JP2023531678A - 加齢筋肉、萎縮性筋肉、または異栄養性筋肉の処置のためのtsp-1阻害物質 - Google Patents

加齢筋肉、萎縮性筋肉、または異栄養性筋肉の処置のためのtsp-1阻害物質 Download PDF

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Abstract

本開示は、筋肉量、強度、機能、維持、および再生を改善するための、老齢骨格筋における治療標的としてのトロンボスポンジン-1の阻害に基づく組成物および方法を提供する。TIFF2023531678000008.tif76128

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2020年6月22日に出願された米国仮特許出願第63/042,379号に対する優先権を主張し、前記出願は、参照により全体が本明細書に組み入れられる。
連邦政府により支援された研究および開発の下で為された発明に対する権利に関する声明
本発明は、米国国立衛生研究所により授与された助成金番号NS089533およびAG020961の下での政府の支援と共に為された。政府は、本発明においてある特定の権利を有する。
背景
骨格筋は身体の質量の40%を構成する。50歳以降、ヒトは10年当たり筋肉量の平均15%を喪失し、最終的にサルコペニアに特徴的な筋肉強度の激しい喪失となる1。加齢に伴う強度のこの喪失は、高齢者において自律性の減少に繋がり、不能性状態、例えば骨粗しょう症、心不全、および認知低下のリスク因子と関連付けられる2~4。現行でサルコペニアに対する療法はなく、経済的負担は大きく、米国単独で年間ヘルスケアコストは約190億ドルとなっている5、6。サルコペニアは、機能的な骨格筋幹細胞(MuSC)の喪失と関連付けられることが公知である。MuSCは、サテライト細胞としても公知であり、筋線維に並置されたニッチ中の骨格筋組織内に存在し、生涯を通じて骨格筋の維持および再生のために要求される7~14。筋肉微環境中の細胞外因性調節因子、例えばフィブロネクチン、wnt、線維芽細胞増殖因子-2(FGF-2)、およびアペリンにおける変化は、加齢と共にMuSC機能を減少させる15~19。追加的に、加齢マウスから単離されたMuSCは、異常なp38 MAPK、JAK/STATおよびTGF-βシグナル伝達に起因して内因性の欠陥を呈し、これは機能的なMuSCの割合における低下に繋がって、筋肉再生を妨げる20~24。しかしながら、機能不全のMuSCを区別し、将来的に単離するためのマーカーの非存在は、機構的な洞察および療法の開発を制限している。
よって、機能不全のMuSCの同定のためならびにそのような細胞の機能を増強し、それにより加齢筋肉において筋肉再生および機能を増加させるための新規の方法および組成物に対する必要性が現在存在する。本開示は、この必要性を満足し、他の利点もまた提供する。
概要
本開示は、老齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋においてMuSC機能を増強するための方法および組成物を提供する。方法は、MuSC表面上のCD47とのトロンボスポンジン-1の相互作用の阻害、および/またはトロンボスポンジンによるCD47の活性化を伴う。方法は、老齢筋肉、萎縮性筋肉、または異栄養性筋肉と関連付けられる多数の疾患および状態の処置のために有用である。
よって、1つの局面において、本開示は、対象において加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋における筋肉量、強度、および/または再生を増加させる方法であって、加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋において1つもしくは複数の筋肉幹細胞(MuSC)の表面上のCD47へのトロンボスポンジン-1の結合を阻害するためならびに/または1つもしくは複数のMuSCにおけるトロンボスポンジン-1レベルを低減させるために十分な量のトロンボスポンジン-1阻害物質を、加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋に投与し、それにより、加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋における筋肉量、強度、および/または再生を増加させる工程を含む、方法を提供する。
一部の態様において、対象はサルコペニアを有する。一部の態様において、対象は加齢の1つまたは複数のバイオマーカーを有する。一部の態様において、加齢の1つまたは複数のバイオマーカーは、若齢骨格筋において存在するレベルと比べた筋肉量および/または強度の減少、若齢骨格筋において存在するレベルと比べたMuSC増殖または活性化の減少、若齢骨格筋において存在するレベルと比べたMuSCにおけるCD47表面発現の増加、ならびに若齢骨格筋において存在するレベルと比べたMuSCにおけるPax7のレベルの減少からなる群より選択される。
一部の態様において、対象は、筋萎縮症と関連付けられる状態または疾患を有する。一部のそのような態様において、状態または疾患は、脊髄性筋萎縮症、糖尿病、フレイル、サルコペニック肥満症、ニューロパチー、もしくは悪液質であるか、または対象は、不動にもしくは筋肉廃用に起因する筋萎縮症を有する。一部の態様において、対象は筋ジストロフィーを有する。一部のそのような態様において、筋ジストロフィーは、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)、ベッカー型筋ジストロフィー、先天性筋ジストロフィー、遠位型筋ジストロフィー、エメリー-ドレイフス筋ジストロフィー、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー、肢帯筋ジストロフィー、筋緊張性筋ジストロフィー(MDD)、および眼咽頭筋ジストロフィーからなる群より選択される。
一部の態様において、加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋は傷害を受けている。一部の態様において、対象は、手術を受けようとしているか、手術を受けているか、または手術を受けたことがある。一部の態様において、加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋は無傷である。
一部の態様において、方法は、トロンボスポンジン-1阻害物質の投与の前の加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋におけるレベルと比べた、筋肉量および/または再生の増加を結果としてもたらす。一部の態様において、方法は、トロンボスポンジン-1阻害物質の投与の前の加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋におけるレベルと比べた、少なくとも10%の、筋肉量および/または再生の増加を結果としてもたらす。一部の態様において、方法は、若齢骨格筋および/または非異栄養性骨格筋において存在するレベルと実質的に同様のレベルまでの、加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋における筋肉量、強度、および/または再生の増加を結果としてもたらす。
一部の態様において、投与は、加齢骨格筋におけるMuSCの増殖および/または活性の増加を結果としてもたらす。一部の態様において、投与は、トロンボスポンジン-1阻害物質の投与の前の加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋におけるレベルと比べた、少なくとも10%の、加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋におけるMuSCの増殖および/または活性の増加を結果としてもたらす。一部の態様において、投与は、若齢骨格筋および/または非異栄養性骨格筋において存在するレベルと実質的に同様のレベルまでの、加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋におけるMuSCの増殖および/または活性の増加を結果としてもたらす。
一部の態様において、投与は、加齢骨格筋中、萎縮性骨格筋中、または異栄養性骨格筋中のMuSCにおけるCD47表面レベルの減少および/またはPax7発現の増加を結果としてもたらす。一部の態様において、投与は、トロンボスポンジン-1阻害物質の投与の前の加齢骨格筋中、萎縮性骨格筋中、または異栄養性骨格筋中のレベルと比べた、加齢骨格筋中、萎縮性骨格筋中、または異栄養性骨格筋中のMuSCにおけるCD47表面レベルの減少および/またはPax7発現の増加を結果としてもたらす。一部の態様において、投与は、トロンボスポンジン-1阻害物質の投与の前の加齢骨格筋中、萎縮性骨格筋中、または異栄養性骨格筋中のレベルと比べた、少なくとも10%の、加齢骨格筋中のMuSCにおけるCD47表面レベルの減少および/またはPax7発現の増加を結果としてもたらす。一部の態様において、投与は、若齢骨格筋および/または非異栄養性骨格筋において存在するレベルと実質的に同様のレベルまでの、加齢骨格筋中、萎縮性骨格筋中、または異栄養性骨格筋中のMuSCにおけるCD47表面レベルの減少を結果としてもたらす。
一部の態様において、対象はヒトである。一部の態様において、ヒトは、30、40、50、60、70、または80歳を上回る。一部の態様において、ヒトは、その年齢に基づいてトロンボスポンジン-1の阻害物質での処置のために選択される。一部の態様において、対象は非ヒト哺乳動物である。一部のそのような態様において、非ヒト哺乳動物は家畜動物である。
一部の態様において、阻害物質は、小分子化合物、ペプチド、または遮断抗体もしくは抗体断片である。一部の態様において、遮断抗体または抗体断片はモノクローナル抗体またはその断片である。一部の態様において、抗体断片は、Fab、F(ab')2、ScFv、ダイアボディ、およびナノボディからなる群より選択される。一部の態様において、阻害物質は、アンチセンスオリゴヌクレオチド、マイクロRNA、siRNA、shRNA、CRISPR gRNA、またはメッセンジャーRNAである。
一部の態様において、トロンボスポンジン-1の阻害物質を投与することは全身投与を含む。一部の態様において、トロンボスポンジン-1の阻害物質を投与することは局所投与を含む。一部の態様において、局所投与は筋肉内注射を含む。
別の局面において、本開示は、筋肉損傷、傷害、または萎縮症と関連付けられる状態または疾患を有する対象において筋肉細胞の集団を再生させるための方法であって、対象にトロンボスポンジン-1の阻害物質の治療有効量を投与して、対象において筋肉細胞の集団を増加させるおよび/または筋肉機能を増強する工程を含む、方法を提供する。
別の局面において、本開示は、その必要がある対象において筋肉損傷、傷害、または萎縮症と関連付けられる状態または疾患を処置するための方法であって、対象に(i)トロンボスポンジン-1の阻害物質の治療有効量、および薬学的に許容される担体、ならびに(ii)単離された筋肉細胞の集団を投与して、筋肉損傷、傷害、または萎縮症と関連付けられる状態または疾患を処置する工程を含む、方法を提供する。
別の局面において、本開示は、筋肉損傷、筋肉傷害、または筋萎縮症を処置する方法であって、トロンボスポンジン-1阻害物質の治療有効量を、必要とする対象に筋肉内投与により投与する工程を含む、方法を提供する。
別の局面において、本開示は、筋肉損傷、筋肉傷害、または筋萎縮症を処置する方法であって、トロンボスポンジン-1阻害物質を含む組成物の治療有効量を、その必要がある対象に投与し、それにより、前記筋肉損傷、筋肉傷害、または筋萎縮症を処置する工程を含む、方法を提供する。
別の局面において、本開示は、単離された筋肉細胞の集団の増殖を刺激するための方法であって、単離された筋肉細胞の集団をトロンボスポンジン-1阻害物質と共に培養する工程を含む、方法を提供する。
図1A~1G。CD47発現レベルは、機能的におよび分子的に別個の加齢筋肉幹細胞サブセットを区別する。(図1A)筋肉幹細胞(MuSC)の細胞表面マーカースクリーニングパネル分析。Pax7-ZsGreenレポーターマウスから単離された前脛骨(TA)および腓腹(GA)筋の単一細胞懸濁液を176の細胞表面抗体で染色し、記載26されるように蛍光ベースフローサイトメトリーにより分析した。MuSCはZsGreen細胞として同定される。ヒストグラムオーバーレイはZsGreen細胞におけるCD47発現を示す。塗りつぶした灰色ヒストグラムはアイソタイプ対照を表す。(図1B)CyTOFマスサイトメトリーのワークフロー。若齢マウスからのTAおよびGA筋を粉砕し、単一細胞懸濁液まで消化し、同位体キレートされた抗体で染色し、CyTOF機器に流した。染色された細胞を誘導結合プラズマに通過させ、微粒化し、イオン化し、元素組成を質量測定した。各々の元素タグに対応するシグナルをそれぞれの同位体マーカーの存在と相関させた。ゲーティングされた生存/系列-7インテグリン/CD34MuSCをX-shiftアルゴリズムで分析して(K=30をスイッチポイント発見アルゴリズムにより自動選択した)2つのクラスターを得、それらを単一細胞力指向性レイアウト(single-cell force-directed layout)を使用して可視化した。最大2000個の細胞を各々のX-shiftクラスターから無作為に選択し、各々の細胞を表現型空間中で30のニアレストネイバーに接続し、以前に記載26されたようにForceAltas2アルゴリズムを使用してグラフレイアウトを生成した(代表的な実験、n=3のマウス;4つの独立した実験)。筋原性転写因子Pax7(上のグラフ)および表面マーカーCD47(下のグラフ)の発現レベルを可視化した(代表的な実験、n=3のマウス)。(図1C)単一細胞RNA-seq分析により測定された若齢(2か月)および加齢(24か月)MuSCにおけるCD47発現。ウェルチの補正を伴う両側の対応のないt検定分析を使用して、若齢MuSCと加齢MuSCとの間のCD47発現における差異を決定した。(図1D)フローサイトメトリーにより測定された若齢および加齢MuSCにおけるCD47タンパク質発現。TAおよびGA筋を粉砕し、単一細胞懸濁液まで消化し、系列マーカー(CD45、CD31、CD11b、Sca1)、α7インテグリン、CD34、CD47に対するフルオロフォア共役抗体で染色し、蛍光ベースフローサイトメトリーにより分析した。MuSCをα7インテグリン/CD34細胞として同定した。ヒストグラムオーバーレイは、若齢(青色ヒストグラム)および加齢(赤色ヒストグラム)マウスからのα7インテグリン/CD34MuSCにおけるCD47発現を示す(代表的な実験、n=3の若齢マウス、3の加齢マウス)。塗りつぶした灰色ヒストグラムはアイソタイプ対照を表す。(図1E)MuSCサブセットの相対的な存在量の定量化。積み重ねられたカラムは、若齢および加齢マウスから単離された筋肉における生存/系列-7インテグリン/CD34MuSC集団内の各々のサブセット(CD47hiを黒、CD47loを白としている)の相対的な割合を指し示す(n=9のマウスからの平均±SEM、3つの独立した実験)。多重比較のためのシダック補正を伴う二元配置ANOVA分析を使用して、若齢MuSCと加齢MuSCとの間の個々のサブセットの存在量における差異を決定した。(図1F)再生能力のインビボアッセイを描写するスキーム。若齢および加齢GFP/ルシフェラーゼマウスから単離された後肢筋肉を単一細胞懸濁液まで消化した。CD47hiおよびCD47lo MuSCサブセットを選別し、後肢照射NOD/SCIDマウスのTA筋に移植した(50個の細胞/注射)。移植後4週における代表的なBLI画像を示す(右下パネル)。(図1G)散布図は、レシピエント組織中に閾値(破線、80,000個のフォトン/s)より高く生着した各々の条件からの移植片のパーセンテージおよびBLIシグナル強度(y軸)を示す。線はメジアンBLIシグナルを表す(n=26のマウス、3つの独立した実験)。ダンの多重比較検定により判定される有意性を伴うクラスカル・ウォリス検定を行って、若齢または加齢マウスから単離されたCD47hi MuSCサブセットとCD47lo MuSCサブセットとの間の生着差異を決定した。*、**および****は、それぞれp≦0.05、p≦0.01およびp≦0.0001における統計的有意性を表す。 図1-1の説明を参照のこと。 図1-1の説明を参照のこと。 図2A~2G。選択的ポリアデニル化は、筋原性分化の開始におけるCD47発現を調節し、加齢筋肉幹細胞において変更される。(図2A)TAおよびGA筋を若齢(2か月)および加齢(24か月)マウスから単離し、単一細胞懸濁液まで消化し、それを系列マーカー(CD45、CD11b、CD31、Sca1)-APCCy7、α7インテグリン-PE、CD9-APCおよびCD47-BV605に対する抗体を使用して染色した。細胞を次に固定し、透過処理し、異なるコンジュゲートCD47-PECy7を使用してCD47について細胞内染色した。CD47-BV605(表面)とCD47-PECy7(細胞内)の二軸ドットプロットを示しており、これは、若齢(左パネル)および加齢(右パネル)マウスからの幹細胞における表面上のまたは細胞の内側のCD47発現の分布を描写している(代表的な試料、n=9のマウス、3つの独立した実験)。(図2B)図2Aにおける各々の集団からの細胞を全体の比率として定量化している。柱状棒グラフは、若齢(左)および加齢(右)マウスからの幹細胞内の各々の集団(CD47-、CD47+細胞内、CD47+表面)の相対的な割合を指し示す。二元配置ANOVA分析を使用して、若齢集団と加齢集団との間の差異を決定した。(図2C)棒グラフは、フローサイトメトリーにより測定された若齢および加齢MuSC(α7インテグリン+/CD34+)の表面上のCD47タンパク質の発現レベルをメジアン蛍光強度(MFI)として示す(n=9のマウスからの平均±SEM、3つの独立した実験)。片側の対応のないt検定分析を使用して、若齢幹細胞と加齢幹細胞との間の差異を決定した。(図2D)3'非翻訳領域(UTR)が後続するCD47コーディング配列を描写するスキーム。3'UTRは2つの機能的なポリアデニル化シグナル(PAS)を含有し、選択的なポリA部位の選択は異なる長さのメッセンジャーRNA(mRNA)転写物を生成する。RNAインサイチューハイブリダイゼーションプローブを特別設計して、PrimeFlow RNAアッセイを使用してCD47 mRNAの短いおよび長い3'UTRアイソフォームを区別した。約8000のフルオロフォアで各々の標的mRNAを標識した。(図2E)TAおよびGA筋を若齢(2か月)および加齢(24か月)マウスから単離し、単一細胞懸濁液まで消化し、それを系列マーカー(CD45、CD11b、CD31、Sca1)-APCCy7、α7インテグリン-PE、CD9-APCおよびCD47-BV605に対する抗体を使用して染色した。細胞を次に固定し、透過処理し、異なるコンジュゲートCD47-PECy7を使用してCD47について細胞内染色した。最後に、CD47 mRNAの全体または長い3'UTRアイソフォームを標的とする特別設計されたプローブおよび生産者の指示書にしたがってPrimeFlow RNAアッセイキットを使用して異なるCD47 mRNAアイソフォームについて細胞を染色した。CD47 mRNAの全体および長い3'UTRアイソフォームをそれぞれAF647およびAF750で標識した。CD47 mRNA-3'UTRロング(x軸)とCD47 mRNA-3'UTR全体(y軸)の二軸ドットプロットを示しており、これは、若齢(左パネル)および加齢(右パネル)マウスからの幹細胞における全体CD47 mRNA(左上および右上四半分を合わせたもの)の比率として短いアイソフォーム(左上四半分)または長いアイソフォーム(右上四半分)を発現する細胞の分布を描写している(代表的な試料、n=9のマウス、3つの独立した実験)。(図2F)棒グラフは、長い3'UTRを有するCD47 mRNAを発現する若齢(左)および加齢(右)マウスからの幹細胞の割合を指し示す。両側の対応のないt検定分析を使用して、若齢試料と加齢試料との間の長い3'UTRを有するCD47 mRNAを発現する幹細胞の比率における差異を決定した。(図2G)棒グラフは、フローサイトメトリーにより測定された若齢および加齢幹細胞における長い3'UTRを有するCD47 mRNAの発現レベルをメジアン蛍光強度(MFI)として示す。両側の対応のあるt検定分析を使用して、若齢幹細胞と加齢幹細胞との間の長い3'UTRを有するCD47 mRNAの発現レベルにおける差異を決定した。*および***はそれぞれp≦0.05およびp≦0.001における統計的有意性を表す。 図2-1の説明を参照のこと。 図2-1の説明を参照のこと。 図3A~3L。CD47を介する異常なトロンボスポンジン-1シグナル伝達は加齢筋肉幹細胞の増殖能力を阻害する。(図3A)バルクRNA seq分析により測定された若齢および加齢MuSCにおけるトロンボスポンジン-1(THBS1)発現(n=3の若齢マウス、n=5の加齢マウス)。ウェルチの補正を伴う両側の対応のないt検定分析を使用して、若齢MuSCと加齢MuSCとの間のTHBS1発現における差異を決定した。(図3B)CD47-/-マウスの若齢野生型からの選別されたα7インテグリン/CD34MuSCを1週間、増加性用量のTHBS1(0.6μg/ml~5μg/ml)の存在下で培養し、増殖を細胞カウントにより定量化した。(図3C)増加性用量のトロンボスポンジン-1での若齢MuSCの6日の処理に応答したCyTOF分析により測定されたIdUMuSCの比率。線は平均±SDを表す(n=5の若齢マウス)。多重比較のためのチューキー補正を伴う二元配置ANOVA分析を使用して、非処理の若齢MuSCとトロンボスポンジンで処理された若齢MuSCとの間のIdU細胞の比率における差異を決定した。(図3D)トロンボスポンジン-1に対する遮断抗体での選別された野生型(若齢、加齢)およびCD47-/-加齢MuSCの6日の処理に応答したCyTOF分析により測定されたIdUMuSCの比率。線は平均±SDを表す(n=3の野生型若齢マウス、3の野生型加齢マウス、3の加齢CD47-/-マウス)。両側の対応のあるt検定を行って、若齢、加齢またはCD47-/-マウスからの抗THBS1で処理されたMuSCと対照の選別されたMuSCとの間のIdU細胞の比率における差異を決定した。