JP2020125297A - 合理的に設計された、合成抗体ライブラリおよびその使用 - Google Patents
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Abstract
Description
この出願は、2007年9月14日に出願された米国仮出願第60/993,785号(これは、この参照によって、その全体が本明細書に援用される)への優先権を主張する。
(i)0〜約3アミノ酸のN1アミノ酸配列であって、その各アミノ酸が、ヒトB細胞によって機能的に発現されるCDRH3アミノ酸配列のN1アミノ酸配列中の対応する位置で最も頻繁に出現する12種のアミノ酸の1つであるN1アミノ酸配列と、
(ii)ヒトCDRH3 DHアミノ酸配列、そのNおよびC末端切断物、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列と、
(iii)0〜約3アミノ酸のN2アミノ酸配列であって、その各アミノ酸が、ヒトB細胞によって機能的に発現されるCDRH3アミノ酸配列のN2アミノ酸配列中の対応する位置で最も頻繁に出現する12種のアミノ酸の1つであるN2アミノ酸配列と、
(iv)ヒトCDRH3 H3−JHアミノ酸配列、そのN末端切断物、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列と
を含む少なくとも106種の独特の抗体CDRH3アミノ酸配列をコードするライブラリーを含む。
(i)0〜約3アミノ酸のN1アミノ酸配列であって、
(a)最もN末端にあるN1アミノ酸が、存在する場合には、R、G、P、L、S、A、V、K、I、Q、TおよびDからなる群より選択され、
(b)最もN末端から2番目のN1アミノ酸が、存在する場合には、G、P、R、S、L、V、E、A、D、I、TおよびKからなる群より選択され、
(c)最もN末端から3番目のN1アミノ酸が、存在する場合には、G、R、P、S、L、A、V、T、E、D、KおよびFからなる群より選択されるN1アミノ酸配列と、
(ii)ヒトCDRH3 DHアミノ酸配列、そのNおよびC末端切断物、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列と、
(iii)0〜約3アミノ酸のN2アミノ酸配列であって、
(a)最もN末端にあるN2アミノ酸が、存在する場合には、G、P、R、L、S、A、T、V、E、D、FおよびHからなる群より選択され、
(b)最もN末端から2番目のN2アミノ酸が、存在する場合には、G、P、R、S、T、L、A、V、E、Y、DおよびKからなる群より選択され、
(c)最もN末端から3番目のN2アミノ酸が、存在する場合には、G、P、S、R、L、A、T、V、D、E、WおよびQからなる群より選択されるN2アミノ酸配列と、
(iv)ヒトCDRH3 H3−JHアミノ酸配列、そのN末端切断物、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列と
を含む少なくとも約106種の独特の抗体CDRH3アミノ酸配列をコードするライブラリーを含む。
[X]−[N1]−[DH]−[N2]−[H3−JH]
によって表されるアミノ酸配列と少なくとも約80%同一である少なくとも約106種の独特の抗体CDRH3アミノ酸配列をコードし、式中、
(i)Xは任意のアミノ酸残基であり、またはアミノ酸残基を有さず、
(ii)N1は、
およびその組合せからなる群より選択されるアミノ酸配列であり、
(iii)DHは、
によってコードされる、終止コドンを含まないすべての考えられる読み枠、ならびにそのNおよびC末端切断物からなる群より選択されるアミノ酸配列であり、
(iv)N2は、
およびその組合せからなる群より選択されるアミノ酸配列であり、
(v)H3−JHは、
またはそれらのいずれかと少なくとも80%の同一性のある配列からなる群より選択されるアミノ酸配列であるライブラリーを含む。
[X]−[N1]−[DH]−[N2]−[H3−JH]
によって表されるアミノ酸配列と少なくとも約80%同一であるCDRH3アミノ酸配列をコードする複数のポリヌクレオチドから本質的になり、式中、
(i)Xは任意のアミノ酸残基であり、またはアミノ酸残基を有さず、
(ii)N1は、
およびその組合せからなる群より選択されるアミノ酸配列であり、
(iii)DHは、
によってコードされる、終止コドンを含まないすべての考えられる読み枠、ならびにそのNおよびC末端切断物からなる群より選択されるアミノ酸配列であり、
(iv)N2は、
およびその組合せからなる群より選択されるアミノ酸配列であり、
(v)H3−JHは、
またはそれらのいずれかと少なくとも80%の同一性のある配列からなる群より選択されるアミノ酸配列であるライブラリーを含む。
(i)0〜約3アミノ酸のN1アミノ酸配列であって、その各アミノ酸が、ヒトB細胞によって機能的に発現されるCDRH3アミノ酸配列のN1アミノ酸配列中の対応する位置で最も頻繁に出現する12種のアミノ酸の1つであるN1アミノ酸配列と、
(ii)ヒトCDRH3 DHアミノ酸配列、そのNおよびC末端切断物、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列と、
(iii)0〜約3アミノ酸のN2アミノ酸配列であって、その各アミノ酸が、ヒトB細胞によって機能的に発現されるCDRH3アミノ酸配列のN2アミノ酸配列中の対応する位置で最も頻繁に出現する12種のアミノ酸の1つであるN2アミノ酸配列と、
(iv)ヒトCDRH3 H3−JHアミノ酸配列、そのN末端切断物、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列と
を含むライブラリーを含む。
およびその組合せからなる群より選択される。特定の別の態様では、N1アミノ酸配列は、約0〜約5アミノ酸のものであってもよい。
およびその組合せからなる群より選択される。特定の他の態様では、N2配列は、約0〜約5アミノ酸のものであってもよい。
からなる群より選択される。
約2.5%〜約6.5%の量のTyr−Tyr、
約2.5%〜約4.5%の量のSer−Gly、
約2%〜約4%の量のSer−Ser、
約1.5%〜約4%の量のGly−Ser、
約0.75%〜約2%の量のTyr−Ser、
約0.75%〜約2%の量のTyr−Gly、および
約0.75%〜約2%の量のSer−Tyr
の特定の範囲内にあるライブラリーを含む。
約2.5%〜約4.5%の量のTyr−Tyr、
約2.5%〜約5.5%の量のGly−Tyr、
約2%〜約4%の量のSer−Tyr、
約1.75%〜約3.75%の量のTyr−Ser、
約2%〜約3.5%の量のSer−Gly
約1.5%〜約3%の量のSer−Ser、
約1.5%〜約3%の量のGly−Ser、および
約1%〜約2%の量のTyr−Gly
の特定の範囲内にあるライブラリーを含む。
約2.5%〜約6.5%の量のGly−Tyr、
約1%〜約5%の量のSer−Tyr、
約2%〜約4%の量のTyr−Ser、
約1%〜約3%の量のSer−Ser、
約2%〜約5%の量のGly−Ser、および
約0.75%〜約2%の量のTyr−Tyr
の特定の範囲内にあるライブラリーを含む。
によってコードされる約Kabatアミノ酸1〜約Kabatアミノ酸94、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列からなる群より選択される。
[VK_シャーシ]−[L3−VK]−[X]−[JK*]
によって表されるアミノ酸配列と少なくとも約80%の同一性がある複数の独特の抗体VKCDR3アミノ酸配列をコードし、式中、
(i)VK_シャーシは、
によってコードされる約Kabatアミノ酸1〜約Kabatアミノ酸88、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列からなる群より選択されるアミノ酸配列であり、
(ii)L3−VKは、IGKV遺伝子セグメントによってコードされるVKCDR3の部分であり、
(iii)Xは任意のアミノ酸残基であり、
(iv)JK*は、IGJK1、IGJK2、IGJK3、IGJK4、およびIGJK5によってコードされる配列からなる群より選択されるアミノ酸配列であり、各IGJK配列の最初の残基が存在しないライブラリーを含む。
[Vλ_シャーシ]−[L3−Vλ]−[Jλ]
によって表されるアミノ酸配列と少なくとも約80%の同一性がある複数のVλCDR3アミノ酸配列をコードし、式中、
(i)Vλ_シャーシは、
によってコードされる約Kabatアミノ酸1〜約Kabatアミノ酸88、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列からなる群より選択されるアミノ酸配列であり、
(ii)L3−Vλは、IGλVセグメントによってコードされるVλCDR3の部分であり、
(iii)Jλは、IGλJ1−01、IGλJ2−01、IGλJ3−01、IGλJ3−02、IGλJ6−01、IGλJ7−01、およびIGλJ7−02によってコードされる配列からなる群より選択されるアミノ酸配列であり、各IGJλ配列の最初の残基が欠失していてもよく、または欠失していなくてもよいライブラリーを含む。
(i)請求項1に記載のCDRH3アミノ酸配列と、
(ii)特定のIGKVまたはIGKJ生殖系列配列に由来する選択されたVKCDR3アミノ酸配列中のKabat89、90、91、92、93、94、95、95A、96、および97位で認められるアミノ酸を約1〜約10個含むVKCDR3配列と
を含む複数の抗体タンパク質をコードするライブラリーを含む。
(i)請求項1に記載のCDRH3アミノ酸配列と、
(ii)下記の式:
[VK_シャーシ]−[L3−VK]−[X]−[JK*]
によって表されるアミノ酸配列と少なくとも約80%の同一性のあるVKCDR3アミノ酸配列であって、式中、
(a)VK_シャーシは、
によってコードされる約Kabatアミノ酸1〜約Kabatアミノ酸88、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列からなる群より選択されるアミノ酸配列であり、
(b)L3−VKは、IGKV遺伝子セグメントによってコードされるVKCDR3の部分であり、
(c)Xは任意のアミノ酸残基であり、
(d)JK*は、IGJK1、IGJK2、IGJK3、IGJK4、およびIGJK5によってコードされる配列からなる群より選択されるアミノ酸配列であり、各IGJK配列の最初の残基が存在しないVKCDR3アミノ酸配列と
を含む複数の抗体タンパク質をコードするライブラリーを含む。
(i)(a)
によってコードされる約Kabatアミノ酸1〜約Kabatアミノ酸88、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列からなる群より選択される、1つまたは複数のVΚ_シャーシアミノ酸配列、
(b)L3−VKがIGKV遺伝子セグメントによってコードされるVKCDR3アミノ酸配列の部分である、1つまたは複数のL3−VKアミノ酸配列、
(c)Xが任意のアミノ酸残基である、1つまたは複数のX残基、および
(d)JK*が、IGKJ1、IGKJ2、IGKJ3、IGKJ4、およびIGKJ5によってコードされるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列であり、各配列の最初のアミノ酸残基が存在しない、1つまたは複数のJK*アミノ酸配列
をコードするポリヌクレオチド配列を提供するステップと、
(ii)前記ポリヌクレオチド配列を集めて、下記の式:
[VK_シャーシ]−[L3−VK]−[X]−[JK*]
によって表される複数のヒトVK配列をコードする合成ポリヌクレオチドのライブラリーを作製するステップと
を含む方法に関する。
(i)単一の生殖系列ポリヌクレオチド配列に由来する選択された軽鎖CDR3アミノ酸配列中の各位置での各アミノ酸残基のパーセント出現率を決定するステップと、
(ii)複数のヒト抗体軽鎖CDR3アミノ酸配列をコードする合成ポリヌクレオチドを設計するステップであって、設計される軽鎖CDR3アミノ酸配列内の任意の位置の任意のアミノ酸のパーセント出現率が、(i)において決定される場合、単一の生殖系列ポリヌクレオチド配列に由来する選択された軽鎖CDR3アミノ酸配列中で少なくとも約30%のパーセント出現率の範囲内であるステップと、
(iii)(ii)において設計された1つまたは複数のポリヌクレオチドを合成するステップと
を含む方法に関する。
(i)(a)
によってコードされる約Kabat残基1〜約Kabat残基88、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列からなる群より選択される、1つまたは複数のVλ_シャーシアミノ酸配列、
(b)L3−VλがIGλV遺伝子セグメントによってコードされるVλCDR3アミノ酸配列の部分である、1つまたは複数のL3−Vλ配列、
(c)Jλが、IGλJ1−01、IGλJ2−01、IGλJ3−01、IGλJ3−02、IGλJ6−01、IGλJ7−01、およびIGλJ7−02によってコードされるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列であり、各配列の最初のアミノ酸残基が存在していてもよく、または存在していなくてもよい、1つまたは複数のJλ配列
をコードするポリヌクレオチド配列を提供するステップと、
(ii)前記ポリヌクレオチド配列を集めて、下記の式:
[Vλ_シャーシ]−[L3−Vλ]−[X]−[Jλ]
によって表される複数のヒトVλアミノ酸配列をコードする合成ポリヌクレオチドのライブラリーを作製するステップと
を含む方法に関する。
(i)(a)1つまたは複数の、約0〜約3アミノ酸のN1アミノ酸配列であって、その各アミノ酸が、ヒトB細胞によって機能的に発現されるCDRH3アミノ酸配列のN1配列中の対応する位置で最も頻繁に出現する12種のアミノ酸の1つであるN1アミノ酸配列、
(b)1つまたは複数のヒトCDRH3 DHアミノ酸配列、そのNおよびC末端切断物、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列、
(c)1つまたは複数の、約0〜約3アミノ酸のN2アミノ酸配列であって、その各アミノ酸が、ヒトB細胞によって機能的に発現されるCDRH3アミノ酸配列のN2アミノ酸配列中の対応する位置で最も頻繁に出現する12種のアミノ酸の1つであるN2アミノ酸配列、ならびに
(d)1つまたは複数のヒトCDRH3 H3−JHアミノ酸配列、そのN末端切断物、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列
をコードするポリヌクレオチド配列を提供するステップと、
(ii)前記ポリヌクレオチド配列を集めて、下記の式:
[N1]−[DH]−[N2]−[H3−JH]
によって表される複数のヒト抗体CDRH3アミノ酸配列をコードする合成ポリヌクレオチドのライブラリーを作製するステップと
を含む方法を含む。
(i)1つまたは複数の宿主細胞中で請求項40および46のいずれか一項に記載のヒト抗体を発現させるステップと、
(ii)前記宿主細胞を1つまたは複数の抗原と接触させるステップと、
(iii)前記1つまたは複数の抗原と結合する抗体を有する1つまたは複数の宿主細胞を単離するステップと
を含む方法を含む。
本発明は例えば、以下の項目を提供する:
(項目1)
合成ポリヌクレオチドのライブラリーであって、前記ポリヌクレオチドが、
(i)0〜約3アミノ酸のN1アミノ酸配列であって、その各アミノ酸が、ヒトB細胞によって機能的に発現されるCDRH3アミノ酸配列のN1アミノ酸配列中の対応する位置で最も頻繁に出現する12種のアミノ酸の1つであるN1アミノ酸配列と、
(ii)ヒトCDRH3 DHアミノ酸配列、そのNおよびC末端切断物、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列と、
(iii)0〜約3アミノ酸のN2アミノ酸配列であって、その各アミノ酸が、ヒトB細胞によって機能的に発現されるCDRH3アミノ酸配列のN2アミノ酸配列中の対応する位置で最も頻繁に出現する12種のアミノ酸の1つであるN2アミノ酸配列と、
(iv)ヒトCDRH3 H3−JHアミノ酸配列、そのN末端切断物、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列と
を含む少なくとも106種の独特の抗体CDRH3アミノ酸配列をコードする、ライブラリー。
(項目2)
項目1に記載のライブラリーのポリペプチド発現産物から単離される抗体。
(項目3)
1つまたは複数のCDRH3アミノ酸配列が、N末端の尾部残基をさらに含む、項目1に記載のライブラリー。
(項目4)
前記N末端の尾部残基が、G、D、およびEからなる群より選択される、項目3に記載のライブラリー。
(項目5)
前記N1アミノ酸配列が、
およびその組合せからなる群より選択される、項目1に記載のライブラリー。
(項目6)
前記N2アミノ酸配列が、
およびその組合せからなる群より選択される、項目1に記載のライブラリー。
(項目7)
前記H3−JHアミノ酸配列が、
からなる群より選択される、項目1に記載のライブラリー。
(項目8)
前記ポリヌクレオチドが、相同組換えを促進する5’ポリヌクレオチド配列および3’ポリヌクレオチド配列をさらに含む、項目1に記載のライブラリー。
(項目9)
前記ポリヌクレオチドが、前記CDRH3アミノ酸配列に対してN末端にある1つまたは複数の重鎖シャーシアミノ酸配列をさらにコードし、前記1つまたは複数の重鎖シャーシアミノ酸配列が、
