JP2021080549A - 銅粉体とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い焼結開始温度を有し、焼結時における脱ガス挙動が高度に制御された銅粉体、およびその製造方法を提供する。【解決手段】銅粉体は、平均粒径D50が100nm以上500nm以下であり、焼結開始温度が450℃以上であり、脱ガスのピーク温度が150℃以上300℃以下である。この銅粉体は、60℃以上950℃以下の温度範囲で脱離するガスの総量(W0)に対する、600℃以上950℃以下の温度範囲で脱離するガスの量(W1)の比(W1/W0)が0.6重量%以下であってもよい。【選択図】図1

Description

本発明の実施形態の一つは、銅粉体、および銅粉体の製造方法に関する。
微細な金属粒子の集合体である金属粉体や金属粉体を含むペーストは、低温同時焼成セラミックス(LTCC)基板の配線や端子、積層セラミックコンデンサ(MLCC)の内部電極や外部電極など、各種電子部品を製造するための原材料として幅広く利用されている。特に銅粉体は、銅の高い導電性に起因し、MLCCの内部電極の薄膜化や外部電極の小型が可能であること、周波数特性の大幅な改善が可能であることから、従来多用されてきたニッケル粉体や銀粉体に替わる材料として期待されている(特許文献1から5参照)。
特開2015−36439号公報 国際公開第2015/137015号 特開2018−076597号公報 特開2016−108649号公報 特開2004−211108号公報
本発明の実施形態の一つは、銅粉体、および銅粉体の製造方法を提供することを課題の一つとする。例えば本発明の実施形態の一つは、高い焼結開始温度を有し、焼結時における脱ガス挙動が制御された銅粉体、およびその製造方法を提供することを課題の一つとする。
本発明に係る実施形態の一つは、銅粉体である。この銅粉体は、平均粒径D50が100nm以上500nm以下であり、焼結開始温度が450℃以上であり、脱ガスピーク温度が150℃以上300℃以下である。
本発明に係る実施形態の一つは、銅粉体の製造方法である。この製造方法は、金属銅と塩素含有ガスとの反応により塩化銅ガスを生成すること、塩化銅ガスと還元性ガスとの反応により銅を含む一次粉体を生成すること、および一次粉体を含窒素ヘテロ芳香族化合物で処理することを含む。
本発明に係る実施形態の一つに係る銅粉体は、高い焼成開始温度を示すのみならず、焼結時において脱離するガスが少ない。このため、本銅粉体は、焼結によって構造が明確に定義された銅膜を与えることが可能であり、MLCCなどの各種機能性素子の薄膜化や小型化、電子部品の配線や端子の微細化などに寄与することができる。
本発明の実施形態の一つに係る、銅粉体を製造するためのフロー。
以下、本発明の各実施形態について、図面等を参照しつつ説明する。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施形態や実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。
1.銅粉体の製造方法
本発明の実施形態の一つは、複数の銅粒子を含む銅粉体である。本銅粉体を製造する方法の一例を図1に示すフローを用いて説明する。ここでは、いわゆる気相成長法を利用する銅粉体の製造方法について述べるが、銅粉体の製造方法は気相成長法に限られず、湿式法やプラズマ法などを利用して銅粉体を製造してもよい。
1−1.塩化銅の生成
まず、金属銅を塩素ガスと反応させることで塩化銅ガスを生成する。この方法は、塩化銅よりも安価な金属銅を用いることができる点でコスト的に優位であるのみならず、塩化銅ガスの供給量を安定化させることができる。具体的な塩化銅ガスの製造方法としては、金属銅をその融点以下(例えば800℃以上1000℃以下)で塩素ガスと反応させることによって塩化銅ガスを生成させる。塩素ガスは、実質的に塩素のみを含有するものであっても良く、希釈用の不活性ガスを含有する塩素と希釈用の不活性ガスの混合ガスであってもよい。混合ガスを用いることで、金属銅と反応させる塩素の量を容易に、かつ精密に制御することが可能となる。
