JP3492672B1 - 金属粉末の製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Abstract
μm以下で積層セラミックコンデンサの内部電極に適し
た金属粉末を製造する。 【解決手段】 原料金属を塩化炉内に断続的もしくは連
続的に供給し、原料金属と塩素ガスを塩化炉内で反応さ
せて金属塩化物蒸気を連続的に生成し、金属塩化物蒸気
と水素ガスを還元炉内で反応させて連続的に金属粉末を
得る。この場合、塩化反応中の塩化炉の重量を秤量し、
この秤量結果に基づいて原料金属の塩化炉への供給を制
御する。
Description
および製造装置に係わり、特に積層セラミックコンデン
サなどの電子部品等に用いられる導電ペーストフィラ
ー、チタン材の接合材、さらには触媒などの各種用途に
適したニッケル等の金属粉末の製造方法および製造装置
に関する。
料や触媒などあらゆる分野に広く利用されているが、近
年、特に平均粒径が1μm以下の超微粉と呼ばれる金属
粉末は、積層セラミックコンデンサの内部電極形成用と
して注目されている。従来より、銀、パラジウム、白
金、金等の貴金属粉末、あるいはニッケル、コバルト、
鉄、モリブデン、タングステン等の卑金属粉末は電子材
料用として導電ペースト、特に積層セラミックコンデン
サの内部電極用として用いられている。一般に積層セラ
ミックコンデンサは、誘電体セラミック層と、内部電極
として使用される金属層とが交互に重ねられ、誘電体セ
ラミック層の両端に、内部電極の金属層に接続される外
部電極が接続された構成となっている。ここで誘電体を
構成する材料としては、チタン酸バリウム、チタン酸ス
トロンチウム、酸化イットリウム等の誘電率の高い材料
を主成分とするものが用いられている。一方、内部電極
を構成する金属としては、前述した貴金属粉末あるいは
卑金属粉末が用いられるが、最近はより安価な電子材料
が要求されているため、後者の卑金属粉末を利用した積
層セラミックコンデンサの開発が盛んに行われており、
特にニッケル粉末が代表的である。
ウム等の誘電体粉末を有機バインダーと混合し懸濁さ
せ、これをドクターブレード法によりシート状に成形し
て誘電体グリーンシートを作成し、一方、内部電極用の
金属粉末を有機溶剤、可塑剤、有機バインダー等の有機
化合物と混合して金属粉末ペーストを形成し、これを前
記グリーンシート上にスクリーン印刷法で印刷する。こ
れを数百層に積層し、次いで1000℃以上で焼成し
て、最後に誘電体セラミック層の両端に外部電極を焼き
付けて積層セラミックコンデンサを得る。
製造方法にあっては、金属ペーストから有機成分を蒸発
させて除去する工程や、その後の焼結工程の際に、金属
粉末が膨張・収縮することによって体積変化が生じる。
一方、誘電体自身にも焼結によって同様に体積変化が生
じる。すなわち、誘電体と金属粉末という異なった物質
を同時に焼結するため、焼結過程でのそれぞれの物質の
膨張・収縮の体積変化に起因して焼結挙動に違いが生じ
ることは避けられず、その結果、クラックまたは剥離等
のいわゆるデラミネーションと言われる層状構造の破壊
が起きるという問題を抱えていた。
伴い、高積層化、内部電極の薄層化また低抵抗化等の要
求から、内部電極として使用する金属粉末は、粒径1μ
m以下は勿論のこと、粒径0.5μm以下の超微粉が要
望されている。このとき1μm以上あるいは2μm以上
の粗粉が存在することにより内部電極の薄層化が困難と
なり、さらに、電極表面に凹凸が生じることによりショ
ートの原因となったり、また、結果としてデラミネーシ
ョンの原因となったりしていた。
る方法として、特開平10−219313号公報では、
金属に塩素ガスを接触させて金属塩化物蒸気を連続的に
発生させる塩化工程と、塩化工程で発生した金属塩化物
蒸気を還元性ガスと接触させ、金属塩化物を連続的に還
元する還元工程とを備えた金属粉末の製造方法が開示さ
れている。
に1μm以下のニッケル粉末を安定的に効率良く製造で
きる点で優れた方法である。しかしながら、生成する金
