JP5105879B2 - 金属粉末および多孔質焼結体の製造方法 - Google Patents

金属粉末および多孔質焼結体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、高容量の固体電解コンデンサのアノード電極原料に好適な金属粉末、金属粉末の製造方法および多孔質焼結体の製造方法に関する。また本発明は、前記金属粉末を用いて製造されたコンデンサに関する。本願は、2004年12月10日に出願された日本国特許出願2004−358199号、および2004年12月13日に出願された米国仮出願60/635,470号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
近年、電子集積回路は、より低電圧での駆動、高周波化、低ノイズ化が求められており、固体電解コンデンサについても、低ESR化、低ESL化の要求が高まってきている。固体電解コンデンサのアノード電極に好適に用いられる金属粉末としては、例えば、ニオブ、タンタル、チタン、タングステン、モリブデン等がある。これらのなかでタンタルが使用されたタンタルコンデンサは、小型で、低ESRかつ高容量であるため、携帯電話やパソコン等の部品として急速に普及してきた。しかし、タンタルコンデンサのより一層の高容量化(高CV値化)および低ESR化は今なお求められており、コンデンサの高容量化のために、比表面積が大きく微細なタンタル粉末の開発が進められている。
近年、電子回路の駆動電圧が低下する傾向にあるため、コンデンサの定格電圧も低下傾向にある。これに伴って、誘電体酸化膜を形成する化成電圧も低下しているが、化成電圧が低下すると、形成される誘電体酸化膜の膜厚が薄くなる傾向にあるため、長期の信頼性が低くなるという問題があった。その対策としては、金属粉末に窒素をドープする方法が知られている。例えば、特開2001−223141号公報(特許文献1)には、反応器の内部に充填された溶融塩中で、金属塩と還元剤とを反応させて金属粉末を製造するに際して、溶融塩中に窒素含有ガスを吹き込む方法が開示されている。
しかし、特許文献1に記載の方法では、固溶状態の窒素を得るために均一に窒化させるので、必要以上に窒素が金属粉末中に含有されてしまい(窒素含有量;8000〜10000ppm)、その結果、金属粉末が固くなり過ぎて実用性を失うという問題があった。
そこで、特開2003−55702号公報(特許文献2)では、反応器の内部の一部に充填された溶融塩中で、金属塩と還元剤とを反応させて金属粉末を製造するに際して、反応器の内部の残部に窒素含有ガスを導入する方法が提案されている。しかし、特許文献2に記載の方法では、金属粉末中に窒素を充分に含有させることができないため、窒素ドープの効果を充分に発揮させることができなかった。
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、窒素を過剰に含有させずに表面積を大きくすることができ、金属粉末を固体電解質コンデンサに用いた際の長期の信頼性が高い上に、高容量化が可能な金属粉末および多孔質焼結体を製造する方法を提供することを目的とする。また本発明は、コンデンサのアノード電極に好適に用いうる金属粉末、およびその金属粉末を用いたコンデンサを提供することを目的とする。
本発明の金属粉末の製造方法では、反応器の内部の一部に充填された溶融塩中で、金属塩と還元剤とを反応させて金属粉末を製造するに際して、反応器の内部の残部に600℃以上に加熱した窒素含有ガスを導入する。
本発明の金属粉末の製造方法においては、金属塩がニオブおよび/またはタンタルのフッ化カリウム塩であり、還元剤がナトリウムであることが好ましい。
本発明の多孔質焼結体の製造方法では、上述した金属粉末の製造方法で得られた金属粉末を成形し、焼結する。
本発明の金属粉末は、本発明の粉末を含む、あるいは本発明の粉末よりなるコンデンサに用いることができる。例えば、従来技術を用いたコンデンサのアノード電極の一部を、本発明の粉末で構成してもよい。本発明の金属粉末は、湿式コンデンサ、固体電解質コンデンサのいずれに用いてもよい。
本発明の金属粉末は下記の特性をもつタンタル粉末でもよい。ただし、本発明の粉末の組成範囲が下記に限定されるわけではない。
純度:
残部をタンタル(Ta)として
酸素(O)含有量は、約5000ppmから約20000ppm、好ましくは、約8000ppmから約15000ppmである。より好ましくは、約10000ppmから約15000ppm、さらに好ましくは約12000ppmから約15000ppmの酸素含有量であってもよい。
炭素(C)含有量は、約1ppmから100ppm、好ましくは、約10ppmから約50ppmである。より好ましくは、約20ppmから約30ppmの炭素含有量であってもよい。
窒素(N)含有量は、約100ppmから20000ppm、好ましくは、約1000ppmから約5000ppmである。より好ましくは約3000ppmから約4000ppm、さらに好ましくは約3000ppmから約3500ppmの窒素含有量であってもよい。
