JP2024043132A - 感光性樹脂組成物及び硬化レリーフパターンの製造方法 - Google Patents

感光性樹脂組成物及び硬化レリーフパターンの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2024043132A
JP2024043132A JP2022148148A JP2022148148A JP2024043132A JP 2024043132 A JP2024043132 A JP 2024043132A JP 2022148148 A JP2022148148 A JP 2022148148A JP 2022148148 A JP2022148148 A JP 2022148148A JP 2024043132 A JP2024043132 A JP 2024043132A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
carbon atoms
bis
photosensitive resin
general formula
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022148148A
Other languages
English (en)
Inventor
光孝 中村
Mitsutaka Nakamura
雅彦 吉田
Masahiko Yoshida
隆志 岩田
Takashi Iwata
佳祐 和田
Keisuke Wada
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Corp filed Critical Asahi Kasei Corp
Priority to JP2022148148A priority Critical patent/JP2024043132A/ja
Publication of JP2024043132A publication Critical patent/JP2024043132A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
  • Materials For Photolithography (AREA)

Abstract

【課題】グリーンレーザーにより容易に印字でき、高温保存試験後、Cu層の樹脂層に接する界面でのボイド発生を抑制でき、密着性が高い樹脂層が得られる感光性樹脂組成物を提供する。【解決手段】(A)ポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリアミド酸塩、ポリヒドロキシアミド、ポリアミノアミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、及びフェノール樹脂から成る群から選択される少なくとも一種の樹脂を、100質量部、(B)窒素原子を分子構造中に含む染料を、(A)樹脂100質量部を基準として0.5~50質量部、並びに、(C)感光剤を、(A)樹脂100質量部を基準として1~50質量部、含む、感光性樹脂組成物であって、(B)染料における窒素原子の含有割合が、該(B)染料の分子質量に対して5~15質量%である。【選択図】図1

Description

本発明は、感光性樹脂組成物、それを用いた硬化レリーフパターンの製造方法、及び半導体装置に関する。
従来、例えば、電子部品の絶縁材料、並びに半導体装置のパッシベーション膜、表面保護膜、及び層間絶縁膜には、耐熱性、電気特性及び機械特性に優れた樹脂が用いられている。この種の樹脂のうち、感光性材料は、塗布工程、露光工程、現像工程、及びイミド化を経ることで、耐熱性に優れたレリーフパターン皮膜を形成し易く、また、非感光性材料を用いる場合に比べて大幅な工程短縮を実現し易い。
半導体装置(以下、「素子」とも称する。)は、目的に合わせて、様々な方法でプリント基板に実装される。従来の素子は、素子の外部端子(パッド)からリードフレームまで細いワイヤで接続する、ワイヤボンディング法により作製されることが一般的であった。しかし、素子の高速化が進み、動作周波数がGHzレベルまで到達した今日、実装における各端子の配線長さの違いが、素子の動作に影響を及ぼすまでに至った。そのため、ハイエンド用途の素子の実装では、実装配線の長さを正確に制御する必要が生じ、ワイヤボンディングではその要求を満たすことが困難となった。
そこで、半導体チップの表面に再配線層を形成し、その上にバンプ(電極)を形成した後、該チップを裏返し(フリップ)て、プリント基板に直接実装する、フリップチップ実装が提案されている(例えば特許文献1参照)。フリップチップ実装では、配線距離を正確に制御できるため、高速な信号を取り扱うハイエンド用途の素子に、また、実装サイズの小ささから携帯電話等に、それぞれ採用され、需要が急拡大している。フリップチップ実装に樹脂材料を用いる場合、該樹脂のパターンを形成した後に、金属配線層を形成する工程を経る。金属配線層は、通常、樹脂層の表面を粗化する工程;粗化した樹脂層の表面に金属層(シード層)を1μm以下の厚みで形成する工程;金属層を電極として該電極に電気的に接続する金属配線を電解メッキにより形成する工程;を経て得られる。一般に、シード層としてはTiが、金属配線としてはCuが用いられる。
金属配線層では、樹脂層と、信頼性試験後に再配線される金属層と、の密着性が高いことが求められる。信頼性試験としては、例えば、空気中、125℃以上の高温で100時間以上保存する高温保存(high temperature storage)試験;配線を組んで電圧を印加しながら、空気中で、125℃程度の温度で100時間以上保存下での動作を確認する高温動作試験;空気中で、-65~-40℃程度の低温状態と、125~150℃程度の高温状態とをサイクルで行き来させる温度サイクル試験;85℃以上の温度で湿度85%以上の水蒸気雰囲気下で保存する高温高湿保存試験、及び配線を組んで電圧を印加しながら同試験を行なう高温高湿バイアス試験;空気中又は窒素下で260℃のはんだリフロー炉を複数回通過させるはんだリフロー試験;等が挙げられる。
しかしながら、従来、信頼性試験のうち高温保存試験では、試験後、再配線されるCu層の、樹脂層に接する界面でボイドが発生し易いという問題があった。Cu層と樹脂層との界面でボイドが発生すると、両者の密着性が低下してしまう。
また近年、視認性、及び遮光性等の向上を目的として樹脂膜を着色することが要求されることがある。例えば、特許文献2では、C.I.ピグメントブルー又はカーボンブラック等の顔料を含有せしめることにより、ポリイミド膜を着色する旨が開示されている。また、特許文献3では、ペリレン系又はベンゾフラノン系の顔料を含有せしめることにより、ポリイミド膜を着色する旨が開示されている。
特開2001-338947号公報 国際公開第2020/175150号 特許第6418248号公報
電子部品の絶縁材料、並びに半導体装置のパッシベーション膜、表面保護膜、及び層間絶縁膜等を構成する樹脂膜の表面に、所定の刻印(所定のレリーフパターン)を施すこと、例えば、該表面に半導体装置の製品仕様、ロット番号及び製造年月日を刻印することがある。このような刻印は、波長532nmのグリーンレーザーを搭載したレーザー装置等を用いることで施されることが一般的である。レーザー処理により所望の刻印を形成するためには、樹脂膜が、レーザー波長に対して吸収を有することが求められる。
しかしながら、特許文献2及び3に記載の樹脂膜では、レーザー印字に必要な着色性と、高温保存試験後、Cu層の樹脂層に接する界面でのボイド発生の抑制とを両立することができなかった。
そこで、本発明は、グリーンレーザーにより容易に印字でき、高温保存試験後、Cu層の樹脂層に接する界面でのボイド発生を抑制でき、密着性が高い樹脂層が得られる感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、該感光性樹脂組成物を用いた硬化レリーフパターンの形成方法、及び該硬化レリーフパターンを有してなる半導体装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様は以下のとおりである。
[1]
(A)ポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリアミド酸塩、ポリヒドロキシアミド、ポリアミノアミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、及びフェノール樹脂から成る群から選択される少なくとも一種の樹脂を、100質量部、
(B)窒素原子を分子構造中に含む染料を、前記(A)樹脂100質量部を基準として0.5~50質量部、並びに、
(C)感光剤を、前記(A)樹脂100質量部を基準として1~50質量部、
含む、感光性樹脂組成物であって、
前記(B)染料における窒素原子の含有割合が、該(B)染料の分子質量に対して5~15質量%である、感光性樹脂組成物。
[2]
前記(A)樹脂は、
前記ポリアミド酸、前記ポリアミド酸エステル、及び前記ポリアミド酸塩;
前記ポリアミド;
前記ポリヒドロキシアミド;
前記ポリイミド;並びに
前記フェノール樹脂;
から成る群から選択される少なくとも一種であり、 前記ポリアミド酸、前記ポリアミド酸エステル、及び前記ポリアミド酸塩は、下記一般式(1):
Figure 2024043132000002
{式中、Xは、4価の有機基であり、Yは、2価の有機基であり、nは、2~150の整数であり、そしてR及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~30の飽和脂肪族基、芳香族基、又は下記一般式(2):
Figure 2024043132000003
(式中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~3の有機基であり、そしてmは、2~10の整数である。)で表される1価の有機基、又は炭素数1~4の飽和脂肪族基であり、又は、下記一般式(3):
Figure 2024043132000004
(式中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~3の有機基であり、そしてmは、2~10の整数である。)で表される一価のアンモニウムイオンである。}
で表される、ポリイミド前駆体としての構造を有し、
前記ポリアミドは、下記一般式(4):
Figure 2024043132000005
{式中、Xは、炭素数6~15の3価の有機基であり、Yは、炭素数6~35の2価の有機基であり、かつ同一の構造であるか、又は複数の構造を有してよく、Rは、炭素数3~20のラジカル重合性の不飽和結合基を少なくとも一つ有する有機基であり、そしてnは、1~1000の整数である。}で表される構造を有し、
前記ポリヒドロキシアミドは、下記一般式(5):
Figure 2024043132000006
{式中、Yは、炭素原子を有する4価の有機基であり、Y、X及びXは、それぞれ独立に、2個以上の炭素原子を有する2価の有機基であり、nは、1~1000の整数であり、nは、0~500の整数であり、n/(n+n)>0.5であり、そしてX及びYを含むn個のジヒドロキシジアミド単位並びにX及びYを含むn個のジアミド単位の配列順序は問わない。}
で表される、前記ポリオキサゾール前駆体としての構造を有し、
前記ポリイミドは、下記一般式(6):
Figure 2024043132000007
{式中、Xは、4~14価の有機基であり、Yは、2~12価の有機基であり、R10及びR11は、それぞれ独立に、フェノール性水酸基、スルホン酸基又はチオール基から選ばれる基を少なくとも一つ有する有機基であり、nは、3~200の整数であり、そしてm及びmは、0~10の整数である。}
で表される構造を有し、
前記フェノール樹脂は、ノボラック構造、ポリヒドロキシスチレン構造、又は下記一般式(7):
Figure 2024043132000008
{式中、aは、1~3の整数であり、bは、0~3の整数であり、1≦(a+b)≦4であり、R12は、炭素数1~20の1価の有機基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1価の置換基を表し、bが2又は3である場合は、複数のRは、互いに同一でも又は異なってよく、Xは、不飽和結合を有してよい炭素数2~10の2価の脂肪族基、炭素数3~20の2価の脂環式基、下記一般式(8):
Figure 2024043132000009
(式中、pは、1~10の整数である。)で表される2価のアルキレンオキシド基、及び炭素数6~12の芳香族環を有する2価の有機基からなる群から選択される2価の有機基を表す。}で表される構造を有する、項目1に記載の感光性樹脂組成物。
[3]
前記一般式(7)中のXは、下記一般式(9):
Figure 2024043132000010
{式中、R13、R14、R15及びR16は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の1価の脂肪族基、又は水素原子の一部若しくは全部がフッ素原子で置換されてなる炭素数1~10の1価の脂肪族基であり、nは0~4の整数であって、nが1~4の整数である場合のR17は、ハロゲン原子、水酸基、又は炭素数1~12の1価の有機基であり、少なくとも1つのRは水酸基であり、そしてnが2~4の整数である場合の複数のR17は、互いに同一でも又は異なっていてよい。}で表される2価の基、
下記一般式(10):
Figure 2024043132000011
{式中、R18、R19、R20及びR21は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の1価の脂肪族基、又は水素原子の一部若しくは全部がフッ素原子で置換されてなる炭素数1~10の1価の脂肪族基であり、そしてWは、単結合、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1~10の脂肪族基、フッ素原子で置換されてよい炭素数3~20の脂環式基、下記一般式(8):
Figure 2024043132000012
(式中、pは、1~10の整数である。)で表される2価のアルキレンオキシド基、及び
下記式(11):
Figure 2024043132000013
で表される2価の基から成る群から選択される2価の基である。}で表される群から選択される2価の有機基である、項目2に記載の感光性樹脂組成物。
[4]
前記一般式(1)において、前記X1が、下記式(2):
Figure 2024043132000014
で表される構造を含む、項目1~3のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[5]
前記一般式(1)において、前記Y1が、下記式(8):
Figure 2024043132000015
及び/又は下記式(9):