属粉末にはなお1μm以上や2μm以上の粗粉が含まれ
ており、このような粗粉の発生を制御できる製造方法あ
るいは装置の改善が望まれていた。
スを反応させ金属塩化物蒸気を生成させ、この金属塩化
物蒸気と水素ガスを反応して金属粉末を得る方法におい
て、粗粉発生の無い粒径の安定した、特に平均粒径1μ
m以下積層セラミックコンデンサの内部電極に適した金
属粉末の製造方法および製造装置を提供することを目的
とする。
達成するために鋭意研究を重ねた結果、塩化炉で反応し
なかった塩素ガスが還元炉に供給され、これによって反
応温度が上昇することが原因で粗粉が生成されることを
見出した。
基づいてなされたもので、原料金属を塩化炉内に断続的
もしくは連続的に供給し、原料金属と塩素ガスを塩化炉
内で反応させて金属塩化物蒸気を連続的に生成し、金属
塩化物蒸気と水素ガスを還元炉内で反応させて連続的に
金属粉末を得る金属粉末の製造方法において、塩化反応
中の塩化炉の重量を秤量し、この秤量結果に基づいて原
料金属の塩化炉への供給を制御することを特徴としてい
る。
料金属を供給するための原料ホッパーと、この原料ホッ
パーから供給される原料金属を塩化する塩化炉と、この
塩化炉で発生した金属塩化物蒸気を還元する還元炉とを
備え、原料ホッパーと塩化炉は、原料金属を供給し供給
量を制御するための弁を介して原料供給管で連通され、
塩化炉と還元炉は、塩化炉で発生した金属塩化物蒸気を
還元炉に移送する移送管で連通され、塩化炉は、内部に
塩素ガスを供給するための塩素ガス供給管を備え、還元
炉は、金属塩化物蒸気を内部に噴出するノズルと、水素
ガスを内部に供給するための水素ガス供給管と、還元さ
れた金属粉末を冷却する不活性ガスを内部に供給するた
めの冷却ガス供給管とを備え、さらに、塩化炉全体の重
量を秤量する秤量手段と、この秤量手段の秤量結果に基
づいて原料金属の塩化炉への供給量を制御する制御手段
を備えていることを特徴としている。
結果に基づいて原料金属の供給量を制御するから、常に
適量の原料金属を塩化炉に充填しておくことができる。
これにより、原料金属と塩素ガスとの反応が均一化し、
未反応で還元炉に供給される塩素ガスを低減することが
できる。
ックコンデンサの内部電極や触媒に使用し得る金属であ
り、銀、パラジウム、白金、金等の貴金属、あるいはニ
ッケル、コバルト、鉄、モリブデン、タングステン等の
卑金属である。この中でも卑金属が安価な点で好まし
く、その中でもニッケルがより好ましい。
ついては、それぞれの用途として支障のない限り特に制
限はないが、積層セラミックコンデンサの内部電極に使
用される場合、金属粉末の平均粒径は、好ましくは0.
01〜1μm、さらに好ましくは0.1〜1μm、特に
は0.1〜0.5μmの範囲の微粒子が用いられる。ま
た、金属粉末のBETによる比表面積は1〜20m2/
g のものが好ましい。さらに、金属粉末の粒子形状
は、焼結特性または分散性を向上させるために球状であ
ることが望ましい。
反応させ金属塩化物蒸気を連続的に生成させ、この金属
塩化物蒸気と水素ガスを還元炉内で反応して連続的に金
属粉末を得る方法(以下「塩化還元法」ということがあ
る。)に基づくものである。一般にこのような気相還元
反応による金属粉末の製造過程では、金属塩化物蒸気と
水素ガスとが接触した瞬間に金属原子が生成し、金属原
子どうしが衝突・凝集することによって超微粒子が生成
され、成長してゆく。そして、還元炉内の金属塩化物蒸
気の分圧や温度等の条件によって、生成される金属粉末
の粒径が決まる。この塩化還元法では、塩素ガスの供給
量に応じた量の金属塩化物蒸気が発生するから、塩素ガ
スの供給量を制御することで還元炉へ供給する金属塩化
物蒸気の量を制御することができる。さらに、金属塩化
物蒸気は、塩素ガスと金属との反応で発生するから、固
体金属塩化物の加熱蒸発により金属塩化物蒸気を発生さ
せる方法と異なり、キャリアガスの使用を少なくするこ
とができるばかりでなく、製造条件によっては使用しな
いことも可能である。よって、キャリアガスの使用量低
減とそれに伴う加熱エネルギーの低減により、製造コス
