JP3095572U - 装身具類における宝飾体の保持構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 装着する宝飾体の数や大きさに限定されるこ
となく、宝飾体のそれぞれを独自に揺動させ、外光に対
する宝飾体の角度を微妙に変化させることにより多様な
反射光を創出して美的効果をより高め、尚かつ、宝飾体
部分を交換可能とすることにより着用者の趣味感をより
満足させるとともに多くの場面での着用が可能な装身具
類を提供する。 【解決手段】 縦断面凹状の収装部を有する台座を設け
た装身具本体と、下部に所定寸の桿体を具える石座に宝
石類を留め付けてなる適宜数の宝飾体と、前記桿体の径
寸法よりやや大径をなす貫通孔が複数穿設され前記収装
部に係入可能な形状にて形成された座板とを用意し、各
宝飾体の桿体開放端を座板貫通孔に遊挿させその端部を
貫通孔より大径をなす膨部とするとともに、該座板を台
座収装部内にあって収装部底面との間で所定の間隙が生
じるような位置において係脱可能に装着する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、指輪、ペンダント、イヤリング又はブローチ等の装身具類における 宝飾体の保持構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、指輪等の装身具に取り付けられる宝石類は、一般的には台座又はフレー ムに固定された構造となっており、このように固定された宝石類は台座又はフレ ームと共動し、装身具本体に対して独自に揺動することはない。一方この種の装 身具に通例取り付けられるダイヤモンドやルビー等の宝石類の美しさは、光の反 射により得られる色や輝きの美しさで、基本的には素材自体の属性やカッテング によるところが大きいが、外光に対する宝石の角度を微妙に変化させて多様な反 射光を創出することも美的効果をより高めるのには極めて有効で、そのために、 宝飾体の部分だけを本体部分とは別に独自に揺動させる構造とした装身具も従来 より多数提案されている。

【０００３】 しかしながら、宝飾体部分を独自に揺動させるため従来より提案されている構 造は、イヤリングやペンダンドヘッド等に多くみられるように宝飾体部分を揺動 自在に垂下させた構造（実公平２−２５２９５、実開平２−７４９０８、特許第 ３２０４６３０号）、あるいは装身具本体に宝飾体部分が固定された構造を基本 とする指輪等にあっては、宝飾体部分を何等かの方法で台座に遊動可能に取り付 けた構造（実用登録第３０７８８６４号、実用登録第３０７６４７５号、実用登 録第３００８８１０号）となっており、前者の場合は宝飾体を垂設することが不 向きな指輪等の装身具には適用できず、また、後者の場合は全体的な装飾効果を 損なうような別部材を取り付ける必要があったり、装身具本体や台座に複雑な加 工を要する等の不都合がある。

【０００４】 したがって、これら従来構造からなる装身具類にあっては、取り付けられる宝 飾体は単体を基本としており、仮に揺動可能な複数の宝飾体を取り付けるとして もその数は精々２乃至４個程度が限度で、その数も予め定められており、小さな 宝飾体を多数取り付け（鏤め）てなる指輪等にあって、鏤められた個々の小さな 宝飾体をそれぞれ独自に揺動させることは、構造上から或いは加工技術上から実 際には実現不可能であり、また、装身具本体を変更することなく取り付ける宝飾 体の数や大きさをデザイン応じて適宜変更することはできない。

【０００５】 上記した宝飾体の揺動作用の問題とは別に、宝飾体部分を交換可能とすること が従来より要請されている。すなわち、この種の装身具類の購入（着用）の選定 にあたっては、個人の趣味趣向や着用場面（時・場所・場合）が基準とされるこ とはもとより、服、バッグあるいは他のアクセサリー等とのコーディネイトが考 慮されるもので、この際、宝飾体の付け替えが可能な構造としておけば、複数の 宝飾体あるいは複数の本体を用意することで多様な組合せが可能となり、その結 果、着用者の趣味感をより満足させることができるとともにその着用場面も広が る。また、業者（製作者・販売者）側の立場からしても、如何なる種類からなる 宝飾体あるいは本体を顧客側より要望されても、要望された宝飾体と本体との組 合せからなる装身具を迅速且つ無駄なく提供することができる。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、上記従来の装身具類が有していた欠点に鑑みなされたもので、取り 付ける宝飾体の数や大きさに限定されることなく、個々の宝飾体のそれぞれを独 自に揺動させ、外光に対する宝飾体の角度を微妙に変化させることにより多様な 反射光を創出して美的効果をより高めることができ、尚かつ、宝飾体を交換可能 とすることにより着用者の趣味感をより満足させるとともに多くの場面での着用 が可能な装身具類を提供することを課題とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記課題を解決するため、本考案にあっては、縦断面凹状の収装部を有する台 座を設けた装身具本体と、下部に所定寸の桿体を具える石座に宝石類を留め付け てなる適宜数の宝飾体と、前記桿体の径寸法よりやや大径をなす貫通孔が複数穿 設され前記収装部に係入可能な形状にて形成された座板とを用意し、各宝飾体の 桿体開放端を座板貫通孔に遊挿させその端部を貫通孔よりやや大径をなす膨部と することによって適宜数の宝飾体を座板にそれぞれ遊動可能に保持させるととも に、該宝飾体を保持する座板を台座収装部内にあって該収装部底面との間で所定 の間隙が生じるような位置において装着固定する。これによって、各宝飾体は座 板から抜け落ちることなく確実に保持されるとともに、縦方向にあっては石座と 桿体膨部とによって規制された範囲において、また、横方向にあっては桿体と貫 通孔との径寸法との差によって生じた隙間の範囲において遊動可能となり、この 宝飾体の遊動に伴い宝石類が揺動して外光に対する角度を微妙に変化させ多様な 反射光を創出する。