水素(H)含有量は、約10ppmから1000ppm、好ましくは、約300ppmから約750ppmである。より好ましくは約400ppmから約600ppmの水素含有量であってもよい。
鉄(Fe)含有量は、約1ppmから50ppm、好ましくは、約5ppmから約20ppmである。
ニッケル(Ni)含有量は、約1ppmから150ppm、好ましくは、約5ppmから約100ppmである。より好ましくは、約25ppmから75ppmのニッケル含有量であってもよい。
クロム(Cr)含有量は、約1ppmから100ppm、好ましくは、約5ppmから約50ppmである。より好ましくは約5ppmから20ppmのクロム含有量であってもよい。
ナトリウム(Na)含有量は、約0.1ppmから50ppm、好ましくは、約0.5ppmから約5ppmである。
カリウム(K)含有量は、約0.1ppmから約100ppm、好ましくは5ppmから約50ppmである。より好ましくは約30ppmから約50ppmのカリウム含有量であってもよい。
マグネシウム(Mg)含有量は、約1ppmから約50ppm、好ましくは、約5ppmから約25ppmである。
燐(P)含有量は、約5ppmから約500ppm、好ましくは、約100ppmから約300ppmである。
フッ素(F)含有量は、約1ppmから約500ppm、好ましくは、約25ppmから約300ppmである。より好ましくは約50ppmから約300ppm、さらに好ましくは約100ppmから約300ppmのフッ素含有量であってもよい。
粉末の粒径は、フィッシャーサブシーブサイズ(FS)で測定して約1.30μm以下が可能である。粒径は所定の範囲に調整されることが好ましい。たとえばFSによる粉末の粒径は、約0.45μmから約1.30μmでもよい。粉末の粒径は0.45μm以下でもよく、たとえば0.10μmから約0.40μm、または約0.20μmから約0.40μmでもよい。粉末のバルク密度は、1.35g/cc以下でもよい。たとえば約0.80g/ccから約1.30g/cc、約1.0g/ccから約1.20g/ccでもよい。
メッシュサイズであらわした粉末の粒径は、全体に占めるパーセント(重量%)で、以下のような粒径分布を有していてもよい。
+#60は、約0.0から約1%、好ましくは、約0.0から約0.5%、さらに好ましくは、0.0または約0.0%である。
#60/#170は、約45%から約70%、好ましくは約55%から約65%、さらに好ましくは約60%から約65%である。
#170/#325は、約20%から約50%、好ましくは約25%から約40%、さらに好ましくは約30%から約35%である。
#325/#400は、約1.0%から約10%、好ましくは約2.5%から約7.5%、さらに好ましくは約4%から約6%である。
―#400は、約0.1%から約2.0%、好ましくは約0.5%から約1.5%である。
上記粉末をアノード電極に加工する場合、密度4.5g/ccに圧縮し、1150℃で10分間焼結し、化成温度60℃、化成電位10V(ボルト)で化成してもよい。その場合、アノード電極の電気容量は、CV値にして185000μFV/gから250000μFV/g、たとえば190000μFV/gから230000V/g、または200000μFV/gから230000μFV/gとなる。また漏れ電流は、10nA/μFV以下より小さくでき、範囲としては、約2.5から約7nA/μFV、または約3.0から約6nA/μFVでよい。
アノード電極の加工条件として、焼結温度1200℃または1250℃で10分間の焼結、及び/または化成電位16Vでの化成(例えば陽極酸化処理)をおこなってもよい。これらの条件でも、上記数値または範囲の電気容量及び/または漏れ電流を得ることができる。上記の範囲内の電気容量、漏れ電流であれば、本発明の目的に使用することが可能である。
以下、明細書の記述では、上記と同様にCV値を比静電容量と定格電圧の積としてあらわし、その数値を用いて電気容量を論ずる。
本発明のタンタル粉末の空孔は、焼結後の状態で、単項型の孔径分布、または二項分布などの多項型の孔径分布をもつことができる。空孔は、孔径にして約0.1μmから0.2μmの範囲内、たとえば0.1μmから0.18μmの範囲内に中心ピークがあってもよい。また、空孔の体積をV、孔径をdであらわして、孔径のピークは、約0.3から約0.5dV/d(logd)、たとえば0.4dV/d(logd)の高さをもってもよい。
本発明のタンタル粉末は、BET法で測定した比表面積が約1.5m/gから約10m/gでもよい。より好ましい比表面積は、約4m/gから約9m/gであり、例えば約4.5m/gから約8m/gでもよい。
本発明の金属粉末の製造方法および多孔質焼結体の製造方法によれば、窒素を過剰に含有させずに金属粉末の表面積を大きくすることができる。そのため、得られる金属粉末または多孔質焼結体は、固体電解質コンデンサに用いた際の長期の信頼性が高い上に、高容量化、具体的にはCV値として20万μFV/g以上が可能になる。
