本発明について、以下に具体的に説明する。なお本明細書を通じ、一般式において同一符号で表されている構造は、分子中に複数存在する場合に、互いに同一であるか、又は異なっていてもよい。
[第一の態様]
本発明の第一の態様は下記の感光性樹脂組成物である。
<感光性樹脂組成物>
本発明の実施の形態では、感光性樹脂組成物は、特定の構造を有するポリイミド前駆体(A)、及び感光成分(B)を必須成分とする。したがって、特定の構造を有するポリイミド前駆体(A)、及び感光成分(B)並びにその他の成分について詳細に説明する。
(A)ポリイミド前駆体樹脂
本発明に用いられる(A)樹脂について説明する。本発明の(A)樹脂は、下記一般式(1):
{式中、Xは4価の有機基であり、Yは2価の有機基であり、n1は、2〜150の整数であり、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜30の飽和脂肪族基、芳香族基、下記一般式(2):
(式中、R3、R4及びR5は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3の有機基であり、そしてm1は、2〜10の整数である。)で表される1価の有機基、
又は下記一般式(3):
(式中、R6、R7及びR8は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3の有機基であり、そしてm2は、2〜10の整数である。)で表される一価のアンモニウムイオン}、で表されるポリイミドの前駆体であるポリアミド酸、ポリアミド酸エステル又はポリアミド酸である。
本発明においては、このようなポリイミド前駆体の中で、本発明で好適に用いられる樹脂として、以下の(A1)樹脂〜(A3)樹脂のうちの少なくとも1つ、及び以下の(A4)樹脂を組み合わせて使用することを特徴とする。
具体例としては、
(A1)一般式(1)中のXが、下記一般式(4)、(5)又は(6)表わされる構造を含み、かつ前記一般式(1)中のYが、下記一般式(7)で表される構造を含む樹脂である。
ここで、一般式(4)は、
{式中、a1は0〜2の整数であり、R9は水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜10の1価の有機基を表す。R9が複数存在する場合は、R9は互いに同一であるか、又は異なっていてよい。}で表される基、下記一般式(5)は
{式中、a2、a3はそれぞれ独立に0〜4の整数であり、a4、a5はそれぞれ独立に0〜3の整数である。R10〜R13は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜10の1価の有機基を表す。R10〜R13が複数存在する場合は、R10〜R13は互いに同一であるか、又は異なっていてよい。}であり、又、下記一般式(6)は、
{式中、n2は0〜5の整数であって、Xn1は単結合もしくは2価の有機基であり、Xn1が複数存在する場合は、Xn1は互いに同一であるか、または異なっていてもよい。X1は単結合もしくは2価の有機基であり、Xm1またはXn1のうち少なくとも一つは単結合、オキシカルボニル基、オキシカルボニルメチレン基、カルボニルアミノ基、カルボニル基、スルホニル基から選択される有機基である。a6とa8はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、a7は0〜4の整数である。R14、R15、R16は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜10の1価の有機基を表し、a7又はR15が複数存在する場合は、それらは同一であるか、又は異なっていてよい。}で表わされる構造を有し、
かつ一般式(1)中のYが下記一般式(7)で表わされる構造を含む樹脂であり、さらに一般式(7)は、
{式中、n3は1〜5の整数であって、Yn2は炭素数1〜10のフッ素原子を含んでもよく、フッ素以外のヘテロ原子を含まない有機基、酸素原子、硫黄原子のいずれかである。Yn2が複数存在する場合は、それらは同一であるか、または異なっていてよい。a9、a10はそれぞれ独立に0〜4の整数である。R17、R18はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜10の1価の有機基を表す。a10, R17、R18が複数存在する場合は、互いに同一であるか、または異なっていてよい。}で表わされる構造を含む樹脂である。
又、(A2)樹脂としては、一般式(1)中のXが、下記一般式(8)で表わされる構造を含み、かつ一般式(1)中のYが、下記一般式(9)又は(10)で表される構造を有する樹脂であり、ここで一般式(8)は
{式中、n4は0〜5の整数であってXm2、Xn3はそれぞれ独立に炭素数1〜10のフッ素原子を含んでもよく、フッ素以外のヘテロ原子を含まない有機基、酸素原子、硫黄原子のいずれかである。Xn3が複数存在する場合、それらは同一であるか、または異なっていてよい。a11とa13はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、a12は0〜4の整数である。R19、R20、R21は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜10の1価の有機基を表し、a12、R20が複数存在する場合は、それらは同一であるか、または異なっていてよい。}で表わされる構造を有し、
一般式(9)で表される樹脂として、
{式中、n5は0〜5の整数であってYn4は単結合もしくは2価の有機基であり、Yn4が複数存在する場合は、それらは同一であるか、または異なっていてもよい。n4が1以上である場合は、Yn4のうち少なくとも一つは単結合、オキシカルボニル基、オキシカルボニルメチレン基、カルボニルアミノ基、カルボニル基、スルホニル基から選択される有機基である。a14とa15はそれぞれ独立に0〜4の整数であり、R22、R23は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜10の1価の有機基を表し、a15、R23が複数存在する場合は、それらは同一であるか、または異なっていてよい。}で表される基、又は下記一般式(10):
{式中、a16〜a19はそれぞれ独立に0〜4の整数であり、R24〜R27は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜10の1価の有機基を表す。R24〜R27が複数存在する場合は、R24〜R27は互いに同一であるか、又は異なっていてよい。}で表される構造を含む樹脂である。
又、(A3)樹脂として、前記一般式(1)中のXが、前記一般式(4)、(5)または(6)で表わされる構造を含み、かつ一般式(1)中のYが、下記一般式(9)又は(10)で表される構造を含む樹脂である。
さらに、(A4)樹脂として、前記一般式(1)中のXが、前記一般式(8)で表わされる構造を含み、かつ一般式(1)中のYが、前記一般式(7)で表わされる構造を含む樹脂である。
上述したように、本発明においては、樹脂の組わせてとしては、(A1)、(A2)又は(A3))の少なくとも一つを含み、さらに(A4)を含む組み合わせである。
前記の一般式(6)で表わされる構造としては、接着性の観点から下記の群(X1):
{式中、a20、a21はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、a22は0〜4の整数である。R28〜R30は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜10の1価の有機基を表し、R28〜R30が複数存在する場合は、それらは互いに同一であるか、又は異なっていてよい。}から選択される構造であることが好ましい。
又、一般式(7)で表わされる構造としては、接着性の観点から下記の群(Y1):
{式中、a23〜a26はそれぞれ独立に0〜4の整数であり、R31〜R34は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜10の1価の有機基を表す。R31〜R34が複数存在する場合は、それらは互いに同一であるか、又は異なっていてよい。}から選択される構造であることが好ましい。
又、一般式(8)で表わされる構造として、接着性の観点から下記の群(X2):
{式中、a27、a28それぞれ独立に0〜3の整数であり、R35、R36は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜10の1価の有機基を表す。R35、R36が複数存在する場合は、それらは互いに同一であるか、又は異なっていてよい。}で選択される構造であることが好ましい。
さらに、一般式(9)で表わされる構造として、接着性の観点から下記の群(Y2):
{式中、a29〜a32はそれぞれ独立に0〜4の整数であり、R37〜R40は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜10の1価の有機基を表す。R37〜R40が複数存在する場合は、それらは互いに同一であるか、又は異なっていてよい。}で表される構造から選択されることが好ましい。
(A1)樹脂の一般式(1)中のXは、前記一般式(4)、(5)又は(6))で表わされる構造を含むこと以外は特に限定されないが、接着性の観点からXのうち一般式(4)、(5)又は(6)で表わされる構造が50mol%を占めることが好ましく、80mol%以上を占めることがさらに好ましい。
(A1)樹脂の一般式(1)中のYは、前記一般式(7)で表わされる構造を含むこと以外は特に限定されないが、接着性の観点からYのうち一般式(7)で表わされる構造が50mol%を占めることが好ましく、80mol%以上を占めることがさらに好ましい。
(A2)樹脂の一般式(1)中のXは、前記一般式(8)で表わされる構造を含むこと以外は特に限定されないが、接着性の観点からXのうち一般式 (8)で表わされる構造が50mol%を占めることが好ましく、80mol%以上を占めることがさらに好ましい。
(A2)樹脂の一般式(1)中のYは、一般式(9)又は(10)で表わされる構造を含むこと以外は特に限定されないが、接着性の観点からYのうち一般式(9)又は(10)で表わされる構造が50mol%を占めることが好ましく、80mol%以上を占めることがさらに好ましい。
(A3)樹脂の一般式(1)中のXは、一般式(4)、(5)又は(6)で表わされる構造を含むこと以外は特に限定されないが、接着性の観点からXのうち一般式(4)、(5)又は(6)で表わされる構造が50mol%を占めることが好ましく、80mol%以上を占めることがさらに好ましい。
(A3)樹脂の一般式(1)中のYは、一般式(9)又は(10)で表わされる構造を含むこと以外は特に限定されないが、接着性の観点からYのうち一般式(9)又は(10)で表わされる構造が50mol%を占めることが好ましく、80mol%以上を占めることがさらに好ましい。
(A4)樹脂の一般式(1)中のXは、一般式(7)で表わされる構造を含むこと以外は特に限定されないが、接着性の観点からXのうち一般式(7)で表わされる構造が50mol%を占めることが好ましく、80mol%以上を占めることがさらに好ましい。
(A4)樹脂の一般式(1)中のYは、一般式(8)で表わされる構造を含むこと以外は特に限定されないが、接着性の観点からYのうち一般式(8)で表わされる構造が50mol%を占めることが好ましく、80mol%以上を占めることがさらに好ましい。
(A1)樹脂〜(A4)樹脂が(A)成分中に占める割合は、特に限定されるものではないが、接着性の観点からこれらの質量の総質量が(A)成分の全質量の50%以上を占めることを好ましく、80%以上を占めることがより好ましい。
(A4)樹脂の質量部は、接着性の観点から前記(A1)〜(A4)の質量の和に対して10%以上90%以下であることが好ましい。
上記(A1)樹脂〜(A3)のうちの少なくとも1つと(A4)を混合することにより、接着性が改善する理由は定かではないが、発明者らは以下のように推測している。
(A1)樹脂〜(A3)はポリマー中にビフェニルや極性基など、分子間相互作用を促す構造を多く有する一方、(A4)は分子間相互作用を持ちうる基が少ない。したがって、(A1)〜(A3)は樹脂膜中で互いに相互作用することで凝集し、樹脂膜中にやや高いガラス転位温度を持つ部分と低いガラス転位温度を持つ部分ができる。これが熱硬化時に、接着剤の分野における、ホットメルト接着剤のタッキファイヤとエラストマーのような関係となり、接着性が向上すると思われる。
ポリイミド前駆体を用いた樹脂組成物に感光性を付与する方式としては、エステル結合型とイオン結合型とが挙げられる。前者は、ポリイミド前駆体の側鎖にエステル結合によって光重合性基、すなわちオレフィン性二重結合を有する化合物を導入する方法であり、後者は、ポリイミド前駆体のカルボキシル基と、アミノ基を有する(メタ)アクリル化合物のアミノ基とをイオン結合を介して結合させて、光重合性基を付与する方法である。
上記エステル結合型のポリイミド前駆体は、まず、一般式(1)中の4価の有機基Xを含むテトラカルボン酸二無水物と、光重合性の不飽和二重結合を有するアルコール類及び任意に炭素数1〜4の飽和脂肪族アルコール類とを反応させて、部分的にエステル化したテトラカルボン酸(以下、アシッド/エステル体ともいう)を調製した後、これと、一般式(1)中の2価の有機基Yを含むジアミン類とをアミド重縮合させることにより得られる。
(アシッド/エステル体の調製)
本発明で、エステル結合型のポリイミド前駆体を調製するために好適に用いられる、4価の有機基Xを含むテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、一般式(4)で表わされる構造を形成するものとして無水ピロメリット酸などを挙げられる。一般式(5)で表わされる構造を形成するものとして9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物などを挙げることができる。一般式(6)で表わされる構造を形成するものとしてベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、p-フェニレンビス(トリメリテート無水物)などを挙げることができる。一般式(8)で表わされる構造を形成するものとしてジフェニルエーテル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルエーテル−2,2’,33’−テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルメタン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−無水フタル酸)プロパン、2,2−ビス(3,4−無水フタル酸)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらは単独で用いることができるのは勿論のこと2種以上を混合して用いてもよい。一般式(8)で表わされる構造を形成する酸無水物として、接着性の観点から特にフェニルエーテル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物が好ましい。
前記(A4)の一般式(1)中のX構造として表される酸無水物のうち、50mol%以上が4,4’−オキシジフタル酸二無水物であって、前記一般式(1)中のY構造として表されるジアミンのうち、50mol%以上が4,4’−ジアミノジフェニルエーテルであることがさらに好ましい。
又、前記(A4)の一般式(1)中のX構造として表される酸無水物のうち、80mol%以上が4,4’−オキシジフタル酸二無水物であって、前記一般式(1)中のY構造として表されるジアミンのうち、80mol%以上が4,4’−ジアミノジフェニルエーテルであることがより好ましい。
本発明で、エステル結合型のポリイミド前駆体を調製するために好適に用いられる、光重合性の不飽和二重結合を有するアルコール類としては、例えば、2−アクリロイルオキシエチルアルコール、1−アクリロイルオキシ−3−プロピルアルコール、2−アクリルアミドエチルアルコール、メチロールビニルケトン、2−ヒドロキシエチルビニルケトン、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−t−ブトキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルオキシプロピルアクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルアルコール、1−メタクリロイルオキシ−3−プロピルアルコール、2−メタクリルアミドエチルアルコール、メチロールビニルケトン、2−ヒドロキシエチルビニルケトン、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−t−ブトキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルオキシプロピルメタクリレート等を挙げることができる。
上記アルコール類に、炭素数1〜4の飽和脂肪族アルコールとして、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール等を一部混合して用いることもできる。
本実施の形態では、(A)ポリイミド前駆体として、下記一般式(18)で表される共重合体を用いることもできる。
{式中、X1及びX2はそれぞれ独立に4価の有機基であり、Y1及びY2はそれぞれ独立に2価の有機基であり、n1及びn2は、2〜150の整数であり、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜30の飽和脂肪族基、芳香族基、上記一般式(2)で表される1価の有機基又は上記一般式(3)で表される1価のアンモニウムイオンであり、但し、X1=X2かつY1=とY2ではない。}
本実施の形態にかかるX1及びX2は4価の有機基であれば限定されないが、それぞれ独立に上記一般式(4)、(5)、(6)及び(8)から成る群から選ばれる1種であることが銅接着性及び耐薬品性の観点から好ましい。
本実施の形態にかかるY1とY2は4価の有機基であれば限定されないが、それぞれ独立に上記一般式(7)、(9)及び(10)から成る群から選ばれる1種であることが銅接着性及び耐薬品性の観点から好ましい。
その中でも、基X1が上記一般式(8)、基Y1が上記一般式(7)であることが銅接着性及び耐薬品性の観点からより好ましく、基X1が上記一般式(8)、基X2が上記一般式(4)、(5)及び(6)から成る群から選ばれる1種であることが銅接着性及び耐薬品性の観点からより好ましく、基Y1が上記一般式(7)、基Y2が上記一般式(9)又は(10)から選ばれる1種であることが銅接着性及び耐薬品性の観点からより好ましい。
上記の本発明に好適なテトラカルボン酸二無水物と上記のアルコール類とを、ピリジン等の塩基性触媒の存在下、適当な反応溶媒中、温度20〜50℃で4〜10時間撹拌溶解、混合することにより、酸無水物のエステル化反応が進行し、所望のアシッド/エステル体を得ることができる。
上記反応溶媒としては、アシッド/エステル体、及びこれとジアミン成分とのアミド重縮合生成物であるポリイミド前駆体を完全に溶解するものが好ましく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ガンマブチロラクトン等が挙げられる。
その他の反応溶媒としては、ケトン類、エステル類、ラクトン類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類が挙げられ、そして炭化水素類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。これらは必要に応じて、単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
(ポリイミド前駆体の調製)
上記アシッド/エステル体(典型的には上記反応溶媒中の溶液)に、氷冷下、適当な脱水縮合剤、例えば、ジシクロカルボジイミド、1−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン、1,1−カルボニルジオキシ−ジ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、N,N’−ジスクシンイミジルカーボネート等を投入混合してアシッド/エステル体をポリ酸無水物とした後、これに、本発明で好適に用いられる2価の有機基Yを含むジアミン類を別途溶媒に溶解又は分散させたものを滴下投入し、アミド重縮合させることにより、目的のポリイミド前駆体を得ることができる。
本発明で好適に用いられる2価の有機基Yを含むジアミン類としては、例えば、一般式(7)で表わされる構造を形成するものとして4,4−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、及びこれらのベンゼン環上の水素原子の一部が、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ハロゲン等で置換されたもの、例えば、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、を挙げられる。一般式(9)で表わされる構造を形成するものとしてp−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノビフェニル、3,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、4,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、オルト−トリジンスルホン、4-アミノフェニル-4'-アミノベンゾエート、4,4’−ジアミノベンズアニリド及びこれらのベンゼン環上の水素原子の一部が、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ハロゲン等で置換されたもの、例えば、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニルを挙げられる。一般式(10)で表わされる構造を形成するものとして9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンを挙げられるが、これらに限定されるものではない。
前述したように、本発明においては、前記(A1)の一般式(1)中のX構造で表される化合物のうち、50mol%以上が前記一般式(4)、(5)又は(6)で表わされる構造であって、前記一般式(1)中のY構造で表されるジアミンのうち、50mol%以上が4、4’−ジアミノジフェニルエーテルであることがより好ましい。
又、前記(A2)の一般式(1)中のX構造で表される酸二無水物のうち、50mol%以上が4,4’−オキシジフタル酸二無水物であって、前記一般式(1)中のY構造で表される化合物のうち、50mol%以上が、前記一般式(9)又は(10)で表わされる構造であることがより好ましい。
また、本発明の感光性樹脂組成物を基板上に塗布することによって基板上に形成される樹脂層と各種基板との密着性の向上を目的に、ポリイミド前駆体の調製に際して、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラフェニルジシロキサン等のジアミノシロキサン類を共重合することもできる。
アミド重縮合反応終了後、当該反応液中に共存している脱水縮合剤の吸水副生物を必要に応じて濾別した後、水、脂肪族低級アルコール、又はその混合液等の貧溶媒を、得られた重合体成分に投入し、重合体成分を析出させ、さらに、再溶解、再沈析出操作等を繰り返すことにより、重合体を精製し、真空乾燥を行い、目的のポリイミド前駆体を単離する。精製度を向上させるために、陰イオン及び/又は陽イオン交換樹脂を適当な有機溶媒で膨潤させて充填したカラムに、この重合体の溶液を通し、イオン性不純物を除去してもよい。
一方、上記イオン結合型のポリイミド前駆体は、典型的には、テトラカルボン酸二無水物にジアミンを反応させて得られる。この場合、上記一般式(1)中のR1及びR2のうち少なくともいずれかは水素原子である。
テトラカルボン酸二無水物としては、(A1)および(A3)に対しては上記群(X1)の構造を含むテトラカルボン酸無水物が好ましく、(A2)および(A4)に対しては上記群(X2)の構造を含むテトラカルボン酸の無水物が好ましい。ジアミンとしては、(A1)および(A4)に対しては上記群(Y1)の構造を含むテトラカルボン酸無水物が好ましく、(A2)および(A3)に対しては上記群(Y2)の構造を含むジアミンが好ましい。得られたポリアミド酸に、後述するアミノ基を有する(メタ)アクリル化合物を添加することで、ポリアミド酸のカルボキシル基とアミノ基を有する(メタ)アクリル化合物のアミノ基がイオン結合により塩を形成し、光重合性基が付与されたポリアミド酸塩となる。
アミノ基を有する(メタ)アクリル化合物として、例えばジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルメタクリレート、ジメチルアミノブチルアクリレート、ジメチルアミノブチルメタクリレート、ジエチルアミノブチルアクリレート、ジエチルアミノブチルメタクリレート、等のジアルキルアミノアルキルアクリレート又はメタクリレートが好ましく、中でも感光特性の観点から、アミノ基上のアルキル基が炭素数1〜10、アルキル鎖が炭素数1〜10のジアルキルアミノアルキルアクリレート又はメタクリレートが好ましい。
これらのアミノ基を有する(メタ)アクリル化合物の配合量は、(A)樹脂100質量部に対し、1〜20質量部であり、光感度特性の観点から2〜15質量部が好ましい。(B)感光剤として、アミノ基を有する(メタ)アクリル化合物を(A)樹脂100質量部に対し1質量部以上配合することで光感度に優れ、20質量部以下配合することで厚膜硬化性に優れる。
上記エステル結合型及び上記イオン結合型のポリイミド前駆体の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算重量平均分子量で測定した場合に、8,000〜150,000であることが好ましく、9,000〜50,000であることがより好ましい。重量平均分子量が8,000以上である場合機械物性が良好であり、150,000以下である場合現像液への分散性が良好で、レリーフパターンの解像性能が良好である。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーの展開溶媒としては、テトラヒドロフラン、及びN−メチル−2−ピロリドンが推奨される。また重量平均分子量は標準単分散ポリスチレンを用いて作成した検量線から求める。標準単分散ポリスチレンとしては、昭和電工社製 有機溶媒系標準試料 STANDARD SM−105から選ぶことが推奨される。
[(B)感光成分]
次に、本発明に用いられる(B)感光成分について説明する。
(B)感光成分は、特定の波長を吸収、分解する事でラジカルを発生する光重合開始剤および/又は光酸発生剤が好適に用いられる。(B)感光成分の感光性樹脂組成物中の配合量は、(A)樹脂100質量部に対して、1〜50質量部である。1質量部以上の配合量の時、光感度又はパターニング性が発現し、50質量部以下の時、硬化後の感光性樹脂層の物性が良くなる。
光重合開始剤の場合、発生したラジカルが(A)樹脂の主鎖骨格と連鎖移動反応により、又は、(A)樹脂に導入された(メタ)アクリレート基とラジカル重合反応により、(A)樹脂が硬化する。
(B)感光剤としての光重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤であることが好ましく、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン等のベンゾフェノン誘導体、2,2’−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン誘導体、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン等のチオキサントン誘導体、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール等のベンジル誘導体、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾイン誘導体、1−フェニル−1,2−ブタンジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、1,3−ジフェニルプロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシプロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム等のオキシム類、N−フェニルグリシン等のN−アリールグリシン類、ベンゾイルパーオキサイド等の過酸化物類、芳香族ビイミダゾール類、チタノセン類、α−(n−オクタンスルフォニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド等の光酸発生剤類等が好ましく挙げられるが、これらに限定されるものではない。上記の光重合開始剤の中では、特に光感度の点で、オキシム類がより好ましい。
上記オキシム類光重合開始剤の中では、接着性の観点から、下記一般式(13)で表わされる構造をもつものがより好ましく、下記式(14)〜(17)のいずれかで表わされる構造をもつものが最も好ましい。
(式中、Zはイオウ又は酸素原子であり、そしてR41はメチル基、フェニル基または2価の有機基を表し、R42〜R44は、それぞれ独立に、水素原子または1価の有機基を表す。)。
または式(15)
または式(16)
または式(17)
ネガ型の感光性樹脂組成物に(B)感光成分として光酸発生剤を用いる場合は、紫外線の如き活性光線の照射によって酸性を呈すると共に、その作用により、後述する(D)成分である架橋剤を(A)成分である樹脂と架橋せしめる、又は架橋剤同士を重合せしめる作用を有する。この光酸発生剤の例としては、ジアリールスルホニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、ジアルキルフェナシルスルホニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、アリールジアゾニウム塩、芳香族テトラカルボン酸エステル、芳香族スルホン酸エステル、ニトロベンジルエステル、オキシムスルホン酸エステル、芳香族N−オキシイミドスルフォネート、芳香族スルファミド、ハロアルキル基含有炭化水素系化合物、ハロアルキル基含有ヘテロ環状化合物、ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステルなどが用いられる。このような化合物は必要に応じて2種類以上併用したり、他の増感剤と組合せて使用したりすることができる。上記の光酸発生剤の中では、特に光感度の点で、芳香族オキシムスルホン酸エステル、芳香族N−オキシイミドスルフォネートがより好ましい。
(C)溶媒
本発明の感光性樹脂組成物は、感光性樹脂組成物の各成分を溶媒に溶解してワニス状にし、感光性樹脂組成物の溶液として使用するため、(C)溶媒を含有しても良い。溶媒としては、(A)樹脂に対する溶解性の点から、極性の有機溶媒を用いることが好ましい。具体的には、前述した溶媒(反応溶媒)を含む溶媒であって、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリノン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、テトラヒドロフルフリルアルコール、アセト酢酸エチル、こはく酸ジメチル、マロン酸ジメチル、N,N−ジメチルアセトアセトアミド、ε―カプロラクトン、1,3−ジメチル―2−イミダゾリジノン等が挙げられ、これらは単独又は2種以上の組合せで用いることができる。
特に、γ―ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフルフリルアルコール、アセト酢酸エチル、こはく酸ジメチル、マロン酸ジメチル、N,N−ジメチルアセトアセトアミド、ε―カプロラクトン、および1,3−ジメチル―2−イミダゾリジノンから選択される少なくとも2種を用いることが銅接着性の観点から好ましい。
上記溶媒は、感光性樹脂組成物の所望の塗布膜厚及び粘度に応じて、(A)樹脂100質量部に対し、例えば30〜1500質量部の範囲、好ましくは100〜1000質量部の範囲で用いることができる。
更に、感光性樹脂組成物の保存安定性を向上させる観点から、アルコール類を含む溶媒を含んでいてもよい。使用できるアルコール類は、典型的には、分子内にアルコール性水酸基を持ち、オレフィン系二重結合を有さないアルコールであり、具体的な例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルキルアルコール類、乳酸エチル等の乳酸エステル類、プロピレングリコール−1−メチルエーテル、プロピレングリコール−2−メチルエーテル、プロピレングリコール−1−エチルエーテル、プロピレングリコール−2−エチルエーテル、プロピレングリコール−1−(n−プロピル)エーテル、プロピレングリコール−2−(n−プロピル)エーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル等のモノアルコール類、2−ヒドロキシイソ酪酸エステル類、エチレングリコール、及びプロピレングリコール等のジアルコール類挙げることができる。これらの中では、乳酸エステル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、2−ヒドロキシイソ酪酸エステル類、及びエチルアルコールが好ましく、特に乳酸エチル、プロピレングリコール−1−メチルエーテル、プロピレングリコール−1−エチルエーテル、及びプロピレングリコール−1−(n−プロピル)エーテルがより好ましい。
溶媒が、オレフィン系二重結合を有さないアルコールを含有する場合、全溶媒中に占める、オレフィン系二重結合を有さないアルコールの含量は、5〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜30質量%である。オレフィン系二重結合を有さないアルコールの上記含量が5質量%以上の場合、感光性樹脂組成物の保存安定性が良好になり、50質量%以下の場合、(A)樹脂の溶解性が良好になる。
上記(C)溶媒を2種類以上の組み合わせとして用いる場合、接着性の観点から、沸点が200℃以上250℃以下の溶媒(C1)と、160℃以上190℃以下の(C2)を混合して用いることがより好ましい。
沸点が200℃以上250℃以下の溶媒(C1)の具体的な例としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリノン等を挙げることができる。これらのうち、接着性の観点から、N-メチルピロリドン、γ―ブチロラクトンがより好ましく、さらにγ―ブチロラクトンが最も好ましい。
沸点が160℃以上190℃以下の溶媒(C2)の具体的な例としては、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラメチル尿素、プロピレングリコールなどを挙げることができる。これらのうち、接着性の観点から、ジメチルスルホキシドが最も好ましい。
さらに、(C1)と(C2)の組み合わせとして、接着性の観点から、γ―ブチロラクトンとジメチルスルホキシドの組み合わせが最も好ましい。(C1)と(C2)を混合して用いる場合、それらの比率は特に限定されるものではないが、(A)成分の溶解性の観点から、(C1)と(C2)の総質量に対して、(C2)の質量を50%以下とすることが好ましく、さらに接着性の観点から、5%以上30%以下であることがより好ましく、5%以上20%以下であることが最も好ましい。
溶媒として(C1)及び(C2)を組み合わせて用いることで接着性が向上する理由は明らかではないが、発明者らは以下のように考察している。
該感光性樹脂組成物を基板に塗布し、溶媒を乾燥させる際、沸点が異なる溶媒を用いることでまず比較的沸点の低い溶媒(C2)が徐々に揮発する。これにより、前述のような分子間相互作用をしうる基を有する樹脂(A1)〜(A3)の配向およびそれに続く凝集を促すが、沸点の高い溶媒(C1)があまり揮発しないため、相互作用しうる基が少ない樹脂(A4)は溶解した状態を保つ。結果として(A1)〜(A3)と(A4)の部分的な分離が効率的に起こり、前述の理由により接着性が向上するものと考えられる。
本発明の感光性樹脂組成物には、(D)架橋剤を含有させてもよい。架橋剤は、本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成されたレリーフパターンを加熱硬化する際に、(A)樹脂を架橋し得るか、又は架橋剤自身が架橋ネットワークを形成し得る架橋剤であることができる。架橋剤は、感光性樹脂組成物から形成された硬化膜の耐熱性及び耐薬品性を更に強化することができる。
架橋剤としては、例えば、熱架橋性基を1つ有するものとしてML−26X、ML−24X、ML−236TMP、4−メチロール3M6C、ML−MC、ML−TBC(以上、商品名、本州化学工業(株)製)、P−a型ベンゾオキサジン(商品名、四国化成工業(株)製)等、2つ有するものとしてDM−BI25X−F、46DMOC、46DMOIPP、46DMOEP(以上、商品名、旭有機材工業(株)製)、DML−MBPC、DML−MBOC、DML−OCHP、DML−PC、DML−PCHP、DML−PTBP、DML−34X、DML−EP、DML−POP、DML−OC、ジメチロール−Bis−C、ジメチロール−BisOC−P、DML−BisOC−Z、DML−BisOCHP−Z、DML−PFP、DML−PSBP、DML−MB25、DML−MTrisPC、DML−Bis25X−34XL、DML−Bis25X−PCHP(以上、商品名、本州化学工業(株)製)、ニカラックMX−290(商品名、(株)三和ケミカル製)、B−a型ベンゾオキサジン、B−m型ベンゾオキサジン(以上、商品名、四国化成工業(株)製)、2,6−ジメトキシメチル−4−t−ブチルフェノール、2,6−ジメトキシメチル−p−クレゾール、2,6−ジアセトキシメチル−p−クレゾール等、3つ有するものとしてTriML−P、TriML−35XL、TriML−TrisCR−HAP(以上、商品名、本州化学工業(株)製)等、4つ有するものとしてTM−BIP−A(商品名、旭有機材工業(株)製)、TML−BP、TML−HQ、TML−pp−BPF、TML−BPA、TMOM−BP(以上、商品名、本州化学工業(株)製)、ニカラックMX−280、ニカラックMX−270(以上、商品名、(株)三和ケミカル製)等、6つ有するものとしてHML−TPPHBA、HML−TPHAP(以上、商品名、本州化学工業(株)製)、ニカラックMW−390、ニカラックMW−100LM(以上、商品名、(株)三和ケミカル製)が挙げられる。
これらのうち、本発明では熱架橋性基を少なくとも2つ含有するものが好ましく、特に好ましくは、46DMOC、46DMOEP(以上、商品名、旭有機材工業(株)製)、DML−MBPC、DML−MBOC、DML−OCHP、DML−PC、DML−PCHP、DML−PTBP、DML−34X、DML−EP、DML−POP、ジメチロール−BisOC−P、DML−PFP、DML−PSBP、DML−MTrisPC(以上、商品名、本州化学工業(株)製)、ニカラックMX−290(商品名、(株)三和ケミカル製)、B−a型ベンゾオキサジン、B−m型ベンゾオキサジン(以上、商品名、四国化成工業(株)製)、2,6−ジメトキシメチル−4−t−ブチルフェノール、2,6−ジメトキシメチル−p−クレゾール、2,6−ジアセトキシメチル−p−クレゾール等、TriML−P、TriML−35XL(以上、商品名、本州化学工業(株)製)等、TM−BIP−A(商品名、旭有機材工業(株)製)、TML−BP、TML−HQ、TML−pp−BPF、TML−BPA、TMOM−BP(以上、商品名、本州化学工業(株)製)、ニカラックMX−280、ニカラックMX−270(以上、商品名、(株)三和ケミカル製)等、HML−TPPHBA、HML−TPHAP(以上、商品名、本州化学工業(株)製)等が挙げられる。また、さらに好ましくは、ニカラックMX−290、ニカラックMX−280、ニカラックMX−270(以上、商品名、(株)三和ケミカル製)、B−a型ベンゾオキサジン、B−m型ベンゾオキサジン(以上、商品名、四国化成工業(株)製)、ニカラックMW−390、ニカラックMW−100LM(以上、商品名、(株)三和ケミカル製)等が挙げられる。
耐熱性及び耐薬品性以外の諸性能との兼ね合いで、感光性樹脂組成物が架橋剤を含有する場合の配合量は、(A)樹脂100質量部に対し、0.5〜20質量部であることが好ましく、より好ましくは2〜10質量部である。該配合量が0.5質量部以上である場合、良好な耐熱性及び耐薬品性が発現し、一方、20質量部以下である場合、保存安定性に優れる。
(E)有機チタン化合物
本発明の感光性樹脂組成物には、(E)有機チタン化合物を含有させてもよい。(E)有機チタン化合物を含有することにより、約250℃という低温で硬化した場合であっても耐薬品性に優れる感光性樹脂層を形成できる。
(E)有機チタン化合物として使用可能な有機チタン化合物としては、チタン原子に有機化学物質が共有結合又はイオン結合を介して結合しているものが挙げられる。
(E)有機チタン化合物の具体的例を以下のI)〜VII)に示す:
I)チタンキレート化合物:中でも、アルコキシ基を2個以上有するチタンキレートが、ネガ型感光性樹脂組成物の保存安定性及び良好なパターンが得られることからより好ましく、具体的な例は、チタニウムビス(トリエタノールアミン)ジイソプロポキサイド、チタニウムジ(n−ブトキサイド)ビス(2,4−ペンタンジオネート、チタニウムジイソプロポキサイドビス(2,4−ペンタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキサイドビス(エチルアセトアセテート)等である。
II)テトラアルコキシチタン化合物:例えば、チタニウムテトラ(n−ブトキサイド)、チタニウムテトラエトキサイド、チタニウムテトラ(2−エチルヘキソキサイド)、チタニウムテトライソブトキサイド、チタニウムテトライソプロポキサイド、チタニウムテトラメトキサイド、チタニウムテトラメトキシプロポキサイド、チタニウムテトラメチルフェノキサイド、チタニウムテトラ(n−ノニロキサイド)、チタニウムテトラ(n−プロポキサイド)、チタニウムテトラステアリロキサイド、チタニウムテトラキス[ビス{2,2−(アリロキシメチル)ブトキサイド}]等である。
III)チタノセン化合物:例えば、ペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウムトリメトキサイド、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)ビス(2,6−ジフルオロフェニル)チタニウム、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウム等である。
IV)モノアルコキシチタン化合物:例えば、チタニウムトリス(ジオクチルホスフェート)イソプロポキサイド、チタニウムトリス(ドデシルベンゼンスルホネート)イソプロポキサイド等である。
V)チタニウムオキサイド化合物:例えば、チタニウムオキサイドビス(ペンタンジオネート)、チタニウムオキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、フタロシアニンチタニウムオキサイド等である。
VI)チタニウムテトラアセチルアセトネート化合物:例えば、チタニウムテトラアセチルアセトネート等である。
VII)チタネートカップリング剤:例えば、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート等である。
中でも、(E)有機チタン化合物が、上記I)チタンキレート化合物、II)テトラアルコキシチタン化合物、及びIII)チタノセン化合物から成る群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが、より良好な耐薬品性を奏するという観点から好ましい。特に、チタニウムジイソプロポキサイドビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムテトラ(n−ブトキサイド)、及びビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウムが好ましい。
(E)有機チタン化合物を配合する場合の配合量は、(A)樹脂100質量部に対し、0.05〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜2質量部である。該配合量が0.05質量部以上である場合良好な耐熱性及び耐薬品性が発現し、一方10質量部以下である場合、保存安定性に優れる。
(F)その他成分
本発明の感光性樹脂組成物は、上記(A)〜(E)成分以外の成分をさらに含有してもよい。例えば、本発明の感光性樹脂組成物を用いて銅又は銅合金から成る基板上に硬化膜を形成する場合には、銅上の変色を抑制するためにアゾール化合物を任意に配合することができる。
アゾール化合物としては、1H−トリアゾール、5−メチル−1H−トリアゾール、5−エチル−1H−トリアゾール、4,5−ジメチル−1H−トリアゾール、5−フェニル−1H−トリアゾール、4−t−ブチル−5−フェニル−1H−トリアゾール、5−ヒドロキシフェニル−1H−トリアゾール、フェニルトリアゾール、p−エトキシフェニルトリアゾール、5−フェニル−1−(2−ジメチルアミノエチル)トリアゾール、5−ベンジル−1H−トリアゾール、ヒドロキシフェニルトリアゾール、1,5−ジメチルトリアゾール、4,5−ジエチル−1H−トリアゾール、1H−ベンゾトリアゾール、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α―ジメチルベンジル)フェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、4−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、4−カルボキシ−1H−ベンゾトリアゾール、5−カルボキシ−1H−ベンゾトリアゾール、1H−テトラゾール、5−メチル−1H−テトラゾール、5−フェニル−1H−テトラゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、1−メチル−1H−テトラゾール等が挙げられる。
特に好ましくは、トリルトリアゾール、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、及び4−メチル−1H−ベンゾトリアゾールが挙げられる。また、これらアゾール化合物は、1種で用いても2種以上の混合物で用いても構わない。
感光性樹脂組成物が上記アゾール化合物を含有する場合の配合量は、(A)樹脂100質量部に対し、0.1〜20質量部である事が好ましく、光感度特性の観点から0.5〜5質量部がより好ましい。アゾール化合物の(A)樹脂100質量部に対する配合量が0.1質量部以上である場合、本発明の感光性樹脂組成物を銅又は銅合金の上に形成した場合に、銅又は銅合金表面の変色が抑制され、一方、20質量部以下である場合には光感度に優れる。
また、銅表面上の変色を抑制するためにヒンダードフェノール化合物を任意に配合することができる。ヒンダードフェノール化合物としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチル−ハイドロキノン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4、4’−メチレンビス(2、6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオ−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、
ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5−トリス(3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−4−イソプロピルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−s−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス[4−(1−エチルプロピル)−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)
1,3,5−トリス[4−トリエチルメチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−4−フェニルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,5,6−トリメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−5−エチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−6−エチル−3−ヒドロキシ−2−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−6−エチル−3−ヒドロキシ−2,5−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−5,6−ジエチル−3−ヒドロキシ−2−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、
1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,5−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−5‐エチル−3−ヒドロキシ−2−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン等が挙げられるが、これに限定されるものではない。これらの中でも、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン等が特に好ましい。
ヒンダードフェノール化合物の配合量は、(A)樹脂100質量部に対し、0.1〜20質量部であることが好ましく、光感度特性の観点から0.5〜10質量部であることがより好ましい。ヒンダードフェノール化合物の(A)樹脂100質量部に対する配合量が0.1質量部以上である場合、例えば銅又は銅合金の上に本発明の感光性樹脂組成物を形成した場合に、銅又は銅合金の変色・腐食が防止され、一方、20質量部以下である場合には光感度に優れる。
光感度を向上させるために増感剤を任意に配合することができる。該増感剤としては、例えば、ミヒラーズケトン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,5−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタン、2,6−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p−ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p−ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2−(p−ジメチルアミノフェニルビフェニレン)−ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)イソナフトチアゾール、1,3−ビス(4’−ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3’−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−アセチル−7−ジメチルアミノクマリン、3−エトキシカルボニル−7−ジメチルアミノクマリン、3−ベンジロキシカルボニル−7−ジメチルアミノクマリン、3−メトキシカルボニル−7−ジエチルアミノクマリン、3−エトキシカルボニル−7−ジエチルアミノクマリン、N−フェニル−N’−エチルエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、N−p−トリルジエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、4−モルホリノベンゾフェノン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、2−メルカプトベンズイミダゾール、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ナフト(1,2−d)チアゾール、2−(p−ジメチルアミノベンゾイル)スチレン等が挙げられる。これらは単独で又は例えば2〜5種類の組合せで用いることができる。
光感度を向上させるための増感剤を感光性樹脂組成物が含有する場合の配合量は、(A)樹脂100質量部に対し、0.1〜25質量部であることが好ましい。
また、レリーフパターンの解像性を向上させるために、光重合性の不飽和結合を有するモノマーを任意に配合することができる。このようなモノマーとしては、光重合開始剤によりラジカル重合反応する(メタ)アクリル化合物が好ましく、特に以下に限定するものではないが、ジエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレートなどの、エチレングリコール又はポリエチレングリコールのモノ又はジアクリレート及びメタクリレート、プロピレングリコール又はポリプロピレングリコールのモノ又はジアクリレート及びメタクリレート、グリセロールのモノ、ジ又はトリアクリレート及びメタクリレート、シクロヘキサンジアクリレート及びジメタクリレート、1,4−ブタンジオールのジアクリレート及びジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールのジアクリレート及びジメタクリレート、ネオペンチルグリコールのジアクリレート及びジメタクリレート、ビスフェノールAのモノ又はジアクリレート及びメタクリレート、ベンゼントリメタクリレート、イソボルニルアクリレート及びメタクリレート、アクリルアミド及びその誘導体、メタクリルアミド及びその誘導体、トリメチロールプロパントリアクリレート及びメタクリレート、グリセロールのジ又はトリアクリレート及びメタクリレート、ペンタエリスリトールのジ、トリ、又はテトラアクリレート及びメタクリレート、並びにこれら化合物のエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物等の化合物を挙げることができる。
レリーフパターンの解像性を向上させるための上記の光重合性の不飽和結合を有するモノマーを感光性樹脂組成物が含有する場合、光重合性の不飽和結合を有するモノマーの配合量は、(A)樹脂100質量部に対し、1〜50質量部であることが好ましい。
また、本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成される膜と基材との接着性向上のために接着助剤を任意に配合することができる。接着助剤としては、γ−アミノプロピルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ジメトキシメチル−3−ピペリジノプロピルシラン、ジエトキシ−3−グリシドキシプロピルメチルシラン、N−(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)スクシンイミド、N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]フタルアミド酸、ベンゾフェノン−3,3’−ビス(N−[3−トリエトキシシリル]プロピルアミド)−4,4’−ジカルボン酸、ベンゼン−1,4−ビス(N−[3−トリエトキシシリル]プロピルアミド)−2,5−ジカルボン酸、3−(トリエトキシシリル)プロピルスクシニックアンハイドライド、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−(トリアルコキシシリル)プロピルスクシン酸無水物、3-(トリエトキシシリルプロピル)-tert-ブチルカーバメート等のシランカップリング剤、及びアルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート等のアルミニウム系接着助剤等が挙げられる。
これらの接着助剤のうちでは、接着力の点からシランカップリング剤を用いることがより好ましい。感光性樹脂組成物が接着助剤を含有する場合、接着助剤の配合量は、(A)樹脂100質量部に対し、0.5〜25質量部の範囲が好ましい。
また、特に溶媒を含む溶液の状態での保存時の感光性樹脂組成物の粘度及び光感度の安定性を向上させるために熱重合禁止剤を任意に配合することができる。熱重合禁止剤としては、ヒドロキノン、N−ニトロソジフェニルアミン、p−tert−ブチルカテコール、フェノチアジン、N−フェニルナフチルアミン、エチレンジアミン四酢酸、1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、2,6−ジ−tert−ブチル−p−メチルフェノール、5−ニトロソ−8−ヒドロキシキノリン、1−ニトロソ−2−ナフトール、2−ニトロソ−1−ナフトール、2−ニトロソ−5−(N−エチル−N−スルホプロピルアミノ)フェノール、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩、N−ニトロソ−N(1−ナフチル)ヒドロキシルアミンアンモニウム塩等が用いられる。
感光性樹脂組成物に配合する場合の熱重合禁止剤の配合量としては、(A)樹脂100質量部に対し、0.005〜12質量部の範囲が好ましい。
<硬化レリーフパターンの製造方法及び半導体装置>
また、本発明は、(1)上述した本発明の感光性樹脂組成物を基板上に塗布することによって樹脂層を該基板上に形成する工程と、(2)該樹脂層を露光する工程と、(3)該露光後の樹脂層を現像してレリーフパターンを形成する工程と、(4)該レリーフパターンを加熱処理することによって硬化レリーフパターンを形成する工程とを含む、硬化レリーフパターンの製造方法を提供する。以下、各工程の典型的な態様について説明する。
(1)感光性樹脂組成物を基板上に塗布することによって樹脂層を該基板上に形成する工程
本工程では、本発明の感光性樹脂組成物を基材上に塗布し、必要に応じてその後乾燥させて樹脂層を形成する。塗布方法としては、従来から感光性樹脂組成物の塗布に用いられていた方法、例えば、スピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷機等で塗布する方法、スプレーコーターで噴霧塗布する方法等を用いることができる。
必要に応じて、感光性樹脂組成物から成る塗膜を乾燥させることができる。乾燥方法としては、風乾、オーブン又はホットプレートによる加熱乾燥、真空乾燥等の方法が用いられる。具体的には、風乾又は加熱乾燥を行う場合、20℃〜140℃で1分〜1時間の条件で乾燥を行うことができる。以上の通り、基板上に樹脂層を形成できる。
(2)樹脂層を露光する工程
本工程では、上記で形成した樹脂層を、コンタクトアライナー、ミラープロジェクション、ステッパー等の露光装置を用いて、パターンを有するフォトマスク又はレチクルを介して又は直接に、紫外線光源等により露光する。
この後、光感度の向上等の目的で、必要に応じて、任意の温度及び時間の組合せによる露光後ベーク(PEB)及び/又は現像前ベークを施してもよい。ベーク条件の範囲は、温度は40〜120℃であり、そして時間は10秒〜240秒であることが好ましいが、本発明の感光性樹脂組成物の諸特性を阻害するものでない限り、この範囲に限らない。
(3)露光後の樹脂層を現像してレリーフパターンを形成する工程
本工程においては、露光後の感光性樹脂層の未露光部を現像除去する。現像方法としては、従来知られているフォトレジストの現像方法、例えば回転スプレー法、パドル法、超音波処理を伴う浸漬法等の中から任意の方法を選択して使用することができる。また、現像の後、レリーフパターンの形状を調整する等の目的で、必要に応じて任意の温度及び時間の組合せによる現像後ベークを施してもよい。
現像に使用される現像液としては、感光性樹脂組成物に対する良溶媒、又は該良溶媒と貧溶媒との組合せが好ましい。例えばアルカリ水溶液に溶解しない感光性樹脂組成物の場合、良溶媒としては、N−メチルピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン等が好ましく、貧溶媒としてはトルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、乳酸エチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート及び水等が好ましい。良溶媒と貧溶媒とを混合して用いる場合には、感光性樹脂組成物中のポリマーの溶解性によって良溶媒に対する貧溶媒の割合を調整することが好ましい。また、各溶媒を2種以上、例えば数種類組合せて用いることもできる。
(4)レリーフパターンを加熱処理することによって硬化レリーフパターンを形成する工程
本工程では、上記現像により得られたレリーフパターンを加熱することによって、硬化レリーフパターンに変換する。加熱硬化の方法としては、ホットプレートによるもの、オーブンを用いるもの、温度プログラムを設定できる昇温式オーブンを用いるもの等種々の方法を選ぶことができる。加熱は、例えば180℃〜400℃で30分〜5時間の条件で行うことができる。加熱硬化の際の雰囲気気体としては空気を用いてもよく、窒素、アルゴン等の不活性ガスを用いることもできる。
<半導体装置>
本発明はまた、上述した本発明の硬化レリーフパターンの製造方法により得られる硬化レリーフパターンを含む、半導体装置を提供する。本発明は、半導体素子である基材と、前記基材上に上述した硬化レリーフパターン製造方法により形成された樹脂の硬化レリーフパターンとを含む半導体装置も提供する。また、本発明は、基材として半導体素子を用い、上述した硬化レリーフパターンの製造方法を工程の一部として含む半導体装置の製造方法にも適用できる。本発明の半導体装置は、上記硬化レリーフパターン製造方法で形成される硬化レリーフパターンを、表面保護膜、層間絶縁膜、再配線用絶縁膜、フリップチップ装置用保護膜、又はバンプ構造を有する半導体装置の保護膜等として形成し、既知の半導体装置の製造方法と組合せることで製造することができる。
本発明の第一の態様に係る感光性樹脂組成物は、上記のような半導体装置への適用の他、多層回路の層間絶縁、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、及び液晶配向膜等の用途にも有用である。
[第二の態様]
半導体装置(以下、「素子」とも言う。)は、目的に合わせて、様々な方法でプリント基板に実装される。従来の素子は、素子の外部端子(パッド)からリードフレームまで細いワイヤで接続する、ワイヤボンディング法により作製されることが一般的であった。しかし、素子の高速化が進み、動作周波数がGHzまで到達した今日、実装における各端子の配線長さの違いが、素子の動作に影響を及ぼすまでに至った。そのため、ハイエンド用途の素子の実装では、実装配線の長さを正確に制御する必要が生じ、ワイヤボンディングではその要求を満たすことが困難となった。
したがって、半導体チップの表面に再配線層を形成し、その上にバンプ(電極)を形成した後、該チップを裏返し(フリップ)て、プリント基板に直接実装する、フリップチップ実装が提案されている。このフリップチップ実装では、配線距離を正確に制御できるため、高速な信号を取り扱うハイエンド用途の素子に、又は実装サイズの小ささから携帯電話等に、採用され、需要が急拡大している。最近では、前工程済みのウエハをダイシングして個片チップを製造し、支持体上に個片チップを再構築してモールド樹脂で封止し、支持体を剥離した後に再配線層を形成するファンアウトウエハレベルパッケージ(FOWLP)と呼ばれる半導体チップ実装技術が提案されている(例えば、特開2005−167191号公報)。ファンアウトウエハレベルパッケージでは、パッケージの高さを薄型化できるうえ、高速伝送や低コスト化できる利点がある。
しかしながら、近年パッケージ実装技術が多様化することで、支持体の種類が多種化し、加えて再配線層が多層化するため、感光性樹脂組成物を露光する際に、フォーカス深度にずれが生じて解像度が大きく悪化するという問題があった。それ故に、解像度の悪化により再配線層に断線が生じて信号遅延が起きるか、又は収率の低下を引き起こすという問題があった。
上記の事情に鑑みて、本発明の第二の態様は、信号遅延が少なく電気特性が良好な半導体装置が製造可能であり、半導体装置を形成する際に断線が起きて収率の低下を防ぐことができる感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、フォーカスマージンが特定の値以上の特定の感光性樹脂組成物を選択して用いることにより、信号遅延が少なく電気特性が良好な半導体装置が製造可能であり、半導体装置を形成する際に断線が起きて収率の低下することを防ぐことが出来ることを見出し、本発明の第二の態様を完成するに至った。すなわち、本発明の第二の態様は、以下のとおりである。
[1]
以下の工程(1)〜(5):
(1)スパッタCuウエハ基板上に該樹脂組成物をスピンコートする工程;
(2)スピンコートしたウエハ基板をホットプレート上、110℃で270秒加熱して膜厚13μmのスピンコート膜を得る工程;
(3)スピンコート膜表面を基準として、フォーカスを膜表面から膜底部にかけて2μmずつ変更して、マスクサイズが8μmの丸抜き凹型パターンを露光する工程;
(4)露光したウエハを現像しレリーフパターンを成形する工程;
(5)現像したウエハを窒素雰囲気下中、230℃で2時間加熱処理する工程;
を順に経て得られた丸抜き凹型レリーフパターンのフォーカスマージンが、8μm以上である、感光性ポリイミド前駆体を含む感光性樹脂組成物。
[2]
前記フォーカスマージンが12μm以上である、[1]に記載の感光性樹脂組成物。
[3]
前記感光性ポリイミド前駆体の硬化物である硬化レリーフパターンの断面角度が60°以上90°以下である、[1]又は[2]に記載の感光性樹脂組成物。
[4]
前記感光性ポリイミド前駆体が、側鎖にラジカル重合性置換基を有するポリアミド酸誘導体である、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[5]
前記感光性ポリイミド前駆体が、下記一般式(21):
{式中、X1aは4価の有機基であり、Y1a2価の有機基であり、n1aは、2〜150の整数であり、そしてR1a及びR2aは、それぞれ独立に、水素原子又は下記一般式(22):
(一般式(22)中、R3a、R4a、及びR5aは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3の有機基であり、そしてm1aは2〜10から選ばれる整数である。)で表される1価の有機基、又は炭素数1〜4の飽和脂肪族基である。但し、R1a及びR2aの両者が同時に水素原子であることはない。}で表される構造を含む、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[6]
前記一般式(21)において、X1が、下記式(23)〜(25):
から選ばれる少なくとも1種以上の4価の有機基であり、かつ、Y1が、下記一般式(26):
{式中、R6a〜R9aは、水素原子又は炭素数1〜4の1価の脂肪族基であり、互いに異なっていても、同一であってもよい。}で表される基、下記式(27):
又は下記式(28):
{式中、R10a〜R11aは、各々独立に、フッ素原子またはトリフルオロメチル基、またはメチル基を表す。}から選ばれる少なくとも1種以上の2価の有機基である、[5]に記載の感光性樹脂組成物。
[7]
光重合開始剤をさらに含む、[1]〜[6]のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[8]
前記光重合開始剤が下記一般式(29):
{式(29)中、Zはイオウ又は酸素原子であり、そしてR12aはメチル基、フェニル基または2価の有機基を表し、R13a〜R15aは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。}で表される成分を含む、[7]に記載の感光性樹脂組成物。
[9]
禁止剤をさらに含む、[1]〜[8]のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[10]
前記禁止剤が、ヒンダードフェノール系、およびニトロソ系から選択される少なくとも1種である、[9]に記載の感光性樹脂組成物。
[11]
以下の工程(6)〜(9):
(6)[1]〜[10]のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を基板上に塗布することによって感光性樹脂層を前記基板上に形成する工程;
(7)前記感光性樹脂層を露光する工程;
(8)前記露光後の感光性樹脂層を現像してレリーフパターンを形成する工程;
(9)前記レリーフパターンを加熱処理することによって硬化レリーフパターンを形成する工程;
を含む、硬化レリーフパターンの製造方法。
[12]
前記基板が、銅又は銅合金から形成されている、[11]に記載の方法。
本発明の第二の態様によれば、フォーカスマージンが一定の値以上の感光性ポリイミド前駆体を用いることにより、半導体装置を形成する際に断線が起きて収率の低下することを防ぐことができ、さらに、信号遅延が少なく電気特性が良好な半導体装置が製造可能な感光性樹脂組成物、該感光性樹脂組成物を用いた硬化レリーフパターンの製造方法、及び該硬化レリーフパターンを有して成る半導体装置を提供することができる。
本発明の第二の態様は以下の感光性樹脂組成物である:
[感光性樹脂組成物]
本実施形態における感光性樹脂組成物は、以下の工程(1)〜(5):
(1) スパッタCuウエハ基板上に該樹脂組成物をスピンコートする工程;
(2) スピンコートしたウエハ基板をホットプレート上、110℃で270秒加熱して膜厚13μmのスピンコート膜を得る工程;
(3) スピンコート膜表面を基準として、フォーカスを膜表面から膜底部にかけて2μmずつ変更して、マスクサイズが8μmの丸抜き凹型パターンを露光する工程;
(4) 露光したウエハを現像しレリーフパターンを成形する工程;及び
(5) 現像したウエハを窒素雰囲気下中、230℃で2時間加熱処理する工程;
を順に経て得られた丸抜き凹型レリーフパターンのフォーカスマージンが8μm以上であることを特徴とする。該感光性樹脂組成物を用いると、基板の反り及びゆがみが生じている場合、あるいは多層再配線層で下層の表面平坦性が悪く、露光時のフォーカス深度が所望の位置からずれた場合でも半導体装置を形成する際に断線が起きて収率が低下することを防ぐことが出来る。さらに、信号遅延が少なく電気特性が良好な半導体装置が製造し得る。
[感光性ポリイミド前駆体]
以下、本発明に用いられるポリイミド前駆体について説明する。本発明の感光性樹脂組成物の樹脂成分は、下記一般式(21)で表される構造単位を有するポリアミドである。ポリイミド前駆体は、加熱(例えば200℃以上)で環化処理を施すことによってポリイミドに変換される。
下記一般式(21):
{式中、X1aは4価の有機基であり、Y1aは2価の有機基であり、n1aは、2〜150の整数であり、そしてR1a及びR2aは、それぞれ独立に、水素原子又は下記一般式(22):
(一般式(22)中、R3a、R4a、及びR5aは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3の有機基であり、そしてm1aは2〜10から選ばれる整数である。)で表される1価の有機基、又は炭素数1〜4の飽和脂肪族基であり、但し、R1a及びR2aの両者が同時に水素原子であることはない。}で表される。
上記一般式(21)中、X1aで表される4価の有機基としては、好ましくは炭素数6〜40の有機基であり、さらに好ましくは、−COOR1 基および−COOR2 基と−CONH−基とは互いにオルト位置にある芳香族基、又は脂環式脂肪族基である。さらに好ましくは、下記式(60):
で表される構造が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらは単独でも、二種以上が組み合わされても構わない。Xはこれらの中で特に下記構造式(23)〜(25)で表わされる構造式が良い。
上記一般式(21)中、Y1aで表される2価の有機基としては、好ましくは炭素数6〜40の芳香族基であり、例えば、下記式(61)の構造で表される基、又は、
下記一般式(62):
で表される構造が好ましい。
中でもY1aとして特に好ましい基としては、下記一般式(26):
{式中、R6a〜R9aは、水素原子又は炭素数1〜4の1価の脂肪族基であり、互いに異なっていても、同一であってもよい。}で表される基、
下記式(27):
で表される基、及び下記式(28):
{式中、R10a〜R11aは、各々独立に、フッ素原子またはトリフルオロメチル基、またはメチル基を表す。}で表される基から成る群から選ばれる少なくとも1種以上の2価の有機基が好ましい。これらは単独でも、二種以上が組み合わされても構わない。
