引用する全ての特許文献および非特許文献の開示内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
別段の開示がなされていなければ、本明細書で使用される用語「1つの(a)]および「1つの(an)」は、1つ以上の(すなわち、少なくとも1つの)参照されるものを包含するものとする。
存在する場合、特に明記されていなければ、全ての範囲は包括的かつ結合可能である。例えば、「1〜5」と記載されているとき、記載範囲は「1〜4」、「1〜3」、「1〜2」、「1〜2および4〜5」、「1〜3および5」などの範囲を含むと解釈されるべきである。
用語「セロデキストリンホスホリラーゼ」、「セロデキストリンホスホリラーゼ酵素」などは、本明細書では同義語として使用される。セロデキストリンホスホリラーゼは、Enzyme Commission(EC)番号2.4.1.49のものであり、CAZy(糖質関連酵素)データベースによれば、グリコシルヒドロラーゼファミリー94(GH94)に属する。セロデキストリンホスホリラーゼは可逆的にアルファ−D−グルコース−1−リン酸およびセロデキストリン(基質)からのセルロースおよび遊離リン酸(生成物)の合成を触媒することができる。そのような反応は、グルコース−1−リン酸+(1,4−ベータ−D−グルコシル)n−1→(1,4−ベータ−グルコシル)n+リン酸と記述することができ、「(1,4−ベータ−D−グルコシル)n−1」はセロデキストリンであり、「(1,4−ベータ−グルコシル)n」はセルロースである。本明細書に記載のある態様では、セロデキストリンホスホリラーゼは、水性組成物に不溶な低分子量のセルロース(例えば、DPwが10〜30)を合成することができる。本明細書に記載のある態様では、セロデキストリンホスホリラーゼは、配列番号2または6と少なくとも90%相同のアミノ酸配列を含む。
「セルロース」という用語は、ベータ−1,4−結合D−グルコースモノマー単位の直鎖を有するグルカン多糖類を指す。セルロースは、任意選択により(1,4−ベータ−D−グルコシル)nと表され得る。ここで、nは本明細書で開示の低分子量セルロースのDPw値と同じ値(例えば、10〜30)であり得る。本明細書では、「グルカン」という用語は、グリコシド結合の1種である、グルコシド結合により結合したD−グルコースモノマーの多糖を指す。
本明細書では、「セルロースII型構造」、「セルロースII型結晶構造」、「セルロースII型」などは、同義語として使用される。セルロースII型構造は、例えばKolpak and Blackwell(Macromolecules 9:273−278)およびKroon−Batenburg and Kroon(Glycoconjugate J.14:677−690)で報告されており、いずれも参照により本明細書に組み込まれる。セルロースII型構造を特徴付ける支配的な水素結合は、O2−H−−−O6、O6−H−−−O6およびO2−H−−−O2であるが、セルロースI型は支配的な水素結合としてO2−H−−−O6を有する。セルロースII型の構造は、鎖の折り畳みを含み、解くのは困難である。セルロースII型は逆平行鎖を含むが、対照的にセルロースI型の鎖は平行である。
本明細書では、「グリコシド結合(linkage)」、「グリコシド結合(bond)」などの用語は同義語として使用され、炭水化物分子を他の炭水化物分子に結合する共有結合を指す。「グルコシド結合(linkage)」、「グルコシド結合(bond)」などの用語は同義語として使用され、グルカン中の2つのグルコース分子間のグリコシド結合を指す。本明細書で使用する「ベータ−1,4−グルコシド結合」という用語は、グルカン中の隣接するグルコース分子の炭素1および4を介してグルコース分子を互いに結合する共有結合を指す。
本明細書では、セルロースのグリコシド結合プロファイルは、当該技術分野で知られている任意の方法を使用して決定することができる。例えば、結合プロファイルは、核磁気共鳴(NMR)分光法を使用する方法(例えば、13C NMRまたは1H NMR)により決定することができる。使用可能なこれらの方法および他の方法は、Food Carbohydrates:Chemistry,Physical Properties,and Applications(S.W.Cui.Ed,Chapter 3,S.W.Cui,Structural Analysis of Polysaccharides,Taylor&Francis Group LLC,Boca Raton,FL,2005)に開示されており、この文献は参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書では、セルロースなどのサッカライドポリマーの「分子量」は、数平均分子量(Mn)として、または重量平均分子量(Mw)として表すことができ、その単位はダルトンまたはグラム/モルである。あるいは、分子量は、DPw(重量平均重合度)またはDPn(数平均重合度)として表すことができる。当該技術分野では、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、またはゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いる、これらの分子量測定値を算出する各種の手段が知られている。
本明細書で使用される「セロデキストリン」という用語は、2つ以上のベータ−1,4−結合グルコースモノマーの長さを有する、1種以上のグルコースポリマーを指す。セロデキストリンは、通常、セルロースの(酵素)加水分解により生成される。「セロビオース」は、のベータ−1,4−結合グルコースモノマーを含むセロデキストリンの1種である(すなわち、セロビオースは二糖類の1種である)。
本明細書で使用される「グルコース−1−リン酸」(G1P)は、1−炭素にリン酸基を有するグルコース分子を指す。本明細書に記載のG1Pはアルファ−D−グルコース−1−リン酸であり得る。
「酵素反応」、「セロデキストリンホスホリラーゼ反応」などの用語は、本明細書では同義語として使用され、特に明記されていなければ、セロデキストリンホスホリラーゼ酵素によりなされる反応を指す。酵素反応物は、一般に、水、グルコース−1−リン酸およびセロデキストリン(例えば、セロビオース)、ならびに任意選択により他の成分を含む溶液中に、少なくとも1種の活性なセロデキストリンホスホリラーゼ酵素を含む溶液を指す。水、グルコース−1−リン酸、セロデキストリンおよびセロデキストリンホスホリラーゼ酵素の接触工程が行われるのは、セロデキストリンホスホリラーゼ反応物においてである。「適切な反応条件下で」などの用語は、セロデキストリンホスホリラーゼ酵素の活性により、基質を低分子量の不溶性セルロースへ変換するのを支える反応条件を指す。本明細書に記載のセロデキストリンホスホリラーゼ反応物は天然には存在しない。セロデキストリンホスホリラーゼ反応物が不溶性セルロースを生成すると、そのようなセルロースが溶液外に存在することは理解されよう。
本明細書で使用される「対照」酵素反応物は、例えば、配列番号2または6と少なくとも90%相同のアミノ酸配列を含まないセロデキストリンホスホリラーゼを用いる反応物を指し得る。対照反応溶液の他の全ての特徴(例えば、基質濃度、温度、pH、時間)は、それと比較される反応物と同じにすることができる。
本明細書で使用される「第2の反応物」は、セロデキストリンホスホリラーゼ反応物(「第1の反応物」)に追加され、第1の反応物にG1P基質を提供する反応物を指す。
Piと表記し得る「無機ホスフェート」は、溶液中における遊離リン酸イオンを指し、種々のリン酸エステルにおいて結合しているリン酸とは区別される。
「G1P−生成酵素」は、少なくとも1種の生成物がG1Pである生成物の合成を触媒する酵素を指し得る。G1P生成酵素の例としては、デンプンホスホリラーゼ、スクロースホスホリラーゼおよびセロデキストリンホスホリラーゼ(上記反応を逆方向に触媒する場合、すなわちセルロースの加水分解)が挙げられる。
本明細書で使用される「デンプンホスホリラーゼ」は、EC番号2.4.1.1のものであり、デンプンおよび無機リン酸からグルコース−1−リン酸への変換を触媒することができる。そのような反応は、以下のように記述することもできる:(1,4−アルファ−D−グルコシル)n+リン酸→(1,4−アルファ−D−グルコシル)n−1+アルフ
ァ−D−グルコース−1−リン酸(但し、「(1,4−アルファ−D−グルコシル)n」はデンプンを指す)。
本明細書で使用される「デンプン脱分岐酵素」は、デンプンの分岐点である1,6−アルファ−D−グルコシド結合の加水分解を触媒することができる酵素を指す。本明細書に記載のデンプン脱分岐酵素の例としては、プルラナーゼおよびイソアミラーゼが挙げられる。本明細書で使用される「プルラナーゼ」は、EC番号3.2.1.41のものである。本明細書で使用される「イソアミラーゼ」は、EC番号3.2.1.68のものである。
本明細書では、「スクロース」という用語は、α−1,2−グリコシド結合により結合した、アルファ−D−グルコース分子およびベータ−D−フルクトース分子からなる非還元性二糖類を指す。スクロースは、通常、食卓砂糖として知られている。
本明細書で使用される「スクロースホスホリラーゼ」は、EC番号2.4.1.7のものであり、スクロースおよびリン酸からフルクトースおよびG1Pへの変換を触媒することができる。そのような反応は、以下のように記述することもできる:スクロース+リン酸→フルクトース+アルファ−D−グルコース−1−リン酸。
本明細書では、「セルロース系バイオマス」、「セルロース含有バイオマス」などは同義語として使用され、食品成分または醗酵基質として直接使用することができない、植物の構造部分(例えば、木部、茎)を含む材料を指す。
本明細書では、「エンドグルカナーゼ」および「ベータ−1,4−エンドグルカナーゼ」は同義語として使用され、セルロース鎖の内部結合を切断し、セルロース鎖をより短くすることができる酵素を指す。そのようなより短い鎖は、上記反応を逆向きに触媒する場合(すなわち、セルロースの加水分解)には、セロデキストリンホスホリラーゼにとって適切な基質となる。
「体積パーセント(percent by volume)」、「体積パーセント(volume percent)」、「vol%」、「v/v%」などの用語は、本明細書では同義語として使用される。溶液中の溶質の体積パーセントは、次式を用いて決定することができる:[(溶質の体積)/(溶液の体積)]×100%。
「重量パーセント(percent by weight)」、「重量パーセント(weight percentage)(wt%)」、「重量−重量パーセント(%w/w)」などは、本明細書では同義語として使用される。物質の重量パーセントは、物質が組成物、混合物または溶液中に含まれる際の質量基準のパーセントを指す。
本明細書で使用される「増加した」という用語は、増加した量または活性が比較される量または活性より、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、50%、100%または200%多い量または活性を指し得る。本明細書では、「増加した」、「高められた」、「優れた」、「より大きい」、「改善された」などの用語は同義語として使用される。
本明細書では、「ポリヌクレオチド」、「ポリヌクレオチド配列」、「核酸配列」などの用語は同義語として使用される。これらの用語はヌクレオチド配列などを包含する。ポリヌクレオチドは、任意選択により、合成の、非天然の、または改変されたヌクレオチド塩基を含有する、一本鎖または二本鎖のDNAポリマーまたはRNAポリマーであり得る。ポリヌクレオチドは、cDNA、ゲノムDNA、合成DNAまたはこれらの混合物の1つ以上のセグメントから構成され得る。
本明細書で使用される「遺伝子」という用語は、コード領域からRNA(RNAはDNAポリヌクレオチド配列から転写される)を発現するポリヌクレオチド配列を指し、このRNAはメッセンジャーRNA(タンパク質をコードする)または非タンパク質コードRNAであり得る。遺伝子はコード領域のみを指し得、コード領域の上流および/または下流の調節配列(例えば、プロモーター、5’−非翻訳領域、3’−転写終結領域)を含み得る。本明細書では、タンパク質をコードするコード領域を、また、「オープンリーディングフレーム」(ORF)と呼び得る。「天然の」または「内在性の」遺伝子は、それ自体の調節配列とともに天然に見出されたままの遺伝子を指し;そのような遺伝子は宿主細胞のゲノムの本来の場所に位置する。「キメラ」遺伝子は、天然には一緒に見出されることがない(すなわち、調節領域およびコード領域は互いに非相同である)調節配列およびコード配列を含む、天然遺伝子でない遺伝子を指す。したがって、キメラ遺伝子は、異なる起源から誘導される調節配列およびコード配列、または同一起源から誘導される調節配列およびコード配列を含み得るが、天然に見出されるのと異なる方法で配置される。「外来」または「異種」遺伝子は、遺伝子導入によって宿主有機体に導入された遺伝子を指す。外来/異種遺伝子は、非天然有機体に挿入された天然遺伝子、天然宿主の新たな場所に導入された天然遺伝子、またはキメラ遺伝子を含むことができる。本明細書で開示されるある態様では、ポリヌクレオチド配列は異種である。「導入遺伝子」は、遺伝子導入手順(例えば、形質転換)によりゲノムに導入された遺伝子である。「コドン最適化」オープンリーディングフレームは、宿主細胞の好ましいコドン使用頻度を模倣するよう設計されたコドン使用頻度を有する。
本明細書に記載の細胞または有機体に含まれる「非天然の」アミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列は、そのような細胞または有機体の天然の(自然の)カウンターパート中では生じない。
本明細書で使用される「調節配列」は、遺伝子の転写開始部位の上流に位置するヌクレオチド配列(例えば、プロモーター)、5’非翻訳領域、イントロンおよび3’非コード領域を指し、遺伝子から転写されるRNAの転写、プロセシングもしくは安定性、および/または翻訳に影響を及ぼし得る。本明細書に記載の調節配列としては、プロモーター、エンハンサー、サイレンサー、5’非翻訳リーダー配列、イントロン、ポリアデニル化認識配列、RNAプロセシング部位、エフェクター結合部位、ステムループ構造、および遺伝発現の調節に関与する他の要素が挙げられる。本明細書に記載の1種以上の調節エレメント(例えば、プロモーター)は、本明細書では、コード領域に対して異種であり得る。
本明細書で使用される「機能可能に結合される」という用語は、一方の機能が他方により影響されるような2つ以上の核酸配列の結合を指す。例えば、プロモーターがコード配列の発現に影響を及ぼすことができるとき、それはコード配列に機能可能に結合している。すなわち、コード配列はプロモーターの転写調節下にある。コード配列は、例えば、1つ(例えば、プロモーター)またはそれを超える(例えば、プロモーターおよびターミネーター)調節配列と機能可能に結合することができる。
「組み換え」という用語は、プラスミド、ベクターまたはコンストラクトなどのDNA配列を特徴付けるために本明細書で使用されるとき、そうしなければ配列の2つの別々のセグメントであったものを、例えば化学合成により、および/または核酸の分離したセグメントを遺伝子工学の手法で操作することにより人工的に組み合わせることを指す。本明細書に記載の、組み換えコンストラクト/ベクターを調製する方法は、例えばJ.Sambrook and D.Russell(Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,2001);T.J.Silhavy et al.(Experiments with Gene Fusions,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,1984);およびF.M.Ausubel et al.(Short Protocols in Molecular Biology,5th Ed.Current Protocols,John Wiley and Sons,Inc.,NY,2002)により記載される、標準組換えDNAおよび分子クローニング技術に従って行うことができる。
本明細書で使用される「形質転換」という用語は、任意の方法により核酸分子を宿主有機体または宿主細胞に移行させることを指す。有機体/細胞に形質転換された核酸分子は、有機体/細胞中で自律的に複製するもの、有機体/細胞のゲノムに組み込まれるもの、または複製もしくは組み込みされずに細胞内に一時的に存在するものであり得る。形質転換に適した核酸分子の非限定的な例は、プラスミドおよび直鎖状DNA分子など、本明細書に開示されている。形質転換核酸配列を含有する、本明細書に記載の宿主有機体/細胞は、例えば、「トランスジェニックの」、「組み換えの」、「形質転換されている」、遺伝子操作されている、「形質転換体」、および/または「外因性遺伝子発現のために改変され」ていると称することができる。
ポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列に関して、本明細書で使用される「配列相同性」または「相同性」という用語は、特定の比較窓上で最大の一致が得られるよう整列させたときに同一である2つの配列中の核酸塩基またはアミノ酸残基を指す。したがって、「配列相同性のパーセント」または「パーセント相同性」は、比較窓上で最適に整列させた2つの配列を比較することにより決定された値を指すが、比較窓内のポリヌクレオチドまたはポリペプチドの配列部分は、2つの配列の最適なアライメントのために参照配列(これは付加または欠失を含まない)と比較すると、付加または欠失(すなわちギャップ)を含み得る。パーセントは、両配列で同じ核酸塩基またはアミノ酸残基が存在する位置の数を決定して、一致した位置の数を得、その一致した位置の数を比較窓内の位置の総数で除し、かつその結果に100を乗じて、配列相同性のパーセントを得ることにより算出することができる。DNA配列とRNA配列との間の配列相同性を計算するとき、DNA配列のT残基は、RNA配列のU残基と合致し、したがってRNA配列のU残基と「同一である」と見なし得ることは理解されよう。第1および第2のポリヌクレオチドの「パーセント相補性」を決定する目的では、これは、(i)例えば、第1のポリヌクレオチドと第2のポリヌクレオチドとの相補配列間のパーセント相同性(逆も同じ)、および/または(ii)標準的なワトソン・クリック塩基対を形成するであろう第1および第2のポリヌクレオチド間の塩基のパーセントを決定することにより得ることができる。
オンラインにより全米バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)(NCBI)ウェブサイトで利用できるBasic Local Alignment Search Tool(BLAST)のアルゴリズムが、例えば、本明細書で開示される、2つ以上のポリヌクレオチド配列(BLASTNアルゴリズム)またはポリペプチド配列(BLASTPアルゴリズム)間のパーセント相同性を測定するために使用することができる。あるいは、配列間のパーセント相同性は、Clustalアルゴリズム(例えば、ClustalW、ClustalV、またはClustal−Omega)を使用して行うことができる。Clustalアライメント法を使用するマルチプルアライメントでは、既定値はGAP PENALTY=10およびGAP LENGTH PENALTY=10に対応し得る。Clustal法を使用するペアワイズ整列およびタンパク質配列のパーセント相同性計算のための既定のパラメータは、KTUPLE=1、GAP PENALTY=3、WINDOW=5およびDIAGONALS SAVED=5であり得る。核酸では、これらのパラメータは、KTUPLE=2、GAP PENALTY=5、WINDOW=4およびDIAGONALS SAVED=4であり得る。あるいはさらに、配列間のパーセント相同性は、BLOSUMマトリックス(例えば、BLOSUM62)を使用し、GAP OPEN=10、GAP EXTEND=0.5、END GAP PENALTY=false、END GAP OPEN=10、END GAP EXTEND=0.5などのパラメータでEMBOSSアルゴリズム(例えばneedle)を使用して行い得る。
種々のポリペプチドアミノ酸配列およびポリヌクレオチド配列が、ある態様の特徴として本明細書で開示されている。本明細書で開示される配列に対して少なくとも約70〜85%、85〜90%または90%〜95%相同である、これらの配列の変異型を使用することができる。あるいは、変異型アミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列は、本明細書で開示される配列に対して少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の相同性を有することができる。変異型アミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列は、開示した配列と同一の機能/活性、または開示した配列の少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の機能/活性を有することができる。メチオニンで始まらない、本明細書に開示のポリペプチドアミノ酸配列はいずれも、通常、アミノ酸配列のN末端に少なくとも開始メチオニンをさらに含むことができる。メチオニンで始まる、本明細書に開示のポリペプチドアミノ酸配列はいずれも、任意選択により、このメチオニン残基なしで考えることができる(すなわち、ポリペプチド配列は、配列のC−末端残基の2位の残基に関して参照することができる)。
本明細書で使用される「分離された」という用語は、完全にまたは部分的に精製された任意の細胞成分(例えば、ポリヌクレオチド、ポリペプチド)またはセルロース物質を指す。いくつかの例では、分離されたポリヌクレオチド、ポリペプチドまたはセルロース材料は、より大きい組成物、バッファ系または試薬混合物の一部である。例えば、分離されたポリヌクレオチドまたはポリペプチド分子は、細胞または有機体の内部に異種的に含まれ得る。そのような異種構成要素および/または1つ以上の遺伝子欠失を含む細胞または有機体は、天然には存在しない。他の例には、分離されたセロデキストリンホスホリラーゼ酵素または反応物がある。本明細書に記載のセルロース組成物、ならびにこれらの組成物を製造するために使用される酵素および反応物は、合成物/人工物であり、かつ/または天然では存在しないと考えられる特性を示す。
本明細書に記載の「水性組成物」は、例えば、少なくとも約10wt%の水を含む液体成分を有す。水性組成物の例としては、例えば、混合物、溶液、分散液(例えば、コロイド分散液)、懸濁物および乳化物が挙げられる。ある実施形態では、水性組成物は、本明細書に開示されている不溶性セルロースを含むことができ、この場合、セルロースが不溶性であるとすると、水性組成物は、任意選択により、液体中固体組成物と見なすことができる。
本明細書で使用されるとき、「コロイド分散液」という用語は、分散相および分散媒体を有する不均一系を、すなわち、微視的に分散した不溶性粒子が別の物質(例えば、水または水性溶液などの水性組成物)全体に懸濁していることを指す。本明細書に記載のコロイド分散液の例は、親水コロイドである。親水コロイドなどのコロイド分散液の粒子の全てまたは一部は、本開示のセルロースを含むことができる。「ディスパーサント」および「分散剤」という用語は、本明細書では、同義語として使用され、分散液の生成および/または安定性を促進する物質を指す。
「親水コロイド」および「ハイドロゲル」という用語は、本明細書では、同義語として使用される。親水コロイドは、水または水性溶液が分散媒体であるコロイド系を指す。
「水性溶液」という用語は、本明細書では、溶媒が水を含む溶液を指す。水性溶液は、本明細書に記載のある態様では、ディスパーサントとしての役割を果たし得る。ある実施形態では、セルロースは、水性溶液に分散または混合することができる。
本明細書で使用される「粘度」という用語は、親水コロイドなどの流体または水性組成物の、それを流れさせようとする力に抵抗する程度の測定値を指す。本明細書で使用することができる粘度の各種単位としては、センチポアズ(cPs)およびパスカル−秒(Pa・s)が挙げられる。センチポアズはポアズの100分の1であり、1ポアズは0.100kg・m−1・s−1、または1mPa・sである。したがって、本明細書で使用される「粘度モディファイアー」、「粘度調節剤」などの用語は、流体または水性組成物の粘度を変化/調節することができる任意のものを指す。
本明細書で使用される「ずり減粘挙動」という用語は、剪断速度が増大するときの、水性組成物の粘度の減少を指す。「剪断速度」は、本明細書では、水性組成物に進行的な剪断変形が加えられる速度を指す。剪断変形は、例えば、回転により加えることができる。
水性組成物の粘度を増加させる方法に関して、本明細書で使用される「接触」という用語は、水性組成物に本開示のセルロースを取り込むことにつながるあらゆる作用を指す。接触は、例えば、混合、振盪または均質化など、当該技術分野で知られている任意の手段により行うことができる。
