JP6077274B2 - 窒素含有タンタル粉末およびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、固体電解コンデンサのアノード電極原料に好適な、窒素含有タンタル粉末およびその製造方法ならびにそれを用いた多孔質焼結体および固体電解コンデンサに関する。
電子機器の電子回路で使用されるコンデンサとして、低電圧駆動、高周波化、低ノイズ化を達成するために、低ESR(等価値直列抵抗)かつ高容量のタンタル電解コンデンサが知られている。
タンタル電解コンデンサは、タンタル粉末を化成処理することにより表面に誘電体膜を形成し、電解液や導電性ポリマー等からなる電解質層を介して誘電体膜にカソード電極を接続することにより製造される。
さらなる高容量化を実現するために、タンタル粉末の表面積を大きくする検討が引き続き行なわれている。しかしながら、タンタル粉末の表面積が大きくなると、表面に吸着した酸素量が増えるため、コンデンサ製造時において、誘電体膜の漏れ電流の原因になる結晶性酸化物の生成量が多くなることがある。また、高容量を実現するために、使用電圧に対して誘電体膜を薄くする傾向にあることから、漏れ電流が生じやすくなっている。したがって、コンデンサの高容量化を図ると、漏れ電流が大きくなり、信頼性が損なわれるおそれがある。
そこで、得られるタンタル粉末の表面積を大きくし、さらには酸素の影響を抑え、高容量コンデンサの信頼性を向上させるために、タンタル粉末に窒素を固溶させることが提案されている。窒素を含有するタンタル粉末を製造する方法としては、例えば、特許文献1に、溶融した希釈塩中にて、タンタルのフッ化カリウム塩を、還元剤を用いて還元させながら、溶融した希釈塩中に窒素含有ガスをバブリングにより導入する方法が開示されている。
また、特許文献2には、溶融した希釈塩中にて、タンタルのフッ化カリウム塩のフッ化カリウム塩を、還元剤を用いて還元させながら、溶融した希釈塩の液面上に窒素含有ガスを流通する方法が開示されている。
タンタル粉末の製造においては、溶融した希釈塩中で還元して得た粉末をさらに熱処理して取り扱い易い凝集粒子に調製することが一般に行われている。そのために、特許文献1,2に記載の方法のように、熱処理の前にタンタル粉末に窒素を適度に固溶させると、熱処理の際の表面積の低下を抑制でき、コンデンサとした際の信頼性が向上するものと考えられる。
しかしながら、特許文献1,2に記載の製造方法では、制御可能な条件を完全に同一にして製造しても、窒素含有タンタル粉末中の窒素含有量が製造ごとに大きく異なることがある。窒素含有タンタル粉末の窒素含有量が一定しないと、窒素含有タンタル粉末の機械的物性や得られる電解コンデンサの性能が一定せず、品質低下を招くおそれがある。
また、タンタルキャパシタ用のタンタル粉末は、比表面積や一次粒子径などの特性によって、必要とされる窒素含有量が異なるため、窒素含有量を所望量に容易に調整できる手段が求められている。しかし、特許文献1,2の記載の窒素供給方法では、得られる窒素含有タンタル粉末の窒素含有量が所望量から大きくずれることがある。
本発明者の知見によれば、特許文献1,2に記載の製造方法で窒素含有タンタル粉末の窒素含有量がばらつくのは、溶融した希釈塩に取り込まれる窒素ガス量が異なることに原因があると考えられる。すなわち、特許文献1,2に記載の製造方法では、微細で均一な一次粒子を得るために、充分に攪拌して希釈塩中に投入した原料を素早く均一に分散させているが、制御可能な条件を完全に同一にしても、金属塩と還元剤はそれぞれ分割し投入し、反応の進行に伴い内容量が増加していくため攪拌状態を一定に制御することは難しい。そのため、製造ごとに、希釈塩の窒素ガス取り込み量が過剰または不足になり、窒素含有タンタル粉末の窒素含有量が異なってしまうものと推測される。
特許第4049964号公報 特許第4187953号公報
本発明は、比表面積が大きく、かつ、金属内に適度な量の窒素を均一に含む窒素含有金属粉末を生産性よく得て、高容量で漏れ電流が少なく長期の信頼性に優れた固体電解コンデンサを提供することを目的とする。
本発明は上記の問題を解決するために、以下の発明を提供するものである。
(1)タンタル金属塩を、溶融した希釈塩中で還元剤により還元してタンタルを生成させる方法において、前記金属塩と前記還元剤と前記希釈塩とを含む反応融液に接する空間に、窒素含有ガスを導入して、窒素を含有するタンタルを生成させること、ならびに
前記反応融液を攪拌翼により攪拌して還元を行なう際に、攪拌翼の回転数を還元途中で減少させること、を特徴とする窒素含有タンタル粉末の製造方法。
(2)金属塩がタンタルのフッ化カリウム塩であり、還元剤がナトリウムである上記(1)に記載の窒素含有タンタル粉末の製造方法。