1−2.塩化銅の還元
生成した塩化銅ガスを還元性ガスと反応させて銅粉体を生成させる。還元性ガスとしては、例えば水素やヒドラジン、アンモニア、メタンなどを用いることができる。還元性ガスは、塩化銅ガスに対して化学量論量以上用いることができる。例えば、塩化銅ガスがすべて一価の銅の塩化物からなり、還元性ガスが水素の場合、還元性ガスの導入量は塩化銅ガスに対して50モル%以上10000モル%以下、500モル%以上10000モル%以下、あるいは1000モル%以上10000モル%以下とすることができる。この反応によって、塩化銅は還元されて銅になり、銅元素は銅粒子に成長して、集合体としての銅粉体となる。この還元反応で生成する銅粉体を以下、一次粉体と呼ぶ。
1−3.塩素成分の低減
上記の製造方法によって得られた一次粉体に対して塩基の水溶液あるいは懸濁液で処理することで、塩素成分の低減を行っても良い。
1−4.酸素成分の低減
上記の製造方法によって得られた一次粉体に対し、酸素成分の低減のために、アスコルビン酸やヒドラジン、クエン酸などを含む溶液、または懸濁液を洗浄液として用いて処理した後、水で洗浄し、ろ過、乾燥を行っても良い。
1−5.表面処理
上記の製造方法によって得られた一次粉体に対して、所定の表面処理を行っても良い。表面処理剤としては、ベンゾトリアゾールとその誘導体、トリアゾールとその誘導体、チアゾールとその誘導体、ベンゾチアゾールとその誘導体、イミダゾールとその誘導体、およびベンズイミダゾールとその誘導体などの含窒素ヘテロ芳香族化合物などを使用することができる。
1−6.その他の処理
上記の製造方法によって得られた銅粉体に対して、乾燥、分級、解砕、篩別などの処理を行ってもよい。分級は乾式分級でも湿式分級でも良く、乾式分級では、気流分級、重力場分級、慣性力場分級、遠心力場分級など、任意の方式を採用できる。湿式分級においても同様に、重力場分級や遠心力場分級などの方式を採用することができる。解砕は、例えばジェットミルを用いて行うことができる。篩別は、所望のメッシュサイズを有する篩を振動させ、これに銅粉体を通過させることで行うことができる。分級、解砕、篩別処理を行うことで、銅粉体の粒子径分布をより小さくすることが可能である。
2.銅粉体の特性
2−1.粒子径
以上の工程により製造される銅粉体は、気相成長法によって一次粉体が生成されることに起因して平均粒子径が小さく、その分布も狭い。ここで銅粉体の平均粒子径とは、銅粉体の体積基準の粒子径ヒストグラムにおける累積頻度が50%になるときの粒子径のことをいう。銅粉体の体積基準の粒子径とは、銅粉体に含まれる各粒子の体積で重みづけられた粒子径である。以下の式で表されるように、粒子径di(iは1からkの自然数、i≦k)を有する粒子の総体積を粉体体に含まれる全粒子の総体積で除すことで、粒子径diを有する粒子の頻度Fが得られる。この頻度Fを累積し、50%となるときの粒子径がメジアン径D50である。ここでは、平均粒子径もD50として表記する。
Figure 2021080549
ここでViは、粒子径diを有する銅粒子の体積であり、niは粒子径diを有する銅粒子の個数である。
以下に、体積Viおよび粒子径diの算出方法について説明する。銅粉体を光学顕微鏡や電子顕微鏡で観察した顕微鏡写真において、輪郭が確認された銅粒子(例えば100個から10000個、典型的には500個)を目視観察する。次いで、目視観察された銅粒子の表面積Siから、その表面積と同じ面積を有する想定円の直径としてその銅粒子の粒子径を算出する、具体的には、下式により、粒子径diを算出する。
Si=π(di)2
次いで、算出された粒子径diから、下式により、銅粒子の体積Viを算出する。
Vi=4π(di/2)3/3
