JP2011059656A - ネガ型感光性樹脂組成物、硬化レリーフパターン形成・製造方法、並びに半導体装置 - Google Patents
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Abstract
Description
(A)下記一般式(1):
(B)光重合開始剤:1〜20質量部、及び
(C)下記一般式(3):
を含むネガ型感光性樹脂組成物。
下記一般式(12):
下記一般式(16):
下記一般式(17):
下記一般式(18):
(1)前記[1]〜[9]のいずれかに記載のネガ型感光性樹脂組成物を基材に塗布し、
(2)該ネガ型感光性樹脂組成物に活性光線を照射し、
(3)該照射後のネガ型感光性樹脂組成物を現像してレリーフパターンを形成し、そして
(4)該レリーフパターンを加熱する、
を含む、硬化レリーフパターンの形成方法。
(1)前記[1]〜[9]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂層を基板上に形成する工程と、
(2)前記感光性樹脂層を露光する工程と、
(3)前記露光後の未露光部を除去してレリーフパターンを形成する工程と、
(4)前記レリーフパターンを加熱処理する工程と
を含む、硬化レリーフパターンの製造方法。
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、必須成分として、(A)下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリイミド前駆体(以下、(A)ポリイミド前駆体ともいう)100質量部、(B)光重合開始剤1〜20質量部、(C)下記一般式(3)及び(4)で表される化合物、若しくはその重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物、若しくはその重合体0.1〜30質量部からなる。
本発明に用いられる(A)ポリイミド前駆体について説明する。本発明の感光性樹脂組成物における樹脂成分は、下記一般式(1)で表される構造単位を有するポリアミドである。(A)ポリイミド前駆体は、加熱(例えば200℃以上)環化処理を施すことによってポリイミドに変換される。
下記一般式(1):
本発明で好適に用いられる、4価の有機基X1を含むテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、無水ピロメリット酸、ジフェニルエーテル−3,3',4,4'−テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン−3,3',4,4'−テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル−3,3',4,4'−テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホン−3,3',4,4'−テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルメタン−3,3',4,4'−テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−無水フタル酸)プロパン、2,2−ビス(3,4−無水フタル酸)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらは単独で用いることができるのは勿論のこと2種以上を混合して用いてもよい。
上記アシッド/エステル体溶液に、氷冷下、適当な脱水縮合剤、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン、1,1−カルボニルジオキシ−ジ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、N,N’−ジスクシンイミジルカーボネートなどを投入混合し、アシッド/エステル体をポリ酸無水物とした後に、本発明で好適に用いられる2価の有機基Y1を含むジアミン類を、別途溶媒に溶解又は分散させたものを滴下投入し、アミド重縮合させることにより、目的のポリイミド前駆体を得ることができる。
本発明に用いられる(B)光重合開始剤について説明する。(B)成分として用いられる光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノンなどのベンゾフェノン誘導体、2,2'−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのアセトフェノン誘導体、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントンなどのチオキサントン誘導体、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタールなどのベンジル誘導体、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテルなどのベンゾイン誘導体、1−フェニル−1,2−ブタンジオン−2−(o- メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、1,3−ジフェニルプロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシプロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシムなどのオキシム類、N−フェニルグリシン等のN−アリールグリシン類、ベンゾイルパークロライド等の過酸化物類、芳香族ビイミダゾール類などが好ましく挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの使用にあたっては、単独でも2種以上の混合物でもかまわない。