(3)還元剤と金属塩がそれぞれ連続的または分割して希釈塩に添加される上記(1)または(2)に記載の窒素含有タンタル粉末の製造方法。
(4)攪拌翼の回転数が100〜200回転/分から選ばれる上記(1)〜(3)のいずれかに記載の窒素含有タンタル粉末の製造方法。
(5)攪拌翼の回転数が140〜170回転/分である上記(4)に記載の窒素含有タンタル粉末の製造方法。
(6)攪拌翼の回転数の減少が、全タンタル金属塩の1/2が還元に供されるまでに行なわれる上記(1)〜(5)のいずれかに記載の窒素含有タンタル粉末の製造方法。
(7)攪拌翼の回転数の減少割合が2〜10%、または攪拌翼の回転数の減少幅が3〜10回転/分である上記(1)〜(6)のいずれかに記載の窒素含有タンタル粉末の製造方法。
(8)反応融液にホウ素含有化合物を存在させる上記(1)〜(7)のいずれかに記載の窒素含有タンタル粉末の製造方法。
(9)還元終了後に、反応融液を冷却、洗浄して得られる窒素含有タンタル粉末を、さらに熱凝集、脱酸素および徐酸化安定化処理を含む前処理を行なう上記(1)〜(8)のいずれかに記載の窒素含有タンタル粉末の製造方法。
(10)上記(9)に記載の前処理された窒素含有タンタル粉末を焼結させて窒素含有タンタル多孔質焼結体を得る多孔質焼結体の製造方法。
(11)窒素含有量500〜3000ppm、ホウ素含有量2〜50ppm、および酸素含有量9000 〜21000ppmである窒素含有タンタル粉末であり、真空焼結炉で1150℃、20分間の条件で加熱して多孔質焼結体を得、得られた多孔質焼結体を0.1質量%リン酸水溶液中で、化成電圧10V、温度60℃、保持時間120分間で化成酸化したときに、比漏れ電流DLC/CV値が5(nA/μFV)以下、および電気容量CV値が20万〜40万μFV/gである、窒素含有タンタル粉末。
(12)鉄含有量20ppm以下、クロム含有量20ppm以下およびニッケル含有量20ppm以下であり、ならびにこれらの金属の合計含有量が40ppm以下である上記(11)に記載の窒素含有タンタル粉末。
(13)カリウム含有量が30ppm以下である上記(11)または(12)に記載の窒素含有タンタル粉末。
(14)上記(10)に記載の方法で得られた多孔質焼結体。
(15)上記(14)に記載の多孔質焼結体からなるアノード電極を備えてなる固体電解コンデンサ。
本発明によれば、比表面積が大きく、かつ、金属内に適度な量の窒素を均一に含む窒素含有金属粉末を生産性良く得て、高容量で漏れ電流が少なく長期の信頼性に優れた固体電解コンデンサを提供し得る。
本発明の窒素含有タンタル粉末の製造方法においては、タンタル金属塩を、溶融した希釈塩中で還元剤により還元してタンタルを生成させる。ここでは、金属塩と還元剤と希釈塩とを含む反応融液に接する空間に、窒素含有ガスを導入して、窒素を含有するタンタルを生成させる。そして反応融液を攪拌翼により攪拌して還元を行なう際に、攪拌翼の回転数を還元途中で減少させることを含む。
金属塩としてはフッ化カリウム塩(K2TaF)を使用するのが好ましい。フッ化カリウム塩を使用すると、アノード電極として使用する多孔質焼結体の製造に適した、連鎖状粒子を製造することができる。その他の金属塩としては、五塩化タンタル、低級塩化タンタル等の塩化物、ヨウ化物、臭化物等のハロゲン化物が挙げられる。
還元剤としては、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属、これらの水素化物、すなわち水素化マグネシウム、水素化カルシウムが挙げられるが、これらのなかではナトリウムが好ましい。金属塩としてフッ化カリウム塩を使用した場合に、還元剤としてナトリウムを使用すると、フッ化カリウム塩中のフッ素とナトリウムとが反応して、ナトリウムのフッ化物が生成するが、このフッ化物は水溶性であるため、後の工程で容易に除去可能である。
また、希釈塩としては、KCl、NaCl、KF、またはこれらの共晶塩が好適である。本発明方法において、タンタルの金属塩を、溶融した希釈塩中で還元剤により還元してタンタルを生成させる。
本発明方法において、還元剤と金属塩はそれぞれ分割して、または任意の添加速度で、希釈塩に添加されるのが好適である。このように分割して、または連続的に金属塩と還元剤とを添加すると、一括して添加する方法に比べて、反応熱による急激な温度上昇が見られず、微細でかつ均一な粒度分布の窒素含有タンタル粉末が得られる。
さらに、ここでは、金属塩と還元剤と希釈塩とを含む反応融液に接する空間に、窒素含有ガスを導入して、反応系内の気相部分を窒素含有ガス雰囲気とすることにより窒素を含有するタンタルを製造できる。
