JP2019507584A - 抗ミオスタチン抗体および使用方法 - Google Patents

抗ミオスタチン抗体および使用方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、抗ミオスタチン抗体およびそれを使用する方法を提供する。いくつかの態様において、本発明の単離された抗ミオスタチン抗体は成熟ミオスタチンに結合し、細胞への該抗体の取り込みは、抗原と複合体形成した場合に増強される。本発明はまた、本発明の抗ミオスタチン抗体をコードする単離された核酸を提供する。本発明はまた、本発明の核酸を含む宿主細胞を提供する。本発明はまた、抗体を製造する方法であって、抗体が製造されるように本発明の宿主細胞を培養する工程を含む方法を提供する。本発明の抗ミオスタチン抗体は、医薬品としての使用のためのものであり得る。本発明の抗ミオスタチン抗体は、筋肉消耗疾患の治療における使用のためのものであり得る。本発明の抗ミオスタチン抗体は、筋組織の量の増加における使用のためのものであり得る。本発明の抗ミオスタチン抗体は、筋組織の強度の増加における使用のためのものであり得る。

Description

本発明は、抗ミオスタチン抗体およびそれを使用する方法に関する。
増殖分化因子8(GDF-8)とも呼ばれるミオスタチンは、分泌タンパク質であり、タンパク質のトランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)スーパーファミリーのメンバーである。このスーパーファミリーのメンバーは、増殖制御および形態形成の性質を保有している(例えば非特許文献1、非特許文献2、および特許文献1を参照のこと)。ミオスタチンは主に、発生中および成人の骨格筋で発現され、筋成長の負の制御因子として機能する。成体のマウスにおけるミオスタチンの全身の過剰発現は、筋肉消耗を引き起こす(例えば非特許文献3を参照のこと)一方、逆に、ミオスタチンノックアウトマウスは、骨格筋の肥大および過形成の結果、筋肉量が野生型の同腹仔の2〜3倍多くなることで特徴付けられる(例えば非特許文献4を参照のこと)。
TGF-βファミリーの他のメンバー同様、ミオスタチンは、N末端プロペプチドドメインと、活性分子として考えられているC末端ドメインとを含有する大きな前駆体タンパク質として合成される(例えば非特許文献5;特許文献2を参照のこと)。ミオスタチン前駆体の2つの分子は、C末端増殖因子ドメインに存在する1つのジスルフィド結合を介して共有結合している。活性な成熟型(mature)ミオスタチン(C末端増殖因子ドメインからなるジスルフィド結合ホモダイマー)は、タンパク質分解性プロセッシングの複数の工程を通して、ミオスタチン前駆体から遊離する。ミオスタチン活性化経路の第1の工程において、N末端プロペプチドドメインとC末端増殖因子ドメインの間のペプチド結合Arg266〜Asp267は、ホモダイマー前駆体の両方の鎖においてフーリン型前駆タンパク質転換酵素によって切断される。しかし、結果として得られた2つのプロペプチドおよび1つの成熟型ミオスタチン(増殖因子ドメインからなるジスルフィド結合したホモダイマー)は会合したままであり、潜在型(latent)ミオスタチンである非共有結合性の不活性な複合体を形成している。成熟型ミオスタチンは次いで、プロペプチドの分解を介して潜在型ミオスタチンから遊離することができる。メタロプロテイナーゼの骨形成タンパク質1(BMP-1)ファミリーのメンバーは、成熟型ミオスタチンの遊離と同時に、プロペプチド内の1つのペプチド結合Arg98〜Asp99を切断する(例えば非特許文献6を参照のこと)。さらに、潜在型ミオスタチンはまた、酸処理または熱処理のいずれかでも複合体を解離させることによって、インビトロで活性化され得る(例えば非特許文献7を参照のこと)。
ミオスタチンは、膜貫通セリン/トレオニンキナーゼヘテロ四量体受容体ファミリーを介してその効果を発揮し、その活性化は、受容体のトランスリン酸化を亢進し、それによりセリン/トレオニンキナーゼ活性が刺激される。ミオスタチン経路は、活性ミオスタチン二量体が高いアフィニティでアクチビンIIB型受容体(ActRIIB)に結合することを含み、これは次いで、アクチビン様キナーゼ4(ALK4)またはアクチビン様キナーゼ5(ALK5)といったアフィニティの低い受容体を動員しそのトランスリン酸化を活性化することが示されている。タンパク質Smad 2およびSmad 3が、続いて活性化され、Smad 4と共に複合体を形成し、これが次に標的遺伝子の転写活性化のために、核へ移行することも示されている。マウスにおいてドミナントネガティブ形態のActRIIBの発現が、ミオスタチン遺伝子ノックアウトを模倣することから、ActRIIBが、インビボでのミオスタチンの影響を媒介できることが実証されている(例えば非特許文献8を参照のこと)。
多くの障害または状態が、筋肉消耗(すなわち、筋組織の喪失または機能障害)、例えば筋ジストロフィー(MD;デュシェンヌ筋ジストロフィーを含む)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、筋萎縮、器官萎縮、フレイル、鬱血性閉塞性肺疾患(COPD)、サルコペニア、およびがんまたは他の疾患の結果生じた悪液質、ならびに腎疾患、心不全または心疾患、および肝疾患に関連している。患者は、筋肉量および/または筋肉強度の増加から利益を得るが、しかしこれらの障害に利用できる処置は現在限られている。したがって、骨格筋成長の負の制御因子としての役割に起因して、ミオスタチンは、そのような障害もしくは状態に対する治療的もしくは予防的介入のための、またはそのような障害もしくは状態の進行のモニタリングのための望ましい標的となる。特に、ミオスタチンの活性を阻害する作用物質は、治療的に有益となり得る。
ミオスタチン発現の阻害は、筋肉の肥大および過形成の両方をもたらす(非特許文献4)。ミオスタチンは、損傷後の筋肉再生を負に制御し、ミオスタチンヌルマウスにおけるミオスタチンの欠如は、筋肉再生を加速させる(例えば非特許文献9を参照のこと)。例えば特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、および特許文献11に記載の抗ミオスタチン(GDF-8)抗体は、ミオスタチンに結合し、ミオスタチン活性(骨格筋量の負の制御に関連するミオスタチン活性が含まれる)をインビトロおよびインビボで阻害することが示されている。ミオスタチン中和抗体は、野生型マウス(例えば非特許文献10を参照のこと)および筋ジストロフィーのモデルであるmdxマウス(例えば非特許文献11;非特許文献12を参照のこと)の、体重、骨格筋量、および骨格筋における筋肉のサイズと強度を増加させる。しかしながら、当技術分野において、ミオスタチンに結合しかつその活性をアンタゴナイズする剤の有効性および利便性の改善に対するさらなる必要性がある。
US 5,827,733 WO 94/021681 US 6,096,506 WO 2004/037861 US 7,320,789 US 7,807,159 US 7,888,486 WO 2005/094446 US 7,632,499 WO 2010/070094 US 8,415,459
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本発明の目的は、抗ミオスタチン抗体およびその使用方法を提供することである。
本発明は、抗ミオスタチン抗体およびその使用方法を提供する。
いくつかの態様において、本発明の単離された抗ミオスタチン抗体は成熟ミオスタチンに結合する。いくつかの態様において、本発明の単離された抗ミオスタチン抗体の細胞への取り込みは、抗原と複合体形成した場合に増強される。さらなる態様において、当該取り込みは、当該抗体のFc領域と細胞上のFcγRの間の相互作用によって引き起こされる。さらなる態様において、当該抗体は、参照抗体のFc領域がFcγR結合活性を有さない点以外は当該抗体と同一である参照抗体と比較して、少なくとも2.5倍高い取り込みを示す。いくつかの態様において、本発明の単離された抗ミオスタチン抗体はミオスタチンに対する阻害活性を有する。いくつかの態様において、本発明の単離された抗ミオスタチン抗体は、表2または3に記載される抗体と同じエピトープに結合する。いくつかの態様において、本発明の単離された抗ミオスタチン抗体は、ミオスタチンへの結合に関して、表2または3に記載される抗体と競合する。いくつかの態様において、本発明の単離された抗ミオスタチン抗体は、酸性pHにおいてよりも中性pHにおいて高いアフィニティで成熟ミオスタチンに結合する。
いくつかの態様において、本発明の単離された抗ミオスタチン抗体はモノクローナル抗体である。いくつかの態様において、本発明の単離された抗ミオスタチン抗体はヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体である。いくつかの態様において、本発明の単離された抗ミオスタチン抗体は、ミオスタチンに結合する抗体断片である。いくつかの態様において、本発明の単離された抗ミオスタチン抗体は全長IgG抗体である。
いくつかの態様において、本発明の単離された抗ミオスタチン抗体は、(a)アミノ酸配列GX1DNFGYSYX2DFNL(ここでX1はGまたはH、X2はIまたはHである)(配列番号:86)を含むHVR-H3と、(b)アミノ酸配列QTYDGISX1YGVA(ここでX1はSまたはHである)(配列番号:88)を含むHVR-L3と、(c)アミノ酸配列IINIX1GX2TYYASWAX3G(ここでX1はSまたはE、X2はSまたはE、X3はKまたはEである)(配列番号:85)を含むHVR-H2とを含む。
いくつかの態様において、本発明の単離された抗ミオスタチン抗体は、(a)アミノ酸配列X1YVX2G(ここでX1はNまたはH、X2はMまたはKである)(配列番号:84)を含むHVR-H1と、(b)アミノ酸配列IINIX1GX2TYYASWAX3G(ここでX1はSまたはE、X2はSまたはE、X3はKまたはEである)(配列番号:85)を含むHVR-H2と、(c)アミノ酸配列GX1DNFGYSYX2DFNL(ここでX1はGまたはH、X2はIまたはHである)(配列番号:86)を含むHVR-H3とを含む。さらなる態様において、当該抗体は、(a)アミノ酸配列QASX1SIX2X3X4LS(ここでX1はQまたはE、X2はSまたはH、X3はNまたはH、X4はEまたはDである)(配列番号:87)を含むHVR-L1と;(b)アミノ酸配列LASTLAS(配列番号:81)を含むHVR-L2と;(c)アミノ酸配列QTYDGISX1YGVA(ここでX1はSまたはHである)(配列番号:88)を含むHVR-L3とを含む。
いくつかの態様において、本発明の単離された抗ミオスタチン抗体は、(a)アミノ酸配列QASX1SIX2X3X4LS(ここでX1はQまたはE、X2はSまたはH、X3はNまたはH、X4はEまたはDである)(配列番号:87)を含むHVR-L1と;(b)アミノ酸配列LASTLAS(配列番号:81)を含むHVR-L2と;(c)アミノ酸配列QTYDGISX1YGVA(ここでX1はSまたはHである)(配列番号:88)を含むHVR-L3とを含む。
いくつかの態様において、本発明の単離された抗ミオスタチン抗体は、配列番号:89のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインフレームワークFR1と;配列番号:90のアミノ酸配列を含むFR2と;配列番号:91のアミノ酸配列を含むFR3と;配列番号:92のアミノ酸配列を含むFR4とを含む。いくつかの態様において、本発明の単離された抗ミオスタチン抗体は、配列番号:93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインフレームワークFR1と;配列番号:94のアミノ酸配列を含むFR2と;配列番号:95のアミノ酸配列を含むFR3と;配列番号:96のアミノ酸配列を含むFR4とを含む。
いくつかの態様において、本発明の単離された抗ミオスタチン抗体は、(a)配列番号:48〜51のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVH配列;(b)配列番号:52〜55のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVL配列;または(c)(a)と同様のVH配列および(b)と同様のVL配列を含む。さらなる態様において、抗体は配列番号:48〜51のいずれか1つのVH配列を含む。さらなる態様において、抗体は配列番号:52〜55のいずれか1つのVL配列を含む。
本発明は、配列番号:48〜51のいずれか1つのVH配列および配列番号:52〜55のいずれか1つのVL配列を含む抗体を提供する。
本発明はまた、本発明の抗ミオスタチン抗体をコードする単離された核酸を提供する。本発明はまた、本発明の核酸を含む宿主細胞を提供する。本発明はまた、抗体を製造する方法であって、抗体が製造されるように本発明の宿主細胞を培養する工程を含む方法を提供する。
本発明はまた、本発明の抗ミオスタチン抗体および薬学的に許容される担体を含む薬学的製剤を提供する。
本発明の抗ミオスタチン抗体は、医薬品としての使用のためのものであってよい。本発明の抗ミオスタチン抗体は、筋肉消耗疾患の治療における使用のためのものであってよい。本発明の抗ミオスタチン抗体は、筋組織の量の増加における使用のためのものであってよい。本発明の抗ミオスタチン抗体は、筋組織の強度の増加における使用のためのものであってよい。
本発明の抗ミオスタチン抗体は、医薬品の製造において使用されてよい。いくつかの態様において、該医薬品は筋肉消耗疾患の治療のためのものである。いくつかの態様において、該医薬品は筋組織の量の増加のためのものである。いくつかの態様において、該医薬品は筋組織の強度の増加のためのものである。
本発明はまた、筋肉消耗疾患を有する個体を治療する方法も提供する。いくつかの態様において、該方法は、当該個体に本発明の抗ミオスタチン抗体の有効量を投与する工程を含む。本発明はまた、個体において筋組織の量を増加させる方法も提供する。いくつかの態様において、該方法は、筋組織の量を増加させるために当該個体に本発明の抗ミオスタチン抗体の有効量を投与する工程を含む。本発明はまた、個体において筋組織の強度を増加させる方法も提供する。いくつかの態様において、該方法は、筋組織の強度を増加させるために当該個体に本発明の抗ミオスタチン抗体の有効量を投与する工程を含む。
図1は、実施例3に記載されるような、抗成熟ミオスタチン抗体によるミオスタチン活性の阻害を示す。様々な濃度の抗成熟ミオスタチン抗体41C1E4、MST0095-G1m、MST0226-G1m、MST0235-G1m、MST0796-G1m、MST0139-G1m、MST0182-G1m、またはMST0444-G1mの存在下で、HEK Blueアッセイを用いてミオスタチンの活性を測定した。 図2は、実施例4に記載されるような、抗成熟ミオスタチン抗体間でのインビボにおける血漿からの抗原クリアランスの比較を示す。抗成熟ミオスタチン抗体MST0226、MST0796、MST0139、MST0182、41C1E4、およびMYO029のそれぞれについて2種類の改変抗体を作製した。そのうち一方はFcγR結合活性をもつFc領域(G1)を有し、他方はFcγR結合活性をもたないFc領域を有している(F760)。各抗体を、組換え成熟ミオスタチンと共にマウスに投与し、得られた血漿中総ミオスタチン濃度を測定した。抗原クリアランスの程度は、(F760型Fc領域を有する抗体を投与した場合に測定された血漿総ミオスタチン濃度)/(G1型Fc領域を有する抗体を投与した場合に測定された血漿総ミオスタチン濃度)の比を算出することによって評価した。このアッセイにおいて、比の値がより高いことは、抗体が、抗体のFc領域と細胞上のFcγRの相互作用を通して抗原(成熟ミオスタチン)と共に細胞に取り込まれるより高い能力を有することを意味し、それによって、血漿からの抗原クリアランスの増強がもたらされる。 図3は、実施例5に記載されるような、筋肉量に対する抗成熟ミオスタチン抗体のインビボでの有効性を示す。抗成熟ミオスタチン抗体41C1E4、MST0226-G1m、およびMST0796-G1mのそれぞれをマウスに投与し、0、4、7、および14日目に除脂肪体重(LBM)を測定した。Dunnett検定におけるPBS群と比較して、*はp<0.05を示し、**はp<0.01を示し、***はp<0.001を示す。 図4は、実施例5に記載されるような、筋肉量に対する抗成熟ミオスタチン抗体のインビボでの有効性を示す。抗成熟ミオスタチン抗体41C1E4、MST0226-G1m、およびMST0796-G1mのそれぞれをマウスに投与し、大腿四頭筋、腓腹筋、足底筋、咬筋、およびヒラメ筋の重量を測定した。縦軸はPBS群と比較した筋肉重量の増量パーセントを示す。Dunnett検定におけるPBS群と比較して、*はp<0.05を示し、**はp<0.01を示し、***はp<0.001を示す。 図5は、実施例6に記載されるような、抗成熟ミオスタチン抗体によるミオスタチン活性の阻害を示す。様々な濃度の抗成熟ミオスタチン抗体41C1E4、MSLO00-SG1、MSLO01-SG1、MSLO02-SG1、MSLO03-SG1、またはMSLO04-SG1の存在下で、HEK Blueアッセイを用いてミオスタチンの活性を測定した。 図6Aおよび6Bは、実施例7に記載されるような、抗成熟ミオスタチン抗体間でのインビボにおける血漿からの抗原クリアランスの比較を示す。抗成熟ミオスタチン抗体MSLO00-SG1、MSLO01-SG1、MSLO02-SG1、MSLO03-SG1、およびMSLO04-SG1のそれぞれについて2種類の改変抗体を作製した。そのうち一方はFcγR結合活性をもつFc領域(G1)を有し、他方はFcγR結合活性をもたないFc領域を有している(F760)。各抗体を、組換え成熟ミオスタチンと共にマウスに投与し、得られた血漿中総ミオスタチン濃度を測定した。図6Aは、G1型Fc領域を有する抗体を投与した場合に測定された血漿総ミオスタチン濃度を示す。BLQ(定量限界未満)とは、ミオスタチン濃度測定アッセイにおいて、測定された濃度が定量下限未満であったことを示す。図6Bは、(F760型Fc領域を有する抗体を投与した場合に測定された血漿総ミオスタチン濃度)/(G1型Fc領域を有する抗体を投与した場合に測定された血漿総ミオスタチン濃度)の比を示す。このアッセイにおいて、比の値がより高いことは、抗体が、抗体のFc領域と細胞上のFcγRの相互作用を通して抗原(成熟ミオスタチン)と共に細胞に取り込まれるより高い能力を有することを意味し、それによって、血漿からの抗原クリアランスの増強がもたらされる。 図7は、実施例8に記載されるような、筋肉量に対する抗成熟ミオスタチン抗体のインビボでの有効性を示す。抗成熟ミオスタチン抗体MSLO00-SG1およびMSLO03-SG1のそれぞれを0.5 mg/kg、1 mg/kg、2 mg/kg、5 mg/kg、および10 mg/kgの用量でマウスに投与し、除脂肪体重(LBM)を測定した。縦軸は、0日目と14日目の間でのLBMの増量を示す。 図8は、実施例8に記載されるような、握力に対する抗成熟ミオスタチン抗体のインビボでの有効性を示す。抗成熟ミオスタチン抗体MSLO00-SG1およびMSLO03-SG1のそれぞれを0.5 mg/kg、1 mg/kg、2 mg/kg、5 mg/kg、および10 mg/kgの用量でマウスに投与し、マウスの握力を測定した。縦軸は、-1日目と13日目の間での握力の増加分を示す。
態様の説明
本明細書に記載または引用される手法および手順は、概して充分に理解されており、例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual 3d edition (2001) Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.;Current Protocols in Molecular Biology (F.M. Ausubel, et al. eds., (2003));the series Methods in Enzymology (Academic Press, Inc.): PCR 2: A Practical Approach (M.J. MacPherson, B.D. Hames and G.R. Taylor eds. (1995)), Harlow and Lane, eds. (1988) Antibodies, A Laboratory Manual, and Animal Cell Culture (R.I. Freshney, ed. (1987));Oligonucleotide Synthesis (M.J. Gait, ed., 1984);Methods in Molecular Biology, Humana Press; Cell Biology: A Laboratory Notebook (J.E. Cellis, ed., 1998) Academic Press; Animal Cell Culture (R.I. Freshney), ed., 1987);Introduction to Cell and Tissue Culture (J. P. Mather and P.E. Roberts, 1998) Plenum Press; Cell and Tissue Culture: Laboratory Procedures (A. Doyle, J.B. Griffiths, and D.G. Newell, eds., 1993-8) J. Wiley and Sons; Handbook of Experimental Immunology (D.M. Weir and C.C. Blackwell, eds.);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells (J.M. Miller and M.P. Calos, eds., 1987);PCR: The Polymerase Chain Reaction, (Mullis et al., eds., 1994);Current Protocols in Immunology (J.E. Coligan et al., eds., 1991);Short Protocols in Molecular Biology (Wiley and Sons, 1999);Immunobiology (C.A. Janeway and P. Travers, 1997);Antibodies (P. Finch, 1997);Antibodies: A Practical Approach (D. Catty., ed., IRL Press, 1988-1989);Monoclonal Antibodies: A Practical Approach (P. Shepherd and C. Dean, eds., Oxford University Press, 2000);Using Antibodies: A Laboratory Manual (E. Harlow and D. Lane (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1999);The Antibodies (M. Zanetti and J. D. Capra, eds., Harwood Academic Publishers, 1995);およびCancer: Principles and Practice of Oncology (V.T. DeVita et al., eds., J.B. Lippincott Company, 1993)に記載された広範に利用されている技法などの従来の技法を用いて、当業者により一般的に使用される。
I.定義
別途定義しない限り、本明細書で使用される技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。Singleton et al., Dictionary of Microbiology and Molecular Biology 2nd ed., J. Wiley & Sons (New York, N.Y. 1994)、およびMarch, Advanced Organic Chemistry Reactions, Mechanisms and Structure 4th ed., John Wiley & Sons (New York, N.Y. 1992)は、本出願において使用される用語の多くに対する一般的指針を当業者に提供する。特許出願および刊行物を含む、本明細書に引用される全ての参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
本明細書を解釈する目的のために、以下の定義が適用され、該当する場合はいつでも、単数形で使用された用語は複数形をも含み、その逆もまた同様である。本明細書で使用される用語は、特定の態様を説明することのみを目的としており、限定を意図したものではないことが、理解されるべきである。下記の定義のいずれかが、参照により本明細書に組み入れられた任意の文書と矛盾する場合には、下記の定義が優先するものとする。
本明細書の趣旨での「アクセプターヒトフレームワーク」は、下で定義するヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークに由来する、軽鎖可変ドメイン (VL) フレームワークまたは重鎖可変ドメイン (VH) フレームワークのアミノ酸配列を含む、フレームワークである。ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークに「由来する」アクセプターヒトフレームワークは、それらの同じアミノ酸配列を含んでもよいし、またはアミノ酸配列の変更を含んでいてもよい。いくつかの態様において、アミノ酸の変更の数は、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、または2以下である。いくつかの態様において、VLアクセプターヒトフレームワークは、VLヒト免疫グロブリンフレームワーク配列またはヒトコンセンサスフレームワーク配列と、配列が同一である。
「アフィニティ」は、分子(例えば、抗体)の結合部位1個と、分子の結合パートナー(例えば、抗原)との間の、非共有結合的な相互作用の合計の強度のことをいう。別段示さない限り、本明細書で用いられる「結合アフィニティ」は、ある結合対のメンバー(例えば、抗体と抗原)の間の1:1相互作用を反映する、固有の結合アフィニティのことをいう。分子XのそのパートナーYに対するアフィニティは、一般的に、解離定数 (Kd) により表すことができる。アフィニティは、本明細書に記載のものを含む、当該技術分野において知られた通常の方法によって測定され得る。結合アフィニティを測定するための具体的な実例となるおよび例示的な態様については、下で述べる。
