JP2006515742A - 乳癌細胞でのプロテインチロシンキナーゼおよび/またはプロテインチロシンキナーゼ経路と相互作用および/またはモデュレートする化合物の活性を予測するためのポリヌクレオチドの同定 - Google Patents
乳癌細胞でのプロテインチロシンキナーゼおよび/またはプロテインチロシンキナーゼ経路と相互作用および/またはモデュレートする化合物の活性を予測するためのポリヌクレオチドの同定 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2006515742A JP2006515742A JP2004532963A JP2004532963A JP2006515742A JP 2006515742 A JP2006515742 A JP 2006515742A JP 2004532963 A JP2004532963 A JP 2004532963A JP 2004532963 A JP2004532963 A JP 2004532963A JP 2006515742 A JP2006515742 A JP 2006515742A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- polynucleotides
- tyrosine kinase
- polypeptide
- predictor
- compound
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07K—PEPTIDES
- C07K14/00—Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
- C07K14/435—Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
- C07K14/46—Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates
- C07K14/47—Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates from mammals
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P35/00—Antineoplastic agents
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P43/00—Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12Q—MEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
- C12Q1/00—Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
- C12Q1/68—Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
- C12Q1/6876—Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes
- C12Q1/6883—Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes for diseases caused by alterations of genetic material
- C12Q1/6886—Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes for diseases caused by alterations of genetic material for cancer
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K38/00—Medicinal preparations containing peptides
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12Q—MEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
- C12Q1/00—Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
- C12Q1/68—Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
- C12Q1/6813—Hybridisation assays
- C12Q1/6834—Enzymatic or biochemical coupling of nucleic acids to a solid phase
- C12Q1/6837—Enzymatic or biochemical coupling of nucleic acids to a solid phase using probe arrays or probe chips
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12Q—MEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
- C12Q2600/00—Oligonucleotides characterized by their use
- C12Q2600/106—Pharmacogenomics, i.e. genetic variability in individual responses to drugs and drug metabolism
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12Q—MEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
- C12Q2600/00—Oligonucleotides characterized by their use
- C12Q2600/136—Screening for pharmacological compounds
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12Q—MEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
- C12Q2600/00—Oligonucleotides characterized by their use
- C12Q2600/158—Expression markers
Abstract
本発明は、たとえば、チロシンキナーゼのSrcファミリーの成員、たとえばSrc、Fgr、Fyn、Yes、Blk、Hck、LckおよびLyn、並びに他のチロシンキナーゼ(Bcr-abl、Jak、PDGFR、c-kitおよびEphレセプターを含む)などのプロテインチロシンキナーゼと相互作用およびモデュレートする、たとえば抑制する化合物による処理に対する細胞、たとえば乳癌細胞株の相対的な固有の感受性または耐性と相関関係を有するポリヌクレオチドを記載する。これらポリヌクレオチドは、ウエイテッドボーティングクロス確認プログラムにより、該化合物に対する乳癌細胞株の耐性および感受性を予測するうえで有用性があることが示された。幾つかのポリヌクレオチドの発現レベルまたはリン酸化状態は特定のプロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物による処理によって制御されることから、これらポリヌクレオチドはプロテインチロシンキナーゼシグナル伝達経路、たとえばSrcチロシンキナーゼに関与していることが示される。その発現レベルが薬剤感受性または耐性と高度の相関関係を有し、該化合物による処理によってモデュレートされるそのようなポリヌクレオチドは、薬剤応答を予測する方法において、および疾患管理、とりわけSrcチロシンキナーゼ経路などのプロテインチロシンキナーゼ経路によりシグナル伝達が疾患プロセスに関与している疾患領域、たとえば乳癌における予後または診断指標として有用なポリヌクレオチドプレディクターまたはマーカーセットを含む。
Description
本願は、35 U.S.C.119(e)のもと、2002年8月27日に出願された米国仮特許出願第60/406,385号の利益を主張する。この関連出願の全教示を参照のため本明細書に引用する。
本発明は、一般にファーマコゲノミクスの分野に関し、さらに詳細には患者、とりわけ乳癌患者での薬剤感受性を決定するための新規かつ別の方法および手順に関する。本発明は、分子レベルでの患者の応答に基づいて疾患および障害を処置することの助けとなる個別化された(individualized)遺伝子プロフィルの開発を可能とする。
乳癌は、組織臨床的(histoclinical)不均質さが極めて広範な疾患である。従来の組織学的および臨床的特性が予後と相関付けられてはいるものの、乳腫瘍の同じみかけの予後タイプが、治療へのその応答性およびその後の患者の生存において広範に様々である。臨床において薬剤への患者の応答を正確に予期するため、新規な予後および予測マーカーが必要とされている。そのようなマーカーは、各患者についての治療の個別化を容易にするであろう。
この問題は、処置または治療に対する患者の感受性をより良好に予測することのできる新規なパラメーターの同定により解決することができる。患者試料の分類は、癌の診断および処置の重要な側面である。薬剤処置に対する患者の応答を分子マーカーおよび遺伝子マーカーと関連付けることは、非応答性の患者において薬剤を開発する新たな機会を開き、または効能に対するより高い信頼のゆえに他の処置選択の中から薬剤の適応症を識別することができる。さらに、医薬、薬剤、または組み合わせ療法(combination therapy)に充分に応答しそうな患者を前もって選択することは、臨床研究において必要な患者の数を減らし、あるいは臨床開発プログラムを完成するのに必要な時間を促進することができる(M. Cockettら、2000, Current Opinion in Biotechnology, 11:602-609)。
ファーマコゲノミクス研究の主たる目的は、臨床において薬剤に対する所定の患者の応答を正確に予測する遺伝子マーカーを同定することである;そのような個別化された遺伝子評価は、個性化された処置を極めて容易にするであろう。この性質のアプローチは、普通に用いられる薬剤が多くの患者で効果がなく、副作用がしばしば認められる癌の処置および治療において特に必要とされる。患者の薬剤感受性を予測できることは、薬剤応答が標的細胞に固有の特性および宿主の代謝特性の両者を反映するがゆえに、特に興味深い。遺伝情報を用いて薬剤感受性を予測する当業者による努力は、主として、多剤耐性ポリヌクレオチド、mdr1およびmrp1などの広範な作用を有する個々のポリヌクレオチドに集中されてきた(P. Sonneveld, 2000, J. Intern. Med., 247:521-534)。
ポリヌクレオチド発現パターンの大スケールでの特徴付けのためのマイクロアレイ法の開発は、複数の分子マーカーを体系的に探索すること、および伝統的な組織病理学的方法によっては明らかではない別個のサブグループに癌を類別することを可能にしている(J. Khanら、1998, Cancer Res., 58:5009-5013; A.A. Alizadehら、2000, Nature, 403:503-511; M. Bittnerら、2000, Nature, 406:536-540; J. Khanら、2001, Nature Medicine, 7(6):673-679;およびT.R. Golubら、1999, Science, 286:531-537; U. Alonら、1999, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 96:6745-6750)。そのような技術および分子ツールは、ある所定の時間での細胞内での多数の転写物の発現レベルをモニターすることを可能にした(たとえば、Schenaら、1995, Science, 270:467-470; Lockhartら、1996, Nature Biotechnology, 14:1675-1680; Blanchardら、1996, Nature Biotechnology, 14:1649;および1996年10月29日発行の米国特許第5,569,588号(Ashbyら)を参照)。
異なるポリヌクレオチド発現が健康および疾患とどのようにして関連付けられるかは、機能的なゲノミクス(特定の細胞または細胞群によって発現されるすべてのポリヌクレオチドおよび発生、疾患、または環境暴露の際のその発現パターンの変化の研究として定義される)の基礎である。ポリヌクレオチド発現の研究に用いるハイブリダイゼーションアレイは、一度に文字通り何千ものポリヌクレオチドの発現の変化を調べることを可能とすることにより、ゲノムスケールでのポリヌクレオチド発現分析を可能とする。一般に、ハイブリダイゼーションアッセイのためには、遺伝子特異的配列(プローブ)を固相マトリックスに固定化する。ついで、これら配列を生物学的試料からの核酸(標的)の標識コピーで質問する。その基礎となっている理論は、遺伝子の発現が多くなればなるほど、標識した標的の量が多くなり、それゆえシグナルの出力も大きくなるというものである(W.M. Freemanら、2000, BioTechniques), 29:1042-1055)。
最近の研究は、ヒト腫瘍のマイクロアレイ分析により生成したポリヌクレオチド発現情報が臨床結果を予測することができることを示している(L.J. van't Veerら、2002, Nature, 415:530-536; M. Westら、2001, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 98:11462-11467; T. Sorlieら、2001, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 98:10869-10874; M. Shippら、2002, Nature Medicine, 8(1):68-74)。これら知見は、個々の腫瘍の治療への応答をより良好に予測することによって癌処置が高度に改善されるであろうとの希望をもたらしている。
当該技術分野で必要とされているのは、患者での薬剤感受性を決定するための新規かつ別の方法および手順であって、分子レベルでの患者の応答に基づいて疾患および障害、とりわけ乳癌などの癌を処置するのに必要なものである。インビボ作用のモデルとして培養細胞を用いることにより、本発明は有利にも、細胞培養に暴露された細胞固有の特性に焦点を当て、薬剤耐性と相関関係のある同定されたポリヌクレオチドを含むものである。本発明により記載するインビトロでアッセイした細胞株でのポリヌクレオチド/マーカーポリヌクレオチド(プレディクター(predictor)ポリヌクレオチドとポリヌクレオチドのセット)の発見および同定は、インビボでの薬剤応答と相関付けるのに用いることができ、それゆえ同ポリヌクレオチドを使用して患者、とりわけ乳癌患者による薬剤および/または化学療法剤への応答を予測する臨床場面に拡張することができる。
本発明は、プロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物に感受性であるかまたは耐性であるかのいずれかである乳癌細胞株において、その発現レベルが薬剤耐性と高度の相関関係を有するマーカーポリヌクレオチドの同定を記載する。さらに詳細には、本発明に従って抑制されるプロテインチロシンキナーゼは、チロシンキナーゼのSrcファミリーの成員、たとえばSrc、Fgr、Fyn、Yes、Blk、Hck、LckおよびLyn、並びに他のチロシンキナーゼ(Bcr-abl、Jak、PDGFR、c-kitおよびEphレセプターを含む)を含む。これらおよび他のプロテインチロシンキナーゼの概論としては、たとえば、P. Blume-JensenおよびT. Hunter, 2001, “Oncopolynucleotide Kinase Signaling”, Nature, 411:355-365を参照。これらポリヌクレオチドの幾つかはまた、チロシンキナーゼインヒビター化合物、とりわけsrcチロシンキナーゼインヒビター化合物によってモデュレートされるが、このことはそれらがプロテインチロシンキナーゼシグナル伝達経路に関与していることを示している。これらポリヌクレオチドまたは「マーカー」は、薬剤および/または薬剤処置に対する宿主の応答を予測するうえでの有用性を示す。乳癌細胞株に対するこれらポリヌクレオチドの同様の発現パターンはまた原発性の乳腫瘍でも認められ、このことはこれらマーカーポリヌクレオチドの同時制御(co-regulation)を示している。
その発現レベルが、疾患状態とまたは疾患を有する宿主と関連する細胞の薬剤感受性と相関関係を有するポリヌクレオチドを同定するための細胞培養モデルを提供することは本発明の一つの側面である。本発明によれば、プロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物に対する薬剤耐性を決定する未処理の細胞株、とりわけ乳癌細胞株のパネルにおいて多数のポリヌクレオチドの発現レベルを測定すべくオリゴヌクレオチドマイクロアレイを利用した。未処理の細胞でのポリヌクレオチドの発現プロフィルの決定は、その発現レベルが、プロテインチロシンキナーゼまたはプロテインチロシンキナーゼ(たとえば、srcチロシンキナーゼ)が関与する経路をモデュレートする、好ましくは抑制する薬剤または化合物と高度の相関関係を有するマーカーポリヌクレオチドの化学感受性(chemosensitivity)の予測および同定を可能にした。かくしてマーカーポリヌクレオチドは、プロテインチロシンキナーゼ活性に直接または間接に影響を及ぼす薬剤または薬剤処置に対する患者の応答を予測するための1またはそれ以上のプレディクターとして利用することができる。
ある疾患状態、または特定のタイプの癌または腫瘍、たとえば乳癌または乳腫瘍のための薬剤または化学療法処置または化学療法剤を必要とする患者が、該薬剤または化学療法処置または化学療法剤に首尾よく応答するかまたは応答しないかをそのような処置または化学療法剤を投与する前に決定または予測する方法を提供することは、本発明の他の側面である。好ましくは、該処置または化学療法剤は、プロテインチロシンキナーゼモデュレーター(modulating agent)、たとえばプロテインチロシンキナーゼ活性のインヒビターを含む。その活性を本発明によるインヒビター化合物によって抑制することのできるプロテインチロシンキナーゼとしては、たとえば、チロシンキナーゼのSrcファミリーの成員、たとえばSrc、Fgr、Fyn、Yes、Blk、Hck、LckおよびLyn、並びに他のチロシンキナーゼ(Bcr-abl、Jak、PDGFR、c-kitおよびEphレセプターを含む)が挙げられる。また、本発明によれば、患者組織試料、たとえば乳腫瘍または乳癌の生検からの細胞をアッセイして、そのポリヌクレオチド発現パターンをプロテインチロシンキナーゼモデュレーター化合物または薬剤、好ましくはsrcチロシンキナーゼインヒビターで処置する前に決定する。その結果得られた化合物または薬剤に暴露する前の被験細胞のポリヌクレオチド発現プロフィルを、本明細書に記載および示す(表2)ポリヌクレオチドのプレディクターセットのポリヌクレオチド発現パターンと比較する。さらに、そのような方法において、プレディクターポリヌクレオチドのサブセットのポリヌクレオチド発現パターン、すなわち、それぞれ表4〜5に示す15および17のポリヌクレオチドのセットもまた用いることができる。これらポリヌクレオチドは、薬剤または化合物に対して耐性であるかまたは感受性であるかを決定した未処理の細胞の対照パネルからのものである。
薬剤による処置が成功したかまたは失敗したかの決定は、被験組織、たとえば腫瘍または癌の生検からの細胞(被験細胞)のポリヌクレオチド発現パターンがポリヌクレオチドのプレディクターセットのポリヌクレオチド発現パターンと比較的類似しているかまたは異なっていることに基づいて行うことができる。それゆえ、もしも被験細胞が、薬剤または化合物に感受性である細胞の対照パネルにおけるポリヌクレオチドのプレディクターセットに対応するポリヌクレオチド発現プロフィルを示すときは、その患者の癌または腫瘍は該薬剤または化合物による処置に対して有利に応答する蓋然性が高いまたはそのように予測される。対照的に、もしも被験細胞が、薬剤または化合物に耐性である細胞の対照パネルにおけるポリヌクレオチドのプレディクターセットに対応するポリヌクレオチド発現プロフィルを示すときは、その患者の癌または腫瘍は該薬剤または化合物による処置に応答しない蓋然性が高いまたはそのように予測される。
癌患者が、ある薬剤または化合物、とりわけプロテインチロシンキナーゼ活性またはプロテインチロシンキナーゼ経路に直接または間接に関与する薬剤または化合物による処置に対して感受性であるかまたは耐性であるか否かを決定するためのスクリーニングアッセイを提供することは本発明の他の側面である。そのようなプロテインチロシンキナーゼとしては、これらに限られるものではないが、チロシンキナーゼのSrcファミリーの成員、たとえばSrc、Fgr、Fyn、Yes、Blk、Hck、LckおよびLyn、並びに他のチロシンキナーゼ(Bcr-abl、Jak、PDGFR、c-kitおよびEphレセプターを含む)が挙げられる。
さらに特別の側面において、本発明は、癌患者が、ある薬剤または化合物、とりわけsrcチロシンキナーゼ活性またはsrcチロシンキナーゼ経路に直接または間接に関与する薬剤または化合物による処置に対して感受性であるかまたは耐性であるか否かを決定するためのスクリーニングアッセイを提供する。
プロテインチロシンキナーゼ(チロシンキナーゼのSrcファミリーの成員、たとえばSrc、Fgr、Fyn、Yes、Blk、Hck、LckおよびLyn、並びに他のチロシンキナーゼ(Bcr-abl、Jak、PDGFR、c-kitおよびEphレセプターを含む))をモデュレートする化合物または薬剤によって処置することのできる疾患を有する患者の処置をモニターする方法を提供することは本発明の他の側面である。このことは、プロテインチロシンキナーゼ活性を抑制する薬剤または化合物で処置する前および該薬剤または化合物で処置後の患者組織試料、たとえば腫瘍または癌の生検、たとえば乳癌または乳腫瘍の試料からの細胞の耐性または感受性のポリヌクレオチド発現プロフィルを比較することによって行うことができる。患者の組織試料から単離した被験細胞をアッセイして、化合物または薬剤、たとえばsrcチロシンキナーゼインヒビターに暴露する前または後のポリヌクレオチド発現パターンを決定する。かくして得られた処置の前および処置後の被験細胞のポリヌクレオチド発現パターンを、該薬剤または化合物に対して耐性であるかまたは感受性のいずれかである細胞の対照パネルで高度に発現されることが本明細書において記載および示されたポリヌクレオチドのプレディクターセットまたはサブセットのポリヌクレオチド発現パターンと比較する。それゆえ、もしも患者の応答が、プレディクターポリヌクレオチドの発現プロフィルの相関関係に基づいてプロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物による処置に対して感受性であるものとなれば、患者の処置の予後は有利であると認定することができ、処置を継続することができる。また、もしも薬剤または化合物による処置後に、被験化合物が、該薬剤または化合物に感受性である細胞の対照パネルに対応するポリヌクレオチド発現プロフィルに変化を示さないなら、このことは現在行っている処置が改変し、変え、または中断すべきでさえあることの指標となり得る。そのようなモニタリングプロセスは薬剤または化合物による患者の処置の成功または失敗を示すことができ、該モニタリングプロセスは必要に応じてまたは所望により繰り返すことができる。
プロテインチロシンキナーゼまたはプロテインチロシンキナーゼ経路によるシグナル伝達が重要である疾患領域において、たとえば、癌および腫瘍において、免疫障害、状態または不全において、または細胞のシグナル伝達および/または増殖の制御が異常または異所性である疾患状態において、診断および予後の両価値を有するプレディクターポリヌクレオチドおよびポリヌクレオチドのプレディクターセットを提供することは本発明の他の側面である。その直接または間接のモデュレートが疾患状態または状態と関連し得るそのようなプロテインチロシンキナーゼとしては、チロシンキナーゼのSrcファミリーの成員、たとえばSrc、Fgr、Fyn、Yes、Blk、Hck、LckおよびLyn、並びに他のチロシンキナーゼ(Bcr-abl、Jak、PDGFR、c-kitおよびEphレセプターを含む)が挙げられる。本発明によれば、プレディクターポリヌクレオチドまたはプレディクターポリヌクレオチドのセットまたはサブセット(表2のプレディクターポリヌクレオチド、および表4〜5のプレディクターポリヌクレオチドのサブセットなど)の使用は、生物系または細胞応答についての知見を得る前に結果を予測することである。
プロテインチロシンキナーゼインヒビター薬剤または化合物に対する耐性または感受性との高度の相関関係を有するポリヌクレオチド(表2に列挙したポリヌクレオチド、または表4〜5に列挙したポリヌクレオチドのサブセットなど)を、プロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物かまたはプロテインチロシンキナーゼ経路に異なる生物系でまたは細胞応答に対して影響を及ぼす化合物のいずれかの作用を予測または妥当に予想できるように、プレディクターポリヌクレオチドのセットに整理することは本発明のさらに別の側面である。プレディクターポリヌクレオチドのセットは、被験細胞による薬物応答のインビトロアッセイに用いてインビボの結果を予測することができる。本発明によれば、本明細書に記載する種々のプレディクターポリヌクレオチドのセット、またはこれらプレディクターと他のポリヌクレオチドもしくはこれらポリヌクレオチドの他の共変数(co-variants)との組み合わせを用い、たとえば、癌または腫瘍を罹患する患者がプロテインチロシンキナーゼをモデュレートするまたは全プロテインチロシンキナーゼ制御経路によりシグナル伝達をモデュレートする化合物を用いた治療的介入に対してどのように応答するかを予測することができる。ポリヌクレオチドのプレディクターセット、またはこれらポリヌクレオチドの共変数は、癌または腫瘍を罹患する患者がチロシンキナーゼまたはチロシンキナーゼ(Srcファミリーのプロテインチロシンキナーゼ成員、たとえばSrc、Fgr、Fyn、Yes、Blk、Hck、LckおよびLyn、並びに他のチロシンキナーゼ(Bcr-abl、Jak、PDGFR、c-kitおよびEphレセプターを含む)など)の活性をモデュレートする化合物を用いた治療に対してどのように応答するかを予測するのに用いることができる。
本発明の他の目的は、プロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物に対する感受性かまたは耐性のいずれかとの相関関係を有する発現プロフィルを示す本明細書に記載のこれらポリヌクレオチドまたはその組み合わせを含む1またはそれ以上の特殊化したマイクロアレイ、たとえばオリゴヌクレオチドマイクロアレイまたはcDNAマイクロアレイを提供することである。そのようなマイクロアレイは、たとえば腫瘍生検からの被験細胞でのマイクロアレイ上のポリヌクレオチドの発現レベルを評価し、ついでこれら被験細胞がプロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物に対して耐性または感受性のいずれの蓋然性が高いかを決定するためのインビトロアッセイに用いることができる。たとえば、特殊化したマイクロアレイは、本明細書に記載し表2、4および5に示したポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドサブセット、またはその組み合わせの幾つかまたは全てを用いて調製することができる。組織または器官生検からの細胞は、単離し、1またはそれ以上のインヒビター化合物に暴露させることができる。未処置細胞および処置細胞の両者から単離した核酸を1またはそれ以上の特殊化したマイクロアレイに適用した後、被験細胞のポリヌクレオチド発現のパターンを決定し、マイクロアレイ上でプレディクターポリヌクレオチドセットを生成するのに用いた細胞の対照パネルからのプレディクターポリヌクレオチドパターンのものと比較することができる。試験を受けている細胞からのポリヌクレオチド発現パターンの結果に基づき、該細胞がポリヌクレオチド発現の耐性または感受性プロフィルを示すか否かを決定することができる。ついで、組織または器官生検からの被験細胞がプロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物に応答するか否か、および処置または治療の方針を、特殊化したマイクロアレイの分析の結果から収集した情報に基づいて決定または評価することができる。
ある疾患、とりわけ癌または腫瘍、すなわち乳癌または乳腫瘍を有する患者による薬剤感受性または耐性を決定または予測するためのキットを提供することは本発明のさらなる側面である。そのようなキットは、患者の腫瘍または癌の生検試料を試験する臨床現場において、たとえば、患者の腫瘍または癌が、プロテインチロシンキナーゼの活性またはプロテインチロシンキナーゼの活性が関与する細胞のシグナル伝達経路の修飾、好ましくは抑制に直接または間接に関与している薬剤、化合物、化学療法剤、または生物学的薬剤を用いた所定の処置または治療に対して耐性または感受性であるか否かを決定または予測するうえで有用である。該キット中に提供されるのは、プロテインチロシンキナーゼモデュレーター、とりわけプロテインチロシンキナーゼのSrcファミリーの成員、たとえばSrc、Fgr、Fyn、Yes、Blk、Hck、LckおよびLyn、並びにBcr-abl、Jak、PDGFR、c-kitおよびEphレセプタープロテインチロシンキナーゼのインヒビターに対する耐性および感受性との相関関係を有するポリヌクレオチドを含む1またはそれ以上のマイクロアレイ、たとえばオリゴヌクレオチドマイクロアレイまたはcDNAマイクロアレイ;および適当な容器においては、患者の組織標本または患者の試料からの被験細胞に用いるモデュレーター/化合物;および使用説明書である。さらに、本発明により包含されるキットは、本明細書にさらに記載するであろうように、当該技術分野の他の技術またはシステム、たとえば、RT−PCR(本明細書に記載の1またはそれ以上のプレディクターポリヌクレオチドに基づいてデザインしたプライマーを使用)、イムノアッセイ、たとえば酵素結合抗体免疫吸着アッセイ(ELISA)、イムノブロッティング、たとえばウエスタンブロット、またはインシトゥハイブリダイゼーションなどを用い、本発明のプレディクターまたはマーカーポリヌクレオチドの発現をmRNAまたはタンパク質のレベルでモニターするための試薬または材料を含んでいてよい。本発明によるキットはまた、表2に示すプレディクターポリヌクレオチド、および/または表4〜5に示す1またはそれ以上のプレディクターポリヌクレオチドのサブセットを含んでいてよい。
本発明の他の側面は、本明細書に記載の同定したプレディクターポリヌクレオチドの中から疾患処置の薬剤療法の開発のための標的として機能しうる1またはそれ以上のポリヌクレオチドを提供することである。そのような標的は、とりわけ乳癌または乳腫瘍などの乳房疾患の処置に適用することができる。これらプレディクターポリヌクレオチドは感受性の細胞および耐性の細胞で異なって発現されるため、その発現パターンは、プロテインチロシンキナーゼ(プロテインチロシンキナーゼのSrcファミリーの成員、たとえばSrc、Fgr、Fyn、Yes、Blk、Hck、LckおよびLyn、並びにBcr-abl、Jak、PDGFR、c-kitおよびEphレセプタープロテインチロシンキナーゼを含む)と相互作用しおよび/またはプロテインチロシンキナーゼを抑制する化合物による処置に対する細胞の相対的な固有の感受性と相関関係を有する。従って、耐性細胞で高度に発現されるポリヌクレオチドは、プロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物に耐性の腫瘍に対する新規薬剤療法の開発の標的として機能しうる。
本発明のさらに他の目的は、プレディクターポリヌクレオチドによってコードされた1またはそれ以上のプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチド、またはそのペプチドに対する抗体(ポリクローナルまたはモノクローナル)を提供することである。そのような抗体は様々な仕方で用いることができ、たとえば、インビトロおよびインビボの両診断法、検出法、スクリーニング法、および/または治療法などを含めて、本発明のプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドを精製、検出、およびターゲティングするのに用いることができる。本発明のプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドとして含まれるものには、プロテインチロシンキナーゼのSrcファミリーの成員、たとえばSrc、Fgr、Fyn、Yes、Blk、Hck、LckおよびLyn、並びにBcr-abl、Jak、PDGFR、c-kitおよびEphレセプタープロテインチロシンキナーゼが挙げられる。
本発明のさらに別の目的は、プレディクターポリヌクレオチドによってコードされた1またはそれ以上のプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチド、またはそのペプチドに対する、siRNA、RNAi、およびリボザイム試薬を含む、アンチセンス試薬を提供することである。そのようなアンチセンス試薬は様々な仕方で用いることができ、たとえば、インビトロおよびインビボの両診断法、検出法、スクリーニング法、および/または治療法などを含めて、本発明のプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドの発現を検出、ターゲティング、および抑制するのに用いることができる。本発明のプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドとして含まれるものには、プロテインチロシンキナーゼのSrcファミリーの成員、たとえばSrc、Fgr、Fyn、Yes、Blk、Hck、LckおよびLyn、並びにBcr-abl、Jak、PDGFR、c-kitおよびEphレセプタープロテインチロシンキナーゼが挙げられる。
本発明はまた、本発明のヒトプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドをコードする核酸分子に特異的にハイブリダイズする長さが8〜30ヌクレオチドのアンチセンス化合物にも関し、該アンチセンス化合物はヒトプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドの発現を抑制するものである。
本発明はさらに、ヒト細胞または組織において本発明のヒトプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドの発現を抑制する方法であって、該プロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドの発現が抑制されるように該細胞または組織をインビトロまたはインビボで本発明のアンチセンス化合物と接触させることを含む方法に関する。
本発明はまた、プロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドの生物学的活性をモデュレートする化合物を同定する方法であって、工程:(a)配列番号534〜557よりなる群から選ばれたプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドの活性を拮抗するアンチセンス分子の存在下、候補モデュレーター化合物をプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドと混合し、ついで(b)該ペプチドの拮抗作用を逆転させる候補化合物を同定することを含む方法にも関する。
本発明はまた、プロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドの生物学的活性をモデュレートする化合物を同定する方法であって、工程:(a)配列番号534〜557よりなる群から選ばれたプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドの活性を拮抗する小分子の存在下、候補モデュレーター化合物をプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドと混合し、ついで(b)該ペプチドの拮抗作用を逆転させる候補化合物を同定することを含む方法にも関する。
本発明はまた、プロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドの生物学的活性をモデュレートする化合物を同定する方法であって、工程:(a)配列番号534〜557よりなる群から選ばれたプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドの活性を作動する(agonizes)小分子の存在下、候補モデュレーター化合物をプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドと混合し、ついで(b)該ペプチドの作動作用を逆転させる候補化合物を同定することを含む方法にも関する。
本発明のさらなる側面、特徴、および利点は、添付の図面と併せて考慮して発明の詳細な説明を読むことにより一層良好に評価されるであろう。
この特許のファイルは、カラー仕上げの少なくとも1の図面を含む。カラー図面を含むこの特許のコピーは、請求および必要な手数料の支払いにより特許商標局により提供されるであろう。
図1は、本発明によるポリヌクレオチド発現パターンを説明している。プロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物であるBMS−Aに対する23の乳癌細胞株の耐性/感受性表現型分類と高度の相関関係を有する137のポリヌクレオチドを示す。各行はポリヌクレオチドに対応し、縦列は種々の細胞株での発現レベルに対応する。各ポリヌクレオチドの発現レベルは、中央値が0となり、標準偏差が1となるように23のすべての乳癌細胞株について正規化した。中央値よりも大きな発現レベルは赤い陰影を付してあり、平均以下の発現レベルは緑色の陰影を付してある。本発明のプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーをコードする個々のポリヌクレオチドは右側に示してある(バイオマーカーの詳細は表2にも示してある)。赤く標識された細胞株は、そのIC50によりBMS−Aに対して耐性として分類され、青色で標識された細胞株は感受性として分類される。
図2:その発現レベルがプロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物(たとえば、BMS−A)による処置に対する乳癌細胞株の感受性または耐性と相関関係を有するのみならず、該化合物での処置により異なってダウンレギュレーションされたポリヌクレオチドの例。11の乳癌細胞株(表1において太字で示した5つの感受性細胞株および6つの耐性細胞株)を薬剤処置研究に用いた。細胞を0.1%DMSO中のBMS−A化合物(0.4μM)で24時間処置し、または処置しなかった。発現プロファイリングを行い、薬剤で処置した細胞株のポリヌクレオチド発現を薬剤処置しなかった同じ細胞株のポリヌクレオチド発現とペアで比較した。薬剤処置しなかった5つの感受性細胞株は淡く陰影を施した棒グラフで示してあり(グラフの「A」側);薬剤処置した5つの感受性細胞株は濃く陰影を施した棒グラフで示してあり(グラフの「A」側);薬剤処置しなかった6つの耐性細胞株は濃く陰影を施した棒グラフで示してあり(グラフの「B」側);薬剤処置した6つの耐性細胞株は淡く陰影を施した棒グラフで示してある(グラフの「B」側)。
図3:その発現レベルが前立腺細胞株PC3において用量および時間依存的な仕方でBMS−A化合物処置によってダウンレギュレーションされたポリヌクレオチドの例。細胞を0.025μM、0.1μMおよび0.4μMのBMS−A化合物で4時間または24時間処置し、または処置しない。処置した細胞の相対的なポリヌクレオチド発現レベルを、対応の処置していない対照(1と設定)と比較する。薬剤濃度および処置時間を示してある。
図4:9つの乳腫瘍細胞株におけるEphA2タンパク質レベルおよびチロシンリン酸化状態のイムノブロット分析。細胞を0.1μMのBMS−A化合物で1時間処置した。細胞をEphA2抗体で免疫沈降し、EphA2抗体(EphA2タンパク質レベルを評価するため)または抗ホスホチロシン抗体(EphA2チロシンリン酸化状態を評価するため)でブロッティングした。薬剤処置したまたは処置していない細胞株を示す。得られた結果は、EphA2タンパク質レベルが1時間の薬剤処置で変化しないが、チロシン残基のリン酸化は薬剤処置により劇的に低下することを示している。
図5は、leave-one-outクロス確認試験(leave-one-out cross validation tests)において、BMS−Aタンパク質チロシンキナーゼインヒビター化合物についての差異的な選択および組み合わせによるマーカーポリヌクレオチドを含む種々のプレディクターセットの誤差率(error rates)を示す。本明細書に記載のように、「ウエイテッドボーティング(weighted-voting)leave-one-outクロス確認アルゴリズム」を用い、Geneclusterソフトウエアを用いてポリヌクレオチドを選択し、分類を予測した。乳癌細胞株でBMS−Aに対する耐性クラスおよび感受性クラスを予測するため、異なる数のポリヌクレオチドが、表2に示すBMS−A処置によってモデュレートした(i)137のポリヌクレオチド、または(ii)40のポリヌクレオチドからのプレディクターセット中で選択した。図5は、プレディクターセット中のポリヌクレオチドの異なる選択および異なる組み合わせがleave-one-outクロス確認において異なる誤差率を達成することを示している。プレディクターセットを表2に示す137のポリヌクレオチドから選択したときには、15のマーカーを用いたleave-one-outクロス確認で6.3%の最低の誤差率が達成された。薬剤処置によりモデュレートした40のポリヌクレオチドから選択した7つのポリヌクレオチドからなる他のプレディクターセットは、3.1%の誤差率を達成した。これら結果は、薬剤感受性と相関関係を有するのみならず該薬剤によってモデュレートされもするポリヌクレオチドが、プレディクターセットにおいて一層良好で一層正確な予測をもたらし得ることを示している。
図6は、leave-one-outクロス確認において乳癌細胞株およびランダム並べ換え試験での化合物BMS−Aの感受性分類を予測するための誤差率の比較を示す。プレディクターセットに異なるポリヌクレオチド群から選択した7または15のポリヌクレオチドが含まれていた場合、23の乳癌細胞株でBMS−Aの感受性を予測するためのleave-one-outクロス確認試験の誤差率はそれぞれ3.1%および6.3%であった。対照的に、乳癌細胞株の分類をランダムに割り当てた20の症例にプレディクターセット中の同じ数のポリヌクレオチドを使用した場合には、実際の誤差率は30%〜83%の範囲であった。このことは、23の乳癌細胞株でBMS−Aの感受性を予測するための誤差率の値が、23の乳癌細胞株の分類を20の症例でランダムに割り当てた場合の該乳癌細胞株の感受性を予測するための誤差率よりも有意に低いことを示している。
図7:134の原発性乳腫瘍での137のマーカーポリヌクレオチドの発現パターン。これら137のポリヌクレオチドは、プロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物BMS−Aについての23の乳癌細胞株の本発明による耐性/感受性表現型分類と高度の相関関係を有する(図1に示すように)。各行は遺伝子に対応し、縦列は種々の乳腫瘍試料での発現レベルに対応する。各ポリヌクレオチドの発現レベルは、中央値が0となり、標準偏差が1となるように134のすべての乳腫瘍試料について正規化した。中央値よりも大きな発現レベルは赤い陰影を付してあり、平均以下の発現レベルは緑色の陰影を付してある。本発明のプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーをコードする個々のポリヌクレオチドは図1に示すものと同じである。この発現パターンは、原発性乳腫瘍の群(矢印で示してある)が本発明のプロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物の感受性マーカーを高度に発現したことを明らかに示している。対照的に、他の異なる群は耐性のマーカーを高度に発現した。
表の説明
表1は、IC50の結果に基づくプロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物BMS−Aに対する23の乳癌細胞株の耐性/感受性表現型分類を表す。各細胞株のIC50は、実施例1(方法)に記載するMTSアッセイにより評価した。平均IC50値を標準偏差(SD)とともに、示した各細胞株について2〜5回の個々の決定から計算した。IC50の単位はμMである。各細胞株についての平均IC50を対数変換してlog10(IC50)とし、BMS−Aに対する23のすべての乳癌細胞株の平均log10(IC50)を計算し、各細胞株についてIC50データを正規化するのに用いた。平均log10(IC50)よりも低いlog10(IC50)を有する細胞株は該化合物に対して感受性であるとし、一方、平均log10(IC50)よりも高いlog10(IC50)を有する細胞株は耐性であるとした。太字で表した細胞株は、本明細書に記載する薬剤誘発(drug induction)研究に用いた。
表1は、IC50の結果に基づくプロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物BMS−Aに対する23の乳癌細胞株の耐性/感受性表現型分類を表す。各細胞株のIC50は、実施例1(方法)に記載するMTSアッセイにより評価した。平均IC50値を標準偏差(SD)とともに、示した各細胞株について2〜5回の個々の決定から計算した。IC50の単位はμMである。各細胞株についての平均IC50を対数変換してlog10(IC50)とし、BMS−Aに対する23のすべての乳癌細胞株の平均log10(IC50)を計算し、各細胞株についてIC50データを正規化するのに用いた。平均log10(IC50)よりも低いlog10(IC50)を有する細胞株は該化合物に対して感受性であるとし、一方、平均log10(IC50)よりも高いlog10(IC50)を有する細胞株は耐性であるとした。太字で表した細胞株は、本明細書に記載する薬剤誘発(drug induction)研究に用いた。
