以下、本発明の幾つかの実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、本発明の実施形態は、以下で説明する各実施形態に限定されるものではなく、実質的に同一な構成を有し、かつ、同様な作用効果を奏する多様なバリエーションも本発明の実施形態に含まれる。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係るペンダントトップの一例を示す正面図である。図2及び図3は、図1に示すペンダントトップ1の背面図及び側面図である。本実施形態に係るペンダントトップ1は、チェーン5等の紐状部材に取り付けられることにより、身飾品としてのペンダント(又はネックレス)を構成する。
なお、以下のペンダントトップに関する説明では、ペンダントトップの各構成要素の相対的な位置関係を示すために、3つの方向(縦方向、横方向、前後方向)が規定される。縦方向は、後述する揺動軸AXに垂直な方向の1つであり、具体的には、図1及び図2に示すペンダントトップ1おける紙面の縦方向と同じである。横方向は、後述する揺動軸AXに平行な方向であり、具体的には、図1及び図2に示すペンダントトップ1おける紙面の横方向と同じである。前後方向は、縦方向及び横方向に垂直な方向であり、具体的には、図1及び図2に示すペンダントトップ1における紙面に垂直な方向である。ペンダントトップ1をペンダントのチェーン5に取り付けて持ち上げた状態(すなわち、図1及び図2に示す状態)において、縦方向は概ね鉛直方向と平行になり、横方向は概ね水平方向と平行になる。前後方向における前方とは、図1に示すペンダントトップ1の奥から手前に向かう方向であり、前後方向における後方とは、図1に示すペンダントトップ1の手前から奥に向かう方向である。
第1実施形態に係るペンダントトップ1は、例えば図1〜図3において示すように、フレーム部30と、ダイヤモンドなどの宝石10が固定保持される台座部20とを有する。フレーム部30は、フレーム本体部31と、フレーム本体部31に設けられた2つのフレーム側係合リング部32とを含む。台座部20は、2つの台座側係合リング部24を含む。図1及び図2に示すように、一方の台座側係合リング部24と一方のフレーム側係合リング部32とが連結され、他方の台座側係合リング部24と他方のフレーム側係合リング部32とが連結される。互いに連結された台座側係合リング部24とフレーム側係合リング部32とが、接触部Oにおいて接触する。
なお、第1実施形態に係るペンダントトップ1において、フレーム本体部31は「フレーム」とも呼ばれる。宝石10と台座部20を含んだ部分は、「被吊り下げ体」とも呼ばれる。2つのフレーム側係合リング部32を含んだ部分は、「吊り下げ部」とも呼ばれる。台座側係合リング部24は、「第1リング部」とも呼ばれる。フレーム側係合リング部32は、「第2リング部」とも呼ばれる。
図1及び図2に示すように、吊り下げ部(2つのフレーム側係合リング部32)は、被吊り下げ体(宝石10及び台座部20)を仮想的な揺動軸AXの周りで揺動可能に吊り下げる。吊り下げ部(2つのフレーム側係合リング部32)と被吊り下げ体(宝石10及び台座部20)とは、揺動軸AX上に位置する2つの接触部Oにおいて接触する。
図1及び図2において、「PL」は揺動軸AXに垂直な平面を表し、「RE」は2つの平面PLによって区分される範囲(外側範囲)を表す。2つの平面PLは、フレーム(フレーム本体部31)に対して規定された平面であり、2つの接触部Oの間に位置する。2つの平面PLによって区分される3つの範囲のうち、それぞれ1つの接触部Oを含む2つの範囲が、それぞれ外側範囲REである。2つの外側範囲REは、2つの平面PLを間に挟んで互いに隔てられている。
フレーム(フレーム本体部31)は、図1〜図3において示すように、一方の接触部Oを含んだ一方の外側範囲REにおいて、一方の接触部Oの周囲を覆う。また、フレーム(フレーム本体部31)は、他方の接触部Oを含んだ他方の外側範囲REにおいて、他方の接触部Oの周囲を覆う。
このように、第1実施形態に係るペンダントトップ1では、吊り下げ部(2つのフレーム側係合リング部32)によって吊り下げられた被吊り下げ体(宝石10及び台座部20)が、仮想的な揺動軸AXの周りで揺動可能な状態となる。この揺動可能な状態において、被吊り下げ体(宝石10及び台座部20)と吊り下げ部(2つのフレーム側係合リング部32)とが、揺動軸AX上に位置する2つの接触部Oにおいて接触する。2つの接触部Oの間に位置し揺動軸AXに垂直な所定の2つの平面PLを想定した場合、この2つの平面PLによって区分される3つの範囲のうち、それぞれ1つの接触部Oを含む2つの範囲が、それぞれ外側範囲REとして規定される。この2つの外側範囲REは、それぞれ異なる接触部Oを含む。一方の接触部Oを含んだ一方の外側範囲REでは、フレーム(フレーム本体部31)によって、一方の接触部Oの周囲が覆われる。これにより、一方の外側範囲REから接近する物体に対して一方の接触部Oが保護されるため、一方の接触部Oに不要な外力が作用し難くなる。また、他方の接触部Oを含んだ他方の外側範囲REでは、フレーム(フレーム本体部31)によって、他方の接触部Oの周囲が覆われる。これにより、他方の外側範囲REから接近する物体に対して他方の接触部Oが保護されるため、他方の接触部Oに不要な外力が作用し難くなる。つまり、第1実施形態に係るペンダントトップ1によれば、2つの外側範囲REから接近する物体に対して2つの接触部Oをそれぞれ保護し、不要な外力がこれらの接触部Oに作用し難くすることができる。
また、第1実施形態に係るペンダントトップ1において、被吊り下げ体(宝石10及び台座部20)は、前後方向における少なくとも前側から目視可能であり、フレーム(フレーム本体部31)は、横方向における左側及び右側から被吊り下げ体(宝石10及び台座部20)を覆う。
これにより、前後方向における少なくとも前側から被吊り下げ体(宝石10及び台座部20)を目視することが可能になる一方、横方向における左側や右側から接近する物体に対して被吊り下げ体(宝石10及び台座部20)が保護されるため、被吊り下げ体(宝石10及び台座部20)自身や、被吊り下げ体(宝石10及び台座部20)と吊り下げ部(2つのフレーム側係合リング部32)との2つの接触部Oに不要な外力が作用し難くなる。
更に、第1実施形態に係るペンダントトップ1において、フレーム(フレーム本体部31)は、縦方向における上側及び下側から被吊り下げ体(宝石10及び台座部20)を覆う。
これにより、縦方向における上側や下側から接近する物体に対して被吊り下げ体(宝石10及び台座部20)が保護されるため、被吊り下げ体(宝石10及び台座部20)自身や、被吊り下げ体(宝石10及び台座部20)と吊り下げ部(2つのフレーム側係合リング部32)との2つの接触部Oに不要な外力が作用し難くなる。
また、第1実施形態に係るペンダントトップ1において、フレーム(フレーム本体部31)は、第2リング部(フレーム側係合リング部32)を通り揺動軸AXに垂直な任意の平面上において第2リング部(フレーム側係合リング部32)の周囲を覆う。
これにより、揺動軸AXに垂直な任意の方向から接近する物体に対して第2リング部(フレーム側係合リング部32)が保護されるため、第2リング部(フレーム側係合リング部32)に不要な外力が作用し難くなる。
しかも、第1実施形態に係るペンダントトップ1において、フレーム(フレーム本体部31)は、第1リング部(台座側係合リング部24)を通り揺動軸AXに垂直な任意の平面上において第1リング部(台座側係合リング部24)の周囲を覆う。
これにより、揺動軸AXに垂直な任意の方向から接近する物体に対して第1リング部(台座側係合リング部24)が保護されるため、第1リング部(台座側係合リング部24)自身や、第1リング部(台座側係合リング部24)と第2リング部(フレーム側係合リング部32)との接触部Oに不要な外力が作用し難くなる。
次に、第1実施形態に係るペンダントトップ1のより具体的な構成について説明する。
(台座部20)
台座部20は、図4において示すように、宝石10が載置される台座本体部21と、台座本体部21に突設され、宝石10を固定する複数の爪部22と、台座本体部21の左右の側縁部(側端部)から台座部20の幅方向の外側に向けて延出する左右のアーム部23と、左右のアーム部23の先端部に配される左右の台座側係合リング部24とを有する。
例えば、台座部20は、金、プラチナ、シルバー等の貴金属製の板材にプレス加工(プレス打ち抜き加工)等を行うことによって、単一の部材としてその全体が一体的に形成されている。この場合、台座部20の材質や作製方法は特に限定されない。また、台座本体部21及び爪部22の形状や、爪部22の配設個数なども限定されるものではなく、任意に変更することが可能である。
図4に示すように、台座本体部21の中央部には円形の開口部21aが形成されており、宝石10は、そのキューレット部を台座本体部21の開口部21aから後方に突き出して台座部20に固定保持される。台座部20における左右のアーム部23は、台座本体部21と左右の台座側係合リング部24とを連結する連結部分である。左右のアーム部23は、互いに左右対称的な形状を有し、台座本体部21から横方向の外側に延出するとともに前方に傾斜して配されている。このような左右のアーム部23は、ペンダントトップ1のデザイン等に応じて連結長さを変更することが可能であり、また必要に応じて、左右のアーム部23を設けずに台座部20を形成することも可能である。
台座部20における左右の台座側係合リング部24は環状に形成されており、その中央部には、円形状の中央開口部24aが設けられている。左右の台座側係合リング部24は、ペンダントトップ1の正面視において両者の間に宝石10が配されるようにして、台座本体部21の左右側方の互いに対応する位置に設けられている。本実施形態において、左右の台座側係合リング部24は、左右のアーム部23を介して台座本体部21と一体に形成されている。なお本実施形態において、左右の台座側係合リング部24は、台座本体部21と別部材として形成されて、左右のアーム部23を介して接続されていても良い。
このような左右の環状の台座側係合リング部24と、フレーム部30の後述するフレーム側係合リング部32とは、互いに相手方の中央開口部を貫通するとともに内周縁部同士を接触させるようにして相互に係合する。また、台座側係合リング部24は、台座側係合リング部24の周方向に直交する断面の形状が、円形ではない異形断面形状を呈するように形成されている。具体的には、台座側係合リング部24は、例えば図6に示すように、台座側係合リング部24の内周側の先端部が尖るように、周方向に直交する断面の形状が内周端縁に向けて次第に細くなる先細の形状を有して形成されている。
これにより、台座側係合リング部24を、フレーム部30のフレーム側係合リング部32に連結したときに、台座側係合リング部24とフレーム側係合リング部32が互いに交差して接触する接触部Oにおける台座側係合リング部24の接触面積を小さくすることができる。その結果、フレーム部30に対して台座部20が前後方向に揺動する際に、フレーム側係合リング部32に対する台座側係合リング部24の摩擦抵抗を小さく抑えることができるため、台座部20及び宝石10をフレーム部30に対して細かく円滑に揺動させることができる。更に、その台座部20及び宝石10の揺動運動を停止させずに比較的長く続けさせて、それらの揺動時間をより長く延ばすことが可能となる。なお本実施形態において、台座側係合リング部24の断面形状は限定されるものではなく、台座側係合リング部24の断面を円形に形成することや、その他の形状に形成することも可能である。
台座部20は、宝石10及び台座部20が台座側係合リング部24及びフレーム側係合リング部32を介してフレーム部30に支持されるときに、宝石10のテーブル表面が斜め上方を向くとともに、ペンダントトップ1の側面視において、台座側係合リング部24とフレーム側係合リング部32との接触部Oの位置が、台座部20及び宝石10の全体の重心位置よりも上方に配されるように、台座部20に対する台座側係合リング部24の位置及び向きが設定されている。このとき、台座部20は、台座側係合リング部24の中央開口部24aが前後方向に向いた姿勢でフレーム部30に支持される。
またこの場合、ペンダントトップ1の側面視において、台座部20は、例えば宝石部10のテーブル表面が縦方向に平行となるように宝石10を正面に向かせたときに、台座部20及び宝石10の全体の重心位置が、台座側係合リング部24とフレーム側係合リング部32との接触部Oの位置よりも背面側(後方)に配されるように形成される。また、左右の台座側係合リング部24は、宝石10をそのテーブル表面が縦方向に平行となるように正面に向かせたときに、その中央開口部24aが斜め下方を向くように形成される。なお、縦方向が鉛直方向と平行になるようにフレーム部30の姿勢が保持された状態(すなわち、図1及び図2に示す姿勢の状態)において、宝石10のテーブル表面が前方の斜め上方を向いて傾斜するように台座部20が形成されることが好ましい。例えば、鉛直方向に対する宝石10のテーブル表面の傾斜角度αは、5°以上45°以下の角度、好ましくは10°以上20°以下の角度となるように台座部20が形成される。
(フレーム本体部31)