「アフィニティ成熟」抗体は、改変を備えていない親抗体と比較して、1つまたは複数の超可変領域 (hypervariable region: HVR) 中に抗体の抗原に対するアフィニティの改善をもたらす1つまたは複数の改変を伴う、抗体のことをいう。
用語「抗ミオスタチン抗体」または「ミオスタチンに結合する抗体」は、充分なアフィニティでミオスタチンと結合することのできる抗体であって、その結果その抗体がミオスタチンを標的化したときに診断剤および/または治療剤として有用であるような、抗体のことをいう。一態様において、無関係な非ミオスタチンタンパク質への抗ミオスタチン抗体の結合の程度は、(例えば、放射免疫測定法 (radioimmunoassay: RIA) により)測定したとき、抗体のミオスタチンへの結合の約10%未満である。特定の態様において、ミオスタチンに結合する抗体は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM、または≦0.001nM(例えば、10-8M以下、例えば10-8M〜10-13M、例えば、10-9M〜10-13M)の解離定数 (Kd) を有する。特定の態様において、抗ミオスタチン抗体は、異なる種からのミオスタチン間で保存されているミオスタチンのエピトープに結合する。
本明細書で用語「抗体」は、最も広い意味で使用され、所望の抗原結合活性を示す限りは、これらに限定されるものではないが、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)および抗体断片を含む、種々の抗体構造を包含する。
「抗体断片」は、完全抗体が結合する抗原に結合する当該完全抗体の一部分を含む、当該完全抗体以外の分子のことをいう。抗体断片の例は、これらに限定されるものではないが、Fv、Fab、Fab'、Fab'-SH、F(ab')2;ダイアボディ;線状抗体;単鎖抗体分子(例えば、scFv);および、抗体断片から形成された多重特異性抗体を含む。
参照抗体と「同じエピトープに結合する抗体」は、競合アッセイにおいてその参照抗体が自身の抗原へする結合を阻止する抗体のことをいい、および/または逆にいえば、参照抗体は、競合アッセイにおいて前述の抗体が自身の抗原へする結合を阻止する。例示的な競合アッセイが、本明細書で提供される。
用語「キメラ」抗体は、重鎖および/または軽鎖の一部分が特定の供給源または種に由来する一方で、重鎖および/または軽鎖の残りの部分が異なった供給源または種に由来する抗体のことをいう。
抗体の「クラス」は、抗体の重鎖に備わる定常ドメインまたは定常領域のタイプのことをいう。抗体には5つの主要なクラスがある:IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMである。そして、このうちいくつかはさらにサブクラス(アイソタイプ)に分けられてもよい。例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2である。異なるクラスの免疫グロブリンに対応する重鎖定常ドメインを、それぞれ、α、δ、ε、γ、およびμと呼ぶ。
本明細書でいう用語「細胞傷害剤」は、細胞の機能を阻害するまたは妨げる、および/または細胞の死または破壊の原因となる物質のことをいう。細胞傷害剤は、これらに限定されるものではないが、放射性同位体(例えば、At 211、I 131、I 125、Y 90、Re 186、Re 188、Sm 153、Bi 212、P 32 Pb212、およびLuの放射性同位体);化学療法剤または化学療法薬(例えば、メトトレキサート、アドリアマイシン、ビンカアルカロイド類(ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド)、ドキソルビシン、メルファラン、マイトマイシンC、クロラムブシル、ダウノルビシン、または他のインターカレート剤);増殖阻害剤;核酸分解酵素などの酵素およびその断片;抗生物質;例えば、細菌、真菌、植物、または動物起源の低分子毒素または酵素的に活性な毒素(その断片および/または変異体を含む)などの、毒素;および、以下に開示される、種々の抗腫瘍剤または抗がん剤を含む。
「エフェクター機能」は、抗体のFc領域に起因する、抗体のアイソタイプによって異なる生物学的活性のことをいう。抗体のエフェクター機能の例には次のものが含まれる:C1q結合および補体依存性細胞傷害(complement dependent cytotoxicity:CDC);Fc受容体結合;抗体依存性細胞介在性細胞傷害(antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity: ADCC);貪食作用;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)の下方制御;および、B細胞活性化。
ある剤(例えば、薬学的製剤)の「有効量」は、所望の治療的または予防的結果を達成するために有効である、必要な用量におけるおよび必要な期間にわたっての、量のことをいう。
用語「エピトープ」は、抗体によって結合され得る任意の決定基を含む。エピトープは、抗原を標的とする抗体によって結合される該抗原の領域であり、抗体に直接接触する特定のアミノ酸を含む。エピトープ決定基は、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリル基またはスルホニル基などの化学的に活性な表面分子群を含むことができ、かつ特異的な三次元構造特性および/または特定の電荷特性を備えることができる。一般的に、特定の標的抗原に特異的な抗体は、タンパク質および/または巨大分子の複雑な混合物中でその標的抗原上のエピトープを優先的に認識する。
「Fc受容体」または「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体のことをいう。いくつかの態様において、FcRは、天然型ヒトFcRである。いくつかの態様において、FcRは、IgG抗体に結合するもの(ガンマ受容体)であり、FcγRI、FcγRII、およびFcγRIIIサブクラスの受容体を、これらの受容体の対立遺伝子変異体および選択的スプライシングによる形態を含めて、含む。FcγRII受容体は、FcγRIIA(「活性化受容体」)およびFcγRIIB(「阻害受容体」)を含み、これらは主としてその細胞質ドメインにおいて相違する類似のアミノ酸配列を有する。活性化受容体FcγRIIAは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシン活性化モチーフ (immunoreceptor tyrosine-based activation motif: ITAM) を含む。阻害受容体FcγRIIBは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシン阻害モチーフ(immunoreceptor tyrosine-based inhibition motif: ITIM)を含む。(例えば、Daeron, Annu. Rev. Immunol. 15:203-234 (1997) を参照のこと。)FcRは、例えば、Ravetch and Kinet, Annu. Rev. Immunol 9:457-92 (1991);Capel et al., Immunomethods 4:25-34 (1994);およびde Haas et al., J. Lab. Clin. Med 126:330-41 (1995)において総説されている。将来同定されるものを含む他のFcRも、本明細書の用語「FcR」に包含される。
用語「Fc受容体」または「FcR」はまた、母体のIgGの胎児への移動(Guyer et al., J. Immunol. 117:587 (1976)およびKim et al., J. Immunol. 24:249 (1994))ならびに免疫グロブリンのホメオスタシスの調節を担う、新生児型受容体FcRnを含む。FcRnへの結合を測定する方法は公知である(例えば、Ghetie and Ward., Immunol. Today 18(12):592-598 (1997); Ghetie et al., Nature Biotechnology, 15(7):637-640 (1997); Hinton et al., J. Biol. Chem. 279(8):6213-6216 (2004); WO2004/92219 (Hinton et al.)を参照のこと)。インビボでのヒトFcRnへの結合およびヒトFcRn高アフィニティ結合ポリペプチドの血清半減期は、例えばヒトFcRnを発現するトランスジェニックマウスもしくはトランスフェクトされたヒト細胞株においてまたは変異Fc領域を伴うポリペプチドが投与される霊長類において測定され得る。WO2000/42072 (Presta) は、FcRに対する結合が改善されたまたは減少した抗体変異体を記載している。例えば、Shields et al. J. Biol. Chem. 9(2):6591-6604 (2001) も参照のこと。
本明細書で用語「Fc領域」は、少なくとも定常領域の一部分を含む免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために用いられる。この用語は、天然型配列のFc領域および変異Fc領域を含む。一態様において、ヒトIgG重鎖Fc領域はCys226から、またはPro230から、重鎖のカルボキシル末端まで延びる。ただし、Fc領域のC末端のリジン(Lys447)は、存在していてもしていなくてもよい。本明細書では別段特定しない限り、Fc領域または定常領域中のアミノ酸残基の番号付けは、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD 1991 に記載の、EUナンバリングシステム(EUインデックスとも呼ばれる)にしたがう。
「フレームワーク」または「FR」は、超可変領域 (HVR) 残基以外の、可変ドメイン残基のことをいう。可変ドメインのFRは、通常4つのFRドメイン:FR1、FR2、FR3、およびFR4からなる。それに応じて、HVRおよびFRの配列は、通常次の順序でVH(またはVL)に現れる:FR1-H1(L1)-FR2-H2(L2)-FR3-H3(L3)-FR4。
用語「全長抗体」、「完全抗体」、および「全部抗体」は、本明細書では相互に交換可能に用いられ、天然型抗体構造に実質的に類似した構造を有する、または本明細書で定義するFc領域を含む重鎖を有する抗体のことをいう。
用語「宿主細胞」、「宿主細胞株」、および「宿主細胞培養物」は、相互に交換可能に用いられ、外来核酸を導入された細胞(そのような細胞の子孫を含む)のことをいう。宿主細胞は「形質転換体」および「形質転換細胞」を含み、これには初代の形質転換細胞および継代数によらずその細胞に由来する子孫を含む。子孫は、親細胞と核酸の内容において完全に同一でなくてもよく、変異を含んでいてもよい。オリジナルの形質転換細胞がスクリーニングされたまたは選択された際に用いられたものと同じ機能または生物学的活性を有する変異体子孫も、本明細書では含まれる。
「ヒト抗体」は、ヒトもしくはヒト細胞によって産生された抗体またはヒト抗体レパートリーもしくは他のヒト抗体コード配列を用いる非ヒト供給源に由来する抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を備える抗体である。このヒト抗体の定義は、非ヒトの抗原結合残基を含むヒト化抗体を、明確に除外するものである。
「ヒトコンセンサスフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンVLまたはVHフレームワーク配列の選択群において最も共通して生じるアミノ酸残基を示すフレームワークである。通常、ヒト免疫グロブリンVLまたはVH配列の選択は、可変ドメイン配列のサブグループからである。通常、配列のサブグループは、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, NIH Publication 91-3242, Bethesda MD (1991), vols. 1-3におけるサブグループである。一態様において、VLについて、サブグループは上記のKabatらによるサブグループκIである。一態様において、VHについて、サブグループは上記のKabatらによるサブグループIIIである。
「ヒト化」抗体は、非ヒトHVRからのアミノ酸残基およびヒトFRからのアミノ酸残基を含む、キメラ抗体のことをいう。ある態様では、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的にすべてを含み、当該可変領域においては、すべてのもしくは実質的にすべてのHVR(例えばCDR)は非ヒト抗体のものに対応し、かつ、すべてのもしくは実質的にすべてのFRはヒト抗体のものに対応する。ヒト化抗体は、任意で、ヒト抗体に由来する抗体定常領域の少なくとも一部分を含んでもよい。抗体(例えば、非ヒト抗体)の「ヒト化された形態」は、ヒト化を経た抗体のことをいう。
本明細書で用いられる用語「超可変領域」または「HVR」は、配列において超可変であり(「相補性決定領域」または「CDR」(complementarity determining region))、および/または構造的に定まったループ(「超可変ループ」)を形成し、および/または抗原接触残基(「抗原接触」)を含む、抗体の可変ドメインの各領域のことをいう。通常、抗体は6つのHVRを含む:VHに3つ(H1、H2、H3)、およびVLに3つ(L1、L2、L3)である。本明細書での例示的なHVRは、以下のものを含む:
(a) アミノ酸残基26-32 (L1)、50-52 (L2)、91-96 (L3)、26-32 (H1)、53-55 (H2)、および96-101 (H3)のところで生じる超可変ループ (Chothia and Lesk, J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987));
(b) アミノ酸残基24-34 (L1)、50-56 (L2)、89-97 (L3)、31-35b (H1)、50-65 (H2)、 および95-102 (H3)のところで生じるCDR (Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991));
(c) アミノ酸残基27c-36 (L1)、46-55 (L2)、89-96 (L3)、30-35b (H1)、47-58 (H2)、および93-101 (H3) のところで生じる抗原接触 (MacCallum et al. J. Mol. Biol. 262: 732-745 (1996));ならびに、
(d) HVRアミノ酸残基46-56 (L2)、47-56 (L2)、48-56 (L2)、49-56 (L2)、26-35 (H1)、26-35b (H1)、49-65 (H2)、93-102 (H3)、および94-102 (H3)を含む、(a)、(b)、および/または(c)の組合せ。
別段示さない限り、HVR残基および可変ドメイン中の他の残基(例えば、FR残基)は、本明細書では上記のKabatらにしたがって番号付けされる。
「イムノコンジュゲート」は、1つまたは複数の異種の分子にコンジュゲートされた抗体である(異種の分子は、これに限定されるものではないが、細胞傷害剤を含む)。
「個体」または「対象」は哺乳動物である。哺乳動物は、これらに限定されるものではないが、飼育動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ、ウマ)、霊長類(例えば、ヒト、およびサルなどの非ヒト霊長類)、ウサギ、ならびに、げっ歯類(例えば、マウスおよびラット)を含む。特定の態様では、個体または対象は、ヒトである。
「単離された」抗体は、そのもともとの環境の成分から分離されたものである。いくつかの態様において、抗体は、例えば、電気泳動(例えば、SDS-PAGE、等電点分離法 (isoelectric focusing: IEF)、キャピラリー電気泳動)またはクロマトグラフ(例えば、イオン交換または逆相HPLC)で測定して、95%または99%を超える純度まで精製される。抗体の純度の評価のための方法の総説として、例えば、Flatman et al., J. Chromatogr. B 848:79-87 (2007) を参照のこと。
「単離された」核酸は、そのもともとの環境の成分から分離された核酸分子のことをいう。単離された核酸は、その核酸分子を通常含む細胞の中に含まれた核酸分子を含むが、その核酸分子は染色体外に存在しているかまたは本来の染色体上の位置とは異なる染色体上の位置に存在している。
「抗ミオスタチン抗体をコードする単離された核酸」は、抗体の重鎖および軽鎖(またはその断片)をコードする1つまたは複数の核酸分子のことをいい、1つのベクターまたは別々のベクターに乗っている核酸分子、および、宿主細胞中の1つまたは複数の位置に存在している核酸分子を含む。
本明細書でいう用語「モノクローナル抗体」は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体のことをいう。すなわち、その集団を構成する個々の抗体は、生じ得る変異抗体(例えば、自然に生じる変異を含む変異抗体、またはモノクローナル抗体調製物の製造中に発生する変異抗体。そのような変異体は通常若干量存在している。)を除いて、同一でありおよび/または同じエピトープに結合する。異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を典型的に含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対するものである。したがって、修飾語「モノクローナル」は、実質的に均一な抗体の集団から得られるものである、という抗体の特徴を示し、何らかの特定の方法による抗体の製造を求めるものと解釈されるべきではない。例えば、本発明にしたがって用いられるモノクローナル抗体は、これらに限定されるものではないが、ハイブリドーマ法、組換えDNA法、ファージディスプレイ法、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部または一部を含んだトランスジェニック動物を利用する方法を含む、様々な手法によって作成されてよく、モノクローナル抗体を作製するためのそのような方法および他の例示的な方法は、本明細書に記載されている。
「裸抗体」は、異種の部分(例えば、細胞傷害部分)または放射性標識にコンジュゲートされていない抗体のことをいう。裸抗体は、薬学的製剤中に存在していてもよい。
「天然型抗体」は、天然に生じる様々な構造を伴う免疫グロブリン分子のことをいう。例えば、天然型IgG抗体は、ジスルフィド結合している2つの同一の軽鎖と2つの同一の重鎖から構成される約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。N末端からC末端に向かって、各重鎖は、可変重鎖ドメインまたは重鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域 (VH) を有し、それに3つの定常ドメイン(CH1、CH2、およびCH3)が続く。同様に、N末端からC末端に向かって、各軽鎖は、可変軽鎖ドメインまたは軽鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域 (VL) を有し、それに定常軽鎖 (CL) ドメインが続く。抗体の軽鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)およびラムダ(λ)と呼ばれる、2つのタイプの1つに帰属させられてよい。
用語「添付文書」は、治療用品の商用パッケージに通常含まれ、そのような治療用品の使用に関する、適応症、用法、用量、投与方法、併用療法、禁忌、および/または警告についての情報を含む使用説明書のことをいうために用いられる。
参照ポリペプチド配列に対する「パーセント (%) アミノ酸配列同一性」は、最大のパーセント配列同一性を得るように配列を整列させてかつ必要ならギャップを導入した後の、かつ、いかなる保存的置換も配列同一性の一部と考えないとしたときの、参照ポリペプチド配列中のアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基の、百分率比として定義される。パーセントアミノ酸配列同一性を決める目的のアラインメントは、当該技術分野における技術の範囲内にある種々の方法、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、またはMegalign (DNASTAR) ソフトウェアなどの、公に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用することにより達成することができる。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、配列のアラインメントをとるための適切なパラメータを決定することができる。しかしながら、本明細書における目的のためには、%アミノ酸配列同一性値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN-2を用いて生成される。ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムは、ジェネンテック社の著作であり、そのソースコードは米国著作権庁 (US Copyright Office, Washington D.C., 20559) に使用者用書類とともに提出され、米国著作権登録番号TXU510087として登録されている。ALIGN-2プログラムは、ジェネンテック社 (Genentech, Inc., South San Francisco, California) から公に入手可能であるし、ソースコードからコンパイルしてもよい。ALIGN-2プログラムは、Digital UNIX V4.0Dを含むUNIXオペレーティングシステム上での使用のためにコンパイルされる。すべての配列比較パラメータは、ALIGN-2プログラムによって設定され、変動しない。
アミノ酸配列比較にALIGN-2が用いられる状況では、所与のアミノ酸配列Aの、所与のアミノ酸配列Bへの、またはそれとの、またはそれに対する%アミノ酸配列同一性(あるいは、所与のアミノ酸配列Bへの、またはそれとの、またはそれに対する、ある%アミノ酸配列同一性を有するまたは含む所与のアミノ酸配列A、ということもできる)は、次のように計算される:分率X/Yの100倍。ここで、Xは配列アラインメントプログラムALIGN-2によって、当該プログラムのAおよびBのアラインメントにおいて同一である一致としてスコアされたアミノ酸残基の数であり、YはB中のアミノ酸残基の全数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと等しくない場合、AのBへの%アミノ酸配列同一性は、BのAへの%アミノ酸配列同一性と等しくないことが、理解されるであろう。別段特に明示しない限り、本明細書で用いられるすべての%アミノ酸配列同一性値は、直前の段落で述べたとおりALIGN-2コンピュータプログラムを用いて得られるものである。
用語「薬学的製剤」は、その中に含まれた有効成分の生物学的活性が効果を発揮し得るような形態にある調製物であって、かつ製剤が投与される対象に許容できない程度に毒性のある追加の要素を含んでいない、調製物のことをいう。
「薬学的に許容される担体」は、対象に対して無毒な、薬学的製剤中の有効成分以外の成分のことをいう。薬学的に許容される担体は、これらに限定されるものではないが、緩衝液、賦形剤、安定化剤、または保存剤を含む。
別段示さない限り、本明細書でいう用語「ミオスタチン」は、霊長類(例えば、ヒト)およびげっ歯類(例えば、マウスおよびラット)などの哺乳動物を含む、任意の脊椎動物供給源からの任意の天然型ミオスタチンのことをいう。この用語は、「全長」の、すなわちプロセシングを受けていないミオスタチンも、細胞中でのプロセシングの結果生じるいかなる形態のミオスタチンも包含する。この用語はまた、自然に生じるミオスタチンの変異体、例えば、スプライス変異体や対立遺伝子変異体も包含する。例示的なヒトミオスタチン(プロミオスタチン)のアミノ酸配列を、配列番号:1に示した。ヒトミオスタチンの例示的なC末端成長因子ドメインのアミノ酸配列を、配列番号:2に示した。ヒトミオスタチンの例示的なN末端プロペプチドドメインのアミノ酸配列を、配列番号:97または100に示した。活性な成熟型ミオスタチンは、二つのC末端成長因子ドメインからなるジスルフィド結合しているホモダイマーである。不活性な潜在型ミオスタチンは、二つのプロペプチドと成熟型ミオスタチンとが非共有結合的に会合した複合体である。例示的なカニクイザルおよびマウスのミオスタチン(プロミオスタチン)のアミノ酸配列を、それぞれ配列番号:3および5に示した。カニクイザルおよびマウスのミオスタチンの例示的なC末端成長因子ドメインのアミノ酸配列を、それぞれ配列番号:4および6に示した。カニクイザルおよびマウスのミオスタチンの例示的なN末端プロペプチドドメインのアミノ酸配列を、それぞれ配列番号:98または101および99または102に示した。配列番号:1、3、5、100、101、および102のアミノ酸残基1〜24は、細胞におけるプロセシングの際に除去されかつしたがって配列番号:97、98、および99に示される例示的なアミノ酸配列からは失われている、シグナル配列に対応する。
本明細書で用いられる「治療」(および、その文法上の派生語、例えば「治療する」、「治療すること」など)は、治療される個体の自然経過を改変することを企図した臨床的介入を意味し、予防のためにも、臨床的病態の経過の間にも実施され得る。治療の望ましい効果は、これらに限定されるものではないが、疾患の発生または再発の防止、症状の軽減、疾患による任意の直接的または間接的な病理的影響の減弱、転移の防止、疾患の進行速度の低減、疾患状態の回復または緩和、および寛解または改善された予後を含む。いくつかの態様において、本発明の抗体は、疾患の発症を遅らせる、または疾患の進行を遅くするために用いられる。
用語「可変領域」または「可変ドメイン」は、抗体を抗原へと結合させることに関与する、抗体の重鎖または軽鎖のドメインのことをいう。天然型抗体の重鎖および軽鎖の可変ドメイン(それぞれVHおよびVL)は、通常、各ドメインが4つの保存されたフレームワーク領域 (FR) および3つの超可変領域 (HVR) を含む、類似の構造を有する。(例えば、Kindt et al., Kuby Immunology, 6th ed., W.H. Freeman and Co., page 91 (2007) 参照。)1つのVHまたはVLドメインで、抗原結合特異性を与えるに充分であろう。さらに、ある特定の抗原に結合する抗体は、当該抗原に結合する抗体からのVHまたはVLドメインを使ってそれぞれVLまたはVHドメインの相補的ライブラリをスクリーニングして、単離されてもよい。例えばPortolano et al., J. Immunol. 150:880-887 (1993); Clarkson et al., Nature 352:624-628 (1991) 参照。