表2は、発現パターンとBMS−Aに対する耐性/感受性分類との高い相関関係を示した3つの分析アルゴリズムに由来するポリヌクレオチドのリストを示す。ポリヌクレオチド番号、相対的な発現パターン、すなわち感受性かまたは耐性、Genbankアクセッション番号、ポリヌクレオチドの記載、Unigeneクラスター番号、遺伝子の核酸配列の配列番号、ポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列の配列番号(利用可能な場合)およびPID(タンパク質ID)を表2に示す。各遺伝子について、表2中で配列番号により表されるDNA配列およびコードされたアミノ酸配列を配列表に示してある。
表3は、
「ウエイテッドボーティング(Weighted-Voting)アルゴリズムを用いた「leave one out」クロス確認において、BMS−Aに対する23の乳癌細胞株の耐性/感受性の予測を表す。真のクラスはIC50の結果に基づいて表1と同様に割り当ててある。予測したクラスは、耐性クラスまたは感受性クラスを予測するためのプレディクターセットとしての最適15または7のポリヌクレオチドを用いることにより決定した。これらポリヌクレオチドは、表2に示す3つの分析法に由来する137のポリヌクレオチドか、または表2に示す40の薬剤処置モデュレートポリヌクレオチドのいずれかから選択した。「S」は感受性を、「R」は耐性を表す。PSスコアは、プレディクターセットにより細胞株に対して行った各予測の予測強度をいう。PSスコアは0〜1の範囲である、すなわち、予測するうえで低信頼性〜高信頼性に対応する。誤った予測は星印(*)で示してある。
「ウエイテッドボーティング(Weighted-Voting)アルゴリズムを用いた「leave one out」クロス確認において、BMS−Aに対する23の乳癌細胞株の耐性/感受性の予測を表す。真のクラスはIC50の結果に基づいて表1と同様に割り当ててある。予測したクラスは、耐性クラスまたは感受性クラスを予測するためのプレディクターセットとしての最適15または7のポリヌクレオチドを用いることにより決定した。これらポリヌクレオチドは、表2に示す3つの分析法に由来する137のポリヌクレオチドか、または表2に示す40の薬剤処置モデュレートポリヌクレオチドのいずれかから選択した。「S」は感受性を、「R」は耐性を表す。PSスコアは、プレディクターセットにより細胞株に対して行った各予測の予測強度をいう。PSスコアは0〜1の範囲である、すなわち、予測するうえで低信頼性〜高信頼性に対応する。誤った予測は星印(*)で示してある。
表4は、表3に示した予測に用いた15のポリヌクレオチドのプレディクターセットを列挙する。これら15のポリヌクレオチドは、表2に示す3つの分析法に由来する137のオリゴヌクレオチドから選択した。15のプレディクターポリヌクレオチドのサブセットについて、相対的な発現パターン、すなわち感受性かまたは耐性、ポリヌクレオチドの記載およびUnigeneクラスター番号を表4に示す。
表5は、表3に示した予測に用いた7のポリヌクレオチドのプレディクターセットを列挙する。これら7つのポリヌクレオチドは、表2に示す薬剤処置によりモデュレートした40のポリヌクレオチドから選択した。7つのプレディクターポリヌクレオチドのサブセットについて、相対的な発現パターン、すなわち感受性かまたは耐性、ポリヌクレオチドの記載およびUnigeneクラスター番号を表5に示す。
表6は、本発明の各プロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリヌクレオチドについての代表的なRT−PCRプライマーのセットを列挙する。各RT−PCRプライマーの配列番号を示してある(配列番号257〜530)。
本発明は、未処置細胞株の薬剤、化合物、または生物学的剤に対する感受性を決定または予測するために該細胞の薬剤感受性または耐性と相関関係を有するポリヌクレオチドの同定を記載する。これらポリヌクレオチドは本明細書ではマーカーまたはプレディクターポリヌクレオチドと称するが、薬剤応答を予測するのに用いることができる。これらマーカーポリヌクレオチドは、化合物または薬剤、とりわけプロテインチロシンキナーゼまたはプロテインチロシンキナーゼ活性をモデュレートする、たとえば抑制する化合物に対する感受性を試験する未処置細胞で別個の何千ものポリヌクレオチドの発現パターンを同時にモニターするためのマイクロアレイ法を用いたインビトロアッセイで決定した。薬剤、化合物、または生物学的剤への応答と関連するプロテインチロシンキナーゼまたはその活性としては、たとえば、プロテインチロシンキナーゼのSrcファミリーの成員、たとえばSrc、Fgr、Fyn、Yes、Blk、Hck、LckおよびLyn、並びにBcr-abl、Jak、PDGFR、c-kitおよびEphレセプタープロテインチロシンキナーゼが挙げられる(たとえば、P. Blume-JensenおよびT. Hunter, 2001, “Oncopolynucleotide Kinase Signaling”, Nature, 411:355-365を参照)。
本発明によるアッセイは、細胞での発現レベルが該細胞によって示される薬剤感受性と高度の相関関係を有するマーカーポリヌクレオチド(本明細書ではプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーと称する)の同定を可能にする。そのようなマーカーポリヌクレオチドは上記に列挙したプロテインチロシンキナーゼをコードするポリヌクレオチドを包含し、薬剤、化合物、生物学的剤、化学療法剤など、好ましくはプロテインチロシンキナーゼの機能または活性の直接的または間接的な抑制または拮抗によってプロテインチロシンキナーゼ活性に影響を及ぼす薬剤および化合物への応答を予測する有用な分子ツールとして利用できる。
その好ましい側面において、本発明は、本明細書に記載するプロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物、たとえばBMS−Aにより処置に対する乳癌細胞株の感受性または耐性と相関関係を有するポリヌクレオチドを記載する(図1および表2)。本発明のポリヌクレオチドプレディクターセットを同定するのに利用するプロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物であるBMS−Aは、WO 00/62778(2000年10月26日公開;その全体を参照のため本明細書中に引用する)に記載されている。BMS−Aは、多数のプロテインチロシンキナーゼ、たとえばプロテインチロシンキナーゼのSrcファミリーの成員(Src、Fgr、Fyn、Yes、Blk、Hck、LckおよびLynを含む)並びにBcr-abl、Jak、PDGFR、c-kitおよびEphレセプタープロテインチロシンキナーゼに対して強い抑制活性を有する。特に、分析したBMS−Aプロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物については、137のプレディクターポリヌクレオチドの発現が該化合物に対する乳癌細胞株の耐性/感受性と相関関係を有することがわかった。
本発明に従い、あるアプローチが見出されたが、そのアプローチでは、その発現パターンが、細胞株のサブセットにおいて、細胞増殖、外部刺激(リガンド結合など)に対する細胞応答またはシグナル伝達に直接的または間接的に関与するタンパク質、酵素、または分子(たとえば、レセプター)(たとえばプロテインチロシンキナーゼ)の機能を抑制または活性化することが知られている1の化合物または一連の化合物の組み合わせによる処置または療法への細胞応答と相関関係を有し該細胞応答のインビトロプレディクターとして用いることのできるポリヌクレオチドおよびポリヌクレオチドの組み合わせが同定された。好ましいのは所定のタンパク質、たとえばチロシンキナーゼの機能のアンタゴニストまたはインヒビターである。
好ましい側面において、BMS−Aプロテインチロシンキナーゼインヒビターは、この化合物に細胞を暴露した後に乳癌細胞株のパネルで薬剤感受性を決定するのに用いた。これら細胞株のあるものは該インヒビター化合物の処理に耐性であると決定され、他のものは該インヒビターに感受性であると決定された(表1)。調べた細胞株のサブセットは、インヒビター化合物、および同様の作用様式および/または構造を有する化合物に対する該細胞による応答と相関関係を有する、それゆえ該応答のプレディクターとして用いることのできる、ポリヌクレオチドおよびポリヌクレオチドの組み合わせの発現パターンまたはプロフィルを提供した(図1および表2および4〜5)。
そのような細胞の薬剤または薬剤の組み合わせへの暴露後の該細胞の感受性または耐性と相関関係を有する細胞性ポリヌクレオチド発現パターンのプレディクターセットは、薬剤または薬剤の組み合わせで処理する前に癌、腫瘍、または患者の被験試料をスクリーニングするための有用な手段を提供する。このようなスクリーニング法は、癌、腫瘍、または被験試料、それゆえ癌および/または腫瘍を罹患した患者が薬剤または薬剤の組み合わせによる処置に応答するか否かについてのプレディクターセットのポリヌクレオチド発現結果に基づき、該薬剤または薬剤の組み合わせに暴露された癌、腫瘍、または被験試料の細胞の予測を可能とする。さらに、プレディクターポリヌクレオチドまたはプレディクターポリヌクレオチドのセットはまた、本明細書に記載するように、プロテインチロシンキナーゼ、たとえばsrcチロシンキナーゼ、インヒビター化合物または疾患、たとえば乳癌の化学療法剤を含む処置を受けている患者において、疾患処置または療法の進行をモニターするのにも用いることができる。
本発明の特別の態様によれば、プロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物に対する薬剤感受性を決定する23の未処理の乳癌細胞株のパネルで44,792を超えるプローブセットの発現レベルを測定するのにオリゴヌクレオチドマイクロアレイを用いた。この分析は、未処理細胞のポリヌクレオチド発現サイン(signatures)が化学感受性の予測に充分なものであるか否かを決定するのに用いた。データ分析は、その発現レベルが薬剤感受性と高度の相関関係を有することがわかったマーカーポリヌクレオチドの同定を可能にした。さらに、BMS−Aプロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物による細胞の処理もまた、該化合物に対する感受性を予測できるポリヌクレオチド発現サインを提供した。それゆえ、本発明は、その態様の一つにおいて、ある薬剤で細胞を処理またはある薬剤に細胞を暴露したときの薬剤応答を予測するうえで有用性を有するこれらポリヌクレオチド、すなわちポリヌクレオチド「マーカー」または「バイオマーカー」または「プレディクター」を提供する。とりわけ、マーカーまたはプレディクターポリヌクレオチドは、srcチロシンキナーゼインヒビターバイオマーカーなどのプロテインチロシンキナーゼバイオマーカータンパク質/ポリペプチドをコードするプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリヌクレオチドである。
以下に本発明に包含されるポリヌクレオチド発現およびマーカーポリヌクレオチド同定分析の実行をさらに詳細かつ限定されることなく記載する。
srcチロシンキナーゼインヒビター化合物に対する23の乳癌細胞株の感受性に基づくIC 50 決定および表現型分類
23の乳癌細胞株をプロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物(すなわち、BMS−A)で処理して個々のIC50値を決定した。平均のIC50値は標準偏差とともに、各細胞株についての2〜5の個々の決定から計算した。表1に示すように、該化合物について23の乳癌細胞株の間でIC50値に大きな変異が観察された。
23の乳癌細胞株をプロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物(すなわち、BMS−A)で処理して個々のIC50値を決定した。平均のIC50値は標準偏差とともに、各細胞株についての2〜5の個々の決定から計算した。表1に示すように、該化合物について23の乳癌細胞株の間でIC50値に大きな変異が観察された。
各細胞株についてのIC50値をlog10変換した。23の乳癌細胞株で該化合物についてlog10(IC50)の平均を計算した。各細胞株のlog10(IC50)を、23の乳癌細胞株で該化合物についてlog10(IC50)の平均に正規化した。log10(IC50)の平均以下のlog10(IC50)を有する細胞株は該化合物に対して感受性として分類し、log10(IC50)の平均を超えるlog10(IC50)を有する細胞株は耐性と分類した。表1は、BMS−A化合物に対する23の乳癌細胞株の耐性/感受性分類を表している。表1から観察されるように、プロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物に対して7の細胞株が感受性と、16の細胞株が耐性と分類された。
薬剤耐性/感受性分類と有意の相関関係を有するポリヌクレオチドの同定
23の未処理乳癌細胞株についてのHG-U133アレイセットで表された44,792のプローブセットの発現プロファイリングデータを得、実施例1、方法に記載したように前プロセシング(preprocessing)した。5322のポリヌクレオチドを含む前プロセシングしたデータを、K-mean Nearest Neighborhood(KNN)アルゴリズムおよび「signal to noise model」(T. R. Golubら、1999, Science, 286:531-537)を用いて分析して、その発現パターンが薬剤耐性/感受性分類(表1)と強い相関関係を有するポリヌクレオチドを同定した。「理想的な発現パターン」は、1のクラス(たとえば、感受性)では一律に高く、他のクラス(たとえば、耐性)では一律に低いポリヌクレオチドに対応する。最初に「signal to noise model」を用いて各ポリヌクレオチドについて相関係数を得るKNN分析を行った。相関係数は相対的な分類の分離(relative classification separation)の測定手段となるものであるが、以下の式を用いて得た:
P(g,c) = (μ1 − μ2)/(σ1 + σ2)。
23の未処理乳癌細胞株についてのHG-U133アレイセットで表された44,792のプローブセットの発現プロファイリングデータを得、実施例1、方法に記載したように前プロセシング(preprocessing)した。5322のポリヌクレオチドを含む前プロセシングしたデータを、K-mean Nearest Neighborhood(KNN)アルゴリズムおよび「signal to noise model」(T. R. Golubら、1999, Science, 286:531-537)を用いて分析して、その発現パターンが薬剤耐性/感受性分類(表1)と強い相関関係を有するポリヌクレオチドを同定した。「理想的な発現パターン」は、1のクラス(たとえば、感受性)では一律に高く、他のクラス(たとえば、耐性)では一律に低いポリヌクレオチドに対応する。最初に「signal to noise model」を用いて各ポリヌクレオチドについて相関係数を得るKNN分析を行った。相関係数は相対的な分類の分離(relative classification separation)の測定手段となるものであるが、以下の式を用いて得た:
P(g,c) = (μ1 − μ2)/(σ1 + σ2)。
上記式において、P(g,c)については、Pは遺伝子の発現gと感受性/耐性分類cとの間の相関係数を表す;μ1はクラス1における試料の平均ポリヌクレオチド発現レベルを表す;μ2はクラス2における試料の平均ポリヌクレオチド発現レベルを表す;σ1はクラス1における試料のポリヌクレオチド発現の標準偏差を表す;およびσ2はクラス2における試料のポリヌクレオチド発現の標準偏差を表す。
P(g,c)の値が大きいことは、ポリヌクレオチド発現と感受性/耐性分類との間の相関関係が強いことを示す。この相関関係をランダム並べ換え試験(ランダムに割り当てた分類)のものと比較すると、有意測定p値(significance measurement p-value)が得られる。ついで、ポリヌクレオチドをこの分析から得られた相関係数に従ってランク付けすることができ、最も高い値が23の乳癌細胞株でのプロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物に対する耐性/感受性分類とのポリヌクレオチド発現レベルの最良の相関関係を示していることになる。
KNN分析は、化合物について薬剤耐性/感受性分類と相関関係を有する何百ものポリヌクレオチドを示した。そこで、より大きなストリンジェンシーのため、3つの異なる方法を応用して化合物について薬剤耐性/感受性分類と相関関係を有するポリヌクレオチドのより小さなサブセットを選択した。
第一に、並べ換え試験を行って上記KNN分析で得た相関係数の有意さを計算した。「p」値が0.01より小さいかまたは等しい350のポリヌクレオチドを選択した。第二に、ピアソン相関係数(−1.0から1.0の範囲の大きさのない指数)を計算し、ここでIC50データは連続変数と考え、線形回帰モデルを利用してポリヌクレオチド発現レベルを23の乳癌細胞株についてIC50値と相関させた。相関係数が0.35以上であるか−0.35未満であるポリヌクレオチドを選択した(p<0.05)。最後に、Welchのt検定を行い、p値が0.05より小さいかまたは等しいポリヌクレオチドを選択した。
これら3つの分析を行って化合物BMS−Aについて薬剤耐性/感受性分類と相関関係を有するポリヌクレオチドを選択したとき、3つの分析法からのポリヌクレオチドリストが得られ、比較した。これら3つの分析で重複する168のポリヌクレオチドが存在することが観察された。これらのうち、32のポリヌクレオチドは168のポリヌクレオチドリストで1回以上重複して表されていたため除いて独特の遺伝子当たり1のコピーのみを残した。それゆえ、137の独特のポリヌクレオチドが同定され、表2に掲げた。BMS−Aに対して感受性として分類された細胞株で高度に発現された68のポリヌクレオチドがあり、一方、69のポリヌクレオチドはBMS−Aに対して耐性として分類された細胞株で高度に発現される。ポリヌクレオチドの例としてはcaveolin-1、caveolin-2、およびannexin A1およびannexin A2が挙げられ、これらはsrcチロシンキナーゼの基質である(M. T. BrownおよびJ. A. Cooper, 1996, Biochemica et Biophysica Acta, 1287:121-149)。EphA2およびEphB2はチロシンキナーゼレセプターであり、カルチノポリヌクレオチデシス(carcinopolynucleotidesis)において多岐にわたる役割を演じている(M. NakamotoおよびA. D. Bergemann, 2002, Microscopy Research and Technique 59:58-67)。
薬剤処理によってモデュレートされたポリヌクレオチドの同定
プロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物、たとえばBMS−Aによって制御されるポリヌクレオチドを同定するため、0.0055〜9.5μMの範囲のIC50を有する11の乳癌細胞株(表1で太字で示す)を薬剤処理研究に用いた。細胞を0.1%DMSO中のBMS−A化合物(0.4μM)で24時間、処理し、または処理しなかった。発現プロファイリングを行い、データをGeneChipR Expression AnalysisソフトウエアMAS 5.0(Affymetrix、サンタクララ、カリフォルニア)を用いて分析した。薬剤で処理した細胞株のポリヌクレオチド発現を、薬剤処理をしなかった同じ細胞株のポリヌクレオチド発現と対にして比較した。p値の変化を計算したが、これはポリヌクレオチド発現の増大、低減または変化なしを示した。p値が0.0025未満のときは変化は有意であると考えられた。分析を11の細胞株のすべてについて行って薬剤処理したポリヌクレオチド発現と薬剤処理をしなかったポリヌクレオチド発現とを比較した。
プロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物、たとえばBMS−Aによって制御されるポリヌクレオチドを同定するため、0.0055〜9.5μMの範囲のIC50を有する11の乳癌細胞株(表1で太字で示す)を薬剤処理研究に用いた。細胞を0.1%DMSO中のBMS−A化合物(0.4μM)で24時間、処理し、または処理しなかった。発現プロファイリングを行い、データをGeneChipR Expression AnalysisソフトウエアMAS 5.0(Affymetrix、サンタクララ、カリフォルニア)を用いて分析した。薬剤で処理した細胞株のポリヌクレオチド発現を、薬剤処理をしなかった同じ細胞株のポリヌクレオチド発現と対にして比較した。p値の変化を計算したが、これはポリヌクレオチド発現の増大、低減または変化なしを示した。p値が0.0025未満のときは変化は有意であると考えられた。分析を11の細胞株のすべてについて行って薬剤処理したポリヌクレオチド発現と薬剤処理をしなかったポリヌクレオチド発現とを比較した。
さらに、並べ換え分析を用いた対合(pair-wise)t検定を適用した。感受性細胞株および/または耐性細胞株での薬剤処理により有意にモデュレートされたポリヌクレオチドを同定した。その発現が少なくとも3つの細胞株で有意に変化したポリヌクレオチドは、薬剤によりモデュレートされたと考えられた。その発現が薬剤耐性/感受性分類と有意の相関関係を有し、薬剤処理によってモデュレートもされたポリヌクレオチドを表2に示す。そのようなポリヌクレオチドの例としては、EphA2およびcaveolin-2が挙げられ、これらは図2に示すように、感受性細胞で高度に発現され、感受性細胞株でのみプロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物であるBMS−Aによる処理によりダウンレギュレーションされた。
プロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物処理によるマーカーポリヌクレオチドのダウンレギュレーションはまたPC3前立腺細胞株(BMS−Aに感受性であると試験された)でも認められた。図3にて示されるように、未処理対照と比較したときにEphA2およびcaveolin-2の用量および時間に依存したポリヌクレオチド発現の低減が観察される。
EphA2はチロシンキナーゼレセプターのファミリーに属するので、プロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物BMS−Aで処理した細胞がEphA2のリン酸化状態に影響を及ぼすか否かを試験することが可能である。9つの乳癌細胞株におけるタンパク質レベルおよびリン酸化状態のイムノブロット分析を図4に示す。細胞を0.1μMのBMS−Aで1時間処理した。細胞溶解液をEphA2抗体で免疫沈降させ、EphA2抗体または抗ホスホチロシン抗体でブロッティングした。その結果は、EphA2タンパク質レベルは1時間の薬剤処理で変化しなかったが、チロシン残基でのリン酸化が薬剤処理により劇的に減少することを示している。組換えヒトEphA2タンパク質もインビトロキナーゼアッセイで試験したところ、プロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物BMS−A処理による自己リン酸化が17nMの抑制IC50にて示された。
その発現レベルがプロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物(たとえば、BMS−A)による処理に対する乳癌細胞株の感受性または耐性と相関関係を有するのみならず、該化合物での処理により差異的に制御または修飾もされるポリヌクレオチドの同定は、生物学的機能または活性についてのさらなる情報を提供することができる。これらポリヌクレオチドの発現レベルはインヒビター化合物によって制御され、あるいは該ポリヌクレオチドのリン酸化レベルはインヒビター化合物によって修飾され、このことは、これらポリヌクレオチドが、1またはそれ以上のプロテインチロシンキナーゼシグナル伝達経路、たとえば、チロシンキナーゼのSrcファミリーの成員であるプロテインチロシンキナーゼ
たとえばSrc、Fgr、Fyn、Yes、Blk、Hck、LckおよびLyn、並びに他のチロシンキナーゼ(Bcr-abl、Jak、PDGFR、c-kitおよびEphレセプターを含む)に直接または間接に関与しているようであることを示している。
たとえばSrc、Fgr、Fyn、Yes、Blk、Hck、LckおよびLyn、並びに他のチロシンキナーゼ(Bcr-abl、Jak、PDGFR、c-kitおよびEphレセプターを含む)に直接または間接に関与しているようであることを示している。
予測をするうえでの高度の相関関係を有するポリヌクレオチドの有用性
生物学的系のある特定の特性と相関関係を有するポリヌクレオチドは、該生物学的系や他の生物学的系についての予測をするのに用いることができる。Geneclusterソフトウエアや他のプログラムは、「ウエイテッドボーティングクロス確認アルゴリズム」を用いて特性を予測することのできるポリヌクレオチドおよびポリヌクレオチドの組み合わせを選択するのに用いることができる(T. R. Golubら、1999, Science, 286:531-537)。特に、Geneclusterソフトウエアは、薬剤感受性および耐性と相関関係を有するポリヌクレオチドの有用性を示すプレディクターを構築するのに用いた。本明細書において「プレディクター」または「プレディクターセット」なる語は以下のようにして用いる:プレディクターまたはプレディクターセットとは、その発現パターンまたは特性を所定の生物学的系の特性または特徴について、異なる誤差率にて予測をするのに用いることのできる単一の遺伝子、またはポリヌクレオチドの組み合わせをいう。
生物学的系のある特定の特性と相関関係を有するポリヌクレオチドは、該生物学的系や他の生物学的系についての予測をするのに用いることができる。Geneclusterソフトウエアや他のプログラムは、「ウエイテッドボーティングクロス確認アルゴリズム」を用いて特性を予測することのできるポリヌクレオチドおよびポリヌクレオチドの組み合わせを選択するのに用いることができる(T. R. Golubら、1999, Science, 286:531-537)。特に、Geneclusterソフトウエアは、薬剤感受性および耐性と相関関係を有するポリヌクレオチドの有用性を示すプレディクターを構築するのに用いた。本明細書において「プレディクター」または「プレディクターセット」なる語は以下のようにして用いる:プレディクターまたはプレディクターセットとは、その発現パターンまたは特性を所定の生物学的系の特性または特徴について、異なる誤差率にて予測をするのに用いることのできる単一の遺伝子、またはポリヌクレオチドの組み合わせをいう。
耐性/感受性分類を予測するポリヌクレオチド発現パターンの能力を、T. R. Golubら、1999, Science, 286:531-537に記載のleave one outクロス確認戦略を使用する「ウエイテッドボーティングクロス確認アルゴリズム」を用いてさらに調べた。その発現パターンを所定のプロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物、たとえばBMS−Aに対する耐性または感受性に基づく細胞株の分類に最適の正確さで予測するのに用いることのできる最適の数のポリヌクレオチドを選択すべく、プログラムを設定した。このプログラムのクロス確認戦略の概略を記載する。
leave-one-outクロス確認戦略に基づき、合計23の予測分析(すなわち、データセット中の細胞株の数)を反復して行い、23の予測分析の結果をすべて総合して最適の予測正確さを有する最適数のポリヌクレオチドを選択した。それぞれの別個の予測分析において、1の細胞株をデータセットから除けておき、残りの22の細胞株に基づいて最適数ポリヌクレオチドプレディクターを構築し、使わずにおいた試料のクラスを予測するために引き続き用いた。
図5は、プレディクターセットにおいて異なる数のポリヌクレオチドを用い、BMS−Aに対して耐性かまたは感受性のいずれかである乳癌細胞株の中でクラスを予測するためのマーカーの種々の選択および組み合わせを用いた、実際の誤差率を示す。表2に示す137のポリヌクレオチドからプレディクターセットを選択した場合は、6.3%の最も低い誤差率が15のマーカーを用いたクロス確認試験で達成された。薬剤処理によってモデュレートされた40のポリヌクレオチドから選択した7つの異なるポリヌクレオチドからなる他のプレディクターセットは、3.1%の誤差率を達成した。この結果は、薬剤感受性と相関関係を有するだけでなく薬剤によってモデュレートもされるポリヌクレオチドが、プレディクターセットにおいて一層良好で一層正確な予測をもたらし得ることを示している。
BMS−Aに対する乳癌細胞株の感受性分類の予測の実際の誤差率を、乳癌細胞株の分類をランダムに割り当てた20の症例でのプレディクターセットと同じ数のポリヌクレオチドを用いた誤差率と比較した。図6に示すように、クロス確認試験において、異なるポリヌクレオチド群から選択した7かまたは15のポリヌクレオチドをプレディクターセットが含む場合、23の乳癌細胞株でBMS−Aの感受性を予測する誤差率はそれぞれ3.1%および6.3%であった。対照的に、乳癌細胞株の分類をランダムに割り当てて20の症例で同じ数のポリヌクレオチドをプレディクターセットに用いた場合は、実際の誤差率は30%〜83%の範囲であった。この結果は、23の乳癌細胞株でBMS−Aに対する感受性を予測する誤差率が、ランダムに割り当てた分類の予測の誤差率よりも有意に低いことを証明している。
表3は、leave one outクロス確認試験におけるBMS−Aに対する23の乳癌細胞株の耐性/感受性分類の最適な15および7のポリヌクレオチドプレディクターセットの予測正確さを示す。上記3つの分析法(すなわち、KNN、23の乳癌細胞株についてのポリヌクレオチド発現レベルとIC50値との間のピアソン相関、およびt検定)により得られた137のポリヌクレオチドから選択した15のポリヌクレオチドプレディクターセットをleave one outクロス確認試験に用いた場合、23の試料のうち21が正確に予測され、2つの耐性細胞株HCC38およびMDA-MB-435SはBMS−Aに対して感受性であると予測された。このことは、以下の計算により6.3%の実際の誤差率という結果となった:
(2/16耐性 + 0/7感受性)/2 × 100%
(2/16耐性 + 0/7感受性)/2 × 100%
40の薬剤処理モデュレートポリヌクレオチド(表2の137ポリヌクレオチドの一部である)から選択した7つのポリヌクレオチドプレディクターセットをleave one outクロス確認試験に用いた場合は、唯一つの耐性細胞株HCC38がBMS−Aに対して感受性であると予測された。このことは、以下の計算により3.1%の実際の誤差率という結果となった:
(1/16耐性 + 0/7感受性)/2 × 100%
(1/16耐性 + 0/7感受性)/2 × 100%
さらに、プレディクターセットにより細胞株で行った各予測についてPrediction Strength(「PS」)スコアをGeneclusterソフトウエアから得ることができる。「PS」スコアは0〜1の範囲であり、ウエイテッドボーティングクロス確認アルゴリズムを用いた各予測のマージンオブビクトリー(margin of victory)を測定する(たとえば、T. R. Golubら、1999, Science, 286:531-537を参照)。PSスコアが高いほど予測の信頼性が高くなる。BMS−Aについて上記で得た最適の15または7のポリヌクレオチドプレディクターセットを用いた各細胞株についてのPSスコア値を表3に示す。細胞株BT549は15および7の両ポリヌクレオチドプレディクターセットで耐性と正しく予測されてはいるが、PSスコアは極めて低く、予測の信頼性は低いことを意味していることに注意すべきである。
最適なプレディクターセットを構成するポリヌクレオチドの正確な数は特に確立されておらず定められてもいないことが評価されるであろう。実際の現実世界において100%または絶対的な正確さのプレディクターセット得ることは考えにくい。これは、さらなるポリヌクレオチドを追加することにより得られるさらなる情報およびエラー強さ(robustness)の量と、同時に追加されるノイズの量との間に兼ね合いがあるためである。本発明によれば、異なる数のポリヌクレオチドをプレディクターセットで試験した;データはプロテインチロシンキナーゼインヒビターBMS−Aについて得、分析した。プレディクターセットに使用するマーカーポリヌクレオチドの選択は、表2に示すように、感受性クラス識別と強い相関関係を有したポリヌクレオチドの全数の充分に範囲内であった。
それゆえ、本発明に従い、アプローチを開発して、細胞株のサブセットにおけるその発現パターンが、プロテインチロシンキナーゼの機能を阻害する化合物による処理に対する応答と相関関係を有し、該応答のプレディクターとして用いることのできるポリヌクレオチドおよびポリヌクレオチドの組み合わせを見出した。
有用性を示すために使用したプレディクターセット、誤差率およびアルゴリズム
所定のプレディクターまたはプレディクターセット中のポリヌクレオチドの数は、クロス確認実験におけるおよび他の数学的アルゴリズムを用いてのプレディクターセットの誤差率に影響を及ぼす。データの示すところによると、プレディクターの誤差率は、プレディクターセット中のポリヌクレオチドの数および所定のプレディクターセット中の個々のポリヌクレオチドの貢献およびクロス確認実験で試験した細胞株の数に若干依存する。たとえば、所定のプレディクターセットにおいて、ある一つのポリヌクレオチドは他のポリヌクレオチドよりも予測に対して有意に貢献する。
所定のプレディクターまたはプレディクターセット中のポリヌクレオチドの数は、クロス確認実験におけるおよび他の数学的アルゴリズムを用いてのプレディクターセットの誤差率に影響を及ぼす。データの示すところによると、プレディクターの誤差率は、プレディクターセット中のポリヌクレオチドの数および所定のプレディクターセット中の個々のポリヌクレオチドの貢献およびクロス確認実験で試験した細胞株の数に若干依存する。たとえば、所定のプレディクターセットにおいて、ある一つのポリヌクレオチドは他のポリヌクレオチドよりも予測に対して有意に貢献する。
もしもあるポリヌクレオチドがプレディクターセットに有意に貢献するのであれば、このポリヌクレオチドを他のポリヌクレオチドとの異なる組み合わせに用いて異なるプレディクターセットで異なる誤差率を達成することができることは極めて充分に考えられる。たとえば、ポリヌクレオチドAが単独で30%の誤差率を与えるとする。ポリヌクレオチドB、CおよびDとの組み合わせでは誤差率は10%となり;ポリヌクレオチドB、DおよびEとの組み合わせでは誤差率は12%となり;一方、ポリヌクレオチドAとポリヌクレオチドE〜Xとの組み合わせは8%の誤差率を与える、等々。図5に示すように、プレディクターセットにおけるポリヌクレオチドの異なる選択および組み合わせは、クロス確認試験において異なる誤差率を達成する。
プレディクターセットを表2に示す137のポリヌクレオチドから選択した場合は、表4に示す15のマーカーを用いたクロス確認試験で6.3%の最も低い誤差率が達成された。薬剤処理によってモデュレートされた40のポリヌクレオチドから選択した7つのポリヌクレオチド(表5)からなる他のプレディクターセットは、3.1%の誤差率を達成した。この結果は、薬剤感受性と相関関係を有するだけでなく薬剤によってモデュレートもされるポリヌクレオチドが、プレディクターセットにおいて一層良好で一層正確な予測をもたらし得ることを示している。
本明細書に記載した誤差率は、クロス確認実験に用いた細胞株のセットにも当てはまる。もしも異なるセットを用いたなら、または試験した当初のセットに一層多くの細胞株を追加したなら、本明細書に記載され当業者に理解されるであろうように異なる誤差率を得ることができる。重要なことに、薬剤感受性と相関関係を有するポリヌクレオチドの異なる組み合わせを用いて異なる予測正確さのプレディクターを構築することができる。
原発性乳腫瘍におけるプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーの発現パターン
134の原発性乳腫瘍生検を診療所から得、これら試料の発現プロファイリングを行った。本発明によりプロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物BMS−Aについて23の乳癌細胞株耐性/感受性表現型分類と高度の相関関係を有する(図1および表2に示すように)137のポリヌクレオチドの発現パターンを、図7に示すように、これら134の原発性乳腫瘍で調べた。各行は遺伝子に対応し、縦列は種々の乳腫瘍試料での発現レベルに対応する。本発明のプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーをコードする個々のポリヌクレオチドは図1に示すものと同じ順序である。図7に示すように、一群の原発性乳腫瘍(矢印で示す)が本発明のプロテインチロシンキナーゼインヒビターの感受性バイオマーカーを高度に発現することが明らかである。対照的に、他の異なる群の原発性乳腫瘍は耐性バイオマーカーを高度に発現する。これらの感受性バイオマーカーを高度に発現する原発性乳腫瘍の群が、実際にプロテインチロシンキナーゼ化合物、たとえばBMS−Aに対して感受性であるのか否かは未知であり試験する必要があるが、感受性の乳癌細胞株と同様のプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーの発現パターンを示し原発性乳腫瘍が存在するという事実は、有望な糸口を与えるものである。
134の原発性乳腫瘍生検を診療所から得、これら試料の発現プロファイリングを行った。本発明によりプロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物BMS−Aについて23の乳癌細胞株耐性/感受性表現型分類と高度の相関関係を有する(図1および表2に示すように)137のポリヌクレオチドの発現パターンを、図7に示すように、これら134の原発性乳腫瘍で調べた。各行は遺伝子に対応し、縦列は種々の乳腫瘍試料での発現レベルに対応する。本発明のプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーをコードする個々のポリヌクレオチドは図1に示すものと同じ順序である。図7に示すように、一群の原発性乳腫瘍(矢印で示す)が本発明のプロテインチロシンキナーゼインヒビターの感受性バイオマーカーを高度に発現することが明らかである。対照的に、他の異なる群の原発性乳腫瘍は耐性バイオマーカーを高度に発現する。これらの感受性バイオマーカーを高度に発現する原発性乳腫瘍の群が、実際にプロテインチロシンキナーゼ化合物、たとえばBMS−Aに対して感受性であるのか否かは未知であり試験する必要があるが、感受性の乳癌細胞株と同様のプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーの発現パターンを示し原発性乳腫瘍が存在するという事実は、有望な糸口を与えるものである。
プレディクターセットの応用
異なる誤差率を有するプレディクターセットは、異なる応用い用いることができる。プレディクターセットは、表2に列挙したポリヌクレオチドのあらゆる組み合わせ、または表4および5にそれぞれ示す15および7のポリヌクレオチドのプレディクターポリヌクレオチドサブセットから構築することができ、プロテインチロシンモデュレーター化合物、たとえばインヒビター、または種々の生物学的系におけるプロテインチロシンキナーゼシグナル伝達経路に影響を及ぼす化合物のありそうな作用について予測をすることができる。本明細書に記載する様々なプレディクターセット、またはこれらプレディクターセットと他のポリヌクレオチドもしくはこれらポリヌクレオチドの他の共変数との組み合わせは、広範な有用性を有し得る。たとえば、プレディクターセットは疾患管理において診断または予後の指示薬として用いることができる;プレディクターセットは、癌患者がプロテインチロシンキナーゼファミリー(たとえば、srcチロシンキナーゼファミリー)をモデュレートする化合物による治療的介入に対してどのように応答するかを予測するのに用いることができる;また、プレディクターセットは、全体のプロテインチロシンキナーゼ制御経路、たとえばsrcチロシンキナーゼ制御経路でのシグナル伝達をモデュレートする治療的介入に対して患者がどのように応答するかを予測するのに用いることができる。
異なる誤差率を有するプレディクターセットは、異なる応用い用いることができる。プレディクターセットは、表2に列挙したポリヌクレオチドのあらゆる組み合わせ、または表4および5にそれぞれ示す15および7のポリヌクレオチドのプレディクターポリヌクレオチドサブセットから構築することができ、プロテインチロシンモデュレーター化合物、たとえばインヒビター、または種々の生物学的系におけるプロテインチロシンキナーゼシグナル伝達経路に影響を及ぼす化合物のありそうな作用について予測をすることができる。本明細書に記載する様々なプレディクターセット、またはこれらプレディクターセットと他のポリヌクレオチドもしくはこれらポリヌクレオチドの他の共変数との組み合わせは、広範な有用性を有し得る。たとえば、プレディクターセットは疾患管理において診断または予後の指示薬として用いることができる;プレディクターセットは、癌患者がプロテインチロシンキナーゼファミリー(たとえば、srcチロシンキナーゼファミリー)をモデュレートする化合物による治療的介入に対してどのように応答するかを予測するのに用いることができる;また、プレディクターセットは、全体のプロテインチロシンキナーゼ制御経路、たとえばsrcチロシンキナーゼ制御経路でのシグナル伝達をモデュレートする治療的介入に対して患者がどのように応答するかを予測するのに用いることができる。
本明細書に記載したデータは、癌療法に潜在的な有用性を有する化合物をスクリーニングおよび同定するのに日常的に用いられる細胞株で作成したが、プレディクターは、プロテインチロシンキナーゼまたはプロテインチロシンキナーゼ経路によるシグナル伝達が重要である他の疾患領域、たとえば免疫学において、または細胞のシグナル伝達および/または増殖の制御が異常となった癌または腫瘍において、診断および予後の両価値を有することができる。そのようなプロテインチロシンキナーゼおよびその経路は、たとえば、チロシンキナーゼのSrcファミリーの成員であるプロテインチロシンキナーゼ、たとえばSrc、Fgr、Fyn、Yes、Blk、Hck、LckおよびLyn、並びに他のプロテインチロシンキナーゼ(Bcr-abl、Jak、PDGFR、c-kitおよびEphレセプターを含む)からなる。本明細書に記載したデータは特に例示したプロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物であるBMS−Aを用いて得られたものであるが、BMS−Aに加えて3つの他のプロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物も試験し、評価した23の乳癌細胞株において同様の感受性および耐性分類を有することがわかった。それゆえ、プレディクターは、他のインヒビター分子、並びにSrcチロシンキナーゼなどのプロテインチロシンキナーゼまたはSrcチロシンキナーゼのシグナル伝達経路などのプロテインチロシンキナーゼシグナル伝達経路に影響を及ぼす分子または治療的介入に関連した診断および予後の両価値を有し得る。
当業者であれば、プロテインチロシンキナーゼ経路、たとえばSrcチロシンキナーゼ経路が乳房組織の細胞株以外の細胞型に存在し機能性であることを認識するであろう。それゆえ、記載したポリヌクレオチドのプレディクターセット、またはプレディクターセット内のポリヌクレオチドの組み合わせは、他の組織または器官型に由来する疾患状態、または癌または腫瘍と関連する他の組織または器官からの細胞でのプロテインチロシンキナーゼ活性と相互作用するまたは該活性を阻害する化合物に対する薬剤感受性または耐性を予測するうえでの有用性を示すことができる。そのような細胞、組織および器官の非制限的例示としては、結腸、乳房、肺、心臓、前立腺、精巣、卵巣、子宮頸、食道、膵臓、脾臓、肝臓、腎臓、腸、胃、リンパおよび脳が挙げられ、かくして本明細書に記載したプレディクターポリヌクレオチドセットへの広範かつ有利な利用可能性が提供される。分析用の細胞は、当該技術分野で知られた常法、たとえば、組織および器官の生検、吸引、脱落した(sloughed)細胞、たとえば結腸細胞、臨床用または医用組織、または細胞サンプリング法により得ることができる。
プレディクターセットを構成するポリヌクレオチドの機能性
プレディクターまたはプレディクターセット(たとえば、プレディクターポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドのプレディクターセット)の使用は、生物学的系について知見を得る前に結果を予測することを可能にする。本質的に、プレディクターは、生物学的系を分類するのに用いる表現型を予測するのに有用な手段と考えることができる。本発明によって提供される特別の態様において、「耐性」または「感受性」としての分類は、細胞株パネル(たとえば、本明細書で例示する23の乳癌細胞株のパネル)の平均log10(IC50)と比較した化合物(たとえば、本明細書に例示するプロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物BMS−A)に対する各細胞株のIC50値に基づくものである。
プレディクターまたはプレディクターセット(たとえば、プレディクターポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドのプレディクターセット)の使用は、生物学的系について知見を得る前に結果を予測することを可能にする。本質的に、プレディクターは、生物学的系を分類するのに用いる表現型を予測するのに有用な手段と考えることができる。本発明によって提供される特別の態様において、「耐性」または「感受性」としての分類は、細胞株パネル(たとえば、本明細書で例示する23の乳癌細胞株のパネル)の平均log10(IC50)と比較した化合物(たとえば、本明細書に例示するプロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物BMS−A)に対する各細胞株のIC50値に基づくものである。