(図3E、F)THBS1遮断後のMuSCサブセット増大の定量化。若齢(図3E)および加齢(図3F)マウスからCD47loおよびCD47hi MuSCサブセットを選別し、THBS1に対する遮断抗体の存在(+)または非存在(-)下においてバイオミメティックハイドロゲル上で6日間、増殖培地中で培養した。培養後0日目(D0)または6日目(D6)に細胞数を細胞カウントにより定量化した(代表的な画像、n=7の若齢複製物、n=3の加齢複製物)。多重比較のためのチューキー補正を伴う二元配置ANOVA分析を使用して、若齢(図3E)または加齢(図3F)マウスから単離されたCD47loおよびCD47hiサブセットにおける条件の間の差異を決定した。(図3G)(上のスキーム)THBS1-CD47-cAMPシグナル伝達アクシス。アデニリルシクラーゼを阻害してcAMPレベルを低減させるグアニンヌクレオチド結合性プロテインGiのαサブユニットを通じたTHBS1-CD47シグナル。(下のスキーム)cADDis下向きセンサーは、生細胞中のcAMP濃度における変化を検出する能力を有する蛍光cAMPセンサーである。cADDis下向きセンサーに結合するcAMPはGFP蛍光を低減させる。(図3H)CD47loおよびCD47hi MuSCを若齢マウスから選別し、cAMPセンサーをコードするバキュロウイルスで終夜トランスフェクトした。翌日、MuSCサブセットをTHBS1で処理し、共焦点顕微鏡を用いて10秒間隔で5分間、個々にイメージングした。グラフは、経時的なCD47lo(灰色)およびCD47hi(白色)MuSCの平均の正規化されたGFP蛍光を示す。両側の対応のないt検定分析を使用して、THBS1での刺激後のCD47lo MuSCサブセットとCD47hi MuSCサブセットとの間の正規化された蛍光発現における差異を決定した。(図3I)若齢マウスからのα7インテグリン/CD34MuSCを示す若齢後肢筋肉のCyTOF分析。集団密度により色付けされたCD47とTHBS1の代表的な二軸ドットプロットは、高いレベルのTHBS1を発現するCD47hi MuSCサブセットを示す。(図3J)Lin-7インテグリン/CD9細胞として定義される筋原性区画全体を示す若齢後肢筋肉のCyTOF分析。THBS1発現(左)およびCD47発現(右)により色付けされたCD104(x軸)とCD9(y軸)の代表的な二軸ドットプロットは、前駆細胞集団P1が最も高いレベルのTHBS1およびCD47の両方を発現することを強調する。(図3K、3L)再生の間のCyTOFによる細胞内THBS1タンパク質測定。組織収集の6または3日前に、TAおよびGA筋におけるノテキシン(notexin)注射によりマウスに急性的に傷害を与えた。指し示される群の筋肉組織を0日目に同時に収集し、同位体キレートされた抗体で染色し、CyTOF機器に流し、分析した。バイオリンプロットは、傷害時間経過の間の若齢(図3K)および加齢(図3L)マウスからのSC(左)およびP1(右)集団におけるTHBS1タンパク質レベルを示す。ダンの多重比較検定により判定される有意性を伴うクラスカル・ウォリス検定を行って、若齢(図3K)または加齢(図3L)マウスからのSCまたはP1細胞における指し示される時点の間のTHBS1発現における差異を決定した。*、**および****は、それぞれp≦0.05、p≦0.01およびp≦0.0001における統計的有意性を表す。 図3-1の説明を参照のこと。 図3-1の説明を参照のこと。 図3-1の説明を参照のこと。 図3-1の説明を参照のこと。 図3-1の説明を参照のこと。 図4A~4J。インビボでのトロンボスポンジン-1遮断は傷害の非存在下で筋肉幹細胞を活性化させる。(図4A)実験スキーム(上パネル)。内因性MuSC増大を、タモキシフェン(TAM)で処理されたPax7CreERT2;Rosa26-LSL-Lucマウスにおいて生物発光イメージング(BLI)によりアッセイした(n=7のマウス/条件)。マウスにTAおよびGA筋において筋肉内に(3回、2日の間隔)THBS1に対する抗体または対照IgG(対側の脚)に注射し、BLIによりイメージングした。グラフは、各々の群(ライトブルー、トロンボスポンジン-1遮断抗体での処理;灰色、IgG対照での処理)についての経時的なBLIシグナル強度(y軸)の要約を示す。多重比較のためのホルム-シダック補正を伴う多重t検定を使用して、指し示される時点におけるIgG対照で処理された試料と抗THBS1で処理された試料との間の生物発光シグナルにおける差異を決定した。(図4B)実験スキーム(上パネル)。若齢および加齢マウスを(図4A)におけるようにTAおよびGA筋における筋肉内注射によりTHBS1に対する遮断抗体で処理し、後肢筋肉組織を処理の終了時にCyTOF分析のために収集した。(左)チャンネルにより色付けされたCD44(x軸)とCD98(y軸)の代表的な二軸ドットプロットは、表面マーカーCD98およびCD44の共発現(右上四半分)により定義される、活性化されたMuSCにおけるIdU取り込みを示す。(右上)棒グラフは、CD98/CD44の活性化されたMuSCの割合を指し示す。両側の対応のあるt検定を使用して、若齢または加齢試料におけるIgG対照処理と抗THBS1処理との間のCD98/CD44サブセットの存在量における差異を決定した。(右下)棒グラフは、MuSC集団(右下)におけるIdU細胞(%)を示す。両側の対応のあるt検定を使用して、若齢または加齢試料におけるIgG対照で処理された試料と抗THBS1で処理された試料との間のIdU幹細胞の存在量における差異を決定した。(図4C)実験スキーム。若齢および加齢マウスを(図4B)におけるようにTHBS1に対する遮断抗体で処理し、最後のTHBS1遮断抗体またはIgG注射の6日後に、後肢筋肉組織をCyTOF分析のために収集した。(図4D)ゲーティングされた生存/系列-7インテグリン/CD9細胞を、X-shiftアルゴリズムを使用してクラスター化して(K=50をスイッチポイント発見アルゴリズムにより自動選択した)、61個のクラスターを得た。最大10,000個の細胞を各々のX-shiftクラスターから無作為に選択し、各々の細胞を表現型空間中で50のニアレストネイバーに接続し、ForceAtlas2アルゴリズムを使用してグラフレイアウトを生成した(各々の条件についてn=3のマウス)。同定されたクラスターを、単一細胞力指向性レイアウトを使用して可視化した。筋原性転写因子Pax7(上パネル)および表面マーカーCD47(下パネル)の発現レベルを可視化し、パネル複合物に示している。(図4E)フローティング棒グラフは、IgG対照と比べた、THBS1遮断で処理された加齢マウスにおける各々のMuSCサブセットの割合における変化を示す。(図4F)棒グラフは、若齢対照マウスならびに加齢対照および処理マウスからの生存/系列-7インテグリン/CD9細胞集団におけるPax7細胞の比率を示す。対応のないt検定を使用して、若齢IgG対照と加齢IgG対照との間の生存/系列-7インテグリン/CD9細胞集団内のPax7細胞の割合における差異を決定した。対応のあるt検定を使用して、加齢試料におけるIgG対照処理と抗THBS1処理との間の生存/系列-7インテグリン/CD9細胞集団内のPax7細胞の割合における差異を決定した。(図4G)若齢マウスをTAおよびGA筋における筋肉内注射によりTHBS1に対する遮断抗体またはIgG対照(対側の脚)で前処理(3回、2日の間隔)し、処理の終了の10日後に後肢筋肉組織を組織学のために収集した。筋線維断面積(CSA)を、IgGで処理された(灰色)および抗THBS1で処理された(ライトブルー)TA筋において定量化し、曲線フィッティングを行った(n=7/群)。カイ二乗検定を行って、IgG対照で処理された若齢TA筋と抗THBS1で処理された若齢TA筋との間のCSA分布における差異を決定した。(図4H)散布図は、処理の終了の10日後の切片化されたIgGで処理された(灰色)および抗THBS1で処理された(ライトブルー)TA筋における平均CSAを示す。対応のあるt検定を使用して、IgG対照で処理された若齢TA筋と抗THBS1で処理された若齢TA筋との間のCSAにおける差異を決定した。(図4I)散布図は、処理の終了の10日後の切片化されたIgGで処理された(灰色)および抗THBS1で処理された(ライトブルー)TA筋におけるPax7細胞の比率を示す。対応のあるt検定を使用して、IgG対照で処理された若齢TA筋と抗THBS1で処理された若齢TA筋との間のPax7細胞の数における差異を決定した。(図4J)野生型若齢および加齢マウス、ならびに若齢CD47-/-マウスをTAおよびGA筋における筋肉内注射によりTHBS1に対する遮断抗体またはIgG対照(対側の脚)で前処理(3回、2日の間隔)し、処理の終了の10日後に握力強度を測定した。対応のあるt検定を使用して、処理の終了の10日後の若齢野生型、加齢野生型および若齢CD47-/-試料におけるIgG対照処理と抗THBS1処理との間の握力強度における差異を決定した。対応のあるt検定を使用して、処理の終了の10日後の若齢野生型、加齢野生型および若齢CD47-/-試料におけるIgG対照処理と抗THBS1処理との間の握力強度および強縮力における差異を決定した。*、**および****は、それぞれp≦0.05、p≦0.01およびp≦0.0001における統計的有意性を表す。 図4-1の説明を参照のこと。 図4-1の説明を参照のこと。 図5A~5E。インビボでのトロンボスポンジン-1遮断は、加齢筋肉の再生応答を増強して強度の増加に繋がる。(図5A)実験スキーム。ノテキシン傷害の前に若齢および加齢マウスをTAおよびGA筋における筋肉内注射によりTHBS1に対する遮断抗体またはIgG対照(対側の脚)で前処理(3回、2日の間隔)し、傷害の3または6日後に後肢筋肉組織をCyTOF分析のために収集した。(図5B)散布図は、傷害後3日目における、各々の条件についての筋原性区画内のMuSCの割合を示す。対応のあるt検定を使用して、傷害後3日目における若齢または加齢試料におけるIgG対照処理と抗THBS1処理との間のMuSCの存在量における差異を決定した。(図5C)(左)チャンネルにより色付けされたCD44とCD98の代表的な二軸ドットプロットは、表面マーカーCD98およびCD44の共発現(右上四半分)により定義される、活性化されたMuSCにおけるIdU取り込みを示す。(右上)散布図は、CD98+/CD44+の活性化されたMuSCの割合を示す。両側の対応のあるt検定を使用して、若齢または加齢試料におけるIgG対照処理と抗THBS1処理との間のCD98+/CD44+サブセットの存在量における差異を決定した。(右下)散布図は、MuSC集団中のIdU+細胞(%)を示す。(図5D~5E)ノテキシン傷害の前に野生型若齢および加齢マウス、ならびに若齢CD47-/-マウスをTAおよびGA筋における筋肉内注射によりTHBS1に対する遮断抗体またはIgG対照(対側の脚)で前処理(3回、2日の間隔)し、握力強度(図5D)および強縮力(図5E)を傷害の10日後に測定した。対応のあるt検定を使用して、傷害後10日目における若齢野生型、加齢野生型および若齢CD47-/-試料におけるIgG対照処理と抗THBS1処理との間の握力強度および強縮力における差異を決定した。*、**および****は、それぞれp≦0.05、p≦0.01およびp≦0.0001における統計的有意性を表す。 図5-1の説明を参照のこと。 図5-1の説明を参照のこと。 図6A~6D。(図6A)CyTOF分析をTAおよびGA後肢筋肉に関して行った。ゲーティングされた生存/系列-7インテグリン/CD34MuSCをX-shiftアルゴリズムで分析して(K=30をスイッチポイント発見アルゴリズムにより自動選択した)3つのクラスター(赤、緑および青で色コード化している)を得、それらを単一細胞力指向性レイアウト(single-cell force-directed layout)を使用して可視化した。最大2000個の細胞を各々のX-shiftクラスターから無作為に選択し、各々の細胞を表現型空間中で30のニアレストネイバーに接続し、以前に記載26されたようにForceAltas2アルゴリズムを使用してグラフレイアウトを生成した(代表的な実験、n=3のマウス;4つの独立した実験)。(図6B)メジアン強度としてCyTOF分析により測定された、CD47loおよびCD47hi MuSCサブセットにおける筋原性転写因子Pax7、Myf5、MyoDおよびミオゲニンの発現の定量化(n=9のマウスからの平均±SEM、3つの独立した実験)。(図6C)若齢(2か月)および加齢(24か月)MuSC(Lin-7インテグリン/CD34)、CD47loおよびCD47hi MuSCサブセットにおけるメジアン蛍光強度(MFI)としてフローサイトメトリーにより測定された、CD47タンパク質発現の定量化(n=9のマウスからの平均±SEM、3つの独立した実験)。多重比較のためのチューキー補正を伴う二元配置ANOVA分析を使用して、若齢サブセットと加齢サブセットとの間の差異を決定した。***はp≦0.001における統計的有意性を表す。(図6D)移植の4週後の、全レシピエントMuSC(インテグリンα7/CD34)集団の比率としての、ドナー由来(GFP)MuSCのフローサイトメトリー検出により行われた一次レシピエントにおける幹細胞再増殖分析。***はp≦0.001における統計的有意性を表す。 図6-1の説明を参照のこと。 図7A~7K。(図7A)TAおよびGA筋を若齢および加齢マウスから単離し、単一細胞懸濁液まで消化し、それを系列マーカー(CD45、CD11b、CD31、Sca1)-APCCy7、α7インテグリン-PE、CD9-APCおよびCD47-BV605に対する抗体を使用して染色した。細胞を次に固定し、透過処理し、異なるコンジュゲートCD47-PECy7を使用してCD47について細胞内染色した。CD47-BV605(表面)とCD47-PECy7(細胞内)の二軸ドットプロットを示しており、これは、若齢(左パネル)および加齢(右パネル)マウスからの前駆細胞における表面上のまたは細胞の内側のCD47発現の分布を描写している(代表的な試料、n=9のマウス、3つの独立した実験)。(図7B)(図7A)における各々の集団からの細胞を全体の比率として定量化している。柱状棒グラフは、若齢(左)および加齢(右)マウスからの前駆細胞内の各々の集団(CD47-、CD47細胞内、CD47表面)の相対的な割合を指し示す。二元配置ANOVA分析を使用して、若齢サブセットと加齢サブセットとの間の差異を決定した。(図7C)マウス、ヒト、ゴリラおよびイヌからのCD47のmRNA配列を、オンラインでMAFFTを使用してアライメントした。3つの高度に保存されたポリアデニル化部位(PAS)が同定された(赤ボックス)。(図7D)3'領域抽出およびディープシークエンシングにより得られた公開されているデータセット38の分析によるマウスCD47 mRNAアイソフォーム存在量の定量化。棒グラフは、異なるCD47 mRNAアイソフォームの存在量を示す。ポリアデニル化部位1(PAS1)=chr16:49911190~49911205;PAS2=chr16:49,912530~49,912555;PAS3=chr16:49,915032~49,915123。(図7E)図7Eおよび図7G~7Jに記載されたフローサイトメトリー試料において幹細胞および前駆細胞を同定するために使用されたゲーティング戦略。個々のドットプロットを示している。(図7F)野生型およびCD47-/-四頭筋からの筋肉細胞におけるqPCRにより測定されたCD47 mRNAの発現。両側の対応のないt検定分析を使用して、野生型試料とCD47-/-試料との間の差異を決定した。(図7G)TAおよびGA筋を野生型およびCD47-/-マウスから単離し、単一細胞懸濁液まで消化し、それを系列マーカー(CD45、CD11b、CD31、Sca1)-APCCy7、α7インテグリン-PE、CD9-APCおよびCD47-BV605に対する抗体を使用して染色した。細胞を次に固定し、透過処理し、異なるコンジュゲートCD47-PECy7を使用してCD47について細胞内染色した。最後に、細胞を、異なるCD47 mRNAアイソフォームのためのPrimeFlow RNAプロトコールにしたがって染色した。CD47 mRNA-3'UTRロング(x軸)とCD47 mRNA-3'UTRショート(y軸)の二軸プロットを示しており、これは、野生型(青色輪郭プロット)およびCD47-/-(灰色ドット)マウスからの前駆細胞におけるCD47 mRNAの短いアイソフォームのみ(左上四半分)または同時に短いおよび長いアイソフォーム(右上四半分)を発現する細胞の分布を描写している。(図7H)棒グラフは、野生型と比較してCD47-/-前駆細胞における、メジアン蛍光強度(MFI)としてフローサイトメトリーにより測定された、短い(左)または長い(右)3'UTRを有するCD47 mRNAの発現レベルにおける変化倍率を示す。(図7I)TAおよびGA筋を若齢(2か月)および加齢(24か月)マウスから単離し、消化し、(図7G)におけるように染色した。CD47 mRNA-3'UTRロング(x軸)とCD47 mRNA-3'UTR全体(y軸)の二軸ドットプロットを示しており、これは、若齢(左パネル)および加齢(右パネル)マウスからの前駆細胞における全体CD47 mRNA(左上および右上四半分を合わせたもの)の比率としてCD47 mRNAの短いアイソフォーム(左上四半分)または長いアイソフォーム(右上四半分)を発現する細胞の分布を描写している(代表的な試料、n=9のマウス、3つの独立した実験)。(図7J)棒グラフは、長い3'UTRを発現する若齢(左)および加齢(右)マウスからの前駆細胞の割合を指し示す。両側の対応のないt検定分析を使用して、若齢幹細胞と加齢幹細胞との間の差異を決定した。****はp≦0.0001における統計的有意性を表す。(図7K)若齢および加齢の選別された筋肉幹細胞および前駆細胞においてRT-PCRにより測定され、若齢幹細胞における発現に対して正規化された、長い3'UTRを有するCD47 mRNAの存在量。棒グラフは平均±SEMを表す(n=3)。多重比較のためのチューキー補正を伴う二元配置ANOVA分析を使用して、若齢または加齢の選別された筋肉幹細胞および前駆細胞における異なる条件の間の長い3'UTRを有するCD47 mRNAの存在量における差異を決定した。 図7-1の説明を参照のこと。 図7-1の説明を参照のこと。 図7-1の説明を参照のこと。 図7-1の説明を参照のこと。 図7-1の説明を参照のこと。 図8A~8G。(図8A~8C)増加性用量のトロンボスポンジン-1での若齢MuSCの6日の処理に応答したCyTOF分析により測定されたki-67(図8A)、切断型PARP(図8B)、p57(図8C)MuSCの比率。線は平均±SDを表す(n=5の若齢マウス)。多重比較のためのチューキー補正を伴う二元配置ANOVA分析を使用して、非処理の若齢MuSCとトロンボスポンジン-1で処理された若齢MuSCとの間のki-67(図8A)、切断型PARP(図8B)、p57(図8C)細胞の比率における差異を決定した。(図8D)トロンボスポンジン-1で21h処理された選別されたMuSCにおいてq-RT-PCRにより測定された、Cdkn1a、Cdkn1b、Cdkn1cの発現レベル。線は平均±SEMを表す(3つの独立した実験)。両側の対応のないt検定を行って、トロンボスポンジン-1で処理されたMuSCと対照で処理されたMuSCとの間の遺伝子発現レベルにおける差異を決定した。(図8E)若齢および加齢マウスから選別されたα7インテグリン/CD34MuSCをTHBS1に対する遮断抗体の存在(+)または非存在(-)下においてバイオミメティックハイドロゲル上で6日間、増殖培地中で培養し、増殖を細胞カウントにより定量化した(n=7の若齢複製物、n=3の加齢複製物からの平均±SEM)。多重比較のためのチューキー補正を伴う二元配置ANOVA分析を使用して、若齢MuSCと加齢MuSCとにおける条件の間の差異を決定した。(図8F)若齢野生型およびCD47-/-マウスから選別されたMuSCをTHBS1に対する遮断抗体の存在(+)または非存在(-)下においてバイオミメティックハイドロゲル上で6日間、増殖培地中で培養し、増殖を細胞カウントにより定量化した(n=4の若齢複製物、n=4の加齢複製物からの平均±SEM)。多重比較のためのチューキー補正を伴う二元配置ANOVA分析を使用して、野生型MuSCとCD47-/-MuSCとにおける条件の間の差異を決定した。(図8G)傷害時間経過の間のα7インテグリン/CD34MuSCを示す若齢後肢筋肉のCyTOF分析。チャンネルにより色付けされたα7インテグリン(x軸)とCD47(y軸)の代表的な二軸ドットプロットは、傷害時間経過の間(0日目、3日目、6日目)のCD47hiおよびCD47lo MuSCサブセット内のPax7発現(上パネル)およびIdU取り込み(下パネル)を示す。(図8H)(図8G)における傷害時間経過の間のCD47loおよびCD47hi MuSCの割合の定量化。*、**および****は、それぞれp≦0.05、p≦0.01およびp≦0.0001における統計的有意性を表す。 図8-1の説明を参照のこと。 図8-1の説明を参照のこと。 図8-1の説明を参照のこと。 図8-1の説明を参照のこと。 図9A~9B。(図9A)ノテキシン傷害の前に若齢および加齢マウスをTHBS1に対する遮断抗体またはIgG対照(対側の脚)で処理(3回、2日の間隔)し、傷害の6日後に後肢筋肉組織をCyTOF分析のために収集した。散布図は、傷害後6日目における若齢対照マウスならびに加齢対照および処置マウスからの生存/系列-7インテグリン/CD9細胞集団におけるPax7細胞の比率を示す。対応のあるt検定を使用して、加齢試料におけるIgG対照処理と抗THBS1処理との間のPax7MuSCの存在量における差異を決定した。(図9B)モデル。骨格筋傷害はMuSC活性化に繋がる。再生の間の若齢筋肉において、前駆細胞は負のフィードバックループに参加し、それにより、前記細胞はTHBS1を産生してMuSC増殖を制限し、かつ安静状態へのMuSCの復帰を促進し、したがってMuSC疲弊を予防することを本発明者らは見出した。加齢筋肉において、THBS1を早熟に分泌する機能不全CD47hi MuSCサブセットの蓄積は、CD47lo MuSCサブセットの増殖および機能を阻害する脱調節された微環境を作り出して筋肉再生を障害することを本発明者らは発見した。 図9Aの説明を参照のこと。 CD47+MuSCの比率は異栄養性マウスにおいて増加する。異栄養性(Mdx-mTR G2(G2))ならびに対照(WT、mTRおよびHet)筋肉幹細胞におけるCD47タンパク質発現をCyTOF分析により1および2か月齢時に測定した。グラフは、CD47+幹細胞の比率は異栄養性筋肉幹細胞において有意に増加することを示す。多重比較のためのシダック補正を伴う二元配置ANOVA分析を使用して、群の間のCD47+細胞の存在量における差異を決定した。 トロンボスポンジン-1遮断は異栄養性MuSCの増殖を増加させる。異栄養性G2マウスから選別されたa7インテグリン/CD34MuSCをTHBS1に対する遮断抗体の存在(+)または非存在(-)下においてバイオミメティックハイドロゲル上で6日間、増殖培地中で培養し、増殖における変化を顕微鏡分析によりモニターした。トロンボスポンジン-1遮断はG2 MuSCの増殖の増加に繋がった。
