JP2018191001A - 過電圧保護構成要素 - Google Patents

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Abstract

【課題】負の温度係数の抵抗率を有し劣化しやすいバリスタに替る、改善された過電圧保護構成要素を提供する。【解決手段】過電圧保護構成要素は、誘電体材料内に収容される第1の内部電極16を有する。第1の内部電極は第1の終端14に電気的に接続され、セラミック誘電体材料内に収容される第2の内部電極16が第2の終端14に電気的に接続される。第1の内部電極と第2の内部電極との間に第1の誘電体材料と異なる第2の誘電体としてセラミック材料を含む第1のギャップ12を備える。【選択図】図1

Description

[関連出願の相互参照]
本出願は2011年7月8日に出願された係属中の米国仮特許出願第61/505,791号に対する優先権を主張する。
過電圧保護は、通常、SiCに基づくショットキーダイオード又はZnOに基づくバリスタのような、粒界伝導に関連付けられる固体原理に基づいて機能する電圧依存抵抗器によって与えられる。
最も普及しているタイプの電圧依存抵抗器、すなわち、バリスタは、粒界を制御するために他の元素をドープされた酸化亜鉛に基づく。これらのデバイスは、非線形I−V挙動過渡電圧サージに依存する。しかしながら、それらのデバイスを使用することから、幾つかの大きな妥協が生じている。過剰な電力損を回避するために、バリスタに永続的に印加される電圧は注意深く制限されなければならない。それらのデバイスは多くの場合に負の温度係数の抵抗率を有するので、暴走条件が容易に引き起こされる可能性がある。バリスタに電界をかけると、特性が変化し、結果として電流が増加し、性能を劣化させる熱として電力が放散される可能性がある。
したがって、従来技術の欠陥を有しない過電圧保護デバイスが引き続き望まれている。
本発明の目的は、過電圧保護デバイスとしても機能する構成要素を提供することである。
本発明の更なる目的は、多層セラミックコンデンサー(MLCC:multi-layer ceramic capacitor)に対して現在用いられているのと同様の方法によって容易に製造すること
ができる過電圧保護構成要素を提供することである。
本発明の特定の特徴は、表面実装可能であり、小型化された形で作製することができ、大規模な大量生産に適している過電圧保護を実現できることである。
実現されることになるような、これらの利点及び他の利点は、過電圧保護構成要素において提供される。その過電圧保護構成要素は、セラミック誘電体材料内に収容される第1の内部電極を有する。第1の内部電極は第1の終端に電気的に接続され、そのセラミック誘電体材料内に収容される第2の内部電極が第2の終端に電気的に接続される。
第1の内部電極と第2の内部電極との間にギャップがある。更に別の実施形態が改善された電子デバイスにおいて提供される。その電子デバイスは少なくとも2つのトレースを備える回路を有する。セラミック誘電体材料内に収容され、第1の終端に電気的に接続される第1の内部電極を有する過電圧保護が設けられる。第2の内部電極が、そのセラミック誘電体材料内に収容され、第2の終端に電気的に接続される。第1の内部電極と第2の電極との間にギャップがあり、第1の終端は第1のトレースと電気的に接触している。第2の終端が第2のトレースと電気的に接触している。
本発明の一実施形態の概略的な断面図である。 本発明の一実施形態の概略図である。 本発明の一実施形態の電気回路図である。 本発明の一実施形態の概略的な断面図である。 本発明の一実施形態の概略的な断面図である。 本発明の一実施形態の概略的な断面図である。 本発明の一実施形態の回路図である。 本発明の一実施形態の概略的な断面図である。 本発明の一実施形態の概略的な断面図である。 本発明の一実施形態の概略的な断面図である。 本発明の一実施形態の概略的な断面図である。 本発明の一実施形態の概略的な断面図である。 本発明の一実施形態を示す電気回路図である。 本発明の一実施形態の概略的な部分断面図である。 本発明の一実施形態の概略的な部分断面図である。 制御部として用いられる標準的な多層コンデンサーの概略的な部分断面図である。 本発明の一実施形態の断面図である。 本発明の利点を示すプロット図である。 本発明の利点を示すプロット図である。 本発明の利点を示すプロット図である。 本発明の一実施形態の断面図である。 本発明の利点を示すプロット図である。 本発明の利点を示すプロット図である。 本発明の利点を示すプロット図である。 本発明の利点を示すプロット図である。 本発明の利点を示すプロット図である。 本発明の利点を示すプロット図である。 本発明の利点を示すプロット図である。 本発明の利点を示すプロット図である。 本発明の利点を示すプロット図である。 本発明の利点を示すプロット図である。 本発明の利点を示すプロット図である。 本発明の利点を示すプロット図である。 本発明の利点を示すプロット図である。 本発明の一実施形態の断面図である。 本発明の利点を示すプロット図である。 本発明の利点を示すプロット図である。 コンデンサーのESD試験を示す概略図である。 コンデンサーの絶縁破壊機構を示す概略図である。 本発明の利点を示すプロット図である。 本発明の利点を示すプロット図である。
本発明は過電圧保護デバイスに関連する。より具体的には、本発明は、表面実装することができ、多層セラミックコンデンサーの製造に類似の従来の製造プロセスを用いて製造することができ、従来技術のデバイスよりも優れた性能を有する過電圧保護デバイスに関連する。
本発明は、本開示の不可欠で非限定的な構成要素を形成する図面を参照しながら説明される。本明細書全体を通して、類似の要素は、それに応じて番号を付される。
本発明の過電圧保護デバイスは、過剰な過電圧を接地に誘導するために内部アーク放電を使用し、その後、過電圧条件後に、その過電圧保護デバイスは絶縁状態に戻る。その過電圧保護構成要素は、機能性、高い性能及び高い能力を可能にする過電圧保護を達成するために、従来技術とは異なる1組の原理に依存する。具体的には、従来のデバイスが永続的バイアス電圧下で動作するときに通常生じる電力損を解消しながら、過電圧保護を実現することができる。さらに、過剰なエネルギーの迅速な放散を達成することができる。