フレーム部30は、ペンダントトップ1の正面視において、台座部20及び宝石10の周りを囲むように配されるとともに保護部材として設けられるフレーム本体部31と、フレーム本体部31の内面に固定される左右のフレーム側係合リング部32と、フレーム本体部31の上端部に上方に突出するように設けられ、ペンダントのチェーン5に連結されるチェーン連結部33(バチカンとも言う)とを有する。この場合、チェーン連結部33は、レーザー等によるロウ付け(溶着)によってフレーム本体部31に固定されている。
フレーム本体部31は、ペンダントトップ1の正面視において、台座部20及び宝石10の全体を外側から取り囲むとともに、台座部20及び宝石10が揺動しても接触しないように、台座部20に保持された宝石10から外側に離間して宝石10とフレーム本体部31との間に隙間が形成されるドーナツ状の形状を有する。この場合、フレーム本体部31は、正面側から見ても、背面側から見ても、同じドーナツ状の形状を呈する表裏対称的な形状を有する。
更に、フレーム本体部31は、ペンダントトップ1の側面視において、宝石10の最も背面側に配される裏面側先端部(すなわち、キューレット部)11が、フレーム本体部31の裏面位置よりも表面側に位置するような前後方向の厚さを有する。言い換えると、フレーム本体部31の裏面は、図3に示した状態において、ペンダントトップ1の表裏方向(前後方向)に関して、宝石10のキューレット部11の位置よりも更に裏側の位置に配されている。これにより、ペンダントトップ1が後述するように身に着けられときに(図7を参照)、宝石10を、衣服等からペンダントトップ1の表面側に離れた位置に安定して保持することができる。このため、宝石10の細かな揺動が衣服等への接触によって阻害されることを効果的に防止することができる。
また、フレーム本体部31は、例えば図5にフレーム本体部31の横方向における中央部を、横方向に直交する面で切断したときの断面図を示すように、所定の厚さを有して形成されている。これによって、フレーム本体部31は、適切な強度を確保している。また、フレーム本体部31は、フレーム本体部31内に内部空間(収容室)34が形成される中空の形状を有する。
このフレーム本体部31は、フレーム部30の一部を構成する部分であるとともに、フレーム側係合リング部32と台座側係合リング部24とを外側から囲んで保護する保護部材31でもある。言い換えると、フレーム側係合リング部32及び台座側係合リング部24を保護する保護部材31が、台座部20及び宝石10を支持するフレーム本体部31として形成されている。
特にこの場合、フレーム本体部(保護部材)31は、左側で相互に連結される一方のフレーム側係合リング部32及び台座側係合リング部24と、右側で相互に連結される他方のフレーム側係合リング部32及び台座側係合リング部24とを同時に保護することができる単一の部材として形成されている。
従って、フレーム本体部(保護部材)31の内部空間34は、フレーム本体部31内に、左右のそれぞれのフレーム側係合リング部32及び台座側係合リング部24を相互に係合させた状態で収容可能で、且つ、台座部20及び宝石10が揺動してもフレーム側係合リング部32及び台座側係合リング部24が干渉しない(ぶつからない)大きさを有する。言い換えると、フレーム本体部(保護部材)31の内部空間34が、左右一対のフレーム側係合リング部32及び台座側係合リング部24を相互に係合させた状態で内部に収容する収容室34として形成されている。
また、フレーム本体部31は、その周方向に直交する断面が全周において、前後方向に長い略C字状を呈する一定の形状を有しており、フレーム本体部31の内周縁部には、台座部20及び宝石10に向くように開口する内周側間隙35が形成されている。この場合、内周側間隙35は、リング状のフレーム本体部31の内周縁部に、フレーム本体部31の周方向全体に亘って(全周に亘って)形成されている。フレーム本体部31の内周側間隙35の一部は、台座部20の左右のアーム部23を挿通させる挿通開口部となる。また、フレーム側係合リング部32は、フレーム本体部31の湾曲状の内面の一部に接した状態で固定される。なお本実施形態では、例えば図8にフレーム本体部31の変形例を示すように、フレーム本体部31bの内周側間隙35bは、台座部20及び宝石10の揺動が確保される所定の範囲のみに、台座部20及び宝石10に向くように開口して形成されていても良い。
また、フレーム本体部31の内周側間隙35は、内周側間隙35の前後方向における中心位置が、フレーム本体部31の前後方向における中心位置と一致するように設けられているが、本実施形態において、内周側間隙35は、内周側間隙35の前後方向における中心位置が、フレーム本体部31の前後方向における中心位置に対して、前方又は後方にずれて設けられていても良い。
このようなフレーム本体部(保護部材)31では、フレーム本体部31の内面に固定される環状のフレーム側係合リング部32と、そのフレーム側係合リング部32に連結して係合する台座側係合リング部24とを連結した状態でフレーム本体部31の上記収容室34内に配置して、これらの係合リング部32,24をフレーム本体部(保護部材)31の内側に収容することにより、連結状態にあるフレーム側係合リング部32と台座側係合リング部24の少なくとも正面(前面)、背面(後面)、上面、下面、及び幅方向(横方向)の外側面を外側から覆って隠すようにして、フレーム側係合リング部32及び台座側係合リング部24を全体的に保護することができる。
また、フレーム本体部31の内周側間隙35には、台座部20の左右のアーム部23が挿通され、内周側間隙35の一部がアーム部23の挿通開口部として形成される。この場合、フレーム本体部31の内周側間隙35は、ペンダントの通常の使用において、フレーム部30に対して台座部20及び宝石10が例えば前後方向に20°程度の角度範囲で揺動しても(すなわち、台座部20及び宝石10が、図3の状態から前方と後方とに向けてそれぞれ10°程度の角度範囲で揺動しても)、左右のアーム部23が干渉し難い(又は干渉しない)大きさ(間隔)で形成されている。
更に、フレーム本体部31の内周側間隙35は、フレーム部30に対して台座部20及び宝石10が所定の角度で適切に揺動するように台座部20及び宝石10の揺動範囲を規制する大きさで形成されている。すなわち、台座部20及び宝石10の揺動がある程度よりも大きくなると、台座部20及び宝石10がフレーム本体部31(後述するフロントパーツ36又はリアパーツ37)に当接し、それによって、台座部20及び宝石10の揺動範囲が規制される。これにより、台座部20及び宝石10の揺動範囲を、ペンダントトップ1を正面から見たときに綺麗に光って見える範囲に収めることができるため、宝石10の揺動による装飾効果をより有効に得ることが可能となる。
更に、ドーナツ状のフレーム本体部31は、フレーム側係合リング部32及び台座側係合リング部24の正面を保護するフロントパーツ36と、フレーム側係合リング部32及び台座側係合リング部24の背面を保護するリアパーツ37とを有する。この場合、フレーム本体部31のフロントパーツ36とリアパーツ37は表裏対称的な形状を有する。このようなフロントパーツ36とリアパーツ37とは、レーザー等によるロウ付けによって相互に固定されている。なお本実施形態において、フロントパーツ36とリアパーツ37を相互に固定する手段は特に限定されない。
また、フレーム本体部31のフロントパーツ36とリアパーツ37は、金、プラチナ、シルバー等の貴金属製の板材にプレス加工(プレス打ち抜き加工)等を行うことによって、例えば0.5mm以下(好ましくは0.1mm以下)の厚さを有するように作製されている。
このようにフロントパーツ36とリアパーツ37の2つの部品を用いて中空形状のフレーム本体部31を形成することにより、左右のフレーム側係合リング部32に左右の台座側係合リング部24をそれぞれ繋ぎ合わせて係合し、その後、連結された左右のフレーム側係合リング部32及び台座側係合リング部24を包むようにしてフロントパーツ36とリアパーツ37を組み合わせて固定することが可能となる。それによって、フレーム本体部31の組み立てを簡単に行うことができるとともに、連結された左右のフレーム側係合リング部32及び台座側係合リング部24を、フレーム本体部(保護部材)31内に、特にフレーム本体部31の上述した収容室34内に、安定して収容することができる。
また、フロントパーツ36とリアパーツ37とが表裏対称的な形状を有することにより、フロントパーツ36及びリアパーツ37として、ドーナツ状の一定の形状を有する同じ部品を用いることができる。それにより、フロントパーツ36及びリアパーツ37を安価に作製することができる。また、フロントパーツ36とリアパーツ37とを取り間違えることもないため、フロントパーツ36とリアパーツ37を組み合わせて固定する作業の煩雑化を防いで、作業の効率化を図ることができる。
なお、保護部材となるフレーム本体部31のフロントパーツ36及びリアパーツ37の形状及び材質は、本実施形態において例示した形状及び材質に限定されるものではなく、例えば後述する第2実施形態でも説明するように、任意に変更することが可能である。
(フレーム側係合リング部32)
左右のフレーム側係合リング部32は、例えば、断面が円形を呈する金属製の線状部材を所定の長さに切断し、更に切断した線状部材をリング状に曲げることにより形成される。また、台座側係合リング部24が連結される前のフレーム側係合リング部32は、台座側係合リング部24を挿入可能な間隙を有する丸カンの形状を有する。
このため、フレーム側係合リング部32に台座側係合リング部24を連結する場合には、フレーム本体部31のフロントパーツ36とリアパーツ37とが相互に固定される前に、先ず、丸カン状のフレーム側係合リング部32の間隙に台座側係合リング部24を挿入し、フレーム側係合リング部32を台座側係合リング部24の中央開口部24aに挿通させて交差させる。次に、フレーム側係合リング部32が台座側係合リング部24の中央開口部24aに挿通している状態で、フレーム側係合リング部32をその両端部同士を突き合わせて前記間隙がなくなるように押圧して環状に塑性変形させる(加締める)。
これによって、左右の環状の台座側係合リング部24を、左右のフレーム側係合リング部32に、それぞれ容易に連結して係合させることができる。このとき、台座側係合リング部24とフレーム側係合リング部32とは内周縁部同士を接触させるようにして繋ぎ合わせられる。更に、フレーム側係合リング部32を上述のように塑性変形させた後、必要に応じて、フレーム側係合リング部32の突き合わされた端部同士をロウ付けによって固定することも可能である。
また、フレーム側係合リング部32は、周方向に直交する断面の形状が円形を呈するように形成されている。本実施形態において、フレーム側係合リング部32の断面形状は特に限定されるものではなく、例えば台座側係合リング部24のような先細の形状でもよいし、その他の形状を採用することも可能である。
このような左右のフレーム側係合リング部32は、フレーム本体部31のフロントパーツ36の内面(内壁面)における所定の位置に、フレーム側係合リング部32の中央開口部が横方向を向くように、ペンダントトップ1の正面視(図1)において縦方向に平行な姿勢でレーザー等によるロウ付けによって固定されている。左右のフレーム側係合リング部32がフレーム本体部31のフロントパーツ36に固定されることにより、台座部20と宝石10とを、ペンダントトップ1のより正面側の位置に安定して保持できるため、宝石10をより目立たせることができる。
なお、本実施形態において、フレーム側係合リング部32をフレーム本体部31に固定する手段は限定されず、ロウ付け以外の固定手段を採用することが可能である。また、図1及び図2の例において、フレーム側係合リング部32は縦方向に平行な姿勢でフレーム本体部31に固定されているが、本実施形態において、フレーム本体部31に固定するフレーム側係合リング部32の向きや姿勢は特に限定されるものではない。例えば、後述する図10のペンダントトップ1cの正面図において示すように、フレーム側係合リング部32cは、縦方向に対して傾いた姿勢でフレーム本体部31に固定してもよい。更に、フレーム側係合リング部32は、フレーム本体部31と別部材で形成されるとともに、フレーム本体部31に固定手段を用いて固定されるものに限定されない。本実施形態の他の例では、フレーム側係合リング部32とフレーム本体部31とを単一の部材として一体に形成することも可能である。
更に本実施形態において、左右のフレーム側係合リング部32は、フレーム本体部31のフロントパーツ36ではなく、リアパーツ37の内面に固定されていても良い。また、フレーム側係合リング部32のサイズを大きくして、フレーム側係合リング部32をフロントパーツ36及びリアパーツ37の両方の内面に固定することや、例えばフレーム側係合リング部32に固定位置調整用の突片部等を設けてフロントパーツ36に対する固定位置を調整することも可能である。更に、上述したようなフレーム側係合リング部32に台座側係合リング部24を連結させる作業は、フレーム側係合リング部32をフレーム本体部31に固定した後(フロントパーツ36とリアパーツ37とを固定する前)に行っても良いし、フレーム側係合リング部32がフレーム本体部31に固定される前に行っても良い。
(まとめ)
以上のようなフレーム本体部(保護部材)31を備えるフレーム部30と、宝石10を保持した台座部20とを有するペンダントトップ1では、台座部20が、フレーム部30に対し、台座側係合リング部24及びフレーム側係合リング部32を介して支持されている。