本発明の、上記化学式(21)で表されるポリイミド前駆体は、まず、4価の有機基X1aを含むテトラカルボン酸二無水物と、光重合性の不飽和二重結合を有するアルコール類及び炭素数1〜4の飽和脂肪族アルコール類を反応させて、部分的にエステル化したテトラカルボン酸(以下、アシッド/エステル体)を調製した後、これと2価の有機基Y1aを含むジアミン類との間でアミド重縮合させることにより得られる。
(アシッド/エステル体の調製)
本発明で好適に用いられる、4価の有機基X1aを含むテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、無水ピロメリット酸、ジフェニルエーテル−3,3',4,4'−テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン−3,3',4,4'−テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル−3,3',4,4'−テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホン−3,3',4,4'−テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルメタン−3,3',4,4'−テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−無水フタル酸)プロパン、2,2−ビス(3,4−無水フタル酸)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらは単独で用いることができるのは勿論のこと2種以上を混合して用いてもよい。
本発明で好適に用いられる、光重合性の不飽和二重結合を有するアルコール類としては、例えば、2−アクリロイルオキシエチルアルコール、1−アクリロイルオキシ−3−プロピルアルコール、2−アクリルアミドエチルアルコール、メチロールビニルケトン、2−ヒドロキシエチルビニルケトン、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−t−ブトキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルオキシプロピルアクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルアルコール、1−メタクリロイルオキシ−3−プロピルアルコール、2−メタクリルアミドエチルアルコール、
2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−t−ブトキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルオキシプロピルメタクリレートなどを挙げることができる。
上記アルコール類に、炭素数1〜4の飽和脂肪族アルコール、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノールなどを一部混合して用いることもできる。
上記本発明に好適なテトラカルボン酸二無水物とアルコール類とを、ピリジンなどの塩基性触媒の存在下、適当な溶媒中で温度20〜50℃、4〜10時間撹拌溶解、混合することにより、酸無水物のエステル化反応が進行し、所望のアシッド/エステル体を得ることができる。
反応溶媒としては、アシッド/エステル体、及びこれとジアミン成分とのアミド重縮合生成物であるポリイミド前駆体を完全に溶解するものが好ましく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
その他の反応溶媒としては、ケトン類、エステル類、ラクトン類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類として、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。これらは必要に応じて、単独でも又は混合して用いることもできる。
(ポリイミド前駆体の調製)
上記アシッド/エステル体溶液に、氷冷下、適当な脱水縮合剤、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン、1,1−カルボニルジオキシ−ジ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、N,N’−ジスクシンイミジルカーボネートなどを投入混合し、アシッド/エステル体をポリ酸無水物とした。その後に、本発明で好適に用いられる2価の有機基Yを含むジアミン類を、別途溶媒に溶解又は分散させたものを滴下投入し、アミド重縮合させることにより、目的のポリイミド前駆体を得ることができる。
本発明で好適に用いられる2価の有機基Y1aを含むジアミン類としては、例えば、p(フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4 −ジアミノジフェニルエーテル、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,3'−ジアミノジフェニルエーテル、2,2’−ジメチルビフェニル−4,4'−ジアミン、2,2'−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、4,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3'−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、3,4'−ジアミノジフェニルスルホン、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4'−ジアミノビフェニル、3,4'−ジアミノビフェニル、3,3'−ジアミノビフェニル、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、3,4'−ジアミノベンゾフェノン、3,3'−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,3'−ジアミノジフェニルメタン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、4,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、9,10−ビス(4−アミノフェニル)アントラセン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3−アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、オルト−トリジンスルホン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、及びこれらのベンゼン環上の水素原子の一部が、メチル基、エチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ハロゲンなどで置換されたもの、例えば3,3' −ジメチル−4,4' −ジアミノビフェニル、2,2' −ジメチル−4,4' −ジアミノビフェニル、3,3' −ジメチル−4,4' −ジアミノジフェニルメタン、2,2' −ジメチル−4,4' −ジアミノジフェニルメタン、3,3' −ジメチトキシ−4,4' −ジアミノビフェニル、3,3' −ジジクロロ−4,4' −ジアミノビフェニル、およびその混合物などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
また、各種基板との密着性の向上を目的に、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラフェニルジシロキサン等のジアミノシロキサン類を共重合することもできる。
反応終了後、当該反応液中に共存している脱水縮合剤の吸水副生物を、必要に応じて濾別した後、水、脂肪族低級アルコール、又はその混合液など貧溶媒を、得られた重合体成分に投入し、重合体成分を析出させる。さらに、再溶解、再沈析出操作などを繰り返すことにより、重合体を精製し、真空乾燥を行い、目的のポリイミド前駆体を単離する。精製度を向上させるために、陰陽イオン交換樹脂を適当な有機溶媒で膨潤させて充填したカラムに、この重合体の溶液を通し、イオン性不純物を除去してもよい。
ポリイミド前駆体の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算重量平均分子量で測定した場合に、8,000〜150,000であることが好ましく、9,000〜50,000であることがより好ましい。重量平均分子量が8,000以上である場合機械物性が向上し、150,000以下である場合現像液への分散性がよくなり、レリーフパターンの解像性能が向上する。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーの展開溶媒としては、テトラヒドロフラン、N−メチル−2−ピロリドンが推奨される。また分子量は標準単分散ポリスチレンを用いて作成した検量線から求める。標準単分散ポリスチレンとしては昭和電工社製 有機溶媒系標準試料 STANDARD SM−105から選ぶことが推奨される。
[光重合開始剤]
本発明にかかる感光性樹脂組成物は、光重合開始剤をさらに含んでいてもよい。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノンなどのベンゾフェノン誘導体、2,2'−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのアセトフェノン誘導体、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントンなどのチオキサントン誘導体、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタールなどのベンジル誘導体、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテルなどのベンゾイン誘導体、1−フェニル−1,2−ブタンジオン−2−(o- メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、1,3−ジフェニルプロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシプロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシムなどのオキシム類、N−フェニルグリシン等のN−アリールグリシン類、ベンゾイルパークロライド等の過酸化物類、芳香族ビイミダゾール類などが好ましく挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの使用にあたっては、単独でも2種以上の混合物でもかまわない。上記の光重合開始剤の中では、下記一般式(29):
{式(29)中、Zはイオウ又は酸素原子であり、そしてR12aはメチル基、フェニル基または2価の有機基を表し、R13a〜R15aは、それぞれ独立に、水素原子または1価の有機基を表す。}
で表されるオキシム系化合物がより好ましく用いられる。中でも特に好ましくは、下記式(63):
、式(64):
、式(65):
、または式(66):
で表される化合物、もしくはこれらの混合物である。式(63)は、常州強力新電子材料有限公司製TR−PBG−305、式(64)は常州強力新電子材料有限公司製TR−PBG−3057、式(65)はBASF社製Irgacure OXE−01として商用的に入手可能である。
光重合開始剤の添加量は、ポリイミド前駆体100質量部に対し、0.1〜20質量部であり、光感度特性の観点から1〜15質量部が好ましい。光開始剤をポリイミド前駆体100質量部に対し0.1質量部以上添加することで光感度に優れ、フォーカスマージンが向上するため電気特性が優れる。また、20質量部以下添加することで厚膜硬化性に優れ、フォーカスマージンが向上するため電気特性に優れる。
[熱重合禁止剤]
本発明にかかる感光性樹脂組成物は、熱重合禁止剤を任意に添加することができる。熱重合禁止剤としては、ヒドロキノン、N−ニトロソジフェニルアミン、p−tert−ブチルカテコール、フェノチアジン、N−フェニルナフチルアミン、エチレンジアミン四酢酸、1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、2,6−ジ−tert−ブチル−p−メチルフェノール、5−ニトロソ−8−ヒドロキシキノリン、1−ニトロソ−2−ナフトール、2−ニトロソ−1−ナフトール、2−ニトロソ−5−(N−エチル−N−スルフォプロピルアミノ)フェノール、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩、N−ニトロソ−N(1−ナフチル)ヒドロキシルアミンアンモニウム塩等が用いられる。
感光性樹脂組成物に添加する熱重合禁止剤の量としては、ポリイミド前駆体100質量部に対し、0.005〜1.5質量部の範囲が好ましい。熱重合禁止剤の量が該範囲内にあると、露光時に光架橋反応が進行し易くなり、露光時の膨潤が抑制されてフォーカスマージが広まり電気特性が良好となり、さらに該組成物の保存安定性が良好で、光感度の安定性が増すため好まし。
本実施の形態にかかる上記開始剤と禁止剤は、フォーカスマージンが8um以上であれば限定されないが、オキシム系開始剤とヒンダードフェノール系禁止剤、オキシム開始剤とニトロソ系禁止剤、の組み合わせがフォーカスマージンが8um以上となる傾向があり、好ましい。
また、オキシム系開始剤とヒンダードフェノール系禁止剤、オキシム開始剤とニトロソ系禁止剤、の組み合わせは銅密着性やキュア後の断面角度、膜物性の観点から好ましい。
[増感剤]
本発明に係る感光性樹脂組成物は、フォーカスマージンを向上させるため増感剤を任意に添加することができる。該増感剤としては、例えば、ミヒラーズケトン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,5−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタン、2,6−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p−ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p−ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2−(p−ジメチルアミノフェニルビフェニレン)−ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)イソナフトチアゾール、1,3−ビス(4’−ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3’−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−アセチル−7−ジメチルアミノクマリン、3−エトキシカルボニル−7−ジメチルアミノクマリン、3−ベンジロキシカルボニル−7−ジメチルアミノクマリン、3−メトキシカルボニル−7−ジエチルアミノクマリン、3−エトキシカルボニル−7−ジエチルアミノクマリン、N−フェニル−N’−エチルエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、N−p−トリルジエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、4−モルホリノベンゾフェノン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、2−メルカプトベンズイミダゾール、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ナフト(1,2−d)チアゾール、2−(p−ジメチルアミノベンゾイル)スチレン等が挙げられる。これらは単独で又は例えば2〜5種類の組合せで用いることができる。
光感度を向上させるための増感剤は、ポリイミド前駆体100質量部に対し、0.1〜15質量部を用いるのが好ましく、1〜12質量部を用いるのがさらに好ましい。増感剤の量が0.1〜15質量部の範囲にあると、露光時に該増感剤が膨潤しなくなりフォーカスマージンが広くなり、電気特性が良好となるため好ましく、又、光増感効果が良好で、光架橋反応が十分に進行するため好ましい。
[モノマー]
本発明にかかる感光性樹脂組成物は、レリーフパターンの解像性を向上させるために、光重合性の不飽和結合を有するモノマーを任意に添加することができる。このようなモノマーとしては、光重合開始剤によりラジカル重合反応する(メタ)アクリル化合物が好ましく、特に以下に限定するものではないが、ジエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレートをはじめとする、エチレングリコール又はポリエチレングリコールのモノ又はジアクリレート及びメタクリレート、プロピレングリコール又はポリプロピレングリコールのモノ又はジアクリレート及びメタクリレート、グリセロールのモノ、ジ又はトリアクリレート及びメタクリレート、シクロヘキサンジアクリレート及びジメタクリレート、1,4−ブタンジオールのジアクリレート及びジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールのジアクリレート及びジメタクリレート、ネオペンチルグリコールのジアクリレート及びジメタクリレート、ビスフェノールAのモノ又はジアクリレート及びメタクリレート、ベンゼントリメタクリレート、イソボルニルアクリレート及びメタクリレート、アクリルアミド及びその誘導体、メタクリルアミド及びその誘導体、トリメチロールプロパントリアクリレート及びメタクリレート、グリセロールのジ又はトリアクリレート及びメタクリレート、ペンタエリスリトールのジ、トリ、又はテトラアクリレート及びメタクリレート、並びにこれら化合物のエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物等の化合物を挙げることができる。
レリーフパターンの解像性を向上させるための上記の光重合性の不飽和結合を有するモノマーは、ポリイミド前駆体100質量部に対し、1〜50質量部を用いるのが好ましい。
[溶剤]
本発明にかかる感光性樹脂組成物は、感光性樹脂組成物の各成分を溶剤に溶解してワニス状にし、感光性樹脂組成物の溶液として使用するため、溶剤を使用することができる。溶剤としてはポリイミド前駆体に対する溶解性の点から、極性の有機溶剤を用いることが好ましい。具体的には、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリノン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン等が挙げられ、これらは単独又は2種以上の組合せで用いることができる。なかでもポリイミドの溶解性の観点から、N−メチル−2−ピロリドン、あるいはジメチルスルホキシドとγ−ブチロラクトンの組み合わせが好ましく、ジメチルスルホキシドとγ−ブチロラクトンの混合比率はジメチルスルホキシドの重量割合が50質量%以下であることが好ましく、5質量%以上20質量%以下であることが最も好ましい。
上記溶剤は、感光性樹脂組成物の所望の塗布膜厚や粘度に応じて、ポリイミド前駆体100質量部に対し、例えば30〜1500質量部の範囲で用いることができる。
更に感光性樹脂組成物の保存安定性を向上させるため、アルコール類を含む溶剤が好ましい。
使用可能なアルコール類は、典型的には、分子内にアルコール性水酸基を持ち、オレフィン系二重結合を有さないアルコールであり、具体的な例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルキルアルコール類、乳酸エチル等の乳酸エステル類、プロピレングリコール−1−メチルエーテル、プロピレングリコール−2−メチルエーテル、プロピレングリコール−1−エチルエーテル、プロピレングリコール−2−エチルエーテル、プロピレングリコール−1−(n−プロピル)エーテル、プロピレングリコール−2−(n−プロピル)エーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル等のモノアルコール類、2−ヒドロキシイソ酪酸エステル類、エチレングリコール、プロピレングリコール等のジアルコール類、を挙げることができる。これらの中では、乳酸エステル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、2−ヒドロキシイソ酪酸エステル類、エチルアルコールが好ましく、特に乳酸エチル、プロピレングリコール−1−メチルエーテル、プロピレングリコール−1−エチルエーテル、プロピレングリコール−1−(n−プロピル)エーテルがより好ましい。
全溶剤中に占める、オレフィン系二重結合を有さないアルコールの含量は5〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜30質量%である。オレフィン系二重結合を有さないアルコールの含量が5質量%以上の場合、感光性樹脂組成物の保存安定性が良好になり、また50質量%以下の場合、ポリイミド前駆体の溶解性が良好になる。
[その他成分]
本発明の感光性樹脂組成物は、上記成分以外の成分として下記(A)〜(D)を含有してもよい。
(A)アゾール化合物
本発明の感光性樹脂組成物は、下記一般式(67)、及び下記一般式(68)及び下記一般式(69)で表されるアゾール化合物を含有してもよい。アゾール化合物は、本発明の感光性樹脂組成物を、例えば銅又は銅合金の上に形成する場合に銅又は銅合金の変色を防止する作用を有する。
{式中、R24a及びR25a、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜40の直鎖若しくは分岐のアルキル基、又はカルボキシル基、ヒドロキシ基、アミノ基若しくはニトロ基で置換された炭素数1〜40のアルキル基若しくは芳香族基であり、R26aは、水素原子、フェニル基、又はアミノ基若しくはシリル基で置換された炭素数1〜40のアルキル基若しくは芳香族基である。};
{式中、R27aは、水素原子、カルボキシル基、ヒドロキシ基、アミノ基、ニトロ基、炭素数1〜40の直鎖若しくは分岐のアルキル基、又はカルボキシル基、ヒドロキシ基、アミノ基若しくはニトロ基で置換された炭素数1〜40のアルキル基若しくは芳香族基であり、R28aは、水素原子、フェニル基、又はアミノ基若しくはシリル基で置換された炭素数1〜40のアルキル基若しくは芳香族基である。};
{式中、R29aは、水素原子、炭素数1〜40の直鎖若しくは分岐のアルキル基、又はカルボキシル基、ヒドロキシ基、アミノ基若しくはニトロ基で置換された炭素数1〜40のアルキル基若しくは芳香族基であり、R30aは、水素原子、フェニル基、又はアミノ基若しくはシリル基で置換された炭素数1〜40のアルキル基若しくは芳香族基である。}
アゾール化合物は、上記一般式(67)としては、1H−トリアゾール、5−メチル−1H−トリアゾール、5−エチル−1H−トリアゾール、4,5−ジメチル−1H−トリアゾール、5−フェニル−1H−トリアゾール、4−t−ブチル−5−フェニル−1H−トリアゾール、5−ヒドロキシフェニル−1H−トリアゾール、フェニルトリアゾール、p−エトキシフェニルトリアゾール、5−フェニル−1−(2−ジメチルアミノエチル)トリアゾール、5−ベンジル−1H−トリアゾール、ヒドロキシフェニルトリアゾール、1,5−ジメチルトリアゾール、4,5−ジエチル−1H−トリアゾール、
上記一般式(68)としては、1H−ベンゾトリアゾール、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α―ジメチルベンジル)フェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、4−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、4−カルボキシ−1H−ベンゾトリアゾール、5−カルボキシ−1H−ベンゾトリアゾール、
上記一般式(69)としては、1H−テトラゾール、5−メチル−1H−テトラゾール、5−フェニル−1H−テトラゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、1−メチル−1H−テトラゾールなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。これらの中でも、銅又は銅合金の変色抑制の観点から、トリルトリアゾール、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、4−メチル−1H−ベンゾトリアゾールなどが特に好ましい。また、これらアゾール化合物は、単独でも2種以上の混合物で用いても構わない。
アゾール化合物の添加量は、ポリイミド前駆体100質量部に対し、0.1〜20質量部であり、光感度特性の観点から0.5〜5質量部が好ましい。アゾール化合物のポリイミド前駆体100質量部に対する添加量が0.1質量部以上であれば、本発明の感光性樹脂組成物を銅又は銅合金の上に形成した場合に、銅又は銅合金表面の変色が抑制され、一方、20質量部以下であれば銅又は銅合金の上に本発明の感光性樹脂組成物を形成した場合に、良好なレリーフパターンが得られる。
(B)ヒンダードフェノール化合物
本発明の感光性樹脂組成物は、例えば銅又は銅合金の上に形成する場合に銅又は銅合金の変色を防止する作用を有する化合物として、さらに(B)ヒンダードフェノール化合物を含有してもよい。ここで、ヒンダードフェノール化合物とは、分子内に下記一般式(70)、一般式(71)、一般式(75)、一般式(76)又は一般式(77)で表される構造を有する化合物である。
{式中、R31aは、t-ブチル基であり、R32a及びR34aは、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基であり、R33aは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、ジアルキルアミノアルキル基、ヒドロキシ基、又はカルボキシル基で置換されたアルキル基であり、そしてR35aは、水素原子又はアルキル基である。};
{式中、R36aは、t-ブチル基であり、R37a、R38a及びR39aは、それぞれ独立に、水素原子、又はアルキル基であり、R40aは、アルキレン基、二価の硫黄原子、ジメチレンチオエーテル基、又は、
下記一般式(72):
(式中、R41aは、炭素数1〜6のアルキル基、ジエチレンチオエーテル基、又は、
下記式(72−1):
で表される基である。)若しくは
下記式(72−2):
で表される基である。};
{式中、R42aは、t-ブチル基、シクロヘキシル基、又はメチルシクロヘキシル基であり、R43a、R44a、及びR45aは、それぞれ独立に、水素原子、又はアルキル基であり、そしてR46aは、アルキレン基、硫黄原子、又はテレフタル酸エステルである。};
{式中、R47aは、t-ブチル基であり、R48a、R49a及びR50aは、それぞれ独立に、水素原子、又はアルキル基であり、そしてR51aは、アルキル基、フェニル基、イソシアヌレート基又はプロピオネート基である。};
{式中、R52a及びR53aは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜6の1価の有機基であり、R55aは、アルキル基、フェニル基、イソシアヌレート基又はプロピオネート基であり、R54aは、下記一般式(78):
(式中、R56a、R57a及びR58aは、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜6の1価の有機基である。但し、R56a、R57a及びR58aのうち少なくとも2つは炭素数1〜6の1価の有機基である。)で表される基、又はフェニル基である。}
ヒンダードフェノール化合物は、本発明の感光性樹脂組成物を例えば銅又は銅合金の上に形成する場合に銅又は銅合金の変色を防止する作用を有する。本発明においては、フェノール化合物のうち特定のもの、すなわち上記一般式(70)、一般式(71)、一般式(75)、一般式(76)、及び一般式(77)で示されるフェノール化合物を用いることにより、銅又は銅合金の上でも変色や腐食を起こさず、高い解像度のポリイミドを得ることが出来るという利点が得られる。
ヒンダードフェノール化合物は、上記一般式(70)としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチル−ハイドロキノン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等が、また、上記一般式(71)としては、例えば、4、4’−メチレンビス(2、6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオ−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N,N’ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)等が、また、上記一般式(75)としては、例えば、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)等が、また、上記一般式(76)としては、例えば、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等が、また、上記一般式(77)としては、例えば、1,3,5−トリス(3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−4−イソプロピルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−s−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス[4−(1−エチルプロピル)−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス[4−トリエチルメチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−4−フェニルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,5,6−トリメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−5−エチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−6−エチル−3−ヒドロキシ−2−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−6−エチル−3−ヒドロキシ−2,5−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−5,6−ジエチル−3−ヒドロキシ−2−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,5−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−5‐エチル−3−ヒドロキシ−2−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン等が挙げられるが、これに限定されるものではない。これらの中でも、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオンなどが特に好ましい。
(B)ヒンダードフェノール化合物の添加量は、ポリイミド前駆体100質量部に対し、0.1〜20質量部であり、光感度特性の観点から0.5〜10質量部が好ましい。(B)ヒンダードフェノール化合物のポリイミド前駆体100質量部に対する添加量が0.1質量部以上であれば、例えば銅又は銅合金の上に本発明の感光性樹脂組成物を形成した場合に、銅又は銅合金の変色・腐食が防止され、一方、20質量部以下であれば光感度に優れる。
(C)有機チタン化合物
本発明の感光性樹脂組成物には、耐薬品性を向上する化合物として、(C)有機チタン化合物を含有させてもよい。ここで(C)成分として使用可能な有機チタン化合物としては、チタン原子に有機化学物質が共有結合又はイオン結合を介して結合しているものであれば特に制限はない。
(C)有機チタン化合物の具体的例を以下のI)〜VII)に示す:
I)チタンキレート化合物:中でも、アルコキシ基を2個以上有するチタンキレートが、組成物の安定性及び良好なパターンが得られることからより好ましく、具体的には、チタニウムビス(トリエタノールアミン)ジイソプロポキサイド、チタニウムジ(n−ブトキサイド)ビス(2,4−ペンタンジオネート、チタニウムジイソプロポキサイドビス(2,4−ペンタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキサイドビス( エチルアセトアセテート)等である。
II)テトラアルコキシチタン化合物:例えば、チタニウムテトラ(n−ブトキサイド)、チタニウムテトラエトキサイド、チタニウムテトラ(2−エチルヘキソキサイド)、チタニウムテトライソブトキサイド、チタニウムテトライソプロポキサイド、チタニウムテトラメトキサイド、チタニウムテトラメトキシプロポキサイド、チタニウムテトラメチルフェノキサイド、チタニウムテトラ(n−ノニロキサイド)、チタニウムテトラ(n−プロポキサイド)、チタニウムテトラステアリロキサイド、チタニウムテトラキス[ビス{2,2−(アリロキシメチル)ブトキサイド}]等である。
III)チタノセン化合物:例えば、ペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウムトリメトキサイド、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)ビス(2,6−ジフルオロフェニル)チタニウム、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウム等である。
IV)モノアルコキシチタン化合物:例えば、チタニウムトリス(ジオクチルホスフェート)イソプロポキサイド、チタニウムトリス(ドデシルベンゼンスルフォネート)イソプロポキサイド等である。
V)チタニウムオキサイド化合物:例えば、チタニウムオキサイドビス(ペンタンジオネート)、チタニウムオキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、フタロシアニンチタニウムオキサイド等である。
VI)チタニウムテトラアセチルアセトネート化合物:例えば、チタニウムテトラアセチルアセトネート等である。
VII)チタネートカップリング剤:例えば、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルフォニルチタネート等である。
中でも、上記I)チタンキレート化合物、II)テトラアルコキシチタン化合物、及びIII)チタノセン化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物であることが、より耐薬品性を奏するという観点から好ましい。
これらの有機チタン化合物の添加量は、ポリイミド前駆体100質量部に対し、0.05〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜 2重量部である。添加量が0.05重量部以上となると所望の耐熱性あるいは耐薬品性が発現し、一方10重量部以下であれば保存安定性に優れる。
(D)接着助剤
また、本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成される膜と基材との接着性向上のために(D)接着助剤を任意に添加することができる。接着助剤としては、γ−アミノプロピルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ジメトキシメチル−3−ピペリジノプロピルシラン、ジエトキシ−3−グリシドキシプロピルメチルシラン、N−(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)スクシンイミド、N−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕フタルアミド酸、ベンゾフェノン−3,3’−ビス(N−〔3−トリエトキシシリル〕プロピルアミド)−4,4’−ジカルボン酸、ベンゼン−1,4−ビス(N−〔3−トリエトキシシリル〕プロピルアミド)−2,5−ジカルボン酸、3−(トリエトキシシリル)プロピルスクシニックアンハイドライド、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、及びアルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート等のアルミニウム系接着助剤等が挙げられる。
これらの内では接着力の点からシランカップリング剤を用いることがより好ましい。接着助剤の添加量は、ポリイミド前駆体100質量部に対し、0.5〜25質量部の範囲が好ましい。
また、架橋剤として、レリーフパターンを加熱硬化する際に、ポリイミド前駆体を架橋しうるか、又は架橋剤自身が架橋ネットワークを形成しうる架橋剤を添加し、耐熱性及び耐薬品性を更に強化することができる。架橋剤としては、アミノ樹脂又はその誘導体が好適に用いられ、中でも、グリコール尿素樹脂、ヒドロキシエチレン尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、又はこれらの誘導体が好適に用いられる。特に好ましくは、アルコキシメチル化メラミン化合物であり、例として、ヘキサメトキシメチルメラミンが挙げられる。
耐熱性、耐薬品性以外の諸性能との兼ね合いで、架橋剤の添加量は、ポリイミド前駆体100質量部に対し、2〜40質量部であることが好ましく、より好ましくは5〜30質量部である。該添加量が2質量部以上である場合、良好な耐熱性及び耐薬品性が発現し、一方、40質量部以下である場合、保存安定性に優れる。
本実施形態におけるレリーフパターンの断面角度について説明する。本実施形態において、フォーカスマージンが広く、電気特性が良好な半導体装置を製造し得る感光性樹脂組成物は、凹型レリーフパターンと基材との断面角度が60度以上90度以下であることが望ましい。断面角度が該範囲にあると、ブリッジングが起ず、正常なレリーフパターンが形成でき、フォーカスマージンが広くなり、断線が生じないので好ましい。
また該範囲よりも断面角度が低いと、再配線層を形成しにくくなるので好ましくない。断面角度の更に好ましい範囲は60度以上85度以下である。
<硬化レリーフパターンの製造方法及び半導体装置>
また、本発明は、以下の工程(6)〜(9)
(6)上述した本発明の感光性樹脂組成物を基板上に塗布することによって樹脂層を該基板上に形成する工程と、
(7)該樹脂層を露光する工程と、
(8)該露光後の樹脂層を現像してレリーフパターンを形成する工程と、
(9)該レリーフパターンを加熱処理することによって硬化レリーフパターンを形成する工程とを含む、硬化レリーフパターンの製造方法を提供する。以下、各工程の典型的な態様について説明する。
(6)感光性樹脂組成物を基板上に塗布することによって樹脂層を該基板上に形成する工程
本工程では、本発明の感光性樹脂組成物を基材上に塗布し、必要に応じてその後乾燥させて樹脂層を形成する。塗布方法としては、従来から感光性樹脂組成物の塗布に用いられていた方法、例えば、スピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷機等で塗布する方法、スプレーコーターで噴霧塗布する方法等を用いることができる。
本発明の感光性樹脂組成物を用いてレリーフパターンを形成する方法として、該感光性樹脂組成物を基板上に塗布して樹脂層を該基板上に形成するだけでなく、該感光性樹脂組成物をフィルムの形態にして感光性樹脂組成物の層を基板上に積層することによって樹脂層を形成してもよい。また、支持基材上に本発明に係る感光性樹脂組成物のフィルムを形成し、該フィルムを使用する際に積層してから支持基材を除去してもよいし、積層する前に除去してもよい。
必要に応じて、感光性樹脂組成物から成る塗膜を乾燥させることができる。乾燥方法としては、風乾、オーブン又はホットプレートによる加熱乾燥、真空乾燥等の方法が用いられる。具体的には、風乾又は加熱乾燥を行う場合、20℃〜140℃で1分〜1時間の条件で乾燥を行うことができる。以上の通り、基板上に樹脂層を形成できる。
(7)樹脂層を露光する工程
本工程では、上記で形成した樹脂層を、コンタクトアライナー、ミラープロジェクション、ステッパー等の露光装置を用いて、パターンを有するフォトマスク又はレチクルを介して又は直接に、紫外線光源等により露光する。
この後、光感度の向上等の目的で、必要に応じて、任意の温度及び時間の組合せによる露光後ベーク(PEB)及び/又は現像前ベークを施してもよい。ベーク条件の範囲は、温度は40〜120℃であり、そして時間は10秒〜240秒であることが好ましいが、本発明の感光性樹脂組成物の諸特性を阻害するものでない限り、この範囲に限らない。
(8)露光後の樹脂層を現像してレリーフパターンを形成する工程
本工程においては、露光後の感光性樹脂層の未露光部を現像除去する。現像方法としては、従来知られているフォトレジストの現像方法、例えば回転スプレー法、パドル法、超音波処理を伴う浸漬法等の中から任意の方法を選択して使用することができる。また、現像の後、レリーフパターンの形状を調整する等の目的で、必要に応じて任意の温度及び時間の組合せによる現像後ベークを施してもよい。
現像に使用される現像液としては、感光性樹脂組成物に対する良溶媒、又は該良溶媒と貧溶媒との組合せが好ましい。例えば、良溶媒としては、N−メチルピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン等が好ましく、貧溶媒としてはトルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、乳酸エチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート及び水等が好ましい。良溶媒と貧溶媒とを混合して用いる場合には、感光性樹脂組成物中のポリマーの溶解性によって良溶媒に対する貧溶媒の割合を調整することが好ましい。また、各溶媒を2種以上、例えば数種類組合せて用いることもできる。
(9)レリーフパターンを加熱処理することによって硬化レリーフパターンを形成する工程
本工程では、上記現像により得られたレリーフパターンを加熱することによって、硬化レリーフパターンに変換する。加熱硬化の方法としては、ホットプレートによるもの、オーブンを用いるもの、温度プログラムを設定できる昇温式オーブンを用いるもの等種々の方法を選ぶことができる。加熱は、例えば180℃〜400℃で30分〜5時間の条件で行うことができる。加熱硬化の際の雰囲気気体としては空気を用いてもよく、窒素、アルゴン等の不活性ガスを用いることもできる。
<半導体装置>
本発明はまた、上述した本発明の硬化レリーフパターンの製造方法により得られる硬化レリーフパターンを含む、半導体装置を提供する。本発明は、半導体素子である基材と、前記基材上に上述した硬化レリーフパターン製造方法により形成された樹脂の硬化レリーフパターンとを含む半導体装置も提供する。また、本発明は、基材として半導体素子を用い、上述した硬化レリーフパターンの製造方法を工程の一部として含む半導体装置の製造方法にも適用できる。本発明の半導体装置は、上記硬化レリーフパターン製造方法で形成される硬化レリーフパターンを、表面保護膜、層間絶縁膜、再配線用絶縁膜、フリップチップ装置用保護膜、ファンアウト装置用保護膜、又はバンプ構造を有する半導体装置の保護膜等として形成し、既知の半導体装置の製造方法と組合せることで製造することができる。
本発明の第二の態様にかかる感光性樹脂組成物は、上記のような半導体装置への適用の他、多層回路の層間絶縁、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、及び液晶配向膜等の用途にも有用である。
[第三の態様]
素子は、目的に合わせて、様々な方法でプリント基板に実装される。従来の素子は、素子の外部端子(パッド)からリードフレームまで細いワイヤで接続する、ワイヤボンディング法により作製されることが一般的であった。しかしながら、素子の高速化が進み、動作周波数がGHzまで到達した今日、実装における各端子の配線長さの違いが、素子の動作に影響を及ぼすまでに至った。そのため、ハイエンド用途の素子の実装では、実装配線の長さを正確に制御する必要が生じ、ワイヤボンディングではその要求を満たすことが困難となった。
したがって、半導体チップの表面に再配線層を形成し、その上にバンプ(電極)を形成した後、該チップを裏返し(フリップ)て、プリント基板に直接実装する、フリップチップ実装が提案されている(例えば、特開2001−338947号公報)。このフリップチップ実装では、配線距離を正確に制御できるため、高速な信号を取り扱うハイエンド用途の素子に、あるいは、実装サイズの小ささから携帯電話等に、それぞれ採用され、需要が急拡大している。フリップチップ実装にポリイミド材料を使用する場合、該ポリイミド層のパターンが形成された後に、金属配線層形成工程を経る。金属配線層は、通常、ポリイミド層表面をプラズマエッチングして表面を粗化した後、メッキのシード層となる金属層を、1μm以下の厚みでスパッタにより形成した後、その金属層を電極として、電解メッキにより形成される。このとき、一般に、シード層となる金属としてはTiが、電解メッキにより形成される再配線層の金属としてはCuが用いられる。
このような金属再配線層について、再配線された金属層と樹脂層との密着性が高いことが求められる。しかしながら、従来、感光性樹脂組成物を形成する樹脂や添加剤の影響や、再配線層を形成する際の製造方法の影響により、再配線されたCu層と樹脂層の密着性が低下する場合があった。再配線されたCu層と樹脂層の密着性が低下すると、再配線層の絶縁信頼性が低下する。
上記の事情に鑑みて、本発明の第三の態様は、Cu層と密着性が高い再配線層の形成方法、及び該再配線層を有してなる半導体装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、感光性ポリイミド前駆体と、特定の化合物とを組み合わせることにより、上記の目的が達成されることを見出し、本発明の第三の態様を完成させた。すなわち、本発明の第三の態様は以下のとおりである。
[1] 感光性ポリイミド前駆体である(A)成分と、
下記一般式(B1):
{式(B1)中、Rs1〜Rs5は、それぞれ独立に、水素原子または1価の有機基を表す}
で表される(B)成分を含むことを特徴とする感光性樹脂組成物。
[2] 前記(A)成分が、側鎖にラジカル重合性置換基を有するポリアミド酸誘導体である、[1]に記載の感光性樹脂組成物。
[3] 前記(A)成分が下記一般式(A1):
{一般式(A1)中、Xは4価の有機基であり、Yは2価の有機基であり、R5b及びR6bは、それぞれ独立に、水素原子、下記一般式(R1)
(一般式(R1)中、R7b、R8b、及びR9bは、それぞれ独立に、水素原子又はC1〜C3の有機基であり、pは2〜10から選ばれる整数である。)で表される1価の有機基、又はC1〜C4の飽和脂肪族基であり、但し、R5b及びR6bの両者が同時に水素原子であることはない。}で表される構造を含む感光性ポリイミド前駆体である、[1]又は[2]に記載の感光性樹脂組成物。
[4] 前記(B)成分が、下記式(B2):
の構造を含む、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[5] 前記一般式(A1)中のXが、下記(C1)〜(C3):
から選ばれる少なくとも1種以上の4価の有機基を含有し、
Yが、下記(D1)、(D2):
{一般式(D1)中、R10b〜R13bは、水素原子又はC1〜C4の1価の脂肪族基であり、互いに異なっていても、同一であっても良い。}で表される基、及び、
から選ばれる少なくとも1種以上の2価の有機基を含有する、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[6] 前記(A)成分100質量部に対する(B)成分の含有量が0.1〜10質量部である、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[7] 前記(A)成分100質量部に対する(B)成分の含有量が0.5〜5質量部である、[1]〜[6]のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[8] 以下の工程:
(1)[1]〜[7]のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、該基板上に感光性樹脂層を形成する塗布工程と、
(2)該感光性樹脂層を露光する露光工程と、
(3)該露光後の感光性樹脂層を現像してレリーフパターンを形成する現像工程と、
(4)該レリーフパターンを加熱処理することによって硬化レリーフパターンを形成する加熱工程と
を含むことを特徴とする、硬化レリーフパターンの製造方法。
[9] 基材と、該基材上に形成された[8]に記載の方法により得られた硬化レリーフパターンとを有し、
前記硬化レリーフパターンは、ポリイミド樹脂と、
下記一般式(B1):
{式(B1)中、Rs1〜Rs5は、それぞれ独立に、水素原子または1価の有機基を表す。}
で表される化合物とを含有することを特徴とする半導体装置。
本発明の第三の態様によれば、感光性ポリイミド前駆体と特定の化合物とを組み合わせることにより、Cu層とポリイミド層との密着性が高い感光性樹脂が得られる感光性樹脂組成物、該感光性樹脂組成物を用いた硬化レリーフパターンの形成方法、及び該硬化レリーフパターンを有してなる半導体装置を提供することができる。
本第三の態様について、以下に具体的に説明する。なお本明細書を通じ、一般式において同一符号で表されている構造は、分子中に複数存在する場合、互いに同一でも異なっていてもよい。
<感光性樹脂組成物>
本発明の感光性樹脂組成物は、感光性ポリイミド前駆体である(A)成分と、
下記一般式(B1):
{式(B1)中、Rs1〜Rs5は、それぞれ独立に、水素原子または1価の有機基を表す。}
で表される(B)成分とを含有することを特徴とする。
[(A)感光性ポリイミド前駆体]
本発明に用いられる(A)成分の感光性ポリイミド前駆体について説明する。
本発明における感光性ポリイミド樹脂として好ましく用いられるのは、これを単独の溶液として塗布し、プリベークした後に得られる10μm厚フィルムについて測定した、i線吸光度が0.8〜2.0のものである。
感光性樹脂組成物から得られる硬化レリーフパターンにおける開口部の側面を順テーパー型(膜表面部の開口径の方が、膜底部の開口径より大きい形)にするために、本発明の感光性樹脂組成物は、上記の要件を満たす(A)感光性ポリイミド前駆体を含有することが好ましい。
(A)感光性ポリイミド前駆体を単独でプリベークした後、10μm厚フィルムのi線吸光度は、石英ガラス上に形成した塗膜について、通常の分光光度計により測定することができる。形成されたフィルムの厚みが10μmでない場合には、該フィルムについて得られた吸光度を、ランベルト・ベールの法則に従って10μm厚に換算することにより、10μm厚のi線吸光度を求めることができる。
i線吸光度が0.8以上で2.0以下であると、塗膜の機械物性、熱物性等に優れ、塗膜のi線吸収が適度で底部まで光が到達するため、例えばネガ型の場合、塗膜の底部まで硬化するので好ましい。
本発明の(A)感光性ポリイミド前駆体は、ポリアミド酸エステルを主成分とするものであることが好ましい。ここで、主成分とは、これら樹脂を、全樹脂に対して、60質量%以上含有することを意味し、80質量%以上含有することが好ましい。また、必要に応じて他の樹脂を含んでいてもよい。
(A)感光性ポリイミド前駆体の重量平均分子量(Mw)は、熱処理後に得られる膜の耐熱性及び機械特性の観点から、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算値として、1,000以上であることが好ましく、5,000以上であることがより好ましい。重量平均分子量(Mw)の上限は100,000以下であることが好ましい。現像液に対する溶解性の観点から、50,000以下であることがより好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物において、耐熱性及び感光性の観点から最も好ましい(A)感光性ポリイミド前駆体の1つは、下記一般式(A1):
{一般式(A1)中、Xは4価の有機基であり、Yは2価の有機基であり、R5b及びR6bは、それぞれ独立に、水素原子、下記一般式(R1):
(一般式(R1)中、R7b、R8b、及びR9bは、それぞれ独立に、水素原子又はC1〜C3の有機基であり、pは2〜10から選ばれる整数である。)で表される1価の有機基、又はC1〜C4の飽和脂肪族基であり、但し、R5b及びR6bの両者が同時に水素原子であることはない。}で表される構造を含む、エステル型の感光性ポリイミド前駆体である。
上記一般式(A1)中、Xで表される4価の有機基は、耐熱性と感光特性とを両立するという点で、好ましくは炭素数6〜40の有機基であり、さらに好ましくは、−COOR基及び−COOR2基と−CONH−基とが互いにオルト位置にある芳香族基、又は脂環式脂肪族基である。Xで表される4価の有機基として、好ましくは芳香族環を含有する炭素原子数6〜40の有機基であり、さらに好ましくは、下記式(90):
{式中、R25bは水素原子、フッ素原子、C1〜C10の炭化水素基、C1〜C10の含フッ素炭化水素基から選ばれる1価の基であり、lは0〜2から選ばれる整数、mは0〜3から選ばれる整数、nは0〜4から選ばれる整数である。}
で表される構造が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、Xの構造は1種でも2種以上の組み合わせでも構わない。上記式で表される構造を有するX基は、耐熱性と感光特性とを両立するという点で特に好ましい。
上記一般式(A1)中、Yで表される2価の有機基は、耐熱性と感光特性とを両立するという点で、好ましくは炭素数6〜40の芳香族基であり、例えば、下記式(91):
{式中、R25bは水素原子、フッ素原子、C1〜C10の炭化水素基、C1〜C10の含フッ素炭化水素基から選ばれる1価の基であり、nは0〜4から選ばれる整数である。}
で表される構造が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、Yの構造は1種でも2種以上の組み合わせでも構わない。上記式(91)で表される構造を有するY基は、耐熱性及び感光特性を両立するという点で特に好ましい。
上記一般式(R1)中のR7bは、水素原子又はメチル基であることが好ましく、R8b及びR9bは、感光特性の観点から水素原子であることが好ましい。また、pは、感光特性の観点から2以上10以下の整数、好ましくは2以上4以下の整数である。
(A)樹脂としてポリイミド前駆体を用いる場合に、感光性樹脂組成物に感光性を付与する方式としては、エステル結合型とイオン結合型とが挙げられる。前者は、ポリイミド前駆体の側鎖にエステル結合によって光重合性基、すなわちオレフィン性二重結合を有する化合物を導入する方法であり、後者は、ポリイミド前駆体のカルボキシル基と、アミノ基を有する(メタ)アクリル化合物のアミノ基とをイオン結合を介して結合させて、光重合性基を付与する方法である。
上記エステル結合型のポリイミド前駆体は、前述の4価の有機基Xを含むテトラカルボン酸二無水物と、光重合性の不飽和二重結合を有するアルコール類及び任意に炭素数1〜4の飽和脂肪族アルコール類とを反応させて、部分的にエステル化したテトラカルボン酸(以下、アシッド/エステル体ともいう)を調製した後、これと、前述の2価の有機基Y1を含むジアミン類とをアミド重縮合させることにより得られる。
(アシッド/エステル体の調製)
本発明において、エステル結合型のポリイミド前駆体を調製するために好適に用いられる、4価の有機基Xを有するテトラカルボン酸二無水物としては、上記一般式(90)に示される構造を有する酸二無水物をはじめ、例えば、無水ピロメリット酸、ジフェニルエーテル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルメタン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−無水フタル酸)プロパン、2,2−ビス(3,4−無水フタル酸)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等を挙げることができる。好ましくは無水ピロメリット酸、ジフェニルエーテル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物等、好ましくは無水ピロメリット酸、ジフェニルエーテル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物等を、より好ましくは無水ピロメリット酸、ジフェニルエーテル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらは単独でも、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明で、エステル結合型のポリイミド前駆体を調製するために好適に用いられる、光重合性基を有するアルコール類としては、例えば、2−アクリロイルオキシエチルアルコール、1−アクリロイルオキシ−3−プロピルアルコール、2−アクリルアミドエチルアルコール、メチロールビニルケトン、2−ヒドロキシエチルビニルケトン、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−t−ブトキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルオキシプロピルアクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルアルコール、1−メタクリロイルオキシ−3−プロピルアルコール、2−メタクリルアミドエチルアルコール、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−t−ブトキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルオキシプロピルメタクリレート等を挙げることができる。
上記光重合性基を有するアルコール類とともに、任意的に使用できる飽和脂肪族アルコール類としては、炭素数1〜4の飽和脂肪族アルコールが好ましい。その具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール等を挙げることができる。
上記の本発明に好適なテトラカルボン酸二無水物と上記のアルコール類とを、好ましくはピリジン等の塩基性触媒の存在下、好ましくは後述するような適当な反応溶媒中、温度20〜50℃で4〜10時間撹拌、混合することにより、酸無水物のエステル化反応が進行し、所望のアシッド/エステル体を得ることができる。
(感光性ポリイミド前駆体の調製)
上記アシッド/エステル体(典型的には上記反応溶媒中に溶解された溶液状態にある。)に、好ましくは氷冷下、適当な脱水縮合剤を投入混合することにより、アシッド/エステル体をポリ酸無水物とする。次いでこれに、本発明で好適に用いられる2価の有機基Yを有するジアミン類を、別途溶媒に溶解又は分散させたものを滴下投入し、両者をアミド重縮合させることにより、目的の感光性ポリイミド前駆体を得ることができる。上記2価の有機基Yを有するジアミン類とともに、ジアミノシロキサン類を併用してもよい。
上記脱水縮合剤としては、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン、1,1−カルボニルジオキシ−ジ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、N,N’−ジスクシンイミジルカーボネート等が挙げられる。
以上のようにして、中間体であるポリ酸無水化物が得られる。
本発明において、上記のようにして得られるポリ酸無水化物との反応に好適に用いられる、2価の有機基Yを有するジアミン類としては、上記一般式(91)に示される構造を有するジアミンをはじめ、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノビフェニル、3,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、4,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、9,10−ビス(4−アミノフェニル)アントラセン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3−アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、オルト−トリジンスルホン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン等;
及びこれらのベンゼン環上の水素原子の一部が、メチル基、エチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ハロゲン原子等で置換されたもの;
並びにこれらの混合物等が挙げられる。
前記置換体の具体例としては、例えば3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4‘−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(フルオロ)−4,4‘−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノオクタフルオロビフェニル等;
及びこれらの混合物等が挙げられる。これらの中で好ましく用いられるものとして、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4‘−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(フルオロ)−4,4‘−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノオクタフルオロビフェニル等を、より好ましくはp−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等を、並びにこれらの混合物等を挙げることができる。ジアミン類は、上記の例示に限定されるものではない。
ジアミノシロキサン類は、本発明の感光性樹脂組成物から形成される塗膜と各種基板との間の密着性の向上を目的として、(A)感光性ポリイミド前駆体の調製に際して、上記2価の有機基Yを含むジアミン類と併用される。このようなジアミノシロキサン類の具体例としては、例えば、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラフェニルジシロキサン等を挙げることができる。
アミド重縮合反応終了後、当該反応液中に共存している脱水縮合剤の吸水副生物を、必要に応じて濾別した後、重合体成分を含有する溶液に、適当な貧溶媒、例えば水、脂肪族低級アルコール、その混合液等)を投入し、重合体成分を析出させる。更に必要に応じて、再溶解及び再沈析出操作等の操作を繰り返して重合体を精製した後、真空乾燥を行うことにより、目的の感光性ポリイミド前駆体を単離する。精製度を向上させるために、陰イオン及び/又は陽イオン交換樹脂を適当な有機溶媒で膨潤させて充填したカラムに、この重合体の溶液を通し、イオン性不純物を除去してもよい。
エステル結合型のポリイミド前駆体の重量平均分子量(Mw)は、熱処理後に得られる膜の耐熱性及び機械特性の観点から、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算値として、1,000以上であることが好ましく、5,000以上であることがより好ましい。重量平均分子量(Mw)の上限は100,000以下であることが好ましい。現像液に対する溶解性の観点から、50,000以下であることがより好ましい。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーの展開溶媒としては、テトラヒドロフラン又はN−メチル−2−ピロリドンが推奨される。分子量は標準単分散ポリスチレンを用いて作成した検量線から求める。標準単分散ポリスチレンとしては、昭和電工社製 有機溶媒系標準試料 STANDARD SM−105から選ぶことが推奨される。
このような方法により合成された(A)感光性ポリイミド前駆体について、単独で形成したプリベーク後フィルムのi線吸光度は、分子構造に応じて様々な値をとる。しかしながら、混合物のi線吸光度は、各成分のi線吸光度の相加平均となるので、2種類以上の(A)感光性ポリイミド前駆体を適当な割合で組み合わせることにより、機械物性、熱物性等とのバランスをとりながら、(A)感光性ポリイミド前駆体のプリベーク後10μm厚フィルムのi線吸光度を0.8〜2.0にすることができる。
[(B)成分]
次に、本発明に用いられる(B)成分について説明する。
本発明における(B)成分は、0.001wt%溶液のi線吸光度が0.1以上0.2以下で、かつh線吸光度が0.02以上0.1以下、g線吸光度が0.02以下であるオキシムエステルである。これらオキシムエステルは、感光性を有しており、フォトリソグラフィーによる感光性樹脂のパターニングのために必須である。
Cuとの密着性の観点から、0.001wt%溶液のi線吸光度は0.1以上0.2以下、h線吸光度は0.02以上0.1以下、g線吸光度はいずれも0.02以下であることが好ましい。i線吸光度が0.2超、h線吸光度が0.1超、g線吸光度が0.02超の場合、Cuとの密着性が低下し、i線吸光度が0.1未満及びh線吸光度が0.02未満の場合は、感度が低下する。
本発明で用いることができる(B)成分は、下記一般式(B1):
{式(B1)中、Rs1〜Rs5は、それぞれ独立に、水素原子または1価の有機基を表す。}で表される構造を含む。
ここでRs1〜Rs5として好ましく用いられるのは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20の直鎖、分枝又は環状のアルキル基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、から選ばれる基である。具体的には水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−オクチル基、イソオクチル基、n−デシル基、イソデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、メチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ベンジル基等を挙げることができる。
これら(B)成分として好ましく用いられるのは、下記式(B2):
で表される化合物である。好ましく用いられる(B)成分の商品名としては、例えば、常州強力新電子材料有限公司製TR−PBG−346を挙げることができる。
これら(B)成分は、(A)感光性ポリイミド前駆体100質量部に対し、0.1質量部以上、10質量部以下、好ましくは0.5質量部以上、5質量部以下の添加量で用いられる。(B)成分の添加量が、(A)感光性ポリイミド前駆体100質量部に対し、0.1質量部以上の場合、高温保存試験後、Cu層とポリイミド層との界面でのボイド発生抑制効果が十分発現される。また、(B)成分の添加量が、(A)感光性ポリイミド前駆体100質量部に対し、10質量部以下であると、組成物のろ過性や塗布性が向上する。
本発明で用いられるオキシムエステルは、0.001wt%溶液のg線、h線、i線吸光度を見たとき、i線吸光度が0.1以上0.2以下で、かつh線吸光度が0.02以上0.1以下、g線吸光度が0.02以下であるという特徴がある。通常、光重合開始剤として用いられるオキシムエステルは、i線吸光度のみが高く、g線及びh線は吸収がない。一方、一部のオキシムエステルでは、g線、h線、i線いずれも殆ど吸収がなく、増感剤と組み合わせて用いることが必須のものもある。
本発明のオキシムエステルはこのような特徴的なg線、h線、i線吸収スペクトルから、露光時に光重合開始ラジカルのみならず、特定のアミンを特定量発生し、そのアミンがCuと特異的な相互作用をすることで、Cuとの密着性を向上させることができる。
[(C)その他の成分]
本発明の感光性樹脂組成物は、上記(A)感光性ポリイミド前駆体及び(B)成分以外の成分を更に含有してもよい。
本発明の感光性樹脂組成物は、典型的には、上記各成分及び必要に応じて更に使用される任意成分を溶剤に溶解してワニス状にした、液状の感光性樹脂組成物として使用される。そのため、(C)その他の成分としては、溶剤を挙げることができる他、例えば上記(A)成分の感光性ポリイミド前駆体以外の樹脂、増感剤、光重合性の不飽和結合を有するモノマー、接着助剤、熱重合禁止剤、アゾール化合物、ヒンダードフェノール化合物等を挙げることができる。
前記溶剤としては、例えば極性の有機溶剤、アルコール類等を挙げることができる。
溶剤としては、(A)感光性ポリイミド前駆体に対する溶解性の点から、極性の有機溶剤を用いることが好ましい。具体的には、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリノン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン等が挙げられ、これらは単独又は2種以上の組合せで用いることができる。
本発明における溶剤としては、感光性樹脂組成物の保存安定性を向上させる観点から、アルコール類を含む溶剤が好ましい。好適に使用できるアルコール類は、典型的には、分子内にアルコール性水酸基を持ち、オレフィン系二重結合を有さないアルコールである。
具体的な例としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルキルアルコール類;乳酸エチル等の乳酸エステル類;プロピレングリコール−1−メチルエーテル、プロピレングリコール−2−メチルエーテル、プロピレングリコール−1−エチルエーテル、プロピレングリコール−2−エチルエーテル、プロピレングリコール−1−(n−プロピル)エーテル、プロピレングリコール−2−(n−プロピル)エーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル等のモノアルコール類;
2−ヒドロキシイソ酪酸エステル類;
エチレングリコール、プロピレングリコール等のジアルコール類;
等を挙げることができる。
これらの中では、乳酸エステル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、2−ヒドロキシイソ酪酸エステル類、及びエチルアルコールが好ましく、特に乳酸エチル、プロピレングリコール−1−メチルエーテル、プロピレングリコール−1−エチルエーテル、及びプロピレングリコール−1−(n−プロピル)エーテルがより好ましい。
又、ケトン類、エステル類、ラクトン類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類等も好適に用いることができる。
これらの具体例としては、
ケトン類として、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等を;
エステル類として、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル等を;
ラクトン類として、例えば、γ−ブチロラクトン等を;
エーテル類として、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン等を;
ハロゲン化炭化水素類として、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等を;
炭化水素類として、例えば、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等を、それぞれ挙げることができる。これらは必要に応じて、単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
上記溶剤は、感光性樹脂組成物の所望の塗布膜厚及び粘度に応じて、(A)感光性ポリイミド前駆体100質量部に対して、例えば30〜1500質量部の範囲、好ましくは100〜1,000質量部の範囲で用いることができる。溶剤が、オレフィン系二重結合を有さないアルコールを含有する場合、全溶剤中に占める、オレフィン系二重結合を有さないアルコールの含有量は、5〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜30質量%である。オレフィン系二重結合を有さないアルコールの含有量が5質量%以上の場合、感光性樹脂組成物の保存安定性が良好になり、50質量%以下の場合、(A)感光性ポリイミド前駆体の溶解性が良好になる。
