水、好ましくはRNaseを不活化する物質(例えば、ピロ炭酸ジエチル(DEPC))で処理したRNaseを含まない水が使用され得る。当業者に公知の他のRNA溶出溶液もまた使用され得る。好ましいRNA溶出溶液は、Gentra RNA溶出溶液(Part.No.S3−0025 Gentra Systems,Inc.,Minneapolis,MN)である。
【0038】
(2.固体支持体:)様々な固体支持体が、本発明において使用され得る。これらとしては、セルロース、セルロースアセテート、ニトロセルロース、ナイロン、ポリエステル、ポリエーテルスルホン、ポリオレフィン、フッ化ポリビニリデン、およびそれらの組み合わせから作製される固体支持体が挙げられる。本発明の試薬との使用に適した固体支持体の大きさは、生物材料の量に従って変化し得る。例えば、Schleicher and Schuell 903ペーパー(厚さ0.5mmを有し、固体支持体に使用される)の場合、直径3mmのディスクは、約3μlの生物材料を保持するが、直径8mmのディスクは、約25μlの生物材料を保持する。生物材料の量が増加するにつれて、固体支持体の厚みおよび/または直径が合わせて増加し得る。
【0039】
好ましくは、固体支持体は、前述のRNA溶解溶液の存在下で、他の生物材料混入物よりも固体支持体に対する核酸の優先的な結合を可能にする材料である。好ましくは、そのような固体支持体は、接着ポリエステル繊維(例えば、Filtrona(登録商標)Filter Media(Lot.No.R−20653)から成る。一つの実施形態において、ポリエステル繊維は、代替の容器構造中に収容される、または代替の構造中で形成されるために、断片化され、小さな粒子を作る。一つの構造は、非依存性遊離状態の固体支持体であり得る。
【0040】
本発明の試薬との使用に適した固体支持体の形は、例えば、シート、プレカットディスク、円筒、単繊維、粒子から成る固体支持体であり得る。固体支持体の材料は、適した容器に固定化され得、または入れられ得る、遊離状態固体支持体(例えば、メンブレン、ディスク、またはシリンダー)を作るため、パックされ得る。必要な場合、固体支持体は、適切な容器(例えば、ペーパー型(例えば、Guthrie card)、ミクロ遠心チューブ、スピンチューブ、96ウェルプレート、チャンバー、またはカートリッジ)に含まれる。固体支持体は、繊維を含む場合、繊維を適切にパックし、最適な核酸結合および混入物(例えば、タンパク質、リン脂質など)の洗浄を可能にするために、適切な容器に入れられ得る。
【0041】
一つの実施形態において、固体支持体は、RNA結合溶液またはRNA溶解溶液で前処理され、RNA単離の多くの工程を減らし得る。生物材料が細胞材料またはウイルス材料を含む場合、一つの工程で生物材料を溶解しそして核酸を結合するために、RNA溶解溶液が使用される。好ましくは、固体支持体を処理するために使用される、RNA結合溶液またはRNA溶解溶液の量は、少なくとも固体支持体の総体積の10分の1である。さらに好ましくは、RNA結合溶液またはRNA溶解溶液の量は、少なくとも固体支持体の総体積の2分の1であり、そして最も好ましくは、RNA結合溶液またはRNA溶解溶液の量は、少なくとも固体支持体の総体積と一致する。固体支持体の総体積とは、固体支持体の外部境界により規定した量を言う。外部境界は、固体支持体を含む容器の形および/または内部境界により決定され得る。RNA溶解溶液は、固体支持体の間隙空間内に捕捉される、または固体支持体の材料(例えば、繊維、ビーズなど)上に沈着されることにより、共有結合的に、非共有結合的に結合され得る。好ましくは、RNA結合溶液またはRNA溶解溶液は、固体支持体上で乾燥することを可能にされる。
【0042】
本発明の別の実施形態において、RNA結合溶液またはRNA溶解溶液は、固体支持体の作製に使用された材料(例えば、繊維など)に直接添加され得、そして好ましくは、最終使用者準備形態(final user−ready form)(例えば、ペーパー、塗抹標本、ディスク、プラグ、カラムなど)にされる前に乾燥することを可能にされ得る。
【0043】
本発明がより良く理解されるために、固体支持体を含む容器の特定の実施形態が今からより詳細に説明される。
【0044】
本発明の一つの好ましい実施形態において、容器は、上端に1つ以上の注入ポートまたは貫通可能な隔壁を備えたカートリッジである。注入ポートは、サンプルまたは試薬を含む容器上方に、コネクター(例えば、メス型Luer−Lock)によって接続される。1つの注入ポート(サンプルポート)は、固体支持体に対する生物サンプルの適用のために使用される。サンプルポートに関する任意の特徴は、サンプルポートを通してサンプルが移された後にサンプルポートを密封する自己密封機構である。第2の注入ポートは、試薬ポートとして機能する。両方の注入ポートに関する任意の特徴は、保護性の簡単に壊れる封(protective breakaway seal)である。さらに、注入ポート、簡単に壊れる封、および分散器は、任意のねじふた中に内蔵され得る。固体支持体の底には、細胞破片、タンパク質、および脂質分子の分散および通過に適した孔径を有する任意の分散器がある。分散器は、カートリッジの断面を横切る生物材料の均一な横断を可能にし、そして固体支持体の上または下どこにおいても、生物材料の不均等な蓄積を妨げる。カートリッジの排出口は、テーパーバレル上にきちんと適合する保護蓋を備える。精製したRNAは、容易かつ混入を含まない保存のため、スナップ蓋を有する円錐管から成る回収チューブ中に集められる。容器全体は、処理されるサンプルの大きさおよび次の分析に必要とされる産物量に応じた大きさに調整され得る。例えば、25.2mmの寸法周径)、3〜10mmの長さを有する、Filtronat(商標登録)Filter Media(Lot.No.R−20653)フィルターによって作られた好ましい固体支持体は、適したチューブに入れられており、サイズにおいて調整されるか、およびより大きなサンプルを処理するためにより大きなチューブに入れられるのどちらかであり得る。代替的に、そのようなフィルターは、変化するサンプル量に適応し、および類似の結果を達成するために、チューブ内でお互いの上または下に積み重ねられ得る。
【0045】
本発明の別の好ましい実施形態において、容器は、挿入物を保持するために設計されたスピンチューブからなり、その挿入物の中に固体支持体がパックされる。固体支持体は、セルロース、セルロースアセテート、ニトロセルロース、ナイロン、ポリエステル、ポリエーテルスルホン、ポリオレフィン、フッ化ポリビニリデン、およびこれらの組み合わせであり得る。挿入物は、挿入物をスピンチューブに保持するフランジ(flanged)先端および液体を通すが、固体支持体を支持することを可能にする穿孔底から成る。スピンチューブにつながれた蓋は、挿入物を覆うために使用され得る。溶液(例えば、非核酸混入物を含むRNA溶出溶液、RNA洗浄溶液、またはRNAを含むRNA溶出溶液)は、穿孔底を通過し、そして前述の溶液を排出する遠心力によりスピンチューブの底に回収される。
【0046】
さらに別の実施形態において、容器は複数ウェルプレート(例えば、6、12、24、48、96、または384ウェルプレート)であり得、そこで固体支持体は各ウェルにパックされる。各ウェルの底は、出口ポートを有し、そこを混入物または精製RNAを含む溶液が通過し得る。