本発明の特定の利点は、従来技術の限界を大きく超える非常に高い静電放電(ESD:electrostatic discharge)に耐えることができる多層セラミックコンデンサー(MLC
C)を提供できることである。これらの利点は以下のセクションの説明から明らかになるであろう。
本発明の更なる利点は、スパークギャップデバイスを提供するためにも使用できることであり、そのデバイスによれば、ヒューズとも呼ばれるデトネーション回路(detonation
circuit)の場合のように、或る特定の電圧において電気エネルギーを伝導できるようになる。これらの事例において、過電圧保護構成要素は、このために通常用いられるガス放電管のような他の解決策に比べて、小型で、容易に表面実装可能な解決策を提供する。また、本発明において説明される技術によれば、スパークギャップ機能をデトネーション回路において現在利用されている充電コンデンサーの機能と組み合わせることができるようになる。この恩恵は以下のセクションの説明から明らかになるであろう。
過電圧から回路を保護するという問題は、デバイス内で逆極性の電極間の制御されたギャップを通して内部でアーク放電するように設計された過電圧保護デバイスによって解決される。向かい合う電極間に1つ又は複数のギャップを配置することによって、接地に対して所定の電圧においてアーク放電が生じるように、電極金属、電極形状、ギャップの形状、セラミック誘電体タイプ、及びギャップ内に存在する雰囲気を調整することができる。さらに、これらのパラメータを調整することによって、アーク放電の時定数を調整して、回路内で予想される電圧過渡現象のランプ(ramp)速度を一致させることができる。
所与の電圧において蓄積されたエネルギーを超えるときに、内部アーク放電を通して過剰なエネルギーが放散されるように、静電容量を調整することができる。所定のしきい値電圧において内部アーク放電が生じるので、その回路は、電力損を生じることなく、永続的に印加された電圧で機能することができる。過剰な電圧は電気エネルギーとして接地に伝導される。内部アーク放電プロセス中に、デバイス内で著しく局所化した加熱が生じるおそれがあるが、主に熱を通してエネルギーを放散するバリスタとは異なり、これは電気エネルギーを接地に放散することによる副次的効果である。それゆえ、耐温度性セラミック構成が好ましい。
その過電圧保護構成要素では、所定の電圧においてアークが形成される。アークは空気又は他の雰囲気内で生じる場合がある。過電圧保護コンデンサー内のギャップは、結果として生じる過剰なエネルギーが熱又は反対の電極を通して接地に伝導して散逸されるように密閉環境にあることが好ましい。その過電圧保護構成要素は、スパークギャップ原理をMLCC製造において用いられる材料及び製造方法と組み合わせて、これらのデバイスの範囲及び適用電圧を広げる。ギャップは、逆極性の電極間にある同じ平面上の電極間に形成される。本発明の過電圧保護構成要素によれば、逆極性の電極間に複数のスパークギャップを形成できるようになり、それにより、適用電圧を広げることができる。ギャップ内
に犠牲材料を添加して、ギャップ内に形成される表面を制御することができる。雰囲気を制御するために、かつ空気以外の雰囲気を導入するために、複数のプロセス方法を用いることができる。必要に応じて、静電容量層をギャップと組み合わせて、二重機能性を提供することができる。
本発明の一実施形態が図1において断面図で示される。図1において、全体として10で表される過電圧保護構成要素は、逆極性の電極16間に内部ギャップ12を含む。電極は逆極性の端子14と電気的に接触している。内部ギャップはアーク距離Dを有し、その距離は、誘電体材料の表面及び存在する雰囲気が同じである場合には、逆極性の端子14間の外部距離D未満でなければならない。その内部ギャップは、多層コンデンサー(MLCC)製造においてよく知られている技法を用いて、デバイスの製造中に形成することができる。特に有用な技法は、電極間に、層の共焼結中に除去される炭素又は有機物充填インクのような犠牲材料を印刷することを含む。
内部ギャップ内の表面状態は、しきい値電圧においてアーク距離を越えてアーク放電することに対応するクリーページ(creepage)を決定する際に重要である。異なるセラミック誘電体材料は異なるクリーページ電位を示すので、所与のアーク距離におけるしきい値電圧を制御することができる。C0Gクラス材料のような常誘電体は、X7R又はX5Rクラス材料のような強誘電体セラミックよりもはるかにアーク放電しにくい。犠牲材料を印刷する場合、有機材料を添加して、内部ギャップ内の表面状態を制御することができる。処理時にギャップを保持するために、犠牲材料にセラミック粒子を加えることができる。代替的には、犠牲印刷物内にギャップを残すことができ、それにより、セラミックがギャップ内に流入してギャップ内にセラミックカラムを形成し、後続の処理中にギャップのサイズ及び形状を保持できるようにし、そのカラムはギャップ上下のセラミック間の物理的支持体としての役割を果たす。
しきい値電圧を制御することに関する別の重要な要因が電極材料である。異なる仕事関数を有する金属は、同じ距離でも、アーク放電に関して異なるしきい値電圧を示すことになる。また、内部ギャップ内に存在するガス、及びイオン化のために必要とされるエネルギーも、しきい値電圧に影響を及ぼすことになる。
本発明の利点が図2に示されており、図2には、過電圧保護構成要素の関数がグラフ表示される。図2において、電圧(V)が時間(T)の関数として示される。過電圧状態(OV)より上では、内部アークが過剰な電圧を接地に放散し、それにより、しきい値電圧(TV:threshold voltage)に戻す。
本発明によって提供される利点を示す電気回路図が図3において与えられる。入力電圧と接地との間に過電圧保護コンデンサーが挿入される場合に、しきい値電圧が超えられると、内部アーク放電が生じ、過剰なエネルギーを接地に放散する。
