JP2019066754A - ネガ型感光性樹脂組成物、硬化レリーフパターンの製造方法、及び半導体装置 - Google Patents
ネガ型感光性樹脂組成物、硬化レリーフパターンの製造方法、及び半導体装置 Download PDFInfo
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Abstract
Description
耐薬品性を向上させるためには、イミド化率を上げる必要がある。従来は、イミド化促進剤(例えば塩基性を示す化合物)を多く添加していた。しかし、イミド化促進剤が多いと、保存している状態においてもイミド化が進行してしまい、保存安定性が悪くなってしまうという問題があった。
[1]
(A)ポリイミド前駆体と、
(B)光重合開始剤と、
(C)酸、塩基、またはラジカルの作用により重合可能な基を含む化合物と、
を含む、ネガ型感光性樹脂組成物であって、
前記(A)ポリイミド前駆体は、下記一般式(1):
−R3 (2)
(式(2)中、R3は、アルキレンオキシド基を有する1価の有機基である。)で表される基である}で表される前駆体を含み、そして、
前記(A)ポリイミド前駆体中に含まれる前記一般式(1)で表される前駆体のR1、及びR2の全てに対する、上記一般式(2)で表される1価の有機基の割合が80%を超える、ことを特徴とするネガ型感光性樹脂組成物。
[2]
前記(C)酸、塩基、またはラジカルの作用により重合可能な基を含む化合物は、アルキレンオキシド基を有する、[1]に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[3]
前記(C)酸、塩基、またはラジカルの作用により重合可能な基を含む化合物が、
下記一般式(3):
[4]
(C)酸、塩基、またはラジカルの作用により重合可能な基を含む化合物が、下記一般式(4):
[5]
前記m1が6〜25である、[3]又は[4]に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[6]
前記感光性樹脂組成物中において、前記一般式(3)又は前記一般式(4)で表される化合物全てのm1の平均値の値が6〜25である、[3]〜[5]に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[7]
前記(C)酸、塩基、またはラジカルの作用により重合可能な基を含む化合物は、少なくとも一方の末端に二重結合を有する、[2]〜[6]のいずれかに記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[8]
前記(A)ポリイミド前駆体は、下記一般式(5):
で表される前駆体を含む、[1]〜[7]のいずれかに記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[9]
前記(A)ポリイミド前駆体は、下記一般式(6):
で表される前駆体を含む、[8]に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[10]
前記(A)ポリイミド前駆体は、
下記一般式(7):
で表される前駆体を含む、[8]又は[9]に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[11]
前記(A)ポリイミド前駆体は、
前記一般式(1)で表され、且つ、前記R1及びR2の少なくともいずれかが前記一般式(2)で表される基を含み、且つ、
前記一般式(2)で表される基を含む前記R1及びR2の末端に二重結合を有する前駆体を含む、[1]〜[10]のいずれかに記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[12]
前記ネガ型感光性樹脂組成物中に含まれる全固形分を100質量部としたときに、前記ネガ型感光性樹脂組成物中に含まれる塩基性を示す化合物の量が10質量部以下である、[1]〜[11]のいずれかに記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[13]
前記ネガ型感光性樹脂組成物中に含まれる前記塩基性を示す化合物の量が5質量部以下である、[12]に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[14]
ポリイミド前駆体、光重合開始剤、及び溶剤を含むネガ型感光性樹脂組成物であって、
該樹脂組成物を温度23℃、湿度50%Rhで4週間保存した際の樹脂組成物の粘度変化率が初期と比較して5%以内であり、かつ、
該樹脂組成物を180℃で2時間加熱して硬化塗膜を得た際に、該硬化塗膜のイミド化率が70%以上である、ネガ型感光性樹脂組成物。
[15]
前記樹脂組成物を180℃で2時間加熱して硬化塗膜を得た際に、該硬化塗膜のイミド化率が85%以上である、[14]に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[16]