上記の光重合開始剤の中では、特に光感度の点で、オキシム類がより好ましい。
本発明に用いられる(C)成分について説明する。本発明においては、特定の構造を有する化合物、若しくはその重合体、すなわち、下記一般式(3)で表される化合物、若しくはその重合体及び下記一般式(4)で表される化合物、若しくはその重合体からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物、若しくはその重合体を用いることにより、ポリイミド前駆体樹脂組成物の感度、安定性(感光性樹脂組成物を調製後、長期間経過しても高感度なレリーフパターン形成能を維持することができる)に優れ、銅上の変色を防止するという利点が得られる。
一般式(3):
一般式(4):
一般式(6):
一般式(7):
本発明の感光性樹脂組成物は、上記(A)〜(C)成分以外の成分として(D)下記一般式(8)、及び下記一般式(9)及び下記一般式(10)で表されるアゾール化合物を含有してもよい。(D)アゾール化合物は、本発明の感光性樹脂組成物を、例えば銅又は銅合金の上に形成する場合に銅又は銅合金の変色を防止する作用を有する。
一般式(8):
上記一般式(9)としては、1H−ベンゾトリアゾール、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α―ジメチルベンジル)フェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、4−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、4−カルボキシ−1H−ベンゾトリアゾール、5−カルボキシ−1H−ベンゾトリアゾール、
上記一般式(10)としては、1H−テトラゾール、5−メチル−1H−テトラゾール、5−フェニル−1H−テトラゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、1−メチル−1H−テトラゾールなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。これらの中でも、銅又は銅合金の変色抑制の観点から、トリルトリアゾール、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、4−メチル−1H−ベンゾトリアゾールなどが特に好ましい。また、これらアゾール化合物は、単独でも2種以上の混合物で用いても構わない。
本発明の感光性樹脂組成物は、例えば銅又は銅合金の上に形成する場合に銅又は銅合金の変色を防止する作用を有する化合物として、さらに(E)ヒンダードフェノール化合物を含有してもよい。ここで、ヒンダードフェノール化合物とは、分子内に下記一般式(11)、一般式(12)、一般式(16)、一般式(17)又は一般式(18)で表される構造を有する化合物であり、本発明の感光性樹脂組成物の成分である(E)ヒンダードフェノール化合物は、下記一般式(11)、一般式(12)、一般式(16)、一般式(17)、及び一般式(18)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種のフェノール化合物である。
一般式(12):
一般式(16):
一般式(17):
一般式(18):
本発明の感光性樹脂組成物には、耐薬品性を向上する化合物として、(F)有機チタン化合物を含有させてもよい。ここで(F)成分として使用可能な有機チタン化合物としては、チタン原子に有機化学物質が共有結合又はイオン結合を介して結合しているものであれば特に制限はない。
I)チタンキレート化合物:中でも、アルコキシ基を2個以上有するチタンキレートが、組成物の安定性及び良好なパターンが得られることからより好ましく、具体的には、チタニウムビス(トリエタノールアミン)ジイソプロポキサイド、チタニウムジ(n−ブトキサイド)ビス(2,4−ペンタンジオネート、チタニウムジイソプロポキサイドビス(2,4−ペンタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキサイドビス( エチルアセトアセテート)等である。
中でも、上記I)チタンキレート化合物、II)テトラアルコキシチタン化合物、及びIII)チタノセン化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物であることが、より耐薬品性を奏するという観点から好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、上記(A)〜(F)成分以外の成分を含有してもよい。