によってコードされる約Kabatアミノ酸1〜約Kabatアミノ酸94、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列からなる群より選択される、項目1に記載のライブラリー。
(項目10)
前記ポリヌクレオチドが、前記CDRH3アミノ酸配列に対してC末端にある1つまたは複数のFRM4アミノ酸配列をさらにコードし、前記1つまたは複数のFRM4アミノ酸配列が、IGHJ1、IGHJ2、IGHJ3、IGHJ4、IGHJ5、およびIGHJ6によってコードされるFRM4アミノ酸配列、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列からなる群より選択される、項目1に記載のライブラリー。
(項目11)
前記ポリヌクレオチドが、前記FRM4アミノ酸配列に対してC末端にある1つまたは複数のイムノグロブリン重鎖定常領域アミノ酸配列をさらにコードする、項目10に記載のライブラリー。
(項目12)
前記CDRH3アミノ酸配列が、完全長重鎖の一部として発現される、項目11に記載のライブラリー。
(項目13)
前記完全長重鎖が、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4、またはその組合せからなる群より選択される、項目12に記載のライブラリー。
(項目14)
前記ポリヌクレオチドが、代替足場をさらにコードする、項目1に記載のライブラリー。
(項目15)
前記CDRH3アミノ酸配列の長さが、約2〜約30、約8〜約19、または約10〜約18アミノ酸残基である、項目1に記載のライブラリー。
(項目16)
前記ライブラリーの合成ポリヌクレオチドが、約106〜約1014、約107〜約1013、約108〜約1012、約109〜約1012、または約1010〜約1012種の独特のCDRH3アミノ酸配列をコードする、項目1に記載のライブラリー。
(項目17)
項目1に記載の合成ポリヌクレオチドライブラリーによってコードされるポリペプチドのライブラリー。
(項目18)
項目1に記載のポリヌクレオチドライブラリーを含むベクターのライブラリー。
(項目19)
項目18に記載のベクターを含む細胞の集団。
(項目20)
前記細胞の集団の倍加時間が、約1〜約3時間、約3〜約8時間、約8〜約16時間、約16〜約20時間、または約20〜30時間である、項目19に記載の細胞の集団。
(項目21)
前記細胞が酵母細胞である、項目19に記載の細胞の集団。
(項目22)
Saccharomyces cerevisiaeである、項目21に記載の酵母細胞。
(項目23)
合成ポリヌクレオチドのライブラリーであって、前記ライブラリーは、N種の独特のCDRH3配列の理論的全多様性を有し、Nが約106〜約1015であり、理論的全CDRH3多様性の物理的実現物が少なくとも約3Nのサイズを有し、それによって前記ライブラリーの理論的全多様性内に含まれる任意の個々のCDRH3配列が現実のライブラリー中に存在する確率が少なくとも約95%となる、ライブラリー。
(項目24)
合成ポリヌクレオチドのライブラリーであって、前記ポリヌクレオチドが、
(i)0〜約3アミノ酸のN1アミノ酸配列であって、
(a)最もN末端にあるN1アミノ酸が、存在する場合には、R、G、P、L、S、A、V、K、I、Q、TおよびDからなる群より選択され、
(b)最もN末端から2番目のN1アミノ酸が、存在する場合には、G、P、R、S、L、V、E、A、D、I、TおよびKからなる群より選択され、
(c)最もN末端から3番目のN1アミノ酸が、存在する場合には、G、R、P、S、L、A、V、T、E、D、KおよびFからなる群より選択される、N1アミノ酸配列と、(ii)ヒトCDRH3 DHアミノ酸配列、そのNおよびC末端切断物、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列と、
(iii)0〜約3アミノ酸のN2アミノ酸配列であって、
(a)最もN末端にあるN2アミノ酸が、存在する場合には、G、P、R、L、S、A、T、V、E、D、FおよびHからなる群より選択され、
(b)最もN末端から2番目のN2アミノ酸が、存在する場合には、G、P、R、S、T、L、A、V、E、Y、DおよびKからなる群より選択され、
(c)最もN末端から3番目のN2アミノ酸が、存在する場合には、G、P、S、R、L、A、T、V、D、E、WおよびQからなる群より選択されるN2アミノ酸配列と、
(iv)ヒトCDRH3 H3−JHアミノ酸配列、そのN末端切断物、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列と
を含む少なくとも約106種の独特の抗体CDRH3アミノ酸配列をコードする、ライブラリー。
(項目25)
項目24に記載のライブラリーのポリペプチド発現産物から単離される抗体。
(項目26)
合成ポリヌクレオチドのライブラリーであって、前記ポリヌクレオチドが、下記の式:[X]−[N1]−[DH]−[N2]−[H3−JH]
によって表されるアミノ酸配列と少なくとも約80%同一である少なくとも約106種の独特の抗体CDRH3アミノ酸配列をコードし、式中、
(i)Xは任意のアミノ酸残基であり、またはアミノ酸残基を有さず、
(ii)N1は、
およびその組合せからなる群より選択されるアミノ酸配列であり、
(iii)DHは、
によってコードされる、終止コドンを含まないすべての考えられる読み枠、ならびにそのNおよびC末端切断物からなる群より選択されるアミノ酸配列であり、
(iv)N2は、
およびその組合せからなる群より選択されるアミノ酸配列であり、
(v)H3−JHは、
またはそれらのいずれかと少なくとも80%の同一性のある配列からなる群より選択されるアミノ酸配列である、
ライブラリー。
(項目27)
項目26に記載のライブラリーのポリペプチド発現産物から単離される抗体。
(項目28)
合成ポリヌクレオチドのライブラリーであって、下記の式:
[X]−[N1]−[DH]−[N2]−[H3−JH]
によって表されるアミノ酸配列と少なくとも約80%同一であるCDRH3アミノ酸配列をコードする複数のポリヌクレオチドから本質的になり、式中、
(i)Xは任意のアミノ酸残基であり、またはアミノ酸残基を有さず、
(ii)N1は、
およびその組合せからなる群より選択されるアミノ酸配列であり、
(iii)DHは、
によってコードされる、終止コドンを含まないすべての考えられる読み枠、ならびにそのNおよびC末端切断物からなる群より選択されるアミノ酸配列であり、
(iv)N2は、
およびその組合せからなる群より選択されるアミノ酸配列であり、
(v)H3−JHは、
またはそれらのいずれかと少なくとも80%の同一性のある配列からなる群より選択されるアミノ酸配列である、
ライブラリー。
(項目29)
項目28に記載のライブラリーのポリペプチド発現産物から単離される抗体。
(項目30)
合成ポリヌクレオチドのライブラリーであって、前記ポリヌクレオチドが1つまたは複数の抗体重鎖アミノ酸配列をコードし、前記重鎖の独特のCDRH3アミノ酸配列が、
(i)0〜約3アミノ酸のN1アミノ酸配列であって、その各アミノ酸が、ヒトB細胞によって機能的に発現されるCDRH3アミノ酸配列のN1アミノ酸配列中の対応する位置で最も頻繁に出現する12種のアミノ酸の1つであるN1アミノ酸配列と、
(ii)ヒトCDRH3 DHアミノ酸配列、そのNおよびC末端切断物、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列と、
(iii)0〜約3アミノ酸のN2アミノ酸配列であって、その各アミノ酸が、ヒトB細胞によって機能的に発現されるCDRH3アミノ酸配列のN2アミノ酸配列中の対応する位置で最も頻繁に出現する12種のアミノ酸の1つであるN2アミノ酸配列と、
(iv)ヒトCDRH3 H3−JHアミノ酸配列、そのN末端切断物、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列と
を含むライブラリー。
(項目31)
項目30に記載のライブラリーのポリペプチド発現産物から単離される抗体。
(項目32)
合成ポリヌクレオチドのライブラリーであって、前記ポリヌクレオチドが、特定のIGKVまたはIGKJ生殖系列配列に由来する選択されたVKCDR3アミノ酸配列中のkabat89、90、91、92、93、94、95、95A、96、および97位で認められるアミノ酸を約1〜約10個含む複数の抗体VKCDR3アミノ酸配列をコードする、ライブラリー。
(項目33)
前記合成ポリヌクレオチドが、表33に挙げたアミノ酸配列、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%同一である配列の1つまたは複数をコードする、項目32に記載のライブラリー。
(項目34)
項目32に記載のライブラリーのポリペプチド発現産物から単離される抗体。
(項目35)
合成ポリヌクレオチドのライブラリーであって、前記ポリヌクレオチドが、下記の式:
[VK_シャーシ]−[L3−VK]−[X]−[JK*]
によって表されるアミノ酸配列と少なくとも約80%の同一性がある複数の独特の抗体VKCDR3アミノ酸配列をコードし、式中、
(i)VK_シャーシは、
によってコードされる約Kabatアミノ酸1〜約Kabatアミノ酸88、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列からなる群より選択されるアミノ酸配列であり、
(ii)L3−VKは、IGKV遺伝子セグメントによってコードされるVKCDR3の部分であり、
(iii)Xは任意のアミノ酸残基であり、
(iv)JK*は、IGJK1、IGJK2、IGJK3、IGJK4、およびIGJK5によってコードされるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列であり、各アミノ酸配列の最初のアミノ酸残基が存在しない、
ライブラリー。
(項目36)
項目35に記載のライブラリーのポリペプチド発現産物から単離される抗体。
(項目37)
Xが、F、L、I、R、W、Y、およびPからなる群より選択される、項目35に記載のライブラリー。
(項目38)
合成ポリヌクレオチドのライブラリーであって、前記ポリヌクレオチドが、下記の式:
[Vλ_シャーシ]−[L3−Vλ]−[Jλ]
によって表されるアミノ酸配列と少なくとも約80%の同一性がある複数のVλCDR3アミノ酸配列をコードし、式中、
(i)Vλ_シャーシは、
によってコードされる約Kabatアミノ酸1〜約Kabatアミノ酸88、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列からなる群より選択されるアミノ酸配列であり、
(ii)L3−Vλは、IGλVセグメントによってコードされるVλCDR3の部分であり、
(iii)Jλは、IGλJ1−01、IGλJ2−01、IGλJ3−01、IGλJ3−02、IGλJ6−01、IGλJ7−01、およびIGλJ7−02によってコードされるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列であり、各配列の最初のアミノ酸残基が欠失していてもよく、または欠失していなくてもよい、
ライブラリー。
(項目39)
項目38に記載のライブラリーのポリペプチド発現産物から単離される抗体。
(項目40)
合成ポリヌクレオチドのライブラリーであって、前記ポリヌクレオチドが、
(i)項目1に記載のCDRH3アミノ酸配列と、
(ii)特定のIGKVまたはIGKJ生殖系列配列に由来する選択されたVKCDR3アミノ酸配列中のKabat89、90、91、92、93、94、95、95A、96、および97位で認められるアミノ酸を約1〜約10個含むVKCDR3アミノ酸配列とを含む複数の抗体タンパク質をコードする、ライブラリー。
(項目41)
前記VKCDR3アミノ酸配列が、表33に挙げたアミノ酸配列、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%同一である配列の1つまたは複数を含む、項目40に記載のライブラリー。
(項目42)
項目40に記載のライブラリーから単離される抗体。
(項目43)
前記抗体タンパク質が、ヘテロ二量体の形態で発現される、項目40に記載のライブラリー。
(項目44)
前記抗体タンパク質が、抗体断片として発現される、項目40に記載のライブラリー。
(項目45)
前記抗体断片が、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ダイアボディ、直鎖抗体、および単鎖抗体からなる群より選択される、項目44に記載のライブラリー。
(項目46)
合成ポリヌクレオチドのライブラリーであって、前記ポリヌクレオチドが、
(i)項目1に記載のCDRH3アミノ酸配列と、
(ii)下記の式:
[VK_シャーシ]−[L3−VK]−[X]−[JK*]
によって表されるアミノ酸配列と少なくとも約80%の同一性のあるVKCDR3アミノ酸配列であって、式中、
(a)VK_シャーシは、
によってコードされる約Kabatアミノ酸1〜約Kabatアミノ酸88、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列からなる群より選択されるアミノ酸配列であり、
(b)L3−VKは、IGKV遺伝子セグメントによってコードされるVKCDR3の部分であり、
(c)Xは任意のアミノ酸残基であり、
(d)JK*は、IGJK1、IGJK2、IGJK3、IGJK4、およびIGJK5によってコードされるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列であり、各IGJKアミノ酸配列の最初の残基が存在しないVKCDR3アミノ酸配列と
を含む複数の抗体タンパク質をコードする、ライブラリー。
(項目47)
項目46に記載のライブラリーから単離される抗体。
(項目48)
複数の抗体CDRH3アミノ酸配列をコードする合成ポリヌクレオチドのライブラリーであって、前記ライブラリー中の下記のi−i+1の対の少なくとも1つの、前記CDRH3アミノ酸配列の中心ループ内でのパーセント出現率が、
約2.5%〜約6.5%の量のTyr−Tyr、
約2.5%〜約4.5%の量のSer−Gly、
約2%〜約4%の量のSer−Ser、
約1.5%〜約4%の量のGly−Ser、
約0.75%〜約2%の量のTyr−Ser、
約0.75%〜約2%の量のTyr−Gly、および
約0.75%〜約2%の量のSer−Tyr
の特定の範囲内にある、ライブラリー。
(項目49)
前記ライブラリー中の特定のi−i+1の対の少なくとも2、3、4、5、6、または7つが、前記特定の範囲内にある、項目48に記載のライブラリー。
(項目50)
項目48に記載のライブラリーのポリペプチド発現産物から単離される抗体。
(項目51)
前記ポリヌクレオチドが、少なくとも約106種の独特のCDRH3アミノ酸配列をコードする、項目48に記載のライブラリー。
(項目52)
複数の抗体CDRH3アミノ酸配列をコードする合成ポリヌクレオチドのライブラリーであって、前記ライブラリー中の下記のi−i+2の対の少なくとも1つの、前記CDRH3アミノ酸配列の中心ループ内でのパーセント出現率が、
約2.5%〜約4.5%の量のTyr−Tyr、
約2.5%〜約5.5%の量のGly−Tyr、
約2%〜約4%の量のSer−Tyr、
約1.75%〜約3.75%の量のTyr−Ser、
約2%〜約3.5%の量のSer−Gly
約1.5%〜約3%の量のSer−Ser、
約1.5%〜約3%の量のGly−Ser、および
約1%〜約2%の量のTyr−Gly
の特定の範囲内にある、ライブラリー。
(項目53)
前記ライブラリー中の特定のi−i+2の対の少なくとも2、3、4、5、6、7、または8つが、前記特定の範囲内にある、項目52に記載のライブラリー。
(項目54)
項目52に記載のライブラリーのポリペプチド発現産物から単離される抗体。
(項目55)
前記ポリヌクレオチドが、少なくとも約106種の独特のCDRH3アミノ酸配列をコードする、項目52に記載のライブラリー。
(項目56)
複数の抗体CDRH3アミノ酸配列をコードする合成ポリヌクレオチドのライブラリーであって、前記ライブラリー中の下記のi−i+3の対の少なくとも1つの、前記CDRH3アミノ酸配列の中心ループ内でのパーセント出現率が、
約2.5%〜約6.5%の量のGly−Tyr、
約1%〜約5%の量のSer−Tyr、
約2%〜約4%の量のTyr−Ser、
約1%〜約3%の量のSer−Ser、
約2%〜約5%の量のGly−Ser、および
約0.75%〜約2%の量のTyr−Tyr
の特定の範囲内にあるライブラリー。
(項目57)
前記ライブラリー中の特定のi−i+3の対の少なくとも2、3、4、5、または6つが、前記特定の範囲内にある、項目56に記載のライブラリー。
(項目58)
項目56に記載のライブラリーのポリペプチド発現産物から単離される抗体。
(項目59)
前記ポリヌクレオチドが、少なくとも約106種の独特のCDRH3アミノ酸配列をコードする、項目56に記載のライブラリー。
(項目60)
合成ポリヌクレオチドライブラリーを調製する方法であって、項目1、24、26、28、30、32、35、38、40、46、48、52、および56のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド配列を提供し集めるステップを含む方法。
(項目61)
複数の抗体CDRH3アミノ酸配列をコードする合成ポリヌクレオチドのライブラリーを調製する方法であって、
(i)(a)1つまたは複数の、0〜約3アミノ酸のN1アミノ酸配列であって、その各アミノ酸が、ヒトB細胞によって機能的に発現されるCDRH3アミノ酸配列のN1アミノ酸配列中の対応する位置で最も頻繁に出現する12種のアミノ酸の1つであるN1アミノ酸配列、
