JP2020517652A5 - - Google Patents

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併用療法
関連出願の相互参照
本出願は、全て2017年4月20日に出願された、GB1706231.6、GB1706230.8、GB1706229.0、GB1706228.2、GB1706227.4、GB1706226.6、GB1706225.8、及びGB1706224.1、GB1706223.3の優先権を主張する。
本開示は、がんなどの病態の治療のための併用療法に関する。特に、本開示は、抗体薬物複合体(ADC)と二次薬剤とによる治療を含む併用療法に関する。
抗体療法
がん、免疫不全、及び血管原性障害の対象の標的治療のための抗体療法が、確立されている(Carter, P.(2006) Nature Reviews Immunology 6:343−357)。がん治療における、細胞傷害剤又は細胞分裂阻害剤、すなわち腫瘍細胞を殺傷又は阻害する薬物を局所送達するための、抗体薬物複合体(ADC)、すなわち免疫複合体の使用は、薬物部分を腫瘍に送達し、腫瘍の細胞内に蓄積させることを目的とするが、こうした薬剤を複合体化させずに全身投与すると、許容不能なレベルの毒性を正常細胞にもたらす可能性がある(Xie et al(2006)Expert. Opin. Biol. Ther. 6(3):281−291;Kovtun et al(2006)Cancer Res. 66(6):3214−3121;Law et al(2006)Cancer Res. 66(4):2328−2337;Wu et al(2005)Nature Biotech. 23(9):1137−1145;Lambert J.(2005)Current Opin. in Pharmacol. 5:543−549;Hamann P.(2005)Expert Opin. Ther. Patents 15(9):1087−1103;Payne, G.(2003)Cancer Cell 3:207−212;Trail et al(2003)Cancer Immunol. Immunother. 52:328−337;Syrigos and Epenetos(1999)Anticancer Research 19:605−614)。
AXL
Axlは、受容体チロシンキナーゼサブファミリーの一員である。他の受容体チロシンキナーゼに類似するが、Axlタンパク質は、IgLとFNIIIのリピートを並置する細胞外領域の独特な構造を表しており、その一部がキナーゼドメインである細胞内ドメインを含む細胞内領域を有する。Axlは、ビタミンK依存性タンパク質増殖停止特異的遺伝子6(Gas6)などの増殖因子に結合することにより、細胞外マトリックスから細胞質にシグナルを変換する。Axlの細胞外ドメインは切断でき、65kDaの可溶性細胞外ドメインを放出することができる。切断は受容体の代謝回転を促進し、部分的に活性化されたキナーゼを生成する(O’Bryan JP, eta/ (1995) J Bioi Chern. 270 (2): 551−557)
ヒトAxl遺伝子及び遺伝子産物に関する構造情報は、WO2003/068983に記載されている。以下の特許公開は、Axl又は他のチロシンキナーゼ受容体にも関連している:US5468634;US6087144;US5538861;US5968508;US6211142;US6235769;WO1999/49894;WO2000/76309;WO2001/16181、及びWO2001/32926。
Axlは細胞増殖の刺激に関与している。具体的には、Axlは慢性骨髄性白血病関連の腫瘍遺伝子であり、結腸がん及び黒色腫とも関連している。19q13.1−q13.2にあるbcl3腫瘍遺伝子に近接している。Axl遺伝子は脊椎動物種の間で進化的に保存されており、間葉の発生中に発現する。
Gas6リガンドとの相互作用により、Axlは自己リン酸化され、シグナル伝達事象のカスケードが発生する。PI3K、AKT、src、Bad、14−3−3、PLC、ERK、S6K(マイトジェン調節キナーゼ)、及びSTATは、それぞれこのカスケードに関与することが知られている。Gas6は、膜リン脂質へのCa++依存的結合を可能にするy−カルボキシグルタミン酸が豊富な領域(GLAドメイン)を有する。Gas6は弱いマイトジェンであり、TNF誘導の細胞毒性又は増殖因子の除去によるストレスにさらされたNIH3T3線維芽細胞において抗アポトーシス効果を有する。NIH3T3では、Gas6のAxlへの結合により、PI3K、AKT、src、及びBadが活性化される。
研究は、Axlが腫瘍形成において多くの異なる役割を果たしていることを示している。Axlは、内皮細胞の遊走、増殖、及び管形成を含む血管新生挙動の重要な調節因子である。Axlはin vivoでヒト乳がん細胞が腫瘍を形成するためにも必要であり、Axlが血管新生と腫瘍形成の両方に不可欠なプロセスを調節することを示している(Holland S. et a/, Cancer Res 2005;65 (20), Oct 15, 2005)。
Axl受容体チロシンキナーゼの活性は、腫瘍転移と正の相関がある。より具体的には、Axlが介在する浸潤に必要なMMP−9の発現をAxlが増強することが研究により示されている。Axlは、NF−BK及びBrg−1の活性化を通じてMMP−9活性を誘導することにより、細胞浸潤を促進する(Tai, K−Y et a/, Oncogene (2008), 27, 4044−4055)。Axlはヒト神経膠腫細胞で過剰発現しており、多形性膠芽腫(GBM)患者の予後不良の予測に使用できる(Vajkoczy P. et a/, PNAS, April 11, 2006, val 103, no. 15, 5799−5804;Hutterer M. eta/, Clinical Cancer Res 2008;14 (1) Jan 1, 2008;)。Axlは、低侵襲性肺がん細胞株と比較して、高侵襲性肺がん細胞株でも比較的過剰発現している(Shieh, Y−S eta/, Neoplasia, val 7, no. 12, Dec 2005, 1058−1064)。したがって、Axlは腫瘍の浸潤と進行に重要な役割を果たすと考えられている。
同様に、Axlは侵襲性の高い乳がん細胞で発現するが、低侵襲性の乳がん細胞では発現していない。より具体的には、Axlシグナル伝達の阻害(ドミナントネガティブAxl変異体、Axlの細胞外ドメインに対する抗体、又はAxlのショートヘアピンRNAノックダウンによる)は、高侵襲性乳がん細胞の移動性と侵襲性を低下させた。低分子Axl阻害剤は、乳がん胞の運動性と浸潤性を妨げた。したがって、Axlは、乳がん細胞の運動性/浸潤性を支配するシグナル伝達ネットワークの重要な要素であると理解されている(Zhang, Y−X et al., Cancer Res 2008;68 (6), March 15, 2008)。
メサンギウム細胞では、Gas6がマイトジェン効果を有することが判明し、糸球体硬化症の進行における役割の可能性を示している。証拠は、Gas6/Axl経路が糸球体腎炎においても役割を果たすことを示唆している(Yanagita M. at a/, The Journal of Clinical Investigation;2002, 110 (2) 239−246)。さらなる研究により、Gas6が動脈損傷のモデルにおいて内皮細胞の生存を促進することが示されている。アンジオテンシンIIは、そのAT1受容体を介して、血管平滑筋細胞のAxl mRNA及びタンパク質受容体を増加させることが示された(Melaragno M. G. eta/, Circ Res., 1998, 83 (7): 697− 704)。Axlは、細胞接着、細胞増殖、免疫系の恒常性の調節にも関与することが示されている(Lu Q., 2001) Science 293 (5528): 306 311)。Axlの活性化に続いて、次の現象が観察された:アポトーシスの阻害、線維芽細胞及び内皮細胞のうちの「正常な」細胞(非形質転換)の生存率の増加、血管平滑筋細胞(VSMC)の遊走(Axlキナーゼの不活性化は遊走を阻止する)、血管壁の新生内膜形成の増強(Melaragno M.G. eta/, Trends Cardiovasc Med., 1999, (Review) 9 (8): 250−253)、及び病変形成及びアテローム性動脈硬化の進行への関与。
抗AXL ADCの治療的使用
例えば、がんの治療における抗AXL抗体(抗AXL−ADC)を含む抗体薬物複合体の有効性が確立されている。例えば、WO2016/166297、WO2016/166302、GB1702029.8、GB1719906.8、及びPCT/EP2018/053163を参照されたい。
研究は、抗AXL ADCの有効性、忍容性、及び臨床的有用性をさらに改善し続けている。この目的のために、本著者らは、抗AXL ADCを少なくとも1つの二次薬剤と併用投与する臨床的に有利な併用療法を特定した。
本著者は、ADCと二次薬剤とを併用して個体に投与すると、予期しない臨床的利点がもたらされると判断した。
したがって、一態様では、本開示は、個体の障害を治療する方法を提供し、この方法は、個体に有効量のADC及び二次薬剤を投与することを含む。
障害は、増殖性疾患、例えばがんであり得る。がんには、転移性がん及び循環腫瘍細胞などの転移性がん細胞があげられ、それは、血液又はリンパ液などの体液中を循環することが見出しうる。特に重要ながんとしては、乳がん、肺がん、胃がん、頭頸部がん、結腸直腸がん、腎がん、膵臓がん、子宮がん、肝がん、膀胱がん、子宮内膜がん、及び前立腺がん、ならびにリンパ腫(非ホジキンリンパ腫、NHL)及び白血病(特に急性骨髄性白血病、AML)があげられるが、これらに限定されない。
他の目的の障害としては、Axlが過剰発現しているいずれかの状態、又はAxl拮抗作用が臨床的利益をもたらすいずれかの状態があげられる。これらには、免疫障害、心血管障害、血栓症、糖尿病、免疫チェックポイント障害、又は斜視(strabmisus)、強皮症、ケロイド、腎性全身性線維症、肺線維症、特発性肺線維症(IPF)、嚢胞性線維症(CF)、全身性硬化症、心臓線維症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、他の種類の肝線維症、原発性胆汁性肝硬変、腎線維症などの線維性障害(線維症)、がん、及びアテローム性動脈硬化があげられる。
増殖性疾患は、AXL+veとAXL−ve細胞をともに含む新生物の存在を特徴とする場合がある。
増殖性疾患は、AXL−ve新生物細胞から構成される新生物の存在を特徴とする場合があり、場合により、AXL−ve新生物細胞はAXL+ve非新生物細胞と関連する。
標的新生物又は新生物細胞は、固形腫瘍の全て又は部分であり得る。
本明細書における「固形腫瘍」は、本明細書でより詳細に論じられるリンパ腫(ホジキンリンパ腫又は非ホジキンリンパ腫)などの固形血液がんを含むと理解されるであろう。
固形腫瘍は、AXL+ve新生物細胞を含むか、又はそれから構成される非血液がんを含む新生物であり得る。固形腫瘍は、AXL+ve免疫抑制性樹状細胞、NK細胞、マクロファージなどのAXL+ve細胞が浸潤した非血液がんを含む新生物であり、そのような固形腫瘍は、AXLの発現がない場合がある(すなわち、AXL−ve新生物細胞を含むか、又はそれから構成される)。
例えば、固形腫瘍は、浸潤樹状細胞、NK細胞、又はマクロファージなどの高レベルの浸潤AXL+ve細胞を伴う腫瘍であり得る(Paolino, M., et al., Cancers 2016, 8, 97;doi:10.3390/cancers8100097)。したがって、固形腫瘍は、膵臓がん、乳がん、結腸直腸がん、胃がん及び食道がん、白血病及びリンパ腫、黒色腫、非小細胞肺がん、卵巣がん、肝細胞がん、腎細胞がん、ならびに頭頸部がんであり得る。
ADCは、本明細書に記載されるADC×AXLなどの抗AXL−ADCであり得る。
二次薬剤は、PD1アンタゴニスト、PD−L1アンタゴニスト、GITRアゴニスト、OX40アゴニスト、CTLA−4アンタゴニスト、フルダラビンもしくはシタラビン、低メチル化剤、PARP阻害剤(PARPi)、HER2発現を上方制御する薬剤、AXL阻害剤(AXLi)、BRAF阻害剤(BRAFi)、又はMEK阻害剤(MEKi)であり得る。
個体はヒトであってもよい。個体はがんであるか、又はがんであると判断されていてもよい。個体は、AXL+がん又はAXL+腫瘍関連非腫瘍細胞を有し得るか、又は有すると判断されていてもよい。個体は、AXL+がん又はAXL+腫瘍関連非腫瘍細胞を有し得るか、又は有すると判断されていてもよい。
個体はPD−L1+がんであるか、又はであると判断されていてもよい。
開示された方法では、ADCは、二次薬剤の前、二次薬剤と同時に、又は二次薬剤の後に投与され得る。開示された方法は、さらなる化学療法剤を個体に投与することを含み得る。
別の態様では、本開示は、個体の障害を治療する方法で使用するためのADCを含む第1組成物を提供し、治療は、二次薬剤を含む第2組成物と併用する第1組成物の投与を含む。
この態様により、個体の障害を治療する方法で使用するための二次薬剤を含む第1組成物も提供され、治療はADCを含む第2組成物と併用する第1組成物の投与を含む。
障害は、増殖性疾患、例えばがんであり得る。がんには、転移性がん及び循環腫瘍細胞などの転移性がん細胞があげられ、それは、血液又はリンパ液などの体液中を循環していることを見出し得る。特に重要ながんには、乳がん、肺がん、胃がん、頭頸部がん、結腸直腸がん、腎がん、膵臓がん、子宮がん、肝がん、膀胱がん、子宮内膜がん、及び前立腺がん、ならびにリンパ腫(非ホジキンリンパ腫、NHL)及び白血病(特に急性骨髄性白血病、AML)があげられるが、これらに限定されない。
他の目的の障害としては、Axlが過剰発現しているいずれかの状態、又はAxl拮抗作用が臨床的利益をもたらすいずれかの状態があげられる。これらには、免疫障害、心血管障害、血栓症、糖尿病、免疫チェックポイント障害、又は斜視(strabmisus)、強皮症、ケロイド、腎性全身性線維症、肺線維症、特発性肺線維症(IPF)、嚢胞性線維症(CF)、全身性硬化症、心臓線維症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、他の種類の肝線維症、原発性胆汁性肝硬変、腎線維症などの線維性障害(線維症)、がん、及びアテローム性動脈硬化があげられる。
増殖性疾患は、AXL+veとAXL−ve細胞の両方を含む新生物の存在を特徴とする場合がある。
増殖性疾患は、AXL−ve新生物細胞から構成される新生物の存在を特徴とする場合があり、場合により、AXL−ve新生物細胞はAXL+ve非新生物細胞と関連する。
標的新生物又は新生物細胞は、固形腫瘍の全て又は部分であり得る。
本明細書における「固形腫瘍」は、本明細書でより詳細に論じられるリンパ腫(ホジキンリンパ腫又は非ホジキンリンパ腫)などの固形血液がんを含むと理解されるであろう。
固形腫瘍は、AXL+ve新生物細胞を含むか、又はそれから構成される非血液がんを含む新生物であり得る。固形腫瘍は、AXL+ve免疫抑制性樹状細胞、NK細胞、又はマクロファージなどのAXL+ve細胞が浸潤した非血液がんを含む新生物であり得、そのような固形腫瘍は、AXLの発現を欠く場合がある(すなわち、AXL−ve新生物細胞を含むか、又はそれから構成される)。
ADCは、本明細書に記載されるADC×AXLなどの抗AXL−ADCであり得る。
二次薬剤は、PD1アンタゴニスト、PD−L1アンタゴニスト、GITRアゴニスト、OX40アゴニスト、CTLA−4アンタゴニスト、フルダラビンもしくはシタラビン、低メチル化剤、PARP阻害剤(PARPi)、HER2発現を上方制御する薬剤、AXL阻害剤(AXLi)、BRAF阻害剤(BRAFi)、又はMEK阻害剤(MEKi)であり得る。
個体はヒトであってもよい。個体はがんがありうるか、又はがんがあると判断されていてもよい。個体は、AXL+がん又はAXL+腫瘍関連非腫瘍細胞がありうるか、又はあると判断されていてもよい。個体は、AXL+がん又はAXL+腫瘍関連非腫瘍細胞がありうるか、又はあると判断されていてもよい。
個体はPD−L1+がんを有し得るか、又はそれを有すると判断されていてもよい。
第1組成物は、第2組成物の前に、第2組成物と同時に、又は第2組成物の後に投与され得る。治療は、さらなる化学療法剤を個体に投与することを含み得る。
さらなる態様では、本開示は、個体の障害を治療するための医薬の製造におけるADCの使用を提供し、医薬はADCを含み、治療は二次薬剤を含む組成物と併用する医薬の投与を含む。
この態様により、個体の障害を治療するための医薬の製造における二次薬剤の使用も提供され、医薬は二次薬剤を含み、治療はADCを含む組成物と併用する医薬の投与を含む。
障害は、増殖性疾患、例えばがんであり得る。がんとしては、転移性がん及び循環腫瘍細胞などの転移性がん細胞があげられ、それは、血液又はリンパ液などの体液中を循環していることを見出し得る。特に重要ながんには、乳がん、肺がん、胃がん、頭頸部がん、結腸直腸がん、腎がん、膵臓がん、子宮がん、肝がん、膀胱がん、子宮内膜がん、及び前立腺がん、ならびにリンパ腫(非ホジキンリンパ腫、NHL)及び白血病(特に急性骨髄性白血病、AML)があげられるが、これらに限定されない。
他の目的の障害としては、Axlが過剰発現しているいずれかの状態、又はAxl拮抗作用が臨床的利益をもたらすいずれかの状態があげられる。これらには、免疫障害、心血管障害、血栓症、糖尿病、免疫チェックポイント障害、又は斜視(strabmisus)、強皮症、ケロイド、腎性全身性線維症、肺線維症、特発性肺線維症(IPF)、嚢胞性線維症(CF)、全身性硬化症、心臓線維症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、他の種類の肝線維症、原発性胆汁性肝硬変、腎線維症などの線維性障害(線維症)、がん、及びアテローム性動脈硬化があげられる。
増殖性疾患は、AXL+veとAXL−ve細胞の両方を含む新生物の存在を特徴とする場合がある。
増殖性疾患は、AXL−ve新生物細胞から構成される新生物の存在を特徴とする場合があり、場合により、AXL−ve新生物細胞はAXL+ve非新生物細胞と関連する。
標的新生物又は新生物細胞は、固形腫瘍の全て又は部分であり得る。
本明細書における「固形腫瘍」は、本明細書でより詳細に論じられるリンパ腫(ホジキンリンパ腫又は非ホジキンリンパ腫)などの固形血液がんを含むと理解されるであろう。
固形腫瘍は、AXL+ve新生物細胞を含むか、又はそれから構成される非血液がんを含む新生物であり得る。固形腫瘍は、AXL+ve免疫抑制性樹状細胞、NK細胞、又はマクロファージなどのAXL+ve細胞が浸潤した非血液がんを含む新生物であり、そのような固形腫瘍は、AXLの発現を欠く場合がある(すなわち、AXL−ve新生物細胞を含むか、又はそれから構成される)。
ADCは、本明細書に記載されるADC×AXLなどの抗AXL−ADCであり得る。
二次薬剤は、PD1アンタゴニスト、PD−L1アンタゴニスト、GITRアゴニスト、OX40アゴニスト、CTLA−4アンタゴニスト、フルダラビンもしくはシタラビン、低メチル化剤、PARP阻害剤(PARPi)、HER2発現を上方制御する薬剤、AXL阻害剤(AXLi)、BRAF阻害剤(BRAFi)、又はMEK阻害剤(MEKi)であり得る。
個体はヒトであってもよい。個体はがんを有し得るか、又はがんを有すると判断されていてもよい。個体は、AXL+がん又はAXL+腫瘍関連非腫瘍細胞を有し得るか、又は有すると判断されていてもよい。個体は、AXL+がん又はAXL+腫瘍関連非腫瘍細胞を有し得るか、又は有すると判断されていてもよい。
個体はPD−L1+がんを有し得るか、又はそれを有すると判断されていてもよい。
医薬は、組成物の前に、組成物と同時に、又は組成物の後に投与され得る。治療は、さらなる化学療法剤を個体に投与することを含み得る。
本開示の別の態様は、以下を含むキットを提供する:
ADCを含む第1医薬と;
二次薬剤を含む第2医薬と;必要に応じて
障害の治療のために第2医薬と併用して個体に第1医薬を投与するための説明書を含む添付文書。
本態様では、ADCを含む医薬と、障害の治療のために二次薬剤を含む組成物と併用して個体に医薬を投与するための説明書を含む添付文書とを含むキットも提供される。
本態様では、二次薬剤を含む医薬と、障害の治療のためにADCを含む組成物と併用して個体に医薬を投与するための説明書を含む添付文書と、を含むキットがさらに提供される。
障害は、増殖性疾患、例えばがんであり得る。がんには、転移性がん及び循環腫瘍細胞などの転移性がん細胞が含まれ、それは、血液又はリンパ液などの体液中を循環していることを見出し得る。特に重要ながんには、乳がん、肺がん、胃がん、頭頸部がん、結腸直腸がん、腎がん、膵臓がん、子宮がん、肝がん、膀胱がん、子宮内膜がん、及び前立腺がん、ならびにリンパ腫(非ホジキンリンパ腫、NHL)及び白血病(特に急性骨髄性白血病、AML)が含まれるが、これらに限定されない。
他の目的の障害には、Axlが過剰発現しているいずれかの状態、又はAxl拮抗作用が臨床的利益をもたらすいずれかの状態が含まれる。これらには、免疫障害、心血管障害、血栓症、糖尿病、免疫チェックポイント障害、又は斜視(strabmisus)、強皮症、ケロイド、腎性全身性線維症、肺線維症、特発性肺線維症(IPF)、嚢胞性線維症(CF)、全身性硬化症、心臓線維症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、他の種類の肝線維症、原発性胆汁性肝硬変、腎線維症などの線維性障害(線維症)、がん、及びアテローム性動脈硬化が含まれる。
増殖性疾患は、AXL+veとAXL−ve細胞の両方を含む新生物の存在を特徴とする場合がある。
増殖性疾患は、AXL−ve新生物細胞から構成される新生物の存在を特徴とする場合があり、場合により、AXL−ve新生物細胞はAXL+ve非新生物細胞と関連する。
標的新生物又は新生物細胞は、固形腫瘍の全て又は一部であり得る。
本明細書における「固形腫瘍」は、本明細書でより詳細に論じられるリンパ腫(ホジキンリンパ腫又は非ホジキンリンパ腫)などの固形血液がんを含むと理解されるであろう。
固形腫瘍は、AXL+ve新生物細胞を含むか、又はそれから構成される非血液がんを含む新生物であり得る。固形腫瘍は、AXL+ve免疫抑制性樹状細胞、NK細胞、マクロファージなどのAXL+ve細胞が浸潤した非血液がんを含む新生物であり、そのような固形腫瘍は、AXLの発現を欠く場合がある(すなわち、AXL−ve新生物細胞を含むか、又はそれから構成される)。
ADCは、本明細書に記載されるADC×AXLなどの抗AXL−ADCであり得る。
二次薬剤は、PD1アンタゴニスト、PD−L1アンタゴニスト、GITRアゴニスト、OX40アゴニスト、CTLA−4アンタゴニスト、フルダラビンもしくはシタラビン、低メチル化剤、PARP阻害剤(PARPi)、HER2発現を上方制御する薬剤、AXL阻害剤(AXLi)、BRAF阻害剤(BRAFi)、又はMEK阻害剤(MEKi)であり得る。
個体はヒトであってもよい。個体はがんを有し得るか、又はがんを有すると判断されていてもよい。個体は、AXL+がん又はAXL+腫瘍関連非腫瘍細胞を有し得るか、又は有すると判断されていてもよい。個体は、AXL+がん又はAXL+腫瘍関連非腫瘍細胞を有し得るか、又は有すると判断されていてもよい。
個体はPD−L1+がんを有し得るか、又はそれを有すると判断されていてもよい。
ADCを含む医薬又は組成物は、二次薬剤を含む医薬もしくは組成物の前、二次薬剤を含む医薬もしくは組成物と同時に、又は二次薬剤を含む医薬もしくは組成物の後に投与し得る。治療は、さらなる化学療法剤を個体に投与することを含み得る。
なおもさらなる態様では、本開示は、ADC及び二次薬剤を含む組成物を提供する。
本開示のこの態様では、個体の障害を治療する方法も提供され、この方法は、個体に有効量のADC及び二次薬剤を含む組成物を投与することを含む。
本開示のこの態様では、個体の障害を治療する方法で使用するためのADC及び二次薬剤を含む組成物も提供される。
本開示のこの態様では、個体の障害を治療するための医薬の製造におけるADC及び二次薬剤を含む組成物の使用も提供される。
また、本開示のこの態様では、ADC及び二次薬剤を含む組成物と、障害の治療のために個体に医薬を投与するための一連の説明書と、を含むキットも提供される。
障害は、増殖性疾患、例えばがんであり得る。がんには、転移性がん及び循環腫瘍細胞などの転移性がん細胞が含まれ、それは、血液又はリンパ液などの体液中を循環していることを見出し得る。特に重要ながんには、乳がん、肺がん、胃がん、頭頸部がん、結腸直腸がん、腎がん、膵臓がん、子宮がん、肝がん、膀胱がん、子宮内膜がん、及び前立腺がん、ならびにリンパ腫(非ホジキンリンパ腫、NHL)及び白血病(特に急性骨髄性白血病、AML)が含まれるが、これらに限定されない。
他の目的の障害には、Axlが過剰発現しているいずれかの状態、又はAxl拮抗作用が臨床的利益をもたらすいずれかの状態が含まれる。これらには、免疫障害、心血管障害、血栓症、糖尿病、免疫チェックポイント障害、又は斜視(strabmisus)、強皮症、ケロイド、腎性全身性線維症、肺線維症、特発性肺線維症(IPF)、嚢胞性線維症(CF)、全身性硬化症、心臓線維症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、他の種類の肝線維症、原発性胆汁性肝硬変、腎線維症などの線維性障害(線維症)、がん、及びアテローム性動脈硬化が含まれる。
増殖性疾患は、AXL+veとAXL−ve細胞の両方を含む新生物の存在を特徴とする場合がある。
増殖性疾患は、AXL−ve新生物細胞から構成される新生物の存在を特徴とする場合があり、場合により、AXL−ve新生物細胞はAXL+ve非新生物細胞と関連する。
標的新生物又は新生物細胞は、固形腫瘍の全て又は一部であり得る。
本明細書における「固形腫瘍」は、本明細書でより詳細に論じられるリンパ腫(ホジキンリンパ腫又は非ホジキンリンパ腫)などの固形血液がんを含むと理解されるであろう。
固形腫瘍は、AXL+ve新生物細胞を含むか、又はそれから構成される非血液がんを含む新生物であり得る。固形腫瘍は、AXL+ve免疫抑制性樹状細胞、NK細胞、マクロファージなどのAXL+ve細胞が浸潤した非血液がんを含む新生物であり、そのような固形腫瘍は、AXLの発現を欠く場合がある(すなわち、AXL−ve新生物細胞を含むか、又はそれから構成される)。
ADCは、本明細書に記載されるADC×AXLなどの抗AXL−ADCであり得る。
二次薬剤は、PD1アンタゴニスト、PD−L1アンタゴニスト、GITRアゴニスト、OX40アゴニスト、CTLA−4アンタゴニスト、フルダラビンもしくはシタラビン、低メチル化剤、PARP阻害剤(PARPi)、HER2発現を上方制御する薬剤、AXL阻害剤(AXLi)、BRAF阻害剤(BRAFi)、又はMEK阻害剤(MEKi)であり得る。
個体はヒトであってもよい。個体はがんを有し得るか、又はがんを有すると判断されていてもよい。個体は、AXL+がん又はAXL+腫瘍関連非腫瘍細胞を有し得るか、又は有すると判断されていてもよい。個体は、AXL+がん又はAXL+腫瘍関連非腫瘍細胞を有し得るか、又は有すると判断されていてもよい。
個体はPD−L1+がんを有し得るか、又はそれを有すると判断されていてもよい。
治療は、さらなる化学療法剤を個体に投与することを含み得る。
抗体薬物複合体(ADC)
本開示は、ADCと二次薬剤の併用の改善された効能に関する。
本開示のADCは、以下に定義されるとおり、リンカーが、N10位を通じてPBD部分の一方と抗体とを接続している、PBD二量体を提供する。
本開示は、対象の好適な部位にPBD化合物を提供する用途に適している。本複合体は、リンカーのどの部分も保持しない活性PBD化合物を放出することを可能にする。PBD化合物の反応性に影響を及ぼす可能性がある残存基は存在しない。すなわち、式(I)の複合体は、化合物RelAを放出すると思われる:
Figure 2020517652
本発明のPBD二量体と抗体の間の特定結合は、好ましくは、細胞外で安定である。細胞中に輸送又は送達する前、抗体薬物複合体(ADC)は、好ましくは、安定かつ未変化のままである、すなわち、抗体は、薬物部分と連結したままである。リンカーは、標的細胞の外では安定であり、細胞内ではある有効速度で切断される可能性がある。有効なリンカーは、以下のものになる:(i)抗体の特異的結合性を維持する;(ii)複合体又は薬物部分の細胞内送達を可能にする;(iii)複合体が、その標的部位に送達される又は輸送されるまで、安定かつ未変化のままである、すなわち切断されない;ならびに(iv)PBD薬物部分の細胞毒性、細胞殺傷効果、又は細胞分裂阻害効果を維持する。ADCの安定性は、標準的な分析技法、例えば、質量分析法、HPLC、及び分離/分析技法LC/MSなどにより測定可能である。
式RelAの化合物の送達は、カテプシンなどの酵素が、リンカー基に、詳細にはバリン−アラニンジペプチド部分に作用することにより、式(I)の複合体の所望の活性化部位で達成される。
本開示はまた、特に、GB1702029.8、GB1719906.8、PCT/EP2018/053163に開示されている、及び本明細書に記載されている抗AXL ADCによる治療に関する。
抗AXL ADC
本明細書で使用されるとき、「AXL−ADC」という用語は、抗体成分が抗AXL抗体であるADCを指す。「PBD−ADC」という用語は、薬物成分がピロロベンゾジアゼピン(PBD)弾頭であるADCを指す。「抗AXL−ADC」という用語は、抗体成分が抗AXL抗体であり、薬物成分がPBD弾頭であるADCを指す。
ADCは式(I)の複合体を含んでもよく:
Ab−(DL) (I)
式中:
Abは、AXLに結合する抗体であり;
DLは、以下
Figure 2020517652
であり、
式中:
Xは、単結合、−CH−、及び−C−からなる群より選択され;
nは、1〜8であり;
mは、0又は1であり;
は、メチル又はフェニルいずれかであり;
C2とC3の間に二重結合がある場合、Rは、以下からなる群より選択され:
(ia)C5−10アリール基、この基は、以下からなる群より選択される1つ又は複数の置換基により任意選択で置換され:ハロ、ニトロ、シアノ、エーテル、カルボキシ、エステル、C1−7アルキル、C3−7ヘテロシクリル、及びビス−オキシ−C1−3アルキレン;
(ib)C1−5飽和脂肪族アルキル;
(ic)C3−6飽和シクロアルキル;
(id)
Figure 2020517652

、式中、R21、R22、及びR23はそれぞれ、独立して、H、C1−3飽和アルキル、C2−3アルケニル、C2−3アルキニル、及びシクロプロピルから選択され、ただし、R12基の炭素原子の合計数は、5以下であり;
(ie)
Figure 2020517652

、式中、R25a及びR25bのいずれか一方は、Hであり、他方は、以下から選択され:フェニル、このフェニルは、ハロ、メチル、メトキシから選択される基により任意選択で置換され;ピリジル;及びチオフェニル;ならびに
(if)
Figure 2020517652
、式中、R24は、以下から選択され:H;C1−3飽和アルキル;C2−3アルケニル;C2−3アルキニル;シクロプロピル;フェニル、このフェニルは、ハロ、メチル、メトキシから選択される基により任意選択で置換され;ピリジル;及びチオフェニル;
C2とC3の間に単結合がある場合、Rは、以下
Figure 2020517652

であり、式中、R26a及びR26bは、独立して、H、F、C1−4飽和アルキル、C2−3アルケニルから選択され、これらアルキル及びアルケニル基は、C1−4アルキルアミド及びC1−4アルキルエステルから選択される基により任意選択で置換され;あるいは、R26a及びR26bの一方がHである場合、他方は、ニトリル及びC1−4アルキルエステルから選択され;
C2’とC3’の間に二重結合がある場合、R12は、以下からなる群より選択され:
(ia)C5−10アリール基、この基は、以下からなる群より選択される1つ又は複数の置換基により任意選択で置換され:ハロ、ニトロ、シアノ、エーテル、カルボキシ、エステル、C1−7アルキル、C3−7ヘテロシクリル、及びビス−オキシ−C1−3アルキレン;
(ib)C1−5飽和脂肪族アルキル;
(ic)C3−6飽和シクロアルキル;
(id)
Figure 2020517652

、式中、R31、R32、及びR33はそれぞれ、独立して、H、C1−3飽和アルキル、C2−3アルケニル、C2−3アルキニル、及びシクロプロピルから選択され、ただし、R12基の炭素原子の合計数は、5以下であり;
(ie)
Figure 2020517652

、式中、R35a及びR35bのいずれか一方は、Hであり、他方は、以下から選択され:フェニル、このフェニルは、ハロ、メチル、メトキシから選択される基により任意選択で置換され;ピリジル;及びチオフェニル;ならびに
(if)
Figure 2020517652
、式中、R24は、以下から選択され:H;C1−3飽和アルキル;C2−3アルケニル;C2−3アルキニル;シクロプロピル;フェニル、このフェニルは、ハロ、メチル、メトキシから選択される基により任意選択で置換され;ピリジル;及びチオフェニル;
C2’とC3’の間に単結合がある場合、R12は、以下
Figure 2020517652
であり、式中、R36a及びR36bは、独立して、H、F、C1−4飽和アルキル、C2−3アルケニルから選択され、これらアルキル及びアルケニル基は、C1−4アルキルアミド及びC1−4アルキルエステルから選択される基により任意選択で置換され;あるいは、R36a及びR36bの一方がHである場合、他方は、ニトリル及びC1−4アルキルエステルから選択され;
ならびにpは、1〜8である。
そのようなADCは、AXL発現がんの治療に有用であることが以前に示されている(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるGB1702029.8、GB1719906.8、及びPCT/EP2018/053163を参照されたい)。
抗AXL−ADCという用語は、GB1702029.8に記載されている任意の実施形態を含み得る。特に、好ましい実施形態では、ADCは以下の化学構造を有してもよく:
Ab−(DL) (I)
式中:
Abは、AXLに結合する抗体であり;
DLは、以下
Figure 2020517652
であり、式中、Abは抗AXL抗体である。
DLは、抗体アスパラギン残基、例えばKabatの付番システムによるAsn297の側鎖を介して抗体に接続され得る。抗体へ結合の構造は、N−[糖]−DLであってよく、Nはアスパラギン残基であり、[糖]はGlcNAc残基などの糖残基を表す。pは1〜4、好ましくは2であり得る。
実施形態によっては、AbはAXLに結合する抗体であり、抗体は以下を含む:
(a)配列番号3による配列を有する重鎖であって、DLが配列番号3の302位のアスパラギンを介して抗体に接続される、重鎖と;
(b)配列番号4による配列を有する軽鎖。
DLの実施形態

実施形態によっては、Xは、単結合である。
他の実施形態において、Xは、−CH−である。
さらなる実施形態において、Xは、−C−である。
実施形態によっては、nは、1〜4である。
これらの実施形態のあるものにおいて、nは、1である。
これらの実施形態の他のものにおいて、nは、2である。
これらの実施形態のさらなるものにおいて、nは、4である。

1つの実施形態において、Rは、メチルである。
別の実施形態において、Rは、フェニルである。

C2とC3の間に二重結合がある場合、Rは、以下から選択される:
(a)C5−10アリール基、この基は、以下からなる群より選択される1つ又は複数の置換基により任意選択で置換され:ハロ、ニトロ、シアノ、エーテル、C1−7アルキル、C3−7ヘテロシクリル、及びビス−オキシ−C1−3アルキレン;
(b)C1−5飽和脂肪族アルキル;
(c)C3−6飽和シクロアルキル;
(d)
Figure 2020517652
、式中、R21、R22、及びR23はそれぞれ、独立して、H、C1−3飽和アルキル、C2−3アルケニル、C2−3アルキニル、及びシクロプロピルから選択され、ただし、R基の炭素原子の合計数は、5以下であり;
(e)
Figure 2020517652

、式中、R25a及びR25bのいずれか一方は、Hであり、他方は、以下から選択され:フェニル、このフェニルは、ハロ、メチル、メトキシから選択される基により任意選択で置換され;ピリジル;及びチオフェニル;ならびに
(f)
Figure 2020517652
、式中、R24は、以下から選択され:H;C1−3飽和アルキル;C2−3アルケニル;C2−3アルキニル;シクロプロピル;フェニル、このフェニルは、ハロ、メチル、メトキシから選択される基により任意選択で置換され;ピリジル;及びチオフェニル。
がC5−10アリール基である場合、この基は、C5−7アリール基であることが可能である。C5−7アリール基は、フェニル基又はC5−7ヘテロアリール基、例えば、フラニル、チオフェニル、及びピリジルが可能である。実施形態によっては、Rは、好ましくは、フェニルである。他の実施形態において、R12は、好ましくは、チオフェニル、例えば、チオフェン−2−イル及びチオフェン−3−イルである。
がC5−10アリール基である場合、この基は、C8−10アリール、例えば、キノリニル又はイソキノリニル基であることが可能である。キノリニル又はイソキノリニル基は、任意の利用可能な環位を通じてPBD核と結合することができる。例えば、キノリニルは、キノリン−2−イル、キノリン−3−イル、キノリン−4−イル、キノリン−5−イル、キノリン−6−イル、キノリン−7−イル、及びキノリン−8−イルが可能である。これらのうち、キノリン−3−イル及びキノリン−6−イルが好ましい場合がある。イソキノリニルは、イソキノリン−1−イル、イソキノリン−3−イル、イソキノリン−4−イル、イソキノリン−5−イル、イソキノリン−6−イル、イソキノリン−7−イル、及びイソキノリン−8−イルが可能である。これらのうち、イソキノリン−3−イル及びイソキノリン−6−イルが好ましい場合がある。
がC5−10アリール基である場合、この基は、任意の個数の置換基を有することができる。この基は、好ましくは、1〜3つの置換基を有し、1つ及び2つであることがより好ましく、単一の置換基であることが特に好ましい。置換基は、任意の位置にあることができる。
がC5−7アリール基である場合、単一の置換基は、好ましくは、化合物の残部との結合に隣接していない環原子上にある、すなわち、この置換基は、好ましくは、化合物の残部との結合に対してβ位又はγ位にある。したがって、C5−7アリール基がフェニルである場合、置換基は、好ましくは、メタ位又はパラ位にあり、より好ましくは、パラ位にある。
がC8−10アリール基、例えば、キノリニル又はイソキノリニルである場合、この基は、キノリン又はイソキノリン環の任意の位置に任意の個数の置換基を有することができる。実施形態によっては、この基は、1つ、2つ、又は3つの置換基を有し、それらは、近位環及び遠位環の一方又は両方(置換基が複数の場合)に存在することができる。
がC5−10アリール基の場合のR置換基
がC5−10アリール基の場合のR置換基がハロである場合、これは、好ましくは、F又はClであり、より好ましくはClである。
がC5−10アリール基の場合のR置換基がエーテルである場合、これは、実施形態によっては、アルコキシ基、例えば、C1−7アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ)であることが可能であり、又は実施形態によってはC5−7アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、ピリジルオキシ、フラニルオキシ)であることが可能である。アルコキシ基は、それ自身が、置換、例えばアミノ基(例えば、ジメチルアミノ)によりさらに置換可能である。
がC5−10アリール基の場合のR置換基がC1−7アルキルである場合、これは、好ましくは、C1−4アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル)が可能である。
がC5−10アリール基の場合のR置換基がC3−7ヘテロシクリルである場合、これは、実施形態によっては、C窒素含有ヘテロシクリル基、例えば、モルホリノ、チオモルホリノ、ピペリジニル、ピペラジニルが可能である。これらの基は、窒素原子を介して、PBD部分の残部と結合することができる。これらの基は、例えば、C1−4アルキル基でさらに置換可能である。C窒素含有ヘテロシクリル基がピペラジニルである場合、このさらなる置換基は、第二の窒素環原子上にあることが可能である。
がC5−10アリール基の場合のR置換基がビス−オキシ−C1−3アルキレンである場合、これは、好ましくは、ビス−オキシ−メチレン又はビス−オキシ−エチレンである。
がC5−10アリール基の場合のR置換基がエステルである場合、これは、好ましくは、メチルエステル又はエチルエステルである。
がC5−10アリール基である場合の特に好適な置換基として、メトキシ、エトキシ、フルオロ、クロロ、シアノ、ビス−オキシ−メチレン、メチルピペラジニル、モルホリノ、及びメチルチオフェニルが挙げられる。Rに特に好適な他の置換基は、ジメチルアミノプロピルオキシ及びカルボキシである。
がC5−10アリール基である場合の特に好適な置換R基として、4−メトキシフェニル、3−メトキシフェニル、4−エトキシフェニル、3−エトキシフェニル、4−フルオロフェニル、4−クロロフェニル、3,4−ビスオキシメチレン−フェニル、4−メチルチオフェニル、4−シアノフェニル、4−フェノキシフェニル、キノリン−3−イル及びキノリン−6−イル、イソキノリン−3−イル及びイソキノリン−6−イル、2−チエニル、2−フラニル、メトキシナフチル、ならびにナフチルが挙げられるが、これらに限定されない。別の可能な置換R基は、4−ニトロフェニルである。特に関心が持たれるR基として、4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル及び3,4−ビスオキシメチレン−フェニルが挙げられる。
がC1−5飽和脂肪族アルキルである場合、Rは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、又はペンチルが可能である。実施形態によっては、Rは、メチル、エチル、又はプロピル(n−ペンチル又はイソプロピル)が可能である。これらの実施形態のいくつかにおいて、Rは、メチルが可能である。他の実施形態において、Rは、ブチル又はペンチルが可能であり、それらは、直鎖の場合も分岐鎖の場合もある。
がC3−6飽和シクロアルキルである場合、Rは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、又はシクロヘキシルが可能である。実施形態によっては、Rは、シクロプロピルが可能である。