本発明の感光性樹脂組成物は、感光性樹脂組成物の各成分を溶剤に溶解してワニス状にし、ネガ型感光性樹脂組成物の溶液として使用するため、その他成分としては溶剤を挙げることができる。溶剤としては(A)成分のポリイミド前駆体に対する溶解性の点から、極性の有機溶剤を用いることが好ましい。具体的には、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリノン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン等が挙げられ、これらは単独又は2種以上の組合せで用いることができる。
更に感光性樹脂組成物の保存安定性を向上させるため、アルコール類を含む溶剤が好ましい。
光感度を向上させるための増感剤は、ポリイミド前駆体100質量部に対し、0.1〜25質量部を用いるのが好ましい。
感光性樹脂組成物に添加する熱重合禁止剤の量としては、ポリイミド前駆体100質量部に対し、0.005〜12質量部の範囲が好ましい。
以下、上述した本発明の感光性樹脂組成物を用いて硬化レリーフパターンを形成するパターン形成・製造方法、並びに該パターン形成方法を用いた半導体装置及びその製造方法を説明する。
(1)上記感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂層を基板上に形成する工程と、
(2)前記感光性樹脂層を露光する工程と、
(3)前記露光後の未露光部を除去してレリーフパターンを形成する工程と、
(4)前記レリーフパターンを加熱処理する工程と、
を含む。
こうして得られた塗膜は、コンタクトアライナー、ミラープロジェクション、ステッパー等の露光装置を用いて、パターンを有するフォトマスク又はレチクルを介して又は直接に紫外線光源等により露光される。
現像に使用される現像液としては、感光性樹脂組成物に対する良溶媒、又は該良溶媒と貧溶媒との組合せが好ましい。良溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン等が好ましく、貧溶媒としてはトルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、乳酸エチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート及び水等が好ましい。良溶媒と貧溶媒とを混合して用いる場合には、感光性樹脂組成物中のポリマーの溶解性によって良溶媒に対する貧溶媒の割合を調整することが好ましい。また、各溶媒を数種類組合せて用いることもできる。
本発明の感光性樹脂組成物は、上記のような半導体装置への適用の他、多層回路の層間絶縁、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、又は液晶配向膜等の用途にも有用である。
実施例、比較例、及び参考例においては、感光性樹脂組成物の物性を以下の方法に従って測定及び評価した。
各ポリイミド前駆体の重量平均分子量(Mw)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(標準ポリスチレン換算)で測定した。測定に用いたカラムは昭和電工社製 商標名 Shodex 805M/806M直列であり、標準単分散ポリスチレンは、昭和電工(株)製Shodex STANDARD SM−105を選び、展開溶媒はN−メチル−2−ピロリドンであり、検出器は昭和電工製 商標名 Shodex RI−930を使用した。
合成した尿素化合物をゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定とFT−IRスペクトル測定によって同定した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定に用いたカラム昭和電工社製 商標名 Shodex 801/802直列であり、展開溶媒はテトラヒドロフランであり、検出器は昭和電工製 商標名 Shodex RI2031Plusを使用した。FT−IRスペクトル測定は、Thermo Spectra−Tech USA社製 商標名 Centaurusを用いて行った。
感光性樹脂組成物を6インチシリコンウエハー又は銅基板上にスピン塗布し、乾燥して10μm厚の塗膜を形成した。この塗膜にテストパターン付レチクルを用いてi線ステッパーNSR1755i7B(日本国、ニコン社製)により、50mJ/cm2から300mJ/cm2まで25mJ/cm2ステップでエネルギーを照射した。次いで、ウエハー上に形成した塗膜を、シクロペンタノンを用いて現像機(D−SPIN636型、日本国、大日本スクリーン製造社製)でスプレー現像し、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートでリンスしてポリアミド酸エステルのパターンを得た。
以下の基準に基づき、上記(3)で形成した、ポリイミドパターンの精度を評価した:
「良好」:パターン断面がすそびきしておらず、アンダーカットや膨潤、ブリッジングが起こっていないものであり、且つアスペクト比が1以上であるものであり、加熱硬化時にパターン形状が変動しないもの。更に、銅基板の場合は銅の変色・腐食がないもの;
「不良」:上記の条件を少なくとも1つ満足していないもの。
上記(3)において銅基板で形成したポリイミドパターンを以下の基準に基づき評価した:
「良好」:200倍の光学顕微鏡で観察しても銅基板の変色・腐食が認められないもの;
「やや良好」:200倍の光学顕微鏡で観察したとき銅基板の変色・腐食がわずかに認められるが、目視では認められないもの;
「やや不良」:目視において銅基板の変色・腐食がわずかに認められるもの;
「不良」:目視において銅基板の変色・腐食があきらかに認められるもの。
感光性樹脂組成物を6インチシリコンウエハーにスピン塗布し、乾燥して10μm厚の塗膜を形成した。次いで、ウエハー上に形成した塗膜を、シクロペンタノンを用いて現像機(D−SPIN636型、日本国、大日本スクリーン製造社製)でスプレー現像し、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートでリンスすることで塗膜が完全に溶解する時間を求めた(初期溶解時間)。その後該感光性樹脂組成物を23℃の条件下に1ヶ月間放置し、放置後に同様の評価を実施した。1ヵ月後の塗膜溶解時間が初期溶解時間に比べ150%以内であれば「良好」とし、150%を超える場合を「不良」とした。
6インチ窒化膜付きシリコンウエハー上(協同インターナショナル社製)に、上記(3)と同様にしてポリアミド酸エステルのパターンを形成後、昇温プログラム式キュア炉(VF−2000型、日本国、光洋リンドバーグ社製)を用いて、窒素雰囲気下、200℃で1時間、続いて250℃で2時間熱処理することにより、7μm厚のポリイミドのパターンを得た。得られたポリイミドパターンを水酸化カリウム1wt%、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール39wt% 、ジメチルスルホキシド60wt%からなる溶液に110℃で1時間浸漬した。水洗及び風乾の後、膜厚測定と光学顕微鏡下で観察しポリイミド塗膜の評価を行った。塗膜の膜厚変動が±3%以内でありクラックが発生してない場合を「良」、膜厚変動が±3%を超えている、又はクラックが発生しているポリイミド塗膜を「不良」と評価した。
6インチシリコンウエハー又は銅基板上に、硬化後の膜厚が約10μmとなるように感光性樹脂組成物をスピン塗布乾燥した後、昇温プログラム式キュア炉(VF−2000型、日本国、光洋リンドバーグ社製)を用いて、窒素雰囲気下、200℃で1時間、350℃で2時間加熱して硬化レリーフパターン(熱硬化したポリイミドの塗膜)を得た。得られたポリイミド塗膜をダイシングソー(DAD3350型、DISCO社製)を用いて3mm幅の短冊状にカットした後、46%フッ化水素酸を用いてシリコンウエハーから、あるいは塩化第二鉄水溶液を用いて銅基板から剥がしてそれぞれSi上、Cu上のポリイミドテープとした。得られたポリイミドテープの伸度を引張試験機(UTM−II−20型、オリエンテック社製)を用いて、ASTM D882−09に従って測定した。伸度は、20%以上であればやや良好、30%以上であれば良好とした。
4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gを2リットル容量のセパラブルフラスコに入れ、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)131.2gとγ―ブチロラクトン400mlを入れて室温下で攪拌し、攪拌しながらピリジン81.5gを加えて反応混合物を得た。反応による発熱の終了後に室温まで放冷し、16時間放置した。
参考例1の4,4’−オキシジフタル酸二無水物155.1gに代えて、3,3’4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物147.1gを用いた以外は、前述の参考例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリイミド前駆体Bを得た。ポリイミド前駆体Bの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は22,000であった。
テトラヒドロフラン80gを200ミリリットル容量の三口フラスコに入れ、2−メトキシエチルアミン7.7gを入れて室温下で攪拌し、攪拌しながらフェニルイソシアネート12.3gを滴下した。反応による発熱の終了後に室温まで放冷し、16時間放置した。反応溶液をゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したところ、原料のピーク面積が減少し、新たに生成物のピークが現れたことを確認した。原料と生成物のピーク面積比から反応率を計算したところ、反応率は99%以上であった。その後、反応溶液をヘキサンに再沈殿し、得られた生成物をろ過によって回収し、減圧乾燥した。生成物のFT−IRスペクトルを測定し、尿素化合物U5であることを確認した(3337cm−1:N−H伸縮振動、1629cm−1:C=O伸縮振動、1567cm−1:N−H変角振動、1120cm−1:C−O−C逆対称伸縮振動、1098cm−1、763cm−1、693cm−1:モノ置換ベンゼンC−H面内変角振動)。