本明細書で使用される「DMSO」はジメチルスルホキシドを指し、これは式(CH3)2SOで表される。
本明細書で使用される「DMAc」はN,N−ジメチルアセトアミドを指し、これは式CH3CON(CH3)2の化学式で表される。
本明細書では、「マーセル化」、「マーセル化プロセス」などの用語は同義語として使用され、セルロース材料を、通常水酸化ナトリウムを含む苛性アルカリ条件下で処理するプロセスを指す。本明細書中のある態様で開示されるセルロースは、マーセル化されていない。
本明細書では、「誘導体化」、「誘導体化プロセス」などの用語は、同義語として使用され、1つ以上のセルロース−OH基の水素の異なる部分/官能基(例えば、カルボキシメチル基)による置換を導く条件下で、セルロース物質を処理するプロセスを指す。本明細書中のある実施形態で開示されるセルロースは、誘導体化されていない。
本明細書で使用される「膜」という用語は、薄い視覚的に連続した物質を指す。膜は材料の上に薄層またはコーティングとして構成されてもよく、また、単独であってもよい(例えば、材料表面に付着していない)。本明細書で使用される「コーティング」は材料表面を覆う薄層を指す。
本明細書に記載の膜またはコーティングを特徴付けるために使用される「一様な厚さ」という用語は、(i)膜/コーティングの全領域の少なくとも20%であり、かつ(ii)厚さの標準偏差が、例えば、約50nm未満である連続領域を指し得る。
本明細書に記載の膜またはコーティングは、特定の物質に対して「低透過性」であると特徴付けることができる(その物質に対する膜/コーティングの透過性が、対象の技術分野で一般に割り当てられている閾値未満である場合)。説明のために、SMC(スーパーマルチコート)剥離膜の分野では、スチレン透過性の閾値は、American Institute of Chemical Engineer,53rd National Meeting,Preprint No.32d(Bixler and Michaels,1964)に記載の方法を用いた測定で、200×10−9g cm/cm2/hである。膜またはコーティングは、長時間(例えば、1日以上)にわたって特定の物質を通過させない場合、その物質に対して「不透過性」であると特徴付けることができる。
本明細書では「衣類」、「織布」、「布」などの用語は、天然および/または人造繊維の網状構造を有する織物材料を指す同義語として使用される。そのような繊維は、例えば、糸またはヤーンであり得る。
本明細書に記載の「衣類ケア組成物」は、何らかの方法で衣類を処理するのに適した組成物である。そのような組成物の例としては、洗濯洗剤および衣類用柔軟剤が挙げられる。
「強力洗剤」、「万能洗剤」などの用語は、本明細書では、任意の温度で白物および/または色物の織布を普通に洗濯するのに有用な洗剤を指す同義語として使用される。「軽質洗剤」または「繊細な衣類用洗剤」という用語は、本明細書では、ビスコース、ウール、絹、マイクロファイバーなどのデリケートな衣類、または特別なケアを必要する他の衣類のケアに有用な洗剤を指す同義語として使用される。「特別なケア」には、例えば、過剰の水、軽い撹拌を用い、かつ/または漂白剤を使用しないという条件が含まれ得る。
本明細書では、「洗剤組成物」は、通常、少なくとも1種の界面活性剤(洗剤化合物)および/または少なくとも1種のビルダーを含む。本明細書では、「界面活性剤」は、これが溶解した液体の表面張力を低下させる傾向を有する物質を指す。界面活性剤は、例えば、洗剤、湿潤剤、乳化剤、起泡剤および/または分散剤としての役割を果たし得る。
本明細書では、「再付着防止剤」、「再汚染防止剤」、「黒ずみ防止剤」などの用語は、粒子が除かれた後、洗濯水中で粒子が衣類に再付着しないようにするのを促進する化学物質を指し、したがって、洗濯物の黒ずみ/変色を防止する。再付着防止剤は、汚れが洗濯水中に分散するのを促進し、かつ/または衣類の表面に汚れが付着するのを防止することにより作用することができる。
本明細書に記載の、「口腔ケア組成物」は、歯(dental)表面(歯(teeth)表面)および/または歯肉表面など、口腔内の柔らかいまたは硬い表面を処理するのに適した任意の組成物である。
本明細書では、「吸着」は材料表面への化合物の付着を指す。
様々な用途でその潜在的有用性を示す新しい形態のセルロースを開発することが要望されている。新規の酵素法の開発は、新しい型のセルロース材料を製造するうえで有用な手段になるであろう。
本開示の実施形態は、少なくとも水、グルコース−1−リン酸、セロデキストリン、および配列番号2または配列番号6に対して少なくとも90%の相同性を有するアミノ酸を含むセロデキストリンホスホリラーゼ酵素を含む酵素反応物に関し、このセロデキストリンホスホリラーゼ酵素はセルロースを合成する。意義深いことに、そのような酵素反応は、乾燥および水性条件下で優れた特徴を有する、低分子量の不溶性セルロースを製造することができ、そのようなセルロースに汎用を付与する。
ここに開示する酵素反応物での使用に適したセロデキストリンホスホリラーゼ活性を有する酵素は、配列番号2または配列番号6と少なくとも90%相同のアミノ酸配列を含み得る。ある実施形態では、そのような酵素は、配列番号2または配列番号6と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%相同のアミノ酸配列を含むか、またはそれから構成され得る。配列番号2を含むセロデキストリンホスホリラーゼ酵素の非限定的な例としては、配列番号4と100%相同であるか、または少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%相同のアミノ酸配列を含むか、またはそれから構成されるセロデキストリンホスホリラーゼ酵素が挙げられる。配列番号6を含むセロデキストリンホスホリラーゼ酵素の非限定的な例としては、配列番号8と100%相同であるか、または少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%相同のアミノ酸配列を含むか、またはそれから構成されるセロデキストリンホスホリラーゼ酵素が挙げられる。変異型セロデキストリンホスホリラーゼ酵素(例えば、配列番号2、4、6または8に対し90〜99%のアミノ酸相同性を有する参照配列)は、対応する非変異型参照配列の酵素活性(上記定義を参照)の一部(例えば、少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、もしくは90%)または全部を有するであろう。
配列番号2または配列番号4をコードするポリヌクレオチド配列は、任意選択によりそれぞれ配列番号1または3と100%相同であるか、または少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%相同のヌクレオチド配列を含んでもよい。配列番号6または配列番号8をコードするポリヌクレオチド配列は、任意選択によりそれぞれ配列番号5または7と100%相同であるか、または少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%相同のヌクレオチド配列を含んでもよい。
あるアミノ酸が互いに類似した構造的特徴および/または電荷の特徴を共有する(すなわち、保存されている)場合、本明細書に記載のセロデキストリンホスホリラーゼ(および/または本明細書に記載の他のタイプのポリペプチド)の1個以上のアミノ酸は、以下のように、保存アミノ酸残基で置換されてもよい(「保存的アミノ酸置換」):
1.次の小さい無極性の、または僅かに極性のある脂肪族残基は、互いに置換し得る:
Ala(A)、Ser(S)、Thr(T)、Pro(P)、Gly(G);
2.次の極性のある、負の電荷を有する残基、およびそれらのアミドは、互いに置換し得る:Asp(D)、Asn(N)、Glu(E)、Gln(Q);
3.次の極性のある、正の電荷を有する残基は、互いに置換し得る:His(H)、Arg(R)、Lys(K);
4.次の無極性の脂肪族残基は、互いに置換し得る:Ala(A)、Leu(L)、Ile(I)、Val(V)、Cys(C)、Met(M)、および
5.以下の大きい芳香族残基は、互いに置換し得る:Phe(F)、Tyr(Y)、Trp(W)。
本明細書に記載のセロデキストリンホスホリラーゼ活性を有する酵素は、任意の微生物源、例えば、細菌または真菌(例えば、酵母)から得ることができる。適切な細菌の例としては、ビブリオ属(Vibrio)種およびルミノコッカス属(Ruminococcus)種が挙げられる。適切なビブリオ属(Vibrio)種の例としては、V.ルバー(V.ruber)、コレラ菌(V.cholerae)、V.アダプタツス(V.adaptatus)、V.アルギノリチカス(V.alginolyticus)、V.ミミカス(V.mimicus)、V.パラヘモリティカス(V.parahaemolyticus)、V.プロテオリチカス(V.proteolyticus)、およびV.バルニフィカス(V.vulnificus)が挙げられる。適切なルミノコッカス属(Ruminococcus)種の例としては、R.チャンパネレンス(R.champanellensis)、R.アルブス(R.albus)、R.ブロミイ(R.bromii)、R.フラベファシエンス(R.flavefaciens)、R.グナバス(R.gnavus)、R.ラクタリス(R.lactaris)、R.オベウム(R.obeum)、およびR.トロクエス(R.torques)が挙げられる。
本明細書に記載のセロデキストリンホスホリラーゼ活性を有する酵素の例は、本明細書に開示されるアミノ酸配列、ならびにさらにN末端およびC末端に1〜300(またはその範囲の任意の整数[例えば、10、15、20、25、30、35、40、45もしくは50])の残基を含むアミノ酸配列であり得る。そのような付加的残基は、例えば、(N末端またはC末端での)エピトープタグ(例えば、6個のヒスチジンなどのHisタグ)などの異種配列、または(N末端での)異種シグナルペプチドであり得る。異種アミノ酸配列がN末端で導入される実施形態では、そのような異種配列は、例えば、セロデキストリンホスホリラーゼの元の開始メチオニンに隣接してもよく、元の開始メチオニンに置き換わってもよい。後者の実施形態では、付加された異種配列のN末端に新しい開始メチオニンを使用することができる。
ここに開示するセロデキストリンホスホリラーゼ活性を有する酵素は、通常、N末端シグナルペプチドを欠く。しかしながら、セロデキストリンホスホリラーゼ酵素の発現系は、任意選択により、細胞外分泌を指示するN末端シグナルペプチドをコードする配列をさらに含む酵素コードポリヌクレオチドを使用することができる。そのような実施形態におけるシグナルペプチドは、分泌過程で酵素から切断される。本明細書に開示されるセロデキストリンホスホリラーゼ酵素(例えば、配列番号2および配列番号6)は、天然に発現するシグナルペプチドとは結合しないと考えられることから、付加されたシグナルペプチドは、酵素とは異種であると考えられ得る。本明細書において有用なシグナルペプチドの例は、細菌(例えば、バチルス属(Bacillus)種、例えば、バチルス・ズブチルス(B.subtilis))由来のものである。細菌シグナルペプチドの例は、aprEシグナルペプチド、例えば、バチルス属(Bacillus)(例えば、バチルス・ズブチルス(B.subtilis)、Vogtentanz et al.,Protein Expr.Purif.55:40−52を参照(この文献は参照により本明細書に組み込まれる))由来のものである。
いくつかの実施形態では、セロデキストリンホスホリラーゼ酵素は天然には存在せず、例えば、本明細書に記載の酵素は微生物から天然に分泌されるものではないと考えられる(本明細書に記載のセロデキストリンホスホリラーゼ酵素は、微生物から誘導されたものであろう)。
本明細書に記載のセロデキストリンホスホリラーゼ酵素は、適切に遺伝子操作された微生物株の発酵によって製造することができる。大腸菌(E.coli)、バチルス属(Bacillus)株(例えば、バチルス・ズブチルス(B.subtilis))、ラルストニア・ユートロファ(Ralstonia eutropha)、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、ならびにアスペルギルス(Aspergillus)属種(例えば、アスペルギルス・アワモリ(A.awamori))およびトリコデルマ(Trichoderma)属種(例えば、トリコデルマ・レーセイ(T.reesei))(例えば、Adrio and Demain,Biomolecules 4:117−139を参照(この文献は参照により本明細書に組み込まれる))などの微生物株を用いる発酵による組み換え酵素の製造は、当該技術分野ではよく知られている。
本開示のセロデキストリンホスホリラーゼ酵素は、任意の精製状態(例えば、純粋、または非純粋)で使用し得る。例えば、セロデキストリンホスホリラーゼ酵素は、使用前に精製および/または分離することができる。非純粋のセロデキストリンホスホリラーゼ酵素の例としては、細胞溶解物形態のものが挙げられる。細胞溶解物または細胞抽出物は、酵素を異種発現させるために使用された細菌(例えば、大腸菌(E.coli))から調製することができる。例えば、細菌は、フレンチプレス細胞破砕機を用いて破砕することができる。代替の実施形態では、細菌は、ホモジナイザー(例えば、APV、Rannie、Gaulin)を用いて均質化することができる。セロデキストリンホスホリラーゼ酵素は、通常、これらの調製物中に溶解する。本明細書中の細菌細胞の溶解物、抽出物またはホモジネート物は、本明細書に記載の酵素反応物中に約0.15〜0.3体積%で使用することができる。他の実施形態では、セロデキストリンホスホリラーゼ活性を有する酵素は、発現後、分離することができる。例えば、酵素は、結合/洗浄法、または結合/洗浄/抽出法(例えば、他の固定表面のカラムに酵素を結合し、次いで、洗浄し、任意選択により、カラムまたは他の固定表面から酵素を溶出させる)により分離することができる。酵素の分離法は、ある実施形態では、異種アミノ酸配列タグを付したセロデキストリンホスホリラーゼ酵素を結合させる工程を含み得る。この場合、そうした結合は異種アミノ酸配列タグ(例えば、Hisタグ)によって行われる。セロデキストリンホスホリラーゼ酵素は、例えば、細胞溶解物または他の任意の組成物(例えば、酵素が任意選択により分泌される培地)から分離することができる。ある態様では、セロデキストリンホスホリラーゼ調製物は、グルコース−1−リン酸活性を欠くことができる。ある態様では、セロデキストリンホスホリラーゼ酵素は、(例えば、マトリックスに)固定、または細胞表面に発現させることができる。ある態様では、セロデキストリンホスホリラーゼ酵素は、例えば、任意選択によりポリエチレングリコール(PEG)で修飾することができる。
本開示のセロデキストリンホスホリラーゼ酵素は、水性組成物に不溶な低分子量のセルロースを合成することができる。例えば、本明細書中の酵素反応に使用されるセロデキストリンホスホリラーゼは、低分子量の不溶性セルロースを生成することができる。
ある実施得形態では、セロデキストリンホスホリラーゼ酵素によって生成されるセルロースは、約10〜1000のDPwまたはDPnを有し得る。例えば、本明細書において、セルロースのDPwまたはDPnは、約10〜500、10〜250、10〜100、10〜75、10〜50、10〜45、10〜40、10〜35、10〜30、10〜25、15〜50、15〜45、15〜40、15〜35、15〜30、もしくは15〜25であり得る。ある態様では、セルロースのDPwまたはDPnは、約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、もしくは50であるか、少なくとも約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、もしくは50であるか、または約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、もしくは50未満であり得る。
ある態様では、セロデキストリンホスホリラーゼ酵素によって生成されるセルロースは、約1700〜170000、1700〜86000、1700〜43000、1700〜17000、1700〜13000、1700〜8500、1700〜6800、1700〜5100、2550〜5100、もしくは2550〜4250のMwを有し得る。ある態様では、Mwは、約1700、1900、2100、2300、2500、2700、2900、3100、3300、3500、3700、3900、4100、4300、4500、4700、4900、もしくは5100、少なくとも約1700、1900、2100、2300、2500、2700、2900、3100、3300、3500、3700、3900、4100、4300、4500、4700、4900、もしくは5100、または約1700、1900、2100、2300、2500、2700、2900、3100、3300、3500、3700、3900、4100、4300、4500、4700、4900、もしくは5100未満であり得る。
本明細書では、セロデキストリンホスホリラーゼ酵素によって生成されるグリコシド結合の約100%は、例えば、ベータ−1,4結合である。他の態様では、セルロースは、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のベータ−1,4結合のグリコシド結合プロファイルを有し得る。したがって、本明細書中、酵素により製造されるセルロースは、例えば、ベータ−1,4以外のグリコシド結合が、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%未満であり得る。
本明細書中、セロデキストリンホスホリラーゼ酵素により製造されるセルロースの主鎖は、直鎖状/非分岐状であり得る。あるいは、セルロースには、分岐があり得る。したがって、ある実施形態では、セルロースは、ポリマー中に、分岐点が、グリコシド結合の割合として、全くないか、または約5%、4%、3%、2%もしくは1%未満であり得る。
本明細書中のある態様では、セロデキストリンホスホリラーゼ酵素によって生成されるセルロースは、セルロースII型結晶構造を有し得る。例えば、本明細書中のセルロースは、セルロースII型結晶構造のセルロースを約100重量%含み得る。他の例では、セルロースは、セルロースII型結晶構造のセルロースを少なくとも約80重量%、81重量%、82重量%、83重量%、84重量%、85重量%、86重量%、87重量%、88重量%、89重量%、90重量%、91重量%、92重量%、93重量%、94重量%、95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、もしくは99重量%含み得る。いくつかの態様では、セルロースは、セルロースI型、III型および/またはIV型結晶構造のセルロース材料を約20重量%、19重量%、18重量%、17重量%、16重量%、15重量%、14重量%、13重量%、12重量%、11重量%、10重量%、9重量%、8重量%、7重量%、6重量%、5重量%、4重量%、3重量%、2重量%、1重量%未満含み得る。セルロースII型結晶構造は、例えば、Kolpak and Blackwell(Macromolecules 9:273−278)、およびKroon−Batenburg and Kroon(Glycoconjugate J.14:677−690)に記載されており、これらの文献は参照により本明細書に組み込まれる。セルロースII型構造を特徴付ける支配的な水素結合は、O2−H−−−O6、O6−H−−−O6およびO2−H−−−O2であり、一方、セルロースI型は、支配的な水素結合としてO2−H−−−O6を有する。セルロースII型の構造は、鎖の折り畳み構造を含み、解くのは困難である。
セルロースは、本開示のセロデキストリンホスホリラーゼ酵素により、セルロースII型として直接生成される。ここに開示するセルロースと対照的に、天然に(例えば、植物中に)生成するセルロース(例えば、植物のセルロース)は、通常、セルロースI型構造を有し、一般に、セルロースII型へ変換するには、マーセル化および/または他の化学的処理(例えば、誘導体化後の非誘導体化、再生セルロースの生成)を必要とする。本明細書中のある実施形態では、セルロースは、水性および乾燥の両条件下でセルロースII型結晶状態にある。
本明細書において製造されるセルロースは、水などの水性溶媒に不溶である。しかしながら、ジメチルスルホキシド(DMSO)および/またはN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を含む溶媒には溶解することができる。そのような溶媒の例としては、単独のDMSOもしくはDMAcの、または塩化リチウム(LiCl)をさらに含むDMSOまたはDMAc(例えば、DMSO/LiClおよびDMAc/LiCl)が挙げられる。本明細書において、DMSO/LiCl溶媒またはDMSO/LiCl溶媒は、LiClを、例えば、約0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10wt%含むか、またはLiCl飽和溶媒であり得る。本明細書において、セルロースの非水性溶媒、例えばDMSOおよび/またはDMAcを含む溶媒中の濃度は、例えば、約0.1〜30wt%、0.1〜20wt%、0.1〜10wt%、もしくは0.1〜5wt%であるか、または約もしくは少なくとも約0.1、0.3、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、もしくは30wt%であり得る。ある態様では、本明細書中のDMSO含有溶媒およびDMAc含有溶媒は、酸をさらに含まない。本明細書中のセルロースは、例えば、前述のDMSOをベースとした溶媒およびDMAcをベースとした溶媒のいずれにも、比較的低温で、例えば、15〜30℃、20〜30℃または20〜25℃(例えば、室温)で溶解することができる。好ましい実施形態では、セルロースの溶解に熱を加える必要はない。
本開示の酵素反応は、セロデキストリンを含む。本明細書中の酵素反応での使用に適したセロデキストリンの例としては、セロビオース(DP2)、セロトリオース(DP3)、セロテトラオース(DP4)、セロペンタオース(DP5)およびセロヘキサノース(DP6)が挙げられる。ある態様では、セロビオースがセロデキストリンとして使用される。本明細書において適したセロデキストリンの他の例としては、セルロースの分解(例えば、酵素による分解)により得られる7つ以上のベータ−1,4−結合グルコースモノマーからなるグルコースポリマーが挙げられる。いくつかの実施形態では、上記種類のセロデキストリンの1種以上(例えば、2、3、4または5つ以上の混合物)を使用することができる。
セロデキストリンホスホリラーゼ酵素を含む本明細書に記載の酵素反応物の温度は、必要に応じて調節することができる。ある実施形態では、温度は、約5℃〜約50℃である。ある他の実施形態では、温度は、約20℃〜約40℃である。さらに他の実施形態では、温度は、約20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40℃であってよい。酵素反応物の温度は、当該技術分野で知られている種々の手段により維持することができる。例えば、温度は、所望の温度に設定した空気または水浴インキュベーターに反応物を含む容器を置くことによって維持することができる。
本明細書中のある実施形態では、酵素反応物のpHは約5.0〜約9.0であり得る。あるいは、pHは、約5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、または9.0であり得る。pHは、適切なバッファ、例えば、限定はされないが、リン酸塩、トリス、クエン酸塩、またはそれらの組み合わせを添加または導入することによって調節または制御することができる。酵素反応物におけるバッファ濃度は、例えば、0mM〜約100mM、または約10、25、50もしくは75mMであり得る。
ここに開示するセロデキストリンホスホリラーゼ反応物におけるグルコース−1−リン酸(G1P)の初期濃度は、例えば、約または少なくとも約1〜100mMであり得る。その他のGIP初期濃度は、例えば、約または少なくとも約1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、もしくは100mM、または約10〜50mMであり得る。ここに開示するセロデキストリンホスホリラーゼ反応物におけるセロデキストリン(例えば、セロビオース)ホスホリラーゼの初期濃度は、例えば、約1〜50mMであり得る。その他のセロデキストリンの初期濃度は、例えば、約1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、もしくは50mM、または約5〜10mMであり得る。G1Pまたはセロデキストリンなどの基質の「初期濃度」は、全ての反応成分が添加された直後の酵素反応物(少なくとも、水、GIP、セロデキストリン、セロデキストリンホスホリラーゼ酵素)における基質濃度を指す。