特別の例として、本明細書に記載した(表2)多くのポリヌクレオチドは、srcチロシンキナーゼファミリー、たとえばcaveolin-1およびcaveolin-2の基質として知られている(M. T. BrownおよびJ. A. Cooper, 1996, Biochemica et Biophysica Acta, 1287:121-149)。EphA2はチロシンキナーゼレセプターである。本明細書に示したデータは、EphA2が感受性細胞株で高度に発現され、その発現レベルおよび活性はプロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物BMS−Aの処理によってダウンレギュレーションされることを示した。このことは予期されることである、なぜなら高いプレディクター正確さに貢献するポリヌクレオチドはモデュレートされる経路において機能的な役割を果たしていることが考えられるからである。たとえば、Herceptin療法(すなわち、Her2レセプターに結合し、インターナリゼーションによる機能を妨害する抗体)はHer2ポリヌクレオチドが過剰発現されるときに処方される。標的酵素が発現されないのに療法が治療効果を奏することは、ありえないことはないにしても考えにくい。
しかしながら、現在のところプレディクターセットを構成するポリヌクレオチドおよびその機能性の産物(タンパク質およびmRNA)のすべてについて完全な機能がわかっているわけではないが、これらポリヌクレオチドのあるものについてはSrcチロシンキナーゼシグナル伝達経路などのプロテインチロシンキナーゼシグナル伝達経路に直接または間接に関与していることが考えられる。さらに、プレディクターセット中のポリヌクレオチドのあるものは、試験した化合物に特異的な代謝経路もしくは他の耐性経路において機能を有する。それにもかかわらず、これらポリヌクレオチドの機能についての知見は、本発明の実行によるプレディクターの正確さを決定するのに必要とはされない。
本明細書に記載するように、プロテインチロシンキナーゼ、たとえばSrcチロシンキナーゼと相互作用するまたは阻害する化合物による処理に対する乳癌細胞株の相対的な固有の感受性または耐性と相関関係を有するポリヌクレオチドが見出された。これらポリヌクレオチドは、ウエイテッドボーティングleave-one-outクロス確認プログラムにより、これら化合物に対する乳癌細胞株の固有の耐性および感受性を予測するうえで有用性を有することが示された。
本発明の一つの態様は、疾患、たとえば乳癌または乳腫瘍のために薬剤または化学療法処置を必要とする個体が、該個体をそのような処置または化学療法に供する前に薬剤または化学療法剤に首尾よく応答するか応答しそうにないかを決定または予測する方法に関する。薬剤または化学療法剤は、プロテインチロシンキナーゼ活性またはプロテインチロシンキナーゼが関与するシグナル伝達をモデュレートするものであってよい。そのようなプロテインチロシンキナーゼの非制限的例示としては、チロシンキナーゼのSrcファミリーの成員、たとえばSrc、Fgr、Fyn、Yes、Blk、Hck、LckおよびLyn、並びに他のプロテインチロシンキナーゼ(Bcr-abl、Jak、PDGFR、c-kitおよびEphレセプターを含む)が挙げられる。本発明の方法によれば、疾患に関連する組織または器官からの細胞、たとえば、腫瘍または癌の患者生検、好ましくは乳癌または腫瘍生検を本明細書に記載するインビトロアッセイに供し、化合物または薬剤、好ましくはプロテインチロシンキナーゼのインヒビターで処理する前にそのマーカーポリヌクレオチド発現パターン(表2からのポリヌクレオチドおよび/または表4〜5のプレディクターポリヌクレオチドサブセット)を決定する。薬剤処理する前に得られた細胞のポリヌクレオチド発現プロフィルを、本発明により提供されるように、薬剤または化合物に対して耐性または感受性である細胞での同じポリヌクレオチドのポリヌクレオチドの発現パターンと比較する。
他の関連する態様において、本発明は、疾患状態の薬物療法または癌(たとえば、乳癌)の化学療法を必要とする個体が、処置を投与する前に処置に応答するか否かを予測、予知、診断、および/または決定する方法を包含する。処置または療法は、プロテインチロシンキナーゼモデュレーター物質、化合物、または薬剤、たとえば、プロテインチロシンキナーゼ活性のインヒビターを含むのが好ましい。プロテインチロシンキナーゼとしては、これらに限られるものではないが、チロシンキナーゼのSrcファミリーの成員、たとえばSrc、Fgr、Fyn、Yes、Blk、Hck、LckおよびLyn、並びに他のプロテインチロシンキナーゼ(Bcr-abl、Jak、PDGFR、c-kitおよびEphレセプターを含む)が挙げられる。好ましいのはsrcチロシンキナーゼおよびそのインヒビターである。この態様によれば、患者組織試料、たとえば、乳腫瘍または乳癌生検からの細胞を、プロテインチロシンキナーゼモデュレーター物質、化合物、または薬剤で処理する前にアッセイしてそのポリヌクレオチド発現パターンを決定する。化合物または薬剤に暴露する前に得られた被験細胞のポリヌクレオチド発現プロフィルを、本明細書に記載の表4〜5にそれぞれ示す15または7のポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドの1またはそれ以上のプレディクターサブセットと比較する。
薬剤による患者の癌または腫瘍の処理が成功したかまたは失敗したかは、試験した患者の細胞のポリヌクレオチド発現パターンを、薬剤または化合物に暴露し、本明細書に詳述したプレディクターポリヌクレオチド分析に供した耐性または感受性パネル中のプレディクターポリヌクレオチドのポリヌクレオチド発現パターンと比較することに基づいて決定することができる。それゆえ、もしも薬剤への暴露後に被験細胞が、薬剤または化合物に感受性の細胞の対照パネルのプレディクターポリヌクレオチドセットの発現パターンに対応する発現パターンを示すなら、個体の癌または腫瘍は該薬剤または化合物による処理に対して有利に応答するであろうことの蓋然性が極めて高いと思われる、すなわち予測される。対照的に、もしも薬剤への暴露後に被験細胞が、薬剤または化合物に耐性の細胞の対照パネルのプレディクターポリヌクレオチドセットの発現パターンに対応する発現パターンを示すなら、個体の癌または腫瘍は該薬剤または化合物による処理に応答しないであろうことの蓋然性が極めて高いと思われる、すなわち予測される。
関連する態様において、患者の癌または腫瘍が、薬剤または化合物、とりわけプロテインチロシンキナーゼ活性またはプロテインチロシンキナーゼ経路、たとえばSrcプロテインチロシンキナーゼ活性または経路に直接または間接に関与する薬剤または化合物による処理に対して感受性であるか耐性であるかを決定するためのスクリーニングアッセイが提供される。
また、プロテインチロシンキナーゼ活性と相互作用するまたは該活性を阻害する薬剤または化合物を含む薬物処置の進行をモニターするためのモニタリングアッセイも本発明により提供される。これらモニタリングアッセイにより包含されるプロテインチロシンキナーゼとしては、チロシンキナーゼのSrcファミリーの成員、たとえばSrc、Fgr、Fyn、Yes、Blk、Hck、LckおよびLyn、並びに他のプロテインチロシンキナーゼ(Bcr-abl、Jak、PDGFR、c-kitおよびEphレセプターを含む)が挙げられる。そのようなインビトロアッセイは、患者組織試料、たとえば腫瘍または癌生検、好ましくは乳癌または腫瘍試料からの細胞の耐性または感受性ポリヌクレオチド発現パターンを、プロテインチロシンキナーゼ活性を阻害する薬剤または化合物で処理する前および該薬剤または化合物で処理後に再び、記載した1またはそれ以上のプレディクターポリヌクレオチドセットまたはその組み合わせの発現パターンと比較することにより、プロテインチロシンキナーゼをモデュレートまたは相互作用する化合物または剤により処置しうる疾患を有する患者の処置をモニタリングすることができる。患者から単離した細胞をアッセイして、化合物または薬剤、好ましくはプロテインチロシンキナーゼインヒビターに暴露する前および暴露後にそのポリヌクレオチド発現パターンを決定し、他の薬剤または剤による処置を保証するかまたは現在行っている処置を中止すべく、ポリヌクレオチド発現プロフィルに変化が生じたか否かを決定する。処置の前および処置の後に得られた被験細胞のポリヌクレオチド発現プロフィルを、該薬剤または化合物に耐性かまたは感受性のいずれかである細胞で高度に発現されることが本明細書に記載され示されたポリヌクレオチドのプレディクターセットのポリヌクレオチド発現パターンと比較する。あるいは、患者に所定の薬剤または治療用化合物で処置を施した後にのみ、上記ポリヌクレオチド発現プロフィルを得ることにより、薬剤処置または療法に関連する患者の進行をモニターすることができる。この方法では薬剤または化合物で処置する前に患者試料を試験する必要はない。
そのようなモニタリングプロセスは、患者試料、たとえば腫瘍または癌生検から単離した細胞のポリヌクレオチド発現パターンが、薬剤または化合物に暴露され、暴露後にポリヌクレオチド発現プロフィルについて評価した細胞の耐性または感受性対照パネルのプレディクターポリヌクレオチドセットのポリヌクレオチド発現パターンと同じであるかまたは異なることに基づき、該薬剤または化合物による患者の処置が成功であるかまたは失敗であるかを示すことができる。それゆえ、もしも薬剤または化合物で処置した後に被験細胞が処置前に認められたポリヌクレオチド発現プロフィルから該化合物または薬剤に耐性の細胞の対照パネルのプレディクターポリヌクレオチドセットの発現プロフィルへの変化を示すなら、それは現在行っている処置を改変、変更または中止さえもすべきであることの指標となりうる。同様に、もしも患者の応答が、薬剤感受性を示す細胞のプレディクターポリヌクレオチドの発現プロフィルと処置を行っている患者の細胞からのポリヌクレオチド発現プロフィルとの相関関係に基づいて、プロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物、たとえばSrcチロシンキナーゼインヒビターによる処置に対して感受性を示すものであるなら、患者の処置の予後は良好であるとみなすことができ、処置を続行することができる。さらに、もしも患者が薬剤処置の前に試験されていないなら、処置後に得られた結果は、プレディクターポリヌクレオチドセットとのポリヌクレオチド発現プロフィルの比較に基づき該薬剤に対する細胞の耐性または感受性を決定するのに用いることができる。
関連する態様において、本発明は、プロテインチロシンキナーゼ、すなわち乳癌をモデュレートする化合物または剤によって処置しうる疾患を有する患者の処置をモニタリングする方法を包含する。そのような処置モニタリングアッセイにより包含されるプロテインチロシンキナーゼとしては、チロシンキナーゼのSrcファミリーの成員、たとえばSrc、Fgr、Fyn、Yes、Blk、Hck、LckおよびLyn、並びに他のプロテインチロシンキナーゼ(Bcr-abl、Jak、PDGFR、c-kitおよびEphレセプターを含む)が挙げられる。これらアッセイでは、患者からの被験細胞をアッセイして、プロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物または薬剤への暴露前および暴露後のポリヌクレオチド発現パターンを決定する。処置の前および処置の後に得られた被験細胞のポリヌクレオチド発現プロフィルを、該薬剤または化合物に耐性かまたは感受性のいずれかである細胞で高度に発現されることが本明細書に記載され示されたポリヌクレオチドのプレディクターセットのポリヌクレオチド発現パターンと比較する。それゆえ、もしも患者の応答が、プレディクターポリヌクレオチドの発現プロフィルの相関関係に基づいて、プロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物による処置に対して感受性を示すものであるかまたは感受性となるなら、患者の処置の予後は良好であるとみなすことができ、処置を続行することができる。また、もしも薬剤または化合物で処置した後に被験細胞が該薬剤または化合物に感受性である細胞の対照パネルのものに対応するプロフィルへのポリヌクレオチド発現プロフィルの変化を示すなら、それは現在行っている処置を改変、変更または中止さえもすべきであることの指標となりうる。そのようなモニタリングプロセスは必要に応じてまたは所望により繰り返すことができ、ある薬剤または化合物による患者の処置が成功であるかまたは失敗であるかを患者の試料から単離した細胞のポリヌクレオチド発現パターンに基づいて示すことができる。所定の薬剤処置に対する患者の応答のモニタリングは、薬剤または活性な化合物による処置の前後ともにではなく、処置の後にのみ、本明細書に記載のアッセイで患者の細胞を試験することを含むことができる。
好ましい態様において、本発明は、srcチロシンキナーゼをモデュレートする化合物または剤で処置しうる疾患、すなわち乳癌を罹患する患者の処置をモニターする方法を包含する。患者からの被験細胞をアッセイして、srcチロシンキナーゼインヒビター化合物または薬剤に暴露する前および後のポリヌクレオチド発現パターンを決定する。処置の前および処置の後に得られた被験細胞のポリヌクレオチド発現プロフィルを、該薬剤または化合物に耐性かまたは感受性のいずれかである細胞で高度に発現されることが本明細書に記載され示されたポリヌクレオチドのプレディクターセットのポリヌクレオチド発現パターンと比較する。それゆえ、もしも患者の応答が、プレディクターポリヌクレオチドの発現プロフィルの相関関係に基づいて、srcチロシンキナーゼインヒビター化合物による処置に対して感受性を示すものであるかまたは感受性となるなら、患者の処置の予後は良好であるとみなすことができ、処置を続行することができる。また、もしも薬剤または化合物で処置した後に被験細胞が該薬剤または化合物に感受性である細胞の対照パネルのものに対応するプロフィルへのポリヌクレオチド発現プロフィルの変化を示すなら、それは現在行っている処置を改変、変更または中止さえもすべきであることの指標となりうる。そのようなモニタリングプロセスは必要に応じてまたは所望により繰り返すことができ、ある薬剤または化合物による患者の処置が成功であるかまたは失敗であるかを患者の試料から単離した細胞のポリヌクレオチド発現パターンに基づいて示すことができる。所定の薬剤処置に対する患者の応答のモニタリングは、薬剤または活性な化合物による処置の前後ともにではなく、処置の後にのみ、本明細書に記載のアッセイで患者の細胞を試験することを含むことができる。
他の態様において、本発明は、生物学的系、好ましくは罹患した個体の組織、器官、腫瘍または癌からの細胞が該系をモデュレートする化合物に対して耐性であるかまたは感受性であるかを分類する方法を包含する。本発明の好ましい側面において、プロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物または一連の化合物、たとえばSrcチロシンキナーゼインヒビターに対する細胞、たとえば腫瘍または癌から得られた細胞の感受性または耐性が決定される。インヒビターとしては、本明細書ですでに記載したプロテインチロシンキナーゼを直接または間接に阻害する化合物、薬剤または生物学的剤が挙げられる。本発明の方法によれば、プロテインチロシンキナーゼインヒビター薬剤または化合物に暴露した後の細胞の耐性/感受性プロフィルを本明細書に記載のポリヌクレオチド発現プロファイリングプロトコールにより決定することができる。そのような細胞の耐性/感受性プロフィルは、実施例1に記載するようなインビトロ細胞毒性アッセイなどの適当なアッセイを用いて決定されるように、化合物に対する細胞のIC50値を反映する。この種の手順は、様々な細胞型およびプロテインチロシンキナーゼと相互作用するかまたはプロテインチロシンキナーゼのシグナル伝達経路においてその活性に影響を及ぼす化合物を用いて行うことができる。
本発明の他の態様において、本発明は、プロテインチロシンキナーゼモデュレーター、とりわけsrcチロシンキナーゼのインヒビターに対する感受性(または耐性)と最も高度の相関関係を有することが示されている本明細書に記載のプレディクターポリヌクレオチドセットの表2、4または5のポリヌクレオチドのすべてまたはその組み合わせを含む1またはそれ以上の特別のマイクロアレイ(たとえば、オリゴヌクレオチドマイクロアレイまたはcDNAマイクロアレイ)の調製を包含する。好ましくは、プレディクターポリヌクレオチドセットは、本明細書に記載の1を超えるプロテインチロシンキナーゼモデュレーター、たとえばSrcチロシンキナーゼインヒビターなどのプロテインチロシンキナーゼインヒビターの中で感受性を予測するのに共通である。本発明のこの側面によれば、オリゴヌクレオチド配列またはcDNA配列としては、本明細書に記載のプレディクターポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組み合わせであって、耐性または感受性の細胞で高度に発現され、支持材料(ガラススライド、ナイロンメンブレンフィルター、ガラスまたはポリマービーズ、チップ、プレートまたは他のタイプの適当な基材など)と結合または支持材料上に導入したマイクロアレイ、たとえばオリゴヌクレオチドマイクロアレイまたはcDNAマイクロアレイに含まれるものが挙げられる。
細胞の核酸、たとえばRNAを、本明細書に記載のプロテインチロシンキナーゼまたはそのシグナル伝達経路と相互作用する薬剤または化合物に暴露した後に試験に供する細胞から、または該薬剤または化合物に対する細胞の感受性の初期決定または予測および最終的に該薬剤または化合物を用いた処置の結果の予測を得るために試験に供する細胞から単離する。単離した核酸を適当の標識し、1またはそれ以上の特別のマイクロアレイに適用する。特別のマイクロアレイで得られたポリヌクレオチド発現のパターンを本明細書の記載に記載され当該技術分野で知られた方法により分析する。薬剤または化合物に対する感受性または耐性のいずれかと相関関係を有するポリヌクレオチド発現のパターンは、たとえば本明細書でアッセイするようにプロテインチロシンキナーゼインヒビターに暴露した細胞のパネルについて図1に示すポリヌクレオチド発現パターンと比較することにより決定することができる。
本発明の特別のマイクロアレイ態様によれば、マイクロアレイは、乳癌細胞型による薬剤感受性または耐性と高度の相関関係を有する表2、4または5に示すポリヌクレオチドの1またはそれ以上のプレディクターポリヌクレオチドセットまたはサブセット、またはその組み合わせまたはすべてのポリヌクレオチドを含む。もしも腫瘍または癌細胞、好ましくは乳癌または乳腫瘍細胞などの被験細胞から単離した核酸標的が、対照と比較して薬剤感受性についてのプレディクターのポリヌクレオチドへの高レベルの検出可能な結合を示すなら、患者の細胞が該薬剤または一連の薬剤に応答するであろうこと、および該薬剤または一連の薬剤への患者の応答が良好であることを予測することができる。
そのような結果は、腫瘍または癌の細胞が薬剤または一連の薬剤を利用した処置または療法の成功の良好な候補であることを予測する。あるいは、もしも被験細胞から単離した核酸標的が、対照と比較して薬剤耐性についてのプレディクターセットのポリヌクレオチドへの高レベルの検出可能な結合を示すなら、患者が該薬剤または一連の薬剤に応答しそうにないこと、および該薬剤または一連の薬剤への患者の応答が良好でありそうもないことを予測することができる。
マイクロアレイ法の利用は当該技術分野で知られ、行われている。簡単に説明すると、マイクロアレイ法を用いてポリヌクレオチド発現を決定するには、ポリヌクレオチド、たとえばRNA、DNA、cDNA、好ましくはRNAを、当該技術分野で行われている手順および技術を用いて生物学的試料、たとえば細胞、本明細書に記載の乳癌細胞から単離する。単離した核酸を、たとえば蛍光、酵素、放射性核種、または化学ルミネセンス標識で検出可能なように標識し、マイクロアレイ、たとえば本発明により提供される特別のマイクロアレイに適用する。ついで、アレイを洗浄して未結合の物質を除去し、利用した標識のタイプに応じて染色または蛍光、または当該技術分野で知られた他の手段により可視化する。
本発明の他の態様では、プレディクターポリヌクレオチド(表2)、またはプレディクターポリヌクレオチドセット(たとえば、表4〜5)を含む1またはそれ以上のポリヌクレオチドのサブセットを、プロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物、たとえばSrcチロシンキナーゼインヒビターに耐性または感受性の細胞についてのバイオマーカーとして用いることができる。プレディクターポリヌクレオチドが利用できるようになったら、スクリーニングおよび検出アッセイを行って、所定の化合物、好ましくはSrcチロシンキナーゼインヒビター化合物などのプロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物が、細胞、たとえば乳癌細胞試料などの腫瘍または癌生検試料から採取した細胞を該化合物に暴露した後に感受性または耐性のいずれの表現型を誘起するかを決定する。それゆえ、プロテインチロシンキナーゼまたはプロテインチロシンキナーゼ経路と相互作用する薬剤または化合物、好ましくはインヒビター化合物であって細胞を暴露するものに対する該細胞の耐性または感受性を決定するためのスクリーニング、モニタリング、検出、予知および/または診断する方法が本発明により包含される。
そのような方法は、プロテインチロシンキナーゼまたはプロテインチロシンキナーゼ経路と相互作用するかまたは影響を及ぼす薬剤または化合物に暴露した細胞において、ポリヌクレオチド、とりわけプレディクターまたはsrcバイオマーカーポリヌクレオチドおよび本明細書に記載のプレディクターポリヌクレオチドサブセット(表2、4および5)の発現を決定および評価するための様々な手順およびアッセイを包含し、その際、プロテインチロシンキナーゼとしては、チロシンキナーゼのSrcファミリーの成員、たとえばSrc、Fgr、Fyn、Yes、Blk、Hck、LckおよびLyn、並びに他のプロテインチロシンキナーゼ(Bcr-abl、Jak、PDGFR、c-kitおよびEphレセプターを含む)が挙げられる。適当な方法としては、ポリヌクレオチド活性化または発現の核酸、たとえばDNA、RNA、mRNAのレベルでの検出および評価、およびコードされたタンパク質の検出および評価が挙げられる。たとえば、当該技術分野で知られ行われているPCRアッセイを用い、薬剤処置、たとえばプロテインチロシンキナーゼインヒビターに対する感受性についてアッセイする細胞でRNAまたはDNAを定量することができる(たとえば、実施例2、RT−PCRを参照)。
他の態様において、本発明は、プロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物かまたはプロテインチロシンキナーゼシグナル伝達経路に影響を及ぼす化合物、たとえばSrcチロシンキナーゼのいずれかに耐性であると予測される、またはこれら化合物に対して異なる生物学的系において耐性である、細胞、組織、および/または患者を同定する方法に関する。この方法は、工程:(i)そのような化合物に対する予測すべき耐性応答と相関関係を有することが示された表2、4、5に列挙したポリヌクレオチド、またはその組み合わせの発現のみを分析し、(ii)被験細胞、組織、および/または患者において相関関係を有する耐性ポリヌクレオチドで観察された発現レベルを、該化合物に対して耐性であることがわかっている細胞株における同ポリヌクレオチドの発現レベルと比較し、ついで(iii)工程(ii)で観察されたポリヌクレオチドの発現の全体的な類似性に基づいて、該細胞、組織、および/または患者が該化合物に対して耐性であるか否かを予測することを含む。
他の態様において、本発明は、プロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物かまたはプロテインチロシンキナーゼシグナル伝達経路に影響を及ぼす化合物、たとえばSrcチロシンキナーゼのいずれかに感受性であると予測される、またはこれら化合物に対して異なる生物学的系において感受性である、細胞、組織、および/または患者を同定する方法に関する。この方法は、工程:(i)そのような化合物に対する予測すべき感受性応答と相関関係を有することが示された表2、4、5に列挙したポリヌクレオチド、またはその組み合わせの発現のみを分析し、(ii)被験細胞、組織、および/または患者において相関関係を有する感受性ポリヌクレオチドで観察された発現レベルを、該化合物に対して感受性であることがわかっている細胞株における同ポリヌクレオチドの発現レベルと比較し、ついで(iii)工程(ii)で観察されたポリヌクレオチドの発現の全体的な類似性に基づいて、該細胞、組織、および/または患者が該化合物に対して感受性であるか否かを予測することを含む。
本発明はさらに、抗体ベースのアッセイ(たとえば、イムノアッセイ)および/または検出系を用いた、本発明の1またはそれ以上のプロテインチロシンキナーゼバイオマーカータンパク質の検出および/または定量を包含する。上記のように、プロテインチロシンキナーゼとしては、チロシンキナーゼのSrcファミリーの成員、たとえばSrc、Fgr、Fyn、Yes、Blk、Hck、LckおよびLyn、並びに他のプロテインチロシンキナーゼ(Bcr-abl、Jak、PDGFR、c-kitおよびEphレセプターを含む)が挙げられる。そのようなアッセイとしては、本明細書にさらに詳細に記載するように、以下の非制限的例、ELISA、免疫蛍光抗体法、蛍光活性化セルソーティング(FACS)法、ウエスタンブロット法などが挙げられる。
他の態様において、本発明のヒトプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドおよび/またはペプチド、またはその免疫原性のフラグメントまたはオリゴペプチドを、様々な薬剤スクリーニング法において治療薬剤または化合物をスクリーニングするのに用いることができる。そのようなスクリーニングアッセイに用いるフラグメントは、溶液中に遊離の状態であってもよいし、固相支持体に固定されていてもよいし、細胞表面に結合していてもよいし、または細胞内に位置していてもよい。バイオマーカータンパク質と試験すべき剤との間での結合複合体の形成の活性の低減または廃棄を測定することができる。それゆえ、本発明は、複数の化合物について、本発明のプロテインキナーゼインヒビターバイオマーカーポリペプチドまたはその結合性ペプチドフラグメントとのその特異的結合をスクリーニングまたは評価する方法を提供する。この方法は、工程:複数の化合物を用意し、プロテインキナーゼインヒビターバイオマーカーポリペプチドまたはその結合性ペプチドフラグメントを、適当な条件下で結合させるのに充分な時間、該複数の化合物のそれぞれと混合し、ついで該複数の被験化合物のそれぞれへの該バイオマーカーポリペプチドまたはペプチドの結合を検出することにより、該バイオマーカーポリペプチドまたはペプチドに特異的に結合する化合物を同定することを含む。さらに詳細には、該バイオマーカーポリペプチドまたはペプチドは、Srcチロシンキナーゼインヒビターバイオマーカーのポリペプチドまたはペプチドである。
本発明により表2に提供したヒトプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドおよび/またはペプチドの活性をモデュレートする化合物を同定する方法は、プロテインキナーゼ候補化合物または薬剤モデュレーターを混合し、ついでプロテインキナーゼインヒビターバイオマーカーポリペプチドまたはペプチドの生物学的活性に及ぼす該候補化合物または薬剤モデュレーターの作用を測定することを含む。そのような測定しうる作用としては、たとえば、物理的結合相互作用;適当なプロテインキナーゼ基質を開裂する能力;天然またはクローニングしたプロテインキナーゼバイオマーカー発現細胞株に対する作用;およびモデュレーターまたは他のプロテインキナーゼ媒体の生理的測定(physiological measures)の作用が挙げられる。
本発明のプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドの生物学的活性をモデュレートする化合物を同定する他の方法は、プロテインチロシンキナーゼの生物学的活性、たとえばSrcチロシンキナーゼの潜在的なまたは候補の化合物または薬剤モデュレーターをプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドを発現する宿主細胞と混合し、ついでプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドの生物学的活性に及ぼす該候補化合物または薬剤モデュレーターの作用を測定することを含む。宿主細胞はまた、たとえば誘導性の発現によりプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドを発現するように誘導することもできる。所定のモデュレーター候補がプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドに及ぼす生理作用を測定することもできる。それゆえ、特定のプロテインチロシンキナーゼモデュレーター、たとえばsrcキナーゼモデュレーターの細胞アッセイは、プロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドの物理的生物学的活性の直接的な測定もしくは定量であるか、または生理作用の測定または定量であってよい。そのような方法は、本明細書に記載のプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチド、または本明細書に記載の発現ベクターを含む適当な宿主細胞で過剰発現された組換えプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドを用いるのが好ましく、その際、該プロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドは、発現され、過剰発現され、またはアップレギュレーションされた発現を引き受ける。
本発明の他の側面は、プロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチド、たとえばSrcキナーゼバイオマーカーポリペプチドの生物学的活性をモデュレートすることのできる化合物をスクリーニングする方法を包含する。この方法は、プロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドまたはその機能的ペプチドまたは部分(たとえば、本明細書の表2または配列表に示すsrcポリペプチド、タンパク質、ペプチド、またはフラグメントの配列)をコードする核酸配列を有する発現ベクターを含む宿主細胞を用意し;モデュレーター化合物の不在下で発現されたプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドの生物学的活性を決定し;該細胞を該モデュレーター化合物と接触させ、該モデュレーター化合物の存在下で発現されたプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドの生物学的活性を決定することを含む。そのような方法において、該モデュレーター化合物の存在下および該モデュレーター化合物の不在下でのプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドの活性の差異は、該化合物のモデュレート作用を示す。
本質的にあらゆる化合物を本発明によるアッセイにおいて潜在的なモデュレーターまたはリガンドとして用いることができる。プロテインチロシンキナーゼモデュレーターとして試験する化合物は、あらゆる小さな化学的化合物、または生物学的物質(たとえば、タンパク質、糖、核酸、または脂質)であってよい。被験化合物は、典型的に小さな化学的分子またはペプチドである。一般に、潜在的なモデュレーターとして用いる化合物は、水性または有機の(たとえば、DMSOベース)溶液に溶解することができる。これらアッセイは、アッセイ工程を自動化し、あらゆる都合のよい採取源から化合物を用意することによって、大きな化学ライブラリーをスクリーニングすべくデザインされる。アッセイは典型的に、たとえば自動アッセイでのマイクロタイタープレート上のマイクロタイターフォーマットにて、平行して行う。化合物を提供する多くの供給者があり、たとえば、Sigma(セントルイス、ミズーリ)、Aldrich(セントルイス、ミズーリ)、Sigma-Aldrich(セントルイス、ミズーリ)、Fluka Chemika-Biochemica Analytika(ブックス、スイス)が挙げられる。化合物はまた、当該技術分野で知られた方法により合成することができる。
高処理量スクリーニング法は、新規なプロテインチロシンキナーゼバイオマーカー、たとえば本明細書に記載のsrcバイオマーカー、ポリヌクレオチドおよびポリペプチドのモデュレーターの検出に特に想定される。そのような高処理量スクリーニング法は、典型的に、多数の潜在的な治療用化合物(たとえば、リガンドまたはモデュレーター化合物)を含むコンビナトリアル化学ライブラリーまたはペプチドライブラリーを用意することを含む。ついで、コンビナトリアル化学ライブラリーまたはリガンドライブラリーを1またはそれ以上のアッセイでスクリーニングして所望の特徴的な活性を示すライブラリーの成員(たとえば、特定の化学種またはサブクラス)を同定する。このようにして同定した化合物は通常のリード化合物として用いることができるし、またはそれ自体を潜在的なまたは実際の治療剤として用いることができる。
コンビナトリアル化学ライブラリーは、多数の化学的構築ブロック(すなわち、アミノ酸などの試薬)を組み合わせることによって調製した、化学的合成によるかまたは生物学的合成のいずれかにより生成した多様な化合物の集合である。一例として、一次コンビナトリアルライブラリー、たとえばポリペプチドまたはペプチドライブラリーは、所定の化合物の長さ(すなわち、ポリペプチドまたはペプチド化合物中のアミノ酸の数)についてあらゆる可能な仕方で化学的構築ブロックのセットを組み合わせることにより生成する。そのような化学的構築ブロックのコンビナトリアル混合により、何百万もの化合物を合成することができる。
コンビナトリアル化学ライブラリーの調製およびスクリーニングは当該技術分野の当業者によく知られている。コンビナトリアルライブラリーとしては、これに限られるものではないが、ペプチドライブラリー(たとえば、米国特許第5,010,175号;Furka, 1991, Int. J. Pept. Prot. Res., 37:487-493;およびHoughtonら、1991, Nature, 354:84-88)。ケミカルダイバーシティーライブラリー(chemical diversity libraries)を生成するための他の化学もまた用いることができる。ケミカルダイバーシティーライブラリーの化学の非制限的例としては、ペプチド(PCT公報WO 91/019735)、コードしたペプチド(PCT公開WO 93/20242)、ランダムバイオオリゴマー(PCT公開WO 92/00091)、ベンゾジアゼピン(米国特許第5,288,514号)、ヒダントイン、ベンゾジアゼピンおよびジペプチドなどのダイバーソマー(diversomers)(Hobbsら、1993, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:6909-6913)、ビニル性(vinylogous)ポリペプチド(Hagiharaら、1992, J. Amer. Chem. Soc., 114:6568)、グルコース骨格を有する非ペプチド性ペプチドミメチック(Hirschmannら、1992, J. Amer. Chem. Soc., 114:9217-9218)、小さな化合物ライブラリーの相同な有機合成(Chenら、1994, J. Amer. Chem. Soc., 116:2661)、オリゴカルバメート(Choら、1993, Science, 261:1303)、および/またはペプチド性ホスホネート(Campbellら、1994, J. Org. Chem., 59:658)、核酸ライブラリー(Ausubel, BergerおよびSambrook、すべて上掲を参照)、ペプチド核酸ライブラリー(米国特許第5,539,083号)、抗体ライブラリー(たとえば、Vaughnら、1996, Nature Biotechnology, 14(3):309-314)およびPCT/US96/10287)、炭水化物ライブラリー(たとえば、Liangら、1996, Science, 274-1520-1522)および米国特許第5,593,853号)、小さな有機分子ライブラリー(たとえば、ベンゾジアゼピン、Baum C&EN, Jan. 18, 1993, page 33;および米国特許第5,288,514号;イソプレノイド(米国特許第5,569,588号);チアゾリジノンおよびメタチアザノン(米国特許第5,549,974号);ピロリジン(米国特許第5,525,735号および同第5,519,134号);モルホリノ化合物(米国特許第5,506,337号)などが挙げられる。
コンビナトリアルライブラリーを調製するためのデバイスは市販されている(たとえば、357 MPS, 390 MPS、Advanced Chem Tech、ルイスビル、ケンタッキー;Symphony, Rainin、ウォバーン、マサチューセッツ;433A Applied Biosystems、フォスターシティー、カリフォルニア;9050 Plus, Millipore、ベッドフォード、マサチューセッツ)。さらに、多数のコンビナトリアルライブラリーが市販されている(たとえば、ComGenex、プリンストン、ニュージャージー;Asinex、モスクワ、ロシア;Tripos, Inc.、セントルイス、ミズーリ;ChemStar, Ltd.、モスクワ、ロシア;3D Pharmaceuticals、イクストン、ペンシルベニア;Martek Biosciences、コロンビア、メリーランドなど)。
一つの側面において、本発明は、チロシンキナーゼタンパク質/ポリペプチド/ペプチドを発現する細胞または組織が固相基体に固定された、高処理量フォーマットでの固相ベースのインビトロアッセイを提供する。そのような高処理量アッセイでは、1日に数千までもの異なるモデュレーターまたはリガンドをスクリーニングすることが可能である。とりわけ、選択した潜在的モデュレーターに対する別々のアッセイを行うのにマイクロタイタープレートの各ウエルを用いることができ、あるいは、濃度またはインキュベーション時間の効果を観察する場合は、5〜10ウエルごとに単一のモデュレーターを試験するのに用いることができる。それゆえ、単一の標準マイクロタイタープレートを用いて約96のモデュレーターを容易にアッセイすることができる。もしも1536ウエルのプレートを用いるなら、単一のプレートで約100〜約1500の異なる化合物を容易にアッセイすることができる。1日に数千の異なるプレートをアッセイすることが可能である;それゆえ、たとえば、上記集積系を用いて約6,000〜20,000までもの異なる化合物についてのアッセイスクリーニングが可能である。
他の側面において、本発明は、所定のタンパク質、たとえばSrcチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドまたはペプチドなどのチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドまたはペプチドに結合することのできる小さな分子の検出または同定を含む、スクリーニングおよび小分子(たとえば、薬剤)検出アッセイを包含する。特に好ましいのは、高処理量スクリーニング法に適したアッセイである。
そのような結合ベースの検出、同定、またはスクリーニングアッセイにおいては、機能的なアッセイは典型的に必要とされない。一般に、必要なのは、標的タンパク質(好ましくは実質的に精製したもの)、および該タンパク質標的への結合をスクリーニングまたはアッセイすべき化合物(たとえば、リガンド、薬剤、または小分子)または生物学的物質のライブラリーまたはパネルだけである。好ましくは、標的タンパク質に結合する大抵の小分子は、該タンパク質上の機能的領域または部位への優先的で高いアフィニティー結合のために、何らかの仕方で標的の活性をモデュレートする。
そのようなアッセイの例は、Pantolianoらの米国特許第6,020,141号および同第6,036,920号に記載されている蛍光ベースのサーマルシフトアッセイ(3-Dimensional Pharmaceuticals, Inc., 3DP、イクストン、ペンシルベニア)である(J. Zimmerman, 2000, Gen. Eng. News, 20(8)をも参照)。このアッセイは、タンパク質−薬剤またはリガンド複合体の熱的変性曲線を分析することによる結合アフィニティーの決定に基づき、発現され好ましくは精製したチロシンキナーゼバイオマーカータンパク質/ポリペプチド/ペプチドに結合する小分子(たとえば、薬剤、リガンド)の検出を可能にする。この方法により決定される薬剤または結合性分子は、所望なら本明細書に記載の方法によりさらにアッセイして該分子が該標的タンパク質の機能または活性に影響を及ぼすかまたはモデュレートするか否かを決定することができる。
生物学的結合またはリガンド結合の活性を測定すべくチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドまたはペプチド、たとえばSrcチロシンキナーゼを精製するには、採取源は全細胞溶解液であってよく、標準プロテアーゼインヒビターの存在下で連続した凍結−解凍サイクル(たとえば、1〜3サイクル)によりにより調製することができる。チロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドは、標準タンパク質精製法、たとえば本明細書に記載の特異的抗体を用いたアフィニティークロマトグラフィーにより、またはこれも本明細書に記載のように組換えチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチド分子に遺伝子操作したエピトープタグに特異的なリガンドにより、部分的または完全に精製することができる。ついで、結合活性を本明細書に記載のようにして測定することができる。
本発明の方法に従って同定され、本発明によるチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドの生物学的活性または生理をモデュレートまたは制御する化合物は、本発明の好ましい態様である。そのようなモデュレーター化合物は、チロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチド、たとえばSrcチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドによって媒体される状態の処置を必要とする個体に本明細書に記載の方法により同定した化合物の治療学的有効量を投与することにより、そのような状態の処置およびそのような状態を処置するための治療法に使用できることが考えられる。
さらに、本発明は、本発明のチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドによって媒体される疾患、障害、または状態に対してそのような処置を必要とする個体の治療方法であって、本明細書に記載の方法によって同定したチロシンキナーゼバイオマーカーモデュレーター化合物の治療学的有効量を個体に投与することを含む方法を提供する。本発明によれば、本発明の方法により包含されるチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドまたはタンパク質としては、チロシンキナーゼのSrcファミリーの成員、たとえばSrc、Fgr、Fyn、Yes、Blk、Hck、LckおよびLyn、並びに他のプロテインチロシンキナーゼ(Bcr-abl、Jak、PDGFR、c-kitおよびEphレセプターを含む)が挙げられる。
本発明は、とりわけ、本発明のSrcバイオマーカーポリペプチドによって媒体される疾患、障害、または状態に対してそのような処置を必要とする個体の治療方法であって、本明細書に記載の方法によって同定したSrcバイオマーカーモデュレーター化合物の治療学的有効量を個体に投与することを含む方法を提供する。
本発明はさらに、表2に示す1またはそれ以上のプロテインチロシンキナーゼバイオマーカー、好ましくはSrcバイオマーカーのアミノ酸配列を有するポリペプチドのエピトープを含む、あるいは該エピトープからなるポリペプチドを包含する。本発明はまた、本発明のプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーのポリペプチドのエピトープ配列をコードするポリヌクレオチド配列をも包含する。
本明細書において「エピトープ」とは、動物、好ましくは哺乳動物、および最も好ましくはヒトにおいて抗原活性または免疫原活性を有するポリペプチドの部分をいう。好ましい態様において、本発明は、エピトープを含むポリペプチド、並びに該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを包含する。本明細書において「免疫原性エピトープ」とは、当該技術分野で知られた方法、たとえば以下に記載する抗体の製造方法によって決定されるように、動物において抗体応答を引き起こすタンパク質の部分をいう(たとえば、Geysenら、1983, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:3998-4002を参照)。本明細書において「抗原性エピトープ」とは、当該技術分野でよく知られた方法によって、たとえば本明細書に記載のイムノアッセイによって決定されるように、抗体がその抗原に免疫特異的に結合することのできるタンパク質の部分をいう。免疫特異的な結合は非特異的な結合を排除するものであるが、他の抗原との交差反応性は必ずしも排除するものではない。抗原性エピトープは必ずしも免疫原性である必要はない。完全長のタンパク質かまたは抗原性ペプチド断片のいずれかを用いることができる。抗体は、エピトープを含むチロシンキナーゼバイオマーカー核酸およびタンパク質配列の領域からまたは該領域中の別個の断片から調製するのが好ましい。エピトープとして機能するポリペプチドまたはペプチド断片は通常の手段により製造することができる(たとえば、Houghten, 1985, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82:5131-5135を参照;米国特許第4,631,211号にも記載)。
さらに、抗体はまた、本明細書に記載のようにSrcキナーゼバイオマーカーを含むプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーのポリペプチドおよびペプチドのいかなる領域からも製造することができる。さらに、ポリペプチドがレセプタータンパク質であるなら、該レセプターのレセプター全体または部分に対して、たとえば、細胞内カルボキシ末端ドメイン、アミノ酸末端細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン全体、特定の膜貫通セグメント、細胞内または細胞外ループのいずれか、またはこれら領域のいずれかの部分に対して生起させることができる。抗体はまた、特定の機能的部位、たとえば、リガンド結合の部位、またはたとえばグリコシル化、リン酸化、ミリストイル化、またはアミド化される部位に対して生起させることができる。