参考例3のフェニルイソシアネート12.3gに代えて、n−ブチルイソシアネート11.4gを用い、2−メトキシエチルアミンを7.7gに代えて8.6g用いた以外は、前述の参考例3に記載の方法と同様にして反応を行い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定により、反応率が99%以上であることを確認し、再沈殿によって生成物を回収し、減圧乾燥後に、生成物のFT−IR測定を行い、尿素化合物U6の生成を確認した(3333cm−1:N−H伸縮振動、2959cm−1、2871cm−1:メチル基C−H伸縮振動、2934cm−1:メチレン基C−H伸縮振動、1622cm−1:C=O伸縮振動、1574cm−1:N−H変角振動、1120cm−1:C−O−C逆対称伸縮振動)。
参考例3の2−メトキシエチルアミン7.7gに代えて、アミノアセトアルデヒドジメチルアセタール9.4gを用い、フェニルイソシアネートを12.3gに代えて10.6g用いた以外は、前述の参考例3に記載の方法と同様にして反応を行い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定により、反応率が99%以上であることを確認し、再沈殿によって生成物を回収し、減圧乾燥後に、生成物のFT−IR測定を行い、尿素化合物U7の生成を確認した(3374cm−1:N−H伸縮振動、2934cm−1:メトキシ基C−H伸縮振動、1644cm−1:C=O伸縮振動、1556cm−1:N−H変角振動、1123cm−1:C−O−C逆対称伸縮振動、1065cm−1、745cm−1、696cm−1:モノ置換ベンゼンC−H面内変角振動)。
参考例3の2−メトキシエチルアミン7.7gに代えて、アミノアセトアルデヒドジメチルアセタール10.3gを用い、フェニルイソシアネート12.3gに代えて、n−ブチルイソシアネート9.7gを用いた以外は、前述の参考例3に記載の方法と同様にして反応を行いゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定により、反応率が99%以上であることを確認し、反応溶液をヘキサンに再沈殿し、得られた生成物をろ過し、減圧乾燥後に、生成物のFT−IR測定を行い、尿素化合物U8の生成を確認した(3335cm−1:N−H伸縮振動、2931cm−1:メチレン基C−H伸縮振動、2832cm−1:メトキシ基C−H伸縮振動、1624cm−1:C=O伸縮振動、1575cm−1:N−H変角振動、1125cm−1:C−O−C逆対称伸縮振動、1052cm−1:C−N伸縮振動)。
参考例3のテトラヒドロフランを80gに代えて20g用い、2−メトキシエチルアミン7.7gに代えて、3,5−ジメトキシアニリン2.8gを用い、フェニルイソシアネートを12.3gに代えて2.2g用いた以外は、前述の参考例3に記載の方法と同様にして反応を行い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定により、反応率が99%以上であることを確認し、再沈殿によって生成物を回収し、減圧乾燥後に、生成物のFT−IR測定を行い、尿素化合物U9の生成を確認した(3317cm−1:N−H伸縮振動、2883cm−1:メチル基C−H伸縮振動、1635cm−1:C=O伸縮振動、1562cm−1:N−H変角振動、1141cm−1:C−O−C逆対称伸縮振動、1090cm−1、759cm−1、691cm−1:モノ置換ベンゼンC−H面内変角振動、732cm−1:1,3,5−三置換ベンゼンC−H面外変角振動)。
参考例3の2−メトキシエチルアミン7.7gに代えて、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン7.9gを用い、フェニルイソシアネートを12.3gに代えて12.7g用いた以外は、前述の参考例3に記載の方法と同様にして反応を行い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定により、反応率が99%以上であることを確認し、反応溶液をヘキサンに再沈殿し、得られた生成物をろ過し、減圧乾燥後に、生成物のFT−IR測定を行い、尿素化合物U10の生成を確認した(3316cm−1:N−H伸縮振動、1633cm−1:C=O伸縮振動、1562cm−1:N−H変角振動、1141cm−1:C−O−C逆対称伸縮振動、1090cm−1、759cm−1、691cm−1:モノ置換ベンゼンC−H面内変角振動)。