本発明の一実施形態が図4の断面図において示される。図4では、複数の電極層16がそれぞれ内部ギャップ12と共に設けられる。それらの電極は外部終端14間にある。この構成は、単層の過電圧保護構成要素よりも、高い電流、そして高いエネルギーを扱うことができる過電圧保護構成要素を提供する。
本発明の一実施形態が図5の断面図に示される。図5では、電極18が設けられ、各電極は、各電極内に複数の内部ギャップ20を有する。電極は外部終端14間にある。電極内に複数のギャップがあると、内部アーク放電を達成するために必要される電位が上昇し、それにより、しきい値電圧を高めることになる。
本発明の一実施形態が図6の断面図に示されており、二重機能性が与えられる。図6では、少なくともコンデンサー電極間に、逆極性のコンデンサー電極22と活性誘電体24とを交互に配置することによって、外部終端14間に容量性結合を与える。その中にギャップ12を有する少なくとも1つの電極16、又はその中に複数のギャップ20を有する少なくとも1つの電極18によって過電圧保護が与えられる。この実施形態は、活性コンデンサー層内に蓄積されたエネルギーを用いてより大きな静電容量を達成する。
電子デバイス100の電気回路図が図7に示されており、そのデバイスは、図6に示されるようなデバイスを備える回路101を含む。図7では、標準的なMLCCコンデンサーC1が、過電圧保護構成要素(OVP:overvoltage protection component)と電気的に並列に存在する。伝送回路を保護するために用いられるとき、高い静電容量のコンデンサーは、結果として信号歪みを引き起こすおそれがあるので望ましくない。
内部ギャップ内にガスを用いて、しきい値電圧を制御することができ、ガスのイオン化電位が低いほど、しきい値電圧が低くなる。それゆえ、実施形態によっては、内部ギャップにおいて制御されたガス雰囲気を用いて過電圧保護コンデンサーを処理することが望ましい。これは、デバイスの共焼結中にプロセス雰囲気を制御することによって、又は最終的なデバイスの外部に内部ギャップを形成することによって達成することができる。特に、好ましいガスは、大気、又はHe、Ne、Ar、Kr若しくはXeから選択された不活性ガスを含む。窒素及び水素を用いることもでき、これらのガスの混合物を利用して、デバイスの絶縁破壊及び回復を変更することができる。パッシェンの法則は、ギャップ(V)の絶縁破壊特性が、ガス圧(p)とギャップ長(d)との関数;V=f(pd)であると述べている。大気の1mm程度のギャップの場合、V=30pd+1.35kVである。ただし、dはcm単位のギャップ長であり、pは気圧単位の空気圧である。大部分のガスは圧力の変動に対して非線形の応答を有するので、所与の応用形態の場合に、混合物を利用してこれを調整する。高い電圧の場合、純粋な不活性ガスのみが好ましい。温度、湿度及び二次イオン化電位のような他の要因も絶縁破壊電圧に影響を及ぼす可能性がある。ギャップに補給物としての役割を果たす蒸気を導入することもでき、これらの蒸気のうち最も良く知られているのは、蛍光灯において広く用いられる水銀蒸気であるが、ガス放電機能の場合、その電気陰性度及びUV光吸収能力が放電の減衰を助長できることから、アルコール又はハロゲン蒸気を導入することが利益をもたらすことができる。
本発明の一実施形態が図8Aの概略的な側断面図及び図8Bの概略的な平断面図において示される。図8A及び図8Bにおいて、外部終端14間にある電極16はギャップ12を有し、そのギャップはチャネル24内にあり、チャネルはコンデンサー本体を越えて流体連通している。チャネルにガスが入れられ、チャネルの開口部にわたって気密シール22が配置され、それにより、ガスをチャンバ内に閉じ込める。
本発明の一実施形態が図8Cの概略的な平面図において示される。図8Cでは、端子14と内部電極16との間にギャップがある。この実施形態は、気密シールを追加するために必要とされる更なるプロセスを回避する。外部終端自体がガスをギャップ内に閉じ込めるように機能する。規定されたしきい値電圧においてアーク放電することを保証するために距離が制御されなければならないので、適切な終端材料はギャップには流れ込まず、終端は必要されるガス雰囲気内で利用されなければならない。適切な終端材料には、導電性接着剤と、TLPS導電性接着剤と、終端を焼結するためにパルス熱極(pulse thermode)又は高電力、高周波数の光を用いて処理される厚膜とが含まれる。
ニッケル又は銅のような卑金属電極の場合、多層の共焼結中に還元性雰囲気が用いられ、通常、酸素アニールステージを用いて、セラミック酸化物を再酸化し、それにより、焼結プロセス中に形成された任意の酸素空孔を置き換える。誘電体材料及びアニール雰囲気
を注意深く選択することによって、ギャップ内のガスの組成を制御することができる。
本発明の一実施形態が、図9の概略的な平断面図において示される。図9では、内部電極26の少なくとも一部が互いに近づき、それにより、ギャップ28の最も狭い部分にある、向かい合う電極が最も接近する狭い部分に電荷を集中させる。電極の最も狭い部分に電荷を集中させることによって、しきい値電圧を下げることができる。
本発明の一実施形態が、図10の概略的な平断面図において示される。図10では、3端子過電圧保護構成要素が示されており、接地電極29が、関連する接地終端30とともにギャップ内に存在する。そのギャップはガス充填ギャップとすることができる。電極32は、互いに近づくことが好ましく、外部終端34に電気的に接続される。その3端子デバイスは、2つの伝送線路間での使用に特に適しており、過電圧をいずれか又は両方の伝送線路内の接地に誘導することができる。