窒素含有ガスとしては、窒素ガスを含有するガスや、加熱により窒素ガスを発生するアンモニア、尿素等の窒素発生ガスが挙げられ、還元反応系内を窒素含有ガス雰囲気にできるものであればよい。しかしながら、効率的に窒素をタンタル中に含有させるためには、窒素含有ガス雰囲気中の窒素ガスの濃度を50vol%以上に維持することが好ましく、窒素濃度が約100%の純窒素ガスやこれをアルゴンガスなどで適宜希釈したものを使用することが好ましい。窒素含有ガス雰囲気における窒素ガス濃度が10vol%未満では、タンタル金属中に窒素を十分に含有させることができない場合がある。
次に窒素含有タンタル金属粉末を製造する具体的な一例について説明する。反応器としては、たとえば、原料投入口と窒素含有ガス導入管と窒素含有ガス排出管とを備えた、ニッケルとインコネルのクラッド材からなる反応器が好適に使用される。原料投入口は金属塩投入口と還元剤投入口を有している。また、反応器は攪拌翼を備えている。まず、この反応器に希釈塩を投入する。ついで、窒素含有ガスを、窒素含有ガス導入管から導入し窒素含有ガス排出管から排出させて、反応器内に流通させる。こうして反応器内を窒素含有ガス雰囲気に保ちながら希釈塩を650〜900℃に加熱して溶融し、この中に、原料であるタンタルのフッ化カリウム塩の一部を金属塩投入口から添加する。ついで、還元剤であるナトリウムを、先に投入したフッ化カリウム塩の還元に必要な量論の量、還元剤投入口から投入する。このようにして、反応器中で下記式(1)で表される反応を行う。また、この間、攪拌翼を作動させて、反応融液を攪拌する。
2TaF7+5Na→2KF+5NaF+Ta・・・(1)
ここで、反応器においては、窒素含有ガス導入管が反応融液中に浸漬しないように配置されており、窒素含有ガスが反応融液中にバブリングによって導入されることなく、反応融液の上方のみに導入される。
希釈塩の量は、フッ化カリウム塩とナトリウムの合計質量に対して、4〜15倍程度、好ましくは8〜12倍の質量となるように設定することが好ましい。希釈塩の質量が4倍未満では、原料のフッ化カリウム塩の濃度が高いために反応速度が速く、生成する金属粉末の1次粒径が大きくなりすぎる場合がある。一方、希釈塩の質量が15倍を超えると反応速度が低下し、生産性が低下する。また、希釈塩の量を多くすると、得られる窒素含有金属粉末の比表面積は大きくなるが、タンタル粉末内のニッケル等の不純物量も多くなり好ましくない。
ついで、投入したフッ化カリウム塩とナトリウムの反応がほぼ終了した時点で、窒素含有ガスの流通を続けながら、さらにフッ化カリウム塩の一部とナトリウムの一部を投入する。このように、原料のフッ化カリウム塩とナトリウムとを、少量ずつ分割して反応させることを繰り返し、タンタルのフッ化カリウム塩の還元反応を終了させる。
このように反応器を使用して、金属塩と還元剤と希釈塩とを含む反応融液に接する空間、ここでは反応融液の上方に、窒素含有ガスを導入して金属塩の還元反応を行うと、金属塩は、還元剤によって還元されるとともに反応融液と窒素含有ガスとの界面において窒素含有ガスと接触する。この反応場において、生成したタンタル粒子表面に速やかに、かつ効率的に窒素が添加されることで、粒子の表面エネルギーが低下され、粒子の成長が抑制される。このように、金属塩の還元反応と、還元反応で得られたタンタルへの窒素の導入とが連続的に進行することにより微細粒子を維持できる。そして、還元され窒素が添加されたタンタルは、その比重が希釈塩よりも大きいために反応融液を沈降していくことになる。
このような方法によれば、反応融液と窒素含有ガスとはこれらの界面でしか接触しないため、例えば、反応融液中に窒素含有ガス導入管を浸漬して、窒素含有ガスをバブリングする方法などに比べて、タンタルと窒素との接触の程度を低く抑えることができる。また、還元され、すでに窒素が添加されたタンタルは反応融液中を沈降してこの界面から離れていくため、タンタルが再度窒素と接触することもない。すなわち、タンタルへの窒素の導入が、還元された直後のタンタルにほぼ限定されるとともに、その程度も制御されるため、窒素が粉末中に過剰に取り込まれることなく、また、取り込まれる窒素量も粒子間で均一となる。その結果、比表面積が大きいタンタル粉末には必要最小量の窒素を添加して、窒素含有量500〜3000ppmとする窒素含有タンタル粉末を安定して生成させることができる。
本発明の好適な態様において、たとえば上記のような分割添加により金属塩および還元剤は、次のように添加される。すなわち、還元剤、好ましくはナトリウムは、金属塩、好ましくはタンタルのフッ化カリウム塩、の添加した量に対し、1秒当たり1/30〜1/20の量を、タンタルのフッ化カリウム塩の分割添加後(たとえば30秒後)に毎回添加される。このようにナトリウムの添加量を調整することにより、高表面積のタンタル粉末を安定して、生産性よく、得ることができる。