本発明の実施形態の一つである銅粉体の平均粒子径D50は、具体的には100nm以上500nm以下、100nm以上300nm以下、または100nm以上200nm以下である。この範囲を満たす本銅粉体を焼結することで、厚さの小さい金属膜を与えることができるため、例えばMLCCの電極の薄膜化、その他電子部品の配線や端子の微細化などに寄与することができる。また、銅粒子の凝集を抑制することができ、このことは銅粉体の取り扱いを容易にする。銅粉体の平均粒子径D50は、金属銅の塩化時の温度、塩素ガスの流量、塩素ガスと希釈ガスの比率、塩化銅の還元時の温度、塩化銅ガスと還元性ガスの流量比などの条件を適宜設定することで、上述した範囲で制御することができる。
2−2.平均結晶子径
本発明の実施形態の一つである銅粉体は、気相成長法によって一次粉体が生成されることに起因して平均結晶子径Dが大きいことが一つの特徴である。ここで、結晶子とは単結晶とみなせる領域の長さを表す指標である。個々の銅粒子は、単一、または複数の結晶子を有している。平均結晶子径Dは、銅粉体に対してX線回折の測定によって得られる各種パラメータ(使用するX線の波長λ、回折X線の広がりの半値幅β、ブラッグ角θ)を、以下に示すシェラーの式(式1)に代入して計算することで得られる。ここで、Kはシェラー定数である。例えば、X線回折装置を用いて銅結晶の(111)面、(200)面、(220)面の回折ピークの半値幅を求め、下記式1に従って平均結晶子径Dを算出することができる。平均結晶子径Dは、個々の銅粒子の結晶子の大きさを反映したパラメータである。
D=(K×λ)/(β×cosθ)・・・式1
小さい平均粒子径D50と大きな平均結晶子径Dに起因し、本発明の実施形態の一つである銅粉体の平均結晶子径Dの平均粒子径D50に対する比D/D50は、0.10以上0.50以下とすることができる。このような大きなD/D50に起因し、本銅粉体は高い焼結開始温度を示す。なお、銅粉体の製造方法の一つとして、塩化銅や水酸化銅、硫酸銅、あるいは硝酸銅などの銅塩の溶液または懸濁液を還元剤で処理する方法(湿式法)が挙げられる。しかしながら、湿式法ではこのような大きなD/D50を得ることは困難である。この理由としては、気相成長法では高温で銅粒子が成長すること、成長した銅粒子を窒素ガスなどを用いて急速に冷却することで粒子の成長を停止できることなどが挙げられる。
2−3.平均円形度
銅粉体の銅粒子は、その形状が真球に近い。より具体的には、銅粉体の平均円形度すなわち銅粒子の円形度Cの平均は、例えば0.85以上0.95以下、または0.87以上0.95以下である。平均円形度とは、粉体に含まれる各粒子の形状を表すパラメータの一つであり、粉体を顕微鏡観察して得られる画像を解析し、複数の(例えば500個)粒子について円形度Cを求め、それを平均した値である。円形度Cは、以下の式によって表される。ここで、Aは顕微鏡像中における各粒子の投影面の周囲長、Bはこの投影面の面積と等しい面積の円の周囲長である。高い平均円形度に起因し、銅粉体は高い充填性を示す。このため、本銅粉体を用いることで、密度が高く、低抵抗な高い電極や配線を形成することができる。
Figure 2021080549
2−4.脱ガス挙動
本発明の実施形態の一つである銅粉体は、焼結時における脱ガス挙動が高度に制御されており、その結果、後述するように、焼結によって構造が明確に定義された銅膜を与えることが可能である。脱ガス挙動を評価する方法に限定はないが、スループット法、またはコンダクタンス法と呼ばれる方法を用いることができる。この方法では、減圧されたチャンバー内で所定の温度範囲において一定の昇温速度で銅粉体を加熱し、チャンバー内の圧力変化に基づいて脱離したガスの量が見積もられる。例えば昇温脱離ガス分析(TDS)装置を用い、減圧下で銅粉を載置したステージを所定の温度範囲(例えば60℃から950℃)において一定の昇温速度(例えば30℃/min)で加熱し、圧力変化をモニターする。脱離したガスは質量分析装置で分析することができ、これにより、脱離したガスを同定し、その組成比を求めることができる。脱離するガスとしては、水、水素、二酸化炭素、一酸化炭素、窒素、シアン化水素などが挙げられる。なお、窒素と一酸化炭素は分子量が同一であるため、これらは混合ガスとして評価される。