Figure 2024043132000016
で表される構造を含む、項目1~4のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[6]
前記(B)染料が、アントラセン系染料である、項目1~5のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[7]
(D)成分として、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、γ-ブチロラクトン(GBL)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、及び乳酸エチルから成る群から選択される少なくとも1つを更に含む、項目1~6のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[8]
(1)項目1~7のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を基板上に塗布することによって感光性樹脂層を前記基板上に形成する工程と、
(2)前記感光性樹脂層を露光する工程と、
(3)前記露光後の感光性樹脂層を現像してレリーフパターンを形成する工程と、
(4)前記レリーフパターンを加熱処理することによって硬化レリーフパターンを形成する工程と
を含む、硬化レリーフパターンの製造方法。
[9]
前記(1)工程では、銅又は銅合金から形成されて成る前記基板上に、前記感光性樹脂組成物を塗布する、項目8に記載の硬化レリーフパターンの製造方法。
[10]
項目1~7のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物から得られる硬化レリーフパターンを絶縁層として有する、半導体装置。
本発明によれば、グリーンレーザーにより容易に印字でき、高温保存試験後、Cu層の樹脂層に接する界面でのボイド発生を抑制でき、密着性が高い樹脂層が得られる感光性樹脂組成物を提供することができる。また、本発明によれば、該感光性樹脂組成物を用いた硬化レリーフパターンの形成方法、及び該硬化レリーフパターンを有する導体装置を提供することができる。
本実施形態に係る半導体装置の一態様を示す、断面模式図である。 本実施形態に係る半導体装置の一態様を示す、平面模式図である。 本実施形態に係る半導体装置の製造工程の一例である。 本実施形態に係る半導体装置の、他の態様を示す断面模式図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態は本発明を説明するための例示であり、本発明は本実施形態のみに限定されない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜変形して実施することができる。
本明細書中、段階的に記載される数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換わってよく、また、実施例に示される値に置き換わってよい。本明細書中、所定の面を基準に「面側」と表現される態様は、該面に接する態様に加え、該面との間に任意の部材が介在する態様を含む。一般式において同一符号で表されている部分の構造は、分子中に複数存在する場合、互いに同一でも異なってもよい。図面に示される縮尺、形状及び長さ等は、明確性を更に図るため、誇張して示されている場合がある。
[感光性樹脂組成物]
本実施形態は、
(A)ポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリアミド酸塩、ポリヒドロキシアミド、ポリアミノアミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、及びフェノール樹脂から成る群から選択される少なくとも一種の樹脂を、100質量部、
(B)窒素原子を分子構造中に含む染料を、(A)樹脂100質量部を基準として0.5~50質量部、並びに、
(C)感光剤を、(A)樹脂100質量部を基準として1~50質量部、
含む、感光性樹脂組成物であって、
(B)染料における窒素原子の含有割合が、(B)染料の分子質量に対して5~15質量%である。本明細書中、(A)樹脂を「(A)成分」、(B)染料を「(B)成分」、(C)感光剤を「(C)成分」と称する場合がある。
〔(A)成分〕
(A)成分は、ポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリアミド酸塩、ポリヒドロキシアミド、ポリアミノアミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、及びフェノール樹脂から成る群から選択される少なくとも一種の樹脂(感光性樹脂)を主成分として含む。「主成分」とは、上記樹脂の合計が(A)成分100質量部を基準として60質量%以上であることを意味し、80質量%以上であることが好ましい。ただし、(A)成分は、必要に応じて、上記以外の樹脂(他の樹脂)を含んでよい。
好ましくは、(A)成分は、
ポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、及びポリアミド酸塩;
ポリアミド;
ポリヒドロキシアミド;
ポリイミド;並びに
フェノール樹脂;
から成る群から選択される少なくとも一種であり、また、これらを主成分として含む。
(A)成分の重量平均分子量は、熱処理後の耐熱性、及び機械特性の観点から、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算で、1,000以上が好ましく、1,000以上がより好ましい。上限は500,000以下が好ましく、感光性樹脂組成物である本実施形態では、現像液に対する溶解性の観点から、20,000以下がより好ましい。
(A)成分は、感光性樹脂である。感光性樹脂を、後述の(C)成分とともに用いることで、感光性樹脂組成物が得られる。
(A)成分は、熱処理後の耐熱性、及び機械特性の観点から、ポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリアミド酸塩、ポリアミド、ポリヒドロキシアミド、ポリイミド、及びフェノール樹脂が好ましい。これらの樹脂は、感光性樹脂組成物のタイプ(ネガ型又はポジ型)、及び用途等に応じて選択される。
<ポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリアミド酸塩>
耐熱性及び感光特性の観点から好ましい(A)成分の例は、ポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、及びポリアミド酸塩から成る群から選択される少なくとも一種である。
ポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、及びポリアミド酸塩は、下記一般式(1):
Figure 2024043132000017
{式中、Xは、4価の有機基であり、Yは、2価の有機基であり、nは、2~150の整数であり、そしてR及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~30の飽和脂肪族基、芳香族基、又は下記一般式(2):
Figure 2024043132000018
(式中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~3の有機基であり、そしてmは、2~10の整数である。)で表される1価の有機基、又は炭素数1~4の飽和脂肪族基であり、又は、下記一般式(3):
Figure 2024043132000019
(式中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~3の有機基であり、そしてmは、2~10の整数である。)で表される一価のアンモニウムイオンである。}で表される、ポリイミド前駆体としての構造を有する。
ポリイミド前駆体は、加熱(例えば200℃以上)による環化処理を施すことによってポリイミドに変換される。ポリイミド前駆体は、ネガ型感光性樹脂組成物用として好適である。
上記一般式(1)中、Xで表される4価の有機基は、耐熱性及び感光特性を両立する観点から、好ましくは炭素数6~40の有機基、より好ましくは、-COOR基及び-COOR基と-CONH-基とが互いにオルト位置にある、芳香族基又は脂環式脂肪族基である。Xとしては、芳香族環を含有する炭素原子数6~40の有機基が好ましく、耐熱性及び感光特性を両立する観点から、より好ましくは、下記式(30):
Figure 2024043132000020
{式中、R25は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1~10の炭化水素基、炭素数1~10の含フッ素炭化水素基から選ばれる1価の基であり、lは、0~2の整数であり、mは、0~3の整数であり、そしてnは、0~4の整数である。}
で表される構造が挙げられる。ただし、これらに限定されない。Xは、1種でもよく2種以上の組み合わせでもよい。
本実施形態では、良好な膜物性を発現する観点から、上記Xは、下記式(1)~(3):
Figure 2024043132000021
Figure 2024043132000022
Figure 2024043132000023
で表される群から選択される少なくとも一つの構造を含むことが好ましい。
本実施形態では、良好な膜物性(例えば、膜伸度)を発現する観点から、(A)成分において、上記Xが、下記式(2):
Figure 2024043132000024
で表される構造を含むことが好ましい。すなわち、(A)成分は、ODPA(4,4’-オキシジフタル酸無水物)由来の構造を含むことが好ましい。
上記一般式(1)中、Yで表される2価の有機基は、耐熱性及び感光特性を両立する観点で、好ましくは炭素数6~40の芳香族基であり、より好ましくは、下記式(31):
Figure 2024043132000025
{式中、R25は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1~10の炭化水素基、炭素数1~10の含フッ素炭化水素基から選ばれる1価の基であり、そしてnは、0~4の整数である。}
で表される構造が挙げられる。ただし、これらに限定されない。Yは、1種でもよく2種以上の組み合わせでもよい。
上記一般式(2)中のRは、水素原子又はメチル基が好ましく、R及びRは、特性の観点から、それぞれ独立に、水素原子が好ましい。mは、感光特性の観点から、2~10の整数、好ましくは2~4の整数である。
本実施形態では、良好な膜物性を発現する観点から、上記Yは、下記一般式(4)~(7):
Figure 2024043132000026
Figure 2024043132000027
Figure 2024043132000028
Figure 2024043132000029
{式中、Aは、それぞれ独立に、メチル基(-CH)、エチル基(-C)、プロピル基(-C)、ブチル基(-C)、又はトリフルオロメチル基(-CF)である。}で表される群から選択される少なくとも一つの構造を含むことが好ましい。
なかでも、本実施形態では、良好な膜物性(例えば、膜伸度)を発現する観点から、(A)成分において、上記Yが、下記式(8):
Figure 2024043132000030
及び/又は下記式(9):
Figure 2024043132000031
で表される構造を含むことが好ましい。すなわち、(A)成分は、DADPE(4,4’-ジアミノジフェニルエーテル)由来の構造、及び/又はm-TB(2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル)由来の構造を含むことが好ましい。
上記を含め、本実施形態における、上記X及び上記Yの組み合わせの一例は、下記のとおりである。これらの組み合わせによれば、樹脂組成物、及び/又は、これから得られる硬化レリーフパターンについて、各種特性の向上を図り易い。所定番号におけるX及びYの組み合わせと、他の番号におけるX及びYの組み合わせとは、併用されてよい。
Figure 2024043132000032
Figure 2024043132000033
(A)成分としてポリイミド前駆体を用いる場合、感光性樹脂組成物に感光性を付与する方式としては、エステル結合型と、イオン結合型と、が挙げられる。前者は、ポリイミド前駆体の側鎖にエステル結合によって光重合性基、すなわちオレフィン性二重結合を有する化合物を導入する方法である。後者は、ポリイミド前駆体のカルボキシル基と、アミノ基を有する(メタ)アクリル化合物のアミノ基とをイオン結合を介して結合させて、光重合性基を付与する方法である。
上記エステル結合型のポリイミド前駆体は、まず、前述の4価の有機基Xを含むテトラカルボン酸二無水物と、光重合性の不飽和二重結合を有するアルコール類及び任意に炭素数1~4の飽和脂肪族アルコール類とを反応させて、部分的にエステル化したテトラカルボン酸(以下、アシッド/エステル体ともいう)を調製した後、これと、前述の2価の有機基Yを含むジアミン類とをアミド重縮合させることにより得られる。
(アシッド/エステル体の調製)
エステル結合型のポリイミド前駆体を調製するために好適に用いられる、4価の有機基Xを含むテトラカルボン酸二無水物としては、上記一般式(30)に示されるテトラカルボン酸二無水物をはじめ、例えば、無水ピロメリット酸、ジフェニルエーテル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルメタン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-無水フタル酸)プロパン、2,2-ビス(3,4-無水フタル酸)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。なかでも、好ましくは、無水ピロメリット酸、ジフェニルエーテル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。ただし、これらに限定されない。これらは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