詳細な説明
1. 序論
本開示は、加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋の量、強度、機能、維持、再生、および他の特性を増強するための方法および組成物を提供する。本開示は、減少した増殖、再生、および機能的特性を有する老齢骨格筋、萎縮性骨格筋、および異栄養性骨格筋における筋肉幹細胞(MuSC)の別々の亜集団の発見に部分的に基づく。そのような機能不全MuSCは、トロンボスポンジン-1の受容体、CD47の表面発現の増加を示し、機能不全MuSCの不全状態は、例えば、CD47とのトロンボスポンジン-1の相互作用および/またはCD47の活性化を予防する遮断抗体または他の分子を使用して、トロンボスポンジン-1の阻害を通じて、改善、逆転、低減、または他に寛解され得る。本開示は、したがって、MuSC機能を改善し、それにより、筋肉量、機能、および強度を改善するための加齢筋肉、萎縮性筋肉、または異栄養性筋肉における治療標的としてのトロンボスポンジン-1の阻害を伴う組成物および方法を提供する。
2. 概論
本発明の実施は、分子生物学の分野における常用の技術を利用する。本発明における一般の使用方法を開示する基本書は、Sambrook and Russell,Molecular Cloning,A Laboratory Manual(3rd ed.2001);Kriegler,Gene Transfer and Expression:A Laboratory Manual(1990);およびCurrent Protocols in Molecular Biology(Ausubel et al.,eds.,1994))を包含する。
核酸について、サイズは、キロ塩基(kb)、塩基対(bp)、またはヌクレオチド(nt)のいずれかにおいて与えられる。一本鎖DNAおよび/またはRNAのサイズはヌクレオチドにおいて与えられ得る。これらは、アガロースもしくはアクリルアミドゲル電気泳動、シークエンシングされた核酸、または刊行されたDNA配列に由来する概算値である。タンパク質について、サイズはキロダルトン(kDa)またはアミノ酸残基数において与えられる。タンパク質サイズは、ゲル電気泳動、シークエンシングされたタンパク質、導出されたアミノ酸配列、または刊行されたタンパク質配列から概算される。
商業的に入手可能でないオリゴヌクレオチドは、例えば、Beaucage and Caruthers,Tetrahedron Lett.22:1859-1862(1981)により最初に記載された固相ホスホロアミダイトトリエステル法にしたがって、Van Devanter et.al.,Nucleic Acids Res.12:6159-6168(1984)に記載されるように、自動合成装置を使用して、化学的に合成され得る。オリゴヌクレオチドの精製は、任意の当技術分野において認識される戦略、例えば、Pearson and Reanier,J.Chrom.255:137-149(1983)に記載されているネイティブアクリルアミドゲル電気泳動または陰イオン交換高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して行われる。
3. 定義
本明細書において使用される場合、他に指定されなければ、以下の用語は、それらに帰せられる意味を有する。
「1つの(a)」、「1つの(an)」、または「その(the)」という用語は、本明細書において使用される場合、1つのメンバーを伴う局面を含むだけでなく、1つより多くのメンバーを伴う局面も含む。例えば、単数形である「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈がそうではないことを明確に示す場合を除き、複数形の言及物を包含する。そのため、例えば、「細胞(a cell)」への言及は複数のそのような細胞を含み、「剤(the agent)」への言及は当業者に公知の1つまたは複数の剤への言及を含む、などである。
「約」および「おおよそ」という用語は、本明細書において使用される場合、測定の性質または精度を考慮して測定される量について許容される程度の誤差を一般に意味する。典型的には、誤差の例示的な程度は、所与の値または値の範囲の20パーセント(%)以内、好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内である。「約X」に対する任意の言及は、少なくとも値X、0.8X、0.81X、0.82X、0.83X、0.84X、0.85X、0.86X、0.87X、0.88X、0.89X、0.9X、0.91X、0.92X、0.93X、0.94X、0.95X、0.96X、0.97X、0.98X、0.99X、1.01X、1.02X、1.03X、1.04X、1.05X、1.06X、1.07X、1.08X、1.09X、1.1X、1.11X、1.12X、1.13X、1.14X、1.15X、1.16X、1.17X、1.18X、1.19X、および1.2Xを特に指し示す。そのため、「約X」は、請求項の限定、例えば、「0.98X」のための記載によるサポートを教示および提供することが意図される。
「サルコペニア」は、年齢と関連した筋肉量、強度、および/または身体性能の喪失を指す。サルコペニアは進行性のプロセスであり、異なる個体において異なる速度で起こることができ、診断のための最小年齢はない。例えば、ヒトは、少なくとも、例えば、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75歳、またはそれより高齢である場合に、本発明の目的のためにサルコペニアを有すると考えられ得る。
「加齢筋肉」または「老齢筋肉」は、年齢の増加または発生した筋肉における時間の経過と関連付けられる任意の徴候または特徴を示すかまたは潜在的に示す任意の筋肉を指し、前記徴候または特徴は、例えば、筋肉量または強度の喪失、タンパク質合成の減少、筋肉細胞内および外脂質の蓄積、ミトコンドリア機能障害、アトロ遺伝子(atrogene)(例えば、アトロギン1(Atrogin1)およびMurf)の発現、老化細胞の存在の増加、MuSC細胞表面上のCD47のレベルの増加、MuSCの増殖の減少、ならびに他の特徴を包含する。一部の態様において、加齢または老齢筋肉は、サルコペニアを有する対象における筋肉を指す。
「筋萎縮症」または「萎縮性筋肉」は、筋肉組織の任意の喪失または消耗、例えば、任意の理由、例えば、状態、例えばサルコペニア、糖尿病、筋ジストロフィー、サルコペニック肥満症、ニューロパチー、がん悪液質、またはHIV悪液質、フレイル、または不動の結果もしくは廃用の結果としてもたらされる筋萎縮症と関連する理由による、筋肉サイズ、量、または機能の任意の量の減少を指す。
「トロンボスポンジン-1」または「THBS1」は、ヒトTHBS1遺伝子によりコードされるタンパク質であり、細胞-細胞および細胞-マトリックス相互作用に関与し、内皮細胞の増殖を阻害することが示されている。それは、ホモ三量体タンパク質のサブユニットである糖タンパク質である。トロンボスポンジン-1は、多数のタンパク質と相互作用することができ、前記タンパク質は、細胞接着受容体、例えばCD47、およびスカベンジャー受容体CD36を包含する。ヒトトロンボスポンジン-1遺伝子(THBS1)のNCBI Gene IDは7057であり、ヒトタンパク質のUniProtアクセッション番号はP07996である。
「CD47」または「分化クラスター47」は、免疫グロブリンスーパーファミリーに属し、例えば、MuSCの表面上に存在する膜貫通タンパク質である。CD47(例えば、UniProtKB-A0A0A1TSG4を参照)はCD47遺伝子(例えば、NCBI Gene ID 961を参照)によりコードされる。CD47は、リガンドおよび受容体としての二重の機能を有する。例えば、CD47は、それを通じてCD47がファゴサイトーシスを予防するSIRPαのリガンド、および細胞外マトリックスタンパク質THBS1の受容体である。追加的に、CD47は、インテグリンと相互作用するのでインテグリン関連タンパク質(IAP)としても公知である。CD47は、赤血球を包含する、すべての細胞上に発現するが、その発現レベルは、異なる状況において一過的に調節されて、その機能をモジュレートする。
「トロンボスポンジン-1阻害物質」は、トロンボスポンジン-1の発現、安定性、または活性の任意の局面を任意の仕方で、阻害、低減、減少、減弱、消失、排除、緩慢化、または対抗する能力を有する任意の剤を指す。トロンボスポンジン-1阻害物質は、例えば、トロンボスポンジン-1をコードする遺伝子、例えば、ヒトTHBS1遺伝子の発現、例えば、転写、RNAプロセシング、RNA安定性、または翻訳の任意の局面を、対照、例えば、阻害物質の非存在下の対照と比較して、インビトロまたはインビボで、例えば、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、またはそれより大きく低減させることができる。同様に、トロンボスポンジン-1阻害物質は、例えば、トロンボスポンジン-1の活性、例えば、CD47結合活性を、対照、例えば、阻害物質の非存在下の対照と比較して、インビトロまたはインビボで、例えば、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、またはそれより大きく低減させることができる。さらに、トロンボスポンジン-1阻害物質は、例えば、トロンボスポンジン-1酵素の安定性を、対照、例えば、阻害物質の非存在下の対照と比較して、インビトロまたはインビボで、例えば、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、またはそれより大きく低減させることができる。「トロンボスポンジン-1阻害物質」は、天然に存在するかまたは合成の、任意の分子、例えば、抗体、抗体断片、ペプチド、タンパク質、オリゴペプチド(例えば、約5~約25アミノ酸の長さ、例えば、約5、10、15、20、もしくは25アミノ酸の長さ)、小分子(例えば、約2500ダルトン未満、例えば、2000未満、1000未満、もしくは500ダルトン未満の分子量を有する有機分子)、多糖、脂質、脂肪酸、阻害RNA(例えば、siRNA、shRNA、マイクロRNA、CRISPR gRNA)、メッセンジャーRNA、改変されたRNA、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチド、アプタマー、アフィマー、薬物化合物、または他の化合物であることができる。
「発現」および「発現する」という用語は、例えば、タンパク質(例えば、トロンボスポンジン-1)をコードする核酸配列の、転写および/または翻訳産物の生成を指す。一部の態様において、前記用語は、遺伝子(例えば、ヒトTHBS1遺伝子)によりコードされる転写および/もしくは翻訳産物またはその部分の生成を指す。細胞におけるDNA分子の発現のレベルは、細胞内に存在する対応するmRNAの量または細胞により産生されるそのDNAによりコードされるタンパク質の量のいずれかに基づいて評価されてもよい。
「抗体」という用語は、免疫グロブリン遺伝子によりコードされるポリペプチドまたは抗原に特異的に結合してそれを認識するその機能性断片を指す。認識される免疫グロブリン遺伝子は、κ、λ、α、γ、δ、ε、およびμ定常領域遺伝子の他に、無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子を包含する。軽鎖は、κまたはλのいずれかとして分類される。重鎖は、γ、μ、α、δ、またはεとして分類され、これらは次いで、免疫グロブリンクラス、それぞれIgG、IgM、IgA、IgD、およびIgEを定義する。前記用語は、同じ抗原特異性を有する抗体断片、およびその融合産物を含む。
例示的な免疫グロブリン(抗体)構造単位は四量体を含む。各四量体はポリペプチド鎖の2つの同一のペアから構成され、各ペアは1つの「軽」鎖(約25kDa)および1つの「重」鎖(約50~70kDa)を有する。各鎖のN末端は、主に抗原認識に関与する約100~110個またはそれより多くのアミノ酸の可変領域を定義する。そのため、「可変重鎖」、「VH」、または「VH」という用語は、Fv、scFv、dsFvまたはFabを包含する、免疫グロブリン重鎖の可変領域を指し;「可変軽鎖」、「VL」、または「VL」という用語は、Fv、scFv、dsFvまたはFabを包含する、免疫グロブリン軽鎖の可変領域を指す。同等の分子は、例えば、抗体断片を改変することまたはファージディスプレイライブラリーからの選択により誘導される、所望される抗原特異性を有する抗原結合タンパク質を包含する。
「抗原結合部分」および「抗原結合断片」という用語は本明細書において交換可能に使用され、抗原(例えば、トロンボスポンジン-1タンパク質)に特異的に結合する能力を保持する抗体の1つまたは複数の断片を指す。抗体結合断片の例は、Fab断片(VL、VH、CL、およびCH1ドメインからなる一価断片)、F(ab')2断片(ヒンジ領域においてジスルフィドブリッジにより連結された2つのFab断片を含む二価断片)、単鎖Fv(scFv)、ジスルフィド結合Fv(dsFv)、相補性決定領域(CDR)、VL(軽鎖可変領域)、VH(重鎖可変領域)、ナノボディ、ならびにそれらの任意の組合せまたは標的抗原に結合する能力を有する免疫グロブリンペプチドの任意の他の機能的部分を包含するが、これらに限定されない(例えば、FUNDAMENTAL IMMUNOLOGY(Paul ed.,4th ed.2001)を参照)。
「特異的に結合する」という語句は、非標的化合物に結合するよりも試料中の標的に対するより高い親和性、アビディティで、より容易に、および/またはより長い持続期間でその標的に結合する分子(例えば、トロンボスポンジン-1阻害物質、例えば小分子または抗体)を指す。一部の態様において、標的(例えば、トロンボスポンジン-1)に特異的に結合する分子は、非標的化合物よりも少なくとも2倍高い親和性、例えば、少なくとも3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、25倍、50倍、またはそれより高い親和性で標的に結合する。例えば、一部の態様において、トロンボスポンジン-1に特異的に結合する分子は、典型的には、非トロンボスポンジン-1標的に対してよりも少なくとも2倍高い親和性でトロンボスポンジン-1に結合する。
「誘導体」という用語は、化合物の文脈において、所与の化合物のアミド、エーテル、エステル、アミノ、カルボキシル、アセチル、および/またはアルコール誘導体を含むがこれらに限定されない。
「処置する」または「処置」という用語は、以下のいずれか1つを指す:疾患もしくは状態の1つもしくは複数の症状の寛解;そのような症状の出現の、それらが起こる前の予防;疾患もしくは状態の進行の減速もしくは完全な予防(再発エピソードの間のより長い期間、症状の悪化の減速もしくは予防などにより著明であり得る);軽快期間の開始の増強;疾患もしくは状態の進行性-慢性ステージ(一次および二次の両方のステージ)において引き起こされる非可逆的な損傷の減速;前記進行性ステージの開始の遅延;またはこれらの任意の組合せ。
「投与する」、「投与すること」、または「投与」という用語は、剤または組成物、例えば本明細書に記載される化合物の、生物学的作用の所望される部位への送達を可能にするために使用され得る方法を指す。これらの方法は、非経口投与(例えば、静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内、動脈内、血管内、心臓内、髄腔内、鼻腔内、皮内、および硝子体内など)、経粘膜注射、経口投与、坐剤としての投与、ならびに外用投与を包含するが、これらに限定されない。当業者には、疾患または状態と関連付けられる1つまたは複数の症状を予防または緩和するために治療有効量の本明細書に記載される化合物を投与する追加の方法が公知である。
「治療有効量」または「治療有効用量」または「有効量」という用語は、有益なまたは所望される臨床的な効果をもたらすために十分な化合物(例えば、トロンボスポンジン-1阻害物質)の量を指す。治療有効量または用量は、各々の患者に対して個別の要因に基づいてもよく、前記要因は、患者の年齢、サイズ、疾患または状態の種類または程度、疾患または状態のステージ、投与の経路、使用される補足的な療法の種類または程度、進行中の疾患プロセスおよび所望される処置の種類(例えば、侵襲性または従来の処置)を包含するが、これらに限定されない。本明細書に記載されている薬学的化合物または組成物の治療有効量は、細胞培養および動物モデルから最初に概算され得る。例えば、細胞培養方法において決定されるIC50値は、動物モデルにおける出発点として役立つことができ、動物モデルにおいて決定されるIC50値は、ヒトにおける治療有効用量を見出すために使用され得る。
「薬学的に許容される担体」という用語は、生物に対して顕著な刺激を引き起こさず、かつ投与される化合物の生物学的活性および特性を妨げない担体または希釈剤を指す。
「対象」、「個体」、および「患者」という用語は、本明細書において交換可能に使用され、脊椎動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトを指す。哺乳動物は、ネズミ科動物、ラット、類人猿、ヒト、家畜動物またはヒト消費のための家畜、例えばブタ、ウシ、およびヒツジの他に、競技動物および愛玩動物を包含するが、これらに限定されない。対象はまた、脊椎動物、例えば魚および家禽を包含する。
「発現カセット」は、宿主細胞中での特定のポリヌクレオチド配列の転写を可能にする一連の指定される核酸エレメントを有する、組換えによりまたは合成的に生成された、核酸構築物である。発現カセットは、プラスミド、ウイルスゲノム、または核酸断片の部分であってもよい。典型的には、発現カセットは、プロモーターに機能的に連結された、転写されるべきポリヌクレオチドを含む。プロモーターは異種プロモーターであることができる。ポリヌクレオチドに機能的に連結されたプロモーターの文脈において、「異種プロモーター」は、天然の生成物(例えば、野生型生物)において見出される場合の同じポリヌクレオチドにはそのように機能的に連結されていないプロモーターを指す。
「核酸」または「ポリヌクレオチド」という用語は、一本鎖または二本鎖のいずれかの形態のデオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)およびそのポリマーを指す。特に限定されなければ、前記用語は、参照核酸と類似した結合特性を有し、天然に存在するヌクレオチドに類似した方式で代謝される天然ヌクレオチドの既知のアナログを含有する核酸を包含する。他に指し示されなければ、特定の核酸配列はまた、明示的に指し示される配列の他に、その保存的に改変されたバリアント(例えば、縮重コドン置換)、アレル、オルソログ、SNP、および相補的配列を暗黙的に包含する。特定の態様において、改変されたRNA分子が使用され、これは例えば、以下においてより詳細に記載されるように、細胞に導入された場合の安定性および/または翻訳の増加を可能とするためのある特定の化学修飾を有するmRNAである。核酸阻害物質、例えばsiRNAまたはshRNAを包含する、本発明において使用されるRNAのいずれも、例えば、Dar et al.(2016)Scientific Reports 6:article no.20031(2016)に記載されるように、およびcrdd.osdd.net/servers/sirnamod/においてアクセス可能なデータベースにおいて提示されるように、例えば、安定性および/または効力を増強するための化学修飾と共に使用され得ることが理解される。
「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」は、アミノ酸残基のポリマーを指すために本明細書において交換可能に使用される。3つすべての用語は、天然に存在するアミノ酸ポリマーおよび天然に存在しないアミノ酸ポリマーの他に、1つまたは複数のアミノ酸残基が、対応する天然に存在するアミノ酸の人工的な化学的な模倣物であるアミノ酸ポリマーに適用される。本明細書において使用される場合、前記用語は、全長タンパク質を包含する、任意の長さのアミノ酸鎖であって、アミノ酸残基が共有性ペプチド結合により連結されている、アミノ酸鎖を包含する。
本明細書において使用される場合、「同一の」またはパーセントの「同一性」という用語は、2つまたはそれより多くのポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列を記載する文脈において、同じである2つまたはそれより多くの配列または指定される部分配列を指す。「実質的に同一の」2つの配列は、配列比較アルゴリズムを使用してまたは特有の領域が指定されない手動のアライメントおよび目視検査により測定されるように、比較され、比較ウインドウ、または指定される領域にかけて最大一致のためにアライメントされた場合に、少なくとも60%の同一性、好ましくは65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有する。ポリヌクレオチド配列に関して、この定義はまた、試験配列の相補体を指す。アミノ酸配列に関して、一部の場合において、同一性は、少なくとも約50アミノ酸もしくはヌクレオチドの長さの領域にかけて、またはより好ましくは75~100アミノ酸もしくはヌクレオチドの長さの領域にかけて存在する。
配列比較のために、典型的には1つの配列は参照配列として作用し、前記配列に対して試験配列が比較される。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験および参照配列がコンピュータにエントリーされ、必要な場合には部分配列座標が指定され、配列アルゴリズムのプログラムパラメータが指定される。デフォルトのプログラムパラメータを使用することができ、または代替的なパラメータを指定することができる。配列比較アルゴリズムは次に、プログラムパラメータに基づいて、参照配列に対して試験配列の配列同一性パーセントを算出する。核酸およびタンパク質の配列比較のために、BLAST 2.0アルゴリズムおよびデフォルトのパラメータが使用される。
