本明細書において、より詳細に後述するとおり、天然に生じる鎖間システインアミノ酸の全てが非チオールアミノ酸により置換されている遺伝子操作抗体が提供される。このような抗体は、「鎖間システインを欠く抗体」と称する。天然鎖間システインが置換されているモノクローナル抗体は、「FlexiMab」と称し、天然鎖間システイン抗体がアミノ酸バリンにより置換されているモノクローナル抗体は、本明細書において「mAb−Val」と称する。本明細書において、より詳細に後述するとおり、選択された鎖中アミノ酸がシステインにより置換されている鎖間システインを欠く抗体も提供される。
抗体は巨大な複合および構造的に多様な生体分子であり、多くの反応性官能基を有することが多い。これらのリンカー試薬および薬物リンカー中間体との反応性は、pH、濃度、塩濃度、および共溶媒などの要因に依存する。さらに、多工程コンジュゲーションプロセスは、反応条件の制御ならびに反応物質および中間体の特徴づけの困難性に起因して非再現性であり得る。
異種分子を抗体に付着させる方法は公知である。分子は、検出可能な標識であることもあり、薬物であることもある。異種部分を抗体に付着させる、すなわち、共有結合を介して結合させる慣用の手段は、一般に、異種部分が抗体上の多数の部位において付着している分子の不均一混合物をもたらす。例えば、細胞傷害性薬物は、典型的には、抗体の多数であることが多いリジンまたはシステイン残基を介して抗体にコンジュゲートしており、不均一な抗体−薬物コンジュゲート混合物を生成する。
反応条件に応じて、コンジュゲーション反応から得られる混合物は、典型的には、0から約8つ以上の付着した異種部分を有する抗体の分布を含有する。さらに、薬物部分と抗体との特定の整数比を有するコンジュゲートのそれぞれの下位群内に、異種部分が抗体上の種々の部位において付着している潜在的に不均一な混合物が存在する。全ての天然に生じる鎖間システインアミノ酸を欠く本明細書に記載の抗体は、異種部分が結合し得る部位の数を低減させ、それにより生成混合物の不均一性を低減させる。反応生成物間の不均一性の低減は、有利には、診断および治療用途のためのより均一で使用可能な生成物をもたらし得る。より大きい均一性は、治療または診断剤の構造におけるより大きい確実性をもたらし得る。
プロトン化されたおよびpH7付近でそれほど求核性ではないほとんどのアミンとは異なり、システインチオールは、中性pHで反応性である。フリーチオール(R−SH、スルフヒドリル)基は、比較的反応性であるため、システイン残基を有するタンパク質は、ジスルフィド結合オリゴマーとしてそれらの酸化形態で存在し、または内部架橋ジスルフィド基を有することが多い。タンパク質中のフリーチオールの量は、標準的なEllmanアッセイにより推定することができる。IgMは、ジスルフィド結合ペンタマーの一例である一方、IgGは、サブユニットを一緒に結合させる内部ジスルフィド架橋を有するタンパク質の一例である。タンパク質、例えばこのタンパク質において、試薬、例えばジチオトレイトール(DTT)またはセレノールによるジスルフィド結合の還元が、反応性フリーチオールを生成するために要求される。このアプローチは、抗体三元構造および抗原結合特異性の損失をもたらし得る。ある実施形態において、鎖間システインアミノ酸を欠く抗体は、1つ以上の遺伝子操作システインを含み得、その後者は異種部分にコンジュゲートされていてよい。
用語
本明細書に提供される方法は、規定の組成物またはプロセス工程に限定されないことが多く、例えば変動し得る。また、本明細書において使用される単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が特に明確に示さない限り複数の指示対象を含む。
アミノ酸は、本明細書において、IUPAC−IUB Biochemical Nomenclature Commissionにより推奨される一般に公知の3文字記号または1文字記号により称されることが多い。同様に、ヌクレオチドも一般に許容される1文字コードにより称されることが多い。
抗体の可変ドメイン、相補性決定領域(CDR)およびフレームワーク領域(FR)中のアミノ酸のナンバリングは、特に指定のない限り、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD.(1991)において説明されるKabat定義に従う。このナンバリング体系を使用すると、実際の直鎖アミノ酸配列は、可変ドメインのFRまたはCDRの短縮またはそれへの挿入に対応するより少ないまたは追加のアミノ酸を含有し得る。例えば、重鎖可変ドメインは、H2の残基52後の単一アミノ酸挿入(Kabatによる残基52a)および重鎖FR残基82後の挿入残基(例えば、Kabatによる残基82a、82b、および82cなど)を含み得る。残基のKabatナンバリングは、「標準的」Kabatナンバリング配列との抗体の配列の相同性の領域におけるアラインメントにより所与の抗体について決定することができる。フレームワーク残基の最大アラインメントは、Fv領域に使用するためにナンバリング体系中の「スペーサー」残基の挿入を要求することが多い。さらに、任意の所与のKabat部位番号におけるある個々の残基の同一性は、種間またはアレル多様性に起因して抗体鎖間で変動し得る。
抗体
抗体は、特異的抗原に結合する免疫学的タンパク質である。ほとんどの哺乳動物、例としてヒトおよびマウスにおいて、抗体が重および軽ポリペプチド鎖のペアから構築される。それぞれの鎖は、可変(Fv)および定常(Fc)領域と称される2つの区別される領域から構成される。軽鎖および重鎖Fv領域は、分子の抗原結合決定基を含有し、標的抗原の結合を担う。Fc領域は、抗体のクラス(またはアイソタイプ)(例えば、IgG)を定義し、重要な生化学的イベントを誘発するための多数の天然タンパク質の結合を担う。
それぞれの軽鎖は、1つの共有ジスルフィド結合により重鎖に結合している一方、ジスルフィド結合の数は、異なる免疫グロブリンアイソタイプの重鎖間で変動する。それぞれの重鎖および軽鎖は、規則的に間隔の空いた鎖間ジスルフィド架橋も有する。2つの軽鎖−重鎖ダイマーは、重鎖間のジスルフィド架橋を介して結合しており、Y形状分子を形成する。Yのアームがステムに接触する領域はヒンジ領域と呼ばれ、いくらかのフレキシビリティを示す。
それぞれの鎖は、抗体クラスを代表する定常領域およびそれぞれの抗体に特異的な可変領域を含む。定常領域は、抗原を破壊するために使用される機構を決定する。抗体は、それらの定常領域構造および免疫機能に基づき5つの主要なクラス、IgM、IgG、IgA、IgD、およびIgEに分類される。軽鎖および重鎖の両方の可変および定常領域は、ドメインと呼ばれる機能ユニットに構造的に折りたたまれている。それぞれの軽鎖は、一端部における1つの可変ドメイン(VL)およびその他端部における1つの定常ドメイン(CL)からなる。それぞれの重鎖は、一端部において可変ドメイン(VH)に続く3または4つの定常ドメイン(CH1、CH2、CH3、CH4)を有する。
Yのアームは、抗原に結合し、Fab(断片、抗原結合)領域と呼ばれる部位を含有する。これは、抗体のそれぞれの重鎖および軽鎖からの1つの定常ドメインおよび1つの可変ドメインから構成される。軽鎖の定常ドメインは重鎖の第1の定常ドメインと協調しており、軽鎖可変ドメインは重鎖の可変ドメインと協調している。軽鎖は、軽鎖定常領域のアミノ酸配列に基づきラムダ鎖またはカッパ鎖として分類される。カッパ軽鎖の可変ドメインは、本明細書においてVKと示すこともできる。
抗体のFc領域は、多数のリガンド、例としてFc受容体および他のリガンドと相互作用し、エフェクター機能と称される一連の重要な機能的能力を付与する。IgGクラスのFc受容体の重要なファミリーは、Fcガンマ受容体(FcγR)である。これらの受容体は、抗体および免疫系の細胞アームの間のコミュニケーションを媒介する。ヒトにおいて、このタンパク質ファミリーには、FcγRI(CID64)、例として、アイソフォームFcγRIA、FcγRIB、およびFcγRIC;FcγRII(CD32)、例として、アイソフォームFcγRIIA、FcγRIIB、およびFcγRIIC;ならびにFcγRIII(CD16)、例として、アイソフォームFcγRIIIAおよびFcγRIIIBが含まれる。これらの受容体は、典型的には、Fcへの結合を媒介する細胞外ドメイン、膜貫通領域、および細胞内の一部のシグナリングイベントを媒介し得る細胞内ドメインを有する。これらの異なるFcγRサブタイプは、異なる細胞型上で発現される。例えば、ヒトにおいては、FcγRIIIBは、好中球上にのみ見出される一方、FcγRIIIAはマクロファージ、単球、ナチュラルキラー(NK)細胞、およびT細胞のサブ集団上に見出される。
Fc/FcγR複合体の形成は、エフェクター細胞を結合した抗原の部位にリクルートし、典型的には、細胞内のシグナリングイベントならびにその後の重要な免疫応答、例えば、炎症メディエーターの放出、B細胞活性化、エンドサイトーシス、食作用、および細胞傷害性攻撃をもたらす。細胞傷害性および食作用性エフェクター機能を媒介する能力は、抗体が標的化された細胞を破壊する潜在的な機構である。FcγRを発現する非特異的細胞傷害性細胞が、標的細胞上の結合した抗体を認識し、続いて標的細胞の溶解を引き起こす細胞媒介性反応は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)と称される。ADCCを媒介するための一次細胞であるNK細胞はFcγRIIIAのみを発現する一方、単球はFcγRI、FcγRIIおよびFcγRIIIを発現する。
別の重要なFcリガンドは、補体タンパク質C1qである。C1qへのFc結合は、補体依存性細胞傷害(CDC)と呼ばれるプロセスを媒介する。C1qは6つの抗体に結合し得るが、補体カスケードを活性化するためには2つのIgGへの結合で十分である。C1qは、C1rおよびC1sセリンプロテアーゼと複合体を形成して補体経路のC1複合体を形成する。
抗体のいくつかの重要な特徴、例として、限定されるものではないが、標的についての特異性、免疫エフェクター機構を媒介する能力、および血清中の長い半減期により、抗体および関連する免疫グロブリン分子は強力な治療剤になる。抗体が腫瘍細胞を破壊する多数の可能性のある機構、例として、必要とされる成長経路の遮断を介する抗増殖、アポトーシスをもたらす細胞内シグナリング、下方調節および/もしくは受容体のターンオーバーの向上、ADCC、CDC、ならびに適応的免疫応答の促進が存在する。
本明細書において使用される用語「抗体」は、免疫グロブリンとしても公知であり、モノクローナル抗体(例として、完全長モノクローナル抗体)、ポリクローナル抗体、少なくとも2つの異なるエピトープ結合断片から形成される多重特異的抗体(例えば、二重特異性抗体)、ヒト抗体、ヒト化抗体、ラクダ化抗体、キメラ抗体、単鎖Fv(scFv)、単鎖抗体、シングルドメイン抗体、ドメイン抗体を包含する。抗体の断片には、Fab断片、F(ab’)2断片、所望の生物学的活性を示す抗体断片(例えば抗原結合部分)、ジスルフィド結合したFv(dsFv)、および抗イディオタイプ(抗−Id)抗体(例として、例えば、本明細書に提供される抗体に対する抗Id抗体を含む)、細胞内抗体、および上記のいずれかのエピトープ結合断片を包含する。特に、抗体には、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的活性断片、すなわち、少なくとも1つの抗原結合部位を含有する分子が含まれる。免疫グロブリン分子は、任意のアイソタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、サブアイソタイプ(例えば、IgGl、IgG2、IgG3、IgG4、IgAlおよびIgA2)またはアロタイプ(例えば、Gm、例えば、G1m(f、z、aまたはx)、G2m(n)、G3m(g、b、またはc)、Am、Em、およびKm(1、2または3))のものであり得る。抗体は、任意の哺乳動物、例として、限定されるものではないが、ヒト、サル、ブタ、ウマ、ウサギ、イヌ、ネコ、マウスなど、または他の動物、例えばまたは鳥類(例えばニワトリ)に由来するものであり得る。特定の抗体または抗体断片がFexiMab(例えば、scFV)において置換されている残基を欠く場合、その抗体または抗体断片はFexiMabフォーマットの抗体のFcまたは他の一部に融合していてよい。
本明細書に提供される抗体には、完全長またはインタクト抗体、抗体断片、天然配列抗体またはアミノ酸変異体、ヒト、ヒト化、翻訳後修飾、キメラまたは融合抗体、免疫コンジュゲート、およびそれらの機能性断片が含まれる。抗体は、Fc領域において改変されていてよく、ある改変は、所望のエフェクター機能または血清半減期を提供し得る。以下のセクションにより詳細に考察されるとおり、適切なFc領域を用いると、細胞表面上に結合している裸抗体は、例えば、抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)を介して、または補体依存性細胞傷害(CDC)において補体をリクルートすることにより、もしくは標的細胞上の結合抗体を認識し、続いて抗体依存性細胞媒介性食作用(ADCP)もしくは一部の他の機構における標的細胞の食作用を引き起こす1つ以上のエフェクターリガンドを発現する非特異的細胞傷害性細胞をリクルートすることにより細胞傷害を誘導し得る。エフェクター機能を排除しまたは低減させて副作用または治療合併症を最小化することが望まれる場合、ある他のFc領域を使用することができる。抗体のFc領域を修飾してFcRnについての結合親和性を増加させ、したがって血清半減期を増加させることができる。あるいは、Fc領域をPEGまたはアルブミンにコンジュゲートさせて血清半減期を増加させ、または所望の効果をもたらす他のコンジュゲーションが可能である。
ある実施形態において、本明細書における抗体は、単離および/または精製された、および/または発熱物質不含の抗体である。本明細書において使用される用語「精製された」は、天然環境の構成成分から同定、分離および/または回収された目的の分子を指す。したがって、一部の実施形態において、提供される抗体は、その天然環境の1つ以上の構成成分から分離された精製された抗体である。本明細書において使用される用語「単離された抗体」は、異なる構造または抗原特異性を有する他の抗体分子を実質的に含まない抗体を指す。二重または多重特異的抗体分子は、他の抗体分子を実質的に含まない単離された抗体である。したがって、一部の実施形態において、提供される抗体は、異なる特異性を有する抗体から分離された単離された抗体である。単離された抗体は、モノクローナル抗体であり得る。しかしながら、標的のエピトープ、アイソフォームまたは変異体に特異的に結合する単離された抗体は、例えば、他の種からの他の関連抗原(例えば、種相同体)に対する交差反応性を有し得る。提供される単離された抗体は、1つ以上の他の細胞材料を実質的に含まないものであり得る。一部の実施形態において、「単離された」モノクローナル抗体の組合せが提供され、その組合せは異なる特異性を有する抗体に関し、規定された組成物中で組み合わせられる。抗体の生成および精製/単離方法は、本明細書に別に記載する。
提供される単離された抗体は、任意の好適なポリヌクレオチドによりコードされ得る本明細書に開示される抗体アミノ酸配列を含む。単離された抗体は、製剤化形態で提供されることもある。一部の実施形態において、抗体はタンパク質に結合し、それによりタンパク質の少なくとも1つの生物学的活性、例えば細胞増殖活性を部分的または実質的に変化させる。
ヒト化抗体
ヒト化抗体は、所定の抗原に結合し得、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を実質的に有するフレームワーク領域および非ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を実質的に有するCDRを含む抗体またはその変異体またはその断片である。ヒト化抗体は、CDR領域の全てまたは実質的に全てが非ヒト免疫グロブリン(すなわち、ドナー抗体)のものに対応し、フレームワーク領域の全てまたは実質的に全てがヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含む。ヒト化抗体は、典型的には、ヒト免疫グロブリンの、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部も含み得る。抗体は、軽鎖および重鎖の少なくとも可変ドメインの両方を含有し得る。抗体は、重鎖のCH1、ヒンジ、CH2、CH3、およびCH4領域も含み得る。
ヒト化抗体は、免疫グロブリンの任意のクラス、例としてIgM、IgG、IgD、IgAおよびIgE、ならびに任意のアイソタイプ、例としてIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4から選択することができる。通常、定常ドメインは、ヒト化抗体が細胞傷害活性を示し、そのクラスが典型的にはIgG1であることが望ましい補体固定定常ドメインである。このような細胞傷害活性が望まれない場合、定常ドメインはIgG2クラスのものであり得る。ヒト化抗体は、2つ以上のクラスまたはアイソタイプからの配列を含み得、所望のエフェクター機能を最適化するための特定の定常ドメインの選択は当分野における通常の技術の範囲内である。ヒト化抗体のフレームワークおよびCDR領域は、親配列に正確に対応する必要はなく、例えばドナーCDRまたはコンセンサスフレームワークは、その部位におけるCDRまたはフレームワーク残基がコンセンサス抗体にもインポート抗体にも対応しないように少なくとも1つの残基の置換、挿入または欠失により突然変異させることができる。しかしながら、このような突然変異は、広範囲でなくてよい。ヒト化抗体残基の少なくとも75%が、親フレームワーク領域(FR)およびCDR配列のものに対応し得、対応性は、例えば、90%以上または95%以上であることもある。
ヒト化は、当分野において公知の方法に従って、超可変領域配列をヒト抗体の対応する配列について置換することにより本質的に実施することができる。具体的には、ヒト化抗体は、当分野において公知の方法、例としてCDRグラフティングアプローチ、ベニアリング(veneering)またはリサーフェシング(resurfacing)、鎖シャフリング戦略、分子モデリング戦略などにより調製することができる。これらの一般的アプローチは、標準的な突然変異導入および組換え合成技術と組み合わせて所望の特性を有する本明細書における抗体を生成することができる。
CDRグラフティングは、アクセプター抗体(例えば、ヒト抗体)の1つ以上のCDRを、ドナー抗体(例えば、非ヒト抗体)の1つ以上のCDRにより置き換えることにより実施する。アクセプター抗体は、候補アクセプター抗体およびドナー抗体の間のフレームワーク残基の類似性に基づき選択することができ、さらに修飾して類似残基を導入することができる。CDRグラフティング後、追加の変更をドナーおよび/またはアクセプター配列において行って抗体結合および機能性を最適化することができる。
短縮CDR領域のグラフティングは、関連アプローチである。短縮CDR領域は、特異性決定残基および隣接アミノ酸、例として軽鎖の位置27d〜34、50〜55および89〜96におけるもの、ならびに重鎖の位置31〜35b、50〜58、および95〜101におけるものを含む。特異性決定残基(SDR)のグラフティングは、抗体結合部位の結合特異性および親和性がCDR領域のそれぞれの範囲内の最も高度な可変残基により決定されるという理解を前提とする。利用可能なアミノ酸配列データの分析と組み合わせた抗体−抗原複合体の三次元構造の分析を使用してCDR内のそれぞれの位置において生じるアミノ酸残基の構造相違性に基づき配列可変性をモデリングした。SDRと称される接触残基からなる最少免疫原性ポリペプチド配列を同定し、ヒトフレームワーク領域上にグラフティングする。
ベニアリングまたはリサーフェシングは、ヒトアミノ酸配列による抗体の溶媒接近可能な外部のリサーフェシングにより齧歯類または他の非ヒト抗体における潜在的に免疫原性のアミノ酸配列を低減させる概念に基づく。したがって、ベニアリングされた抗体は、ヒト細胞とはそれほど異質でないと考えられる。非ヒト抗体は、(1)ヒト抗体のフレームワーク領域中の同一位置のものと異なる非ヒト抗体中の曝露された外部フレームワーク領域残基を同定し、(2)同定された残基を典型的には非ヒト抗体中のそれらの同一位置を占有するアミノ酸により置き換えることによりベニアリングする。
定義により、ヒト化抗体はキメラ抗体である。キメラ抗体は、重鎖および/または軽鎖の一部が特定種に由来する抗体または特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一または相同性である一方、鎖の別の一部は、別の種に由来する抗体または別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一または相同性である抗体、およびそのような抗体の断片(それらが所望の生物学的活性を示す限り)である。本明細書における目的のキメラ抗体には、非ヒト霊長類(例えば、旧世界ザル、例えばヒヒ、アカゲザルまたはカニクイザル)に由来する可変ドメイン抗原結合配列およびヒト定常領域配列を含む「霊長類化された」抗体が含まれる。
本明細書において、当分野において公知の技術を使用して抗イディオタイプ抗体を生成するために利用することができる遺伝子操作抗体が提供される。本明細書において、本明細書における抗体またはその断片をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドの使用を用いる方法も提供される。さらに、FcRn結合ポリペプチドの生理学的活性分子中への導入により、または生理学的活性分子と、FcRn結合親和性が保存されているが他のFc受容体についての親和性が顕著に低減している抗体との融合により、または抗体のFcRn結合ドメインとの融合により半減期が改変された生理学的活性分子を得る種々の方法は、当分野において公知である。生理学的活性分子の半減期を増加させる具体的な技術および方法は、当分野においてさらに公知である。具体的には、本明細書における抗体は、アミノ酸残基突然変異(KabatにおけるEUインデックスによりナンバリング)M252Y/S254T/T256EまたはH433K/N434F/Y436Hを含むFc領域を含むことが企図される。
ヒト抗体
一部の使用、例としてヒトにおける抗体のインビボ使用およびインビトロ検出アッセイのため、ヒトまたはキメラ抗体を使用することが適切であり得る。完全ヒト抗体は、ヒト対象の治療的処置に望ましいことがある。ヒト抗体は、当分野において公知の種々の方法、例としてヒト免疫グロブリン配列に由来する抗体ライブラリーを使用する下記のファージディスプレイ法により作製することができる。
ヒト抗体は、機能性内因性免疫グロブリンを発現し得ないが、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現し得るトランスジェニックマウスを使用して生成することもできる。例えば、ヒト重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子複合体は、マウス胚性幹細胞中にランダムにまたは相同組換えにより導入することができる。あるいは、ヒト可変領域、定常領域、および多様性領域は、ヒト重鎖および軽鎖遺伝子に加えてマウス胚性幹細胞中に導入することができる。マウス重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子は、相同組換えによるヒト免疫グロブリン遺伝子座の導入と別個にまたは同時に非機能的とすることができる。特に、JH領域のホモ接合体欠失は、内因性抗体生成を妨げる。改変された胚性幹細胞を拡張させ、胚盤胞中に微量注入してキメラマウスを生成する。次いで、キメラマウスを交配させてヒト抗体を発現するホモ接合体子孫を生成する。トランスジェニックマウスを選択された抗原、例えば、本明細書における抗体のポリペプチドの全てまたは一部により通常の様式で免疫化する。
抗原に対して指向されたモノクローナル抗体は、慣用のハイブリドーマ技術を使用して免疫化されたトランスジェニックマウスから得ることができる。トランスジェニックマウスにより保有されるヒト免疫グロブリントランス遺伝子は、B細胞分化の間に再構成し、続いてクラススイッチおよび体細胞突然変異を受ける。したがって、このような技術を使用すると、治療的に有用なIgG、IgA、IgMおよびIgE抗体を生成することが可能である。さらに、Medarex(Princeton,NJ)などの会社は、選択された抗原に対して指向されたヒト抗体を提供する。
非ヒト種からの1つ以上のCDRおよびヒト免疫グロブリン分子からのフレームワーク領域を含むキメラ抗体は、当分野において公知の種々の技術、例として、例えば、CDRグラフティングベニアリングまたはリサーフェシングを使用して生成することができる。
フレームワーク領域中のフレームワーク残基は、CDRドナー抗体からの対応する残基により置換して抗原結合を変化させ、潜在的に改善することができる。これらのフレームワーク置換は、当分野において公知の方法により、例えば、CDRおよびフレームワーク残基の相互作用をモデリングして抗原結合に重要なフレームワーク残基を同定し、配列比較して特定位値における特有のフレームワーク残基を同定することにより同定する。「小遺伝子座(minilocus)」アプローチも当分野において公知である。小遺伝子座アプローチにおいて、外因性Ig遺伝子座を、Ig遺伝子座からの小片(個々の遺伝子)の包含を介して模倣する。したがって、1つ以上のVH遺伝子、1つ以上のDH遺伝子、1つ以上のJH遺伝子、mu定常領域、および通常、第2定常領域(ガンマ定常領域の場合もある)を、動物中への挿入のための構築物中に形成させる。
マイクロセル融合を介して染色体の大片または染色体全体が導入されたマウスからのヒト抗体の生成も、当分野において公知である。例えば、Kirin製TcマウスとMedarex製小遺伝子座(Humab)マウスとの交雑は、KirinマウスのヒトIgHトランス染色体およびGenpharmマウスのカッパ鎖トランス遺伝子を有するマウスを生成した。
ヒト抗体は、インビトロ法により誘導することもできる。好適な例には、限定されるものではないが、ファージディスプレイ((MedImmune(旧CAT)、Morphosys、Dyax、Biosite/Medarex、Xoma、Symphogen、Alexion(旧Proliferon),Affimed)、リボソームディスプレイ(MedImmune(旧CAT))、酵母ディスプレイなどが含まれる。ファージディスプレイ技術は、ヒト抗体および抗体断片をインビトロで、非免疫化ドナーからの免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーから生成するために使用することができる。この技術によれば、抗体Vドメイン遺伝子を糸状バクテリオファージ、例えばM13またはfdのメジャーまたはマイナーコートタンパク質遺伝子中にインフレームでクローニングし、機能性抗体断片としてファージ粒子の表面上でディスプレイする。糸状粒子はファージゲノムの1本鎖DNAコピーを含有するため、抗体の機能的特性に基づく選択は、それらの特性を示す抗体コードする遺伝子の選択ももたらす。したがって、ファージは、B細胞の特性の一部を模倣する。ファージディスプレイは、当分野において公知の種々のフォーマットで実施することができる。多様な数々の抗オキサゾロン抗体は、免疫化マウスの脾臓に由来するV遺伝子の小さいランダムコンビナトリアルライブラリーから単離されている。非免疫化ヒトドナーからのV遺伝子のレパートリーを構築することができ、多様な数々の抗原(例として、自己抗原)に対する抗体を、当分野において公知の技術に従って本質的に単離することができる。ヒト抗体は、インビトロ活性化B細胞により生成することもできる。
多価抗体
3つ以上の価数を有する抗体が企図される。例えば、三重特異的抗体を調製することができる。したがって、提供される本明細書における抗体は、3つ以上の抗原結合部位を有する多価抗体(IgMクラスのもの以外である)(例えば、四価抗体)であり得、それは抗体のポリペプチド鎖をコードする核酸の組換え発現により容易に生成することができる。多価抗体は、ダイマー化ドメインおよび3つ以上の抗原結合部位を含み得る。一実施形態において、ダイマー化ドメインは、Fc領域またはヒンジ領域を含む(またはそれらからなる)。この方針において、抗体は、Fc領域およびFc領域に対する3つ以上の抗原結合部位アミノ末端を含み得る。ある実施形態において、本明細書における多価抗体は、3から約8つの抗原結合部位を含む(またはそれからなる)。多価抗体は、ポリペプチド鎖が2つ以上の可変ドメインを含む少なくとも1つのポリペプチド鎖を含む。例えば、ポリペプチド鎖は、VD1−(X1)n−VD2−(X2)n−Fcを含み得、VD1が第1の可変ドメインであり、VD2が第2の可変ドメインであり、FcがFc領域の1つのポリペプチド鎖であり、X1およびX2がアミノ酸またはポリペプチドを表し、nが0または1である。例えば、ポリペプチド鎖は、VH−CH1−フレキシブルリンカー−VH−CH1−Fc領域鎖;またはVH−CH1−VH−CH1−Fc領域鎖を含み得る。本明細書における多価抗体は、少なくとも2つの軽鎖可変ドメインポリペプチドをさらに含み得る。本明細書における多価抗体は、例えば、約2から約8つの軽鎖可変ドメインポリペプチドを含み得る。本明細書において企図される軽鎖可変ドメインポリペプチドは、軽鎖可変ドメインを含み、場合によりCLドメインをさらに含む。
二重特異的抗体
二重特異的抗体は、少なくとも2つの異なるエピトープについての結合特異性を有する抗体である。例示的な二重特異的抗体は、標的タンパク質の2つの異なるエピトープに結合し得、または2つのポリペプチドに結合する。他のこのような抗体は、ある部位を別のタンパク質についての結合部位と組み合わせ得る。二重特異的抗体アームは、白血球上のトリガー分子、例えばT細胞受容体分子(例えば、CD3)、またはIgGについてのFc受容体(FcγR)、例えばFcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)およびFcγRIII(CD16)に結合するアームと組み合わせて細胞防御機構を標的タンパク質発現細胞にフォーカスおよび局在化することもできる。二重特異的抗体は、細胞傷害剤を、抗原を発現する細胞に局在化するために使用することもできる。このような抗体は、標的結合アームおよび細胞傷害剤(例えば、サポリン、抗インターフェロン−α、ビンカアルカロイド、リシンA鎖、メトトレキセートまたは放射性同位体ハプテン)に結合するアームを有し得る。二重特異的抗体は、完全長抗体または抗体断片(例えば、F(ab’)2二重特異的抗体)として調製することができる。二重特異的抗体を作製する方法は、当分野において公知である。
完全長二重特異的抗体の慣習的生成は、2つの鎖が異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖−軽鎖ペアの同時発現に基づく。免疫グロブリン重鎖および軽鎖のランダムなアソートメントのため、それらのハイブリドーマ(クアドローマ)は、1つのみが正確な二重特異的構造を有する10個の異なる抗体分子の潜在的混合物を生成する。通常、親和性クロマトグラフィー工程により行う正確な分子の精製は、かなり煩雑であり、生成物収率は低い。
別のアプローチにおいて、所望の結合特異性(抗体−抗原結合部位)を有する抗体可変ドメインを、免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合させる。融合物は、ヒンジ、CH2、およびCH3領域の少なくとも一部を含むIg重鎖定常ドメインとの場合もある。軽鎖結合に必要な部位を含有する第1の重鎖定常領域(CH1)は、融合物の少なくとも1つに存在し得る。免疫グロブリン重鎖融合物および所望により免疫グロブリン軽鎖をコードするDNAを、別個の発現ベクター中に挿入し、好適な宿主細胞中に同時形質移入する。これは、構築において使用される3つのポリペプチド鎖の不均衡な比が所望の二重特異的抗体の最適な収率を提供する実施形態における3つのポリペプチド断片の相互比率の調整のより大きいフレキシビリティを提供する。しかしながら、等しい比の少なくとも2つのポリペプチド鎖の発現が高い収率をもたらす場合または比が所望の鎖の組合せの収率に対して有意な影響を有さない場合、2つまたは3つ全てのポリペプチド鎖についてのコード配列を単一発現ベクター中に挿入することが可能である。
このアプローチの一部の実施形態において、二重特異的抗体は、一方のアーム中の第1の結合特異性を有するハイブリッド免疫グロブリン重鎖、および他方のアーム中のハイブリッド免疫グロブリン重鎖−軽鎖ペア(第2の結合特異性を提供)から構成される。この非対称構造は、不所望な免疫グロブリン鎖の組合せからの所望の二重特異的化合物の分離を促進し得る。それというのも、二重特異的分子の半分のみにおける免疫グロブリン軽鎖の存在が分離の容易な手法を提供するためである。
一対の抗体分子間の界面は、組換え細胞培養物から回収されるヘテロダイマーの割合を最大化するように遺伝子操作することができる。適切な界面は、少なくとも一対のCH3ドメインを含む。この方法において、第1の抗体分子の界面からの1つ以上の小さいアミノ酸側鎖は、より大きい側鎖(例えば、チロシンまたはトリプトファン)により置き換える。大アミノ酸側鎖をより小さいアミノ酸側鎖(例えば、アラニンまたはトレオニン)により置き換えることにより、大側鎖と同一または類似サイズの代償性「空洞」が、第2の抗体分子の界面上に作出される。これは、他の不所望な最終生成物、例えばホモダイマーと比べてヘテロダイマーの収率を増加させる機構を提供する。
二重特異的抗体には、架橋または「ヘテロコンジュゲート」抗体が含まれる。例えば、ヘテロコンジュゲート中の抗体の一方はアビジンと、他方はビオチンとカップリングしていてよい。ヘテロコンジュゲート抗体は、任意の好都合な架橋法を使用して作製することができる。好適な架橋剤は、当分野において公知である。
二重特異的抗体は、抗体断片から生成することができる。例えば、二重特異的抗体は、化学的結合を使用して調製することができる。一手順において、インタクトな抗体をタンパク質分解的に開裂させてF(ab’)2断片を生成する。これらの断片は、ジチオール錯形成剤、亜ヒ酸ナトリウムの存在下で還元してビシナルなジチオールを安定化させ、分子間ジスルフィド形成を妨げる。次いで、生成されたFab’断片をチオニトロベンゾエート(TNB)誘導体に変換する。次いで、Fab’−TNB誘導体の1つを、メルカプトエチルアミンによる還元によりFab’−チオールに再変換し、等モル量の他のFab’−TNB誘導体と混合して二重特異的抗体を形成する。生成された二重特異的抗体は、酵素の選択的固定化のための薬剤として使用することができる。
Fab’−SH断片は、大腸菌(E.coli)から直接回収することができ、それを化学的にカップリングさせて二重特異的抗体を形成することができる。完全ヒト化二重特異的抗体F(ab’)2分子は、それぞれのFab’断片を大腸菌(E.coli)から別個に分泌させ、インビトロで指向化学カップリングに供して二重特異的抗体を形成することにより作出することができる。こうして形成された二重特異的抗体は、ErbB2受容体を過剰発現する細胞および正常ヒトT細胞に結合し得、ヒト乳房腫瘍標的に対するヒト細胞傷害リンパ球の溶解活性をトリガーし得る。
二重特異的抗体は、ロイシンジッパーを使用して生成することもできる。FosおよびJunタンパク質からのロイシンジッパーペプチドを、遺伝子融合により2つの異なる抗体のFab’部分に結合させる。抗体ホモダイマーをヒンジ領域において還元してモノマーを形成し、次いで再酸化して抗体ヘテロダイマーを形成する。この方法は、抗体ホモダイマーの生成に利用することもできる。記載の「ダイアボディ」技術は、二重特異的抗体断片を作製する追加の機構を提供している。断片は、短すぎて同一鎖上の2つのドメイン間のペアリングを可能とできないリンカーによりVLに連結しているVHを含む。したがって、1つの断片のVHおよびVLドメインを別の断片の相補的VLおよびVHドメインとペアリングさせ、それにより2つの抗原結合部位を形成する。単鎖Fv(sFV)ダイマーの使用により二重特異的抗体断片を作製する別の戦略も当分野において公知である。
抗体受容体
細胞は、上記のとおり抗体が特異的に結合する抗体受容体と呼ばれる特殊化抗原をディスプレイし得る。一部の受容体は、細胞中に内在化されるように構成される。内在化受容体は、結合した抗体およびそれとコンジュゲートした分子を担持し得る。この特性は、抗体を潜在的に療法に有用なものとする。それというのも、病原細胞、例として癌細胞は、特有の抗原をディスプレイし得るためである。細胞受容体は、機能性領域、例としてタンパク質キナーゼをディスプレイし得る。
キナーゼファミリーは、ヒトゲノムにおける最大標的ファミリーの1つである。ヒトゲノムは、タンパク質セリン/トレオニン、チロシン、および二重特異性キナーゼの主要クラスの500個を超えるメンバーを含むことが推定される。タンパク質リン酸化は、細胞間シグナルが重要な細胞内プロセス、例えばイオン輸送、細胞増殖、およびホルモン応答を調節する重要なシグナル伝達機構である。成長因子受容体としてはEGFRおよびHER3ならびにタンパク質チロシンキナーゼがある。全ての生物についてのシグナル伝達におけるタンパク質キナーゼファミリーの重要な機能は、それを多数の疾患状態、例えば癌、糖尿病、炎症、および関節炎における治療介入のための魅力的な標的クラスとする。
A−431ヒト扁平上皮癌細胞の細胞膜調製物中の上皮成長因子(EGF)により向上されるタンパク質キナーゼ活性は、チロシン残基のリン酸化を伴うことを示している。上皮成長因子受容体(ヒトにおけるEGFR、ErbB−1、HER1、HER3)は、細胞外タンパク質リガンドのEGFファミリーのメンバーについての細胞表面受容体である。上皮成長因子受容体は、受容体のErbBファミリーのメンバーであり、4つの密接に関連した受容体チロシンキナーゼのサブファミリー:EGFR(ErbB−1)、HER2/c−neu(ErbB−2)、Her3(ErbB−3)およびHer4(ErbB−4)である。ヒト上皮成長因子(EGF)受容体(HER)ファミリーの4つ全てのメンバーは、ヒト癌に関与している。
本明細書において、一部の実施形態において、EGFRおよびHER3に結合する鎖間システインを欠く抗体が提供される。ある実施形態において、EGFRおよびHER3に結合する鎖間システインを欠く抗体のコンジュゲートも提供される。抗体コンジュゲートは内在化していることもある。
抗体機能
抗体は、いくつかの機能、例えば抗原結合および免疫応答の誘導などをもたらし得る。
抗原結合
本明細書において使用される用語「抗原」は、生物中に導入された場合に免疫応答を引き起こし、特異的抗体と結合し得る分子を指す。抗体−抗原結合は、抗原および抗体の間の多くの弱い相互作用、例として、例えば水素結合、ファン・デル・ワールス力、ならびにイオンおよび/または疎水性相互作用の合計により媒介される。
抗原は、抗体上の相補性領域に結合する。抗原の対応する領域は、抗原決定基と称される。ほとんどの抗原は、複数の決定基を有し;2つ以上が同一である場合、抗原は多価である。
抗体の親和性は、抗原決定基および抗体結合部位の間の適合を反映し、結合部位の数とは無関係である。結合のアビディティは、抗体−抗原複合体の全体の安定性を反映する。アビディティは、全ての結合部位の全結合強度として定義される。したがって、抗体のその抗原についての親和性ならびに抗体および抗原両方の価数が両方ともアビディティに影響を与える。1つのみではなく両方の多価結合部位の関与は、典型的なIgG分子中で10000倍だけ多く結合を強化し得る。
多くの抗体および抗原の多価性質は、二次反応、例えば沈降、細胞クランピング、および生物における補体固定を生じさせ得る。このような反応は、ウエスタンブロッティング、ELISA、免疫沈降などの技術において有用であり得る。
免疫機能
抗体は病原体に結合し、それを不活性化させ、病原体をコートすることによりマクロファージおよび他の細胞による病原体の除去を刺激し、他の免疫応答、例えば補体経路を刺激することにより病原体の破壊をトリガーし得る。抗体は、例えば、細菌または癌細胞上の表面抗原に結合することにより補体経路を活性化させる。次いで、抗体のFc領域が補体カスケードと相互作用する。抗体および補体カスケード分子の結合は、食細胞を誘引し、消化のために微生物または細胞を標識する。補体系構成成分は、膜攻撃複合体を形成して抗体の細菌または細胞の殺傷を直接支援し得る。
抗体結合は、病原体の凝集を引き起こし得る。抗体によりコートされた病原体は、抗体Fc領域を認識する細胞中のエフェクター機能を刺激する。エフェクター機能は、最終的に、侵入微生物または病原細胞の破壊をもたらし、例えば、食細胞が食作用し、マスト細胞および好中球が脱顆粒し、ナチュラルキラー細胞がサイトカインおよび細胞傷害分子を放出する。
形質転換された腫瘍細胞は、いくつかの源、例として癌遺伝子ウイルス、異常に高レベルの生物自体のタンパク質、および癌誘導癌遺伝子から異常な抗原を発現する。腫瘍抗原は、主要組織適合性(MHC)クラスI分子上に、ウイルス抗原と同様の様式で提示される。抗原はキラーT細胞を活性化させ、補体系をトリガーする抗体も生成する。
本明細書における抗体は、腫瘍または他の病原細胞抗原に結合し、抗体機能を介する細胞破壊をトリガーし得る。ある実施形態において、本明細書における抗体は、治療分子、例として診断分子または毒素にコンジュゲートしていてよく、抗体−抗原親和性により選択された部位にコンジュゲートされた分子を担持し得る。
エピトープ