【0047】
最適な固体支持体と独自の試薬(RNA結合溶液(またはRNA溶解溶液)、RNA洗浄溶液、およびRNA溶出溶液)の独自の組み合わせは、実質的に純粋かつ、分解されていないRNAの単離を生じる。上記のようなRNA結合溶液またはRNA溶解溶液の特性は、固体支持体に対する核酸の優先的な結合を可能にするが、一方RNA溶出溶液は、固体支持体からのDNAの溶出よりも、RNAの優先的な溶出を可能にする。
【0048】
(3.方法:)本発明はまた、生物材料からRNAを精製する方法を提供する。本発明で教示される試薬および固体支持体は、2つの代替の単離方法に役立つ。第1の方法において、生物材料は、固体支持体と接触させられる前に、RNA結合溶液またはRNA溶解溶液と接触させられる。生物材料が、細胞材料またはウイルス材料を含む場合、RNA溶解溶液は、生物材料を溶解するために使用され、そして固体支持体に添加する前にRNAが放出される。加えて、RNA溶解溶液は、有害な酵素(例えば、RNase)の有害な影響を妨げる。RNA溶解溶液は、ペレットにおいて培養細胞または白血球細胞を溶解するために、または培養プレート(例えば、標準96ウェルプレート)に接着している細胞、または培養プレート内で回収された細胞を溶解するために、うまく使用され得る。生物材料が組織塊または小さな粒子を含む場合、RNA溶解溶液は、その効果的な溶解能力のために、このような組織塊を粉砕してスラリーにするために効果的に使用され得る。RNA溶解溶液量は、細胞の数または組織の大きさに応じてスケールアップまたはスケールダウンされ得る。一度生物材料が溶解されると、溶解液は直接固体支持体に添加され、少なくとも1分間インキュベートされ、固体支持体に対する核酸の結合を可能にし得る。好ましくは、溶解液は、5分間インキュベートすることを可能にされる。別の実施形態において、生物材料が核酸の粗製混合物または部分精製混合物からなる場合、本発明のRNA溶解溶液は、RNAからタンパク質を解離するために使用され得る。
【0049】
第2の方法において、RNA結合溶液またはRNA溶解溶液は、直接固体支持体に添加され得、それにより工程を除去し得、そしてさらに方法を単純化し得る。この後者の方法において、RNA結合溶液またはRNA溶解溶液は、固体支持体に適用され得、次いで処理した固体支持体と生物材料を接触させる前に、固体支持体上で乾燥され得る。例えば、一つの実施形態において、適切な量のRNA結合溶液またはRNA溶解溶液は、Spin−X basketに配置された固体支持体に直接添加される。ここで、Spin−X basketは、さらに2mlスピンチューブに配置されている。いくらか過剰の結合していないRNA溶解溶液またはRNA結合溶液が除去された後、固体支持体は、乾燥まで少なくとも12時間、40〜80℃の間で加熱され、そして次に乾燥(dessication)下で保存される。生物材料は、RNA結合溶液またはRNA溶解溶液を前処理した固体支持体に直接添加され得、そして生物材料がうまく溶解し、核酸が放出され、そして固体支持体に結合するまで、少なくとも1分間、好ましくは少なくとも5分間インキュベートすることを可能にし得る。
【0050】
生物材料が、細胞材料またはウイルス材料を含む場合、RNA溶解溶液との直接接触、またはRNA溶解溶液で前処理した固体支持体との接触は、細胞膜および核膜、またはウイルス外被を可溶化および/または破裂し、それにより核酸並びに他の混入物質(例えば、タンパク質、リン脂質など)を放出する。放出された核酸は、RNA複合塩の存在下で、固体支持体と選択的に結合する。
【0051】
このインキュベーション終了後、適した方法(例えば、遠心分離、ピペッティング、加圧、減圧)により、または核酸が固体支持体に結合したままにされるような、RNA洗浄溶液と前述の方法の組み合わせにより、生物材料の残留物は、随意的に除去される。好ましくは、非核酸生物材料(タンパク質、リン脂質などが挙げられる)の残留物は、遠心分離によって、溶解液中の非結合混入物が固体支持体から分離されるように、最初に除去される。この後に、適量の適切なRNA洗浄溶液を使用する、1つ以上の洗浄工程が続く。各洗浄工程の後に、遠心分離工程が続く。好ましくは、洗浄工程の数は少なくとも2回、より好ましい洗浄工程の数は、少なくとも3回である。複数の洗浄工程は、固体支持体から実質的に全ての混合物を除去し、そして固体支持体に優先的に結合した核酸を残す。
【0052】
その後、結合したRNAは、適量の当業者に公知のRNA溶出溶液を使用して優先的に溶出し、固体支持体に結合した混入DNAは残される。好ましくは、次に固体支持体は遠心分離されるか、または加圧もしくは減圧に供され、固体支持体からRNAを放出し、そしてRNAは適切な容器に回収される。
【0053】
本発明の別の局面の場合、特定のプロトコールを含むキットが提供され、このプロトコールは、本明細書中に記述されるような試薬および随意的に固体支持体と組み合わせることで、本発明の方法に従った、生物材料からのRNA精製に使用され得る。このキットは、説明手段も含む。
【0054】
本発明は、以下の詳細な実施例への言及によりさらに説明される。これらの実施例は、様々な特定のかつ例示的な実施形態および技術をさらに説明するために提供される。しかしながら、本発明の範囲内でありながら、多くの変化および改変が成され得ると理解され得る。
【0055】
以下に言及される全ての未加工の材料は、商業源(例えば、Sigma Chemical Company,St.Louis,MO)より容易に入手可能である。全ての割合は、特に規定されなければ、試薬の総量に基づいた容量/容量である。
【実施例】
【0056】
(実施例1.ヒト培養細胞からのRNAの単離)
培養K562細胞(ヒトリンパ芽球腫細胞株)をATCC(Manassas,VA)より得、ATCC推薦の培地を用いて培養した。細胞を、血球計を用いて数え、そして200万個の細胞を含むサンプル量を1.7mlミクロ遠心チューブに分配した。細胞をペレットにし、そして20秒間、12000gで遠心分離し、上清を除去した。次いで、これらの細胞ペレットを、使用するまで−80℃で凍結した。
【0057】
培養細胞を、氷上で解凍し、そして200μl RNA溶解溶液(50mM Tris緩衝液、pH8.8中の5% Triton X−100、5% Tween 20、7.2M 塩化リチウム、10mM EDTA)を添加し、上下に穏やかにピペッティングして十分に細胞を溶解することにより、細胞からRNAを精製した。次いで、生じた溶解液を、2mlミクロ遠心チューブ(Spin−X,カタログNo.9424,Corning Costar,Cambridge,MA)の挿入部分中に配置された、8mm直径および5mm長に近い大きさの固体支持体(Filtrona(登録商標)Filter Media Lot No.R−20653,Filtrona Richmond,Inc.(Richmond,VA))に添加した。溶解液を固体支持体と共に5分間インキュベートし、溶解された細胞から放出された核酸が固体支持体に優先的に付着できるようにした。固体支持体および生物材料を含むミクロ遠心チューブを、10秒間、12,000×gで遠心分離し、混入物(例えば、タンパク質、リン脂質など)を含む過剰溶解溶液を回収し、固体支持体に付着した核酸を残した。続いて、容量200μlRNA洗浄溶液(Gentra RNA洗浄溶液(Part.No.S2−0025,Gentra Systems,Inc.,Minneapolis,MN))を固体支持体に添加し、10秒間、12,000×gで遠心分離した。次いで、固体支持体を含む挿入物を、2番目の2ml廃棄物収集チューブに移した。この洗浄工程は、全部で3回の連続した洗浄工程を繰り返した。しかしながら、3番目の洗浄の後に10秒の代わりに20秒間の遠心分離を行った。
