JP2021173787A - 感光性樹脂組成物、硬化レリーフパターンの製造方法、硬化レリーフパターン、半導体装置及び表示体装置 - Google Patents

感光性樹脂組成物、硬化レリーフパターンの製造方法、硬化レリーフパターン、半導体装置及び表示体装置 Download PDF

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知士 小倉
Tomoshi Ogura
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Abstract

【課題】塗膜の硬化処理後に高い膜強度と破断伸度の両立を達成することができ、安定的にビアパターンを開口することが可能な感光性樹脂組成物を提供する。【解決手段】 (A)ポリイミド前駆体、(B)光重合開始剤、(C)光重合性物質、(D)溶剤を含む感光性樹脂組成物であって、以下の数式(S1)で表される現像時間増加率が130%以上200%未満であることを特徴とする。現像時間増加率(%)=(DT48/DT2)×100 (S1)(式中、DT2およびDT48は当該感光性樹脂組成物をシリコンウェハー上に塗膜し、110℃240秒間ベーク処理を行った後に、2時間および48時間静置し、23℃で現像液としてシクロペンタノンを用いて完全に溶解するまでの時間を示す。なお、ベーク処理後の膜厚が10.5μmであるものとする。)【選択図】なし

Description

本発明は、感光性樹脂組成物、該感光性樹脂組成物を硬化させることにより得られる硬化レリーフパターンの製造方法、硬化レリーフパターン、並びに該硬化レリーフパターンを有する半導体装置及び表示体装置に関する。
従来、電子部品の絶縁材料、及び半導体装置のパッシベーション膜、表面保護膜、層間絶縁膜等には、優れた耐熱性、電気特性及び機械特性を併せ持つポリイミド樹脂が用いられている。このポリイミド樹脂の中でも、感光性ポリイミド前駆体の形で供されるものは、該前駆体の塗布、露光、現像、及びキュアによる熱イミド化処理によって、耐熱性のレリーフパターン被膜を容易に形成することができる。このような感光性ポリイミド前駆体は、従来の非感光型ポリイミドに比べて、大幅な工程短縮を可能にするという特徴を有している。
一方、近年は、集積度及び機能の向上、並びにチップサイズの矮小化の観点から、半導体装置のプリント配線基板への実装方法も変化している。従来の金属ピンと鉛−錫共晶ハンダによる実装方法から、より高密度実装が可能なBGA(ボールグリップドアレイ)、CSP(チップサイズパッケージング)等のように、ポリイミド被膜が、直接ハンダバンプに接触する構造が用いられるようになってきている。このようなバンプ構造を形成する際、当該被膜には高い耐熱性と耐薬品性が要求される。
更に、半導体装置の微細化が進むことで、配線遅延の問題が顕在化している。半導体装置の配線抵抗を改善する手段として、これまで使用されてきた金又はアルミニウム配線から、より抵抗の低い銅又は銅合金の配線への変更が行われている。
また、配線間の絶縁性を高めることで配線遅延を防ぐ方法も採用されている。近年、この絶縁性の高い材料として、低誘電率材料が半導体装置を構成することが多い。しかし、低誘電率材料は脆く、壊れ易い傾向にある。低誘電率材料により構成された半導体装置では、例えばハンダリフロー工程を経て半導体チップとともに基板上に実装されたときに、温度変化による収縮で低誘電率材料部分が破壊されるという問題が存在している。
この問題を解決する手段として、例えば、特許文献1には、末端エチレン結合を有する炭素数4以上の感光性基の一部を炭素数1乃至3の炭化水素基に置換した感光性ポリイミド前駆体を用いることが開示されている。
また、高い膜強度を達成するために、感光性ポリイミドのジアミンユニットにビフェニル骨格を用いたものが報告されている。特許文献2によれば、ハロゲン原子を有するビフェニル骨格から構成されるポリマーと、特定の分子骨格を有する光重合開始剤、およびシリコンカプラーを用いることにより、高い耐熱性と良好な機械特性を維持したまま、高いi線透過率かつ低残留応力のポリイミドパターンが得られる。
特開平6−80776号公報 特許第6146005号公報
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載のポリイミド前駆体から成る感光性樹脂組成物は、膜強度を示す指標であるヤング率の観点では未だ十分ではなかった。
さらなる膜強度の向上には、直線性の高い剛直な芳香族成分を増加させたポリマーを用いることが一般的であるが、当該技術常識によれば、それに伴い膜の破断伸度が低下するという課題があった。
従って、本発明は、塗膜の硬化処理後に高い膜強度と破断伸度の両立を達成することができ、安定的にビアパターンを開口することが可能な感光性樹脂組成物、該感光性樹脂組成物を用いた硬化レリーフパターンの製造方法、硬化レリーフパターン、並びに該硬化レリーフパターンを備える半導体装置及び表示体装置を提供することを目的とする。
本発明者は、上記従来技術が有する課題に鑑みて、鋭意検討し実験を重ねた結果、ビフェニル骨格を有する感光性樹脂を特定の溶剤に溶解させた感光性樹脂組成物は、塗膜形成後の経過時間に従って塗膜内部の樹脂コンホメーションが変化することで現像液への溶解性が変化することを発見し、これまでにない優れた膜強度、高伸度、パターニング特性を併せ持つ硬化レリーフパターンが得られることを見出した。すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]
以下の成分:
(A)ポリイミド前駆体、
(B)光重合開始剤、
(C)光重合性物質、及び
(D)溶剤
を含む感光性樹脂組成物であって、前記(A)ポリイミド前駆体は、下記一般式(1):
Figure 2021173787
{式(1)中、Xは炭素数6〜40の4価の有機基であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は下記一般式(2):
Figure 2021173787
(式中、Rは、水素原子又は炭素数1〜3の有機基であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3の有機基であり、そしてmは、2〜10の整数である。)で表される一価の有機基、又は炭素数1〜4の飽和脂肪族基であり(但し、R及びRの両者は同時に水素原子であることはない。)、
は、下記一般式(3):
Figure 2021173787
(式中、R〜R13は、各々独立に、水素原子、フッ素原子または1価の有機基である。)で表される炭素数6〜40の2価の有機基である。}
で表される前駆体を含み、
前記(D)溶剤は、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドの少なくとも1種から選択され、
以下の数式(S1):
現像時間増加率(%)=(DT48/DT)×100 (S1)
(式中、DTおよびDT48は当該感光性樹脂組成物をシリコンウェハー上に塗膜し、110℃240秒間ベーク処理を行った後に、2時間および48時間静置し、23℃で現像液としてシクロペンタノンを用いて完全に溶解するまでの時間を示す。なお、塗膜工程では、ベーク処理後の膜厚が10.5μmであるものとする。)
で表される現像時間増加率が130%以上200%未満であることを特徴とする感光性樹脂組成物。
[2]
前記(A)ポリイミド前駆体の一般式(1)におけるYが、下記一般式(4):
Figure 2021173787
{式(4)中、R14及びR15は、各々独立に、水素原子又は炭化水素から成る1価の有機基である。}の構造を有する、[1]に記載の感光性樹脂組成物。
[3]
前記(A)ポリイミド前駆体において、前記一般式(1)中の前記Xが、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、ピロメリット酸二無水物(PMDA)から選択される少なくとも1種に由来する4価の有機基である、[1]又は[2]に記載の感光性樹脂組成物。
[4]
前記現像時間増加率が135%以上160%未満である、[1]〜[3]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[5]
前記(A)ポリイミド前駆体を少なくとも2種以上含有する、[1]〜[4]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[6]
前記感光性樹脂組成物中に含まれる全固形分のうち、(A)ポリイミド前駆体を除く成分量の合計が、(A)ポリイミド前駆体に対して26%以上60%未満である、[1]〜[5]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[7]
以下の工程:
(1)[1]〜[6]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を基板上に塗布して、感光性樹脂層を該基板上に形成する工程、
(2)該感光性樹脂層を露光する工程、
(3)該露光後の感光性樹脂層を現像して、レリーフパターンを形成する工程、及び
(4)該レリーフパターンを加熱処理して、硬化レリーフパターンを形成する工程、
を含む、硬化レリーフパターンの製造方法。
[8]
以下の工程:
(1)[1]〜[6]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を基板上に塗布して、
感光性樹脂層を該基板上に形成する工程、
(2)該感光性樹脂層を露光する工程、
(3)該露光後の感光性樹脂層を現像して、レリーフパターンを形成する工程、及び
(4)該レリーフパターンを加熱処理して、硬化レリーフパターンを形成する工程、を含む硬化レリーフパターンの製造方法であって、
(1)塗布による感光性樹脂層形成時に110℃240秒間の加熱を行う、硬化レリーフパターンの製造方法。
[9]
[7]又は[8]に記載の方法により製造された硬化レリーフパターン。
[10]
半導体素子と、該半導体素子の上部に設けられた硬化膜とを備える半導体装置であって、該硬化膜は、[9]に記載の硬化レリーフパターンである、半導体装置。