4. 加齢筋肉において筋肉量を増強する方法
本開示は、対象、例えば、ヒト対象において加齢筋肉の機能、量、強度、および他の特性を増加させる方法であって、トロンボスポンジン-1阻害物質を対象に投与する工程を含む、方法を提供する。トロンボスポンジン-1阻害物質の投与は、全身的または局所的、例えば、筋肉内注射によるものであることができ、量、機能、強度、または対象における筋肉機能の任意の他の度合の増強を包含する、加齢筋肉の多数の局面のいずれかを増強することができる。特定の態様において、トロンボスポンジン-1阻害物質の投与は、筋肉におけるMuSC増殖および活性化における増加に繋がり、それにより、筋肉の再生潜在能力における増加に繋がる。一部の態様において、加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋は無傷である。一部の態様において、加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋は傷害を受けており、かつトロンボスポンジン-1阻害物質は傷害からの回復を加速させる。
1つの態様において、本明細書において提供されるのは、対象において加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋の筋肉機能を増強する方法であって、CD47へのトロンボスポンジン-1の結合を阻害するためおよび/またはトロンボスポンジン-1によるCD47シグナル伝達の活性化を阻害するために有効な量のトロンボスポンジン-1阻害物質を、加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋に投与し、それにより、対象において加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋の筋肉機能を増強する工程を含む、方法である。
別の態様において、本明細書において提供されるのは、対象において加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋の筋肉量、筋肉強度、および/または筋肉持久力を増加させる方法であって、CD47へのトロンボスポンジン-1の結合を阻害するためおよび/またはトロンボスポンジン-1によるCD47シグナル伝達の活性化を阻害するために有効な量のトロンボスポンジン-1阻害物質を、加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋に投与し、それにより、対象において加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋の筋肉量、筋肉強度、および/または筋肉持久力を増加させる工程を含む、方法である。
別の態様において、加齢の1つまたは複数のバイオマーカーを有する対象において加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋を若返らせる方法であって、CD47へのトロンボスポンジン-1の結合を阻害するためおよび/またはトロンボスポンジン-1によるCD47シグナル伝達の活性化を阻害するために有効な量のトロンボスポンジン-1阻害物質を、対象に投与し、それにより、対象において加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋を若返らせる工程を含む、方法が提供される。
本明細書において提供される方法は、加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋の機能を増強するために使用されてもよい。本明細書において提供される方法は、加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋を若返らせるために使用されてもよい。本明細書において提供される方法は、加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋の筋肉量、筋肉強度、筋力、および/または筋肉持久力を増加させるために使用されてもよい。方法は、筋肉損傷、傷害、または萎縮症と関連付けられる状態または疾患を有する対象において筋肉細胞の集団を再生させるために使用されてもよい。方法は、その必要がある対象において筋肉損傷、傷害、または萎縮症と関連付けられる状態または疾患を処置するために使用されてもよい。方法は、対象において筋肉損傷、筋肉傷害、または筋萎縮症を処置するために使用されてもよい。方法は、例えばエクスビボ応用のために、単離された筋肉細胞の集団の増殖を刺激するために使用されてもよい。
対象
対象は、加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、もしくは異栄養性骨格筋を有するか、または加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、もしくは異栄養性骨格筋を有するリスクがある任意の対象、例えばヒトまたは他の哺乳動物であることができる。一部の態様において、対象はヒトである。特定の態様において、対象は、成人(成体)(例えば、年齢関連サルコペニアを有する成人(成体))である。一部の態様において、対象は、小児(例えば、筋ジストロフィー、例えばデュシェンヌ型筋ジストロフィーを有する小児)である。一部の態様において、対象は女性(雌)(例えば、成人女性(成体雌))である。一部の態様において、対象は男性(雄)(例えば、成人男性(成体雄))である。
一部の態様において、対象はヒトであり、かつ方法は、ヒトがその年齢に基づいてトロンボスポンジン-1阻害物質での処置のために選択される工程をさらに含む。例えば、ヒトは、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80歳、もしくはそれより高い年齢を上回る年齢、またはヒトがサルコペニアもしくは加齢筋肉を有するかもしくは潜在的に有する任意の年齢に基づいて、処置のために選択され得る。一部の態様において、対象は、筋肉強度または機能を評価する任意の方法、例えば、握力検査、歩行速度、筋仕事率検査、機能検査、耐性検査、またはトレッドミル、イメージングベース検査、筋肉量の評価、および/または、例えば、医師もしくは他の有資格の医療専門家により対象から得られた筋肉生検における、分子もしくは細胞分析を使用して判定される加齢筋肉を有すると判定される。
一部の態様において、方法は、トロンボスポンジン-1阻害物質での処置のために、萎縮性または異栄養性骨格筋を伴う状態、例えば、脊髄性筋萎縮症、糖尿病、フレイル、筋ジストロフィー、サルコペニック肥満症、ニューロパチー、がん悪液質、またはHIV悪液質、または不動の結果もしくは廃用の結果としてもたらされる筋萎縮症の診断に基づいて、ヒトが選択される工程をさらに含む。一部の態様において、筋ジストロフィーは、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、先天性筋ジストロフィー、遠位型筋ジストロフィー、エメリー-ドレイフス筋ジストロフィー、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー、肢帯型筋ジストロフィー、筋緊張性筋ジストロフィー、および眼咽頭筋ジストロフィーからなる群より選択される。
一部の態様において、骨格筋は無傷である。一部の態様において、骨格筋は傷害を受けている。筋肉は、胸筋複合体(musculi pectoralis complex)、広背筋、大円筋および肩甲下筋、腕橈骨筋、二頭筋、上腕筋、方形回内筋、円回内筋、橈側手根屈筋、尺側手根屈筋、浅指屈筋、深指屈筋、短母指屈筋、母指対立筋、母指内転筋、短母指屈筋、腸腰筋、腰筋、腹直筋、大腿直筋、大臀筋、中殿筋、内側ハムストリング、腓腹筋、外側ハムストリング、四頭筋機構(quadriceps mechanism)、長内転筋、短内転筋、大内転筋、内側腓腹筋、外側腓腹筋、ヒラメ筋、後脛骨筋、前脛骨筋、長指屈筋、短指屈筋、長母趾屈筋、長母趾伸筋、眼筋、咽頭筋、括約筋、手筋、腕筋、足筋、脚筋、胸筋、胃筋、背筋、臀筋、肩筋、および頭頸筋などを包含するが、これらに限定されない、身体の任意の骨格筋であることができる。
一部の態様において、対象は、サルコペニアもしくはサルコペニアの可能性の診断に基づいて;対象の年齢、すなわちサルコペニアもしくはサルコペニアの可能性と関連付けられる年齢に基づいて;または加齢筋肉の本明細書に記載される特徴のいずれかの検出に基づいて処置のために同定される。例えば、MuSCの表面上のCD47のレベルの上昇、MuSC増殖または活性化の減少、筋肉強度、量、または機能の減少などの筋肉における検出は、対象がトロンボスポンジン-1阻害物質での処置のための候補であることを指し示すことができる。一部の態様において、筋肉は傷害を受けていない。一部の態様において、筋肉は無傷である。
一部の態様において、対象は、筋萎縮症と関連付けられる状態もしくは疾患の診断に基づいて;筋萎縮症の存在もしくはその可能性の判定に基づいて;対象の年齢、例えば、サルコペニアもしくはサルコペニアの可能性と関連付けられる年齢に基づいて、または加齢および/もしくは萎縮性筋肉の本明細書に記載される特徴のいずれかの検出に基づいて処置のために同定される。例えば、CD47の高い表面レベルを有するMuSCのレベルの上昇、MuSC増殖の減少、筋肉におけるタンパク質合成の減少、筋線維および/または筋管サイズの減少、筋肉量の減少、筋肉強度、機能または持久力の減少の筋肉における検出は、対象がトロンボスポンジン-1阻害物質での処置のための候補であることを指し示すことができる。
一部の態様において、対象は、手術を受けようとしているか、手術を受けているか、または手術を受けたことがある対象であり、かつ方法および組成物は、筋肉組織の再生を促進し、それにより、手術からの回復を加速させるためにインビボで使用される。一部の態様において、対象は、MuSCの遺伝子矯正を伴うエクスビボ処置を受けており、かつ方法と組成物は、移植の前に遺伝子改変されたMuSCを増大させるために使用される。一部の態様において、方法および組成物は、すなわち細胞治療として、対象への投与の前に自家または異種MuSCを増大させるために使用される。
筋肉再生を必要とする対象は、筋骨格傷害(例えば、骨折、筋挫傷、捻挫、急性傷害、および過剰使用傷害など)、肢または顔への外傷後損傷、スポーツ傷害、加齢における骨折後、手の軟組織傷害、筋萎縮症(例えば、筋肉量の喪失)、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)、ベッカー型筋ジストロフィー、福山型先天性筋ジストロフィー(FCMD)、肢帯型筋ジストロフィー(LGMD)、先天性筋ジストロフィー、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FHMD)、筋緊張性筋ジストロフィー、眼咽頭筋ジストロフィー、遠位型筋ジストロフィー、エメリー-ドレイフス筋ジストロフィー、先天性筋強直症、筋強直性ジストロフィー、他の筋ジストロフィー、筋肉消耗性疾患、例えばがんに起因する悪液質、末期腎疾患(ESRD)、後天性免疫不全症候群(AIDS)、または慢性閉塞性肺疾患(COPD)、術後筋肉衰弱、外傷後筋肉衰弱、サルコペニア、不活発(例えば、筋肉廃用または不動)、尿道括約筋不全、尿道括約筋不全、ならびに神経筋疾患などを有してもよい。
神経筋疾患の非限定的な例は、酸性マルターゼ欠損症、筋萎縮性側索硬化症、アンダーセン-タウィル症候群、ベッカー型筋ジストロフィー、ベッカー型先天性筋強直症、ベスレムミオパチー、球脊髄性筋萎縮症、カルニチン欠損症、カルニチンパルミチルトランスフェラーゼ欠損症、セントラルコア病、中心核ミオパチー、シャルコー-マリー-トゥース病、先天性筋ジストロフィー、先天性筋無力症候群、先天性筋強直性ジストロフィー、コリ病、脱分枝酵素欠損症、デジェリーヌ-ソッタ病、皮膚筋炎、遠位型筋ジストロフィー、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、筋緊張性ジストロフィー、エメリー-ドレイフス筋ジストロフィー、内分泌性ミオパチー、オイレンベルク病、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー、脛骨筋遠位型ミオパチー、フリードライヒ運動失調症、福山型先天性筋ジストロフィー、糖原病10型、糖原病11型、糖原病2型、糖原病3型、糖原病5型、糖原病7型、糖原病9型、ガワース-レイン遠位型ミオパチー、遺伝性封入体筋炎、甲状腺機能亢進型ミオパチー、甲状腺機能低下型ミオパチー、封入体筋炎、遺伝性ミオパチー、インテグリン欠損型先天性筋ジストロフィー、球脊髄性筋萎縮症、脊髄性筋萎縮症、乳酸デヒドロゲナーゼ欠損症、ランバート-イートン筋無力症候群、マッカードル病、メロシン欠損型先天性筋ジストロフィー、筋肉の代謝性疾患、ミトコンドリアミオパチー、三好型遠位型ミオパチー、運動ニューロン疾患、筋眼脳症(muscle-eye-brain disease)、重症筋無力症、ミオアデニル酸デアミナーゼ欠損症、筋原線維ミオパチー、筋ホスホリラーゼ欠損症、先天性筋強直症、筋緊張性筋ジストロフィー、ミオチュブラーミオパチー、ネマリンミオパチー、野中型遠位型ミオパチー、眼咽頭筋ジストロフィー、先天性パラミオトニア、ピアソン症候群、周期性麻痺、ホスホフルクトキナーゼ欠損症、ホスホグリセリン酸キナーゼ欠損症、ホスホグリセリン酸ムターゼ欠損症、ホスホリラーゼ欠損症、多発性筋炎、ポンペ病、進行性外眼筋麻痺、脊髄性筋萎縮症、ウルリッヒ型先天性筋ジストロフィー、ウェランダー型遠位型ミオパチー、およびZASP関連ミオパチーなどを包含するが、これらに限定されない。
筋萎縮症(例えば、筋肉消耗症)は、例えば、正常な加齢(例えば、サルコペニア)、遺伝学的異常(例えば、突然変異または単一ヌクレオチド多型)、栄養不良、循環不良、ホルモンサポートの喪失、運動不足(例えば、床上安静、キャストでの肢の不動など)に起因する筋肉の不使用、加齢、筋肉を神経支配する神経に対する損傷、ポリオ、筋萎縮性側索硬化症(ALSまたはルー-ゲーリッグ病)、心不全、肝臓疾患、糖尿病、肥満症、メタボリックシンドローム、脱髄疾患(例えば、多発性硬化症、シャルコー-マリー-トゥース病、ペリツェウス-メルツバッハー病、脳脊髄炎、視神経脊髄炎、副腎白質ジストロフィー、およびGuillianにより引き起こされるか、またはこれらと関連付けられるものであり得る。
対象における骨格筋機能、強度、量、または本明細書に記載される特徴のいずれかの評価は、当業者に公知の多様な方法のいずれかを使用して、例えば、筋肉性能の分析により、例えば握力検査、強縮力の測定、歩行速度、筋仕事率検査、機能検査、耐性検査、またはトレッドミル、イメージングベース検査、筋肉量の評価、および/または、例えば、対象から得られた筋肉生検における、分子もしくは細胞分析により評価され得る。一部の態様において、筋肉は、例えば、ノテキシンを使用して、傷害を受け、および筋肉の再生に対する阻害物質の効果は、本明細書に記載される方法のいずれかを使用して評価される。
一部の態様において、対象は、家畜動物、例えばヒト消費のための家畜、例えばブタ、ウシ、ヒツジ、家禽、または魚であり、かつ方法は、例えば、老齢動物、すなわち、加齢筋肉を有する動物において筋肉量、機能、または強度を増強するために使用される。一部の態様において、トロンボスポンジン-1のポリペプチド阻害物質、例えば、遮断抗体または抗体断片をコードするポリヌクレオチドを含むベクターまたは発現カセットが動物に導入され、その結果、ポリペプチド阻害物質が動物の細胞、例えば、筋肉細胞中で発現する。一部の態様において、動物は、トロンボスポンジン-1の小分子阻害物質を投与される。一部の態様において、トロンボスポンジン-1の核酸阻害物質、例えば、shRNAを含むベクターまたは発現カセットが動物に導入され、その結果、核酸阻害物質が動物の細胞、例えば、筋肉細胞中で発現する。一部の態様において、遺伝子療法が使用され、例えば、その結果、内因性のトロンボスポンジン-1をコードする遺伝子の全体または部分が動物の細胞、例えば、MuSCにおいてより低い活性の、より低い安定性の、またはより低い発現の形態の遺伝子で置き換えられる。一部の態様において、ポリペプチドトロンボスポンジン-1阻害物質をコードする改変されたRNA、例えば、化学的に修飾されたRNA阻害物質、例えばshRNAまたは化学的に修飾されたmRNAが動物に導入され、その結果、RNA阻害物質または発現したタンパク質阻害物質が動物の筋肉細胞中に存在する。
トロンボスポンジン-1阻害物質
加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋においてトロンボスポンジン-1の発現、安定性、または活性(例えば、CD47結合もしくは活性化能力)を任意の仕方で低減、減少、対抗、減弱、阻害、遮断、下方調節、または排除する任意の剤が本発明の方法において使用され得る。阻害物質は、トロンボスポンジン-1の発現、安定性ならびに/または活性、例えば、CD47受容体に結合するおよび/もしくはそれを活性化させるトロンボスポンジン-1の能力を任意の仕方で低減、減少、対抗、減弱、阻害、遮断、下方調節、または排除する抗体、例えば、遮断抗体もしくは抗体断片、小分子化合物、ペプチド、ポリペプチド、核酸、または任意の他の分子であることができる。特定の態様において、阻害物質は、遮断抗体または抗体断片、例えば、ThermoFisher Scientific Cat # 14-9756-82から入手可能であり、Annis et al.(2006)J Thromb Haemost 2006 Feb;4(2):459-468(その開示全体は参照により本明細書に組み入れられる)に記載されている、遮断抗体A6.1、またはその断片である。
一部の態様において、阻害物質はトロンボスポンジン-1に結合する。一部の態様において、阻害物質はトロンボスポンジン-1に結合しないが、それにもかかわらず、阻害物質は、CD47へのトロンボスポンジン-1の結合、またはトロンボスポンジン-1によるCD47の活性化を予防する。
一部の態様において、トロンボスポンジン-1阻害物質は、トロンボスポンジン-1の活性(例えば、CD47結合もしくは活性化)、安定性、または発現を、対照レベル、例えば、阻害物質の非存在下で決定されるレベルと比べて、インビボまたはインビトロで、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、またはそれより大きく減少させる。
阻害物質の有効性は、インビトロおよびインビボの方法を包含する、様々な仕方のいずれかで評価され得る。例えば、有効性は、CD47へのトロンボスポンジン-1の結合を測定することにより、例えば、下流のシグナル伝達分子、例えばcAMP、p38 MAPK、JAK/STAT、TGF-βを通じて検出される、CD47のトロンボスポンジン-1媒介性活性化を測定することにより評価され得る。cAMPは、例えば、センサー、例えば実施例に記載されている蛍光cAMP下向きセンサーを使用して評価され得る。MuSC上のCD47活性化はまた、例えば、標準的な方法、例えば、インビトロで経時的に細胞数を定量化すること、またはインビトロもしくはインビボでIdU取り込みを定量化することを使用してMuSCの増殖を調べることにより評価され得る。阻害物質の有効性はまた、例えば、検査されている骨格筋の傷害ありまたはなしで、握力強度検査または力測定を使用して、インビボで評価され得る。
一部の態様において、本明細書に記載される方法の1つまたは複数を使用してCD47の結合および/または活性化が、参照値、例えば、阻害物質の非存在下での値と比較して、インビトロまたはインビボで、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれより大きく減少している場合に、トロンボスポンジン-1阻害物質は有効であると考えられる。一部の態様において、トロンボスポンジン-1をコードするポリヌクレオチドの発現のレベルが、参照値と比較して少なくとも1/1.5、少なくとも1/2、少なくとも1/3、少なくとも1/4、少なくとも1/5、少なくとも1/6、少なくとも1/7、少なくとも1/8、少なくとも1/9、少なくとも1/10まで、またはそれより大きく減少している場合に、トロンボスポンジン-1阻害物質は有効であると考えられる。
一部の態様において、トロンボスポンジン-1阻害物質は、加齢筋肉、萎縮性筋肉、もしくは異栄養性筋肉の1つもしくは複数の特徴、例えば、筋肉量、筋肉強度(例えば、握力検査および力測定アッセイを通じて検出される)、筋肉再生能力(例えば、移植アッセイを通じて検出される)、MuSC増殖、MuSC活性化、MuSC CD47表面発現、MuSC Pax7レベル(例えば、CyTOF分析を通じて検出される)、CD47ポリアデニル化、CD47 3'UTRの長さ、またはその他を改善する場合に、有効であると考えられる。一部のそのような態様において、阻害物質は、トロンボスポンジン-1阻害物質の投与の前の加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋におけるレベルと比べた、加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋における筋肉量および/または再生の増加、例えば、トロンボスポンジン-1阻害物質の投与の前の加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋におけるレベルと比べた、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれより大きい増加を結果としてもたらす。一部の態様において、阻害物質は、若齢骨格筋および/または非異栄養性骨格筋において存在するレベルと実質的に同様のレベルまでの、加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋における筋肉量および/または再生の増加を結果としてもたらす。一部のそのような態様において、阻害物質は、トロンボスポンジン-1阻害物質の投与の前の加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋におけるレベルと比べた、加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋における筋肉量および/または再生の少なくとも10%の増加を結果としてもたらす。