参考例3のフェニルイソシアネート12.3gに代えて、m−キシリレンジイソシアネート11.1gを用い、2−メトキシエチルアミンを7.7gに代えて8.9g用いた以外は、前述の参考例3に記載の方法と同様にして反応を行い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定により、反応率が99%以上であることを確認し、反応溶液をヘキサンに再沈殿し、得られた生成物をろ過し、減圧乾燥後に、生成物のFT−IR測定を行い、尿素化合物U11の生成を確認した(3322cm−1:N−H伸縮振動、2888cm−1:メチル基C−H伸縮振動、1620cm−1:C=O伸縮振動、1573cm−1:N−H変角振動、1118cm−1:C−O−C逆対称伸縮振動、784cm−1、698cm−1:m−二置換ベンゼンC−H面外変角振動)。
参考例3のテトラヒドロフランを80gに代えて32g用い、2−メトキシエチルアミン7.7gに代えて、3,5−ジメトキシアニリン5.0gを用い、フェニルイソシアネート12.3gに代えてm−キシリレンジイソシアネート3.1gを用いた以外は、前述の参考例3に記載の方法と同様にして反応を行い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定により、反応率が99%以上であることを確認し、反応溶液をヘキサンに再沈殿し、得られた生成物をろ過し、減圧乾燥後に、生成物のFT−IR測定を行い、尿素化合物U12の生成を確認した(3317cm−1:N−H伸縮振動、2882cm−1:メチル基C−H伸縮振動、1632cm−1:C=O伸縮振動、1563cm−1:N−H変角振動、1119cm−1:C−O−C逆対称伸縮振動、759cm−1、691cm−1:m−二置換ベンゼンC−H面外変角振動、731cm−1:1,3,5−三置換ベンゼンC−H面外変角振動)。
ポリイミド前駆体Aを用いて以下の方法で感光性樹脂組成物を調製し、調製した組成物の評価を行った。ポリアミド酸エステルであるポリイミド前駆体A100gを、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)−オキシム(光開始剤)6g、1,3−ジメチロール尿素(尿素化合物U1)1g、トリルトリアゾール(ベンゾトリアゾール化合物)1g、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン(ヒンダードフェノール化合物)1g、N−フェニルジエタノールアミン10g、7−ジエチルアミノ−3−エトキシカルボニルクマリン0.05g、テトラエチレングリコールジメタクリレート8g、N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]フタルアミド酸1.5g、及び2−ニトロソ−1−ナフト−ル0.05gと共に、N−メチル−2−ピロリドン(以下ではNMPという)80gと乳酸エチル20gからなる混合溶媒に溶解した。得られた溶液の粘度を、少量の該混合溶媒を更に加えることによって約35ポイズに調整し、感光性樹脂組成物とした。
実施例1の、本発明におけるA成分、C成分、D成分、E成分である、ポリイミド前駆体A、1,3−ジメチロール尿素(U1)、トリルトリアゾール、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオンを、以下の表1に示す組成内容に代えて感光性樹脂組成物を調製し(U2〜U4については表1備考欄を、そしてU5〜U12については、以下を参照のこと)、それぞれ実施例1と同様の評価を行った。いずれの場合においても、前述の方法に従ってシリコンウエハー及び銅基板に塗布乾燥、露光、現像、熱処理して得たポリイミド塗膜のアスペクト比1以上を満たす最小露光量は200mJ/cm2以下と高感度であり、かつパターン精度も良好であり、銅基板上においても変色・腐食は見られず良好またはやや良好であり、23℃1ヶ月放置後の塗膜溶解時間の伸びも良好であった。
実施例2の組成にさらにチタニウムジイソプロポキサイドビス(エチルアセトアセテート)0.5gを加えた以外は実施例2と同様の感光性樹脂組成物を調製した。耐薬品性評価を行った結果、膜の膜厚変動±3%以内であり、クラックも観察されず良好であった。その他評価結果は、実施例2と同様であった。
実施例2の組成にさらにチタニウムテトラ(n−ブトキサイド)0.5gを加えた以外は実施例2と同様の感光性樹脂組成物を調製した。耐薬品性評価を行った結果、膜の膜厚変動±3%以内であり、クラックも観察されず良好であった。その他評価結果は、実施例2と同様であった。
実施例2の組成にさらにビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウム0.5gを加えた以外は実施例2と同様の感光性樹脂組成物を調製した。耐薬品性評価を行った結果、膜の膜厚変動±3%以内であり、クラックも観察されず良好であった。その他評価結果は、実施例2と同様であった。
実施例2、6、8−12の各感光性樹脂組成物を前述の方法に従いポリイミドテープとし、硬化レリーフパターンの伸度を測定した。結果を以下の表2に示す。実施例27−31においてはSi上、Cu上とも30%以上の伸びを示し良好であり、実施例32、33においてはSi上では30%以上の伸びを示し良好であり、Cu上では20%以上の伸びを示しやや良好であった。