本発明の金属粉末の製造方法の一実施形態で使用される金属粉末の製造装置を模式的に示す図である。 CV値と窒素含有量との関係を示すグラフである。 本発明の一実施形態について、焼結体の密度と。CV値の関係を示す図である。 本発明の一実施形態について、化成電位とCV値の関係を示す図である。 本発明の一実施形態について粉末の状態を示す走査型電子顕微鏡像である。 本発明の一実施形態について焼結体の状態を示す走査型電子顕微鏡像である。 本発明の一実施形態について粉末の孔径の積算分布を示すグラフである。 本発明の一実施形態について、粉末の孔径の頻度分布を示すグラフである。
符号の説明
11 反応器、11a 反応器の内部の残部
(金属粉末の製造方法)
本発明の金属粉末の製造方法における一実施形態について説明する。
図1に、本実施形態の金属粉末の製造方法で使用する製造装置を示す。この製造装置10は、反応器11と、反応器11内に窒素含有ガスを導入するためのガス導入管12と、反応器11から窒素含有ガスを排出するためのガス排出管13とを、反応器11内に金属塩を投入するための金属塩投入口14と、反応器11内に還元剤を投入するための還元剤投入口15と、反応器11内を攪拌する攪拌翼16とを備えたものである。
この製造装置10における反応器11は、ニッケルとインコネルのクラッド材質からなることが好ましい。
この製造装置10におけるガス導入管12は、その噴出口12aが反応器11内に充填される溶融塩表面より上方に位置するように設けられており、反応器11内に導入した窒素含有ガスが、溶融塩と金属塩と還元剤とを含む反応融液の表面に接触するようになっている。
上記製造装置10を用いた金属粉末の製造方法では、まず、反応器11の内部の一部に希釈塩を充填し、次いで、反応器11の内部における希釈塩が充填されていない空間部分(反応器の内部の残部)11aに、ガス導入管12から加熱した窒素含有ガスを導入する。導入した窒素含有ガスをガス排出管13から反応器11外に排出して、窒素含有ガスを反応器11内に流通させる。このようにして、反応器11内を加熱した窒素含有ガス雰囲気に保つと同時に、希釈塩を800〜900℃に加熱して溶融する。その後、溶融した希釈塩(以下、溶融塩という。)中に、金属塩を金属塩投入口14から投入し、次いで、先に投入した金属塩の還元に必要な量だけ、還元剤を還元剤投入口15から投入する。
これにより、反応器11中で下記式(1)に表される還元反応を行う。この際、攪拌翼16を作動させて反応融液を緩やかに攪拌する。
TaF+5Na→2KF+5NaF+Ta・・・(1)
次いで、先に投入した金属塩と還元剤との反応がほぼ終了した時点で、窒素含有ガスの流通を続けながら、さらに金属塩と還元剤とを順次投入する。この操作を繰り返して、原料の金属塩と還元剤とを分割して少量ずつ反応させて金属粉末を生成する。
生成した金属粉末は、その比重が溶融塩よりも大きいために反応融液内を沈降する。その沈降によって、希釈塩からの金属粉末の回収が容易になるため、攪拌翼16の回転速度は、金属の沈降を妨げない程度に設定することが好ましい。
上記還元反応終了後、反応融液を冷却し、得られた集塊を水、弱酸性水溶液等で繰り返し洗浄して、希釈塩を除去することにより金属粉末を回収する。その際、必要に応じて、遠心分離、濾過等の分離操作を組み合わせてもよいし、フッ酸と過酸化水素が溶解している溶液等で金属粉末を洗浄し、精製してもよい。
この製造方法では、希釈塩として、塩化カリウム(KCl)、塩化ナトリウム(NaCl)、フッ化カリウム(KF)やこれらの共晶塩などを使用することができる。
窒素含有ガスとしては、分子状窒素(N)を含有するガスや、アンモニア、尿素、N等のガスが挙げられる。
反応器11の内部の残部の雰囲気は、金属粉末中に窒素をより容易に含有させることができることから、窒素ガス濃度が50体積%以上であることが好ましい。窒素ガス濃度を50体積%にするためには、窒素含有ガスの中でも窒素濃度約100%の純窒素ガスが好ましい。また、純窒素ガスをアルゴンガスなどで窒素濃度50%以上の範囲内で希釈したガスを用いても構わない。純窒素ガスまたはこれを上記の範囲で希釈したガスを用いれば、反応器11内の窒素含有ガス雰囲気中の窒素ガス濃度を50体積%以上に維持しやすく、金属粉末中に窒素をより容易に含有させることができる。
窒素含有ガスの温度は600℃以上であり、800℃以上が好ましい。窒素含有ガスの加熱方法としては、例えば、ガス導入管12をヒータまたは高温熱交換または高周波加熱等により加熱する方法などが挙げられる。また、ガス導入管12を溶融塩内にくぐらせて加熱することもできる。
金属塩としては、コンデンサ用途として特に好適なニオブ、タンタル、ニオブ−タンタル合金のいずれかからなる金属粉末を製造する場合には、ニオブおよび/またはタンタルのフッ化カリウム塩が好ましい。これらのフッ化カリウム塩を使用すると、アノード電極として使用する多孔質焼結体の製造に適した連鎖状粒子を容易に製造できる。具体的な、フッ化カリウム塩としては、KTaF、KNbF、KNbF等が挙げられる。フッ化カリウム塩以外の金属塩としては、五塩化ニオブ、低級塩化ニオブ、五塩化タンタル、低級塩化タンタル等の塩化物や、ヨウ化物、臭化物などのハロゲン化物が挙げられる。