本発明の感光性樹脂組成物は、上述した(A)感光性ポリイミド前駆体以外の樹脂成分を更に含有してもよい。含有できる樹脂成分としては、例えば、ポリイミド、ポリオキサゾール、ポリオキサゾール前駆体、フェノール樹脂、ポリアミド、エポキシ樹脂、シロキサン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。これらの樹脂成分の配合量は、(A)感光性ポリイミド前駆体100質量部に対して、好ましくは0.01〜20質量部の範囲である。
本発明の感光性樹脂組成物には、光感度を向上させるために増感剤を任意に配合することができる。該増感剤としては、例えば、ミヒラーズケトン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,5−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタン、2,6−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p−ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p−ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2−(p−ジメチルアミノフェニルビフェニレン)−ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)イソナフトチアゾール、1,3−ビス(4’−ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3’−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−アセチル−7−ジメチルアミノクマリン、3−エトキシカルボニル−7−ジメチルアミノクマリン、3−ベンジロキシカルボニル−7−ジメチルアミノクマリン、3−メトキシカルボニル−7−ジエチルアミノクマリン、3−エトキシカルボニル−7−ジエチルアミノクマリン、N−フェニル−N’−エチルエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、N−p−トリルジエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、4−モルホリノベンゾフェノン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、2−メルカプトベンズイミダゾール、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ナフト(1,2−d)チアゾール、2−(p−ジメチルアミノベンゾイル)スチレン、ジフェニルアセトアミド、ベンズアニリド、N−メチルアセトアニリド、3‘,4’−ジメチルアセトアニリド等が挙げられる。これらは単独で又は例えば2〜5種類の組合せで用いることができる。
光感度を向上させるための増感剤を感光性樹脂組成物が含有する場合の配合量は、(A)感光性ポリイミド前駆体100質量部に対して、0.1〜25質量部であることが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物には、レリーフパターンの解像性を向上させるために、光重合性の不飽和結合を有するモノマーを任意に配合することができる。このようなモノマーとしては、光重合開始剤によりラジカル重合反応する(メタ)アクリル化合物が好ましい。
以下に限定されるものではないが、特に、ジエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレートをはじめとする、エチレングリコール又はポリエチレングリコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート;
プロピレングリコール又はポリプロピレングリコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート;
グリセロールのモノ、ジ又はトリ(メタ)アクリレート;
シクロヘキサンジ(メタ)アクリレート;
1,4−ブタンジオールのジアクリレート及びジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールのジ(メタ)アクリレート;
ネオペンチルグリコールのジ(メタ)アクリレート;
ビスフェノールAのモノ又はジ(メタ)アクリレート;
ベンゼントリメタクリレート;
イソボルニル(メタ)アクリレート;
アクリルアミド及びその誘導体;
メタクリルアミド及びその誘導体;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート;
グリセロールのジ又はトリ(メタ)アクリレート;
ペンタエリスリトールのジ、トリ、又はテトラ(メタ)アクリレート;
並びにこれら化合物のエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物等の化合物を挙げることができる。
本発明の感光性樹脂組成物がレリーフパターンの解像性を向上させるための上記の光重合性の不飽和結合を有するモノマーを含有する場合の配合量は、(A)感光性ポリイミド前駆体100質量部に対して、1〜50質量部であることが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物から形成される膜と基板との接着性向上のために、該感光性樹脂組成物には接着助剤を任意に配合することができる。接着助剤としては、例えば、γ−アミノプロピルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ジメトキシメチル−3−ピペリジノプロピルシラン、ジエトキシ−3−グリシドキシプロピルメチルシラン、N−(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)スクシンイミド、N−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕フタルアミド酸、ベンゾフェノン−3,3’−ビス(N−〔3−トリエトキシシリル〕プロピルアミド)−4,4’−ジカルボン酸、ベンゼン−1,4−ビス(N−〔3−トリエトキシシリル〕プロピルアミド)−2,5−ジカルボン酸、3−(トリエトキシシリル)プロピルスクシニックアンハイドライド、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、及びアルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート等のアルミニウム系接着助剤等が挙げられる。
これらの接着助剤のうちでは、接着力の点からシランカップリング剤を用いることがより好ましい。感光性樹脂組成物が接着助剤を含有する場合の配合量は、(A)感光性ポリイミド前駆体100質量部に対して、0.5〜25質量部の範囲が好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物が特に溶剤を含む溶液状態にある場合、その保存時の粘度及び光感度の安定性を向上させるために、該感光性樹脂組成物に熱重合禁止剤を任意に配合することができる。熱重合禁止剤としては、例えば、ヒドロキノン、N−ニトロソジフェニルアミン、p−tert−ブチルカテコール、フェノチアジン、N−フェニルナフチルアミン、エチレンジアミン四酢酸、1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、2,6−ジ−tert−ブチル−p−メチルフェノール、5−ニトロソ−8−ヒドロキシキノリン、1−ニトロソ−2−ナフトール、2−ニトロソ−1−ナフトール、2−ニトロソ−5−(N−エチル−N−スルフォプロピルアミノ)フェノール、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩、N−ニトロソ−N(1−ナフチル)ヒドロキシルアミンアンモニウム塩等が用いられる。
感光性樹脂組成物に配合する場合の熱重合禁止剤の配合量としては、(A)感光性ポリイミド前駆体100質量部に対して、0.005〜12質量部の範囲が好ましい。
例えば、本発明の感光性樹脂組成物を用いて銅又は銅合金から成る基板上に硬化膜を形成する場合には、銅上の変色を抑制するためにアゾール化合物プリン誘導体等の含窒素複素環化合物を任意に配合することができる。アゾール化合物としては、例えば1H−トリアゾール、5−メチル−1H−トリアゾール、5−エチル−1H−トリアゾール、4,5−ジメチル−1H−トリアゾール、5−フェニル−1H−トリアゾール、4−t−ブチル−5−フェニル−1H−トリアゾール、5−ヒドロキシフェニル−1H−トリアゾール、フェニルトリアゾール、p−エトキシフェニルトリアゾール、5−フェニル−1−(2−ジメチルアミノエチル)トリアゾール、5−ベンジル−1H−トリアゾール、ヒドロキシフェニルトリアゾール、1,5−ジメチルトリアゾール、4,5−ジエチル−1H−トリアゾール、1H−ベンゾトリアゾール、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α―ジメチルベンジル)フェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、4−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、4−カルボキシ−1H−ベンゾトリアゾール、5−カルボキシ−1H−ベンゾトリアゾール、1H−テトラゾール、5−メチル−1H−テトラゾール、5−フェニル−1H−テトラゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、1−メチル−1H−テトラゾール等が挙げられる。特に好ましくは、トリルトリアゾール、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、及び4−メチル−1H−ベンゾトリアゾールから選ばれる1種以上である。これらアゾール化合物は、1種で用いても2種以上の混合物で用いても構わない。
プリン誘導体の具体例としては、プリン、アデニン、グアニン、ヒポキサンチン、キサンチン、テオブロミン、カフェイン、尿酸、イソグアニン、2,6−ジアミノプリン、9−メチルアデニン、2−ヒドロキシアデニン、2−メチルアデニン、1−メチルアデニン、N−メチルアデニン、N,N−ジメチルアデニン、2−フルオロアデニン、9−(2−ヒドロキシエチル)アデニン、グアニンオキシム、N−(2−ヒドロキシエチル)アデニン、8−アミノアデニン、6−アミノ‐8−フェニル‐9H−プリン、1−エチルアデニン、6−エチルアミノプリン、1−ベンジルアデニン、N−メチルグアニン、7−(2−ヒドロキシエチル)グアニン、N−(3−クロロフェニル)グアニン、N−(3−エチルフェニル)グアニン、2−アザアデニン、5−アザアデニン、8−アザアデニン、8−アザグアニン、8−アザプリン、8−アザキサンチン、8−アザヒポキサンチン等及びその誘導体が挙げられる。
感光性樹脂組成物が上記アゾール化合物もしくはプリン誘導体を含有する場合の配合量は、(A)感光性ポリイミド前駆体100質量部に対し、0.1〜20質量部である事が好ましく、光感度特性の観点から0.5〜5質量部がより好ましい。アゾール化合物の(A)感光性ポリイミド前駆体100質量部に対する配合量が0.1質量部以上である場合、本発明の感光性樹脂組成物を銅又は銅合金の上に形成した場合に、銅又は銅合金表面の変色が抑制され、一方、20質量部以下である場合には光感度に優れる。
銅表面の変色を抑制するために、前記のアゾール化合物に代えて、或いは前記のアゾール化合物とともに、ヒンダードフェノール化合物を任意に配合することができる。ヒンダードフェノール化合物としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチル−ハイドロキノン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4、4’−メチレンビス(2、6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオ−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N,N’ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5−トリス(3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−4−イソプロピルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−s−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス[4−(1−エチルプロピル)−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス[4−トリエチルメチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−4−フェニルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,5,6−トリメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−5−エチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−6−エチル−3−ヒドロキシ−2−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−6−エチル−3−ヒドロキシ−2,5−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−5,6−ジエチル−3−ヒドロキシ−2−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,5−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−5‐エチル−3−ヒドロキシ−2−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン等が挙げられるが、これに限定されるものではない。これらの中でも、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン等が特に好ましい。
ヒンダードフェノール化合物の配合量は、(A)感光性ポリイミド前駆体100質量部に対し、0.1〜20質量部であることが好ましく、光感度特性の観点から0.5〜10質量部であることがより好ましい。ヒンダードフェノール化合物の(A)感光性ポリイミド前駆体100質量部に対する配合量が0.1質量部以上である場合、例えば銅又は銅合金の上に本発明の感光性樹脂組成物を形成した場合に、銅又は銅合金の変色・腐食が防止され、一方、20質量部以下である場合、該感光性樹脂組成物の優れた光感度が維持される。
本発明の感光性樹脂組成物には、架橋剤を含有させてもよい。架橋剤は、本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成されたレリーフパターンを加熱硬化する際に、(A)感光性ポリイミド前駆体を架橋し得るか、又は架橋剤自身が架橋ネットワークを形成し得る架橋剤であることができる。架橋剤は、感光性樹脂組成物から形成された硬化膜の耐熱性及び耐薬品性を更に強化することができる。
架橋剤としては、例えば、メチロール基及び/又はアルコキシメチル基を含有する化合物である、サイメル(登録商標)300、301、303、370、325、327、701、266、267、238、1141、272、202、1156、1158、1123、1170、1174;UFR65、300;マイコート102、105(以上、三井サイテック社製)、ニカラック(登録商標)MX−270、−280、−290;ニカラックMS―11;ニカラックMW―30、−100、−300、−390、−750(以上、三和ケミカル社製)、DML−OCHP、DML−MBPC、DML−BPC、DML−PEP、DML−34X、DML−PSBP、DML−PTBP、DML−PCHP、DML−POP、DML−PFP、DML−MBOC、BisCMP−F、DML−BisOC−Z、DML−BisOCHP−Z、DML−BisOC−P、DMOM−PTBT、TMOM−BP、TMOM−BPA、TML−BPAF−MF(以上、本州化学工業社製)、ベンゼンジメタノール、ビス(ヒドロキシメチル)クレゾール、ビス(ヒドロキシメチル)ジメトキシベンゼン、ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルエーテル、ビス(ヒドロキシメチル)ベンゾフェノン、ヒドロキシメチル安息香酸ヒドロキシメチルフェニル、ビス(ヒドロキシメチル)ビフェニル、ジメチルビス(ヒドロキシメチル)ビフェニル、ビス(メトキシメチル)ベンゼン、ビス(メトキシメチル)クレゾール、ビス(メトキシメチル)ジメトキシベンゼン、ビス(メトキシメチル)ジフェニルエーテル、ビス(メトキシメチル)ベンゾフェノン、メトキシメチル安息香酸メトキシメチルフェニル、ビス(メトキシメチル)ビフェニル、ジメチルビス(メトキシメチル)ビフェニル等が挙げられる。
また、オキシラン化合物であるフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、テトラフェノール型エポキシ樹脂、フェノール−キシリレン型エポキシ樹脂、ナフトール−キシリレン型エポキシ樹脂、フェノール−ナフトール型エポキシ樹脂、フェノール−ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグルシジルエーテル、1,1,2,2−テトラ(p−ヒドロキシフェニル)エタンテトラグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、オルソセカンダリーブチルフェニルグリシジルエーテル、1,6−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ナフタレン、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールグリシジルエーテル、YDB−340、YDB−412、YDF−2001、YDF−2004(以上商品名、新日鐵化学(株)製)、NC−3000−H、EPPN−501H、EOCN−1020、NC−7000L、EPPN−201L 、XD−1000、EOCN−4600(以上商品名、日本化薬(株)製)、エピコート(登録商標)1001、エピコート1007、エピコート1009、エピコート5050、エピコート5051、エピコート1031S 、エピコート180S65、エピコート157H70、YX−315−75(以上商品名、ジャパンエポキシレジン(株)製)、EHPE3150 、プラクセルG402、PUE101、PUE105(以上商品名、ダイセル化学工業(株)製)、エピクロン(登録商標)830、850、1050、N−680、N−690、N−695、N−770、HP−7200、HP−820、EXA−4850−1000(以上商品名、DIC社製)、デナコール(登録商標)EX−201、EX−251、EX−203、EX−313、EX−314、EX−321、EX−411、EX−511、EX−512、EX−612、EX−614、EX−614B、EX−711、EX−731、EX−810、EX−911、EM−150(以上商品名、ナガセケムテックス社製)、エポライト(登録商標)70P、エポライト100MF(以上商品名、共栄社化学製)等が挙げられる。
また、イソシアネート基含有化合物である、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアナート、1,3−フェニレンビスメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン―4,4’−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、タケネート(登録商標)500、600、コスモネート(登録商標)NBDI、ND(以上商品名、三井化学社製)、デュラネート(登録商標)17B−60PX、TPA−B80E、MF−B60X、MF−K60X、E402−B80T(以上商品名、旭化成ケミカルズ社製)等が挙げられる。
また、ビスマレイミド化合物である、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、フェニルメタンマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、1,6’−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサン、4,4’−ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4’−ジフェニルスルフォンビスマレイミド、1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、BMI−1000、BMI−1100、BMI−2000、BMI−2300、BMI−3000、BMI−4000、BMI−5100、BMI−7000、BMI−TMH、BMI−6000、BMI−8000(以上商品名、大和化成工業(株)製)等が挙げられるが、上述した様に熱架橋する化合物であれば、これらに限定されない。
架橋剤を使用する場合の配合量としては、(A)感光性ポリイミド前駆体100質量部に対し、0.5〜20質量部であることが好ましく、より好ましくは2〜10質量部である。該配合量が0.5質量部以上である場合、良好な耐熱性及び耐薬品性が発現し、一方、20質量部以下である場合、保存安定性に優れる。
<硬化レリーフパターンの形成方法>
本発明はまた、硬化レリーフパターンの形成方法も提供する。
本発明における硬化レリーフパターンの形成方法は、例えば以下の工程:
(1)上述した本発明の感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、該基板上に感光性樹脂層を形成する塗布工程と、
(2)感光性樹脂層を露光する露光工程と、
(3)露光後の感光性樹脂層を現像してレリーフパターンを形成する現像工程と、
(4)レリーフパターンを加熱処理することによって硬化レリーフパターンを形成する加熱工程と、
を上記に記載の順に含むことを特徴とする。
以下、各工程の典型的な態様について説明する。
(1)塗布工程
本工程では、本発明の感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、必要に応じて、その後乾燥させることにより感光性樹脂層を形成する。
基板としては、例えばシリコン、アルミニウム、銅、銅合金等から成る金属基板;
エポキシ、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール等の樹脂基板;
前記樹脂基板に金属回路が形成された基板;
複数の金属、又は金属と樹脂とが多層に積層された基板;
等を使用することができる。
本発明では、基板の少なくとも表面がCuからなる基板を用いることにより、Cu層とポリイミド層との界面でのボイドの発生を抑えるという、本発明の効果を得ることができ、特に好ましいが、それ以外の基板であっても本発明は適用可能である。
塗布方法としては、従来から感光性樹脂組成物の塗布に用いられていた方法、例えば、スピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷機等で塗布する方法、スプレーコーターで噴霧塗布する方法等を用いることができる。
必要に応じて、感光性樹脂組成物膜を乾燥させることができる。乾燥方法としては、風乾、オーブン又はホットプレートによる加熱乾燥、真空乾燥等の方法が用いられる。また、塗膜の乾燥は、感光性樹脂組成物中の(A)感光性ポリイミド前駆体(ポリアミド酸エステル)のイミド化が起こらないような条件で行うことが望ましい。具体的には、風乾又は加熱乾燥を行う場合、20℃〜140℃で1分〜1時間の条件で乾燥を行うことができる。以上により基板上に感光性樹脂層を形成できる。
(2)露光工程
本工程では、上記で形成した感光性樹脂層を露光する。露光装置としては、例えばコンタクトアライナー、ミラープロジェクション、ステッパー等の露光装置が用いられる。露光は、パターンを有するフォトマスク又はレチクルを介して、又は直接に行うことができる。露光に使用する光線は、例えば、紫外線光源等である。
露光後、光感度の向上等の目的で、必要に応じて、任意の温度及び時間の組合せによる露光後ベーク(PEB)及び/又は現像前ベークを施してもよい。ベーク条件の範囲は、温度は40〜120℃、時間は10秒〜240秒が好ましいが、本発明の感光性樹脂組成物の諸特性を阻害するものでない限り、この範囲に限らない。
(3)現像工程
本工程では、露光後の感光性樹脂層のうち未露光部を現像除去する。露光(照射)後の感光性樹脂層を現像する現像方法としては、従来知られているフォトレジストの現像方法を選択して使用することができる。例えば回転スプレー法、パドル法、超音波処理を伴う浸漬法等である。また、現像の後、レリーフパターンの形状を調整する等の目的で、必要に応じて、任意の温度及び時間の組合せによる、現像後ベークを施してもよい。現像後ベークの温度は、例えば80〜130℃とすることができ、時間は例えば0.5〜10分とすることができる。
現像に使用される現像液としては、感光性樹脂組成物に対する良溶媒、又は該良溶媒と貧溶媒との組合せが好ましい。良溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン等が好ましく、貧溶媒としてはトルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、乳酸エチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート及び水等が好ましい。良溶媒と貧溶媒とを混合して用いる場合には、感光性樹脂組成物中のポリマーの溶解性に応じて、良溶媒に対する貧溶媒の割合を調整することが好ましい。また、各溶媒を2種以上、例えば数種類組合せて用いることもできる。
(4)加熱工程
本工程では、上記現像により得られたレリーフパターンを加熱して感光成分を揮散させるとともに、(A)感光性ポリイミド前駆体をイミド化させて、ポリイミドからなる硬化レリーフパターンに変換する。
加熱硬化の方法としては、ホットプレートによるもの、オーブンを用いるもの、温度プログラムを設定できる昇温式オーブンを用いるもの等、種々の方法を選ぶことができる。加熱は、例えば200℃〜400℃で30分〜5時間の条件で行うことができる。加熱硬化の際の雰囲気気体としては空気を用いてもよいし、窒素、アルゴン等の不活性ガスを用いてもよい。
以上のようにして、硬化レリーフパターンを製造することができる。
<半導体装置>
本発明はまた、上述した本発明の硬化レリーフパターンの形成方法により得られる硬化レリーフパターンを有して成る、半導体装置を提供する。
上記の半導体装置は、例えば、半導体素子である基材と、該基材上に、上述した硬化レリーフパターン形成方法により形成された硬化レリーフパターンとを有する半導体装置であることができる。
すなわち、本発明の半導体装置は、基材と、該基材上に形成された硬化レリーフパターンとを有し、前記硬化レリーフパターンは、ポリイミド樹脂と、上述した一般式(B1)で表される化合物とを含有することを特徴とする。上記半導体装置は、例えば、基材として半導体素子を用い、上述した硬化レリーフパターンの形成方法を工程の一部として含む方法によって製造することができる。本発明の半導体装置は、上記硬化レリーフパターン形成方法で形成される硬化レリーフパターンを、例えば表面保護膜、層間絶縁膜、再配線用絶縁膜、フリップチップ装置用保護膜、又はバンプ構造を有する半導体装置の保護膜等として形成し、公知の半導体装置の製造方法と組合せることにより、製造することができる。
本発明の半導体装置は、例えばCu層からなる金属再配線層と、ポリイミド樹脂からなるレリーフパターンに適用した場合、界面でのボイドの発生が抑えられて密着性が高いものとなり、優れた特性を有するものとなる。
本発明の第三の態様における感光性樹脂組成物は、上記のような半導体装置への適用の他、多層回路の層間絶縁、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、液晶配向膜等の用途にも有用である。
[第四の態様]
素子は、目的に合わせて、様々な方法でプリント基板に実装される。従来の素子は、素子の外部端子(パッド)からリードフレームまで細いワイヤで接続する、ワイヤボンディング法により作製されることが一般的であった。しかしながら、素子の高速化が進み、動作周波数がGHzまで到達した今日、実装における各端子の配線長さの違いが、素子の動作に影響を及ぼすまでに至った。そのため、ハイエンド用途の素子の実装では、実装配線の長さを正確に制御する必要が生じ、ワイヤボンディングではその要求を満たすことが困難となった。
したがって、半導体チップの表面に再配線層を形成し、その上にバンプ(電極)を形成した後、該チップを裏返し(フリップ)て、プリント基板に直接実装する、フリップチップ実装が提案されている(例えば特開2001−338947号公報)。このフリップチップ実装では、配線距離を正確に制御できるため、高速な信号を取り扱うハイエンド用途の素子に、あるいは、実装サイズの小ささから携帯電話等に、それぞれ採用され、需要が急拡大している。また、最近では、フリップチップ実装の進化形として、半導体チップから引き出せるピンの数を増やすために、半導体チップをダイシングした後、個片化したチップをモールド樹脂に埋め込んだモールド樹脂基板をつくり、その基板の上に再配線層を形成する、ファンアウト実装も提案されている。これらフリップチップ実装やファンアウト実装にポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、フェノール樹脂等の材料を使用する場合、該樹脂層のパターンが形成された後に、金属配線層形成工程を経る。金属配線層は、通常、樹脂層表面をプラズマエッチングして表面を粗化した後、メッキのシード層となる金属層を、1μm以下の厚みでスパッタにより形成した後、その金属層を電極として、電解メッキにより形成される。このとき、一般に、シード層となる金属としてはTiが、電解メッキにより形成される再配線層の金属としてはCuが用いられる。
更に、プリント基板やビルドアップ基板の場合、従来は、金属箔や金属でラミネートされた基板と、非感光性絶縁樹脂を積層し、ドリルもしくはレーザーで絶縁樹脂層に孔を開けることで、上下方向の導通をとっていたが、最近は配線のファインピッチ化にのため、径の小さい孔を開けることが求められており、基板上に、絶縁樹脂として感光性樹脂組成物を用いて、フォトリソグラフィーによって孔を開ける手法がとられるようになって来ている。この場合、導電層は、Cu箔を絶縁樹脂にラミネートもしくはプレスするか、無電解メッキもしくはスパッタによりシード層を樹脂上に形成してから、Cu等を電解メッキすることによって形成される(例えば特許第5219008号公報及び特許第4919501号公報)。
このような、感光性樹脂組成物とCuから形成される金属再配線層について、信頼性試験後に再配線された金属層と樹脂層との密着性が高いことが求められる。ここで行なわれる信頼性試験としては、例えば、空気中、125℃以上の高温で100時間以上保存する高温保存試験、配線を組んで電圧を印加しながら、空気中で、125℃程度の温度で100時間以上保存下での動作を確認する高温動作試験、空気中で、−65〜−40℃程度の低温状態と、125〜150℃程度の高温状態とをサイクルで行き来させる温度サイクル試験、85℃以上の温度で湿度85%以上の水蒸気雰囲気下で保存する高温高湿保存試験、同じ試験を、配線を組んで電圧を印加しながら行なう高温高湿バイアス試験、空気中もしくは窒素下で260℃のはんだリフロー炉を複数回通過させるはんだリフロー試験等を挙げることができる。
しかしながら、従来、上記信頼性試験の中で、高温保存試験の場合、試験後、再配線されたCu層の、樹脂層に接する界面でボイドが発生する、という問題があった。Cu層と樹脂層との界面でボイドが発生すると、両者の密着性が低下してしまう。
上記の実情に鑑みて、本発明の第四の態様は、シリコン、ガラス、ダミー基板、又は個片化されたシリコンチップを並べてモールド樹脂で埋めん込だ基板上に形成された、高温保存(high temperature storage)試験後、Cu層の、樹脂層に接する界面でボイドが発生しない、特定のCuの表面処理方法及び特定の感光性樹脂組成物を組み合わせて製造された再配線層を提供することを目的とする。
本発明者らは、シリコン、ガラス、ダミー基板、又は個片化されたシリコンチップを並べてモールド樹脂で埋め込んだ基板上に形成されたCu層の表面を、特定の方法で処理して、特定の感光性樹脂組成物と組み合わせることにより、高温保存試験特性に優れる配線層が得られることを見出し、本発明の第四の態様を完成させた。すなわち、本発明の第四の態様は以下のとおりである。
[1] シリコン、ガラス、化合物半導体、プリント基板、ビルドアップ基板、ダミー基板、もしくは個片化されたシリコンチップを並べてモールド樹脂で埋め込んだ基板上に形成された、表面に、最大高さ0.1μm以上5μm以下の凹凸が形成されていることを特徴とする銅の層と、硬化レリーフパターンの層を有し、該硬化レリーフパターンは感光性樹脂組成物を硬化したものであることを特徴とする再配線層。
[2]
(1)シリコン、ガラス、化合物半導体、プリント基板、ビルドアップ基板、ダミー基板、もしくは個片化されたシリコンチップを並べてモールド樹脂で埋め込んだ基板上に形成された、表面に最大高さ0.1μm以上5μm以下の凹凸が形成されていることを特徴とする銅の層の上に、感光性樹脂組成物を塗布することによって感光性樹脂層を銅層上に形成する工程と、
(2)前記感光性樹脂層を露光する工程と、
(3)前記露光後の感光性樹脂層を現像してレリーフパターンを形成する工程と、
(4)前記レリーフパターンを加熱処理することによって硬化レリーフパターンを形成する工程と
を含む、[1]に記載の再配線層の製造方法。
[3] 前記感光性樹脂組成物が、(A)ポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリアミド酸塩、ポリヒドロキシアミド、ポリアミノアミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、並びにノボラック、ポリヒドロキシスチレン及びフェノール樹脂から成る群より選ばれる少なくとも一種の樹脂を100質量部と、
(B)感光剤を前記樹脂100質量部を基準として1〜50質量部、
を含有する、[1]に記載の再配線層もしくは[2]に記載の方法。
[4] 前記(A)樹脂が、下記一般式(40)を含むポリイミド前駆体、下記一般式(43)を含むポリアミド、下記一般式(44)を含むポリオキサゾール前駆体、下記一般式(45)を含むポリイミド、並びにノボラック、ポリヒドロキシスチレン及び下記一般式(46)を含むフェノール樹脂、からなる群から選択される少なくとも一種である、[1]又は[3]に記載の再配線層もしくは[2]又は[3]に記載の方法。
{式中、X1cは、4価の有機基であり、Y1cは、2価の有機基であり、n1cは、2〜150の整数であり、そしてR1c及びR2cは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜30の飽和脂肪族基、芳香族基、又は下記一般式(41):
(式中、R3c、R4c及びR5cは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3の有機基であり、そしてm1cは、2〜10の整数である。)で表される1価の有機基、又は炭素数1〜4の飽和脂肪族基であり、又は、下記一般式(42):
(式中、R6c、R7c及びR8cは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3の有機基であり、そしてm2cは、2〜10の整数である。)で表される一価のアンモニウムイオンである。};
{式中、X2cは、炭素数6〜15の3価の有機基であり、Y2cは、炭素数6〜35の2価の有機基であり、かつ同一の構造であるか、又は複数の構造を有してよく、R9cは、炭素数3〜20のラジカル重合性の不飽和結合基を少なくとも一つ有する有機基であり、そしてn2cは、1〜1000の整数である。};
{式中、Y3cは、炭素原子を有する4価の有機基であり、Y4c、X3c及びX4cは、それぞれ独立に、2個以上の炭素原子を有する2価の有機基であり、n3cは、1〜1000の整数であり、n4cは、0〜500の整数であり、n3c/(n3c+n4c)>0.5であり、そしてX3c及びY3cを含むn3c個のジヒドロキシジアミド単位並びにX4c及びY4cを含むn4c個のジアミド単位の配列順序は問わない。};
{式中、X5cは、4〜14価の有機基であり、Y5cは、2〜12価の有機基であり、R10c及びR11cは、それぞれ独立に、フェノール性水酸基、スルホン酸基又はチオール基から選ばれる基を少なくとも一つ有する有機基を示し、n5cは、3〜200の整数であり、そしてm3c及びm4cは、0〜10の整数を示す。};
{式中、aは、1〜3の整数であり、bは、0〜3の整数であり、1≦(a+b)≦4であり、R12cは、炭素数1〜20の1価の有機基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1価の置換基を表し、bが2又は3である場合には、複数のR12cは、互いに同一でも又は異なっていてもよく、Xcは、不飽和結合を有していてもよい炭素数2〜10の2価の脂肪族基、炭素数3〜20の2価の脂環式基、下記一般式(47):
(式中、pは、1〜10の整数である。)で表される2価のアルキレンオキシド基、及び炭素数6〜12の芳香族環を有する2価の有機基からなる群から選択される2価の有機基を表す。}。
[5] 前記一般式(46)で表される繰り返し単位を有するフェノール樹脂を含み、前記一般式(46)中のXが、下記一般式(48):
{式中、R13c、R14c、R15c及びR16cは、各々独立に、水素原子、炭素数1〜10の1価の脂肪族基、又は水素原子の一部若しくは全部がフッ素原子で置換されてなる炭素数1〜10の1価の脂肪族基であり、n6cは0〜4の整数であって、n6cが1〜4の整数である場合のR17cは、ハロゲン原子、水酸基、又は炭素数1〜12の1価の有機基であり、少なくとも1つのR6cは水酸基であり、n6cが2〜4の整数である場合の複数のR17cは互いに同一でも又は異なっていてもよい。}で表される2価の基、及び下記一般式(49):
{式中、R18c、R19c、R20c及びR21cは、各々独立に、水素原子、炭素数1〜10の1価の脂肪族基、又は水素原子の一部若しくは全部がフッ素原子で置換されてなる炭素数1〜10の1価の脂肪族基を表し、Wは、単結合、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10の脂肪族基、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数3〜20の脂環式基、下記一般式(47):
(式中、pは、1〜10の整数である。)で表される2価のアルキレンオキシド基、及び下記式(50):
で表される2価の基からなる群から選択される2価の基である。}で表される2価の基からなる群から選択される2価の有機基である、[4]に記載の再配線層又は方法。
[6] シリコン、ガラス、化合物半導体、プリント基板、ビルドアップ基板、ダミー基板、もしくは個片化されたシリコンチップを並べてモールド樹脂で埋め込んだ基板上に形成された、表面に銅とスズを含む合金層、更にその上にシランカップリング剤の層が形成されていることを特徴とする銅の層と、硬化レリーフパターンの層を有し、該硬化レリーフパターンは感光性樹脂組成物の硬化したものであることを特徴とする再配線層。
[7]
(1)シリコン、ガラス、化合物半導体、プリント基板、ビルドアップ基板、ダミー基板、もしくは個片化されたシリコンチップを並べてモールド樹脂で埋め込んだ基板上に形成された、表面に銅とスズを含む合金層、更にその上にシランカップリング剤の層が形成されていることを特徴とする銅の層の上に、感光性樹脂組成物を塗布することによって感光性樹脂層を銅層上に形成する工程と、
(2)前記感光性樹脂層を露光する工程と、
(3)前記露光後の感光性樹脂層を現像してレリーフパターンを形成する工程と、
(4)前記レリーフパターンを加熱処理することによって硬化レリーフパターンを形成する工程と
を含む、[6]に記載の再配線層の製造方法。
[8] 前記感光性樹脂組成物が、(A)ポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリアミド酸塩、ポリヒドロキシアミド、ポリアミノアミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、並びにノボラック、ポリヒドロキシスチレン及びフェノール樹脂から成る群より選ばれる少なくとも一種の樹脂を100質量部と、
(B)感光剤を前記樹脂100質量部を基準として1〜50質量部、を含有する、[6]に記載の再配線層又は[7]に記載の方法。
[9] 前記(A)樹脂が、下記一般式(40)を含むポリイミド前駆体、下記一般式(43)を含むポリアミド、下記一般式(44)を含むポリオキサゾール前駆体、下記一般式(45)を含むポリイミド、並びにノボラック、ポリヒドロキシスチレン及び下記一般式(46)を含むフェノール樹脂、からなる群から選択される少なくとも一種である、[6]若しくは[8]に記載の再配線層又は[7]若しくは[8]に記載の方法。
{式中、X1cは、4価の有機基であり、Y1cは、2価の有機基であり、n1cは、2〜150の整数であり、そしてR1c及びR2cは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜30の飽和脂肪族基、芳香族基、又は下記一般式(41):
(式中、R3c、R4c及びR5cは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3の有機基であり、そしてm1cは、2〜10の整数である。)で表される1価の有機基、又は炭素数1〜4の飽和脂肪族基であり、又は、下記一般式(42):
(式中、R6c、R7c及びR8cは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3の有機基であり、そしてm2cは、2〜10の整数である。)で表される一価のアンモニウムイオンである。};
{式中、X2cは、炭素数6〜15の3価の有機基であり、Y2cは、炭素数6〜35の2価の有機基であり、かつ同一の構造であるか、又は複数の構造を有してよく、R9cは、炭素数3〜20のラジカル重合性の不飽和結合基を少なくとも一つ有する有機基であり、そしてn2cは、1〜1000の整数である。};
{式中、Y3cは、炭素原子を有する4価の有機基であり、Y4c、X3c及びX4cは、それぞれ独立に、2個以上の炭素原子を有する2価の有機基であり、n3cは、1〜1000の整数であり、n4cは、0〜500の整数であり、n3c/(n3c+n4c)>0.5であり、そしてX3c及びY3cを含むn3c個のジヒドロキシジアミド単位並びにX4c及びY4cを含むn4c個のジアミド単位の配列順序は問わない。};
{式中、X5cは、4〜14価の有機基であり、Y5cは、2〜12価の有機基であり、R10c及びR11cは、それぞれ独立に、フェノール性水酸基、スルホン酸基又はチオール基から選ばれる基を少なくとも一つ有する有機基を示し、n5cは、3〜200の整数であり、そしてm3c及びm4cは、0〜10の整数を示す。};
{式中、aは、1〜3の整数であり、bは、0〜3の整数であり、1≦(a+b)≦4であり、R12cは、炭素数1〜20の1価の有機基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1価の置換基を表し、bが2又は3である場合には、複数のR12Cは、互いに同一でも又は異なっていてもよく、Xcは、不飽和結合を有していてもよい炭素数2〜10の2価の脂肪族基、炭素数3〜20の2価の脂環式基、下記一般式(47):
(式中、pは、1〜10の整数である。)で表される2価のアルキレンオキシド基、及び炭素数6〜12の芳香族環を有する2価の有機基からなる群から選択される2価の有機基を表す。}。
[10] 前記感光性樹脂組成物が、前記一般式(46)で表される繰り返し単位を有するフェノール樹脂を含み、前記一般式(46)中のXが、下記一般式(48):
{式中、R13c、R14c、R15c及びR16cは、各々独立に、水素原子、炭素数1〜10の1価の脂肪族基、又は水素原子の一部若しくは全部がフッ素原子で置換されてなる炭素数1〜10の1価の脂肪族基であり、n6cは0〜4の整数であって、n6cが1〜4の整数である場合のR17cは、ハロゲン原子、水酸基、又は炭素数1〜12の1価の有機基であり、少なくとも1つのR6cは水酸基であり、n6cが2〜4の整数である場合の複数のR17cは互いに同一でも又は異なっていてもよい。}で表される2価の基、及び下記一般式(49):
{式中、R18c、R19c、R20c及びR21cは、各々独立に、水素原子、炭素数1〜10の1価の脂肪族基、又は水素原子の一部若しくは全部がフッ素原子で置換されてなる炭素数1〜10の1価の脂肪族基を表し、Wは、単結合、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10の脂肪族基、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数3〜20の脂環式基、下記一般式(47):
(式中、pは、1〜10の整数である。)で表される2価のアルキレンオキシド基、及び下記式(50):
で表される2価の基からなる群から選択される2価の基である。}で表される2価の基からなる群から選択される2価の有機基である、[9]に記載の再配線層もしくは方法。
本発明の第四の態様によれば、シリコン、ガラス、化合物半導体、プリント基板、ビルドアップ基板、ダミー基板、又は個片化されたシリコンチップを並べてモールド樹脂で埋め込んだ基板上に形成されたCu層の表面を、特定の方法で処理して、特定の感光性樹脂組成物と組み合わせることにより、高温保存試験特性に優れる配線層を提供することができる。
本発明の第四の態様について、以下に具体的に説明する。なお本明細書を通じ、一般式において同一符号で表されている構造は、分子中に複数存在する場合に、互いに同一であるか、又は異なっていてもよい。
<基板>
本発明で再配線層を形成するために用いられる基板としては、シリコン、ガラス、化合物半導体、プリント基板、ビルドアップ基板、ダミー基板、もしくは個片化されたシリコンチップを並べてモールド樹脂で埋め込んだ基板のいずれかを挙げることができる。形状は丸型、角型いずれでも良い。
シリコン基板は、内部に半導体及び微細配線が形成された基板であっても、内部に何も形成されていない基板あっても良い。また、表面にAl等で形成された電極部や凹凸が形成されていても良く、SiO2やSiN等からなるパッシベーション膜や、基板を貫く貫通孔が形成されていても良い。
ガラス基板は、無アルカリガラス、シリカガラス等、ガラスであれば材質は問わない。また、表面に凹凸が、裏面に配線層が形成されていても良く、基板を貫く貫通孔が形成されていても良い。
化合物半導体基板としては、例えばSiC、GaAs、GaP等を有する基板が挙げられる。この場合も、内部に半導体及び微細配線が形成された基板であっても、内部に何も形成されていない基板あっても良い。また、表面にAl等で形成された電極部や凹凸が形成されていても良く、SiO2やSiN等からなるパッシベーション膜や、基板を貫く貫通孔が形成されていても良い。
プリント基板は、片面板、両面板、多層板等、コア材と絶縁樹脂層を積層することによってなる通常の配線基板であり、配線基板を貫くスルーホールや配線間のブラインドビア等が形成されていても良い。
ビルドアップ基板は、プリント基板の一種だが、一括積層ではなく、コア材に対し、絶縁層もしくはCu付き絶縁層を逐次積層してできるものを言う。
ダミー基板は、その上に配線層を形成した後、基板と配線層の間を引き剥がすことにより、最終製品には残らない基板の総称である。材質は樹脂、シリコン、ガラス等何でもよく、最終的に基板と配線層の間を引き剥がす方法も、接着部を薬剤で溶解する等、化学的に処理する方法、接着部を加熱剥離する等、熱的に処理する方法、接着部にレーザー光を照射して剥離する等、光学的に処理する方法等、任意の方法を用いることができる。
個片化されたシリコンチップを並べてモールド樹脂で埋め込んだ基板とは、一旦シリコンウェハに半導体や再配線層をつくりこんでからダイシングして、通常のシリコンチップの形にしてから、それらを改めて別の基板上に並べて、上から封止樹脂等でモールドした基板を指す。
<銅層の形成>
本発明において、銅層は例えば通常スパッタでシード層を形成した後、電解メッキによって形成させる。シード層には通常Ti/Cuが用いられ、通常は厚み1μm以下である。樹脂上にスパッタを行なう場合は、樹脂との密着性の観点から、予め樹脂表面をプラズマエッチングで粗化しておくことが望ましい。また、シード層形成には、スパッタの代わりに無電解メッキを用いることもできる。
銅配線を形成するには、シード層を形成した後、表面にレジスト層を形成し、露光・現像によってレジストを所望のパターンにパターニングした後、所望の厚みになるよう、電解メッキでパターニングされた部分にのみ銅を析出させる。その後剥離液等を用いてレジストを剥離して、シード層をフラッシュエッチングにより除去する。
この他に、プリント基板で良く用いられる方法として、樹脂層とCu箔を積層することで樹脂上にCu層を形成する方法を挙げることもできる。
<銅の表面処理>
本発明で用いられる銅の表面処理方法としては、銅の表面をマイクロエッチングして、最大高さ0.1μm以上5μm以下の凹凸を形成する方法、もしくは銅の表面で無電解スズメッキを行なうことで、銅の表面にスズを含有する合金層を形成させ、更にシランカップリング剤と反応させる方法のいずれかを挙げることができる。
まずマイクロエッチングについて説明する。銅は、例えば、塩化第二銅水溶液によって酸性条件下でエッチングすることができる。このとき、例えばアミノ基を有する化合物等、特定の化合物を共存させることで、銅の表面を均一に溶解させるのではなく、銅の表面に溶解し易い部分と溶解しにくい部分を生じさせ、最大高さ0.1μm以上5μm以下の凹凸を形成させることができる(例えば特許文献2参照)。ここで、最大高さとは、銅表面が平均的にエッチングされた場合を基準として、表面の凹凸のプロファイルを見た場合の、凹凸の山頂部分から谷底部分までの長さを言う。最大高さは、銅と樹脂の密着性の観点から好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.2μm以上であり、絶縁信頼性の観点から好ましくは5μm以下、より好ましくは2μm以下である。また、マイクロエッチングを行なった後、凹凸の形成された銅の表面を更に防錆剤で処理しても良い。
次に、銅の表面をシランカップリング剤で処理する方法について説明する。シランカップリング剤は、銅の表面水酸基とは反応しにくいため、例えば、銅の表面で無電解スズメッキを行なうことで、銅よりもシランカップリング剤との反応性に富むスズを銅の表面に析出させ、それからシランカップリング剤で処理することが有効である(例えば特許文献3参照)。このとき銅の表面合金層には、スズの他、ニッケル等、任意の金属が含まれていても良い。
本発明で用いることができるシランカップリング剤としては、エポキシ基、アミノ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、ビニル基等を有するものが適する。シランカップリング剤処理の方法としては、例えば、シランカップリング剤の1%水溶液を金属表面に30分接触させる方法を挙げることができる。
このように、銅の表面に微細な凹凸を形成させる、もしくはスズとの合金層を介してシランカップリング剤の層を形成させることで、銅と樹脂の間の相互作用の状態を未処理の場合から変えることで、高温保存試験後の銅のマイグレーションを抑制することができる。
次に、再配線層の中の絶縁層に含まれる感光性樹脂組成物について説明する。
<感光性樹脂組成物>
本発明は、(A)ポリアミド酸、ポリアミド酸エステルポリアミド酸塩、ポリヒドロキシアミド、ポリアミノアミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、並びにノボラック、ポリヒドロキシスチレン及びフェノール樹脂から成る群より選ばれる少なくとも一種の樹脂:100質量部、
(B)感光剤:(A)樹脂100質量部を基準として1〜50質量部を必須成分とする。
(A)樹脂
本発明に用いられる(A)樹脂について説明する。本発明の(A)樹脂は、ポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリアミド酸塩、ポリヒドロキシアミド、ポリアミノアミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、並びにノボラック、ポリヒドロキシスチレン及びフェノール樹脂から成る群より選ばれる少なくとも一種の樹脂を主成分とする。ここで、主成分とは、これらの樹脂を全樹脂の60質量%以上含有することを意味し、80質量%以上含有することが好ましい。また、必要に応じて他の樹脂を含んでいてもよい。
これらの樹脂の重量平均分子量は、熱処理後の耐熱性、機械特性の観点から、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算で、200以上であることが好ましく、5,00以上がより好ましい。上限は500,000以下であることが好ましく、感光性樹脂組成物とする場合は、現像液に対する溶解性の観点から、20,000以下がより好ましい。
本発明において(A)樹脂は、レリーフパターンを形成させるために、感光性樹脂である。感光性樹脂は、後述の(B)感光剤とともに使用して感光性樹脂組成物となり、その後の現像工程において溶解又は未溶解の現象を引き起こす樹脂である。
感光性樹脂としてはポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリアミド酸塩、ポリヒドロキシアミド、ポリアミノアミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、並びにノボラック、ポリヒドロキシスチレン及びフェノール樹脂の中でも、熱処理後の樹脂が耐熱性、機械特性に優れることから、ポリアミド酸エステル、ポリアミド酸塩、ポリアミド、ポリヒドロキシアミド、ポリイミド及びフェノール樹脂が好ましく用いられる。また、これらの感光性樹脂は、後述の(B)感光剤とともに、ネガ型又はポジ型の何れの感光性樹脂組成物を調製するか等、所望の用途に応じて選択できる。
[(A)ポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリアミド酸塩]
本発明の感光性樹脂組成物において、耐熱性及び感光特性の観点から最も好ましい(A)樹脂の1つの例は、前記一般式(40):
{式中、X1cは、4価の有機基であり、Y1cは、2価の有機基であり、n1cは、2〜150の整数であり、R1c及びR2cは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜30の飽和脂肪族基、又は前記一般式(41):
(式中、R3c、R4c及びR5cは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3の有機基であり、そしてm1cは、2〜10の整数である。)で表される1価の有機基、又は炭素数1〜4の飽和脂肪族基である。}で表される一価の有機基;又は、
下記一般式(42):
(式中、R6c、R7c及びR8cは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3の有機基であり、そしてm2cは、2〜10の整数である。)で表される一価のアンモニウムイオン。}、
を含むポリアミド酸、ポリアミド酸エステル又はポリアミド酸塩である。
ポリアミド酸、ポリアミド酸エステル又はポリアミド酸塩は、加熱(例えば200℃以上)環化処理を施すことによってポリイミドに変換されることから、ポリイミド前駆体とみなされる。これらポリイミド前駆体は、ネガ型感光性樹脂組成物用として好適である。
上記一般式(40)中、X1Cで表される4価の有機基は、耐熱性と感光特性とを両立するという点で、好ましくは炭素数6〜40の有機基であり、さらに好ましくは、−COOR1基及び−COOR2基と−CONH−基とが互いにオルト位置にある芳香族基、又は脂環式脂肪族基である。X1Cで表される4価の有機基として、好ましくは芳香族環を含有する炭素原子数6〜40の有機基であり、さらに好ましくは、下記式(90):
{式中、R25bは水素原子、フッ素原子、C1〜C10の炭化水素基、C1〜C10の含フッ素炭化水素基から選ばれる1価の基であり、lは0〜2から選ばれる整数、mは0〜3から選ばれる整数、nは0〜4から選ばれる整数である。}
で表される構造が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、X1cの構造は1種でも2種以上の組み合わせでも構わない。上記式で表される構造を有するX1c基は、耐熱性と感光特性とを両立するという点で特に好ましい。
上記一般式(1)中、Y1cで表される2価の有機基は、耐熱性と感光特性とを両立するという点で、好ましくは炭素数6〜40の芳香族基であり、例えば、下記式(91):
{式中、R25bは水素原子、フッ素原子、C1〜C10の炭化水素基、C1〜C10の含フッ素炭化水素基から選ばれる1価の基であり、nは0〜4から選ばれる整数である。}
で表される構造が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、Y1cの構造は1種でも2種以上の組み合わせでも構わない。上記式(91)で表される構造を有するY1c基は、耐熱性及び感光特性を両立するという点で特に好ましい。
上記一般式(41)中のR3cは、水素原子又はメチル基であることが好ましく、R4c及びR5cは、感光特性の観点から水素原子であることが好ましい。また、m1cは、感光特性の観点から2以上10以下の整数、好ましくは2以上4以下の整数である。
(A)樹脂としてこれらポリイミド前駆体を用いる場合に、感光性樹脂組成物に感光性を付与する方式としては、エステル結合型とイオン結合型とが挙げられる。前者は、ポリイミド前駆体の側鎖にエステル結合によって光重合性基、すなわちオレフィン性二重結合を有する化合物を導入する方法であり、後者は、ポリイミド前駆体のカルボキシル基と、アミノ基を有する(メタ)アクリル化合物のアミノ基とをイオン結合を介して結合させて、光重合性基を付与する方法である。
上記エステル結合型のポリイミド前駆体は、まず、前述の4価の有機基X1Cを含むテトラカルボン酸二無水物と、光重合性の不飽和二重結合を有するアルコール類及び任意に炭素数1〜4の飽和脂肪族アルコール類とを反応させて、部分的にエステル化したテトラカルボン酸(以下、アシッド/エステル体ともいう)を調製した後、これと、前述の2価の有機基Y1を含むジアミン類とをアミド重縮合させることにより得られる。
(アシッド/エステル体の調製)
本発明で、エステル結合型のポリイミド前駆体を調製するために好適に用いられる、4価の有機基X1Cを含むテトラカルボン酸二無水物としては、上記一般式(90)に示されるテトラカルボン酸二無水物をはじめ、例えば、無水ピロメリット酸、ジフェニルエーテル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルメタン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−無水フタル酸)プロパン、2,2−ビス(3,4−無水フタル酸)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等を、好ましくは無水ピロメリット酸、ジフェニルエーテル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらは単独で用いることができるのは勿論のこと2種以上を混合して用いてもよい。
本発明で、エステル結合型のポリイミド前駆体を調製するために好適に用いられる、光重合性の不飽和二重結合を有するアルコール類としては、例えば、2−アクリロイルオキシエチルアルコール、1−アクリロイルオキシ−3−プロピルアルコール、2−アクリルアミドエチルアルコール、メチロールビニルケトン、2−ヒドロキシエチルビニルケトン、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−t−ブトキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルオキシプロピルアクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルアルコール、1−メタクリロイルオキシ−3−プロピルアルコール、2−メタクリルアミドエチルアルコール、メチロールビニルケトン、2−ヒドロキシエチルビニルケトン、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−t−ブトキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルオキシプロピルメタクリレート等を挙げることができる。
上記アルコール類に、炭素数1〜4の飽和脂肪族アルコールとして、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール等を一部混合して用いることもできる。
上記の本発明に好適なテトラカルボン酸二無水物と上記のアルコール類とを、ピリジン等の塩基性触媒の存在下、後述するような溶剤中、温度20〜50℃で4〜10時間撹拌溶解、混合することにより、酸無水物のエステル化反応が進行し、所望のアシッド/エステル体を得ることができる。
(ポリイミド前駆体の調製)
上記アシッド/エステル体(典型的には後述する反応溶剤中の溶液)に、氷冷下、適当な脱水縮合剤、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン、1,1−カルボニルジオキシ−ジ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、N,N’−ジスクシンイミジルカーボネート等を投入混合してアシッド/エステル体をポリ酸無水物とした後、これに、本発明で好適に用いられる2価の有機基Y1を含むジアミン類を別途溶剤に溶解又は分散させたものを滴下投入し、アミド重縮合させることにより、目的のポリイミド前駆体を得ることができる。もしくは、上記アシッド/エステル体を、塩化チオニル等を用いてアシッド部分を酸クロライド化した後に、ピリジン等の塩基存在下に、ジアミン化合物と反応させることにより、目的のポリイミド前駆体を得ることができる。
本発明で好適に用いられる2価の有機基Y1cを含むジアミン類としては、上記一般式(91)に示される構造を有するジアミンをはじめ、例えば、具体的化合物として、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4‘−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノビフェニル、3,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、
1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、4,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、9,10−ビス(4−アミノフェニル)アントラセン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3−アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、オルト−トリジンスルホン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、及びこれらのベンゼン環上の水素原子の一部が、メチル基、エチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ハロゲン等で置換されたもの、例えば3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチルベンジジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(フルオロ)−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノオクタフルオロビフェニル等、好ましくはp−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2’−ジメチルベンジジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(フルオロ)−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノオクタフルオロビフェニル等、並びにその混合物等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
また、本発明の感光性樹脂組成物を基板上に塗布することによって基板上に形成される樹脂層と各種基板との密着性の向上を目的に、ポリイミド前駆体の調製に際して、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラフェニルジシロキサン等のジアミノシロキサン類を共重合することもできる。
アミド重縮合反応終了後、当該反応液中に共存している脱水縮合剤の吸水副生物を必要に応じて濾別した後、水、脂肪族低級アルコール、又はその混合液等の貧溶媒を、得られた重合体成分に投入し、重合体成分を析出させ、さらに、再溶解、再沈析出操作等を繰り返すことにより、重合体を精製し、真空乾燥を行い、目的のポリイミド前駆体を単離する。精製度を向上させるために、陰イオン及び/又は陽イオン交換樹脂を適当な有機溶媒で膨潤させて充填したカラムに、この重合体の溶液を通し、イオン性不純物を除去してもよい。
一方、上記イオン結合型のポリイミド前駆体は、典型的には、テトラカルボン酸二無水物にジアミンを反応させて得られる。この場合、上記一般式(40)中のR1c及びR2cのうち少なくともいずれかはヒドロキシル基である。
テトラカルボン酸二無水物としては、上記式(90)の構造を含むテトラカルボン酸の無水物が好ましく、ジアミンとしては、上記式(91)の構造を含むジアミンが好ましい。得られたポリアミド前駆体に、後述する、アミノ基を有する(メタ)アクリル化合物を添加することで、カルボキシル基とアミノ基とのイオン結合により光重合性基が付与される。
アミノ基を有する(メタ)アクリル化合物として、例えばジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルメタクリレート、ジメチルアミノブチルアクリレート、ジメチルアミノブチルメタクリレート、ジエチルアミノブチルアクリレート、ジエチルアミノブチルメタクリレート、等のジアルキルアミノアルキルアクリレート又はメタクリレートが好ましく、中でも感光特性の観点から、アミノ基上のアルキル基が炭素数1〜10、アルキル鎖が炭素数1〜10のジアルキルアミノアルキルアクリレート又はメタクリレートが好ましい。
これらのアミノ基を有する(メタ)アクリル化合物の配合量は、(A)樹脂100質量部に対し、1〜20質量部であり、光感度特性の観点から2〜15質量部が好ましい。(B)感光剤として、アミノ基を有する(メタ)アクリル化合物を(A)樹脂100質量部に対し1質量部以上配合することで光感度に優れ、20質量部以下配合することで厚膜硬化性に優れる。
上記エステル結合型及び上記イオン結合型のポリイミド前駆体の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算重量平均分子量で測定した場合に、8,000〜150,000であることが好ましく、9,000〜50,000であることがより好ましい。重量平均分子量が8,000以上である場合機械物性が良好であり、150,000以下である場合現像液への分散性が良好で、レリーフパターンの解像性能が良好である。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーの展開溶媒としては、テトラヒドロフラン、及びN−メチル−2−ピロリドンが推奨される。また重量平均分子量は標準単分散ポリスチレンを用いて作成した検量線から求める。標準単分散ポリスチレンとしては、昭和電工社製 有機溶媒系標準試料 STANDARD SM−105から選ぶことが推奨される。
[(A)ポリアミド]
本発明の感光性樹脂組成物における好ましい(A)樹脂のさらに1つの例は、下記一般式(43):
{式中、X2cは、炭素数6〜15の3価の有機基であり、Y2cは、炭素数6〜35の2価の有機基であり、かつ同一の構造であるか、又は複数の構造を有してもよく、R9cは、炭素数3〜20のラジカル重合性の不飽和結合基を少なくとも一つ有する有機基であり、そしてn2cは、1〜1000の整数である。}
で表される構造を有するポリアミドである。このポリアミドはネガ型感光性樹脂組成物用として好適である。
上記一般式(43)中、R9で示される基としては、感光特性と耐薬品性とを両立するという点で、下記一般式(100)、
{式中、R32cは、炭素数2〜19のラジカル重合性の不飽和結合基を少なくとも一つ有する有機基である。}
で表される基であることが好ましい。
上記一般式(43)中、X2cで示される3価の有機基としては、炭素数が6〜15の3価の有機基であることが好ましく、例えば下記式(101):
で表される基の中から選ばれる芳香族基であることが好ましく、そしてアミノ基置換イソフタル酸構造からカルボキシル基及びアミノ基を除いた芳香族基であることがより好ましい。
上記一般式(43)中、Y2cで示される2価の有機基としては、炭素数が6〜35の有機基であることが好ましく、そして置換されていてもよい芳香族環又は脂肪族環を1〜4個有する環状有機基、または環状構造を持たない脂肪族基またはシロキサン基であることが更に好ましい。Y2cで示される2価の有機基としては、下記一般式(102)、(102−1):
{式中、R33c及びR34cは、それぞれ独立に、水酸基、メチル基(−CH3)、エチル基(−C2H5)、プロピル基(−C3H7)又はブチル基(−C4H9)から成る群から選ばれる一つの基であり、そして該プロピル基及びブチル基は、各種異性体を含む。}
{式中、m7cは、0〜8の整数であり、m8c及びm9cは、それぞれ独立に、0〜3の整数であり、m10c及びm11cは、それぞれ独立に、0〜10の整数であり、そしてR35c及びR36cは、メチル基(−CH3)、エチル基(−C2H5)、プロピル基(−C3H7)、ブチル基(−C4H9)又はこれらの異性体である。}が挙げられる。
環状構造を持たない脂肪族基またはシロキサン基としては、下記一般式(103):
{式中、m12Cは、2〜12の整数であり、m13Cは、1〜3の整数であり、m14Cは、1〜20の整数であり、そしてR37C、R38C、R39C及びR40Cは、それぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキル基又は置換されていてもよいフェニル基である。}が好ましいものとして挙げられる。
本発明のポリアミド樹脂は、例えば、以下のように合成することができる。
(フタル酸化合物封止体の合成)
第一に、3価の芳香族基X2cを有する化合物、例えばアミノ基で置換されたフタル酸、アミノ基で置換されたイソフタル酸、及び、アミノ基で置換されたテレフタル酸からなる群から選ばれた少なくとも1つ以上の化合物(以下、「フタル酸化合物」という)1モルと、アミノ基と反応する化合物1モルとを反応させて、該フタル酸化合物のアミノ基を後述のラジカル重合性の不飽和結合を含む基で修飾、封止した化合物(以下、「フタル酸化合物封止体」という)を合成する。これらは単独でもよいし、混合して用いてもよい。
フタル酸化合物を上記ラジカル重合性の不飽和結合を含む基で封止した構造とすると、ポリアミド樹脂にネガ型の感光性(光硬化性)を付与することができる。
ラジカル重合性の不飽和結合を含む基としては、炭素数3〜20のラジカル重合性の不飽和結合基を有する有機基であることが好ましく、メタクリロイル基又はアクリロイル基を含む基が特に好ましい。
上述のフタル酸化合物封止体は、フタル酸化合物のアミノ基と、炭素数3〜20のラジカル重合性の不飽和結合基を少なくとも一つ有する酸クロライド、イソシアネート又はエポキシ化合物等とを反応させることで得ることができる。