(b)1つまたは複数のヒトCDRH3 DHアミノ酸配列、そのNおよびC末端切断物、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列、
(c)1つまたは複数の、0〜約3アミノ酸のN2アミノ酸配列であって、その各アミノ酸が、ヒトB細胞によって機能的に発現されるCDRH3アミノ酸配列のN2アミノ酸配列中の対応する位置で最も頻繁に出現する12種のアミノ酸の1つであるN2アミノ酸配列、ならびに
(d)1つまたは複数のヒトCDRH3 H3−JHアミノ酸配列、そのN末端切断物、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列
をコードするポリヌクレオチド配列を提供するステップと、
(ii)前記ポリヌクレオチド配列を集めて、下記の式:
[N1]−[DH]−[N2]−[H3−JH]
によって表される複数のヒト抗体CDRH3アミノ酸配列をコードする合成ポリヌクレオチドのライブラリーを作製するステップと
を含む方法。
(項目62)
前記ポリヌクレオチド配列の1つまたは複数がスプリットプール合成を介して合成される、項目61に記載の方法。
(項目63)
相同組換えを促進する5’ポリヌクレオチド配列および3’ポリヌクレオチド配列を提供するステップをさらに含む、項目61に記載の方法。
(項目64)
前記集めた合成ポリヌクレオチドを、重鎖シャーシおよび重鎖定常領域を含むベクターで組み換えて、完全長重鎖を形成するステップをさらに含む、項目61に記載の方法。
(項目65)
前記組み換えるステップが酵母中で行われる、項目64に記載の方法。
(項目66)
前記酵母がS.cerevisiaeである、項目65に記載の方法。
(項目67)
1つまたは複数の抗体を発現する1つまたは複数の宿主細胞を単離する方法であって、(i)1つまたは複数の宿主細胞中で項目40および46のいずれか一項に記載の抗体を発現させるステップと、
(ii)前記宿主細胞を1つまたは複数の抗原と接触させるステップと、
(iii)前記1つまたは複数の抗原と結合する抗体を有する1つまたは複数の宿主細胞を単離するステップと
を含む方法。
(項目68)
前記1つまたは複数の宿主細胞から1つまたは複数の抗体を単離するステップをさらに含む、項目67に記載の方法。
(項目69)
前記1つまたは複数の宿主細胞から、1つまたは複数の抗体をコードする1つまたは複数のポリヌクレオチド配列を単離するステップをさらに含む、項目67に記載の方法。
(項目70)
項目1に記載の合成ポリヌクレオチドのライブラリーを含むキット。
(項目71)
コンピュータで読み取り可能な形態での、項目1、24、26、28、30、32、35、38、40、46、48、52、および56のいずれか一項に記載の合成ポリヌクレオチドのライブラリーによってコードされるCDRH3アミノ酸配列。
別途定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術的および科学的用語は、本発明に関連する分野の当業者によって一般に理解される意味を有する。以下の定義は当業者を補助し、本出願において説明される実施形態を対象とする。
本明細書において使用される場合、用語「多様性」は、多様さまたは顕著な不均一性のことをいう。用語「配列多様性」は、例えば、天然ヒト抗体において認められる配列などの配列のいくつかの可能性を集合的に表すさまざまな配列のことをいう。例えば、重鎖CDR3(CDRH3)配列多様性は、既知のヒトDHならびにN1およびN2領域を含むH3−JHセグメントを組み合わせて重鎖CDR3配列を形成するさまざまな可能性のことを指し得る。軽鎖CDR3(CDRL3)配列多様性は、CDRL3に寄与している天然に存在する軽鎖可変領域(すなわち、L3−VL)および連結(すなわち、L3−JL)セグメントを組み合わせて軽鎖CDR3配列を形成するさまざまな可能性のことを指し得る。本明細書において使用される場合、H3−JHは、CDRH3に寄与しているIGHJ遺伝子の部分のことをいう。本明細書において使用される場合、L3−VLおよびL3−JLは、それぞれCDRL3に寄与しているIGLVおよびIGLJ遺伝子(κまたはλ)の部分のことをいう。
K V R
K Y P
K R P、
Kは事例の100%において1位に出現し、Pは事例の約67%において3位に出現する。本発明の特定の実施形態では、比較のために選択された配列はヒトイムノグロブリン配列である。
本発明の抗体ライブラリーは、ヒト免疫系によって天然に生成される免疫前のレパートリーの特定の態様を反映するように設計される。本発明の特定のライブラリーは、ヒトV、DおよびJ遺伝子のコレクション、ならびにヒト重鎖および軽鎖配列の他の大きなデータベースから知られる、合理的な設計に基づいている(例えば、公知の生殖系列配列;参照によりその全体が組み込まれるJacksonら、J.Immunol Methods、2007年、324巻:26頁からの配列;参照によりその全体が組み込まれるLeeら、Immunogenetics、2006年、57巻:917頁からの配列;および、再構成されたVKおよびVλのために編集された配列−本明細書とともに出願した付録AおよびBを参照)。追加の情報が、例えば、それぞれ参照によりその全体が組み込まれる、Scavinerら、Exp.Clin.Immunogenet.、1999年、16巻:234頁;Tomlinsonら、J.Mol.Biol.、1992年、227巻:799頁;およびMatsudaら、J.Exp.Med.、1998年、188巻:2151頁で見られる。本発明の特定の実施形態では、ヒトレパートリーで見られる可能なV、DおよびJ多様性、ならびに接合部多様性(すなわち、N1およびN2)を表すカセットが、一本鎖または二本鎖のDNAオリゴヌクレオチドとして新規に合成される。本発明の特定の実施形態では、CDR配列をコードするオリゴヌクレオチドカセットが、重鎖または軽鎖シャーシ配列を含む1つまたは複数の受容体ベクターとともに、酵母に導入される。哺乳動物のcDNAまたはmRNAからのプライマーベースのPCR増幅および鋳型指定クローニング段階は、使用されない。標準の相同組換えを通して、レシピエント酵母はカセット(例えば、CDR3)をシャーシ配列(複数可)および定常部を含む受容体ベクター(複数可)で組み換えて、遺伝的に増殖させ、発現させ、提示しスクリーニングすることができる、正しい順序で合成された、完全長ヒト重鎖および/または軽鎖イムノグロブリンライブラリーを生成する。当業者は、受容体ベクターに含まれるシャーシを、完全長ヒト重鎖および/または軽鎖以外の構築物を生成するように設計することができることを容易に認識するであろう。例えば、本発明の特定の実施形態では、抗体断片またはそのサブユニットをコードする配列が、CDRを含むオリゴヌクレオチドカセットが受容体ベクターで組み換えられるときに生成されるように、抗体断片または抗体断片のサブユニットをコードするポリペプチドの部分をコードするように、シャーシを設計することができる。
(a)選択されるヒト抗体重鎖シャーシ(すなわち、Kabatの定義を用いて重鎖可変領域のアミノ酸1〜94);
(b)ヒトIGHDおよびIGHJ生殖系列配列に基づいて設計されるCDRH3レパートリーであって、以下のもの、すなわち、
(i)任意選択で、1つまたは複数の尾部領域、
(ii)ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)の作用で優先的にコードされ、ヒトB細胞によって機能的に発現されるアミノ酸型のうちの20個未満からなる群より選択される、約0〜約10個のアミノ酸を含む1つまたは複数のN1領域、
(iii)1つまたは複数の選択されるIGHDセグメント、および1つまたは複数のそのN末端またはC末端の切断物に基づく、1つまたは複数のDHセグメント、
(iv)TdTの作用で優先的にコードされ、ヒトB細胞によって機能的に発現されるアミノ酸のうちの20個未満からなる群より選択される、約0〜約10個のアミノ酸を含む1つまたは複数のN2領域、
(v)1つまたは複数のIGHJセグメント、および1つまたは複数のそのN末端切断物(例えば、XXWGまで)に基づく、1つまたは複数のH3−JHセグメントを含むCDRH3レパートリー、
(c)1つまたは複数の選択されるヒト抗体κおよび/またはλ軽鎖シャーシ;ならびに
(d)ヒトIGLVおよびIGLJ生殖系列配列に基づいて設計されるCDRL3レパートリーであって、「L」はκもしくはλ軽鎖であることができるCDRL3レパートリー
を含む。
本発明の特定のライブラリーの構築の1段階は、天然の可変ドメイン配列(例えば、IGHVおよびIGLV)に基づくシャーシ配列の選択である。この選択は、任意に、または、特定の基準を満たすシャーシの選択によってなすことができる。例えば、最も頻繁に提示される重鎖および軽鎖の生殖系列配列について、非冗長再構成抗体配列を含む電子データベースである、Kabatデータベースに照会することができる。BLAST検索アルゴリズム、またはSoDA(参照によりその全体が組み込まれる、Volpeら、Bioinformatics、2006年、22巻:438〜44頁)などのより特化されたツールを、再構成された抗体配列を、V BASE2データベース(Retterら、Nucleic Acids Res.、2005年、33巻:D671〜D674頁)を用いて生殖系列配列と、またはヒトV、DおよびJ遺伝子の類似したコレクションと比較するために用いて、機能的抗体を生成するために最も頻繁に使われる生殖系列ファミリーを特定することができる。
本発明の特定の実施形態では、抗体ライブラリーは、重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメイン、またはそれらの部分を含む。これらのドメインの各々は、本明細書で提供される実施例でより完全に記載される特定の構成要素から構築される。特定の実施形態では、本明細書で記載されるライブラリーは、診断法および/または治療法として用いることができる、完全ヒト抗体を単離するために用いることができる。理論に束縛されないが、末梢血(例えば、ヒトの)で最も頻繁に見出されるものに最も類似するか同一の配列を有する抗体は、治療剤として投与される場合、免疫原性である可能性がより低いであろう。
ヒトIGHV生殖系列レパートリーに基づくVHシャーシ配列の選択および設計は、本明細書で提供される実施例の検討により、より明らかになる。本発明の特定の実施形態では、ライブラリーで使用するために選択されるVHシャーシ配列は、すべての機能的に発現されるヒトIGHV生殖系列配列に対応することができる。あるいは、1つまたは複数の基準によって、IGHV生殖系列配列を、ライブラリー中での提示について選択することができる。例えば、本発明の特定の実施形態では、選択されるIGHV生殖系列配列は、健康な成体、小児または胎児の末梢血から単離される抗体分子の間で最も高度に提示されるものであってよい。
本発明のいくつかの実施形態では、ライブラリーは、これらの配列の1つまたは複数、これらの配列の1つまたは複数の対立遺伝子変異体を含むことができるか、または、これらの配列の1つまたは複数と少なくとも約99.9%、99.5%、99%、98.5%、98%、97.5%、97%、96.5%、96%、95.5%、95%、94.5%、94%、93.5%、93%、92.5%、92%、91.5%、91%、90.5%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、77.5%、75%、73.5%、70%、65%、60%、55%または50%同一であるアミノ酸配列をコードすることができる。
本発明のいくつかの実施形態では、ライブラリーは、これらの配列の1つまたは複数、これらの配列の1つまたは複数の対立遺伝子変異体を含むことができるか、または、これらの配列の1つまたは複数と少なくとも約99.9%、99.5%、99%、98.5%、98%、97.5%、97%、96.5%、96%、95.5%、95%、94.5%、94%、93.5%、93%、92.5%、92%、91.5%、91%、90.5%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、77.5%、75%、73.5%、70%、65%、60%、55%または50%同一であるアミノ酸配列をコードすることができる。これらのシャーシのアミノ酸配列を、表5に示す。
IGHV生殖系列配列に基づく配列を有するVHシャーシの選択は、CDRH3配列の大きな多様性を支えることが予想されるが、ライブラリーへの組み入れのために選択される各シャーシのCDRH1および/またはCDRH2領域を含むアミノ酸残基を変更することによって、VHシャーシのさらなる多様性を生成することができる(実施例2を参照)。
本発明の軽鎖シャーシは、κおよび/またはλ軽鎖配列に基づくことができる。ライブラリーでの提示のための軽鎖可変(IGLV)生殖系列配列の選択の基礎をなす原理は、重鎖配列の選択のために使用されるもの(上で、および実施例1および2に記載される)に類似している。同様に、選択される重鎖シャーシに変動性を導入するために用いる方法を、軽鎖シャーシに変動性を導入するために用いることもできる。
本発明の特定の実施形態では、ライブラリーのVLシャーシは、IGKV生殖系列配列に基づく1つまたは複数のシャーシを含む。本発明の特定の実施形態では、ライブラリーのVLシャーシは、以下のIGKV生殖系列配列の1つまたは複数の約Kabat残基1〜約Kabat残基88を含むことができる:
本発明のいくつかの実施形態では、ライブラリーは、これらの配列の1つまたは複数、これらの配列の1つまたは複数の対立遺伝子変異体を含むことができるか、または、これらの配列の1つまたは複数と少なくとも約99.9%、99.5%、99%、98.5%、98%、97.5%、97%、96.5%、96%、95.5%、95%、94.5%、94%、93.5%、93%、92.5%、92%、91.5%、91%、90.5%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、77.5%、75%、73.5%、70%、65%、60%、55%または50%同一であるアミノ酸配列をコードすることができる。
本発明のいくつかの実施形態では、ライブラリーは、これらの配列の1つまたは複数、これらの配列の1つまたは複数の対立遺伝子変異体を含むことができるか、または、これらの配列の1つまたは複数と少なくとも約99.9%、99.5%、99%、98.5%、98%、97.5%、97%、96.5%、96%、95.5%、95%、94.5%、94%、93.5%、93%、92.5%、92%、91.5%、91%、90.5%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、77.5%、75%、73.5%、70%、65%、60%、55%または50%同一であるアミノ酸配列をコードすることができる。これらのシャーシのアミノ酸配列を、表11に示す。
本発明のいくつかの実施形態では、ライブラリーは、これらの配列の1つまたは複数、これらの配列の1つまたは複数の対立遺伝子変異体を含むことができるか、または、これらの配列の1つまたは複数と少なくとも約99.9%、99.5%、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%または50%同一であるアミノ酸配列をコードすることができる。
本発明のいくつかの実施形態では、ライブラリーは、これらの配列の1つまたは複数、これらの配列の1つまたは複数の対立遺伝子変異体を含むことができるか、または、これらの配列の1つまたは複数と少なくとも約99.9%、99.5%、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%または50%同一であるアミノ酸配列をコードすることができる。これらのシャーシのアミノ酸配列を、表14に示す。
重鎖のCDR3領域の多様性がほとんどの抗体特異性に十分であること(参照によりその全体が組み込まれる、XuおよびDavis、Immunity、2000年、13巻:27〜45頁)、および、既存の好結果のライブラリーが、多様化の主要な供給源としてCDRH3を用いて作製されたこと(その各々は参照によりその全体が組み込まれる、Hoogenboomら、J.Mol.Biol.、1992年、227巻:381頁;Leeら、J.Mol.Biol.、2004年、340巻:1073頁)は、当技術分野で既知である。DH領域およびN1/N2領域の両方が、CDRH3の機能的多様性に寄与することも知られている(その各々は参照によりその全体が組み込まれる、Schroederら、J.Immunol.、2005年、174巻:7773頁およびMathisら、Eur J Immunol.1995年、25巻:3115頁)。本発明の目的で、天然に存在するヒト抗体のCDHR3領域は、以下の5つのセグメントに分割することができる:(1)尾部セグメント、(2)N1セグメント、(3)DHセグメント、(4)N2セグメント、および(5)JHセグメント。下で例示するように、尾部、N1およびN2セグメントは存在してもよく、または存在しなくともよい。