トを低減することができる。
に不活性ガスを混合することにより、還元炉における金
属塩化物蒸気の分圧を制御することができる。このよう
に、塩素ガスの供給量もしくは還元炉に供給する金属塩
化物蒸気の分圧を制御することにより、金属粉末の粒径
を制御することができ、金属粉末の粒径を安定させるこ
とができるとともに、粒径を任意に設定することができ
る。
の金属粉末が得られる点、また効率的に低コストで製造
できる点で優位である。しかしながら、塩化還元法で連
続して金属粉末を製造する際、塩化炉内での塩化反応速
度に変化が生じる場合がある。塩化反応速度に変化が生
じた場合、塩化炉で発生する金属塩化蒸気の発生量が変
動するため還元炉内での金属塩化物の分圧が変化し、結
果として生成する金属粉末の粒度が不安定になり、所望
の粒径の金属粉末が得られない場合がある。特に積層セ
ラミックコンデンサの内部電極用のニッケル粉末の製造
の際、このような塩化反応速度の変動があった場合、1
μm以上や2μm以上の粗粉が多量に発生する場合があ
る。
のペレット状の原料ニッケルを塩化炉に充填し、次いで
800℃程度に加熱して、その後塩素ガスおよび原料ニ
ッケルを連続的に供給して塩化反応を行う。この際、原
料ニッケルが塩化され塩化ニッケル蒸気となり、塩化炉
内の原料ニッケルの充填層は減少していく。このとき原
料ニッケル充填層が塩化炉の断面に沿って一定に減少し
てゆけば塩化反応速度は一定に保たれる。
層の温度分布は均一ではなく、また塩化炉内に供給され
る塩素ガスの位置または原料ニッケルの位置によって、
原料ニッケル充填層の中央やあるいは外周部が選択的に
塩化され減少する場合がある。このような不均一な原料
ニッケル充填層の減少が継続すると、この充填層を貫通
したある程度の大きさの隙間が生じ、供給した塩素ガス
の一部が原料ニッケルと接触せず、塩化ニッケル蒸気と
ともに直接還元炉に供給されてしまう。このように未反
応の塩素ガスが直接還元炉に供給されてしまうと、還元
炉内の塩化ニッケル蒸気の分圧が減少すると共に、塩素
ガスが還元反応に供されることによってニッケル粉末の
生成速度が上昇し、結果として粗粉が異常に増加してし
まう。
のような塩化反応における未反応塩素ガスの還元炉への
流入であることを見出した。本来このような異常現象
は、塩化炉から発生する蒸気及びガスの組成を連続的に
定量すれば検知できるが、本発明のように塩素ガスおよ
び金属塩化物の混合ガスであるため、その分離及び定量
は困難であった。
化速度に対応するから、塩化炉の重量の変化速度を監視
して塩化反応速度をフィードバック制御すると好適であ
る。塩化反応速度の制御手段としては、反応速度が低下
した場合、主に上記したように塩化炉内の原料金属充填
層に貫通した隙間が生じたことによる未反応塩素ガスの
流出が主な原因であるので、塩化炉に供給する塩素ガス
の量を減らすか、若しくは塩化炉から発生する金属塩化
物蒸気の還元炉への供給量を制限するなどの方法があ
る。しかしながらこれらの方法は全体の金属粉末の生産
性を低下させ、また還元炉内での反応が不均一になり生
成金属粉末の粒度が不安定になる恐れがあるので、好ま
しくは、塩化炉内の原料金属充填層の隙間をなくすよう
に原料金属を塩化炉に供給する。通常、連続運転では、
原料金属は塩化炉に連続的あるいは断続的に供給される
が、この場合においても反応速度の低下を検知した際
は、これに対応して原料金属の供給量を増量することが
望ましい。
属と接触せず未反応のまま塩素ガスが還元炉へ流入する
と、塩化反応の反応速度が急激に低下し、このまま放置
すると生成する金属粉末の粒度が不安定になり、大量の
粗粉が発生してしまうことがある。
化速度を監視し、変化速度が急落したときに、原料金属
の供給量を一時的に急増することが望ましい。例えば、
図4に示すように、変化速度の急落Pを検出したとき
に、断続的ないし連続的に30分間に供給する原料金属
と同じ量またはそれ以上を一度に1回または複数回供給
し、その後は通常どおりか、または量を少し減らして断