還元剤としては、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属、これらの水素化物、すなわち水素化マグネシウム、水素化カルシウムが挙げられる。金属塩としてフッ化カリウム塩を使用した場合には、これらの中でもナトリウムが好ましい。金属塩としてフッ化カリウム塩を使用した場合に還元剤としてナトリウムを使用すると、フッ化カリウム塩中のフッ素とナトリウムとが反応して、ナトリウムのフッ化物が生成する。このナトリウムのフッ化物は水溶性であるため、後の工程で容易に除去できるという利点を有する。
また、この金属粉末の製造方法においては、希釈塩の量を、金属塩と還元剤との合計質量に対して、15〜25倍程度の質量にすると共に、金属塩と還元剤との添加回数を希釈率に比例させて40〜60回に設定することが好ましい。
さらに、上記金属粉末の製造方法では、溶融塩中に酸化ホウ素(B)やフッ化ホウ素カリウム(KBF)などのホウ素化合物を添加してもよい。ホウ素化合物を添加することによって、還元金属粉末の過度な微細化を抑制することができる。ここでのホウ素の添加量は、金属粉末に対して5〜100ppmが好ましい。5ppm未満では、微細化抑制効果が不充分であり、一方100ppmを超えると、焼結時にホウ素酸化物の気相を介しての移動が増加し、コンデンサとした時にリード線上に析出する場合があり好ましくない。
この製造方法により得られた金属粉末中には窒素が含まれる。金属粉末中の窒素の形態としては、窒素が金属に固溶している状態であることが好ましい。金属に窒素が固溶すると、金属結晶の格子定数が変化するため、金属への窒素の固溶は、X線回折ピークの位置のシフトによって確認することができる。例えば、タンタルに3000ppmの窒素が固溶すると、金属タンタルの(110)面の面間隔d=0.23375nm(=2.3375Å)が、d=0.23400nm(=2.3400Å)へと、約0.1%増加する。これに対し、金属粉末中の窒素の形態が、窒素と金属とからなる結晶性窒化物である場合には、コンデンサの容量や誘電体酸化膜の信頼性が低下する場合がある。
金属粉末中の窒素量Wは、市販の酸素/窒素分析計(堀場製作所EMGA520)を使用して、ヘリウムガス中、試料をインパルス融解加熱し、発生ガスをTCD(熱伝導度法)で定量する方法などで求めることができる。
以上説明した金属粉末の製造方法では、反応器の内部の残部に600℃以上に加熱した窒素含有ガスを導入し、反応融液に加熱した窒素含有ガスを反応融液の表面にて接触させることで、金属塩に窒素を容易に含有させることができる。その結果、金属塩の還元反応の際には、分子レベルの金属塩表面に付着した窒素により粒子の互着粗大化を抑制することができるので、比表面積を大きくすることができる。
なお、窒素含有ガスをプラズマ状態とし、その状態のガスを反応器の内部の残部に導入した場合にも上記と同様の効果を発揮するものと推定される。
反応融液中に窒素含有ガス導入管を浸漬して窒素含有ガスを吹き込む従来法では、金属塩と窒素との接触量が多いため、金属粉末中の窒素含有量が過剰になるのに対し、本実施形態の製造方法では、反応融液に対して窒素含有ガスは反応融液の表面17(図1参照)のみで接触するため、金属塩と窒素との接触量を少なくできる。しかも、還元され、すでに窒素が添加された金属粉末は反応融液中を沈降して表面17から離れていくため、金属と窒素とは再度接触しにくくなっている。したがって、還元された直後の金属にのみ窒素を導入することができ、窒素の含有量が過剰になることを防ぐことができる。
図2に、金属粉末中の窒素含有量とCV値との関係を示す。この図に示されるように、窒素含有量とCV値とは相関関係を有し、窒素含有量が多いほどCV値が大きくなっている。CV値は比表面積に正に相関するから、この図は、窒素含有量が多くなるほど比表面積が大きくなることを示唆している。そして、窒素含有ガスを溶融塩中に吹き込む従来の方法では、CV値(横軸)が大きくなるにしたがって、金属粉末が含有する窒素量も大きく増加する。これに対し、本実施形態の製造方法では、CV値(横軸)が大きくなるにしたがって、粉末が含有する窒素量も若干は増加するものの、その程度は従来の方法に比べ小さくなっている。したがって、吹き込む方法では、金属粉末に含まれる窒素量が過剰になりやすいのに対し、本実施形態の方法によれば、その金属粉末には必要最小量の窒素のみを含有させることができる。すなわち、本実施形態の製造方法では、窒素を過剰に含有させることなく、金属粉末の比表面積を大きくすることができる。
以上のことから、本実施形態の製造方法によれば、必要最小量の窒素を含みつつ、金属粉末の比表面積Sを容易に5.0m/g以上にすることができる。比表面積Sが5.0m/gの金属粉末を用いれば、より高容量のコンデンサ、具体的には化成電圧10VでCV値が20万μFV/g以上のコンデンサを容易に得ることができる。
本実施形態の製造方法のように、金属塩と還元剤とを分割して添加した場合には、一括して添加する方法に比べて、反応熱による急激な発熱を抑えることができ、微細でかつ均一な粒度分布の金属粉末を得ることができる。
