JP2020125297A - 合理的に設計された、合成抗体ライブラリおよびその使用 - Google Patents

合理的に設計された、合成抗体ライブラリおよびその使用 Download PDF

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Abstract

【課題】合理的に設計された、合成抗体ライブラリおよびその使用の提供。【解決手段】定方向の配列および長さの多様性を有するライブラリーを具体的に設計することによって、抗体をコードするポリヌクレオチドのライブラリーを作製する既知の方法に固有の欠点を克服する手順。ライブラリーは、ヒト免疫系によって天然に生成される免疫前のレパートリーを反映するように設計され、ヒト抗体配列の公的に利用可能なデータベースを調べることによって情報を得る合理的な設計に基づく。【選択図】図23

Description

関連出願
この出願は、2007年9月14日に出願された米国仮出願第60/993,785号(これは、この参照によって、その全体が本明細書に援用される)への優先権を主張する。
抗体は、研究ツールとして、また診断および治療的用途において、大きな適合性を有している。しかしながら、有用な抗体の同定は困難であり、同定後、抗体は治療的用途に適する前に大幅な再設計または「ヒト化」を必要とすることが多い。
所望の抗体を同定するための以前の方法は、典型的には、代表的な抗体、例えば、B細胞もしくは組織の核酸増幅によって得られるヒトライブラリー、または代替として、合成ライブラリーのファージディスプレイを含んでいた。しかしながら、こうしたアプローチには制限がある。例えば、当技術分野において知られているヒトライブラリーの大半は、供給源(例えば、B細胞)から実験的に捕捉またはクローニングすることができる抗体配列多様性のみを含有する。したがって、ヒトライブラリーは特定の有用な抗体配列を完全に欠くか、または過少提示する可能性がある。当技術分野において知られている合成またはコンセンサスライブラリーには、免疫原性となる可能性のある非天然由来(例えば、非ヒト)配列をコードする可能性などの他の制限がある。さらに、当技術分野の特定の合成ライブラリーは、(1)ライブラリーが理論的に含有することができるメンバー数(すなわち、理論的多様性)が、実際に合成可能なメンバー数よりも多い可能性があり、(2)実際に合成されるメンバー数が多過ぎて、ライブラリーの物理的実現物における各メンバーのスクリーニングを排除し、それにより特定の性質を有するライブラリーメンバーが単離される可能性を減少させる可能性がある、という2つの制限のうち少なくとも1つの欠点を持つ。
例えば、1012個のライブラリーメンバーをスクリーニングすることができるライブラリーの物理的実現物(例えば、酵母ディスプレイ、ファージディスプレイ、リボソームディスプレイなど)は、1013個のメンバーを有するライブラリー中に含有される配列の約10%をサンプリングするのみであるはずである。CDRH3長の中央値を約12.7アミノ酸と仮定すると(非特許文献1)、CDRH3単独における理論的配列変異体の数は、約2012.7個、または約3.3×1016個の変異体である。この数は、CDRH1およびCDRH2重鎖フレームワーク領域、ならびにそれぞれのCDRL1、CDRL2、およびCDRL3においてもそれぞれが変異を示す異なる軽鎖との対形成において出現する既知の変異の説明にはならない。最終的に、これらのライブラリーから単離された抗体は、候補分子の結合を改良するための合理的な親和性成熟技術に適さないことが多い。
したがって、体系的に非免疫原性の(すなわち、さらにはヒト)候補抗体を提示し、所望の性質(例えば、広範な種々の抗原を認識する能力)を有する、定方向の多様性を有するより小さい(すなわち、合成することができ、物理的実現可能な)抗体ライブラリーが必要である。しかしながら、このようなライブラリーの取得は、広範な種々の抗原を認識するために十分な多様性レベルを維持しながら、(潜在的には非ヒト配列の導入を制限しながらオーバーサンプリングによって、合成および物理的実現を可能にするために)ライブラリーにおいて提示される配列多様性を制限するという相反する目的を両立させることを必要とする。本発明より前に、「重鎖CDR3の長さの多様性を含むライブラリーが報告されたが、天然重鎖CDR3レパートリーに認められる配列および長さの多様性の両方をコードするDNAを合成することは不可能である」ことが当技術分野において知られていた(その全体が参照により組み込まれる、非特許文献2)。
したがって、(a)容易に合成することができる、(b)物理的実現が可能であり、特定の場合にはオーバーサンプリング可能である、(c)免疫前ヒトレパートリー(すなわち、負の選択前)によって認識されるすべての抗原を認識するのに十分な多様性を含む、(d)ヒトにおいて非免疫原性である(すなわち、ヒト起源の配列を含む)、および(e)天然に存在するヒト抗体を表す、CDRの長さおよび配列の多様性、ならびにフレームワーク多様性を含む、抗体ライブラリーを有することが望ましいはずである。本発明の実施形態は、初めて、これらの望ましい特徴を有する抗体ライブラリーを少なくとも提供する。
Rockら、J.Exp.Med.、1994年、179巻:323〜328頁 Hoetら、Nat.Biotechnol.、2005年、23巻:344頁
本発明は、少なくとも、合成ポリヌクレオチドライブラリー、本発明のライブラリーを作製および使用する方法、本発明のライブラリーを含むキットおよびコンピュータで読み取り可能な形態に関する。いくつかの実施形態では、本発明のライブラリーは、ヒト免疫系によって天然に生成される免疫前のレパートリーを反映するように設計され、ヒト抗体配列の公的に利用可能なデータベースを調べることによって情報を得る合理的な設計に基づく。本発明の特定の非限定的な実施形態が以下に説明されることが理解されるであろう。明細書全体にわたって記述されるように、本発明は多くの他の実施形態もまた包含する。
特定の実施形態では、本発明は、合成ポリヌクレオチドのライブラリーであって、前記ポリヌクレオチドが、
(i)0〜約3アミノ酸のN1アミノ酸配列であって、その各アミノ酸が、ヒトB細胞によって機能的に発現されるCDRH3アミノ酸配列のN1アミノ酸配列中の対応する位置で最も頻繁に出現する12種のアミノ酸の1つであるN1アミノ酸配列と、
(ii)ヒトCDRH3 DHアミノ酸配列、そのNおよびC末端切断物、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列と、
(iii)0〜約3アミノ酸のN2アミノ酸配列であって、その各アミノ酸が、ヒトB細胞によって機能的に発現されるCDRH3アミノ酸配列のN2アミノ酸配列中の対応する位置で最も頻繁に出現する12種のアミノ酸の1つであるN2アミノ酸配列と、
(iv)ヒトCDRH3 H3−JHアミノ酸配列、そのN末端切断物、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列と
を含む少なくとも10種の独特の抗体CDRH3アミノ酸配列をコードするライブラリーを含む。
他の実施形態では、本発明は、合成ポリヌクレオチドのライブラリーであって、前記ポリヌクレオチドが、
(i)0〜約3アミノ酸のN1アミノ酸配列であって、
(a)最もN末端にあるN1アミノ酸が、存在する場合には、R、G、P、L、S、A、V、K、I、Q、TおよびDからなる群より選択され、
(b)最もN末端から2番目のN1アミノ酸が、存在する場合には、G、P、R、S、L、V、E、A、D、I、TおよびKからなる群より選択され、
(c)最もN末端から3番目のN1アミノ酸が、存在する場合には、G、R、P、S、L、A、V、T、E、D、KおよびFからなる群より選択されるN1アミノ酸配列と、
(ii)ヒトCDRH3 DHアミノ酸配列、そのNおよびC末端切断物、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列と、
(iii)0〜約3アミノ酸のN2アミノ酸配列であって、
(a)最もN末端にあるN2アミノ酸が、存在する場合には、G、P、R、L、S、A、T、V、E、D、FおよびHからなる群より選択され、
(b)最もN末端から2番目のN2アミノ酸が、存在する場合には、G、P、R、S、T、L、A、V、E、Y、DおよびKからなる群より選択され、
(c)最もN末端から3番目のN2アミノ酸が、存在する場合には、G、P、S、R、L、A、T、V、D、E、WおよびQからなる群より選択されるN2アミノ酸配列と、
(iv)ヒトCDRH3 H3−JHアミノ酸配列、そのN末端切断物、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列と
を含む少なくとも約10種の独特の抗体CDRH3アミノ酸配列をコードするライブラリーを含む。
さらに他の実施形態では、本発明は、合成ポリヌクレオチドのライブラリーであって、前記ポリヌクレオチドが、下記の式:
[X]−[N1]−[DH]−[N2]−[H3−JH]
によって表されるアミノ酸配列と少なくとも約80%同一である少なくとも約10種の独特の抗体CDRH3アミノ酸配列をコードし、式中、
(i)Xは任意のアミノ酸残基であり、またはアミノ酸残基を有さず、
(ii)N1は、

およびその組合せからなる群より選択されるアミノ酸配列であり、
(iii)DHは、

によってコードされる、終止コドンを含まないすべての考えられる読み枠、ならびにそのNおよびC末端切断物からなる群より選択されるアミノ酸配列であり、
(iv)N2は、

およびその組合せからなる群より選択されるアミノ酸配列であり、
(v)H3−JHは、

またはそれらのいずれかと少なくとも80%の同一性のある配列からなる群より選択されるアミノ酸配列であるライブラリーを含む。
さらに別の実施形態では、本発明は、合成ポリヌクレオチドのライブラリーであって、下記の式:
[X]−[N1]−[DH]−[N2]−[H3−JH]
によって表されるアミノ酸配列と少なくとも約80%同一であるCDRH3アミノ酸配列をコードする複数のポリヌクレオチドから本質的になり、式中、
(i)Xは任意のアミノ酸残基であり、またはアミノ酸残基を有さず、
(ii)N1は、

およびその組合せからなる群より選択されるアミノ酸配列であり、
(iii)DHは、

によってコードされる、終止コドンを含まないすべての考えられる読み枠、ならびにそのNおよびC末端切断物からなる群より選択されるアミノ酸配列であり、
(iv)N2は、


およびその組合せからなる群より選択されるアミノ酸配列であり、
(v)H3−JHは、

またはそれらのいずれかと少なくとも80%の同一性のある配列からなる群より選択されるアミノ酸配列であるライブラリーを含む。
別の実施形態では、本発明は、合成ポリヌクレオチドのライブラリーであって、前記ポリヌクレオチドが1つまたは複数の完全長抗体重鎖配列をコードし、重鎖のCDRH3アミノ酸配列が、
(i)0〜約3アミノ酸のN1アミノ酸配列であって、その各アミノ酸が、ヒトB細胞によって機能的に発現されるCDRH3アミノ酸配列のN1アミノ酸配列中の対応する位置で最も頻繁に出現する12種のアミノ酸の1つであるN1アミノ酸配列と、
(ii)ヒトCDRH3 DHアミノ酸配列、そのNおよびC末端切断物、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列と、
(iii)0〜約3アミノ酸のN2アミノ酸配列であって、その各アミノ酸が、ヒトB細胞によって機能的に発現されるCDRH3アミノ酸配列のN2アミノ酸配列中の対応する位置で最も頻繁に出現する12種のアミノ酸の1つであるN2アミノ酸配列と、
(iv)ヒトCDRH3 H3−JHアミノ酸配列、そのN末端切断物、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列と
を含むライブラリーを含む。
以下の実施形態は、本発明の実施形態全体にわたって適用することができる。一態様では、1つまたは複数のCDRH3アミノ酸配列は、N末端尾部残基をさらに含む。さらに別の態様では、N末端尾部残基は、G、D、およびEからなる群より選択される。
さらに別の態様では、N1アミノ酸配列は、

およびその組合せからなる群より選択される。特定の別の態様では、N1アミノ酸配列は、約0〜約5アミノ酸のものであってもよい。
さらに別の態様では、N2アミノ酸配列は、

およびその組合せからなる群より選択される。特定の他の態様では、N2配列は、約0〜約5アミノ酸のものであってもよい。
さらに別の態様では、H3−JHアミノ酸配列は、

からなる群より選択される。
他の実施形態では、本発明は、複数の抗体CDRH3アミノ酸配列をコードする合成ポリヌクレオチドのライブラリーであって、ライブラリー中の下記のi−i+1の対の少なくとも1つの、CDRH3アミノ酸配列の中心ループ内でのパーセント出現率が、
約2.5%〜約6.5%の量のTyr−Tyr、
約2.5%〜約4.5%の量のSer−Gly、
約2%〜約4%の量のSer−Ser、
約1.5%〜約4%の量のGly−Ser、
約0.75%〜約2%の量のTyr−Ser、
約0.75%〜約2%の量のTyr−Gly、および
約0.75%〜約2%の量のSer−Tyr
の特定の範囲内にあるライブラリーを含む。
さらに他の実施形態では、本発明は、複数の抗体CDRH3アミノ酸配列をコードする合成ポリヌクレオチドのライブラリーであって、ライブラリー中の下記のi−i+2の対の少なくとも1つの、CDRH3アミノ酸配列の中心ループ内でのパーセント出現率が、
約2.5%〜約4.5%の量のTyr−Tyr、
約2.5%〜約5.5%の量のGly−Tyr、
約2%〜約4%の量のSer−Tyr、
約1.75%〜約3.75%の量のTyr−Ser、
約2%〜約3.5%の量のSer−Gly
約1.5%〜約3%の量のSer−Ser、
約1.5%〜約3%の量のGly−Ser、および
約1%〜約2%の量のTyr−Gly
の特定の範囲内にあるライブラリーを含む。
別の実施形態では、本発明は、複数の抗体CDRH3アミノ酸配列をコードする合成ポリヌクレオチドのライブラリーであって、ライブラリー中の下記のi−i+3の対の少なくとも1つの、CDRH3アミノ酸配列の中心ループ内でのパーセント出現率が、
約2.5%〜約6.5%の量のGly−Tyr、
約1%〜約5%の量のSer−Tyr、
約2%〜約4%の量のTyr−Ser、
約1%〜約3%の量のSer−Ser、
約2%〜約5%の量のGly−Ser、および
約0.75%〜約2%の量のTyr−Tyr
の特定の範囲内にあるライブラリーを含む。
本発明の一態様では、ライブラリー中の少なくとも2、3、4、5、6、または7個の特定のi−i+1対は特定の範囲内にある。別の態様では、CDRH3アミノ酸配列はヒトである。さらに別の態様では、ポリヌクレオチドは少なくとも約10個の独特のCDRH3アミノ酸配列をコードする。
本発明の他の態様では、ポリヌクレオチドは、CDRH3アミノ酸配列に対してN末端にある1つまたは複数の重鎖シャーシ(Chassis)アミノ酸配列をさらにコードし、1つまたは複数の重鎖シャーシ配列は、

によってコードされる約Kabatアミノ酸1〜約Kabatアミノ酸94、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列からなる群より選択される。
別の態様では、ポリヌクレオチドは、CDRH3アミノ酸配列に対してC末端にある1つまたは複数のFRM4アミノ酸配列をさらにコードし、1つまたは複数のFRM4アミノ酸配列は、IGHJ1、IGHJ2、IGHJ3、IGHJ4、IGHJ5、およびIGHJ6によってコードされるFRM4アミノ酸配列、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列からなる群より選択される。さらに別の態様では、ポリヌクレオチドは、FRM4配列に対してC末端にある1つまたは複数のイムノグロブリン重鎖定常領域アミノ酸配列をさらにコードする。
さらに別の態様では、CDRH3アミノ酸配列は、完全長重鎖の一部として発現される。他の態様では、完全長重鎖は、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4、またはその組合せからなる群より選択される。他の実施形態では、CDRH3アミノ酸配列の長さは、約2〜約30、約8〜約19、または約10〜約18アミノ酸残基である。他の態様では、ライブラリーの合成ポリヌクレオチドは、約10〜約1014、約10〜約1013、約10〜約1012、約10〜約1012、または約1010〜約1012種の独特のCDRH3アミノ酸配列をコードする。
特定の実施形態では、本発明は、合成ポリヌクレオチドのライブラリーであって、前記ポリヌクレオチドが、特定のIGKVまたはIGKJ生殖系列配列に由来する選択されたVKCDR3アミノ酸配列中のkabat89、90、91、92、93、94、95、95A、96、および97位で認められるアミノ酸を約1〜約10個含む複数の抗体VKCDR3アミノ酸配列をコードするライブラリーを含む。
一態様では、合成ポリヌクレオチドは、表33に挙げたアミノ酸配列、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%同一である配列の1つまたは複数をコードする。
いくつかの実施形態では、本発明は、合成ポリヌクレオチドのライブラリーであって、前記ポリヌクレオチドが、下記の式:
[VK_シャーシ]−[L3−VK]−[X]−[JK
によって表されるアミノ酸配列と少なくとも約80%の同一性がある複数の独特の抗体VKCDR3アミノ酸配列をコードし、式中、
(i)VK_シャーシは、

によってコードされる約Kabatアミノ酸1〜約Kabatアミノ酸88、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列からなる群より選択されるアミノ酸配列であり、
(ii)L3−VKは、IGKV遺伝子セグメントによってコードされるVKCDR3の部分であり、
(iii)Xは任意のアミノ酸残基であり、
(iv)JKは、IGJK1、IGJK2、IGJK3、IGJK4、およびIGJK5によってコードされる配列からなる群より選択されるアミノ酸配列であり、各IGJK配列の最初の残基が存在しないライブラリーを含む。
さらに他の態様では、Xは、F、L、I、R、W、Y、およびPからなる群より選択することができる。
特定の実施形態では、本発明は、合成ポリヌクレオチドのライブラリーであって、前記ポリヌクレオチドが、下記の式:
[Vλ_シャーシ]−[L3−Vλ]−[Jλ]
によって表されるアミノ酸配列と少なくとも約80%の同一性がある複数のVλCDR3アミノ酸配列をコードし、式中、
(i)Vλ_シャーシは、

によってコードされる約Kabatアミノ酸1〜約Kabatアミノ酸88、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列からなる群より選択されるアミノ酸配列であり、
(ii)L3−Vλは、IGλVセグメントによってコードされるVλCDR3の部分であり、
(iii)Jλは、IGλJ1−01、IGλJ2−01、IGλJ3−01、IGλJ3−02、IGλJ6−01、IGλJ7−01、およびIGλJ7−02によってコードされる配列からなる群より選択されるアミノ酸配列であり、各IGJλ配列の最初の残基が欠失していてもよく、または欠失していなくてもよいライブラリーを含む。
さらなる他の態様では、本発明は、合成ポリヌクレオチドのライブラリーであって、前記ポリヌクレオチドが、
(i)請求項1に記載のCDRH3アミノ酸配列と、
(ii)特定のIGKVまたはIGKJ生殖系列配列に由来する選択されたVKCDR3アミノ酸配列中のKabat89、90、91、92、93、94、95、95A、96、および97位で認められるアミノ酸を約1〜約10個含むVKCDR3配列と
を含む複数の抗体タンパク質をコードするライブラリーを含む。
さらなる態様では、本発明は、合成ポリヌクレオチドのライブラリーであって、前記ポリヌクレオチドが、
(i)請求項1に記載のCDRH3アミノ酸配列と、
(ii)下記の式:
[VK_シャーシ]−[L3−VK]−[X]−[JK
によって表されるアミノ酸配列と少なくとも約80%の同一性のあるVKCDR3アミノ酸配列であって、式中、
(a)VK_シャーシは、

によってコードされる約Kabatアミノ酸1〜約Kabatアミノ酸88、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列からなる群より選択されるアミノ酸配列であり、
(b)L3−VKは、IGKV遺伝子セグメントによってコードされるVKCDR3の部分であり、
(c)Xは任意のアミノ酸残基であり、
(d)JKは、IGJK1、IGJK2、IGJK3、IGJK4、およびIGJK5によってコードされる配列からなる群より選択されるアミノ酸配列であり、各IGJK配列の最初の残基が存在しないVKCDR3アミノ酸配列と
を含む複数の抗体タンパク質をコードするライブラリーを含む。
いくつかの態様では、VKCDR3アミノ酸配列は、表33に記載されている1つまたは複数の配列、またはそれらのうちのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列を含む。他の態様では、抗体タンパク質はヘテロ二量体の形態で発現される。さらに他の態様では、ヒト抗体タンパク質は抗体断片として発現される。さらに別の本発明の態様では、抗体断片は、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv断片、ダイアボディ、直鎖抗体、および単鎖抗体からなる群より選択される。
特定の実施形態では、本発明は、本明細書に記載の任意のライブラリーのポリペプチド発現産物から単離される抗体を含む。
さらに他の態様では、ポリヌクレオチドは、相同組換えを促進する5’ポリヌクレオチド配列および3’ポリヌクレオチド配列をさらに含む。
一実施形態では、ポリヌクレオチドは、代替足場をさらにコードする。
別の実施形態では、本発明は、本明細書に記載の合成ポリヌクレオチドライブラリーのいずれかによってコードされるポリペプチドのライブラリーを含む。
さらに別の実施形態では、本発明は、本明細書に記載のポリヌクレオチドライブラリーのいずれかを含むベクターのライブラリーを含む。ある他の態様では、本発明は、本発明のベクターを含む細胞の集団を含む。
一態様では、倍加時間は、約1〜約3時間、約3〜約8時間、約8〜約16時間、約16〜約20時間、または約20〜30時間である。さらに別の態様では、細胞は酵母細胞である。さらに別の態様では、酵母はSaccharomyces cerevisiaeである。
他の実施形態では、本発明は、N種の独特のCDRH3配列の理論的全多様性を有し、Nが約10〜約1015であり、理論的全CDRH3多様性の物理的実現物が少なくとも約3Nのサイズを有し、それによって前記ライブラリーの理論的全多様性内に含まれる任意の個々のCDRH3配列が現実のライブラリー中に存在する確率が少なくとも約95%となるライブラリーを含む。
特定の実施形態では、本発明は、合成ポリヌクレオチドのライブラリーであって、前記ポリヌクレオチドが、単一の生殖系列配列によりコードされる選択されたVλCDR3配列においてKabat89、90、91、92、93、94、95、95A、95B、95C、96、および97位で認められる約1〜約10個のアミノ酸を含む複数の抗体VλCDR3アミノ酸配列をコードするライブラリーを含む。
いくつかの実施形態では、本発明は、複数の抗体CDRH3アミノ酸配列をコードする合成ポリヌクレオチドのライブラリーであって、約10〜約1015個の独特のCDRH3配列の理論的全多様性を有するライブラリーに関する。
さらに他の実施形態では、本発明は、複数の抗体VΚアミノ酸配列をコードする合成ポリヌクレオチドのライブラリーを調製する方法であって、
(i)(a)

によってコードされる約Kabatアミノ酸1〜約Kabatアミノ酸88、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列からなる群より選択される、1つまたは複数のVΚ_シャーシアミノ酸配列、
(b)L3−VKがIGKV遺伝子セグメントによってコードされるVKCDR3アミノ酸配列の部分である、1つまたは複数のL3−VKアミノ酸配列、
(c)Xが任意のアミノ酸残基である、1つまたは複数のX残基、および
(d)JKが、IGKJ1、IGKJ2、IGKJ3、IGKJ4、およびIGKJ5によってコードされるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列であり、各配列の最初のアミノ酸残基が存在しない、1つまたは複数のJKアミノ酸配列
をコードするポリヌクレオチド配列を提供するステップと、
(ii)前記ポリヌクレオチド配列を集めて、下記の式:
[VK_シャーシ]−[L3−VK]−[X]−[JK
によって表される複数のヒトVK配列をコードする合成ポリヌクレオチドのライブラリーを作製するステップと
を含む方法に関する。
いくつかの実施形態では、本発明は、複数の抗体軽鎖CDR3配列をコードする合成ポリヌクレオチドのライブラリーを調製する方法であって、
(i)単一の生殖系列ポリヌクレオチド配列に由来する選択された軽鎖CDR3アミノ酸配列中の各位置での各アミノ酸残基のパーセント出現率を決定するステップと、
(ii)複数のヒト抗体軽鎖CDR3アミノ酸配列をコードする合成ポリヌクレオチドを設計するステップであって、設計される軽鎖CDR3アミノ酸配列内の任意の位置の任意のアミノ酸のパーセント出現率が、(i)において決定される場合、単一の生殖系列ポリヌクレオチド配列に由来する選択された軽鎖CDR3アミノ酸配列中で少なくとも約30%のパーセント出現率の範囲内であるステップと、
(iii)(ii)において設計された1つまたは複数のポリヌクレオチドを合成するステップと
を含む方法に関する。
別の実施形態では、本発明は、複数の抗体Vλアミノ酸配列をコードする合成ポリヌクレオチドのライブラリーを調製する方法であって、
(i)(a)

によってコードされる約Kabat残基1〜約Kabat残基88、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列からなる群より選択される、1つまたは複数のVλ_シャーシアミノ酸配列、
(b)L3−VλがIGλV遺伝子セグメントによってコードされるVλCDR3アミノ酸配列の部分である、1つまたは複数のL3−Vλ配列、
(c)Jλが、IGλJ1−01、IGλJ2−01、IGλJ3−01、IGλJ3−02、IGλJ6−01、IGλJ7−01、およびIGλJ7−02によってコードされるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列であり、各配列の最初のアミノ酸残基が存在していてもよく、または存在していなくてもよい、1つまたは複数のJλ配列
をコードするポリヌクレオチド配列を提供するステップと、
(ii)前記ポリヌクレオチド配列を集めて、下記の式:
[Vλ_シャーシ]−[L3−Vλ]−[X]−[Jλ]
によって表される複数のヒトVλアミノ酸配列をコードする合成ポリヌクレオチドのライブラリーを作製するステップと
を含む方法に関する。
特定の実施形態では、本発明のライブラリーのポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列はヒトである。
本発明はまた、合成ポリヌクレオチドライブラリーを調製する方法であって、本発明のポリヌクレオチド配列を提供し集めるステップを含む方法も対象とする。
別の態様では、本発明は、複数の抗体CDRH3アミノ酸配列をコードする合成ポリヌクレオチドのライブラリーを調製する方法であって、
(i)(a)1つまたは複数の、約0〜約3アミノ酸のN1アミノ酸配列であって、その各アミノ酸が、ヒトB細胞によって機能的に発現されるCDRH3アミノ酸配列のN1配列中の対応する位置で最も頻繁に出現する12種のアミノ酸の1つであるN1アミノ酸配列、
(b)1つまたは複数のヒトCDRH3 DHアミノ酸配列、そのNおよびC末端切断物、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列、
(c)1つまたは複数の、約0〜約3アミノ酸のN2アミノ酸配列であって、その各アミノ酸が、ヒトB細胞によって機能的に発現されるCDRH3アミノ酸配列のN2アミノ酸配列中の対応する位置で最も頻繁に出現する12種のアミノ酸の1つであるN2アミノ酸配列、ならびに
(d)1つまたは複数のヒトCDRH3 H3−JHアミノ酸配列、そのN末端切断物、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列
をコードするポリヌクレオチド配列を提供するステップと、
(ii)前記ポリヌクレオチド配列を集めて、下記の式:
[N1]−[DH]−[N2]−[H3−JH]
によって表される複数のヒト抗体CDRH3アミノ酸配列をコードする合成ポリヌクレオチドのライブラリーを作製するステップと
を含む方法を含む。
一態様では、ポリヌクレオチド配列の1つまたは複数はスプリットプール合成を介して合成される。
別の態様では、本発明の方法は、集めた合成ポリヌクレオチドを、重鎖シャーシおよび重鎖定常領域を含むベクターで組み換えて、完全長重鎖を形成するステップをさらに含む。
別の態様では、本発明の方法は、相同組換えを促進する5’ポリヌクレオチド配列および3’ポリヌクレオチド配列を提供するステップをさらに含む。さらに別の態様では、本発明の方法は、前記集めた合成ポリヌクレオチドを、重鎖シャーシおよび重鎖定常領域を含むベクターで組み換えて、完全長重鎖を形成するステップをさらに含む。
いくつかの実施形態では、組み換えるステップは酵母中で行われる。特定の実施形態では、酵母はS.cerevisiaeである。
ある他の実施形態では、本発明は、1つまたは複数の抗体を発現する1つまたは複数の宿主細胞を単離する方法であって、
(i)1つまたは複数の宿主細胞中で請求項40および46のいずれか一項に記載のヒト抗体を発現させるステップと、
(ii)前記宿主細胞を1つまたは複数の抗原と接触させるステップと、
(iii)前記1つまたは複数の抗原と結合する抗体を有する1つまたは複数の宿主細胞を単離するステップと
を含む方法を含む。
別の態様では、本発明の方法は、1つまたは複数の抗原を認識する抗体を提示する1つまたは複数の宿主細胞から1つまたは複数の抗体を単離するステップをさらに含む。さらに別の態様では、本発明の方法は、1つまたは複数の抗原を認識する抗体を提示する1つまたは複数の宿主細胞から1つまたは複数の抗体をコードする1つまたは複数のポリヌクレオチド配列を単離するステップをさらに含む。
特定の他の実施形態では、本発明は、複数の抗体CDRH3アミノ酸配列、または本明細書に開示されている他の配列のいずれかをコードする合成ポリヌクレオチドのライブラリーを含むキットを含む。
さらに他の態様では、本明細書に記載の合成ポリヌクレオチドのライブラリーによってコードされるCDRH3アミノ酸配列、または本明細書に開示されている他の配列のいずれかは、コンピュータで読み取り可能な形態である。
本発明は例えば、以下の項目を提供する:
(項目1)
合成ポリヌクレオチドのライブラリーであって、前記ポリヌクレオチドが、
(i)0〜約3アミノ酸のN1アミノ酸配列であって、その各アミノ酸が、ヒトB細胞によって機能的に発現されるCDRH3アミノ酸配列のN1アミノ酸配列中の対応する位置で最も頻繁に出現する12種のアミノ酸の1つであるN1アミノ酸配列と、
(ii)ヒトCDRH3 DHアミノ酸配列、そのNおよびC末端切断物、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列と、
(iii)0〜約3アミノ酸のN2アミノ酸配列であって、その各アミノ酸が、ヒトB細胞によって機能的に発現されるCDRH3アミノ酸配列のN2アミノ酸配列中の対応する位置で最も頻繁に出現する12種のアミノ酸の1つであるN2アミノ酸配列と、
(iv)ヒトCDRH3 H3−JHアミノ酸配列、そのN末端切断物、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列と
を含む少なくとも10種の独特の抗体CDRH3アミノ酸配列をコードする、ライブラリー。
(項目2)
項目1に記載のライブラリーのポリペプチド発現産物から単離される抗体。
(項目3)
1つまたは複数のCDRH3アミノ酸配列が、N末端の尾部残基をさらに含む、項目1に記載のライブラリー。
(項目4)
前記N末端の尾部残基が、G、D、およびEからなる群より選択される、項目3に記載のライブラリー。
(項目5)
前記N1アミノ酸配列が、

およびその組合せからなる群より選択される、項目1に記載のライブラリー。
(項目6)
前記N2アミノ酸配列が、

およびその組合せからなる群より選択される、項目1に記載のライブラリー。
(項目7)
前記H3−JHアミノ酸配列が、

からなる群より選択される、項目1に記載のライブラリー。
(項目8)
前記ポリヌクレオチドが、相同組換えを促進する5’ポリヌクレオチド配列および3’ポリヌクレオチド配列をさらに含む、項目1に記載のライブラリー。
(項目9)
前記ポリヌクレオチドが、前記CDRH3アミノ酸配列に対してN末端にある1つまたは複数の重鎖シャーシアミノ酸配列をさらにコードし、前記1つまたは複数の重鎖シャーシアミノ酸配列が、

によってコードされる約Kabatアミノ酸1〜約Kabatアミノ酸94、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列からなる群より選択される、項目1に記載のライブラリー。
(項目10)
前記ポリヌクレオチドが、前記CDRH3アミノ酸配列に対してC末端にある1つまたは複数のFRM4アミノ酸配列をさらにコードし、前記1つまたは複数のFRM4アミノ酸配列が、IGHJ1、IGHJ2、IGHJ3、IGHJ4、IGHJ5、およびIGHJ6によってコードされるFRM4アミノ酸配列、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列からなる群より選択される、項目1に記載のライブラリー。
(項目11)
前記ポリヌクレオチドが、前記FRM4アミノ酸配列に対してC末端にある1つまたは複数のイムノグロブリン重鎖定常領域アミノ酸配列をさらにコードする、項目10に記載のライブラリー。
(項目12)
前記CDRH3アミノ酸配列が、完全長重鎖の一部として発現される、項目11に記載のライブラリー。
(項目13)
前記完全長重鎖が、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4、またはその組合せからなる群より選択される、項目12に記載のライブラリー。
(項目14)
前記ポリヌクレオチドが、代替足場をさらにコードする、項目1に記載のライブラリー。
(項目15)
前記CDRH3アミノ酸配列の長さが、約2〜約30、約8〜約19、または約10〜約18アミノ酸残基である、項目1に記載のライブラリー。
(項目16)
前記ライブラリーの合成ポリヌクレオチドが、約10〜約1014、約10〜約1013、約10〜約1012、約10〜約1012、または約1010〜約1012種の独特のCDRH3アミノ酸配列をコードする、項目1に記載のライブラリー。
(項目17)
項目1に記載の合成ポリヌクレオチドライブラリーによってコードされるポリペプチドのライブラリー。
(項目18)
項目1に記載のポリヌクレオチドライブラリーを含むベクターのライブラリー。
(項目19)
項目18に記載のベクターを含む細胞の集団。
(項目20)
前記細胞の集団の倍加時間が、約1〜約3時間、約3〜約8時間、約8〜約16時間、約16〜約20時間、または約20〜30時間である、項目19に記載の細胞の集団。
(項目21)
前記細胞が酵母細胞である、項目19に記載の細胞の集団。
(項目22)
Saccharomyces cerevisiaeである、項目21に記載の酵母細胞。
(項目23)
合成ポリヌクレオチドのライブラリーであって、前記ライブラリーは、N種の独特のCDRH3配列の理論的全多様性を有し、Nが約10〜約1015であり、理論的全CDRH3多様性の物理的実現物が少なくとも約3Nのサイズを有し、それによって前記ライブラリーの理論的全多様性内に含まれる任意の個々のCDRH3配列が現実のライブラリー中に存在する確率が少なくとも約95%となる、ライブラリー。
(項目24)
合成ポリヌクレオチドのライブラリーであって、前記ポリヌクレオチドが、
(i)0〜約3アミノ酸のN1アミノ酸配列であって、
(a)最もN末端にあるN1アミノ酸が、存在する場合には、R、G、P、L、S、A、V、K、I、Q、TおよびDからなる群より選択され、
(b)最もN末端から2番目のN1アミノ酸が、存在する場合には、G、P、R、S、L、V、E、A、D、I、TおよびKからなる群より選択され、
(c)最もN末端から3番目のN1アミノ酸が、存在する場合には、G、R、P、S、L、A、V、T、E、D、KおよびFからなる群より選択される、N1アミノ酸配列と、(ii)ヒトCDRH3 DHアミノ酸配列、そのNおよびC末端切断物、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列と、
(iii)0〜約3アミノ酸のN2アミノ酸配列であって、
(a)最もN末端にあるN2アミノ酸が、存在する場合には、G、P、R、L、S、A、T、V、E、D、FおよびHからなる群より選択され、
(b)最もN末端から2番目のN2アミノ酸が、存在する場合には、G、P、R、S、T、L、A、V、E、Y、DおよびKからなる群より選択され、
(c)最もN末端から3番目のN2アミノ酸が、存在する場合には、G、P、S、R、L、A、T、V、D、E、WおよびQからなる群より選択されるN2アミノ酸配列と、
(iv)ヒトCDRH3 H3−JHアミノ酸配列、そのN末端切断物、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列と
を含む少なくとも約10種の独特の抗体CDRH3アミノ酸配列をコードする、ライブラリー。
(項目25)
項目24に記載のライブラリーのポリペプチド発現産物から単離される抗体。
(項目26)
合成ポリヌクレオチドのライブラリーであって、前記ポリヌクレオチドが、下記の式:[X]−[N1]−[DH]−[N2]−[H3−JH]
によって表されるアミノ酸配列と少なくとも約80%同一である少なくとも約10種の独特の抗体CDRH3アミノ酸配列をコードし、式中、
(i)Xは任意のアミノ酸残基であり、またはアミノ酸残基を有さず、
(ii)N1は、

およびその組合せからなる群より選択されるアミノ酸配列であり、
(iii)DHは、

によってコードされる、終止コドンを含まないすべての考えられる読み枠、ならびにそのNおよびC末端切断物からなる群より選択されるアミノ酸配列であり、
(iv)N2は、

およびその組合せからなる群より選択されるアミノ酸配列であり、
(v)H3−JHは、

またはそれらのいずれかと少なくとも80%の同一性のある配列からなる群より選択されるアミノ酸配列である、
ライブラリー。
(項目27)
項目26に記載のライブラリーのポリペプチド発現産物から単離される抗体。
(項目28)
合成ポリヌクレオチドのライブラリーであって、下記の式:
[X]−[N1]−[DH]−[N2]−[H3−JH]
によって表されるアミノ酸配列と少なくとも約80%同一であるCDRH3アミノ酸配列をコードする複数のポリヌクレオチドから本質的になり、式中、
(i)Xは任意のアミノ酸残基であり、またはアミノ酸残基を有さず、
(ii)N1は、


およびその組合せからなる群より選択されるアミノ酸配列であり、
(iii)DHは、


によってコードされる、終止コドンを含まないすべての考えられる読み枠、ならびにそのNおよびC末端切断物からなる群より選択されるアミノ酸配列であり、
(iv)N2は、


およびその組合せからなる群より選択されるアミノ酸配列であり、
(v)H3−JHは、

またはそれらのいずれかと少なくとも80%の同一性のある配列からなる群より選択されるアミノ酸配列である、
ライブラリー。
(項目29)
項目28に記載のライブラリーのポリペプチド発現産物から単離される抗体。
(項目30)
合成ポリヌクレオチドのライブラリーであって、前記ポリヌクレオチドが1つまたは複数の抗体重鎖アミノ酸配列をコードし、前記重鎖の独特のCDRH3アミノ酸配列が、
(i)0〜約3アミノ酸のN1アミノ酸配列であって、その各アミノ酸が、ヒトB細胞によって機能的に発現されるCDRH3アミノ酸配列のN1アミノ酸配列中の対応する位置で最も頻繁に出現する12種のアミノ酸の1つであるN1アミノ酸配列と、
(ii)ヒトCDRH3 DHアミノ酸配列、そのNおよびC末端切断物、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列と、
(iii)0〜約3アミノ酸のN2アミノ酸配列であって、その各アミノ酸が、ヒトB細胞によって機能的に発現されるCDRH3アミノ酸配列のN2アミノ酸配列中の対応する位置で最も頻繁に出現する12種のアミノ酸の1つであるN2アミノ酸配列と、
(iv)ヒトCDRH3 H3−JHアミノ酸配列、そのN末端切断物、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列と
を含むライブラリー。
(項目31)
項目30に記載のライブラリーのポリペプチド発現産物から単離される抗体。
(項目32)
合成ポリヌクレオチドのライブラリーであって、前記ポリヌクレオチドが、特定のIGKVまたはIGKJ生殖系列配列に由来する選択されたVKCDR3アミノ酸配列中のkabat89、90、91、92、93、94、95、95A、96、および97位で認められるアミノ酸を約1〜約10個含む複数の抗体VKCDR3アミノ酸配列をコードする、ライブラリー。
(項目33)
前記合成ポリヌクレオチドが、表33に挙げたアミノ酸配列、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%同一である配列の1つまたは複数をコードする、項目32に記載のライブラリー。
(項目34)
項目32に記載のライブラリーのポリペプチド発現産物から単離される抗体。
(項目35)
合成ポリヌクレオチドのライブラリーであって、前記ポリヌクレオチドが、下記の式:
[VK_シャーシ]−[L3−VK]−[X]−[JK
によって表されるアミノ酸配列と少なくとも約80%の同一性がある複数の独特の抗体VKCDR3アミノ酸配列をコードし、式中、
(i)VK_シャーシは、