続的ないし連続的に供給する。これにより、塩素ガス過
多の状態を一気に解消することができるので、未反応で
還元炉に供給される塩素ガスを低減して得られる金属粉
末の粒度を安定させ、特に粗粉の発生を抑制することが
できる。
ドセルが好ましく、経時的に重量の変化を検知できるも
のが特に好ましい。本発明では塩化炉の重量の変化を検
知し、これから単位時間当りの重量変化を求めこれを反
応速度として制御する。つまりこの反応速度は、発生し
た金属塩化物蒸気の単位時間当りの重量であり、この反
応速度が常に一定に保たれていれば、塩化反応が安定し
ており、結果として還元炉内での反応も安定し得られる
金属粉末の粒度も安定する。
いは断続的に塩化炉に供給する場合、原料金属を貯蔵し
供給する原料ホッパーについてもその重量をロードセル
による秤量する。これにより原料ホッパーの重量変化と
塩化炉の重量変化から塩化反応の反応速度を検知し制御
可能となる。
以下に示す。 (1)金属ニッケルなどの原料金属をロードセルによる
秤量手段を具備した原料ホッパーより、ロードセルによ
る秤量手段を具備した塩化炉に供給してある程度の高さ
をもった原料金属充填層を形成する。 (2)その後塩化炉を加熱して塩化炉内に塩素ガスを供
給して塩化反応を開始する。 (3)同時に原料金属を連続的あるいは断続的に供給す
る。 (4)原料ホッパーおよび塩化炉の重量変化から塩化反
応の反応速度を連続的に検知する。 (5)反応速度の変化、特に低下が見られたら、原料金
属の供給を所定の反応速度になるように増量する。
量と塩化炉の重量を秤量し、塩化反応の反応速度変化を
検知し、これに連動して自動的に原料金属の供給量を制
御して反応速度を制御する金属粉末の製造システムであ
ることが尚一層好ましい。
還元炉の上流側に配置され、塩化炉と還元炉とを直結す
ることにより、塩化反応と還元反応を同時にかつ連続的
に行うことができ、効率よく金属粉末を製造することが
できる。また、塩化炉内への塩素ガスの供給量に応じた
量の金属塩化物蒸気が発生し、しかも、塩化炉と還元炉
とが直結されているので、塩素ガスの供給量を制御する
ことで還元炉へ供給する金属塩化物蒸気の量を制御する
ことができる。
ることにより、ここから不活性ガスを塩化炉に供給でき
るから、還元炉における金属塩化物蒸気の分圧を制御す
ることができる。したがって、塩素ガスの供給量もしく
は還元炉に供給する金属塩化物蒸気の分圧を制御するこ
とにより金属粉末の粒径を制御することができる。ま
た、塩化炉全体の重量を測定する秤量手段を具備してい
るので、塩化反応中の反応速度の変化を検知することが
でき、これを制御することにより、得られる金属粉末の
粒度を安定させ、特に粗粉の発生を抑制させることが可
能となった。さらに原料ホッパーについても重量を測定
する秤量手段を具備することにより、より精度の高い反
応速度の制御が可能となる。
末の製造装置の実施の形態について詳しく説明する。塩
化反応は図1に示すような塩化炉5によって行うと好適
である。塩化炉5は、ロードセル9によって支持されて
いる。塩化炉5の上部には、原料金属3を貯蔵および供
給するための原料ホッパー1が配置され、原料ホッパー
1は、途中に原料金属供給弁4a,4bを介装した原料
金属供給管21によって塩化炉5の頂部と接続されてい
る。原料ホッパー1は、ロードセル2によって支持さ
れ、ロードセル2は、塩化炉5のロードセル9と接続さ
れている。
接続され、下側部には不活性ガス供給管8が接続されて
いる。塩化炉5の周囲にはヒータ7が配置され、塩化炉
5の下側部には、金属塩化物蒸気移送管12が接続され
ている。塩化炉5は縦型、横型を問わないが、固体−ガ
ス接触反応を均一に行うためには縦型が好ましい。ま
た、原料供給管21、塩素ガス供給管6および不活性ガ
ス供給管8の中間部は、例えばベローズのような伸縮性
および柔軟性のある構造とされ、原料ホッパー1及び塩
化炉5の重量を正確に秤量できるようになっている。な
お、塩化炉5の底部には、炉床を構成するように充填物
11が配置されている。充填物11は、例えば石英ガラ