上述した実施形態では、金属塩と還元剤とを溶融塩に分割添加したが、本発明は、その実施形態に限定されず、例えば、金属塩と還元剤とをそれぞれ所定の添加速度で連続的に添加してもよい。このように連続的に添加した場合にも、急激な温度上昇を押さえることができ、微細で均一な粒度分布の金属粉末を得ることができる。
(多孔質焼結体の製造方法)
次に、本発明の多孔質焼結体の製造方法の一実施形態について説明する。
本実施形態の多孔質焼結体の製造方法では、まず、上述のようにして得た金属粉末に、例えば、熱凝集処理、脱酸素処理、徐酸化安定化処理等の前処理を施す。
ここで、熱凝集処理は、金属粉末を真空中で加熱して凝集させて、金属粉末中に存在する極微細な粒子を比較的粒径の大きな2次粒子にする処理である。2次粒子を成形、焼結して得られた多孔質焼結体は、極微細な1次粒子から得られた多孔質焼結体よりも大きな空孔を有する。よって、アノード電極として使用する場合には、電解質溶液が多孔質焼結体の内部まで浸透するため、より高容量にすることができる。
また、真空中で加熱することによって、金属粉末中に含まれる希釈塩由来のナトリウム、マグネシウム等の不純物を除去することができる。
熱凝集の条件としては、高周波加熱により、温度800〜1200℃で0.5〜1時間加熱することが好ましい。高周波加熱の具体例としては、20mmφの反応器の周囲に、冷却式誘電コイルを10mm離して5mmの間隔にて巻き付け、反応器内を真空に保ちながら、加熱ゾーンを100mmとして5MHzの高周波を誘電コイルに印加する方法が挙げられる。
脱酸素処理は、熱凝集で得られたケーキ状の粉体を大気中または不活性ガス中で解砕し、その後マグネシウム等の還元剤を加え、アルゴン等の不活性ガス雰囲気中で、還元剤の融点以上沸点以下の温度で1〜3時間加熱して、金属粉末中の酸素と還元剤を反応させる処理である。
徐酸化安定化処理は、脱酸素処理後、冷却中にアルゴンガスに空気を導入する処理である。徐酸化安定化処理の後には、粉末中に残留しているマグネシウム、酸化マグネシウム等の還元剤由来の物質を酸洗浄して除去することが好ましい。
次いで、上記のように前処理が施された金属粉末に、バインダーとして3〜5質量%程度のショウノウ(C1016O)等を混合した後、その混合物をプレス成形して成形体を作製する。次いで、その成形体を焼結温度1000〜1200℃で0.3〜1時間程度加熱し、焼結することで多孔質焼結体を製造することができる。なお、この多孔質焼結体をアノード電極として使用する場合には、金属粉末をプレス成形する前に金属粉末中にリード線を埋め込み、これを焼結して、リード線を一体化しておくことが好ましい。
このようにして得られた多孔質焼結体は比表面積が大きいものであるため、EIAJRC−2361に準拠して、60℃、10Vで化成し、固体電解コンデンサの陽極電極として固体電解コンデンサを作製した場合には、比静電容量で示したCV値が20万〜35万μFV/gの高容量とすることも可能である。なお、EIAJ RC−2361は、日本電子機械工業会規格において電解コンデンサ用タンタル焼結素子の試験方法として定められているものである。
また、得られた多孔質焼結体は、密度が成形体の密度の103〜115%となることが好ましい。多孔質焼結体の密度が成形体の密度の103%未満では、強度が不充分であり、実用的ではない。一方、115%を超えると、焼結による体積収縮が大きすぎて、焼結体の寸法を制御しにくい。多孔質焼結体の密度を成形体の密度の103〜115%とすることによって、固体電解コンデンサに適したものになる。
また、多孔質焼結体は、圧縮強度が成形体の圧縮強度の3〜20倍となることが好ましい。多孔質焼結体の圧縮強度が成形体の圧縮強度の3倍未満では、強度が不充分であり、実用的ではなく、固体電解コンデンサとした場合に異常が起こる場合がある。一方、20倍を超えると、強度が高すぎるとともに固すぎて、空孔も少なくなるため、酸化マンガンの含浸が不充分となり、陰極体の製造が困難となる場合がある。
なお、本発明の多孔質焼結体は上述した実施形態に限定されず、例えば、前処理を省略してもよい。しかし、高品質の多孔質焼結体を得るためには上記前処理を施すことが好ましい。
上述した製造方法により得られた多孔質焼結体を用いて固体電解コンデンサを製造することができる。固体電解コンデンサの製造方法では、まず、上記多孔質焼結体を、例えば、温度30〜60℃、濃度0.1質量%程度のリン酸、硝酸等の電解溶液中、40〜80mA/gの電流密度で10Vまで昇圧し、1〜3時間処理して化成酸化する。この化成酸化した多孔質焼結体を固体電解コンデンサ用のアノード電極として使用する。すなわち、このアノード電極上に、公知の方法で二酸化マンガン、酸化鉛や導電性高分子等の固体電解質層、グラファイト層、銀ペースト層を順次形成し、さらにその上に陰極端子をハンダ付けなどで接続した後、樹脂外被を形成することにより固体電解コンデンサを得ることができる。
次に、本発明の一実施形態としての金属粉末について説明する。本発明の実施形態としての金属粉末は、下記の組成を有していてもよい。ただし、本発明の粉末の組成範囲が下記に限定されるわけではない。
純度:
残部をタンタル(Ta)として