エステル結合型のポリイミド前駆体を調製するために好適に用いられる、光重合性の不飽和二重結合を有するアルコール類としては、例えば、2-アクリロイルオキシエチルアルコール、1-アクリロイルオキシ-3-プロピルアルコール、2-アクリルアミドエチルアルコール、メチロールビニルケトン、2-ヒドロキシエチルビニルケトン、2-ヒドロキシ-3-メトキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-ブトキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-ブトキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-t-ブトキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-シクロヘキシルオキシプロピルアクリレート、2-メタクリロイルオキシエチルアルコール、1-メタクリロイルオキシ-3-プロピルアルコール、2-メタクリルアミドエチルアルコール、メチロールビニルケトン、2-ヒドロキシエチルビニルケトン、2-ヒドロキシ-3-メトキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-ブトキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-ブトキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-t-ブトキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-シクロヘキシルオキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。
上記アルコール類に、炭素数1~4の飽和脂肪族アルコールとして、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、tert-ブタノール等を一部混合して用いてよい。
上記のテトラカルボン酸二無水物と上記のアルコール類とを、ピリジン等の塩基性触媒の存在下、後述するような溶媒中、温度20~50℃で4~10時間撹拌溶解、混合することにより、酸無水物のエステル化反応が進行し、所望のアシッド/エステル体を得ることができる。
(ポリイミド前駆体の調製)
上記アシッド/エステル体(典型的には後述する溶媒中の溶液)に、氷冷下、適当な脱水縮合剤を投入混合することで、アシッド/エステル体をポリ酸無水物に変換することができる。脱水縮合剤としては、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1-エトキシカルボニル-2-エトキシ-1,2-ジヒドロキノリン、1,1-カルボニルジオキシ-ジ-1,2,3-ベンゾトリアゾール、N,N’-ジスクシンイミジルカーボネート等が挙げられる。本実施形態で好適に用いられる2価の有機基Yを含むジアミン類を溶媒に溶解又は分散させたものを上記ポリ酸無水物に滴下投入し、これによりアミド重縮合させることで、目的のポリイミド前駆体を得ることができる。
また、塩化チオニル等を用いて、上記アシッド/エステル体におけるアシッド部分を酸クロライド化した後に、ピリジン等の塩基存在下、ジアミン化合物と反応させることによっても、目的のポリイミド前駆体を得ることができる。
好適に用いられる2価の有機基Yを含むジアミン類としては、上記一般式(31)に示される構造を有するジアミンをはじめ、例えば、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノビフェニル、3,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、
1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、4,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、1,4-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、9,10-ビス(4-アミノフェニル)アントラセン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,4-ビス(3-アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、オルト-トリジンスルホン、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、及びこれらのベンゼン環上の水素原子の一部が、メチル基、エチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ハロゲン等で置換されたもの、例えば3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジメチトキシ-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジメチルベンジジン、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ビス(フルオロ)-4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノオクタフルオロビフェニル等を、好ましくはp-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、2,2’-ジメチルベンジジン、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ビス(フルオロ)-4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノオクタフルオロビフェニル等、並びにその混合物等が挙げられる。ただし、これらに限定されない。
また、感光性樹脂組成物を基板上に塗布することによって基板上に形成される塗膜と各種基板との密着性の向上を目的に、ポリイミド前駆体の調製に際して、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラフェニルジシロキサン等のジアミノシロキサン類を共重合してよい。
アミド重縮合反応終了後、当該反応液中に共存している脱水縮合剤の吸水副生物を必要に応じて濾別してよい。次いで、水、脂肪族低級アルコール、又はその混合液等の貧溶媒を、得られた重合体成分に投入し、重合体成分を析出させ、更に、再溶解、再沈析出操作等を繰り返すことにより、重合体を精製してよい。その後、真空乾燥を行い、目的のポリイミド前駆体を単離することができる。精製度を向上させるため、陰イオン及び/又は陽イオン交換樹脂を適当な有機溶媒で膨潤させて充填したカラムに、この重合体の溶液を通し、イオン性不純物を除去してよい。
上記イオン結合型のポリイミド前駆体は、典型的には、テトラカルボン酸二無水物にジアミンを反応させて得られる。この場合、上記一般式(1)中のR及びRのうち、少なくとも一方は、ヒドロキシル基であることが好ましい。
テトラカルボン酸二無水物としては、上記式(30)の構造を含むテトラカルボン酸の無水物が好ましく、ジアミンとしては、上記式(31)の構造を含むジアミンが好ましい。得られたポリアミド前駆体に、後述する、アミノ基を有する(メタ)アクリル化合物を添加することで、カルボキシル基とアミノ基とのイオン結合により光重合性基が付与される。
アミノ基を有する(メタ)アクリル化合物としては、例えばジ、メチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルメタクリレート、ジメチルアミノブチルアクリレート、ジメチルアミノブチルメタクリレート、ジエチルアミノブチルアクリレート、ジエチルアミノブチルメタクリレート、等のジアルキルアミノアルキルアクリレート又はメタクリレートが好ましく、中でも感光特性の観点から、アミノ基上のアルキル基が炭素数1~10、アルキル鎖が炭素数1~10のジアルキルアミノアルキルアクリレート又はメタクリレートが好ましい。
これらのアミノ基を有する(メタ)アクリル化合物の配合量は、(A)成分100質量部を基準として1~20質量部であり、光感度特性の観点から、2~15質量部が好ましい。アミノ基を有する(メタ)アクリル化合物を、(A)成分100質量部を基準として1質量部以上配合することで光感度に優れる傾向があり、20質量部以下配合することで厚膜硬化性に優れる傾向がある。
上記エステル結合型及び上記イオン結合型のポリイミド前駆体の分子量は、GPCによるポリスチレン換算重量平均分子量で測定した場合に、8,000~150,000が好ましく、9,000~50,000がより好ましい。重量平均分子量が8,000以上である場合、機械物性が良好になり易く、150,000以下である場合、現像液への分散性が良好になり易く、また、レリーフパターンの解像性能が良好になり易い。GPCの展開溶媒としては、テトラヒドロフラン、及びNMPが好ましい。重量平均分子量は標準単分散ポリスチレンを用いて作成した検量線から求める。標準単分散ポリスチレンとしては、昭和電工社製 有機溶媒系標準試料 STANDARD SM-105から選ぶことが推奨される。
<ポリアミド>
(A)成分の更に1つの例は、下記一般式(4):
Figure 2024043132000034
{式中、Xは、炭素数6~15の3価の有機基であり、Yは、炭素数6~35の2価の有機基であり、かつ同一の構造であるか、又は複数の構造を有してもよく、Rは、炭素数3~20のラジカル重合性の不飽和結合基を少なくとも一つ有する有機基であり、そしてnは、1~1000の整数である。}
で表される構造を有するポリアミドである。このポリアミドは、ネガ型感光性樹脂組成物用として好適である。
上記一般式(4)中、Rで示される基としては、感光特性及び耐薬品性を両立する観点で、下記一般式(32)、
Figure 2024043132000035
{式中、R32は、炭素数2~19のラジカル重合性の不飽和結合基を少なくとも一つ有する有機基である。}で表される基が好ましい。
上記一般式(4)中、Xで示される3価の有機基としては、炭素数が6~15の3価の有機基であることが好ましく、例えば下記式(33):
Figure 2024043132000036
で表される基の中から選ばれる芳香族基が好ましく、そしてアミノ基置換イソフタル酸構造からカルボキシル基及びアミノ基を除いた芳香族基がより好ましい。
上記一般式(4)中、Yで示される2価の有機基としては、炭素数が6~35の有機基であることが好ましく、そして、置換されてよい芳香族環若しくは脂肪族環を1~4個有する環状有機基であること、また、環状構造を持たない脂肪族基若しくはシロキサン基であることが更に好ましい。Yで示される2価の有機基としては、下記一般式(I)及び下記一般式(34)、(35):
Figure 2024043132000037
Figure 2024043132000038
{式中、R33及びR34は、それぞれ独立に、水酸基、メチル基(-CH)、エチル基(-C)、プロピル基(-C)又はブチル基(-C)から成る群から選ばれる一つの基であり、そして該プロピル基及びブチル基は、各種異性体を含む。}
Figure 2024043132000039
{式中、mは、0~8の整数であり、m及びmは、それぞれ独立に、0~3の整数であり、m10及びm11は、それぞれ独立に、0~10の整数であり、そしてR35及びR36は、メチル基(-CH)、エチル基(-C)、プロピル基(-C)、ブチル基(-C)又はこれらの異性体である。}が挙げられる。
環状構造を持たない脂肪族基又はシロキサン基としては、下記一般式(36):
Figure 2024043132000040
{式中、m12は、2~12の整数であり、m13は、1~3の整数であり、m14は、1~20の整数であり、そしてR37、R38、R39及びR40は、それぞれ独立に、炭素数1~3のアルキル基又は置換されていてもよいフェニル基である。}が好ましいものとして挙げられる。
(フタル酸化合物封止体の合成)
ポリアミド樹脂は、例えば、以下のように合成することができる。
第一に、3価の芳香族基Xを有する化合物{例えば、アミノ基で置換されたフタル酸、アミノ基で置換されたイソフタル酸、及び、アミノ基で置換されたテレフタル酸から成る群から選ばれた少なくとも1つ以上の化合物(以下、「フタル酸化合物」という)}1モルと、アミノ基と反応する化合物1モルとを反応させて、該フタル酸化合物のアミノ基を後述のラジカル重合性の不飽和結合を含む基で修飾、封止した化合物(以下、「フタル酸化合物封止体」という)を合成する。これらは単独でもよく、混合して用いてもよい。
フタル酸化合物を上記ラジカル重合性の不飽和結合を含む基で封止した構造とすると、ポリアミド樹脂にネガ型の感光性(光硬化性)を付与することができる。
ラジカル重合性の不飽和結合を含む基としては、炭素数3~20のラジカル重合性の不飽和結合基を有する有機基であることが好ましく、メタクリロイル基又はアクリロイル基を含む基がより好ましい。
上述のフタル酸化合物封止体は、フタル酸化合物のアミノ基と、炭素数3~20のラジカル重合性の不飽和結合基を少なくとも一つ有する酸クロライド、イソシアネート又はエポキシ化合物等とを反応させることで得ることができる。
好適な酸クロライドとしては、例えば、(メタ)アクリロイルクロリド、2-[(メタ)アクリロイルオキシ]アセチルクロリド、3―[(メタ)アクリロイルオキシ]プロピオニルクロリド、2-[(メタ)アクリロイルオキシ]エチルクロロホルメート、3-[(メタ)アクリロイルオキシプロピル]クロロホルメート等が挙げられる。好適なイソシアネートとしては、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1-ビス[(メタ)アクリロイルオキシメチル]エチルイソシアネート、2-[2-(メタ)アクリロイルオキシエトキシ]エチルイソシアネート等が挙げられる。好適なエポキシ化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、混合して用いてもよいが、メタクリロイルクロリド、及び/又は2-(メタクリロイルオキシ)エチルイソシアネートを用いるのが特に好ましい。
更に、これらのフタル酸化合物封止体としては、フタル酸化合物が5-アミノイソフタル酸であるものが、感光特性に優れると同時に、加熱硬化後の膜特性に優れたポリアミドを得ることができるために好ましい。
上記封止反応は、ピリジン等の塩基性触媒又はジ-n-ブチルスズジラウレート等のスズ系触媒の存在下、フタル酸化合物と封止剤とを、必要に応じて後述するような溶媒中で撹拌溶解、混合することにより進行させることができる。
酸クロライド等、封止剤の種類によっては、封止反応の過程で塩化水素が副生するものがある。この場合は、以降の工程の汚染を防止する意味からも、一旦水再沈して水洗乾燥したり、イオン交換樹脂を充填したカラムを通してイオン成分を除去軽減する等、適宜精製を行うことが好ましい。
(ポリアミドの合成)
上記フタル酸化合物封止体と2価の有機基Yを有するジアミン化合物を、ピリジン又はトリエチルアミン等の塩基性触媒の存在下、後述するような溶媒中で混合し、アミド重縮合させることにより、ポリアミドを得ることができる。
アミド重縮合方法としては、フタル酸化合物封止体を、脱水縮合剤を用いて対称ポリ酸無水物とした後にジアミン化合物と混合する方法;フタル酸化合物封止体を既知の方法により酸クロライド化した後にジアミン化合物と混合する方法;ジカルボン酸成分と活性エステル化剤を脱水縮合剤の存在下で反応させて活性エステル化させた後にジアミン化合物と混合する方法;等が挙げられる。