上記還元反応において、反応融液は攪拌翼により攪拌されるが、攪拌翼の回転数は好ましくは100〜200回転/分、さらに好ましくは140〜170回転/分から選ばれる。撹拌翼の形式は、特に制限されず、パドル形、プロペラ形、リボン形またはタービン形等が用いられるが、たとえば低速域の撹拌に用いられているピッチドパドル(2〜4枚羽根)等が好適である。たとえば、水平方向に対する角度θが30〜90°で傾斜した2枚羽根ピッチドパドル翼で攪拌すると、翼から反応器の内周面に向かう流れである吐出流が多く、上下方向で内容物を循環させる流れである循環流(軸流)が少なくなる。このような攪拌状態では、生成した窒素含有金属粉末を反応器の下部に沈降させて、新たに投入される金属原料との反応を抑制できるため、得られる窒素含有金属粉末の粗大粒子化を防止できるので好ましい。
本発明方法においては、還元工程の途中で攪拌翼の回転数を減少させる。攪拌翼の回転数の減少は、全タンタル金属塩の1/2、好ましくは1/3、が還元に供されるまでに行なわれる。攪拌翼の回転数の減少幅は3〜10回転/分、または攪拌翼の回転数の減少割合が2〜10%程度であるのが好適である。たとえば、還元反応開始時には160回転/分の回転数で撹拌し、全タンタル金属塩の1/2が添加されるまでに150回転/分の回転数に減少される。減少は、段階的であってもよい。これにより、得られる窒素含有タンタル粉末の表面積が増大し、窒素の導入の制御も容易となる。すなわち、反応初期段階での撹拌は、希釈塩へのタンタル金属塩の溶解を促進し、かつ、タンタル粉末生成時への窒素の効率的な添加を行う必要がある。一方で、反応中盤以降、すなわち全タンタル金属塩の1/2が添加された時点で、反応初期段階と比較し、反応器内には、生成したタンタルによる撹拌抵抗が生じ、より大きな撹拌効果が生じている。このことが、過剰な窒素がタンタル粉末へ含有されるだけでなく、反応融液の大きな液面上昇による反応容器内面のニッケルの剥離または腐食によるタンタル粉末内のニッケル混入量の増加を引き起こすことになる。
さらに、本発明方法においては、たとえば希釈塩または反応融液にK2SO等のイオウ含有化合物を反応初期に添加することにより、反応融液にイオウを存在させることができる。そのイオウの量は希釈塩総量に対し10〜50ppm程度が好適であり、これにより、イオウ成分は、希釈塩の粘性改質効果および、初期核として作用する。しかしながら、このイオウ成分は、本発明が対象とする領域では微細化効果が限定的であり、かつ反応容器内面のニッケルの腐食を促進し、タンタル粉末内のニッケル混入量の増加を引き起こすため、その添加量と、特に希釈塩を含め反応系内の水分量は少なく、管理される必要がある。
さらに、本発明方法においては、たとえば希釈塩または反応融液に、KBF等のホウ素含有化合物を添加することにより、反応融液にホウ素含有化合物を存在させることができる。そのホウ素の量は、タンタル金属塩量に対し好ましくは10〜300ppm程度、さらに好ましくは20〜100ppm程度であり、これにより、一次粒子の微細化を促進するだけでなく、希釈塩内に添加されているイオウ成分が引き起こす反応容器内面のニッケルの腐食を抑制する効果を有する。さらに後述する熱凝集において、一次粒子の融合成長を抑え、高表面積を維持し得る。
還元終了後に、反応融液を冷却、洗浄して得られる窒素含有タンタル粉末を、さらに熱凝集、脱酸素および徐酸化安定化処理を含む前処理を行なうことができる。たとえば、還元反応終了後、反応融液を冷却し、得られた集塊を水、弱酸性水溶液等で繰り返し洗浄して、希釈塩を除去することにより、窒素含有タンタル粉末が得られる。この場合、必要に応じて、遠心分離、濾過等の分離操作を組み合わせても、フッ酸と過酸化水素が溶解している溶液等で粒子を洗浄し、精製してもよい。
このようにして得られた窒素含有タンタル粉末に対して、熱凝集、脱酸素、徐酸化安定化処理等の前処理を行った後、この粉末を成形、焼結して多孔質焼結体を製造する。熱凝集は、窒素含有タンタル粉末を真空中で加熱して凝集させて、所望の粒子径を有する2次粒子とするために行う。比較的大きな二次粒子を成形、焼結して得られた多孔質焼結体は、極微細な粒子から得られた多孔質焼結体よりも大きな空孔を有するため、アノード電極として使用する場合に、電解質溶液が多孔質焼結体の内部まで浸透し、高容量化をはかることができる。また、真空中で加熱することによって、窒素含有タンタル粉末中に含まれる、希釈塩由来のナトリウム、カリウム等の不純物を除去することができる。熱凝集は、通常、窒素含有タンタル粉末を真空中で800〜1400℃で、0.5〜2時間加熱して行う。