過電圧保護デバイスは過電圧を接地に放散し、それにより、コンデンサーが、より高い静電放電能力を達成できるようにする。標準的なMLCCにおいて、静電放電(ESD)事象中にコンデンサーに印加される電圧が絶縁破壊電圧を超える場合には、その構成要素は機能しなくなる。しかしながら、過電圧保護デバイスを組み込むことによって、ESD事象中に印加される電圧は、容量性結合に任意の損傷が生じる前に、内部アーク放電によって放散される。従来技術では、外部アーク放電を用いて、ESDの影響を受けやすいMLCCを保護しようと試みてきたが、部品の表面が外部アークに影響を及ぼす種々の環境条件、汚染物及び/又はコーティングに晒される可能性があり、それゆえ、アーク電圧を制御する能力が妨げられるので、成功の程度にばらつきがあった。内部アーク放電は、高いESDに対応するコンデンサーを実現する一貫した方法を提供する。より詳細には、その過電圧保護構成要素は、ESDによって最も故障を起こしやすいタイプのコンデンサーである小型で、低い静電容量のMLCCにおいて、影響を受けやすいコンデンサーを過電圧から保護する方法を提供する。
さらに、本発明において説明される過電圧保護構成要素(OVP)は、ヒューズとも呼ばれるデトネーション回路にスパークギャップも提供することができる。これらの事例において、過電圧保護デバイスは、図10Aに示されるように、電源と電子ヒューズ溶断装置(EFI:electronic fuze initiator)との間に配置されることになる。過電圧保護
構成要素(OVP)は、通常、より大きな体積を占めるガス放電管のような他のスパークギャップデバイスの代わりに使用され、それにより回路を小型化できるようにする。また、本発明の教示によれば、適切な静電容量を有する3つ以上の端子を組み合わせることによって、充電コンデンサー及びスパークギャップの機能を併せ持つ過電圧保護デバイスを設計することができるので、更に小型化できるようになる。
本明細書において電極は特に制限されず、本教示を実証するのに任意の導体が適している。広く普及していること、及びコンデンサー、特に多層化セラミックコンデンサーの製造のために設計された製造設備において過電圧保護構成要素を製造できることに起因して、コンデンサーでの使用に適した電極が特に適している。発明を実証するのに卑金属電極が特に適しているが、貴金属電極も同様である。
誘電体として、又はギャップ内の材料として用いられるセラミック材料は、本発明において特に制限されない。MLCCの製造において広く使用されていること、及びMLCCを製造するために設計された設備において過電圧保護構成要素を製造できることに起因して、本発明を実証する際に使用するのに、C0G及びX7Rコンデンサーにおいて使用するのに適した材料が特に適している。
上記の材料及びプロセスを組み合わせることによって、広範な異なる過電圧保護構成要素を実現できるようになることはMLCC製造技術分野の当業者には理解されよう。本技術の応用形態が非限定的な以下の実施例において説明され、それらの実施例は、MLCCに類似のプロセスを用いて、過電圧保護構成要素をいかに形成できるかを示す。
実施例1及び1A
X7R温度係数を有する1812ケースサイズの卑金属電極(BME:base metal electrode)多層セラミックコンデンサー(MLCC)が、MLCC内に過電圧保護構成要素を組み込むために、逆極性の2つの内部電極間に空隙が存在するように構成された。セラミック誘電体材料はNi内部電極に適合するBaTiO系調合物であった。焼成されていない、すなわち、未焼結のコンデンサーの長さは約5.33mm(約0.21インチ)であり、幅は約3.81mm(約0.15インチ)であった。
焼成されていない、すなわち、未焼結のコンデンサーは、スクリーン印刷内部電極を組み込む、MLCC業界において典型的な乾式積層(dry layer build up)プロセスを用いて組み立てられた。電極は1200個のコンデンサーのアレイを含むパターンにおいてスクリーン印刷され、積層プロセス後に、個々の未焼結コンデンサーに単体化された。向かい合う電極間のエリア内の幾つかの未焼結セラミックテープ層上に、空気式注射器によって、ギャップに架かり、各電極と接触するように少量の樹脂滴が分注された。過電圧保護構成要素のこれらのサンプルが実施例1Aを付され、この時点で製造された他のMLCC、対照群実施例1と比較された。向かい合う電極間のギャップは0.03mm(0.012インチ)であり、樹脂滴の直径は通常、0.38mm(0.015インチ)であった。内部電極は、電極の幅が約3.20mm(0.126インチ)であり、長さが5.03mm(0.198インチ)であるように形成された。電極の端部を、電極の端部から約8.13mm(0.032インチ)において次第に細くし始め、約2.44mm(0.096インチ)の幅まで細くした。図11は、電極及び樹脂滴の図を含む。樹脂は印刷された電極アレイの約30%に付けられた。樹脂滴でそのエリアを包囲する未焼結コンデンサーは対照群としての役割を果たした。犠牲樹脂は後に説明される結合剤焼却処理中に除去され、空隙が残された。樹脂は、約5%の固形物を含有している、主にエチルセルロース及び可塑剤をジヒドロテルピネオールに溶かした溶液であった。活性層ごとの全未焼結テープ厚は40ミクロンであり、ブランクセラミック層ごとに25ミクロンであった。コンデンサーは、全部で28層の内部電極層を含んだ。9層のブラックセラミック層及び14層の電極層を積重した後に、積重プロセスが休止され、2層のブランクセラミック層がスタック内に挿入され、その後、電極間のギャップがコンデンサーの概ね中心にあるように位置決めされた、樹脂滴を含む1層の印刷層が挿入された。次の3層のブランクセラミック層がコンデンサースタックに挿入され、その後、残りの13層の電極層及び9層のブランクセラミック層が挿入された。スタック全体が、全ての層を結合するのに十分な積層圧力サイクルにかけられた。
制御された雰囲気内で40時間〜96時間の期間にわたって230℃〜280℃に加熱することによって、未焼結コンデンサーから有機結合剤が除去された。その雰囲気は、窒素、酸素及び水蒸気からなり、O濃度は5%〜21%であり、露点は30℃〜60℃であった。結合剤を焼却した後に、そのコンデンサーは、酸素のpOが10−8〜10−10気圧であり、露点が25℃〜40℃である、窒素、水素及び水蒸気からなる還元性雰囲気内で、2時間にわたって1280℃〜1320℃で燃焼された。ピーク温度までのランプ速度は、毎分1℃〜5℃に及んだ。ピーク温度からの冷却中に、コンデンサーは、2時間〜8時間にわたって、750℃〜1050℃において再酸化プロセスにかけられた。再酸化中の雰囲気は窒素、酸素及び水蒸気からなり、pOは5PPM〜100PPM Oであり、露点は30℃〜40℃であった。再酸化プロセスは誘電体結晶構造に対する酸素を復元し、燃焼中に生じていた場合がある酸素空孔を解消する。