によってコードされる約Kabatアミノ酸1〜約Kabatアミノ酸88、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列からなる群より選択されるアミノ酸配列であり、
(ii)L3−VKは、IGKV遺伝子セグメントによってコードされるVKCDR3の部分であり、
(iii)Xは任意のアミノ酸残基であり、
(iv)JKは、IGJK1、IGJK2、IGJK3、IGJK4、およびIGJK5によってコードされるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列であり、各アミノ酸配列の最初のアミノ酸残基が存在しない、
ライブラリー。
(項目36)
項目35に記載のライブラリーのポリペプチド発現産物から単離される抗体。
(項目37)
Xが、F、L、I、R、W、Y、およびPからなる群より選択される、項目35に記載のライブラリー。
(項目38)
合成ポリヌクレオチドのライブラリーであって、前記ポリヌクレオチドが、下記の式:
[Vλ_シャーシ]−[L3−Vλ]−[Jλ]
によって表されるアミノ酸配列と少なくとも約80%の同一性がある複数のVλCDR3アミノ酸配列をコードし、式中、
(i)Vλ_シャーシは、

によってコードされる約Kabatアミノ酸1〜約Kabatアミノ酸88、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列からなる群より選択されるアミノ酸配列であり、
(ii)L3−Vλは、IGλVセグメントによってコードされるVλCDR3の部分であり、
(iii)Jλは、IGλJ1−01、IGλJ2−01、IGλJ3−01、IGλJ3−02、IGλJ6−01、IGλJ7−01、およびIGλJ7−02によってコードされるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列であり、各配列の最初のアミノ酸残基が欠失していてもよく、または欠失していなくてもよい、
ライブラリー。
(項目39)
項目38に記載のライブラリーのポリペプチド発現産物から単離される抗体。
(項目40)
合成ポリヌクレオチドのライブラリーであって、前記ポリヌクレオチドが、
(i)項目1に記載のCDRH3アミノ酸配列と、
(ii)特定のIGKVまたはIGKJ生殖系列配列に由来する選択されたVKCDR3アミノ酸配列中のKabat89、90、91、92、93、94、95、95A、96、および97位で認められるアミノ酸を約1〜約10個含むVKCDR3アミノ酸配列とを含む複数の抗体タンパク質をコードする、ライブラリー。
(項目41)
前記VKCDR3アミノ酸配列が、表33に挙げたアミノ酸配列、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%同一である配列の1つまたは複数を含む、項目40に記載のライブラリー。
(項目42)
項目40に記載のライブラリーから単離される抗体。
(項目43)
前記抗体タンパク質が、ヘテロ二量体の形態で発現される、項目40に記載のライブラリー。
(項目44)
前記抗体タンパク質が、抗体断片として発現される、項目40に記載のライブラリー。
(項目45)
前記抗体断片が、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv断片、ダイアボディ、直鎖抗体、および単鎖抗体からなる群より選択される、項目44に記載のライブラリー。
(項目46)
合成ポリヌクレオチドのライブラリーであって、前記ポリヌクレオチドが、
(i)項目1に記載のCDRH3アミノ酸配列と、
(ii)下記の式:
[VK_シャーシ]−[L3−VK]−[X]−[JK
によって表されるアミノ酸配列と少なくとも約80%の同一性のあるVKCDR3アミノ酸配列であって、式中、
(a)VK_シャーシは、

によってコードされる約Kabatアミノ酸1〜約Kabatアミノ酸88、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列からなる群より選択されるアミノ酸配列であり、
(b)L3−VKは、IGKV遺伝子セグメントによってコードされるVKCDR3の部分であり、
(c)Xは任意のアミノ酸残基であり、
(d)JKは、IGJK1、IGJK2、IGJK3、IGJK4、およびIGJK5によってコードされるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列であり、各IGJKアミノ酸配列の最初の残基が存在しないVKCDR3アミノ酸配列と
を含む複数の抗体タンパク質をコードする、ライブラリー。
(項目47)
項目46に記載のライブラリーから単離される抗体。
(項目48)
複数の抗体CDRH3アミノ酸配列をコードする合成ポリヌクレオチドのライブラリーであって、前記ライブラリー中の下記のi−i+1の対の少なくとも1つの、前記CDRH3アミノ酸配列の中心ループ内でのパーセント出現率が、
約2.5%〜約6.5%の量のTyr−Tyr、
約2.5%〜約4.5%の量のSer−Gly、
約2%〜約4%の量のSer−Ser、
約1.5%〜約4%の量のGly−Ser、
約0.75%〜約2%の量のTyr−Ser、
約0.75%〜約2%の量のTyr−Gly、および
約0.75%〜約2%の量のSer−Tyr
の特定の範囲内にある、ライブラリー。
(項目49)
前記ライブラリー中の特定のi−i+1の対の少なくとも2、3、4、5、6、または7つが、前記特定の範囲内にある、項目48に記載のライブラリー。
(項目50)
項目48に記載のライブラリーのポリペプチド発現産物から単離される抗体。
(項目51)
前記ポリヌクレオチドが、少なくとも約10種の独特のCDRH3アミノ酸配列をコードする、項目48に記載のライブラリー。
(項目52)
複数の抗体CDRH3アミノ酸配列をコードする合成ポリヌクレオチドのライブラリーであって、前記ライブラリー中の下記のi−i+2の対の少なくとも1つの、前記CDRH3アミノ酸配列の中心ループ内でのパーセント出現率が、
約2.5%〜約4.5%の量のTyr−Tyr、
約2.5%〜約5.5%の量のGly−Tyr、
約2%〜約4%の量のSer−Tyr、
約1.75%〜約3.75%の量のTyr−Ser、
約2%〜約3.5%の量のSer−Gly
約1.5%〜約3%の量のSer−Ser、
約1.5%〜約3%の量のGly−Ser、および
約1%〜約2%の量のTyr−Gly
の特定の範囲内にある、ライブラリー。
(項目53)
前記ライブラリー中の特定のi−i+2の対の少なくとも2、3、4、5、6、7、または8つが、前記特定の範囲内にある、項目52に記載のライブラリー。
(項目54)
項目52に記載のライブラリーのポリペプチド発現産物から単離される抗体。
(項目55)
前記ポリヌクレオチドが、少なくとも約10種の独特のCDRH3アミノ酸配列をコードする、項目52に記載のライブラリー。
(項目56)
複数の抗体CDRH3アミノ酸配列をコードする合成ポリヌクレオチドのライブラリーであって、前記ライブラリー中の下記のi−i+3の対の少なくとも1つの、前記CDRH3アミノ酸配列の中心ループ内でのパーセント出現率が、
約2.5%〜約6.5%の量のGly−Tyr、
約1%〜約5%の量のSer−Tyr、
約2%〜約4%の量のTyr−Ser、
約1%〜約3%の量のSer−Ser、
約2%〜約5%の量のGly−Ser、および
約0.75%〜約2%の量のTyr−Tyr
の特定の範囲内にあるライブラリー。
(項目57)
前記ライブラリー中の特定のi−i+3の対の少なくとも2、3、4、5、または6つが、前記特定の範囲内にある、項目56に記載のライブラリー。
(項目58)
項目56に記載のライブラリーのポリペプチド発現産物から単離される抗体。
(項目59)
前記ポリヌクレオチドが、少なくとも約10種の独特のCDRH3アミノ酸配列をコードする、項目56に記載のライブラリー。
(項目60)
合成ポリヌクレオチドライブラリーを調製する方法であって、項目1、24、26、28、30、32、35、38、40、46、48、52、および56のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド配列を提供し集めるステップを含む方法。
(項目61)
複数の抗体CDRH3アミノ酸配列をコードする合成ポリヌクレオチドのライブラリーを調製する方法であって、
(i)(a)1つまたは複数の、0〜約3アミノ酸のN1アミノ酸配列であって、その各アミノ酸が、ヒトB細胞によって機能的に発現されるCDRH3アミノ酸配列のN1アミノ酸配列中の対応する位置で最も頻繁に出現する12種のアミノ酸の1つであるN1アミノ酸配列、
(b)1つまたは複数のヒトCDRH3 DHアミノ酸配列、そのNおよびC末端切断物、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列、
(c)1つまたは複数の、0〜約3アミノ酸のN2アミノ酸配列であって、その各アミノ酸が、ヒトB細胞によって機能的に発現されるCDRH3アミノ酸配列のN2アミノ酸配列中の対応する位置で最も頻繁に出現する12種のアミノ酸の1つであるN2アミノ酸配列、ならびに
(d)1つまたは複数のヒトCDRH3 H3−JHアミノ酸配列、そのN末端切断物、またはそれらのいずれかと少なくとも約80%の同一性のある配列
をコードするポリヌクレオチド配列を提供するステップと、
(ii)前記ポリヌクレオチド配列を集めて、下記の式:
[N1]−[DH]−[N2]−[H3−JH]
によって表される複数のヒト抗体CDRH3アミノ酸配列をコードする合成ポリヌクレオチドのライブラリーを作製するステップと
を含む方法。
(項目62)
前記ポリヌクレオチド配列の1つまたは複数がスプリットプール合成を介して合成される、項目61に記載の方法。
(項目63)
相同組換えを促進する5’ポリヌクレオチド配列および3’ポリヌクレオチド配列を提供するステップをさらに含む、項目61に記載の方法。
(項目64)
前記集めた合成ポリヌクレオチドを、重鎖シャーシおよび重鎖定常領域を含むベクターで組み換えて、完全長重鎖を形成するステップをさらに含む、項目61に記載の方法。
(項目65)
前記組み換えるステップが酵母中で行われる、項目64に記載の方法。
(項目66)
前記酵母がS.cerevisiaeである、項目65に記載の方法。
(項目67)
1つまたは複数の抗体を発現する1つまたは複数の宿主細胞を単離する方法であって、(i)1つまたは複数の宿主細胞中で項目40および46のいずれか一項に記載の抗体を発現させるステップと、
(ii)前記宿主細胞を1つまたは複数の抗原と接触させるステップと、
(iii)前記1つまたは複数の抗原と結合する抗体を有する1つまたは複数の宿主細胞を単離するステップと
を含む方法。
(項目68)
前記1つまたは複数の宿主細胞から1つまたは複数の抗体を単離するステップをさらに含む、項目67に記載の方法。
(項目69)
前記1つまたは複数の宿主細胞から、1つまたは複数の抗体をコードする1つまたは複数のポリヌクレオチド配列を単離するステップをさらに含む、項目67に記載の方法。
(項目70)
項目1に記載の合成ポリヌクレオチドのライブラリーを含むキット。
(項目71)
コンピュータで読み取り可能な形態での、項目1、24、26、28、30、32、35、38、40、46、48、52、および56のいずれか一項に記載の合成ポリヌクレオチドのライブラリーによってコードされるCDRH3アミノ酸配列。
ライブラリーの構築のための、断片(例えば、CDR3)およびベクター(例えばシャーシおよび定常領域を含む)間の組換えの概略図である。 Jacksonら(J.Immunol Methods、2007年、324巻:26頁、参照によりその全体を組み込む)により集積された、再構成されたヒト抗体配列のN1およびN2領域の長さの分布を表す図である。 NCBIデータベース(付録A)から集積された、再構成されたヒトκ軽鎖配列のCDRL3領域の長さの分布を表す図である。 NCBIデータベース(付録B)から集積された、再構成されたヒトλ軽鎖配列のCDRL3領域の長さの分布を表す図である。 [DH]−[N2]−[JH]セグメントの連結前後でCDRH3領域の合成に使用する424のクローニングベクターの略図である。 CDRH3を用いた組換えの前の、重鎖ベクターの構造略図である。 重鎖ベクターに組み込まれたCDRH3ならびにCDRH3のポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列の略図である。 CDRL3を用いた組換えの前の、κ軽鎖ベクターの構造略図である。 軽鎖ベクターに組み込まれたCDRL3ならびにCDRL3のポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列の略図である。 軽鎖ベクターに組み込まれたCDRL3ならびにCDRL3のポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列の略図である。 実施例10に記載のように合成された424個のベクターの10個を用いた形質転換により得られた96個のコロニー由来のCDRH3ドメイン(Kabatの位置95〜102)の(観察された)長さの分布を、期待された(すなわち設計された)分布と比較して表す図である。 実施例10に記載のように合成された424個のベクターの10個を用いた形質転換により得られた96個のコロニー由来のDHセグメントの(観察された)長さの分布を、期待された(すなわち設計された)分布と比較して表す図である。 実施例10に記載のように合成された424個のベクターの10個を用いた形質転換により得られた96個のコロニー由来のN2セグメントの(観察された)長さの分布を、期待された(すなわち設計された)分布と比較して表す図である。 実施例10に記載のように合成された424個のベクターの10個を用いた形質転換により得られた96個のコロニー由来のH3−JHセグメントの(観察された)長さの分布を、期待された(すなわち設計された)分布と比較して表す図である。 実施例10.4に要約した方法、つまり重鎖シャーシおよび定常領域を含むベクターおよびCDRH3挿入物の同時形質転換に従って形質転換された酵母細胞から調製された、291の配列に由来するCDRH3ドメインの(観察された)長さの分布を、期待された(すなわち設計された)分布と比較して表す図である。 実施例10.4に要約したプロトコルに従って形質転換された酵母細胞から調製された、291の配列に由来する[尾部]−[N1]領域の(観察された)長さの分布を、期待された(すなわち設計された)分布と比較して表す図である。 実施例10.4に要約したプロトコルに従って形質転換された酵母細胞から調製された、291の配列に由来するDH領域の(観察された)長さの分布を、理論的(すなわち設計された)分布と比較して表す図である。 実施例10.4に要約したプロトコルに従って形質転換された酵母細胞から調製された、291の配列に由来するN2領域の(観察された)長さの分布を、理論的(すなわち設計された)分布と比較して表す図である。 実施例10.4に要約したプロトコルに従って形質転換された酵母細胞から調製された、291の配列に由来するH3−JH領域の(観察された)長さの分布を、理論的(すなわち設計された)分布と比較して表す図である。 291の配列において同定されたJHセグメントの(観察された)ファミリー起源を、理論的(すなわち設計された)ファミリー起源と比較して表す図である。 理論的(すなわち設計された)シャーシの表現と比較した、(観察された)ライブラリーの16のシャーシの各提示を表す図である。VH3−23は2回提示され、1回はCARで終了し、1回はCAKで終了している。これらの提示を組合せ、10のVH3−33の変異体および1つのVH3−30の変異体もまた組み合わせた。 実施例6.2のVKCDR3ライブラリーより選択された86の配列に由来するCDRL3の(観察された)長さを、ヒト配列(ヒト)および設計された配列(設計)と比較して表す図である。 ライブラリーより選択された86の配列の中の軽鎖シャーシの(観察された)提示を、理論的(すなわち設計された)シャーシの提示と比較して表す図である。 本発明の例示的ライブラリーにおけるさまざまなCDRH3の長さの出現頻度対Leeら、(Immunogenetics、2006年、57巻:917頁、参照によりその全体を組み込む)の免疫前のレパートリーを表す図である。 本発明のライブラリーより選択された6種の抗体に関する結合曲線を表す図である。 本発明のライブラリーより選択された、鶏の卵白のリゾチームに結合する10種の抗体に関する結合曲線を表す図である。
本発明は、少なくとも、合成ポリヌクレオチドライブラリー、本発明のライブラリーを作製および使用する方法、本発明のライブラリーを含むキットおよびコンピュータで読み取り可能な形態を対象とする。本出願において教示されるライブラリーは、少なくとも一部は、集められる構成要素に関して記述される。
特定の実施形態では、本発明は、天然に存在するヒト抗体レパートリーにおける組成およびCDR長分布に基づいて特に設計された抗体ライブラリーを提供する。抗原刺激が存在しない場合であっても、ヒトは少なくとも約10個の異なる抗体分子を生成することが推定される。多くの抗体の抗原結合部位は、さまざまな関連するが異なるエピトープと交差反応することができる。加えて、ヒト抗体レパートリーは、低い親和性ではあるがほとんどすべての潜在的エピトープに適合する抗原結合部位が確実に存在するほど十分に大きい。
哺乳動物免疫系は、染色体上の離れた遺伝子セグメントを転写前に組み合わせて連結することによって、非常に経済的な方法でほとんど無限の数の異なる軽鎖および重鎖を作製することを可能にする独特の遺伝機構を進化させてきた。各種のイムノグロブリン(Ig)鎖(すなわち、κ軽鎖、λ軽鎖、および重鎖)は、単一のポリペプチド鎖を作製するための、遺伝子セグメントの2つ以上のファミリーより選択されるDNA配列の組合せ集合によって合成される。特に、重鎖および軽鎖はそれぞれ、可変および定常(C)領域からなる。重鎖の可変領域は、遺伝子セグメントの3つのファミリー:可変(IGHV)、連結(IGHJ)および多様性(IGHD)から集められたDNA配列によりコードされる。軽鎖の可変領域は、κおよびλ軽鎖のそれぞれにつき遺伝子セグメントの2つのファミリー:可変(IGLV)および連結(IGLJ)から集められたDNA配列によりコードされる。各可変領域(重鎖および軽鎖)はまた、完全長イムノグロブリン鎖を作製するために定常領域とも再結合する。
V、DおよびJ遺伝子セグメントの組合せ集合は、抗体可変領域多様性に大きく貢献する一方、前B細胞段階で、これらの遺伝子セグメントの不正確な連結および遺伝子セグメント間の連結部での非鋳型ヌクレオチド導入を介して、さらなる多様性がインビボで導入される。
B細胞は抗原を認識した後、誘導されて増殖する。増殖の間、B細胞受容体遺伝子座は、通常の遺伝子突然変異率よりもはるかに大きい、極めて高い率の体細胞突然変異を受ける。出現する突然変異は、Ig可変領域に主に限局され、置換、挿入および欠失を含む。この体細胞超突然変異は、抗原に対する増強された親和性を有する抗体を発現するB細胞の産生を可能にする。このような抗原誘発性体細胞超突然変異は、所与の抗原に対する抗体反応を微調整する。
広範囲な多様性を有する抗体ライブラリーを作製するため、およびさまざまな抗原、特に、自己免疫疾患、癌、および感染症などの疾患に関連する抗原に対する抗体の親和性成熟の自然過程を模倣するために、著しい努力がなされてきた。標的に対して容易にスクリーニングすることができる候補結合分子を含む抗体ライブラリーが望ましい。しかしながら、免疫前ヒト抗体レパートリーを表す抗体ライブラリーの完全な有望性は、依然として把握し難いままである。上記でおよび出願全体にわたって列挙されている欠点に加えて、当技術分野において知られている合成ライブラリーはノイズ(すなわち、非常に大きなライブラリーは、うまく発現しない、および/またはミスフォールドする多くの配列の存在を増加させる)を受けることが多く、一方、当技術分野において知られている完全ヒトライブラリーは、特定の抗原クラス(例えば、自己抗原)に対して偏る可能性がある。さらに、合成および物理的実現技術の限界は、当技術分野の抗体ライブラリーの機能的多様性を制限する。本発明は、ヒト免疫前抗体レパートリー(例えば、組成および長さにおいて)を表す、および、例えば、新しい治療法および/または診断法を得るために、例えば、ハイスループット法を使用して容易にスクリーニングすることができる(すなわち、物理的実現可能であり、場合によってはオーバーサンプリングすることができる)、完全合成抗体ライブラリーを初めて提供する。
特に、本発明の合成抗体ライブラリーは、ヒト起源の自己抗原を含む任意の抗原を認識する潜在能力を有する。自己抗原を認識する能力は通常、自己反応性抗体がドナーの免疫系によって負の選択を介して除去されるため、発現されたヒトライブラリーにおいて失われる。本発明の別の特徴は、例えば、FACS(蛍光活性化細胞選別装置)による陽性クローン選択を使用して抗体ライブラリーをスクリーニングすることにより、ハイブリドーマライブラリーの作製および上清のスクリーニングという標準の冗長な方法を回避することである。さらに、ライブラリー、またはそのサブライブラリーは、他の望ましい標的に対するさらなる抗体を発見するために複数回スクリーニングすることができる。
本発明のさらなる説明の前に、特定の用語を定義する。
1.定義
別途定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術的および科学的用語は、本発明に関連する分野の当業者によって一般に理解される意味を有する。以下の定義は当業者を補助し、本出願において説明される実施形態を対象とする。
用語「抗体」は、最も広い意味で本明細書において使用され、特に、少なくともモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、および抗体断片を包含する。抗体は、イムノグロブリン遺伝子またはイムノグロブリン遺伝子断片によって実質的にまたは部分的にコードされる、1つまたは複数のポリペプチドを含むタンパク質である。認識されるイムノグロブリン遺伝子は、κ、λ、α、γ、δ、εおよびμ定常領域遺伝子のほかに、無数のイムノグロブリン可変領域遺伝子もまた含む。
「抗体断片」は、インタクトな抗体の部分、例えば、その抗原結合領域の1つまたは複数の部分を含む。抗体断片の例は、Fab、Fab’、F(ab’)およびFv断片、ダイアボディ、直鎖抗体、単鎖抗体、ならびにインタクトな抗体および抗体断片から形成される多重特異性抗体を含む。
「インタクトな抗体」は、完全長重鎖および軽鎖ならびにFc領域を含む抗体である。インタクトな抗体は、「完全長、ヘテロ二量体」抗体またはイムノグロブリンとも称される。
用語「可変」とは、その配列において可変性を示し、特定の抗体の特異性および結合親和性の決定にかかわるイムノグロブリンドメインの部分(すなわち、「可変ドメイン(複数可)」)のことをいう。可変性は、抗体の可変ドメインの全体にわたって均等に分布しているわけではなく、重鎖および軽鎖可変領域のそれぞれのサブドメイン中に集中している。こうしたサブドメインは、「超可変」領域または「相補性決定領域」(CDR)と呼ばれる。可変ドメインのより保存されている(すなわち、非超可変)部分は、「フレームワーク」領域(FRM)と呼ばれる。天然に存在する重鎖および軽鎖の可変ドメインはそれぞれ、大部分がβ−シート構造をとる4つのFRM領域を含み、これらはβ−シート構造を連結する、および場合によってはその一部を形成するループを形成する3つの超可変領域によって連結される。各鎖における超可変領域は、別の鎖の超可変領域と一緒にFRMによってごく近接してまとめられ、抗原結合部位の形成に寄与する(その全体が参照により組み込まれる、Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda, Md.、1991年を参照)。定常ドメインは抗原結合に直接関与しないが、例えば、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害および補体活性化などのさまざまなエフェクター機能を示す。
本発明の「シャーシ」は、それぞれCDRH3またはCDRL3の一部ではない抗体重鎖可変(IGHV)または軽鎖可変(IGLV)ドメインの部分を表す。本発明のシャーシは、最初のアミノ酸FRM1で始まり最後のアミノ酸FRM3で終わる抗体の可変領域の部分と定義される。重鎖の場合、シャーシは、約Kabat1位から約Kabat94位までを含むアミノ酸を含む。軽鎖(κおよびλ)の場合、シャーシは、約Kabat1位から約Kabat88位までを含むと定義される。本発明のシャーシは、本明細書において提示される、または公共データベースにおいて利用可能な、対応する生殖系列可変ドメイン配列と比較して若干の変更を含むことができる。こうした変更は、人工的(例えば、N結合グリコシル化部位を除去する)であっても、または天然に存在(例えば、対立遺伝子変異に相当する)していてもよい。例えば、イムノグロブリン遺伝子レパートリーが多型である(それぞれその全体が参照により組み込まれる、Wangら、Immunol.Cell.Biol.、2008年、86巻:111頁;Collinsら、Immunogenetics、2008年、DOI 10.1007/s00251−008−0325−z、オンライン版)ことが当技術分野において知られており、これらの対立遺伝子変異体を表すシャーシ、CDR(例えば、CDRH3)および定常領域もまた、本発明に包含される。いくつかの実施形態では、本発明の特定の実施形態では使用される対立遺伝子変異体(複数可)は、例えば、異なる患者集団において非免疫原性である抗体を同定するために、これらの患者集団において存在する対立遺伝子変異に基づいて選択することができる。特定の実施形態では、本発明の抗体の免疫原性は、患者集団の主要組織適合性複合体(MHC)遺伝子における対立遺伝子変異に依存していてもよい。このような対立遺伝子変異はまた、本発明のライブラリーの設計において考慮されてもよい。本発明の特定の実施形態では、シャーシおよび定常領域がベクター上に含まれ、CDR3領域はそれらの間に相同組み換えによって導入される。
いくつかの実施形態では、1つ、2つまたは3つのヌクレオチドが重鎖シャーシの後に続いて、部分的(1つまたは2つの場合)または完全な(3つの場合)コドンのいずれかを形成することができる。完全なコドンが存在する場合、これらのヌクレオチドは、「尾部」と称されるアミノ酸残基をコードし、95位を占める。
本明細書において使用される場合、「CDRH3番号付けシステム」は、CDRH3の最初のアミノ酸をKabat95位(存在する場合、「尾部」)およびCDRH3の最後のアミノ酸を102位と定義する。「尾部」の後に続くアミノ酸は、「N1」と呼ばれ、存在する場合、96、96A、96Bなどの番号を割り当てられる。N1セグメントの後には「DH」セグメントが続き、97、97A、97B、97Cなどの番号を割り当てられる。DHセグメントの後には「N2」セグメントが続き、存在する場合、98、98A、98Bなどの番号を割り当てられる。最終的に、「H3〜JH」セグメントの組の最もC末端のアミノ酸残基は番号102と称される。その直前(N末端側)の残基は、存在する場合、101であり、前の残基(存在する場合)は100である。便宜のため、および他の部分で明らかになるはずであるが、H3〜JHアミノ酸の残りの部分は、100のちょうどN末端側のアミノ酸の99で始まり、99のN末端側の残基を99A、および99B、99Cなどについて以下同様に、逆の順序で番号付けされる。したがって、特定のCDRH3配列残基番号の例は、以下を含み得る:

本明細書において使用される場合、用語「多様性」は、多様さまたは顕著な不均一性のことをいう。用語「配列多様性」は、例えば、天然ヒト抗体において認められる配列などの配列のいくつかの可能性を集合的に表すさまざまな配列のことをいう。例えば、重鎖CDR3(CDRH3)配列多様性は、既知のヒトDHならびにN1およびN2領域を含むH3−JHセグメントを組み合わせて重鎖CDR3配列を形成するさまざまな可能性のことを指し得る。軽鎖CDR3(CDRL3)配列多様性は、CDRL3に寄与している天然に存在する軽鎖可変領域(すなわち、L3−VL)および連結(すなわち、L3−JL)セグメントを組み合わせて軽鎖CDR3配列を形成するさまざまな可能性のことを指し得る。本明細書において使用される場合、H3−JHは、CDRH3に寄与しているIGHJ遺伝子の部分のことをいう。本明細書において使用される場合、L3−VLおよびL3−JLは、それぞれCDRL3に寄与しているIGLVおよびIGLJ遺伝子(κまたはλ)の部分のことをいう。
本明細書において使用される場合、用語「発現」は、転写、転写後修飾、翻訳、翻訳後修飾および分泌を含むがこれらに限定されない、ポリペプチド産生に関与する任意の段階を含む。
本明細書において使用される場合、用語「宿主細胞」は、本発明のポリヌクレオチドが導入される細胞のことを指すことを意図する。このような用語は特定の対象細胞だけでなく、このような細胞の子孫または潜在的子孫も指すことが理解されるべきである。突然変異または環境の影響により後世において若干の変更が起こる可能性があるため、このような子孫は実際には親細胞と同一ではないことがあるが、本明細書において使用される用語の範囲内にやはり含まれる。
用語「長さの多様性」は、特定のヌクレオチドまたはアミノ酸配列の長さの多様さのことをいう。例えば、天然に存在するヒト抗体において、重鎖CDR3配列は長さが、例えば、約3アミノ酸から約35アミノ酸超まで異なり、軽鎖CDR3配列は長さが、例えば、約5から約16アミノ酸まで異なる。本発明より前に、配列多様性または長さの多様性を含む抗体ライブラリーを設計することが可能である(例えば、それぞれその全体が参照により組み込まれる、Hoetら、Nat.Biotechnol.、2005年、23巻:344頁;Kretzschmarおよびvon Ruden、Curr.Opin.Biotechnol.、2002年、13巻:598頁;およびRauchenbergerら、J.Biol.Chem.、2003年、278巻:38194頁を参照)ことが当技術分野において知られていたが、本発明は、少なくとも、天然に存在するヒト抗体の配列多様性および長さの多様性を含む合成抗体ライブラリーの設計を対象とする。いくつかの事例において、配列および長さの多様性を含む合成ライブラリーが合成されているが、これらのライブラリーは、設計されたレパートリー全体を合成するには大き過ぎる理論的多様性、および/またはライブラリー全体を物理的に実現またはオーバーサンプリングするには多過ぎる理論的メンバーを含む。
本明細書において使用される場合、「定方向の多様性」を考慮して設計される配列は、配列多様性および長さの多様性の両方を含むように特に設計されている。定方向の多様性は確率論的ではない。
本明細書において使用される場合、「確率論的」は、確率分布の1つの要素のサンプルとみなされる、無作為に決定されるアミノ酸配列を作製するプロセスを表す。
用語「ポリヌクレオチドのライブラリー」は、本明細書に記載の多様性を有する、特に、本発明の方法に従って設計される、2つ以上のポリヌクレオチドのことを指す。用語「ポリペプチドのライブラリー」は、本明細書に記載の多様性を有する、特に、本発明の方法に従って設計される、2つ以上のポリペプチドのことを指す。用語「合成ポリヌクレオチドのライブラリー」は、合成ポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドライブラリーのことを指す。用語「ベクターのライブラリー」は本明細書において、少なくとも2つの異なるベクターのライブラリーのことを指す。本明細書において使用される場合、用語「ヒト抗体ライブラリー」は、天然に存在するヒト抗体の配列多様性および長さの多様性を示すように設計された、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドライブラリーを少なくとも含む。
明細書全体にわたって記載されるように、用語「ライブラリー」は本明細書において、その最も広い意味で使用され、また、本発明のライブラリーを作製するために組み合わせてもよく、または組み合わせなくてもよいサブライブラリーも含み得る。
本明細書において使用される場合、用語「合成ポリヌクレオチド」は、天然起源の分子とは対照的に化学プロセスによって形成される分子、または天然起源の分子の鋳型に基づく増幅を介して得られる分子のことを指す(例えば、PCR増幅を介してB細胞集団からクローニングされたイムノグロブリン鎖は、本明細書において使用される「合成」ではない)。場合によっては、例えば、複数の構成要素(例えば、N1、DH、N2、および/またはH3−JH)を含む本発明のライブラリーについて言及する場合、本発明は、前述の構成要素の少なくとも1つが合成であるライブラリーを包含する。例示のために、特定の構成要素が合成であるが、別の構成要素が天然起源である、または天然起源の分子の鋳型に基づく増幅を介して得られるライブラリーは、本発明に包含されることになる。
用語「スプリットプール合成」は、複数の第1反応の産物が混合(プール)され、次いで複数の第2反応に加わる前に分離(分割)される手順のことを指す。実施例9は、それぞれ別個の反応における278個のDHセグメント(産物)の合成を記述する。合成後、これらの278個のセグメントは混合(プール)され、次いでN2セグメント合成のために141個のカラムに分配(分割)される。これにより、278個のDHセグメントのそれぞれを141個のN2セグメントのそれぞれと対にすることができる。本明細書の他の部分に記載の通り、これらの数は限定するものではない。
「免疫前」抗体ライブラリーは、天然に存在するヒト抗体配列が負の選択または体細胞超突然変異を受ける前の、これらの配列に類似した配列多様性および長さの多様性を有する。例えば、Leeら(その全体が参照により組み込まれる、Immunogenetics、2006年、57巻:917頁)において記述されている配列の組は、免疫前のレパートリーの配列を表すと考えられている。本発明の特定の実施形態では、本発明の配列は、これらの配列と類似している(例えば、組成および長さに関して)はずである。本発明の特定の実施形態では、このような抗体ライブラリーは、化学合成および物理的実現を行うために十分小さいが、任意の抗原を認識する潜在能力を有する抗体をコードするために十分な大きさであるように設計される。本発明の一実施形態では、抗体ライブラリーは、約10〜約1020個の異なる抗体および/またはライブラリーの抗体をコードするポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、本発明のライブラリーは、10、10、10、10、10、10、10、1010、1011、1012、1013、1014、1015、1016、1017、1018、1019、または1020個の異なる抗体および/または抗体をコードするポリヌクレオチド配列を含むように設計される。特定の実施形態では、本発明のライブラリーは、約10〜約10、約10〜約10、約10〜約10、約10〜約1011、約1011〜約1013、約1013〜約1015、約1015〜約1017、または約1017〜約1020個の異なる抗体を含む、またはコードすることができる。本発明の特定の実施形態では、ライブラリーの多様性は、上記で列挙された多様性の1つまたは複数より大きいまたは未満、例えば、約10、10、10、10、10、10、10、1010、1011、1012、1013、1014、1015、1016、1017、1018、1019、または1020個より大きい、または約10、10、10、10、10、10、10、1010、1011、1012、1013、1014、1015、1016、1017、1018、1019、または1020個未満であると特徴付けることができる。本発明の別の特定の実施形態では、上記で列挙された大きさを有するライブラリーの物理的実現物において存在している対象の抗体の確率は、少なくとも約0.0001%、0.001%、0.01%、0.1%、1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、99%、99.5%、または99.9%である(ライブラリーの物理的実現物において存在している特定の配列の確率に関するさらなる情報については、発明を実施するための形態の中のライブラリーサンプリングを参照)。本発明の抗体ライブラリーはまた、例えば、自己(すなわち、ヒト)抗原を対象とする抗体も含むことができる。本発明の抗体は、自己反応性抗体がドナーの免疫系によって負の選択を介して除去されるという理由を含む理由により、発現されたヒトライブラリーにおいて存在しない可能性がある。しかしながら、新規な重鎖/軽鎖対形成は、場合によって自己反応性抗体特異性を生じることがある(その全体が参照により組み込まれる、Griffithsらの米国特許第5,885,793号参照)。本発明の特定の実施形態では、ライブラリーにおける独特の重鎖の数は、約10、50、10、150、10、10、10、10、10、10、10、1010、1011、1012、1013、1014、1015、1016、1017、1018、1019、1020個以上であってもよい。本発明の特定の実施形態では、ライブラリーにおける独特の軽鎖の数は、約5、10、25、50、10、150、500、10、10、10、10、10、10、10、1010、1011、1012、1013、1014、1015、1016、1017、1018、1019、1020個以上であってもよい。
本明細書において使用される場合、用語「ヒト抗体CDRH3ライブラリー」は、天然に存在するヒト抗体の配列多様性および長さの多様性を示すように設計される、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドライブラリーを少なくとも含む。「免疫前」CDRH3ライブラリーは、天然に存在するヒト抗体CDRH3配列が負の選択および体細胞超突然変異を受ける前の、これらの配列と類似した配列多様性および長さの多様性を有する。既知のヒトCDRH3配列は、それぞれその全体が参照により組み込まれる、Jacksonら、J.Immunol Methods、2007年、324巻:26頁;Martin、Proteins、1996年、25巻:130頁;およびLeeら、Immunogenetics、2006年、57巻:917頁を含むさまざまなデータセットにおいて提示されている。本発明の特定の実施形態では、このようなCDRH3ライブラリーは、化学合成および物理的実現を行うために十分小さいが、任意の抗原を認識する潜在能力を有するCDRH3をコードするために十分な大きさであるように設計される。本発明の一実施形態では、抗体ライブラリーは、約10〜約1015個の異なるCDRH3配列および/または前記CDRH3配列をコードするポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、本発明のライブラリーは、約10、10、10、10、10、10、10、1010、1011、1012、1013、1014、1015、または1016個の、異なるCDRH3配列および/または前記CDRH3配列をコードするポリヌクレオチド配列を含むように設計される。いくつかの実施形態では、本発明のライブラリーは、約10〜約10、約10〜約10、約10〜約1010、約1010〜約1012、約1012〜約1014、または約1014〜約1016個の異なるCDRH3配列を含む、またはコードすることができる。本発明の特定の実施形態では、ライブラリーの多様性は、上記で列挙された多様性の1つまたは複数より大きいまたは未満、例えば、約10、10、10、10、10、10、10、1010、1011、1012、1013、1014、1015、または1016個より大きい、または約10、10、10、10、10、10、10、1010、1011、1012、1013、1014、1015、または1016個未満であると特徴付けることができる。本発明の特定の実施形態では、上記で列挙された大きさを有するライブラリーの物理的実現物において存在している対象のCDRH3の確率は、少なくとも約0.0001%、0.001%、0.01%、0.1%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、99%、99.5%、または99.9%である(ライブラリーの物理的実現物において存在している特定の配列の確率に関するさらなる情報については、発明を実施するための形態におけるライブラリーサンプリングを参照)。本発明の免疫前CDRH3ライブラリーはまた、例えば、自己(すなわち、ヒト)抗原を対象とするCDRH3も含むことができる。このようなCDRH3は、自己反応性CDRH3がドナーの免疫系によって負の選択を介して除去されるため、発現されたヒトライブラリーにおいて存在しない可能性がある。
「VΚCDR3」配列および「VλCDR3」配列を含む本発明のライブラリーは、CDRL3配列のκおよびλサブセットのことをそれぞれ指す。これらのライブラリーは、ヒト抗体CDRL3レパートリーの長さおよび配列の多様性を集合的に表すように、定方向の多様性を考慮して設計することができる。これらのライブラリーの「免疫前」バージョンは、天然に存在するヒト抗体CDRL3配列が負の選択を受ける前の、これらの配列と類似した配列多様性および長さの多様性を有する。既知のヒトCDRL3配列は、NCBIデータベース(軽鎖配列データセットに関しては付録Aおよび付録Bを参照)およびその全体が参照により組み込まれる、Martin、Proteins、1996年、25巻:130頁を含むさまざまなデータセットにおいて提示されている。本発明の特定の実施形態では、このようなCDRL3ライブラリーは、化学合成および物理的実現を行うために十分小さいが、任意の抗原を認識する潜在能力を有するCDRL3をコードするために十分な大きさであるように設計される。
本発明の一実施形態では、抗体ライブラリーは、約10個の異なるCDRL3配列および/または前記CDRL3配列をコードするポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、本発明のライブラリーは、約10、10、10、10、10、10、または10個の異なるCDRL3配列および/または前記CDRL3配列をコードするポリヌクレオチド配列を含むように設計される。いくつかの実施形態では、本発明のライブラリーは、約10〜約10、約10〜約10、または約10〜約10個の異なるCDRL3配列を含む、またはコードすることができる。本発明の特定の実施形態では、ライブラリーの多様性は、上記で列挙された多様性の1つまたは複数より大きいまたは未満、例えば、約10、10、10、10、10、10、10、または10個より大きい、または約10、10、10、10、10、10、10、または10個未満であると特徴付けることができる。本発明の特定の実施形態では、上記で列挙された大きさを有するライブラリーの物理的実現物において存在している対象のCDRL3の確率は、少なくとも0.0001%、0.001%、0.01%、0.1%、1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、99%、99.5%、または99.9%である(ライブラリーの物理的実現物において存在している特定の配列の確率に関するさらなる情報については、発明を実施するための形態におけるライブラリーサンプリングを参照)。本発明の免疫前CDRL3ライブラリーはまた、例えば、自己(すなわち、ヒト)抗原を対象とするCDRL3も含むことができる。このようなCDRL3は、自己反応性CDRL3がドナーの免疫系によって負の選択を介して除去されるため、発現されたヒトライブラリーにおいて存在しない可能性がある。
本明細書において使用される場合、用語「既知の重鎖CDR3配列」は、ヒトB細胞集団からクローニングされたパブリックドメインにある重鎖CDR3配列のことを指す。このような配列の例は、例えば、それぞれその全体が参照により組み込まれる、Zemlinら、JMB、2003年、334巻:733頁;Leeら、Immunogenetics、2006年、57巻:917頁;およびJacksonら、J.Immunol Methods、2007年、324巻:26頁を含む公開データセットから公開されている、または得られるものである。
本明細書において使用される場合、用語「既知の軽鎖CDR3配列」は、ヒトB細胞集団からクローニングされたパブリックドメインにある軽鎖CDR3配列(例えば、κまたはλ)のことを指す。このような配列の例は、例えば、NCBIデータベース(本明細書に添付して提出された付録AおよびBを参照)を含む公開データセットから公開されている、または得られるものである。
本明細書において使用される場合、用語「抗体結合領域」は、抗原(複数可)に結合することができるイムノグロブリンまたは抗体可変領域の1つまたは複数の部分のことをいう。典型的には、抗体結合領域は、例えば、抗体軽鎖(または可変領域またはその1つもしくは複数のCDR)、抗体重鎖(または可変領域またはその1つもしくは複数のCDR)、重鎖Fd領域、結合した抗体軽鎖および重鎖(またはその可変領域)、例えば、Fab、F(ab’)、単一ドメイン、もしくは単鎖抗体(scFv)など、または抗原を認識する完全長抗体、例えば、IgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4サブタイプ)、IgA1、IgA2、IgD、IgE、もしくはIgM抗体の任意の領域である。
用語「フレームワーク領域」は、より異なる(すなわち、超可変)CDRの間に存在する、当技術分野において認識されている抗体可変領域の部分のことを指す。このようなフレームワーク領域は、典型的にはフレームワーク1から4(FRM1、FRM2、FRM3、およびFRM4)と称され、3次元空間において6個(3個は重鎖および3個は軽鎖)のCDRを提示するための足場を提供し、抗原結合表面を形成する。
用語「基準構造」は、抗原結合(CDR)ループがとっている主鎖の高次構造のことを指す。比較構造研究から、6個のうち5個の抗原結合ループが、利用可能な高次構造の限られたレパートリーしか有さないことが明らかになった。各基準構造は、ポリペプチド骨格のねじれ角によって特徴付けることができる。したがって、ループの大部分における高度なアミノ酸配列可変性にもかかわらず、抗体間の対応するループは非常に類似した3次元構造を有する可能性がある(それぞれその全体が参照により組み込まれる、Chothia and Lesk、J.Mol.Biol.、1987年、196巻:901頁;Chothiaら、Nature、1989年、342巻:877頁;MartinおよびThornton、J.Mol.Biol.、1996年、263巻:800頁)。さらに、採用されているループ構造とその周囲のアミノ酸配列の間には関係がある。特定の基準クラスの高次構造は、ループの長さおよびループ内だけでなく保存されているフレームワーク(すなわち、ループの外)の重要な位置に存在しているアミノ酸残基によって決定される。したがって、特定の基準クラスへの割り当ては、これらの重要なアミノ酸残基の存在に基づいて行うことができる。用語「基準構造」はまた、例えば、Kabat(Kabatら、「Sequences of Proteins of Immunological Interest」、第5版、U.S.Department of Heath and Human Services、1992年)によって列記されているように、抗体の直鎖状配列に関する考察も含むことができる。Kabat番号付けスキームは、矛盾のないように抗体可変ドメインのアミノ酸残基を番号付けするための、広く採用されている基準である。さらなる構造的考察もまた、抗体の基準構造を決定するために使用することができる。例えば、Kabat番号付けによって完全に反映されない差異は、Chothiaらの番号付けシステムによって記述する、および/または別の技術、例えば、結晶学および2または3次元コンピュータモデリングによって明らかにすることができる。したがって、所与の抗体配列は、とりわけ、適切なシャーシ配列を同定することを可能にする基準クラスに入れることができる(例えば、ライブラリー中にさまざまな基準構造を含みたいという要望に基づいて)。Chothiaらにより記述されている抗体アミノ酸配列のKabat番号付けおよび構造的考察、ならびに抗体構造の基準態様の解釈に関する示唆は、文献中に記述されている。
用語「CDR」、およびその複数形「複数のCDR(CDRs)」は、そのうちの3つ(CDRL1、CDRL2およびCDRL3)が軽鎖可変領域の結合特性を決定し、3つ(CDRH1、CDRH2およびCDRH3)が重鎖可変領域の結合特性を決定する、相補性決定領域(CDR)のことを指す。CDRは抗体分子の機能活性に寄与し、足場またはフレームワーク領域を含むアミノ酸配列によって分離されている。正確な定義のCDR境界および長さは、異なる分類および番号付けシステムによって変わる。したがってCDRは、Kabat、Chothiaによって接触面、または本明細書に記載の番号付けシステムを含む任意の別の境界の定義のことを指すことがある。境界が異なるにもかかわらず、これらのシステムはそれぞれ、可変領域内のいわゆる「超可変領域」を構成しているものの中にある程度のオーバーラップを有する。したがって、これらのシステムによるCDRの定義は、隣接するフレームワーク領域に対して長さおよび境界部分が異なっている可能性がある。例えば、Kabat、Chothia、および/またはMacCallumら(それぞれその全体が参照により組み込まれる、Kabatら、「Sequences of Proteins of Immunological Interest」、第5版、U.S.Department of Health and Human Services、1992年;Chothiaら、J.Mol.Biol.、1987年、196巻:901頁;およびMacCallumら、J.Mol.Biol.、1996年、262巻:732頁)を参照されたい。
用語「アミノ酸」または「アミノ酸残基」は、必要に応じて修飾、合成、または希少アミノ酸が使用されることもあるが、典型的には、アラニン(AlaまたはA);アルギニン(ArgまたはR);アスパラギン(AsnまたはN);アスパラギン酸(AspまたはD);システイン(CysまたはC);グルタミン(GlnまたはQ);グルタミン酸(GluまたはE);グリシン(GlyまたはG);ヒスチジン(HisまたはH);イソロイシン(IleまたはI);ロイシン(LeuまたはL);リシン(LysまたはK);メチオニン(MetまたはM);フェニルアラニン(PheまたはF);プロリン(ProまたはP);セリン(SerまたはS);トレオニン(ThrまたはT);トリプトファン(TrpまたはW);チロシン(TyrまたはY);およびバリン(ValまたはV)からなる群より選択されるアミノ酸など、当技術分野において認識されている定義を有するアミノ酸のことをいう。一般に、アミノ酸は、非極性側鎖(例えば、Ala、Cys、Ile、Leu、Met、Phe、Pro、Val);負に荷電している側鎖(例えば、Asp、Glu);正に荷電している側鎖(例えば、Arg、His、Lys);または非荷電極性側鎖(例えば、Asn、Cys、Gln、Gly、His、Met、Phe、Ser、Thr、Trp、およびTyr)を有するものにグループ分けすることができる。
用語「ポリヌクレオチド(複数可)」は、DNA分子およびRNA分子およびそれらの類似体(例えば、ヌクレオチド類似体を使用して、または核酸化学を使用して作製されたDNAまたはRNA)などの核酸のことをいう。必要に応じて、ポリヌクレオチドは合成によって、例えば、当技術分野において認識されている核酸化学を使用して、または酵素的に、例えば、ポリメラーゼを使用して、作製されてもよく、所望の場合は修飾されてもよい。典型的な修飾は、メチル化、ビオチン化、および他の当技術分野で既知の修飾を含む。加えて、核酸分子は一本鎖または二本鎖とすることができ、所望の場合は検出可能な部分に連結することができる。
用語「理論的多様性」、「理論的全多様性」、または「理論的レパートリー」は、ライブラリー設計における変異体の最大数のことをいう。例えば、3残基のアミノ酸配列を仮定すると、残基1および3はそれぞれ5アミノ酸タイプのうちの任意の1つであってもよく、残基2は20アミノ酸タイプのうちの任意の1つであってもよく、理論的多様性は5×20×5=500個の考えられる配列となる。同様に、配列Xが4個のアミノ酸セグメントの組合せによって構築される場合、セグメント1は100個の考えられる配列を有し、セグメント2は75個の考えられる配列を有し、セグメント3は250個の考えられる配列を有し、およびセグメント4は30個の考えられる配列を有し、断片Xの理論的全多様性は100×75×200×30、または5.6×10個の考えられる配列となるはずである。
用語「物理的実現」は、例えば、任意のディスプレイ方法によって、実際に物理的にサンプリングすることができる理論的多様性の部分のことをいう。例示的なディスプレイ方法は、ファージディスプレイ、リボソームディスプレイ、および酵母ディスプレイを含む。合成配列について、ライブラリーの物理的実現物の大きさは(1)実際に合成することができる理論的多様性の割合、および(2)特定のスクリーニング方法の制限、に依存する。例示的なスクリーニング方法の制限は、特定のアッセイ(例えば、リボソームディスプレイ、ファージディスプレイ、酵母ディスプレイ)においてスクリーニング可能な変異体の数およびスクリーニングアッセイにおいて使用される宿主細胞(例えば、酵母、哺乳動物細胞、細菌)の形質転換効率を含む。例示を目的として、1012個のメンバーの理論的多様性を有するライブラリーを仮定すると、最大で1011個のメンバーを含むことができるライブラリー(例えば、酵母、細菌細胞、リボソームディスプレイにおいて;詳細は以下に記載)の例示的な物理的実現物は、したがって、ライブラリーの理論的多様性の約10%をサンプリングすることになる。しかしながら、1012個の理論的多様性を有するライブラリーの1011個未満のメンバーが合成され、ライブラリーの物理的実現物が最大で1011個のメンバーを含むことができる場合、ライブラリーの理論的多様性の約10%未満がライブラリーの物理的実現物においてサンプリングされる。同様に、最大で1012個を超えるメンバーを含むことができるライブラリーの物理的実現物は、理論的多様性を「オーバーサンプリングする」ことになり、(1012個の理論的多様性全体が合成されるとすれば)それぞれのメンバーが1回より多く存在する可能性があることを意味する。
用語「すべての考えられる読み枠」は、少なくとも3つの順方向読み枠および、いくつかの実施形態では、3つの逆方向読み枠を包含する。
用語「対象とする抗体」は、本発明のライブラリーから単離される、対象とする性質を有する任意の抗体のことを指す。対象とする性質は、これらに限定されるものではないが、特定の抗原またはエピトープに結合すること、2つの分子間の結合相互作用を妨害すること、または特定の生物学的作用を誘発することを含んでもよい。
用語「機能的に発現される」は、ヒトB細胞によって発現され、未成熟終止コドンを含まないイムノグロブリン遺伝子のことをいう。
用語「完全長重鎖」は、4つのフレームワーク領域、3つのCDR、および定常領域を含む、イムノグロブリン重鎖のそれぞれの基準構造ドメインを含むイムノグロブリン重鎖のことを指す。用語「完全長軽鎖」は、4つのフレームワーク領域、3つのCDR、および定常領域を含む、イムノグロブリン軽鎖のそれぞれの基準構造ドメインを含むイムノグロブリン軽鎖のことを指す。
本明細書において使用される場合、用語「独特の」は、設計される理論的多様性の中ですべての他の配列と異なる(例えば、異なる化学構造を有する)配列のことを指す。特定の物理的実現物において、理論的多様性の多くの独特の配列の複数のコピーが存在する可能性があることが理解されるべきである。例えば、3個の独特の配列を含むライブラリーは、各配列がライブラリーにおいて3回出現する場合には計9個のメンバーを含む可能性がある。しかしながら、特定の実施形態では、それぞれの独特の配列は1回のみ出現することがある。
用語「異種部分」は本明細書において、通常は抗体の一部ではない組成物の抗体への付加を示すために使用される。例示的な異種部分は、薬剤、毒素、造影剤、および抗体自体には本来備わっていない活性をもたらす可能性のある任意の他の組成物を含む。
本明細書において使用される場合、用語「各位置での各アミノ酸残基のパーセント出現率」は、サンプルにおいて特定の配列内の規定の位置にアミノ酸が認められる事例のパーセンテージのことを指す。例えば、以下の3つの配列を仮定すると:
K V R
K Y P
K R P、
Kは事例の100%において1位に出現し、Pは事例の約67%において3位に出現する。本発明の特定の実施形態では、比較のために選択された配列はヒトイムノグロブリン配列である。
本明細書において使用される場合、ポリペプチド集団における配列の特定の位置で「最も頻繁に出現するアミノ酸」という用語は、示されたポリペプチド集団中の示された位置で最も高いパーセント出現率を有するアミノ酸残基のことを指す。例えば、ヒトB細胞によって機能的に発現されるCDRH3配列のN1配列中の最もN末端側の3つの各位置において、最も頻繁に出現するアミノ酸を表21に列挙し、ヒトB細胞によって機能的に発現されるCDRH3配列のN2配列中の最もN末端側の3つの各位置において、最も頻繁に出現するアミノ酸を表22に列挙する。
本発明のライブラリーおよび別のライブラリーの、特定のデュプレットの出現(実施例13)および情報量(実施例14)を解析するという目的で、CDRH3の「中心ループ」を定義する。Kabat CDRH3(95〜102)からC末端の5アミノ酸が除去されると、残りの配列が「中心ループ」と呼ばれる。したがって、実施例13のデュプレット出現予測を考慮すると、6個以下の大きさのCDRH3を使用することはデュプレットの出現の解析に寄与しないであろう。7個の大きさのCDRH3は、i−i+1データセットにのみ寄与するはずであり、8個の大きさのCDRH3はまた、i−i+2データセットに寄与するはずであり、および9個以上の大きさのCDRH3はまた、i−i+3データセットに寄与するはずである。例えば、9個の大きさのCDRH3は、95−96−97−98−99−100−100A−101−102位にアミノ酸を有してもよいが、最初の4残基(太字)のみが中心ループの一部となり、ペアワイズの出現(デュプレット)統計データに寄与するはずである。さらなる例として、14個の大きさのCDRH3は配列:95−96−97−98−99−100−100A−100B−100C−100D−100E−100F−101−102を有することができる。ここでは、最初の9残基(太字)のみが中心ループに寄与する。
ライブラリースクリーニングは、遺伝子型−表現型連鎖を必要とする。用語「遺伝子型−表現型連関」は、当技術分野において認識されている意味と一致する形で使用され、特定の表現型(例えば、抗原への結合)を有するタンパク質をコードする核酸(遺伝子型)がライブラリーから単離可能であるということを指す。例示のために、ファージの表面上で発現される抗体断片は、抗原に対する結合に基づいて単離することができる(例えば、Ladnerら)。抗原に対する抗体の結合は同時に、抗体断片をコードする核酸を含むファージの単離を可能にする。したがって、表現型(抗体断片の抗原結合特性)は、遺伝子型(抗体断片をコードする核酸)に「連関」している。遺伝子型−表現型連関を維持する別の方法は、Wittrupら(それぞれその全体が参照により組み込まれる、米国特許第6,300,065号、同第6,331,391号、同第6,423,538号、同第6,696,251号、同第6,699,658号、および米国特許出願公開番号20040146976)、Miltenyi(その全体が参照により組み込まれる、米国特許第7,166,423号)、Fandl(それぞれその全体が参照により組み込まれる、米国特許第6,919,183号、米国特許出願公開番号20060234311)、Clausell−Tormosら(その全体が参照により組み込まれる、Chem.Biol.、2008年、15巻:427頁)、Loveら(その全体が参照により組み込まれる、Nat.Biotechnol.、2006年、24巻:703頁)、およびKellyら(その全体が参照により組み込まれる、Chem.Commun.、2007年、14巻:1773頁)の方法を含む。両者の間の連関を保持しながら両者をともに回収することができるように、抗体をコードする遺伝子を有する抗体タンパク質を限局させる任意の方法が適している。
2.ライブラリーの設計
本発明の抗体ライブラリーは、ヒト免疫系によって天然に生成される免疫前のレパートリーの特定の態様を反映するように設計される。本発明の特定のライブラリーは、ヒトV、DおよびJ遺伝子のコレクション、ならびにヒト重鎖および軽鎖配列の他の大きなデータベースから知られる、合理的な設計に基づいている(例えば、公知の生殖系列配列;参照によりその全体が組み込まれるJacksonら、J.Immunol Methods、2007年、324巻:26頁からの配列;参照によりその全体が組み込まれるLeeら、Immunogenetics、2006年、57巻:917頁からの配列;および、再構成されたVKおよびVλのために編集された配列−本明細書とともに出願した付録AおよびBを参照)。追加の情報が、例えば、それぞれ参照によりその全体が組み込まれる、Scavinerら、Exp.Clin.Immunogenet.、1999年、16巻:234頁;Tomlinsonら、J.Mol.Biol.、1992年、227巻:799頁;およびMatsudaら、J.Exp.Med.、1998年、188巻:2151頁で見られる。本発明の特定の実施形態では、ヒトレパートリーで見られる可能なV、DおよびJ多様性、ならびに接合部多様性(すなわち、N1およびN2)を表すカセットが、一本鎖または二本鎖のDNAオリゴヌクレオチドとして新規に合成される。本発明の特定の実施形態では、CDR配列をコードするオリゴヌクレオチドカセットが、重鎖または軽鎖シャーシ配列を含む1つまたは複数の受容体ベクターとともに、酵母に導入される。哺乳動物のcDNAまたはmRNAからのプライマーベースのPCR増幅および鋳型指定クローニング段階は、使用されない。標準の相同組換えを通して、レシピエント酵母はカセット(例えば、CDR3)をシャーシ配列(複数可)および定常部を含む受容体ベクター(複数可)で組み換えて、遺伝的に増殖させ、発現させ、提示しスクリーニングすることができる、正しい順序で合成された、完全長ヒト重鎖および/または軽鎖イムノグロブリンライブラリーを生成する。当業者は、受容体ベクターに含まれるシャーシを、完全長ヒト重鎖および/または軽鎖以外の構築物を生成するように設計することができることを容易に認識するであろう。例えば、本発明の特定の実施形態では、抗体断片またはそのサブユニットをコードする配列が、CDRを含むオリゴヌクレオチドカセットが受容体ベクターで組み換えられるときに生成されるように、抗体断片または抗体断片のサブユニットをコードするポリペプチドの部分をコードするように、シャーシを設計することができる。
特定の実施形態では、本発明は約10〜約1020個の抗体メンバーを含む、合成された免疫前ヒト抗体レパートリーを提供し、このレパートリーは、
(a)選択されるヒト抗体重鎖シャーシ(すなわち、Kabatの定義を用いて重鎖可変領域のアミノ酸1〜94);
(b)ヒトIGHDおよびIGHJ生殖系列配列に基づいて設計されるCDRH3レパートリーであって、以下のもの、すなわち、
(i)任意選択で、1つまたは複数の尾部領域、
(ii)ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)の作用で優先的にコードされ、ヒトB細胞によって機能的に発現されるアミノ酸型のうちの20個未満からなる群より選択される、約0〜約10個のアミノ酸を含む1つまたは複数のN1領域、
(iii)1つまたは複数の選択されるIGHDセグメント、および1つまたは複数のそのN末端またはC末端の切断物に基づく、1つまたは複数のDHセグメント、
(iv)TdTの作用で優先的にコードされ、ヒトB細胞によって機能的に発現されるアミノ酸のうちの20個未満からなる群より選択される、約0〜約10個のアミノ酸を含む1つまたは複数のN2領域、
(v)1つまたは複数のIGHJセグメント、および1つまたは複数のそのN末端切断物(例えば、XXWGまで)に基づく、1つまたは複数のH3−JHセグメントを含むCDRH3レパートリー、
(c)1つまたは複数の選択されるヒト抗体κおよび/またはλ軽鎖シャーシ;ならびに
(d)ヒトIGLVおよびIGLJ生殖系列配列に基づいて設計されるCDRL3レパートリーであって、「L」はκもしくはλ軽鎖であることができるCDRL3レパートリー
を含む。
重鎖シャーシは、イムノグロブリン重鎖可変ドメインのKabat残基1〜94に相同性を有する、任意の配列であってよい。重鎖シャーシのそれには限定されない例が実施例に含まれ、当業者は、その中で、および明細書全体で提示される原理を、追加の重鎖シャーシを誘導するために用いることができることを容易に認識するであろう。
上に述べたように、重鎖シャーシ領域には、任意選択で、「尾部」領域が続く。尾部領域は、天然の重鎖配列との比較に基づいて選択しても選択しなくてもよい、0、1つまたは複数のアミノ酸を含む。例えば、本発明の特定の実施形態では、当技術分野で利用可能な重鎖配列を比較し、天然配列の尾部位置で最も頻繁に出現する残基をライブラリーに含めることができる(例えば、ヒト配列に最も似ている配列を生成するために)。他の実施形態では、使用頻度のより低いアミノ酸を用いることができる。さらに他の実施形態では、アミノ酸の任意の群より選択されるアミノ酸を用いることができる。本発明の特定の実施形態では、尾部の長さは、0個(残基なし)または1個(例えば、G/D/E)のアミノ酸である。明快さのために、また理論によって束縛されることなく、天然のヒトレパートリーでは、尾部残基をコードするコドンの最初の2/3は、VH遺伝子のFRM3領域によって提供される。したがって、天然の重鎖配列のこの位置のアミノ酸は、IGHV遺伝子によって部分的に(2/3)コードされ、CDRH3によって部分的に(1/3)コードされると考えることができる。しかし、本発明の特定の態様を明らかに例示するために、尾部残基をコードするコドン全体(および、したがって、それに由来するアミノ酸)は、CDRH3配列の一部であると、本明細書で記載される。
上に述べたように、天然のヒト抗体レパートリーにおいてTdTによって加えられるヌクレオチド由来の2つのペプチドセグメントが存在する。これらのセグメントは、N1およびN2と命名されている(本明細書では、N1およびN2セグメント、ドメイン、領域もしくは配列と称する)。本発明の特定の実施形態では、N1およびN2は、長さが約0、1、2または3個のアミノ酸である。理論によって束縛されることなく、これらの長さは、ヒトレパートリーで見出されるN1およびN2長に最も近いと思われる(図2を参照)。本発明の他の実施形態では、N1およびN2は、長さが約4、5、6、7、8、9または10個のアミノ酸であってよい。同様に、N1およびN2セグメントを生成するために利用されるアミノ酸残基の組成も、異なることができる。本発明の特定の実施形態では、N1およびN2セグメントを生成するために用いられるアミノ酸は、ヒトレパートリーのN1およびN2ドメインで最も頻繁に出現する8個のアミノ酸(例えば、G、R、S、P、L、A、VおよびT)より選択することができる。本発明の他の実施形態では、N1およびN2セグメントを生成するために用いられるアミノ酸は、TdTの活性によって優先的にコードされ、ヒトB細胞によって機能的に発現されるアミノ酸の、約20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4または3個未満からなる群より選択することができる。代わりに、N1およびN2は、アミノ酸の任意の群より選択されるアミノ酸を含むことができる。N1およびN2が類似した長さまたは組成である必要はなく、N1およびN2の長さおよび組成の独立した変動は、追加の多様性をライブラリーに導入することができる1つの方法である。
ライブラリーのDHセグメントは、天然のIGHD遺伝子レパートリーによってコードされるペプチドに基づき、NおよびC末端の残基の順次欠失を有する。IGHD遺伝子は、複数の読み枠で読むことができ、これらの読み枠を表すペプチド、ならびにそれらのN末端およびC末端欠失も、本発明のライブラリーに含まれる。本発明の特定の実施形態では、アミノ酸残基3個と同じくらい短いDHセグメントが、ライブラリーに含まれてもよい。本発明の他の実施形態では、約1、2、4、5、6、7または8個のアミノ酸と同じくらい短いDHセグメントが、ライブラリーに含まれてもよい。
ライブラリーのH3−JHセグメントは、天然のIGHJ遺伝子レパートリーによってコードされるペプチドに基づき、N末端の残基の順次欠失を有する。CDRH3の一部を構成するIGHJセグメントのN末端部分は、本明細書ではH3−JHと称する。本発明の特定の実施形態では、H3−JHセグメントは、1つまたは複数のH3−JH残基の、2つのH3−JH残基までの順次N末端欠失によって表すことができる。本発明の他の実施形態では、ライブラリーのH3−JHセグメントは、約6、5、4、3、2、1または0個のH3−JH残基までの、N末端欠失を含むことができる(または無欠失)。
ライブラリーの軽鎖シャーシは、天然の軽鎖(κまたはλ)配列のKabat残基1〜88に相同性を有する任意の配列であることができる。本発明の特定の実施形態では、VLおよびJLセグメントを利用して、本発明の軽鎖シャーシを組合せの方法で合成し、シャーシおよびCDR3配列の多様性を有する軽鎖配列の1つまたは複数のライブラリーを作製する。本発明の他の実施形態では、縮重オリゴヌクレオチドまたはトリヌクレオチドを用いて、軽鎖CDR3配列を合成し、軽鎖シャーシおよび軽鎖定常領域で組み換えて、完全長軽鎖を形成する。
本発明は、そのようなライブラリー、ならびに1つまたは複数のイムノグロブリンドメインまたは抗体断片を含むライブラリーを作製、使用する方法も提供する。特許請求される抗体ライブラリーの各構成要素の設計および合成は、下でさらに詳細に提供される。
2.1.抗体ライブラリーシャーシ配列の設計
本発明の特定のライブラリーの構築の1段階は、天然の可変ドメイン配列(例えば、IGHVおよびIGLV)に基づくシャーシ配列の選択である。この選択は、任意に、または、特定の基準を満たすシャーシの選択によってなすことができる。例えば、最も頻繁に提示される重鎖および軽鎖の生殖系列配列について、非冗長再構成抗体配列を含む電子データベースである、Kabatデータベースに照会することができる。BLAST検索アルゴリズム、またはSoDA(参照によりその全体が組み込まれる、Volpeら、Bioinformatics、2006年、22巻:438〜44頁)などのより特化されたツールを、再構成された抗体配列を、V BASE2データベース(Retterら、Nucleic Acids Res.、2005年、33巻:D671〜D674頁)を用いて生殖系列配列と、またはヒトV、DおよびJ遺伝子の類似したコレクションと比較するために用いて、機能的抗体を生成するために最も頻繁に使われる生殖系列ファミリーを特定することができる。
本発明のライブラリーに組み入れるためのシャーシの選択のために、いくつかの基準を利用することができる。例えば、酵母または本発明で用いられる他の生物(例えば、細菌、哺乳動物細胞、真菌類または植物)での発現が劣ることが知られている(または判断されている)配列を、ライブラリーから除外してもよい。シャーシは、ヒトの末梢血でのそれらの提示に基づいて選択することもできる。本発明の特定の実施形態では、ヒトの末梢血で高度に提示される生殖系列配列に対応するシャーシを選ぶことが望ましいであろう。他の実施形態では、ライブラリーの基準の多様性を増加させるために、例えば、提示頻度のより低い生殖系列配列に対応するシャーシを選択することが望ましいであろう。したがって、機能的ヒト抗体で最も大きくて最も構造的に多様な群を提示するライブラリーを生成するように、シャーシを選択することができる。本発明の他の実施形態では、より小さなシャーシ変動性およびより大きなCDR変動性を有する、より小さくより集中したライブラリーを生成することが望ましい場合、例えば、より低い多様性のシャーシを利用することができる。本発明のいくつかの実施形態では、本発明の細胞(例えば、酵母細胞)でのそれらの発現、および選択される配列によって提示される基準構造の多様性の双方に基づいて、シャーシを選択することができる。したがって、本発明の細胞で十分に発現する基準構造の多様性を有するライブラリーを生成することができる。
2.1.1.重鎖シャーシ配列の設計
本発明の特定の実施形態では、抗体ライブラリーは、重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメイン、またはそれらの部分を含む。これらのドメインの各々は、本明細書で提供される実施例でより完全に記載される特定の構成要素から構築される。特定の実施形態では、本明細書で記載されるライブラリーは、診断法および/または治療法として用いることができる、完全ヒト抗体を単離するために用いることができる。理論に束縛されないが、末梢血(例えば、ヒトの)で最も頻繁に見出されるものに最も類似するか同一の配列を有する抗体は、治療剤として投与される場合、免疫原性である可能性がより低いであろう。
理論によって束縛されないが、また、本発明の特定の実施形態を例示するために、ライブラリーのVHドメインは、以下の3つの主要構成要素を含むと考えることができよう:(1)アミノ酸1〜94(Kabatの番号付けを用いる)を含むVH「シャーシ」、(2)本明細書で適切なKabat CDRH3(位置95〜102)を含むと定義されるCDRH3、および(3)アミノ酸103〜113(Kabat番号付け)を含むFRM4領域。したがって、全体的VH構造は、以下のように図式的に示すことができる(比例していない):

ヒトIGHV生殖系列レパートリーに基づくVHシャーシ配列の選択および設計は、本明細書で提供される実施例の検討により、より明らかになる。本発明の特定の実施形態では、ライブラリーで使用するために選択されるVHシャーシ配列は、すべての機能的に発現されるヒトIGHV生殖系列配列に対応することができる。あるいは、1つまたは複数の基準によって、IGHV生殖系列配列を、ライブラリー中での提示について選択することができる。例えば、本発明の特定の実施形態では、選択されるIGHV生殖系列配列は、健康な成体、小児または胎児の末梢血から単離される抗体分子の間で最も高度に提示されるものであってよい。
特定の実施形態では、VHシャーシの設計が、疾患、例えば自己免疫疾患を有する成体、小児または胎児のIGHV生殖系列配列の利用に基づくことが望ましいであろう。理論によって束縛されることなく、自己免疫疾患の個体の末梢血から単離される抗体分子での生殖系列配列の使用頻度の分析が、ヒト抗原を認識する抗体の設計のために有用な情報を提供することができる可能性がある。
いくつかの実施形態では、本発明のライブラリーでの提示のためのIGHV生殖系列配列の選択は、末梢血におけるそれらの出現頻度に基づくことができる。例示のために、4つのIGHV1生殖系列配列(IGHV1−2、IGHV1−18、IGHV1−46およびIGHV1−69)は、末梢血でIGHV1ファミリーレパートリーの約80%を含む。したがって、ライブラリーでの提示のために選択される特定のIGHV1生殖系列配列には、最も頻繁に出現するもの、および、末梢血で見出されるIGHV1ファミリーレパートリーの少なくとも約80%を累積的に含むものを含めることができる。他の任意のIGHVファミリー(すなわち、IGHV1、IGHV2、IGHV3、IGHV4、IGHV5、IGHV6およびIGHV7)から特定のIGHV生殖系列配列を選択するために、類似した手法を用いることができる。したがって、本発明のライブラリーでの特定のIGHVファミリーの提示のために選択される特定の生殖系列配列は、末梢血で見出される特定のIGHVファミリーメンバーレパートリーの少なくとも約100%、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%または0%を含むことができる。
いくつかの実施形態では、選択されるIGHV生殖系列配列は、VHシャーシライブラリーの構造的多様性を最大にするように選択することができる。構造的多様性は、例えば、IGHV生殖系列配列で、CDRH1およびCDRH2の長さ、組成および基準構造を比較することによって評価することができる。ヒトIGHV配列では、CDRH1(Kabat定義)はアミノ酸5、6または7個の長さを有することができるが、CDRH2(Kabat定義)はアミノ酸16、17、18または19個の長さを有することができる。IGHV生殖系列配列および、特にCDRドメインのアミノ酸組成は、実施例で提供されるように、配列のアラインメントによって評価することができる。基準構造は、例えば、参照によりその全体が組み込まれるChothiaら、J.Mol.Biol.、1992年、227巻:799頁によって記載される方法によって割り当てることができる。
本発明の特定の実施形態では、特定の特性を有する抗体を単離する可能性を最大にすることができるIGHV生殖系列配列に基づいて、VHシャーシを設計することが有利であろう。例えば、理論によって束縛されることなく、いくつかの実施形態では、臨床開発中の抗体、または治療剤として承認された抗体で利用される生殖系列配列だけを含むように、IGHV生殖系列配列を限定することが有利であろう。他方、いくつかの実施形態では、臨床的に利用される抗体の間では提示されないVHシャーシを含むライブラリーを生成することが有利であろう。そのようなライブラリーは、「定型的」IGHV生殖系列配列を使って得られるものよりも有利である新規特性を有する抗体を産することができるか、または、「非定型的」IGHV生殖系列配列の構造および特性または基準構造の研究を可能にすることができるであろう。
当業者は、本発明のライブラリーでの提示のためにIGHV生殖系列配列を選択するために、他のさまざまな基準を用いることができることを容易に認識するであろう。本明細書で記載される基準のいずれかを、他の任意の基準と組み合わせることもできる。さらなる例示的な基準には、特定の細胞培養系で十分なレベルで発現される能力、特定の抗体フォーマット(例えば、完全体イムノグロブリンおよび抗体断片)での溶解性、ならびに個々のドメイン、完全体イムノグロブリンまたは抗体断片の熱力学安定性が含まれる。本発明の方法は、本発明の抗体ライブラリーで有用性を有する、任意のIGHV生殖系列配列を選択するために適用することができる。
本発明の特定の実施形態では、ライブラリーのVHシャーシは、以下のIGHV生殖系列配列の1つまたは複数の約Kabat残基1〜約Kabat残基94を含むことができる:

本発明のいくつかの実施形態では、ライブラリーは、これらの配列の1つまたは複数、これらの配列の1つまたは複数の対立遺伝子変異体を含むことができるか、または、これらの配列の1つまたは複数と少なくとも約99.9%、99.5%、99%、98.5%、98%、97.5%、97%、96.5%、96%、95.5%、95%、94.5%、94%、93.5%、93%、92.5%、92%、91.5%、91%、90.5%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、77.5%、75%、73.5%、70%、65%、60%、55%または50%同一であるアミノ酸配列をコードすることができる。
他の実施形態では、ライブラリーのVHシャーシは、以下のIGHV生殖系列配列の約Kabat残基1〜約Kabat残基94を含むことができる:

本発明のいくつかの実施形態では、ライブラリーは、これらの配列の1つまたは複数、これらの配列の1つまたは複数の対立遺伝子変異体を含むことができるか、または、これらの配列の1つまたは複数と少なくとも約99.9%、99.5%、99%、98.5%、98%、97.5%、97%、96.5%、96%、95.5%、95%、94.5%、94%、93.5%、93%、92.5%、92%、91.5%、91%、90.5%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、77.5%、75%、73.5%、70%、65%、60%、55%または50%同一であるアミノ酸配列をコードすることができる。これらのシャーシのアミノ酸配列を、表5に示す。
2.1.1.1.重鎖シャーシ変異体
IGHV生殖系列配列に基づく配列を有するVHシャーシの選択は、CDRH3配列の大きな多様性を支えることが予想されるが、ライブラリーへの組み入れのために選択される各シャーシのCDRH1および/またはCDRH2領域を含むアミノ酸残基を変更することによって、VHシャーシのさらなる多様性を生成することができる(実施例2を参照)。
本発明の特定の実施形態では、IGHV生殖系列配列のCDRH1およびCDRH2領域、または他の領域を含むアミノ酸残基の変化または突然変異は、再構成された配列が由来する元のIGHV生殖系列配列の同一性によって分類されている、再構成されたヒト重鎖配列のデータセット内で配列同一性を分析した後に加えられる。例えば、再構成された抗体配列のセットから、各抗体のIGHV生殖系列配列が決定され、再構成された配列は、IGHV生殖系列配列に従って分類される。この決定は、配列同一性に基づいてなされる。
次に、これらの配列の各位置での20個のアミノ酸残基のいずれかの出現を判定する。本発明の特定の実施形態では、例えば、VHシャーシの抗原結合性部分の多様性を増加させることが所望である場合は、CDRH1およびCDRH2の中の位置の異なるアミノ酸残基の出現に特に興味を有するであろう。本発明の他の実施形態では、フレームワーク領域での異なるアミノ酸残基の出現を評価することが、望ましいであろう。理論によって束縛されることなく、フレームワーク領域の変化は、CDRの空間配向性を変化させることによって、抗原結合に影響するであろう。
対象とする各位置のアミノ酸の出現が特定された後、特定の基準に従って、VHシャーシ配列に変更を加えることができる。いくつかの実施形態では、その目的は、再構成されたヒト抗体配列(それぞれのIGHV生殖系列配列に由来する)の重鎖ドメインで観察される変動性を最も模倣する配列変動性を有する追加のVHシャーシを生成し、それによって、性質が最もヒト的である配列(すなわち、ヒト配列の組成および長さを最も模倣する配列)を場合によっては得ることであろう。この場合、特定の位置で天然に見出される突然変異を含む追加のVHシャーシ配列を合成して、これらのVHシャーシ配列の1つまたは複数を、例えば天然で見出される頻度を模倣する頻度で、本発明のライブラリーに含めることができる。本発明の別の実施形態では、再構成されたヒト抗体配列の所与の位置で最も頻繁に出現する突然変異だけを提示するVHシャーシを含めることを、望むことができる。例えば、正確に、上に述べたように、ヒトの変動性を模倣するのではなく、および、例示的な表6および7に関して、各位置で最も頻繁に出現する、上位19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1個のアミノ酸残基だけを含むように選択することができる。例示のため、および表6に関して、VH1−69配列の位置31で最も頻繁に出現する上位4個のアミノ酸残基を含めることを望むならば、VH1−69配列の位置31は、S、N、TおよびRを含むように変更されるであろう。理論によって束縛されることなく、再構成された重鎖配列の天然の組成を模倣することによる多様性の導入は、組成が最もヒト的である抗体を生成するであろうと思われる。しかし、本発明のライブラリーは、この方法によって多様化される重鎖配列に限定されず、多様性を重鎖シャーシに導入するために、任意の基準を用いることができ、これにはランダムまたは合理的な突然変異誘発が含まれる。例えば、本発明の特定の実施形態では、中性および/またはより小さなアミノ酸残基を、IGHV生殖系列配列で出現する残基の代わりに置換することが好ましいであろう。理論によって束縛されることなく、中性および/またはより小さなアミノ酸残基は、CDR配列の多様性の提示のために、より柔軟で、立体障害のより少ない場所を提供することができる。
実施例2は、特定のIGHV生殖系列に由来する重鎖への、この方法の適用を例示する。当業者は、この方法を任意の生殖系列配列に適用することができること、および、各重鎖シャーシの少なくとも約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、1000、10、10、10個、またはそれ以上の変異体を生成するためにそれを用いることができることを、容易に認識するであろう。
2.1.2.軽鎖シャーシ配列の設計
本発明の軽鎖シャーシは、κおよび/またはλ軽鎖配列に基づくことができる。ライブラリーでの提示のための軽鎖可変(IGLV)生殖系列配列の選択の基礎をなす原理は、重鎖配列の選択のために使用されるもの(上で、および実施例1および2に記載される)に類似している。同様に、選択される重鎖シャーシに変動性を導入するために用いる方法を、軽鎖シャーシに変動性を導入するために用いることもできる。
理論によって束縛されないが、また、本発明の特定の実施形態を例示するために、ライブラリーのVLドメインは、以下の3つの主要構成要素を含むと考えることができよう:(1)アミノ酸1〜88(Kabatの番号付けを用いる)を含むVL「シャーシ」、(2)本明細書で適切なKabat CDRL3(位置89〜97)を含むと定義されるVLCDR3、および(3)アミノ酸98〜107(Kabat番号付け)を含むFRM4領域。したがって、全体的VL構造は、以下のように図式的に示すことができる(比例していない):