熱凝集の前には、予備凝集を行うことが好ましい。例えば、窒素含有タンタル粉末に水を添加し、懸濁化した後、乾燥させる。この予備凝集を行うことによって、より強固な凝集体を得ることができ、さらに、水の添加量にて凝集密度を制御することができる。この場合、熱凝集後、不活性ガス中にて所望の粒度まで解砕される。さらに、特開2009−102680号公報に記載されるように、造粒装置により予備凝集して所望の粒径分布を得ることもできる。また、これらの予備凝集の際には、リンを添加することが好ましい。この場合、リンは、リン酸、六フッ化リン酸アンモニウムなどにより添加される。リンは、タンタル粉末の焼結抑止効果があるため、高容量化に寄与するが、一方で漏れ電流の増大を引き起こすので、その量は、最終的に100〜500ppmのリンが窒素含有タンタル粉末に含有されることが好ましい。
ついで、熱凝集で得られた粉末、または、必要であれば不活性ガス中で解砕した後、マグネシウム等の還元剤を加え、粒子中の酸素と還元剤を反応させ、脱酸素を行う。脱酸素はアルゴン等の不活性ガス雰囲気中で好ましくは50torr〜300torrで減圧した後、還元剤の融点以上、沸点以下の温度で、たとえば1〜5時間程度行う。そして、その後の冷却中に空気を導入して窒素含有タンタル粉末の徐酸化安定化処理を行った後、粉末中に残留しているマグネシウム、酸化マグネシウム等の還元剤由来の物質を酸洗浄して除去する。
このようにして熱凝集、脱酸素、徐酸化安定化処理を行った窒素含有タンタル粉末に、バインダーとして2〜5質量%程度のショウノウ等を加えて成形圧約5g/ccでプレス成形し、ついで、1000〜1400℃で0.3〜1時間程度加熱して焼結し、0〜10%の範囲で収縮させた多孔質焼結体を製造する。なお、焼結温度は、金属の種類や粉末の比表面積に応じて適宜設定できる。この多孔質焼結体をアノード電極として使用する場合には、窒素含有金属粉末をプレス成形する前に、この粉末中にリード線を埋め込んでプレス成形し、焼結して、リード線を一体化させる。そして、これを例えば温度30〜90℃、濃度0.1質量%程度のリン酸、硝酸等の電解溶液中で、40〜120mA/gの電流密度で8〜30Vまで昇圧して1〜3時間処理し、化成酸化を行って、固体電解コンデンサ用のアノード電極に使用する。さらに、公知の方法で二酸化マンガン、酸化鉛や導電性高分子等の固体電解質層、グラファイト層、銀ペースト層を多孔質焼結体上に順次形成し、ついでその上に陰極端子をハンダ付けなどで接続した後、樹脂外被を形成することにより固体電解コンデンサが得られる。
このような窒素含有タンタル粉末は、窒素含有タンタル粉末中の窒素量W[ppm]と、窒素含有タンタル粉末のBET法により測定された比表面積S[m/g]との比W/Sが、好適には100〜2000であるので、比表面積Sの大きさにかかわらず、適量の窒素を有し、粒子中に過剰の窒素を含有しない。よって、窒素量が過剰な場合に生成しやすい結晶性窒化物をほとんど有することなく、金属に含有した状態で窒素を含有できる。よって、このような窒素含有タンタル粉末をアノード電極原料とすることによって、高容量で、漏れ電流が少なく、長期の信頼性に優れた固体電解コンデンサを得ることができる。また、このような結晶性窒化物をほとんど含有しない窒素含有タンタル粉末は、アノード電極を製造する際のプレス成形において、金型を傷めることもない。
上記の熱凝集、脱酸素、徐酸化安定化処理を含む前処理を行った窒素含有タンタル粉
末は、好適には窒素含有量500〜3000ppm、ホウ素含有量2〜50ppm、好ましくは5〜20ppm、および酸素含有量9000〜21000ppmである。
窒素含有タンタル粉末の窒素含有量が500ppm以上であれば、窒素含有タンタル粉末を焼結する際に適度に焼結速度を抑制でき、コンデンサに適した空孔を形成することができる。一方、窒素の含有量が3000ppm以下であれば、窒素含有金属粉末中の窒素の分布を均一にでき、窒化物結晶の増加を抑制でき、コンデンサの漏れ電流を小さくできる。窒素を含有することにより、酸素の影響が抑えられ、漏れ電流がより抑制される。特に、高容量化のためにタンタル粉末の表面積を大きくすると、表面に吸着する酸素量も増え、漏れ電流が増加する傾向があるが、窒素を含有させることで、漏れ電流の増加を抑制し、電解コンデンサの信頼性を向上させることができる。
タンタル粉末の窒素含量は、市販の酸素/窒素分析計(たとえば堀場製作所EMGA520)を使用して、ヘリウムガス中、試料をインパルス融解加熱し、発生ガスをTCD(熱伝導度法)で定量する方法(JIS H1685)により測定できる。
窒素含有タンタル粉末のBET法により測定された比表面積は、より高容量のコンデンサが得られることから、4.0〜10.0m/gであることが好ましい。