熱処理後に、焼結されたコンデンサーを、研磨材によるタンブリングにかけ、任意の尖った縁及び角を滑らかにし、かつ内部電極を完全に露出させた。研磨材によるタンブリング後に、溶融された銅終端ペーストをコンデンサーの両端に塗布し、露出した内部電極への電気的接続を確立した。銅ペーストが乾燥した後に、コンデンサーは、結合剤を酸化しかつ終端を焼結するために、酸素分圧が低く温度プロファイルが制御された窒素雰囲気を利用する終端焼結炉に通された。炉内温度は約20℃/分のランプ速度で室温から870℃まで上げられ、その後、室温まで徐々に冷却された。
終了後に、1.27μm(50μin)〜3.81μm(150μin)の範囲の厚みに電気めっきされたNiバリア層が銅終端上に被着され、その後、2.54μm(100μin)〜7.52μm(300μin)の範囲の厚みに電気めっきされたSn層が被着された。
熱処理後に、内部空隙のサイズ及び場所を示すために、コンデンサーは非破壊Cモード走査音響顕微鏡(CSAM:C-mode scanning acoustical microscope)を用いて検査さ
れた。その検査は、樹脂が熱処理中に除去されたこと、及び過電圧保護構成要素サンプル(実施例1A)内に内部空隙が存在することを裏付けた。さらに、内部ギャップを特徴付けるために、破壊物理解析(DPA:destructive physical analysis)が実行された。
ギャップを有するMLCC及び対照のCSAM画像がそれぞれ図12A及び図12Bに示される。DPA中に見つけられた空隙の写真が図13に示される。一貫したサイズの空隙を有する部品を選択するために、CSAMを用いて、空隙を有するMLCCを分類した。
過電圧保護構成要素を表す内部空隙を有する選択されたコンデンサー(実施例1A)及び対照コンデンサー部品(実施例1)が、最終絶縁耐圧(UVBD:ultimate voltage breakdown)まで300ボルト/秒の電圧ランプにかけられ、その後、同じ電圧ランプ速度において絶縁破壊まで第2の電圧ランプにかけられた。絶縁耐圧は、通常、誘電体層の絶縁破壊に起因して、被測定電流が突然増加することによって特徴付けられるが、これは、端子間のコンデンサー表面にわたるアーク放電に起因する可能性もある。第2のUVBD試験は、第1のUVBD試験中の高い電流測定値が、絶縁破壊に起因したか、表面アーク放電に起因したかを確認するために実行された。
このコンデンサー設計及び材料セットの場合に予想される平均UVBDは45〜55ボルト/ミクロンである。表1において見られるように、対照群の場合の平均UVBDは1897ボルトであり、予想範囲内にあった。しかしながら、試験群は526ボルトの著しく低い初期UVBDを有する。初期UVBD分布は図14に示される。
対照群(1)の場合の平均の第2のUVBDは22ボルトであり、それは、対照群がUVBD電圧の結果として、壊滅的な絶縁破壊を受けたことを示す。試験群(1A)の場合の平均の第2のUVBDは58ボルトである。試験群の場合の第2のUVBDは、試験群は、内部ギャップを通して電荷を放散する前に、或る量の電荷を取り込む能力を保持することを示す。第2のUVBD分布が図15に示される。UVBD電圧を印加した後の試験群の内部構成のDPA検査は、空隙のエリア内での絶縁破壊の証拠がないことを示す。
電気的及び物理的試験は、内部ギャップを含むMLCCが、UVBD試験中に印加された電圧を内部アーク放電によって放散したことを示す。しかしながら、試験群(1A)の場合のUVBDが第1のUVBD試験と第2のUVBD試験との間で520ボルトから100ボルト以下に移行したことは、この内部ギャップ設計を用いるMLCCが電圧を放散する能力が永久に変化したことを示す。この変化の指示は、図1に示されるような第2のUVBD試験後の絶縁抵抗(IR:insulation resistance)の変化である。UVBD試
験後に図16に示される対照群(1)の場合のIRが10kオーム以下に減少したことは、絶縁破壊後に観測されたIRの減少と一致している。試験群(1A)のUVBD後IRは、対照群よりも平均して高い。
Figure 2018191001
実施例2及び2B
実施例2及び2Bでは、X7Rクラス材料を有する1812ケースサイズの卑金属電極
(BME)多層セラミックコンデンサー(MLCC)が、実施例1及び1Bにおいて記述されたのと同じようにして、実施例2Bの場合に逆極性の2つの内部電極間に空隙が存在するように構成されたが、実施例1及び1Bとは異なり、それらのコンデンサーは樹脂滴とともに3つの層を含んだ。9層のブランクセラミック層と14層の電極層とを積重した後に、積重プロセスが休止され、2層のブランクセラミック層がスタック内に挿入され、その後、各層内の電極間のギャップがコンデンサーの概ね中心にあるように位置決めされた、樹脂滴を含む3層の印刷層が挿入された。次の3層のブランクセラミック層がコンデンサースタックに挿入され、その後、残りの13層の電極層及び9層のブランクセラミック層が挿入された。スタック全体が、全ての層を結合するのに十分な積層圧力サイクルにかけられた。
内部空隙を有する選択されたコンデンサー及び対照部品が、絶縁耐圧まで300ボルト/秒の電圧ランプにかけられ、その後、同じ電圧ランプ速度において絶縁破壊まで第2の電圧ランプにかけられた。対照群の初期UVBDはここでも1832ボルトにおいて予想範囲内にあった(表1)。対照群の第2のUVBDは実施例1の第2のUVBDと同じように見えるが、試験群は実施例1Aの58Vから実施例2Bの97Vまで、平均の第2のUVBDがわずかに増加したことを示す。第2のUVBD試験後の実施例2Bにおいて、実施例1Aと比べて、絶縁抵抗のわずかな増加も見ることができる。UVBD電圧を印加した後の試験群の内部構成のDPA検査は、空隙のエリア内での絶縁破壊の証拠がないことを示しており、断面図が図17に示される。初期UVBD、第2のUVBD、及び第2のUVBD後のIRに関する実施例2及び2Bの分布がそれぞれ図18、図19及び図20に示される。