一部の態様において、阻害物質は、トロンボスポンジン-1阻害物質の投与の前の加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋におけるレベルと比べた、加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋におけるMuSC増殖および/または活性の増加、例えば、トロンボスポンジン-1阻害物質の投与の前の加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋におけるレベルと比べた、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%の、またはそれより大きい増加を結果としてもたらす。一部の態様において、阻害物質は、若齢骨格筋および/または非異栄養性骨格筋において存在するレベルと実質的に同様のレベルまでの、加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋におけるMuSC増殖および/または活性の増加を結果としてもたらす。一部の態様において、阻害物質は、トロンボスポンジン-1阻害物質の投与の前の加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋におけるレベルと比べた、加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋におけるMuSC増殖および/または活性の少なくとも10%の増加を結果としてもたらす。
一部の態様において、阻害物質は、トロンボスポンジン-1阻害物質の投与の前の加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋におけるレベルと比べた、加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋におけるCD47のMuSC表面レベルの減少、例えば、トロンボスポンジン-1阻害物質の投与の前の加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋におけるレベルと比べた、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%の、またはそれより大きい減少を結果としてもたらす。一部の態様において、阻害物質は、若齢骨格筋および/または非異栄養性骨格筋において存在するレベルと実質的に同様のレベルまでの、加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋におけるCD47のMuSC表面レベルの減少を結果としてもたらす。一部の態様において、阻害物質は、トロンボスポンジン-1阻害物質の投与の前の加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋におけるレベルと比べた、少なくとも10%の、加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋におけるCD47のMuSC表面レベルの減少を結果としてもたらす。
阻害物質の有効性はまた、例えば、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)発現の減少の検出により評価可能であり、前記減少は、常用の技術、例えばRT-PCR、リアルタイムRT-PCR、半定量的RT-PCR、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)、定量的RT-PCR(qRT-PCR)、マルチプレックス分岐DNA(bDNA)アッセイ、マイクロアレイハイブリダイゼーション、または配列解析(例えば、RNAシークエンシング(「RNA-Seq」))を使用して分析され得る。ポリヌクレオチド発現を定量化する方法は、例えば、Fassbinder-Orth,Integrative and Comparative Biology,2014,54:396-406;Thellin et al.,Biotechnology Advances,2009,27:323-333;およびZheng et al.,Clinical Chemistry,2006,52:7(doi:10/1373/clinchem.2005.065078)において記載されている。一部の態様において、リアルタイムまたは定量的PCRまたはRT-PCRが、生物学的試料中のポリヌクレオチド(例えば、mRNA)のレベルを測定するために使用される。例えば、Nolan et al.,Nat.Protoc,2006,1:1559-1582;Wong et al.,BioTechniques,2005,39:75-75を参照。遺伝子発現を測定するための定量的PCRおよびRT-PCRアッセイはまた、商業的に利用可能である(例えば、TaqMan(登録商標)Gene Expression Assays、ThermoFisher Scientific)。
一部の態様において、トロンボスポンジン-1をコードするポリヌクレオチドの発現のレベルが、参照値、例えば、阻害物質の非存在下での値と比較して、インビトロまたはインビボで、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれより大きく減少している場合に、トロンボスポンジン-1阻害物質は有効であると考えられる。一部の態様において、トロンボスポンジン-1をコードするポリヌクレオチドの発現のレベルが、参照値と比較して少なくとも1/1.5、少なくとも1/2、少なくとも1/3、少なくとも1/4、少なくとも1/5、少なくとも1/6、少なくとも1/7、少なくとも1/8、少なくとも1/9、少なくとも1/10まで、またはそれより大きく減少している場合に、トロンボスポンジン-1阻害物質は有効であると考えられる。
トロンボスポンジン-1阻害物質の有効性はまた、例えば、常用の技術、例えばイムノアッセイ、2次元ゲル電気泳動、および当業者に公知の定量的な質量分析を使用して、タンパク質発現または安定性を検出することにより評価され得る。タンパク質定量化技術は、"Strategies for Protein Quantitation," Principles of Proteomics,2nd Edition,R.Twyman,ed.,Garland Science,2013において一般に記載されている。一部の態様において、タンパク質発現または安定性は、イムノアッセイ、例えば以下に限定されないが、酵素イムノアッセイ(EIA)、例えば酵素多重イムノアッセイ技術(EMIT)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、IgM抗体捕捉ELISA(MAC ELISA)、およびマイクロ粒子酵素イムノアッセイ(MEIA);キャピラリー電気泳動イムノアッセイ(CEIA);ラジオイムノアッセイ(RIA);イムノラジオメトリックアッセイ(IRMA);免疫蛍光(IF);蛍光偏光イムノアッセイ(FPIA);ならびに化学発光アッセイ(CL)により検出される。所望される場合、そのようなイムノアッセイは自動化され得る。イムノアッセイはまた、レーザー誘起蛍光法と組み合わせて使用され得る(例えば、Schmalzing et al.,Electrophoresis,18:2184-93(1997);Bao,J.Chromatogr.B.Biomed.Sci.,699:463-80(1997)を参照)。
トロンボスポンジン-1タンパク質レベルがトロンボスポンジン-1阻害物質の存在下で減少しているかどうかを判定するために、方法は、阻害物質の存在下でのタンパク質(例えば、トロンボスポンジン-1タンパク質)のレベルを参照値、例えば、阻害物質の非存在下でのレベルと比較する工程を含む。一部の態様において、トロンボスポンジン-1タンパク質のレベルが、参照値と比較して少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれより大きく減少している場合に、トロンボスポンジン-1タンパク質は阻害物質の存在下で減少している。一部の態様において、トロンボスポンジン-1タンパク質のレベルが、参照値と比較して少なくとも1/1.5、少なくとも1/2、少なくとも1/3、少なくとも1/4、少なくとも1/5、少なくとも1/6、少なくとも1/7、少なくとも1/8、少なくとも1/9、少なくとも1/10まで、またはそれより大きく減少している場合に、トロンボスポンジン-1タンパク質は阻害物質の存在下で減少している。
抗体
特定の態様において、阻害物質は抗トロンボスポンジン-1抗体またはその抗原結合断片である。一部の態様において、抗体は遮断抗体(すなわち、標的に結合し、標的の機能、例えば、トロンボスポンジン-1のCD47結合または活性化活性に直接的に干渉する抗体)である。一部の態様において、抗体は中和抗体(すなわち、標的に結合し、標的の下流の細胞効果を無効化する抗体)である。特定の態様において、抗体はマウスまたはヒトトロンボスポンジン-1に結合する。
一部の態様において、抗体はモノクローナル抗体である。一部の態様において、抗体はポリクローナル抗体である。一部の態様において、抗体はキメラ抗体である。一部の態様において、抗体はヒト化抗体である。一部の態様において、抗体はヒト抗体である。一部の態様において、抗体は、抗原結合断片、例えばF(ab')2、Fab'、Fab、およびscFvなどである。「抗体または抗原結合断片」という用語はまた、二重または多重の抗原またはエピトープ特異性を有する、多特異性およびハイブリッド抗体を包含することができる。
特定の態様において、抗体は、A6.1(Thermofisher scientific Cat#14-9756-82;Annis et al.;2006,J.Thromb.Haemost.4(2):459-468)、またはCD47-THBS1相互作用を遮断する抗体、例えば以下に限定されないがB6H12(Rogers et al,2016,Kidney international,90(2):334-347 DOI:10.1016/j.kint.2016.03.034)、MIAP410(Kojima,Y.,et al.(2016)."CD47-blocking antibodies restore phagocytosis and prevent atherosclerosis." Nature.DOI:10.1038/nature18935)、B6H12.2(Majeti et al,2009,Cell,138(2):286-99.doi:10.1016/j.cell.2009.05.045)、ab33852(Nevitt C et al.,2016,Am J Physiol Heart Circ Physiol 310:H1842-H1850,DOI:10.1152/ajpheart.00086.2016)、もしくはこれらの参照文献のいずれかにおいて開示される抗THBS1もしくは抗CD47抗体(ヒト、ラット、もしくはマウスTHBS1もしくはCD47を包含する)のいずれか(例えば、Annis et al.2006;Rogers et al.2016;Kojima et al.2016;Majeti et al.2009;Nevitt et al.2016;米国特許第10,870,699号明細書、米国特許第10,844,124号明細書、日本国特許出願JP2021048858A)、ならびに抗体mAb133、MA-I、およびD4.6(Annis et al.2006)を包含する抗体からなる群より選択される抗体から選択されるか、またはそれに由来するか、またはその断片である。
一部の態様において、抗トロンボスポンジン-1抗体は、本明細書に開示される抗体配列の、重鎖配列もしくはその部分、および/または軽鎖配列もしくはその部分を含む。一部の態様において、抗トロンボスポンジン-1抗体は、本明細書に開示されている抗トロンボスポンジン-1抗体の1つまたは複数の相補性決定領域(CDR)を含む。一部の態様において、抗トロンボスポンジン-1抗体は、ナノボディ、または単一の単量体可変抗体ドメイン、例えば、単一のVHHドメインを含む、単一ドメイン抗体(sdAb)である。
トロンボスポンジン-1に結合する抗体を調製するために、当技術分野において公知の多くの技術が使用され得る。例えば、Kohler&Milstein,Nature 256:495-497(1975);Kozbor et al.,Immunology Today 4:72(1983);Cole et al.,pp.77-96 in Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,Inc.(1985);Coligan,Current Protocols in Immunology(1991);Harlow&Lane,Antibodies,A Laboratory Manual(1988);およびGoding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice(2nd ed.1986))を参照。一部の態様において、抗体は、抗体応答の誘導のための抗原で動物または動物(例えばマウス、ウサギ、またはラット)を免疫化することにより調製される。一部の態様において、抗原は、アジュバント(例えば、フロイントアジュバント)と共役して投与される。一部の態様において、初期免疫化後に、抗原の1つまたは複数のその後のブースター注射が、抗体産生を改善するために投与され得る。免疫化後に、抗原特異的なB細胞が、例えば、脾臓および/またはリンパ組織から、採取される。モノクローナル抗体を生成するために、B細胞は骨髄腫細胞と融合され、その後に抗原特異性についてスクリーニングされる。
関心対象の抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子は細胞からクローニング可能であり、例えば、モノクローナル抗体をコードする遺伝子は、ハイブリドーマからクローニングされて、組換えモノクローナル抗体を製造するために使用され得る。モノクローナル抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子ライブラリーはまた、ハイブリドーマまたは形質細胞から作製され得る。追加的に、ファージまたは酵母ディスプレイ技術を使用して、選択された抗原に特異的に結合する抗体およびヘテロマーFab断片を同定することができる(例えば、McCafferty et al.,Nature 348:552-554(1990);Marks et al.,Biotechnology 10:779-783(1992);Lou et al.m PEDS 23:311(2010);およびChao et al.,Nature Protocols,1:755-768(2006)を参照)。代替的に、抗体および抗体配列は、酵母ベースの抗体提示システム、例えば、例えばXu et al.,Protein Eng Des Sel,2013,26:663-670;WO 2009/036379;WO 2010/105256;およびWO 2012/009568において開示されるものを使用して単離および/または同定されてもよい。重鎖および軽鎖遺伝子産物のランダムな組合せは、異なる抗原特異性を有する抗体の大きいプールを生成する(例えば、Kuby,Immunology(3rd ed.1997)を参照)。単鎖抗体または組換え抗体の製造のための技術(米国特許第4,946,778号明細書、米国特許第4,816,567号明細書)もまた、抗体を製造するために適合され得る。
抗体は、原核および真核発現系を包含する、いくつもの発現系を使用して製造され得る。一部の態様において、発現系は、哺乳動物細胞、例えばハイブリドーマ、またはCHO細胞である。多くのそのような系は商用供給業者から広く入手可能である。抗体がVH領域およびVL領域の両方を含む態様において、VHおよびVL領域は、単一のベクターを使用して、例えば、2シストロン性発現単位において、または異なるプロモーターの制御下で発現されてもよい。他の態様において、VHおよびVL領域は、別々のベクターを使用して発現されてもよい。
一部の態様において、抗トロンボスポンジン-1抗体は、親和性成熟した1つまたは複数のCDR、重鎖、および/または軽鎖配列を含む。キメラ抗体について、キメラ抗体を製造する方法は当技術分野において公知である。例えば、1つの種、例えばマウスからの抗原結合領域(重鎖可変領域および軽鎖可変領域)が別の種、例えばヒトのエフェクター領域(定常ドメイン)に融合したキメラ抗体が製造され得る。別の例として、抗体のエフェクター領域が異なる免疫グロブリンクラスまたはサブクラスのエフェクター領域で置換されている「クラス切り替え」キメラ抗体が製造され得る。
一部の態様において、抗トロンボスポンジン-1抗体は、ヒト化された1つまたは複数のCDR、重鎖、および/または軽鎖配列を含む。ヒト化抗体について、ヒト化抗体を製造する方法は当技術分野において公知である。例えば、US 8,095,890を参照。一般に、ヒト化抗体は、非ヒトである供給源からそれに導入された1つまたは複数のアミノ酸残基を有する。ヒト化の代替として、ヒト抗体が生成され得る。非限定的な例として、免疫化で、内因性免疫グロブリン産生の非存在下でヒト抗体の全体レパートリーを産生する能力を有するトランスジェニック動物(例えば、マウス)が製造され得る。例えば、キメラおよび生殖系列突然変異体マウスにおける抗体重鎖接合領域(JH)遺伝子のホモ接合性欠失は内因性の抗体産生の完全な阻害を結果としてもたらすことが記載されている。そのような生殖系列突然変異体マウスにおけるヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子アレイの移入は、抗原負荷でのヒト抗体の産生を結果としてもたらす。例えば、Jakobovits et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:2551(1993);Jakobovits et al.,Nature,362:255-258(1993);Bruggermann et al.,Year in Immun.,7:33(1993);ならびに米国特許第5,591,669号明細書、同第5,589,369号明細書、および同第5,545,807号明細書を参照。
一部の態様において、抗体断片(例えばFab、Fab'、F(ab')2、scFv、ナノボディ、またはダイアボディ)が生成される。抗体断片の製造のための様々な技術が開発されており、これは例えばインタクトな抗体のタンパク質消化分解(例えば、Morimoto et al.,J.Biochem.Biophys.Meth.,24:107-117(1992);およびBrennan et al.,Science,229:81(1985)を参照)ならびに断片を製造するための組換え宿主細胞の使用である。例えば、抗体断片は抗体ファージライブラリーから単離され得る。代替的に、Fab'-SH断片を大腸菌(E.coli)細胞から直接的に回収し、化学的に連結してF(ab')2断片を形成させることができる(例えば、Carter et al.,BioTechnology,10:163-167(1992)を参照)。別のアプローチによれば、F(ab')2断片は組換え宿主細胞培養物から直接的に単離され得る。抗体断片の製造のための他の技術は当業者に明らかであろう。
結合親和性および結合動態を測定するための方法は当技術分野において公知である。これらの方法は、固相結合アッセイ(例えば、ELISAアッセイ)、免疫沈降、表面プラズモン共鳴(例えば、Biacore(商標)(GE Healthcare、Piscataway、NJ))、速度論的排除アッセイ(例えば、KinExA(登録商標))、フローサイトメトリー、蛍光活性化細胞選別(FACS)、バイオレイヤー干渉法(例えば、Octet(商標)(ForteBio、Inc.、Menlo Park、CA))、およびウエスタンブロット分析を包含するが、これらに限定されない。
小分子
本発明の一部の態様において、トロンボスポンジン-1は小分子阻害物質の投与により阻害される。対照、例えば、阻害物質の非存在下での発現、安定性、または活性と比べてトロンボスポンジン-1の発現、安定性、または活性を、例えば、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、またはそれより大きく低減させる任意の小分子阻害物質が使用され得る。特定の態様において、インビトロもしくはインビボでのCD47へのトロンボスポンジン-1の結合、またはトロンボスポンジン-1結合によるCD47シグナル伝達の活性化を低減させるかまたは予防することができる小分子阻害物質が使用される。
阻害性核酸
一部の態様において、剤は、阻害性核酸、例えば、アンチセンスDNAもしくはRNA、小分子干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)、または短鎖ヘアピンRNA(shRNA)を含む。一部の態様において、阻害性RNAは、トロンボスポンジン-1ポリヌクレオチド中の標的配列と同一のまたは実質的に同一の(例えば、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一の)配列(例えば、トロンボスポンジン-1をコードするポリヌクレオチド配列(例えば、ヒトTHBS1遺伝子、Gene ID:7057)の少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、または少なくとも100個の連続するヌクレオチド、例えば、20~500、20~250、20~100、50~500、または50~250個の連続するヌクレオチドを含む部分)を標的とする。