また、窒素含有タンタル粉末は、モード径(最大頻度径)が30〜250μmであることが好ましい。ここで、粒子径は、窒素含有タンタル粉末が、比表面積に対応する微細な一次粒子の凝集による多孔質粉末となっている場合に、その多孔質粉末を、レーザー回折・散乱法により測定した体積基準の粒子径である。窒素含有金属粉末のモード径が前記範囲にあれば、取り扱いが良好で、よりコンデンサに適したものとなる。
本発明のタンタル粉末は、酸素含量が21000ppm以下であることが好ましく、17500ppm以下であることがより好ましく、11500ppm以下であることがさらに好ましい。酸素含量が低いほど、漏れ電流を抑制できる。また、酸素含量は、本発明に適したBET法比表面積およびCV値の大きなタンタル粉末を大気中で安定して取り扱うために必要とされる酸化膜を形成すため、9000ppm以上であるのが好ましい。タンタル粉末の酸素含量は、JIS H1695(タンタル中の酸素定量方法)により測定できる。
また、本発明のタンタル粉末は、酸素含量と、タンタル等粉末が用いられる電解コンデンサのCV値との比{酸素含量(ppm)/[CV値×10−4](μFV/g)}が、400〜600であることが好ましく、450〜550であることがより好ましい。この比が400以上であると本出願に適したBET法比表面積およびCV値の大きなタンタル粉末を大気中で安定して取り扱うために必要とされる酸化膜が充分に形成され、600以下であると漏れ電流を抑制できる。
本発明のタンタル粉末は、真空焼結炉で、たとえば1150℃、20分間の条件で、加熱して0〜10%収縮させた加熱して多孔質焼結体を得、得られた多孔質焼結体を0.1質量%リン酸水溶液中で、化成電圧10V、温度60℃、保持時間120分間で化成酸化したときに、比漏れ電流DLC/CV値が5(nA/μFV)以下、およびCV値が20万〜40万μFV/gである。
本発明のタンタル粉末は、特に、CV値が17万μFV/g以上の電解コンデンサ用である場合の有用性が高い。CV値は、18万μFV/g以上がより好ましく、19μFV/g万以上がさらに好ましく、20万μFV/g以上が特に好ましい。CV値は、高いほど本発明の有用性が高いためその上限は特に限定されないが、製造しやすさ、現状で求められる陰極物質の含浸性、等の点から、40万μFV/g以下が好ましい。
タンタル粉末が、どのようなCV値の電解コンデンサ用であるかは、主にタンタル粉末の比表面積によって決定されるので、本発明のタンタル粉末のBET法比表面積は3.3m/g以上が好ましく、3.6m/g以上がより好ましく、3.8m/g以上がさらに好ましく、4.0m/g以上が特に好ましい。BET法比表面積は、10.0m/g以下(CV値40万μFV/g以下に対応)が好ましい。
生産性を向上させるために還元反応の際に撹拌を強く行なうと、タンタル粉末中の窒素が増加し過ぎ、また前記のようにイオウ分を添加すると反応容器由来の鉄、ニッケルおよびクロム含有量が増加することになるが、本発明方法によれば、このような増加を抑制することができる。さらに、タンタル粉末の表面積を増加させるために還元温度を低下させると、原料由来のカリウム含有量が増加しすぎるが、本発明方法によれば、このような増加も抑制することができる。
以下、本発明を実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
なお、実施例において、タンタル粉末の各種測定は、次の方法によった。
<酸素の定量>
JIS H1695に準拠して測定した。
<炭素の定量>
JIS H1681に準拠して測定した。
<窒素の定量>
JIS H1685に準拠して測定した。
<水素の定量>
JIS H1696に準拠して測定した。
<鉄、ニッケル、クロム、マグネシウムの定量>
JIS H1699に準拠して測定した。
<ナトリウム、カリウムの定量>
JIS H1683に準拠して原子吸光分析法により測定した。
<リン、ケイ素、ホウ素の定量>
JIS H1699に準拠してICP発光分光分析法により測定した。
<SSA>
(株)島津製作所製粉体比表面積測定装置SS−100形を用いて空気透過式比表面積(SSA)を測定した。
実施例1
反応器(容量800L)にフッ化カリウムと塩化カリウムを計550kg投入し、同時にイオウを全溶融塩に対し25ppm分となるように硫酸カリウムを添加し、ホウ素をタンタル金属塩量に対し43ppm分になるようにKBFを添加した。900℃で溶融し、攪拌翼を用いて50回転/分で攪拌して、フッ化カリウムおよび塩化カリウムの溶融塩を得た。