本明細書において使用される用語「エピトープ」は、抗体に結合し得るタンパク質決定基を指す。エピトープは、一般に、分子の化学的活性表面基群(grouping)、例えばアミノ酸および/または糖側鎖を含み、一般に、特異的な三次元構造的特徴、ならびに特異的化学的特徴(例えば、電荷、極性、塩基性、酸性、疎水性など)を有する。立体構造および非立体構造エピトープは、変性溶媒の存在下で前者への結合は損失するが、後者への結合は損失しない点で区別される。
ある実施形態において、エピトープは、標的タンパク質の少なくとも1つの細胞外可溶性親水性外部または細胞内部分からなる。規定のエピトープは、標的タンパク質の連続アミノ酸の規定部分全体に対する少なくとも3つのアミノ酸残基からの少なくとも1つのアミノ酸配列の任意の組合せを含み得る。一部の実施形態において、エピトープは、標的タンパク質の連続アミノ酸の規定部分全体に対する少なくとも4つのアミノ酸残基、少なくとも5つのアミノ酸残基、少なくとも6つのアミノ酸残基、少なくとも7つのアミノ酸残基、少なくとも8つのアミノ酸残基または少なくとも9つのアミノ酸残基である。
本明細書における抗体は、標的タンパク質、ペプチド、サブユニット、断片、一部またはそれらの任意の組合せに特異的な1つ以上のエピトープに免疫特異的に結合し得、一般に、他のポリペプチドに特異的に結合しない。エピトープは、標的タンパク質の少なくとも1つの部分を含む少なくとも1つの抗体結合領域を含み得る。
抗体断片
ある実施形態において、本発明の抗体は、抗体断片またはそれらの断片を含む抗体である。抗体断片は、一般に、完全長抗体の抗原結合または可変領域である完全長抗体の一部を含む。抗体断片の例には、Fab、Fab’、F(ab’)2、FdおよびFv断片が含まれる。ダイアボディ;直鎖抗体;単鎖抗体分子;および多重特異的抗体は、これらの抗体断片から形成された抗体である。
慣習的に、これらの断片は、当分野において公知の技術を使用するインタクトな抗体のタンパク質分解消化を介して誘導された。しかしながら、これらの断片は、目下、組換え宿主細胞により直接生成することができる。Fab、FvおよびscFv抗体断片は、全て、大腸菌(E.coli)中で発現させ、それから分泌させることができ、したがってこれらの断片の大量の容易な生成が可能となる。一実施形態において、抗体断片は、本明細書の他に考察した抗体ファージライブラリーから単離することができる。Fab’−SH断片を、大腸菌(E.coli)から直接回収し、化学的にカップリングしてF(ab’)2断片を形成することもできる。F(ab’)2断片は、組換え宿主細胞培養物から直接単離することもできる。抗体断片を生成する他の技術は、当分野において公知である。種々の実施形態において、より抜きの抗体は、単鎖Fv断片(scFv)である。ある実施形態において、抗体はFab断片でない。FvおよびscFvは、定常領域を欠くインタクトな結合部位を有する唯一の種であり;したがって、それらは、インビボ使用間の非特異的結合の低減に好適である。scFv融合タンパク質は、scFvのアミノまたはカルボキシ末端におけるエフェクタータンパク質の融合を生じさせるように構築することができる。
ある実施形態において、本発明の抗体は、ドメイン抗体、例えば、ヒト抗体の重鎖(VH)または軽鎖(VL)の可変領域に対応する、抗体の小さい機能性結合ユニットを含有する抗体である。ドメイン抗体の例には、限定されるものではないが、治療標的に特異的なDomantisから入手可能なものが含まれる。ドメイン抗体の市販のライブラリーを使用して抗原ドメイン抗体を同定することができる。ある実施形態において、本明細書における抗体は、機能性結合ユニットおよびFcガンマ受容体機能性結合ユニットを含む。
ある実施形態において、本発明の抗体はワクチボディ(vaccibody)である。ワクチボディは、ダイマーポリペプチドである。ワクチボディのそれぞれのモノマーは、ヒンジ領域を介して連結しているAPC上の表面分子についての特異性を有するscFvおよび第2のscFvに対するCγ3ドメインからなる。一部の実施形態において、scFvの1つとして鎖間システインを欠く抗体の断片を含有するワクチボディを使用して破壊すべきそれらの細胞およびADCCを媒介するエフェクター細胞を並置することができる。
本明細書においてある実施形態において、本発明の抗体は直鎖抗体である。直鎖抗体は、一対の抗原結合領域を形成する一対のタンデムFdセグメント(VH−CH1−VH−CH1)を含む。直鎖抗体は、二重特異的または単一特異的であり得る。
抗体合成
鎖間システインを欠く抗体は、抗体の合成のための当分野において公知の任意の方法により、特に、化学的合成により、または組換え発現技術により生成することができる。
任意の抗原を使用して抗体を合成することができる。抗原、または「標的」の例は、本明細書に記載する。所望の抗原を細胞表面または細胞から調整された膜において発現する細胞を使用して抗体を生成することもできる。本明細書における抗体は、標準的な組換えDNA法を使用して細菌または真核細胞中で単離された形態で組換えにより生成することができる。抗原をタグ付加物(例えば、エピトープタグ)または他の融合タンパク質として発現させて単離および種々のアッセイにおける同定を促進することができる。種々のタグおよび融合配列に結合する抗体または結合タンパク質は、下記のとおり入手可能である。本明細書における抗体の生成に有用な抗原の他の形態は、当業者に明らかである。
種々のタグポリペプチドおよびそれらのそれぞれの抗体は、当分野において公知である。例には、:ポリ−ヒスチジン(poly−his)またはポリ−ヒスチジン−グリシン(poly−his−gly)タグ;flu HAタグポリペプチドおよびその抗体12CA5;c−mycタグおよびそれに対する8F9、3C7、6E10、G4、B7および9E10抗体;ならびに単純ヘルペスウイルス糖タンパク質D(gD)タグおよびその抗体が含まれる。FLAG−ペプチドは、抗FLAG M2モノクローナル抗体により認識される。FLAGペプチドを含有するタンパク質の精製は、アガロースに共有結合している抗FLAG M2モノクローナル抗体を含む親和性マトリックスを使用する免疫親和性クロマトグラフィーにより実施することができる。他のタグポリペプチドには、KT3エピトープペプチド、α−チューブリンエピトープペプチド、およびT7遺伝子10タンパク質ペプチドタグが含まれる。
抗原上の2つ以上のエピトープに結合するポリクローナル抗体は、関連抗原およびアジュバントの複数回皮下(sc)または腹腔内(ip)注射により動物中で発生させる。関連抗原(特に、合成ペプチドを使用する場合)を免疫化すべき種において免疫原性であるタンパク質にコンジュゲートさせることが有用であり得る。例えば、抗原は、二官能性または誘導体化剤(反応性基)、例えば、活性化エステル(システインまたはリジン残基を介するコンジュゲーション)、グルタルアルデヒド、無水コハク酸、SOCl2、またはR1N=C=NR(式中、RおよびR1は、異なるアルキル基である)を使用してキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、血清アルブミン、ウシサイログロブリン、またはダイズトリプシン阻害剤にコンジュゲートさせることができる。コンジュゲートは、組換え細胞培養物中で融合タンパク質として作製することもできる。
目的の抗原に対するポリクローナル抗体は、当分野において公知の種々の手順により生成することができる。例えば、抗原ポリペプチドまたはその免疫原性断片を種々の宿主動物、例として、限定されるものではないが、ウサギ、マウス、ラットなどに投与して抗原に特異的なポリクローナル抗体を含有する血清の生成を誘導することができる。宿主種に応じて種々のアジュバントを使用して免疫学的応答を増加させることができ、アジュバントには、限定されるものではないが、Freund(完全および不完全)、ミネラルゲル、例えば水酸化アルミニウム、表面活性物質、例えばリゾレシチン、pluronicポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油エマルジョン、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール、および潜在的に有用なヒトアジュバント、例えばBCG(カルメット・ゲラン桿菌(bacille Calmette−Guerin))ならびにコリネバクテリウム・パルブム(Corynebacterium parvum)が含まれる。このようなアジュバントも当分野において公知である。
動物は、適切な濃度の抗原またはコンジュゲートをアジュバントと組み合わせ、溶液を複数部位に注射することにより抗原、免疫原性コンジュゲート、または誘導体に対して免疫化することができる。1ヵ月後、動物をアジュバント中の抗原またはコンジュゲートの元の量の1/5から1/10により、複数部位における皮下注射によりブーストする。7から14日後、動物を交配させ、血清を抗体力価についてアッセイする。動物を力価プラトーまでブーストする。さらに、凝集剤、例えばミョウバンを好適に使用して免疫応答を向上させる。
モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、単一抗原部位または多重特異的遺伝子操作抗体の場合には複数抗原部位に対して指向される。さらに、異なる決定基(エピトープ)に対して指向される異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは異なり、それぞれのモノクローナル抗体は、抗原上の同一の決定基に対して指向される。モノクローナル抗体は、それらの特異性に加え、それらを他の抗体により汚染されることなく合成することができる点で有利である。
モノクローナル抗体は、当分野において公知の広範な技術、例として、ハイブリドーマ、組換え、およびファージディスプレイ技術の使用、またはそれらの組合せを使用して調製することができる。例えば、モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ技術、例として当分野において公知のものを使用して生成することができる。本明細書における用語「モノクローナル抗体」は、ハイブリドーマ技術を介して生成される抗体に限定されない。用語「モノクローナル抗体」は、単一クローン、例として任意の真核、原核、またはファージクローンから誘導される抗体を指し、それが生成される方法は指さない。一部の実施形態において、本明細書における抗体は90%以上のモノクローナルである。限定されるものではなく、例えば、モノクローナル哺乳動物、キメラ、ヒト化、ヒト、ドメイン、ダイアボディ、ワクチボディ、直鎖および多重特異的抗体を生成するために使用することができるモノクローナル抗体を生成する代表的な方法を以下に記載する。
ハイブリドーマ技術を使用して特異的抗体を生成およびスクリーニングする方法は、当分野において公知である。簡単に述べると、マウスを標的抗原(完全長タンパク質またはそのドメイン、例えば、細胞外ドメインもしくはリガンド結合ドメインのいずれか)により免疫化することができ、免疫応答を1回検出し、例えば、標的抗原に特異的な抗体をマウス血清中で検出し、マウス脾臓を摘出し、脾細胞を単離する。次いで、脾細胞を公知の技術により任意の好適な骨髄腫細胞、例えば、ATCCから入手可能な細胞系SP20からの細胞に融合させる。ハイブリドーマを選択し、限定希釈によりクローニングする。次いで、ハイブリドーマクローンを当分野において公知の方法により、本明細書における抗体のポリペプチドに結合し得る抗体を分泌する細胞についてアッセイする。一般に、高レベルの抗体を含有する腹水液を、マウスを陽性ハイブリドーマクローンにより免疫化により生成することができる。したがって、モノクローナル抗体は、本明細書における抗体を分泌するハイブリドーマ細胞を培養することにより生成することができる。ハイブリドーマは、標的抗原により免疫化したマウスから単離した脾細胞を骨髄腫細胞と融合し、次いで特異的標的抗原に結合し得る抗体を分泌するハイブリドーマクローンについて融合物から生じるハイブリドーマをスクリーニングすることにより生成する。
さらに、リンパ球をインビトロで免疫化することができる。免疫化後、リンパ球を単離し、次いで好適な融合剤または融合パートナー、例えばポリエチレングリコールを使用して骨髄腫細胞系と融合させてハイブリドーマ細胞を形成する。ある実施形態において、選択される骨髄腫細胞は、効率的に融合し、選択された抗体生成細胞による抗体の安定な高レベル生成を支持し、未融合親細胞に対して選択する選択培地に感受性のものである。一態様において、骨髄腫細胞系は、マウス骨髄腫系、例えばSalk Institute Cell Distribution Center,San Diego,Calif.USAから入手可能なMOPC−21およびMPC−11マウス腫瘍、ならびにSP−2および誘導体、例えばAmerican Type Culture Collection,Rockville,Md.USAから入手可能なX63−Ag8−653細胞から誘導されたものである。ヒトモノクローナル抗体の生成のためのヒト骨髄腫およびマウス−ヒトヘテロ骨髄腫細胞系も、当分野において公知である。
所望の特異性、親和性、および/または活性の抗体を生成するハイブリドーマ細胞を同定したら、クローンを、限定希釈手順によりサブクローニングし、標準的方法により成長させることができる。この目的に好適な培養培地には、例えば、D−MEMまたはRPMI−1640培地が含まれる。さらに、ハイブリドーマ細胞を、例えばマウス中への細胞の腹腔内注射によりインビボで動物中で腹水腫瘍として成長させることができる。
サブクローンにより分泌されるモノクローナル抗体は、慣用の抗体精製手順、例えば、親和性クロマトグラフィー(例えば、プロテインAまたはプロテインG−セファロースを使用)またはイオン交換クロマトグラフィー、親和性タグ、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析などにより培養培地、腹水液、または血清から好適に分離する。例示的精製法は、以下により詳細に記載する。
特異的標的抗原エピトープを認識する抗体断片は、当業者に公知の任意の技術により生成することができる。例えば、本明細書におけるFabおよびF(ab’)2断片は、酵素、例えばパパイン(Fab断片を生成するため)またはペプシン(F(ab’)2断片を生成するため)を使用する免疫グロブリン分子のタンパク質分解開裂により生成することができる。F(ab’)2断片は、可変領域、軽鎖定常領域および重鎖のCH1ドメインを含有する。さらに、本明細書における抗体は、当分野において公知であり、以下により詳細に考察する種々のファージディスプレイ法を使用して、例として、ヒト免疫グロブリン配列に由来する抗体ライブラリーを使用して生成することもできる。
抗体突然変異
抗体突然変異技術は、当分野において公知である。ヒト化抗体を作出するため、例えば、鎖間システインを欠くキメラ抗マウス抗体の生成のためのベクターを構築することができる。例えば、抗マウスmAbの配列に基づき、可変重鎖および可変軽鎖ドメインをコードする重複オリゴヌクレオチド(約69〜75塩基長)を合成および精製することができる。可変重鎖および軽鎖ドメインは、25pmolのそれぞれの重複オリゴヌクレオチドをPfuDNAポリメラーゼ(Stratagene)と組み合わせることにより、94摂氏度における20秒間の変性、50摂氏度における30秒間のアニーリング、72摂氏度への1分間にわたるランピング、および72摂氏度における30秒間の維持の5サイクルからなる50.mu.lのPCR反応において別個に合成することができる。続いて、アニーリング温度を55摂氏度に25サイクルにわたり増加させることができる。リバースプライマーおよびビオチン化フォワードプライマーを使用して1.mu.lの融合生成物を、同一プログラムを使用する100.mu.lのPCR反応においてさらに増幅させることができる。生成物は、アガロースゲル電気泳動により精製し、電気泳動溶出し、T4ポリヌクレオチドキナーゼ(Boehringer Mannheim)によりリン酸化し、5mMのTris−Cl、pH7.5、0.5mMのEDTA、1MのNaCl、および0.05%のTween20中でストレプトアビジン磁気ビーズ(Boehringer Mannheim)と、25摂氏度において15分間インキュベートすることができる。ビーズを洗浄することができ、ビオチン化されていないマイナス鎖DNAを、0.15MのNaOHと、25摂氏度において10分間インキュベートすることにより溶出させることができる。キメラ抗マウスFabは、例えば、M131×104CSと称される改変M131×104ファージベクター中で、可変重鎖および可変軽鎖オリゴヌクレオチドをウリジニル化ベクターテンプレートの3倍モル過剰で使用するハイブリダイゼーション突然変異導入により合成することができ、M131×104ベクターは、カッパおよびガンマ1定常領域の末端におけるシステイン残基を、セリンにより置き換えることにより改変することができる。反応は、DH10B細胞中にエレクトロポレートし、XL−1Blueのローン上で力価測定することができる。
抗マウスmAb可変領域フレームワーク配列を使用して最も相同性のヒト生殖細胞系配列を同定することもできる。重鎖および軽鎖フレームワーク残基は、例えば、対応するヒト生殖細胞系配列に対して約70%以上同一であり得る。
規定の残基を、部位特異的突然変異導入を使用して置換することができる。PCRプライマーオリゴヌクレオチドは、例えば、タンパク質内の規定位置におけるアミノ酸についてのシステイン残基の置換をもたらす対象抗体のコード配列へのヌクレオチド変化を取り込むように設計することができる。システイン置換突然変異は、アミノ酸残基135におけるトレオニンについてのコドンACTをシステインをコードするTGTコドンに変化させるようにプライマーを設計することにより構築することができる。PCRは、50μl反応において1×PCR緩衝液(1.5mMのMgCl.sub.2を含有するPerkin−Elmer緩衝液)、200マイクロモル濃度のそれぞれの4つのヌクレオチドdA、dC、dGおよびdTと、0.5.mu.Mにおいて存在するそれぞれのオリゴヌクレオチドプライマー、5pgのテンプレートおよび1.25単位のAmplitac DNAポリメラーゼ(Perkin−Elmer)および0.125単位のPFU DNAポリメラーゼ(Stratagene)中で実施することができる。反応は、例えば、Robocycler Gradient 96サーマルサイクラー(Stratagene)中で実施することができる。プログラムは、3分間95摂氏度に続く60秒間95摂氏度、75秒間45摂氏度または50摂氏度または55摂氏度、60秒間72摂氏度の25サイクルに続く6摂氏度における保持を必要とし得る。PCR反応は、アガロースゲル電気泳動により分析して予想サイズの重要な生成物を生じさせるアニーリング温度を同定することができる。45摂氏度反応は、QIAquick PCR Purification Kit(Qiagen)を使用して「クリーンアップ」し、適切な酵素により消化することができる。推定T135C突然変異を含む得られる断片は、ゲル精製し、適切なプラスミド中にライゲートすることができる。
システイン置換抗体
本明細書における抗体は、一部の実施形態において、鎖間システインを含まず(例えば、それらは、非チオールアミノ酸により置き換えられている)、システインにより置換されているあるアミノ酸、およびそれらの組合せを含む。
非チオールアミノ酸により置換されているシステイン
鎖間システインは、一部の実施形態において非チオールアミノ酸により置き換えられている。ある実施形態において、表1に示す鎖間システインアミノ酸は、独立して、除去またはシステインでないアミノ酸により置換されている。このようなアミノ酸には、一部の実施形態において、チオール部分を欠く天然に生じるおよび非古典的アミノ酸が含まれる。チオール部分を欠く天然に生じるアミノ酸には、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、セリン、トレオニン、メチオニン、ヒスチジン、リジン、アルギニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、グルタミン、アスパラギン、フェニルアラニン、チロシンおよびトリプトファンが含まれる。非古典的アミノ酸の例には、オルニチン、ジアミノ酪酸、ノルロイシン、ピリルアラニン、チエニルアラニン、ナフチルアラニンおよびフェニルグリシンが含まれる。非古典的アミノ酸の他の例は、アルファおよびアルファ二置換アミノ酸、N−アルキルアミノ酸、乳酸*、天然アミノ酸のハロゲン化物誘導体、例えばトリフルオロチロシン*、p−X−フェニルアラニン(式中、Xは、ハロゲン化物、例えばF、Cl、Br、またはIである)*、アリルグリシン*、7−アミノヘプタン酸*、メチオニンスルホン*、ノルロイシン*、ノルバリン*、p−ニトロフェニルアラニン*、ヒドロキシプロリン#、チオプロリン*、フェニルアラニン(Phe)のメチル誘導体、例えば4−メチル−Phe*、ペンタメチル−Phe*、Phe(4−アミノ)#、Tyr(メチル)*、Phe(4−イソプロピル)*、Tic(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボキシル酸)*、ジアミノプロピオン酸、Phe(4−ベンジル)*、4−アミノ酪酸(ガンマ−Abu)*、2−アミノ酪酸(アルファ−Abu)*、6−アミノヘキサン酸(エプシロン−Ahx)*、2−アミノイソ酪酸(Aib)*、3−アミノプロピオン酸*、ノルバリン*、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シトルリン、ホモシトルリン、システイン酸、t−ブチルグリシン*、t−ブチルアラニン*、フェニルグリシン*、シクロヘキシルアラニン*、フルオロアミノ酸、デザイナーアミノ酸、例えばベータ−メチルアミノ酸などが含まれる。注釈*は、疎水性特徴を有する誘導体を示し、#は、親水性特徴を有する誘導体を示す。
ある実施形態において、1から8つの鎖間システインは、バリンにより置き換えられており、(例えば、2、3、4、5、6、7つのシステインがバリンにより置き換えられている。一部の実施形態において、表1に示す位置におけるアミノ酸は、全てバリンにより置き換えられている。
システインにより置換されている抗体アミノ酸
一部の実施形態において、抗体は、天然鎖間システインを含まず、システインにより置換されている1つ以上の非システインアミノ酸を含む。一部の実施形態において、表2に示すCH1ドメイン中の位置の1、2、3、4、5、6、7、8つ以上のアミノ酸は、システインアミノ酸により置換されており、定常領域のナンバリング体系は、Kabat et al.(1991,NTH Publication 91−3242,National Technical Information Service,Springfield,VA)において説明されるEUインデックスのものである。表2に示す位置における非システインアミノ酸の1つ以上または全ては、システインにより置き換えられていてよい。一部の実施形態において、このような抗体は親または野性型抗体である。システイン残基の単一置換は、IgG分子のホモダイマー性質に起因して得られる抗体中の2つのシステイン残基のディスプレイをもたらすことが多い。得られる本明細書における鎖間システインを欠く抗体は、異種分子へのコンジュゲーションの目的のために少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18個以上のフリーチオールをディスプレイし得る。
一部の実施形態において、本明細書における抗体は、システインに置換されている表2の位置において示すセリンを含む。種々の実施形態において、鎖間システインを欠く抗体は、システインに置換されている表2の位置において示すトレオニンを含む。一部の実施形態において、本明細書におけるシステイン遺伝子操作抗体は、システインにより置換されている表2の位置において示す1つ以上のセリンおよび1つ以上のトレオニンを含む。このような抗体には、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4アイソタイプ重鎖またはその一部が含まれ得る。
一部の実施形態において、鎖間システインを欠く抗体は、表2に示す位置131、132、133、134、135、136、137、138および139から選択される1つ以上の位置におけるシステイン置換物を含み、定常領域のナンバリング体系はKabat et al.(前掲)に説明されるEUインデックスのものである。ある実施形態において、システイン遺伝子操作抗体は、表2に示す位置131、132、133、134、135、136、137、138および139から選択される2つ以上の位置におけるシステイン置換物を含む。ある実施形態において、鎖間システインを欠く抗体は、表2に示す位置131、132、133、134、135、136、137、138および139から選択される3つ以上の位置におけるシステイン置換物を含む。種々の実施形態において、鎖間システインを欠く抗体は、表2に示す位置131、132、133、134、135、136、137、138および139から選択される4つ以上の位置におけるシステイン置換物を含む。種々の実施形態において、鎖間システインを欠く抗体は、表2に示す位置131、132、133、134、135、136、137、138および139から選択される5つ以上の位置におけるシステイン置換物を含む。一部の実施形態において、鎖間システインを欠く抗体は、表2に示す位置131、132、133、134、135、136、137、138および139から選択される6つ以上の位置におけるシステイン置換物を含む。種々の実施形態において、鎖間システインを欠く抗体は、表2に示す位置131、132、133、134、135、136、137、138および139から選択される7つ以上の位置におけるシステイン置換物を含む。ある実施形態において、鎖間システインを欠く抗体は、表2に示す位置131、132、133、134、135、136、137、138および139から選択される8つ以上の位置におけるシステイン置換物を含む。種々の実施形態において、鎖間システインを欠く抗体は、表2に示す位置131、132、133、134、135、136、137、138および139から選択される9つ以上の位置におけるシステイン置換物を含む。表2に示す位置131、132、133、134、135、136、137、138および139に対応する配列番号5から10の位置は、調査により決定する。
完全長抗体の断片は、ある実施形態において完全長CH1ドメインを含まなくてよい。抗体断片は、表2に示す位置の1つ以上を含み得、このような位置における非システインアミノ酸の1つ以上は、システインにより置換されていてよい。
一部の実施形態において、鎖間システインを欠く抗体は、表2の位置132および/または138におけるシステインへの置換を含まない。一部の実施形態において、表2の鎖間システイン位置132および/または138を欠く抗体は、システインでない置換物を含む。あるある実施形態において、鎖間システインを欠く抗体は、表2に示す位置において天然に生じる唯一のトレオニンおよび/またはセリンアミノ酸、またはその等価物における1つ以上の置換物を含む。
一実施形態において、鎖間システインを欠く抗体は、表2に示す位置においてシステインについて置換されているセリンおよび/またはトレオニンを有するIgG1を含む。種々の実施形態において、本明細書における鎖間システインを欠く抗体は、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4アイソタイプに由来する。ある実施形態において、鎖間システインを欠く抗体は、非IgGフォーマット、例えばFgAI、IgA2、IgM、IgD、またはIgEに由来する。種々の実施形態において、本明細書における抗体は、表2に示すIgG1の位置131〜139の1つ以上に対応する残基の1つ以上のシステイン遺伝子操作を含む。一部の実施形態において、本明細書における抗体は、種々の抗体フォーマットにおいて概説した残基のシステイン遺伝子操作を含む。一部の実施形態において、本明細書における抗体は、抗体断片、例として、限定されるものではないがFabおよびFab2分子フォーマットを含む。
IgG1分子のCH1ドメインの131〜139領域は、図17に説明されるとおり溶媒曝露される。したがって、131〜139ループを拡張させて(換言すると、追加のアミノ酸の包含)、種々の薬剤の部位特異的コンジュゲーションのために表面を促進することができることが予測される。一部の実施形態において、天然鎖間システインを欠く抗体の表2に示すループは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、または少なくとも15個のアミノ酸だけ拡張させる。一部の実施形態において、表2に示すループの拡張は、IgG1アイソタイプ抗体の131、132、133、134、135、136、137、138、もしくは139残基またはIgG2、3もしくは4アイソタイプ抗体の相当位置の1つ以上の後で生じる。種々の実施形態において、表2に示すループの拡張は、IgG1アイソタイプ抗体の131、132、133、134、135、136、137、138、もしくは139残基またはIgG2、3もしくは4アイソタイプ抗体の相当位置の後で生じる。
種々の実施形態において、表2に示すループの拡張物は、任意のアミノ酸を含み得、種々の実施形態において、拡張物は、少なくとも1つの非天然に生じるシステインアミノ酸を含む。一部の実施形態において、拡張物は、トレオニンおよび/またはセリン残基を含み、種々の実施形態において、拡張物は、非システイン残基についての非天然に生じるシステイン残基の置換物ともカップリングしている。
ある実施形態において、鎖間システインを欠く抗体は、少なくとも1つの非天然に生じるジスルフィド結合の形成を含む。非天然に生じるジスルフィド結合は、鎖中または鎖間結合であり得る。非天然に生じるジスルフィド結合は、2つの別個の抗体分子を一緒に結合させ得る。非天然に生じるジスルフィド結合の形成は、別のシステイン残基に事前に結合している少なくとも1つのフリーチオール基を遊離させ得る。
フリーチオール基をディスプレイするためのシステイン残基の遺伝子操作は、抗体種の混合物をもたらし得、ジスルフィド結合の位置の高程度の可変性をディスプレイする。例えば、天然に生じる「カノニカル」ジスルフィド結合は、試料中に存在する抗体の一部に表され得るにすぎない。他の非天然に生じるシステインの遺伝子操作は、「カノニカル」ジスルフィド結合以外のジスルフィド結合の形成をもたらし得ることが理解される。一部の実施形態において、ジスルフィド結合は、軽鎖および表2に示すループ中に存在する任意の非天然に生じるシステイン残基の間で形成される。ある実施形態において、ジスルフィド結合は、軽鎖および表2に示すループ中に存在する任意の非天然に生じるシステイン残基の間で形成される。
本明細書において、表3から選択される位置における1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個以上のアミノ酸がシステインアミノ酸により置換されている鎖間システインを欠く抗体も提供される。したがって、抗体の表3の位置239、282、289、297、312、324、330、335、337、339、356、359、361、383、384、398、400、422、440における1から20個のアミノ酸は、独立して、システインアミノ酸により置き換えられていてよく、定常領域のナンバリング体系は、Kabat et al.(1991,NIH Publication 91−3242,National Technical Information Service,Springfield,VA)に説明されるEUインデックスのものであり、親または野性型抗体がシステインアミノ酸により置換されている。システイン残基の単一置換は、IgG分子のホモダイマー性質に起因して得られる抗体中に2つのシステイン残基のディスプレイをもたらすことに留意すべきである。得られる本明細書における鎖間システインを欠く抗体は、薬物または化合物へのコンジュゲーションの目的のために少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40個以上のフリーチオールをディスプレイし得る。このような抗体は、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4アイソタイプ重鎖またはその一部を含み得る。表3の位置239、282、289、297、312、324、330、335、337、339、356、359、361、383、384、398、400、422、440に対応する配列番号5から10の位置は、調査により決定される。
一部の実施形態において、鎖間システインを欠く抗体は、表3の位置239、282、289、297、312、324、330、335、337、339、356、359、361、383、384、398、400、422、440から選択される1つ以上の位置におけるシステイン置換物を含み、定常領域のナンバリング体系はKabat et al.(前掲)に説明されるEUインデックスのものである。ある実施形態において、鎖間システインを欠く抗体は、表3の位置239、282、289、297、312、324、330、335、337、339、356、359、361、383、384、398、400、422、440から選択される少なくとも2つの置換物を含む。種々の実施形態において、鎖間システインを欠く抗体は、表3の位置239、282、289、297、312、324、330、335、337、339、356、359、361、383、384、398、400、422、440から選択される少なくとも3つの置換物を含む。一部の実施形態において、鎖間システインを欠く抗体は、表3の位置239、282、289、297、312、324、330、335、337、339、356、359、361、383、384、398、400、422、440から選択される少なくとも4つの置換物を含む。ある実施形態において、鎖間システインを欠く抗体は、表3の位置239、282、289、297、312、324、330、335、337、339、356、359、361、383、384、398、400、422、440から選択される少なくとも5つの置換物を含む。種々の実施形態において、鎖間システインを欠く抗体は、抗体の重鎖の表3の位置239、282、289、297、312、324、330、335、337、339、356、359、361、383、384、398、400、422、440から選択される少なくとも6つの置換物を含む。鎖間システインを欠く抗体は、表3の位置239、282、289、297、312、324、330、335、337、339、356、359、361、383、384、398、400、422、440から選択される少なくとも7つの置換物を含むこともある。一部の実施形態において、鎖間システインを欠く抗体は、表3の位置239、282、289、297、312、324、330、335、337、339、356、359、361、383、384、398、400、422、440から選択される少なくとも8つの置換物を含む。ある実施形態において、鎖間システインを欠く抗体は、表3の位置239、282、289、297、312、324、330、335、337、339、356、359、361、383、384、398、400、422、440から選択される少なくとも9つの置換物を含む。種々の実施形態において、鎖間システインを欠く抗体は、表3の位置239、282、289、297、312、324、330、335、337、339、356、359、361、383、384、398、400、422、440から選択される少なくとも10個の置換物を含む。鎖間システインを欠く抗体は、表3の位置239、282、289、297、312、324、330、335、337、339、356、359、361、383、384、398、400、422、440から選択される少なくとも10個の置換物を含むこともある。一部の実施形態において、鎖間システインを欠く抗体は、表3の位置239、282、289、297、312、324、330、335、337、339、356、359、361、383、384、398、400、422、440から選択される少なくとも11個の置換物を含む。ある実施形態において、鎖間システインを欠く抗体は、表3の位置239、282、289、297、312、324、330、335、337、339、356、359、361、383、384、398、400、422、440から選択される少なくとも12個の置換物を含む。種々の実施形態において、鎖間システインを欠く抗体は、表3の位置239、282、289、297、312、324、330、335、337、339、356、359、361、383、384、398、400、422、440から選択される少なくとも13個の置換物を含む。本明細書における鎖間システインを欠く抗体は、表3の位置239、282、289、297、312、324、330、335、337、339、356、359、361、383、384、398、400、422、440から選択される少なくとも14個の置換物を含むこともある。一部の実施形態において、鎖間システインを欠く抗体は、表3の位置239、282、289、297、312、324、330、335、337、339、356、359、361、383、384、398、400、422、440から選択される少なくとも15個の置換物を含む。ある実施形態において、本明細書における鎖間システインを欠く抗体の抗体は、表3の位置239、282、289、297、312、324、330、335、337、339、356、359、361、383、384、398、400、422、440から選択される少なくとも16個の置換物を含む。種々の実施形態において、鎖間システインを欠く抗体は、表3の位置239、282、289、297、312、324、330、335、337、339、356、359、361、383、384、398、400、422、440から選択される少なくとも17個の置換物を含む。鎖間システインを欠く抗体は、表3の位置239、282、289、297、312、324、330、335、337、339、356、359、361、383、384、398、400、422、440から選択される少なくとも18個の置換物を含むこともある。一部の実施形態において、鎖間システインを欠く抗体は、表3の位置239、282、289、297、312、324、330、335、337、339、356、359、361、383、384、398、400、422、440から選択される少なくとも19個の置換物を含む。ある実施形態において、鎖間システインを欠く抗体は、表3の位置239、282、289、297、312、324、330、335、337、339、356、359、361、383、384、398、400、422、440の置換物を含む。
一部の実施形態において、鎖間システインを欠く抗体は、IgG1に基づく抗体の重鎖のSer239、Val282、Thr289、Asn297、Asp312、Ser324、Ala330、Thr335、Ser337、Ala339、Glu356、Thr359、Asn361、Ser383、Asn384、Leu398、Ser400、Ser440、Val422、およびSer442、またはIgG2、IgG3もしくはIgG4抗体(表3参照)中の相当位置からなる群から選択される少なくとも1つの天然に生じるアミノ酸の置換を含む。ある実施形態において、鎖間システインを欠く抗体は、IgG1に基づく抗体の重鎖のSer239、Val282、Thr289、Asn297、Asp312、Ser324、Ala330、Thr335、Ser337、Ala339、Glu356、Thr359、Asn361、Ser383、Asn384、Leu398、Ser400、Ser440、Val422、およびSer442から選択される位置、またはIgG2、IgG3もしくはIgG4抗体(表3参照)中の相当位置における置換を含まない。
種々の実施形態において、鎖間システインを欠く抗体は、IgG1抗体の重鎖の239、282、289、297、312、324、330、335、337、339、356、359、361、383、384、398、400、440、422、および442からなる群から選択される位置、またはIgG2、IgG3もしくはIgG4抗体の相応位置におけるシステインについて置換されている天然に生じるアミノ酸を有するIgG1を含む。鎖間システインを欠く抗体は、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4フォーマットに由来することもある。一部の実施形態において、鎖間システインを欠く抗体は、非IgGフォーマット、例えばIgA1、IgA2 IgM、IgD、またはIgEに由来する。ある実施形態において、本明細書における抗体は、IgG1分子のCH2および/またはCH3領域またはその等価物の表面残基のシステイン遺伝子操作を含む。
完全長抗体の断片は、ある実施形態において完全長CH2ドメインおよび/または完全長CH3ドメインを含まなくてよい。抗体断片は、表3に示す位置の1つ以上を含み得、このような位置におけるアミノ酸の1つ以上はシステインにより置換されていてよい。
種々の実施形態において、本明細書における抗体は、鎖間システインを欠く抗体の残基を含む単離されたFc領域の発現を含む。このような単離されたFc領域は、ディスプレイ目的のための足場として有用であり得る。
ある実施形態において、本明細書において、表3の位置239、282、289、297、312、324、330、335、337、339、356、359、361、383、384、398、400、422、440から選択される位置における少なくとも1つ以上の置換物を含有するFc領域を含む融合タンパク質が提供される。