本明細書で用いられる用語「ベクター」は、それが連結されたもう1つの核酸を増やすことができる、核酸分子のことをいう。この用語は、自己複製核酸構造としてのベクター、および、それが導入された宿主細胞のゲノム中に組み入れられるベクターを含む。あるベクターは、自身が動作的に連結された核酸の、発現をもたらすことができる。そのようなベクターは、本明細書では「発現ベクター」とも称される。
II.組成物および方法
一局面において、本発明は、抗ミオスタチン抗体およびその使用に一部基づくものである。特定の態様において、ミオスタチンに結合する抗体が提供される。本発明の抗体は、例えば、筋肉消耗疾患の診断または治療のために、有用である。
A. 例示的な抗ミオスタチン抗体
一局面において、本発明は、ミオスタチンに結合する単離された抗体を提供する。特定の態様において、本発明の抗ミオスタチン抗体は成熟ミオスタチンに結合する。成熟ミオスタチンは、例えばヒトでは配列番号:2、カニクイザルでは配列番号:4、およびマウスでは配列番号:6のアミノ酸配列を有するポリペプチドの、ジスルフィド結合ホモ二量体である。いくつかの態様において、本発明の抗ミオスタチン抗体は、抗原であるミオスタチンとの複合体(本明細書において抗原-抗体複合体または免疫複合体とも記載される)を形成する。さらなる態様において、抗原-抗体複合体は、少なくとも2つの本発明の抗体分子を含む。さらなる態様において、抗原-抗体複合体は、少なくとも2つの抗原分子を含む。さらなる態様において、抗原-抗体複合体は、少なくとも2つのミオスタチン成熟型分子を含む。
いくつかの態様において、本発明の抗ミオスタチン抗体は細胞に取り込まれる。別の態様において、本発明の抗ミオスタチン抗体によって形成された抗原-抗体複合体は細胞に取り込まれる。さらなる態様において、本発明の抗ミオスタチン抗体の細胞への取り込みは、該抗体が抗原と複合体を形成している場合に増強される。さらなる態様において、抗体の取り込みは、該抗体が抗原と複合体を形成していない場合と比較して、該抗体が該抗原と複合体を形成している場合に増強される。抗原-抗体複合体の細胞への取り込みの増強は、該抗体を対象に投与した場合の、血漿からの抗原クリアランスの増強をもたらす可能性がある。別の態様において、本発明の抗ミオスタチン抗体を対象に投与した場合に、血漿からの抗原のクリアランスが増強される。
いくつかの態様において、本発明の抗ミオスタチン抗体は、抗体のFc領域と細胞の表面上のFc受容体の間の相互作用を通して細胞に取り込まれる。特定の態様において、本発明の抗ミオスタチン抗体のFc領域はFc受容体結合活性を有する。さらなる態様において、Fc受容体は、Fcγ受容体(FcγR)であり得、これには例えば、アイソフォームFcγRIa、FcγRIb、およびFcγRIcを含むFcγRI;アイソフォームFcγRIIa(アロタイプH131(H型)およびR131(R型)を含む)、FcγRIIb(FcγRIIb-1およびFcγRIIb-2を含む)、およびFcγRIIcを含むFcγRII;ならびに、アイソフォームFcγRIIIa(アロタイプV158およびF158を含む)およびFcγRIIIb(アロタイプFcγRIIIb-NA1およびFcγRIIIb-NA2を含む)を含むFcγRIIIが含まれる。
別の態様において、本発明の抗ミオスタチン抗体は、Fc領域がFcγR結合活性を有さない点以外は該抗ミオスタチン抗体と同一である抗体と比較した場合に、細胞へのより高い取り込みを示す。さらなる態様において、本発明の抗ミオスタチン抗体は、Fc領域がFcγR結合活性を有さない点以外は該抗ミオスタチン抗体と同一である抗体と比較した場合に、細胞への少なくとも2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0、10、20、50、100、200、500、または1000倍高い取り込みを示す。別の態様において、一方はFcγR結合活性をもつFc領域を有する抗体であり、他方はFcγR結合活性をもたないFc領域を有する抗体である、どちらも本発明の抗ミオスタチン抗体を改変することによって構築される2つの抗体の間で比較した場合に、前者の抗体は、後者の抗体よりも高い、細胞への取り込みを示す。特定の態様において、重鎖定常領域であるG1m(配列番号:7)またはSG1(配列番号:64)を有する改変抗体を、FcγR結合活性をもつFc領域を有する抗体として使用することができる。特定の態様において、重鎖定常領域であるF760(配列番号:68)を有する改変抗体を、FcγR結合活性をもたないFc領域を有する抗体として使用することができる。さらなる態様において、前者の抗体は、後者の抗体よりも、細胞への少なくとも2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0、10、20、50、100、200、500、または1000倍高い取り込みを示す。
別の局面において本発明は、pH依存的結合特性を示す抗ミオスタチン抗体を提供する。本明細書で用いられる表現「pH依存的結合」とは、抗体が「中性のpHにおけるその結合と比較して、酸性のpHにおけるミオスタチンへの結合の低下」を示すことを意味する(本開示の目的のために両表現は互換的に使用され得る)。例えば、「pH依存的結合特性を有する」抗体には、酸性のpHよりも中性のpHにおいて高いアフィニティでミオスタチンに結合する抗体が含まれる。特定の態様において、本発明の抗体は、酸性のpHよりも中性のpHにおいて、少なくとも2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、200、400、1000、10000倍、またはそれを超える高いアフィニティでミオスタチンに結合する。
抗原が可溶性タンパク質である場合、抗体が血漿中で抗原自体よりも長い半減期を有することができ、抗原の担体として働き得ることから、抗体の抗原への結合は、血漿中の抗原の半減期の延長をもたらす可能性がある(すなわち、血漿からの抗原のクリアランスが低下する)。これは、細胞中のエンドソーム経路を介したFcRnによる抗原−抗体複合体の再利用に起因するものである(Roopenian and Akilesh (2007) Nat Rev Immunol 7(9): 715-725)。しかしながら、中性の細胞外環境でその抗原と結合する一方で、細胞内への侵入後は酸性のエンドソーム区画に抗原を放出する、pH依存的結合特性を有する抗体は、pH非依存的様式で結合するその対応物と比べて、抗原の中和とクリアランスの点で優れた特性を有することが期待される(Igawa et al (2010) Nature Biotechnol 28(11); 1203-1207; Devanaboyina et al (2013) mAbs 5(6): 851-859; 国際特許出願公開公報WO2009/125825)。
本開示の趣旨でのミオスタチンに対する抗体の「アフィニティ」は、抗体のKDとして表される。抗体のKDとは、抗体−抗原相互作用の平衡解離定数をいう。抗体のその抗原への結合についてKD値が大きい程、その特定の抗原への結合アフィニティは弱くなる。したがって、本明細書で用いられる表現「酸性のpHよりも中性のpHにおいて高いアフィニティ」(または同等の表現「pH依存的結合」)は、酸性のpHでのミオスタチンへの抗体結合のKDが、中性のpHでのミオスタチンへの抗体結合のKDよりも大きいことを意味する。例えば本発明の観点で、酸性のpHにおけるミオスタチンへの抗体結合のKDが、中性pHにおけるミオスタチンへの抗体結合のKDよりも少なくとも2倍大きい場合、抗体は、酸性のpHよりも中性のpHにおいて高いアフィニティでミオスタチンに結合すると見なされる。したがって、本発明は、中性のpHにおけるミオスタチンへの抗体結合のKDよりも少なくとも2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、200、400、1000、10000倍、またはそれより大きいKDで、酸性のpHにおいてミオスタチンに結合する抗体を含む。別の態様において、中性のpHでの抗体のKD値は、10-7 M、10-8 M、10-9 M、10-10 M、10-11 M、10-12 M、またはそれ未満であり得る。別の態様において、酸性のpHでの抗体のKD値は、10-9 M、10-8 M、10-7 M、10-6 M、またはそれより大きい値であり得る。
特定の抗原に対する抗体の結合特性はまた、抗体のkdとして表してもよい。抗体のkdは、特定の抗原に関する抗体の解離速度定数を指し、秒の逆数(すなわちsec-1)を単位として表される。kd値が大きい程、抗原への抗体の結合が弱いことを意味する。本発明はしたがって、中性のpHよりも酸性のpHにおいて高いkd値でミオスタチンに結合する抗体を含む。本発明は、中性のpHにおけるミオスタチンへの抗体結合のkdよりも少なくとも2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、200、400、1000、10000倍、またはそれより大きいkdで、酸性のpHにおいてミオスタチンに結合する抗体を含む。別の態様において、中性のpHでの抗体のkd値は、10-2 1/s、10-3 1/s、10-4 1/s、10-5 1/s、10-6 1/s、またはそれ未満であり得る。別の態様において、酸性のpHでの抗体のkd値は、10-3 1/s、10-2 1/s、10-1 1/s、またはそれより大きい値であり得る。
特定の態様において、「中性のpHでの結合と比較して、酸性のpHでのミオスタチンへの低下した結合」は、酸性のpHでのミオスタチンへの抗体結合のKD値と中性のpHでのミオスタチンへの抗体結合のKD値との比(またはその逆)として表される。例えば、本発明の趣旨では、抗体が2以上の酸性/中性のKD比を示す場合、該抗体は、「中性のpHでの結合と比較して、酸性のpHでのミオスタチンへの低下した結合」を示すものとして見なされ得る。特定の例示的態様において、本発明の抗体についての酸性/中性のKD比は、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、200、400、1000、10000、またはそれを超え得る。別の態様において、中性のpHでの抗体のKD値は、10-7 M、10-8 M、10-9 M、10-10 M、10-11 M、10-12 M、またはそれ未満であり得る。別の態様において、酸性のpHでの抗体のKD値は、10-9 M、10-8 M、10-7 M、10-6 M、またはそれより大きい値であり得る。
特定の例において、「中性のpHでの結合と比較して、酸性のpHでのミオスタチンへの低下した結合」は、酸性のpHでのミオスタチンへの抗体結合のkd値と中性のpHでのミオスタチンへの抗体結合のkd値との比(またはその逆)として表される。例えば、本発明の趣旨では、抗体が2以上の酸性/中性のkd比を示す場合、該抗体は、「中性のpHでの結合と比較して、酸性のpHでのミオスタチンへの低下した結合」を示すものとして見なされ得る。特定の例示的態様において、本発明の抗体についての酸性/中性のkd比は、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、200、400、1000、10000、またはそれを超え得る。別の態様において、中性のpHでの抗体のkd値は、10-2 1/s、10-3 1/s、10-4 1/s、10-5 1/s、10-6 1/s、またはそれ未満であり得る。別の態様において、酸性のpHでの抗体のkd値は、10-3 1/s、10-2 1/s、10-1 1/s、またはそれより大きい値であり得る。
本明細書で用いられる表現「酸性のpH」とは、pH4.0〜6.5を意味する。この表現「酸性のpH」は、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、および6.5のpH値を含む。特定の局面において、「酸性のpH」は5.8である。
本明細書で用いられる表現「中性のpH」とは、pH6.7〜約10.0を意味する。この表現「中性のpH」は、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3,9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、および10.0のpH値を含む。特定の局面において、「中性のpH」は7.4である。
本明細書で表されるKD値およびkd値は、抗体-抗原相互作用を特徴付けるために、表面プラズモン共鳴に基づくバイオセンサーを用いて決定され得る。(例えば、本明細書の実施例6を参照のこと)。KD値およびkd値は、25℃または37℃で決定することができる。
本発明の抗ミオスタチン抗体は、抗原(ミオスタチン)と共に大きな免疫複合体を形成する。本発明において、「大きな」免疫複合体(すなわち抗原-抗体複合体)とは、2つ以上の抗体分子および2つ以上の抗原分子を含む免疫複合体を意味する。ミオスタチンは、適切な抗体と結合した場合に大きな免疫複合体を形成することができる。特定の理論に縛られるわけではないが、これが可能であるのは、ミオスタチン(成熟ミオスタチンを含む)が、2つのミオスタチン分子を含むホモ二量体として存在しているからである(例えば、ヒト、カニクイザル、およびマウスの成熟ミオスタチンは、それぞれ配列番号:2、配列番号:4、および配列番号:6のアミノ酸配列を含むポリペプチドのホモ二量体として存在している)。本発明の抗ミオスタチン抗体の2つの分子は、ホモ二量体中の2つのミオスタチン分子の1つずつに結合している可能性がある。さらに、IgGなどの抗体もまた2つの抗原結合部位を有するホモ二量体(またはヘテロ四量体)であるため、1つの抗体分子が、単一のホモ二量体内または別個のホモ二量体内にある2つの抗原分子に結合し得る。このように、ミオスタチンおよび抗ミオスタチン抗体によって形成された1つの免疫複合体に、複数のミオスタチン分子および複数の抗体分子を含めることができる。2つ以上の抗体分子を含む大きな免疫複合体は、わずか1つの抗体分子を含む免疫複合体よりも強く、細胞表面上のFc受容体に結合することができる。なぜなら、前者の大きな免疫複合体によってもたらされる複数のFc領域とFc受容体の間の複合的な相互作用(アビディティ)は、後者の免疫複合体によってもたらされる単独の相互作用(アフィニティ)よりも大きいためである。したがって、複合体内の複数のFc領域によるアビディティ作用のためにFc受容体に強く結合することができるそのような大きな免疫複合体は、Fc受容体を発現する細胞へと効率的に取り込まれることができよう。一態様において、本発明の抗ミオスタチン抗体は2つの抗原結合ドメイン、例えばFabを有し、そのそれぞれがミオスタチン分子上の同じエピトープに結合する。別の態様において、本発明の抗ミオスタチン抗体は、二重特異性抗体と同じく、ミオスタチン分子上の異なるエピトープに結合する2つの抗原結合ドメインを有する。
さらに、pH依存的結合特性を有する抗体は、pH非依存的様式で結合するその対応物と比較して、抗原の中和およびクリアランスの点で優れた特性を有すると考えられる(Igawa et al (2010) Nature Biotechnol 28(11); 1203-1207; Devanaboyina et al (2013) mAbs 5(6): 851-859; 国際特許出願公開公報WO 2009/125825)。したがって、上述の特性をどちらも有する抗体、すなわち、2つ以上の抗体分子を含む大きな免疫複合体を形成しかつpH依存的様式で抗原に結合する抗体は、血漿からの抗原の高度に加速された除去のための更に一層優れた特性を有すると予想される(国際特許出願公開公報WO 2013/081143)。
いくつかの態様において、本発明の抗ミオスタチン抗体はミオスタチンに対する阻害活性を有する。別の態様において、本発明の抗ミオスタチン抗体は、アクチビン受容体IIB型(ActRIIB)などのミオスタチン受容体を介したミオスタチンシグナル伝達を遮断する。
特定の態様において、本発明の抗ミオスタチン抗体は、複数の種に由来するミオスタチンに結合する。さらなる態様において、抗ミオスタチン抗体は、ヒトおよび非ヒト動物に由来するミオスタチンに結合する。さらなる態様において、抗ミオスタチン抗体は、ヒト、マウス、およびサル(例えば、カニクイザル、アカゲザル、マーモセット、チンパンジー、またはヒヒ)由来のミオスタチンに結合する。
一局面において、本発明は、(a)配列番号:70〜71、84のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号:72〜74、85のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号:75〜76、86のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号:77〜80、87のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号:81のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(f)配列番号:82〜83、88のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHVR-L3より選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む、抗ミオスタチン抗体を提供する。
一局面において、本発明は、(a)配列番号:70〜71、84のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号:72〜74、85のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHVR-H2;および(c)配列番号:75〜76、86のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHVR-H3より選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVH HVR配列を含む、抗体を提供する。一態様において、抗体は、配列番号:75〜76、86のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。別の態様において、抗体は、配列番号:75〜76、86のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号:82〜83、88のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む。さらなる態様において、抗体は、配列番号:75〜76、86のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号:82〜83、88のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHVR-L3と、配列番号:72〜74、85のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHVR-H2とを含む。さらなる態様において、抗体は、(a)配列番号:70〜71、84のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHVR-H1と;(b)配列番号:72〜74、85のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHVR-H2と;(c)配列番号:75〜76、86のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHVR-H3とを含む。
別の局面において、本発明は、(a)配列番号:77〜80、87のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHVR-L1;(b)配列番号:81のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(c)配列番号:82〜83、88のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHVR-L3より選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVL HVR配列を含む、抗体を提供する。一態様において、抗体は、(a)配列番号:77〜80、87のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHVR-L1と;(b)配列番号:81のアミノ酸配列を含むHVR-L2と;(c)配列番号:82〜83、88のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む。
別の局面において、本発明の抗体は、(a)(i)配列番号:70〜71、84のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHVR-H1;(ii)配列番号:72〜74、85のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHVR-H2;および(iii)配列番号:75〜76、86のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHVR-H3より選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVH HVR配列を含む、VHドメイン;ならびに(b)(i)配列番号:77〜80、87のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHVR-L1;(ii)配列番号:81のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(iii)配列番号:82〜83、88のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHVR-L3より選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVL HVR配列を含む、VLドメインを含む。
別の局面において、本発明は、(a)配列番号:70〜71、84のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHVR-H1と;(b)配列番号:72〜74、85のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHVR-H2と;(c)配列番号:75〜76、86のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHVR-H3と;(d)配列番号:77〜80、87のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHVR-L1と;(e)配列番号:81のアミノ酸配列を含むHVR-L2と;(f)配列番号:82〜83、88のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、抗体を提供する。
特定の態様において、上記で提供された抗ミオスタチン抗体の任意の1つまたは複数のアミノ酸が、以下のHVR部位において置換されている:
- HVR-H1(配列番号:70)において:位置1および4
- HVR-H2(配列番号:72)において:位置5、7、および15
- HVR-H3(配列番号:75)において:位置2および10
- HVR-L1(配列番号:77)において:位置4、7、8、および9
- HVR-L3(配列番号:82)において:位置8。
特定の態様において、置換は、本明細書で提供されるような保存的置換である。特定の態様において、以下の置換のいずれか1つまたは複数は、任意の組み合わせで行われ得る:
- HVR-H1(配列番号:70)において:N1H;M4K
- HVR-H2(配列番号:72)において:S5E;S7E;K15E
- HVR-H3(配列番号:75)において:G2H;I10H
- HVR-L1(配列番号:77)において:Q4E;S7H;N8H;E9D
- HVR-L3(配列番号:82)において:S8H。
上記の置換の全ての可能な組み合わせは、HVR-H1、HVR-H2、HVR-H3、HVR-L1、およびHVR-L3それぞれについて、配列番号:84、85、86、87、および88のコンセンサス配列に含まれている。
上記の態様のいずれにおいても、抗ミオスタチン抗体はヒト化されている。一態様において、抗ミオスタチン抗体は、上記の態様のいずれかと同様のHVRを含み、かつ、アクセプターヒトフレームワーク、例えばヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークをさらに含む。別の態様において、抗ミオスタチン抗体は、上記の態様のいずれかと同様のHVRを含み、かつ、FR配列を含むVHまたはVLをさらに含む。さらなる態様において、抗ミオスタチン抗体は、以下の重鎖または軽鎖可変ドメインFR配列を含む:重鎖可変ドメインについて、FR1は配列番号:89のアミノ酸配列を含み、FR2は配列番号:90のアミノ酸配列を含み、FR3は配列番号:91のアミノ酸配列を含み、FR4は配列番号:92のアミノ酸配列を含む。軽鎖可変ドメインについて、FR1は配列番号:93のアミノ酸配列を含み、FR2は配列番号:94のアミノ酸配列を含み、FR3は配列番号:95のアミノ酸配列を含み、FR4は配列番号:96のアミノ酸配列を含む。
別の局面において、抗ミオスタチン抗体は、配列番号:48〜51のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含む。特定の態様において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するVH配列は、(配列番号:48〜51のいずれか1つのアミノ酸配列などの)参照配列と比較して置換(例えば保存的置換)、挿入、または欠失を含むが、当該配列を含む抗ミオスタチン抗体は、ミオスタチンへの結合能を保持している。特定の態様において、合計1〜10個のアミノ酸が、配列番号:48〜51のいずれか1つにおいて置換、挿入、および/または欠失されている。特定の態様において、置換、挿入、または欠失はHVRの外側の領域内(すなわちFR内)で生じる。任意で、抗ミオスタチン抗体は、配列番号:48〜51のいずれか1つにおけるVH配列を、該配列の翻訳後修飾を含めて含む。特定の態様において、VHは、(a)配列番号:70〜71、84のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号:72〜74、85のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHVR-H2;および(c)配列番号:75〜76、86のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHVR-H3より選択される1つ、2つ、または3つのHVRを含む。