本発明において、抗体を生成させるための抗原性エピトープは、好ましくは少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、さらに好ましくは少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、最も好ましくは約15〜約30のアミノ酸残基を含む。上記エピトープの組み合わせも包含される。免疫原性または抗原性エピトープを含む好ましいポリペプチドは、長さが少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100アミノ酸残基である。さらなる非制限的な好ましいエピトープとしては、本明細書に記載の抗原性エピトープ、並びにその部分、並びにこれら抗原性エピトープの2、3、4、5またはそれ以上の組み合わせが挙げられる。そのような抗原性エピトープは、イムノアッセイにおいて標的分子として用いることができる(たとえば、Wilsonら、1984, Cell, 37:767-778;およびSutcliffeら、1983, Science, 219:660-666を参照)。しかしながら、本明細書に記載する断片は、本発明の前に開示された断片を包含するものではない。
抗体応答を引き起こす1またはそれ以上の免疫原性エピトープを含むプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドは、アルブミンなどの担体タンパク質とともに動物の系(ウサギやマウスなど)に導入することができる。あるいは、ポリペプチドが充分な長さであれば(たとえば、少なくとも約15〜25アミノ酸)、該ポリペプチドを担体なしで提示することができる。しかしながら、わずか5〜10アミノ酸を含む免疫原性エピトープが、変性ポリペプチド中の少なくとも線状のエピトープにおいて、結合可能な抗体を産生させるのに充分であることが示されている(たとえば、ウエスタンブロッティング)。
本発明のエピトープ含有ポリペプチドは、当該技術分野でよく知られた方法(インビボ免疫、インビトロ免疫、およびファージディスプレイ法を含むが、これらに限られるものではない;たとえば、Sutcliffeら、上掲;Wilsonら、上掲;およびBittleら、上掲を参照)に従って抗体を誘発することができる。インビボ免疫を用いる場合、動物を適当なサイズの遊離のペプチドで免疫することができる;しかしながら、該ペプチドをキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)または破傷風トキソイド(TT)などの巨大分子担体に結合させることにより、抗ペプチド抗体の力価を高めることができる。たとえば、システイン残基を含むペプチドをマレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)などのリンカーを用いて担体にカップリングすることができるが、他のペプチドはグルタルアルデヒドなどのより一般的な結合剤を用いて担体にカップリングすることができる。
エピトープを含むペプチドはまた、J. P. Tamら(1995, Biomed. Pept., Proteins, Nucleic Acids, 199, 1(3):123-32)およびCalvoら(1993, J. Immunol., 150(4):1403-12)(参照のためその全体を本明細書に引用する)によって最初に記載されたマルチプルアンチジェンペプチド(MAP)として合成することもできる。MAPは、非免疫原性のリシンコアに付着した特定のペプチドの複数のコピーを含む。MAPは、通常、4または8コピーのペプチドを含み、しばしばMAP4またはMAP8ペプチドと称される。非制限的な例示として、MAPはポリエチレングリコール−ポリスチレン(PEG−PS)支持体に付着したリシンコアマトリックス上で合成することができる。目的とするペプチドをリシン残基上で9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)化学を用いて合成する。たとえば、Applied Biosystems(フォスターシティー、カリフォルニア)は、たとえば、Fmoc Resin 4 BranchやFmoc Resin 8 Branchなどの市販のMAP樹脂を提供しており、これらを用いてMAPを合成することができる。樹脂からのMAPの開裂は、当該技術分野で知られた標準トリフルオロ酢酸(TFA)ベースのカクテルを用いて行う。MAPの精製は、脱塩以外は一般に必要ではない。MAPペプチドは免疫ワクチンに用いることができ、該ワクチンはMAPと該ペプチドが由来する天然タンパク質との両者を認識する抗体を誘起する。
本発明のエピトープ含有ペプチドはまた、ウイルスのコートタンパク質中に導入し、ついでこれを抗エピトープ抗体の産生を刺激すべくヒトを含む動物を免疫するための免疫原またはワクチンとして用いることができる。たとえば、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV−1)のgp120糖タンパク質のV3ループがライノウイルスの表面上に発現されるように遺伝子操作されている。V3ループペプチドを提示するライノウイルスを用いた免疫は、HIV−1免疫原の明らかに有効なミミックを生成した(抗HIV−1抗体により中和される能力によって、並びに細胞培養でHIV−1を中和することのできる抗体の産生を誘起する能力によって測定される)。この遺伝子操作したウイルス粒子を免疫原として用いる技術は、Smithら、1997, Behring Inst Mitt Feb, (98):229-39;Smithら、1998, J. Virol., 72:651-659;およびZhangら、1999, Biol. Chem., 380:365-74(参照のためその全体を本明細書に引用する)に一層詳細に記載されている。
さらに、本発明によるエピトープを含むポリペプチドまたはペプチドは、たとえばペプチドのアミノ末端および/またはカルボキシ末端にアミノ酸を付加することにより修飾することができる。そのような修飾は、たとえば、エピトープが天然タンパク質中のエピトープの構造と一層密接に関連したコンホメーションを有するようにエピトープ含有ポリペプチドのコンホメーションを変化させるために行う。本発明の修飾したエピトープ含有ポリペプチドの一例は、1またはそれ以上のシステイン残基をポリペプチドに付加して2つのシステイン間でジスルフィド結合の生成を可能とし、その結果、非還元条件下で安定なエピトープ含有ポリペプチドのループ構造としたポリペプチドである。ジスルフィド結合は、付加したシステイン残基と天然に存在するエピトープのシステイン残基間、またはともに天然に存在するエピトープ含有ポリペプチドに付加した2つのシステイン間で生成することができる。
さらに、システインによる置換により天然に存在するエピトープ含有ポリペプチドの1またはそれ以上のアミノ酸残基を修飾して、ジスルフィド結合したループ構造の生成を促進することが可能である。合成ペプチドの環状チオエーテル分子は、当該技術分野で知られた方法、たとえばPCT公報WO 97/46251(参照のためその全体を本明細書に引用する)に記載の方法を用いて常法により生成することができる。本発明によって包含されるエピトープ含有ポリペプチドの他の修飾としては、ビオチン化が挙げられる。
インビボでの抗体産生のためには、ウサギ、ラット、マウス、ヒツジ、またはヤギなどの宿主動物を遊離かまたは担体結合したペプチドまたはMAPペプチドで、たとえば腹腔内および/または皮内注射により免疫する。注射材料は、典型的に約100μgのペプチドまたは担体タンパク質およびフロイントのアジュバントまたは免疫応答を刺激するものとして知られた他のアジュバントを含むエマルジョンである。有用な力価の抗ペプチド抗体を得るために、たとえば約2週間の間隔での幾つかのブースター注射が必要であり、該抗体は、たとえば固相表面に吸着させた遊離のペプチドを用いたELISAアッセイにより検出することができる。免疫した動物からの血清中の抗ペプチド抗体の力価は、当該技術分野でよく知られた方法に従い、たとえば固相支持体上への該ペプチドの吸着による抗ペプチド抗体の選択および選択した抗体の溶出によって増大させることができる。
当業者であれば評価するであろうように、また上記で検討したように、本発明のチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチド(以下のもの、たとえばチロシンキナーゼのSrcファミリーの成員、たとえばSrc、Fgr、Fyn、Yes、Blk、Hck、LckおよびLyn、並びに他のプロテインチロシンキナーゼ(Bcr-abl、Jak、PDGFR、c-kitおよびEphレセプターを含む)を含み、免疫原性または抗原性エピトープを含む)は、他のポリペプチド配列に融合させることができる。たとえば、本発明のポリペプチドは、免疫グロブリン(IgA、IgE、IgG、IgD、またはIgM)の定常領域、またはその部分、たとえばCH1、CH2、CH3、またはその組み合わせ、およびその部分、またはアルブミン(組換えヒトアルブミンまたはその断片または変異体を含むがこれらに限られるものではない)(たとえば米国特許第5,876,969号;EP特許第0 413 622号;および米国特許第5,766,883号(参照のためその全体を本明細書に引用する)を参照)と融合させることによりキメラポリペプチドとすることができる。そのような融合タンパク質は、精製を容易にし、インビボでの半減期を長くすることができる。このことは、ヒトCD4−ポリペプチドの最初の2つのドメインおよび哺乳動物免疫グロブリンの重鎖または軽鎖の定常領域の種々のドメインを含むキメラタンパク質について示されている(たとえば、Trauneckerら、1988, Nature, 331:84-86を参照)。
上皮障壁(epithelial barrier)を経た抗原の免疫系への促進された送達が、IgGやFcフラグメントなどのFcRn結合パートナーにコンジュゲートした抗原(たとえば、インスリン)について示されている(たとえば、WO 96/22024およびWO 99/04813を参照)。IgG部分のジスルフィド結合のためにジスルフィド結合した二量体構造を有するIgG融合タンパク質もまた、単量体ポリペプチドまたはその断片単独よりも他の分子に結合および中和するうえでより効率的であることがわかっている(たとえば、Fountoulakisら、1995, J. Biochem., 270:3958-3964を参照)。
エピトープをコードする核酸もまた、エピトープタグ(たとえば、赤血球凝集素(「HA」)タグまたはフラッグタグ)としての目的ポリヌクレオチドとともに組み換えて発現されたポリペプチドの検出および精製を助けることができる。たとえば、ヒト細胞株で発現された非変性融合タンパク質の精製を容易にする系がJanknechtらによって記載されている(1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88:8972-897)。この系では、目的ポリヌクレオチドのオープンリーディングフレームが6ヒスチジン残基を有するアミノ末端タグに翻訳可能に融合されるように該目的ポリヌクレオチドをワクシニア組換えプラスミド中にサブクローニングする。タグは融合タンパク質のマトリックス結合ドメインとして機能する。この組換えワクシニアウイルスを感染させた細胞からの抽出物をNi2+ニトリロ酢酸−アガロースカラムにローディングし、ヒスチジンタグを有するタンパク質をイミダゾール含有緩衝液で選択的に溶出する。
本発明のさらなる融合タンパク質は、遺伝子シャフリング、モチーフシャフリング、エクソンシャフリング、および/またはコドンシャフリング(まとめて「DNAシャフリング」と称する)の技術を用いることによって生成することができる。DNAシャフリングは本発明のポリペプチドの活性をモデュレートするのに用いることができる;そのような方法は、活性の変化したポリペプチド、並びに該ポリペプチドのアゴニストおよびアンタゴニストを生成するのに用いることができる。一般に、米国特許第5,605,793号;同第5,811,238号;同第5,830,721号;同第5,834,252号;および同第5,837,458号、およびPattenら、1997, Curr. Opinion Biotechnol., 8:724-33;Harayama, 1998, Trends Biotechnol., 16(2):76-82;Hanssonら、1999, J. Mol. Biol., 287:265-76;およびLorenzoおよびBlasco, 1998, Biotechniques, 24(2):308-313を参照(参照のためその全体を本明細書に引用する)。
本発明の態様において、表2に示す1またはそれ以上のsrcバイオマーカーポリヌクレオチド配列に対応するポリヌクレオチドおよびこれらポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの変更はDNAシャフリングにより達成することができる。DNAシャフリングは、2またはそれ以上のDNAセグメントを相同的組換えまたは部位特異的組換えによりアセンブリーさせてポリヌクレオチド配列に変異を生成させることを含む。他の態様において、本発明のポリヌクレオチドまたはそれによってコードされるポリペプチドは、組換え前に、誤りがちのPCRによるランダムポリヌクレオチド突然変異導入(random mutapolynucleotidesis)、ランダムヌクレオチド挿入、または他の方法に供することによって変えることができる。他の態様では、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの1またはそれ以上の成分、モチーフ、セクション、部分、ドメイン、断片などを、1またはそれ以上の異種分子の1またはそれ以上の成分、モチーフ、セクション、部分、ドメイン、断片などと組み換えることができる。
本発明の他の側面は、抗体およびT細胞抗原レセプター(TCR)に関し、これらは本発明の表2に示す1またはそれ以上のsrcバイオマーカーアミノ酸配列のポリペプチド、ポリペプチド断片または変異体、および/またはそのエピトープに免疫特異的に結合する(特異的な抗体−抗原結合をアッセイするための当該技術分野でよく知られたイムノアッセイにより決定されるように)。
2特異的または2官能性抗体は、2つの異なる重鎖/軽鎖対および2つの異なる結合部位を有する人工的なハイブリッド抗体である。2特異的抗体は、ハイブリドーマの融合またはFab'フラグメントの結合を含む様々な方法により製造することができる(たとえば、Songsivilai & Lachmann, 1990, Clin. Exp. Immunol., 79:315-321;Kostelnyら、1992, J. Immunol., 148:1547 1553を参照)。さらに、2特異的抗体は「二重特異性抗体(diabodies)」(Holligerら、1993, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:6444-6448を参照)として、または「Janusins」(Trauneckerら、1991, EMBO J., 10:3655-3659およびTrauneckerら、1992, Int. J. Cancer Suppl. 7:51-52-127を参照)として生成することができる。
本発明の抗体としては、これらに限られるものではないが、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、多特異的抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体、一本鎖抗体、Fabフラグメント、F(ab')フラグメント、Fab発現ライブラリーにより生成したフラグメント、抗イディオタイプ(抗Id)抗体(たとえば、本発明の抗体に対する抗Id抗体を含む)、細胞内で生成した抗体(すなわち、細胞内発現抗体(intrabodies))、およびこれらのいずれかのエピトープ結合性フラグメントが挙げられる。本明細書において「抗体」とは、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分またはフラグメント、すなわち抗原に免疫特異的に結合する抗原結合部位を含む分子をいう。本発明の免疫グロブリン分子は、免疫グロブリン分子のいかなるタイプ(たとえば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラスまたはサブクラス(たとえば、IgGl、IgG2、IgG3、IgG4、IgAlおよびIgA2)であってもよい。好ましくは、免疫グロブリンはIgGl、IgG2、またはIgG4アイソタイプである。
免疫グロブリンは、重鎖および軽鎖の両者を有していてよい。IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、およびIgY重鎖のアレイを、カッパタイプまたはラムダタイプの軽鎖と対にすることができる。最も好ましくは、本発明の抗体は、ヒト抗原結合性の抗体および抗体フラグメントであり、Fab、Fab'、F(ab')2、Fd、一本鎖Fvs(scFv)、一本鎖抗体、ジスルフィド結合Fvs(sdFv)およびVLドメインかまたはVHドメインのいずれかを含むフラグメントが挙げられるが、これらに限られるものではない。一本鎖抗体を含む抗原結合性の抗体フラグメントは、可変領域を単独でまたは以下のものの全体または部分とともに含んでいてよい:ヒンジ領域、およびCH1、CH2、およびCH3ドメイン。本発明に関連して含まれるものとして、可変領域とヒンジ領域、およびCH1、CH2、およびCH3ドメインとの組み合わせを含む抗原結合性フラグメントが挙げられる。本発明の抗体は、鳥類および哺乳動物を含むいかなる動物起源のものであってもよい。好ましくは、抗体は、ヒト、ネズミ(たとえば、マウスおよびラット)、ロバ、ヒツジ、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ、またはニワトリ起源のものである。本明細書において「ヒト」抗体は、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有する抗体を含み、ヒト免疫グロブリンライブラリーから、または1またはそれ以上のヒト免疫グロブリンについてトランスジェニックで内生の免疫グロブリンを発現しない動物から単離した抗体を含む(上記およびたとえば米国特許第5,939,598号に記載されているように)。
本発明の抗体は、モノ特異的、2特異的、3特異的、またはそれ以上の多重特異的であってよい。多重特異的抗体は、本発明のポリペプチドの異なるエピトープに対して特異的であってもよいし、または本発明のポリペプチドと異種ポリペプチドや固相支持体材料などの異種エピトープとの両者に特異的であってもよい(たとえば、WO93/17715;WO92/08802;WO91/00360;WO92/05793;Tuttら、1991, J. Immunol., 147:60-69;米国特許第4,474,893号;同第4,714,681号;同第4,925,648号;同第5,573,920号;同第5,601,819号;およびKostelnyら、1992, J. Immunol., 148:1547-1553を参照)。
本発明の抗体は、エピトープまたは該抗体が認識または特異的に結合する本発明のポリペプチドの部分に基づいて記載または特定することができる。このエピトープまたはポリペプチド部分は、たとえば、N末端およびC末端の位置によって、隣接アミノ酸残基のサイズによって、または本明細書の表2に定める配列に示すようにして特定することができる。本発明に従ってさらに含まれるものとして、本明細書に記載するストリンジェント、または適度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で本発明のポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドに結合する抗体が挙げられる。
本発明の抗体(抗体フラグメントを含むあるいは抗体フラグメントからなる分子またはその変異体を包含する)は、ポリペプチドまたはポリペプチド断片に、または本発明の変異体ヒトプロテインチロシンキナーゼバイオマーカー、たとえば表2に示すSrcバイオマーカータンパク質、および/またはサルsrcバイオマーカータンパク質に免疫特異的に結合することができる。
非制限的な例として、抗体は、該抗体が第一の抗原に第二の抗原に対する該抗体の解離定数(Kd)よりも小さなKdにて結合するなら、第一の抗原に優先的に結合すると考えることができる。別の非制限的な例として、抗体は、該抗体が第一の抗原に第二の抗原に対する該抗体のKaよりも少なくとも1次小さなKaの親和性にて結合するなら、第一の抗原に優先的に結合すると考えることができる。別の非制限的な例として、抗体は、該抗体が第一の抗原に第二の抗原に対する該抗体のKdよりも少なくとも2次小さなKdの親和性にて結合するなら、第一の抗原に優先的に結合すると考えることができる。
別の非制限的例として、抗体は、該抗体が第一の抗原に第二の抗原に対する該抗体のoff rate(koff)よりも小さなkoffにて結合するなら、第一の抗原に優先的に結合すると考えることができる。別の非制限的例として、抗体は、該抗体が第一の抗原に第二の抗原に対する該抗体のkoffよりも少なくとも1次小さな親和性にて結合するなら、第一の抗原に優先的に結合すると考えることができる。別の非制限的例として、抗体は、該抗体が第一の抗原に第二の抗原に対する該抗体のkoffよりも少なくとも2次小さな親和性にて結合するなら、第一の抗原に優先的に結合すると考えることができる。
本発明の抗体はまた、本発明のチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチド、たとえば、チロシンキナーゼのSrcファミリーの成員、たとえばSrc、Fgr、Fyn、Yes、Blk、Hck、LckおよびLyn、並びに他のプロテインチロシンキナーゼ(Bcr-abl、Jak、PDGFR、c-kitおよびEphレセプターを含む)に対する結合親和性に基づいて記載または特定することができる。好ましい結合親和性としては、5×10-2M、1×10-2M、5×10-3M、1×10-3M、5×10-4M、または1×10-4M未満の解離定数Kdのものが挙げられる。さらに好ましい結合親和性としては、5×10-5M、1×10-5M、5×10-6M、1×10-6M、5×10-7M、1×10-7M、5×10-8M、または1×10-8M未満の解離定数Kdのものが挙げられる。さらに一層好ましい結合親和性としては、5×10-9M、1×10-9M、5×10-10M、1×10-10M、5×10-11M、1×10-11M、5×10-12M、1×10-12M、5×10-13M、1×10-13M、5×10-14M、1×10-14M、5×10-15M、または1×10-15M未満の解離定数Kdのものが挙げられる。
特別の態様において、本発明の抗体は、プロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチド、またはその断片、または変異体に約5×10-2秒-1、1×10-2秒-1、5×10-3秒-1、または1×10-3秒-1未満または等しいoff rate(koff)にて結合する。さらに好ましくは、本発明の抗体は、srcバイオマーカータンパク質ポリペプチドまたはその断片または変異体に約5×10-4秒-1、1×10-4秒-1、5×10-5秒-1、1×10-5秒-1、5×10-6秒-1、1×10-6秒-1、5×10-7秒-1、または1×10-7秒-1未満または等しいoff rate(koff)にて結合する。
他の態様において、本発明の抗体は、プロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドまたはその断片または変異体に約1×103M-1秒-1、5×103M-1秒-1、1×104M-1秒-1、5×104M-1秒-1を超えるまたは等しいon rate(kon)にて結合する。さらに好ましくは、本発明の抗体は、srcバイオマーカータンパク質ポリペプチドまたはその断片または変異体に約1×105M-1秒-1、5×105M-1秒-1、1×106M-1秒-1、5×106M-1秒-1、または1×10-7M-1秒-1を超えるまたは等しいon rate(kon)にて結合する。
本発明はまた、競合結合を決定するための当該技術分野で知られた方法、たとえば本明細書に記載のイムノアッセイによって決定されるように、本発明のエピトープへの抗体の結合を競合的に抑制する抗体をも提供する。好ましい態様において、抗体は、エピトープへの結合を少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも60%、または少なくとも50%、競合的に抑制する。
本発明の抗体は、本発明のプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドのアゴニストまたはアンタゴニストとして作用することができる。たとえば、本発明は、本発明のポリペプチドとのレセプター/リガンド相互作用を部分的かまたは完全に破壊する抗体を包含する。本発明は、レセプター特異的抗体およびリガンド特異的抗体の両者を包含する。本発明はまた、リガンド結合を妨害しないがレセプター活性化は妨害するレセプター特異的な抗体を包含する。レセプター活性化(すなわち、シグナル伝達)は、本明細書に記載したまたは当該技術分野で知られた方法により決定することができる。たとえば、レセプター活性化は、レセプターまたはその基質のリン酸化(たとえば、チロシンまたはセリン/トレオニン上での)を免疫沈降により検出し、ついでウエスタンブロット分析を行うことにより決定することができる。特別の態様において、リガンド活性またはレセプター活性を抗体の不在下での活性の少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも60%、または少なくとも50%抑制する抗体が提供される。
本発明の他の態様において、プロテインチロシンキナーゼバイオマーカー、またはその断片、または変異体に免疫特異的に結合する抗体は、本発明の抗プロテインチロシンキナーゼバイオマーカー抗体を発現する細胞株により発現された重鎖のいずれか一つのアミノ酸配列、および/または本発明の抗プロテインチロシンキナーゼバイオマーカー抗体を発現する細胞株により発現された軽鎖のいずれか一つのアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。
本発明の他の態様において、チロシンキナーゼバイオマーカータンパク質またはその断片または変異体に免疫特異的に結合する抗体は、抗プロテインチロシンキナーゼバイオマーカー抗体を発現する細胞株により発現された重鎖のVHドメインのいずれか一つのアミノ酸配列、および/または抗プロテインチロシンキナーゼバイオマーカー抗体を発現する細胞株により発現された軽鎖のVLドメインのいずれか一つのアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。好ましい態様において、本発明の抗体は、単一の抗プロテインチロシンキナーゼバイオマーカー抗体を発現する細胞株により発現されたVHドメインおよびVLドメインのアミノ酸配列を含む。別の態様において、本発明の抗体は、2つの異なる抗プロテインチロシンキナーゼバイオマーカー抗体を発現する細胞株により発現されたVHドメインおよびVLドメインのアミノ酸配列を含む。
チロシンキナーゼバイオマーカータンパク質、たとえばSrcチロシンキナーゼに免疫特異的に結合する抗プロテインチロシンキナーゼバイオマーカー抗体を発現する細胞株により発現されたVHドメインおよび/またはVLドメインの抗体フラグメントまたは変異体を含むあるいは該抗体フラグメントまたは変異体からなる分子もまた、これらたVHドメインおよび/またはVLドメイン、分子、断片および/または変異体をコードする核酸分子と同様に本発明により包含される。
本発明はまた、チロシンキナーゼバイオマーカータンパク質、たとえばSrcキナーゼバイオマーカータンパク質のポリペプチド、またはポリペプチド断片または変異体に免疫特異的に結合する抗体であって、抗チロシンキナーゼバイオマーカータンパク質抗体を発現する1またはそれ以上の細胞株によって発現された重鎖に含まれる1、2、3、またはそれ以上のVH CDRのアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むあるいは該ポリペプチドからなる抗体をも提供する。とりわけ、本発明は、抗チロシンキナーゼバイオマーカータンパク質抗体を発現する1またはそれ以上の細胞株によって発現された重鎖に含まれるVH CDR1のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むあるいは該ポリペプチドからなる、チロシンキナーゼバイオマーカータンパク質に免疫特異的に結合する抗体をも提供する。他の態様において、チロシンキナーゼバイオマーカータンパク質に免疫特異的に結合する抗体は、抗チロシンキナーゼバイオマーカータンパク質抗体を発現する1またはそれ以上の細胞株によって発現された重鎖に含まれるVH CDR2のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むあるいは該ポリペプチドからなる。好ましい態様において、チロシンキナーゼバイオマーカータンパク質に免疫特異的に結合する抗体は、抗チロシンキナーゼバイオマーカータンパク質抗体を発現する1またはそれ以上の細胞株によって発現された重鎖に含まれるVH CDR3のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むあるいは該ポリペプチドからなる。チロシンキナーゼバイオマーカータンパク質またはチロシンキナーゼバイオマーカータンパク質断片に免疫特異的に結合するこれら抗体または抗体フラグメントまたはその変異体を含むあるいは該抗体フラグメントまたは変異体からなる分子もまた、これら抗体、分子、フラグメントおよび/または変異体をコードする核酸分子と同様に本発明により包含される。
本発明はまた、チロシンキナーゼバイオマーカータンパク質、たとえばSrcキナーゼバイオマーカータンパク質のポリペプチド、またはポリペプチド断片または変異体に免疫特異的に結合する抗体であって、抗チロシンキナーゼバイオマーカータンパク質抗体を発現する1またはそれ以上の細胞株によって発現された重鎖に含まれる1、2、3、またはそれ以上のVL CDRのアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むあるいは該ポリペプチドからなる抗体をも提供する。とりわけ、本発明は、抗チロシンキナーゼバイオマーカータンパク質抗体を発現する1またはそれ以上の細胞株によって発現された重鎖に含まれるVL CDR1のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むあるいは該ポリペプチドからなる、チロシンキナーゼバイオマーカータンパク質に免疫特異的に結合する抗体をも提供する。他の態様において、チロシンキナーゼバイオマーカータンパク質に免疫特異的に結合する抗体は、抗チロシンキナーゼバイオマーカータンパク質抗体を発現する1またはそれ以上の細胞株によって発現された重鎖に含まれるVL CDR2のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むあるいは該ポリペプチドからなる。好ましい態様において、チロシンキナーゼバイオマーカータンパク質に免疫特異的に結合する抗体は、抗チロシンキナーゼバイオマーカータンパク質抗体を発現する1またはそれ以上の細胞株によって発現された重鎖に含まれるVL CDR3のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むあるいは該ポリペプチドからなる。チロシンキナーゼバイオマーカータンパク質またはチロシンキナーゼバイオマーカータンパク質断片に免疫特異的に結合するこれら抗体または抗体フラグメントまたはその変異体を含むあるいは該抗体フラグメントまたは変異体からなる分子もまた、これら抗体、分子、フラグメントおよび/または変異体をコードする核酸分子と同様に本発明により包含される。
本発明はまた、チロシンキナーゼバイオマーカータンパク質、たとえばSrcキナーゼバイオマーカータンパク質のポリペプチド、またはポリペプチド断片または変異体に免疫特異的に結合する抗体(抗体フラグメントまたは変異体を含むあるいは該抗体フラグメントまたは変異体からなる分子を含む)であって、本発明の抗チロシンキナーゼバイオマーカータンパク質抗体を発現する1またはそれ以上の細胞株によって発現された重鎖または軽鎖に含まれる1、2、3、またはそれ以上のVH CDRおよび1、2、3、またはそれ以上のVL CDRを含むあるいはからなる抗体をも提供する。とりわけ、本発明は、チロシンキナーゼバイオマーカータンパク質のポリペプチド、またはポリペプチド断片または変異体に免疫特異的に結合する抗体であって、本発明の抗チロシンキナーゼバイオマーカータンパク質抗体を発現する1またはそれ以上の細胞株によって発現された重鎖または軽鎖免疫グロブリン分子に含まれるVH CDRおよびVL CDRのVH CDR1とVL CDR1、VH CDR1とVL CDR2、VH CDR1とVL CDR3、VH CDR2とVL CDR1、VH CDR2とVL CDR2、VH CDR2とVL CDR3、VH CDR3とVH CDR1、VH CDR3とVL CDR2、VH CDR3とVL CDR3、またはこれらのいずれかの組み合わせを含むまたはからなる抗体を提供する。好ましい態様において、これら組み合わせの1またはそれ以上は本発明の抗チロシンキナーゼバイオマーカータンパク質抗体を発現する単一の細胞株からのものである。チロシンキナーゼバイオマーカータンパク質に免疫特異的に結合するこれら抗体のフラグメントまたは変異体を含むあるいはからなる分子もまた、これら抗体、分子、フラグメントまたは変異体をコードする核酸分子と同様に本発明により包含される。
本発明はまた、本発明の抗体(抗体フラグメントまたは変異体を含むあるいは該抗体フラグメントまたは変異体からなる分子を含む)をコードする一般的に単離した核酸分子をも提供する。特別の態様において、本発明の核酸分子は、本発明の抗プロテインチロシンキナーゼバイオマーカー抗体を発現する細胞株により発現された重鎖のVHドメインのいずれか一つのアミノ酸配列を有するVHドメインおよび本発明の抗プロテインチロシンキナーゼバイオマーカー抗体を発現する細胞株により発現された軽鎖のアミノ酸配列を有するVLドメインを含むまたはからなる抗体(抗体フラグメントまたは変異体を含むあるいは該抗体フラグメントまたは変異体からなる分子を含む)をコードする。別の態様において、本発明の核酸分子は、本発明の抗プロテインチロシンキナーゼバイオマーカー抗体を発現する細胞株により発現された重鎖のVHドメインのいずれか一つのアミノ酸配列を有するVHドメインおよび本発明の抗プロテインチロシンキナーゼバイオマーカー抗体を発現する細胞株により発現された軽鎖のアミノ酸配列を有するVLドメインを含むまたはからなる抗体(抗体フラグメントまたは変異体を含むあるいは該抗体フラグメントまたは変異体からなる分子を含む)をコードする。
本発明はまた、本明細書に記載の抗体分子(たとえば、VHドメインおよび/またはVLドメイン)の変異体(誘導体を含む)を含むあるいはからなる抗体であって、チロシンキナーゼバイオマーカータンパク質またはその断片または変異体、たとえばSrcチロシンキナーゼポリペプチドに免疫特異的に結合するものをも提供する。
本発明の分子をコードするヌクレオチド配列に変異を導入するには、当業者に知られた標準技術、たとえば、アミノ酸置換という結果となる部位特異的突然変異誘発およびPCR媒体ポリヌクレオチド突然変異導入を含む標準技術を用いることができる。好ましくは該分子は免疫グロブリン分子である。また、好ましくは、変異体(誘導体を含む)は、参照VHドメイン、VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VLドメイン、VL CDR1、VL CDR2、またはVL CDR3と比較して、50未満のアミノ酸置換、40未満のアミノ酸置換、30未満のアミノ酸置換、25未満のアミノ酸置換、20未満のアミノ酸置換、15未満のアミノ酸置換、10未満のアミノ酸置換、5未満のアミノ酸置換、4未満のアミノ酸置換、3未満のアミノ酸置換、または2未満のアミノ酸置換をコードする。
「保存的アミノ酸置換」とは、アミノ酸残基が類似の荷電の側鎖を有するアミノ酸残基で置換されるものである。類似の荷電の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該技術分野で定められている。これらファミリーには、塩基性側鎖を有するアミノ酸(たとえば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(たとえば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電の極性側鎖を有するアミノ酸(たとえば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(たとえば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ分枝鎖側鎖を有するアミノ酸(たとえば、トレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖を有するアミノ酸(たとえば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が挙げられる。別法として、変異はまた、飽和ポリヌクレオチド突然変異導入による場合のように、コード配列のすべてまたは一部についてランダムに導入することもできる。その結果得られる変異体を生物学的活性についてスクリーニングして活性を保持している変異体を同定することができる。
たとえば、抗体分子のフレームワーク領域にのみ、あるいはCDR領域にのみ変異を導入することが可能である。導入する変異は、サイレントまたは中立のミスセンス変異であってよい、すなわち抗体が抗原に結合する能力に影響を全くまたは殆ど及ぼさない。これらタイプの変異は、コドン使用頻度を最適化し、あるいはハイブリドーマ抗体の産生を改善するのに有用でありうる。あるいは、非中立のミスセンス変異が抗体の抗原への結合能を変化させてよい。大抵のサイレントで中立なミスセンス変異の位置はフレームワーク領域内にあることが多く、一方、大抵の非中立ミスセンス変異の位置はCDR内にあることが多いが、これは絶対的な要件ではない。当業者であれば、抗原結合活性の無変化や結合活性の変化(たとえば、抗原結合活性の改善または抗原特異性の変化)などの所望の特性を有する変異体分子をデザインおよび試験することができる。ポリヌクレオチド突然変異導入後、コードタンパク質を常法により発現させ、コードされたタンパク質の機能的および/または生物学的活性を本明細書に記載の方法を用いまたは当該技術分野で知られ実施されている技術を常法により改変することにより決定することができる。
特別の態様において、プロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドまたはその断片または変異体に免疫特異的に結合する本発明の抗体(その抗体フラグメントまたは変異体を含むあるいは該抗体フラグメントまたは変異体からなる分子を含む)は、本発明の抗プロテインチロシンキナーゼバイオマーカータンパク質抗体を発現する1またはそれ以上の細胞株により発現されたVHドメインまたはVHドメインの一方をコードするヌクレオチド配列に、好ましくはハイブリダイゼーション条件下、たとえば6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中、約45℃でフィルター結合したDNAにハイブリダイゼーションし、ついで0.2×SSC/0.1%SDS中、約50℃〜65℃で1またはそれ以上の洗浄を行う、好ましくは高度にストリンジェントな条件下、たとえば6×SSC中、約45℃でフィルター結合した核酸にハイブリダイゼーションし、ついで0.1×SSC/0.2%SDS中、約68℃で1またはそれ以上の洗浄を行う、または当業者に知られた(たとえば、Ausubel, F. M.ら編、1989, Current Protocols in Molecular Biology, Vol. I, Green Publishing Associates, Inc. and John Wiley & Sons, Inc., New York、pages 6.3.1-6.3.6および2.10.3)他のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含むあるいは該アミノ酸配列からなる。これら抗体をコードする核酸分子もまた本発明により包含される。
類似のアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその断片または変異体は、しばしば類似の構造および多くの同じ生物学的活性を有することが当該技術分野でよく知られている。それゆえ、一つの態様において、プロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドまたはチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドの断片または変異体に免疫特異的に結合する抗体(その抗体フラグメントまたは変異体を含むあるいは該抗体フラグメントまたは変異体からなる分子を含む)は、本発明の抗チロシンキナーゼバイオマーカータンパク質抗体を発現する細胞株により発現された重鎖のVHドメインのアミノ酸配列に少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%同一のアミノ酸配列を有するVHドメインを含むあるいは該VHドメインからなる。
他の態様において、チロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドまたはチロシンキナーゼバイオマーカータンパク質ポリペプチドの断片または変異体に免疫特異的に結合する抗体(その抗体フラグメントまたは変異体を含むあるいは該抗体フラグメントまたは変異体からなる分子を含む)は、本発明の抗チロシンキナーゼバイオマーカータンパク質抗体を発現する細胞株により発現された軽鎖のVLドメインのアミノ酸配列に少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%同一のアミノ酸配列を有するVLドメインを含むあるいは該VLドメインからなる。
本発明はまた、当該技術分野で知られた方法、たとえばFACS分析または免疫蛍光アッセイにより決定されるように、チロシンキナーゼバイオマーカータンパク質の細胞表面発現をダウンレギュレーションする抗体(その抗体フラグメントまたは変異体を含むあるいは該抗体フラグメントまたは変異体からなる分子を含む)をも提供する。非制限的な一つの仮説として、そのようなダウンレギュレーションは抗体によって誘発されたチロシンキナーゼバイオマーカータンパク質のインターナリゼーションの結果でありうる。そのような抗体は、本発明の抗体またはそのフラグメントまたは変異体のアミノ酸配列を有するVHドメインまたはVLドメインの部分(たとえば、VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、またはVL CDR3)を含むあるいは該部分からなっていてよい。
別の態様において、チロシンキナーゼバイオマーカータンパク質の細胞表面発現をダウンレギュレーションする抗体は、本発明の抗体またはそのフラグメントまたは変異体のVHドメインおよび本発明の抗体またはそのフラグメントまたは変異体のVLドメインのアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むあるいは該ポリペプチドからなる。別の態様において、チロシンキナーゼバイオマーカータンパク質の細胞表面発現をダウンレギュレーションする抗体は、本発明の一本鎖抗体(またはscFvまたはFabフラグメント)またはそのフラグメントまたは変異体のVHドメインおよびVLドメインのアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むあるいは該ポリペプチドからなる。別の態様において、チロシンキナーゼバイオマーカータンパク質の細胞表面発現をダウンレギュレーションする抗体は、本発明の抗体またはそのフラグメントまたは変異体のVHドメインのアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むあるいは該ポリペプチドからなる。別の態様において、チロシンキナーゼバイオマーカータンパク質の細胞表面発現をダウンレギュレーションする抗体は、本発明の抗体またはそのフラグメントまたは変異体のVLドメインのアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むあるいは該ポリペプチドからなる。
好ましい態様において、チロシンキナーゼバイオマーカータンパク質の細胞表面発現をダウンレギュレーションする抗体は、本発明の抗体またはそのフラグメントまたは変異体のVH CDR3のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むあるいは該ポリペプチドからなる。他の好ましい態様において、チロシンキナーゼバイオマーカータンパク質の細胞表面発現をダウンレギュレーションする抗体は、本発明の抗体またはそのフラグメントまたは変異体のVL CDR3のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むあるいは該ポリペプチドからなる。これら抗体をコードする核酸分子もまた本発明により包含される。
他の好ましい態様において、チロシンキナーゼバイオマーカータンパク質の活性を促進する抗体またはそのフラグメントまたは変異体は、本発明の抗体またはそのフラグメントまたは変異体のVL CDR3のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むあるいは該ポリペプチドからなる。これら抗体をコードする核酸分子もまた本発明により包含される。
非制限的例として、本発明の抗体は、本発明のプロテインチロシンキナーゼポリペプチドを精製、検出、およびターゲティングするのに用いることができ、インビトロおよびインビボの両方の診断、検出、スクリーニング、および/または治療方法を含む。たとえば、本発明の抗体は生物学的試料中のsrcバイオマーカーポリペプチドのレベルを定性的および定量的に測定するためのイムノアッセイに用いられる(たとえば、Harlowら、Antibodies:A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press、第2版、1988(参照のためその全体を本明細書に引用する)を参照)。
他の非制限的例として、本発明の抗体は受動免疫の形態にて個体に投与することができる。あるいは、本発明の抗体は、該抗体によって結合されるエピトープを同定するためのエピトープマッピングに用いることができる。このようにして同定したエピトープは、今度は、たとえばワクチン候補として、すなわち個体を免疫して天然に存在する形態の1またはそれ以上のチロシンキナーゼバイオマーカータンパク質に対する抗体を誘起させるのに用いることができる。