ス等の小片で構成され、金属塩化物蒸気および不活性ガ
スが流通可能でかつ原料金属の落下を防止している。
供給管6から導入される。塩化炉5およびその他の部材
は石英ガラス製が好ましい。金属塩化物蒸気移送管12
は、後述する還元炉13の上端面の金属塩化物蒸気噴出
ノズル14に接続されている。
いが、接触効率、圧力損失上昇防止の観点から、粒径約
5mm〜20mmの粒状、塊状、板状などが好ましく、
また、その純度は慨して99.5%以上が好ましい。塩
化炉5内の原料金属充填層10の高さは、塩素供給速
度、塩化炉温度、連続運転時間、原料金属3の形状など
をもとに、供給塩素ガスが金属塩化物蒸気に変換される
に十分な範囲に適宜設定すれば良い。塩化炉5内の温度
は、原料金属が塩化される温度であればよいが、金属ニ
ッケルの場合、反応を十分進めるために800℃以上と
し、ニッケルの融点である1483℃以下とし、反応速
度と塩化炉5の耐久性を考慮すると、実用的には900
℃〜1100℃の範囲が好ましい。
から連続的に供給すると共に、原料金属3を原料ホッパ
ー1より原料供給弁4を開閉することにより連続的ある
いは断続的に供給する。その際、原料金属の供給量はロ
ードセル2により秤量する。
のまま金属塩化物蒸気移送管12により還元炉13に移
送するか、場合によっては、不活性ガス供給管8から窒
素やアルゴンなどの不活性ガスを、金属塩化物蒸気に対
し1モル%〜30モル%混合し、この混合ガスを還元炉
に移送する。この不活性ガスの供給は、金属粉末の粒径
制御因子となる。不活性ガスの過剰な混合は、不活性ガ
スの多大な消耗となることは勿論、エネルギ−損失とな
って不経済である。このような観点から、移送管12を
通過する混合ガスの好ましい金属塩化物蒸気分圧は、全
圧を1.0としたときに0.5〜1.0の範囲、とりわ
け粒径0.15μm〜0.5μmといった小粒径の金属
粉末を製造する場合には、分圧0.6〜0.9程度が好
適である。そして、前述のように金属塩化物蒸気発生量
は塩素ガス供給量により任意に調整することができ、ま
た、金属塩化物蒸気の分圧も不活性ガス供給量で任意に
調整することができる。
続的に還元炉13に移送される。還元炉13の上端部に
は、金属塩化物蒸気移送管12に接続された金属塩化物
蒸気噴出ノズル14(以下、単にノズル14と称する)
が下方へ突出させられる。また、還元炉13の上端面に
は、水素ガス供給管15が接続され、還元炉13の下側
部には冷却ガス供給管17が接続される。また、還元炉
13の周囲にはヒータ16が配置される。ノズル14
は、後述するように、塩化炉5から還元炉13内へ金属
塩化物蒸気(不活性ガスを含む場合がある)を、好まし
い流速で噴出する機能を有する。
が進行する際、ノズル14の先端部からは、LPGなど
の気体燃料の燃焼炎に似たような、下方に延びた反応炎
18が形成される。還元炉13への水素ガス供給量は、
金属塩化物蒸気の化学当量、すなわち、塩化炉5へ供給
する塩素ガスの化学当量の1.0〜3.0倍程度、好ま
しくは1.1〜2.5倍程度であるが、これに限定する
ものではない。しかしながら、水素ガスを過剰に供給す
ると還元炉13内に大きな水素流れをもたらし、ノズル
14からの金属塩化物蒸気噴出流を乱し、不均一な還元
反応の原因になるとともに、消費されないガス放出をも
たらして不経済である。また、還元反応の温度は反応完
結に充分な温度以上であれば良いが、ニッケル粉末を製
造する場合、固体状のニッケル粉末を生成する方が取扱
いが容易であるので、ニッケルの融点以下が好ましく、
反応速度、還元炉13の耐久性、経済性を考慮すると9
00℃〜1100℃が実用的であるが、特にこれに限る
ものではない。
スは、実質的に同モル量の金属塩化物蒸気となり、これ
が還元原料とされる。金属塩化物蒸気もしくは金属塩化
物蒸気−不活性ガス混合ガスのノズル14先端から噴出
されるガス流の線速度を調整することにより、得られる
金属粉末19の粒径を適切化することができる。すなわ
ち、ノズル径が一定であれば、塩化炉5への塩素供給量
と不活性ガス供給量によって、還元炉13で生成される