本発明の実施形態の一つである銅粉体は、比較的低い温度で脱ガスピークを示す。ここで脱ガスピーク温度とは、一定の昇温速度で銅粉体を加熱した際、温度または加熱時間に対する脱離したガスの量のプロットにおいてピークが観測される温度である。具体的には、30℃/minの昇温速度で60℃から950℃まで加熱する際の本銅粉体の脱ガスピークは、150℃以上300℃以下、あるいは150℃以上260℃以下に観察される。さらに、60℃以上950℃以下の温度範囲における加熱によって脱離したガスの総量(W0)を基準とすると、600℃以上950℃以下で脱離するガスの量(W1)の比(W1/W0)は、0.6重量%以下、好ましくは0.4重量%以下、より好ましくは0.3重量%以下である。W1/W0は、0.1重量%以上でもよい。これらの特性は、本発明の実施形態の一つである銅粉体では、低い温度(150℃以上300℃以下)で大部分のガスが脱離し、焼結が進行する温度(例えば600℃以上)では脱ガスが大幅に抑制されることを意味する。
2−5.炭素濃度と焼結開始温度
上述したように、本発明の実施形態の一つである銅粉体は、気相成長法で得られる一次粉体を表面安定化処理することで製造される。このため、銅粒子は、その表面に表面処理剤に由来する微量の炭素を含む。銅粉体中の炭素濃度は、例えば0.04重量%以上1.00重量%以下、0.04重量%以上0.90重量%以下、または0.04重量%以上0.80重量%以下である。
銅粉体中の炭素濃度は、例えば燃焼・赤外線吸収法を利用することで測定することができ、この場合、JIS H1617、JIS Z2615、およびASTM E1941に準拠した方法で測定すればよい。具体的には、銅粉体を燃焼炉において酸素気流下で燃焼させることにより、銅粉体中の炭素から二酸化炭素を生成する。生成した二酸化炭素を酸素ガスを用いて赤外線分析計に導入し、その吸収を検出器で測定することで二酸化炭素の濃度を決定する。この二酸化炭素の濃度から銅粉体中の炭素濃度が定量される。
実施例でも示すように、本実施形態の銅粉体では、微量の炭素が銅粒子表面に含まれることで、銅粉体の焼結開始温度を大幅に向上させることができる。また、残留する炭素濃度を制御することで、焼結開始温度を制御することが可能である。具体的には、450℃以上、あるいは740℃以上の焼結開始温度を有する銅粉体を提供することができる。なお、焼結開始温度の評価方法に限定はないが、例えば銅粉体を含むペレットの熱機械分析による収縮率を測定し、収縮率が一定の値(例えば5%)となるときの温度を採用することができる。
2−6.不純物濃度
上述したように、本発明の実施形態の一つである銅粉体の製造方法には、一次粒子の表面安定化処理が含まれ、さらに塩素成分や酸素成分の低減処理を含むことができる。この製造方法では、例えばアルミニウムやチタン、ジルコニウム、セリウムなどの遷移金属、あるいはケイ素などの不純物の混入の原因となる工程を含める必要は無い。したがって銅粉体は、焼結によって形成される銅膜の電気的特性に対して悪影響を及ぼし得るこれらの不純物を実質的に含まない。上述した元素の濃度は、例えば誘導結合プラズマ(ICP)発光分光などを利用する元素分析測定において、検出限界値未満であることが好ましい。なお、本発明における「検出限界値未満」とは、アルミニウムが1ppm未満、ケイ素が1ppm未満、チタンが10ppm未満、ジルコニウムが1ppm未満であることを意味する。
本実施形態に係る銅粉体の高い焼結開始温度は、銅粉体をMLCCなどの電子部品の電極、その他配線、端子用の材料として用いる場合、電子部品の信頼性の向上や歩留まりの改善に大きく寄与する。このような特徴は、特にMLCCの電極用材料として用いる際に顕著である。この理由は以下の通りである。MLCCの小型化に伴って電極の薄膜化が要求されるが、このためには銅粉体の平均粒子径を小さくすることが効果的な方法の一つである。しかしながら、銅粉体の平均粒子径が小さくなると比表面積が増加するため、焼結開始温度が低下する。MLCCは誘電体を含む分散液と銅粉体を含む分散液を交互に塗布した後に加熱し、銅粉体と誘電体を焼結することで作製されるが、銅粉体の焼結開始温度の低下は、銅粉体と誘電体の焼結開始温度の差の増大を招き、その結果、銅粉体と誘電体の焼結開始時間に大きな差が発生する。このため、誘電体の焼結開始前に銅粉体は焼結によって収縮し、銅粉体が焼結することで形成される電極と誘電体との間に間隙が生じ、この間隙に起因して電極と誘電体膜間で剥離が生じる。一方、本発明の実施形態の一つである銅粉体は、小さな平均粒子径D50を有するにもかかわらず高い焼結開始温度を有するため、誘電体との焼結開始温度の差が小さく、その結果、焼結時における電極の剥離を抑制することができる。したがって、本銅粉体を用いることで高い歩留りで高信頼性のMLCCを提供することが可能となる。