酸素(O)含有量は、約5000ppmから約20000ppm、好ましくは、約8000ppmから約15000ppmである。より好ましくは約10000ppmから約15000ppm、さらに好ましくは約12000ppmから約15000ppmの酸素含有量であってもよい。
炭素(C)含有量は、約1ppmから100ppm、好ましくは、約10ppmから約50ppmである。より好ましくは約20ppmから約30ppmの酸素含有量であってもよい。
窒素(N)含有量は、約100ppmから20000ppm、好ましくは、約1000ppmから約5000ppmである。より好ましくは約3000ppmから約4000ppm、さらに好ましくは約3000ppmから約3500ppmの窒素含有量であってもよい。
水素(H)含有量は、約10ppmから1000ppm、好ましくは、約300ppmから約750ppmである。より好ましくは約400ppmから約600ppmの水素含有量であってもよい。
鉄(Fe)含有量は、約1ppmから50ppm、好ましくは、約5ppmから約20ppmである。
ニッケル(Ni)含有量は、約1ppmから150ppm、好ましくは、約5ppmから約100ppmである。より好ましくは約25ppmから75ppmのニッケル含有量であってもよい。
クロム(Cr)含有量は、約1ppmから100ppm、好ましくは、約5ppmから約50ppmである。より好ましくは約5ppmから20ppmのクロム含有量であってもよい。
ナトリウム(Na)含有量は、約0.1ppmから50ppm、好ましくは、約0.5ppmから約5ppmである。
カリウム(K)含有量は、約0.1ppmから約100ppm、好ましくは5ppmから約50ppmである。より好ましくは約30ppmから約50ppmのカリウム含有量であってもよい。
マグネシウム(Mg)含有量は、約1ppmから約50ppm、好ましくは、約5ppmから約25ppmである。
燐(P)含有量は、約5ppmから約500ppm、好ましくは、約100ppmから約300ppmである。
フッ素(F)含有量は、約1ppmから約500ppm、好ましくは、約25ppmから約300ppmである。より好ましくは約50ppmから約300ppm、さらに好ましくは約100ppmから約300ppmのフッ素含有量であってもよい。
上記の不純物組成は、誘導結合プラズマ質量分析(ICP質量分析)等の微量分析法によって求めることができる。上記の好ましい組成範囲にある粉末を用いれば、高い容量のコンデンサを得ることができる。好ましい範囲は、コンデンサの機能と粉末製造時の経済効率により規定される。
上記の粉末の粒径は、フィッシャーサブシーブサイズ(FS)による測定で約1.30μm以下が可能である。粒径は粉末の製造工程で任意に調整が可能であるが、好ましい粒径分布を得るためには、所定の範囲に調整されることが好ましい。たとえば、FSによる粉末の粒径は0.45μmから1.30μmでもよい。また0.45μm以下でもよく、たとえば約0.10μmから0.40μm、または約0.20μmから約0.40μmでもよい。粉末のバルク密度は、1.35g/cc以下でもよい。たとえば約0.80g/ccから約1.30g/cc、または約1.0g/ccから約1.20g/ccでもよい。
メッシュサイズであらわした粉末の粒径は、全体に占めるパーセント(重量%)で、以下のような粒径分布を有していてもよい。
+#60は、約0.0から約1%、好ましくは、約0.0から約0.5%、さらに好ましくは、0.0または約0.0%である。
#60/#170は、約45%から約70%、好ましくは約55%から約65%、さらに好ましくは約60%から約65%である。
#170/#325は、約20%から約50%、好ましくは約25%から約40%、さらに好ましくは約30%から約35%。
#325/#400は、約1.0%から約10%、好ましくは約2.5%から約7.5%、さらに好ましくは約4%から約6%。
―#400は、約0.1%から約2.0%、好ましくは約0.5%から約1.5%である。
ここで、+#60は、#60(60メッシュ)のふるい上に残留する粉末、#60/#170は#60より細粒で、#170のふるい上には残留する粉末(170/325、325/400も同様)、−#400は#400より細粒な粉末をあらわす。
上記の組成、および粒径分布をもつタンタル粉末は、本発明の金属粉末の製造方法を用いて製造することができる。ただし、上記タンタル粉末は、上記の製造方法によって限定されるものではなく、上記の特性をもつタンタル粉末であれば、他の製造方法を用いて製造されたものであってもよい。
上記粉末をアノード電極に加工する場合、成型温度60℃、圧縮時の密度4.5g/cc、1150℃で10分間焼結し、化成電位10V(ボルト)で化成(例えば陽極酸化)してもよい。その場合、アノード電極の電気容量は、CV値にして185000μFV/gから250000μFV/g、たとえば190000μFV/gから230000μFV/g、または200000μFV/gから230000μFV/gとなる。また漏れ電流は、10nA/μFV以下より小さくでき、範囲としては、約2.5から約7nA/μFV、または約3.0から約6nA/μFVが可能である。