このため、このペンダントトップ1を備えるペンダントを、例えば図7に示すように首からぶら下げて使用者6が身に着けた場合、ペンダントトップ1を動かしたときや揺らしたとき等に、台座部20及び宝石10を、フレーム部30に吊り下げられた状態で前後方向に小さく連続的に揺動させることができる。これにより、宝石をより美しく輝かせることができる。この場合、台座部20及び宝石10は、ペンダントトップ1の側面視において、台座側係合リング部24とフレーム側係合リング部32の接触部Oの位置を中心に前後方向に小さく揺動する。また、台座部20及び宝石10が揺動する際に、上記接触部Oの位置も、フレーム側係合リング部32の内周縁に沿って前後に動くこともある。
特に、ペンダントトップ1の正面視において、台座部20及び宝石10は、フレーム部30に形成された円形の中央開口部の略中心部において揺動する。このため、シンプルなドーナツ状の形状を有するフレーム部30がすっきりと綺麗に見える。更に、フレーム部30に対して宝石10が宙に浮いた状態に見えるとともに、台座部20及び宝石10の揺動を、その周りを囲むフレーム部30に対して引き立つように効果的に見せることができる。これにより、台座部20に固定された宝石10の輝きをより美しく見せることができるとともに、ペンダントトップ1に今までにない斬新なイメージ(美感)を与えることができる。
また、ドーナツ状のフレーム部30によって、ペンダントの使用時に台座部20及び宝石10が使用者6の着衣する衣服やマフラーなどに直接接することを防止するため、台座部20及び宝石10の揺動可能な状態が安定して確保される。特に、フレーム本体部31は、上述したように、フレーム本体部31の最も背面側に配される裏面が、宝石10のキューレット部11よりも更に後方(背面側)に位置するように、前後方向に厚く形成されている。これにより、宝石10のキューレット部11は、図3に示した状態だけでなく、また図7に示した状態においても、フレーム本体部31の裏面よりも更に後方に突出することはなく、宝石10は、使用者6が着衣した衣服やマフラーなどから、ペンダントトップ1の表面側に離れた位置に保持される。このため、台座部20及び宝石10がフレーム本体部31の内周側間隙35の揺動範囲内で揺動するときに、台座部20及び宝石10の微小な揺動が、衣服やマフラーなどへの接触によって阻害されることを効果的に防止し、台座部20及び宝石10の揺動を安定して持続させることができる。
また、例えば図3にしたようにフレーム本体部31が鉛直方向に沿って保持される場合だけでなく、例えば図7に示したようにフレーム本体部31が使用者6の胸元で鉛直方向に対して少し傾いて保持される場合等においても、宝石10のテーブル表面が斜め上方を向くようにして宝石10と台座部20がフレーム部30に支持される。このため、本実施形態に係るペンダントトップ1は、ペンダントを着用した使用者6の胸元で、宝石10のテーブル表面が他人の目線に入り易いようにして宝石10をより効果的に輝かせることができる。
更に、本実施形態に係るペンダントトップ1では、左右のフレーム側係合リング部32及び台座側係合リング部24が、小さくて繊細に形成されているために変形に対して弱い性質を備えているものの、保護部材となるフレーム本体部31によって、左右のフレーム側係合リング部32の全部と左右の台座側係合リング部24の全部とが覆い隠されて保護されている(言い換えると、フレーム本体部31の収容室34内に左右のフレーム側係合リング部32の全部と左右の台座側係合リング部24の全部とが収容されて保護されている)。これにより、台座側係合リング部24及びフレーム側係合リング部32が外部に露出しなくなるため、ペンダントとしての通常の使用において、台座側係合リング部24及びフレーム側係合リング部32が、別の物体に直接衝突することや偶発的に直接強く押圧されることを防止できる。
従って、本実施形態に係るペンダントトップ1では、台座側係合リング部24及びフレーム側係合リング部32が、外部から意図しない外力(荷重)を直接受けることがないため、そのような外力に起因して台座側係合リング部24及びフレーム側係合リング部32に変形や破損が生じることを効果的に防止できる。従って、宝石10が細かく円滑に揺動できる状態を長期に亘って安定して維持できる。
更に、台座側係合リング部24及びフレーム側係合リング部32がフレーム本体部(保護部材)31によって保護されることにより、髪の毛や糸などが、台座側係合リング部24やフレーム側係合リング部32に絡み付くことも防止できる。それにより、ペンダントの取り扱い性を向上させることができるとともに、糸などの絡み付きによって宝石10の微小な揺動が阻害されることも防止できる。
特に、台座側係合リング部24及びフレーム側係合リング部32がフレーム本体部31によって覆い隠されて外部から見えないため、例えばペンダントトップ1の外観品質を損なうことなくフレーム側係合リング部32を更に太くすることも可能となる。それによって、フレーム本体部31に対するフレーム側係合リング部32の固着強度を高めることや、ペンダントトップ1の耐久性を高めること等が可能となる。
しかも、台座側係合リング部24及びフレーム側係合リング部32が保護部材31によって覆い隠されて見えなくされているとともに、それらを覆って保護する保護部材31がフレーム部30の貴金属製フレーム本体部31として形成されている。これにより、従来のペンダントトップには存在しなかったリング部保護用の部材が新たに設けられているにも関わらず、ペンダントトップ1の全体の質感を向上させて、外観品質を高めることができる。また、保護部材となるフレーム本体部31が、上述のように厚さを薄くして且つ中空の形状に形成されていることにより、フレーム本体部31に用いられる原材料の量を少なくして、フレーム部30の製造コストを大幅に低減させることができる。例えばフレーム本体部が中実に形成される場合に比べて、フレーム本体部31の製造コストを半分以下に削減することが可能である。
更に、台座側係合リング部24及びフレーム側係合リング部32がフレーム本体部(保護部材)31によって覆い隠されているため、台座側係合リング部24及びフレーム側係合リング部32の存在がペンダントトップ1のデザインに与える影響を小さくし、デザインの自由度を高めることが可能となる。また、フレーム本体部(保護部材)31に様々なデザインを採用することが可能となる。
このため、例えばフレーム本体部(保護部材)の形状を変えた変形例に係るペンダントトップ1aを図9に例示するように、フレーム本体部(保護部材)31aの形状を例えばハート形のような枠状の形状に形成することや、又は、ひし形のようなその他の枠状の形状、若しくは、花や動物を模したような形状等のように、任意の形状に形成することができる。この場合、フレーム本体部(保護部材)の大きさや厚さ、フレーム側係合リング部の大きさなども任意に変更することが可能である。
その結果、ペンダントトップに、例えば可愛らしい印象や洗練された印象などを付与して、ペンダントとしての付加価値を更に高めることも可能となる。なお、図9のペンダントトップ1aにおいて、フレーム本体部(保護部材)31aの形状以外については、上述した図1〜図8に示すペンダントトップ1と同様に形成されている。このため、図9や後述する別の変形例に係る図10において、上述と同じ構成を有する部分又は部材は同じ符号を用いて表されている。
なお、上述したペンダントトップの例では、フレーム部30の左右のフレーム側係合リング部32の全体と、台座部20の左右の台座側係合リング部24の全体とが、保護部材となるフレーム本体部31によって覆い隠されて保護されている。しかし、本実施形態では、少なくとも、フレーム部30の左右のフレーム側係合リング部32の全体と、左右の台座側係合リング部24におけるフレーム側係合リング部32との連結部分とがフレーム本体部31によって保護されていれば良い。
例えば図10に示す変形例のペンダントトップ1cでは、左右の台座側係合リング部24cが図1〜図2に示すペンダントトップ1よりも大きく形成されて、左右の台座側係合リング部24cにおけるフレーム側係合リング部32cとの連結部分以外のリング部分が一部露出している。また同時に、フレーム側係合リング部32cの全体と、台座側係合リング部24cの少なくとも上記連結部分とが、フレーム本体部31によって覆い隠されて保護されている。
このような変形例に係るペンダントトップ1cであっても、意図しない外力(荷重)に起因して台座側係合リング部24c及びフレーム側係合リング部32cに変形や破損が生じることを防止して、宝石10の微小な揺動可能な状態を長期に亘って安定して維持できる。また、髪の毛や糸などが、台座側係合リング部24cやフレーム側係合リング部32cに絡み付き難くすることができる。
<第2実施形態>
図11は、第2実施形態に係るペンダントトップの一例を示す正面図である。図12は、図11に示すペンダントトップ2の側面図である。第2実施形態に係るペンダントトップ2も、第1実施形態と同様に、身飾品としてのペンダント(又はネックレス)を構成する。
図11に示すペンダントトップ2について規定される3つの方向(縦方向、横方向、前後方向)は、図1に示すペンダントトップ1と同様に、図11の紙面の縦方向、横方向及び前後方向(表裏方向)と一致する。
第2実施形態に係るペンダントトップ2は、例えば図11〜図12において示すように、フレーム部40と、ダイヤモンドなどの宝石10が固定保持される台座部20とを有する。フレーム部40は、フレーム本体部41と、フレーム本体部41に設けられた2つのフレーム側係合リング部42とを含む。台座部20は、2つの台座側係合リング部24を含む。図11に示すように、一方の台座側係合リング部24と一方のフレーム側係合リング部42とが連結され、他方の台座側係合リング部24と他方のフレーム側係合リング部42とが連結される。互いに連結された台座側係合リング部24とフレーム側係合リング部42とが、接触部Oにおいて接触する。
なお、第2実施形態に係るペンダントトップ2は、例えば第1実施形態に係る前述のペンダントトップ1に対して、フレーム部40の形態が異なるものの、台座部20及び宝石10は、第1実施形態に係る前述のペンダントトップ1と同様に形成されている。従って、第2実施形態に係るペンダントトップに関する説明や図面において、前述の第1実施形態のペンダントトップ1と実質的に同じ構成を有する部分や部材については同じ符号を用いて表すこととし、それらの詳細な説明は省略する。後述する第3〜第8実施形態についても同様である。
第2実施形態に係るペンダントトップ2において、フレーム本体部41は「フレーム」とも呼ばれる。宝石10と台座部20を含んだ部分は、「被吊り下げ体」とも呼ばれる。2つのフレーム側係合リング部42を含んだ部分は、「吊り下げ部」とも呼ばれる。台座側係合リング部24は、「第1リング部」とも呼ばれる。フレーム側係合リング部42は、「第2リング部」とも呼ばれる。
第2実施形態に係るペンダントトップ2における「フレーム」、「被吊り下げ体」及び「吊り下げ部」の概略的な構成は、既に説明した第1実施形態に係るペンダントトップ(1,1a,1c)と同様である。従って、第2実施形態に係るペンダントトップ2においても、2つの外側範囲REから接近する物体に対して2つの接触部Oをそれぞれ保護し、不要な外力がこれらの接触部Oに作用し難くすることができる。
また、第2実施形態に係るペンダントトップ2において、フレーム(フレーム本体部41)は、第2リング部(フレーム側係合リング部42)を通り揺動軸AXに垂直な任意の平面上において第2リング部(フレーム側係合リング部42)の周囲を覆う。これにより、揺動軸AXに垂直な任意の方向から接近する物体に対して第2リング部(フレーム側係合リング部42)が保護されるため、第2リング部(フレーム側係合リング部42)に不要な外力が作用し難くなる。
更に、第2実施形態に係るペンダントトップ2において、フレーム(フレーム本体部41)は、第1リング部(台座側係合リング部24)を通り揺動軸AXに垂直な任意の平面上において第1リング部(台座側係合リング部24)の周囲を覆う。これにより、揺動軸AXに垂直な任意の方向から接近する物体に対して第1リング部(台座側係合リング部24)が保護されるため、第1リング部(台座側係合リング部24)自身や、第1リング部(台座側係合リング部24)と第2リング部(フレーム側係合リング部42)との接触部Oに不要な外力が作用し難くなる。
次に、第2実施形態に係るペンダントトップ2のより具体的な構成について説明する。
フレーム部40は、図11に示すペンダントトップ2の正面視において、台座部20及び宝石10の周りを囲むように配されるとともに保護部材として設けられるフレーム本体部41と、フレーム本体部41の内面に固定される左右のフレーム側係合リング部42と、フレーム本体部41の上端部に上方に突出するように設けられるチェーン連結部43とを有する。
チェーン連結部43は、フレーム本体部41(特にフレーム本体部41のリアパーツ47)に図示しない小さな取付穴を形成するとともに、その取付穴にチェーン連結部43の図示しない留め具を挿入して固定することによって、フレーム本体部41に取り付けられている。なお本実施形態において、チェーン連結部43をフレーム本体部41に取り付ける方法や手段は特に限定されない。
フレーム本体部41は、図11に示すペンダントトップ2の正面視において、台座部20及び宝石10の全体を外側から取り囲むとともに、台座部20及び宝石10が揺動しても接触しないように、台座部20及び宝石10から外側に離間して、宝石10とフレーム本体部41との間に隙間が形成されるようなドーナツ状の形状を有する。