Figure 2020517652
である場合、R21、R22、及びR23はそれぞれ、独立して、H、C1−3飽和アルキル、C2−3アルケニル、C2−3アルキニル、及びシクロプロピルから選択され、ただし、R基の炭素原子の合計数は、5以下である。実施形態によっては、R基の炭素原子の合計数は、4以下、又は3以下である。
実施形態によっては、R21、R22、及びR23の1つはHであり、その他の2つの基は、H、C1−3飽和アルキル、C2−3アルケニル、C2−3アルキニル、及びシクロプロピルから選択される。
他の実施形態において、R21、R22、及びR23のうち2つはHであり、その他の1つの基は、H、C1−3飽和アルキル、C2−3アルケニル、C2−3アルキニル、及びシクロプロピルから選択される。
実施形態によっては、Hではない基は、メチル及びエチルから選択される。これらの実施形態のいくつかにおいて、Hではない基は、メチルである。
実施形態によっては、R21は、Hである。
実施形態によっては、R22は、Hである。
実施形態によっては、R23は、Hである。
実施形態によっては、R21及びR22は、Hである。
実施形態によっては、R21及びR23は、Hである。
実施形態によっては、R22及びR23は、Hである。
特に関心が持たれるR基は、以下のものである:
Figure 2020517652

Figure 2020517652
である場合、R25a及びR25bのいずれか一方は、Hであり、他方は、以下から選択され:フェニル、このフェニルは、ハロ、メチル、メトキシから選択される基により任意選択で置換され;ピリジル;及びチオフェニルである。実施形態によっては、Hではない基は、任意選択で置換されたフェニルである。フェニルの任意選択置換基が、ハロである場合、これは、好ましくは、フルオロである。実施形態によっては、フェニル基は、無置換である。

Figure 2020517652
である場合、R24は、以下から選択される:H;C1−3飽和アルキル;C2−3アルケニル;C2−3アルキニル;シクロプロピル;フェニル、このフェニルは、ハロ、メチル、メトキシから選択される基により任意選択で置換され;ピリジル;及びチオフェニル。フェニルの任意選択置換基が、ハロである場合、これは、好ましくは、フルオロである。実施形態によっては、フェニル基は、無置換である。実施形態によっては、R24は、H、メチル、エチル、エテニル、及びエチニルから選択される。これらの実施形態のあるものにおいて、R24は、H及びメチルから選択される。
C2とC3の間に単結合がある場合、
は、
Figure 2020517652
であり、式中、R26a及びR26bは、独立して、H、F、C1−4飽和アルキル、C2−3アルケニルから選択され、これらアルキル及びアルケニル基は、C1−4アルキルアミド及びC1−4アルキルエステルから選択される基により任意選択で置換され;あるいは、R26a及びR26bの一方がHである場合、他方は、ニトリル及びC1−4アルキルエステルから選択される。
実施形態によっては、R26a及びR26bは、両方ともHであることが好ましい。
他の実施形態において、R26a及びR26bは、両方ともメチルであることが好ましい。
さらなる実施形態において、好ましくは、R26a及びR26bの一方はHであり、かつ他方は、C1−4飽和アルキル、C2−3アルケニルから選択され、これらアルキル及びアルケニル基は、任意選択で置換される。これらさらなる実施形態において、Hではない基は、メチル及びエチルから選択されることがさらに好ましい場合がある。
12
に関する上記の優先事項は、R12にも等しく当てはまる。
本発明の1つの好ましい実施形態では、DLは、
Figure 2020517652
である。
上述のDLは、好ましくは、式Ab−(DL)を有するADC中に含まれていてよく、式中Abは、AXLに結合する抗体である。DLは、抗体アスパラギン残基、例えばKabatの付番システムによるAsn297の側鎖を介して抗体に接続され得る。抗体へ結合の構造は、N−[糖]−DLであってよく、Nはアスパラギン残基であり、[糖]はGlcNAc残基などの糖残基を表す。pは1〜4、例えば2であり得る。
例えば、一実施形態では、本発明は、以下の式を有する複合体を提供し:
Ab−([N]−[GlcNAc]−DL) (II)
式中:
Abは以下を含む抗体である:
(a)各々が配列番号3による配列を有する2つの重鎖;及び
(b)各々が配列番号4による配列を有する2つの軽鎖;
[N]は、各々の配列番号3の302位におけるアスパラギンの側鎖であり;
[GlcNAc]は、N−アセチルグルコサミン残基であり;
DLは、真上に記載の薬物リンカーである。
抗AXL ADCの抗体成分
1つの態様において、抗体は、AXLに結合する抗体である。
1H12
実施形態によっては、抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を持つVH CDR3を有するVHドメインを含む。実施形態によっては、VHドメインは、さらに、配列番号6のアミノ酸配列を持つVH CDR2、及び/又は配列番号5のアミノ酸配列を持つVH CDR1を含む。実施形態によっては、抗体は、配列番号5のアミノ酸配列を持つVH CDR1、配列番号6のアミノ酸配列を持つVH CDR2、及び配列番号7のアミノ酸配列を持つVH CDR3を有するVHドメインを含む。好適な実施形態において、抗体は、配列番号1に記載の配列を有するVHドメインを含む。
抗体は、さらに、VLドメインを含むことができる。実施形態によっては、抗体は、配列番号10のアミノ酸配列を持つVL CDR3を有するVLドメインを含む。実施形態によっては、VLドメインは、さらに、配列番号9のアミノ酸配列を持つVL CDR2、及び/又は配列番号8のアミノ酸配列を持つVL CDR1を含む。実施形態によっては、抗体は、配列番号8のアミノ酸配列を持つVL CDR1、配列番号9のアミノ酸配列を持つVL CDR2、及び配列番号10のアミノ酸配列を持つVL CDR3を有するVLドメインを含む。好適な実施形態において、抗体は、配列番号2に記載の配列を有するVLドメインを含む。
好適な実施形態において、抗体は、VHドメイン及びVLドメインを含む。好ましくは、VHは、配列番号1の配列を含み、VLドメインは、配列番号2の配列を含む。
VH及びVLドメイン(複数可)は、AXLに結合する抗体抗原結合部位を形成するように、対形成することができる。
実施形態によっては、抗体は、VHドメイン及びこれと対形成したVLドメインを含む無傷抗体であり、VHドメイン及びVLドメインは、配列番号1及びこれと対形成した配列番号2の配列を有する。
実施形態によっては、抗体は、配列番号3の配列を有する重鎖及びこれと対形成した配列番号4の配列を有する軽鎖を含む。実施形態によっては、抗体は、2つの配列番号3の配列を有する重鎖、及びそれぞれと対形成した配列番号4の配列を有する軽鎖を含む、無傷抗体である。
1つの態様において、抗体は、本明細書中記載されるとおりの抗体を、以下に記載されるとおりに修飾したもの(又はさらに修飾したもの)である。実施形態によっては、抗体は、本明細書中記載される抗体のヒト化、脱免疫化又は表面再構成(resurfaced)形態である。
実施形態によっては、抗体は完全ヒトモノクローナルIgG1抗体、好ましくはIgG1、κである。
1つの態様において、抗体は、本明細書中記載されるとおりの抗体を、以下に記載されるとおりに修飾したもの(又はさらに修飾したもの)である。実施形態によっては、抗体は、本明細書中記載される抗体のヒト化、脱免疫化又は表面再構成(resurfaced)形態である。
本開示の態様と共に使用するための最も好ましい抗AXL−ADCは、本明細書で以下に記載されるように、ADC×AXLである。
5F11
実施形態によっては、抗体は、配列番号15のアミノ酸配列を持つVH CDR3を有するVHドメインを含む。実施形態によっては、VHドメインは、さらに、配列番号14のアミノ酸配列を持つVH CDR2、及び/又は配列番号13のアミノ酸配列を持つVH CDR1を含む。実施形態によっては、抗体は、配列番号13のアミノ酸配列を持つVH CDR1、配列番号14のアミノ酸配列を持つVH CDR2、及び配列番号15のアミノ酸配列を持つVH CDR3を有するVHドメインを含む。
実施形態によっては、抗体は、配列番号11に記載の配列を有するVHドメインを含む。実施形態によっては、抗体は、配列番号19に記載の配列を有するVHドメインを含む。実施形態によっては、抗体は、配列番号20に記載の配列を有するVHドメインを含む。実施形態によっては、抗体は、配列番号21に記載の配列を有するVHドメインを含む。
抗体は、さらに、VLドメインを含むことができる。実施形態によっては、抗体は、配列番号18のアミノ酸配列を持つVL CDR3を有するVLドメインを含む。実施形態によっては、VLドメインは、さらに、配列番号17のアミノ酸配列を持つVL CDR2、及び/又は配列番号16のアミノ酸配列を持つVL CDR1を含む。実施形態によっては、抗体は、配列番号16のアミノ酸配列を持つVL CDR1、配列番号17のアミノ酸配列を持つVL CDR2、及び配列番号18のアミノ酸配列を持つVL CDR3を有するVLドメインを含む。
実施形態によっては、抗体は、配列番号22に記載の配列を有するVLドメインを含む。
好適な実施形態において、抗体は、VHドメイン及びVLドメインを含む。実施形態によっては、VHは、配列番号13のアミノ酸配列を有するVH CDR1、配列番号14のアミノ酸配列を有するVH CDR2、及び配列番号15のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含み、VLドメインは、配列番号16のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号17のアミノ酸配列を有するVL CDR2、及び配列番号18のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む。
実施形態によっては、抗体は、配列番号19の配列を有するVHドメイン、及び配列番号22の配列を有するVLドメインを含む。実施形態によっては、抗体は、配列番号20の配列を有するVHドメイン、及び配列番号22の配列を有するVLドメインを含む。実施形態によっては、抗体は、配列番号21の配列を有するVHドメイン、及び配列番号22の配列を有するVLドメインを含む。
1つの態様において、抗体は、本明細書中記載されるとおりの抗体を、以下に記載されるとおりに修飾したもの(又はさらに修飾したもの)である。実施形態によっては、抗体は、本明細書中記載される抗体のヒト化、脱免疫化又は表面再構成形態である。
実施形態によっては、抗体は完全ヒトモノクローナルIgG1抗体、好ましくはIgG1、κである。
1つの態様において、抗体は、本明細書中記載されるとおりの抗体を、以下に記載されるとおりに修飾したもの(又はさらに修飾したもの)である。実施形態によっては、抗体は、本明細書中記載される抗体のヒト化、脱免疫化又は表面再構成形態である。
抗体の修飾
本明細書中開示される抗体は、修飾可能である。例えば、ヒト対象に対するそれらの免疫原性を低下させるためである。修飾は、当業者によく知られた多数の技法のいずれかを用いて達成可能である。そのような技法のいくつかを、以下でより詳細に説明する。
ヒト化
非ヒト抗体又は抗体断片のin vivo免疫原性を低下させる技法として、「ヒト化」と呼ばれるものが挙げられる。
「ヒト化抗体」は、ヒト抗体の修飾された可変領域の少なくとも一部分を含むポリペプチドを示し、この可変領域の一部分、好ましくは無傷ヒト可変ドメインより実質的に小さい一部分が、非ヒト種由来の相当する配列で置換されており、かつこの修飾された可変領域は、別のタンパク質の少なくとも別の部分、好ましくはヒト抗体の定常部と連結している。「ヒト化抗体」という表現は、1つ又は複数の相補性決定領域(「CDR」)アミノ酸残基及び/又は1つ又は複数のフレームワーク領域(「FW」又は「FR」)アミノ酸残基が齧歯類又は他の非ヒト抗体の類似部位由来アミノ酸残基で置換されているヒト抗体を含む。「ヒト化抗体」という表現は、実質的にヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有するFR及び実質的に非ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有するCDRを含む免疫グロブリンアミノ酸配列変異型又はその断片も含む。
「ヒト化」型の非ヒト(例えば、マウス)抗体は、非ヒト免疫グロブリン由来の最小配列を含有するキメラ抗体である。すなわち、見方を変えると、ヒト化抗体とは、ヒト配列の代わりに非ヒト(例えばマウス)抗体から選択された配列も含有するヒト抗体である。ヒト化抗体は、保存的アミノ酸置換、すなわち抗体の結合及び/又は生物学的活性を大きく変えることのない同種又は異なる種由来の非天然の残基を含むことができる。そのような抗体は、非ヒト免疫グロブリン由来の最小配列を含有するキメラ抗体である。
様々なヒト化技法が存在し、そのような技法として、「CDRグラフト法」、「選択誘導法」、「脱免疫化」、「表面再構成(resurfacing)(「ベニヤ修飾(veneering)」としても知られる)」、「複合抗体」、「ヒトストリング含有量最適化(Human String Content Optimisation)」、及びフレームワーク混合が挙げられる。
CDRグラフト法
この技法では、ヒト化抗体は、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)の相補性決定領域(CDR)由来の残基が、所望の性質を有する、マウス、ラット、ラクダ、ウシ、ヤギ、又はウサギなどの非ヒト種(ドナー抗体)のCDR由来の残基で置換されているヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である(実際には、非ヒトCDRが、ヒトフレームワークに「移植」されている)。場合によっては、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基が、相当する非ヒト残基で置換されている(これは、例えば、特定のFR残基が抗原結合に対して大きな効果を有する場合などにそうなる可能性がある)。
そのうえさらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも、導入されるCDR又はフレームワーク配列にも見られない残基を含むことができる。こうした修飾を行うことで、抗体の性能をさらに洗練させて最大化することができる。したがって、一般に、ヒト化抗体は、全て又は全ての超可変ループが非ヒト免疫グロブリンのものに相当し、及び全て又は実質的に全てのFR領域がヒト免疫グロブリン配列のものである可変領域を、全部で少なくとも1つ、及び1つの態様において2つ含むことになる。ヒト化抗体はまた、随意に、ヒト免疫グロブリンの、免疫グロブリン定常部(Fc)の少なくとも一部分又は全部を含むことができる。
選択誘導法
この方法は、特定のエピトープに対して特異的な所定の非ヒト抗体のV又はVドメインをヒトV又はVライブラリーと併用することからなり、特異的ヒトVドメインは、関心対象の抗原に対して選択される。次いで、この選択されたヒトVHを、VLライブラリーと併用して、完全なヒトVH×VLの併用を作成する。この方法は、Nature Biotechnology (N.Y.) 12,(1994)899−903に記載されている。
複合抗体
この方法では、ヒト抗体由来のアミノ酸配列の2つ以上のセグメントを、最終抗体分子内にひとまとめにする。最終抗体分子は、複数のヒトVH及びVL配列セグメントを、ヒトT細胞エピトープを制限又は回避する組み合わせで、最終複合抗体V領域内にひとまとめにすることにより、構築される。必要な場合は、T細胞エピトープに寄与する又はこれをコードするV領域セグメントを、T細胞エピトープを回避する代替セグメントに交換することにより、T細胞エピトープを制限又は回避する。この方法は、US2008/0206239A1に記載される。
脱免疫化
この方法は、ヒト(又は他の二次種)T細胞エピトープを、治療用抗体(又は他の分子)のV領域から除去することを含む。治療用抗体V領域配列を、例えば、MHC結合モチーフのデータベース(www.wehi.edu.auがホストである「モチーフ」データベースなど)と比較することで、MHCクラスII結合モチーフの存在について分析する。あるいは、MHCクラスII結合モチーフは、Altuviaらにより記載される方法(J. Mol. Biol. 249 244−250(1995))などのコンピューターによるスレッド化法を用いて同定することができる。これらの方法では、V領域配列由来の連続重複ペプチドを、それらのMHCクラスIIタンパク質との結合エネルギーについて試験する。次いで、このデータを、連続して存在するペプチドと関連する他の配列特性についての情報(両親媒性、ロスバードモチーフ(Rothbard motif)、ならびにカテプシンB及び他のプロセシング酵素による切断部位など)とまとめることができる。
いったん可能性のある二次種(例えば、ヒト)T細胞エピトープが同定されたら、1つ又は複数のアミノ酸を変更することで、それらを除去する。修飾されるアミノ酸は、通常、T細胞エピトープ自身内にあるが、タンパク質の一次又は二次構造に関してエピトープと隣接するものの場合もある(したがって、一次構造では隣接していない場合がある)。最も典型的には、変更は、置換によるものであるが、状況によっては、アミノ酸の付加又は削除の方が適切なこともある。
全ての変更は、組換えDNA技法により達成することができ、そのため、十分に確立された方法(部位特異的突然変異誘発など)を用いて組換え宿主で発現させることにより、最終分子を調製することができる。しかしながら、タンパク質化学反応又は任意の他の分子変更手段の利用も可能である。
表面再構成
この方法は、以下を含む:
(a)非ヒト(例えば、齧歯類)抗体(又はその断片)の可変領域の三次元モデルを構築することにより、非ヒト抗体可変領域の高次立体構造を決定する;
(b)十分な数の非ヒト及びヒト抗体の可変領域重鎖及び軽鎖でのX線結晶構造解析に基づく構造から、相対的到達性分布を用いて、配列アラインメントを作成して、アラインメント位置が、十分な数の非ヒト抗体重鎖及び軽鎖の98%において同一である、重鎖及び軽鎖のフレームワーク位置の組を得る;
(c)工程(b)で作成したフレームワーク位置の組を用いて、ヒト化しようとする非ヒト抗体について、重鎖及び軽鎖の表面露出アミノ酸残基の組を定義する;
(d)ヒト抗体アミノ酸配列から、工程 (c)で定義した表面露出アミノ酸残基の組との相同性が最も高い重鎖及び軽鎖の表面露出アミノ酸残基の組を同定するが、このヒト抗体由来の重鎖及び軽鎖は、天然に対形成するかどうかは問わない;
(e)ヒト化しようとする非ヒト抗体のアミノ酸配列において、工程(c)で定義した重鎖及び軽鎖の表面露出アミノ酸残基の組を、工程(d)で同定した重鎖及び軽鎖の表面露出アミノ酸残基の組と置換する;
(f)工程(e)で指定される置換から得られる非ヒト抗体の可変領域の三次元モデルを構築する;
(g)工程(a)及び工程(f)で構築した三次元モデルを比較することにより、ヒト化しようとする非ヒト抗体の相補性決定領域のいずれかの残基のいずれかの原子から5オングストローム内にあるいずれかのアミノ酸残基を、工程(c)又は工程(d)で同定した組から同定する;ならびに
(h)工程(g)で同定したいずれかの残基を、ヒトアミノ酸残基から元々の非ヒトアミノ酸残基に交換し、それにより、表面露出アミノ酸残基の非ヒト抗体ヒト化の組を確定させる;ただし、工程(a)は、必ずしも最初に行う必要はないが、工程(g)の前に行わなければならない。
超ヒト化
この方法は、非ヒト配列を、機能的ヒト生殖系列遺伝子レパートリーと比較する。これらのヒト遺伝子の中から、非ヒト配列と同一又は密接に関連する標準構造をコードするものを選択する。選択したこれらのヒト遺伝子の中から、CDR内で最も高い相同性を持つものをFRドナーとして選択する。最後に、非ヒトCDRをこれらのヒトFRに移植する。この方法は、WO2005/079479A2に記載されている。
ヒトストリング含有量最適化
この方法は、非ヒト(例えば、マウス)配列を、ヒト生殖系列遺伝子のレパートリーと比較し、差異を、ヒトストリング含有量(HSC)として点数付けする。HSCは、潜在的MHC/T細胞エピトープのレベルで配列を定量する。次いで、標的配列を、全体的な相同性尺度を用いるのではなく、標的配列のHSCを最大にするようにヒト化することで、複数の多様なヒト化変異型を作成する(Molecular Immunology, 44,(2007)1986−1998に記載されている)。
フレームワーク混合
非ヒト抗体のCDRを、全てが既知の重鎖及び軽鎖ヒト生殖系列遺伝子フレームワークを包含するcDNAプールと、インフレームで融合させる。次いで、ヒト化抗体を、例えば、ファージ提示型抗体ライブラリーをパニングすることで選択する。この方法は、Methods 36, 43−60(2005)に記載されている。
アジドを用いた抗体修飾
薬物リンカーと複合体形成させるための抗体は、3工程プロセスで調製することができる:
(1)コアN−グリカンを有する抗体(Ab)を、適切な発現系(例えば、CHO細胞株)で発現させる。コアN−グリカンは、典型的には、Kabat命名体系に従って重鎖のAsn−297で複合体形成する;
(2)全てのグリカンアイソフォーム(複合型、ハイブリッド型、高マンノース型)を、エンドグリコシダーゼでトリミングして、核GlcNAcを残す;及び
(3)核GlcNAcに、薬物リンカーと複合体形成させるためのアジド基を抱えたN−アセチルガラクトース残基を、酵素で転移させる。
上記プロセスの概要は、van Geel, R., et al., Bioconjugate Chemistry, 2015, 26, 2233−2242;DOI:10.1021/acs.bioconjchem.5b00224に記載されている。あるいは、ワンポットプロセスを使用することができる。
ADC×AXL
ADC×AXLは、切断可能なリンカーを介してピロロベンゾジアゼピン(PBD)弾頭に結合したヒトAXLに対するヒト化抗体から構成される、抗体薬物複合体である。ADC×AXLの作用機序は、AXL結合に依存する。AXL特異的抗体は、AXLを発現する細胞を、抗体薬物複合体(ADC)の標的とさせる。結合すると、ADCは内部移行し、リソソームに輸送され、ここで、プロテアーゼ感受性リンカーが切断され、遊離PBD二量体が標的細胞内で放出される。放出されたPBD二量体は、RNAポリメラーゼの直接阻害又は関連する転写因子の相互作用の阻害のいずれかにより、配列選択的に転写を阻害する。PBD二量体は、DNA二重らせんをゆがめず、ヌクレオチド除去修復因子によって認識されない共有結合架橋を生成し、より長い有効期間を可能にする(Hartley 2011)。
ADC×AXLは以下の化学構造を有し:
Ab−(DL)
式中:
DLは:
Figure 2020517652
であり、AbはAXLに結合する抗体であり、抗体は以下を含む:
(a)配列番号3による配列を有する重鎖;
(b)配列番号4による配列を有する軽鎖。
「配列を有する」は「配列を含む」と同じ意味を持つことに留意されたい。特に、実施形態によっては、ADC×AXLの重鎖は追加の末端の「K」残基を含んで発現し(したがって、SPGKで終わる)、最終的な治療用ADC製品の均一性を改善するために、末端のKが必要に応じて翻訳後に除去される。
DLは、配列番号3の302位のアスパラギンの側鎖を介して抗体に連結され得る。抗体へ結合の構造は、N−[GlcNAc]−DLであってよく、Nはアスパラギン残基であり、[GlcNAc]はGlcNAc残基を表す。pは2までであってよく、典型的には1.9より大きい。
定義
AXL結合
本明細書で使用される場合、「第1標的タンパク質」(FTP)はAXLであり得る。
本明細書で使用される場合、「AXLに結合する」は、抗体がウシ血清アルブミン(BSA、Genbank受入番号CAA76847、バージョン番号CAA76847.1 GI:3336842、記録更新日時:Jan 7, 2011 02:30 PM)などの非特異的パートナーよりも高い親和性でAXLに結合することを意味するために使用される。実施形態によっては、生理的条件で測定した場合、抗体は、BSAに対する抗体の結合定数よりも少なくとも2、3、4、5、10、20、50、100、200、500、1000、2000、5000、10、10、又は10倍高い結合定数(K)でAXLに結合する。本発明の抗体は、高い親和性でAXLに結合することができる。例えば、実施形態によっては、抗体は、約10−6M以下、例えば、1×10−6、10−7、10−8、10−9、10−10、10−11、10−12、10−13、又は10−14以下のKでAXLに結合することができる。
本明細書で使用される場合、「AXLに結合する」は、抗体がウシ血清アルブミン(BSA、Genbank受入番号CAA76847、バージョン番号CAA76847.1 GI:3336842、記録更新日時:Jan 7, 2011 02:30 PM)などの非特異的パートナーよりも高い親和性でAXLに結合することを意味するために使用される。実施形態によっては、生理的条件で測定した場合、抗体は、BSAに対する抗体の結合定数よりも少なくとも2、3、4、5、10、20、50、100、200、500、1000、2000、5000、104、105、又は106倍高い結合定数(Ka)でAXLに結合する。本発明の抗体は、高い親和性でAXLに結合することができる。例えば、実施形態によっては、抗体は、約10−6M以下、例えば、1×10−6、10−7、10−8、10−9、10−10、10−11、10−12、10−13、又は10−14以下のKDでAXLに結合することができる。
AXLは、受容体型チロシンキナーゼのヒトTAMファミリーの一員である。実施形態によっては、AXLポリペプチドは、Genbank受入番号AAH32229、バージョン番号AAH32229.1 GI:21619004、記録更新日時:March 6, 2012 01:18 PM(配列番号9)に該当する。1つの実施形態において、AXLポリペプチドをコードする核酸は、Genbank受入番号M76125、バージョン番号M76125.1 GI:292869、記録更新日時:Jun 23, 2010 08:53 AMに該当する。実施形態によっては、AXLポリペプチドは、配列番号23の配列を有する。
置換基
「任意選択で置換された」という用語は、本明細書中使用される場合、無置換の可能性も、置換されている可能性もある親基に関する。
特に記載がない限り、「置換された」という用語は、本明細書中使用される場合、1つ又は複数の置換基を有する親基に関する。「置換基」という用語は、本明細書中、従来の意味で使用され、親基と共有結合した、又は妥当であれば、親基と融合した化学部分を示す。多種多様な置換基が周知であり、それらの形成及び様々な親基への導入の方法も周知である。
置換基の例を、以下でより詳細に説明する。
1−12アルキル:「C1−12アルキル」という用語は、本明細書中使用される場合、1〜12個の炭素原子を有する炭化水素化合物の炭素原子から水素原子を外すことにより得られる、一価部分に関し、炭化水素化合物は、脂肪族でも脂環式でも可能であり、飽和でも不飽和でも可能である(例えば、部分不飽和、完全不飽和など)。「C1−4アルキル」という用語は、本明細書中使用される場合、1〜4個の炭素原子を有する炭化水素化合物の炭素原子から水素原子を外すことにより得られる、一価部分に関し、炭化水素化合物は、脂肪族でも脂環式でも可能であり、飽和でも不飽和でも可能である(例えば、部分不飽和、完全不飽和など)。すなわち、「アルキル」という用語は、以下に説明される、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルなどのサブクラスを包含する。
飽和アルキル基の例として、メチル(C)、エチル(C)、プロピル(C)、ブチル(C)、ペンチル(C)、ヘキシル(C)、及びヘプチル(C)が挙げられるが、これらに限定されない。
飽和直鎖アルキル基の例として、メチル(C)、エチル(C)、n−プロピル(C)、n−ブチル(C)、n−ペンチル(アミル)(C)、n−ヘキシル(C)、及びn−ヘプチル(C)が挙げられるが、これらに限定されない。
飽和分岐鎖アルキル基の例として、イソプロピル(C)、イソブチル(C)、sec−ブチル(C)、tert−ブチル(C)、イソペンチル(C)、及びネオペンチル(C)が挙げられる。
2−12アルケニル:「C2−12アルケニル」という用語は、本明細書中使用される場合、1つ又は複数の炭素炭素二重結合を有するアルキル基に関する。
不飽和アルケニル基の例として、エテニル(ビニル、−CH=CH)、1−プロペニル(−CH=CH−CH)、2−プロペニル(アリル、−CH−CH=CH)、イソプロペニル(1−メチルビニル、−C(CH)=CH)、ブテニル(C)、ペンテニル(C)、及びヘキセニル(C)が挙げられるが、これらに限定されない。
2−12アルキニル:「C2−12アルキニル」という用語は、本明細書中使用される場合、1つ又は複数の炭素炭素三重結合を有するアルキル基に関する。
不飽和アルキニル基の例としてエチニル(−C≡CH)及び2−プロピニル(プロパルギル、−CH−C≡CH)が挙げられるが、これらに限定されない。
3−12シクロアルキル:「C3−12シクロアルキル」という用語は、本明細書中使用される場合、シクリル基でもあるアルキル基に関する;すなわち、環状炭化水素(炭素環式)化合物の脂環式環原子から水素原子を外すことにより得られる、一価部分であり、この部分は、3〜7個の環原子を含む3〜7個の炭素原子を有する。
シクロアルキル基の例として、以下に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない:
飽和単環式炭化水素化合物:
シクロプロパン(C)、シクロブタン(C)、シクロペンタン(C)、シクロヘキサン(C)、シクロヘプタン(C)、メチルシクロプロパン(C)、ジメチルシクロプロパン(C)、メチルシクロブタン(C)、ジメチルシクロブタン(C)、メチルシクロペンタン(C)、ジメチルシクロペンタン(C)、及びメチルシクロヘキサン(C);
不飽和単環式炭化水素化合物:
シクロプロペン(C)、シクロブテン(C)、シクロペンテン(C)、シクロヘキセン(C)、メチルシクロプロペン(C)、ジメチルシクロプロペン(C)、メチルシクロブテン(C)、ジメチルシクロブテン(C)、メチルシクロペンテン(C)、ジメチルシクロペンテン(C)、及びメチルシクロヘキセン(C);ならびに
飽和多環式炭化水素化合物:
ノルカラン(C)、ノルピナン(C)、ノルボルナン(C)。
3−20ヘテロシクリル:「C3−20ヘテロシクリル」という用語は、本明細書中使用される場合、複素環化合物の環原子から水素原子を外すことにより得られる、一価部分に関し、この部分は、3〜20個の環原子を有し、そのうちの1〜10個は、環ヘテロ原子である。好ましくは、各環は、3〜7個の環原子を有し、そのうちの1〜4個は、環ヘテロ原子である。
この文脈において、接頭語(例えば、C3−20、C3−7、C5−6、など)は、炭素原子であるかヘテロ原子であるかに関わらず、環原子の個数又は環原子の個数範囲を示す。例えば、「C5−6ヘテロシクリル」という用語は、本明細書中使用される場合、5〜6個の環原子を有するヘテロシクリル基に関する。
単環式ヘテロシクリル基の例として、以下に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない:
:アジリジン(C)、アゼチジン(C)、ピロリジン(テトラヒドロピロール)(C)、ピロリン(例えば、3−ピロリン、2,5−ジヒドロピロール)(C)、2H−ピロール又は3H−ピロール(イソピロール、イソアゾール)(C)、ピペリジン(C)、ジヒドロピリジン(C)、テトラヒドロピリジン(C)、アゼピン(C);
:オキシラン(C)、オキセタン(C)、オキソラン(テトラヒドロフラン)(C)、オキソール(ジヒドロフラン)(C)、オキサン(テトラヒドロピラン)(C)、ジヒドロピラン(C)、ピラン(C)、オキセピン(C);
:チイラン(C)、チエタン(C)、チオラン(テトラヒドロチオフェン)(C)、チアン(テトラヒドロチオピラン)(C)、チエパン(C);
:ジオキソラン(C)、ジオキサン(C)、及びジオキセパン(C);
:トリオキサン(C);
:イミダゾリジン(C)、ピラゾリシン(ジアゾリジン)(C)、イミダゾリン(C)、ピラゾリン(ジヒドロピラゾール)(C)、ピペラジン(C);
:テトラヒドロオキサゾール(C)、ジヒドロオキサゾール(C)、テトラヒドロイソオキサゾール(C)、ジヒドロイソオキサゾール(C)、モルホリン(C)、テトラヒドロオキサジン(C)、ジヒドロオキサジン(C)、オキサジン(C);
:チアゾリン(C)、チアゾリジン(C)、チオモルホリン(C);
:オキサジアジン(C);
:オキサチオール(C)及びオキサチアン(thioxane) (C);ならびに、
:オキサチアジン(C)。
置換単環式ヘテロシクリル基の例として、環形状の単糖類、例えば、フラノース(C)、例えば、アラビノフラノース、リキソフラノース、リボフラノース、及びキシロフラノース、ならびにピラノース(C)、例えば、アロピラノース、アルトロピラノース、グルコピラノース、マンノピラノース、グロピラノース、イドピラノース、ガラクトピラノース、及びタロピラノースに由来するものが挙げられる。
5−20アリール:「C5−20アリール」という用語は、本明細書中使用される場合、芳香族化合物の、芳香環原子から水素原子を外すことにより得られる、一価部分に関し、この部分は、3〜20個の環原子を有する。「C5−7アリール」という用語は、本明細書中使用される場合、芳香族化合物の、芳香環原子から水素原子を外すことにより得られる、一価部分に関し、この部分は、5〜7個の環原子を有する。「C5−10アリール」という用語は、本明細書中使用される場合、芳香族化合物の、芳香環原子から水素原子を外すことにより得られる、一価部分に関し、この部分は、5〜10個の環原子を有する。好ましくは、各環は、5〜7個の環原子を有する。
この文脈において、接頭語(例えば、C3−20、C5−7、C5−6、C5−10、など)は、炭素原子であるかヘテロ原子であるかに関わらず、環原子の個数又は環原子の個数範囲を示す。例えば、「C5−6アリール」という用語は、本明細書中使用される場合、5〜6個の環原子を有するアリール基に関する。
環原子は、「カルボアリール基」でそうであるように、全て炭素原子であることが可能である。 カルボアリール基の例として、ベンゼン(すなわち、フェニル)(C)、ナフタレン(C10)、アズレン(C10)、アントラセン(C14)、フェナントレン(C14)、ナフタセン(C18)、及びピレン(C16)に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない。
縮合環を含み、そのうち少なくとも1つが芳香環であるアリール基の例として、インダン(例えば、2,3−ジヒドロ−1H−インデン)(C)、インデン(C)、イソインデン(C)、テトラリン(1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン(C10)、アセナフテン(C12)、フルオレン(C13)、フェナレン(C13)、アセフェナントレン(C15)、及びアセアントレン(C16)に由来する基が挙げられるが、これらに限定されない。
あるいは、環原子は、「ヘテロアリール基」でそうであるように、1つ又は複数のヘテロ原子を含むことが可能である。単環式ヘテロアリール基の例として、以下に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない:
:ピロール(アゾール)(C)、ピリジン(アジン)(C);
:フラン(オキソール)(C);
:チオフェン(チオール)(C);
:オキサゾール(C)、イソオキサゾール(C)、イソオキサジン(C);
:オキサジアゾール(フラザン)(C5);
:オキサトリアゾール(C);
:チアゾール(C)、イソチアゾール(C);
:イミダゾール(1,3−ジアゾール)(C)、ピラゾール(1,2−ジアゾール)(C)、ピリダジン(1,2−ジアジン)(C)、ピリミジン(1,3−ジアジン)(C)(例えば、シトシン、チミン、ウラシル)、ピラジン(1,4−ジアジン)(C);
:トリアゾール(C)、トリアジン(C);及び、
:テトラゾール(C)。
縮合環を含むヘテロアリールの例として、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
(2つの縮合環を含む)として、ベンゾフラン(O)、イソベンゾフラン(O)、インドール(N)、イソインドール(N)、インドリジン(N)、インドリン(N)、イソインドリン(N)、プリン(N)(例えば、アデニン、グアニン)、ベンズイミダゾール(N)、インダゾール(N)、ベンゾオキサゾール(N)、ベンゾイソオキサゾール(N)、ベンゾジオキソール(O)、ベンゾフラザン(N)、ベンゾトリアゾール(N)、ベンゾチオフラン(S)、ベンゾチアゾール(N)、ベンゾチアジアゾール(NS)に由来するもの;
10(2つの縮合環を含む)として、クロメン(O)、イソクロメン(O)、クロマン(O)、イソクロマン(O)、ベンゾジオキサン(O)、キノリン(N)、イソキノリン(N)、キノリジン(N)、ベンゾオキサジン(N)、ベンゾジアジン(N)、ピリドピリジン(N)、キノキサリン(N)、キナゾリン(N)、シンノリン(N)、フタラジン(N)、ナフチリジン(N)、プテリジン(N)に由来するもの;
11(2つの縮合環を含む)として、ベンゾジアゼピン(N)に由来するもの;
13(3つの縮合環を含む)として、カルバゾール(N)、ジベンゾフラン(O)、ジベンゾチオフェン(S)、カルボリン(N)、ペリミジン(N)、ピリドインドール(N)に由来するもの;ならびに
14(3つの縮合環を含む)として、アクリジン(N)、キサンテン(O)、チオキサンテン(S)、オキサントレン(O)、フェノキサチイン(O)、フェナジン(N)、フェノキサジン(N)、フェノチアジン(N)、チアントレン(S)、フェナントリジン(N)、フェナントロリン(N)、フェナジン(N)に由来するもの。
上記の基は、単独であるか別の置換基の一部であるかに関わらず、それら自身を、それら自身及び以下に列挙されるさらなる置換基から選択される1つ又は複数の基で、任意選択で置換することが可能である。
ハロ:−F、−Cl、−Br、及び−I。
ヒドロキシ:−OH。
エーテル:−OR、式中、Rは、エーテル置換基、例えば、C1−7アルキル基(C1−7アルコキシ基、とも称する、以下で説明)、C3−20ヘテロシクリル基(C3−20ヘテロシクリルオキシ基とも称する)、又はC5−20アリール基(C5−20アリールオキシ基とも称する)、好ましくはC1−7アルキル基である。
アルコキシ:−OR、式中、Rは、アルキル基、例えば、C1−7アルキル基である。C1−7アルコキシ基の例として、−OMe(メトキシ)、−OEt(エトキシ)、−O(nPr)(n−プロポキシ)、−O(iPr)(イソプロポキシ)、−O(nBu)(n−ブトキシ)、−O(sBu)(sec−ブトキシ)、−O(iBu)(イソブトキシ)、及び−O(tBu)(tert−ブトキシ)が挙げられるが、これらに限定されない。
カルボキシ(カルボン酸):−C(=O)OH。
エステル(カルボキシラート、カルボン酸エステル、オキシカルボニル):−C(=O)OR、式中、Rは、エステル置換基、例えば、C1−7アルキル基、C3−20ヘテロシクリル基、又はC5−20アリール基、好ましくは、C1−7アルキル基である。エステル基の例として、−C(=O)OCH、−C(=O)OCHCH、−C(=O)OC(CH、及び−C(=O)OPhが挙げられるが、これらに限定されない。
アミノ:−NR、式中、R及びRは、独立して、アミノ置換基、例えば、水素、C1−7アルキル基(C1−7アルキルアミノ又はジ−C1−7アルキルアミノとも称する)、C3−20ヘテロシクリル基、又はC5−20アリール基、好ましくはH又はC1−7アルキル基であるか、あるいは、「環状」アミノ基の場合、R及びRは、それらが結合した窒素原子と一緒になって、4〜8個の環原子を有する複素環を形成する。アミノ基は、第一級(−NH)、第二級(−NHR)、又は第三級(−NHR)が可能であり、カチオン形の場合、第四級(−NR)も可能である。アミノ基の例として、−NH、−NHCH、−NHC(CH、−N(CH、−N(CHCH、及び−NHPhが挙げられるが、これらに限定されない。環状アミノ基の例として、アジリジノ、アゼチジノ、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、及びチオモルホリノが挙げられるが、これらに限定されない。
アミド(カルバモイル、カルバミル、アミノカルボニル、カルボキサミド):−C(=O)NR、式中、R及びRは、独立して、アミノ基について定義されるとおりのアミノ置換基である。アミド基の例として、−C(=O)NH、−C(=O)NHCH、−C(=O)N(CH、−C(=O)NHCHCH、及び−C(=O)N(CHCH、ならびにR1及びR2が、それらが結合した窒素原子と一緒になって複素環構造を形成しているアミド基、例えばピペリジノカルボニル、モルホリノカルボニル、チオモルホリノカルボニル、及びピペラジノカルボニルのような基が挙げられるが、これらに限定されない。
ニトロ:−NO
アジド:−N
シアノ(ニトリル、カルボニトリル):−CN。
薬物担持数
薬物担持数は、抗体、例えば抗体あたりのPBD薬物の平均数である。
複合体形成反応からADCを調製する場合の抗体あたりの薬物の平均数は、従来手段、例えば、UV、逆相HPLC、HIC、質量分析法、ELISAアッセイ、及び電気泳動などにより特性決定可能である。pに関してADCの量的分布を求めることも可能である。ELISAにより、ADCの特定製剤におけるpの平均値を求めることができる(Hamblett et al(2004)Clin. Cancer Res. 10:7063−7070;Sanderson et al(2005)Clin. Cancer Res. 11:843−852)。しかしながら、p(薬物)値の分布を、抗体抗原結合及びELISAの検出限界により識別することはできない。同じく、抗体薬物複合体を検出するためのELISAアッセイは、薬物部分が抗体のどこに結合しているのか、例えば重鎖又は軽鎖断片なのか、あるいは特定のアミノ酸残基なのかを明らかにはしない。場合によっては、pがある特定の値である均一なADCを、薬物担持数が異なるADCから分離、精製、及び特性決定することは、逆相HPLC又は電気泳動などの手段により達成できる。そのような技法は、他の型の複合体にも応用可能である。
本発明の抗体薬物複合体の場合、pは、抗体上の結合部位の個数、すなわち、アジド基の個数により制限される。例えば、抗体は、薬物リンカーを結合させることが可能なアジド基を1つ又は2つのみ有する場合がある。
典型的には、複合体形成反応中に、理論上最大値よりも少ない個数の薬物部分が、抗体と複合体形成する。ADCの担持数(薬物/抗体比)は、複数の異なる様式で制御することができ、そのような様式として、以下が挙げられる:(i)抗体に対する薬物リンカー中間体(D−L)又はリンカー試薬のモル過剰量を制限する及び(ii)複合体形成反応時間及び温度を制限する。
抗体の複数の求核又は求電子基が薬物−リンカー中間体と反応する、又はリンカー試薬と反応し続いて薬物部分試薬と反応する場合、得られる生成物は、抗体と結合した薬物部分が、例えば、1つ、2つ、3つなどの分布を有するADC化合物の混合物となる。ポリマー逆相(PLRP)及び疎水的相互作用(HIC)などの液体クロマトグラフィー法は、混合物中の化合物を薬物担持数値で分離することができる。単一の薬物担持数値(p)を持つADCの製剤を単離することが可能であるが、しかしながら、こうした単一の薬物担持数値のADCでもなお、異種混合物である場合がある。なぜなら、薬物部分は、リンカーを介して、抗体の異なる部位で結合している可能性があるからである。
したがって、本発明の抗体薬物複合体組成物は、抗体薬物複合体化合物の混合物を含み、この混合物において、抗体は1つ又は複数のPBD薬物部分を有し、薬物部分は、様々なアミノ酸残基で抗体と結合している可能性がある。
1つの実施形態において、1抗体あたりの二量体ピロロベンゾジアゼピン基の平均数は、1〜8の範囲である。実施形態によっては、この範囲は、1〜4、1〜4、2〜4、及び1〜3から選択される。
実施形態によっては、1抗体あたり1つ又は2つの二量体ピロロベンゾジアゼピン基が存在する。
包含される他の形態
特に記載がない限り、これら置換基の周知のイオン、塩、溶媒和物、及び保護形も、上記に含まれる。例えば、カルボン酸(−COOH)についての言及は、アニオン(カルボキシラート)形(−COO)、その塩又は溶媒和物、ならびに通常の保護形も含む。同様に、アミノ基についての言及は、プロトン化形(−NHR)、その塩又は溶媒和物、例えば、塩酸塩、ならびにアミノ基の通常の保護形も含む。同様に、ヒドロキシル基についての言及は、アニオン形(−O−)、その塩又は溶媒和物、ならびに通常の保護形も含む。