前記ネガ型感光性樹脂組成物中に含まれる全固形分を100質量部としたときに、塩基性を示す化合物の量が10質量部以下である、[14]又は[15]に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[17]
前記塩基性を示す化合物の量が5質量部以下である、[16]に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[18]
以下の工程:
(1)[1]〜[17]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を基板上に塗布して、感光性樹脂層を該基板上に形成する工程と、
(2)該感光性樹脂層を露光する工程と、
(3)該露光後の感光性樹脂層を現像して、レリーフパターンを形成する工程と、
(4)該レリーフパターンを加熱処理して、硬化レリーフパターンを形成する工程と
を含む硬化レリーフパターンの製造方法。
[19]
[18]に記載の方法により製造された硬化レリーフパターン。
[20]
半導体素子と、該半導体素子の上部に設けられた硬化膜とを備える半導体装置であって、該硬化膜は、[19]に記載の硬化レリーフパターンである、半導体装置。
[21]
表示体素子と、該表示体素子の上部に設けられた硬化膜とを備える表示体装置であって、該硬化膜は、[19]に記載の硬化レリーフパターンである、表示体装置。
本実施形態では、(A)ポリイミド前駆体は、ネガ型感光性樹脂組成物に含まれる樹脂成分であり、下記一般式(1)で表される構造を有するポリアミドである。
−R3 (2)
(式(2)中、R3は、アルキレンオキシド基を有する1価の有機基である。)で表される基である。}で表される前駆体を含む。
そして、(A)ポリイミド前駆体中に含まれる一般式(1)で表される前駆体のR1、及びR2の全てに対する、上記一般式(2)で表される1価の有機基の割合が80%を超える。
(A)ポリイミド前駆体において、R1及びR2の少なくともいずれかは一般式(2)で表される1価の有機基を含み、その割合が80%を超えることで、反応性が向上し、本実施形態の感光性樹脂組成物は、高いイミド化率と保存安定性という、相反する特性の両立を達成することができ、ひいては耐薬品性の高いものとなる。
−R3 (2)
(式(2)中、R3は、アルキレンオキシド基を有する1価の有機基である。)で表される基である。
で表される前駆体を含むことが好ましい。
(A)ポリイミド前駆体が、一般式(5)で表される前駆体を含むことにより、特に保存安定性とイミド化率(耐薬品性)の効果が高くなる。
で表される前駆体を含むことが好ましい。
(A)ポリイミド前駆体が、一般式(5)で表される前駆体に加えて、一般式(5)で表される前駆体を含むことにより、保存安定性とイミド化率(耐薬品性)の効果がさらに高くなる。
で表される前駆体を含むことが好ましい。
(A)ポリイミド前駆体が、一般式(5)で表される前駆体に加えて、一般式(7)で表される前駆体を含むことにより、保存安定性とイミド化率(耐薬品性)の効果がさらに高くなる。
本実施形態における上記一般式(1)で表されるポリイミド前駆体は、例えば、前述の炭素数6〜40の4価の有機基X1を含むテトラカルボン酸二無水物と、(a)上記一般式(2)で表される1価の有機基と水酸基とが結合して成るアルコール類を反応させて、部分的にエステル化したテトラカルボン酸(以下、アシッド/エステル体ともいう)を調製し、続いて前述の炭素数6〜40の2価の有機基Y1を含むジアミン類と重縮合させることにより得られる。
本実施形態において、炭素数6〜40の4価の有機基X1を含むテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、無水ピロメリット酸、ジフェニルエーテル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルメタン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−無水フタル酸)プロパン、2,2−ビス(3,4−無水フタル酸)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等を挙げることができる。また、これらは、1種を単独で、又は2種以上を混合して、使用されることができる。
ネガ型感光性樹脂組成物中の上記(a)成分の含有量は、R1及びR2の全ての含有量に対し、85モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることが好ましく、95モル%以上であることが好ましい。
