JP2008083468A - 感光性ポリアミド酸エステル組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
ポリイミド樹脂を用いて半導体装置を製造する場合には、通常、ポリイミド樹脂膜を基材上に形成し、リソグラフィー技術を利用して所望のパターンを形成する。具体的には、ポリイミド樹脂膜の上に、フォトレジストとフォトマスクを用いてフォトレジストのパターンを形成し、その後にエッチングによるポリイミド樹脂のパターン化を行うという間接的なパターン形成方法が用いられる。しかしながら、この方法においては、初めに、マスクとなるフォトレジストのパターンをポリイミド樹脂膜の上に形成し、次にポリイミド樹脂のエッチングを行い、最後に不要になったフォトレジストパターンの剥離を行わなければならないため、工程が複雑であり、更に間接的なパターン形成であるが故に解像度が低い。又、エッチングにヒドラジンのような有毒物質を溶剤として用いる必要があるため、安全性の問題もある。
また、硬化後のポリイミド樹脂が耐薬品性を有し、かつ、金属配線との接着性に優れた感光性ポリイミドが望まれていたが、これに対し、メチルメラミン系の架橋剤、メチル尿素系の架橋剤などを用いて、i線によりパターン形成が可能なポリイミド前駆体に耐熱性および耐薬品性を付与することが提案されている。
また、感光性ポリイミドの、特定の構造を有する芳香族ジアミンの特定の位置にアルキル基を導入することで、汎用有機溶剤に対する溶解性を向上させ、光に対して高感度にする技術も特許文献2で提案されている。
本発明の第三は、上記第一に記載の感光性ポリアミド酸エステル組成物を基材に塗布して乾燥することにより該基材上に塗膜を形成する工程、パターンを有するフォトマスクを介して、又は直接に該塗膜に紫外線を照射する工程、現像液で現像することにより該塗膜の露光されなかった部分を除去して該基材上にレリーフパターンを形成する工程、該レリーフパターンを加熱することによりポリイミド樹脂からなる硬化レリーフパターンからなる層を該基材上に形成する工程、アルゴン、酸素、及び四フッ化炭素から選択される少なくとも1種のガスで該層の表面をドライエッチング処理する工程、ならびに該層に接してチタン及びアルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種の金属層を形成する工程、からなることを特徴とする積層体の製造方法である。
<感光性ポリアミド酸エステル組成物>
(A)ポリアミド酸エステル
本発明の組成物の成分であるポリアミド酸エステルは、下記一般式(1)で表される繰り返し単位からなるポリアミド酸エステルであり、例えば、ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジエステルとピロメリット酸ジエステルの混合物と3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンとの縮合反応に付すことによって製造することができる。これらの酸無水物やジアミンは、1種あるいは2種以上を混合して用いることができる。
上記ポリアミド酸エステルにおいて、その繰り返し単位中のX’基は、原料として用いるテトラカルボン酸二無水物に由来する。該テトラカルボン酸二無水物の例としては、ピロメリット酸二無水物が挙げられる。
ポリアミド酸エステルの製造においては、通常、テトラカルボン酸二無水物のエステル化反応を行って得られたテトラカルボン酸ジエステルをそのままジアミンとの縮合反応に付す方法が好ましく使用できる。
また、特開平6−80776号公報に記載のように、上記のオレフィン性二重結合を有するアルコールに、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール及びアリルアルコールなどを一部混合して用いることもできる。
本発明の組成物においては、上述した特定のテトラカルボン酸二無水物と特定のジアミンとを組合せたポリアミド酸エステルにより、i線透過性、及び300℃以下での高イミド化、その他の性能とのバランスをとることができる。
ポリアミド酸エステルの製造に使用するテトラカルボン酸ジエステルとジアミンのモル比は、1.0付近であることが好ましいが、目的とするポリアミド酸エステルの分子量に応じて0.7〜1.3の範囲で用いることができる。
有機脱水剤の例としては、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジエチルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、エチルシクロヘキシルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、1−シクロヘキシル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、カルボジイミドなどが挙げられる。