【0058】
次いで、固体支持体を含む挿入物を、きれいな2ml回収チューブに移した。固体支持体からRNAを放出するため、容量100μlのRNA溶出溶液(Part.No.S3−0025,Gentra RNA溶出溶液,Gentra Systems,Minneapolis,MN)を加え、そして室温で5分間インキュベートすることを可能にした。回収チューブを、60秒間、12,000×gで遠心分離し、2ml回収チューブに精製RNAを回収した。次いで、精製RNAを使用の準備ができるまで氷上に保存した。すぐに使用されないサンプルは、−70℃〜−80℃で適切に保存された。
【0059】
(実施例2.RNA精製の界面活性剤の評価)
異なる界面活性剤を、7.2M LiCIを含む緩衝化溶液に添加し、RNA産出量の最適化に必要とされる界面活性剤の最も良い型を決定する能力を評価した。以下の界面活性剤を試験した:1%アンモニウムラウリルスルフェート、1%ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)、10% Tween−20および10% Triton X−100。界面活性剤を45mM Tris,pH8.8を含む緩衝液に添加した。200μl量の各混合物を固体支持体(Filtrona(登録商標)Filter Media Lot#.R−20619,Filtrona Richmond,Inc.(Richmond,VA))に添加し、そして19時間、60℃で乾燥した。200万個のK−562細胞を、10mM EDTAを含むリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)中に懸濁し、そして固体支持体上でピペッティングした。固体支持体を、200μlのRNA洗浄溶液(Gentra RNA洗浄溶液(Part.No.S2−0025,Gentra Systems,Inc.,Minneapolis,MN))で3回洗浄することにより、RNAを精製し、そして100μlのRNA溶出溶液で溶出した。この場合、RNaseを含まない水をRNA溶出溶液として使用した。RNAの産出を測定するため、各サンプルの1:20希釈を脱イオン水中で調製した。また、緩衝化溶液(例えば、TE(10mM Tris,1mM EDTA,pH8.0)を希釈液として使用した。RNA溶出溶液を含むブランクに対して標準化したBeckman DU64分光光度計(Beckman Instruments,Inc.,Fullerton,CA)を用いて、320nm(バックグラウンド)、260nm、および280nmでの吸光度を読んだ。RNA濃度を以下のように計算した:(A260−A320)×40μg/ml(RNA吸光係数)×50(希釈係数);産生したRNAを、RNA濃度と回収した溶出量を掛け合せることで計算した。推定RNA純度は、260nmおよび280nmでの吸光度比率、A260/A280である。この比率の値が、1.8および2.1の間の場合、サンプルは比較的タンパク質および他の混入物を含まないと見なされる。この比率は、以下のように計算される:(A260−A320)/(A280−A320)。半定量的評価および定量的評価の両方を、2%アガロースゲル電気泳動を用いて行った。RNAの量をエチジウムブロマイド染色の強度を調べることで、推定した。RNAの品質を、18sバンドの強度の約2倍である28s断片を有するリボソームバンドの存在により、評価した。品質のさらなる指標は、RNAのバンドよりも非常に高い分子量として存在するゲノムDNAの減少または欠如であった。
【0060】
従って、各RNAサンプルの5μl量サンプルを10×追跡用色素と混合し、そして2%アガロースゲルにロードした。RNAは、100ボルトで30分間、ゲルおよび泳動緩衝液の両方において、0.125μg/mlエチジウムブロマイドとの電気泳動により大きさを分離して、可視化を可能にした。電気泳動の後、蛍光RNAバンドをKodak Digital Imaging System EDAS 120 LE(Kodak,Rochester,NY)を有するトランスイルミネーター(transilluminator)上で可視化した。
【0061】
界面活性剤の3つ全ての型が、RNA精製におけるRNA溶解溶液中の添加剤として有効であり、4.9μg〜6.2μgの間のRNA収量をもたらす。これは、アガロースゲル電気泳動後のRNA染色の相対的な同等性により確かめられた。RNAの品質を、1.8より大きいA260/A280比率およびアガロースゲル電気泳動後の28sおよび18s rRNAバンドの「2:1」比率の存在で、さらに評価した。各サンプルのわずかな高分子量バンドのみの存在は、ゲノムDNA混入の実質的な除去を示した。DNA混入は、5μlサンプル中、予想600ngDNAのうち10ng未満、または2%未満であると推定された。
【0062】
いくつかの界面活性剤およびそれらの組み合わせが水溶液中で沈殿しないこともまた決定された。例えば、いくつかの非イオン性界面活性剤およびそれらの組み合わせは、安定した懸濁液を形成し、そしてより使用しやすい。
【0063】
【表1−1】
【0064】
【表1−2】
(実施例3.96ウェルプレート形式におけるRNA精製の形式)
RNA精製の再現性を、96ウェルプレートを用いて試験した。ヒト細胞(K562、リンパ芽球腫細胞株)を細胞カウンター(Coulter Counter CBC−5,Coulter Electronics,Inc.,Hialeah,FL)を用いて数え、そして50mlポリプロピレン遠心分離チューブに、2000gで3分間の遠心分離によって回収された。細胞ペレットを、−80℃で凍結し、実験のために解凍した。細胞を、実施例1に記載したRNA溶解溶液と、3×106細胞/mlの濃度で、RNA溶解溶液を添加することにより混合し、次いで上下に5回穏やかにピペッティングし、溶解液を生成した。溶解液(0.15ml/ウェル)を、Generation Capture Plate(Gentra Systems,Minneapolis,MN,カタログ番号200017)の96ウェルフロースルー(flowthrough)プレート(ここにプロセシングプレートとして言われる)の各ウェルに等分した。ここで、各ウェルには、15.39mm周径および15mm長の大きさのポリエステル固体支持体(Filtrona(登録商標)Filter Media R−22607,Filtrona Richmond,Richmond,VA)が取りつけられた。遠心分離後の各試薬の添加に続き、プロセシングプレートをきれいで標準粘着性のプレートシールで覆い、混入を妨いだ。プレートをGeneration Wasteプレート(Part.No.200028,Gentra Systems,Minneapolis,MN)上に置いた。