脱水縮合剤としては、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1-エトキシカルボニル-2-エトキシ-1,2-ジヒドロキノリン、1,1’-カルボニルジオキシ-ジ-1,2,3-ベンゾトリアゾール、N,N’-ジスクシンイミジルカーボネートが挙げられる。
クロロ化剤としては、例えば、塩化チオニルが挙げられる。
活性エステル化剤としては、例えば、N-ヒドロキシスクシンイミド又は1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、N-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸イミド、2-ヒドロキシイミノ-2-シアノ酢酸エチル、2-ヒドロキシイミノ-2-シアノ酢酸アミドが挙げられる。
有機基Yを有するジアミン化合物としては、例えば、芳香族ジアミン化合物、芳香族ビスアミノフェノール化合物、脂環式ジアミン化合物、直鎖脂肪族ジアミン化合物、シロキサンジアミン化合物から成る群から選択される少なくとも1つのジアミン化合物であることが好ましく、所望に応じて複数を併用することも可能である。
芳香族ジアミン化合物としては、例えば、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノビフェニル、3,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、
3,3’-ジアミノジフェニルメタン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,4-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、9,10-ビス(4-アミノフェニル)アントラセン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,4-ビス(3-アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、オルト-トリジンスルホン、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、並びにこれらのベンゼン環上の水素原子の一部が、メチル基、エチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、及びハロゲン原子から成る群から選択される1つ以上の基で置換されたジアミン化合物が挙げられる。
このベンゼン環上の水素原子が置換されたジアミン化合物の例としては、例えば、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジメチトキシ-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノビフェニルが挙げられる。
芳香族ビスアミノフェノール化合物としては、例えば、3,3’-ジヒドロキシベンジジン、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジヒドロキシビフェニル、3,3’-ジヒドロキシ-4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、ビス-(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)メタン、2,2-ビス-(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス-(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス-(3-ヒドロキシ-4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス-(3-ヒドロキシ-4-アミノフェニル)メタン、2,2-ビス-(3-ヒドロキシ-4-アミノフェニル)プロパン、3,3’-ジヒドロキシ-4,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジヒドロキシ-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、2,5-ジヒドロキシ-1,4-ジアミノベンゼン、4,6-ジアミノレゾルシノール、1,1-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4-(α-メチルベンジリデン)-ビス(2-アミノフェノール)が挙げられる。
脂環式ジアミン化合物としては、例えば、1,3-ジアミノシクロペンタン、1,3-ジアミノシクロヘキサン、1,3-ジアミノ-1-メチルシクロヘキサン、3,5-ジアミノ-1,1-ジメチルシクロヘキサン、1,5-ジアミノ-1,3-ジメチルシクロヘキサン、1,3-ジアミノ-1-メチル-4-イソプロピルシクロヘキサン、1,2-ジアミノ-4-メチルシクロヘキサン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノ-2,5-ジエチルシクロヘキサン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、2-(3-アミノシクロペンチル)-2-プロピルアミン、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミン、1-シクロヘプテン-3,7-ジアミン、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4’-メチレンビス(2-メチルシクロヘキシルアミン)、1,4-ビス(3-アミノプロピル)ピペラジン、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ-[5,5]-ウンデカンが挙げられる。
直鎖脂肪族ジアミン化合物としては、例えば、1,2-ジアミノエタン、1,4-ジアミノブタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,8-ジアミノオクタン、1,10-ジアミノデカン、1,12-ジアミノドデカン等の炭化水素型ジアミン、又は2-(2-アミノエトキシ)エチルアミン、2,2’-(エチレンジオキシ)ジエチルアミン、ビス[2-(2-アミノエトキシ)エチル]エーテル等のアルキレンオキサイド型ジアミンが挙げられる。
シロキサンジアミン化合物としては、例えば、ジメチル(ポリ)シロキサンジアミン、例えば、信越化学工業製、商標名PAM-E、KF-8010、X-22-161Aが挙げられる。
アミド重縮合反応終了後、反応液中に析出してきた脱水縮合剤由来の析出物等を必要に応じて濾別する。次いで、反応液中に、水若しくは脂肪族低級アルコール又はその混合液等のポリアミドの貧溶媒を投入してポリアミドを析出させる。更に、析出したポリアミドを溶媒に再溶解させ、再沈析出操作を繰り返すことによって精製し、真空乾燥を行い、目的のポリアミドを単離する。なお、精製度を更に向上させるために、このポリアミドの溶液を、イオン交換樹脂を充填したカラムに通してイオン性不純物を除去してよい。
ポリアミドのGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量は、7,000~70,000が好ましく、10,000~50,000がより好ましい。ポリスチレン換算重量平均分子量が7,000以上であれば、硬化レリーフパターンの基本的な物性が確保され易い。また、ポリスチレン換算重量平均分子量が70,000以下であれば、レリーフパターンを形成する際の現像溶解性が確保され易い。
GPCの溶離液としては、テトラヒドロフラン又はNMPが推奨される。また、重量平均分子量値は標準単分散ポリスチレンを用いて作成した検量線から求められる。標準単分散ポリスチレンとしては昭和電工製 有機溶媒系標準試料 STANDARD SM-105から選ぶことが推奨される。
<ポリヒドロキシアミド>
(A)成分の更に1つの例は、下記一般式(5):
Figure 2024043132000041
{式中、Yは、炭素原子を有する4価の有機基であり、好ましくは2個以上の炭素原子を有する4価の有機基であり、Y、X及びXは、それぞれ独立に、2個以上の炭素原子を有する2価の有機基であり、nは、1~1000の整数であり、nは、0~500の整数であり、n/(n+n)>0.5であり、そしてX及びYを含むn個のジヒドロキシジアミド単位、並びにX及びYを含むn個のジアミド単位の配列順序は問わない。}で表される構造を有するポリヒドロキシアミド{ポリオキサゾール前駆体(以下、上記一般式(5)で表されるポリヒドロキシアミドを単に「ポリオキサゾール前駆体」という場合がある。)}である。
ポリオキサゾール前駆体は、上記一般式(5)中のn個のジヒドロキシジアミド単位(以下、単にジヒドロキシジアミド単位という場合がある。)を有するポリマーであり、上記一般式(5)中のn個のジアミド単位(以下、単にジアミド単位という場合がある。)を有しよい。
の炭素原子数は、感光特性の観点から2~40個が好ましく、Xの炭素原子数は、感光特性の観点から2~40個が好ましく、Yの炭素原子数は、感光特性の観点から2~40個が好ましく、そしてYの炭素原子数は、感光特性の観点から2~40個が好ましい。
該ジヒドロキシジアミド単位は、Y(NH(OH)の構造を有するジアミノジヒドロキシ化合物(好ましくはビスアミノフェノール)及びX(COOH)の構造を有するジカルボン酸からの合成により形成できる。以下、上記ジアミノジヒドロキシ化合物がビスアミノフェノールである場合を例に典型的な態様を説明する。該ビスアミノフェノールの2組のアミノ基とヒドロキシ基とはそれぞれ互いにオルト位にあるものであり、該ジヒドロキシジアミド単位は、約250~400℃での加熱によって閉環して、耐熱性のポリオキサゾール構造に変化する。一般式(5)中のnは、感光特性を得る目的で1以上、感光特性を得る目的で1000以下である。nは2~1000が好ましく、3~50がより好ましく、3~20が最も好ましい。
ポリオキサゾール前駆体には、必要に応じて上記ジアミド単位n個が縮合されていてもよい。該ジアミド単位は、Y(NHの構造を有するジアミン及びX(COOH)の構造を有するジカルボン酸からの合成により形成できる。一般式(5)中のnは、0~500の範囲であり、nが500以下であることにより良好な感光特性が得られる。nは0~10の範囲がより好ましい。ジヒドロキシジアミド単位に対するジアミド単位の割合が高すぎると現像液として使用するアルカリ性水溶液への溶解性が低下するので、一般式(5)中のn/(n+n)の値は0.5超であり、0.7以上であることがより好ましく、0.8以上が更に好ましい。
(NH(OH)の構造を有するジアミノジヒドロキシ化合物としてのビスアミノフェノールとしては、例えば、3,3’-ジヒドロキシベンジジン、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジヒドロキシビフェニル、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス-(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)メタン、2,2-ビス-(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス-(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス-(4-アミノ-3-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス-(4-アミノ-3-ヒドロキシフェニル)メタン、2,2-ビス-(4-アミノ-3-ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジヒドロキシベンゾフェノン、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,4-ジアミノ-2,5-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジアミノ-2,4-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジアミノ-4,6-ジヒドロキシベンゼン等が挙げられる。これらのビスアミノフェノールは単独又は2種以上を組合せて使用できる。該ビスアミノフェノールにおけるY基としては、下記式(37):
Figure 2024043132000042
{式中、Rs1とRs2は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリフルオロメチル基である。}で表されるものが、感光特性の観点で好ましい。
(NHの構造を有するジアミンとしては、芳香族ジアミン、シリコンジアミン等が挙げられる。このうち芳香族ジアミンとしては、例えば、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、2,4-トリレンジアミン、3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルケトン、4,4’-ジアミノジフェニルケトン、3,4’-ジアミノジフェニルケトン、2,2’-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2’-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4-メチル-2,4-ビス(4-アミノフェニル)-1-ペンテン、
4-メチル-2,4-ビス(4-アミノフェニル)-2-ペンテン、1,4-ビス(α,α-ジメチル-4-アミノベンジル)ベンゼン、イミノ-ジ-p-フェニレンジアミン、1,5-ジアミノナフタレン、2,6-ジアミノナフタレン、4-メチル-2,4-ビス(4-アミノフェニル)ペンタン、5(又は6)-アミノ-1-(4-アミノフェニル)-1,3,3-トリメチルインダン、ビス(p-アミノフェニル)ホスフィンオキシド、4,4’-ジアミノアゾベンゼン、4,4’-ジアミノジフェニル尿素、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]ベンゾフェノン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4’-ビス[4-(α,α-ジメチル-4-アミノベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’-ビス[4-(α,α―ジメチル-4-アミノベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノビフェニル、