本発明の特定の実施形態では、ライブラリーは、IGHD遺伝子生殖系列レパートリーに基づいて設計される1つまたは複数のセグメントを含む、CDRH3領域を含む。本発明のいくつかの実施形態では、IGHD遺伝子セグメントのインビボプロセシングを模倣するために、ライブラリーへの組み入れのために選択されるDHセグメントが、ヒトIGHD遺伝子の最も頻繁な使用、ならびにその順次N末端およびC末端欠失に基づいて選択、設計される。本発明のいくつかの実施形態では、ライブラリーのDHセグメントは、長さが約3〜約10個のアミノ酸である。本発明のいくつかの実施形態では、ライブラリーのDHセグメントは、長さが約0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のアミノ酸、またはそれらの組合せである。特定の実施形態では、本発明のライブラリーは、長さの広い分布(例えば、約0〜約10個のアミノ酸)を有するDHセグメントを含むことができる。他の実施形態では、DHの長さの分布が制限されてもよい(例えば、約1〜約5個のアミノ酸、約3個のアミノ酸、約3個および約5個のアミノ酸、その他)。ライブラリーの特定の実施形態では、最も短いDHセグメントは、約0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のアミノ酸であってよい。
本発明のいくつかの実施形態では、ライブラリーは、これらの配列の1つまたは複数、それらの対立遺伝子変異体を含むことができるか、または、これらの配列の1つまたは複数と少なくとも約99.9%、99.5%、99%、98.5%、98%、97.5%、97%、96.5%、96%、95.5%、95%、94.5%、94%、93.5%、93%、92.5%、92%、91.5%、91%、90.5%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、77.5%、75%、73.5%、70%、65%、60%、55%または50%同一であるアミノ酸配列をコードすることができる。
本発明の特定の実施形態では、ライブラリーへの組み入れのために選択されるDHセグメントには、以下のIGHD配列の1つまたは複数、またはそれらの誘導体(すなわち、任意の読み枠、ならびに任意の程度のN末端およびC末端の切断部分)が含まれる:IGHD3−10、IGHD3−22、IGHD6−19、IGHD6−13、IGHD3−03、IGHD2−02、IGHD4−17、IGHD1−26、IGHD5−5/5−18およびIGHD2−15。本発明のいくつかの実施形態では、ライブラリーは、これらの配列の1つまたは複数、それらの対立遺伝子変異体を含むことができるか、または、これらの配列の1つまたは複数と少なくとも約99.9%、99.5%、99%、98.5%、98%、97.5%、97%、96.5%、96%、95.5%、95%、94.5%、94%、93.5%、93%、92.5%、92%、91.5%、91%、90.5%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、77.5%、75%、73.5%、70%、65%、60%、55%または50%同一であるアミノ酸配列をコードすることができる。
本発明のいくつかの実施形態では、ライブラリーは、これらの配列の1つまたは複数、それらの対立遺伝子変異体を含むことができるか、または、これらの配列の1つまたは複数と少なくとも約99.9%、99.5%、99%、98.5%、98%、97.5%、97%、96.5%、96%、95.5%、95%、94.5%、94%、93.5%、93%、92.5%、92%、91.5%、91%、90.5%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、77.5%、75%、73.5%、70%、65%、60%、55%または50%同一であるアミノ酸配列をコードすることができる。
特定の実施形態では、これらの相対的出現は、末梢血で見出されるIGHD使用に類似したDH発生率を有するライブラリーを設計するために用いることができる。本発明の他の実施形態では、より長いかより短いDHセグメントに、または特定の組成のDHセグメントにライブラリーを偏らせることが好ましいであろう。他の実施形態では、ライブラリーのために選択されるすべてのDHセグメントを、同等の割合で用いることが望ましいであろう。
6個のIGHJ(連結)セグメント、IGHJ1、IGHJ2、IGHJ3、IGHJ4、IGHJ5およびIGHJ6がある。親セグメントおよび順次N末端欠失のアミノ酸配列を、表20(実施例5)に示す。IGHD遺伝子が経るN末端およびC末端欠失と同様に、エキソヌクレアーゼ活性による1つまたは複数のコドンのN末端「ニブリング」または順次欠失によって、天然の変化がIGHJ遺伝子に導入される。
本発明のいくつかの実施形態では、ライブラリーは、これらの配列の1つまたは複数、それらの対立遺伝子変異体を含むことができるか、または、これらの配列の1つまたは複数と少なくとも約99.9%、99.5%、99%、98.5%、98%、97.5%、97%、96.5%、96%、95.5%、95%、94.5%、94%、93.5%、93%、92.5%、92%、91.5%、91%、90.5%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、77.5%、75%、73.5%、70%、65%、60%、60%、55%または50%同一であるアミノ酸配列をコードすることができる。
ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)は、一本鎖か二本鎖のDNAの3’ヒドロキシル基への5’三リン酸の結合を触媒する、脊椎動物由来の高度に保存されている酵素である。したがって、その酵素は、鋳型非依存性ポリメラーゼとして作用する(各々参照によりその全体が組み込まれる、Koiwaiら、Nucleic
Acids Res.、1986年、14巻:5777頁;Basuら、Biochem.Biophys.Res.Comm.、1983年、111巻:1105頁)。インビボで、TdTは、抗体重鎖のV−DおよびD−J接合点へのヌクレオチドの付加の役割を担う(各々参照によりその全体が組み込まれる、AltおよびBaltimore、PNAS、1982年、79巻:4118頁;Collinsら、J.Immunol.、2004年、172巻:340頁)。具体的には、TdTは、D(多様性)領域に連なるN1およびN2(非鋳型化)セグメントを生成する役割を担う。
本発明のCDRH3ライブラリーは、最初のアミノ酸(特定の例示的な実施形態では、G、D、E)を含むかそれを含まず(本明細書で位置95と命名される)、続いて、N1、DH、N2およびH3−JHセグメントを含む。したがって、本発明の特定の実施形態では、CDRH3ライブラリーの全体的設計は、以下の式によって表すことができる:
[G/D/E/−]−[N1]−[DH]−[N2]−[H3−JH]。
[X]−[N1]−[DH]−[N2]−[H3−JH]、
上式で、[X]は、任意の、または無アミノ酸残基である。
本発明の他の実施形態では、CDRH3レパートリーは、上の図式で提供されるT残基が除外されている、以下の式によって表すことができる:
V、DおよびJ遺伝子のコレクションを記載する参考文献には、それぞれ参照によりその全体が組み込まれる、Scavinerら、Exp.Clin.Immunogenet.、1999年、16巻:243頁およびRuizら、Exp.Clin.Immunogenet、1999年、16巻:173頁が含まれる。
本出願全体で記載されるように、天然のCDRH3セグメントの組成の考慮に加えて、本発明は、天然のCDRH3セグメントの長さの分布も考慮する。Zemlinら(参照によりその全体が組み込まれる、JMB、2003年、334巻:733頁)およびLeeら(参照によりその全体が組み込まれる、Immunogenetics、2006年、57巻:917頁)による調査は、天然のCDRH3長の分析を提供する。これらのデータは、約95%の天然のCDRH3配列が、約7〜約23個のアミノ酸の長さであることを示す。特定の実施形態では、本発明は、天然のCDRH3配列のサイズ分布を直接模倣するCDRH3セグメントを有する、合理的に設計された抗体ライブラリーを提供する。本発明の特定の実施形態では、CDRH3の長さは、約2〜約30、約3〜約35、約7〜約23、約3〜約28、約5〜約28、約5〜約26、約5〜約24、約7〜約24、約7〜約22、約8〜約19、約9〜約22、約9〜約20、約10〜約18、約11〜約20、約11〜約18、約13〜約18、または約13〜約16個の残基の長さであってよい。
本発明のCDRL3ライブラリーは、いくつかの手法のうちの1つによって生成することができる。本発明の特定の実施形態で作製され、用いられるCDRL3ライブラリーの実際のバージョンは、ライブラリーの使用目的によって決まる。複数のCDRL3ライブラリーを、特定の実施形態で用いることができ、その例には、CDRH3多様性を含み、κおよびλ軽鎖が本発明の適用範囲内であるライブラリーが含まれる。
本発明の特定の実施形態では、軽鎖CDR3ライブラリーは、VKCDR3ライブラリーである。本発明の特定の実施形態は、最も一般的なVKCDR3長、9残基だけを用いることができる;この長さは、ヒトVKCDR3配列の優位な割合(約70%を超える)で出現する。長さ9個のヒトVKCDR3配列では、位置89〜95はIGKV遺伝子によってコードされ、位置96〜97はIGKJ遺伝子によってコードされる。ヒトκ軽鎖配列の分析は、IGKJ遺伝子の使用において強い偏りが存在しないことを示す。したがって、本発明の特定の実施形態では、5個のIGKJ遺伝子のそれぞれを同等の割合で提示し、(M VKシャーシ)×(5JK遺伝子)の組合せライブラリー、またはサイズM×5のライブラリーを作製することができる。しかし、本発明の他の実施形態では、例えばライブラリーのサイズを限定するか、または特定の特性を有することが既知であるIGKJ遺伝子の方へライブラリーに重み付けするために、IGKJ遺伝子提示を偏らせることが望ましいであろう。
これらの図式的な例示配列では、VK_シャーシは、本発明のライブラリーへの組み入れのために選択される任意のVKシャーシを表す(例えば、表11を参照)。具体的には、VK_シャーシは、選択されるIGKV配列の約Kabat残基1〜88を含む。L3−VKは、選択されるIGKV遺伝子によってコードされるVKCDR3の部分(この実施形態では、Kabat残基89〜95)を表す。F、L、I、R、W、YおよびPは、長さ9個のVKCDR3の位置96における最も一般的に出現する7個のアミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、JK*は、N末端残基のないIGKJアミノ酸配列(すなわち、N末端残基は、F、L、I、R、W、Y、PまたはXで置換される)である。したがって、必要最小限VKCDR3ライブラリーの1つの可能な実施形態では、各々がそれぞれのL3−VKと対にされている10個のVKシャーシ、位置96(すなわち、X)の7個のアミノ酸、および1つのJK*配列を利用することによって、70個のメンバーを生成することができた。ライブラリーの別の実施形態は、各々がそれぞれのL3−VKと対にされている10個のVKシャーシを、位置96の7個のアミノ酸、および全5個のJK*遺伝子と組み合わせることによって生成される、350個のメンバーを有することができる。ライブラリーのさらに別の実施形態は、各々がそれぞれのH3−JKと対にされている15個のVKシャーシを、位置96の15個のアミノ酸、および全5個のJK*遺伝子と組み合わせることによって生成される、1,125個のメンバーを有することができる、などである。当業者は、他の多くの組合せが可能であることを容易に認識するであろう。さらに、VKシャーシとL3−VKとの間の対合を維持することが、組成がヒトκ軽鎖配列により類似しているライブラリーをもたらすと考えられているが、L3−VK領域を異なるVKシャーシ領域と組み合わせて変化させ、追加の多様性を生成することもできる。
ヒトでのVKCDR3配列の優位な長さは約9個のアミノ酸であるが、VKCDR3配列のほぼ約30%に累積的に近づく他の長さが測定可能な頻度で出現する。詳細には、長さ8個および10個のVKCDR3は、代表的なサンプルでのVKCDR3長の、それぞれ約8.5%および約16%を表す(実施例6.2;図3)。したがって、より複雑なVKCDR3ライブラリーは、8、10および11個のアミノ酸のCDR長を含むことができる。そのようなライブラリーは、ヒトVKCDR3配列の集合で観察される長さの分布のより大きな割合を占めることができ、または、ヒトVKCDR3配列で頻繁に出現しないVKCDR3長(例えば、8個未満の残基または11個を超える残基)を導入することもできる。
遺伝子コードおよび縮重オリゴヌクレオチド合成の使用に固有の限界は、場合によっては、天然のその位置で見られるそれらのアミノ酸と比較して、VKCDR3の中の特定の位置で、より多くの、もしくはより少ないアミノ酸の組み入れを必要とするであろう(例えば、実施例6.2、表32)。この限界は、特定のアミノ酸をコードするオリゴヌクレオチドの正確な合成、および任意の位置に組み込まれる任意の特定のアミノ酸の割合に対するより微細な制御を可能にする、コドンに基づく合成手法(参照によりその全体が組み込まれる、Virnekasら、Nucleic Acids Res.、1994年、22巻:5600頁)を用いることにより克服することができる。実施例6.3は、この手法をより詳細に記載する。
本発明の必要最小限VλCDR3ライブラリーを設計するために用いる原理は、VKCDR3ライブラリーのために上で挙げるものに類似し、それらは、実施例でさらに詳細に説明される。本発明のVλCDR3ライブラリーと本発明のVKCDR3ライブラリーとの間の1つの差は、IGKV遺伝子と異なって、CDRL3(すなわち、L3−Vλ)へのIGVλ遺伝子の寄与が、一定数のアミノ酸残基に限定されないことである。したがって、位置96を含む、VK(L3−VKを含む)およびJKセグメントの組合せは、長さが9個の残基だけのCDRL3を与えるが、Vλ(L3−Vλを含む)およびJλセグメントだけが考慮される場合でも、VλCDR3ライブラリーの中で長さの変動を得ることができる。
本発明の特定の実施形態では、重鎖および軽鎖シャーシ配列ならびに重鎖および軽鎖CDR3配列は、合成されるものである。本発明のポリヌクレオチド配列は、さまざまな方法によって合成することができる。例えば、配列は、Feldhausら、Nucleic Acids Research、2000年、28巻:534頁;Omsteinら、Biopolymers、1978年、17巻:2341頁;およびBrennerおよびLerner、PNAS、1992年、87巻:6378頁(それぞれは参照によりその全体が組み込まれる)に記載のスプリットプールDNA合成によって合成することができる。
特定の実施形態では、本発明は、高効率の相同組換えを促進する、酵母細胞の固有の能力を活用する。酵母における相同組換えの機構およびその応用を、下で簡単に説明する。
(a)酵母細胞に、
(i)重鎖もしくは軽鎖シャーシ、FRM4の一部および定常領域をコードする直鎖化ベクターであって、直鎖化部位がシャーシのFRM3の末端と定常領域の開始部との間にあるベクター、および
(ii)線状二本鎖であるCDR3挿入ヌクレオチド配列のライブラリーであって、CDR3挿入配列の各々が、CDR3ならびに、相同組換えがベクターとCDR3挿入配列のライブラリーとの間で起こさせるために、直鎖化部位で(i)のベクターの末端に十分に相同である5’および3’に連なる配列をコードするヌクレオチド配列を含むライブラリーを形質転換するステップと、
(b)CDR3挿入配列がベクターに組み込まれるように、形質転換された酵母細胞内でベクターとCDR3挿入配列との間で相同組換えを起こさせて、完全長重鎖または軽鎖をコードするベクターを生成するステップと
を含む。
本明細書で記載される技術のいずれか、または他の適する技術によって生成されるポリヌクレオチドのライブラリーは、所望の構造および/または活性を有する抗体を特定するために、発現させることおよびスクリーニングすることができる。抗体の発現は、例えば、無細胞抽出物(および、例えば、リボソームディスプレイ)、ファージディスプレイ、原核細胞(例えば、細菌性ディスプレイ)または真核生物の細胞(例えば、酵母ディスプレイ)を用いて実行することができる。本発明の特定の実施形態では、抗体ライブラリーは、酵母で発現される。
上に述べたように、1つまたは複数の抗原への結合について、または生物活性について、本発明のライブラリーの抗体をスクリーニングすることを含む選択工程を通して、抗体リード物質を特定することができる。これらの抗体リード物質のコード配列は、最初の抗体リード物質との関係で多様性が導入されている二次性ライブラリーを生成するために、インビトロまたはインビボで、さらに突然変異させることができる。次に、突然変異を起こさせた抗体リード物質は、最初のライブラリーからの最初の抗体リード物質の選択のために用いられる手順に類似した手順に従って、標的抗原との結合または生物活性についてインビトロまたはインビボでさらにスクリーニングすることができる。最初の抗体リード物質のそのような突然変異誘発および選択は、抗原に対する親和性の漸進的増加を有する抗体を生成する哺乳動物で天然に存在する親和性成熟過程を効果的に模倣する。本発明の一実施形態では、CDRH3領域だけが突然変異を起こす。本発明の別の実施形態では、可変領域全体が突然変異を起こす。本発明の他の実施形態では、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2およびCDRL3の1つまたは複数に突然変異を起こさせることができる。本発明のいくつかの実施形態では、「軽鎖シャッフリング」を、親和性成熟プロトコルの一部として用いることができる。特定の実施形態では、これは、1つまたは複数の重鎖をいくつかの軽鎖と対合させて、抗体の親和性および/または生物活性を高める軽鎖を選択することを含むことができる。本発明の特定の実施形態では、1つまたは複数の重鎖と対にすることができる軽鎖の数は、少なくとも約2、5、10、100、1000、104、105、106、107、108、109または1010個である。本発明の特定の実施形態では、これらの軽鎖は、プラスミドによってコードされる。本発明の他の実施形態では、軽鎖を宿主細胞のゲノムに組み込むことができる。