[11]
表示体素子と、該表示体素子の上部に設けられた硬化膜とを備える表示体装置であって、該硬化膜は、[9]に記載の硬化レリーフパターンである、表示体装置。
本発明によれば、高い膜強度と高伸度を両立し、かつ安定的に硬化レリーフパターンを得ることが可能な感光性樹脂組成物、該感光性組成物を用いた硬化レリーフパターンの製造方法、硬化レリーフパターン、並びに該硬化レリーフパターンを有する半導体装置及び表示体装置を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」と略記する。)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施の形態では、感光性樹脂組成物は、(A)ポリイミド前駆体、(B)光重合開始剤、(C)光重合性物質、及び(D)溶剤を含むネガ型感光性樹脂組成物であって、前記(A)ポリイミド前駆体は、下記一般式(1):
Figure 2021173787
{式(1)中、Xは炭素数6〜40の4価の有機基であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は下記一般式(2):
Figure 2021173787
(式中、Rは、水素原子又は炭素数1〜3の有機基であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3の有機基であり、そしてmは、2〜10の整数である。)で表される一価の有機基、又は炭素数1〜4の飽和脂肪族基であり(但し、R及びRの両者は同時に水素原子であることはない。)、
は、下記一般式(3):
Figure 2021173787
で表される炭素数6〜40の2価の有機基であり、R〜R13は、各々独立に、水素原子、フッ素原子または1価の有機基である。}
で表される前駆体を含み、
(D)溶剤は、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドの少なくとも1種から選択される。
そして、本発明の感光性樹脂組成物は、下記数式(S1):
現像時間増加率(%)=(DT48/DT)×100 (S1)
(式中、DTおよびDT48は、当該感光性樹脂組成物をシリコンウェハー上に塗膜し、110℃240秒間ベーク処理を行った後に、2時間および48時間静置し、23℃で現像液としてシクロペンタノンを用いて完全に溶解するまでの時間を示す。なお、塗膜工程では、ベーク処理後の膜厚が10.5μmであるものとする。)
で表される現像時間増加率が、130%以上200%未満であることを特徴とする。
このように、ビフェニル骨格を有する感光性樹脂を特定の溶剤に溶解させた、本発明の感光性樹脂組成物は、塗膜形成後の経過時間に従って塗膜内部の樹脂コンホメーションが変化することで、現像液への溶解性が変化し、従来になく優れた膜強度、高伸度、パターニング特性を併せ持つ硬化レリーフパターンが得られるものとなる。
従って、本発明の感光性樹脂組成物は、塗膜の硬化処理後に高い膜強度と破断伸度の両立を達成することができ、安定的にビアパターンを開口することが可能なものとなる。
上記効果を奏する詳細な機構は明らかではないが、本発明者らにより推定される機構を以下に記述する。
溶剤を含む感光性樹脂組成物は、粘性をもった流動体としてふるまうが、塗膜しベーク処理によって大部分の溶剤が揮発することで、一見流動性のない薄膜を形成する。しかし膜中には、残存した溶剤や、低分子量の添加剤成分が含有されているため、厳密にはポリマーの分子運動性が完全に抑制されているわけではなく、分子間相互作用力によって安定な3次元構造を構築するために再配列を繰り返している。膜強度の向上を目的に剛直なポリマーを用いると、膜中のポリマー間で芳香族部分によるπ−πスタッキングや分子間CT遷移などの強い相互作用力が働くため、長い時間を経ることでそれらが互いにパッキングし、現像液への溶解性が低下すると考えられる。このように塗膜後のベーク処理と経時変化でパッキングが生じ、現像時間が増加するような感光性樹脂組成物は、最終的な硬化レリーフパターンを形成した際に、これまでにない強度を有するパターン膜となりうる。
また、用いる溶媒についても選択的な特徴を有している。半導体パッケージに多く用いられる層間絶縁膜用の感光性樹脂組成物の報告例には、N−メチルピロリドンを溶剤として用いるものがそのほとんどを占めていた。このN−メチルピロリドン溶媒は、ポリマーあるいは添加物への溶解性が非常に高いという特徴を有しており、凝集析出などの懸念が少ない安定的な樹脂組成物用溶媒として好ましく用いられてきた。しかしこれは、N−メチルピロリドンが他の溶媒に比べ、ポリマーや添加物に対して溶媒和が生じやすいことを意味している。多数の溶媒分子に溶媒和され安定化したポリマー状態と、1分子ポリマー同士が分子間相互作用によって安定化した状態とを比較した場合、熱力学的エントロピーによる解釈から前者の方が優先される。そのため、N−メチルピロリドンを用いた際には前述した現像時間の増加が生じず、特定の溶媒、例えばγ―ブチロラクトンやジメチルスルホキシドなど、N−メチルピロリドンと比較して溶解性の劣る溶媒を用いたときにのみ特異的に生じることを発見した。
これまでになされてきた報告によれば、塗膜形成後から現像までの時間によって現像に有する時間は変化しないことが一般的とされていたが、これは製造プロセス上におけるロバストネスを確保するためであり、さらなる膜強度と高伸度を達成するために、この点に着想を得た発明はこれまでになされていなかった。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、所望により、その他の成分を含む。各成分を以下に順に説明する。
なお、本明細書を通じ、一般式において同一符号で表されている構造は、分子中に複数存在する場合に、互いに同一であるか、又は異なっていてもよい。
(A)ポリイミド前駆体
本発明に用いられる(A)ポリイミド前駆体について説明する。本発明の感光性樹脂組成物における樹脂成分は、下記一般式(1)で表される構造単位を有するポリアミドである。(A)ポリイミド前駆体は、加熱(例えば200℃以上)環化処理を施すことによってポリイミドに変換される。
下記一般式(1):
Figure 2021173787
{式中、Xは、4価の有機基であり、Yは、2価の有機基であり、nは、2〜150の整数であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は下記一般式(2):
Figure 2021173787
(式中、Rは、水素原子又は炭素数1〜3の有機基であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3の有機基であり、そしてmは、2〜10の整数である。)で表される一価の有機基、又は炭素数1〜4の飽和脂肪族基である。但し、R及びRの両者は同時に水素原子であることはない。}
上記一般式(1)中、Xで表される4価の有機基としては、好ましくは炭素数6〜40の有機基であり、さらに好ましくは、−COOR 基および−COOR 基と−CONH−基とは互いにオルト位置にある芳香族基、又は脂環式脂肪族基である。さらに好ましくは、下記式(5)で表される有機基が挙げられる。
Figure 2021173787
高い膜強度を保ちつつ硬化レリーフパターンの解像度を高める観点から、上記一般式(1)中、Xで表される4価の有機基としては、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)のうち少なくとも1種から選択されることが好ましい。
また、Xの構造は1種でも2種以上の組み合わせでもよい。
上記一般式(1)中、Yは、下記一般式(3)で表される2価の有機基である。
Figure 2021173787
一般式(3)中、R〜R13は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、又は1価の有機基である。
基板との密着性を発現する観点から、Yは、下記一般式(4)で表される形が好ましい。
Figure 2021173787
{式(4)中、R14及びR15は、各々独立に、水素原子又は炭化水素から成る1価の有機基である。}
一般式(3)または一般式(4)の構造を有することで硬化後の膜強度が向上し、かつ良好な硬化レリーフパターンを得ることができる。
また、Yの構造は1種でも2種以上の組み合わせでもよい。
さらに、(A)ポリイミド前駆体は、一般式(1)で表され、且つ、R及びRの少なくともいずれかが前記一般式(2)で表される基を含み、且つ、一般式(2)で表される基を含むR及びRの末端に二重結合を有する前駆体を含むことが好ましい。一般式(2)で表されるR及びRの末端に二重結合を有することで、更に高い効果を奏するものとなる。
(A)ポリイミド前駆体は、加熱(例えば200℃以上)環化処理を施すことによってポリイミドに変換される。
[(A)ポリイミド前駆体の調製方法]
本実施形態における上記一般式(1)で表されるポリイミド前駆体は、例えば、前述の炭素数6〜40の4価の有機基Xを含むテトラカルボン酸二無水物と、(a)上記一般式(2)で表される1価の有機基と水酸基とが結合して成るアルコール類を反応させて、部分的にエステル化したテトラカルボン酸(以下、アシッド/エステル体ともいう)を調製し、続いて前述の一般式(3)で表される2価の有機基Yを含むジアミン類と重縮合させることにより得られる。
(アシッド/エステル体の調製)
本実施形態において、炭素数6〜40の4価の有機基Xを含むテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、無水ピロメリット酸、ジフェニルエーテル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルメタン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−無水フタル酸)プロパン、2,2−ビス(3,4−無水フタル酸)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等を挙げることができる。また、これらは、1種を単独で、又は2種以上を混合して、使用されることができる。