本発明の特定の実施形態では、ライブラリーのVLシャーシは、IGKV生殖系列配列に基づく1つまたは複数のシャーシを含む。本発明の特定の実施形態では、ライブラリーのVLシャーシは、以下のIGKV生殖系列配列の1つまたは複数の約Kabat残基1〜約Kabat残基88を含むことができる:

本発明のいくつかの実施形態では、ライブラリーは、これらの配列の1つまたは複数、これらの配列の1つまたは複数の対立遺伝子変異体を含むことができるか、または、これらの配列の1つまたは複数と少なくとも約99.9%、99.5%、99%、98.5%、98%、97.5%、97%、96.5%、96%、95.5%、95%、94.5%、94%、93.5%、93%、92.5%、92%、91.5%、91%、90.5%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、77.5%、75%、73.5%、70%、65%、60%、55%または50%同一であるアミノ酸配列をコードすることができる。
他の実施形態では、ライブラリーのVLシャーシは、以下のIGKV生殖系列配列の約Kabat残基1〜約Kabat残基88を含むことができる:

本発明のいくつかの実施形態では、ライブラリーは、これらの配列の1つまたは複数、これらの配列の1つまたは複数の対立遺伝子変異体を含むことができるか、または、これらの配列の1つまたは複数と少なくとも約99.9%、99.5%、99%、98.5%、98%、97.5%、97%、96.5%、96%、95.5%、95%、94.5%、94%、93.5%、93%、92.5%、92%、91.5%、91%、90.5%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、77.5%、75%、73.5%、70%、65%、60%、55%または50%同一であるアミノ酸配列をコードすることができる。これらのシャーシのアミノ酸配列を、表11に示す。
本発明の特定の実施形態では、ライブラリーのVLシャーシは、IGλV生殖系列配列に基づく1つまたは複数のシャーシを含む。本発明の特定の実施形態では、ライブラリーのVLシャーシは、以下のIGλV生殖系列配列の1つまたは複数の約Kabat残基1〜約Kabat残基88を含むことができる:

本発明のいくつかの実施形態では、ライブラリーは、これらの配列の1つまたは複数、これらの配列の1つまたは複数の対立遺伝子変異体を含むことができるか、または、これらの配列の1つまたは複数と少なくとも約99.9%、99.5%、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%または50%同一であるアミノ酸配列をコードすることができる。
他の実施形態では、ライブラリーのVLシャーシは、以下のIGλV生殖系列配列の約Kabat残基1〜約Kabat残基88を含むことができる:

本発明のいくつかの実施形態では、ライブラリーは、これらの配列の1つまたは複数、これらの配列の1つまたは複数の対立遺伝子変異体を含むことができるか、または、これらの配列の1つまたは複数と少なくとも約99.9%、99.5%、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%または50%同一であるアミノ酸配列をコードすることができる。これらのシャーシのアミノ酸配列を、表14に示す。
2.2.抗体ライブラリーCDRH3構成要素の設計
重鎖のCDR3領域の多様性がほとんどの抗体特異性に十分であること(参照によりその全体が組み込まれる、XuおよびDavis、Immunity、2000年、13巻:27〜45頁)、および、既存の好結果のライブラリーが、多様化の主要な供給源としてCDRH3を用いて作製されたこと(その各々は参照によりその全体が組み込まれる、Hoogenboomら、J.Mol.Biol.、1992年、227巻:381頁;Leeら、J.Mol.Biol.、2004年、340巻:1073頁)は、当技術分野で既知である。DH領域およびN1/N2領域の両方が、CDRH3の機能的多様性に寄与することも知られている(その各々は参照によりその全体が組み込まれる、Schroederら、J.Immunol.、2005年、174巻:7773頁およびMathisら、Eur J Immunol.1995年、25巻:3115頁)。本発明の目的で、天然に存在するヒト抗体のCDHR3領域は、以下の5つのセグメントに分割することができる:(1)尾部セグメント、(2)N1セグメント、(3)DHセグメント、(4)N2セグメント、および(5)JHセグメント。下で例示するように、尾部、N1およびN2セグメントは存在してもよく、または存在しなくともよい。
本発明の特定の実施形態では、合成CDRH3ライブラリーのためのアミノ酸配列を選択する方法には、頻度分析および既存の再構成された抗体配列の対応する変動性プロフィールの生成が含まれる。実施例のセクションでさらに詳細に記載されるこの工程では、再構成されたCDRH3(または他の任意の重鎖または軽鎖領域)の中の特定の位置での特定のアミノ酸残基の出現頻度が、判定される。次に、本発明のライブラリーへの組み入れのために、天然でより頻繁に用いられるアミノ酸を選択することができる。
2.2.1.DHセグメントレパートリーの設計および選択
本発明の特定の実施形態では、ライブラリーは、IGHD遺伝子生殖系列レパートリーに基づいて設計される1つまたは複数のセグメントを含む、CDRH3領域を含む。本発明のいくつかの実施形態では、IGHD遺伝子セグメントのインビボプロセシングを模倣するために、ライブラリーへの組み入れのために選択されるDHセグメントが、ヒトIGHD遺伝子の最も頻繁な使用、ならびにその順次N末端およびC末端欠失に基づいて選択、設計される。本発明のいくつかの実施形態では、ライブラリーのDHセグメントは、長さが約3〜約10個のアミノ酸である。本発明のいくつかの実施形態では、ライブラリーのDHセグメントは、長さが約0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のアミノ酸、またはそれらの組合せである。特定の実施形態では、本発明のライブラリーは、長さの広い分布(例えば、約0〜約10個のアミノ酸)を有するDHセグメントを含むことができる。他の実施形態では、DHの長さの分布が制限されてもよい(例えば、約1〜約5個のアミノ酸、約3個のアミノ酸、約3個および約5個のアミノ酸、その他)。ライブラリーの特定の実施形態では、最も短いDHセグメントは、約0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のアミノ酸であってよい。
本発明の特定の実施形態では、ライブラリーは、任意のIGHD生殖系列配列の任意の読み枠を代表するDHセグメントを含むことができる。本発明の特定の実施形態では、ライブラリーへの組み入れのために選択されるDHセグメントには、以下のIGHD配列の1つまたは複数、またはそれらの誘導体(すなわち、任意の読み枠、ならびに任意の程度のN末端およびC末端の切断部分)が含まれる:

本発明のいくつかの実施形態では、ライブラリーは、これらの配列の1つまたは複数、それらの対立遺伝子変異体を含むことができるか、または、これらの配列の1つまたは複数と少なくとも約99.9%、99.5%、99%、98.5%、98%、97.5%、97%、96.5%、96%、95.5%、95%、94.5%、94%、93.5%、93%、92.5%、92%、91.5%、91%、90.5%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、77.5%、75%、73.5%、70%、65%、60%、55%または50%同一であるアミノ酸配列をコードすることができる。
例示のために、IGHD3−10、読み枠1の順次N末端およびC末端欠失を、表1に挙げる。他のIGHD配列および読み枠のN末端およびC末端欠失も、本発明によって包含され、当業者は、例えば、表16で提供する非限定的例示的データ、および/または上で概説した方法を用いて、これらの配列を容易に判定することができる。表18(実施例5)は、本発明の特定の実施形態で用いられる特定のDHセグメントを挙げている。

本発明の特定の実施形態では、ライブラリーへの組み入れのために選択されるDHセグメントには、以下のIGHD配列の1つまたは複数、またはそれらの誘導体(すなわち、任意の読み枠、ならびに任意の程度のN末端およびC末端の切断部分)が含まれる:IGHD3−10、IGHD3−22、IGHD6−19、IGHD6−13、IGHD3−03、IGHD2−02、IGHD4−17、IGHD1−26、IGHD5−5/5−18およびIGHD2−15。本発明のいくつかの実施形態では、ライブラリーは、これらの配列の1つまたは複数、それらの対立遺伝子変異体を含むことができるか、または、これらの配列の1つまたは複数と少なくとも約99.9%、99.5%、99%、98.5%、98%、97.5%、97%、96.5%、96%、95.5%、95%、94.5%、94%、93.5%、93%、92.5%、92%、91.5%、91%、90.5%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、77.5%、75%、73.5%、70%、65%、60%、55%または50%同一であるアミノ酸配列をコードすることができる。
本発明の特定の実施形態では、ライブラリーへの組み入れのために選択されるDHセグメントには、以下のIGHD配列であって、記号「_x」は遺伝子の読み枠を表す配列の1つまたは複数、またはそれらの誘導体(すなわち、任意の程度のN末端またはC末端の切断部分)が含まれる:

本発明のいくつかの実施形態では、ライブラリーは、これらの配列の1つまたは複数、それらの対立遺伝子変異体を含むことができるか、または、これらの配列の1つまたは複数と少なくとも約99.9%、99.5%、99%、98.5%、98%、97.5%、97%、96.5%、96%、95.5%、95%、94.5%、94%、93.5%、93%、92.5%、92%、91.5%、91%、90.5%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、77.5%、75%、73.5%、70%、65%、60%、55%または50%同一であるアミノ酸配列をコードすることができる。
本発明の特定の実施形態では、ライブラリーは、N末端およびC末端が欠失しているIGHDセグメントの所定の長さの分布を反映するように設計される。例えば、ライブラリーの特定の実施形態では、ライブラリーのDHセグメントは、ヒトレパートリーで見出されるDHセグメントの天然の長さの分布を模倣するように設計することができる。例えば、Leeら(参照によりその全体が組み込まれるImmunogenetics、2006年、57巻:917頁)からの再構成したヒト抗体重鎖ドメイン中での異なるIGHDセグメントの相対的出現。表2は、Leeらからの上位68%のIGHDセグメントの相対的出現を示す。

特定の実施形態では、これらの相対的出現は、末梢血で見出されるIGHD使用に類似したDH発生率を有するライブラリーを設計するために用いることができる。本発明の他の実施形態では、より長いかより短いDHセグメントに、または特定の組成のDHセグメントにライブラリーを偏らせることが好ましいであろう。他の実施形態では、ライブラリーのために選択されるすべてのDHセグメントを、同等の割合で用いることが望ましいであろう。
本発明の特定の実施形態では、10個の最も頻繁に出現するIGHD配列で最も一般的に用いられる読み枠が利用され、これらの配列の順次N末端およびC末端欠失が形成され、このように、本発明のCDRH3レパートリーを作製するために用いられる合計278個の非冗長DHセグメントが提供される(表18)。本発明のいくつかの実施形態では、上記の方法は、上位1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25個の発現されるIGHD配列、ならびにその順次N末端およびC末端欠失を含むライブラリーを生成するために適用することができる。ライブラリーの他のすべての構成要素と同様に、DHセグメントは一般的に発現されるものの中より選択することができるが、それらがより低い頻度で発現されるという事実に基づいてこれらの遺伝子セグメントを選択することも、本発明の範囲内である。例えば、自己抗原に対する抗体を得ることにおいて、または、ライブラリーの多様性をさらに拡張することにおいて、このことは有利であろう。あるいは、実際のヒト重鎖配列でのそれらの出現と厳密に相対的である方法で組成多様性を加えるために、DHセグメントを用いることができる。
本発明の特定の実施形態では、ループを元通りに保ち、不対のシステイン残基の存在を回避するために、セグメントをコードするジスルフィドループを含むIGHD遺伝子の順次欠失を限定することができる。本発明の他の実施形態では、ループの存在を無視することができ、IGHD遺伝子セグメントの順次欠失が、不対のシステイン残基の存在に関係なく、他の任意のセグメントに関して出現することができる。本発明のさらに他の実施形態では、システイン残基を他の任意のアミノ酸に突然変異させることができる。
2.2.2.H3−JHセグメントレパートリーの設計および選択
6個のIGHJ(連結)セグメント、IGHJ1、IGHJ2、IGHJ3、IGHJ4、IGHJ5およびIGHJ6がある。親セグメントおよび順次N末端欠失のアミノ酸配列を、表20(実施例5)に示す。IGHD遺伝子が経るN末端およびC末端欠失と同様に、エキソヌクレアーゼ活性による1つまたは複数のコドンのN末端「ニブリング」または順次欠失によって、天然の変化がIGHJ遺伝子に導入される。
H3−JHセグメントは、CDRH3の一部であるIGHJセグメントの部分を指す。本発明の特定の実施形態では、ライブラリーのH3−JHセグメントは、以下の配列の1つまたは複数を含む:

本発明のいくつかの実施形態では、ライブラリーは、これらの配列の1つまたは複数、それらの対立遺伝子変異体を含むことができるか、または、これらの配列の1つまたは複数と少なくとも約99.9%、99.5%、99%、98.5%、98%、97.5%、97%、96.5%、96%、95.5%、95%、94.5%、94%、93.5%、93%、92.5%、92%、91.5%、91%、90.5%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、77.5%、75%、73.5%、70%、65%、60%、60%、55%または50%同一であるアミノ酸配列をコードすることができる。
本発明の他の実施形態では、H3−JHセグメントは、約0、1、2、3、4、5、6、7、8、9個またはそれ以上のアミノ酸を含むことができる。例えば、JH1_4のH3−JHセグメント(表20)は3残基の長さであるが、非欠失JH6は9残基のH3−JHセグメント長である。IGHJセグメントのFRM4−JH領域は、配列WG(Q/R)G(配列番号_)から始まり、フレームワーク4の一部を構成するIGHJセグメントの部分に対応する。本発明の特定の実施形態では、表20で挙げるように、ライブラリーに含まれる28個のH3−JHセグメントがある。他の特定の実施形態では、上で、または表20で挙げるIGHJセグメントのうちの約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30個を利用することによって、ライブラリーを生成することができる。
2.2.3.N1およびN2セグメントレパートリーの設計および選択
ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)は、一本鎖か二本鎖のDNAの3’ヒドロキシル基への5’三リン酸の結合を触媒する、脊椎動物由来の高度に保存されている酵素である。したがって、その酵素は、鋳型非依存性ポリメラーゼとして作用する(各々参照によりその全体が組み込まれる、Koiwaiら、Nucleic
Acids Res.、1986年、14巻:5777頁;Basuら、Biochem.Biophys.Res.Comm.、1983年、111巻:1105頁)。インビボで、TdTは、抗体重鎖のV−DおよびD−J接合点へのヌクレオチドの付加の役割を担う(各々参照によりその全体が組み込まれる、AltおよびBaltimore、PNAS、1982年、79巻:4118頁;Collinsら、J.Immunol.、2004年、172巻:340頁)。具体的には、TdTは、D(多様性)領域に連なるN1およびN2(非鋳型化)セグメントを生成する役割を担う。
本発明の特定の実施形態では、N1およびN2セグメントの長さおよび組成は、ヒト抗体の天然に存在するN1およびN2セグメントで見られるアミノ酸使用頻度の統計的偏りに従って、合理的に設計される。この方法を通して生成されるライブラリーの一実施形態を、実施例5に記載する。ヒトデータベースから編集されるデータ(参照によりその全体が組み込まれる、Jacksonら、J.Immunol Methods、2007年、324巻:26頁)によると、2個以下のヌクレオチドの挿入を考慮しない場合、N1については平均3.02個のアミノ酸挿入、N2については2.4個のアミノ酸挿入がある(図2)。本発明の特定の実施形態では、N1およびN2セグメントは、0〜3個のアミノ酸の長さに限定される。本発明の他の実施形態では、N1およびN2を、約4、5、6、7、8、9または10個未満のアミノ酸の長さに限定してもよい。
本発明のいくつかの実施形態では、これらの配列の組成を、天然のヒト抗体のN1およびN2配列での特定のアミノ酸の出現頻度に従って選択することができる(この分析の例については、実施例5の表21〜23を参照)。本発明の特定の実施形態では、合成N1およびN2セグメントを設計するために、これらの領域で最も一般的に出現する8個のアミノ酸(すなわち、G、R、S、P、L、A、TおよびV)を用いる。本発明の他の実施形態では、最大約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18または19個の最も一般的に出現するアミノ酸を、合成N1およびN2セグメントの設計で用いることができる。さらに他の実施形態では、全20個のアミノ酸をこれらのセグメントで用いることができる。最後に、本発明のN1およびN2セグメントの設計組成について、天然のN1およびN2セグメントの組成を基にすることが可能であるが、このことは要件でない。N1およびN2セグメントは、アミノ酸の任意の群より選択されるアミノ酸、または、本発明のライブラリーの設計のために考慮される他の基準に従って設計されるアミノ酸を含むことができる。当業者は、本発明のライブラリーの任意の部分の設計に用いられる基準は、特定のライブラリーの適用によって異なってもよいことを容易に認識するであろう。本発明の目的は、任意の群のアミノ酸より選択されるN1およびN2セグメントの使用により、N1またはN2セグメントを用いずに、あるいは、本明細書で記載されるもの以外の組成を有するN1およびN2セグメントの使用により、機能的ライブラリーを生成することが可能であろうことである。
本発明のライブラリーと当技術分野で既知である他のライブラリーとの間の1つの重要な差は、ライブラリーの設計の間の、天然のデュプレットおよびトリプレットのアミノ酸配列の組成の考慮である。表23は、N1およびN2領域での上位25個の天然のデュプレットを示す。これらの多くは、一般式(G/P)(G/R/S/P/L/A/V/T)(配列番号_)または(R/S/L/A/V/T)(G/P)(配列番号_)によって表すことができる。本発明の特定の実施形態では、合成N1およびN2領域は、これらのデュプレットのすべてを含むことができる。他の実施形態では、ライブラリーは、上位2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25個の最も一般的な天然のN1および/またはN2デュプレットを含むことができる。本発明の他の実施形態では、ライブラリーは、出現頻度のより低いデュプレット(すなわち、上位25個以外のもの)を含むことができる。これらの追加のデュプレットまたはトリプレットの組成は、本明細書で教示される方法があれば容易に判定することができよう。
最後に、天然のトリプレットN1およびN2領域からのデータは、天然のN1およびN2トリプレット配列を、式(G)(G)(G/R/S/P/L/A/V/T)(配列番号_)、(G)(R/S/P/L/A/V/T)(G)(配列番号_)、または(R/S/P/L/A/V/T)(G)(G)(配列番号_)によってしばしば表すことができることを証明する。本発明の特定の実施形態では、ライブラリーは、上位2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25個の最も一般的に出現するN1および/またはN2トリプレットを含むことができる。本発明の他の実施形態では、ライブラリーは、出現頻度のより低いトリプレット(すなわち、上位25個以外のもの)を含むことができる。これらの追加のデュプレットまたはトリプレットの組成は、本明細書で教示される方法があれば容易に判定することができよう。
本発明の特定の実施形態では、CDRH3のライブラリーを作製するために用いられる、約59個の総N1セグメントおよび約59個の総N2セグメントがある。本発明の他の実施形態では、N1セグメント、N2セグメントまたは両方の数は、約141個に増加される(例えば、実施例5を参照)。本発明の他の実施形態では、合計約0、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、1000、10個またはそれ以上のN1および/またはN2セグメントを、本発明のライブラリーへの組み入れのために選択することができる。
当業者は、本明細書の教示があれば、(例えば配列アラインメント、SoDAアルゴリズム、およびヒト配列の任意のデータベースを用いて、例えば、本明細書で提供されるものを越えて拡張する天然のデュプレットおよびトリプレット(またはより高いオーダー)N領域の追加のランキングを生成するために、本明細書で詳述される分析を拡張することは、通常の実験の領域に十分含まれることを容易に認識する(参照によりその全体が組み込まれる、Volpeら、Bioinformatics、2006年、22巻:438〜44頁)。熟練技術者は、本明細書で教示される情報に基づいて、N1プールおよび/またはN2プールで用いられる異なるアミノ酸配列の数を変化させることによって、より多様であるか多様性のより低い(すなわち、より集中している)ライブラリーを生成することが今では可能であることも認識するであろう。
上に述べたように、N1およびN2セグメントの組成および長さが本明細書の実施例で提供されるものと異なる、多くの代わりの実施形態が想定される。いくつかの実施形態では、N1およびN2セグメントの合成のために、トリヌクレオチドの亜化学量論的合成を用いることができる。トリヌクレオチドによる亜化学量論的合成は、Knappikら(参照によりその全体が組み込まれる、米国特許第6,300,064号)に記載される。亜化学量論的合成の使用は、N1およびN2配列の長さの変動を考慮する合成を可能にするであろう。
本発明のライブラリーでのN1およびN2配列の組成を判定するために、上記の実施形態に加えて、TdT活性のモデルを用いることもできる。例えば、TdTの活性によってポリヌクレオチドの上に特定のヌクレオチド塩基(A、C、G、T)を組み込む可能性は、塩基の種類、および、加えられる塩基の直前の鎖の上に出現する塩基に依存することが提案されている。Jacksonら、(参照によりその全体が組み込まれる、J.Immunol.Methods、2007年、324巻:26頁)は、この工程を記載するマルコフモデルを構築した。本発明の特定の実施形態では、本発明のライブラリーで用いられるN1および/またはN2セグメントの組成を判定するために、このモデルを用いることができる。あるいは、ヒト配列をより厳密に模倣する配列を生成するために、Jacksonらで提供されるパラメータをさらに洗練することができよう。
2.2.4.N1、DH、N2およびH3−JHセグメントを用いるCDRH3ライブラリーの設計
本発明のCDRH3ライブラリーは、最初のアミノ酸(特定の例示的な実施形態では、G、D、E)を含むかそれを含まず(本明細書で位置95と命名される)、続いて、N1、DH、N2およびH3−JHセグメントを含む。したがって、本発明の特定の実施形態では、CDRH3ライブラリーの全体的設計は、以下の式によって表すことができる:
[G/D/E/−]−[N1]−[DH]−[N2]−[H3−JH]。
本発明のライブラリーのCDRH3の各部分の組成は、上でより完全に記載されるが、上で提供される尾部の組成(G/D/E/−)は非限定的であり、任意のアミノ酸をこの位置で用いること(またはどのアミノ酸も用いないこと)ができる。したがって、本発明の特定の実施形態を、以下の式によって表すことができ:
[X]−[N1]−[DH]−[N2]−[H3−JH]、
上式で、[X]は、任意の、または無アミノ酸残基である。
本発明の特定の実施形態では、相同組換えを通して、合成CDRH3レパートリーを、選択されるVHシャーシ配列および重鎖定常領域と組み合わせる。したがって、本発明の特定の実施形態では、合成CDRH3ライブラリーと、選択されるシャーシおよび定常領域を含むベクターとの間の相同組換えを促進するために、合成CDRH3ライブラリーの5’および3’末端に連なるDNA配列を含める必要があろう。特定の実施形態では、ベクターは、IGHJ遺伝子の非ニブリング領域(すなわち、FRM4−JH)の少なくとも一部をコードする配列も含む。したがって、N末端配列をコードするポリヌクレオチド(例えば、CA(K/R/T))を合成CDRH3配列に加えることができ、そこでは、N末端ポリヌクレオチドはシャーシのFRM3と相同的であり、一方、C末端配列をコードするポリヌクレオチド(例えば、WG(Q/R)G)を合成CDRH3に加えることができ、そこでは、C末端ポリヌクレオチドはFRM4−JHと相同的である。この例示的な実施形態で配列WG(Q/R)Gが提供されているが、FRM4−JHでこの配列のC末端の追加のアミノ酸が、C末端配列をコードするポリヌクレオチドに含まれてもよい。この場合、N末端およびC末端の配列をコードするポリヌクレオチドの目的は、相同組換えを促進することであり、当業者は、これらの配列が下で表すよりも長いか短くともよいことを認識するであろう。したがって、本発明の特定の実施形態では、選択されるシャーシとの相同組換えを促進するために必要とされる配列を含むCDRH3レパートリーの全体的設計は、以下の式(ベクターと相同的な領域を下線で示す)によって表すことができる:

本発明の他の実施形態では、CDRH3レパートリーは、上の図式で提供されるT残基が除外されている、以下の式によって表すことができる:

V、DおよびJ遺伝子のコレクションを記載する参考文献には、それぞれ参照によりその全体が組み込まれる、Scavinerら、Exp.Clin.Immunogenet.、1999年、16巻:243頁およびRuizら、Exp.Clin.Immunogenet、1999年、16巻:173頁が含まれる。
2.2.5.CDRH3長分布
本出願全体で記載されるように、天然のCDRH3セグメントの組成の考慮に加えて、本発明は、天然のCDRH3セグメントの長さの分布も考慮する。Zemlinら(参照によりその全体が組み込まれる、JMB、2003年、334巻:733頁)およびLeeら(参照によりその全体が組み込まれる、Immunogenetics、2006年、57巻:917頁)による調査は、天然のCDRH3長の分析を提供する。これらのデータは、約95%の天然のCDRH3配列が、約7〜約23個のアミノ酸の長さであることを示す。特定の実施形態では、本発明は、天然のCDRH3配列のサイズ分布を直接模倣するCDRH3セグメントを有する、合理的に設計された抗体ライブラリーを提供する。本発明の特定の実施形態では、CDRH3の長さは、約2〜約30、約3〜約35、約7〜約23、約3〜約28、約5〜約28、約5〜約26、約5〜約24、約7〜約24、約7〜約22、約8〜約19、約9〜約22、約9〜約20、約10〜約18、約11〜約20、約11〜約18、約13〜約18、または約13〜約16個の残基の長さであってよい。
本発明の特定の実施形態では、本発明のCDRH3ライブラリーの長さの分布は、特定の長さの範囲内の配列の割合に基づいて規定することができる。例えば、本発明の特定の実施形態では、約10〜約18個のアミノ酸残基の長さを有するCDRH3は、ライブラリーの配列の約84%〜約94%を含む。いくつかの実施形態では、この長さの範囲内の配列は、ライブラリーの配列の約89%を含む。
本発明の他の実施形態では、約11〜約17個のアミノ酸残基の長さを有するCDRH3は、ライブラリーの配列の約74%〜約84%を含む。いくつかの実施形態では、この長さの範囲内の配列は、ライブラリーの配列の約79%を含む。
本発明のさらに他の実施形態では、約12〜約16個の残基の長さを有するCDRH3は、ライブラリーの配列の約57%〜約67%を含む。いくつかの実施形態では、この長さの範囲内の配列は、ライブラリーの配列の約62%を含む。
本発明の特定の実施形態では、約13〜約15個の残基の長さを有するCDRH3は、ライブラリーの配列の約35%〜約45%を含む。いくつかの実施形態では、この長さの範囲内の配列は、ライブラリーの配列の約40%を含む。
2.3.抗体ライブラリーCDRL3構成要素の設計
本発明のCDRL3ライブラリーは、いくつかの手法のうちの1つによって生成することができる。本発明の特定の実施形態で作製され、用いられるCDRL3ライブラリーの実際のバージョンは、ライブラリーの使用目的によって決まる。複数のCDRL3ライブラリーを、特定の実施形態で用いることができ、その例には、CDRH3多様性を含み、κおよびλ軽鎖が本発明の適用範囲内であるライブラリーが含まれる。
本発明の特定の実施形態では、CDRL3ライブラリーは、VKCDR3(κ)ライブラリーおよび/またはVλCDR3(ラムダ)ライブラリーである。本明細書で記載されるCDRL3ライブラリーは、当技術分野のCDRL3ライブラリーとかなり異なる。第1に、それらは、実際のヒト配列で観察されるものと一致する長さ変動を考慮する。第2に、それらは、CDRL3のかなりの部分がIGLV遺伝子によってコードされるという事実を考慮する。第3に、IGLV遺伝子によってコードされるCDRL3部分の中のアミノ酸変動パターンは、確率的ではなく、IGLV遺伝子の同一性に依存的に選択される。まとめると、第2および第3の相違は、ヒト配列の観察パターンを忠実に模倣するCDRL3ライブラリーが、FRM1〜FRM3のシャーシ配列とは無関係にある一般的な設計を用いることができないことを意味する。第4に、CDRL3へのJLの寄与も明示的に考慮され、関連する位置の各アミノ酸残基の算入は、JL遺伝子自体の組成および天然の変動に基づく。
上に示すように、および、出願全体を通して、本発明のライブラリーの設計の独特の態様は、生殖系列または「シャーシに基づく」態様であり、それは、実際のヒト配列の統合性および変動性をより多く保存するためのものである。これは、文献に記載されている、「フリーサイズ」(例えば、コンセンサス)ライブラリーを生成することを目的とする、他のコドンに基づく合成または縮重オリゴヌクレオチド合成手法と対照的である(例えば、各々参照によりその全体が組み込まれる、Knappikら、J Mol Biol、2000年、296巻:57頁;Akamatsuら、J Immunol、1993年、151巻:4651頁)。
本発明の特定の実施形態では、VL配列中の規定位置での特定のアミノ酸の出現パターンは、公開のまたは他のデータベース、例えば、NCBIデータベースで利用可能なデータを分析することによって判定される(例えば、本明細書とともに出願される付録AおよびBのGIナンバーを参照)。本発明の特定の実施形態では、これらの配列は同一性に基づいて比較され、それらが由来する生殖系列遺伝子に基づいてファミリーに帰属される。次に、各生殖系列ファミリーにおける配列の各位置のアミノ酸組成を判定することができる。この工程は、本明細書で提供される実施例で例示する。
2.3.1.必要最小限VKCDR3ライブラリー
本発明の特定の実施形態では、軽鎖CDR3ライブラリーは、VKCDR3ライブラリーである。本発明の特定の実施形態は、最も一般的なVKCDR3長、9残基だけを用いることができる;この長さは、ヒトVKCDR3配列の優位な割合(約70%を超える)で出現する。長さ9個のヒトVKCDR3配列では、位置89〜95はIGKV遺伝子によってコードされ、位置96〜97はIGKJ遺伝子によってコードされる。ヒトκ軽鎖配列の分析は、IGKJ遺伝子の使用において強い偏りが存在しないことを示す。したがって、本発明の特定の実施形態では、5個のIGKJ遺伝子のそれぞれを同等の割合で提示し、(M VKシャーシ)×(5JK遺伝子)の組合せライブラリー、またはサイズM×5のライブラリーを作製することができる。しかし、本発明の他の実施形態では、例えばライブラリーのサイズを限定するか、または特定の特性を有することが既知であるIGKJ遺伝子の方へライブラリーに重み付けするために、IGKJ遺伝子提示を偏らせることが望ましいであろう。
実施例6.1に記載のように、IGKJ遺伝子によってコードされる最初のアミノ酸(位置96)の調査は、この位置で見られる最も一般的な7個の残基がL、Y、R、W、F、PおよびIであることを示した。これらの残基は、累積により、天然のκ軽鎖配列の位置96で見られる残基の約85%を占める。本発明の特定の実施形態では、位置96のアミノ酸残基は、これらの7個の残基の1つであってよい。本発明の他の実施形態では、この位置のアミノ酸は、その他の13個のアミノ酸残基のいずれかの中より選択することができる。本発明のさらに他の実施形態では、位置96のアミノ酸残基は、位置96に出現する上位1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個のアミノ酸から、あるいは、位置96には決して出現しない残基の中からでさえ選択することができる。同様に、位置96を占めるのに選択されるアミノ酸の出現は、同等であっても、または重み付けされてもよい。本発明の特定の実施形態では、位置96への組み入れのために選択されるアミノ酸の各々を、同等の量で含めるのが望ましいであろう。本発明の他の実施形態では、特定の残基を他よりも頻繁に、または低い頻度で含むように、位置96の組成を偏らせることが望ましいであろう。例えば、実施例6.1で提供するように、IGKJ1生殖系列配列を用いる場合に、アルギニンは位置96に最も頻繁に出現する。したがって、本発明の特定の実施形態では、ライブラリーでの提示のために選択されるIGKJ生殖系列配列(複数可)および/またはIGKV生殖系列配列(複数可)の起源に従って、位置96のアミノ酸使用頻度を偏らせることが望ましいであろう。
したがって、本発明の特定の実施形態では、必要最小限VKCDR3ライブラリーは、以下のアミノ酸配列の1つまたは複数によって表すことができる:

これらの図式的な例示配列では、VK_シャーシは、本発明のライブラリーへの組み入れのために選択される任意のVKシャーシを表す(例えば、表11を参照)。具体的には、VK_シャーシは、選択されるIGKV配列の約Kabat残基1〜88を含む。L3−VKは、選択されるIGKV遺伝子によってコードされるVKCDR3の部分(この実施形態では、Kabat残基89〜95)を表す。F、L、I、R、W、YおよびPは、長さ9個のVKCDR3の位置96における最も一般的に出現する7個のアミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、JKは、N末端残基のないIGKJアミノ酸配列(すなわち、N末端残基は、F、L、I、R、W、Y、PまたはXで置換される)である。したがって、必要最小限VKCDR3ライブラリーの1つの可能な実施形態では、各々がそれぞれのL3−VKと対にされている10個のVKシャーシ、位置96(すなわち、X)の7個のアミノ酸、および1つのJK配列を利用することによって、70個のメンバーを生成することができた。ライブラリーの別の実施形態は、各々がそれぞれのL3−VKと対にされている10個のVKシャーシを、位置96の7個のアミノ酸、および全5個のJK遺伝子と組み合わせることによって生成される、350個のメンバーを有することができる。ライブラリーのさらに別の実施形態は、各々がそれぞれのH3−JKと対にされている15個のVKシャーシを、位置96の15個のアミノ酸、および全5個のJK遺伝子と組み合わせることによって生成される、1,125個のメンバーを有することができる、などである。当業者は、他の多くの組合せが可能であることを容易に認識するであろう。さらに、VKシャーシとL3−VKとの間の対合を維持することが、組成がヒトκ軽鎖配列により類似しているライブラリーをもたらすと考えられているが、L3−VK領域を異なるVKシャーシ領域と組み合わせて変化させ、追加の多様性を生成することもできる。
2.3.2.約10の複雑性のVKCDR3ライブラリー
ヒトでのVKCDR3配列の優位な長さは約9個のアミノ酸であるが、VKCDR3配列のほぼ約30%に累積的に近づく他の長さが測定可能な頻度で出現する。詳細には、長さ8個および10個のVKCDR3は、代表的なサンプルでのVKCDR3長の、それぞれ約8.5%および約16%を表す(実施例6.2;図3)。したがって、より複雑なVKCDR3ライブラリーは、8、10および11個のアミノ酸のCDR長を含むことができる。そのようなライブラリーは、ヒトVKCDR3配列の集合で観察される長さの分布のより大きな割合を占めることができ、または、ヒトVKCDR3配列で頻繁に出現しないVKCDR3長(例えば、8個未満の残基または11個を超える残基)を導入することもできる。
本発明のライブラリーへのκ軽鎖長の変動多様性の組み入れは、VK−JK接合点(すなわち、位置96、上記)のアミノ酸の外部に発生する配列変動性を含めることも可能にする。本発明の特定の実施形態では、VKおよび/またはJKセグメントの中の配列変動パターンは、特定の生殖系列配列に由来する配列の集合を並べることによって判定することができる。本発明の特定の実施形態では、VKCDR3の中のアミノ酸残基の出現頻度は、配列のアラインメントによって判定することができる(例えば、実施例6.2および表30を参照)。本発明のいくつかの実施形態では、この出現頻度は、VKCDR3ライブラリーを合成するために用いられるVK_シャーシ、L3−VKおよび/またはJKセグメントに変動性を導入するために用いることができる。本発明の特定の実施形態では、天然のレパートリーの任意の特定の位置で出現する、上位1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個のアミノ酸を、本発明のVKCDR3ライブラリーのその位置に含めることができる。本発明の特定の実施形態では、VKCDR3またはVK軽鎖の中の任意の特定の位置の任意のアミノ酸の出現率は、約0%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%であってよい。本発明の特定の実施形態では、本発明のVKCDR3またはκ軽鎖ライブラリーの中の任意の位置での任意のアミノ酸の出現率は、天然のVKCDR3またはκ軽鎖ドメインの中の任意の位置での任意のアミノ酸の出現率の、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、120%、140%、160%、180%または200%の範囲内であってよい。
本発明のいくつかの実施形態では、VKCDR3ライブラリーは、縮重オリゴヌクレオチドを用いて合成することができる(IUPAC塩基シンボル定義については表31を参照)。本発明のいくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチド合成および遺伝子コードの限界は、VKCDR3配列の特定の位置でのより多くの、もしくはより少ないアミノ酸の組み入れを必要とするであろう。この手法の例示的な実施形態は、実施例6.2で提供する。
2.3.3.より複雑なVKCDR3ライブラリー
遺伝子コードおよび縮重オリゴヌクレオチド合成の使用に固有の限界は、場合によっては、天然のその位置で見られるそれらのアミノ酸と比較して、VKCDR3の中の特定の位置で、より多くの、もしくはより少ないアミノ酸の組み入れを必要とするであろう(例えば、実施例6.2、表32)。この限界は、特定のアミノ酸をコードするオリゴヌクレオチドの正確な合成、および任意の位置に組み込まれる任意の特定のアミノ酸の割合に対するより微細な制御を可能にする、コドンに基づく合成手法(参照によりその全体が組み込まれる、Virnekasら、Nucleic Acids Res.、1994年、22巻:5600頁)を用いることにより克服することができる。実施例6.3は、この手法をより詳細に記載する。
本発明のいくつかの実施形態では、コドンに基づく合成手法を、VKCDR3またはκ軽鎖の中の任意の特定の位置での任意のアミノ酸の出現率を変えるために用いることができる。特定の実施形態では、ライブラリーのVKCDR3またはκ軽鎖配列の中の任意の位置での任意のアミノ酸の出現率は、約0%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%であってよい。本発明のいくつかの実施形態では、任意の位置での任意のアミノ酸の出現率は、約1%、2%、3%または4%であってよい。本発明の特定の実施形態では、本発明のVKCDR3またはκ軽鎖ライブラリーの中の任意の位置での任意のアミノ酸の出現率は、天然のVKCDR3またはκ軽鎖ドメインの中の任意の位置での任意のアミノ酸の出現率の、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、120%、140%、160%、180%または200%の範囲内であってよい。
本発明の特定の実施形態では、VKCDR3(および、それがVKCDR3の一部であるかどうかに関係なく、ライブラリーで用いられる他の任意の配列)を変更して、望ましくないアミノ酸モチーフを除去することができる。例えば、XおよびZはPと異なる、パターンN−X−(SまたはT)−Zを有するペプチド配列は、酵母および哺乳動物の細胞を含むいくつかの発現系で、翻訳後修飾(N結合グリコシル化)を経る。本発明の特定の実施形態では、N結合グリコシル化部位の導入を回避するために、特定の位置でのN残基の導入を回避してもよい。本発明のいくつかの実施形態では、ライブラリーを発現するために用いる生物および培養条件次第では、これらの修飾は必要でない場合もある。しかし、潜在的N結合グリコシル化部位を有するライブラリーを発現するために用いる生物が、N結合グリコシル化ができない場合(例えば、細菌)でさえ、N−X−(S/T)配列を回避することが望ましいであろうが、その理由は、そのようなライブラリーから単離される抗体は、後に(例えば、臨床開発に向けて)異なる系(例えば、酵母、哺乳動物の細胞)で発現させることができ、可変ドメイン、特にCDRでの炭水化物部分の存在は、活性の望ましくない修飾をもたらすことができるからである。
本発明の特定の実施形態では、異なる長さ(例えば、長さ5、6、7、8、9、10、11個またはそれ以上の1つまたは複数)の個々のサブライブラリーを別々に作製し、次に、ヒト配列でのVKCDR3の長さの分布を反映する割合で、例えば、長さ8、9および10の天然のVKCDR3配列で出現する1:9:2の分布に近い比で、サブライブラリーを混合することが好ましいであろう(図3を参照)。他の実施形態では、例えば、より集中したライブラリーまたは特定の特性を有するライブラリーを生成するために、天然のVKCDR3配列での長さの分布と異なる比でこれらのサブライブラリーを混合することが望ましいであろう。
2.3.4.VλCDR3ライブラリー
本発明の必要最小限VλCDR3ライブラリーを設計するために用いる原理は、VKCDR3ライブラリーのために上で挙げるものに類似し、それらは、実施例でさらに詳細に説明される。本発明のVλCDR3ライブラリーと本発明のVKCDR3ライブラリーとの間の1つの差は、IGKV遺伝子と異なって、CDRL3(すなわち、L3−Vλ)へのIGVλ遺伝子の寄与が、一定数のアミノ酸残基に限定されないことである。したがって、位置96を含む、VK(L3−VKを含む)およびJKセグメントの組合せは、長さが9個の残基だけのCDRL3を与えるが、Vλ(L3−Vλを含む)およびJλセグメントだけが考慮される場合でも、VλCDR3ライブラリーの中で長さの変動を得ることができる。
VKCDR3配列に関しては、上で概説するのと同じ方法によって、すなわち、VλCDR3配列の中で特定の残基の出現頻度を判定して、縮重オリゴヌクレオチド合成またはトリヌクレオチドに基づく合成を通して所望の組成をコードするオリゴヌクレオチドを合成することによって、追加の変動性をVλCDR3配列に導入することができる。
2.4.合成抗体ライブラリー
本発明の特定の実施形態では、重鎖および軽鎖シャーシ配列ならびに重鎖および軽鎖CDR3配列は、合成されるものである。本発明のポリヌクレオチド配列は、さまざまな方法によって合成することができる。例えば、配列は、Feldhausら、Nucleic Acids Research、2000年、28巻:534頁;Omsteinら、Biopolymers、1978年、17巻:2341頁;およびBrennerおよびLerner、PNAS、1992年、87巻:6378頁(それぞれは参照によりその全体が組み込まれる)に記載のスプリットプールDNA合成によって合成することができる。
本発明のいくつかの実施形態では、ヒトレパートリーで見られる可能なV、DおよびJ多様性、ならびに接合部多様性を表すカセットが、二本鎖DNAオリゴヌクレオチド、コード鎖を表す一本鎖DNAオリゴヌクレオチド、または、非コード鎖を表す一本鎖DNAオリゴヌクレオチドとして、デノボで合成される。次に、これらの配列を、シャーシ配列および、ある場合にはFRM4の一部および定常領域を含む受容体ベクターとともに、宿主細胞に導入することができる。哺乳動物のcDNAまたはmRNAからのプライマーベースのPCR増幅、または哺乳動物のcDNAまたはmRNAからの鋳型指定クローニング段階を使用する必要はない。
2.5.酵母相同組換えによるライブラリーの構築
特定の実施形態では、本発明は、高効率の相同組換えを促進する、酵母細胞の固有の能力を活用する。酵母における相同組換えの機構およびその応用を、下で簡単に説明する。
例示的な実施形態として、相同組換えは、例えば、高効率で相同組換えを実行するように設計された遺伝的機構を有する、Saccharomyces cerevisiaeで実行することができる。例示的なS.cerevisiae株には、EM93、CEN.PK2、RM11−1a、YJM789およびBJ5465が含まれる。この機構は染色体修復の目的で発展したと考えられ、「ギャップ修復」または「ギャップ充填」とも呼ばれる。この機構を活用することによって、酵母ゲノムの特定の遺伝子座に突然変異を導入することができる。例えば、突然変異遺伝子を運ぶベクターは、遮断するか変異させようとする遺伝子の5’および3’オープンリーディングフレーム(ORF)配列に相同的である、2つの配列セグメントを含むことができる。ベクターは、2つの相同DNAセグメントに連なる陽性の選択マーカー、例えば栄養酵素対立遺伝子(例えば、URA3)および/または抗生物質耐性マーカー(例えば、Geneticin/G418)をコードすることもできる。他の選択マーカーおよび抗生物質耐性マーカーは、当業者に知られている。本発明のいくつかの実施形態では、このベクター(例えば、プラスミド)は直鎖状にされ、酵母細胞内へ形質転換される。2つの相同組換え部位におけるプラスミドと酵母ゲノムとの間の相同組換えを通して、酵母ゲノムの野生型遺伝子と、2つの相同配列セグメントに連なる突然変異遺伝子(選択マーカー遺伝子(複数可)を含む)との間で、DNA内容の相互交換が起こる。1つまたは複数の選択マーカーについて選択することによって、生存酵母細胞は、野生型遺伝子が突然変異遺伝子によって置換されている細胞である(参照によりその全体が組み込まれる、Pearsonら、Yeast、1998年、14巻:391頁)。この機構は、機能的ゲノム解析研究のために、全6,000個の酵母遺伝子またはオープンリーディングフレーム(ORF)で、体系的突然変異を起こさせるために用いられている。交換は相互的であるので、プラスミドベクターに酵母ゲノムDNA断片をクローニングするためにも、類似した手法が首尾よく用いられている(参照によりその全体が組み込まれる、Iwasakiら、Gene、1991年、109巻:81頁)。
酵母に存在する内因性相同組換え機構を利用することによって、連結段階なしで、遺伝子断片または合成オリゴヌクレオチドを、プラスミドベクターにクローニングすることもできる。相同組換えの本出願では、標的遺伝子断片(すなわち、プラスミドベクターに挿入される断片、例えば、CDR3)が得られる(例えば、別のベクターからのオリゴヌクレオチド合成、PCR増幅、制限消化などによって)。プラスミドベクターの選択される領域に相同的であるDNA配列を、標的遺伝子断片の5’および3’末端に加える。これらの相同領域は完全に合成的であってよく、または、相同配列を組み込むプライマーによる、標的遺伝子断片のPCR増幅を通して加えることができる。プラスミドベクターは、陽性の選択マーカー、例えば栄養酵素対立遺伝子(例えば、URA3)、または抗生物質耐性マーカー(例えば、Geneticin/G418)を含むことができる。次に、標的遺伝子断片と共有される配列相同性の領域の間に位置する特異な制限切断によってプラスミドベクターを直鎖状にし、それによって切断部位に人工ギャップを形成する。直鎖化プラスミドベクターおよびプラスミドベクターに相同的な配列に連なる標的遺伝子断片を、酵母宿主株に同時形質転換する。次に、酵母は、ベクターと標的遺伝子断片との間の配列相同性の2つの範囲を認識し、ギャップでの相同組換えを通してDNA内容の相互交換を促進することができる。結果として、標的遺伝子断片が、連結なしでベクターに挿入される。
上記の方法は、標的遺伝子断片が一本鎖DNAの形である場合にも、例えば、環状M13ファージ由来の形として、または一本鎖オリゴヌクレオチドとして有効であることが証明されている(各々参照によりその全体が組み込まれる、SimonおよびMoore、Mol.Cell Biol.、1987年、7巻:2329頁;Ivanovら、Genetics、1996年、142巻:693頁およびDeMariniら、2001年、30巻:520頁)。したがって、ギャップがあるベクターに組み換えることができる標的の形態は、二本鎖または一本鎖であってよく、化学合成、PCR、制限消化、または他の方法に由来してもよい。
いくつかの因子が、酵母での相同組換えの効率に影響することができる。例えば、ギャップ修復の効率は、直鎖化ベクターおよび標的遺伝子の両方に連なる相同配列の長さと相関している。特定の実施形態では、約20個以上の塩基対を相同配列の長さのために用いることができ、約80個の塩基対は、ほぼ最適な結果を与えることができる(各々参照によりその全体が組み込まれる、Huaら、Plasmid、1997年、38巻:91頁;Raymondら、Genome Res.、2002年、12巻:190頁)。本発明の特定の実施形態では、組換えを促進するために、少なくとも約5、10、15、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34 35、36、37、38、39、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、187、190または200個の相同塩基対を用いることができる。他の実施形態では、約20〜約40個の塩基対が利用される。さらに、ベクターと遺伝子断片との間の相互交換は厳密に配列依存性であり、すなわち、それはフレームシフトを引き起こさない。したがって、ギャップ修復クローニングは、高効率および高精度での遺伝子断片の挿入を保証する。高効率は、1回の形質転換の試みで、2、3個またはそれ以上の標的遺伝子断片を、同じベクターに同時にクローニングすることを可能にする(参照によりその全体が組み込まれる、Raymondら、Biotechniques、1999年、26巻:134頁)。さらに、相同組換えを通しての正確な配列保存の性質は、直接の機能試験のために、選択される遺伝子または遺伝子断片を発現ベクターまたは融合ベクターにクローニングすることを可能にする(各々参照によりその全体が組み込まれる、El−Deiryら、Nature Genetics、1992年、1巻:4549頁;Ishiokaら、PNAS、1997年、94巻:2449頁)。
遺伝子断片のライブラリーは、相同組換えを用いて酵母でも構築されている。例えば、ベクターpJG4−5で、ヒト脳cDNAライブラリーが2ハイブリッド融合ライブラリーとして構築された(参照によりその全体が組み込まれる、GuidottiおよびZervos、Yeast、1999年、15巻:715頁)。酵母ゲノムタンパク質相互作用の研究のために、6,000個の既知の酵母ORFの増幅のために、合計6,000対のPCRプライマーが用いられたと報告されてもいる(参照によりその全体が組み込まれるHudsonら、Genome Res.、1997年、7巻:1169頁)。2000年に、Uetzらは、Saccharomyces cerevisiaeでタンパク質間相互作用の包括的な分析を行った(参照によりその全体が組み込まれる、Uetzら、Nature、2000年、403巻:623頁)。出芽酵母のタンパク質間相互作用マップが、酵母タンパク質の間のすべての可能な組合せで2ハイブリッド相互作用を検討するための包括的な系を用いて研究され(参照によりその全体が組み込まれる、Itoら、PNAS、2000年、97巻:1143頁)、ワクシニアウイルスのゲノムタンパク質連鎖地図がこの系を用いて研究された(参照によりその全体が組み込まれる、McCraithら、PNAS、2000年、97巻:4879頁)。
本発明の特定の実施形態では、合成CDR3(重鎖または軽鎖)を、重鎖または軽鎖シャーシ、FRM4の一部および定常領域をコードするベクターと、相同組換えによって結合させて、完全長重鎖または軽鎖を形成することができる。本発明の特定の実施形態では、相同組換えは酵母細胞で直接に実行される。いくつかの実施形態では、この方法は、
(a)酵母細胞に、
(i)重鎖もしくは軽鎖シャーシ、FRM4の一部および定常領域をコードする直鎖化ベクターであって、直鎖化部位がシャーシのFRM3の末端と定常領域の開始部との間にあるベクター、および
(ii)線状二本鎖であるCDR3挿入ヌクレオチド配列のライブラリーであって、CDR3挿入配列の各々が、CDR3ならびに、相同組換えがベクターとCDR3挿入配列のライブラリーとの間で起こさせるために、直鎖化部位で(i)のベクターの末端に十分に相同である5’および3’に連なる配列をコードするヌクレオチド配列を含むライブラリーを形質転換するステップと、
(b)CDR3挿入配列がベクターに組み込まれるように、形質転換された酵母細胞内でベクターとCDR3挿入配列との間で相同組換えを起こさせて、完全長重鎖または軽鎖をコードするベクターを生成するステップと
を含む。
上記のように、CDR3挿入物は、直鎖化ベクターの末端に相同的である、5’に連なる配列および3’に連なる配列を有することができる。CDR3挿入物および直鎖化ベクターが宿主細胞、例えば酵母細胞に導入される場合、ベクターの直鎖化によって形成される「ギャップ」(直鎖化部位)は、これらの2つの直鎖二本鎖DNA(すなわち、ベクターおよび挿入物)の5’および3’末端の相同配列の組換えを通して、CDR3断片挿入物によって埋められる。この相同組換えの事象を通して、可変CDR3挿入物を含む完全長重鎖または軽鎖をコードする環状ベクターのライブラリーが生成される。これらの方法の特定の例を、実施例で提供する。
ベクターへのCDR3配列の正しい挿入をもたらす相同組換えの効率を判定するために、以降の分析を実行することができる。例えば、CDR3挿入物の、選択される酵母クローンからの直接のPCR増幅は、どのくらい多くのクローンが組換え体であるかを明らかにすることができる。特定の実施形態では、最低約90%の組換え体クローンのライブラリーが利用される。他の特定の実施形態では、最低約1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の組換え体クローンのライブラリーが利用される。選択されるクローンの同じPCR増幅は、挿入物サイズを明らかにすることもできる。
選択されるクローンでの挿入物の配列多様性を検証するために、挿入物の正しいサイズを有するPCR増幅生成物を、増幅された領域の中で切断するか切断しないことが知られている制限酵素で、「フィンガープリント」することができる。ゲル電気泳動パターンから、分析するクローンが同じ素性であるか、または、異なるか多様化された素性であるかどうかを判定することができる。挿入物の素生およびクローニング方法の忠実度を明らかにし、クローンの独立性および多様性を証明するために、PCR生成物を直接に配列決定することもできる。図1は、ライブラリーの構築のための、断片(例えば、CDR3)とベクター(例えば、シャーシ、FRM4の一部および定常領域を含む)との間の組換えの図式図を表す。
2.6.発現およびスクリーニング系
本明細書で記載される技術のいずれか、または他の適する技術によって生成されるポリヌクレオチドのライブラリーは、所望の構造および/または活性を有する抗体を特定するために、発現させることおよびスクリーニングすることができる。抗体の発現は、例えば、無細胞抽出物(および、例えば、リボソームディスプレイ)、ファージディスプレイ、原核細胞(例えば、細菌性ディスプレイ)または真核生物の細胞(例えば、酵母ディスプレイ)を用いて実行することができる。本発明の特定の実施形態では、抗体ライブラリーは、酵母で発現される。
他の実施形態では、ポリヌクレオチドは、無細胞抽出物で発現させることができる鋳型の役目を果たすように工作される。例えば、米国特許第5,324,637号、第5,492,817号、第5,665,563号(各々参照によりその全体が組み込まれる)に記載のベクターおよび抽出物を用いることができ、多くは市販されている。ポリヌクレオチド(すなわち、遺伝子型)をポリペプチド(すなわち、表現型)に関連付けするためのリボソームディスプレイおよび他の無細胞技術、例えば、Profusion(商標)を用いることができる(例えば、各々参照によりその全体が組み込まれる、米国特許第6,348,315号、第6,261,804号、第6,258,558号および第6,214,553号を参照)。
あるいは、本発明のポリヌクレオチドは、E.coli発現系で、例えばPluckthunおよびSkerra(各々参照によりその全体が組み込まれる、Meth.Enzymol.、1989年、178巻:476頁、Biotechnology、1991年、9巻:273頁)によって記載されるもので発現させることができる。参照によりその全体が組み込まれる、BetterおよびHorwitz、Meth.Enzymol.、1989年、178巻:476頁に記載のように、突然変異体タンパク質を、培地および/または細菌の細胞質での分泌のために発現させることができる。いくつかの実施形態では、VHおよびVLをコードする単一のドメインは、シグナル配列、例えばompA、phoAまたはpelBシグナル配列をコードする配列の3’末端に、各々結合される(参照によりその全体が組み込まれる、Leiら、J.Bacteriol.、1987年、169巻:4379頁)。これらの遺伝子融合はジシストロン構築物に組み立てられ、その結果、それらを単一のベクターから発現させ、E.coliのペリプラズム間隙に分泌させることができ、そこでは、それらが再び折りたたまれて、活性型で回収することができる。(参照によりその全体が組み込まれる、Skerraら、Biotechnology、1991年、9巻:273頁)。例えば、抗体または抗体断片を生成するために、抗体重鎖遺伝子を抗体軽鎖遺伝子と同時に発現させることができる。
本発明の他の実施形態では、例えばUS20040072740、US20030100023およびUS20030036092(各々参照によりその全体が組み込まれる)に記載の分泌シグナルおよび脂質化部分を用いて、抗体配列が原核生物、例えばE.coliの膜表面に発現される。
より高等な真核生物の細胞、例えば哺乳動物の細胞、例えば骨髄腫細胞(例えば、NS/0細胞)、ハイブリドーマ細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)およびヒト胚性腎臓(HEK)細胞を、本発明の抗体の発現のために用いることもできる。一般的に、哺乳動物の細胞で発現される抗体は、培地に分泌されるように、または細胞の表面で発現されるように設計される。抗体または抗体断片は、例えば、無傷の抗体分子、または個々のVHおよびVL断片、Fab断片、単一のドメイン、または一本鎖(scFv)として生成することができる(参照によりその全体が組み込まれるHustonら、PNAS、1988年、85巻:5879頁)。
あるいは、例えば、Jeongら、PNAS、2007年、104巻:8247頁(参照によりその全体が組み込まれる)に記載のアンカーペリプラズム発現(APEx2ハイブリッド表面ディスプレイ)によって、または、例えば、Mazorら、Nature Biotechnology、2007年、25巻:563頁(参照によりその全体が組み込まれる)に記載の他のアンカリング方法によって、抗体を発現させ、スクリーニングすることができる。
本発明の他の実施形態では、哺乳動物の細胞ディスプレイを用いて抗体を選択することができる(参照によりその全体が組み込まれる、Hoら、PNAS、2006年、103巻:9637頁)。
本発明のライブラリーに由来する抗体のスクリーニングは、任意の適当な手段によって実行することができる。例えば、結合活性は、標準のイムノアッセイおよび/またはアフィニティークロマトグラフィーによって評価することができる。触媒機能、例えばタンパク分解性機能についての本発明の抗体のスクリーニングは、標準アッセイ、例えば、米国特許第5,798,208号(参照によりその全体が組み込まれる)に記載のヘモグロビンプラークアッセイを用いて達成することができる。治療標的に結合する候補抗体の能力の判定は、例えば、表面プラズモン共鳴に基づいて所与の標的または抗原に対する抗体の結合速度を測定する、BIACORE(商標)装置を用いてインビトロで試験することができる。インビボアッセイは、いくつかの動物モデルのいずれかを用いて実行することができ、その後、適宜、ヒトで試験することができる。細胞ベースのバイオアッセイも、企図される。
本発明の一態様は、ライブラリーの抗体を発現させ、スクリーニングすることができる速度である。本発明の特定の実施形態では、抗体ライブラリーを酵母で発現させることができ、それは、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24時間未満の倍加時間を有する。いくつかの実施形態では、倍加時間は、約1〜約3時間、約2〜約4、約3〜約8時間、約3〜約24、約5〜約24、約4〜約6、約5〜約22、約6〜約8、約7〜約22、約8〜約10時間、約7〜約20、約9〜約20、約9〜約18、約11〜約18、約11〜約16、約13〜約16、約16〜約20、または約20〜約30時間である。本発明の特定の実施形態では、抗体ライブラリーは、約16〜約20時間、約8〜約16時間または約4〜約8時間の倍加時間の酵母で発現される。したがって、抗体ライブラリーを発現させ、スクリーニングするために数日を要する既知の技術と比較して、本発明の抗体ライブラリーは、数時間足らずで発現させ、スクリーニングすることができる。哺乳動物細胞でのそのようなスクリーニング工程のスループットにおける制限段階は、単に、単離細胞の集団を反復して再増殖させるのに要する時間であり、それは、場合によっては、本発明で用いられる酵母の倍加時間よりも長い倍加時間を有する。
本発明の特定の実施形態では、ライブラリーの組成は、1つまたは複数の絞込み段階(例えば抗原結合または他の性能についてのスクリーニングによって)を経て、確定することができる。例えば、本発明の配列またはライブラリーの約x%を含む組成を有するライブラリーは、1つまたは複数のスクリーニング段階の後、本発明の配列またはライブラリーの約2x%、3x%、4x%、5x%、6x%、7x%、8x%、9x%、10x%、20x%、25x%、40x%、50x%、60x%、75x%、80x%、90x%、95x%または99x%を含むように絞り込むことができる。本発明の他の実施形態では、1つまたは複数の絞込み段階より前のそれらの出現と比較して、本発明の配列またはライブラリーを、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、100倍、1,000倍またはそれ以上絞り込むことができる。本発明の特定の実施形態では、ライブラリーは少なくともある数の特定の種類の配列(複数可)、例えば、CDRH3、CDRL3、重鎖、軽鎖または完全体抗体を含むことができる(例えば、少なくとも約10、10、10、10、10、10、10、1010、1011、1012、1013、1014、1015、1016、1017、1018、1019または1020個)。特定の実施形態では、1つまたは複数の絞込み段階の間、これらの配列を絞り込んで、それぞれの配列(複数可)の少なくとも約10、10、10、10、10、10、10、10、1010、1011、1012、1013、1014、1015、1016、1017、1018または1019個を含むライブラリーを提供することができる。
2.7.親和性成熟のための突然変異誘発手法
上に述べたように、1つまたは複数の抗原への結合について、または生物活性について、本発明のライブラリーの抗体をスクリーニングすることを含む選択工程を通して、抗体リード物質を特定することができる。これらの抗体リード物質のコード配列は、最初の抗体リード物質との関係で多様性が導入されている二次性ライブラリーを生成するために、インビトロまたはインビボで、さらに突然変異させることができる。次に、突然変異を起こさせた抗体リード物質は、最初のライブラリーからの最初の抗体リード物質の選択のために用いられる手順に類似した手順に従って、標的抗原との結合または生物活性についてインビトロまたはインビボでさらにスクリーニングすることができる。最初の抗体リード物質のそのような突然変異誘発および選択は、抗原に対する親和性の漸進的増加を有する抗体を生成する哺乳動物で天然に存在する親和性成熟過程を効果的に模倣する。本発明の一実施形態では、CDRH3領域だけが突然変異を起こす。本発明の別の実施形態では、可変領域全体が突然変異を起こす。本発明の他の実施形態では、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2およびCDRL3の1つまたは複数に突然変異を起こさせることができる。本発明のいくつかの実施形態では、「軽鎖シャッフリング」を、親和性成熟プロトコルの一部として用いることができる。特定の実施形態では、これは、1つまたは複数の重鎖をいくつかの軽鎖と対合させて、抗体の親和性および/または生物活性を高める軽鎖を選択することを含むことができる。本発明の特定の実施形態では、1つまたは複数の重鎖と対にすることができる軽鎖の数は、少なくとも約2、5、10、100、1000、10、10、10、10、10、10または1010個である。本発明の特定の実施形態では、これらの軽鎖は、プラスミドによってコードされる。本発明の他の実施形態では、軽鎖を宿主細胞のゲノムに組み込むことができる。
抗体リード物質のコード配列は、多種多様な方法によって突然変異させることができる。突然変異誘発の方法の例には、それらに限定されないが、部位特異的突然変異誘発、変異性PCR突然変異誘発、カセット式変異誘発およびランダムなPCR突然変異誘発が含まれる。あるいは、所望の突然変異を有する領域をコードするオリゴヌクレオチドを合成し、例えば組換えまたは連結を通して、突然変異を起こさせる配列に導入することができる。
部位特異的突然変異誘発または点突然変異誘発は、特定の領域でCDR配列を徐々に変化させるために用いることができる。これは、オリゴヌクレオチド指定突然変異誘発またはPCRを用いて達成することができる。例えば、抗体リード物質の短い配列を、重鎖もしくは軽鎖領域、またはその両方の合成的に突然変異を起こさせたオリゴヌクレオチドで置換することができる。この方法は、多数のCDR配列に突然変異を起こさせるのに有効ではないかもしれないが、特定の標的タンパク質へのより高い親和性を達成するために、特定のリード物質の微細な調整のために用いることができる。
カセット式変異誘発を、特定の領域でCDR配列を突然変異させるために用いることもできる。一般的なカセット式変異誘発では、単一の鋳型の配列ブロックまたは領域が、完全または部分的にランダム化された配列によって置換される。しかし、得られる最大情報量は、オリゴヌクレオチドのランダム配列の数によって、統計学的に制限されるであろう。点突然変異誘発と同様に、この方法は、特定の標的タンパク質へのより高い親和性を達成するために、特定のリード物質の微細な調整のために用いることもできる。
変異性PCRまたは「毒」PCRは、以下の、CaldwellおよびJoyce、PCR Methods and Applications、1992年、2巻:28頁;Leungら、Technique、1989年、1巻:11頁;Shafikhaniら、Biotechniques、1997年、23巻:304頁およびStemmerら、PNAS、1994年、91巻:10747頁(それぞれは参照によりその全体が組み込まれる)に記載のプロトコルによってCDR配列を突然変異させるために、用いることができる。
変異性PCRの条件は、(a)Taq DNAポリメラーゼの機能不全を効率的に誘導する高濃度のMn2+(例えば、約0.4〜約0.6mM);および(b)鋳型へのその高濃度の基質の誤った組込みを引き起こして突然変異を起こさせる、PCR反応での1つのヌクレオチド基質(例えば、dGTP)の不釣合いに高い濃度を含むことができる。さらに、PCRサイクルの数、用いるDNAポリメラーゼの種類および鋳型の長さなどの他の因子が、PCR生成物への「間違った」ヌクレオチドの誤った組込みの率に影響を及ぼすことができる。選択される抗体ライブラリーの突然変異誘発のために、「多様性PCRランダム突然変異誘発キット」(CLONTECH(商標))などの、市販のキットを利用することができる。
特定の実施形態では、PCRに基づく突然変異誘発で用いられるプライマー対は、発現ベクター中の相同組換え部位に一致させた領域を含むことができる。この設計は、突然変異誘発の後、相同組換えを通して、重鎖もしくは軽鎖シャーシベクターへのPCR生成物の容易な戻し再導入を可能にする。
他のPCRに基づく突然変異誘発方法は、単独で、または上記の変異性PCRと併用して用いることもできる。例えば、PCR増幅CDRセグメントは、DNアーゼで消化して、二本鎖DNA中にニックを形成することができる。これらのニックは、Bal31などの他のエキソヌクレアーゼによってギャップに拡張することができる。次に、基準の基質dGTP、dATP、dTTPおよびdCTPの低い濃度でDNAクレノウポリメラーゼを用い、1つの基質(例えば、dGTP)を不相応に高い濃度で用いることにより、ギャップをランダム配列で埋めることができる。この穴埋め反応は、埋めたギャップ領域で高頻度の突然変異を起こさせるはずである。これらのDNアーゼ消化方法は、所望のCDRセグメントで高頻度の突然変異を起こさせるために、変異性PCRと併用することができる。
最初の抗体リード物質から増幅させたCDRまたは抗体セグメントは、プレB細胞の生来の突然変異能力を活用することによって、インビボで突然変異を起こさせることもできる。プレB細胞中のIg遺伝子は、高率の突然変異に特異的に感受性である。Igプロモーターおよびエンハンサーは、プレB細胞が増殖する間、プレB細胞環境でのそのような高率突然変異を促進する。したがって、ヒトIgエンハンサーおよびプロモーターを含む哺乳動物の発現ベクターに、CDR遺伝子セグメントをクローニングすることができる。プレB細胞でのVHおよびVL遺伝子セグメントの突然変異を当然可能にする、38B9などのプレB細胞系に、この構築物を導入することができる(参照によりその全体が組み込まれる、LiuおよびVan Ness、Mol.Immunol.、1999年、36巻:461頁)。突然変異を起こさせたCDRセグメントは、培養したプレB細胞系から増幅させ、例えば相同組換えを通して、シャーシを含有するベクター(複数可)に戻し再導入することができる。
いくつかの実施形態では、ライブラリーのスクリーニングから単離されるCDR「ヒット」は、縮重コドンまたはトリヌクレオチドを用いて再合成し、ギャップ修復を用いて重鎖もしくは軽鎖ベクターに再クローニングすることができる。
3.ライブラリーサンプリング
本発明の特定の実施形態では、本発明のライブラリーは、設計された、非ランダムレパートリーを含み、そこでは、必ずしもすべての構成要素でなく、またはライブラリー全体ではなく、ライブラリーの特定の構成要素(例えば、CDRH3)の理論的多様性が、理論的ライブラリーの任意の所与のメンバーが、ライブラリー中に少なくとも特定の頻度(例えば、少なくとも1回、2回、3回、4回、5回またはそれ以上)でライブラリーの物理的実現で存在する、特定の程度の統計的信頼度(例えば、95%)が存在するレベルで、ライブラリーの物理的実現においてオーバーサンプリングされる可能性がある。
ライブラリーでは、所与のクローンの複製数は、ポアソン確率分布に従うと一般に仮定される(参照によりその全体が組み込まれる、Feller, W.An Introduction to Probability Theory and Its Applications、1968年、Wiley New York)。ライブラリーの例(下記参照)で所与の構成要素のメンバーが欠ける確率に対応する、ポアソン乱数がゼロである確率はeであって、Nは乱数の平均である。例えば、10個の可能なライブラリーの理論的メンバーが存在し、ライブラリーの物理的実現が10個のメンバーを有し、サンプリングされる理論的ライブラリーの各メンバーの確率が同等であるならば、各メンバーがライブラリーの物理的実現で出現する平均回数は10/10=10であり、所与のメンバーの複製数がゼロである確率は、e−N=e−10=0.000045であり、または、10個の理論的メンバーのいずれかの少なくとも1つの複製がこの10Xオーバーサンプリングライブラリーに存在するのは99.9955%の確率である。2.3Xのオーバーサンプリングライブラリーの場合、所与の構成要素は90%の信頼度で存在する。3Xのオーバーサンプリングライブラリーの場合、所与の構成要素は95%の信頼度で存在する。4.6Xのオーバーサンプリングライブラリーの場合、所与のクローンは99%の信頼度で存在する、などなどである。
したがって、Mが、うまく物理的に実現することができる理論的ライブラリーメンバーの最大数であるならば、M/3は、理論的ライブラリーの任意の所与のメンバーがサンプリングされる95%の信頼度である、最大の理論的レパートリーサイズである。所与のメンバーが提示される95%の可能性と可能なあらゆるメンバーが提示される95%の可能性との間に、差があることに注意されたい。特定の実施形態では、任意の所与のメンバーが95%の可能性でライブラリーの物理的実現において提示されるように、本発明は、多様性を有する合理的に設計されたライブラリーを提供する。本発明の他の実施形態では、任意の所与のメンバーが、少なくとも約0.0001%、0.001%、0.01%、0.1%、1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、99%、99.5%または99.9%の可能性でライブラリーの物理的実現において提示されるように、ライブラリーが設計される。概説については、例えば、各々参照によりその全体が組み込まれる、FirthおよびPatrick、Biomol.Eng.、2005年、22巻:105頁およびPatrickら、Protein Engineering、2003年、16巻:451頁を参照。
本発明の特定の実施形態では、ライブラリーは、X個の独特のメンバーの理論的総多様性有することができ、理論的総多様性の物理的実現は、少なくとも約1X、2X、3X、4X、5X、6X、7X、8X、9X、10X個、またはそれ以上のメンバーを含むことができる。いくつかの実施形態では、理論的総多様性の物理的実現は、約1X〜約2X、約2X〜約3X、約3X〜約4X、約4X〜約5X、約5X〜約6X個のメンバーを含むことができる。他の実施形態では、理論的総多様性の物理的実現は、約1X〜約3Xまたは約3X〜約5X個の総メンバーを含むことができる。
すべての誘導発展実験の基礎をなす仮説は、理論的に可能な分子多様性の量が、それを合成し、それを物理的に実現し、それをスクリーニングする能力と比較して膨大であるということである。所与のライブラリーで改善された特性を有する変異体を見出す可能性は、そのライブラリーが最大限に多様な場合に最大になる。Patrickらは、ランダムなオリゴヌクレオチド突然変異誘発、変異性PCRおよびインビトロ組換えによって構築されたライブラリーで、独特の配列の変異体の数を推定するための一連の方程式およびコンピュータアルゴリズムを導くために、単純な統計を用いた。彼らは、GLUE、GLUE−IT、PEDEL、PEDEL−AAおよびDRIVeRなどの、ライブラリー統計を計算するためのプログラムのセットを書いた。これらのプログラムは、それらにアクセスする方法の説明書と一緒に、Patrickら、Protein Engineering、2003年、16巻:451頁およびFirthら、Nucleic Acids
Res.、2008年、36巻:W281頁(それぞれは参照によりその全体が組み込まれる)に記載されている。
理論的多様性の一部の構成要素(CDRH3など)はオーバーサンプリングされるが、他の態様(VH/VL対合)はそうではないライブラリーの物理的実現を構築することが可能である。例えば、10個のCDRH3セグメントが単一のVHシャーシに存在し、次に10個のVL遺伝子と対を形成して、1013個(=108*10)の可能な完全ヘテロダイマー抗体を生成するように設計されているライブラリーを考える。このライブラリーの物理的実現が、10個の形質転換体クローンの多様性で構築されるならば、CDRH3多様性は10倍(=10/10)オーバーサンプリングされるが、可能なVH/VL対合は10−4(=10/1013)倍アンダーサンプリングされる。この例では、平均すると、各CDRH3は、可能な10個のパートナーからのVLの10サンプルだけと対を形成する。本発明の特定の実施形態では、好ましくオーバーサンプリングされるのは、CDRH3多様性である。
3.1.本発明のポリヌクレオチド配列の他の変異体
特定の実施形態では、本発明は、本明細書で教示されるポリヌクレオチドとハイブリダイズするポリヌクレオチド、または、本明細書で教示されるポリヌクレオチドの補体とハイブリダイズするポリヌクレオチドに関する。例えば、ハイブリダイゼーションおよび、低い、中間のまたは高いストリンジェンシー条件下での洗浄の後に、本明細書で教示されるポリヌクレオチドまたは本明細書で教示されるポリヌクレオチドの補体とハイブリダイズしたままである、単離されたポリヌクレオチドが本発明に包含される。
例示的な低いストリンジェンシー条件には、約37℃の約30%〜約35%ホルムアミド、約1MのNaCl、約1%のSDS(ドデシル硫酸ナトリウム)の緩衝溶液でのハイブリダイゼーション、および、約50℃〜約55℃の約1×〜約2×のSSC(20×SSC=3.0M NaCl/0.3Mクエン酸三ナトリウム)での洗浄が含まれる。
例示的な中程度のストリンジェンシー条件には、約37℃における約40%〜約45%ホルムアミド、約1MのNaCl、約1%のSDSでのハイブリダイゼーション、および、約55℃〜約60℃における約0.5×〜約1×のSSCでの洗浄が含まれる。
例示的な高いストリンジェンシー条件には、約37℃における約50%ホルムアミド、約1MのNaCl、約1%のSDSでのハイブリダイゼーション、および、約60℃〜約65℃における約0.1×のSSCでの洗浄が含まれる。
任意選択で、洗浄緩衝液は、約0.1%〜約1%のSDSを含むことができる。
ハイブリダイゼーションの持続時間は、一般に約24時間未満、通常約4〜約12時間である。
3.2.サブライブラリーおよび本発明のライブラリーまたはサブライブラリーを含むより大きなライブラリー
本出願全体で記載されるように、本発明のライブラリーは、特定の実施形態では、それらのヒト様配列組成および長さによって、ならびに、ライブラリーの特定の構成要素のすべてのメンバー(または場合によっては、オーバーサンプルさえ)を含むライブラリーの物理的実現を生成する能力によって識別される。本明細書で記載されるライブラリーの組合せ(例えば、CDRH3およびCDRL3ライブラリー)を含むライブラリーが、本発明に包含される。本明細書で記載されるライブラリーの部分を含むサブライブラリーも、本発明に包含される(例えば、特定の重鎖シャーシ中のCDRH3ライブラリーまたはCDRH3ライブラリーのサブセット)。当業者は、本明細書で記載されるライブラリーの各々がいくつかの構成要素(例えば、CDRH3、VH、CDRL3、VLなど)を有すること、および、これらの構成要素の多様性を変化させて、本発明の範囲内のサブライブラリーを生成することができることを容易に認識する。
さらに、本発明のライブラリーまたはサブライブラリーのうちの1つを含むライブラリーも、本発明の範囲内である。例えば、本発明の特定の実施形態では、本発明の1つまたは複数のライブラリーまたはサブライブラリーが、他の手段によって誘導される配列、例えば、確率的もしくは半確率的合成によって誘導されるヒト以外もしくはヒトの配列を含むことができる、より大きなライブラリーに含まれてもよい。本発明の特定の実施形態では、ポリヌクレオチドライブラリー中の配列の少なくとも約1%が、配列の他の99%の組成に関係なく、本発明のもの(例えば、CDRH3配列、CDRL3配列、VH配列、VL配列)であってよい。本発明の他の実施形態では、任意のポリヌクレオチドライブラリー中の配列の、少なくとも約0.001%、0.01%、0.1%、2%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%が、他の配列の組成に関係なく、本発明のものであってよい。いくつかの実施形態では、本発明の配列は、他の配列の組成に関係なく、任意のポリヌクレオチドライブラリー中の配列の約0.001%〜約1%、約1%〜約2%、約2%〜約5%、約5%〜約10%、約10%〜約15%、約15%〜約20%、約20%〜約25%、約25%〜約30%、約30%〜約35%、約35%〜約40%、約40%〜約45%、約45%〜約50%、約50%〜約55%、約55%〜約60%、約60%〜約65%、約65%〜約70%、約70%〜約75%、約75%〜約80%、約80%〜約85%、約85%〜約90%、約90%〜約95%、または約95%〜約99%を含むことができる。したがって、1つまたは複数の本発明のライブラリーまたはサブライブラリーよりも多様であるが、1つまたは複数の本発明のライブラリーまたはサブライブラリーを、1つまたは複数の本発明のライブラリーまたはサブライブラリーを効果的にスクリーニングすることができ、1つまたは複数の本発明のライブラリーまたはサブライブラリーによってコードされる配列をそこから単離することができる量でなお含むライブラリーも、本発明の範囲内である。
3.3.代替足場(alternative scaffold)
本発明の特定の実施形態では、本発明のライブラリーのアミノ酸生成物(例えば、CDRH3またはCDRL3)を、代替足場の上に提示してもよい。これらの足場のいくつかは、抗体のそれらに匹敵する特異性および親和性を有する分子を生成することがわかっている。例示的な代替足場には、フィブロネクチン(例えば、AdNectin)、β−サンドイッチ(例えば、iMab)、リポカリン(例えば、Anticalin)、EETI−II/AGRP、BPTI/LACI−D1/ITI−D2(例えば、Kunitzドメイン)、チオレドキシン(例えば、ペプチドアプタマー)、プロテインA(例えば、Affibody)、アンキリンリピート(例えば、DARPin)、γB−クリスタリン/ユビキチン(例えば、Affilin)、CTLD(例えば、Tetranectin)および(LDLR−Aモジュール)(例えば、Avimers)から誘導されるものが含まれる。代替足場に関する追加の情報は、各々参照によりその全体が組み込まれる、Binzら、Nat.Biotechnol.、2005年、23巻:1257頁およびSkerra、Current Opin.in Biotech.、2007年、18巻:295〜304頁で提供される。
4.本発明の他の実施形態
特定の実施形態では、本発明は、既知の重鎖CDR3配列で見出される配列多様性および長さ多様性を表す10〜10個のポリヌクレオチド配列を含む、合成免疫前ヒト抗体CDRH3ライブラリーを含む。
他の実施形態では、本発明は、以下の式、
[G/D/E/−][N1][DH][N2][H3−JH]
によって表されるCDRH3をコードするポリヌクレオチド配列を含む合成免疫前ヒト抗体CDRH3ライブラリーを含み、上式で、[G/D/E/−]は長さが0〜1個のアミノ酸、[N1]は0〜3個のアミノ酸、[DH]は長さが3〜10個のアミノ酸、[N2]は長さが0〜3個のアミノ酸、および[H3−JH]は長さが2〜9個のアミノ酸である。
本発明の特定の実施形態では、[G/D/E/−]は、G、D、Eおよび無からなる群より選択されるアミノ酸配列によって表される。
本発明のいくつかの実施形態では、[N1]は、