本明細書中のセロデキストリンホスホリラーゼ酵素の活性は、ある実施形態では、酵素タンパク質1mg当たり約1〜30単位であり得る。酵素活性は、例えば、酵素タンパク質1mg当たり約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、10〜20、または15〜20単位であり得る。セロデキストリンホスホリラーゼ酵素活性は、当該技術分野で知られている任意の方法で決定することができる。セロデキストリンホスホリラーゼ活性の1単位は、例えば、以下の条件下、1分当たり1マイクロモルの無機リンを放出する(セロビオースからから放出される)酵素量を指す:G1P約10mM、セロビオース約5mM、トリスHClバッファ約25mM、約pH7.0、約37℃で保持、任意選択により10分間。セロビオースからの無機リン酸塩の放出は、遊離リン酸塩を検出するように設計された試薬またはキット(例えば、PiBlueTMPhosphate Assay Kit、BioAssay Systems、Hayward、CA)を用いて測定することができる。
ある態様では、酵素反応に含まれるセロデキストリンホスホリラーゼ酵素の量は、約0.1〜2.0または0.5〜1.0単位/mLであり得る。例えば、少なくとも約0.2、0.4、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、または2.0単位/mLの酵素を反応物に使用することができる。
本開示の実施形態は、また、セルロースを製造する方法であって、
a)少なくとも水、グルコース−1−リン酸(G1P)、セロデキストリン、および配列番号2または配列番号6と少なくとも90%相同のアミノ酸配列を含むセロデキストリンホスホリラーゼ酵素を接触させる工程であって、不溶性セルロースが生成される、工程と、
b)任意選択により、工程(a)で生成された不溶性セルロースを分離する工程と
を含む方法に関する。
本明細書に記載の方法におけるセルロースを生成する接触工程は、任意選択により、本開示の、水、グルコース−1−リン酸、セロデキストリン、およびセロデキストリンホスホリラーゼ酵素を含む酵素反応物を供給する工程と見なすことができる。本明細書に記載のセルロース製造方法における接触工程は、様々な方法で行うことができる。例えば、所望する量のG1Pおよび/またはセロデキストリン(例えば、セロビオース)を、まず水に溶解し(任意選択により他の成分、例えばバッファ成分もこの調製段階で添加してもよい)、次いで、1種以上のセロデキストリンホスホリラーゼ酵素を添加することができる。反応は、例えば、静置してもよく、撹拌器またはオービタルシェーカーによって撹拌してもよい。反応は細胞フリーであってよく、通常、細胞フリーである。
セルロース製造方法の酵素反応物は、本明細書に開示される1以上の反応条件を適用するのに適した任意の容器に収容することができる。例えば、特定の反応物を収容するのに適した大きさのステンレス鋼、プラスチックまたはガラスからなる容器を使用することができる。そのような容器は、任意選択により撹拌装置を備えることができる。
ある実施形態では、セルロースの製造方法の終了は、視覚(例えば、不溶性セルロースの蓄積がもはや認められない)および/または反応物中に残存する基質(GIPおよび/またはセロデキストリン)量の測定(例えば、基質濃度が経時的にもはや減少しない)によって決定することができる。開示した方法の反応は、通常、完了するまでに、例えば、約12、18、24、30、36、48、60、72、84または96時間かかり得る。反応時間は、例えば、基質量および/または使用するセロデキストリンホスホリラーゼ酵素などの因子に依存し得る。
開示される方法で製造される不溶性セルロースは、任意選択により分離してもよい。例えば、不溶性セルロースは、遠心分離または濾過によって分離することができる。その場合、セルロースは、水、残留基質、および反応副生物を含む反応溶液から分離される。
本明細書中のセルロース製造方法の接触工程で生成される不溶性セルロースは、本明細書中に開示されるあらゆる特徴を有し得る。例えば、水不溶性、DPw(例えば、10〜30のDPw)および/またはMw、グリコシド結合プロファイル、主鎖構造(例えば、直鎖性)、セルロースII型構造含有量、ならびに/あるいは本明細書中の他の箇所で開示される、ある非水性組成物中における溶解度はいずれも、工程(a)で生成されるセルロースを特徴付けることができる。
ある態様のセルロース製造方法の接触工程で生成される不溶性セルロースは、セルロースII型結晶構造を有し得る(すなわち、セルロースは、酵素により直接セルロースII型として合成される。ここに開示するセルロースとは対照的に、天然に(例えば、植物中に)生成するセルロースは、通常、セルロースI型構造を有し、一般に、セルロースII型へ変換するには、マーセル化および/または他の化学的処理(例えば、誘導体化後の非誘導体化、再生セルロースの生成)を必要とする。本明細書中のある実施形態では、セルロースは、水性および乾燥の両条件下でセルロースII型結晶状態にある。
酵素反応の実施形態を特徴付ける本明細書に開示される特徴は全てセルロース製造方法の接触工程の実施において使用することができる。例えば、セロデキストリンホスホリラーゼ酵素アミノ酸配列およびアミノ酸源、基質濃度、温度、pHおよびバッフア濃度、ならびに/または本明細書中の他の箇所で開示される酵素活性/酵素量はいずれも、接触工程で生成される反応を特徴付けることができる。
いくつかの態様におけるセルロース製造方法の接触工程は、セロビオースをセロデキストリンとして含み得る。本明細書中の酵素反応での使用に適したセロデキストリンの他の例としては、セロトリオース、セロテトラオース、セロペンタオースおよびセロヘキサノースが挙げられる。本明細書において適したセロデキストリンのさらに他の例としては、セルロースの分解(例えば、酵素による分解)により得られる7つ以上のベータ−1,4−結合グルコースモノマーからなるグルコースポリマーが挙げられる。いくつかの実施形態では、上記種類のセロデキストリンの1種以上(例えば、2、3、4または5つ以上の混合物)を使用することができる。
セルロース製造方法の接触工程で供給されるグルコース−1−リン酸(G1P)は、例えば、分離されたGIP(例えば、商業的供給源から得られるGIP)を添加することにより、直接供給することができる。あるいは、GIPは、接触工程において、少なくとも第2の反応を提供することによって供給することができる。第2の反応の生成物はG1Pを含む(すなわち、第2の反応は、生成物としてGIPを生成する)。「第2の反応」は、接触工程で行われるセロデキストリンホスホリラーゼ反応(任意選択により、「第1の反応」と表記することができる)に加えて行われ、セロデキストリンホスホリラーゼ反応物用GIP基質を供給する反応を指す。第2の反応は、任意選択により、デンプンホスホリラーゼ、スクロースホスホリラーゼ、またはセロデキストリンホスホリラーゼ(セルロースの加水分解を触媒する場合)などの「G1P−生成酵素」の使用と見なすことができる。
ある態様では、GIPを供給するための第2の反応は、セロデキストリンホスホリラーゼ酵素反応が行われるのと同じ容器で提供され得る。あるいは、第2の反応は、セロデキストリンホスホリラーゼ酵素反応が行われる容器の外で(別に)行われ得る。第2の反応は、セルロース製造方法のセロデキストリンホスホリラーゼ酵素反応の前、および/または連続して行われ得る。
いくつかの実施形態では、第2の反応は、水、無機リン酸塩、デンプン、デンプンホスホリラーゼ、および任意選択によりデンプン脱分岐酵素、例えば、プルラナーゼおよび/またはイソアミラーゼを接触させることを含み得る。この種の第2の反応は、任意選択により、デンプンホスホリラーゼ反応と見なすことができる。本明細書での使用に適したデンプンホスホリラーゼ(EC2.4.1.1)としては、例えば、米国特許出願公開Publ.第2002/0133849号明細書、およびTiwari and Kumar(Biotechnol.Mol.Biol.Rev.7:69−83)に記載されているものが挙げられる。これらの文献は参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの態様では、デンプンホスホリラーゼは、植物の、微生物の(例えば、細菌の)または真菌の(例えば、酵母の)デンプンホスホリラーゼであり得る。本明細書での使用に適したプルラナーゼ(EC3.2.1.41)としては、例えば、米国特許第8354101号明細書、同第7906306号明細書、同第7449320号明細書および同第7399623号明細書に開示されているものが挙げられる。これらの文献は参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの態様では、プルラナーゼは、植物の、微生物の(例えば、細菌の)、または真菌の(例えば、酵母の)デンプルラナーゼであり得る。本明細書での使用に適したイソアミラーゼ(EC3.2.1.68)としては、例えば、米国特許第5352602号明細書、同第5811277号明細書、同第7615365号明細書および同第8735105号明細書に開示されているものが挙げられる。これらの文献は参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの態様では、イソアミラーゼは、植物の、微生物の(例えば、細菌の)、または真菌の(例えば、酵母の)イソアミラーゼであり得る。
いくつかの実施形態では、第2の反応は、水、無機リン酸塩、スクロース、およびスクロースホスホリラーゼ酵素を接触させることを含み得る。この種の第2の反応は、任意選択により、スクロースホスホリラーゼ反応と見なすことができる。本明細書での使用に適したスクロースホスホリラーゼ(EC2.4.1.7)としては、例えば、米国特許第5716837号明細書、同第7229801号明細書および同第7968309号明細書に記載されているものが挙げられる。これらの文献は参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの態様では、スクロースホスホリラーゼは、植物の、微生物の(例えば、細菌の)、または真菌の(例えば、酵母の)スクロースホスホリラーゼであり得る。
いくつかの実施形態では、第2の反応は、水、無機リン酸塩、セルロースバイオマス(リグノセルロース系バイオマスなどのセルロース含有バイオマス)、エンドグルカナーゼ、セロデキストリンホスホリラーゼ、ならびに任意選択により溶解性多糖類モノオキシゲナーゼおよび/またはセロビオヒドロラーゼを接触させることを含み得る。本明細書での使用に適したエンドグルカナーゼ(例えば、セルラーゼ、ベータ−1,4−グルカナーゼ)としては、例えば、米国特許第4435307号明細書、同第5776757号明細書および同第7604974号明細書に開示されているものが挙げられる。これらの文献は参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの態様では、エンドグルカナーゼ(例えば、セルラーゼ)は、植物の、微生物の(例えば、細菌の)、または真菌の(例えば、酵母の)エンドグルカナーゼであり得る。本明細書での使用に適したセロデキストリンホスホリラーゼは、例えば、ここに開示されている、または米国特許第8889379号明細書または米国特許出願公開Publ.第2014/0087435号明細書、同第2014/0057323号明細書および同第2013/0059340号明細書に開示されているセロデキストリンホスホリラーゼの任意のものであり得る。これらの文献は参照により本明細書に組み込まれる。この種の第2の反応(すなわち、エンドグルカナーゼ+セロデキストリンホスホリラーゼ)は、通常、本明細書に記載のセルロース製造方法のセロデキストリンホスホリラーゼ酵素反応と別に行われ得る。本明細書での使用に適した溶解性多糖類モノオキシゲナーゼとしては、例えば、Isaksen et al.(J.Biol.Chem.289:2632−2642)and Eibinger et al.(J.Biol.Chem.,Oct 31,2014,pii:jbc.M114.602227.[電子ジャーナル版])に開示されているものが挙げられる。これらの文献は参照により本明細書に組み込まれる。
本開示の実施形態は、さらに、配列番号2と少なくとも90%相同のアミノ酸配列を含む酵素であって、セロデキストリンホスホリラーゼ活性を有する酵素を含む組成物に関する。意義深いことに、そのような酵素は、乾燥および水性の両条件下で優れた特性を示す低分子量の不溶性セルロースを生成することができ、そのようなセルロースを広汎な適用性を有するものとする。配列番号2と少なくとも90%相同のアミノ酸配列を有するセロデキストリンホスホリラーゼ酵素を含む組成物の非限定的な例は、少なくとも水、グルコース−1−リン酸、および1種以上のセロデキストリンも含むものなどの酵素反応物である。
セロデキストリンホスホリラーゼ活性を有する本明細書に記載の酵素は、配列番号2と少なくとも90%相同のアミノ酸配列を含み得る。他の実施形態では、そのような酵素は、配列番号2と100%相同であるか、または少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%相同のアミノ酸配列を含むか、またはそれから構成され得る。配列番号2を含むセロデキストリンホスホリラーゼ酵素の非限定的な例としては、配列番号4と100%相同であるか、または少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%相同のアミノ酸配列を含むか、またはそれから構成されるセロデキストリンホスホリラーゼ酵素が挙げられる。変異型セロデキストリンホスホリラーゼ酵素(例えば、配列番号2または4に対して90〜99%のアミノ酸相同性を有する参照配列)は、対応する非変異型参照配列の酵素活性(上記定義を参照)の一部(例えば、少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%もしくは90%)または全部を有するであろう。
本開示のセロデキストリンホスホリラーゼ活性を有する酵素は、任意選択により、水、グルコース−1−リン酸およびセロデキストリンを含む反応物中でセルロースを合成することができる。そのような反応物中で生成されるセルロースは、不溶性(水不溶性)であり得、約10〜約30の重量平均重合度(DPw)を有する。
本明細書中のある態様は、配列番号2と少なくとも90%相同のアミノ酸配列を含むセロデキストリンホスホリラーゼをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド配列に関する。例えば、本明細書に記載されるアミノ酸配列はいずれも、そのヌクレオチド配列によってコードされ得る。ヌクレオチド配列は、任意選択により、プロモーター配列(例えば、異種プロモーター)と機能可能なように結合していてもよい。いくつかの実施形態は、例えば、配列番号2と少なくとも90%相同のアミノ酸配列を含むセロデキストリンホスホリラーゼをコードする少なくとも1つのオープンリーディングフレームを含むポリヌクレオチド(例えば、ベクターまたはコンストラクト)を含む。そのようなコード領域は、任意選択により、例えば、細胞(例えば、細菌細胞;酵母、昆虫もしくは哺乳類細胞などの真核細胞)、またはインビトロタンパク質発現系での発現に適したプロモーター配列(例えば、異種プロモーター)に機能可能なように結合することができる。ベクターまたはコンストラクトの例としては、環状ポリヌクレオチド分子(例えば、プラスミド)および非環状ポリヌクレオチド分子(例えば、増幅DNA配列などの直鎖状DNA)が挙げられる。
本明細書中のある実施形態は、配列番号2と少なくとも90%相同のアミノ酸配列を含むセロデキストリンホスホリラーゼを製造する方法に関する。この方法は、配列番号2と少なくとも90%相同のアミノ酸配列(例えば、本明細書に開示されるアミノ酸配列)を含むセロデキストリンホスホリラーゼをコードするヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド配列を供給する工程と、ポリヌクレオチド配列からセロデキストリンホスホリラーゼを発現させ、それによりセロデキストリンホスホリラーゼを生成する工程とを含み得る。そのような方法における発現工程は、任意選択により細胞(例えば、大腸菌(E.coli)などの細菌細胞;酵母[例えば、サッカロミセス・セレビシエ(S.cerevisiae)]、昆虫もしくは哺乳類細胞などの真核細胞)で行うことができる。あるいは、発現は、インビトロタンパク質発現系(例えば、細胞フリーのタンパク質発現系、例えば、ウサギ網状赤血球溶血液または小麦胚芽抽出物を使用する発現系)などのもの)で行うことができる。発現工程で生成されたセロデキストリンホスホリラーゼはまた、任意選択により分離することができる。そのような分離は、例えば、本明細書に開示される特性(例えば、純度、pH、バッファおよび/または塩濃度)を有する組成物を製造する方法で行うことができる。
本開示の実施形態は、さらに、セルロースを含む組成物であって、そのセルロースが
(i)約10〜約1000の重量平均重合度(DPw)を有し、
(ii)セルロースII型結晶構造を有し、かつ
(iii)水性組成物に不溶である
組成物に関する。
意義深いことに、そのような低分子量の不溶性セルロースは、本明細書中にさらに記載されるように、乾燥および水性の両条件で優れた特性を示すため、汎用性を有する。
ここに記載される組成物のセルロースは、低分子量のセルロースであり、かつ水に不溶である。
ある実施形態では、セルロースは、約10〜1000のDPwまたはDPを有する。本明細書におけるセルロースのDPwまたはDPnは、例えば、約10〜500、10〜250、10〜100、10〜75、10〜50、10〜45、10〜40、10〜35、10〜30、10〜25、15〜50、15〜45、15〜40、15〜35、15〜30、もしくは15〜25であり得る。いくつかの態様では、DPwまたはDPnは、約または少なくとも約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、もしくは50であり得る。
本明細書におけるいくつかの態様では、セルロースは、約1700〜170000、1700〜86000、1700〜43000、1700〜17000、1700〜13000、1700〜8500、1700〜6800、1700〜5100、2550〜5100、もしくは2550〜4250のMwを有し得る。いくつかの例では、Mwは、約または少なくとも約1700、1900、2100、2300、2500、2700、2900、3100、3300、3500、3700、3900、4100、4300、4500、4700、4900、もしくは5100であり得る。
例えば、ここに開示するセルロースのグリコシド結合の約100%が、ベータ−1,4結合である。他の態様では、セルロースは、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%がベータ−1,4結合であるグリコシド結合プロファイルを有し得る。したがって、本明細書に記載のセルロースは、ベータ−1,4以外のグリコシド結合が、例えば、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満であり得る。
本明細書に開示されるセルロースの主鎖は、直鎖状/非分岐状であり得る。あるいは、セルロースは分岐を有し得る。したがって、ある実施形態では、セルロースは、分岐点を全く有さないか、またはポリマー中のグリコシド結合の割合として、分岐点が約5%、4%、3%、2%または1%未満であり得る。
本明細書に開示されるセルロースは、セルロースII型結晶構造を有し得る。例えば、本明細書に記載のセルロースは、セルロースII型結晶構造のセルロースを約100重量%含み得る。他の例として、セルロースは、セルロースII型結晶構造のセルロースを少なくとも約80重量%、81重量%、82重量%、83重量%、84重量%、85重量%、86重量%、87重量%、88重量%、89重量%、90重量%、91重量%、92重量%、93重量%、94重量%、95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、または99重量%含み得る。いくつかの態様では、セルロースは、セルロースI、IIIおよび/またはIV型結晶構造のセルロース材料を約20重量%、19重量%、18重量%、17重量%、16重量%、15重量%、14重量%、13重量%、12重量%、11重量%、10重量%、9重量%、8重量%、7重量%、6重量%、5重量%、4重量%、3重量%、2重量%、または1重量%含み得る。セルロースII型結晶構造については、例えば、Kolpakand Blackwell(Macromolecules 9:273−278)、およびKroon−Batenburg and Kroon(Glycoconjugate J.14:677−690)に記載されており、これらの両文献は参照により本明細書に組み込まれる。セルロースII型構造を特徴付ける支配的な水素結合は、O2−H−−−O6、O6−H−−−O6およびO2−H−−−O2であり、一方、セルロースI型は、支配的な水素結合としてO2−H−−−O6を有する。セルロースII型の構造は、鎖の折り畳み構造を含み、解くのは困難である。
例えば、本明細書に記載のセルロースは、分離されるものとして特徴付けることができる。ここに記載されるセルロースを含む組成物は、天然には存在しないと考えられている。
本明細書に開示されるセルロースは、任意選択により、ナノメートルスケールのフレーク形状、またはフレーク様形状を有するものとして特徴付けることができる。セルロースによって形成されるフレーク形状、フレーク様形状は、ナノサイズの大きさを有し、本実施例で開示されるような適切な顕微鏡技術を用いると、平らで薄い物質片として表れ得る。本明細書に記載のセルロースは、他の態様では、誘導体化されることはなく、また、誘導体化されてもいない。したがって、本明細書に開示されるセルロースは、エーテル基(例えば、カルボキシメチル基)またはエステル基(例えば、アセテート基)などの付加官能基を含まない。
本明細書において、ここで開示される組成物のセルロースは、配列番号2または配列番号6と少なくとも90%相同のアミノ酸配列を含むか、またはそれから構成されるセロデキストリンホスホリラーゼの生成物であり得る。他の実施形態では、セルロースは、配列番号2または配列番号6と100%相同であるか、または少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%相同のアミノ酸配列を含むか、またはそれから構成されるセロデキストリンホスホリラーゼの生成物であり得る。配列番号2を含むセロデキストリンホスホリラーゼ酵素の非限定的な例としては、配列番号4と100%相同であるか、または少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%相同のアミノ酸配列を含むか、またはそれから構成されるセロデキストリンホスホリラーゼ酵素が挙げられる。配列番号6を含むセロデキストリンホスホリラーゼ酵素の非限定的な例としては、配列番号8と100%相同であるか、または少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%相同のアミノ酸配列を含むか、またはそれから構成されるセロデキストリンホスホリラーゼ酵素が挙げられる。変異型セロデキストリンホスホリラーゼ酵素(例えば、配列番号2、4、6または8に対して90〜99%のアミノ酸相同性を有する参照配列)は、対応する非変異型参照配列の酵素活性(上記定義を参照)の一部(例えば、少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%もしくは90%)または全部を有するであろうセロデキストリンホスホリラーゼ酵素によりセルロースの生成は、例えば、本明細書に開示される酵素反応により達成することができる。
本開示のセロデキストリンホスホリラーゼ酵素により生成されるセルロースは、セルロースII型結晶構造を有することができ、そのようなセルロースは、マーセル化または誘導体化プロセスを受けていない。本明細書に記載のセルロースは、セロデキストリンホスホリラーゼ酵素による酵素合成後、直ちにまたは短時間(例えば、約.5、1、5、10、15、30、60、90または120分未満)でセルロースII型結晶構造のセルロースを含むことができる。ここに開示するセルロースと対照的に、天然に(例えば、植物において)産生するセルロースは、通常、セルロースI型構造を有し、一般に、セルロースII型へ変換するには、マーセル化および/または他の化学的処理(例えば、誘導体化後の非誘導体化、再生セルロースの生成)を必要とする。本明細書中のある実施形態では、セルロースは、水性および乾燥の両条件下でセルロースII型結晶状態にあるセルロースを含む。