(a)上記一般式(2)で表される炭素数5〜30の脂肪族又は炭素数6〜30の芳香族アルコール類として、例えば、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、ネオペンチルアルコール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、3−オクタノール、1−ノナノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、ベンジルアルコール等を挙げることができる。
ネガ型感光性樹脂組成物中の上記(a)成分の含有量は、R及びRの全ての含有量に対し、80モル%を超えることが好ましい。(a)成分の含有量が80モル%を超えると、所望の感光特性を得ることができるので好ましい。
ネガ型感光性樹脂組成物中の上記(a)成分の含有量は、R及びRの全ての含有量に対し、85モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることが好ましく、95モル%以上であることが好ましい。
上記のテトラカルボン酸二無水物と上記のアルコール類とを、ピリジン等の塩基性触媒の存在下、反応溶媒中、反応温度20〜50℃で4〜10時間に亘って撹拌、溶解及び混合することにより、酸二無水物のハーフエステル化反応が進行し、所望のアシッド/エステル体を得ることができる。
上記反応溶媒としては、該アシッド/エステル体、及び該アシッド/エステル体とジアミン類との重縮合生成物であるポリイミド前駆体を溶解するものが好ましく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ガンマブチロラクトン、ケトン類、エステル類、ラクトン類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。これらは必要に応じて、単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
(ポリイミド前駆体の調製)
上記アシッド/エステル体(典型的には上記反応溶媒中の溶液)に、氷冷下、既知の脱水縮合剤、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン、1,1−カルボニルジオキシ−ジ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、N,N’−ジスクシンイミジルカーボネート等を投入混合してアシッド/エステル体をポリ酸無水物とした後、これに、一般式(3)の2価の有機基Yを含むジアミン類を別途溶媒に溶解又は分散させたものを滴下投入し、重縮合させることにより、実施の形態で用いることができるポリイミド前駆体を得ることができる。
本発明で好適に用いられる2価の有機基Y を含むジアミン類としては、例えば、2,2’−ジメチル−4,4−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジメチトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’,3,3’−テトラメチル−4,4−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル等を用いることができる。これらの中でも、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチトキシ−4,4’−ジアミノビフェニルを用いることが好ましく、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニルを用いることがさらに好ましい。
また、各種基板との密着性の向上を目的に、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラフェニルジシロキサン等のジアミノシロキサン類を共重合することもできる。
反応終了後、当該反応液中に共存している脱水縮合剤の吸水副生物を、必要に応じて濾別した後、水、脂肪族低級アルコール、又はその混合液など貧溶媒を、得られた重合体成分に投入し、重合体成分を析出させ、さらに、再溶解、再沈析出操作などを繰り返すことにより、重合体を精製し、真空乾燥を行い、目的のポリイミド前駆体を単離する。精製度を向上させるために、陰陽イオン交換樹脂を適当な有機溶媒で膨潤させて充填したカラムに、この重合体の溶液を通し、イオン性不純物を除去してもよい。
(A)ポリイミド前駆体の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算重量平均分子量で測定した場合に、8,000〜150,000であることが好ましく、9,000〜50,000であることがより好ましく、20,000〜40,000であることが特に好ましい。重量平均分子量が8,000以上である場合には、機械物性が良好であるため好ましく、一方で、150,000以下である場合には、現像液への分散性及びレリーフパターンの解像性能が良好であるため好ましい。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーの展開溶媒としては、テトラヒドロフラン、及びN−メチル−2−ピロリドンが推奨される。また分子量は、標準単分散ポリスチレンを用いて作成した検量線から求める。標準単分散ポリスチレンとしては、昭和電工社製 有機溶媒系標準試料 STANDARD SM−105から選ぶことが推奨される。
(B)光重合開始剤
本実施形態における(B)光重合開始剤について説明する。(B)光重合開始剤としては、UV硬化用の光重合開始剤として従来用いられている化合物を任意に選択できる。例えば、(B)光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン等のベンゾフェノン誘導体;2,2’−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン誘導体;チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン等のチオキサントン誘導体;ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール等のベンジル誘導体;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾイン誘導体;1−フェニル−1,2−ブタンジオン−2−(O−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−ベンゾイル)オキシム、1,3−ジフェニルプロパントリオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシプロパントリオン−2−(O−ベンゾイル)オキシム等のオキシム類;N−フェニルグリシン等のN−アリールグリシン類;ベンゾイルパークロライド等の過酸化物類;芳香族ビイミダゾール類等が好ましく挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらは、1種を単独で又は2種以上を混合して使用されることができる。上記の(B)光重合開始剤の中では、特に光感度の点で、オキシム類がより好ましい。
(B)光重合開始剤の配合量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対し、0.1質量部〜20質量部であり、光感度特性の観点から2質量部〜15質量部が好ましい。(B)光重合開始剤を(A)ポリイミド前駆体100質量部に対し0.1質量部以上配合することで感光性樹脂組成物は光感度に優れ、一方で、20質量部以下配合することで感光性樹脂組成物は厚膜硬化性に優れる。
(C)光重合性物質
本実施形態における(C)光重合性物質について説明する。レリーフパターンの解像性を向上させるために、光重合性の不飽和結合を有するモノマーを任意にネガ型感光性樹脂組成物に配合することができる。このようなモノマーとしては、光重合開始剤によりラジカル重合反応する(メタ)アクリル化合物が好ましく、特に以下に限定するものではないが、ジエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレートをはじめとする、エチレングリコール又はポリエチレングリコールのモノ又はジアクリレート及びメタクリレート、プロピレングリコール又はポリプロピレングリコールのモノ又はジアクリレート及びメタクリレート、グリセロールのモノ、ジ又はトリアクリレート及びメタクリレート、シクロヘキサンジアクリレート及びジメタクリレート、1,4−ブタンジオールのジアクリレート及びジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールのジアクリレート及びジメタクリレート、ネオペンチルグリコールのジアクリレート及びジメタクリレート、ビスフェノールAのモノ又はジアクリレート及びメタクリレート、ベンゼントリメタクリレート、イソボルニルアクリレート及びメタクリレート、アクリルアミド及びその誘導体、メタクリルアミド及びその誘導体、トリメチロールプロパントリアクリレート及びメタクリレート、グリセロールのジ又はトリアクリレート及びメタクリレート、ペンタエリスリトールのジ、トリ、又はテトラアクリレート及びメタクリレート、並びにこれら化合物のエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物等の化合物を挙げることができる。
光重合性の不飽和結合を有するモノマーの配合量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対し、1質量部〜50質量部であることが好ましい。
(E)溶剤