、および無からなる群より選択されるアミノ酸配列によって表される。
本発明の特定の実施形態では、[N2]は、

、および無からなる群より選択されるアミノ酸配列によって表される。
本発明のいくつかの実施形態では、[DH]は、IGHD3−10読み枠1、IGHD3−10読み枠2、IGHD3−10読み枠3、IGHD3−22読み枠2、IGHD6−19読み枠1、IGHD6−19読み枠2、IGHD6−13読み枠1、IGHD6−13読み枠2、IGHD3−03読み枠3、IGHD2−02読み枠2、IGHD2−02読み枠3、IGHD4−17読み枠2、IGHD1−26読み枠1、IGHD1−26読み枠3、IGHD5−5/5−18読み枠3、IGHD2−15読み枠2、ならびに3個のアミノ酸までの上で特定されたIGHDのすべての可能なN末端およびC末端の切断物からなる群より選択される配列を含む。
本発明の特定の実施形態では、[H3−JH]は、

からなる群より選択される配列を含む。
本発明のいくつかの実施形態では、[G/D/E/−][N1][ext−DH][N2][H3−JH]によって表される配列は、長さが約3〜約26個のアミノ酸の配列を含む。
本発明の特定の実施形態では、[G/D/E/−][N1][ext−DH][N2][H3−JH]によって表される配列は、長さが約7〜約23個のアミノ酸の配列を含む。
本発明のいくつかの実施形態では、ライブラリーは、約10〜約1010個の配列を含む。
本発明の特定の実施形態では、ライブラリーは、約10個の配列を含む。
本発明のいくつかの実施形態では、ライブラリーのポリヌクレオチド配列は、ライブラリー配列の対応するN末端のフレームワーク3(FRM3)領域をコードする5’ポリヌクレオチド配列をさらに含み、そこにおいて、FRM3領域は、約1〜約9個のアミノ酸残基の配列を含む。
本発明の特定の実施形態では、FRM3領域は、CAR、CAKおよびCATからなる群より選択される配列を含む。
本発明のいくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド配列は、ライブラリー配列の対応するC末端のフレームワーク4(FRM4)領域をコードする3’ポリヌクレオチド配列をさらに含み、そこにおいて、FRM4領域は、約1〜約9個のアミノ酸残基の配列を含む。
本発明の特定の実施形態では、ライブラリーは、WGRGおよびWGQGより選択される配列を含むFRM4領域を含む。
本発明のいくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド配列は、CAR、CAKおよびCATからなる群より選択される配列を含む、対応するポリペプチド配列をコードするFRM3領域、ならびに、WGRGおよびWGQGより選択される配列を含む、対応するポリペプチド配列をコードするFRM4領域をさらに含む。
本発明の特定の実施形態では、ポリヌクレオチド配列は、重鎖シャーシとの相同組換えを促進する5’および3’配列をさらに含む。
いくつかの実施形態では、本発明は、下記式によって表されるヒト抗体κ軽鎖をコードするポリヌクレオチド配列を含む、合成免疫前ヒト抗体軽鎖ライブラリーを含む:
[IGKV(1〜95)][F/L/I/R/W/Y][JK]。
本発明の特定の実施形態では、[IGKV(1〜95)]は、

からなる群、および、Kabatに従う、位置95を含む位置95までの前記群の切断物より選択される。
本発明のいくつかの実施形態では、[F/L/I/R/W/Y]は、F、L、I、R、WおよびYからなる群より選択されるアミノ酸である。
本発明の特定の実施形態では、[JK]は、TFGQGTKVEIKおよびTFGGGTからなる群より選択される配列を含む。
本発明のいくつかの実施形態では、軽鎖ライブラリーは、κ軽鎖ライブラリーを含む。
本発明の特定の実施形態では、ポリヌクレオチド配列は、軽鎖シャーシとの相同組換えを促進する5’および3’配列をさらに含む。
いくつかの実施形態では、本発明は、10〜10個のポリヌクレオチド配列を含む合成免疫前ヒト抗体CDRH3ライブラリーを生成するための方法であって、
a)以下の通り、CDRH3配列によってコードされるCDRH3ポリヌクレオチド配列を選択すること:
{ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)によって優先的にコードされ、ヒトB細胞によって優先的に機能的に発現されるアミノ酸のうち10個未満からなる群より選択される0〜5個のアミノ酸}、続いて
{IGHDのすべての可能なN末端またはC末端の切断物単独、ならびに、N末端およびC末端の切断物のすべての可能な組合せ}、続いて
{TdTによって優先的にコードされ、ヒトB細胞によって優先的に機能的に発現されるアミノ酸のうち10個未満からなる群より選択される0〜5個のアミノ酸}、続いて
{DXWGまでのIGHJのすべての可能なN末端切断物であって、Xは、S、V、LまたはYである}、ならびに
b)化学合成によってa)に記載のCDRH3ライブラリーを合成することであって、合成免疫前ヒト抗体CDRH3ライブラリーが生成されること
を含む方法を含む。
特定の実施形態では、本発明は、以下の式で表される、CDRH3をコードする既知のヒトIGHDおよびIGHJ生殖系列配列を表す10〜1010個のポリヌクレオチド配列を含む、合成免疫前ヒト抗体CDRH3ライブラリーを含む:すなわち、
{ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)によって優先的にコードされ、ヒトB細胞によって優先的に機能的に発現されるアミノ酸のうち10個未満からなる群より選択される0〜5個のアミノ酸}、続いて
{IGHDのすべての可能なN末端またはC末端の切断物単独、ならびに、N末端およびC末端の切断物のすべての可能な組合せ}、続いて
{TdTによって優先的にコードされ、ヒトB細胞によって優先的に機能的に発現されるアミノ酸のうち10個未満からなる群より選択される0〜5個のアミノ酸}、続いて
{DXWGまでのIGHJのすべての可能なN末端切断物であって、Xは、S、V、LまたはYである}。
特定の実施形態では、本発明は、ヒト抗体重鎖可変ドメインをコードする10〜1010個のポリヌクレオチド配列を含む合成免疫前ヒト抗体重鎖可変ドメインライブラリーであって、
a)抗体重鎖シャーシ、および
b)以下の通り、ヒトIGHDおよびIGHJ生殖系列配列に基づいて設計されるCDRH3レパートリー、
{ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)によって優先的にコードされ、ヒトB細胞によって優先的に機能的に発現されるアミノ酸のうち10個未満からなる群より選択される0〜5個のアミノ酸}、続いて
{IGHDのすべての可能なN末端またはC末端の切断物単独、ならびに、N末端およびC末端の切断物のすべての可能な組合せ}、続いて
{TdTによって優先的にコードされ、ヒトB細胞によって優先的に機能的に発現されるアミノ酸のうち10個未満からなる群より選択される0〜5個のアミノ酸}、続いて
{DXWGまでのIGHJのすべての可能なN末端切断物であって、Xは、S、V、LまたはYである}
を含むライブラリーを含む。
本発明のいくつかの実施形態では、合成免疫前ヒト抗体重鎖可変ドメインライブラリーは、IgG1完全長鎖、IgG2完全長鎖、IgG3完全長鎖およびIgG4完全長鎖からなる群より選択される完全長鎖として発現される。
本発明の特定の実施形態では、ヒト抗体重鎖シャーシは、

からなる群より選択される。
本発明のいくつかの実施形態では、合成免疫前ヒト抗体重鎖可変ドメインライブラリーは、ヒト抗体重鎖可変ドメインをコードする10〜1010個のポリヌクレオチド配列を含み、
a)抗体重鎖シャーシ、および
b)合成免疫前ヒト抗体CDRH3ライブラリー
を含む。
本発明のいくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド配列は、一本鎖のポリヌクレオチドコード配列である。
本発明の特定の実施形態では、ポリヌクレオチド配列は、一本鎖のポリヌクレオチド非コード配列である。
本発明のいくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド配列は、二本鎖のポリヌクレオチド配列である。
特定の実施形態では、本発明は4時間以下の倍加時間を有する複製可能な細胞の集団を含み、そこにおいて、合成免疫前ヒト抗体レパートリーが発現される。
本発明のいくつかの実施形態では、複製可能な細胞の集団は、酵母細胞である。
特定の実施形態では、本発明は、免疫前ヒト抗体重鎖可変ドメインライブラリーおよび合成免疫前ヒト抗体軽鎖ライブラリーで細胞を形質転換するステップを含む、完全長抗体ライブラリーを生成する方法を含む。
いくつかの実施形態では、本発明は、免疫前ヒト抗体重鎖可変ドメインライブラリーおよび合成免疫前ヒト抗体軽鎖ライブラリーで細胞を形質転換するステップを含む、完全長抗体ライブラリーを生成する方法を含む。
特定の実施形態では、本発明は、スプリットプールDNA合成によってポリヌクレオチド配列を合成するステップを含む、抗体ライブラリーを生成する方法を含む。
本発明のいくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド配列は、一本鎖のポリヌクレオチドコード配列、一本鎖のポリヌクレオチド非コード配列および二本鎖のポリヌクレオチド配列からなる群より選択される。
特定の実施形態では、本発明は、既知の重鎖CDR3配列で見出される配列多様性および長さ多様性を表す約10〜約1010個のポリヌクレオチド配列を含む、合成完全長免疫前ヒト抗体ライブラリーを含む。
特定の実施形態では、本発明は、ヒト抗体ライブラリーから対象とする抗体を選択する方法であって、既知の重鎖CDR3配列で見出される配列多様性および長さ多様性を表す(N)ポリヌクレオチド配列の理論的多様性を含む、合成免疫前ヒト抗体CDRH3ライブラリーを提供するステップであって、その多様性の物理的実現が少なくとも3(N)のサイズの実際のライブラリーであり、それによって、対象とする単一の抗体がライブラリーに存在する95%の確率を提供するステップと、対象とする抗体を選択するステップとを含む方法を含む。
本発明のいくつかの実施形態では、理論的多様性は、約10〜約10個のポリヌクレオチド配列である。
本発明を下記の実施例によりさらに例示するが、これらの実施例は限定であると解釈されるべきではない。本出願中に引用されるすべての参考文献、特許および特許出願公開公報の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
全般的に、本発明の実施は、特に表示しない限り、化学、分子生物学、組換えDNA技術、PCR技術、免疫学(特に、例えば抗体技術)、発現系(例えば、酵母発現、無細胞発現、ファージディスプレイ、リボソームディスプレイおよびPROFUSION(商標))ならびに当分野の技術の範囲内であり、文献に説明されている任意の必須な細胞培養の既存の技術を用いる。例えば、Sambrook、Fritsch およびManiatis、Molecular Cloning: Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989年);DNA Cloning、第1巻および第2巻、(D.N.Glover編、1985年);Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait編、1984年);PCR Handbook Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry、Beaucage編、John Wiley & Sons(1999年)(編集者);Oxford Handbook of Nucleic Acid Structure、Neidle編、Oxford Univ Press(1999年);PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications、Innis ら、Academic Press(1990年);PCR Essential Techniques: Essential Techniques、Burke編、John Wiley & Son Ltd(1996年);The PCR Technique: RT−PCR、Siebert編、Eaton Pub.Co.(1998年);Antibody Engineering Protocols(Methods in Molecular Biology)、510巻、Paul, S.、Humana Pr (1996年);Antibody Engineering:A Practical Approach(Practical Approach Series、169巻)、McCafferty編、Irl Pr(1996年);Antibodies:A Laboratory Manual、Harlowら、C.S.H.L.Press, Pub.(1999年);Current Protocols in Molecular Biology、Ausubelら編、John Wiley & Sons(1992年);Large−Scale Mammalian Cell Culture Technology、Lubiniecki, A.編、Marcel Dekker, Pub.(1990年);Phage Display: A Laboratory Manual、C.Barbas(編)、CSHL Press、(2001年);Antibody Phage Display、P O’Brien(編)、Humana Press(2001年);Borderら、Nature Biotechnology、1997年、15巻:553頁;Borderら、Methods Enzymol.、2000年、328巻:430頁;米国特許第6,348,315号においてPluckthunらにより記載されたリボソームディスプレイならびに米国特許第6,258,558号;第6,261,804号;および第6,214,553号においてSzostakらにより記載された Profusion(商標);ならびにUS20040058403A1に記載された細菌のペリプラスム発現を参照されたい。この段落に引用された参考文献は、各々参照によりその全体が組み込まれる。
アラインメントされたヌクレオチドおよびアミノ酸配列をスクリーニングするための、Kabatの慣習およびプログラムを使用する抗体配列分析に関するさらなる詳細は、例えば、Johnsonら、Methods Mol.Biol.、2004年、248巻:11頁;Johnsonら、Int.Immunol.、1998年、10巻:1801頁;Johnsonら、Methods Mol.Biol.、1995年、51巻:1頁;Wuら、Proteins、1993年、16巻:1頁;およびMartin、Proteins、1996年、25巻:130頁に認めることができる。この段落に引用された参考文献は、各々参照によりその全体が組み込まれる。
Chothiaの慣習を使用する抗体配列分析に関するさらなる詳細は、例えば、Chothiaら、J.Mol.Biol.、1998年、278巻:457頁;Moreaら、Biophys.Chem.、1997年、68巻:9頁;Morea ら、J.Mol.Biol.、1998年、275巻:269頁;Al−Lazikaniら、J.Mol.Biol.、1997年、273巻:927頁;Barre ら、Nat, Struct.Biol.、1994年、1巻:915頁;Chothia ら、J.Mol.Biol.、1992年、227巻:799頁;Chothiaら、Nature、1989年、342巻:877頁;およびChothiaら、J.Mol.Biol.、1987年、196巻:901頁に認めることができる。CDRH3の高次構造のさらなる分析は、Shiraiら、FEBS Lett.、1999年、455巻:188頁およびShiraiら、FEBS Lett.、1996年、399巻:1頁に認めることができる。Chothiaの分析に関するさらなる詳細は、例えば、Chothiaら、Cold Spring Harb.Symp.Quant Biol.、1987年、52巻:399頁に記載されている。この段落に引用された参考文献は、各々参照によりその全体が組み込まれる。
CDR接触の考慮に関するさらなる詳細は、例えば、参照によりその全体が組み込まれるMacCallumら、J.Mol.Biol.、1996年、262巻:732頁に記載されている。
本明細書において意味する抗体配列およびデータベースに関するさらなる詳細は、例えば、Tomlinson ら、J.Mol.Biol.、1992年、227巻:776頁、VBASE2(Retterら、Nucleic Acids Res.、2005年、33巻:D671頁);BLAST(www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/);CDHIT(bioinformatics.ljcrf.edu/cd−hi/);EMBOSS(www.hgmp.mrc.ac.uk/Software/EMBOSS/);PHYLIP(evolution.genetics.washington.edu/phylip.html);およびFASTA(fasta.bioch.virginia.edu)に認められる。この段落に引用された参考文献は、各々参照によりその全体が組み込まれる。
(実施例1)
例示的VHシャーシライブラリーの設計
この実施例は、本発明の例示的な、限定されないVHシャーシ配列の選択および設計を実証する。VHシャーシ配列を、ヒトIGHV生殖系列配列(Scaviner ら、Exp.Clin.lmmunogenet.、1999年、16巻:234頁; Tomlinson ら、J.Mol.Biol.、1992年、227巻:799頁; Matsudaら、J.Exp.Med.、1998年、188巻:2151頁、各々参照によりその全体が組み込まれる)のコレクションを調べることによって選択した。詳細な説明および下記において述べたように、これらのデータ供給源または他の供給源から、ライブラリーに包括するために、さまざまな基準を使用してVHシャーシ配列を選択できる。
表3(Scavinerら、Exp.Clin.Immunogenet.、1999年、16巻:234頁;Matsudaら、J.Exp.Med.、1998年、188巻:2151頁;およびWangら、Immunol.Cell.Biol.、2008年、86巻:111頁に提供された情報から適合し、各々参照によりその全体が組み込まれる)は、各ヒトIGHV生殖系列配列によりコードされるタンパク質に関するCDRH1およびCDRH2の長さ、基準構造および末梢血中の推定される相対的出現率を挙げている。

現在例示されたライブラリーにおいて、17の生殖系列配列を、ライブラリーのVH シャーシにおける提示に選択した(表4)。下記により詳細に記載したように、これらの配列は、シャーシの構造的多様性および診療所で使用される抗体中の特定の生殖系列配列の提示を考慮して、成人の末梢血における比較的高い提示に基づいて選択した。これらの17の配列は、表4の結果を導くために使用された重鎖配列の全サンプルの約76%を占める。詳細な説明に要約したように、これらの基準は非限定的であり、当業者は、さまざまな他の基準もVHシャーシ配列の選択に使用でき、本発明が、表4に提示された17のVHシャーシ遺伝子を含むライブラリーに限定されないことを容易に認識するであろう。

ライブラリーのこの特定の実施形態では、IGHV2、IGHV6およびIGHV7生殖系列ファミリー中の配列に由来するVHシャーシは含まれなかった。詳細な説明において記載したように、この例示は、限定を意味するものではなく、いくつかの実施形態では、調査されていない可能性があるさらなる多様性を有するライブラリーを作製するため、またはこれらのIGHVファミリーの特性および可能性をより詳細に研究するために、これらのファミリーの1つまたは複数を含むことが、類似配列を有する抗体についての臨床的情報が特に利用可能になり望ましい場合がある。本発明のライブラリーのモジュール設計は、これらおよび他のVHシャーシ配列の導入を容易に可能にする。ライブラリーのこの特定の実施形態に利用する、IGHV生殖系列配列に由来するVHシャーシのアミノ酸配列を、表5に提示する。誘導手順の詳細を下記に提示する。

表5は、17のシャーシのアミノ酸配列を提供する。ヌクレオチドの欄において、対応する生殖系列ヌクレオチド配列の大部分は、2個の追加のヌクレオチド(すなわち、コドンの2/3)を3’末端に含む。ほとんどの場合、それらの2個のヌクレオチドはGAである。多くの場合ヌクレオチドは、IGHD遺伝子セグメントにより組み換える前にインビボでIGHV由来遺伝子セグメントの3’末端に付加される。任意の追加のヌクレオチドから、下記の2種のアミノ酸:Asp(コドンが

の場合)またはGlu(コドンが

の場合)の1つをコードするコドンが得られる。2個の3’末端ヌクレオチドの1つまたは双方は、最終的に再構成された重鎖配列において欠失されてもよい。Aのみが欠失された場合、得られたアミノ酸は非常に高い頻度でGである。双方のヌクレオチドが欠失された場合、この位置は「空」であるが、一般的なV−Dの付加またはIGHD遺伝子によりコードされるアミノ酸が続く。さらなる詳細を実施例5に提示する。FRM3(表5)のC末端のCARまたはCAKモチーフの後のこの最初の位置を、「尾部」と呼ぶ。ライブラリーの現在例示された実施形態では、この残基はG、D、Eであってもよく、または何も存在しなくてもよい。したがって、上(表5)に列挙した任意のシャーシに尾部を付加することは、下記の4種の概略的配列のうちの1種を作製でき、VHシャーシの後の残基が尾部である:
(1) [VH_シャーシ]−[G]
(2) [VH_シャーシ]−[D]
(3) [VH_シャーシ]−[E]
(4) [VH_シャーシ]
これらの構造はフォーマット:
[VH_シャーシ]−[G/D/E/−]
で表すこともでき、ハイフン記号(−)は空またはゼロの位置を示す。
定義の項で定義されたCDRH3番号付けシステムを使用すると、上記の配列は、例えば、(1)、(2)および(3)はそれぞれ、アミノ酸95にG、DまたはEを有することを示すことができ、一方例4の配列は95位を有さず、CDRH3の特有部は96位または97位から始まる。
本発明のいくつかの実施形態では、基準構造1−1(CDRH1中に5個の残基およびCDRH2に関して16)を有するVH3−66をライブラリーに含むことができる。VH3−66の包括は、ライブラリーから他のシャーシの除去に関して補正でき、他のシャーシはいくつかの条件下(例えば、VH4−34およびVH4−59)で、酵母においてあまり発現できない。
(実施例2)
CDRH1およびCDRH2内に変異を有するVHシャーシ変異体の設計
この実施例は、実施例1に示した各シャーシへのCDRH1およびCDRH2領域中に突然変異を起こすことによる、さらなる多様性のVHシャーシの導入を実証する。下記の研究方法を使用して、各シャーシに関するアミノ酸変異の位置および性質を選択した:まず、再構成されたヒト重鎖抗体配列間の配列同一性を分析し(Leeら、Immunogenetics、2006年、57巻:917頁;Jacksonら、J.Immunol.Methods、2007年、324巻:26頁)、それらを、それらの個々のIGHV生殖系列配列の起源により分類した。例示的な例として、データセット中の約200の配列はIGHV1−69生殖系列に非常に高い同一性を示し、それらがIGHV1−69に由来したと思われることを示した。次に、実施例1において選択された各生殖系列ファミリー中の、CDRH1およびCDRH2セグメント内の各位置におけるアミノ酸残基の出現率を確定した。VH1−69に関して、これらの出現率を表6および表7に例示する。第2に、可能であれば、置き換えとして中性および/または小型のアミノ酸残基が好ましかった。理論に束縛されないが、これらのアミノ酸残基の選択の理論的根拠は、CDR配列の多様性の表示に関してより柔軟であり、より立体的に遮蔽されていない状態を提供することが望ましい。

元の生殖系列配列を、表の2番目の行、残基番号のすぐ下に太字フォントで載せている(Kabat系)。表の項目は、所与のアミノ酸残基(第1列)が、表示のCDRH1(表6)またはCDRH2(表7)の位置において観察されている回数を示す。例えば、33位においてアミノ酸型G(グリシン)は、検査した一連のIGHV1−69−に基づく配列中に24回観察されている。したがって、上記の基準を用いて、変異体は31位がN、32位がL(いくつかの条件下でHに変化し得る)、33位がGおよびT、34位において変異体はなく、35位がNで構築されており、下記のVH1−69シャーシCDRH1−1アミノ酸変異体配列をもたらす:

同様に、表7を作成した分析は、VH1−69シャーシCDRH2に関する下記の1アミノ酸変異体配列の選択のための根拠を提供した:

類似の研究方法を使用して、他の選択シャーシの変異体を設計および構築し、各例示的シャーシの個々に関して得られた、CDRH1およびCDRH2の変異体を表8に載せる。当業者は、本明細書に記載の方法を用いて、他のVHシャーシおよびVLシャーシの変異体を作製できることを容易に認識するであろう。

詳細な説明において明記したように、他の基準を使用してどのアミノ酸が改変されるか、および得られた改変配列の同一性を選択できる。このことは、本発明の任意の重鎖シャーシ配列または任意の他の配列に当てはまる。上に要約した研究方法は例示的目的を意味し、限定されない。
(実施例3)
例示的VKシャーシライブラリーの設計
この実施例は、例示的VKシャーシライブラリーの設計について説明する。当業者は、類似の原理を使用して、VλライブラリーまたはVKおよびVλシャーシの双方を含有するライブラリーを設計できることを認識するであろう。Vλシャーシライブラリーの設計を実施例4に提示する。
実施例1において既に実証したように、IGHV生殖系列配列に関して、配列特性および末梢血由来の抗体におけるヒトIGKV生殖系列配列の出現率を分析した。データを、表9に提示する。

14の最も一般的に発生するIGKV生殖系列遺伝子(表9の列6の太字)は、末梢血中の全レパートリーの使用頻度の90%強を占める。表9の分析から、10のIGKV生殖系列遺伝子を現在例示されたライブラリー中のシャーシとしての提示のために選択した(表10)。V1−12およびV1−27を除くすべてが、最も一般的に出現する上位10の中にある。末梢血における出現率に関して10番目であったIGKV生殖系列遺伝子のVH2−30は、短鎖(すなわち、11または12残基長)CDRL1配列を含むシャーシの比率を、最終セットの10のシャーシにおいて約80%に維持するために、ライブラリーの現在例示された実施形態に含まなかった。V1−12は、その場所に含まれた。V1−17は、既に選択されたV1ファミリーの他のメンバーにより類似していた;したがって、V1−27が、V1−17の代わりに含まれた。他の実施形態では、ライブラリーは、12のシャーシ(例えば、表10の10種+V1−17およびV2−30)あるいは出現率(表9)または任意の他の基準により厳密に選択された任意の「N個の」シャーシの異なるセットを含むことができた。10種の選択されたVKシャーシは、全κ軽鎖のレパートリーの提示であると考えられるデータセット中の使用頻度の約80%を占める。

表10に列挙された選択されたVKシャーシのアミノ酸配列を、表11に載せる。


(実施例4)
例示的Vλシャーシライブラリーの設計
この実施例は、例示的Vλシャーシライブラリーの設計について説明する。実施例1〜3において既に実証されたように、VHおよびVKのシャーシ配列に関して、末梢血中のヒトIgλV生殖系列由来配列の、配列の特徴および出現率を分析した。生殖系列ファミリーに対して本明細書において説明された他の配列の指定と同様に、生殖系列ファミリーに対するVλ配列の指定を、SoDAおよびVBASE2を介して実施した(Volpe およびKepler、Bioinformatics、2006年、22巻:438頁;Mollovaら、BMS Systems Biology、2007年、1S:30頁、各々参照によりその全体が組み込まれる)。データを表12に提示する。


シャーシとしての役割を果たす、表12からの配列サブセットを選択するために、末梢血において1%未満で提示されるもの(付録Bに載せられたGIコードに対応する公開された配列の分析から推定)を、まず処分した。残りの18の生殖系列配列から、独特の基準構造およびCDRL3をもたらすこと、それぞれに関して出現率が上位の遺伝子ならびに5%を超えるレベルで提示される任意の生殖系列遺伝子を、例示的Vλシャーシを構築するために選択した。11のこのような配列のリストを下記の表13に示す。これらの11の配列は、検査したデータセット(付録B)中のレパートリーの約73%を提示する。

表13に列挙された、選択されたVλシャーシのアミノ酸配列を、下記の表14に載せる。


(実施例5)
CDRH3ライブラリーの設計
この実施例は、個々の構成要素からのCDHR3ライブラリーの設計について説明する。実際は、CDRH3配列は、IGHV、IGHDおよびIGHJと呼ばれる3種の異なる遺伝子の組換えを含む複合過程から導かれる。組換えに加えて、これらの遺伝子は、IGHV遺伝子の3’末端からIGHD遺伝子の末端および/またはIGHJ遺伝子の5’末端のいずれかへ順次ヌクレオチド欠失に供することもできる。非鋳型ヌクレオチドの付加は、V、DおよびJの配列間のジャンクションにおいても起こり得る。V−Dジャンクションにおける非鋳型付加は、「N1」と称され、D−Jジャンクションにおける非鋳型付加は、「N2」と称される。D遺伝子セグメントは、3つの順方向読み枠、いくつかの場合において、3つの逆方向読み枠において読み取ることができる。
本例示的ライブラリーの設計において、コドン(3つのヌクレオチド)または1つのアミノ酸を基本単位として設計し、所望の読み枠中の全配列を維持した。したがって、遺伝子セグメントの欠失または付加はすべて、アミノ酸またはコドンの付加または欠失を介して実施し、1個のヌクレオチドを介しては実施しなかった。本出願のCDRH3番号付けシステムに従って、CDRH3はアミノ酸番号95(存在する場合、実施例1を参照されたい)からアミノ酸102まで伸長する。
(実施例5.1)
DHセグメントの選択
本例示的実施例において、ライブラリーにおける使用のためのDH遺伝子セグメントの選択は、シャーシ配列の選択のために使用した原理と同様の原理に従って実施した。まず、IGHD遺伝子の使用頻度の分析は、Leeら、Immunogenetics、2006年、57巻:917頁;Corbettら、PNAS、1982年、79巻:4118頁;およびSouto−Carneiroら、J.Immunol.、2004年、172巻:6790頁(各々参照によりその全体が組み込まれる)からのデータを使用し、ヒト配列において最も高い頻度で観察されるそれらのIGHD遺伝子に与えられるライブラリーの提示を優先して実施した。第2に、IGHD遺伝子セグメントのいずれかの末端における欠失の程度を、SoDAアルゴリズム(Volpe ら、Bioinformatics、2006年、22巻:438頁、参照によりその全体が組み込まれる)および配列アラインメントを使用して、既知の重鎖配列と比較することによって評価した。現在例示されているライブラリーには、3個のアミノ酸と同程度に短い順次欠失されたDHセグメントを含んだ。詳細な説明に列挙されたように、本発明の他の実施形態は、さまざまな長さ、例えば、約1、2、4、5、6、7、8、9または10個のアミノ酸に欠失されたDHセグメントを含む。表15は、末梢血B細胞から主に単離されたヒト抗体重鎖配列におけるIGHD遺伝子の使用頻度の相対的出現率を示す(Leeら、Immunogenetics、2006年、57巻:917頁から適合したリスト、参照によりその全体が組み込まれる)。

天然に出現するヒト抗体に、3つの読み枠において見出される10の最も一般的に発現されるIGHD遺伝子配列の翻訳を表16に示す。末梢血において最も一般的に出現するそれらの読み枠を、灰色に強調してある。表15のように、IGHD配列の使用頻度に関するデータおよび読み枠の統計値は、Leeら、2006年から導き、IGHD配列の読み枠使用頻度に関するデータは、Corbettら、PNAS、1982年、79巻:4118頁およびSouto−Carneiro ら、J.Immunol.、2004年、172巻:6790頁から導かれるデータによってさらに補完し、これらは各々参照によりその全体が組み込まれる。

現在例示されているライブラリーにおいて、末梢血中に出現する重鎖配列に最も頻繁に使用される上位10種のIGHD遺伝子を、ライブラリー中の提示のために選択した。ライブラリーの他の実施形態は、より多いまたはより少ないD遺伝子を容易に利用できる。最も一般的に使用される読み枠を含む選択されたIGHD遺伝子のアミノ酸配列ならびに最小で3残基までN−およびC−末端が順次欠失された後の変異体総数を表17に挙げる。表17に表したように、特定のIGHD遺伝子の最も一般的に出現する対立遺伝子のみを、例示的ライブラリーに含んだ。しかしこのことは必要ではなく、本発明の他の実施形態は、末梢血においてあまり頻繁に出現しないIGHD読み枠も利用できる。

表17の選択された個々の配列に関して、3個のアミノ酸が残るまでN末端および/またはC末端から系統的に欠失することによって、変異体を作製した。例えば、上記のIGHD4−17_2に関して、完全配列DYGDY(配列番号_)を使用して順次欠失変異体:DYGD(配列番号_)、YGDY(配列番号_)、DYG(配列番号_)、GDY(配列番号_)およびYGD(配列番号_)を作製できる。一般的に、サイズNの任意の完全長配列に関して、元の完全配列を含めて計(N−1)(N−2)/2の総変異体が存在することになる。IGHD2−2およびIGHD2−15、(すなわち、IGHD2−2_2およびIGH2−15_2)の双方の読み枠2により例示されるように、ジスルフィド−ループ−コードセグメントに関してループが無傷であるように順次欠失は制限され、すなわちN末端から最初のCysまで、またはC末端から第2のCysまでのアミノ酸だけが個々のDHセグメント変異体において欠失された。前述の戦略を使用して、ライブラリーの例示されたバージョンにおいて不対システイン残基の存在を避けた。しかし、詳細な説明において述べたように、ライブラリーの他の実施形態は、不対システイン残基またはこれらのシステイン残基と他のアミノ酸との置換を含んでもよい。IGHD遺伝子の切断物がCys残基の存在により制限される場合、9種の変異体(元の完全配列を含む)のみを作製した、例えば、IGHD2−2_2に関して、変異体は、:GYCSSTSCYT(配列番号_)、GYCSSTSCY(配列番号_)、YCSSTSCYT(配列番号_)、CSSTSCYT(配列番号_)、GYCSSTSC(配列番号_)、YCSSTSCY(配列番号_)、CSSTSCY(配列番号_)、YCSSTSC(配列番号_)およびCSSTSC(配列番号_)である。
上に要約した基準に従って、293DH配列を、元のIGHD遺伝子セグメントを含む選択されたIGHD遺伝子セグメントから得た。特定の配列は重複する。例えば、YYY変異体を、IGHD3−10_2

のいずれかから、またはIGHD3−22_2(配列番号_)

から2つの異なる方法で得ることが可能である。重複配列を除去した場合、ライブラリーの本例示的実施形態中の独特のDHセグメント配列の数は278である。これらの配列を表18に列挙する。

表19は、上記の方法に従って選択された278のDHセグメントの長さの分布を示す。

上に明記したように、本出願において定義されたCDRH3番号付けシステムに基づき、IGHD由来アミノ酸(すなわち、DHセグメント)は、97位から始まり番号付けされ、97A位、97B位などが続く。ライブラリーの現在例示されている実施形態では、最も短いDHセグメントは、3個のアミノ酸:97、97Aおよび97Bを有し、一方最も長いDHセグメントは10個のアミノ酸:97、97A、97B、97C、97D、97E、97F、97G、97Hおよび97Iを有する。
(実施例5.2)
H3−JHセグメントの選択
6種のヒト生殖系列のIGHJ遺伝子がある。抗体遺伝子のインビボ組み立ての間、これらのセグメントを、それらの5’末端から順に欠失する。ライブラリーのこの例示的実施形態では、13アミノ酸程の長さのJHセグメントをもたらす、欠失のないまたは(アミノ酸レベルで)1、2、3、4、5、6、または7個が欠失したIGHJ遺伝子セグメントを含んだ(表20)。IGHJ遺伝子セグメントを順次欠失し、15、14、12または11アミノ酸をもたらす、(それらの5’/N末端において)本発明の他の実施形態もまた企図される。

本出願のCDRH3番号付けシステムに従って、例えば、JH6_1がCDRH3にもたらすものは、99F、99E、99D、99C、99B、99A、100、101および102位(それぞれY、Y、Y、Y、Y、G、M、DおよびV)により示されるであろう。同様に、JH4_3配列は、CDRH3にアミノ酸位101および102(それぞれDおよびY)をもたらす。しかし、例示されたライブラリーのすべての場合において、JHセグメントは、抗体の可変領域のための標準的Kabat番号付けシステム(Kabat、前引用書、1991年)に一致して、アミノ酸103〜113をFRM4領域にもたらす。このことは、ライブラリーの他の実施形態ではそうとは限らない。
(実施例5.3)
N1およびN2セグメントの選択
(上に例示したような)順次欠失の天然に存在する過程の模倣により促進されたV−D−J組換えの考慮は非常に大きな多様性を生み出すことができるが、インビボCDRH3配列の多様性は、V−DジャンクションおよびD−Jジャンクションにおいてさまざまな数のヌクレオチドの非鋳型付加によりさらに増幅される。
V−DおよびD−Jジャンクションにそれぞれ位置するN1およびN2セグメントを、約2,700の抗体配列を含むサンプルにおいて同定し(Jackson ら、J.Immunol.Methods、2007年、324巻:26頁)、Volpeら、Bioinformatics、2006年、22巻:438〜44頁のSoDA法によりさらに分析した;(Jacksonら、およびVolpeら、は双方とも参照によりその全体が組み込まれる)。これらの配列の検査により、N1およびN2の長さおよび組成のパターンが明らかになった。現在例示されたCDRH3ライブラリーの構築のために、特定の短鎖アミノ酸配列を上記の分析から導き、本明細書に記載の合成スキームを使用してCDRH3の設計に組み込まれた多くのN1およびN2セグメントの作製のために使用した。
詳細な説明に記載したように、本発明の特定の実施形態は、ヒト抗体中に天然に存在するN1およびN2セグメントを比較することにより見出されるこれらのパラメーター中の統計的バイアスにより情報を得た、合理的に設計された長さおよび組成を有するN1およびN2セグメントを含む。ヒトデータベース(例えば、参照によりその全体を組み込む、Jacksonら、J.Immunol Methods、2007年、324巻:26頁を参照されたい)から集積されたデータによれば、2個以下のヌクレオチドの挿入は考慮に入れずに、N1に関して平均約3.02アミノ酸の挿入、およびN2に関して約2.4アミノ酸の挿入がある。図2は、ヒト抗体中のN1およびN2領域の長さの分布を示す。本発明のこの例示的実施形態では、N1およびN2を、0、1、2、または3アミノ酸長に固定した。ヒト抗体中のこれらの配列の天然に存在する組成を、さまざまなアミノ酸残基の包括のためのガイドとして使用した。
1アミノ酸、2アミノ酸および3アミノ酸のN1付加の天然に存在する組成を、表21に定義し、対応するN2付加の天然に存在する組成を表22に定義する。N1およびN2のセットに最も頻繁に発生するデュプレットを、表23に集める。