好適な酸クロライドとしては、(メタ)アクリロイルクロリド、2−[(メタ)アクリロイルオキシ]アセチルクロリド、3―[(メタ)アクリロイルオキシ]プロピオニルクロリド、2−[(メタ)アクリロイルオキシ]エチルクロロホルメート、3−[(メタ)アクリロイルオキシプロピル]クロロホルメートなどが挙げられる。好適なイソシアネートとしては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1−ビス[(メタ)アクリロイルオキシメチル]エチルイソシアネート、2−[2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ]エチルイソシアネートなどが挙げられる。好適なエポキシ化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、混合して用いてもよいが、メタクリロイルクロリドおよび/又は2−(メタクリロイルオキシ)エチルイソシアネートを用いるのが特に好ましい。
更に、これらのフタル酸化合物封止体としては、フタル酸化合物が5−アミノイソフタル酸であるものが、感光特性に優れると同時に、加熱硬化後の膜特性に優れたポリアミドを得ることができるために好ましい。
上記封止反応は、ピリジンなどの塩基性触媒又はジ−n−ブチルスズジラウレートなどのスズ系触媒の存在下、フタル酸化合物と封止剤とを、必要に応じて後述するような溶剤中で撹拌溶解、混合することにより進行させることができる。
酸クロライドなど、封止剤の種類によっては、封止反応の過程で塩化水素が副生するものがある。この場合は、以降の工程の汚染を防止する意味からも、一旦水再沈して水洗乾燥したり、イオン交換樹脂を充填したカラムを通してイオン成分を除去軽減したりするなど、適宜精製を行うことが好ましい。
(ポリアミドの合成)
上記フタル酸化合物封止体と2価の有機基Y2cを有するジアミン化合物を、ピリジン又はトリエチルアミンなどの塩基性触媒の存在下、後述するような溶剤中で混合し、アミド重縮合させることにより、本発明のポリアミドを得ることができる。
アミド重縮合方法としては、フタル酸化合物封止体を、脱水縮合剤を用いて対称ポリ酸無水物とした後にジアミン化合物と混合する方法、又はフタル酸化合物封止体を既知の方法により酸クロライド化した後にジアミン化合物と混合する方法、ジカルボン酸成分と活性エステル化剤を脱水縮合剤の存在下で反応させて活性エステル化させた後にジアミン化合物と混合する方法などが挙げられる。
脱水縮合剤としては、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン、1,1’−カルボニルジオキシ−ジ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、N,N’−ジスクシンイミジルカーボネートなどが好ましいものとして挙げられる。
クロロ化剤としては、塩化チオニルなどが挙げられる。
活性エステル化剤としては、N−ヒドロキシスクシンイミド又は1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸イミド、2−ヒドロキシイミノ−2−シアノ酢酸エチル、2−ヒドロキシイミノ−2−シアノ酢酸アミドなどが挙げられる。
有機基Y2を有するジアミン化合物としては、芳香族ジアミン化合物、芳香族ビスアミノフェノール化合物、脂環式ジアミン化合物、直鎖脂肪族ジアミン化合物、シロキサンジアミン化合物からなる群から選択される少なくとも1つのジアミン化合物であることが好ましく、所望に応じて複数を併用することも可能である。
芳香族ジアミン化合物としては、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノビフェニル、3,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、
3,3’−ジアミノジフェニルメタン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、9,10−ビス(4−アミノフェニル)アントラセン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3−アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、オルト−トリジンスルホン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、並びにこれらのベンゼン環上の水素原子の一部が、メチル基、エチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、及びハロゲン原子から成る群から選択される1つ以上の基で置換されたジアミン化合物が挙げられる。
このベンゼン環上の水素原子が置換されたジアミン化合物の例としては、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニルなどが挙げられる。
芳香族ビスアミノフェノール化合物としては、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス−(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス−(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)メタン、2,2−ビス−(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)プロパン、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、2,5−ジヒドロキシ−1,4−ジアミノベンゼン、4,6−ジアミノレゾルシノール、1,1−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4−(α−メチルベンジリデン)−ビス(2−アミノフェノール)などが挙げられる。
脂環式ジアミン化合物としては、1,3−ジアミノシクロペンタン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノ−1−メチルシクロヘキサン、3,5−ジアミノ−1,1−ジメチルシクロヘキサン、1,5−ジアミノ−1,3−ジメチルシクロヘキサン、1,3−ジアミノ−1−メチル−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,2−ジアミノ−4−メチルシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2,5−ジエチルシクロヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、2−(3−アミノシクロペンチル)−2−プロピルアミン、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミン、1−シクロヘプテン−3,7−ジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4’−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ−[5,5]−ウンデカンなどが挙げられる。
直鎖脂肪族ジアミン化合物としては、1,2−ジアミノエタン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,8−ジアミノオクタン、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカンなどの炭化水素型ジアミン、又は2−(2−アミノエトキシ)エチルアミン、2,2’−(エチレンジオキシ)ジエチルアミン、ビス[2−(2−アミノエトキシ)エチル]エーテルなどのアルキレンオキサイド型ジアミンなどが挙げられる。
シロキサンジアミン化合物としては、ジメチル(ポリ)シロキサンジアミン、例えば、信越化学工業製、商標名PAM−E、KF−8010、X−22−161Aなどが挙げられる。
アミド重縮合反応終了後、反応液中に析出してきた脱水縮合剤由来の析出物等を必要に応じて濾別する。次いで、反応液中に、水若しくは脂肪族低級アルコール又はその混合液などのポリアミドの貧溶媒を投入してポリアミドを析出させる。更に、析出したポリアミドを溶剤に再溶解させ、再沈析出操作を繰り返すことによって精製し、真空乾燥を行い、目的のポリアミドを単離する。なお、精製度を更に向上させるために、このポリアミドの溶液を、イオン交換樹脂を充填したカラムに通してイオン性不純物を除去してもよい。
ポリアミドのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下「GPC」という)によるポリスチレン換算重量平均分子量は、7,000〜70,000であることが好ましく、そして10,000〜50,000であることがより好ましい。ポリスチレン換算重量平均分子量が7,000以上であれば、硬化レリーフパターンの基本的な物性が確保される。また、ポリスチレン換算重量平均分子量が70,000以下であれば、レリーフパターンを形成する際の現像溶解性が確保される。
GPCの溶離液としては、テトラヒドロフラン又はN−メチル−2−ピロリドンが推奨される。また、重量平均分子量値は標準単分散ポリスチレンを用いて作成した検量線から求められる。標準単分散ポリスチレンとしては昭和電工製 有機溶媒系標準試料 STANDARD SM−105から選ぶことが推奨される。
[(A)ポリヒドロキシアミド]
本発明の感光性樹脂組成物における好ましい(A)樹脂のさらに1つの例は、下記一般式(44):
{式中、Y3Cは、炭素原子を有する4価の有機基であり、好ましくは2個以上の炭素原子を有する4価の有機基であり、Y4C、X3C及びX4Cは、それぞれ独立に、2個以上の炭素原子を有する2価の有機基であり、n3Cは、1〜1000の整数であり、n4Cは、0〜500の整数であり、n3C/(n3C+n4C)>0.5であり、そしてX3C及びY3Cを含むn3C個のジヒドロキシジアミド単位並びにX4C及びY4Cを含むn4C個のジアミド単位の配列順序は問わない。}で表される構造を有するポリヒドロキシアミド(以下、上記一般式(44)で表されるポリヒドロキシアミドを単に「ポリヒドロキシアミド」という場合がある。)である。
ポリオキサゾール前駆体は、上記一般式(44)中のn3C個のジヒドロキシジアミド単位(以下、単にジヒドロキシジアミド単位という場合がある。)を有するポリマーであり、上記一般式(44)中のn4C個のジアミド単位(以下、単にジアミド単位という場合がある。)を有してもよい。
X3Cの炭素原子数は、感光特性を得る目的で2個以上40個以下であることが好ましく、X4Cの炭素原子数は、感光特性を得る目的で2個以上40個以下であることが好ましく、Y3Cの炭素原子数は、感光特性を得る目的で2個以上40個以下であることが好ましく、そしてY4Cの炭素原子数は、感光特性を得る目的で2個以上40個以下であることが好ましい。
該ジヒドロキシジアミド単位は、Y3C(NH2)2(OH)2の構造を有するジアミノジヒドロキシ化合物(好ましくはビスアミノフェノール)及びX3C(COOH)2の構造を有するジカルボン酸からの合成により形成できる。以下、上記ジアミノジヒドロキシ化合物がビスアミノフェノールである場合を例に典型的な態様を説明する。該ビスアミノフェノールの2組のアミノ基とヒドロキシ基とはそれぞれ互いにオルト位にあるものであり、該ジヒドロキシジアミド単位は、約250〜400℃での加熱によって閉環して、耐熱性のポリオキサゾール構造に変化する。従って、ポリヒドロキシアミドは、ポリオキサゾール前駆体と言うこともできる。一般式(5)中のn3Cは、感光特性を得る目的で1以上、感光特性を得る目的で1000以下である。n3Cは2〜1000の範囲が好ましく、3〜50の範囲がより好ましく、3〜20の範囲であることが最も好ましい。
ポリヒドロキシアミドには、必要に応じて上記ジアミド単位n4C個が縮合されていてもよい。該ジアミド単位は、Y4C(NH2)2の構造を有するジアミン及びX4C(COOH)2の構造を有するジカルボン酸からの合成により形成できる。一般式(44)中のn4Cは、0〜500の範囲であり、n4Cが500以下であることにより良好な感光特性が得られる。n4Cは0〜10の範囲がより好ましい。ジヒドロキシジアミド単位に対するジアミド単位の割合が高すぎると現像液として使用するアルカリ性水溶液への溶解性が低下するので、一般式(5)中のn3C/(n3C+n4C)の値は0.5超であり、0.7以上であることがより好ましく、0.8以上であることが最も好ましい。
Y3C(NH2)2(OH)2の構造を有するジアミノジヒドロキシ化合物としてのビスアミノフェノールとしては、例えば、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,4−ジアミノ−2,5−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジアミノ−2,4−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジアミノ−4,6−ジヒドロキシベンゼン等が挙げられる。これらのビスアミノフェノールは単独又は2種以上を組合せて使用できる。該ビスアミノフェノールにおけるY3基としては、下記式(104):
{式中、Rs1とRs2は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリフルオロメチル基を表す} で表されるものが、感光特性の点で好ましい。
また、Y4C(NH2)2の構造を有するジアミンとしては、芳香族ジアミン、シリコンジアミン等が挙げられる。このうち芳香族ジアミンとしては、例えば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−トリレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルケトン、4,4’−ジアミノジフェニルケトン、3,4’−ジアミノジフェニルケトン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4−メチル−2,4−ビス(4−アミノフェニル)−1−ペンテン、
4−メチル−2,4−ビス(4−アミノフェニル)−2−ペンテン、1,4−ビス(α,α−ジメチル−4−アミノベンジル)ベンゼン、イミノ−ジ−p−フェニレンジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、4−メチル−2,4−ビス(4−アミノフェニル)ペンタン、5(又は6)−アミノ−1−(4−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、ビス(p−アミノフェニル)ホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノアゾベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニル尿素、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ベンゾフェノン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4’−ビス[4−(α,α−ジメチル−4−アミノベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(α,α―ジメチル−4−アミノベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノビフェニル、
4,4’−ジアミノベンゾフェノン、フェニルインダンジアミン、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、o−トルイジンスルホン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルフィド、1,4−(4−アミノフェノキシフェニル)ベンゼン、1,3−(4−アミノフェノキシフェニル)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−ジ−(3−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノベンズアニリド等、並びに、これら芳香族ジアミンの芳香核の水素原子が、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、メチル基、メトキシ基、シアノ基及びフェニル基から成る群より選ばれる少なくとも1種の基又は原子によって置換された化合物が挙げられる。
また、上記ジアミンとして、基材との接着性を高めるためにシリコンジアミンを選択することができる。シリコンジアミンの例としては、ビス(4−アミノフェニル)ジメチルシラン、ビス(4−アミノフェニル)テトラメチルシロキサン、ビス(4−アミノフェニル)テトラメチルジシロキサン、ビス(γ−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,4−ビス(γ−アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、ビス(4−アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、ビス(γ−アミノプロピル)テトラフェニルジシロキサン等が挙げられる。
また、X3C(COOH)2又はX4C(COOH)2の構造を有する好ましいジカルボン酸としては、X3C及びX4Cが、それぞれ、直鎖、分岐鎖又は環状構造を有する脂肪族基又は芳香族基であるものが挙げられる。中でも、芳香族環又は脂肪族環を含有していても良い炭素原子数2個以上40個以下の有機基が好ましく、X3C及びX4Cは、それぞれ、下記式(105):
{式中、R41Cは、−CH2−、−O−、−S−、−SO2−、−CO−、−NHCO−及び−C(CF3)2−から成る群から選択される2価の基を表す。}
で表される芳香族基から好ましく選択でき、これらは感光特性の点で好ましい。
ポリオキサゾール前駆体は、末端基が特定の有機基で封止されたものでもよい。封止基で封止されたポリオキサゾール前駆体を用いる場合、本発明の感光性樹脂組成物の加熱硬化後の塗膜の機械物性(特に伸度)及び硬化レリーフパターン形状が良好となることが期待される。このような封止基の好適な例としては、下記式(106):
で表されるものが挙げられる。
ポリオキサゾール前駆体のゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算重量平均分子量は、3,000〜70,000であることが好ましく、6,000〜50,000であることがより好ましい。この重量平均分子量は、硬化レリーフパターンの物性の観点から3,000以上が好ましい。また、解像性の観点から、70,000以下が好ましい。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーの展開溶媒としては、テトラヒドロフラン、N−メチル−2−ピロリドンが推奨される。また分子量は標準単分散ポリスチレンを用いて作成した検量線から求める。標準単分散ポリスチレンとしては昭和電工社製 有機溶媒系標準試料 STANDARD SM−105から選ぶことが推奨される。
[(A)ポリイミド]
本発明の感光性樹脂組成物における好ましい(A)樹脂のさらに1つの例は、前記一般式(45):
{式中、X5Cは、4〜14価の有機基、Y5Cは、2〜12価の有機基、R10C及びR11Cは、フェノール性水酸基、スルホン酸基又はチオール基から選ばれる基を少なくとも一つ有する有機基を示し、かつ同一であるか、又は異なっていてよく、n5Cは、3〜200の整数であり、そしてm3C及びm4Cは、0〜10の整数である。}
で表される構造を有するポリイミドである。ここで、一般式(45)で表される樹脂は、十分な膜特性を発現する上で熱処理の工程で化学変化を要さないので、より低温での処理に好適である点で特に好ましい。
上記一般式(45)にて示される構造単位中のX5は、炭素数4〜40の4価〜14価の有機基であることが好ましく、耐熱性と感光特性とを両立するという点で、芳香族環又は脂肪族環を含有する炭素原子数5〜40の有機基であることがさらに好ましい。
上記一般式(45)で表されるポリイミドは、テトラカルボン酸、対応するテトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドなどとジアミン、対応するジイソシアネート化合物、トリメチルシリル化ジアミンを反応させて得ることができる。ポリイミドは、一般にテトラカルボン酸二無水物とジアミンを反応させて得られるポリイミド前駆体の1つであるポリアミド酸を、加熱又は酸若しくは塩基などによる化学処理で脱水閉環することで得ることができる。
好適なテトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’、4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン酸二無水物、
9,9−ビス{4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル}フルオレン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物、又はブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族のテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物及び下記一般式(107):
{式中、R42Cは、酸素原子、C(CF3)2、C(CH3)2又はSO2から選ばれる基を示し、そしてR43C及びR44Cは、同一であるか、又は異なっていてもよく、かつ水素原子、水酸基又はチオール基から選ばれる基を示す。}で表される化合物が挙げられる。
これらのうち、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、
ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン酸二無水物、9,9−ビス{4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル}フルオレン酸二無水物及び下記一般式(108)
{式中、R45Cは、酸素原子、C(CF3)2、C(CH3)2又はSO2から選ばれる基を示し、そしてR46C及びR47Cは、同一であるか、又は異なっていてもよく、かつ水素原子、水酸基又はチオール基から選ばれる基を示す。}で表される構造の酸二無水物が好ましい。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
上記一般式(45)のY5Cは、ジアミンの構造成分を表しており、このジアミンとしては、芳香族環又は脂肪族環を含有する2〜12価の有機基を表し、中でも炭素原子数5〜40の有機基が好ましい。
ジアミンの具体的な例としては、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、ベンジン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、
3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’,3,3’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’,4,4’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジ(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン又はこれらの芳香族環にアルキル基若しくはハロゲン原子で置換した化合物、或いは脂肪族のシクロヘキシルジアミン、メチレンビスシクロヘキシルアミン及び、下記一般式(109):
{式中、R48Cは、酸素原子、C(CF3)2、C(CH3)2又はSO2から選ばれる基を示し、そしてR49C〜R52Cは、同一であるか、又は異なっていてよく、かつ水素原子、水酸基又はチオール基から選ばれる基を示す。}で表される構造のジアミンなどが挙げられる。
これらのうち、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、m−フェニレンジアミン、P−フェニレンジアミン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン及び、下記一般式(110):
{式中、R53Cは、酸素原子、C(CF3)2、C(CH3)2又はSO2から選ばれる基を示し、そしてR54C〜R57Cは、同一であるか、又は異なっていてよく、かつ水素原子、水酸基又はチオール基から選ばれる基を示す。}
で表される構造のジアミンが好ましい。
これらのうち、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、および下記一般式(111):
{式中、R58Cは、酸素原子、C(CF3)2、C(CH3)2又はSO2から選ばれる基を示し、そしてR59C及びR60Cは、同一であるか、又は異なっていてよく、かつ水素原子、水酸基又はチオール基から選ばれる基を示す。}
で表される構造のジアミンが特に好ましい。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
一般式(45)のR10C及びR11Cは、フェノール性水酸基、スルホン酸基、又はチオール基を表している。本発明においては、R10C及びR11Cとしてフェノール性水酸基、スルホン酸基及び/又はチオール基を混在させることができる。
R10C及びR11Cのアルカリ可溶性基の量を制御することで、アルカリ水溶液に対する溶解速度が変化するので、この調整により適度な溶解速度を有した感光性樹脂組成物を得ることができる。
さらに、基板との接着性を向上させるために、耐熱性を低下させない範囲でX5C、Y5Cとしてシロキサン構造を有する脂肪族の基を共重合してもよい。具体的には、ジアミン成分として、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、ビス(p−アミノ−フェニル)オクタメチルペンタシロキサンなどを1〜10モル%共重合したものなどがあげられる。
上記ポリイミドは、例えば、低温中でテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物(一部をモノアミンである末端封止剤に置換)を反応させる方法、低温中でテトラカルボン酸二無水物(一部を酸無水物またはモノ酸クロリド化合物又はモノ活性エステル化合物である末端封止剤に置換)とジアミン化合物を反応させる方法、テトラカルボン酸二無水物とアルコールとによりジエステルを得、その後ジアミン(一部をモノアミンである末端封止剤に置換)と縮合剤の存在下で反応させる方法、テトラカルボン酸二無水物とアルコールとによりジエステルを得、その後残りのジカルボン酸を酸クロリド化し、ジアミン(一部をモノアミンである末端封止剤に置換)と反応させる方法などの方法を利用して、ポリイミド前駆体を得、これを、既知のイミド化反応法を用いて完全イミド化させる方法、または、途中でイミド化反応を停止し、一部イミド構造を導入する(この場合はポリアミドイミド)方法、さらには、完全イミド化したポリマーと、そのポリイミド前駆体をブレンドする事によって、一部イミド構造を導入する方法を利用して合成することができる。
上記ポリイミドは、感光性樹脂組成物を構成する樹脂全体に対し、イミド化率が15%以上になるように、ポリイミドを有していることが好ましい。さらに好ましくは20%以上である。ここでイミド化率とは、感光性樹脂組成物を構成する樹脂全体に存在するイミド化の割合を指す。イミド化率が15%を下回ると熱硬化時の収縮量が大きくなり、厚膜作製には適さない。
イミド化率は、以下の方法で容易に算出できる。まず、ポリマーの赤外吸収スペクトルを測定、ポリイミドに起因するイミド構造の吸収ピーク(1780cm−1付近、1377cm−1付近)の存在を確認する。次に、そのポリマーを350℃で1時間熱処理し、熱処理後の赤外吸収スペクトルを測定し、1377cm−1付近のピーク強度を熱処理前の強度と比較することによって、熱処理前ポリマー中のイミド化率を算出する。
上記ポリイミドの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算重量平均分子量で測定した場合に、3,000〜200,000であることが好ましく、5,000〜50,000であることがより好ましい。重量平均分子量が3,000以上である場合機械物性が良好であり、50,000以下である場合現像液への分散性が良好で、レリーフパターンの解像性能が良好である。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーの展開溶媒としては、テトラヒドロフラン、及びN−メチル−2−ピロリドンが推奨される。また分子量は標準単分散ポリスチレンを用いて作成した検量線から求める。標準単分散ポリスチレンとしては、昭和電工社製 有機溶媒系標準試料 STANDARD SM−105から選ぶことが推奨される。
さらに本発明においては、フェノール樹脂も好適に使用することができる。
[(A)フェノール樹脂]
本実施形態におけるフェノール樹脂とは、フェノール性水酸基を有する繰り返し単位を有する樹脂を意味する。(A)フェノール樹脂は、熱硬化時にポリイミド前駆体が環化(イミド化)するような構造変化がおこらないため、低温(例えば250℃以下)での硬化が可能であるという利点を有する。
本実施形態では、(A)フェノール樹脂の重量平均分子量は、好ましくは700〜100,000であり、より好ましくは1,500〜80,000であり、更に好ましくは2,000〜50,000である。重量平均分子量は、硬化膜のリフロー処理適用性の観点から、700以上であることが好ましく、一方で、感光性樹脂組成物のアルカリ溶解性の観点から、100,000以下であることが好ましい。
本開示における重量平均分子量の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により行い、標準ポリスチレンを用いて作成した検量線により算出することができる。
(A)フェノール樹脂は、アルカリ水溶液への溶解性、レジストパターンを形成する際の感度と解像性、及び硬化膜の残留応力の観点から、ノボラック、ポリヒドロキシスチレン、下記一般式(46):
{式中、aは、1〜3の整数であり、bは、0〜3の整数であり、1≦(a+b)≦4であり、R12Cは、炭素数1〜20の1価の有機基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1価の置換基を表し、bが2又は3である場合には、複数のR12Cは、互いに同一でも又は異なっていてもよく、Xは、不飽和結合を有していてもよい炭素数2〜10の2価の脂肪族基、炭素数3〜20の2価の脂環式基、下記一般式(47):
(式中、pは、1〜10の整数である。)で表される2価のアルキレンオキシド基、及び炭素数6〜12の芳香族環を有する2価の有機基からなる群から選択される2価の有機基を表す。}
で表される繰り返し単位を有するフェノール樹脂、及び炭素数4〜100の不飽和炭化水素基を有する化合物で変性されたフェノール樹脂から選択される少なくとも1種のフェノール樹脂であることが好ましい。
(ノボラック)
本開示で、ノボラックとは、フェノール類とホルムアルデヒドとを触媒の存在下で縮合させることにより得られるポリマー全般を意味する。一般に、ノボラックは、フェノール類1モルに対し、ホルムアルデヒド1モル未満を縮合させて得ることができる。上記フェノール類としては、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−ブチルフェノール、m−ブチルフェノール、p−ブチルフェノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、カテコール、レゾルシノール、ピロガロール、α−ナフトール、β−ナフトール等が挙げられる。具体的なノボラックとしては、例えば、フェノール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂、クレゾール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂、フェノール−ナフトール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂等が挙げられる。
ノボラックの重量平均分子量は、好ましくは700〜100,000であり、より好ましくは1,500〜80,000であり、更に好ましくは2,000〜50,000である。重量平均分子量は、硬化膜のリフロー処理適用性の観点から、700以上であることが好ましく、一方で、感光性樹脂組成物のアルカリ溶解性の観点から、100,000以下であることが好ましい。
(ポリヒドロキシスチレン)
本開示で、ポリヒドロキシスチレンとは、ヒドロキシスチレンを重合単位として含有するポリマー全般を意味する。ポリヒドロキシスチレンの好ましい例としては、ポリパラビニルフェノールが挙げられる。ポリパラビニルフェノールは、パラビニルフェノールを重合単位として含有するポリマー全般を意味する。従って、本発明の目的に反しない限りは、ポリヒドロキシスチレン(例えばポリパラビニルフェノール)を構成するために、ヒドロキシスチレン(例えばパラビニルフェノール)以外の重合単位を使用することができる。ポリヒドロキシスチレンにおいて、全重合単位のモル数基準でのヒドロキシスチレン単位のモル数の割合は、好ましくは10モル%〜99モル%、より好ましくは20〜97モル%、更に好ましくは30〜95モル%である。上記割合が10モル%以上である場合、感光性樹脂組成物のアルカリ溶解性の観点で有利であり、99モル%以下である場合、後述の共重合成分を含有する組成物を硬化した硬化膜のリフロー適用性の観点から有利である。ヒドロキシスチレン(例えばパラビニルフェノール)以外の重合単位は、ヒドロキシスチレン(例えばパラビニルフェノール)と共重合可能な任意の重合単位であることができる。ヒドロキシスチレン(例えばパラビニルフェノール)以外の重合単位を与える共重合成分としては、限定されるものではないが、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ブチルメタクリレート、オクチルアクリレート、2−エトキシエチルメタアクリレート、t−ブチルアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、デカメチレングリコールジアクリレート、デカメチレングリコールジメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、2,2−ジメチロールプロパンジアクリレート、グリセロールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、2,2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)−プロパンジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリオキシエチル−2−2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)−プロパンジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリメタクリレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、1−フェニルエチレン−1,2−ジメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,5−ペンタンジオールジメタクリレート及び1,4−ベンゼンジオールジメタクリレートのようなアクリル酸のエステル;スチレン並びに、例えば、2−メチルスチレン及びビニルトルエンのような置換スチレン;例えば、ビニルアクリレート及びビニルメタクリレートのようなビニルエステルモノマー;並びにo−ビニルフェノール、m−ビニルフェノール等が挙げられる。
また、上記で説明されたノボラック及びポリヒドロキシスチレンとしては、それぞれ、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用されることができる。
ポリヒドロキシスチレンの重量平均分子量は、好ましくは700〜100,000であり、より好ましくは1,500〜80,000であり、更に好ましくは2,000〜50,000である。重量平均分子量は、硬化膜のリフロー処理適用性の観点から、700以上であることが好ましく、一方で、感光性樹脂組成物のアルカリ溶解性の観点から、100,000以下であることが好ましい。
(一般式(46)で表されるフェノール樹脂)
本実施形態では、(A)フェノール樹脂が、下記一般式(46):
{式中、aは、1〜3の整数であり、bは、0〜3の整数であり、1≦(a+b)≦4であり、R12Cは、炭素数1〜20の1価の有機基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1価の置換基を表し、bが2又は3である場合には、複数のR12Cは、互いに同一でも又は異なっていてよく、Xは、不飽和結合を有していてもよい炭素数2〜10の2価の脂肪族基、炭素数3〜20の2価の脂環式基、下記一般式(47):
(式中、pは、1〜10の整数である。)で表される2価のアルキレンオキシド基、及び炭素数6〜12の芳香族環を有する2価の有機基からなる群から選択される2価の有機基を表す。}で表される繰り返し単位を有するフェノール樹脂を含むこともまた好ましい。上記の繰り返し単位を有するフェノール樹脂は、例えば従来使用されてきたポリイミド樹脂及びポリベンゾオキサゾール樹脂と比べて低温での硬化が可能であり、かつ良好な伸度を有する硬化膜の形成を可能にする点で特に有利である。フェノール樹脂分子中に存在する上記繰り返し単位は、1種又は2種以上の組合せであることができる。
上記一般式(46)において、R12Cは、一般式(46)にかかる樹脂を合成する際の反応性の観点から、炭素数1〜20の1価の有機基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1価の置換基である。R12は、アルカリ溶解性の観点から、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、不飽和結合を有していてもよい炭素数1〜10の脂肪族基、炭素数6〜20の芳香族基、及び下記一般式(112):
{式中、R61C、R62C及びR63Cは、各々独立に、水素原子、不飽和結合を有していてもよい炭素数1〜10の脂肪族基、炭素数3〜20の脂環式基、又は炭素数6〜20の芳香族基を表し、そしてR64Cは、不飽和結合を有していてもよい炭素数1〜10の2価の脂肪族基、炭素数3〜20の2価の脂環式基、又は炭素数6〜20の2価の芳香族基を表す。}で表される4つの基からなる群から選択される1価の置換基であることが好ましい。
本実施形態では、上記一般式(46)において、aは、1〜3の整数であるが、アルカリ溶解性及び伸度の観点から2が好ましい。また、aが2である場合には、水酸基同士の置換位置は、オルト、メタ及びパラ位のいずれであってもよい。そしてaが3である場合には、水酸基同士の置換位置は、1,2,3−位、1,2,4−位及び1,3,5−位等、いずれであってもよい。
本実施形態では、上記一般式(46)において、aが1の場合は、アルカリ溶解性を向上するために、一般式(46)で表される繰り返し単位を有するフェノール樹脂(以下、(a1)樹脂ともいう)にさらにノボラック及びポリヒドロキシスチレンから選択されるフェノール樹脂(以下(a2)樹脂ともいう)を混合することができる。
(a1)樹脂と(a2)樹脂との混合比は、質量比で(a1)/(a2)=10/90〜90/10の範囲であることが好ましい。この混合比は、アルカリ水溶液中での溶解性、及び硬化膜の伸度の観点から、(a1)/(a2)=10/90〜90/10が好ましく、(a1)/(a2)=20/80〜80/20であることがより好ましく、(a1)/(a2)=30/70〜70/30であることがさらに好ましい。
上記(a2)樹脂としてのノボラック及びポリヒドロキシスチレンとしては、上記(ノボラック)及び(ポリヒドロキシスチレン)の項に示したものと同様の樹脂を使用できる。
本実施形態では、上記一般式(46)において、bは、0〜3の整数であるが、アルカリ溶解性及び伸度の観点から、0又は1であることが好ましい。また、bが2又は3である場合には、複数のR12Cは、互いに同一でも又は異なっていてもよい。
さらに、本実施形態では、上記一般式(46)において、a及びbは、1≦(a+b)≦4の関係を満たす。
本実施形態では、上記一般式(46)において、Xは、硬化レリーフパターン形状及び、硬化膜の伸度の観点から、不飽和結合を有していてもよい炭素数2〜10の2価の脂肪族基、炭素数3〜20の2価の脂環式基、上記一般式(47)で表されるアルキレンオキシド基、及び炭素数6〜12の芳香族環を有する2価の有機基からなる群から選択される2価の有機基である。これらの2価の有機基の中で、硬化後の膜の強靭性の観点から、Xは、下記一般式(48):
{式中、R13C、R14C、R15C及びR16cは、各々独立に、水素原子、炭素数1〜10の1価の脂肪族基、又は水素原子の一部若しくは全部がフッ素原子で置換されてなる炭素数1〜10の1価の脂肪族基であり、n6Cは0〜4の整数であって、n6Cが1〜4の整数である場合のR17Cは、ハロゲン原子、水酸基、又は炭素数1〜12の1価の有機基であり、少なくとも1つのR17Cは水酸基であり、n6Cが2〜4の整数である場合の複数のR17Cは互いに同一でも又は異なっていてもよい。}で表される2価の基、及び下記一般式(49):
{式中、R18C、R19C、R20C及びR21Cは、各々独立に、水素原子、炭素数1〜10の1価の脂肪族基、又は水素原子の一部若しくは全部がフッ素原子で置換されてなる炭素数1〜10の1価の脂肪族基を表し、Wは、単結合、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10の脂肪族基、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数3〜20の脂環式基、下記一般式(47):
(式中、pは、1〜10の整数である。)で表される2価のアルキレンオキシド基、及び下記式(50):
で表される2価の基からなる群から選択される2価の有機基である。}で表される2価の基からなる群から選択される2価の有機基であることが好ましい。上記炭素数6〜12の芳香族環を有する2価の有機基Xの炭素数は、好ましくは8〜75、より好ましくは8〜40である。なお上記炭素数6〜12の芳香族環を有する2価の有機基Xの構造は、一般的には、上記一般式(46)中、OH基及び任意のR12基が芳香環に結合している構造とは異なる。
更に、上記一般式(49)で表される2価の有機基は、樹脂組成物のパターン形成性、及び硬化後の硬化膜の伸度が良好である観点から、下記式(113):
で表される2価の有機基であることがより好ましく、さらに下記式(114):
で表される2価の有機基であることが特に好ましい。
一般式(46)で表される構造中、Xは、前記式(113)又は(114)で表される構造が特に好ましく、Xにおける式(113)又は(114)で表される構造で表される部位の割合は、伸度の観点から、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましい。上記割合は、組成物のアルカリ溶解性の観点から、80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましい。
また、上記一般式(46)で表される構造を有するフェノール樹脂の中で、下記一般式(115)で表される構造及び下記一般式(116)で表される構造の両方を同一樹脂骨格内に有する構造は、組成物のアルカリ溶解性及び、硬化膜の伸度の観点から特に好ましい。
下記一般式(115)は、
{式中、R21dは炭化水素基及びアルコキシ基からなる群から選択される炭素数1〜10の1価の基であり、n7Cは2又は3であり、n8Cは0〜2の整数であり、m5Cは1〜500の整数であり、2≦(n7C+n8C)≦4であり、n8Cが2の場合には、複数のR21dは互いに同一でも又は異なっていてもよい。}で表され、
下記一般式(116)は、
{式中、R22C及びR23Cは各々独立に炭化水素基及びアルコキシ基からなる群から選択される炭素数1〜10の1価の基であり、n9Cは1〜3の整数であり、n10Cは0〜2の整数であり、n11Cは0〜3の整数であり、m6Cは1〜500の整数であり、2≦(n9C+n10C)≦4であり、n10Cが2の場合には、複数のR22Cは互いに同一でも又は異なっていてもよく、n11Cが2又は3の場合には、複数のR23Cは互いに同一でも又は異なっていてもよい。}で表される。
上記一般式(115)のm5及び上記一般式(116)のm6は、フェノール樹脂の主鎖におけるそれぞれの繰り返し単位の総数を表す。すなわち、(A)フェノール樹脂において、例えば、上記一般式(115)で表される構造における括弧内の繰り返し単位と上記一般式(116)で表される構造における括弧内の繰り返し単位とは、ランダム、ブロック又はこれらの組合せで配列されていることができる。m5及びm6は各々独立に1〜500の整数であり、下限値は、好ましくは2、より好ましくは3であり、上限値は、好ましくは450、より好ましくは400、さらに好ましくは350である。m5及びm6は、各々独立に、硬化後の膜の強靭性の観点から、2以上であることが好ましく、アルカリ水溶液中での溶解性の観点から、450以下であることが好ましい。m5及びm6の合計は、硬化後の膜の強靭性の観点から、好ましくは2以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは6以上であり、アルカリ水溶液中での溶解性の観点から、好ましくは200以下、より好ましくは175以下、更に好ましくは150以下である。
上記一般式(115)で表される構造及び上記一般式(116)で表される構造の両方を同一樹脂骨格内に有する(A)フェノール樹脂において、上記一般式(115)で表される構造のモル比率が高いほど、硬化後の膜物性が良好であり、耐熱性にも優れ、一方、上記一般式(116)で表される構造のモル比率が高いほど、アルカリ溶解性が良好であり、硬化後のパターン形状に優れる。従って、上記一般式(115)で表される構造の上記一般式(116)で表される構造に対する比率m5C/m6Cは、硬化後の膜物性の観点から、好ましくは20/80以上、より好ましくは40/60以上、特に好ましくは50/50以上であり、アルカリ溶解性及び硬化レリーフパターン形状の観点から、好ましくは90/10以下、より好ましくは80/20以下、さらに好ましくは70/30以下である。
一般式(46)で表される繰り返し単位を有するフェノール樹脂は、典型的には、フェノール化合物と、共重合成分(具体的には、アルデヒド基を有する化合物(トリオキサンのように分解してアルデヒド化合物を生成する化合物も含む)、ケトン基を有する化合物、メチロール基を分子内に2個有する化合物、アルコキシメチル基を分子内に2個有する化合物、及びハロアルキル基を分子内に2個有する化合物からなる群から選択される1種類以上の化合物)とを含み、より典型的にはこれらからなるモノマー成分を、重合反応させることによって合成できる。例えば、下記に示すようなフェノール及び/又はフェノール誘導体(以下、総称して「フェノール化合物」ともいう。)に対し、アルデヒド化合物、ケトン化合物、メチロール化合物、アルコキシメチル化合物、ジエン化合物、又はハロアルキル化合物等の共重合成分を重合させて(A)フェノール樹脂を得ることができる。この場合、上記一般式(46)中、OH基及び任意のR12C基が芳香環に結合している構造で表される部分は上記フェノール化合物に由来し、Xで表される部分は上記共重合成分に由来することになる。反応制御、並びに得られた(A)フェノール樹脂及び感光性樹脂組成物の安定性の観点から、フェノール化合物と上記共重合成分との仕込みモル比 (フェノール化合物):(共重合成分)は、5:1〜1.01:1であることが好ましく、2.5:1〜1.1:1であることがより好ましい。
一般式(46)で表される繰り返し単位を有するフェノール樹脂の重量平均分子量は、好ましくは700〜100,000であり、より好ましくは1,500〜80,000であり、更に好ましくは2,000〜50,000である。重量平均分子量は、硬化膜のリフロー処理適用性の観点から、700以上であることが好ましく、一方で、感光性樹脂組成物のアルカリ溶解性の観点から、100,000以下であることが好ましい。
一般式(46)で表される繰り返し単位を有するフェノール樹脂を得るために使用できるフェノール化合物としては、例えば、クレゾール、エチルフェノール、プロピルフェノール、ブチルフェノール、アミルフェノール、シクロヘキシルフェノール、ヒドロキシビフェニル、ベンジルフェノール、ニトロベンジルフェノール、シアノベンジルフェノール、アダマンタンフェノール、ニトロフェノール、フルオロフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、トリフルオロメチルフェノール、N−(ヒドロキシフェニル)−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ヒドロキシフェニル)−5−メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、トリフルオロメチルフェノール、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸エチル、ヒドロキシ安息香酸ベンジル、ヒドロキシベンズアミド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ヒドロキシアセトフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾニトリル、レゾルシノール、キシレノール、カテコール、メチルカテコール、エチルカテコール、ヘキシルカテコール、ベンジルカテコール、ニトロベンジルカテコール、メチルレゾルシノール、エチルレゾルシノール、ヘキシルレゾルシノール、ベンジルレゾルシノール、ニトロベンジルレゾルシノール、ハイドロキノン、カフェイン酸、ジヒドロキシ安息香酸、ジヒドロキシ安息香酸メチル、ジヒドロキシ安息香酸エチル、ジヒドロキシ安息香酸ブチル、ジヒドロキシ安息香酸プロピル、ジヒドロキシ安息香酸ベンジル、ジヒドロキシベンズアミド、ジヒドロキシベンズアルデヒド、ジヒドロキシアセトフェノン、ジヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシベンゾニトリル、N−(ジヒドロキシフェニル)−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ジヒドロキシフェニル)−5−メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、ニトロカテコール、フルオロカテコール、クロロカテコール、ブロモカテコール、トリフルオロメチルカテコール、ニトロレゾルシノール、フルオロレゾルシノール、クロロレゾルシノール、ブロモレゾルシノール、トリフルオロメチルレゾルシノール、ピロガロール、フロログルシノール、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、トリヒドロキシ安息香酸、トリヒドロキシ安息香酸メチル、トリヒドロキシ安息香酸エチル、トリヒドロキシ安息香酸ブチル、トリヒドロキシ安息香酸プロピル、トリヒドロキシ安息香酸ベンジル、トリヒドロキシベンズアミド、トリヒドロキシベンズアルデヒド、トリヒドロキシアセトフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾニトリル等が挙げられる。
上記アルデヒド化合物としては、例えば、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ピバルアルデヒド、ブチルアルデヒド、ペンタナール、ヘキサナール、トリオキサン、グリオキザール、シクロヘキシルアルデヒド、ジフェニルアセトアルデヒド、エチルブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、グリオキシル酸、5−ノルボルネン−2−カルボキシアルデヒド、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、グルタルアルデヒド、サリチルアルデヒド、ナフトアルデヒド、テレフタルアルデヒド等が挙げられる。
上記ケトン化合物としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジシクロヘキシルケトン、ジベンジルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ビシクロヘキサノン、シクロヘキサンジオン、3−ブチン−2−オン、2−ノルボルナノン、アダマンタノン、2,2−ビス(4−オキソシクロヘキシル)プロパン等が挙げられる。
上記メチロール化合物としては、例えば、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−4−エチルフェノール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−4−プロピルフェノール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−4−n−ブチルフェノール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−4−t−ブチルフェノール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−4−メトキシフェノール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−4−エトキシフェノール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−4−プロポキシフェノール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−4−n−ブトキシフェノール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−4−t−ブトキシフェノール、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)尿素、リビトール、アラビトール、アリトール、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸、2−ベンジルオキシ−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、モノアセチン、2−メチル−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、5−ノルボルネン−2,2−ジメタノール、5−ノルボルネン−2,3−ジメタノール、ペンタエリスリトール、2−フェニル−1,3−プロパンジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、3,6−ビス(ヒドロキシメチル)デュレン、2−ニトロ−p−キシリレングリコール、1,10−ジヒドロキシデカン、1,12−ジヒドロキシドデカン、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキセン、1,6−ビス(ヒドロキシメチル)アダマンタン、1,4−ベンゼンジメタノール、1,3−ベンゼンジメタノール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−1,4−ジメトキシベンゼン、2,3−ビス(ヒドロキシメチル)ナフタレン、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)ナフタレン、1,8−ビス(ヒドロキシメチル)アントラセン、2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルチオエーテル、4,4’−ビス(ヒドロキシメチル)ベンゾフェノン、4−ヒドロキシメチル安息香酸−4’−ヒドロキシメチルフェニル、4−ヒドロキシメチル安息香酸−4’−ヒドロキシメチルアニリド、4,4’−ビス(ヒドロキシメチル)フェニルウレア、4,4’−ビス(ヒドロキシメチル)フェニルウレタン、1,8−ビス(ヒドロキシメチル)アントラセン、4,4’−ビス(ヒドロキシメチル)ビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ビス(ヒドロキシメチル)ビフェニル、2,2−ビス(4−ヒドロキシメチルフェニル)プロパン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール等が挙げられる。
上記アルコキシメチル化合物としては、例えば、2,6−ビス(メトキシメチル)−p−クレゾール、2,6−ビス(メトキシメチル)−4−エチルフェノール、2,6−ビス(メトキシメチル)−4−プロピルフェノール、2,6−ビス(メトキシメチル)−4−n−ブチルフェノール、2,6−ビス(メトキシメチル)−4−t−ブチルフェノール、2,6−ビス(メトキシメチル)−4−メトキシフェノール、2,6−ビス(メトキシメチル)−4−エトキシフェノール、2,6−ビス(メトキシメチル)−4−プロポキシフェノール、2,6−ビス(メトキシメチル)−4−n−ブトキシフェノール、2,6−ビス(メトキシメチル)−4−t−ブトキシフェノール、1,3−ビス(メトキシメチル)尿素、2,2−ビス(メトキシメチル)酪酸、2,2−ビス(メトキシメチル)―5−ノルボルネン、2,3−ビス(メトキシメチル)―5−ノルボルネン、1,4−ビス(メトキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(メトキシメチル)シクロヘキセン、1,6−ビス(メトキシメチル)アダマンタン、1,4−ビス(メトキシメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メトキシメチル)ベンゼン、2,6−ビス(メトキシメチル)−1,4−ジメトキシベンゼン、2,3−ビス(メトキシメチル)ナフタレン、2,6−ビス(メトキシメチル)ナフタレン、1,8−ビス(メトキシメチル)アントラセン、2,2’−ビス(メトキシメチル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(メトキシメチル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(メトキシメチル)ジフェニルチオエーテル、4,4’−ビス(メトキシメチル)ベンゾフェノン、4−メトキシメチル安息香酸−4’−メトキシメチルフェニル、4−メトキシメチル安息香酸−4’−メトキシメチルアニリド、4,4’−ビス(メトキシメチル)フェニルウレア、4,4’−ビス(メトキシメチル)フェニルウレタン、1,8−ビス(メトキシメチル)アントラセン、4,4’−ビス(メトキシメチル)ビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ビス(メトキシメチル)ビフェニル、2,2−ビス(4−メトキシメチルフェニル)プロパン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラプロピレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
上記ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、ペンタジエン、ヘキサジエン、ヘプタジエン、オクタジエン、3−メチル−1,3−ブタジエン、1,3−ブタンジオール−ジメタクリラート、2,4−ヘキサジエン−1−オール、メチルシクロヘキサジエン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、1−ヒドロキシジシクロペンタジエン、1−メチルシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエン、ジアリルエーテル、ジアリルスルフィド、アジピン酸ジアリル、2,5−ノルボルナジエン、テトラヒドロインデン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸ジアリル、イソシアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸ジアリルプロピル等が挙げられる。
上記ハロアルキル化合物としては、例えば、キシレンジクロライド、ビスクロロメチルジメトキシベンゼン、ビスクロロメチルデュレン、ビスクロロメチルビフェニル、ビスクロロメチル−ビフェニルカルボン酸、ビスクロロメチル−ビフェニルジカルボン酸、ビスクロロメチル−メチルビフェニル、ビスクロロメチル−ジメチルビフェニル、ビスクロロメチルアントラセン、エチレングリコールビス(クロロエチル)エーテル、ジエチレングリコールビス(クロロエチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(クロロエチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(クロロエチル)エーテル等が挙げられる。
上述のフェノール化合物と共重合成分とを、脱水、脱ハロゲン化水素、若しくは脱アルコールにより縮合させるか、又は不飽和結合を開裂させながら重合させることにより、(A)フェノール樹脂を得ることができるが、重合時に触媒を用いてもよい。酸性の触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、亜リン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、酢酸、シュウ酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸、酢酸亜鉛、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素・フェノール錯体、三フッ化ホウ素・エーテル錯体等が挙げられる。一方で、アルカリ性の触媒としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、トリエチルアミン、ピリジン、4−N,N−ジメチルアミノピリジン、ピペリジン、ピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、アンモニア、ヘキサメチレンテトラミン等が挙げられる。
一般式(46)で表される繰り返し構造を有するフェノール樹脂を得るために使用される触媒の量は、共重合成分(すなわちフェノール化合物以外の成分)の合計モル数、好ましくは、アルデヒド化合物、ケトン化合物、メチロール化合物、アルコキシメチル化合物、ジエン化合物及びハロアルキル化合物の合計モル数100モル%に対して、0.01モル%〜100モル%の範囲であることが好ましい。
(A)フェノール樹脂の合成反応において、反応温度は、通常40℃〜250℃であることが好ましく、100℃〜200℃の範囲であることがより好ましく、そして反応時間は、概ね1時間〜10時間であることが好ましい。必要に応じて、該樹脂を十分に溶解できる溶剤を使用することができる。
なお、一般式(46)で表される繰り返し構造を有するフェノール樹脂は、上記一般式(7)の構造の原料とはならないフェノール化合物を、本発明の効果を損なわない範囲でさらに重合させたものであってもよい。本発明の効果を損なわない範囲とは、例えば(A)フェノール樹脂の原料となるフェノール化合物全モル数の30%以下である。
(炭素数4〜100の不飽和炭化水素基を有する化合物で変性されたフェノール樹脂)
炭素数4〜100の不飽和炭化水素基を有する化合物で変性されたフェノール樹脂は、フェノール又はその誘導体と炭素数4〜100の不飽和炭化水素基を有する化合物(以下場合により単に「不飽和炭化水素基含有化合物」という。)との反応生成物(以下「不飽和炭化水素基変性フェノール誘導体」ともいう。)と、アルデヒド類との縮重合生成物、又は、フェノール樹脂と不飽和炭化水素基含有化合物との反応生成物である。
フェノール誘導体は、一般式(46)で表される繰り返し単位を有するフェノール樹脂の原料として上述したものと同様のものを用いることができる。
不飽和炭化水素基含有化合物の不飽和炭化水素基は、硬化膜の残留応力及びリフロー処理適用性の観点から、2以上の不飽和基を含むことが好ましい。また、樹脂組成物としたときの相溶性及び硬化膜の残留応力の観点からは、不飽和炭化水素基は好ましくは炭素数4〜100、より好ましくは炭素数8〜80、さらに好ましくは炭素数10〜60である。
不飽和炭化水素基含有化合物としては、例えば、炭素数4〜100の不飽和炭化水素、カルボキシル基を有するポリブタジエン、エポキシ化ポリブダジエン、リノリルアルコール、オレイルアルコール、不飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸エステルが挙げられる。好適な不飽和脂肪酸としては、クロトン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、α−リノレン酸、エレオステアリン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、イワシ酸及びドコサヘキサエン酸が挙げられる。これらの中でも特に、不飽和脂肪酸エステルである植物油が、硬化膜の伸度及び、硬化膜の可撓性の観点から特に好ましい。
植物油は、通常、グリセリンと不飽和脂肪酸とのエステルを含み、ヨウ素価が100以下の不乾性油、100を超えて130未満の半乾性油又は130以上の乾性油である。不乾性油として、例えば、オリーブ油、あさがお種子油、カシュウ実油、さざんか油、つばき油、ひまし油及び落花生油が挙げられる。半乾性油として、例えば、コーン油、綿実油及びごま油が挙げられる。乾性油としては、例えば、桐油、亜麻仁油、大豆油、胡桃油、サフラワー油、ひまわり油、荏の油及び芥子油が挙げられる。また、これらの植物油を加工して得られる加工植物油を用いてもよい。
上記植物油の中で、フェノール若しくはその誘導体又はフェノール樹脂と植物油との反応において、過度の反応の進行に伴うゲル化を防ぎ、歩留まりが向上する観点から、不乾性油を用いることが好ましい。一方、レジストパターンの密着性、機械特性及び耐熱衝撃性が向上する観点では乾性油を用いることが好ましい。乾性油の中でも、本発明による効果をより有効かつ確実に発揮できることから、桐油、亜麻仁油、大豆油、胡桃油及びサフラワー油が好ましく、桐油及び亜麻仁油がより好ましい。これら植物油は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
フェノール又はその誘導体と不飽和炭化水素基含有化合物との反応は、50〜130℃で行うことが好ましい。フェノール又はその誘導体と不飽和炭化水素基含有化合物との反応割合は、硬化膜の残留応力を低下させる観点から、フェノール又はその誘導体100質量部に対し、不飽和炭化水素基含有化合物1〜100質量部であることが好ましく、5〜50質量部であることがより好ましい。不飽和炭化水素基含有化合物が1質量部未満では、硬化膜の可とう性が低下する傾向があり、100質量部を超えると、硬化膜の耐熱性が低下する傾向がある。上記反応においては、必要に応じて、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等を触媒として用いてもよい。
上記反応により生成する不飽和炭化水素基変性フェノール誘導体と、アルデヒド類とを重縮合させることにより、不飽和炭化水素基含有化合物によって変性されたフェノール樹脂が生成する。アルデヒド類は、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、メトキシベンズアルデヒド、ヒドロキシフェニルアセトアルデヒド、メトキシフェニルアセトアルデヒド、クロトンアルデヒド、クロロアセトアルデヒド、クロロフェニルアセトアルデヒド、アセトン、グリセルアルデヒド、グリオキシル酸、グリオキシル酸メチル、グリオキシル酸フェニル、グリオキシル酸ヒドロキシフェニル、ホルミル酢酸、ホルミル酢酸メチル、2−ホルミルプロピオン酸、2−ホルミルプロピオン酸メチル、ピルビン酸、レプリン酸、4−アセチルブチル酸、アセトンジカルボン酸及び3,3’−4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸から選ばれる。また、パラホルムアルデヒド、トリオキサン等のホルムアルデヒドの前駆体を用いてもよい。これらのアルデヒド類は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
上記アルデヒド類と、上記不飽和炭化水素基変性フェノール誘導体との反応は、重縮合反応であり、従来公知のフェノール樹脂の合成条件を用いることができる。反応は酸又は塩基等の触媒の存在下で行うことが好ましく、樹脂の重合度(分子量)の観点から酸触媒を用いることがより好ましい。酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、ぎ酸、酢酸、p−トルエンスルホン酸及びシュウ酸が挙げられる。これらの酸触媒は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記反応は、通常反応温度100〜120℃で行うことが好ましい。また、反応時間は使用する触媒の種類や量により異なるが、通常1〜50時間である。反応終了後、反応生成物を200℃以下の温度で減圧脱水することで不飽和炭化水素基含有化合物によって変性されたフェノール樹脂が得られる。なお、反応には、トルエン、キシレン、メタノール等の溶剤を用いることができる。
不飽和炭化水素基含有化合物によって変性されたフェノール樹脂は、上述の不飽和炭化水素基変性フェノール誘導体を、m−キシレンのようなフェノール以外の化合物とともにアルデヒド類と重縮合することにより得ることもできる。この場合、フェノール誘導体と不飽和炭化水素基含有化合物とを反応させて得られる化合物に対するフェノール以外の化合物の仕込みモル比は、0.5未満であると好ましい。
不飽和炭化水素基含有化合物で変性されたフェノール樹脂は、フェノール樹脂と不飽和炭化水素基含有化合物とを反応させて得ることもできる。この場合に用いるフェノール樹脂は、フェノール化合物(すなわちフェノール及び/又はフェノール誘導体)とアルデヒド類の重縮合生成物である。この場合、フェノール誘導体及びアルデヒド類としては、上述したフェノール誘導体及びアルデヒド類と同様のものを用いることができ、上述したような従来公知の条件でフェノール樹脂を合成することができる。
不飽和炭化水素基含有化合物で変性されたフェノール樹脂を形成するために用いるのに好適な、フェノール化合物とアルデヒド類とから得られるフェノール樹脂の具体例としては、フェノール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂、クレゾール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂、キシリレノール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂、レゾルシノール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂及びフェノール−ナフトール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂が挙げられる。
フェノール樹脂と反応させる不飽和炭化水素基含有化合物は、アルデヒド類と反応させる不飽和炭化水素基変性フェノール誘導体の製造に関して上述した不飽和炭化水素基含有化合物と同様のものを使用することができる。
フェノール樹脂と不飽和炭化水素基含有化合物との反応は、通常50〜130℃で行うことが好ましい。また、フェノール樹脂と不飽和炭化水素基含有化合物との反応割合は、硬化膜(レジストパターン)の可とう性を向上させる観点から、フェノール樹脂100質量部に対し、不飽和炭化水素基含有化合物1〜100質量部であることが好ましく、2〜70質量部であることがより好ましく、5〜50質量部であることが更に好ましい。不飽和炭化水素基含有化合物が1質量部未満では、硬化膜の可とう性が低下する傾向にあり、100質量部を超えると、反応中にゲル化する可能性が高くなる傾向、及び、硬化膜の耐熱性が低下する傾向がある。フェノール樹脂と不飽和炭化水素基含有化合物との反応の際、必要に応じて、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等を触媒として用いてもよい。なお、反応には、後述にて詳しく説明するが、例えば、トルエン、キシレン、メタノール、テトラヒドロフラン等の溶剤を用いることができる。
以上のような方法により生成する不飽和炭化水素基含有化合物によって変性されたフェノール樹脂中に残ったフェノール性水酸基に、更に多塩基酸無水物を反応させることにより酸変性したフェノール樹脂を用いることもできる。多塩基酸無水物で酸変性することにより、カルボキシ基が導入され、アルカリ水溶液(現像液として使用するもの)に対する溶解性がより一層向上する。