本発明の感光性ポリアミド酸エステル組成物の成分である光開始剤としては、例えば、ジフェニルプロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシムベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、及びフルオレノン等のベンゾフェノン誘導体、2,2’−ジエトキシアセトフェノン、及び2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン等のアセトフェノン誘導体、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、及びジエチルチオキサントン等のチオキサントン誘導体、ベンジル、ベンジルジメチルケタール及び、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール等のベンジル誘導体、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾイン誘導体、2,6−ジ(4’−ジアジドベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、及び2,6’−ジ(4’−ジアジドベンザル)シクロヘキサノン等のアジド類、ジフェニルプロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−ブタンジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニルプロパンジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニルプロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニルプロパンジオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、1,3−ジフェニルプロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、及び1−フェニル−3−エトキシプロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム等のオキシム類、N−フェニルグリシンなどのN−アリールグリシン類、ベンゾイルパーオキシドなどの過酸化物類、並びに芳香族ビイミダゾール類、チタノセン類などが用いられるが、厚膜での硬化性及び光感度の点で上記オキシム類が好ましい。
これらの光開始剤の添加量は、(A)ポリアミド酸エステル100質量部に対して、1〜15質量部が好ましい。開始剤をポリアミド酸エステル100質量部に対して、1質量部以上添加することで光感度にすぐれ、15質量部以下添加することで厚膜i線硬化性にすぐれる。
本発明の感光性ポリアミド酸エステル組成物の成分である溶媒としては、成分(A)及び(B)に対する溶解性の点から、極性の有機溶剤を用いることが好ましい。具体的には、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリノン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドンなどが挙げられ、これらは単独または二種以上の組合せで用いることができる。
これらの溶媒は、塗布膜厚、粘度に応じて、(A)ポリアミド酸エステル100質量部に対して、30〜600質量部の範囲で用いることができる。
さらに本発明の感光性ポリアミド酸エステル組成物の保存安定性を向上させるため、溶媒として使用する有機溶剤中にアルコール類を含有させることが好ましい。
全溶媒中に占めるアルコール類の含量は5〜50重量%であることが好ましく、更に好ましくは10〜30重量%である。アルコール類の含量が5重量%以上の場合、感光性ポリアミド酸エステル組成物の保存安定性が良好になる。また50重量%以下の場合、(A)成分であるポリアミド酸エステルの溶解性が良好になる。
本発明の感光性ポリアミド酸エステル組成物には、更に光感度を向上させるために増感剤を添加することもできる。光感度を向上させるための増感剤としては、例えば、ミヒラーズケトン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,5−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタン、2,6−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p−ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p−ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2−(p−ジメチルアミノフェニルビフェニレン)−ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)イソナフトチアゾール、1,3−ビス(4’−ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3’−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−アセチル−7−ジメチルアミノクマリン、3−エトキシカルボニル−7−ジメチルアミノクマリン、3−ベンジロキシカルボニル−7−ジメチルアミノクマリン、3−メトキシカルボニル−7−ジエチルアミノクマリン、3−エトキシカルボニル−7−ジエチルアミノクマリン、