(実施例5.3.1)
N1セグメントの選択
VおよびDの間のジャンクションに位置する、同定されたN1セグメントの分析により、8種の最も頻繁に出現するアミノ酸残基がG、R、S、P、L、A、TおよびVであることが明らかになった(表21)。N1セグメントにおけるアミノ酸の付加数は、高い頻度で0、1、2または3であった(図2)。4個以上のアミノ酸の付加は、比較的稀であった。したがって、ライブラリーの現在例示された実施形態では、N1セグメントは、0、1、2または3個のアミノ酸を含むように設計した。しかし、他の実施形態では、4、5またはそれ以上のアミノ酸のN1セグメントもまた利用できる。GおよびPは、常にN1領域において最も一般的に出現するアミノ酸残基の1つであった。したがって、ライブラリーの本例示的実施形態では、ジペプチドであるN1セグメントは、GX、XG、PX、またはXPの形態であり、Xは、上に挙げた8種の最も一般的に発生するアミノ酸のいずれかである。G残基がP残基より頻繁に観察されたという事実により、例示的N1ライブラリーのトリペプチドメンバーは、GXG、GGXまたはXGGの形態を有し、再度Xは、上に挙げた8種の最も頻繁に発生するアミノ酸残基の1つである。ライブラリーの本例示的実施形態に使用する、「ゼロ」付加を含む得られたN1配列のセットは、表24に挙げた59の配列になる。

本出願のCDRH3番号付けシステムに従って、表24に列挙された配列は、下記の位置をCDRH3にもたらす:単量体は96位、二量体は96および96A、ならびに三量体は96、96Aおよび96Bをもたらす。代替の実施形態では、四量体およびそれより長いセグメントがN1配列に含まれ得る場合、対応する数は、96Cなどを含むように続くであろう。
(実施例5.3.2)
N2セグメントの選択
同様に、DおよびJの間のジャンクションに位置する、同定されたN2セグメントの分析により、8種の最も頻繁に出現するアミノ酸残基がまた、G、R、S、P、L、A、TおよびVであることが明らかになった(表22)。N2セグメントにおけるアミノ酸の付加数もまた、高い頻度で0、1、2または3であった(図2)。例示的ライブラリーにおけるN2セグメントの設計のために、拡大されたセットの配列を利用した。具体的には、N1に関する表24に列挙された59の配列に加えて、表25の配列を使用した。

したがって、ライブラリーの目下例示された実施形態は、「ゼロ」状態を含むN2配列を総数141含有する。当業者は、これらの141の配列がN1領域においても使用でき、このような実施形態は本発明の範囲内であることを容易に認識するであろう。さらに、N1およびN2配列の長さおよび組成の多様性は、天然に存在する抗体のN1およびN2領域に、G、R、S、P、L、A、TおよびVより出現の頻度が低いアミノ酸を利用すること、および4、5またはそれ以上のアミノ酸のN1およびN2セグメントをライブラリーに含むことによりさらに広がり得る。表21から23および図2は、天然の組成および長さを模倣するさらなるN1およびN2領域の設計に有用な天然に存在する抗体における、N1およびN2配列の組成および長さについての情報を提供する。
本出願のCDRH3番号付けシステムに従って、N2配列は(存在する場合)98位から始まり、98A(二量体)および98B(三量体)に伸長するであろう。代替の実施形態は、98C、98D位などを占有することができる。
(実施例5.4.)
CDRH3ライブラリー
「尾部」(すなわち、G/D/E/−)を考える場合、例示されたライブラリー中のCDRH3は、一般式:
[G/D/E/−]−[N1]−[DH]−[N2]−[H3−JH]
で表すことができる。
ライブラリーの現在例示された、非限定的実施形態では、[G/D/E/−]は、4種の考えられる末端のアミノ酸「尾部」を個々に表し、N1は表24の59配列のいずれかであり得、DHは表18の278配列のいずれかであり得、N2は表24および25の141配列のいずれかであり得、ならびにH3−JHは表20の28のH3−JH配列のいずれかであり得る。このCDRH3ライブラリーのすべての理論的多様性またはレパートリーのサイズは、各構成要素の変異をかけることによって得られる、すなわち、4×59×278×141×28=2.59×10である。
しかし、先の実施例において記載のように、重複がライブラリーから排除できる。目下例示された実施形態では、尾部およびN1セグメントを合わせ、ライブラリーから重複を排除した。例えば、VHシャーシ、尾部およびN1領域を考慮すると、配列[VH_シャーシ]−[G]は異なる2つの方法:[VH_シャーシ]+[G]+[なし]または[VH_シャーシ]+[なし]+[G]で得ることができる。重複配列の除去により、236の考えられる組合せの(すなわち、4種の尾部×59のN1)中から総計212の独特の[G/D/E/−]−[N1]セグメントがもたらされた。したがって、目下例示されたCDRH3ライブラリーの実際の多様性は、212×278×141×28=2.11×10である。図23は、本ライブラリー中のさまざまなCDRH3の長さの出現頻度対Leeらの免疫前のレパートリーを表す。
表26は、本出願のCDRH3番号付けシステムを使用した、上記のCDRH3ライブラリー由来の特定の例示的配列をさらに例示する。位置を使用しない場合、代わりに表にハイフン記号(−)を含む。


(実施例6)
VKCDR3ライブラリーの設計
この実施例は、多くの例示的VKCDR3ライブラリーの設計について説明する。詳細な説明の項に明記したように、本発明の特定の実施形態では作製されたまたは本発明の特定の実施形態に使用されたVKCDR3ライブラリーの実際のバージョン(複数可)は、ライブラリーの使用目的に依存するであろう。この実施例において、軽鎖可変領域に関するKabat番号付けシステムを使用した。
出現パターンの検査を容易にするために、ヒトκ軽鎖配列を、公的に利用可能なNCBIデータベース(付録A)から得た。重鎖配列(実施例2)に関しては、公的に利用可能なデータベースから得た個々の配列を、配列同一性に基づき、その最も近い生殖系列遺伝子に指定した。その後、各位置におけるアミノ酸組成を、各κ軽鎖のサブセット内で決定した。
(実施例6.1)
必要最小限VKCDR3ライブラリー
この実施例は、「必要最小限」VKCDR3ライブラリーの設計について説明し、VKCDR3のレパートリーは、9残基長に制限する。ヒト配列のVKCDR3の長さの検査により、CDRL3:89から97位のKabatの定義内で9アミノ酸が優勢な比率(70%を超える)であることが示される。したがって、現在例示された必要最小限の設計は、長さ9のVKCDR3のみであると考えられる。ヒトκ軽鎖配列の検査により、IGKJ遺伝子の使用頻度に強いバイアスはなく、ヒトにおいてIKJ遺伝子などの5つが存在することが示される。表27は、3種のデータセット、つまりJuulら(Clin.Exp.Immunol.、1997年、109巻:194頁、参照によりその全体が組み込まれる)、KleinおよびZachau(Eur.J.Immunol.、1993年、23巻:3248頁、参照によりその全体が組み込まれる)および付録Aに提供されたκ軽鎖のデータセット(標識LUA)の中のIGKJ遺伝子の使用頻度を表す。

したがって、「M」個のVKシャーシおよび5つのIGKJ遺伝子の単純な組合せによりサイズM×5個のライブラリーが作製されるであろう。9個の長さのVKCDR3に関するKabatの番号付けシステムにおいて、アミノ酸番号96は、IGKJ遺伝子により最初にコードされる。ヒト配列においてこの位置を占めるアミノ酸の検査により、7種の最も一般的な残基がL、Y、R、W、F、PおよびIであり、96位において見出される残基の約85%を累積的に占めることが示された。残りの13アミノ酸が他の15%を占める。96位における20種のアミノ酸すべての出現を、表28に提示する。

96位において最も一般的に見出される7種の残基の起源を確定するために、既知のヒトIGKJアミノ酸配列を検査した(表29)。

理論に束縛されないが、再構成されたヒト配列の96位において見出される、最も一般的に出現する7種のアミノ酸の5種は、5種のヒトIGKJ遺伝子つまり、W、Y、F、LおよびIそれぞれによってコードされる最初のアミノ酸が起源であると思われる。
PおよびR残基の起源は明白ではなかった。理論に束縛されないが、ヒトIGKV遺伝子のヌクレオチド配列の大部分は配列CCで終わり、これは(すなわち3’から)最後の(例えば、表11に示すC末端残基をコードする)完全コドンの後に出現する。したがって、どのヌクレオチドがこの配列の後に配置されるかにかかわらず(すなわちCCX、Xは任意のヌクレオチドであってよい)、コドンはプロリン(P)残基をコードするであろう。したがって、IGKJ遺伝子が順次欠失を受けた場合(ちょうど重鎖のIGHJのように;実施例5を参照されたい)、最初の完全アミノ酸を欠損し、IGKV遺伝子において欠失が全く起こらなかった場合、P残基が得られる。
96位においてアルギニン残基の起源を確定するために、96位にRを含む再構成されたκ軽鎖配列中のIGKJ遺伝子の起源を分析した。この分析により、IGKJ遺伝子がIGKJ1である場合に、最も高い頻度で96位にRが出現することが示された。IGKJ1に関する生殖系列W(位置1;表29)は

によりコードされる。理論に束縛されないが、1つのヌクレオチドが

からC(CGGが得られる)またはA(AGGが得られる)に変化すると、Arg(R)をコードするコドンがもたらされる。Gへの変化(GGGが得られる)はGly(G)をコードするコドンをもたらす。RはGの約10倍の頻度でヒト配列の96位に出現し(IGKJ遺伝子がIGKJ1の場合)、RはCGGによりコードされる頻度がAGGより高い。したがって、理論に束縛されないが、CはIGKV遺伝子の末端の、前述の2つのCの1つを起源とする可能性がある。しかし、出現の機序(複数可)にかかわらず、VKCDR3の長さが9である場合、RおよびPは96位において最も高い頻度で観察されるアミノ酸型の1つである。したがって、必要最小限VKCDR3ライブラリーは、下記のアミノ酸配列:

により表すことができる。
この配列において、VK_シャーシは、任意の選択されたVKシャーシ(非限定例に関して、表11を参照されたい)、具体的にはIGKV遺伝子によりコードされるKabat残基の1から88を表す。L3−VKは、選択されたIGKV遺伝子(この実施形態において残基89〜95)によりコードされるVKCDR3の一部を表す。F/L/I/R/W/Y/Pは、アミノ残基F、L、I、R、W、YまたはPの任意の1つを表す。この例示的提示において、IKJ4(最初の残基を引く)を表した。理論に束縛されないが、IGKJ4がヒトに最も一般的に使用されるIGKJ遺伝子の1つであることとは別に、GGGアミノ酸配列は、XがG以外のアミノ酸であるGXGアミノ酸配列を含む任意の代替のIGKJ遺伝子より大きな高次構造の柔軟性をもたらすことが期待される。いくつかの実施形態では、高度の高次構造の柔軟性を有する必要最小限免疫前レパートリーを作製することは有利であり得る。表11に表される10のVKシャーシを考慮して、必要最小限VKCDR3ライブラリーの1つの実施態様は、10のVKシャーシ×7のジャンクション(96位)の組合せの選択肢から得られる70のメンバーおよび1つのIGKJ−由来配列(例えばIGKJ4)を有するであろう。ライブラリーのこの実施形態はIGKJ4を使用して表されるが、他の4つのIGKJ配列の1つを使用する必要最小限VKCDR3ライブラリーを設計することが可能である。例えば、ライブラリーの別の実施形態は、350のメンバーを有することができる(10のVKシャーシ×7のジャンクション×5のIGKJ遺伝子)。
当業者は、1つまたは複数の必要最小限VKCDR3ライブラリーが、任意のIGKJ遺伝子を使用して構築できることを容易に認識するであろう。上記の注釈を使用して、これらの必要最小限VKCDR3ライブラリーは、例えば:

により表される配列を有することができる。
(実施例6.2)
約10の複雑性のVKCDR3ライブラリー
この実施例において、実施例6.1に記載の9残基のVKCDR3レパートリーを、8および10残基の長さのVKCDR3を含むように拡大する。さらに、先に列挙されたVKCDR3ライブラリーはVKシャーシおよびVKCDR3に貢献しないIGKJ遺伝子の一部を含んだが、目下例示されたバージョンはVKCDR3の一部を含む残基のみに焦点を合わせる。例えば、既にVKシャーシ配列および定常領域配列を含むベクターを用いた組み換えが望ましい場合、この実施形態は好ましいことがある。
ヒトにおいて優勢なVKCDR3配列の長さは9アミノ酸であるが、他の長さも、累積的にκ軽鎖配列の約30%に近づく測定可能な割合で現れる。特に、長さ8および10のVKCDR3は、それぞれ代表的なサンプルにおいて配列の約8.5%および約16%を表す(図3)。したがって、より複雑なVKCDR3ライブラリーは、8から10アミノ酸長のCDRを含み、このライブラリーは、ヒトVKCDR3配列の通常のコレクションにおいて観察される長さの分布の95%強を占める。このライブラリーはさらに、VKおよびJK遺伝子の間のジャンクションのほかに追加の変異の包括が可能である。本実施例は、このようなライブラリーについて説明する。このライブラリーは10個のサブライブラリーを含み、個々に表11に表された10個の例示的VKシャーシのおよそ1つを設計した。明らかに、本明細書において例示された研究方法は、M個の異なるシャーシを考慮して一般化でき、Mは10より少ないかまたは10より多い場合がある。
Kabatの89〜95位を占めるポリペプチドセグメント内の変動性を特徴づけるために、実施例3の10個の生殖系列配列それぞれに由来するヒトκ軽鎖配列のコレクションをアラインメントし、個別(すなわち、生殖系列群内で)に比較した。この分析により、本発明者らは、生殖系列によって分類された、各κ軽鎖配列中のそれぞれ個々の位置における配列の変異のパターンを判別できた。下記の表は、IGKV1−39由来の配列に関する結果を示す。

例えば、89位において2種のアミノ酸、QおよびLが、観察された変動性の約99%を占め、したがって現在例示されたライブラリー(下記を参照されたい)において、89位にはQおよびLのみが含まれた。当然のことながら、より大きなライブラリーにおいて、追加の、出現頻度がより低いアミノ酸型(例えばH)もまた含むことができる。
同様に、93位において、最も頻繁に出現するものの1つであるアミノ酸型S、T、N、RおよびIによる、より多くの変異がある。したがって、より多様性の特定のライブラリーには明らかに他のアミノ酸が含まれ得るが、現在例示されたライブラリーは、これらの5種のアミノ酸を93位に含むことを目的とした。しかし、このライブラリーは標準的な化学的ヌクレオチド合成を介して構築されたので、例示されたライブラリーの93位において表される実際のアミノ酸セットがS、T、N、R、PおよびHからなり、PおよびHはIに置き換わるように、ライブラリーは遺伝子コードの制限により縛られている(下記の表32の例示的9残基のVKCDR3を参照されたい)。この制限は、下記の実施例6.3に記載のように、コドンに基づくオリゴヌクレオチド合成を使用することによって克服できる。同様の研究方法:位置あたりのアミノ酸型の出現の分析、最も高い頻度で出現するサブセットからの選択、その後の遺伝子コードによって指示される調整を、他の位置においておよび他の配列に関して続けた。
上に示したように、ライブラリーは、標準的オリゴヌクレオチド合成装置および縮重オリゴヌクレオチドを使用して、実用的で容易な合成の研究方法を用いる。ライブラリーの説明を容易にするために、表31に示した縮重ヌクレオチドに関するIUPACコードを使用する。

実施例のようにVK1−39シャーシおよび長さ9のVKCDR3を使用して、VKCDR3ライブラリーを下記の4種のオリゴヌクレオチドにより表すことができ(表32の左の列)、CDRL3(Kabatの番号付け)の各位置においてコードされる対応するアミノ酸を右の列に示す。

例えば、Kabatの89位に対応する表32の最初のヌクレオチドの最初のコドン(CWG)は、50%はCTGおよび50%はCAGを表し、それぞれLeu(L)およびGln(Q)をコードする。したがって、発現ポリペプチドは、それぞれ約50%の確率でLおよびQを有することが期待されるであろう。同様に、4番目のオリゴヌクレオチドのKabatの95A位に関して、コドンCBTはCCT、CGTおよびCTTを1/3ずつ表し、翻訳において順にPro(P)、Leu(L)およびArg(R)が1/3ずつ対応する。ペプチド配列の各位置において利用可能な選択肢の数を掛けることによって、ペプチドの空間に各オリゴヌクレオチドによってもたらされる複雑性を得ることができる。上記のVK1−39の例に関して、数は最初の3種のオリゴヌクレオチドに関しては864、4番目のオリゴヌクレオチドに関しては1,296である。したがって、長さ9のVK1−39CDR3をコードするオリゴヌクレオチドは、3,888のメンバーをライブラリーにもたらす。しかし、表32に示すように、95A位にLまたはRを有する配列(96位が空である場合)は、96位にLまたはRを有する(および95Aが空の)配列と同一である。したがって、3,888という数はもたらされるLRを過大評価しており、独特のメンバーの実際の数はわずかに少なく、3,024である。表33に表すように、10のVKシャーシすべてに関するサイズ8、9および10のVKCDR3を表すオリゴヌクレオチドの完全なリストのために、サイズ9のVKCDR3にもたらされたLRを過剰に数えたことを補正した後の、全体の複雑性は約1.3×10または1.2×10の独特の配列である。

(実施例6.3)
より複雑なVKCDR3ライブラリー
この実施例は、コドンに基づく合成の研究方法(Virnekas ら、Nucleic Acids Res.、1994年、22巻:5600頁)により、どのようにして各位置のアミノ酸変異のより信頼できる提示を得ることができるかを実証する。この合成スキームは、位置に含まれる特定のアミノ酸の割合のより細かい調整もまた可能にする。例えば、VK1−39配列に関して上に記載したように、89位は50%のQおよび50%のLとして設計されたが、表30は、QがLよりはるかに高い頻度で使用されることを示す。本実施例のより複雑なVKCDR3ライブラリーは、QおよびLの異なる相対的出現率、例えば90%のQおよび10%のLを占める。このような調整は、コドンに基づく合成スキームの中で、特に複数のアミノ酸型が考えられる場合によく実行される。
この実施例はまた、表11に記載の10のVKシャーシを使用するコドンに基づく合成スキームの実施態様についても説明する。当然のことながら、同様の研究方法の実施に用いるこのようなシャーシは、より多くてもまたはより少なくても可能である。詳細な説明に示したように、本ライブラリーの設計の独特の態様および前記実施例の態様は、生殖系列またはシャーシに基づく態様であり、これは実際のヒトκ軽鎖配列の完全性および変異を一層多く保存することを意味する。これは、文献に記載されており、「フリーサイズの」(例えば、コンセンサス)κ軽鎖ライブラリー(例えば、Knappikら、J Mol Biol、2000年、296巻:57頁;Akamatsuら、J Immunol、1993年、151巻:4651頁)を作製することを目的とする、他のコドンに基づく合成または縮重オリゴヌクレオチド合成の研究方法とは対照的である。
VK1−39に関して得られた表30を参照し、表34の長さ9のVKCDR3ライブラリーを設計することができる。そこで、実用的理由から、各位置における比率を5%の倍数単位で表示する。より優れた合成スキームが開発されると、より細かい解析、例えば1、2、3または4%の解析を得ることができる。


表34のライブラリーは、1.37×10の独特のポリペプチド配列を有し、計算は表の最下行の数字を掛けることによって行った。
特定の位置におけるAsn(N)に関する下線付きの

の記入は、VKCDR3中にN結合型グリコシル化部位を有する可能性が最小または排除された領域を表す。XおよびZがPではないN−X−(SまたはT)−Zのパターンのペプチド配列は、酵母および哺乳動物細胞を含む多くの発現系において翻訳後修飾を受けることができる。さらに、このような修飾の特性は特定の細胞型に依存し、所与の細胞型についても、培養条件に依存する。調整が困難であり得る因子により抗体の機能が影響され得るので、N結合型グリコシル化は、抗原結合に関与すると思われる抗体分子の領域(例えばCDR)において起こった場合不利であり得る。例えば、上記の91位を考えると、92位は決してPではないことが観察できる。94位は95%の事例でPではない。しかし、93位は75%(65+10)の事例でSまたはTである。したがって、91位がNであるとすると、望ましくないモチーフのN−X−(T/S)−Z(XおよびZは双方ともPとは異なる)が作製され、実際のヒト配列においていくらかの頻度でNが観察されたとしても、したがって出現率0となる(表30を参照されたい)。同様の議論が92位および94位のNにも当てはまる。しかし、抗体ライブラリーが、細菌などのN結合型グリコシル化が不可能な系、またはN結合型グリコシル化が起こらない培養条件下において発現された場合、この考えを当てはめることはできないことを理解するべきである。しかし、潜在的なN結合型グリコシル化部位を有するライブラリーの発現に使用される生物が、N結合型グリコシル化不可能である場合でも(例えば、細菌)、このようなライブラリーから単離された抗体は、異なる系(例えば酵母、哺乳動物細胞)において後に(例えば臨床開発に向けて)発現でき、可変ドメイン、特にCDR中の炭水化物部分の存在が活性の望まない修正をもたらし得るので、N−X−(S/T)配列を避けることは依然として望ましい場合がある。これらの実施形態もまた、本発明の範囲内である。本発明者らの知るかぎりでは、当分野において既知のVKCDR3ライブラリーはこの効果を考慮せず、したがってそれらのメンバーの比率は上述の望ましくない性質を有し得る。
本発明者らは、表34に要約したライブラリーのための、長さ8および10のVKCDR3に関する追加のサブライブラリーもまた設計した。これらの実施形態では、89から94および97位における組成は依然として表34に表した組成と同じである。95および95A位に導入され、95Aについては長さ10のVKCDR3のみに関して定義された追加の多様性を表35に例示する。

長さ8のVK1−39ライブラリー中の独特のメンバーの総数は、こうして前述のように得ることができ、3.73×10(すなわち、3×3×4×6×8×8×9×3)である。同様に、長さ10のVK1−39ライブラリーの複雑性は10.9×10である(すなわち、挿入位置95Aにおける追加の8倍の変異があるので、サイズ9のライブラリーの複雑性の8倍である)。したがって、明記された長さそれぞれに関する独特のメンバーの数を足すことによって得られるように、総計12.7×10の独特のメンバーが全VK1−39ライブラリー中に存在することになる。本発明の特定の実施形態では、長さ8、9および10の個別のサブライブラリーを別々に作製し、その後ヒト配列中のVKCDR3の長さの分布を反映する比率で、例えば、天然のVKCDR3配列において起こる1:9:2の分布に近い比率でサブライブラリーを混合することが好ましい場合がある(図3を参照されたい)。本発明は、通常の技術を有する者に、他のVKシャーシに対応するVKCDR3ライブラリーを合成するための組成および方法を提供する。
(実施例7)
必要最小限VλCDR3ライブラリー
この実施例は、必要最小限VλCDR3ライブラリーの設計について説明する。このライブラリー(またはより複雑なVλライブラリー)の設計に使用する原理は、VKCDR3ライブラリーの設計に使用した原理と同様である。しかし、VK遺伝子とは違って、IgλVセグメントをCDRL3へもたらすことは、アミノ酸の固定数に制約されない。したがって、VλシャーシとJλ配列との組合せを考えるだけのときでさえ、長さの変異を必要最小限VλCDR3ライブラリーにおいて得ることができる。
ヒト配列のVλCDR3の長さの検査は、9〜12の長さが配列の約95%を占め、8〜12の長さが配列の約97%を占めることを示す(図4)。表36は、NCBIデータベースから集積された、再構成されたヒトλ軽鎖配列中の6種の既知のIGλJ遺伝子使用頻度(パーセント出現率)を示し(付録Bを参照されたい)、表37は遺伝子によりコードされた配列を示す。

IGλJ3−01およびIGλJ7−02は、分析された配列中に表されない、したがって、それらは表36に含まなかった。表36に例示するように、IGλJ1−01、IGλJ2−01およびIGλJ3−02は、それらの使用頻度において過分に表され、したがって表37において太字で示した。本発明のいくつかの実施形態では、例えば、これらの3種の過分表示の配列のみを利用できる。本発明の他の実施形態では、6種すべてのセグメント、6セグメントの任意の1、2、3、4または5種、あるいはそれらの任意の組合せを利用できる。
表14に示したように、IGλV遺伝子セグメントによりもたらされたCDRL3の一部は、7、8または9アミノ酸である。CDRL3およびFRM4の残りはIGλJ配列に由来する(表37)。IGλJ配列は、1個または2個いずれかのアミノ酸をCDRL3にもたらす。2個のアミノ酸がIGλJにもたらされた場合、IGλJセグメントのN末端の2個の残基:YV(IGλJ1−01)、VV(IGλJ2−01)、WV(IGλJ3−01)、VV(IGλJ3−02)またはAV(IGλJ7−01およびIGλJ7−02)からもたらされる。1個のアミノ酸がIGλJからもたらされた場合、それはV残基であり、IGλJセグメントのN末端残基の欠失後に形成される。
本発明のこの非限定の例示的実施形態では、IGλJ2−01およびIGλJ3−02に対応する、FRM4セグメントをFGGGTKLTVLとして固定した。
11の選択されたシャーシの7つ(Vλ1−40、Vλ3−19、Vλ3−21、Vλ6−57、Vλ1−44、Vλ1−51およびVλ4−69)は、最後の完全コドンの後に追加2個のヌクレオチドを有する。それらの7つの例の4つにおいて、付録Bに提供されたデータセットの分析により、1個のヌクレオチドの付加(すなわち、理論に制限されるものではないが、TdTの活性を介して)によりCDRL3の長さがさらに延長されることが示された。この効果は、これらの4つのIGλV配列によりもたらされるL3−Vλ配列に関する変異体を導入することによると考えることができる(表38)。


したがって、本発明の現在例示された実施形態におけるシャーシの最終セットは15であり、11は表14のシャーシによりもたらされ、追加の4つは表38のシャーシによりもたらされる。15のシャーシの対応するL3−Vλドメインは、7〜10個のアミノ酸をCDRL3にもたらす。IGλJ配列によりもたらされたアミノ酸を考慮に入れる場合、CDRL3の長さの全変異は8〜12アミノ酸であり、図4の分布に近づく。したがって、本発明のこの例示的実施形態では、必要最小限Vλライブラリーは、下記:15シャーシ×5のIGλJ由来セグメント=75配列により表すことができる。ここで、15のシャーシは、Vλ1−40、Vλ1−44、Vλ1−51、Vλ2−14、Vλ3−1、Vλ3−19、Vλ3−21、Vλ4−69、Vλ6−57、Vλ5−45、Vλ7−43、Vλ1−40+、Vλ3−19+、Vλ3−21+およびVλ6−57+である。5IGλJ由来セグメントは、YVFGGGTKLTVL(IGλJ1)、VVFGGGTKLTVL(IGλJ2)、WVFGGGTKLTVL(IGλJ3)、AVFGGGTKLTVL(IGλJ)、および−VFGGGTKLTVL(前記配列のいずれかから)である。
(実施例8)
「参照」抗体とのマッチング
当分野で既知である、対象となるヒト抗体のCDRH3配列(例えば、診療所で使用される抗体)は、本発明において設計されたライブラリー中に近い対応物を有する。臨床的に関連のある抗体に由来する、一連の15のCDRH3配列を表39に提示する。

上記の個々の配列を、実施例5のライブラリーの個々のメンバーと比較し、同じ長さを有し、不一致のアミノ酸の数が最も少ないメンバーまたは複数のメンバーを記録した。結果を下記の表40に要約する。大部分の事例において、80%またはより高い同一性を有する一致するものを、例示されたCDRH3ライブラリーに見出した。理論に束縛されないが、これらの抗体の個々の特異性および結合親和性が、それらのCDRH3配列により影響される範囲まで、これらのライブラリーの1つまたは複数のメンバーは関連標的に対する測定可能な親和性を有することができる。

約10の異なるメンバーを有するライブラリーの物理的実現物が、実際に個々の1つのメンバーを含むことができるならば、対象となる抗体と同一性のパーセントが近い配列がライブラリーの物理的実現物に存在するであろう。この実施例はまた、当分野のライブラリーより優れた本発明のライブラリーの多くの違いの1つ、つまり本発明のライブラリーのメンバーは正確に列挙できることを強調する。対照的に、当分野において既知のCDRH3ライブラリーは、本明細書に記載の方法で明白に列挙できない。例えば当分野において既知の多くのライブラリー(例えば、Hoetら、Nat.Biotechnol.、2005年、23巻:344頁;Griffiths ら、EMBO J.、1994年、13巻:3245頁;Griffithsら、EMBO J.、1993年、12巻:725頁;Marksら、J.Mol.Biol.、1991年、222巻:581頁、各々参照によりその全体を組み込む)は、天然のヒトCDRH3配列のクローニングによって生じ、それらの正確な組成は特徴付けられておらず、一覧表は排除されている。
他の(例えば、ランダムまたは半ランダム/バイアス)方法(Knappikら、J Mol Biol、2000年、296巻:57頁、参照によりその全体を組み込む)により作製された合成ライブラリーは、非常に多くの独特のメンバーを有する傾向がある。したがって、所与のインプット配列との一致(例えば、80%またはそれより高く)が、このようなライブラリーの理論的提示で存在できるが、合成およびその後のこのような配列を含む理論的ライブラリーの物理的実現物の作製およびその後のこのような一致に対応する抗体の選択の可能性は、実際には非常に小さいことがある。例えばKnappikのライブラリー中の長さ19のCDRH3は、1019を超える異なる配列を有することができる。このようなライブラリーの実際の実現において、1/10程度の配列が長さ19を有することができ、最も大きい全ライブラリーは1010〜1012程度の形質転換体を有することができ、したがって所与のあらかじめ定義されたメンバーが存在する可能性は、実際は事実上ゼロである(1000万中に1つ未満)。他のライブラリー(例えば、Enzelbergerら、WO2008053275およびLadnerのUS20060257937、各々参照によりその全体を組み込む)は、本出願を通して記載の制限の少なくとも1つを受けている。
したがって、例えば、抗体CAB14について考えると、CAB14のCDRH3の配列とアミノ酸の位置がわずか1つ異なる、実施例5の設計ライブラリーのメンバーが7つある(表39に示す)。このCDRH3配列の全長は13であるので、本発明のライブラリーのこれらの7つの配列個々に関して、同一アミノ酸のパーセントは12/13すなわち約92%である。Knappikらのライブラリーにおけるこのような一致(またはもっと高い)を得る可能性は、約1.4×10−9であると予測でき、等しいアミノ酸比率(すなわち、完全にランダム)のライブラリーにおいても約5.5×10−10でさらに低い。したがって、約1/10が長さ13を有し得る、約1010の形質転換体を含むライブラリーの物理的実現物において、これらの最もよく一致する1つまたは2つの事例があり得る。しかし、CAB12のようなより長い配列を用いると、約89%またはそれ以上に一致するメンバーをKnappik ライブラリー中に有する可能性は約10−15より低く、ライブラリーの物理的実現物中の例の期待される数は本質的にゼロである。対象となる配列が実際のヒトCDRH3配列に似ているという点で、ヒト配列を模倣するように設計された実施例5のライブラリーと密接に一致する。したがって、当分野のライブラリーに対する本ライブラリーの多くの相対的有利性の1つが、CDRH3の長さが増加するにつれ、より明らかになる。
(実施例9)
DH、N2およびH3−JHセグメントをコードするオリゴヌクレオチドのスプリットプール合成
この実施例は、本発明の例示的ライブラリーを構築するために使用するオリゴヌクレオチドを合成するために使用する手順を要約する。Custom Primer Support(商標)200dT40S樹脂(GE Healthcare)を使用して、約39μmol/gの樹脂の装填を使用してオリゴヌクレオチドを合成した。カラム(直径=30μm)およびフリットはBiosearch Technologies,Inc.から購入した。30μLのカラムベッド容量を合成に使用し、各カラムに120nmolの樹脂を装填した。ジクロロメタン(DCM)およびメタノール(MeOH)の、比率400/122(v/v)の混合物を使用し、樹脂を装填した。オリゴヌクレオチドを、Dr.Oligo(登録商標)192オリゴヌクレオチド合成装置および標準的ホスホロチオエート化学を使用して合成した。
[DH]−[N2]−[H3−JH]オリゴヌクレオチドの合成のためにスプリットプール手順を、下記のように実施した:まず、ランダムに選択された10個のヌクレオチド配列(ATGCACAGTT;配列番号_)BsrDI認識部位(GCAATG)および2つの塩基「重複配列」(TG、AC、AG、CTまたはGA)を含むオリゴヌクレオチドのリーダー配列を合成した。これらのセグメントのそれぞれの目的を下記に説明する。この18個のヌクレオチド配列の合成後、DHセグメントを合成した;およそ1gの樹脂(18個のヌクレオチドセグメントがまだ接合している)を、20mLのDCM/MeOHに懸濁した。約60μLの得られたスラリー(120nmol)を、個々の278のオリゴヌクレオチド合成カラム内に撒いた。これらの278のカラムを使用して、3’から上記の18個のヌクレオチドセグメントに表18の278のDHセグメントを合成した。合成後、278のDHセグメントを下記のようにプールした:樹脂およびフリットをカラムの外に押し出し、20mLの注射筒内(プランジャーなし)に回収した。各カラムをその後0.5mLのMeOHで洗浄し、カラム壁に吸着した残留樹脂をすべて取り除いた。注射筒中の樹脂を、樹脂を保持するために多孔性の低いガラスフィルターを使用して、MeOHを用いて3回洗浄した。その後樹脂を乾燥させ秤量した。
続いて、278のDHセグメントを含む、プールした樹脂(約1.36g)を、約17mLのDCM/MeOHに懸濁し、約60μLの得られたスラリーをそれぞれ2セットの141のカラム内に撒いた。次いで、表24および25に列挙された141のN2セグメントを、二重に合成し(総カラム282)、第1ステップにおいて3’から278のDHセグメントに、合成した。その後、282のカラムからの樹脂を、上記のようにプールし、洗浄し、乾燥させた。
N2合成から得られたプールした樹脂(約1.35g)を、約17mLのDCM/MeOHに懸濁し、約60μLの得られたスラリーを、それぞれ10回合成された28のH3−JHセグメントを表す280カラムの各々の内部に撒いた。表20のH3−JHを含む28のIGHJセグメントの個々の部分(下記に、より完全に記載)を、その後10のカラムにおいて3’からN2セグメントに合成した。最終オリゴヌクレオチドを切断し、気体アンモニアに曝露することによって脱保護した(85℃、2時間、60psi)。
スプリットプール合成を使用し、例示的CDRH3ライブラリーを合成した。しかし、より長いオリゴヌクレオチドをより高い忠実性で合成できる、オリゴヌクレオチド合成における最近の進歩、およびスプリッティングを含み、プールを含まない合成手順によるライブラリーのオリゴヌクレオチドの作製を、本発明の代替の実施形態に使用できることは評価される。したがって、本明細書に記載のスプリットプール合成は、ライブラリーのオリゴヌクレオチドを得る考えられる手段の1つであるが、限定されない。本出願に記載のオリゴヌクレオチドを合成する他の考えられる手段の1つは、トリヌクレオチドの使用である。これは、フレームシフト突然変異体が減少または排除されるので、合成の忠実性の増加が期待できる。
(実施例10)
CDRH3および重鎖ライブラリーの構築
この実施例は、本発明の例示的CDRH3および重鎖ライブラリーを作製するために使用する手順を要約する。2ステップの方法を使用してCDRH3ライブラリーを作製した。第1ステップは尾部およびN1セグメントをコードする一連のベクターの組み立てを含み、第2ステップはDH、N2およびH3−JHセグメントをコードするオリゴヌクレオチドを作製するための、実施例9に要約したスプリットプール核酸合成手順の利用を含んだ。その後、化学的に合成したオリゴヌクレオチドをベクターに連結し、本明細書に記載の番号付けシステムに基づき、CDRH3残基95〜102を得た。その次に、このCDRH3ライブラリーをPCRによって増幅し、実施例1および2に記載の重鎖シャーシ変異体を含む複数のベクターに組み換えた。CDRH1およびCDRH2の変異体を、実施例1の10の重鎖シャーシをコードするオリゴヌクレオチドを鋳型として使用して、QuikChange(登録商標)Mutagenesis(Stratagene(商標))によって作製した。重鎖シャーシおよび定常領域を含むベクターを用いたCDRH3の組換えで、完全長重鎖を形成できるように、重鎖シャーシに加えて、複数のベクターは、IgG1由来の重鎖定常領域(すなわち、CH1、CH2およびCH3)を含んだ。この例示的実施形態では、完全長重鎖を作製するための組換え、および完全長重鎖の発現の双方をS.cerevisiaeにおいて実施した。
重鎖および軽鎖を含む完全長のヘテロ二量体IgGを作製するために、軽鎖タンパク質をさらに酵母細胞において発現させた。この実施形態に使用する軽鎖ライブラリーはκ軽鎖ライブラリーであり、VKCDR3は縮重オリゴヌクレオチドを使用して合成した(実施例6.2を参照されたい)。(重鎖ライブラリーをコードするオリゴヌクレオチドと比較して)軽鎖ライブラリーをコードするより、短いオリゴヌクレオチドにより、(重鎖CDR3合成のように)サブ要素からの組み立てを必要としない、オリゴヌクレオチド合成に関する標準的な手順を使用して、軽鎖CDR3オリゴヌクレオチドを新たに合成できた。1つまたは複数の軽鎖は、本発明のライブラリーから特定の重鎖クローンを発現する個々の酵母細胞において発現させることができる。1つまたは複数の軽鎖は、エピソーム性(例えばプラスミド)ベクターおよび酵母のゲノムの組み込み部位の双方から発現させることに成功した。
本発明のCDRH3ライブラリーの合成のために、個々の要素の組み立て、およびその次の例示的CDRH3ライブラリーと、シャーシおよび定常領域を含むベクターとの連結についてのさらなる詳細を下記に提供する。本発明のこの特定の例示的実施形態では、この方法に関与するステップは、(i)尾部およびN1領域をコードする424のベクターの合成;(ii)[DH]−[N2]−[H3−JH]セグメントをコードするオリゴヌクレオチドとこれらの424のベクターとの連結;(iii)これらの連結において作製されたベクター由来のCDRH3配列のPCR増幅;ならびに(iv)PCR増幅されたCDRH3ドメインの、シャーシおよび常領域を含む酵母発現ベクターへの相同組換え、を全般に特徴とすることができる。
(実施例10.1)
尾部およびN1領域をコードするベクターの合成
この実施例は、CDRH3の尾部およびN1領域をコードする424のベクターの合成を実証する。本発明のこの例示的実施形態では、尾部はG、D、Eまたは何もないことに制限され、N1領域は表24に示された59の配列に制限された。本明細書を通して記載したように、多くの他の実施形態が可能である。
この方法の第1ステップにおいて、1つの「基本ベクター」(pJM204、pUC由来クローニングベクター)を構築し、これは(i)すべての28のIGHJセグメント(SS)のC末端部分に共通である2つのアミノ酸をコードする核酸配列、および(ii)IgG1由来のCH1定常領域の一部をコードする核酸配列を含んだ。したがって、基本ベクターは、

として表すことができる配列をコードする挿入物を含み、SSは、28のIGHJセグメントのC末端の共通部分であり、CH1〜はIgG1由来のCH1定常領域の一部、つまり:ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLG(配列番号_)
である。
次に、424のさまざまなオリゴヌクレオチドを、基本ベクターの[SS]−[CH1〜]をコードする領域から上流(すなわち5’)にクローン化した。これらの424のオリゴヌクレオチドを、標準的方法によって合成し、個々に表5に列挙された17の重鎖シャーシのC末端部分+4種の例示的尾部セグメント(G/D/E/−)の1つおよび59の例示的N1セグメント(表24)の1つをコードした。したがって、これらの424オリゴヌクレオチドは、