アノード電極の加工条件として、焼結温度1200℃または1250℃で10分間の焼結及び/または化成電位16Vでの化成をおこなってもよい。これらの条件でも、上記数値または範囲の電気容量及び/または漏れ電流を得ることができる。上記の範囲内の電気容量、漏れ電流であれば、本発明の目的に使用することが可能である。
本発明のタンタル粉末の空孔は、焼結後の状態で、単項型の孔径分布、または二項分布などの多項型の孔径分布をもつことができる。空孔は、孔径にして約0.1μmから0.2μmの範囲内、たとえば0.1μmから0.18μmの範囲内に中心ピークがあってもよい。また、空孔の体積をV、孔径をdであらわして、孔径のピークは、約0.3から約0.5dV/d(logd)、たとえば0.4dV/d(logd)の高さをもってもよい。
本発明のタンタル粉末は、BET法で測定した比表面積が約1.5m/gから約10m/gでもよい。より好ましい比表面積は、約4m/gから約9m/gであり、例えば約4.5m/gから約8m/gでもよい。
[実施例1](金属粉末の製造)
図1に示す製造装置10を用い、以下のような手順でタンタル粉末を製造した。
まず、50Lの反応器11に、希釈塩であるフッ化カリウムと塩化カリウムを各15kg仕込んだ。次いで、900℃に加熱した窒素ガス(純度99.999%)を、3L/分の流量でガス導入管12から反応器11内の希釈塩上方(反応器の内部の残部)に導入し、ガス排出管13から排出させて、反応器11内を窒素雰囲気に保った。それと同時に、希釈塩を850℃に加熱して溶融塩とした。次いで、金属塩投入口14から反応器11内に、1回あたりフッ化タンタルカリウム37.5gを添加し、1分後、溶解したナトリウムを還元剤投入口15から10.8g添加し、3分間反応させた。この操作を40回繰り返して還元反応を行った。この操作の間、反応器11内を窒素雰囲気に維持するとともに、攪拌翼16で攪拌した(攪拌翼回転数;150rpm)。還元反応終了後、冷却し、得られた集塊を砕き、弱酸性水溶液で洗浄し、タンタル粉末を得た。さらに、フッ酸と過酸化水素を含む洗浄液で精製処理した。
次に、得られたタンタル粉末(乾燥品)100gに、タンタルに対して約100ppmのリン酸を添加した後、振動を与えながら全体が均一に濡れるまで水を添加して団塊とし、予備凝集を行った。この際、団塊になる水量はおおよそ25mlであった。次いで、この団塊を乾燥後、真空加熱炉1150℃で1時間加熱し、熱凝集させた。そして、熱凝集させた団塊を、まず、セラミック製のロールクラッシャーで粗砕し、さらに、アルゴン雰囲気中ピンミルで粒径250μm以下に粉砕した。粉砕物100gに3gのマグネシウムチップを混合し、アルゴン雰囲気の加熱炉中、800℃で2時間保持し、タンタル中の酸素とマグネシウムを反応させ、脱酸素を行った。そして、その後の冷却過程でアルゴンガス中に空気を導入しタンタル粉末の徐酸化安定処理を行い、加熱炉から取り出した。取り出した粉末を硝酸水で洗浄し、マグネシウムと酸化マグネシウムを洗浄し、除去した。
(多孔質焼結体の製造)
次いで、このタンタル粉末0.15mgに、バインダーとしてショウノウ2質量%を添加、混合し、プレス成形して直径3mm、密度4.5g/cmの成形体を作製した。そして、この成形体を真空焼結炉で1150℃、20分の条件で加熱して多孔質焼結体を製造した。
(化成酸化条件)
得られた多孔質焼結体を10質量%リン酸水溶液中で、化成電圧10V、温度60℃、保持時間120分で化成酸化(陽極酸化)して、誘電体酸化膜を形成した。
(ウェット法電気特性測定)
誘電体酸化膜が形成された多孔質焼結体について、30.5体積%硫酸水溶液にて、バイアス電圧1.5V、周波数120Hzで電気容量(CV値であらわす)を測定した。結果を表1に示す。
(BET表面積の測定)
タンタル粉末に窒素ガスを吸着させ、BET式を利用して単分子層吸着量を求め、さらに単分子層吸着量からBET表面積を求めた。
(元素定量方法)
JIS H 1699:1999に準拠して、タンタル粉末中の窒素、酸素、ナトリウム、カリウムの量を測定した。
[実施例2]
窒素ガスを600℃に加熱したこと以外は実施例1と同様にしてタンタル粉末を得た。
そして、実施例1と同様にして多孔質焼結体の製造、化成酸化をした後、ウェット法による電気特性測定を行った。結果を表1に示す。
[実施例3]
タンタル粉末の団塊を乾燥後、真空加熱炉で加熱し熱凝集させた代わりに、高周波で1000℃5分間加熱し凝集させたこと以外は実施例1と同様にしてタンタル粉末を得た。
そして、実施例1と同様にして多孔質焼結体の製造、化成酸化をした後、ウェット法による電気特性測定を行った。結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1の還元反応にて、1回あたりフッ化タンタルカリウムを85g添加し、その1分後、溶解したナトリウムを25g添加し、5分間反応させ、この操作を30回繰り返したこと以外は実施例2と同様にしてタンタル粉末を得た。そして、実施例1と同様にして多孔質焼結体の製造、化成酸化をした後、ウェット法による電気特性測定を行った。結果を表1に示す。