溶解液は固体支持体とインキュベートされ、そして核酸を固体支持体上に5分間室温で結合させ、その後に、プレートを2000×gで3分間遠心分離した(M4 Swing−Out Rotorを備えたCentrifuge Model C412,カタログ番号11175338;Jouann,Winchester,VA)。容量150μlのRNA洗浄溶液(Gentra RNA Wash Solution(Part.No.S2−0025,Gentra Systems,Inc.,Minneapolis,MN))を各ウェルに添加し、そしてプレートを前記のようにさらに2回遠心分離した。3回目の洗浄後、廃棄プレートをRNaseを含まない96ウェル回収プレートに変えた。容量100μlのRNA溶出溶液(Gentra RNA Elution Solution, Part.No. S3−0025,Gentra Systems,Minneapolis,MN)をフィルターに添加し、そしてプレートを5分間室温でインキュベートした。次いで、RNAを2000×gで5分間遠心分離により回収した。RNA収量およびRNAの品質を推定するため、吸光度(OD)を260nmで96ウェルUVプレートリーダー(SpectraMax Plus UV Plate Reader,Softmax Pro Version 2.2.1ソフトウェア,Molecular Devices,Sunnyvale,CA)によって測定した。RNA収量を実施例2に記載したように計算した。RNA収量は、8.79+/−1.49μg(17%変動係数)であった。
【0065】
本発明の試薬および方法を用いて精製したRNAの、定量RT−PCRに対する適合性および96反復単離からのRNA産出の再現性を判定するために、ABI PRISM 7900HT Instrument(Applied Biosystems,Foster City, CA)を使用する5’ヌクレアーゼ(「Taqman」)アッセイを用いて、ヒトβアクチンmRNAを増幅した。単一工程逆転写PCR(Taqman EZ RT−PCR Core Reagents,カタログ番号N808−0236,Applied Biosystems,Foster City,CA)を、20μl反応液を使用して、384ウェルOptical Plates(カタログ番号.4309849,Applied Biosystems,Foster City,CA)において行った。容量15μlの試薬混合物をプレートの各ウェルに添加し、次いで5μlの精製RNA(RNaseを含まない水で1:100に希釈した)を添加した。反応プレートを、反応準備の間氷上に維持した。反応液は、1×EZ RT−PCR緩衝液、3.0mM 酢酸マグネシウム、0.3mM dATP、0.3mM dCTP、0.3mM dGTP、0.6mM dUTP、1×ヒトβ−アクチンプライマー/プローブミックス(VIC)(カタログ番号4310855,Applied Biosystems,Foster City,CA)、0.2単位のウラシル−N−グリコシラーゼ、および2単位のrTth DNAポリメラーゼを含んだ。プレートをOptical Adhesive Cover(カタログ番号4311971,Applied Biosystems,Foster City,CA)で密封し、そして7900HTにおいて以下のように循環した:50℃を2分間、60℃を15分間;94℃を5秒間、そして60℃を1分間を全部で50サイクル。ヒトβアクチン配列を含むRNA転写物は、検量線として用いるために1回の反応につき1011から10コピーへ希釈された。加熱サイクリングの間、7900HT InstrumentはPCRのアニール/伸長期間の蛍光データ蓄積した。データ分析を、Sequence Detection Systems Software(SDSバージョン2.0a23,Applied Biosystems)を用いて行った。検量線は、1000コピーと1010コピー(R2>0.998)との間で線形であった。閾値サイクル(Ct)は、平均18.8+/−0.39サイクル(変動係数=2.1%、N=96)であった。サイクル閾値を、蛍光増幅産物が、バックグラウンドよりも有意に多くなるところでのサイクル数として定義した。計算されたコピー数は、1回の反応物につき平均4.6×108+/−1.0×108コピー(変動係数=22%、N=96)であった。この実験は、96ウェルプレート形式におけるβアクチン転写物検出の一貫性を証明した。
【0066】
(実施例4.RT−PCR分析における精製RNAの評価)
後続の分析における使用に対する精製RNAの適合性をさらに評価するため、RT−PCR分析におけるRNAの性能を評価した。実施例1の手順に従って精製した5μlのRNA、1×GeneAmp PCR Buffer II(part no.N808−0010,Applied Biosystems,Foster City,CA)、0.1%Igepal CA−630(Part no.I−3021,Sigma Chemical,St.Louis,MO)、9.3mM MgCl2(Part no.M−1028,Sigma)、1.25 mMの各dATP、dTTP、dCTP、およびdGTP(Nucleotide Set,Part no.77100,US Biochemical,Cleveland,OH)、5mMジチオスレイトール(Part no.D−9779,Sigma)、2.5ngランダムプライマー(part no.C1181,Promega,Madison,WI)、16単位の組換えリボヌクレアーゼ阻害因子(rRNasin,part no.N2515,Promega,Madison,WI)、および40単位のMMLV−RT(part no.M1705,Promega,Madison,WI)を含む15μl反応溶液中で、RNAを逆転写した。反応液を25℃で10分間インキュベートし、ランダムプライマーのアニーリングを可能にし、42℃で15分間、次いで99℃で5分間インキュベートし、逆転写酵素を不活化した。PCRミックスを添加し、そして92℃を5秒間、64℃を30秒間、72℃を1分間を5サイクルおよび94℃を5秒間、64℃を30秒間、72℃を1分間を25サイクル、続いて72℃を15分間の最終伸長の増幅を行った。反応液は、20mM Tris−硫酸塩、pH9.0、20mM硫酸アンモニウム、0.1%Igepal CA−630,Keystone Division of BioSource,Foster City,CA.によって合成された300nM各プライマーBA−F 5’−GCCAACCGCGAGAAGATGAC;BA−R:5’−CCGTCACCGGAGTCCATCACおよび2.5単位のTaq DNAポリメラーゼ(Promega, Madison,WI)を含んだ。これらのPCRプライマーは、βアクチンmRNA由来の134塩基対のアンプリコンを生成する。反応産物を、0.5μg/mlエチジウムブロマイドを含む2%アガロースゲル(100V 1h)上の電気泳動により分析した。バンドをUVトランスイルミネーターにより可視化した。予想された大きさの産物を観察した。
【0067】
RNAの品質をさらに評価するため、より大きなアンプリコンを他のプライマーセットを用いて単離したRNAから直ちに増幅した。RNAが実質的に分解された場合、より大きなアンプリコンは標準電気泳動法を用いて検出できない。例えば、トリプトファンtRNA合成酵素mRNA由来のPCRプライマーのセット(各々Keystone,Foster City,CAにより合成されたF:5’−CCAGGGAACCCAGCACCTAC;R:5’−AAAGCCACAGGCGATGATGTC)は、本発明により単離された10サンプルの総RNA由来492塩基対断片の増幅にうまく利用された。