上記アシッド/エステル体(典型的には上記反応溶媒中の溶液)に、氷冷下、既知の脱水縮合剤、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン、1,1−カルボニルジオキシ−ジ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、N,N’−ジスクシンイミジルカーボネート等を投入混合してアシッド/エステル体をポリ酸無水物とした後、これに、炭素数6〜40の2価の有機基Y1を含むジアミン類を別途溶媒に溶解又は分散させたものを滴下投入し、重縮合させることにより、実施の形態で用いることができるポリイミド前駆体を得ることができる。
本実施形態における(B)光重合開始剤について説明する。(B)光重合開始剤としては、UV硬化用の光重合開始剤として従来用いられている化合物を任意に選択できる。例えば、(B)光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン等のベンゾフェノン誘導体;2,2’−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン誘導体;チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン等のチオキサントン誘導体;ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール等のベンジル誘導体;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾイン誘導体;1−フェニル−1,2−ブタンジオン−2−(O−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−ベンゾイル)オキシム、1,3−ジフェニルプロパントリオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシプロパントリオン−2−(O−ベンゾイル)オキシム等のオキシム類;N−フェニルグリシン等のN−アリールグリシン類;ベンゾイルパークロライド等の過酸化物類;芳香族ビイミダゾール類等が好ましく挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらは、1種を単独で又は2種以上を混合して使用されることができる。上記の(B)光重合開始剤の中では、特に光感度の点で、オキシム類がより好ましい。
本実施形態における(C)酸、塩基、またはラジカルの作用により重合可能な基を含む化合物、について説明する。
なお、以下の説明では、「酸、塩基、またはラジカルの作用により重合可能な基を含む化合物」を「反応性のモノマー」と称する。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、反応性のモノマーを含有することにより、保存安定性とイミド化率(耐薬品性)の効果が高くなる。
(A)ポリイミド前駆体が、一般式(1)におけるR1やR2の末端に二重結合を有していなくても、光により、(C)酸、塩基、またはラジカルの作用により重合可能な基同士が反応して重合するため、感光性を発現することができる。
下記一般式(3):
m1は3以上であってもよく、4以上であってもよく、5以上であってもよく、6以上であってもよく、7以上であってもよく、8以上であってもよく、9以上であってもよく、10以上であってもよく、12以上であってもよく、14以上であってもよい。m1の上限は150以下でもよく、100以下でもよく、50以下でも良い。
m1は3以上であってもよく、4以上であってもよく、5以上であってもよく、6以上であってもよく、7以上であってもよく、8以上であってもよく、9以上であってもよく、10以上であってもよく、12以上であってもよく、14以上であってもよい。m1の上限は150以下でもよく、100以下でもよく、50以下でも良い。
m1の値は好ましくは24以下であり、より好ましくは22以下であり、より好ましくは20以下であり、より好ましくは18以下である。
また、感光性樹脂組成物中において、一般式(3)又は一般式(4)で表される化合物全てのm1の平均値の値が6〜25であることが好ましい。
m1の平均値の好ましい値はm1の好ましい値と同じである。
本実施形態では、ネガ型感光性樹脂組成物は、上記(A)〜(C)成分以外の成分をさらに含有してもよい。その他の成分としては、例えば、溶剤、前記(A)ポリイミド前駆体以外の樹脂成分、増感剤、光重合性の不飽和結合を有するモノマー、接着助剤、熱重合禁止剤、アゾール化合物、ヒンダードフェノール化合物、有機チタン化合物などが挙げられる。
I)チタンキレート化合物:中でも、アルコキシ基を2個以上有するチタンキレートが、ネガ型感光性樹脂組成物の保存安定性及び良好なパターンが得られることからより好ましく、具体的な例は、チタニウムビス(トリエタノールアミン)ジイソプロポキサイド、チタニウムジ(n−ブトキサイド)ビス(2,4−ペンタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキサイドビス(2,4−ペンタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキサイドビス(エチルアセトアセテート)等である。