別の局面において、配列番号:52〜55のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む、抗ミオスタチン抗体が提供される。特定の態様において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するVL配列は、(配列番号:52〜55のいずれか1つのアミノ酸配列などの)参照配列と比較して置換(例えば保存的置換)、挿入、または欠失を含むが、当該配列を含む抗ミオスタチン抗体は、ミオスタチンへの結合能を保持している。特定の態様において、合計1〜10個のアミノ酸が、配列番号:52〜55のいずれか1つにおいて置換、挿入、および/または欠失されている。特定の態様において、置換、挿入、または欠失はHVRの外側の領域内(すなわちFR内)で生じる。任意で、抗ミオスタチン抗体は、配列番号:52〜55のいずれか1つにおけるVL配列を、該配列の翻訳後修飾を含めて含む。特定の態様において、VLは、(a)配列番号:77〜80、87のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHVR-L1;(b)配列番号:81のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(c)配列番号:82〜83、88のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHVR-L3より選択される1つ、2つ、または3つのHVRを含む。
別の局面において、上記で提供された態様のいずれかと同様のVHおよび上記で提供された態様のいずれかと同様のVLを含む、抗ミオスタチン抗体が提供される。一態様において、抗体は、それぞれ配列番号:48〜51のいずれか1つおよび配列番号:52〜55のいずれか1つにおけるVHおよびVL配列を、これらの配列の翻訳後修飾を含めて含む。
特定の態様において、本発明の抗ミオスタチン抗体は、上記で提供された態様のいずれかと同様のVHと、配列番号:7、64、および68のいずれか1つのアミノ酸配列を含む重鎖定常領域とを含む。特定の態様において、本発明の抗ミオスタチン抗体は、上記で提供された態様のいずれかと同様のVLと、配列番号:9および65のいずれか1つのアミノ酸配列を含む軽鎖定常領域とを含む。
一局面において、本発明は表2および表3に記載の抗ミオスタチン抗体を提供する。
さらなる局面において、本発明は、本明細書で提供される抗ミオスタチン抗体と同じエピトープに結合する抗体を提供する。例えば、特定の態様において、表2または3に記載される抗体と同じエピトープに結合する抗体が提供される。特定の態様において、実施例2または6に記載されたMST0226、MST0796、MST0139、MST0182、MSLO00、MSLO01、MSLO02、MSLO03、およびMSLO04からなる群より選択される抗体のいずれか1つと同じエピトープに結合する抗体が提供される。別の局面において、本発明は、ミオスタチンへの結合に関して、本明細書で提供される抗ミオスタチン抗体と競合する抗体を提供する。例えば、特定の態様において、ミオスタチンへの結合に関して、表2または3に記載される抗体と競合する抗体が提供される。特定の態様において、ミオスタチンへの結合に関して、実施例2または6に記載されたMST0226、MST0796、MST0139、MST0182、MSLO00、MSLO01、MSLO02、MSLO03、およびMSLO04からなる群より選択される抗体のいずれか1つと競合する抗体が提供される。上記の抗体と結合したエピトープは、該抗体と結合した場合に大きな抗原-抗体複合体を形成するための立体構造的に適切な位置に配置されると予想される。したがって、上記の抗体だけでなく、それらと同じエピトープに結合する抗体またはミオスタチンへの結合に関してそれらと競合する抗体も、本発明において有用である。
本発明のさらなる局面において、上述の態様の任意のものによる抗ミオスタチン抗体は、キメラ、ヒト化、またはヒト抗体を含む、モノクローナル抗体である。一態様において、抗ミオスタチン抗体は、例えば、Fv、Fab、Fab'、scFv、ダイアボディ、またはF(ab')2断片などの、抗体断片である。別の態様において、抗体は、例えば、完全IgG1またはIgG4抗体や、本明細書で定義された他の抗体クラスまたはアイソタイプなどの、全長IgG抗体である。
さらなる局面において、上述の態様の任意のものによる抗ミオスタチン抗体は、単独または組み合わせで、以下の項目1〜7に記載の任意の特徴を取り込んでもよい。
1.抗体のアフィニティ
特定の態様において、本明細書で提供される抗体は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nMまたは≦0.001nM(例えば、10-8M以下、例えば10-8M〜10-13M、例えば10-9M〜10-13M)の解離定数 (Kd) を有する。
一態様において、Kdは、放射性標識抗原結合測定法 (radiolabeled antigen binding assay: RIA) によって測定される。一態様において、RIAは、目的の抗体のFabバージョンおよびその抗原を用いて実施される。例えば、抗原に対するFabの溶液中結合アフィニティは、非標識抗原の漸増量系列の存在下で最小濃度の (125I) 標識抗原によりFabを平衡化させ、次いで結合した抗原を抗Fab抗体でコーティングされたプレートにより捕捉することによって測定される。(例えば、Chen et al., J. Mol. Biol. 293:865-881(1999) を参照のこと)。測定条件を構築するために、MICROTITER(登録商標)マルチウェルプレート (Thermo Scientific) を50mM炭酸ナトリウム (pH9.6) 中5μg/mlの捕捉用抗Fab抗体 (Cappel Labs) で一晩コーティングし、その後に室温(およそ23℃)で2〜5時間、PBS中2% (w/v) ウシ血清アルブミンでブロックする。非吸着プレート (Nunc #269620) において、100 pMまたは26 pMの [125I]-抗原を、(例えば、Presta et al., Cancer Res. 57:4593-4599 (1997) における抗VEGF抗体、Fab-12の評価と同じように)目的のFabの段階希釈物と混合する。次いで、目的のFabを一晩インキュベートするが、このインキュベーションは、平衡が確実に達成されるよう、より長時間(例えば、約65時間)継続され得る。その後、混合物を、室温でのインキュベーション(例えば、1時間)のために捕捉プレートに移す。次いで溶液を除去し、プレートをPBS中0.1%のポリソルベート20(TWEEN-20(登録商標))で8回洗浄する。プレートが乾燥したら、150μl/ウェルのシンチラント(MICROSCINT-20(商標)、Packard)を添加し、TOPCOUNT(商標)ガンマカウンター (Packard) においてプレートを10分間カウントする。最大結合の20%以下を与える各Fabの濃度を、競合結合アッセイにおいて使用するために選択する。
別の態様によれば、Kdは、BIACORE(登録商標)表面プラズモン共鳴アッセイを用いて測定される。例えば、BIACORE(登録商標)-2000またはBIACORE(登録商標)-3000 (BIAcore, Inc., Piscataway, NJ) を用いる測定法が、およそ10反応単位 (response unit: RU) の抗原が固定されたCM5チップを用いて25℃で実施される。一態様において、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ (CM5、BIACORE, Inc.) は、供給元の指示にしたがいN-エチル-N'- (3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミドヒドロクロリド (EDC) およびN-ヒドロキシスクシンイミド (NHS) を用いて活性化される。抗原は、およそ10反応単位 (RU) のタンパク質の結合を達成するよう、5μl/分の流速で注入される前に、10mM酢酸ナトリウム、pH4.8を用いて5μg/ml(およそ0.2μM)に希釈される。抗原の注入後、未反応基をブロックするために1Mエタノールアミンが注入される。反応速度測定のために、25℃、およそ25μl/分の流速で、0.05%ポリソルベート20(TWEEN-20(商標))界面活性剤含有PBS (PBST) 中のFabの2倍段階希釈物 (0.78nM〜500nM) が注入される。結合速度 (kon) および解離速度 (koff) は、単純な1対1ラングミュア結合モデル(BIACORE(登録商標)評価ソフトウェアバージョン3.2)を用いて、結合および解離のセンサーグラムを同時にフィッティングすることによって計算される。平衡解離定数 (Kd) は、koff/kon比として計算される。例えば、Chen et al., J. Mol. Biol. 293:865-881 (1999) を参照のこと。上記の表面プラズモン共鳴アッセイによってオン速度が106M-1s-1を超える場合、オン速度は、分光計(例えばストップフロー式分光光度計 (Aviv Instruments) または撹拌キュベットを用いる8000シリーズのSLM-AMINCO(商標)分光光度計 (ThermoSpectronic))において測定される、漸増濃度の抗原の存在下でのPBS、pH7.2中20nMの抗抗原抗体(Fab形態)の25℃での蛍光発光強度(励起=295nm;発光=340nm、バンドパス16nm)の増加または減少を測定する蛍光消光技術を用いて決定され得る。
2.抗体断片
特定の態様において、本明細書で提供される抗体は、抗体断片である。抗体断片は、これらに限定されるものではないが、Fab、Fab'、Fab'-SH、F(ab')2、Fv、および scFv断片、ならびに、後述する他の断片を含む。特定の抗体断片についての総説として、Hudson et al. Nat. Med. 9:129-134 (2003) を参照のこと。scFv断片の総説として、例えば、Pluckthun, in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg and Moore eds., (Springer-Verlag, New York), pp.269-315 (1994);加えて、WO93/16185;ならびに米国特許第5,571,894号および第5,587,458号を参照のこと。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含みインビボ (in vivo) における半減期の長くなったFabおよびF(ab')2断片についての論説として、米国特許第5,869,046号を参照のこと。
ダイアボディは、二価または二重特異的であってよい、抗原結合部位を2つ伴う抗体断片である。例えば、EP404,097号; WO1993/01161; Hudson et al., Nat. Med. 9:129-134 (2003); Hollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 6444-6448 (1993) 参照。トリアボディ (triabody) やテトラボディ (tetrabody) も、Hudson et al., Nat. Med. 9:129-134 (2003) に記載されている。
シングルドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインのすべてもしくは一部分、または軽鎖可変ドメインのすべてもしくは一部分を含む、抗体断片である。特定の態様において、シングルドメイン抗体は、ヒトシングルドメイン抗体である(Domantis, Inc., Waltham, MA;例えば、米国特許第6,248,516号B1参照)。
抗体断片は、これらに限定されるものではないが、本明細書に記載の、完全抗体のタンパク質分解的消化、組み換え宿主細胞(例えば、大腸菌 (E. coli) またはファージ)による産生を含む、種々の手法により作ることができる。
3.キメラおよびヒト化抗体
特定の態様において、本明細書で提供される抗体は、キメラ抗体である。特定のキメラ抗体が、例えば、米国特許第4,816,567号;および、Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:6851-6855 (1984) に記載されている。一例では、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、またはサルなどの非ヒト霊長類に由来する可変領域)およびヒト定常領域を含む。さらなる例において、キメラ抗体は、親抗体のものからクラスまたはサブクラスが変更された「クラススイッチ」抗体である。キメラ抗体は、その抗原結合断片も含む。
特定の態様において、キメラ抗体は、ヒト化抗体である。典型的には、非ヒト抗体は、親非ヒト抗体の特異性およびアフィニティを維持したままでヒトへの免疫原性を減少させるために、ヒト化される。通常、ヒト化抗体は1つまたは複数の可変ドメインを含み、当該可変ドメイン中、HVR(例えばCDR(またはその部分))は非ヒト抗体に由来し、FR(またはその部分)はヒト抗体配列に由来する。ヒト化抗体は、任意で、ヒト定常領域の少なくとも一部分を含む。いくつかの態様において、ヒト化抗体中のいくつかのFR残基は、例えば、抗体の特異性またはアフィニティを回復または改善するために、非ヒト抗体(例えば、HVR残基の由来となった抗体)からの対応する残基で置換されている。
ヒト化抗体およびその作製方法は、Almagro and Fransson, Front. Biosci. 13:1619-1633 (2008)において総説されており、また、例えば、Riechmann et al., Nature 332:323-329 (1988); Queen et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 86:10029-10033 (1989); 米国特許第5,821,337号、第7,527,791号、第6,982,321号、および第7,087,409号;Kashmiri et al., Methods 36:25-34 (2005)(特異性決定領域 (specificity determining region: SDR) グラフティングを記載);Padlan, Mol. Immunol. 28:489-498 (1991) (リサーフェイシングを記載); Dall'Acqua et al., Methods 36:43-60 (2005) (FRシャッフリングを記載);ならびに、Osbourn et al., Methods 36:61-68 (2005) およびKlimka et al., Br. J. Cancer, 83:252-260 (2000) (FRシャッフリングのための「ガイドセレクション」アプローチを記載)において、さらに記載されている。
ヒト化に使われ得るヒトフレームワーク領域は、これらに限定されるものではないが:「ベストフィット」法(Sims et al. J. Immunol. 151:2296 (1993) 参照)を用いて選択されたフレームワーク領域;軽鎖または重鎖可変領域の特定のサブグループのヒト抗体のコンセンサス配列に由来するフレームワーク領域(Carter et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:4285 (1992) および Presta et al. J. Immunol., 151:2623 (1993) 参照);ヒト成熟(体細胞変異)フレームワーク領域またはヒト生殖細胞系フレームワーク領域(例えば、Almagro and Fransson, Front. Biosci. 13:1619-1633 (2008) 参照);および、FRライブラリのスクリーニングに由来するフレームワーク領域(Baca et al., J. Biol. Chem. 272:10678-10684 (1997) および Rosok et al., J. Biol. Chem. 271:22611-22618 (1996) 参照)を含む。
4.ヒト抗体
特定の態様において、本明細書で提供される抗体は、ヒト抗体である。ヒト抗体は、当該技術分野において知られる種々の手法によって製造され得る。ヒト抗体は、van Dijk and van de Winkel, Curr. Opin. Pharmacol. 5: 368-74 (2001) および Lonberg, Curr. Opin. Immunol. 20:450-459 (2008) に、概説されている。
ヒト抗体は、抗原チャレンジ(負荷)に応答して完全ヒト抗体またはヒト可変領域を伴う完全抗体を産生するように改変されたトランスジェニック動物へ免疫原を投与することにより、調製されてもよい。そのような動物は、典型的にはヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部もしくは一部分を含み、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部もしくは一部分は、内因性の免疫グロブリン遺伝子座を置き換えるか、または、染色体外にもしくは当該動物の染色体内にランダムに取り込まれた状態で存在する。そのようなトランスジェニックマウスにおいて、内因性の免疫グロブリン遺伝子座は、通常不活性化されている。トランスジェニック動物からヒト抗体を得る方法の総説として、Lonberg, Nat. Biotech. 23:1117-1125 (2005) を参照のこと。また、例えば、XENOMOUSE(商標)技術を記載した米国特許第6,075,181号および第6,150,584号;HUMAB(登録商標)技術を記載した米国特許第5,770,429号;K-M MOUSE(登録商標)技術を記載した米国特許第7,041,870号;ならびに、VELOCIMOUSE(登録商標)技術を記載した米国特許出願公開第2007/0061900号を、併せて参照のこと。このような動物によって生成された完全抗体からのヒト可変領域は、例えば、異なるヒト定常領域と組み合わせるなどして、さらに修飾されてもよい。
ヒト抗体は、ハイブリドーマに基づいた方法でも作ることができる。ヒトモノクローナル抗体の製造のための、ヒトミエローマおよびマウス‐ヒトヘテロミエローマ細胞株は、既に記述されている。(例えば、Kozbor J. Immunol., 133: 3001 (1984);Brodeur et al., Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, pp.51-63 (Marcel Dekker, Inc., New York, 1987);およびBoerner et al., J. Immunol., 147: 86 (1991) 参照。)ヒトB細胞ハイブリドーマ技術を介して生成されたヒト抗体も、Li et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 103:3557-3562 (2006) に述べられている。追加的な方法としては、例えば、米国特許第7,189,826号(ハイブリドーマ細胞株からのモノクローナルヒトIgM抗体の製造を記載)、および、Ni, Xiandai Mianyixue, 26(4):265-268 (2006)(ヒト−ヒトハイブリドーマを記載)に記載されたものを含む。ヒトハイブリドーマ技術(トリオーマ技術)も、Vollmers and Brandlein, Histology and Histopathology, 20(3):927-937 (2005) およびVollmers and Brandlein, Methods and Findings in Experimental and Clinical Pharmacology, 27(3):185-91 (2005)に記載されている。
ヒト抗体は、ヒト由来ファージディスプレイライブラリから選択されたFvクローン可変ドメイン配列を単離することでも生成できる。このような可変ドメイン配列は、次に所望のヒト定常ドメインと組み合わせることができる。抗体ライブラリからヒト抗体を選択する手法を、以下に述べる。
5.ライブラリ由来抗体
本発明の抗体は、所望の1つまたは複数の活性を伴う抗体についてコンビナトリアルライブラリをスクリーニングすることによって単離してもよい。例えば、ファージディスプレイライブラリの生成や、所望の結合特性を備える抗体についてそのようなライブラリをスクリーニングするための、様々な方法が当該技術分野において知られている。そのような方法は、Hoogenboom et al. in Methods in Molecular Biology 178:1-37 (O'Brien et al., ed., Human Press, Totowa, NJ, 2001) において総説されており、さらに例えば、McCafferty et al., Nature 348:552-554;Clackson et al., Nature 352: 624-628 (1991); Marks et al., J. Mol. Biol. 222: 581-597 (1992); Marks and Bradbury, in Methods in Molecular Biology 248:161-175 (Lo, ed., Human Press, Totowa, NJ, 2003); Sidhu et al., J. Mol. Biol. 338(2): 299-310 (2004); Lee et al., J. Mol. Biol. 340(5): 1073-1093 (2004); Fellouse, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101(34):12467-12472 (2004);およびLee et al., J. Immunol. Methods 284(1-2): 119-132(2004) に記載されている。
特定のファージディスプレイ法において、VHおよびVL遺伝子のレパートリーは、ポリメラーゼ連鎖反応 (polymerase chain reaction: PCR) により別々にクローニングされ、無作為にファージライブラリ中で再結合され、当該ファージライブラリは、Winter et al., Ann. Rev. Immunol., 12: 433-455 (1994) に述べられているようにして、抗原結合ファージについてスクリーニングされ得る。ファージは、典型的には、単鎖Fv (scFv) 断片としてまたはFab断片としてのいずれかで、抗体断片を提示する。免疫化された供給源からのライブラリは、ハイブリドーマを構築することを要さずに、免疫源に対する高アフィニティ抗体を提供する。あるいは、Griffiths et al., EMBO J, 12: 725-734 (1993) に記載されるように、ナイーブレパートリーを(例えば、ヒトから)クローニングして、免疫化することなしに、広範な非自己および自己抗原への抗体の単一の供給源を提供することもできる。最後に、ナイーブライブラリは、Hoogenboom and Winter, J. Mol. Biol., 227: 381-388 (1992) に記載されるように、幹細胞から再編成前のV-遺伝子セグメントをクローニングし、超可変CDR3領域をコードしかつインビトロ (in vitro) で再構成を達成するための無作為配列を含んだPCRプライマーを用いることにより、合成的に作ることもできる。ヒト抗体ファージライブラリを記載した特許文献は、例えば:米国特許第5,750,373号、ならびに、米国特許出願公開第2005/0079574号、2005/0119455号、第2005/0266000号、第2007/0117126号、第2007/0160598号、第2007/0237764号、第2007/0292936号、および第2009/0002360号を含む。
ヒト抗体ライブラリから単離された抗体または抗体断片は、本明細書ではヒト抗体またはヒト抗体断片と見なす。
6.多重特異性抗体
特定の態様において、本明細書で提供される抗体は、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)である。多重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる部位に結合特異性を有する、モノクローナル抗体である。特定の態様において、結合特異性の1つは、ミオスタチンに対するものであり、もう1つは他の任意の抗原へのものである。特定の態様において、二重特異性抗体は、ミオスタチンの異なった2つのエピトープに結合してもよい。二重特異性抗体は、ミオスタチンを発現する細胞に細胞傷害剤を局在化するために使用されてもよい。二重特異性抗体は、全長抗体としてまたは抗体断片として調製され得る。
多重特異性抗体を作製するための手法は、これらに限定されるものではないが、異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖−軽鎖ペアの組み換え共発現(Milstein and Cuello, Nature 305: 537 (1983)、WO93/08829、およびTraunecker et al., EMBO J. 10: 3655 (1991) 参照)、およびknob-in-hole技術(例えば、米国特許第5,731,168号参照)を含む。多重特異性抗体は、Fcヘテロ二量体分子を作製するために静電ステアリング効果 (electrostatic steering effects) を操作すること (WO 2009/089004A1);2つ以上の抗体または断片を架橋すること(米国特許第4,676,980号およびBrennan et al., Science, 229: 81 (1985)参照);ロイシンジッパーを用いて2つの特異性を有する抗体を作成すること(Kostelny et al., J. Immunol., 148(5):1547-1553 (1992) 参照);「ダイアボディ」技術を用いて二重特異性抗体断片を作製すること(Hollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:6444-6448 (1993) 参照);および、単鎖Fv (sFv) 二量体を用いること(Gruber et al., J. Immunol., 152:5368 (1994) 参照);および、例えばTutt et al. J. Immunol. 147: 60 (1991) に記載されるように三重特異性抗体を調製すること、によって作製してもよい。