金属粉末19の粒径を目的の範囲に調整することができ
る。ノズル14先端における好ましいガス流の線速度
(金属塩化物蒸気および不活性ガスの合計(還元温度で
のガス供給量に換算した計算値))は、900℃〜11
00℃の還元温度において約1m/秒〜30 m/ 秒に
設定され、0.1μm〜0.3μmのような小粒径のニ
ッケル粉末を製造する場合には、およそ5m/秒〜25
m/秒、また、0.4μm〜1.0μmのニッケル粉末
を製造する場合には、およそ1m/秒〜15m/秒が適
当である。水素ガスの還元炉13内での軸方向の線速
は、金属塩化物蒸気の噴出速度(線速)の1/50〜1
/300程度、好ましくは1/80〜1/250が良
い。したがって、実質的には静的水素雰囲気中へ金属塩
化物蒸気がノズル14から噴射されるような状態とな
る。なお、水素ガス供給管15の出口の方向は、火炎側
へ向けないことが好ましい。
ガス供給流量を増加させると、還元炉13で生成する金
属粉末19の粒径が小さくなり、逆に塩素ガスの供給流
量を減少させると粒径が増大する。さらには、前述した
ような塩化炉5出口付近で金属塩化物蒸気に対して混合
する不活性ガスにより金属塩化物蒸気の分圧を調整する
ことにより、具体的には金属塩化物蒸気に対し1モル%
〜30モル%の範囲で混合し、例えば、分圧を高めると
生成する金属粉末の粒径を増大させることができ、逆
に、金属塩化物蒸気の分圧を低めると生成する金属粉末
の粒径を小さくすることができる。
を行い、発生した金属塩化物蒸気を還元炉13で金属粉
末を製造する過程において、塩化炉5の重量をロードセ
ル9にて秤量して重量変化を連続的に検知する。一方、
原料ホッパー1の重量変化をロードセル2により連続的
に秤量して、塩化炉5内に供給した原料金属3の重量を
検知する。これらの経時的な重量変化から塩化反応の反
応速度を検出する。つまり原料ホッパー1の単位時間当
りの重量変化と塩化炉5の単位時間当りの重量変化を併
せたものが、塩化炉5で発生した金属塩化物蒸気の単位
時間当りの重量ということになり、塩化反応の反応速度
(金属塩化物蒸気発生量重量/時間)になる。
続して監視し、反応速度が低下した場合、即、原料ホッ
パー1からの金属原料3の供給を一時的に増量し、反応
速度を安定させる。このとき原料金属充填層10の上面
が不均一になっているので、この上面が平滑になるよう
に、目視で確認しながら原料金属を供給することが望ま
しい。また、分散制御システムなどを利用してロードセ
ル2およびロードセル9で検知した重量変化と原料金属
供給弁4を連動させ、反応速度の低下が生じた場合、金
属供給弁4が開き、原料金属3を反応速度が安定するよ
うに供給するように設定することが望ましい。
を設けることができる。冷却工程は、図1に示すよう
に、還元炉13内のノズル14と反対側の空間部分で行
うことができ、あるいは、還元炉13の出口に接続した
別の容器を用いることも可能である。なお、本発明でい
う冷却とは、還元反応で生成したガス流(塩酸ガスを含
む)における金属粒子の成長を停止もしくは抑制するた
めに行う操作であり、具体的には還元反応を終えた10
00℃付近のガス流を400℃〜800℃程度まで急速
冷却させる操作を意味する。もちろんこれ以下の温度ま
で冷却を行っても構わない。
先端から下方の空間部分に不活性ガスを吹き込むように
構成することができる。具体的には、冷却ガス供給管1
7より窒素ガスを吹き込むことで、ガス流を冷却するこ
とができる。不活性ガスを吹き込むことにより、金属粉
末19の凝集を防止しつつ粒径制御を行うことができ
る。冷却ガス供給管は、1箇所もしくは還元炉13の上
下方向に位置を変化させて複数箇所に設けることで、冷
却条件を任意に変更することができ、これにより粒径制
御をより精度よく行うことができる。
および不活性ガスの混合ガスは回収工程へ移送され、そ
こで混合ガスから金属粉末19が分離回収される。分離
回収には、例えばバグフィルター、水中捕集分離手段、
油中捕集分離手段および磁気分離手段の1種または2種