活性化合物の相当する塩、例えば、薬学上許容される塩を調製、精製、及び/又は取り扱うことが、好都合である又は望ましい場合がある。薬学上許容される塩の例は、Berge, et al., J. Pharm. Sci., 66, 1−19(1977)に記載される。
例えば、化合物がアニオン性である、又はアニオンになることが可能な官能基(例えば、−COOHは、−COOになることが可能)を有する場合、適切なカチオンで塩を形成することができる。適切な無機カチオンの例として、アルカリ金属イオン、例えば、Na及びKなど、アルカリ土類カチオン、例えば、Ca2+及びMg2+など、ならびに他のカチオン、例えばAl+3などが挙げられるが、これらに限定されない。適切な有機カチオンの例として、アンモニウムイオン(すなわち、NH4+)及び置換アンモニウムイオン(例えば、NH、NH 、NHR 、NR )が挙げられるが、これらに限定されない。適切な置換アンモニウムイオンのいくつかの例として、以下に由来するものがある:エチルアミン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン、ベンジルアミン、フェニルベンジルアミン、コリン、メグルミン、及びトロメタミン、ならびにアミノ酸、例えば、リシン及びアルギニンなど。一般的な第四級アンモニウムイオンの例として、N(CH がある。
化合物がカチオン性である、又はカチオンになることが可能な官能基(例えば、−NHは、−NH になることが可能)を有する場合、適切なアニオンで塩を形成することができる。適切な無機アニオンの例として、以下の無機酸に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない:塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、リン酸、及び亜リン酸。
適切な有機アニオンの例として、以下の有機酸に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない:2−アセチルオキシ安息香酸、酢酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、ケイ皮酸、クエン酸、エデト酸、エタンジスルホン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヒドロキシマレイン酸、ヒドロキシナフタレンカルボキン酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、オレイン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、フェニルスルホン酸、プロピオン酸、ピルビン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、酒石酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、及び吉草酸。適切な有機アニオンポリマーの例として、以下の酸ポリマーに由来するものが挙げられるが、これらに限定されない:タンニン酸、カルボキシメチルセルロース。
溶媒和物
活性化合物の相当する溶媒和物を調製、精製、及び/又は取り扱うことが、好都合である又は望ましい場合がある。「溶媒和物」という用語は、本明細書中、従来の意味で使用され、溶質(例えば、活性化合物、活性化合物の塩)と溶媒の複合体を示す。溶媒が水である場合、溶媒和物は、都合よく、水和物、例えば、一水和物、二水和物、三水和物などと称することができる。
本発明は、溶媒がPBD部分のイミン結合にまたがって付加した化合物を含む。溶媒が水又はアルコール(ROH、式中、RはC1−4アルキルである)場合のそのような化合物を下に示す:
Figure 2020517652
これらの形は、カルビノールアミン及びカルビノールアミンエーテル形のPBDと呼ぶことが可能である(上記のR10に関するセクションで記載のとおり)。これらの平衡のバランスは、化合物が見られるときの条件、ならびに部分自身の性質に依存する。
これらの特定化合物は、例えば、凍結乾燥により、固体で単離することができる。
異性体
本発明のある特定の化合物は、1つ又は複数の特定の幾何異性体、光学異性体、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、エピ異性体、アトロプ異性体、立体異性体、互変異性体、配座異性体、又はアノマー異性体形で存在することが可能であり、そのような異性体形として、シス及びトランス形;E及びZ形;c、t、及びr形;エンド及びエキソ形;R、S、及びメソ形;D及びL形;d及びl形;(+)及び(−)形;ケト、エノール、及びエノラート形;シン及びアンチ形;シンクリナル及びアンチクリナル形;α及びβ形;アキシャル及びエカトリアル形;舟、いす、ねじれ、封筒、及び半いす形;ならびにそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されず、本明細書中以下、まとめて「異性体」(又は異性体形)と称する。
「キラル」という用語は、自らの鏡像パートナーと重ね合せることができない性質を持つ分子を示し、一方「アキラル」という用語は、自らの鏡像パートナーと重ね合せることができる分子を示す。
「立体異性体」という用語は、同一の化学組成を有するが、原子又は基の空間配置に関して異なる化合物を示す。
「ジアステレオマー」は、2つ以上の不斉中心を持ち、その分子が互いに相手の鏡像ではない立体異性体を示す。ジアステレオマーは、物性、例えば、融点、沸点、分光特性、及び反応性などが異なる。ジアステレオマーの混合物は、電気泳動及びクロマトグラフィーなどの高分解能分析手法で分離可能である。
「鏡像異性体」は、互いに重ね合わせができない鏡像である化合物の2つの立体異性体を示す。
本明細書中使用される立体化学の定義及び慣習は、概して、S. P. Parker, Ed., McGraw−Hill Dictionary of Chemical Terms(1984)McGraw−Hill Book Company, NewYork;及びEliel, E. and Wilen, S., ‘‘Stereochemistry of Organic Compounds’’, John Wiley & Sons, Inc., New York, 1994に従う。本発明の化合物は、不斉中心又はキラル中心を有する場合があり、したがって、異なる立体異性体形で存在する場合がある。本発明の化合物は、ジアステレオマー、鏡像異性体、及びアトロプ異性体をはじめとする、しかしこれらに限らない全ての立体異性体形、ならびにラセミ混合物などのそれらの混合物が、本発明の一部をなすものとする。多くの有機化合物は、光学活性形で存在する、すなわち、それらは、平面偏光の面を回転させる能力を有する。光学活性化合物の記載では、接頭語D及びL、又はR及びSを用いて、分子のキラル中心(複数可)についてその絶対配置を表す。接頭語d及びl又は(+)及び(−)は、その化合物による平面偏光の回転の方向を指定するために用いられ、(−)又はlは、化合物が左旋性であることを意味する。(+)又はdが先頭に付いた化合物は、右旋性である。所定の化学構造について、これらの立体異性体は、それらが互いに相手の鏡像であることを除いて、同一である。特定の1種類の立体異性体を鏡像異性体と称する場合もあり、そのような異性体の混合物は、鏡像異性体混合物と呼ばれる場合が多い。鏡像異性体の50:50混合物は、ラセミ混合物又はラセミ体と称し、これは、化学反応又はプロセスにおいて立体選択性又は立体特異性がなかった場合に生じる可能性がある。「ラセミ混合物」及び「ラセミ体」という用語は、2種の鏡像異性体種の等モル混合物を示し、これは光学活性がない。
なお、以下の互変異性体形に関する記述を除き、「異性体」という用語が、本明細書中使用される場合、構造(structural)(又は構造(constitutional))異性体(すなわち、原子の空間配置だけというのでなく、原子間の接続が異なる異性体)は、具体的に除外される。例えば、メトキシ基、−OCHについての記述は、その構造異性体であるヒドロキシメチル基、−CHOHについての記述であると見なされることはない。同様に、ortho−クロロフェニルについての記述は、その構造異性体であるmeta−クロロフェニルについての記述であると見なされることはない。しかしながら、あるクラスの構造についての記述は、そのクラスの範疇に入る構造異性体形を含むことが十分可能である(例えば、C1−7アルキルは、n−プロピル及びiso−プロピルを含み;ブチルは、n−、iso−、sec−、及びtert−ブチルを含み;メトキシフェニルは、ortho−、meta−、及びpara−メトキシフェニルを含む)
上記の除外は、互変異性体形、例えば、ケト、エノール、及びエノラート形、例えば、以下の互変異性体対のような場合には関係しない:ケト/エノール(以下に図示する)、イミン/エナミン、アミド/イミノアルコール、アミジン/アミジン、ニトロソ/オキシム、チオケトン/エンチオール、N−ニトロソ/ヒドロキシアゾ、及びニトロ/aci−ニトロ。
Figure 2020517652
「互変異性体」又は「互変異性体形」という用語は、低いエネルギー障壁を越えて相互変換可能な異なるエネルギーの構造異性体を示す。例えば、プロトン互変異性体(プロトトロピック互変異性体としても知られる)として、プロトンの移動を介した相互変換、例えば、ケト−エノール及びイミン−エナミン異性化が挙げられる。原子価互変異性体として、結合電子のあるものの再組織化による相互変換が挙げられる。
なお、「異性体」という用語には、1つ又は複数の同位体置換を持つ化合物も、具体的に含まれる。例えば、Hは、任意の同位体形の可能性があり、そのような同位体形として、H、H(D)、及びH(T)が挙げられる;Cは、任意の同位体形の可能性があり、そのような同位体形として、12C、13C、及び14Cが挙げられる;Oは、任意の同位体形の可能性があり、そのような同位体形として、16O及び18Oが挙げられる;などである。
本発明の化合物に組み込むことが可能な同位体の例として、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、及び塩素の同位体が挙げられ、例えば、H(重水素、D)、H(トリチウム)、11C、13C、14C、15N、18F、31P、32P、35S、36Cl、及び125Iなどであるが、これらに限定されない。本発明の化合物を様々な同位体で標識したもの、例えば、3H、13C、及び14Cなどの放射性同位元素が組み込まれているもの。そのような同位体標識した化合物は、代謝研究、反応速度研究、検出又は画像化技法、例えば、薬物もしくは基質の組織分布アッセイを含むポジトロン断層撮影法(PET)又は単光子放射断層撮影法(SPECT)において、あるいは患者の放射線治療において、有用である可能性がある。重水素で標識又は置換した本発明の治療化合物は、分布、代謝、及び排泄(ADME)に関連して、DMPK(薬物代謝及び薬物動態学)特性が改善されている可能性がある。重水素などより重い同位体への置換は、代謝安定性がより高まることに由来するある特定の治療上の利点、例えば、in vivo半減期の延長又は投薬必要量の減少など、をもたらす可能性がある。18F標識した化合物は、PET又はSPECT検査で有用である可能性がある。同位体標識した本発明の化合物及びそのプロドラッグは、一般に、非同位体標識試薬を容易に入手可能な同位体標識試薬に置き換えて、以下に記載されるスキーム又は実施例及び調製で開示される手順を行うことにより、調製可能である。さらに、より重い同位体、特に重水素(すなわち、2H又はD)に置き換えることは、代謝安定性がより高まることに由来するある特定の治療上の利点、例えば、in vivo半減期の延長又は投薬必要量の減少又は治療指標の改善など、をもたらす可能性がある。この文脈における重水素は、置換基と見なされる。そのような重い同位体、特に重水素の濃度は、同位体濃縮係数により定義することが可能である。本発明の化合物において、特定の同位体として具体的に指定されていない任意の原子は、その原子の任意の安定同位体を表すことを意味する。
特に記載がない限り、特定化合物についての記述は、こうした異性体形を全て、それらの(完全又は部分)ラセミ混合物及び他の混合物も含めて、包含する。こうした異性体形の調製方法(例えば、不斉合成)及び分離方法(例えば、分別結晶化及びクロマトグラフィー手段)は、当該分野で既知であるか、本明細書中教示される方法もしくは既知の方法を、既知の様式で適用することにより容易に得られる。
二次薬剤
抗腫瘍免疫を強化する薬剤の最近の開発により、広範囲のがんの治療が急速に変化している。しかしながら、これらの治療は全ての種類のがんに効果的ではなく、応答はしばしば永続的ではなく、多くの患者は治療の恩恵をほとんど又はまったく受けない。腫瘍学の分野で一般的な仮定は、免疫療法と他の治療選択肢との併用のみが最終的にがん患者を治癒できるということである。
ADCは、さまざまな種類のがんに非常に耐容であり、活性があり、治療の応答率と耐久性を高める併用療法の1つの成分になる可能性がある。この開示の目的は、ADCを二次薬剤と併用することである。
本明細書に記載される二次薬剤は、免疫腫瘍学(IO)薬であり得る。
免疫腫瘍学(IO)薬は、生体の免疫系に依存してがんと闘うのを助けるがん治療の一種であり、抗腫瘍反応の持続性が向上していることを示している。IOには、PD1阻害剤、PD−L1阻害剤、CLTL4阻害剤、GITRアゴニスト、及びOX40アゴニストを含むがこれらに限定されない、さまざまな種類のものがある。単剤免疫療法で治癒せず、最終的に再発する患者のかなりの割合のため、代替IO薬又は異なる治療法との併用療法が必要である(KS Peggs et al.2009, Clinical and Experimental Immunology, 157: 9−19 [doi:10.1111/j.1365−2249.2009.03912.x];DM Pardoll 2012 [doi:10.1038/nrc3239]を参照されたい)。
免疫原性細胞死(ICD)は、死細胞抗原(死にゆく細胞によって放出される)に対する免疫応答を刺激する細胞死の特定の形態であり、適応免疫応答を誘導し、抗がん治療の効果を改善する最良の方法の1つと考えられている。このプロセスはしばしば最適以下であり、治療目的で細胞死の完全な免疫原性を回復しようとする併用戦略を必要とする。さまざまなアントラサイクリン(ドキソルビシン、エピルビシン、及びイダルビシンを含む)、アルキル化剤(オキサリプラチン、及びシクロホスファミドを含む)、トポイソメラーゼII阻害剤ミトキサントロン、ならびにプロテアソーム阻害剤ボルテゾミブなど、ICDを誘発できる抗腫瘍薬がいくつか存在する。
PBD弾頭を含む抗体薬物複合体は、従来の化学療法と比較してより標的化されており、アウリスタチンベースのADCで示されているように浸潤細胞への抗原提示の増加が期待されるため、併用パートナーとして特に適している可能性がある。
したがって、ADCとIOを併用すると、二重の利点が得られる:一方では、ADCは標的を発現している腫瘍を直接殺傷し、即効性の抗腫瘍活性を提供するが、他方では、ADCを介した細胞死によって誘導される免疫原性細胞死が、IOが単一の薬剤として与えられる場合と比較して、より強くより耐久性のある適応免疫応答を促進し得る。
二次薬剤は以下であり得る:
(a)ペンブロリズマブ、ニボルマブ、MEDI0680、PDR001(スパルタリズマブ)、カムレリズマブ、AUNP12、ピジリズマブ、セミプリマブ(REGN−2810)、AMP−224、BGB−A317(チスレリズマブ)、もしくはBGB−108などのPD1アンタゴニスト;
(b)アテゾリズマブ(テセントリク)、BMS−936559/MDX−1105、デュルバルマブ/MEDI4736、もしくはMSB0010718C(アベルマブ)などのPD−L1アンタゴニスト;
(c)MEDI1873、TRX518、GWN323、MK−1248、MK−4166、BMS−986156、もしくはINCAGN1876などのGITR(グルココルチコイド誘導TNFR関連タンパク質)アゴニスト;
(d)MEDI0562、MEDI6383、MOXR0916、RG7888、OX40mAb24、INCAGN1949、GSK3174998、もしくはPF−04518600などのOX40アゴニスト;
(e)イピリムマブ(ブランド名ヤーボイ)もしくはトレメリムマブ(当初はPfizerが開発、現在はMedimmune)などのCTLA−4アンタゴニスト;
(f)フルダラビンもしくはシタラビン;
(g)シチジン類似体などの低メチル化剤−例えば、5−アザシチジン(アザシチジン)及び5−アザ−2’−デオキシシチジン(デシタビン);又は
(h)オラパリブ、CEP−9722、BMN−673/タラゾパリブタラゾパリブ、ルカパリブルカパリブ、イニパリブイニパリブ/SAR24−550/BSI−201、ベリパリブベリパリブ(ABT−888)、ニラパリブニラパリブ/MK−4827、BGB−290、3−アミノベンズアミド、及びE7016などのPARP阻害剤(PARPi);
(i)ゲムシタビンやタモキシフェンなどのHER2発現を上方制御する薬剤;
(j)BGB324(ベンセンチニブ)、TP0903、ギルテリチニブ(ASP2215)、カボザンチニブ(XL184)、SGI7079、メレスチニブ、アムバチニブ(MP−470)、ボスチニブ(SKI−606)、MGCD265、及びフォレチニブ(GSK1363089/XL880)などのAXLキナーゼ阻害剤(AXLi);
(k)ベムラフェニブ、PLX4720、ダブラフェニブ、ソラフェニブ、エンコラフェニブ、及びGDC0879などのBRAF阻害剤(BRAFi);又は
(l)トラメチニブ、コビメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、PD−325901、Cl−1040、PD035901、U0126、及びTAK−733などのMEK阻害剤(MEKi)。
これらの各クラスの二次薬剤について、以下に詳述する。
PD1アンタゴニスト
プログラム死受容体I(PD1)は、主に活性化T細胞及びB細胞に発現する免疫抑制受容体である。そのリガンドとの相互作用は、in vitroとin vivoの両方でT細胞応答を減衰させることが示されている。PD1とそのリガンドの1つであるPD−L1との相互作用の遮断は、腫瘍特異的CD8+T細胞免疫を増強することが示されており、したがって免疫系による腫瘍細胞の除去に役立つ可能性がある。
PD1(遺伝子PdcdIによってコードされる)は、CD28及びCTLA−4に関連する免疫グロブリンスーパーファミリーの一員である。PD1は、そのリガンド(PD−L1及び/又はPD−L2)の関与により抗原受容体シグナル伝達を負に調節することが示されている。マウスPD1の構造及びマウスPD1とヒトPD−L1の共結晶構造が解明されている(Zhang, X., et al., (2004) Immunity 20: 337−347;Lin, et al., (2008) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 105: 30I I−6)。PD1及び類似のファミリーの一員は、リガンド結合に関与するIg可変型(V型)ドメイン及びシグナル伝達分子の結合に関与する細胞質尾部を含むI型膜貫通糖タンパク質である。PD1の細胞質尾部には、2つのチロシンベースのシグナル伝達モチーフ、ITIM(免疫受容体チロシンベースの阻害モチーフ)及びITSM(免疫受容体チロシンベースのスイッチモチーフ)が含まれる。
ヒトでは、PD1(腫瘍浸潤リンパ球での)及び/又はPD−L1(腫瘍細胞での)の発現は、免疫組織化学により評価された多くの原発腫瘍生検で発見されている。そのような組織には、肺、肝臓、卵巣、子宮頸部、皮膚、結腸、神経膠腫、膀胱、乳房、腎臓、食道、胃、口腔扁平上皮細胞、尿路上皮細胞、及び膵臓のがん、ならびに頭頸部の腫瘍が含まれる(Brown, J. A., et al., (2003) J Immunol. I 70: I257−I266;Dong H., et al., (2002) Nat. Med. 8: 793−800;Wintterle, et al.,(2003) Cancer Res. 63: 7462−7467;Strome, S. E., et al., (2003) Cancer Res. 63: 650I−6505;Thompson, R.H., et al., (2006) Cancer Res. 66: 338I−5;Thompson, et al., (2007) Clin. Cancer Res. 13: I 757−6I;Nomi, T., et al., (2007) Clin. Cancer Res. 13: 2I5I−7)。より驚くべきことに、腫瘍細胞でのPDリガンドの発現は、複数の腫瘍タイプにわたってがん患者の予後不良と相関している(Okazaki and Honjo, (2007) Int.Immunol. 19: 813−824で総説される)。
これまでに、PD1とそのリガンド(PD−L1及びPD−L2)との相互作用が、in vitro及びin vivoでのリンパ球増殖の阻害につながることを多くの研究が示している。PD1/PD−L1相互作用の遮断は、腫瘍特異的T細胞免疫の強化をもたらし、したがって免疫系による腫瘍細胞の除去に役立つ可能性がある。この問題に対処するために、多くの研究が行われた。侵攻性膵臓がんのマウスモデル(Nomi, T., et al. (2007) Clin. Cancer Res. 13: 2151−2157)では、PD1/PD−L1遮断の治療効果が実証された。PD1又はPD−L1のいずれかへの指向抗体の投与は、腫瘍増殖を大幅に抑制した。抗体遮断は、腫瘍への腫瘍反応性CD8+T細胞浸潤を効果的に促進し、IFNガンマ、グランザイムバンドパーフォリンを含む抗腫瘍エフェクターの上方制御をもたらした。さらに、著者らは、PD1遮断を化学療法と効果的に併用して相乗効果をもたらすことができることを示した。別の研究では、マウスの扁平上皮がんのモデルを使用して、PD1又はPD−L1の抗体遮断が腫瘍増殖を大幅に阻害した(Tsushima, F., et al., (2006) Oral Oneal. 42: 268−274)。
「PD1アンタゴニスト」とは、PD1シグナル伝達の阻害を通じて免疫反応を刺激する化合物又は生体分子を意味する。
例えば、PD1活性などの増強の程度を調べるために、所与の、例えばタンパク質、遺伝子、細胞、又は生物を含む試料又はアッセイを潜在的な活性化剤又は阻害剤で処理し、不活性対照分子で処理した対照試料と比較する。対照試料には、100%の相対活性値が割り当てられる。対照に対する活性値が約90%以下、典型的には85%以下、より典型的には80%以下、最も典型的には75%以下、一般に70%以下、より一般的には65%以下、最も一般的には60%以下、典型的には55%以下、通常は50%以下、より通常は45%以下、最も通常は40%以下、好ましくは35%以下、より好ましくは30%以下、さらにより好ましくは25%以下、最も好ましくは20%未満である場合に阻害が達成される。対照に対する活性値が約110%、一般に少なくとも120%、より一般的には少なくとも140%、より一般的には少なくとも160%、多くの場合少なくとも180%、より多くの場合少なくとも2倍、最も頻繁には少なくとも2.5倍、通常少なくとも5倍、より通常少なくとも10倍、好ましくは少なくとも20倍、より好ましくは少なくとも40倍、最も好ましくは40倍を超えて高くなる場合に活性化が達成される。
第1標的タンパク質(FTP)を標的とするADCをPD1阻害剤と併用すると、一方でADCがFTP陽性腫瘍細胞を直接殺傷し、他方でPD1阻害剤が患者自身のがん細胞を排除する免疫系に関与するため、有利である。FTP(+)腫瘍細胞の次に、FTP(+)腫瘍細胞に近接したFTP陰性腫瘍細胞は、CD19(+)又はCD22(+)細胞の細胞殺傷後に放出されるPBD二量体のバイスタンダー機構によって潜在的に殺傷される。したがって、ADCは腫瘍細胞を直接殺傷する。
結果としての、PBD二量体で殺傷された細胞からの腫瘍関連抗原の放出は、免疫系を誘発し、免疫系は、多くの異なる腫瘍タイプ由来の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の大部分で発現するプログラム細胞死タンパク質1(PD1)の阻害剤の使用によりさらに強化される。PD1経路の遮断は、腫瘍内TReg細胞の数及び/又は抑制活性を低下させることにより、ADCによって殺傷された腫瘍から放出された抗原に対する抗腫瘍免疫応答を増強する可能性がある。
PD1の主な機能は、感染に対する抗炎症反応時にT細胞の活性を制限し、自己免疫を制限することである。T細胞が活性化されるとPD1発現が誘導され、それ自体のリガンドの1つが結合するとT細胞活性化に関与するキナーゼが阻害される。したがって、おそらくはエフェクター免疫応答をさらに抑制するTReg細胞が多くの腫瘍に高度に浸潤しているため、腫瘍環境ではこれが主要な免疫抵抗性に変換される可能性がある。この耐性機構は、ADCと併用してPD1阻害剤を使用することにより軽減される。
本開示における二次薬剤としての使用に適したPD1アンタゴニストには以下が含まれる:
a)リガンド結合パートナーへのPD1の結合を阻害するPD1アンタゴニスト。
b)PD−L1へのPD1の結合を阻害するPD1アンタゴニスト。
c)PD−L2へのPD−1の結合を阻害するPD1アンタゴニスト。
d)PDLIとPDL2の両方へのPD−1の結合を阻害するPD1アンタゴニスト。
e)抗体である、パート(a)〜(d)のPD1アンタゴニスト。
本開示における二次薬剤としての使用に適した特定のPD1アンタゴニストには以下が含まれる:
a)ペムブロリズマブ(ブランド名キイトルーダ)
i. CAS番号→1374853−91−4
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
ii.NCBI Pubchem参照→254741536
(https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/を参照されたい)
iii.DrugBank参照→DB09037
(https://www.drugbank.ca/を参照されたい)
iv.固有の成分識別子(UNII)→DPT0O3T46P
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem−UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい。)
b)ニボルマブ(商品名オプディボ)
i. CAS番号→946414−94−4
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
ii.DrugBank参照→DB09035
(https://www.drugbank.ca/を参照されたい)
c)MEDI0680(以前はAMP−514)
−WO2014/055648、WO2015/042246、WO2016/127052、WO2017/004016、WO2012/145493、US8609089、WO2016/007235、WO2016/011160;Int. J. Mol. Sci. 2016 Jul;17(7): 1151, doi:10.3390/ijms17071151;and Drug Discov Today, 2015 Sep;20(9):1127−34. doi: 10.1016/j.drudis.2015.07.003に記載されるようなもの。
−https://clinicaltrials.gov/ct2/homeの臨床治験NCT02271945及びNCT02013804を参照されたい。
d)PDR001(スパルタリズマブ)
i. CAS番号→1935694−88−4
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
ii.固有の成分識別子(UNII)→QOG25L6Z8Z
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem−UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい。)
−WO2016/007235及びWO2016/011160に記載されるようなもの
−NCIシソーラスコード→C121625
(https://ncit.nci.nih.gov/ncitbrowser/を参照されたい)
e)カムレリズマブ[INCSHR−1210](Incyte)
i.CAS番号→1798286−48−2
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
ii.固有の成分識別子(UNII)→73096E137E
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem−UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい。)
f)AUNP12(ペプチド)(Aurigene/PierreFabre)
i.配列番号49別名「化合物8」としてWO2011/161699に開示されている、WO2011/161699のA2刊行物の77ページの実施例2を参照されたい。
ii.CAS番号→1353563−85−5
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
Figure 2020517652
g)ピジリズマブ(CT−01 1)
i.CAS番号→1036730−42−3
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
ii.固有の成分識別子(UNII)→B932PAQ1BQ
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem−UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい。)
h)セミプリマブ(以前はREGN−2810、SAR−439684)
i.CAS番号→1801342−60−8
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
ii.固有の成分識別子(UNII)→6QVL057INT
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem−UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい。)
−WO2016/007235に記載されるようなもの
−NCIシソーラスコード→C121540
(https://ncit.nci.nih.gov/ncitbrowser/を参照されたい)
i)BGB−A317(ティスリリズマブ)
i.US9,834,606B2に記載されるようなもの
ii.臨床治験NCT03209973(https://clinicaltrials.gov/)を参照されたい。
iii.NCIシソーラスコードC121775
(https://ncit.nci.nih.gov/ncitbrowser/を参照されたい)
j)BGB−108
−WO2016/000619及びUS8735553を参照されたい
k)AMP−224
臨床治験NCT02298946、https://clinicaltrials.gov/ct2/homeを参照されたい
実施形態によっては、PD1ポリペプチドは、Genbank受入番号AAC51773、バージョン番号AAC51773.1、記録更新日時:Jun 23, 2010 09:24 AMに該当する。1つの実施形態において、PD1ポリペプチドをコードする核酸は、Genbank受入番号U64863、バージョン番号U64863.1、記録更新日時:Jun 23, 2010 09:24 AMに該当する。実施形態によっては、PD1ポリペプチドはUniprot/Swiss−Prot受入番号Q15116に該当する。
PD−L1アンタゴニスト
「PD−L1アンタゴニスト」とは、PD−L1シグナル伝達の阻害を通じて免疫反応を刺激する化合物又は生体分子を意味する。
例えば、PD−L1活性などの増強の程度を調べるために、所与の、例えばタンパク質、遺伝子、細胞、又は生物を含む試料又はアッセイを潜在的な活性化剤又は阻害剤で処理し、不活性対照分子で処理した対照試料と比較する。対照試料には、100%の相対活性値が割り当てられる。対照に対する活性値が約90%以下、典型的には85%以下、より典型的には80%以下、最も典型的には75%以下、一般に70%以下、より一般的には65%以下、最も一般的には60%以下、通常は55%以下、通常は50%以下、より通常は45%以下、最も通常は40%以下、好ましくは35%以下、より好ましくは30%以下、さらにより好ましくは25%以下、最も好ましくは20%未満である場合に阻害が達成される。対照に対する活性値が約110%、一般に少なくとも120%、より一般的には少なくとも140%、より一般的には少なくとも160%、多くの場合少なくとも180%、より多くの場合少なくとも2倍、最も頻繁には少なくとも2.5倍、通常少なくとも5倍、より通常少なくとも10倍、好ましくは少なくとも20倍、より好ましくは少なくとも40倍、最も好ましくは40倍を超えて高くなる場合に活性化が達成される。
第1標的タンパク質(FTP)陽性のリンパ腫と白血病を標的とするADCをPD−L1阻害剤と併用すると、一方でADCがFTP陽性腫瘍細胞を直接殺傷し、他方でPD−L1阻害剤が患者自身のがん細胞を排除する免疫系に関与するため、有利である。
FTP(+)腫瘍細胞の次に、FTP(+)腫瘍細胞に近接した標的陰性腫瘍細胞は、FTP(+)細胞殺傷後に放出されるPBD二量体のバイスタンダー機構によって潜在的に殺傷される。したがって、ADCは腫瘍細胞を直接殺傷する。結果としての、PBD二量体で殺傷された細胞からの腫瘍関連抗原の放出は、免疫系を誘発し、免疫系は、プログラム細胞死タンパク質1リガンド阻害剤(PD−L1、別名B7−H1又はCD274)の使用によりさらに強化される。
PD−L1は通常、多くの異なるヒト腫瘍の腫瘍細胞表面で上方制御されている。腫瘍に発現するPD1リガンドの妨害は、腫瘍微小環境における免疫抑制を回避するため、PDL1阻害剤を使用したPD1経路の遮断は、ADCによって殺傷された腫瘍から放出される抗原に対する抗腫瘍免疫応答を強化する可能性がある。
第1標的タンパク質(FTP)を標的とするADCをPD1阻害剤と併用すると、一方でADCがFTP陽性腫瘍細胞を直接殺傷し、他方でPD1阻害剤が患者自身のがん細胞を排除する免疫系に関与するため、有利である。FTP(+)腫瘍細胞の次に、FTP(+)腫瘍細胞に近接したFTP陰性腫瘍細胞は、CD19(+)又はCD22(+)の細胞殺傷後に放出されるPBD二量体のバイスタンダー機構によって潜在的に殺傷される。したがって、ADCは腫瘍細胞を直接殺傷する。
本開示における二次薬剤としての使用に適したPD−L1アンタゴニストには以下のPD−L1アンタゴニストが含まれる:
(a)PD−L1結合アンタゴニストであるもの;
(b)PD1へのPD−L1の結合を阻害するもの;
(c)B7−1へのPD−L1の結合を阻害するもの;
(d)PD1とB7−1の両方へのPD−L1の結合を阻害するもの;
(e)抗PD−L1抗体であるもの。
本開示における二次薬剤としての使用に適した特定のPD−L1アンタゴニストには以下が含まれる:
a)アテゾリズマブ(MPDL3280A、ブランド名テセントリク)
i.CAS番号→1380723−44−3
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
ii.DrugBank参照→DB11595
(https://www.drugbank.ca/を参照されたい)
iii.固有の成分識別子(UNII)→52CMI0WC3Y
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem−UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい。)
b)BMS−936559/MDX−1105
I.CAS番号→1422185−22−5
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
II. NCT02028403、https://clinicaltrials.gov/ct2/homeを参照されたい
III.抗体配列、特に以下についてWO2007/005874を参照されたい
i. 以下を有する抗体:
a.VH CDR1=DYGFS
b.VH CDR2=WITAYNGNTNYAQKLQG
c.VH CDR3=DYFYGMDV
d.VL CDR1=RASQSVSSYLV
e.VL CDR2=DASNRAT
f.VL CDR3=QQRSNWPRT
ii. 以下を有する抗体:
a.VH CDR1=TYAIS
b.VH CDR2=GIIPIFGKAHYAQKFQG
c.VH CDR3=KFHFVSGSPFGMDV
d.VL CDR1=RASQSVSSYLA
e.VL CDR2=DASNRAT
f.VL CDR3=QQRSNWPT
iii. 以下を有する抗体:
a.VH CDR1=SYDVH
b.VH CDR2=WLHADTGITKFSQKFQG
c.VH CDR3=ERIQLWFDY
d.VL CDR1=RASQGISSWLA
e.VL CDR2=AASSLQS
f.VL CDR3=QQYNSYPYT
c)デュルバルマブ/MEDI4736
i. CAS番号→1428935−60−7
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
ii.固有の成分識別子(UNII)→28X28X9OKV
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem−UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい)
iii.VH配列
(外1)
Figure 2020517652
iv.VL配列
(外2)
Figure 2020517652
d)アベルマブ/MSB0010718C
i. CAS番号→1537032−82−8
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
ii.固有の成分識別子(UNII)→KXG2PJ551I
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem−UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい)
実施形態によっては、PD−L1ポリペプチドは、Genbank受入番号AAF25807、バージョン番号AAF25807.1、記録更新日時:Mar 10, 2010 10:14 PMに該当する。1つの実施形態において、PD1ポリペプチドをコードする核酸は、Genbank受入番号AF177937、バージョン番号AF177937.1、記録更新日時:Mar 10, 2010 10:14 PMに該当する。実施形態によっては、PD1ポリペプチドはUniprot/Swiss−Prot受入番号Q9NZQ7に該当する。
GITRアゴニスト
本明細書で使用される場合、用語「グルココルチコイド誘導TNF受容体」(本明細書では「GITR」と略す)は、TNF受容体スーパーファミリー18(TNFRSF18、CD357)、TEASR、及び312C2としても知られ、腫瘍壊死因子/神経成長因子受容体ファミリーの一員を示す。GITRは、Fasトリガー処理、デキサメタゾン処理、又はUV照射を含む他のアポトーシスシグナルから細胞を保護しないが、細胞外ドメインの3つのシステイン偽反復によって特徴付けられる241アミノ酸のI型膜貫通タンパク質であり、T細胞受容体誘導アポトーシスを特異的に保護する(Nocentini, G., et al. (1997) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94:6216−622)。
GITRの活性化は、腫瘍及びウイルス感染に対する耐性を高め、自己免疫/炎症プロセスに関与し、白血球の血管外漏出を調節する(Nocentinisupra;Cuzzocrea, et al. (2004) J Leukoc. Biol. 76:933−940;Shevach, et al. (2006) Nat. Rev. Immunol. 6:613−618;Cuzzocrea, et al. (2006) J Immunol. 1 77:631−641;及びCuzzocrea, et al. (2007) FASEB J 21 :1 1 7−129)。腫瘍マウスモデルでは、アゴニストGITR抗体、DTA−IがアンタゴニストCTLA−4抗体と組み合わされ、相乗効果を示して一部の試験群マウスで進行期腫瘍の完全な腫瘍退縮をもたらした(Ko, et al. (2005) J Exp. Med. 7:885−891)。
3つのスプライス変異体があるヒトGITR(hGITR)の核酸及びアミノ酸配列は知られており、たとえばGenBank受け入れ番号gi:40354198、gi:23238190、gi:23238193、及びgi:23238196に見出せる得る。
「GITRアゴニスト」とは、GITRシグナル伝達の活性化を通じて免疫反応を刺激する化学化合物又は生体分子を意味する。GITR結合パートナーである可溶性GITR−Lタンパク質も考えられる。
例えば、GITR活性などの増強の程度を調べるために、所与の、例えばタンパク質、遺伝子、細胞、又は生物を含む試料又はアッセイを潜在的な活性化剤又は阻害剤で処理し、不活性対照分子で処理した対照試料と比較する。対照試料には、100%の相対活性値が割り当てられる。対照に対する活性値が約90%以下、典型的には85%以下、より典型的には80%以下、最も典型的には75%以下、一般に70%以下、より一般的には65%以下、最も一般的には60%以下、典型的には55%以下、通常は50%以下、より通常は45%以下、最も通常は40%以下、好ましくは35%以下、より好ましくは30%以下、さらにより好ましくは25%以下、及び最も好ましくは20%未満である場合に阻害が達成される。対照に対する活性値が約110%、一般に少なくとも120%、より一般的には少なくとも140%、より一般的には少なくとも160%、多くの場合少なくとも180%、より多くの場合少なくとも2倍、最も頻繁には少なくとも2.5倍、通常少なくとも5倍、より通常少なくとも10倍、好ましくは少なくとも20倍、より好ましくは少なくとも40倍、最も好ましくは40倍を超えて高くなる場合に活性化が達成される。
第1標的タンパク質(FTP)陽性のリンパ腫と白血病を標的とするADCをGITRアゴニストと併用すると、一方でADCがFTP陽性腫瘍細胞を直接殺傷し、他方でGITRアゴニストが患者自身のがん細胞を排除する免疫系に関与するため、有利である。FTP(+)腫瘍細胞の次に、FTP(+)腫瘍細胞に近接した標的陰性腫瘍細胞は、FTP(+)細胞殺傷後に放出されるPBD二量体のバイスタンダー機構によって潜在的に殺傷される。したがって、ADCは腫瘍を直接殺傷する。結果としての、PBD二量体で殺傷された細胞からの腫瘍関連抗原の放出は、免疫系を誘発し、免疫系は、GITRアゴニストの使用によりさらに強化される。
GITR(グルココルチコイド誘導TNFR関連タンパク質)は、活性化されたT細胞で一時的に発現し、T−regで高レベルで構成的に発現し、活性化後にさらに誘導される。リガンドGITRLを介したGITRライゲーションは、エフェクターと制御性CD4+T細胞の両方の増殖と機能の両方を刺激する。これは、抑制を無効にしながら、T細胞の生存とエフェクター細胞への分化を促進する。したがって、ADCでFTP(+)腫瘍を標的にして抗原性細胞死を引き起こすことが有益である一方で、GITRアゴニストはより強力で永続的な免疫応答を誘導する。
本開示における二次薬剤としての使用に適した特定のGITRアゴニストには以下が含まれる:
a)MEDI1873、MedImmuneが開発したGITRリガンド融合タンパク質
−WO2016/196792、US20160304607を参照されたい
−NCIシソーラスコード→C124651
(https://ncit.nci.nih.gov/ncitbrowserを参照されたい)
−https://clinicaltrials.gov/ct2/homeの臨床治験NCT023126110も参照されたい
−Tigue NJ, Bamber L, Andrews J, et al. MEDI1873, a potent, stabilized hexameric agonist of human GITR with regulatory T−cell targeting potential. Oncoimmunology. 2017;6(3):e1280645. doi:10.1080/2162402X.2017.1280645を参照されたい。
b)INCAGN1876は、グルココルチコイド誘導TNFR関連タンパク質、又はGITRを標的とするアゴニスト抗体である。Ludwig Cancer Researchとの共同研究で発見された。INCAGN1876はIncyteと共同開発されている
−https://clinicaltrials.gov/ct2/homeでの臨床治験NCT02583165及びNCT03277352を参照されたい
c)TRX518、Leap Therapeuticsが開発した免疫調節活性を有するヒト化非グリコシル化(agylcosylated)(Fc無効)IgG1抗GITR mAb
○配列58、60〜63についてはWO2006/105021を参照されたい。配列1〜7についてはEP2175884を参照されたい。
■以下の配列を含むVL(CDR下線):
(外3)
Figure 2020517652
■以下の配列を含むVH(CDR下線):
(外4)
Figure 2020517652
(外5)
Figure 2020517652
○https://clinicaltrials.gov/ct2/homeでの臨床治験NCT01239134及びNCT02628574を参照されたい
○NCIシソーラスコード→C95023
(https://ncit.nci.nih.gov/ncitbrowserを参照されたい)
d)GWN323、複数のタイプのT細胞に見られるGITRを活性化する抗GITRアゴニストモノクローナル抗体。GWN323はNovartisによって開発された
−WO2016/196792を参照されたい
−NCIシソーラスコード→C128028
(https://ncit.nci.nih.gov/ncitbrowserを参照されたい)
−https://clinicaltrials.gov/ct2/homeの臨床治験NCT02740270を参照されたい
e)MK−1248、エフェクター機能が大幅に低下したヒト化IgG4抗ヒトグルココルチコイド誘導腫瘍壊死因子受容体(GITR)アゴニストモノクローナル抗体(MoAb)
−https://clinicaltrials.gov/ct2/homeの臨床治験NCT02553499を参照されたい
−MK−1248は、MK4166と同一のCDRを有する(Sukumar et al., Cancer Res. 2017を参照されたい)
f)MK−4166、潜在的な免疫調節活性を持つヒト化IgG1抗ヒトグルココルチコイド誘導腫瘍壊死因子受容体(GITR)アゴニストモノクローナル抗体(MoAb)(Sukumar et al., Cancer Res. 2017を参照されたい)。
−https://clinicaltrials.gov/ct2/homeの臨床治験NCT02132754を参照されたい
−Sukumar, et al., (2017), Cancer Research. 77. canres.1439.2016. 10.1158/0008−5472.CAN−16−1439を参照されたい
−NCIシソーラスコード→C116065
(https://ncit.nci.nih.gov/ncitbrowser/を参照されたい)
g)BMS−986156、抗ヒトグルココルチコイド誘導腫瘍壊死因子受容体(GITR、腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー18、TNFRSF18、CD357)アゴニストモノクローナル抗体
−https://clinicaltrials.gov/ct2/homeの臨床治験NCT02598960を参照されたい
−NCIシソーラスコードC132267
(https://ncit.nci.nih.gov/ncitbrowser/を参照されたい)
アゴニスト抗GITR抗体の配列は、WO2011/028683及びWO2006/105021に提供されている。
実施形態によっては、GITRポリペプチドは、Genbank受入番号AAD22635、バージョン番号AAD22635.1、記録更新日時:Mar 10, 2010 09:42 PMに該当する。1つの実施形態において、GITRポリペプチドをコードする核酸は、Genbank受入番号AF125304、バージョン番号AF125304.1、記録更新日時:Mar 10, 2010 09:42 PMに該当する。実施形態によっては、GITRポリペプチドはUniprot/Swiss−Prot受入番号Q9Y5U5に該当する。
OX40アゴニスト
OX40(CD134;TNFRSF4)はTNFRスーパーファミリーの一員であり、抗原特異的プライミング中にCD4及びCD8 T細胞によって発現される。OX40の発現は、TCR/CD3架橋後、炎症性サイトカインの存在により、主に一過性である。活性化シグナルの非存在下では、生物学的に重要なレベルでOX40を発現する成熟T細胞サブセットは比較的少数である。最適な「キラー」CD8 T細胞応答を生成するには、OX40アゴニストを使用したOX40のライゲーションにより提供され得る、T細胞受容体の活性化と共刺激が必要である。この活性化機構は、T細胞の分化と細胞溶解機能を増強し、抗腫瘍免疫性を強化する。したがって、ADCでFTP(+)腫瘍を標的にして抗原性細胞死を引き起こすことが有益である一方で、OX40アゴニストはより強力で永続的な免疫応答を誘導する。
OX40アゴニストは、OX40アゴニスト抗体、OX40Lアゴニスト断片、OX40オリゴマー受容体、及びOX40イムノアドヘシンからなる群から選択され得る。実施形態によっては、OX40結合アゴニストは三量体OX40L−Fcタンパク質である。
実施形態によっては、OX40結合アゴニストは、OX40Lの1つ以上の細胞外ドメインを含むOX40Lアゴニスト断片である。実施形態によっては、OX40結合アゴニストは、ヒトOX40に結合するOX40アゴニスト抗体である。実施形態によっては、OX40アゴニスト抗体は、ヒトOX40を発現する細胞を枯渇させる。実施形態によっては、in vitroにおいて、OX40アゴニスト抗体は、ヒトOX40を発現する細胞を枯渇させる。実施形態によっては、細胞はCD4+エフェクターT細胞である。実施形態によっては、細胞はTreg細胞である。実施形態によっては、枯渇はADCC及び/又は食作用による。実施形態によっては、枯渇はADCCによる。実施形態によっては、OX40アゴニスト抗体は、約1nM以下の親和性でヒトOX40に結合する。実施形態によっては、OX40アゴニスト抗体は、抗ヒトOX40アゴニスト抗体による処理前の増殖及び/又はサイトカイン産生と比較して、CD4+エフェクターT細胞の増殖及び/又はCD4+エフェクターT細胞によるサイトカイン産生を増加させる。実施形態によっては、サイトカインはガンマインターフェロンである。実施形態によっては、OX40アゴニスト抗体は、メモリーT細胞増殖を増加させ、及び/又はメモリー細胞によるサイトカイン産生を増加させる。実施形態によっては、サイトカインはガンマインターフェロンである。実施形態によっては、OX40アゴニスト抗体はTreg機能を阻害する。いくつかの態様において、OX40アゴニスト抗体は、エフェクターT細胞機能のTreg抑制を阻害する。実施形態によっては、エフェクターT細胞機能は、エフェクターT細胞増殖及び/又はサイトカイン産生である。実施形態によっては、エフェクターT細胞はCD4+エフェクターT細胞である。実施形態によっては、OX40アゴニスト抗体は、OX40を発現する標的細胞におけるOX40シグナル伝達を増加させる。実施形態によっては、OX40シグナル伝達は、NFkB下流シグナル伝達をモニタリングすることにより検出される。
「OX40アゴニスト」とは、OX40シグナル伝達の不活性化を通じて免疫反応を刺激する化学化合物又は生体分子を意味する。
例えば、OX40活性などの増強の程度を調べるために、所与の、例えばタンパク質、遺伝子、細胞、又は生物を含む試料又はアッセイを潜在的な活性化剤又は阻害剤で処理し、不活性対照分子で処理した対照試料と比較する。対照試料には、100%の相対活性値が割り当てられる。対照に対する活性値が約90%以下、典型的には85%以下、より典型的には80%以下、最も典型的には75%以下、一般に70%以下、より一般的には65%以下、最も一般的には60%以下、典型的には55%以下、通常は50%以下、より通常は45%以下、最も通常は40%以下、好ましくは35%以下、より好ましくは30%以下、さらにより好ましくは25%以下、最も好ましくは20%未満である場合に阻害が達成される。対照に対する活性値が約110%、一般に少なくとも120%、より一般的には少なくとも140%、より一般的には少なくとも160%、多くの場合少なくとも180%、より多くの場合少なくとも2倍、最も頻繁には少なくとも2.5倍、通常少なくとも5倍、より通常少なくとも10倍、好ましくは少なくとも20倍、より好ましくは少なくとも40倍、最も好ましくは40倍を超えて高くなる場合に活性化が達成される。
第1標的タンパク質(FTP)陽性のリンパ腫と白血病を標的とするADCをOX40アゴニストと併用すると、一方でADCがFTP陽性腫瘍細胞を直接殺傷し、他方でOX40アゴニストが患者自身のがん細胞を排除する免疫系に関与するため、有利である。FTP(+)腫瘍細胞の次に、FTP(+)腫瘍細胞に近接した標的陰性腫瘍細胞は、FTP(+)細胞殺傷後に放出されるPBD二量体のバイスタンダー機構によって潜在的に殺傷される。したがって、ADCは腫瘍を直接殺傷する。結果としての、PBD二量体で殺傷された細胞からの腫瘍関連抗原の放出は、免疫系を誘発し、免疫系は、OX40アゴニストの使用によりさらに強化される。
本開示における二次薬剤としての使用に適した特定のOX40アゴニストには以下が含まれる:
a)MEDI0562(別名タボリキシズマブ、タボリマブ)
a)CAS番号→1635395−25−3
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
b)固有の成分識別子(UNII)→4LU9B48U4D
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem−UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい)
−https://clinicaltrials.gov/ct2/homeの臨床治験NCT02318394を参照されたい
−WO2015/095423、WO2015/153514、WO2016/073380、及びWO2016/081384に記載されるようなもの
−NCIシソーラスコード→C120041
(https://ncit.nci.nih.gov/ncitbrowserを参照されたい)
−重鎖配列:
QVQLQESGPGLVKPSQTLSLTCAVYGGSFSSGYWNWIRKHPGKGLEYIGYISYNGITYHNPSLKSRITINRDTSKNQYSLQLNSVTPEDTAVYYCARYKYDYDGGHAMDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG
−軽鎖配列:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDISNYLNWYQQKPGKAPKLLIYYTSKLHSGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYYCQQGSALPWTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFN RGEC
b)MEDI6383(エフィゾネリモドアルファ)
a)CAS番号→1635395−27−5
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
b)固有の成分識別子(UNII)→1MH7C2X8KE
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem−UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい)
−https://clinicaltrials.gov/ct2/homeの臨床治験NCT02221960を参照されたい
−WO2015/095423、WO2016/081384、及びWO2016/189124に記載されるようなもの
−NCIシソーラスコード→C118282
(https://ncit.nci.nih.gov/ncitbrowserを参照されたい)
−アミノ酸配列(WO2016/189124の配列番号17):
ESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGKDQDKIEALSSKVQQLERSIGLKDLAMADLEQKVLEMEASTQVSHRYPRIQSIKVQFTEYKKEKGFILTSQKEDEIMKVQNNSVIINCDGFYLISLKGYFSQEVNISLHYQKDEEPLFQLKKVRSVNSLMVASLTYKDKVYLNVTTDNTSLDDFHVNGGELILIHQNPGEFCVL
c)MOXR0916(RG7888、ポガリズマブとしても知られる)、ヒト化抗OX40モノクローナル抗体
a)CAS番号→1638935−72−4
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
b)固有の成分識別子(UNII)→C78148TF1D
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem−UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい)
c)NCIシソーラスコード→C121376
(https://ncit.nci.nih.gov/ncitbrowserを参照されたい)
d)OX40mAb24(9B12)
a)OX40mAb24は、9B12のヒト化バージョンである。9B12は、ヒトOX40(CD134)の細胞外ドメインに対するマウスIgG1、抗OX40 mAbである(Weinberg, A.D., et al. J Immunother 29, 575−585 (2006))。
b)WO2016/057667で、OX40mAb24のVH配列について配列番号59を、VL配列について配列番号29を参照されたい(配列番号32は代替のVLである):
VH配列
QVQLQESGPGLVKPSQTLSLTCAVYGGSFSSGYWNWIRKHPGKGLEYIGYISYNGITYHNPSLKSRITINRDTSKNQYSLQLNSVTPEDTAVYYCARYKYDYDGGHAMDYWGQGTLVTVSS
VL配列
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDISNYLNWYQQKPGKAPKLLIYYTSKLHSGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYYCQQGSALPWTFGQGTKVEIK
e)INCAGN1949
a)Gonzalez et al. 2016, DOI: 10.1158/1538−7445.AM2016−3204を参照されたい
b)https://clinicaltrials.gov/ct2/homeの臨床治験NCT02923349を参照されたい
c)抗体の配列はWO2016/179517 A1に開示される:
i.特に、以下の配列を含む抗体:
VH CDR1→GSAMH
VH CDR2→RIRSKANSYATAYAASVKG
VH CDR3→GIYDSSGYDY
VL CDR1→RSSQSLLHSNGYNYLD
VL CDR2→LGSNRAS
VL CDR3→MQALQTPLT
ii.例えば、以下の配列を含む抗体:
VH→
EVQLVESGGGLVQPGGSLKLSCAASGFTFSGSAMHWVRQASGKGLEWVGRIRSKANSYATAYAASVKGRFTISRDDSKNTAYLQMNSLKTEDTAVYYCTSGIYDSSGYDYWGQGTLVTVSS
VL→DIVMTQSPLSLPVTPGEPASISCRSSQSLLHSNGYNYLDWYLQKPGQSPQLLIYLGSNRASGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCMQALQTPLTFGGGTKVEIK
g)GSK3174998、ヒト化IgG1アゴニスト抗OX40モノクローナル抗体(mAb)
https://clinicaltrials.gov/ct2/homeの臨床治験NCT02528357を参照されたい
h)PF−04518600(PF−8600)は、OX40タンパク質を標的とする研究用の完全ヒトモノクローナル抗体(mAb)である。
−特許WO2017/130076 A1を参照されたい
−https://clinicaltrials.gov/ct2/homeの臨床治験NCT02315066を参照されたい
NCIシソーラスコード→C121927
(https://ncit.nci.nih.gov/ncitbrowserを参照されたい)
実施形態によっては、OX40ポリペプチドは、Genbank受入番号CAA53576、バージョン番号CAA53576.1、記録更新日時:Feb 2, 2011 10:10 AMに該当する。1つの実施形態において、OX40ポリペプチドをコードする核酸は、Genbank受入番号X75962、バージョン番号X75962.1、記録更新日時:Feb 2, 2011 10:10 AMに該当する。実施形態によっては、OX40ポリペプチドはUniprot/Swiss−Prot受入番号P43489に該当する。
CTLAアゴニスト
CTLA4(CD152)は、活性化されたT細胞に発現し、CD28を介したT細胞の活性化に続いてT細胞の応答を抑制する共阻害剤として機能する。CTLA4は、TCR関与後のナイーブT及びメモリーT細胞の初期活性化の大きさを調節し、抗腫瘍免疫と自己免疫の両方に影響を与える中枢抑制経路の一部であると考えられている。CTLA4はT細胞でのみ発現し、そのリガンドCD80(B7.1)及びCD86(B7.2)の発現は、抗原提示細胞、T細胞、及び他の免疫媒介細胞に大きく制限されている。CTLA4シグナル伝達経路を遮断するアンタゴニスト抗CTLA4抗体は、T細胞の活性化を強化することが報告されている。そのような抗体の1つであるイピリムマブは、転移性黒色腫の治療薬として2011年にFDAによって承認された。別の抗CTLA4抗体であるトレメリムマブは、進行性黒色腫の治療に関する第III相治験で試験されたが、当時の標準治療(テモゾロミド又はダカルバジン)と比較して患者の全生存期間を有意に延長することはなかった。
「CTLA4アゴニスト」とは、CTLA4シグナル伝達の阻害を通じて免疫反応を刺激する化学化合物又は生体分子を意味する。
例えば、CTLA4活性などの増強の程度を調べるために、所与の、例えばタンパク質、遺伝子、細胞、又は生物を含む試料又はアッセイを潜在的な活性化剤又は阻害剤で処理し、不活性対照分子で処理した対照試料と比較する。対照試料には、100%の相対活性値が割り当てられる。対照に対する活性値が約90%以下、典型的には85%以下、より典型的には80%以下、最も典型的には75%以下、一般に70%以下、より一般的には65%以下、最も一般的には60%以下、典型的には55%以下、通常は50%以下、より通常は45%以下、最も通常は40%以下、好ましくは35%以下、より好ましくは30%以下、さらにより好ましくは25%以下、最も好ましくは20%未満である場合に阻害が達成される。対照に対する活性値が約110%、一般に少なくとも120%、より一般的には少なくとも140%、より一般的には少なくとも160%、多くの場合少なくとも180%、より多くの場合少なくとも2倍、最も頻繁には少なくとも2.5倍、通常少なくとも5倍、より通常少なくとも10倍、好ましくは少なくとも20倍、より好ましくは少なくとも40倍、最も好ましくは40倍を超えて高くなる場合に活性化が達成される。
第1標的タンパク質(FTP)陽性のリンパ腫と白血病を標的とするADCをCTLA4阻害剤と併用すると、一方でADCがFTP陽性腫瘍細胞を直接殺傷し、他方でCTLA4阻害剤が患者自身のがん細胞を排除する免疫系に関与するため、有利である。FTP(+)腫瘍細胞の次に、FTP(+)腫瘍細胞に近接した標的陰性腫瘍細胞は、FTP(+)細胞殺傷後に放出されるPBD二量体のバイスタンダー機構によって潜在的に殺傷される。したがって、ADCは腫瘍を直接殺傷する。結果としての、PBD二量体で殺傷された細胞からの腫瘍関連抗原の放出は、免疫系を誘発し、免疫系は、多くの異なる腫瘍タイプ由来の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の大部分で発現するCTLA4の阻害剤の使用によりさらに強化される。
CTLA4(CD152)の主要な機能は、T細胞活性化の初期段階の大きさを調節することであり、そのようなとき、腫瘍微小環境におけるT細胞共刺激受容体CD28の活性を打ち消す。したがって、腫瘍微小環境において、CTLA4経路の遮断はエフェクターCD4+T細胞活性の増強を促進する一方で、TReg細胞依存性免疫抑制を阻害する。したがって、ADCでFTP(+)腫瘍を標的にして抗原性細胞死を引き起こすことが有益である一方で、CTLA4遮断はより強力な免疫、永続的な応答を誘導する。
本開示における二次薬剤としての使用に適した特定のCTLA4アンタゴニストには以下が含まれる:
a)イピリムマブ
i.CAS番号→477202−00−9
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
ii.固有の成分識別子(UNII)→6T8C155666
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem−UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい)
b)トレメリムマブ
i.CAS番号→745013−59−6
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
ii.固有の成分識別子(UNII)→QEN1X95CIX
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem−UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい)
iii.VH配列
(外6)
Figure 2020517652
iv.VL配列
(外7)
Figure 2020517652
実施形態によっては、CTLAポリペプチドは、Genbank受入番号AAL07473、バージョン番号AAL07473.1、記録更新日時:Mar 11, 2010 01:28 AMに該当する。1つの実施形態において、CTLA4ポリペプチドをコードする核酸は、Genbank受入番号AF414120、バージョン番号AF414120.1、記録更新日時:Mar 11, 2010 01:28 AMに該当する。実施形態によっては、OX40ポリペプチドはUniprot/Swiss−Prot受入番号P16410に該当する。
フルダラビン及びシタラビン
異なる作用機序を有する薬剤の併用は、がんと闘うための確立された治療原理である。相乗効果が示されたとき、及び/又は毒性の低下が観察されたときに、抗腫瘍活性を増加させる方法となり得る。PBD弾頭を含む抗体薬物複合体は、従来の化学療法と比較してより標的化されているため、併用パートナーとして特に適している可能性がある。PBD二量体はDNAを共有結合で架橋するため、異なるメカニズムを介してDNA合成を妨害する他の薬剤と併用することで利点が得られる可能性がある。そのような起こり得る併用の例は、フルダラビンとシタラビンである。
フルダラビン
フルダラビン又はリン酸フルダラビン(フルダラ)は、白血病及びリンパ腫などの血液悪性腫瘍の治療に使用される化学療法薬である。それは、リボヌクレオチドレダクターゼ(RNAR)及びDNAポリメラーゼを妨害することによりDNAを妨害するプリン類似体である。それは、分裂細胞と静止細胞の両方に対して活性である。フルダラビンはERCC1転写を抑制することも示されており、これは、慢性リンパ球性白血病細胞に対するフルダラビンとPBD二量体SJG136(SG2000)の観察された相乗効果を説明することができる。CLAG/CLAG−M−クラドリビンは、RNRを阻害する別のプリン類似体である。
第1標的タンパク質(FTP)陽性リンパ腫及び白血病を標的とするADCとフルダラビンを併用すると、一方で、ADCがDNA架橋に依存するメカニズムを介してFTP陽性腫瘍細胞を直接殺傷してアポトーシスを引き起こすが、他方でフルダラビンが細胞のRNAポリメラーゼ及びDNAポリメラーゼを阻害しつつ、PBD二量体によって誘導されるDNA架橋を解決するために必要なDNA修復酵素も抑制するので、有利である。
ADCがフルダラビンと相乗的に機能することを示すために、FTP(+)細胞株のパネルをADCとフルダラビンの両方の濃度範囲で共処理する。陰性対照として、同一の細胞株のパネルを、フルダラビンと非標的対照ADCの濃度範囲又はADCとビヒクルの濃度範囲で共処理する。インキュベーション後、表面FTPの量(フローサイトメトリーにより決定)と組み合わせのin vitro細胞毒性(CellTiter−Glo(登録商標)又はMTSアッセイにより決定)の2つのパラメーターが測定される。細胞毒性の相乗効果は、細胞生存率データを、影響を受ける割合に変換し、CalcuSyn分析プログラムを使用して併用指数を計算することにより計算される。
CAS番号→21679−14−1
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
ii.NCBI Pubchem参照→657237
(https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/を参照されたい)
iii.IUPHAR/BPS参照→4802
(http://www.guidetopharmacology.org/を参照されたい)
iv.固有の成分識別子(UNII)→1X9VK9O1SC
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem−UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい)
Figure 2020517652
式I、フルダラビン:[(2R,3R,4S,5R)−5−(6−アミノ−2−フルオロ−プリン−9−イル)−3,4−ジヒドロキシ−オキソラン−2−イル]メトキシホスホン酸
シタラビン
シタラビン又はシトシンアラビノシド(Cytosar−U又はDepocyt)は、急性骨髄性白血病(AML)及び非ホジキンリンパ腫などの血液悪性腫瘍の治療に使用される代謝拮抗化学療法薬である。また、ara−C(アラビノフラノシルシチジン)としても知られている。DNA合成を妨害することにより、がん細胞を殺傷する。それは、細胞周期がS期(DNAの合成)に保持されるときにDNAを損傷するシトシンアラビノシド三リン酸に能動的に代謝される。したがって、有糸分裂のためにDNA複製を必要とする急速に分裂する細胞が最も影響を受ける。シトシンアラビノシドはまた、DNA合成に必要なDNAポリメラーゼ及びRNAポリメラーゼとヌクレオチドレダクターゼ酵素の両方を阻害する。
第1標的タンパク質(FTP)陽性リンパ腫及び白血病を標的とするADCとシタラビンを併用すると、一方で、ADCがDNA架橋に依存するメカニズムを介してFTP陽性腫瘍細胞を直接殺傷してアポトーシスを引き起こすが、他方でシタラビンが細胞のRNAポリメラーゼ及びDNAポリメラーゼを阻害しつつ、DNA合成も抑制するので、有利である。
ADCがシタラビンと相乗的に機能することを示すために、FTP(+)細胞株のパネルをADCとシタラビンの両方の濃度範囲で共処理する。陰性対照として、同一の細胞株のパネルを、シタラビンと非標的対照ADCの濃度範囲又はADCとビヒクルの濃度範囲で共処理する。インキュベーション後、表面FTPの量(フローサイトメトリーにより決定)と組み合わせのin vitro細胞毒性(CellTiter−Glo(登録商標)又はMTSアッセイにより決定)の2つのパラメーターが測定される。細胞毒性の相乗効果は、細胞生存率データを影響を受ける割合に変換し、CalcuSyn分析プログラムを使用して併用指数を計算することにより計算される(実施例4を参照されたい)。
CAS番号→147−94−4
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
ii.NCBI Pubchem参照→6253
(https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/を参照されたい)
iii.IUPHAR/BPS参照→4827
(http://www.guidetopharmacology.org/を参照されたい)
iv.固有の成分識別子(UNII)→04079A1RDZ
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem−UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい)
Figure 2020517652
式II、シタラビン:4−アミノ−1−[(2R,3S,4R,5R)−3,4−ジヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−2−イル]ピリミジン−2−オン
低メチル化剤
「低メチル化剤」という用語は、シトシンピリミジン環の5位又はアデニンプリン環の6位の窒素へのメチル基の付加であるDNAメチル化を妨害する化合物のクラスを指す。DNAのメチル化は、細胞内の遺伝子発現パターンを安定的に変化させ、すなわち、遺伝子発現を低下させる(すなわち、ビタミンD受容体の場合)。低メチル化剤は、メチル化を阻害することができる化合物で、以前に過剰メチル化された発現抑制遺伝子の発現をもたらす。5−アザシチジン(アザシチジン)及び5−アザ−2’−デオキシシチジン(デシタビン)などのシチジン類似体が最も一般的に使用される低メチル化剤である。これらの化合物は、メチル化反応を触媒する酵素、すなわちDNAメチルトランスフェラーゼに結合することで機能する。
過剰メチル化の程度を調べるために、所与の、例えばタンパク質、遺伝子、細胞、又は生物を含む試料又はアッセイを潜在的な活性化剤又は阻害剤で処理し、不活性対照分子で処理した対照試料と比較する。対照試料には、100%の相対活性値が割り当てられる。対照に対する活性値が約90%以下、典型的には85%以下、より典型的には80%以下、最も典型的には75%以下、一般に70%以下、より一般的には65%以下、最も一般的には60%以下、典型的には55%以下、通常は50%以下、より通常は45%以下、最も通常は40%以下、好ましくは35%以下、より好ましくは30%以下、さらにより好ましくは25%以下、最も好ましくは20%未満である場合に阻害が達成される。対照に対する活性値が約110%、一般に少なくとも120%、より一般的には少なくとも140%、より一般的には少なくとも160%、多くの場合少なくとも180%、より多くの場合少なくとも2倍、最も頻繁には少なくとも2.5倍、通常少なくとも5倍、より通常少なくとも10倍、好ましくは少なくとも20倍、より好ましくは少なくとも40倍、最も好ましくは40倍を超えて高くなる場合に活性化が達成される。
第1標的タンパク質(FTP)陽性のリンパ腫と白血病を標的とするADCを低メチル化剤と併用すると、一方でADCがFTP陽性腫瘍細胞を直接殺傷し、他方で低メチル化剤がDNAメチル化を妨害するため、有利である。この妨害は、その配列の脱メチル化を引き起こすことにより、細胞調節タンパク質がDNA/RNA基質に結合する方法に悪影響を及ぼす。PBD二量体はDNAを共有結合で架橋し、異なるメカニズムを介してDNA合成を妨害する他の薬剤と併用することで利点をもたらすので、この活性はADCと相乗効果がある。
本開示における二次薬剤としての使用に適した特定の低メチル化剤には以下が含まれる:
a)5−アザシチジン(アザシチジン)
i.CAS番号→320−67−2
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
ii.NCBI Pubchem参照→9444
(https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/を参照されたい)
iii.IUPHAR/BPS参照→6796
(http://www.guidetopharmacology.org/を参照されたい)
iv.固有の成分識別子(UNII)→M801H13NRU
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem−UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい)
Figure 2020517652
式III、5−アザシチジン:4−アミノ−1−β−D−リボフラノシル−1,3,5−トリアジン−2(1H)−オン
b)5−アザ−2’−デオキシシチジン(デシタビン)
i.CAS番号→2353−33−5
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
ii.NCBI Pubchem参照→451668
(https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/を参照されたい)
iii.IUPHAR/BPS参照→6805
(http://www.guidetopharmacology.org/を参照されたい)
iv.固有の成分識別子(UNII)→776B62CQ27
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem−UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい)
Figure 2020517652
式IV、b)5−アザ−2’−デオキシシチジン:4−アミノ−1−(2−デオキシ−β−D−エリトロ−ペントフラノシル)−1,3,5−トリアジン−2(1H)−オン
PARP阻害剤
ポリ(アデノシン二リン酸[ADP])リボースポリメラーゼ(PARP)は、DNA転写、DNA損傷応答、ゲノム安定性維持、細胞周期調節、及び細胞死を含む、幅広い細胞機能に関与する酵素のファミリーである。PARP−1は、このグループの中で最も豊富で最も特徴的なタンパク質である。腫瘍学では、塩基除去修復(BER)経路を介した一本鎖DNA切断(SSB)の修復における重要な役割が高い関心の対象であり、いくつかのPARP−1阻害剤(PARPi)が開発され(オラパリブ、CEP−9722、タラゾパリブ、ルカパリブ、イニパリブ、ベリパリブ、及びニラパリブを含むが、これらに限定されない)、臨床的に試験されている。がん治療では、PARPiは主にDNA損傷の修復を防ぎ、最終的に細胞死を引き起こすことにより機能する。
PARPは、目的とする、DNA結合ドメイン、カスパーゼ切断ドメイン、自動修飾ドメイン、及び触媒ドメインの4つのドメインで構成されている。DNA結合ドメインは、2つのジンクフィンガーモチーフで構成されている。損傷したDNA(塩基対が切断された)が存在すると、DNA結合ドメインはDNAに結合し、立体構造の変化を引き起こす。この結合は、他のドメインとは無関係に発生することが示されている。これは、PARPのカスパーゼ切断阻害に基づくプログラム細胞死モデルに不可欠である。自動修飾ドメインは、触媒作用後にDNAからのタンパク質の放出に関与する。また、それは切断誘導性不活性化に不可欠な役割を果たす。
PARPは細胞核に見られる。主な役割は、一本鎖DNA切断(SSB)修復に関与する酵素機構にシグナル伝達することにより、代謝、化学、又は放射線に誘導されるSSBを検出して、それに対する即時の細胞応答を開始することである。PARPがSSBを検出すると、それはDNAに結合して構造変化を起こし、他のDNA修復酵素に対するシグナルとして機能する高分子アデノシン二リン酸リボース(ポリ(ADPリボース)又はPAR)鎖の合成を開始する。標的酵素には、DNAリガーゼIII(LigIII)、DNAポリメラーゼベータ(polβ)、及びX線交差補完遺伝子1(XRCC1)などの足場タンパク質が含まれる。修復後、PAR鎖はPoly(ADPリボース)グリコヒドロラーゼ(PARG)を介して分解される。
NAD+は、ADPリボース単量体を生成するための基質として必要である。グルコースの酸化が阻害されるため、PARPの過剰活性化により、細胞NAD+の貯蔵が枯渇し、進行性のATP枯渇と壊死性細胞死が誘発される可能性があると考えられてきた。しかし、最近では、ヘキソキナーゼ活性の阻害が解糖の欠陥につながることが示唆された。(Andrabi, PNAS 2014を参照されたい).プログラム細胞死の間、カスパーゼ−3切断によりPARPが不活性化されることに留意されたい。
PARP酵素は、炎症性遺伝子の発現を含む多くの細胞機能に不可欠である:PARP1は、TNFに応答して、平滑筋細胞によるICAM−1遺伝子発現の誘導に必要である。
PBDは、ストレプトミセスに含まれる天然に存在する抗腫瘍抗生物質のクラスである。PBD二量体は、2本のDNA鎖の架橋を介して細胞毒性作用を発揮し、複製の遮断と腫瘍細胞死をもたらす。重要なことに、PBD二量体によって形成される架橋はDNA構造を比較的ゆがめず、DNA修復メカニズムに対して隠すようにするが、これは正常組織とは対照的に、ヒトの腫瘍ではしばしば損なわれる。
PBDベースのADCとPARPi(オラパリブ、CEP−9722、タラゾパリブ、ルカパリブ、イニパリブ、ベリパリブ、及びニラパリブを含むがこれらに限定されない)を併用すると、PBD二量体によって引き起こされる損傷されたDNAの修復がPARP阻害によって遮断され、結果として、がん細胞死に至るDNA損傷の蓄積をもたらすために有利である。
PBDベースのADC及びPARPiによる固形腫瘍由来細胞株の処理が相加的又は相乗的な抗腫瘍効果を有することを示すために、固形腫瘍由来細胞株のパネルが、各ADCとPARPiの濃度範囲で処理される。インキュベーション後、組み合わせのin vitro細胞毒性(CellTiter−Glo(登録商標)又はMTSアッセイで決定)が測定される。細胞毒性の相乗効果は、細胞生存率データを、影響を受ける割合に変換し、CalcuSyn分析プログラムを使用して併用指数を計算することにより計算される。
「PARP阻害剤」とは、PARP活性を低下させる任意の化学化合物又は生体分子を意味する。
例えば、PARP活性などの阻害の程度を調べるために、所与の、例えばタンパク質、遺伝子、細胞、又は生物を含む試料又はアッセイを潜在的な活性化剤又は阻害剤で処理し、不活性対照分子で処理した対照試料と比較する。対照試料には、100%の相対活性値が割り当てられる。対照に対する活性値が約90%以下、典型的には85%以下、より典型的には80%以下、最も典型的には75%以下、一般に70%以下、より一般的には65%以下、最も一般的には60%以下、典型的に通常は55%以下、通常は50%以下、より通常は45%以下、最も通常は40%以下、好ましくは35%以下、より好ましくは30%以下、さらにより好ましくは25%以下、最も好ましくは20%未満である場合に阻害が達成される。
本開示における使用に適した特定のPARPiには以下が含まれる:
a)オラパリブ
i.CAS番号→763113−22−0
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
ii.NCBI Pubchem参照→23725625
(https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/を参照されたい)
iii.固有の成分識別子(UNII)→WOH1JD9AR8
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem−UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい)
Figure 2020517652
式V、オラパリブ:4−[(3−[(4−シクロプロピルカルボニル)ピペラジン−1−イル]カルボニル)−4−フルオロフェニル]メチル(2H)フタラジン−1−オン
b)CEP−9722
i.CAS番号→916574−83−9
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
Figure 2020517652
式VI、CEP−9722:11−メトキシ−2−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−シクロペンタ[a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H)−ジオン
c)BMN−673/タラゾパリブ
i.CAS番号→1207456−01−6
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
ii.固有の成分識別子(UNII)→9QHX048FRV
Figure 2020517652
式VII、タラゾパリブ:(8S,9R)−5−フルオロ−8−(4−フルオロフェニル)−9−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)−2,7,8,9−テトラヒドロ−3H−ピリド[4,3,2−de]フタラジン−3−オン
d)ルカパリブ
i.CAS番号→283173−50−2
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
ii.NCBI Pubchem参照→9931954
(https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/を参照されたい)
iii.固有の成分識別子(UNII)→8237F3U7EH
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem−UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい)
Figure 2020517652
式VIII、ルカパリブ:8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}−1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オン
e)イニパリブ/SAR24−550/BSI−201
i.CAS番号→160003−66−7
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
ii.NCBI Pubchem参照→9796068
(https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/を参照されたい)
iii.固有の成分識別子(UNII)→2ZWI7KHK8F
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem−UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい)
Figure 2020517652
式IX、イニパリブ:4−ヨード−3−ニトロベンズアミド
f)ベリパリブ(ABT−888)
i.CAS番号→912444−00−9
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
ii.NCBI Pubchem参照→11960529
(https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/を参照されたい)
iii.固有の成分識別子(UNII)→01O4K0631N
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem−UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい)
Figure 2020517652
式X、ベリパリブ:2−((R)−2−メチルピロリジン−2−イル)−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミド
g)ニラパリブ/MK−4827
i.CAS番号→1038915−60−4
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
ii.NCBI Pubchem参照→24958200
(https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/を参照されたい)
iii.固有の成分識別子(UNII)→HMC2H89N35
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem−UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい)
Figure 2020517652
式XI、ニラパリブ:2−[4−[(3S)−3−ピペリジル]フェニル]インダゾール−7−カルボキサミド
h)BGB−290
i.CAS番号→1820833−75−7
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
i)3−アミノベンズアミド
i.CAS番号→3544−24−9
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
ii.NCBI Pubchem参照→1645
(https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/を参照されたい)
Figure 2020517652
式XII:3−アミノベンズアミド
j)E7016
i.CAS番号→902128−92−1
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
Figure 2020517652
式XIII、E706:ベンゾピラノ(4,3,2−de)フタラジン−3(2H)−オン、10−((4−ヒドロキシ−1−ピペリジニル)メチル)−
実施形態によっては、PARPポリペプチドは、Genbank受入番号AAA60137、バージョン番号AAA60137.1、記録更新日時:Jun 23, 2010 08:48 AMに該当する。1つの実施形態において、PARP1ポリペプチドをコードする核酸は、Genbank受入番号M18112、バージョン番号M18112.1、記録更新日時:Jun 23, 2010 08:48 AMに該当する。実施形態によっては、PARP1ポリペプチドはUniprot/Swiss−Prot受入番号P09874に該当する。
HER2発現を上方制御する薬剤
「HER2発現を上方制御する」薬剤とは、腫瘍細胞表面のHER2タンパク質の量を増加させる化学化合物又は生体分子を意味する。
増強の程度を調べるために、所与の、例えばタンパク質、遺伝子、細胞、又は生物を含む試料又はアッセイを潜在的な活性化剤で処理し、不活性対照分子で処理した対照試料と比較する。対照試料には、100%の相対的発現値が割り当てられる。対照に対する発現値が約110%、一般に少なくとも120%、より一般的には少なくとも140%、より一般的には少なくとも160%、多くの場合少なくとも180%、より多くの場合少なくとも2倍、最も頻繁には少なくとも2.5倍、通常少なくとも5倍、より通常少なくとも10倍、好ましくは少なくとも20倍、より好ましくは少なくとも40倍、最も好ましくは40倍を超えて高くなる場合に活性化が達成される。
本開示における二次薬剤としての使用に適した特定のHER2発現を上方制御する薬剤には以下が含まれる:
a)ゲムシタビン
i.CAS番号→95058−81−4
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
ii.NCBI Pubchem参照→60750
(https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/を参照されたい)
iii.DrugBank参照→DB00441
(https://www.drugbank.ca/を参照されたい)
iv.固有の成分識別子(UNII)→B76N6SBZ8R
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem−UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい)
Figure 2020517652
式XIV、ゲムシタビン:4−アミノ−1−(2−デオキシ−2,2−ジフルオロ−β−D−エリスロ−ペントフラノシル)ピリミジン−2(1H)−オン
b)タモキシフェン
i.CAS番号→10540−29−1
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
ii.NCBI Pubchem参照→2733526
(https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/を参照されたい)
iii.DrugBank参照→DB00675
(https://www.drugbank.ca/を参照されたい)
iv.固有の成分識別子(UNII)→094ZI81Y45
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem−UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい。)
Figure 2020517652
式XV、タモキシフェン:(Z)−2−[4−(1,2−ジフェニルブタ−1−エニル)フェノキシ]−N,N−ジメチルエタンアミン
ゲムシタビンは、HER2を上方制御した好ましい薬剤である。
AXLi
本明細書に記載される二次薬剤は、AXL阻害剤であり得る。
「AXL阻害剤」とは、AXLシグナル伝達を低下させる化合物又は生体分子を意味する。
例えば、AXL活性などの阻害の程度を調べるために、所与の、例えばタンパク質、遺伝子、細胞、又は生物を含む試料又はアッセイを潜在的な活性化剤又は阻害剤で処理し、不活性対照分子で処理した対照試料と比較する。対照試料には、100%の相対活性値が割り当てられる。対照に対する活性値が約90%以下、典型的には85%以下、より典型的には80%以下、最も典型的には75%以下、一般に70%以下、より一般的には65%以下、最も一般的には60%以下、典型的には55%以下、通常は50%以下、より通常は45%以下、最も通常は40%以下、好ましくは35%以下、より好ましくは30%以下、さらにより好ましくは25%以下、最も好ましくは20%未満である場合に阻害が達成される。対照に対する活性値が約110%、一般に少なくとも120%、より一般的には少なくとも140%、より一般的には少なくとも160%、多くの場合少なくとも180%、より多くの場合少なくとも2倍、最も頻繁には少なくとも2.5倍、通常少なくとも5倍、より通常少なくとも10倍、好ましくは少なくとも20倍、より好ましくは少なくとも40倍、最も好ましくは40倍を超えて高くなる場合に活性化が達成される。
例えば、AXL阻害剤TP0903及びBGB324によるAXLの阻害は、DNA修復遺伝子の発現を低下させ、相同組換え修復機構の効率を低下させることが示されている。その結果、AXL阻害は細胞のHR欠乏状態を引き起こし、細胞をDNA損傷剤に対して感受性にした。
ADCをBGB324及びTP0903を含むがこれに限定されないAXLiと併用すると、一方で、ADCがAXL陽性のがん細胞株でDNA損傷を誘発し、他方でAXLiによる治療が相同組換え機構の効率を低下させ、PBD二量体によって誘発されるDNA損傷に対して細胞をより感受性にし、それによってがん細胞死に至るDNA損傷の蓄積をもたらすので、有利である。
AXL陽性がん細胞株とADCとAXLi(BGB324及びTP0903を含むがこれらに限定されない)の共処理が相加的又は相乗的な抗腫瘍効果を有することを示すため、MDA−MB−157及びSKLU1を含むがこれに限定されない細胞株のパネルを、ADCとAXLi BGB324又はTP−093の両方の濃度範囲で共処理する。インキュベーション後、組み合わせのin vitro細胞毒性(CellTiter−Glo(登録商標)又はMTSアッセイで決定)が測定される。
本開示における二次薬剤としての使用に適した特定のAXL阻害剤には以下が含まれる:
c)TP0903
i.CAS番号→1341200−45−0
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
Figure 2020517652
式XVI:2−((5−クロロ−2−((4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)フェニル)アミノ)ピリミジン−4−イル)アミノ)−N,N−ジメチルベンゼンスルホンアミド[TP0903]
d)BGB324
i.CAS番号→1037624−75−1
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
ii.固有の成分識別子(UNII)→0ICW2LX8AS
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem−UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい。)
Figure 2020517652
式XVII:1−(6,7−ジヒドロ−5H−ベンゾ[2,3]シクロヘプタ[2,4−d]ピリダジン−3−イル)−3−N−[(7S)−7−ピロリジン−1−イル−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾ[7]アヌレン−3−イル]−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミン[BGB324]
e)ギルテリチニブ(ASP2215)
i.CAS番号→1254053−43−4
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
Figure 2020517652
式XVIII:6−エチル−3−((3−メトキシ−4−(4−(4−メチルピペラジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)フェニル)アミノ)−5−((テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)アミノ)ピラジン−2−カルボキサミド[ギルテリチニブ]
f)カボザンチニブ
i.CAS番号→849217−68−1
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
ii.固有の成分識別子(UNII)→1C39JW444G
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem−UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい。)
Figure 2020517652
式XIX:N−(4−((6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)オキシ)フェニル)−N’−(4−フルオロフェニル)シクロプロパン−1,1−ジカルボキサミド[カボザンチニブ]
g)SGI7079
i.CAS番号→1239875−86−5
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
Figure 2020517652
式XX:2−(3−(2−((3−フルオロ−4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル)アミノ)−5−メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)フェニル)アセトニトリル[SGI7079]
h)メレスチニブ
i.CAS番号→1206799−15−6
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
Figure 2020517652
式XXI:N−(3−フルオロ−4−{[1−メチル−6−(1H−ピラゾール−4−イル)−1H−インダゾール−5−イル]オキシ}フェニル)−1−(4−フルオロフェニル)−6−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド[メレスチニブ]
i)アムバチニブ(MP−470)
i.CAS番号→850879−09−3
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
ii.固有の成分識別子(UNII)→SO9S6QZB4R
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem−UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい。)
Figure 2020517652
式XXII:N−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルメチル)−4−([1]ベンゾフロ[3,2−d]ピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−カルボチオアミド[アムバチニブ]
j)ボスチニブ(SKI−606)
i.CAS番号→380843−75−4
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
ii.固有の成分識別子(UNII)→5018V4AEZ0
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem−UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい。)
Figure 2020517652
式XXIII:4−[(2,4−ジクロロ−5−メトキシフェニル)アミノ]−6−メトキシ−7−[3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロポキシ]キノリン−3−カルボニトリル[ボスチニブ]
k)MGCD265
i.CAS番号→875337−44−3
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
ii.固有の成分識別子(UNII)→93M6577H9D
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem−UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい。)
Figure 2020517652
式XXIV:N−(3−フルオロ−4−(2−(1−メチル−1H−イミダゾール−4−イル)チエノ(3,2−b)ピリジン−7−イルオキシ)フェニルカルバモチオイル)−2−フェニルアセトアミド[MGCD265]
l)フォレチニブ(GSK1363089/XL880)
i.CAS番号→849217−64−7
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
ii.固有の成分識別子(UNII)→81FH7VK1C4
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem−UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい。)
Figure 2020517652
式XXV:N1’−[3−フルオロ−4−[[6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)−4−キノリル]オキシ]フェニル]−N1−(4−フルオロフェニル)シクロプロパン−1,1−ジカルボキサミド[フォレチニブ]
BRAFi
本明細書に記載される二次薬剤は、BRAF阻害剤であり得る。
「BRAF阻害剤」とは、BRAF活性を低下させる任意の化学化合物又は生体分子を意味する。
例えば、BRAF活性などの阻害の程度を調べるために、所与の、例えばタンパク質、遺伝子、細胞、又は生物を含む試料又はアッセイを潜在的な活性化剤又は阻害剤で処理し、不活性対照分子で処理した対照試料と比較する。対照試料には、100%の相対活性値が割り当てられる。対照に対する活性値が約90%以下、典型的には85%以下、より典型的には80%以下、最も典型的には75%以下、一般に70%以下、より一般的には65%以下、最も一般的には60%以下、典型的には55%以下、通常は50%以下、より通常は45%以下、最も通常は40%以下、好ましくは35%以下、より好ましくは30%以下、さらにより好ましくは25%以下、最も好ましくは20%未満である場合に阻害が達成される。対照に対する活性値が約110%、一般に少なくとも120%、より一般的には少なくとも140%、より一般的には少なくとも160%、多くの場合少なくとも180%、より多くの場合少なくとも2倍、最も頻繁には少なくとも2.5倍、通常少なくとも5倍、より通常少なくとも10倍、好ましくは少なくとも20倍、より好ましくは少なくとも40倍、最も好ましくは40倍を超えて高くなる場合に活性化が達成される。
B−Raf(BRAF)は、増殖シグナル伝達プロテインキナーゼのRafキナーゼファミリーの一員である。このタンパク質は、細胞分裂、分化、及び分泌に影響するMAPキナーゼ/ERKシグナル伝達経路の調節に役割を果たす。
B−Rafは、セリン/スレオニン特異的プロテインキナーゼである。そのようなものとして、それは、ATPによる標的タンパク質上のコンセンサス配列のセリン及びスレオニン残基のリン酸化を触媒し、生成物としてADP及びリン酸化タンパク質を生成する。高度に調節されたシグナル伝達キナーゼであるため、B−Rafは酵素として活性になる前に、まずRas−GTPに結合する必要がある。B−Rafが活性化されると、保存されたプロテインキナーゼ触媒コアは、2分子の求核置換を通じて、ATPのγ−リン酸基上の活性化された基質セリン又はスレオニンのヒドロキシル酸素原子の求核攻撃を促進することにより、タンパク質基質をリン酸化する。
BRAFの変異は、非ホジキンリンパ腫、結腸直腸がん、悪性黒色腫、乳頭状甲状腺がん、非小細胞肺がん、肺腺がん、グリア芽細胞腫及び毛様細胞性星細胞腫を含む脳腫瘍を含むがん、ならびにエルドハイムチェスター病などの炎症性疾患で発見されている。変異は、特に黒色腫において、制御不能の増殖を引き起こし得る。例えば、B−RAFのV600E変異は、黒色腫変異遺伝子の細胞増殖を促進することが知られている。そのような変異は、変異体BRAF遺伝子を構成的に活性化し、黒色腫の増殖を促進する。変異B−RAFを阻害することにより、細胞増殖がブロックされ、アポトーシス(制御された細胞死)が誘導される。
そのような潜在的な併用例は、ベムラフェニブ及びダブラフェニブなどのBRAF阻害剤である。これらのBRAF阻害剤は、B−RAFタンパク質を直接阻害する。
AXL陽性腫瘍を標的とするADCとBRAFiを併用すると、一方で、ADCがDNA架橋に依存するメカニズムを介してAXL陽性腫瘍細胞を直接殺傷してアポトーシスを引き起こすが、他方でBRAFiがBRAFの阻害を通じて細胞増殖を妨害するので、有利である。
ADCがBRAFiと相乗的に機能することを示すために、MDA−MB231、NCI−H1299及びSNU12細胞を含むがこれらに限定されないAXL(+)細胞株のパネルを、ADCとBRAFiの両方の濃度範囲で共処理する。陰性対照として、同一の細胞株のパネルを、MEKiの濃度範囲又はADCとビヒクルの濃度範囲で共処理する。インキュベーション後、組み合わせのin vitro細胞毒性はMTSアッセイによって決定される。細胞毒性を決定するために、ウェルごとにMTSを添加し、37℃で4時間インキュベートすることにより、細胞生存率を測定する。未処理の対照と比較して細胞生存パーセンテージを計算する。細胞毒性の相乗効果は、細胞生存率データを、影響を受ける割合に変換し、CalcuSyn分析プログラムを使用して併用指数(表1)を計算することにより計算される。
本開示における二次薬剤としての使用に適した特定のBRAF阻害剤には以下が含まれる:
a)ベムラフェニブ
i.CAS番号→918504−65−1
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
ii.DrugBank参照→DB08881
(https://www.drugbank.ca/を参照されたい)
iii.固有の成分識別子(UNII)→207SMY3FQT
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem−UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい。)
Figure 2020517652
式XXVI:N−(3−{[5−(4−クロロフェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル]カルボニル}−2,4−ジフルオロフェニル)プロパン−1−スルホンアミド[ベムラフェニブ]
b)PLX4720
i.CAS番号→918505−84−7
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
ii.固有の成分識別子(UNII)→EQY31RO8HA
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem−UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい。)
Figure 2020517652
式XXVII:N−(3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロフェニル)プロパン−1−スルホンアミド[PLX4720]
c)ダブラフェニブ
i.CAS番号→1195765−45−7
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
Figure 2020517652