一部の実施形態において、本明細書における遺伝子操作抗体は、表2に示すループ中の1つ以上の非天然に生じるシステインアミノ酸および表3に示す位置における1つ以上の非天然に生じるシステインアミノ酸を含み得る。
Fc領域
本明細書において、一部の実施形態において、上記Fc領域への改変(例えば、システインアミノ酸による表3に示す非システイン位置の置換)を有する天然鎖間システインを欠く抗体が提供される。下記の1つ以上の他のFc改変を有する天然鎖間システインを欠く抗体も提供される。したがって、一部の実施形態において、鎖間システインを欠く抗体は、親抗体のFc領域のアミノ酸配列と少なくとも25%、35%、45%、55%、65%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%のアミノ酸配列同一性または類似性を有するアミノ酸配列を有し得る。
Fc領域へのある改変(例えば、アミノ酸置換および/または付加および/または欠失)は、エフェクター機能を向上または縮小させ得る。ある実施形態において、抗体の変異体Fc領域は、天然Fcと比較して類似レベルのエフェクター機能の誘導を示す。種々の実施形態において、変異体Fc領域は、天然Fcと比較してエフェクター機能のより高い誘導を示す。変異体Fc領域は、天然Fcと比較してエフェクター機能のより低い誘導を示すこともある。一部の実施形態において、変異体Fc領域は、変異体Fc領域は、天然Fcと比較してADCCのより高い誘導を示す。ある実施形態において、変異体Fc領域は、天然Fcと比較して天然Fcと比較してADCCのより低い誘導を示す。一部の実施形態において、変異体Fc領域は、天然Fcと比較してCDCのより高い誘導を示す。一部の実施形態において、変異体Fc領域は、天然Fcと比較してCDCのより低い誘導を示す。
加えて、Fc領域のグリコシル化を改変してエフェクター機能を増加または減少させることができる。一部の実施形態において、システイン遺伝子操作は、天然鎖間システインアミノ酸を有する抗体相当物中に存在しないグリコシル化部位を作出する。したがって、一部の実施形態において、本明細書における抗体のFc領域は、アミノ酸残基のグリコシル化の変化を含む。ある実施形態において、アミノ酸残基のグリコシル化の変化は、エフェクター機能の低下をもたらす。種々の実施形態において、アミノ酸残基のグリコシル化の変化は、エフェクター機能の増加をもたらす。種々の実施形態において、Fc領域は、グリコシル化の低減を有する。一部の実施形態において、Fc領域はグリコシル化されている。
IgG分子上のオリゴ糖へのシアル酸の付加は、それらの抗炎症活性を向上させ、それらの細胞傷害性を変化させ得る。したがって、抗体治療薬の効力は、意図される用途に最良に適した糖型の選択により最適化することができる。抗体の2つのCH2ドメイン間に介入される2つのオリゴ糖鎖は、Fc領域のその受容体への結合に関与する。シアル化が増加したIgG分子は、抗炎症特性を示す一方、シアル化が低減したIgG分子は、免疫賦活特性の増加を示す。したがって、抗体治療薬は、特定の用途について適切なシアル化プロファイルを用いて「テーラーメード」することができる。抗体のシアル化状態をモジュレートする方法は、当分野において公知である。
一部の実施形態において、本明細書における抗体のFc領域は、参照未変化Fc領域と比較してシアル化プロファイルの変化を含む。ある実施形態において、本明細書における抗体のFe領域は、参照未変化Fc領域と比較してシアル化プロファイルの増加を含む。種々の実施形態において、本明細書における抗体のFc領域は、参照未変化Fc領域と比較して約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約60%、約65%、約70%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、約125%、150%以上のシアル化の増加を含む。一部の実施形態において、本明細書における抗体のFc領域は、未変化参照Fc領域と比較して約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約10倍、約20倍、約50倍以上のシアル化の増加を含む。
一部の実施形態において、本明細書における抗体のFc領域は、参照未変化Fc領域と比較してシアル化プロファイルの減少を含む。一部の実施形態において、本明細書における抗体のFc領域は、参照未変化Fc領域と比較して約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約60%、約65%、約70%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、約125%、150%以上のシアル化の減少を含む。一部の実施形態において、本明細書における抗体のFc領域は、未変化参照Fc領域と比較して約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約10倍、約20倍、約50倍以上のシアル化の減少を含む。
Fc領域を改変してタンパク質の半減期を増加させることもできる。半減期の増加は、患者に与えられる薬物の量の低減および投与頻度の低減を可能とする。したがって、半減期が増加した本明細書における抗体は、FcおよびFcRn受容体の間の相互作用に関与すると同定されたアミノ酸残基を改変(例えば、置換、欠失、または付加)することにより生成することができる。ある実施形態において、IgGアイソタイプ抗体の位置252におけるメチオニン、位置254におけるセリンおよび位置256におけるトレオニンを、得られる抗体がチロシン−252、トレオニン−254およびグルタミン酸−256を含むようにチロシン、トレオニンおよびグルタミン酸にそれぞれ変えることができる。このようなIgG抗体のFc領域は、YTE改変を含み、IgG2、IgG3およびIgG4抗体の相当位置を同様に改変することができる。さらに、本明細書における抗体の半減期を、当分野において公知の技術によるPEGまたはアルブミンへのコンジュゲーションにより増加させることができる。一部の実施形態において、本明細書における抗体のFc領域は、参照未変化Fc領域と比較して約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約60%、約65%、約70%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、約125%、約150%以上の半減期の増加を含む。ある実施形態において、本明細書における抗体のFc領域は、未変化参照Fc領域と比較して約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約10倍、約20倍、約50倍以上の半減期の増加を含む。
種々の実施形態において、本明細書における抗体のFc領域は、半減期の減少を含む。一部の実施形態において、本明細書における抗体のFc領域は、参照未変化Fc領域と比較して約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約60%、約65%、約70%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、約125%、約150%以上の半減期の減少を含む。一部の実施形態において、本明細書における抗体のFc領域は、未変化参照Fc領域と比較して約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約10倍、約20倍、約50倍以上の半減期の増加を含む。
本明細書において、ある実施形態において、比較分子(例えば、同一のアミノ酸配列を有するが、野性型Fc領域を有することを除くタンパク質)に対してFcリガンド(例えば、Fc受容体、Clq)についての結合特性の変化を有するFc変異体タンパク質も提供される。結合特性の例には、限定されるものではないが、結合特異性、平衡解離定数(KD)、解離および会合速度(それぞれkoffおよびkon)、結合親和性および/またはアビディティが含まれる。低いkonを有する結合分子(例えば、Fc変異体タンパク質、例えば抗体)が高いkoffを有する結合分子よりも好ましいことがあることが一般に理解される。しかしながら、一部の例において、konまたはkoffの値がKDの値よりもより関連的であり得る。当業者は、どの速度論的パラメータが所与の抗体用途に最も重要であるかを決定することができる。
Fc領域のそのリガンドについての親和性および結合特性は、Fc−FcγR相互作用、すなわち、FcRへのFc領域の特異的結合の決定のための当分野において公知の種々のインビトロアッセイ法(生化学的または免疫学的ベースアッセイ)、例として、限定されるものではないが、平衡法(例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、またはラジオイムノアッセイ(RIA))、またはキネティクス(例えば、BIACORE(登録商標)分析)、および他の方法、例えば間接結合アッセイ、競合阻害アッセイ、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)、ゲル電気泳動およびクロマトグラフィー(例えば、ゲル濾過)により決定することができる。これらのおよび他の方法は、試験されている構成成分の1つ以上に対して標識を利用し、および/または種々の検出法、例として、限定されるものではないが、比色分析、分光分析、分光光度分析、蛍光、発光、または同位体標識を用い得る。
一部の実施形態において、Fc変異体タンパク質は、比較分子に対して1つ以上のFcリガンドへの結合の向上を有する。ある実施形態において、Fc変異体タンパク質は、比較分子よりも少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも7倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、少なくとも60倍、少なくとも70倍、少なくとも80倍、少なくとも90倍、少なくとも100倍、または少なくとも200倍大きいFcリガンドについての親和性を有する。種々の実施形態において、Fc変異体タンパク質は、Fc受容体への結合の向上を有する。一部の実施形態において、Fc変異体タンパク質は、Fc受容体FcγRIIIAへの結合の向上を有する。ある実施形態において、Fc変異体タンパク質は、Fc受容体FcγRITBへの結合の向上を有する。種々の実施形態において、Fc変異体タンパク質は、Fc受容体FcRnへの結合の向上を有する。Fc変異体タンパク質は、比較分子に対してClqへの結合の向上を有することもある。
任意の特定のFc変異体タンパク質の、ADCCによる標的細胞の溶解を媒介する能力をアッセイすることができる。ADCC活性を評価するため、目的のFc変異体タンパク質を、抗原抗体複合体により活性化することができ、標的細胞の細胞溶解をもたらす免疫エフェクター細胞との組合せにおける標的細胞に添加する。細胞溶解は、一般に、溶解される細胞からの標識(例えば、放射性基質、蛍光色素または天然細胞内タンパク質)の放出により検出する。このようなアッセイのためのエフェクター細胞には、末梢血単核細胞(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞が含まれ得る。インビトロADCCアッセイの具体例は当分野において公知である。
一部の実施形態において、Fc変異体タンパク質は、比較分子に対して向上したADCC活性を有する。具体的な実施形態において、Fc変異体タンパク質は、比較分子よりも少なくとも2倍、または少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも50倍、または少なくとも100倍大きいADCC活性を有する。ある実施形態において、Fc変異体タンパク質は、Fc受容体FcγRIIIAへの結合の向上を有し、比較分子に対して向上したADCC活性を有する。一部の実施形態において、Fc変異体タンパク質は、比較分子に対して向上したADCC活性および向上した血清半減期の両方を有する。
ある実施形態において、Fc変異体タンパク質は、比較分子に対して低減したADCC活性を有する。一部の実施形態において、Fc変異体タンパク質は、比較分子よりも少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも50倍、または少なくとも100倍低いADCC活性を有する。種々の実施形態において、Fc変異体タンパク質は、Fe受容体FcγRIIIAへの結合の低減を有し、比較分子に対して低減したADCC活性を有する。Fc変異体タンパク質は、比較分子に対して低減したADCC活性および向上した血清半減期の両方を有することもある。
一実施形態において、Fc変異体タンパク質は、比較分子に対して向上したCDC活性を有する。一部の実施形態において、Fc変異体タンパク質は、比較分子よりも少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも50倍、または少なくとも100倍大きいCDC活性を有する。ある実施形態において、Fc変異体タンパク質は、比較分子に対して向上したCDC活性および向上した血清半減期の両方を有する。一実施形態において、Fc変異体タンパク質は、比較分子に対して1つ以上のFcリガンドへの結合の低減を有する。一部の実施形態において、Fc変異体タンパク質は、比較分子よりも少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも7倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、少なくとも60倍、少なくとも70倍、少なくとも80倍、少なくとも90倍、少なくとも100倍、または少なくとも200倍低いFcリガンドについての親和性を有する。
一部の実施形態において、Fc変異体タンパク質は、Fc受容体への結合の低減を有する。ある実施形態において、Fc変異体タンパク質は、Fc受容体FcγRIIIAへの結合の低減を有する。種々の実施形態において、本明細書に記載のFc変異体は、比較分子よりも少なくとも約5倍低いFc受容体FcγRIIIAについての親和性を有し、前記Fc変異体は、比較分子の約2倍の範囲内のbe受容体FcγRIIBについての親和性を有する。Fc変異体タンパク質は、Fc受容体FcRnへの結合の低減を有することもある。一部の実施形態において、Fc変異体タンパク質は、比較分子に対して低減したClqへの結合を有する。
Fc変異体の一部の実施形態において、Fc領域は、Kabatにおいて説明されるEUインデックスによりナンバリングされる234、235、236、237、238、239、240、241、243、244、245、247、251、252、254、255、256、262、263、264、265、266、267、268、269、279、280、284、292、296、297、298、299、305、313、316、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、339、341、343、370、373、378、392、416、419、421、440および443からなる群から選択される1つ以上の位置における非天然に生じるアミノ酸残基を含む。
場合により、Fc領域は、当業者に公知の追加および/または代替位置における非天然に生じるアミノ酸残基を含み得る。一部の実施形態において、Fc領域が、Kabatにおいて説明されるEUインデックスによりナンバリングされる234D、234E、234N、234Q、234T、234H、234Y、234I、234V、234F、235A、235D、235R、235W、235P、235S、235N、235Q、235T、235H、235Y、235I、235V、235F、236E、239D、239E、239N、239Q、239F、239T、239H、239Y、240I、240A、240T、240M、241W、241L、241Y、241E、241R.243W、243L 243Y、243R、243Q、244H、245A、247L、247V、247G、251F、252Y、254T、255L、256E、256M、262I、262A、262T、262E、263I、263A、263T、263M、264L、264I、264W、264T、264R、264F、264M、264Y、264E、265G、265N、265Q、265Y、265F、265V、265I、265L、265H、265T、266I、266A、266T、266M、267Q、267L、268E、269H、269Y、269F、269R、270E、280A、284M、292P、292L、296E、296Q、296D、296N、296S、296T、296L、296I、296H、269G、297S、297D、297E、298H、298I、298T、298F、299I、299L、299A、299S、299V、299H、299F、299E、305I、313F、316D、325Q、325L、325I、325D、325E、325A、325T、325V、325H、327G、327W、327N、327L、328S、328M、328D、328E、328N、328Q、328F、328I、328V、328T、328H、328A、329F、329H、329Q、330K、330G、330T、330C、330L、330Y、330V、330I、330F、330R、330H、331G、331A、331L、331M、331F、331W、331K、331Q、331E、331S、331V、331I、331C、331Y、331H、331R、331N、331D、331T、332D、332S、332W、332F、332E、332N、332Q、332T、332H、332Y、332A、339T、370E、370N、378D、392T、396L、416G、419H、421K、440Yおよび443Wからなる群から選択される少なくとも1つの非天然に生じるアミノ酸残基を含むFc変異体が提供される。場合により、Fc領域は、当分野において公知の追加および/または代替の非天然に生じるアミノ酸残基を含み得る。
あるアミノ酸配列改変
ある実施形態において、鎖間システインを欠く抗体中の軽鎖のアミノ酸配列は、配列番号9または10のアミノ酸配列に対して約80%以上同一である(例えば、配列番号9または10のアミノ酸配列に対して約85%以上、86%以上、87%以上、88%以上、89%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上同一)。一部の実施形態において、軽鎖のアミノ酸配列は、配列番号9または10のアミノ酸配列に対して同一であるが、それが配列番号9または10のアミノ酸配列に対して1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のアミノ酸改変(例えば、置換、挿入および/または欠失)を含むことを除く。一部の実施形態において、重鎖のアミノ酸配列は、配列番号5、6、7または8のアミノ酸配列に対して約80%以上同一である(例えば、配列番号5、6、7または8のアミノ酸配列に対して約85%以上、86%以上、87%以上、88%以上、89%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上同一)。一部の実施形態において、重鎖のアミノ酸配列は、配列番号5、6、7または8のアミノ酸配列のアミノ酸配列に対して同一であるが、それが配列番号5、6、7または8のアミノ酸配列に対して1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のアミノ酸改変(例えば、置換、挿入および/または欠失)を含むことを除く。本明細書に記載のとおり、一部の実施形態において、軽鎖および/または可変鎖配列は、1から10個の非システインアミノ酸の遺伝子操作システイン置換を含み得る。
配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9または10の配列に加え、本発明の技術は、可変軽鎖(VL)ドメインおよび/または可変重鎖(VH)ドメインおよび/またはFc領域の1つ以上のアミノ酸残基および/またはポリペプチド置換、付加および/または欠失ならびに翻訳後修飾を含むさらなる改変体、変異体およびその断片も包含する。これらの改変体には、抗体が部分に共有結合した抗体コンジュゲートが含まれる。抗体への付着に好適な部分には、限定されるものではないが、タンパク質、ペプチド、薬物、標識、および細胞毒素である。これらの抗体の変化は、抗原媒介疾患の治療および/または診断に適切なように、抗体の特徴(生化学的、結合および/または機能的)を変化または微調整するように行うことができる。コンジュゲートを形成する方法、アミノ酸および/またはポリペプチド変化ならびに翻訳後修飾を行う方法は、当分野において公知であり、その一部を以下に詳述する。以下の記載は、限定するものではなく、一部の実施形態の非限定的な記載であり、その多くは当業者により理解される。以下の方法の一部を使用して上記のヒト、ヒト化および/またはキメラ抗体配列を開発したことも理解される。欠失、挿入、および置換の任意の組合せは、最終構築物に到達するように作製することができるが、最終構築物が所望の特徴を有することを条件とする。
抗体へのアミノ酸変化は、上記同定された抗体配列または親抗体配列に対して100%未満の同一性の配列を必然的にもたらす。ある実施形態において、これに関連して、本明細書における抗体は、親抗体の重鎖または軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列に対して約25%から約95%の配列同一性を有し得る。したがって、一部の実施形態において、鎖間システインを欠く抗体は、親抗体の重鎖または軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列と少なくとも25%、35%、45%、55%、65%、75%、80%、85%、90%、または95%のアミノ酸配列同一性または類似性を有するアミノ酸配列を有し得る。ある実施形態において、鎖間システインを欠く抗体は、親抗体の重鎖または軽鎖CDR1、CDR2、またはCDR3のアミノ酸配列と少なくとも25%、35%、45%、55%、65%、75%、80%、85%、90%、または95%のアミノ酸配列同一性または類似性を有するアミノ酸配列を有する。鎖間システインを欠く抗体は、親抗体の重鎖または軽鎖FR1、FR2、FR3またはFR4のアミノ酸配列と少なくとも25%、35%、45%、55%、65%、75%、80%、85%、90%、または95%アミノ酸配列同一性または類似性を有するアミノ酸配列を有し得ることもある。
ある実施形態において、変化した抗体は、抗体の可変領域の1つ以上に導入される1つ以上のアミノ酸変化(例えば、置換、欠失および/または付加)により生成する。種々の実施形態において、アミノ酸変化は、フレームワーク領域中に導入する。フレームワーク領域残基の1つ以上の変化は、抗原についての抗体の結合親和性の改善をもたらし得る。これは、これらの変化を、フレームワーク領域がCDR領域とは異なる種からのものであり得るヒト化抗体に対して作製する場合、本質的に当てはまり得る。改変するためのフレームワーク領域残基の例には、抗原に直接非共有結合するもの、CDRの立体構造と相互作用し、それに影響するもの、および/またはVL−VH界面に関与するものが含まれる。一部の実施形態において、約1から約5のフレームワーク残基を変化させることができる。これは、超可変領域残基のいずれも変化していない場合であっても前臨床試験における使用に好適な抗体突然変異体を生じさせるために十分であり得ることもある。しかしながら、通常、変化した抗体は、追加の超可変領域変化を含み得る。ある実施形態において、超可変領域残基は、特に、第2の哺乳動物種からの抗原についての鎖間システインを欠く抗体の出発結合親和性が、ランダムに生成された抗体が容易にスクリーニングすることができるようなものである場合、ランダムに変化させることができる。
特異的結合活性
本明細書における鎖間システインを欠く抗体は、それらの野性型相当物の抗原結合能を保持する。一実施形態において、鎖間システインを欠く抗体は、本質的には、システイン遺伝子操作前の抗体と比較して同一の親和性を示す。一部の実施形態において、本明細書における鎖間システインを欠く抗体は、システイン遺伝子操作前の抗体と比較して低減した親和性を示す。一部の実施形態において、本明細書における鎖間システインを欠く抗体は、システイン遺伝子操作前の抗体と比較して向上した親和性を示す。
本明細書における抗体は、そのコグネイト抗原の1つ以上に対する高い結合親和性を有し得る。例えば、本明細書に記載の抗体は、少なくとも2×105M−1s−1、少なくとも5×105M−1s−1、少なくとも106M−1s−1、少なくとも5×106M−1s−1、少なくとも107M−1s−1、少なくとも5×107M−1s−1、または少なくとも108M−1s−1の会合速度定数またはkon速度(抗体(Ab)+抗原−>Ab−Ag)を有し得る。
一部の実施形態において、抗体は、5x10−1s−1未満、10−1s−1未満、5x10−2s−1未満、10−2s−1未満、5x10−3s−1未満、10−3s−1未満、5x10−4s−1未満、または10−4s−1未満のkoff速度(Ab−Ag−>Ab+Ag)を有し得る。一部の実施形態において、本明細書における抗体は、5x10−5s−1未満、10−5s−1未満、5x10−6s−1未満、10−6s−1未満、5x10−7s−1未満、10−7s−1未満、5x10−8s−1未満、10−8s−1未満、5x10−9s−1未満、10−9s−1未満、または10−10s−1未満のkoffを有する。
一部の実施形態において、抗体は、少なくとも102M−1、少なくとも5×102M−1、少なくとも103M−1、少なくとも5×103M−1、少なくとも104M−1、少なくとも5×104M−1、少なくとも105M−1、少なくとも5×105M−1、少なくとも106M−1、少なくとも5×106M−1、少なくとも107M−1、少なくとも5×107M−1、少なくとも108M−1、少なくとも5×108M−1、少なくとも109M−1、少なくとも5×109M−1、少なくとも1010M−1、少なくとも5×1010M−1、少なくとも1011M−1、少なくとも5×1011M−1、少なくとも1012M−1、少なくとも5×1012M−1、少なくとも1013M−1、少なくとも5×1013M−1、少なくとも1014M−1、少なくとも5×1014M−1、少なくとも1015M−1、または少なくとも5×1015M−1の親和性定数またはKa(kon/koff)を有し得る。
ある実施形態において、抗体は、5x10−2M未満、10−2M未満、5x10−3M未満、10−3M未満、5x10−4M未満、10−4M未満、5x10−5M未満、10−5M未満、5x10−6M未満、10−6M未満、5x10−7M未満、10−7M未満、5x10−8M未満、10−8M未満、5x10−9M未満、10−9M未満、5x10−10M未満、10−10M未満、5×10−11M未満、10−11M未満、5x10−12M未満、10−12M未満、5x10−13M未満、10−13M未満、5x10−14M未満、10−14M未満、5x10−15M未満、または10−15M未満の解離定数またはKd(koff/kon)を有し得る。
本明細書に記載の方法により使用される抗体は、本明細書に記載の方法または当業者に公知の方法(例えば、BIAcoreアッセイ、ELISA)(Biacore International AB,Uppsala,Sweden)を使用して評価した3000pM未満、2500pM未満、2000pM未満、1500pM未満、1000pM未満、750pM未満、500pM未満、250pM未満、200pM未満、150pM未満、100pM未満、75pM未満の解離定数(Kd)を有し得る。
一部の実施形態において、本明細書における抗体は、別の抗体との結合に競合するエピトープ結合ドメインを含む。ある実施形態において、本明細書における鎖間システインを欠く抗体は、PDGFRアルファ、PDGFRベータ、PDGF、VEGF、VEGF−A、VEGF−B、VEGF−C、VEGF−D、VEGFE、VEGF−F、VEGFR−1、VEGFR−2、VEGFR−3、FGF、FGF2、HGF、KDR、flt−1、FLK−1 Ang−2、Ang−1、PLGF、CEA、CXCL13、Baff、IL−21、CCL21、TNF−アルファ、CXCL12、SDF−1、bFGF、MAC−1、IL23p19、FPR、IGFBP4、CXCR3、TLR4、CXCR2、EphA2、EphA4、EphrinB2、EGFR(ErbB1)、HER2(ErbB2またはp185neu)、HER3(ErbB3)、HER4 ErbB4またはtyro2)、SC1、LRP5、LRP6、RAGE、Nav1.7、GLP1、RSV、RSV Fタンパク質、インフルエンザHAタンパク質、インフルエンザNAタンパク質、HMGB1、CD16、CD19、CD20、CD21、CD28、CD32、CD32b、CD64、CD79、CD22、ICAM−1、FGFR1、FGFR2、HDGF、EphB4、GITR、β−アミロイド、hMPV、PIV−1、PIV−2、OX40L、IGFBP3、cMet、PD−1、PLGF、ネプリライシン(Neprolysin)、CTD、IL−18、IL−6、CXCL−13、IL−1R1、IL−15、IL−4R、IgE、PAI−1、NGF、EphA2、CEA、uPARt、DLL−4、αvβ6、α5β1、インターフェロン受容体I型およびII型。CD19、ICOS、IL−17、第II因子、Hsp90、IGF、CD19、GM−CSFR、PIV−3、CMV、IL−13、IL−9、およびEBVから選択される抗原に特異的に結合するエピトープ結合ドメインを含む。
種々の実施形態において、鎖間システインを欠く抗体は、TNFスーパーファミリーのメンバー(受容体またはリガンド)に特異的に結合する少なくとも1つのエピトープ結合ドメインを含む。種々の分子には、限定されるものではないが、腫瘍壊死因子−アルファ(「TNF−アルファ」)、腫瘍壊死因子−ベータ(「TNF−ベータ」)、リンホトキシン−アルファ(「LT−アルファ」)、CD30リガンド、CD27リガンド、CD40リガンド、4−1BBリガンド、Apo−1リガンド(FasリガンドまたはCD95リガンドとも称される)、Apo−2リガンド(TRAILとも称される)、Apo−3リガンド(TWEAKとも称される)、オステオプロテゲリン(OPG)、APRIL、RANKリガンド(TRANCEとも称される)、TALL−1(BlyS、BAFFまたはTHANKとも称される)、DR4、DR5(Apo−2、TRAIL−R2、TR6、Tango−63、hAPO8、TRICK2、またはKILLERとしても公知)、DR6、DcR1,DcR2、DcR3(TR6またはM68としても公知)、CAR1、HVEM(ATARまたはTR2としても公知)、GITR、ZTNFR−5、NTR−1、TNFL1、CD30、LTBr、4−1BB受容体およびTR9が含まれる。
一部の実施形態において、本明細書における鎖間システインを欠く抗体は、5T4、ABL、ABCF1、ACVR1、ACVR1B、ACVR2、ACVR2B、ACVRL1、ADORA2A、アグレカン、AGR2、AICDA、AIF1、AIGI、AKAP1、AKAP2、AMH、AMHR2、ANGPT1、ANGPT2、ANGPTL3、ANGPTL4、ANPEP、APC、APOC1、AR、アロマターゼ、ATX、AX1、AZGP1(亜鉛−a−糖タンパク質)、B7.1、B7.2、B7−H1、BAD、BAFF、BAG1、BAI1、BCR、BCL2、BCL6、BDNF、BLNK、BLR1(MDR15)、BIyS、BMP1、BMP2、BMP3B(GDFIO)、BMP4、BMP6、BMP8、BMPR1A、BMPR1B、BMPR2、BPAG1(プレクチン)、BRCA1、C19orflO(IL27w)、C3、C4A、C5、C5R1、CANT1、CASP1、CASP4、CAV1、CCBP2(D6/JAB61)、CCL1(1−309)、CCLI1(エオタキシン)、CCL13(MCP−4)、CCL15(MIP−Id)、CCL16(HCC−4)、CCL17(TARC)、CCL18(PARC)、CCL19(MIP−3b)、CCL2(MCP−1)、MCAF、CCL20(MIP−3a)、CCL21(MEP−2)、SLC、exodus−2、CCL22(MDC/STC−I)、CCL23(MPIF−I)、CCL24(MPIF−2/エオタキシン−2)、CCL25(TECK)、CCL26(エオタキシン−3)、CCL27(CTACK/ILC)、CCL28、CCL3(MIP−Ia)、CCL4(MIPIb)、CCL5(RANTES)、CCL7(MCP−3)、CCL8(mcp−2)、CCNA1、CCNA2、CCND1、CCNE1、CCNE2、CCRI(CKR1/HM145)、CCR2(mcp−IRB/RA)、CCR3(CKR3/CMKBR3)、CCR4、CCR5(CMKBR5/ChemR13)、CCR6(CMKBR6/CKR−L3/STRL22/DRY6)、CCR7(CKR7/EBI1)、CCR8(CMKBR8/TER1/CKR−L1)、CCR9(GPR−9−6)、CCRL1(VSHK1)、CCRL2(L−CCR)、CD164、CD19、CDIC、CD20、CD200、CD−22、CD24、CD28、CD3、CD33、CD35、CD37、CD38、CD3E、CD3G、CD3Z、CD4、CD40、CD40L、CD44、CD45RB、CD52、CD69、CD72、CD74、CD79A、CD79B、CD8、CD80、CD81、CD83、CD86、CD137、CDH1(Eカドヘリン)、CDH1O、CDH12、CDH13、CDH18、CDH19、CDH20、CDH5、CDH7、CDH8、CDH9、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5、CDK6、CDK7、CDK9、CDKN1A(p21Wap1/Cip1)、CDKN1B(p27Kip1)、CDKN1C、CDKN2A(p16INK4a)、CDKN2B、CDKN2C、CDKN3、CEBPB、CERI、CHGA、CHGB、キチナーゼ、CHST1O、CKLFSF2、CKLFSF3、CKLFSF4、CKLFSF5、CKLFSF6、CKLFSF7、CKLFSF8、CLDN3、CLDN7(クラウジン−7)、CLN3、CLU(クラステリン)、CMKLR1、CMKOR1(RDC1)、CNR1、COL18A1、COLIA1、COL4A3、COL6A1、CR2、Cripto、CRP、CSFl(M−CSF)、CSF2(GM−CSF)、CSF3(GCSF)、CTLA4、CTL8、CTNNBl(b−カテニン)、CTSB(カテプシンB)、CX3CL1(SCYD1)、CX3CR1(V28)、CXCL1(GRO1)、CXCL1O(IP−IO)、CXCLI1(I−TAC/IP−9)、CXCL12(SDF1)、CXCL13、CXCL14、CXCL16、CXCL2(GRO2)、CXCL3(GRO3)、CXCL5(ENA−78/LIX)、CXCL6(GCP−2)、CXCL9(MIG)、CXCR3(GPR9/CKR−L2)、CXCR4、CXCR6(TYMSTR/STRL33/Bonzo)、CYB5、CYC1、CYSLTR1、DAB2IP、DES、DKFZp451J0118、DNCLl、DPP4、E2F1、Engel、Edge、Fennel、EFNA3、EFNB2、EGF、EGFR、ELAC2、ENG、Enola、ENO2、ENO3、EPHA1、EPHA2、EPHA3、EPHA4、EPHA5、EPHA6、EPHA7、EPHA8、EPHA9、EPHA10、EPHB1、EPHB2、EPHB3、EPHB4、EPHB5、EPHB6、EPHRIN−A1、EPHRIN−A2、EPHRIN−A3、EPHRIN−A4、EPHRIN−A5、EPHRIN−A6、EPHRIN−B1、EPHRIN−B2、EPHRIN−B3、EPHB4、EPG、ERBB2(Her−2)、EREG、ERK8、エストロゲン受容体、EarI、ESR2、F3(TF)、FADD、ファルネシルトランスフェラーゼ、FasL、FASNf、FCER1A、FCER2、FCGR3A、FGF、FGF1(aFGF)、FGF1O、FGF11、FGF12、FGF12B、FGF13、FGF14、FGF16、FGF17、FGF18、FGF19、FGF2(bFGF)、FGF20、FGF21、FGF22、FGF23、FGF3(int−2)、FGF4(HST)、FGF5、FGF6(HST−2)、FGF7(KGF)、FGF8、FGF9、FGFR3、FIGF(VEGFD)、FILl(EPSILON)、FBLl(ZETA)、FLJ12584、FLJ25530、FLRTl(フィブロネクチン)、FLTl、FLT−3、FOS、FOSL1(FRA−1)、FY(DARC)、GABRP(GABAa)、GAGEB1、GAGEC1、GALNAC4S−6ST、GATA3、GD2、GDF5、GFI1、GGT1、GM−CSF、GNAS1、GNRH1、GPR2(CCR1O)、GPR31、GPR44、GPR81(FKSG80)、GRCC1O(ClO)、GRP、GSN(ゲルゾリン)、GSTP1、HAVCR2、HDAC、HDAC4、HDAC5、HDAC7A、HDAC9、ヘッジホッグ、HGF、HIF1A、HIPl、ヒスタミンおよびヒスタミン受容体、HLA−A、HLA−DRA、HM74、HMOXI、HSP90、HUMCYT2A、ICEBERG、ICOSL、ID2、IFN−a、IFNA1、IFNA2、IFNA4,IFNA5、EFNA6、BFNA7、IFNB1、IFNガンマ、IFNW1、IGBP1、IGF1、IGFIR、IGF2、IGFBP2、IGFBP3、IGFBP6、DL−1、ILIO、ILIORA、ILIORB、IL−1、IL1R1(CD121a)、IL1R2(CD121b)、IL−IRA、IL−2、IL2RA(CD25)、IL2RB(CD122)、IL2RG(CD132)、IL−4、IL−4R(CD123)、IL−5、IL5RA(CD125)、IL3RB(CD131)、IL−6、IL6RA(CD126)、IR6RB(CD130)、IL−7、IL7RA(CD127)、IL−8、CXCR1(IL8RA)、CXCR2(IL8RB/CD128)、IL−9、IL9R(CD129)、IL−10、IL10RA(CD210)、IL10RB(CDW210B)、IL−11、IL11RA、IL−12、IL−12A、IL−12B、IL−12RB1、IL−12RB2、IL−13、IL13RA1、IL13RA2、IL14、IL15、IL15RA、1L16、IL17、IL17A、IL17B、IL17C、IL17R、IL18、IL18BP、IL18R1、IL18RAP、IL19、ILIA、ILIB、IL1F10、IL1F5、IL1F6、IL1F7、IL1F8、DL1F9、ILIHYl、ILIR1、IL1R2、ILIRAP、ILIRAPLI、IL1RAPL2、IL1RL1、IL1RL2、ILIRN、IL2、IL20、IL20RA、IL21R、IL22、IL22R、IL22RA2、IL23、DL24、IL25、IL26、IL27、IL28A、IL28B、IL29、IL2RA、IL2RB、IL2RG、IL3、IL30、IL3RA、IL4、IL4R、IL6ST(糖タンパク質130)、ILK、INHA、INHBA、INSL3、INSL4、IRAKI、IRAK2、ITGAl、ITGA2、ITGA3、ITGA6(α6インテグリン)、ITGAV、ITGB3、ITGB4(β4インテグリン)、JAG1、JAK1、JAK3、JTB、JUN、K6HF、KAI1、KDR、KITLG、KLF5(GCボックスBP)、KLF6、KLK1O、KLK12、KLK13、KLK14、KLK15、KLK3、KLK4、KLK5、KLK6、KLK9、KRT1、KRT19(ケラチン19)、KRT2A、KRTHB6(毛髪特異的II型ケラチン)、LAMA5、LEP(レプチン)、Lingo−p75、Lingo−Troy、LPS、LTA(TNF−b)、LTB、LTB4R(GPR16)、LTB4R2、LTBR、MACMARCKS、MAGもしくはOmgp、MAP2K7(c−Jun)、MCP−1、MDK、MIB1、ミドカイン、MIF、MISRII、MJP−2、MK、MKI67(Ki−67)、MMP2、MMP9、MS4A1、MSMB、MT3(メタロチオネクチン−UI)、mTOR、MTSSl、MUCl(ムチン)、MYC、MYD88、NCK2、ニューロカン、NFKBI、NFKB2、NGFB(NGF)、NGFR、NgR−Lingo、NgR−Nogo66(Nogo)、NgR−p75、NgR−Troy、NMEI(NM23A)、NOTCH、NOTCH1、NOX5、NPPB、NROB1、NR0B2、NRID1、NR1D2、NR1H2、NR1H3、NR1H4、NR1I2、NR1I3、NR2C1、NR2C2、NR2E1、NR2E3、NR2F1、NR2F2、NR2F6、NR3C1、NR3C2、NR4A1、NR4A2、NR4A3、NR5A1、NR5A2、NR6A1、NRPl、NRP2、NT5E、NTN4、ODZI、OPRDI、P2RX7、PAP、PART1、PATE、PAWR、PCA3、PCDGF、PCNA、PDGFA、PDGFB、PDGFRA、PDGFRB、PECAMI、peg−アスパラギナーゼ、PF4(CXCL4)、PGF、PGR、ホスファカン、PIAS2、PI3キナーゼ、PIK3CG、PLAU(uPA)、PLG、PLXDCI、PKC、PKC−ベータ、PPBP(CXCL7)、PPID、PR1、PRKCQ、PRKD1、PRL、PROC、PROK2、PSAP、PSCA、PTAFR、PTEN、PTGS2(COX−2)、PTN、RAC2(P21Rac2)、RANK、RANKリガンド、RARB、RGS1、RGS13、RGS3、RNFI1O(ZNF144)、Ron、ROBO2、RXR、S100A2、SCGB1D2(リポフィリンB)、SCGB2A1(マンマグロビン2)、SCGB2A2(マンマグロビン1)、SCYE1(内皮単球活性化サイトカイン)、SDF2、SERPENA1、SERPINA3、SERPINB5(マスピン)、SERPINEI(PAI−I)、SERPINFl、SHIP−1、SHIP−2、SHB1、SHB2、SHBG、SfcAZ、SLC2A2、SLC33A1、SLC43A1、SLIT2、SPP1、SPRR1B(Spr1)、ST6GAL1、STAB1、STAT6、STEAP、STEAP2、TB4R2、TBX21、TCP1O、TDGF1、TEK、TGFA、TGFB1、TGFB1I1、TGFB2、TGFB3、TGFB1、TGFBRl、TGFBR2、TGF