本発明の感光性樹脂組成物において(E)成分として用いる溶剤としては、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドのうち少なくとも1種から選択される。これらの溶剤を用いることで、塗膜工程およびベーク処理後の静置時間によって生じる現像時間の増加を助長し、高い膜強度と高伸度を両立することができる。これらは単独又は2種以上の組合せで用いることができる。
上記3種の溶剤と比較し、(A)ポリイミド前駆体に対する溶解性が高い溶剤を用いると、塗膜工程およびベーク処理後においてもポリマーへの溶媒和が優先し、現像時間の変化が見られず、高伸度の膜を得ることができない。また、上記3種の溶剤と比較して(A)ポリイミド前駆体に対する溶解性が低い溶剤を用いると、所望の固形分濃度や粘度を設定することができない、あるいは冷凍保存中にゲル化が生じる、などの課題が発生する。
上記溶剤は、ネガ型感光性樹脂組成物の所望の塗布膜厚及び粘度に応じて、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対し、例えば、30質量部〜1500質量部の範囲、好ましくは100質量部〜1000質量部の範囲で用いることができる。
更に、ネガ型感光性樹脂組成物の保存安定性を向上させる観点から、アルコール類を含む溶剤が好ましい。好適に使用できるアルコール類は、典型的には、分子内にアルコール性水酸基を持ち、オレフィン系二重結合を有さないアルコールであり、具体的な例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルキルアルコール類;乳酸エチル等の乳酸エステル類;プロピレングリコール−1−メチルエーテル、プロピレングリコール−2−メチルエーテル、プロピレングリコール−1−エチルエーテル、プロピレングリコール−2−エチルエーテル、プロピレングリコール−1−(n−プロピル)エーテル、プロピレングリコール−2−(n−プロピル)エーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル等のモノアルコール類;2−ヒドロキシイソ酪酸エステル類;エチレングリコール、及びプロピレングリコール等のジアルコール類を挙げることができる。これらの中では、乳酸エステル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、2−ヒドロキシイソ酪酸エステル類、及びエチルアルコールが好ましく、特に乳酸エチル、プロピレングリコール−1−メチルエーテル、プロピレングリコール−1−エチルエーテル、及びプロピレングリコール−1−(n−プロピル)エーテルがより好ましい。
溶剤が、オレフィン系二重結合を有さないアルコールを含有する場合、全溶剤中のオレフィン系二重結合を有さないアルコールの含有量は、全溶剤の質量を基準として、5質量%〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは10質量%〜30質量%である。オレフィン系二重結合を有さないアルコールの上記含有量が5質量%以上の場合、ネガ型感光性樹脂組成物の保存安定性が良好になり、一方で、50質量%以下の場合、(A)ポリイミド前駆体の溶解性が良好になるため好ましい。
<その他の成分>
本実施形態では、ネガ型感光性樹脂組成物は、上記(A)〜(D)成分以外の成分をさらに含有してもよい。その他の成分としては、例えば、前記(A)ポリイミド前駆体以外の樹脂成分、増感剤、光重合性の不飽和結合を有するモノマー、接着助剤、熱重合禁止剤、アゾール化合物、ヒンダードフェノール化合物、有機チタン化合物などが挙げられる。
実施の形態では、ネガ型感光性樹脂組成物は、前記(A)ポリイミド前駆体以外の樹脂成分をさらに含有してもよい。ネガ型感光性樹脂組成物に含有させることができる樹脂成分としては、例えば、ポリイミド、ポリオキサゾール、ポリオキサゾール前駆体、フェノール樹脂、ポリアミド、エポキシ樹脂、シロキサン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。これらの樹脂成分の配合量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対して、好ましくは0.01質量部〜20質量部の範囲である。
実施の形態では、ネガ型感光性樹脂組成物には、光感度を向上させるために増感剤を任意に配合することができる。該増感剤としては、例えば、ミヒラーズケトン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,5−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタン、2,6−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p−ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p−ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2−(p−ジメチルアミノフェニルビフェニレン)−ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)イソナフトチアゾール、1,3−ビス(4’−ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3’−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−アセチル−7−ジメチルアミノクマリン、3−エトキシカルボニル−7−ジメチルアミノクマリン、3−ベンジロキシカルボニル−7−ジメチルアミノクマリン、3−メトキシカルボニル−7−ジエチルアミノクマリン、3−エトキシカルボニル−7−ジエチルアミノクマリン、N−フェニル−N’−エチルエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、N−p−トリルジエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、4−モルホリノベンゾフェノン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、2−メルカプトベンズイミダゾール、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ナフト(1,2−d)チアゾール、2−(p−ジメチルアミノベンゾイル)スチレン等が挙げられる。これらは単独で、又は複数(例えば2〜5種類)の組合せで用いることができる。
増感剤の配合量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対し、0.1質量部〜25質量部であることが好ましい。
実施の形態では、ネガ型感光性樹脂組成物を用いて形成される膜と基材との接着性を向上させるために、接着助剤を任意にネガ型感光性樹脂組成物に配合することができる。接着助剤としては、例えば、γ−アミノプロピルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ジメトキシメチル−3−ピペリジノプロピルシラン、ジエトキシ−3−グリシドキシプロピルメチルシラン、N−(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)スクシンイミド、N−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕フタルアミド酸、ベンゾフェノン−3,3’−ビス(N−〔3−トリエトキシシリル〕プロピルアミド)−4,4’−ジカルボン酸、ベンゼン−1,4−ビス(N−〔3−トリエトキシシリル〕プロピルアミド)−2,5−ジカルボン酸、3−(トリエトキシシリル)プロピルスクシニックアンハイドライド、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、及びアルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート等のアルミニウム系接着助剤等が挙げられる。
これらの接着助剤のうちでは、接着力の点からシランカップリング剤を用いることがより好ましい。接着助剤の配合量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対し、0.5質量部〜25質量部の範囲が好ましい。
実施の形態では、特に溶剤を含む溶液の状態での保存時のネガ型感光性樹脂組成物の粘度及び光感度の安定性を向上させるために、熱重合禁止剤を任意に配合することができる。熱重合禁止剤としては、例えば、ヒドロキノン、N−ニトロソジフェニルアミン、ptert−ブチルカテコール、フェノチアジン、N−フェニルナフチルアミン、エチレンジアミン四酢酸、1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、2,6−ジ−tert−ブチル−p−メチルフェノール、5−ニトロソ−8−ヒドロキシキノリン、1−ニトロソ−2−ナフトール、2−ニトロソ−1−ナフトール、2−ニトロソ−5−(N−エチル−N−スルフォプロピルアミノ)フェノール、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩、N−ニトロソ−N(1−ナフチル)ヒドロキシルアミンアンモニウム塩等が用いられる。
熱重合禁止剤の配合量としては、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対し、0.005質量部〜12質量部の範囲が好ましい。