実施例3及び3C
実施例3及び3Cでは、C0Gクラス材料を有する1812ケースサイズの卑金属電極(BME)多層セラミックコンデンサー(MLCC)が、実施例2及び2Bと同じようにして、実施例2Bの場合に逆極性の2つの内部電極間に空隙が存在するように構成されたが、実施例2及び2Bとは異なり、それらのコンデンサーはNi内部電極に適合するCaZrO系誘電体材料を用いて構成された。活性層ごとの全未焼結テープ厚は17ミクロンであり、ブランクセラミック層ごとに5.8ミクロンであった。そのコンデンサーは、全部で61層の内部電極層を含んだ。40層のブランクセラミック層及び29層の電極層を積重した後に、積重プロセスが休止され、3層のブランクセラミック層がスタック内に挿入され、その後、各層の電極間のギャップがコンデンサーの概ね中心にあるように位置決めされた、樹脂滴を含む3層の印刷層が挿入された。その後、3層のブランクセラミック層がコンデンサースタックに挿入され、その後、残りの29層の電極層及び40層のブランクセラミック層が挿入された。スタック全体が、全ての層を結合するのに十分な積層圧力サイクルにかけられた。
内部空隙を有する選択されたコンデンサー及び対照部品が、絶縁耐圧まで300ボルト/秒の電圧ランプにかけられ、その後、同じ電圧ランプ速度において絶縁破壊まで第2の電圧ランプにかけられた。このコンデンサー設計及び材料セットの場合に予想される平均UVBDは95〜105ボルト/ミクロンである。表1において見ることができるように、対照群の場合の平均UVBDは1678ボルトであり、予想範囲内にあった。試験群3Cの初期平均UVBDはわずかに低く、1457ボルトであり、これらの分布が図21に示される。
第2のUVBD分布が図22に示される。対照群の場合の平均の第2のUVBDは271ボルトであり、表1に示されるような類似の電極設計を用いるX7Rコンデンサー(実施例2)の第2のUVBDの場合に観測された値よりも高かった。しかしながら、表1及び図3に示される、対照群の場合の低い試験後絶縁抵抗は、コンデンサーが内部絶縁破壊
を受けたことを示す。試験群の場合の平均の第2のUVBDは986ボルトであり、対照群よりも著しく高い。図23のプロットは、試験された10個のコンデンサーのうちの6個が1Gオームよりも高い良好な絶縁抵抗を保持し、内部絶縁破壊を被らなかったことを示す。UVBD電圧を印加した後の試験群の内部構成のDPA検査は、空隙のエリア内での絶縁破壊の証拠がないことを示す。
実施例3Cの10個のコンデンサーが、300ボルト/秒の電圧ランプ速度においてUVBD電圧の反復サイクルにかけられた。コンデンサーのうちの3個は10サイクルのUVBDに耐えた。図24のプロットは3〜4サイクル後に、UVBD電圧が300ボルト〜700ボルトの範囲に落ち着き、表2に示されるように容認可能な電気的特性を保持したことを示す。
Figure 2018191001
実施例4及び4D
実施例4及び4Dでは、C0Gクラス材料を有する0805ケースサイズの卑金属電極(BME)多層セラミックコンデンサー(MLCC)が、実施例3及び3Cにおいて記述されたのと同じようにして、実施例4Dの場合に逆極性の2つの内部電極間に空隙が存在するように構成されたが、実施例3及び3Cとは異なり、未焼結コンデンサーの長さが約2.36mm(0.093インチ)であり、幅が約1.45mm(0.057インチ)であった。
未焼結コンデンサーが、スクリーン印刷内部電極を組み込む、当業界において典型的な乾式積層プロセスを用いて組み立てられた。電極は、7000個のコンデンサーのアレイを含むパターンにおいてスクリーン印刷され、積層プロセス後に、個々の未焼結コンデンサーに単体化された。内部電極は、電極の幅が約1.04mm(0.041インチ)であり、長さが2.06mm(0.081インチ)であるように形成された。電極の端部を、電極の端部から約0.41mm(0.016インチ)において次第に細くし始め、約0.53mm(0.021インチ)の幅まで細くした。活性層ごとの全未焼結テープ厚は29ミクロンであり、ブランクセラミック層ごとに4.3ミクロンであった。コンデンサーは、全部で30層の内部電極層を含んだ。38層のブランクセラミック層及び14層の電極層を積重した後に、積重プロセスが休止され、10層のブランクセラミック層がスタック内に挿入され、その後、各層の電極間のギャップがコンデンサーの概ね中心にあるように位置決めされた、樹脂滴を含む3層のプリント層が挿入された。10層のブランクセラミック層がコンデンサースタックに挿入され、その後、残りの13層の電極層及び38層のブランクセラミック層が挿入された。スタック全体が、全ての層を結合するのに十分な積層圧力サイクルにかけられた。
内部空隙を有する選択されたコンデンサー及び対照部品が、絶縁耐圧まで300ボルト/秒の電圧ランプにかけられ、その後、同じ電圧ランプ速度において絶縁破壊まで第2の電圧ランプにかけられた。このコンデンサー設計及び材料セットの場合に予想される平均UVBDは72〜80ボルト/ミクロンであった。表1において見ることができるように、対照群の場合の平均UVBDは2240ボルトであり、予想範囲内にあった。試験群の初期平均UVBDはそれより低く、1626ボルトであった。初期UVBD分布は図25に示され、第2のUVBD分布は図26に示され、これらに関連付けられるIRは図27に示される。
対照群の場合の平均の第2のUVBDは、初期UVBDの40%未満である793ボルトであった。とりわけ、対照群の試験後絶縁抵抗は相対的に高く、平均して4600Gオームであった。対照群の内部DPA検査は、図28に示されるように、UVBD中に内部絶縁破壊が生じたことを示したが、その故障は壊滅的ではなく、向かい合う電極層間のギャップにわたってアーク放電する前に、そのコンデンサーは或る量の電荷を受け入れることができるように見えた。
試験群の場合の平均の第2のUVBDは、1626ボルトの初期UVBDに類似の1507ボルトであった。図27のプロットは、試験された10個全てのコンデンサーが1Gオームよりも高い絶縁抵抗を保持したことを示す。UVBD電圧を印加した後の試験群の内部構成のDPA検査は、空隙のエリア内での絶縁破壊の証拠がないことを示した。