以下でさらに詳細に検討するように、本発明の抗体は単独かまたは他の組成物と組み合わせて用いることができる。本発明の抗体はさらに、異種ポリペプチドにN末端またはC末端にて組換えにより融合させることができ、またはポリペプチドまたは他の組成物に化学的にコンジュゲート(共有的および非共有的コンジュゲートを含む)することができる。たとえば、本発明の抗体は、検出アッセイにおいて標識として有用な分子および異種ポリペプチド、薬剤、放射性核種、または毒素などのエフェクター分子に組換えにより融合またはコンジュゲートすることができる。たとえば、PCT公開WO92/08495;WO91/14438;WO89/12624;米国特許第5,314,995号およびEP396,387を参照。
本発明の抗体は、たとえば、いずれかのタイプの分子を抗体に共有結合させることにより修飾した誘導体を含む。たとえば、これらに限られるものではないが、抗体誘導体としては、たとえば、グリコシル化、アセチル化、ポリエチレングリコール化(pegylation)、リン酸化、アミド化、知られた保護基/ブロッキング基による誘導体化、タンパク質分解的開裂、細胞リガンドまたは他のタンパク質への結合などにより修飾した抗体が挙げられる。多くの化学的修飾のいずれをも公知の方法(特異的化学的開裂、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝合成などを含むがこれらに限られるものではない)により行うことができる。さらに、抗体誘導体は1またはそれ以上の非古典的アミノ酸を含んでいてよい。
本発明の抗体は、当該技術分野で知られたいずれの適当な方法によっても生成することができる。目的とする抗原または免疫原に対するポリクローナル抗体は、当該技術分野でよく知られた種々の方法により産生させることができる。たとえば、本発明のチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドまたはペプチドを、上記で説明したように種々の宿主動物に投与してバイオマーカー抗原に特異的なポリクローナル抗体を含む血清の産生を誘発させることができる。免疫応答を増大させるため、種々のアジュバントを宿主の種に応じて用いることもできる;アジュバントとしては、これらに限られるものではないが、フロイント(完全および不完全)、水酸化アルミニウムなどのミネラルゲル、界面活性剤、たとえばリソレシチン、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、オイルエマルジョン、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール、および潜在的に有用なヒトアジュバント、たとえばBCG(カルメット−ゲラン菌(bacille Calmette-Guerin))およびcorynebacterium parvumが挙げられる。そのようなアジュバントもまた当該技術分野でよく知られている。
モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ、組換えおよびファージディスプレイ法、またはこれらの組み合わせを含む当該技術分野で知られた広範の様々な方法を用いて調製することができる。たとえば、モノクローナル抗体はハイブリドーマ法を用いて産生させることができるが、ハイブリドーマ法は当該技術分野で知られ、および実施され、たとえば、KohlerおよびMilstein, 1975, Nature, 256:495-497;Harlowら、Antibodies:A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press、第2版、1988;およびHammerlingら、In: Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas, Elsevier, N. Y., pages 563-681, 1981(参照のためその全体を本明細書に引用する)に教示されている。本明細書で使用する「モノクローナル抗体」なる語は、ハイブリドーマ法により産生された抗体に限定されるものではない。「モノクローナル抗体」なる語は、真核細胞クローン、原核細胞クローン、またはファージクローンを含む単一のクローンに由来する抗体をいい、必ずしもその産生のための方法を称するものではない。連続細胞株培養を含む方法もまた用いることができる。ハイブリドーマ法に加えて、他の方法としては、トリオーマ(trioma)法、ヒトB細胞ハイブリドーマ法(Kozborら、1983, Immunol. Today, 4:72)、およびEBV−ハイブリドーマ法(Coleら、1985. In: Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc., pp. 77-96)が挙げられる。
ハイブリドーマ法を用いて特定の抗体を産生およびスクリーニングする方法は常法であり、当該技術分野でよく知られている。非制限的な例として、マウスを本発明のチロシンキナーゼポリペプチドまたはペプチドまたはその変異体で、または該ポリペプチドまたはペプチドまたはその変異体を発現する細胞で免疫することができる。免疫応答が検出されたら、たとえば該抗原に特異的な抗体が免疫マウスの血清中に検出されたら、脾臓を回収し、脾細胞を単離する。ついで、脾細胞をよく知られた方法により適当なミエローマ細胞、たとえばATCCから利用可能な細胞株SP2/0またはP3X63-AG8.653からの細胞と融合させる。ハイブリドーマを限界希釈法により選択およびクローニングする。ついで、ハイブリドーマを当該技術分野で知られた方法によりアッセイして本発明のポリペプチドに結合することのできる抗体を分泌する細胞を決定および選択する。陽性のハイブリドーマクローンでマウスを免疫することにより、腹水(通常、高レベルの抗体を含む)を得ることができる。
ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の両者を産生するための他のよく知られた方法は、エプスタインバーウイルス(EBV)を用いた形質転換である。EBV−形質転換したB細胞株を生成するプロトコールは、たとえば、Current Protocols in Immunology, Coligan et alら編、1994, John Wiley & Sons, NYの第7.22章(参照のためその全体を本明細書に引用する)に概説されているプロトコールなどのように当該技術分野で一般に知られている。形質転換のためのB細胞の採取源は一般にヒト末梢血であるが、形質転換用B細胞はまた、リンパ節、扁桃、脾臓、腫瘍組織、および感染組織を含む(これらに限られるものではない)他の採取源から得ることもできる。組織は一般にEBV形質転換の前に単細胞浮遊液として調製する。さらに、B細胞試料中に存在するT細胞は、物理的に除去するかまたは不活化することができる(たとえば、シクロスポリンA処理により)。T細胞の除去はしばしば有利である、なぜなら抗EBV抗体について血清陽性の個体からのT細胞はEBVによるB細胞不活化を抑制することがあるからである。一般に、ヒトB細胞を含む試料にEBVを接種し、3〜4週間インキュベートする。EBVの典型的な採取源はB95-8細胞株(ATCC;VR-1492)の培養上澄み液である。EBV形質転換の物理的サインは、一般に3〜4週間のインキュベーション期間の後にかけて認めることができる。
位相差顕微鏡により、形質転換した細胞は大きく、明瞭に、かつ「毛様(hairy)」のものとして現れる。最初のうちはEBV細胞株は一般にポリクローナルである。しかしながら、細胞培養を長期にわたって行うと、特定のB細胞クローンの選択的増殖の結果としてEBV細胞株はモノクローナルとなることがある。あるいは、ポリクローナルなEBV形質転換細胞株をサブクローニングするか(たとえば、限界希釈により)または適当な融合パートナーと融合させ、限界希釈にプレーティングすることによりモノクローナルなB細胞株を得ることができる。EBV形質転換細胞株のための適当な融合パートナーとしては、マウスミエローマ細胞株(たとえば、SP2/0、X63-Ag8.653)、ヘテロミエローマ細胞株(ヒト×マウス;たとえば、SPAM-8、SBC-H20、およびCB-F7)、およびヒト細胞株(たとえば、GM1500、SKO-007、RPMI8226、およびKR-4)が挙げられる。それゆえ、本発明はまた、ヒトB細胞のEBV形質転換を含む、本発明のプロテインチロシンキナーゼポリペプチドおよびペプチドに対するポリクローナルまたはモノクローナルヒト抗体またはそのフラグメントを生成する方法をも包含する。
特異的なエピトープを認識する抗体フラグメントは公知の方法により生成することができる。たとえば、本発明のFabおよびF(ab')2フラグメントは、パパイン(Fabフラグメントを製造するため)またはペプシン(F(ab')2フラグメントを製造するため)などの酵素を用いて免疫グロブリン分子をタンパク質分解的に開裂することにより製造することができる。F(ab')2フラグメントは可変領域、軽鎖定常領域および重鎖のCH1ドメインを含む。
本発明により包含される抗体はまた、当該技術分野で知られた種々のファージディスプレイ法を用いて生成することもできる。ファージディスプレイ法では、機能性の抗体ドメインが該抗体ドメインをコードするポリヌクレオチド配列を有するファージ粒子の表面に提示される。特定の態様において、そのようなファージは、レパートリーまたはコンビナトリアル抗体ライブラリー(たとえば、ヒトまたはマウス)から発現された抗原結合ドメインを提示するのに用いることができる。目的抗原に結合する抗原結合ドメインを発現するファージは、たとえば、標識抗原または固相表面もしくはビーズ上に結合または捕捉した抗原を用いて選択または同定することができる。これら方法に用いるファージは、典型的に、ファージポリヌクレオチドIIIタンパク質かまたはポリヌクレオチドVIIIタンパク質のいずれかに組換え融合したFab、Fv、またはジスルフィド安定化した抗体ドメインを有するファージから発現したfdおよびM13結合ドメインを含む繊維状ファージである。本発明の抗体を製造するのに用いることのできるファージディスプレイ法の例としては、Brinkmanら、1995, J. Immunol. Methods, 182:41-50;Amesら、1995, J. Immunol. Methods, 184:177-186;Kettleboroughら、1994, Eur. J. Immunol., 24:952-958;Persicら、1997, Gene, 187:9-18;Burtonら、1994, Advances in Immunology, 57:191-280;PCT出願PCT/GB91/01134;PCT公開WO90/02809;WO91/10737;WO92/01047;WO92/18619;WO93/11236;WO95/15982;WO95/20401;および米国特許第5,698,426号;同第5,223,409号;同第5,403,484号;同第5,580,717号;同第5,427,908号;同第5,750,753号;同第5,821,047号;同第5,571,698号;同第5,427,908号;同第5,516,637号;同第5,780,225号;同第5,658,727号;同第5,733,743号および同第5,969,108号(参照のためその全体を本明細書に引用する)に開示されているものが挙げられる。
上記文献に記載されているように、ファージの選択後、ファージからの抗体コード領域を単離し、ヒト抗体を含む全抗体、または他の所望の抗原結合性フラグメントを生成させ、たとえば以下に詳細に記載するように所望の宿主(哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母、および細菌を含む)で発現させるのに用いることができる。
一本鎖Fvおよび抗体を生成するのに用いることのできる方法の例としては、米国特許第4,946,778号および同第5,258,498号;Hustonら、1991, Methods in Enzymology, 203:46-88;Shuら、1993, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:7995-7999;およびSkerraら、1988, Science, 240:1038-1040に記載の方法が挙げられる。ヒトでの抗体のインビボ使用およびインビトロ検出アッセイでの使用を含む幾つかの使用においては、キメラ抗体、ヒト化抗体、またはヒト抗体を用いるのが好ましい。キメラ抗体は、抗体の異なる部分が異なる動物種に由来する分子、たとえば、マウスモノクローナル免疫グロブリンに由来する可変領域およびヒト免疫グロブリン定常領域を有する抗体である。キメラ抗体を産生する方法は当該技術分野で知られている(たとえば、Morrison, 1985, Science, 229:1202;Oiら、1986, BioTechniques, 4:214;Gilliesら、1989, J. Immunol. Methods, 125:191-202;および米国特許第5,807,715号;同第4,816,567号;および同第4,816,397号(参照のためその全体を本明細書に引用する)を参照)。
ヒト化抗体は、所望の抗原に結合する非ヒト種からの抗体分子であって、非ヒト種からの1またはそれ以上の相補性決定領域(CDR)およびヒト免疫グロブリン分子からのフレームワーク領域を有する。しばしば、ヒトフレームワーク領域中のフレームワーク残基をドナー抗体のCDRおよびフレームワーク領域からの対応残基で置換して抗原結合性を変える、好ましくは改善する。これらフレームワーク置換は、当該技術分野でよく知られた方法により、たとえば、CDRとフレームワーク残基との相互作用のモデリングによって抗原結合にとって重要なフレームワーク残基を同定することにより、および配列比較により特定の位置で異常なフレームワーク残基を同定することにより、同定する(たとえば、Queenら、米国特許第5,693,762号および同第5,585,089号;およびRiechmannら、1988, Nature, 332:323(参照のためその全体を本明細書に引用する)を参照)。抗体のヒト化は、たとえば、CDR移植(EP239,400;PCT公開WO91/09967;米国特許第5,225,539号;同第5,530,101号;および同第5,585,089号);張り合わせ(veneering)または再舗装(resurfacing)(EP592,106;EP519,596;Padlan, 1991, Molecular Immunology, 28(4/5):489-498;Studnickaら、1994, Protein Engineering, 7(6):805-814;Roguskaら、1994, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91:969-973);およびチェインシャフリング(米国特許第5,565,332号)を含む当該技術分野で知られた様々な方法を用いて行うことができる。
完全ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン配列からの抗体ライブラリーを用い、上記ファージディスプレイ法を含む当該技術分野で知られた様々な方法により製造することができる。米国特許第4,444,887号および同第4,716,111号;およびPCT公開WO98/46645、WO98/50433、WO98/24893、WO98/16654、WO96/34096、WO96/33735、およびWO91/10741(参照のためその全体を本明細書に引用する)をも参照。
完全ヒト抗体は、外来タンパク質に対する免疫応答を回避または緩和すべく、ヒトの患者の治療的処置に特に望ましい。完全ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン配列からの抗体ライブラリーを用い、上記ファージディスプレイ法を含む当該技術分野で知られた様々な方法により製造することができる。米国特許第4,444,887号および同第4,716,111号;およびPCT公開WO98/46645、WO98/50433、WO98/24893、WO98/16654、WO96/34096、WO96/33735、およびWO91/10741(参照のためその全体を本明細書に引用する)をも参照。
ヒト抗体はまた、機能的な内生の免疫グロブリンを発現することはできないがヒト免疫グロブリンポリペプチドは発現することのできるトランスジェニックマウスを用いても産生することができる。たとえば、ヒト重鎖および軽鎖免疫グロブリンポリヌクレオチド複合体をマウス胚性幹細胞にランダムにまたは相同組換えにより導入することができる。あるいは、ヒト可変領域、定常領域、および多様性領域を、ヒト重鎖および軽鎖ポリヌクレオチドに加えてマウス胚性幹細胞に導入してよい。マウス重鎖および軽鎖免疫グロブリンポリヌクレオチドは、相同組換えによるヒト免疫グロブリン遺伝子座の導入とは別にまたは導入と同時に非機能性にすることができる。特に、JH領域のホモ接合性欠失は内生の抗体産生を防ぐ。修飾した胚性幹細胞を拡張し、胚盤胞にマイクロインジェクションしてキメラマウスを生成させる。ついで、キメラマウスを生育させてヒト抗体を発現するホモ接合性の子孫を生成させる。トランスジェニックマウスを常法により、選択した抗原、たとえば本発明のポリペプチドの全体または部分で免疫させる。
それゆえ、そのような方法を用い、有用なヒトIgG、IgA、IgM、IgDおよびIgE抗体を生成することが可能である。ヒト抗体産生の技術の概説には、LonbergおよびHuszar, 1995, Intl. Rev. Immunol., 13:65-93を参照。ヒト抗体およびヒトモノクローナル抗体の産生技術およびそのような抗体を産生するためのプロトコールの詳細な検討については、たとえば、PCT公開WO98/24893;WO92/01047;WO96/34096;WO96/33735;ヨーロッパ特許第0598877;米国特許第5,413,923号;同第5,625,126号;同第5,633,425号;同第5,569,825号;同第5,661,016号;同第5,545,806号;同第5,814,318号;同第5,885,793号;同第5,916,771号;同第5,939,598号;同第6,075,181号;および同第6,114,598号(参照のためその全体を本明細書に引用する)を参照。さらに、Abgenix, Inc.(Fremont, CA)、Protein Design Labs, Inc.(Mountain View, CA)およびGenpharm(San Jose, CA)などの企業は、上記と同様の技術を用いて選択抗原に対するヒト抗体を提供することに従事している。
選択したエピトープを認識する完全ヒト抗体は、「誘導選択(guided selection)」と称される方法を用いて生成することができる。このアプローチでは、選択した非ヒトモノクローナル抗体、たとえばマウス抗体を用いて同じエピトープを認識する完全ヒト抗体の選択を誘導する(Jespersら、1988, BioTechnology, 12:899-903)。
さらに、本発明のプロテインチロシンキナーゼポリペプチドに対する抗体を用いて、今度は、当業者によく知られた方法を用いて本発明のプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドを「擬態する(mimic)」抗イディオタイプ抗体を生成することができる(たとえば、GreenspanおよびBona, 1989, FASEB J., 7(5):437-444およびNissinoff, 1991, J. Immunol., 147(8):2429-2438を参照)。たとえば、本発明のポリペプチドに結合しおよび本発明のポリペプチドのポリペプチド多量体形成(multimerization)および/または本発明のポリペプチドのリガンドへの結合を競合的に抑制する抗体を用い、該ポリペプチドの多量体形成および/または結合ドメインを「擬態」する、その結果、たとえば治療レジメンにおいて、該ポリペプチドおよび/またはそのリガンドに結合および中和する抗イディオタイプ抗体を生成することができる。たとえば、そのような抗イディオタイプ抗体は、本発明のポリペプチドに結合させ、および/またはそのリガンド/レセプターに結合させることによりその生物学的活性を活性化または阻止するのに用いることができる。
細胞内発現抗体は、組換え核酸分子から発現され、細胞内に保持されるように(たとえば、宿主細胞の細胞質、小細体、またはペリプラズム内に保持されるように)遺伝子操作した抗体、しばしばscFvである。細胞内発現抗体は、たとえば、該細胞内発現抗体が結合するタンパク質の機能を除去するのに用いることができる。細胞内発現抗体の発現はまた、該細胞内発現抗体をコードする核酸を含む核酸発現ベクター中に誘導性プロモーターを使用することによって制御することができる。本発明の細胞内発現抗体は、当該技術分野で知られた方法を用い、たとえば、Chenら、1994, Hum. Polynucleotide Ther., 5:595-601;Marasco, W. A., 1997, Polynucleotide Ther., 4:11-15;RondonおよびMarasco, 1997, Annu. Rev. Microbiol., 51:257-283;Probaら、1998, J. Mol. Biol., 275:245-253;Cohenら、1998, Oncogene, 17:2445-2456;OhageおよびSteipe, 1999, J. Mol. Biol., 291:1119-1128;Ohageら、1999, J. Mol. Biol., 291:1129-1134;WirtzおよびSteipe, 1999, Protein Sci., 8:2245-2250;およびZhuら、1999, J. Immunol. Methods, 231:207-222に開示され概説された方法を用いて産生することができる。
本発明によるXenoMouse Technology Antibodiesは、好ましくは、そのゲノム中にヒト抗体産生ゲノムの実質部分が挿入されているが内生のマウス抗体の産生を欠失するようにされたトランスジェニックマウス(たとえば、Abgenix Inc., Fremont, CAから利用可能なXenoMouse株)を用いることにより生成する。そのようなマウスはヒト免疫グロブリン分子を産生することができるが、マウス免疫グロブリン分子の産生は実質的に欠失している。このことを達成するのに用いることのできる方法は、本明細書に開示した特許、出願、および文献に開示されている。
メガベースのサイズのヒト遺伝子座をYAC中にクローニングおよび再構築し、ついでこれをマウス生殖細胞に導入できることは、非常に大きなまたは大ざっぱにマッピングした遺伝子座の機能性の成分の解明、並びにヒト疾患の有用なモデルの生成のための強力なアプローチを提供する。さらに、そのようなマウスの遺伝子座をそのヒト等価物で置換する技術の利用は、発生の際のヒトポリヌクレオチド産物の発現および制御、他の系とのその伝達、および疾患の誘発および進行へのその関与への独特の洞察をもたらすことができるであろう。そのような戦略の重要な実際の応用は、マウス体液性免疫系の「ヒト化」である。内生の免疫グロブリン(Ig)ポリヌクレオチドが不活化されたマウスへのヒトIg遺伝子座の導入は、抗体のプログラムされた発現およびアセンブリーの根底にあるメカニズム並びにB細胞発生におけるその役割の研究の機会を与える。さらに、そのような戦略は、完全ヒトモノクローナル抗体(Mab)(ヒト疾患において抗体療法の見込みを達成するのに向けた重要な一里塚である)の産生のための理想的な入手源を提供することができるであろう。
完全ヒト抗体は、マウスまたはマウス誘導体化モノクローナル抗体に固有の免疫原性およびアレルギー性の応答を最小にし、それゆえ投与した抗体の効能および安全性を高めることが期待される。完全ヒト抗体の使用は、抗体投与を繰り返す必要のある癌などの慢性および再発性のヒト疾患の治療において実質的な利点をもたらすことが期待できる。
この目的に向けた一つのアプローチは、マウス抗体の産生の欠失したマウス株を遺伝子操作してヒトIg遺伝子座の大きなフラグメントを有するようにしたものがマウス抗体の不在下でヒト抗体の大きなレパートリーを産生するであろうことを予期して、そのようなマウスを作製することであった。大きなヒトIgフラグメントは、大きな可変ポリヌクレオチドの多様性並びに抗体産生および発現の適切な制御を保持するであろう。抗体の多様化および選択およびヒトタンパク質に対する免疫寛容の欠如のためにマウス機構(machineryを活用することにより、これらマウス株で再生産されたヒト抗体レパートリーは、ヒト抗原を含むあらゆる目的抗原に対する高親和性抗体を生成するに違いない。ハイブリドーマ法を用い、所望の特異性を有する抗原特異的ヒトモノクローナル抗体を容易に産生および選択することができる。
この一般的な戦略は、1994年に刊行された最初の「XenoMouseT」株の生成に関連して示されている。Greenら、1994, Nature Genetics, 7:13-21を参照。XenoMouseT株を、それぞれヒト重鎖遺伝子座およびカッパ軽鎖遺伝子座の245kbおよび10,190 kbサイズの生殖細胞配置(configuration)断片を含む酵母人工染色体(YACS)(コア可変および定常領域配列を含んでいた)で遺伝子操作した。上掲。ヒトIg含有YACは、抗体の再編成および発現の両者についてマウス系と両立しうることがわかり、不活化されたマウスIgポリヌクレオチドと置換することができた。このことは、該YACがB細胞の発生を誘発することができ、完全ヒト抗体の成人様のヒトレパートリーを生成することができ、および抗原特異的なヒトモノクローナル抗体を生成することができることにより示された。これら結果はまた、一層多数のVポリヌクレオチド、さらなる調節配列、およびヒトIg定常領域を含むヒトIg遺伝子の大部分の導入が、感染および免疫へのヒト体液性応答の特徴である完全なレパートリーを実質的に繰り返すものであることをも示唆していた。Greenらの最近の仕事は、ヒト重鎖遺伝子座およびカッパ軽鎖遺伝子座のメガベースのサイズの生殖細胞配置YAC断片を用いることによりヒト抗体レパートリーの約80%を超える導入にまで拡張され、XenoMouseマウスを作製した。Mendezら、1997, Nature Genetics, 15:146-156;GreenおよびJakobovits, 1998, J. Exp. Med., 188:483-495;およびGreen, 1999, Journal of Immunological Methods, 231:11-23を参照(参照のためその全体を本明細書に引用する)。
ヒト抗マウス抗体(HAMA)応答は、産業をキメラまたは他の仕方でヒト化した抗体の作製に導いた。キメラ抗体は典型的にヒトの定常領域とマウスの可変領域とからなるものであるが、ある種のヒト抗キメラ抗体(HACA)応答が、とりわけ抗体の慢性的なまたは多投与利用を含む治療において観察されるであろうことが予期される。それゆえ、HAMAまたはHACA応答の懸念および/または作用を減ずるため、プロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドに対する完全ヒト抗体を提供することが望ましい。
本発明の抗体は、化学的に合成することができ、または組換え発現系を用いて産生することもできる。従って、本発明はさらに、本発明の抗体およびそのフラグメントをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを包含する。本発明はまた、抗体、好ましくは本発明のプロテインチロシンキナーゼポリペプチドに特異的に結合する抗体、さらに好ましくはプロテインチロシンキナーゼバイオマーカー配列、たとえば表2に示すSrcチロシンキナーゼバイオマーカーの1またはそれ以上のアミノ酸配列を有するポリペプチドに特異的に結合する抗体をコードするポリヌクレオチドに、ストリンジェントなまたは一層低いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件下、たとえば上記に記載した条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドをも包含する。
これらポリヌクレオチドは当該技術分野で知られた方法により得ることができ、これらポリヌクレオチドのヌクレオチド配列は当該技術分野で知られた方法により決定することができる。たとえば、抗体のヌクレオチド配列がわかっているなら、抗体をコードするポリヌクレオチドを化学的に合成したオリゴヌクレオチドからアセンブリーすることができ(たとえば、Kutmeierら、1994, BioTechniques, 17:242に記載)、このことは、簡単に説明すると、抗体をコードする配列の部分を含む重複オリゴヌクレオチドの合成、これらオリゴヌクレオチドのアニーリングおよびライゲーション、ついでライゲートしたオリゴヌクレオチドのPCRによる増幅を含む。
別法として、抗体をコードするポリヌクレオチドを適当な採取源からの核酸から生成することができる。もしも特定の抗体をコードする核酸を含むクローンが入手できないが抗体分子の配列がわかっているなら、免疫グロブリンをコードする核酸を化学的に合成することができ、または適当な採取源(たとえば、抗体cDNAライブラリー、またはそれから生成したcDNAライブラリー、またはそれから単離した核酸、好ましくはポリA+RNA)、該抗体を発現する組織または細胞、たとえば該配列の3’末端および5’末端にハイブリダイズすることのできる合成プライマーを用いたPCR増幅により本発明の抗体を発現するとして選択されたハイブリドーマ細胞から得ることができる。あるいは、同定すべき特定のポリヌクレオチド配列、たとえば所望の抗体をコードするcDNAライブラリーからのcDNAクローンに特異的なオリゴヌクレオチドプローブを用いたクローニングを使用することができる。PCRにより生成した増幅核酸は、ついで当該技術分野でよく知られた方法を用いて複製可能なクローニングベクター中にクローニングすることができる。
抗体のヌクレオチド配列および対応するコードされたアミノ酸配列が決定されたら、ヌクレオチド配列の操作のために当該技術分野でよく知られた方法、たとえば組換えDNA法、部位特異的突然変異誘発、PCRなど(たとえば、Sambrookら、1990, Molecular Cloning, A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY;およびF. M. Ausubelら編、1998, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, NY(参照のためその全体を本明細書に引用する)を参照)を用いて該抗体のヌクレオチド配列を操作して異なるアミノ酸配列を有する抗体を作製し、たとえばアミノ酸置換、欠失、および/または挿入を生成することができる。
特別の態様において、当該技術分野でよく知られた方法により、たとえば他の重鎖および軽鎖可変領域の既知のアミノ酸配列との比較により、重鎖および/または軽鎖可変領域のアミノ酸配列を調べてCDRの配列を同定して、配列超可変領域を決定することができる。通常の組換えDNA法を用い、上記に記載したように、1またはそれ以上のCDRをフレームワーク領域内、たとえばヒトフレームワーク領域内に挿入して非ヒト抗体をヒト化することができる。フレームワーク領域は、天然に存在するフレームワーク領域かまたはコンセンサスフレームワーク領域であってよく、好ましくはヒトフレームワーク領域である(ヒトフレームワーク領域のリストについては、たとえば、Chothiaら、1998, J. Mol. Biol., 278:457-479を参照)。
好ましくは、フレームワーク領域とCDRとの組み合わせにより生成したポリヌクレオチドは、本発明のプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドに特異的に結合する抗体をコードする。好ましくは、上記で検討したように、フレームワーク領域内において1またはそれ以上のアミノ酸置換を行うことができる;そのようなアミノ酸置換は、抗体のその抗原への結合性を改善する目的で、たとえば一層良好な抗体結合親和性を達成する目的で行う。さらに、そのような方法は、分子内ジスルフィド結合に関与している1またはそれ以上の可変領域システイン残基のアミノ酸置換または欠失を行って1またはそれ以上の分子内ジスルフィド結合を欠失した抗体分子を生成するのに用いることができる。ポリヌクレオチドに施すことのできる他の変更もまた本発明により包含され、当業者に自明の範囲である。
幾つかの使用のためには、たとえば本発明の抗体のインビトロ親和性成熟(affinity maturation)のためには、本発明の1またはそれ以上の抗体の重鎖および軽鎖のVHおよびVLドメインを一本鎖抗体として、またはFabフラグメントとして、上記ファージディスプレイ法を用いたファージディスプレイライブラリーにおいて発現させるのが有用である。たとえば、本発明の1またはそれ以上の抗体のVHおよびVLドメインをコードするcDNAをファージディスプレイライブラリーを用いて可能なすべての組み合わせで発現させることにより、改善された親和性や改善されたoff ratesなどのより好ましい結合特性にて本発明によるプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドに結合するVH/VLの組み合わせの選択が可能となる。さらに、VHおよびVLセグメント、とりわけ本発明の1またはそれ以上の抗体のVHおよびVLドメインのCDR領域をインビトロで変異させることができる。「変異」CDRを有するVHおよびVLドメインのファージディスプレイライブラリーでの発現は、改善された親和性や改善されたoff ratesなどのより好ましい結合特性を有するレセプターである、プロテインチロシンキナーゼバイオマーカー(たとえば、Srcチロシンキナーゼバイオマーカータンパク質)に結合するVH/VLの組み合わせの選択を可能にする。
本発明の抗体分子が動物により産生され、化学的に合成され、または組換え発現されたら、免疫グロブリンまたはポリペプチド分子の精製のための当該技術分野で知られた方法、たとえば、クロマトグラフィー(たとえば、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、とりわけ特定の抗原プロテインAについてはアフィニティークロマトグラフィー、およびサイズカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、溶解度の差により、またはタンパク質精製のための他の標準法により精製することができる。さらに、本発明の抗体またはそのフラグメントは、精製を容易にするために本明細書に記載したまたは当該技術分野で知られた異種ポリペプチド配列に融合させることができる。
本発明は、本発明のポリペプチド(または該ポリペプチドの部分、好ましくは少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90または100アミノ酸)に抗体が組換えにより融合または化学的にコンジュゲート(共有結合によるコンジュゲートおよび非共有結合によるコンジュゲートの両者を含む)して融合タンパク質を生成するものを包含する。融合は必ずしも直接でなくともよく、リンカー配列を介していてもよい。本発明の抗体は、本発明のポリペプチド(または該ポリペプチドの部分、好ましくは少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90または100アミノ酸)以外の抗原に特異的であってよい。たとえば、本発明のポリペプチドを特定の細胞表面レセプターに特異的な抗体に融合またはコンジュゲートすることにより、本発明のポリペプチドをインビトロかまたはインビボにて特定の細胞型にターゲティングすべく抗体を用いることができる。
本発明はさらに、可変領域ドメイン以外の抗体ドメインに融合またはコンジュゲートした本発明のプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドを含む組成物を包含する。たとえば、本発明のポリペプチドを抗体のFc領域またはその部分に融合またはコンジュゲートすることができる。本発明のポリペプチドに融合させる抗体部分は、定常領域、ヒンジ領域、CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン、またはこれらすべてのドメインもしくは一部のドメインの組み合わせを含んでいてよい。該ポリペプチドはまた、上記抗体部分に融合またはコンジュゲートさせて多量体を形成させてもよい。たとえば、本発明のポリペプチドに融合した免疫グロブリン分子のFc部分は、Fc部分間でのジスルフィド結合により二量体を形成することができる。ポリペプチドをIgAおよびIgMの部分に融合させることにより一層高次の多量体形態を生成することができる。本発明のポリペプチドを抗体部分に融合またはコンジュゲートする方法は当該技術分野で知られている(たとえば、米国特許第5,336,603号;同第5,622,929号;同第5,359,046号;同第5,349,053号;同第5,447,851号;同第5,112,946号;EP307,434;EP367,166;PCT公開WO96/04388;WO91/06570;Ashkenaziら、1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88:10535-10539;Zhengら、1995, J. Immunol., 154:5590-5600;およびVilら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:11337-11341(参照のためその全体を本明細書に引用する)を参照)。
上記で検討したように、表2に示すプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーアミノ酸配列の1またはそれ以上のポリペプチド、ポリペプチド断片、またはその変異体に対応するポリペプチドは、ポリペプチドのインビボでの半減期を長くするため、または当該技術分野で知られた方法を用いてイムノアッセイに使用するために、上記抗体部分に融合またはコンジュゲートすることができる。さらに、表2に示す1またはそれ以上のプロテインチロシンキナーゼバイオマーカー、たとえばsrcバイオマーカーに対応するポリペプチドは、精製を容易にするために上記抗体部分に融合またはコンジュゲートすることができる。手引きとして、ヒトCD4ポリペプチドの最初の2つのドメインおよび哺乳動物免疫グロブリンの重鎖または軽鎖の定常領域を有するキメラタンパク質が記載されている(EP394,827;Trauneckerら、1988, Nature, 331:84-86)。たとえば、ジスルフィド結合した二量体構造を有する(IgGのため)抗体またはその部分に融合またはコンジュゲートした本発明のポリペプチドは、単量体で分泌されるタンパク質またはタンパク質断片単独のものに比べて他の分子に一層効率的に結合し中和することができる(Fountoulakisら、1995, J. Biochem., 270:3958-3964)。多くの場合、融合タンパク質中のFc部分は、治療、診断、および/またはスクリーニング法において有益であり、それゆえ、たとえば改善された薬動力学的特性という結果となる(EP232,262A)。薬剤の発見においては、たとえば、huIL-5などのヒトタンパク質が、huIL-5のアンタゴニストを同定するための高処理量スクリーニングアッセイの目的でFc部分に融合されている(たとえば、Bennettら、1995, J. Molecular Recognition, 8:52-58;およびJohansonら、1995, J. Biol. Chem., 270:9459-9471を参照)。あるいは、融合タンパク質の発現、検出、および精製後にFc部分を欠失させることが望ましい。たとえば、融合タンパク質を免疫のための抗原として用いる場合には、Fc部分は治療および診断の妨害となる。
さらに、本発明の抗体またはそのフラグメントは、その精製を容易にするためにペプチドなどのマーカー配列に融合させることができる。好ましい態様において、マーカーアミノ酸配列は、pQEベクター(QIAGEN, Inc.、チャットワース、カリフォルニア)中に提供されるタグなどのヘキサヒスチジンペプチドであリ、そのうち多くは市販されている。たとえば、Gentzら、1989, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86:821-824に記載されているように、ヘキサヒスチジンは融合タンパク質の都合のよい精製をもたらす。精製に有用な他のペプチドタグとしては、これらに限られるものではないが、インフルエンザ赤血球凝集素(HA)タンパク質に由来するエピトープに対応する「HA」タグ(Wilsonら、1984, Cell, 37:767)および「flag」タグが挙げられる。
本発明はさらに、診断または治療剤にコンジュゲートした抗体またはそのフラグメントを包含する。これら抗体は、たとえば、臨床試験手順の一部として腫瘍の発達または進行をモニターして所定の処置レジメンの効果を決定するために診断的に用いることができる。検出は、抗体を検出可能な物質にカップリングすることにより容易にすることができる。検出可能な物質の非制限的な例としては、種々の酵素、補欠分子族、蛍光物質、ルミネセンス物質、バイオルミネセンス物質、放射性物質、種々の陽電子放射断層撮影法を用いる陽電子放射金属、および非放射性常磁性金属イオンが挙げられる。検出しうる物質は、抗体(またはそのフラグメント)に直接、または当該技術分野で知られた方法を用いて媒介手段(たとえば、当該技術分野で知られたリンカーなど)により間接的にカップリングまたはコンジュゲートすることができる(たとえば、本発明による診断剤として使用するために抗体にコンジュゲートすることのできる金属イオンについては、米国特許第4,741,900号を参照)。
適当な酵素の非制限的な例としては、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼが挙げられる。適当な補欠分子族複合体の非制限的な例としては、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンが挙げられる;適当な蛍光物質の非制限的な例としては、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロライドまたはフィコエリトリンが挙げられる;ルミネセンス物質の非制限的な例としては、ルミノールが挙げられる;バイオルミネセンス物質の非制限的な例としては、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、およびエクオリンが挙げられる;適当な放射性物質の非制限的な例としては、ヨウ素(125I、131I)、炭素(14C)、硫黄(3sus)、トリチウム(3H)、インジウム(111In、およびインジウムの他の放射性同位元素)、テクネチウム(99Tc、99mTc)、タリウム(20'Ti)、ガリウム(68Ga、67Ga)、パラジウム(103Pd)、モリブデン(99Mo)、キセノン(133Xe)、フッ素(19F)、153Sm、177Lu、Gd、放射性Pm、放射性La、放射性Yb、166Ho、90Y、放射性Sc、放射性Re、放射性Re、142Pr、105Rh、および97Ruが挙げられる。
特別の態様において、本発明のプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドは、111In、177Lu、90Y、166Ho、およびl53Smを含む(これらに限られるものではない)放射性金属イオンをコンジュゲートするのに有用な大環状キレート化剤に結合させる。好ましい態様では、本発明のプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドに結合した大環状キレート化剤に結合する放射性金属イオンは111Inである。他の態様において、本発明のプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドに結合した大環状キレート化剤に結合する放射性金属イオンは90Yである。特別の態様において、大環状キレート化剤は、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N',N",N"'-四酢酸(DOTA)である。他の特別の態様において、DOTAは本発明のプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドにリンカー分子を介して結合する。
DOTAをポリペプチドにコンジュゲートするのに有用なリンカー分子の例は当該技術分野で一般に知られている(たとえば、DeNardoら、1998, Clin. Cancer Res., 4(10):2483-90;Petersonら、1999, Bioconjug. Chem., 10(4):553-557;およびZimmermanら、1999, Nucl. Med. Biol., 26(8):943-950(参照のためその全体を本明細書に引用する)を参照)。さらに、抗体にコンジュゲートすることのできるキレート化剤およびその製造方法および使用方法を開示する米国特許第5,652,361号および同第5,756,065号を参照のためその全体を本明細書に引用する。米国特許第5,652,361号および同第5,756,065号ではキレート化剤を抗体にコンジュゲートすることに焦点を当てているが、当業者であれば開示された方法をキレート化剤を他のポリペプチドにコンジュゲートするために適用できるであろう。
抗体はまた固相支持体に結合させることもでき、これはイムノアッセイまたは標的抗原の精製に特に有用である。そのような固相支持体としては、これらに限られるものではないが、ガラス、セルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリビニルクロライドまたはポリプロピレンが挙げられる。治療残基を抗体にコンジュゲートする方法はよく知られている(たとえば、Arnonら、"Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy", In: Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy, Reisfeldら(編)、pp. 243-56, Alan R. Liss, Inc., 1985;Hellstromら、"Antibodies For Drug Delivery", In: Controlled Drug Delivery(第2版)、Robinsonら(編)、pp. 623-53, Marcel Deldcer, Inc., 1987;Thorpe, "Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy: A Review", In: Monoclonal Antibodies '84: Biological And Clinical Applications, Pincheraら(編)、pp. 475-506, 1985;"Analysis, Results, And Future Prospective Of The Therapeutic Use Of Radiolabeled Antibody In Cancer Therapy", In: Monoclonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy, Baldwinら(編)、pp. 303-316, Academic Press, 1985;およびThorpeら、1982, "The Preparation And Cytotoxic Properties Of Antibody-Toxin Conjugates", Immunol. Rev., 62:119-158を参照)。別法として、たとえば、Segalの米国特許第4,676,980号(参照のためその全体を本明細書に引用する)に記載されているように、抗体を第二の抗体にコンジュゲートして抗体へテロコンジュゲートを生成することができる。抗体、すなわち治療残基をコンジュゲートしたまたはコンジュゲートしておらず、単独または細胞毒性因子および/またはサイトカインと組み合わせて投与する本発明のプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドに特異的な抗体は、治療剤として用いることができる。