例えば、銅又は銅合金から成る基板を用いる場合には、基板変色を抑制するためにアゾール化合物を任意にネガ型感光性樹脂組成物に配合することができる。アゾール化合物としては、例えば、1H−トリアゾール、5−メチル−1H−トリアゾール、5−エチル−1H−トリアゾール、4,5−ジメチル−1H−トリアゾール、5−フェニル−1H−トリアゾール、4−t−ブチル−5−フェニル−1H−トリアゾール、5−ヒドロキシフェニル−1H−トリアゾール、フェニルトリアゾール、p−エトキシフェニルトリアゾール、5−フェニル−1−(2−ジメチルアミノエチル)トリアゾール、5−ベンジル−1H−トリアゾール、ヒドロキシフェニルトリアゾール、1,5−ジメチルトリアゾール、4,5−ジエチル−1H−トリアゾール、1H−ベンゾトリアゾール、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α―ジメチルベンジル)フェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、4−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、4−カルボキシ−1H−ベンゾトリアゾール、5−カルボキシ−1H−ベンゾトリアゾール、1H−テトラゾール、5−メチル−1H−テトラゾール、5−フェニル−1H−テトラゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、1−メチル−1H−テトラゾール等が挙げられる。特に好ましくは、トリルトリアゾール、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、及び4−メチル−1H−ベンゾトリアゾールが挙げられる。また、これらのアゾール化合物は、1種で用いても2種以上の混合物で用いてもよい。
アゾール化合物の配合量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対し、0.1質量部〜20質量部であることが好ましく、光感度特性の観点から0.5質量部〜5質量部であることがより好ましい。アゾール化合物の(A)ポリイミド前駆体100質量部に対する配合量が0.1質量部以上である場合には、ネガ型感光性樹脂組成物を銅又は銅合金の上に形成したときに、銅又は銅合金表面の変色が抑制され、一方、20質量部以下である場合には、光感度に優れるため好ましい。
実施の形態では、銅上の変色を抑制するためにヒンダードフェノール化合物を任意にネガ型感光性樹脂組成物に配合することができる。ヒンダードフェノール化合物としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチル−ハイドロキノン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4、4’−メチレンビス(2、6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオ−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N,N’ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5−トリス(3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−4−イソプロピルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−s−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス[4−(1−エチルプロピル)−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス[4−トリエチルメチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−4−フェニルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,5,6−トリメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−5−エチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−6−エチル−3−ヒドロキシ−2−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−6−エチル−3−ヒドロキシ−2,5−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−5,6−ジエチル−3−ヒドロキシ−2−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,5−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−5−エチル−3−ヒドロキシ−2−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン等が挙げられるが、これに限定されるものではない。これらの中でも、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオンが特に好ましい。
ヒンダードフェノール化合物の配合量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対し、0.1質量部〜20質量部であることが好ましく、光感度特性の観点から0.5質量部〜10質量部であることがより好ましい。ヒンダードフェノール化合物の(A)ポリイミド前駆体100質量部に対する配合量が0.1質量部以上である場合、例えば銅又は銅合金の上にネガ型感光性樹脂組成物を形成した場合に、銅又は銅合金の変色・腐食が防止され、一方、20質量部以下である場合には光感度に優れるため好ましい。
実施の形態では、湿熱耐久試験後の伸度を向上させる目的で有機チタン化合物を使用することができる。
使用可能な有機チタン化合物としては、チタン原子に有機化学物質が共有結合あるいはイオン結合を介して結合しているものであれば特に制限はない。
有機チタン化合物の具体例を以下のI)〜VII)に示す:
I)チタンキレート化合物:中でも、アルコキシ基を2個以上有するチタンキレートが、ネガ型感光性樹脂組成物の保存安定性及び良好なパターンが得られることからより好ましく、具体的な例は、チタニウムビス(トリエタノールアミン)ジイソプロポキサイド、チタニウムジ(n−ブトキサイド)ビス(2,4−ペンタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキサイドビス(2,4−ペンタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキサイドビス(エチルアセトアセテート)等である。
II)テトラアルコキシチタン化合物:例えば、チタニウムテトラ(n−ブトキサイド)、チタニウムテトラエトキサイド、チタニウムテトラ(2−エチルヘキソキサイド)、チタニウムテトライソブトキサイド、チタニウムテトライソプロポキサイド、チタニウムテトラメトキサイド、チタニウムテトラメトキシプロポキサイド、チタニウムテトラメチルフェノキサイド、チタニウムテトラ(n−ノニロキサイド)、チタニウムテトラ(n−プロポキサイド)、チタニウムテトラステアリロキサイド、チタニウムテトラキス[ビス{2,2−(アリロキシメチル)ブトキサイド}]等である。
III)チタノセン化合物:例えば、ペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウムトリメトキサイド、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)ビス(2,6−ジフルオロフェニル)チタニウム、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウム等である。
IV)モノアルコキシチタン化合物:例えば、チタニウムトリス(ジオクチルホスフェート)イソプロポキサイド、チタニウムトリス(ドデシルベンゼンスルホネート)イソプロポキサイド等である。
V)チタニウムオキサイド化合物:例えば、チタニウムオキサイドビス(ペンタンジオネート)、チタニウムオキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、フタロシアニンチタニウムオキサイド等である。
VI)チタニウムテトラアセチルアセトネート化合物:例えば、チタニウムテトラアセチルアセトネート等である。
VII)チタネートカップリング剤:例えば、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート等である。
上記I)〜VII)の中でも、有機チタン化合物が、上記I)チタンキレート化合物、II)テトラアルコキシチタン化合物、及びIII)チタノセン化合物から成る群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが、より良好な耐薬品性を奏するという観点から好ましい。特に、チタニウムジイソプロポキサイドビス(エチルアセトアセテート)、
チタニウムテトラ(n−ブトキサイド)、及びビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウムが好ましい。
これらの有機チタン化合物の添加量は、(A成分として使用するポリアミド酸エステル100重量部に対し、0.01〜10重量部であることが好ましく、更に好ましくは0.1〜2重量部である。添加量が0.01重量部未満となると所望の密着性が発現せず、また10重量部を超えると保存安定性に劣ることがある。
本実施形態の感光性樹脂組成物において、感光性樹脂組成物中に含まれる全固形分のうち、(A)ポリイミド前駆体を除く成分量の合計が、(A)ポリイミド前駆体に対して26%以上60%未満であることが好ましい。26%以上を含有することで、塗膜工程およびベーク処理後の初期の現像時間の絶対値を短くすることができ、半導体製造工程におけるスループットの向上につながる。また、60%未満とすることで湿熱耐久試験後の膜物性を保つことができる。
<硬化レリーフパターンの製造方法>
本実施の形態では、以下の工程(1)〜(4):
(1)上述した実施の形態のネガ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布して、感光性樹脂層を基板上に形成する工程、
(2)感光性樹脂層を露光する工程、
(3)露光後の感光性樹脂層を現像して、レリーフパターンを形成する工程、及び、