さらに本実施形態に係る銅粉体は、上述したように、脱ガスピークを比較的低い温度で与え、600℃以上950℃以下で脱離するガスの量が相対的に少ない。このため、本銅粉体の脱ガスピークは、焼結開始温度よりも低い温度で観察される。このことは、焼結が開始して銅膜が形成される過程が始まる前に大部分のガスが脱離し、焼結開始温度付近、あるいは焼結後には脱ガスは殆ど生じないことを意味する。このため、脱ガスに起因するボイドの発生や変形が防止され、焼結前後における形状変化が小さい。このため、制御された構造を有する銅膜、すなわち、構造が明確に定義された銅膜を提供することができる。
銅粉体の焼結開始温度を向上させる方法として、例えばケイ素や炭素を含む溶融した銅をアトマイズ法によって粉体化する方法、銅粒子表面にアルミニウムやチタン、ジルコニウム、セリウム、スズ、またはケイ素を含む被膜を形成する方法、銅粒子表面に酸化ケイ素の被膜を形成する方法などが知られている。しかしながら、これらの元素は絶縁性である、あるいは銅と比較して電気抵抗が高いため、銅粉体を焼結して得られる銅膜の電気的特性に対して悪影響を与える。また、銅粒子内部、または表面にこれらの元素が比較的大量に含まれるように銅粉体を構成すると、焼結時に大量のガスが脱離するため、脱ガスによるボイドの発生や銅膜の変形を防止することが困難である。
これに対し、本発明の実施形態の一つである銅粉体は、表面処理剤に由来する微量の炭素を含むものの、上述した遷移金属やケイ素の含有量は無視できる程度である。このため、焼結によって得られる銅膜は高い導電性を示す。このことは、本銅粉体がMLCCなどの各種機能性素子の薄膜化や小型化、電子部品の配線や端子の微細化などに有効な材料として利用できることを意味する。
以下、本発明の実施形態に係る実施例を説明する。本実施例では、上述した方法に従って銅粉体を作製し、その特性を評価した結果について述べる。
1.実施例1
塩化炉に球状の金属銅を設置し、塩化炉を900℃に加熱した。この温度において、塩化炉の上部と下部に接続された塩素導入管(以下、それぞれ上部導入管と下部導入管と記す)から塩素ガスと窒素ガスの混合ガスを供給した。上部導入管を介して導入された混合ガスにおける塩素ガスと窒素ガスの体積比(VCl2:VN2)は29:61、下部導入管を介して導入された混合ガスにおける塩素ガスと窒素ガスの体積比(VCl2:VN2)は2:98であった。上部導入管を介して導入された混合ガスと下部導入管を介して導入された混合ガスの体積比(Vu:Vl)は1:0.17であった。
金属銅と塩素との反応で生じた塩化銅ガスを1150℃に加熱した還元炉に導き、塩化銅ガスに対して水素ガスと窒素ガスをそれぞれ4600モル%、24600モル%となるように、水素ガスと窒素ガスを還元炉に導入した。塩化銅ガスと水素ガスとの反応で得られた銅粉体を窒素ガスで冷却し、銅の一次粉体を得た。
引き続き、得られた一次粉体に対して塩素・酸素成分の低減処理を行った。具体的には、一次粉体に対し40重量%の水酸化ナトリウム水溶液、10重量%のアスコルビン酸水溶液を用いて酸素成分の低減処理を行った。
その後、表面安定化処理を行った。具体的には、アスコルビン酸水溶液で処理した一次粉体に対し、室温で0.33重量%のベンゾトリアゾールを表面処理剤として含む水溶液を加え、得られた混合物を30分間攪拌した。攪拌終了後、混合物を静置し、上澄みを除去し、乾燥することにより、実施例1の銅粉体を得た。
2.実施例2
銅粉体を表面処理するときのベンゾトリアゾールの水溶液の濃度を0.05重量%とした以外は、実施例1と同様の条件で銅粉体を調製した。
3.実施例3