BR3、THIL、THBS1(トロンボスポンジン−1)、THBS2、THBS4、THPO、TIE(Tie−1)、TIMP3、組織因子、TLR1O、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TNF、TNF−a、TNFAIP2(B94)、TNFAIP3、TNFRSFI1A、TNFRSFlA、TNFRSF1B、TNFRSF21、TNFRSF5、TNFRSF6(Fas)、TNFRSF7、TNFRSF8、TNFRSF9、TNFSF1O(TRAIL)、TNFSF11(TRANCE)、TNFSF12(APO3L)、TNFSF13(April)、TNFSF13B,TNFSF14(HVEM−L)、TNFSF15(VEGI)、TNFSF18、TNFSF4(OX40リガンド)、TNFSF5(CD40リガンド)、TNFSF6(FasL)、TNFSF7(CD27リガンド)、TNFSF8(CD30リガンド)、TNFSF9(4−1BBリガンド)、TOLLIP、Toll様受容体、TOP2A(トポイソメラーゼIia)、TP53、TPM1、TPM2,TRADD、TRAF1、TRAF2、TRAF3、TRAF4、TRAF5、TRAF6、TRKA、TREM1、TREM2、TRPC6、TSLP、TWEAK、チロシナーゼ、uPAR、VEGF、VEGFB、VEGFC、バーシカン、VHL C5、VLA−4、Wnt−1、XCL1(リンホタクチン)、XCL2(SCM−Ib)、XCRI(GPR5/CCXCR1)、YY1、およびZFPM2からなる群から選択される1つ以上の標的に結合し得る。
一部の実施形態において、本明細書における鎖間システインを欠く抗体は、アバゴボマブ、アバタセプト(ORENCIA(登録商標)としても公知である)、アブシキシマブ(REOPRO(登録商標)、c7E3Fabとしても公知である)、アダリムマブ(HUMIRA(登録商標)としても公知である)、アデカツムマブ、アレムツズマブ(CAMPATH(登録商標)、MabCampath、またはCampath−1Hとしても公知である)、アルツモマブ、アフェリモマブ、アナツモマブ・マフェナトックス(anatumomab mafenatox)、アネツムマブ(anetumumab)、アンルキズマブ(anrukizumab)、アポリズマブ(apolizumab)、アルシツモマブ、アセリズマブ(aselizumab)、アトリズマブ、アトロリムマブ(atorolimumab)、バピネウズマブ、バシリキシマブ(SIMULECT(登録商標)としても公知である)、バビツキシマブ、ベクツモマブ(LYMPHOSCAN(登録商標)としても公知である)、ベリムマブ(LYMPHO−STAT−B(登録商標)としても公知である)、ベルチリムマブ、ベシレソマブ(besilesomab)、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標)としても公知である)、ビシロマブ・ブラロバルビタール(biciromab brallobarbital)、ビバツズマブ・メルタンシン(bivatuzumab mertansine)、カンパス、カナキヌマブ(ACZ885としても公知である)、カンツズマブ・メルタンシン、カプロマブ(PROSTASCINT(登録商標)としても公知である)、カツマキソマブ(REMOVAB(登録商標)としても公知である)、セデリズマブ(CIMZIA(登録商標)としても公知である)、セルトリズマブ・ペゴル、セツキシマブ(ERBITUX(登録商標)としても公知である)、クレノリキシマブ(clenoliximab)、ダセツズマブ、ダクリキシマブ(dacliximab)、ダクリズマブ(ZENAPAX(登録商標)としても公知である)、デノスマブ(AMG162としても公知である)、デツモマブ(detumomab)、ドルリモマブ・アリトクス(dorlimomab aritox)、ドルリキシズマブ(dorlixizumab)、ダンツムマブ(duntumumab)、ドゥリムルマブ(durimulumab)、ドゥルムルマブ(durmulumab)、エクロメキシマブ、エクリズマブ(SOLIRIS(登録商標)としても公知である)、エドバコマブ、エドレコロマブ(Mab17−1A、PANOREX(登録商標)としても公知である)、エファリズマブ(RAPTIVA(登録商標)としても公知である)、エフングマブ(efungumab)(MYCOGRAB(登録商標)としても公知である)、エルシリモマブ(elsilimomab)、エンリモマブ・ペゴル(enlimomab pegol)、エピツモマブ・シツキセタン(epitumomab cituxetan)、エファリズマブ、エピツモマブ(epitumomab)、エプラツズマブ、エルリズマブ、エルツマキソマブ(ertumaxomab)(REXOMUN(登録商標)としても公知である)、エタネルセプト(ENBREL(登録商標)としても公知である)、エタラシズマブ(エタラツズマブ、VITAXIN(登録商標)、ABEGRIN(商標)としても公知である)、エクスビビルマブ(exbivirumab)、ファノレソマブ(fanolesomab)(NEUTROSPEC(登録商標)としても公知である)、ファラリモマブ、フェルビズマブ、フォントリズマブ(HUZAF(登録商標)としても公知である)、ガリキシマブ、ガンテネルマブ、ガビリモマブ(ABXCBL(登録商標)としても公知である)、ゲンツズマブ・オゾガミシン(MYLOTARG(登録商標)としても公知である)、ゴリムマブ(CNTO148としても公知である)、ゴミリキシマブ、イバリズマブ(TNX−355としても公知である)、イブリツモマブ・チウキセタン(ZEVALIN(登録商標)としても公知である)、イゴボマブ(igovomab)、インシロマブ(imciromab)、インフリキシマブ(REMICADE(登録商標)としても公知である)、イノリモマブ、イノツズマブ・オゾガミシン、イピリムマブ(MDX−010、MDX−101としても公知である)、イラツムマブ、ケリキシマブ、ラベツズマブ、レマレソマブ(lemalesomab)、レブリリズマブ(lebrilizumab)、レルデリムマブ(lerdelimumab)、レキサツムマブ(HGS−ETR2、ETR2−ST01としても公知である)、レキシツムマブ(lexitumumab)、リビビルマブ(libivirumab)、リンツズマブ、ルカツムマブ、ルミリキシマブ、マパツムマブ(HGS−ETR1、TRM−1としても公知である)、マスリモマブ、マツズマブ(EMD72000としても公知である)、メポリズマブ(BOSATRIA(登録商標)としても公知である)、メテリムマブ(metelimumab)、ミラツズマブ、ミンレツモマブ(minretumomab)、ミツモマブ、モロリムマブ(morolimumab)、モタビズマブ(NUMAX(商標)としても公知である)、ムロモナブ(OKT3としても公知である)、ナコロマブ・タフェナトクス(nacolomab tafenatox)、ナプツモマブ・エスタフェナトクス(naptumomab estafenatox)、ナタリズマブ(TYSABRI(登録商標)、ANTEGREN(登録商標)としても公知である)、ネバクマブ、ネレリモマブ、ニモツズマブ(THERACIM hR3(登録商標)、THERA−CIM−hR3(登録商標)、THERALOC(登録商標)としても公知である)、ノフェツモマブ・メルペンタン(nofetumomab merpentan)(VERLUMA(登録商標)としても公知である)、オクレリズマブ、オデュリモマブ(odulimomab)、オファツムマブ、オマリズマブ(XOLAIR(登録商標)としても公知である)、オレゴボマブ(OVAREX(登録商標)としても公知である)、オテリキシズマブ、パジバキシマブ(pagibaximab)、パリビズマブ(SYNAGIS(登録商標)としても公知である)、パニツムマブ(ABX−EGF、VECTIBIX(登録商標)としても公知である)、パスコリズマブ(pascolizumab)、ペンツモマブ(THERAGYN(登録商標)としても公知である)、ペルツズマブ(2C4、OMNITARG(登録商標)としても公知である)、ペキセリズマブ、ピンツモマブ(pintumomab)、プリリキシマブ、プリツムマブ(pritumumab)、ラニビズマブ(LUCENTIS(登録商標)としても公知である)、ラキシバクマブ、レガビルマブ、レスリズマブ、リツキシマブ(RITUXAN(登録商標)、MabTHERA(登録商標)としても公知である)、ロベリズマブ、ルプリズマブ、サツモマブ、セビルマブ(sevirumab)、シブロツズマブ、シプリズマブ(MEDI−507としても公知である)、ソンツズマブ(sontuzumab)、スタムルマブ(MYO−029としても公知である)、スレソマブ(sulesomab)(LEUKOSCAN(登録商標)としても公知である)、タカツズマブ・テトラキセタン(tacatuzumab tetraxetan)、タドシズマブ、タリズマブ、タプリツモマブ・パプトクス(taplitumomab paptox)、テフィバズマブ(tefibazumab)(AUREXIS(登録商標)としても公知である)、テリモマブ・アリトクス(telimomab aritox)、テネリキシマブ、テプリズマブ、チシリムマブ(ticilimumab)、トシリズマブ(ACTEMRA(登録商標)としても公知である)、トラリズマブ、トシツモマブ、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標)としても公知である)、トレメリムマブ(CP−675,206としても公知である)、ツコツズマブ・セルモレウキン(tucotuzumab celmoleukin)、ツビルマブ(tuvirumab)、ウルトキサズマブ、ウステキヌマブ(CNTO1275としても公知である)、バパリキシマブ(vapaliximab)、ベルツズマブ、ベパリモマブ(vepalimomab)、ビシリズマブ(NUVION(登録商標)としても公知である)、ボロシキシマブ(M200としても公知である)、ボツムマブ(HUMASPECT(登録商標)としても公知である)、ザルツムマブ、ザノリムマブ(HuMAX−CD4としても公知である)、ジラリムマブ(ziralimumab)、またはゾリモマブ・アリトクス(zolimomab aritox)からなる群から選択されるエピトープ結合ドメインを含む。
ある実施形態において、本明細書における鎖間システインを欠く抗体は、上記列記の抗体と同一の抗原に結合するエピトープ結合ドメインを含む。一部の実施形態において、本明細書における抗体は、上記列記の抗体から選択されるから選択される抗体との結合について競合するエピトープ結合ドメインを含む。
本明細書における抗体のインビトロ結合は、当分野において公知の手段、例えば、マイクロアレイ、BIAcore(登録商標)チップ上での固定化、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)により定量することができる。ある実施形態において、発色レポーターおよび基質は、観察可能な色変化を生成して抗原または検体の存在を示す。一部の実施形態において、アッセイ技術は、蛍光発生、電気化学発光、リアルタイムPCRレポーター、および電気免疫アッセイを利用して定量可能なシグナルを作出する。
本明細書における抗体のインビボ結合は、インサイチュー測定を使用して生物試料中でアッセイすることができる。生物試料は、下記の任意の組織、物質または液体であり得る。インサイチュー結合測定技術には、限定されるものではないが、染色、色素、蛍光標識、放射性アッセイ、タッピングモード原子間力顕微鏡、およびマイクロ放射性同位体抗グロブリンアッセイが含まれる。
システイン遺伝子操作における固有の改変は、結合特異性に影響し得る。例えば、一部の実施形態において、本明細書における鎖間システインを欠く抗体は、ヒト白血球受容体に結合しない。ある実施形態において、本明細書における抗体は、FcγRIII受容体に結合しない。しかしながら、遺伝子操作抗体は、ある細胞表面受容体分子、例としてヒト新生児Fc白血球受容体(FcLR)、上皮成長因子受容体(EGFR)およびHER3のタンパク質キナーゼドメインへの天然抗体の結合を密接に模倣する。蛍光は、細胞表面上で発現されたEGFRへの鎖間システインを欠く抗EGFR抗体の結合を示す。サポリンコンジュゲート抗Her3(mAb)および抗Her3(鎖間システインを欠く抗体)は、SKBr3細胞に対して類似の殺傷効力を示し、mAbおよび鎖間システインを欠く抗体が類似の結合および内在化キネティクスを有することを示唆する。
発現系
本明細書における抗体、誘導体、類似体またはその断片の組換え発現は、抗体をコードするポリヌクレオチドを含有する発現ベクターの構築を要する。本明細書における抗体または抗体の重鎖もしくは軽鎖、またはその一部をコードするポリヌクレオチドが得られると、当分野において公知の方法を使用する組換えDNA技術により、抗体の生成のためのベクターを生成することができる。したがって、抗体をコードするヌクレオチド配列を含有するポリヌクレオチドを発現させることによりタンパク質を調製する方法が、本明細書に記載される。当業者に公知である方法を使用して、抗体コード配列ならびに適切な転写および翻訳制御シグナルを含有する発現ベクターを構築することができる。これらの方法には、例えば、インビトロ組換えDNA技術、合成技術、およびインビボ遺伝子組換えが含まれる。
したがって、本明細書において、プロモーターに機能的に連結された、本明細書における抗体、抗体の重鎖もしくは軽鎖、抗体の重鎖もしくは軽鎖可変ドメインもしくはその一部、または重鎖もしくは軽鎖CDRをコードするヌクレオチド配列を含む複製可能なベクターが提供される。このようなベクターは、抗体の定常ドメインをコードするヌクレオチド配列を含み得、抗体の可変ドメインは、全重鎖、全軽鎖、または全重鎖もしくは全軽鎖の両方の発現のために、このようなベクター中にクローニングすることができる。
発現ベクターを、慣用の技術により宿主細胞に移し、次いで形質移入した細胞を慣用の技術により培養して本明細書における抗体を生成する。したがって、本明細書において、異種プロモーターに機能的に連結された、本明細書における抗体もしくはその断片、またはその重鎖もしくは軽鎖、またはそれらの一部、または本明細書における単鎖抗体をコードするポリヌクレオチドを含有する宿主細胞が提供される。2本鎖抗体の発現のためのある実施形態において、重鎖および軽鎖の両方をコードするベクターは、以下に詳述するとおり、免疫グロブリン分子全体の発現のために宿主細胞中で同時発現させることができる。
本明細書における抗体を発現させるために、種々の宿主発現ベクター系を利用することができる。このような宿主発現系は、目的のコード配列を生成し、続いて精製することができる運搬体を表すが、適切なヌクレオチドコード配列により形質転換または形質移入された場合、本明細書における抗体をインサイチューで発現し得る細胞も表す。これらには、限定されるものではないが、抗体コード配列を含有する組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNAまたはコスミドDNA発現ベクターにより形質転換された微生物、例えば細菌(例えば、大腸菌(E.coli)および枯草菌(B.subtilis));抗体コード配列を含有する組換え酵母発現ベクターにより形質転換された酵母(例えば、サッカロマイセス属(Saccharomyces);ピチア属(Pichia));抗体コード配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)に感染した昆虫細胞系;抗体コード配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)に感染した、もしくは組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)により形質転換された植物細胞系;または哺乳動物細胞のゲノムに由来するプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)もしくは哺乳動物ウイルスに由来するプロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーター、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を含有する組換え発現構築物を保持する哺乳動物細胞系(例えば、COS、CHO、BHK、293、NS0、および3T3細胞)が含まれる。
細菌細胞、例えば大腸菌(E.coli)、および真核細胞を、組換え抗体の発現に使用することができる。非限定的な例について、哺乳動物細胞、例えばチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)は、ベクター、例えばヒトサイトメガロウイルスからの主要前初期遺伝子プロモーターエレメントと併せて、抗体のための有効な発現系であり得る。
細菌系において、多数の発現ベクターを、発現される抗体のために意図される使用に応じて、有利に選択することができる。例えば、抗体の医薬組成物の生成のために大量のこのようなタンパク質を生成すべき場合、容易に精製される高レベルの融合タンパク質生成物の発現を指向するベクターが望ましいことがある。このようなベクターには、限定されるものではないが、融合タンパク質が生成されるように、抗体コード配列をlacZコード領域とインフレームでベクターに個々にライゲートすることができる大腸菌(E.coli)発現ベクターpUR278;pINベクターなどが含まれる。PGEXベクターを使用してグルタチオン5−トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として、外来ポリペプチドを発現させることもできる。一般に、このような融合タンパク質は、可溶性であり、マトリックスグルタチオン−アガロースビーズへの吸着および結合に続くフリーグルタチオンの存在下での溶出により、溶解した細胞から容易に精製することができる。pGEXベクターは、クローン化標的遺伝子生成物がGST部分から放出され得るように、トロンビンまたはXa因子プロテアーゼ開裂部位を含むように設計される。
昆虫系において、キンウワバ科(Autographa californica)核多角体病 昆虫系において、外来遺伝子を発現させるためのベクターとして、キンウワバ科(Autographa californica)核多角体病ウイルス(AcNPV)が使用される。ウイルスは、ヨトウガ(Spodoptera frugiperda)細胞中で成長する。抗体コード配列は、ウイルスの非必須領域中に個々にクローニングし、AcNPVプロモーターの制御下で配置することができる。
哺乳動物宿主細胞において、多数のウイルスベースの発現系を利用することができる。アデノウイルスを発現ベクターとして使用する場合、目的の抗体コード配列は、アデノウイルス転写/翻訳制御複合体、例えば、後期プロモーターおよび三成分リーダー配列にライゲートすることができる。次いで、このキメラ遺伝子をインビトロまたはインビボ組換えによりアデノウイルスゲノム中に挿入することできる。ウイルスゲノムの非必須領域(例えば、領域EIまたはE3)中への挿入は、感染宿主内で生存可能で、抗体を発現し得る組換えウイルスをもたらし得る。また、挿入される抗体コード配列の効率的な翻訳のために、特異的開始シグナルも必要とされ得る。これらのシグナルには、ATG開始コドンおよび隣接配列が含まれる。さらに、挿入物全体の翻訳を保証するため、開始コドンは、所望のコード配列のリーディングフレームと一致しなければならない。これらの外因性翻訳制御シグナルおよび開始コドンは、天然および合成の両方で、種々の起源からのものであり得る。発現の効率は、適切な転写エンハンサーエレメント、転写ターミネーターなどの包含により増強することができる。
一部の実施形態において、挿入された配列の発現をモジュレートする、または遺伝子生成物を所望の規定の様式で修飾およびプロセシングする宿主細胞株を選択することができる。タンパク質生成物のこのような修飾(例えば、グリコシル化)およびプロセシング(例えば、開裂)は、タンパク質の機能に重要であり得る。異なる宿主細胞は、タンパク質および遺伝子生成物の翻訳後プロセシングならびに修飾のための、特徴的および特異的機構を有する。適切な細胞系または宿主系を選択して、発現させた外来タンパク質の正確な修飾およびプロセシングを確保することができる。この目的のため、遺伝子生成物の適切な一次転写物のプロセシング、グリコシル化、およびリン酸化のための細胞機構を有する真核宿主細胞が使用することができる。このような哺乳動物宿主細胞には、限定されるものではないが、CHO、VERO、BHK、HeLa、COS、MDCK、293、3T3、W138、BT483、Hs578T、HTB2、BT2O、NS1およびT47D、NS0(いかなる免疫グロブリン鎖も内因的に生成しないマウス骨髄腫細胞系)、CRL7O3OならびにHsS78Bst細胞が含まれる。
組換えタンパク質の長期的な高収率の生成のために、安定的発現が適切である。例えば、抗体を安定的に発現する細胞系を、遺伝子操作することができる。ウイルス複製起点を含有する発現ベクターを使用する代わりに、適切な発現制御エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位など)により制御されるDNA、および選択可能なマーカーにより宿主細胞を形質転換することができる。外来DNAの導入に続いて、遺伝子操作された細胞を強化培地中で1〜2日間増殖させ、次いで、選択培地に切り替えることができる。組換えプラスミド中の選択可能なマーカーは、選択に対する耐性を付与し、細胞がプラスミドをそれらの染色体中に安定的に統合し、成長してフォーカスを形成することを可能とし、次いでそのフォーカスをクローニングし、細胞系に拡張させることができる。この方法は、抗体を発現する細胞系を遺伝子操作するために使用することができる。このような遺伝子操作された細胞系は、抗体と直接的または間接的に相互作用する組成物のスクリーニングおよび評価において有用であり得る。
ある実施形態において、本明細書に提供される抗体は、抗体の一過的発現を有する細胞系中で発現させる。一過的発現は、細胞中に導入された核酸がその細胞のゲノム中にも染色体DNA中にも統合しないが、細胞中で染色体外エレメント、例えばエピソームとして維持されるプロセスである。エピソームの核酸転写プロセスは影響を受けず、エピソームの核酸によりコードされるタンパク質が生成される。
安定的または一過的に形質移入された細胞系は、モノクローナル抗体の発現および生成をもたらす当分野において公知の細胞培養培地および条件下で維持する。ある実施形態において、哺乳動物細胞培養培地は、市販の培地配合物、例として、例えばDMEMまたはHam’s F12をベースとする。一部の実施形態において、細胞培養培地は、細胞成長および生物タンパク質発現の両方の増加を支持するように改変される。本明細書において使用される用語「細胞培養培地」、「培養培地」および「培地配合物」は、多細胞生物または組織外部の人工インビトロ環境中での細胞の維持、成長、増殖、または拡張のための栄養溶液を指す。細胞培養培地は、規定の細胞培養使用、例として、例えば、細胞成長を促進するために配合された細胞培養成長培地、または組換えタンパク質生成を促進するために配合された細胞培養生成培地について最適化することができる。栄養、成分、および構成成分という用語は、細胞培養培地を構成する構成要素を指すために互換的に使用することができる。
種々の実施形態において、細胞系はフェドバッチ法を使用して維持する。本明細書における「フェドバッチ法」は、フェドバッチ細胞培養物を、最初に基礎培地とインキュベートした後にそれに追加の栄養素を供給する方法を指す。例えば、フェドバッチ法は、決定されたフィードスケジュールに従って所与の期間内で補給培地を添加することを含み得る。したがって、「フェドバッチ細胞培養」は、細胞、典型的には哺乳動物細胞、および細胞培地を、培養ベッセルに最初に供給し、追加の培養栄養素を、培養の間に培養物に継続的にまたは不連続的に増分してフィードし、培養終了前の定期的な細胞および/または生成物回収を伴うまたは伴わない細胞培養を指す。
使用される細胞培養培地およびそれに含有される栄養素は、当業者に公知である。一部の実施形態において、細胞培養培地は、基礎培地および改変基礎培地をもたらす少なくとも1つの加水分解物、例えば、ダイズベースの加水分解物、酵母ベースの加水分解物、またはこの2タイプの加水分解物の組合せを含む。追加の栄養素は、基礎培地、例えば濃縮基礎培地のみを含み得ることもあり、または加水分解物、もしくは濃縮加水分解物のみを含み得る。好適な基礎培地には、限定されるものではないが、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、DME/F12、最少必須培地(MEM)、イーグル基礎培地(BME)、RPMI 1640、F−10、F−12、α−最少必須培地(α−MEM)、グラスゴー最少必須培地(G−MEM)、PF CHO(例えば、CHOタンパク質不含培地(Sigma)またはEX−CELL(商標)325 PF CHO Serum−Free Medium for CHO Cells Protein−Free(SAFC Bioscience)参照、およびイスコフ改変ダルベッコ培地が含まれる。本明細書における技術において使用することができる基礎培地の他の例には、BME基礎培地(Gibco−Invitrogen;ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、粉末)(Gibco−Invitrogen(#31600))が含まれる。
ある実施形態において、基礎培地は血清不含であり得、それは培地が血清(例えば、ウシ胎仔血清(FBS)、ウマ血清、ヤギ血清、または当業者に公知の任意の他の動物由来血清)を含有しないことを意味し、または動物タンパク質不含培地もしくは既知組成培地であり得る。
基礎培地は、標準的基礎培地中に見出されるある非栄養構成成分、例えば種々の無機および有機緩衝液、界面活性剤、および塩化ナトリウムを除去するように改変することができる。このような構成成分を基礎細胞培地から除去することにより、残留栄養構成成分の濃度の増加を可能とし、全細胞成長およびタンパク質発現を改善することができる。さらに、排除した構成成分を、細胞培養条件の要求に従って改変基礎細胞培地を含有する細胞培養培地中に戻すことができる。ある実施形態において、細胞培養培地は、改変基礎細胞培地、および以下の栄養素の少なくとも1つ、鉄源、組換え成長因子;緩衝液;界面活性剤;オスモル濃度調節剤;エネルギー源;および非動物加水分解物を含有する。さらに、改変基礎培地は、場合により、アミノ酸、ビタミン、またはアミノ酸およびビタミンの両方の組合せを含有し得る。一部の実施形態において、改変基礎細胞培地は、グルタミン、例えばL−グルタミン、および/またはメトトレキセートをさらに含有する。
一部の実施形態において、大量の抗体生成は、当分野において公知のフェドバッチ、バッチ、パーフュージョンまたは連続フィードバイオリアクター法を使用するバイオリアクタープロセスにより実施する。ラージスケールバイオリアクターは、少なくとも1000リットルの容量を有し、約1000から100000リットルの容量を有することもある。これらのバイオリアクターは、撹拌インペラを使用して酸素および栄養素を分布し得る。スモールスケールバイオリアクターは、一般に、容積が約100リットル以下の細胞培養を指し、約1リットルから約100リットルの範囲であり得る。あるいは、シングルユースバイオリアクター(SUB)は、ラージスケールまたはスモールスケール培養のいずれにも使用することができる。
温度、pH、撹拌、通気および接種密度は、使用される宿主細胞および発現させるべき組換えタンパク質に応じて変動し得る。例えば、組換えタンパク質細胞培養物は、30から45摂氏度の温度において維持することができる。培養培地のpHは、pHが最適レベルにおいて留まるように培養プロセスの間モニタリングすることができ、そのレベルは、ある宿主細胞については6.0から8.0のpH範囲内であり得る。インペラにより駆動される混合は、このような培養法に撹拌のために使用することができる。インペラの回転速度は、約50から200cm/秒の先端速度であり得るが、培養される宿主細胞のタイプに応じて当分野において公知の他のエアリフトまたは他の混合/通気系を使用することができる。さらに、培養される選択宿主細胞に応じて、培養物中の約20%から80%空気飽和の溶解酸素濃度を維持するために十分な通気を提供する。あるいは、バイオリアクターは、空気または酸素を培養培地中に直接スパージし得る。他の酸素供給の方法、例として、中空糸膜エアレーターを用いるバブルフリー通気系が存在する。多数の選択系、例として、限定されるものではないが、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ、グルタミンシンテターゼ、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ、およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子を使用することができ、それらの遺伝子はそれぞれ、tk−、gs−、hgprt−、またはaprt−細胞において用いることができる。また、以下の遺伝子についての選択の基礎として、抗代謝産物の耐性を使用することができる:メトトレキセートに対する耐性を付与するdhfr、ミコフェノール酸に対する耐性を付与するgpt、アミノグリコシドG−418に対する耐性を付与するneo、およびハイグロマイシンに対する耐性を付与するhygro。
組換えDNA技術の分野において公知の方法を適用して所望の組換えクローンを選択することができ、その方法には、例として、限定されるものではないが、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ、グルタミンシンテターゼ、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ、およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子が含まれ、それらの遺伝子はそれぞれ、tk−、gs−、hgprt−、またはaprt−細胞において用いることができる。また、以下の遺伝子についての選択の基礎として、抗代謝産物の耐性を使用することができる:メトトレキセートに対する耐性を付与するdhfr;ミコフェノール酸に対する耐性を付与するgpt;アミノグリコシドG−418に対する耐性を付与するneo;およびハイグロマイシンに対する耐性を付与するhygro。組換えDNA技術の分野において公知の方法を適用して所望の組換えクローンを選択することができる。
抗体の発現レベルは、ベクター増幅により増加させることができる。抗体を発現するベクター系におけるマーカーが増幅可能である場合、宿主細胞の培養物中に存在する阻害剤レベルの増加は、マーカー遺伝子のコピー数を増加させ得る。増幅領域は、抗体遺伝子と会合しているため、抗体の生成も増加し得る。
宿主細胞は、本明細書における抗体の2つの発現ベクターにより同時形質移入することができ;第1のベクターは、重鎖由来ポリペプチドをコードし、第2のベクターは、軽鎖由来ポリペプチドをコードする。これらの2つのベクターは、重鎖および軽鎖ポリペプチドの等しい発現を可能とする同一の選択可能なマーカーを含有し得る。あるいは、重鎖および軽鎖ポリペプチドの両方をコードし、それらを発現し得る単一のベクターを使用することができる。このような状況において、軽鎖は、過剰の毒性フリー重鎖を回避するために、重鎖の前に配置すべきである。重鎖および軽鎖についてのコード配列は、cDNAまたはゲノムDNAを含み得る。
本明細書における鎖間システインを欠く抗体が組換え発現により生成されると、免疫グロブリン分子の精製のための当分野において公知の任意の方法、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性、特に、プロテインA後の特異的抗原に対する親和性によって、およびサイジングカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、溶解度差、またはタンパク質の精製のための任意の他の標準技術により精製することができる。さらに、本明細書における抗体またはその断片は、本明細書に記載される、またはそうでなければ当分野において公知の異種ポリペプチド配列に融合させて精製を促進することができる。
ファージディスプレイ技術
ファージディスプレイ法において、機能的抗体ドメインは、それらをコードするポリヌクレオチド配列を担持するファージ粒子の表面上にディスプレイされる。特に、VHおよびVLドメインをコードするDNA配列を、動物cDNAライブラリー(例えば、リンパ組織のヒトまたはマウスcDNAライブラリー)から増幅させる。VHおよびVLドメインをコードするDNAを、scFvリンカーと一緒にPCRにより組換え、ファージミドベクター(例えば、pCANTAB6またはpComb3HSS)中にクローニングする。ベクターは、大腸菌(E.coli)中でエレクトロポレートし、大腸菌(E.coli)をヘルパーファージにより感染させる。これらの方法において使用されるファージは、典型的には、繊維状ファージ、例としてfdおよびM13であり、VHおよびVLドメインは、通常、ファージ遺伝子IIIまたは遺伝子VIIIのいずれかに組換えにより融合させる。目的のエピトープに結合する抗原結合ドメインを発現するファージは、抗原、例えば、標識抗原または固体表面もしくはビーズに結合もしくは捕捉された抗原を使用して、選択または同定することができる。ファージディスプレイ法は、当分野において公知である。
ファージ選択後、ファージからの抗体コード領域を単離および使用して、全抗体、例としてヒト抗体、または任意の他の所望の抗原結合断片を生成することができ、任意の所望の宿主、例として、哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母、および細菌、例えば下記のものの中で発現させることができる。Fab、Fab’、およびF(ab’)2断片を組換え生成するための技術の、当分野において公知の方法を使用して用いることができる。
全抗体を生成するため、VHまたはVLヌクレオチド配列、制限部位、および制限部位を保護するためのフランキング配列を含むPCRプライマーを使用して、scFvクローン中のVHまたはVL配列を増幅することができる。当業者に公知のクローン化技術を利用して、PCR増幅VHドメインをVH定常ドメイン、例えば、ヒトガンマ4定常領域を発現するベクター中にクローニングすることができ、PCR増幅VLドメインは、VL定常領域、例えば、ヒトカッパまたはラムダ定常領域を発現するベクター中にクローニングすることができる。好ましくは、VHまたはVLドメインを発現させるためのベクターは、EF−1αプロモーター、分泌シグナル、可変ドメインのためのクローニング部位、定常ドメインおよび選択マーカー、例えばネオマイシンを含むこともある。VHおよびVLドメインは、必要な定常領域を発現する1つのベクター中にクローニングすることもできる。次いで、重鎖転換ベクターおよび軽鎖転換ベクターを、当業者に公知の技術を使用して細胞系中に同時形質移入して完全長抗体、例えば、IgGを発現する安定または一過性細胞系を生成する。
核酸
ポリヌクレオチド、および決定されたポリヌクレオチドのヌクレオチド配列は、当分野において公知の任意の方法により得ることができる。抗体のアミノ酸配列は既知であるため、それらの抗体をコードするヌクレオチド配列は、当分野において公知の方法を使用して決定することができ、例えば特定のアミノ酸をコードすることが公知のヌクレオチドコドンを、本明細書における抗体またはその断片をコードする核酸を生成するようにアセンブルする。このような抗体をコードするポリヌクレオチドは、化学合成オリゴヌクレオチドからアセンブルすることができ、簡潔には、抗体をコードする配列の一部を含有する重複オリゴヌクレオチドの合成、それらのオリゴヌクレオチドのアニーリングおよびライゲーティング、次いでライゲートされたオリゴヌクレオチドのPCRによる増幅を含む。
一部の実施形態において、抗体をコードするポリヌクレオチドは、好適な源からの核酸から生成することができる。特定の抗体をコードする核酸を含有するクローンが入手可能でないが、抗体の配列が既知である場合、免疫グロブリンをコードする核酸を化学合成し、または好適な源(例えば、抗体cDNAライブラリー、または配列の3’および5’末端にハイブリダイズ可能な合成プライマーを使用してPCR増幅することにより、もしくは特定の遺伝子配列に特異的なオリゴヌクレオチドプローブを使用してクローニングして例えばcDNAクローンを、抗体をコードするcDNAライブラリーから同定することにより、抗体を発現する任意の組織もしくは細胞から単離された核酸(ポリA+RNAであることもある)から生成されたcDNAライブラリー、または核酸から得ることができる。次いで、PCRにより生成された増幅核酸を、当分野において公知の任意の方法を使用して複製クローニングベクター中にクローニングすることができる。
抗体のヌクレオチド配列を決定したら、抗体のヌクレオチド配列を、ヌクレオチド配列の操作のための当分野において公知の方法、例えば、組換えDNA技術、部位特異的突然変異導入、PCRなどを使用して操作して、異なるアミノ酸配列を有する抗体を生成し、例えば、アミノ酸置換、欠失、および/または挿入を作出する。
ある実施形態において、CDRの1つ以上を、組換えDNA技術を使用してフレームワーク領域内に挿入する。フレームワーク領域は、天然に生じるまたはコンセンサスフレームワーク領域であり得、ヒトフレームワーク領域であり得ることもある。フレームワーク領域およびCDRの組合せにより生成されたポリヌクレオチドは、EGFR、HER3、または他の選択抗原に特異的に結合する抗体をコードし得る。一部の実施形態において、上記のとおり、1つ以上のアミノ酸置換をフレームワーク領域内で作製することができ、アミノ酸置換は、抗体のその抗原への結合を改善し得る。さらに、このような方法を使用して、鎖中ジスルフィド結合に関与する1つ以上の可変領域システイン残基のアミノ酸置換または欠失を作製して1つ以上の鎖中ジスルフィド結合を欠く抗体を生成することができる。ポリヌクレオチドの他の変化は、本開示により包含され、当分野の技能の範囲内である。
本開示の例示的抗体についての核酸配列を以下に提供する。変化したコドンを太字および下線文字で示す。
鎖間システインを欠く抗体のスケーラブル生成
鎖間システインを欠く抗体は、スケーラブルプロセスにより生成することができる。一部の実施形態において、鎖間システインを欠く抗体は、タンパク質の機能活性を維持しながら、分析スケールバイオリアクター(例えば、限定されるものではないが、5L、10L、15L、30L、または50Lのバイオリアクター)中でタンパク質を生成するためにスケールアップすることができる研究実験室におけるスケーラブルプロセスにより生成することができる。例えば、一実施形態において、スケーラブルプロセスにより生成されるタンパク質は、HPSECまたはrCGEにより測定されるとおり、低レベルから検出不能レベルの凝集、すなわち、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下、0.5%以下(タンパク質重量基準)の凝集物、および/または低レベルから検出不能レベルの断片化、すなわち、鎖間システインを欠くインタクト抗体を表すピークにおける全ピーク面積の80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、98%以上もしくは99%以上もしくは99.5%以上を示す。
ある実施形態において、鎖間システインを欠く抗体は、生成スケールバイオリアクター(例えば、限定されるものではないが、75L、100L、150L、300L、または500L)中でタンパク質を生成するためにスケールアップすることができる研究実験室におけるスケーラブルプロセスにより生成することができる。一部の実施形態においてスケーラブルプロセスは、研究実験室において実施される生成プロセスと比較して生成効率をほとんどまたは全く低減させない。一部の実施形態において、スケーラブルプロセスは、約10mg/L、約20mg/L、約30mg/L、約50mg/L、約75mg/L、約100mg/L、約125mg/L、約150mg/L、約175mg/L、約200mg/L、約250mg/L、約300mg/L以上の生成効率において鎖間システインを欠く抗体を生成する。
種々の実施形態において、スケーラブルプロセスは、少なくとも約10mg/L、少なくとも約20mg/L、少なくとも約30mg/L、少なくとも約50mg/L、少なくとも約75mg/L、少なくとも約100mg/L、少なくとも約125mg/L、少なくとも約150mg/L、少なくとも約175mg/L、少なくとも約200mg/L、少なくとも約250mg/L、少なくとも約300mg/L以上の生成効率において鎖間システインを欠く抗体を生成する。