ここに開示される組成物のセルロースは、水などの水性溶媒に不溶である。対照的に、ジメチルスルホキシド(DMSO)および/またはN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を含む溶媒などのある非水性溶媒には可溶である。そのような溶媒の例としては、DMSOまたはDMAcの単独、またはさらに塩化リチウム(LiCl)をさらに含むもの(例えば、DMSO/LiClおよびDMAc/LiCl)が挙げられる。本明細書において、DMSO/LiCl溶媒またはDMSO/LiCl溶媒は、LiClを、例えば、約0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10wt%含むか、またはLiCl飽和溶媒であり得る。本明細書において、セルロースの非水性溶媒、例えばDMSOおよび/またはDMAcを含む溶媒中の濃度は、例えば、約0.1〜30wt%、0.1〜20wt%、0.1〜10wt%、もしくは0.1〜5wt%であるか、または約もしくは少なくとも約0.1、0.3、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25もしくは30wt%であり得る。ある態様では、本明細書中のDMSO含有溶媒およびDMAc含有溶媒は、酸をさらに含まない。本明細書中のセルロースは、例えば、前述のDMSOをベースとした溶媒およびDMAcをベースとした溶媒のいずれにも、比較的低温で、例えば、15〜30℃、20〜30℃または20〜25℃(例えば、室温)で溶解することができる。好ましい実施形態では、セルロースの溶解に熱を加える必要はない。
本明細書中のセルロースを含む組成物は、非水性(例えば、乾燥組成物であり得る。そのような実施形態の例としては、膜/コーティング、粉末、顆粒、マイクロカプセル、フレーク、または他の任意の形状の粒状物質が挙げられる。他の例としては、ペレット、棒、粒状物、ビーズ、錠剤、スティック、または他の凝集体が挙げられる。本明細書中の非水性または乾燥組成物に含まれる水は、通常、3、2、1、0.5または0.1wt%未満である。非水性または乾燥組成物中に含まれる本明細書中のセルロースの量は、例えば、約または少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99.5、もしくは99.9wt%であり得る。本明細書に記載の非水性組成物は、例えば、家庭用品、パーソナルケア製品、医薬品、工業用品または食品の形態を有し得る。
本開示のある実施形態では、セルロースを含む組成物は、約100cPs、少なくとも約100cPsの粘度を有する水性組成物であり得る。本明細書中の水性組成物は、例えば、約または少なくとも約100、250、500、750、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10000、11000、12000、13000、14000、15000、16000、17000、18000、19000、20000、25000、30000、35000、40000、45000もしくは50000cPs(または100〜50000の任意の整数cPs)の粘度を有し得る。本明細書中の水性組成物の例としては、コロイド分散液が挙げられる。
本明細書中の水性組成物の粘度は、例えば、約3℃〜約110℃の任意の温度(または3〜110の任意の整数℃)で測定することができる。あるいは、粘度は、例えば、約4℃〜30℃、または約20〜25℃の温度で測定することができる。粘度は、大気圧(約760torr)または他の任意のより高い圧力またはより低い圧力で測定することができる。
本明細書に開示される水性組成物の粘度は、粘度計もしくはレオメータ、または当該技術分野で知られている他の任意の手段によって測定することができる。ずり減粘挙動を示す(すなわち、流動条件で変わる粘度を有する)本明細書中の水性組成物の粘度の測定に、粘度計またはレオメータを使用することができることは、当業者であれば理解されよう。そのような実施形態の粘度は、例えば、約0.1〜1000rpm(1分間当たりの回転数)の回転剪断速度で測定することができる。いくつかの実施形態では、粘度は、約10、60、150、250または600rpmの回転剪断速度で測定することができる。
本明細書に開示される水性組成物のpHは、例えば、約2.0〜約12.0であり得る。あるいは、pHは、例えば、約2.0、3.0、4.0、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0、10.0、11.0、12.0、5.0〜約12.0、約4.0〜8.0、または約5.0〜8.0であり得る。
本明細書中の水性組成物は、少なくとも約10または20wt%の水を含む溶媒を含み得る。他の実施形態では、溶媒は、例えば、少なくとも約30、40、50、60、70、80、90もしくは100wt%の水(または10〜100wt%の任意の整数値)を含む。
本開示のセルロースは、例えば、水性組成物中に不溶性物質として、約または少なくとも約0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、もしくは90%含まれ得る。下記の実施例4は、ある態様におけるセルロースが、比較的低い濃度で水性組成物に高粘度を付与することを示している。したがって、本開示のある実施形態は、本明細書中のセルロースを約30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、または0.5wt%未満含有する水性組成物に導かれる。
本明細書における水性組成物は、開示したセルロースに加え、他の成分を含み得る。例えば、水性組成物は、1種以上の塩、例えば、ナトリウム塩(例えば、NaCl、Na2SO4)を含み得る。塩の他の非限定的な例としては、(i)アルミニウム、アンモニウム、バリウム、カルシウム、クロム(IIもしくはIII)、銅(IもしくはII)、鉄(IIもしくはIII)、水素、鉛(II)、リチウム、マグネシウム、マンガン(IIもしくはIII)、水銀(IもしくはII)、カリウム、銀、ナトリウム、ストロンチウム、スズ(IIもしくはIV)、または亜鉛のカチオン、および(ii)酢酸、ホウ酸、臭素酸、臭化物、カルボン酸、塩素酸、塩化物、亜塩素酸、クロム酸、シアナミド、シアン化物、重クロム酸、ニ水素リン酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物、フッ化物、炭酸水素、リン酸水素、硫酸水素、硫化水素、亜硫酸水素、水素化物、水酸化物、次亜塩素酸、ヨード酸、ヨウ化物、硝酸、窒化物、亜硝酸、シュウ酸、酸化物、過塩素酸、過マンガン酸、過酸化物、リン酸、リン化物、亜リン酸、ケイ酸、スズ酸、硫酸、硫化物、亜硫酸、酒石酸またはチオシアン酸のアニオンが挙げられる。したがって、例えば、上記(i)からのカチオンおよび上記(ii)からのアニオンを有する塩は全て水性組成物であり得る。本明細書において、塩は水性組成物中に、例えば、約(または少なくとも約).01〜約10.00(または.01〜10.00で100分の1ずつ増加させた任意の数)wt%含まれ得る。
本明細書に記載のセルロースを含む水性組成物は、例えば、コロイド分散液であり得る。コロイド分散液中のセルロース粒子の平均サイズ/直径は、通常、約1nm〜200000nm(200マイクロメートル)の範囲である。平均粒径は、いくつかの例では、約1〜100nm、1〜1000nm、1〜10000nm、1〜100000nm、1〜200000nm、10〜100nm、10〜1000nm、10〜10000nm、10〜100000nm、10〜200000nm、100〜1000nm、100〜10000nm、100〜100000nm、100〜200000nm、1000〜10000nm、1000〜100000、1000〜200000nm、10000〜100000nm、または10000〜200000nmであり得る。
ある実施形態では、水性組成物はずり減粘挙動を有する。ずり減粘挙動は、剪断速度が増大するときの、水性組成物の粘度の減少として観察される。水性組成物のずり減粘挙動の変化は、本明細書に記載のセルロースの水性組成物への混合に起因し得る。したがって、本開示の1種以上のセルロース材料は、水性組成物に添加することにより、そのレオロジープロファイルを変化させることができる(すなわち、水性の液体、溶液または混合液の流動特性が変化する)。また、本明細書に記載の1種以上のセルロース材料は、水性組成物に添加することにより、その粘度を変化させることができる。
本明細書に記載の水性組成物のレオロジープロファイルは、回転剪断速度が増加する間の粘度を測定することによって観察し得る。例えば、本明細書に開示される水性組成物のずり減粘挙動は、回転剪断速度が約10rpmから60rpmへ、10rpmから150rpmへ、10rpmから250rpmへ、60rpmから150rpmへ、60rpmから250rpmへ、または150rpmから250rpmへ増加するときの、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、もしくは95%(または5%〜95%の任意の整数)までの粘度(cPs)の減少として観察され得る。
本明細書に記載のセルロースを含む組成物、例えば、水性組成物または非水性組成物は、任意選択により、1種以上の活性酵素を含んでもよい。適切な酵素の非限定的な例としては、プロテアーゼ、ペルオキダーゼ、脂肪分解酵素(例えば、メタロ脂肪分解(metallolipolytic)酵素)、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ(例えば、アリールエステラーゼ、ポリエステラーゼ)、ペルヒドラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ペクチン酸リアーゼ、マンナナーゼ、ケラチナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ(例えば、コリンオキシダーゼ)、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、メタロプロテイナーゼ、アマドリアーゼ、グルコアミラーゼ、アラビノフラノシダーゼ、フィターゼ、イソメラーゼ、トランスフェラーゼおよびアミラーゼが挙げられる。酵素が含まれる場合、本明細書に記載の組成物には、例えば、約0.0001〜0.1wt%(例えば、0.01〜0.03wt%)活性酵素(純粋な酵素タンパク質として算出)が含まれ得る。
本明細書に記載のある態様では、水性組成物は、食品、パーソナルケア製品、医薬品、家庭用品または工業用品、例えば、以下に記載する製品の形態を有し、かつ/またはそのような製品に含まれ得る。本開示のセルロースは、例えば、これらの各製品に増粘剤として使用することができる。そのような増粘剤は、必要に応じて、米国特許第8541041号明細書(この文献の開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示されるような他の種類の増粘剤の1種以上と併用して使用してもよい。
本明細書に開示されるセルロース化合物は、例えば、以下の物理的特性の1つ以上をパーソナルケア製品、医薬品、家庭用品、工業用品または食品に付与するのに有用であると思われる:増粘、凍解安定性、潤滑性、保湿性および放湿性、テクスチャー、粘稠性、形状保持性、乳化、結合、懸濁、分散、ゲル化、鉱物硬度の低減。製品中のデキストランの濃度および量の例は、例えば、本明細書に示される任意の重量パーセントであり得る。
本明細書に記載のパーソナルケア製品としては、特に限定はされないが、例えば、スキンケア組成物、化粧料組成物、抗真菌組成物および抗細菌組成物が挙げられるが。本明細書に記載のパーソナルケア製品は、例えば、ローション、クリーム、ペースト、バルム、軟膏、ポマード、ゲル、リキッド、これらの組み合わせなどの形態を有し得る。本明細書に開示されるパーソナルケア製品は、必要に応じて、少なくとも1種の活性成分を含み得る。活性成分は、一般に、意図した薬理効果を引き起こす成分と認識されている。
ある実施形態では、スキンケア製品は、湿分の不足に関連する皮膚のダメージに対処するために皮膚に塗布することができる。スキンケア製品はまた、皮膚の外観に対処する(例えば、かさかさした、ひび割れた、および/または赤みを帯びた皮膚の外観を軽減する)ために、および/または皮膚の感触に対処する(例えば、皮膚の荒れおよび/または乾燥を軽減し、さらに皮膚の柔らかさおよび繊細さを改善する)ために使用され得る。スキンケア製品は、通常、皮膚の病気の治療または予防、化粧効果の付与、または皮膚に対する保湿効果の付与に有効な成分、例えば、酸化亜鉛、ワセリン、白色ワセリン、鉱油、タラ肝油、ラノリン、ジメチコン、ハードファット、ビタミンA、アラントイン、カラミン、カオリン、グリセリンまたはコロイド状オートミール、およびこれらの組み合わせの少なくとも1種を含み得る。スキンケア製品は、例えば、1種以上の自然保湿因子、例えば、セラミド、ヒアルロン酸、グリセリン、スクアラン、アミノ酸、コレステロール、脂肪酸、トリグリセリド、リン脂質、グリコスフィンゴリピド、尿素、リノール酸、グリコサミノグリカン、ムコ多糖体、乳酸ナトリウムまたはピロリドンカルボン酸ナトリウムを含んでもよい。スキンケア製品に含まれ得る他の成分としては、限定はされないが、グリセリド、アプリコットカーネルオイル、キャノーラ油、スクワラン、スクワレン、ヤシ油、コーン油、ホホバ油、ホホバワックス、レシチン、オリーブ油、サフラワー油、ゴマ油、シアバター、大豆油、甘扁桃油、ヒマワリ油、ティーツリー油、シアバター、パーム油、コレステロール、コレステロールエステル、ワックスエステル、脂肪酸およびオレンジ油が挙げられる。
本明細書に記載のパーソナルケア製品はまた、例えば、メーキャップ、口紅、マスカラ、ルージュ、ファンデーション、頬紅、アイライナー、リップライナー、リップグロス、他の化粧品、サンスクリーン、サンブロック、マニキュア、ネイルコンディショナー、バスジェル、シャワージェル、コールドクリーム、保湿剤、ボディスプレー、スクラブ剤、収斂剤、スクラブ剤、スクラッフィングローション、脱毛剤、パーマ液、フケ防止製剤、制汗組成物、体臭防止剤、シェービング製剤、プレシェービング製剤、アフターシェービング製剤、クレンザー、スキンジェル、リンス、歯磨き用組成物、練り歯磨き、またはマウスウォッシュの形態であり得る。
いくつかの態様では、パーソナルケア製品はヘアケア製品であり得る。ヘアケア製品の例としては、シャンプー、ヘアコンディショナー(リーブインまたはリンスアウト)、クリームリンス、ヘアダイ、ヘアカラーリング製品、ヘアシャイン製品、ヘアセラム、アンチフリーズ製品、スプリットエンドリペア製品、ムース、ヘアスプレーまたはスタイリングジェルが挙げられる。ある実施形態では、ヘアケア製品は、液体、ペースト、ジェル、固体、または粉末の形態であり得る。ここに開示するヘアケア製品は、通常、次の成分(これらは、一般に、ヘアケア製品を処方するために使用される)の1種以上を含む:ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムなどのアニオン界面活性剤;ステアリルトリメチルアンモニウムクロリドおよび/またはジステアリルトリメチルアンモニウムクロリドなどのカチオン界面活性剤;モノステアリン酸グリセリル、モノパルミチン酸ソルビタン、および/またはポリオキシエチレンセチルエーテルなどのノニオン界面活性剤;プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、ピログタミン酸塩、アミノ酸、および/またはトリメチルグリシン;流動パラフィン、ワセリン、固形パラフィン、スクワラン、および/またはオレフィンオリゴマーなどの炭化水素;ステアリルアルコール、および/またはセチルアルコールなどの高級アルコール;過脂肪剤;フケ防止剤;殺菌剤;抗炎症剤;生薬;メチルセルロース、ヒドロキシセルロース、および/または部分的に脱アセチル化したキチンなどの水溶性ポリマー(本明細書に開示の1種以上のデキストランに加えて);パラベンなどの防腐剤;紫外線吸収材;パール剤;pH調節剤;香料;および顔料。
本明細書に記載の医薬品は、例えば、エマルション、液体、エリキシル剤、ゲル、懸濁液、溶液、クリームまたは軟膏の形態であり得る。また、本明細書に記載の医薬品は、本明細書に開示される、抗細菌組成物または抗真菌組成物などのパーソナルケア製品の任意の形態であり得る。医薬品は、さらに、薬学的に許容される担体、希釈剤、および/または薬学的に許容される塩の1種以上を含むことができる。本明細書に開示のセルロース材料はまた、カプセル、カプセル化剤、錠剤のコーティングにおいて、また医薬品の賦形剤として使用することができる。
本明細書に記載の食品の非限定的な例としては、野菜、肉およびソイパティ;再成形シーフード;再成形チーススティック;クリームスープ;グレイビーおよびソース;サラダドレッシング;マヨネーズ;オニオンリング、ジャム、ゼリーおよびシロップ;パイフィリング;フレンチフライおよび膨化フライなどのポテト製品;フライ食品用バター、パンケーキ/ワッフルおよびケーキ;ペットフード;菓子(キャンディ);飲料;フローズンデザート;アイスクリーム;カッテージチーズ、ヨーグルト、チーズおよびサワークリームなどの発酵乳製品;ケーキアイシングおよびグレーズ;ホイップトッピング;発酵焼き食品および種なし焼き食品などが挙げられる。
ある実施形態では、本明細書に記載のセルロースは、食材または他の任意の摂取可能な材料(例えば、腸溶性薬剤)中に、所望する増粘および/または分散の程度を付与する量で含まれ得る。例えば、セルロースの製品中の濃度または量は、約0.1〜3wt%、0.1〜4wt%、0.1〜5wt%または0.1〜10wt%である。
本明細書に記載の家庭用品および/または工業用品は、例えば、乾式壁テープ−ジョイント化合物;モルタル;グラウト;セメントプラスター;スプレープラスター;セメント漆喰;接着剤;ペースト;壁/天井テクスチャライザー;テープ成形、押出成形、射出成形およびセラミック用バインダーおよび加工助剤;殺虫剤、除草剤および肥料用スプレー粘着剤、および懸濁/分散剤助剤;衣類用柔軟剤および洗濯洗剤などの衣類ケア製品;硬質表面クリーナー;エアフレッシュナー;ポリマーエマルション;水性ゲルなどのゲル;界面活性剤溶液;水性塗料などの塗料;保護コーティング;接着剤;シーラントおよびコーク;水性インクなどのインク;金属切削液;電気めっき、リン酸塩処理、亜鉛めっきおよび/または一般の金属洗浄作業で使用するエマルション系金属洗浄液;あるいは油圧液(例えば、水圧破砕および油回収などの油井孔内作業で使用するもの)の形態であり得る。
本明細書に記載のセルロース材料は、パーソナルケア製品、医薬品、家庭用品または工業用品において、例えば、所望する増粘および/または分散の程度を付与する量で含まれ得る。本明細書に記載の製品中のセルロースの濃度または量の例は、例えば、本開示で提示されるセルロース重量%の任意のものであり得る。
本明細書に開示されるセルロースを含む食品は、例えば、菓子類の形態であり得る。本明細書における菓子類は、1種以上の甘味付け用の糖類(例えば、スクロース、フルクトース、デキストロース)を含むか、または糖類フリーであり得る。
本明細書に記載の菓子類の例としては、ボイルドシュガー(boiled sugar)(ハードボイルドキャンディ(hard boiled candy)[すなわち、ハードキャンディ])、ドラジェ、ゼリーキャンディ、ガム、リコリス、チューズ、キャラメル、タフィー、ファッジ、チューイングガム、バブルガム、ヌガー、チューイペースト(chewy paste)、ハラワ(halawa)、タブレット、ひし形糖菓、アイシング、フロスティング、プディングおよびゲル(例えば、フルーツゼリー、ゼラチンデザート)が挙げられる。菓子類の他の例としては、マシュマロなどの空気を含ませた菓子類、および焼き菓子が挙げられる。
本明細書に記載の菓子類は、任意選択により、チョコレートで任意の形態(例えば、バー、キャンディ、トリュフ、レンティル)に調製してもよい。菓子類には、例えば、チョコレートによるコーティング、糖によるコーティング、キャンディ化、グレーズ化、および/または膜によるコーティングを施してもよい。膜コーティング加工は、通常、菓子の表面に膜形成液体組成物を塗布する工程を含む。組成物は、乾燥後、保護膜となる。この膜コーティングは、例えば、菓子に含まれる活性成分を保護し、湿分、衝撃、および/もしくは脆さから菓子自体を保護し、かつ/または菓子に魅力的な視覚的特性(例えば、光沢、均一な色、滑らかな表面)を付与する役割を果たす。そのような膜は、本明細書に開示されるセルロースを含み得る。
ある実施形態では、菓子類は、液状の、ペースト状の、固形の、または粉末状のフィリングを充填することができる。本明細書に記載のセルロースは、そのようなフィリングに含まれ、その場合、セルロースはまた、任意選択により、充填する菓子成分に含まれる。
本明細書に記載の菓子類は、任意選択により、糖フリー、すなわち、糖を含まず、通常、代わりに1種以上の人工甘味料および/またはノンシュガー甘味料(任意選択により、ノンカロリー)(例えば、アスパルテーム、サッカリン、ステビア、スクラロース)を含む。ある実施形態では、糖フリーの菓子類は、糖の代わりに1種以上のポリオール(例えば、エリスリトール、グリセロール、ラクチトール、マンニトール、マルチトール、キシリトール)、水溶性繊維、および/またはタンパク質を含んでもよい。
本明細書に開示されるセルロースを含む食品は、例えば、ペットフードの形態であり得る。本明細書に記載のペットフードは、例えば、イヌもしくはネコ(または他の任意のコンパニオンアニマル)などの家畜用のフードであり得る。ある実施形態では、ペットフードは、家畜に次のものを1つ以上与える:必要栄養量、おやつ(例えば、イヌ用ビスケット)、補助食品。ペットフードの例としては、ドライペットフード(例えば、穀粒、粗びき穀物)、セミモイスト組成物、ウエットペットフード(例えば、缶入りペットフード)、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられる。ウエットペットフードは、通常、65%を超える水分含有量を有する。セミモイストペットフードは、通常、20〜65%の水分含有量を有し、かつプロピレングリコール、ソルビン酸カリウムなどの保湿剤、微生物(細菌およびカビ)の増殖を抑制する成分を含み得る。ドライペットフードは、通常、水分含有量が20%未満であり、およびその加工は、通常、押出し、乾燥および/または焼く工程を含む。ペットフードは、任意選択により、グレイビー、ヨーグルト、粉末、懸濁液、チューズまたはおやつ(例えば、ビスケット)の形態であってよく、これらの組成物は全て、必要に応じて、ペット用補助食品として使用することもできる。ペット用おやつは、例えば、セミモイストチュアブル菓子;ドライ菓子;チュアブル骨;焼き菓子、押出し菓子またはスタンプ菓子;または砂糖菓子であり得る。本明細書に記載のセルロースが添加され得るペットフード組成物/配合物の例としては、米国特許出願公開第2013/0280352号明細書、および同第2010/0159103号明細書、ならびに米国特許第6977084号明細書に開示のものが挙げられる。これらの文献は全て参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書に開示のセルロースを含む組成物は衣類ケア組成物の形態であり得る。本明細書に開示の衣類ケア組成物は、例えば、手による洗浄、洗濯機による洗浄、ならびに/あるいは衣類の浸漬および/または前処理などの他の目的に使用することができる。衣類ケア組成物は、例えば、洗濯洗剤;衣類用柔軟剤;洗浄、すすぎ、または乾燥機に加える製品;ユニットドースまたはユニットスプレーの形態をとってもよい。液状形態の衣類ケア組成物は、本明細書に開示の水性組成物の形態であってもよい。他の態様では、衣類ケア組成物は、粒状洗剤、または乾燥機に入れる衣類用柔軟剤シートなどの乾燥した形態であり得る。本明細書に開示の衣類ケア組成物の他の非限定的な例としては、粒状または粉末状の汎用または強力洗浄剤;液状、ゲル状またはペースト状の汎用または強力洗浄剤;繊細な衣類(例えば、傷みやすい衣類)用の液状または粉末洗剤;漂白剤、「ステインスティック」、またはプレトリートメントなどの洗浄補助剤;ドライおよびウエットのティッシュ、パッドまたはスポンジなどの基材積載製品;スプレーおよびミストなどが挙げられる。
洗剤組成物は任意の有用な形態、例えば、粉末、顆粒、ペースト、バー、ユニットドースまたは液体であり得る。液体洗剤は、通常、約70wt%以下の水および0wt%〜30wt%の有機溶媒を含む水性であってよい。それはまた、僅かに約30wt%の水を含むコンパクトなゲルタイプの形態であってもよい。