銅粉体を表面処理するときのベンゾトリアゾールの水溶液の濃度を1.0重量%とした以外は、実施例1と同様の条件で銅粉体を調製した
4.比較例
比較例1の銅粉体は、特許文献3に開示された湿式還元法を利用して調製した。
5.評価
実施例1から3、および比較例1の銅粉体の平均粒子径D50、平均結晶子径D、平均円形度、焼結開始温度、炭素濃度、およびアルミニウム、ケイ素、チタン、およびジルコニウムの濃度を測定した。さらに、スループット法を適用して脱ガス挙動を評価した。
平均粒子径D50は以下のように測定した。走査型電子顕微鏡(SEM:株式会社日立ハイテクノロジーズ製、SU5000、以下同様)を用い、倍率15000倍における銅粉体のSEM像の一つの視野中に存在する500個の銅粒子の像を画像解析ソフト(株式会社マウンテック製Macview4.0)を用いて解析した。この解析で得られた個々の銅粒子の粒子径から平均粒子径D50を算出した。
平均結晶子径Dは、X線回折装置(スペクトリス株式会社製、X’PertPro)を用い、加速電圧45kV、放電電流40mAの条件で発生させたCuKα線で得られた銅結晶の(111)面、(200)面、(220)面の回折ピークの半値幅とシェラーの式により算出した。
平均円形度は、以下のように測定した。SEMを用い、倍率15000倍におけるSEM像の一つの視野中に存在する約500個の銅粒子を画像解析ソフト(株式会社マウンテック製Macview4.0)を用いて解析し、約500個の銅粒子について円形度Cを求め、その平均値、すなわち平均円形度を算出した。
脱ガス挙動は、昇温脱離ガス分析装置(電子科学社製、TDS−1200)を用いて評価した。具体的には、昇温脱離ガス分析装置のチャンバー内に設置された石英ガラスに銅粉体(0.6mg)を配置した。ターボ分子ポンプを用いてチャンバー内を2×10-7Paまで減圧した後、室温から950℃まで加熱した。加熱時の昇温温度は30℃/minであった。加熱中のチャンバー内の圧力を真空計を用いてモニターしつつ、排出されるガスを質量分析装置を用いて分析した。チャンバー内の圧力変化からガスの脱離量を見積もった。なお、銅粉体からのガスの脱離量の定量は、銅粉体の非存在下で同一の条件下でチャンバーを加熱して測定されるガスの脱離量をブランクとして差し引くことで行った。また、質量分析装置を用いて脱離したガスの組成を算出した。
焼結開始温度は以下の方法で決定した。銅粉体を直径5mm、高さ約40mmの円筒状の筒体に充填した。筐体の上部からポンチを押し込み、0.87ton/cm2で10秒間加圧し、銅粉体を高さ約5mmの円柱状に成形した。この成形体を長軸が鉛直方向となるように配置し、長軸方向に98.0mNの荷重を付与しながら昇温炉で加熱した。加熱は、2体積%の水素ガスを含む窒素ガスの気流下(流速300mL/min)、5℃/minの昇温速度で室温から1000℃まで行った。加熱中、成形体の高さ変化(膨張・収縮)をモニターし、熱機械分析曲線を得た。この熱機械分析曲線に基づき、成形体の高さの変化(収縮)が始まり、その収縮率が5%に達した時の温度を焼結開始温度として採用した。
炭素濃度の測定は、炭素・硫黄分析装置(堀場製作所社製、EMIA−920V2)を用い、燃焼・赤外線吸収法によって行った。
アルミニウム、ケイ素、チタン、およびジルコニウムの濃度をSIIナノテクノロジー株式会社製ICP発光分光分析装置(SPS3100)を使用して測定した。具体的には、銅粉体約1.0gを超純水(30mL)、硝酸(10mL)、および塩酸(10mL)の混合液に加え、ホットプレートを用いて加熱しながら溶解した。得られた溶液を室温まで冷却した後、純水を加えて全量を100mLとし、これを用いてICP発光分光分析を行った。発光波長396.15nm、251.61nm、334.94nm、339.20nmを用い、それぞれアルミニウム、ケイ素、チタン、およびジルコニウムの濃度を評価した。
評価結果を表1にまとめる。実施例1の銅粉体は気相成長法で作製されており、このため、平均粒子径D50が小さく、平均結晶子径Dが大きい。その結果、大きなD/D50を与える。この結果は、湿式法で作製される比較例1の銅粉体の結果と対照的である。また、比較例1と比較すると、実施例1から3の銅粉体は、平均円形度が高い。