光感度を向上させるための増感剤は、(A)ポリアミド酸エステル100質量部に対して、0.1〜10質量部を用いるのが好ましい。
これらの内では接着力の点からシランカップリング剤を用いることがより好ましい。接着助剤の添加量は、(A)ポリアミド酸エステル100質量部に対して、0.5〜10質量部の範囲が好ましい。
感光性ポリアミド酸エステル組成物に添加する熱重合禁止剤の量としては、(A)ポリアミド酸エステル100質量部に対して、0.005〜5質量部の範囲が好ましい。
本発明の感光性ポリアミド酸エステル組成物においては、耐熱性及び耐薬品性を向上する成分として有機チタン化合物を使用することができる。使用可能な有機チタン化合物としては、チタン原子に有機化学物質が共有結合あるいはイオン結合を介して結合しているものであれば特に制限はない。
また本発明に用いることのできるその他の有機チタン化合物としては、チタンキレート類が挙げられる。本発明ではチタンキレート類の内、2個以上のアルコキシ基を有する化合物が、組成物の安定性及び良好なパターンがえられることからより好ましく、具体的な例としては、チタニウムビス(トリエタノールアミン)ジイソプロポキサイド、チタニウムジ(n−ブトキサイド)(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキサイドビス(エチルアセトアセテート)等が挙げられる。
これらの有機チタン化合物の添加量は、(A)ポリアミド酸エステル100質量部に対して、0.3〜10質量部であることが好ましく、0.5〜2質量部であることがより好ましい。添加量が0.3質量部以上で所望の耐熱性及び耐薬品性が発現し、また10質量部以下であれば保存安定性に優れる。
1,6−ヘキサンジオールのジアクリレートおよびジメタクリレート、ネオペンチルグリコールのジアクリレートおよびジメタクリレート、ビスフェノールAのモノまたはジアクリレートおよびメタクリレート、ベンゼントリメタクリレート、イソボルニルアクリレートおよびメタクリレート、アクリルアミドおよびその誘導体、メタクリルアミドおよびその誘導体、トリメチロールプロパントリアクリレートおよびメタクリレート、グリセロールのジまたはトリアクリレートおよびメタクリレート、ペンタエリスリトールのジ、トリ、またはテトラアクリレートおよびメタクリレート、およびこれら化合物のエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド付加物などの化合物を挙げることができる。
本発明の他の態様においては、下記の工程を包含するポリイミドパターンを基材上に形成する方法が提供される。
(a)感光性ポリアミド酸エステル組成物を基材に塗布、乾燥することにより該基材上に塗膜を形成する工程。
(b)該塗膜を、パターンを有するフォトマスクまたはレチクルを介してまたは直接に紫外線を照射する工程。
(c)現像液で現像することにより該塗膜の露光されなかった部分を除去して、これにより該基板上にレリーフパターンを形成する工程。
(d)該レリーフパターンを加熱硬化することにより、該レリーフパターン中のポリアミド酸エステルをイミド化し、これにより該基板上にポリイミド樹脂からなる硬化レリーフパターンを形成する工程。
本発明において、感光性ポリアミド酸エステル組成物を基材上に塗布する方法としては、従来から感光性ポリアミド酸エステル組成物の塗布に用いられていた方法、例えば、スピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷機等で塗布する方法、スプレーコーターで噴霧塗布する方法等を用いることができる。
塗膜の乾燥方法としては、風乾、オーブンまたはホットプレートによる加熱乾燥、真空乾燥等の方法が用いられる。また、塗膜の乾燥は、感光性ポリアミド酸エステル組成物中のポリアミド酸エステルのイミド化が起らないような条件で行うことが望ましい。具体的には、風乾、あるいは加熱乾燥を行う場合、20℃〜140℃で1分〜1時間の条件で行うことができる。
現像に使用される現像液としては、ポリアミド酸エステル組成物に対する良溶媒、または良溶媒と貧溶媒との組み合わせが好ましい。良溶媒としては、N−メチルピロリドン(以下「NMP」ともいう)、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン等が好ましく、貧溶媒としてはトルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、乳酸エチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート及び水等が用いられる。良溶媒と貧溶媒とを混合して用いる場合には、ポリマーの溶解性によって良溶媒に対する貧溶媒の割合を調整する。また、各溶媒を数種類組み合わせて用いることもできる。
上記のようにして得られたポリアミド酸エステルのパターンは、加熱して感光成分を希散させるとともに、ポリイミド化させることによって、ポリイミドのパターンに変換する。加熱硬化させる方法としては、ホットプレートによるもの、オーブンを用いるもの、温度プログラムを設定できる昇温式オーブンを用いるもの等、種々の方法を選ぶことができる。加熱は230℃〜280℃で30分〜5時間の条件で行うことができる。加熱硬化させる際の雰囲気気体としては空気を用いても良く、窒素、アルゴン等の不活性ガスを用いることもできる。