一部の実施形態において、スケーラブルプロセスは、約10mg/Lから約300mg/L、約10mg/Lから約250mg/L、約10mg/Lから約200mg/L、約10mg/Lから約175mg/L、約10mg/Lから約150mg/L、約10mg/Lから約100mg/L、約20mg/Lから約300mg/L、約20mg/Lから約250mg/L、約20mg/Lから約200mg/L、約20mg/Lから約175mg/L、約20mg/Lから約150mg/L、約20mg/Lから約125mg/L、約20mg/Lから約100mg/L、約30mg/Lから約300mg/L、約30mg/Lから約250mg/L、約30mg/Lから約200mg/L、約30mg/Lから約175mg/L、約30mg/Lから約150mg/L、約30mg/Lから約125mg/L、約30mg/Lから約100mg/L、約50mg/Lから約300mg/L、約50mg/Lから約250mg/L、約50mg/Lから約200mg/L、約50mg/Lから約175mg/L、約50mg/Lから約150mg/L、約50mg/Lから約125mg/L、約50mg/Lから約100mg/Lの生成効率において鎖間システインを欠く抗体を生成する。
抗体精製および単離
抗体分子を組換えまたはハイブリドーマ発現により生成したら、それを免疫グロブリン分子の精製のための当分野において公知の任意の方法により、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性、特に特異的抗原プロテインAまたはプロテインGについての親和性により、およびサイジングカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、溶解度差、またはタンパク質の精製のための任意の他の標準技術により精製することができる。さらに、本技術の抗体またはその断片は、上記のまたはそうでなければ当分野において公知の異種ポリペプチド配列(本明細書において「タグ」と称される)に融合させて精製を促進することができる。
組換え技術を使用する場合、抗体は、細胞内で、ペリプラズム空間中で生成することができ、または培地中に直接分泌させることができる。抗体を細胞内で生成する場合、第1の工程として、粒子状デブリス、宿主細胞または溶解断片を、例えば遠心分離または限外濾過により除去する。例えば、大腸菌(E.coli)のペリプラズム空間中に分泌される抗体を単離する手順は当分野において公知である。抗体を培地中に分泌させる場合、このような発現系からの上清を一般に、市販のタンパク質濃縮フィルター、例えばAmiconまたはMillipore Pellicon限外濾過ユニットを使用して最初に濃縮する。プロテアーゼ阻害剤、例えばPMSFを上記工程のいずれかに含めてタンパク質分解を阻害することができ、抗生物質を含めて外来汚染物質の成長を防止することができる。
細胞から調製された抗体組成物は、例えば、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、および/または親和性クロマトグラフィーを単独でまたは他の精製工程と組み合わせて使用して精製することができる。親和性リガンドとしてのプロテインAの好適性は、種および抗体中に存在する任意の免疫グロブリンFcドメインのアイソタイプに依存し、当業者により理解される。親和性リガンドを付着させるマトリックスは、アガロースであることが最も多いが、他のマトリックスも利用可能である。機械的に安定性のマトリックス、例えば制御細孔ガラスまたはポリ(スチレンジビニル)ベンゼンは、アガロースにより達成することができるものよりも早い流速および短い処理時間を可能とする。抗体がCH3ドメインを含む場合、Bakerbond ABX樹脂(J.T.Baker,Phillipsburg,NJ)が精製に有用である。タンパク質精製のための他の技術、例えばイオン交換カラム上でのフラクショネーション、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカ上でのクロマトグラフィー、ヘパリン上でのクロマトグラフィー、アニオンまたはカチオン交換樹脂上でのSEPHAROSEクロマトグラフィー(例えば、ポリアスパラギン酸カラム)、クロマトフォーカシング、SDS−PAGE、および硫酸アンモニウム沈殿も、回収すべき抗体に応じて利用可能である。
任意の事前精製工程に続いて、目的の抗体および汚染物質を含む混合物を、約2.5〜4.5のpHにおける溶出緩衝液を使用し、低塩濃度(例えば、約0〜0.25M塩)において実施する低pH疎水性相互作用クロマトグラフィーに供することができる。
したがって、ある実施形態において、本明細書に提供される抗体は、実質的に精製/単離されている。一実施形態において、これらの精製/単離された組換え発現抗体を患者に投与して予防または治療効果を媒介することができる。一部の実施形態において、これらの単離/精製された抗体を使用して疾患を診断することができる。
安定性
好適な安定性アッセイは、当分野において利用可能である。一実施形態において、当分野において公知のタンパク質の安定性に関するアッセイを本明細書に記載の抗体に適用してそれらの安定性を決定する。ある実施形態において、本明細書に記載の抗体の安定性は、凝集および/または断片化速度またはプロファイルにより評価することができる。凝集または断片化のレベルを決定するため、多くの技術を使用することができる。一部の実施形態において、凝集および/または断片化プロファイルは、分析的超遠心(AUC)、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、高速サイズ排除クロマトグラフィー(HPSEC)、融解温度(Tm)、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)、キャピラリーゲル電気泳動(CGE)、光散乱(SLS)、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)、円偏光二色性(CD)、尿素誘発性タンパク質アンフォールディング技術、内在性トリプトファン蛍光、示差走査熱量測定、または1−アニリノ−8−ナフタレンスルホン酸(ANS)タンパク質結合技術の使用により評価することができる。別の実施形態において、本明細書におけるタンパク質の安定性は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)分析により特徴づけする。別の実施形態において、本明細書におけるタンパク質の安定性はサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)プロファイル分析により特徴づけする。
抗体のFabドメインの熱融解温度(Tm)は、抗体の熱安定性の良好な指標であり得、抗体保存寿命の指標をさらに提供し得る。Tmが低ければ凝集が多く、安定性が低いことを示す一方、Tmが高ければ凝集が少なく、安定性が高いことを示す。したがって、ある実施形態において、より高いTmを有する抗体を選択および利用する。タンパク質またはタンパク質断片(例えば、Fabドメイン)のTmは、当分野において公知の任意の標準的方法を使用して、例えば、示差走査熱量測定により計測することができる。安定性は、インビトロまたはインビボで測定することができる。安定性は、動物中で測定することもできる。
抗体、例えば全てのポリペプチドは、一般にポリペプチドが正味電荷を担持しないpHとして定義される等電点(pl)を有する。タンパク質溶解度は、典型的には、溶液のpHがそのタンパク質の等電点(pl)と等しい場合に最低である。本明細書において使用されるpl値は、優勢な電荷形態のplとして定義される。タンパク質のplは、種々の方法、例として、限定されるものではないが、等電点フォーカシングおよび種々のコンピュータアルゴリズムにより決定することができる。
少なくとも1つの非天然に生じるジスルフィド結合の形成は、改変前の抗体と比較して本明細書における鎖間システインを欠く抗体の安定性に影響し得る。一部の実施形態において、非天然に生じるジスルフィド結合は、システイン遺伝子操作前の同一抗体と比較して鎖間システインを欠く抗体の安定性を増加させ得る。種々の実施形態において、非天然に生じるジスルフィド結合は、システイン遺伝子操作前の同一抗体と比較して鎖間システインを欠く抗体の安定性を減少させ得る。ある実施形態において、本明細書における抗体は、全ての天然鎖間システインを含有する抗体相当物と比較して約70%以上の安定性を有する。一部の実施形態において、安定性はインビトロ安定性である。ある実施形態において、本明細書における鎖間システインを欠く抗体は、モノマーであり得る。一部の実施形態において、本明細書における抗体は、ダイマーであり得る。
ある実施形態において、鎖間システインを欠く抗体は、ある生化学的特徴、例えば特定の等電点(pl)または融解温度(Tm)を有する。一部の実施形態において、鎖間システインを欠く抗体は、5.5から9.5の範囲のplを有する。ある実施形態において、鎖間システインを欠く抗体は、約5.5から約6.0、または約6.0から約6.5、または約6.5から約7.0、または約7.0から約7.5、または約7.5から約8.0、または約8.0から約8.5、または約8.5から約9.0、または約9.0から約9.5の範囲のplを有する。種々の実施形態において、鎖間システインを欠く抗体は、5.5〜6.0、または6.0から6.5、または6.5から7.0、または7.0〜7.5、または7.5〜8.0、または8.0〜8.5、または8.5〜9.0、または9.0〜9.5の範囲のplを有する。鎖間システインを欠く抗体は、少なくとも5.5、または少なくとも6.0、または少なくとも6.3、または少なくとも6.5、または少なくとも6.7、または少なくとも6.9、または少なくとも7.1、または少なくとも7.3、または少なくとも7.5、または少なくとも7.7、または少なくとも7.9、または少なくとも8.1、または少なくとも8.3、または少なくとも8.5、または少なくとも8.7、または少なくとも8.9、または少なくとも9.1、または少なくとも9.3、または少なくとも9.5のplを有することもある。一部の実施形態において、鎖間システインを欠く抗体は、少なくとも約5.5、または少なくとも約6.0、または少なくとも約6.3、または少なくとも約6.5、または少なくとも約6.7、または少なくとも約6.9、または少なくとも約7.1、または少なくとも約7.3、または少なくとも約7.5、または少なくとも約7.7、または少なくとも約7.9、または少なくとも約8.1、または少なくとも約8.3、または少なくとも約8.5、または少なくとも約8.7、または少なくとも約8.9、または少なくとも約9.1、または少なくとも約9.3、または少なくとも約9.5のplを有する。
抗体中のイオン化可能な残基の数および局在を変化させてplを調整することにより溶解度を最適化することができる。例えば、ポリペプチドのplは、適切なアミノ酸置換(例えば、荷電アミノ酸、例えばリジンを非荷電残基、例えばアラニンに置換することにより)を作製することにより操作することができる。任意の特定の理論に拘束されるものではないが、抗体のplの変化をもたらす抗体のアミノ酸置換は、抗体の溶解度および/または安定性を改善し得る。適切なアミノ酸置換は、所望のplを達成するように特定の抗体について選択することができる。一部の実施形態において、置換はplを変化させるために抗体中で生成する。FcR(本明細書に記載)への結合の変化をもたらすFc領域の置換も、plの変化をもたらし得ることが企図される。ある実施形態において、Fc領域の置換は、FcR結合の所望の変化およびplの任意の所望の変化の両方を実現するように具体的に選択する。
一部の実施形態において、鎖間システインを欠く抗体は、65℃から120℃の範囲のTmを有する。ある実施形態において、鎖間システインを欠く抗体は、約75℃から約120℃または約75℃から約85℃、または約85℃から約95℃、または約95℃から約105℃、または約105℃から約115℃、または約115℃から約120℃の範囲のTmを有する。種々の実施形態において、鎖間システインを欠く抗体は、75℃から120℃、または75℃から85℃、または85℃から95℃、または95℃から105℃、または105℃から115℃、または115℃から120℃の範囲のTmを有する。鎖間システインを欠く抗体は、少なくとも約65℃、または少なくとも約70℃、または少なくとも約75℃、または少なくとも約80℃、または少なくとも約85℃、または少なくとも約90℃、または少なくとも約95℃、または少なくとも約100℃、または少なくとも約105℃、または少なくとも約110℃、または少なくとも約115℃、または少なくとも約120℃のTmを有することもある。種々の実施形態において、鎖間システインを欠く抗体は、少なくとも65℃、または少なくとも70℃、または少なくとも75℃、または少なくとも80℃、または少なくとも85℃、または少なくとも90℃、または少なくとも95℃、または少なくとも100℃、または少なくとも105℃、または少なくとも110℃、または少なくとも115℃、または少なくとも120℃のTmを有する。
種々の実施形態において、本明細書における鎖間システインを欠く抗体は、約37°において5日間以上安定である。一部の実施形態において、本明細書における抗体は、動物中で約14日間以上安定である。
抗体コンジュゲート
細胞傷害剤または細胞増殖抑制剤、すなわち、癌の治療において腫瘍細胞を殺傷または阻害する薬物の局所送達のための抗体コンジュゲート、すなわち、免疫コンジュゲートの使用は、理論的には、腫瘍への薬物部分の標的化送達およびそこにおける細胞内蓄積を可能とし、その場合、それらのコンジュゲートされていない薬剤の全身投与は、排除すべき腫瘍細胞と同様に、正常細胞に対しても許容され得ないレベルの毒性をもたらし得る抗体コンジュゲートを設計および精製するための労力は、モノクローナル抗体(mAb)の選択性ならびに薬物結合および薬物放出特性に焦点が当てられている。ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の両方は、これらの戦略において有用であると報告されている。これらの方法において使用される薬物には、ダウノマイシン、ドキソルビシン、メトトレキセート、およびビンデシンが含まれる。
抗体−毒素コンジュゲートにおいて使用される毒素には、細菌毒素、例えばジフテリア毒素、植物毒素、例えばリシンおよびゲロニン、小分子毒素、例えばゲルダナマシン、メイタンシノイドならびにカリケアマイシンが含まれる。毒素は、チューブリン結合、DNA結合、またはトポイソメラーゼ阻害を含む機構により、それらの細胞傷害および細胞増殖抑制効果をもたらし得る。一部の細胞傷害性薬物は、大きな抗体またはタンパク質受容体リガンドにコンジュゲートしている場合、不活性であるか、またはそれほど活性でない傾向にある。
いくつかの抗体コンジュゲートは、FDAにより承認されているか、または臨床治験中である。例えば、ZEVALIN(登録商標)(イブリツモマブ・チウキセタン、Biogen/Idec)は、正常および悪性Bリンパ球の表面上に見出されるCD20抗原に対して指向されるマウスIgG1カッパモノクローナル抗体と、チオ尿素リンカー−キレート剤に結合している111Inまたは90Y放射性同位体とから構成される。ZEVALIN(登録商標)は、B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)に対する活性を有するが、投与は、ほとんどの患者において重度の持続的な血球減少症をもたらす。また、カリケアマイシンに結合しているヒトCD33抗体から構成される抗体−薬物コンジュゲートであるMYLOTARG(登録商標)(ゲンツズマブ・オゾガミシン、Wyeth Pharmaceuticals)は、注射による急性骨髄性白血病の治療のために2000年に承認された。カンツヅマブメルタンシン(Immunogen,Inc.)、メイタンシノイド薬物部分DM1にジスルフィドリンカーSPPを介して結合しているヒトC242抗体から構成される抗体−薬物コンジュゲートは、CanAgを発現する癌、例えば結腸癌、膵癌、胃癌などの治療についての臨床試験において前進している。MLN−2704、メイタンシノイド薬物部分DM1に結合している抗前立腺特異的膜抗原(PMSA)モノクローナル抗体から構成される抗体−薬物コンジュゲートは、前立腺腫瘍の潜在的治療のために開発中である。
アウリスタチンペプチド、アウリスタチンE(AE)、およびモノメチルアウリスタチン(MMAE)、ドラスタチンの合成類似体は、(i)キメラモノクローナル抗体cBR96(癌腫上のLewis Yに特異的)、(ii)血液悪性腫瘍上のCD30に特異的であるcAC10、(iii)抗CD20抗体、例えば、CD20を発現する癌および免疫障害の治療のためのRITUXAN(登録商標)、(iv)結腸直腸癌の治療のための抗EphB2R抗体2H9および抗IL−8、(v)E−セレクチン抗体;ならびに(vi)他の抗CD30抗体にコンジュゲートされている。アウリスタチンEの変異体は、米国特許第5,767,237号明細書および米国特許第6,124,431号明細書に開示されている。モノクローナル抗体にコンジュゲートしているモノメチルアウリスタチンEは、2004年3月28日に提供されたSenter et al,Proceedings of the American Association for Cancer Research,Volume 45,Abstract Number 623に開示されている。アウリスタチン類似体MMAEおよびMMAFは種々の抗体にコンジュゲートされている(国際公開第WO2005/081711号パンフレット)。
本明細書において、一部の実施形態において、標的部分としての融合タンパク質を生成するために異種薬剤に組換えにより融合または化学的にコンジュゲート(共有または非共有コンジュゲーションの両方を含む)された鎖間システインを欠く抗体(以下、「抗体コンジュゲート」と称する)の使用を含む方法が提供される。異種薬剤は、本明細書における抗体の種々の領域、例として、限定されるものではないが、CH1、CH2、およびCH3ドメインに結合させることができる。一部の実施形態において、本明細書におけるコンジュゲート抗体は、1つ以上の異種薬剤を含む。ある実施形態において、コンジュゲート抗体は、抗体ホモマルチプライアコンジュゲートを含む。
異種薬剤は、ポリペプチド(またはその一部、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90または少なくとも100個のアミノ酸のポリペプチドであることもある)、核酸、小分子(1000ダルトン未満)、または無機もしくは有機化合物であり得る。融合は、必ずしも直接的である必要はなく、リンカー配列を介して生じ得る。異種薬剤に融合またはコンジュゲートされた抗体は、インビボで使用して当分野において公知の方法を使用して疾患の進行を検出、治療、管理、またはモニタリングすることができる。一部の実施形態において、検出、治療、管理、またはモニタリングすべき疾患は、自己免疫、炎症性、感染性疾患または癌関連障害である。ポリペプチドを抗体の一部に融合またはコンジュゲートさせる方法は、当分野において公知である。
追加の融合タンパク質は、遺伝子シャフリング、モチーフシャフリング、エキソンシャフリング、および/またはコドンシャフリング(集合的に「DNAシャフリング」と称される)の技術を介して生成することができる。DNAシャフリングは、本明細書における鎖間システインを欠く抗体(例えば、より高い親和性およびより低い解離速度を有する抗体)の活性を変化させるために用いることができる。抗体もしくはその断片、またはコードされる抗体もしくはその断片は、組換え前にエラープローンPCRによるランダム突然変異導入、ランダムヌクレオチド挿入または他の方法に供することにより変化させることができる。抗体または抗体断片をコードするポリヌクレオチドの部分の1つ以上を、1つ以上の異種薬剤の1つ以上の構成成分、モチーフ、セクション、部分、ドメイン、断片などと再結合させることが可能である。
一実施形態において、本明細書における鎖間システインを欠く抗体またはその断片もしくは変異体は、精製を促進するために、マーカー配列、例えばペプチドにコンジュゲートさせ、または融合させる。ある実施形態において、マーカーアミノ酸配列は、ヘキサ−ヒスチジンペプチド(配列番号19)、例えばpQEベクター(QIAGEN,Inc.,9259 Eton Avenue,Chatsworth,CA,91311)において提供されるタグであり、とりわけ、それらの多くは市販されている。Gentz et al.,1989,PNAS 86:821に記載されるように、例えば、ヘキサ−ヒスチジン(配列番号19)は、融合タンパク質の簡便な精製を提供する。精製に有用な他のペプチドタグには、限定されるものではないが、インフルエンザ赤血球凝集素タンパク質に由来するエピトープに対応する赤血球凝集素「HA」タグおよび「flag」タグが含まれる。
一部の実施形態において、本明細書における抗体は、診断または検出可能な薬剤にコンジュゲートさせ、または融合させる。一部の実施形態において、薬剤は検出可能な標識である。ある実施形態において、薬剤がイメージング剤である。このような抗体は、臨床試験手順の一部として、障害(例えば、限定されるものではないが、癌)の発生または進行のモニタリングまたは予後診断、例えば、特定療法の効力の決定に有用であり得る。
このような診断および検出は、抗体を検出可能な物質にカップリングさせることにより達成することができ、検出可能な物質の例として、限定されるものではないが、種々の酵素、例えば、限定されるものではないが、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータ−カラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼ;補欠分子族、例えば、限定されるものではないが、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチン;蛍光材料、例えば、限定されるものではないが、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリド、またはフィコエリトリン;発光材料、例えば、限定されるものではないが、生物発光材料、例えば、限定されるものではないが、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、およびエクオリン;放射性材料、例えば、限定されるものではないが、ビスマス(213Bi)、炭素(14C)、クロム(51Cr)、コバルト(57Co)、フッ素(18F)、ガドリニウム(153Gd、159Gd)、ガリウム(68Ga、67Ga)、ゲルマニウム(68Ge)、ホルミウム(166Ho)、インジウム(115In、113In、111In、111In)、ヨウ素(131I、125I、123I、121I)、ランタニウム(140La)、ルテニウム(177Lu)、マンガン(54Mn)、モリブデン(99Mo)、パラジウム(103Pd)、リン(32P)、プラセオジム(142Pr)、プロメチウム(149Pm)、レニウム(186Re、188Re)、ロジウム(105Rh)、ルテニウム(97Ru)、サマリウム(153Sm)、スカンジウム(47Sc)、セレン(75Se)、ストロンチウム(85Sr)、硫黄(35S)、テクネチウム(99Tc)、タリウム(201Ti)、スズ(113Sn、117Sn)、トリチウム(3H)、キセノン(133Xe)、イッテルビウム(169Yb、175Yb)、イットリウム(90Y)、亜鉛(65Zn);種々の陽電子放出断層撮影法を使用する陽電子放出性金属、ならびに非放射性常磁性金属イオンが含まれる。
ある実施形態において、本明細書における鎖間システインを欠く抗体は、治療剤、例えば、細胞毒素、例えば、細胞増殖抑制剤もしくは細胞破壊剤、治療剤または放射性金属イオン、例えば、アルファ−放射体にコンジュゲートしている。細胞毒素または細胞傷害剤には、細胞に有害な任意の薬剤が含まれる。例には、パクリタキセル、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、ピューロマイシン、エピルビシン、およびシクロホスファミド、ならびにそれらの類似体または同族体が含まれる。治療剤には、限定されるものではないが、抗代謝産物(例えば、メトトレキセート、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、5−フルオロウラシルデカルバジン);アルキル化剤(例えば、メクロルエタミン、チオエパクロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BCNU)およびロムスチン(CCNU)、シクロトスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、およびシスジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン);アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(旧ダウノマイシン)およびドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(旧アクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、およびアントラマイシン(AMC));ならびに抗有糸分裂剤(例えば、ビンクリスチンおよびビンブラスチン)が含まれる。
一実施形態において、細胞傷害剤は、エンジイン、レキシトロプシン、デュオカルマイシン、タキサン、ピューロマイシン、ドラスタチン、メイタンシノイド、およびビンカアルカロイドからなる群から選択される。一部の実施形態において、細胞傷害剤は、パクリタキセル、ドセタキセル、CC−1065、SN−38、トポテカン、モルホリノ−ドキソルビシン、リゾキシン、シアノモルホリノドキソルビシン、ドラスタチン−10、エキノマイシン、コンブレタスタチン、カリケアマイシン、メイタンシン、DM−1、アウリスタチン、または他のドラスタチン誘導体、例えば、アウリスタチンEもしくはアウリスタチンF、AEB、AEVB、AEFP、MMAE(モノメチルアウリスタチンE)、MMAF(モノメチルアウリスタチンF)、エリュテロビンまたはネトロプシンである。アウリスタチンE(ドラスタチン−10)、およびその誘導体の合成および構造は、当分野において公知である。
一部の実施形態において、本明細書における抗体コンジュゲートの細胞傷害剤は、抗チューブリン剤である。抗チューブリン剤は、十分に確立された癌療法化合物のクラスである。抗チューブリン剤の例には、限定されるものではないがタキサン(例えば、Taxol(パクリタキセル)、ドセタキセル)、T67(Tularik)、ビンカ類およびアウリスタチン(例えば、アウリスタチンE、AEB、AEVB、MMAE、MMAF、AEFP)が含まれる。このクラスに含まれる抗チューブリン剤はまた、ビンカアルカロイド、例としてビンクリスチンおよびビンブラスチン、ビンデシンおよびビノレルビン;タキサン、例えばパクリタキセルおよびドセタキセルおよびバッカチン誘導体、エピチロンAおよびB、ノコダゾール、5−フルオロウラシルおよびコルシミド(colcimid)、エストラムスチン、クリプトフィシン、セマドチン、メイタンシノイド、コンブレタスタチン、ドラスタチン、ディスコデルモリドおよびエリュテロビンであるより具体的な実施形態において、細胞傷害剤は、ビンカアルカロイド、ポドフィロトキシン、タキサン、バッカチン誘導体、クリプトフィシン、メイタンシノイド、コンブレタスタチン、およびドラスタチンからなる群から選択される。ある実施形態において、細胞傷害剤は、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ビノレルビン、VP−16、カンプトテシン、パクリタキセル、ドセタキセル、エピチロンA、エピチロンB、ノコダゾール、コルヒチン、コルシミド、エストラムスチン、セマドチン、ディスコデルモリド、メイタンシン、DM−1、アウリスタチン、または他のドラスタチン誘導体、例えばアウリスタチンEまたはアウリスタチンF、AEB、AEVB、AEFP、MMAE(モノメチルアウリスタチンE)、MMAF(モノメチルアウリスタチンF)、エリュテロビン、またはネトロプシンである。
具体的な実施形態において、この薬物は、メイタンシノイドおよび抗チューブリン剤の群である。さらに特定の実施形態において、この薬物はメイタンシンであることもある。細胞傷害剤または細胞増殖抑制剤は、DM−1であり得る。天然生成物であるメイタンシンは、チューブリン重合を阻害して、有糸分裂の遮断および細胞死をもたらす。したがって、メイタンシンの作用機構は、ビンクリスチンおよびビンブラスチンの作用機構に類似していると思われる。しかしながら、メイタンシンは、これらのビンカアルカロイドよりもインビトロで約200〜1000倍細胞傷害性である。一実施形態において、薬物は、AEFPである。
一部の実施形態において、抗体は、他の小分子またはタンパク質毒素、例えば、限定されるものではないが、アブリン、ブルシン、シクトキシン、ジフテリア毒素、バトラコトキシン、ボツリヌス毒素、志賀毒素、内毒素、破傷風毒素、百日咳毒素、炭疽毒素、コレラ毒素、ファルカリノール、フモニシンB1、フモニシンB2、アルファ毒素、マウロトキシン、アジトキシン、チャリブドトキシン、マルガトキシン、スロトキシン、スキラトキシン(scyllatoxin)、ヘフトキシン(hefutoxin)、カルシセプチン、タイカトキシン、カルシクルジン、ゲルダナマイシン、ゲロニン、ロタウストラリン、オクラトキシンA、パツリン、リシン、ストリキニーネ、トリコテセン、ゼアラレノン(zearlenone)、およびテトラドトキシンにコンジュゲートしていてよい。毒素、スペーサー、リンカー、ストレッチャーなどのさらなる例、およびそれらの構造は、当分野において公知である。
本明細書に考察されるとおり、本明細書における抗体コンジュゲートへのコンジュゲーションに使用される化合物には、慣用の化学療法薬、例えば、ドキソルビシン、パクリタキセル、カルボプラチン、メルファラン、ビンカアルカロイド、メトトレキセート、マイトマイシンC、エトポシドなどが含まれ得る。さらに、強力な薬剤、例えば、CC−1065類似体、カリキアマイシン、メイタンシン、ドラスタチン10の類似体、リゾキシン、およびパリトキシンを、条件的に安定なリンカーを使用して抗体に結合させて強力な免疫コンジュゲートを形成させることができる。
ある実施形態において、細胞傷害剤または細胞増殖抑制剤は、ドラスタチンである。具体的な実施形態において、ドラスタチンは、アウリスタチンクラスのものである。一部の実施形態において、細胞傷害剤または細胞増殖抑制剤は、MMAEである。種々の実施形態において、細胞傷害剤または細胞増殖抑制剤は、AEFPである。一部の実施形態において、細胞傷害剤または細胞増殖抑制剤は、MMAFである。
ある実施形態において、本明細書における抗体は、所与の生物学的応答を改変する治療剤または薬物部分にコンジュゲートしている。治療剤または薬物部分は、古典的な化学療法剤に限定されると解釈されるべきではない。例えば、薬物部分は、所望の生物学的活性を有するタンパク質またはポリペプチドであり得る。このようなタンパク質には、例えば、毒素、例えばアブリン、リシンA、緑膿菌外毒素、コレラ毒素またはジフテリア毒素;タンパク質、例えば腫瘍壊死因子、アルファ−インターフェロン、ベータ−インターフェロン、神経成長因子、血小板由来成長因子、組織プラスミノーゲンアクチベーター、アポトーシス作用物質、例えばTNF−アルファ、TNF−ベータ、AIM I、血栓剤(thrombotic agent)または抗血管新生剤、例えばアンジオスタチンもしくはエンドスタチン;または生物学的応答改変物質、例えばリンホカイン(例えば、インターロイキン1(IL−1)、インターロイキン2(IL−2)、インターロイキン4(IL−4)、インターロイキン6(IL−6)、インターロイキン7(IL−7)、インターロイキン9(IL−9)、インターロイキン15(IL−15)、インターロイキン12(IL−12)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GMCSF)、および顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF))、または成長因子(例えば、成長ホルモン(GH))などが含まれ得る。
一部の実施形態において、本明細書における抗体は、ポリアルギニンまたはポリリジン残基を含むポリペプチドにコンジュゲートしている。ある実施形態において、前記ポリペプチドは、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15個以上のアミノ酸残基を含む。一部の実施形態において、ポリアルギニンポリペプチドは、少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15個以上のアルギニン残基を含み得る。一部の実施形態において、ポリリジンポリペプチドは、少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15個以上のリジン残基を含み得る。種々の実施形態において、ポリペプチドは、アルギニンおよびリジン残基の任意の組合せを含み得る。
一部の実施形態において、本明細書における抗体は、治療剤、例えば放射性金属イオンのコンジュゲーションに有用な放射性材料または大環状キレート剤にコンジュゲートしている(放射性材料の例については上記参照)。ある実施形態において、大環状キレート剤は、リンカー分子を介して抗体に付着させることができる1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−N,N’,N’’,N’’−四酢酸(DOTA)である。本明細書に以下にさらに詳述されるこのようなリンカー分子は、当分野において一般に公知である。一部の実施形態において、本明細書における抗体は、核酸にコンジュゲートしている。核酸は、DNA、RNA、短鎖干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA、ヘアピンまたは核酸模倣体、例えばペプチド核酸からなる群から選択することができる。ある実施形態において、コンジュゲートされる核酸は、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも500、少なくとも1000、少なくとも5000以上の塩基対である。コンジュゲートされる核酸は、1本鎖であることもある。種々の実施形態において、コンジュゲートされる核酸は、2本鎖である。
一部の実施形態において、コンジュゲートされる核酸は、オープンリーディングフレームをコードする。一部の実施形態において、コンジュゲートされる核酸によりコードされるオープンリーディングフレームは、アポトーシス誘導性タンパク質、ウイルスタンパク質、酵素、または腫瘍抑制タンパク質に対応する。このような核酸を細胞へ運搬する技術は、当分野において公知である。
治療部分を抗体にコンジュゲートさせる技術は、当分野において公知である。部分は、当分野において公知の任意の方法、例として、限定されるものではないが、アルデヒド/シッフ結合、スルフヒドリル結合、酸不安定性結合、シス−アコニチル結合、ヒドラゾン結合、酵素分解性結合により抗体にコンジュゲートさせることができる。治療部分を抗体にコンジュゲートさせる追加の技術も公知である。抗体をポリペプチド部分に融合またはコンジュゲートさせる方法も、当分野において公知である。部分への抗体の融合は、必ずしも直接的である必要はなく、リンカー配列を介して生じ得る。このようなリンカー分子は、当分野において公知である。
本明細書における抗体コンジュゲートにより標的化される細胞外部の薬物活性を最小化するための2つのアプローチを考慮することができ:第1に、薬物、例としてプロドラッグ変換酵素の作用により生成された薬物が活性化リンパ球の細胞の細胞表面に濃縮されるように、細胞膜受容体には結合するが可溶性受容体には結合しない抗体を使用することができる。本明細書における抗体に結合している薬物の活性を最小化する別のアプローチは、薬物が加水分解または抗体から開裂されない限り、その活性を低減させる様式で薬物をコンジュゲートさせることである。このような方法は、活性化リンパ球の細胞表面における環境(例えば、活性化リンパ球の細胞表面に存在するプロテアーゼの活性)またはコンジュゲートが活性化リンパ球により取り込まれた場合にコンジュゲートが遭遇する活性化リンパ球の内部の環境(例えば、エンドソーム内、またはリソソーム環境中、例えばpH感受性もしくはプロテアーゼ感受性により)に対して感受性であるリンカーにより薬物を抗体に付着させることを用いる。本明細書における抗体のコンジュゲーションに使用することができるリンカーの例は、当分野において公知である。
一実施形態において、リンカーは、リソソーム中で加水分解される酸不安定性ヒドラゾンまたはヒドラジド基である。ある実施形態において、薬物は、他の酸不安定性リンカー、例えばシス−アコニット酸アミド、オルトエステル、アセタール、およびケタールを介して抗体に付加していてよい。このようなリンカーは、中性pH条件下、例えば、血中の条件下では比較的安定であるが、リソソームのおおよそのpHであるpH5未満で不安定である。
一部の実施形態において、薬物は、細胞内プロテアーゼにより開裂されるペプチドスペーサーを使用して本明細書における抗体に付着させる。標的酵素には、カテプシンBおよびDならびにプラスミンが含まれ、これらのすべては、ジペプチド薬物誘導体を加水分解して、標的細胞の内部で活性薬物の放出をもたらすことが公知である。細胞内タンパク質分解薬物放出において、薬物はコンジュゲートされるときに高度に減衰され、コンジュゲートの血清安定性が高くなることがある。一部の実施形態において、リンカーは、マロネートリンカー、マレイミドベンゾイルリンカー、または3’−N−アミド類似体である。
上記のとおり、抗体コンジュゲートは、リンカーを介して化合物または薬物を抗体にコンジュゲートさせることにより作製することができる。当分野において公知の任意のリンカー、例えば、二官能性薬剤(例えばジアルデヒドまたはイミドエステル)または分枝鎖ヒドラゾンリンカーを本明細書におけるコンジュゲートにおいて使用することができる。
本明細書におけるある非限定的な実施形態において、コンジュゲート部分および抗体部分の間のリンカー領域は、ある条件下で開裂可能であり、この場合、リンカーの開裂または加水分解は、抗体部分から薬物部分を放出する。一部の実施形態において、リンカーは、細胞内条件下で開裂または加水分解に感受性である。
一実施形態において、コンジュゲート部分および抗体部分の間のリンカー領域は、pHがある値だけ変化し、またはある値を超過する場合、開裂可能である。本明細書における一部の実施形態において、リンカーは、リソソームの環境中、例えば、酸性条件下(すなわち、約5〜5.5以下のpH)で開裂可能である。ある実施形態において、リンカーは、ペプチダーゼまたはプロテアーゼ酵素、例として、限定されるものではないが、リソソームプロテアーゼ酵素、膜結合プロテアーゼ、細胞内プロテアーゼ、またはエンドソームプロテアーゼにより開裂されるペプチジルリンカーである。リンカーは、少なくとも2アミノ酸長であることもあり、少なくとも3アミノ酸長であり得る。例えば、癌組織中で高度に発現されるチオール依存性プロテアーゼであるカテプシンBにより開裂可能なペプチジルリンカー(例えば、Gly−Phe−Leu−Glyリンカー)を使用することができる。他のこのようなリンカーは、当分野において公知である。
本明細書における他の非相互排他的な実施形態において、本明細書における抗体コンジュゲートの抗体および化合物がコンジュゲートされるリンカーは、細胞内在化を促進する。ある実施形態において、リンカー−薬物部分は、細胞内在化を促進する。ある実施形態において、リンカーは、抗体コンジュゲート全体の構造が細胞内在化を促進するように選択される。種々の実施形態において、リンカーは、チオエーテルリンカーである。一部の実施形態において、リンカーは、ヒドラゾンリンカーである。
他の実施形態において、リンカーは、ジスルフィドリンカーである。種々のジスルフィドリンカーが当分野において公知であり、例として、限定されるものではないが、SATA(N−スクシンイミジル−S−アセチルチオアセテート)、SPDP(N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート)、SPDB(N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)ブチレート)、およびSMPT(Nスクシンイミジル−オキシカルボニル−アルファ−メチル−アルファ−(2−ピリジル−ジチオ)トルエン)。SPDBおよびSMPTを使用して形成することができるものが含まれる。本明細書における組成物および方法とともに使用することができる種々のリンカーは、当分野において公知である。
本明細書における一部の実施形態において、抗体コンジュゲートのリンカー単位は、細胞傷害剤または細胞増殖抑制剤(薬物単位;−D)および抗体単位(−A)を結合させる。ある実施形態において、リンカー単位は、以下の一般式を有する:
i.−Ta−Ww−−Yy−−、式中:
ii.−T−は、ストレッチャー単位であり;
iii.aは、0または1であり;
iv.それぞれの−−W−−は独立して、アミノ酸単位であり;
v.wは独立して、2から12の範囲の整数であり;
vi.−−Y−−は、スペーサー単位であり;
vii.yは、0、1、または2である。