(4)レリーフパターンを加熱処理して、硬化レリーフパターンを形成する工程
を含む、硬化レリーフパターンの製造方法を提供することができる。
以下、各工程について説明する。
(1)ネガ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布して、感光性樹脂層を該基板上に形成する工程
本工程では、上述した実施の形態のネガ型感光性樹脂組成物を基材上に塗布し、必要に応じて、その後に乾燥させて、感光性樹脂層を形成する。塗布方法としては、従来から感光性樹脂組成物の塗布に用いられていた方法、例えば、スピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷機等で塗布する方法、スプレーコーターで噴霧塗布する方法等を用いることができる。
必要に応じて、ネガ型感光性樹脂組成物から成る塗膜を乾燥させることができ、そして乾燥方法としては、例えば、風乾、オーブン又はホットプレートによる加熱乾燥、真空乾燥等の方法が用いられる。また、塗膜の乾燥は、ネガ型感光性樹脂組成物中の(A)ポリイミド前駆体のイミド化が起こらないような条件で行うことが望ましい。具体的には、風乾又は加熱乾燥を行う場合、20℃〜140℃で1分〜1時間の条件で乾燥を行うことができる。100℃〜120℃で230秒〜250秒間の加熱を行うことが好ましく、110℃で240秒間の加熱を行うことがより好ましい。以上により基板上に感光性樹脂層を形成できる。
(2)感光性樹脂層を露光する工程
本工程では、上記(1)工程で形成した感光性樹脂層を、コンタクトアライナー、ミラープロジェクション、ステッパー等の露光装置を用いて、パターンを有するフォトマスク又はレチクルを介して又は直接に、紫外線光源等により露光する。
この後、光感度の向上等の目的で、必要に応じて、任意の温度及び時間の組合せによる露光後ベーク(PEB)及び/又は現像前ベークを施してもよい。ベーク条件の範囲は、温度は40℃〜120℃であることが好ましく、時間は10秒〜240秒であることが好ましいが、ネガ型感光性樹脂組成物の諸特性を阻害するものでない限り、この範囲に限らない。
(3)露光後の感光性樹脂層を現像して、レリーフパターンを形成する工程
本工程では、露光後の感光性樹脂層のうち未露光部を現像除去する。露光(照射)後の感光性樹脂層を現像する現像方法としては、従来知られているフォトレジストの現像方法、例えば、回転スプレー法、パドル法、超音波処理を伴う浸漬法等の中から任意の方法を選択して使用することができる。また、現像の後、レリーフパターンの形状を調整する等の目的で、必要に応じて、任意の温度及び時間の組合せによる現像後ベークを施してもよい。
現像に使用される現像液としては、例えば、ネガ型感光性樹脂組成物に対する良溶媒、又は該良溶媒と貧溶媒との組合せが好ましい。良溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン等が好ましい。貧溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、乳酸エチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート及び水等が好ましい。良溶媒と貧溶媒とを混合して用いる場合には、ネガ型感光性樹脂組成物中のポリマーの溶解性によって良溶媒に対する貧溶媒の割合を調整することが好ましい。また、各溶媒を2種以上、例えば数種類組合せて用いることもできる。
(4)レリーフパターンを加熱処理して、硬化レリーフパターンを形成する工程
本工程では、上記現像により得られたレリーフパターンを加熱して感光成分を希散させるとともに、(A)ポリイミド前駆体をイミド化させることによって、ポリイミドから成る硬化レリーフパターンに変換する。加熱硬化の方法としては、例えば、ホットプレートによるもの、オーブンを用いるもの、温度プログラムを設定できる昇温式オーブンを用いるもの等種々の方法を選ぶことができる。加熱は、例えば、200℃〜400℃で30分〜5時間の条件で行うことができる。加熱硬化時の雰囲気気体としては空気を用いてもよく、窒素、アルゴン等の不活性ガスを用いることもできる。
<現像時間増加率の算出方法>
本発明では、以下の数式(S1)で表される現像時間増加率が130%以上200%未満であることを特徴とする。
現像時間増加率(%)=(DT48/DT)×100 (S1)
DTおよびDT48はそれぞれ、以下条件にて評価した時の現像時間を表す。
すなわち、室温23℃±1℃、湿度45%±5%、イエローライトの環境下において、シリコンウェハー上にスピンコーターを用いて当該感光性樹脂組成物を塗膜し、110℃240秒間ベーク処理を行う。なお塗膜工程は、ベーク処理後の膜厚が10.5μmであるものとする。
得られたシリコンウェハー上の塗膜を2時間静置し、露光工程を経ずに、良溶媒としてシクロペンタノン、貧溶媒としてプロピレングリコールメチルエーテルアセテートを用いたスプレー現像を行う。この時、シリコンウェハー上の塗膜が完全に消失するまでの現像時間をDTとする。同様に、塗膜工程およびベーク処理後から48時間静置させたシリコンウェハー上の塗膜を、上記条件を用いて現像した時に、完全に塗膜が消失するまでの現像時間をDT48とする。
本発明において定められた現像時間増加率が130%以上200%未満であることで、熱硬化レリーフパターンが高い膜強度と高伸度を両立できる。膜強度および破断伸度を保ちつつ硬化レリーフパターンの解像度を高めるために、現像時間増加率は135%以上160%未満であることがさらに好ましい。
現像時間増加率が130%に満たない場合、ポリマーのパッキングが十分でなく、望む伸度を得ることができない。現像時間増加率が200%以上である場合、面内で均一なレリーフパターンを得ることが困難となり、製造を行う上で許容されない。
なお、本パラメーターは感光性樹脂組成物の特性を評価するものであり、実際の硬化レリーフパターン作製時の塗膜から現像までの時間を限定するものではない。塗膜から現像までの時間は製造上許容される範囲であれば特に制限されないが、膜の十分な光硬化および製造効率の観点から1時間以上24時間未満が好ましい。
本発明における感光性樹脂組成物は、塗膜から現像までの経時に従って一定の増加率で現像時間が変化するため、硬化レリーフパターン作製時には適切な現像時間を予め算出しておくことで、過不足ない現像が可能となる。
<半導体装置>
本実施の形態では、上述した硬化レリーフパターンの製造方法により得られる硬化レリーフパターンを有して成る、半導体装置も提供される。したがって、半導体素子である基材と、上述した硬化レリーフパターン製造方法により該基材上に形成されたポリイミドの硬化レリーフパターンとを有する半導体装置が提供されることができる。
また、本発明は、基材として半導体素子を用い、上述した硬化レリーフパターンの製造方法を工程の一部として含む半導体装置の製造方法にも適用できる。本発明の半導体装置は、上記硬化レリーフパターン製造方法で形成される硬化レリーフパターンを、表面保護膜、層間絶縁膜、再配線用絶縁膜、フリップチップ装置用保護膜、又はバンプ構造を有する半導体装置の保護膜等として形成し、既知の半導体装置の製造方法と組合せることで製造することができる。
<表示体装置>
本実施の形態では、表示体素子と該表示体素子の上部に設けられた硬化膜とを備える表示体装置であって、該硬化膜は上述の硬化レリーフパターンである表示体装置が提供される。ここで、当該硬化レリーフパターンは、当該表示体素子に直接接して積層されていてもよく、別の層を間に挟んで積層されていてもよい。例えば、該硬化膜として、TFT液晶表示素子及びカラーフィルター素子の表面保護膜、絶縁膜、及び平坦化膜、MVA型液晶表示装置用の突起、並びに有機EL素子陰極用の隔壁を挙げることができる。
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、上記のような半導体装置への適用の他、多層回路の層間絶縁、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、及び液晶配向膜等の用途にも有用である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。実施例、比較例、及び製造例においては、ポリマー又はネガ型感光性樹脂組成物の物性を以下の方法に従って測定及び評価を行った。
(1)重量平均分子量
各ポリイミド前駆体の重量平均分子量(Mw)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(標準ポリスチレン換算)で測定した。測定に用いたカラムは、昭和電工社製 商標名 Shodex 805M/806M直列であり、標準単分散ポリスチレンは、昭和電工(株)製Shodex STANDARD SM−105を選び、展開溶媒はN−メチル−2−ピロリドンであり、検出器は昭和電工製 商標名 Shodex RI−930を使用した。
(2)現像時間DTおよびDT48評価
6インチシリコンウエハー上に、ベーク後の膜厚が約10.5μmとなるように感光性樹脂組成物を回転塗布し、110℃で240秒間ホットプレートにてプリベークを行い、塗膜を形成した。温度23℃、湿度45%、イエローライトの環境下で2時間静置し、現像機D−SPIN(SOKUDO社製)にて、23℃で現像液としてシクロペンタノンを用いてウェハー上の膜が完全に溶解消失するまでの時間をDTとした。48時間静置したウェハーに対して同様の処理を行い、膜が完全に消失するまでの時間をDT48とした。
そして、現像時間DTおよびDT48から、以下の数式(S1)により現像時間増加率(%)を求めた。
現像時間増加率(%)=(DT48/DT)×100 (S1)
(3)硬化レリーフパターン(ポリイミド塗膜)の解像性評価