このフレーム本体部41は、フレーム側係合リング部42及び台座側係合リング部24の正面を保護するフロントパーツ46と、フレーム側係合リング部42及び台座側係合リング部24の背面を保護するリアパーツ47とを有する。この場合、フレーム本体部41のフロントパーツ46は、前述の第1実施形態に係るペンダントトップにおけるフレーム本体部31のフロントパーツ36と略同様の形状を有するとともに、当該フロントパーツ36よりも大きさを全体的に小さくして形成されている。また、左右のフレーム側係合リング部42は、前述の第1実施形態に係るペンダントトップにおけるフレーム側係合リング部32よりもサイズが小さなリング状に形成されている。
リアパーツ47は、フロントパーツ46に対して、前述の第1実施形態のような表裏対称的な形状を有しておらず、ドーナツ状の形状を有するセラミックス製の部材により形成されている。このため、リアパーツ47の正面視における中央部分には、前後方向に貫通する円形の中央開口部が設けられている。
この場合、フレーム本体部41の正面視において、リアパーツ47の内径の大きさ(リアパーツ47の中央開口部の直径の大きさ)は、フロントパーツ46の外径の大きさよりも小さく設定され、且つ、台座側係合リング部24及びフレーム側係合リング部42の背面側を保護できる大きさに設定される。このようなリアパーツ47は、レーザー等によるロウ付け又はその他の固着手段によって、フロントパーツ46に固定される。
なお本実施形態において、フロントパーツ46及びリアパーツ47の形状は任意に変更することが可能である。例えば、リアパーツ47の変形例として、円形の中央開口部が設けられていないセラミックス製の部材を用いることも可能である。この場合、変形例に係るリアパーツには、リアパーツの背面側端部の位置で、且つ、前後に揺動する台座部20及び宝石10と干渉しない位置に、中央開口部を閉じるように配される後壁部が一体的に形成されている。
フレーム本体部41は、フロントパーツ46とリアパーツ47との間に、左右のそれぞれのフレーム側係合リング部42及び台座側係合リング部24を相互に係合させた状態で収容可能な内部空間が形成される中空の形状を有する。従って、このフレーム本体部41は、フレーム部40の一部を構成する部分であるとともに、フレーム側係合リング部42と台座側係合リング部24とを外側から囲んで保護する保護部材でもある。言い換えると、第2実施形態では、前述の第1実施形態と同様に、フレーム本体部(保護部材)41の内部空間が、フレーム側係合リング部42及び台座側係合リング部24を相互に係合させた状態で内部に収容する収容室として形成されている。
このようなフレーム本体部(保護部材)41では、フレーム本体部41の内面に固定される環状のフレーム側係合リング部42と、そのフレーム側係合リング部42に連結して係合する台座側係合リング部24とを連結した状態でフレーム本体部41の上記収容室内に配置して、これらの係合リング部42,24をフレーム本体部(保護部材)41の内側に収容することにより、連結状態にあるフレーム側係合リング部42と台座側係合リング部24の少なくとも正面(前面)、背面(後面)、上面、下面、及び幅方向(横方向)の外側面を外側から覆って隠すようにして、フレーム側係合リング部42及び台座側係合リング部24を全体的に保護することができる。
すなわち、フレーム本体部(保護部材)41では、連結状態にあるフレーム側係合リング部42と台座側係合リング部24とを、連結した状態でフレーム本体部41の上記収容室内に収容するため、フレーム本体部41によって、これらの係合リング部42,24を、少なくとも正面(前面)側、背面(後面)側、上面側、下面側、及び幅方向(横方向)の外側面側から覆うようにして保護することができる。更に、フレーム本体部41の内周縁部には、台座部20の左右のアーム部23を挿通させる内周側間隙(挿通開口部)が、フロントパーツ46とリアパーツ47との間に形成されている。
左右のフレーム側係合リング部42は、前述の第1実施形態に係るペンダントトップと同様に形成されており、且つ、フレーム本体部41のフロントパーツ46の内面における所定の位置に、レーザー等によるロウ付けによって固定されている。
以上のような第2実施形態に係るペンダントトップ2では、保護部材となるフレーム本体部41の形状及び材質が前述の第1実施形態に係るペンダントトップ1と異なるものの、宝石10が細かく円滑に揺動できる状態を長期に亘って安定して維持できるとともに、糸などの絡み付きによって宝石の細かな揺動が阻害されることを防止できるといった前述の第1実施形態に係るペンダントトップ1の場合と同様の効果が得られる。
<第3実施形態>
図13は、第3実施形態に係るペンダントトップの一例を示す正面図である。図14は、図13に示すペンダントトップ3の側面図である。図15は、図13に示すペンダントトップ3のフレーム部50に保護部材60が固定された状態を拡大して示す拡大図である。第3実施形態に係るペンダントトップ3も、第1実施形態及び第2実施形態と同様に、身飾品としてのペンダント(又はネックレス)を構成する。
図13に示すペンダントトップ3について規定される3つの方向(縦方向、横方向、前後方向)は、図1に示すペンダントトップ1と同様に、図13の紙面の縦方向、横方向及び前後方向(表裏方向)と一致する。
第3実施形態に係るペンダントトップ3は、例えば図13〜図15において示すように、フレーム部50と、ダイヤモンドなどの宝石10が固定保持される台座部20とを有する。フレーム部50は、フレーム本体部51と、フレーム本体部51に設けられた2つのフレーム側係合リング部52とを含む。台座部20は、2つの台座側係合リング部24を含む。図15に示すように、一方の台座側係合リング部24と一方のフレーム側係合リング部52とが連結され、他方の台座側係合リング部24と他方のフレーム側係合リング部52とが連結される。互いに連結された台座側係合リング部24とフレーム側係合リング部52とが、接触部Oにおいて接触する。
第3実施形態に係るペンダントトップ3において、フレーム本体部51と後述の保護部材60を含んだ部分は、「フレーム」とも呼ばれる。宝石10と台座部20を含んだ部分は、「被吊り下げ体」とも呼ばれる。2つのフレーム側係合リング部52を含んだ部分は、「吊り下げ部」とも呼ばれる。台座側係合リング部24は、「第1リング部」とも呼ばれる。フレーム側係合リング部52は、「第2リング部」とも呼ばれる。
第3実施形態に係るペンダントトップ3における「フレーム」、「被吊り下げ体」及び「吊り下げ部」の概略的な構成は、既に説明した第1実施形態に係るペンダントトップ(1,1a,1c)と同様である。従って、第3実施形態に係るペンダントトップ3においても、2つの外側範囲REから接近する物体に対して2つの接触部Oをそれぞれ保護し、不要な外力がこれらの接触部Oに作用し難くすることができる。
また、第3実施形態に係るペンダントトップ3において、被吊り下げ体(宝石10及び台座部20)は、前後方向における少なくとも前側から目視可能であり、フレーム(フレーム本体部51及び保護部材60)は、横方向における左側及び右側から被吊り下げ体(宝石10及び台座部20)を覆う(図14)。これにより、前後方向における少なくとも前側から被吊り下げ体(宝石10及び台座部20)を目視することが可能になる一方、横方向における左側や右側から接近する物体に対して被吊り下げ体(宝石10及び台座部20)が保護されるため、被吊り下げ体(宝石10及び台座部20)自身や、被吊り下げ体(宝石10及び台座部20)と吊り下げ部(2つのフレーム側係合リング部52)との2つの接触部Oに不要な外力が作用し難くなる。
更に、第3実施形態に係るペンダントトップ3において、フレーム(フレーム本体部51及び保護部材60)は、第2リング部(フレーム側係合リング部52)を通り揺動軸AXに垂直な任意の平面上において第2リング部(フレーム側係合リング部52)の周囲を覆う。これにより、揺動軸AXに垂直な任意の方向から接近する物体に対して第2リング部(フレーム側係合リング部52)が保護されるため、第2リング部(フレーム側係合リング部52)に不要な外力が作用し難くなる。
しかも、第2実施形態に係るペンダントトップ2において、フレーム(フレーム本体部51及び保護部材60)は、第1リング部(台座側係合リング部24)を通り揺動軸AXに垂直な任意の平面上において第1リング部(台座側係合リング部24)の周囲を覆う。これにより、揺動軸AXに垂直な任意の方向から接近する物体に対して第1リング部(台座側係合リング部24)が保護されるため、第1リング部(台座側係合リング部24)自身や、第1リング部(台座側係合リング部24)と第2リング部(フレーム側係合リング部52)との接触部Oに不要な外力が作用し難くなる。
次に、第3実施形態に係るペンダントトップ3のより具体的な構成について説明する。
第3実施形態に係るペンダントトップ3は、ダイヤモンドなどの宝石10が固定保持される台座部20と、その台座部20及び宝石10を支持するフレーム部50とを有する。フレーム部50は、ペンダントトップ3の正面視において逆V字状を呈するフレーム本体部51と、フレーム本体部51の左右下端部の裏面に設けられる左右のフレーム側係合リング部52と、フレーム本体部51の左右の下端部の背面側にそれぞれ固定される左右一対の保護部材60とを有する。
すなわち、第3実施形態に係るペンダントトップ3では、フレーム本体部51と保護部材60とが別の部品として形成されており、組み立て時にロウ付け等によって互いに固定される一方、台座部20及び宝石10は、前述の第1実施形態に係るペンダントトップ1の場合と同様に形成されている。
フレーム部50において、フレーム本体部51の上端部には、ペンダントのチェーン5を連結させるためのチェーン連結孔部53が、横方向に沿って貫通するように設けられている。また、フレーム本体部51の左右の下端部は、図13に示すペンダントトップ3の正面視において、台座部20及び宝石10の下端位置よりも更に下方に延びて形成されている。このようにフレーム本体部51の左右の下端部を形成することによって、ペンダントトップ3が身に着けられときに、使用者が着衣している衣服等を、ペンダントトップ3の下方側から宝石10及び台座部20に接触させ難くすることができる。
フレーム本体部51において、左右の下端部の背面(裏面)には、フレーム側係合リング部52を収容する左右のリング収容部54が設けられている。このリング収容部54は、フレーム本体部51の前後方向の厚さを部分的に薄くして形成されている。左右のリング収容部54の背面には、それぞれフレーム側係合リング部52が一体的に形成されている。な、フレーム側係合リング部52は、フレーム本体部51とは別に形成してから、フレーム本体部51の所定の位置にロウ付け等により固定されていても良い。
左右の保護部材60は、互いに別体として形成されている。また、左右の保護部材60は、フレーム本体部51の左右の下端部に、連結状態にあるフレーム側係合リング部52及び台座側係合リング部24を外側から覆うようにして、ロウ付け等により固定されている。この場合、各保護部材60は、フレーム側係合リング部52及び台座側係合リング部24の背面側を覆う後壁部61と、フレーム側係合リング部52及び台座側係合リング部24の横方向における外側側方を覆う外側側壁部62と、フレーム側係合リング部52及び台座側係合リング部24の下方を覆う底壁部63とを有する。更に、フレーム部50の左右の下端部の内側面部には、台座部20の左右のアーム部23を挿通させる内周側間隙(挿通開口部)が、フレーム本体部51の左右の下端部と保護部材60との間に設けられている。
このような第3実施形態に係るペンダントトップ3によれば、連結状態にあるフレーム側係合リング部52及び台座側係合リング部24の正面側と上面側とが、フレーム本体部51によって覆い隠されて保護されるとともに、連結状態にあるフレーム側係合リング部52及び台座側係合リング部24の背面側、外側面側、及び下面側が、保護部材60によって覆い隠されて保護される。言い換えると、第3実施形態に係るペンダントトップ3では、フレーム部50において、フレーム本体部51の左右の下端部と保護部材60とに挟まれるようにして形成される内部空間が、フレーム側係合リング部52及び台座側係合リング部24を相互に係合させた状態で内部に収容して保護する収容室として形成されている。
これにより、第3実施形態に係るペンダントトップ3では、ペンダントとしての通常の使用において、宝石10が細かく円滑に揺動できる状態を長期に亘って安定して維持できるとともに、糸などの絡み付きによって宝石10の細かな揺動が阻害されることを防止できるといった前述の第1実施形態に係るペンダントトップ1と同様の効果が得られる。
またフレーム本体部51及び左右の保護部材60は、ペンダントトップ3の側面視において、宝石10のキューレット部11が、フレーム本体部51の裏面位置及び保護部材60の裏面位置よりも表面側に位置するように形成されている。言い換えると、フレーム本体部51の裏面及び左右の保護部材60の裏面は、図14に示した状態において、ペンダントトップ3の表裏方向(前後方向)に関して、宝石10のキューレット部11の位置よりも更に裏側の位置に配されている。これにより、第3実施形態に係るペンダントトップ3が身に着けられときに、宝石10を、使用者が着衣した衣服やマフラーなどに接触させ難くすることができるため、台座部20及び宝石10の微小な揺動が、衣服やマフラーなどによって阻害され難くすることができる。
<第4実施形態>