ストレッチャー単位(−T−)は、存在する場合、抗体単位をアミノ酸単位(−W−)に結合させる。天然にまたは化学的操作のいずれかにより抗体上に存在し得る有用な官能基には、限定されるものではないが、スルフヒドリル、アミノ、ヒドロキシル、炭水化物のアノマー性ヒドロキシル基、およびカルボキシルが含まれる。本明細書における鎖間システインを欠く抗体は、コンジュゲーションのための少なくとも1つのフリースルフヒドリル基を提供する。フリースルフヒドリル基を導入する他の方法には、抗体の分子内ジスルフィド結合の還元が含まれる。スルフヒドリル基は、抗体のリジン部分のアミノ基と、2−イミノチオラン(トラウト試薬)または他のスルフヒドリル生成試薬との反応により生成することもできる。
アミノ酸単位(−−W−−)は、スペーサー単位が存在する場合、ストレッチャー単位(−T−)をスペーサー単位(−Y−)に結合させ、スペーサー単位が存在しない場合、ストレッチャー単位を細胞傷害剤または細胞増殖抑制剤(薬物単位;D)に結合させる。
一部の実施形態において、−−Ww−−は、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド、ペンタペプチド、ヘキサペプチド、ヘプタペプチド、オクタペプチド、ノナペプチド、デカペプチド、ウンデカペプチド、またはドデカペプチド単位である。リンカー単位のアミノ酸単位は、酵素、例として、限定されるものではないが、腫瘍関連プロテアーゼにより酵素的に開裂させて薬物単位(−D)を遊離させることが可能であり、これは、放出に際してインビボでプロトン化されて細胞傷害性薬物(D)を提供する。
一実施形態において、アミノ酸単位は、フェニルアラニン−リジンジペプチド(phe−lysまたはFKリンカー)である。一部の実施形態において、アミノ酸単位は、バリン−シトルリンジペプチド(val−citまたはVCリンカー)である。
スペーサー単位(−−Y−−)は、存在する場合、アミノ酸単位を薬物単位に結合させる。スペーサー単位は、自己犠牲および非自己犠牲の2つの一般的タイプのものである。非自己犠牲スペーサー単位は、抗体−リンカー−薬物コンジュゲートまたは薬物−リンカー化合物からのアミノ酸単位の酵素開裂後に、スペーサー単位の一部または全部が薬物部分に結合したままのものである。非自己犠牲スペーサー単位の例には、限定されるものではないが、(グリシン−グリシン)スペーサー単位およびグリシンスペーサー単位が含まれる。グリシン−グリシンスペーサー単位またはグリシンスペーサー単位を含有する本明細書における抗体−リンカー−薬物コンジュゲートが腫瘍細胞関連プロテアーゼ、癌細胞関連プロテアーゼ、またはリンパ球関連プロテアーゼによる酵素開裂を受けると、グリシン−グリシン−薬物部分またはグリシン−薬物部分がA−T−Ww−−から開裂される。薬物を遊離させるため、標的細胞内で、独立した加水分解反応を行ってグリシン薬物単位結合を開裂させることができる。
自己犠牲スペーサーの追加の例には、限定されるものではないが、PAB基と電子的に等価である芳香族化合物、例えば2−アミノイミダゾール−5−メタノール誘導体が含まれる。アミド結合の加水分解に際して容易な環化を受けるスペーサー、例えば、置換および非置換4−アミノ酪酸アミド、適切に置換された環系、および2−アミノフェニルプロピオン酸アミドを使用することができる。グリシンのアルファ位において置換されているアミン含有薬物の排除も、本明細書における抗体−リンカー−薬物コンジュゲートに適用することができる自己犠牲スペーサー戦略の例である。
抗体に異種分子をコンジュゲートさせる方法
異種分子、例えば本明細書に記載のものは、遺伝子操作されたシステイン残基が提供するフリーチオール基を介して、本明細書における抗体に効率的にコンジュゲートさせることができる。一態様において、本方法は、異種分子を鎖間システインを欠く抗体に効率的にコンジュゲートさせることを提供する。一部の実施形態において、異種分子のコンジュゲーションは、表2に示す1つ以上の位置から選択される少なくとも1つの遺伝子操作されたシステイン残基により提供されるフリーチオール基において生じ得る。ある実施形態において、異種分子へのコンジュゲーションは、表3に示す1つ以上の位置から選択される少なくとも1つの遺伝子操作されたシステイン残基により提供されるフリーチオール基において生じ得る。
抗体中への非天然に生じるシステイン残基の遺伝子操作は、ジスフィルド結合の一部であった天然に生じるシステイン残基が遊離され、コンジュゲーション可能なフリーチオール基を提示するように、重鎖および軽鎖のジスフィルドペアリングを変化させることができる。ある実施形態において、本方法は、表2に示す1つ以上の位置から選択される少なくとも1つの遺伝子操作システイン残基により提供されないフリーチオール基における鎖間システインを欠く抗体への異種分子の効率的なコンジュゲーションを含む。種々の実施形態において、本方法は、表3に示す1つ以上の位置から選択される少なくとも1つの遺伝子操作システイン残基により提供されないフリーチオール基における鎖間システインを欠く抗体への異種分子の効率的なコンジュゲーションを含む。
抗体中のフリーチオール基の存在は、当分野において受け入れられる種々の技術により決定することができる。抗体への異種分子のコンジュゲーションの効率は、コンジュゲーション反応後に残留するフリーチオールの存在を評価することにより決定することができる。ある実施形態において、本明細書における方法は、鎖間システインを欠く抗体への異種分子を効率的にコンジュゲートさせることを提供する。一部の実施形態において、コンジュゲーション効率は、コンジュゲーション反応後に残留するフリーチオール基のレベルにより計測して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%以上である。
一部の実施形態において、本明細書における方法は、抗体への異種分子をコンジュゲートさせることを提供し、ここで、抗体は、2つ以上のフリーチオール基が形成されるように、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。ある実施形態において、本方法は、少なくとも2、少なくとも4、少なくとも6、少なくとも8、少なくとも10、少なくとも12、少なくとも14、少なくとも16、少なくとも18、少なくとも20、少なくとも22、少なくとも24、少なくとも26、少なくとも28、少なくとも30、少なくとも32、少なくとも34、少なくとも36、少なくとも38、少なくとも40以上のフリーチオール基が形成されるように、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む抗体を含む。
コンジュゲーション可能な本明細書における抗体は、ブロッキングまたはキャッピングされたスルフヒドリル基を含むシステイン残基を含有し得る。このようなキャップには、スルフヒドリル基と相互作用し、コンジュゲート形成を妨げるまたは阻害するタンパク質、ペプチド、イオンおよび他の材料が含まれる。一部の実施形態において、本明細書における抗体は、コンジュゲーション反応前にアンキャッピングを要し得る。具体的な実施形態において、本明細書における抗体は、アンキャッピングされており、コンジュゲーション可能なスルフヒドリル基をディスプレイする。具体的な実施形態において、本明細書における抗体は、天然に生じるジスルフィド結合を撹乱も再構成もしないアンキャッピング反応に供する。一部の実施形態において、本明細書における抗体は、2009年1月16日に出願されたPCT公開第PCT/US09/31294号パンフレットに提供されるアンキャッピング反応に供する。
一部の実施形態において、本明細書における抗体は、コンジュゲートすべき抗体が少なくとも1mg/ml、少なくとも2mg/ml、少なくとも3mg/ml、少なくとも4mg/ml、少なくとも5mg/ml以上の濃度において存在するコンジュゲーション反応に供することができる。
抗体コンジュゲートを使用する方法
本明細書における抗体コンジュゲートは、種々の疾患または障害、例えば、腫瘍抗原の過剰発現を特徴とするものを治療するために使用することができると企図される。一部の実施形態において、本明細書における抗体コンジュゲートは、腫瘍増殖を阻害する。ある実施形態において、抗体コンジュゲートはインビボで対象に作用する。ある実施形態において、抗体コンジュゲートはインビトロで作用する。
一部の実施形態において、抗体コンジュゲートを生物試料に投与する。コンジュゲートは、例えば、ピペット、デカンテーション、パーフュージョン、注射、洗浄、溶液槽、回転、クロマトグラフィー、または浸透により生物試料に接触し得る。ある実施形態において、本明細書における抗体コンジュゲートは、固体担体、例として、限定されるものではないが、ビーズに架橋させ、試料に曝露させる。結合した抗原は、当分野において公知のとおり、例として、限定されるものではないが、酵素結合標識、二次反応、クロマトグラフィー、色素、蛍光、および放射線検出により検出することができる。
ある実施形態において、鎖間システインを欠く抗体は、診断および他のアッセイの目的のための標識にコンジュゲートさせ、抗体および/またはその関連リガンドを検出することができる。抗体にコンジュゲートされ、および本明細書に記載の本方法および組成物において使用される標識は、280nm超の波長において吸収極大を示し、抗体に共有結合する場合にそのスペクトル特性を保持する任意の化学部分、有機または無機物である。標識には、限定されるものではないが、発色団、フルオロフォア、蛍光タンパク質、リン光性色素、タンデム色素、粒子、ハプテン、酵素、および放射性同位体が含まれる。
ある実施形態において、鎖間システインを欠く抗体は、フルオロフォアにコンジュゲートしている。したがって、本明細書において提供される標識抗体に使用されるフルオロフォアには、限定されるものではないが;ピレン(対応する誘導体化合物のいずれかを含む)、アントラセン、ナフタレン、アクリジン、スチルベン、インドールもしくはベンズインドール、オキサゾールもしくはベンズオキサゾール、チアゾールもしくはベンゾチアゾール、4−アミノ−7−ニトロベンズ−2−オキサ−1,3−ジアゾール(NBD)、シアニン(任意の対応する化合物を含む)、カルボシアニン(任意の対応する化合物を含む)、カルボスチリル、ポルフィリン、サリチレート、アントラニレート、アズレン、ペリレン、ピリジン、キノリン、ボラポリアザインダセン(任意の対応する化合物を含む)、キサンテン(任意の対応する化合物を含む)、オキサジン(任意の対応する化合物を含む)もしくはベンゾオキサジン、カルバジン(任意の対応する化合物を含む)、フェナレノン、クマリン(開示される任意の対応する化合物を含む)、ベンゾフラン(任意の対応する化合物を含む)およびベンズフェナレノン(任意の対応する化合物を含む)、ならびにそれらの誘導体が含まれる。本明細書に使用されるオキサジンには、レゾルフィン(任意の対応する化合物を含む)、アミノオキサジノン、ジアミノオキサジン、およびそれらのベンゾ置換類似体が含まれる。
ある実施形態において、鎖間システインを欠く抗体にコンジュゲートされるフルオロフォアには、キサンテン(ロードール、ローダミン、フルオレセインおよびそれらの誘導体)クマリン、シアニン、ピレン、オキサジン、およびボラポリアザインダセンが含まれる。一部の実施形態において、このようなフルオロフォアは、スルホン化キサンテン、フッ素化キサンテン、スルホン化クマリン、フッ素化クマリンおよびスルホン化シアニンである。Alexa Fluor、DyLight、Cy Dye、BODIPY、Oregon Green、Pacific Blue、IRDye、FAM、FITC、およびROXの商品名で販売され、一般に公知の色素も含まれる。
鎖間システインを欠く抗体に付着させるフルオロフォアの選択は、コンジュゲートされる抗体の吸収および蛍光放出特性を決定する。抗体および抗体結合リガンドに使用することができるフルオロフォア標識の物理的特性には、限定されるものではないが、スペクトル特性(吸収、発光、ストークスシフト)、蛍光強度、寿命、偏光および光ブリーチング速度、またはこれらの組合せが含まれる。これらの物理的特性の全てが、あるフルオロフォアを別のフルオロフォアと区別するために使用することができ、それにより多重分析が可能になる。ある実施形態において、フルオロフォアは、480nmを超える波長において吸収極大を有する。一部の実施形態において、フルオロフォアは、488nmまたは488nm付近から514nm(アルゴンイオンレーザー励起源の出力による励起に特に好適である)または546nm付近(水銀アークランプによる励起に特に好適である)において吸収する。一部の実施形態において、フルオロフォアは、組織または生物全体への適用についてNIR(近赤外領域)で発光し得る。蛍光標識の他の所望の特性には、例えば、抗体の標識化が、細胞または生物(例えば、生存動物)中で実施すべき場合、細胞透過性および低毒性が含まれ得る。
種々の実施形態において、酵素は、標識であり、鎖間システインを欠く抗体にコンジュゲートしている。検出可能なシグナルの増幅を得ることができ、アッセイ感受性の増加をもたらすため、酵素は有効な標識である。酵素自体は、検出可能な応答を生成しないことが多いが、適切な基質が酵素に接触したときに基質を分解する機能を果たすため、その変換された基質は、蛍光、比色または発光シグナルを生成する。標識試薬上の1つの酵素が、検出可能なシグナルに変換される複数の基質をもたらし得るため、酵素は検出可能なシグナルを増幅する。酵素基質は、好ましい計測可能な生成物、例えば、比色、蛍光または化学発光生成物を生じさせるように選択される。このような基質は、当分野において広範に使用され、当分野において公知である。
一部の実施形態において、比色または蛍光発生基質および酵素の組合せは、オキシドレダクターゼ、例えばセイヨウワサビペルオキシダーゼおよび基質、例えば3,3’−ジアミノベンジジン(DAB)および3−アミノ−9−エチルカルバゾール(AEC)を使用し、それらは、特徴的な色(それぞれ、褐色および赤色)を呈する。検出可能な生成物を呈する他の比色オキシドレダクターゼ基質には、限定されるものではないが:2,2−アジノ−ビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)(ABTS)、o−フェニレンジアミン(OPD)、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)、o−ジアニシジン、5−アミノサリチル酸、4−クロロ−1−ナフトールが含まれる。蛍光発生基質には、限定されるものではないが、ホモバニリン酸または4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル酢酸、還元フェノキサジンおよび還元ベンゾチアジン、例としてAmplex(登録商標)Red試薬およびそのバリアントならびに還元ジヒドロキサンテン、例としてジヒドロフルオレセインならびにジヒドロローダミン、例としてジヒドロローダミン123が含まれる。チラミドであるペルオキシダーゼ基質は、酵素作用前に本質的に検出可能であり得るが、チラミドシグナル増幅(TSA)として記載されるプロセスにおいてペルオキシダーゼの作用により「適所に固定される」という点で、独特のクラスのペルオキシダーゼ基質を表す。これらの基質は、顕微鏡検査、フローサイトメトリー、光学式走査、および蛍光光度法による、その後の検出のために、細胞、組織またはアレイである試料中の標的を標識するために広範に利用されている。
比色(および一部の場合においては蛍光発生)基質および酵素の組合せは、ホスファターゼ酵素、例えば酸ホスファターゼ、アルカリホスファターゼ、またはこのようなホスファターゼの組換え型を、比色基質、例えば5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリルホスフェート(BCIP)、6−クロロ−3−インドリルホスフェート、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリルホスフェート、p−ニトロフェニルホスフェート、もしくはo−ニトロフェニルホスフェートと組み合わせて、または蛍光発生基質、例えば4−メチルウンベリフェリルホスフェート、6,8−ジフルオロ−7−ヒドロキシ−4−メチルクマリニリルホスフェート(DiFMUP、米国特許第5,830,912号明細書)、フルオレセインジホスフェート、3−O−メチルフルオレセインホスフェート、レソルフィンホスフェート、9H−(1,3−ジクロロ−9,9−ジメチルアクリジン−2−オン−7−イル)ホスフェート(DDAOホスフェート)、もしくはELF97、ELF39もしくは関連ホスフェートと組み合わせて使用することもある。
グリコシダーゼ、特に、ベータ−ガラクトシダーゼ、ベータ−グルクロニダーゼおよびベータ−グルコシダーゼは、追加の好適な酵素である。適切な比色基質には、限定されるものではないが、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルベータ−D−ガラクトピラノシド(X−gal)および類似のインドリルガラクトシド、グルコシド、ならびにグルクロニド、o−ニトロフェニルベータ−D−ガラクトピラノシド(ONPG)およびp−ニトロフェニルベータ−D−ガラクトピラノシドが含まれる。一実施形態において、蛍光発生基質には、レソルフィンベータ−D−ガラクトピラノシド、フルオレセインジガラクトシド(FDG)、フルオレセインジグルクロニド、およびそれらの構造バリアント、4−メチルウンベリフェリルベータ−D−ガラクトピラノシド、カルボキシウンベリフェリルベータ−D−ガラクトピラノシドおよびフッ素化クマリンベータ−D−ガラクトピラノシドが含まれる。
追加の酵素には、限定されるものではないが、ヒドロラーゼ、例えば、コリンエステラーゼおよびペプチダーゼ、オキシダーゼ、例えば、グルコースオキシダーゼおよびシトクロムオキシダーゼ、ならびに好適な基質が公知であるレダクターゼが含まれる。
化学発光を生成する酵素およびそれらの適切な基質は、一部のアッセイに好適である。これらには、限定されるものではないが、天然型および組換え型のルシフェラーゼおよびエクオリンが含まれる。ホスファターゼ、グリコシダーゼおよびオキシダーゼについて化学発光を生成する基質、例えば安定なジオキセタン、ルミノール、イソルミノール、およびアクリジニウムエステルを含有するものがさらに有用である。
一部の実施形態において、ハプテン、例えばビオチンも標識として利用される。ビオチンは、酵素系において検出可能なシグナルをさらに増幅する機能を果たし得、単離目的のための親和性クロマトグラフィーにおいて使用すべきタグとして機能を果たし得るため有用である。検出目的のため、ビオチンについて親和性を有する酵素コンジュゲート、例えばアビジン−HRPが、使用される。続いて、ペルオキシダーゼ基質を添加して検出可能なシグナルを生成する。
ハプテンには、ホルモン、天然に生じるおよび合成薬物、汚染物質、アレルゲン、アフェクター(エフェクター)分子、成長因子、ケモカイン、サイトカイン、リンホカイン、アミノ酸、ペプチド、化学中間体、ヌクレオチドなども含まれる。
ある実施形態において、蛍光タンパク質が標識として抗体にコンジュゲートしている。蛍光タンパク質の例には、緑色蛍光タンパク質(GFP)およびフィコビリタンパク質、ならびにそれらの誘導体が含まれる。蛍光タンパク質、特にフィコビリタンパク質は、タンデム色素標識した標識試薬の作出に有用である。これらのタンデム色素は、より大きなストークスシフトを得る目的のために蛍光タンパク質およびフルオロフォアを含み、その発光スペクトルは、蛍光タンパク質の吸収スペクトルの波長からさらにシフトしている。これは、発光した蛍光が最大限に最適化されている試料、換言すると、その発光がほとんどまたは少しも、蛍光タンパク質により再吸収されない試料中の少量の標的の検出に有効であり得る。これが作用するため、その蛍光タンパク質およびフルオロフォアは、エネルギー転移対として機能し、その蛍光タンパク質は、フルオロフォアが吸収する波長において発光し、その後、その蛍光タンパク質のみを用いて得られ得るよりも蛍光タンパク質から遠い波長においてフルオロフォアが放出する。機能的な組合せは、当分野において公知のフィコビリタンパク質およびスルホローダミンフルオロフォアまたはスルホン化シアニンフルオロフォアであり得る。フルオロフォアはエネルギードナーとして機能することもあり、蛍光タンパク質はエネルギーアクセプターである。
ある実施形態において、標識は放射性同位体である。好適な放射性材料の例には、限定されるものではないが、ヨウ素(.sup.121I、.sup.123I、.sup.125I、.sup.131I)、炭素(.sup.14C)、硫黄(.sup.35S)、トリチウム(.sup.3H)、インジウム(.sup.111In、.sup.112In、.sup.113mIn、.sup.115mIn)、テクネチウム(.sup.99Tc、.sup.99mTc)、タリウム(.sup.201Ti)、ガリウム(.sup.68Ga、.sup.67Ga)、パラジウム(.sup.103Pd)、モリブデン(.sup.99Mo)、キセノン(.sup.135Xe)、フッ素(.sup.18F)、.sup.153Sm、.sup.177Lu、.sup.159Gd、.sup.149Pm、.sup.140La、.sup.175Yb、.sup.166Ho、.sup.90Y、.sup.47Sc、.sup.186Re、.sup.188Re、.sup.142Pr、.sup.105Rh、および.sup.97Ru.が含まれる。
有用な診断方法
ある実施形態において、本明細書に提供される鎖間システインを欠く抗体、コンジュゲートおよび組成物は、FlexiMab抗体またはコンジュゲートされる分子に関連する疾患の診断にインビボおよび/またはインビトロで使用することができる。これは、例えば、場合により対照試料とともに試験すべき試料を抗体と、本明細書における抗体またはコンジュゲートと目的の分子との複合体の形成を可能とする条件下で接触させることにより達成することができる。次いで、複合体形成を検出する(例えば、ELISAを使用)。対照試料を試験試料とともに使用する場合、複合体は、両方の試料中で検出し、試料間の複合体の形成の任意の統計的に有意な差異が試験試料中の目的の分子の存在を示す。
一部の実施形態において、本明細書における技術は、目的の分子を含有する疑いのある試料中の目的の分子の存在を決定する方法であって、試料を鎖間システインを欠く抗体またはコンジュゲートに曝露し、試料中の目的の分子への抗体またはコンジュゲートの結合を決定することを含み、試料中の目的の分子への抗体またはコンジュゲートの結合が、試料中の目的の分子の存在を示す方法を提供する。一部の実施形態において、試料は生物試料である。ある実施形態において、生物試料は、目的の分子に関連する疾患または障害を罹患するまたはその罹患の疑いのある哺乳動物からのものである。
ある実施形態において、鎖間システインを欠く抗体またはコンジュゲートを使用して、インビボ診断アッセイを使用して目的の分子の過剰発現または増幅を検出することができる。一部の実施形態において、鎖間システインを欠く抗体またはコンジュゲートを試料に添加し、抗体またはコンジュゲートは、検出すべき目的の分子に結合し、検出可能な標識(例えば、放射性同位体または蛍光標識)によりタグづけし、標識の局在について患者を外部からスキャンする。
FISHアッセイ、例えばINFORM(商標)(Ventana,Ariz.により販売)またはPATHVISION(商標)(Vysis,III.)をホルマリン固定されたパラフィン包埋組織上で実施して、腫瘍中の目的の分子の過剰発現の程度(存在する場合)を決定することができる。
ある実施形態において、鎖間システインを欠く抗体またはコンジュゲートは、目的の分子を発現する細胞の増加に伴う細胞増殖障害を診断する方法において使用することができる。一部の実施形態において、本方法は、生物試料中の試験細胞を、鎖間システインを欠く抗体またはコンジュゲートと接触させ;鎖間システインを欠く抗体またはコンジュゲートの結合を検出することにより試料中の試験細胞中の目的の分子のレベルを決定すること;および対照試料中の細胞に結合した抗体のレベルを比較することを含み、結合した抗体のレベルを、試験および対照試料中の目的の分子を発現する細胞の数に正規化し、対照試料と比較して試験試料中の結合した抗体が高レベルであれば、目的の分子を発現する細胞に関連する細胞増殖障害の存在を示す。
ある実施形態において、鎖間システインを欠く抗体またはコンジュゲートは、血液または血清中の目的の可溶性分子を検出する方法において使用することができる。一部の実施形態において、本方法は、目的の分子に関連する障害を罹患する疑いのある哺乳動物からの血液または血清の試験試料を、本明細書における鎖間システインを欠く抗体またはコンジュゲートと接触させ、正常哺乳動物からの血液または血清の対照試料に対する試験試料中の目的の可溶性分子の増加を検出することを含む。一部の実施形態において、検出する方法は、哺乳動物の血液または血清中の目的の可溶性分子の増加に関連する障害を診断する方法として有用である。
有用な治療方法
種々の実施形態において、抗体コンジュゲートを細胞、例えば癌細胞に投与する。抗体コンジュゲートの生物学的効果、例として、限定されるものではないが、細胞死、細胞増殖阻害、効果の欠損、細胞形態の変化、および細胞成長パターンの変化を観察することができる。一部の実施形態において、抗体コンジュゲートは、上記の検出可能な標識を含む。ある実施形態において、標識は、細胞内の腫瘍抗原の局在を示す。
ある実施形態において、抗体コンジュゲートを治療の必要がある対象に投与する。種々の実施形態において、コンジュゲートは、腫瘍抗原に標的化される薬物または毒素を担持する。コンジュゲートは、抗原を同定または局在化することができる検出可能な標識を担持することもある。一部の実施形態は、抗体コンジュゲートの生物学的効果の検出を含む。ある実施形態において、対象の病態をモニタリングすることができる。治療用量をモニタリングに応答して調整することができる。
例示的な病態または過剰増殖性障害には、良性または悪性の腫瘍、白血病およびリンパ性悪性腫瘍が含まれる。他には、ニューロン、グリア、星状膠、視床下部、腺性、マクロファージ、上皮、内皮、および間質悪性腫瘍が含まれる。他の癌または過剰増殖性障害には、頭部、頸部、眼、口腔、咽頭、食道、胸部、皮膚、骨、肺、結腸、直腸、結腸直腸、胃、脾臓、腎臓、骨格筋、皮下組織、転移性メラノーマ、子宮内膜、前立腺、乳房、卵巣、精巣、甲状腺、血液、リンパ節、腎臓、肝臓、膵臓、脳、または中枢神経系の癌が含まれる。本明細書における方法により予防、管理、治療または改善することができる癌の例には、限定されるものではないが、頭部、頸部、眼、口腔、咽頭、食道、胸部、骨、肺、結腸、直腸、胃、前立腺、乳房、卵巣、腎臓、肝臓、膵臓、および脳の癌が含まれる。追加の癌には、限定されるものではないが、以下のもの:白血病、例えば、限定されるものではないが、急性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、例えば骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性、赤白血病性白血病および骨髄形成異常症候群、慢性白血病、例えば、限定されるものではないが、慢性骨髄性(顆粒球性)白血病、慢性リンパ性白血病、へアリー細胞白血病;真性多血症;リンパ腫、例えば、限定されるものではないが、ホジキン病、非ホジキン病;多発性骨髄腫、例えば、限定されるものではないが、くすぶり型多発性骨髄腫、非分泌性骨髄腫、骨硬化性骨髄腫、形質細胞性白血病、単発性形質細胞腫、および髄外性形質細胞腫;ワルデンシュトレーム・マクログロブリン血症;意義不明の単クローン性高ガンマグロブリン異常症;良性単クローン性ガンマグロブリン血症;重鎖病;骨癌および結合組織肉腫、例えば、限定されるものではないが、骨肉腫、骨髄腫骨疾患、多発性骨髄腫、真珠腫誘発性骨肉腫、骨パジェット病、骨肉腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性巨細胞腫、骨線維肉腫、脊索腫、骨膜肉腫、軟部肉腫、血管肉腫、線維肉腫、カポジ肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、リンパ管肉腫、神経線維鞘腫、横紋筋肉腫、および骨膜肉腫;脳腫瘍、例えば、限定されるものではないが、神経膠腫、星状細胞腫、脳幹神経膠腫、上衣腫、乏突起神経膠腫、非グリア腫瘍、聴神経鞘腫、頭蓋咽頭腫、髄芽腫、髄膜腫、松果体細胞腫、松果体芽細胞腫、および原発性脳リンパ腫;乳癌、例として、限定されるものではないが、腺癌、小葉(小細胞)癌、管内癌、髄様乳癌、ムチン産生乳癌、細管乳癌、乳頭状乳癌、パジェット病(若年性パジェット病を含む)および炎症性乳癌;副腎癌、例えば、限定されるものではないが、褐色細胞腫および副腎皮質癌;甲状腺癌、例えば、限定されるものではないが、乳頭状または小胞性甲状腺癌、髄様甲状腺癌および退形成甲状腺癌;膵臓癌、例えば、限定されるものではないが、インスリノーマ、ガストリン産生腫瘍、グルカゴン産生腫瘍、VIP産生腫瘍、ソマトスタチン分泌腫瘍、およびカルチノイドもしくは島細胞腫;下垂体癌、例えば、限定されるものではないが、クッシング病、プロラクチン分泌腫瘍、先端肥大症、および尿崩症;眼癌、例えば、限定されるものではないが、眼メラノーマ、例えば虹彩メラノーマ、脈絡膜メラノーマおよび毛様体メラノーマ、ならびに網膜芽細胞腫;膣癌、例えば扁平上皮癌、腺癌、およびメラノーマ;外陰癌、例えば扁平上皮癌、メラノーマ、腺癌、基底細胞癌、肉腫、およびパジェット病;子宮頸癌、例えば、限定されるものではないが、扁平上皮癌および腺癌;子宮癌、例えば、限定されるものではないが、子宮内膜癌および子宮肉腫;卵巣癌、例えば、限定されるものではないが、卵巣上皮癌、境界性腫瘍、胚細胞腫瘍、および間質腫瘍;食道癌、例えば、限定されるものではないが、扁平上皮癌、腺癌、腺様嚢包癌、粘表皮癌、腺様扁平上皮癌、肉腫、メラノーマ、形質細胞腫、疣状癌、および燕麦細胞(小細胞)癌;胃癌、例えば、限定されるものではないが、腺癌、菌状発育性病変(ポリープ状)、潰瘍性、表在性、びまん性、悪性リンパ腫、脂肪肉腫、線維肉腫、および癌肉腫;結腸癌;直腸癌;肝癌、例えば、限定されるものではないが、肝細胞癌および肝芽腫、胆嚢癌、例えば腺癌;胆管癌、例えば、限定されるものではないが、乳頭状、結節性、およびびまん性;肺癌、例えば非小細胞肺癌、扁平上皮癌(類表皮癌)、腺癌、大細胞癌および小細胞肺癌;精巣癌、例えば、限定されるものではないが、胚芽性腫瘍、セミノーマ、無形成性、古典的(典型的)、精母細胞、非セミノーマ、胎児性癌、テラトーマ癌、絨毛癌(卵黄嚢腫瘍)、前立腺癌、例えば、限定されるものではないが、腺癌、平滑筋肉腫、および横紋筋肉腫;陰茎癌;口腔癌、例えば、限定されるものではないが、扁平上皮癌;基底癌;唾液腺癌、例えば、限定されるものではないが、腺癌、粘表皮癌および腺様嚢胞癌;咽頭癌、例えば、限定されるものではないが、鱗状細胞癌および疣状;皮膚癌、例えば、限定されるものではないが基底細胞癌、扁平上皮癌およびメラノーマ、表在性メラノーマ、結節性メラノーマ、悪性黒子、末端性黒子性メラノーマ;腎臓癌、例えば、限定されるものではないが、腎細胞癌、腺癌、副腎腫、線維肉腫、移行上皮癌(腎盤および/または尿管);ウィルムス腫瘍;膀胱癌、例えば、限定されるものではないが、移行上皮癌、鱗状細胞癌、腺癌、癌肉腫が含まれる。さらに、癌には、粘液肉腫、骨原性肉腫、内皮肉腫、リンパ管内皮腫、中皮腫、滑膜腫、血管芽細胞腫、上皮癌、嚢胞腺癌、気管支癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭状癌および乳頭状腺癌が含まれる。
アポトーシスの異常により引き起こされる癌を、本明細書における方法および組成物により治療することもできることも企図される。このような癌には、限定されるものではないが、濾胞性リンパ腫、p53突然変異を有する癌、乳房、前立腺および卵巣のホルモン依存性腫瘍、ならびに前癌性病変、例えば家族性腺腫様ポリープ症、および骨髄形成異常症候群が含まれ得る。
本明細書におけるタンパク質およびそのタンパク質を含む組成物は、多くの目的に、例えば、広範な慢性および急性の疾患および障害、例として、限定されるものではないが、自己免疫および/もしくは炎症障害、例えばシェーグレン症候群、関節リウマチ、狼瘡 乾癬、アテローム性動脈硬化症、糖尿病性および他の網膜症、水晶体後線維増殖症、加齢性黄斑変性、血管新生性緑内障、血管腫、甲状腺過形成(グレーヴス病を含む)、角膜および他の組織移植、および慢性炎症、敗血症、関節リウマチ、腹膜炎、クローン病、再灌流障害、敗血症、内毒素ショック、嚢胞性線維症、心内膜炎、乾癬、関節炎(例えば、乾癬性関節炎)、アナフィラキシーショック、臓器虚血、再灌流障害、脊髄損傷、ならびに同種移植片拒絶に対する治療薬として有用である。
自己免疫および/または炎症障害の例には、限定されるものではないが、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫性アジソン病、副腎の自己免疫疾患、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性卵巣炎および精巣炎、シェーグレン症候群、乾癬、アテローム性動脈硬化症、糖尿病性および他の網膜症、水晶体後線維増殖症、加齢性黄斑変性、血管新生性緑内障、血管腫、甲状腺過形成(グレーヴス病を含む)、角膜および他の組織移植、および慢性炎症、敗血症、関節リウマチ、腹膜炎、クローン病、再灌流障害、敗血症、内毒素ショック、嚢胞性線維症、心内膜炎、乾癬、関節炎(例えば、乾癬性関節炎)、アナフィラキシーショック、臓器虚血、再灌流障害、脊髄損傷および同種移植片拒絶。自己免疫性血小板減少症、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー皮膚炎、慢性疲労免疫機能不全症候群(CFIDS)、慢性炎症性脱髄多発性神経障害、チャーグーストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、CREST症候群、寒冷凝集素症、円板状狼瘡、必須混合クリオグロブリン血症、線維筋肉痛−線維筋炎、糸球体腎炎、ギランバレー、橋本病甲状腺炎、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、IgAニューロパチー、若年性関節炎、扁平苔癬、エリテマトーデス、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、1型または免疫媒介型糖尿病、重症筋無力症、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群、リウマチ性多発筋痛症、多発性筋炎および皮膚筋炎、原発性ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、乾癬性関節炎、レイノー現象、ライター症候群、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、全身性エリテマトーデス、エリテマトーデス、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、脈管炎、例えば疱疹状皮膚炎脈管炎、尋常性白斑およびウェゲナー肉芽腫症が含まれる。
炎症障害の例には、限定されるものではないが、喘息、脳炎、炎症性腸疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー障害、敗血性ショック、肺線維症、未分化脊椎関節症、未分化関節障害、関節炎、炎症性骨溶解、および慢性ウイルスまたは細菌感染から生じる慢性炎症が含まれる。
本明細書における組成物および方法は、上記疾患を予防、管理または治療するために使用される1つ以上の慣用の治療とともに使用することができる。一部の実施形態において、種々の感染性因子、例えばウイルス、真菌、真核微生物、および細菌を不活性化するための抗体および/または抗体コンジュゲートの使用方法も提供される。一部の実施形態において、本明細書における抗体または抗体コンジュゲートは、RSV、hMPV、PIV、またはインフルエンザウイルスを不活性化するために使用することができる。一部の実施形態において、本明細書における抗体および/または抗体コンジュゲートは、真菌病原体、例えば、限定されるものではないが、ネグレリア属(Naegleria)、アスペルギルス属(Aspergillus)、ブラストマイセス属(Blastomyces)、ヒストプラズマ属(Histoplasma)、カンジダ属(Candida)または白癬(Tinea属)のメンバーを不活性化するために使用することができる。一部の実施形態において、本明細書における抗体および/または抗体コンジュゲートは、真核微生物、例えば、限定されるものではないが、ジアルジア属(Giardia)、トキソプラズマ属(Toxoplasma)、プラスモジウム属(Plasmodium)、トリパノソーマ属(Trypanosoma)、およびエントアメーバ属(Entamoeba)のメンバーを不活性化するために使用することができる。一部の実施形態において、本明細書における抗体および/または抗体コンジュゲートは、細菌病原体、例えば、限定されるものではないが、ブドウ球菌属(Staphylococcus)、連鎖球菌属(Streptococcus)、シュードモナス属(Pseudomonas)、クロストリジウム属(Clostridium)、ボレリア属(Borrelia)、ビブリオ属(Vibro)、およびネイセリア属(Neiserria)のメンバーを不活性化するために使用することができる。
本明細書における抗体および/または抗体コンジュゲートならびにそれらを含む組成物は、多くの目的に、例えば、広範な慢性および急性の疾患および障害、例として、限定されるものではないが、感染性疾患、例として、ウイルス性、細菌性、および真菌性疾患に対する治療剤として有用である。ウイルス病原体の例には、限定されるものではないが、アデノウイルス科(例えば、マストアデノウイルス属およびアビアデノウイルス属)、ヘルペスウイルス科(例えば、単純ヘルペスウイルス1、単純ヘルペスウイルス2、単純ヘルペスウイルス5、および単純ヘルペスウイルス6)、レヴィウイルス科(例えば、レヴィウイルス属、腸内細菌ファージMS2、アロレヴィウイルス属)、ポックスウイルス科(例えば、チョルドポックスウイルス亜科、パラポックスウイルス属、アビポックスウイルス属、カプリポックスウイルス属、レポリポックスウイルス属、スイポックスウイルス属、モルスサイポックスウイルス属、およびエントモポックスウイルス亜科)、パポーバウイルス科(例えば、ポリオーマウイルス属およびパピローマウイルス属)、パラミクソウイルス科(例えば、パラミクソウイルス属、パラインフルエンザウイルス1、モルビリウイルス属(例えば、麻疹ウイルス)、ルブラウイルス属(例えば、ムンプスウイルス)、ニューモノウイルス亜科(例えば、ニューモウイルス属、ヒト呼吸器合包体ウイルス)およびメタニューモウイルス(例えば、トリニューモウイルスおよびヒトメタニューモウイルス))、ピコルナウイルス科(例えば、エンテロウイルス属、ライノウイルス属、ヘパトウイルス属(例えば、ヒトA型肝炎ウイルス)、カルヂオウイルス属、およびアフトウイルス属)、レオウイルス科(例えば、オルソレオウイルス属、オルビウイルス属、ロタウイルス属、シポウイルス属、フィジーウイルス属、フィトレオウイルス属、およびオリザウイルス属)、レトロウイルス科(例えば、哺乳類B型レトロウイルス属、哺乳動物C型レトロウイルス属、トリC型レトロウイルス属、D型レトロウイルス群、BLVHTLVレトロウイルス、レンチウイルス属(例えば、ヒト免疫不全ウイルス1およびヒト免疫不全ウイルス2)、スプマウイルス属)、フラビウイルス科(例えば、C型肝炎ウイルス)、ヘパドナウイルス科(例えば、B型肝炎ウイルス)、トガウイルス科(例えば、アルファウイルス属(例えば、シンドビスウイルス)およびルビウイルス属(例えば、風疹ウイルス))、ラブドウイルス科(例えば、ベシクロウイルス属、リッサウイルス属、エフェメロウイルス属、シトラブドウイルス属、およびヌクレオラブドウイルス属)、アレナウイルス科(例えば、アレナウイルス属、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、イッピーウイルス、およびラッサウイルス)、ならびにコロナウイルス科(例えば、コロナウイルス属およびトロウイルス属)が含まれる。