多塩基酸無水物は、複数のカルボキシ基を有する多塩基酸のカルボキシ基が脱水縮合して形成された酸無水物基を有していれば、特に限定されない。多塩基酸無水物としては、例えば無水フタル酸、無水コハク酸、オクテニル無水コハク酸、ペンタドデセニル無水コハク酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水ナジック酸、3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸及び無水トリメリット酸等の二塩基酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、無水ピロメリット酸及びベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等の芳香族四塩基酸二無水物が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、多塩基酸無水物は二塩基酸無水物であることが好ましく、テトラヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸及びヘキサヒドロ無水フタル酸からなる群より選ばれる1種以上であることがより好ましい。この場合、さらに良好な形状を有するレジストパターンを形成できるという利点がある。
フェノール性水酸基と多塩基酸無水物との反応は、50〜130℃で行うことができる。この反応において、フェノール性水酸基1モルに対して、0.10〜0.80モルの多塩基酸無水物を反応させることが好ましく、0.15〜0.60モル反応させることがより好ましく、0.20〜0.40モル反応させることが更に好ましい。多塩基酸無水物が0.10モル未満では、現像性が低下する傾向にあり、0.80モルを超えると、未露光部の耐アルカリ性が低下する傾向にある。
なお、上記反応には、反応を迅速に行う観点から、必要に応じて、触媒を含有させてもよい。触媒としては、トリエチルアミン等の3級アミン、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、トリフェニルホスフィン等のリン化合物が挙げられる。
多塩基酸無水物で更に変性したフェノール樹脂の酸価は、30〜200mgKOH/gであることが好ましく、40〜170mgKOH/gであることがより好ましく、50〜150mgKOH/gであることが更に好ましい。酸価が30mgKOH/g未満であると、酸価が上記範囲にある場合と比較して、アルカリ現像に長時間を要する傾向にあり、200mgKOH/gを超えると、酸価が上記範囲にある場合と比較して、未露光部の耐現像液性が低下する傾向にある。
不飽和炭化水素基含有化合物で変性されたフェノール樹脂の分子量は、アルカリ水溶液に対する溶解性や、感光特性と硬化膜物性とのバランスを考慮すると、重量平均分子量で1000〜100000が好ましく、2000〜100000がより好ましい。
本実施形態の(A)フェノール樹脂としては、上記一般式(46)で表される繰り返し単位を有するフェノール樹脂、及び上記炭素数4〜100の不飽和炭化水素基を有する化合物で変性されたフェノール樹脂から選択される少なくとも1種のフェノール樹脂(以下、(a3)樹脂ともいう)と、ノボラック及びポリヒドロキシスチレンから選択されるフェノール樹脂(以下、(a4)樹脂ともいう)との混合物も好ましい。(a3)樹脂と(a4)樹脂との混合比は、質量比で(a3)/(a4)=5/95〜95/5の範囲である。この混合比は、アルカリ水溶液への溶解性、レジストパターンを形成する際の感度と解像性、及び硬化膜の残留応力、リフロー処理適用性の観点から、(a3)/(a4)=5/95〜95/5が好ましく、(a3)/(a4)=10/90〜90/10であることがより好ましく、(a3)/(a4)=15/85〜85/15であることがさらに好ましい。上記(a4)樹脂としてのノボラック及びポリヒドロキシスチレンとしては、上記(ノボラック)及び(ポリヒドロキシスチレン)の項に示したものと同様の樹脂を使用できる。
(B)感光剤
本発明に用いられる(B)感光剤について説明する。(B)感光剤は、本発明の感光性樹脂組成物が、(A)樹脂として例えば主にポリイミド前駆体および/又はポリアミドを用いるネガ型であるか、(A)樹脂として例えば主にポリオキサゾール前駆体、可溶性ポリイミド及びフェノール樹脂の少なくとも一種類を用いるポジ型であるか等により異なる。
(B)感光剤の、感光性樹脂組成物中の配合量は、(A)樹脂100質量部に対して、1〜50質量部である。上記配合量は、光感度又はパターニング性の観点で1質量部以上であり、感光性樹脂組成物の硬化性又は硬化後の感光性樹脂層の物性の観点から50質量部以下である。
[(B)ネガ型感光剤:光重合開始剤および/又は光酸発生剤]
まずネガ型を所望する場合について説明する。この場合(B)感光剤としては光重合開始剤および/又は光酸発生剤が用いられ、光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤であることが好ましく、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン等のベンゾフェノン誘導体、2,2’−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン誘導体、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン等のチオキサントン誘導体、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール等のベンジル誘導体、
ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾイン誘導体、1−フェニル−1,2−ブタンジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、1,3−ジフェニルプロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシプロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム等のオキシム類、N−フェニルグリシン等のN−アリールグリシン類、ベンゾイルパークロライド等の過酸化物類、芳香族ビイミダゾール類、チタノセン類、α−(n−オクタンスルフォニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド等の光酸発生剤類等が好ましく挙げられるが、これらに限定されるものではない。上記の光重合開始剤の中では、特に光感度の点で、オキシム類がより好ましい。
ネガ型の感光性樹脂組成物に(B)感光剤として光酸発生剤を用いる場合は、紫外線の如き活性光線の照射によって酸性を呈すると共に、その作用により、後述する架橋剤を(A)成分である樹脂と架橋せしめる、又は架橋剤同士を重合せしめる作用を有する。この光酸発生剤の例としては、ジアリールスルホニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、ジアルキルフェナシルスルホニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、アリールジアゾニウム塩、芳香族テトラカルボン酸エステル、芳香族スルホン酸エステル、ニトロベンジルエステル、オキシムスルホン酸エステル、芳香族N−オキシイミドスルフォネート、芳香族スルファミド、ハロアルキル基含有炭化水素系化合物、ハロアルキル基含有ヘテロ環状化合物、ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステルなどが用いられる。このような化合物は必要に応じて2種類以上併用したり、他の増感剤と組合せて使用したりすることができる。上記の光酸発生剤の中では、特に光感度の点で、芳香族オキシムスルホン酸エステル、芳香族N−オキシイミドスルフォネートがより好ましい。
これらの感光剤の配合量は、(A)樹脂100質量部に対し、1〜50質量部であり、光感度特性の観点から2〜15質量部が好ましい。(B)感光剤を(A)樹脂100質量部に対し1質量部以上配合することで光感度に優れ、50質量部以下配合することで厚膜硬化性に優れる。
更に、上述した通り、一般式(1)で表される(A)樹脂がイオン結合型の場合、(A)樹脂の側鎖にイオン結合を介して光重合性基を付与するために、アミノ基を有する(メタ)アクリル化合物が用いられる。この場合には、アミノ基を有する(メタ)アクリル化合物が(B)感光剤として使用され、前述したように、例えばジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルメタクリレート、ジメチルアミノブチルアクリレート、ジメチルアミノブチルメタクリレート、ジエチルアミノブチルアクリレート、ジエチルアミノブチルメタクリレート、等のジアルキルアミノアルキルアクリレート又はメタクリレートが好ましく、中でも感光特性の観点から、アミノ基上のアルキル基が炭素数1〜10、アルキル鎖が炭素数1〜10のジアルキルアミノアルキルアクリレート又はメタクリレートが好ましい。
これらのアミノ基を有する(メタ)アクリル化合物の配合量は、(A)樹脂100質量部に対し、1〜20質量部であり、光感度特性の観点から2〜15質量部が好ましい。(B)感光剤として、アミノ基を有する(メタ)アクリル化合物を(A)樹脂100質量部に対し1質量部以上配合することで光感度に優れ、20質量部以下配合することで厚膜硬化性に優れる。
次にポジ型を所望する場合について説明する。この場合(B)感光剤としては光酸発生剤が用いられ、具体的には、ジアゾキノン化合物、オニウム塩、ハロゲン含有化合物、等を用いることができるが、溶剤溶解性及び保存安定性の観点から、ジアゾキノン構造を有する化合物が好ましい。
[(B)ポジ型感光剤:キノンジアジド基を有する化合物]
(B)キノンジアジド基を有する化合物(以下、「(B)キノンジアジド化合物」とも言う)としては、1,2−ベンゾキノンジアジド構造を有する化合物、及び1,2−ナフトキノンジアジド構造を有する化合物を例示でき、米国特許第2,772,972号明細書、米国特許第2,797,213号明細書、及び米国特許第3,669,658号明細書等により公知の物質である。該(B)キノンジアジド化合物は、以降に詳述する特定構造を有するポリヒドロキシ化合物の1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、及び該ポリヒドロキシ化合物の1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルからなる群から選択される少なくとも一種の化合物(以下、「NQD化合物」ともいう。)であることが好ましい。
該NQD化合物は、常法に従って、ナフトキノンジアジドスルホン酸化合物をクロルスルホン酸又は塩化チオニルでスルホニルクロライドとし、得られたナフトキノンジアジドスルホニルクロライドと、ポリヒドロキシ化合物とを縮合反応させることにより得られる。例えば、ポリヒドロキシ化合物と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニルクロリド又は1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニルクロリドの所定量をジオキサン、アセトン、又はテトラヒドロフラン等の溶剤中において、トリエチルアミン等の塩基性触媒の存在下反応させてエステル化を行い、得られた生成物を水洗、乾燥することにより得ることができる。
本実施形態では、(B)キノンジアジド基を有する化合物は、下記一般式(120)〜(124)で表されるヒドロキシ化合物の、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル及び/又は1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルであることが、レジストパターンを形成する際の感度と解像性の観点から好ましい。
一般式(120)は、
{式中、X11及びX12は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜60(好ましくは、炭素数1〜30)の1価の有機基を表し、X13及びX14は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜60(好ましくは、炭素数1〜30)の1価の有機基を表し、r1、r2、r3及びr4は、各々独立に、0〜5の整数であり、r3及びr4の少なくとも1つは、1〜5の整数であり、(r1+r3)≦5であり、そして(r2+r4)≦5である。}で表される。
一般式(121)は、
{式中、Zは、炭素数1〜20の4価の有機基を表し、X15、X16、X17及びX18は、各々独立に、炭素数1〜30の1価の有機基を表し、r6は、0又は1の整数であり、r5、r7、r8及びr9は、各々独立に、0〜3の整数であり、r10、r11、r12及びr13は、各々独立に、0〜2の整数であり、そしてr10、r11、r12及びr13の全てが0になることはない。}で表される。
並びに、一般式(122)は、
{式中、r14は、1〜5の整数を表し、r15は、3〜8の整数を表し、(r14×r15)個のLは、各々独立に、炭素数1〜20の1価の有機基を表し、(r15)個のT1及び(r15)個のT2は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜20の1価の有機基を表す。}で表される。
並びに、一般式(123)は、
{式中、Aは、脂肪族の3級又は4級炭素を含む2価の有機基を表し、そしてMは、2価の有機基を表し、好ましくは下記化学式:
で表される3つの基から選択される2価の基を表す。}で表される。
さらに、一般式(124)は、
{式中、r17、r18、r19及びr20は、各々独立に、0〜2の整数であり、r17、r18、r19及びr20の少なくとも1つは、1又は2であり、X20〜X29は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリル基及びアシル基からなる群から選択される1価の基を表し、そしてY10、Y11及びY12は、各々独立に、単結合、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、−CO2−、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、フェニレン、及び炭素数1〜20の2価の有機基からなる群から選択される2価の基を表す。}で表される。
さらなる実施の形態では、上記一般式(124)において、Y10〜Y12は、各々独立に、下記一般式:
{式中、X30及びX31は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、及び置換アリール基から成る群から選択される少なくとも1つの1価の基を表し、X32、X33、X34及びX35は、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表し、r21は、1〜5の整数であり、そしてX36、X37、X38及びX39は、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表す。}
で表される3つの2価の有機基から選択されることが好ましい。
上記一般式(120)で表される化合物としては、下記式(125)〜(129)で表されるヒドロキシ化合物が挙げられる。
{式中、r16は、各々独立に、0〜2の整数であり、そしてX40は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜20の1価の有機基を表し、X40が複数で存在する場合には複数のX40は、互いに同一でも又は異なっていてもよく、そしてX40は、下記一般式:
(式中、r18は、0〜2の整数であり、X41は、水素原子、アルキル基、及びシクロアルキル基からなる群から選択される1価の有機基を表し、そしてr18が2である場合には、2つのX41は、互いに同一でも又は異なっていてもよい。)
で表される1価の有機基であることが好ましい。}であり、
一般式(126)は、
{式中、X42は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基及び炭素数1〜20のシクロアルキル基からなる群から選択される1価の有機基を表す。}で表される。
また、一般式(127)は、
{式中、r19は、各々独立に、0〜2の整数であり、X43は、各々独立に、水素原子又は下記一般式:
(式中、r20は、0〜2の整数であり、X45は、水素原子、アルキル基及びシクロアルキル基からなる群から選択され、そしてr20が2である場合には、2つのX45は、互いに同一でも又は異なっていてもよい。)で表される1価の有機基を表し、そしてX44は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、及び炭素数1〜20のシクロアルキル基からなる群から選択される。}であり、式(128)及び(129)は、下記の構造である。
上記一般式(120)で表される化合物としては、下記式(130)〜(132)で表されるヒドロキシ化合物が、NQD化物としたときの感度が高く、かつ感光性樹脂組成物中での析出性が低いことから好ましい。
式(130)〜(132)の構造は下記のごとくである。
上記一般式(126)で表される化合物としては、下記式(133):
で表されるヒドロキシ化合物が、NQD化物としたときの感度が高く、かつ感光性樹脂組成物中での析出性が低いことから好ましい。
上記一般式(77)で表される化合物としては、下記式(134)〜(136)で表されるヒドロキシ化合物が、NQD化物としたときの感度が高く、かつ感光性樹脂組成物中での析出性が低いことから好ましい。
式(134)〜(136)の構造は以下のごとくである。
上記一般式(121)において、Zは、炭素数1〜20の4価の有機基であればよく、特に限定されないが、感度の観点から、下記式:
で表される構造を有する4価の基であることが好ましい。
上記一般式(121)で表される化合物の中で、下記式(137)〜(140)で表されるヒドロキシ化合物が、NQD化物としたときの感度が高く、かつ感光性樹脂組成物中での析出性が低いことから好ましい。
式(137)〜(140)の構造は以下のごとくである。
上記一般式(122)で表される化合物としては、下記式(141):
{式中、r40は、各々独立に、0〜9の整数である。}で表されるヒドロキシ化合物が、NQD化物としたときの感度が高く、かつ感光性樹脂組成物中での析出性が低いことから好ましい。
上記一般式(122)で表される化合物としては、下記式(142)及び(143)で表されるヒドロキシ化合物が、NQD化物としたときの感度が高く、かつ感光性樹脂組成物中での析出性が低いことから好ましい。
式(142)及び(143)の構造は以下のごとくである。
上記一般式(123)で表される化合物としては、具体的には、下記式(144):
で表されるポリヒドロキシ化合物のNQD化物が、感度が高く、かつ感光性樹脂組成物中での析出性が低いことから好ましい。
(B)キノンジアジド基を有する化合物が1,2−ナフトキノンジアジドスルホニル基を有する場合、この基は1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニル基又は1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル基のいずれであってもよい。1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル基は、水銀灯のi線領域を吸収することができるので、i線による露光に適している。一方で、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニル基は、水銀灯のg線領域さえも吸収することができるので、g線による露光に適している。
本実施形態では、露光する波長に応じて、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル化合物及び1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル化合物の一方又は双方を選択することが好ましい。また、同一分子中に1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル基及び1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニル基を有する1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物を用いることもできるし、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル化合物と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル化合物とを混合して使用することもできる。
(B)キノンジアジド基を有する化合物において、ヒドロキシ化合物のナフトキノンジアジドスルホニルエステルの平均エステル化率は、現像コントラストの観点から、10%〜100%であることが好ましく、20%〜100%であることがさらに好ましい。
感度及び伸度等の硬化膜物性の観点から好ましいNQD化合物の例としては、例えば、下記一般式群で表されるものが挙げられる。
{式中、Qは、水素原子、又は下記式群:
のいずれかで表されるナフトキノンジアジドスルホン酸エステル基であるが、全てのQが同時に水素原子であることはない。}で表されるものが挙げられる。
この場合、NQD化合物として、同一分子中に4−ナフトキノンジアジドスルホニル基及び5−ナフトキノンジアジドスルホニル基を有するナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物を用いることもできるし、4−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物と5−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物とを混合して使用することもできる。
上記、段落[0193]に記載されているナフトキノンジアジドスルホン酸エステル基の中でも、下記一般式(145):
で表されるものが特に好ましい。
上記オニウム塩としては、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、アンモニウム塩、及びジアゾニウム塩等が挙げられ、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、及びトリアルキルスルホニウム塩から成る群から選ばれるオニウム塩が好ましい。
上記ハロゲン含有化合物としては、ハロアルキル基含有炭化水素化合物等が挙げられ、トリクロロメチルトリアジンが好ましい。
これら光酸発生剤の配合量は、(A)樹脂100質量部に対し、1〜50質量部であり、5〜30質量部が好ましい。(B)感光剤としての光酸発生剤の配合量が1質量部以上であれば感光性樹脂組成物によるパターニング性が良好であり、50質量部以下であれば感光性樹脂組成物の硬化後の膜の引張り伸び率が良好で、かつ露光部の現像残さ(スカム)が少ない。
上記NQD化合物は、単独で使用しても2種類以上混合して使用してもよい。
本実施形態では、感光性樹脂組成物中の(B)キノンジアジド基を有する化合物の配合量は、(A)樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜70質量部であり、好ましくは1質量部〜40質量部、より好ましくは3質量部〜30質量部、さらに好ましくは5質量部〜30質量部である。この配合量が0.1質量部以上であれば良好な感度が得られ、一方で、70質量部以下であれば硬化膜の機械物性が良好である。
本実施形態におけるネガ型樹脂組成物である前述のポリイミド前駆体樹脂組成物及びポリアミド樹脂組成物、又、ポジ型感光性樹脂組成物である、ポリオキサゾール樹脂組成物、可溶性ポリイミド樹脂組成物及びフェノール樹脂組成物には、これらの樹脂を溶解するための溶剤を含むことができる。
溶剤としては、アミド類、スルホキシド類、ウレア類、ケトン類、エステル類、ラクトン類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類、アルコール類等が挙げられ、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル、乳酸エチル、乳酸メチル、乳酸ブチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコール、フェニルグリコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、モルフォリン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、アニソール、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等を使用することができる。中でも、樹脂の溶解性、樹脂組成物の安定性、及び基板への接着性の観点から、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ベンジルアルコール、フェニルグリコール、及びテトラヒドロフルフリルアルコールが好ましい。
このような溶剤の中でとりわけ、生成ポリマーを完全に溶解するものが好ましく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ガンマブチロラクトン等が挙げられる。
上記のフェノール樹脂に好適な溶剤としては、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、トルエン、キシレン、γ―ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の感光性樹脂組成物において、溶剤の使用量は、(A)樹脂100質量部に対して、好ましくは100〜1000質量部であり、より好ましくは120〜700質量部であり、さらに好ましくは125〜500質量部の範囲である。
本発明の感光性樹脂組成物は、上記(A)、(B)成分以外の成分をさらに含有してもよい。
例えば、本発明の感光性樹脂組成物を用いて銅又は銅合金から成る基板上に硬化膜を形成する場合には、銅上の変色を抑制するためにアゾール化合物、プリン誘導体等の含窒素複素環化合物を任意に配合することができる。
アゾール化合物としては、1H−トリアゾール、5−メチル−1H−トリアゾール、5−エチル−1H−トリアゾール、4,5−ジメチル−1H−トリアゾール、5−フェニル−1H−トリアゾール、4−t−ブチル−5−フェニル−1H−トリアゾール、5−ヒドロキシフェニル−1H−トリアゾール、フェニルトリアゾール、p−エトキシフェニルトリアゾール、5−フェニル−1−(2−ジメチルアミノエチル)トリアゾール、5−ベンジル−1H−トリアゾール、ヒドロキシフェニルトリアゾール、1,5−ジメチルトリアゾール、4,5−ジエチル−1H−トリアゾール、1H−ベンゾトリアゾール、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α―ジメチルベンジル)フェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、4−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、4−カルボキシ−1H−ベンゾトリアゾール、5−カルボキシ−1H−ベンゾトリアゾール、1H−テトラゾール、5−メチル−1H−テトラゾール、5−フェニル−1H−テトラゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、1−メチル−1H−テトラゾール等が挙げられる。
特に好ましくは、トリルトリアゾール、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、及び4−メチル−1H−ベンゾトリアゾールが挙げられる。また、これらアゾール化合物は、1種で用いても2種以上の混合物で用いても構わない。
プリン誘導体の具体例としては、プリン、アデニン、グアニン、ヒポキサンチン、キサンチン、テオブロミン、カフェイン、尿酸、イソグアニン、2,6−ジアミノプリン、9−メチルアデニン、2−ヒドロキシアデニン、2−メチルアデニン、1−メチルアデニン、N−メチルアデニン、N,N−ジメチルアデニン、2−フルオロアデニン、9−(2−ヒドロキシエチル)アデニン、グアニンオキシム、N−(2−ヒドロキシエチル)アデニン、8−アミノアデニン、6−アミノ‐8−フェニル‐9H−プリン、1−エチルアデニン、6−エチルアミノプリン、1−ベンジルアデニン、N−メチルグアニン、7−(2−ヒドロキシエチル)グアニン、N−(3−クロロフェニル)グアニン、N−(3−エチルフェニル)グアニン、2−アザアデニン、5−アザアデニン、8−アザアデニン、8−アザグアニン、8−アザプリン、8−アザキサンチン、8−アザヒポキサンチン等及びその誘導体が挙げられる。
感光性樹脂組成物が上記アゾール化合物もしくはプリン誘導体を含有する場合の配合量は、(A)樹脂100質量部に対し、0.1〜20質量部である事が好ましく、光感度特性の観点から0.5〜5質量部がより好ましい。アゾール化合物の(A)樹脂100質量部に対する配合量が0.1質量部以上である場合、本発明の感光性樹脂組成物を銅又は銅合金の上に形成した場合に、銅又は銅合金表面の変色が抑制され、一方、20質量部以下である場合には光感度に優れる。
また、銅表面上の変色を抑制するためにヒンダードフェノール化合物を任意に配合することができる。ヒンダードフェノール化合物としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチル−ハイドロキノン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4、4’−メチレンビス(2、6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオ−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、
ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5−トリス(3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−4−イソプロピルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−s−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス[4−(1−エチルプロピル)−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、
1,3,5−トリス[4−トリエチルメチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−4−フェニルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,5,6−トリメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−5−エチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−6−エチル−3−ヒドロキシ−2−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−6−エチル−3−ヒドロキシ−2,5−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−5,6−ジエチル−3−ヒドロキシ−2−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、
1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,5−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−5‐エチル−3−ヒドロキシ−2−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン等が挙げられるが、これに限定されるものではない。これらの中でも、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン等が特に好ましい。
ヒンダードフェノール化合物の配合量は、(A)樹脂100質量部に対し、0.1〜20質量部であることが好ましく、光感度特性の観点から0.5〜10質量部であることがより好ましい。ヒンダードフェノール化合物の(A)樹脂100質量部に対する配合量が0.1質量部以上である場合、例えば銅又は銅合金の上に本発明の感光性樹脂組成物を形成した場合に、銅又は銅合金の変色・腐食が防止され、一方、20質量部以下である場合には光感度に優れる。
本発明の感光性樹脂組成物には、架橋剤を含有させてもよい。架橋剤は、本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成されたレリーフパターンを加熱硬化する際に、(A)樹脂を架橋し得るか、又は架橋剤自身が架橋ネットワークを形成し得る架橋剤であることができる。架橋剤は、感光性樹脂組成物から形成された硬化膜の耐熱性及び耐薬品性を更に強化することができる。
架橋剤としては、例えば、メチロール基及び/又はアルコキシメチル基を含有する化合物である、サイメル(登録商標)300、301、303、370、325、327、701、266、267、238、1141、272、202、1156、1158、1123、1170、1174;UFR65、300;マイコート102、105(以上、三井サイテック社製)、ニカラック(登録商標)MX−270、−280、−290;ニカラックMS―11;ニカラックMW―30、−100、−300、−390、−750(以上、三和ケミカル社製)、DML−OCHP、DML−MBPC、DML−BPC、DML−PEP、DML−34X、DML−PSBP、DML−PTBP、DML−PCHP、DML−POP、DML−PFP、DML−MBOC、BisCMP−F、DML−BisOC−Z、DML−BisOCHP−Z、DML−BisOC−P、DMOM−PTBT、TMOM−BP、TMOM−BPA、TML−BPAF−MF(以上、本州化学工業社製)、ベンゼンジメタノール、ビス(ヒドロキシメチル)クレゾール、ビス(ヒドロキシメチル)ジメトキシベンゼン、ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルエーテル、ビス(ヒドロキシメチル)ベンゾフェノン、ヒドロキシメチル安息香酸ヒドロキシメチルフェニル、ビス(ヒドロキシメチル)ビフェニル、ジメチルビス(ヒドロキシメチル)ビフェニル、ビス(メトキシメチル)ベンゼン、ビス(メトキシメチル)クレゾール、ビス(メトキシメチル)ジメトキシベンゼン、ビス(メトキシメチル)ジフェニルエーテル、ビス(メトキシメチル)ベンゾフェノン、メトキシメチル安息香酸メトキシメチルフェニル、ビス(メトキシメチル)ビフェニル、ジメチルビス(メトキシメチル)ビフェニル等が挙げられる。
また、オキシラン化合物であるフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、テトラフェノール型エポキシ樹脂、フェノール−キシリレン型エポキシ樹脂、ナフトール−キシリレン型エポキシ樹脂、フェノール−ナフトール型エポキシ樹脂、フェノール−ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグルシジルエーテル、1,1,2,2−テトラ(p−ヒドロキシフェニル)エタンテトラグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、オルソセカンダリーブチルフェニルグリシジルエーテル、1,6−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ナフタレン、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールグリシジルエーテル、YDB−340、YDB−412、YDF−2001、YDF−2004(以上商品名、新日鐵化学(株)製)、NC−3000−H、EPPN−501H、EOCN−1020、NC−7000L、EPPN−201L 、XD−1000、EOCN−4600(以上商品名、日本化薬(株)製)、エピコート(登録商標)1001、エピコート1007、エピコート1009、エピコート5050、エピコート5051、エピコート1031S 、エピコート180S65、エピコート157H70、YX−315−75(以上商品名、ジャパンエポキシレジン(株)製)、EHPE3150 、プラクセルG402、PUE101、PUE105(以上商品名、ダイセル化学工業(株)製)、エピクロン(登録商標)830、850、1050、N−680、N−690、N−695、N−770、HP−7200、HP−820、EXA−4850−1000(以上商品名、DIC社製)、デナコール(登録商標)EX−201、EX−251、EX−203、EX−313、EX−314、EX−321、EX−411、EX−511、EX−512、EX−612、EX−614、EX−614B、EX−711、EX−731、EX−810、EX−911、EM−150(以上商品名、ナガセケムテックス社製)、エポライト(登録商標)70P、エポライト100MF(以上商品名、共栄社化学製)等が挙げられる。
また、イソシアネート基含有化合物である、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアナート、1,3−フェニレンビスメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン―4,4’−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、タケネート(登録商標)500、600、コスモネート(登録商標)NBDI、ND(以上商品名、三井化学社製)、デュラネート(登録商標)17B−60PX、TPA−B80E、MF−B60X、MF−K60X、E402−B80T(以上商品名、旭化成ケミカルズ社製)等が挙げられる。
また、ビスマレイミド化合物である、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、フェニルメタンマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、1,6’−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサン、4,4’−ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4’−ジフェニルスルフォンビスマレイミド、1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、BMI−1000、BMI−1100、BMI−2000、BMI−2300、BMI−3000、BMI−4000、BMI−5100、BMI−7000、BMI−TMH、BMI−6000、BMI−8000(以上商品名、大和化成工業(株)製)等が挙げられるが、上述した様に熱架橋する化合物であれば、これらに限定されない。
架橋剤を使用する場合の配合量としては、
(A)樹脂100質量部に対し、0.5〜20質量部であることが好ましく、より好ましくは2〜10質量部である。該配合量が0.5質量部以上である場合、良好な耐熱性及び耐薬品性が発現し、一方、20質量部以下である場合、保存安定性に優れる。
本発明の感光性樹脂組成物には、有機チタン化合物を含有させてもよい。有機チタン化合物を含有することにより、約250℃という低温で硬化した場合であっても耐薬品性に優れる感光性樹脂層を形成できる。
使用可能な有機チタン化合物としては、チタン原子に有機化学物質が共有結合又はイオン結合を介して結合しているものが挙げられる。
有機チタン化合物の具体的例を以下のI)〜VII)に示す:
I)チタンキレート化合物:中でも、アルコキシ基を2個以上有するチタンキレートが、ネガ型感光性樹脂組成物の保存安定性及び良好なパターンが得られることからより好ましく、具体的な例は、チタニウムビス(トリエタノールアミン)ジイソプロポキサイド、チタニウムジ(n−ブトキサイド)ビス(2,4−ペンタンジオネート、チタニウムジイソプロポキサイドビス(2,4−ペンタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキサイドビス(エチルアセトアセテート)等である。
II)テトラアルコキシチタン化合物:例えば、チタニウムテトラ(n−ブトキサイド)、チタニウムテトラエトキサイド、チタニウムテトラ(2−エチルヘキソキサイド)、チタニウムテトライソブトキサイド、チタニウムテトライソプロポキサイド、チタニウムテトラメトキサイド、チタニウムテトラメトキシプロポキサイド、チタニウムテトラメチルフェノキサイド、チタニウムテトラ(n−ノニロキサイド)、チタニウムテトラ(n−プロポキサイド)、チタニウムテトラステアリロキサイド、チタニウムテトラキス[ビス{2,2−(アリロキシメチル)ブトキサイド}]等である。
III)チタノセン化合物:例えば、ペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウムトリメトキサイド、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)ビス(2,6−ジフルオロフェニル)チタニウム、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウム等である。
IV)モノアルコキシチタン化合物:例えば、チタニウムトリス(ジオクチルホスフェート)イソプロポキサイド、チタニウムトリス(ドデシルベンゼンスルホネート)イソプロポキサイド等である。
V)チタニウムオキサイド化合物:例えば、チタニウムオキサイドビス(ペンタンジオネート)、チタニウムオキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、フタロシアニンチタニウムオキサイド等である。
VI)チタニウムテトラアセチルアセトネート化合物:例えば、チタニウムテトラアセチルアセトネート等である。
VII)チタネートカップリング剤:例えば、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート等である。
中でも、有機チタン化合物が、上記I)チタンキレート化合物、II)テトラアルコキシチタン化合物、及びIII)チタノセン化合物から成る群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが、より良好な耐薬品性を奏するという観点から好ましい。特に、チタニウムジイソプロポキサイドビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムテトラ(n−ブトキサイド)、及びビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウムが好ましい。
有機チタン化合物を配合する場合の配合量は、(A)樹脂100質量部に対し、0.05〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜2質量部である。該配合量が0.05質量部以上である場合良好な耐熱性及び耐薬品性が発現し、一方10質量部以下である場合保存安定性に優れる。
さらに、本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成される膜と基材との接着性向上のために接着助剤を任意に配合することができる。接着助剤としては、γ−アミノプロピルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ジメトキシメチル−3−ピペリジノプロピルシラン、ジエトキシ−3−グリシドキシプロピルメチルシラン、N−(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)スクシンイミド、N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]フタルアミド酸、ベンゾフェノン−3,3’−ビス(N−[3−トリエトキシシリル]プロピルアミド)−4,4’−ジカルボン酸、ベンゼン−1,4−ビス(N−[3−トリエトキシシリル]プロピルアミド)−2,5−ジカルボン酸、3−(トリエトキシシリル)プロピルスクシニックアンハイドライド、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−(トリアルコキシシリル)プロピルスクシン酸無水物等のシランカップリング剤、及びアルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート等のアルミニウム系接着助剤等が挙げられる。
これらの接着助剤のうちでは、接着力の点からシランカップリング剤を用いることがより好ましい。感光性樹脂組成物が接着助剤を含有する場合、接着助剤の配合量は、(A)樹脂100質量部に対し、0.5〜25質量部の範囲が好ましい。
シランカップリング剤としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製:商品名 KBM803、チッソ株式会社製:商品名 サイラエースS810)、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SIM6475.0)、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業株式会社製:商品名 LS1375、アズマックス株式会社製:商品名 SIM6474.0)、メルカプトメチルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SIM6473.5C)、メルカプトメチルメチルジメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SIM6473.0)、3−メルカプトプロピルジエトキシメトキシシラン、3−メルカプトプロピルエトキシジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルジエトキシプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルエトキシジプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルジメトキシプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルメトキシジプロポキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルジエトキシメトキシシラン、2−メルカプトエチルエトキシジメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリプロポキシシラン、2−メルカプトエチルトリプロポキシシラン、2−メルカプトエチルエトキシジプロポキシシラン、2−メルカプトエチルジメトキシプロポキシシラン、2−メルカプトエチルメトキシジプロポキシシラン、4−メルカプトブチルトリメトキシシラン、4−メルカプトブチルトリエトキシシラン、4−メルカプトブチルトリプロポキシシラン、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)ウレア(信越化学工業株式会社製:商品名 LS3610、アズマックス株式会社製:商品名 SIU9055.0)、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)ウレア(アズマックス株式会社製:商品名 SIU9058.0)、N−(3−ジエトキシメトキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−エトキシジメトキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−トリプロポキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−ジエトキシプロポキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−エトキシジプロポキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−ジメトキシプロポキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−メトキシジプロポキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−トリメトキシシリルエチル)ウレア、N−(3−エトキシジメトキシシリルエチル)ウレア、N−(3−トリプロポキシシリルエチル)ウレア、N−(3−トリプロポキシシリルエチル)ウレア、N−(3−エトキシジプロポキシシリルエチル)ウレア、N−(3−ジメトキシプロポキシシリルエチル)ウレア、N−(3−メトキシジプロポキシシリルエチル)ウレア、N−(3−トリメトキシシリルブチル)ウレア、N−(3−トリエトキシシリルブチル)ウレア、N−(3−トリプロポキシシリルブチル)ウレア、3−(m−アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SLA0598.0)、m−アミノフェニルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SLA0599.0)、p−アミノフェニルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SLA0599.1)アミノフェニルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SLA0599.2)、2−(トリメトキシシリルエチル)ピリジン(アズマックス株式会社製:商品名 SIT8396.0)、2−(トリエトキシシリルエチル)ピリジン、2−(ジメトキシシリルメチルエチル)ピリジン、2−(ジエトキシシリルメチルエチル)ピリジン、(3−トリエトキシシリルプロピル)−t−ブチルカルバメート、(3−グリシドキシプロピル)トリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−i−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン、テトラキス(メトキシエトキシシラン)、テトラキス(メトキシ−n−プロポキシシラン)、テトラキス(エトキシエトキシシラン)、テトラキス(メトキシエトキシエトキシシラン)、ビス(トリメトキシシリル)エタン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)エチレン、ビス(トリエトキシシリル)オクタン、ビス(トリエトキシシリル)オクタジエン、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ジスルフィド、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド、ジ−t−ブトキシジアセトキシシラン、ジ−i−ブトキシアルミノキシトリエトキシシラン、ビス(ペンタジオネート)チタン−O,O’−ビス(オキシエチル)−アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルシラントリオール、メチルフェニルシランジオール、エチルフェニルシランジオール、n−プロピルフェニルシランジオール、イソプロピルフェニルシランジオール、n−ブチルフェニルシランジオール、イソブチルフェニルシランジオール、tert−ブチルフェニルシランジオール、ジフェニルシランジオール、ジメトキシジフェニルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、ジメトキシジ−p−トリルシラン、エチルメチルフェニルシラノール、n−プロピルメチルフェニルシラノール、イソプロピルメチルフェニルシラノール、n−ブチルメチルフェニルシラノール、イソブチルメチルフェニルシラノール、tert−ブチルメチルフェニルシラノール、エチルn−プロピルフェニルシラノール、エチルイソプロピルフェニルシラノール、n−ブチルエチルフェニルシラノール、イソブチルエチルフェニルシラノール、tert−ブチルエチルフェニルシラノール、メチルジフェニルシラノール、エチルジフェニルシラノール、n−プロピルジフェニルシラノール、イソプロピルジフェニルシラノール、n−ブチルジフェニルシラノール、イソブチルジフェニルシラノール、tert−ブチルジフェニルシラノール、トリフェニルシラノール等が挙げられるが、これらに限定されない。これらは単独でも複数組み合わせて用いてもよい。
シランカップリング剤としては、前記したシランカップリング剤の中でも、保存安定性の観点から、フェニルシラントリオール、トリメトキシフェニルシラン、トリメトキシ(p-トリル)シラン、ジフェニルシランジオール、ジメトキシジフェニルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、ジメトキシジ−p−トリルシラン、トリフェニルシラノール、及び下記構造で表されるシランカップリング剤が好ましい。
シランカップリング剤を使用する場合の配合量としては、(A)樹脂100質量部に対して、0.01〜20質量部が好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、上記成分以外の成分をさらに含有してもよい。その成分の好ましいものは、(A)樹脂として例えばポリイミド前駆体及びポリアミド等を用いるネガ型かポリオキサゾール前駆体、ポリイミド及びフェノール樹脂等を用いるポジ型か等によって異なる。
(A)樹脂としてポリイミド前駆体等を用いるネガ型の場合には、光感度を向上させるために増感剤を任意に配合することができる。該増感剤としては、例えば、ミヒラーズケトン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,5−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタン、2,6−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p−ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p−ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2−(p−ジメチルアミノフェニルビフェニレン)−ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)イソナフトチアゾール、1,3−ビス(4’−ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3’−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−アセチル−7−ジメチルアミノクマリン、3−エトキシカルボニル−7−ジメチルアミノクマリン、3−ベンジロキシカルボニル−7−ジメチルアミノクマリン、3−メトキシカルボニル−7−ジエチルアミノクマリン、3−エトキシカルボニル−7−ジエチルアミノクマリン、N−フェニル−N’−エチルエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、N−p−トリルジエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、4−モルホリノベンゾフェノン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、2−メルカプトベンズイミダゾール、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ナフト(1,2−d)チアゾール、2−(p−ジメチルアミノベンゾイル)スチレン等が挙げられる。これらは単独で又は例えば2〜5種類の組合せで用いることができる。
光感度を向上させるための増感剤を感光性樹脂組成物が含有する場合の配合量は、(A)樹脂100質量部に対し、0.1〜25質量部であることが好ましい。
また、レリーフパターンの解像性を向上させるために、光重合性の不飽和結合を有するモノマーを任意に配合することができる。このようなモノマーとしては、光重合開始剤によりラジカル重合反応する(メタ)アクリル化合物が好ましく、特に以下に限定するものではないが、ジエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレートなどの、エチレングリコール又はポリエチレングリコールのモノ又はジアクリレート及びメタクリレート、プロピレングリコール又はポリプロピレングリコールのモノ又はジアクリレート及びメタクリレート、グリセロールのモノ、ジ又はトリアクリレート及びメタクリレート、シクロヘキサンジアクリレート及びジメタクリレート、1,4−ブタンジオールのジアクリレート及びジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールのジアクリレート及びジメタクリレート、ネオペンチルグリコールのジアクリレート及びジメタクリレート、ビスフェノールAのモノ又はジアクリレート及びメタクリレート、ベンゼントリメタクリレート、イソボルニルアクリレート及びメタクリレート、アクリルアミド及びその誘導体、メタクリルアミド及びその誘導体、トリメチロールプロパントリアクリレート及びメタクリレート、グリセロールのジ又はトリアクリレート及びメタクリレート、ペンタエリスリトールのジ、トリ、又はテトラアクリレート及びメタクリレート、並びにこれら化合物のエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物等の化合物を挙げることができる。
レリーフパターンの解像性を向上させるための上記の光重合性の不飽和結合を有するモノマーを感光性樹脂組成物が含有する場合、光重合性の不飽和結合を有するモノマーの配合量は、(A)樹脂100質量部に対し、1〜50質量部であることが好ましい。
また、(A)樹脂としてポリイミド前駆体等を用いるネガ型の場合には、特に溶剤を含む溶液の状態での保存時の感光性樹脂組成物の粘度及び光感度の安定性を向上させるために熱重合禁止剤を任意に配合することができる。熱重合禁止剤としては、ヒドロキノン、N−ニトロソジフェニルアミン、p−tert−ブチルカテコール、フェノチアジン、N−フェニルナフチルアミン、エチレンジアミン四酢酸、1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、2,6−ジ−tert−ブチル−p−メチルフェノール、5−ニトロソ−8−ヒドロキシキノリン、1−ニトロソ−2−ナフトール、2−ニトロソ−1−ナフトール、2−ニトロソ−5−(N−エチル−N−スルホプロピルアミノ)フェノール、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩、N−ニトロソ−N(1−ナフチル)ヒドロキシルアミンアンモニウム塩等が用いられる。
感光性樹脂組成物に配合する場合の熱重合禁止剤の配合量としては、(A)樹脂100質量部に対し、0.005〜12質量部の範囲が好ましい。
一方、本発明の感光樹脂組成物において、(A)樹脂としてポリオキサゾール前駆体等を用いるポジ型の場合には、必要に応じて、従来から感光性樹脂組成物の添加剤として用いられている染料、界面活性剤はじめ熱酸発生剤、溶解促進剤、基材との密着性を高めるための接着助剤等を添加することができる。
上記添加剤について更に具体的に述べると、染料としては、例えば、メチルバイオレット、クリスタルバイオレット、マラカイトグリーン等が挙げられる。また、界面活性剤としては、例えば、ポリプロピレングリコール又はポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリグリコール類又はその誘導体から成る非イオン系界面活性剤、例えばフロラード(商品名、住友3M社製)、メガファック(商品名、大日本インキ化学工業社製)又はルミフロン(商品名、旭硝子社製)等のフッ素系界面活性剤、例えばKP341(商品名、信越化学工業社製)、DBE(商品名、チッソ社製)、グラノール(商品名、共栄社化学社製)等の有機シロキサン界面活性剤が挙げられる。接着助剤としては、例えば、アルキルイミダゾリン、酪酸、アルキル酸、ポリヒドロキシスチレン、ポリビニルメチルエーテル、t−ブチルノボラック、エポキシシラン、エポキシポリマー等、及び各種シランカップリング剤が挙げられる。
上記の染料及び界面活性剤の配合量としては、(A)樹脂100質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましい。
又、硬化温度を下げた場合でも、良好な硬化物の熱物性及び機械的物性を発現させるという観点から、熱酸発生剤を任意に配合することができる。
熱酸発生剤は、硬化温度を下げた場合でも、良好な硬化物の熱物性及び機械的物性を発現させるという観点から、配合することが好ましい。
熱酸発生剤としては、熱により酸を生成する機能を有するオニウム塩等の強酸と塩基とから形成される塩や、イミドスルホナートが挙げられる。
オニウム塩としては、例えば、アリールジアゾニウム塩、ジフェニルヨードニウム塩等のジアリールヨードニウム塩;ジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム塩等のジ(アルキルアリール)ヨードニウム塩;トリメチルスルホニウム塩のようなトリアルキルスルホニウム塩;ジメチルフェニルスルホニウム塩等のジアルキルモノアリールスルホニウム塩;ジフェニルメチルスルホニウム塩等のジアリールモノアルキルヨードニウム塩;トリアリールスルホニウム塩等が挙げられる。
これらの中で、パラトルエンスルホン酸のジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム塩、トリフルオロメタンスルホン酸のジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム塩、トリフルオロメタンスルホン酸のトリメチルスルホニウム塩、トリフルオロメタンスルホン酸のジメチルフェニルスルホニウム塩、トリフルオロメタンスルホン酸のジフェニルメチルスルホニウム塩、ノナフルオロブタンスルホン酸のジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム塩、カンファースルホン酸のジフェニルヨードニウム塩、エタンスルホン酸のジフェニルヨードニウム塩、ベンゼンスルホン酸のジメチルフェニルスルホニウム塩、トルエンスルホン酸のジフェニルメチルスルホニウム塩等が好ましい。
また、強酸と塩基とから形成される塩としては、上述のオニウム塩の他、次のような強酸と塩基とから形成される塩、例えば、ピリジニウム塩を用いることもできる。強酸としては、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸のようなアリールスルホン酸、カンファースルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸のようなパーフルオロアルキルスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ブタンスルホン酸のようなアルキルスルホン酸等が挙げられる。塩基としては、ピリジン、2,4,6−トリメチルピリジンのようなアルキルピリジン、2−クロロ−N−メチルピリジンのようなN−アルキルピリジン、ハロゲン化−N−アルキルピリジン等が挙げられる。
イミドスルホナートとしては、例えば、ナフトイルイミドスルホナート、フタルイミドスルホナート等を用いることができるが、熱により酸が発生する化合物であれば限定されない。
熱酸発生剤を使用する場合の配合量としては、(A)樹脂100質量部に対し、0.1〜30質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましく、1〜5質量部であることがさらに好ましい。
ポジ型の感光性樹脂組成物の場合、感光後に不用となった樹脂の除去を促進するために、溶解促進剤を使用することができる。たとえば水酸基又はカルボキシル基を有する化合物が好ましい。水酸基を有する化合物の例としては、前述のナフトキノンジアジド化合物に使用しているバラスト剤、並びにパラクミルフェノール、ビスフェノール類、レゾルシノール類、及びMtrisPC、MtetraPC等の直鎖状フェノール化合物、TrisP−HAP、TrisP−PHBA、TrisP−PA等の非直鎖状フェノール化合物(全て本州化学工業社製)、ジフェニルメタンの2〜5個のフェノール置換体、3,3−ジフェニルプロパンの1〜5個のフェノール置換体、2,2−ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンと5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物とをモル比1対2で反応させて得られる化合物、ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホンと1,2−シクロヘキシルジカルボン酸無水物とをモル比1対2で反応させて得られる化合物、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシフタル酸イミド、N−ヒドロキシ5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸イミド等が挙げられる。カルボキシル基を有する化合物の例としては、3−フェニル乳酸、4−ヒドロキシフェニル乳酸、4−ヒドロキシマンデル酸、3,4−ジヒドロキシマンデル酸、4−ヒドロキシ−3−メトキシマンデル酸、2−メトキシ−2−(1−ナフチル)プロピオン酸、マンデル酸、アトロラクチン酸、α−メトキシフェニル酢酸、O−アセチルマンデル酸、イタコン酸等を挙げることができる。
溶解促進剤を使用する場合の配合量としては、(A)樹脂100質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましい。
<再配線層の製造方法>
本発明は、(1)上述した本発明の感光性樹脂組成物を、本発明の表面処理を行なった銅上に塗布することによって樹脂層を該銅層上に形成する工程と、(2)該樹脂層を露光する工程と、(3)該露光後の樹脂層を現像してレリーフパターンを形成する工程と、(4)該レリーフパターンを加熱処理することによって硬化レリーフパターンを形成する工程とを含む、再配線層の製造方法を提供する。以下、各工程の典型的な態様について説明する。
(1)感光性樹脂組成物を、表面処理を行なった銅上に塗布することによって樹脂層を該銅層上に形成する工程
本工程では、本発明の感光性樹脂組成物を表面処理を行なった銅上に塗布し、必要に応じてその後乾燥させて樹脂層を形成する。塗布方法としては、従来から感光性樹脂組成物の塗布に用いられていた方法、例えば、スピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷機等で塗布する方法、スプレーコーターで噴霧塗布する方法等を用いることができる。
必要に応じて、感光性樹脂組成物から成る塗膜を乾燥させることができる。乾燥方法としては、風乾、オーブン又はホットプレートによる加熱乾燥、真空乾燥等の方法が用いられる。具体的には、風乾又は加熱乾燥を行う場合、20℃〜140℃で1分〜1時間の条件で乾燥を行うことができる。以上の通り、銅上に樹脂層を形成できる。
(2)樹脂層を露光する工程
本工程では、上記で形成した樹脂層を、コンタクトアライナー、ミラープロジェクション、ステッパー等の露光装置を用いて、パターンを有するフォトマスク又はレチクルを介して又は直接に、紫外線光源等により露光する。
この後、光感度の向上等の目的で、必要に応じて、任意の温度及び時間の組合せによる露光後ベーク(PEB)及び/又は現像前ベークを施してもよい。ベーク条件の範囲は、温度は40〜120℃であり、そして時間は10秒〜240秒であることが好ましいが、本発明の感光性樹脂組成物の諸特性を阻害するものでない限り、この範囲に限らない。
(3)露光後の樹脂層を現像してレリーフパターンを形成する工程
本工程においては、露光後の感光性樹脂層の露光部又は未露光部を現像除去する。ネガ型の感光性樹脂組成物を用いる場合(例えば(A)樹脂としてポリイミド前駆体を用いる場合)には、未露光部が現像除去され、ポジ型の感光性樹脂組成物を用いる場合(例えば(A)樹脂としてポリオキサゾール前駆体を用いる場合)には、露光部が現像除去される。現像方法としては、従来知られているフォトレジストの現像方法、例えば回転スプレー法、パドル法、超音波処理を伴う浸漬法等の中から任意の方法を選択して使用することができる。また、現像の後、レリーフパターンの形状を調整する等の目的で、必要に応じて任意の温度及び時間の組合せによる現像後ベークを施してもよい。
現像に使用される現像液としては、感光性樹脂組成物に対する良溶媒、又は該良溶媒と貧溶媒との組合せが好ましい。例えばアルカリ水溶液に溶解しない感光性樹脂組成物の場合、良溶媒としては、N−メチルピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン等が好ましく、貧溶媒としてはトルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、乳酸エチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート及び水等が好ましい。良溶媒と貧溶媒とを混合して用いる場合には、感光性樹脂組成物中のポリマーの溶解性によって良溶媒に対する貧溶媒の割合を調整することが好ましい。また、各溶媒を2種以上、例えば数種類組合せて用いることもできる。
一方、アルカリ水溶液に溶解する感光性樹脂組成物の場合、現像に使用される現像液は、アルカリ水溶液可溶性重合体を溶解除去するものであり、典型的にはアルカリ化合物を溶解したアルカリ性水溶液である。現像液中に溶解されるアルカリ化合物は、無機アルカリ化合物、又は有機アルカリ化合物のいずれであってもよい。
該無機アルカリ化合物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、及びアンモニア等が挙げられる。
また、該有機アルカリ化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n−プロピルアミン、ジ−n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、エタノールアミン、及びトリエタノールアミン等が挙げられる。
更に、必要に応じて、上記アルカリ性水溶液に、メタノール、エタノール、プロパノール、又はエチレングリコール等の水溶性有機溶媒、界面活性剤、保存安定剤、及び樹脂の溶解抑止剤等を適量添加することができる。以上のようにしてレリーフパターンを形成できる。
(4)レリーフパターンを加熱処理することによって硬化レリーフパターンを形成する工程
本工程では、上記現像により得られたレリーフパターンを加熱することによって、硬化レリーフパターンに変換する。加熱硬化の方法としては、ホットプレートによるもの、オーブンを用いるもの、温度プログラムを設定できる昇温式オーブンを用いるもの等種々の方法を選ぶことができる。加熱は、例えば180℃〜400℃で30分〜5時間の条件で行うことができる。加熱硬化の際の雰囲気気体としては空気を用いてもよく、窒素、アルゴン等の不活性ガスを用いることもできる。
<半導体装置>
本発明の第四の態様によれば、また、上述した本発明の再配線層の製造方法により得られる再配線層を含む、半導体装置を提供することができる。本発明は、半導体素子である基材と、前記基材上に上述した再配線層の製造方法により形成された再配線層とを含む半導体装置も提供する。また、本発明は、基材として半導体素子を用い、上述した再配線層の製造方法を工程の一部として含む半導体装置の製造方法にも適用できる。
[第五の態様]
素子は、目的に合わせて、様々な方法でプリント基板に実装される。従来の素子は、素子の外部端子(パッド)からリードフレームまで細いワイヤで接続する、ワイヤボンディング法により作製されることが一般的であった。しかし、素子の高速化が進み、動作周波数がGHzまで到達した今日、実装における各端子の配線長さの違いが、素子の動作に影響を及ぼすまでに至った。そのため、ハイエンド用途の素子の実装では、実装配線の長さを正確に制御する必要が生じ、ワイヤボンディングではその要求を満たすことが困難となった。
したがって、半導体チップの表面に再配線層を形成し、その上にバンプ(電極)を形成した後、該チップを裏返し(フリップ)て、プリント基板に直接実装する、フリップチップ実装が提案されている(例えば特開2001−338947号公報)。このフリップチップ実装では、配線距離を正確に制御できるため、高速な信号を取り扱うハイエンド用途の素子に、あるいは、実装サイズの小ささから携帯電話等に、それぞれ採用され、需要が急拡大している。フリップチップ実装にポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、フェノール樹脂等の材料を使用する場合、該樹脂層のパターンが形成された後に、金属配線層形成工程を経る。金属配線層は、通常、樹脂層表面をプラズマエッチングして表面を粗化した後、メッキのシード層となる金属層を、1μm以下の厚みでスパッタにより形成した後、その金属層を電極として、電解メッキにより形成される。このとき、一般に、シード層となる金属としてはTiが、電解メッキにより形成される再配線層の金属としてはCuが用いられる。