具体的に、本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物は、該ネガ型感光性樹脂組成物中に含まれる全固形分を100質量部としたときに、該ネガ型感光性樹脂組成物中に含まれる塩基性を示す化合物の量が10質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることがより好ましい。
そして、本実施の形態に係る感光性樹脂組成物は、該樹脂組成物を温度23℃、湿度50%Rhで4週間保存した際の樹脂組成物の粘度変化率が初期と比較して5%以内である。
さらに、本実施の形態に係る感光性樹脂組成物は、該樹脂組成物を180℃で2時間加熱して硬化塗膜を得た際に、該硬化塗膜のイミド化率が70%以上であることが好ましく、該硬化塗膜のイミド化率が85%以上であることがより好ましい。
このように、本実施の形態に係るネガ型感光性樹脂組成物は、イミド化率が高く、保存安定性と耐薬品性を両立したものとなる。
実施の形態では、以下の工程(1)〜(4):
(1)実施の形態のネガ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布して、感光性樹脂層を該基板上に形成する工程、
(2)該感光性樹脂層を露光する工程、
(3)該露光後の感光性樹脂層を現像して、レリーフパターンを形成する工程、及び
(4)該レリーフパターンを加熱処理して、硬化レリーフパターンを形成する工程
を含む、硬化レリーフパターンの製造方法を提供することができる。
(1)実施の形態のネガ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布して、感光性樹脂層を該基板上に形成する工程
本工程では、実施の形態のネガ型感光性樹脂組成物を基材上に塗布し、必要に応じて、その後に乾燥させて、感光性樹脂層を形成する。塗布方法としては、従来から感光性樹脂組成物の塗布に用いられていた方法、例えば、スピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷機等で塗布する方法、スプレーコーターで噴霧塗布する方法等を用いることができる。
本工程では、上記(1)工程で形成した感光性樹脂層を、コンタクトアライナー、ミラープロジェクション、ステッパー等の露光装置を用いて、パターンを有するフォトマスク又はレチクルを介して又は直接に、紫外線光源等により露光する。
本工程では、露光後の感光性樹脂層のうち未露光部を現像除去する。露光(照射)後の感光性樹脂層を現像する現像方法としては、従来知られているフォトレジストの現像方法、例えば、回転スプレー法、パドル法、超音波処理を伴う浸漬法等の中から任意の方法を選択して使用することができる。また、現像の後、レリーフパターンの形状を調整する等の目的で、必要に応じて、任意の温度及び時間の組合せによる現像後ベークを施してもよい。現像に使用される現像液としては、例えば、ネガ型感光性樹脂組成物に対する良溶媒、又は該良溶媒と貧溶媒との組合せが好ましい。良溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン等が好ましい。貧溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、乳酸エチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート及び水等が好ましい。良溶媒と貧溶媒とを混合して用いる場合には、ネガ型感光性樹脂組成物中のポリマーの溶解性によって良溶媒に対する貧溶媒の割合を調整することが好ましい。また、各溶媒を2種以上、例えば数種類組合せて用いることもできる。
本工程では、上記現像により得られたレリーフパターンを加熱して感光成分を希散させるとともに、(A)ポリイミド前駆体をイミド化させることによって、ポリイミドから成る硬化レリーフパターンに変換する。加熱硬化の方法としては、例えば、ホットプレートによるもの、オーブンを用いるもの、温度プログラムを設定できる昇温式オーブンを用いるもの等種々の方法を選ぶことができる。加熱は、例えば、200℃〜400℃で30分〜5時間の条件で行うことができる。加熱硬化時の雰囲気気体としては空気を用いてもよく、窒素、アルゴン等の不活性ガスを用いることもできる。
実施の形態では、上述した硬化レリーフパターンの製造方法により得られる硬化レリーフパターンを有して成る、半導体装置も提供される。したがって、半導体素子である基材と、上述した硬化レリーフパターン製造方法により該基材上に形成されたポリイミドの硬化レリーフパターンとを有する半導体装置が提供されることができる。また、本発明は、基材として半導体素子を用い、上述した硬化レリーフパターンの製造方法を工程の一部として含む半導体装置の製造方法にも適用できる。本発明の半導体装置は、上記硬化レリーフパターン製造方法で形成される硬化レリーフパターンを、表面保護膜、層間絶縁膜、再配線用絶縁膜、フリップチップ装置用保護膜、又はバンプ構造を有する半導体装置の保護膜等として形成し、既知の半導体装置の製造方法と組合せることで製造することができる。