図16は、第4実施形態に係る指輪の一例を示す正面図である。図17は、図16に示す指輪4に用いられる台座部90を示す模式斜視図である。図18は、図16に示す指輪4の要部を示す模式図である。
以下の指輪4に関する説明においても、既に説明したペンダントトップと同様に、指輪4の各構成要素の相対的な位置関係を示す3つの方向(縦方向、横方向、前後方向)が規定される。縦方向は、揺動軸AXに垂直な方向の1つであり、具体的には、図16に示す指輪4おける紙面の縦方向と同じである。横方向は、揺動軸AXに平行な方向であり、具体的には、図16に示す指輪4おける紙面の横方向と同じである。前後方向は、縦方向及び横方向に垂直な方向であり、具体的には、図16に示す指輪4における紙面に垂直な方向である。縦方向は、図16に示すように、指輪4に指を挿入する方向と概ね平行である。後述する被吊り下げ体は、前後方向が鉛直方向と概ね平行になる姿勢において揺動可能な状態となる。前後方向における前方とは、図16に示す指輪4の奥から手前に向かう方向であり、前後方向における後方とは、図16に指輪4の手前から奥に向かう方向である。
第4実施形態に係る指輪4は、例えば図16〜図18において示すように、フレーム部100と、ダイヤモンドなどの宝石10が固定保持される台座部90とを有する。フレーム部100は、フレーム本体部101と、フレーム本体部101に設けられた2つのフレーム側係合リング部102とを含む。台座部90は、2つの台座側係合リング部94を含む。図16及び図18に示すように、一方の台座側係合リング部94と一方のフレーム側係合リング部102とが連結され、他方の台座側係合リング部94と他方のフレーム側係合リング部102とが連結される。互いに連結された台座側係合リング部94とフレーム側係合リング部102とが、2つの接触部Oにおいて接触する。
第4実施形態に係る指輪4において、フレーム本体部101と後述の保護部材103を含んだ部分は、「フレーム」とも呼ばれる。宝石10と台座部90を含んだ部分は、「被吊り下げ体」とも呼ばれる。2つのフレーム側係合リング部102を含んだ部分は、「吊り下げ部」とも呼ばれる。台座側係合リング部94は、「第1リング部」とも呼ばれる。フレーム側係合リング部102は、「第2リング部」とも呼ばれる。
第4実施形態に係る指輪4における「フレーム」、「被吊り下げ体」及び「吊り下げ部」の概略的な構成は、既に説明した第1実施形態に係るペンダントトップ(1,1a,1c)と同様である。従って、第4実施形態に係る指輪4においても、2つの外側範囲REから接近する物体に対して2つの接触部Oをそれぞれ保護し、不要な外力がこれらの接触部Oに作用し難くすることができる。
また、第4実施形態に係る指輪4において、被吊り下げ体(宝石10及び台座部90)は、前後方向における少なくとも前側から目視可能であり、フレーム(フレーム本体部101及び保護部材103)は、横方向における左側及び右側から被吊り下げ体(宝石10及び台座部90)を覆う。これにより、前後方向における少なくとも前側から被吊り下げ体(宝石10及び台座部90)を目視することが可能になる一方、横方向における左側や右側から接近する物体に対して被吊り下げ体(宝石10及び台座部90)が保護されるため、被吊り下げ体(宝石10及び台座部90)自身や、被吊り下げ体(宝石10及び台座部90)と吊り下げ部(2つのフレーム側係合リング部102)との2つの接触部Oに不要な外力が作用し難くなる。
更に、第4実施形態に係る指輪4において、フレーム(フレーム本体部101及び保護部材103)は、縦方向における上側及び下側から被吊り下げ体(宝石10及び台座部90)を覆う。これにより、縦方向における上側や下側から接近する物体に対して被吊り下げ体(宝石10及び台座部90)が保護されるため、被吊り下げ体(宝石10及び台座部90)自身や、被吊り下げ体(宝石10及び台座部90)と吊り下げ部(2つのフレーム側係合リング部102)との2つの接触部Oに不要な外力が更に作用し難くなる。
また、第4実施形態に係る指輪4において、フレーム(フレーム本体部101及び保護部材103)は、第2リング部(フレーム側係合リング部102)を通り揺動軸AXに垂直な任意の平面上において第2リング部(フレーム側係合リング部102)の周囲を覆う。これにより、揺動軸AXに垂直な任意の方向から接近する物体に対して第2リング部(フレーム側係合リング部102)が保護されるため、第2リング部(フレーム側係合リング部102)に不要な外力が作用し難くなる。
しかも、第4実施形態に係る指輪4において、フレーム(フレーム本体部101及び保護部材103)は、第1リング部(台座側係合リング部94)を通り揺動軸AXに垂直な任意の平面上において第1リング部(台座側係合リング部94)の周囲を覆う。これにより、揺動軸AXに垂直な任意の方向から接近する物体に対して第1リング部(台座側係合リング部94)が保護されるため、第1リング部(台座側係合リング部94)自身や、第1リング部(台座側係合リング部94)と第2リング部(フレーム側係合リング部102)との接触部Oに不要な外力が作用し難くなる。
次に、第4実施形態に係る指輪4のより具体的な構成について説明する。
第4実施形態に係る指輪4は、環状の指輪本体部4aと、ダイヤモンドなどの宝石10が固定保持される台座部90と、指輪本体部4aに一体的に形成されるとともに台座部90及び宝石10を支持するフレーム部100とを有する。この場合、フレーム部100の一部は、後述するように保護部材103となる。
台座部90は、図17に示すように、宝石10が載置される台座本体部91と、台座本体部91に突設され、宝石10を固定する複数の爪部92と、台座本体部91の左右の側縁部から台座部90の幅方向の外側に向けて延出する左右のアーム部93と、左右のアーム部93の先端部に配される左右の台座側係合リング部94とを有する。左右のアーム部93は、台座本体部91から左右方向の外側に延出するとともに、台座側係合リング部94が台座本体部91に対して直交する姿勢で配されるようにねじれた形状を有する。左右の台座側係合リング部94の中央部には、円形状の中央開口部94aが形成されている。
この台座部90は、台座側係合リング部94及び後述するフレーム側係合リング部102を介してフレーム部100に支持されるときに、固定保持する宝石10のテーブル表面が前方を向く(図16で紙面手前側を向く)とともに、台座側係合リング部94の中央開口部94aが上下方向に向くように形成されている。
フレーム部100は、フレーム本体部101と、フレーム本体部101の内周壁面に固定される左右のフレーム側係合リング部102と、フレーム本体部101と一体に形成されるとともにフレーム本体部101の上端部から内側に向けて延出する環状の保護部材103とを有する。
フレーム本体部101は、台座部90及び宝石10を収容する収容領域(空間)を内側に備えるお椀状の形態に形成されており、宝石10のキューレットに対向するように配される底面部101aと、底面部101aの外周縁部から立ち上がるように配される内周壁面部101bとを有する、このフレーム本体部101の内周壁面部101bと底面部101aとは、宝石10との間に隙間を形成するように台座部90及び宝石10から離れて配されている。
左右のフレーム側係合リング部102は、円形状の中央開口部を有する。各フレーム側係合リング部102は、前後方向に対して略45°の傾斜角度で傾斜して、中央開口部が斜めに傾いた方向に向くような姿勢で、フレーム本体部101と保護部材103との境界部分又はその近傍に固定されている。この場合、フレーム側係合リング部102は、フレーム本体部101及び保護部材103の少なくとも一方に固定されていれば良いが、フレーム本体部101と保護部材103の両方に固定されることにより、フレーム側係合リング部102の固定強度を高めることができる。
なお本実施形態において、フレーム側係合リング部102の向きや姿勢、フレーム側係合リング部102のフレーム本体部101に対する固定手段は特に限定されず、例えばフレーム側係合リング部102を、前後方向と平行な姿勢でフレーム本体部101又は保護部材103に固定することも可能である。
保護部材103は、フレーム本体部101の上端部から、中心部に向けて内側に延びるとともに、フレーム本体部101の天面部に向けて下り傾斜して延びるように配されている。この保護部材103と、フレーム本体部101の内周壁面部101b及び底面部101aとの間には、左右のフレーム側係合リング部102及び台座側係合リング部94を相互に係合させた状態で収容する収容室(内部空間)104が設けられている。
このような第4実施形態に係る指輪4によれば、相互に連結状態にあるフレーム側係合リング部102と台座側係合リング部94の正面側、背面側、上面側、下面側、及び幅方向の外側面側が、保護部材103とお椀状のフレーム本体部101とにより覆い隠されて、フレーム側係合リング部102の全体と台座側係合リング部94の全体が保護される。すなわち、フレーム側係合リング部102と台座側係合リング部94とは、図16に示したような指輪4の正面視において、保護部材103の裏側に隠れて見えなくなるとともに、外部から意図しない外力(荷重)を直接受けることも防止できる。
従って、第4実施形態に係る指輪4では、通常の使用において、宝石10が細かく円滑に揺動できる状態を長期に亘って安定して維持でき、また、糸などの絡み付きによって宝石10の細かな揺動が阻害されることも防止できる。その結果、宝石の輝きがより美しく見え、指輪4の装飾効果や高級感をより効果的に高めることができる。
なお、第4実施形態では、少なくともフレーム部100の左右のフレーム側係合リング部102の全体と、左右の台座側係合リング部94におけるフレーム側係合リング部102との連結部分とが、保護部材103とフレーム本体部101とにより保護されていれば良く、例えば台座側係合リング部94におけるフレーム側係合リング部102との連結部分以外のリング部分が部分的に露出していてもよい。
ここまで、身飾品の実施形態として、第1実施形態〜第3実施形態ではペンダントトップを有するペンダントについて説明し、第4実施形態では指輪について説明した。しかしながら、本発明の身飾品の実施形態はこれらの例に限定されない。すなわち、本発明の身飾品の実施形態は、被吊り下げ体(宝石が固定保持された台座部など)が揺動可能に吊り下げられた構造を持つピアスやイヤリング、ブローチ、ネクタイ止めなど、その他の様々な身飾品にも同様に適用することができる。
また、上述した第1実施形態〜第4実施形態では、フレーム側係合リング部と台座側係合リング部とが全体的に中空の円に近い形状を有する場合について説明している。しかしながら、本発明の実施形態において、フレーム側係合リング部及び台座側係合リング部は、これらが連結されたときに互いに接触し得る内周部の一部分が円弧状の形状を有し、且つ、それ以外の部分が非円弧状の形状に有するように形成されていても良い。
また、被吊り下げ体及び吊り下げ部による吊り下げ構造は、少なくとも、被吊り下げ体と吊り下げ部とが2つの接触部において接触し、この2つの接触部を通る揺動軸の周りで被吊り下げ体が揺動可能に吊り下げられる構造であればよく、上述した各実施形態のようにリング部を用いた構造には限定されない。
上述した第1実施形態〜第4実施形態では、1つのフレーム部に対して1つの被吊り下げ体(宝石及び台座部など)が対応して配される身飾品について説明しているが、本発明の他の実施形態では、1つのフレーム部に対して複数の被吊り下げ体が配されていてもよい。
上述した第1実施形態〜第4実施形態では、被吊り下げ体に宝石が含まれる例を挙げたが、本発明の他の実施形態では、光を反射させる性質を持った宝石以外の様々な部材が被吊り下げ体に含まれていてもよい。
次に、様々な物品の外観を装飾する装飾用部品の実施形態を説明する。
<第5実施形態>
図19は、第5実施形態に係る装飾用部品の一例を示す正面図である。図20は、図19に示す装飾用部品7の背面図である。図21は、図19に示す装飾用部品7の正面図中央縦断面図である。図22は、図21の断面図において台座部20を省略した図である。本実施形態に係る装飾用部品7は、様々な物品(例えば眼鏡、腕時計、印鑑、かばん、財布、文房具、鍵、スマートフォン、オルゴール、置時計、おもちゃ、楽器、運動用具など)に固定され、その外観を装飾するための部品として使用される。
以下の装飾用部品に関する説明では、装飾用部品の各構成要素の相対的な位置関係を示すために、3つの方向(縦方向、横方向、前後方向)が規定される。縦方向は、後述する揺動軸AXに垂直な方向の1つであり、具体的には、図19及び図20に示す装飾用部品7おける紙面の縦方向と同じである。横方向は、後述する揺動軸AXに平行な方向であり、具体的には、図19及び図20に示す装飾用部品7おける紙面の横方向と同じである。前後方向は、縦方向及び横方向に垂直な方向であり、具体的には、図19及び図20に示す装飾用部品7における紙面に垂直な方向である。前後方向における前方とは、図19に示す装飾用部品7の奥から手前に向かう方向であり、前後方向における後方とは、図19に示す装飾用部品7の手前から奥に向かう方向である。
第5実施形態に係る装飾用部品7は、例えば図19〜図22において示すように、物品8に固定されたフレーム110と、ダイヤモンドなどの宝石10が固定保持される台座部20と、フレーム110に設けられた2つのフレーム側係合リング部32とを有する。台座部20は、2つの台座側係合リング部24を含む。図19及び図20に示すように、一方の台座側係合リング部24と一方のフレーム側係合リング部32とが連結され、他方の台座側係合リング部24と他方のフレーム側係合リング部32とが連結される。互いに連結された台座側係合リング部24とフレーム側係合リング部32とが、接触部Oにおいて接触する。