4,4’-ジアミノベンゾフェノン、フェニルインダンジアミン、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、o-トルイジンスルホン、2,2-ビス(4-アミノフェノキシフェニル)プロパン、ビス(4-アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(4-アミノフェノキシフェニル)スルフィド、1,4-(4-アミノフェノキシフェニル)ベンゼン、1,3-(4-アミノフェノキシフェニル)ベンゼン、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、4,4’-ジ-(3-アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノベンズアニリド等、並びに、これら芳香族ジアミンの芳香核の水素原子が、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、メチル基、メトキシ基、シアノ基及びフェニル基から成る群より選ばれる少なくとも1種の基又は原子によって置換された化合物が挙げられる。
上記ジアミンとして、基材との接着性を高めるためにシリコンジアミンを選択することができる。シリコンジアミンの例としては、ビス(4-アミノフェニル)ジメチルシラン、ビス(4-アミノフェニル)テトラメチルシロキサン、ビス(4-アミノフェニル)テトラメチルジシロキサン、ビス(γ-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,4-ビス(γ-アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、ビス(4-アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、ビス(γ-アミノプロピル)テトラフェニルジシロキサン等が挙げられる。
(COOH)又はX(COOH)の構造を有する好ましいジカルボン酸としては、X及びXが、それぞれ、直鎖、分岐鎖又は環状構造を有する脂肪族基又は芳香族基であるものが挙げられる。中でも、芳香族環又は脂肪族環を含有していても良い炭素原子数2個以上40個以下の有機基が好ましく、X及びXは、それぞれ、下記式(38):
Figure 2024043132000043
{式中、R41は、-CH-、-O-、-S-、-SO-、-CO-、-NHCO-及び-C(CF-から成る群から選択される2価の基を表す。}で表される芳香族基から好ましく選択でき、これらは感光特性の観点から好ましい。
ポリオキサゾール前駆体は、末端基が特定の有機基で封止されたものでもよい。封止基で封止されたポリオキサゾール前駆体を用いる場合、感光性樹脂組成物の加熱硬化後の塗膜の機械物性(特に伸度)及び硬化レリーフパターン形状が良好となることが期待される。このような封止基の好適な例としては、下記式(39):
Figure 2024043132000044
で表されるものが挙げられる。
ポリオキサゾール前駆体のGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量は、3,000~70,000が好ましく、6,000~50,000がより好ましい。この重量平均分子量は、硬化レリーフパターンの物性の観点から、3,000以上が好ましい。また、解像性の観点から、70,000以下が好ましい。GPCの展開溶媒としては、テトラヒドロフラン、NMPが推奨される。また、分子量は、標準単分散ポリスチレンを用いて作成した検量線から求める。標準単分散ポリスチレンとしては、昭和電工社製 有機溶媒系標準試料 STANDARD SM-105から選ぶことが推奨される。
<ポリイミド>
(A)成分の更に1つの例は、前記一般式(6):
Figure 2024043132000045
{式中、Xは、4~14価の有機基、Yは、2~12価の有機基、R10及びR11は、それぞれ独立に、フェノール性水酸基、スルホン酸基又はチオール基から選ばれる基を少なくとも一つ有する有機基を示し、かつ同一であるか、又は異なっていてよく、nは、3~200の整数であり、そしてm及びmは、0~10の整数である。}
で表される構造を有するポリイミドである。ここで、一般式(6)で表される樹脂は、十分な膜特性を発現する上で熱処理の工程で化学変化を要さないので、より低温での処理に好適である観点から特に好ましい。
上記一般式(6)にて示される構造単位中のXは、炭素数4~40の4価~14価の有機基が好ましく、耐熱性及び感光特性を両立する観点から、芳香族環又は脂肪族環を含有する炭素原子数5~40の有機基がより好ましい。
上記一般式(6)で表されるポリイミドは、テトラカルボン酸、対応するテトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸ジエステルジクロリド等とジアミン、対応するジイソシアネート化合物、トリメチルシリル化ジアミンを反応させて得ることができる。ポリイミドは、一般にテトラカルボン酸二無水物とジアミンを反応させて得られるポリイミド前駆体の1つであるポリアミド酸を、加熱又は酸若しくは塩基等による化学処理で脱水閉環することで得ることができる。
好適なテトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’、4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン酸二無水物、
9,9-ビス{4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル}フルオレン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6-ピリジンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物、又はブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物等の脂肪族のテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物及び下記一般式(40):
Figure 2024043132000046
{式中、R42は、酸素原子、C(CF、C(CH又はSOであり、そしてR43及びR44は、同一であるか、又は異なっていてもよく、かつ水素原子、水酸基又はチオール基である。}で表される化合物が挙げられる。
これらのうち、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、
ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン酸二無水物、9,9-ビス{4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル}フルオレン酸二無水物及び下記一般式(41)
Figure 2024043132000047
{式中、R45は、酸素原子、C(CF、C(CH又はSOであり、そしてR46及びR47は、同一であるか、又は異なっていてもよく、かつ水素原子、水酸基又はチオール基である。}で表される構造の酸二無水物が好ましい。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
上記一般式(6)のYは、ジアミンの構造成分を表しており、このジアミンとしては、芳香族環又は脂肪族環を含有する2~12価の有機基を表し、中でも炭素原子数5~40の有機基が好ましい。
ジアミンの具体的な例としては、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、ベンジン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、1,5-ナフタレンジアミン、2,6-ナフタレンジアミン、ビス(4-アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(3-アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス{4-(4-アミノフェノキシ)フェニル}エーテル、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジエチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、
3,3’-ジエチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’,3,3’-テトラメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’,4,4’-テトラメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジ(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフェニル、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン又はこれらの芳香族環にアルキル基若しくはハロゲン原子で置換した化合物、或いは脂肪族のシクロヘキシルジアミン、メチレンビスシクロヘキシルアミン及び、下記一般式(42):
Figure 2024043132000048
{式中、R48は、酸素原子、C(CF、C(CH又はSOであり、そしてR49~R52は、同一であるか、又は異なっていてよく、かつ水素原子、水酸基又はチオール基である。}で表される構造のジアミン等が挙げられる。
これらのうち、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、m-フェニレンジアミン、P-フェニレンジアミン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン及び、下記一般式(43):
Figure 2024043132000049
{式中、R53は、酸素原子、C(CF、C(CH又はSOであり、そしてR54~R57は、同一であるか、又は異なっていてよく、かつ水素原子、水酸基又はチオール基である。}で表される構造のジアミンが好ましい。
これらのうち、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、及び下記一般式(44):
Figure 2024043132000050
{式中、R58は、酸素原子、C(CF、C(CH又はSOであり、そしてR59及びR60は、同一であるか、又は異なっていてよく、かつ水素原子、水酸基又はチオール基である。}で表される構造のジアミンが特に好ましい。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
一般式(6)のR10及びR11は、フェノール性水酸基、スルホン酸基、又はチオール基である。R10及びR11として、フェノール性水酸基、スルホン酸基及び/又はチオール基を混在させてよい。
10及びR11のアルカリ可溶性基の量を制御することで、アルカリ水溶液に対する溶解速度が変化するので、この調整により適度な溶解速度を有した感光性樹脂組成物を得ることができる。
基板との接着性を向上させるため、耐熱性を低下させない範囲でX、Yとしてシロキサン構造を有する脂肪族の基を共重合してよい。具体的には、ジアミン成分として、ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、ビス(p-アミノ-フェニル)オクタメチルペンタシロキサン等を1~10モル%共重合したもの等が挙げられる。
上記ポリイミドは、例えば、低温中でテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物(一部をモノアミンである末端封止剤に置換)を反応させる方法;低温中でテトラカルボン酸二無水物(一部を酸無水物又はモノ酸クロリド化合物又はモノ活性エステル化合物である末端封止剤に置換)とジアミン化合物を反応させる方法;テトラカルボン酸二無水物とアルコールとによりジエステルを得、その後ジアミン(一部をモノアミンである末端封止剤に置換)と縮合剤の存在下で反応させる方法;テトラカルボン酸二無水物とアルコールとによりジエステルを得、その後残りのジカルボン酸を酸クロリド化し、ジアミン(一部をモノアミンである末端封止剤に置換)と反応させる方法等の方法を利用して、ポリイミド前駆体を得、これを、既知のイミド化反応法を用いて完全イミド化させる方法;途中でイミド化反応を停止し、一部イミド構造を導入する(この場合はポリアミドイミド)方法;更には、完全イミド化したポリマーと、そのポリイミド前駆体をブレンドする事によって、一部イミド構造を導入する方法;等を利用して合成することができる。
上記ポリイミドは、感光性樹脂組成物を構成する樹脂全体に対し、イミド化率が15%以上になるように、ポリイミドを有していることが好ましい。より好ましくは20%以上である。ここでイミド化率とは、感光性樹脂組成物を構成する樹脂全体に存在するイミド化の割合を指す。イミド化率が15%を下回ると熱硬化時の収縮量が大きくなり、厚膜作製には適さない。
イミド化率は、以下の方法で算出できる。まず、ポリマーの赤外吸収スペクトルを測定、ポリイミドに起因するイミド構造の吸収ピーク(1780cm-1付近、1377cm-1付近)の存在を確認する。次に、そのポリマーを350℃で1時間熱処理し、熱処理後の赤外吸収スペクトルを測定し、1377cm-1付近のピーク強度を熱処理前の強度と比較することによって、熱処理前ポリマー中のイミド化率を算出する。
上記ポリイミドの分子量は、GPCによるポリスチレン換算重量平均分子量で測定した場合に、3,000~200,000が好ましく、5,000~50,000がより好ましい。重量平均分子量が3,000以上である場合機械物性が良好になり易い。50,000以下である場合現像液への分散性が良好になり易く、そして、レリーフパターンの解像性能が良好になり易い。
GPCの展開溶媒としては、テトラヒドロフラン、及びNMPが推奨される。また分子量は標準単分散ポリスチレンを用いて作成した検量線から求める。標準単分散ポリスチレンとしては、昭和電工社製 有機溶媒系標準試料 STANDARD SM-105から選ぶことが推奨される。
<フェノール樹脂>
フェノール樹脂とは、フェノール性水酸基を有する繰り返し単位を有する樹脂を意味する。フェノール樹脂は、熱硬化時にポリイミド前駆体が環化(イミド化)するような構造変化がおこらないため、低温(例えば250℃以下)での硬化が可能であるという利点を有する。