式XXVIII:N−{3−[5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−tert−ブチル−1,3−チアゾール−4−イル]−2−フルオロフェニル}−2,6−ジフルオロベンゼンスルホンアミド[ダブラフェニブ]
d)ソラフェニブ
i.CAS番号→284461−73−0
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
ii.固有の成分識別子(UNII)→9ZOQ3TZI87
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem−UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい。)
Figure 2020517652
式XXIX:4−[4−[[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]カルバモイルアミノ]フェノキシ]−N−メチル−ピリジン−2−カルボキサミド[ソラフェニブ]
e)エンコラフェニブ
i.CAS番号→1269440−17−6
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
ii.固有の成分識別子(UNII)→8L7891MRB6
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem−UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい。)
Figure 2020517652
式XXX:メチル[(2S)−1−{[4−(3−{5−クロロ−2−フルオロ−3−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル}−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)−2−ピリミジニル]アミノ}−2−プロパニル]カルバメート[エンコラフェニブ]
f)GDC0879
i.CAS番号→905281−76−7
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
Figure 2020517652
式XXXI:(E)−2,3−ジヒドロ−5−[1−(2−ヒドロキシエチル)−3−(4−ピリジニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−1H−インデン−1−オンオキシム[GDC0879]
MEKi
本明細書に記載される二次薬剤は、MEK阻害剤であり得る。
「MEK阻害剤」とは、MEK1及び/又はMEK2の活性を低下させる任意の化学化合物又は生体分子を意味する。
ヒトのMEK1は、MAP2K1遺伝子によってコードされている。MEK1は、マイトジェン活性化タンパク質(MAP)キナーゼキナーゼとして機能する二重特異性タンパク質キナーゼファミリーの一員である。細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)としても知られるMAPキナーゼは、複数の生化学シグナルの統合ポイントとして機能する。このプロテインキナーゼは、MAPキナーゼの上流に位置し、さまざまな細胞外及び細胞内シグナルによる活性化時にMAPキナーゼの酵素活性を刺激する。MAPキナーゼシグナル伝達経路の必須コンポーネントとして、このキナーゼは、増殖、分化、転写調節、及び発生などの多くの細胞プロセスに関与している。
ヒトのMEK2は、MAP2K2遺伝子によってコードされている。この遺伝子によってコードされるタンパク質は、MAPキナーゼキナーゼファミリーに属する二重特異性プロテインキナーゼである。このキナーゼは、マイトジェン増殖因子のシグナル伝達に重要な役割を果たすことが知られている。それは、MAPK1/ERK2とMAPK3/ERK1をリン酸化して活性化する。
例えば、MEK活性などの阻害の程度を調べるために、所与の、例えばタンパク質、遺伝子、細胞、又は生物を含む試料又はアッセイを潜在的な活性化剤又は阻害剤で処理し、不活性対照分子で処理した対照試料と比較する。対照試料には、100%の相対活性値が割り当てられる。対照に対する活性値が約90%以下、典型的には85%以下、より典型的には80%以下、最も典型的には75%以下、一般に70%以下、より一般的には65%以下、最も一般的には60%以下、典型的には55%以下、通常は50%以下、より通常は45%以下、最も通常は40%以下、好ましくは35%以下、より好ましくは30%以下、さらにより好ましくは25%以下、最も好ましくは20%未満である場合に阻害が達成される。対照に対する活性値が約110%、一般に少なくとも120%、より一般的には少なくとも140%、より一般的には少なくとも160%、多くの場合少なくとも180%、より多くの場合少なくとも2倍、最も頻繁には少なくとも2.5倍、通常少なくとも5倍、より通常少なくとも10倍、好ましくは少なくとも20倍、より好ましくは少なくとも40倍、最も好ましくは40倍を超えて高くなる場合に活性化が達成される。
適切なMEK阻害剤の例は、トラメチニブ、コビメチニブ、ビニメチニブ及びセルメチニブである。MEK阻害剤は、マイトジェン活性化プロテインキナーゼキナーゼ酵素MEK1及び/又はMEK2を阻害する。MAP/ERK経路の欠陥は、特に黒色腫において、制御不能の増殖を引き起こし得る。
トラメチニブなどの一部のMEK阻害剤は、MEK1及びMEK2を阻害し、BRAFのV600E変異による転移性黒色腫の患者の治療に承認されている。上述のように、V600E変異は、変異体BRAF遺伝子を構成的に活性化し、黒色腫の増殖を促進する。MAP/ERK経路を阻害することにより、細胞増殖がブロックされ、アポトーシス(制御された細胞死)が誘導される。
AXL陽性腫瘍を標的とするADCとMEKiを併用すると、一方で、ADCがDNA架橋に依存するメカニズムを介してAXL陽性腫瘍細胞を直接殺傷してアポトーシスを引き起こすが、他方でMEKiがMAP/ERK細胞シグナル伝達経路の阻害を通じて細胞増殖を妨害するので、有利である。
ADCがMEKiと相乗的に機能することを示すために、MDA−MB231、H1299及びSNU12C細胞を含むがこれらに限定されないAXL(+)細胞株のパネルを、ADCとMEKiの両方の濃度範囲で共処理する。陰性対照として、同一の細胞株のパネルを、MEKiの濃度範囲又はADCとビヒクルの濃度範囲で共処理する。インキュベーション後、組み合わせのin vitro細胞毒性はMTSアッセイによって決定される。細胞毒性を決定するために、ウェルごとにMTSを添加し、37℃で4時間インキュベートすることにより、細胞生存率を測定する。未処理の対照と比較して細胞生存パーセンテージを計算する。細胞毒性の相乗効果は、細胞生存率データを、影響を受ける割合に変換し、CalcuSyn分析プログラムを使用して併用指数を計算することにより計算される。
本開示における二次薬剤としての使用に適した特定のMEK阻害剤には以下が含まれる:
a)トラメチニブ
i.CAS番号→871700−17−3
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
ii.固有の成分識別子(UNII)→33E86K87QN
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem−UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい。)
Figure 2020517652
式XXXII:N−(3−{3−シクロプロピル−5−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−1(2H)−イル}フェニル)アセトアミド
b)コビメチニブ
i.CAS番号→934660−93−2
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
ii.固有の成分識別子(UNII)→ER29L26N1X
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem−UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい。)
Figure 2020517652
式XXXIII:(S)−[3,4−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)フェニル][3−ヒドロキシ−3−(ピペリジン−2−イル)アゼチジン−1−イル]メタノン
c)ビニメチニブ
i.CAS番号→606143−89−9
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
ii.固有の成分識別子(UNII)→181R97MR71
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem−UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい。)
Figure 2020517652
式XXIV:5−((4−ブロモ−2−フルオロフェニル)アミノ)−4−フルオロ−N−(2−ヒドロキシエトキシ)−1−メチル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボキサミド
d)セルメチニブ
i.CAS番号→606143−52−6
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
ii.固有の成分識別子(UNII)→6UH91I579U
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem−UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい。)
Figure 2020517652
式XXXV:6−(4−ブロモ−2−クロロアニリノ)−7−フルオロ−N−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルベンズイミダゾール−5−カルボキサミド
e)PD−325901
i.CAS番号→391210−10−9
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
ii.固有の成分識別子(UNII)→86K0J5AK6M
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem−UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい。)
Figure 2020517652
式XXXVI:N−[(2R)−2,3−ジヒドロキシプロポキシ]−3,4−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−ヨードアニリノ)ベンズアミド
f)Cl−1040
i.CAS番号→212631−79−3
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
ii.固有の成分識別子(UNII)→R3K9Y00J04
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem−UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい。)
Figure 2020517652
式XXXVII:2−[(2−クロロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−N−(シクロプロピルメトキシ)−3,4−ジフルオロベンズアミド
g)PD035901
i.CAS番号→391210−10−9
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
Figure 2020517652
式XXXVIII:PD035901
h)U0126
i.CAS番号→218601−62−8
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
ii.固有の成分識別子(UNII)→8027P94HLL
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem−UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい。)
Figure 2020517652
式XXXIX:1,4−ジアミノ−2,3−ジシアノ−1,4−ビス(2−アミノフェニルチオ)ブタジエン
i)TAK−733
iii.CAS番号→1035555−63−5
(http://www.cas.org/content/chemical−substances/faqsを参照されたい)
iv.固有の成分識別子(UNII)→5J61HSP0QJ
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem−UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい。)
Figure 2020517652
式XL:3−[(2R)−2,3−ジヒドロキシプロピル]−6−フルオロ−5−(2−フルオロ−4−ヨードアニリノ)−8−メチルピリド[2,3−d]ピリミジン−4,7−ジオン
実施形態によっては、BRAFポリペプチドは、Genbank受入番号AAA35609、バージョン番号AAA35609.2、記録更新日時:Jun 23, 2010 09:41 AMに該当する。1つの実施形態において、BRAFポリペプチドをコードする核酸は、Genbank受入番号M95712、バージョン番号M95712.2、記録更新日時:Jun 23, 2010 09:41 AMに該当する。実施形態によっては、BRAFポリペプチドはUniprot/Swiss−Prot受入番号P15056に該当する。
実施形態によっては、MEK1ポリペプチドは、Genbank受入番号AAA36318、バージョン番号AAA36318.1、記録更新日時:Jun 23, 2010 08:48 AMに該当する。1つの実施形態において、MEK1ポリペプチドをコードする核酸は、Genbank受入番号L05624、バージョン番号L05624.1、記録更新日時:Jun 23, 2010 08:48 AMに該当する。実施形態によっては、MEK1ポリペプチドはUniprot/Swiss−Prot受入番号Q02750に該当する。
実施形態によっては、MEK2ポリペプチドは、Genbank受入番号AAH00471、バージョン番号AAH00471.1、記録更新日時:Sep 23, 2014 03:30 PMに該当する。1つの実施形態において、MEK2ポリペプチドをコードする核酸は、Genbank受入番号BC000471、バージョン番号BC000471.2、記録更新日時:Sep 23, 2014 03:30 PMに該当する。実施形態によっては、MEK2ポリペプチドはUniprot/Swiss−Prot受入番号P36507に該当する。
記載された併用の有利な特性
単独の薬剤として単独で使用された場合、ADCと二次薬剤の両方が、例えば、がんの治療において、臨床的有用性を実証した。しかし、本明細書に記載されているように、ADCと二次薬剤の併用は、ADC又は二次薬剤のいずれか単独での治療を超える以下の利点の1つ以上を提供することが期待される:
1)広範囲のがんの効果的な治療;
2)がんなどの抵抗性又は難治性の障害、及び寛解期間後に再発したがんなどの障害を持つ個体の効果的な治療;
3)治療に対する奏効率の増加;及び/又は
4)向上した治療の耐久性。
本明細書で使用される、より広い範囲のがんの効果的な治療は、併用による治療後、より広い範囲の認識されたがんの種類で完全奏功が観察されることを意味する。すなわち、ADC又は二次的薬剤単独に完全に応答すると以前に報告されていないがんの種類から完全奏功が見られる。
本明細書で使用するとき、抵抗性、難治性、又は再発型の効果的な治療とは、併用による治療後、ADC又は二次薬剤単独の治療に対して部分的又は完全に抵抗性又は難治性の個体(例えば、いずれかの薬剤単独による治療後に反応がないか、もしくは部分奏効のみを示す個体、又は障害を再発した個体)で、完全奏功が観察されることを意味する。実施形態によっては、ADC/二次薬剤の併用による治療後の完全奏功は、ADC又は二次薬剤いずれか単独による治療に対して部分的又は完全に抵抗性又は難治性の個体の少なくとも10%で観察される。実施形態によっては、ADC/二次薬剤の併用による治療後の完全奏功が、ADC又は二次薬剤のいずれか単独による治療に対して部分的又は完全に抵抗性又は難治性の個体の少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%で観察される。
本明細書で使用されるとき、治療に対する奏効率の増加とは、個体において、併用治療後、ADC又は二次薬剤のいずれか単独による治療後に観察されるよりも大きな割合で完全奏功が観察されることを意味する。実施形態によっては、ADC/二次薬剤の併用治療後の完全奏功が、治療された個体の少なくとも10%で観察される。実施形態によっては、ADC/二次薬剤の併用治療後の完全奏功が、治療された個体の少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%で観察される。
本明細書で使用されるとき、治療の耐久性の増加とは、併用治療された個体の完全奏効の平均期間が、ADC又は二次薬剤のいずれか単独による治療後に完全奏効を達成する個体よりも長いことを意味する。実施形態によっては、ADC/二次薬剤の併用治療後の完全奏功の平均期間は、少なくとも6か月間である。実施形態によっては、ADC/二次薬剤の併用治療後の完全奏功の平均期間は、少なくとも12か月間、少なくとも18か月間、少なくとも24か月間、少なくとも3年間、少なくとも4年間、少なくとも5年間、少なくとも6年間、少なくとも7年間、少なくとも8年間、少なくとも9年間、少なくとも10年間、少なくとも15年間、又は少なくとも20年間である。
本明細書では、「完全奏功」とは、個体に疾患の臨床的証拠がないことを意味する。証拠は、当該技術分野における適切な方法論、例えば、CTもしくはPETスキャン、又は適切な場合には生検を使用して評価され得る。完全奏功を達成するために必要な投与回数は、1、2、3、4、5、10、又はそれ以上である。実施形態によっては、個体は最初の用量の投与後1年以内、例えば、6か月以内、3か月以内、1か月以内、2週間以内、又は1週間以内で完全奏功を達成する。
治療される障害
本明細書に記載される併用療法として、抗がん活性に関する有用性を持つものが挙げられる。詳細には、特定の態様において、治療法として、PBD薬物部分、すなわち毒素と、複合体形成した、すなわち、リンカーにより毒素と共有結合した抗体が挙げられる。PBD薬物が抗体と複合体形成していない場合、その薬物は、細胞毒性効果を有する。すなわち、PBD薬物部分の生物活性は、抗体と複合体形成することにより調節される。本開示の抗体薬物複合体(ADC)は、有効量の細胞毒性剤を腫瘍組織に選択的に送達し、それにより、より高い選択性を、すなわちより低い有効量を達成することが可能である。
すなわち、1つの態様において、本開示は、治療に使用するための、第1標的タンパク質に結合するADCを投与することを含む併用療法を提供し、この方法は、標的タンパク質の発現に基づいて対象を選択することを含む。
一態様では、本開示は、治療がそのような使用に適していると判断された対象による使用に適していることを明記するラベルを備えた併用療法を提供する。ラベルは、治療が、第1標的タンパク質の過剰発現など、第1標的タンパク質の発現を有する対象での使用に適していることを明記してもよい。ラベルは、対象が特定の種類のがんを持っていることを明記する場合がある。
第1標的タンパク質は、好ましくはAXLである。障害は、増殖性疾患、例えば、乳がん、肺がん、胃がん、頭頸部がん、結腸直腸がん、腎がん、膵臓がん、子宮がん、肝がん、膀胱がん、子宮内膜がん、及び前立腺がん、ならびにリンパ腫(非ホジキンリンパ腫、NHL)及び白血病(特に急性骨髄性白血病、AML)などのがんであってよい。障害は、免疫障害、心血管障害、血栓症、糖尿病、免疫チェックポイント障害、又は斜視(strabmisus)、強皮症、ケロイド、腎性全身性線維症、肺線維症、特発性肺線維症(IPF)、嚢胞性線維症(CF)、全身性硬化症、心臓線維症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、他の種類の肝線維症、原発性胆汁性肝硬変、腎線維症などの線維性障害(線維症)、がん、及びアテローム性動脈硬化であってよい。ラベルは、対象がAXL+のがんを持っていることを明記する場合がある。
さらなる態様において、同じく提供されるのは、増殖性疾患の治療に使用するための、本明細書中記載されるとおりの併用療法である。本開示の別の態様は、増殖性疾患の治療用医薬の製造における複合体化合物の使用を提供する。
当業者なら、候補の併用療法が任意の特定細胞型について増殖性症状を治療するかどうかを、容易に決定することができる。例えば、特定化合物により提供される活性を査定するのに都合良く用いることができるアッセイを、以下に記載する。
本明細書に記載される併用療法は、増殖性疾患を治療するために使用され得る。「増殖性疾患」という用語は、in vitroであるかin vivoであるかに関わらず、望ましくない過剰な又は異常細胞の望ましくない又は制御不能な細胞増殖、例えば、腫瘍性又は過形成増殖に関する。
増殖性症状の例として、良性、前悪性、及び悪性細胞増殖が挙げられるがこれらに限定されず、そのような細胞増殖として、新生物及び腫瘍(例えば、組織球腫、神経膠腫、星細胞腫、骨腫)、がん(例えば、肺がん、小細胞肺がん、消化器がん、腸がん、結腸がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、精巣がん、肝臓がん、腎臓がん、膀胱がん、膵臓がん、脳がん、肉腫、骨肉腫、カポジ肉腫、黒色腫)、リンパ腫、白血病、乾癬、骨疾患、線維増殖性障害(例えば、結合組織のもの)、及び粥状動脈硬化が挙げられるがこれらに限定されない。特に関心が持たれるがんとして、白血病及び卵巣がんが挙げられるがこれらに限定されない。
任意の型の細胞を処置することが可能であり、そのような細胞として、肺、消化管(例えば、腸、結腸を含む)、乳房(乳腺)、卵巣、前立腺、肝臓(肝性)、腎臓(腎性)、膀胱、膵臓、脳、及び皮膚が挙げられるがこれらに限定されない。
特に関心が持たれる障害として、がんが挙げられるがこれらに限定されず、がんとして、転移性がん及び転移性がん細胞、例えば、血液又はリンパなどの体液で循環しているところが見つかる可能性がある、循環腫瘍細胞などが挙げられる。特に関心が持たれるがんとして、以下が挙げられる:乳がん、肺がん、胃がん、頭頚部がん、結腸直腸がん、腎臓がん、膵臓がん、子宮がん、肝臓がん、膀胱がん、子宮内膜がん、及び前立腺がん、ならびにリンパ腫(例えば、非ホジキンリンパ腫、NHL)、及び白血病(特に、急性骨髄性白血病、AML)。
他の目的の障害には、Axlが過剰発現しているいずれかの状態、又はAxl拮抗作用が臨床的利益をもたらすいずれかの状態が含まれる。そのような症状として、免疫不全、心血管障害、血栓症、糖尿病、免疫チェックポイント障害、線維性障害(線維症)、又は増殖性疾患、例えば、がん、詳細には転移性がんが挙げられる。さらに、Axlは、上皮起源の多くのがんにおいて役割を果たすことが知られている。
関心が持たれる線維性障害として、斜視、強皮症、ケロイド、腎性全身性線維症、肺線維症、特発性肺線維症(IPF)、嚢胞性線維症(CF)、全身性硬化症、心線維症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、他の型の肝線維症、原発性胆汁性肝硬変、腎線維症、がん、及びアテローム性動脈硬化が挙げられる。これらの疾患において、組織における線維症の慢性的な進行は、罹患臓器の構造における著しい変化をもたらし、続いて臓器機能の欠陥を引き起こす。臓器への持続的な消耗のこの過程の結果として、線維症を含む多くの疾患はしばしば進行性の状態にあり、そして長期の予後不良を有する(Rockey, D.C., Bell, P.D. and Hill, J.A.(2015), N. Engl. Med., Vol. 372, pp. 1138−1149を参照)。
増殖性疾患は、AXL+veとAXL−ve細胞の両方を含む新生物の存在を特徴とする場合がある。
増殖性疾患は、AXL−ve新生物細胞から構成される新生物の存在を特徴とする場合があり、場合により、AXL−ve新生物細胞はAXL+ve非新生物細胞と関連する。
標的新生物又は新生物細胞は、固形腫瘍の全て又は一部であり得る。
本明細書における「固形腫瘍」は、本明細書でより詳細に論じられるリンパ腫(ホジキンリンパ腫又は非ホジキンリンパ腫)などの固形血液がんを含むと理解されるであろう。
固形腫瘍は、AXL+ve新生物細胞を含むか、又はそれから構成される非血液がんを含む新生物であり得る。固形腫瘍は、AXL+ve免疫抑制性樹状細胞、NK細胞、マクロファージなどのAXL+ve細胞が浸潤した非血液がんを含む新生物であり、そのような固形腫瘍は、AXLの発現を欠く場合がある(すなわち、AXL−ve新生物細胞を含むか、又はそれから構成される)。
本開示の併用療法は、様々な疾患又は障害、例えば、腫瘍抗原の過剰発現を特徴とするものの治療に使用される場合があることが企図される。症状又は過剰増殖障害の例として、良性又は悪性腫瘍;白血病、血液系悪性腫瘍、及びリンパ系悪性腫瘍が挙げられる。他のものとして、神経性障害、グリア細胞障害、星状細胞障害、視床下部障害、腺性障害、マクロファージ障害、上皮障害、間質性障害、胞胚腔障害、炎症性障害、血管原性障害、及び自己免疫障害及び移植片対宿主病(GVHD)を含む免疫障害が挙げられる。
一般に、治療対象となる疾患又は障害は、がんなどの過剰増殖疾患である。本明細書中、治療対象となるがんの例として、細胞腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病又はリンパ系悪性腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない。こうしたがんのより詳細な例として、扁平細胞がん(例えば、扁平上皮がん)、肺がん(小細胞肺がん、非小細胞肺がん、肺腺がん、及び肺扁平上皮がんを含む)、腹膜がん、肝細胞がん、消化器がんを含む胃(gastric)又は胃(stomach)がん、膵がん、神経膠芽細胞腫、子宮頸がん、卵巣がん、肝臓がん、膀胱がん、肝細胞がん、乳がん、結腸がん、直腸がん、結腸直腸がん、子宮内膜又は子宮がん、唾液腺がん、腎臓又は腎性がん、前立腺がん、外陰がん、甲状腺がん、肝性がん、肛門がん、陰茎がん、ならびに頭頚部がんが挙げられる。
治療に併用療法を使用する場合がある自己免疫疾患として、リウマチ障害(例えば、関節リウマチ、シェーグレン症候群、強皮症、SLE及びループス腎炎などのループス、多発性筋炎/皮膚筋炎、低温型グロブリン血症、抗リン脂質抗体症候群、及び乾癬性関節炎など)、変形性関節炎、自己免疫性消化管及び肝臓障害(例えば、炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎及びクローン病など)、自己免疫性胃炎及び悪性貧血、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、ならびにセリアック病など)、血管炎(例えば、チャーグ・ストラウス血管炎、ウェゲナー肉芽腫症、及び多発性動脈炎をはじめとするANCA関連血管炎など)、自己免疫性神経障害(例えば、多発性硬化症、眼球クローヌス・ミオクローヌス運動失調、重症筋無力症、視神経脊髄炎、パーキンソン病、アルツハイマー病、及び自己免疫性多発ニューロパチーなど)、腎性障害(例えば、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、及びベルジェ病など)、自己免疫性皮膚障害(例えば、乾癬、蕁麻疹(urticaria)、蕁麻疹(hives)、尋常性天疱瘡、水疱性類天疱瘡、及び皮膚エリテマトーデスなど)、血液障害(例えば、血小板減少性紫斑病、血栓性血小板減少性紫斑病、輸血後紫斑病、及び自己免疫性溶血性貧血など)、粥状動脈硬化、ぶどう膜炎、自己免疫性聴覚障害(例えば、内耳疾患及び難聴など)、ベーチェット病、レイノー病、臓器移植、移植片対宿主病(GVHD)、ならびに自己免疫性内分泌障害(例えば、糖尿病関連自己免疫疾患、例えば、インスリン依存性糖尿病(IDDM)、アジソン病、及び自己免疫性甲状腺疾患(例えば、グレーブス病及び甲状腺炎)など)が挙げられる。そのような疾患のより好ましいものとして、例えば、関節リウマチ、潰瘍性大腸炎、ANCA関連血管炎、ループス、多発性硬化症、シェーグレン症候群、グレーブス病、IDDM、悪性貧血、甲状腺炎、及び糸球体腎炎が挙げられる。
いくつかの態様では、対象は、例えば、乳がん、肺がん、胃がん、頭頸部がん、結腸直腸がん、腎がん、膵臓がん、子宮がん、肝がん、膀胱がん、子宮内膜がん、及び前立腺がん、ならびにリンパ腫(非ホジキンリンパ腫、NHL)及び白血病(特に急性骨髄性白血病、AML)などのがんから選択される増殖性障害を有する。いくつかの態様では、対象は、免疫障害、心血管障害、血栓症、糖尿病、免疫チェックポイント障害、又は斜視(strabmisus)、強皮症、ケロイド、腎性全身性線維症、肺線維症、特発性肺線維症(IPF)、嚢胞性線維症(CF)、全身性硬化症、心臓線維症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、他の種類の肝線維症、原発性胆汁性肝硬変、腎線維症などの線維性障害(線維症)、がん、及びアテローム性動脈硬化から選択される障害を有する。ラベルは、対象がAXL+のがんを持っていることを明記する場合がある。乳がんとAMLは特に興味深いがんである。
いくつかの態様では、対象は、AXL+veとAXL−ve細胞の両方を含む新生物の存在を特徴とし得る増殖性疾患を有する。
増殖性疾患は、AXL−ve新生物細胞から構成される新生物の存在を特徴とする場合があり、場合により、AXL−ve新生物細胞はAXL+ve非新生物細胞と関連する。
標的新生物又は新生物細胞は、固形腫瘍の全て又は一部であり得る。
本明細書における「固形腫瘍」は、本明細書でより詳細に論じられるリンパ腫(ホジキンリンパ腫又は非ホジキンリンパ腫)などの固形血液がんを含むと理解されるであろう。
固形腫瘍は、AXL+ve新生物細胞を含むか、又はそれから構成される非血液がんを含む新生物であり得る。固形腫瘍は、AXL+ve免疫抑制性樹状細胞、NK細胞、マクロファージなどのAXL+ve細胞が浸潤した非血液がんを含む新生物であってもよく、そのような固形腫瘍は、AXLの発現を欠く場合がある(すなわち、AXL−ve新生物細胞を含むか、又はそれから構成される)。
患者の選択
特定の態様では、個体は、治療が施される前に併用治療による治療に適しているとして選択される。
本明細書で使用されるとき、治療に適していると考えられる個体は、治療から利益を得る、又は治療に応答すると期待される個体である。個体は、がんにかかっている可能性があるか、その疑いがあり得るか、がんになるリスクがあり得る。個体は、がんの診断を受けていてもよい。詳細には、個体は、リンパ腫にかかっている可能性があるか、その疑いがあり得るか、リンパ腫になるリスクがあり得る。場合によっては、個体は、第1標的タンパク質を発現する浸潤細胞などの、第1標的タンパク質を発現する腫瘍関連非腫瘍細胞を有する固形がんを有し得るか、有する疑いがあり得るか、又は有するリスクがあり得る。
いくつかの態様では、個体は、第1標的タンパク質の発現の量又はパターンに基づいて選択される。いくつかの態様では、選択は、細胞表面での第1標的タンパク質の発現に基づく。
特定の態様では、標的は第2標的タンパク質である。いくつかの態様では、選択は、細胞表面での第2標的タンパク質の発現に基づく。
いくつかの態様では、選択は、細胞表面での第1標的タンパク質と第2標的タンパク質の両方のレベルに基づく。
場合によっては、目的の特定の組織における標的の発現が決定される。例えば、リンパ組織又は腫瘍組織の試料中においてである。場合によっては、標的の全身での発現が決定される。例えば、血液、血漿、血清、又はリンパ液などの循環液の試料中においてである。
いくつかの態様では、個体は、試料中の標的発現の存在のために治療に適しているとして選択される。これらの場合、標的発現のない個体は治療に適さないとみなされる可能性がある。
他の態様では、標的発現のレベルを使用して、治療に適した個体を選択する。標的の発現レベルが閾値レベルを超える場合、個人は治療に適していると判断される。
いくつかの態様では、試料中の細胞における第1標的タンパク質及び/又は第2標的タンパク質の存在は、個体がADC及び二次薬剤を含む併用治療に適していることを示す。他の態様では、第1標的タンパク質及び/又は第2標的タンパク質の発現の量は、個体が治療に適していることを示すために閾値レベルを超えなければならない。いくつかの態様では、対照と比較して、試料における第1標的タンパク質及び/又は第2標的タンパク質の局在が変化するという観察は、個体が治療に適していることを示す。
いくつかの態様では、リンパ節又は余分な結節部位から得られた細胞が、IHCによって決定されるときに第1標的タンパク質及び/又は第2標的タンパク質に対する抗体と反応する場合、個体は治療に適していると示される。
いくつかの態様では、試料中の全ての細胞の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%又はそれ以上が第1標的タンパク質を発現している場合、患者は治療に適していると判断される。本明細書に開示されるいくつかの態様では、試料中の細胞の少なくとも10%が第1標的タンパク質を発現する場合、患者は治療に適していると判断される。
いくつかの態様では、試料中の全ての細胞の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%又はそれ以上が第2標的タンパク質を発現している場合、患者は治療に適していると判断される。本明細書に開示されるいくつかの態様では、試料中の細胞の少なくとも10%が第2標的タンパク質を発現する場合、患者は治療に適していると判断される。
第1標的タンパク質は、好ましくはAXLである。
第2標的タンパク質は、PD1、PDL1、GITR、OX40、CTLA、PARPi、MEK1、MEK2、又はBRAFであり得る。第2標的タンパク質は、好ましくはPD−L1である。
試料
試料は、以下を含み得るか、又はそれに由来し得る:一定量の血液;フィブリン血餅と血球の除去後に得られた血液の液体部分を含む可能性がある個体の血液に由来する一定量の血清;一定量の膵液;組織試料もしくは生検;又は前記個体から単離された細胞。
試料は、任意の組織又は体液から採取できる。特定の態様では、試料は、前記個体からの組織試料、生検、切除又は単離細胞を含み得るか、又はそれに由来し得る。
特定の態様では、試料は組織試料である。試料は、がん性腫瘍組織などの腫瘍組織の試料であってもよい。試料は、腫瘍生検によって得られたものでもよい。いくつかの態様では、試料は、リンパ病変試料又はリンパ節生検などのリンパ組織試料である。場合によっては、試料は皮膚生検である。
いくつかの態様では、試料は体液から採取され、より好ましくは体を循環する体液から採取される。したがって、試料は血液試料又はリンパ試料であり得る。場合によっては、試料は尿試料又は唾液試料である。
場合によっては、試料は血液試料又は血液由来の試料である。血液由来の試料は、個体の血液の選択された画分、例えば、選択された細胞含有画分又は血漿もしくは血清画分であり得る。
選択された細胞含有画分は、白血球(WBC)、特に末梢血単核細胞(PBC)及び/又は顆粒球、及び/又は赤血球(RBC)を含み得る、目的の細胞の種類を含み得る。したがって、本開示による方法は、血中、白血球、末梢血単核細胞、顆粒球及び/又は赤血球中の第1標的ポリペプチド又は核酸の検出を含み得る。
試料は新規調製したものでも保存されたものでもよい。例えば、保存された組織は、個体の最初の診断、又は再発時の生検からのものであり得る。特定の態様では、試料は新規調製された生検である。
第1標的ポリペプチドは、好ましくはAXLである。
個体の状態
個体は、動物、哺乳類、有胎盤哺乳類、有袋類(例えば、カンガルー、マーモット)、単孔類(例えば、カモノハシ)、齧歯類(例えば、モルモット、ハムスター、ラット、マウス)、マウス類(例えば、マウス)、ウサギ類(例えば、ウサギ)、鳥類(例えば、トリ)、イヌ類(例えば、イヌ)、ネコ類(例えば、ネコ)、ウマ類(例えば、ウマ)、ブタ類(例えば、ブタ)、ヒツジ類(例えば、ヒツジ)、ウシ類(例えば、ウシ)、霊長類、真猿類(例えば、サル又は類人猿)、サル類(例えば、マーモセット、ヒヒ)、類人猿(例えば、ゴリラ、チンパンジー、オランウータン、テナガザル)、又はヒトであってよい。
そのうえさらに、個体は、その発育形態のいずれの場合もあり、例えば、胎児の場合もある。1つの好適な実施形態において、個体は、ヒトである。「対象」、「患者」及び「個体」という用語は、本明細書では交換可能に使用される。
場合によっては、AXL+ve細胞とAXL−ve細胞の両方を含む新生物の存在を特徴とする増殖性疾患を患っているか、持っていると疑われるか、又は診断を受けている。新生物は、AXL−ve新生物細胞から構成される場合があり、場合により、AXL−ve新生物細胞はAXL+ve非新生物細胞と関連する。標的新生物又は新生物細胞は、固形腫瘍の全て又は一部であり得る。固形腫瘍は、AXL+ve新生物細胞を含むか、又はそれから構成される非血液がんを含む新生物であり得る。固形腫瘍は、AXL+ve免疫抑制性樹状細胞、NK細胞、又はマクロファージなどのAXL+ve細胞が浸潤した非血液がんを含む新生物であってよく、そのような固形腫瘍は、AXLの発現を欠く場合がある(すなわち、AXL−ve新生物細胞を含むか、又はそれから構成される)。
本明細書に開示されるいくつかの態様では、個体は、がんを有するか、又は有すると疑われるか、又はがんのリスクがあると同定されている。本明細書に開示されるいくつかの態様では、個体はすでにがんの診断を受けている。個体は、例えば、乳がん、肺がん、胃がん、頭頸部がん、結腸直腸がん、腎がん、膵臓がん、子宮がん、肝がん、膀胱がん、子宮内膜がん、及び前立腺がん、ならびにリンパ腫(非ホジキンリンパ腫、NHL)及び白血病(特に急性骨髄性白血病、AML)などのがんの診断を受けている場合がある。乳がんとAMLは特に興味深いがんである。
本明細書に開示されるいくつかの態様では、個体は、免疫障害、心血管障害、血栓症、糖尿病、免疫チェックポイント障害、又は斜視(strabmisus)、強皮症、ケロイド、腎性全身性線維症、肺線維症、特発性肺線維症(IPF)、嚢胞性線維症(CF)、全身性硬化症、心臓線維症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、他の種類の肝線維症、原発性胆汁性肝硬変、腎線維症などの線維性障害(線維症)、がん、及びアテローム性動脈硬化を有するか、又は有すると疑われるか、又はそのリスクがあると同定されているか、又はその診断を受けている。
場合によっては、個体はAXL+発現浸潤細胞を含む固形がんの診断を受けている。
個体は、そのがんの治療的処置を受けているか、又は受けていた可能性がある。対象は、以前にADC×AXLを投与されていてもいなくてもよい。場合によっては、がんは乳がん又はAMLである。
対照
いくつかの態様では、個体における標的発現は、対照における標的発現と比較される。対照は、染色の有効性をサポートし、実験のアーティファクトを同定するのに役立つ。
場合によっては、対照は参照試料又は参照データセットであってもよい。参照は、既知の適合度を持つ個体から以前に取得した試料であってもよい。参照は、参照試料の分析から取得されたデータセットであってもよい。
対照は、標的分子が存在するか、高レベルで発現することが知られている陽性対照、又は標的分子が存在しないか低レベルで発現することが知られている陰性対照であり得る。
対照は、治療の恩恵を受けることが知られている個体由来の組織の試料であってもよい。組織は、試験される試料と同一のタイプのものであり得る。例えば、個体からの腫瘍組織の試料は、治療に以前に応答した個体など、治療に適していることが知られている個体からの腫瘍組織の対照試料と比較されてもよい。
場合によっては、対照は試験試料と同じ個体から得られた試料であってもよいが、健康であることが知られている組織に由来する。したがって、個体からのがん組織の試料は、非がん組織試料と比較され得る。
場合によっては、対照は細胞培養試料である。
場合によっては、抗体とのインキュベーションの前に試験試料を分析して、その試料に固有のバックグラウンド染色のレベルを決定する。
場合によっては、アイソタイプ対照が使用される。アイソタイプ対照は、標的特異的抗体と同じクラスであるが、試料とは免疫反応しない抗体を使用する。そのような対照は、標的特異的抗体の非特異的相互作用を区別するのに役立つ。
この方法には、検査結果の正確な解釈を保証するために、形態学及び免疫組織化学の血液病理学者による解釈が含まれる場合がある。この方法は、発現のパターンが予想されるパターンと相関していることの確認を伴う場合がある。例えば、第1標的タンパク質及び/又は第2標的タンパク質の発現の量が分析される場合、この方法は、試験試料において細胞質成分を伴う膜染色として発現が観察されることの確認を含み得る。この方法は、標的シグナル対ノイズの比が閾値レベルを超えていることを確認することを含み、それにより、特異的なシグナルと非特異的なバックグラウンドシグナルとを明確に区別することができる。
第1標的タンパク質は、好ましくはAXLである。
第2標的タンパク質は、PD1、PDL1、GITR、OX40、CTLA、PARPi、MEK1、MEK2、又はBRAFであり得る。第2標的タンパク質は、好ましくはPD−L1である。
治療方法
「治療」という用語は、症状の治療の文脈において本明細書中使用される場合、ヒトであるか動物であるか(例えば、獣医学用途において)に関わらず、概して、ある所望の治療効果、例えば、症状の増悪の阻害などが達成される治療及び療法に関し、この用語は、増悪の速度の低下、増悪の速度の停止、症状の退行、症状の寛解、及び症状の治癒を含む。予防的手段としての治療(すなわち、予防、防止)も含まれる。
「治療上有効量」又は「有効量」という用語は、本明細書中使用される場合、所望の治療レジメンに従って投与した場合に、ある所望の治療効果を生じるのに有効であり、合理的なベネフィット/リスクに見合った、活性化合物、又は活性化合物を含む材料、組成物、もしくは剤型の量に関する。
同様に、「予防上有効量」という用語は、本明細書中使用される場合、所望の治療レジメンに従って投与した場合に、ある所望の予防効果を生じるのに有効であり、合理的なベネフィット/リスクに見合った、活性化合物、又は活性化合物を含む材料、組成物、もしくは剤型の量に関する。
本明細書では、治療方法が開示されている。同じく提供されるのは、治療方法であり、本方法は、治療を必要としている対象に、治療上有効量のADC及び二次薬剤を投与することを含む。「治療上有効量」という用語は、対象に対して有益性を示すのに十分な量である。そのような有益性は、少なくとも1種の症候の少なくとも改善である場合がある。投与される実際量、ならびに投与の速度及び時間経過は、治療されるものの性質及び重篤度に依存することになる。治療の処方、例えば、投薬量の決定は、一般開業医及び他の臨床医師の担当範囲に含まれる。対象は、本明細書に開示される方法による治療を受ける適格性を判定するために試験された可能性がある。治療方法は、本明細書に開示される方法を使用して、対象が治療に適格であるかどうかを判定するステップを含み得る。
ADCは、抗AXL抗体を含んでもよい。ADCは、PBD二量体である薬物を含んでもよい。ADCは、抗AXL−ADC、特にADC×AXLであってよい。ADCは、GB1702029.8、GB1719906.8、又はPCT/EP2018/053163に開示されているADCであってよい。
二次薬剤は以下であり得る:
(a)ペンブロリズマブ、ニボルマブ、MEDI0680、PDR001(スパルタリズマブ)、カムレリズマブ、AUNP12、ピジリズマブ、セミプリマブ(REGN−2810)、AMP−224、BGB−A317(チスレリズマブ)、もしくはBGB−108などのPD1アンタゴニスト;
(b)アテゾリズマブ(テセントリク)、BMS−936559/MDX−1105、デュルバルマブ/MEDI4736、もしくはMSB0010718C(アベルマブ)などのPD−L1アンタゴニスト;
(c)MEDI1873、TRX518、GWN323、MK−1248、MK−4166、BMS−986156、もしくはINCAGN1876などのGITR(グルココルチコイド誘導TNFR関連タンパク質)アゴニスト;
(d)MEDI0562、MEDI6383、MOXR0916、RG7888、OX40mAb24、INCAGN1949、GSK3174998、もしくはPF−04518600などのOX40アゴニスト;
(e)イピリムマブ(ブランド名ヤーボイ)もしくはトレメリムマブ(当初はPfizerが開発、現在はMedimmune)などのCTLA−4アンタゴニスト;
(f)フルダラビンもしくはシタラビン;
(g)シチジン類似体などの低メチル化剤−例えば、5−アザシチジン(アザシチジン)及び5−アザ−2’−デオキシシチジン(デシタビン);又は
(h)オラパリブ、CEP−9722、BMN−673/タラゾパリブ、ルカパリブ、イニパリブ/SAR24−550/BSI−201、ベリパリブ(ABT−888)、ニラパリブ/MK−4827、BGB−290、3−アミノベンズアミド、及びE7016などのPARP阻害剤(PARPi);
(i)ゲムシタビンやタモキシフェンなどのHER2発現を上方制御する薬剤;
(j)BGB324(ベンセンチニブ)、TP0903、ギルテリチニブ(ASP2215)、カボザンチニブ(XL184)、SGI7079、メレスチニブ、アムバチニブ(MP−470)、ボスチニブ(SKI−606)、MGCD265、及びフォレチニブ(GSK1363089/XL880)などのAXLキナーゼ阻害剤(AXLi);
(k)ベムラフェニブ、PLX4720、ダブラフェニブ、ソラフェニブ、エンコラフェニブ、及びGDC0879などのBRAF阻害剤(BRAFi);又は
(l)トラメチニブ、コビメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、PD−325901、Cl−1040、PD035901、U0126、及びTAK−733などのMEK阻害剤(MEKi)。
治療は、単独、又は治療される状態に応じて同時又は逐次のいずれかでの他の治療とさらに併用する、ADC/二次薬剤の併用投与を含んでもよい。治療及び療法の例として、化学療法(例えば、化学療法剤などの薬物をはじめとする活性作用剤の投与);手術;及び放射線療法が挙げられるが、これらに限定されない
「化学療法薬」とは、作用機序に関わらず、がんの治療に有用な化学合成物質である。化学療法薬のクラスとして、以下が挙げられるが、これらに限定されない:アルキル化剤、代謝拮抗剤、紡錘体毒植物アルカロイド、細胞毒性/抗腫瘍抗生物質、トポイソメラーゼ阻害剤、抗体、光増感剤、及びキナーゼ阻害剤。化学療法薬として、「標的治療」及び従来の化学療法に使用される化合物が挙げられる。
化学療法薬の例として、以下が挙げられる:レナリドマイド(レブリミド(登録商標)、Celgene)、ボリノスタット(ゾリンザ(登録商標)、Merck)、パノビノスタット(FARYDAK(登録商標)、Novartis)、モセチノスタット(MGCD0103)、エベロリムス(ZORTRESS(登録商標)、CERTICAN(登録商標)、Novartis)、ベンダムスチン(TREAKISYM(登録商標)、RIBOMUSTIN(登録商標)、LEVACT(登録商標))、TREANDA(登録商標)、Mundipharma International)、エルロチニブ(タルセバ(登録商標)、Genentech/OSI Pharm.)、ドセタキセル(タキソテール(登録商標)、Sanofi−Aventis)、5−FU(フルオロウラシル、5−フルオロウラシル、CAS No.51−21−8)、ゲムシタビン(ジェムザール(登録商標)、Lilly)、PD−0325901(CAS No.391210−10−9、Pfizer)、シスプラチン(cis−ジアミン、ジクロロ白金(II)、CAS No.15663−27−1)、カルボプラチン(CAS No.41575−94−4)、パクリタキセル(タキソール(登録商標)、Bristol−Myers Squibb Oncology、Princeton、N.J.)、トラスツズマブ(ハーセプチン(登録商標)、Genentech)、テモゾロミド(4−メチル−5−オキソ−2,3,4,6,8−ペンタアザビシクロ[4.3.0]ノナ−2,7,9−トリエン−9−カルボキサミド、CAS No.85622−93−1、テモダール(TEMODAR)(登録商標)、テモダール(TEMODAL)(登録商標)、Schering Plough)、タモキシフェン((Z)−2−[4−(1,2−ジフェニルブタ−1−エニル)フェノキシ]−N,N−ジメチルエタンアミン、ノルバデックス(登録商標)、ISTUBAL(登録商標)、VALODEX(登録商標))、及びドキソルビシン(アドリアマイシン(登録商標))、Akti−1/2、HPPD、及びラパマイシン。
化学療法薬のさらなる例として、以下が挙げられる:オキサリプラチン(エロキサチン(ELOXATIN)(登録商標)、Sanofi)、ボルテゾミブ(ベルケイド(登録商標)、Millennium Pharm.)、スーテント(スニチニブ(登録商標)、SU11248、Pfizer)、レトロゾール(フェマーラ(登録商標)、Novartis)、イマチニブメシル酸塩(グリベック(登録商標)、Novartis)、XL−518(MEK阻害剤、Exelixis、WO2007/044515)、ARRY−886(MEK阻害剤、AZD6244、Array BioPharma、Astra Zeneca)、SF−1126(PI3K阻害剤、Semafore Pharmaceuticals)、BEZ−235(PI3K阻害剤、Novartis)、XL−147(PI3K阻害剤、Exelixis)、PTK787/ZK222584(Novartis)、フルベストラント(フェソロデックス(登録商標)、AstraZeneca)、ロイコボリン(フォリン酸)、ラパマイシン(シロリムス、ラパミューン(登録商標)、Wyeth)、ラパチニブ(TYKERB(登録商標)、GSK572016、Glaxo Smith Kline)、ロナファルニブ(SARASAR(商標)、SCH66336、Schering Plough)、ソラフェニブ(ネクサバール(登録商標)、BAY43−9006、Bayer Labs)、ゲフィチニブ(イレッサ(登録商標)、AstraZeneca)、イリノテカン(カンプトサール(CAMPTOSAR)(登録商標)、CPT−11、Pfizer)、チピファルニブ(ザルネストラ(ZARNESTRA)(商標)、Johnson & Johnson)、アブラキサン(商標)(クレモホールを含まない)、すなわちパクリタキセルのアルブミン改変ナノ粒子製剤(American Pharmaceutical Partners、Schaumberg、Il)、バンデタニブ(rINN、ZD6474、ザクティマ(ZACTIMA)(登録商標)、AstraZeneca)、クロラムブシル、AG1478、AG1571(SU5271;Sugen)、テムシロリムス(トーリセル(登録商標)、Wyeth)、パゾパニブ(GlaxoSmithKline)、カンホスファミド(TELCYTA(登録商標)、Telik)、チオテパ及びシクロホスファミド(シトキサン(登録商標)、NEOSAR(登録商標));スルホン酸アルキル、例えば、ブスルファン、インプロスルファン、及びピポスルファンなど;アジリジン、例えば、benzodopa、カルボコン、meturedopa、及びuredopaなど;エチレンイミン及びメチラメラミン(methylamelamine)、例えばアルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド、及びトリメチロメラミンなど;アセトゲニン(特に、ブラタシン及びブラタシノン(bullatacinone));カンプトテシン(合成類似体トポテカンを含む);ブリオスタチン;callystatin;CC−1065(その合成類似体であるアドゼレシン、カルゼレシン、及びビゼレシンを含む);クリプトフィシン(特に、クリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;ディオカルマイシン(合成類似体である、KW−2189及びCB1−TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチイン;スポンギスタチン;ナイトロジェンマスタード、例えば、クロラムブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノブエンビキン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロフォスファミド、ウラシルマスタードなど;ニトロソ尿素、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、及びラニムスチンなど;抗生物質、例えば、エンジイン抗生物質など(例えば、カリチアマイシン、カリチアマイシンガンマ1I、カリチアマイシンオメガI1(Angew Chem. Intl. Ed. Engl.(1994)33:183−186);ジネマイシン、ジネマイシンA;ビスホスホナート、例えば、クロドロネートなど;エスペラマイシン;ならびにネオカルジノスタチン発色団及び関連する色素タンパク質エンジイン抗生物質発色団など)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アントラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアザ−5−オキソ−L−ノルロイシン、モルホリノ−ドキソルビシン、シアノモルホリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシン、及びデオキシドキソルビシン)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、ネモルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、例えばマイトマイシンCなど、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメックス、ジノスタチン、ゾルビシン;抗代謝産物、例えば、メトトレキセート及び5−フルオロウラシル(5−FU)など;葉酸類似体、例えば、デノプテリン、メトトレキセート、プテロプテリン、トリメトレキセートなど;プリン類似体、例えば、フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなど;ピリミジン類似体、例えば、アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフル、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジンなど;アンドロゲン、例えば、カルステロン、ドロモスタノロンプロピオン酸塩、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなど;抗副腎皮質薬、例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補充剤、例えば、フォリン酸など;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトレキサート;デフォファミン(defofamine);デメコルチン;ジアジコン;エルフォルニチン;エリプチニウム酢酸塩(elliptinium acetate);エポシロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン(lonidainine);マイタンシノイド、例えば、マイタンシン及びアンサミトシンなど;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラエリン(nitraerine);ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖複合体(JHS Natural Products、Eugene、OR);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2’’−トリクロロトリエチルアミン;トリコテンセン(特に、T−2トキシン、ベラクリン(verracurin)A、ロリジンA、及びアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara−C」);シクロホスファミド;チオテパ;6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;白金類似体、例えば、シスプラチン及びカルボプラチンなど;ビンブラスチン;エトポシド(VP−16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン(ナベルビン(登録商標));ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;カペシタビン(ゼローダ(登録商標)、Roche);イバンドロネート;CPT−11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイド、例えば、レチノイン酸など;ならびに上記のいずれかのものの薬学上許容される塩、酸、及び誘導体。CHP(ドキソルビシン、プレドニゾン、シクロホスファミド)又はCHOP(ドキソルビシン、プレドニゾン、シクロホスファミド、ビンクリスチン)などの薬剤と併用してもよい。