本発明の特定の実施形態では、本発明のライブラリーは、設計された、非ランダムレパートリーを含み、そこでは、必ずしもすべての構成要素でなく、またはライブラリー全体ではなく、ライブラリーの特定の構成要素(例えば、CDRH3)の理論的多様性が、理論的ライブラリーの任意の所与のメンバーが、ライブラリー中に少なくとも特定の頻度(例えば、少なくとも1回、2回、3回、4回、5回またはそれ以上)でライブラリーの物理的実現で存在する、特定の程度の統計的信頼度(例えば、95%)が存在するレベルで、ライブラリーの物理的実現においてオーバーサンプリングされる可能性がある。
Res.、2008年、36巻:W281頁(それぞれは参照によりその全体が組み込まれる)に記載されている。
特定の実施形態では、本発明は、本明細書で教示されるポリヌクレオチドとハイブリダイズするポリヌクレオチド、または、本明細書で教示されるポリヌクレオチドの補体とハイブリダイズするポリヌクレオチドに関する。例えば、ハイブリダイゼーションおよび、低い、中間のまたは高いストリンジェンシー条件下での洗浄の後に、本明細書で教示されるポリヌクレオチドまたは本明細書で教示されるポリヌクレオチドの補体とハイブリダイズしたままである、単離されたポリヌクレオチドが本発明に包含される。
本出願全体で記載されるように、本発明のライブラリーは、特定の実施形態では、それらのヒト様配列組成および長さによって、ならびに、ライブラリーの特定の構成要素のすべてのメンバー(または場合によっては、オーバーサンプルさえ)を含むライブラリーの物理的実現を生成する能力によって識別される。本明細書で記載されるライブラリーの組合せ(例えば、CDRH3およびCDRL3ライブラリー)を含むライブラリーが、本発明に包含される。本明細書で記載されるライブラリーの部分を含むサブライブラリーも、本発明に包含される(例えば、特定の重鎖シャーシ中のCDRH3ライブラリーまたはCDRH3ライブラリーのサブセット)。当業者は、本明細書で記載されるライブラリーの各々がいくつかの構成要素(例えば、CDRH3、VH、CDRL3、VLなど)を有すること、および、これらの構成要素の多様性を変化させて、本発明の範囲内のサブライブラリーを生成することができることを容易に認識する。
本発明の特定の実施形態では、本発明のライブラリーのアミノ酸生成物(例えば、CDRH3またはCDRL3)を、代替足場の上に提示してもよい。これらの足場のいくつかは、抗体のそれらに匹敵する特異性および親和性を有する分子を生成することがわかっている。例示的な代替足場には、フィブロネクチン(例えば、AdNectin)、β−サンドイッチ(例えば、iMab)、リポカリン(例えば、Anticalin)、EETI−II/AGRP、BPTI/LACI−D1/ITI−D2(例えば、Kunitzドメイン)、チオレドキシン(例えば、ペプチドアプタマー)、プロテインA(例えば、Affibody)、アンキリンリピート(例えば、DARPin)、γB−クリスタリン/ユビキチン(例えば、Affilin)、CTLD3(例えば、Tetranectin)および(LDLR−Aモジュール)3(例えば、Avimers)から誘導されるものが含まれる。代替足場に関する追加の情報は、各々参照によりその全体が組み込まれる、Binzら、Nat.Biotechnol.、2005年、23巻:1257頁およびSkerra、Current Opin.in Biotech.、2007年、18巻:295〜304頁で提供される。
特定の実施形態では、本発明は、既知の重鎖CDR3配列で見出される配列多様性および長さ多様性を表す107〜108個のポリヌクレオチド配列を含む、合成免疫前ヒト抗体CDRH3ライブラリーを含む。
[G/D/E/−][N1][DH][N2][H3−JH]
によって表されるCDRH3をコードするポリヌクレオチド配列を含む合成免疫前ヒト抗体CDRH3ライブラリーを含み、上式で、[G/D/E/−]は長さが0〜1個のアミノ酸、[N1]は0〜3個のアミノ酸、[DH]は長さが3〜10個のアミノ酸、[N2]は長さが0〜3個のアミノ酸、および[H3−JH]は長さが2〜9個のアミノ酸である。
、および無からなる群より選択されるアミノ酸配列によって表される。
、および無からなる群より選択されるアミノ酸配列によって表される。
からなる群より選択される配列を含む。
[IGKV(1〜95)][F/L/I/R/W/Y][JK]。
からなる群、および、Kabatに従う、位置95を含む位置95までの前記群の切断物より選択される。
a)以下の通り、CDRH3配列によってコードされるCDRH3ポリヌクレオチド配列を選択すること:
{ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)によって優先的にコードされ、ヒトB細胞によって優先的に機能的に発現されるアミノ酸のうち10個未満からなる群より選択される0〜5個のアミノ酸}、続いて
{IGHDのすべての可能なN末端またはC末端の切断物単独、ならびに、N末端およびC末端の切断物のすべての可能な組合せ}、続いて
{TdTによって優先的にコードされ、ヒトB細胞によって優先的に機能的に発現されるアミノ酸のうち10個未満からなる群より選択される0〜5個のアミノ酸}、続いて
{DXWGまでのIGHJのすべての可能なN末端切断物であって、Xは、S、V、LまたはYである}、ならびに
b)化学合成によってa)に記載のCDRH3ライブラリーを合成することであって、合成免疫前ヒト抗体CDRH3ライブラリーが生成されること
を含む方法を含む。
{ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)によって優先的にコードされ、ヒトB細胞によって優先的に機能的に発現されるアミノ酸のうち10個未満からなる群より選択される0〜5個のアミノ酸}、続いて
{IGHDのすべての可能なN末端またはC末端の切断物単独、ならびに、N末端およびC末端の切断物のすべての可能な組合せ}、続いて
{TdTによって優先的にコードされ、ヒトB細胞によって優先的に機能的に発現されるアミノ酸のうち10個未満からなる群より選択される0〜5個のアミノ酸}、続いて
{DXWGまでのIGHJのすべての可能なN末端切断物であって、Xは、S、V、LまたはYである}。
a)抗体重鎖シャーシ、および
b)以下の通り、ヒトIGHDおよびIGHJ生殖系列配列に基づいて設計されるCDRH3レパートリー、
{ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)によって優先的にコードされ、ヒトB細胞によって優先的に機能的に発現されるアミノ酸のうち10個未満からなる群より選択される0〜5個のアミノ酸}、続いて
{IGHDのすべての可能なN末端またはC末端の切断物単独、ならびに、N末端およびC末端の切断物のすべての可能な組合せ}、続いて
{TdTによって優先的にコードされ、ヒトB細胞によって優先的に機能的に発現されるアミノ酸のうち10個未満からなる群より選択される0〜5個のアミノ酸}、続いて
{DXWGまでのIGHJのすべての可能なN末端切断物であって、Xは、S、V、LまたはYである}
を含むライブラリーを含む。
からなる群より選択される。
a)抗体重鎖シャーシ、および
b)合成免疫前ヒト抗体CDRH3ライブラリー
を含む。
例示的VHシャーシライブラリーの設計
この実施例は、本発明の例示的な、限定されないVHシャーシ配列の選択および設計を実証する。VHシャーシ配列を、ヒトIGHV生殖系列配列(Scaviner ら、Exp.Clin.lmmunogenet.、1999年、16巻:234頁; Tomlinson ら、J.Mol.Biol.、1992年、227巻:799頁; Matsudaら、J.Exp.Med.、1998年、188巻:2151頁、各々参照によりその全体が組み込まれる)のコレクションを調べることによって選択した。詳細な説明および下記において述べたように、これらのデータ供給源または他の供給源から、ライブラリーに包括するために、さまざまな基準を使用してVHシャーシ配列を選択できる。
現在例示されたライブラリーにおいて、17の生殖系列配列を、ライブラリーのVH シャーシにおける提示に選択した(表4)。下記により詳細に記載したように、これらの配列は、シャーシの構造的多様性および診療所で使用される抗体中の特定の生殖系列配列の提示を考慮して、成人の末梢血における比較的高い提示に基づいて選択した。これらの17の配列は、表4の結果を導くために使用された重鎖配列の全サンプルの約76%を占める。詳細な説明に要約したように、これらの基準は非限定的であり、当業者は、さまざまな他の基準もVHシャーシ配列の選択に使用でき、本発明が、表4に提示された17のVHシャーシ遺伝子を含むライブラリーに限定されないことを容易に認識するであろう。
ライブラリーのこの特定の実施形態では、IGHV2、IGHV6およびIGHV7生殖系列ファミリー中の配列に由来するVHシャーシは含まれなかった。詳細な説明において記載したように、この例示は、限定を意味するものではなく、いくつかの実施形態では、調査されていない可能性があるさらなる多様性を有するライブラリーを作製するため、またはこれらのIGHVファミリーの特性および可能性をより詳細に研究するために、これらのファミリーの1つまたは複数を含むことが、類似配列を有する抗体についての臨床的情報が特に利用可能になり望ましい場合がある。本発明のライブラリーのモジュール設計は、これらおよび他のVHシャーシ配列の導入を容易に可能にする。ライブラリーのこの特定の実施形態に利用する、IGHV生殖系列配列に由来するVHシャーシのアミノ酸配列を、表5に提示する。誘導手順の詳細を下記に提示する。
表5は、17のシャーシのアミノ酸配列を提供する。ヌクレオチドの欄において、対応する生殖系列ヌクレオチド配列の大部分は、2個の追加のヌクレオチド(すなわち、コドンの2/3)を3’末端に含む。ほとんどの場合、それらの2個のヌクレオチドはGAである。多くの場合ヌクレオチドは、IGHD遺伝子セグメントにより組み換える前にインビボでIGHV由来遺伝子セグメントの3’末端に付加される。任意の追加のヌクレオチドから、下記の2種のアミノ酸:Asp(コドンが
の場合)またはGlu(コドンが
の場合)の1つをコードするコドンが得られる。2個の3’末端ヌクレオチドの1つまたは双方は、最終的に再構成された重鎖配列において欠失されてもよい。Aのみが欠失された場合、得られたアミノ酸は非常に高い頻度でGである。双方のヌクレオチドが欠失された場合、この位置は「空」であるが、一般的なV−Dの付加またはIGHD遺伝子によりコードされるアミノ酸が続く。さらなる詳細を実施例5に提示する。FRM3(表5)のC末端のCARまたはCAKモチーフの後のこの最初の位置を、「尾部」と呼ぶ。ライブラリーの現在例示された実施形態では、この残基はG、D、Eであってもよく、または何も存在しなくてもよい。したがって、上(表5)に列挙した任意のシャーシに尾部を付加することは、下記の4種の概略的配列のうちの1種を作製でき、VHシャーシの後の残基が尾部である:
(1) [VH_シャーシ]−[G]
(2) [VH_シャーシ]−[D]
(3) [VH_シャーシ]−[E]
(4) [VH_シャーシ]
これらの構造はフォーマット:
[VH_シャーシ]−[G/D/E/−]
で表すこともでき、ハイフン記号(−)は空またはゼロの位置を示す。
CDRH1およびCDRH2内に変異を有するVHシャーシ変異体の設計
この実施例は、実施例1に示した各シャーシへのCDRH1およびCDRH2領域中に突然変異を起こすことによる、さらなる多様性のVHシャーシの導入を実証する。下記の研究方法を使用して、各シャーシに関するアミノ酸変異の位置および性質を選択した:まず、再構成されたヒト重鎖抗体配列間の配列同一性を分析し(Leeら、Immunogenetics、2006年、57巻:917頁;Jacksonら、J.Immunol.Methods、2007年、324巻:26頁)、それらを、それらの個々のIGHV生殖系列配列の起源により分類した。例示的な例として、データセット中の約200の配列はIGHV1−69生殖系列に非常に高い同一性を示し、それらがIGHV1−69に由来したと思われることを示した。次に、実施例1において選択された各生殖系列ファミリー中の、CDRH1およびCDRH2セグメント内の各位置におけるアミノ酸残基の出現率を確定した。VH1−69に関して、これらの出現率を表6および表7に例示する。第2に、可能であれば、置き換えとして中性および/または小型のアミノ酸残基が好ましかった。理論に束縛されないが、これらのアミノ酸残基の選択の理論的根拠は、CDR配列の多様性の表示に関してより柔軟であり、より立体的に遮蔽されていない状態を提供することが望ましい。
元の生殖系列配列を、表の2番目の行、残基番号のすぐ下に太字フォントで載せている(Kabat系)。表の項目は、所与のアミノ酸残基(第1列)が、表示のCDRH1(表6)またはCDRH2(表7)の位置において観察されている回数を示す。例えば、33位においてアミノ酸型G(グリシン)は、検査した一連のIGHV1−69−に基づく配列中に24回観察されている。したがって、上記の基準を用いて、変異体は31位がN、32位がL(いくつかの条件下でHに変化し得る)、33位がGおよびT、34位において変異体はなく、35位がNで構築されており、下記のVH1−69シャーシCDRH1−1アミノ酸変異体配列をもたらす:
同様に、表7を作成した分析は、VH1−69シャーシCDRH2に関する下記の1アミノ酸変異体配列の選択のための根拠を提供した:
類似の研究方法を使用して、他の選択シャーシの変異体を設計および構築し、各例示的シャーシの個々に関して得られた、CDRH1およびCDRH2の変異体を表8に載せる。当業者は、本明細書に記載の方法を用いて、他のVHシャーシおよびVLシャーシの変異体を作製できることを容易に認識するであろう。
詳細な説明において明記したように、他の基準を使用してどのアミノ酸が改変されるか、および得られた改変配列の同一性を選択できる。このことは、本発明の任意の重鎖シャーシ配列または任意の他の配列に当てはまる。上に要約した研究方法は例示的目的を意味し、限定されない。
例示的VKシャーシライブラリーの設計
この実施例は、例示的VKシャーシライブラリーの設計について説明する。当業者は、類似の原理を使用して、VλライブラリーまたはVKおよびVλシャーシの双方を含有するライブラリーを設計できることを認識するであろう。Vλシャーシライブラリーの設計を実施例4に提示する。
14の最も一般的に発生するIGKV生殖系列遺伝子(表9の列6の太字)は、末梢血中の全レパートリーの使用頻度の90%強を占める。表9の分析から、10のIGKV生殖系列遺伝子を現在例示されたライブラリー中のシャーシとしての提示のために選択した(表10)。V1−12およびV1−27を除くすべてが、最も一般的に出現する上位10の中にある。末梢血における出現率に関して10番目であったIGKV生殖系列遺伝子のVH2−30は、短鎖(すなわち、11または12残基長)CDRL1配列を含むシャーシの比率を、最終セットの10のシャーシにおいて約80%に維持するために、ライブラリーの現在例示された実施形態に含まなかった。V1−12は、その場所に含まれた。V1−17は、既に選択されたV1ファミリーの他のメンバーにより類似していた;したがって、V1−27が、V1−17の代わりに含まれた。他の実施形態では、ライブラリーは、12のシャーシ(例えば、表10の10種+V1−17およびV2−30)あるいは出現率(表9)または任意の他の基準により厳密に選択された任意の「N個の」シャーシの異なるセットを含むことができた。10種の選択されたVKシャーシは、全κ軽鎖のレパートリーの提示であると考えられるデータセット中の使用頻度の約80%を占める。
表10に列挙された選択されたVKシャーシのアミノ酸配列を、表11に載せる。
(実施例4)
例示的Vλシャーシライブラリーの設計
この実施例は、例示的Vλシャーシライブラリーの設計について説明する。実施例1〜3において既に実証されたように、VHおよびVKのシャーシ配列に関して、末梢血中のヒトIgλV生殖系列由来配列の、配列の特徴および出現率を分析した。生殖系列ファミリーに対して本明細書において説明された他の配列の指定と同様に、生殖系列ファミリーに対するVλ配列の指定を、SoDAおよびVBASE2を介して実施した(Volpe およびKepler、Bioinformatics、2006年、22巻:438頁;Mollovaら、BMS Systems Biology、2007年、1S:30頁、各々参照によりその全体が組み込まれる)。データを表12に提示する。
シャーシとしての役割を果たす、表12からの配列サブセットを選択するために、末梢血において1%未満で提示されるもの(付録Bに載せられたGIコードに対応する公開された配列の分析から推定)を、まず処分した。残りの18の生殖系列配列から、独特の基準構造およびCDRL3をもたらすこと、それぞれに関して出現率が上位の遺伝子ならびに5%を超えるレベルで提示される任意の生殖系列遺伝子を、例示的Vλシャーシを構築するために選択した。11のこのような配列のリストを下記の表13に示す。これらの11の配列は、検査したデータセット(付録B)中のレパートリーの約73%を提示する。
表13に列挙された、選択されたVλシャーシのアミノ酸配列を、下記の表14に載せる。
(実施例5)
CDRH3ライブラリーの設計