フェノール樹脂の重量平均分子量は、好ましくは700~100,000、より好ましくは1,500~80,000、更に好ましくは2,000~50,000である。重量平均分子量は、硬化膜のリフロー処理適用性の観点から、700以上が好ましく、一方で、感光性樹脂組成物のアルカリ溶解性の観点から、100,000以下が好ましい。重量平均分子量の測定は、GPCにより行い、標準ポリスチレンを用いて作成した検量線により算出することができる。
フェノール樹脂は、アルカリ水溶液への溶解性、レジストパターンを形成する際の感度と解像性、及び硬化膜の残留応力の観点から、ノボラック、ポリヒドロキシスチレン、下記一般式(7):
Figure 2024043132000051
{式中、aは、1~3の整数であり、bは、0~3の整数であり、1≦(a+b)≦4であり、R26は、炭素数1~20の1価の有機基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1価の置換基を表し、bが2又は3である場合には、複数のR12は、互いに同一でも又は異なっていてもよく、Xは、不飽和結合を有していてもよい炭素数2~10の2価の脂肪族基、炭素数3~20の2価の脂環式基、下記一般式(8):
Figure 2024043132000052
(式中、pは、1~10の整数である。)で表される2価のアルキレンオキシド基、及び炭素数6~12の芳香族環を有する2価の有機基からなる群から選択される2価の有機基を表す。}
で表される繰り返し単位を有するフェノール樹脂、及び炭素数4~100の不飽和炭化水素基を有する化合物で変性されたフェノール樹脂、から成る群から選択される少なくとも1種のフェノール樹脂であることが好ましい。
(ノボラック)
ノボラックとは、フェノール類とホルムアルデヒドとを触媒の存在下で縮合させることにより得られるポリマー全般を意味する。一般に、ノボラックは、フェノール類1モルに対し、ホルムアルデヒド1モル未満を縮合させて得ることができる。上記フェノール類としては、例えば、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-エチルフェノール、m-エチルフェノール、p-エチルフェノール、o-ブチルフェノール、m-ブチルフェノール、p-ブチルフェノール、2,3-キシレノール、2,4-キシレノール、2,5-キシレノール、2,6-キシレノール、3,4-キシレノール、3,5-キシレノール、2,3,5-トリメチルフェノール、3,4,5-トリメチルフェノール、カテコール、レゾルシノール、ピロガロール、α-ナフトール、β-ナフトール等が挙げられる。具体的なノボラックとしては、例えば、フェノール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂、クレゾール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂、フェノール-ナフトール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂等が挙げられる。
ノボラックの重量平均分子量は、好ましくは700~100,000であり、より好ましくは1,500~80,000であり、更に好ましくは2,000~50,000である。重量平均分子量は、硬化膜のリフロー処理適用性の観点から、700以上であることが好ましく、一方で、感光性樹脂組成物のアルカリ溶解性の観点から、100,000以下であることが好ましい。
(ポリヒドロキシスチレン)
ポリヒドロキシスチレンとは、ヒドロキシスチレンを重合単位として含有するポリマー全般を意味する。ポリヒドロキシスチレンの好ましい例としては、ポリパラビニルフェノールが挙げられる。ポリパラビニルフェノールは、パラビニルフェノールを重合単位として含有するポリマー全般を意味する。従って、本発明の目的に反しない限りは、ポリヒドロキシスチレン(例えばポリパラビニルフェノール)を構成するために、ヒドロキシスチレン(例えばパラビニルフェノール)以外の重合単位を使用することができる。ポリヒドロキシスチレンにおいて、全重合単位のモル数基準でのヒドロキシスチレン単位のモル数の割合は、好ましくは10~99モル%、より好ましくは20~97モル%、更に好ましくは30~95モル%である。上記割合が10モル%以上である場合、感光性樹脂組成物のアルカリ溶解性の観点で有利であり、99モル%以下である場合、後述の共重合成分を含有する組成物を硬化した硬化膜のリフロー適用性の観点から有利である。ヒドロキシスチレン(例えばパラビニルフェノール)以外の重合単位は、ヒドロキシスチレン(例えばパラビニルフェノール)と共重合可能な任意の重合単位であることができる。ヒドロキシスチレン(例えばパラビニルフェノール)以外の重合単位を与える共重合成分としては、限定されるものではないが、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ブチルメタクリレート、オクチルアクリレート、2-エトキシエチルメタアクリレート、t-ブチルアクリレート、1,5-ペンタンジオールジアクリレート、N,N-ジエチルアミノエチルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、1,3-プロパンジオールジアクリレート、デカメチレングリコールジアクリレート、デカメチレングリコールジメタクリレート、1,4-シクロヘキサンジオールジアクリレート、2,2-ジメチロールプロパンジアクリレート、グリセロールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、2,2-ジ(p-ヒドロキシフェニル)-プロパンジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリオキシエチル-2-2-ジ(p-ヒドロキシフェニル)-プロパンジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、1,3-プロパンジオールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、1,3-プロパンジオールジメタクリレート、1,2,4-ブタントリオールトリメタクリレート、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、1-フェニルエチレン-1,2-ジメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,5-ペンタンジオールジメタクリレート及び1,4-ベンゼンジオールジメタクリレートのようなアクリル酸のエステル;スチレン並びに、例えば、2-メチルスチレン及びビニルトルエンのような置換スチレン;例えば、ビニルアクリレート及びビニルメタクリレートのようなビニルエステルモノマー;並びにo-ビニルフェノール、m-ビニルフェノール等が挙げられる。
また、上記で説明されたノボラック及びポリヒドロキシスチレンとしては、それぞれ、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用されることができる。
ポリヒドロキシスチレンの重量平均分子量は、好ましくは700~100,000であり、より好ましくは1,500~80,000であり、更に好ましくは2,000~50,000である。重量平均分子量は、硬化膜のリフロー処理適用性の観点から、700以上であることが好ましく、一方で、感光性樹脂組成物のアルカリ溶解性の観点から、100,000以下であることが好ましい。
(一般式(7)で表されるフェノール樹脂)
本実施形態では、(A)フェノール樹脂が、下記一般式(7):
Figure 2024043132000053
{式中、aは、1~3の整数であり、bは、0~3の整数であり、1≦(a+b)≦4であり、R12は、炭素数1~20の1価の有機基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1価の置換基を表し、bが2又は3である場合には、複数のR12は、互いに同一でも又は異なっていてよく、Xは、不飽和結合を有していてもよい炭素数2~10の2価の脂肪族基、炭素数3~20の2価の脂環式基、下記一般式(8):
Figure 2024043132000054
(式中、pは、1~10の整数である。)で表される2価のアルキレンオキシド基、及び炭素数6~12の芳香族環を有する2価の有機基からなる群から選択される2価の有機基を表す。}で表される繰り返し単位を有するフェノール樹脂を含むこともまた好ましい。上記の繰り返し単位を有するフェノール樹脂は、例えば従来使用されてきたポリイミド樹脂及びポリベンゾオキサゾール樹脂と比べて低温での硬化が可能であり、かつ良好な伸度を有する硬化膜の形成を可能にする点で特に有利である。フェノール樹脂分子中に存在する上記繰り返し単位は、1種又は2種以上の組合せであることができる。
上記一般式(7)において、R12は、一般式(7)にかかる樹脂を合成する際の反応性の観点から、炭素数1~20の1価の有機基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1価の置換基である。R12は、アルカリ溶解性の観点から、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、不飽和結合を有していてもよい炭素数1~10の脂肪族基、炭素数6~20の芳香族基、及び下記一般式(45):
Figure 2024043132000055
{式中、R61、R62及びR63は、それぞれ独立に、水素原子、不飽和結合を有していてもよい炭素数1~10の脂肪族基、炭素数3~20の脂環式基、又は炭素数6~20の芳香族基を表し、そしてR64は、不飽和結合を有していてもよい炭素数1~10の2価の脂肪族基、炭素数3~20の2価の脂環式基、又は炭素数6~20の2価の芳香族基を表す。}で表される4つの基からなる群から選択される1価の置換基であることが好ましい。
上記一般式(7)において、aは、1~3の整数であるが、アルカリ溶解性及び伸度の観点から、2が好ましい。aが2である場合、水酸基同士の置換位置は、オルト、メタ及びパラ位のいずれであってもよい。aが3である場合、水酸基同士の置換位置は、1,2,3-位、1,2,4-位及び1,3,5-位等、いずれであってもよい。
本実施形態では、上記一般式(7)において、aが1の場合は、アルカリ溶解性を向上するために、一般式(7)で表される繰り返し単位を有するフェノール樹脂(以下、(a1)樹脂ともいう)に更にノボラック及びポリヒドロキシスチレンから選択されるフェノール樹脂(以下(a2)樹脂ともいう)を混合することができる。
(a1)樹脂と(a2)樹脂との混合比は、質量比で(a1)/(a2)=10/90~90/10の範囲であることが好ましい。この混合比は、アルカリ水溶液中での溶解性、及び硬化膜の伸度の観点から、(a1)/(a2)=10/90~90/10が好ましく、(a1)/(a2)=20/80~80/20であることがより好ましく、(a1)/(a2)=30/70~70/30であることが更に好ましい。
上記(a2)樹脂としてのノボラック及びポリヒドロキシスチレンとしては、上記(ノボラック)及び(ポリヒドロキシスチレン)の項に示したものと同様の樹脂を使用できる。
本実施形態では、上記一般式(7)において、bは、0~3の整数であるが、アルカリ溶解性及び伸度の観点から、0又は1であることが好ましい。また、bが2又は3である場合には、複数のR12は、互いに同一でも又は異なっていてもよい。
更に、本実施形態では、上記一般式(7)において、a及びbは、1≦(a+b)≦4の関係を満たす。
本実施形態では、上記一般式(7)において、Xは、硬化レリーフパターン形状及び、硬化膜の伸度の観点から、不飽和結合を有していてもよい炭素数2~10の2価の脂肪族基、炭素数3~20の2価の脂環式基、上記一般式(8)で表されるアルキレンオキシド基、及び炭素数6~12の芳香族環を有する2価の有機基からなる群から選択される2価の有機基である。これらの2価の有機基の中で、硬化後の膜の強靭性の観点から、Xは、下記一般式(9):
Figure 2024043132000056
{式中、R13、R14、R15及びR16は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の1価の脂肪族基、又は水素原子の一部若しくは全部がフッ素原子で置換されてなる炭素数1~10の1価の脂肪族基であり、nは0~4の整数であって、nが1~4の整数である場合のR17は、ハロゲン原子、水酸基、又は炭素数1~12の1価の有機基であり、少なくとも1つのR17は水酸基であり、nが2~4の整数である場合の複数のR17は互いに同一でも又は異なっていてもよい。}で表される2価の基、及び下記一般式(10):
Figure 2024043132000057
{式中、R18、R19、R20及びR21は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の1価の脂肪族基、又は水素原子の一部若しくは全部がフッ素原子で置換されてなる炭素数1~10の1価の脂肪族基であり、Wは、単結合、フッ素原子で置換されてよい炭素数1~10の脂肪族基、フッ素原子で置換されてよい炭素数3~20の脂環式基、下記一般式(8):
Figure 2024043132000058
(式中、pは、1~10の整数である。)で表される2価のアルキレンオキシド基、及び下記式(11):
Figure 2024043132000059
で表される2価の基からなる群から選択される2価の有機基である。}で表される2価の基からなる群から選択される2価の有機基であることが好ましい。上記炭素数6~12の芳香族環を有する2価の有機基Xの炭素数は、好ましくは8~75、より好ましくは8~40である。なお、上記炭素数6~12の芳香族環を有する2価の有機基Xの構造は、一般的には、上記一般式(7)中、OH基及び任意のR12基が芳香環に結合している構造とは異なる。
更に、上記一般式(10)で表される2価の有機基は、樹脂組成物のパターン形成性、及び硬化後の硬化膜の伸度が良好である観点から、下記式(12):
Figure 2024043132000060
で表される2価の有機基であることがより好ましく、更に下記式(13):
Figure 2024043132000061
で表される2価の有機基であることが特に好ましい。
一般式(7)で表される構造中、Xは、式(12)又は(13)で表される構造が好ましく、Xにおける式(12)又は(13)で表される構造で表される部位の割合は、伸度の観点から、20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましい。上記割合は、組成物のアルカリ溶解性の観点から、80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましい。