同じく「化学療法薬」の定義に含まれるのは、以下のものである:(i)腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害するように作用する抗ホルモン剤、例えば、抗エストロゲン薬及び選択的エストロゲン受容体修飾薬(SERM)など、そのような抗ホルモン剤として、例えば、タモキシフェン(ノルバデックス(登録商標);タモキシフェンクエン酸塩を含む)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、及びフェアストン(登録商標)(トレミフェンクエン酸塩)などが挙げられる;(ii)副腎でのエストロゲン産生を調節する酵素、アロマターゼを阻害する、アロマターゼ阻害剤、例えば、4(5)−イミダゾール、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標)(酢酸メゲストロール)、アロマシン(登録商標)(エキセメスタン;Pfizer)、ホルメスタン、ファドロゾール、RIVISOR(登録商標)(ボロゾール)、フェマーラ(登録商標)(レトロゾール;Novartis)、及びアリミデックス(登録商標)(アナストロゾール;AstraZeneca)など;(iii)抗アンドロゲン剤、例えば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、及びゴセレリンなど;ならびに、トロキサシタビン(1,3−ジオキソランヌクレオシドシトシン類似体);(iv)タンパク質キナーゼ阻害剤、例えば、MEK阻害剤(WO 2007/044515);(v)脂質キナーゼ阻害剤;(vi)アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に、異所細胞増殖に関係付けられるシグナル伝達経路における遺伝子発現を阻害するもの、例えば、PKC−アルファ、Raf、及びH−Ras、例えば、オブリメルセン(ゲナセンス(登録商標)、Genta Inc.)など;(vii)リボザイム、例えば、VEGF発現阻害剤(例えば、ANGIOZYME(登録商標))など、及びHER2発現阻害剤;(viii)ワクチン、例えば、遺伝子治療ワクチン、例えば、アロベクチン(登録商標)、LEUVECTIN(登録商標)、及びVAXID(登録商標)など;PROLEUKIN(登録商標)rIL−2;トポイソメラーゼ1阻害剤、例えば、ルルトテカン(登録商標)など;アバレリックス(登録商標)rmRH;(ix)血管新生阻害剤、例えば、ベバシズマブ(アバスチン(登録商標)、Genentech);ならびに上記のいずれかのものの薬学上許容される塩、酸、及び誘導体。
同じく「化学療法薬」の定義に含まれるのは、治療用抗体、例えば、アレムツズマブ(キャンパス)、ベバシズマブ(アバスチン(登録商標)、Genentech);セツキシマブ(アービタックス(登録商標)、Imclone);パニツムマブ(ベクティビックス(登録商標)、Amgen)、リツキシマブ(リツキサン(登録商標)、Genentech/Biogen Idec)、オファツムマブ(アーゼラ(登録商標)、GSK)、ペルツズマブ(パージェタ(商標)、OMNITARG(商標)、2C4、Genentech)、トラスツズマブ(ハーセプチン(登録商標)、Genentech)、トシツモマブ(ベキサール、Corixia)、MDX−060(Medarex)及び抗体薬物複合体である、ゲムツズマブオゾガマイシン(マイロターグ(登録商標)、Wyeth)などである。
本開示の複合体との併用で化学療法薬としての治療可能性があるヒト化モノクローナル抗体として、以下が挙げられる:アレムツズマブ、アポリズマブ、アセリズマブ(aselizumab)、アトリズマブ、バピノイズマブ、ベバシズマブ、ビバツズマブメルタンシン(bivatuzumab mertansine)、カンツズマブメルタンシン、セデリズマブ、セルトリズマブペゴール、シドフシツズマブ(cidfusituzumab)、シドツズマブ(cidtuzumab)、ダクリズマブ、エクリズマブ、エファリズマブ、エプラツズマブ、エルリズマブ、フェルビズマブ、フォントリズマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン、イノツズマブオゾガマイシン、イピリムマブ、ラベツズマブ、リンツズマブ、マツズマブ、メポリズマブ、モタビズマブ、モダビズマブ、ナタリズマブ、ニモツズマブ、ノロビズマブ(nolovizumab)、ヌマビズマブ(numavizumab)、オクレリズマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パスコリズマブ、ペクフシツズマブ(pecfusituzumab)、ペクツズマブ(pectuzumab)、ペルツズマブ、ペキセリズマブ、ラリビズマブ(ralivizumab)、ラニビズマブ、レスリズマブ、レスリズマブ、レシビズマブ(resyvizumab)、ロベリズマブ、ルプリズマブ、シブロツマブ(sibrotuzumab)、シプリズマブ、ソンツズマズ(sontuzumab)、タカツズマブテトラキセタン、タドシズマブ、タリズマブ、テフィバズマブ、トシリズマブ、トラリズマブ、トラスツズマブ、ツコツズマブセルモロイキン(tucotuzumab celmoleukin)、ツクシツズマブ、オマリズマブ、ウルトキサズマブ、及びビジリズマブ。
本開示による組成物は、好ましくは医薬組成物である。本開示による、及び本開示に従った使用のための医薬組成物は、活性成分、すなわち複合体化合物の他に、薬学上許容される賦形剤、キャリア、緩衝剤、安定化剤、又は当業者に周知の他の材料を含むことができる。そのような材料は、無毒でなければならず、また、活性成分の効力に干渉してはならない。キャリア又は他の材料の正確な性質は、投与経路に依存することになり、投与経路は、経口又は注射、例えば、皮膚、皮下、もしくは静脈内注射による場合がある。
経口投与用の医薬組成物は、錠剤、カプセル剤、散剤、又は液剤の形状をしている場合がある。錠剤は、固形キャリア又はアジュバントを含むことができる。液状医薬組成物は、一般に、水、石油、動物油もしくは植物油、鉱物油、又は合成油などの液状キャリアを含む。生理食塩水溶液、ブドウ糖もしくは他の糖溶液、又はエチレングリコール、プロピレングリコール、もしくはポリエチレングリコールなどのグリコールを含ませることができる。カプセル剤は、ゼラチンなどの固形キャリアを含むことができる。
静脈内、皮膚、もしくは皮下注射、又は患部への注射用の場合、活性成分は、非経口で許容可能な水性液剤の形状をとることになり、この液剤は、パイロジェンを含まず、かつ適切なpH、等張性、及び安定性を有する。当業者なら、例えば、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、乳酸リンゲル注射液などの等張性ビヒクルを用いて、適切な液剤を調製することが十分可能である。保存剤、安定化剤、緩衝剤、抗酸化剤、及び/又は他の添加剤を、必要に応じて含ませることができる。
投薬量
当業者には当然のことながら、ADC及び/又は二次薬剤、及びこれらの有効成分を含む組成物の適切な投薬量は、対象ごとに異なる可能性がある。最適な投薬量の決定は、一般に、治療効果のレベルとあらゆるリスク又は危険な副作用との兼ね合いが関与することになる。選択される投薬量レベルは、様々な要因に依存することになり、そのような要因として、特定化合物の活性、投与経路、投与時間、化合物の排泄速度、治療期間、併用される他の薬物、化合物、及び/又は材料、症状の重篤度、ならびに対象の種族、性別、年齢、体重、状態、全身の健康状態、及び以前の治療歴が挙げられるが、これらに限定されない。化合物の量及び投与経路は、最終的に、医師、獣医師、又は臨床医の判断に任されることになるが、一般に、投薬量は、実質的に有害な又は危険な副作用を引き起こすことなく所望の効果を達成する局所濃度を作用部位で達成するように選択されることになる。
特定の態様では、ADCの投薬量は、対象から得られた試料で観察される第1標的タンパク質の発現によって決定される。したがって、試料中の第1標的タンパク質の発現のレベル又は局在は、より高い又はより低い用量のADCが必要であることを示し得る。例えば、第1標的タンパク質の高い発現レベルは、より高い用量のADCが適切であることを示している可能性がある。場合によっては、第1標的タンパク質の高い発現レベルは、ADCに加えて別の薬剤の投与の必要性を示している可能性がある。たとえば、化学療法薬と併用したADCの投与である。第1標的タンパク質の高い発現レベルは、より積極的な治療法を示している可能性がある。
特定の態様では、二次薬剤の投薬量は、対象から得られた試料で観察される第2標的タンパク質の発現によって決定される。したがって、試料中の第2標的タンパク質の発現のレベル又は局在は、より高い又はより低い用量の二次薬剤が必要であることを示し得る。例えば、第2標的タンパク質の高い発現レベルは、より高い用量の二次薬剤が適切であることを示している可能性がある。場合によっては、第2標的タンパク質の高い発現レベルは、二次薬剤に加えて別の薬剤の投与の必要性を示している可能性がある。たとえば、化学療法薬と併用した二次薬剤の投与である。第2標的タンパク質の高い発現レベルは、より積極的な治療法を示している可能性がある。
特定の態様では、投薬量レベルは、対象から得られた試料中の新生物細胞における第1標的タンパク質の発現によって決定される。例えば、標的新生物が、第1標的タンパク質を発現する新生物細胞で構成されるか、又は含む場合である。
特定の態様では、投薬量レベルは、標的新生物に関連する細胞における第1標的タンパク質の発現によって決定される。例えば、標的新生物は、第1標的タンパク質を発現する新生物細胞から構成されるか、又は含む固形腫瘍であり得る。例えば、標的新生物は、第1標的タンパク質を発現しない新生物細胞から構成されるか、又は含む固形腫瘍であり得る。第1標的タンパク質を発現する細胞は、標的新生物に関連する新生物細胞又は非新生物細胞であり得る。例えば、第1標的タンパク質を発現する細胞は、第1標的タンパク質を発現しない新生物細胞を含むか又はそれから構成される固形腫瘍に浸潤する細胞であり得る。
投与は、一つの用量で実現可能であり、その用量は治療課程を通じて連続的又は断続的(例えば、適切な間隔を開けた分割用量)である。投与の最も効果的な手段及び投薬量を決定する方法は、当業者に周知であり、治療に使用される配合物、治療目的、治療される標的細胞(複数可)、及び治療される対象に合わせて変化することになる。一回又は複数投与は、担当医師、獣医師、又は臨床医により選択された用量レベル及びパターンに合わせて行うことができる。
一般に、各々の活性化合物の適切な用量は、1日あたり、対象の体重1キログラムあたり、約100ng〜約25mg(より典型的には、約1μg〜約10mg)の範囲にある。活性化合物が、塩、エステル、アミド、プロドラッグなどである場合、投与される量は、親化合物に基づいて計算され、そのため使用される実際の重量は、比例して増加する。
1つの実施形態において、各々の活性化合物は、以下の投薬レジメに従ってヒト対象に投与される:約100mg、1日3回。
1つの実施形態において、各々の活性化合物は、以下の投薬レジメに従ってヒト対象に投与される:約150mg、1日2回。
1つの実施形態において、各々の活性化合物は、以下の投薬レジメに従ってヒト対象に投与される:約200mg、1日2回。
しかしながら、1つの実施形態において、各々の複合体化合物は、以下の投薬レジメに従ってヒト対象に投与される:約50又は約75mg、1日3回又は4回。
1つの実施形態において、複合体化合物は、以下の投薬レジメに従ってヒト対象に投与される:約100又は約125mg、1日2回。
ADCを有するPBDであるADCに関して、上記の投薬量は、複合体(PBD部分及び抗体と接続するリンカーを含む)又は提供される有効量のPBD化合物に適用することができ、例えば、化合物の量は、リンカー切断後に放出可能な量である。
第1標的タンパク質は、好ましくはAXLである。ADCは、抗AXL抗体を含んでもよい。ADCは、PBD二量体である薬物を含んでもよい。ADCは、抗AXL−ADC、特にADC×AXLであってよい。ADCは、GB1702029.8、GB1719906.8、及びPCT/EP2018/053163に開示されているADCであってよい。
二次薬剤は、PD1アンタゴニストであってよい。適切なPD1アンタゴニストには、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、MEDI0680、PDR001、カムレリズマブ、AUNP12、ピジリズマブREGN−2810、及びBGB−108が含まれる。
抗体
「抗体」という用語は、本明細書中、最も広義の意味で用いられ、具体的には、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、二量体、多量体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、無傷抗体(「全長」抗体としても記載される)、及び抗体断片を包含するが、ただし、それらが所望の生物活性を示す、例えば、第1標的タンパク質に結合する能力を持つ限りにおいてである(Miller et al (2003) Jour. of Immunology 170:4854−4861)。抗体は、マウス抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、又はウサギ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、もしくはラクダなどの他の種由来抗体が可能である。
抗体とは、免疫系により産生される、特定の抗原を認識してそれに結合することができるタンパク質である。(Janeway, C., Travers, P., Walport, M., Shlomchik(2001)Immuno Biology, 5th Ed., Garland Publishing, New York)。標的抗原は、一般に、複数の抗体の相補性決定領域(CDR)で認識される多数の結合部位(エピトープとも呼ばれる)を有する。異なるエピトープに特異的に結合する抗体は、それぞれ異なる構造を有する。すなわち、1つの抗原は、1つより多い対応する抗体を有する可能性がある。抗体は、全長免疫グロブリン分子又は全長免疫グロブリン分子の免疫学的活性部分、すなわち、関心対象の標的の抗原に免疫特異的に結合する抗原結合部位又はその一部分を有する分子を含み得、そのような標的として、がん細胞又は自己免疫疾患に関連した自己免疫抗体を産生する細胞が挙げられるが、これらに限定されない。免疫グロブリンは、任意の型(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、及びIgA)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)、又はサブクラス、あるいはアロタイプ(例えば、ヒトG1m1、G1m2、G1m3、非G1m1[これは、G1m1以外の任意のアロタイプである]、G1m17、G2m23、G3m21、G3m28、G3m11、G3m5、G3m13、G3m14、G3m10、G3m15、G3m16、G3m6、G3m24、G3m26、G3m27、A2m1、A2m2、Km1、Km2、及びKm3)の免疫グロブリン分子が可能である。免疫グロブリンは、任意の種由来のものが可能であり、ヒト、マウス、又はウサギ起原が挙げられる。
「抗体断片」は、全長抗体の一部分、一般には全長抗体の抗原結合領域又は可変領域を含む。抗体断片の例として、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びscFv断片;二重特異性抗体;線状抗体;Fab発現ライブラリーにより産生される断片、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、CDR(相補性決定領域)、及び上記のもののいずれかの、がん細胞抗原、ウイルス抗原、又は微生物抗原に免疫特異的に結合するエピトープ結合断片、単鎖抗体分子;ならびに、抗体断片から形成される多特異性抗体が挙げられる。
「モノクローナル抗体」という用語は、本明細書中使用される場合、実質的に同種の抗体の集団、すなわち集団を構成する個々の抗体が、自然発生する可能性のある変異を除いて同一であり、そのような変異が存在したとしても少数である集団から得られる抗体を示す。モノクローナル抗体は、特異性が高く、単独の抗原部位に向けられている。そのうえさらに、ポリクローナル抗体製剤が、異なる決定基(エピトープ)に向けられた異なる抗体を含むのとは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原の単独の決定基に向けられている。モノクローナル抗体は、その特異性に加えて、他の抗体が混入することなく合成できるという利点を有する。「モノクローナル」という修飾語は、抗体が、実質的に同種の抗体集団から得られたものであるという特徴を示すものであって、抗体の産生が何か特定の方法による必要があることを意図しない。例えば、本開示に従って使用されるモノクローナル抗体は、Kohler et al(1975)Nature 256:495に初めて記載されたハイブリドーマ方法により作製することも可能であるし、組換えDNA法(US4816567を参照)により作製することも可能である。モノクローナル抗体は、また、Clackson et al.(1991)Nature, 352:624−628;Marks et al.(1991)J. Mol. Biol., 222:581−597に記載された技法を用いてファージ抗体ライブラリーから単離することも可能であるし、完全ヒト免疫グロブリン系を保有する遺伝子導入マウスから単離することも可能である(Lonberg(2008)Curr. Opinion 20(4):450−459)。
本明細書中のモノクローナル抗体として、具体的には「キメラ」抗体が挙げられる。「キメラ」抗体では、所望の生物活性を示す限りにおいて、重鎖及び/又は軽鎖の一部分が、特定種由来の抗体、又は特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体の相当する配列と同一又は相同であるが、鎖(複数可)の残りの部分は、別の種由来の抗体、又は別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体、ならびにそのような抗体の断片の相当する配列と同一又は相同である(US4816567;及びMorrison et al(1984)Proc. Natl. Acad. Sci. USA,81:6851−6855)。キメラ抗体として、「霊長類化」抗体が挙げられ、この抗体は、非ヒト霊長類(例えば旧世界ザル又は類人猿)に由来する可変ドメイン抗原結合配列及びヒトの定常部配列を含む。
「無傷抗体」は、本明細書中、VLドメイン及びVHドメイン、ならびに軽鎖定常ドメイン(CL)及び重鎖定常ドメイン、CH1、CH2、及びCH3を含む抗体である。定常ドメインは、天然配列定常ドメイン(例えばヒト天然配列定常ドメイン)又はそのアミノ酸配列変異型が可能である。無傷抗体は、1つ以上の「エフェクター機能」を有することができ、エフェクター機能とは、抗体のFc領域(天然配列Fc領域又はアミノ酸配列変異型Fc領域)に起因する生物学的活性を示す。抗体エフェクター機能の例として、C1q結合;補体依存性細胞毒性;Fc受容体結合;抗体依存性細胞傷害(ADCC);食作用;ならびにB細胞受容体及びBCRなど細胞表面受容体の下方制御が挙げられる。
無傷抗体は、その抗体の重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に従って、異なる「クラス」に割り振ることができる。無傷抗体には、5つの主要クラス:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMがあり、これらのクラスのいくつかは、さらに「サブクラス」(アイソタイプ)に分割することができる(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、及びIgA2)。異なる抗体クラスにそれぞれ応じた重鎖定常ドメインは、それぞれ、α、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。それぞれのクラスの免疫グロブリンについてのサブユニット構造及び三次元立体配置は、周知である。
抗PD−L1抗体は当該技術分野で公知であり、本明細書で開示される方法で有用である。これらの抗体には、アテゾリズマブ(MPDL3280;CAS番号1380723−44−3)、アベルマブ(MSB0010718C;CAS番号1537032−82−8)、及びデュルバルマブ(CAS番号1428935−60−7)が含まれる。
本開示の原理を示す実施形態及び実験について、添付図面を参照して説明する。
配列 配列 配列 AXLへの本発明による複合体の結合 本発明による複合体のin vivo有効性 SN12C細胞におけるADC×AXLとシタラビン間のin vitro相乗作用 SN12C細胞におけるADC×AXLとフルダラビン間のin vitro相乗作用 SN12C細胞におけるADC×AXLとデシタビン間のin vitro相乗作用 SN12C細胞におけるADC×AXLとオラパリブ間のin vitro相乗作用 SN12C細胞におけるADC×AXLとゲムシタビン間のin vitro相乗作用
本開示は、そのような併用が明らかに容認できないか又は明白に回避される場合を除いて、記載された態様及び好ましい特徴の併用を含む。
本明細書に使用される節の見出しは、構成目的のものに過ぎず、記載される主題を限定すると解釈されるものではない。
本開示の態様及び実施形態を、例として、添付の図面を参照して説明する。さらなる態様及び実施形態は、当業者には明らかであろう。この文書で言及されているすべての文書は、参照により本明細書に組み込まれる。
特許請求の範囲を含む本明細書全体を通して、文脈がそうでないことを必要としない限り、「含む(comprise)」という単語、及び「含む(comprises)」及び「含むこと(comprising)」などの変形は、述べられた整数もしくはステップ又は整数もしくはステップの群を含むことを意味するが、任意の他の整数もしくはステップ又は整数もしくはステップの群を排除することを意味しないことが理解されるだろう。
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、その内容について別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を包含することは留意するべきである。範囲は、本明細書において、「約」1つの特定の値から、及び/又は「約」別の特定の値までとして表され得る。このような範囲が表されるとき、別の実施形態は、1つの特定の値から、及び/又は他の特定の値までを含む。同様に、値が、先行詞「約」の使用によって近似として表されるとき、特定の値は別の実施形態を形成することが理解されるであろう。
いくつかの実施形態
以下の段落では、本開示のいくつかの特定の実施形態について記載する:
1. 個体のがんを治療する方法であって、個体に有効量のADC×AXL及び二次薬剤を投与することを含む、方法。
2. 個体のがんを治療する方法で使用するためのADC×AXLを含む第1組成物であって、前記治療が、二次薬剤を含む第2組成物と併用する第1組成物の投与を含む、第1組成物。
3. 個体の障害を治療する方法で使用するための二次薬剤を含む第1組成物であって、前記治療が、ADC×AXLを含む第2組成物と併用する第1組成物の投与を含む、第1組成物。
4. 個体のがんを治療するための医薬の製造におけるADC×AXLの使用であって、前記医薬がADC×AXLを含み、前記治療が二次薬剤を含む組成物と併用する前記医薬の投与を含む、ADC×AXLの使用。
5. 個体のがんを治療するための医薬の製造における二次薬剤の使用であって、前記医薬が二次薬剤を含み、前記治療がADC×AXLを含む組成物と併用する前記医薬の投与を含む、二次薬剤の使用。
6.
ADC×AXLを含む第1医薬と;
二次薬剤を含む第2医薬と;必要に応じて
がんの治療のために第2医薬と併用して個体に前記第1医薬を投与するための説明書を含む添付文書と、
を含む、キット。
7. ADC×AXLを含む医薬と、がんの治療のために二次薬剤を含む組成物と併用して個体に前記医薬を投与するための説明書を含む添付文書と、を含むキット。
8. 二次薬剤を含む医薬と、がんの治療のためにADC×AXLを含む組成物と併用して個体に前記医薬を投与するための説明書を含む添付文書と、を含むキット。
9. ADC×AXLと、二次薬剤と、を含む医薬組成物。
10. 個体のがんを治療する方法であって、前記個体に有効量の項目9に記載の組成物を投与することを含む、方法。
11. 個体のがんを治療する方法において使用するための、項目9に記載の組成物。
12. 個体のがんを治療するための医薬の製造における、項目9に記載の組成物の使用。
13. 項目9に記載の組成物と、がんの治療のために個体に前記医薬を投与するための一連の説明書と、を含むキット。
14. 前記治療が、二次薬剤の前、二次薬剤と同時に、又は二次薬剤の後にADC×AXLを投与することを含む、いずれかの先行する項目に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
15. 前記治療が化学療法剤を投与することをさらに含む、いずれかの先行する項目に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
16. 前記個体がヒトである、いずれかの先行する項目に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
17. 前記個体が障害を有するか、がんを有すると判定されている、いずれかの先行する項目に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
18. 前記個体が、AXL+veとAXL−ve細胞の両方を含む新生物の存在を特徴とするがんを有するか、又は有すると判定されている、いずれかの先行する項目に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
19. 前記個体が、AXL−ve新生物細胞を含むか、又はそれから構成される新生物の存在を特徴とするがんを有するか、又は有すると判定されている、いずれかの先行項目に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
20. がん又は新生物が、固形腫瘍の全て又は一部である、いずれかの先行項目に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
21. 前記個体が、AXLを発現するがんか、又はAXL+浸潤細胞などのAXL+腫瘍関連非腫瘍細胞を有するか、又は有すると判定されている、いずれかの先行項目に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
22. AXL+浸潤細胞が樹状細胞、NK細胞、又はマクロファージである、項目21に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
23. 前記個体がPD−L1を発現するがんを有するか、又は有すると判定されている、いずれかの先行項目に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
24. 前記治療が、ADC×AXL又は二次薬剤のいずれか単独による治療と比較して、
a)より幅広い障害を有効に治療するか、
b)抵抗性、難治性、又は再発性の障害をより有効に治療するか、
c)より増加した奏効率を有するか、及び/又は
d)より増加した耐久性を有する、
いずれか1項に記載先行項目に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
25. がんが:乳がん、肺がん、胃がん、頭頸部がん、結腸直腸がん、腎がん、膵臓がん、子宮がん、肝がん、膀胱がん、子宮内膜がん、前立腺がん、非ホジキンリンパ腫、NHL、AML、免疫障害、心血管障害、血栓症、糖尿病、免疫チェックポイント障害、及び線維性障害からなる群から選択される、いずれか1項に記載の先行項目に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
26. 二次薬剤が、PD1アンタゴニストである、項目1〜25のいずれか1項に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
27. PD1アンタゴニストが、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、MEDI0680、PDR001(スパルタリズマブ)、カムレリズマブ、AUNP12、ピジリズマブ、セミプリマブ(REGN−2810)、AMP−224、BGB−A317(チスレリズマブ)、及びBGB−108から選択される、項目26に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
28. 二次薬剤が、PD−L1アンタゴニストである、項目1〜25のいずれか1項に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
29. 前記PD−L1アンタゴニストが、アテゾリズマブ(テセントリク)、BMS−936559/MDX−1105、デュルバルマブ/MEDI4736、及びMSB0010718C(アベルマブ)から選択される、項目28に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
30. 前記二次薬剤が、GITR(グルココルチコイド誘導TNFR関連タンパク質)アゴニストである、項目1〜25のいずれか1項に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
31. 前記GITR(グルココルチコイド誘導TNFR関連タンパク質)アゴニストがMEDI1873、TRX518、GWN323、MK−1248、MK 4166、BMS−986156、及びINCAGN1876から選択される、項目30に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
32. 前記二次薬剤が、OX40アゴニストである、項目1〜25のいずれか1項に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
33. 前記OX40アゴニストが、MEDI0562、MEDI6383、MOXR0916、RG7888、OX40mAb24、INCAGN1949、GSK3174998、及びPF−04518600から選択される、項目32に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
34. 前記二次薬剤が、CTLA−4アンタゴニストである、項目1〜25のいずれか1項に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
35. 前記CTLA−4アンタゴニストがイピリムマブ及びトレメリムマブから選択される、項目34に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
36. 前記二次薬剤が、フルダラビンである、項目1〜25のいずれか1項に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
37. 前記二次薬剤が、シタラビンである、項目1〜25のいずれか1項に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
38. 前記二次薬剤が、低メチル化剤である、項目1〜25のいずれか1項に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
39. 前記低メチル化剤がアザシチジンである、項目38に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
40. 前記低メチル化剤がデシタビンである、項目38に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
41. 前記二次薬剤が、PARP阻害剤(PARPi)である、項目1〜25のいずれか1項に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
42. 前記PARPiが、オラパリブ、CEP−9722、BMN−673/タラゾパリブ、ルカパリブ、イニパリブ/SAR24−550/BSI−201、ベリパリブ(ABT−888)、ニラパリブ/MK−4827、BGB−290、3−アミノベンズアミド、及びE7016から選択される、項目41に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
43. 前記二次薬剤が、HER2発現を上方制御する薬剤である、項目1〜25のいずれか1項に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
44. 前記HER2発現を上方制御する薬剤がゲムシタビン及びタモキシフェンから選択される、項目41に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
45. 前記二次薬剤がAXL−キナーゼ阻害剤(AXLi)である、項目1〜25のいずれか1項に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
46. 前記AXLiが、BGB324(ベンセンチニブ)、TP0903、ギルテリチニブ(ASP2215)、カボザンチニブ(XL184)、SGI7079、メレスチニブ、アムバチニブ(MP−470)、ボスチニブ(SKI−606)、MGCD265、及びフォレチニブ(GSK1363089/XL880)から選択される、項目45に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
47. 前記二次薬剤が、BRAF阻害剤(BRAFi)である、項目1〜25のいずれか1項に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
48. 前記BRAFiが、ベムラフェニブ、PLX4720、ダブラフェニブ、ソラフェニブ、エンコラフェニブ、及びGDC0879から選択される、項目47に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
49. 前記二次薬剤が、MEK阻害剤(MEKi)である、項目1〜25のいずれか1項に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
50. 前記AXLiが、トラメチニブ、コビメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、PD−325901、Cl−1040、PD035901、U0126、及びTAK−733から選択される、項目49に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
発明の陳述
1. 個体の障害を治療する方法であって、前記個体に有効量のADC及び二次薬剤を投与することを含む、前記方法。
2. 個体の障害を治療する方法で使用するためのADCを含む第1組成物であって、前記治療が、二次薬剤を含む第2組成物と併用する第1組成物の投与を含む、前記第1組成物。
3. 個体の障害を治療する方法で使用するための二次薬剤を含む第1組成物であって、前記治療が、ADCを含む第2組成物と併用する前記第1組成物の投与を含む、前記第1組成物。
4. 個体の障害を治療するための医薬の製造におけるADCの使用であって、前記医薬がADCを含み、前記治療が二次薬剤を含む組成物と併用する前記医薬の投与を含む、前記ADCの使用。
5. 個体の障害を治療するための医薬の製造における二次薬剤の使用であって、前記医薬が二次薬剤を含み、前記治療がADCを含む組成物と併用する前記医薬の投与を含む、前記二次薬剤の使用。
6. ADCを含む第1医薬と;
二次薬剤を含む第2医薬と;必要に応じて
障害の治療のために前記第2医薬と併用して個体に前記第1医薬を投与するための説明書を含む添付文書と、
を含むキット。
7. ADCを含む医薬と、障害の治療のために二次薬剤を含む組成物と併用して個体に前記医薬を投与するための説明書を含む添付文書と、を含むキット。
8. 二次薬剤を含む医薬と、障害の治療のためにADCを含む組成物と併用して個体に前記医薬を投与するための説明書を含む添付文書と、を含むキット。
9. ADCと、二次薬剤と、を含む医薬組成物。
10. 個体の障害を治療する方法であって、前記個体に有効量の項目9に記載の組成物を投与することを含む、方法。
11. 個体の障害を治療する方法において使用するための、項目9に記載の組成物。
12. 個体の障害を治療するための医薬の製造における、項目9に記載の組成物の使用。
13. 項目9に記載の組成物と、障害の治療のために個体に前記医薬を投与するための一連の説明書と、を含むキット。
14. 前記治療が、前記二次薬剤の前、前記二次薬剤と同時に、又は前記二次薬剤の後に前記ADCを投与することを含む、いずれかの先行項目に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
15. 前記治療が化学療法剤を投与することをさらに含む、いずれかの先行項目に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
16. 前記個体がヒトである、いずれかの先行項目に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
17. 前記個体が障害を有するか、障害を有すると判定されている、いずれかの先行項目に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
18. 前記個体が、第1標的タンパク質(FTP)を発現するがんか、又はFTP+浸潤細胞などのFTP+腫瘍関連非腫瘍細胞を有するか、又は有すると判定されている、項目17に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
19. 前記個体が第2標的タンパク質(STP)を発現するがんを有するか、又は有すると判定されている、いずれかの先行項目に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
20. 前記治療が、前記ADC又は前記二次薬剤のいずれか単独による治療と比較して、
a)より幅広い障害を有効に治療するか、
b)抵抗性、難治性、又は再発性の障害をより有効に治療するか、
c)より増加した奏効率を有するか、及び/又は
d)より増加した耐久性を有する、
いずれか1項の先行項目に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
21. 前記ADCが抗AXL ADCである、いずれかの先行項目に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
22. 抗AXL ADCがADC×AXLある、項目21に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
23. 前記FTPがAXLである、いずれかの先行項目に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
24. 前記障害が増殖性疾患である、いずれかの先行項目に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
25. 前記障害ががんである、項目24に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
26. 前記個体が、AXL+veとAXL−ve細胞の両方を含む新生物の存在を特徴とするがんを有するか、又は有すると判定されている、いずれかの先行項目に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
27. 前記個体が、AXL−ve新生物細胞を含むか、又はそれから構成される新生物の存在を特徴とするがんを有するか、又は有すると判定されている、いずれかの先行項目に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
28. がん又は新生物が、固形腫瘍の全て又は一部である、いずれかの先行項目に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
29. 前記障害が:乳がん、肺がん、胃がん、頭頸部がん、結腸直腸がん、腎がん、膵臓がん、子宮がん、肝がん、膀胱がん、子宮内膜がん、前立腺がん、非ホジキンリンパ腫、NHL、AML、免疫障害、心血管障害、血栓症、糖尿病、免疫チェックポイント障害、及び線維性障害からなる群から選択される、いずれかの先行項目に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
30. 前記STPがPD−L1である、いずれかの先行項目に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
31. 前記二次薬剤が、PD1アンタゴニストである、項目1〜30のいずれか1項に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
32. 前記PD1アンタゴニストが、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、MEDI0680、PDR001(スパルタリズマブ)、カムレリズマブ、AUNP12、ピジリズマブ、セミプリマブ(REGN−2810)、AMP−224、BGB−A317(チスレリズマブ)、及びBGB−108から選択される、項目31に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
33. 前記二次薬剤が、PD−L1アンタゴニストである、項目1〜30のいずれか1項に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
34. 前記PD−L1アンタゴニストが、アテゾリズマブ(テセントリク)、BMS−936559/MDX−1105、デュルバルマブ/MEDI4736、及びMSB0010718C(アベルマブ)から選択される、項目33に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
35. 前記二次薬剤が、GITR(グルココルチコイド誘導TNFR関連タンパク質)アゴニストである、項目1〜30のいずれか1項に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
36. 前記GITR(グルココルチコイド誘導TNFR関連タンパク質)アゴニストがMEDI1873、TRX518、GWN323、MK−1248、MK 4166、BMS−986156、及びINCAGN1876から選択される、項目35に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
37. 前記二次薬剤が、OX40アゴニストである、項目1〜30のいずれか1項に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
38. 前記OX40アゴニストが、MEDI0562、MEDI6383、MOXR0916、RG7888、OX40mAb24、INCAGN1949、GSK3174998、及びPF−04518600から選択される、項目37に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
39. 前記二次薬剤が、CTLA−4アンタゴニストである、項目1〜30のいずれか1項に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
40. 前記CTLA−4アンタゴニストがイピリムマブ及びトレメリムマブから選択される、項目39に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
41. 前記二次薬剤が、フルダラビンである、項目1〜30のいずれか1項に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
42. 前記二次薬剤が、シタラビンである、項目1〜30のいずれか1項に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
43. 前記二次薬剤が、低メチル化剤である、項目1〜30のいずれか1項に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
44. 前記低メチル化剤がアザシチジンである、項目43に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
45. 前記低メチル化剤がデシタビンである、項目43に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
46. 前記二次薬剤が、PARP阻害剤(PARPi)である、項目1〜30のいずれか1項に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
47. 前記PARPiが、オラパリブ、CEP−9722、BMN−673/タラゾパリブ、ルカパリブ、イニパリブ/SAR24−550/BSI−201、ベリパリブ(ABT−888)、ニラパリブ/MK−4827、BGB−290、3−アミノベンズアミド、及びE7016から選択される、項目46に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
48. 前記二次薬剤が、HER2発現を上方制御する薬剤である、項目1〜30のいずれか1項に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
49. HER2発現を上方制御する薬剤がゲムシタビン及びタモキシフェンから選択される、項目48に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
50. 前記二次薬剤がAXL−キナーゼ阻害剤(AXLi)である、項目1〜30のいずれか1項に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
51. 前記AXLiが、BGB324(ベンセンチニブ)、TP0903、ギルテリチニブ(ASP2215)、カボザンチニブ(XL184)、SGI7079、メレスチニブ、アムバチニブ(MP−470)、ボスチニブ(SKI−606)、MGCD265、及びフォレチニブ(GSK1363089/XL880)から選択される、項目50に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
52. 前記二次薬剤が、BRAF阻害剤(BRAFi)である、項目1〜30のいずれか1項に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
53. 前記BRAFiが、ベムラフェニブ、PLX4720、ダブラフェニブ、ソラフェニブ、エンコラフェニブ、及びGDC0879から選択される、項目52に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
54. 前記二次薬剤が、MEK阻害剤(MEKi)である、項目1〜30のいずれか1項に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
55. 前記AXLiが、トラメチニブ、コビメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、PD−325901、Cl−1040、PD035901、U0126、及びTAK−733から選択される、項目54に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
以下の実施例では:
−FTPは、好ましくはAXLである。
−実施例における使用に適したAXLを発現する細胞株には、MDA−MB231、NCI−H1299、及びSN12Cが含まれる。
−疾患A−結腸直腸がん
−疾患B−胃がん
疾患C−膵臓がん
実施例1
PBD−ADCがICDを誘導でき、したがって、免疫腫瘍学(IO)薬との適切な併用薬となり得ることを示すため、第1標的タンパク質(FTP)を発現する細胞株を、エトポシド(陰性対照)及びオキサリプラチン(陽性対照)、1μg/mLのADC、1μg/mLの抗FTP(ADC内の抗体)、及び1μg/mLのB12−SG3249(ADCと同じPBD搭載を有する非結合対照ADC)とともに0、6、24、及び48時間、インキュベートする。
インキュベーション後、AnnexinV−/PI+(初期アポトーシス細胞)の量は、表面カルレティキュリンとHSP−70の上方制御とともにフローサイトメトリーによって測定する。ERストレスは、IRE1リン酸化、ATF4及びJNKのリン酸化のノーザンブロット分析により測定する。
実施例2
別の実験では、FTPを発現する細胞株を、エトポシド(陰性対照)及びオキサリプラチン(陽性対照)、1μg/mLのADC(PBD二量体弾頭を有するFTPを標的化するADC)、1μg/mL抗FTP(ADC内の抗体)、及び1μg/mLのB12−SG3249(ADCと同じPBD搭載を有する非結合対照ADC)とともに0、6、24、及び48時間、インキュベートする。
インキュベーション後、細胞を洗浄し、さらに24時間ヒト樹状細胞(DC)に供給する。その後、DCの活性化は、DC集団でのCD86の表面発現の増加(フローサイトメトリーにより決定)及びDCを介したIL−8及びMIP2の放出の測定によって測定される。
実施例3
この研究の目的は、この併用の安全性、忍容性、薬理学的及び臨床的活性を事前に評価することである。
以下のがんの種類が研究のために選択された:疾患A、疾患B、及び疾患C
両方の薬剤の単薬剤としての有効性の証拠が存在する:
●ADC(例えば、GB1702029.8、GB1719906.8、及びPCT/EP2018/053163を参照されたい)
●二次薬剤(KS Peggs et al.2009, Clinical and Experimental Immunology, 157: 9−19 [doi:10.1111/j.1365−2249.2009.03912.x]を参照されたい)
この研究の主な目的は、これらの薬剤を安全に併用しうるかの調査であり、もしそうであれば、さらなる研究に適した用量(複数可)とレジメンを特定する。この研究はまた、各併用が潜在的な臨床的利益を示唆する腫瘍の薬理学的変化を誘発するかどうかを評価する。
さらに、併用により、単剤ADC又は二次薬剤による治療に関して公表されたデータと比較して、奏効率及び応答の持続性が向上する可能性があるという予備的証拠がもたらされる。
各疾患グループには、併用療法が二次薬剤療法に対する耐性を克服できるかどうかを調べるために、以前に二次薬剤で治療された患者のサブセットを含み得る。現在入手可能なデータは一般に、承認された分子診断テストに基づいて患者を除外することをサポートしていないため、各疾患について特定の分子選択を適用することは意図されていない。
ADCの開始用量の理論的根拠
ADCのためにすでに確立されたRDE(3週間ごとに投与されるug/kg)は、この研究の全ての患者に使用される。患者の安全を確保するために、RDE以下の開始用量が使用され;開始用量レベルはADC1試験で患者の利益がまだ実証できるレベルであり、そのような用量レベルにおいて、登録された患者は参加することで少なくともいくらかの利益が得られることを示唆している。
二次薬剤の開始用量の理論的根拠
二次薬剤のためにすでに確立されたRDE(3週間ごとに投与されるug/kg)は、この研究の全ての患者に使用される。患者の安全を確保するために、RDE以下の開始用量が使用され;開始用量レベルはSA1試験で患者の利益がまだ実証できるレベルであり、そのような用量レベルにおいて、登録された患者は参加することで少なくともいくらかの利益が得られることを示唆している。
目的と関連評価項目
Figure 2020517652
研究デザイン
このフェーズIb、多施設共同、非盲検試験で、疾患A、疾患B、及び疾患Cの患者において、二次薬剤と併用したADCの安全性、忍容性、薬物動態(PK)、薬力学(PD)及び抗腫瘍活性を特性評価する。
この研究は、用量漸増部分とそれに続く用量拡大部分で構成されている。
患者の安全性を保証するために、ADCと二次薬剤の両方の減量された開始用量(それぞれの推奨されるフェーズ2又は認可された用量レベルと比較して)から用量漸増が開始される。開始用量は、各化合物のRDEの33%(又は50%)になる。その後、最初にRDE又は認可された用量に達するまで二次薬剤の用量を漸増するか、又は、忍容性の理由で必要に応じて用量を減らす。次いで、併用療法のRDEに達するまで、ADCの投与量を漸増する。これは、次の図に視覚化されている。