で表すことができる複数の配列をコードし、〜FRM3は、表5の17の重鎖シャーシの1つに由来するFRM3領域のC末端部分を表し、G/D/E/−はG、D、Eまたは何もないことを表し、N1は表24に列挙された59のN1配列の1つを表す。本明細書を通して記載したように、本発明は、表5に例示したシャーシ、それらのCDRH1およびCDRH2変異体(表8)、この実施例に使用する4種の例示的尾部の選択肢または表24に提示した59のN1セグメントに限定されない。
上記の配列により表されるオリゴヌクレオチド配列を、2種の群において合成した。1つの群は、表5に列挙された17の重鎖シャーシの16に対応する領域と同一な〜FRM3領域を含み、別の群は、VH3−15の対応する領域と同一な〜FRM3領域を含む。前者の群において、DTAVYYCAR(配列番号_)をコードするオリゴヌクレオチドを〜FRM3に関して使用した。その次のPCR増幅の間に、VH5−51生殖系列配列に対応するようにVH5−51のV残基をMに改変した。(VH3−15と共通な配列を含む)後者の群において、
AISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAK(配列番号_)
の配列をコードするより、大きなオリゴヌクレオチドを、〜FRM3に関して使用した。
〜FRM3領域をコードする2つのオリゴヌクレオチドは、それぞれ4種の尾部領域(G/D/E/−)の1つおよび59のN1セグメントの1つをコードするオリゴヌクレオチドと対になり、個々の〜FRM3(すなわち、1×4×59)に関して計236の考えられる組合せまたは双方の〜FRM3配列が考えられる場合、総計472の考えられる組合せを得た。しかし、これらの組合せのみ合わせの48は重複しており、これらの配列の1つの提示だけが現在例示されたCDRH3ライブラリーに使用され、[〜FRM3]−[G/D/E/−]−[N1]の配列をコードする424の独特のオリゴヌクレオチドを得た。
[〜FRM3]−[G/D/E/−]−[N1]および[SS]−[CH1−]セグメントをコードするオリゴヌクレオチドを、上記のようにベクターにクローン化した後で、追加の配列をベクターに付加し、その後のスプリットプール合成の間に合成された[DH]−[N2]−[H3−JH]断片をコードするオリゴヌクレオチドの挿入を促進した。これらの追加の配列は、選択可能なマーカータンパク質をコードするポリヌクレオチドを、II型制限酵素に対する認識部位の両側に隣接して含む、例えば:

この例示的実施形態では、選択可能なマーカータンパク質はccdBであり、II型制限酵素認識部位は、BsrDIおよびBbsIに特異的である。E.coliの特定菌株において、ccdBタンパク質は毒性であり、その結果、遺伝子が存在する場合、これらの細菌の成長を防ぐ。
VH3−23シャーシに基づく〜FRM3領域、D尾部残基および長さゼロのN1セグメントを含む、212のベクターの1つの5’末端の例を下記に提示する:

尾部としてのD残基および長さゼロのN1セグメントを含む、他の16のシャーシの1つに基づく〜FRM3領域を含む、212のベクターの1つの例を下記に提示する。

全424のベクターを配列検証した。[DH]−[N2]−[H3−JH]断片のクローニング前後の、424のベクターの内容の略図を、図5に提示した。下記はVH3−23由来のFRM3領域を含む、424のベクターの1つに由来する例示的配列である。

(実施例10.2)
DH、N2、H3−JHセグメントをコードするオリゴヌクレオチドの、尾部およびN1セグメントを含むベクターへのクローニング
この実施例は、[D]−[N2]−[H3−JH]セグメント(スプリットプール合成を介して作製;実施例9)をコードするオリゴヌクレオチドの、実施例10.1において作製された424のベクターへのクローニングを説明する。要約すると、スプリットプール合成を介して作製された[DH]−[N2]−[H3−JH]オリゴヌクレオチドをPCRにより増幅し、二本鎖オリゴヌクレオチドを作製し、ベクター上の制限部位(すなわち、BsrDIおよびBbsI)に相補的なオーバーハングを作製する制限部位を導入し、スプリットプール合成において合成されなかったIGHJセグメントの3’部分を完了させる。増幅されたオリゴヌクレオチドをその後、制限酵素BsrDI(DHセグメントの隣で切断する)およびBbsI(JHセグメントの終わり近くで切断する)を用いて消化した。切断されたオリゴヌクレオチドを、その後精製し、既にBsrDIおよびBbsIにより消化されている424のベクターに連結した。連結後、反応物を精製し、エタノール沈殿させ、再可溶化させた。
スプリットプール合成において合成された[DH]−[N2]−[H3−JH]オリゴヌクレオチドの1つのためのこの方法を、下記に例示する。下記のオリゴヌクレオチド(配列番号_)は、スプリットプール合成の間に合成されたオリゴヌクレオチドの1つである:

最初の10個のヌクレオチド(ATGCACAGTT;配列番号:_)は、PCR増幅ステップにおいて20塩基対に増加されたランダムな配列の一部を表す、下記。配列のこの部分は、BsrDI消化の効率を上昇させ、オリゴヌクレオチドの下流精製を促進する。
ヌクレオチド11〜16(下線)は、BsrDI認識部位を表す。この部位の後に続く、2つの塩基重複配列(この実施例においてTG;太字)を、BsrDIを含む424のベクター特定部(すなわち、特定のベクターの尾部/N1領域の組成次第で)を消化することによって作製された、2個の塩基のオーバーハングに相補的であるように合成した。他のオリゴヌクレオチドは、下記に記載のような、さまざまな2塩基のオーバーハングを含む。
2塩基の重複の後に、DH遺伝子セグメント(ヌクレオチド19〜48)が続く、この実施例においては、10残基のDHセグメントYYYGSGSYYN(すなわち、表17のIGHD3−10_2;配列番号:_)をコードする30bpの配列(TATTACTATGGATCTGGTTCTTACTATAAT,配列番号:_)が続く。
DHセグメントをコードするオリゴヌクレオチドの領域が続き、この実施例においては、N2セグメントを(この場合VGG;表24)コードする9塩基の領域(GTGGGCGGA;太字;ヌクレオチド49〜57)が続く。
この例示的オリゴヌクレオチドの残りはスプリットプール合成の間に合成されたJHセグメントの一部、配列YYYYYGMDVWGQGT(表20;配列番号:_)をコードする(TATTATTACTACTATGGTATGGACGTATGGGGGCAAGGGACC;配列番号_;ヌクレオチド58〜99;下線)を表す。IGHJセグメントのバランスを、その後の下記のPCR増幅の間に付加する。
スプリットプール合成されたオリゴヌクレオチドを樹脂から切断し、脱保護した後で、それらは、ランダムに選択された追加の10個のヌクレオチド(例えば、GACGAGCTTC;配列番号_)を5’末端に、IGHJセグメントの残り+BbsI制限部位を3’末端に付加する、PDR反応の鋳型としての役目を果たした。これらの付加は、[DH]−[N2]−[JH]オリゴヌクレオチドの424のベクターへのクローニングを促進する。上記のように(実施例9)、スプリットプール合成の最後の回は、280のカラムを含む:28のH3−JHセグメントの1つをコードする個々のオリゴヌクレオチドのために10個のカラム。これらの280のカラムから得られたオリゴヌクレオチド産物を、それらのH3−JHセグメントの同一性に従って、計28のプールをプールした。その後、これらの28のプールをそれぞれ、個々に異なる2塩基の重複をコードする(前記DHセグメント;上を参照されたい)5種の順方向プライマーを使用して5つの個別のPCR反応において増幅し、H3−JHセグメントの家族性起源に対応する配列を有する1種の逆方向プライマーを使用して増幅する。これら11のプライマーの配列を下記に載せる。

増幅は、Taqポリメラーゼを使用して標準条件下で実施した。オリゴヌクレオチドを、さまざまな長さの配列の提示を維持するように8周期増幅した。鎖の溶解は、95℃において30秒、アニーリングは58℃において15秒、伸長時間は72℃において実施した。
例として上に列挙された例示的スプリットプール由来のオリゴヌクレオチドを使用して、PCR増幅を、TGプライマーおよびJH6プライマーを使用して実施し、プライマーのアニーリング部分に下線を引いた。


5’からアニーリング部分までであるTGプライマーの部分は、上記のランダムな10塩基対を含む。5’からアニーリング部分までであるJH6プライマーの部分は、JH6セグメントのバランスおよびBbsI制限部位を含む。下記のPCR産物(配列番号_)は、この反応において形成される(付加配列に下線を引いた):

その後、各反応からのPCR産物を、反応に使用した順方向プライマーに基づき、5種のプールに組合せ、BsrDI消化の後で、配列のセットを作製し、同じ2塩基のオーバーハングを得た。その後、PCR産物の5種のプールを、BsRDIおよびBbsl(100μgのPCR産物;1mLの反応液量;200UのBbsl;100UのBsrDl;2時間;37℃;NEBバッファー2)を用いて消化した。消化されたオリゴヌクレオチドを、フェノール/クロロホルムで2回抽出し、エタノール沈殿させ、短時間風乾し、300μLのTEバッファー中に4℃において一晩放置することによって再可溶化した。
その後、前項に記載の424のベクターを個々にBsrDIおよびBbsIを用いて消化し、各ベクターにより、PCR産物の5種のプールの1つに含まれるオーバーハングの1つに相補的な2塩基のオーバーハングを得た。したがって、制限消化されたPCR産物の5種のプールの1つを、それらの適合末端に応じて、計424の連結に関して424のベクターそれぞれに連結する。
(実施例10.3)
424のベクター由来のCDRH3のPCR増幅
この実施例は、上記の424のベクター由来のCDRH3領域のPCR増幅について説明する。上に説明したように、424のベクターは、2個のセットを表し、1つはCAKで終わるFRM3を含むVH3−23ファミリー(212ベクター)および1つはCARで終わるFRM3を含む他の16のシャーシ(212ベクター)を表す。VH3−23に基づくベクター中のCDRH3を、プラスミドのCH1領域の一部を認識する逆方向プライマー(EK137;表41を参照されたい)およびVH3−23特異的プライマーのEK135(表41を参照されたい)を使用して増幅した。CARで終わるFRM3を含む212のベクターに由来するCDRH3の増幅を、同じ逆方向プライマー(EK137)および表41に示すFRM3特異的プライマーのそれぞれ(EK139、EK140、EK141、EK143およびEK144)を使用して実施した。したがって、212のVH3−23の増幅および212×5のFRM3のPCR反応、計1,272の反応を実施した。追加のPCR反応により、212のVH3−23に基づくベクター由来のCDRH3を、EK133順方向プライマーを使用して増幅し、アンプリコンが他の5つのVH3ファミリーメンバーのシャーシに、これらのシャーシの最後の3個のアミノ酸を、元のCAR(VH3−23)の代わりにCAKにして、クローンできるようした。各反応に使用したプライマーを、表41に示す。

(実施例10.4)
PCR増幅されたCDRH3領域の重鎖シャーシへの相同組換え
増幅後、反応産物を、それらが最終的にクローン化されるであろう個々のVHシャーシに従ってプールした。表42にこれらのプールを列挙し、最後の2列に各プール中のCDRH3配列を得るために使用したPCRプライマーを載せた。

増幅されたCDRH3領域を、上に要約した方法に従ってプールした後、重鎖シャーシ発現ベクターを、それらの起源および切断部に従ってプールし、増幅されたCDRH3との相同組換えのための「ギャップ」を作製した。図6はCDRH3との組換え前の重鎖ベクターの構造略図を示す。本発明のこの例示的実施形態では、重鎖シャーシおよびIgG1の定常領域をコードするがCDRH3はコードしない、計152のベクターがあった。これらの152のベクターは、17の個別の可変重鎖遺伝子ファミリー(表5;実施例1および2)を表す。ファミリーの15は、表5に記載の重鎖シャーシ配列および表8に記載のCDRH1/H2変異体(すなわち150のベクター)によって表された。VH3−30は、VH3−33とアミノ酸が1個違い、したがってVH3−30は、変異体のVH3−33のプールに含めた。4−34VHファミリーメンバーを、他のすべてと分け、この例示的実施形態では、その変異体は本ライブラリーに全く含めなかった。したがって、17の重鎖シャーシを表す計16のプールを、152のベクターから作製した。
このベクターのプールを、可変ドメインのFRM3の末端と、CH1開始点の間に位置するベクターの2つの部位において切断する制限酵素SfiIで消化した。

その後、ギャップベクターのプールを、上記のように作製された適切な(すなわち対合)CDRH3アンプリコンのプールと、挿入物対ベクターの比が50:1で混合した。その後、混合物を、既にプラスミドまたはVK軽鎖ライブラリー(下記)を含む組み込み遺伝子を含むエレクトロコンピテント酵母(S.cerevisiae)に形質転換した。ライブラリーの多様性の程度を、エレクトロポレートした細胞の希釈液を選択可能な寒天プレート上に播種することによって確定した。本発明のこの例示された実施形態では、寒天はトリプトファンを欠いており、酵母は内因的にトリプトファンを合成する能力を欠いていた。この欠損を、重鎖シャーシプラスミド上にTRPマーカーを包括することによって、このプラスミドを受け取り、それをCDRH3挿入物と組み換える任意の酵母が成長するように是正した。その後、エレクトロポレートされた細胞は、トリプトファンを欠いた液体培地中でおよそ100倍増殖した。ライブラリーのアリコートを、50%のグリセロール中で凍結し、−80℃で保存した。このステージで得られた各形質転換体は、完全IgG分子を発現できるクローンを表す。CDRH3を重鎖ベクターに組み込んだ略図、付随する配列を図5に示す。
その後、表43に表したように、重鎖ファミリーメンバーの適切な提示に基づいて、重鎖ライブラリーのプールを作製した。

(実施例10.5):VH3−23におけるK94Rの突然変異およびVH3−33、VH3−30、VH3−7およびVH3−48におけるR94Kの突然変異
この実施例は、VH3−23、VH3−33、VH3−30、VH3−7およびVH3−48における94位の突然変異について説明する。VH3−23において、この位置のアミノ酸をKからRに突然変異させた。VH3−33、VH3−30、VH3−7およびVH3−48において、このアミノ酸をRからKに突然変異させた。VH3−32において、この位置をKからRに突然変異させた。これらの突然変異を引き起こす目的は、ライブラリーにおけるCDRH3提示の多様性を促進することである。例えば、天然に存在するVH3−23配列において、約90%が94位にKを有するが、一方約10%はRを有する。これらの変化を引き起こすことによって、CDRH3提示の多様性が増加し、ライブラリーの全多様性もまた増加する。
増幅は、424のベクターを鋳型として使用して実施した。K94Rの突然変異に関しては、配列DTAVYYCAK(VH3−23)を含むベクターを、KをRに変えるPCRプライマーを用いて増幅させ、VH3−48、VH3−33、VH−30およびVH3−7との相同組換えのために、5’尾部に付加した。3−48中の「T」塩基は、コードされたアミノ酸を変化させず、したがってT::Cが不一致な同じプライマーもまた、3−48シャーシへの相同組換えが可能である。
さらに、DTAVYYCAR配列を含む424のベクターからの増幅産物(上記のように作製した)は、VH3−23(CAR)ベクターに相同組換えでき、このフレームワーク内でRをKに変化させ、したがってこのシャーシにおいてCDRH3の提示の多様性をさらに増加させる。

(実施例11)
VKライブラリーの構築
この実施例は、本発明のVKライブラリーの構築について説明する。本明細書に記載の例示的VKライブラリーは、実施例6.2に記載の約10の複雑性のVKCDR3ライブラリーに対応する。実施例6に記載のように、本出願を通して、他のVKライブラリーも本発明の範囲内であり、Vλライブラリーもまた同様である。
重鎖ベクターのように、VKCDR3を含まないが、代わりにVKCDR3の位置に2つのSfiI制限部位を含む10のVKシャーシを合成した(表11)。κ定常領域が、SfiI制限部位の後に続いた。図8は、CDRL3の組換え前の軽鎖ベクターとの構造略図である。
その後、実施例6.2に記載のように、縮重オリゴヌクレオチド(表33)を使用して、10のVKCDRオリゴヌクレオチドライブラリーを合成した。その後、このオリゴヌクレオチドを個別のプールとしてPCR増幅し、それらを二本鎖にし、VKシャーシおよび定常領域配列を含む(SfiIによる)ギャップベクターとの効率的な相同組換えに必要な、追加のヌクレオチドを付加した。本発明の実施形態におけるVKCDR3のプールは、PCR後に、1:8:1の比率で混合された、長さ8、9および10のアミノ酸を提示した。その後プールを、上に説明したCDRH3領域に関して記載のように、それぞれのSfiIギャップVKシャーシに相同組換えを介してクローン化した。軽鎖ベクターに組み込んだCDRL3および付随する配列の略図を図9に載せた。
その後、B細胞の循環プール中に見出されるVKファミリーメンバーの適切な提示に基づいて、κ軽鎖ライブラリーのプールを作製した。使用した10のκ可変領域および最終ライブラリーのプールにおける相対頻度を表44に示す。

(実施例12)
例示的ライブラリーの特徴付け
この実施例は、本明細書に記載の方法に従って構築された、本発明の例示的ライブラリーの特徴を示す。
(実施例12.1)
重鎖の特徴付け
スプリットプール合成の産物を特徴付けするために、[尾部]−[N1]−[DH]−[N2]−[H3−JH]産物を含む424のベクターの10をランダムに選択し、E.coliに形質転換した。スプリットプール産物は、約1.1×10(すなわち、278×141×28)の理論的多様性を有した。96のコロニーを形質転換より選択し、順方向および逆方向配列を、各クローンに関して作製した。96の配列決定反応のうち、CDRH3領域が同定できる90の配列を得、これらの配列の約70%が、ライブラリーの設計配列に一致した。(設計に基づく)理論的分布と比較した、10のベクターに由来する、配列決定されたCDRH3セグメントの長さの分布を、図10に載せた。10のベクターから得られたDH、N2およびH3−JHセグメントの個別の長さの分布を、図11〜13に示す。
ベクターの一致する設計中に含まれたライブラリーのCDRH3要素の長さの分布を検証したら、実施例10.4に記載の方法に従って形質転換された酵母におけるCDRH3ドメインおよび重鎖ファミリーの提示を、特徴付けした。500を超えるシングルパス配列を得た。これらのうち、重鎖シャーシを同定するための531の十分な配列情報を得、CDRH3の特徴付けのための291の十分な配列情報を得た。これらのCDRH3ドメインを、本明細書に記載の相同組換え方法に従って、重鎖シャーシおよび定常領域に組み込んだ。理論的な長さの分布と比較した、291の配列に由来するCDRH3ドメインの長さの分布を図14に示す。理論的長さの平均は、14.4±4アミノ酸であり、一方、観察された長さの平均は14.3±3アミノ酸であった。理論的な長さの分布と比較した、CDRH3の各部分の観察された長さを、図15〜18に提示する。図19は、291の配列において同定されたJHセグメントの家族性起源をあらわし、図20は、ライブラリーのシャーシの16の提示を示す。VH3−15シャーシは、これらの配列の中に提示されなかった。これを、後で、CDRH3の多様性があるVH3−15シャーシを含む酵母形質転換体を導入することによって、所望の組成のライブラリーに補正した。
(実施例12.2)
軽鎖の特徴付け
実施例10.4に記載の方法を介した酵母の形質転換の後で、実施例6.2に記載のVKCDR3ライブラリー由来のCDRL3要素の長さの分布を確定した。ライブラリーの86の配列に由来するCDRL3の長さと、ヒト配列および設計された配列との比較を、図21に載せる。図22は、ライブラリーより選択された86の配列の中から、軽鎖シャーシの提示を示す。CDRL3配列の約91%が設計と正確に一致し、約9%はアミノ酸が1個異なった。
(実施例13)
設計されたCDRH3ライブラリーの組成の特徴付け
この実施例は、例示的ライブラリーのCDRH3ドメインの組成についてのデータを提示し、当分野の他のライブラリーと比較する。より具体的には、この実施例は、ライブラリーのCDRH3ドメインに出現する400の考えられるアミノ酸対(20アミノ酸×20アミノ酸)の出現率の分析を提示する。CDRH3中のi残基の最も近い隣接アミノ酸対(i−i+1;IP1と指定)、次に最も近い隣接アミノ酸対(i−i+2;IP2と指定)および次の次に近い隣接アミノ酸対(i−i+3;IP3と指定)を調べることによって、これらの対の保有を計算する。当分野で既知のライブラリー(例えば、Knappikら、J.Mol.Biol.、2000年、296巻:57頁;Sidhu ら、J.Mol.Biol.、2004年、338巻:299頁;およびLeeら、J.Mol.Biol.2004年、340巻:1073頁、個々をその全体を参照により組み込む)は、CDRH3の中心にわたる同じ組成を維持しながらCDRH3内の個別の位置における20アミノ酸の出現が考えられただけであり、対の出現は考えられていない。実際、Sidhuら(J.Mol.Biol.、2004年、338巻:299頁、その全体を参照により組み込む)によれば、「CDR−H3において、特定の残基型に対していくらかのバイアスがあるが、20種すべての天然アミノ酸残基が有意な範囲で出現し、ループの中心位置内に位置特異的バイアスはほとんどなかった」。したがって、本発明は、驚いたことに、上に列挙したアミノ酸対の出現を考えた場合、位置特異的バイアスはCDRH3ループの中心位置には存在しないという初めての認識を表す。この実施例は、本明細書に記載のライブラリーがヒト配列に認められるように、これらの対の出現を、当分野の他のライブラリーと比較してより忠実に再現することを示す。したがって、本明細書に記載のライブラリーの組成は、当分野の他のライブラリーより、より「ヒト」であると考えることができる。
CDRH3ドメインの対の組成を調べるために、95位から始まるCDRH3の部分を選択した。KnappikらおよびLeeらの提示したデータと比較する目的で、分析した各CDRH3の最後の5残基は無視した。したがって、この分析の目的のために、対のi−i+X(X=1〜3)の両方のメンバーは95位から始まりCDRH3のC末端から6番目の残基で終わる(6番目を含む)領域に収まらなくてはならない。分析した部分を、「中心ループ」と呼ぶ(定義を参照)。
本発明の代表的ライブラリーにおける対の分布を評価するために、サンプリングの手法を使用した。ランダムに、424の尾部の1つ+N1セグメント、278のDHセグメントの1つ、141のN2セグメントの1つおよび28のJHセグメントの1つ(後者はKabatのCDRH3の95〜102だけを含むように切断した)を選択することによって、多くの配列を作製した。この方法を、10,000配列のサンプルを作製するために10,000回繰り返した。乱数発生のために異なる種を選択することによって、別の10,000配列の独立したサンプルもまた作製し、対の分布の結果を観察しほぼ同じであった。本明細書に提示した計算のために、50,000配列の1/3またはそれ以上のサンプルを使用した。同様の研究方法を、代替のライブラリーの実施形態(N1−141)に使用し、そのために第1のセグメントを1068の尾部+N1セグメント(2×4×141すなわち1128の考えられる組合せから重複する配列を除去した後に得られた)より選択した。
Knappikらの対の組成はKnappikらの図7a(p.71)に提示したパーセント出現率に基づいて確定した。関連データを、下記の表45に再現する。

Leeらの対の組成を、Leeらの表5に表されたライブラリーに基づいて確定し、本発明およびKnappikらから分析されたそれらのCDRH3領域に対応する位置は、Leeらの「XYZ」コドンから構成される。LeeらのXYZコドンは下記の組成を有する縮重コドンである。
位置1 (X):Aが19%、Cが17%、Gが38%およびTが26%;
位置2 (Y):Aが34%、Cが18%、Gが31%およびTが17%;ならびに
位置3 (Z):Gが24%およびTが76%。
終始コドン(これらは機能的に発現されたヒトCDRH3配列に出現しない)をコードするコドンのおよそ2%を排除し、パーセントを100%に再標準化する場合、下記のアミノ酸提示が、LeeらのXYZコドンの組成から推測できる(表46)。

IP1、IP2およびIP3の配置のそれぞれにおける400のアミノ酸対の個々の出現率は、個別のアミノ酸組成を掛け合わせることによって、KnappikらおよびLeeらに関して計算できる。例えば、Knappikらに関しては、ライブラリー中のYS対の出現率は、15%×4.1%を計算して6.1%となり、SY対の出現率も同じであることに留意されたい。同様に、LeeらのXYZコドンに基づくライブラリーに関して、YS対の出現率は、6.86%(Y)×9.35%(S)で6.4%となり、これもまたSYと同じである。
ヒトCDRH3配列に関して、Kabatの定義における最後の5個のアミノ酸を無視して計算する。ヒトCDRH3のC末端の5個のアミノ酸を無視することによって、これらの配列を、XYZコドンに基づくLeeらの配列と比較できる。Leeらはさらに、「NNK」および「NNS」のコドンを含むライブラリーを提示しているが、これらのライブラリーの対組成は、ヒトCDRH3の対組成とさらに離れる。XYZコドンは、Leeらによって設計され、CDRH3において観察された個々のアミノ酸型のバイアスを、ある程度再現していた。
上記の方法を使用し、サンプルの配列を作製した後で、同じ方法を本発明のライブラリーに使用した。これらの計算をライブラリーのすべての配列に実施することが可能であるが、10,000〜20,000のメンバーの独立したランダムなサンプルは識別不可能な結果となった。したがって、本明細書において報告された数は、50,000メンバーのサンプルから作製された。
IP1、IP2およびIP3に関して、個々に3つの表を作成した(表47、48および49)。400対のうちより選択して、最も頻繁に出現する20を表に含む。約1,000のヒト配列(Leeら、2006年)のサンプルを「免疫前」として表し、約2,500配列(Jacksonら、2007年)のサンプルを「Humab」として表し、すべての免疫前セットを排除する、後者のより親和性の成熟したサブセットを「成熟」として表した。当分野の合成ライブラリーを、HuCAL(Knappikら、2000年)およびXYZ(Leeら、2004年)として表した。本発明の2つの代表的ライブラリーが含まれ、LUA−59は59のN1セグメント、278のDHセグメント、141のN2セグメントおよび28のH3−JHセグメントを含む(上記の実施例を参照されたい)。LUA−141は、141のN1セグメント、278のDHセグメント、141のN2セグメントおよび28のH3−JHセグメントを含む(上記の実施例を参照されたい)。N1および尾部配列の組合せによって作製された重複分をそれぞれのライブラリーのデータセットから除去した。特定の実施形態では、本発明は、400のアミノ酸対のいずれか、特に表47〜49のアミノ酸対のパーセント出現率に基づいて定義することができる。特定の実施形態では、本発明は、これらの対の少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれ以上に基づいて定義することができる。本発明の特定の実施形態では、アミノ酸の特定の対のパーセント出現率は、下記の表において、「LUA−」(下限)および「LUA+」(上限)で示される範囲内に収めることができる。本発明のいくつかの実施形態では、任意のアミノ酸対のパーセント出現率の下限は、約0.1、0.25、0.5、0.75、1、1.25、1.5、1.75、2、2.25、2.5、2.75、3、3.25、3.5、3.75、4、4.25、4.5、4.75、および5であり得る。本発明のいくつかの実施形態では、任意のアミノ酸対のパーセント出現率の上限は、約0.1、0.25、0.5、0.75、1、1.25、1.5、1.75、2、2.25、2.5、2.75、3、3.25、3.5、3.75、4、4.25、4.5、4.75、5、5.25、5.5、5.75、6、6.25、6.5、6.75、7、7.25、7.5、7.75および8であり得る。本発明によれば、列挙された任意の下限は、列挙された任意の上限と合わせ、範囲を確立することができ、逆もまた同様である。

この実施例に提供された分析により、本発明のライブラリーの組成が、当分野において既知の他のライブラリーよりヒト配列の組成を密接に模倣していることが実証される。当分野の合成ライブラリーは、対のパーセントのレベルで、実際のヒトCDRH3配列の「中心ループ」部分の組成を本質的に再現しない。本発明のライブラリーは、実際のヒトCDRH3配列において観察される、密接に再現されるより複雑な対組成を有する。実際のヒトCDRH3配列の標的セットと対比したこの再現の正確度は、例えば、CDRH3ライブラリーの設計に使用するセグメントの組成を変更することによって最適化され得る。さらに、ヒト配列に認められる対の組成の保有を正確に模倣するライブラリーを、コンピュータ的に設計するこれらのメトリックの利用もまた可能である。
(実施例14)
例示的ライブラリーの情報内容
特定のライブラリーまたは配列コレクションが、他より本質的に複雑または「ランダムさが少ない」であろうという観察を定量化する1つの方法は、情報理論(Shannon、Bell Sys.Tech.J.、1984年、27巻:379頁;Martin ら、Bioinformatics、2005年、21巻:4116頁;Weissら、J.Theor.Biol.、2000年、206巻:379頁、各々を参照によりその全体を組み込む)を用いることである。例えば、メトリックは、固定したアミノ酸を有する位置が、20種すべてのアミノ酸が同じ確率で出現し得る位置より、ランダム差が少ないという事実の定量化を考案できる。中間状態は、順にこのようなメトリックの中間値をもたらすはずである。情報理論によれば、このメトリック は、式:

で表すことができる。
ここで、fはiの出現率の標準化した頻度であり、iはアミノ酸型であってよい(この場合Nは20に等しい)。すべてのfが1を除けば0である場合、Iの値はゼロである。任意の他の場合においてIの値はより小さい、すなわち負であり、すべてのf値が同じでNに等しい場合、最も小さい値となる。アミノ酸の場合Nは20であり、得られたIの値は−4.322であろう。Iは2を底とする対数により定義されているので、Iの単位はビット(bit)である。
1つの位置レベルでHuCALおよびXYZのライブラリーに関するI値は、それぞれ表45および46から導くことができ、−4.08および−4.06に等しい。本発明の限定されない例示的ライブラリー中の、対応する1個の残基の出現頻度および上に定義した「中心ループ」内に取り込まれた、既に導入された一連のヒト配列のセットを表50に載せる。

上記の式により計算された、これらのセットの情報内容は、免疫前、ヒト、成熟、LUA−59およびLUA−141のセットに関してそれぞれ−3.88、−3.93、−3.96、−3.56および−3.75であった。頻度が完全な一様からより大きくそれているので(20種それぞれに関して5%)、その結果、数はより大きいまたはより小さい負の値である傾向がある。
同一の研究方法を使用して、対の組成または頻度を、それぞれの対に関する頻度の、上記の式の20×20すなわち400にわたる値の和を計算することによって分析できる。2つのシングルトン頻度のセットの単純な産物で構成される任意の対の頻度は、個々のシングルトンIの値の和に等しいことを示すことができる。2つのシングルトン頻度のセットが同じまたはほぼ同じである場合、これはI(独立した対)=2×I(1個)を意味する。したがって、対の頻度それ自体の構造によって獲得した情報量を測定するために、対頻度の一般的なセットに関する相互情報量、MIの特例を、MI(対)=I(対)−2×I(1個)として定義できる(Martinら、2005年の標準的定義と比較されたい、例えば、それらの表記においてI(X)=−H(X)であることを考えた後で)。このような構造が全くない場合、MIの値は単純にゼロである。
上に述べた対の分布から計算したMIの値(400の値の全セットにわたる)を表51に示す。

ヒト配列はさらなる体細胞変異を受けるので、ヒト配列のセット内でMI値が減少し、多くの独立した配列にわたる方法は基本的にランダムであることは重要である。対はどんどん離れていくのでMI値が減少することもまた注目に値し、これは、ヒト配列および本発明の例示的ライブラリーの両方のセットに関する事例である。双方の場合において、対の2個のアミノ酸はさらに離れていくので、それらが実際のセグメント(V、D、J+V−DまたはD−J挿入物)をまたぐ確率は増加し、それらの対の頻度はシングルトン頻度の単純な産物に近づいている。
表52は、本出願に引用した特定のイムノグロブリン遺伝子セグメントの配列情報を含む。これらの配列は非限定的であり、対立遺伝子多型が存在し、本発明によって包含されることが認識される。したがって、本明細書に提示の方法を、これらの配列の突然変異体に利用できる。


(実施例15)
ライブラリーから抗体の選択
この実施例において、本発明のライブラリー(実施例9〜11および他の実施例においての説明)からの抗体の選択を実証する。これらの選択は、本発明のライブラリーが、抗原に結合できる抗体タンパク質をコードすることを実証する。1つの選択において、タンパク質抗原の「抗原X」、に特異的な抗体を、本明細書に記載の方法を使用してライブラリーから単離した。図24は、抗原Xに特異的に結合する6種のクローンの結合曲線およびそれらのKd値を示す。この選択を、プラスミドベクター上の重鎖を含む酵母および酵母のゲノムに組み込まれたκ軽鎖ライブラリーを使用して実施した。
別の選択において、モデル抗原である鶏卵白のリゾチーム(HEL)に特異的な抗体を単離した。図25は、HELに特異的に結合する10種のクローンに関する結合曲線を示し、それぞれのKdは>500nMであった。この選択を、プラスミドベクター上に重鎖を含む酵母およびプラスミドベクター上のκ軽鎖ライブラリーを使用して実施した。重鎖および軽鎖の配列をライブラリーから単離されたクローンに関して確定し、複数のクローンが存在することを実証した。4種のクローン由来のFRM3(下線付き)の一部および全CDRH3を下記(表53および表54、後者は本発明の番号付けシステムを使用)に示す。


単離した重鎖シャーシは、VH3−23.0(EK080902およびCR080363)、VH3−23.6(CR080362)およびVH3−23.4(CR080372)であった。これらの変異体は、実施例2の表8において定義される。4種の重鎖CDRH3配列はそれぞれ、例示されたライブラリーから設計された配列に一致した。クローン(ED080902)の1つのCDRL3配列をさらに確定し、下線を付けた周囲のFRM領域とともに下記に示す。

この場合において、CDRL3は、表33の49行の縮重VK1−39オリゴヌクレオチド配列の設計と一致した。この表の関連部分を、単離されたCDRL3の個々の位置を占めるアミノ酸を太字にして、下線を付けて下記に再現する。

同等物
当業者は、本明細書に記載の特定の実施形態および方法に対する多くの同等物を、これ以上通常の実験をせずに認識するまたは解明できるであろう。このような同等物は、下記の特許請求の範囲の範囲によって包含されるよう意図されている。

Claims (12)

  1. 合成ポリヌクレオチドのライブラリーを調製する方法であって、該ポリヌクレオチドは、複数の独特の抗体VΚアミノ酸配列をコードし、該方法は、
    i.a)IGKV1-05、IGKV1-06、IGKV1-08、IGKV1-09、IGKV1-12、IGKV1-13、IGKV1-16、IGKV1-17、IGKV1-27、IGKV1-33、IGKV1-37、IGKV1-39、IGKV1D-16、IGKV1D-17、IGKV1D-43、IGKV1D-8、IGKV2-24、IGKV2-28、IGKV2-29、IGKV2-30、IGKV2-40、IGKV2D-26、IGKV2D-29、IGKV2D-30、IGKV3-11、IGKV3-15、IGKV3-20、IGKV3D-07、IGKV3D-11、IGKV3D-20、IGKV4-1、IGKV5-2、IGKV6-21、およびIGKV6D-41によってコードされるKabatアミノ酸1〜Kabatアミノ酸88、またはそれらのいずれかと少なくとも80%の同一性のある配列からなる群より選択される、1つまたは複数のVΚシャーシアミノ酸配列、
    b)L3−VKが、IGKV遺伝子セグメントによってコードされるVKCDR3アミノ酸配列の部分である、1つまたは複数のL3−VKアミノ酸配列、
    c)Xが任意のアミノ酸残基である、1つまたは複数のX残基、および
    d)JK が、IGKJ1、IGKJ2、IGKJ3、IGKJ4、およびIGKJ5によってコードされるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列であり、各配列の最初のアミノ酸残基が存在しない、1つまたは複数のJK アミノ酸配列
    をコードするポリヌクレオチド配列を提供するステップと、
    ii.前記ポリヌクレオチド配列を集めて、下記の式:
    [VK_シャーシ]−[L3−VK]−[X]−[JK
    によって表される複数のヒトVK配列をコードする合成ポリヌクレオチドのライブラリーを作製するステップと
    を含む、方法。
  2. 前記ポリヌクレオチド配列の1つまたは複数が、スプリットプール合成を介して合成される、請求項1に記載の方法。
  3. 相同組換えを促進する5’ポリヌクレオチド配列および3’ポリヌクレオチド配列を提供するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  4. 前記集められた合成ポリヌクレオチドを、軽鎖シャーシおよび軽鎖定常領域を含むベクターに組み換えて、完全長軽鎖を形成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  5. 前記組み換えるステップが酵母中で行われる、請求項4に記載の方法。
  6. 前記酵母がS.cerevisiaeである、請求項5に記載の方法。
  7. 合成ポリヌクレオチドのライブラリーを調製する方法であって、該ポリヌクレオチドは、複数の独特の抗体Vλアミノ酸配列をコードし、該方法は、
    i.a)IGλV1-36、IGλV1-40、IGλV1-44、IGλV1-47、IGλV1-51、IGλV10-54、IGλV2-11、IGλV2-14、IGλV2-18、IGλV2-23、IGλV2-8、IGλV3-1、IGλV3-10、IGλV3-12、IGλV3-16、IGλV3-19、IGλV3-21、IGλV3-25、IGλV3-27、IGλV3-9、IGλV4-3、IGλV4-60、IGλV4-69、IGλV5-39、IGλV5-45、IGλV6-57、IGλV7-43、IGλV7-46、IGλV8-61、IGλV9-49、およびIGλV10-54によってコードされるKabat残基1〜Kabat残基88、またはそれらのいずれかと少なくとも80%の同一性のある配列からなる群より選択される、1つまたは複数のVλシャーシアミノ酸配列、
    (b)L3−Vλが、IGλV遺伝子セグメントによってコードされるVλCDR3アミノ酸配列の部分である、1つまたは複数のL3−Vλ配列、
    (c)Jλが、IGλJ1−01、IGλJ2−01、IGλJ3−01、IGλJ3−02、IGλJ6−01、IGλJ7−01、およびIGλJ7−02によってコードされるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列であり、各配列の最初のアミノ酸残基が存在していてもよく、または存在していなくてもよい、1つまたは複数のJλ配列
    をコードするポリヌクレオチド配列を提供するステップと、
    (ii)前記ポリヌクレオチド配列を集めて、下記の式:
    [Vλ_シャーシ]−[L3−Vλ]−[Jλ]
    によって表される複数のヒトVλアミノ酸配列をコードする合成ポリヌクレオチドのライブラリーを作製するステップと
    を含む、方法。
  8. 前記ポリヌクレオチド配列の1つまたは複数が、スプリットプール合成を介して合成される、請求項7に記載の方法。
  9. 相同組換えを促進する5’ポリヌクレオチド配列および3’ポリヌクレオチド配列を提供するステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
  10. 前記集められた合成ポリヌクレオチドを、軽鎖シャーシおよび軽鎖定常領域を含むベクターに組み換えて、完全長軽鎖を形成するステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
  11. 前記組み換えるステップが酵母中で行われる、請求項10に記載の方法。
  12. 前記酵母がS.cerevisiaeである、請求項11に記載の方法。
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