なお、第5実施形態に係る装飾用部品7において、宝石10と台座部20を含んだ部分は、「被吊り下げ体」とも呼ばれる。2つのフレーム側係合リング部32を含んだ部分は、「吊り下げ部」とも呼ばれる。台座側係合リング部24は、「第1リング部」とも呼ばれる。フレーム側係合リング部32は、「第2リング部」とも呼ばれる。
図19及び図20に示すように、吊り下げ部(2つのフレーム側係合リング部32)は、被吊り下げ体(宝石10及び台座部20)を仮想的な揺動軸AXの周りで揺動可能に吊り下げる。吊り下げ部(2つのフレーム側係合リング部32)と被吊り下げ体(宝石10及び台座部20)とは、揺動軸AX上に位置する2つの接触部Oにおいて接触する。
図19及び図20において、「PL」は揺動軸AXに垂直な平面を表し、「RE」は2つの平面PLによって区分される範囲(外側範囲)を表す。2つの平面PLは、フレーム110に対して規定された平面であり、2つの接触部Oの間に位置する。2つの平面PLによって区分される3つの範囲のうち、それぞれ1つの接触部を含む2つの範囲が、それぞれ外側範囲REである。2つの外側範囲REは、2つの平面PLを間に挟んで互いに隔てられている。
フレーム110は、図19〜図22において示すように、一方の接触部Oを含んだ一方の外側範囲REにおいて、物品8の外面201により覆われていない一方の接触部Oの周囲を覆う。また、フレーム110は、他方の接触部Oを含んだ一方の外側範囲REにおいて、物品8の外面201により覆われていない他方の接触部Oの周囲を覆う。
このように、第5実施形態に係る装飾用部品7では、吊り下げ部(2つのフレーム側係合リング部32)によって吊り下げられた被吊り下げ体(宝石10及び台座部20)が、仮想的な揺動軸AXの周りで揺動可能な状態となる。この揺動可能な状態において、被吊り下げ体(宝石10及び台座部20)と吊り下げ部(2つのフレーム側係合リング部32)とが、揺動軸AX上に位置する2つの接触部Oにおいて接触する。2つの接触部Oの間に位置し揺動軸AXに垂直な所定の2つの平PL面を想定した場合、この2つの平面PLによって区分される3つの範囲のうち、それぞれ1つの接触部Oを含む2つの範囲が、それぞれ外側範囲REとして規定される。この2つの外側範囲REは、それぞれ異なる接触部Oを含む。一方の外側範囲REでは、物品8により覆われていない一方の接触部Oの周囲がフレーム110によって覆われる。すなわち、一方の外側範囲REでは、物品8とフレーム110とによって、一方の接触部Oの周囲が覆われる。これにより、一方の外側範囲REから接近する物体に対して一方の接触部Oが保護されるため、一方の接触部Oに不要な外力が作用し難くなる。また、他方の接触部Oを含んだ他方の外側範囲REでは、物品8により覆われていない他方の接触部Oの周囲がフレーム110によって覆われる。すなわち、他方の外側範囲REでは、物品8とフレーム110とによって、他方の接触部Oの周囲が覆われる。これにより、他方の外側範囲REから接近する物体に対して他方の接触部Oが保護されるため、他方の接触部Oに不要な外力が作用し難くなる。つまり、第5実施形態に係る装飾用部品7によれば、2つの外側範囲REから接近する物体に対して2つの接触部Oをそれぞれ保護し、不要な外力がこれらの接触部Oに作用し難くすることができる。
また、第5実施形態に係る装飾用部品7において、被吊り下げ体(宝石10及び台座部20)は、前後方向における少なくとも前側から目視可能であり、フレーム110は、横方向における左側及び右側から被吊り下げ体(宝石10及び台座部20)を覆う。
これにより、前後方向における少なくとも前側から被吊り下げ体(宝石10及び台座部20)を目視することが可能になる一方、横方向における左側や右側から接近する物体に対して被吊り下げ体(宝石10及び台座部20)が保護されるため、被吊り下げ体(宝石10及び台座部20)自身や、被吊り下げ体(宝石10及び台座部20)と吊り下げ部(2つのフレーム側係合リング部32)との2つの接触部Oに不要な外力が作用し難くなる。
更に、第5実施形態に係る装飾用部品7において、フレーム110は、縦方向における上側及び下側から被吊り下げ体(宝石10及び台座部20)を覆う。
これにより、縦方向における上側や下側から接近する物体に対して被吊り下げ体(宝石10及び台座部20)が保護されるため、被吊り下げ体(宝石10及び台座部20)自身や、被吊り下げ体(宝石10及び台座部20)と吊り下げ部(2つのフレーム側係合リング部32)との2つの接触部Oに不要な外力が作用し難くなる。
また、フレーム110は、第2リング部(フレーム側係合リング部32)を通り揺動軸AXに垂直な任意の平面上において、物品8により覆われていない第2リング部(フレーム側係合リング部32)の周囲を覆う。
これにより、揺動軸AXに垂直な任意の方向から接近する物体に対して第2リング部(フレーム側係合リング部32)が保護されるため、第2リング部(フレーム側係合リング部32)に不要な外力が作用し難くなる。
しかも、フレーム110は、第1リング部(台座側係合リング部24)を通り揺動軸AXに垂直な任意の平面上において、物品8により覆われていない第1リング部(台座側係合リング部24)の周囲を覆う。
これにより、揺動軸AXに垂直な任意の方向から接近する物体に対して第1リング部(台座側係合リング部24)が保護されるため、第1リング部(台座側係合リング部24)自身や、第1リング部(台座側係合リング部24)と第2リング部(フレーム側係合リング部32)との接触部Oに不要な外力が作用し難くなる。
次に、図19〜図22に示す装飾用部品7の具体的な構成について説明する。
フレーム110は、既に説明した図1のフロントパーツ36(図1、図3、図6)と概ね同じである。従って、フレーム110についての詳細な説明や、フレーム110における2つのフレーム側係合リング部32の配置などについての詳細な説明は割愛する。
フレーム110は、図19〜図22において示すように、ドーナツ状の形状を持つ中空体を径方向に平行な平面で半分に切断したような全体形状を持ち、その切断面の円形の縁114が物品8の表面に接着剤などで固定される。図21及び図22に示すように、物品8の表面には、円柱状に凹んだ凹部202が形成されており、その凹部202を塞ぐようにフレーム110が固定される。図21及び図22の例において、凹部202の開口部の縁には段差203が形成されており、この段差203にフレーム110の縁114が嵌合される。フレーム110の縁114が段差203に嵌合されることによって、凹部202の開口部に対してフレーム110の縁114が正確に位置決めされ易くなる。
2つのフレーム側係合リング部32は、図22に示すように、2つの接触部Oを覆うように配置されたフレーム110の内面113に設けられている。これにより、フレーム110によるフレーム側係合リング部32の支持と、フレーム110による接触部Oの保護とが簡易な構造で実現される。
フレーム110は、図19及び図20に示すように、被吊り下げ体(宝石10及び台座部20)の一部を外側に露出させる開口部112を持つ。これにより、揺動する被吊り下げ体(宝石10及び台座部20)の一部を開口部112において目視し易くなる。また、被吊り下げ体(宝石10及び台座部20)において反射された光が直接目に届くため、被吊り下げ体からの強い輝きが得られ易くなる。
フレーム110の開口部112の縁115は、図21及び図22に示すように、接触部Oを覆うフレーム110の内面113側において突出している。これにより、開口部112側から見て被吊り下げ体(宝石10及び台座部20)と吊り下げ部(2つのフレーム側係合リング部32)との接触部Oが開口部112の縁115により覆われるため、開口部112側から接近する物体に対して接触部Oが保護され易くなる。
<第6実施形態>
図23は、第6実施形態に係る装飾用部品7aの一例を示す図であり、着脱部121が基部130から取り外された状態を示す。図24は、第6実施形態に係る装飾用部品7aの一例を示す図であり、着脱部121が基部130に取り付けられた状態を示す。図23及び図24は、いずれも、台座部20の図示が省略された図22の断面図に対応する図面である。
図23に示す装飾用部品7aについて規定される3つの方向(縦方向、横方向、前後方向)は、図19〜図22に示す装飾用部品7と同様である。すなわち、図23及び図24の紙面の縦方向が装飾用部品7aの縦方向と一致し、図23及び図24の紙面の前後方向(表裏方向)が装飾用部品7aの横方向と一致し、図23及び図24の紙面の横方向が装飾用部品7aの前後方向と一致する。
第6実施形態に係る装飾用部品7aは、例えば図23〜図24において示すように、フレーム120と、ダイヤモンドなどの宝石10が固定保持される台座部20と、フレーム110に設けられた2つのフレーム側係合リング部32とを有する。フレーム120は、物品8に固定された基部130と、基部130に着脱可能に固定された着脱部121とを含む。台座部20は、2つの台座側係合リング部24を含む。既に説明した装飾用部品7と同様に、第6実施形態に係る装飾用部品7aにおいても、一方の台座側係合リング部24と一方のフレーム側係合リング部32とが連結され、他方の台座側係合リング部24と他方のフレーム側係合リング部32とが連結される。互いに連結された台座側係合リング部24とフレーム側係合リング部32とが、接触部Oにおいて接触する。着脱部121は、基部130に装着された状態において、前方側から2つの接触部Oを覆う。
この第6実施形態に係る装飾用部品7aにおいて、宝石10と台座部20を含んだ部分は、「被吊り下げ体」とも呼ばれる。2つのフレーム側係合リング部32を含んだ部分は、「吊り下げ部」とも呼ばれる。台座側係合リング部24は、「第1リング部」とも呼ばれる。フレーム側係合リング部32は、「第2リング部」とも呼ばれる。
第6実施形態に係る装飾用部品7aにおける「フレーム」、「被吊り下げ体」及び「吊り下げ部」の概略的な構成は、既に説明した第6実施形態に係る装飾用部品7と同様である。従って、第6実施形態に係る装飾用部品7においても、2つの外側範囲REから接近する物体に対して2つの接触部Oをそれぞれ保護し、不要な外力がこれらの接触部Oに作用し難くすることができる。
また第6実施形態に係る装飾用部品7aでは、2つの接触部Oを覆う着脱部121が、物品8に固定された基部130に対して着脱可能に固定される。そのため、着脱部121や被吊り下げ体(宝石10及び台座部20)などを交換したり補修したりすることが可能になる。
次に、図23及び図24に示す装飾用部品7aの具体的な構成について説明する。
着脱部121は、既に説明したフレーム110(図19〜図21)と同様な構造を持つ着脱部本体122と、結合部123とを含む。
着脱部本体122は、図23及び図24において示すように、ドーナツ状の形状を持つ中空体を径方向に平行な平面で半分に切断したような全体形状を持ち、その切断面の円形の縁にリング状の結合部123が固定される。2つのフレーム側係合リング部32は、図24に示すように、2つの接触部Oを覆うように配置された着脱部本体122の内面126に設けられている。着脱部本体122は、図23及び図24に示すように、被吊り下げ体(宝石10及び台座部20)の一部を外側に露出させる開口部125を持つ。着脱部本体122の開口部125の縁127は、図23及び図24に示すように、接触部Oを覆う着脱部本体122の内面126側において突出している。
図23及び図24に示すように、物品8の表面には、円柱状に凹んだ凹部202が形成されており、その凹部202の中に基部130が嵌め込まれて固定される。基部130には、円柱状に凹んだ凹部131が更に形成されており、着脱部121はこの凹部131を塞ぐようにして基部130に固定される。基部130の凹部131における開口部の縁には、リング状の結合部133が形成される。
着脱部121のリング状の結合部123と、基部130のリング状の結合部133とは、ネジ構造によって互いに結合(螺合)される。図23の例において、着脱部121の結合部123の内周面にネジ溝124が形成されており、基部130の結合部133の外周面にもネジ溝134が形成されている。着脱部121の結合部123の中に、基部130の結合部133を差し込んで回転させることにより、結合部123と結合部133とが螺合され、着脱部121が基部130に固定される。
<第7実施形態>
図25は、第7実施形態に係る装飾用部品7bの一例を示す図であり、着脱部121が基部130から取り外された状態を示す。図26は、第7実施形態に係る装飾用部品7bの一例を示す図であり、着脱部121が基部130に取り付けられた状態を示す。図25及び図26は、いずれも、台座部20の図示が省略された図22の断面図に対応する図面である。
第7実施形態に係る装飾用部品7bは、前述した第6実施形態に係る装飾用部品7aにおける吊り下げ部(2つのフレーム側係合リング部32)の固定場所を、着脱部121から基部130に変更したものであり、他の構成は第6実施形態に係る装飾用部品7aと同じである。図25及び図26の例において、係る装飾用部品7bは、基部130において2つのフレーム側係合リング部32を支持するための2つの支持部135を有する。
第7実施形態に係る装飾用部品7bでは、基部130によって吊り下げ部(2つのフレーム側係合リング部32)が支持されているため、仮に着脱部121が脱落した場合でも、被吊り下げ体(宝石10及び台座部20)が基部130に留まる。従って、着脱部121の脱落による被吊り下げ体(宝石10及び台座部20)の紛失が生じ難くなる。