次いで、800℃に安定させてから攪拌翼の回転数を160回転/分とし、窒素ガスを雰囲気ガス供給口から連続的に溶融塩の液面上に導入しながら、反応器内にフッ化タンタルカリウムの投入と、ナトリウムの投入とを交互に繰り返し行った。1回あたりフッ化タンタルカリウム1.8kgを添加し(初回のみ2kg、最終回のみ1.2kg添加)、30秒後、溶解したナトリウムを還元剤投入口から540g添加し、60秒間反応させた。この操作を28回繰り返した。ここで、9回目の添加後に攪拌翼の回転数を150回転/分に減少させた(すなわち、全フッ化タンタルカリウムの1/3が還元に供された時点で減少させた。)。還元反応の終了後に、100℃以下まで冷却し、反応器内の沈降物を回収して水洗し、濃度5質量%のフッ酸水溶液を用いて酸洗し、70℃で20時間真空乾燥して、酸素含量 14700ppmの第一の粉末を得た。この第一の粉末(還元粉末)の物性値を表1に示す。
次いで、この第一の粉末を950℃で30分間熱処理して凝集粉とした。この予備凝集させる際に、リンがタンタル粉末に250ppm添加されるようにリン酸水溶液を添加した後、乾燥した。この凝集粉をチョッパーミルにより予備粉砕し、得られた粉砕粉を、全長100mmの差動ロールを3段備えたロールグラニュレータで解砕した。このとき、各差動ロールは、一段目のロール間の間隔を0.6mm、二段目のロール間の間隔を0.3mm、三段目のロール間の間隔を0.2mmとした。また、それぞれ一方のロールの周速度が他方のロールの周速度より30%速くなるように設定した。
次いで、得られた解砕粉に対し、以下の手順で脱酸素処理を行った。解砕粉(100質量%)に対して5質量%のマグネシウムチップを添加、混合して混合物を得た。トレーに、前記混合物を、充填し、蓋をして加熱炉内に収納し、減圧とした後に200torrのアルゴン雰囲気下で、720℃で5時間加熱することにより脱酸素を行った。その後の冷却中に空気を導入して窒素含有タンタル粉末の徐酸化安定化処理を行った後、過酸化水素と硝酸を用いて酸洗し、水洗し、70℃で14時間真空乾燥した。この脱酸素処理は、2回繰り返された。このようにして、熱凝集、脱酸素、徐酸化安定化処理を含む前処理を行った窒素含有タンタル粉末を得た。得られた窒素含有タンタル粉末の物性値を表2示す。
実施例2
実施例1において、全フッ化タンタルカリウムの1/2が還元に供された時点で攪拌
翼の回転数を150回転/分に減少させ、反応温度を780℃とした以外は、実施例1と同様にして第一の粉末を得た。得られた酸素含量16510ppmの第一の粉末の物性値を表1に示す。
実施例3
実施例1において、当初の攪拌翼の回転数を155回転/分とした以外は、実施例1と同様にして第一の粉末を得た。得られた酸素含量13900ppmの第一の粉末の物性値を表1に示す。
比較例1
イオウを全溶融塩に対し65ppm分となるように硫酸カリウムを添加し、実施例1において、攪拌翼の回転数を160回転/分としたまま、窒素ガスを雰囲気ガス供給口から連続的に溶融塩の液面上に導入しながら、反応器内にフッ化タンタルカリウムの投入と、ナトリウムの投入とを交互に繰り返し行った以外は、実施例1と同様にして窒素含有タンタル粉末を得た。得られた酸素含量19810ppmの第一の粉末の物性値を表1に示す。鉄およびニッケルの含有量が多すぎて、コンデンサには適さないことが明らかである。
比較例2
実施例1において、攪拌翼の回転数を150回転/分としたまま、窒素ガスを雰囲気
ガス供給口から連続的に溶融塩の液面上に導入しながら、反応器内にフッ化タンタルカリウムの投入と、ナトリウムの投入とを交互に繰り返し行ったこと、ならびにホウ素を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして窒素含有タンタル粉末を得た。得られた酸素含量11280ppmの第一の粉末の物性値を表1に示す。また、得られた窒素含有タンタル粉末の物性値を表2に示す。表1および2において、不純物含有量の単位はppmである。
Figure 0006077274
Figure 0006077274
試験例1
実施例1で得られた窒素含有タンタル粉末について、BET、および不純物(O、C、N、H、Fe、Ni、Cr、Si、Na、K、Mg、P、B)含有量を測定した。また、この粉末を成形後、加熱して得られた多孔質焼結体を用いて、ウェット法による直流漏れ電流(DLC)、CV値を測定した。
(多孔質焼結体の作成)
タンタル粉末0.05gに、バインダーとしてショウノウ2質量%を添加、混合し、プレス成形して直径2mm、密度4.5g/cm の成形体を作成した。そして、この成形体を真空焼結炉で1150℃、20分間の条件で加熱して、焼結体密度4.73g/cm、収縮率5.1%の多孔質焼結体を製造した。
(化成酸化条件)