このような金属再配線層について、再配線された金属層と樹脂層との密着性が高いことが求められる。しかしながら、従来、感光性樹脂組成物を形成する樹脂や添加剤の影響や、再配線層を形成する際の製造方法の影響により、再配線されたCu層と樹脂層の密着性が低下する場合があった。再配線されたCu層と樹脂層の密着性が低下すると、再配線層の絶縁信頼性が低下する。
一方、マイクロ波は、周波数が300MHz〜3GHzの電磁波で、材料に照射すると、材料中に含まれる永久双極子に作用することで、材料を局所的に発熱させる作用がある。この効果を利用することで、従来300℃以上の高温の加熱が必要だった、ポリアミド酸の閉環イミド化を、250℃以下で進行させることが知られる(例えば特許第5121115号公報)。しかしながら、マイクロ波照射が、樹脂とCuの密着性に及ぼす影響については、これまで明確ではなかった。
上記の実情に鑑みて、本発明の第五の態様は、Cu層と密着性が高い再配線層の形成方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、特定の感光性樹脂組成物の硬化過程において、マイクロ波を照射することで、Cu層と樹脂層の密着性が高い再配線層を得ることを見出し、本発明の第五の態様を完成させた。すなわち、本発明の第五の態様は以下のとおりである。
[1]
以下の工程:
(A)ポリアミド酸エステル、ノボラック、ポリヒドロキシスチレン、及びフェノール樹脂から成る群より選ばれる少なくとも一種の樹脂を100質量部、(B)感光剤を前記(A)樹脂100質量部を基準として1〜50質量部、を含む感光性樹脂組成物を調製する工程;
前記感光性樹脂組成物を基板上に塗布することによって、感光性樹脂層を前記基板上に形成する工程;
前記感光性樹脂層を露光する工程;
前記露光後の感光性樹脂層を現像してレリーフパターンを形成する工程;及び
前記レリーフパターンを、マイクロ波照射下で硬化させる工程;
を含む、配線層の製造方法。
[2] 前記マイクロ波照射による硬化を、250℃以下で行なう、[1]に記載の方法。
[3] 前記基板が、銅又は銅合金から形成されている、[1]又は[2]に記載の方法。
[4] 前記感光性樹脂が、下記一般式(40):
{式中、X1cは、4価の有機基であり、Y1cは、2価の有機基であり、n1cは、2〜150の整数であり、そしてR1c及びR2cは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜30の飽和脂肪族基、芳香族基、又は下記一般式(41):
(式中、R3c、R4c及びR5cは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3の有機基であり、そしてm1cは、2〜10の整数である。)で表される1価の有機基、又は炭素数1〜4の飽和脂肪族基である。)で表される構造を含むポリアミド酸エステル、ノボラック、ポリヒドロキシスチレンもしくは下記一般式(46):
{式中、aは、1〜3の整数であり、bは、0〜3の整数であり、1≦(a+b)≦4であり、R12cは、炭素数1〜20の1価の有機基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1価の置換基を表し、bが2又は3である場合には、複数のR12cは、互いに同一でも又は異なっていてもよく、Xcは、不飽和結合を有していてもよい炭素数2〜10の2価の脂肪族基、炭素数3〜20の2価の脂環式基、下記一般式(47):
(式中、pは、1〜10の整数である。)で表される2価のアルキレンオキシド基、及び炭素数6〜12の芳香族環を有する2価の有機基からなる群から選択される2価の有機基を表す。}で表されるフェノール樹脂、からなる群から選ばれる少なくとも一種の樹脂である、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の方法。
[5] 前記感光性樹脂組成物が、前記一般式(46)で表される繰り返し単位を有するフェノール樹脂を含み、前記一般式(46)中のXcが、下記一般式(48):
{式中、R13c、R14c、R15c及びR16cは、各々独立に、水素原子、炭素数1〜10の1価の脂肪族基、又は水素原子の一部若しくは全部がフッ素原子で置換されてなる炭素数1〜10の1価の脂肪族基であり、n6cは0〜4の整数であって、n6cが1〜4の整数である場合のR17cは、ハロゲン原子、水酸基、又は炭素数1〜12の1価の有機基であり、少なくとも1つのR6cは水酸基であり、n6cが2〜4の整数である場合の複数のR17cは互いに同一でも又は異なっていてもよい。}で表される2価の基、及び下記一般式(49):
{式中、R18c、R19c、R20c及びR21cは、各々独立に、水素原子、炭素数1〜10の1価の脂肪族基、又は水素原子の一部若しくは全部がフッ素原子で置換されてなる炭素数1〜10の1価の脂肪族基を表し、Wは、単結合、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10の脂肪族基、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数3〜20の脂環式基、下記一般式(47):
(式中、pは、1〜10の整数である。)で表される2価のアルキレンオキシド基、及び下記式(50):
で表される2価の基からなる群から選択される2価の基である。}で表される、[4]に記載の方法。
本発明の第五の態様によれば、特定の感光性樹脂組成物の硬化過程において、マイクロ波を照射することで、Cu層と樹脂層の密着性が高い再配線層の形成方法を提供することができる。
<感光性樹脂組成物>
本発明は、(A)ポリアミド酸エステル、ノボラック、ポリヒドロキシスチレン及びフェノール樹脂から成る群より選ばれる少なくとも一種の樹脂:100質量部、(B)感光剤:(A)樹脂100質量部を基準として1〜50質量部を必須成分とする。
(A)樹脂
本発明に用いられる(A)樹脂について説明する。本発明の(A)樹脂は、ポリアミド酸エステル、ノボラック、ポリヒドロキシスチレン、及びフェノール樹脂から成る群より選ばれる少なくとも一種の樹脂を主成分とする。ここで、主成分とは、これらの樹脂を全樹脂の60質量%以上含有することを意味し、80質量%以上含有することが好ましい。また、必要に応じて他の樹脂を含んでいてもよい。
これらの樹脂の重量平均分子量は、熱処理後の耐熱性、機械特性の観点から、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算で、1,000以上であることが好ましく、5,000以上がより好ましい。上限は100,000以下であることが好ましく、感光性樹脂組成物とする場合は、現像液に対する溶解性の観点から、50,000以下がより好ましい。
本発明において(A)樹脂は、レリーフパターンを形成させるために、感光性樹脂であることが望ましい。感光性樹脂は、後述の(B)感光剤とともに使用して感光性樹脂組成物となり、その後の現像工程において溶解又は未溶解の現象を引き起こす樹脂である。
感光性樹脂としてはポリアミド酸エステル、ノボラック、ポリヒドロキシスチレン、フェノール樹脂が用いられ、また、これらの感光性樹脂は、後述の(B)感光剤とともに、ネガ型又はポジ型の何れの感光性樹脂組成物を調製するか等、所望の用途に応じて選択できる。
[(A)ポリアミド酸エステル]
本発明の感光性樹脂組成物において、耐熱性及び感光特性の観点から最も好ましい(A)樹脂の1つの例は、前記一般式(40):
{式中、X1Cは、4価の有機基であり、Y1Cは、2価の有機基であり、n1Cは、2〜150の整数であり、R1C及びR2Cは、それぞれ独立に、水素原子、又は前記一般式(41):
(式中、R3C、R4C及びR5Cは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3の有機基であり、そしてm1Cは、2〜10の整数である。)で表される1価の有機基、又は炭素数1〜4の飽和脂肪族基である。}
で表される構造を含むポリアミド酸エステルである。ポリアミド酸エステルは、加熱(例えば200℃以上)環化処理を施すことによってポリイミドに変換される。従って、ポリアミド酸エステルはポリイミド前駆体とも言う。ポリイミド前駆体はネガ型感光性樹脂組成物用として好適である。
上記一般式(40)中、XC1で表される4価の有機基は、耐熱性と感光特性とを両立するという点で、好ましくは炭素数6〜40の有機基であり、さらに好ましくは、−COOR1C基及び−COOR2C基と−CONH−基とが互いにオルト位置にある芳香族基、又は脂環式脂肪族基である。X1Cで表される4価の有機基として、好ましくは芳香族環を含有する炭素原子数6〜40の有機基であり、さらに好ましくは、下記式(90):
{式中、R25bは水素原子、フッ素原子、C1〜C10の炭化水素基、C1〜C10の含フッ素炭化水素基から選ばれる1価の基であり、lは0〜2から選ばれる整数、mは0〜3から選ばれる整数、nは0〜4から選ばれる整数である。}
で表される構造が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、X1Cの構造は1種でも2種以上の組み合わせでも構わない。上記式で表される構造を有するX1C基は、耐熱性と感光特性とを両立するという点で特に好ましい。
上記一般式(40)中、Y1Cで表される2価の有機基は、耐熱性と感光特性とを両立するという点で、好ましくは炭素数6〜40の芳香族基であり、例えば、下記式(91):
{式中、R25bは水素原子、フッ素原子、C1〜C10の炭化水素基、C1〜C10の含フッ素炭化水素基から選ばれる1価の基であり、nは0〜4から選ばれる整数である。}
で表される構造が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、YC1の構造は1種でも2種以上の組み合わせでも構わない。上記式で表される構造を有するY1C基は、耐熱性及び感光特性を両立するという点で特に好ましい。
上記一般式(41)中のR3Cは、水素原子又はメチル基であることが好ましく、R4C及びR5Cは、感光特性の観点から水素原子であることが好ましい。また、m1Cは、感光特性の観点から2以上10以下の整数、好ましくは2以上4以下の整数である。
(A)ポリアミド酸エステルは、まず、前述の4価の有機基X1Cを含むテトラカルボン酸二無水物と、光重合性の不飽和二重結合を有するアルコール類及び任意に炭素数1〜4の飽和脂肪族アルコール類とを反応させて、部分的にエステル化したテトラカルボン酸(以下、アシッド/エステル体ともいう)を調製した後、これと、前述の2価の有機基Y1を含むジアミン類とをアミド重縮合させることにより得られる。
(アシッド/エステル体の調製)
本発明で、ポリアミド酸エステルを調製するために好適に用いられる、4価の有機基X1を含むテトラカルボン酸二無水物としては、上記一般式(90)に示される酸二無水物をはじめ、例えば、無水ピロメリット酸、ジフェニルエーテル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルメタン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−無水フタル酸)プロパン、2,2−ビス(3,4−無水フタル酸)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等を、好ましくは無水ピロメリット酸、ジフェニルエーテル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらは単独で用いることができるのは勿論のこと2種以上を混合して用いてもよい。
本発明で、ポリアミド酸エステルを調製するために好適に用いられる、光重合性の不飽和二重結合を有するアルコール類としては、例えば、2−アクリロイルオキシエチルアルコール、1−アクリロイルオキシ−3−プロピルアルコール、2−アクリルアミドエチルアルコール、メチロールビニルケトン、2−ヒドロキシエチルビニルケトン、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−t−ブトキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルオキシプロピルアクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルアルコール、1−メタクリロイルオキシ−3−プロピルアルコール、2−メタクリルアミドエチルアルコール、メチロールビニルケトン、2−ヒドロキシエチルビニルケトン、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−t−ブトキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルオキシプロピルメタクリレート等を挙げることができる。
上記アルコール類に、炭素数1〜4の飽和脂肪族アルコールとして、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール等を一部混合して用いることもできる。
上記の本発明に好適なテトラカルボン酸二無水物と上記のアルコール類とを、ピリジン等の塩基性触媒の存在下、後述するような溶剤中、温度20〜50℃で4〜10時間撹拌溶解、混合することにより、酸無水物のエステル化反応が進行し、所望のアシッド/エステル体を得ることができる。
(ポリアミド酸エステルの調製)
上記アシッド/エステル体(典型的には上記反応溶媒中の溶液)に、氷冷下、適当な脱水縮合剤、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン、1,1−カルボニルジオキシ−ジ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、N,N’−ジスクシンイミジルカーボネート等を投入混合してアシッド/エステル体をポリ酸無水物とした後、これに、本発明で好適に用いられる2価の有機基Y1を含むジアミン類を別途溶媒に溶解又は分散させたものを滴下投入し、アミド重縮合させることにより、目的のポリイミド前駆体を得ることができる。もしくは、上記アシッド/エステル体を、塩化チオニル等を用いてアシッド部分を酸クロライド化した後に、ピリジン等の塩基存在下に、ジアミン化合物と反応させることにより、目的のポリイミド前駆体を得ることができる。
本発明で好適に用いられる2価の有機基Y1Cを含むジアミン類としては、上記一般式(II)に示されたジアミンをはじめ、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4‘−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノビフェニル、3,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、
1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、4,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、9,10−ビス(4−アミノフェニル)アントラセン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3−アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、オルト−トリジンスルホン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、及びこれらのベンゼン環上の水素原子の一部が、メチル基、エチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ハロゲン等で置換されたもの、例えば3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチルベンジジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(フルオロ)−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノオクタフルオロビフェニル等を、好ましくはp−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2’−ジメチルベンジジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(フルオロ)−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノオクタフルオロビフェニル並びにその混合物等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
また、本発明の感光性樹脂組成物を基板上に塗布することによって基板上に形成される樹脂層と各種基板との密着性の向上を目的に、ポリアミド酸エステルの調製に際して、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラフェニルジシロキサン等のジアミノシロキサン類を共重合することもできる。
アミド重縮合反応終了後、当該反応液中に共存している脱水縮合剤の吸水副生物を必要に応じて濾別した後、水、脂肪族低級アルコール、又はその混合液等の貧溶媒を、得られた重合体成分に投入し、重合体成分を析出させ、さらに、再溶解、再沈析出操作等を繰り返すことにより、重合体を精製し、真空乾燥を行い、目的のポリアミド酸エステルを単離する。精製度を向上させるために、陰イオン及び/又は陽イオン交換樹脂を適当な有機溶媒で膨潤させて充填したカラムに、この重合体の溶液を通し、イオン性不純物を除去してもよい。
上記ポリアミド酸エステルの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算重量平均分子量で測定した場合に、8,000〜150,000であることが好ましく、9,000〜50,000であることがより好ましい。重量平均分子量が8,000以上である場合機械物性が良好であり、150,000以下である場合現像液への分散性が良好で、レリーフパターンの解像性能が良好である。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーの展開溶媒としては、テトラヒドロフラン、及びN−メチル−2−ピロリドンが推奨される。また重量平均分子量は標準単分散ポリスチレンを用いて作成した検量線から求める。標準単分散ポリスチレンとしては、昭和電工社製 有機溶媒系標準試料 STANDARD SM−105から選ぶことが推奨される。
((A)ノボラック)
本開示で、ノボラックとは、フェノール類とホルムアルデヒドとを触媒の存在下で縮合させることにより得られるポリマー全般を意味する。一般に、ノボラックは、フェノール類1モルに対し、ホルムアルデヒド1モル未満を縮合させて得ることができる。上記フェノール類としては、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−ブチルフェノール、m−ブチルフェノール、p−ブチルフェノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、カテコール、レゾルシノール、ピロガロール、α−ナフトール、β−ナフトール等が挙げられる。具体的なノボラックとしては、例えば、フェノール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂、クレゾール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂、フェノール−ナフトール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂等が挙げられる。
ノボラックの重量平均分子量は、好ましくは700〜100,000であり、より好ましくは1,500〜80,000であり、更に好ましくは2,000〜50,000である。重量平均分子量は、硬化膜のリフロー処理適用性の観点から、700以上であることが好ましく、一方で、感光性樹脂組成物のアルカリ溶解性の観点から、100,000以下であることが好ましい。
((A)ポリヒドロキシスチレン)
本開示で、ポリヒドロキシスチレンとは、ヒドロキシスチレンを重合単位として含有するポリマー全般を意味する。ポリヒドロキシスチレンの好ましい例としては、ポリパラビニルフェノールが挙げられる。ポリパラビニルフェノールは、パラビニルフェノールを重合単位として含有するポリマー全般を意味する。従って、本発明の目的に反しない限りは、ポリヒドロキシスチレン(例えばポリパラビニルフェノール)を構成するために、ヒドロキシスチレン(例えばパラビニルフェノール)以外の重合単位を使用することができる。ポリヒドロキシスチレンにおいて、全重合単位のモル数基準でのヒドロキシスチレン単位のモル数の割合は、好ましくは10モル%〜99モル%、より好ましくは20〜97モル%、更に好ましくは30〜95モル%である。上記割合が10モル%以上である場合、感光性樹脂組成物のアルカリ溶解性の観点で有利であり、99モル%以下である場合、後述の共重合成分を含有する組成物を硬化した硬化膜のリフロー適用性の観点から有利である。ヒドロキシスチレン(例えばパラビニルフェノール)以外の重合単位は、ヒドロキシスチレン(例えばパラビニルフェノール)と共重合可能な任意の重合単位であることができる。ヒドロキシスチレン(例えばパラビニルフェノール)以外の重合単位を与える共重合成分としては、限定されるものではないが、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ブチルメタクリレート、オクチルアクリレート、2−エトキシエチルメタアクリレート、t−ブチルアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、デカメチレングリコールジアクリレート、デカメチレングリコールジメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、2,2−ジメチロールプロパンジアクリレート、グリセロールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、2,2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)−プロパンジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリオキシエチル−2−2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)−プロパンジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリメタクリレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、1−フェニルエチレン−1,2−ジメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,5−ペンタンジオールジメタクリレート及び1,4−ベンゼンジオールジメタクリレートのようなアクリル酸のエステル;スチレン並びに、例えば、2−メチルスチレン及びビニルトルエンのような置換スチレン;例えば、ビニルアクリレート及びビニルメタクリレートのようなビニルエステルモノマー;並びにo−ビニルフェノール、m−ビニルフェノール等が挙げられる。
また、上記で説明されたノボラック及びポリヒドロキシスチレンとしては、それぞれ、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用されることができる。
ポリヒドロキシスチレンの重量平均分子量は、好ましくは700〜100,000であり、より好ましくは1,500〜80,000であり、更に好ましくは2,000〜50,000である。重量平均分子量は、硬化膜のリフロー処理適用性の観点から、700以上であることが好ましく、一方で、感光性樹脂組成物のアルカリ溶解性の観点から、100,000以下であることが好ましい。
((A)一般式(46)で表されるフェノール樹脂)
本実施形態では、(A)フェノール樹脂が、下記一般式(46):
{式中、aは、1〜3の整数であり、bは、0〜3の整数であり、1≦(a+b)≦4であり、R12Cは、炭素数1〜20の1価の有機基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1価の置換基を表し、bが2又は3である場合には、複数のR1は、互いに同一でも又は異なっていてよく、Xcは、不飽和結合を有していてもよい炭素数2〜10の2価の脂肪族基、炭素数3〜20の2価の脂環式基、下記一般式(47):
(式中、pは、1〜10の整数である。)で表される2価のアルキレンオキシド基、及び炭素数6〜12の芳香族環を有する2価の有機基からなる群から選択される2価の有機基を表す。}で表される繰り返し単位を有するフェノール樹脂を含むこともまた好ましい。上記の繰り返し単位を有するフェノール樹脂は、例えば従来使用されてきたポリイミド樹脂及びポリベンゾオキサゾール樹脂と比べて低温での硬化が可能であり、かつ良好な伸度を有する硬化膜の形成を可能にする点で特に有利である。フェノール樹脂分子中に存在する上記繰り返し単位は、1種又は2種以上の組合せであることができる。
上記一般式(46)において、R12Cは、一般式(46)にかかる樹脂を合成する際の反応性の観点から、炭素数1〜20の1価の有機基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1価の置換基である。R12Cは、アルカリ溶解性の観点から、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、不飽和結合を有していてもよい炭素数1〜10の脂肪族基、炭素数6〜20の芳香族基、及び下記一般式(160):
{式中、R61C、R62C及びR63Cは、各々独立に、水素原子、不飽和結合を有していてもよい炭素数1〜10の脂肪族基、炭素数3〜20の脂環式基、又は炭素数6〜20の芳香族基を表し、そしてR64Cは、不飽和結合を有していてもよい炭素数1〜10の2価の脂肪族基、炭素数3〜20の2価の脂環式基、又は炭素数6〜20の2価の芳香族基を表す。}で表される4つの基からなる群から選択される1価の置換基であることが好ましい。
本実施形態では、上記一般式(46)において、aは、1〜3の整数であるが、アルカリ溶解性及び伸度の観点から2が好ましい。また、aが2である場合には、水酸基同士の置換位置は、オルト、メタ及びパラ位のいずれであってもよい。そしてaが3である場合には、水酸基同士の置換位置は、1,2,3−位、1,2,4−位及び1,3,5−位等、いずれであってもよい。
本実施形態では、上記一般式(46)において、aが1の場合は、アルカリ溶解性を向上するために、一般式(46)で表される繰り返し単位を有するフェノール樹脂(以下、(a1)樹脂ともいう)にさらにノボラック及びポリヒドロキシスチレンから選択されるフェノール樹脂(以下(a2)樹脂ともいう)を混合することができる。
(a1)樹脂と(a2)樹脂との混合比は、質量比で(a1)/(a2)=10/90〜90/10の範囲であることが好ましい。この混合比は、アルカリ水溶液中での溶解性、及び硬化膜の伸度の観点から、(a1)/(a2)=10/90〜90/10が好ましく、(a1)/(a2)=20/80〜80/20であることがより好ましく、(a1)/(a2)=30/70〜70/30であることがさらに好ましい。
上記(a2)樹脂としてのノボラック及びポリヒドロキシスチレンとしては、上記(ノボラック)及び(ポリヒドロキシスチレン)の項に示したものと同様の樹脂を使用できる。
本実施形態では、上記一般式(46)において、bは、0〜3の整数であるが、アルカリ溶解性及び伸度の観点から、0又は1であることが好ましい。また、bが2又は3である場合には、複数のR12は、互いに同一でも又は異なっていてもよい。
さらに、本実施形態では、上記一般式(46)において、a及びbは、1≦(a+b)≦4の関係を満たす。
本実施形態では、上記一般式(46)において、Xは、硬化レリーフパターン形状及び、硬化膜の伸度の観点から、不飽和結合を有していてもよい炭素数2〜10の2価の脂肪族基、炭素数3〜20の2価の脂環式基、上記一般式(47)で表されるアルキレンオキシド基、及び炭素数6〜12の芳香族環を有する2価の有機基からなる群から選択される2価の有機基である。これらの2価の有機基の中で、硬化後の膜の強靭性の観点から、Xは、下記一般式(48):
{式中、R13C、R14C、R15C及びR16Cは、各々独立に、水素原子、炭素数1〜10の1価の脂肪族基、又は水素原子の一部若しくは全部がフッ素原子で置換されてなる炭素数1〜10の1価の脂肪族基であり、n6Cは0〜4の整数であって、n6Cが1〜4の整数である場合のR17Cは、ハロゲン原子、水酸基、又は炭素数1〜12の1価の有機基であり、少なくとも1つのR17Cは水酸基であり、n6Cが2〜4の整数である場合の複数のR17Cは互いに同一でも又は異なっていてもよい。}で表される2価の基、又は下記一般式(49):
{式中、R1C8、R19C、R20C及びR21Cは、各々独立に、水素原子、炭素数1〜10の1価の脂肪族基、又は水素原子の一部若しくは全部がフッ素原子で置換されてなる炭素数1〜10の1価の脂肪族基を表し、Wは、単結合、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10の脂肪族基、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数3〜20の脂環式基、下記一般式(47):
(式中、pは、1〜10の整数である。)で表される2価のアルキレンオキシド基、及び下記式(50):
で表される2価の基からなる群から選択される2価の有機基である。}で表される2価の基からなる群から選択される2価の有機基であることが好ましい。上記炭素数6〜12の芳香族環を有する2価の有機基の炭素数は、好ましくは8〜75、より好ましくは8〜40である。なお上記炭素数6〜12の芳香族環を有する2価の有機基の構造は、一般的には、上記一般式(46)中、OH基及び任意のR12基が芳香環に結合している構造とは異なる。
更に、上記一般式(50)で表される2価の有機基は、樹脂組成物のパターン形成性、及び硬化後の硬化膜の伸度が良好である観点から、下記式(161):
で表される2価の有機基であることがより好ましく、さらに下記式(162):
で表される2価の有機基であることが特に好ましい。
一般式(46)で表される構造中、Xcは、前記式(161)又は(162)で表される構造が特に好ましく、Xcにおける式(161)又は(162)で表される構造で表される部位の割合は、伸度の観点から、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましい。上記割合は、組成物のアルカリ溶解性の観点から、80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましい。
また、上記一般式(46)で表される構造を有するフェノール樹脂の中で、下記一般式(163)で表される構造及び下記一般式(164)で表される構造の両方を同一樹脂骨格内に有する構造は、組成物のアルカリ溶解性及び、硬化膜の伸度の観点から特に好ましい。
{式中、R21Cは炭化水素基及びアルコキシ基からなる群から選択される炭素数1〜10の1価の基であり、n7Cは2又は3であり、n8Cは0〜2の整数であり、m5Cは1〜500の整数であり、2≦(n7C+n8C)≦4であり、n8Cが2の場合には、複数のR21Cは互いに同一でも又は異なっていてもよい。}
{式中、R22C及びR23Cは各々独立に炭化水素基及びアルコキシ基からなる群から選択される炭素数1〜10の1価の基であり、n9Cは1〜3の整数であり、n10Cは0〜2の整数であり、n11Cは0〜3の整数であり、m6Cは1〜500の整数であり、2≦(n9C+n10C)≦4であり、n10Cが2の場合には、複数のR22Cは互いに同一でも又は異なっていてもよく、n11Cが2又は3の場合には、複数のR23Cは互いに同一でも又は異なっていてもよい。}
上記一般式(163)のm5C及び上記一般式(164)のm6Cは、フェノール樹脂の主鎖におけるそれぞれの繰り返し単位の総数を表す。すなわち、(A)フェノール樹脂において、例えば、上記一般式(163)で表される構造における括弧内の繰り返し単位と上記一般式(164)で表される構造における括弧内の繰り返し単位とは、ランダム、ブロック又はこれらの組合せで配列されていることができる。m5C及びm6Cは各々独立に1〜500の整数であり、下限値は、好ましくは2、より好ましくは3であり、上限値は、好ましくは450、より好ましくは400、さらに好ましくは350である。m5C及びm6Cは、各々独立に、硬化後の膜の強靭性の観点から、2以上であることが好ましく、アルカリ水溶液中での溶解性の観点から、450以下であることが好ましい。m5C及びm6Cの合計は、硬化後の膜の強靭性の観点から、好ましくは2以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは6以上であり、アルカリ水溶液中での溶解性の観点から、好ましくは200以下、より好ましくは175以下、更に好ましくは150以下である。
上記一般式(163)で表される構造及び上記一般式(164)で表される構造の両方を同一樹脂骨格内に有する(A)フェノール樹脂において、上記一般式(163)で表される構造のモル比率が高いほど、硬化後の膜物性が良好であり、耐熱性にも優れ、一方、上記一般式(164)で表される構造のモル比率が高いほど、アルカリ溶解性が良好であり、硬化後のパターン形状に優れる。従って、上記一般式(163)で表される構造の上記一般式(164)で表される構造に対する比率m5C/m6Cは、硬化後の膜物性の観点から、好ましくは20/80以上、より好ましくは40/60以上、特に好ましくは50/50以上であり、アルカリ溶解性及び硬化レリーフパターン形状の観点から、好ましくは90/10以下、より好ましくは80/20以下、さらに好ましくは70/30以下である。
一般式(46)で表される繰り返し単位を有するフェノール樹脂は、典型的には、フェノール化合物と、共重合成分(具体的には、アルデヒド基を有する化合物(トリオキサンのように分解してアルデヒド化合物を生成する化合物も含む)、ケトン基を有する化合物、メチロール基を分子内に2個有する化合物、アルコキシメチル基を分子内に2個有する化合物、及びハロアルキル基を分子内に2個有する化合物からなる群から選択される1種類以上の化合物)とを含み、より典型的にはこれらからなるモノマー成分を、重合反応させることによって合成できる。例えば、下記に示すようなフェノール及び/又はフェノール誘導体(以下、総称して「フェノール化合物」ともいう。)に対し、アルデヒド化合物、ケトン化合物、メチロール化合物、アルコキシメチル化合物、ジエン化合物、又はハロアルキル化合物等の共重合成分を重合させて(A)フェノール樹脂を得ることができる。この場合、上記一般式(46)中、OH基及び任意のR12C基が芳香環に結合している構造で表される部分は上記フェノール化合物に由来し、Xで表される部分は上記共重合成分に由来することになる。反応制御、並びに得られた(A)フェノール樹脂及び感光性樹脂組成物の安定性の観点から、フェノール化合物と上記共重合成分との仕込みモル比 (フェノール化合物):(共重合成分)は、5:1〜1.01:1であることが好ましく、2.5:1〜1.1:1であることがより好ましい。
一般式(46)で表される繰り返し単位を有するフェノール樹脂の重量平均分子量は、好ましくは700〜100,000であり、より好ましくは1,500〜80,000であり、更に好ましくは2,000〜50,000である。重量平均分子量は、硬化膜のリフロー処理適用性の観点から、700以上であることが好ましく、一方で、感光性樹脂組成物のアルカリ溶解性の観点から、100,000以下であることが好ましい。
一般式(46)で表される繰り返し単位を有するフェノール樹脂を得るために使用できるフェノール化合物としては、例えば、クレゾール、エチルフェノール、プロピルフェノール、ブチルフェノール、アミルフェノール、シクロヘキシルフェノール、ヒドロキシビフェニル、ベンジルフェノール、ニトロベンジルフェノール、シアノベンジルフェノール、アダマンタンフェノール、ニトロフェノール、フルオロフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、トリフルオロメチルフェノール、N−(ヒドロキシフェニル)−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ヒドロキシフェニル)−5−メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、トリフルオロメチルフェノール、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸エチル、ヒドロキシ安息香酸ベンジル、ヒドロキシベンズアミド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ヒドロキシアセトフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾニトリル、レゾルシノール、キシレノール、カテコール、メチルカテコール、エチルカテコール、ヘキシルカテコール、ベンジルカテコール、ニトロベンジルカテコール、メチルレゾルシノール、エチルレゾルシノール、ヘキシルレゾルシノール、ベンジルレゾルシノール、ニトロベンジルレゾルシノール、ハイドロキノン、カフェイン酸、ジヒドロキシ安息香酸、ジヒドロキシ安息香酸メチル、ジヒドロキシ安息香酸エチル、ジヒドロキシ安息香酸ブチル、ジヒドロキシ安息香酸プロピル、ジヒドロキシ安息香酸ベンジル、ジヒドロキシベンズアミド、ジヒドロキシベンズアルデヒド、ジヒドロキシアセトフェノン、ジヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシベンゾニトリル、N−(ジヒドロキシフェニル)−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ジヒドロキシフェニル)−5−メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、ニトロカテコール、フルオロカテコール、クロロカテコール、ブロモカテコール、トリフルオロメチルカテコール、ニトロレゾルシノール、フルオロレゾルシノール、クロロレゾルシノール、ブロモレゾルシノール、トリフルオロメチルレゾルシノール、ピロガロール、フロログルシノール、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、トリヒドロキシ安息香酸、トリヒドロキシ安息香酸メチル、トリヒドロキシ安息香酸エチル、トリヒドロキシ安息香酸ブチル、トリヒドロキシ安息香酸プロピル、トリヒドロキシ安息香酸ベンジル、トリヒドロキシベンズアミド、トリヒドロキシベンズアルデヒド、トリヒドロキシアセトフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾニトリル等が挙げられる。
上記アルデヒド化合物としては、例えば、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ピバルアルデヒド、ブチルアルデヒド、ペンタナール、ヘキサナール、トリオキサン、グリオキザール、シクロヘキシルアルデヒド、ジフェニルアセトアルデヒド、エチルブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、グリオキシル酸、5−ノルボルネン−2−カルボキシアルデヒド、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、グルタルアルデヒド、サリチルアルデヒド、ナフトアルデヒド、テレフタルアルデヒド等が挙げられる。
上記ケトン化合物としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジシクロヘキシルケトン、ジベンジルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ビシクロヘキサノン、シクロヘキサンジオン、3−ブチン−2−オン、2−ノルボルナノン、アダマンタノン、2,2−ビス(4−オキソシクロヘキシル)プロパン等が挙げられる。
上記メチロール化合物としては、例えば、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−4−エチルフェノール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−4−プロピルフェノール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−4−n−ブチルフェノール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−4−t−ブチルフェノール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−4−メトキシフェノール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−4−エトキシフェノール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−4−プロポキシフェノール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−4−n−ブトキシフェノール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−4−t−ブトキシフェノール、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)尿素、リビトール、アラビトール、アリトール、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸、2−ベンジルオキシ−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、モノアセチン、2−メチル−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、5−ノルボルネン−2,2−ジメタノール、5−ノルボルネン−2,3−ジメタノール、ペンタエリスリトール、2−フェニル−1,3−プロパンジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、3,6−ビス(ヒドロキシメチル)デュレン、2−ニトロ−p−キシリレングリコール、1,10−ジヒドロキシデカン、1,12−ジヒドロキシドデカン、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキセン、1,6−ビス(ヒドロキシメチル)アダマンタン、1,4−ベンゼンジメタノール、1,3−ベンゼンジメタノール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−1,4−ジメトキシベンゼン、2,3−ビス(ヒドロキシメチル)ナフタレン、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)ナフタレン、1,8−ビス(ヒドロキシメチル)アントラセン、2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルチオエーテル、4,4’−ビス(ヒドロキシメチル)ベンゾフェノン、4−ヒドロキシメチル安息香酸−4’−ヒドロキシメチルフェニル、4−ヒドロキシメチル安息香酸−4’−ヒドロキシメチルアニリド、4,4’−ビス(ヒドロキシメチル)フェニルウレア、4,4’−ビス(ヒドロキシメチル)フェニルウレタン、1,8−ビス(ヒドロキシメチル)アントラセン、4,4’−ビス(ヒドロキシメチル)ビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ビス(ヒドロキシメチル)ビフェニル、2,2−ビス(4−ヒドロキシメチルフェニル)プロパン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール等が挙げられる。
上記アルコキシメチル化合物としては、例えば、2,6−ビス(メトキシメチル)−p−クレゾール、2,6−ビス(メトキシメチル)−4−エチルフェノール、2,6−ビス(メトキシメチル)−4−プロピルフェノール、2,6−ビス(メトキシメチル)−4−n−ブチルフェノール、2,6−ビス(メトキシメチル)−4−t−ブチルフェノール、2,6−ビス(メトキシメチル)−4−メトキシフェノール、2,6−ビス(メトキシメチル)−4−エトキシフェノール、2,6−ビス(メトキシメチル)−4−プロポキシフェノール、2,6−ビス(メトキシメチル)−4−n−ブトキシフェノール、2,6−ビス(メトキシメチル)−4−t−ブトキシフェノール、1,3−ビス(メトキシメチル)尿素、2,2−ビス(メトキシメチル)酪酸、2,2−ビス(メトキシメチル)―5−ノルボルネン、2,3−ビス(メトキシメチル)―5−ノルボルネン、1,4−ビス(メトキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(メトキシメチル)シクロヘキセン、1,6−ビス(メトキシメチル)アダマンタン、1,4−ビス(メトキシメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メトキシメチル)ベンゼン、2,6−ビス(メトキシメチル)−1,4−ジメトキシベンゼン、2,3−ビス(メトキシメチル)ナフタレン、2,6−ビス(メトキシメチル)ナフタレン、1,8−ビス(メトキシメチル)アントラセン、2,2’−ビス(メトキシメチル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(メトキシメチル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(メトキシメチル)ジフェニルチオエーテル、4,4’−ビス(メトキシメチル)ベンゾフェノン、4−メトキシメチル安息香酸−4’−メトキシメチルフェニル、4−メトキシメチル安息香酸−4’−メトキシメチルアニリド、4,4’−ビス(メトキシメチル)フェニルウレア、4,4’−ビス(メトキシメチル)フェニルウレタン、1,8−ビス(メトキシメチル)アントラセン、4,4’−ビス(メトキシメチル)ビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ビス(メトキシメチル)ビフェニル、2,2−ビス(4−メトキシメチルフェニル)プロパン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラプロピレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
上記ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、ペンタジエン、ヘキサジエン、ヘプタジエン、オクタジエン、3−メチル−1,3−ブタジエン、1,3−ブタンジオール−ジメタクリラート、2,4−ヘキサジエン−1−オール、メチルシクロヘキサジエン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、1−ヒドロキシジシクロペンタジエン、1−メチルシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエン、ジアリルエーテル、ジアリルスルフィド、アジピン酸ジアリル、2,5−ノルボルナジエン、テトラヒドロインデン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸ジアリル、イソシアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸ジアリルプロピル等が挙げられる。
上記ハロアルキル化合物としては、例えば、キシレンジクロライド、ビスクロロメチルジメトキシベンゼン、ビスクロロメチルデュレン、ビスクロロメチルビフェニル、ビスクロロメチル−ビフェニルカルボン酸、ビスクロロメチル−ビフェニルジカルボン酸、ビスクロロメチル−メチルビフェニル、ビスクロロメチル−ジメチルビフェニル、ビスクロロメチルアントラセン、エチレングリコールビス(クロロエチル)エーテル、ジエチレングリコールビス(クロロエチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(クロロエチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(クロロエチル)エーテル等が挙げられる。
上述のフェノール化合物と共重合成分とを、脱水、脱ハロゲン化水素、若しくは脱アルコールにより縮合させるか、又は不飽和結合を開裂させながら重合させることにより、(A)フェノール樹脂を得ることができるが、重合時に触媒を用いてもよい。酸性の触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、亜リン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、酢酸、シュウ酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸、酢酸亜鉛、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素・フェノール錯体、三フッ化ホウ素・エーテル錯体等が挙げられる。一方で、アルカリ性の触媒としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、トリエチルアミン、ピリジン、4−N,N−ジメチルアミノピリジン、ピペリジン、ピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、アンモニア、ヘキサメチレンテトラミン等が挙げられる。
一般式(46)で表される繰り返し構造を有するフェノール樹脂を得るために使用される触媒の量は、共重合成分(すなわちフェノール化合物以外の成分)の合計モル数、好ましくは、アルデヒド化合物、ケトン化合物、メチロール化合物、アルコキシメチル化合物、ジエン化合物及びハロアルキル化合物の合計モル数100モル%に対して、0.01モル%〜100モル%の範囲であることが好ましい。
(A)フェノール樹脂の合成反応において、反応温度は、通常40℃〜250℃であることが好ましく、100℃〜200℃の範囲であることがより好ましく、そして反応時間は、概ね1時間〜10時間であることが好ましい。
必要に応じて、該樹脂を十分に溶解できる溶剤を使用することができる。
なお、一般式(46)で表される繰り返し構造を有するフェノール樹脂は、上記一般式(46)の構造の原料とはならないフェノール化合物を、本発明の効果を損なわない範囲でさらに重合させたものであってもよい。本発明の効果を損なわない範囲とは、例えば(A)フェノール樹脂の原料となるフェノール化合物全モル数の30%以下である。
(炭素数4〜100の不飽和炭化水素基を有する化合物で変性されたフェノール樹脂)
炭素数4〜100の不飽和炭化水素基を有する化合物で変性されたフェノール樹脂は、フェノール又はその誘導体と炭素数4〜100の不飽和炭化水素基を有する化合物(以下場合により単に「不飽和炭化水素基含有化合物」という。)との反応生成物(以下「不飽和炭化水素基変性フェノール誘導体」ともいう。)と、アルデヒド類との縮重合生成物、又は、フェノール樹脂と不飽和炭化水素基含有化合物との反応生成物である。
フェノール誘導体は、一般式(46)で表される繰り返し単位を有するフェノール樹脂の原料として上述したものと同様のものを用いることができる。
不飽和炭化水素基含有化合物の不飽和炭化水素基は、硬化膜の残留応力及びリフロー処理適用性の観点から、2以上の不飽和基を含むことが好ましい。また、樹脂組成物としたときの相溶性及び硬化膜の残留応力の観点からは、不飽和炭化水素基は好ましくは炭素数4〜100、より好ましくは炭素数8〜80、さらに好ましくは炭素数10〜60である。
不飽和炭化水素基含有化合物としては、例えば、炭素数4〜100の不飽和炭化水素、カルボキシル基を有するポリブタジエン、エポキシ化ポリブダジエン、リノリルアルコール、オレイルアルコール、不飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸エステルが挙げられる。好適な不飽和脂肪酸としては、クロトン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、α−リノレン酸、エレオステアリン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、イワシ酸及びドコサヘキサエン酸が挙げられる。これらの中でも特に、不飽和脂肪酸エステルである植物油が、硬化膜の伸度及び、硬化膜の可撓性の観点から特に好ましい。
植物油は、通常、グリセリンと不飽和脂肪酸とのエステルを含み、ヨウ素価が100以下の不乾性油、100を超えて130未満の半乾性油又は130以上の乾性油である。不乾性油として、例えば、オリーブ油、あさがお種子油、カシュウ実油、さざんか油、つばき油、ひまし油及び落花生油が挙げられる。半乾性油として、例えば、コーン油、綿実油及びごま油が挙げられる。乾性油としては、例えば、桐油、亜麻仁油、大豆油、胡桃油、サフラワー油、ひまわり油、荏の油及び芥子油が挙げられる。また、これらの植物油を加工して得られる加工植物油を用いてもよい。
上記植物油の中で、フェノール若しくはその誘導体又はフェノール樹脂と植物油との反応において、過度の反応の進行に伴うゲル化を防ぎ、歩留まりが向上する観点から、不乾性油を用いることが好ましい。一方、レジストパターンの密着性、機械特性及び耐熱衝撃性が向上する観点では乾性油を用いることが好ましい。乾性油の中でも、本発明による効果をより有効かつ確実に発揮できることから、桐油、亜麻仁油、大豆油、胡桃油及びサフラワー油が好ましく、桐油及び亜麻仁油がより好ましい。これら植物油は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
フェノール又はその誘導体と不飽和炭化水素基含有化合物との反応は、50〜130℃で行うことが好ましい。フェノール又はその誘導体と不飽和炭化水素基含有化合物との反応割合は、硬化膜の残留応力を低下させる観点から、フェノール又はその誘導体100質量部に対し、不飽和炭化水素基含有化合物1〜100質量部であることが好ましく、5〜50質量部であることがより好ましい。不飽和炭化水素基含有化合物が1質量部未満では、硬化膜の可とう性が低下する傾向があり、100質量部を超えると、硬化膜の耐熱性が低下する傾向がある。上記反応においては、必要に応じて、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等を触媒として用いてもよい。
上記反応により生成する不飽和炭化水素基変性フェノール誘導体と、アルデヒド類とを重縮合させることにより、不飽和炭化水素基含有化合物によって変性されたフェノール樹脂が生成する。アルデヒド類は、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、メトキシベンズアルデヒド、ヒドロキシフェニルアセトアルデヒド、メトキシフェニルアセトアルデヒド、クロトンアルデヒド、クロロアセトアルデヒド、クロロフェニルアセトアルデヒド、アセトン、グリセルアルデヒド、グリオキシル酸、グリオキシル酸メチル、グリオキシル酸フェニル、グリオキシル酸ヒドロキシフェニル、ホルミル酢酸、ホルミル酢酸メチル、2−ホルミルプロピオン酸、2−ホルミルプロピオン酸メチル、ピルビン酸、レプリン酸、4−アセチルブチル酸、アセトンジカルボン酸及び3,3’−4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸から選ばれる。また、パラホルムアルデヒド、トリオキサン等のホルムアルデヒドの前駆体を用いてもよい。これらのアルデヒド類は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
上記アルデヒド類と、上記不飽和炭化水素基変性フェノール誘導体との反応は、重縮合反応であり、従来公知のフェノール樹脂の合成条件を用いることができる。反応は酸又は塩基等の触媒の存在下で行うことが好ましく、樹脂の重合度(分子量)の観点から酸触媒を用いることがより好ましい。酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、ぎ酸、酢酸、p−トルエンスルホン酸及びシュウ酸が挙げられる。これらの酸触媒は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記反応は、通常反応温度100〜120℃で行うことが好ましい。また、反応時間は使用する触媒の種類や量により異なるが、通常1〜50時間である。反応終了後、反応生成物を200℃以下の温度で減圧脱水することで不飽和炭化水素基含有化合物によって変性されたフェノール樹脂が得られる。なお、反応には、トルエン、キシレン、メタノール等の溶剤を用いることができる。
不飽和炭化水素基含有化合物によって変性されたフェノール樹脂は、上述の不飽和炭化水素基変性フェノール誘導体を、m−キシレンのようなフェノール以外の化合物とともにアルデヒド類と重縮合することにより得ることもできる。この場合、フェノール誘導体と不飽和炭化水素基含有化合物とを反応させて得られる化合物に対するフェノール以外の化合物の仕込みモル比は、0.5未満であると好ましい。
不飽和炭化水素基含有化合物で変性されたフェノール樹脂は、フェノール樹脂と不飽和炭化水素基含有化合物とを反応させて得ることもできる。この場合に用いるフェノール樹脂は、フェノール化合物(すなわちフェノール及び/又はフェノール誘導体)とアルデヒド類の重縮合生成物である。この場合、フェノール誘導体及びアルデヒド類としては、上述したフェノール誘導体及びアルデヒド類と同様のものを用いることができ、上述したような従来公知の条件でフェノール樹脂を合成することができる。
不飽和炭化水素基含有化合物で変性されたフェノール樹脂を形成するために用いるのに好適な、フェノール化合物とアルデヒド類とから得られるフェノール樹脂の具体例としては、フェノール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂、クレゾール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂、キシリレノール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂、レゾルシノール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂及びフェノール−ナフトール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂が挙げられる。
フェノール樹脂と反応させる不飽和炭化水素基含有化合物は、アルデヒド類と反応させる不飽和炭化水素基変性フェノール誘導体の製造に関して上述した不飽和炭化水素基含有化合物と同様のものを使用することができる。
フェノール樹脂と不飽和炭化水素基含有化合物との反応は、通常50〜130℃で行うことが好ましい。また、フェノール樹脂と不飽和炭化水素基含有化合物との反応割合は、硬化膜(レジストパターン)の可とう性を向上させる観点から、フェノール樹脂100質量部に対し、不飽和炭化水素基含有化合物1〜100質量部であることが好ましく、2〜70質量部であることがより好ましく、5〜50質量部であることが更に好ましい。不飽和炭化水素基含有化合物が1質量部未満では、硬化膜の可とう性が低下する傾向にあり、100質量部を超えると、反応中にゲル化する可能性が高くなる傾向、及び、硬化膜の耐熱性が低下する傾向がある。フェノール樹脂と不飽和炭化水素基含有化合物との反応の際、必要に応じて、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等を触媒として用いてもよい。なお、反応には後述にて詳しく説明するが、例えばトルエン、キシレン、メタノール、テトラヒドロフラン等の溶剤を用いることができる。
以上のような方法により生成する不飽和炭化水素基含有化合物によって変性されたフェノール樹脂中に残ったフェノール性水酸基に、更に多塩基酸無水物を反応させることにより酸変性したフェノール樹脂を用いることもできる。多塩基酸無水物で酸変性することにより、カルボキシ基が導入され、アルカリ水溶液(現像液として使用するもの)に対する溶解性がより一層向上する。
多塩基酸無水物は、複数のカルボキシ基を有する多塩基酸のカルボキシ基が脱水縮合して形成された酸無水物基を有していれば、特に限定されない。多塩基酸無水物としては、例えば無水フタル酸、無水コハク酸、オクテニル無水コハク酸、ペンタドデセニル無水コハク酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水ナジック酸、3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸及び無水トリメリット酸等の二塩基酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、無水ピロメリット酸及びベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等の芳香族四塩基酸二無水物が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、多塩基酸無水物は二塩基酸無水物であることが好ましく、テトラヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸及びヘキサヒドロ無水フタル酸からなる群より選ばれる1種以上であることがより好ましい。この場合、さらに良好な形状を有するレジストパターンを形成できるという利点がある。
フェノール性水酸基と多塩基酸無水物との反応は、50〜130℃で行うことができる。この反応において、フェノール性水酸基1モルに対して、0.10〜0.80モルの多塩基酸無水物を反応させることが好ましく、0.15〜0.60モル反応させることがより好ましく、0.20〜0.40モル反応させることが更に好ましい。多塩基酸無水物が0.10モル未満では、現像性が低下する傾向にあり、0.80モルを超えると、未露光部の耐アルカリ性が低下する傾向にある。
なお、上記反応には、反応を迅速に行う観点から、必要に応じて、触媒を含有させてもよい。触媒としては、トリエチルアミン等の3級アミン、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、トリフェニルホスフィン等のリン化合物が挙げられる。
多塩基酸無水物で更に変性したフェノール樹脂の酸価は、30〜200mgKOH/gであることが好ましく、40〜170mgKOH/gであることがより好ましく、50〜150mgKOH/gであることが更に好ましい。酸価が30mgKOH/g未満であると、酸価が上記範囲にある場合と比較して、アルカリ現像に長時間を要する傾向にあり、200mgKOH/gを超えると、酸価が上記範囲にある場合と比較して、未露光部の耐現像液性が低下する傾向にある。
不飽和炭化水素基含有化合物で変性されたフェノール樹脂の分子量は、アルカリ水溶液に対する溶解性や、感光特性と硬化膜物性とのバランスを考慮すると、重量平均分子量で1000〜100000が好ましく、2000〜100000がより好ましい。
本実施形態の(A)フェノール樹脂としては、上記一般式(46)で表される繰り返し単位を有するフェノール樹脂、及び上記炭素数4〜100の不飽和炭化水素基を有する化合物で変性されたフェノール樹脂から選択される少なくとも1種のフェノール樹脂(以下、(a3)樹脂ともいう)と、ノボラック及びポリヒドロキシスチレンから選択されるフェノール樹脂(以下、(a4)樹脂ともいう)との混合物も好ましい。(a3)樹脂と(a4)樹脂との混合比は、質量比で(a3)/(a4)=5/95〜95/5の範囲である。この混合比は、アルカリ水溶液への溶解性、レジストパターンを形成する際の感度と解像性、及び硬化膜の残留応力、リフロー処理適用性の観点から、(a3)/(a4)=5/95〜95/5が好ましく、(a3)/(a4)=10/90〜90/10であることがより好ましく、(a3)/(a4)=15/85〜85/15であることがさらに好ましい。上記(a4)樹脂としてのノボラック及びポリヒドロキシスチレンとしては、上記(ノボラック)及び(ポリヒドロキシスチレン)の項に示したものと同様の樹脂を使用できる。
(B)感光剤
本発明に用いられる(B)感光剤について説明する。(B)感光剤は、本発明の感光性樹脂組成物が、(A)樹脂としてポリアミド酸エステルを用いるネガ型であるか、(A)樹脂として例えば主にノボラック、ポリヒドロキシスチレン、フェノール樹脂の少なくとも一種類を用いるポジ型であるか等により異なる。
(B)感光剤の、感光性樹脂組成物中の配合量は、(A)感光性樹脂100質量部に対して、1〜50質量部である。上記配合量は、光感度又はパターニング性の観点で1質量部以上であり、感光性樹脂組成物の硬化性又は硬化後の感光性樹脂層の物性の観点から50質量部以下である。
まずネガ型を所望する場合について説明する。この場合(B)感光剤としては光重合開始剤および/又は光酸発生剤が用いられ、光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤であることが好ましく、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン等のベンゾフェノン誘導体、2,2’−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン誘導体、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン等のチオキサントン誘導体、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール等のベンジル誘導体、
ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾイン誘導体、1−フェニル−1,2−ブタンジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、1,3−ジフェニルプロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシプロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム等のオキシム類、N−フェニルグリシン等のN−アリールグリシン類、ベンゾイルパークロライド等の過酸化物類、芳香族ビイミダゾール類、チタノセン類、α−(n−オクタンスルフォニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド等の光酸発生剤類等が好ましく挙げられるが、これらに限定されるものではない。上記の光重合開始剤の中では、特に光感度の点で、オキシム類がより好ましい。
ネガ型の感光性樹脂組成物に(B)感光剤として光酸発生剤を用いる場合は、紫外線の如き活性光線の照射によって酸性を呈すると共に、その作用により、後述する架橋剤を(A)成分である樹脂と架橋せしめる、又は架橋剤同士を重合せしめる作用を有する。この光酸発生剤の例としては、ジアリールスルホニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、ジアルキルフェナシルスルホニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、アリールジアゾニウム塩、芳香族テトラカルボン酸エステル、芳香族スルホン酸エステル、ニトロベンジルエステル、オキシムスルホン酸エステル、芳香族N−オキシイミドスルフォネート、芳香族スルファミド、ハロアルキル基含有炭化水素系化合物、ハロアルキル基含有ヘテロ環状化合物、ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステルなどが用いられる。このような化合物は必要に応じて2種類以上併用したり、他の増感剤と組合せて使用したりすることができる。上記の光酸発生剤の中では、特に光感度の点で、芳香族オキシムスルホン酸エステル、芳香族N−オキシイミドスルフォネートがより好ましい。
ネガ型の場合の、これらの感光剤の配合量は、(B)樹脂100質量部に対し、1〜50質量部であり、光感度特性の観点から2〜15質量部が好ましい。(B)感光剤を(A)樹脂100質量部に対し1質量部以上配合することで光感度に優れ、50質量部以下配合することで厚膜硬化性に優れる。
次にポジ型を所望する場合について説明する。この場合(B)感光剤としては光酸発生剤が用いられ、具体的には、キノンジアジド基を有する化合物、オニウム塩、ハロゲン含有化合物、等を用いることができるが、溶剤溶解性及び保存安定性の観点から、ジアゾキノン構造を有する化合物が好ましい。
(B)キノンジアジド基を有する化合物(以下、「(B)キノンジアジド化合物」とも言う)としては、1,2−ベンゾキノンジアジド構造を有する化合物、及び1,2−ナフトキノンジアジド構造を有する化合物を例示でき、米国特許第2,772,972号明細書、米国特許第2,797,213号明細書、及び米国特許第3,669,658号明細書等により公知の物質である。該(B)キノンジアジド化合物は、以降に詳述する特定構造を有するポリヒドロキシ化合物の1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、及び該ポリヒドロキシ化合物の1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルからなる群から選択される少なくとも一種の化合物(以下、「NQD化合物」ともいう。)であることが好ましい。
該NQD化合物は、常法に従って、ナフトキノンジアジドスルホン酸化合物をクロルスルホン酸又は塩化チオニルでスルホニルクロライドとし、得られたナフトキノンジアジドスルホニルクロライドと、ポリヒドロキシ化合物とを縮合反応させることにより得られる。例えば、ポリヒドロキシ化合物と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニルクロリド又は1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニルクロリドの所定量をジオキサン、アセトン、又はテトラヒドロフラン等の溶媒中において、トリエチルアミン等の塩基性触媒の存在下反応させてエステル化を行い、得られた生成物を水洗、乾燥することにより得ることができる。
本実施形態では、(B)キノンジアジド基を有する化合物は、下記一般式(120)〜(124)で表されるヒドロキシ化合物の、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル及び/又は1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルであることが、レジストパターンを形成する際の感度と解像性の観点から好ましい。
{式中、X11及びX12は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜60(好ましくは、炭素数1〜30)の1価の有機基を表し、X3及びX4は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜60(好ましくは、炭素数1〜30)の1価の有機基を表し、r1、r2、r3及びr4は、各々独立に、0〜5の整数であり、r3及びr4の少なくとも1つは、1〜5の整数であり、(r1+r3)≦5であり、そして(r2+r4)≦5である。}
{式中、Zは、炭素数1〜20の4価の有機基を表し、X15、X16、X17及びX18は、各々独立に、炭素数1〜30の1価の有機基を表し、r6は、0又は1の整数であり、r5、r7、r8及びr9は、各々独立に、0〜3の整数であり、r10、r11、r12及びr13は、各々独立に、0〜2の整数であり、そしてr10、r11、r12及びr13の全てが0になることはない。}
{式中、r14は、1〜5の整数を表し、r15は、3〜8の整数を表し、(r14×r15)個のLは、各々独立に、炭素数1〜20の1価の有機基を表し、(r15)個のT1及び(r15)個のT2は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜20の1価の有機基を表す。}
{式中、Aは、脂肪族の3級又は4級炭素を含む2価の有機基を表し、そしてMは、2価の有機基を表し、好ましくは下記化学式:
で表される3つの基から選択される2価の基を表す。}