この実施例は、個々の構成要素からのCDHR3ライブラリーの設計について説明する。実際は、CDRH3配列は、IGHV、IGHDおよびIGHJと呼ばれる3種の異なる遺伝子の組換えを含む複合過程から導かれる。組換えに加えて、これらの遺伝子は、IGHV遺伝子の3’末端からIGHD遺伝子の末端および/またはIGHJ遺伝子の5’末端のいずれかへ順次ヌクレオチド欠失に供することもできる。非鋳型ヌクレオチドの付加は、V、DおよびJの配列間のジャンクションにおいても起こり得る。V−Dジャンクションにおける非鋳型付加は、「N1」と称され、D−Jジャンクションにおける非鋳型付加は、「N2」と称される。D遺伝子セグメントは、3つの順方向読み枠、いくつかの場合において、3つの逆方向読み枠において読み取ることができる。
DHセグメントの選択
本例示的実施例において、ライブラリーにおける使用のためのDH遺伝子セグメントの選択は、シャーシ配列の選択のために使用した原理と同様の原理に従って実施した。まず、IGHD遺伝子の使用頻度の分析は、Leeら、Immunogenetics、2006年、57巻:917頁;Corbettら、PNAS、1982年、79巻:4118頁;およびSouto−Carneiroら、J.Immunol.、2004年、172巻:6790頁(各々参照によりその全体が組み込まれる)からのデータを使用し、ヒト配列において最も高い頻度で観察されるそれらのIGHD遺伝子に与えられるライブラリーの提示を優先して実施した。第2に、IGHD遺伝子セグメントのいずれかの末端における欠失の程度を、SoDAアルゴリズム(Volpe ら、Bioinformatics、2006年、22巻:438頁、参照によりその全体が組み込まれる)および配列アラインメントを使用して、既知の重鎖配列と比較することによって評価した。現在例示されているライブラリーには、3個のアミノ酸と同程度に短い順次欠失されたDHセグメントを含んだ。詳細な説明に列挙されたように、本発明の他の実施形態は、さまざまな長さ、例えば、約1、2、4、5、6、7、8、9または10個のアミノ酸に欠失されたDHセグメントを含む。表15は、末梢血B細胞から主に単離されたヒト抗体重鎖配列におけるIGHD遺伝子の使用頻度の相対的出現率を示す(Leeら、Immunogenetics、2006年、57巻:917頁から適合したリスト、参照によりその全体が組み込まれる)。
天然に出現するヒト抗体に、3つの読み枠において見出される10の最も一般的に発現されるIGHD遺伝子配列の翻訳を表16に示す。末梢血において最も一般的に出現するそれらの読み枠を、灰色に強調してある。表15のように、IGHD配列の使用頻度に関するデータおよび読み枠の統計値は、Leeら、2006年から導き、IGHD配列の読み枠使用頻度に関するデータは、Corbettら、PNAS、1982年、79巻:4118頁およびSouto−Carneiro ら、J.Immunol.、2004年、172巻:6790頁から導かれるデータによってさらに補完し、これらは各々参照によりその全体が組み込まれる。
現在例示されているライブラリーにおいて、末梢血中に出現する重鎖配列に最も頻繁に使用される上位10種のIGHD遺伝子を、ライブラリー中の提示のために選択した。ライブラリーの他の実施形態は、より多いまたはより少ないD遺伝子を容易に利用できる。最も一般的に使用される読み枠を含む選択されたIGHD遺伝子のアミノ酸配列ならびに最小で3残基までN−およびC−末端が順次欠失された後の変異体総数を表17に挙げる。表17に表したように、特定のIGHD遺伝子の最も一般的に出現する対立遺伝子のみを、例示的ライブラリーに含んだ。しかしこのことは必要ではなく、本発明の他の実施形態は、末梢血においてあまり頻繁に出現しないIGHD読み枠も利用できる。
表17の選択された個々の配列に関して、3個のアミノ酸が残るまでN末端および/またはC末端から系統的に欠失することによって、変異体を作製した。例えば、上記のIGHD4−17_2に関して、完全配列DYGDY(配列番号_)を使用して順次欠失変異体:DYGD(配列番号_)、YGDY(配列番号_)、DYG(配列番号_)、GDY(配列番号_)およびYGD(配列番号_)を作製できる。一般的に、サイズNの任意の完全長配列に関して、元の完全配列を含めて計(N−1)*(N−2)/2の総変異体が存在することになる。IGHD2−2およびIGHD2−15、(すなわち、IGHD2−2_2およびIGH2−15_2)の双方の読み枠2により例示されるように、ジスルフィド−ループ−コードセグメントに関してループが無傷であるように順次欠失は制限され、すなわちN末端から最初のCysまで、またはC末端から第2のCysまでのアミノ酸だけが個々のDHセグメント変異体において欠失された。前述の戦略を使用して、ライブラリーの例示されたバージョンにおいて不対システイン残基の存在を避けた。しかし、詳細な説明において述べたように、ライブラリーの他の実施形態は、不対システイン残基またはこれらのシステイン残基と他のアミノ酸との置換を含んでもよい。IGHD遺伝子の切断物がCys残基の存在により制限される場合、9種の変異体(元の完全配列を含む)のみを作製した、例えば、IGHD2−2_2に関して、変異体は、:GYCSSTSCYT(配列番号_)、GYCSSTSCY(配列番号_)、YCSSTSCYT(配列番号_)、CSSTSCYT(配列番号_)、GYCSSTSC(配列番号_)、YCSSTSCY(配列番号_)、CSSTSCY(配列番号_)、YCSSTSC(配列番号_)およびCSSTSC(配列番号_)である。
のいずれかから、またはIGHD3−22_2(配列番号_)
から2つの異なる方法で得ることが可能である。重複配列を除去した場合、ライブラリーの本例示的実施形態中の独特のDHセグメント配列の数は278である。これらの配列を表18に列挙する。
表19は、上記の方法に従って選択された278のDHセグメントの長さの分布を示す。
上に明記したように、本出願において定義されたCDRH3番号付けシステムに基づき、IGHD由来アミノ酸(すなわち、DHセグメント)は、97位から始まり番号付けされ、97A位、97B位などが続く。ライブラリーの現在例示されている実施形態では、最も短いDHセグメントは、3個のアミノ酸:97、97Aおよび97Bを有し、一方最も長いDHセグメントは10個のアミノ酸:97、97A、97B、97C、97D、97E、97F、97G、97Hおよび97Iを有する。
H3−JHセグメントの選択
6種のヒト生殖系列のIGHJ遺伝子がある。抗体遺伝子のインビボ組み立ての間、これらのセグメントを、それらの5’末端から順に欠失する。ライブラリーのこの例示的実施形態では、13アミノ酸程の長さのJHセグメントをもたらす、欠失のないまたは(アミノ酸レベルで)1、2、3、4、5、6、または7個が欠失したIGHJ遺伝子セグメントを含んだ(表20)。IGHJ遺伝子セグメントを順次欠失し、15、14、12または11アミノ酸をもたらす、(それらの5’/N末端において)本発明の他の実施形態もまた企図される。
本出願のCDRH3番号付けシステムに従って、例えば、JH6_1がCDRH3にもたらすものは、99F、99E、99D、99C、99B、99A、100、101および102位(それぞれY、Y、Y、Y、Y、G、M、DおよびV)により示されるであろう。同様に、JH4_3配列は、CDRH3にアミノ酸位101および102(それぞれDおよびY)をもたらす。しかし、例示されたライブラリーのすべての場合において、JHセグメントは、抗体の可変領域のための標準的Kabat番号付けシステム(Kabat、前引用書、1991年)に一致して、アミノ酸103〜113をFRM4領域にもたらす。このことは、ライブラリーの他の実施形態ではそうとは限らない。
N1およびN2セグメントの選択
(上に例示したような)順次欠失の天然に存在する過程の模倣により促進されたV−D−J組換えの考慮は非常に大きな多様性を生み出すことができるが、インビボCDRH3配列の多様性は、V−DジャンクションおよびD−Jジャンクションにおいてさまざまな数のヌクレオチドの非鋳型付加によりさらに増幅される。
(実施例5.3.1)
N1セグメントの選択
VおよびDの間のジャンクションに位置する、同定されたN1セグメントの分析により、8種の最も頻繁に出現するアミノ酸残基がG、R、S、P、L、A、TおよびVであることが明らかになった(表21)。N1セグメントにおけるアミノ酸の付加数は、高い頻度で0、1、2または3であった(図2)。4個以上のアミノ酸の付加は、比較的稀であった。したがって、ライブラリーの現在例示された実施形態では、N1セグメントは、0、1、2または3個のアミノ酸を含むように設計した。しかし、他の実施形態では、4、5またはそれ以上のアミノ酸のN1セグメントもまた利用できる。GおよびPは、常にN1領域において最も一般的に出現するアミノ酸残基の1つであった。したがって、ライブラリーの本例示的実施形態では、ジペプチドであるN1セグメントは、GX、XG、PX、またはXPの形態であり、Xは、上に挙げた8種の最も一般的に発生するアミノ酸のいずれかである。G残基がP残基より頻繁に観察されたという事実により、例示的N1ライブラリーのトリペプチドメンバーは、GXG、GGXまたはXGGの形態を有し、再度Xは、上に挙げた8種の最も頻繁に発生するアミノ酸残基の1つである。ライブラリーの本例示的実施形態に使用する、「ゼロ」付加を含む得られたN1配列のセットは、表24に挙げた59の配列になる。
本出願のCDRH3番号付けシステムに従って、表24に列挙された配列は、下記の位置をCDRH3にもたらす:単量体は96位、二量体は96および96A、ならびに三量体は96、96Aおよび96Bをもたらす。代替の実施形態では、四量体およびそれより長いセグメントがN1配列に含まれ得る場合、対応する数は、96Cなどを含むように続くであろう。
N2セグメントの選択
同様に、DおよびJの間のジャンクションに位置する、同定されたN2セグメントの分析により、8種の最も頻繁に出現するアミノ酸残基がまた、G、R、S、P、L、A、TおよびVであることが明らかになった(表22)。N2セグメントにおけるアミノ酸の付加数もまた、高い頻度で0、1、2または3であった(図2)。例示的ライブラリーにおけるN2セグメントの設計のために、拡大されたセットの配列を利用した。具体的には、N1に関する表24に列挙された59の配列に加えて、表25の配列を使用した。
したがって、ライブラリーの目下例示された実施形態は、「ゼロ」状態を含むN2配列を総数141含有する。当業者は、これらの141の配列がN1領域においても使用でき、このような実施形態は本発明の範囲内であることを容易に認識するであろう。さらに、N1およびN2配列の長さおよび組成の多様性は、天然に存在する抗体のN1およびN2領域に、G、R、S、P、L、A、TおよびVより出現の頻度が低いアミノ酸を利用すること、および4、5またはそれ以上のアミノ酸のN1およびN2セグメントをライブラリーに含むことによりさらに広がり得る。表21から23および図2は、天然の組成および長さを模倣するさらなるN1およびN2領域の設計に有用な天然に存在する抗体における、N1およびN2配列の組成および長さについての情報を提供する。
CDRH3ライブラリー
「尾部」(すなわち、G/D/E/−)を考える場合、例示されたライブラリー中のCDRH3は、一般式:
[G/D/E/−]−[N1]−[DH]−[N2]−[H3−JH]
で表すことができる。
(実施例6)
VKCDR3ライブラリーの設計
この実施例は、多くの例示的VKCDR3ライブラリーの設計について説明する。詳細な説明の項に明記したように、本発明の特定の実施形態では作製されたまたは本発明の特定の実施形態に使用されたVKCDR3ライブラリーの実際のバージョン(複数可)は、ライブラリーの使用目的に依存するであろう。この実施例において、軽鎖可変領域に関するKabat番号付けシステムを使用した。
必要最小限VKCDR3ライブラリー
この実施例は、「必要最小限」VKCDR3ライブラリーの設計について説明し、VKCDR3のレパートリーは、9残基長に制限する。ヒト配列のVKCDR3の長さの検査により、CDRL3:89から97位のKabatの定義内で9アミノ酸が優勢な比率(70%を超える)であることが示される。したがって、現在例示された必要最小限の設計は、長さ9のVKCDR3のみであると考えられる。ヒトκ軽鎖配列の検査により、IGKJ遺伝子の使用頻度に強いバイアスはなく、ヒトにおいてIKJ遺伝子などの5つが存在することが示される。表27は、3種のデータセット、つまりJuulら(Clin.Exp.Immunol.、1997年、109巻:194頁、参照によりその全体が組み込まれる)、KleinおよびZachau(Eur.J.Immunol.、1993年、23巻:3248頁、参照によりその全体が組み込まれる)および付録Aに提供されたκ軽鎖のデータセット(標識LUA)の中のIGKJ遺伝子の使用頻度を表す。
したがって、「M」個のVKシャーシおよび5つのIGKJ遺伝子の単純な組合せによりサイズM×5個のライブラリーが作製されるであろう。9個の長さのVKCDR3に関するKabatの番号付けシステムにおいて、アミノ酸番号96は、IGKJ遺伝子により最初にコードされる。ヒト配列においてこの位置を占めるアミノ酸の検査により、7種の最も一般的な残基がL、Y、R、W、F、PおよびIであり、96位において見出される残基の約85%を累積的に占めることが示された。残りの13アミノ酸が他の15%を占める。96位における20種のアミノ酸すべての出現を、表28に提示する。
96位において最も一般的に見出される7種の残基の起源を確定するために、既知のヒトIGKJアミノ酸配列を検査した(表29)。
理論に束縛されないが、再構成されたヒト配列の96位において見出される、最も一般的に出現する7種のアミノ酸の5種は、5種のヒトIGKJ遺伝子つまり、W、Y、F、LおよびIそれぞれによってコードされる最初のアミノ酸が起源であると思われる。
によりコードされる。理論に束縛されないが、1つのヌクレオチドが
からC(CGGが得られる)またはA(AGGが得られる)に変化すると、Arg(R)をコードするコドンがもたらされる。Gへの変化(GGGが得られる)はGly(G)をコードするコドンをもたらす。RはGの約10倍の頻度でヒト配列の96位に出現し(IGKJ遺伝子がIGKJ1の場合)、RはCGGによりコードされる頻度がAGGより高い。したがって、理論に束縛されないが、CはIGKV遺伝子の末端の、前述の2つのCの1つを起源とする可能性がある。しかし、出現の機序(複数可)にかかわらず、VKCDR3の長さが9である場合、RおよびPは96位において最も高い頻度で観察されるアミノ酸型の1つである。したがって、必要最小限VKCDR3ライブラリーは、下記のアミノ酸配列:
により表すことができる。
により表される配列を有することができる。
約105の複雑性のVKCDR3ライブラリー
この実施例において、実施例6.1に記載の9残基のVKCDR3レパートリーを、8および10残基の長さのVKCDR3を含むように拡大する。さらに、先に列挙されたVKCDR3ライブラリーはVKシャーシおよびVKCDR3に貢献しないIGKJ遺伝子の一部を含んだが、目下例示されたバージョンはVKCDR3の一部を含む残基のみに焦点を合わせる。例えば、既にVKシャーシ配列および定常領域配列を含むベクターを用いた組み換えが望ましい場合、この実施形態は好ましいことがある。
例えば、89位において2種のアミノ酸、QおよびLが、観察された変動性の約99%を占め、したがって現在例示されたライブラリー(下記を参照されたい)において、89位にはQおよびLのみが含まれた。当然のことながら、より大きなライブラリーにおいて、追加の、出現頻度がより低いアミノ酸型(例えばH)もまた含むことができる。
実施例のようにVK1−39シャーシおよび長さ9のVKCDR3を使用して、VKCDR3ライブラリーを下記の4種のオリゴヌクレオチドにより表すことができ(表32の左の列)、CDRL3(Kabatの番号付け)の各位置においてコードされる対応するアミノ酸を右の列に示す。
例えば、Kabatの89位に対応する表32の最初のヌクレオチドの最初のコドン(CWG)は、50%はCTGおよび50%はCAGを表し、それぞれLeu(L)およびGln(Q)をコードする。したがって、発現ポリペプチドは、それぞれ約50%の確率でLおよびQを有することが期待されるであろう。同様に、4番目のオリゴヌクレオチドのKabatの95A位に関して、コドンCBTはCCT、CGTおよびCTTを1/3ずつ表し、翻訳において順にPro(P)、Leu(L)およびArg(R)が1/3ずつ対応する。ペプチド配列の各位置において利用可能な選択肢の数を掛けることによって、ペプチドの空間に各オリゴヌクレオチドによってもたらされる複雑性を得ることができる。上記のVK1−39の例に関して、数は最初の3種のオリゴヌクレオチドに関しては864、4番目のオリゴヌクレオチドに関しては1,296である。したがって、長さ9のVK1−39CDR3をコードするオリゴヌクレオチドは、3,888のメンバーをライブラリーにもたらす。しかし、表32に示すように、95A位にLまたはRを有する配列(96位が空である場合)は、96位にLまたはRを有する(および95Aが空の)配列と同一である。したがって、3,888という数はもたらされるLRを過大評価しており、独特のメンバーの実際の数はわずかに少なく、3,024である。表33に表すように、10のVKシャーシすべてに関するサイズ8、9および10のVKCDR3を表すオリゴヌクレオチドの完全なリストのために、サイズ9のVKCDR3にもたらされたLRを過剰に数えたことを補正した後の、全体の複雑性は約1.3×105または1.2×105の独特の配列である。
(実施例6.3)
より複雑なVKCDR3ライブラリー