Figure 2020517652
用量の併用が安全であると判定された場合、追加の患者でその用量レベルでの安全性と忍容性を確認するために試験することができる。各化合物の用量をさらに調整することができ、及び/又はレジメンを修正することができる。
併用の用量漸増は、治療の最初の(又は最初の2つのTBC)サイクルで観察されたいずれかの用量制限毒性(DLT)に基づくベイジアンロジスティック回帰モデル(BLRM)によって導かれる。BLRMの使用は、がん患者の最大許容用量(MTD)/拡大のための推奨用量(RDE)を推定するための確立された方法である。適応型BLRMは、研究中の将来の患者のDLTのリスクを制御するために、過大用量制御を伴う漸増(EWOC)の原則によって導かれる。小さなデータセットに対するベイジアン応答適応モデルの使用は、FDA及びEMEA(“Guideline on clinical trials in small populations”, February 1, 2007)で受け入れられ、多くの出版物で承認されている(Babb et al. 1998、Neuenschwander et al. 2008)。
新しい用量の併用に関する決定は、患者の忍容性と安全性情報(該当する場合、DLTリスクのBLRMサマリーを含む)のレビューに基づいて、決定時に利用可能なPK、PD及び予備活動情報とともに、用量漸増安全性コール(DESC)で治験責任医師と治験依頼者によって行われる。
併用に対してMTD(複数可)/RDEが決定されると、安全性、忍容性、及び予備的有効性をさらに評価するために、研究の拡大部分が開始される場合がある。
■IOとの併用の場合、腫瘍の免疫浸潤の変化も、標的疾患の適応における併用治療後に特性評価される。
この研究における薬剤の利用可能な過去の臨床経験を考慮すると、ほとんどの場合、多数の用量レベル又はスケジュールを試験することなく併用用量を特定できると予想される。併用の薬力学的活性を評価するために、患者はベースラインで、そしておよそ2サイクルの治療後に再び腫瘍生検を受けるように求められる。
■IOコンボの場合:リンパ球やマクロファージを含む免疫細胞による腫瘍浸潤の変化の程度は、潜在的な利益の判定に貢献する。
用量漸増パート
試験の用量漸増パートでは、患者に固定用量のADCを静脈内投与し、二次薬剤のRDEに達するまで二次薬剤の用量を増加して治療する。その後、ADCの用量は(異なるコホートで)増加するが、二次薬剤の用量は一定に維持される。
MTD(複数可)/RDE(複数可)の判定が決定されるまで、疾患A、疾患B、又は疾患Cの患者2〜およそ3又は4人が各漸増コホートで治療される。
2番目の患者を用量レベル1で登録する前に、24時間の観察が行われる。各用量レベルでのDLT観察期間は、IO療法の適切な当局によって義務付けられているように1サイクル(3週間)又は2サイクル(6週間)のいずれかであり、その後、次の用量レベルに漸増するか、現在の用量レベルに留まるか、又は次のコホートで以前の用量レベルまで減少するかを決定する。用量レベル1からの減少はない。患者内の用量漸増は許可されていない。
2人以上の患者が、任意の用量レベルで最初のサイクルを通じて完全なDLT情報を有している場合を除き、用量漸増は許可されない。用量漸増は、30%の目標DLT率及び20%〜35%の同等間隔で、過大用量制御を伴う漸増(EWOC)及び用量スキップなしでmCRMを使用して決定される。
患者は積極的に登録しているコホートに割り当てられる。治療の1サイクルの完了後、各併用で用量漸増が行われる。有害事象(AE)及び検査値を含む安全性評価は、DLTを識別するために、登録されたすべての患者について綿密にモニタリングされる。単一のMTD/RDEが定義され;疾患特異的なMTD/RDEは確立されない。
mCRMは、用量漸増運営委員会(DESC)の監督下でDEに組み込まれる。DESCは、利用可能なすべての安全性データを確認した後、漸増各用量レベルを確認する。その用量レベル及び以前の用量レベルの患者のPKデータも意思決定のために情報をもたらし得る。DESCは、新たなPK、PD、毒性、又は応答データに基づいてMTDを決定する前に、用量漸増を停止する場合がある。
研究の少なくとも1人の患者が部分奏効以上を達成した場合、又はDESCがRDEを決定するためにPK又はPDデータのさらなる評価が必要と判断した場合、安全性と忍容性をさらに評価するために、任意の用量レベルで追加の患者を含めることができる。
3つのコホート(又は少なくとも6人の患者)が同じ用量レベルに連続して割り当てられた後、用量漸増は停止される。MTDに達していない場合、拡大の推奨用量(RDE)が決定される。MTD/RDEを決定する前に、最低6人の患者がこの組み合わせで治療されている必要がある。
用量漸増中に患者から腫瘍生検ペアを取得することを意図している。これらの生検の分析は、用量と併用の薬力学的活性との関係のより良い理解に貢献する。
用量漸増運営委員会による安全監視
ADC Therapeuticsと治験責任医師で構成されるDESCは、DE中に継続的に患者の安全性をレビューし、mCRMで規定された用量漸増スケジュールが修正を必要とするかどうかを判断する。安全性の観察に加えて、PK及び/又はPDデータも意思決定のために情報をもたらし得る。ADC Therapeuticsと治験責任医師との間で合意が得られた後、中間用量を割り当てることができる。DESCは、パート2の間も引き続き監視を提供する場合がある。正式なデータ安全監視委員会(DSMB)は使用されない。
用量拡大部分
MTD/RDEが宣言されると、用量拡大部分が開始し得る。拡大部分の主な目的は、MTD/RDEでの試験治療の安全性と忍容性をさらに評価し、過去の単剤の有効性データと比較した併用の効能の予備的な理解を得ることである。
重要な探索的目的は、治療に応答する腫瘍の免疫浸潤の変化を評価することである。これは、MTD/RDEで治療された患者の最低10個の評価可能な生検ペア(生検標本には分析に十分な腫瘍が含まれている必要がある)として、患者から採取された腫瘍生検ペアで評価される。これが実行可能でない場合、これらの生検の採取は停止される場合がある。最低10〜20人の患者が各治験治療群で治療される予定である、
疾患ごとに1つずつ、複数の異なる治験治療群が開く。合計9の治験治療群を用量拡大で実行することができる。これらの群のいずれかの登録が実行可能でない場合、10〜20人の患者の目標が満たされる前に、その群への登録が終了する場合がある。
各治療群では、以前の単回投与(すなわち併用ではない)を受けて進行した最大約6人の患者の二次的薬剤療法の治療が許可される。併用が、単回投与二次薬剤による以前の治療に対する耐性を克服する見込みを示す場合、この数は増加することができる。
患者集団
この研究は、上述のように進行した疾患A、疾患B、又は疾患Cの成人患者で実施される。治験責任医師又は被指名人は、以下のすべての選択基準を満たし、除外基準のいずれも満たさない患者のみが研究で治療を受けることを確実にする必要がある。
選択基準
この研究に含める適格性がある患者は、次のすべての基準を満たす必要がある:
1.書面によるインフォームドコンセントは、手順の前に取得する必要がある
2.18歳。
3.RECISTバージョン1.1で決定される測定可能な疾患を有する進行/転移性がんの患者、標準療法にもかかわらず進行したか、又は標準療法に耐えられないか、又は標準療法が存在しない患者。患者は次の群のいずれかに当てはまる必要がある:
●疾患A
●疾患B
●疾患C
4.ECOG性能ステータス0〜1(又は2TBC)
5.TBC:患者は、生検に適した疾患部位を有し、治療施設のガイドラインに従う腫瘍生検の候補者である必要がある。患者は、ベースラインで、及びこの研究の治療中に再び、新しい腫瘍生検を受ける意思がなければならない。
6.二次薬剤又は関連化合物(すなわち、同じMOA)による事前治療が許可される。
除外基準
この研究に適格性がある患者は、以下の基準のいずれも満たさない必要がある:
1.他のmAb(又はADCと同じバックボーンのmAb、又は該当する場合は同じIO mAb)に対する重度の過敏症反応の既往
2.ADCのようにmAbのバックボーンに対する陽性血清ヒトADAの既往歴
3.中枢神経系(CNS)疾患のみ(該当する場合)
4.症候性CNS転移又は軟髄膜疾患の証拠(脳MRI又は以前に記録された脳脊髄液(CSF)細胞診)
以前に治療された無症候性CNS転移は、最後の治療(全身抗がん療法及び/又は局所放射線療法)が投与の最初の日の8週間以上前に完了した場合に許可されるが、テーパーでの低用量ステロイドの使用は許可される)
個別の硬膜転移がある患者は適格である。
5.以下のように定義された範囲外の検査値を持つ患者
●血清クレアチン<=1.5×ULN.血清クレアチニン>1.5の場合、患者が資格を得るには、クレアチニンクリアランス(コッククロフトゴート式を使用して計算、又は測定)が>60mL/分/1.73m2でなければならない
●総ビリルビン>1.5×ULN、総ビリルビン>3.0×ULN又は直接ビリルビン>1.5×ULNの場合に除外されるギルバート症候群の患者を除く
●アラニンアミノ基転移酵素(ALT)>3×ULN、ALT>5×ULNの場合に除外される肝臓に腫瘍が含まれる患者を除く
●アスパラギン酸アミノ基転移酵素(AST)>3×ULN、AST>5×ULNの場合に除外される肝臓に腫瘍が含まれる患者を除く
●絶対好中球数<1.0×10e9/L
●血小板数<75×10e9/L
●ヘモグロビン(Hgb)<8g/dL
●適切な補充療法にもかかわらず、カリウム、マグネシウム、カルシウム、又はホスフェートの、CTCAEグレード1を超える異常
6.以下のいずれかを含む、心機能障害又は臨床的に重大な心疾患:
●治療が必要なうっ血性心不全(NYHAグレードIII又はIV)、又は、降圧薬の有無にかかわらず収縮期血圧(SBP)160mmHg及び/又は拡張期血圧(DBP)100mmHgで定義される無制御高血圧など、臨床的に重大な及び/又は制御不能の心疾患。
●Fridericia補正を使用したECGのスクリーニングで、女性では470msecを超える、男性では450msecを超えるQTcF、先天性QT延長症候群
●3か月未満(試験参加の月数で)の急性心筋梗塞又は不安定狭心症
●心機能の低下が証明された臨床的に重要な弁膜症
●症候性心膜炎
●心筋症の既往歴又は継続中の記録
●心エコー(ECHO)又はマルチゲート取得(MUGA)スキャンで決定される、左心室駆出率(LVEF)<40%
●臨床的に重要な心不整脈の既往又は存在、例えば、心室、上室、結節性不整脈、又は伝導異常(TBC修飾子:…ペースメーカーを必要とするか、薬物で制御されていない):
●不安定な心房細動の存在(心室反応率>100bpm)。
●注意:心房細動が安定している患者は、他の心臓除外基準を満たさない場合に登録できる。
●完全な左脚ブロック(LBBB)、二枝ブロック
●いずれかの臨床的に重要なSTセグメント及び/又はT波異常
7.治療の中止を導いた以前のIO治療に起因する毒性。薬物関連の皮膚発疹又は内分泌障害の代替療法で適切に治療された患者は、これらの毒性が以前の治療の中止につながらなかった場合、除外されない。
8.自己免疫疾患が活動している、既知の、又は疑われる患者。白斑、I型糖尿病、ホルモン補充のみを必要とする自己免疫状態による残存甲状腺機能低下症、全身治療を必要としない乾癬、又は外部トリガーの非存在下で再発すると予想されない状態の対象は、トリガーを回避できる場合、登録が許可される。
9.ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、又は活動性B型肝炎(HBV)又はC型肝炎(HCV)ウイルス感染
試験は資格を得るために必須ではない。患者に未診断のHCVを有するリスク(例えば注射薬の使用歴)がある場合、HCVの検査を検討する必要がある。
10.この研究で治療されているもの以外の悪性疾患。この除外の例外には、次のものが含まれる:治療的処置を受け、研究治療前2年以内に再発しなかった悪性腫瘍;基底細胞及び扁平上皮の皮膚がんを完全に切除した;緩慢性と考えられ、治療を必要としない任意の悪性腫瘍;あらゆる種類の上皮内がんを完全に切除した。
11.治験薬の初回投与から2週間以内の全身抗がん療法。主要な遅延毒性がある細胞毒性薬、例えば、マイトマイシンC及びニトロソ尿素、4週間が休薬期間として示される。CTLA−4アンタゴニストなどの抗がん免疫療法を受けている患者の場合、休薬期間として6週間が示される。
12.活動性下痢CTCAEグレード2又は慢性下痢に関連する病状(過敏性腸症候群、炎症性腸疾患など)
13.2の存在:以前のがん治療によるCTCAEグレード2毒性(脱毛症、末梢神経障害、及び耳毒性を除く。これらは、CTCAEグレード3以上の場合は除外される)。
14.全身抗生物質療法を必要とする活動性感染症。
15.上部消化管の活動性の潰瘍形成又は消化管出血
16.活動性の出血素因又は経口抗ビタミンK薬物療法(INR≦2.0である限り、低用量ワルファリン及びアスピリン又は同等物を除く)
17.活動性自己免疫疾患、自己免疫起源と考えられる運動神経障害、及びその他の中枢神経系自己免疫疾患
18.以下を除く、併用免疫抑制剤又はコルチコイドによる長期治療を必要とする患者:
副腎機能不全の状況におけるステロイドの補充投与
局所、吸入、鼻、及び眼のステロイドが許可されている
19.試験治療開始から4週間以内の感染症(例えば、インフルエンザ、水痘、肺炎球菌)に対する生ワクチンの使用(注意:試験の全期間を通じては生ワクチンの使用は許可されない)
20.試験薬開始の2週間未満前での造血コロニー刺激増殖因子(例えば、G−CSF、GMCSF、M−CSF)の使用。赤血球刺激剤は、試験治療の最初の投与の少なくとも2週間前に開始されたのに限り許可される。
21.試験治療の最初の投与から2週間以内の大手術(注意:縦隔鏡検査、中心静脈アクセス装置の挿入、又は栄養チューブの挿入は、大手術とはみなされない)。
22.治験薬の最初の投与から2週間以内の放射線療法、ただし、骨の痛みや局所的な痛みを伴うtun1又は腫瘤の治療など、限られた領域への緩和放射線療法を除く。治療に対する応答の評価を可能にするために、患者は照射されていない測定可能な疾患が残っている必要がある
23.治験薬の最初の投与から2週間以内の介入的、治験研究への参加。
24.治験責任医師の判断で、安全性の懸念、臨床試験手順の順守、又は試験結果の解釈のために、臨床試験への患者の参加を妨げるような任意の病状。
25.性的に活発な男性は、薬物を服用している間及び試験治療の中止後90日間の性交中コンドームを使用しない限り、かつ、この期間に子供の父親になるべきではない。精液を介した薬物の送達を防ぐために、精管切除された男性もコンドームを使用する必要がある。
26.妊娠又は授乳中の女性、妊娠は、受胎後、妊娠終了までの女性の状態として定義され、hCG検査で陽性と確認される。内分泌腺腫瘍のまれな症例の場合、hCGレベルは正常範囲を超えることがあるが、患者の妊娠がない。これらの場合には、妊娠を除外するために、血清hCG検査の繰り返し(上昇しない結果)及び膣/骨盤超音波検査を行う必要がある。結果を確認し、医療担当者と話し合うと、これらの患者は試験に参加する可能性がある。
27.試験治療中及び試験治療の最後の任意の投与後90日間、非常に効果的な避妊方法を使用していない限り、生理学的に妊娠可能性のあるすべての女性と定義される出産可能性のある女性。非常に効果的な避妊方法には次のものが含まれる:
・完全な禁欲(これが患者の好みの通常のライフスタイルに沿っている場合)。定期的な禁欲(例えば、カレンダー、排卵、交感神経、排卵後の方法)及び膣外射精は、避妊の受け入れ可能な方法ではない。
・試験治療を受ける少なくとも6週間前に、女性の避妊手術(子宮摘出を伴う又は伴わない外科的両側卵巣摘出術を受けた)、子宮全摘術、又は卵管結紮。卵巣摘出術のみの場合、追跡ホルモンレベル評価により女性の生殖状態が確認されたときのみ
・男性の避妊手術(スクリーニングの少なくとも6ヶ月前)。研究中の女性患者については、精管切除された男性パートナーがその患者の唯一のパートナーでなければならない
・経口(エストロゲン及びプロゲステロン)、避妊の注射もしくは移植された複合ホルモン法、又は、子宮内避妊器具(IUD)もしくは子宮内システム(IUS)の配置、又は同等の効力(失敗率<1%)を持つ他の形態のホルモン避妊法、例えば、ホルモンの膣リング又は経皮ホルモン避妊。
経口避妊薬の使用の場合、女性は研究治療を受ける前に最低3ヶ月間同じ経口避妊薬で安定していなければならない。
女性は、適切な臨床プロファイル(例えば、年齢相応、血管運動症状の病歴)を伴う自然な(自発性)無月経が12か月あった場合、又は少なくとも6週間前に外科的両側卵巣摘出術(子宮摘出術の有無にかかわらず)もしくは卵管結紮がある場合、閉経後と考えられ、出産可能性はないと考えられる。卵巣摘出術のみの場合、追跡ホルモンレベル評価により女性の生殖状態が確認されたときのみ、子供を産む可能性がないとみなされる。
用量限定毒性及び用量修正ガイドライン
用量限定毒性(DLT)は、21日間のDLT評価期間中に発生する治験責任医師の判断ごとに、少なくともADCに関連すると考えられる以下の事象のいずれかとして定義される。原発性疾患又は別の病因に明確かつ直接関連する毒性は、この定義から除外されている。
DLTの定義
血液のDLTは次のように定義される;
■グレード3又は4の発熱性好中球減少症又は好中球減少症感染
■7日間を超えて続くグレード4の好中球減少症
■グレード4の血小板減少症
■臨床的に重大な出血を伴うグレード3の血小板減少症、又は血小板輸血を必要とするグレード3の血小板減少症
■輸血を必要とするグレード3の貧血
■グレード4の貧血
非血液のDLTは次のように定義される;
■グレード4の非血液毒性
■最適な支持療法又は医療介入にもかかわらず、3日間を超えて続くグレード3の非血液毒性
■Hyの法則(AST及び/又はALT>3×ULN及びビリルビン>2×ULN)であり、胆汁うっ滞(血清アルカリホスファターゼ(ALP)活性<2×ULN)の初期所見がなく、A型、B型、又はC型肝炎ウイルス、既存又は急性肝疾患、又は観察された傷害を引き起こす可能性のある別の薬物などの、トランスアミナーゼの増加と血清総ビリルビンの併用を説明できる他の理由がない場合。
■グレード3以上の過敏症/輸液関連反応(前投薬に関係なく)。適切な臨床管理で発症後8時間以内に解消するグレード3の過敏症/輸液関連反応は、DLTとして適さない。
■LVEFがベースラインから<40%又は>20%減少する
■グレード4の腫瘍溶解症候群(グレード3のTLSは、不可逆的な末端器官の損傷を引き起こさない限り、DLTを構成しない)
以下の条件は、非血液のDLTとはみなされない:
■7日間以下のグレード3の疲労
■治療に応答し、グレード3事象の場合は3日以内に少なくとも1グレードに、又は7日以内にグレード1以下に改善する、前投薬がない場合のグレード3の下痢、悪心、又は嘔吐。
■AST又はALTの上昇が5×ULN以上であるが、8×ULN以下であり、ビリルビンが同時に上昇せず、発症後5日間以内にグレード2以下に低下する。
■膵炎の臨床徴候又は症状がない場合、7日間以下のグレード3の血清リパーゼ又は血清アミラーゼ
適切な医学的管理で解消又は安定するDLTを経験した患者は、治験責任医師の裁量により、スポンサーと相談して治療を継続することができる。
用量修正
特定の毒性を管理するためのガイドラインは、以下の表に詳述されている。表に指定されていない事象の管理については、以下が治験責任医師へのガイダンスとして役立つ可能性がある:
Figure 2020517652
実施例4:中間体3の合成
Figure 2020517652
雰囲気下、BCNアルコール(0.384g、2.55mmol)をMeCN(25mL)に溶解させた溶液を、0℃に冷却し、そこに、イソシアン酸クロロスルホニル(CSI)を滴下して加えた(0.255mL、415mg、2.93mmol、1.15当量)。15分撹拌後、EtNを滴下して加え(1.42mL、1.03g、10.2mmol、4当量)、さらに10分間撹拌を続けた。次に、2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)酢酸(1.0g、6.1mmol、2.4当量)をHO(5mL)に溶解させた溶液を加え、反応混合物を、室温で2時間撹拌した。この後、CHCl(50mL)及びHO(100mL)を加え、層を分離させた。分液漏斗に入れた水層に、CHCl(100mL)を加え、1NのHClでpHを4に調整してから、層を分離させた。水層を、CHClで2回抽出し(2×100mL)、有機層をまとめて、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮した。残渣を、シリカのフラスコカラムクロマトグラフィーでCHClから20%MeOH含有CHClの勾配で溶出させて精製し、無色粘着ワックス状物として、中間体3を0.42g(1.0mmol、39%)得た。
実施例5:薬物リンカーの合成
Figure 2020517652
Figure 2020517652
化合物1は、WO2014/057074に記載されるとおりに合成可能である−化合物22を参照。
(a)テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh、4.8mg、4.15μmol)を計量し、不活性雰囲気下におく。ピロリジン(5.0μL、4.3mg、60μmol)をDCM(1mL)に溶解させた溶液全体にNを吹き込むことにより、溶液を脱気する。化合物1(27mg、24μmol)をDCM(6mL)に溶解させた溶液全体にNを吹き込むことにより、溶液を脱気する。溶液全体にNを吹き込み続けながら、脱気したピロリジン溶液を加える。計量したPd(PPhをDCM(1mL)に溶解させ、この溶液のうち0.9mLを加える。50分間Nを吹き込んだ後、DCM(25mL)を加え、混合物を飽和NHCl水溶液(25mL)で洗う。分離後、水層を、DCM(2×25mL)で抽出する。有機層をまとめて、乾燥させ(NaSO)、濃縮する。残渣を、RP−HPLC(30−90%MeCN(0.1%ギ酸)含有HO(0.1%ギ酸)により精製する。画分をまとめて、SPE(HCO )カラムに通し、濃縮する。MeCN(50mL)を加えた後、混合物を再び濃縮する。得られる残渣2を、次の工程に用いる。
反応物の変換は、LCMS分析を通じてモニタリングすることができる。カラム:XBridge BEH C18 Intelligent Speed(IS)カラム、130Å、3.5μm(4.6mm×20mm)。移動相A:水(0.1%ギ酸)、移動相B(0.1%ギ酸)。PDA及びESI+で検出。試料は、反応混合物をMeCNで希釈することにより調製可能である。
(b)上記残渣2をCHCl(5mL)に溶解させた溶液に、中間体3(15mg、36μmol、mw418g/モル)をCHCl(0.8mL)に溶解させた溶液を加える。得られる混合物を、固形EDC・HCl(4.7mg、25μmol)に加え、CHCl(5mL)を加え、混合物を30分間撹拌した。DCM(30mL)を加え、得られる混合物を、水(30mL)で洗う。分離後、水相をDCM(30mL)で抽出する。有機層をまとめて、乾燥させ(NaSO)、濃縮する。残渣を、RP−HPLC(30−90%MeCN(酸を含まず)含有HO(0.01%ギ酸))により精製する。HPLC収集管を5%(NH)HCO水溶液で満たしておいてから、収集する。HPLC画分をまとめて、DCM(3×20mL)で抽出する。有機層をまとめて、乾燥させ(NaSO)、濃縮する。生成物4を、わずかに黄色/白色油状物として得る(21mg、16μmol、mw1323g/モル、2工程全体で67%)。
反応物の変換は、LCMS分析によりモニタリングすることができる。カラム:XBridge BEH C18 Intelligent Speed(IS)カラム、130Å、3.5μm(4.6mm×20mm)。移動相A:水(0.1%ギ酸)、移動相B(0.1%ギ酸)。PDA及びESI+で検出。
実施例6:抗体修飾
反応条件
ワンポットグリカン再構築のための反応条件は以下の通りである:
15mg/mlのAXL抗体(約0.1mM)
0.15mg/mLのStreptococcus pyogenes由来のEndoSH(1%w/w)
1.13mg/mLのHis−TnGalNAcT(7.5%w/w)ガラクトース−N−アセチルトランスフェラーゼ(GalNAcT)酵素
2.5mMの6−NGalNAc−UDP(IgGに対して25当量)
10mMのMnCl
25mMのTrisHCl ph8.0
150mMのNaCl
30°Cで16時間インキュベートする
手順
この例は25mg規模であり、必要に応じて変更することができる。個々の成分は順番に添加され、混合される:
106.5μLの25mMのTris pH8.0、150mMのNaCl(1667μLの最終体積を得るため)
1mLの、25mMのTris pH8.0、150mMのNaCl中25mg/mLのAXL抗体
71.4μLの、25mMのTris pH8.0中3.5mg/mLのEndoSH
389μLの、25mMのTris pH8.0中4.82mg/mLのHis−TnGalNAcT
16.7μLの、MQ中1MのMnCl
83.4μLの、MQ中0.1Mの6−NGalNAc−UDP
この混合は30℃で約16時間である。修飾されたガラクトース残基の完了は、試料をMS分析にかけることによって評価することができる。タンパク質A親和性精製後、生成物の試料を少量DTTで還元し、続いてMS分析にかけることができる。転移反応が成功していた場合の典型的な質量スペクトルは、修飾ガラクトースが核GlcNAc(Fuc)置換Abに転移することから生じる主要生成物(全重鎖の90%)1種類、及び修飾ガラクトースが核GlcNAc(フコースを持たない)置換Abに転移することから生じる少量生成物(全重鎖の±10%)を示す。
精製手順
緩衝液
結合/洗浄緩衝液(TBS pH7.5):
20mMのTrisHCl ph7.5
150mMのNaCl
エンドトキシン除去のための洗浄緩衝液(TBS pH7.5+Triton−X100):
20mMのTrisHCl pH7.5
150mMのNaCl
0.2%のTriton X−100
溶出緩衝液:
0.1Mのグリシン pH2.7
CIP緩衝液:
0.5MのNaOH
手順
1. 試料を添加する前にカラムを清浄化するために、以下の緩衝液でMabSelectSure 5mLカラムを洗浄する(5mL/分):
少なくとも5カラム体積(CV)のTBS pH7.5でカラムを洗浄する
15CVの0.5MのNaOHでカラムを洗浄する
5CVのTBS pH 7.5でカラムを洗浄する
5CVのグリシンpH2.7でカラムを洗浄する
中性pHが得られるまで、TBS pH7.5でカラムを洗浄する
2. 遠心分離(4000gで5分間)又は濾過(0.22又は0.45μmのフィルター)で反応混合物から沈殿物を除去する
3. 2mL/分で試料を添加し、5mL/分で以下の工程を実施する:
少なくとも20CVのTBS=0.2%のTriton X−100で洗浄する
少なくとも20CVのTBSで洗浄する
0.1Mのグリシンph2.7で溶出する
4. 1/5体積の1MのTric−HCl ph8.0を添加して混合することによって、画分をすぐに中性化する
5. 4℃で3回の50体積以上のPBS pH7.4に対して試料を透析する(1時間以上を3回)
6. スピンフィルター装置を使用してサンプルを約20mg/mLに濃縮する
実施例7:化合物4と修飾抗体との複合体形成によるConjAの生成
反応条件
15mg/mlのアジド修飾AXL抗体(0.1MのIgG)
0.5mMの化合物4(IgGに対して5当量=アジドあたり2.5当量)
10%のDMF又は25%のプロピレンジコール
PBS pH7.4
手順
1. 9体積の、PBS pH7中16.67mg/mlのアジド修飾AXL抗体を添加する
2. 1体積の、DMF中5mMの化合物4を添加してすぐに混合する
3. 一晩インキュベートする
4. RP−HPLC及びMSで変換を測定する
実施例8:ADCの精製
試料調製
カラムに添加する前に以下の要件を満たすべきである:
5%以下の有機溶媒
CVの3%以下の総試料体積(Superdex 200 10/300 GLに対して720μL以下、及びSuperdex 200 HiLoad 26/600に対して10ml以下)
沈殿物が存在しない
上記の要件は、次の手順で達成することができる。
1. 5%以下の最終有機溶媒濃度になるようにpH7.4のPBSで試料を希釈する
2. 体積がCVの3%を超える場合、サンプルをAmicon Ultra遠心フィルター(MWCO 10kDa)を使用して濃縮する
3. 遠心分離(卓上型遠心分離機で、13000rpmで10分間)によって潜在的沈殿物を除去する
精製
精製は、Akta Purifier−10でSuperdex 200 10/300 GLカラム(CV=23ml、GE healthcare)を使用して行った。以下の洗浄工程を0.5ml/分の流速で実施する:
1CVの水でカラムを洗浄する
1CVの0.5MのNaOHでカラムを洗浄する
中性pHが得られるまで、カラムをPBS pH7.4(Sigma,D8537)で平衡化する。
試料を0.5ml/分のPBS pH7.4と共に注入し、1mlの画分を集める(総実行=1.5CV)。単量体画分をプールし、3回の1Lの配合物緩衝液(30mMのヒスチジン、200mMのソルビトール、0.02%(w/v)のtween−20、pH 6.0)に対して4℃で透析する。試料を、0.22μmフィルターを使用して濾過滅菌し、液体窒素を使用して急速冷凍し、そして−80℃で保存する。
fabricator消化試料の質量スペクトル分析は、共役Fc/2断片に対応する1つの主要生成物(観察質量25691Da、総Fc/2断片の約90%)を示した。還元試料のRP−HPLC分析は1.98の平均DARを示した。
実施例9:In vitro細胞毒性
H1299細胞をATCCから取得した(ATCC番号CRL−5803)。H1299培地は、10%のGibco FBSを補充したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)であった。細胞を加湿インキュベーター中、37℃、5%COで増殖させた。細胞懸濁液を、96ウェル平底プレート中に分注した(ウェルあたり104細胞)。ADC原液の8×10倍希釈液のセットを、細胞培地中で調製した。各ADC希釈液(ウェルあたり50μl)を、96ウェルプレートの細胞懸濁液の入った4つの複製ウェルに分注した。対照ウェルは、培地のみを同体積で添加することによって調製した。96時間インキュベートした後、細胞生存率を、製造業者の取扱説明書に従って、3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−5−(3−カルボキシメトキシ−フェニル)−2−(4−スルホフェニル)−2H−テトラゾリウム(MTS)アッセイ(Promega、カタログ番号G5421)により測定した。吸光度は490nmで測定した。細胞生存率(%)は、4つの対照ウェルにおける平均吸光度(100%)と比較した4つのADC処理ウェルにおける平均吸光度から計算した。3回の反復実験の平均データから用量反応曲線を作成し、Prism(GraphPad, San Diego, CA)を使用して可変勾配を有するシグモイド用量反応曲線にデータをフィッティングすることによってEC50値を決定した。エラーバーは標準偏差(SD)を示す。
ConjAのEC50は、0.0554μg/mLであることがわかった。
実施例10:抗原結合試験
MaxisorpプレートをヒトAxl抗原(50ng/ウェル;PBS中バッチ)で一晩+4℃でコーティングした。非反応性部位をSuperBlock緩衝液(+4℃又は室温で一晩)でブロックした。ADC原液の8×3倍又は5倍希釈液のセットを試料緩衝液/PBS/Tween20中で調製した。各ADC希釈液(60μL/ウェル)をコーティングされたプレートの4つの複製ウェルに分注した。対照ウェルを、同体積の試料緩衝液/PBS/Tween20を添加することによって調製した。抗ヒトカッパIgG−西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)複合体を二次抗体として使用した(1:5000、1時間、室温)。HRPは、1−Step Ultra TMB−ELISA基質溶液(75μL/ウェル;室温で5分間)で検出した。基質反応を0.6MのHCl(75μL/ウェル)で停止させた。吸光度は、450nmのペルオキシダーゼプログラムを用いてEnvisionにおいて450nmで測定した。抗原結合曲線は、Prism(GraphPad, San Diego, CA)を用いた3回の反復実験の平均データから作成した。得られた結果を図2に示すが、図中:▲はConjAである。エラーバーは平均値の標準偏差(SEM)を示す。ConjAはプレート上にコーティングされたAXLの細胞外ドメインに高い親和性で結合した。
実施例11:In vivo有効性試験
5×10個のMDA−MB−231腫瘍細胞をメスの無胸腺ヌードマウスに皮下移植した。腫瘍体積が88〜172mmに達したときに、ビヒクル又は試験試料を用いたADC投与を開始した。ConjAを尾静脈注射により1mg/kgの用量レベルで1回静脈内(i.v.)投与した。投薬体積は10mL/kg体重であり、各動物個体の体重に合わせて増量した。各動物を、腫瘍体積が終了体積1500mmに到達した時点で、又は試験の終了日、いずれか先に訪れた時点で安楽死させた。試験期間中、動物の体重、あらゆる有害な徴候、処置に関連した副作用及び臨床的徴候をモニターした。群の平均腫瘍体積の計算のために、以下の規則を適用した:動物が腫瘍サイズのために試験を終了したとき、その動物について記録された最終腫瘍体積をその後時点での平均体積を計算するために用いたデータと共に含めた。ある群の動物の50%未満のみが試験に残っているとき、腫瘍体積及び体重の値は、群平均腫瘍体積/体重を計算するためには使用されなかった。Prism(GraphPad, San Diego, CA)をグラフ表示及び統計分析に使用した。得られた結果を図3に示すが、図中、▲はConjAであり、〇はビヒクル単独である。エラーバーはSEMを示す。
1mg/kgのConjAの単回投与は、投与後60日で10/10マウスが無腫瘍であり、腫瘍増殖を強く阻害した。
実施例12:ラット毒性試験
方法
ConjAを、単回静脈内用量のラット忍容性試験で評価した。オスsprague−dawleyラット(n=3/群)に、1日目、ConjAについて3及び6mg/kgで投与し、投与後21日目に死体解剖した。体重及び摂食量は、頻繁にモニタリングし、臨床病理学用に生存中サンプリング(8日目及び21日目に採血)及び薬物動態学用に繰り返しサンプリングを行った。死体解剖では、選択した臓器について、目視で観察し、重量を測定し、組織病理学検査が可能であれば保存した。
ConjAは、3及び6mg/kgで臨床上十分に忍容性があった。体重増加は、3及び6mg/kg群でそれぞれ11及び21%減少し、摂食量の減少と一致した。8日目には、主に6mg/kg投与群でいくつかの血液学パラメーターが減少し(網状赤血球(−76%)、ヘモグロビン(−29%)、白血球(−66%)、及び血小板(−37%))、21日目までに回復のいくつかの証拠を示した。剖検では、胸腺重量の減少がすべての動物で観察された。したがって、ConjAの最大忍容用量(MTD)は6mg/kgであった。
実施例13:ADC×AXLとシタラビン、デシタビン、ゲムシタビン、オラパリブ、及びフルダラビンのそれぞれとの間のSN12C細胞(AXL高発現)での相乗効果
1日目に細胞を96ウェルプレートに10,000細胞/ウェルで播種し、実験ごとに3回反復し、合計のnは3であった。併用薬を2日目にさまざまな用量で添加し(図を参照)、37℃、5%COで24時間インキュベートした。薬物のみの対照を、以下の投与量範囲で同時に、すべて10倍希釈で添加した。
3日目に、薬物を含む細胞に10倍希釈で0.001pM〜100nMの用量範囲のADC×AXLを添加するか、又は対照として培地のみを添加し、さらに5日間インキュベートした(3回の細胞倍加時間)。MTTアッセイを使用して、Thermo Labsystems Multiscan Ascentプレートリーダーにおいて492nMで吸収を分析した。
Graphpad Prism v5.02を使用してデータを分析し、Calcusyn v2.11を使用して相乗効果をプロットした。強力な相乗効果は、CI値<0.7を示し、中程度の相乗効果は、CI値>0.7及び<1を示す。
結果を図4(シタラビン)、図5(フルダラビン)、図6(デシタビン)、図7(オラパリブ)、及び図8(ゲムシタビン)に示す。
実施例14:ADC×AXLとMEKi及びBRAFiのそれぞれとの相乗効果
MEKi
トラメチニブ、コビメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、U0126、又はPD325901などの適切なMEK阻害剤の例。
MEK阻害剤(MEKi)は、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ酵素MEK1及び/又はMEK2を阻害する。それらを使用して、いくつかのがんでしばしば過剰活性であるMAPK/ERK経路に影響を及ぼすことができる。MAP/ERK経路の欠陥は、特に黒色腫において、制御不能の増殖を引き起こし得る。したがって、MEK阻害剤はいくつかのがん、特にBRAF変異黒色腫及びKRAS/BRAF変異大腸がんの治療の可能性を有する(Wang et al., Biochim. Biophys Acta 1773(8): 1248−1255 (2007)。興味深いことに、Miller et al(Cancer Discovery 6(4):382−399, 2016)によると、腫瘍細胞とMEKi(U0126又はPD325901)のインキュベーションは、腫瘍細胞の膜上にAXLの強い蓄積を誘発した。
トラメチニブ
トラメチニブ(商品名Mekinist)は、MEK1及びMEK2を阻害するMEK阻害剤である。BRAF V600E変異型転移性黒色腫の患者の治療に承認されている。V600E変異は、変異体BRAF遺伝子を構成的に活性化し、黒色腫の増殖を促進する。MAP/ERK経路を阻害することにより、細胞増殖がブロックされ、アポトーシス(制御された細胞死)が誘導される。
AXL陽性腫瘍を標的とするADC×AXLとMEKiを併用すると、一方で、ADC×AXLがDNA架橋に依存するメカニズムを介してAXL陽性腫瘍細胞を直接殺傷してアポトーシスを引き起こすが、他方でMEKiがMAP/ERK細胞シグナル伝達経路の阻害を通じた細胞増殖の妨害を通じてアポトーシスを誘導するので、有利である。また、ADC×AXLとMEKiの併用は、MEKiによるAXLの上方制御により腫瘍細胞へのADC×AXLの取り込みが増加し、PBD二量体の蓄積が増加し、続いてDNA損傷が増加してがん細胞死が増加するため有利である。
ADC×AXL及びMEKiによるAXL陽性がん細胞株の共処理が相加的又は相乗的な抗腫瘍効果を有することを示すために、MDA−MB231、SN12C、MDA−MB−157、及びSKLU1は、MEKiを含む細胞とともに24時間まで(1又は10uM)プレインキュベートされ、その後ADC×AXL(又は対照としてB12−PL1601)の段階希釈が添加される。インキュベーション後、併用のin vitro細胞毒性(CellTiter−Glo(登録商標)又はMTSアッセイで決定)が測定される。
代替的に、MDA−MB231、SN12C、MDA−MB−157、及びSKLU1を含むがこれらに限定されない細胞株のパネルは、ADC×AXLとMEKiの両方の濃度範囲で共処理される。
陰性対照として、同一の細胞株のパネルを、トラメチニブの濃度範囲又はADC×AXLとビヒクルの濃度範囲で共処理する。
インキュベーション後、組み合わせのin vitro細胞毒性(CellTiter−Glo(登録商標)又はMTSアッセイで決定)が測定される。未処理の対照と比較して細胞生存パーセンテージを計算する。細胞毒性の相乗効果は、細胞生存率データを、影響を受ける割合に変換し、CalcuSyn分析プログラムを使用して併用指数を計算することにより計算される。
BRAFi
ベムラフェニブ及びダブラフェニブなどの適切なBRAF阻害剤の例。BRAF阻害剤は、(変異した)B−RAFタンパク質を直接阻害する。BRAFにおける変異は、特に黒色腫において、制御不能の増殖を引き起こし得る。
ベムラフェニブ
ベムラフェニブ(商品名ゼルボラフ)は、B−RAFを直接阻害する。それは、V600E B−RAF変異遺伝子による後期黒色腫患者の治療に承認されている。変異は、変異体BRAF遺伝子を構成的に活性化し、黒色腫の増殖を促進する。変異B−RAFを阻害することにより、細胞増殖がブロックされ、アポトーシス(制御された細胞死)が誘導される。
AXL陽性腫瘍を標的とするADC×AXLとベムラフェニブを併用すると、一方で、ADC×AXLがDNA架橋に依存するメカニズムを介してAXL陽性腫瘍細胞を直接殺傷してアポトーシスを引き起こすが、他方でベムラフェニブがBRAFの阻害を通じた細胞増殖の妨害を通じてアポトーシスを誘導するので、有利である。
ADC×AXLがベムラフェニブと相乗的に機能することを示すために、MDA−MB231、NCI−H1299及びSNU12細胞を含むがこれらに限定されないAXL(+)細胞株のパネルを、ADC×AXLとベムラフェニブの両方の濃度範囲で共処理する。
陰性対照として、同一の細胞株のパネルを、トラメチニブの濃度範囲又はADC×AXLとビヒクルの濃度範囲で共処理する。
インキュベーション後、組み合わせのin vitro細胞毒性はMTSアッセイによって決定される。細胞毒性を決定するために、ウェルごとにMTSを添加し、37℃で4時間インキュベートすることにより、細胞生存率を測定する。未処理の対照と比較して細胞生存パーセンテージを計算する。細胞毒性の相乗効果は、細胞生存率データを影響を受ける割合に変換し、CalcuSyn分析プログラムを使用して併用指数を計算することにより計算される。
実施例15:ADC×AXLと各免疫腫瘍学(I/O)二次薬剤PD1アンタゴニスト、PDL1アンタゴニスト、CTLA4アンタゴニスト、OX40アゴニスト、及びGITRアゴニストとの間のAXL+ve腫瘍細胞に対する相乗効果
PD1アンタゴニスト
PD1アンタゴニストと併用するAXLに対するPBDベースのADCが相加効果又は相乗効果を示すかどうかをテストするために、免疫適格マウスの同系腫瘍モデルにおいてin vivoで併用を試験する(AXLの場合、潜在的に適切なモデルには4T1、EMT−6、EMT−6−BRCA1(−/−)、EMT−6−BRCA1(+/−)、4T1−BRCA1(+/−)、KLN 205、Lewis Lung、Madison109 Colon26、CT26、MC38、GL261、B16F10、CloudmanS91、Pan02、Renca、及びMBT−2が含まれる)。この目的のために、マウスAXLと交差反応する抗体をPBD弾頭に接続し、このADCをPD1アンタゴニストとともに、AXLを発現するマウス腫瘍細胞株を移植したマウスに投与する。ADCは、実験者が決定したように、PD1アンタゴニストの前、PD1アンタゴニストと同時に、又はPD1アンタゴニストの後に投与される。
通常、ADCは0.1〜1mg/kgの単回投与で投与され、PD1アンタゴニストは1〜10mg/kgの投与量でQ3d×3で投与される。対照群はADC又はPD1アンタゴニスト単独を含む。その後、腫瘍体積と体重をすべての群で60日間まで測定し、部分奏功(PR)、完全奏功(CR)、腫瘍なく生存(TFS)のマウスを各群で決定する。
統計分析(通常はログランク検定)を実行して、併用で処理したマウスがADC又はPD1アンタゴニストいずれか単独で処理したマウスよりも優れているかどうかを判定する。
PDL1アンタゴニスト
PDL1アンタゴニストと併用するAXLに対するPBDベースのADCが相加効果又は相乗効果を示すかどうかを試験するために、免疫適格マウスの同系腫瘍モデルにおいてin vivoで併用を試験する。この目的のために、マウスAXLと交差反応する抗体をPBD弾頭に接続し、このADCをPDL1アンタゴニストとともに、AXLを発現するマウス腫瘍細胞株を移植したマウスに投与する。ADCは、実験者が決定したように、PDL1アンタゴニストの前、PDL1アンタゴニストと同時に、又はPDL1アンタゴニストの後に投与される。
通常、ADCは0.1〜1mg/kgの単回投与で投与され、PD1アンタゴニストは1〜10mg/kgの投与量でQ3d×3で投与される。対照群はADC又はPDL1アンタゴニスト単独を含む。その後、腫瘍体積と体重をすべての群で60日間まで測定し、部分奏功(PR)、完全奏功(CR)、腫瘍なく生存(TFS)のマウスを各群で決定する。
統計分析(通常はログランク検定)を実行して、併用で処理したマウスがADC又はPDL1アンタゴニストいずれか単独で処理したマウスよりも優れているかどうかを判定する。
CTLA4アンタゴニスト
CTLA4アンタゴニストと併用するAXLに対するPBDベースのADCが相加効果又は相乗効果を示すかどうかを試験するために、免疫適格マウスの同系腫瘍モデルにおいてin vivoで併用を試験する。この目的のために、マウスAXLと交差反応する抗体をPBD弾頭に接続し、このADCをCTLA4アンタゴニストとともに、AXLを発現するマウス腫瘍細胞株を移植したマウスに投与する。ADCは、実験者が決定したように、CTLA4アンタゴニストの前、CTLA4アンタゴニストと同時に、又はCTLA4アンタゴニストの後に投与される。
通常、ADCは0.1〜1mg/kgの単回投与で投与され、CTLA4アンタゴニストは1〜10mg/kgの投与量でQ3d×3で投与される。対照群はADC又はCTLA4アンタゴニスト単独を含む。その後、腫瘍体積と体重をすべての群で60日間まで測定し、部分奏功(PR)、完全奏功(CR)、腫瘍なく生存(TFS)のマウスを各群で決定する。
統計分析(通常はログランク検定)を実行して、併用で処理したマウスがADC又はCTLA4アンタゴニストいずれか単独で処理したマウスよりも優れているかどうかを判定する。
OX40アゴニスト
OX40アゴニストと併用するAXLに対するPBDベースのADCが相加効果又は相乗効果を示すかどうかを試験するために、免疫適格マウスの同系腫瘍モデルにおいてin vivoで併用を試験し、又は、この目的で、マウスAXLと交差反応する抗体をPBD弾頭に接続し、このADCをOX40アゴニストとともに、AXLを発現するマウス腫瘍細胞株を移植したマウスに投与する。ADCは、実験者が決定したように、OX40アゴニストの前、OX40アゴニストと同時に、又はOX40アゴニストの後に投与される。
通常、ADCは0.1〜1mg/kgの単回投与で投与され、OX40アゴニストは1〜10mg/kgの投与量でQ3d×3で投与される。対照群はADC又はOX40アゴニスト単独を含む。その後、腫瘍体積と体重をすべての群で60日間まで測定し、部分奏功(PR)、完全奏功(CR)、腫瘍なく生存(TFS)のマウスを各群で決定する。
統計分析(通常はログランク検定)を実行して、併用で処理したマウスがADC又はOX40アゴニストいずれか単独で処理したマウスよりも優れているかどうかを判定する。
GITRアゴニスト
GITRアゴニストと併用するAXLに対するPBDベースのADCが相加効果又は相乗効果を示すかどうかを試験するために、免疫適格マウスの同系腫瘍モデルにおいてin vivoで併用を試験する。この目的のために、マウスAXLと交差反応する抗体をPBD弾頭に接続し、このADCをGITRアゴニストとともに、AXLを発現するマウス腫瘍細胞株を移植したマウスに投与する。ADCは、実験者が決定したように、GITRアゴニストの前、GITRアゴニストと同時に、又はGITRアゴニストの後に投与される。
通常、ADCは0.1〜1mg/kgの単回投与で投与され、GITRアゴニストは1〜10mg/kgの投与量でQ3d×3で投与される。対照群はADC又はGITRアゴニスト単独を含む。その後、腫瘍体積と体重をすべての群で60日間まで測定し、部分奏功(PR)、完全奏功(CR)、腫瘍なく生存(TFS)のマウスを各群で決定する。
統計分析(通常はログランク検定)を実行して、併用で処理したマウスがADC又はGITRアゴニストいずれか単独で処理したマウスよりも優れているかどうかを判定する。
実施例16:ADC×AXLと免疫腫瘍学(I/O)二次薬剤PD1アンタゴニスト、PDL1アンタゴニスト、CTLA4アンタゴニスト、OX40アゴニスト、及びGITRアゴニストのそれぞれとの間のAXL−ve腫瘍細胞に対する相乗効果
AXLは、局所腫瘍環境に浸潤する免疫細胞にも発現しており、腫瘍に対する生来の免疫応答に抑制的な影響を与える可能性がある。そのような細胞の例は、NK細胞、DC細胞、又はマクロファージである。ADC×AXLは、免疫抑制細胞を殺傷し、免疫応答を促進するこれらの免疫細胞を標的化するために使用できる。
この「免疫抑制の解放」効果に加えて、ADC×AXLによる免疫細胞の殺傷は、ローカルPBD弾頭を放出し、バイスタンダー殺傷を介して隣接する新生物細胞を殺傷する。
したがって、これらの2つのメカニズムにより、AXLを発現しない腫瘍は、局所腫瘍環境の免疫細胞を標的化することにより殺傷することができる。また、隣接する免疫細胞から放出されたPBDによって殺傷されたAXL−ve腫瘍細胞は、追加の免疫原性細胞死を誘発し、抗腫瘍免疫応答をさらに強化する。
PD1アンタゴニスト
PD1アンタゴニストと併用するAXLに対するPBDベースのADCが、AXLを発現していない腫瘍に対して相加効果又は相乗効果を示すかどうかを試験するために、免疫適格マウスの同系腫瘍モデルにおいてin vivoで併用を試験する。この目的のために、マウスAXLと交差反応する抗体をPBD弾頭に接続し、MC38やCT26などであるが、これらに限定されない高レベルの浸潤細胞(例えば、樹状細胞、NK細胞、又はマクロファージ)を有することが知られているマウス腫瘍細胞株を移植したマウスに、このADCをPD1アンタゴニストとともに投与する。ADCは、実験者が決定したように、PD1アンタゴニストの前、PD1アンタゴニストと同時に、又はPD1アンタゴニストの後に投与される。
通常、ADCは0.1〜1mg/kgの単回投与で投与され、PD1アンタゴニストは1〜10mg/kgの投与量でQ3d×3で投与される。対照群はADC又はPD1アンタゴニスト単独を含む。その後、腫瘍体積と体重をすべての群で60日間まで測定し、部分奏功(PR)、完全奏功(CR)の腫瘍なく生存(TFS)のマウスを各群で決定する。
統計分析(通常はログランク検定)を実行して、併用で処理したマウスがADC又はPD1アンタゴニストいずれか単独で処理したマウスよりも優れているかどうかを判定する。
PD−L1アンタゴニスト
PDL1アンタゴニストと併用するAXLに対するPBDベースのADCが、AXLを発現していない腫瘍に対して相加効果又は相乗効果を示すかどうかを試験するために、免疫適格マウスの同系腫瘍モデルにおいてin vivoで併用を試験する。この目的のために、マウスAXLと交差反応する抗体をPBD弾頭に接続し、MC38やCT26などであるが、これらに限定されない高レベルの浸潤細胞(例えば、樹状細胞、NK細胞、又はマクロファージ)を有することが知られているマウス腫瘍細胞株を移植したマウスに、このADCをPDL1アンタゴニストとともに投与する。ADCは、実験者が決定したように、PDL1アンタゴニストの前、PDL1アンタゴニストと同時に、又はPDL1アンタゴニストの後に投与される。
通常、ADCは0.1〜1mg/kgの単回投与で投与され、PDL1アンタゴニストは1〜10mg/kgの投与量でQ3d×3で投与される。対照群はADC又はPDL1アンタゴニスト単独を含む。その後、腫瘍体積と体重をすべての群で60日間まで測定し、部分奏功(PR)、完全奏功(CR)の腫瘍なく生存(TFS)のマウスを各群で決定する。
統計分析(通常はログランク検定)を実行して、併用で処理したマウスがADC又はPDL1アンタゴニストいずれか単独で処理したマウスよりも優れているかどうかを判定する。
CTLA4アンタゴニスト
CTLA4アンタゴニストと併用するAXLに対するPBDベースのADCが、AXLを発現していない腫瘍に対して相加効果又は相乗効果を示すかどうかを試験するために、免疫適格マウスの同系腫瘍モデルにおいてin vivoで併用を試験する。この目的のために、マウスAXLと交差反応する抗体をPBD弾頭に接続し、MC38やCT26などであるが、これらに限定されない高レベルの浸潤細胞(例えば、樹状細胞、NK細胞、又はマクロファージ)を有することが知られているマウス腫瘍細胞株を移植したマウスに、このADCをCTLA4アンタゴニストとともに投与する。ADCは、実験者が決定したように、CTLA4アンタゴニストの前、CTLA4アンタゴニストと同時に、又はCTLA4アンタゴニストの後に投与される。
通常、ADCは0.1〜1mg/kgの単回投与で投与され、CTLA4アンタゴニストは1〜10mg/kgの投与量でQ3d×3で投与される。対照群はADC又はCTLA4アンタゴニスト単独を含む。その後、腫瘍体積と体重をすべての群で60日間まで測定し、部分奏功(PR)、完全奏功(CR)、腫瘍なく生存(TFS)のマウスを各群で決定する。
統計分析(通常はログランク検定)を実行して、併用で処理したマウスがADC又はCTLA4アンタゴニストいずれか単独で処理したマウスよりも優れているかどうかを判定する。
OX40アゴニスト
OX40アゴニストと併用するAXLに対するPBDベースのADCが、AXLを発現していない腫瘍に対して相加効果又は相乗効果を示すかどうかを試験するために、免疫適格マウスの同系腫瘍モデルにおいてin vivoで併用を試験する。この目的のために、マウスAXLと交差反応する抗体をPBD弾頭に接続し、MC38やCT26などであるが、これらに限定されない高レベルの浸潤細胞(例えば、樹状細胞、NK細胞、又はマクロファージ)を有することが知られているマウス腫瘍細胞株を移植したマウスに、このADCをOX40アゴニストとともに投与する。ADCは、実験者が決定したように、OX40アゴニストの前、OX40アゴニストと同時に、又はOX40アゴニストの後に投与される。
通常、ADCは0.1〜1mg/kgの単回投与で投与され、OX40アゴニストは1〜10mg/kgの投与量でQ3d×3で投与される。対照群はADC又はOX40アゴニスト単独を含む。その後、腫瘍体積と体重をすべての群で60日間まで測定し、部分奏功(PR)、完全奏功(CR)、腫瘍なく生存(TFS)のマウスを各群で決定する。
統計分析(通常はログランク検定)を実行して、併用で処理したマウスがADC又はOX40アゴニストいずれか単独で処理したマウスよりも優れているかどうかを判定する。
GITRアゴニスト
GITRアゴニストと併用するAXLに対するPBDベースのADCが、AXLを発現していない腫瘍に対して相加効果又は相乗効果を示すかどうかを試験するために、免疫適格マウスの同系腫瘍モデルにおいてin vivoで併用を試験する。この目的のために、マウスAXLと交差反応する抗体をPBD弾頭に接続し、MC38やCT26などであるが、これらに限定されない高レベルの浸潤細胞(例えば、樹状細胞、NK細胞、又はマクロファージ)を有することが知られているマウス腫瘍細胞株を移植したマウスに、このADCをGITRアゴニストとともに投与する。ADCは、実験者が決定したように、GITRアゴニストの前、GITRアゴニストと同時に、又はGITRアゴニストの後に投与される。
通常、ADCは0.1〜1mg/kgの単回投与で投与され、GITRアゴニストは1〜10mg/kgの投与量でQ3d×3で投与される。対照群はADC又はGITRアゴニスト単独を含む。その後、腫瘍体積と体重をすべての群で60日間まで測定し、部分奏功(PR)、完全奏功(CR)、腫瘍なく生存(TFS)のマウスを各群で決定する。
統計分析(通常はログランク検定)を実行して、併用で処理したマウスがADC又はGITRアゴニストいずれか単独で処理したマウスよりも優れているかどうかを判定する。