【0068】
(実施例5.RNA溶解溶液のカオトロープ剤減少効果の使用
グアニジウム塩は、最も強力であると知られるRNaseの失活剤の一つである。従って、強力なカオトロープ剤(例えば、グアニジニウムイソチオシアネート(GITC)およびグアニジニウム塩酸塩)が、塩化リチウムの代わりになり得るか、または本発明の方法における試薬を用いてRNA収量が増加し得るかのいずれかの場合を発見することが目的である。
【0069】
3セットの実験を行った。実験条件は、以下である:(1)GITCで前処理した固体支持体;(2)GITC中で前溶解され、次いで固体支持体に添加される細胞;および(3)実施例1のRNA溶出溶液へのカオトロープの添加。全ての実験において、実施例1の固体支持体(Filtrona(登録商標)Filter Media Lot No.R−20653,Filtrona Richmond,Inc.(Richmond,VA))を使用した。
【0070】
第1の実験セットにおいて、RNA溶解溶液またはGTIC溶解溶液(Buffer RLT,Qiagen,Valencia,CA)を、フィルター上でこの溶液の200μlをピペッティングし、次いで68℃で18時間乾燥することによって固体支持体をコーティングした。処理した固体支持体を、実施例2の方法に従って、K562細胞からRNAを精製する能力を反復して試験した。精製したRNAのアガロースゲル電気泳動は、実施例2に記載されるように、GITC溶解溶液(Buffer RLT,Qiagen,Valencia,CA)を使用するRNA収量は、フィルターに結合するために本発明のRNA溶解溶液を使用した場合に観察されたRNA収量の10%に満たないことを示した。
【0071】
第2の実験セットは、固体支持体へのRNAの結合を促進するGITCの能力を評価することを試みた。K562細胞を緩衝液RLT(Qiagen,Valencia,CA)中に溶解し、次いで未処理のフィルターにかけた。緩衝液RLTの存在下での結合は、有意に低い収量(実施例1に記載されるようなRNA溶解溶液を使用したRNAの50%未満)を生じた。
【0072】
最後に、カオトロピック塩を本発明のRNA溶解溶液に添加し、本発明の方法におけるRNA収量を向上させるカオトロピック塩の能力を評価した。4Mグアニジニウムイソチオシアネート、6Mグアニジニウム塩酸塩、または8.3M尿素を添加した、実施例1に記載される本発明のRNA溶解溶液を、実施例1に記載される方法に従ってRNAを精製するために使用した。前述の各溶液のpHは、それぞれ8.8、8.8、および8.6であったことを決定した。尿素−LiCl溶解溶液を用いて得たRNA収量は、実施例1のRNA溶解溶液を使用したRNA収量の約35%であった。グアニジニウム塩酸塩を使用して、さらに少ないRNAを回収し、そしてグアニジニウムチオシアン酸塩をRNA溶解溶液に添加した場合、ゲル上でRNAを認めなかった。これらの結果は、グアニジニウム塩が、リチウム塩の代わりになり得ず、リチウム塩の存在下でRNA結合の効果を増強し得ないことを実証する。従って、これらの実験は、塩化リチウム存在下における本発明の固体支持体へのRNA結合が、カオトロピック塩存在下における類似の固相への核酸の結合と明確に異なる機構により生じることを示す。
【0073】
(実施例6.固体支持体を用いるRNA精製における低pHの影響)
RNaseは、低pHで迅速にかつ効果的に不活化される。それ故、本方法が低pH RNA溶解溶液の使用により増強され得るか否かを決定することを目的とした。
【0074】
従って、45mM Tris pH8.8緩衝液を45mMクエン酸緩衝液pH4.6と換えたことを除いて、本発明の実施例2に従って、2つ(一つは低pH(pH4.6)で、そして2番目は高pH(pH8.8))のRNA溶解溶液を調製した。300μl容量の各RNA溶解溶液を、固体支持体(Filtrona Lot #R20653, Filtrona Richmond,Inc.(Richmond,VA))に添加し、そして実施例2に記載されるように乾燥した。実施例2によるRNA精製法の後に、回収したRNAをUV分光光度法により測定した。pH4.6 RNA溶解溶液を用いて精製したRNAの平均収量は、3.60μg(4反復で、標準偏差は0.86であった)である一方、pH8.8 RNA溶解溶液を用いた平均収量は、11.40μg(4反復で、標準偏差は0.32であった)であった。この結果は、溶解溶液のpHの低下が、生じるRNAの収量および純度を有意に減少させたことを示した。
【0075】
(実施例7.精製したRNAサンプルにおけるゲノムDNA混入の決定)
遺伝子発現および他の分析にとって、RNA調製物は実質的にDNAを含まず、一貫しかつ確実な結果を示すことが望ましい。ゲノムDNA混入は、多くの現在のRNA精製技術にともなう問題である。本発明の試薬および方法により精製された精製RNAのゲノムDNA含有量を評価することを目的とした。
【0076】
2つの分析を用いて、ゲノムDNA含有量を評価した:リアルタイム定量PCRおよびアガロースゲル電気泳動。第1の分析において、DNA含有量は、実施例3に記載されるような96ウェル形式で精製されたRNAから推定した。精製RNAのゲノムDNA含有量を、Taqman RNase Pアッセイを使用する定量アッセイにより推定した。Taqman Universal PCR Master Mix(Part No.4304437,Applied Biosystems,Foster City,CA)、TaqMan RNase P Detector Reagents(FAM)(part no.4316831,Applied Biosystems,Foster City,CA)を使用して、20μl反応液中、以下のサイクル条件で、単一コピーのヒトRNase P遺伝子を増幅した:50℃を2分間、95℃を10分間、95℃を15秒間、および60℃を1分間を合計50サイクル。5pgから50ngまで(検量線に対するR2>0.998)の、ヒトゲノムDNA(カタログ番号.4316831,Applied Biosystems,Foster City,CAにより提供された)の段階希釈は、1反応あたりのDNA(ng)の算出を可能にした。総核酸収量を、260nmの吸光度(主にRNA含量を仮定する)で算出した。精製RNAサンプルの平均ゲノムDNA含量は、0.22%+/−0.03(S.D.)(変動係数=14.7%、N=96)と概算された。
【0077】
リアルタイムPCRを使用するさらなる実験において、実施例1に記載されたカラム法を用いる12サンプルからRNAを精製し、そして市販のキット(RNAeasy,Qiagen,カタログ番号.74103(Valencia,CA))を用いて12サンプルからRNAを精製した。どちらの場合においても、DNA(ng)におけるRNase Pの値を、総核酸の割合(大部分をRNAと仮定して、換算として40μl/mlを使用し、A260−A320から計算した)として表した。市販のキットは、本発明(平均=0.643%+/−0.21%)より有意に多くの混入DNA(平均=7.91%+/−2.68(S.D.))を有するRNAを生成した。従って、本発明は、現存の技術より有意な改善を示す。