一部の態様において、本明細書に記載される方法は、対象、例えば、サルコペニアまたは老齢筋肉を有する対象をshRNAまたはsiRNAを使用して処置する工程を含む。shRNAは、それが細胞中で生成するsiRNAを介して標的遺伝子発現をサイレンシングするために使用され得るヘアピンターンを有する人工的なRNA分子である。例えば、Fire et.al.,Nature 391:806-811,1998;Elbashir et al.,Nature 411:494-498,2001;Chakraborty et al.,Mol Ther Nucleic Acids 8:132-143,2017;およびBouard et al.,Br.J.Pharmacol.157:153-165,2009を参照。一部の態様において、老齢筋肉を有する対象を処置する方法は、トロンボスポンジン-1 mRNAの部分にハイブリダイズする能力を有するshRNAまたはsiRNAをコードするポリヌクレオチドを含む治療有効量の改変されたRNAまたはベクターを対象に投与する工程を含む。一部の態様において、ベクターは、例えば、プロモーター(例えば、誘導性プロモーターまたは組織特異的プロモーター)、エンハンサー、および転写ターミネーターを包含する、当技術分野において公知の適切な発現制御エレメントをさらに含む。
一部の態様において、剤はトロンボスポンジン-1特異的マイクロRNA(miRNAまたはmiR)である。マイクロRNAは、RNAサイレンシングおよび遺伝子発現の転写後調節において機能する小さい非コーディングRNA分子である。miRNAは、mRNA転写物内の相補的配列と塩基対合する。結果として、mRNA転写物は、1つまたは複数の機序、例えばmRNA鎖の切断、そのポリ(A)テイルの短縮化を通じたmRNAの不安定化、およびリボソームによるタンパク質へのmRNA転写物の翻訳効率における減少によりサイレンシングされてもよい。
一部の態様において、剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチド、例えば、RNase H依存性アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)である。ASOは、標的mRNA中の相補的配列に結合し、標的RNAのRNase H媒介性切断およびリボソームの立体的遮断による翻訳の阻害の両方により遺伝子発現を低減させる一本鎖の、化学的に修飾されたオリゴヌクレオチドである。一部の態様において、オリゴヌクレオチドは、トロンボスポンジン-1 mRNAの部分にハイブリダイズする能力を有する。一部の態様において、オリゴヌクレオチドは、約10~30ヌクレオチド(例えば、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、または30ヌクレオチド)の長さを有する。一部の態様において、オリゴヌクレオチドは、それが結合するmRNA転写物の部分に対して100%の相補性を有する。他の態様において、DNAオリゴヌクレオチドは、それが結合するmRNA転写物の部分に対して100%未満の相補性(例えば、95%、90%、85%、80%、75%、または70%の相補性)を有するが、RNase HがmRNA転写物を切断するために安定なRNA:DNAデュプレックスを依然として形成することができる。
好適なアンチセンス分子、siRNA、miRNA、およびshRNAは、オリゴヌクレオチド合成の標準的な方法により、または標的とされているポリヌクレオチド配列を提供することにより契約研究組織もしくは供給業者にそのような分子を注文することにより製造され得る。一般にそのようなアンチセンス分子の生産および実用化(deployment)は、現代的な参考書、例えばGene and Cell Therapy:Therapeutic Mechanisms and Strategies,4th edition by N.S.Templeton;Translating Gene Therapy to the Clinic:Techniques and Approaches,1st edition by J.Laurence and M.Franklin;High-Throughput RNAi Screening:Methods and Protocols(Methods in Molecular Biology)by D.O.Azorsa and S.Arora;およびOligonucleotide-Based Drugs and Therapeutics:Preclinical and Clinical Considerations by N.Ferrari and R.Seguiにおいて記載されている標準的な技術を使用して達成され得る。
阻害性核酸はまた、タンパク質に結合する短い合成オリゴヌクレオチド配列であるRNAアプタマーを含むことができる(例えば、Li et al.,Nuc.Acids Res.(2006),34:6416-24を参照)。それらは、標的とされた分子に対する高い親和性および特異性の両方のために顕著であり、抗体よりも小さい(通常は6kD未満)という追加の利点を有する。所望される特異性を有するRNAアプタマーは一般にコンビナトリアルライブラリーから選択され、当技術分野において公知の方法を使用して、リボヌクレアーゼに対する脆弱性を低減させるために改変され得る。
ペプチド
一部の態様において、阻害物質は、ペプチド、例えば、トロンボスポンジン-1に結合するおよび/またはその活性もしくは安定性を阻害するペプチドである。一部の態様において、阻害物質は、例えば、MuSCの表面上の、CD47へのトロンボスポンジン-1の結合を予防するかまたは減少させるペプチドである。一部の態様において、阻害物質はペプチドアプタマーである。ペプチドアプタマーは、特異的な標的分子に結合するように選択または操作された人工タンパク質である。典型的には、ペプチドは、タンパク質スキャフォールドにより提示される可変配列の1つまたは複数のペプチドループを含む。ペプチドアプタマー選択は、酵母2ハイブリッドシステムを包含する、異なるシステムを使用して為され得る。ペプチドアプタマーはまた、ファージディスプレイならびに他の表面ディスプレイ技術、例えばmRNAディスプレイ、リボソームディスプレイ、細菌ディスプレイおよび酵母ディスプレイにより構築されたコンビナトリアルペプチドライブラリーから選択され得る。例えば、Reverdatto et al.,2015,Curr.Top.Med.Chem.15:1082-1101を参照。
一部の態様において、剤はアフィマーである。アフィマーは、抗体と類似した特異性および親和性でそれらの標的分子に結合する、典型的には約12~14kDaの分子量を有する、小さい、高度に安定なタンパク質である。一般に、アフィマーは、2つのペプチドループならびにモノクローナル抗体と類似した方式において高い親和性および特異性で異なる標的タンパク質に結合するように無作為化され得るN末端配列を提示する。タンパク質スキャフォールドによる2つのペプチドループの安定化は、ペプチドが取ることができる可能なコンホメーションを制約し、これは、遊離ペプチドのライブラリーと比較して結合親和性および特異性を増加させる。アフィマーおよびアフィマーを製造する方法は当技術分野において記載されている。例えば、Tiede et al.,eLife,2017,6:e24903を参照。アフィマーは、例えば、Avacta Life Sciencesから商業的に入手可能である。
ベクターおよび改変されたRNA
一部の態様において、トロンボスポンジン-1阻害活性を提供するポリヌクレオチド、例えば、核酸阻害物質、例えばsiRNAもしくはshRNA、またはトロンボスポンジン-1を阻害するポリペプチド、例えば遮断抗体断片をコードするポリヌクレオチドは、適切なベクターを使用して細胞、例えば、筋肉細胞に導入される。本開示と共に使用されてもよい送達ベクターの例は、ウイルスベクター、プラスミド、エクソソーム、リポソーム、細菌ベクター、またはナノ粒子である。一部の態様において、本明細書に記載されるトロンボスポンジン-1阻害物質、例えば、核酸阻害物質またはポリペプチド阻害物質をコードするポリヌクレオチドのいずれかは、ベクター、例えばウイルスベクターを使用して細胞、例えば、筋肉細胞に導入される。好適なウイルスベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)、アデノウイルス、およびレンチウイルスを包含するがこれらに限定されない。一部の態様において、トロンボスポンジン-1阻害物質、例えば、核酸阻害物質またはポリペプチド阻害物質をコードするポリヌクレオチドは、阻害物質をコードするポリヌクレオチド配列に機能的に連結されたプロモーターを有する、典型的には組換えにより製造された、発現カセットの形態において提供される。一部の場合において、プロモーターは、すべてのまたはほとんどの組織タイプにおいて遺伝子発現を指令する普遍的プロモーターであり;他の場合において、プロモーターは、特異的に筋肉細胞において遺伝子発現を指令するものである。
一部の態様において、トロンボスポンジン-1の核酸またはタンパク質阻害物質は、改変されたRNAを使用して、対象、例えば、対象の筋肉に導入される。対象の細胞に導入された場合の、例えば、RNA、例えば、shRNAまたはトロンボスポンジン-1ポリペプチド阻害物質をコードするmRNAの翻訳、効力および/または安定性を増強するための様々なRNAの改変が当技術分野において公知である。特定の態様において、改変されたmRNA(mmRNA)、例えば、トロンボスポンジン-1のポリペプチド阻害物質をコードするmmRNAが使用される。他の態様において、トロンボスポンジン-1発現のRNA阻害物質を含む改変されたRNA、例えば、siRNA、shRNA、またはmiRNAが使用される。使用され得るRNA改変の非限定的な例は、アンチ-リバース-キャップアナログ(ARCA)、例えば、100~250ヌクレオチドの長さの、ポリAテイル、3'UTR中のAUリッチ配列の、公知の安定なmRNAからの配列での置き換え、ならびに改変ヌクレオシドおよび構造、例えばシュードウリジン、例えば、N1-メチルシュードウリジン、2-チオウリジン、4'チオRNA、5-メチルシチジン、6-メチルアデノシン、アミド3連結、チオエート連結、イノシン、2'-デオキシリボヌクレオチド、5-ブロモ-ウリジンおよび2'-O-メチル化ヌクレオシドの加入を包含する。使用され得る化学修飾の非限定的なリストは、例えば、オンラインデータベースcrdd.osdd.net/servers/sirnamod/において見出され得る。RNAは、物理的攪乱、陽イオン性キャリアによるRNAエンドサイトーシスの生成、エレクトロポレーション、遺伝子銃、超音波、ナノ粒子、コンジュゲート、または高圧力注射を特に包含する、任意の公知の方法を使用してインビボで細胞に導入され得る。改変されたRNAはまた、例えば、クエン酸緩衝食塩水中での、直接注射により導入され得る。RNAはまた、負に荷電したRNAと陽イオン性脂質またはポリマー、例えばリポプレックス、ポリプレックス、ポリカチオンおよびデンドリマーとの間の電荷間相互作用により自然発生的に生成される自己集合したリポプレックスまたはポリプレックスを使用して送達され得る。ポリマー、例えばポリ-L-リジン、ポリアミドアミン、およびポリエチレンイミン、キトサン、およびポリ(β-アミノエステル)もまた使用され得る。例えば、Youn et al.(2015)Expert Opin Biol Ther,Sep 2;15(9):1337-1348;Kaczmarek et al.(2017)Genome Medicine 9:60,;Gan et al.(2019)Nature comm.10:871;Chien et al.(2015)Cold Spring Harb Perspect Med.2015;5:a014035(これらの各々の開示全体は参照により本明細書に組み入れられる)を参照。
5. 投与の方法
本発明の化合物は、対象において局所的にまたは全身的に投与され得る。一部の態様において、化合物は、例えば、腹腔内に、筋肉内に、動脈内に、経口的に、静脈内に、頭蓋内に、髄腔内に、脊髄内に、病巣内に、鼻腔内に、皮下に、脳室内に、外用で、および/または吸入により投与され得る。特定の態様において、化合物は、筋肉内に、例えば、筋肉内注射により投与される。特定の態様において、化合物は、筋肉内に投与され、すなわち直接的に加齢筋肉、萎縮性筋肉、または異栄養性筋肉に注射される。
一部の態様において、化合物は、急性レジメンにしたがって投与される。ある特定の事例において、化合物は、対象に1回投与される。他の事例において、化合物は、1つの時点において投与され、第2の時点において再び投与される。さらに他の事例において、化合物は、対象に繰り返して(例えば、1日1回または2回)間欠的な用量として短い時間的期間(例えば、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、1週間、2週間、3週間、4週間、1か月間、またはそれ以上)にかけて投与される。一部の場合において、化合物投与の間の時間は、約1日、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、1週間、2週間、3週間、4週間、1か月間、またはそれ以上である。他の態様において、化合物は、所望される時間的期間にかけて慢性レジメンにしたがって連続的にまたは慢性的に投与される。例えば、化合物は、化合物の量またはレベルが選択された期間にかけて実質的に一定であるように投与され得る。一部の態様において、阻害物質は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回、またはそれより多くの回数投与され得る。
対象への化合物の投与は、当技術分野において一般に使用される方法により達成され得る。導入される化合物の量は、要因、例えば性別、年齢、体重、疾患または障害の種類、障害のステージ、および所望される結果を生成するために必要とされる量を考慮に入れる。一般に、治療目的のために化合物を投与するために、細胞は、薬理学的有効用量で与えられる。「薬理学的有効量」または「薬理学的有効用量」は、所望される生理学的効果を生成するために十分な量または所望される結果を達成する能力を有する量であり、特には、状態もしくは疾患の1つもしくは複数の症状もしくは出現を低減させるかもしくは排除することを包含する、状態もしくは疾患を処置するための量である。
身体についての任意の数の骨格筋は、本発明の化合物を直接的に注射されるかまたは他に投与されてもよく、前記骨格筋は、例えば、二頭筋;三頭筋;腕橈骨筋(brachioradialus muscle);上腕筋(前上腕筋);表在性区画手関節屈筋;三角筋;大腿屈筋の大腿二頭筋、薄筋、半腱様筋および半膜様筋;四頭筋の大腿直筋、外側広筋、内側広筋および中間広筋;ふくらはぎの腓腹筋(外側および内側)、前脛骨筋、ならびにヒラメ筋;胸部の大胸筋および小胸筋;背中上部の広背筋;菱形筋(大および小);頸部、肩および背中にわたる僧帽筋;腹部の腹直筋;臀部の大臀筋、中殿筋および小殿筋;手の筋肉;括約筋;眼筋;ならびに咽頭筋である。
6. 薬学的組成物
本発明の化合物の薬学的組成物は、薬学的に許容される担体を含んでもよい。ある特定の局面において、薬学的に許容される担体は、部分的には、投与される特定の組成物の他に、組成物を投与するために使用される特定の方法により決定される。よって、本発明の薬学的組成物の多様な好適な製剤がある(例えば、REMINGTON'S PHARMACEUTICAL SCIENCES,18TH ED.,Mack Publishing Co.,Easton,PA(1990)を参照)。
本明細書において使用される場合、「薬学的に許容される担体」は、薬学的組成物の製剤化において当業者に公知の標準的な薬学的に許容される担体のいずれかを含む。そのため、化合物自体、例えば薬学的に許容される塩としてまたはコンジュゲートとして存在するものは、薬学的に許容される希釈剤;例えば、食塩水、リン酸緩衝食塩水(PBS)、水性エタノール、もしくはグルコース、マンニトール、デキストラン、プロピレングリコール、油(例えば、植物油、動物油、合成油など)の溶液、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、ゼラチン、もしくはポリソルベート80の中などの製剤として、または適切な賦形剤中の固体製剤として調製されてもよい。
前記薬学的組成物は、多くの場合に、1つまたは複数の緩衝剤(例えば、中性緩衝食塩水またはリン酸緩衝食塩水)、炭水化物(例えば、グルコース、マンノース、スクロースまたはデキストラン)、マンニトール、タンパク質、ポリペプチドまたはアミノ酸、例えばグリシン、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、メタ亜硫酸水素ナトリウム、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソールなど)、静菌剤、キレート剤、例えばEDTAまたはグルタチオン、製剤をレシピエントの血液と等張、低張または弱高張とする溶質、懸濁化剤、増稠剤、防腐剤、香味剤、甘味剤、および着色化合物を適宜さらに含む。
本発明の薬学的組成物は、投薬製剤と適合性の方式において、および治療的に有効であるような量で投与される。投与されるべき量は、例えば、個体の年齢、体重、身体的活動性、遺伝的特質、全般的健康状態、性別および食事、処置されるべき状態または疾患、投与のモードおよび時間、排出の速度、薬物の組合せ、状態または疾患のステージまたは重症度などを包含する、様々な要因に依存する。ある特定の態様において、用量のサイズはまた、特定の個体における治療剤の投与に付随する任意の有害な副作用の存在、性質、および程度により決定されてもよい。
ある特定の態様において、化合物の用量は、固体、半固体、凍結乾燥粉末、または液体剤形、例えば、錠剤、丸剤、ペレット、カプセル、粉末、溶液、懸濁液、エマルション、坐剤、保持浣腸、クリーム、軟膏、ローション、ゲル、エアロゾル、または泡などの形態、好ましくは精密な投薬量の単純な投与のために好適な単位剤形を取ってもよい。
本明細書において使用される場合、「単位剤形」という用語は、ヒトおよび他の哺乳動物のための単位投薬量として好適な物理的に別々の単位であって、各々の単位が、好適な薬学的賦形剤と合わせて、所望される開始、忍容性、および/または治療効果を生成するために算出された予め決定された量の治療剤を含有する(例えば、アンプル)、物理的に別々の単位を指す。追加的に、より濃縮された剤形が調製されてもよく、前記剤形から、より希薄な単位剤形が次に生成されてもよい。より濃縮された剤形は、そのため、実質的により多く、例えば、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10倍、またはそれより大きい倍数の量の治療用化合物を含有する。
そのような剤形を調製するための方法は当業者に公知である(例えば、REMINGTON'S PHARMACEUTICAL SCIENCES、上掲を参照)。剤形は、典型的には、従来の薬学的担体または賦形剤を含み、他の薬剤、担体、アジュバント、希釈剤、組織透過増強剤、および可溶化剤などを追加的に含んでもよい。適切な賦形剤は、当技術分野において周知の方法により特定の剤形および投与の経路に合わせて適応させることができる(例えば、REMINGTON'S PHARMACEUTICAL SCIENCES、上掲を参照)。
好適な賦形剤の例は、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアガム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、食塩水、シロップ、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびポリアクリル酸、例えばCarbopol、例えば、Carbopol 941、Carbopol 980、Carbopol 981などを包含するが、これらに限定されない。剤形は、潤滑剤、例えばタルク、ステアリン酸マグネシウム、および鉱油;湿潤剤;乳化剤;懸濁化剤;保存剤、例えばメチル-、エチル-、およびプロピル-ヒドロキシ-ベンゾエート(すなわち、パラベン);pH調整剤、例えば無機および有機酸および塩基;甘味剤;ならびに香味剤を追加的に含むことができる。剤形はまた、生分解性ポリマービーズ、デキストラン、およびシクロデキストリン包接複合体を含んでもよい。
経口投与のために、治療有効用量は、錠剤、カプセル、エマルション、懸濁液、溶液、シロップ、スプレー、ロゼンジ、粉末、および持続放出製剤の形態であることができる。経口投与のための好適な賦形剤は、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルカム、セルロース、グルコース、ゼラチン、スクロース、および炭酸マグネシウムなどを包含する。
治療有効用量はまた、凍結乾燥形態において提供され得る。そのような剤形は、投与の前の再構成のための緩衝剤、例えば、重炭酸塩を含んでもよく、または緩衝剤は、例えば、水での、再構成のための凍結乾燥された剤形において含まれてもよい。凍結乾燥された剤形は、好適な血管収縮剤、例えば、エピネフリンをさらに含んでもよい。凍結乾燥された剤形は、シリンジ中に、任意で、再構成された剤形が個体に直ちに投与され得るように再構成のための緩衝剤と組み合わせて包装されて、提供され得る。
一部の態様において、追加の化合物または医薬品が対象に併用投与され得る。そのような化合物または医薬品は、処置されている疾患の徴候または症状の軽減、免疫応答の誘導により引き起こされる副作用の低減などの目的のために併用投与され得る。一部の態様において、例えば、本発明のトロンボスポンジン-1阻害物質は、筋肉量、強度、または機能を増強することを目的とする別の化合物と共に投与される。
7. キット
本明細書に記載される組成物の他の態様は、トロンボスポンジン-1阻害物質を含むキットである。キットは典型的には容器を含有し、容器は、様々な材料、例えばガラスまたはプラスチックから形成されていてもよく、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、および試験管を包含することができる。標識が典型的にはキットに付随し、標識は、任意の記述または記録された資料を包含し、これは、キット内容物の使用のための指示書または他の情報を提供する電子的なまたはコンピュータ読み取り可能な形態であってもよい。