<第8実施形態>
図27は、第8実施形態に係る装飾用部品7cの一例を示す図であり、着脱部121が基部130から取り外された状態を示す。図28は、第8実施形態に係る装飾用部品7cの一例を示す図であり、着脱部121が基部130に取り付けられた状態を示す。図25及び図26は、いずれも、台座部20の図示が省略された図22の断面図に対応する図面である。
第8実施形態に係る装飾用部品7cは、前述した第7実施形態に係る装飾用部品7bにおける着脱部本体122を透明カバー部材141に置き換えたものであり、他の構成は第7実施形態に係る装飾用部品7bと同じである。透明カバー部材141は、透明な樹脂やガラスなどで形成された部材であり、着脱部121が基部130に取り付けられた状態において、被吊り下げ体(宝石10及び台座部20)の全体が透明カバー部材141に覆われた状態となる。そのため、被吊り下げ体(宝石10及び台座部20)を目視可能な状態としつつ、不要な外力が接触部Oに作用し難くすることができるとともに、接触部Oに埃などが付着し難くすることができる。
<第9実施形態>
図29A〜図29C、図30A〜図30F及び図31A〜図31Dは、第9実施形態に係る物品の例を示す図ある。
図29Aは、装飾用部品7を備えた眼鏡8aの一例を示す。
図29Bは、装飾用部品7を備えたスマートフォン8bの一例を示す。
図29Cは、装飾用部品7を備えた腕時計8cの一例を示す。
図30Aは、装飾用部品7を備えた置時計8dの一例を示す。
図30Bは、装飾用部品7を備えたかばん8eの一例を示す。
図30Cは、装飾用部品7を備えた財布8fの一例を示す。
図30Dは、装飾用部品7を備えた印鑑8gの一例を示す。
図30Eは、装飾用部品7を備えた文房具(ペン)8hの一例を示す。
図30Fは、装飾用部品7を備えた鍵8iの一例を示す。
図31Aは、装飾用部品7を備えたオルゴール8jの一例を示す。
図31Bは、装飾用部品7を備えたおもちゃ(人形)8kの一例を示す。
図31Cは、装飾用部品7を備えた楽器(ギター)8mの一例を示す。
図31Dは、装飾用部品7を備えた運動用具(ゴルフマーカー)8nの一例を示す。
なお、これらの物品の例は一例に過ぎず、本実施形態に係る装飾用部品は他の種々の物品に取り付けてもよい。
以下、本発明の身飾品の実施形態に関連する付記1〜21を開示する。本発明の装飾用部品の実施形態は、付記1〜21に係る身飾品と同様の構成を有し、フレーム部若しくはフレームが物品に固定されたものでもよい。
[付記1]
宝石を固定保持する台座部と、前記台座部を支持するフレーム部とを有し、前記台座部は、前記宝石を挟んで相対する位置に配される左右一対の台座側係合リング部を備え、前記フレーム部は、左右の前記台座側係合リング部がそれぞれ連結されて係合する左右一対のフレーム側係合リング部を備え、且つ、左右の前記フレーム側係合リング部に左右の前記台座側係合リング部がそれぞれ連結されることにより前記台座部及び前記宝石が前記フレーム部に対して揺動可能に支持される身飾品において、
前記台座側係合リング部及び前記フレーム側係合リング部が相互に連結された状態で、少なくとも前記フレーム側係合リング部と、前記台座側係合リング部の前記フレーム側係合リング部に対する連結部分とを外側から保護する保護部材を有してなることを特徴とする身飾品。
この身飾品は、宝石を固定保持する台座部と、その台座部を揺動可能に支持するフレーム部とを有する。台座部は、宝石を挟むようにして相対する反対側の位置に配されるとともに少なくとも一部が円弧状(好ましく環状)に形成される左右一対の台座側係合リング部を備える。フレーム部は、少なくとも一部が円弧状(好ましく環状)に形成されるとともに台座側係合リング部がそれぞれ連結される左右一対のフレーム側係合リング部を備える。なお、身飾品に用いられる宝石には、ダイヤモンドやサファイアなどの天然宝石(天然鉱物)が含まれるだけでなく、合成した鉱物を使用する合成宝石(人工宝石)や、ガラスなどを使用する模倣宝石なども含まれる。
また、この身飾品は、台座部の台座側係合リング部とフレーム部のフレーム側係合リング部とがそれぞれの内周端縁部同士を接触させるように連結された状態で、これらの台座側係合リング部とフレーム側係合リング部とを外側から囲んで保護する保護部材を有する。
この場合、保護部材は、少なくとも、フレーム側係合リング部と、台座側係合リング部におけるフレーム側係合リング部に対する連結部分とを外側から保護するように形成される。ここで、台座側係合リング部における上述の連結部分とは、台座側係合リング部のフレーム側係合リング部が連結されて接触するリング部分であり、この連結部分(リング部分)は、宝石を後述するように微小に揺動させたときにフレーム側係合リング部の内周縁部が摺接する範囲(領域)を含む。
また保護部材は、揺動する台座部と干渉しないように、台座部の揺動可能範囲を除いて、連結状態にある台座側係合リング部及びフレーム側係合リング部との外側に、これらを保護するように配される。具体的には、保護部材は、フレーム側係合リング部と台座側係合リング部の上述した連結部分とにおける少なくとも正面側、背面側、上面側、下面側、及び幅方向の外側面側を保護するように配される。この場合、保護部材は、保護部材のみで台座側係合リング部及びフレーム側係合リング部を保護しても良いし、また、保護部材と、その保護部材とは別に形成されるフレーム部の一部とによって、台座側係合リング部及びフレーム側係合リング部を保護しても良い。
このような保護部材を有する身飾品であれば、台座部が、フレーム部に対し、台座側係合リング部及びフレーム側係合リング部を介して揺動可能に安定して支持される。また、少なくとも台座側係合リング部の上述した連結部分と、フレーム側係合リングとが、保護部材によって覆われて外部に露出しないように保護される。このため、台座側係合リング部とフレーム側係合リング部とが相互に連結して宝石の微小な揺動を可能にする連結構造部分が、別の物体に直接衝突すること等によって意図しない外力を受けることを、シンプルな構造で防止できる。
このため、身飾品の通常の使用では、台座側係合リング部及びフレーム側係合リング部における上述の連結構造部分がダメージを受けて変形することを効果的に防止して、これらの形状を安定して維持できる。その結果、台座側係合リング部やフレーム側係合リング部の変形に起因して宝石の細かな揺動運動が不能になるという不具合や、台座部がフレーム部から外れるという不具合が生じることを防いで、台座部及び宝石が細かく円滑に揺動可能な状態を長期に亘って安定して維持することができる。
また、台座側係合リング部及びフレーム側係合リング部が保護部材によって保護されることにより、髪の毛や糸などを台座側係合リング部やフレーム側係合リング部に絡み付き難くすることができる。それにより、身飾品の取り扱い性を向上させることができるとともに、糸などの絡み付きによって台座部及び宝石の揺動運度が阻害されることも防止できる。
更に、台座側係合リング部及びフレーム側係合リング部を保護部材で被覆して外部から見えないように又は見え難いように隠せることにより、身飾品のデザインに対する制約が軽減されるため、デザインの自由度が拡大し、デザインのバリエーションを容易に増大させることが可能となる。
[付記2]
前記保護部材により、前記フレーム側係合リング部及び前記台座側係合リング部の全体が保護されてなる付記1に記載の身飾品。
この身飾品では、連結状態にある台座側係合リング部及びフレーム側係合リング部の全体における少なくとも正面側、背面側、上面側、下面側、及び幅方向の外側面側を、外部に露出しないように保護部材で覆って、安定して保護することができる。このため、連結状態の台座側係合リング部及びフレーム側係合リング部が、別の物体に直接衝突すること等によって意図しない外力を受けることを確実に防止し、台座部及び宝石の微小な揺動可能状態を長期に亘ってより安定して維持することができる。
[付記3]
前記台座側係合リング部における前記連結部分以外の少なくとも一部が露出してなる付記1に記載の身飾品。
このように、台座側係合リング部における連結部分以外の少なくとも一部が露出するようにして、保護部材でフレーム側係合リング部及び台座側係合リング部を保護することも可能である。これによっても、台座部及び宝石の微小な揺動可能状態を長期に亘って安定して維持することができる。
[付記4]
前記保護部材は、前記台座側係合リング部及び前記フレーム側係合リング部の正面を保護するフロントパーツと、前記台座側係合リング部及び前記フレーム側係合リング部の背面を保護するとともに前記フロントパーツに固定されるリアパーツとを有してなる付記1〜3のいずれか1つに記載の身飾品。
この身飾品において、保護部材は、台座側係合リング部及びフレーム側係合リング部の正面側に配されてこれらを保護するフロントパーツ(第1パーツ)と、台座側係合リング部及びフレーム側係合リング部の背面側に配されてこれらを保護するとともにフロントパーツに固定されるリアパーツ(第2パーツ)とを有する。
このようなフロントパーツとリアパーツとを有する保護部材を用いることにより、保護部材を簡単な構造で形成できる。また、台座部に配される左右の台座側係合リング部を、フレーム部に配される左右のフレーム側係合リング部にそれぞれ連結してから、これらのリング部を保護するようにしてフロントパーツとリアパーツとを相互に固定して保護部材を形成することができる。これにより、台座部及び宝石が揺動可能に配され、且つ、台座側係合リング部及びフレーム側係合リング部が保護部材で保護される身飾品を容易に且つ安定して製造することができる。
[付記5]
前記フロントパーツと前記リアパーツとは表裏対称的な形状を有してなる付記4に記載の身飾品。
この身飾品では、フロントパーツとリアパーツとは表裏対称的な形状を有することにより、フロントパーツ及びリアパーツとして、同じ形状及び同じ材質を有するパーツ(部品)を用いることができる。それにより、保護部材のフロントパーツ及びリアパーツを安価に作製することができる。また、保護部材を身飾品に取り付ける(組み付ける)際に、フロントパーツとリアパーツとを取り間違えることが生じないため、保護部材の取り付け作業が煩雑化することを防いで、取り付け作業を効率的に行うことが可能となる。なお、フロントパーツとリアパーツとに、互いに形状が全く異なるパーツや、互いに材質が全く異なるパーツを使用することも可能である。
[付記6]
前記保護部材は、連結された一方の前記台座側係合リング部及び前記フレーム側係合リング部と、連結された他方の前記台座側係合リング部及び前記フレーム側係合リング部とを同時に保護する単一の一体的な形状を有してなる付記1〜5のいずれか1つに記載の身飾品。
この身飾品において、保護部材は、左右に配される一対の台座側係合リング部及びフレーム側係合リング部に対し、連結された一方の台座側係合リング部及びフレーム側係合リング部を保護するとともに、連結された他方の台座側係合リング部及びフレーム側係合リング部を同時に保護する単一の一体的な形状を有して形成される。これにより、保護部材を簡単な構造で形成できる。また、保護部材を、左右の台座側係合リング部及びフレーム側係合リング部の外側に容易に且つ安定して取り付けることができ、それによって、台座側係合リング部及びフレーム側係合リング部が安定して保護される。
[付記7]
前記保護部材は、前記フレーム部の少なくとも一部を構成し、
前記保護部材の内面に、前記フレーム側係合リング部が固定されてなる、
付記1〜6のいずれか1つに記載の身飾品。
この身飾品において、保護部材は、フレーム部の少なくとも一部を構成するように、具体的には、フレーム部のフレーム本体部を構成するように形成される。この場合、保護部材の内面に、フレーム側係合リング部が固定される。これにより、フレーム部を簡単な構造で形成できるとともに、フレーム部を構成する保護部材によって、連結状態にある台座側係合リング部とフレーム側係合リング部とを確実に保護できる。なお、保護部材はフレーム部の一部として形成されず、フレーム部が、フレーム本体部とフレーム側係合リング部とを有する部材として保護部材とは別に形成されていても良い。
[付記8]
前記保護部材は、中空形状を有してなる付記1〜7のいずれか1つに記載の身飾品。
この身飾品において、保護部材は、中空形状を有する。これにより、保護部材の内側に、連結状態の台座側係合リング部とフレーム側係合リング部とを安定して収容して保護できる。また、中空形状の保護部材は、例えば金属製の薄板材にプレス加工等を行うことによって安定して形成可能であるとともに、例えば内部が埋められている中実の保護部材に比べて原料コストを低く抑えることができる。
[付記9]
宝石を固定保持する台座部と、前記台座部を支持するフレーム部とを有し、前記台座部は、前記宝石を挟んで相対する位置に配される左右一対の台座側係合リング部を備え、前記フレーム部は、左右の前記台座側係合リング部がそれぞれ連結されて係合する左右一対のフレーム側係合リング部を備え、且つ、左右の前記フレーム側係合リング部に左右の前記台座側係合リング部がそれぞれ連結されることにより前記台座部及び前記宝石が前記フレーム部に対して揺動可能に支持される身飾品において、
前記フレーム部は、前記台座側係合リング部及び前記フレーム側係合リング部が相互に連結された状態で、少なくとも前記フレーム側係合リング部と、前記台座側係合リング部の前記フレーム側係合リング部に対する連結部分とを内部に収容して外側から保護する収容室を有してなることを特徴とする身飾品。