得られた多孔質焼結体を0.1質量%リン酸水溶液中で、化成電圧10V、温度60℃、保持時間120分間で化成酸化(陽極酸化)し、誘電体酸化膜を形成した。
(ウェット法電気特性測定)
誘電体酸化膜が形成された多孔質焼結体について、30.5vol%硫酸水溶液にて、バイアス電圧1.5V、周波数120Hzで電気容量(CV値)を測定した。
また、直流漏れ電流(DLC)は、10質量%リン酸水溶液で電圧7V、3分後の電流値である。
測定結果は、CV値259740μFV/g、DLC値 736μA/gであり、比漏れ電流DLC/CV値は2.83(nA/μFV)であった。
試験例2
比較例2で得られた窒素含有タンタル粉末について、真空焼結炉で1150℃、20分間の条件で加熱して焼結密度4.62g/cm、収縮率2.7%の多孔質焼結体を作成した以外は、試験例1と同様にしてCV値176300μFV/g、DLC値650μA/g、およびDLC/CV値3.69(nA/μFV)を測定した。
本発明によれば、比表面積が大きく、かつ、金属内に適度な量の窒素を均一に含む窒素含有金属粉末を生産性良く得て、高容量で漏れ電流が少なく、長期の信頼性に優れた固体電解コンデンサを提供し得る。

Claims (12)

  1. タンタル金属塩を、溶融した希釈塩中で還元剤により還元してタンタルを生成させる方法において、
    前記金属塩と前記還元剤と前記希釈塩とを含む反応融液に接する空間に、窒素含有ガスを導入して、窒素を含有するタンタルを生成させること、ならびに
    前記反応融液を攪拌翼により攪拌して還元を行なう際に、攪拌翼の回転数を還元途中で減少させることを特徴とし、得られた窒素含有タンタル粉末が500〜3000ppmの窒素含有量、20ppm以下の鉄含有量、20ppm以下のクロム含有量および20ppm以下のニッケル含有量を有し、鉄、クロムおよびニッケルの合計含有量が40ppm以下である、窒素含有タンタル粉末の製造方法。
  2. 金属塩がタンタルのフッ化カリウム塩であり、還元剤がナトリウムである、請求項1に記載の窒素含有タンタル粉末の製造方法。
  3. 還元剤と金属塩がそれぞれ連続的または分割して希釈塩に添加される、請求項1または2に記載の窒素含有タンタル粉末の製造方法。
  4. 攪拌翼の回転数が100〜200回転/分から選ばれる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の窒素含有タンタル粉末の製造方法。
  5. 攪拌翼の回転数が140〜170回転/分である、請求項4に記載の窒素含有タンタル粉末の製造方法。
  6. 攪拌翼の回転数の減少が、全タンタル金属塩の1/2が還元に供されるまでに行なわれる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の窒素含有タンタル粉末の製造方法。
  7. 攪拌翼の回転数の減少割合が2〜10%、または攪拌翼の回転数の減少幅が3〜10回転/分である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の窒素含有タンタル粉末の製造方法。
  8. 反応融液にホウ素含有化合物を存在させる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の窒素含有タンタル粉末の製造方法。
  9. 還元終了後に、反応融液を冷却、洗浄して得られる窒素含有タンタル粉末を、さらに熱凝集、脱酸素および徐酸化安定化処理を含む前処理を行なう、請求項1〜8のいずれか1項に記載の窒素含有タンタル粉末の製造方法。
  10. 請求項9に記載の前処理された窒素含有タンタル粉末を焼結させて窒素含有タンタル多孔質焼結体を得る、多孔質焼結体の製造方法。
  11. 窒素含有量500〜3000ppm、ホウ素含有量2〜50ppm、および酸素含有量9000 〜21000ppmである窒素含有タンタル粉末であって、鉄含有量20ppm以下、クロム含有量20ppm以下およびニッケル含有量20ppm以下であり、ならびにこれらの金属の合計含有量が40ppm以下であり、リン含有量100〜500ppmであり、真空焼結炉で1150℃、20分間の条件で加熱して多孔質焼結体を得、得られた多孔質焼結体を0.1質量%リン酸水溶液中で、化成電圧10V、温度60℃、保持時間120分間で化成酸化したときに、比漏れ電流DLC/CV値が5(nA/μFV)以下、および電気容量CV値が20万〜40万μFV/gである、窒素含有タンタル粉末。
  12. カリウム含有量が30ppm以下である、請求項11に記載の窒素含有タンタル粉末。
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