6インチシリコンウエハー上に、硬化後の膜厚が約7μmとなるように感光性樹脂組成物を回転塗布し、110℃で240秒間ホットプレートにてプリベークを行い、塗膜を形成した。この塗膜に、テストパターン付きレチクルを通して、i線(365nm)の露光波長を有するステッパーNSR2005i11A(ニコン社製)を用いて露光量400mJ/cmのi線を照射することにより露光した。次に、現像機D−SPIN(SOKUDO社製)にて、23℃で現像液としてシクロペンタノンを用いて、未露光部が完全に溶解消失するまでの時間に1.4を乗じた時間の回転スプレー現像を施し、引き続きプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで10秒間回転スプレーリンスし、樹脂膜からなるレリーフパターンを得た。続いて、縦型キュア炉VF200B(光洋サーモシステム社製)にて窒素雰囲気下で280℃2時間硬化を行い、硬化レリーフパターンを得た。
得られた各パターンについて、パターン形状やパターン部の幅を光学顕微鏡下で観察し、解像度を求めた。解像度に関しては、テストパターン付きレチクルを介して露光することにより複数の異なる面積の開口部を有するパターンを上記と同様の方法で形成し、得られたパターン開口部の面積が、対応するパターンマスク開口面積の1/2以上であれば解像されたものとみなし、解像された開口部のうち最小面積を有するものに対応するマスクの開口辺の長さを解像度とした。また、以下の基準に基づきパターン精度を評価した。
A:パターン断面がすそびきしておらず、膨潤やブリッジングが起こっていないものであり、且つ解像度が10μm以下であるもの。更に、加熱硬化時にパターン形状が変動しないもの。
B:パターン断面がすそびきしておらず、膨潤やブリッジングが起こっていないものであり、且つ解像度が12μm以下であるもの。
C:パターン断面がすそびきしておらず、膨潤やブリッジングが起こっていないものであり、且つ解像度が14μm以下であるもの。
D:上記C条件を1つでも満足していないもの。
(4)硬化レリーフパターン(ポリイミド塗膜)のヤング率評価
6インチシリコンウエハー上に、硬化後の膜厚が約7μmとなるように感光性樹脂組成物を回転塗布乾燥した後、全面に露光し、昇温プログラム式キュア炉(VF−2000型、光洋リンドバーグ社製)を用いて、窒素雰囲気下、280℃で2時間加熱して硬化レリーフパターン(熱硬化したポリイミドの塗膜)を得た。得られたポリイミド塗膜をダイシングソー(DAD3350型、DISCO社製)を用いて3mm幅の短冊状にカットした後、46%フッ化水素酸を用いてシリコンウェハーから剥がしてポリイミドテープとした。得られたポリイミドテープのヤング率を引張試験機(UTM−II−20型、オリエンテック社製)を用いて、ASTM D882−09に従って測定した。
A:ヤング率が5.5GPa以上のもの
B:ヤング率が5.0GPa以上5.5未満のもの
C:ヤング率が4.0GPa以上4.5未満のもの
D:ヤング率が4.0未満のもの
(5)硬化レリーフパターン(ポリイミド塗膜)の伸度
6インチシリコンウエハー上に、硬化後の膜厚が約7μmとなるように感光性樹脂組成物を回転塗布乾燥した後、全面に露光し、昇温プログラム式キュア炉(VF−2000型、日本国、光洋リンドバーグ社製)を用いて、窒素雰囲気下、280℃で2時間加熱して硬化レリーフパターン(熱硬化したポリイミドの塗膜)を得た。得られたポリイミド塗膜をダイシングソー(DAD3350型、DISCO社製)を用いて3mm幅の短冊状にカットした後、46%フッ化水素酸を用いてシリコンウェハーから剥がしてポリイミドテープとした。得られたポリイミドテープの伸度を引張試験機(UTM−II−20型、オリエンテック社製)を用いて、ASTM D882−09に従って測定した。
A:伸度が25%以上のもの
B:伸度が20%以上25%未満のもの
C:伸度が15%以上20%未満のもの
D:伸度が15%未満のもの
(6)HAST試験前後の伸度測定
6インチシリコンウエハー上に、硬化後の膜厚が約7μmとなるように感光性樹脂組成物を回転塗布乾燥した後、全面に露光し、昇温プログラム式キュア炉(VF−2000型、日本国、光洋リンドバーグ社製)を用いて、窒素雰囲気下、280℃で2時間加熱して硬化レリーフパターン(熱硬化したポリイミドの塗膜)を得た。得られたポリイミド塗膜を、高温加速試験(HASTと略称する。平山製作所製PC−442R8D、130℃、85%RH、168時間)を行った後、ダイシングソー(DAD3350型、DISCO社製)を用いて3mm幅の短冊状にカットした後、46%フッ化水素酸を用いてシリコンウェハーから剥がしてポリイミドテープとした。得られたポリイミドテープの伸度を引張試験機(UTM−II−20型、オリエンテック社製)を用いて、ASTM D882−09に従って測定した。
A:伸度が25%以上のもの
B:伸度が20%以上25%未満のもの
C:伸度が15%以上20%未満のもの
D:伸度が15%未満のもの
<製造例1>((A)樹脂としてのポリマーAの合成)
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147g(0.5mol)を2リットル容量のセパラブルフラスコに入れ、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)135g(0.2mol)とγ―ブチロラクトン400mlを入れて室温下で攪拌し、攪拌しながらピリジン79.1gを加え、16時間攪拌した。
次に、氷冷下において、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)203gをγ−ブチロラクトン200mlに溶解した溶液を攪拌しながら40分かけて反応混合物に加え、続いて2,2’−ジメチル−4,4−ジアミノビフェニル(mTB:m−トリジン)94g(0.44mol)をγ−ブチロラクトン280mlに懸濁したものを攪拌しながら60分かけて加えた。更に室温で4時間攪拌した後、エチルアルコール40mlを加えて1時間攪拌し、次に、γ−ブチロラクトン1リットルを加えた。反応混合物に生じた沈殿物をろ過により取り除き、反応液を得た。
得られた反応液を4リットルのエチルアルコールに加えて粗ポリマーから成る沈殿物を生成した。生成した粗ポリマーを濾別し、テトラヒドロフラン2.5リットルに溶解して粗ポリマー溶液を得た。得られた粗ポリマー溶液を30リットルの水に滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾別した後、真空乾燥して粉末状のポリマー(ポリマーA)を得た。ポリマーAの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は25,000であった。
<製造例2>((A)樹脂としてのポリマーBの合成)
製造例1のBPDA147gに代えてピロメリット酸無水物(PMDA)82g(0.35mol)、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)39gを用い、mTB94gに代えてmTB71g(0.33mol)、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4−ジアミノビフェニル(TFMB)36g(0.11mol)を用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマーBを得た。ポリマーBの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は32,000であった。
<製造例3>((A)樹脂としてのポリマーCの合成)
製造例1のBPDA147gに代えてPMDA22g(0.1mol)とODPA124g(0.4mol)をそれぞれ用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマーCを得た。ポリマーCの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は20,000であった。
<製造例4>((A)樹脂としてのポリマーDの合成)
製造例1のBPDA147gに代えてPMDA54g(0.25mol)と4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)77g(0.25mol)をそれぞれ用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマーDを得た。ポリマーDの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は28,000であった。
<製造例5>((A)樹脂としてのポリマーEの合成)
製造例1のBPDA147gに代えてPMDA65g(0.3mol)と4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)62g(0.2mol)をそれぞれ用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマーEを得た。ポリマーEの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は27,000であった。
<製造例6>((A)樹脂としてのポリマーFの合成)
製造例1のBPDA147gに代えてPMDA108g(0.5mol)を用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマーFを得た。ポリマーFの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は22,000であった。
<製造例7>((A)樹脂としてのポリマーGの合成)
製造例1のBPDA147gに代えてODPA155g(0.5mol)を用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマーGを得た。ポリマーGの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は24,000であった。
<製造例8>((A)樹脂としてのポリマーHの合成)