「オクトパス抗体」を含む、3つ以上の機能的抗原結合部位を伴う改変抗体も、本明細書では含まれる(例えば、米国特許出願公開第2006/0025576号A1参照)。
本明細書で抗体または断片は、ミオスタチンと別の異なる抗原とに結合する1つの抗原結合部位を含む、「デュアルアクティングFab」または「DAF」も含む(例えば、米国特許出願公開第2008/0069820号参照)。
7.抗体変異体
特定の態様において、本明細書で提供される抗体のアミノ酸配列変異体も、考慮の内である。例えば、抗体の結合アフィニティおよび/または他の生物学的特性を改善することが、望ましいこともある。抗体のアミノ酸配列変異体は、抗体をコードするヌクレオチド配列に適切な修飾を導入すること、または、ペプチド合成によって、調製されてもよい。そのような修飾は、例えば、抗体のアミノ酸配列からの欠失、および/または抗体のアミノ酸配列中への挿入、および/または抗体のアミノ酸配列中の残基の置換を含む。最終構築物が所望の特徴(例えば、抗原結合性)を備えることを前提に、欠失、挿入、および置換の任意の組合せが、最終構築物に至るために行われ得る。
a)置換、挿入、および欠失変異体
特定の態様において、1つまたは複数のアミノ酸置換を有する抗体変異体が提供される。置換的変異導入の目的部位は、HVRおよびFRを含む。保存的置換を、表1の「好ましい置換」の見出しの下に示す。より実質的な変更を、表1の「例示的な置換」の見出しの下に提供するとともに、アミノ酸側鎖のクラスに言及しつつ下で詳述する。アミノ酸置換は目的の抗体に導入されてもよく、産物は、例えば、保持/改善された抗原結合性、減少した免疫原性、または改善したADCCまたはCDCなどの、所望の活性についてスクリーニングされてもよい。
(表1)
Figure 2019507584
アミノ酸は、共通の側鎖特性によって群に分けることができる:
(1) 疎水性:ノルロイシン、メチオニン (Met)、アラニン (Ala)、バリン (Val)、ロイシン (Leu)、イソロイシン (Ile);
(2) 中性の親水性:システイン (Cys)、セリン (Ser)、トレオニン (Thr)、アスパラギン (Asn)、グルタミン (Gln);
(3) 酸性:アスパラギン酸 (Asp)、グルタミン酸 (Glu);
(4) 塩基性:ヒスチジン (His)、リジン (Lys)、アルギニン (Arg);
(5) 鎖配向に影響する残基:グリシン (Gly)、プロリン (Pro);
(6) 芳香族性:トリプトファン (Trp)、チロシン (Tyr)、フェニルアラニン (Phe)。
非保存的置換は、これらのクラスの1つのメンバーを、別のクラスに交換することをいう。
置換変異体の1つのタイプは、親抗体(例えば、ヒト化またはヒト抗体)の1つまたは複数の超可変領域残基の置換を含む。通常、その結果として生じ、さらなる研究のために選ばれた変異体は、親抗体と比較して特定の生物学的特性における修飾(例えば、改善)(例えば、増加したアフィニティ、減少した免疫原性)を有する、および/または親抗体の特定の生物学的特性を実質的に保持しているであろう。例示的な置換変異体は、アフィニティ成熟抗体であり、これは、例えばファージディスプレイベースのアフィニティ成熟技術(例えば本明細書に記載されるもの)を用いて適宜作製され得る。簡潔に説明すると、1つまたは複数のHVR残基を変異させ、そして変異抗体をファージ上に提示させ、特定の生物学的活性(例えば、結合アフィニティ)に関してスクリーニングを行う。
改変(例えば、置換)は、例えば抗体のアフィニティを改善するために、HVRにおいて行われ得る。そのような改変は、HVRの「ホットスポット」、すなわち、体細胞成熟プロセスの間に高頻度で変異が起こるコドンによってコードされる残基(例えば、Chowdhury, Methods Mol. Biol. 207:179-196 (2008) を参照のこと)および/または抗原に接触する残基において行われ得、得られた変異VHまたはVLが結合アフィニティに関して試験され得る。二次ライブラリからの構築および再選択によるアフィニティ成熟が、例えば、Hoogenboom et al. in Methods in Molecular Biology 178:1-37 (O'Brien et al., ed., Human Press, Totowa, NJ, (2001)) に記載されている。アフィニティ成熟のいくつかの態様において、多様性は、任意の様々な方法(例えば、エラープローンPCR、チェーンシャッフリングまたはオリゴヌクレオチド指向変異導入)によって成熟のために選択された可変遺伝子に導入される。次いで、二次ライブラリが作製される。次いで、このライブラリは、所望のアフィニティを有する任意の抗体変異体を同定するためにスクリーニングされる。多様性を導入する別の方法は、いくつかのHVR残基(例えば、一度に4〜6残基)を無作為化するHVR指向アプローチを含む。抗原結合に関与するHVR残基は、例えばアラニンスキャニング変異導入またはモデリングを用いて、具体的に特定され得る。特に、CDR-H3およびCDR-L3がしばしば標的化される。
特定の態様において、置換、挿入、または欠失は、そのような改変が抗原に結合する抗体の能力を実質的に減少させない限り、1つまたは複数のHVR内で行われ得る。例えば、結合アフィニティを実質的に減少させない保存的改変(例えば、本明細書で提供されるような保存的置換)が、HVRにおいて行われ得る。そのような改変は、例えば、HVRの抗原接触残基の外側であり得る。上記の変異VHおよびVL配列の特定の態様において、各HVRは改変されていないか、わずか1つ、2つ、もしくは3つのアミノ酸置換を含む。
変異導入のために標的化され得る抗体の残基または領域を同定するのに有用な方法は、Cunningham and Wells, (1989) Science, 244:1081-1085によって記載される、「アラニンスキャニング変異導入」と呼ばれるものである。この方法において、一残基または一群の標的残基(例えば、荷電残基、例えばアルギニン、アスパラギン酸、ヒスチジン、リジン、およびグルタミン酸)が同定され、中性または負に荷電したアミノ酸(例えば、アラニンもしくはポリアラニン)で置き換えられ、抗体と抗原の相互作用が影響を受けるかどうかが決定される。この初期置換に対して機能的感受性を示したアミノ酸位置に、さらなる置換が導入され得る。あるいはまたは加えて、抗体と抗原の間の接触点を同定するために、抗原抗体複合体の結晶構造を解析してもよい。そのような接触残基および近隣の残基を、置換候補として標的化してもよく、または置換候補から除外してもよい。変異体は、それらが所望の特性を含むかどうかを決定するためにスクリーニングされ得る。
アミノ酸配列の挿入は、配列内部への単一または複数のアミノ酸残基の挿入と同様、アミノ末端および/またはカルボキシル末端における1残基から100残基以上を含むポリペプチドの長さの範囲での融合も含む。末端の挿入の例は、N末端にメチオニル残基を伴う抗体を含む。抗体分子の他の挿入変異体は、酵素(例えば、ADEPTのための)または抗体の血中半減期を増加させるポリペプチドを、抗体のN-またはC-末端に融合させたものを含む。
b)グリコシル化変異体
特定の態様において、本明細書で提供される抗体は、抗体がグリコシル化される程度を増加させるまたは減少させるように改変されている。抗体へのグリコシル化部位の追加または削除は、1つまたは複数のグリコシル化部位を作り出すまたは取り除くようにアミノ酸配列を改変することにより、簡便に達成可能である。
抗体がFc領域を含む場合、そこに付加される炭水化物が改変されてもよい。哺乳動物細胞によって産生される天然型抗体は、典型的には、枝分かれした二分岐のオリゴ糖を含み、当該オリゴ糖は通常Fc領域のCH2ドメインのAsn297にN-リンケージによって付加されている。例えば、Wright et al. TIBTECH 15:26-32 (1997) 参照。オリゴ糖は、例えば、マンノース、N‐アセチルグルコサミン (GlcNAc)、ガラクトース、およびシアル酸などの種々の炭水化物、また、二分岐のオリゴ糖構造の「幹」中のGlcNAcに付加されたフコースを含む。いくつかの態様において、本発明の抗体中のオリゴ糖の修飾は、特定の改善された特性を伴う抗体変異体を作り出すために行われてもよい。
一態様において、Fc領域に(直接的または間接的に)付加されたフコースを欠く炭水化物構造体を有する抗体変異体が提供される。例えば、そのような抗体におけるフコースの量は、1%〜80%、1%〜65%、5%〜65%または20%〜40%であり得る。フコースの量は、例えばWO 2008/077546に記載されるようにMALDI-TOF質量分析によって測定される、Asn297に付加されたすべての糖構造体(例えば、複合、ハイブリッド、および高マンノース構造体)の和に対する、Asn297における糖鎖内のフコースの平均量を計算することによって決定される。Asn297は、Fc領域の297位のあたりに位置するアスパラギン残基を表す(Fc領域残基のEUナンバリング)。しかし、複数の抗体間のわずかな配列の多様性に起因して、Asn297は、297位の±3アミノ酸上流または下流、すなわち294位〜300位の間に位置することもあり得る。そのようなフコシル化変異体は、改善されたADCC機能を有し得る。例えば、米国特許出願公開第2003/0157108号 (Presta, L.) ;第2004/0093621号 (Kyowa Hakko Kogyo Co., Ltd) を参照のこと。「脱フコシル化」または「フコース欠損」抗体変異体に関する刊行物の例は、US 2003/0157108; WO 2000/61739; WO 2001/29246; US 2003/0115614; US 2002/0164328; US 2004/0093621; US 2004/0132140; US 2004/0110704; US 2004/0110282; US 2004/0109865; WO 2003/085119; WO 2003/084570; WO 2005/035586; WO 2005/035778; WO 2005/053742; WO 2002/031140; Okazaki et al., J. Mol. Biol. 336:1239-1249 (2004); Yamane-Ohnuki et al. Biotech. Bioeng. 87: 614 (2004) を含む。脱フコシル化抗体を産生することができる細胞株の例は、タンパク質のフコシル化を欠くLec13 CHO細胞(Ripka et al. Arch. Biochem. Biophys. 249:533-545 (1986);米国特許出願公開第US 2003/0157108号A1、Presta, L;およびWO 2004/056312A1、Adams et al.、特に実施例11)およびノックアウト細胞株、例えばアルファ-1,6-フコシルトランスフェラーゼ遺伝子FUT8ノックアウトCHO細胞(例えば、Yamane-Ohnuki et al. Biotech. Bioeng. 87: 614 (2004);Kanda, Y. et al., Biotechnol. Bioeng., 94(4):680-688 (2006);およびWO 2003/085107を参照のこと)を含む。
例えば抗体のFc領域に付加された二分枝型オリゴ糖がGlcNAcによって二分されている、二分されたオリゴ糖を有する抗体変異体がさらに提供される。そのような抗体変異体は、減少したフコシル化および/または改善されたADCC機能を有し得る。そのような抗体変異体の例は、例えば、WO2003/011878 (Jean-Mairet et al.) ;米国特許第6,602,684号 (Umana et al.);およびUS2005/0123546 (Umana et al.) に記載されている。Fc領域に付加されたオリゴ糖中に少なくとも1つのガラクトース残基を有する抗体変異体も提供される。そのような抗体変異体は、改善されたCDC機能を有し得る。そのような抗体変異体は、例えば、WO1997/30087 (Patel et al.);WO1998/58964 (Raju, S.); およびWO1999/22764 (Raju, S.) に記載されている。
c)Fc領域変異体
特定の態様において、本明細書で提供される抗体のFc領域に1つまたは複数のアミノ酸修飾を導入して、それによりFc領域変異体を生成してもよい。Fc領域変異体は、1つまたは複数のアミノ酸位置のところでアミノ酸修飾(例えば、置換)を含む、ヒトFc領域配列(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4のFc領域)を含んでもよい。
特定の態様において、すべてではないがいくつかのエフェクター機能を備える抗体変異体も、本発明の考慮の内であり、当該エフェクター機能は、抗体を、そのインビボでの半減期が重要であるが、特定のエフェクター機能(補体およびADCCなど)は不要または有害である場合の適用に望ましい候補とするものである。CDCおよび/またはADCC活性の減少/欠乏を確認するために、インビトロ および/またはインビボ の細胞傷害測定を行うことができる。例えば、Fc受容体(FcR)結合測定は、抗体がFcγR結合性を欠く(よってADCC活性を欠く蓋然性が高い)一方でFcRn結合能を維持することを確かめるために行われ得る。ADCCを媒介するプライマリ細胞であるNK細胞はFcγRIIIのみを発現するが、一方単球はFcγRI、FcγRII、FcγRIIIを発現する。造血細胞上のFcRの発現は、Ravetch and Kinet, Annu. Rev. Immunol. 9:457-492 (1991) の第464頁のTable 3にまとめられている。目的の分子のADCC活性を評価するためのインビトロ測定法(アッセイ)の非限定的な例は、米国特許第5,500,362号(例えば、 Hellstrom, I. et al. Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 83:7059-7063 (1986) 参照)および Hellstrom, I et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 82:1499-1502 (1985);米国特許第5,821,337号(Bruggemann, M. et al., J. Exp. Med. 166:1351-1361 (1987) 参照)に記載されている。あるいは、非放射性の測定法を用いてもよい(例えば、ACTI(商標)non-radioactive cytotoxicity assay for flow cytometry (CellTechnology, Inc. Mountain View, CA);および、CytoTox 96(登録商標)non-radioactive cytotoxicity assays 法 (Promega, Madison, WI) 参照)。このような測定法に有用なエフェクター細胞は、末梢血単核細胞 (peripheral blood mononuclear cell: PBMC) およびナチュラルキラー (natural killer: NK) 細胞を含む。あるいはまたは加えて、目的の分子のADCC活性は、例えば、Clynes et al. Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 95:652-656 (1998) に記載されるような動物モデルにおいて、インビボで評価されてもよい。また、抗体がC1qに結合できないこと、よってCDC活性を欠くことを確認するために、C1q結合測定を行ってもよい。例えば、WO2006/029879 および WO2005/100402のC1qおよびC3c結合ELISAを参照のこと。また、補体活性化を評価するために、CDC測定を行ってもよい(例えば、Gazzano-Santoro et al., J. Immunol. Methods 202:163 (1996);Cragg, M.S. et al., Blood 101:1045-1052 (2003);およびCragg, M.S. and M.J. Glennie, Blood 103:2738-2743 (2004) 参照)。さらに、FcRn結合性およびインビボでのクリアランス/半減期の決定も、当該技術分野において知られた方法を用いて行い得る(例えばPetkova, S.B. et al., Int'l. Immunol. 18(12):1759-1769 (2006) 参照)。
減少したエフェクター機能を伴う抗体は、Fc領域残基238、265、269、270、297、327、および329の1つまたは複数の置換を伴うものを含む(米国特許第6,737,056号)。このようなFc変異体は、残基265および297のアラニンへの置換を伴ういわゆる「DANA」Fc変異体(米国特許第7,332,581号)を含む、アミノ酸位置265、269、270、297、および327の2つ以上の置換を伴うFc変異体を含む。
FcRsへの改善または減弱した結合性を伴う特定の抗体変異体が、記述されている。(米国特許第6,737,056号;WO2004/056312、およびShields et al., J. Biol. Chem. 9(2): 6591-6604 (2001) を参照のこと。)
特定の態様において、抗体変異体は、ADCCを改善する1つまたは複数のアミノ酸置換(例えば、Fc領域の位置298、333、および/または334(EUナンバリングでの残基)のところでの置換)を伴うFc領域を含む。
いくつかの態様において、例えば米国特許第6,194,551号、WO99/51642、およびIdusogie et al. J. Immunol. 164: 4178-4184 (2000) に記載されるように、改変された(つまり、改善したか減弱したかのいずれかである)C1q結合性および/または補体依存性細胞傷害 (CDC) をもたらす改変が、Fc領域においてなされる。
増加した半減期、および新生児型Fc受容体(FcRn:母体のIgG類を胎児に移行させる役割を負う(Guyer et al., J. Immunol. 117:587 (1976) and Kim et al., J. Immunol. 24:249 (1994)))に対する改善した結合性を伴う抗体が、米国特許出願公開第2005/0014934号A1(Hinton et al.) に記載されている。これらの抗体は、Fc領域のFcRnへの結合性を改善する1つまたは複数の置換をその中に伴うFc領域を含む。このようなFc変異体は、Fc領域残基:238、256、265、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424、または434の1つまたは複数のところでの置換(例えば、Fc領域残基434の置換(米国特許第7,371,826号))を伴うものを含む。
Fc領域変異体の他の例については、Duncan & Winter, Nature 322:738-40 (1988);米国特許第5,648,260号;米国特許第5,624,821号;およびWO94/29351も参照のこと。
d)システイン改変抗体変異体
特定の態様において、抗体の1つまたは複数の残基がシステイン残基で置換された、システイン改変抗体(例えば、「thioMAbs」)を作り出すことが望ましいだろう。特定の態様において、置換を受ける残基は、抗体の、アクセス可能な部位に生じる。それらの残基をシステインで置換することによって、反応性のチオール基が抗体のアクセス可能な部位に配置され、当該反応性のチオール基は、当該抗体を他の部分(薬剤部分またはリンカー‐薬剤部分など)にコンジュゲートして本明細書でさらに詳述するようにイムノコンジュゲートを作り出すのに使用されてもよい。特定の態様において、以下の残基の任意の1つまたは複数が、システインに置換されてよい:軽鎖のV205(Kabatナンバリング);重鎖のA118(EUナンバリング);および重鎖Fc領域のS400(EUナンバリング)。システイン改変抗体は、例えば、米国特許第7,521,541号に記載されるようにして生成されてもよい。
e)抗体誘導体
特定の態様において、本明細書で提供される抗体は、当該技術分野において知られておりかつ容易に入手可能な追加の非タンパク質部分を含むように、さらに修飾されてもよい。抗体の誘導体化に好適な部分は、これに限定されるものではないが、水溶性ポリマーを含む。水溶性ポリマーの非限定的な例は、これらに限定されるものではないが、ポリエチレングリコール (PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ1,3ジオキソラン、ポリ1,3,6,トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマーまたはランダムコポリマーのいずれでも)、および、デキストランまたはポリ(n-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール類(例えばグリセロール)、ポリビニルアルコール、および、これらの混合物を含む。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、その水に対する安定性のために、製造において有利であるだろう。ポリマーは、いかなる分子量でもよく、枝分かれしていてもしていなくてもよい。抗体に付加されるポリマーの数には幅があってよく、1つ以上のポリマーが付加されるならそれらは同じ分子であってもよいし、異なる分子であってもよい。一般的に、誘導体化に使用されるポリマーの数および/またはタイプは、これらに限定されるものではないが、改善されるべき抗体の特定の特性または機能、抗体誘導体が規定の条件下での療法に使用されるか否か、などへの考慮に基づいて、決定することができる。
別の態様において、抗体と、放射線に曝露することにより選択的に熱せられ得る非タンパク質部分との、コンジュゲートが提供される。一態様において、非タンパク質部分は、カーボンナノチューブである(Kam et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 102: 11600-11605 (2005))。放射線はいかなる波長でもよく、またこれらに限定されるものではないが、通常の細胞には害を与えないが抗体‐非タンパク質部分に近接した細胞を死滅させる温度まで非タンパク質部分を熱するような波長を含む。
B. 組換え法および組成物
例えば米国特許第4,816,567号に記載の組換え法および組成物を用いて、抗体を作製することができる。一態様において、本明細書に記載の抗ミオスタチン抗体をコードする単離された核酸が提供される。そのような核酸は、抗体のVLを含むアミノ酸配列および/またはVHを含むアミノ酸配列(例えば抗体の軽鎖および/または重鎖)をコードしうる。さらなる態様において、そのような核酸を含む1つまたは複数のベクター(例えば発現ベクター)が提供される。さらなる態様において、そのような核酸を含む宿主細胞が提供される。そのような一態様において、宿主細胞は以下を含む(例えば、以下で形質転換されている):(1)抗体のVLを含むアミノ酸配列と抗体のVHを含むアミノ酸配列とをコードする核酸を含む、ベクター、または(2)抗体のVLを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第一のベクター、および抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第二のベクター。一態様において、宿主細胞は真核細胞、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはリンパ球細胞(例えばY0、NS0、およびSp20細胞)である。一態様において、抗ミオスタチン抗体を作製する方法が提供され、該方法は、上記で提供したような、該抗体をコードする核酸を含む宿主細胞を、該抗体の発現に適した条件下で培養する工程と、任意で、該抗体を該宿主細胞(または宿主細胞培養培地)から回収する工程を含む。
抗ミオスタチン抗体を組換え的に作製するためには、例えば上述のような、抗体をコードする核酸を単離して、さらなるクローニングおよび/または宿主細胞中での発現のための1つまたは複数のベクターに挿入する。そのような核酸は、(例えば、抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合できるオリゴヌクレオチドプローブを用いることによって)従来の手法を用いて、容易に単離および配列決定され得る。
抗体をコードするベクターのクローニングまたは発現に好適な宿主細胞は、本明細書に記載の原核細胞または真核細胞を含む。例えば、抗体は、特にグリコシル化およびFcエフェクター機能が必要とされない場合は、細菌で製造してもよい。細菌での抗体断片およびポリペプチドの発現に関して、例えば、米国特許第5,648,237号、第5,789,199号、および第5,840,523号を参照のこと。(加えて、大腸菌における抗体断片の発現について記載したCharlton, Methods in Molecular Biology, Vol. 248 (B.K.C. Lo, ed., Humana Press, Totowa, NJ, 2003), pp.245-254も参照のこと。)発現後、抗体は細菌細胞ペーストから可溶性フラクション中に単離されてもよく、またさらに精製することができる。
原核生物に加え、部分的なまたは完全なヒトのグリコシル化パターンを伴う抗体の産生をもたらす、グリコシル化経路が「ヒト化」されている菌類および酵母の株を含む、糸状菌または酵母などの真核性の微生物は、抗体コードベクターの好適なクローニングまたは発現宿主である。Gerngross, Nat. Biotech. 22:1409-1414 (2004)および Li et al., Nat. Biotech. 24:210-215 (2006) を参照のこと。
多細胞生物(無脊椎生物および脊椎生物)に由来するものもまた、グリコシル化された抗体の発現のために好適な宿主細胞である。無脊椎生物細胞の例は、植物および昆虫細胞を含む。昆虫細胞との接合、特にSpodoptera frugiperda細胞の形質転換に用いられる、数多くのバキュロウイルス株が同定されている。
植物細胞培養物も、宿主として利用することができる。例えば、米国特許第5,959,177号、第6,040,498号、第6,420,548号、第7,125,978号、および第6,417,429号(トランスジェニック植物で抗体を産生するための、PLANTIBODIES(商標)技術を記載)を参照のこと。