本明細書に記載の洗剤組成物は、1種以上の界面活性剤を含み、その界面活性剤は、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性(ampholytic)界面活性剤、双性界面活性剤、半極性ノニオン界面活性剤、およびこれらの混合物から選択される。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、洗剤組成物の約0.1重量%〜約60重量%の濃度で含まれ、代替の実施形態では、濃度は約1重量%〜約50重量%であり、さらに他の実施形態では、濃度は約5重量%〜約40重量%である。洗剤は、通常、直鎖状アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)、アルファ−オレフィンスルホン酸塩(AOS)、アルキル硫酸塩(脂肪アルコール硫酸塩)(AS)、アルコールエトキシスルフェート(AEOSまたはAES)、2級アルカンスルホン酸塩(SAS)、アルファ−スルホ脂肪酸メチルエステル、アルキルコハク酸もしくはアルケニルコハク酸、または石鹸などのアニオン界面活性剤を0wt%〜約50wt%含むであろう。さらに、洗剤組成物は、任意選択により、アルコールエトキシレート(AEOまたはAE)、カルボキシル化アルコールエトキシレート、ノニルフェノールエトキシレート、アルキルポリグリコシド、アルキルジメチルアミンオキシド、エトキシル化脂肪酸モノエタノールアミン、脂肪酸モノエタノールアミド、またはポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミド(例えば、国際公開第92/06154号パンフレットに開示される。この文献は参照により本明細書に組み込まれる)などのノニオン界面活性剤を0wt%〜約40wt%含み得る。
本明細書に記載の洗剤組成物は、通常、1種以上の洗剤ビルダーまたは洗剤ビルダー系を含む。少なくとも1種のビルダーを含むいくつかの実施形態では、洗浄組成物は、ビルダーを組成物の少なくとも約1重量%、約3重量%〜約60重量%、または約5重量%〜約40重量%含む。ビルダーとしては、限定はされないが、ポリリン酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩およびアルカノールアンモニウム塩、アルカリ金属ケイ酸塩、アルカリ金属炭酸塩およびアルカリ土類金属炭酸塩、アルミノケイ酸塩、ポリカルボン酸塩化合物、エーテルヒドロキシポリカルボン酸塩、無水マレイン酸とエチレンまたはビニルメチルエーテルとのコポリマー、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン−2,4,6−トリスルホン酸、およびカルボキシメチルオキシコハク酸、ポリ酢酸の種々の、アルカリ金属塩、アンモニウム塩および置換アンモニウム塩(例えば、エチレンジアミン四酢酸およびニトリロ三酢酸)、ならびにポリカルボン酸塩(例えば、メリット酸、コハク酸、クエン酸、オキシジコハク酸、ポリマレイン酸、ベンゼン1,3,5−トリカルボン酸、ルボキシメチルオキシコハク酸などのポリカルボン酸、ならびにこれらの可溶性の塩が挙げられる。実際、本開示の種々の実施形態において、適切なビルダーであれば任意のものが使用されると考えられる。洗剤ビルダーまたは錯化剤の例としては、ゼオライト、二リン酸塩、三リン酸塩、ホスホン酸塩、クエン酸塩、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTMPA)、アルキルコハク酸およびアルケニルコハク酸、可溶性ケイ酸塩、または層状ケイ酸塩(例えば、Hoechst製のSKS−6)が挙げられる。
いくつかの実施形態では、ビルダーは、クエン酸塩、およびポリリン酸塩(例えば、トリポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム6水和物、トリポリリン酸カリウム、ならびにミックストリポリリン酸ナトリウムおよびカリウムなど)などの水溶性の硬質イオン錯体(例えば、金属イオン封鎖ビルダー)を形成する。本開示では、当技術分野で知られたものを含む、任意の適切なビルダーが使用されると考えられる(例えば、欧州特許第2100949号明細書を参照)。
いくつかの実施形態では、適切なビルダーとして、リン酸塩ビルダーおよび非リン酸塩ビルダーを挙げ得る。いくつかの実施形態では、ビルダーはリン酸塩ビルダーである。いくつかの実施形態では、ビルダーは非リン酸塩ビルダーである。ビルダーが含まれる場合、組成物の0.1重量%〜80重量%、5重量%〜60重量%、または10重量%〜50重量%のレベルで使用され得る。いくつかの実施形態では、製品は、リン酸塩ビルダーおよび非リン酸塩ビルダーの混合物を含む。適切なリン酸塩ビルダーとしては、一リン酸塩、二リン酸塩、三リン酸塩、オリゴマーポリリン酸塩、例えば、これらの化合物のアルカリ金属塩、例えば、ナトリウム塩が挙げられる。いくつかの実施形態では、ビルダーは、トリポリリン酸ナトリウム(STPP)であり得る。さらに、組成物は、炭酸塩および/またはクエン酸塩、好ましくは、中性pH組成物の達成を促進するクエン酸塩を含み得る。他の適切な非リン酸塩ビルダーとしては、ポリカルボン酸のホモポリマーおよびコポリマー、ならびにそれらを部分的に、または完全に中和した塩、ポリカルボン酸モノマーおよびヒドロキシカルボン酸モノマー、ならびにそれらの塩が挙げられる。いくつかの実施形態では、上記化合物の塩として、アンモニウム塩、および/またはアルカリ金属塩、すなわち、リチウム塩、ナトリウム塩およびカリウム塩、例えばナトリウム塩が挙げられる。適切なポリカルボン酸としては、非環式、脂環式、複素環式および芳香族のカルボン酸は挙げられ、いくつかの実施形態では、それらは少なくとも2つのカルボキシル基を含み得、それらのカルボキシル基は、いずれの場合も互いに分離され、ある場合には2個以下の炭素原子によって分離される。
本明細書に記載の洗剤組成物は、少なくとも1種のキレート剤を含んでもよい。適切なキレート剤としては、限定はされないが、銅キレート剤、鉄キレート剤および/またはマンガンキレート剤、ならびにこれらの混合物が挙げられる。少なくとも1つのキレート剤を使用する実施形態では、組成物は、組成物の約0.1重量%〜約15重量%、または約3.0重量%〜約10重量%のキレート剤を含む。
本明細書に記載の洗剤組成物は、少なくとも1種の沈澱助剤を含んでもよい。適切な沈澱助剤としては、限定はされないが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ炭酸塩、ポリテレフタル酸などの防汚ポリマー、カオリナイト、モンモリロナイト、アタパルジャイト、イライト、ベントナイト、ハロイサイト、およびこれらの混合物などのクレーが挙げられる。
本明細書に記載の洗浄組成物は、1種以上の染料移行防止剤を含んでもよい。適切な高分子染料移行防止剤としては、限定はされないが、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN−オキシドポリマー、N−ビニルピロリドンおよびN−ビニルイミダゾールのコポリマー、ポリビニルオキサゾリドンおよびポリビニルイミダゾール、またはこれらの混合物が挙げられる。さらなる染料移行防止剤としては、マンガンフタロシアニン、ペルオキシダーゼ、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN−オキシドポリマー、N−ビニルピロリドンおよびN−ビニルイミダゾールのコポリマー、ポリビニルオキサゾリドンおよびポリビニルイミダゾール、ならびに/またはこれらの混合物;キレート剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA);ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン(DTPMP);ヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP);エチレンジアミンN,N’−ジコハク酸(EDDS);メチルグリシンメチルグリシン二酢酸(MGDA);ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA);プロピレンジアミン四酢酸(PDT A);2−ヒドロキシピリジン−N−オキシド(HPNO);またはメチルグリシン二酢酸(MGDA);グルタミン酸N,N−二酢酸(N,N−ジカルボキシメチルグルタミン酸4ナトリウム塩(GLDA);ニトリロ三酢酸(NTA);4,5−ジヒドロキシ−m−ベンゼンジスルホン酸;クエン酸およびその塩;N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラアミン六酢酸(TTHA)、N−ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HEIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、エチレンジアミンテトラプロピオン酸(EDTP)、およびこれらの誘導体が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、上記のいくつかを組み合わせて使用してもよい。少なくとも1種の染料移行防止剤を使用する実施形態では、本明細書に記載の組成物は、組成物の約0.0001重量%〜約10重量%、約0.01重量%〜約5重量%、または約0.1重量%〜約3重量%を含み得る。
本明細書に記載の洗剤組成物は、ケイ酸塩を含み得る。これらのいくつかの実施形態では、ケイ酸ナトリウム(例えば、二ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、および/またはフィロケイ酸塩)が使用される。いくつかの実施形態では、ケイ酸塩は、組成物の約1重量%〜約20重量%のレベルで含まれる。いくつかの実施形態では、ケイ酸塩は、組成物の約5重量%〜約15重量%のレベルで含まれる。
本明細書に記載の洗剤組成物は、分散剤を含んでもよい。適切な水溶性有機材料としては、限定はされないが、ホモポリマー酸もしくはコポリマー酸、またはそれらの塩が挙げられ、これらにおいて、ポリカルボン酸は、2個以下の炭素原子によって互いに分離している少なくとも2つのカルボキシル基を含む。
本明細書に記載の洗剤組成物は、さらに、1種以上の酵素を含んでもよい。酵素の例としては、任意に組み合わされる、プロテアーゼ、ペルオキダーゼ、脂肪分解酵素(例えば、メタロ脂肪分解(metallolipolytic)酵素)、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ(例えば、アリールエステラーゼ、ポリエステラーゼ)、ペルヒドラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ペクチン酸リアーゼ、マンナナーゼ、ケラチナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ(例えば、コリンオキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ)、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、メタロプロテイナーゼ、アマドリアーゼ、グルコアミラーゼ、アルファ−アミラーゼ、ベータ−アミラーゼ、ガラクトシダーゼ、ガラクタナーゼ、カタラーゼ、カラギナーゼ(carageenase)、ヒアルロニダーゼ、ケラチナーゼ、ラクターゼ、リグニナーゼ、ペルオキダーゼ、ホスファターゼ、ポリガラクツロナーゼ、ラムノガラクトウロナーゼ、タンナーゼ、トランスグルタミナーゼ、キシログルカナーゼ、キシロシダーゼ、メタロプロテアーゼ、アラビノフラノシダーゼ、フィターゼ、イソメラーゼ、トランスフェラーゼおよびアミラーゼが挙げられる。
本開示のいくつかの実施形態では、洗剤組成物は、各酵素が組成物の約0.00001重量%〜約10重量%のレベルで含まれる1種以上の酵素と、組成物の残りの洗浄助剤とを含み得る。本開示のいくつかの実施形態では、洗剤組成物はまた、各酵素を組成物の約0.0001重量%〜約10重量%、約0.001重量%〜約5重量%、約0.001重量%〜約2重量%、または約0.005重量%〜約0.5重量%のレベルで含む。
適切なプロテアーゼとしては、動物、野菜または微生物起源のものが挙げられる。いくつかの実施形態では、微生物プロテアーゼが使用される。いくつかの実施形態では、化学的にまたは遺伝子操作により改変された変異体が含まれる。いくつかの実施形態では、プロテアーゼは、セリンプロテアーゼ、好ましくは、アルカリ性微生物プロテアーゼ、またはトリプシン様プロテアーゼである。アルカリ性プロテアーゼの例としては、スブチリシン、特に、バチルス属(Bacillus)(スブチリシン(subtilisin)、レンツス(lentus)、アミロリクエファシエンス(amyloliquefaciens)、スブチリシンカールスバーグ(subtilisin Carlsberg)、スブチリシン(subtilisin)309、スブチリシン(subtilisin)147およびスブチリシン(subtilisin)168)由来のものが挙げられる。さらなる例としては、米国特許第RE34606号明細書、同第5955340号明細書、同第5700676号明細書、同第6312936号明細書および同第6482628号明細書(これらの文献は全て参照により本明細書に組み込まれる)に記載される変異プロテアーゼが挙げられる。さらなるプロテアーゼの例としては、限定はされないが、トリプシン(例えば、ブタまたはウシ起源の)、および国際公開第89/06270号パンフレットに記載されるフサリウム(Fusarium)プロテアーゼが挙げられる。いくつかの実施形態では、商業的に入手可能なプロテアーゼ酵素として、限定はされないが、MAXATASE(登録商標)、MAXACALTM、MAXAPEMTM、OPTICLEAN(登録商標)、OPTIMASE(登録商標)、PROPERASE(登録商標)、PURAFECT(登録商標)、PURAFECT(登録商標)OXP、PURAMAXTM、EXCELLASETM、PREFERENZTMプロテアーゼ(例えば、P100、P110、P280)、EFFECTENZTMプロテアーゼ(例えば、P1000、P1050、P2000)、EXCELLENZTMプロテアーゼ(例えば、P1000)、ULTIMASE(登録商標)、およびPURAFASTTM(Genencor);ALCALASE(登録商標)、SAVINASE(登録商標)、PRIMASE(登録商標)、DURAZYMTM、POLARZYME(登録商標)、OVOZYME(登録商標)、KANNASE(登録商標)、LIQUANASE(登録商標)、NEUTRASE(登録商標)、RELASE(登録商標)およびESPERASE(登録商標)(Novozymes);BLAPTMおよびBLAPTM変異体(Henkel Kommanditgesellschaft auf Aktien、Duesseldorf、Germany)、ならびにKAP(バチルス・アルカノフィルス(B.alkalophilus)スブチリシン;花王株式会社、東京、日本)が挙げられる。種々のプロテアーゼが、国際公開第95/23221号パンフレット、同第92/21760号パンフレット、同第09/149200号パンフレット、同第09/149144号パンフレット、同第09/149145号パンフレット、同第11/072099号パンフレット、同第10/056640号パンフレット、同第10/056653号パンフレット、同第11/140364号パンフレット、同第12/151534号パンフレット、米国特許出願公開第2008/0090747号明細書、および米国特許第5801039号明細書、同第5340735号明細書、同第5500364号明細書、同第5855625号明細書、同第RE34606号明細書、同第5955340号明細書、同第5700676号明細書、同第6312936号明細書、同第6482628号明細書、同第8530219号明細書、ならびに種々の他の特許に記載されている。いくつかのさらなる実施形態では、中性メタロプロテアーゼ、例えば、限定はされないが、国際公開第1999/014341、同第1999/033960号パンフレット、同第1999/014342号パンフレット、同第1999/034003号パンフレット、同第2007/044993号パンフレット、同第2009/058303号パンフレットおよび同第2009/058661号パンフレット(これらの文献は全て参照により本明細書に組み込まれる)に記載の中性メタロプロテアーゼが本開示で使用される。メタロプロテアーゼの例として、nprE、すなわちバチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)で発現された中性メタロプロテアーゼの組み換え型(例えば、国際公開第07/044993号パンフレットを参照)、およびPMN、すなわちバチルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)由来の、精製された中性メタロプロテアーゼが挙げられる。
適切なマンナナーゼとしては、限定はされないが、細菌またが真菌起源のものが挙げられる。いくつかの実施形態では、化学的にまたは遺伝子操作により改変された変異体が含まれる。本開示に使用される種々のマンナナーゼが知られている(例えば、米国特許第6566114号明細書、同第6602842号明細書および同第6440991号明細書を参照。これらの文献は全て参照により本明細書に組み込まれる)。本開示で使用される商業的に入手可能なプロテアーゼ酵素としては、限定はされないが、MANNASTAR(登録商標)、PURABRITETMおよびMANNAWAY(登録商標)が挙げられる。
適切なリパーゼとしては、細菌または真菌起源のものが挙げられる。化学的に改変、タンパク質分解により改変、または遺伝子操作により改変した変異体が含まれる。有用なリパーゼの例としては、フミコーラ(Humicola)属(例えば、フミコーラ・ラヌギノーサ(H.lanuginosa)、欧州特許第258068号明細書および同第305216号明細書;フミコーラ・インソレンス(H.insolens)、国際公開第96/13580号パンフレット)、シュードモナス(Pseudomonas)属(例えば、シュードモナス・アルカリゲネス(P.Alcaligenes)またはシュードモナス・シュードアルカリゲネス(P.Pseudoalcaligenes)、欧州特許第218272号明細書;シュードモナス・セパシア(P.Cepacia)、欧州特許第331376号明細書;シュードモナス・スツッツェリ(P.Stutzeri)、英国特許第1372034号明細書;シュードモナス・フルオレッセンス(P.fluorescens)、およびシュードモナス(Pseudomonas)属種SD 705株、国際公開第95/06720号パンフレットおよび同第96/27002号パンフレット;シュードモナス・ウィスコンシネンス(P.wisconsinensis)、国際公開第96/12012号パンフレット);およびバチルス(Bacillus)属(例えば、バチルス・スブチリス(B.Subtilis)、Dartois et al.,Biochemica et Biophysica Acta 1131:253−360;バチルス・ステアロテルモフィルス(B.Stearothermophilus)、特開昭64−744992号公報;バチルス・プミルス(B.pumilus)国際公開91/16422号パンフレット)由来のものが挙げられる。さらに、本開示のいくつかの実施形態では、多くのクローニングされたリパーゼ、例えば、限定はされないが、ペニシリウム・カメンベルティ(Penicillium camembertii)リパーゼ(Yamaguchi et al.,Gene 103:61−67[1991]を参照)、ゲオトリクム・カンジドゥム(Geotricum candidum)リパーゼ(Schimada et al.,J.Biochem.,106:383−388[1989]を参照)、ならびに種々のリゾプス(Rhizopus)属リパーゼ、例えば、リゾプス・デレマー(R.delemar)リパーゼ(Hass et al.,Gene 109:117−113[1991])を参照)、リゾプス・ニベウス(R.niveus)リパーゼ(Kugimiya et al.,Biosci.Biotech.Biochem.56:716−719[1992])を参照)、およびリゾプス・オリザエ(R.oryzae)リパーゼが使用される。本明細書で有用なさらなるリパーゼとしては、例えば、国際公開第92/05249号パンフレット、同第94/01541号パンフレット、同第95/35381号パンフレット、同第96/00292号パンフレット、同第95/30744号パンフレット、同第94/25578号パンフレット、同第95/14783号パンフレット、同第95/22615号パンフレット、同第97/04079号パンフレット、同第97/07202号パンフレット、欧州特許第407225号明細書および同第260105号明細書に開示されるものが挙げられる。クチナーゼなどの他の型のリパーゼポリペプチド酵素、例えば、限定はされないが、シュードモナス・メンドシナ(Pseudomonas mendocina)由来のクチナーゼ(国際公開第88/09367号パンフレットを参照)およびフサリウム・ソラニ・ピシ(Fusarium solani pisi)由来のクチナーゼ(国際公開第90/09446号パンフレットを参照)も本開示のいくつかの実施形態で使用される。本明細書で有用な、商業的に入手可能なリパーゼ酵素の例として、M1 LIPASETM、LUMA FASTTM、およびLIPOMAXTM(Genencor);LIPEX(登録商標)、LIPOLASE(登録商標)およびLIPOLASE(登録商標)ULTRA (Novozymes);ならびにリパーゼPTM「アマノ」(天野製薬株式会社、日本)が挙げられる。
適切なポリエステラーゼとしては、例えば、国際公開第01/34899号パンフレット、同第01/14629号パンフレット、および米国特許第6933140号明細書に記載のものが挙げられる。
本明細書に記載の洗剤組成物はまた、家庭用および/または工業用の織布/洗濯衣類に含まれるバイオフィルムの除去/洗浄に効果のある2,6−ベータ−D−フルクタンヒドラーゼを含んでもよい。
適切なアミラーゼとしては、限定はされないが、細菌または真菌起源のものが挙げられる。いくつかの実施形態では、化学的に、または遺伝子操作により改変された変異体が含まれる。本開示に使用されるアミラーゼとしては、限定はされないが、バチルス−リケニフォルミス(B.licheniformis)から得られるアルファ−アミラーゼが挙げられる(例えば、英国特許第1296839号明細書を参照)。さらなる好適なアミラーゼとしては、国際公開第95/10603号パンフレット、国際公開第95/26397号パンフレット、同第96/23874号パンフレット、同第96/23873号パンフレット、同第97/41213号パンフレット、同第99/19467号パンフレット、同第00/60060号パンフレット、同第00/29560号パンフレット、同第99/23211号パンフレット、同第99/46399号パンフレット、同第00/60058号パンフレット、同第00/60059号パンフレット、同第99/42567号パンフレット、同第01/14532号パンフレット、同第02/092797号パンフレット、同第01/66712号パンフレット、同第01/88107号パンフレット、同第01/96537号パンフレット、同第02/10355号パンフレット、同第94/02597号パンフレット、同第02/31124号パンフレット、同第99/43793号パンフレット、同第99/43794号パンフレット、同第2004/113551号パンフレット、同第2005/001064号パンフレット、同第2005/003311号パンフレット、同第01/64852号パンフレット、同第2006/063594号パンフレット、同第2006/066594号パンフレット、同第2006/066596号パンフレット、同第2006/012899号パンフレット、同第2008/092919号パンフレット、同第2008/000825号パンフレット、同第2005/018336号パンフレット、同第2005/066338号パンフレット、同第2009/140504号パンフレット、同第2005/019443号パンフレット、同第2010/091221号パンフレット、同第2010/088447号パンフレット、同第01/34784号パンフレット、同第2006/012902号パンフレット、同第2006/031554号パンフレット、同第2006/136161号パンフレット、同第2008/101894号パンフレット、同第2010/059413号パンフレット、同第2011/098531号パンフレット、同第2011/080352号パンフレット、同第2011/080353号パンフレット、同第2011/080354号パンフレット、同第2011/082425号パンフレット、同第2011/082429号パンフレット、同第2011/076123号パンフレット、同第2011/087836号パンフレット、同第2011/076897号パンフレット、同第94/183314号パンフレット、同第95/35382号パンフレット、同第99/09183号パンフレット、同第98/26078号パンフレット、同第99/02702号パンフレット、同第97/43424号パンフレット、同第99/29876号パンフレット、