【０００８】 また、前記収装部の両側底部に一対の小孔を貫設し、該小孔に連通した一対の 凹条溝を装身具本体内側の何れかの箇所に穿設し、前記座板の裏面両側にこれら 小孔並びに凹条溝に対応する一対の係止ピンを突設し、該係止ピンを前記小孔並 びに凹条溝に挿貫させその突出部分を凹条溝内に折り曲げ収納する。これによっ て、宝飾体の遊動状態を維持しながら座板が本体に確実に装着固定されるととも に、係止ピンの曲げ戻し脱着により宝飾体を保持した座板の交換が可能とする。

【０００９】 また、前記台座の収装部の内周側面をテーパー状に形成し、前記座板の平面形 状を該収装部の縦方向略中央位置における内周側面に対応した形状とする。これ によって、収装部内に係止段部等の特別な係止手段を設けることなく該座板が収 装部内の縦方向略中央位置にて係合し、該座板と収装部底面との間に所定の間隙 が生じるよう構成できる。

【００１０】 また、前記桿体膨部を略球状に形成するとともに、前記収装部底面に前記貫通 孔と対応する皿状凹部を刻装する。これによって、座板が収装部内に装着固定さ れた状態にあっては、球状膨部と皿状凹部とが相当接するので、桿体相互や桿体 端部と収装部底部とが引っ掛かることがなく、したがって、宝飾体の自然で微妙 な揺動を得ることができる。

【００１１】

【考案の実施の形態】

以下、本考案の実施形態について実施例図面に基づき説明する。 図面は本考案による宝飾体の保持構造を指輪に適用した場合の実施例を示し、 図１は同指輪の全体斜視図、図２は同指輪の分解斜視図、図３は同指輪の縦断面 図、図４は要部拡大説明図で、本実施例の指輪は、指輪本体１と宝飾体２と座板 ３とから構成され、宝飾体２が座板３を介して指輪本体１に着脱可能に取り付け られるものである。

【００１２】 指輪本体１は、リング４と台座５とを一体的に成形したもので、貴金属合金等 を主な素材とする。台座５は、後述する座板３を係入する断面凹状の収装部６が 形成され、その内周側面６ａは開口方向にやや広がったテーパー状をなし、更に 、該収装部６の底面６ｂには皿状凹部７が複数刻装されているとともに、リング ４方向の左右両側に一対の小孔８、８が貫穿されている。そして、リング４には 、その内周環状面に沿って前記収装部６に貫穿された小孔８、８にそれぞれが連 通するよう左右一対の凹条溝９、９が穿設されている。

【００１３】 宝飾体２は、下部に桿体１２を具える石座１１に、ダイヤ、ルビー、エメラル ド等からなる宝石類１０を留め付けたもので、後述する座板３に穿設された貫通 孔１４の数の範囲内で適宜数用意される。

【００１４】 座板３は、前記台座５に設けられた収装部６の略中央位置における内周側寸法 及び形状にほぼ対応した平面寸法及び形状をなし、座板３を前記収装部６内に係 入した際、収装部６の内周側面６ａのほぼ縦中央位置にて係止され、その結果、 収装部６を形成する底面６ｂと該座板３との間に所定の等間隙が生じるよう形成 されている。尚、本実施例においては、上記のとおり収装部６の内周側面６ａを テーパー面としたことにより、これとの相対的関係において座板３が所定位置に て係止されるものであるが、かかる係止手段は実施例手段に限られるものではな く、例えば、収装部６の内周側面６ａの所定位置に突起又は段部を設けることに よる係止手段であってもよい。

【００１５】 そして、この座板３には、前記桿体１２の径寸法よりやや大径とした貫通孔１ ４が、前記収装部６の底面６ｂに刻装した皿状凹部７に対応する位置にて貫設さ れ、また、同じく収装部６の底面６ｂに貫設された左右一対の小孔８、８に対応 する位置には、リング４の内周環状面に沿って穿設された凹条溝９、９内に収ま る程度の寸法からなる係止ピン１５、１５が図示の如く設けられている。