脊椎動物細胞もまた宿主として使用できる。例えば、浮遊状態で増殖するように適応された哺乳動物細胞株は、有用であろう。有用な哺乳動物宿主細胞株の他の例は、SV40で形質転換されたサル腎CV1株 (COS-7);ヒト胎児性腎株(Graham et al., J. Gen Virol. 36:59 (1977) などに記載の293または293細胞);仔ハムスター腎細胞 (BHK);マウスセルトリ細胞(Mather, Biol. Reprod. 23:243-251 (1980) などに記載のTM4細胞);サル腎細胞 (CV1);アフリカミドリザル腎細胞 (VERO-76);ヒト子宮頸部癌細胞 (HELA);イヌ腎細胞 (MDCK);Buffalo系ラット肝細胞 (BRL 3A);ヒト肺細胞 (W138);ヒト肝細胞 (Hep G2);マウス乳癌 (MMT 060562);TRI細胞(例えば、Mather et al., Annals N.Y. Acad. Sci. 383:44-68 (1982) に記載);MRC5細胞;および、FS4細胞などである。他の有用な哺乳動物宿主細胞株は、DHFR CHO細胞 (Urlaub et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216 (1980)) を含むチャイニーズハムスター卵巣 (CHO) 細胞;およびY0、NS0、およびSp2/0などの骨髄腫細胞株を含む。抗体産生に好適な特定の哺乳動物宿主細胞株の総説として、例えば、Yazaki and Wu, Methods in Molecular Biology, Vol. 248 (B.K.C. Lo, ed., Humana Press, Totowa, NJ), pp. 255-268 (2003) を参照のこと。
pH依存的特性を有する抗体は、例えばWO 2009/125825に記載のように、スクリーニング方法および/または変異導入方法を用いて得てもよい。スクリーニング方法は、pH依存的結合特性を有する抗体を特定の抗原に特異的な抗体集団内で同定する任意のプロセスを含み得る。特定の態様において、スクリーニング方法は、酸性および中性の両方のpHにおける初期の抗体集団内での個々の抗体の1つまたは複数の結合パラメータ(例えば、KDまたはkd)を測定する工程を含み得る。抗体の結合パラメータは、例えば、表面プラズモン共鳴、または、特定の抗原への抗体の結合特性の定量的もしくは定性的な評価を可能にする任意の他の分析方法を用いて測定してもよい。特定の態様において、スクリーニング方法は、2以上の酸性/中性のKD比で抗原に結合する抗体を同定する工程を含み得る。あるいは、スクリーニング方法は、2以上の酸性/中性のkd比で抗原に結合する抗体を同定する工程を含み得る。
別の態様において、変異導入方法は、抗原への抗体のpH依存的結合を増強するように、抗体の重鎖および/または軽鎖内のアミノ酸の欠失、置換、または付加を組み込む工程を含み得る。特定の態様において、変異導入は、抗体の1つまたは複数の可変ドメイン内、例えば1つまたは複数のHVR(例えばCDR)内で行ってもよい。例えば変異導入は、抗体の1つまたは複数のHVR(例えばCDR)内のアミノ酸を別のアミノ酸で置換する工程を含み得る。特定の態様において、変異導入は、抗体の少なくとも1つのHVR(例えばCDR)における1つまたは複数のアミノ酸をヒスチジンで置換する工程を含み得る。特定の態様において、「増強されたpH依存的結合」とは、変異されたバージョンの抗体が、変異導入前の元の「親」(すなわちpH依存性が低い)バージョンの抗体に対して、より大きい酸性/中性のKD比またはより大きい酸性/中性のkd比を示すことを意味する。特定の態様において、変異されたバージョンの抗体は、2以上の酸性/中性のKD比を有する。あるいは、変異されたバージョンの抗体は、2以上の酸性/中性のkd比を有する。
C.測定法(アッセイ)
本明細書で提供される抗ミオスタチン抗体は、当該技術分野において知られている種々の測定法によって、同定され、スクリーニングされ、または物理的/化学的特性および/または生物学的活性について明らかにされてもよい。
1.結合測定法およびその他の測定法
一局面において、本発明の抗体は、例えばELISA、ウェスタンブロット、BIAcore等の公知の方法によって、その抗原結合活性に関して試験される。
別の局面において、ミオスタチンへの結合に関して本明細書に記載の任意の抗ミオスタチン抗体と競合する抗体を同定するために、競合アッセイが使用され得る。特定の態様において、そのような競合抗体が過剰に存在する場合、それは、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、またはそれを超えて、ミオスタチンへの参照抗体の結合を阻止する(例えば、低減する)。いくつかの例において、結合は、少なくとも80%、85%、90%、95%、またはそれを超えて阻害される。特定の態様において、そのような競合抗体は、本明細書に記載の抗ミオスタチン抗体(例えば、表2または3に記載の抗ミオスタチン抗体)によって結合されるのと同じエピトープ(例えば、線状または立体構造エピトープ)に結合する。抗体が結合するエピトープをマッピングする、詳細な例示的方法は、Morris (1996) 「Epitope Mapping Protocols」Methods in Molecular Biology vol. 66 (Humana Press, Totowa, NJ)に提供されている。
例示的な競合アッセイにおいて、固定化されたミオスタチンは、ミオスタチンに結合する第1の標識された抗体およびミオスタチンへの結合に関して第1の抗体と競合する能力に関して試験される第2の未標識の抗体を含む溶液中でインキュベートされる。第2の抗体は、ハイブリドーマ上清に存在し得る。対照として、固定化されたミオスタチンが、第1の標識された抗体を含むが第2の未標識の抗体を含まない溶液中でインキュベートされる。第1の抗体のミオスタチンに対する結合を許容する条件下でのインキュベーションの後、余分な未結合の抗体が除去され、固定化されたミオスタチンに結合した標識の量が測定される。固定化されたミオスタチンに結合した標識の量が対照試料と比較して試験試料において実質的に減少している場合、それは第2の抗体がミオスタチンへの結合に関して第1の抗体と競合していることを示す。Harlow and Lane (1988) Antibodies: A Laboratory Manual ch.14 (Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY) を参照のこと。
別の局面において、本明細書で提供される抗ミオスタチン抗体と同じエピトープに結合する抗体、またはミオスタチンへの結合に関して本明細書で提供される抗ミオスタチン抗体と競合する抗体は、サンドイッチアッセイを用いて同定され得る。サンドイッチアッセイは2つの抗体の使用を必要とし、そのそれぞれが、検出されるべきタンパク質の異なった免疫原性部分またはエピトープに結合することができる。サンドイッチアッセイにおいて、試験試料分析物は、固体支持体上に固定化された第1の抗体と結合し、その後、第2の抗体が分析物に結合し、それにより不溶性の三部複合体が形成される。David & Greene、米国特許第4,376,110号を参照されたい。第2の抗体は、検出可能な部分でそれ自体が標識されていてもよく(直接サンドイッチアッセイ)、または、検出可能な部分で標識された抗免疫グロブリン抗体を用いて測定されてもよい(間接サンドイッチアッセイ)。例えばある種のサンドイッチアッセイはELISAアッセイであり、この場合、検出可能な部分は酵素である。本明細書で提供される抗ミオスタチン抗体と同時にミオスタチンに結合する抗体は、その抗ミオスタチン抗体とは異なるエピトープに結合する抗体であると判定することができる。したがって、本明細書で提供される抗ミオスタチン抗体と同時にミオスタチンに結合しない抗体は、その抗ミオスタチン抗体と同じエピトープに結合する抗体またはミオスタチンへの結合に関してその抗ミオスタチン抗体と競合する抗体であると判定することができる。
一局面において、Fc受容体(例えばFcγR)に対する抗体のFc領域の結合活性を、ELISAまたは蛍光活性化細胞選別(FACS)に加え、増幅ルミネッセンス近接ホモジニアスアッセイ(ALPHA)、または表面プラズモン共鳴(SPR)現象を利用するBIACORE法などによって測定することができる(Proc Natl Acad Sci USA (2006) 103(11): 4005-4010)。例えばBIACORE法において、Fc受容体を分析物として、プロテインA、プロテインL、プロテインA/G、プロテインG、抗λ鎖抗体、抗κ鎖抗体、抗原ペプチド、または抗原タンパク質などを用いてセンサーチップ上に固定化されたか捕捉されたFc領域を含む抗体との相互作用に供する。
2.活性測定法
一局面において、生物学的活性を有する抗ミオスタチン抗体を同定するための測定法が提供される。生物学的活性は、例えば、ミオスタチンに対する阻害活性を含んでよい。また、このような生物学的活性をインビボおよび/またはインビトロで有する抗体が、提供される。
特定の態様において、本発明の抗体は、このような生物学的活性について試験される。
特定の態様において、試験抗体が、ミオスタチンに対する阻害活性を有するかどうかは、成熟型ミオスタチン活性、例えばミオスタチン受容体への結合の活性、またはミオスタチン受容体を発現する細胞におけるシグナル伝達を媒介する活性を検出することによって決定される。そのような測定法に有用な細胞は、内因性のミオスタチン受容体を発現する細胞、例えばL6ミオサイトであってよく、または、ミオスタチン受容体、例えばアクチビンII型受容体などのアクチビン受容体をコードする導入遺伝子を、一過性にもしくは安定に発現するように遺伝的に改変された細胞であってよい(例えば、Thies et al (2001) Growth Factors 18(4): 251-259を参照のこと)。ミオスタチンのミオスタチン受容体への結合は、受容体結合測定を用いて検出することができる。ミオスタチンが媒介するシグナル伝達は、例えばSmadポリペプチドのリン酸化を試験する、レポーター遺伝子を含むミオスタチン制御遺伝子の発現を試験する、またはミオスタチン依存性細胞の増殖を測定することにより、シグナル伝達経路の任意のレベルにおいて検出することができる。試験抗体の存在下で(または試験抗体との接触後に)、成熟型ミオスタチン活性の減少が検出される場合、試験抗体は、ミオスタチンに対する阻害活性を有する抗体として同定される。
ミオスタチン活性の阻害はまた、実施例に記載し例証する方法を用いて検出および/または測定することができる。これらのまたは他の適したタイプの測定法を用いて、ミオスタチン活性を阻害できる抗体について、試験抗体をスクリーニングすることができる。特定の態様において、ミオスタチン活性の阻害は、同様の条件下での陰性対照と比較して、こうした測定法におけるミオスタチン活性の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、もしくは40%、またはそれを超える低下を含む。いくつかの態様において、それは、少なくとも45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、もしくは95%、またはそれを超えるミオスタチン活性の阻害をさす。
特定の態様において、試験抗体が細胞に取り込まれるかどうかを、細胞画像化解析によって判定することができる。抗原の非存在下または存在下で、Fc受容体(例えばFcγR)を発現する細胞に蛍光標識抗体を接触させ、得られた細胞の蛍光強度をイメージアナライザを用いて測定する。そのようなアッセイに有用な細胞は、内因性のFc受容体を発現する細胞であることができ、または、Fc受容体をコードする導入遺伝子を発現するよう一過的もしくは安定的に遺伝子改変された細胞であることができる。抗原非存在下と比べて抗原存在下で増大した蛍光強度が検出される場合、試験抗体が抗原と複合体形成したときに細胞への試験抗体の取り込みは増強されると判定される。
別の態様において、例えばインビトロにおいて(上記で定義された「大きな」免疫複合体などの)免疫複合体の形成を検出することによって、細胞への抗体の取り込みを評価することができる。特定の態様において、免疫複合体の形成は、サイズ排除(ゲル濾過)クロマトグラフィー、超遠心分離、光散乱、電子顕微鏡、または質量分析などの方法によって検出される(Mol Immunol (2002) 39: 77-84, Mol Immunol (2009) 47: 357-364)。これらの方法は、2つ以上の抗体を含む免疫複合体のサイズは1つの抗体を含む免疫複合体のサイズよりも大きいという特性を利用するものである。抗原存在下と抗原非存在下で検出された分子サイズの間に大きな違いが観察される場合、その抗原と複合体形成したときに細胞への抗体の取り込みは増強されると判定される。別の態様において、免疫複合体の形成は、ELISA、FACS、またはSPR(表面プラズモン共鳴アッセイ;例えばBiacoreを用いる)などを用いるFc受容体(例えばFcγR)に対する結合アッセイによって、検出される(J Biol Chem (2001) 276 (9): 6591-6604; J Immunol Methods (1982) 50: 109-114; J Immunol (2010) 184 (4): 1968-1976; mAbs (2009) 1(5): 491-504)。これらの方法は、2つ以上の抗体を含む免疫複合体はわずか1つの抗体を含む免疫複合体よりも強くFc受容体に結合できるという特性を利用するものである。抗原存在下と抗原非存在下で検出された結合シグナルの間に大きな違いが観察される場合、その抗原と複合体形成したときに細胞への抗体の取り込みは増強されると判定される。
別の態様において、細胞への抗体の取り込みは、例えば、試験抗体を動物(例えばマウス)に投与して、血漿からの抗原のクリアランスを測定することによって、評価することができる。参照抗体を投与された動物と比較して試験抗体を投与された動物において血漿からの抗原の加速された除去が観察される場合、その抗原と複合体形成したときに細胞への試験抗体の取り込みは増強されると判定される。上記のとおり、2つ以上の抗体(および/または2つ以上の抗原)を含む免疫複合体を形成する抗体は、血漿からの抗原の除去を加速させると予想される。特定の態様において、2つ以上の抗体を含む大きな免疫複合体を形成しない抗体は、参照抗体として使用可能である。特定の態様において、血漿抗原濃度の比を用いて2つの抗体の間の違いを評価することができる。例えば、(参照抗体を投与された動物において測定された血漿抗原濃度)/(試験抗体を投与された動物において測定された血漿抗原濃度)の比の値が大きいことは、参照抗体と比べて試験抗体が血漿からの抗原の除去を加速させることができること、および/または、参照抗体と比べて細胞への試験抗体の取り込みが増強されることを示す。特定の態様において、(参照抗体を投与された動物において測定された血漿抗原濃度)/(試験抗体を投与された動物において測定された血漿抗原濃度)の比のこのような大きな値は、少なくとも2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0、10、20、50、100、200、500、または1000であり得る。
別の態様において、細胞への抗体の取り込みは、例えば、試験抗体を動物(例えばマウス)に投与して、血漿からの抗原のクリアランスを測定することによって、評価することができる。上記のとおり、細胞への免疫複合体の取り込みは、抗体のFc領域と細胞上のFc受容体(例えばFcγR)の間の相互作用を通して引き起こされると予想される。したがって、1種類の試験抗体の細胞取り込みの程度は、試験抗体によって引き起こされる血漿からの抗原クリアランスを、Fc受容体(例えばFcγR)結合活性をもたないFc領域を有する点以外は試験抗体と同一である参照抗体によって引き起こされるものと比較することによって、評価可能である。特定の態様において、1種類の試験抗体の細胞取り込みの程度は、一方がFc受容体(例えばFcγR)結合活性をもつFc領域を有し他方がFc受容体(例えばFcγR)結合活性をもたないFc領域を有する、2種類の改変抗体を作製し、これらの2種類の抗体によって引き起こされる血漿からの抗原クリアランスを比較することによって、評価可能である。抗体クリアランスにおける差は、抗原と複合体形成した大量の試験抗体がどのようにFc受容体(例えばFcγR)を通して細胞に取り込まれ、血漿から除去されるのかを反映しており、差が大きければ大きいほど、抗原と複合体形成したときに試験抗体の細胞への取り込みが高くなると判定される。特定の態様において、重鎖定常領域であるG1m(配列番号:7)またはSG1(配列番号:64)を有する改変抗体を、FcγR結合活性をもつFc領域を有する抗体として使用することができる。特定の態様において、重鎖定常領域であるF760(配列番号:68)を有する改変抗体を、FcγR結合活性をもたないFc領域を有する抗体として使用することができる。特定の態様において、血漿抗原濃度の比を用いて2つの抗体の間の違いを評価することができる。例えば、(FcγR結合活性をもたない抗体を投与された動物において測定された血漿抗原濃度)/(FcγR結合活性をもつ抗体を投与された動物において測定された血漿抗原濃度)の比の値が大きいことは、細胞への試験抗体の取り込みが高いことを示す。特定の態様において、(FcγR結合活性をもたない抗体を投与された動物において測定された血漿抗原濃度)/(FcγR結合活性をもつ抗体を投与された動物において測定された血漿抗原濃度)の比のこのような大きな値は、少なくとも2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0、10、20、50、100、200、500、または1000であり得る。
これらのインビボ試験において、抗体を、皮内、静脈内、硝子体内、皮下、腹腔内、非経口、または筋肉内注射によって投与することができる。例えば、実施例4に例示するように、静脈内注射によって抗体を投与することができる。特定の態様において、抗体との同時注射により、または別々の定常状態注入により、抗体に加えて抗原を外部から動物に投与することができる。例えば、実施例4に例示するように、抗原を抗体と共に同時注射することができる。特定の態様において、血漿中の抗体と結合していない抗原の濃度を意味する血漿中遊離抗原濃度として、または、血漿中の抗体結合抗原と抗体非結合抗原の濃度の合計を意味する血漿中総抗原濃度として、血漿抗原濃度を測定することができる(Pharm Res. 2006 Jan; 23 (1): 95-103)。例えば、実施例4に例示するように、血漿中総抗原濃度として血漿抗原濃度を測定することができる。特定の態様において、抗体投与から15分後、1時間後、2時間後、4時間後、8時間後、12時間後、1日後、2日後、3日後、4日後、7日後、14日後、28日後、56日後、または84日後の血漿抗原濃度を測定することができる。例えば、実施例4に例示するように、抗体投与から7日後に血漿抗原濃度を測定することができる。
特定の態様において、細胞への抗体の細胞取り込みを評価するための上記のアッセイを用いて、本発明の抗ミオスタチン抗体を得ることができる。例えば、抗ミオスタチン抗体の群を調製し、当該抗体に対して上記のアッセイを実施し、その抗原と複合体形成した場合に細胞への取り込みが高いと判定された抗体を選択することによって、そのような抗体を得ることができる。さらなる態様において、ミオスタチンに対して動物を免疫化することによって得られたまたはミオスタチンに対して抗体ライブラリをスクリーニングすることによって得られた抗体を、抗ミオスタチン抗体の群として使用することができる。
他の態様において、ミオスタチンへの結合に関して競合する抗体を同定するための上記の競合アッセイを用いて、本発明の抗ミオスタチン抗体を得ることができる。例えば、抗ミオスタチン抗体の群を調製し、当該抗体に対して上記の競合アッセイを実施し、ミオスタチンへの結合に関して本明細書に記載された抗ミオスタチン抗体と競合する抗体を選択することによって、そのような抗体を得ることができる。あるいは、ミオスタチンへの結合に関して表2または3に記載された抗ミオスタチン抗体と競合する抗体を選択することができる。あるいは、ミオスタチンへの結合に関して、実施例2または6に記載されたMST0226、MST0796、MST0139、MST0182、MSLO00、MSLO01、MSLO02、MSLO03、およびMSLO04からなる群より選択される抗体のいずれか1つと競合する抗体を選択することができる。さらなる態様において、ミオスタチンに対して動物を免疫化することによって得られたまたはミオスタチンに対して抗体ライブラリをスクリーニングすることによって得られた抗体を、抗ミオスタチン抗体の群として使用することができる。
D.イムノコンジュゲート
本発明はまた、1つまたは複数の細胞傷害剤(例えば化学療法剤または化学療法薬、増殖阻害剤、毒素(例えば細菌、真菌、植物もしくは動物起源のタンパク質毒素、酵素的に活性な毒素、もしくはそれらの断片)または放射性同位体)にコンジュゲートされた本明細書の抗ミオスタチン抗体を含むイムノコンジュゲートを提供する。
一態様において、イムノコンジュゲートは、抗体が、これらに限定されるものではないが以下を含む1つまたは複数の薬剤にコンジュゲートされた、抗体−薬剤コンジュゲート (antibody-drug conjugate: ADC) である:メイタンシノイド(米国特許第5,208,020号、第5,416,064号、および欧州特許第0,425,235号B1参照);例えばモノメチルオーリスタチン薬剤部分DEおよびDF(MMAEおよびMMAF)(米国特許第5,635,483号および第5,780,588号および第7,498,298号参照)などのオーリスタチン;ドラスタチン;カリケアマイシンまたはその誘導体(米国特許第5,712,374号、第5,714,586号、第5,739,116号、第5,767,285号、第5,770,701号、第5,770,710号、第5,773,001号、および第5,877,296号;Hinman et al., Cancer Res. 53:3336-3342 (1993);ならびにLode et al., Cancer Res. 58:2925-2928 (1998) 参照);ダウノマイシンまたはドキソルビシンなどのアントラサイクリン(Kratz et al., Current Med. Chem. 13:477-523 (2006);Jeffrey et al., Bioorganic & Med. Chem. Letters 16:358-362 (2006);Torgov et al., Bioconj. Chem. 16:717-721 (2005);Nagy et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97:829-834 (2000);Dubowchik et al., Bioorg. & Med. Chem. Letters 12:1529-1532 (2002);King et al., J. Med. Chem. 45:4336-4343 (2002);および米国特許第6,630,579号参照);メトトレキサート;ビンデシン;ドセタキセル、パクリタキセル、ラロタキセル、テセタキセル、およびオルタタキセルなどのタキサン;トリコテセン;ならびにCC1065。
別の態様において、イムノコンジュゲートは、これらに限定されるものではないが以下を含む酵素的に活性な毒素またはその断片にコンジュゲートされた、本明細書に記載の抗体を含む:ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、外毒素A鎖(緑膿菌 (Pseudomonas aeruginosa) 由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、アルファ-サルシン、シナアブラギリ (Aleurites fordii) タンパク質、ジアンチンタンパク質、ヨウシュヤマゴボウ (Phytolacca americana) タンパク質(PAPI、PAPIIおよびPAP-S)、ツルレイシ (momordica charantia) 阻害剤、クルシン (curcin)、クロチン、サボンソウ (saponaria officinalis) 阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン (mitogellin)、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、ならびにトリコテセン。
別の態様において、イムノコンジュゲートは、放射性コンジュゲートを形成するために放射性原子にコンジュゲートされた本明細書に記載の抗体を含む。様々な放射性同位体が放射性コンジュゲートの製造に利用可能である。例は、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212およびLuの放射性同位体を含む。放射性コンジュゲートを検出のために使用する場合、放射性コンジュゲートは、シンチグラフィー検査用の放射性原子(例えばTc-99mもしくはI123)、または、核磁気共鳴 (NMR) イメージング(磁気共鳴イメージング、MRIとしても知られる)用のスピン標識(例えばここでもヨウ素-123、ヨウ素-131、インジウム-111、フッ素-19、炭素-13、窒素-15、酸素-17、ガドリニウム、マンガン、または鉄)を含み得る。
抗体および細胞傷害剤のコンジュゲートは、様々な二官能性タンパク質連結剤を用いて作製され得る。例えばN-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート (SPDP)、スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート (SMCC)、イミノチオラン (IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(例えば、アジプイミド酸ジメチルHCl)、活性エステル(例えば、スベリン酸ジスクシンイミジル)、アルデヒド(例えば、グルタルアルデヒド)、ビス-アジド化合物(例えば、ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス-ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えば、トルエン2,6-ジイソシアネート)、およびビス活性フッ素化合物(例えば、1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)である。例えば、リシン免疫毒素は、Vitetta et al., Science 238:1098 (1987) に記載されるようにして調製され得る。炭素-14標識された1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエチレントリアミン五酢酸 (MX-DTPA) は、抗体への放射性核種のコンジュゲーションのための例示的なキレート剤である。WO94/11026を参照のこと。リンカーは、細胞内での細胞傷害薬の放出を促進する「切断可能なリンカー」であり得る。例えば、酸不安定性リンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー、光不安定性リンカー、ジメチルリンカー、またはジスルフィド含有リンカー(Chari et al., Cancer Res. 52:127-131 (1992);米国特許第5,208,020号)が使用され得る。