実施例4Dの5個のコンデンサーが、300ボルト/秒の電圧ランプにおいてUVBD電圧の反復サイクルにかけられた。コンデンサーのうちの4個は10サイクルのUVBDに耐えた。図28のプロットは5〜7サイクル後に、UVBD電圧が500〜140の範囲に落ち着いたことを示した。
実施例5及び5E
実施例5及び5Eは、C0Gクラス材料を有する1206ケースサイズの卑金属電極(BME)多層セラミックコンデンサー(MLCC)が、実施例4及び4Cと同じようにして、5Eの場合に逆極性の2つの内部電極間に空隙が存在するように構成されたが、実施例4及び4Cとは異なり、未焼結コンデンサーの長さが約3.53mm(0.151インチ)であり、幅が約2.05mm(0.081インチ)であった。
未焼結コンデンサーが、スクリーン印刷内部電極を組み込む、当業界において典型的な乾式積層プロセスを用いて組み立てられた。電極は、3000個のコンデンサーのアレイを含むパターンにおいてスクリーン印刷され、積層プロセス後に、個々の未焼結コンデンサーに単体化された。内部電極は、電極の幅が約1.55mm(0.061インチ)であり、長さが3.53mm(0.139インチ)であるように形成された。電極の端部は、電極の端部から約0.81mm(0.032インチ)において次第に細くし始め、約0.79mm(0.031インチ)の幅まで細くした。活性層ごとの全未焼結テープ厚は30ミクロンであり、ブランクセラミック層ごとに4.3ミクロンであった。コンデンサーは、全部で39層の内部電極層を含んだ。45層のブランクセラミック層及び18層の電極層を積重した後に、積重プロセスが休止され、12層のブランクセラミック層がスタック内に挿入され、その後、各層の電極間のギャップがコンデンサーの概ね中心にあるように位置決めされた、樹脂滴を含む3層の印刷層が挿入された。12層のブランクセラミック層がコンデンサースタックに挿入され、その後、残りの18層の電極層及び45層のブランクセラミック層が挿入された。スタック全体が、全ての層を結合するのに十分な積層圧力サイクルにかけられた。
内部空隙を有する選択されたコンデンサー及び対照部品が、絶縁耐圧まで300ボルト/秒の電圧ランプにかけられ、その後、同じ電圧ランプ速度において絶縁破壊まで第2の電圧ランプにかけられた。このコンデンサー設計及び材料セットの場合に予想される平均UVBDは72〜80ボルト/ミクロンであった。表1において見ることができるように、対照群の場合の平均UVBDは2259ボルトであり、予想範囲内にあった。試験群の初期UVBDはそれより低く、1427ボルトであった。これらの分布が図29に示される。
対照群の場合の平均の第2のUVBDは、表1及び図30において見られるように、初期UVBDの50%未満である1086ボルトであった。対照群の10個のコンデンサーのうちの8個は、相対的に高い試験後絶縁抵抗、平均して2034Gオームを示すが、図31に示されるように、検査は絶縁破壊の証拠を明らかにし、図32に示されるように、2つのコンデンサーは低いIRを有した。
試験群の場合の平均の第2のUVBDは、1427ボルトの初期UVBD並びに実施例4Dの初期UVBD及び第2のUVBDに類似の1520ボルトであった。図33のプロットは、試験された10個全てのコンデンサーが良好な試験後絶縁抵抗を保持し、試験前の絶縁抵抗からほとんど変化しなかったことを示す。UVBD電圧を印加した後の試験群の内部構成のDPA検査は、空隙のエリア内、又はコンデンサーの活性領域内での絶縁破壊の証拠がないことを示した。
静電放電ESD
セラミックコンデンサーは一般的に、静電放電電圧に耐える際に非常に強く、通常、線路電圧内の過渡的なスパイクから影響を受けやすい構成要素を保護するために用いられる。回路上のコンデンサーの影響を最小限に抑えるために、この応用形態の場合、低い静電容量値が好ましい。しかしながら、低い静電容量値は通常、最も高いESD耐性を示さない。これは以下のように説明される。図34は、ESD試験回路を表す回路図であり、電源コンデンサーは50である。スイッチ54が閉じられると、ESD試験電圧まで充電さ
れた電源コンデンサーから、或る量の電荷が試験コンデンサー52の中に放電される。試験コンデンサー内の任意の劣化を示すために、電圧放電後の静電容量、放散係数及び絶縁抵抗測定値が測定され、初期測定値と比較される。
理想的なESD試験の場合、電荷が電源コンデンサーから試験コンデンサーに流れるときに、式A、B及びCに示されるように、全電荷が保存され、結果として生じる電圧は全静電容量に比例する量だけ減少し、試験例が150pFコンデンサー及び2kΩ抵抗器を備える電源RC回路網について示される。これは、AEC Q200試験(参照:ISO10605:2008及びIEC61000−4−2)の場合に要求される「人体モデル」試験と一致する。
Figure 2018191001
最終的な電圧がコンデンサーの最終絶縁耐圧(UVBD)を超える場合には、そのコンデンサーは壊滅的な絶縁破壊を被り、電気的に短絡する場合がある。これらの式が示すように、電源コンデンサーから所与の量の電荷を放散するために、静電容量値が低いほど、高い電圧に耐えなければならない。所与の定格電圧において、小さいコンデンサーほど低い静電容量値を有するので、この関係は、この応用形態の場合に、回路設計者がコンデンサーを更に小型化する可能性を制限する。
コンデンサーのUVBDが十分に高く、コンデンサーの端子間間隔が十分に小さい場合には、その電圧は、絶縁破壊としてコンデンサーを通るのではなく、コンデンサーの外面にわたって放電することができる。これら2つの経路の図解が図35に示されており、56は内部誘電体を横切り、破壊的である放電を示し、58は外部空隙を横切り、破壊を引き起こさない放電を示す。コンデンサーが端子間でアーク放電する傾向は、内部電極の形状及び位置、誘電体のタイプ、及び環境条件を含む、幾つかの要因によって決まる。さらに、コンデンサーを含む回路が組み立て後に被覆される場合には、これが表面アーク放電を妨げる可能性がある。