実施の形態では、表示体素子と該表示体素子の上部に設けられた硬化膜とを備える表示体装置であって、該硬化膜は上述の硬化レリーフパターンである表示体装置が提供される。ここで、当該硬化レリーフパターンは、当該表示体素子に直接接して積層されていてもよく、別の層を間に挟んで積層されていてもよい。例えば、該硬化膜として、TFT液晶表示素子及びカラーフィルター素子の表面保護膜、絶縁膜、及び平坦化膜、MVA型液晶表示装置用の突起、並びに有機EL素子陰極用の隔壁を挙げることができる。
各ポリイミド前駆体の重量平均分子量(Mw)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(標準ポリスチレン換算)で測定した。測定に用いたカラムは、昭和電工社製 商標名 Shodex 805M/806M直列であり、標準単分散ポリスチレンは、昭和電工(株)製Shodex STANDARD SM−105を選び、展開溶媒はN−メチル−2−ピロリドンであり、検出器は昭和電工製 商標名 Shodex RI−930を使用した。
(2)樹脂組成物の保存安定性試験
感光性樹脂組成物を調製後、室温(23.0℃±0.5℃、相対湿度50%±10%)で3日間攪拌した状態を初期とし、その後室温で4週間静置した際の、樹脂組成物の粘度変化率を測定した。粘度測定は、23.0℃にて、E型粘度計(RE−80R、東機産業株式会社製)を用いて行った。評価結果として、粘度変化率が5%以内のものを「良好」、5%を超えるものまたは樹脂組成物がゲル化して測定不能だったものを「不良」とした。
6インチシリコンウエハー(フジミ電子工業株式会社製、厚み625±25μm)上に、硬化後の膜厚が約10μmとなるように感光性樹脂組成物を回転塗布し、100℃で180秒間ホットプレートにてプリベークを行い、アライナ(PLA−501F、キャノン社製)を用いて露光量600mJ/cm2のghi線で露光した後、昇温プログラム式キュア炉(VF−2000型、光洋リンドバーグ社製)を用いて、窒素雰囲気下、180℃または390℃で2時間加熱して硬化ポリイミド塗膜を得た。得られた硬化ポリイミド塗膜をATR−FTIR測定装置(Nicolet Continuum、Thermo Fisher Scientific社製)にてSiプリズムを用いて測定し、1380cm−1のピーク強度を1500cm−1のピーク強度で割った値をイミド化指数とし、180℃で硬化した膜のイミド化指数を390℃で硬化した膜のイミド化指数で割った値をイミド化率として算出した。
(4)硬化ポリイミド塗膜の5%重量減少温度測定
6インチシリコンウエハー上に、硬化後の膜厚が約10μmとなるように感光性樹脂組成物を回転塗布し、100℃で180秒間ホットプレートにてプリベークを行った後、昇温プログラム式キュア炉(VF−2000型、光洋リンドバーグ社製)を用いて、窒素雰囲気下、180℃で2時間加熱して硬化ポリイミド塗膜を得た。膜厚は膜厚測定装置、ラムダエース(大日本スクリーン社製)にて測定した。得られたポリイミド塗膜を削り取り、熱重量測定装置(島津社製、TGA−50)を用いて、室温から10℃/minで昇温した際に、180℃に達した際の膜の重量を100%として重量が5%減少する温度(5%重量減少温度)を測定した。
6インチシリコンウエハー上に、硬化後の膜厚が約5μmとなるように感光性樹脂組成物を回転塗布し、100℃で180秒間ホットプレートにてプリベークを行い、塗膜を形成した。この塗膜に、テストパターン付きレチクルを通して、i線(365nm)の露光波長を有するステッパーNSR2005i8A(ニコン社製)を用いて露光量300mJ/cm2のi線を照射することにより露光した。次に、現像機D−SPIN(SOKUDO社製)にて、23℃で現像液としてシクロペンタノンを用いて、未露光部が完全に溶解消失するまでの時間に1.4を乗じた時間の回転スプレー現像を施し、引き続きプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで10秒間回転スプレーリンスし、樹脂膜からなるレリーフパターンを得た。続いて、縦型キュア炉VF200B(光洋サーモシステム社製)にて窒素雰囲気下で180℃2時間硬化を行い、硬化レリーフパターンを得た。これらの硬化レリーフパターンを、レジスト剥離膜{ATMI社製、製品名ST−44、主成分は2−(2−アミノエトキシ)エタノール、1−シクロヘキシル−2−ピロリドン}を50℃に加熱したものに5分間浸漬し、流水で1分間洗浄し、風乾した。その後、膜表面を光学顕微鏡で目視観察し、クラック等の薬液によるダメージの有無や、薬液処理後の膜厚の変化率をもって耐薬品性を評価した。評価基準として、クラック等が発生せず、膜厚変化率が薬品浸漬前の膜厚を基準として5%以内のものを「最良」、5〜10%のものを「良」、10〜15%のものを「可」とし、クラックが発生したもの、または膜厚変化率が15%を超えるものを「不可」とした。