[比較例1]
窒素ガスを加熱しなかったこと以外は実施例4と同様にしてタンタル粉末を得た。そして、実施例1と同様にして多孔質焼結体の製造、化成酸化をした後、ウェット法による電気特性測定を行った。結果を表1に示す。
[比較例2]
窒素ガスを加熱しなかったこと以外は実施例1と同様にしてタンタル粉末を得た。そして、実施例1と同様にして多孔質焼結体の製造、化成酸化をした後、ウェット法による電気特性測定を行った。結果を表1に示す。
反応器の内部の残部に600℃以上に加熱した窒素ガスを導入しながら金属塩を還元した実施例1〜4では、表面積が大きく、得られた多孔質焼結体のCV値が高く、いずれもCV値が20万μFV/g以上のものであった。
これに対し、窒素ガスを加熱しなかった比較例1,2では、金属粉末中に窒素を充分に含有させることができず、表面積を大きくすることができなかったため、実施例1〜4で得られた多孔質焼結体よりCV値が低かった。
[実施例5、6]
次に、本発明の金属粉末の実施例として製造した二種類のタンタル粉末について、その特性を対比する。
(金属粉末の調整)
本発明の金属粉末の実施例として、実施例1と同様の製造法を用い、二種類のタンタル粉末、実施例5、実施例6を調整した。その微量元素分析の結果を表2に示す。実施例5は、タンタル粉末の純度が上記の好ましい範囲にあるが、実施例6も本願の範囲にある。
フィッシャーサブシーブサイズ(FS)を用いて求めた、実施例5、6の粉末の粒径、およびバルク密度を表2に示す。また、メッシュサイズであらわされる粉末の粒径の分布を表2に示す。微量元素分析は、ICP質量分析によって行った。フィッシャーサブシーブサイズの測定はASTMB330−02により、バルク密度の測定はJISZ2504により行った。
(多孔質焼結体の製造)
次いで、このタンタル粉末を用い、直径3mm、密度4.5g/cmの成形体をそれぞれ作製した。そして、この成形体を実施例5については真空焼結炉で1150℃、10分の条件、および1200℃、10分の条件、実施例6についてはで真空加熱炉で1200℃、10分の条件加熱して多孔質焼結体を製造した。
(化成酸化条件)
得られた多孔質焼結体を0.1体積%リン酸水溶液中で、化成電圧10V、温度60℃、保持時間120分、電流密度90mA/gで化成酸化(陽極酸化)して、誘電体酸化膜を形成した。
(ウェット法電気特性測定)
誘電体酸化膜が形成された多孔質焼結体について、実施例1と同じ条件で電気容量(CV値であらわす)を測定した。また、温度25℃、10体積%のリン酸水溶液中で、電圧7V、3分間の条件で漏れ電流(LC値)の測定を行った。これらの結果を表2に示す。
また、実施例5、6の粉末を焼結温度1200℃で焼結したものについて、上記の化成条件で、化成電位を8V、15Vで化成したものについてもCV値の測定を行い、その結果を図3Bにプロットした。
(粉末の圧縮率の測定)
また、損失角の正接tanδ、焼結体の密度Ds、焼結体とプレス成型体の密度比Ds/GDについても表2に示す。
図3Aは横軸に1150℃と1200℃で焼結した焼結体の密度を、縦軸にCV値をとって表2の結果をプロットしたものである。
図3Bは実施例5と実施例6の粉末について、化成電位、8V、10V、15Vで化成した場合のCV値を示している。図より、好ましい組成範囲をもつ実施例5が、化成電位10V近辺で高い電気容量を示すことがわかる。
図4は、実施例5、6の粉末の組織を示す走査型電子顕微鏡像(SEM像)である。図5は、実施例5、6の粉末を圧縮密度4.5で圧縮し、1200℃で焼結した焼結体のSEM像である。
図6A、図6Bは、実施例5と6について、焼結後の粉末の空孔の孔径分布を示した図であり、図6Aは積算分布を、図6Bは頻度分布で示した図である。
上記、記載した数値に関し、本発明の目的のためには、この上記の記述や図に示した数値範囲は、20%内、または10%内、または5%内であればよい。
本発明の金属粉末の製造法によれば、窒素濃度が低く、かつ細粒で比表面積の大きいタンタル、ニオブ等の金属粉末を製造することができる。本発明の金属粉末を焼結して、多孔質焼結体を製造し、これをコンデンサのアノード電極に利用することにより、長期の信頼性が高い上に、高容量の固体電解質コンデンサを製造することができる。

Claims (3)

  1. 金属粉末の製造方法であって、
    反応器の内部の一部に充填された溶融塩中で、金属塩と還元剤とを反応させて金属粉末を製造するに際して、
    反応器の内部の残部に600℃以上に加熱した窒素含有ガスを導入する金属粉末の製造方法。
  2. 金属塩がニオブのフッ化カリウム塩およびタンタルのフッ化カリウム塩の少なくとも一方であり、還元剤がナトリウムである請求項1に記載の金属粉末の製造方法。
  3. 多孔質焼結体の製造方法であって、請求項1または2に記載の金属粉末の製造方法で得られた金属粉末を成形し、焼結する多孔質焼結体の製造方法。
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