以上の組合せが好適であるが、これに限定されるもので
はない。たとえば、バグフィルターによって金属粉末1
9を捕集する場合、冷却工程で生成した金属粉末19と
塩酸ガスおよび不活性ガスの混合ガスをバグフィルター
に導き、金属粉末19だけを回収した後、洗浄工程に送
ってもよい。油中捕集分離を用いる場合には、炭素数1
0〜18のノルマルパラフィンまたは軽油を使用するの
が好適である。水中もしくは油中捕集を用いる場合に
は、捕集液にポリオキシアルキレングリコール、ポリオ
キシプロピレングリコールまたはそれらの誘導体(モノ
アルキルエーテル、モノエステル)あるいは、ソルビタ
ン、ソルビタンモノエステル等の界面活性剤、ベンゾト
リアゾールまたはその誘導体に代表される金属不活性剤
のフェノール系、あるいはアミン系など公知の酸化防止
剤、これらの1種または2種以上を10ppm〜100
0ppm程度添加すると、金属粉末粒子の凝集防止や防
錆に効果的である。
属粉末の製造方法また製造装置では、塩化炉内での原料
金属充填層の不均一反応による、未反応塩素ガスの還元
炉への流入が生じてしまったため、生成する金属粉末の
粒度が安定せず、特に粗大粒子が発生してしまった。し
かしながら、本発明の製造方法及び製造装置では、塩化
炉の重量を秤量することにより塩化反応の反応速度が制
御でき安定するため、未反応塩素ガスの還元炉への流入
を防止でき、結果として粒度の安定した、特に粗大粒子
のない金属粉末を製造することができる。さらに、従来
方法あるいは従来装置では上記のように塩化反応が急激
に低下するなど不安定であったため、反応速度を上げら
れなかったが、本発明では反応速度が安定したため、反
応速度を上げることが可能となり、結果として金属粉末
の生産性を向上することができる。
細に説明する。 [実施例]図1に示す金属粉末の製造装置の塩化炉5
に、原料ホッパー1より平均粒径5mmの原料ニッケル1
5kgを充填し、炉内雰囲気温度を1100℃にして4
Nl/minの流量で塩素ガスを導入し、塩化反応を開
始した。その後原料ホッパー1より原料ニッケルを5分
置きに0.5kg/で断続的に原料ニッケルを塩化炉5
に供給した。このように金属ニッケルを塩化して塩化ニ
ッケル蒸気を発生させた。
の窒素ガスを混合し、この塩化ニッケル蒸気−窒素混合
ガスを1000℃の雰囲気温度に加熱した還元炉13
に、ノズル14から流速2.3m/秒(1000℃換
算)で導入した。同時に還元炉13の頂部から水素ガス
を流速7Nl/minで供給し、塩化ニッケル蒸気を還
元した。
並行的に連続して(30時間)行い、その際原料ホッパ
ー1と塩化炉5の重量をそれぞれロードセル2及び9に
て秤量して、その重量変化から塩化炉内での塩化反応の
反応速度を連続的に検知した。製造開始後、25時間目
に反応速度低下が見られたので、原料ホッパー1からの
原料ニッケル供給量を1回当り5kgに増量し、反応速
度を安定させ、製造を継続した。
成ガスは、冷却工程で窒素ガスを混合して冷却した。次
いで、窒素ガス−塩酸蒸気−ニッケル粉末からなる混合
ガスを純水中に導き、ニッケル粉末を分離回収した。次
いで、回収したニッケル粉末を純水で洗浄した後、乾燥
して製品ニッケル粉末を得た。得られたニッケル粉末の
粒度分布を図2、またSEM写真を図3(A)に示す。
BET法による平均粒径は0.40μmであり、有機溶
媒に懸濁させた際の平均粒径は1.50μm、また5μ
m以上の粗粉は0%であった。ここで有機溶媒に懸濁さ
せた際の平均粒径および粒度分布については、レーザー
光散乱画折法粒度測定機(Coulter LS230:コール
ター社製)を用い、適量の金属粉末をα−テルピネオー
ルに懸濁させてから超音波をかけて3分間分散させ、サ
ンプル屈折率1.8にて測定し、体積統計値の粒度分布
を求めた。
量を秤量せず、塩化炉内での塩化反応の反応速度を制御
しなかった以外は実施例1と同様に製造を行った。得ら
れたニッケル粉末の粒度分布を図2、またSEM写真を
図3(B)に示す。BET法による平均粒径は0.45
μmであり、有機溶媒に懸濁させた際の平均粒径は1.