6インチシリコンウェハー上に、スパッタ装置(L−440S−FHL型、キヤノンアネルバ社製)を用いて200nm厚のTi、400nm厚のCuをこの順にスパッタした。続いて、このウェハー上に、後述の方法により調製した感光性樹脂組成物をコーターデベロッパー(D−Spin60A型、SOKUDO社製)を用いて回転塗布し、乾燥することにより10μm厚の塗膜を形成した。この塗膜に、テストパターン付マスクを用いて、平行光マスクアライナー(PLA−501FA型、キヤノン社製)により300mJ/cm2のエネルギーを照射した。次いで、この塗膜を、現像液としてシクロペンタノンを用いてコーターデベロッパー(D−Spin60A型、SOKUDO社製)でスプレー現像し、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートでリンスすることにより、Cu上のレリーフパターンを得た。
出力:133W
ガス種・流量:O2:40ml/分 + CF4:1ml/分
ガス圧:50Pa
モード:ハードモード
エッチング時間:1800秒
3,3’,4,4’− ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147g(0.5mol)を2リットル容量のセパラブルフラスコに入れ、トリエチレングリコールモノメチルエーテル164g(1mol)とγ―ブチロラクトン400mlを入れて室温下で攪拌し、攪拌しながらピリジン79.1gを加え、その後反応溶液をオイルバスで昇温し、60℃にて4時間攪拌し、反応混合物を得た。その後室温まで放冷し、16時間放置した。
製造例1のトリエチレングリコールモノメチルエーテル164gに代えて2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)19.5g(0.15mol)とトリエチレングリコールモノメチルエーテル140g(0.85mol)をそれぞれ用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマーBを得た。ポリマーBの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は32,000であった。
製造例1のトリエチレングリコールモノメチルエーテル164gに代えてブレンマーPE−90(日油株式会社製)173g(水酸基価:325mgKOH/g)を用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマーCを得た。ポリマーCの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は34,000であった。
製造例1のトリエチレングリコールモノメチルエーテル164gに代えてブレンマーPE−200(日油株式会社製)294g(水酸基価:191mgKOH/g)を用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマーDを得た。ポリマーDの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は38,000であった。
製造例1のトリエチレングリコールモノメチルエーテル164gに代えてブレンマーPE−350(日油株式会社製)452g(水酸基価:124mgKOH/g)を用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマーEを得た。ポリマーEの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は48,000であった。
製造例5のODA90.1g(0.45mol)に代えてODA66.7g(0.333mol)を用いた以外は、前述の製造例5に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマーFを得た。ポリマーFの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は9,500であった。
製造例4のBPDA147gに代えて4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155g(0.5mol)を用いた以外は、前述の製造例4に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマーGを得た。ポリマーGの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は36,000であった。