この身飾品は、宝石を固定保持する台座部と、その台座部を揺動可能に支持するフレーム部とを有する。台座部は、宝石を挟むようにして相対する反対側の位置に配されるとともに少なくとも一部が円弧状(好ましく環状)に形成される左右一対の台座側係合リング部を備える。フレーム部は、少なくとも一部が円弧状(好ましく環状)に形成されるとともに台座側係合リング部がそれぞれ連結される左右一対のフレーム側係合リング部を備える。
フレーム部は、台座部の台座側係合リング部とフレーム部のフレーム側係合リング部とがそれぞれの内周端縁部同士を接触させるように連結された状態で、少なくともフレーム側係合リング部と、台座側係合リング部のフレーム側係合リング部に対する連結部分とを内部に収容して外側から保護する収容室を有する。この場合、収容室を有するフレーム部は、揺動する台座部と干渉しないように、台座部の揺動可能範囲を除いて、連結状態にある台座側係合リング部及びフレーム側係合リング部との外側に、これらを保護するように配される。
このようにフレーム部が収容室を有する身飾品であれば、台座部が、フレーム部に対し、台座側係合リング部及びフレーム側係合リング部を介して揺動可能に安定して支持される。また、少なくとも台座側係合リング部の上述した連結部分と、フレーム側係合リング部とがフレーム部の収容室内に収容されて、外部に露出しないように保護される。このため、台座側係合リング部とフレーム側係合リング部とが相互に連結して宝石の微小な揺動を可能にする連結構造部分が、別の物体に直接衝突すること等によって意図しない外力を受けることを、シンプルな構造で防止できる。
このため、身飾品の通常の使用では、台座側係合リング部及びフレーム側係合リング部における上述の連結構造部分がダメージを受けて変形することを効果的に防止して、これらの形状を安定して維持できる。その結果、台座側係合リング部やフレーム側係合リング部の変形に起因して宝石の細かな揺動運動が不能になるという不具合や、台座部がフレーム部から外れるという不具合が生じることを防いで、台座部及び宝石が細かく円滑に揺動可能な状態を長期に亘って安定して維持することができる。
また、台座側係合リング部及びフレーム側係合リング部がフレーム部の収容室内に収容されて保護されることにより、髪の毛や糸などを台座側係合リング部やフレーム側係合リング部に絡み付き難くすることができる。それにより、身飾品の取り扱い性を向上させることができるとともに、糸などの絡み付きによって台座部及び宝石の揺動運度が阻害されることも防止できる。
更に、台座側係合リング部及びフレーム側係合リング部をフレーム部の収容室内に保持して外部から見えないように又は見え難いように隠せることにより、身飾品のデザインに対する制約が軽減されるため、デザインの自由度が拡大し、デザインのバリエーションを容易に増大させることが可能となる。
[付記10]
前記収容室に、前記フレーム側係合リング部及び前記台座側係合リング部の全体が収容されてなる付記9に記載の身飾品。
この身飾品において、フレーム部の収容室内にフレーム側係合リング部及び台座側係合リング部の全体が収容されることにより、フレーム側係合リング部の全体と台座側係合リング部の全体とがフレーム部により保護される。これによって、連結状態にある台座側係合リング部及びフレーム側係合リング部の全体における少なくとも正面側、背面側、上面側、下面側、及び幅方向の外側面側を、外部に露出しないように隠して安定して保護することができる。このため、連結状態の台座側係合リング部及びフレーム側係合リング部が、別の物体に直接衝突すること等によって意図しない外力を受けることを確実に防止し、台座部及び宝石の微小な揺動可能状態を長期に亘ってより安定して維持することができる。
[付記11]
前記台座側係合リング部における前記連結部分以外の少なくとも一部が露出してなる付記9に記載の身飾品。
このように、台座側係合リング部における連結部分以外の少なくとも一部が露出するようにして、フレーム部の収容室内にフレーム側係合リング部及び台座側係合リング部を収容することも可能である。これによっても、台座部及び宝石の微小な揺動可能状態を長期に亘って安定して維持することができる。
[付記12]
前記フレーム部のフレーム本体部は、前記台座側係合リング部及び前記フレーム側係合リング部の正面を保護するフロントパーツと、前記台座側係合リング部及び前記フレーム側係合リング部の背面を保護するとともに前記フロントパーツに固定されるリアパーツとを有し、
前記フロントパーツと前記リアパーツとは表裏対称的な形状を有し、
前記フレーム本体部は、前記収容室を形成する中空の形状を有してなる、
付記9〜11のいずれか1つに記載の身飾品。
このようにフレーム部のフレーム本体部がフロントパーツとリアパーツとを有することにより、左右の台座側係合リング部を左右のフレーム側係合リング部にそれぞれ連結してから、これらのリング部を保護するようにしてフロントパーツとリアパーツとを相互に固定してフレーム本体部を形成できる。このため、台座側係合リング部及びフレーム側係合リング部を簡単な構造で安定して保護できる。また、中空形状のフレーム本体部は、例えば金属製の薄板材にプレス加工等を行うことによって安定して形成可能であるとともに、例えば内部が埋められている中実のフレーム本体部に比べて原料コストを低く抑えることができる。
[付記13]
前記フレーム部は、前記台座部の一部を挿通させる挿通開口部を有し、
前記挿通開口部は、前記台座部及び前記宝石の揺動を許容すると同時に、前記台座部及び前記宝石の揺動範囲を規制する大きさを有してなる、
付記1〜12のいずれか1つに記載の身飾品。
この構成によれば、台座部及び宝石が細かく円滑に揺動可能な状態を安定して維持できる。また、フレーム部で台座部及び宝石の揺動可能範囲が規制されることにより、正面から見たときに綺麗に光って見える範囲で宝石を適切に揺動させることができるため、揺動による装飾効果をより有効に得ることが可能となる。
[付記14]
前記フレーム部は、前記身飾品を正面側から見たとき、前記台座部に保持された前記宝石の外周を取り囲み、且つ、前記宝石との間に隙間のある形状を有してなる付記1〜13のいずれか1つに記載の身飾品。
この構成によれば、フレーム部(保護部材)で台座部及び宝石の周りを全体的に保護できる。また、台座部及び宝石の外周近傍に配されたフレーム部に対して、宝石が宙に浮いた状態に見えるとともに、台座部及び宝石が細かく揺動することにより、宝石の揺れが強調され易くなる。その結果、台座部に保持された宝石の輝きがより美しく見え、身飾品の装飾効果や高級感をより効果的に高めることができ、また、身飾品が、今までにない斬新なイメージ(美感)を備えることも可能となる。更に、台座部及び宝石の周りにフレーム部が配されることにより、台座部及び宝石が揺動するときに、台座部及び宝石を使用者の衣類等に接触させ難くして、衣類等の接触によって台座部及び宝石の揺動が停止することを抑制できる。
[付記15]
前記身飾品の側面視において、前記身飾品の表裏方向に関し、前記フレーム部の裏側端面は、揺動可能な前記宝石の裏面側先端部の位置よりも更に裏側の位置に配されてなる付記1〜14のいずれか1つに記載の身飾品。
この構成によれば、身飾品が重力に従ってぶら下げられた状態において、又は、身飾品の通常の使用において、その身飾品を側面側から見たときに、身飾品の表裏方向に関し、フレーム部の裏側端面は、揺動可能な宝石の裏面側先端部の位置よりも更に裏側の位置に配されている。これにより、身飾品を身に着けたときに宝石(特に宝石の裏面側先端部)が衣服等に直接接触することを防いで、衣類等の接触によって台座部及び宝石の揺動が停止することをより効果的に抑制できる。このため、台座部及び宝石の揺動を長い時間で自然に持続させることができる。
[付記16]
フレームと、
2つの第1リング部を含んだ被吊り下げ体と、
2つの第2リング部を含み、前記フレームに設けられた吊り下げ部とを有し、
一方の前記第1リング部と一方の前記第2リング部とが連結され、
他方の前記第1リング部と他方の前記第2リング部とが連結され、
互いに連結された前記第1リング部と前記第2リング部とが接触部において接触し、
前記吊り下げ部は、前記被吊り下げ体を仮想的な揺動軸の周りで揺動可能に吊り下げ、
前記被吊り下げ体と前記吊り下げ部とは、前記揺動軸上に位置する2つの前記接触部において接触し、
前記2つの接触部の間に位置し前記揺動軸に垂直な所定の2つの平面により区分される3つの範囲のうち、それぞれ1つの前記接触部を含む2つの範囲をそれぞれ外側範囲と規定した場合に、
前記フレームは、
一方の前記外側範囲において、一方の前記接触部の周囲を覆い、
他方の前記外側範囲において、他方の前記接触部の周囲を覆う、
身飾品。
この身飾品では、吊り下げ部によって吊り下げられた被吊り下げ体が、仮想的な揺動軸の周りで揺動可能な状態となる。この揺動可能な状態において、被吊り下げ体と吊り下げ部とが、揺動軸上に位置する2つの接触部において接触する。すなわち、連結された一方の第1リング部と一方の第2リング部との接触部、及び、連結された他方の第1リング部と他方の第2リング部との接触部を通る揺動軸の周りで、被吊り下げ体が揺動可能な状態となる。2つの接触部の間に位置し揺動軸に垂直な所定の2つの平面を想定した場合、この2つの平面によって区分される3つの範囲のうち、それぞれ1つの接触部を含む2つの範囲が、それぞれ外側範囲として規定される。この2つの外側範囲は、それぞれ異なる接触部を含む。一方の接触部を含んだ一方の外側範囲では、フレームによって、一方の接触部の周囲が覆われる。これにより、一方の外側範囲から接近する物体に対して一方の接触部が保護されるため、一方の接触部に不要な外力が作用し難くなる。また、他方の接触部を含んだ他方の外側範囲では、フレームによって、他方の接触部の周囲が覆われる。これにより、他方の外側範囲から接近する物体に対して他方の接触部が保護されるため、他方の接触部に不要な外力が作用し難くなる。
[付記17]
前記揺動軸に垂直な方向の1つを縦方向と規定し、前記揺動軸に平行な方向を横方向と規定し、前記縦方向及び前記横方向に垂直な方向を前後方向と規定した場合に、
前記被吊り下げ体は、前記前後方向における少なくとも前側から目視可能であり、
前記フレームは、前記横方向における左側及び右側から前記被吊り下げ体を覆う、
付記16に記載の身飾品。
これにより、前後方向における少なくとも前側から被吊り下げ体を目視することが可能になる一方、横方向における左側や右側から接近する物体に対して被吊り下げ体が保護されるため、被吊り下げ体自身や、被吊り下げ体と吊り下げ部との2つの接触部に不要な外力が作用し難くなる。
[付記18]
前記フレームは、前記縦方向における上側及び下側から前記被吊り下げ体を覆う、
付記17に記載の身飾品。
これにより、縦方向における上側や下側から接近する物体に対して被吊り下げ体が保護されるため、被吊り下げ体自身や、被吊り下げ体と吊り下げ部との2つの接触部に不要な外力が作用し難くなる。
[付記19]
前記フレームは、前記第2リング部を通り前記揺動軸に垂直な任意の平面上において前記第2リング部の周囲を覆う、
付記16〜18のいずれか1つに記載の身飾品。
これにより、揺動軸に垂直な方向から接近する物体に対して第2リング部が保護されるため、第2リング部に不要な外力が作用し難くなる。
[付記20]
前記フレームは、前記第1リング部を通り前記揺動軸に垂直な任意の平面上において前記第1リング部の周囲を覆う、
付記16〜19のいずれか1つに記載の身飾品。
これにより、揺動軸に垂直な方向から接近する物体に対して第1リング部が保護されるため、第1リング部自身や、第1リング部と第2リング部との接触部に不要な外力が作用し難くなる。
本開示の第1の側面は、物品の外観を装飾する装飾用部品に関する。この装飾用部品は、物品に固定されたフレームと、2つの第1リング部を含む被吊り下げ体と、2つの第2リング部を含み、フレームに設けられた吊り下げ部とを有する。一方の第1リング部と一方の第2リング部とが連結され、他方の第1リング部と他方の第2リング部とが連結され、互いに連結された第1リング部と第2リング部とが接触部において接触する。吊り下げ部は、被吊り下げ体を仮想的な揺動軸の周りで揺動可能に吊り下げる。被吊り下げ体と吊り下げ部とは、揺動軸上に位置する2つの接触部において接触する。2つの接触部の間に位置し揺動軸に垂直な所定の2つの平面により区分される3つの範囲のうち、それぞれ1つの接触部を含む2つの範囲をそれぞれ外側範囲と規定した場合に、フレームは、一方の外側範囲に含まれる一方の接触部の周囲であって、物品により覆われていない当該一方の接触部の周囲のうち、少なくとも当該一方の外側範囲から見た当該一方の接触部の周囲を全て覆い、他方の外側範囲に含まれる他方の接触部の周囲であって、物品により覆われていない当該他方の接触部の周囲のうち、少なくとも当該他方の外側範囲から見た当該他方の接触部の周囲を全て覆う。
好適に、揺動軸に垂直な方向の1つを縦方向と規定し、揺動軸に平行な方向を横方向と規定し、縦方向及び横方向に垂直な方向を前後方向と規定した場合に、被吊り下げ体は、前後方向における少なくとも前側から目視可能であってよく、フレームは、横方向における左側及び右側から被吊り下げ体の全体を覆ってよい。
これにより、前後方向における少なくとも前側から被吊り下げ体を目視することが可能になる一方、横方向における左側や右側から接近する物体に対して被吊り下げ体が保護されるため、被吊り下げ体自身や、被吊り下げ体と吊り下げ部との2つの接触部に不要な外力が作用し難くなる。