本発明の抗体はさらに、細胞株および生物学的試料の免疫表現型決定(immunophenotyping)に利用することができる。本発明のプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーをコードするポリヌクレオチドの翻訳産物は、細胞特異的マーカーとして、またはより詳細には特定の細胞型の分化および/または成熟の種々の段階で異なって発現される細胞マーカーとして有用でありうる。特定のエピトープまたはエピトープの組み合わせに対して向けられたモノクローナル抗体は、マーカーを発現する細胞集団のスクリーニングを可能にする。マーカーを発現する細胞集団をスクリーニングするため、抗体をコーティングしたビーズを用いる磁性分離、固相マトリックス(すなわち、組織培養プレート)に結合した抗体を用いる「パニング」、およびフローサイトメトリーを含む、モノクローナル抗体を利用した種々の方法を用いることができる(たとえば、米国特許第5,985,660号;Morrisonら、1999, Cell, 96:737-749;およびL. J. WysockiおよびV. L. Sato, 1978, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 75(6):2844-8を参照)。
これら方法は、肝臓悪性疾患(すなわち、急性白血病患者における微細残留疾患(minimal residual disease)(MRD))で認められるような細胞の特定の集団や対宿主性移植片病(GVHD)を防ぐための「非自己」細胞のスクリーニングを可能とする。あるいは、これら方法は、ヒト臍帯血で認められるように、増殖および/または分化を担うことのできる造血幹細胞および前駆細胞のスクリーニングを可能とする。
本発明による抗体は、当該技術分野で知られた方法により免疫特異的結合についてアッセイすることができる。使用できるイムノアッセイとしては、ほんのわずかな例として、これらに限られるものではないが、BIAcore分析、FACS(蛍光活性化セルソーター)分析、免疫蛍光、免疫細胞化学、ウエスタンブロット、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素結合抗体免疫吸着アッセイ)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、沈降素反応、ゲル拡散沈降素反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体結合アッセイ、免疫放射測定(immunoradiometric)アッセイ、蛍光イムノアッセイ、プロテインAイムノアッセイなどの技術を用いた競合および非競合アッセイ系が挙げられる。そのようなアッセイは常法であり、当該技術分野でよく知られ実施されている(たとえば、Ausubelら編、1994, Current Protocols in Molecular Biology, Vol. 1, John Wiley & Sons, Inc., New York(参照のためその全体を本明細書に引用する)を参照)。非制限的なイムノアッセイの例を以下に簡単に説明する。
免疫沈降プロトコールは、一般に、プロテインホスファターゼおよび/またはプロテアーゼインヒビター(たとえば、EDTA、PMSF、アプロチニン、バナジウム酸ナトリウム)を添加したRIPA緩衝液(すなわち、1%NP-40またはTriton X-100、1%デオキシコール酸ナトリウム、0.1%SDS、0.15M NaCl、0.01Mリン酸ナトリウム、pH7.2、1%Trasylol)などの溶解緩衝液中で細胞の集団を溶解し;目的抗体を細胞溶解液に加え;4℃にて適当な時間(たとえば、1〜4時間)インキュベートし;プロテインAおよび/またはプロテインGセファロースビーズを細胞溶解液に加え;4℃にて約60分またはそれ以上インキュベートし;ビーズを溶解緩衝液で洗浄し;ついでビーズをSDS/同緩衝液に再浮遊させることを含む。目的抗体が特定の抗原を免疫沈降させる能力は、たとえばウエスタンブロット分析により評価することができる。当業者であれば、抗体の抗原への結合を増大させ、バックグラウンドを低減するために改変できるパラメーター(たとえば、セファロースビーズによる細胞溶解液の前クリアリング(pre-clearing))について知見を有するであろう。免疫沈降プロトコールに関するさらに詳細な検討については、たとえば、Ausubelら編、1994, Current Protocols in Molecular Biology, Vol. 1, John Wiley & Sons, Inc., New York, at 10.16.1を参照。
ウエスタンブロット分析は、一般に、タンパク質試料を調製し;タンパク質試料をポリアクリルアミドゲル中で電気泳動し(たとえば、抗原の分子量に応じて8%-20%SDS PAGE);タンパク質試料をポリアクリルアミドゲルからニトロセルロース、PVDFまたはナイロンなどのメンブレンに移し;メンブレンをブロッキング溶液(たとえば、3%BSAを含むPBSまたは脱脂乳)でブロッキングし;メンブレンを洗浄緩衝液(たとえば、PBS-Tween 20)で洗浄し;メンブレンをブロッキング緩衝液中に希釈した一次抗体(目的抗体)でブロッティングし;メンブレンを洗浄緩衝液で洗浄し;メンブレンをブロッキング緩衝液中に希釈した酵素基質(たとえば、西洋ワサビペルオキシダーゼまたはアルカリホスファターゼ)または放射性分子(たとえば、32Pまたは125I)にコンジュゲートした二次抗体(一次抗体を認識する;たとえば、抗ヒト抗体)でブロッティングし;メンブレンを洗浄緩衝液で洗浄し;ついで、結合した抗原の存在を検出することを含む。当業者であれば、検出されるシグナルを増大させ、バックグラウンドノイズを低減するために改変できるパラメーターについて知見を有するであろう。ウエスタンブロットプロトコールに関するさらに詳細な検討については、たとえば、Ausubelら編、1994, Current Protocols in Molecular Biology, Vol. 1, John Wiley & Sons, Inc., New York, at 10.8.1を参照。
ELISAは、抗原を調製し;96ウエルマイクロタイタープレートのウエルを抗原でコーティングし;ウエルに酵素基質(たとえば、西洋ワサビペルオキシダーゼまたはアルカリホスファターゼ)などの検出しうる化合物にコンジュゲートした目的抗体を添加し;所定の時間インキュベートし;ついで、抗原の存在を検出することを含む。ELISAでは目的抗体は検出しうる化合物にコンジュゲートする必要はない;代わりに、検出しうる化合物にコンジュゲートした二次抗体(抗原に結合した目的抗体を認識する)をウエルに添加することができる。さらに、ウエルを抗原でコーティングする代わりに、抗体を最初にウエルにコーティングすることができる。この場合は、検出しうる化合物にコンジュゲートした第二の抗体を抗体コーティングウエルに加え、ついで目的抗原を加える。当業者であれば、検出されるシグナルを増大させるために改変できるパラメーター並びに当該技術分野で知られたELISAの他の変数について知見を有するであろう。ELISAに関するさらに詳細な検討については、たとえば、Ausubelら編、1994, Current Protocols in Molecular Biology, Vol. 1, John Wiley & Sons, Inc., New York, at 11.2.1を参照。
抗体の抗原への結合親和性および抗体−抗原相互反応のoff-rateは、競合結合アッセイにより決定することができる。競合結合アッセイの一つの例は、標識した抗原(たとえば、3Hまたはl25I)、またはその断片または変異体を目的抗体とともに増大量の標識抗原の存在下でインキュベートすること、ついで標識抗原に結合した抗体を検出することを含むラジオイムノアッセイである。プロテインチロシンキナーゼバイオマーカーに対する目的抗体の親和性および結合off rateは、スキャッチャードプロット分析によるデータから決定することができる。第二の抗体との競合もまた、ラジオイムノアッセイを用いて決定することができる。この場合は、チロシンキナーゼバイオマーカータンパク質を、増大量の非標識第二抗体の存在下、標識化合物(たとえば、3Hまたはl25Iで標識した化合物)にコンジュゲートした目的抗体とともにインキュベートする。2つの異なる抗体間でのこの種の競合アッセイはまた、2つの抗体が抗原の同じまたは異なるエピトープに結合するか否かを決定するのに用いることができる。
好ましい態様において、BIAcore動力学アッセイを用いてチロシンキナーゼバイオマーカータンパク質またはチロシンキナーゼバイオマーカータンパク質の断片への抗体(その抗体フラグメントまたは変異体を含む)の結合のon and off ratesを決定する。動力学アッセイは、表面にチロシンキナーゼバイオマーカータンパク質が固定化されたチップからのタンパク質の結合および解離を分析することを含む。
たとえば分子生物学を含む組換え法による並びにポリヌクレオチドおよびタンパク質の分析に関連する他の方法による、抗体分子の産生、発現、単離および操作のための上記方法は、本明細書に記載の他のポリペプチドまたはペプチド分子、とりわけ本発明の種々の態様に従って適用可能で保証されたチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドまたはペプチド自体に適用できることがさらに理解されなければならない。
本発明はまた、疾患、とりわけ癌または腫瘍、好ましくは乳癌または乳腫瘍を罹患した患者による薬剤感受性または耐性を決定、予測、または予知するためのキットをも包含する。そのようなキットは、たとえば、患者の腫瘍または癌が薬剤、化合物、化学療法剤または生物学的治療剤による所定の治療または療法に耐性であるかまたは感受性であるかを決定または予測するために、患者の腫瘍もしくは癌の生検試料を試験するのに使用するうえで臨床場面で有用である。キットには、特定の生物学的系におけるプロテインチロシンキナーゼモデュレーター、とりわけプロテインチロシンキナーゼインヒビターに対する耐性および感受性と相関関係を有するポリヌクレオチドを含むプレディクターセット、および好ましくはマイクロアレイを含み;および適当な容器中にて、患者組織または患者試料からの細胞を耐性/感受性を試験するのに用いるモデュレーター化合物;および使用説明書が提供される。そのようなキットは、チロシンキナーゼのSrcファミリーの成員、たとえばSrc、Fgr、Fyn、Yes、Blk、Hck、LckおよびLyn、並びに他のチロシンキナーゼ(Bcr-abl、Jak、PDGFR、c-kitおよびEphレセプターを含む)を含むプロテインチロシンキナーゼのモデュレーターに対する耐性および感受性と相関関係を有するポリヌクレオチドを含むプレディクターセットを含む。
また、上記で説明したように、キットはマイクロアレイに限られるものではなく、プレディクター/マーカーポリヌクレオチドの発現をmRNAおよびタンパク質の両レベルで、たとえばPCRアッセイ(たとえば、RT−PCR)およびイムノアッセイ(たとえば、ELISA)によりアッセイおよび/またはモニターすることのできる様々な方法およびシステムを包含する。PCRまたはインシトゥハイブリダイゼーションを行うためのキットでは、該方法を行うのに必要な緩衝液および試薬に加えて本明細書に記載のような1またはそれ以上のプレディクターポリヌクレオチドの配列からの核酸プライマーまたはプローブ、および使用説明書が含まれる。イムノアッセイ、たとえばELISA、イムノブロッティングアッセイなどを行うためのキットでは、本発明のプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドまたはその抗原性または免疫原性のペプチドに対する抗体またはその結合性の部分が、該方法を行うのに必要な緩衝液および試薬および使用説明書に加えて提供される。本発明によるキットはまた、本明細書の表2に示すプレディクターポリヌクレオチド、および/または表4〜5に示す特別のプレディクターポリヌクレオチドのサブセットを含んでいてよい。
他の態様において、本発明は、疾患治療用の薬剤療法の開発のための標的として用いることのできる本明細書で同定したプレディクターポリヌクレオチドのうちの1またはそれ以上のポリヌクレオチドの使用を包含する。そのような標的は、とりわけ乳癌または乳腫瘍などの乳房疾患の治療に応用することができる。実際、これらプレディクターポリヌクレオチドは感受性細胞および耐性細胞で異なって発現されるため、その発現パターンはプロテインチロシンキナーゼと相互作用するまたはプロテインチロシンキナーゼを阻害する化合物を用いた処置に対する細胞の相対的な固有の感受性と相関関係を有する。従って、耐性細胞で高度に発現されるポリヌクレオチドは、プロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物、たとえばSrcチロシンキナーゼインヒビターに耐性の腫瘍に対する薬剤療法の開発の標的として用いることができる。
他の態様において、本発明は、本発明のプレディクターポリヌクレオチドの特別のモデュレーターとしてのアンチセンスおよび/またはsiRNAi試薬を包含する。特別の態様において、本発明によるアンタゴニストは、配列番号1〜137に示す配列またはその相補鎖の1またはそれ以上に含まれる配列に対応する核酸である。ある態様においてはアンチセンス配列は生物によりその体内で生成され、別の態様においてはアンチセンス配列は別途投与される(たとえば、O'Connor, Neurochem., 56:560 (1991). Oligodeoxynucleotides as Antisense Inhibitors of Gene Expression, CRC Press, Boca Raton, FL (1988)を参照)。アンチセンス法は、アンチセンスDNAまたはRNAにより、または三重らせんの形成により遺伝子発現を制御するのに用いることができる。アンチセンス法は、たとえば、Okano, Neurochem., 56:560 (1991);Oligodeoxynucleotides as Antisense Inhibitors of Gene Expression, CRC Press, Boca Raton, FL (1988)において検討されている。三重らせんの形成は、たとえば、Leeら、Nucleic Acids Research, 6:3073 (1979);Cooneyら、Science, 241:456 (1988);およびDervanら、Science, 251:1300 (1991)において検討されている。これら方法は、ポリヌクレオチドの相補的DNAまたはRNAへの結合に基づいている。
たとえば、非リンパ性白血病細胞株HL-60や他の細胞株の増殖を抑制するc-mycおよびc-mybアンチセンスRNA構築物の使用がこれまでに記載されている(Wickstromら、(1988);Anfossiら、(1989))。これら実験は、細胞をオリゴリボヌクレオチドとともにインキュベートすることによりインビトロで行われている。インビボで使用するための同様の手順がWO91/15580に記載されている。簡単に説明すると、所定のアンチセンスRNAについて一対のオリゴヌクレオチドを以下のようにして産生させる:オープンリーディングフレームの最初の15塩基に相補的な配列は、5末端側でEcoR1部位、3末端側でHindIII部位によりフランキングされている。つぎに、一対のオリゴヌクレオチドを90℃にて1分間加熱し、ついで2×ライゲーション緩衝液(20mM TRIS HCl pH7.5、10mM MgCl2、10MMジチオトレイトール(DTT)および0.2mM ATP)中でアニーリングし、ついでレトロウイルスベクターPMV7(WO91/15580)のEcoR1/HindIII部位にライゲートする。
たとえば、本発明の成熟ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの5’コード部分を用い、長さが約10〜40塩基対のアンチセンスRNAオリゴヌクレオチドをデザインすることができる。DNAオリゴヌクレオチドを転写に関与する遺伝子の領域に相補的となるようにデザインすることによってレセプターの転写および産生を妨害することができる。アンチセンスRNAオリゴヌクレオチドは、インビボでmRNAにハイブリダイズして該mRNA分子のレセプターポリペプチドへの翻訳ブロックする。アンチセンスオリゴヌクレオチドは一本鎖であっても二本鎖であってもよい。二本鎖RNAは、Paddisonら、Proc. Nat. Acad. Sci., 99:1443-1448 (2002);および国際公開WO01/29058およびWO99/32619(参照のためその全体を本明細書に引用する)の教示に基づいてデザインすることができる。
一つの態様において、本発明のアンチセンス核酸は外来配列からの転写によって細胞内発現抗体で産生される。たとえば、ベクターまたはその部分を転写して本発明のアンチセンス核酸(RNA)が産生される。そのようなベクターは、本発明のアンチセンス核酸をコードする配列を含んでいるであろう。そのようなベクターは、転写されて所望のアンチセンスRNAを産生することができる限り、エピソームのままであってもよいし、または染色体中に組み込まれてもよい。そのようなベクターは当該技術分野で標準の組換えDNA法により構築することができる。ベクターは、プラスミド、ウイルス、または脊椎動物細胞で複製および発現のために当該技術分野で用いられる他のものであってよい。本発明のポリペプチドまたはその断片をコードする配列の発現は、脊椎動物、好ましくはヒト細胞で機能する当該技術分野で知られたいかなるプロモーターによるものであってもよい。そのようなプロモーターは誘導性のものであっても構成的なものであってもよい。そのようなプロモーターとしては、これらに限られるものではないが、SV40初期プロモーター領域(BernoistおよびChambon, Nature, 29:304-310 (1981))、ラウス肉腫ウイルスの3’ロングターミナルリピートに含まれるプロモーター(Yamamotoら、Cell, 22:787-797 (1980))、ヘルペスチミジンプロモーター(Wagnerら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 78:1441-1445 (1981))、メタロチオネイン遺伝子の調節配列(Brinsterら、Nature, 296:39-42 (1982))などが挙げられる。
本発明のアンチセンス核酸は、目的遺伝子のRNA転写物の少なくとも一部に相補的な配列を含む。しかしながら、絶対的な相補性は、望ましいことではあるが必要ではない。本明細書で言及する「RNAの少なくとも一部に相補的」な配列とは、該RNAにハイブリダイズして安定な二本鎖を形成するのに充分な相補性を有する配列を意味する;本発明の二本鎖アンチセンス核酸の場合は、二本鎖DNAの一本鎖を試験することができ、または三本鎖の形成をアッセイすることができる。ハイブリダイズする能力は、相補性の程度およびアンチセンス核酸の長さの両者に依存するであろう。一般に、ハイブリダイズする核酸が大きくなるにつれ、本発明のRNAとの塩基のミスマッチがより多く含まれるようになるが、それでも安定な二本鎖(あるいは、場合により三本鎖)を形成する。当業者であれば、ハイブリダイズした複合体の融点を決定する標準法の使用により、許容しうる限度のミスマッチを確認できるであろう。
メッセージの5’末端、たとえばAUG開始コドンまで(開始コドンを含む)の5’非翻訳配列に相補的なオリゴヌクレオチドが翻訳を抑制するうえで最も有効に機能するに違いない。しかしながら、mRNAの3’非翻訳配列に相補的な配列もまたmRNAの翻訳を抑制するのに有効であることが示されている。一般に、Wagner, R., Nature, 372:333-335 (1994)を参照。それゆえ、本発明のポリヌクレオチド配列の5’かまたは3’のいずれかの非翻訳非コード領域に相補的なオリゴヌクレオチドをアンチセンスアプローチに用いて内生のmRNAの翻訳を抑制することができる。mRNAの5’非翻訳領域に相補的なオリゴヌクレオチドはAUG開始コドンの相補鎖を含んでいなければならない。mRNAのコード領域に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドは翻訳のインヒビターとしては有効性が低いが、本発明に従って用いることができる。mRNAの5’、3’、またはコード領域のいずれにハイブリダイズするようにデザインするにせよ、アンチセンス核酸は長さが少なくとも6ヌクレオチドでなければならず、好ましくは長さが6〜約50ヌクレオチドの範囲である。特別の側面において、オリゴヌクレオチドは少なくとも10ヌクレオチド、少なくとも17ヌクレオチド、少なくとも25ヌクレオチドまたは少なくとも50ヌクレオチドである。
本発明のポリヌクレオチドは、一本鎖または二本鎖のDNAまたはRNAまたはこれらのキメラ混合物または誘導体またはその修飾体であってよい。オリゴヌクレオチドは、たとえば分子の安定性、ハイブリダイゼーションなどを改善するため、塩基部分、糖部分、またはリン酸骨格で修飾することができる。オリゴヌクレオチドは、他の付加基、たとえば、ペプチド(たとえば、インビボで宿主細胞レセプターをターゲティングするため)、または細胞膜を通した輸送を容易にする剤(たとえば、Letsingerら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 86:6553-6556 (1989);Lemaitreら、Proc. Natl. Acad. Sci., 84:648-652 (1987);PCT公開WO88/09810(1988年12月15日公開)を参照)、または血液−脳関門を通した輸送を容易にする剤(たとえば、PCT公開WO89/10134(1988年4月25日公開)を参照)、ハイブリダイゼーションにより誘発される(hybridization-triggered)開裂剤(たとえば、Krolら、BioTechniques, 6:958-976 (1988)を参照)、またはインターカレート剤(たとえば、Zon, Pharm. Res., 5:539-549 (1988)を参照)を含んでいてよい。この目的のため、オリゴヌクレオチドは他の分子、たとえば、ペプチド、ハイブリダイゼーションにより誘発される架橋剤、輸送剤、ハイブリダイゼーションにより誘発される開裂剤などにコンジュゲートすることができる。
二本鎖RNAは、Paddisonら、Proc. Nat. Acad. Sci., 99:1443-1448 (2002);および国際公開WO01/29058およびWO99/32619(参照のためその全体を本明細書に引用する)の教示に基づいてデザインすることができる。
SiRNA試薬は本発明により特別に企図される。そのような試薬は、本発明のポリヌクレオチドの発現を抑制するのに有用であり、治療的な効能を有する。SiRNA試薬の投与による障害の治療的処置のための幾つかの方法が当該技術分野で知られている。そのような方法の一つがTiscorniaら(PNAS, 100(4):1844-1848 (2003))(参照のためその全体を本明細書に引用する)によって記載されている。
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、ベータ−D−ガラクトシルキューオシン、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−アデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、ベータ−D−マンノシルキューオシン、5’−メトキシカルボニルメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン(wybutoxosine)、プソイドウラシル、キューオシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、5−メチル−2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w、および26−ジアミノプリンよりなる群から選ばれた(これらに限られるものではない)少なくとも一つの修飾塩基を含んでいてよい。
アンチセンスオリゴヌクレオチドはまた、アラビノース、2−フルオロアラビノース、キシロース、およびヘキソースを含む(これらに限られるものではない)基から選ばれた少なくとも一つの修飾糖残基を含んでいてもよい。
さらに他の態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホルアミドチオエート、ホスホルアミデート、ホスホルジアミデート、メチルホスホネート、アルキルホスホトリエステル、およびホルムアセタールまたはそのアナログを含む(これらに限られるものではない)基から選ばれた少なくとも一つの修飾リン酸骨格を含んでいてもよい。
さらに他の態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドはa−アノマーオリゴヌクレオチドである。a−アノマーオリゴヌクレオチドは、通常のb−単位と対照的に、鎖が互いに平行である特別の二本鎖ハイブリッドを相補的RNAと形成する(Gautierら、Nucl. Acids Res., 15:6625-6641 (1987))。オリゴヌクレオチドは、2−O−メチルリボヌクレオチド(Inoueら、Nucl. Acids Res., 15:6131-6148 (1987))、またはキメラRNA−DNAアナログ(Inoueら、FEBS Lett. 215:327-330 (1987))である。
本発明のポリヌクレオチドは、当該技術分野で知られた標準法、たとえば自動DNA合成機(Biosearch、Applied Biosystemsなどから市販されているものなど)の使用により合成することができる。例として、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドはSteinらの方法(Nucl. Acids Res., 16:3209 (1988))により合成でき、メチルホスホネートオリゴヌクレオチドはcontrolled pore glassポリマー支持体(Sarinら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 85:7448-7451 (1988))などの使用によって調製することができる。
本発明のコード領域配列に相補的なアンチセンスヌクレオチドを使用することもできるが、転写された非翻訳領域に相補的なアンチセンスヌクレオチドが最も好ましい。
本発明による潜在的アンタゴニストにはまた、触媒性RNA、すなわちリボザイムが含まれる(たとえば、PCT国際公開WO90/11364(1990年10月4日公開);Sarverら、Science, 247:1222-1225 (1990)を参照)。本発明のポリヌクレオチドに対応するmRNAを破壊するために部位特異的認識配列でmRNAを開裂するリボザイムを用いることもできるが、ハンマーヘッドリボザイムの使用が好ましい。ハンマーヘッドリボザイムは、標的mRNAと相補的な塩基対を形成するフランキング領域によって規定される位置にてmRNAを開裂する。唯一の要件は、標的mRNAが以下の2塩基の配列を有することである:5’−UG−3’。ハンマーヘッドリボザイムの構築および産生は当該技術分野でよく知られており、HaseloffおよびGerlach, Nature, 334:585-591 (1988)にさらに詳細に記載されている。配列表に開示した各ヌクレオチド配列には多数の潜在的なハンマーヘッドリボザイム開裂部位が存在する。好ましくは、リボザイムは、たとえば効率を高め、非機能性mRNA転写物の細胞内蓄積を最小にするため、開裂認識部位が本発明のポリヌクレオチドに対応するmRNAの5’末端の近くに位置する。
アンチセンスアプローチの場合と同様、本発明のリボザイムは修飾オリゴヌクレオチドからなっていてよく(たとえば、安定性の改善、ターゲティングなどのため)、本発明のポリヌクレオチドを発現する細胞にインビボで送達されなければならない。リボザイムをコードするDNA構築物は、DNAをコードするアンチセンスの導入に際して記載したのと同じ仕方で細胞に導入することができる。好ましい送達法は、トランスフェクションされた細胞が充分な量のリボザイムを産生して内生のメッセージを破壊し翻訳を抑制するように、リボザイムを「コードする」DNA構築物を強い構成的プロモーター、たとえばpolIIIまたはpolIIプロモーターの制御下で用いることを含む。リボザイムはアンチセンスとは異なって触媒であるので、低い細胞内濃度が有効性のためには必要である。
アンタゴニスト/アゴニスト化合物は、新生物細胞または組織に及ぼす本発明のポリペプチドの細胞生育および増殖作用を抑制するため、すなわち、腫瘍の脈管形成の刺激を抑制し、それによってたとえば腫瘍形成または増殖において異常な細胞生育および増殖を遅延または防止するために用いることができる。
アンタゴニスト/アゴニストはまた、血管過多疾患を防ぎ、水晶体嚢外(extracapsular)白内障手術の後の上皮性レンズ細胞(epithelial lens cells)の増殖を防ぐのに用いることができる。本発明のポリペプチドのマイトジェン活性の防止はまた、バルーン血管形成後の再狭窄などの場合に望ましい。
アンタゴニスト/アゴニストはまた、創傷治癒の際の瘢痕組織の増殖を防ぐのにも用いることができる。
アンタゴニスト/アゴニストはまた、本明細書に記載の疾患を治療、予防、および/または診断するのに用いることができる。
それゆえ、本発明は、患者に、(a)本発明のポリヌクレオチドに対するアンチセンス分子、および/または(b)本発明のポリヌクレオチドに対するリボザイムを投与することにより、本発明のポリヌクレオチドの過剰発現と関連する本明細書に列記した疾患、障害、および/または状態を含む疾患、障害、および/または状態(これらに限られるものではない)を治療または予防する方法を提供する。
本明細書に記載する実施例は本発明を実施する種々の側面を例示することを意味するものであって、いかなる仕方でも本発明の範囲を限定することを意図するものではない。これら実施例は、ベクターの構築、そのようなベクター中へのcDNAの挿入、またはその結果得られるベクターの適当な宿主への導入などに用いられる常法については詳細に記載していない。そのような方法は当業者によく知られており、多くの刊行物、たとえばSambrook、FritschおよびManiatis, Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press, USA, (1989)に記載されている。
実施例1−方法
IC 50 決定−インビトロ細胞毒性アッセイ
プロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物(国際公開WO00/62778(2000年10月28日公開)に記載)を、Pacific Northwest Research Institute、シアトル、ワシントンから入手したH3396を除き、American Type Culture Collection, ATCCから入手可能な23のヒト乳癌細胞株のパネルに対してインビトロでの細胞毒性について試験した。MCF7/Her2細胞株を、HER2遺伝子によるMCF7細胞の安定なトランスフェクションにより確立した。細胞毒性を細胞においてMTS(3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-5-(3-カルボキシ-メトキシフェニル)-2-(4-スルフェニル)-2H-テトラゾリウム、内部塩)アッセイ(T. L. Rissら、1992, Mol. Biol. Cell, 3 (補遺):184a)により評価した。
IC 50 決定−インビトロ細胞毒性アッセイ
プロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物(国際公開WO00/62778(2000年10月28日公開)に記載)を、Pacific Northwest Research Institute、シアトル、ワシントンから入手したH3396を除き、American Type Culture Collection, ATCCから入手可能な23のヒト乳癌細胞株のパネルに対してインビトロでの細胞毒性について試験した。MCF7/Her2細胞株を、HER2遺伝子によるMCF7細胞の安定なトランスフェクションにより確立した。細胞毒性を細胞においてMTS(3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-5-(3-カルボキシ-メトキシフェニル)-2-(4-スルフェニル)-2H-テトラゾリウム、内部塩)アッセイ(T. L. Rissら、1992, Mol. Biol. Cell, 3 (補遺):184a)により評価した。
アッセイを行うため、乳癌細胞を96ウエルマイクロタイタープレート中に4,000細胞/ウエルにてプレーティングし、24時間後、系列希釈した薬剤を加えた。細胞毒性アッセイに用いたプロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物BMS−Aの濃度範囲は、5μg/ml〜0.0016μg/ml(およそ10μM〜0.0032μM)であった。
細胞を37℃で72時間インキュベートし、この時点でテトラゾリウム染料MTS(最終濃度333μg/ml)を電子結合剤フェナジンメトサルフェート(最終濃度25μM)とともに加えた。生きた細胞中のデヒドロゲナーゼはMTSを光を吸収し492nMで分光測光的に定量できる形態に還元する。吸光度が大きくなるほど、生きた細胞の数は多くなる。その結果をIC50として表したが、これは細胞の増殖(すなわち、492nMでの吸光度)を未処理の細胞増殖の50%に抑制するのに必要な薬剤濃度である。各細胞株についての複数の試験からの平均IC50および標準偏差を計算した。
耐性/感受性分類
BMS−Aプロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物のIC50を対数変換し(log10(IC50))、23のヒト乳癌細胞株の平均log10(IC50)を計算した。細胞株の耐性/感受性表現型を以下のようにして分類した:23のすべての細胞株の平均log10(IC50)よりも低いlog10(IC50)を有する細胞株は化合物に対して感受性と定め、一方、平均log10(IC50)を超えるlog10(IC50)を有する細胞株は化合物に対して耐性であるとした。耐性/感受性分類を表1に示すが、7の細胞株がプロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物BMS−Aに対して感受性と分類され、16の細胞株が耐性と分類された。
BMS−Aプロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物のIC50を対数変換し(log10(IC50))、23のヒト乳癌細胞株の平均log10(IC50)を計算した。細胞株の耐性/感受性表現型を以下のようにして分類した:23のすべての細胞株の平均log10(IC50)よりも低いlog10(IC50)を有する細胞株は化合物に対して感受性と定め、一方、平均log10(IC50)を超えるlog10(IC50)を有する細胞株は化合物に対して耐性であるとした。耐性/感受性分類を表1に示すが、7の細胞株がプロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物BMS−Aに対して感受性と分類され、16の細胞株が耐性と分類された。
ポリヌクレオチド発現プロフィル
乳癌細胞株を標準細胞培養条件下で増殖させた:RPMI1640に10%ウシ胎仔血清、100IU/mlのペニシリン、100mg/mlのストレプトマイシン、2mMのL-グルタミンおよび10mMのHepes(すべてGibcoBRL, Rockville, MDから)を含むように添加した。薬剤(すなわち、プロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物)で処理したまたは処理していない培養細胞から、RNeasyTMキット(Qiagen, Valencia, CAより市販)を用いて50-70%のコンフルエンスにてRNAを単離した。RNAの性質を、Agilent 2100バイオアナライザー(Agilent Technologies, Rockville, MD)を用いて28s:18sリボソームRNA比を測定することによりアッセイした。全RNAの濃度は分光測光的に決定した。各細胞株からの10μgの全RNAを用い、Affymetrix GenechipR Expression Analysis Technical Manual, 2001に従ってビオチン化プローブを調製した。標的をAffymetrix高密度オリゴヌクレオチドアレイヒトHG-U133セットチップ(Affymetrix, Santa Clara, CA)にハイブリダイズさせた。ついで、アレイを洗浄し、GeneChipR Fluidicsステーションを用い、製造業者の教示(Affymetrix GenechipR Technical Manual, 2001)に従って染色した。HG-U133セットは2つのGenechipRアレイを含み、これらアレイは、約33,000の充分に実証されたヒトポリヌクレオチドからの39,000を超える転写物を表す約45,000プローブセットを含んでいる。
乳癌細胞株を標準細胞培養条件下で増殖させた:RPMI1640に10%ウシ胎仔血清、100IU/mlのペニシリン、100mg/mlのストレプトマイシン、2mMのL-グルタミンおよび10mMのHepes(すべてGibcoBRL, Rockville, MDから)を含むように添加した。薬剤(すなわち、プロテインチロシンキナーゼインヒビター化合物)で処理したまたは処理していない培養細胞から、RNeasyTMキット(Qiagen, Valencia, CAより市販)を用いて50-70%のコンフルエンスにてRNAを単離した。RNAの性質を、Agilent 2100バイオアナライザー(Agilent Technologies, Rockville, MD)を用いて28s:18sリボソームRNA比を測定することによりアッセイした。全RNAの濃度は分光測光的に決定した。各細胞株からの10μgの全RNAを用い、Affymetrix GenechipR Expression Analysis Technical Manual, 2001に従ってビオチン化プローブを調製した。標的をAffymetrix高密度オリゴヌクレオチドアレイヒトHG-U133セットチップ(Affymetrix, Santa Clara, CA)にハイブリダイズさせた。ついで、アレイを洗浄し、GeneChipR Fluidicsステーションを用い、製造業者の教示(Affymetrix GenechipR Technical Manual, 2001)に従って染色した。HG-U133セットは2つのGenechipRアレイを含み、これらアレイは、約33,000の充分に実証されたヒトポリヌクレオチドからの39,000を超える転写物を表す約45,000プローブセットを含んでいる。
マイクロアレイデータの前処理
スキャニングイメージファイルを人工産物について視覚で調べ、GeneChipR Expression AnalysisソフトウエアMAS5.0(Affymetrix, Santa Clara, CA)で分析した。「検出コール(Detection Call)」(Affymetrix GenechipR Expression Analysis Technical Manual, 2001)を用いて転写物が一つの試料で検出されているか否かを決定する;「シグナル」(Affymetrix GenechipR Expression Analysis Technical Manual, 2001)は転写物の相対的な量を測定する。各細胞株について全体の発現レベルが比較しうるように、球状(global)チップ強度のあらゆる小さな差異を説明すべく、各チップについてのトリミングした(trimmed)平均強度を1,500までスケールアップした(Affymetrix GenechipR Expression Analysis Technical Manual, 2001を参照)。Affymetrix対照配列は分析の前に除去した。
スキャニングイメージファイルを人工産物について視覚で調べ、GeneChipR Expression AnalysisソフトウエアMAS5.0(Affymetrix, Santa Clara, CA)で分析した。「検出コール(Detection Call)」(Affymetrix GenechipR Expression Analysis Technical Manual, 2001)を用いて転写物が一つの試料で検出されているか否かを決定する;「シグナル」(Affymetrix GenechipR Expression Analysis Technical Manual, 2001)は転写物の相対的な量を測定する。各細胞株について全体の発現レベルが比較しうるように、球状(global)チップ強度のあらゆる小さな差異を説明すべく、各チップについてのトリミングした(trimmed)平均強度を1,500までスケールアップした(Affymetrix GenechipR Expression Analysis Technical Manual, 2001を参照)。Affymetrix対照配列は分析の前に除去した。
Affymetrix GeneChipR Expression Analysisアルゴリズムを用い、HG-U133アレイ上の全部で44,792のプローブセットのうち、15,707の表されたプローブセットが23の乳癌細胞株のすべてで検出されなかった;これらの検出されなかったポリヌクレオチドはさらなる分析から排除した。
29,085プローブを含む残りのデータをGeneClusterソフトウエア(Whitehead Institute;T. R. Golubら、1999, Science, 286:531-537)に移した。これら残りのデータのポリヌクレオチド発現値に閾値フィルターを適用して、Affymetrix蛍光スキャナーの線状範囲にありそうもない低いおよび高いポリヌクレオチド発現値を除去した。閾値フィルターは、100単位未満のすべてのポリヌクレオチド発現値を100単位に変換し、45,000単位を超えるすべてのポリヌクレオチド発現値を45,000単位に変換した。そのポリヌクレオチド発現レベルが100〜45,000の間に表されたすべてのポリヌクレオチドは変えなかった。
ついで、第二の「変異フィルター」をデータセットに適用して、23の細胞株の異なる特性および特徴と相関関係のありそうなポリヌクレオチドを見出した。第二のフィルターの目的は、その発現パターンがデータセットで変化のあるポリヌクレオチドを選択することであった、なぜなら変化のないポリヌクレオチドは23の細胞株パネルの異なる特性について情報を提供してくれないからである。たとえば、データセット内に細胞の2つの集団、たとえば、速く増殖する細胞と遅く増殖する細胞とがあるなら、その発現が一定であるか、またはその発現が実質的に変化しないポリヌクレオチドは速いまたは遅い細胞増殖と相関関係のある情報をもたらすことはできない。
23の乳癌細胞株で各ポリヌクレオチドの発現パターンを決定し、以下の基準に適合したポリヌクレオチドを見出すため、第二の変異フィルターを調製した:
1.ポリヌクレオチドは、下記式で示すように、絶対的な発現において3倍の変化を示さなければならない。
所定の細胞株での発現値/他の細胞株での発現値 >3または<0.33
1.ポリヌクレオチドは、下記式で示すように、絶対的な発現において3倍の変化を示さなければならない。
所定の細胞株での発現値/他の細胞株での発現値 >3または<0.33
2.1に加え、3倍の変化は1000発現単位の絶対的な差異を表していなければならない。
3.さらに、上記#1および#2の基準はデータセット内の4つの独立した場合、すなわち細胞株A/B、細胞株E/F、細胞株C/Uおよび細胞株T/Gで適合していなければならない(アルゴリズムは複数の場合に一つの細胞株について単一の発現値を用いない、すなわち、細胞株A/B、細胞株A/G、細胞株A/Fおよび細胞株B/F)。
第二の変異フィルターはデータセットを5322のポリヌクレオチドに減らした。第二の変異フィルター後、各ポリヌクレオチドについての発現値を対数変換し、23のすべての試料の平均に正規化した(平均を0と設定し、標準偏差を1に設定)。この正規化したデータセットを用いて本明細書に記載の薬剤クラスに対する感受性の特性と有意の相関関係を有するポリヌクレオチドを選択した。
乳癌細胞株の薬剤(BMS−A)処理および該薬剤によって修飾されたポリヌクレオチドの選択
0.0055〜9.5μMの範囲のIC50を有する11の乳癌細胞株(表1に太字で示す)を、BMS−Aプロテインチロシンキナーゼインヒビターを用いた薬剤誘発研究に用いた。細胞を本明細書に記載のようにして10cm2の細胞培養プレート中で細胞培養の培地に播種し、37℃で24時間培養した。ついで、培地を薬剤(0.1%DMSO、Sigma中の0.4μMのBMS−A化合物)を含む培地に変えた:細胞をさらに24時間インキュベートし、ついでRNA単離のために溶解した。発現プロファイリングを上記のようにして行い、データをGeneChipR Expression Analysis software MAS 5.0(Affymetrix、サンタクララ、カリフォルニア)を用いて分析した。薬剤処理した細胞の発現データを、薬剤で処理していない同細胞のデータと1対1で比較した。p値の変化を計算し、ポリヌクレオチド発現の増大、低減または変化なしを示した。p値が0.0025未満のとき、変化は有意であるとみなした。この分析を11の細胞株のすべてについて行い、薬剤処理したときおよび薬剤処理していないときのポリヌクレオチド発現を比較した。