{式中、r17、r18、r19及びr20は、各々独立に、0〜2の整数であり、r17、r18、r19及びr20の少なくとも1つは、1又は2であり、X20〜X29は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリル基及びアシル基からなる群から選択される1価の基を表し、そしてY10、Y11及びY12は、各々独立に、単結合、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、−CO2−、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、フェニレン、及び炭素数1〜20の2価の有機基からなる群から選択される2価の基を表す。}
さらなる実施の形態では、上記一般式(124)において、Y10〜Y12は、各々独立に、下記一般式:
{式中、X30及びX31は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、及び置換アリール基から成る群から選択される少なくとも1つの1価の基を表し、X32、X33、X34及びX35は、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表し、r21は、1〜5の整数であり、そしてX36、X37、X38及びX39は、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表す。}
で表される3つの2価の有機基から選択されることが好ましい。
上記一般式(120)で表される化合物としては、下記式(125)〜(129)で表されるヒドロキシ化合物が挙げられる。
{式中、r16は、各々独立に、0〜2の整数であり、そしてX40は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜20の1価の有機基を表し、X40が複数で存在する場合には複数のX40は、互いに同一でも又は異なっていてもよく、そしてX40は、下記一般式:
(式中、r18は、0〜2の整数であり、X41は、水素原子、アルキル基、及びシクロアルキル基からなる群から選択される1価の有機基を表し、そしてr18が2である場合には、2つのX41は、互いに同一でも又は異なっていてもよい。)
で表される1価の有機基であることが好ましい。}
{式中、X42は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基及び炭素数1〜20のシクロアルキル基からなる群から選択される1価の有機基を表す。}
{式中、r19は、各々独立に、0〜2の整数であり、X43は、各々独立に、水素原子又は下記一般式:
(式中、r20は、0〜2の整数であり、X41は、水素原子、アルキル基及びシクロアルキル基からなる群から選択され、そしてr20が2である場合には、2つのX41は、互いに同一でも又は異なっていてもよい。)で表される1価の有機基を表す。}
上記一般式(120)で表される化合物としては、下記式(130)〜(132)で表されるヒドロキシ化合物が、NQD化物としたときの感度が高く、かつ感光性樹脂組成物中での析出性が低いことから好ましい。
上記一般式(126)で表される化合物としては、下記式(133)で表されるヒドロキシ化合物が、NQD化物としたときの感度が高く、かつ感光性樹脂組成物中での析出性が低いことから好ましい。
上記一般式(127)で表される化合物としては、下記式(134)〜(136)で表されるヒドロキシ化合物が、NQD化物としたときの感度が高く、かつ感光性樹脂組成物中での析出性が低いことから好ましい。
上記一般式(121)において、Zは、炭素数1〜20の4価の有機基であればよく、特に限定されないが、感度の観点から、下記式:
で表される構造を有する4価の基であることが好ましい。
上記一般式(121)で表される化合物の中で、下記式(137)〜(140)で表されるヒドロキシ化合物が、NQD化物としたときの感度が高く、かつ感光性樹脂組成物中での析出性が低いことから好ましい。
上記一般式(122)で表される化合物としては、下記式(141)で表されるヒドロキシ化合物が、NQD化物としたときの感度が高く、かつ感光性樹脂組成物中での析出性が低いことから好ましい。
{式中、r40は、各々独立に、0〜9の整数である。}
上記一般式(23)で表される化合物としては、下記式(142)及び(143)で表されるヒドロキシ化合物が、NQD化物としたときの感度が高く、かつ感光性樹脂組成物中での析出性が低いことから好ましい。
上記一般式(24)で表される化合物としては、具体的には、下記式(144)で表されるポリヒドロキシ化合物のNQD化物が、感度が高く、かつ感光性樹脂組成物中での析出性が低いことから好ましい。
(B)キノンジアジド基を有する化合物が1,2−ナフトキノンジアジドスルホニル基を有する場合、この基は1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニル基又は1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル基のいずれであってもよい。1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル基は、水銀灯のi線領域を吸収することができるので、i線による露光に適している。一方で、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニル基は、水銀灯のg線領域さえも吸収することができるので、g線による露光に適している。
本実施形態では、露光する波長に応じて、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル化合物及び1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル化合物の一方又は双方を選択することが好ましい。また、同一分子中に1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル基及び1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニル基を有する1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物を用いることもできるし、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル化合物と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル化合物とを混合して使用することもできる。
(B)キノンジアジド基を有する化合物において、ヒドロキシ化合物のナフトキノンジアジドスルホニルエステルの平均エステル化率は、現像コントラストの観点から、10%〜100%であることが好ましく、20%〜100%であることがさらに好ましい。
感度及び伸度等の硬化膜物性の観点から好ましいNQD化合物の例としては、例えば、下記一般式群で表されるものが挙げられる。
{式中、Qは、水素原子、又は下記式群:
のいずれかで表されるナフトキノンジアジドスルホン酸エステル基であるが、全てのQが同時に水素原子であることはない。}。
この場合、NQD化合物として、同一分子中に4−ナフトキノンジアジドスルホニル基及び5−ナフトキノンジアジドスルホニル基を有するナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物を用いることもできるし、4−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物と5−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物とを混合して使用することもできる。
上記NQD化合物は、単独で使用しても2種類以上混合して使用してもよい。
上記オニウム塩としては、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホシホニウム塩、ホスホニウム塩、アンモニウム塩、及びジアゾニウム塩等が挙げられ、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、及びトリアルキルスルホニウム塩から成る群から選ばれるオニウム塩が好ましい。
上記ハロゲン含有化合物としては、ハロアルキル基含有炭化水素化合物等が挙げられ、トリクロロメチルトリアジンが好ましい。
ポジ型の場合の、これら光酸発生剤の配合量は、(A)樹脂100質量部に対し、1〜50質量部であり、5〜30質量部が好ましい。(B)感光剤としての光酸発生剤の配合量が1質量部以上であれば感光性樹脂組成物によるパターニング性が良好であり、50質量部以下であれば感光性樹脂組成物の硬化後の膜の引張り伸び率が良好で、かつ露光部の現像残さ(スカム)が少ない。
その他成分
本発明の感光性樹脂組成物は、上記(A)(B)成分以外の成分をさらに含有しても
良い。
ポリアミド酸エステル、ノボラック、ポリヒドロキシスチレン、フェノール樹脂
本実施形態におけるネガ型樹脂組成物である前述のポリアミド酸エステル樹脂組成物、又、ポジ型感光性樹脂組成物である、ノボラック樹脂組成物、ポリヒドロキシスチレン樹脂組成物及びフェノール樹脂組成物には、これらの樹脂を溶解するための溶剤を含むことができる。
溶剤としては、アミド類、スルホキシド類、ウレア類、ケトン類、エステル類、ラクトン類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類、アルコール類等が挙げられ、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル、乳酸エチル、乳酸メチル、乳酸ブチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコール、フェニルグリコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、モルフォリン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、アニソール、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等を使用することができる。中でも、樹脂の溶解性、樹脂組成物の安定性、及び基板への接着性の観点から、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ベンジルアルコール、フェニルグリコール、及びテトラヒドロフルフリルアルコールが好ましい。
このような溶剤の中でとりわけ、生成ポリマーを完全に溶解するものが好ましく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ガンマブチロラクトン等が挙げられる。
上記のフェノール樹脂に好適な溶剤としては、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、トルエン、キシレン、γ―ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
他にも、場合によってはケトン類、エステル類、ラクトン類、エーテル類、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類を反応溶媒として用いてもよい。具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物において、溶剤の使用量は、(A)樹脂100質量部に対して、好ましくは100〜1000質量部であり、より好ましくは120〜700質量部であり、さらに好ましくは125〜500質量部の範囲である。
また、例えば、本発明の感光性樹脂組成物を用いて銅又は銅合金から成る基板上に硬化膜を形成する場合には、銅上の変色を抑制するためにアゾール化合物、プリン誘導体等の含窒素複素環化合物を任意に配合することができる。
アゾール化合物としては、1H−トリアゾール、5−メチル−1H−トリアゾール、5−エチル−1H−トリアゾール、4,5−ジメチル−1H−トリアゾール、5−フェニル−1H−トリアゾール、4−t−ブチル−5−フェニル−1H−トリアゾール、5−ヒドロキシフェニル−1H−トリアゾール、フェニルトリアゾール、p−エトキシフェニルトリアゾール、5−フェニル−1−(2−ジメチルアミノエチル)トリアゾール、5−ベンジル−1H−トリアゾール、ヒドロキシフェニルトリアゾール、1,5−ジメチルトリアゾール、4,5−ジエチル−1H−トリアゾール、1H−ベンゾトリアゾール、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α―ジメチルベンジル)フェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、4−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、4−カルボキシ−1H−ベンゾトリアゾール、5−カルボキシ−1H−ベンゾトリアゾール、1H−テトラゾール、5−メチル−1H−テトラゾール、5−フェニル−1H−テトラゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、1−メチル−1H−テトラゾール等が挙げられる。
特に好ましくは、トリルトリアゾール、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、及び4−メチル−1H−ベンゾトリアゾールが挙げられる。また、これらアゾール化合物は、1種で用いても2種以上の混合物で用いても構わない。
プリン誘導体の具体例としては、プリン、アデニン、グアニン、ヒポキサンチン、キサンチン、テオブロミン、カフェイン、尿酸、イソグアニン、2,6−ジアミノプリン、9−メチルアデニン、2−ヒドロキシアデニン、2−メチルアデニン、1−メチルアデニン、N−メチルアデニン、N,N−ジメチルアデニン、2−フルオロアデニン、9−(2−ヒドロキシエチル)アデニン、グアニンオキシム、N−(2−ヒドロキシエチル)アデニン、8−アミノアデニン、6−アミノ‐8−フェニル‐9H−プリン、1−エチルアデニン、6−エチルアミノプリン、1−ベンジルアデニン、N−メチルグアニン、7−(2−ヒドロキシエチル)グアニン、N−(3−クロロフェニル)グアニン、N−(3−エチルフェニル)グアニン、2−アザアデニン、5−アザアデニン、8−アザアデニン、8−アザグアニン、8−アザプリン、8−アザキサンチン、8−アザヒポキサンチン等及びその誘導体が挙げられる。
感光性樹脂組成物が上記アゾール化合物もしくはプリン誘導体を含有する場合の配合量は、(A)樹脂100質量部に対し、0.1〜20質量部である事が好ましく、光感度特性の観点から0.5〜5質量部がより好ましい。アゾール化合物の(A)樹脂100質量部に対する配合量が0.1質量部以上である場合、本発明の感光性樹脂組成物を銅又は銅合金の上に形成した場合に、銅又は銅合金表面の変色が抑制され、一方、20質量部以下である場合には光感度に優れる。
また、銅表面上の変色を抑制するためにヒンダードフェノール化合物を任意に配合することができる。ヒンダードフェノール化合物としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチル−ハイドロキノン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4、4’−メチレンビス(2、6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオ−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、
ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5−トリス(3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−4−イソプロピルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−s−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス[4−(1−エチルプロピル)−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、
1,3,5−トリス[4−トリエチルメチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−4−フェニルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,5,6−トリメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−5−エチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−6−エチル−3−ヒドロキシ−2−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−6−エチル−3−ヒドロキシ−2,5−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−5,6−ジエチル−3−ヒドロキシ−2−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、
1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,5−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−5‐エチル−3−ヒドロキシ−2−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン等が挙げられるが、これに限定されるものではない。これらの中でも、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン等が特に好ましい。
ヒンダードフェノール化合物の配合量は、(A)樹脂100質量部に対し、0.1〜20質量部であることが好ましく、光感度特性の観点から0.5〜10質量部であることがより好ましい。ヒンダードフェノール化合物の(A)樹脂100質量部に対する配合量が0.1質量部以上である場合、例えば銅又は銅合金の上に本発明の感光性樹脂組成物を形成した場合に、銅又は銅合金の変色・腐食が防止され、一方、20質量部以下である場合には光感度に優れる。
本発明の感光性樹脂組成物には、架橋剤を含有させてもよい。架橋剤は、本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成されたレリーフパターンを加熱硬化する際に、(A)樹脂を架橋し得るか、又は架橋剤自身が架橋ネットワークを形成し得る架橋剤であることができる。架橋剤は、感光性樹脂組成物から形成された硬化膜の耐熱性及び耐薬品性を更に強化することができる。
架橋剤としては、例えば、メチロール基及び/又はアルコキシメチル基を含有する化合物である、サイメル(登録商標)300、301、303、370、325、327、701、266、267、238、1141、272、202、1156、1158、1123、1170、1174;UFR65、300;マイコート102、105(以上、三井サイテック社製)、ニカラック(登録商標)MX−270、−280、−290;ニカラックMS―11;ニカラックMW―30、−100、−300、−390、−750(以上、三和ケミカル社製)、DML−OCHP、DML−MBPC、DML−BPC、DML−PEP、DML−34X、DML−PSBP、DML−PTBP、DML−PCHP、DML−POP、DML−PFP、DML−MBOC、BisCMP−F、DML−BisOC−Z、DML−BisOCHP−Z、DML−BisOC−P、DMOM−PTBT、TMOM−BP、TMOM−BPA、TML−BPAF−MF(以上、本州化学工業社製)、ベンゼンジメタノール、ビス(ヒドロキシメチル)クレゾール、ビス(ヒドロキシメチル)ジメトキシベンゼン、ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルエーテル、ビス(ヒドロキシメチル)ベンゾフェノン、ヒドロキシメチル安息香酸ヒドロキシメチルフェニル、ビス(ヒドロキシメチル)ビフェニル、ジメチルビス(ヒドロキシメチル)ビフェニル、ビス(メトキシメチル)ベンゼン、ビス(メトキシメチル)クレゾール、ビス(メトキシメチル)ジメトキシベンゼン、ビス(メトキシメチル)ジフェニルエーテル、ビス(メトキシメチル)ベンゾフェノン、メトキシメチル安息香酸メトキシメチルフェニル、ビス(メトキシメチル)ビフェニル、ジメチルビス(メトキシメチル)ビフェニル等が挙げられる。
また、オキシラン化合物であるフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、テトラフェノール型エポキシ樹脂、フェノール−キシリレン型エポキシ樹脂、ナフトール−キシリレン型エポキシ樹脂、フェノール−ナフトール型エポキシ樹脂、フェノール−ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグルシジルエーテル、1,1,2,2−テトラ(p−ヒドロキシフェニル)エタンテトラグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、オルソセカンダリーブチルフェニルグリシジルエーテル、1,6−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ナフタレン、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールグリシジルエーテル、YDB−340、YDB−412、YDF−2001、YDF−2004(以上商品名、新日鐵化学(株)製)、NC−3000−H、EPPN−501H、EOCN−1020、NC−7000L、EPPN−201L 、XD−1000、EOCN−4600(以上商品名、日本化薬(株)製)、エピコート(登録商標)1001、エピコート1007、エピコート1009、エピコート5050、エピコート5051、エピコート1031S 、エピコート180S65、エピコート157H70、YX−315−75(以上商品名、ジャパンエポキシレジン(株)製)、EHPE3150 、プラクセルG402、PUE101、PUE105(以上商品名、ダイセル化学工業(株)製)、エピクロン(登録商標)830、850、1050、N−680、N−690、N−695、N−770、HP−7200、HP−820、EXA−4850−1000(以上商品名、DIC社製)、デナコール(登録商標)EX−201、EX−251、EX−203、EX−313、EX−314、EX−321、EX−411、EX−511、EX−512、EX−612、EX−614、EX−614B、EX−711、EX−731、EX−810、EX−911、EM−150(以上商品名、ナガセケムテックス社製)、エポライト(登録商標)70P、エポライト100MF(以上商品名、共栄社化学製)等が挙げられる。
また、イソシアネート基含有化合物である、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアナート、1,3−フェニレンビスメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン―4,4’−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、タケネート(登録商標)500、600、コスモネート(登録商標)NBDI、ND(以上商品名、三井化学社製)、デュラネート(登録商標)17B−60PX、TPA−B80E、MF−B60X、MF−K60X、E402−B80T(以上商品名、旭化成ケミカルズ社製)等が挙げられる。
また、ビスマレイミド化合物である、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、フェニルメタンマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、1,6’−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサン、4,4’−ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4’−ジフェニルスルフォンビスマレイミド、1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、BMI−1000、BMI−1100、BMI−2000、BMI−2300、BMI−3000、BMI−4000、BMI−5100、BMI−7000、BMI−TMH、BMI−6000、BMI−8000(以上商品名、大和化成工業(株)製)等が挙げられるが、上述した様に熱架橋する化合物であれば、これらに限定されない。
架橋剤を使用する場合の配合量としては、
(A)樹脂100質量部に対し、0.5〜20質量部であることが好ましく、より好ましくは2〜10質量部である。該配合量が0.5質量部以上である場合、良好な耐熱性及び耐薬品性が発現し、一方、20質量部以下である場合、保存安定性に優れる。
本発明の感光性樹脂組成物には、有機チタン化合物を含有させてもよい。有機チタン化合物を含有することにより、約250℃という低温で硬化した場合であっても耐薬品性に優れる感光性樹脂層を形成できる。
使用可能な有機チタン化合物としては、チタン原子に有機化学物質が共有結合又はイオン結合を介して結合しているものが挙げられる。
有機チタン化合物の具体的例を以下のI)〜VII)に示す:
I)チタンキレート化合物:中でも、アルコキシ基を2個以上有するチタンキレートが、ネガ型感光性樹脂組成物の保存安定性及び良好なパターンが得られることからより好ましく、具体的な例は、チタニウムビス(トリエタノールアミン)ジイソプロポキサイド、チタニウムジ(n−ブトキサイド)ビス(2,4−ペンタンジオネート、チタニウムジイソプロポキサイドビス(2,4−ペンタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキサイドビス(エチルアセトアセテート)等である。
II)テトラアルコキシチタン化合物:例えば、チタニウムテトラ(n−ブトキサイド)、チタニウムテトラエトキサイド、チタニウムテトラ(2−エチルヘキソキサイド)、チタニウムテトライソブトキサイド、チタニウムテトライソプロポキサイド、チタニウムテトラメトキサイド、チタニウムテトラメトキシプロポキサイド、チタニウムテトラメチルフェノキサイド、チタニウムテトラ(n−ノニロキサイド)、チタニウムテトラ(n−プロポキサイド)、チタニウムテトラステアリロキサイド、チタニウムテトラキス[ビス{2,2−(アリロキシメチル)ブトキサイド}]等である。
III)チタノセン化合物:例えば、ペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウムトリメトキサイド、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)ビス(2,6−ジフルオロフェニル)チタニウム、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウム等である。
IV)モノアルコキシチタン化合物:例えば、チタニウムトリス(ジオクチルホスフェート)イソプロポキサイド、チタニウムトリス(ドデシルベンゼンスルホネート)イソプロポキサイド等である。
V)チタニウムオキサイド化合物:例えば、チタニウムオキサイドビス(ペンタンジオネート)、チタニウムオキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、フタロシアニンチタニウムオキサイド等である。
VI)チタニウムテトラアセチルアセトネート化合物:例えば、チタニウムテトラアセチルアセトネート等である。
VII)チタネートカップリング剤:例えば、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート等である。
中でも、有機チタン化合物が、上記I)チタンキレート化合物、II)テトラアルコキシチタン化合物、及びIII)チタノセン化合物から成る群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが、より良好な耐薬品性を奏するという観点から好ましい。特に、チタニウムジイソプロポキサイドビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムテトラ(n−ブトキサイド)、及びビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウムが好ましい。
有機チタン化合物を配合する場合の配合量は、(A)樹脂100質量部に対し、0.05〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜2質量部である。該配合量が0.05質量部以上である場合良好な耐熱性及び耐薬品性が発現し、一方10質量部以下である場合保存安定性に優れる。
さらに、本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成される膜と基材との接着性向上のために接着助剤を任意に配合することができる。接着助剤としては、γ−アミノプロピルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ジメトキシメチル−3−ピペリジノプロピルシラン、ジエトキシ−3−グリシドキシプロピルメチルシラン、N−(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)スクシンイミド、N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]フタルアミド酸、ベンゾフェノン−3,3’−ビス(N−[3−トリエトキシシリル]プロピルアミド)−4,4’−ジカルボン酸、ベンゼン−1,4−ビス(N−[3−トリエトキシシリル]プロピルアミド)−2,5−ジカルボン酸、3−(トリエトキシシリル)プロピルスクシニックアンハイドライド、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−(トリアルコキシシリル)プロピルスクシン酸無水物等のシランカップリング剤、及びアルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート等のアルミニウム系接着助剤等が挙げられる。
これらの接着助剤のうちでは、接着力の点からシランカップリング剤を用いることがより好ましい。感光性樹脂組成物が接着助剤を含有する場合、接着助剤の配合量は、(A)樹脂100質量部に対し、0.5〜25質量部の範囲が好ましい。
シランカップリング剤としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製:商品名 KBM803、チッソ株式会社製:商品名 サイラエースS810)、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SIM6475.0)、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業株式会社製:商品名 LS1375、アズマックス株式会社製:商品名 SIM6474.0)、メルカプトメチルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SIM6473.5C)、メルカプトメチルメチルジメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SIM6473.0)、3−メルカプトプロピルジエトキシメトキシシラン、3−メルカプトプロピルエトキシジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルジエトキシプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルエトキシジプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルジメトキシプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルメトキシジプロポキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルジエトキシメトキシシラン、2−メルカプトエチルエトキシジメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリプロポキシシラン、2−メルカプトエチルトリプロポキシシラン、2−メルカプトエチルエトキシジプロポキシシラン、2−メルカプトエチルジメトキシプロポキシシラン、2−メルカプトエチルメトキシジプロポキシシラン、4−メルカプトブチルトリメトキシシラン、4−メルカプトブチルトリエトキシシラン、4−メルカプトブチルトリプロポキシシラン、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)ウレア(信越化学工業株式会社製:商品名 LS3610、アズマックス株式会社製:商品名 SIU9055.0)、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)ウレア(アズマックス株式会社製:商品名 SIU9058.0)、N−(3−ジエトキシメトキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−エトキシジメトキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−トリプロポキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−ジエトキシプロポキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−エトキシジプロポキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−ジメトキシプロポキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−メトキシジプロポキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−トリメトキシシリルエチル)ウレア、N−(3−エトキシジメトキシシリルエチル)ウレア、N−(3−トリプロポキシシリルエチル)ウレア、N−(3−トリプロポキシシリルエチル)ウレア、N−(3−エトキシジプロポキシシリルエチル)ウレア、N−(3−ジメトキシプロポキシシリルエチル)ウレア、N−(3−メトキシジプロポキシシリルエチル)ウレア、N−(3−トリメトキシシリルブチル)ウレア、N−(3−トリエトキシシリルブチル)ウレア、N−(3−トリプロポキシシリルブチル)ウレア、3−(m−アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SLA0598.0)、m−アミノフェニルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SLA0599.0)、p−アミノフェニルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SLA0599.1)アミノフェニルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SLA0599.2)、2−(トリメトキシシリルエチル)ピリジン(アズマックス株式会社製:商品名 SIT8396.0)、2−(トリエトキシシリルエチル)ピリジン、2−(ジメトキシシリルメチルエチル)ピリジン、2−(ジエトキシシリルメチルエチル)ピリジン、(3−トリエトキシシリルプロピル)−t−ブチルカルバメート、(3−グリシドキシプロピル)トリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−i−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン、テトラキス(メトキシエトキシシラン)、テトラキス(メトキシ−n−プロポキシシラン)、テトラキス(エトキシエトキシシラン)、テトラキス(メトキシエトキシエトキシシラン)、ビス(トリメトキシシリル)エタン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)エチレン、ビス(トリエトキシシリル)オクタン、ビス(トリエトキシシリル)オクタジエン、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ジスルフィド、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド、ジ−t−ブトキシジアセトキシシラン、ジ−i−ブトキシアルミノキシトリエトキシシラン、ビス(ペンタジオネート)チタン−O,O’−ビス(オキシエチル)−アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルシラントリオール、メチルフェニルシランジオール、エチルフェニルシランジオール、n−プロピルフェニルシランジオール、イソプロピルフェニルシランジオール、n−ブチルフェニルシランジオール、イソブチルフェニルシランジオール、tert−ブチルフェニルシランジオール、ジフェニルシランジオール、ジメトキシジフェニルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、ジメトキシジ−p−トリルシラン、エチルメチルフェニルシラノール、n−プロピルメチルフェニルシラノール、イソプロピルメチルフェニルシラノール、n−ブチルメチルフェニルシラノール、イソブチルメチルフェニルシラノール、tert−ブチルメチルフェニルシラノール、エチルn−プロピルフェニルシラノール、エチルイソプロピルフェニルシラノール、n−ブチルエチルフェニルシラノール、イソブチルエチルフェニルシラノール、tert−ブチルエチルフェニルシラノール、メチルジフェニルシラノール、エチルジフェニルシラノール、n−プロピルジフェニルシラノール、イソプロピルジフェニルシラノール、n−ブチルジフェニルシラノール、イソブチルジフェニルシラノール、tert−ブチルジフェニルシラノール、トリフェニルシラノール等が挙げられるが、これらに限定されない。これらは単独でも複数組み合わせて用いてもよい。
シランカップリング剤としては、前記したシランカップリング剤の中でも、保存安定性の観点から、フェニルシラントリオール、トリメトキシフェニルシラン、トリメトキシ(p-トリル)シラン、ジフェニルシランジオール、ジメトキシジフェニルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、ジメトキシジ−p−トリルシラン、トリフェニルシラノール、及び下記構造で表されるシランカップリング剤が好ましい。
シランカップリング剤を使用する場合の配合量としては、(A)樹脂100質量部に対して、0.01〜20質量部が好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、上記成分以外の成分をさらに含有してもよい。その成分の好ましいものは、(A)樹脂として例えばポリアミド酸エステル樹脂等を用いるネガ型かフェノール樹脂等を用いるポジ型かによって異なる。
(A)樹脂としてポリイミド前駆体等を用いるネガ型の場合には、光感度を向上させるために増感剤を任意に配合することができる。該増感剤としては、例えば、ミヒラーズケトン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,5−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタン、2,6−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p−ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p−ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2−(p−ジメチルアミノフェニルビフェニレン)−ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)イソナフトチアゾール、1,3−ビス(4’−ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3’−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−アセチル−7−ジメチルアミノクマリン、3−エトキシカルボニル−7−ジメチルアミノクマリン、3−ベンジロキシカルボニル−7−ジメチルアミノクマリン、3−メトキシカルボニル−7−ジエチルアミノクマリン、3−エトキシカルボニル−7−ジエチルアミノクマリン、N−フェニル−N’−エチルエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、N−p−トリルジエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、4−モルホリノベンゾフェノン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、2−メルカプトベンズイミダゾール、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ナフト(1,2−d)チアゾール、2−(p−ジメチルアミノベンゾイル)スチレン等が挙げられる。これらは単独で又は例えば2〜5種類の組合せで用いることができる。
光感度を向上させるための増感剤を感光性樹脂組成物が含有する場合の配合量は、(A)樹脂100質量部に対し、0.1〜25質量部であることが好ましい。
また、レリーフパターンの解像性を向上させるために、光重合性の不飽和結合を有するモノマーを任意に配合することができる。このようなモノマーとしては、光重合開始剤によりラジカル重合反応する(メタ)アクリル化合物が好ましく、特に以下に限定するものではないが、ジエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレートなどの、エチレングリコール又はポリエチレングリコールのモノ又はジアクリレート及びメタクリレート、プロピレングリコール又はポリプロピレングリコールのモノ又はジアクリレート及びメタクリレート、グリセロールのモノ、ジ又はトリアクリレート及びメタクリレート、シクロヘキサンジアクリレート及びジメタクリレート、1,4−ブタンジオールのジアクリレート及びジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールのジアクリレート及びジメタクリレート、ネオペンチルグリコールのジアクリレート及びジメタクリレート、ビスフェノールAのモノ又はジアクリレート及びメタクリレート、ベンゼントリメタクリレート、イソボルニルアクリレート及びメタクリレート、アクリルアミド及びその誘導体、メタクリルアミド及びその誘導体、トリメチロールプロパントリアクリレート及びメタクリレート、グリセロールのジ又はトリアクリレート及びメタクリレート、ペンタエリスリトールのジ、トリ、又はテトラアクリレート及びメタクリレート、並びにこれら化合物のエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物等の化合物を挙げることができる。
レリーフパターンの解像性を向上させるための上記の光重合性の不飽和結合を有するモノマーを感光性樹脂組成物が含有する場合、光重合性の不飽和結合を有するモノマーの配合量は、(A)樹脂100質量部に対し、1〜50質量部であることが好ましい。
また、(A)樹脂としてポリアミド酸エステル等を用いるネガ型の場合には、特に溶剤を含む溶液の状態での保存時の感光性樹脂組成物の粘度及び光感度の安定性を向上させるために熱重合禁止剤を任意に配合することができる。熱重合禁止剤としては、ヒドロキノン、N−ニトロソジフェニルアミン、p−tert−ブチルカテコール、フェノチアジン、N−フェニルナフチルアミン、エチレンジアミン四酢酸、1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、2,6−ジ−tert−ブチル−p−メチルフェノール、5−ニトロソ−8−ヒドロキシキノリン、1−ニトロソ−2−ナフトール、2−ニトロソ−1−ナフトール、2−ニトロソ−5−(N−エチル−N−スルホプロピルアミノ)フェノール、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩、N−ニトロソ−N(1−ナフチル)ヒドロキシルアミンアンモニウム塩等が用いられる。
感光性樹脂組成物に配合する場合の熱重合禁止剤の配合量としては、(A)樹脂100質量部に対し、0.005〜12質量部の範囲が好ましい。
一方、本発明の感光樹脂組成物において、(A)樹脂としてフェノール樹脂等を用いるポジ型の場合には、必要に応じて、従来から感光性樹脂組成物の添加剤として用いられている染料、界面活性剤はじめ熱酸発生剤、溶解促進剤、基材との密着性を高めるための接着助剤等を添加することができる。
上記添加剤について更に具体的に述べると、染料としては、例えば、メチルバイオレット、クリスタルバイオレット、マラカイトグリーン等が挙げられる。また、界面活性剤としては、例えば、ポリプロピレングリコール又はポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリグリコール類又はその誘導体から成る非イオン系界面活性剤、例えばフロラード(商品名、住友3M社製)、メガファック(商品名、大日本インキ化学工業社製)又はルミフロン(商品名、旭硝子社製)等のフッ素系界面活性剤、例えばKP341(商品名、信越化学工業社製)、DBE(商品名、チッソ社製)、グラノール(商品名、共栄社化学社製)等の有機シロキサン界面活性剤が挙げられる。接着助剤としては、例えば、アルキルイミダゾリン、酪酸、アルキル酸、ポリヒドロキシスチレン、ポリビニルメチルエーテル、t−ブチルノボラック、エポキシシラン、エポキシポリマー等、及び各種シランカップリング剤が挙げられる。
上記の染料及び界面活性剤の配合量としては、(A)樹脂100質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましい。
又、硬化温度を下げた場合でも、良好な硬化物の熱物性及び機械的物性を発現させるという観点から、熱酸発生剤を任意に配合することができる。
熱酸発生剤は、硬化温度を下げた場合でも、良好な硬化物の熱物性及び機械的物性を発現させるという観点から、配合することが好ましい。
熱酸発生剤としては、熱により酸を生成する機能を有するオニウム塩等の強酸と塩基とから形成される塩や、イミドスルホナートが挙げられる。
オニウム塩としては、例えば、アリールジアゾニウム塩、ジフェニルヨードニウム塩等のジアリールヨードニウム塩;ジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム塩等のジ(アルキルアリール)ヨードニウム塩;トリメチルスルホニウム塩のようなトリアルキルスルホニウム塩;ジメチルフェニルスルホニウム塩等のジアルキルモノアリールスルホニウム塩;ジフェニルメチルスルホニウム塩等のジアリールモノアルキルヨードニウム塩;トリアリールスルホニウム塩等が挙げられる。
これらの中で、パラトルエンスルホン酸のジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム塩、トリフルオロメタンスルホン酸のジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム塩、トリフルオロメタンスルホン酸のトリメチルスルホニウム塩、トリフルオロメタンスルホン酸のジメチルフェニルスルホニウム塩、トリフルオロメタンスルホン酸のジフェニルメチルスルホニウム塩、ノナフルオロブタンスルホン酸のジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム塩、カンファースルホン酸のジフェニルヨードニウム塩、エタンスルホン酸のジフェニルヨードニウム塩、ベンゼンスルホン酸のジメチルフェニルスルホニウム塩、トルエンスルホン酸のジフェニルメチルスルホニウム塩等が好ましい。
また、強酸と塩基とから形成される塩としては、上述のオニウム塩の他、次のような強酸と塩基とから形成される塩、例えば、ピリジニウム塩を用いることもできる。強酸としては、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸のようなアリールスルホン酸、カンファースルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸のようなパーフルオロアルキルスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ブタンスルホン酸のようなアルキルスルホン酸等が挙げられる。塩基としては、ピリジン、2,4,6−トリメチルピリジンのようなアルキルピリジン、2−クロロ−N−メチルピリジンのようなN−アルキルピリジン、ハロゲン化−N−アルキルピリジン等が挙げられる。
イミドスルホナートとしては、例えば、ナフトイルイミドスルホナート、フタルイミドスルホナート等を用いることができるが、熱により酸が発生する化合物であれば限定されない。
熱酸発生剤を使用する場合の配合量としては、(A)樹脂100質量部に対し、0.1〜30質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましく、1〜5質量部であることがさらに好ましい。
ポジ型の感光性樹脂組成物の場合、感光後に不用となった樹脂の除去を促進するために、溶解促進剤を使用することができる。たとえば水酸基又はカルボキシル基を有する化合物が好ましい。水酸基を有する化合物の例としては、前述のナフトキノンジアジド化合物に使用しているバラスト剤、並びにパラクミルフェノール、ビスフェノール類、レゾルシノール類、及びMtrisPC、MtetraPC等の直鎖状フェノール化合物、TrisP−HAP、TrisP−PHBA、TrisP−PA等の非直鎖状フェノール化合物(全て本州化学工業社製)、ジフェニルメタンの2〜5個のフェノール置換体、3,3−ジフェニルプロパンの1〜5個のフェノール置換体、2,2−ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンと5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物とをモル比1対2で反応させて得られる化合物、ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホンと1,2−シクロヘキシルジカルボン酸無水物とをモル比1対2で反応させて得られる化合物、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシフタル酸イミド、N−ヒドロキシ5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸イミド等が挙げられる。カルボキシル基を有する化合物の例としては、3−フェニル乳酸、4−ヒドロキシフェニル乳酸、4−ヒドロキシマンデル酸、3,4−ジヒドロキシマンデル酸、4−ヒドロキシ−3−メトキシマンデル酸、2−メトキシ−2−(1−ナフチル)プロピオン酸、マンデル酸、アトロラクチン酸、α−メトキシフェニル酢酸、O−アセチルマンデル酸、イタコン酸等を挙げることができる。
溶解促進剤を使用する場合の配合量としては、(A)樹脂100質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましい。
<硬化レリーフパターンの製造方法及び半導体装置>
また、本発明は、(1)上述した本発明の感光性樹脂組成物を基板上に塗布することによって樹脂層を該基板上に形成する工程と、(2)該樹脂層を露光する工程と、(3)該露光後の樹脂層を現像してレリーフパターンを形成する工程と、(4)該レリーフパターンをマイクロ波照射下に加熱処理することによって硬化レリーフパターンを形成する工程とを含む、硬化レリーフパターンの製造方法を提供する。以下、各工程の典型的な態様について説明する。
(1)感光性樹脂組成物を基板上に塗布することによって樹脂層を該基板上に形成する工程
本工程では、本発明の感光性樹脂組成物を基材上に塗布し、必要に応じてその後乾燥させて樹脂層を形成する。塗布方法としては、従来から感光性樹脂組成物の塗布に用いられていた方法、例えば、スピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷機等で塗布する方法、スプレーコーターで噴霧塗布する方法等を用いることができる。
必要に応じて、感光性樹脂組成物から成る塗膜を乾燥させることができる。乾燥方法としては、風乾、オーブン又はホットプレートによる加熱乾燥、真空乾燥等の方法が用いられる。具体的には、風乾又は加熱乾燥を行う場合、20℃〜140℃で1分〜1時間の条件で乾燥を行うことができる。以上の通り、基板上に樹脂層を形成できる。
(2)樹脂層を露光する工程
本工程では、上記で形成した樹脂層を、コンタクトアライナー、ミラープロジェクション、ステッパー等の露光装置を用いて、パターンを有するフォトマスク又はレチクルを介して又は直接に、紫外線光源等により露光する。
この後、光感度の向上等の目的で、必要に応じて、任意の温度及び時間の組合せによる露光後ベーク(PEB)及び/又は現像前ベークを施してもよい。ベーク条件の範囲は、温度は40〜120℃であり、そして時間は10秒〜240秒であることが好ましいが、本発明の感光性樹脂組成物の諸特性を阻害するものでない限り、この範囲に限らない。
(3)露光後の樹脂層を現像してレリーフパターンを形成する工程
本工程においては、露光後の感光性樹脂層の露光部又は未露光部を現像除去する。ネガ型の感光性樹脂組成物を用いる場合(例えば(A)樹脂としてポリアミド酸エステルを用いる場合)には、未露光部が現像除去され、ポジ型の感光性樹脂組成物を用いる場合(例えば(A)樹脂としてフェノール樹脂を用いる場合)には、露光部が現像除去される。現像方法としては、従来知られているフォトレジストの現像方法、例えば回転スプレー法、パドル法、超音波処理を伴う浸漬法等の中から任意の方法を選択して使用することができる。また、現像の後、レリーフパターンの形状を調整する等の目的で、必要に応じて任意の温度及び時間の組合せによる現像後ベークを施してもよい。
現像に使用される現像液としては、感光性樹脂組成物に対する良溶媒、又は該良溶媒と貧溶媒との組合せが好ましい。例えばアルカリ水溶液に溶解しない感光性樹脂組成物の場合、良溶媒としては、N−メチルピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン等が好ましく、貧溶媒としてはトルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、乳酸エチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート及び水等が好ましい。良溶媒と貧溶媒とを混合して用いる場合には、感光性樹脂組成物中のポリマーの溶解性によって良溶媒に対する貧溶媒の割合を調整することが好ましい。また、各溶媒を2種以上、例えば数種類組合せて用いることもできる。
一方、アルカリ水溶液に溶解する感光性樹脂組成物の場合、現像に使用される現像液は、アルカリ水溶液可溶性重合体を溶解除去するものであり、典型的にはアルカリ化合物を溶解したアルカリ性水溶液である。現像液中に溶解されるアルカリ化合物は、無機アルカリ化合物、又は有機アルカリ化合物のいずれであってもよい。
該無機アルカリ化合物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、及びアンモニア等が挙げられる。
また、該有機アルカリ化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n−プロピルアミン、ジ−n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、エタノールアミン、及びトリエタノールアミン等が挙げられる。
更に、必要に応じて、上記アルカリ性水溶液に、メタノール、エタノール、プロパノール、又はエチレングリコール等の水溶性有機溶媒、界面活性剤、保存安定剤、及び樹脂の溶解抑止剤等を適量添加することができる。以上のようにしてレリーフパターンを形成できる。
(4)レリーフパターンをマイクロ波照射下に加熱処理することによって硬化レリーフパターンを形成する工程
本工程では、上記現像により得られたレリーフパターンをマイクロ波照射下に加熱することによって、硬化レリーフパターンに変換する。照射するマイクロ波の周波数や出力、照射の方法について、特に限定はない。加熱硬化の方法としては、マイクロ波照射が可能なオーブンの中で行なう必要がある。加熱は、例えば180℃〜400℃で30分〜5時間の条件で行うことができるが、180℃〜250℃の温度範囲で行なうのが好ましい。加熱硬化の際の雰囲気気体としては空気を用いてもよく、窒素、アルゴン等の不活性ガスを用いることもできる。
<半導体装置>
本発明はまた、上述した本発明の硬化レリーフパターンの製造方法により得られる硬化レリーフパターンを含む、半導体装置を提供する。本発明は、半導体素子である基材と、前記基材上に上述した硬化レリーフパターン製造方法により形成された樹脂の硬化レリーフパターンとを含む半導体装置も提供する。また、本発明は、基材として半導体素子を用い、上述した硬化レリーフパターンの製造方法を工程の一部として含む半導体装置の製造方法にも適用できる。本発明の半導体装置は、上記硬化レリーフパターン製造方法で形成される硬化レリーフパターンを、表面保護膜、層間絶縁膜、再配線用絶縁膜、フリップチップ装置用保護膜、又はバンプ構造を有する半導体装置の保護膜等として形成し、既知の半導体装置の製造方法と組合せることで製造することができる。
本発明の感光性樹脂組成物は、上記のような半導体装置への適用の他、多層回路の層間絶縁、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、及び液晶配向膜等の用途にも有用である。
<<第一の実施形態>>
第一の実施形態として実施例1〜24、比較例1〜6を以下に説明する。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。実施例、比較例及び製造例においては、感光性樹脂組成物の物性を以下の方法に従って測定及び評価した。
<重量平均分子量>
各樹脂の重量平均分子量(Mw)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(標準ポリスチレン換算)で測定した。測定に用いたカラムは昭和電工(株)製の商標名「Shodex 805M/806M直列」であり、標準単分散ポリスチレンは、昭和電工(株)製の商標名「Shodex STANDARD SM−105」を選択し、展開溶媒はN−メチル−2−ピロリドンであり、検出器は昭和電工(株)製の商標名「Shodex RI−930」を使用した。
<硬化膜の銅接着性評価>
6インチシリコンウェハー(フジミ電子工業株式会社製、厚み625±25μm)上に、スパッタ装置(L−440S−FHL型、キヤノンアネルバ社製)を用いて200nm厚のTi、400nm厚のCuをこの順にスパッタした。続いて、このウェハ上に、後述の方法により調製した感光性ポリアミド酸エステル組成物をコーターデベロッパー(D−Spin60A型、SOKUDO社製)を用いて回転塗布し、乾燥して10μm厚の塗膜を形成した。この塗膜に、テストパターン付マスクを用いて平行光マスクアライナー(PLA−501FA型、キヤノン社製)により300mJ/cm2のエネルギーを照射した。次いで、この塗膜を形成したウエハーを昇温プログラム式キュア炉(VF−2000型、光洋リンドバーグ社製)を用いて、窒素雰囲気下、230℃で2時間加熱処理することにより、Cu上に約7μm厚のポリイミド樹脂からなる硬化レリーフパターンを得た。作成した硬化膜を、プレッシャークッカーテスター装置(平山製作所製、PC−422R8D型)にて120℃、2気圧、相対湿度100%の条件で、100時間処理した後、カッターにて1mm間隔で縦及び横に碁盤目状に各11回切れ込みをいれ、100個の独立した膜を作成した。その後、セロテープ(登録商標)にて剥離試験を行い、剥離した数を後述の表1に記録した。剥離数は少ないほど半導体としての信頼性が上がるためよい。
<耐薬品性試験>
6インチシリコンウェハー(フジミ電子工業株式会社製、厚み625±25μm)上に、後述の方法により調製した感光性ポリアミド酸エステル組成物をコーターデベロッパー(D−Spin60A型、SOKUDO社製)を用いて回転塗布し、乾燥して10μm厚の塗膜を形成した。この塗膜に、テストパターン付マスクを用いて平行光マスクアライナー(PLA−501FA型、キヤノン社製)により300mJ/cm2のエネルギーを照射した。次いで、この塗膜を形成したウエハーを昇温プログラム式キュア炉(VF−2000型、光洋リンドバーグ社製)を用いて、窒素雰囲気下、230℃で2時間加熱処理することにより、Si上に約7μm厚のポリイミド樹脂からなる硬化レリーフパターンを得た。作成した硬化膜を、プレッシャークッカーテスター装置(平山製作所製、PC−422R8D型)にて150℃、1000時間処理した後、薬液(1wt%水酸化カリウム/テトラメチルアンモニウムヒドロキシド溶液)に110℃60分間浸漬した後の残膜率およびクラックの有無を観察した。残膜率が90%かつクラックが観察されないものを○、どちらか一方でも満たさないものは×とした。
<製造例1>(ポリマー1の合成)
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを2L容量のセパラブルフラスコに入れ、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)131.2gとγ―ブチロラクトン400mlを入れて室温下で攪拌し、攪拌しながらピリジン81.5gを加えて反応混合物を得た。反応による発熱の終了後に室温まで放冷し、16時間放置した。
次に、氷冷下において、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)206.3gをγ−ブチロラクトン180mlに溶解した溶液を攪拌しながら40分かけて反応混合物に加え、続いて4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)93.0gをγ−ブチロラクトン350mlに懸濁したものを攪拌しながら60分かけて加えた。更に室温で2時間攪拌した後、エチルアルコール30mlを加えて1時間攪拌し、次に、γ−ブチロラクトン400mlを加えた。反応混合物に生じた沈殿物をろ過により取り除き、反応液を得た。
得られた反応液を3Lのエチルアルコールに加えて粗ポリマーから成る沈殿物を生成した。生成した粗ポリマーを濾別し、テトラヒドロフラン1.5lgに溶解して粗ポリマー溶液を得た。得られた粗ポリマー溶液を28Lの水に滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾別した後、真空乾燥して粉末状のポリマー(ポリマー1)を得た。ポリマー1の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は22,000であった。
<製造例2>(ポリマー2の合成)
製造例1の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gに代えて、無水ピロメリット酸(PMDA)54.5gとベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物(BTDA)80.6gの混合物を用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマー2を得た。ポリマー2の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は22,000であった。
<製造例3>(ポリマー3の合成)
製造例1の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gに代えて、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gを用い、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)93.0gに代えて、p−フェニレンジアミン(p−PD)50.2gを用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマー3を得た。ポリマー3の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は20,000であった。
<製造例4>(ポリマー4の合成)
製造例1の4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)93.0gに代えて、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン148.8gを用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマー4を得た。ポリマー4の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は20,000であった。
<製造例5>(ポリマー5の合成)
製造例1の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gに代えて、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gを用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマー5を得た。ポリマー5の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は22,000であった。
<製造例6>(ポリマー6の合成)
製造例1の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gに代えて、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gを用い、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)93.0gの代わりに4,4’−ジアミノ-3,3'-ジメチルジフェニルメタン(MDT)を105.0g用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマー6を得た。ポリマー6の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は22,000であった。
<製造例7>(ポリマー7の合成)
製造例1の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gに代えて、無水ピロメリット酸(PMDA)54.5gと3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)73.55gの混合物を用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマー7を得た。ポリマー7の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は21000であった。
<製造例8>(ポリマー8の合成)
製造例1の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gに代えて、無水ピロメリット酸(PMDA)54.5gと4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)77.55gの混合物を用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマー8を得た。ポリマー8の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は22000であった。
<製造例9>(ポリマー9の合成)
製造例1の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gに代えて、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gとし、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)93.0gの代わりに、DADPE46.5gとp−フェニレンジアミン(p−PD)25.11gの混合物用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマー9を得た。ポリマー9の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は23000であった。
<実施例1>
以下の方法でネガ型感光性樹脂組成物を調製し、調製した感光性樹脂組成物の評価を行った。ポリイミド前駆体であるポリマー1(樹脂(A1)に該当)50gとポリマー5(樹脂(A4)に該当)50g、TR−PBG−305(常州強力新電子材料有限公司製、商品名)((B)感光成分に該当)2g、N−フェニルジエタノールアミン4g、チタニウムジイソプロポキサイドビス(エチルアセトアセテート)((E)有機チタン化合物に該当)0.1g、テトラエチレングリコールジメタクリレート10g、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール0.5g及び2−ニトロソ−1−ナフト−ル0.05gと共に、γ―ブチロラクトン((C1)に該当、以下ではGBLという)160gとジメチルスルホキシド((C2)溶媒に該当、以下ではDMSOという)40gから成る混合溶媒に溶解し、ネガ型感光性樹脂組成物とした。得られた樹脂組成物を前述の方法にしたがって評価した結果を表1に示した。
<実施例2>
実施例1の、ポリマー1を50gの代わりに20g用い、ポリマー5を50gの代わりに80g用いた以外は前述の実施例1に記載の方法と同様にして感光性樹脂組成物を作成し、同様の評価を行った。評価した結果を表1に示した。
<実施例3>
実施例1の、ポリマー1を50gの代わりに80g用い、ポリマー5を50gの代わりに20g用いた以外は前述の実施例1に記載の方法と同様にして感光性樹脂組成物を作成し、同様の評価を行った。評価した結果を表1に示した。
<実施例4>
実施例1の、ポリマー1の代わりにポリマー2を用いた以外は前述の実施例1に記載の方法と同様にして感光性樹脂組成物を作成し、同様の評価を行った。評価した結果を表1に示した。
<実施例5>
実施例1の、ポリマー1の代わりにポリマー3を用いた以外は前述の実施例1に記載の方法と同様にして感光性樹脂組成物を作成し、同様の評価を行った。評価した結果を表1に示した。
<実施例6>
実施例1の、ポリマー1の代わりにポリマー4を用いた以外は前述の実施例1に記載の方法と同様にして感光性樹脂組成物を作成し、同様の評価を行った。評価した結果を表1に示した。
<実施例7>
実施例1の、ポリマー5の代わりにポリマー6を用いた以外は前述の実施例1に記載の方法と同様にして感光性樹脂組成物を作成し、同様の評価を行った。評価した結果を表1に示した。
<実施例8>
実施例1の、GBLを160gの代わりに200g用い、DMSOを除いた以外は前述の実施例1に記載の方法と同様にして感光性樹脂組成物を作成し、同様の評価を行った。評価した結果を表1に示した。
<実施例9>
実施例1の、GBLの代わりにN−メチルピロリドン(NMP)を200g用い、DMSOを除いた以外は前述の実施例1に記載の方法と同様にして感光性樹脂組成物を作成し、同様の評価を行った。評価した結果を表1に示した。
<実施例10>
実施例1の、ポリマー1の代わりにポリマー3を用い、さらにGBLの代わりにNMPを200g用い、DMSOを除いた以外は前述の実施例1に記載の方法と同様にして感光性樹脂組成物を作成し、同様の評価を行った。評価した結果を表1に示した。
<実施例11>
実施例1の、GBLを除き、DMSOを40g用いる代わりにNMPを200g用いた以外は、は前述の実施例1に記載の方法と同様にして感光性樹脂組成物を作成し、同様の評価を行った。評価した結果を表1に示した。
<実施例12>
実施例1の、GBLの代わりにNMPを用い、さらにDMSOを用いる代わりに乳酸エチルを用いる以外は、前述の実施例1に記載の方法と同様にして感光性樹脂組成物を作成し、同様の評価を行った。評価した結果を表1に示した。
<実施例13>
実施例1の、TR−PBG−305を用いる代わりにOXE−01(BASF、商品名)を用いる以外は、前述の実施例1に記載の方法と同様にして感光性樹脂組成物を作成し、同様の評価を行った。評価した結果を表1に示した。
<実施例14>
実施例1の、TR−PBG−305を用いる代わりに1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)−オキシム(開始剤A)を用いる以外は、前述の実施例1に記載の方法と同様にして感光性樹脂組成物を作成し、同様の評価を行った。評価した結果を表1に示した。
<比較例1〜5>
組成を表1に示すとおりに変更したこと以外は実施例1と同様に評価を行った。評価結果も表1に示す。