上記一般式(7)で表される構造を有するフェノール樹脂の中で、下記一般式(14)で表される構造及び下記一般式(15)で表される構造の両方を同一樹脂骨格内に有する構造は、組成物のアルカリ溶解性及び、硬化膜の伸度の観点から好ましい。
Figure 2024043132000062
{式中、R21は炭化水素基及びアルコキシ基からなる群から選択される炭素数1~10の1価の基であり、nは2又は3であり、nは0~2の整数であり、mは1~500の整数であり、2≦(n+n)≦4であり、nが2の場合には、複数のR21は互いに同一でも又は異なっていてもよい。}
Figure 2024043132000063
{式中、R22及びR23は、それぞれ独立に、炭化水素基及びアルコキシ基からなる群から選択される炭素数1~10の1価の基であり、nは1~3の整数であり、n10は0~2の整数であり、n11は0~3の整数であり、mは1~500の整数であり、2≦(n+n10)≦4であり、n10が2の場合には、複数のR22は互いに同一でも又は異なっていてもよく、n11が2又は3の場合には、複数のR23は互いに同一でも又は異なっていてもよい。}
上記一般式(14)のm及び上記一般式(15)のmは、フェノール樹脂の主鎖におけるそれぞれの繰り返し単位の総数を表す。すなわち、(A)フェノール樹脂において、例えば、上記一般式(14)で表される構造における括弧内の繰り返し単位と上記一般式(15)で表される構造における括弧内の繰り返し単位とは、ランダム、ブロック又はこれらの組合せで配列されていることができる。m及びmは、それぞれ独立に、1~500の整数であり、下限値は、好ましくは2、より好ましくは3であり、上限値は、好ましくは450、より好ましくは400、更に好ましくは350である。m及びmは、それぞれ独立に、硬化後の膜の強靭性の観点から、2以上であることが好ましく、アルカリ水溶液中での溶解性の観点から、450以下であることが好ましい。m及びmの合計は、硬化後の膜の強靭性の観点から、好ましくは2以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは6以上であり、アルカリ水溶液中での溶解性の観点から、好ましくは200以下、より好ましくは175以下、更に好ましくは150以下である。
上記一般式(14)で表される構造及び上記一般式(15)で表される構造の両方を同一樹脂骨格内に有する(A)フェノール樹脂において、上記一般式(14)で表される構造のモル比率が高いほど、硬化後の膜物性が良好であり、耐熱性にも優れ、一方、上記一般式(15)で表される構造のモル比率が高いほど、アルカリ溶解性が良好であり、硬化後のパターン形状に優れる。従って、上記一般式(14)で表される構造の上記一般式(15)で表される構造に対する比率m/mは、硬化後の膜物性の観点から、好ましくは20/80以上、より好ましくは40/60以上、特に好ましくは50/50以上であり、アルカリ溶解性及び硬化レリーフパターン形状の観点から、好ましくは90/10以下、より好ましくは80/20以下、更に好ましくは70/30以下である。
一般式(7)で表される繰り返し単位を有するフェノール樹脂は、典型的には、フェノール化合物と、共重合成分(具体的には、アルデヒド基を有する化合物(トリオキサンのように分解してアルデヒド化合物を生成する化合物も含む)、ケトン基を有する化合物、メチロール基を分子内に2個有する化合物、アルコキシメチル基を分子内に2個有する化合物、及びハロアルキル基を分子内に2個有する化合物からなる群から選択される1種類以上の化合物)とを含み、より典型的にはこれらからなるモノマー成分を、重合反応させることによって合成できる。例えば、下記に示すようなフェノール及び/又はフェノール誘導体(以下、総称して「フェノール化合物」ともいう。)に対し、アルデヒド化合物、ケトン化合物、メチロール化合物、アルコキシメチル化合物、ジエン化合物、又はハロアルキル化合物等の共重合成分を重合させて(A)フェノール樹脂を得ることができる。この場合、上記一般式(7)中、OH基及び任意のR12基が芳香環に結合している構造で表される部分は上記フェノール化合物に由来し、Xで表される部分は上記共重合成分に由来することになる。反応制御、並びに得られた(A)フェノール樹脂及び感光性樹脂組成物の安定性の観点から、フェノール化合物と上記共重合成分との仕込みモル比 (フェノール化合物):(共重合成分)は、5:1~1.01:1であることが好ましく、2.5:1~1.1:1であることがより好ましい。
一般式(7)で表される繰り返し単位を有するフェノール樹脂の重量平均分子量は、好ましくは700~100,000であり、より好ましくは1,500~80,000であり、更に好ましくは2,000~50,000である。重量平均分子量は、硬化膜のリフロー処理適用性の観点から、700以上であることが好ましく、一方で、感光性樹脂組成物のアルカリ溶解性の観点から、100,000以下であることが好ましい。
一般式(7)で表される繰り返し単位を有するフェノール樹脂を得るために使用できるフェノール化合物としては、例えば、クレゾール、エチルフェノール、プロピルフェノール、ブチルフェノール、アミルフェノール、シクロヘキシルフェノール、ヒドロキシビフェニル、ベンジルフェノール、ニトロベンジルフェノール、シアノベンジルフェノール、アダマンタンフェノール、ニトロフェノール、フルオロフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、トリフルオロメチルフェノール、N-(ヒドロキシフェニル)-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミド、N-(ヒドロキシフェニル)-5-メチル-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミド、トリフルオロメチルフェノール、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸エチル、ヒドロキシ安息香酸ベンジル、ヒドロキシベンズアミド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ヒドロキシアセトフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾニトリル、レゾルシノール、キシレノール、カテコール、メチルカテコール、エチルカテコール、ヘキシルカテコール、ベンジルカテコール、ニトロベンジルカテコール、メチルレゾルシノール、エチルレゾルシノール、ヘキシルレゾルシノール、ベンジルレゾルシノール、ニトロベンジルレゾルシノール、ハイドロキノン、カフェイン酸、ジヒドロキシ安息香酸、ジヒドロキシ安息香酸メチル、ジヒドロキシ安息香酸エチル、ジヒドロキシ安息香酸ブチル、ジヒドロキシ安息香酸プロピル、ジヒドロキシ安息香酸ベンジル、ジヒドロキシベンズアミド、ジヒドロキシベンズアルデヒド、ジヒドロキシアセトフェノン、ジヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシベンゾニトリル、N-(ジヒドロキシフェニル)-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミド、N-(ジヒドロキシフェニル)-5-メチル-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミド、ニトロカテコール、フルオロカテコール、クロロカテコール、ブロモカテコール、トリフルオロメチルカテコール、ニトロレゾルシノール、フルオロレゾルシノール、クロロレゾルシノール、ブロモレゾルシノール、トリフルオロメチルレゾルシノール、ピロガロール、フロログルシノール、1,2,4-トリヒドロキシベンゼン、トリヒドロキシ安息香酸、トリヒドロキシ安息香酸メチル、トリヒドロキシ安息香酸エチル、トリヒドロキシ安息香酸ブチル、トリヒドロキシ安息香酸プロピル、トリヒドロキシ安息香酸ベンジル、トリヒドロキシベンズアミド、トリヒドロキシベンズアルデヒド、トリヒドロキシアセトフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾニトリル等が挙げられる。
上記アルデヒド化合物としては、例えば、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ピバルアルデヒド、ブチルアルデヒド、ペンタナール、ヘキサナール、トリオキサン、グリオキザール、シクロヘキシルアルデヒド、ジフェニルアセトアルデヒド、エチルブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、グリオキシル酸、5-ノルボルネン-2-カルボキシアルデヒド、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、グルタルアルデヒド、サリチルアルデヒド、ナフトアルデヒド、テレフタルアルデヒド等が挙げられる。
上記ケトン化合物としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジシクロヘキシルケトン、ジベンジルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ビシクロヘキサノン、シクロヘキサンジオン、3-ブチン-2-オン、2-ノルボルナノン、アダマンタノン、2,2-ビス(4-オキソシクロヘキシル)プロパン等が挙げられる。
上記メチロール化合物としては、例えば、2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-p-クレゾール、2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-4-エチルフェノール、2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-4-プロピルフェノール、2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-4-n-ブチルフェノール、2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-4-t-ブチルフェノール、2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-4-メトキシフェノール、2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-4-エトキシフェノール、2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-4-プロポキシフェノール、2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-4-n-ブトキシフェノール、2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-4-t-ブトキシフェノール、1,3-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、リビトール、アラビトール、アリトール、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)酪酸、2-ベンジルオキシ-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、モノアセチン、2-メチル-2-ニトロ-1,3-プロパンジオール、5-ノルボルネン-2,2-ジメタノール、5-ノルボルネン-2,3-ジメタノール、ペンタエリスリトール、2-フェニル-1,3-プロパンジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、3,6-ビス(ヒドロキシメチル)デュレン、2-ニトロ-p-キシリレングリコール、1,10-ジヒドロキシデカン、1,12-ジヒドロキシドデカン、1,4-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキセン、1,6-ビス(ヒドロキシメチル)アダマンタン、1,4-ベンゼンジメタノール、1,3-ベンゼンジメタノール、2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-1,4-ジメトキシベンゼン、2,3-ビス(ヒドロキシメチル)ナフタレン、2,6-ビス(ヒドロキシメチル)ナフタレン、1,8-ビス(ヒドロキシメチル)アントラセン、2,2’-ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルエーテル、4,4’-ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルエーテル、4,4’-ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルチオエーテル、4,4’-ビス(ヒドロキシメチル)ベンゾフェノン、4-ヒドロキシメチル安息香酸-4’-ヒドロキシメチルフェニル、4-ヒドロキシメチル安息香酸-4’-ヒドロキシメチルアニリド、4,4’-ビス(ヒドロキシメチル)フェニルウレア、4,4’-ビス(ヒドロキシメチル)フェニルウレタン、1,8-ビス(ヒドロキシメチル)アントラセン、4,4’-ビス(ヒドロキシメチル)ビフェニル、2,2’-ジメチル-4,4’-ビス(ヒドロキシメチル)ビフェニル、2,2-ビス(4-ヒドロキシメチルフェニル)プロパン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール等が挙げられる。
上記アルコキシメチル化合物としては、例えば、2,6-ビス(メトキシメチル)-p-クレゾール、2,6-ビス(メトキシメチル)-4-エチルフェノール、2,6-ビス(メトキシメチル)-4-プロピルフェノール、2,6-ビス(メトキシメチル)-4-n-ブチルフェノール、2,6-ビス(メトキシメチル)-4-t-ブチルフェノール、2,6-ビス(メトキシメチル)-4-メトキシフェノール、2,6-ビス(メトキシメチル)-4-エトキシフェノール、2,6-ビス(メトキシメチル)-4-プロポキシフェノール、2,6-ビス(メトキシメチル)-4-n-ブトキシフェノール、2,6-ビス(メトキシメチル)-4-t-ブトキシフェノール、1,3-ビス(メトキシメチル)尿素、2,2-ビス(メトキシメチル)酪酸、2,2-ビス(メトキシメチル)―5-ノルボルネン、2,3-ビス(メトキシメチル)―5-ノルボルネン、1,4-ビス(メトキシメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(メトキシメチル)シクロヘキセン、1,6-ビス(メトキシメチル)アダマンタン、1,4-ビス(メトキシメチル)ベンゼン、1,3-ビス(メトキシメチル)ベンゼン、2,6-ビス(メトキシメチル)-1,4-ジメトキシベンゼン、2,3-ビス(メトキシメチル)ナフタレン、2,6-ビス(メトキシメチル)ナフタレン、1,8-ビス(メトキシメチル)アントラセン、2,2’-ビス(メトキシメチル)ジフェニルエーテル、4,4’-ビス(メトキシメチル)ジフェニルエーテル、4,4’-ビス(メトキシメチル)ジフェニルチオエーテル、4,4’-ビス(メトキシメチル)ベンゾフェノン、4-メトキシメチル安息香酸-4’-メトキシメチルフェニル、4-メトキシメチル安息香酸-4’-メトキシメチルアニリド、4,4’-ビス(メトキシメチル)フェニルウレア、4,4’-ビス(メトキシメチル)フェニルウレタン、1,8-ビス(メトキシメチル)アントラセン、4,4’-ビス(メトキシメチル)ビフェニル、2,2’-ジメチル-4,4’-ビス(メトキシメチル)ビフェニル、2,2-ビス(4-メトキシメチルフェニル)プロパン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラプロピレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