本明細書のイムノコンジュゲートまたはADCは、(例えば、Pierce Biotechnology, Inc., Rockford, IL., U.S.Aから)市販されているBMPS、EMCS、GMBS、HBVS、LC-SMCC、MBS、MPBH、SBAP、SIA、SIAB、SMCC、SMPB、SMPH、スルホ-EMCS、スルホ-GMBS、スルホ-KMUS、スルホ-MBS、スルホ-SIAB、スルホ-SMCC、およびスルホ-SMPB、ならびにSVSB(スクシンイミジル-(4-ビニルスルホン)ベンゾエート)を含むがこれらに限定されない架橋試薬を用いて調製されるコンジュゲートを明示的に考慮するが、これらに限定されない。
E.診断および検出のための方法および組成物
特定の態様において、本明細書で提供される抗ミオスタチン抗体のいずれも、生物学的試料におけるミオスタチンの存在を検出するのに有用である。本明細書で用いられる用語「検出」は、定量的または定性的な検出を包含する。特定の態様において、生物学的試料は、細胞または組織、例えば、血清、全血、血漿、生検試料、組織試料、細胞懸濁液、唾液、痰、口腔液、脳脊髄液、羊水、腹水、乳汁、初乳、乳腺分泌物、リンパ液、尿、汗、涙液、胃液、関節液、腹水、眼球水晶体液、または粘液を含む。
一態様において、診断方法または検出方法において使用するための抗ミオスタチン抗体が提供される。さらなる局面において、生物学的試料中のミオスタチンの存在を検出する方法が提供される。特定の態様において、この方法は、ミオスタチンへの抗ミオスタチン抗体の結合が許容される条件下で本明細書に記載の抗ミオスタチン抗体と生物学的試料を接触させること、および抗ミオスタチン抗体とミオスタチンの間で複合体が形成されたかどうかを検出することを含む。そのような方法は、インビトロの方法またはインビボの方法であり得る。一態様において、抗ミオスタチン抗体は、例えばミオスタチンが患者を選択するためのバイオマーカーである場合、抗ミオスタチン抗体を用いる治療に適合する対象を選択するために使用される。
本発明の抗体を用いて診断され得る例示的な障害は、筋ジストロフィー(MD;デュシェンヌ筋ジストロフィーを含む)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、筋萎縮、器官萎縮、手根管症候群、フレイル、鬱血性閉塞性肺疾患(COPD)、サルコペニア、悪液質、筋肉消耗症候群、HIV誘導性筋肉消耗、2型糖尿病、耐糖能異常、メタボリック症候群(シンドロームXを含む)、インシュリン抵抗性(火傷または窒素非平衡などの外傷によって誘導される抵抗性を含む)、脂肪組織疾患(例えば肥満、異脂肪血症、非アルコール依存性脂肪肝疾患など)、骨粗しょう症、オステオペニア、変形関節炎、および代謝性骨疾患(骨量の低下、早熟性性腺機能不全、アンドロゲン抑制、ビタミンD欠乏症、続発性上皮小体機能亢進症、栄養欠乏、および神経性食欲不振症を含む)が含まれる。
特定の態様において、標識された抗ミオスタチン抗体が提供される。標識は、直接的に検出される標識または部分(例えば、蛍光標識、発色標識、高電子密度標識、化学発光標識、および放射性標識)ならびに、例えば酵素反応または分子間相互作用を通じて間接的に検出される部分(例えば酵素またはリガンド)を含むが、これらに限定されない。例示的な標識は、これらに限定されるものではないが、以下を含む:放射性同位体32P、14C、125I、3Hおよび131I、希土類キレートなどの発蛍光団またはフルオレセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロン、ホタルルシフェラーゼおよび細菌ルシフェラーゼ(米国特許第4,737,456号)などのルシフェラーゼ、ルシフェリン、2,3-ジヒドロフタラジンジオン、西洋ワサビペルオキシダーゼ (horseradish peroxidase: HRP)、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、単糖オキシダーゼ(例えばグルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼおよびグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ)、ウリカーゼおよびキサンチンオキシダーゼなどの複素環オキシダーゼ、過酸化水素を用いて色素前駆体を酸化する酵素(例えばHRP、ラクトペルオキシダーゼ、またはミクロペルオキシダーゼ)と連結されたもの、ビオチン/アビジン、スピン標識、バクテリオファージ標識、安定なフリーラジカル類、ならびにこれらに類するもの。
F.薬学的製剤
本明細書に記載の抗ミオスタチン抗体の薬学的製剤は、所望の純度を有する抗体を、1つまたは複数の任意の薬学的に許容される担体 (Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980)) と混合することによって、凍結乾燥製剤または水溶液の形態で、調製される。薬学的に許容される担体は、概して、用いられる際の用量および濃度ではレシピエントに対して非毒性であり、これらに限定されるものではないが、以下のものを含む:リン酸塩、クエン酸塩、および他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン酸およびメチオニンを含む、抗酸化剤;保存料(オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル、またはベンジルアルコール;メチルまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レソルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾールなど);低分子(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリジンなどのアミノ酸;グルコース、マンノース、またはデキストリンを含む、単糖、二糖、および他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース、ソルビトールなどの、砂糖類;ナトリウムなどの塩形成対イオン類;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);および/またはポリエチレングリコール (PEG) などの非イオン系表面活性剤。本明細書の例示的な薬学的に許容される担体は、さらに、可溶性中性活性型ヒアルロニダーゼ糖タンパク質 (sHASEGP)(例えば、rHuPH20 (HYLENEX(登録商標)、Baxter International, Inc.) などのヒト可溶性PH-20ヒアルロニダーゼ糖タンパク質)などの間質性薬剤分散剤を含む。特定の例示的sHASEGPおよびその使用方法は(rHuPH20を含む)、米国特許出願公開第2005/0260186号および第2006/0104968号に記載されている。一局面において、sHASEGPは、コンドロイチナーゼなどの1つまたは複数の追加的なグリコサミノグリカナーゼと組み合わせられる。
例示的な凍結乾燥抗体製剤は、米国特許第6,267,958号に記載されている。水溶液抗体製剤は、米国特許第6,171,586号およびWO 2006/044908に記載のものを含み、後者の製剤はヒスチジン−アセテート緩衝液を含んでいる。
本明細書の製剤は、治療される特定の適応症のために必要であれば1つより多くの有効成分を含んでもよい。互いに悪影響を与えあわない相補的な活性を伴うものが好ましい。このような有効成分は、意図された目的のために有効である量で、好適に組み合わせられて存在する。
有効成分は、例えば液滴形成(コアセルベーション)手法によってまたは界面重合によって調製されたマイクロカプセル(それぞれ、例えば、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチンマイクロカプセル、およびポリ(メタクリル酸メチル)マイクロカプセル)に取り込まれてもよいし、コロイド状薬剤送達システム(例えば、リポソーム、アルブミン小球体、マイクロエマルション、ナノ粒子、およびナノカプセル)に取り込まれてもよいし、マクロエマルションに取り込まれてもよい。このような手法は、Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980) に開示されている。
徐放性製剤を調製してもよい。徐放性製剤の好適な例は、抗体を含んだ固体疎水性ポリマーの半透過性マトリクスを含み、当該マトリクスは例えばフィルムまたはマイクロカプセルなどの造形品の形態である。
生体内 (in vivo) 投与のために使用される製剤は、通常無菌である。無菌状態は、例えば滅菌ろ過膜を通して濾過することなどにより、容易に達成される。
G.治療的方法および治療用組成物
本明細書で提供される抗ミオスタチン抗体のいずれも、治療的な方法において使用されてよい。
一局面において、医薬品としての使用のための、抗ミオスタチン抗体が提供される。さらなる局面において、筋肉消耗疾患の治療における使用のための、抗ミオスタチン抗体が提供される。特定の態様において、治療方法における使用のための、抗ミオスタチン抗体が提供される。特定の態様において、本発明は、筋肉消耗疾患を有する個体を治療する方法であって、当該個体に抗ミオスタチン抗体の有効量を投与する工程を含む方法における使用のための、抗ミオスタチン抗体を提供する。そのような一態様において、方法は、当該個体に少なくとも1つの追加治療剤の有効量を投与する工程を、さらに含む。さらなる態様において、本発明は、筋組織の量を増加させることにおける使用のための、抗ミオスタチン抗体を提供する。特定の態様において、本発明は、個体において筋組織の量を増加させる方法であって、筋組織の量を増加させるために、抗ミオスタチン抗体の有効量を当該個体に投与する工程を含む方法における使用のための、抗ミオスタチン抗体を提供する。さらなる態様において、本発明は、筋組織の強度を増加させることにおける使用のための、抗ミオスタチン抗体を提供する。特定の態様において、本発明は、個体において筋組織の強度を増加させる方法であって、筋組織の強度を増加させるために、抗ミオスタチン抗体の有効量を当該個体に投与する工程を含む方法における使用のための、抗ミオスタチン抗体を提供する。上記の態様のいずれかによる「個体」は、好ましくはヒトである。
さらなる態様において、本発明は、血漿からのミオスタチンのクリアランスの増強における使用のための抗ミオスタチン抗体を提供する。特定の態様において、本発明は、血漿からのミオスタチンのクリアランスを増強するために抗ミオスタチン抗体の有効量を個体に投与する工程を含む、個体の血漿からのミオスタチンのクリアランスを増強する方法における使用のための、抗ミオスタチン抗体を提供する。一態様において、2つ以上の抗体分子を含む大きな免疫複合体を形成する抗ミオスタチン抗体は、そのような大きな免疫複合体を形成しない抗ミオスタチン抗体と比べて、血漿からのミオスタチンのクリアランスを増強する。別の態様において、pH依存的結合特性を有する抗ミオスタチン抗体は、pH依存的結合特性を有しない抗ミオスタチン抗体と比べて、血漿からのミオスタチンのクリアランスを増強する。さらなる態様において、pH5.8とpH7.4における結合の間でpH依存的結合特性を有する抗ミオスタチン抗体は、pH依存的結合特性を有しない抗ミオスタチン抗体と比べて、血漿からのミオスタチンのクリアランスを増強する。さらなる態様において、両方の特性を有する抗ミオスタチン抗体、すなわち、2つ以上の抗体分子を含む大きな免疫複合体を形成しかつpH依存的結合特性を有する抗体は、血漿からのミオスタチンのクリアランスを増強する。上記の態様のいずれかによる「個体」は、好ましくはヒトである。
さらなる局面において、本発明は医薬品の製造または調製における抗ミオスタチン抗体の使用を提供する。一態様において、医薬品は、筋肉消耗疾患の治療のためのものである。さらなる態様において、医薬品は、筋肉消耗疾患を治療する方法であって、筋肉消耗疾患を有する個体に医薬品の有効量を投与する工程を含む方法における使用のためのものである。そのような一態様において、方法は、当該個体に少なくとも1つの追加治療剤の有効量を投与する工程を、さらに含む。さらなる態様において、医薬品は、筋組織の量を増加させるためのものである。さらなる態様において、医薬品は、個体において筋組織の量を増加させる方法であって、筋組織の量を増加させるために医薬品の有効量を当該個体に投与する工程を含む方法における使用のためのものである。さらなる態様において、医薬品は、筋組織の強度を増加させるためのものである。さらなる態様において、医薬品は、個体において筋組織の強度を増加させる方法であって、筋組織の強度を増加させるために医薬品の有効量を当該個体に投与する工程を含む方法における使用のためのものである。上記の態様のいずれかによる「個体」は、ヒトであってよい。
さらなる態様において、医薬品は、血漿からのミオスタチンのクリアランスを増強させるためのものである。さらなる態様において、医薬品は、個体において血漿からのミオスタチンのクリアランスを増強させる方法であって、血漿からのミオスタチンのクリアランスを増強させるために医薬品の有効量を当該個体に投与する工程を含む方法における使用のためのものである。上記の態様のいずれかによる「個体」は、好ましくはヒトである。
さらなる局面において、本発明は、筋肉消耗疾患を治療するための方法を提供する。一態様において、方法は、そのような筋肉消耗疾患を有する個体に、抗ミオスタチン抗体の有効量を投与する工程を含む。そのような一態様において、方法は、当該個体に少なくとも1つの追加治療剤の有効量を投与する工程を、さらに含む。上記の態様のいずれかよる「個体」は、ヒトであってよい。
さらなる局面において、本発明は、個体における筋組織の量を増加させるための方法を提供する。一態様において、方法は、筋組織の量を増加させるために、抗ミオスタチン抗体の有効量を個体に投与する工程を含む。一態様において、「個体」はヒトである。
さらなる局面において、本発明は、個体における筋組織の強度を増加させるための方法を提供する。一態様において、方法は、筋組織の強度を増加させるために、抗ミオスタチン抗体の有効量を個体に投与する工程を含む。一態様において、「個体」はヒトである。
さらなる態様において、本発明は、個体における血漿からのミオスタチンのクリアランスを増強するための方法を提供する。一態様において、方法は、血漿からのミオスタチンのクリアランスを増強するために、抗ミオスタチン抗体の有効量を個体に投与する工程を含む。一態様において、「個体」はヒトである。
さらなる局面において、本発明は、本明細書で提供される抗ミオスタチン抗体の任意のものを含む、薬学的製剤を提供する(例えば上述の治療的方法の任意のものにおける使用のための)。一態様において、薬学的製剤は、本明細書で提供される抗ミオスタチン抗体の任意のものと、薬学的に許容される担体とを含む。別の態様において、薬学的製剤は、本明細書で提供される抗ミオスタチン抗体の任意のものと、少なくとも1つの追加治療剤とを含む。
さらなる局面において、薬学的製剤は、筋肉消耗疾患の治療のためのものである。さらなる態様において、薬学的製剤は、筋組織の量を増加させるためのものである。さらなる態様において、薬学的製剤は、筋組織の強度を増加させるためのものである。さらなる態様において、薬学的製剤は、血漿からのミオスタチンのクリアランスを増強するためのものである。一態様において、薬学的製剤は、筋肉消耗疾患を有する個体に投与される。上記の態様のいずれかによる「個体」は、好ましくはヒトである。
大きな免疫複合体、例えば2つ以上の抗体および2つ以上の抗原を含む免疫複合体を形成できる抗ミオスタチン抗体は、効率的に細胞に取り込まれることができ、かつ、細胞への免疫複合体のそのような増強された取り込みは、大きな免疫複合体を形成しない従来の抗ミオスタチン抗体と比べて、血漿からの増強された抗原クリアランスをもたらすことができると考えられる。pH依存的抗原結合特性をさらに有する抗ミオスタチン抗体は血漿からの抗原クリアランスをさらに増強することができるであろう。なぜならそのような抗体は、中性の細胞外環境で抗原に結合して、細胞への抗原-抗体複合体の取り込みの後に、酸性のエンドソーム区画へとそれを放出することができるからである。
さらなる局面において、本発明は、本明細書で提供される抗ミオスタチン抗体の任意のものを、薬学的に許容される担体と混合する工程を含む、医薬品または薬学的製剤を調製するための方法を提供する(例えば上述の治療的方法の任意のものにおける使用のための)。一態様において、医薬品または薬学的製剤を調製するための方法は、少なくとも1種の追加の治療剤を医薬品または薬学的製剤に添加する工程を、さらに含む。
特定の態様において、筋肉消耗疾患は、筋ジストロフィー(MD;デュシェンヌ筋ジストロフィーを含む)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、筋萎縮、器官萎縮、手根管症候群、フレイル、鬱血性閉塞性肺疾患(COPD)、サルコペニア、悪液質、筋肉消耗症候群、HIV誘導性筋肉消耗、2型糖尿病、耐糖能異常、メタボリック症候群(シンドロームXを含む)、インシュリン抵抗性(火傷または窒素非平衡などの外傷によって誘導される抵抗性を含む)、脂肪組織疾患(例えば肥満、異脂肪血症、非アルコール依存性脂肪肝疾患など)、骨粗しょう症、オステオペニア、変形関節炎、および代謝性骨疾患(骨量の低下、早熟性性腺機能不全、アンドロゲン抑制、ビタミンD欠乏症、続発性上皮小体機能亢進症、栄養欠乏、および神経性食欲不振症を含む)からなる群より選択される。
本発明の抗体は、療法において、単独または他の剤との併用のいずれでも使用され得る。例えば、本発明の抗体は、少なくとも1つの追加の治療剤と同時投与されてもよい。
上述したような併用療法は、併用投与(2つ以上の治療剤が、同じまたは別々の製剤に含まれる)、および個別投与を包含し、個別投与の場合、本発明の抗体の投与が追加治療剤の投与に先立って、と同時に、および/または、続いて、行われ得る。一態様において、抗ミオスタチン抗体の投与および追加治療剤の投与は、互いに、約1か月以内、または約1、2、または3週間以内、または約1、2、3、4、5、または6日以内に行われる。
本発明の抗体(および任意の追加治療剤)は、非経口投与、肺内投与、および経鼻投与、また局所的処置のために望まれる場合は病巣内投与を含む、任意の好適な手段によって投与され得る。非経口注入は、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、または皮下投与を含む。投薬は、投与が短期か長期かに一部応じて、例えば、静脈内注射または皮下注射などの注射によるなど、任意の好適な経路によってなされ得る。これらに限定されるものではないが、単回投与または種々の時点にわたる反復投与、ボーラス投与、および、パルス注入を含む、種々の投薬スケジュールが本明細書の考慮の内である。
本発明の抗体は、優良医療規範 (good medical practice) に一致したやり方で、製剤化され、投薬され、または投与される。この観点から考慮されるべきファクターは、治療されているその特定の障害、治療されているその特定の哺乳動物、個々の患者の臨床症状、障害の原因、剤を送達する部位、投与方法、投与のスケジュール、および医療従事者に公知の他のファクターを含む。抗体は、必ずしもそうでなくてもよいが、任意で、問題の障害を予防するまたは治療するために現に使用されている1つまたは複数の剤とともに、製剤化される。そのような他の剤の有効量は、製剤中に存在する抗体の量、障害または治療のタイプ、および上で論じた他のファクターに依存する。これらは通常、本明細書で述べたのと同じ用量および投与経路で、または本明細書で述べた用量の約1から99%で、または経験的/臨床的に適切と判断される任意の用量および任意の経路で、使用される。
疾患の予防または治療のために、本発明の抗体の適切な用量(単独で用いられるときまたは1つまたは複数の他の追加治療剤とともに用いられるとき)は、治療される疾患のタイプ、抗体のタイプ、疾患の重症度および経過、抗体が予防的目的で投与されるのか治療的目的で投与されるのか、薬歴、患者の臨床歴および抗体に対する応答、ならびに、主治医の裁量に依存するだろう。本発明の抗体は、患者に対して、1回で、または一連の処置にわたって、好適に投与される。疾患のタイプおよび重症度に応じて、例えば、1回または複数回の別々の投与によるにしても連続注入によるにしても、約1μg/kgから15 mg/kg(例えば、0.1mg/kg〜10mg/kg)の抗体が、患者に対する投与のための最初の候補用量とされ得る。1つの典型的な1日用量は、上述したファクターに依存して、約1μg/kgから100mg/kg以上まで、幅があってもよい。数日またはより長くにわたる繰り返しの投与の場合、状況に応じて、治療は通常疾患症状の所望の抑制が起きるまで維持される。抗体の1つの例示的な用量は、約0.05mg/kg から約 10mg/kgの範囲内である。よって、約0.5mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kg、もしくは 10mg/kgの1つまたは複数の用量(またはこれらの任意の組み合わせ)が、患者に投与されてもよい。このような用量は、断続的に、例えば1週間毎にまたは3週間毎に(例えば、患者が約2から約20、または例えば約6用量の抗体を受けるように)、投与されてもよい。高い初回負荷用量の後に、1回または複数回の低用量が投与されてもよい。この療法の経過は、従来の手法および測定法によって、容易にモニタリングされる。
上述の製剤または治療的方法のいずれについても、抗ミオスタチン抗体の代わりにまたはそれに追加して、本発明のイムノコンジュゲートを用いて実施してもよいことが、理解されよう。
H.製品
本発明の別の局面において、上述の障害の治療、予防、および/または診断に有用な器材を含んだ製品が、提供される。製品は、容器、および当該容器上のラベルまたは当該容器に付属する添付文書を含む。好ましい容器としては、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、IV溶液バッグなどが含まれる。容器類は、ガラスやプラスチックなどの、様々な材料から形成されていてよい。容器は組成物を単体で保持してもよいし、症状の治療、予防、および/または診断のために有効な別の組成物と組み合わせて保持してもよく、また、無菌的なアクセスポートを有していてもよい(例えば、容器は、皮下注射針によって突き通すことのできるストッパーを有する静脈内投与用溶液バッグまたはバイアルであってよい)。組成物中の少なくとも1つの有効成分は、本発明の抗体である。ラベルまたは添付文書は、組成物が選ばれた症状を治療するために使用されるものであることを示す。さらに製品は、(a)第一の容器であって、その中に収められた本発明の抗体を含む組成物を伴う、第一の容器;および、(b)第二の容器であって、その中に収められたさらなる細胞傷害剤またはそれ以外で治療的な剤を含む組成物を伴う、第二の容器を含んでもよい。本発明のこの態様における製品は、さらに、組成物が特定の症状を治療するために使用され得ることを示す、添付文書を含んでもよい。あるいはまたは加えて、製品はさらに、注射用制菌水 (BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンガー溶液、およびデキストロース溶液などの、薬学的に許容される緩衝液を含む、第二の(または第三の)容器を含んでもよい。他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、およびシリンジなどの、他の商業的観点またはユーザの立場から望ましい器材をさらに含んでもよい。
上述の製品のいずれについても、抗ミオスタチン抗体の代わりにまたはそれに追加して、本発明のイムノコンジュゲートを含んでもよいことが、理解されよう。
III.実施例
以下は、本発明の方法および組成物の実施例である。上述の一般的な記載に照らし、種々の他の態様が実施され得ることが、理解されるであろう。
実施例1
ヒト、カニクイザル、およびマウスのミオスタチン成熟型の発現および精製
ヒト潜在型(latent)ミオスタチン(本明細書においてミオスタチン潜在型としても記載される)(配列番号:1)をFreeStyle293-F細胞株(Thermo Fisher, Carlsbad, CA, USA)を用いて一過性に発現させた。発現させたヒトミオスタチン潜在型を含む馴化培地をpH6.8に酸性化し、1/2体積のmilliQ水で希釈した後、QセファロースFFアニオン交換カラム(GE healthcare, Uppsala, スウェーデン)にアプライした。フロースルー画分をpH5.0に調整し、SPセファロースHPカチオン交換カラム(GE healthcare, Uppsala, スウェーデン)にアプライした後、NaCl勾配で溶出した。ヒトミオスタチン潜在型を含む画分を回収し、次に1x PBSで平衡化したSuperdex 200ゲル濾過カラム(GE healthcare, Uppsala, スウェーデン)に供した。ヒトミオスタチン潜在型を含む画分をプールし、-80℃で保存した。
ヒト成熟型(mature)ミオスタチン(本明細書においてミオスタチン成熟型としても記載される)(配列番号:2)を、精製した潜在型から精製した。潜在型を、0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)を添加することにより酸性化し、Vydac 214TP C4逆相カラム(Grace, Deerfield, IL, USA)にアプライし、TFA/CH3CN勾配で溶出した。成熟型ミオスタチンを含む画分をプールし、乾燥させ、-80℃で保存した。再構成の際は、成熟型ミオスタチンを4mM HClに溶解させた。
カニクイザル(cynomolgusまたはcyno)由来のミオスタチン潜在型および成熟型(それぞれ配列番号:3および4)ならびにマウス由来のミオスタチン潜在型および成熟型(それぞれ配列番号:5および6)の発現および精製は、全てヒトのカウンターパートと全く同じ方法で行った。
ヒト、カニクイザル、およびマウス間のミオスタチン成熟型の配列相同性は100%同一であることから、種に関わらず配列番号:2をミオスタチン成熟型(組換え成熟型ミオスタチン)として全ての必要な実験において用いた。
実施例2
抗成熟型ミオスタチン抗体の同定
抗成熟型ミオスタチン抗体を以下のとおり調製、選択、およびアッセイした。