実施例2の組成から1,3−ジメチロール尿素(U1)、トリルトリアゾール、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオンを抜いた以外は実施例2と同様の感光性樹脂組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行った。前述の方法に従ってシリコンウエハー及び銅基板に塗布乾燥、露光、現像、熱処理して得たポリイミド塗膜は、パターン精度は良好であったが、(C)成分を含まないためアスペクト比1以上を満たす最小露光量は250mJ/cm2と若干感度が低下しており、銅基板上では目視で変色が観察された。さらに23℃1ヶ月放置後の塗膜溶解時間の伸びは160%と不良であった。
実施例2の組成から1,3−ジメチロール尿素(U1)を抜いた以外は実施例2と同様の感光性樹脂組成物を調整し、実施例1と同様の評価を行った。前述の方法に従ってシリコンウエハー及び銅基板に塗布乾燥、露光、現像、熱処理して得たポリイミド塗膜は、パターン精度は良好であったが、(C)成分を含まないためアスペクト比1以上を満たす最小露光量は250mJ/cm2と若干感度が低下しており、さらに23℃1ヶ月放置後の塗膜溶解時間の伸びは160%と不良であった。一方銅基板上での変色は観察されなかった。
実施例3の組成から1,3−ジメチロール尿素(U1)1gをメトキシメチル化尿素樹脂(三和ケミカル社製、商標名ニカラック、品番MX−290、重合度1.8)(U2)40gとした以外は実施例3と同様の感光性樹脂組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行った。前述の方法に従ってシリコンウエハー及び銅基板に塗布乾燥、露光、現像、熱処理して得たポリイミド塗膜は、パターン精度は良好であり、アスペクト比1以上を満たす最小露光量は200mJ/cm2であったが、銅基板上において目視で変色が観察され不良であった。
実施例9の組成においてメトキシメチル化尿素樹脂(三和ケミカル社製、商標名ニカラック、品番MX−290、重合度1.8)(U2)1gを40gとした以外は実施例9と同様の感光性樹脂組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行った。前述の方法に従ってシリコンウエハー及び銅基板に塗布乾燥、露光、現像、熱処理して得たポリイミド塗膜は、パターン精度は良好であり、アスペクト比1以上を満たす最小露光量は200mJ/cm2であったが、銅基板上において光学顕微鏡で変色が観察されやや不良であった。
Claims (13)
- 以下の:
(A)下記一般式(1):
(B)光重合開始剤:1〜20質量部、及び
(C)下記一般式(3):
を含むネガ型感光性樹脂組成物。 - 上記(C)化合物、若しくはその重合体が、下記一般式(5):
- 上記(C)化合物、若しくはその重合体が、下記一般式(7):
- 上記(C)化合物、若しくはその重合体が、1,3−ジメチロール尿素、若しくはその重合体である、請求項1に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
- 前記ネガ型感光性樹脂組成物が、(D)下記一般式(8):
- 前記ネガ型感光性樹脂組成物が、(E)ヒンダードフェノール化合物0.1〜20質量部をさらに含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
- (E)ヒンダードフェノール化合物が、下記一般式(11):
下記一般式(12):
下記一般式(16):
下記一般式(17):
下記一般式(18):
- 前記ネガ型感光性樹脂組成物が、(F)有機チタン化合物0.05〜10質量部をさらに含有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
- 前記有機チタン化合物が、チタンキレート化合物、テトラアルコキシチタン化合物、及びチタノセン化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項8に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
- 以下のステップ:
(1)請求項1〜9のいずれか1項に記載のネガ型感光性樹脂組成物を基材に塗布し、
(2)該ネガ型感光性樹脂組成物に活性光線を照射し、
(3)該照射後のネガ型感光性樹脂組成物を現像してレリーフパターンを形成し、そして
(4)該レリーフパターンを加熱する、
を含む、硬化レリーフパターンの形成方法。 - 以下の:
(1)請求項1〜9のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂層を基板上に形成する工程と、
(2)前記感光性樹脂層を露光する工程と、
(3)前記露光後の未露光部を除去してレリーフパターンを形成する工程と、
(4)前記レリーフパターンを加熱処理する工程と
を含む、硬化レリーフパターンの製造方法。 - 請求項11に記載の製造方法により得られる硬化レリーフパターンを有してなる半導体装置。
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