この実施例は、コドンに基づく合成の研究方法(Virnekas ら、Nucleic Acids Res.、1994年、22巻:5600頁)により、どのようにして各位置のアミノ酸変異のより信頼できる提示を得ることができるかを実証する。この合成スキームは、位置に含まれる特定のアミノ酸の割合のより細かい調整もまた可能にする。例えば、VK1−39配列に関して上に記載したように、89位は50%のQおよび50%のLとして設計されたが、表30は、QがLよりはるかに高い頻度で使用されることを示す。本実施例のより複雑なVKCDR3ライブラリーは、QおよびLの異なる相対的出現率、例えば90%のQおよび10%のLを占める。このような調整は、コドンに基づく合成スキームの中で、特に複数のアミノ酸型が考えられる場合によく実行される。
表34のライブラリーは、1.37×106の独特のポリペプチド配列を有し、計算は表の最下行の数字を掛けることによって行った。
の記入は、VKCDR3中にN結合型グリコシル化部位を有する可能性が最小または排除された領域を表す。XおよびZがPではないN−X−(SまたはT)−Zのパターンのペプチド配列は、酵母および哺乳動物細胞を含む多くの発現系において翻訳後修飾を受けることができる。さらに、このような修飾の特性は特定の細胞型に依存し、所与の細胞型についても、培養条件に依存する。調整が困難であり得る因子により抗体の機能が影響され得るので、N結合型グリコシル化は、抗原結合に関与すると思われる抗体分子の領域(例えばCDR)において起こった場合不利であり得る。例えば、上記の91位を考えると、92位は決してPではないことが観察できる。94位は95%の事例でPではない。しかし、93位は75%(65+10)の事例でSまたはTである。したがって、91位がNであるとすると、望ましくないモチーフのN−X−(T/S)−Z(XおよびZは双方ともPとは異なる)が作製され、実際のヒト配列においていくらかの頻度でNが観察されたとしても、したがって出現率0となる(表30を参照されたい)。同様の議論が92位および94位のNにも当てはまる。しかし、抗体ライブラリーが、細菌などのN結合型グリコシル化が不可能な系、またはN結合型グリコシル化が起こらない培養条件下において発現された場合、この考えを当てはめることはできないことを理解するべきである。しかし、潜在的なN結合型グリコシル化部位を有するライブラリーの発現に使用される生物が、N結合型グリコシル化不可能である場合でも(例えば、細菌)、このようなライブラリーから単離された抗体は、異なる系(例えば酵母、哺乳動物細胞)において後に(例えば臨床開発に向けて)発現でき、可変ドメイン、特にCDR中の炭水化物部分の存在が活性の望まない修正をもたらし得るので、N−X−(S/T)配列を避けることは依然として望ましい場合がある。これらの実施形態もまた、本発明の範囲内である。本発明者らの知るかぎりでは、当分野において既知のVKCDR3ライブラリーはこの効果を考慮せず、したがってそれらのメンバーの比率は上述の望ましくない性質を有し得る。
長さ8のVK1−39ライブラリー中の独特のメンバーの総数は、こうして前述のように得ることができ、3.73×105(すなわち、3×3×4×6×8×8×9×3)である。同様に、長さ10のVK1−39ライブラリーの複雑性は10.9×106である(すなわち、挿入位置95Aにおける追加の8倍の変異があるので、サイズ9のライブラリーの複雑性の8倍である)。したがって、明記された長さそれぞれに関する独特のメンバーの数を足すことによって得られるように、総計12.7×106の独特のメンバーが全VK1−39ライブラリー中に存在することになる。本発明の特定の実施形態では、長さ8、9および10の個別のサブライブラリーを別々に作製し、その後ヒト配列中のVKCDR3の長さの分布を反映する比率で、例えば、天然のVKCDR3配列において起こる1:9:2の分布に近い比率でサブライブラリーを混合することが好ましい場合がある(図3を参照されたい)。本発明は、通常の技術を有する者に、他のVKシャーシに対応するVKCDR3ライブラリーを合成するための組成および方法を提供する。
必要最小限VλCDR3ライブラリー
この実施例は、必要最小限VλCDR3ライブラリーの設計について説明する。このライブラリー(またはより複雑なVλライブラリー)の設計に使用する原理は、VKCDR3ライブラリーの設計に使用した原理と同様である。しかし、VK遺伝子とは違って、IgλVセグメントをCDRL3へもたらすことは、アミノ酸の固定数に制約されない。したがって、VλシャーシとJλ配列との組合せを考えるだけのときでさえ、長さの変異を必要最小限VλCDR3ライブラリーにおいて得ることができる。
IGλJ3−01およびIGλJ7−02は、分析された配列中に表されない、したがって、それらは表36に含まなかった。表36に例示するように、IGλJ1−01、IGλJ2−01およびIGλJ3−02は、それらの使用頻度において過分に表され、したがって表37において太字で示した。本発明のいくつかの実施形態では、例えば、これらの3種の過分表示の配列のみを利用できる。本発明の他の実施形態では、6種すべてのセグメント、6セグメントの任意の1、2、3、4または5種、あるいはそれらの任意の組合せを利用できる。
したがって、本発明の現在例示された実施形態におけるシャーシの最終セットは15であり、11は表14のシャーシによりもたらされ、追加の4つは表38のシャーシによりもたらされる。15のシャーシの対応するL3−Vλドメインは、7〜10個のアミノ酸をCDRL3にもたらす。IGλJ配列によりもたらされたアミノ酸を考慮に入れる場合、CDRL3の長さの全変異は8〜12アミノ酸であり、図4の分布に近づく。したがって、本発明のこの例示的実施形態では、必要最小限Vλライブラリーは、下記:15シャーシ×5のIGλJ由来セグメント=75配列により表すことができる。ここで、15のシャーシは、Vλ1−40、Vλ1−44、Vλ1−51、Vλ2−14、Vλ3−1*、Vλ3−19、Vλ3−21、Vλ4−69、Vλ6−57、Vλ5−45、Vλ7−43、Vλ1−40+、Vλ3−19+、Vλ3−21+およびVλ6−57+である。5IGλJ由来セグメントは、YVFGGGTKLTVL(IGλJ1)、VVFGGGTKLTVL(IGλJ2)、WVFGGGTKLTVL(IGλJ3)、AVFGGGTKLTVL(IGλJ)、および−VFGGGTKLTVL(前記配列のいずれかから)である。
「参照」抗体とのマッチング
当分野で既知である、対象となるヒト抗体のCDRH3配列(例えば、診療所で使用される抗体)は、本発明において設計されたライブラリー中に近い対応物を有する。臨床的に関連のある抗体に由来する、一連の15のCDRH3配列を表39に提示する。
上記の個々の配列を、実施例5のライブラリーの個々のメンバーと比較し、同じ長さを有し、不一致のアミノ酸の数が最も少ないメンバーまたは複数のメンバーを記録した。結果を下記の表40に要約する。大部分の事例において、80%またはより高い同一性を有する一致するものを、例示されたCDRH3ライブラリーに見出した。理論に束縛されないが、これらの抗体の個々の特異性および結合親和性が、それらのCDRH3配列により影響される範囲まで、これらのライブラリーの1つまたは複数のメンバーは関連標的に対する測定可能な親和性を有することができる。
約108の異なるメンバーを有するライブラリーの物理的実現物が、実際に個々の1つのメンバーを含むことができるならば、対象となる抗体と同一性のパーセントが近い配列がライブラリーの物理的実現物に存在するであろう。この実施例はまた、当分野のライブラリーより優れた本発明のライブラリーの多くの違いの1つ、つまり本発明のライブラリーのメンバーは正確に列挙できることを強調する。対照的に、当分野において既知のCDRH3ライブラリーは、本明細書に記載の方法で明白に列挙できない。例えば当分野において既知の多くのライブラリー(例えば、Hoetら、Nat.Biotechnol.、2005年、23巻:344頁;Griffiths ら、EMBO J.、1994年、13巻:3245頁;Griffithsら、EMBO J.、1993年、12巻:725頁;Marksら、J.Mol.Biol.、1991年、222巻:581頁、各々参照によりその全体を組み込む)は、天然のヒトCDRH3配列のクローニングによって生じ、それらの正確な組成は特徴付けられておらず、一覧表は排除されている。
DH、N2およびH3−JHセグメントをコードするオリゴヌクレオチドのスプリットプール合成
この実施例は、本発明の例示的ライブラリーを構築するために使用するオリゴヌクレオチドを合成するために使用する手順を要約する。Custom Primer Support(商標)200dT40S樹脂(GE Healthcare)を使用して、約39μmol/gの樹脂の装填を使用してオリゴヌクレオチドを合成した。カラム(直径=30μm)およびフリットはBiosearch Technologies,Inc.から購入した。30μLのカラムベッド容量を合成に使用し、各カラムに120nmolの樹脂を装填した。ジクロロメタン(DCM)およびメタノール(MeOH)の、比率400/122(v/v)の混合物を使用し、樹脂を装填した。オリゴヌクレオチドを、Dr.Oligo(登録商標)192オリゴヌクレオチド合成装置および標準的ホスホロチオエート化学を使用して合成した。
CDRH3および重鎖ライブラリーの構築
この実施例は、本発明の例示的CDRH3および重鎖ライブラリーを作製するために使用する手順を要約する。2ステップの方法を使用してCDRH3ライブラリーを作製した。第1ステップは尾部およびN1セグメントをコードする一連のベクターの組み立てを含み、第2ステップはDH、N2およびH3−JHセグメントをコードするオリゴヌクレオチドを作製するための、実施例9に要約したスプリットプール核酸合成手順の利用を含んだ。その後、化学的に合成したオリゴヌクレオチドをベクターに連結し、本明細書に記載の番号付けシステムに基づき、CDRH3残基95〜102を得た。その次に、このCDRH3ライブラリーをPCRによって増幅し、実施例1および2に記載の重鎖シャーシ変異体を含む複数のベクターに組み換えた。CDRH1およびCDRH2の変異体を、実施例1の10の重鎖シャーシをコードするオリゴヌクレオチドを鋳型として使用して、QuikChange(登録商標)Mutagenesis(Stratagene(商標))によって作製した。重鎖シャーシおよび定常領域を含むベクターを用いたCDRH3の組換えで、完全長重鎖を形成できるように、重鎖シャーシに加えて、複数のベクターは、IgG1由来の重鎖定常領域(すなわち、CH1、CH2およびCH3)を含んだ。この例示的実施形態では、完全長重鎖を作製するための組換え、および完全長重鎖の発現の双方をS.cerevisiaeにおいて実施した。
尾部およびN1領域をコードするベクターの合成
この実施例は、CDRH3の尾部およびN1領域をコードする424のベクターの合成を実証する。本発明のこの例示的実施形態では、尾部はG、D、Eまたは何もないことに制限され、N1領域は表24に示された59の配列に制限された。本明細書を通して記載したように、多くの他の実施形態が可能である。
として表すことができる配列をコードする挿入物を含み、SSは、28のIGHJセグメントのC末端の共通部分であり、CH1〜はIgG1由来のCH1定常領域の一部、つまり:ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLG(配列番号_)
である。
で表すことができる複数の配列をコードし、〜FRM3は、表5の17の重鎖シャーシの1つに由来するFRM3領域のC末端部分を表し、G/D/E/−はG、D、Eまたは何もないことを表し、N1は表24に列挙された59のN1配列の1つを表す。本明細書を通して記載したように、本発明は、表5に例示したシャーシ、それらのCDRH1およびCDRH2変異体(表8)、この実施例に使用する4種の例示的尾部の選択肢または表24に提示した59のN1セグメントに限定されない。
AISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAK(配列番号_)
の配列をコードするより、大きなオリゴヌクレオチドを、〜FRM3に関して使用した。
この例示的実施形態では、選択可能なマーカータンパク質はccdBであり、II型制限酵素認識部位は、BsrDIおよびBbsIに特異的である。E.coliの特定菌株において、ccdBタンパク質は毒性であり、その結果、遺伝子が存在する場合、これらの細菌の成長を防ぐ。
尾部としてのD残基および長さゼロのN1セグメントを含む、他の16のシャーシの1つに基づく〜FRM3領域を含む、212のベクターの1つの例を下記に提示する。
全424のベクターを配列検証した。[DH]−[N2]−[H3−JH]断片のクローニング前後の、424のベクターの内容の略図を、図5に提示した。下記はVH3−23由来のFRM3領域を含む、424のベクターの1つに由来する例示的配列である。
(実施例10.2)
DH、N2、H3−JHセグメントをコードするオリゴヌクレオチドの、尾部およびN1セグメントを含むベクターへのクローニング
この実施例は、[D]−[N2]−[H3−JH]セグメント(スプリットプール合成を介して作製;実施例9)をコードするオリゴヌクレオチドの、実施例10.1において作製された424のベクターへのクローニングを説明する。要約すると、スプリットプール合成を介して作製された[DH]−[N2]−[H3−JH]オリゴヌクレオチドをPCRにより増幅し、二本鎖オリゴヌクレオチドを作製し、ベクター上の制限部位(すなわち、BsrDIおよびBbsI)に相補的なオーバーハングを作製する制限部位を導入し、スプリットプール合成において合成されなかったIGHJセグメントの3’部分を完了させる。増幅されたオリゴヌクレオチドをその後、制限酵素BsrDI(DHセグメントの隣で切断する)およびBbsI(JHセグメントの終わり近くで切断する)を用いて消化した。切断されたオリゴヌクレオチドを、その後精製し、既にBsrDIおよびBbsIにより消化されている424のベクターに連結した。連結後、反応物を精製し、エタノール沈殿させ、再可溶化させた。
最初の10個のヌクレオチド(ATGCACAGTT;配列番号:_)は、PCR増幅ステップにおいて20塩基対に増加されたランダムな配列の一部を表す、下記。配列のこの部分は、BsrDI消化の効率を上昇させ、オリゴヌクレオチドの下流精製を促進する。
増幅は、Taqポリメラーゼを使用して標準条件下で実施した。オリゴヌクレオチドを、さまざまな長さの配列の提示を維持するように8周期増幅した。鎖の溶解は、95℃において30秒、アニーリングは58℃において15秒、伸長時間は72℃において実施した。
5’からアニーリング部分までであるTGプライマーの部分は、上記のランダムな10塩基対を含む。5’からアニーリング部分までであるJH6プライマーの部分は、JH6セグメントのバランスおよびBbsI制限部位を含む。下記のPCR産物(配列番号_)は、この反応において形成される(付加配列に下線を引いた):
その後、各反応からのPCR産物を、反応に使用した順方向プライマーに基づき、5種のプールに組合せ、BsrDI消化の後で、配列のセットを作製し、同じ2塩基のオーバーハングを得た。その後、PCR産物の5種のプールを、BsRDIおよびBbsl(100μgのPCR産物;1mLの反応液量;200UのBbsl;100UのBsrDl;2時間;37℃;NEBバッファー2)を用いて消化した。消化されたオリゴヌクレオチドを、フェノール/クロロホルムで2回抽出し、エタノール沈殿させ、短時間風乾し、300μLのTEバッファー中に4℃において一晩放置することによって再可溶化した。
424のベクター由来のCDRH3のPCR増幅
この実施例は、上記の424のベクター由来のCDRH3領域のPCR増幅について説明する。上に説明したように、424のベクターは、2個のセットを表し、1つはCAKで終わるFRM3を含むVH3−23ファミリー(212ベクター)および1つはCARで終わるFRM3を含む他の16のシャーシ(212ベクター)を表す。VH3−23に基づくベクター中のCDRH3を、プラスミドのCH1領域の一部を認識する逆方向プライマー(EK137;表41を参照されたい)およびVH3−23特異的プライマーのEK135(表41を参照されたい)を使用して増幅した。CARで終わるFRM3を含む212のベクターに由来するCDRH3の増幅を、同じ逆方向プライマー(EK137)および表41に示すFRM3特異的プライマーのそれぞれ(EK139、EK140、EK141、EK143およびEK144)を使用して実施した。したがって、212のVH3−23の増幅および212×5のFRM3のPCR反応、計1,272の反応を実施した。追加のPCR反応により、212のVH3−23に基づくベクター由来のCDRH3を、EK133順方向プライマーを使用して増幅し、アンプリコンが他の5つのVH3ファミリーメンバーのシャーシに、これらのシャーシの最後の3個のアミノ酸を、元のCAR(VH3−23*)の代わりにCAKにして、クローンできるようした。各反応に使用したプライマーを、表41に示す。
(実施例10.4)
PCR増幅されたCDRH3領域の重鎖シャーシへの相同組換え
増幅後、反応産物を、それらが最終的にクローン化されるであろう個々のVHシャーシに従ってプールした。表42にこれらのプールを列挙し、最後の2列に各プール中のCDRH3配列を得るために使用したPCRプライマーを載せた。