12〜16週齢のNZWウサギを、ヒト成熟型ミオスタチン、ヒト潜在型ミオスタチン、またはKLHにコンジュゲートされた成熟型ミオスタチン(50〜100μg/用量/ウサギ)を用いて皮内に免疫化した。この用量を4〜5回繰り返した。最終免疫化の1週間後、脾臓と血液を免疫化されたウサギから採取した。抗原特異的B細胞を標識抗原で染色し、FCMセルソーター(FACS aria III、BD)で選別し、細胞1個/ウェルの密度で、細胞25,000個/ウェルのEL4細胞(European Collection of Cell Cultures)および20倍希釈したウサギT細胞馴化培地と共に96ウェルプレートに播種し、7〜12日間培養した。EL4細胞は、マイトマイシンC(Sigma)で2時間処理し、事前に3回洗浄した。ウサギT細胞馴化培地は、ウサギ胸腺細胞を、フィトヘマグルチニンM(Roche)、ホルボール12-ミリステート13-アセテート(Sigma)および2%FBSを含有するRPMI-1640中で培養することにより、調製した。培養後、B細胞培養上清をさらなる分析のために回収し、ペレットを凍結保存した。
ELISA測定法を用いて、B細胞培養上清中の抗体の特異性を試験した。ストレプトアビジン(GeneScript)を384ウェルMAXISorp(Nunc)上にPBS中50nMにて室温で1時間コーティングした。次にプレートを、5倍希釈したBlocking One(Nacalai Tesque)でブロッキングした。ヒト潜在型ミオスタチンまたは成熟型ミオスタチンをNHS-PEG4-ビオチン(PIERCE)で標識し、ブロッキングしたELISAプレートに添加し、1時間インキュベートし、0.05% Tween-20を含むトリス緩衝生理食塩水(TBS-T)で洗浄した。B細胞培養上清をELISAプレートに添加し、1時間インキュベートし、TBS-Tで洗浄した。結合を、ヤギ抗ウサギIgG-西洋ワサビペルオキシダーゼ(BETHYL)に続いてABTS(KPL)を添加することにより検出した。
合計28,547種のB細胞株を成熟型ミオスタチンおよび/またはヒト潜在型ミオスタチンに対する結合についてスクリーニングし、1154種の細胞株を選択してMST0001〜0254、0288〜0629、0633〜0676、0760〜0909、0911〜0931、および1120〜1462と命名した。RNAを、対応する細胞ペレットからZR-96 Quick-RNAキット(ZYMO RESEARCH)を用いて精製した。
それらの重鎖および軽鎖の可変領域のDNAを逆転写PCRにより増幅し、重鎖定常領域G1m配列(配列番号:8(アミノ酸配列は配列番号:7に示す))を有する発現ベクターおよび軽鎖定常領域k0MTC配列(配列番号:10(アミノ酸配列は配列番号:9に示す))またはk0MC配列(配列番号:11(アミノ酸配列は配列番号:9に示す))を有する発現ベクターにそれぞれクローニングした。FreeStyle FS293-F細胞および293fectin(Life technologies)を製造者の指示に従って用いて組換え抗体を一過性に発現させた。培養上清または組換え抗体をスクリーニングに使用した。組換え抗体をプロテインA(GE Healthcare)で精製し、D-PBS、TBS(トリス緩衝生理食塩水)、またはHisバッファー(20mMヒスチジン, 150mM NaCl, pH6.0)に溶出した。必要に応じて、高分子量および/または低分子量成分を除去するためにサイズ排除クロマトグラフィーをさらに行った。表2に配列が示されているいくつかの組換え抗体を、以下のさらなる実験のために選択した。
(表2)抗成熟ミオスタチン抗体ならびにそのDNAおよびアミノ酸配列(配列番号で示す)
Figure 2019507584
実施例3
抗成熟ミオスタチン抗体の特徴決定(HEK Blueアッセイ(BMP-1活性化))
インビトロにおいて活性ミオスタチンの生物学的活性を評価するために、レポーター遺伝子アッセイを用いた。Smad3/4結合エレメント(SBE)誘導性SEAP(分泌型胚性アルカリホスファターゼ)レポーター遺伝子を発現するHEK-Blue(商標)TGF-β細胞(Invivogen)は、アクチビン1型および2型受容体の活性化をモニタリングすることにより、生物活性ミオスタチンの検出を可能にする。ミオスタチン成熟型は、その受容体への結合を通してSmad3/4シグナルを活性化することによって、細胞上清へのSEAPの産生を刺激する。次に、分泌されたSEAPの量をQUANTIBlue(商標)(Invivogen)を用いて評価する。
HEK-Blue(商標)TGF-β細胞は、10%ウシ胎仔血清、50μg/mLストレプトマイシン、50 U/mLペニシリン、100μg/mL Normocin(商標)、30μg/mLのブラストサイジン、200μg/mLのHygroGold(商標)、および100μg/mLのZeocin(商標)を追加したDMEM培地(Gibco)中で維持した。機能アッセイの間、細胞をアッセイ培地(0.1%ウシ血清アルブミン、ストレプトマイシン、ペニシリン、およびNormocin(商標)を含むDMEM)に換えて、96ウェルプレートに播種した。組換え成熟ミオスタチンおよび抗成熟ミオスタチン抗体を、37℃で30分間インキュベートした。試料混合物を細胞に移した。20時間のインキュベーション後、細胞上清をQUANTIBlue(商標)と混合し、620nmでの光学密度を比色プレートリーダーで測定した。
41C1E4およびMYO029を陽性対照として使用した。41C1E4およびMY029はどちらも抗成熟ミオスタチン抗体であり、これらの配列はUS7632499およびWO2004037861にそれぞれ記載されている。
図1に示されるように、全ての抗成熟ミオスタチン抗体がSEAPの分泌を阻害した。これにより、その受容体に対する成熟ミオスタチンの結合を当該抗体が阻止していることが示される。
実施例4
マウスにおけるFcγR結合性を有する抗体とFcγR結合性が失われた抗体の間の血漿総ミオスタチン濃度の比較
C.B-17 scidマウスを用いるインビボ試験
C.B-17 scidマウス(In Vivos, Singapore)において抗成熟ミオスタチン抗体および組換え成熟ミオスタチンを投与した際の外因性および内因性の全ミオスタチンの動態を、インビボで評価した。抗成熟ミオスタチン抗体(0.6 mg/ml)および組換え成熟ミオスタチン(0.05 mg/ml)を、10 ml/kgの単回用量で尾静脈に投与した。投与から7日後に血液を採取した。血漿を分離するため、採取した血液を速やかに、4℃で10分間、14,000rpmで遠心分離した。分離した血漿は、測定まで-80℃以下で保存した。使用した抗成熟ミオスタチン抗体は、上記されたMST0226、MST0796、MST0139、MST0182、41C1E4、およびMYO029に基づいて調製されたものであった。ミオスタチン蓄積に対してFcγR結合が与える効果を評価するために、一方はFcγR結合活性をもつFc領域を有し、他方はFcγR結合活性をもたないFc領域を有する(本明細書においてサイレントFcとも記載される)、2種類の改変抗成熟ミオスタチン抗体を作製した。本明細書に記載された重鎖定常領域G1m(アミノ酸配列 配列番号:7、ヌクレオチド配列 配列番号:8)およびSG1(アミノ酸配列 配列番号:64、ヌクレオチド配列 配列番号:66)は、FcγR結合活性をもつFc領域を含み、F760(アミノ酸配列 配列番号:68、ヌクレオチド配列 配列番号:69)は、FcγR結合活性をもたないFc領域を含む。ヒトFcγRに対するG1mおよびSG1の結合アフィニティは、天然ヒトIgG1のそれと同等である。一方、F760の結合アフィニティは、Fc領域におけるアミノ酸改変によって失われている。
電気化学発光(ECL)による血漿中総ミオスタチン濃度の測定
マウス血漿中総ミオスタチン濃度をECLによって測定した。抗成熟ミオスタチン抗体RK35(WO2009058346に記載)をMULTI-ARRAY 96ウェルプレート(Meso Scale Discovery)上に分注することによって、抗成熟ミオスタチン抗体固定化プレートを調製し、4℃で一晩インキュベートした。成熟ミオスタチン検量線試料および40倍以上希釈したマウス血漿試料を調製した。試料を酸性溶液(0.2 M グリシン-HCl、pH2.5)中で混合し、成熟ミオスタチンをその結合タンパク質(例えばプロペプチド)から解離させた。続いて、試料を抗成熟ミオスタチン抗体固定化プレート上に加え、室温で1時間結合させた後に洗浄した。次に、SULFO TAG標識抗成熟ミオスタチン抗体RK22(WO2009058346に記載)を加え、室温で1時間インキュベートした後に洗浄した。すぐにプレートにRead Buffer T(x4)(Meso Scale Discovery)を加え、SECTOR Imager 2400(Meso Scale Discovery)によってシグナルを検出した。分析ソフトウェアSOFTmax PRO(Molecular Devices)を用いて検量線の応答に基づき成熟ミオスタチン濃度を算出した。この方法で測定した、静脈内投与から7日後の血漿中総ミオスタチン濃度のF760とG1の間の比を、(F760型Fc領域を有する抗体を投与したときに測定された血漿総ミオスタチン濃度)/(G1型Fc領域を有する抗体を投与したときに測定された血漿総ミオスタチン濃度)の比として、図2に示す。
インビボにおけるミオスタチン蓄積に対するFcγR結合の効果
41C1E4-F760投与群と41C1E4-G1投与群の間で血漿総ミオスタチン濃度に2.06倍の差が観察され、MYO029-F760投与群とMYO029-G1投与群の間で血漿総ミオスタチン濃度に1.92倍の差が観察された。対照的に、MST0226-F760とMST0226-G1の間、MST0796-F760とMST0796-G1の間、MST0139-F760とMST0139-G1の間、およびMST0182-F760とMST0182-G1の間で、それぞれ血漿総ミオスタチン濃度に4.77倍、2.56倍、2.55倍、および3.10倍の差が観察された。成熟ミオスタチンは二量体タンパク質なので、抗成熟ミオスタチン抗体は、2つ以上のFc領域を含む大きな多量体免疫複合体を形成すると予想される。さらに、最適なサイズおよび形状の免疫複合体は、FcγRを通した細胞への免疫複合体の取り込みを加速させることができる。41C1E4およびMYO029では、そのF760型形状とG1型形状の間で血漿総ミオスタチン濃度にわずか2倍の差が示されたが、MST0226、MST0796、MST0139、およびMST0182では、そのF760型形状とG1型形状の間で血漿総ミオスタチン濃度に2.5倍を超える差が示された。この結果から、MST0226、MST0796、MST0139、およびMST0182は、41C1E4およびMYO029と比較して、免疫複合体の取り込みをより早める可能性を有することが示唆される。
実施例5
筋肉量に対する抗成熟ミオスタチン抗体のインビボでの有効性
抗成熟ミオスタチン抗体41C1E4(US7632499に記載される)、MST0226-G1m、およびMST0796-G1mのインビボでの有効性を、マウスで評価した。この試験では、41C1E4を陽性対照として用いた。マウス抗ヒト抗体応答による免疫修飾の可能性を回避するため、免疫能を欠いた重症複合免疫不全(SCID)マウスにおいてインビボ試験を実施した。5週齢のSCID(C.B-17 SCID)マウス(Charles River Laboratories Japan, Inc.(神奈川、日本))に、2週間、2 mg/kgもしくは10 mg/kgのモノクローナル抗体または溶媒(PBS)を週1回静脈内投与した。0、4、7、および14日目に、マウスの全除脂肪体重を核磁気共鳴(NMR)(minispec LF-50, Bruker Bio Spin(神奈川、日本))により評価した。14日目に動物を安楽死させ、腓腹筋、大腿四頭筋、足底筋、咬筋、およびヒラメ筋を摘出し、重量を測定した。抗体処置群における各単離された筋肉重量を、PBS処置群における単離された筋肉重量によって標準化した。統計的有意性を、JMP 9ソフトウェア(SAS, Inc.)を用いたANOVA、Studentのt検定、およびDunnett検定により決定した。0.05未満のp値を有意とみなした。結果を図3および4に示す。抗体MST0226-G1mおよびMST0796-G1mのどちらも、PBS処置群と比較して、NMRによって測定した除脂肪体重および単離された筋肉重量を増加させた。これは、MST0226-G1mおよびMST0796-G1mがマウスにおいて筋肉を増加させる能力を有することを示している。
実施例6
ヒト化されたpH依存的抗成熟ミオスタチン抗体の作製
ヒト化抗体MSLO00-SG1を作製するために、MST0226-G1mに対してヒト化を実施した。重鎖および軽鎖をコードするポリヌクレオチドをGenScript Inc.によって合成し、発現ベクター内にクローニングした(アミノ酸配列およびヌクレオチド配列については表3を参照されたい)。MSLO00-SG1はFS293細胞において一過性に発現させ、HEK Blueアッセイを上記の通りに行った。図5に示すとおり、MSLO00-SG1はMST0226-G1mと同等の阻害活性を示し、したがって、ヒト化は成功裏に完了した。
pH依存的抗成熟ミオスタチン抗体を作製するために、MSLO00-SG1の全CDRに対して網羅的変異導入を実施した。CDR中の各アミノ酸を、システインを除く他の18アミノ酸のいずれかでそれぞれ置換した。変異させた変異体を一過性に発現させ、後述のとおりBiacoreアッセイにより評価した。
ヒト成熟ミオスタチンに対するMST0226変異体のpH依存的結合を、Biacore T200機器(GE Healthcare)を用いて37℃で測定した。ビオチン化した成熟ミオスタチンを、ストレプトアビジンセンサーチップ(GE Healthcare)上に固定化した。成熟ミオスタチンに対するMST0226変異体のpH依存的結合を評価するために、100 nMの抗体を、成熟ミオスタチンセンサー表面にpH7.4で注入し(20 mM ACES、150 mM NaCl、1.2 mM CaCl2、0.05% Tween 20、0.005% NaN3)、続いて、pH7.4での解離およびさらなるpH5.8での解離段階を行った。これは、pH7.4で形成された抗体/抗原複合体のpH依存的解離を評価するためのものである。pH7.4およびpH5.8緩衝液での解離速度(kd)はどちらも、Scrubber 2.0(BioLogic Software)カーブフィッティングソフトウェアを用いてデータを処理し、フィッティングを行うことによって決定した。(pH5.8でのkd)/(pH7.4でのkd)の比は、pH依存的結合の指標を与えるものであり、例えば1を超える比は、pH依存的結合を示す。センサー表面は、サイクル毎に10 mMグリシン-HCl、pH1.7を用いて再生させた。
数サイクルの変異導入と選択の後、4種類のpH依存的変異体:MSLO01-SG1、MSLO02-SG1、MSLO03-SG1、およびMSLO04-SG1が成功裏に作製された。4種類の変異体のアミノ酸およびヌクレオチド配列を表3に示す。これらの超可変領域(HVR)のアミノ酸配列を表4に示す。BiacoreアッセイおよびHEK Blueアッセイの結果は、表5および図5に示す。これらのpH依存的変異体は、酸性条件下でpH依存性を示し、(pH5.8でのkd)/(pH7.4でのkd)の比は17を上回った。図5に示すとおり、HEK Blueアッセイにおいて、pH依存的変異体は、MSLO00-SG1(pH非依存的抗体)と同等かまたはより強い阻害活性を示した。
(表3)MST0226変異体ならびにそのDNAおよびアミノ酸配列(配列番号として示す)
Figure 2019507584
(表4)MST0226変異体の超可変領域(HVR)アミノ酸配列(配列番号として示す)
Figure 2019507584
(表5)MST0226変異体の速度論的パラメータ
Figure 2019507584
実施例7
マウスにおける血漿総ミオスタチン濃度に対するpH依存的成熟ミオスタチン結合の効果
C.B-17 scidマウスを用いるインビボ試験
実施例4に記載したように、C.B-17 scidマウス(In Vivos, Singapore)において抗成熟ミオスタチン抗体および組換え成熟ミオスタチンを投与した際の外因性および内因性の全ミオスタチンの動態を、インビボで評価した。使用した抗成熟ミオスタチン抗体は、上記されたMSLO00-SG1、MSLO01-SG1、MSLO02-SG1、MSLO03-SG1、およびMSLO04-SG1である。4種類のpH依存的変異体(MSLO01-SG1、MSLO02-SG1、MSLO03-SG1、およびMSLO04-SG1)をpH非依存的抗体MSLO00-SG1と比較した。
電気化学発光(ECL)による血漿中総ミオスタチン濃度の測定
実施例4に記載したように、マウス血漿中総ミオスタチン濃度をECLによって測定した。アッセイの定量下限は2.44 ng/mLであった。定量値が定量下限未満であった場合、「BLQ」(定量下限未満)と記載した。この方法で測定した、抗体の静脈内投与後7日目の血漿総ミオスタチン濃度を、図6Aに示す。この方法で測定した、静脈内投与後7日目の血漿中総ミオスタチン濃度のF760とG1の間の比を、図6Bに示す。定量値が定量下限未満であった場合、総ミオスタチン濃度の比を算出するために2.44 ng/mlを用いた。
インビボでのミオスタチン蓄積に対するpH依存的結合の効果
MSLO00-SG1の投与後、7日目の血漿総ミオスタチン濃度は25.49 ng/mLを示した。対照的に、MSLO01-SG1、MSLO02-SG1、MSLO03-SG1、またはMSLO04-SG1の投与後、7日目の血漿総ミオスタチン濃度はBLQを示した。pH依存的抗成熟ミオスタチン抗体の投与は、pH非依存的抗成熟ミオスタチン抗体と比較して、総ミオスタチン濃度を1/10未満に減少させた(図6A)。MSLO00-F760投与群とMSLO00-SG1投与群の間で血漿総ミオスタチン濃度に2.98倍の差が観察されたが、MSLO01-F760とMSLO01-SG1の間、MSLO02-F760とMSLO02-SG1の間、MSLO03-F760とMSLO03-SG1の間、およびMSLO04-F760とMSLO04-SG1の間でそれぞれ血漿総ミオスタチン濃度に7.49、11.85、10.02、および11.92倍の差が観察された。pH依存的抗成熟ミオスタチン抗体の投与は、pH非依存的抗成熟ミオスタチン抗体と比較して、血漿からの成熟ミオスタチンのFcγR媒介性除去を加速させた(図6B)。
実施例8
pH依存的抗成熟ミオスタチン抗体のインビボでの有効性
実施例5に記載したように、MSLO00-SG1(pH非依存的抗体)およびMSLO03-SG1(pH依存的抗体)のインビボでの有効性を、マウスで評価した。握力を握力測定器(例えば、GPM-100B, MELQUEST Ltd.(富山、日本))を用いて測定した。この試験において、両抗体を、0.5 mg/kg〜10 mg/kgの様々な用量で投与した。筋肉増量の指標として除脂肪体重を測定し、筋肉機能の指標として握力を測定した。結果を図7および8に示す。どちらの抗体も、除脂肪体重および握力を用量依存的に増加させた。MSLO00-SG1とMSLO03-SG1の除脂肪体重の増量および握力の向上を同じ用量で比べた場合、MSLO03-SG1は、筋肉増量および筋肉機能における、MSLO00-SG1より優れた有効性を示した。これは、pH依存的抗体による成熟ミオスタチン濃度の低下が、より低い用量での筋肉量の増加および筋肉機能の向上をもたらすことを示している。
前述の発明は、明確な理解を助ける目的のもと、実例および例示を用いて詳細に記載したが、本明細書における記載および例示は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。本明細書で引用したすべての特許文献および科学文献の開示は、その全体にわたって、参照により明示的に本明細書に組み入れられる。

Claims (34)

  1. 成熟ミオスタチンに結合する単離された抗体であって、抗原と複合体形成した場合に細胞への該抗体の取り込みが増強される、抗体。
  2. 取り込みが、前記抗体のFc領域と細胞上のFcγRの間の相互作用によって引き起こされる、請求項1に記載の抗体。
  3. 参照抗体のFc領域がFcγR結合活性を有さない点以外は前記抗体と同一である該参照抗体と比較して、少なくとも2.5倍高い取り込みを示す、請求項1または2に記載の抗体。
  4. ミオスタチンに対する阻害活性を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の抗体。
  5. 表2もしくは3に記載される抗体と同じエピトープに結合するか、または、ミオスタチンへの結合に関して表2もしくは3に記載される抗体と競合する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の抗体。
  6. 酸性pHにおいてよりも中性pHにおいて高いアフィニティで成熟ミオスタチンに結合する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の抗体。
  7. モノクローナル抗体である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の抗体。
  8. ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の抗体。
  9. ミオスタチンに結合する抗体断片である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の抗体。
  10. (a)アミノ酸配列GX1DNFGYSYX2DFNL(ここでX1はGまたはH、X2はIまたはHである)(配列番号:86)を含むHVR-H3と、(b)アミノ酸配列QTYDGISX1YGVA(ここでX1はSまたはHである)(配列番号:88)を含むHVR-L3と、(c)アミノ酸配列IINIX1GX2TYYASWAX3G(ここでX1はSまたはE、X2はSまたはE、X3はKまたはEである)(配列番号:85)を含むHVR-H2とを含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の抗体。
  11. (a)アミノ酸配列X1YVX2G(ここでX1はNまたはH、X2はMまたはKである)(配列番号:84)を含むHVR-H1と、(b)アミノ酸配列IINIX1GX2TYYASWAX3G(ここでX1はSまたはE、X2はSまたはE、X3はKまたはEである)(配列番号:85)を含むHVR-H2と、(c)アミノ酸配列GX1DNFGYSYX2DFNL(ここでX1はGまたはH、X2はIまたはHである)(配列番号:86)を含むHVR-H3とを含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の抗体。
  12. (a)アミノ酸配列QASX1SIX2X3X4LS(ここでX1はQまたはE、X2はSまたはH、X3はNまたはH、X4はEまたはDである)(配列番号:87)を含むHVR-L1と;(b)アミノ酸配列LASTLAS(配列番号:81)を含むHVR-L2と;(c)アミノ酸配列QTYDGISX1YGVA(ここでX1はSまたはHである)(配列番号:88)を含むHVR-L3とをさらに含む、請求項11に記載の抗体。
  13. (a)アミノ酸配列QASX1SIX2X3X4LS(ここでX1はQまたはE、X2はSまたはH、X3はNまたはH、X4はEまたはDである)(配列番号:87)を含むHVR-L1と;(b)アミノ酸配列LASTLAS(配列番号:81)を含むHVR-L2と;(c)アミノ酸配列QTYDGISX1YGVA(ここでX1はSまたはHである)(配列番号:88)を含むHVR-L3とを含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の抗体。
  14. 配列番号:89のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインフレームワークFR1と;配列番号:90のアミノ酸配列を含むFR2と;配列番号:91のアミノ酸配列を含むFR3と;配列番号:92のアミノ酸配列を含むFR4とをさらに含む、請求項11に記載の抗体。
  15. 配列番号:93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインフレームワークFR1と;配列番号:94のアミノ酸配列を含むFR2と;配列番号:95のアミノ酸配列を含むFR3と;配列番号:96のアミノ酸配列を含むFR4とをさらに含む、請求項13に記載の抗体。
  16. (a)配列番号:48〜51のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVH配列;(b)配列番号:52〜55のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVL配列;または(c)(a)と同様のVH配列および(b)と同様のVL配列を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の抗体。
  17. 配列番号:48〜51のいずれか1つのVH配列を含む、請求項16に記載の抗体。
  18. 配列番号:52〜55のいずれか1つのVL配列を含む、請求項16に記載の抗体。
  19. 配列番号:48〜51のいずれか1つのVH配列および配列番号:52〜55のいずれか1つのVL配列を含む、抗体。
  20. 全長IgG抗体である、請求項1〜19のいずれか一項に記載の抗体。
  21. 請求項1〜20のいずれか一項に記載の抗体をコードする、単離された核酸。
  22. 請求項21に記載の核酸を含む、宿主細胞。
  23. 抗体を製造する方法であって、抗体が製造されるように請求項22に記載の宿主細胞を培養する工程を含む、方法。
  24. 請求項1〜20のいずれか一項に記載の抗体および薬学的に許容される担体を含む、薬学的製剤。
  25. 医薬品としての使用のための、請求項1〜20のいずれか一項に記載の抗体。
  26. 筋肉消耗疾患の治療における使用のための、請求項1〜20のいずれか一項に記載の抗体。
  27. 筋組織の量の増加における使用のための、請求項1〜20のいずれか一項に記載の抗体。
  28. 筋組織の強度の増加における使用のための、請求項1〜20のいずれか一項に記載の抗体。
  29. 筋肉消耗疾患の治療のための医薬品の製造における、請求項1〜20のいずれか一項に記載の抗体の使用。
  30. 筋組織の量の増加のための医薬品の製造における、請求項1〜20のいずれか一項に記載の抗体の使用。
  31. 筋組織の強度の増加のための医薬品の製造における、請求項1〜20のいずれか一項に記載の抗体の使用。
  32. 請求項1〜20のいずれか一項に記載の抗体の有効量を個体に投与する工程を含む、筋肉消耗疾患を有する個体を治療する方法。
  33. 筋組織の量を増加させるために請求項1〜20のいずれか一項に記載の抗体の有効量を個体に投与する工程を含む、個体における筋組織の量を増加させる方法。
  34. 筋組織の強度を増加させるために請求項1〜20のいずれか一項に記載の抗体の有効量を個体に投与する工程を含む、個体における筋組織の強度を増加させる方法。
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