製造例1のBPDA147gに代えてODPA155g(0.5mol)を用い、mTB94gに代えてp−フェニレンジアミン(pPD)48g(0.44mol)をそれぞれ用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマーHを得た。ポリマーHの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は18,000であった。
<製造例9>((A)樹脂としてのポリマーIの合成)
製造例1のBPDA147gに代えてODPA155g(0.5mol)を用い、mTB94gに代えてジアミノジフェニルエーテル(DADPE)89g(0.44mol)を用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマーIを得た。ポリマーIの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は24,000であった。
<製造例9>((A)樹脂としてのポリマーJの合成)
製造例1のBPDA147gに代えて、ODPA73g(0.25mol)、BPDA74g(0.25mol)を用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマーJを得た。ポリマーJの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は24,000であった。
Figure 2021173787
<実施例1>
ポリマーAを用いて以下の方法でネガ型感光性樹脂組成物を調製し、調製した組成物の評価を行った。ポリマーA100g((A)ポリイミド前駆体)、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)−オキシム5.0g((B)光重合開始剤)、テトラエチレングリコールジメタクリレート12.0g(NKエステル4G、新中村化学工業社)((C)光重合性物質)、N−フェニルジエタノールアミン12.0g、N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]フタルアミド酸1.0gをγ−ブチロラクトン(以下ではGBLという)150g((D)溶剤)に溶解した。得られた溶液の粘度を、少量の該溶媒を更に加えることによって約40ポイズに調整し、ネガ型感光性樹脂組成物とした。該組成物を、前述の方法に従って評価した。
<実施例2〜17、および比較例1〜7>
表1に示す通りの配合比で配合すること以外は実施例1と同様のネガ型感光性樹脂組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行った。表2の略号の説明は次のとおりである。評価結果を表3に示す。
光重合開始剤B:1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)−オキシム
光重合性物質C:テトラエチレングリコールジメタクリレート
溶剤D−1:γ−ブチロラクトン
溶剤D−2:ジメチルスルホキシド
溶剤D−3:3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド
溶剤D−4:N−メチルピロリドン
増感剤E:N−フェニルジエタノールアミン
密着助剤F:N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]フタルアミド酸
その他化合物G:チタニウムジイソプロポキサイドビス(エチルアセトアセテート)
Figure 2021173787
Figure 2021173787
表3から明らかなように、実施例1〜17の現像時間増加率は130%以上であり、高いヤング率と高い伸度を発現していることが判る。その中でも、実施例1〜3、10〜12のように、現像時間増加率が135%〜159%に調整されたものでは、高い解像度かつ高いヤング率と高伸度を両立することができる。また、実施例6、15のように、有機チタン化合物が添加されることにより、湿熱耐久試験後の伸度が向上する。さらに、実施例16〜17のように2種類のポリマーをブレンドすることにより高い解像度を発揮することが可能となる。
これに対し、比較例1〜3、5、7では溶剤に溶解性の高いN−メチルピロリドンを用いたため、現像時間増加率が十分でなく、高い伸度を発現することができない。また、比較例3では現像時間増加率が過剰であるため、望む硬化レリーフパターンを得ることができない。比較例5ではビフェニル骨格を有していないため、膜強度が不足する。
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
本発明によるネガ型感光性樹脂組成物を用いることで、塗膜の硬化処理後に高い膜強度と破断伸度の両立を達成することができ、安定的にビアパターンを開口することが可能なとなり、例えば半導体装置、多層配線基板等の電気・電子材料の製造に有用な感光性材料の分野で好適に利用できる。

Claims (11)

  1. 以下の成分:
    (A)ポリイミド前駆体、
    (B)光重合開始剤、
    (C)光重合性物質、及び
    (D)溶剤
    を含む感光性樹脂組成物であって、前記(A)ポリイミド前駆体は、下記一般式(1):
    Figure 2021173787
    {式(1)中、Xは炭素数6〜40の4価の有機基であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は下記一般式(2):
    Figure 2021173787
    (式中、Rは、水素原子又は炭素数1〜3の有機基であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3の有機基であり、そしてmは、2〜10の整数である。)で表される一価の有機基、又は炭素数1〜4の飽和脂肪族基であり(但し、R及びRの両者は同時に水素原子であることはない。)、
    は、下記一般式(3):
    Figure 2021173787
    (式中、R〜R13は、各々独立に、水素原子、フッ素原子または1価の有機基である。)で表される炭素数6〜40の2価の有機基である。}
    で表される前駆体を含み、
    前記(D)溶剤は、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドの少なくとも1種から選択され、
    以下の数式(S1):
    現像時間増加率(%)=(DT48/DT)×100 (S1)
    (式中、DTおよびDT48は当該感光性樹脂組成物をシリコンウェハー上に塗膜し、110℃240秒間ベーク処理を行った後に、2時間および48時間静置し、23℃で現像液としてシクロペンタノンを用いて完全に溶解するまでの時間を示す。なお、塗膜工程では、ベーク処理後の膜厚が10.5μmであるものとする。)
    で表される現像時間増加率が130%以上200%未満であることを特徴とする感光性樹脂組成物。
  2. 前記(A)ポリイミド前駆体の一般式(1)におけるYが、下記一般式(4):
    Figure 2021173787
    {式(4)中、R14及びR15は、各々独立に、水素原子又は炭化水素から成る1価の有機基である。}の構造を有する、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  3. 前記(A)ポリイミド前駆体において、前記一般式(1)中の前記Xが、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、ピロメリット酸二無水物(PMDA)から選択される少なくとも1種に由来する4価の有機基である、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
  4. 前記現像時間増加率が135%以上160%未満である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  5. 前記(A)ポリイミド前駆体を少なくとも2種以上含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  6. 前記感光性樹脂組成物中に含まれる全固形分のうち、(A)ポリイミド前駆体を除く成分量の合計が、(A)ポリイミド前駆体に対して26%以上60%未満である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  7. 以下の工程:
    (1)請求項1〜6のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を基板上に塗布して、感光性樹脂層を該基板上に形成する工程、
    (2)該感光性樹脂層を露光する工程、
    (3)該露光後の感光性樹脂層を現像して、レリーフパターンを形成する工程、及び
    (4)該レリーフパターンを加熱処理して、硬化レリーフパターンを形成する工程、を含む、硬化レリーフパターンの製造方法。
  8. 以下の工程:
    (1)請求項1〜6のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を基板上に塗布して、感光性樹脂層を該基板上に形成する工程、
    (2)該感光性樹脂層を露光する工程、
    (3)該露光後の感光性樹脂層を現像して、レリーフパターンを形成する工程、及び
    (4)該レリーフパターンを加熱処理して、硬化レリーフパターンを形成する工程、を含む硬化レリーフパターンの製造方法であって、
    (1)塗布による感光性樹脂層形成時に110℃240秒間の加熱を行う、硬化レリーフパターンの製造方法。
  9. 請求項7又は8に記載の方法により製造された硬化レリーフパターン。
  10. 半導体素子と、該半導体素子の上部に設けられた硬化膜とを備える半導体装置であって、該硬化膜は、請求項9に記載の硬化レリーフパターンである、半導体装置。
  11. 表示体素子と、該表示体素子の上部に設けられた硬化膜とを備える表示体装置であって、該硬化膜は、請求項9に記載の硬化レリーフパターンである、表示体装置。
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