0.0055〜9.5μMの範囲のIC50を有する11の乳癌細胞株(表1に太字で示す)を、BMS−Aプロテインチロシンキナーゼインヒビターを用いた薬剤誘発研究に用いた。細胞を本明細書に記載のようにして10cm2の細胞培養プレート中で細胞培養の培地に播種し、37℃で24時間培養した。ついで、培地を薬剤(0.1%DMSO、Sigma中の0.4μMのBMS−A化合物)を含む培地に変えた:細胞をさらに24時間インキュベートし、ついでRNA単離のために溶解した。発現プロファイリングを上記のようにして行い、データをGeneChipR Expression Analysis software MAS 5.0(Affymetrix、サンタクララ、カリフォルニア)を用いて分析した。薬剤処理した細胞の発現データを、薬剤で処理していない同細胞のデータと1対1で比較した。p値の変化を計算し、ポリヌクレオチド発現の増大、低減または変化なしを示した。p値が0.0025未満のとき、変化は有意であるとみなした。この分析を11の細胞株のすべてについて行い、薬剤処理したときおよび薬剤処理していないときのポリヌクレオチド発現を比較した。
実施例2−PCR発現プロファイリング
RNAの定量をTaqmanRリアルタイムPCR蛍光アッセイを用いて行う。TaqmanRアッセイは核酸鋳型の濃度をアッセイするための最も正確な方法の一つである。
RNAの定量をTaqmanRリアルタイムPCR蛍光アッセイを用いて行う。TaqmanRアッセイは核酸鋳型の濃度をアッセイするための最も正確な方法の一つである。
RNAを標準法、好ましくはQiagen(バレンシア、カリフォルニア)から市販されているRNeasy Maxi Kitを用いて行う。リアルタイムPCRのcDNAは、SuperscriptR First Strand Synthesisシステムを用いて生成することができる。本発明のプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリヌクレオチドのそれぞれについての代表的なフォアウォードおよびリバースRT−PCRプライマーを表6に示す。
SYBR GreenリアルタイムPCR反応液は以下のようにして調製する:反応混合物は、20ngの第一鎖cDNA;50nMのフォアウォードプライマー;50nMのリバースプライマー;0.75X SYBR Green I(Sigma);1X SYBR Green PCR緩衝液(50mMのTris-HCl、pH8.3、75mMのKCl);10%DMSO;3mMのMgCl2;300μMの各dATP、dGTP、dTTP、dCTP;1UのPlatinumR Taq DNA Polymerase High Fidelity(カタログ#:11304-029;Life Technologies;ロックビル、メリーランド)を含む。リアルタイムPCRは、Applied Biosystems 5700 Sequence Detection Systemを用いて行う。条件は、95℃で10分(変性およびPlatinumR Taq DNAポリメラーゼの活性化)、PCR(95℃で15秒、60℃で1分)を40サイクルである。PCR産物を5700 Sequence Detection Systemに構築した分析アルゴリズムを用いて均一な融解について分析する。
鋳型の量の正規化に用いるcDNA定量は、TaqmanR法を用いて行う。TaqmanR反応液は以下のようにして調製する:反応混合物は、20ngの第一鎖cDNA;25nMのGAPDH-F3、フォアウォードプライマー;250nMのGAPDH-R1リバースプライマー;200nMのGAPDH-PVIC TaqmanR Probe(蛍光染料標識したオリゴヌクレオチドプライマー);1X Buffer A(Applied Biosystems);5.5mMのMgCl2;300μMのdATP、dGTP、dTTP、dCTP;および1UのAmplitaq Gold(Applied Biosystems)を含む。GAPDH(D-グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ)をmRNAレベルを正規化するための対照として用いる。リアルタイムTaqmanRPCRをApplied Biosystems 7700 Sequence Detection Systemを用いて行う。。条件は、95℃で10分(変性およびAmplitaq Goldの活性化)、PCR(95℃で15秒、60℃で1分)を40サイクルである。
TaqmanR反応に用いたGAPDHオリゴヌクレオチドの配列は以下のとおりである:
GAPDH-F3:5'-AGCCGAGCCACATCGCT-3'(配列番号531);
GAPDH-R1:5'-GTGACCAGGCGCCCAATAC-3'(配列番号532);および
GAPDH-PVIC TaqmanR Probe-VIC-5'-:CAAATCCGTTGACTCCGACCTTCACCTT-3' TAMRA(配列番号533)
GAPDH-F3:5'-AGCCGAGCCACATCGCT-3'(配列番号531);
GAPDH-R1:5'-GTGACCAGGCGCCCAATAC-3'(配列番号532);および
GAPDH-PVIC TaqmanR Probe-VIC-5'-:CAAATCCGTTGACTCCGACCTTCACCTT-3' TAMRA(配列番号533)
Sequence Detection Systemは、各投入cDNA鋳型の濃度を計算するのに用いるCt(閾値サイクル)値を生成する。各目的ポリヌクレオチドのcDNAレベルをGAPDH cDNAレベルに正規化して投入試料中の全cDNA量の変異を補正する。このことは、各細胞株についてGAPDH Ct値を生成することにより行う。目的ポリヌクレオチドおよびGAPDHについてのCt値をδδCt式(Applied Biosystems PrismR 7700 Sequence Detection System User Bulletin #2)の改変バージョンに挿入し、これを各特定のcDNAについてのGAPDH正規化した相対的なcDNAレベルを計算するのに用いる。δδCt式は以下のとおりである:核酸鋳型の相対量=2δδCt=2(δCta-δCtb)[式中、δCta=Ct標的 - Ct GAPDH、および δCtb=Ct参照 - Ct GAPDH](相対量を計算するのに参照細胞株を使用せず;δCtbを21として定義)。
実施例3−プロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドに対する抗体の産生
本発明の抗プロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチド抗体は、本明細書に記載の種々の方法により調製することができる。抗体産生法の一例として、本発明のポリペプチドを発現する細胞を免疫原として動物に投与して発現ポリペプチドに対するポリクローナル抗体を含む血清の産生を誘発させる。好ましい方法では、当該技術分野で一般に用いられる方法を用いてポリペプチドを調製、好ましくは単離および/または精製して天然の混入物を実質的に含まないようにする。ついで、該発現および単離したポリペプチドに対して一層高い特異的活性のポリクローナル抗血清を生成するために、そのような調製物を動物に導入する。
本発明の抗プロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチド抗体は、本明細書に記載の種々の方法により調製することができる。抗体産生法の一例として、本発明のポリペプチドを発現する細胞を免疫原として動物に投与して発現ポリペプチドに対するポリクローナル抗体を含む血清の産生を誘発させる。好ましい方法では、当該技術分野で一般に用いられる方法を用いてポリペプチドを調製、好ましくは単離および/または精製して天然の混入物を実質的に含まないようにする。ついで、該発現および単離したポリペプチドに対して一層高い特異的活性のポリクローナル抗血清を生成するために、そのような調製物を動物に導入する。
最も好ましい方法では、本発明の抗体はモノクローナル抗体(またはそのタンパク質結合フラグメント)であり、本明細書に記載のハイブリドーマ法を用いて調製することができる。ポリペプチドを発現する細胞をいずれの適当な組織培養培地でも培養することができる;しかしながら、10%ウシ胎仔血清(約56℃で不活化)を含むように補充し、および約10g/lの非必須アミノ酸、約1.0U/mlのペニシリン、および約100μg/mlのストレプトマイシンを含むように補充したEarle改変Eagle培地で培養細胞を調製するのがしばしば好ましい。
免疫(およびブースター処理)したマウスの脾細胞を抽出し、適当なミエローマ細胞株を融合させる。いずれの適当なミエローマ細胞株をも本発明にしたがって用いることができるが、親ミエローマ細胞株SP2/0(ATCCから入手可能)を用いるのが好ましい。融合後、得られたハイブリドーマ細胞をHAT培地で選択的に維持し、ついで、たとえばWandsら(1981, Gastroenterology, 80:225-232)によって記載されたようにして限界希釈法によりクローニングする。ついで、そのような選択プロセスで得られたハイブリドーマ細胞をアッセイして、ポリペプチド免疫原またはその部分に結合することのできる抗体を分泌する細胞クローンを同定する。
別法として、該ポリペプチドに結合することのできるさらなる抗体を抗イディオタイプ抗体を用いた2工程法で生成することができる。そのような方法は、抗体自体が抗原であり、それゆえ第一の抗体に結合する第二の抗体を得ることが可能であるとの事実を利用するものである。この方法によれば、タンパク質特異的な抗体を用いて動物、好ましくはマウスを免疫する。ついで、そのような免疫動物の脾細胞を用いてハイブリドーマ細胞を生成し、ハイブリドーマ細胞をスクリーニングして、タンパク質特異的な抗体へのその結合能を該タンパク質によって阻止することのできる抗体を産生するクローンを同定する。そのような抗体はタンパク質特異的な抗体に対する抗イディオタイプ抗体を含んでおり、動物を免疫するのに用いてさらなるタンパク質特異的抗体の生成を誘発させることができる。
抗体をヒトでインビボで使用するには、「ヒト化」キメラモノクローナル抗体を用いるのが好ましい。そのような抗体は、上記モノクローナル抗体を生成するハイブリドーマ細胞からの遺伝子構築物を用いて生成することができる。キメラ抗体を生成する方法は当該技術分野で知られており、実施されている(たとえば、概説として、Morrison, 1985, Science, 229:1202;Oiら、1986, BioTechniques, 4:214;Cabillyら、米国特許第4,816,567号;Taniguchiら、EP171496;Morrisonら、EP173494;Neubergerら、WO8601533;Robinsonら、WO8702671;Boulianneら、1984, Nature, 312:643;およびNeubergerら、1985, Nature, 314:268を参照)。
実施例4−免疫蛍光アッセイ
たとえば、細胞中のプロテインチロシンキナーゼバイオマーカー発現を確認するため、またはたとえば、細胞の表面に発現されたプロテインチロシンキナーゼバイオマーカー(ポリペプチドまたはペプチド)に結合する1またはそれ以上の抗体の存在をチェックするため、以下の免疫蛍光プロトコールを用いることができる。簡単に説明すると、Lab-Tek IIチャンバスライドを、カルシウムおよびマグネシウムを含むDPBS(DPBS++)中の10μg/mlのウシコラーゲンII型で4℃にて一夜コーティングする。ついでスライドを冷DPBS++で2回洗浄し、全量125μlの本発明のプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーのコード配列を含むベクターでトランスフェクションした約8000のCHO細胞またはベクターのみでトランスフェクションしたCHO細胞(対照)で播種し、95%酸素/5%二酸化炭素の存在下、37℃でインキュベートする。
たとえば、細胞中のプロテインチロシンキナーゼバイオマーカー発現を確認するため、またはたとえば、細胞の表面に発現されたプロテインチロシンキナーゼバイオマーカー(ポリペプチドまたはペプチド)に結合する1またはそれ以上の抗体の存在をチェックするため、以下の免疫蛍光プロトコールを用いることができる。簡単に説明すると、Lab-Tek IIチャンバスライドを、カルシウムおよびマグネシウムを含むDPBS(DPBS++)中の10μg/mlのウシコラーゲンII型で4℃にて一夜コーティングする。ついでスライドを冷DPBS++で2回洗浄し、全量125μlの本発明のプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーのコード配列を含むベクターでトランスフェクションした約8000のCHO細胞またはベクターのみでトランスフェクションしたCHO細胞(対照)で播種し、95%酸素/5%二酸化炭素の存在下、37℃でインキュベートする。
その後、培地を穏やかに吸引除去し、付着した細胞をDPBS++で周囲温度にて2回洗浄する。スライドを0.2%BSA(ブロッキング剤)を含むDPBS++で0〜4℃にて1時間ブロッキングする。ブロッキング溶液を穏やかに吸引除去し、125μlの抗体含有溶液(抗体含有溶液は、たとえば、通常希釈せずに用いるハイブリドーマ培養上澄み液、または通常、たとえば、約1:50、1:100、1:1000などに希釈する血清/血漿であってよい)を加える。スライドを0-4℃で1時間インキュベートする。ついで、抗体溶液を穏やかに吸引除去し、細胞を400μlの氷冷ブロッキング溶液で5回洗浄する。ついで、ブロッキング溶液中のローダミン標識二次抗体(たとえば、抗ヒトIgG;1μg/ml;125μl)を細胞に加える。再度、細胞を0-4℃で1時間インキュベートする。
ついで、二次抗体溶液を穏やかに吸引除去し、細胞を400μlの冷ブロッキング溶液で3回、冷DPBS++で5回洗浄する。ついで、細胞をDPBS++中の125μlの3.7%ホルムアルデヒドで周囲温度にて15分固定する。その後、細胞を400μlのDPBS++で周囲温度にて5回洗浄する。最後に、細胞を50%グリセリン水溶液に入れ、ローダミンフィルターを用いた蛍光顕微鏡を用いて観察する。
実施例5−相補的配列
プロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドをコードする配列またはその部分に相補的なアンチセンス分子または核酸配列を、天然に存在するプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドの発現を低減させまたは抑制するのに用いる。約15〜35塩基対を含むアンチセンスまたは相補的オリゴヌクレオチドの使用を記載するが、本質的に同じ手順が一層小さなまたは一層大きな核酸配列断片に用いられる。たとえば、配列番号1〜137に示すプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドのコード配列に基づくオリゴヌクレオチドを、天然に存在するプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドの発現を抑制するのに用いる。相補的なオリゴヌクレオチドは典型的に最も独特な5’配列からデザインし、コード配列へのプロモーター結合を防ぐことにより転写を抑制するか、またはリボソームが特にプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドをコードする転写物に結合するのを防ぐことによって翻訳を抑制するのに用いる。しかしながら、他の領域もターゲティングすることができる。
プロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドをコードする配列またはその部分に相補的なアンチセンス分子または核酸配列を、天然に存在するプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドの発現を低減させまたは抑制するのに用いる。約15〜35塩基対を含むアンチセンスまたは相補的オリゴヌクレオチドの使用を記載するが、本質的に同じ手順が一層小さなまたは一層大きな核酸配列断片に用いられる。たとえば、配列番号1〜137に示すプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドのコード配列に基づくオリゴヌクレオチドを、天然に存在するプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドの発現を抑制するのに用いる。相補的なオリゴヌクレオチドは典型的に最も独特な5’配列からデザインし、コード配列へのプロモーター結合を防ぐことにより転写を抑制するか、またはリボソームが特にプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドをコードする転写物に結合するのを防ぐことによって翻訳を抑制するのに用いる。しかしながら、他の領域もターゲティングすることができる。
配列番号1〜137のシグナル配列および5’配列の適当な部分を用い、有効なアンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号138〜256に示すポリペプチドの特にシグナル配列または5’コード配列に翻訳される領域を包含する約15〜35ヌクレオチドを含んでいる。適当なオリゴヌクレオチドは、OLIGO4.06ソフトウエアおよびプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドのコード配列(配列番号1〜137)を用いてデザインする。好ましいオリゴヌクレオチドはデオキシヌクレオチド、またはキメラのデオキシヌクレオチド/リボヌクレオチドであり、以下に提供する。オリゴヌクレオチドは本質的に米国特許第5,849,902号(参照のためその全体を本明細書に引用する)に記載の化学的方法を用いて合成することができる。
静止期後のA549細胞のアンチセンスオリゴヌクレオチドによるトランスフェクション
必要な材料:
・A549細胞を、10%のウシ胎仔血清、2mMのL-グルタミン、および1Xのペニシリン/ストレプトマイシンを添加した高グルコースDMEM(Gibco-BRL)中で保持することができる。
・Opti-MEM(Gibco-BRL)
・リポフェクタミン2000(Invitrogen)
・アンチセンスオリゴマー(Qiagen)
・ポリスチレンチューブ
・組織培養処理プレート
必要な材料:
・A549細胞を、10%のウシ胎仔血清、2mMのL-グルタミン、および1Xのペニシリン/ストレプトマイシンを添加した高グルコースDMEM(Gibco-BRL)中で保持することができる。
・Opti-MEM(Gibco-BRL)
・リポフェクタミン2000(Invitrogen)
・アンチセンスオリゴマー(Qiagen)
・ポリスチレンチューブ
・組織培養処理プレート
静止期の細胞は以下のようにして調製する:
第0日目:300,000のA549細胞を、T75組織培養フラスコ中、10mlのA549培地(上記で特定)に播種し、37℃、5%CO2にて加湿インキュベーターで48時間インキュベートする。
第2日目:T75フラスコをゆすって緩やかに付着した細胞を除去し、A549増殖培地を除去し、10mlの新たなA549培地を補給する。細胞を培地を変えずに6日間培養して静止期の細胞集団を得る。
第8日目:静止期の細胞をマルチウエル態様でプレーティングし、アンチセンスオリゴヌクレオチドでトランスフェクションする。
第0日目:300,000のA549細胞を、T75組織培養フラスコ中、10mlのA549培地(上記で特定)に播種し、37℃、5%CO2にて加湿インキュベーターで48時間インキュベートする。
第2日目:T75フラスコをゆすって緩やかに付着した細胞を除去し、A549増殖培地を除去し、10mlの新たなA549培地を補給する。細胞を培地を変えずに6日間培養して静止期の細胞集団を得る。
第8日目:静止期の細胞をマルチウエル態様でプレーティングし、アンチセンスオリゴヌクレオチドでトランスフェクションする。
A549細胞を以下に従ってトランスフェクションする:
1.A549細胞の静止期集団を含むT75フラスコをトリプシン処理する。
2.細胞をカウントし、24−ウエルプレートにウエル当たり60Kの静止期A549細胞を播種する。
3.細胞を組織培養プレートに付着させる(約4時間)。
4.細胞を以下のようにしてアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび対照オリゴヌクレオチドでトランスフェクションする。
1.A549細胞の静止期集団を含むT75フラスコをトリプシン処理する。
2.細胞をカウントし、24−ウエルプレートにウエル当たり60Kの静止期A549細胞を播種する。
3.細胞を組織培養プレートに付着させる(約4時間)。
4.細胞を以下のようにしてアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび対照オリゴヌクレオチドでトランスフェクションする。
a.リポフェクタミン2000の10Xストック(10μg/mlは10Xである)を調製し、希釈した脂質を室温で15分間放置する。
リポフェクタミン2000のストック溶液は1mg/mlである。
トランスフェクションのための10X溶液は10μg/mlである。
10X溶液を調製するには、10μlのリポフェクタミン2000ストックを1mlのOpti-MEM(血清不含培地)で希釈する。
リポフェクタミン2000のストック溶液は1mg/mlである。
トランスフェクションのための10X溶液は10μg/mlである。
10X溶液を調製するには、10μlのリポフェクタミン2000ストックを1mlのOpti-MEM(血清不含培地)で希釈する。
b.各オリゴマーの10Xストックをトランスフェクションに使用するため調製することができる。
オリゴマーのストック溶液は、20mMのHEPES、pH7.5中に100μMである。
オリゴマーの10X濃度は0.25μMである。
10X溶液を調製するには、2.5μlのオリゴマーを1mlのOpti-MEMで希釈する。
オリゴマーのストック溶液は、20mMのHEPES、pH7.5中に100μMである。
オリゴマーの10X濃度は0.25μMである。
10X溶液を調製するには、2.5μlのオリゴマーを1mlのOpti-MEMで希釈する。
c.等量の10Xリポフェクタミン2000ストックと10Xオリゴマー溶液とを混合し、室温で15分間インキュベートしてオリゴマーと脂質との複合体を生成させる。得られる混合物は5Xである。
d.15分の複合体生成の後、4容量の完全増殖培地をオリゴマー/脂質複合体(溶液は1Xであってよい)に加える。
e.培地を細胞から吸引し、0.5mlの1Xオリゴマー/脂質複合体を各ウエルに加える。
f.細胞を37℃で16〜24時間、加湿CO2インキュベーターでインキュベートする。
g.細胞ペレットを、RNA単離およびプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドの発現のTaqMan分析のために回収し、分解のレベルを評価する。
TaqMan反応
定量的RT−PCRを、DNアーゼI処理した全RNA調製物またはポリA選択RNAで行うことができる。Dnase処理は当該技術分野で知られた方法を用いて行うことができるが、Qiagen RNeasyキットを用いてRNA試料を精製するのが好ましく、その際、DNアーゼI処理はカラム上で行う。
定量的RT−PCRを、DNアーゼI処理した全RNA調製物またはポリA選択RNAで行うことができる。Dnase処理は当該技術分野で知られた方法を用いて行うことができるが、Qiagen RNeasyキットを用いてRNA試料を精製するのが好ましく、その際、DNアーゼI処理はカラム上で行う。
簡単に説明すると、試薬のマスター混合物は以下の表に従って調製することができる:
DNアーゼI処理
試薬 反応当たりの量(μL)
10x緩衝液 2.5
DNアーゼI(1単位/μl;1μgの試料当たり1単位) 2
DEPC H2O 0.5
RNA試料(0.1μg/μlにて;全量2〜3μg) 20
合計 25
DNアーゼI処理
試薬 反応当たりの量(μL)
10x緩衝液 2.5
DNアーゼI(1単位/μl;1μgの試料当たり1単位) 2
DEPC H2O 0.5
RNA試料(0.1μg/μlにて;全量2〜3μg) 20
合計 25
つぎに、5μlのマスター混合物を96ウエルPCR反応プレート(PE part # N801-0560)の各ウエルにアリコートする。RNA試料をDEPC処理したH2O(必要なら)で0.1μg/μlに調節し、20μlをアリコートしたマスター混合物に最終反応容量25μlで加える。
ウエルをストリップウエルキャップ(PE part # N801-0935)を用いてキャッピングし、プレートに入れ、プレート遠心管(Beckman)でしばらく回転させてすべての容量をチューブの底に回収する。一般に、Sorvall RTでの500rpmまでの短い回転で充分である。
プレートを37℃で30分間インキュベートする。ついで、10mMのTris中の等容量の0.1mMのEDTAを各ウエルに加え、70℃で5分間、熱不活化する。完了後、プレートを-80℃で貯蔵する。
RT反応
試薬のマスター混合物は以下の表に従って調製することができる:
RT反応
RT RTなし
試薬 反応当たりの量(μl) 反応当たりの量(μl)
10xRT緩衝液 5 2.5
MgCl2 11 5.5
DNTP混合物 10 5
ランダムヘキサマー 2.5 1.25
Rnaseインヒビター 1.25 0.625
RT酵素 1.25 -
全RNA 500ng(RTなしは100ng) 最大19.0 最大10.125
DEPC H2O - -
合計 50μL 25μL
試薬のマスター混合物は以下の表に従って調製することができる:
RT反応
RT RTなし
試薬 反応当たりの量(μl) 反応当たりの量(μl)
10xRT緩衝液 5 2.5
MgCl2 11 5.5
DNTP混合物 10 5
ランダムヘキサマー 2.5 1.25
Rnaseインヒビター 1.25 0.625
RT酵素 1.25 -
全RNA 500ng(RTなしは100ng) 最大19.0 最大10.125
DEPC H2O - -
合計 50μL 25μL
500ngのRNAが各RT反応液に添加されるように(RTなしについては100ng)、試料の濃度を調節する。最大19μlをRT反応混合物に加えることができる(RTなしについては10.125μl)。最終容量が50μl(RT)または25μl(RTなし)となるように、最大値までの残りの容量をDEPC処理したH2Oで充填する。
96ウエルPCR反応プレート(PE part # N801-0560)上、37.5μlのマスター混合物をアリコートし(RTなしのマスター混合物については22.5μl)、RNA試料を50μl(RTなしについては25μl)の全反応容量で加える。標準曲線を作成するための充分な鋳型を得るため、対照試料を2つまたは3つもの異なるウエルにローディングする。
ウエルをストリップウエルキャップ(PE part # N801-0935)を用いてキャッピングし、プレートに入れ、プレート遠心管(Beckman)でしばらく回転させてすべての容量をチューブの底に回収する。一般に、Sorvall RTでの500rpmまでの短い回転で充分である。
RT−PCR反応は、以下のサーマルプロフィルを用いることができる:
・25℃で10分間
・48℃で30分間
・95℃で5分間
・4℃で保持(1時間)
・完了後、プレートを-20℃またはそれ以下で貯蔵
・25℃で10分間
・48℃で30分間
・95℃で5分間
・4℃で保持(1時間)
・完了後、プレートを-20℃またはそれ以下で貯蔵
TaqMan反応(鋳型はRTプレートから)
マスター混合物は以下の表に従って調製することができる:
TaqMan反応(ウエル当たり)
試薬 反応当たりの量(μl)
TaqManマスター混合物 4.17
100μMのプローブ .025
100μMのフォアウォードプライマー .05
100μMのリバースプライマー .05
鋳型 -
DEPC H2O 18.21
合計 22.5
マスター混合物は以下の表に従って調製することができる:
TaqMan反応(ウエル当たり)
試薬 反応当たりの量(μl)
TaqManマスター混合物 4.17
100μMのプローブ .025
100μMのフォアウォードプライマー .05
100μMのリバースプライマー .05
鋳型 -
DEPC H2O 18.21
合計 22.5
適当なフォアウォードプライマー、リバースプライマー、およびプローブプライマーを、RT−PCR反応に用いるために各プロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドのコード領域についてデザインすることができる。
Gilson P-10リピートピペッターを用い、22.5μlのマスター混合物を96ウエルオプティカルプレートのウエル当たりにアリコートする。ついで、P-10ピペッターを用い、2.5μlの試料を個々のウエルに加える。一般にRT試料は使用した各プライマー/プローブセットで3回試験し、RTなしの試料は一つのプライマー/プローブセット、しばしばgapdh(または他の内部対照)で1回だけ試験する。
ついで、標準曲線を構築し、プレートにローディングする。この曲線は5つの目盛り(points)と1つの鋳型なし対照(NTC、=DEPC処理したH2O)を有する。この曲線は、50ngの高目盛りの試料(未知の試料中のRNAの2倍の量)、および25、10、5、および1ngの連続試料で構成されていてよい。曲線は対照試料から構成されていてよい(上記参照)。
ウエルをオプティカルストリップウエルキャップ(PE part # N801-0935)を用いてキャッピングし、プレートに入れ、遠心管で回転させてすべての容量をチューブの底に回収する。一般に、Sorvall RTでの500rpmまでの短い回転で充分である。
プレートをPE 5700配列デテクター上にローディングしてプレートが右上方隅のノッチと適正に整合していることを確実にする。蓋を締め、以下のサーマルプロフィルを用い、5700 and 5700定量プログラムおよびSYBRプローブを用いて行う:
・50℃で2分間
・95℃で10分間
・および以下のサイクルを40サイクル:
・95℃で15秒
・60℃で1分間
・反応容量を25μlに変換
・50℃で2分間
・95℃で10分間
・および以下のサイクルを40サイクル:
・95℃で15秒
・60℃で1分間
・反応容量を25μlに変換
反応が完了したら、バックグラウンドシグナルを最小にするために約0.1のマニュアル閾値(manual threshold)を設定する。GeneAmp 5700装置の操作との関連でさらなる情報が以下のマニュアルに関して見出すことができる:「GeneAmp 5700 Sequence Detection System Operator Training CD」;および「User's Manual for 5700 Sequence Detection System」(Perkin-Elmerから利用でき、参照のためその全体を本明細書に引用する)。
当業者であれば上記プロトコールの改変が本発明の各プロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドに必要であることを了解するであろう。また、当業者であればA549以外の細胞株を使用できること、およびA549は一例にすぎないことを了解するであろう。当業者はまた、配列番号534〜557に示すRNAi試薬などの相補的オリゴヌクレオチドの能力を評価するために他の手段(とりわけ、ウエスタンブロットおよびELISAアッセイを含むが、これらに限られるものではない)を用いることができることも了解するであろう。
実施例6−本発明のプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドの発現レベルをモデュレートする相補的配列の能力を評価するための別法
本発明のプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドの発現レベルをモデュレートする能力について評価することのできる好ましい相補的配列を配列番号534〜557に示す。他の相補的配列は、配列番号1〜137に示す本発明のプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドのコード領域に基づいてデザインすることができ、本発明により特に包含される。
本発明のプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドの発現レベルをモデュレートする能力について評価することのできる好ましい相補的配列を配列番号534〜557に示す。他の相補的配列は、配列番号1〜137に示す本発明のプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドのコード領域に基づいてデザインすることができ、本発明により特に包含される。
同時トランスフェクションRNAi
トランスフェクション:
トランスフェクションの前日に24ウエルディッシュのウエル当たり2×105のHeLa細胞を播種する。翌日、細胞は90〜95%コンフルエントとなる。4.5μLの20μMストックRNAi(配列番号534〜557のうちの1またはそれ以上)を、トランスフェクションすべき各RNAiについてポリスチレンチューブ中で50μLのOptimemで希釈する(チューブA)。穏やかに軽く叩いて混合する。他のポリスチレンチューブに2μLのリポフェクタミン2000を50μLのOptimemと混合する(チューブB)。穏やかに軽く叩いて混合する。室温で5分放置する。500μLの血清/抗生物質不含MEMを各チューブに加えてRNAiの最終濃度を150nMとする。(プラスミドとのRNAiの同時トランスフェクションの場合は、1uLの20μMストックRNAi(最終濃度33nM)を1μgのベクターDNAとともにチューブAで用い、ついで上記プロトコールを行う)HeLaプレートから培地を除去し、600μLのトランスフェクション混合物で置換する。37℃にて5%C02インキュベーターに4〜5時間入れる。培地を10%FBSを含むMEMと置換する。
トランスフェクション:
トランスフェクションの前日に24ウエルディッシュのウエル当たり2×105のHeLa細胞を播種する。翌日、細胞は90〜95%コンフルエントとなる。4.5μLの20μMストックRNAi(配列番号534〜557のうちの1またはそれ以上)を、トランスフェクションすべき各RNAiについてポリスチレンチューブ中で50μLのOptimemで希釈する(チューブA)。穏やかに軽く叩いて混合する。他のポリスチレンチューブに2μLのリポフェクタミン2000を50μLのOptimemと混合する(チューブB)。穏やかに軽く叩いて混合する。室温で5分放置する。500μLの血清/抗生物質不含MEMを各チューブに加えてRNAiの最終濃度を150nMとする。(プラスミドとのRNAiの同時トランスフェクションの場合は、1uLの20μMストックRNAi(最終濃度33nM)を1μgのベクターDNAとともにチューブAで用い、ついで上記プロトコールを行う)HeLaプレートから培地を除去し、600μLのトランスフェクション混合物で置換する。37℃にて5%C02インキュベーターに4〜5時間入れる。培地を10%FBSを含むMEMと置換する。
トランスフェクションに含める対照は、トランスフェクションの効率を計算するための蛍光オリゴヌクレオチド対照(1U/μL=20μM)、非特異的な負の対照としてのGFP B、正規化するノックダウン(knockdown)対象としてのCDC2、およびDNAを受け取らない非感染対照を含む。
溶解:
トランスフェクションの48時間後、培地を吸引し、細胞をウエル当たり約500μLの冷1xPBSで1回洗浄する。吸引し、プロテアーゼインヒビター(1 mini BMプロテアーゼインヒビター錠/10mLの1xRIPA)を含む100μLの冷RIPAで置換する。プレートを数回揺すって軽く叩き、4℃にて10〜15分静置する。プレートをさらに数回、揺すって軽く叩く。200μL容のpipettemanを用い、5〜10回吸引し、ウエルを洗浄して完全な溶解および全物質の移送を確実にする。溶解液をエッペンドルフ管に移し、ピペットで5〜10回吸引して上下させる。試料が依然として粘性であるなら、さらに数回ピペットで吸引して上下させる。試料を14000RPM、4℃にて10分間回転させる。試料を-20℃で貯蔵するかまたはローディングの準備をすることができる。
トランスフェクションの48時間後、培地を吸引し、細胞をウエル当たり約500μLの冷1xPBSで1回洗浄する。吸引し、プロテアーゼインヒビター(1 mini BMプロテアーゼインヒビター錠/10mLの1xRIPA)を含む100μLの冷RIPAで置換する。プレートを数回揺すって軽く叩き、4℃にて10〜15分静置する。プレートをさらに数回、揺すって軽く叩く。200μL容のpipettemanを用い、5〜10回吸引し、ウエルを洗浄して完全な溶解および全物質の移送を確実にする。溶解液をエッペンドルフ管に移し、ピペットで5〜10回吸引して上下させる。試料が依然として粘性であるなら、さらに数回ピペットで吸引して上下させる。試料を14000RPM、4℃にて10分間回転させる。試料を-20℃で貯蔵するかまたはローディングの準備をすることができる。
ウエスタンブロッティング/Novex:
20μLの溶解液を3μLの還元試薬および7μLの4Xゲルローディング染料と混合することにより試料を調製する。70℃で10分間加熱し、試料を氷上に置く。試料を加熱している間に、コーム(comb)および密封テープを取り外すことにより所望のゲル(通常、4〜12%のBis-Trisゲル)を調製する。ゲルをゲルボックスに入れ、内チャンバおよび外チャンバに所望の緩衝液(1xMESかまたはMOPS-各ゲルボックスに50mLの20x緩衝液を950mLのdH20に加える)を充填する。内チャンバに600μLの酸化試薬を加える。500μLの緩衝液を噴射する(blasting)ことにより各ウエルを洗浄する。ウエル1に5μLのマーカー-Invitrogen's SeeBlue Plus2をローディングする。その後のレーンに試料をローディングする。ゲルを200Vで45〜50分間、電気泳動する。1X移動緩衝液を調製する−50mLの20x移動緩衝液、メタノール(同じ装置で1つのゲルを移す場合は100mL、2つのゲルを移す場合は200mL)およびdH20を1000mLまで。ブロッティングパッドをdH20に浸漬し、ついで緩衝液を移す−気泡を除去するため確実に押し下げる。前もって切っておいたHybond-ECLメンブレン(Amershamニトロセルロース)をdH20に浸漬し、ついで移動緩衝液に浸漬する。Bioradフィルターペーパーの末端を切り落として移動メンブレンのサイズと一致させる。1つのゲルを移す場合は2つのブロッティングパッドをブロッティングチャンバに置く。2つのゲルの場合は1のパッドを置く。フィルターペーパーを移動緩衝液にしばらく浸漬し、ブロッティングパッド上に注意深く横たえる。ゲルカセットを粉砕器(cracking tool)で開け、ゲルの上部、底部および側部を切り落とす。このゲルを移動緩衝液で簡単に濯ぎ、ついでフィルターペーパー上に横たえて注意深く気泡が生じないようにする。移動メンブレンを上部に横たえ、ここでも気泡が生じないように注意する。フィルターペーパーを押し下げる。1つのゲルを移す場合は2つのブロッティングパッドを押し下げてサンドイッチを完成させる。2つのゲルを移す場合は、1つのブロッティングパッド、フィルターペーパー、ゲル、メンブレン、フィルターペーパー、ブロッティングパッドを押し下げる。こうしてゲルは移動の準備が完了する。ゲルサンドイッチを圧搾し、移動装置に置く。内チャンバおよび外チャンバを移動緩衝液で充填する。ゲルを30Vで1時間移動させる。
20μLの溶解液を3μLの還元試薬および7μLの4Xゲルローディング染料と混合することにより試料を調製する。70℃で10分間加熱し、試料を氷上に置く。試料を加熱している間に、コーム(comb)および密封テープを取り外すことにより所望のゲル(通常、4〜12%のBis-Trisゲル)を調製する。ゲルをゲルボックスに入れ、内チャンバおよび外チャンバに所望の緩衝液(1xMESかまたはMOPS-各ゲルボックスに50mLの20x緩衝液を950mLのdH20に加える)を充填する。内チャンバに600μLの酸化試薬を加える。500μLの緩衝液を噴射する(blasting)ことにより各ウエルを洗浄する。ウエル1に5μLのマーカー-Invitrogen's SeeBlue Plus2をローディングする。その後のレーンに試料をローディングする。ゲルを200Vで45〜50分間、電気泳動する。1X移動緩衝液を調製する−50mLの20x移動緩衝液、メタノール(同じ装置で1つのゲルを移す場合は100mL、2つのゲルを移す場合は200mL)およびdH20を1000mLまで。ブロッティングパッドをdH20に浸漬し、ついで緩衝液を移す−気泡を除去するため確実に押し下げる。前もって切っておいたHybond-ECLメンブレン(Amershamニトロセルロース)をdH20に浸漬し、ついで移動緩衝液に浸漬する。Bioradフィルターペーパーの末端を切り落として移動メンブレンのサイズと一致させる。1つのゲルを移す場合は2つのブロッティングパッドをブロッティングチャンバに置く。2つのゲルの場合は1のパッドを置く。フィルターペーパーを移動緩衝液にしばらく浸漬し、ブロッティングパッド上に注意深く横たえる。ゲルカセットを粉砕器(cracking tool)で開け、ゲルの上部、底部および側部を切り落とす。このゲルを移動緩衝液で簡単に濯ぎ、ついでフィルターペーパー上に横たえて注意深く気泡が生じないようにする。移動メンブレンを上部に横たえ、ここでも気泡が生じないように注意する。フィルターペーパーを押し下げる。1つのゲルを移す場合は2つのブロッティングパッドを押し下げてサンドイッチを完成させる。2つのゲルを移す場合は、1つのブロッティングパッド、フィルターペーパー、ゲル、メンブレン、フィルターペーパー、ブロッティングパッドを押し下げる。こうしてゲルは移動の準備が完了する。ゲルサンドイッチを圧搾し、移動装置に置く。内チャンバおよび外チャンバを移動緩衝液で充填する。ゲルを30Vで1時間移動させる。
メンブレンを取り出し、Superblock(Pierce)に入れ、室温で最小1時間〜一夜揺すった。(本発明者はメンブレンをSuperblockに4℃で週末にわたって貯蔵した)一次抗体および正規化抗体をSuperblock:1xPBS/0.3%Tween-20の1:10混合物中に希釈する。メンブレンを一次抗体中、室温で最小1時間〜一夜、インキュベートし、揺する。ついで、メンブレンを1xPBS/0.3%Tween-20で充分に洗浄する。本発明者は通常、数回速やかに濯ぎ、ついで1xPBS/0.3%Tween-20で3X5分濯ぐ。最後の洗浄の間にHRPコンジュゲートした二次抗体を1xPBS/0.3%Tween-20中に希釈する。これをメンブレンに加え、室温で最小30分間揺する。メンブレンを充分に洗浄する。本発明者は通常、数回速やかに濯ぎ、ついで1xPBS/0.3%Tween-20で3X5分濯ぐ。メンブレンを洗浄緩衝液から取り出し、メンブレンの端を紙タオルの上で保持して過剰の緩衝液の水気を切る。メンブレンを、気泡を除くべくベンチトップ上で滑らかにしておいたSaran Wrap上に置く。充分なECL試薬を加えてメンブレンを1分間覆う。メンブレンを取り出し、紙タオル上で過剰のECLの水気を切る。メンブレンを2つの透明なシートの間に置き、その際も滑らかにして気泡を注意深く除く。
定量:
FluorS-Maxを用いてメンブレンを暴露する。相対的なパーセント抑制は、RNAi処理した各バンドの強度をRNAi処理していない各バンド(対照)の強度と比較することにより決定することができる。各レーンについて目的バンドを正規化バンドで除することによりレーンを正規化する。各処理試料の正規化値を対照の正規化値で除する。ついで、式:(1−上記値)×100を用いてパーセント抑制を計算する。
FluorS-Maxを用いてメンブレンを暴露する。相対的なパーセント抑制は、RNAi処理した各バンドの強度をRNAi処理していない各バンド(対照)の強度と比較することにより決定することができる。各レーンについて目的バンドを正規化バンドで除することによりレーンを正規化する。各処理試料の正規化値を対照の正規化値で除する。ついで、式:(1−上記値)×100を用いてパーセント抑制を計算する。
当業者であれば、本発明の各プロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドについて上記プロトコールの改変が必要であることを認識するであろう。
配列表の簡単な説明
配列表1〜557を参照のためその全体を本明細書に引用する。これら配列番号は本明細書の表2に示すプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーの核酸配列およびアミノ酸配列および本明細書に記載のポリヌクレオチドマーカー、プローブ、およびRNAi試薬についてのフォアウォードプライマーとリバースプライマーとのペアのヌクレオチド配列を含む。配列表はコンパクトディスク、すなわちCD−ROMに含まれ、その同一の3コピーをここに提出する。IBM/PC MS-DOSテキストフォーマットの配列表を2003年8月25日に最初に作成し、サイズは896KBである。
配列表1〜557を参照のためその全体を本明細書に引用する。これら配列番号は本明細書の表2に示すプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーの核酸配列およびアミノ酸配列および本明細書に記載のポリヌクレオチドマーカー、プローブ、およびRNAi試薬についてのフォアウォードプライマーとリバースプライマーとのペアのヌクレオチド配列を含む。配列表はコンパクトディスク、すなわちCD−ROMに含まれ、その同一の3コピーをここに提出する。IBM/PC MS-DOSテキストフォーマットの配列表を2003年8月25日に最初に作成し、サイズは896KBである。
本明細書に引用したすべての特許、特許出願、公開されたPCT出願および論説、書籍、文献、文献マニュアル、抄録、配列表、およびインターネットウエブサイトは、本発明が関連する技術の状態をより完全に記載するため、参照のためその全体を本明細書に引用する。
本発明の範囲および精神から逸脱することなく上記主題に様々な改変を加えることができるので、上記の記載に含まれるすべての主題、または添付の特許請求の範囲に定められるすべての主題は、本発明の説明および例示として解釈されることを意図するものである。上記教示に基づいて本発明の多くの改変および変更が可能である。
Claims (40)
- 複数のポリヌクレオチドを含むプレディクターセットであって、該ポリヌクレオチドの発現パターンが、プロテインチロシンキナーゼ活性またはプロテインチロシンキナーゼ経路の成員をモデュレートする化合物での処理に対する細胞の応答を予測するものである、プレディクターセット。
- 該ポリヌクレオチドが、
(a)表2に示すポリヌクレオチド;
(b)表2に示す感受性プレディクターポリヌクレオチド;および
(c)表2に示す耐性プレディクターポリヌクレオチド
よりなる群から選ばれる、請求項1に記載のプレディクターセット。 - 該複数のポリヌクレオチドが、
(a)少なくとも約1のポリヌクレオチド;
(b)少なくとも約3のポリヌクレオチド;
(c)少なくとも約5のポリヌクレオチド;
(d)少なくとも約7のポリヌクレオチド;
(e)少なくとも約10のポリヌクレオチド;
(f)少なくとも約15のポリヌクレオチド;
(g)少なくとも約20のポリヌクレオチド;
(h)少なくとも約25のポリヌクレオチド;
(i)少なくとも約30のポリヌクレオチド;