一部の態様において、キットは、老齢筋肉の処置のための1つまたは複数の試薬を含む。一部の態様において、キットは、トロンボスポンジン-1の発現または活性をアンタゴナイズする剤を含む。一部の態様において、キットは、トロンボスポンジン-1 mRNAまたはタンパク質の発現または活性、例えば、CD47結合活性を阻害または抑制する、阻害性核酸(例えば、アンチセンスRNA、小分子干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)、短鎖ヘアピンRNA(shRNA))、またはトロンボスポンジン-1阻害性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。一部の態様において、キットは、改変されたRNA、例えば、改変されたshRNAもしくはsiRNA、またはポリペプチドトロンボスポンジン-1阻害物質をコードする改変されたmRNAを含む。一部の態様において、キットは、阻害性核酸またはトロンボスポンジン-1阻害性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの発現のための1つまたは複数のプラスミド、細菌またはウイルスベクターをさらに含む。一部の態様において、キットは、トロンボスポンジン-1をコードするmRNAの部分にハイブリダイズする能力を有するアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。一部の態様において、キットは、トロンボスポンジン-1タンパク質に特異的に結合してそれを阻害する抗体(例えば、モノクローナル、ポリクローナル、ヒト化、二特異性、キメラ、遮断もしくは中和抗体)またはその抗体結合断片を含む。一部の態様において、キットは遮断ペプチドを含む。一部の態様において、キットはアプタマー(例えば、ペプチドまたは核酸アプタマー)を含む。一部の態様において、キットはアフィマー(affirmer)を含む。一部の態様において、キットは、改変されたRNAを含む。一部の態様において、キットは、トロンボスポンジン-1に結合し、CD47へのその結合および/またはCD47活性の活性化を予防または低減する小分子阻害物質を含む。一部の態様において、キットは、1つまたは複数の追加の治療剤、例えば、トロンボスポンジン-1の発現または活性をアンタゴナイズする剤との併用療法において投与するための剤をさらに含む。
一部の態様において、キットは、本発明の方法の実施のための指示(すなわち、プロトコール)を含有する指導用資料(例えば、加齢筋肉において量、強度、または機能を増強するためにキットを使用するための指示書)をさらに含むことができる。指導用資料は典型的には書面によるかまたは印刷された資料を含むが、それらはそれに限定されない。そのような指示書を保存し、それらをエンドユーザーに伝える能力を有する任意の媒体が本発明により想定される。そのような媒体は、電子ストレージ媒体(例えば、磁気ディスク、テープ、カートリッジ、チップ)、および光学メディア(例えば、CD ROM)などを包含するが、これらに限定されない。そのような媒体は、そのような指導用資料を提供するインターネットサイトのアドレスを含んでもよい。
8. 実施例
以下の実施例は、クレームされた発明を限定するためではなく、その実例を挙げるために提供される。
実施例1:機能不全の幹細胞のサブセットによる異常なCD47シグナル伝達は加齢筋肉において再生応答を妨げる
a)序論
ここで本発明者らは、希少な幹細胞集団内の新規の細胞サブセットの発見を可能とする多パラメータ単一細胞マスサイトメトリー(25~27)を利用して、MuSCサブセットの相対的な存在量またはそれらのシグナル伝達ネットワークの調節における変更は、加齢の過程における骨格MuSC機能の低下の原因となるかどうかを判定する。MuSCの高次元単一細胞分析により、加齢と共に変更される相対的な存在量を伴う、CD47の差次的な細胞表面発現により定義される、2つの機能的におよび分子的に別個のサブセットを同定することが可能になった。
選択的ポリアデニル化選択におけるシフトは、幹細胞から前駆細胞への遷移の間にCD47表面発現を増加させることにより幹細胞運命を支配すること、および加齢の間にこのプロセスは異常であることを本発明者らは報告する。がん細胞上の「don't eat meシグナル」として公知のCD47(28)はまた、内皮細胞の増殖を阻害することが他者により示されている細胞マトリックスタンパク質、トロンボスポンジン-1の受容体であるが(29~31)、MuSCまたは加齢における役割は以前に記載されていない。トロンボスポンジン-1/CD47シグナル伝達は、再生の間にMuSC増大を調節する鍵となる負のフィードバックループを含み、加齢MuSCにおいて脱調節されることを本発明者らは示す。顕著なことに、CD47とのトロンボスポンジン-1の相互作用を遮断するトロンボスポンジン-1に対するモノクローナル抗体(32)での処理は、加齢MuSCの増殖欠陥を軽減し、若齢MuSCと同様のレベルまでそれらの再生潜在能力をインビボで回復させる。この研究は、加齢においてMuSC機能を妨げるパラクラインループにおけるトロンボスポンジン-1の予想外の役割を明らかにし、免疫遮断を介して異常なトロンボスポンジン-1シグナル伝達を克服して再生の増強に繋げるための手段を同定し、サルコペニアおよび他の組織における加齢幹細胞のための広い意義を有する発見となる。
b)結果
CD47発現レベルは機能的におよび分子的に別個の加齢筋肉幹細胞サブセットを区別する
その相対的な割合が加齢の過程において変更される新規のMuSCサブセットを区別できる細胞表面マーカーを同定するために、単一の筋肉細胞の本発明者らの以前に記載された細胞表面マーカースクリーニング26を調べた。CD47は若齢MuSC(Lin-7インテグリンCD34)において2つのサブセット、CD47loおよびCD47hiを区別することを本発明者らは観察した(図1A)。本発明者らは、加齢におけるMuSC不均質性を解明するという目標と共に、筋肉幹細胞および前駆細胞マーカー(CD9、CD104)の他に、活性化MuSCマーカー(CD44、CD98)の本発明者らの先行する同定を利用し、本発明者らの以前に確立されたCyTOFパネル26にCD47抗体を含めた。単一細胞力指向性レイアウト視覚化とペアにしたX-shiftクラスタリングを使用する高次元CyTOFデータの分析により、CD47および転写因子Pax7の差次的発現により区別される2つの別個のクラスターが同定された(図1B)。CD47の中間~高い発現レベルを伴うクラスターは低いレベルのPax7を共発現した一方(図1B、右)、低いレベルのCD47を発現するクラスターは高いレベルのPax7を共発現した(図1B、左)。若齢および加齢MuSCの単一細胞RNA-seq分析は、加齢の間のCD47 mRNA発現における顕著な増加を明らかにした(図1C)。若齢および加齢筋肉に由来する単一細胞におけるCD47タンパク質発現のフローサイトメトリー分析は、2つのMuSCサブセット、CD47loおよびCD47hiの存在を裏付けた(図1D)。CD47hi MuSCの割合(図1D、図1E)およびCD47シグナル強度(図1D、図5A)は加齢と共に増加することを本発明者らは見出した。これらのデータは、若齢筋肉と比較して加齢筋肉において富化されている以前に認識されていなかったMuSCサブセットの存在を実証する。
再生潜在能力を評価するために、CD47loおよびCD47hi MuSCサブセットを若齢および加齢GFP/ルシフェラーゼマウスから単離し、NOD/SCIDマウスの照射された前脛骨(TA)筋に移植した。移植の4週後に、再生された損傷した組織に対するドナー細胞の寄与を生物発光イメージング(BLI)により決定した(図1F)。顕著なことに、生着した移植片に基づいて、若齢および加齢ドナーマウスから単離されたCD47loサブセットは、高い生着頻度およびBLIシグナル強度により示されるような最も高い再生潜在能力を呈した(図1F、図1G)。CD47の上昇は、分画化されていない加齢MuSC集団において見られる生着の低減20において役割を果たし得ることをこの発見は示唆する。
選択的ポリアデニル化は、筋原性分化の開始におけるCD47発現を調節し、かつ加齢筋肉幹細胞において変更される
加齢に伴うCD47hiサブセットの蓄積の背景にある機序を理解するために、本発明者らはCD47発現の転写後調節を調べた。CD47は、ヒト細胞株において選択的ポリアデニル化を受けて、差次的な細胞内局在性に繋がることが報告されている33、34。短い3'UTRはCD47タンパク質を主に小胞体にトラフィッキングする一方、RNA結合タンパク質HuRを含有する複合体に結合する長い3'UTRは細胞表面に進行する33。HuRは、筋原性分化の開始において増加することが示されている35~37。それゆえ、CD47転写物の長い3'UTRアイソフォームは筋原性分化の間に優先的に発現し、細胞表面におけるCD47タンパク質局在性を結果としてもたらすという仮説を本発明者らは立てた。この仮説は、若齢および加齢マウスからのMuSCサブセットにおけるCD47タンパク質の差次的な表面発現の役割を説明できる可能性がある。
幹細胞および前駆細胞がCD47タンパク質の差次的な局在性を呈するかどうかを評価するために、フローサイトメトリーにより細胞表面および細胞内の両方におけるその発現を本発明者らは測定した。特に、本発明者らは表面染色を行い、続いて異なるフルオロフォアで標識された同じCD47抗体を使用して細胞透過処理および細胞内染色を行った。若齢マウスにおいてMuSCはCD47を主に細胞内に発現する一方(図2A、図2B)、筋肉前駆細胞はCD47を主に細胞表面上に発現することを本発明者らは見出した(図7A~7B)。加齢マウスにおいて、表面CD47を発現するMuSCの割合は若齢マウスにおけるよりも有意に高かった一方(図2A、図2B)、表面CD47を発現する筋肉前駆細胞の割合は若齢および加齢マウスにおいて同等であった(図7A~7B)。追加的に、加齢マウスからのMuSCは、若齢マウスからのMuSCと比較して表面CD47タンパク質のより高い発現レベルを呈した(図2C)。
マウスCD47 mRNAの異なる3'UTRアイソフォームをマッピングし、その存在量を決定するために、本発明者らは、マウス細胞株の3'領域抽出およびディープシークエンシングから得られた刊行されたデータセット38の分析と組み合わせて異なる種からの転写物アライメントを行った(図7C)。本発明者らは、最も短いものから最も長いものへと、段階的により低い利用を示す、異なる長さの3'UTRを有する3つのCD47 mRNAアイソフォームを同定した(図7D)。本発明者らは、本明細書においてそれぞれ短い(ショート)および長い(ロング)として参照される、ポリアデニル化部位、PAS1またはPAS2を含有する最も多いアイソフォームに本発明者らの分析を集中した(図2D)。
単一細胞レベルにおいて短いおよび長い3'UTR転写物の分布を測定するために、本発明者らは分岐DNA技術39を使用して、各々のポリアデニル化部位の600~800塩基上流にわたる標的特異的プローブを用いて単一細胞中の個々のアイソフォームを特異的に標識した(図2D)。本発明者らは、若齢マウスまたは加齢マウスのいずれかからの筋肉細胞の単一細胞懸濁液を、最初に表面マーカーα7インテグリンおよびCD9に対する抗体で染色して幹細胞(Lin-7インテグリン/CD9int)および前駆(Lin-7インテグリン/CD9hi)細胞の両方を区別し(図7E)、次にCD47 mRNAの異なるアイソフォームに特異的なプローブを用いて細胞内の染色を行った(図2D)。プローブ特異性を判定するために、qPCRによる全CD47 mRNAおよび単一細胞分析による個々のmRNAアイソフォームの両方の低減されたレベルを発現する、CD47-/-マウスからの試料40を本発明者らは含めた(図7F~7H)。
若齢マウスにおいて、幹細胞(図2E、図2F)のより低い割合が、前駆細胞(図7F、図7G)と比較して、長い3'UTR(3'UTRロング)を有するCD47 mRNAアイソフォームを発現した。加齢マウスにおいて、長い3'UTRを有するCD47 mRNAアイソフォームの発現の細胞の割合およびレベルは幹細胞および前駆細胞の両方において同等であった(図2E、図2F;図7I、図7J)。さらに、長い3'UTRを有するCD47 mRNAアイソフォームの発現レベルは、若齢幹細胞と比較して加齢幹細胞においてより高かった(図2G)。本発明者らは、これらの発見を、選別された筋肉幹細胞および前駆細胞のRT-PCRにより確認した(図7K)。選択的ポリアデニル化は、筋原性分化の開始においてCD47の表面発現をモジュレートし、加齢MuSCにおけるCD47の表面発現の増加を判定することをこれらの結果は示唆する。
CD47を介する異常なトロンボスポンジン-1シグナル伝達は加齢筋肉幹細胞の増殖能力を阻害する
CD47は、リガンドおよび受容体としての二重の機能を有する41。新生物性細胞における「don't eat meシグナル」としても公知のように28、42、CD47は、CD47への結合でファゴサイトーシスを遮断する阻害シグナルを送達する、免疫細胞の表面上に存在する受容体、SIRP-αのリガンドである28。追加的に、CD47は、インテグリンと相互作用するのでインテグリン関連タンパク質(IAP)として公知である43。最後に、CD47はまた、内皮細胞の増殖を阻害することが示されている細胞マトリックスタンパク質、トロンボスポンジン-1の受容体として役立つ2931、41。トロンボスポンジン-1転写物発現は若齢MuSCと比較して加齢MuSCにおいて増加していることを本発明者らは見出した(図3A)。トロンボスポンジン-1発現の増加は、加齢MuSCの増殖性潜在能力の低減を説明し得るかどうかを確立するために、本発明者らはトロンボスポンジン-1/CD47シグナル伝達アクシスを調べ、一連のインビトロおよびインビボ研究を行った。
最初に、トロンボスポンジン-1への曝露はインビトロでMuSC増殖を抑制するかどうかを判定するために、細胞を増加濃度のトロンボスポンジン-1の存在下で1週間培養した。トロンボスポンジン-1の用量が増加するにつれてMuSC数は減少することを本発明者らは見出し、トロンボスポンジン-1はインビトロでCD47依存的な方式においてMuSC増殖を抑制することが実証された(図3B)。インビトロヨードデオキシウリジン(IdU)取り込みアッセイ、続いて多パラメータCyTOF分析により、細胞数における減少は、IdU+細胞の他にki-67+細胞の両方の比率における減少により示されるように、細胞増殖における減少に起因することが確認された(図3C、図8A)。トロンボスポンジン-1処理はアポトーシスを引き起こすかどうかを判定するために、本発明者らは培養された細胞を切断型PARPで染色した。非処理およびトロンボスポンジン-1処理の両方のMuSCにおける切断型PARP+細胞の低い存在量により、トロンボスポンジン-1処理がアポトーシスに繋がることは除外された(図8B)。細胞増殖の抑制におけるトロンボスポンジン-1の役割を考慮して、本発明者らはトロンボスポンジン-1シグナル伝達の下流の標的を調べることに着手した。先行する発見に基づいて、本発明者らは、CDK相互作用性タンパク質/キナーゼ阻害物質タンパク質(Cip/Kip CKI)のファミリーに属する細胞周期阻害物質に集中した。本発明者らは、p21(CDKN1a)、p27(CDKN1b)、p57(CDKN1c)についてのq-RT-PCRを行い、3つすべてのmRNA発現はインビトロでトロンボスポンジン-1処理の21時間後に有意に増加していることを見出した(図8D)。トロンボスポンジン-1処理の6日後の、p57のCyTOF分析は、p57タンパク質レベルもまた増加していることを示した(図8C)。
トロンボスポンジン-1遮断がインビトロで加齢MuSCの増殖欠陥を軽減できるかどうかを評価するために、本発明者らはそれらを、CD4732とのその相互作用を遮断するトロンボスポンジン-1抗体で処理したところ、MuSC増殖は非処理の若齢MuSCのレベルまで回復されたことが見出された(図8E)。使用された抗体はA6.1(Annis et al.J Thromb Haemost.2006 February;4(2):459-46)であり、その特異性はCD47ノックアウト細胞およびマウスを使用して確認され、THBS1抗体の効果(増加した増殖、IdU取り込み)はCD47ノックアウト細胞において妨げられた(図3D、図8F)。トロンボスポンジン-1の標的を確立するために、本発明者らは若齢および加齢マウスからCD47loおよびCD47hi MuSCサブセットを選別し、インビトロでそれらをトロンボスポンジン-1に対する遮断抗体で1週間処理した。顕著なことに、若齢および加齢マウスから単離されたCD47lo MuSCサブセットは、遮断抗体での処理で増殖の増加を呈したが、CD47hiサブセットは増大しなかった(図3E、図3F)。
これらの発見は、トロンボスポンジン-1はインビトロでCD47lo MuSCの増殖を抑制することを実証し、異なるレベルのCD47を発現するMuSCサブセットは増殖のトロンボスポンジン-1媒介性阻害に対して異なる感受性を呈することを示唆する。これらのMuSCサブセットはそれらの細胞周期状態においてまたはトロンボスポンジン-1に対するそれらのシグナル伝達応答において異なるという仮説を本発明者らは立てた。これは、トロンボスポンジン-1刺激に応答した異なるシグナル伝達経路の活性化および細胞運命の決定(自己複製またはコミットメント)に繋がり得る。
2つのMuSCサブセットはそれらの細胞周期状態または筋原性プログラムへのそれらのコミットメントにおいて異なるかどうかを判定するために、本発明者らは急性傷害からの回復のインビボ時間経過の間のCyTOFにより表現型単一細胞分析を行った。傷害の前に高いレベルのPax7を発現するCD47lo MuSCサブセットは、ヨードデオキシウリジン(IdU)の取り込みの増加により測定されるように、傷害で増殖した(図8G)。対照的に、低いレベルのPax7を発現するCD47hi MuSCサブセットは傷害で増大しなかった(図8G、図8H)。CD47loおよびCD47hi MuSCはそれぞれ自己複製性の幹細胞およびそれらのコミットメント済み子孫であることをこれらの発見は示唆する。
MuSCサブセットはトロンボスポンジン-1刺激に対して差次的なシグナル伝達応答を呈するかどうかに取り組むために、細胞増殖の鍵となる調節因子44、45、cAMPシグナル伝達に本発明者らは集中した。トロンボスポンジン-1は、Giタンパク質の活性化を通じてcAMPレベルを減少させることが以前に示されている46、47。CD47loおよびCD47hi MuSCサブセットがトロンボスポンジン-1刺激に応答してcAMPシグナル伝達をモジュレートする能力において異なるかどうかを判定するために、蛍光cAMP下向きセンサーを発現する選別されたMuSCサブセットの単一生細胞共焦点イメージング48を本発明者らは用いた(図3E)。このアッセイを使用して、GFPシグナルの増加は、cAMPレベルの減少のためのリードアウトである(図3E)。CD47loおよびCD47hi MuSCを若齢マウスから単離し、cAMP下向きセンサーをコードするバキュロウイルスでトランスフェクトした。MuSCサブセットを次にトロンボスポンジン-1で処理し、10秒毎に5分間、個々にイメージングした。トロンボスポンジン-1でのCD47lo MuSCサブセットの処理で、GFPシグナルは増加した。これは同じ条件下でのCD47hi MuSCサブセットについて該当せず(図3F)、CD47hi MuSCにおいてトロンボスポンジン-1はcAMPを通じてシグナル伝達しないことを実証した。本発明者らは選別されたCD47loおよびCD47hiサブセットにおいて基礎cAMPレベルを測定し、CD47lo MuSCサブセットは、CD47hiと比較してcAMPの有意により高いレベルを呈することを見出した(図8I)。要約すると、MuSCサブセットの表現型分析は、cAMPシグナル伝達研究と共に、CD47hiおよびCD47lo MuSCサブセットは機能的および分子的の両方で別個であることを指し示す。
インビボで骨格筋におけるトロンボスポンジン-1の供給源を確立するために、本発明者らは単一細胞マスサイトメトリーを利用し、同時に若齢および加齢筋肉細胞について、別個の細胞タイプを区別するマーカーに対する抗体で表面上を、およびトロンボスポンジン-1に対する抗体で細胞内を染色した。CD47hi MuSCサブセットはCD47loよりも高いレベルのトロンボスポンジン-1を発現することを本発明者らは見出した(図3G)。トロンボスポンジン-1が再生の間に生理学的役割を有するかどうかを調べるために、本発明者らは、トロンボスポンジン-1発現の本発明者らの分析をLin-7インテグリン/CD9筋原性区画内の細胞に拡張し、前記区画は、幹細胞(Lin-7インテグリン/CD9int)に加えて、本発明者らが以前26に記載したようにCD9およびCD104の共発現により区別される、別個の前駆細胞集団(Lin-7インテグリン/CD9hi)P1およびP2を含む。顕著なことに、P1前駆細胞はMuSCと比較して有意により高いレベルのトロンボスポンジン-1およびCD47の両方を発現することを本発明者らは見出した(図3H)。
再生の間に、MuSCが増大した後に、それらのP1子孫は負のフィードバックループにおいてトロンボスポンジン-1を分泌して、幹細胞疲弊を予防し、かつ安静状態へのMuSCの復帰を促進するという仮説を本発明者らは立てた。これを試験するために、本発明者らは急性傷害からの回復の状況において、インビボでトロンボスポンジン-1発現の動態を調べた。本発明者らは、ノテキシン注射により傷害時間経過を行い、筋肉幹細胞および前駆細胞の細胞内におけるトロンボスポンジン-1発現をCyTOFにより測定した。トロンボスポンジン-1発現は、P1前駆細胞と比較して若齢マウスからのMuSCにおいて低く、傷害時間経過にかけて有意に変化しなかった(図3I)。しかしながら、若齢P1前駆細胞におけるトロンボスポンジン-1発現は傷害時間経過の全体を通じて動的に変化した。それは、MuSCが劇的に増大する時間である傷害後3日目26において有意に減少し、傷害後6日目に安静状態と同様のレベルまで戻った(図3I)。対照的に、加齢筋原性区画におけるトロンボスポンジン-1発現は顕著な調節異常を呈した。加齢MuSCにおいてトロンボスポンジン-1発現レベルは傷害後3日目において増加し、6日目までに減少した(図3J)。加齢前駆細胞において、トロンボスポンジン-1発現レベルは変化しなかった(図3J)。若齢前駆細胞におけるトロンボスポンジン-1発現における動的な変化は、前駆細胞集団密度がMuSC増大に影響を及ぼすという「クオラムセンシングモデル(quorum sensing model)」49をサポートする。前駆細胞の集団密度は、分泌されたタンパク質トロンボスポンジン-1を通じてMuSCにより感知可能であり、トロンボスポンジン-1は、MuSC増大後に前駆細胞により放出された場合にパラクラインの様式で作用して、隣接するMuSCの増殖を抑制し、安静状態へのそれらの復帰を促進することを本発明者らは提唱する。