【００１６】 次に、前記した指輪本体１と宝飾体２と座板３との取付方法について説明する と、先ず、座板３の貫通孔１４に適宜数用意した宝飾体２の桿体１２をそれぞれ 挿通し、該挿通した桿体１２の抜け落ちを防止するためその先端部を加工して貫 通孔１４の径よりやや大きめの径寸法からなる球状膨部１３とする。これによっ て、宝飾体２は座板３に抜け落ちることなく確実に保持されるとともに、貫通孔 １４に遊挿された桿体１２は、縦方向にあっては石座１１と球状膨部１３とによ って規制された範囲で、横方向にあっては桿体１２と貫通孔１４との径寸法の差 によって生じた隙間の範囲で遊動自在となる。

【００１７】 続いて、上記により宝飾体２を遊貫させた座板３を指輪本体１の収装部６内に 収納装着する。この装着は、台座５の収装部６に貫設されている小孔８、８に座 板３に設けられている係止ピン１５、１５を挿通させながら、座板３を収装部６ の内周側面６ａによって係止される位置まで確実に押し込み、更に、係止ピン１ ５、１５の小孔８、８より突出した部分をリング４の内周環状面に小孔８、８と 連通するよう穿設されている凹条溝９、９内に折り曲げ収納することにより行う 。これによって、宝飾体２の前記した遊動状態は維持されたまま、座板３は収装 部６内にあって指輪本体１に固定される。また、このように座板３が固定された 状態では、収装部６の底面６ｂに刻装されている皿状凹部７と桿体１２の球状膨 部１３とが当接する位置関係となる。

【００１８】 宝飾体２を保持した座板３を交換する際には、凹条溝９、９内に折り曲げ収納 係止されているピン１５、１５を初期状態に曲げ戻し、装着されている座板５を 脱着して別の宝飾体２が保持されている座板３を前記手順によって装着すること により行う。

【００１９】

【考案の効果】

本考案による装身具類は、以上のような宝飾体の支持構造よりなるため、装着 される宝飾体の数や大きさに限定されることなく、装着された個々の宝飾体をそ れぞれ独自に揺動させ、宝石類の微妙な角度変化による多様な反射光を創出し、 色や輝きのより美しい装身具類を提供することができる。

【００２０】 また、本考案による装身具類は、装身具本体に対して宝飾体を保持した座板の 着脱を可能としているため、複数の宝飾体部分又は装身具本体を用意しておくこ とにより、多様な組合せからなる装身具とすることができ、着用者の趣味感をよ り満足させるとともに多くの場面での着用が可能な装身具を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案に係る実施例指輪の全体斜視図。

【図２】 同指輪の分解斜視図。

【図３】 同指輪の縦断面図。

【図４】 同指輪の要部拡大説明図。

【符号の説明】

１：指輪本体 ２：宝飾体 ３：座板 ４：リング ５：台座 ６：収装部 ７：皿状凹部 ８：小孔 ９：凹条溝 １０：宝石類 １１：石座 １２：桿体 １３：球状膨部 １４：貫通孔 １５：係止ピン

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 縦断面凹状の収装部を有する台座を設け
   てなる装身具本体と、下部に所定寸の桿体を具える石座
   に宝石類を留め付けてなる適宜数の宝飾体と、前記桿体
   の径寸法よりやや大径をなす貫通孔が複数穿設され前記
   収装部に係入可能な形状にて形成された座板とからな
   り、各宝飾体の桿体開放端を座板貫通孔に遊挿させその
   端部を貫通孔よりやや大径をなす膨部とし、該適宜数の
   宝飾体を保持する座板を前記台座収装部内にあって該収
   装部底面との間で所定の間隙が生じるような位置におい
   て装着することにより、保持されている宝飾体のそれぞ
   れが独自に揺動するよう構成したことを特徴とする装身
   具類における宝飾体の保持構造。
2. 【請求項２】 前記収装部の両側底部に一対の小孔を貫
   設し、該小孔に連通した一対の凹条溝を装身具本体内側
   の何れかの箇所に穿設し、前記座板の裏面両側にこれら
   小孔並びに凹条溝に対応する一対の係止ピンを突設して
   なり、該係止ピンを前記小孔並びに凹条溝に挿貫させる
   とともに、該係止ピンの突出部分を凹条溝内に折り曲げ
   収納することによって、前記宝飾体を保持する座板が装
   身具本体に対し係脱可能に装着されるよう構成したこと
   を特徴とする請求項１に記載の装身具類における宝飾体
   の保持構造。
3. 【請求項３】 前記台座の収装部の内周側面をテーパー
   状に形成するとともに、前記座板の平面形状を該収装部
   の縦方向略中央位置における内周側面に対応した形状と
   し、該座板が収装部内の縦方向略中央位置にて係合して
   該座板と収装部底面との間に所定の間隙が生じるよう構
   成したことを特徴とする請求項１及び請求項２に記載の
   装身具類における宝飾体の保持構造。
4. 【請求項４】 前記桿体膨部を略球状に形成するととも
   に、前記収装部底面に前記複数の貫通孔と対応する複数
   の皿状凹部を刻装してなることを特徴とする請求項１乃
   至請求項３に記載の装身具類における宝飾体の保持構
   造。