【0078】
第2のアッセイにおいて、ゲノムDNAを精製したRNAのアガロースゲル電気泳動より推定した。多くの市販のキット(例えば、前述のキット)により精製したRNAにおいて、ゲノムDNAは、28s rRNAのバンドより移動が遅いバンドとしてはっきりと見える。本発明により精製したRNAを観察した結果、前述のキットより有意に少ないゲノムDNAを含んでいた。本発明の試薬および方法を用いて得られたいくつかのRNA調整物において、ゲノムDNAのバンドは見られなかった。このデータは、本発明の試薬および方法が、いくつかの現在の市販のキットより有意に高い純度のRNAを産生することを示す。
【0079】
(実施例8.マイクロアレイ分析のための精製RNAの使用)
より高濃度のRNAを生成するために20μlのRNA溶出溶液量を用いる実施例1に記載された手順に従う本発明の方法を用いて、1000万個のK562細胞から総RNAを精製した。各色素にRNA20μg量を用いるCyScribeTM First−Strand cDNA Labelling Kit(Amersham Pharmacia,Piscataway,NJ,カタログ番号.RPN 6202)を用いて、RNAをCy3−dCTPおよびCy5−dCTPで蛍光標識した。製造業者により記載された方法に従って、蛍光標識されたcDNAを、GeneMAPTM Human 384x5 Test Chip(Genomic Solutions,Ann Arbor,MI,カタログ番号.S9700102)とハイブリダイズさせた。16時間のハイブリダイゼーションの後、マイクロアレイをScanArray 5000マイクロアレイ分析システム(Packard Bioscience,Meriden,CT,カタログ番号.,900−3011523001)を用いてスキャンした。生じたマイクロアレイ画像は、Cy3励起波長およびCy5励起波長の両方で、非常に低いバックグラウンド蛍光を有する強いシグナルを実証した。バックグラウンドを推定するため、GenePi×TM Pro 3.0分析ソフトウェア(Axon Instruments,Inc.,Foster City,CA)を使用し、ノイズに対するシグナルの割合を測定した。その割合を1グリッドあたり16スポットを含む24グリッドについて計算し、ここで、各スポットを、すぐ周りの周辺領域と比べた。ネガティブスポットは、分析に含めなかった。ポジティブハイブリダイゼーションシグナルは、バックグラウンドより3倍大きいシグナルであると、製造業者により定義されている。本実施例において、Cy3励起波長およびCy5励起波長の両方の、ノイズに対するシグナルの平均割合は、そのレベルが非常に高く(それぞれ7.015および10.678)、そのことは、高品質RNAから非常に低いバックグラウンド蛍光を示した。
【0080】
(実施例9.bioAnalyzerを用いるRNA品質の評価)
本発明の試薬および方法を用いて精製したRNAの品質を評価するため、RNAサンプルをAgilent 2100 bioAnalyzer(Agilent Technologies,Palo Alto,CA)を用いて分析した。このシステムを使用して、電気泳動図を作成し、そして28sピーク域および18sピーク域の間の割合を計算する主要なリボソームRNAの大きさおよび品質を評価し得る。一般的に、1.5より大きな割合を有する、2つの分解性ピークは、RNAサンプルが分解されないことを示す。
【0081】
実施例1に記載されたプロトコールに従って(RNA溶解溶液量がそれぞれ500、750および1000μl、およびRNA溶出溶液が20、60、および100μlであることを除く)、合計50×106個のK562細胞由来のRNAを精製した。精製に続き、1μlの各RNAサンプルを、製造業者により提供された試薬中で、製造業者の指示書に従って調製されたRNA LabChip(登録商標)(Agilent Technologies,Palo Alto,CA)のウェルにロードした。電気泳動に続き、生じた電気泳動図を調べた。全てのサンプルは、2つの明瞭な28sピークおよび18sピークを示した。18sに対する28sの平均割合は、2.46であり、全てのサンプルについては1.89から3.53の範囲であった。従って、その割合は全て1.5より大きく、そのことは本発明の方法が、実質的に分解されていないRNAを生成したことを示した。
【0082】
(実施例10.ヒト血漿からのウイルスRNAの精製)
C型肝炎ウイルス(HCV)に感染したヒト血漿よりRNAを精製した。処理したフィルターおよび未処理のフィルター両方を実施例1および2それぞれに記載されるように使用した。処理したフィルター(Filtrona(登録商標)Filter Media(Lot.No.R−20653))を、Spin−Xキャリアチューブ中の各フィルター上で0.2mlのRNA溶解溶液をピペッティングすることにより調製し、次いで、実験室用オーブン中で68℃で12〜18時間加熱した。血漿(0.2〜0.4ml)を処理したフィルターにアプライし、そしてRNAを室温で5分間結合させた。フィルターを実施例1に記載されるように洗浄した。RNAを、150μl量のRNA溶出溶液(Gentra RNA溶出溶液,Part.No.S3−0025,Gentra Systems,Minneapolis,MN)中で溶出した。
【0083】
未処理の固体支持体を使用し、200μlのヒト血漿サンプルからRNAを精製した。RNA溶解溶液をヒト血漿と2:6の間の割合で混合し、そして全サンプルを、外因性核酸(K562細胞から得られた単離物あたり10〜30μgのヒト総細胞RNA)と共に固体支持体にアプライした。次いで、実施例1に記載された方法に従い、固体支持体を洗浄および溶出した。外因性キャリアRNAの添加は、キャリアRNAを使用しない状態より少なくとも50%多く、収率を有意に改善させることが見出された。
【0084】
HCV RNAが精製されたか否かを決定するため、HCV特異的RT−PCRを行った。HCVの5’非翻訳(5’−UTR)領域内の241塩基標的に特異的なプライマーを使用した。10μlのRNA、1×PCR Buffer II(カタログ番号N808−0010,Applied Biosystems)、5.8mM MgCl2、各1.25mMのdATP、dTTP、dCTP、およびdGTP(Nucleotide Set,カタログ番号77100,US Biochemical)、5mMジチオスレイトール(カタログ番号D−9779,Sigma Chemical Co.(St.Louis,MO))、2.5ngランダムプライマー(カタログ番号C1181,Promega,Madison,WI)、20単位の組換えRNaseインヒビター(rRNasin,カタログ番号N2515,Promega)、および40単位のMMLV逆転写酵素(part no.M1705,Promega Madison,WI)を含む30μlの反応溶液において、逆転写を行った。反応物を25℃で10分間インキュベートし、42℃で15分間cDNA合成のためにランダムプライマーのアニーリングをし、次いで99℃で5分間、逆転写酵素を不活化した。