同第91/00353号パンフレット、同第96/05295号パンフレット、同第96/30481号パンフレット、同第97/10342号パンフレット、同第2008/088493号パンフレット、同第2009/149419号パンフレット、同第2009/061381号パンフレット、同第2009/100102号パンフレット、同第2010/104675号パンフレット、同第2010/117511、および国際公開第2010/115021に開示のものが挙げられる。これらの文献は全て参照により本明細書に組み込まれる。
適切なアミラーゼとしては、例えば、STAINZYME(登録商標)、STAINZYME PLUS(登録商標)、NATALASE(登録商標)、DURAMYL(登録商標)、TERMAMYL(登録商標)、TERMAMYL ULTRA(登録商標)、 FUNGAMYL(登録商標)およびBANTM(Novo Nordisk A/SおよびNovozymes A/S);RAPIDASE(登録商標)、POWERASE(登録商標)、PURASTAR(登録商標)およびPREFERENZTM(DuPont Industrial Biosciences)などの商業的に入手可能なアミラーゼが挙げられる。
本組成物での使用に適していると考えられるペルオキシダーゼ/オキシダーゼとしては、植物、細菌または真菌起源のものが挙げられる。化学的改変、またはタンパク質改変による変異体が含まれる。本明細書において有用なペルオキダーゼの例としては、コプリナス(Coprinus)属(例えば、コプリナス・キネレウス(Coprinus cinereus)、国際公開第93/24618号パンフレット、同第95/10602号パンフレットおよび同第98/15257号パンフレット)由来のもの、ならびに国際公開第2005/056782号パンフレット、同第2007/106293号パンフレット、同第2008/063400号パンフレット、同第2008/106214号パンフレットおよび同第2008/106215号パンフレットに記載のものが挙げられる。本明細書において有用な商業的に入手可能なペルオキダーゼとしては、例えば、GUARDZYMETM(Novo Nordisk A/SおよびNovozymes A/S)が挙げられる。
いくつかの実施形態では、ペルオキダーゼは、過酸化水素または過酸化水素源(例えば、過炭酸塩、過ホウ酸塩、または過硫酸塩)と併用される。いくつかの実施形態では、オキシダーゼは、酸素と併用される。酵素は両種類とも、「漂白液」用に(すなわち、洗浄液中で衣類を一緒に洗った際に、1つの染色した衣類から他の衣類に織物染料が移行するのを防止するために)、好ましくは増強剤とともに使用される(例えば、国際公開第94/12621号パンフレットおよび同第95/01426号明細書を参照)。適切なペルオキシダーゼ/オキシダーゼとしては、限定はされないが、植物、細菌または真菌起源のものが挙げられる。いくつかの実施形態では、化学的または遺伝子操作により改変された変異体が含まれる。
本明細書に記載の洗剤組成物に含まれ得る酵素は、従来の安定剤、例えば、プロピレングリコールなどのポリオール;糖または糖アルコール;乳酸;ホウ酸またはホウ酸誘導体(例えば、芳香族ホウ酸エステル)を用いて安定化してもよい。
本明細書に記載の洗剤組成物は、ゼオライト、二リン酸塩、三リン酸塩、ホスホン酸塩、クエン酸塩、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTMPA)、アルキルコハク酸およびアルケニルコハク酸、可溶性ケイ酸塩、または層状ケイ酸塩(例えば、Hoechst製のSKS−6)などの洗剤ビルダーまたは錯化剤を、約1wt%〜約65wt%含み得る。洗剤はまた、アンビルト、すなわち、洗剤ビルダーを実質的に含まないようにしてもよい。
ある実施形態では、洗剤組成物は、本明細書に開示のセルロースに加えて、1種以上の他の種類のポリマーを含んでもよい。本明細書において有用な他の種類のポリマーの例としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリアクリル酸塩などのポリカルボン酸塩、マレイン酸/アクリル酸コポリマー、およびラウリルメタクリレート/アクリル酸コポリマーが挙げられる。
本明細書に記載の洗剤組成物は、漂白系を含有してもよい。漂白系は、例えば、過ホウ酸塩または過カルボン酸塩などのH2O2源を含み得、それは、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)またはノナノイルオキベンゼンスルホン酸塩(NOBS)などの過酸形成漂白活性化剤と併用してもよい。あるいは、漂白系は、ペルオキシ酸(例えば、アミド型、イミド型またはスルホン型ペルオキシ酸)を含んでもよい。あるいはさらに、漂白系は、例えば、ペルヒドロラーゼを含む酵素漂白系、例えば、国際公開第2005/056783号パンフレットに記載の系であってもよい。
本明細書に記載の洗剤組成物はまた、衣類用コンディショナー、クレー、起泡力増進剤、抑泡剤、防食剤、土壌懸濁剤、再汚染防止剤、染料、殺菌剤、変色防止剤、蛍光増白剤、または香料などの従来の洗剤成分を含有してもよい。本明細書に記載の洗剤組成物のpH(使用濃度の水溶液で測定)は、通常、中性またはアルカリ性(例えば、約7.0〜約11.0のpH)である。
本明細書に開示の目的に適し得る特定の形態の洗剤組成物は、例えば、米国特許出願公開第2009/0209445A1号明細書、同第2010/0081598A1号明細書、米国特許第7001878B2号明細書、欧州特許第1504994B1号明細書、国際公開第2001/085888A2号パンフレット、国際公開第2003/089562A1号パンフレット、同第2009/098659A1号パンフレット、同第2009/098660A1号パンフレット、同第2009/112992A1号パンフレット、同第2009/124160A1号パンフレット、同第2009/152031A1号パンフレット、同第2010/059483A1号パンフレット、同第2010/088112A1号パンフレット、同第2010/090915A1号パンフレット、同第2010/135238A1号パンフレット、同第2011/094687A1号パンフレット、同第2011/094690A1号パンフレット、同第2011/127102A1号パンフレット、同第2011/163428A1号パンフレット、同第2008/000567A1号パンフレット、同第2006/045391A1号パンフレット、同第2006/007911A1号パンフレット、同第2012/027404A1号パンフレット、欧州特許第1740690B1号明細書、国際公開第2012/059336A1号パンフレット、米国特許第US6730646B1号明細書、国際公開第2008/087426A1号パンフレット、同第2010/116139A1号パンフレットおよび同第2012/104613A1号パンフレットに開示されており、これらの文献は全て参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書に記載の洗濯洗剤組成物は、任意選択により、重質(万能)選択洗剤組成物であり得る。典型的な重質洗濯洗剤組成物は、洗浄界面活性剤(10%〜40%wt/wt)、例えば、アニオン洗浄界面活性剤(直鎖状、分岐状もしくはランダム鎖状で、置換もしくは非置換のアルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアルコキシル化硫酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルホスホン酸塩、アルキルカルボン酸塩、および/またはこれらの混合物からなる群から選択される)、および任意選択により、ノニオン界面活性剤(直鎖状、分岐状もしくはランダム鎖状で、置換もしくは非置換のアルキルアルコキシ化アルコール、例えば、C8〜C18アルキルエトキシル化アルコールおよび/またはC6〜C12アルコールフェノールアルコキシレートからなる群から選択される)を含み、アニオン洗浄界面活性剤(6.0〜9の親水性指標(HIc)を有する)とノニオン洗浄界面活性剤との重量比は、1:1超である。適切な界面活性剤としてはまた、カチオン洗浄界面活性剤(アルキルピリジニウム化合物、アルキル第四級アンモニウム化合物、アルキル第四級ホスホニウム化合物、アルキル第三級スルホニウム化合物、および/またはこれらの混合物からなる群から選択される);双性イオンおよび/または両性の(amphoteric)洗浄界面活性剤(アルカノールアミンスルホベタインからなる群から選択される);両性(ampholytic)界面活性剤;半極性ノニオン界面活性剤、ならびにこれらの混合物が挙げられる。
重質洗濯洗剤組成物などの本明細書に記載の洗剤は、任意選択により、両親媒性アルコキシル化グリース洗浄ポリマー(0.05wt%〜10wt%の範囲で含まれるアルコキシル化ポリアルキレンイミン親水性および親油性特性を持った分岐を有するアルコキシル化ポリマーからなる群から選択される)、および/またはランダムグラフトポリマー(通常、不飽和C1〜C6カルボン酸、エーテル、アルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、糖単位、アルコキシ単位、無水マレイン酸、飽和ポリアルコール(例えば、グリセロール)、およびこれらの混合物からなる群から選択されるモノマーを含む親水性主鎖と;C4〜C25アルキル基、ポリプロピレン、ポリブチレン、飽和C1〜C6モノカルボン酸のビニルエステル、アクリル酸もしくはメタクリル酸のC1〜C6アルキルエステル、およびこれらの混合物からなる群から選択される親油性側鎖とから構成される)からなる界面活性作用増強ポリマー(surfactancy boosting polymer)を含んでもよい。
重質洗濯洗剤組成物などの本明細書に記載の洗剤は、任意選択により、防汚ポリマー(アニオンでエンドキャップシタポリエステル(例えば、SRP1)、サッカリド、ジカルボン酸、ポリオールおよびこれらの組み合わせから選択される少なくとも1種のモノマー単位を含む、ランダムまたはブロック構成のポリマー、エチレンテレフタレート系ポリマー、ならびにこれらのランダムまたはブロック構成のコポリマー(例えば、REPEL−O−TEX SF、SF−2 AND SRP6、TEXCARE SRA100、SRA300、SRN100、SRN170、SRN240、SRN300 AND SRN325、MARLOQUEST SL));再付着防止剤(0.1wt%〜10wt%)(例えば、アクリル酸、マレイン酸(もしくは無水マレイン酸)、フマル酸、イタコン酸、アコニット酸、メサコン酸、シトラコン酸、メチレンマロン酸、およびこれらの混合物から選択される少なくとも1種のモノマーを含むポリマーなどのカルボン酸ポリマー、ビニルピロリドンホモポリマー、および/またはポリエチレングリコール、500〜100,000Daの範囲の分子量);ならびにポリマーアクリレート(マレエート/アクリレートランダムコポリマーまたはポリアクリレートホモポリマーなど)などのさらなるポリマーを含んでもよい。
重質洗濯洗剤組成物などの本明細書に記載の洗剤は、任意選択により、さらに、飽和または不飽和脂肪酸、好ましくは飽和または不飽和のC12〜C24脂肪酸(0wt%〜10wt%)、本明細書に開示のセルロース化合物に加えて沈澱助剤(その例としては、ポリサッカリド、ポリジアリルジメチルアンモニウムハロゲン化物(DADMAC)、DADMACとビニルピロリドン、アクリルアミド、イミダゾール、ハロゲン化イミダゾリニウム、およびこれらの混合物との、ランダムもしくはブロック構成のコポリマー、カチオン性グアーガム、カチオン性デンプン、カチオン性ポリアクリルアミド、ならびにこれらの混合物を含んでもよい。
重質洗濯洗剤組成物などの本明細書に記載の洗剤は、任意選択により、さらに、染料移行防止剤を含んでもよく、その例としては、マンガンフタロシアニン、ペルオキシダーゼ、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN−オキシドポリマー、ポリアミンN−オキシドポリマー、N−ビニルピロリドンおよびN−ビニルイミダゾールのコポリマー、ポリビニルオキサゾリドンおよびポリビニルイミダゾール、ならびに/またはこれらの混合物;キレート剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA);ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン(DTPMP);ヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP);エチレンジアミンN,N’−ジコハク酸(EDDS);メチルグリシンメチルグリシン二酢酸(MGDA);ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA);プロピレンジアミン四酢酸(PDT A);2−ヒドロキシピリジン−N−オキシド(HPNO);またはメチルグリシン二酢酸(MGDA);グルタミン酸N,N−二酢酸(N,N−ジカルボキシメチルグルタミン酸4ナトリウム塩(GLDA);ニトリロ三酢酸(NTA);4,5−ジヒドロキシ−m−ベンゼンジスルホン酸;クエン酸およびその塩;N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラアミン六酢酸(TTHA)、N−ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HEIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、エチレンジアミンテトラプロピオン酸(EDTP)、およびこれらの誘導体が挙げられる。
重質洗濯洗剤組成物などの本明細書に記載の洗剤は、任意選択により,シリコーンまたは脂肪酸系抑泡剤、調色染料(hueing dye)、カルシウム陽イオンおよびマグネシウム陽イオン、視覚信号成分、消泡剤(0.001wt%〜約4.0wt%)、ならびに/またはジグリセリドおよびトリグリセリド、ジステアリン酸エチレングリコール、微結晶セルロース、微小繊維セルロース、バイオポリマー、キサンタンガム、ゲランガム、およびこれらの混合物)からなる群から選択される構造化剤/増粘剤(0.01wt%〜5wt%)を含んでもよい。ある態様では、本明細書に開示の1種以上のセルロース材料に加えて、そのような構造化剤/増粘剤が含まれよう。構造化剤はまた、構造材と呼ばれ得る。
本明細書に記載の洗剤は、例えば、重質乾燥/固体洗濯洗剤組成物の形態であり得る。そのような洗剤は、(i)洗浄界面活性剤、例えば、本明細書に開示のアニオン洗浄界面活性剤、本明細書に開示のノニオン洗浄界面活性剤、本明細書に開示のカチオン洗浄界面活性剤、本明細書に開示の双性および/または両性(amphoteric)洗浄界面活性剤、両性(ampholytic)界面活性剤、半極性ノニオン界面活性剤、ならびにこれらの混合物、(ii)ビルダー、例えば、リン酸塩フリーのビルダー(例えば、0wt%〜10wt%未満の範囲のゼオライトビルダー)、リン酸塩ビルダー(例えば、0wt%〜10wt%未満の範囲の三リン酸ナトリウム)、クエン酸、クエン酸塩および二トリロ三酢酸、ケイ酸塩(例えば、0wt%〜10wt%未満の範囲のケイ酸ナトリウムもしくはケイ酸カリウム、またはメタケイ酸ナトリウム)、炭酸塩(例えば、0wt%〜80wt%未満の範囲の炭酸ナトリウムおよび/または重炭酸ナトリウム)、ならびにこれらの混合物;(iii)漂白剤、例えば、光漂白剤(例えば、スルホン化亜鉛フタロシアニン、スルホン化アルミニウムフタロシアニン、キサンテン染料、およびこれらの混合物)、親油性もしくは親水性の漂白活性化剤(例えば、ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸塩、デカノイルオキシベンゼンスルホン酸塩、オキシ安息香酸もしくはその塩、3,5,5−トリメチルヘキサノイルオキシベンゼンスルホン酸塩、テトラアセチルエチレンジアミン(TEAD)、ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸塩(NOBS)、ニトリルクワット、およびこれらの混合物)、過酸化水素源(例えば、無機過酸化水素化物塩(この例としては、過ホウ酸、過炭酸、過硫酸、過リン酸もしくは過ケイ酸のナトリウム塩の一もしくは四水和物が挙げられる))、プレフォームされた親水性および/または親油性の過酸(例えば、過カルボン酸および塩、過炭酸および塩、過イミド酸、および塩、ペルオキシ一硫酸および塩、ならびにこれらの混合物)、ならびに/あるいは(iv)他の任意成分、例えば、漂白触媒(例えば、増白剤(この例としては、イミニウム陽イオンおよびポリイオン、イミニウム双性イオン、変性アミン、変性アミンオキシド、N−スルホニルイミン、N−ホスホニルイミン、N−アシルイミン、チアジアゾールジオキシド、ペルフルオロイミン、環状糖ケトン、ならびにこれらの混合物が挙げられる))、および金属含有漂白触媒(例えば、銅、鉄、チタン、ルテニウム、タングステン、モリブデンまたはマンガンの陽イオン(亜鉛またはアルミニウムなどの補助金属陽イオン、およびEDTA、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)と併用))を含み得る。
本明細書に開示のセルロースを含む組成物は、例えば、食器洗い用洗剤組成物の形態であり得る。食器洗い用洗剤の例としては、自動食器洗い用洗剤(通常、自動食器洗い機で使用される)、および食器手洗い用洗剤が挙げられる。食器洗い用洗剤組成物は、例えば、任意の乾燥、または液体/水性形態であり得る。食器洗い用洗剤組成物のある実施形態で含まれ得る成分としては、例えば、1種以上のリン酸塩;酸素系もしくは塩素系の漂白剤;ノニオン界面活性剤;アルカリ塩(例えば、メタケイ酸塩、アルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム);本明細書に開示の活性酵素;防食剤(例えば、ケイ酸ナトリウム);消泡剤;セラミックからの光沢および模様落ちを遅くするための添加剤;香料;抗ケーキング剤(粒状洗剤中);ゲル化剤(液体/ゲル系洗剤中);および/または砂(粉末洗剤)が挙げられる。
自動食器洗い用洗剤、または液体の食器洗い用洗剤などの食器洗い用洗剤は、(i)ノニオン界面活性剤、例えば、0〜10wt%の量で含まれるエトキシル化ノニオン界面活性剤、アルコールアルコキシル化界面活性剤、エポキシでキャップしたポ(オキシアルキル化)アルコール、またはアミンオキシド界面活性剤;(ii)約5〜60wt%の範囲で含まれるビルダー、例えば、リン酸塩ビルダー(例えば、一リン酸塩、二リン酸塩、三ポリリン酸塩、他のオリゴマーポリリン酸塩、三ポリリン酸ナトリウム(STPP))、リン酸塩フリービルダー(例えば、メチルグリシン二酢酸[MGDA]およびその塩もしくは誘導体、グルタミン−N,N−二酢酸[GLDA]およびその塩もしくは誘導体、イミノジコハク酸[IDS]およびその塩もしくは誘導体、カルボキシメチルイヌリンおよびその塩もしくは誘導体、二トリロ三酢酸[NTA]およびその塩もしくは誘導体、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、B−アラニン二酢酸[B−ADA]およびその塩などのアミノ酸系化合物)、ポリカルボン酸のホモポリマーおよびコポリマーと、それらの部分中和塩もしくは完全中和塩、約0.5wt%〜50wt%の範囲のポリカルボン酸モノマーおよびヒドロキシカルボン酸とそれらの塩、または約0.1wt%〜約50wt%の範囲のスルホン化/カルボキシル化ポリマー;(iii)約0.1〜約10wt%の範囲の乾燥助剤(例えば、ポリエステル、特にアニオン性ポリエステル(任意選択により、3〜6個の官能基を有するさらなるモノマー、通常、重縮合に繋がる酸、アルコールまたはエステル官能基、を共に含む)、ポリカーボネート−、ポリウレタン−および/もしくはポリ尿素−ポリオルガノシロキサン化合物、またはそれらの前駆体化合物、特に、環状カーボネートおよびウレア型のもの);(iv)約1〜約20wt%の範囲のケイ酸塩(例えば、二ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムおよびフィロケイ酸塩などのケイ酸ナトリウムまたはケイ酸カリウム);(v)無機漂白剤(例えば、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過リン酸塩、過硫酸塩または過ケイ酸塩などの過酸化水素化物塩)、および/または有機漂白剤(例えば、ジアシルペルオキシドおよびテトラアシルペルオキシドなどの有機過酸、特に、ジペルオキシドデカン二酸、ジペルオキシテトラデカン二酸、およびジペルオキシヘキサデカン二酸);(vi)漂白活性化剤(例えば、約0.1wt%〜約10wt%の範囲の有機過酸前駆体)および/または漂白触媒(例えば、トリアザシクロノナンマンガンとその関連錯体;ビスピリジルアミンCo、ビスピリジルアミンCu、ビスピリジルアミンMnおよびビスピリジルアミンFeとそれらの関連錯体、ならびにペンタミンアセテートコバルト(III)とその関連錯体);(vii)約0.1wt%〜5wt%の範囲の金属ケア剤(例えば、ベンザトリアゾール、金属塩および金属錯体、ならびに/またはケイ酸塩);ならびに/あるいは(viii)自動食器洗い用洗剤組成物1g当たり約0.01〜5.0mgの範囲で含まれる、本明細書に開示の活性酵素、酵素安定剤成分(例えば、オリゴ糖、多糖および無機の2価金属塩)を含み得る。
本明細書に開示のセルロースを含む組成物は、口腔ケア組成物の形態であり得る。口腔ケア組成物の例としては、歯磨き剤、歯磨き粉、マウスウォッシュ、マウスリンス、チューイングガム、および何らかの形態の口腔ケア(例えば、虫歯(歯のケア)、歯肉炎、歯垢、歯石および/または歯周病の治療または予防)を提供する食用ストリップが挙げられる。口腔ケア組成物はまた、舌の表面、硬い、または柔らかい口蓋、頬粘膜、歯肉、および歯表面など、口腔内の柔らかいまたは硬い表面を全て包含する「口腔面」の治療に用いることができる。本明細書では、「歯表面」は、例えば、天然の歯の表面、またはクラウン、キャップ、詰め物、ブリッジもしくは歯科用インプラントなどの人工歯の硬質の表面である。
本明細書の口腔ケア組成物は、本明細書で開示の1種以上のセルロース材料を、約0.01〜15.0wt%(例えば、〜0.1〜10wt%、〜0.1〜5.0wt%または〜0.1〜2.0wt%)含み得る。口腔ケア組成物に含まれる、本明細書に記載の1種以上のセルロース材料は、時に、組成物に増粘剤および/または分散剤として配合することができ、それは組成物に所望の粘度および/または口内感触を付与するのに有用であり得る。例えば、カルボキシビニルポリマー、カラギーナン(例えば、L−カラギーナン)、天然ゴム(例えば、カラヤ、キサンタン、アラビアゴム、トラガカント)コロイド状ケイ酸マグネシウムアルミニウムまたはコロイドシリカなどの1種以上の他の増粘剤または分散剤も本明細書に記載の口腔ケア組成物に加えることができる。
本明細書に記載の口腔ケア組成物は、例えば、練り歯磨きまたは他の歯磨き剤であり得る。本明細書に記載の、そのような組成物および任意の他の口腔ケア組成物は、1種以上の、虫歯予防薬、抗微生物剤もしくは抗細菌剤、抗歯石剤もしくは歯石制御剤、界面活性剤、研磨剤、pH調節剤、起泡調節剤、保湿剤、香料、甘味料、顔料/着色料、増白剤、および/または他の適切な成分をさらに含むことができる。本明細書に記載の1種以上のセルロース材料を加えることができる口腔ケア組成物の例は、米国特許出願公開第2006/0134025号明細書、同第2002/0022006号明細書および同第2008/0057007号明細書に開示されており、これらの文献は参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書に記載の虫歯予防薬は、経口的に許容されるフッ化物イオン源であり得る。適切なフッ化物イオン源としては、例えば、フッ素化合物、モノフルオロリン酸塩およびフルオロケイ酸塩、ならびにオラフルル(N’−オクタデシルトリメチレンジアミン−N,N,N’−トリス(2−エタノール)−ジヒドロフルオリド)を含むアミンフッ化物が挙げられる。虫歯予防薬は、例えば、組成物に、全体で約100〜20000ppm、約200〜5000ppmまたは約500〜2500ppmのフッ化物イオンを与える量で含まれ得る。フッ化ナトリウムがフッ化物イオンの単独源である場合の口腔ケア組成物では、例えば、約0.01〜5.0wt%、約0.05〜1.0wt%または約0.1〜0.5wt%の量のフッ化ナトリウムが組成物中に含まれ得る。