インビボでのトロンボスポンジン-1遮断は傷害の非存在下で筋肉幹細胞を活性化させ、かつ加齢筋肉の再生応答を増強する
クオラムセンシングモデルを本発明者らのシステムにおいてインビボで試験するために、本発明者らは、内因性MuSC数が生物発光イメージングによりモニターされ得るトランスジェニックマウスモデル、Pax7CreERT2;Rosa26-LSL-Lucマウスを、2日の間隔でのTA筋における3回の筋肉内(i.m.)注射からなるトロンボスポンジン-1遮断抗体またはIgG対照レジメンで処理した(図4A、スキーム)。顕著なことに、トロンボスポンジン-1遮断抗体でのインビボ処理は、IgG対照と比較して傷害の非存在下でMuSCを有意に増大させるために十分であり(図4A)、トロンボスポンジン-1はホメオスタシスの間のMuSC活性化の予防において役割を果たすことを示唆した。
インビボでのトロンボスポンジン-1遮断での若齢および加齢マウスにおけるMuSC活性化および増殖の規模を調べるために、本発明者らはマウスを、TAおよびGA筋において上記に使用されたものと同じ抗体レジメンで処理し、骨格筋の多パラメータCyTOF分析を用いて、以前に定義された活性化されたMuSCサブセット26(CD44/CD98)においてIdU取り込みを測定した(図4B)。顕著なことに、トロンボスポンジン-1遮断を与えられた加齢マウスは、活性化された幹細胞の割合における2倍の増加を呈した(図4B、二軸プロット)。さらに、それらは、色オーバーレイにより示される、IdUを取り込んだ幹細胞の割合における有意な増加を示し(図4B、二軸プロット)、インビボでのトロンボスポンジン-1遮断は安静時筋肉における加齢MuSCの増殖能力をブーストすることを示唆する。
活性化された加齢MuSCがインビボでのトロンボスポンジン-1遮断後に安静状態に戻るかどうかを判定するために、抗トロンボスポンジン-1レジメンで処理された加齢マウスからの後肢筋肉を処理の終了の6日後に収集した(図4C)。単一細胞力指向性レイアウト視覚化とペアにしたX-shiftクラスタリングを使用した筋原性区画全体の高解像度CyTOF分析は、対照IgGで処理された加齢マウスは、若齢マウスと比較してTAおよびGA筋におけるPax7hi幹細胞の割合における有意な減少を呈することを明らかにした(図4D、図4F)。顕著なことに、トロンボスポンジン-1遮断は、若齢マウスにおいて見られるレベルと同様のレベルまでPax7hi幹細胞の数を増加させるために十分であった(図4D、図4F)。さらに、処理された加齢マウスにおけるPax7hi幹細胞は、対照と比較してより低いレベルのCD47を発現し、トロンボスポンジン-1遮断抗体は加齢マウスにおいてCD47lo MuSCの増大を促すことを示唆した(図4D、図4E)。本発明者らは本発明者らのインビボ抗体処理研究を生理学的分析で補完し、筋肉強度検査および詳細な組織学的分析を行った。処理は、IgGで処理された試料と比較して筋肉断面積およびPax7+細胞の数における増加を結果としてもたらした(図4G~I)。さらに、トロンボスポンジン-1遮断は、IgGで処理された動物と比較して若齢動物および加齢動物の両方において握力強度における増加に繋がった(図4J)。
トロンボスポンジン-1遮断はインビボで加齢MuSCの再生応答を増強できるかどうかを判定するために、若齢および加齢マウスのTAおよびGA筋を、上記される抗トロンボスポンジン-1レジメンで処理し、次にノテキシン注射により急性的に傷害を与えた。後肢筋肉を傷害の3および6日後に採取し、単一細胞マスサイトメトリーにより分析して、3日目におけるMuSC増大および6日目におけるPax7発現を定量化した。MuSC増大が通常はそのピークとなる傷害後3日目7、26において、Lin-7インテグリン/CD9intとして定義される、対照IgGで処理された加齢MuSCは、若齢MuSCよりも低い筋原性区画の比率を含むことを本発明者らは見出した(図5A~5B)。顕著なことに、インビボでのトロンボスポンジン-1遮断は、対照と比較して、傷害後3日目における加齢MuSCの割合における有意な増加(図5B)の他に、加齢活性化(CD98/CD44)および増殖性(IdU)MuSCの割合における増加(図5C)に繋がり、再生能力の改善を示唆した。さらに、トロンボスポンジン-1遮断は、傷害後6日目において加齢筋原性区画におけるPax7hi細胞の数を増加させるために十分であり(図9A)、増大した加齢MuSC集団は自己複製が可能であることを示唆した。インビボでのトロンボスポンジン-1遮断が傷害からの回復を加速させることができるかどうかを判定するために、本発明者らはインビボで握力強度検査および力測定分析を行った。処理されたマウスは、傷害後10日目において握力強度および力の両方における有意な増加を呈することが見出された(図5D、E)。これらのパラメータにおいて有意差はCD47-/-マウスにおいて見出されず、遮断抗体の特異性が確認された。トロンボスポンジン-1抗体処理によるインビトロおよびインビボでのトロンボスポンジン-1シグナル伝達のモジュレーションは、加齢MuSCの再生潜在能力を回復させるための有望な療法となることを本発明者らのデータは指し示す。
c)考察
加齢に伴う筋肉量および強度の喪失は、不良な健康アウトカムの主要な予測因子であり3、50、サルコペニアは現在では世界保健機関により疾患として認識されている51。筋肉機能は、年齢に伴う可動性および非依存性の維持にとって必須であり、その喪失は健康管理の数十億ドルと関連付けられている5、6。サルコペニアは、増殖し、組織を維持および再生させる能力を喪失した機能不全の幹細胞の蓄積に部分的に起因する20~23。本発明者らおよび他のグループからの先行する研究は、加齢MuSCにおいて脱調節されており、安静状態、自己複製および増殖における欠陥に繋がる細胞の内因性および外因性のシグナル伝達経路を同定している15~23。しかしながら、MuSC再生能力における年齢関連劣化の原因となる分子機構を解明するための大きな障壁はMuSC集団の不均質性であり、単一細胞研究に対する必要性を強調している。MuSC集団の分子的および機能的な不均質性を解消し、ならびに加齢の間に精製および特徴決定され得る機能不全のサブセットを区別するために、本発明者らは本発明者らの以前に記載された細胞表面マーカースクリーニング26および単一細胞マスサイトメトリー25、27を利用した。ここで本発明者らは、骨格筋細胞機能の調節因子としての表面マーカーCD47の新たな役割を明らかにしている。CD47は、免疫グロブリンスーパーファミリーに属する膜貫通タンパク質であり52、53、造血の状況において大規模に研究されており、造血においてそれは受容体およびリガンドの両方として機能する。それは、それを通じてCD47がファゴサイトーシスを予防するSIRPαのリガンド43、および細胞外マトリックスタンパク質トロンボスポンジン-1の受容体54、55である。他の組織中での幹細胞運命におけるCD47の機能は研究されていない。本発明者らの研究は、筋肉幹細胞運命:自己複製またはコミットメントの決定におけるCD47レベルの新たな役割を強調する。
CD47は、赤血球を包含する、すべての細胞上に発現する56、57が、その発現レベルは、異なる状況において一過的に調節されて28、58、59、その機能をモジュレートする。CD47発現は損傷誘導性の動員で造血幹細胞(HSC)の表面上で増加していることおよびこの増加は末梢におけるHSCを免疫サーベイランスの間に食細胞によりクリアランスされることから保護することを先行する研究は示している28。CD4 T細胞上のCD47の発現の上昇は、機能的な長期生存メモリーT細胞前駆体を定義することが示されている58。最後に、短い寿命を呈する赤血球細胞における研究は、CD47レベルの減少はこれらの細胞の年齢関連クリアランスを媒介することを示しており59、年齢に伴うCD47発現の調節の証拠を提供している。しかしながら、再生および加齢におけるCD47の役割は筋肉において以前に報告されていない。
細胞膜上のCD47の発現は、加齢筋肉において蓄積する機能不全CD47hi MuSCサブセットを、若齢筋肉において富化されている優れた再生潜在能力を有するCD47lo MuSCサブセットから区別することを本発明者らは見出した。CD47 mRNAの選択的ポリアデニル化は、ヒト細胞株においてCD47タンパク質発現の調節機構として提唱されている33、34。ここで本発明者らは、筋肉幹細胞および前駆細胞における異なる長さの3'UTRを有する複数のCD47 mRNAアイソフォームを同定している。選択的ポリアデニル化は、翻訳抑制に繋がるmiRNA結合に対する異なる感受性を有するアイソフォームを生成することにより、異なる筋肉におけるMuSC機能のモジュレーションにおいて役割を果たすことが以前に示されている13。本発明者らのシステムにおいて、選択的ポリアデニル化部位選択は、差次的な細胞内局在性に繋がるタンパク質複合体の結合に対する異なる感受性を有するCD47 mRNAアイソフォームを生成する33。特に、若齢筋肉において長い3'UTRを有するCD47 mRNAアイソフォームの発現は幹細胞から前駆細胞への遷移において上昇し、CD47の細胞内形態から膜貫通形態への切り替えに繋がることを本発明者らは見出した。対照的に、加齢筋肉において長い3'UTRを有するCD47 mRNAアイソフォームはMuSCにおいて未成熟に増加しており、CD47hiコミットメント済みMuSCサブセットの蓄積に繋がる。これらの発見は、幹細胞運命の調節における転写後制御の重要性を強調している。
MuSC運命および機能の調節におけるCD47の役割を理解するために、本発明者らはトロンボスポンジン-1とのその相互作用を調べることに集中したが、その理由は、この経路は自己複製および初期化に以前に結び付けられているからである30、60。傷害の状況における若齢筋肉において、前駆細胞は再生の後期ステージの間にトロンボスポンジン-1を分泌して、MuSC増大を制限し、かつ安静状態へのMuSCの復帰を促進する負のフィードバックループを確立することを本発明者らは見出した。加齢筋肉において、機能不全CD47hi MuSCサブセットは再生の早期ステージにおいてトロンボスポンジン-1を早熟に分泌してCD47lo MuSCサブセットの増大を阻害し、そのため加齢筋肉の再生を障害することを本発明者らは発見した。重要なことに、2つの異なるインビボの状況、安静状態および急性筋肉傷害における一過性トロンボスポンジン-1遮断は、加齢CD47lo MuSCサブセットの活性化および自己複製を促進するためならびに加齢筋肉の再生応答を増強するために十分であることを本発明者らは示した。
要約すると、本明細書に提示される研究は、加齢の間に蓄積するMuSCサブセットを明らかにし、加齢MuSC機能障害の基礎となる以前に認識されていないシグナル伝達ループを明らかにしている。以上を合わせると、本発明者らの研究は、サルコペニアを克服するために活用可能であり、かつより一般に年齢関連幹細胞機能障害の基礎となり得る機序に光を当てる。本発明者らの研究は、CD47の役割への新たな洞察を提供し、加齢における再生機能の喪失に取り組むための新たな治療戦略、免疫遮断を示唆する。
実施例2. 異栄養性マウスおよびMuSCにおける結果
異栄養性(Mdx-mTR G2(G2))ならびに対照(WT、mTRおよびHet)筋肉幹細胞におけるCD47タンパク質発現をCyTOF分析により1および2か月齢時に測定した。グラフ(図10)は、CD47+幹細胞の比率は異栄養性筋肉幹細胞において有意に増加することを示す。
異栄養性G2マウスから選別されたa7インテグリン/CD34MuSCをTHBS1に対する遮断抗体の存在(+)または非存在(-)下においてバイオミメティックハイドロゲル上で6日間、増殖培地中で培養し、増殖における変化を顕微鏡分析によりモニターした。トロンボスポンジン-1遮断はG2 MuSCの増殖の増加に繋がった(図11)。
参照文献
Figure 2023531678000002
Figure 2023531678000003
Figure 2023531678000004
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Figure 2023531678000007
本明細書に記載される例および態様は実例的な目的のために過ぎないこと、ならびにそれに照らした様々な改変または変更が当業者に示唆され、本出願の精神および範囲ならびに添付の請求項の範囲に含まれることが理解される。本明細書において参照されるすべての刊行物、特許、および特許出願は、参照により全体がすべての目的のために本明細書に組み入れられる。

Claims (38)

  1. 対象において加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋における筋肉量、強度、および/または再生を増加させるための方法であって、
    前記加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋において1つもしくは複数の筋肉幹細胞(MuSC)の表面上のCD47へのトロンボスポンジン-1の結合を阻害するためならびに/または1つもしくは複数のMuSCにおけるトロンボスポンジン-1レベルを低減させるために十分な量のトロンボスポンジン-1阻害物質を、前記加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋に投与し、それにより、前記加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋における筋肉量、強度、および/または再生を増加させる工程
    を含む、前記方法。
  2. 前記対象がサルコペニアを有する、請求項1記載の方法。
  3. 前記対象が、加齢の1つまたは複数のバイオマーカーを有する、請求項1または2記載の方法。
  4. 加齢の前記1つまたは複数のバイオマーカーが、若齢骨格筋において存在するレベルと比べた筋肉量および/または強度の減少、若齢骨格筋において存在するレベルと比べたMuSC増殖または活性化の減少、若齢骨格筋において存在するレベルと比べたMuSCにおけるCD47表面発現の増加、ならびに若齢骨格筋において存在するレベルと比べたMuSCにおけるPax7のレベルの減少からなる群より選択される、請求項3記載の方法。
  5. 前記対象が、筋萎縮症と関連付けられる状態または疾患を有する、請求項1記載の方法。
  6. 前記状態または疾患が、脊髄性筋萎縮症、糖尿病、フレイル、サルコペニック肥満症、ニューロパチー、もしくは悪液質であるか、または前記対象が、不動にもしくは筋肉廃用に起因する筋萎縮症を有する、請求項5記載の方法。
  7. 前記対象が筋ジストロフィーを有する、請求項1記載の方法。
  8. 前記筋ジストロフィーが、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)、ベッカー型筋ジストロフィー、先天性筋ジストロフィー、遠位型筋ジストロフィー、エメリー-ドレイフス筋ジストロフィー、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー、肢帯筋ジストロフィー、筋緊張性筋ジストロフィー(MDD)、および眼咽頭筋ジストロフィーからなる群より選択される、請求項7記載の方法。
  9. 前記加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋が傷害を受けている、請求項1~8のいずれか1項記載の方法。
  10. 前記対象が、手術を受けようとしているか、手術を受けているか、または手術を受けたことがある、請求項9記載の方法。
  11. 前記加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋が無傷である、請求項1~8のいずれか1項記載の方法。
  12. 前記トロンボスポンジン-1阻害物質の前記投与の前の前記加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋におけるレベルと比べた、筋肉量および/または再生の増加を結果としてもたらす、請求項1~11のいずれか1項記載の方法。
  13. 前記トロンボスポンジン-1阻害物質の前記投与の前の前記加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋におけるレベルと比べた、少なくとも10%の、筋肉量および/または再生の増加を結果としてもたらす、請求項1~12のいずれか1項記載の方法。
  14. 若齢骨格筋および/または非異栄養性骨格筋において存在するレベルと実質的に同様のレベルまでの、前記加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋における筋肉量、強度、および/または再生の増加を結果としてもたらす、請求項1~13のいずれか1項記載の方法。
  15. 前記投与が、前記加齢骨格筋におけるMuSCの前記増殖および/または活性の増加を結果としてもたらす、請求項1~14のいずれか1項記載の方法。
  16. 前記投与が、前記トロンボスポンジン-1阻害物質の前記投与の前の加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋におけるレベルと比べた、少なくとも10%の、加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋におけるMuSCの前記増殖および/または活性の増加を結果としてもたらす、請求項1~15のいずれか1項記載の方法。
  17. 前記投与が、若齢骨格筋および/または非異栄養性骨格筋において存在するレベルと実質的に同様のレベルまでの、前記加齢骨格筋、萎縮性骨格筋、または異栄養性骨格筋におけるMuSCの前記増殖および/または活性の増加を結果としてもたらす、請求項1~16のいずれか1項記載の方法。
  18. 前記投与が、前記加齢骨格筋中、萎縮性骨格筋中、または異栄養性骨格筋中のMuSCにおけるCD47表面レベルの減少および/またはPax7発現の増加を結果としてもたらす、請求項1~17のいずれか1項記載の方法。
  19. 前記投与が、前記トロンボスポンジン-1阻害物質の前記投与の前の加齢骨格筋中、萎縮性骨格筋中、または異栄養性骨格筋中のレベルと比べた、加齢骨格筋中、萎縮性骨格筋中、または異栄養性骨格筋中のMuSCにおけるCD47表面レベルの減少および/またはPax7発現の増加を結果としてもたらす、請求項1~18のいずれか1項記載の方法。
  20. 前記投与が、前記トロンボスポンジン-1阻害物質の前記投与の前の加齢骨格筋中、萎縮性骨格筋中、または異栄養性骨格筋中のレベルと比べた、少なくとも10%の、加齢骨格筋中のMuSCにおけるCD47表面レベルの減少および/またはPax7発現の増加を結果としてもたらす、請求項1~19のいずれか1項記載の方法。
  21. 前記投与が、若齢骨格筋および/または非異栄養性骨格筋において存在するレベルと実質的に同様のレベルまでの、前記加齢骨格筋中、萎縮性骨格筋中、または異栄養性骨格筋中のMuSCにおけるCD47表面レベルの減少を結果としてもたらす、請求項1~20のいずれか1項記載の方法。
  22. 前記対象がヒトである、請求項1~21のいずれか1項記載の方法。
  23. 前記ヒトが、30、40、50、60、70、または80歳を上回る、請求項22記載の方法。
  24. 前記ヒトがその年齢に基づいてトロンボスポンジン-1の前記阻害物質での処置のために選択される工程をさらに含む、請求項23記載の方法。
  25. 前記対象が非ヒト哺乳動物である、請求項1~21のいずれか1項記載の方法。
  26. 前記非ヒト哺乳動物が家畜動物である、請求項25記載の方法。
  27. 前記阻害物質が、小分子化合物、ペプチド、または遮断抗体もしくは抗体断片である、請求項1~24のいずれか1項記載の方法。
  28. 前記遮断抗体または抗体断片がモノクローナル抗体またはその断片である、請求項27記載の方法。
  29. 前記抗体断片が、Fab、F(ab')2、ScFv、ダイアボディ、およびナノボディからなる群より選択される、請求項27または28記載の方法。
  30. 前記阻害物質が、アンチセンスオリゴヌクレオチド、マイクロRNA、siRNA、shRNA、CRISPR gRNA、またはメッセンジャーRNAである、請求項1~29のいずれか1項記載の方法。
  31. トロンボスポンジン-1の前記阻害物質を投与することが全身投与を含む、請求項1~30のいずれか1項記載の方法。
  32. トロンボスポンジン-1の前記阻害物質を投与することが局所投与を含む、請求項1~30のいずれか1項記載の方法。
  33. 前記局所投与が筋肉内注射を含む、請求項32記載の方法。
  34. 筋肉損傷、傷害、または萎縮症と関連付けられる状態または疾患を有する対象において筋肉細胞の集団を再生させるための方法であって、
    前記対象にトロンボスポンジン-1の阻害物質の治療有効量を投与して、前記対象において筋肉細胞の前記集団を増加させるおよび/または筋肉機能を増強する工程
    を含む、前記方法。
  35. その必要がある対象において筋肉損傷、傷害、または萎縮症と関連付けられる状態または疾患を処置するための方法であって、
    前記対象に(i)トロンボスポンジン-1阻害物質の治療有効量、および薬学的に許容される担体、ならびに(ii)単離された筋肉細胞の集団を投与して、筋肉損傷、傷害、または萎縮症と関連付けられる前記状態または疾患を処置する工程
    を含む、前記方法。
  36. 筋肉損傷、筋肉傷害、または筋萎縮症を処置する方法であって、
    トロンボスポンジン-1阻害物質の治療有効量を、必要とする対象に筋肉内投与により投与する工程
    を含む、前記方法。
  37. 筋肉損傷、筋肉傷害、または筋萎縮症を処置する方法であって、
    トロンボスポンジン-1阻害物質を含む組成物の治療有効量を、その必要がある対象に投与し、それにより、前記筋肉損傷、筋肉傷害、または筋萎縮症を処置する工程
    を含む、前記方法。
  38. 単離された筋肉細胞の集団の増殖を刺激するための方法であって、
    単離された筋肉細胞の前記集団をトロンボスポンジン-1阻害物質と共に培養する工程
    を含む、前記方法。
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