5μlcDNA、1×Taqman Universal PCR Master Mix(カタログ番号.4304437,Applied Biosystems,Foster City,CA)、400nMの前方向プライマー(Keystone Division of BioSource,Foster City,CAにより合成された5’−GCAGAAAGCGTCTAGCCATGGCGTTA)400nMの逆方向のプライマー(5’−GCAAGCACCCTATCAGGCAGTACCACAA,Keystone)、および200nM 6FAM−標識プローブ(Synthegen,Houston,TXにより合成された5’−TAMRA−CATAGTGGTCTGCGGAACCGGTGAGT−6FAM−3’)を含む50μl反応液中で、PCR増幅を行った。プレートをABI PRISM 7900HT Instrument(Applied Biosystems,Foster City,CA)中で以下のとおりに加熱した:50℃を2分間、95℃を10分間、94℃を5秒間、および60℃を1分間を50サイクル。データをPCRのアニール/伸長期間に収集し、そしてSequence Detection Systems software(SDS)バージョン2.0を用いて分析した。増幅を、処理済みおよび未処理のフィルター両方を用いる血漿RNAから精製されたRNAを用いて観察した。
【0085】
(実施例11.全血からのRNAの精製)
全血サンプルを、3人のドナーから10ml Vacutainers(登録商標)Brand血液回収チューブ(EDTA K3 No.16852,Becton Dickinson,Franklin Lakes,NJ)中に回収し、そして使用まで4℃に保存した。白血球細胞数をCBC−7 Hematology Controls(R&D Systems,Minneapolis,MN)を用いて校正したCoulter Counters(登録商標)CBC−5(Coulter Electronics,Inc.Hialeah,FL)を用いて測定した。200μlの容量を除去し、そして600μl RBC Lysis Solution(Gentra Systems,Inc.,Minneapolis,MN)と、1.7mlミクロ遠心チューブ中で混合した。混入赤血球細胞を溶解するため、3分間室温でインキュベーションした後、白血球細胞を12,000×g、20秒間の遠心分離によりペレットにした。溶解した赤血球を含む上清フラクションを除去し、そしてペレットを300μlRBC溶解溶液でリンスし、混入物をさらに除去した。白血球細胞をRNA溶解溶液に懸濁し、そしてRNAを実施例1に従って精製した。βグロブリン転写を、製造業者の指示書に従って1工程逆転写PCR増幅キット(rTth Amplification Kit カタログ番号n808−0098 PE Biosystems,Foster City,CA)を用い、増幅した。プライマー配列は、F5’TAG CCA CAC CAG CCA CCA CTT TCT−3’およびR5’CCT GGC TCA CCT GGA CAA CCT CAA−3’であった。精製したRNAを、60℃30分間、94℃3分間、続いて30サイクルの94℃1分間、70℃1分間、72℃1分間のサイクル条件を用いて増幅し、次いで72℃で7分間インキュベートすることにより完了した。本発明を用いて単離されたRNAが、十分に純粋で、cDNAに逆転写され、次いで増幅されるか否かを決定するため、50μl増幅反応溶液のうち5μlを60分間、80ボルトでの2%アガロースゲル電気泳動により分析した。ゲル画像は、各複製物に対して、そして各3つのRNAドナーサンプルに対して予測された大きさの194塩基対で強いバンドを示し、このことは、実質的に純粋な出発RNAテンプレート物質を示した。さらに、混入ゲノムDNAからの増幅は、約1000塩基対の断片を生成する。この大きさの増幅産物がゲル上に認められなかったため、精製したRNA中に実質的なゲノムDNA混入はなかった。
Claims (45)
- RNAを含む生物材料より、実質的に純粋かつ分解されていないRNAを精製するための方法であって、該方法は、以下:
(a) 該生物材料を約7より大きいpHで緩衝化されたRNA結合溶液と混合し、該RNA結合溶液はRNA複合塩を含み、ここで該RNA結合溶液は、該RNA結合溶液中で該生物材料の混合物を形成するための強カオトロピック物質を含まない、工程;
(b) 該混合物を非シリカ固体支持体と接触させる工程であって、その結果、該混合物中の実質的に分解されていないRNAを含む核酸が、優先的に該固体支持体と結合する、工程;
(c) 該固体支持体をRNA洗浄溶液で洗浄し、結合した、実質的に分解されていないRNAを含む核酸以外の生物材料を除去する、工程;および
(d) 実質的に純粋かつ分解されていないRNAを得るために、RNA溶出溶液を用いて、該固体支持体から、結合した実質的に分解されていないRNAを優先的に溶出する工程、
を含む、方法。 - 前記生物材料が、核酸の粗製混合物および部分精製された混合物からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
- 前記生物材料が、真核細胞、原核細胞、微生物細胞、細菌細胞、植物細胞、マイコプラズマ、原生動物、細菌、真菌、ウイルス、酵母、リケッチアおよびそれらのホモジネートからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
- 前記生物材料が、全血、骨髄、血斑、血清、血漿、バフィーコート調製物、唾液、脳脊髄液、および固形動物組織からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
- 前記生物材料が、糞、尿、涙、および汗からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
- 前記生物材料が、空気、水、堆積物および土壌から得られる環境サンプルからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
- 前記非シリカ固体支持体が、セルロース、セルロースアセテート、ニトロセルロース、ナイロン、ポリエステル、ポリエーテルスルホン、ポリオレフィン、フッ化ポリビニリデン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される成分を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記非シリカ固体支持体が、ポリエステルを含む、請求項1に記載の方法。
- 前記非シリカ固体支持体が、ポリエステルの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
- 前記非シリカ固体支持体が、容器中に含まれ、該容器は、遠心チューブ、スピンチューブ、シリンジ、カートリッジ、チャンバー、複数ウェルプレート、試験管、およびそれらの組み合せからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
- 前記強カオトロピック物質が、グアニジニウム塩および尿素からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
- 前記実質的に純粋かつ分解されていないRNAは、メッセンジャーRNA、トランスファーRNA、リボソームRNAおよびウイルスRNA、並びにそれらの組み合せからなる群より選択される総RNAである、請求項1に記載の方法。