製造例4のBPDA147gに代えてODPA155g(0.5mol)を、ODA90.1gに代えてp−フェニレンジアミン48.7g(0.45mol)をそれぞれ用いた以外は、前述の製造例4に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマーHを得た。ポリマーHの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は27,000であった。
<製造例9>((D)樹脂としてのポリマーIの合成)
製造例7のトリエチレングリコールモノメチルエーテル164gに代えてHEMA130g(1mol)を用いた以外は、前述の製造例7に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマーIを得た。ポリマーIの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は30,000であった。
<製造例10>(ポリマーJの合成)
製造例1のトリエチレングリコールモノメチルエーテル65.7g(0.4mol)に代えて2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)13.0g(0.1mol)とトリエチレングリコールモノメチルエーテル49.3g(0.3mol)をそれぞれ用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマーJを得た。ポリマーJの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は31,000であった。
ポリマーAを用いて以下の方法でネガ型感光性樹脂組成物を調製し、調製した組成物の評価を行った。ポリマーA100g((A)樹脂)、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)−オキシム((B)光重合開始剤)4.0g、M9G:ポリエチレングリコール#400ジメタクリレート(NKエステル9G、新中村化学工業社)((C)酸、塩基、またはラジカルの作用により重合可能な基を含む化合物)20.0gをγ−ブチロラクトン(以下ではGBLという)150gに溶解した。得られた溶液の粘度を、少量の該溶媒を更に加えることによって約30ポイズに調整し、ネガ型感光性樹脂組成物とした。該組成物を、前述の方法に従って評価した。結果を表2に示す。
表1に示す通りの配合比で配合すること以外は実施例1と同様のネガ型感光性樹脂組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
実施例1の、本発明における(A)樹脂に相当するポリマーAをポリマーIに変えた以外は実施例1と同様のネガ型感光性樹脂組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
実施例1の、本発明における(A)樹脂に相当するポリマーAをポリマーJに変えた以外は実施例1と同様のネガ型感光性樹脂組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
比較例1に、さらにN−フェニルジエタノールアミン4gを加えた以外は比較例1と同様のネガ型感光性樹脂組成物を調製し、比較例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
<比較例4>
比較例3の、N−フェニルジエタノールアミン4gに代えてN−フェニルジエタノールアミン10gに変えた以外は比較例3と同様のネガ型感光性樹脂組成物を調製し、比較例3と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
特に、一般式(1)で表される(A)ポリイミド前駆体において、一般式(2)で表されるR3の末端に二重結合を有するポリマーC,Dを用いた実施例3,4,13,14では、R3の末端に二重結合を有するポリマーA,Bを用いた実施例に比べて、特に優れた保存安定性、イミド化率および耐薬品性を有していることがわかる。
比較例2では、保存安定性は「良好」であったが、イミド化率は67%となり、5%重量減少温度が273℃となった。耐薬品性試験の結果、膜にクラックが発生し、また膜厚変化率が19%となり、評価は「不可」となった。またボイド面積評価は「可」であった。
比較例3では、保存安定性は「良好」であったが、イミド化率は65%となり、5%重量減少温度が267℃となった。耐薬品性試験の結果、膜にクラックが発生し、また膜厚変化率が22%となり、評価は「不可」となった。またボイド面積評価は「可」であった。
比較例4では、樹脂組成物を4週間静置後にゲル化し、粘度測定不能であった為、保存安定性試験結果は「不良」となった。別に調製した感光性樹脂組成物を用いて他の評価を行った所、イミド化率は72%となり、5%重量減少温度が272℃となった。耐薬品性試験の結果、膜にクラックは発生しなかったが、膜厚変化率が17%となり、評価は「不可」となった。またボイド面積評価は「可」であった。