表1に示した結果から、実施例1〜14は、比較例1〜5に対し、硬化膜の銅配線への接着性が良好な樹脂膜を与えることを示す。
<実施例15〜16、参考例17、実施例18、参考例19、実施例20〜21>
表2に示す割合とした以外は、実施例1と同様の方法にてネガ型感光性樹脂組成を製造し、前述の方法にて評価を行った。
<実施例22〜24及び比較例6>
表3に示す割合とした以外は実施例1と同様の方法にてネガ型感光性樹脂組成を製造し、前述の耐薬品性試験方法により評価を行った。
<<第二の実施形態>>
第二の実施形態として実施例25〜44、比較例7及び8を以下に説明する。
実施例及び比較例においては、感光性樹脂組成物の物性を以下の方法に従って測定及び評価した。
(1)重量平均分子量
各ポリイミド前駆体の重量平均分子量(Mw)は先述した第一の実施形態と同様にして求めた。
(2)丸抜き凹型レリーフパターンの作製及びフォーカスマージン評価
<工程(1)及び(2)>
6インチシリコンウエハ(フジミ電子工業株式会社製、厚み625±25μm)上に、スパッタ装置(L−440S−FHL型、キヤノンアネルバ社製)を用いて200nm厚のTi、400nm厚のCuをこの順にスパッタし、スパッタCuウエハ基板を準備した。
感光性樹脂組成物をスピンコート装置(D−spin60A型、SOKUDO社製)を使用して上記スパッタCuウエハ基板にスピンコートし、110℃で270秒間加熱乾燥して、膜厚13μm±0.2μmのスピンコート膜を作製した。
<工程(3)及び(4)>
このスピンコート膜にマスクサイズが直径8μmの円形パターンを有するテストパターン付レチクルを用いて等倍投影露光装置PrismaGHI S/N5503(ウルトラテック社製)により、300mJ/cm2から700mJ/cm2まで100mJ/cm2ステップでエネルギーを照射した。この際、各々の露光量に対してフォーカスをスピンコート膜表面を基準として膜底部方向に向けて、2μmずつ移動させ露光した。
次いで、スパッタCuウエハ上に形成した塗膜を、シクロペンタノンを用いて現像機(D−SPIN636型、大日本スクリーン社製)でスプレー現像し、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートでリンスしてポリアミド酸エステルの丸抜き凹型レリーフパターンを得た。なお、スプレー現像の現像時間は、上記13μmのスピンコート膜において、未露光部の樹脂組成物が現像する最小時間の1.4倍の時間と定義した。
<工程(5)>
丸抜き凹型レリーフパターンを形成したスパッタCuウエハを昇温プログラム式キュア炉(VF−2000型、光洋リンドバーグ社製)を用いて、窒素雰囲気下、昇温速度5℃/分で230℃まで昇温し、230℃で2時間保持して熱処理することにより、マスクサイズが8μmのポリイミドの丸抜き凹型レリーフパターンをスパッタCuウエハ基板上に得た。得られた各パターンについて、パターン形状やパターン部の幅を光学顕微鏡下で観察し、フォーカスマージンを求めた。
<フォーカスマージン評価>
工程(1)から(5)を順に経て得られたマスクサイズが8μmの丸抜き凹型レリーフパターンの開口可否は、以下の基準(I)及び(II)をいずれも満たすパターンを合格と判断した。
(I)パターン開口部の面積が、対応するパターンマスク開口面積の1/2以上である。
(II)パターン断面がすそびきしておらず、アンダーカットや膨潤、ブリッジングが起こっていない。
<開口パターン断面角度評価>
工程(1)から(5)を順に経て得られたレリーフパターンの断面角度の評価法を以下に説明する。工程(1)から(5)を順に経て得られたスパッタCuウエハを液体窒素に浸漬し、50μm幅ライン&スペース(1:1)部分を、ラインに対して垂直の方向に割断した。得られた断面を、SEM(日立ハイテクノロジーズS−4800型)によって観察した。図1A〜図1Eを参照して、下記工程a〜eの方法によって、断面角度を評価した。
a.開口部の上辺と下辺を引くこと(図1A);
b.開口部の高さを決めること(図1B);
c.高さの中央部分を通って、上辺及び下辺に平行な直線(中央線)を引くこと(図1C);
d.中央線と開口部パターンとの交点(中央点)を求めること(図1D);及び
e.中央線におけるパターンの傾きに合わせて接線を引き、その接線と下辺とが形成する角度を断面角度とみなす(図1E)。
<電気特性の評価方法>
以下、得られた感光性ポリイミド前駆体のワニスを用いて製造した半導体装置の電気特性の評価法について説明する。6インチシリコンウエハ(フジミ電子工業株式会社製、厚み625±25μm)上に窒化ケイ素層(サムコ株式会社製、PD−220NA)を形成した。該窒化ケイ素層の上に実施例1〜15、及び比較例1〜5で得られた感光性樹脂組成物をスピンコート装置(D−Spin60A型、SOKUDO社製)により塗布して、感光性ポリイミド前駆体の樹脂膜を得た。等倍投影露光装置PrismaGHI S/N5503(ウルトラテック社製)により所定のパターンを形成した。次いで、該ウエハ上に形成した樹脂膜を、シクロペンタノンを用いて現像機(D−SPIN636型、大日本スクリーン社製)でスプレー現像し、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートでリンスしてポリアミド酸エステルの所定のレリーフパターンを得た。得られたウエハを昇温プログラム式キュア炉(VF−2000型、光洋リンドバーグ社製)を用いて、窒素雰囲気下、230℃の温度において2時間加熱処理して層間絶縁膜を得た。次に、前記層間絶縁膜に所定のパターンを形成するように金属配線を形成して半導体装置を得た。こうして得られた半導体装置と、この半導体装置と同様な構成で酸化ケイ素絶縁膜を有する半導体装置との配線遅延の程度を比較した。評価の基準にはリングオシュレータの発信周波数から換算して求めた信号遅延時間を採用した。両者を比較して、下記の基準で合否を判別した。
「合格」:酸化ケイ素絶縁膜を用いて得られた半導体装置よりも信号遅延が少ない半導体装置
「不合格」:酸化ケイ素絶縁膜を用いて得られた半導体装置よりも信号遅延が多い半導体装置
<製造例1a>(ポリイミド前駆体(A)−1の合成)
4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gを2リットル容量のセパラブルフラスコに入れ、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)131.2gとγ―ブチロラクトン400mlを入れて室温下で攪拌し、攪拌しながらピリジン81.5gを加えて反応混合物を得た。反応による発熱の終了後に室温まで放冷し、16時間放置した。
次に、氷冷下において、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)206.3gをγ−ブチロラクトン180mlに溶解した溶液を攪拌しながら40分かけて反応混合物に加え、続いて4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)93.0gをγ−ブチロラクトン350mlに懸濁したものを攪拌しながら60分かけて加えた。更に室温で2時間攪拌した後、エチルアルコール30mlを加えて1時間攪拌し、次に、γ−ブチロラクトン400mlを加えた。反応混合物に生じた沈殿物をろ過により取り除き、反応液を得た。
得られた反応液を3リットルのエチルアルコールに加えて粗ポリマーからなる沈殿物を生成した。生成した粗ポリマーを濾別し、テトラヒドロフラン1.5リットルに溶解して粗ポリマー溶液を得た。得られた粗ポリマー溶液を28リットルの水に滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾別した後、真空乾燥して粉末状のポリマー(ポリイミド前駆体(A)−1)を得た。ポリイミド前駆体(A)−1の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は20000であった。
<製造例2a>(ポリイミド前駆体(A)−2の合成)
製造例1aの4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gに代えて、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマー(A)−2を得た。ポリマー(A)−2の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は22,000であった。
<製造例3a>(ポリイミド前駆体(A)−3の合成)
製造例1aの4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)93.0gに代えて、2,2’−ジメチルビフェニルー4,4’−ジアミン(m−TB)98.6gを用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマー(A)−3を得た。ポリマー(A)−3の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は21,000であった。
<製造例4a>(ポリイミド前駆体(A)−4の合成)
製造例1aの4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gに代えて、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)93.0gに代えて、2,2’−ジメチルaフェニルー4,4’−ジアミン(m−TB)98.6gを用いた以外は、前述の製造例1aに記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマー(A)−4を得た。ポリマー(A)−4の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は21,000であった。
<製造例5a>(ポリイミド前駆体(A)−5の合成)
製造例1aの4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gに代えて、ピロメリット酸無水物(PMDA)109.1gを、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)93.0gに代えて、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)148.7gを用いた以外は、前述の製造例1aに記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマー(A)−5を得た。ポリマー(A)−5の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は21,000であった。
<製造例6a>(ポリイミド前駆体(A)−6の合成)
製造例1aの4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)93.0gに代えて、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)148.7gを用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマー(A)−6を得た。ポリマー(A)−6の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は22,000であった。
<製造例7a>(ポリイミド前駆体(A)−7の合成)
製造例1aの4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gに代えて、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)77.6gと3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)73.6gの混合物を用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマー(A)−7を得た。ポリマー(A)−7の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は21,000であった。
<実施例25>
ポリマー(A)−1を用いて以下の方法で感光性樹脂組成物を調製し、フォーカスマージンの評価および電気特性の評価を行なった。ポリイミド前駆体であるポリマー(A)−1を100gとTR−PBG−305((B)−1、常州強力新電子材料有限公司製、商品名)2gとテトラエチレングリコールジメタクリレート12g((C)−1)と、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール0.2g((D)−1)と2,2’−(フェニルイミノ)ジエタノール4g((E)−1)と共にN−メチル−2−ピロリドン(以下ではNMPという)80gと乳酸エチル20gからなる混合溶媒に溶解した。得られた溶液の粘度を、少量の前記混合溶媒を更に加えることによって約35ポイズ(poise)に調整し、感光性樹脂組成物とした。
この組成物について、上記<工程(1)〜(5)>の方法により、ポリイミドの丸抜き凹型レリーフパターンを形成したスパッタCuウエハ基板を作製し、上記<フォーカスマージン評価>の方法によりフォーカスマージンを求めたところ、フォーカスマージンは16μmであった。
また、上記<開口パターン断面角度評価>の方法により、断面角度を求めたところ、83°であった。さらに、上記<電気特性の評価方法>の方法により、電気特性評価を行ったところ、この組成物は「合格」であった。
<実施例26>
上記実施例25において、(B)−1成分をTR−PBG−3057((B)−2、常州強力新電子材料有限公司製、商品名)2gに、(E)−1を8gに変更した以外は、実施例25と同様にしてフォーカスマージン評価、断面角度評価および電気特性の評価を行った。その結果、フォーカスマージンは16μm、断面角度は78°、電気特性評価は「合格」であった。
<実施例27>
上記実施例25において、(B)−1成分を1,2−オクタンジオン、1−{4−(フェニルチオ)−、2−(O−ベンゾイルオキシム)}((B)−3、イルガキュアOXE01(BASF社製、商品名))2gに変更した以外は、実施例25と同様にしてフォーカスマージン評価、断面角度評価および電気特性の評価を行った。その結果、フォーカスマージンは16μm、断面角度は77°、電気特性評価は「合格」であった。
<実施例28>
上記実施例25において、(B)−1成分を式(66)で表わされる化合物((B)−4)2gに、(E)−1を8gに変更した以外は、実施例25と同様にしてフォーカスマージン評価、断面角度評価および電気特性の評価を行った。その結果、フォーカスマージンは14μm、断面角度は70°、電気特性評価は「合格」であった。
<実施例29>
上記実施例25において、(B)−1成分の添加量を4gに変更した以外は、実施例25と同様にしてフォーカスマージン評価、断面角度評価および電気特性の評価を行った。その結果、フォーカスマージンは12μm、断面角度は85°、電気特性評価は「合格」であった。
<実施例30>
上記実施例25において、(C)−1成分をノナエチレングリコールジメタクリレート((C)−2)12gに変更した以外は、実施例25と同様にしてフォーカスマージン評価、断面角度評価および電気特性の評価を行った。その結果、フォーカスマージンは8μm、断面角度は83°、電気特性評価は「合格」であった。
<実施例31>
上記実施例25において、(C)−1成分をジエチレングリコールジメタクリレート((C)−3)12gに変更した以外は、実施例25と同様にしてフォーカスマージン評価、断面角度評価および電気特性の評価を行った。その結果、フォーカスマージンは12μm、断面角度は83°、電気特性評価は「合格」であった。
<実施例32>
上記実施例25において、(A)−1成分を、(A)−2を100gに、(E)−1成分の添加量を12gに変更した以外は、実施例25と同様にしてフォーカスマージン評価、断面角度評価および電気特性の評価を行った。その結果、フォーカスマージンは16μm、断面角度は68°、電気特性評価は「合格」であった。
<実施例33>
上記実施例25において、(A)−1成分を、(A)−3を100gに変更した以外は、実施例25と同様にしてフォーカスマージン評価、断面角度評価および電気特性の評価を行った。その結果、フォーカスマージンは10μm、断面角度は85°、電気特性評価は「合格」であった。
<実施例34>
上記実施例25において、(A)−1成分を、(A)−4を100gに変更した以外は、実施例25と同様にしてフォーカスマージン評価、断面角度評価および電気特性の評価を行った。その結果、フォーカスマージンは10μm、断面角度は85°、電気特性評価は「合格」であった。
<実施例35>
上記実施例25において、(A)−1成分を、(A)−5を100gに変更した以外は、実施例25と同様にしてフォーカスマージン評価、断面角度評価および電気特性の評価を行った。その結果、フォーカスマージンは8μm、断面角度は75°、電気特性評価は「合格」であった。
<実施例36>
上記実施例25において、(A)−1成分を、(A)−6を100gに変更した以外は、実施例25と同様にしてフォーカスマージン評価、断面角度評価および電気特性の評価を行った。その結果、フォーカスマージンは14μm、断面角度は70°、電気特性評価は「合格」であった。
<実施例37>
上記実施例25において、(A)−1成分を、(A)−1を50gと(A)−2を50gの混合物に、(E)−1成分の添加量を8gに変更した以外は、実施例25と同様にしてフォーカスマージン評価、断面角度評価および電気特性の評価を行った。その結果、フォーカスマージンは14μm、断面角度は80°、電気特性評価は「合格」であった。
<実施例38>
上記実施例25において、(D)−1成分の添加量を1gに変更した以外は、実施例25と同様にしてフォーカスマージン評価、断面角度評価および電気特性の評価を行った。その結果、フォーカスマージンは10μm、断面角度は75°、電気特性評価は「合格」であった。
<実施例39>
上記実施例25において、溶剤をNMPからγ−ブチロラクトン80gとジメチルスルホキシド20gの混合物に変更した以外は、実施例25と同様にしてフォーカスマージン評価、断面角度評価および電気特性の評価を行った。その結果、フォーカスマージンは12μm、断面角度は85°、電気特性評価は「合格」であった。
<実施例40>
上記実施例25において、(D)−1を(D)−2:p−メトキシフェノールに変更した以外は、実施例25と同様にしてフォーカスマージン評価、断面角度評価および電気特性の評価を行った。その結果、フォーカスマージンは16μm、断面角度は82°、電気特性評価は「合格」であった。
<実施例41>
上記実施例25において、(D)−1を(D)−3:4−t−ブチルピロカテコールに変更した以外は、実施例25と同様にしてフォーカスマージン評価、断面角度評価および電気特性の評価を行った。その結果、フォーカスマージンは16μm、断面角度は80°、電気特性評価は「合格」であった。
<実施例42>
上記実施例25において、(D)−1を(D)−4:N,N−ジフェニルニトロソアミドに変更した以外は、実施例25と同様にしてフォーカスマージン評価、断面角度評価および電気特性の評価を行った。その結果、フォーカスマージンは16μm、断面角度は78°、電気特性評価は「合格」であった。
<実施例43>
上記実施例25において、(D)−1を(D)−5:アンモニウムN−ニトロソフェニルヒドロキルアミンに変更した以外は、実施例25と同様にしてフォーカスマージン評価、断面角度評価および電気特性の評価を行った。その結果、フォーカスマージンは16μm、断面角度は80°、電気特性評価は「合格」であった。
<実施例44>
上記実施例25において、(A)−1成分を、(A)−7を100gに変更した以外は、実施例25と同様にしてフォーカスマージン評価、断面角度評価および電気特性の評価を行った。その結果、フォーカスマージンは10μm、断面角度は82°、電気特性評価は「合格」であった。
<比較例7>
上記実施例25において、(B)−1成分を1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)−オキシム((B)−5)2gに変更した以外は、実施例25と同様にしてフォーカスマージン評価、断面角度評価および電気特性の評価を行った。その結果、フォーカスマージンは4μm、断面角度は88°、電気特性評価は「不合格」であった。
<比較例8>
上記実施例25において、(D)−1を(D)−5:1,1−ジフェニル―2−ピクリルヒドラジルフリーラジカルに変更した以外は、実施例25と同様にしてフォーカスマージン評価、断面角度評価および電気特性の評価を行った。その結果、フォーカスマージンは4μm、断面角度は92°、電気特性評価は「不合格」であった。
実施例25〜44、比較例7、8の結果を表4にまとめて示す。
<<第三の実施形態>>
第三の実施形態として実施例45〜51、比較例9及び10を以下に説明する。
実施例及び比較例においては、感光性樹脂組成物の物性を以下の方法に従って測定及び評価した。
(1)重量平均分子量
後述の方法により合成した各ポリアミド酸エステルの重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)を用いて、標準ポリスチレン換算により測定した。GPCの分析条件を以下に記す。
カラム:昭和電工社製 商標名 Shodex 805M/806M直列
標準単分散ポリスチレン:昭和電工(株)製Shodex STANDARD SM−105
溶離液:N−メチル−2−ピロリドン 40℃
流速:1.0ml/分
検出器:昭和電工製 商標名 Shodex RI−930
(2)Cu上の硬化膜の作成
6インチシリコンウェハー(フジミ電子工業株式会社製、厚み625±25μm)上に、スパッタ装置(L−440S−FHL型、キヤノンアネルバ社製)を用いて200nm厚のTi、400nm厚のCuをこの順にスパッタした。続いて、このウェハー上に、後述の方法により調製した感光性樹脂組成物をコーターデベロッパー(D−Spin60A型、SOKUDO社製)を用いて回転塗布し、乾燥することにより約15μm厚の塗膜を形成した。この塗膜全面に、平行光マスクアライナー(PLA−501FA型、キヤノン社製)により900mJ/cm2のエネルギーを照射した。次いで、この塗膜を、現像液としてシクロペンタノンを用いてコーターデベロッパー(D−Spin60A型、SOKUDO社製)でスプレー現像し、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートでリンスすることにより、Cu上の現像膜を得た。
Cu上に現像膜を形成したウェハーを、昇温プログラム式キュア炉(VF−2000型、光洋リンドバーグ社製)を用いて、窒素雰囲気下、各実施例に記載の温度において2時間加熱処理することにより、Cu上に約10〜15μm厚のポリイミド樹脂からなる硬化膜を得た。
(3)Cu上の硬化膜の剥離強度の測定
Cu上に形成した硬化膜に、粘着テープ(厚さ500μm)を貼った後、カッターで5mm幅の切り込みを入れ、切り込み部分を、JIS K 6854−2に基づいて180°引き剥がし強度を測定した。このときの引っ張り試験の条件は下記の通りである。
ロードセル:50N
引っ張り速度:50mm/min
移動量:60mm
<製造例1b>((A)感光性ポリイミド前駆体(ポリマーA−1)の合成)
4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gを2リットル容量のセパラブルフラスコに入れ、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)134.0g及びγ―ブチロラクトン400mlを加えて、室温下で攪拌しながら、ピリジン79.1gを加えて、反応混合物を得た。反応による発熱の終了後、室温まで放冷し、更に16時間静置した。
次に、氷冷下において、反応混合物に、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)206.3gをγ−ブチロラクトン180mlに溶解した溶液を、攪拌しながら40分かけて加えた。続いて、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)93.0gをγ−ブチロラクトン350mlに懸濁した懸濁液を、攪拌しながら60分かけて加えた。更に室温で2時間攪拌した後、エチルアルコール30mlを加えて1時間攪拌した後に、γ−ブチロラクトン400mlを加えた。反応混合物に生じた沈殿物を、ろ過により取り除き、反応液を得た。
得られた反応液を3リットルのエチルアルコールに加えて、粗ポリマーからなる沈殿物を生成した。生成した粗ポリマーを濾取し、テトラヒドロフラン1.5リットルに溶解して粗ポリマー溶液を得た。得られた粗ポリマー溶液を28リットルの水に滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾取した後に真空乾燥することにより、粉末状のポリマーA−1を得た。
このポリマーA−1の重量平均分子量(Mw)を測定したところ、20,000であった。
<製造例2b>(感光性ポリイミド前駆体(ポリマーA−2)の合成)
上記製造例1bにおいて、4,4’−オキシジフタル酸二無水物155.1gに代えて、3,3’4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物147.1gを用いた以外は、製造例1bに記載の方法と同様にして反応を行うことにより、ポリマーA−2を得た。
このポリマーA−2の重量平均分子量(Mw)を測定したところ、22,000であった。
<製造例3b>(感光性ポリイミド前駆体(ポリマーA−3)の合成)
製造例1bの4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)93.0gに代えて、2,2‘−ビストリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(TFMB)147.8gを用いた以外は、前述の製造例1bに記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマーA−3を得た。ポリマーA−3の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は21,000であった。
<実施例45>
(A)成分として、ポリマーA−1 50g及びポリマーA−2 50g、(B)成分として、TR−PBG−346(常州強力新電子材料有限公司製、商品名)2g、(C)成分として、テトラエチレングリコールジメタクリレート8g、2−ニトロソ−1−ナフト−ル0.05g、N−フェニルジエタノールアミン4g、N−(3−(トリエトキシシリル)プロピル)フタルアミド酸0.5g、及びベンゾフェノン−3,3‘−ビス(N−(3−トリエトキシシリル)プロピルアミド)−4,4’−ジカルボン酸0.5gを、N−メチルピロリドン及び乳酸エチルからなる混合溶媒(重量比8:2)に溶解し、粘度が約35ポイズになるように溶媒の量を調整することにより、感光性樹脂組成物溶液とした。
この組成物について、上述の方法により、Cu上に塗布、露光、現像後、230℃キュアしてCu層上に硬化膜を作製し、剥離強度を測定した所、0.63N/mmだった。
<実施例46>
上記実施例45において、(B)成分として、TR−PBG−346の添加量を4gに変えた以外は、実施例45と同様にして感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により、Cu上に塗布、露光、現像後、230℃キュアしてCu層上に硬化膜を作製し、剥離強度を測定した所、0.61N/mmだった。
<実施例47>
上記実施例45において、(B)成分として、TR−PBG−346の添加量を1gに変えた以外は、実施例45と同様にして感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により、Cu上に塗布、露光、現像後、230℃キュアしてCu層上に硬化膜を作製し、剥離強度を測定した所、0.60N/mmだった。
<実施例48>
上記実施例45と同様にして感光性樹脂組成物溶液を調製した。この組成物について、上述の方法により、Cu上に塗布、露光、現像後、350℃キュアしてCu層上に硬化膜を作製し、剥離強度を測定した所、0.58N/mmだった。
<実施例49>
上記実施例45において、(A)成分として、ポリマーA−1 50g及びポリマーA−2 50gの代わりに、ポリマーA−1 100gを用いた他は、実施例45と同様にして感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により、Cu上に塗布、露光、現像後、230℃キュアしてCu層上に硬化膜を作製し、剥離強度を測定した所、0.66N/mmだった。
<実施例50>
上記実施例45において、(A)成分として、ポリマーA−1 50g及びポリマーA−2 50gの代わりに、ポリマーA−1 100gを用い、(C)成分として、溶媒をN−メチルピロリドン及び乳酸エチルからなる混合溶媒(重量比8:2)から、γ−ブチロラクトン及びジメチルスルホキシド(重量比85:15)に変えた他は、実施例45と同様にして感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により、Cu上に塗布、露光、現像後、230℃キュアしてCu層上に硬化膜を作製し、剥離強度を測定した所、0.65N/mmだった。
<実施例51>
上記実施例45において、(A)成分として、ポリマーA−1 50g及びポリマーA−2 50gの代わりに、ポリマーA−3 100gを用いた他は、実施例45と同様にして感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により、Cu上に塗布、露光、現像後、350℃キュアしてCu層上に硬化膜を作製し、剥離強度を測定した所、0.50N/mmだった。
<比較例9>
上記実施例45において、(B)成分の代わりに、TR−PBG−304(常州強力新電子材料有限公司製、商品名)2gを用いた他は、実施例45と同様にして感光性樹脂組成物を調整した。
この組成物について、上述の方法により、Cu上に塗布、露光、現像後、230℃キュアしてCu層上に硬化膜を作製し、剥離強度を測定した所、0.41N/mmだった。
<比較例10>
上記実施例45において、(B)成分の代わりに、TR−PBG−304(常州強力新電子材料有限公司製、商品名)2gを用いた他は、実施例45と同様にして感光性樹脂組成物を調整した。
この組成物について、上述の方法により、Cu上に塗布、露光、現像後、350℃キュアしてCu層上に硬化膜を作製し、剥離強度を測定した所、0.38N/mmだった。
実施例45〜51と比較例9及び10の感光性樹脂組成物について、硬化膜のCuからの剥離強度についての評価結果を表5に示す。PBG−304(b−1)は、g線、h線に吸収を持たないため、硬化膜のCuからの剥離強度が、g線、h線に吸収を有するPBG−346(B−1)に比べて低い。
表5中の略号の説明;
(B)成分
B−1:TR−PBG−346(常州強力電子新材料有限公司製、商品名)
b−1:TR−PBG−304(常州強力電子新材料有限公司製、商品名)
<<第四の実施形態>>
第四の実施形態として実施例52〜67、比較例11〜13を以下に説明する。
実施例及び比較例においては、感光性樹脂組成物の物性を以下の方法に従って測定及び評価した。
(1)重量平均分子量
各ポリイミド前駆体の重量平均分子量(Mw)は先述した第一の実施形態と同様にして求めた。
(2)表面処理を行なったCu上の硬化レリーフパターンの作成
表面処理を行なったCu上に、後述の方法により調製した感光性樹脂組成物をコーターデベロッパー(D−Spin60A型、SOKUDO社製)を用いて回転塗布し、乾燥することにより10μm厚の塗膜を形成した。この塗膜に、テストパターン付マスクを用いて、平行光マスクアライナー(PLA−501FA型、キヤノン社製)により300mJ/cm2のエネルギーを照射した。次いで、この塗膜を、現像液としてネガ型の場合はシクロペンタノンを、ポジ型の場合は2.38%TMAHを用いてコーターデベロッパー(D−Spin60A型、SOKUDO社製)でスプレー現像し、ネガ型の場合はプロピレングリコールメチルエーテルアセテートで、ポジ型の場合は純水でリンスすることにより、Cu上のレリーフパターンを得た。
Cu上に該レリーフパターンを形成したウェハーを、昇温プログラム式キュア炉(VF−2000型、光洋リンドバーグ社製)を用いて、窒素雰囲気下、各実施例に記載の温度において2時間加熱処理することにより、Cu上に約6〜7μm厚の樹脂からなる硬化レリーフパターンを得た。
(3)表面処理を行なったCu上の硬化レリーフパターンの高温保存(high temperature storage)試験とその後の評価
表面処理を行なったCu上に該硬化レリーフパターンを形成したウェハーを、昇温プログラム式キュア炉(VF−2000型、光洋リンドバーグ社製)を用いて、空気中、150℃で168時間加熱した。続いて、プラズマ表面処理装置(EXAM型、神港精機社製)を用いて、Cu上の樹脂層を全てプラズマエッチングにより除去した。プラズマエッチング条件は下記の通りである。
出力:133W
ガス種・流量:O2:40ml/分 + CF4:1ml/分
ガス圧:50Pa
モード:ハードモード
エッチング時間:1800秒
樹脂層を全て除去したCu表面を、FE−SEM(S−4800型、日立ハイテクノロジーズ社製)によって観察し、画像解析ソフト(A像くん、旭化成社製)を用いて、Cu層の表面に占めるボイドの面積比率を算出した。
<製造例1>((A)ポリイミド前駆体としてのポリマーAの合成)
4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gを2l容量のセパラブルフラスコに入れ、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)131.2gとγ―ブチロラクトン400mlを入れて室温下で攪拌し、攪拌しながらピリジン81.5gを加えて反応混合物を得た。反応による発熱の終了後に室温まで放冷し、16時間放置した。
次に、氷冷下において、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)206.3gをγ−ブチロラクトン180mlに溶解した溶液を攪拌しながら40分かけて反応混合物に加え、続いて4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)93.0gをγ−ブチロラクトン350mlに懸濁したものを攪拌しながら60分かけて加えた。更に室温で2時間攪拌した後、エチルアルコール30mlを加えて1時間攪拌し、次に、γ−ブチロラクトン400mlを加えた。反応混合物に生じた沈殿物をろ過により取り除き、反応液を得た。
得られた反応液を3lのエチルアルコールに加えて粗ポリマーから成る沈殿物を生成した。生成した粗ポリマーを濾別し、テトラヒドロフラン1.5lに溶解して粗ポリマー溶液を得た。得られた粗ポリマー溶液を28lの水に滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾別した後、真空乾燥して粉末状のポリマー(ポリマーA)を得た。ポリマーAの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は20,000であった。
なお各製造例で得られた樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用い、以下の条件で測定し、標準ポリスチレン換算での重量平均分子量を求めた。
ポンプ:JASCO PU−980
検出器:JASCO RI−930
カラムオーブン:JASCO CO−965 40℃
カラム:Shodex KD−806M 直列に2本
移動相:0.1mol/l LiBr/NMP
流速:1ml/min.
<製造例2>((A)ポリイミド前駆体としてのポリマーBの合成)
製造例1の4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gに代えて、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマーBを得た。ポリマーBの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は22,000であった。
<製造例3>((A)ポリイミド前駆体としてのポリマーCの合成)
製造例1の4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)93.0gに代えて、2,2’−ビストリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(TFMB)147.8gを用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマーCを得た。ポリマーCの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は21,000であった。
<製造例4>((A)ポリアミドとしてのポリマーDの合成)
(フタル酸化合物封止体AIPA−MOの合成)
容量5lのセパラブルフラスコに、5−アミノイソフタル酸{以下、AIPAと略す。}543.5g、N−メチル−2−ピロリドン1700gを投入、混合撹拌し、ウォーターバスで50℃まで加温した。これに、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート512.0g(3.3mol)をγ−ブチロラクトン500gで希釈したものを滴下ロートで滴下投入し、そのまま50℃で2時間ほど撹拌した。
反応の完了(5−アミノイソフタル酸の消失)を低分子量ゲルパーミエーションクロマトグラフィー{以下、低分子量GPCと記す。}で確認した後、この反応液を15リットルのイオン交換水に投入、撹拌、静置し、反応生成物の結晶化沈殿を待って濾別し、適宜水洗の後、40℃で48時間真空乾燥することにより、5−アミノイソフタル酸のアミノ基と2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートのイソシアネート基が作用したAIPA−MOを得た。得られたAIPA−MOの低分子量GPC純度は約100%であった。
(ポリマーDの合成)
容量2lのセパラブルフラスコに、得られたAIPA−MOを100.89g(0.3mol)、ピリジンを71.2g(0.9mol)、GBLを400g投入、混合し、氷浴で5℃まで冷却した。これに、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)125.0g(0.606mol)をGBL125gに溶解希釈したものを、氷冷下、20分ほどかけて滴下し、続いて4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル{以下、BAPBと記す。}103.16g(0.28mol)をNMP168gに溶解させたものを、20分ほどかけて滴下し、氷浴で5℃未満を維持しつつ3時間、次いで氷浴を外して室温で5時間撹拌した。反応混合物に生じた沈殿物をろ過により取り除き、反応液を得た。
得られた反応液に水840gとイソプロパノール560gの混合液を滴下し、析出する重合体を分離し、NMP650gに再溶解した。得られた粗ポリマー溶液を5lの水に滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾別した後、真空乾燥して粉末状のポリマー(ポリマーE)を得た。ポリマーDの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は34,700であった。
<製造例5>((A)ポリオキサゾール前駆体としてのポリマーEの合成)
容量3lのセパラブルフラスコ中で、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン183.1g、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)640.9g、ピリジン63.3gを室温(25℃)で混合攪拌し、均一溶液とした。これに、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボニルクロリド118.0gをジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)354gに溶解したものを滴下ロートより滴下した。この際、セパラブルフラスコは15〜20℃の水浴で冷却した。滴下に要した時間は40分、反応液温は最大で30℃であった。
滴下終了から3時間後反応液に1,2−シクロヘキシルジカルボン酸無水物30.8g(0.2mol)を添加し、室温で15時間撹拌放置し、ポリマー鎖の全アミン末端基の99%をカルボキシシクロヘキシルアミド基で封止した。この際の反応率は投入した1,2−シクロヘキシルジカルボン酸無水物の残量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で追跡することにより容易に算出することができる。その後上記反応液を2Lの水に高速攪拌下で滴下し重合体を分散析出させ、これを回収し、適宜水洗、脱水の後に真空乾燥を施し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定した重量平均分子量9,000(ポリスチレン換算)の粗ポリベンゾオキサゾール前駆体を得た。
上記で得られた粗ポリベンゾオキサゾール前駆体をγ−ブチロラクトン(GBL)に再溶解した後、これを陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂にて処理し、それにより得られた溶液をイオン交換水中に投入後、析出したポリマーを濾別、水洗、真空乾燥することにより精製されたポリベンゾオキサゾール前駆体(ポリマーE)を得た。
<製造例6>((A)ポリイミドとしてのポリマーFの合成)
テフロン(登録商標)製の碇型攪拌器を取り付けた、ガラス製のセパラブル4つ口フラスコに、ディーンスタークトラップ付き冷却管を取り付けた。窒素ガスを通じながら、上記フラスコをシリコンオイル浴につけて攪拌した。
2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(クラリアントジャパン社製)(以後BAPという)72.28g(280ミリモル)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−シクロヘキセン−1,2ジカルボン酸無水物(東京化成工業株式会社製)(以後MCTCという)を70.29g(266ミリモル)、γ−ブチロラクトン254.6g、トルエン60gを加えて、室温で100rpmで4時間攪拌後、5−ノルボルネン−2,3―ジカルボン酸無水物(東京化成工業株式会社製)4.6g(28ミリモル)を加えて、窒素ガスを通じながらシリコン浴温度50℃で、100rpmで8時間加熱攪拌した。その後、シリコン浴温度180℃に加温し、100rpmで2時間加熱攪拌した。反応中トルエン、水の留出分を除去した。イミド化反応終了後、室温に戻した。
その後上記反応液を3Lの水に高速攪拌下で滴下し重合体を分散析出させ、これを回収し、適宜水洗、脱水の後に真空乾燥を施し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定した重量平均分子量23,000(ポリスチレン換算)の粗ポリイミド(ポリマーF)を得た。
<製造例7>((A)フェノール樹脂としてのポリマーGの合成)
容量0.5リットルのディーン・スターク装置付きセパラブルフラスラスコ中で、3,5−ジヒドロキシ安息香酸メチル128.3g(0.76mol)、4,4’−ビス(メトキシメチル)ビフェニル(以下「BMMB」ともいう。)121.2g(0.5mol)、ジエチル硫酸3.9g(0.025mol)、ジエチレングリコールジメチルエーテル140gを70℃で混合攪拌し、固形物を溶解させた。
混合溶液をオイルバスにより140℃に加温し、反応液よりメタノールの発生を確認した。そのまま140℃で反応液を2時間攪拌した。
次に反応容器を大気中で冷却し、これに別途100gのテトラヒドロフランを加えて攪拌した。上記反応希釈液を4Lの水に高速攪拌下で滴下し樹脂を分散析出させ、これを回収し、適宜水洗、脱水の後に真空乾燥を施し、3,5−ジヒドロキシ安息香酸メチル/BMMBからなる共重合体(ポリマーG)を収率70%で得た。このポリマーGのGPC法の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は21,000であった。
<製造例8>((A)フェノール樹脂としてのポリマーHの合成)
容量1.0Lのディーン・スターク装置付きセパラブルフラスコを窒素置換し、その後、該セパラブルフラスコ中で、レゾルシノール81.3g(0.738mol)、BMMB84.8g(0.35mol)、p−トルエンスルホン酸3.81g(0.02mol)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(以下、PGMEとも言う)116gを50℃で混合攪拌し、固形物を溶解させた。
混合溶液をオイルバスにより120℃に加温し、反応液よりメタノールの発生を確認した。そのまま120℃で反応液を3時間攪拌した。
次に、別の容器で2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール24.9g(0.150mol)、PGME249gを混合撹拌し、均一溶解させた溶液を、滴下漏斗を用いて、該セパラブルフラスコに1時間で滴下し、滴下後更に2時間撹拌した。
反応終了後は製造例7と同様の処理を行い、レゾルシノール/BMMB/2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾールからなる共重合体(ポリマーH)を収率77%で得た。このポリマーHのGPC法の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は9,900であった。
<実施例52>
ポリイミド前駆体であるポリマーA50gとB50g((A)樹脂に該当)を、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)−オキシム(表6には「PDO」と記載する)((B)感光剤に該当)4g、テトラエチレングリコールジメタクリレート8g、N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]フタルアミド酸1.5gと共に、N−メチル−2−ピロリドン(以下ではNMPという)80gと乳酸エチル20gからなる混合溶媒に溶解した。得られた溶液の粘度を、少量の前記混合溶媒を更に加えることによって約35ポイズ(poise)に調整し、ネガ型感光性樹脂組成物とした。
6インチシリコンウェハー(フジミ電子工業株式会社製、厚み625±25μm)上に、上記組成物を塗布した後、露光、現像、キュアにより、上記組成物の硬化膜を形成させた。この上に、スパッタ装置(L−440S−FHL型、キヤノンアネルバ社製)を用いて200nm厚のTi、400nm厚のCuをこの順にスパッタし、このスパッタCu層をシード層として、電解銅メッキにより、厚さ5μmのCu層を形成した。続いて、塩化第二銅、酢酸、酢酸アンモニウムを含むマイクロエッチング液に基板を浸漬し、最大高さが1μmとなる凹凸を表面に形成させた。
この表面処理を行なったCu層上に、上記組成物を用いて、上述の方法により、230℃キュアして硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、5.7%という結果を得た。
<実施例53>
上記実施例52と同様にCu層の形成されたシリコンウェハを作製した後、Cu層のマイクロエッチング後の最大高さが2μmになるように変えた他は、実施例52と同様にマイクロエッチングによる表面処理を行なった。
この表面処理を行なったCu層上に、実施例52と同じ組成物を用いて、上述の方法により230℃キュアして硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、5.1%という結果を得た。
<実施例54>
上記実施例52と同様にCu層の形成されたシリコンウェハを作製した後、無電解スズメッキを行ない、表面Cu層の一部をスズに置換した。続いて、この基板を3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの1wt%水溶液に30分浸漬し、表面にシランカップリング剤の層を形成させた。
この表面処理を行なったCu層上に、実施例52と同じ組成物を用いて、上述の方法により230℃キュアして硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、5.8%という結果を得た。
<実施例55>
実施例52において、6インチシリコンウェハを20cm角ガラス基板に変えた他は、実施例52と同様に表面処理したCu層を形成した。
この表面処理を行なったCu層上に、実施例52と同じ組成物を用いて、上述の方法により230℃キュアして硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、5.6%という結果を得た。
<実施例56>
実施例52において、6インチシリコンウェハを4インチSiCウェハに変えた他は、実施例52と同様に表面処理したCu層を形成した。
この表面処理を行なったCu層上に、実施例52と同じ組成物を用いて、上述の方法により230℃キュアして硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、5.3%という結果を得た。
<実施例57>
実施例52において、6インチシリコンウェハを20cm角FR4基板に変えた他は、実施例52と同様に表面処理したCu層を形成した。
この表面処理を行なったCu層上に、実施例52と同じ組成物を用いて、上述の方法により230℃キュアして硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、5.5%という結果を得た。
<実施例58>
実施例52において、6インチシリコンウェハをダイシングしたチップを埋め込んだ後、CMPにより表面を平坦化した8インチのモールド樹脂基板に変えた他は、実施例52と同様に表面処理したCu層を形成した。
この表面処理を行なったCu層上に、実施例52と同じ組成物を用いて、上述の方法により230℃キュアして硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、5.7%という結果を得た。
<実施例59>
実施例52と同様に表面処理したCu層を作製し、実施例52と同じ組成物を用いて、上述の方法により350℃キュアして表面処理したCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、5.5%という結果を得た。
<実施例60>
上記実施例52において、(A)樹脂として、ポリマーA50gとポリマーB50gを、ポリマーA100gに変え、(B)成分として、PDO4gを、1,2−オクタンジオン、1−{4−(フェニルチオ)−、2−(O−ベンゾイルオキシム)}(イルガキュアOXE01(BASF社製、商品名))2.5gに変えた以外は、実施例52と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
実施例52と同様に表面処理したCu層を作製し、上記組成物を用いて、上述の方法により230℃キュアして表面処理したCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、5.4%という結果を得た。
<実施例61>
上記実施例52において、(A)樹脂として、ポリマーA50gとポリマーB50gを、ポリマーA100gに、(B)成分として、PDO4gを、1,2−オクタンジオン、1−{4−(フェニルチオ)−、2−(O−ベンゾイルオキシム)}(イルガキュアOXE01(BASF社製、商品名))2.5gに変え、更に溶媒をγ−ブチロラクトン85gとジメチスルホキシド15gに変えた以外は、実施例52と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
実施例52と同様に表面処理したCu層を作製し、上記組成物を用いて、上述の方法により230℃キュアして表面処理したCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、5.4%という結果を得た。
<実施例62>
上記実施例52において、(A)樹脂として、ポリマーA50gとポリマーB50gを、ポリマーC100gに変えた以外は、実施例52と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
実施例52と同様に表面処理したCu層を作製し、上記組成物を用いて、上述の方法により350℃キュアして表面処理したCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、4.9%という結果を得た。
<実施例63>
上記実施例52において、(A)樹脂として、ポリマーA50gとポリマーB50gを、ポリマーD100gに変えた以外は、実施例52と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
実施例52と同様に表面処理したCu層を作製し、上記組成物を用いて、上述の方法により250℃キュアして表面処理したCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、5.6%という結果を得た。
<実施例64>
ポリマーEを用いて以下の方法でポジ型感光性樹脂組成物を調製し、調製した感光性樹脂組成物の評価を行なった。ポリオキサゾール前駆体であるポリマーE100g((A)樹脂に該当)を、下記式(146):
で表される、フェノール性水酸基の77%をナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル化した感光性ジアゾキノン化合物(東洋合成社製、(B)感光剤に該当)(B1)15g、3−t−ブトキシカルボニルアミノプロピルトリエトキシシラン6gと共に、γ−ブチロラクトン(溶媒として)100gに溶解した。得られた溶液の粘度を、少量のγ−ブチロラクトンを更に加えることによって約20ポイズ(poise)に調整し、ポジ型感光性樹脂組成物とした。
実施例52と同様に表面処理したCu層を作製し、上記組成物を用いて、上述の方法により350℃キュアして表面処理したCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、5.3%という結果を得た。
<実施例65>
上記実施例62において、(A)樹脂として、ポリマーE100gをポリマーF100gに変えた以外は、実施例62と同様にしてポジ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
実施例52と同様に表面処理したCu層を作製し、上記組成物を用いて、上述の方法により250℃キュアして表面処理したCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、5.2%という結果を得た。
<実施例66>
上記実施例62において、(A)樹脂として、ポリマーE100gをポリマーG100gに変えた以外は、実施例62と同様にしてポジ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
実施例52と同様に表面処理したCu層を作製し、上記組成物を用いて、上述の方法により220℃キュアして表面処理したCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、5.6%という結果を得た。
<実施例67>
上記実施例62において、(A)樹脂として、ポリマーE100gをポリマーH100gに変えた以外は、実施例64と同様にしてポジ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
実施例52と同様に表面処理したCu層を作製し、上記組成物を用いて、上述の方法により220℃キュアして表面処理したCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、5.5%という結果を得た。
<比較例11>
表面処理を行なわなかった以外は実施例52と同様にCu層を作製し、実施例52と同じ組成物を用いて、上述の方法により230℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価した。評価結果は、Cuの表面処理を行なわなかったため、14.3%であった。
<比較例12>
表面処理を行なわなかった以外は実施例52と同様にCu層を作製し、実施例60と同じ組成物を用いて、上述の方法により350℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価した。評価結果は、Cuの表面処理を行なわなかったため、14.9%であった。
<比較例13>
表面処理を行なわなかった以外は実施例52と同様にCu層を作製し、実施例62と同じ組成物を用いて、上述の方法により350℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価した。評価結果は、Cuの表面処理を行なわなかったため、14.6%であった。
<<第五の実施形態>>
第五の実施形態として実施例68〜73、比較例14〜18を以下に説明する。
実施例及び比較例においては、感光性樹脂組成物の物性を以下の方法に従って測定及び評価した。
(1)重量平均分子量
各ポリイミド前駆体の重量平均分子量(Mw)は先述した第一の実施形態と同様にして求めた。
(2)Cu上の硬化膜の作成
6インチシリコンウェハー(フジミ電子工業株式会社製、厚み625±25μm)上に、スパッタ装置(L−440S−FHL型、キヤノンアネルバ社製)を用いて200nm厚のTi、400nm厚のCuをこの順にスパッタした。続いて、このウェハー上に、後述の方法により調製した感光性樹脂組成物をコーターデベロッパー(D−Spin60A型、SOKUDO社製)を用いて回転塗布し、乾燥することにより約15μm厚の塗膜を形成した。この塗膜全面に、平行光マスクアライナー(PLA−501FA型、キヤノン社製)により900mJ/cm2のエネルギーを照射した。次いで、この塗膜を、現像液としてネガ型の場合はシクロペンタノンを、ポジ型の場合は2.38%TMAHを用いてコーターデベロッパー(D−Spin60A型、SOKUDO社製)でスプレー現像し、ネガ型の場合はプロピレングリコールメチルエーテルアセテートで、ポジ型の場合は純水でリンスすることにより、Cu上の現像膜を得た。
Cu上に現像膜を形成したウェハーを、マイクロ波連続加熱炉(ミクロ電子社製)を用いて、窒素雰囲気下、500W、7GHzのマイクロ波を照射しながら、各実施例に記載の温度において2時間加熱処理することにより、Cu上に約10〜15μm厚の硬化膜を得た。
(3)Cu上の硬化膜の剥離強度の測定
Cu上に形成した硬化膜に、粘着テープ(厚さ500μm)を貼った後、カッターで5mm幅の切り込みを入れ、切り込み部分を、JIS K 6854−2に基づいて180°引き剥がし強度を測定した。このときの引っ張り試験の条件は下記の通りである。
ロードセル:50N
引っ張り速度:50mm/min
移動量:60mm
<製造例1d>((A)ポリアミド酸エステルとしてのポリマーAの合成)
4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gを2l容量のセパラブルフラスコに入れ、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)131.2gとγ―ブチロラクトン400mlを入れて室温下で攪拌し、攪拌しながらピリジン81.5gを加えて反応混合物を得た。反応による発熱の終了後に室温まで放冷し、16時間放置した。
次に、氷冷下において、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)206.3gをγ−ブチロラクトン180mlに溶解した溶液を攪拌しながら40分かけて反応混合物に加え、続いて4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)93.0gをγ−ブチロラクトン350mlに懸濁したものを攪拌しながら60分かけて加えた。更に室温で2時間攪拌した後、エチルアルコール30mlを加えて1時間攪拌し、次に、γ−ブチロラクトン400mlを加えた。反応混合物に生じた沈殿物をろ過により取り除き、反応液を得た。
得られた反応液を3lのエチルアルコールに加えて粗ポリマーから成る沈殿物を生成した。生成した粗ポリマーを濾別し、テトラヒドロフラン1.5lに溶解して粗ポリマー溶液を得た。得られた粗ポリマー溶液を28lの水に滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾別した後、真空乾燥して粉末状のポリマー(ポリマーA)を得た。ポリマーAの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は20,000であった。
なお各製造例で得られた樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用い、以下の条件で測定し、標準ポリスチレン換算での重量平均分子量を求めた。
ポンプ:JASCO PU−980
検出器:JASCO RI−930
カラムオーブン:JASCO CO−965 40℃
カラム:Shodex KD−806M 直列に2本
移動相:0.1mol/l LiBr/NMP
流速:1ml/min.
<製造例2d>((A)ポリアミド酸エステルとしてのポリマーBの合成)
製造例1の4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gに代えて、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマーBを得た。ポリマーBの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は22,000であった。
<製造例3d>((A)ポリアミド酸エステルとしてのポリマーCの合成)
製造例1の4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)93.0gに代えて、2,2‘−ビストリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(TFMB)147.8gを用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマーCを得た。ポリマーCの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は21,000であった。
<製造例4d>((A)フェノール樹脂としてのポリマーDの合成)
容量0.5リットルのディーン・スターク装置付きセパラブルフラスラスコ中で、3,5−ジヒドロキシ安息香酸メチル128.3g(0.76mol)、4,4’−ビス(メトキシメチル)ビフェニル(以下「BMMB」ともいう。)121.2g(0.5mol)、ジエチル硫酸3.9g(0.025mol)、ジエチレングリコールジメチルエーテル140gを70℃で混合攪拌し、固形物を溶解させた。
混合溶液をオイルバスにより140℃に加温し、反応液よりメタノールの発生を確認した。そのまま140℃で反応液を2時間攪拌した。
次に反応容器を大気中で冷却し、これに別途100gのテトラヒドロフランを加えて攪拌した。上記反応希釈液を4Lの水に高速攪拌下で滴下し樹脂を分散析出させ、これを回収し、適宜水洗、脱水の後に真空乾燥を施し、3,5−ジヒドロキシ安息香酸メチル/BMMBからなる共重合体(ポリマーD)を収率70%で得た。このポリマーDのGPC法の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は21,000であった。
<製造例5d>((A)フェノール樹脂としてのポリマーEの合成)
容量1.0Lのディーン・スターク装置付きセパラブルフラスコを窒素置換し、その後、該セパラブルフラスコ中で、レゾルシノール81.3g(0.738mol)、BMMB84.8g(0.35mol)、p−トルエンスルホン酸3.81g(0.02mol)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(以下、PGMEとも言う)116gを50℃で混合攪拌し、固形物を溶解させた。
混合溶液をオイルバスにより120℃に加温し、反応液よりメタノールの発生を確認した。そのまま120℃で反応液を3時間攪拌した。
次に、別の容器で2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール24.9g(0.150mol)、PGME249gを混合撹拌し、均一溶解させた溶液を、滴下漏斗を用いて、該セパラブルフラスコに1時間で滴下し、滴下後更に2時間撹拌した。
反応終了後は製造例4と同様の処理を行い、レゾルシノール/BMMB/2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾールからなる共重合体(ポリマーE)を収率77%で得た。このポリマーEのGPC法の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は9,900であった。
<比較製造例1d>(ポリアミド酸としてのポリマーFの合成)
2Lセパラブルフラスコにジアミノジフェニルエーテル(DADPE)93.0gを入れ、N−メチル−2−ピロリドン400mlを加えて撹拌溶解させた。ここに4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gを固体のまま加え、溶液を撹拌することで反応溶解させた後、80℃で2時間撹拌を続けて、ポリマーFの溶液を得た。このポリマーFのGPC法の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量20,000であった。
<比較製造例2d>(ポリアミド酸としてのポリマーGの合成)
比較製造例1の4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gに代えて、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを用いた以外は、前述の比較製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマーGの溶液を得た。ポリマーGの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は22,000であった。
<比較製造例3d>(ポリアミド酸としてのポリマーHの合成)
製造例1の4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)93.0gに代えて、2,2‘−ビストリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(TFMB)147.8gを用いた以外は、前述の比較製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマーHを得た。ポリマーHの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は21,000であった。
<実施例68>
ポリマーA、Bを用いて以下の方法でネガ型感光性樹脂組成物を調製し、調製した感光性樹脂組成物の評価を行なった。ポリアミド酸エステルであるポリマーA50gとB50g((A)樹脂に該当)を、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)−オキシム(表7には「PDO」と記載する)((B)感光剤に該当)4g、テトラエチレングリコールジメタクリレート8g、N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]フタルアミド酸1.5gと共に、N−メチル−2−ピロリドン(以下ではNMPという)80gと乳酸エチル20gからなる混合溶媒に溶解した。得られた溶液の粘度を、少量の前記混合溶媒を更に加えることによって約35ポイズ(poise)に調整し、ネガ型感光性樹脂組成物とした。
この組成物について、上述の方法により、Cu上に塗布、露光、現像後、マイクロ波を照射しながら230℃キュアしてCu層上に硬化膜を作製し、剥離強度を測定した所、0.69N/mmだった。
<実施例69>
上記実施例68において、(A)樹脂として、ポリマーA50gとポリマーB50gを、ポリマーA100gに変えた以外は、実施例68と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により、Cu上に塗布、露光、現像後、マイクロ波を照射しながら230℃キュアしてCu層上に硬化膜を作製し、剥離強度を測定した所、0.68N/mmだった。
<実施例70>
上記実施例68において、(A)樹脂として、ポリマーA50gとポリマーB50gを、ポリマーA100gに、(C)成分として、PDO4gを、1,2−オクタンジオン、1−{4−(フェニルチオ)−、2−(O−ベンゾイルオキシム)}(イルガキュアOXE01(BASF社製、商品名))2.5gに変え、更に溶媒をγ−ブチロラクトン85gとジメチスルホキシド15gに変えた以外は、実施例68と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により、Cu上に塗布、露光、現像後、マイクロ波を照射しながら230℃キュアしてCu層上に硬化膜を作製し、剥離強度を測定した所、0.68N/mmだった。
<実施例71>
上記実施例68において、(A)樹脂として、ポリマーA50gとポリマーB50gを、ポリマーC100gに変えた以外は、実施例68と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により、Cu上に塗布、露光、現像後、マイクロ波を照射しながら230℃キュアしてCu層上に硬化膜を作製し、剥離強度を測定した所、0.65N/mmだった。
<実施例72>
ポリマーDを用いて以下の方法でポジ型感光性樹脂組成物を調製し、調製した感光性樹脂組成物の評価を行なった。フェノール樹脂であるポリマーD100g((A)樹脂に該当)を、下記式(146):
で表される、フェノール性水酸基の77%をナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル化した感光性ジアゾキノン化合物(東洋合成社製、(B)感光剤に該当)(B1)15g、3−t−ブトキシカルボニルアミノプロピルトリエトキシシラン6gと共に、γ−ブチロラクトン(溶媒として)100gに溶解した。得られた溶液の粘度を、少量のγ−ブチロラクトンを更に加えることによって約20ポイズ(poise)に調整し、ポジ型感光性樹脂組成物とした。
この組成物について、上述の方法により、Cu上に塗布、露光、現像後、マイクロ波を照射しながら220℃キュアしてCu層上に硬化膜を作製し、剥離強度を測定した所、0.70N/mmだった。
<実施例73>
上記実施例72において、(A)樹脂として、ポリマーD100gをポリマーE100gに変えた以外は、実施例72と同様にしてポジ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により、Cu上に塗布、露光、現像後、マイクロ波を照射しながら220℃キュアしてCu層上に硬化膜を作製し、剥離強度を測定した所、0.70N/mmだった。
<比較例14>
実施例68と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物を調製し、キュア時にマイクロ波を照射しなかった他は、実施例68と同様の評価を行なった。このとき、剥離強度は0.43N/mmだった。
<比較例15>
実施例68のポリマーA50gとポリマーB50gを、ポリマーF50gとポリマーG50gに変えた他は、実施例68と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物を調製し、実施例68と同様の評価を行なった。このとき、剥離強度は0.47N/mmだった。
<比較例16>
実施例71と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物を調製し、キュア時にマイクロ波を照射しなかった他は、実施例71と同様の評価を行なった。このとき、剥離強度は0.42N/mmだった。
<比較例17>
実施例71のポリマーC100gを、ポリマーH100gに変えた他は、実施例71と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物を調製し、実施例68と同様の評価を行なった。このとき、剥離強度は0.41N/mmだった。
<比較例18>
実施例73と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物を調製し、キュア時にマイクロ波を照射しなかった他は、実施例73と同様の評価を行なった。このとき、剥離強度は0.46N/mmだった。
実施例68〜73、比較例14〜18の結果を表7にまとめて示す。