45μm、また5μm以上の粗粉は3.0%であった。
本発明の方法である実施例で製造したニッケル粉末の粒
度分布は、図2より、比較例で製造したニッケル粉末に
比べて、特に粗粉が極めて少なく、また図3のSEM写
真から、比較例で製造したニッケル粉末は1μm以上の
粗粉が多く見られるが、これに比べて実施例で製造した
ニッケル粉末は1μm以上の粗粉が極めて少ないことが
明らかである。
製造方法および製造装置によれば、積層セラミックコン
デンサの内部電極などの1μm以下の微細な粒径が要求
されるニッケル粉末などの金属粉末を効率よく製造する
ことができ、さらに塩化反応の反応速度を制御でき結果
として粒度の均一な粗大粒のない金属粉末を製造するこ
とができるという効果を奏する。
成を示す縦断面図である。
末の粒度分布を示すグラフである。
SEM写真であり、(B)は比較例で製造されたニッケ
ル粉末のSEM写真である。
速度)を示す線図である。
ロードセル、13…還元炉、3…原料金属。
Claims (12)
- 【請求項1】 原料金属を塩化炉内に断続的もしくは連
続的に供給し、上記原料金属と塩素ガスを上記塩化炉内
で反応させて金属塩化物蒸気を連続的に生成し、上記金
属塩化物蒸気と水素ガスを還元炉内で反応させて連続的
に金属粉末を得る金属粉末の製造方法において、塩化反
応中の上記塩化炉の重量を秤量し、この秤量結果に基づ
いて上記原料金属の上記塩化炉への供給を制御すること
を特徴とする金属粉末の製造方法。 - 【請求項2】 前記塩化炉の重量の変化速度を監視し、
この変化速度に基づいて前記原料金属の上記塩化炉への
供給を制御することを特徴とする請求項1に記載の金属
粉末の製造方法。 - 【請求項3】 前記変化速度が急落したときに、前記原
料金属の供給量を一時的に急増することを特徴とする請
求項2に記載の金属粉末の製造方法。 - 【請求項4】 前記金属がニッケルであることを特徴と
する請求項1〜3のいずれかに記載の金属粉末の製造方
法。 - 【請求項5】 前記金属粉末が平均粒径0.01〜1μ
mのニッケル粉末であることを特徴とする請求項4に記
載の金属粉末の製造方法。 - 【請求項6】 前記塩化炉の重量の秤量をロードセルに
より行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記
載の金属粉末の製造方法。 - 【請求項7】 前記原料金属を前記塩化炉内に供給する
原料ホッパー全体の重量を秤量することを特徴とする請
求項1〜6のいずれかに記載の金属粉末の製造方法。 - 【請求項8】 原料金属を供給するための原料ホッパー
と、この原料ホッパーから供給される原料金属を塩化す
る塩化炉と、この塩化炉で発生した金属塩化物蒸気を還
元する還元炉とを備え、 上記原料ホッパーと上記塩化炉は、原料金属を供給し供
給量を制御するための弁を介して原料供給管で連通さ
れ、 上記塩化炉と上記還元炉は、塩化炉で発生した金属塩化
物蒸気を還元炉に移送する移送管で連通され、 上記塩化炉は、内部に塩素ガスを供給するための塩素ガ
ス供給管を備え、 上記還元炉は、上記金属塩化物蒸気を内部に噴出するノ
ズルと、水素ガスを内部に供給するための水素ガス供給
管と、還元された金属粉末を冷却する不活性ガスを内部
に供給するための冷却ガス供給管とを備え、 さらに、上記塩化炉全体の重量を秤量する秤量手段と、
この秤量手段の秤量結果に基づいて上記原料金属の上記
塩化炉への供給量を制御する制御手段を備えていること
を特徴とする金属粉末の製造装置。 - 【請求項9】 前記制御手段は、前記塩化炉の重量の変
化速度を監視し、この変化速度に基づいて前記原料金属
の上記塩化炉への供給を制御することを特徴とする請求
項8に記載の金属粉末の製造装置。 - 【請求項10】 前記制御手段は、変化速度が急落した
ときに、前記原料金属の供給量を一時的に急増すること
を特徴とする請求項9に記載の金属粉末の製造装置。 - 【請求項11】 前記原料ホッパー全体の重量を秤量す
る秤量手段を備えていることを特徴とする請求項8〜1
0のいずれかに記載の金属粉末の製造装置。 - 【請求項12】 前記秤量手段がロードセルであること
を特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載の金属粉
末の製造装置。
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