細菌病原体の例には、限定されるものではないが、アクワスピリルム(Aquaspirillum)科、アゾスピリルム(Azospirillum)科、アゾトバクター(Azotobacteraceae)科、バクテロイデス(Bacteroidaceae)科、バルトネラ(Bartonella)種、ブデロビブリオ(Bdellovibrio)科、カンピロバクター(Campylobacter)種、クラミジア(Chlamydia)種(例えば、クラミジア肺炎菌(Chlamydia pneumoniae))、クロストリジウム、腸内細菌(Enterobacteriaceae)科(例えば、シトロバクター(Citrobacter)種、エドワードシエラ(Edwardsiella)、エンテロバクター・エアロゲネス(Enterobacter aerogenes)、エルウィニア(Erwinia)種、大腸菌(Escherichia coli)、ハフニア(Hafnia)種、クレブジエラ(Klebsiella)種、モルガネラ(Morganella)種、変形菌(Proteus vulgaris)、プロビデンシア(Providencia)、サルモネラ(Salmonella)種、セラティア・マルセセンス(Serratia marcescens)、およびシゲラ・フレクスネリ(Shigella flexneri))、ガルジネラ(Gardinella)科、インフルエンザエ菌(Haemophilus influenzae)、ハロバクテリウム(Halobacteriaceae)科、ヘリコバクター(Helicobacter)科、レジオネラ(Legionallaceae)科、リステリア(Listeria)種、メチロコッカス(Methylococcaceae)科、マイコバクテリア(mycobacteria)(例えば結核菌(Mycobacterium tuberculosis))、ナイセリア(Neisseriaceae)科、オセアノスピリルム(Oceanospirillum)科、パスツレラ(Pasteurellaceae)科、肺炎球菌(Pneumococcus)種、シュードモナス(Pseudomonas)種、リゾビウム(Rhizobiaceae)科、スピリルム(Spirillum)科、スピロソマセア(Spirosomaceae)科、ブドウ球菌(Staphylococcuss)(例えば、メシチリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、およびスタフィロコッカス・パイロゲネス(Staphylococcus pyrogenes))、連鎖球菌(Streptococcus)(例えば、腸炎連鎖球菌(Streptococcus enteritidis)、ストレプトコッカス・フェーシエ(Streptococcus fasciae)、および肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae))、バンピロビブルヘリコバクター(Vampirovibr Helicobacter)科、ならびにバンピロビブリオ(Vampirovibrio)科が含まれる。
真菌病原体の例には、限定されるものではないが、アブシディア(Absidia)種(例えば、アブシディア・コリムビフェラ(Absidia corymbifera)およびアブシディア・ラモサ(Absidia ramosa))、アスペルギルス(Aspergillus)種(例えば、アスペルギルス・フラブス(Aspergillus flavus)、アスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)、クロコウジカビ(Aspergillus niger)、およびアスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus))、バシジオボルス・ラナルム(Basidiobolus ranarum)、ブラストマイセス・デルマティディス(Blastomyces dermatitidis)、カンジダ種(例えば、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・ガラブラータ(Candida glabrata)、カンジダ・ケル(Candida kerr)、カンジダ・クルーゼイ(Candida krusei)、カンジダ・パラプシロシス(Candida parapsilosis)、カンジダ・シュードトロピカリス(Candida pseudotropicalis)、カンジダ・クイレルモンディイ(Candida quillermondii)、カンジダ・ルゴーザ(Candida rugosa)、カンジダ・ステラトイデア(Candida stellatoidea)、およびカンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis))、コクシジオイデス・イミティス(Coccidioides immitis)、コニジオボルス(Conidiobolus)種、クリプトコッカス・ネオフォルムス(Cryptococcus neoforms)、カニンガメラ(Cunninghamella)種、皮膚糸状菌、ヒストプラズマ・カプスラタム(Histoplasma capsulatum)、マイクロスポルム・ジプセウム(Microsporum gypseum)、ムコル・プシルス(Mucor pusillus)、パラコッキディオイデス・ブラシリエンシス(Paracoccidioides brasiliensis)、シューダルエシェリア・ボイディイイ(Pseudallescheria boydii)、リノスポリジウム・シーベリ(Rhinosporidium seeberi)、ニューモシスティス・カリニイ(Pneumocystis carinii)、クモノスカビ(Rhizopus)種(例えば、リゾップス・アルヒザス(Rhizopus arrhizus)、リゾップス・オライザエ(Rhizopus oryzae)、およびリゾップス・マイクロスポルス(Rhizopus microsporus))、サッカロミセス(Saccharomyces)種、スポロトリクス・シェネキイイ(Sporothrix schenckii)、ならびに例えば接合菌(Zygomycetes)、子嚢菌(Ascomycetes)、担子菌(Basidiomycetes)、不完全菌(Deuteromycetes)、および卵菌(Oomycetes)等の綱が含まれる。
一部の実施形態において、細胞集団を枯渇させるための抗体の使用方法も提供される。一実施形態において、本明細書における方法は、以下の細胞タイプ:好酸球、好塩基球、好中球、T細胞、B細胞、マスト細胞、単球、内皮細胞、および腫瘍細胞を枯渇させるのに有用である。
ある実施形態において、本明細書における抗体およびそのコンジュゲートは、疾患またはその症状の診断および検出においても有用であり得る。一部の実施形態において、本明細書における組成物は、疾患進行のモニタリングにおいて有用であり得る。種々の実施形態において、本明細書における組成物は、治療レジメンのモニタリングにおいて有用であり得る。ある実施形態において、本明細書における組成物は、エクスビボ用途、例えば、診断キットにおける診断に有用であり得る。
本明細書における組成物は、標的抗原の可視化において有用であり得る。一部の実施形態において、標的抗原は、内在化する細胞表面受容体である。ある実施形態において、標的抗原は、細胞内抗原である。一部の実施形態において、標的は、核内抗原である。
一部の実施形態において、本明細書における抗体または抗体−薬物コンジュゲートは、細胞に結合すると細胞内に内在化し、内在化は、本明細書に記載の対照抗体よりも少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約110%、少なくとも約130%、少なくとも約140%、少なくとも約150%、少なくとも約160%、または少なくとも約170%多い。
ある実施形態において、本明細書における抗体は、細胞に結合すると細胞内に内在化し、内在化は、本明細書に記載の対照抗体よりも1〜10%、10〜20%、20〜30%、30〜40%、40〜50%、50〜60%、60〜70%、70〜80%、80〜90%、90〜100%、100〜110%、110〜120%、120〜130%、130〜140%、140〜150%、150〜160%、または160〜170%多い。
種々の実施形態において、本明細書における抗体は、細胞に結合すると細胞内に内在化し、内在化は、二次抗体を使用する内在化アッセイにより決定されるとおり、対照抗体よりも1〜10%、10〜20%、20〜30%、30〜40%,40〜50%、50〜60%、60〜70%、70〜80%、80〜90%、90〜100%、100〜110%、110〜120%、120〜130%、130〜140%、140〜150%、150〜160%、または160〜170%多い。
抗体治療薬
医薬組成物
本明細書において、一部の実施形態において、組成物、非限定的な例として、薬学的に許容可能な担体と一緒に製剤化された本明細書における抗体または抗体コンジュゲートの1つまたは組合せを含有する医薬組成物が提供される。このような組成物は、限定されるものではないが、例えば、本明細書の2つ以上の異なる抗体の1つまたは組合せを含み得る。例えば、本明細書における医薬組成物は、標的抗原上の異なるエピトープに結合するまたは相補活性を有する抗体の組合せを含み得る。
本明細書における抗体または抗体コンジュゲートを含む医薬組成物または無菌組成物を調製するため、抗体/抗体コンジュゲートを、薬学的に許容可能な担体または賦形剤と混合することができる。治療剤および診断剤の製剤は、例えば、凍結乾燥粉末、スラリー、水溶液、ローション、または懸濁液の形態で生理学的に許容可能な担体、賦形剤、または安定剤と混合することにより調製することができる。
本明細書における医薬組成物は、他の薬剤と併用する併用療法において投与することもできる。例えば、併用療法は、少なくとも1つの他の療法と併用する本明細書における抗体を含み得、その療法は、手術、免疫療法、化学療法、放射線治療、または薬物療法であり得る。
本明細書における医薬化合物は、1つ以上の薬学的に許容可能な塩を含み得る。このような塩の例には、酸付加塩および塩基付加塩が含まれる。酸付加塩には、無毒性無機酸、例えば塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸などに由来するもの、ならびに無毒性有機酸、例えば脂肪族モノ−およびジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、芳香族酸、脂肪族酸、および芳香族スルホン酸などに由来するものが含まれる。塩基付加塩には、アルカリ土類金属、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどに由来するもの、ならびに無毒性有機アミン、例えば、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、N−メチルグルカミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、プロカインなどに由来するものが含まれる。
本明細書における医薬組成物は、薬学的に許容可能な抗酸化剤も含み得る。薬学的に許容可能な抗酸化剤の例には、(1)水溶性抗酸化剤、例えばアスコルビン酸、システイン塩酸塩、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど;(2)油溶性抗酸化剤、例えばパルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、アルファ−トコフェロールなど;および(3)金属キレート剤、例えばクエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などが含まれる。
本開示の医薬組成物において用いることができる好適な水性および非水性担体の例には、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、およびそれらの好適な混合物、植物油、例えばオリーブ油、ならびに注射可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチルが含まれる。適切な流動性は、例えば、コーティング材料、例えばレシチンの使用により、分散液の場合には要求される粒径の維持により、および界面活性剤の使用により維持することができる。
これらの組成物は、補助剤、例えば保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤も含有し得る。微生物の存在の予防は、滅菌手順ならびに種々の抗菌および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などの包含の両方により確保することができる。等張化剤、例えば糖、塩化ナトリウムなどを組成物中に含めることも望ましいことがある。さらに、注射可能な医薬品形態の持続的吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを含めることによりもたらすことができる。
医薬組成物は、典型的には、製造および貯蔵の条件下で無菌および安定であり得る。組成物は、液剤、マイクロエマルション、リポソーム、または高薬物濃度に好適な他の秩序構造として製剤化することができる。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコールなど)、およびそれらの好適な混合物を含有する溶媒または分散媒であり得る。適切な流動性は、例えば、コーティング、例えばレシチンの使用により、分散液の場合には要求される粒径の維持により、および界面活性剤の使用により維持することができる。多くの場合、等張化剤、例えば、糖、多価アルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、または塩化ナトリウムを組成物中に含めることが好適であることがある。注射可能な組成物の持続的吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えばモノステアリン酸塩およびゼラチンを組成物中に含めることによりもたらすことができる。
滅菌注射液は、上記列挙の成分の1つまたは組合せとともに適切な溶媒中に要求量の活性化合物を取り込み、必要に応じて、その後に滅菌精密濾過を行うことにより、調製することができる。一般に、分散液は、塩基性分散媒および上記列挙のものから要求される他の成分を含有する滅菌ビヒクルへの活性化合物の取り込みにより調製する。滅菌注射液の調製のための滅菌粉末の場合、適切な調製方法には、活性成分と任意の追加所望成分の粉末を、その予め濾過滅菌した溶液から生じさせる真空乾燥およびフリーズドライ(凍結乾燥)が含まれる。
一実施形態において、本明細書における組成物は、内毒素および/または関連発熱物質を実質的に含まない発熱物質不含製剤である。内毒素には、微生物の内部に封じ込められた毒素、および微生物が破壊または死滅した場合に放出される毒素が含まれる。発熱物質には、細菌および他の微生物の外膜からの発熱誘発性熱安定性物質(糖タンパク質)も含まれる。これらの物質は両方とも、ヒトに投与された場合に、発熱、低血圧、およびショックを引き起こし得る。潜在的な有害効果に起因して、少量の内毒素であっても、それを静脈内投与される医薬物溶液から適切に除去することができる。Food&Drug Administration(「FDA」)は、静脈内薬物適用の1回の1時間の期間中、5内毒素単位(EU)/用量/キログラム体重の上限を定めている。治療タンパク質が数百または数千ミリグラム/キログラム体重の量で投与される場合、微量の内毒素であっても適切に除去することができる。一実施形態において、組成物中の内毒素および発熱物質レベルは、10EU/mg未満、または5EU/mg未満、または1EU/mg未満、0.1EU/mg未満、0.01EU/mg未満、または0.001EU/mg未満である。ある実施形態において、組成物中の内毒素および発熱物質レベルは、約10EU/mg未満、約5EU/mg未満、約1EU/mg未満、または約0.1EU/mg未満、約0.01EU/mg未満、または約0.001EU/mg未満である。
一部の実施形態において、方法は、組成物を投与することを含み、前記投与は、経口、非経口、筋肉内、鼻腔内、膣、直腸、舌、舌下、頬側、頬内、静脈内、皮膚、皮下または経皮投与である。
ある実施形態において、方法は、他の療法、例えば手術、化学療法、ホルモン療法、生物学的療法、免疫療法または放射線療法と組み合わせて組成物を投与することをさらに含む。
用量および投与
本明細書における抗体または抗体コンジュゲートを含む医薬または無菌組成物を調製するため、抗体/抗体コンジュゲートは、薬学的に許容可能な担体または賦形剤と混合する。治療剤および診断剤の製剤は、例えば、凍結乾燥粉末、スラリー、水溶液、ローション、または懸濁液の形態で生理学的に許容可能な担体、賦形剤、または安定剤と混合することにより調製することができる。
治療薬のための投与レジメンの選択は、いくつかの要因、例として、実体の血清または組織ターンオーバー速度、症状のレベル、実体の免疫原性、および生物学的マトリックスにおける標的細胞の接近性に依存する。ある実施形態において、投与レジメンは、副作用の許容可能なレベルと調和させて、患者に送達される治療薬の量を最大化する。したがって、送達される生物製剤の量は、部分的には、特定の実体および治療される病態の重症度に依存する。抗体、サイトカイン、および小分子の適切な用量を選択するにあたっての指針は、当分野において利用可能である。
適切な用量の決定は、例えば、治療に影響すること、または治療に影響すると予想されることが当分野において公知であるまたは疑われるパラメータおよび要因を使用して臨床医が行うことができる。一般に、用量は、最適用量よりいくぶん少ない量から開始し、任意の負の副作用に対して所望のまたは最適な効果が達成されるまで、その後少量ずつ増加させる。重要な診断尺度には、例えば、炎症の症状の尺度、または生成される炎症サイトカインのレベルが含まれる。
本開示の医薬組成物における活性成分の実際の投与量レベルは、患者に毒性となることなく、特定の患者、組成物、および投与様式について所望の治療応答を達成するのに有効な活性成分量が得られるように変えることができる。選択される投与量レベルは、種々の薬物動態学的要因、例として、用いられる本明細書における特定の組成物、またはそのエステル、塩、もしくはアミドの活性、投与経路、投与時点、用いられる特定の化合物の排泄速度、治療の持続期間、使用される特定の組成物と組み合わせて使用される他の薬物、化合物、および/または材料、治療される患者の年齢、性別、体重、病態、全体的健康状態、および病歴、ならびに医学分野において公知の同様の要因に依存し得る。
本明細書における抗体または抗体コンジュゲートを含む組成物は、連続的注入により、または例えば、1日、1週間、もしくは週1〜7回の間隔での投与により提供することができる。用量は、静脈内、皮下、局所、経口的、鼻腔内、直腸、筋肉内、脳内に、または吸入により提供することができる。規定の用量プロトコルは、顕著な望ましくない副作用を回避する最大用量または投与頻度を含むものである。週当たりの合計用量は、少なくとも0.05μg/kg体重、少なくとも0.2μg/kg、少なくとも0.5μg/kg、少なくとも1μg/kg、少なくとも10μg/kg、少なくとも100μg/kg、少なくとも0.2mg/kg、少なくとも1.0mg/kg、少なくとも2.0mg/kg、少なくとも10mg/kg、少なくとも25mg/kg、または少なくとも50mg/kgであり得る。用量は、少なくとも15μg、少なくとも20μg、少なくとも25μg、少なくとも30μg、少なくとも35μg、少なくとも40μg、少なくとも45μg、少なくとも50μg、少なくとも55μg、少なくとも60μg、少なくとも65μg、少なくとも70μg、少なくとも75μg、少なくとも80μg、少なくとも85μg、少なくとも90μg、少なくとも95μg、または少なくとも100μgであり得る。対象に投与される用量回数は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12回以上であり得る。
本明細書における抗体または抗体コンジュゲートについて、患者に投与される投与量は、患者の体重の0.0001mg/kgから100mg/kgであり得る。投与量は、患者の体重の0.0001mg/kgから20mg/kg、0.0001mg/kgから10mg/kg、0.0001mg/kgから5mg/kg、0.0001から2mg/kg、0.0001から1mg/kg、0.0001mg/kgから0.75mg/kg、0.0001mg/kgから0.5mg/kg、0.0001mg/kgから0.25mg/kg、0.0001から0.15mg/kg、0.0001から0.10mg/kg、0.001から0.5mg/kg、0.01から0.25mg/kgまたは0.01から0.10mg/kgであり得る。
本明細書における抗体または抗体コンジュゲートの投与量は、キログラム(kg)単位の患者の体重に投与すべき用量(mg/kg)を乗じたものを使用して算出することができる。本明細書における抗体の投与量は、患者の体重の150μg/kg以下、125μg/kg以下、100μg/kg以下、95μg/kg以下、90μg/kg以下、85μg/kg以下、80μg/kg以下、75μg/kg以下、70μg/kg以下、65μg/kg以下、60μg/kg以下、55μg/kg以下、50μg/kg以下、45μg/kg以下、40μg/kg以下、35μg/kg以下、30μg/kg以下、25μg/kg以下、20μg/kg以下、15μg/kg以下、10μg/kg以下、5μg/kg以下、2.5μg/kg以下、2μg/kg以下、1.5μg/kg以下、1μg/kg以下、0.5μg/kg以下、または0.5μg/kg以下であり得る。
本明細書における抗体または抗体コンジュゲートの単位用量は、0.1mgから20mg、0.1mgから15mg、0.1mgから12mg、0.1mgから10mg、0.1mgから8mg、0.1mgから7mg、0.1mgから5mg、0.1から2.5mg、0.25mgから20mg、0.25から15mg、0.25から12mg、0.25から10mg、0.25から8mg、0.25mgから7mg、0.25mgから5mg、0.5mgから2.5mg、1mgから20mg、1mgから15mg、1mgから12mg、1mgから10mg、1mgから8mg、1mgから7mg、1mgから5mg、または1mgから2.5mgであり得る。
本明細書における抗体または抗体コンジュゲートの投与量は、対象において、少なくとも0.1μg/ml、少なくとも0.5μg/ml、少なくとも1μg/ml、少なくとも2μg/ml、少なくとも5μg/ml、少なくとも6μg/ml、少なくとも10μg/ml、少なくとも15μg/ml、少なくとも20μg/ml、少なくとも25μg/ml、少なくとも50μg/ml、少なくとも100μg/ml、少なくとも125μg/ml、少なくとも150μg/ml、少なくとも175μg/ml、少なくとも200μg/ml、少なくとも225μg/ml、少なくとも250μg/ml、少なくとも275μg/ml、少なくとも300μg/ml、少なくとも325μg/ml、少なくとも350μg/ml、少なくとも375μg/ml、または少なくとも400μg/mlの血清力価を達成し得る。あるいは、本開示の抗体の投与量は、対象において、少なくとも0.1μg/ml、少なくとも0.5μg/ml、少なくとも1μg/ml、少なくとも2μg/ml、少なくとも5μg/ml、少なくとも6μg/ml、少なくとも10μg/ml、少なくとも15μg/ml、少なくとも20μg/ml、少なくとも25μg/ml、少なくとも50μg/ml、少なくとも100μg/ml、少なくとも125μg/ml、少なくとも150μg/ml、少なくとも175μg/ml、少なくとも200μg/ml、少なくとも225μg/ml、少なくとも250μg/ml、少なくとも275μg/ml、少なくとも300μg/ml、少なくとも325μg/ml、少なくとも350μg/ml、少なくとも375μg/ml、または少なくとも400μg/mlの血清力価を達成し得る。
本明細書における抗体または抗体コンジュゲートの用量は繰り返すことができ、投与は、少なくとも1日間、2日間、3日間、5日間、10日間、15日間、30日間、45日間、2ヶ月間、75日間、3ヶ月間、または少なくとも6ヶ月間により分けることができる。
特定の患者についての有効量は、治療される病態、患者の全身的健康状態、投与の方法、経路および用量、ならびに副作用の重症度などの要因に応じて変動し得る。
投与の経路は、例えば、局所もしくは皮膚適用によるもの、静脈内、腹腔内、脳内、筋肉内、眼内、動脈内、脳脊髄内、病巣内投与による注射もしくは注入によるもの、または徐放系もしくはインプラントによるものであり得る。必要に応じて、組成物は、可溶化剤および注射部位における疼痛を軽減するための局所麻酔薬、例えばリドカインも含み得る。さらに、経肺投与も、例えば、吸入器またはネブライザーの使用、およびエアゾール化剤を有する製剤の使用により用いることができる。一実施形態において、本明細書における抗体、併用療法、または組成物は、Alkermes AIR(登録商標)肺薬物送達技術(Alkermes,Inc.,Cambridge,Mass.)を使用して投与する。
本明細書における組成物は、当分野において公知の種々の方法の1つ以上を使用して1つ以上の投与経路を介して投与することもできる。当業者に理解されるとおり、投与の経路および/または様式は、所望の結果により変動し得る。本明細書における抗体の選択される投与経路には、静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内、皮下、脊髄または他の非経口投与経路、例えば、注射または注入によるものが含まれる。非経口投与は、腸内および局所投与以外の投与様式を表し得るものであり、通常は、注射によるものであり、限定されるものではないが、静脈内、筋肉内、動脈内、鞘内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、髄腔内、硬膜外および胸骨内の注射および注入が含まれる。あるいは、本明細書における組成物は、非経口経路、例えば、局所、表皮または粘膜投与経路、例えば、鼻腔内、経口、膣、直腸、舌下、または局所経路を介して投与することができる。
本明細書における抗体またはそのコンジュゲートは、制御放出または徐放系で投与される場合、制御放出または徐放を達成するためにポンプを使用することができる。ポリマー材料を使用して、本開示の療法を制御放出または徐放を達成することができる。徐放製剤に使用されるポリマーの例には、限定されるものではないが、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(エチレン−co−ビニルアセテート)、ポリ(メタクリル酸)、ポリグリコリド(PLG)、ポリ無水物、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレングリコール)、ポリラクチド(PLA)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)(PLGA)、およびポリオルトエステルが含まれる。一実施形態において、徐放製剤に使用されるポリマーは、不活性であり、浸出性不純物を含まず、貯蔵時に安定であり、無菌であり、生分解性である。
制御放出または徐放系は、予防または治療標的に近接して配置することができ、したがって、全身用量のごく一部を要する。当業者に公知の任意の技術を使用して、本明細書における1つ以上の抗体またはそのコンジュゲートを含む徐放製剤を生成することができる。
本明細書における抗体または抗体コンジュゲートを局所投与する場合、それは、軟膏剤、クリーム剤、経皮貼付剤、ローション剤、ゲル剤、シャンプー、噴霧剤、エアゾール剤、液剤、乳剤、または当業者に公知の他の形態で製剤化することができる。非噴霧可能局所剤形の場合、局所適用に適合性の、場合により、水より大きな動的粘性率を有する担体または1つ以上の賦形剤を含む粘性から半固体または固体形態が典型的に使用される。好適な製剤には、限定されるものではないが、液剤、懸濁液剤、乳濁液剤、クリーム剤、軟膏剤、散剤、リニメント剤、外用軟膏剤などが含まれ、それらは、所望により、滅菌され、または種々の特性、例えば浸透圧などに影響を及ぼすための補助物質(例えば、保存剤、安定剤、湿潤剤、緩衝液、または塩)と混合される。他の好適な局所剤形には、噴霧可能なエアゾール剤が含まれ、ここで、活性成分は、場合によっては、固体または液体不活性担体と組み合わされ、加圧揮発性物質(例えば、気体噴射剤、例えばフレオン)との混合物として、またはスクィーズボトル内にパッケージングされる。所望により、保湿剤または湿潤剤を、医薬組成物および剤形に添加することもできる。このような追加成分の例は、当分野において公知である。
抗体または抗体コンジュゲートを含む組成物を鼻腔内投与する場合、それは、エアゾール形態、噴霧剤、ミストまたは滴剤の形態で製剤化することができる。特に、本明細書に提供される使用される予防または治療剤は、好適な噴射剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の好適な気体)の使用により、加圧パックまたはネブライザーから、エアゾール噴霧剤の形態で簡便に送達することができる。加圧エアゾールの場合、定量を送達するための弁を提供することにより投与量単位を決定することができる。吸入器またはインサフレーターにおいて使用されるカプセル剤およびカートリッジ剤(例えばゼラチンから構成されるもの)は、化合物および好適な粉末基剤、例えばラクトースまたはデンプンの粉末混合物を含有するように製剤化することができる。
第2の治療剤、例えば、サイトカイン、ステロイド、化学療法剤、抗生物質、または放射線による同時投与または治療のための方法は、当分野において公知である。有効量の治療薬は、少なくとも10%;少なくとも20%;少なくとも約30%;少なくとも40%;または少なくとも50%だけ症状を減少させ得る。
本明細書における抗体またはそのコンジュゲートと組み合わせて投与することができる追加療法(例えば、予防または治療剤)は、本明細書における抗体から5分未満を隔てて、30分未満を隔てて、1時間を隔てて、約1時間を隔てて、約1から約2時間を隔てて、約2時間から約3時間を隔てて、約3時間から約4時間を隔てて、約4時間から約5時間を隔てて、約5時間から約6時間を隔てて、約6時間から約7時間を隔てて、約7時間から約8時間を隔てて、約8時間から約9時間を隔てて、約9時間から約10時間を隔てて、約10時間から約11時間を隔てて、約11時間から約12時間を隔てて、約12時間から18時間を隔てて、18時間から24時間を隔てて、24時間から36時間を隔てて、36時間から48時間を隔てて、48時間から52時間を隔てて、52時間から60時間を隔てて、60時間から72時間を隔てて、72時間から84時間を隔てて、84時間から96時間を隔てて、または96時間から120時間を隔てて投与することができる。2つ以上の療法は、1回の患者の来院の時間内または別個の来院時に投与することができる。
本明細書における抗体または抗体コンジュゲートおよび他の療法は、周期的に投与することができる。周期的療法は、ある期間にわたる第1の療法(例えば、第1の予防または治療剤)の投与、それに続く、ある期間にわたる第2の療法(例えば、第2の予防または治療剤)の投与、場合により、それに続く、ある期間にわたる第3の療法(例えば、予防または治療剤)などの投与、ならびにこの連続的投与の反復を含み、すなわち、周期は、これらの療法の1つに対する耐性の発生を軽減するため、これらの療法の1つの副作用を回避もしくは軽減するため、および/またはこれらの療法の効力を改善するためのものである。
ある実施形態において、本明細書における抗体および抗体コンジュゲートは、インビボにおける適切な分布が確保されるように製剤化することができる。例えば、血液脳関門(BBB)は、多くの高親水性化合物を排除する。本明細書における治療化合物がBBB(所望により)を通過することを確保するために、それらは、例えば、リポソーム中に製剤化することができる。リポソームを製造する方法は、当分野において公知である。リポソームは、規定の細胞または器官中に選択的に輸送される1つ以上の部分を含み得、したがって、標的化される薬物送達を向上させる。例示的な標的化部分には、ホレートまたはビオチン、マンノシド、抗体、界面活性剤、およびプロテインA受容体が含まれる。
一部の実施形態において、投与を必要とする対象に、本明細書における抗体または抗体コンジュゲートを含む医薬組成物を、単独で、または他の療法と組み合わせて、それを必要とする対象に投与するためのプロトコルも提供される。本明細書における併用療法の療法(例えば、予防または治療剤)は、同時または連続的に対象に投与することができる。本明細書における併用療法の療法(例えば、予防または治療剤)は、周期的に投与することもできる。周期的療法は、ある期間にわたる第1の療法(例えば、第1の予防または治療剤)の投与、それに続く、ある期間にわたる第2の療法(例えば、第2の予防または治療剤)の投与、およびこの連続的投与の反復を含み、すなわち、周期は、これらの療法(例えば、薬剤)の1つに対する耐性の発生を軽減するため、これらの療法(例えば、薬剤)の1つの副作用を回避もしくは軽減するため、および/またはこれらの療法の効力を改善するためのものである。
本明細書における併用療法の療法(例えば、予防または治療剤)は、同時に対象に投与することができる。「同時に」という用語は、厳密に同一時点での療法(例えば、予防または治療剤)の投与に限定されるものではなく、本明細書における抗体またはそのコンジュゲートが他の療法と一緒に作用して、それらが他の態様で投与された場合に比べて増加した利益を提供し得るように、ある順序および時間間隔内で、本明細書における抗体または抗体コンジュゲートを含む医薬組成物が対象に投与されることを意味する。例えば、それぞれの療法は、同時に、または異なる時点において任意の順序で連続的に対象に投与することができるが、それらは、同時に投与されない場合には、所望の治療または予防効果を提供するように時間的に十分に接近して投与すべきである。それぞれの療法は、任意の適切な形態で、任意の適切な経路により対象に別個に投与することができる。種々の実施形態において、療法(例えば、予防または治療剤)は、15分未満を隔てて、30分未満を隔てて、1時間未満を隔てて、約1時間を隔てて、約1時間から約2時間を隔てて、約2時間から約3時間を隔てて、約3時間から約4時間を隔てて、約4時間から約5時間を隔てて、約5時間から約6時間を隔てて、約6時間から約7時間を隔てて、約7時間から約8時間を隔てて、約8時間から約9時間を隔てて、約9時間から約10時間を隔てて、約10時間から約11時間を隔てて、約11時間から約12時間を隔てて、24時間を隔てて、48時間を隔てて、72時間を隔てて、または1週間を隔てて、対象に投与する。ある実施形態において、2つ以上の療法(例えば、予防または治療剤)は、同一の患者の来院の時間内に投与する。
併用療法の予防または治療剤は、同一の医薬組成物中で対象に投与することができる。一部の実施形態において、併用療法の予防または治療剤は、別個の医薬組成物中で対象に同時に投与することができる。予防または治療剤は、同一または異なる投与経路により対象に投与することができる。
以下に説明する実施例は、ある実施形態を説明し、本技術を限定するものではない。
実施例1
一般的クローニング手順
DNA操作は、Invitrogen(Carlsbad,CA)、New England Biolabs(Ipswich,MA)、Qiagen(Valentia,CA)およびFermentas(Glen Burnie,MD)から購入した試薬を用いて標準的プロトコルに従って実施した。全てのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、Platinum(登録商標)Taq DNA Polymerase High Fidelity(Invitrogen)を使用して実施した。増幅されたPCR断片は、E−gel(Invitrogen)を使用して分析し、適切な制限酵素により消化し、調製アガロースゲル(Sigma Aldrich,St.Louis,MO)を使用して精製した。精製されたDNA断片は、同様に調製された哺乳動物発現ベクターpOE(MedImmune)中に、InvitrogenおよびNew England Biolabsにより供給された試薬およびプロトコルを使用してライゲートした。この発現ベクターにおいて、軽鎖および重鎖の両方が、マルチプルクローニング部位およびSV40ポリ(A)シグナルを有するそれぞれのCMV中間/早期エンハンサー/プロモーターの制御下にある。ライゲーション混合物を、大腸菌(Escherichia coli)Stbl3(商標)(Invitrogen)中に化学的に形質転換した。組換えクローンは、組換え遺伝子インサートの5’および3’末端に相補的なプライマーを使用するコロニーPCRにより、または正確なクローンを特異的に開裂させる制限酵素を使用する制限消化分析により同定した。全ての組換えクローンは、Dye Terminator Cycle Sequencing Kit with AmpliTaq(Applied Biosystems,Foster City,CA)を使用するDNA配列分析によりさらに確認した。
実施例2
慣用のフォーマットのmAbおよびFlexiMabの発現、精製およびモノマー含有率
mAbおよびFlexiMabをコードするDNAを形質移入し、タンパク質を、Invitrogen製Freestyle(商標)培地中で培養させたHEK293F細胞中で発現させた。これらの実験において使用したFexiMabは、鎖間システインがバリンにより置換されたFexiMab抗体である「mab−Val」である(例えば、図2、パネルCおよびD)。用語「mAb」は、このようなシステイン置換を含まない相当抗体を指す(例えば、図2、パネルAおよびB)。
培養培地を形質移入後6日目に回収し、2つの抗体を、製造業者のプロトコル(GE Healthcare,Piscataway,NJ)に従って標準的なプロテインA親和性クロマトグラフィーにより精製した。図3に示す発現レベルは、mAbおよびFlexiMabについての形質移入後6日目においてそれぞれ145mg/Lおよび151mg/Lであった。
合計IgG発現は、プロテインA結合アッセイを使用して決定した。プロテインA定量法は以下のとおりである。培養培地を、HPLCシステム(Agilent 1100 Capillary LC System,Foster City,CA)を使用してプロテインAカラム上に自動的にローディングした。未結合材料をpH6.8における100mMのリン酸ナトリウム緩衝液の溶液により洗浄し、抗体をpH1.8における0.1%のリン酸により溶出させた。溶出ピークに対応する面積を積分し、合計抗体濃度をIgGスタンダードと比較することにより決定した。精製された抗体の濃度も、理論的に決定された吸光係数を使用して280nmにおける吸光度を読取ることにより決定した。分析的サイズ排除HPLCクロマトグラフィー(SEC−HPLC,Agilent 1100 Capillary LC System)を使用して構築物のモノマー含有率を決定した。波長を280nmに設定し、実験を25℃において実施した。SEC−HPLCを、約10から500KDaの範囲の分子量(MW)を有する球形タンパク質を分離するTSK−GEL G3000SWXLカラム(Tosoh Bioscience LLC,Montgomeryville,PA)を使用して、pH6.8における100mMのリン酸ナトリウムを含有する緩衝液を用いて、1mL/分の流速において実施した。ビタミンB12(11350Da)、ウマミオグロビン(17000Da)ニワトリオボアルブミン(44000Da)、ウシガンマ−グロブリン(158000Da)およびサイログロブリン(670000Da)を含有するBio−Rad(Hercules,CA)製の低分子量ゲル濾過キャリブレーションキットを、免疫グロブリン分子量スタンダードとして使用した。さらに、高度に精製された99%モノマーIgGを免疫グロブリン分子量スタンダードとして使用した。図3に示すとおり、mAbおよびFlexiMabについてのプロテインA精製後のモノマー含有率は、それぞれ98%および98%であった。プロテインA精製後、タンパク質を25mMのヒスチジン−HCl、pH6.0中に緩衝液交換した。構築物の純度を、(1)分析的SEC−HPLCを使用することによりおよび図3に示すとおり、ならびに(2)還元および非還元条件下での標準的ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)(図4)を使用することにより分析した。図4に示すとおり、非還元条件下のレーン2において、慣用のmAbはインタクトな鎖間ジスルフィド結合mAbとしてランする一方、非還元条件下においてFlexiMabは2つの独立鎖(還元試料について予想されるものと類似)重鎖(図4レーン3の上方バンド)および軽鎖(図4レーン3の下方バンド)としてランする。図4レーン5およびレーン6は、還元条件下でのmAbおよびFlexiMabについての重鎖および軽鎖を示す。還元条件下で予想されるとおり、それぞれ重鎖および軽鎖に対応する2つの区別されるタンパク質バンドが存在する。SDS−PAGE分析において使用した分子量スタンダードは、SDS−PAGE画像の左側に概略的に示す。
実施例3
FlexiMabのその抗原(EGFR)への機能的結合を決定するためのELISAアッセイおよび慣用のmAbとの比較
図5に示すとおり、FlexiMabは、その親mAbと比較可能に、ELISA分析においてその抗原EGFRに結合し得る。ELISA結合分析のため、30μLのPBS、pH7.4中の2μg/mLの抗原をマイクロタイターELISAウェル上に室温において1時間コートした。抗原コートしたウェルを、0.1%(v/v)のTween−20を含有するPBSにより3回洗浄し、3%のBSAにより室温において1時間ブロッキングした。抗体を、30uLのブロッキング溶液中で段階希釈し、37℃において2時間インキュベートし、その後に0.1%(v/v)のTween−20を含有するPBSにより広範に洗浄した。結合した抗体を、HRPコンジュゲート抗ヒトカッパ抗体により検出し、30uLの3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン基質(Pierce)により可視化した。反応を30ulの0.18Mの硫酸(Pierce)の添加により停止させた。450nmにおける吸光度を、マイクロタイターELISAプレートリーダーを使用して計測した。得られたデータは、Prism5ソフトウエア(GraphPad,San Diego,CA)を使用して分析およびプロットした。
実施例4
FlexiMabの、A431(ヒト上皮癌細胞系)細胞の表面上で発現されるその天然抗原への機能的結合の決定のためのFACSアッセイおよび慣用のmAbとの比較