本明細書に記載の、口腔ケア組成物の使用に適した抗微生物剤または抗細菌剤としては、例えば、フェノール化合物(例えば、4−アリルカテコール;ベンジルパラベン、ブチルパラベン、ルチルパラベン、メチルパラベンおよびプロピルパラベンなどのp−ヒドロキシ安息香酸エステル類;2−ベンジルフェノール;ブチルヒドロキシアニソール;ブチルヒドロキシトルエン;カプサイシンン;カルバクロール;クレオソール;オイゲノール;グアイアコール;ヘキサクロロフェンおよびブロモクロロフェンなどのハロゲン化ビスフェノール類;4−ヘキシルレゾルシノール、8−ヒドロキシキノリンおよびその塩、サリチル酸メンチル、サリチル酸メチルおよびサリチル酸フェニルなどのサリチル酸エステル;フェノール;ピロカテコール;サリチルアニリド;チモール;トリクロサンおよびトリクロサン一リン酸などのハロゲン化ジフェニルエーテル化合物)、銅(II)化合物(例えば、第二銅塩化物、フッ化物、硫酸塩および水酸化物)、亜鉛イオン源(例えば、亜鉛酢酸塩、クエン酸塩、グリシン酸塩、酸化物および硫酸塩)、フタル酸およびその塩(例えば、フタル酸マグネシウム一カリウム)、ヘキセチジン、オクテニジン、サンギナリン、塩化ベンザルコニウム、臭化ドミフェン、塩化アルキルピリジニウム(例えば、塩化セチルピリジニウム、塩化テトラデシルピリジニウム、塩化N−テトラデシル−4−エチルピリジニウム)、ヨウ素、スルホンアミド、ビスビグアニド(例えば、アレキシジン、クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン)、ピペリジン誘導体(例えば、デルモピノール、オクタピノール)、マグノリア抽出物、グレープシード抽出物、ローズマリー抽出物、メンソール、ゲラニオール、シトラール、オイカリプトール、抗生物質(例えば、オウグメンチン、アモキシリン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、メトロニダゾール、ネオマイシン、カナマイシン、クリンダマイシン)、および/または米国特許第5776435号明細書(この文献は参照により本明細書に組み込まれる)で開示の抗細菌剤が挙げられる。1種以上の抗微生物剤は、任意選択により、開示の口腔ケア組成物中に、例えば、約0.01〜10wt%(例えば、0.1〜3wt%)含まれ得る。
本明細書に記載の、口腔ケア組成物の使用に適した抗歯石剤または歯石制御剤としては、例えば、リン酸塩およびポリリン酸塩(例えばピロリン酸塩)、ポリアミノプロパンスルホン酸(AMPS)、クエン酸亜鉛三水和物、ポリペプチド(例えば、ポリアスパラギン酸およびポリグルタミン酸)、ポリオレフィンスルホネート、ポリオレフィンリン酸塩、ジホスホネート(例えばアザシクロヘプタン−2,2−ジホスホン酸などのアザシクロアルカン−2,2−ジホスホネート)、N−メチルアザシクロペンタン−2,3−ジホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸(EHDP)、エタン−1−アミノ−1,1−ジホスホネートおよび/またはホスホノアルカンカルボン酸およびその塩(例えば、そのアルカリ金属およびアンモニウム塩)が挙げられる。有用な無機リン酸塩およびポリリン酸塩としては、例えば、リン酸一、リン酸二およびリン酸三ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、テトラポリリン酸塩、モノ−、ジ−、トリ−ポリリン酸四ナトリウム、ピロリン酸二水素ナトリウム、三メタリン酸ナトリウム、六メタリン酸ナトリウム、またはこれらのナトリウムがカルシウムまたはアンモニウムで置換されたものが挙げられる。ある実施形態では、他の有用な抗歯石剤として、アニオン性ポリカルボキシレートポリマー(例えば、ポリビニールメチルエーテル/無水マレイン酸コポリマーなどのアクリル酸、メタクリル酸および無水マレイン酸のポリマーまたはコポリマー)が挙げられる。さらに他の有用な抗歯石剤としては、ヒドロキシカルボン酸などの金属イオン封鎖剤(例えば、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、グルタール酸、シュウ酸およびそれらの塩)およびアミノポリカルボン酸(例えば、EDTA)が挙げられる。1種以上の抗歯石剤または歯石制御剤は、開示の口腔ケア組成物中に、任意選択により、例えば、約0.01〜50wt%(例えば、約0.05〜25wt%または約0.1〜15wt%)含まれ得る。
本明細書に記載の口腔ケア組成物での使用に適した界面活性剤は、例えば、アニオン性、ノニオン性または両性であり得る。適切なアニオン界面活性剤としては、限定はされないが、水溶性塩のC8〜20アルカリ硫酸塩、C8〜20脂肪酸のスルホン化モノグリセリド、サルコシネートおよびタウレートが挙げられる。アニオン界面活性剤の例としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ヤシ油モノグリセリドスルホン酸ナトリウム、ラウリルサルコシンナトリウム、ラウロイルイセチオン酸ナトリウム、ラウレスカルボン酸ナトリウムおよびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが挙げられる。適切なノニオン界面活性剤としては、限定はされないが、ポロクサマー、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、脂肪族アルコールエトキシレート、第三アミンオキシド第三ホスフィンオキシドおよびジアルキルスルホキシドが挙げられる。適切な両性界面活性剤としては、限定はされないが、カルボン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩またはホスホン酸塩などの両性基を有する、C8−20の第二および第三脂肪族アミン誘導体が挙げられる。適切な両性界面活性剤の例は、コカミドプロピルベタインである。1種以上の界面活性剤は、開示の口腔ケア組成物中に、任意選択により、全量で、例えば、約0.01〜10wt%(例えば、約0.05〜5.0wt%または約0.1〜2.0wt%)含まれる。
本明細書に記載の口腔ケア組成物中で使用するのに適した研磨剤としては、例えば、シリカ(例えば、シリカゲル、含水ケイ酸、沈降シリカ)、アルミナ、水溶性リン酸塩、炭酸カルシウムおよび樹脂研磨材(例えば、尿素−ホルムアルデヒド縮合生成物)を挙げ得る。本明細書に記載の研磨剤として有用な不溶性リン酸塩の例は、オルトリン酸塩、ポリメタリン酸塩およびピロリン酸塩であり、リン酸二オルトカルシウム二水和物、ピロリン酸カルシウム、ピロリン酸ベータ−カルシウム、リン酸三カルシウム、ポリメタリン酸カルシウムおよび不溶性ポリメタリン酸ナトリウムである。1種以上の研磨剤は、開示の口腔ケア組成物中に、任意選択により、全量で、例えば、約5〜70wt%(例えば、約10〜56wt%または約15〜30wt%)含まれる。ある実施形態では、研磨剤の平均粒子径は、約0.1〜30ミクロン(例えば、約1〜20ミクロンまたは約5〜15ミクロン)である。
ある実施形態における口腔ケア組成物は、少なくとも1種のpH調節剤を含み得る。そのような薬剤は、約2〜10のpH範囲(例えば、約2〜8、3〜9、4〜8、5〜7、6〜10、または7〜9のpH範囲)へと、組成物のpHを、酸性化するため、より塩基性にするため、または緩衝するために選択され得る。本明細書で有用なpH調節剤の例としては、限定はされないが、カルボン酸、ホスホン酸およびスルホン酸;酸塩(例えば、クエン酸一ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、マレイン酸一ナトリウム);アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどの炭酸塩、セスキ炭酸塩);ホウ酸塩;珪酸塩;リン酸塩(例えば、リン酸一ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸塩);およびイミダゾールが挙げられる。
本明細書に記載の口腔ケア組成物で使用するのに適した起泡調節剤は、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)であり得る。例えば、高分子量PEG、例えば、約200000〜7000000(例えば、約500000から5000000または約1000000〜2500000)の平均分子量を有するものが適している。1種以上のPEGは、開示の口腔ケア組成物中に、任意選択により、全量で、例えば、約0.1〜10wt%(例えば、約0.2〜5.0wt%、または約0.25〜2.0wt%)含まれる。
ある実施形態の口腔ケア組成物は、少なくとも1種の保湿剤を含み得る。ある実施形態の保湿剤は、グリセリン、ソルビトール、キシリトールなどの多価アルコールまたは低分子量PEGであり得る。最も適した保湿剤は、本明細書において甘味料としての役割も果たし得る。1種以上の保湿剤は、開示した口腔ケア組成物中に、任意選択により、全量で、例えば、約1.0〜70wt%(例えば、約1.0〜50wt%、約2〜25wt%、または約5〜15wt%)含まれる。
天然または人工甘味料は、任意選択により、本明細書に記載の口腔ケア組成物に含まれ得る。適切な甘味料の例としては、デキストロース、スクロース、マルトース、デキストリン、転化糖、マンノース、キシロース、リボース、フルクトース、果糖、ガラクトース、コーンシロップ(例えば、高フルクトースコーンシロップまたは固形コーンシロップ)、部分加水分解デンプン、水素化デンプン加水分解物、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、マルチトール、イソマルト、アスパルテーム、ネオテーム、サッカリンおよびその塩、ジペプチドをベースとする高甘味度甘味料、およびシクラミン酸塩が挙げられる。1種以上の甘味料は、開示の口腔ケア組成物中に、任意選択により、全量で、例えば約0.005〜5.0wt%含まれる。
天然または人工の香料は、任意選択により、本明細書に記載の口腔ケア組成物に含まれ得る。適切な香料の例としては、バニリン;セージ;マジョラム;パセリ油;スペアミント油;桂皮油;冬緑油(サリチル酸メチル);ペパーミント油;丁子油;ベイ油;アニス油;ユーカリ油;かんきつ油;果実油;レモン、オレンジ、ライムグレープフルーツ、アンズ、バナナ、ブドウ、リンゴ、イチゴ、サクランボまたはパイナップル由来などのエキス;コヒー、ココア、コーラ、ピーナッツまたはアーモンドなどのマメまたはナッツ由来の香味料;および吸収させ、かつカプセル化した香料が挙げられる。清涼または温熱効果を含む、口中で芳香および/または他の官能効果を与える成分も本明細書に記載の香料に包含される。そのような成分としては、限定はされないが、メンソール、酢酸メンチル、乳酸メンチル、樟脳、ユーカリ油、オイカリプトール、アネトール、オイゲノール、カッシア、オキサノン、Irisone(登録商標)、プロペニルグアエトール、チモール、リナロール、ベンズアルデヒド、桂皮アルデヒド、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミン、N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタンアミド、3−(1−メトキシ)−プロパン−1,2−ジオール、桂皮アルデヒドグリセロールアセタール(CGA)およびメントングリセロールアセタール(MGA)が挙げられる。1種以上の香料は、開示した口腔ケア組成物中に、任意選択により、全量で、例えば、約0.01〜5.0wt%(例えば、約0.1〜2.5wt%)含まれる。
ある実施形態の口腔ケア組成物は、少なくとも1種の重炭酸塩を含み得る。例えば、重炭酸ナトリウムまたは重炭酸カリウムなどの重炭酸アルカリ金属塩、および重炭酸アンモニウムなど、経口的に許容される任意の重炭酸塩を使用することができる。1種以上の重炭酸塩は、開示の口腔ケア組成物中に、任意選択により、全量で、例えば、約0.1〜50wt%(例えば、約1〜20wt%)含まれる。
ある実施形態の口腔ケア組成物は、少なくとも1種の増白剤および/または着色料を含み得る。適切な増白剤は、米国特許第8540971号明細書に開示されているような過酸化物であり、この文献は参照により本明細書に組み込まれる。本明細書における適切な着色料としては、例えば顔料、染料、レーキ、およびパール剤などの特定の光沢または反射率を付与する化学物質が挙げられる。本明細書に有用な着色料の具体例としては、タルク;雲母;炭酸マグネシウム;炭酸カルシウム;ケイ酸マグネシウム;ケイ酸マグネシウムアルミニウム;シリカ;二酸化チタン;酸化亜鉛;赤、黄、茶および黒色酸化鉄;第二鉄アンモニウムフェロシアン化合物;マンガンバイオレット;ウルトラマリン;雲母チタン;およびオキシ塩化ビスマスが挙げられる。1種以上の着色料は、開示した口腔ケア組成物中に、任意選択により、全量で、例えば、約0.001〜20wt%(例えば、約0.01〜10wt%または約0.1〜5.0wt%)存在する。
任意選択により、本明細書に記載の口腔組成物に含有させることができるさらなる成分として、例えば、1種以上の酵素(上記)、ビタミン類および付着防止剤が挙げられる。本明細書で有用なビタミン類の例として、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンB5および葉酸が挙げられる。適切な付着防止剤の例として、ソルブロール、フィシンおよび菌体密度感知阻害剤が挙げられる。
本開示のある実施形態では、セルロースを含む組成物は、膜またはコーティングであり得る。
膜をまたはコーティングは、ある態様では、例えば約3、2、1、0.5または0.1wt%未満の水を含む、乾燥した膜またはコーティングであり得る。本発明に記載の膜またはコーティングに含まれるセルロースの量は、例えば、約または少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99.5または99.9wt%であり得る。
本明細書に記載の膜またはコーティングは、例えば、少なくとも約4nmの一様な厚さを有することができる。他の態様では、そのような厚さは、約または少なくとも約4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、7.0、8.0、9.0、10、25、50、100、250、500、750、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500または5000nmであり得る。一様な厚さは、例えば、(i)全膜コーティング領域の少なくとも20%、かつ(ii)厚さの標準偏差が約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40,または50nm未満である、連続した領域であると特徴付けられる。本明細書に記載の膜またはコーティングは、ある態様では薄いものであると特徴付けることができる。
本明細書に記載の膜またはコーティングは、水性組成物、脂溶性組成物または気体組成物に対して低透過性または不透過性を示すことができる。膜またはコーティングは、もし、その物質に対する膜/コーティングの透過性が、対象の技術分野で一般に割り当てられている閾値未満である場合、その特定の物質に対して「低透過性」であると特徴付けることができる。説明のために、SMC(スーパーマルチコート)剥離膜の分野では、スチレン透過性の閾値は、American Institute of Chemical Engineer,53rd National Meeting,Preprint No.32d(Bixler and Michaels,1964)に記載の方法を使用した測定などでは、200×10−9g cm/cm2/hである。特定の物質(例えば、水性組成物、脂溶性組成物、または気体組成物)の閾値は、対象の技術分野に依存する。膜またはコーティングは、長時間(例えば、少なくとも1、2、3日またはそれより長い日数)にわたって水性組成物、脂溶性組成物、および/または気体組成物を通過させない場合、そのような組成物に対して不透過性であると特徴付けることができる。
本明細書に記載の膜またはコーティングは、所望の種々の透明度を示すことができる。例えば膜/コーティングは高い透明度(例えば、高い光学的透明度および/または低ヘイズ)であり得る。本明細書で使用するとき、光的透明度は、少なくとも約10〜99%の光透過率、または少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の光透明度を与える、膜またはコーティングを指し得る。高透明度は任意選択により、少なくとも約90%の光学透過率を有する、膜/コーティングを指し得る。本明細書に記載の膜またはコーティングの透明度は、例えばASTM D1746試験(2009,Standard Test Method for Transparency of Plastic Sheeting,ASTM International,West Conshohocken,PA)に従って測定することができ、この文献は参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書に開示の膜/コーティングに使用する場合、水性組成物または脂溶性組成物は、好ましくは液体形態である。水性組成物は、例えば、本明細書の別の箇所で開示されたものであり得る。本明細書に記載の脂溶性組成物の例としては、油、水素結合を示さない有機液体(例えば、ヘキサン、オクタン、ベンゼンおよび他のアルキルベンゼン類などの脂肪族および/または芳香族炭化水素)または僅かに温和な水素結合を示す有機液体ヘキサン、オクタン、ベンゼンおよび他のアルキルベンゼン類などの脂肪族および/または芳香族炭化水素または温和な水素結合のみを示す有機液体(例えば、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ジメチルケトン、ブチルグリコールエーテル、ジグリコールエチルエーテルなどのアルキルおよびアリールエステル、ケトンおよびエーテル)が挙げられる。本明細書に記載の気体組成物の例としては、空気、水蒸気、および少なくとも0.001%、0.01%、0.1%、1%、10%、25%、50%、75%、90%、95%、100%の1種以上の次のもの、すなわち、窒素(N2)、酸素(O2)、アルゴン(Ar)、二酸化炭素(CO2)、ネオン(Ne)、ヘリウム(He)、メタン(CH4)、クリプトン(Kr)、水素(H2)、亜酸化窒素(N2O)、ラドン(Rn)、キセノン(Xe)、オゾン(O3)、一酸化炭素(CO)、二酸化硫黄(SO2)、二酸化窒素(NO2)、アンモニア(NH3)を含む気体が挙げられる。
本明細書に記載の膜またはコーティングは、紙などの材料上に存在し得る。本明細書に記載の膜/コーティングを塗布することができる紙の種類としては、オフセット紙、ベラムブリストル紙、レッジャー紙、カバー紙、インデックス紙、タグ紙、鉄道ボード紙(railroad board)、返信はがき紙(reply card)、フォームボンド紙、レーザーボンド紙、OCRボンド(OCR bond)、MICRボンド(MICR bond)、セーフティボンド(safety bond)、ノーカーボン紙CB、ノーカーボン紙CFB、新聞用紙(newsprint)およびクラフト紙が挙げられる。本明細書に記載の連量は、例えば、約10〜150ポンド(例えば、10、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140または150ポンド)の等級に格付することができる。テーパーコーティングの調製に関するさらなる成分および処方は、例えば米国特許第7625441号明細書に開示されており、この文献は参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に記載の膜またはコーティングによりコーティングすることができる他の材料としては、プラスチックまたはゴム材料、植物材料(例えば果物、野菜、種子)、薬剤(例えば、丸薬、錠剤)、ガラス材料、セラミック材料、金属材料および電気設備/装置/部品が挙げられる。
本開示の実施形態は、さらに、水性組成物の粘度を増大させる方法に関する。この方法は、セルロースと水性組成物を接触させることを含み、セルロースは水性組成物に不溶であり、かつ
(i)約10〜約1000の重量平均重合度(DPw)、および
(ii)セルロースII型結晶構造
を有する。この方法の接触工程は、接触工程前の水性組成物の粘度と比べて水性組成物の粘度を増大させる結果をもたらす。
水性組成物は、例えば、水(例えば、脱イオン水)、水溶液またはコロイド分散液など、本明細書の別の箇所で開示されたものであり得る。約20〜25℃で測定された接触工程前の水性組成物の粘度は、例えば、約0〜10000cPs(または0〜10000cPsの任意の整数)であり得る。接触工程前の水性組成物の粘度が低い場合、開示した方法で粘度の非常に大きいパーセント増加を得られることは明らかであろう。
本開示のセルロースを水性組成物と接触させると、いくつかの実施形態で水性組成物の粘度が増大する。この粘度の増加は、接触工程前の水性組成物の粘度と比べて、例えば、少なくとも約1%、10%、100%、1000%、100000%または1000000%(または1%〜1000000%の任意の整数)の増加であり得る。接触工程前の水性組成物が0粘度〜低粘度を有する場合、開示した方法で粘度の非常に大きいパーセント増加を得られることは明らかであろう。粘度の増加は、例えば、その方法で得られた水性組成物の粘度(すなわち、接触工程後)と、その方法の前に存在していた水性組成物の粘度(すなわち、接触工程前)を比較することにより、決定することができる。
本開示のセルロースを水性組成物と接触させると、ある実施形態では水性組成物のずり減粘挙動が増大する。これらの実施形態では、このセルロースは、このようにして水性組成物にレオロジー的変更を加える。この粘度のずり減粘挙動は、接触工程前の水性組成物のずり減粘挙動と比べて、例えば、少なくとも約1%、10%、100%、1000%、100000%または1000000%(または1%〜1000000%の任意の整数)の増加であり得る。接触工程前の水性組成物が殆どまたは全くレオロジー挙動を示さない場合、開示した方法でレオロジー的変更の非常に大きいパーセント増加が得られることは明らかであろう。
水性組成物の粘度を増加させる方法における接触工程は、当該技術分野で知られている任意の手段により、水性組成物中で本開示のセルロースを混合することで行うことができる。例えば、混合は手作業で、または機械(例えば、工業用ミキサーまたはブレンダー、オービタルシェーカー、撹拌プレート、ホモジナイザー、ソニケーター、ビーズミル)を使用して行うことができる。ある実施形態では、混合は均質化を含むことができる。均質化(および他の任意の種類の混合)は、約5〜60、5〜30、10〜60、10〜30、5〜15もしくは10〜15秒(もしくは、5秒〜60秒の任意の整数)、またはセルロースと水性組成物とを混合するのに必要なより長い時間をかけて行うことができる。ホモジナイザーは、例えば約5000〜30000rpm,10000〜30000rpm、15000〜30000rpm、15000〜25000rpmまたは20000rpm(または5000〜30000の任意の整数)で使用することができる。
本明細書に記載のセルロースを水性組成物と混合させるか、または水性組成物に溶解させた後、得られた水性組成物はろ過してもよく、またはろ過しなくてもよい。例えば均一化工程で調製した水性組成物は、ろ過してもしなくてもよい。
本明細書に記載の食品、医薬品、家庭用品、パーソナルケア製品または工業用品など、本明細書で開示した水性組成物を調製するのに上記方法のある実施形態を使用することができる。
ある粘度調節法で使用するセルロースは、本明細書で開示した任意の特徴を有することができる。本明細書の別の箇所で開示したように、例えば、非水溶性、DPw(例えば、10〜30のDPw)および/もしくはMw、グリコシド結合のプロファイル、主鎖構造(例えば、直鎖性)、セルロースII型構造含量、ならびに/またはある非水性組成物中の溶解度の特徴により、粘度調節法の様々な実施形態で使用されるセルロースを特徴付けることができる。
本開示の実施形態は、さらに、材料を処理する方法に関する。この材料を処理する方法は、
(a)材料を、セルロースを含む水性組成物と接触させる工程であって、セルロースが、水性組成物に不溶であり、かつ
(i)約10〜約1000の重量平均重合度(DPw)、および
(ii)セルロースII型結晶構造
を有する、工程と、
(b)水性組成物を乾燥させる工程と
を含み、乾燥工程が、材料の表面にセルロースの被覆を残す。ある態様では、この方法は、材料をコーティングする方法(コーティング方法)であると特徴付けることができる。
ある態様において、コーティング方法で使用する水性組成物は、好ましくは、本明細書の別の箇所で開示したセルロースのコロイド分散液である。そうしたコロイド分散液は、約または少なくとも約0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、2.0、2.2、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39または40wt%のここに開示するセルロースを含むことができる。