実施例4及び4D並びに実施例5及び5Eにおいて作製されたコンデンサーが、ESD試験にかけられ、その結果が表3に示される。初期試験電圧は16キロボルトであった。試験電圧をかけた後に電気的な故障が検出された場合には、試験電圧は12キロボルトに下げられ、低い電圧において新たなサンプルが試験された。電気的な故障が検出されなかった場合には、試験電圧は25キロボルトに上げられ、試験が継続された。内部空隙を含むコンデンサー試験設計(4D及び5E)は標準的なコンデンサー設計(4及び5)よりも高いESD電圧に耐えられることを表3において見ることができる。なぜなら、内部空隙、すなわち、スパークギャップによって、過剰な電圧が、外面上でなく、又は内部絶縁破壊機構によってではなく、コンデンサーを通って放電できるようになるためである。
Figure 2018191001
サンプル4D及び5Eでは、25kVにおけるESD試験後に静電容量、放散係数又は絶縁抵抗に大きな差は見られない。文献、C Rostamzadeh、H. Dadgostar及びF. Canavero「Electrostatic Discharge Analysis of Multi Layer Ceramic Capacitors」IEEE Transactions 2009、p 35-40において、±15kVのESDパルス後に、幾つかのMLCCが
、この試験後に試験前に比べて低い周波数においてインピーダンスが下がったことによって示されるように、永久劣化を受けたことがわかった。このため、25kVにおけるESD試験の前後にサンプル5Eからの幾つかのMLCCのインピーダンスが測定され、その平均インピーダンスがそれぞれ図35A及び図35Bにおいて以下に示される。サンプル5Eでは25kV ESD試験後にインピーダンスに差はないので、コンデンサーの劣化はないと結論付けることができる。
本発明が好ましい実施形態を参照しながら説明されてきたが、その実施形態には限定さ
れない。当業者であれば、具体的には説明されないが、添付の特許請求の範囲において記載されるような本発明の範囲内にある更なる改善形態及び実施形態を理解されよう。

Claims (19)

  1. 過電圧保護構成要素であって、
    第1の誘電体材料内に収容され、第1の終端に電気的に接続される第1の内部電極と、
    前記第1の誘電体材料内に収容され、第2の終端に電気的に接続され、前記第1の内部電極と同一平面上にある第2の内部電極と、
    前記第1の内部電極と前記第2の内部電極との間にあり、前記第1の誘電体材料と異なる第2の誘電体としてセラミック材料を含む第1のギャップと、
    を備える、過電圧保護構成要素。
  2. 前記第1の誘電体材料内に収容され、前記第1の終端に電気的に接続され、前記第1の誘電体によって前記第1の内部電極から分離される第3の内部電極と、
    前記第1の誘電体材料内に収容され、前記第2の終端に電気的に接続され、前記第3の内部電極と同一平面上にあり、前記第1の誘電体によって前記第2の内部電極から分離される第4の内部電極と、
    前記第3の内部電極と前記第4の内部電極との間にある第2のギャップと、
    をさらに備える、請求項1に記載の過電圧保護構成要素。
  3. 前記第2のギャップは前記第2の誘電体を含む、請求項2に記載の過電圧保護構成要素。
  4. 前記第1のギャップは、前記第1の終端と前記第2の終端との間の最接近分離距離よりも短い最接近分離距離を有する、請求項1に記載の過電圧保護構成要素。
  5. 第3の終端に接続される第5の内部電極をさらに備え、前記第5の内部電極は、前記第1のギャップと接触し、かつ前記第1の内部電極及び前記第2の内部電極のいずれとも電気的に接触しない、請求項1に記載の過電圧保護構成要素。
  6. 前記第5の内部電極は前記第1の内部電極と同一平面上にある、請求項5に記載の過電圧保護構成要素。
  7. 第4の終端に接続される第6の内部電極をさらに備え、前記第6の内部電極は、前記第1のギャップと接触し、かつ前記第1の内部電極、前記第2の内部電極、及び前記第5の内部電極のいずれとも電気的に接触しない、請求項5に記載の過電圧保護構成要素。
  8. 前記第6の内部電極は前記第5の内部電極と同一平面上にある、請求項7に記載の過電圧保護構成要素。
  9. 前記第1の内部電極と前記第2の内部電極との間に複数のギャップを含む、請求項1に記載の過電圧保護構成要素。
  10. 前記第1の内部電極及び前記第2の内部電極のうちの少なくとも一方は、卑金属及び貴金属から選択される材料を含む、請求項1に記載の過電圧保護構成要素。
  11. 前記第1の終端及び前記第2の終端のうちの少なくとも一方は、卑金属及び貴金属から選択される材料を含む、請求項1に記載の過電圧保護構成要素。
  12. 前記第1の終端及び前記第2の終端のうちの少なくとも一方はめっきされる、請求項9に記載の過電圧保護構成要素。
  13. 前記第1の誘電体は、チタン酸バリウム又はジルコン酸カルシウムを含み、前記第1の内部電極及び前記第2の内部電極のうちの少なくとも一方は卑金属を含む、請求項1に記載の過電圧保護構成要素。
  14. 前記第2の誘電体はチタン酸バリウムを含む、請求項1に記載の過電圧保護構成要素。
  15. 前記第1の誘電体はC0G誘電体及びX7R誘電体から選択される、請求項1に記載の過電圧保護構成要素。
  16. 前記第1のギャップは前記過電圧保護構成要素の側面まで延在する、請求項1に記載の過電圧保護構成要素。
  17. 前記第1のギャップは、前記第1の内部電極と同じ厚さを有する、請求項1に記載の過電圧保護構成要素。
  18. 前記第1の誘電体内に収容され、前記第1の終端に電気的に接続される第1のコンデンサー電極と、
    前記第1の誘電体内に収容され、前記第2の終端に電気的に接続され、前記第1のコンデンサー電極と交互に配置され、前記第1の誘電体によって前記第1のコンデンサー電極から分離される第2のコンデンサー電極と、
    を含む第1の容量性結合をさらに備える、請求項1に記載の過電圧保護構成要素。
  19. 複数の容量性結合を備える、請求項18に記載の過電圧保護構成要素。
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