図6に示すとおり、FlexiMabは、A431細胞の細胞表面上で発現されるそのリガンドEGFRに機能的に結合し得る。図6に示すとおり、FlexiMabおよび慣用のmAbについての結合シグナルは比較可能である。平均蛍光強度値(MFIR)を、FlexiMab、mAbおよび対照について図中に概略的に示す。MFRI値は、FlexiMabおよび慣用のmAbについて比較可能である。A431細胞は、10%のFBSを有するF12−K培地中で成長させ、トリプシン(0.25%)(Invitrogen,location?,USA)を使用して剥離した。細胞をPBS中の3%のBSA中で洗浄し、再懸濁した。1.5x106個の細胞/mLにおける合計100uLの細胞を、96ウェルマイクロプレート中に分注した。細胞を一次抗体により4℃において30分間染色した。次いで、細胞を3回洗浄し、抗体を検出するために2μg/mLの抗ヒトIgG−FITCにより4℃において30分間染色した。PBS中3%のBSAにより洗浄した後、細胞を、2μg/mLのヨウ化プロピジウムを含有する洗浄緩衝液中で再懸濁した。細胞関連蛍光を、LSR IIフローサイトメーター(Bectin,Dickonson)を使用して分析し、プログラムFlowJoを使用してプロットした。
実施例5
PBS中での37℃における5日間のインキュベーション後のFlexiMabおよびmAbの機能的安定性
結果を図7に示すアッセイは、FlexiMabが、温度誘導実験ストレス時にその抗原への結合活性を保持するか否かを決定するために実施した。抗体を37℃においてPBS中で5日間インキュベートした。インキュベーション時、機能的活性を、実施例4に記載のELISA分析を使用して決定した。図7に示すとおり、ELISA分析は、FlexiMabおよびmAbが、EGFRについての比較可能な結合シグナルを有することを示し、FlexiMabが安定分子であることを示す。
実施例6
ヒト血清中での37℃における5日間のインキュベーション後のFlexiMabおよびmAbの機能的安定性
図8に示す結果は、FlexiMabが、全ヒト血清中での5日間のインキュベーション時にその抗原への結合活性を保持するか否かを決定するために得た。抗体を全ヒト血清中で37℃において5日間インキュベートした。インキュベーション時、機能的活性を、実施例4に記載のELISA分析を使用して決定し、但しELISA分析は5%の最終ヒト血清濃度で実施した。図8に示すとおり、この分析は、FlexiMabおよびmAbが、EGFRについての比較可能な結合シグナルを有することを示し、FlexiMabが安定分子であり、血清プロテアーゼによるプロテアーゼ分解を受けにくいことを示す。
実施例6
BIAcoreを使用して分析したFlexiMabおよびmAbの速度論的パラメータ
図9に示す結果は、FlexiMabおよびmAbのKon、KoffおよびKdを決定するために実施したBIAcoreデータである。図9に示すとおり、FlexiMabおよびmAbは、BIAcoreセンサチップ上で固定化されたEGFRリガンドについての類似の速度論的パラメータを示す。BIAcore実験は、BIAcore3000装置(Biacore International)を使用し、および製造業者により供給される標準的なプロトコルを使用して実施した。EGFRは、標準的なアミンカップリングキットを使用してCM5センサチップ(Pharmacia Biosensor)のデキストランマトリックスにカップリングさせた。過剰な反応性エステルを、70μLの1.0Mのエタノールアミン塩酸塩(pH8.5)の注入によりクエンチした。抗体を、5uL/分の流速により注入した。応答は、BIOEVALUATIONソフトウエアを使用して分析し、Kdはピコモル単位で示す。
実施例7
FlexiMabおよびmAbにより媒介される細胞生存の阻害
図10の結果は、古典的フォーマットの抗EGFR抗体(mAb)および抗EGFRFlexiMab抗体変異体による癌細胞生存の阻害を示す。非結合アイソタイプ対照抗体をこれらの実験において使用した。3つの異なる細胞系を使用した:A431(ヒト上皮癌細胞)、BxPC3(ヒト膵癌細胞)およびH358(ヒト非小細胞肺腺癌細胞)。これらの細胞系の全ては、それらの細胞表面上でEGFRを発現する。図10に示すとおり、FlexiMabは癌細胞生存を阻害し、その阻害活性はその親mAb対照抗体と十分に同等であった。細胞を標準培地中で培養し、非組織培養処理プレートに5000個の密度にプレーティングした。段階希釈物の抗体を細胞に添加し、標準細胞培養インキュベーター中で37℃において72時間インキュベートした。発光細胞力価アッセイ(CellTiter−Glo)を、製造業者の説明書に従って使用して、代謝活性細胞を示す細胞溶解物中に存在するATP定量により生細胞の数を決定した。
実施例8
抗ヒトサポリン抗体とコンジュゲートされたFlexiMabおよびmAbによる癌細胞の殺傷
図11の結果は、Her3を細胞表面上で過剰発現する癌細胞SKBr3(ヒト乳癌細胞)の殺傷を示す。この実験において使用した特異的なFlexiMabおよびmAbは、抗Her3特異的抗体である。FlexiMabおよびmAbは、類似のインビトロ細胞傷害を示し、両方の抗体がHer3受容体に同様に結合し、内在化することを示す。これら2つの抗体を抗ヒトIgG−サポリンコンジュゲート(Advanced Targeting Systems;San Diego)と予備複合体化させた。受容体結合および内在化時、サポリンは細胞内部に放出される。細胞中へのサポリンの放出は、約72時間後にタンパク質合成阻害および細胞死をもたらす。これらの殺傷実験において、使用した陰性対照は、未処理細胞および抗ヒトIgG−サポリン−コンジュゲートのみにより処理した細胞であった。図11に示すとおり、コンジュゲートされたFlexiMab−サポリンは、コンジュゲートされたmAb−サポリンと比較可能なSKBr3の用量依存的な殺傷を示す。SKBr3細胞を3000個の細胞/90uL/ウェルにおいてプレーティングし、一晩インキュベートした。図11に示すコンジュゲートされた抗体−サポリンおよび対照希釈物は、10%のFBSを補給した細胞培養培地RPMI1640中で作製し、10uLのそれぞれの希釈物をそれぞれのウェルにトリプリケートで添加した。プレートを72時間インキュベートした。細胞生存率は、CellTiter−Glo Luminescent Cell Viability Assay(Promega,Madison WI)を使用することにより決定した。製造業者により指示されるとおり、100μlのCellTiter−Glo試薬をそれぞれのウェル中に添加し、穏やかに振とうさせながら室温において10分間インキュベートした。プレート中のそれぞれの試料の発光は、プレートリーディングルミノメーター中で計測し、細胞傷害は、100%の細胞生存率を有する対照としての未処理細胞の発光シグナルを使用することにより算出した。データ分析は、Prismソフトウエア(Graphpad,San Diego)により行った。
実施例9
BIAcoreを使用して分析したFcガンマ受容体、FcガンマRIIIa遺伝子型変異体158Vおよび遺伝子型変異体158FならびにFcRnについてのFlexiMabおよびmAbの定常状態速度論的親和性(Kd)
図12に示す実施例は、FlexiMabおよびmAbについてのモル単位のBIAcoreにより決定された定常状態Kdである。図12に示すとおり、FlexiMabおよびmAbは、FcRn結合についての類似のKd値を示し、これら2つの抗体についての比較可能なインビボ半減期を意味する。FcガンマRIIIaについてのKdは、FlexiMab(158Vおよび158F遺伝子型)について計測することができなかった。これらの結果は、Fc媒介抗体エフェクター機能をFlexiMabにおいて潜在的に無効化することができることを示す。BIAcore実験は、BIAcore 3000装置 (Biacore International)を使用し、製造業者により供給される標準的なプロトコルを使用して実施した。FcガンマRIIIA(158Vおよび158F遺伝子型)は、抗ヒスチジンチップ(Pharmacia Biosensor)を使用して、製造業者により供給される標準的なプロトコルを使用してBIAcoreセンサチップ上で捕捉した。FcRn計測のため、FcRnを、実施例6に記載の標準的なアミノカップリング化学反応を使用してBIAcoreセンサチップ上に直接固定化した。FlexiMabおよびmAbは、捕捉/固定化された受容体上を5uL/分の流速において流動させた。応答は、BIOEVALUATIONソフトウエアを使用して分析した。
実施例10
FlexiMabおよびmAbの薬物動態分析
図13の結果は、対数表示の抗体濃度対1mg/kgおよび10mg/kgにおいて投与されたmAbおよびFlexiMabについてのマウスにおける循環時間を示す。図13に示すとおり、mAbおよびFlexiMabは、高用量(10mg/kg)および低用量(1mg/kg)において比較可能なインビボ半減期を有する。薬物動態分析は、1mg/kgおよび10mg/kgのmAbおよびFlexiMab抗体のヌードマウス中への腹腔内投与により実施した。抗体の血漿濃度は、投与の0、1、4、24、48、90、168、216および336時間後において計測し、実施例3、5および6に記載のELISA法を使用して分析した。抗ヒトカッパ抗体を検出に使用し、定量のための標準曲線は、既知濃度のmAbおよびFlexiMabを使用して作成した。
実施例11
FlexiMabおよびmAbの示差走査熱量測定(DSC)分析
図14に示す実施例は、FlexiMabおよびmAbの示差走査熱量測定分析である。図14に示す示差走査熱量測定(DSC)実験は、1℃/分の加熱速度において、Microcal VP−DSC超高感度走査マイクロカロリメーター(Microcal,Northampton,MA)を使用して実施した。図14に示すサーモグラムは、ベースラインを差し引いた未加工データである。DSC実験は、25mMのヒスチジン−HCl、pH6中で実施した。DSCに使用した全ての溶液および試料は、0.22ミクロンフィルターを使用して濾過し、カロリメーター中へのローディング前に脱気した。DSC試験に使用した2つの抗体は、分析的ゲル濾過クロマトグラフィー(SEC−HPLC)により判断して>98%モノマーであった。それぞれの計測の組について、少なくとも4つの緩衝液対ベースラインランを最初に得た。直後に、緩衝溶液を試料セルから除去し、1mg/mLの濃度における約0.75mLの試料をローディングした。それぞれの計測について、参照セルを適合試料緩衝液により充填した。それぞれの試料対緩衝液実験において、対応する緩衝液対緩衝液ベースラインランを差し引いた。未加工データを濃度および走査速度について正規化した。データ分析およびデコンボリューションを、Microcalにより提供されるOrigin(商標)DSCソフトウエアを使用して実施した。図12は、FlexiMab抗体がそれぞれ65℃および82℃において2つの転移温度ピークを示したことを示す。一方、mAb抗体は、それぞれ69℃および82℃において2つの転移温度ピークを示した。DSC分析は、FlexiMabがmAbと比較して4℃だけ低い第1の転移温度を有することを示し(図14の第1の転移ピーク)、第2の転移ピークについてのmAbと比較可能な変性転移を有する。
実施例12
分析的サイズ排除クロマトグラフィー(SEC−HPLC)により分析した11mg/mLにおけるFlexiMabのモノマー含有率
図15は、25mMのヒスチジン−HCl pH6中の11mg/mLにおけるFlexiMabのSEC−HPLC分析の結果を示す。この実施例は、FlexiMabが高濃度において>98%モノマーであることを示す。実施したSEC−HPLC法は実施例2に記載する。
実施例13
A431ゼノグラフトを使用したFlexiMabおよびmAbのインビボ効力および体重
図16は、ヌードマウスにおけるA431(ヒト上皮癌細胞)ゼノグラフト腫瘍の腫瘍成長曲線(左パネル)および体重曲線(右パネル)を示す。この実施例において、4つのマウス群、未処理対照、および10mg/kgにおいて投与した無関連アイソタイプ抗体対照、3mg/kgにおいて投与したmAbおよびFlexiMab群が存在した。9匹のヌードマウスをそれぞれの群において使用した。報告した点(接種後9、12、16、19、および23日目に得た)は、腫瘍容積の平均(左パネル)および体重の平均(右パネル)対処理開始時間である。腫瘍が150〜200立方ミリメートルの平均容積サイズに達したとき、マウスに抗体を投与した。腫瘍成長阻害(デルタTGI)を、概略的に報告する(左パネルにおける説明)。腫瘍成長阻害は、mAbおよびFlexiMabについてそれぞれ63%および75%である。これらの結果は、FlexiMabがインビボでその親mAbと比較可能な(それよりも良好な場合もある)有効性であることを示す。さらに示されるとおり(左パネル)、mAbおよびFlexiMabについて全体重損失の大幅な差異は存在しない。
実施例14
部位特異的薬物コンジュゲーションにFlexiMabを使用した抗体CH1領域131〜139(EU命名)におけるシステイン突然変異体の設計
図17に示す実施例は、概略的に標識したFcおよびFabドメインを有するFlexiMabのリボン表示である(左パネル)。ヒンジならびに重鎖および軽鎖における黒点線は、鎖間システインアミノ酸のバリン置換を表す(合計8つ)。システイン置換について標的化したCH1ループ(拡大図、左パネル)中のアミノ酸は、アミノ酸およびリボン表示における位置により標識する。これらの残基は、セリン131、セリン132、セリン134、トレオニン135、セリン136、およびトレオニン139であり、4つ全てのヒト免疫グロブリンアイソタイプ(IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4;表2参照)に共通のCH1構造領域中に存在する。131〜139のCH1ドメインを、配列アラインメント中に下線太文字として以下に示す。以下の配列アラインメント中の最初の下線付き太文字アミノ酸は、位置131(IgG1のセリンならびにIgG2、IgG3およびIgG4のシステインに対応する。最後の下線付き太文字アミノ酸は、位置139(4つ全てのアイソタイプのトレオニン)に対応する。標準的な分子生物学技術を使用して、単一、二重または三重FlexiMabシステイン変異体を生成した。
実施例15
FlexiMabシステイン変異体の発現、精製およびモノマー含有率
図18に示すとおり、8つのFlexiMabシステイン変異体を生成した。これら8つの変異体のうち、6つは単一システイン変異体(Ser131Cys、Ser132Cys、Ser134Cys、Thr135Cys、Ser136CysおよびThr139Cys)であり、1つは二重システイン変異体(Ser131Cys−Thr139Cys)であり、1つは三重システイン変異体(Ser131Cys−Thr135Cys−Thr139Cys)である。図18に示す発現レベルは、全てのシステイン変異体について形質移入後7日目に108mg/Lから126mg/Lの範囲であった。この発現レベルは、FlexiMab抗体の予想される発現レベルと類似する(図3、実施例2)。全IgG発現は、実施例2に記載のプロテインA結合アッセイを使用して決定する。分析的サイズ排除HPLCクロマトグラフィー(SEC−HPLC,Agilent 1100 Capillary LC System)を実施例2に詳述のとおり使用して、PBS緩衝液中のシステイン構築物のモノマー含有率を決定した。図18に示すとおり、FlexiMabシステイン突然変異体についてのモノマー含有率は、96%から99%のモノマーの範囲であった。
実施例16
FlexiMabシステイン変異体のマレイミド−PEG(2)−ビオチンを使用した部位特異的コンジュゲーション
図19は、単一、二重および三重FlexiMabシステイン変異体についての部位特異的コンジュゲーションの効力を示す。図19に示すとおり、部位特異的コンジュゲーションの高い効力は、FlexiMab骨格を使用して遺伝子操作されたシステイン変異体を使用して達成される。FlexiMabはヒンジにも重鎖および軽鎖にも天然鎖間システインを有さないため、部位特異的コンジュゲーションは有効であり、天然および遺伝子操作システイン間の鎖間システインジスルフィド結合に対するスクランブリングは存在しない。コンジュゲーションに使用した抗体システイン変異体は、4リットルの0.1Mのリン酸Na、0.15MのNaCl、10mMのEDTA、pH7.4中で一晩透析した。抗体を透析器具から取り出し、0.2μmシリンジフィルターに通して濾過した。無菌Eppendorfチューブを使用して、1mgのそれぞれの抗体変異体を1.87uLの50mMのTCEP溶液[トリス−(2−カルボキシエチル)−ホスフィン);Pierce]および10μLのDTPA[ジエチレントリアミン五酢酸;Sigma−Aldrich]と混合し、一定回転下で37℃において2時間インキュベートした。インキュベーション後、抗体を3モル過剰のマレイミド−PEG(2)−ビオチン(Pierce)とともにインキュベートした。このインキュベーションは、13.14uLの3.8uMのマレイミド−PEG(2)−ビオチン(MW525.62Da;Pierce)溶液および78uLのDMSO(ジメチルスルホキシド;Sigma−Aldrich)をTCEP−低減抗体システイン変異体に添加することにより行った。混合物は4℃において30分間インキュベートした。反応は、2.5uLのNAC[N−アセチル−L−システイン;Sigma−Aldrich]を添加することにより、および5分間穏やかに混合することにより停止させた。コンジュゲートされた抗体は、1×PBS pH7.4中で4℃において一晩透析して未反応マレイミド−PEG(2)−ビオチンを除去した。コンジュゲーションの効力は、米国特許出願公開第2009092011号明細書、標題「Cysteine engineered antibodies for site−specific conjugation」に記載のとおり標準的な質量分析およびペプチドマッピングを使用して計測した。
実施例17
FlexiMabは、ヒトIgG1ヒンジの上方領域における位置225(EUナンバリング)のトレオニンにおいてO−グリコシル化される。
図20において、mAbおよびFlexiMabについての上部ヒトIgG1ヒンジ領域の配列アラインメントを示す。この配列アラインメントにおいて、mAbのシステインおよびFlexiMabのバリン置換物に下線を付す。インタクトマスおよびペプチドマッピングは、図20に矢印で示す位置225(EU命名)におけるトレオニンが潜在的O−グリコシル化により翻訳後修飾されることを示した。標準的な質量分析およびペプチドマッピング技術を使用した。
実施例18
実施形態の例
以下、一部の実施形態の非限定的な例を提供する。
A1.天然鎖間システインアミノ酸を有さない重鎖;
天然鎖間システインアミノ酸を有さない軽鎖;を含み
前記重鎖および前記軽鎖の間の天然鎖間ジスルフィド結合を含まない
抗体。
A1.1.前記重鎖および前記軽鎖の間の鎖間ジスルフィド結合を含まない、実施形態A1の抗体。
A1.2.鎖間システインアミノ酸を有さない重鎖;
鎖間システインアミノ酸を有さない軽鎖;を含み
前記重鎖および前記軽鎖の間の鎖間ジスルフィド結合を含まない
抗体。
A2.2つの重鎖および2つの軽鎖を含む、実施形態A1〜A1.2のいずれか一つの抗体。
A3.完全長抗体である、実施形態A1〜A2のいずれか一つの抗体。
A4.前記重鎖が約446アミノ酸長であり、前記軽鎖が約214アミノ酸長である、実施形態A1〜A3のいずれか一つの抗体。
A4.1.配列番号5のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号9または配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み、配列番号5の位置103、109、および112におけるシステイン、ならびに配列番号9の位置105におけるシステインまたは配列番号10の位置102におけるシステインのそれぞれが、システインでないアミノ酸により置換されており、鎖間システインアミノ酸を含まず、鎖間ジスルフィド結合を含まない抗体。
A4.2.配列番号5のアミノ酸配列を含む重鎖を含み、配列番号5の位置103、109、および112におけるシステインのそれぞれが、システインでないアミノ酸により置換されており、鎖間システインアミノ酸を含まず、鎖間ジスルフィド結合を含まない抗体。
A4.3.配列番号5のアミノ酸配列の一部を含む重鎖断片を含み、但し、前記断片が配列番号5の位置103、109、および/または112におけるアミノ酸を含む場合、前記置のそれぞれにおける前記アミノ酸はシステインでなく、鎖間システインアミノ酸を含まず、鎖間ジスルフィド結合を含まない抗体。
A4.4.配列番号9または配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み、配列番号9の位置105におけるシステインまたは配列番号10の位置102におけるシステインがシステインでないアミノ酸により置換されている、実施形態A4.2またはA4.3の抗体。
A4.5.配列番号9または配列番号10のアミノ酸配列の一部を含む軽鎖断片を含み、但し、前記断片が配列番号9の位置105または配列番号10の位置102を含む場合、その位置におけるアミノ酸がシステインでない、実施形態A4.2またはA4.3の抗体。
A4.6.実施形態A4.1からA4.5のいずれか一つの抗体に対して80%以上のアミノ酸配列同一性を含むアミノ酸配列を含み、鎖間システインアミノ酸を含まず、鎖間ジスルフィド結合を含まない抗体。
A4.7.配列番号6のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号9または配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み、配列番号6の位置14、103、106、および109におけるシステイン、ならびに配列番号9の位置105におけるシステインまたは配列番号10の位置102におけるシステインのそれぞれが、システインでないアミノ酸により置換されており、鎖間システインアミノ酸を含まず、鎖間ジスルフィド結合を含まない抗体。
A4.8.配列番号6のアミノ酸配列を含む重鎖を含み、配列番号6の位置14、103、106、および109におけるシステインのそれぞれが、システインでないアミノ酸により置換されており、鎖間システインアミノ酸を含まず、鎖間ジスルフィド結合を含まない抗体。
A4.9.配列番号6のアミノ酸配列の一部を含む重鎖断片を含み、但し、前記断片が配列番号6の位置14、103、106、および/または109におけるアミノ酸を含む場合、前記位置のそれぞれにおける前記アミノ酸はシステインでなく、鎖間システインアミノ酸を含まず、鎖間ジスルフィド結合を含まない抗体。
A4.10.配列番号9または配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み、配列番号9の位置105におけるシステインまたは配列番号10の位置102におけるシステインは、システインでないアミノ酸により置換されている、実施形態A4.8または4.9の抗体。
A4.11.配列番号9または配列番号10のアミノ酸配列の一部を含む軽鎖断片を含み、但し、前記断片が配列番号9の位置105または配列番号10の位置102を含む場合、その位置におけるアミノ酸はシステインでない、実施形態A4.8または4.9の抗体。
A4.12.実施形態A4.7〜4.11のいずれか一つの抗体に対して80%以上のアミノ酸配列同一性を含むアミノ酸配列を含み、鎖間システインアミノ酸を含まず、鎖間ジスルフィド結合を含まない抗体。
A4.13.配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号9または配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み、配列番号7の位置14、110、113、118および121におけるシステイン、ならびに配列番号9の位置105におけるシステインまたは配列番号10の位置102におけるシステインのそれぞれが、システインでないアミノ酸により置換されており、鎖間システインアミノ酸を含まず、鎖間ジスルフィド結合を含まない抗体。
A4.14.配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖を含み、配列番号7の位置14、110、113、118および121におけるシステインのそれぞれがシステインでないアミノ酸により置換されており、鎖間システインアミノ酸を含まず、鎖間ジスルフィド結合を含まない抗体。
A4.15.配列番号7のアミノ酸配列の一部を含む重鎖断片を含み、但し、前記断片が配列番号7の位置14、110、113、118および/または121におけるアミノ酸を含む場合、前記位置のそれぞれにおける前記アミノ酸はシステインでなく、鎖間システインアミノ酸を含まず、鎖間ジスルフィド結合を含まない抗体。
A4.16.配列番号9または配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み、配列番号9の位置105におけるシステインまたは配列番号10の位置102におけるシステインがシステインでないアミノ酸により置換されている、実施形態A4.14またはA4.15の抗体。
A4.17.配列番号9または配列番号10のアミノ酸配列の一部を含む軽鎖断片を含み、但し、前記断片が配列番号9の位置105または配列番号10の位置102を含む場合、その位置におけるアミノ酸はシステインでない、実施形態A4.14またはA4.15の抗体。
A4.18.実施形態A4.13〜A4.17のいずれか一つの抗体に対して80%以上のアミノ酸配列同一性を含むアミノ酸配列を含み、鎖間システインアミノ酸を含まず、鎖間ジスルフィド結合を含まない抗体。
A4.19.配列番号8のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号9または配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み、配列番号8の位置14、106および109におけるシステイン、および配列番号9の位置105におけるシステインまたは配列番号10の位置102におけるシステインのそれぞれが、システインでないアミノ酸により置換されており、鎖間システインアミノ酸を含まず、鎖間ジスルフィド結合を含まない抗体。
A4.20.配列番号8のアミノ酸配列を含む重鎖を含み、配列番号8の位置14、106および109におけるシステインのそれぞれが、システインでないアミノ酸により置換されており、鎖間システインアミノ酸を含まず、鎖間ジスルフィド結合を含まない抗体。
A4.21.配列番号8のアミノ酸配列の一部を含む重鎖断片を含み、但し、前記断片が配列番号8の位置14、106および/または109におけるアミノ酸を含む場合、前記位置のそれぞれにおける前記アミノ酸はシステインでなく、鎖間システインアミノ酸を含まず、鎖間ジスルフィド結合を含まない抗体。
A4.22.配列番号9または配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み、配列番号9の位置105におけるシステインまたは配列番号10の位置102におけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されている、実施形態A4.20またはA4.21の抗体。
A4.23.配列番号9または配列番号10のアミノ酸配列の一部を含む軽鎖断片を含み、但し、前記断片が配列番号9の位置105または配列番号10の位置102を含む場合、その位置におけるアミノ酸はシステインでない、実施形態A4.20またはA4.21の抗体。
A4.24.実施形態A4.19〜A4.23のいずれか一つの抗体に対して80%以上のアミノ酸配列同一性を含むアミノ酸配列を含み、鎖間システインアミノ酸を含まず、鎖間ジスルフィド結合を含まない抗体。
A5.ヒト抗体である、実施形態A1〜A4.24のいずれか一つの抗体。
A6.ヒト化抗体である、実施形態A1〜A5のいずれか一つの抗体。
A7.重鎖および軽鎖を含み、前記軽鎖のアミノ酸配列が配列番号3に対して約80%以上同一であり、前記重鎖のアミノ酸配列が配列番号4に対して約80%以上同一であり、鎖間システインアミノ酸を含まず、鎖間ジスルフィド結合を含まない抗体。
A8.前記天然鎖間システインアミノ酸が、チオール部分を有さないアミノ酸により置き換えられている、実施形態A1〜A7のいずれか一つの抗体。
A9.表1の位置におけるアミノ酸がそれぞれ、チオール部分を有さないアミノ酸により置き換えられている、実施形態A8の抗体。
A10.前記天然鎖間システインアミノ酸の1つ以上が、バリンにより置き換えられている、実施形態A8またはA9の抗体。
A11.前記天然鎖間システインアミノ酸の全てが、バリンにより置き換えられている、実施形態A10の抗体。
A12.天然鎖間システインアミノ酸を有する抗体相当物中に存在しないグリコシル化部位を含む、実施形態A1〜A11のいずれか一つの抗体。
A13.Fc領域またはその断片を含む、実施形態A1〜A12のいずれか一つの抗体。
A14.抗体のCH1ドメイン、CH2ドメイン、もしくはCH3ドメイン、またはそれらの組合せ中で非システイン表面アミノ酸の1つ以上のシステイン置換物を含む、実施形態A13の抗体。
A15.約2から約40個の非システイン表面アミノ酸のシステイン置換物を含む、実施形態A14の抗体。
A16.約2から約40個のフリーチオールを含む、実施形態A14またはA15の抗体。
A17.ヒトまたはヒト化抗体である、実施形態A14〜A16のいずれか一つの抗体。
A18.前記1つ以上のシステイン置換物が、表2に示す位置の1つ以上に存在する、実施形態A17の抗体。
A19.前記1つ以上のシステイン置換物が、IgG1抗体のセリン131、セリン132、セリン134、トレオニン135、セリン136およびトレオニン139、またはIgG2、IgG3もしくはIgG4抗体の相当位置の1つ以上に存在する、実施形態A18の抗体。
A20.前記1つ以上のシステイン置換物が、IgG1抗体のセリン131、トレオニン135およびトレオニン139、またはIgG2、IgG3もしくはIgG4抗体の相当位置の1つ以上に存在する、実施形態A19の抗体。
A21.前記1つ以上のシステイン置換物が、表3に示す位置の1つ以上に存在する、実施形態A14〜A20のいずれか一つの抗体。
A22.全ての天然鎖間システインを含有する抗体相当物と比較して約70%以上の安定性を有する、実施形態A1〜A21のいずれか一つの抗体。
A23.前記安定性が、インビトロ安定性である、実施形態A22の抗体。
A24.前記安定性が、5日間以上の約37摂氏度における血清中のものである、実施形態A23の抗体。
A25.前記安定性が、熱量測定により測定される、実施形態A23の抗体。
A26.前記安定性が、インビボ安定性である、実施形態A22の抗体。
A27.前記安定性が、14日間以上の動物中のものである、実施形態A25の抗体。
A28.全ての天然鎖間システインを含有する抗体相当物と比較して約70%以上の特異的結合活性を有する、実施形態A1〜A27のいずれか一つの抗体。
A29.前記特異的結合活性が、インビトロである、実施形態A28の抗体。
A30.前記特異的結合活性が、インビトロ均一アッセイまたはインビトロ不均一アッセイにより定量される、実施形態A29の抗体。
A31.前記特異的結合活性が、インビボである、実施形態A28の抗体。
A32.前記特異的結合活性が、インサイチューで測定される、実施形態A31の抗体。
A33.全ての天然鎖間システインを含有する抗体相当物と比較して約70%以上の細胞増殖阻害活性を有する、実施形態A1〜A32のいずれか一つの抗体。
A34.前記細胞増殖阻害活性が、癌細胞増殖の阻害である、実施形態A33の抗体。
A35.前記活性が、インビトロである、実施形態A33またはA34の抗体。
A36.前記活性が、インビボである、実施形態A33またはA34の抗体。
A37.約90%以上のモノマーである、実施形態A1〜A36のいずれか一つの抗体。
A38.インビトロで約90%以上のモノマーである、実施形態A37の抗体。
A39.ヒト白血球受容体に検出可能に結合しない、実施形態A1〜A38のいずれか一つの抗体。
A40.前記ヒト白血球受容体が、FcガンマRIII受容体である、実施形態A39の抗体。
A41.全ての天然鎖間システインを含有する抗体相当物と比較して約80%以上の結合親和性で新生児Fc受容体に結合する、実施形態A1〜A40のいずれか一つの抗体。
A42.細胞表面分子に特異的に結合する、実施形態A1〜A32のいずれか一つの抗体。
A43.前記細胞表面分子が、細胞中で内在化している、実施形態A42の抗体。
A44.前記細胞表面分子が、細胞表面受容体である、実施形態A43の抗体。
A45.前記細胞表面受容体が、タンパク質キナーゼドメインを含む、実施形態A44の抗体。
A46.前記細胞表面受容体が、上皮成長因子受容体(EGFR)タンパク質チロシンキナーゼである、実施形態A45の抗体。
A47.前記細胞表面受容体が、HER3タンパク質チロシンキナーゼである、実施形態A46の抗体。
B1.1つ以上の異種分子と会合している抗体コンジュゲートである、実施形態A1〜A41のいずれか一つの抗体。
B2.前記抗体コンジュゲートが、コンジュゲーション反応生成混合物中の抗体生成物の約80%以上である、実施形態B1の抗体。
B3.抗体のCH1ドメイン、CH2ドメイン、もしくはCH3ドメイン、またはそれらの組合せ中で非システイン表面アミノ酸の1つ以上のシステイン置換物を含み、前記1つ以上の異種分子は、前記1つ以上のシステイン置換物に結合している、実施形態B1またはB2の抗体。
B4.前記1つ以上の異種分子が、治療剤を含む、実施形態B1〜B3のいずれか一つの抗体。
B5.前記治療剤が、毒素を含む、実施形態B4の抗体。
B6.前記1つ以上の異種分子が、診断剤を含む、実施形態B1〜B3のいずれか一つの抗体。
B7.前記診断剤が、イメージング剤を含む、実施形態B6の抗体。
B8.前記診断剤が、検出可能な標識を含む、実施形態B7の抗体。
B9.前記1つ以上の異種分子が、リンカーを介して抗体に結合している、実施形態B1〜B8のいずれか一つの抗体。
C1.抗体ホモマルチマーコンジュゲートの一部である、実施形態A1〜A47のいずれか一つの抗体。
C2.抗体のCH1ドメイン、CH2ドメイン、もしくはCH3ドメイン、またはそれらの組合せ中で非システイン表面アミノ酸の1つ以上のシステイン置換物を含み、前記抗体ホモマルチマーコンジュゲート中の抗体が前記1つ以上のシステイン置換物間のジスルフィド結合を含む、実施形態C1の抗体。
D1.実施形態A1〜A47のいずれか一つの抗体をコードするヌクレオチド配列を含む核酸。
D2.実施形態D1の核酸を含む細胞。
D3.実施形態D1の核酸を含む発現系。
D4.実施形態D1の核酸を含む生物。
D5.実施形態D3の発現系を含む生物。
E1.抗体を実施形態D3の発現系中で発現させること、および
前記抗体を単離し、それにより単離された抗体を生成すること
を含む方法。
E2.前記単離された抗体を、異種分子とコンジュゲートさせ、それにより抗体コンジュゲートを調製することを含む、実施形態E1の方法。
E3.前記単離された抗体を、他の単離された抗体とコンジュゲートさせ、それにより抗体マルチマーを調製することを含む、実施形態E1の方法。
F1.実施形態A1〜C2のいずれか一つの抗体を、生物試料と接触させること;および
前記生物試料中の目的の分子に特異的に結合した抗体の存在、不存在または量を検出すること
を含む方法。
F2.前記抗体を、固体担体に結合させることを含む、実施形態F1の方法。
F3.実施形態A1〜C2のいずれか一つの抗体を細胞に投与すること;および
前記細胞の局在における抗体の存在、不存在または量を検出すること
を含む方法。
F4.実施形態A1〜C2のいずれか一つの抗体を対象に投与すること;および
前記対象の組織中の抗体の存在、不存在または量を検出すること
を含む方法。
F5.実施形態A1〜C2のいずれか一つの抗体を細胞に投与すること;および
前記細胞への前記抗体の前記投与に伴う生物学的効果の存在、不存在または量を検出すること
を含む方法。
F6.実施形態A1〜C2のいずれか一つの抗体を対象に投与すること;および
前記抗体の前記投与に伴う前記対象における生物学的効果の存在、不存在または量を検出すること
を含む方法。
F7.前記生物学的効果が、細胞増殖阻害である、実施形態F5またはF6の方法。
F8.実施形態A1〜C2のいずれか一つの抗体を対象に投与すること;および
前記対象の病態をモニタリングすること
を含む方法。
(1)(a) 配列番号5の位置103、109、および112におけるシステインのそれぞれが、システインでないアミノ酸により置換されている配列番号5;または
(b) 配列番号6の位置14、103、106、および109におけるシステインのそれぞれが、システインでないアミノ酸により置換されている配列番号6;または
(c) 配列番号7の位置14、110、113、118および121におけるシステインのそれぞれが、システインでないアミノ酸により置換されている配列番号7;または
(d) 配列番号8の位置14、106および109におけるシステインのそれぞれが、システインでないアミノ酸により置換されている配列番号8
を含む重鎖を含む抗体であって、鎖間システインアミノ酸を含まず、鎖間ジスルフィド結合を含まない抗体。
(2)配列番号9または配列番号10を含む軽鎖を含み、配列番号9の位置105におけるシステインまたは配列番号10の位置102におけるシステインは、システインでないアミノ酸により置換されている、(1)に記載の抗体。
(3)ヒト抗体またはヒト化抗体である、(1)または(2)に記載の抗体。
(4)抗体のCH1ドメイン、CH2ドメイン、もしくはCH3ドメイン、またはそれらの組合せ中で非システイン表面アミノ酸の1つ以上のシステイン置換物を含む、(1)〜(3)のいずれかに記載の抗体。
(5)前記1つ以上のシステイン置換物が、表2および/または表3に示す位置の1つ以上に存在する、(4)に記載の抗体。
(6)(a) 全ての天然鎖間システインを含有する抗体相当物と比較して約70%以上の安定性を有する;および/または
(b) 全ての天然鎖間システインを含有する抗体相当物と比較して約70%以上の特異的結合活性を有する;および/または
(c) 全ての天然鎖間システインを含有する抗体相当物と比較して約70%以上の細胞増殖阻害活性を有する;および/または
(d) 約90%以上のモノマーである
(1)〜(5)のいずれかに記載の抗体。
(7)ヒト白血球FcガンマRIII受容体に検出可能に結合しない、(1)〜(6)のいずれかに記載の抗体。
(8)全ての天然鎖間システインを含有する抗体相当物と比較して約80%以上の結合親和性で新生児Fc受容体に結合する、(1)〜(7)のいずれかに記載の抗体。
(9)細胞表面分子に特異的に結合し、内在化している、(1)〜(8)のいずれかに記載の抗体。
(10)1つ以上の異種分子と会合している抗体コンジュゲートであって、1つ以上の異種分子は、1つ以上のシステイン置換物に結合している(4)〜(9)のいずれかに記載の抗体。
(11)前記1つ以上の異種分子が、治療剤、診断剤からなる群から選択される、(10)に記載の抗体。
(12)前記1つ以上の異種分子が、リンカーを介して抗体に結合している、(10)または(11)に記載の抗体。
(13)(1)〜(9)のいずれかに記載の抗体および賦形剤を含む無菌組成物。
(14)(1)〜(9)のいずれかに記載の抗体をコードするヌクレオチド配列を含む核酸。
(15)(14)に記載の核酸を含む細胞。
本明細書において参照されるそれぞれの特許、特許出願、刊行物および文献の全体は、参照により本明細書に組み込まれる。上記特許、特許出願、刊行物および文献の引用は、上記のいずれかが関連のある先行技術であることの承認でもなく、それらの刊行物または文献の内容またはデータに関するいかなる承認を構成するものでもない。
本技術の基本態様から逸脱することなく、上記のものに改変を行うことができる。本技術を1つ以上の具体的な実施形態を参照してかなり詳細に記載したが、当業者は、本出願に具体的に開示された実施形態に変化を行うことができることを認識し、それらの改変および改善は、本技術の範囲および趣旨の範囲内である。
本明細書に説明的に記載した本技術は、好適には、本明細書に具体的に開示されていないいかなる要素の不存在下でも実施することができる。したがって、例えば、それぞれの例における用語「含む」は、用語「から本質的になる」または「からなる」を包含する。用いられているこれらの用語および表現は、説明に関して使用し、限定に関するものではなく、そのような用語および表現の使用は、示され、記載される特徴またはその一部のいかなる均等物も排除せず、種々の改変は、特許請求される技術の範囲内で可能である。用語「a」または「an」は、要素の1つまたは要素の2つ以上のいずれかが記載されていることが文脈上明確でない限り、それが修飾する1つまたは複数の要素を指し得る(例えば、「試薬」は、1つ以上の試薬を意味し得る)。一連の値の先頭における用語「約」の使用は、その値のそれぞれを修飾する(すなわち、「約1、2および3」は、約1、約2および約3を指す)。ある例において、単位および書式設定は、ハイパーテキスト・マークアップ言語(HTML)フォーマットで表現し、それは、当業者が別の慣用のフォーマットに変換することができる(例えば、「.sup.」は、上付き文字書式設定を指す)。したがって、本技術を代表的な実施形態および任意選択の特徴により具体的に開示したが、本明細書に開示される概念の改変および変更を当業者が採用することができ、そのような改変および変更は本技術の範囲内で考えられることを理解すべきである。
本技術のある実施形態を、以下の特許請求の範囲で説明する。