本明細書に記載のコーティング方法の接触工程は、上記の任意の重量パーセントでセルロースを含むコロイド分散液を材料に塗布することを含み得る。そのような塗布は、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9または10mil(1mil=.001インチ)の厚さで膜または層を材料に提供することであり得る。必要に応じて材料表面の全部または一部(少なくとも約1〜99%)をコーティングすることができる。ある実施形態では、材料をコーティングするのは、取り外し可能なフィルムを調製するためであり得、この場合、当該技術分野で知られている任意のフィルムキャスティング法(例えばブレードコータまたはキャスティングロッドの使用を含む)でコロイド分散液を塗布することができる。
セルロースコロイド分散液などの水性材料を材料に塗布した後、疎水性材料を乾燥させる。そのような乾燥は、室温(20〜25℃)、または例えば15〜70℃の任意の温度などの他の任意の適切な乾燥温度で水性材料を乾燥させること(空気乾燥)により行うことができる。乾燥は、強制空気または真空を用いてまたは用いずに行うことができる。
コーティング方法で使用するセルロースは、本明細書で開示した任意の特徴を有することができる。本明細書の別の箇所で開示したように、例えば、非水溶性、DPw(例えば、10〜30のDPw)および/もしくはMw、グリコシド結合のプロファイル、主鎖構造(例えば、直鎖性)ならびに/またはセルロースII型構造含量の任意の特徴により、コーティング方法の様々な実施形態で使用されるセルロースを特徴付けることができる。
本明細書に記載の方法でコーティングすることができる材料としては、紙(例えば、本明細書の別の箇所で開示した任意の種類)、プラスチックまたはゴム材料、植物材料(例えば、果物、野菜、種子)、薬剤(例えば、丸薬、錠剤)、ガラス材料、セラミック材料、金属材料および電気設備/装置/部品が挙げられる。
ある実施形態では、本明細書に記載のコーティング方法に供された材料表面のセルロースの被覆は、膜、コーティングまたは膜コーティングとして特徴付けることができる。そのようなコーティングは、本明細書で開示した任意の特徴を有することができる。本明細書の別の箇所で開示したように、例えば、コーティングは、(i)一様な厚さ(例えば、少なくとも約4nm)を有し、(ii)ある種の組成物(例えば、液体)に対して低透過性を有するかもしくは不透過性であり、かつ/または(iii)光学的に透明(例えば、高い透明)であり得る。
本明細書に記載のコーティング方法で得られる膜またはコーティングは乾燥した状態にあり得る。通常、乾燥した膜またはコーティングは、3、2、1、0.5、または0.1wt%未満の水をその中に含んでいる。膜またはコーティングに含まれる本開示のセルロースの量は、例えば、約または少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99.5または99.9wt%であり得る。
本明細書中に開示される組成物および方法の非限定的な例としては以下のものが挙げられる:
1.セルロースを含む組成物であって、そのセルロースは、
(i)約10〜約1000の重量平均重合度(DPw)を有し、
(ii)セルロースII型結晶構造を有し、かつ
(iii)水性組成物に不溶である、組成物。
2.セルロースのDPwは、約10〜約100である、実施形態1の組成物。
3.セルロースは、配列番号2または配列番号6と少なくとも90%相同のアミノ酸配列を含むセロデキストリンホスホリラーゼ酵素の生成物であり、酵素の基質はセロデキストリンおよびグルコース−1−リン酸を含む、実施形態1または2の組成物。
4.酵素によって生成されるセルロースは、マーセル化または誘導体化プロセスを受けていない、実施形態3の組成物。
5.膜またはコーティングである、実施形態1、2、3または4の組成物。
6.膜またはコーティングは、少なくとも約4nmの一様な厚さを有する、実施形態5の組成物。
7.膜またはコーティングは、水性組成物、脂溶性組成物または気体組成物に対して低透過性を示すか、または非透過性である、実施形態5または6の組成物。
8.膜またはコーティングは紙上にある、実施形態5、6または7の組成物。
9.任意選択により少なくとも約100cPsの粘度を有する水性組成物である、実施形態1、2、3または4の組成物。
10.水性組成物は、コロイド分散液である、実施形態9の組成物。
11.水性組成物中の前記セルロースの濃度は、約10wt%未満である、実施形態9または10の組成物。
12.食品、パーソナルケア製品、医薬品、家庭用品または工業用品である、実施形態1〜11のいずれか1つの組成物。
13.セルロースは、DMSOおよび/またはDMAcを含む溶媒に可溶である、実施形態1、2、3または4の組成物。
14.水性組成物の粘度を増大させる方法であって、
セルロースを水性組成物と接触させる工程
を含み、セルロースは、水性組成物に不溶であり、かつ
(i)約10〜約1000の重量平均重合度(DPw)、および
(ii)セルロースII型結晶構造
を有し、
水性組成物の粘度は、前記セルロースにより、接触工程前の水性組成物の粘度と比べて増大される、方法。
15.水性組成物のずり減粘挙動は、セルロースにより、接触工程前の水性組成物のずり減粘挙動と比べて増大される、実施形態14の方法。
16.材料を処理する方法であって、
(a)材料を、セルロースを含む水性組成物と接触させる工程であって、セルロースは、前記水性組成物に不溶であり、かつ
(i)約10〜約1000の重量平均重合度(DPw)、および
(ii)セルロースII型結晶構造
を有する、工程と、
(b)前記水性組成物を乾燥させる工程と
を含み、前記乾燥工程は、前記材料の表面に前記セルロースの被覆を残す、方法。
以下の実施例において本開示をさらに示す。これらの実施例が本明細書中のある好ましい態様を示す一方、単に説明の目的でのみ示されていることは理解されるべきである。上記の考察およびこれらの実施例から、当業者であれば、開示された実施形態の必須の特徴を確認することができ、かつその趣旨および範囲を逸脱しない範囲で、種々の用途および条件に適合させるために種々の変更形態および改変形態がなし得る。
実施例1
ビブリオ・ルバー(Vibrio ruber)セロデキストリンホスホリラーゼ
この実施例は、大腸菌(E.coli)における推定ビブリオ・ルバー(Vibrio ruber)セロデキストリンホスホリラーゼの発現を記載する。また、この実施例は、この酵素が酵素比活性の解析により、実際にセロデキストリンホスホリラーゼであることを示す。
推定セロデキストリンホスホリラーゼ、VruCdp1(本明細書中では、「CRC03362−VruCdp1」とも称する。)をビブリオ・ルバー(Vibrio ruber)DSM14379において特定した。VruCdp1をコードする核酸配列をゲノム配列に基づいて予測し、配列番号1として示す。配列番号1によってコードされるVruCdp1のアミノ酸配列を、配列番号2として示す。
次に、以下のようにして、推定VruCdp1セロデキストリンホスホリラーゼを、大腸菌(E.coli)において異種発現させた。VruCdp1をコードするポリヌクレオチド配列を、大腸菌(E.coli)で発現させるためにコドン最適化した。Generay(Shanghai、China)により、この配列(配列番号3)をpET30a(Novagen)発現ベクターにNdeI部位およびXhoI部位で挿入して、プラスミドpZZH634を得た。配列番号3は、コドン最適化オープンリーディングおよびC末端に2つの追加アミノ酸(Leu−Glu)および6×Hisタグをコードする配列を含む。配列番号3でコードされたアミノ酸配列を配列番号4として示す。pZZH634プラスミドを大腸菌(E.coli)株BL21(DE3)(Novagen)にトランスフォームし、これを、カナマイシン50ppmを補充したLB寒天培地プレートにプレーティングした。PCRおよびシークェンシングによって確認された正しく形質転換されたコロニーを、カナマイシン50ppmを補充したLB培地5mlに接種し、振盪しながら37℃で約16時間培養した。次いで、約1mLの培養物を、カナマイシン50ppmを補充したLB培地25mlに接種し、振盪しながら37℃で、OD600が約0.4〜1.0に到達するまで培養した。次いで、IPTGを、最終濃度が100mMになるように培養物に添加して、VruCdp1を発現させた。次いで、培養物を16℃で12〜16時間培養した。
このVruCdp1発現誘発期間後、大腸菌(E.coli)細胞をペレット化し、溶解バッファ(50mMトリス pH7.0、500mM NaCl、10%グリセロール、0.1%ツイン−20)に再懸濁し、10分間の超音波処理により氷上で溶解した(35%出力、20分、2秒オン/2秒オフ)(SCIENT2−II D、Ningbo Scientz Biotechnology Co.,Ltd)。溶解物を13000rpmで30分間遠心分離して不純物を取り除いた(BECKMAN COULTER,AvantiTMJE)。不純物を除去した溶解物を、50mMトリス pH7.0、500mM NaCl、および10%グリセロールで予め平衡化したHis TrapTMHP(5mL)(GE Healthcare)に適用した。標的タンパク質(VruCdp1)を、0〜250mMイミダゾール/平衡化バッファの直線勾配を用いてカラムから溶出させた。標的タンパク質を含む画分をプールし、10K Amicon Ultraデバイスを用いて濃縮および平硬化バッファとの交換を行い、使用するまで40%グリセロール中に−20℃で貯蔵した。
(上記で分離した)VruCdp1の活性を、10mM G−1−P(Sigma G7000、α−D−グルコース1−リン酸二ナトリウム水和物)および5mMセロビオース(Sigma C7252、D−(+)−セロビオース)を基質として用いて測定した。測定は、25mMトリス−HClバッファ、pH7.0中、37℃、10分間で行った。酵素反応物からのリンの放出を、PiBlueTM試薬(BioAssay Systems、US)により定量した。セロデキストリンホスホリラーゼ活性1単位を、測定条件下で1分当たりに無機リン1μmolを放出する酵素の量と定義した。分離したVruCdp1の比活性は、18.4単位/mgと決定された。この観察に基づき、VruCdp1は、グリコシルヒドラーゼファミリー(GH94、CAZy番号)に属するセロデキストリンホスホリラーゼ(EC2.4.1.49)であると決定された。
このように、配列番号2を含む酵素(VruCdp1)が発現し、分離され、およびセロデキストリンホスホリラーゼ活性を有することが示された。
実施例2
ルミノコッカス・チャンパネレンス(Ruminococcus champanellensis)セロデキストリンホスホリラーゼ
この実施例は、大腸菌(E.coli)における推定ルミノコッカス・チャンパネレンス(Ruminococcus champanellensis)セロデキストリンホスホリラーゼの発現を記載する。また、この実施例は、この酵素が、酵素比活性の解析により、実際、セロデキストリンホスホリラーゼであることを示す。
推定セロデキストリンホスホリラーゼ、RchCdp1(本明細書中では、「CRC03359−RchCdp1」とも称する。)をルミノコッカス・チャンパネレンス(Ruminococcus champanellensis)18P13において特定した。RchCdp1をコードする核酸配列(GENBANK登録番号NC_021039.1のポジション2373141〜2375537)を配列番号5として示す。配列番号5によってコードされたRchCdp1のアミノ酸配列を、配列番号6として示す。
次に、以下のようにして、推定RchCdp1セロデキストリンホスホリラーゼを、大腸菌(E.coli)において異種発現させた。RchCdp1をコードするポリヌクレオチド配列を、大腸菌(E.coli)で発現させるためにコドン最適化した。Generay(Shanghai、China)により、この配列(配列番号7)をpET30a(Novagen)発現ベクターにNdeI部位およびXhoI部位で挿入して、プラスミドpZZH631を得た。配列番号7は、コドン最適化オープンリーディングおよびC末端に2つの追加アミノ酸(Leu−Glu)および6×Hisタグをコードする配列を含む。配列番号7でコードされたアミノ酸配列を配列番号8として示す。pZZH631プラスミドを大腸菌(E.coli)株BL21(DE3)(Novagen)にトランスフォームし、これを、カナマイシン50ppmを補充したLB寒天培地プレートにプレーティングした。PCRおよびシークェンシングによって確認された正しく形質転換されたコロニーを、カナマイシン50ppmを補充したLB培地5mlに接種し、振盪しながら37℃で約16時間培養した。次いで、約1mLの培養物を、カナマイシン50ppmを補充したLB培地25mlに接種し、振盪しながら37℃で、OD600が約0.4〜1.0に到達するまで培養した。次いで、IPTGを、最終濃度が100mMになるように培養物に添加して、RchCdp1を発現させた。次いで、培養物を16℃で12〜16時間培養した。
このRchCdp1発現誘発期間後、大腸菌(E.coli)細胞をペレット化し、溶解バッファ(50mMトリス pH7.0、500mM NaCl、10%グリセロール、0.1%ツイン−20)に再懸濁し、10分間の超音波処理により氷上で溶解した(35%出力、20分、2秒オン/2秒オフ)(SCIENT2−II D、Ningbo Scientz Biotechnology Co.,Ltd)。溶解物を13000rpmで30分間遠心分離して不純物を取り除いた(BECKMAN COULTER,AvantiTMJE)。不純物を除去した溶解物を、50mMトリス pH7.0、500mM NaCl、および10%グリセロールで予め平衡化したHis TrapTMHP(5mL)(GE Healthcare)に適用した。標的タンパク質(RchCdp1)を、0〜250mMイミダゾール/平衡化バッファの直線勾配を用いてカラムから溶出させた。標的タンパク質を含む画分をプールし、10K Amicon Ultraデバイスを用いて濃縮および平硬化バッファとの交換を行い、使用するまで40%グリセロール中に−20℃で貯蔵した。
(上記で分離した)RchCdp1の活性を、10mM G−1−P(Sigma G7000、α−D−グルコース1−リン酸二ナトリウム水和物)および5mMセロビオース(Sigma C7252、D−(+)−セロビオース)を基質として用いて測定した。測定は、25mMトリス−HClバッファ、pH7.0中、37℃、10分間で行った。酵素反応物からのリンの放出を、PiBlueTM試薬(BioAssay Systems、US)により定量した。セロデキストリンホスホリラーゼ活性1単位を、測定条件下で1分当たりに無機リン1μmolを放出する酵素の量と定義した。分離したRchCdp1の比活性は、15.4単位/mgと決定された。この観察に基づき、RchCdp1は、グリコシルヒドラーゼファミリー(GH94、CAZy番号)に属するセロデキストリンホスホリラーゼ(EC2.4.1.49)であると決定された。
このように、配列番号6を含む酵素(RchCdp1)が発現し、分離され、およびセロデキストリンホスホリラーゼ活性を有することが示された。
実施例3
低分子量の不溶性セルロースを製造するためのビブリオ・ルバー(V.ruber)セロデキストリンホスホリラーゼおよびルミノコッカス・チャンパネレンス(R.champanellensis)セロデキストリンホスホリラーゼの使用
この実施例は、G−1−Pおよびセロデキストリンを含む反応物に適用した場合における、セルロースを製造するための実施例1および2に記載のセロデキストリンホスホリラーゼの使用を記載する。
ビブリオ・ルバー(V.ruber)セロデキストリンホスホリラーゼ(VruCdp1、実施例1を参照))の存在下、G−1−Pおよびセロビオースを含む反応物は、不溶性多糖類を生成した。十分に解析できるだけの不溶性多糖類を生成するために、G−1−P 1g、セロビオース0.25g、および分離したVruCdp1 400μg(〜7.4単位)を、25mMトリスバッファpH7.0、80mLを含有するガラス瓶に添加することにより、規模を大きくした反応を行った。反応物を終夜、37℃でインキュベートした。3000rpmで20分間、遠心分離して、不溶性多糖類生成物を回収した。この材料が低分子量セルロースであることが決定された(下記の実施例4を参照)。
ルミノコッカス・チャンパネレンス(R.champanellensis)セロデキストリンホスホリラーゼ(RchCdp1、実施例2を参照))の存在下、G−1−Pおよびセロビオースを含む反応物は、不溶性多糖類を生成した。十分に解析できるだけの不溶性多糖類を生成するために、G−1−P 1g、セロビオース0.25g、および分離したRchCdp1 400μg(〜6.2単位)を、25mMトリスバッファpH7.0、80mLを含有するガラス瓶に添加することにより、規模を大きくした反応を行った。反応物を終夜、37℃でインキュベートした。3000rpmで20分間、遠心分離して、不溶性多糖類生成物を回収した。この材料が低分子量セルロースであることが決定された(下記の実施例4を参照)。
このように、配列番号2(VruCdp1)または配列番号6(RchCdp1)を含む酵素は、G−1−Pおよびセロデキストリン(例えば、セロビオース)基質を含む反応物として提供された場合、低分子量の不溶性セルロースを生成する。これらの酵素がこの特定のセルロース合成活性を有することは、同様に発現し解析した他の16種のセロデキストリンホスホリラーゼがこのような能力を有しなかったことを考慮すると(データは示さず)、注目すべきことである。
実施例4
ビブリオ・ルバー(V.ruber)およびルミノコッカス・チャンパネレンス(R.champanellensis)セロデキストリンホスホリラーゼにより生成された不溶性多糖類の解析
この実施例は、実施例3に記載の反応で得られた不溶性多糖類生成物の種々の解析を記載する。これらの解析は、生成物が低分子量の不溶性セルロースを含むことを示す。
ビブリオ・ルバー(V.ruber)およびルミノコッカス・チャンパネレンス(R.champanellensis)セロデキストリンホスホリラーゼにより生成された不溶性物質(実施例3)について、1H−NMR解析を行った。簡単に記載すると、各試料13.8mgを60℃で1時間撹拌することにより、0.8mlのDMSO−d6、3wt%LiClに溶解した。溶解した試料について、5−mm CPC Q1クライオプローブを備えたAVANCE III HD NMRデバイスを用いてNMRを測定した。この解析により不溶性物質がセルロースに特有の結合であるベータ−1,4結合を有するポリマーであることが示された。したがって、ビブリオ・ルバー(V.ruber)およびルミノコッカス・チャンパネレンス(R.champanellensis)のセロデキストリンホスホリラーゼによって生成された不溶性物質はセルロースを含む。
各不溶性セルロースをさらに、トリプル検出器SEC(サイズ排除クロマトグラフィー)により分析して、分子量(Mw)を決定した。簡単に記載すると、各試料をDMSO、2wt%LiCl中に0.1〜0.3wt%濃度で溶解し、SECにかけた。各試料のMwは、約3〜4kDa(DPw〜18〜24)であることがわかった(表2)。
このように、RchCdp1酵素およびVruCdp1酵素それぞれによって生成されたセルロース試料は、綿、木材パルプおよび微生物源から得られるセルロースに比べ、はるかに低分子量であった。
低分子量セルロース試料は、DMSO/LiCl(上記SEC分析用に提供される調製物)およびDMAc/LiCl(5wt%LiCl(DMAc中))に室温で容易に溶解することができ、また濾過することができる。例えば、木材パルプから得られるセルロースは、通常、DMSO/LiClに溶解せず、またDMAc/LiClに溶解させるためには高い温度(例えば、約100℃)および時間(例えば、1日以上)を必要とするため、これは注目すべきことである。各試料の粘度計による観察には明確なピークがあるため(データは示さず)、酵素により製造される低分子量のセルロース分子は、剛性ロッドとして挙動する。
アズメイド(as−made)(実施例3に記載のように生成され、水中で貯蔵されているが、乾燥していない)で、乾燥したセルロース材料(RchCdp1酵素およびVruCdp1酵素により生成)はいずれも、広角X線散乱法(WAXS)による分析で、セルロースの最も安定した結晶型であるセルロースII型結晶を示す反射を示した。酵素による生成後のアズメイド試料は多量の水中で提供される(RchCdp1酵素およびVruCdp1酵素によるセルロース生成物でそれぞれ98.5wt%および97.5wt%)が、水の広い非晶質回折に重なって、明瞭な反射が依然として観察されたことは注目すべきことである。セルロースII型はある化学的プロセス工程(例えば、マーセル化、誘導体化(その後に非誘導体化セルロースの回収が行われる))の後に得られると考えられることから、このセルロースII型構造の観察は興味深いことである(Kroon−Batenburg and Kroon,Glycoconjugate J.14:677−690)。対照的に、本実施例は、RchCdp1酵素およびVruCdp1酵素を含む反応物において直接生成されるセルロースが、合成後にいかなる化学処理も行わずとも、セルロースII型結晶構造を有することを示している。
RchCdp1酵素およびVruCdp1酵素によって合成された不溶性セルロースのコロイド分散液を乾燥させることによって作られた薄膜を、原子間力顕微鏡(AFM)を使用して解析した。簡単に記載すると、不溶性セルロースの〜2wt%分散液を、3−mil厚のブレードコータを用いてキャストして膜を製膜した。室温でコーティングした湿った膜からゆっくりと水分を蒸散させ乾燥した。乾燥したコーティングの原子間力顕微鏡(AFM)解析(図1Aおよび1B)により、約5mmの均一性の高い厚みと数百ナノメータの幅を有する特有の形態を有するシートであることが示された。そのような2次元のグラフェン様セルロースコーティングは、これまでに示されていないと考えられる。それどころか、通常、ナノ結晶セルロースおよび微生物源由来セルロースなどのセルロース材料は、ロッド用コロイドを形成し、2次元のフレーク様構造を形成しない。フレーク様2次元構造は多くの利点を有すると考えられる。例えば、そのような構造特性を有するセルロース材料は、おそらく優れた酸素および/または水のバリア性を有しているであろう。さらに、本明細書に示すセルロース材料の高結晶性は、従来の熱可塑性ポリマーの機械的特性を高めるであろう。
上で調製された不溶性セルロースのコロイド分散液は容易に塗布することができ、透明な連続膜を形成することができるであろう。そのような膜は、粗さが約300nmで、1〜2ミクロンの非常に薄い厚さを有した(データは示さず)。したがって、本明細書に示されるこの低分子量の不溶性セルロース材料は、多くの用途を可能にする水性コーティング系に有用であると考えられる。そのような用途の例としては、プラスチックを包装する酸素バリア膜および水蒸気バリア膜、ならびに製品の保存期間を延ばす果物および野菜に適用する食用のコーティングなどが挙げられる。さらに、開示されるコーティングは、種子のコーティング用途、および医薬組成物の活性成分の放出に有用であり得る。
RchCdp1酵素およびVruCdp1酵素のいずれかで合成された不溶性セルロースを1.7〜2.5重量含有するコロイド水分散液の粘度を分析した。簡単に記載すると、ブルックフィールドレオメータ―を使用して、粘度対剪断速度データを得、その曲線から剪断速度10(1/s)の粘度を求めた。コロイド分散液は両方とも、水の粘度の10000倍という高い粘度を示すことがわかった(図2)。また、分散液はずり減粘挙動(粘度が剪断速度の関数として減少する)を示した。その挙動は多くの増粘化用途で所望されているものである。各不溶性セルロース試料が低DPw(DPwが25未満、表2)であることを考慮すると、そのような高レベルの粘度が得られたことは注目すべきことである。実際、商業的に入手可能なカルボキシメチルセルロース(水溶性)では、水中粘度を、本明細書に提示の不溶性セルロースを使用した場合に観察される粘度と同じ程度まで増大させるために、DPw(約1000以上)を大きく増大させる必要があった(図3)。
このように、ビブリオ・ルバー(V.ruber)およびルミノコッカス・チャンパネレンス(R.champanellensis)のセロデキストリンホスホリラーゼによって生成された不溶性多糖類物質は低分子量の不溶性セルロースを含む。このセルロースは、約18〜24のDPwを有し、セルロースII型結晶構造を示す。セルロースII型結晶構造は、マーセル化、誘導体化/非誘導体化処理などの化学的プロセスの結果ではなく、むしろ、不溶性セルロース材料を特徴付けるものである。なぜなら、それが酵素により直接生成されているからである。本明細書に示された不溶性セルロースの特有の特性は、粘度およびレオロジーの変性用途、ならびに膜/バリア用途における使用など、この材料に汎用性を付与するものである。