表1に示すように、実施例1から3の銅粉体は0.04重量%以上1.00重量%以下の濃度で炭素を含むことが確認された。実施例1から3を比較すると、表面処理剤を含む水溶液の濃度が増大するに従って炭素濃度が増大することが分かる。このことは、炭素濃度は表面処理剤を含む溶液または懸濁液の濃度によって制御できることを示している。
実施例1から3の結果から、炭素濃度の増大に伴って焼結開始温度が増大することが分かった。特に炭素濃度が僅か0.04重量%である実施例1の銅粉体であっても450℃以上の高い開始温度を示すことは注目すべき点である。これに対し、炭素濃度が0.19重量%含む比較例1の銅粉体は、実施例1よりも炭素濃度が高いにもかかわらず焼結開始温度は低く、400℃に満たないことが分かった。なお、実施例1から3と比較例1の銅粉体のアルミニウム、ケイ素、チタン、およびジルコニウムの濃度は、いずれも検出限界値未満であった。このことは、焼結開始温度は単に炭素濃度だけに依存するのではなく、平均粒子径D50に対する平均結晶子径Dの比(D/D50)の影響が大きく、D/D50が0.10以上であることも焼結開始温度の増大に寄与しているものと考えられる。これはおそらく、D/D50が大きいほど結晶状態で存在する銅の割合が高いためであると推測される。
実施例1から3の銅粉体は、いずれも焼結開始温度以下に脱ガスピーク温度を示すだけでなく、これらの温度差が300℃以上存在することが分かった(表1)。このことは、焼結が開始される前に脱ガスがほぼ終了していることを示唆している。したがって、焼結が進行して膜が形成される過程で大量のガスが脱離することがなく、実施例1から3の銅粉体を用いることで銅膜中におけるボイドの形成や銅薄膜の変形が抑制可能であると言える。これに対し、比較例1の銅粉体では、脱ガスのピーク温度は焼結開始温度よりも低いものの、その差は240℃程度と小さいことが分かった。このことは、比較例1の銅粉体を用いる場合には、焼結が進行して膜が形成される過程でもガスが脱離することを示唆しており、形成される銅膜にボイドが発生する、あるいは銅膜の変形が生じる可能性が極めて高いと言える。
60℃以上950℃以下の加熱によって脱離するガスの総量に対する600℃以上950℃以下における脱離ガス量の割合(W1/W0)は、比較例1と比較して実施例1から3では大幅に低いことが表1から理解される。このことからも、実施例1から3の銅粉体を焼結する場合には、膜が形成される過程において大量のガスが脱離することがなく、ボイド発生や銅膜の変形を効果的に防止することが可能であると言える。
Figure 2021080549
本発明の実施形態として上述した実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、各実施形態を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、または工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
その後、表面安定化処理を行った。具体的には、アスコルビン酸水溶液で処理した一次粉体に対し、室温で1.0重量%のベンゾトリアゾールを表面処理剤として含む水溶液を加え、得られた混合物を30分間攪拌した。攪拌終了後、混合物を静置し、上澄みを除去し、乾燥することにより、実施例1の銅粉体を得た。
2.参考例1
銅粉体を表面処理するときのベンゾトリアゾールの水溶液の濃度を0.33重量%とした以外は、実施例1と同様の条件で銅粉体を調製した。
3.参考例2
銅粉体を表面処理するときのベンゾトリアゾールの水溶液の濃度を0.05重量%とした以外は、実施例1と同様の条件で銅粉体を調製した
5.評価
実施例1、参考例1と2、および比較例1の銅粉体の平均粒子径D50、平均結晶子径D、平均円形度、焼結開始温度、炭素濃度、およびアルミニウム、ケイ素、チタン、およびジルコニウムの濃度を測定した。さらに、スループット法を適用して脱ガス挙動を評価した。