増幅されたCDRH3領域を、上に要約した方法に従ってプールした後、重鎖シャーシ発現ベクターを、それらの起源および切断部に従ってプールし、増幅されたCDRH3との相同組換えのための「ギャップ」を作製した。図6はCDRH3との組換え前の重鎖ベクターの構造略図を示す。本発明のこの例示的実施形態では、重鎖シャーシおよびIgG1の定常領域をコードするがCDRH3はコードしない、計152のベクターがあった。これらの152のベクターは、17の個別の可変重鎖遺伝子ファミリー(表5;実施例1および2)を表す。ファミリーの15は、表5に記載の重鎖シャーシ配列および表8に記載のCDRH1/H2変異体(すなわち150のベクター)によって表された。VH3−30は、VH3−33とアミノ酸が1個違い、したがってVH3−30は、変異体のVH3−33のプールに含めた。4−34VHファミリーメンバーを、他のすべてと分け、この例示的実施形態では、その変異体は本ライブラリーに全く含めなかった。したがって、17の重鎖シャーシを表す計16のプールを、152のベクターから作製した。
その後、ギャップベクターのプールを、上記のように作製された適切な(すなわち対合)CDRH3アンプリコンのプールと、挿入物対ベクターの比が50:1で混合した。その後、混合物を、既にプラスミドまたはVK軽鎖ライブラリー(下記)を含む組み込み遺伝子を含むエレクトロコンピテント酵母(S.cerevisiae)に形質転換した。ライブラリーの多様性の程度を、エレクトロポレートした細胞の希釈液を選択可能な寒天プレート上に播種することによって確定した。本発明のこの例示された実施形態では、寒天はトリプトファンを欠いており、酵母は内因的にトリプトファンを合成する能力を欠いていた。この欠損を、重鎖シャーシプラスミド上にTRPマーカーを包括することによって、このプラスミドを受け取り、それをCDRH3挿入物と組み換える任意の酵母が成長するように是正した。その後、エレクトロポレートされた細胞は、トリプトファンを欠いた液体培地中でおよそ100倍増殖した。ライブラリーのアリコートを、50%のグリセロール中で凍結し、−80℃で保存した。このステージで得られた各形質転換体は、完全IgG分子を発現できるクローンを表す。CDRH3を重鎖ベクターに組み込んだ略図、付随する配列を図5に示す。
(実施例10.5):VH3−23におけるK94Rの突然変異およびVH3−33、VH3−30、VH3−7およびVH3−48におけるR94Kの突然変異
この実施例は、VH3−23、VH3−33、VH3−30、VH3−7およびVH3−48における94位の突然変異について説明する。VH3−23において、この位置のアミノ酸をKからRに突然変異させた。VH3−33、VH3−30、VH3−7およびVH3−48において、このアミノ酸をRからKに突然変異させた。VH3−32において、この位置をKからRに突然変異させた。これらの突然変異を引き起こす目的は、ライブラリーにおけるCDRH3提示の多様性を促進することである。例えば、天然に存在するVH3−23配列において、約90%が94位にKを有するが、一方約10%はRを有する。これらの変化を引き起こすことによって、CDRH3提示の多様性が増加し、ライブラリーの全多様性もまた増加する。
(実施例11)
VKライブラリーの構築
この実施例は、本発明のVKライブラリーの構築について説明する。本明細書に記載の例示的VKライブラリーは、実施例6.2に記載の約105の複雑性のVKCDR3ライブラリーに対応する。実施例6に記載のように、本出願を通して、他のVKライブラリーも本発明の範囲内であり、Vλライブラリーもまた同様である。
(実施例12)
例示的ライブラリーの特徴付け
この実施例は、本明細書に記載の方法に従って構築された、本発明の例示的ライブラリーの特徴を示す。
重鎖の特徴付け
スプリットプール合成の産物を特徴付けするために、[尾部]−[N1]−[DH]−[N2]−[H3−JH]産物を含む424のベクターの10をランダムに選択し、E.coliに形質転換した。スプリットプール産物は、約1.1×106(すなわち、278×141×28)の理論的多様性を有した。96のコロニーを形質転換より選択し、順方向および逆方向配列を、各クローンに関して作製した。96の配列決定反応のうち、CDRH3領域が同定できる90の配列を得、これらの配列の約70%が、ライブラリーの設計配列に一致した。(設計に基づく)理論的分布と比較した、10のベクターに由来する、配列決定されたCDRH3セグメントの長さの分布を、図10に載せた。10のベクターから得られたDH、N2およびH3−JHセグメントの個別の長さの分布を、図11〜13に示す。
軽鎖の特徴付け
実施例10.4に記載の方法を介した酵母の形質転換の後で、実施例6.2に記載のVKCDR3ライブラリー由来のCDRL3要素の長さの分布を確定した。ライブラリーの86の配列に由来するCDRL3の長さと、ヒト配列および設計された配列との比較を、図21に載せる。図22は、ライブラリーより選択された86の配列の中から、軽鎖シャーシの提示を示す。CDRL3配列の約91%が設計と正確に一致し、約9%はアミノ酸が1個異なった。
設計されたCDRH3ライブラリーの組成の特徴付け
この実施例は、例示的ライブラリーのCDRH3ドメインの組成についてのデータを提示し、当分野の他のライブラリーと比較する。より具体的には、この実施例は、ライブラリーのCDRH3ドメインに出現する400の考えられるアミノ酸対(20アミノ酸×20アミノ酸)の出現率の分析を提示する。CDRH3中のi残基の最も近い隣接アミノ酸対(i−i+1;IP1と指定)、次に最も近い隣接アミノ酸対(i−i+2;IP2と指定)および次の次に近い隣接アミノ酸対(i−i+3;IP3と指定)を調べることによって、これらの対の保有を計算する。当分野で既知のライブラリー(例えば、Knappikら、J.Mol.Biol.、2000年、296巻:57頁;Sidhu ら、J.Mol.Biol.、2004年、338巻:299頁;およびLeeら、J.Mol.Biol.2004年、340巻:1073頁、個々をその全体を参照により組み込む)は、CDRH3の中心にわたる同じ組成を維持しながらCDRH3内の個別の位置における20アミノ酸の出現が考えられただけであり、対の出現は考えられていない。実際、Sidhuら(J.Mol.Biol.、2004年、338巻:299頁、その全体を参照により組み込む)によれば、「CDR−H3において、特定の残基型に対していくらかのバイアスがあるが、20種すべての天然アミノ酸残基が有意な範囲で出現し、ループの中心位置内に位置特異的バイアスはほとんどなかった」。したがって、本発明は、驚いたことに、上に列挙したアミノ酸対の出現を考えた場合、位置特異的バイアスはCDRH3ループの中心位置には存在しないという初めての認識を表す。この実施例は、本明細書に記載のライブラリーがヒト配列に認められるように、これらの対の出現を、当分野の他のライブラリーと比較してより忠実に再現することを示す。したがって、本明細書に記載のライブラリーの組成は、当分野の他のライブラリーより、より「ヒト」であると考えることができる。
Leeらの対の組成を、Leeらの表5に表されたライブラリーに基づいて確定し、本発明およびKnappikらから分析されたそれらのCDRH3領域に対応する位置は、Leeらの「XYZ」コドンから構成される。LeeらのXYZコドンは下記の組成を有する縮重コドンである。
位置1 (X):Aが19%、Cが17%、Gが38%およびTが26%;
位置2 (Y):Aが34%、Cが18%、Gが31%およびTが17%;ならびに
位置3 (Z):Gが24%およびTが76%。
IP1、IP2およびIP3の配置のそれぞれにおける400のアミノ酸対の個々の出現率は、個別のアミノ酸組成を掛け合わせることによって、KnappikらおよびLeeらに関して計算できる。例えば、Knappikらに関しては、ライブラリー中のYS対の出現率は、15%×4.1%を計算して6.1%となり、SY対の出現率も同じであることに留意されたい。同様に、LeeらのXYZコドンに基づくライブラリーに関して、YS対の出現率は、6.86%(Y)×9.35%(S)で6.4%となり、これもまたSYと同じである。
この実施例に提供された分析により、本発明のライブラリーの組成が、当分野において既知の他のライブラリーよりヒト配列の組成を密接に模倣していることが実証される。当分野の合成ライブラリーは、対のパーセントのレベルで、実際のヒトCDRH3配列の「中心ループ」部分の組成を本質的に再現しない。本発明のライブラリーは、実際のヒトCDRH3配列において観察される、密接に再現されるより複雑な対組成を有する。実際のヒトCDRH3配列の標的セットと対比したこの再現の正確度は、例えば、CDRH3ライブラリーの設計に使用するセグメントの組成を変更することによって最適化され得る。さらに、ヒト配列に認められる対の組成の保有を正確に模倣するライブラリーを、コンピュータ的に設計するこれらのメトリックの利用もまた可能である。
例示的ライブラリーの情報内容
特定のライブラリーまたは配列コレクションが、他より本質的に複雑または「ランダムさが少ない」であろうという観察を定量化する1つの方法は、情報理論(Shannon、Bell Sys.Tech.J.、1984年、27巻:379頁;Martin ら、Bioinformatics、2005年、21巻:4116頁;Weissら、J.Theor.Biol.、2000年、206巻:379頁、各々を参照によりその全体を組み込む)を用いることである。例えば、メトリックは、固定したアミノ酸を有する位置が、20種すべてのアミノ酸が同じ確率で出現し得る位置より、ランダム差が少ないという事実の定量化を考案できる。中間状態は、順にこのようなメトリックの中間値をもたらすはずである。情報理論によれば、このメトリック は、式:
で表すことができる。
上記の式により計算された、これらのセットの情報内容は、免疫前、ヒト、成熟、LUA−59およびLUA−141のセットに関してそれぞれ−3.88、−3.93、−3.96、−3.56および−3.75であった。頻度が完全な一様からより大きくそれているので(20種それぞれに関して5%)、その結果、数はより大きいまたはより小さい負の値である傾向がある。
ヒト配列はさらなる体細胞変異を受けるので、ヒト配列のセット内でMI値が減少し、多くの独立した配列にわたる方法は基本的にランダムであることは重要である。対はどんどん離れていくのでMI値が減少することもまた注目に値し、これは、ヒト配列および本発明の例示的ライブラリーの両方のセットに関する事例である。双方の場合において、対の2個のアミノ酸はさらに離れていくので、それらが実際のセグメント(V、D、J+V−DまたはD−J挿入物)をまたぐ確率は増加し、それらの対の頻度はシングルトン頻度の単純な産物に近づいている。
(実施例15)
ライブラリーから抗体の選択
この実施例において、本発明のライブラリー(実施例9〜11および他の実施例においての説明)からの抗体の選択を実証する。これらの選択は、本発明のライブラリーが、抗原に結合できる抗体タンパク質をコードすることを実証する。1つの選択において、タンパク質抗原の「抗原X」、に特異的な抗体を、本明細書に記載の方法を使用してライブラリーから単離した。図24は、抗原Xに特異的に結合する6種のクローンの結合曲線およびそれらのKd値を示す。この選択を、プラスミドベクター上の重鎖を含む酵母および酵母のゲノムに組み込まれたκ軽鎖ライブラリーを使用して実施した。
単離した重鎖シャーシは、VH3−23.0(EK080902およびCR080363)、VH3−23.6(CR080362)およびVH3−23.4(CR080372)であった。これらの変異体は、実施例2の表8において定義される。4種の重鎖CDRH3配列はそれぞれ、例示されたライブラリーから設計された配列に一致した。クローン(ED080902)の1つのCDRL3配列をさらに確定し、下線を付けた周囲のFRM領域とともに下記に示す。
この場合において、CDRL3は、表33の49行の縮重VK1−39オリゴヌクレオチド配列の設計と一致した。この表の関連部分を、単離されたCDRL3の個々の位置を占めるアミノ酸を太字にして、下線を付けて下記に再現する。
同等物
当業者は、本明細書に記載の特定の実施形態および方法に対する多くの同等物を、これ以上通常の実験をせずに認識するまたは解明できるであろう。このような同等物は、下記の特許請求の範囲の範囲によって包含されるよう意図されている。
Claims (12)
- 合成ポリヌクレオチドのライブラリーを調製する方法であって、該ポリヌクレオチドは、複数の独特の抗体VΚアミノ酸配列をコードし、該方法は、
i.a)IGKV1-05、IGKV1-06、IGKV1-08、IGKV1-09、IGKV1-12、IGKV1-13、IGKV1-16、IGKV1-17、IGKV1-27、IGKV1-33、IGKV1-37、IGKV1-39、IGKV1D-16、IGKV1D-17、IGKV1D-43、IGKV1D-8、IGKV2-24、IGKV2-28、IGKV2-29、IGKV2-30、IGKV2-40、IGKV2D-26、IGKV2D-29、IGKV2D-30、IGKV3-11、IGKV3-15、IGKV3-20、IGKV3D-07、IGKV3D-11、IGKV3D-20、IGKV4-1、IGKV5-2、IGKV6-21、およびIGKV6D-41によってコードされるKabatアミノ酸1〜Kabatアミノ酸88、またはそれらのいずれかと少なくとも80%の同一性のある配列からなる群より選択される、1つまたは複数のVΚシャーシアミノ酸配列、
b)L3−VKが、IGKV遺伝子セグメントによってコードされるVKCDR3アミノ酸配列の部分である、1つまたは複数のL3−VKアミノ酸配列、
c)Xが任意のアミノ酸残基である、1つまたは複数のX残基、および
d)JK * が、IGKJ1、IGKJ2、IGKJ3、IGKJ4、およびIGKJ5によってコードされるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列であり、各配列の最初のアミノ酸残基が存在しない、1つまたは複数のJK * アミノ酸配列
をコードするポリヌクレオチド配列を提供するステップと、
ii.前記ポリヌクレオチド配列を集めて、下記の式:
[VK_シャーシ]−[L3−VK]−[X]−[JK * ]
によって表される複数のヒトVK配列をコードする合成ポリヌクレオチドのライブラリーを作製するステップと
を含む、方法。 - 前記ポリヌクレオチド配列の1つまたは複数が、スプリットプール合成を介して合成される、請求項1に記載の方法。
- 相同組換えを促進する5’ポリヌクレオチド配列および3’ポリヌクレオチド配列を提供するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
- 前記集められた合成ポリヌクレオチドを、軽鎖シャーシおよび軽鎖定常領域を含むベクターに組み換えて、完全長軽鎖を形成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
- 前記組み換えるステップが酵母中で行われる、請求項4に記載の方法。
- 前記酵母がS.cerevisiaeである、請求項5に記載の方法。
- 合成ポリヌクレオチドのライブラリーを調製する方法であって、該ポリヌクレオチドは、複数の独特の抗体Vλアミノ酸配列をコードし、該方法は、
i.a)IGλV1-36、IGλV1-40、IGλV1-44、IGλV1-47、IGλV1-51、IGλV10-54、IGλV2-11、IGλV2-14、IGλV2-18、IGλV2-23、IGλV2-8、IGλV3-1、IGλV3-10、IGλV3-12、IGλV3-16、IGλV3-19、IGλV3-21、IGλV3-25、IGλV3-27、IGλV3-9、IGλV4-3、IGλV4-60、IGλV4-69、IGλV5-39、IGλV5-45、IGλV6-57、IGλV7-43、IGλV7-46、IGλV8-61、IGλV9-49、およびIGλV10-54によってコードされるKabat残基1〜Kabat残基88、またはそれらのいずれかと少なくとも80%の同一性のある配列からなる群より選択される、1つまたは複数のVλシャーシアミノ酸配列、
(b)L3−Vλが、IGλV遺伝子セグメントによってコードされるVλCDR3アミノ酸配列の部分である、1つまたは複数のL3−Vλ配列、
(c)Jλが、IGλJ1−01、IGλJ2−01、IGλJ3−01、IGλJ3−02、IGλJ6−01、IGλJ7−01、およびIGλJ7−02によってコードされるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列であり、各配列の最初のアミノ酸残基が存在していてもよく、または存在していなくてもよい、1つまたは複数のJλ配列
をコードするポリヌクレオチド配列を提供するステップと、
(ii)前記ポリヌクレオチド配列を集めて、下記の式:
[Vλ_シャーシ]−[L3−Vλ]−[Jλ]
によって表される複数のヒトVλアミノ酸配列をコードする合成ポリヌクレオチドのライブラリーを作製するステップと
を含む、方法。 - 前記ポリヌクレオチド配列の1つまたは複数が、スプリットプール合成を介して合成される、請求項7に記載の方法。
- 相同組換えを促進する5’ポリヌクレオチド配列および3’ポリヌクレオチド配列を提供するステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
- 前記集められた合成ポリヌクレオチドを、軽鎖シャーシおよび軽鎖定常領域を含むベクターに組み換えて、完全長軽鎖を形成するステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
- 前記組み換えるステップが酵母中で行われる、請求項10に記載の方法。
- 前記酵母がS.cerevisiaeである、請求項11に記載の方法。
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