上述の感光性ポリアミド酸エステル組成物を用いて、ポリイミド樹脂からなる硬化レリーフパターン層と金属層とを有して成る積層体を製造する方法の1つの態様としては、以下の工程が好ましい。
上述の硬化レリーフパターンの形成方法により基材上に硬化レリーフパターンを形成する工程に続き、該層の表面をアッシング、またはプラズマエッチング等のドライエッチング処理する。
ドライエッチング処理としては、酸素、アルゴン、四フッ化炭素等のガスを使用して、圧力1〜100Pa、時間1〜30分の条件で行うことが好ましい。
上述のようにして、基材の上に得られたポリイミド樹脂からなる硬化レリーフパターンの上に接して、さらにバンプ用または再配線用のメタル層(チタン、アルミニウム、または銅等の金属層)をスパッタリング等の薄膜作成方法によって設けることで本発明の積層体を製造することができる。そして、該積層体の製造方法を公知の半導体装置の製造方法と組み合わせることで、ポリイミド樹脂層の上にチタン及びアルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種の金属層を有する半導体装置を製造することができる。
(1)重量平均分子量
各ポリアミド酸エステルの重量平均分子量(Mw)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(標準ポリスチレン換算)で測定した。
GPCの分析条件を以下に記す。
カラム:昭和電工社製 商標名 Shodex 805/804/803直列
容離液:テトラヒドロフラン 40℃
流速 :1.0ml/分
検出器:昭和電工社製 商標名 Shodex RI SE−61
(2)硬化レリーフパターンのイミド化率の評価
感光性ポリアミド酸エステル組成物を5インチシリコンウエハー上に回転塗布し、乾燥して10μm厚の塗膜を形成した。この塗膜にテストパターン付レチクルを用いてi線ステッパーNSR2005i8A(日本国、ニコン社製)により、300mJ/cm2のエネルギーを照射した。次いで、ウエハー上に形成した塗膜を、現像液としてシクロペンタノンを用いて現像機(D−SPIN636型、日本国、大日本スクリーン製造社製)でスプレー現像し、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートでリンスしてレリーフパターンを得た。
該レリーフパターンを形成したウエハーを昇温プログラム式キュア炉(VF−2000型、日本国、光洋リンドバーグ社製)を用いて、窒素雰囲気下、200℃で1時間、続いて250℃で2時間熱処理することにより、5μm厚のポリイミド樹脂からなる硬化レリーフパターンをシリコンウエハー上に得た。
得られた硬化レリーフパターンについて、顕微IR装置(AVATAR360、顕微システムCENTAURμS、Termo Nicolet社製)でIRを測定した。1380cm-1での吸光度をイミドの吸光度、1500cm-1での吸光度をベンゼンの吸光度と定義した。イミドの吸光度÷ベンゼンの吸光度をイミド化指数とし、350℃で2時間熱処理したときのイミド化指数を100%のイミド化率として、250℃で2時間熱処理したときのイミド化指数から、イミド化率を評価した。
基板となる厚み625μm±25μmの5インチシリコンウエハー(日本国、フジミ電子工業株式会社製)上に、硬化後の膜厚が約10μmとなるように感光性ポリアミド酸エステル組成物を回転塗布した後、窒素雰囲気下、350℃で2時間加熱して熱硬化したポリイミド塗膜を得た。
このポリイミド塗膜に低圧プラズマ処理をアッシング装置(神港精機社製、EXAM)を用いて酸素:四フッ化炭素の流量が40ml/分:1ml/分、50Pa、133Wの条件でプラズマアッシングを行った。このポリイミド塗膜に対し、スパッタ装置(アネルバ社製、L−430S−FH)を用いてアルゴンの流量が50sccm、1Pa、400Wの条件でアルゴンプラズマエッチングを行った。さらに、このポリイミド塗膜上にスパッタ装置(アネルバ社製、L−430S−FH)を用いて200nmの厚さでAl、またはTiの膜を形成した。このAlまたはTi膜上にエポキシ接着剤(昭和高分子社製、アラルダイトスタンダード)を用いて直径2mmのピンを接着し、これを引張り試験機(クワッドグループ社製、セバスチャン5型)を用いて引き剥がし試験を行った。引き剥がしに要する力が60Mpa以上であれば合格とした。
ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)90.2gとピロメリット酸二無水物(PMDA)26.2gを2リットル容量のセパラブルフラスコに入れ、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)104.1gとγ−ブチロラクトン400mlを入れて室温下で攪拌し、攪拌しながらピリジン81.5gを加えて反応混合物を得た。反応による発熱の終了後に室温まで放冷し、16時間放置した。