- 前記RNA複合塩が、アルカリ金属塩である、前記請求項1に記載の方法。
- 前記アルカリ金属塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、セシウム塩、およびルビジウム塩からなる群より選択される、請求項13に記載の方法。
- 前記アルカリ金属塩が、リチウム塩である、請求項13に記載の方法。
- 前記アルカリ金属塩が、塩化リチウムである、請求項13に記載の方法。
- 前記アルカリ金属塩が、約4Mより高い濃度で存在する、請求項13に記載の方法。
- 前記アルカリ金属塩が、4〜10Mの間の濃度で存在する、請求項13に記載の方法。
- 前記RNA結合溶液は、必要に応じてキレート剤を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記キレート剤は、EDTAおよびCDTAからなる群より選択される、請求項19に記載の方法。
- RNAを含む生物材料から実質的に純粋かつ分解されていないRNAを精製する方法であって、該方法は、以下:
(a) 該生物材料を約7より大きいpHで緩衝化されたRNA溶解溶液と混合し、該RNA溶解溶液は両親媒性試薬、およびRNA複合塩を含み、ここで該RNA溶解溶液は、強カオトロピック物質を含まない、工程;
(b) 該生物材料を該RNA溶解溶液で溶解し、実質的に分解されていないRNAを含む核酸および非核酸生物物質を含む溶解液を形成する、工程;
(c) 該溶解液を固定化した非シリカ固体支持体に接触させる工程であって、その結果、該溶解液中の実質的に分解されていないRNAを含む核酸が、該固体支持体と優先的に結合する、工程;
(d) RNA洗浄溶液で該固体支持体を洗浄し、非核酸生物物質を除去する、工程;および
(e) 実質的に純粋かつ分解されていないRNAを得るために、RNA溶出溶液を用いて、該固体支持体から、結合した実質的に分解されていないRNAを優先的に溶出する工程、
を含む、方法。 - 前記生物材料は、核酸の粗製混合物および部分精製された混合物をからなる群より選択される、請求項21に記載の方法。
- 前記生物材料は、真核細胞、原核細胞、微生物細胞、細菌細胞、植物細胞、マイコプラズマ、原生動物、細菌、真菌、ウイルス、酵母、リケッチアおよびそれらのホモジネートからなる群より選択される、請求項21に記載の方法。
- 前記生物材料が、全血、骨髄、血斑、血清、血漿、バフィーコート調製物、唾液、脳脊髄液、および固形動物組織からなる群より選択される、請求項21に記載の方法。
- 前記生物材料が、糞、尿、涙、および汗からなる群より選択される、請求項21に記載の方法。
- 前記生物材料が、空気、水、堆積物および土壌から得られる環境サンプルからなる群より選択される、請求項21に記載の方法。
- 前記非シリカ固体支持体は、セルロース、セルロースアセテート、ニトロセルロース、ナイロン、ポリエステル、ポリエーテルスルホン、ポリオレフィン、フッ化ポリビニリデン、およびそれらの組み合せからなる群から選択される成分を含む、請求項21に記載の方法。
- 前記非シリカ固体支持体は、ポリエステルを含む、請求項21に記載の方法。
- 前記固定化非シリカ固体支持体は、ポリエステルの組み合せを含む、請求項21に記載の方法。
- 前記固体支持体は、容器中に含まれ、該容器は、遠心チューブ、スピンチューブ、シリンジ、カートリッジ、チャンバー、複数ウェルプレート、試験管、およびそれらの組み合せからなる群より選択される、請求項21に記載の方法。
- 前記強カオトロピック物質は、グアニジニウム塩および尿素からなる群より選択される、請求項21に記載の方法。
- 前記実質的に純粋かつ分解されていないRNAが、メッセンジャーRNA、トランスファーRNA、リボソームRNAおよびウイルスRNA、並びにそれらの組み合せからなる群より選択される総RNAである、請求項21に記載の方法。
- 前記RNA複合塩は、アルカリ金属塩である、請求項21に記載の方法。
- 前記アルカリ金属塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、セシウム塩、およびルビジウム塩からなる群より選択される、請求項33に記載の方法。
- 前記アルカリ金属塩は、リチウム塩である、請求項33に記載の方法。
- 前記アルカリ金属塩は、塩化リチウムである、請求項33に記載の方法。
- 前記アルカリ金属塩は、約4Mより高い濃度で存在する、請求項33に記載の方法。
- 前記アルカリ金属塩は、4〜10Mの間の濃度で存在する、請求項33に記載の方法。
- 前記両親媒性試薬は、界面活性剤である、請求項20に記載の方法。
- 前記界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である、請求項39に記載の方法。
- 前記非イオン性界面活性剤は、tween、triton、noniodet、およびtergitolからなる群より選択される、請求項40に記載の方法。
- 前記RNA結合溶液は、必要に応じてキレート剤を含む、請求項21に記載の方法。
- 前記キレート剤が、EDTAおよびCDTAからなる群より選択される、請求項42に記載の方法。
- 生物材料から実質的に純粋かつ分解されていないRNAを精製する方法であって、該方法は、以下:
(a) RNAを含む生物材料を、約7より大きいpHで緩衝化されたRNA結合溶液で前処理した固体支持体と接触させる工程であって、その結果、該RNA結合溶液が固体支持体に結合し、該RNA結合溶液は、RNA複合塩を含み、ここで該RNA結合溶液は、強カオトロピック物質を含まない、工程;
(b)該生物材料を、該固体支持体と接触させる工程であって、その結果、実質的に分解されていないRNAを含む核酸が優先的に該固体支持体と結合する、工程;
(c) 該固体支持体をRNA洗浄溶液で洗浄し、結合した、実質的に分解されていないRNAを含む核酸以外の生物材料を除去する、工程;および
(d) 実質的に純粋かつ分解されていないRNAを得るために、RNA溶出溶液を用いて、該固体支持体から、結合した実質的に分解されていないRNAを優先的に溶出する工程、
を含む、方法。 - 生物材料から実質的に純粋かつ分解されていないRNAを精製する方法であって、該方法は、以下:
(a) RNAを含む生物材料を、約7より大きいpHで緩衝化されたRNA溶解溶液で前処理した固体支持体と接触させる工程であって、その結果、該RNA溶解溶液は固体支持体に結合し、該RNA溶解溶液は、両親媒性試薬およびRNA複合塩を含み、該RNA溶解溶液は、強カオトロピック物質を含まない、工程;
(b) 実質的に分解されていないRNAを含む核酸および非核酸生物材料を放出し、実質的に分解されていないRNAを含む核酸を優先的に該固体支持体に結合させるため、該生物材料を、該固体支持体と接触させる、工程;
(c) 該固体支持体をRNA洗浄溶液で洗浄し、結合した、分解されていないRNAを含む核酸以外の生物材料を除去する工程;および
(d) 実質的に純粋かつ分解されていないRNAを得るため、RNA溶出溶液を用いて、結合した分解されていないRNAを、該固体支持体から優先的に溶出する、工程、
を含む、方法。
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