評価結果を表1にまとめる。実施例1の銅粉体は気相成長法で作製されており、このため、平均粒子径D50が小さく、平均結晶子径Dが大きい。その結果、大きなD/D50を与える。この結果は、湿式法で作製される比較例1の銅粉体の結果と対照的である。また、比較例1と比較すると、実施例1の銅粉体は、平均円形度が高い。
表1に示すように、実施例1、および参考例1と2の銅粉体は0.04重量%以上1.00重量%以下の濃度で炭素を含むことが確認された。実施例1、参考例1、および参考例2を比較すると、表面処理剤を含む水溶液の濃度が増大するに従って炭素濃度が増大することが分かる。このことは、炭素濃度は表面処理剤を含む溶液または懸濁液の濃度によって制御できることを示している。
実施例1、および参考例1と2の結果から、炭素濃度の増大に伴って焼結開始温度が増大することが分かった。特に炭素濃度が僅か0.04重量%である参考例1の銅粉体であっても450℃以上の高い開始温度を示すことは注目すべき点である。これに対し、炭素濃度が0.19重量%比較例1の銅粉体は、参考例1よりも炭素濃度が高いにもかかわらず焼結開始温度は低く、400℃に満たないことが分かった。なお、実施例1、参考例1と2、および比較例1の銅粉体のアルミニウム、ケイ素、チタン、およびジルコニウムの濃度は、いずれも検出限界値未満であった。このことは、焼結開始温度は単に炭素濃度だけに依存するのではなく、平均粒子径D50に対する平均結晶子径Dの比(D/D50)の影響が大きく、D/D50が0.10以上であることも焼結開始温度の増大に寄与しているものと考えられる。これはおそらく、D/D50が大きいほど結晶状態で存在する銅の割合が高いためであると推測される。
実施例1の銅粉体は、焼結開始温度以下に脱ガスピーク温度を示すだけでなく、これらの温度差が300℃以上存在することが分かった(表1)。このことは、焼結が開始される前に脱ガスがほぼ終了していることを示唆している。したがって、焼結が進行して膜が形成される過程で大量のガスが脱離することがなく、実施例1の銅粉体を用いることで銅膜中におけるボイドの形成や銅薄膜の変形が抑制可能であると言える。これに対し、比較例1の銅粉体では、脱ガスのピーク温度は焼結開始温度よりも低いものの、その差は240℃程度と小さいことが分かった。このことは、比較例1の銅粉体を用いる場合には、焼結が進行して膜が形成される過程でもガスが脱離することを示唆しており、形成される銅膜にボイドが発生する、あるいは銅膜の変形が生じる可能性が極めて高いと言える。
60℃以上950℃以下の加熱によって脱離するガスの総量に対する600℃以上950℃以下における脱離ガス量の割合(W1/W0)は、比較例1と比較して実施例1では大幅に低いことが表1から理解される。このことからも、実施例1の銅粉体を焼結する場合には、膜が形成される過程において大量のガスが脱離することがなく、ボイド発生や銅膜の変形を効果的に防止することが可能であると言える。
Figure 2021080549

Claims (5)

  1. 平均粒径D50が100nm以上500nm以下であり、
    焼結開始温度が450℃以上であり、
    脱ガスピーク温度が150℃以上300℃以下である、銅粉体。
  2. 60℃以上950℃以下の温度範囲で脱離するガスの総量(W0)に対する、600℃以上950℃以下の温度範囲で脱離するガスの量(W1)の比(W1/W0)は、0.6重量%以下である、請求項1に記載の銅粉体。
  3. 平均結晶子径(D)の平均粒子径(D50)に対する比D/D50が0.10以上0.50以下である、請求項1または2に記載の銅粉体。
  4. 炭素濃度が0.04重量%以上1.00重量%以下である、請求項1から3のいずれか一項に記載の銅粉体。
  5. アルミニウム、ケイ素、チタン、ジルコニウム、セリウム、およびスズの各々の濃度は、誘導結合プラズマ発光分光による前記銅粉体の測定において、検出限界値未満である、請求項1から4のいずれか一項に記載の銅粉体。
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