Claims (21)
- (A)ポリイミド前駆体と、
(B)光重合開始剤と、
(C)酸、塩基、またはラジカルの作用により重合可能な基を含む化合物と、
を含む、ネガ型感光性樹脂組成物であって、
前記(A)ポリイミド前駆体は、下記一般式(1):
−R3 (2)
(式(2)中、R3は、アルキレンオキシド基を有する1価の有機基である。)で表される基である。}で表される前駆体を含み、そして、
前記(A)ポリイミド前駆体中に含まれる前記一般式(1)で表される前駆体のR1、及びR2の全てに対する、上記一般式(2)で表される1価の有機基の割合が80%を超える、ことを特徴とするネガ型感光性樹脂組成物。 - 前記(C)酸、塩基、またはラジカルの作用により重合可能な基を含む化合物は、アルキレンオキシド基を有する、請求項1に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
- 前記m1が6〜25である、請求項3又は4に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
- 前記感光性樹脂組成物中において、前記一般式(3)又は前記一般式(4)で表される化合物全てのm1の平均値の値が6〜25である、請求項3〜5のいずれか一項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
- 前記(C)酸、塩基、またはラジカルの作用により重合可能な基を含む化合物は、少なくとも一方の末端に二重結合を有する、請求項2〜6のいずれか一項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
- 前記(A)ポリイミド前駆体は、
前記一般式(1)で表され、且つ、前記R1及びR2の少なくともいずれかが前記一般式(2)で表される基を含み、且つ、
前記一般式(2)で表される基を含む前記R1及びR2の末端に二重結合を有する前駆体を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。 - 前記ネガ型感光性樹脂組成物中に含まれる全固形分を100質量部としたときに、前記ネガ型感光性樹脂組成物中に含まれる塩基性を示す化合物の量が10質量部以下である、請求項1〜11のいずれか一項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
- 前記ネガ型感光性樹脂組成物中に含まれる前記塩基性を示す化合物の量が5質量部以下である、請求項12に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
- ポリイミド前駆体、光重合開始剤、及び溶剤を含むネガ型感光性樹脂組成物であって、
該樹脂組成物を温度23℃、湿度50%Rhで4週間保存した際の樹脂組成物の粘度変化率が初期と比較して5%以内であり、かつ、
該樹脂組成物を180℃で2時間加熱して硬化塗膜を得た際に、該硬化塗膜のイミド化率が70%以上である、ネガ型感光性樹脂組成物。 - 前記樹脂組成物を180℃で2時間加熱して硬化塗膜を得た際に、該硬化塗膜のイミド化率が85%以上である、請求項14に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
- 前記ネガ型感光性樹脂組成物中に含まれる全固形分を100質量部としたときに、塩基性を示す化合物の量が10質量部以下である、請求項14又は15に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
- 前記塩基性を示す化合物の量が5質量部以下である、請求項16に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
- 以下の工程:
(1)請求項1〜17のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を基板上に塗布して、感光性樹脂層を該基板上に形成する工程と、
(2)該感光性樹脂層を露光する工程と、
(3)該露光後の感光性樹脂層を現像して、レリーフパターンを形成する工程と、
(4)該レリーフパターンを加熱処理して、硬化レリーフパターンを形成する工程と
を含む硬化レリーフパターンの製造方法。 - 請求項18に記載の方法により製造された硬化レリーフパターン。
- 半導体素子と、該半導体素子の上部に設けられた硬化膜とを備える半導体装置であって、該硬化膜は、請求項19に記載の硬化レリーフパターンである、半導体装置。
- 表示体素子と、該表示体素子の上部に設けられた硬化膜とを備える表示体装置であって、該硬化膜は、請求項19に記載の硬化レリーフパターンである、表示体装置。
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