よりなる群から選ばれたポリヌクレオチドの数を含む、請求項2に記載のプレディクターセット。 - 該複数のポリヌクレオチドが、
(a)表3に示すポリヌクレオチド;
(b)表3に示す感受性プレディクターポリヌクレオチド;
(c)表3に示す耐性プレディクターポリヌクレオチド;
(d)表4に示すポリヌクレオチド;
(e)表4に示す感受性プレディクターポリヌクレオチド;
(f)表4に示す耐性プレディクターポリヌクレオチド;
(g)表5に示すポリヌクレオチド;
(h)表5に示す感受性プレディクターポリヌクレオチド;および
(i)表5に示す耐性プレディクターポリヌクレオチド
よりなる群の成員を含む、請求項3に記載のプレディクターセット。 - 該化合物が、
(a)該ポリヌクレオチドに対するアンチセンス試薬;
(b)該ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドに対する抗体;および
(c)小分子化合物
よりなる群から選ばれる、請求項4に記載のプレディクターセット。 - 該化合物がBMS−Aである、請求項5に記載のプレディクターセット。
- 該細胞が、乳房細胞、および乳癌細胞よりなる群の成員である、請求項1に記載のプレディクターセット。
- 複数のポリペプチドを含むプレディクターセットであって、該ポリペプチドの発現パターンが、プロテインチロシンキナーゼ活性またはプロテインチロシンキナーゼ経路の成員をモデュレートする化合物での処理に対する細胞の応答を予測するものである、プレディクターセット。
- 該ポリペプチドが、
(a)表2に示すポリペプチド;
(b)表2に示す感受性プレディクターポリペプチド;および
(c)表2に示す耐性プレディクターポリペプチド
よりなる群から選ばれる、請求項8に記載のプレディクターセット。 - 該複数のポリペプチドが、
(a)少なくとも約1のポリペプチド;
(b)少なくとも約3のポリペプチド;
(c)少なくとも約5のポリペプチド;
(d)少なくとも約7のポリペプチド;
(e)少なくとも約10のポリペプチド;
(f)少なくとも約15のポリペプチド;
(g)少なくとも約20のポリペプチド;
(h)少なくとも約25のポリペプチド;
(i)少なくとも約30のポリペプチド;
よりなる群から選ばれたポリペプチドの数を含む、請求項9に記載のプレディクターセット。 - 該複数のポリペプチドが、
(a)表3に示すポリペプチド;
(b)表3に示す感受性プレディクターポリペプチド;
(c)表3に示す耐性プレディクターポリペプチド;
(d)表4に示すポリペプチド;
(e)表4に示す感受性プレディクターポリペプチド;
(f)表4に示す耐性プレディクターポリペプチド;
(g)表5に示すポリペプチド;
(h)表5に示す感受性プレディクターポリペプチド;および
(i)表5に示す耐性プレディクターポリペプチド
よりなる群の成員を含む、請求項10に記載のプレディクターセット。 - 該化合物が、
(a)該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに対するアンチセンス試薬;
(b)該ポリペプチドに対する抗体;および
(c)小分子化合物
よりなる群から選ばれる、請求項11に記載のプレディクターセット。 - 該化合物がBMS−Aである、請求項12に記載のプレディクターセット。
- 該細胞が、乳房細胞、および乳癌細胞よりなる群の成員である、請求項8に記載のプレディクターセット。
- ある化合物が細胞の活性をモデュレートすることができるか否かを予測する方法であって、工程:
(a)細胞の試料を得;
(b)該細胞が複数のマーカーを発現するか否かを決定し;ついで
(c)該マーカーの発現を該化合物が該細胞の活性をモデュレートする能力と相関付ける
ことを含む方法。 - 該複数のマーカーがポリヌクレオチドである、請求項15に記載の方法。
- 該ポリヌクレオチドが請求項4に記載のポリヌクレオチドである、請求項16に記載の方法。
- 該化合物が
(a)請求項5に記載の化合物;および
(b)請求項6に記載の化合物
よりなる群の成員である、請求項17に記載の方法。 - 該細胞が、乳房細胞、および乳癌細胞よりなる群の成員である、請求項18に記載の方法。
- 該複数のマーカーがポリペプチドである、請求項15に記載の方法。
- 該ポリペプチドが請求項11に記載のポリペプチドである、請求項20に記載の方法。
- 該化合物が
(a)請求項12に記載の化合物;および
(b)請求項13に記載の化合物
よりなる群の成員である、請求項21に記載の方法。 - 該細胞が、乳房細胞、および乳癌細胞よりなる群の成員である、請求項19に記載の方法。
- その発現レベルが、ある疾患状態と関連する細胞の化合物感受性または耐性と相関関係を有するポリヌクレオチドおよびポリペプチドを同定するための複数の細胞株。
- 該細胞株が乳癌細胞株である、請求項24に記載の複数の細胞株。
- 該細胞株が表1に示す1またはそれ以上の細胞株を含む、請求項25に記載の複数の細胞株。
- ある疾患状態と関連する細胞の化合物感受性または耐性を予測するポリヌクレオチドおよびポリペプチドの同定方法であって、工程:
(a)請求項26に記載の複数の細胞株を1またはそれ以上の化合物に供し;
(b)ポリヌクレオチドまたはポリペプチドのマイクロアレイの発現パターンを分析し;ついで
(c)該マイクロアレイの該発現パターンを用いることにより、ある疾患状態と関連する細胞の感受性または耐性を予測するポリヌクレオチドまたはポリペプチドを選択する
ことを含む方法。 - 該化合物が
(a)請求項5に記載の化合物;および
(b)請求項6に記載の化合物;
(c)請求項12に記載の化合物;および
(d)請求項13に記載の化合物
よりなる群の成員である、請求項24に記載の方法。 - 該疾患が乳癌である、請求項29に記載の方法。
- ある疾患状態の治療を必要とする個体が該治療に首尾よく応答するか応答しないかを予測する方法であって、工程:
(a)該個体から細胞の試料を得;
(b)該細胞が複数のマーカーを発現するか否かを決定し;ついで
(c)該マーカーの発現を該個体が該治療に応答する能力と相関付ける
ことを含む方法。 - 該複数のマーカーがポリヌクレオチドである、請求項30に記載の方法。
- 該ポリヌクレオチドが請求項4に記載のポリヌクレオチドである、請求項31に記載の方法。
- 該化合物が
(a)請求項5に記載の化合物;および
(b)請求項6に記載の化合物
よりなる群の成員である、請求項32に記載の方法。 - 該疾患状態が乳癌である、請求項33に記載の方法。
- 該複数のマーカーがポリペプチドである、請求項30に記載の方法。
- 該ポリペプチドが請求項11に記載のポリペプチドである、請求項35に記載の方法。
- 該化合物が
(a)請求項5に記載の化合物;および
(b)請求項6に記載の化合物
よりなる群の成員である、請求項36に記載の方法。 - 該疾患状態が乳癌である、請求項37に記載の方法。
- プロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドに結合および/またはプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドの活性をモデュレートすることのできる候補化合物のスクリーニング方法であって、工程:
(a)被験化合物を請求項11に記載の化合物と接触させ;ついで
(b)該ポリペプチドに結合および/または該ポリペプチドの活性をモデュレートする被験化合物を候補化合物として選択する
ことを含む方法。 - 患者における乳癌の治療方法であって、1またはそれ以上のプロテインチロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドのモデュレーターを投与することを含み、その際、該ポリペプチドが
(a)表2に示すポリペプチド;
(b)表2に示す感受性プレディクターポリペプチド;
(c)表2に示す耐性プレディクターポリペプチド;
(d)表3に示すポリペプチド;
(e)表3に示す感受性プレディクターポリペプチド;
(f)表3に示す耐性プレディクターポリペプチド;
(g)表4に示すポリペプチド;
(h)表4に示す感受性プレディクターポリペプチド;
(i)表4に示す耐性プレディクターポリペプチド;
(j)表5に示すポリペプチド;および
(k)表5に示す感受性プレディクターポリペプチド
よりなる群から選ばれる、方法。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
US40638502P | 2002-08-27 | 2002-08-27 | |
PCT/US2003/026491 WO2004020583A2 (en) | 2002-08-27 | 2003-08-26 | Polynucleotide predictor set for identifying protein tyrosine kinase modulators |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006515742A true JP2006515742A (ja) | 2006-06-08 |
Family
ID=31978294
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004532963A Pending JP2006515742A (ja) | 2002-08-27 | 2003-08-26 | 乳癌細胞でのプロテインチロシンキナーゼおよび/またはプロテインチロシンキナーゼ経路と相互作用および/またはモデュレートする化合物の活性を予測するためのポリヌクレオチドの同定 |
Country Status (5)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US7504211B2 (ja) |
EP (1) | EP1572957A4 (ja) |
JP (1) | JP2006515742A (ja) |
AU (1) | AU2003278725A1 (ja) |
WO (1) | WO2004020583A2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010514779A (ja) * | 2006-12-29 | 2010-05-06 | ルバンス セラピュティックス インク. | 逆配列hiv−tatポリペプチドを用いる輸送分子 |
JP2010517510A (ja) * | 2007-01-09 | 2010-05-27 | ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー | 前立腺細胞中のタンパク質チロシンキナーゼおよび/またはタンパク質チロシンキナーゼ経路と相互作用しかつ/またはそれを調節する化合物の活性を予測するためのポリヌクレオチドの同定 |
US8993728B2 (en) | 2008-07-16 | 2015-03-31 | Medical And Biological Laboratories Co., Ltd. | Anti-human CLCP1 antibody and use thereof |
Families Citing this family (90)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20060040262A1 (en) * | 2002-12-27 | 2006-02-23 | Morris David W | Novel compositions and methods in cancer |
AU2003276832A1 (en) * | 2002-05-10 | 2004-02-25 | Medimmune, Llc | EphA2 AGONISTIC MONOCLONAL ANTIBODIES AND METHODS OF USE THEREOF |
US20040028685A1 (en) * | 2002-05-10 | 2004-02-12 | Kinch Michael S. | EphA2 monoclonal antibodies and methods of use thereof |
US20050152899A1 (en) * | 2002-05-10 | 2005-07-14 | Kinch Michael S. | EphA2 agonistic monoclonal antibodies and methods of use thereof |
US7537891B2 (en) * | 2002-08-27 | 2009-05-26 | Bristol-Myers Squibb Company | Identification of polynucleotides for predicting activity of compounds that interact with and/or modulate protein tyrosine kinases and/or protein tyrosine kinase pathways in breast cells |
AU2003278725A1 (en) | 2002-08-27 | 2004-03-19 | Bristol-Myers Squibb Company | Polynucleotide predictor set for identifying protein tyrosine kinase modulators |
US20050059592A1 (en) * | 2003-04-11 | 2005-03-17 | Kiener Peter A. | EphA2 and hyperproliferative cell disorders |
EP1681983A4 (en) * | 2003-10-14 | 2008-12-10 | Monogram Biosciences Inc | RECEPTOR TYROSINE KINASE SIGNAL PATH ANALYSIS FOR DIAGNOSIS AND THERAPY |
BR122018071808B8 (pt) | 2003-11-06 | 2020-06-30 | Seattle Genetics Inc | conjugado |
US7872117B2 (en) * | 2004-03-26 | 2011-01-18 | Van Andel Research Institute | c-met siRNA adenovirus vectors inhibit cancer cell growth, invasion and tumorigenicity |
CA2569202A1 (en) * | 2004-05-28 | 2005-12-15 | Board Of Regents, The University Of Texas System | Multigene predictors of response to chemotherapy |
BRPI0510883B8 (pt) | 2004-06-01 | 2021-05-25 | Genentech Inc | composto conjugado de droga e anticorpo, composição farmacêutica, método de fabricação de composto conjugado de droga e anticorpo e usos de uma formulação, de um conjugado de droga e anticorpo e um agente quimioterapêutico e de uma combinação |
US7659374B2 (en) | 2004-08-16 | 2010-02-09 | Medimmune, Llc | Eph receptor Fc variants with enhanced antibody dependent cell-mediated cytotoxicity activity |
RU2412947C2 (ru) | 2004-09-23 | 2011-02-27 | Дженентек, Инк. | Антитела, сконструированные на основе цистеинов, и их конъюгаты |
US20100111856A1 (en) | 2004-09-23 | 2010-05-06 | Herman Gill | Zirconium-radiolabeled, cysteine engineered antibody conjugates |
FR2877013A1 (fr) | 2004-10-27 | 2006-04-28 | Assist Publ Hopitaux De Paris | Indentification d'une mutation de jak2 impliquee dans la polyglobulie de vaquez |
WO2006113679A2 (en) * | 2005-04-15 | 2006-10-26 | Board Of Regents, The University Of Texas System | Delivery of sirna by neutral lipid compositions |
TW200639253A (en) | 2005-02-01 | 2006-11-16 | Alcon Inc | RNAi-mediated inhibition of ocular targets |
CA2608359A1 (en) * | 2005-05-13 | 2006-11-23 | Duke University | Gene expression signatures for oncogenic pathway deregulation |
US20070134688A1 (en) * | 2005-09-09 | 2007-06-14 | The Board Of Regents Of The University Of Texas System | Calculated index of genomic expression of estrogen receptor (er) and er-related genes |
US8007995B2 (en) * | 2005-11-10 | 2011-08-30 | Bristol-Myers Squibb Company | Moesin, caveolin 1 and yes associated protein 1 as predictive markers of response to dasatinib in breast cancers |
JP5570810B2 (ja) * | 2007-08-18 | 2014-08-13 | 学校法人北里研究所 | 大腸癌マーカポリペプチド、及び大腸癌の診断方法 |
IT1392551B1 (it) * | 2008-11-25 | 2012-03-09 | Bioindustry Park Del Canavese S P A | Biomarcatori per la diagnosi e per rilevare la progressione di malattie neurodegenerative, in particolare della sclerosi laterale amiotrofica |
IN2012DN03025A (ja) | 2009-09-09 | 2015-07-31 | Ct Se Llc | |
TWI540136B (zh) | 2010-04-15 | 2016-07-01 | 梅迪繆思有限公司 | 吡咯并苯并二氮呯及其共軛物 |
SG185428A1 (en) | 2010-06-08 | 2012-12-28 | Genentech Inc | Cysteine engineered antibodies and conjugates |
JP5889912B2 (ja) | 2010-11-17 | 2016-03-22 | ジェネンテック, インコーポレイテッド | アラニニルメイタンシノール抗体コンジュゲート |
CN103339509A (zh) | 2011-01-28 | 2013-10-02 | 佰欧迪塞克斯公司 | 针对激素和联合疗法选择转移性乳腺癌病人的预测性测试 |
JP5987053B2 (ja) | 2011-05-12 | 2016-09-06 | ジェネンテック, インコーポレイテッド | フレームワークシグネチャーペプチドを用いて動物サンプルにおける治療抗体を検出するための多重反応モニタリングlc−ms/ms法 |
CN103987407B (zh) | 2011-10-14 | 2016-08-24 | 麦迪穆有限责任公司 | 吡咯并苯并二氮杂卓及其偶联物 |
WO2013130093A1 (en) | 2012-03-02 | 2013-09-06 | Genentech, Inc. | Biomarkers for treatment with anti-tubulin chemotherapeutic compounds |
US9931414B2 (en) | 2012-10-12 | 2018-04-03 | Medimmune Limited | Pyrrolobenzodiazepine-antibody conjugates |
US10695433B2 (en) | 2012-10-12 | 2020-06-30 | Medimmune Limited | Pyrrolobenzodiazepine-antibody conjugates |
SI2906253T1 (sl) | 2012-10-12 | 2018-11-30 | Adc Therapeutics Sa | Konjugati pirolobenzodiazepin-protitelo proti PSMA |
AU2013328628B2 (en) | 2012-10-12 | 2016-12-15 | Adc Therapeutics Sa | Pyrrolobenzodiazepine-anti-CD22 antibody conjugates |
ES2680153T3 (es) | 2012-10-12 | 2018-09-04 | Adc Therapeutics Sa | Conjugados de anticuerpos anti-PSMA-pirrolobenzodiazepinas |
DK2906296T3 (en) | 2012-10-12 | 2018-05-22 | Adc Therapeutics Sa | Pyrrolobenzodiazepine-antibody conjugates |
RS58921B1 (sr) | 2012-10-12 | 2019-08-30 | Medimmune Ltd | Pirolobenzodiazepini i njihovi konjugati |
US9562049B2 (en) | 2012-12-21 | 2017-02-07 | Medimmune Limited | Pyrrolobenzodiazepines and conjugates thereof |
EP2935273A1 (en) | 2012-12-21 | 2015-10-28 | MedImmune Limited | Unsymmetrical pyrrolobenzodiazepines-dimers for use in the treatment of proliferative and autoimmune diseases |
EA027910B1 (ru) | 2013-03-13 | 2017-09-29 | Медимьюн Лимитед | Пирролобензодиазепины и их конъюгаты |
KR102066318B1 (ko) | 2013-03-13 | 2020-01-14 | 메디뮨 리미티드 | 피롤로벤조디아제핀 및 그의 컨쥬게이트 |
MX362970B (es) | 2013-03-13 | 2019-02-28 | Medimmune Ltd | Pirrolobenzodiazepinas y conjugados de las mismas. |
WO2014176259A1 (en) | 2013-04-22 | 2014-10-30 | Icahn School Of Medicine At Mount Sinai | Mutations in pdgfrb and notch3 as causes of autosomal dominant infantile myofibromatosis |
WO2015023355A1 (en) | 2013-08-12 | 2015-02-19 | Genentech, Inc. | 1-(chloromethyl)-2,3-dihydro-1h-benzo[e]indole dimer antibody-drug conjugate compounds, and methods of use and treatment |
GB201317982D0 (en) | 2013-10-11 | 2013-11-27 | Spirogen Sarl | Pyrrolobenzodiazepines and conjugates thereof |
US10010624B2 (en) | 2013-10-11 | 2018-07-03 | Medimmune Limited | Pyrrolobenzodiazepine-antibody conjugates |
US9956299B2 (en) | 2013-10-11 | 2018-05-01 | Medimmune Limited | Pyrrolobenzodiazepine—antibody conjugates |
EP3054985B1 (en) | 2013-10-11 | 2018-12-26 | Medimmune Limited | Pyrrolobenzodiazepine-antibody conjugates |
WO2015095223A2 (en) | 2013-12-16 | 2015-06-25 | Genentech, Inc. | Peptidomimetic compounds and antibody-drug conjugates thereof |
CA2929565A1 (en) | 2013-12-16 | 2015-06-25 | Genentech, Inc. | 1-(chloromethyl)-2,3-dihydro-1h-benzo[e]indole dimer antibody-drug conjugate compounds, and methods of use and treatment |
CR20160271A (es) | 2013-12-16 | 2016-12-02 | Genentech Inc | Compuestos peptidométicos y sus conjugados de anticuerpo-fármaco |
GB2524519B (en) * | 2014-03-25 | 2019-11-06 | Pelago Bioscience AB | Methods for identifying a biomarker indicative of a reduced drug response using a thermal shift assay |
WO2016037644A1 (en) | 2014-09-10 | 2016-03-17 | Medimmune Limited | Pyrrolobenzodiazepines and conjugates thereof |
CN106714844B (zh) | 2014-09-12 | 2022-08-05 | 基因泰克公司 | 蒽环类二硫化物中间体、抗体-药物缀合物和方法 |
GB201416112D0 (en) | 2014-09-12 | 2014-10-29 | Medimmune Ltd | Pyrrolobenzodiazepines and conjugates thereof |
SG11201701128YA (en) | 2014-09-12 | 2017-03-30 | Genentech Inc | Cysteine engineered antibodies and conjugates |
JP2017533887A (ja) | 2014-09-17 | 2017-11-16 | ジェネンテック, インコーポレイテッド | ピロロベンゾジアゼピン類及びその抗体ジスルフィドコンジュゲート |
BR112017011111A2 (pt) | 2014-11-25 | 2017-12-26 | Adc Therapeutics Sa | conjugados de pirrolobenzodiazepina-anticorpo |
EP3226909A1 (en) | 2014-12-03 | 2017-10-11 | Genentech, Inc. | Quaternary amine compounds and antibody-drug conjugates thereof |
GB201506402D0 (en) | 2015-04-15 | 2015-05-27 | Berkel Patricius H C Van And Howard Philip W | Site-specific antibody-drug conjugates |
GB201506411D0 (en) | 2015-04-15 | 2015-05-27 | Bergenbio As | Humanized anti-axl antibodies |
MA43345A (fr) | 2015-10-02 | 2018-08-08 | Hoffmann La Roche | Conjugués anticorps-médicaments de pyrrolobenzodiazépine et méthodes d'utilisation |
MA43354A (fr) | 2015-10-16 | 2018-08-22 | Genentech Inc | Conjugués médicamenteux à pont disulfure encombré |
MA45326A (fr) | 2015-10-20 | 2018-08-29 | Genentech Inc | Conjugués calichéamicine-anticorps-médicament et procédés d'utilisation |
GB201601431D0 (en) | 2016-01-26 | 2016-03-09 | Medimmune Ltd | Pyrrolobenzodiazepines |
GB201602359D0 (en) | 2016-02-10 | 2016-03-23 | Medimmune Ltd | Pyrrolobenzodiazepine Conjugates |
GB201602356D0 (en) | 2016-02-10 | 2016-03-23 | Medimmune Ltd | Pyrrolobenzodiazepine Conjugates |
CN108700598A (zh) | 2016-03-25 | 2018-10-23 | 豪夫迈·罗氏有限公司 | 多路总抗体和抗体缀合的药物量化测定法 |
GB201607478D0 (en) | 2016-04-29 | 2016-06-15 | Medimmune Ltd | Pyrrolobenzodiazepine Conjugates |
JP2019522633A (ja) | 2016-05-20 | 2019-08-15 | ジェネンテック, インコーポレイテッド | Protac抗体コンジュゲート及び使用方法 |
WO2017205741A1 (en) | 2016-05-27 | 2017-11-30 | Genentech, Inc. | Bioanalytical method for the characterization of site-specific antibody-drug conjugates |
EP3464280B1 (en) | 2016-06-06 | 2021-10-06 | F. Hoffmann-La Roche AG | Silvestrol antibody-drug conjugates and methods of use |
WO2018031662A1 (en) | 2016-08-11 | 2018-02-15 | Genentech, Inc. | Pyrrolobenzodiazepine prodrugs and antibody conjugates thereof |
JP7050770B2 (ja) | 2016-10-05 | 2022-04-08 | エフ・ホフマン-ラ・ロシュ・アクチェンゲゼルシャフト | 抗体薬物コンジュゲートの調製方法 |
GB201617466D0 (en) | 2016-10-14 | 2016-11-30 | Medimmune Ltd | Pyrrolobenzodiazepine conjugates |
GB201702031D0 (en) | 2017-02-08 | 2017-03-22 | Medlmmune Ltd | Pyrrolobenzodiazepine-antibody conjugates |
US11160872B2 (en) | 2017-02-08 | 2021-11-02 | Adc Therapeutics Sa | Pyrrolobenzodiazepine-antibody conjugates |
JP2020517609A (ja) | 2017-04-18 | 2020-06-18 | メディミューン リミテッド | ピロロベンゾジアゼピン複合体 |
KR20190141666A (ko) | 2017-04-20 | 2019-12-24 | 에이디씨 테라퓨틱스 에스에이 | 항-axl 항체-약물 접합체로의 병용 요법 |
MX2019015042A (es) | 2017-06-14 | 2020-08-06 | Adc Therapeutics Sa | Regimen de dosificacion. |
CN111065638B (zh) | 2017-08-18 | 2021-04-09 | 麦迪穆有限责任公司 | 吡咯并苯并二氮杂䓬缀合物 |
BR112020004307A2 (pt) | 2017-09-20 | 2020-11-10 | Ph Pharma Co., Ltd. | análogos de tailanestatina |
GB201803342D0 (en) | 2018-03-01 | 2018-04-18 | Medimmune Ltd | Methods |
GB201806022D0 (en) | 2018-04-12 | 2018-05-30 | Medimmune Ltd | Pyrrolobenzodiazepines and conjugates thereof |
GB201814281D0 (en) | 2018-09-03 | 2018-10-17 | Femtogenix Ltd | Cytotoxic agents |
CN113056287A (zh) | 2018-10-24 | 2021-06-29 | 豪夫迈·罗氏有限公司 | 缀合的化学降解诱导剂及使用方法 |
WO2020123275A1 (en) | 2018-12-10 | 2020-06-18 | Genentech, Inc. | Photocrosslinking peptides for site specific conjugation to fc-containing proteins |
GB201901197D0 (en) | 2019-01-29 | 2019-03-20 | Femtogenix Ltd | G-A Crosslinking cytotoxic agents |
GB2597532A (en) | 2020-07-28 | 2022-02-02 | Femtogenix Ltd | Cytotoxic compounds |
Family Cites Families (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5569588A (en) | 1995-08-09 | 1996-10-29 | The Regents Of The University Of California | Methods for drug screening |
EP2308833A3 (en) | 1999-04-15 | 2011-09-28 | Bristol-Myers Squibb Company | Cyclic protein tyrosine kinase inhibitors |
US7125875B2 (en) | 1999-04-15 | 2006-10-24 | Bristol-Myers Squibb Company | Cyclic protein tyrosine kinase inhibitors |
GB0031080D0 (en) | 2000-12-20 | 2001-01-31 | Novartis Ag | Organic compounds |
US6949342B2 (en) | 2001-12-21 | 2005-09-27 | Whitehead Institute For Biomedical Research | Prostate cancer diagnosis and outcome prediction by expression analysis |
WO2003062395A2 (en) * | 2002-01-18 | 2003-07-31 | Bristol-Myers Squibb Company | Predictor sets for tyrosine kinase pathways |
AU2003278725A1 (en) | 2002-08-27 | 2004-03-19 | Bristol-Myers Squibb Company | Polynucleotide predictor set for identifying protein tyrosine kinase modulators |
DK1641810T4 (en) | 2003-06-24 | 2017-07-03 | Genomic Health Inc | Predicting the likelihood of cancer recurrence |
US20060019284A1 (en) | 2004-06-30 | 2006-01-26 | Fei Huang | Identification of polynucleotides for predicting activity of compounds that interact with and/or modulate protein tyrosine kinases and/or protein tyrosine kinase pathways in lung cancer cells |
US8007995B2 (en) | 2005-11-10 | 2011-08-30 | Bristol-Myers Squibb Company | Moesin, caveolin 1 and yes associated protein 1 as predictive markers of response to dasatinib in breast cancers |
-
2003
- 2003-08-26 AU AU2003278725A patent/AU2003278725A1/en not_active Abandoned
- 2003-08-26 US US10/648,593 patent/US7504211B2/en not_active Expired - Fee Related
- 2003-08-26 JP JP2004532963A patent/JP2006515742A/ja active Pending
- 2003-08-26 WO PCT/US2003/026491 patent/WO2004020583A2/en active Search and Examination
- 2003-08-26 EP EP03770252A patent/EP1572957A4/en not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010514779A (ja) * | 2006-12-29 | 2010-05-06 | ルバンス セラピュティックス インク. | 逆配列hiv−tatポリペプチドを用いる輸送分子 |
JP2010517510A (ja) * | 2007-01-09 | 2010-05-27 | ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー | 前立腺細胞中のタンパク質チロシンキナーゼおよび/またはタンパク質チロシンキナーゼ経路と相互作用しかつ/またはそれを調節する化合物の活性を予測するためのポリヌクレオチドの同定 |
US8993728B2 (en) | 2008-07-16 | 2015-03-31 | Medical And Biological Laboratories Co., Ltd. | Anti-human CLCP1 antibody and use thereof |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
EP1572957A2 (en) | 2005-09-14 |
US20040106132A1 (en) | 2004-06-03 |
WO2004020583A3 (en) | 2006-03-02 |
WO2004020583A8 (en) | 2005-04-28 |
AU2003278725A8 (en) | 2004-03-19 |
WO2004020583A2 (en) | 2004-03-11 |
AU2003278725A1 (en) | 2004-03-19 |
EP1572957A4 (en) | 2007-10-10 |
US7504211B2 (en) | 2009-03-17 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2006515742A (ja) | 乳癌細胞でのプロテインチロシンキナーゼおよび/またはプロテインチロシンキナーゼ経路と相互作用および/またはモデュレートする化合物の活性を予測するためのポリヌクレオチドの同定 | |
JP2008504843A (ja) | 肺癌細胞でのプロテインチロシンキナーゼおよび/またはプロテインチロシンキナーゼ経路と相互作用および/またはモデュレートする化合物の活性を予測するためのポリヌクレオチドの同定 | |
US7537891B2 (en) | Identification of polynucleotides for predicting activity of compounds that interact with and/or modulate protein tyrosine kinases and/or protein tyrosine kinase pathways in breast cells | |
US20100120788A1 (en) | Identification of polynucleotides for predicting activity of compounds that interact with and/or modulate protein tyrosine kinases and/or protein tyrosine kinase pathways in prostate cells | |
US20070166704A1 (en) | Identification of polynucleotides and polypeptide for predicting activity of compounds that interact with protein tyrosine kinases and/or protein tyrosine kinase pathways | |
US7011947B2 (en) | MLL translocations specify a distinct gene expression profile, distinguishing a unique leukemia | |
CA2757680C (en) | Therapeutic agents for the treatment of diseases associated with undesired cell proliferation | |
JP2007520995A (ja) | 上皮増殖因子受容体モデュレーターに対する感受性を決定するためのバイオマーカーおよび方法 | |
EP1583820A2 (en) | Polynucleotides and polypeptides associated with the nf-kb pathway | |
JP2005512510A (ja) | 予後および治療標的として乳癌で発現される遺伝子 | |
KR20090117898A (ko) | 염증성 장 질환의 검출 방법 | |
JP2017523776A (ja) | 膠芽腫の診断方法及びその治療用組成物 | |
US20210032334A1 (en) | Methods for treating cancer using combinations of anti-btnl2 and immune checkpoint blockade agents | |
US20030087865A1 (en) | Leukemogenic transcription factors | |
JP2006524497A (ja) | 骨関節炎のための高処理量機能的ゲノムスクリーニング法 | |
JP2006502722A (ja) | 薬物処置の副作用としての浮腫を予測する方法 | |
US20160187340A1 (en) | Compositions, Kits, and Methods for the Modulation of Immune Responses Using Galectin-1 | |
JP2006524803A (ja) | カルシウムタンパク質の測定に基づく骨転移の発生見込みの評価方法 | |
CN113498341A (zh) | 使用多靶点激酶抑制剂结合蛋白激酶生物标志物的癌症治疗 | |
KR102202120B1 (ko) | 알츠하이머 질환의 진단 또는 치료를 위한 Ube2h의 용도 | |
US20220211848A1 (en) | Modulating gabarap to modulate immunogenic cell death | |
JP2005224188A (ja) | 骨代謝異常疾患に関連した転写因子に制御される遺伝子の選抜法とその利用 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20060307 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20081216 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20090519 |