Claims (14)

  1. 有効量のADC×AXL及び二次薬剤を含む、個体のがんを治療する医薬組成物であって、ここで、前記ADC×AXLは、化学式Ab−(DL)pで表される化合物であり、ここでDLは、以下の:
    Figure 2020517652
    (式中、pは1〜8であり、
    Abは、AXLと結合する抗体であり、前記抗体は、以下の:
    (a)配列番号3で表される配列を有する重鎖であり;かつ、
    (b)配列番号4で表される配列を有する軽鎖である)
    化学式で表される、医薬組成物
  2. 個体のがんを治療するADC×AXLを含む医薬組成物であって、前記治療は、二次薬剤を含む第2組成物と併用する前記医薬組成物の投与を含み、ここで、前記ADC×AXLは、化学式Ab−(DL)pで表される化合物であり、ここでDLは、以下の:
    Figure 2020517652
    (式中、pは1〜8であり、
    Abは、AXLと結合する抗体であり、前記抗体は、以下の:
    (a)配列番号3で表される配列を有する重鎖であり;かつ、
    (b)配列番号4で表される配列を有する軽鎖である)
    化学式で表される医薬組成物。
  3. 個体の障害を治療する二次薬剤を含む医薬組成物であって、前記治療は、ADC×AXLを含む第2組成物と併用する前記医薬組成物の投与を含み、ここで、前記ADC×AXLは、化学式Ab−(DL)pで表される化合物であり、ここでDLは、以下の:
    Figure 2020517652
    (式中、pは1〜8であり、
    Abは、AXLと結合する抗体であり、前記抗体は、以下の:
    (a)配列番号3で表される配列を有する重鎖であり;かつ、
    (b)配列番号4で表される配列を有する軽鎖である)
    化学式で表される医薬組成物。
  4. ADC×AXLを含む第1医薬と;
    二次薬剤を含む第2医薬と;場合によっては、
    がんの治療のために前記第2医薬と併用して個体に前記第1医薬を投与するための説明書を含む添付文書と、
    を含む、キットであって、ここで、前記ADC×AXLは、化学式Ab−(DL)pで表される化合物であり、ここでDLは、以下の:
    Figure 2020517652
    (式中、pは1〜8であり、
    Abは、AXLと結合する抗体であり、前記抗体は、以下の:
    (a)配列番号3で表される配列を有する重鎖であり;かつ、
    (b)配列番号4で表される配列を有する軽鎖である)
    化学式で表される、キット。
  5. ADC×AXLを含む医薬、及び、がんの治療で個体に二次薬剤を含む組成物と併用して前記医薬を投与する説明書を含む添付文書、を含むキットであって、ここで、前記ADC×AXLは、化学式Ab−(DL)pで表される化合物であり、ここでDLは、以下の:
    Figure 2020517652
    (式中、pは1〜8であり、
    Abは、AXLと結合する抗体であり、前記抗体は、以下の:
    (a)配列番号3で表される配列を有する重鎖であり;かつ、
    (b)配列番号4で表される配列を有する軽鎖である)
    化学式で表される、キット。
  6. 二次薬剤を含む医薬、及び、がんの治療で個体にADC×AXLを含む組成物と併用して前記医薬を投与する説明書を含む添付文書と、を含むキットであって、ここで、前記ADC×AXLは、化学式Ab−(DL)pで表される化合物であり、ここでDLは、以下の:
    Figure 2020517652
    (式中、pは1〜8であり、
    Abは、AXLと結合する抗体であり、前記抗体は、以下の:
    (a)配列番号3で表される配列を有する重鎖であり;かつ、
    (b)配列番号4で表される配列を有する軽鎖である)
    化学式で表される、キット。
  7. ADC×AXL及び二次薬剤を含む医薬組成物であって、ここで、前記ADC×AXLは、化学式Ab−(DL)pで表される化合物であり、ここでDLは、以下の:
    Figure 2020517652
    (式中、pは1〜8であり、
    Abは、AXLと結合する抗体であり、前記抗体は、以下の:
    (a)配列番号3で表される配列を有する重鎖であり;かつ、
    (b)配列番号4で表される配列を有する軽鎖である)
    化学式で表される、医薬組成物。
  8. 個体のがんを治療する、請求項7に記載の医薬組成物。
  9. 請求項7に記載の医薬組成物と、がんの治療で個体に医薬を投与するための一連の説明書と、を含むキット。
  10. (i)前記治療は、前記二次薬剤の前、前記二次薬剤と同時に、又は前記二次薬剤の後にADC×AXLを投与する;及び/又は
    (ii)前記治療は、さらに、化学療法剤を投与することを含む;
    請求項1〜8のいずれかに記載の医薬組成物又はキット。
  11. 前記個体は、
    (i)ヒト;
    (ii)障害があるか、又はがんであると診断されていた;
    (iii)AXL+veとAXL−ve細胞をともに含む新生物の存在で特徴付けられるがんであるか、又はであると診断されていた;
    (iv)AXL−ve新生物細胞を含むか、又はそれから構成される新生物の存在で特徴付けられるがんであるか、又はであると診断されていた;
    (v)AXLを発現するがんか、若しくはAXL+浸潤細胞などのAXL+腫瘍関連非腫瘍細胞があるか、又はであると診断されていた;
    (vi)AXLを発現するがんか、若しくはAXL+浸潤細胞などのAXL+腫瘍関連非腫瘍細胞があるか、又はであると診断されおり、ここで、前記AXL+浸潤細胞が樹状細胞、NK細胞、又はマクロファージである;又は
    (vii)前記個体がPD−L1を発現するがんを有するか、又は有すると診断されていた、請求項1〜10のいずれかに記載の医薬組成物又はキット。
  12. 前記治療が、ADC×AXL又は前記二次薬剤のいずれか単独による治療と比較して、
    a)より幅広い障害を有効に治療するか、
    b)抵抗性、難治性、又は再発性の障害をより有効に治療するか、
    c)奏効率がより高いか、及び/又は
    d)耐久性がより高い、
    請求項1〜11のいずれか1項に記載の医薬組成物又はキット。
  13. (a)前記がんは又は新生物は固形腫瘍の部分又は全てであり;又は、
    (b)前記がんは、乳がん、肺がん、胃がん、頭頸部がん、結腸直腸がん、腎がん、膵臓がん、子宮がん、肝がん、膀胱がん、子宮内膜がん、前立腺がん、非ホジキンリンパ腫、NHL、AML)、免疫障害、心血管障害、血栓症、糖尿病、免疫チェックポイント障害、及び線維性障害からなる群から選択される、請求項1〜12のいずれか1項に記載の医薬組成物又はキット。
  14. 前記二次薬剤は、
    (i)フルダラビン;
    (ii)シタラビン;
    (iii)PD1アンタゴニスト;
    (iv)ペンブロリズマブ、ニボルマブ、MEDI0680、PDR001(スパルタリズマブ)、カムレリズマブ、AUNP12、ピジリズマブ、セミプリマブ(REGN−2810)、AMP−224、BGB−A317(チスレリズマブ)、及びBGB−108から選択される、PD1アンタゴニスト;
    (v)PD−L1アンタゴニスト;
    (vi)アテゾリズマブ(テセントリク)、BMS−936559/MDX−1105、デュルバルマブ/MEDI4736、及びMSB0010718C(アベルマブ)から選択される、PD−L1アンタゴニスト;
    (vii)GITR(グルココルチコイド誘導TNFR関連タンパク質)アゴニスト;
    (viii)MEDI1873、TRX518、GWN323、MK−1248、MK 4166、BMS−986156、及びINCAGN1876から選択される、GITR(グルココルチコイド誘導TNFR関連タンパク質)アゴニスト;
    (ix)OX40アゴニスト;
    (x)MEDI0562、MEDI6383、MOXR0916、RG7888、OX40mAb24、INCAGN1949、GSK3174998、及びPF−04518600から選択される、OX40アゴニスト;
    (xi)CTLA−4アンタゴニスト;
    (xii)イピリムマブ及びトレメリムマブから選択される、CTLA−4アンタゴニスト;
    (xiii)低メチル化剤;
    (xiv)アザシチジン、又はデシタビン;
    (xv)PARP阻害剤(PARPi);
    (xvi)オラパリブ、CEP−9722、BMN−673/タラゾパリブ、ルカパリブ、イニパリブ/SAR24−550/BSI−201、ベリパリブ(ABT−888)、ニラパリブ/MK−4827、BGB−290、3−アミノベンズアミド、及びE7016から選択される、PARPi;
    (xvii)HER2発現を上方制御する薬剤;
    (xviii)ゲムシタビン及びタモキシフェンから選択される、HER2発現を上方制御する薬剤;
    (xix)AXL−キナーゼ阻害剤(AXLi);
    (xx)BGB324(ベンセンチニブ)、TP0903、ギルテリチニブ(ASP2215)、カボザンチニブ(XL184)、SGI7079、メレスチニブ、アムバチニブ(MP−470)、ボスチニブ(SKI−606)、MGCD265、及びフォレチニブ(GSK1363089/XL880)から選択される、AXLi;
    (xxi)BRAF阻害剤(BRAFi);
    (xxii)ベムラフェニブ、PLX4720、ダブラフェニブ、ソラフェニブ、エンコラフェニブ、及びGDC0879から選択される、BRAFi;
    (xxiii)MEK阻害剤(MEKi);又は
    (xxiv)トラメチニブ、コビメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、PD−325901、Cl−1040、PD035901、U0126、及びTAK−733から選択される、AXLi;
    である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の医薬組成物又はキット。
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