次に、氷冷下において、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)165.1gをγ−ブチロラクトン180mlに溶解した溶液を攪拌しながら40分かけて反応混合物に加え、続いて3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン84.1gをγ−ブチロラクトン350mlに懸濁したものを攪拌しながら60分かけて加えた。更に室温で2時間攪拌した後、エチルアルコール30mlを加えて1時間攪拌し、次に、γ−ブチロラクトン400mlを加えた。反応混合物に生じた沈殿物をろ過により取り除き、反応液を得た。
得られた反応液を3リットルのエチルアルコールに加えて粗ポリマーからなる沈殿物を生成した。生成した粗ポリマーを濾別し、テトラヒドロフラン1.5リットルに溶解して粗ポリマー溶液を得た。得られた粗ポリマー溶液を28リットルの水に滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾別した後、真空乾燥して粉末状のポリマー(ポリアミド酸エステルA)を得た。ポリアミド酸エステルAの重量平均分子量(Mw)は23000だった。
テトラカルボン酸として、3,3’4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)117.7gと、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン84.1gを用い、前述の特許文献1の実施例1に記載の方法にて反応させてポリアミド酸エステルBを得た。ポリアミド酸エステルBの重量平均分子量(Mw)は25000だった。
得られたポリアミド酸エステルAを用いて以下の方法で感光性ポリアミド酸エステル組成物を調整し、組成物の評価を行った。
ポリアミド酸エステルA100gを、ジフェニルプロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム(光開始剤)4g、テトラエチレングリコールジメタクリレート4g、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール2g、N−フェニルジエタノールアミン4g、N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]フタルアミド酸3g、及び2−ニトロソ−1−ナフトール0.02gと共に、NMP80gと乳酸エチル20gからなる混合溶媒に溶解した。得られた溶液の粘度を、少量の該混合溶媒をさらに加えることによって約75ポイズに調整し、感光性ポリアミド酸エステル組成物とした。
該組成物から得たポリイミド塗膜の硬化レリーフパターンの窒素雰囲気下、250℃、2時間の熱処理時のイミド化率は100%であった。
該組成物から得たポリイミド塗膜のメタル接着性を上記の方法によって測定したところ、Al、Ti共に60MPa以上であった。
ポリアミド酸エステルBをポリアミド酸エステルAの代わりに使用した以外は実施例1と同様に感光性ポリアミド酸エステル組成物を調整し、評価を行った。
該組成物から得たポリイミド塗膜の硬化レリーフパターンの250℃熱処理時のイミド化率は73%であった。
該組成物から得たポリイミド塗膜のメタル接着性を上記の方法によって測定したところ、Al、Ti共に60MPa以上であった。
ポリアミド酸エステルBをポリアミド酸エステルAの代わりに使用し、組成物の調整時に熱塩基発生剤として8−(p−トルエンスルホニル)−1−アザ−8−アゾニアビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンを10g添加した以外は実施例1と同様に感光性ポリアミド酸エステル組成物を調整し、評価を行った。
該組成物から得たポリイミド塗膜の硬化レリーフパターンの250℃熱処理時のイミド化率は100%であった。
該組成物から得たポリイミド塗膜のメタル接着性を上記の方法によって測定を試みたが、金属膜の腐食が起こり、測定不可能であった。
Claims (3)
- (A)下記一般式(1)で表される繰り返し単位からなるポリアミド酸エステル100質量部に対して、(B)光開始剤1〜15質量部と、(C)溶媒30〜600質量部からなることを特徴とする感光性ポリアミド酸エステル組成物。
- 請求項1に記載の感光性ポリアミド酸エステル組成物を基材上に塗布して塗膜を形成し、該塗膜を230〜280℃で加熱硬化することにより、ポリイミドのパターンを得る工程を含むことを特徴とする硬化レリーフパターンの形成方法。
- 請求項1に記載の感光性ポリアミド酸エステル組成物を基材に塗布して乾燥することにより該基材上に塗膜を形成する工程、パターンを有するフォトマスクを介して、又は直接に該塗膜に紫外線を照射する工程、現像液で現像することにより該塗膜の露光されなかった部分を除去して該基材上にレリーフパターンを形成する工程、該レリーフパターンを加熱することによりポリイミド樹脂からなる硬化レリーフパターンからなる層を該基材上に形成する工程、アルゴン、酸素、及び四フッ化炭素から選択される少なくとも1種のガスで該層の表面をドライエッチング処理する工程、ならびに該層に接してチタン及びアルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種の金属層を形成する工程、からなることを特徴とする積層体の製造方法。
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