上記ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、ペンタジエン、ヘキサジエン、ヘプタジエン、オクタジエン、3-メチル-1,3-ブタジエン、1,3-ブタンジオール-ジメタクリラート、2,4-ヘキサジエン-1-オール、メチルシクロヘキサジエン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、1-ヒドロキシジシクロペンタジエン、1-メチルシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエン、ジアリルエーテル、ジアリルスルフィド、アジピン酸ジアリル、2,5-ノルボルナジエン、テトラヒドロインデン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-ビニル-2-ノルボルネン、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸ジアリル、イソシアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸ジアリルプロピル等が挙げられる。
上記ハロアルキル化合物としては、例えば、キシレンジクロライド、ビスクロロメチルジメトキシベンゼン、ビスクロロメチルデュレン、ビスクロロメチルビフェニル、ビスクロロメチル-ビフェニルカルボン酸、ビスクロロメチル-ビフェニルジカルボン酸、ビスクロロメチル-メチルビフェニル、ビスクロロメチル-ジメチルビフェニル、ビスクロロメチルアントラセン、エチレングリコールビス(クロロエチル)エーテル、ジエチレングリコールビス(クロロエチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(クロロエチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(クロロエチル)エーテル等が挙げられる。
上述のフェノール化合物と共重合成分とを、脱水、脱ハロゲン化水素、若しくは脱アルコールにより縮合させるか、又は不飽和結合を開裂させながら重合させることにより、(A)フェノール樹脂を得ることができるが、重合時に触媒を用いてもよい。酸性の触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、亜リン酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、酢酸、シュウ酸、1-ヒドロキシエチリデン-1,1’-ジホスホン酸、酢酸亜鉛、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素・フェノール錯体、三フッ化ホウ素・エーテル錯体等が挙げられる。一方で、アルカリ性の触媒としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、トリエチルアミン、ピリジン、4-N,N-ジメチルアミノピリジン、ピペリジン、ピペラジン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノネン、アンモニア、ヘキサメチレンテトラミン等が挙げられる。
一般式(7)で表される繰り返し構造を有するフェノール樹脂を得るために使用される触媒の量は、共重合成分(すなわちフェノール化合物以外の成分)の合計モル数、好ましくは、アルデヒド化合物、ケトン化合物、メチロール化合物、アルコキシメチル化合物、ジエン化合物及びハロアルキル化合物の合計モル数100モル%に対して、0.01~100モル%の範囲であることが好ましい。
(A)フェノール樹脂の合成反応において、反応温度は、通常40~250℃であることが好ましく、100~200℃の範囲であることがより好ましく、そして反応時間は、概ね1時間~10時間であることが好ましい。必要に応じて、該樹脂を十分に溶解できる溶媒を使用することができる。
なお、一般式(7)で表される繰り返し構造を有するフェノール樹脂は、上記一般式(7)の構造の原料とはならないフェノール化合物を、本発明の効果を損なわない範囲で更に重合させたものであってもよい。本発明の効果を損なわない範囲とは、例えば(A)フェノール樹脂の原料となるフェノール化合物全モル数の30%以下である。
(炭素数4~100の不飽和炭化水素基を有する化合物で変性されたフェノール樹脂)
炭素数4~100の不飽和炭化水素基を有する化合物で変性されたフェノール樹脂は、フェノール又はその誘導体と炭素数4~100の不飽和炭化水素基を有する化合物(以下場合により単に「不飽和炭化水素基含有化合物」という。)との反応生成物(以下「不飽和炭化水素基変性フェノール誘導体」ともいう。)と、アルデヒド類との縮重合生成物、又は、フェノール樹脂と不飽和炭化水素基含有化合物との反応生成物である。
フェノール誘導体は、一般式(7)で表される繰り返し単位を有するフェノール樹脂の原料として上述したものと同様のものを用いることができる。
不飽和炭化水素基含有化合物の不飽和炭化水素基は、硬化膜の残留応力及びリフロー処理適用性の観点から、2以上の不飽和基を含むことが好ましい。また、樹脂組成物としたときの相溶性及び硬化膜の残留応力の観点からは、不飽和炭化水素基は好ましくは炭素数4~100、より好ましくは炭素数8~80、更に好ましくは炭素数10~60である。
不飽和炭化水素基含有化合物としては、例えば、炭素数4~100の不飽和炭化水素、カルボキシル基を有するポリブタジエン、エポキシ化ポリブダジエン、リノリルアルコール、オレイルアルコール、不飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸エステルが挙げられる。好適な不飽和脂肪酸としては、クロトン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、α-リノレン酸、エレオステアリン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、イワシ酸及びドコサヘキサエン酸が挙げられる。これらの中でも特に、不飽和脂肪酸エステルである植物油が、硬化膜の伸度及び、硬化膜の可撓性の観点から特に好ましい。
植物油は、通常、グリセリンと不飽和脂肪酸とのエステルを含み、ヨウ素価が100以下の不乾性油、100を超えて130未満の半乾性油又は130以上の乾性油である。不乾性油として、例えば、オリーブ油、あさがお種子油、カシュウ実油、さざんか油、つばき油、ひまし油及び落花生油が挙げられる。半乾性油として、例えば、コーン油、綿実油及びごま油が挙げられる。乾性油としては、例えば、桐油、亜麻仁油、大豆油、胡桃油、サフラワー油、ひまわり油、荏の油及び芥子油が挙げられる。また、これらの植物油を加工して得られる加工植物油を用いてもよい。
上記植物油の中で、フェノール若しくはその誘導体又はフェノール樹脂と植物油との反応において、過度の反応の進行に伴うゲル化を防ぎ、歩留まりが向上する観点から、不乾性油を用いることが好ましい。一方、レジストパターンの密着性、機械特性及び耐熱衝撃性が向上する観点では乾性油を用いることが好ましい。乾性油の中でも、本発明による効果をより有効かつ確実に発揮し易いことから、桐油、亜麻仁油、大豆油、胡桃油及びサフラワー油が好ましく、桐油及び亜麻仁油がより好ましい。これら植物油は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
フェノール又はその誘導体と不飽和炭化水素基含有化合物との反応は、50~130℃で行うことが好ましい。フェノール又はその誘導体と不飽和炭化水素基含有化合物との反応割合は、硬化膜の残留応力を低下させる観点から、フェノール又はその誘導体100質量部に対し、不飽和炭化水素基含有化合物1~100質量部であることが好ましく、5~50質量部であることがより好ましい。不飽和炭化水素基含有化合物が1質量部未満では、硬化膜の可とう性が低下する傾向があり、100質量部を超えると、硬化膜の耐熱性が低下する傾向がある。上記反応においては、必要に応じて、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等を触媒として用いてもよい。
上記反応により生成する不飽和炭化水素基変性フェノール誘導体と、アルデヒド類とを重縮合させることにより、不飽和炭化水素基含有化合物によって変性されたフェノール樹脂が生成する。アルデヒド類は、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、メトキシベンズアルデヒド、ヒドロキシフェニルアセトアルデヒド、メトキシフェニルアセトアルデヒド、クロトンアルデヒド、クロロアセトアルデヒド、クロロフェニルアセトアルデヒド、アセトン、グリセルアルデヒド、グリオキシル酸、グリオキシル酸メチル、グリオキシル酸フェニル、グリオキシル酸ヒドロキシフェニル、ホルミル酢酸、ホルミル酢酸メチル、2-ホルミルプロピオン酸、2-ホルミルプロピオン酸メチル、ピルビン酸、レプリン酸、4-アセチルブチル酸、アセトンジカルボン酸及び3,3’-4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸から選ばれる。また、パラホルムアルデヒド、トリオキサン等のホルムアルデヒドの前駆体を用いてもよい。これらのアルデヒド類は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
上記アルデヒド類と、上記不飽和炭化水素基変性フェノール誘導体との反応は、重縮合反応であり、従来公知のフェノール樹脂の合成条件を用いることができる。反応は酸又は塩基等の触媒の存在下で行うことが好ましく、樹脂の重合度(分子量)の観点から酸触媒を用いることがより好ましい。酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、ぎ酸、酢酸、p-トルエンスルホン酸及びシュウ酸が挙げられる。これらの酸触媒は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記反応は、通常反応温度100~120℃で行うことが好ましい。また、反応時間は使用する触媒の種類や量により異なるが、通常1~50時間である。反応終了後、反応生成物を200℃以下の温度で減圧脱水することで不飽和炭化水素基含有化合物によって変性されたフェノール樹脂が得られる。なお、反応には、トルエン、キシレン、メタノール等の溶媒を用いることができる。
不飽和炭化水素基含有化合物によって変性されたフェノール樹脂は、上述の不飽和炭化水素基変性フェノール誘導体を、m-キシレンのようなフェノール以外の化合物とともにアルデヒド類と重縮合することにより得ることもできる。この場合、フェノール誘導体と不飽和炭化水素基含有化合物とを反応させて得られる化合物に対するフェノール以外の化合物の仕込みモル比は、0.5未満であると好ましい。
不飽和炭化水素基含有化合物で変性されたフェノール樹脂は、フェノール樹脂と不飽和炭化水素基含有化合物とを反応させて得ることもできる。この場合に用いるフェノール樹脂は、フェノール化合物(すなわちフェノール及び/又はフェノール誘導体)とアルデヒド類の重縮合生成物である。この場合、フェノール誘導体及びアルデヒド類としては、上述したフェノール誘導体及びアルデヒド類と同様のものを用いることができ、上述したような従来公知の条件でフェノール樹脂を合成することができる。
不飽和炭化水素基含有化合物で変性されたフェノール樹脂を形成するために用いるのに好適な、フェノール化合物とアルデヒド類とから得られるフェノール樹脂の具体例としては、フェノール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂、クレゾール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂、キシリレノール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂、レゾルシノール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂及びフェノール-ナフトール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂が挙げられる。
フェノール樹脂と反応させる不飽和炭化水素基含有化合物は、アルデヒド類と反応させる不飽和炭化水素基変性フェノール誘導体の製造に関して上述した不飽和炭化水素基含有化合物と同様のものを使用することができる。
フェノール樹脂と不飽和炭化水素基含有化合物との反応は、通常50~130℃で行うことが好ましい。また、フェノール樹脂と不飽和炭化水素基含有化合物との反応割合は、硬化膜(レジストパターン)の可とう性を向上させる観点から、フェノール樹脂100質量部に対し、不飽和炭化水素基含有化合物1~100質量部であることが好ましく、2~70質量部であることがより好ましく、5~50質量部であることが更に好ましい。不飽和炭化水素基含有化合物が1質量部未満では、硬化膜の可とう性が低下する傾向にあり、100質量部を超えると、反応中にゲル化する可能性が高くなる傾向、及び、硬化膜の耐熱性が低下する傾向がある。フェノール樹脂と不飽和炭化水素基含有化合物との反応の際、必要に応じて、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等を触媒として用いてもよい。なお、反応には後述にて詳しく説明するが、例えばトルエン、キシレン、メタノール、テトラヒドロフラン等の溶媒を用いることができる。
以上のような方法により生成する不飽和炭化水素基含有化合物によって変性されたフェノール樹脂中に残ったフェノール性水酸基に、更に多塩基酸無水物を反応させることにより酸変性したフェノール樹脂を用いることもできる。多塩基酸無水物で酸変性することにより、カルボキシ基が導入され、アルカリ水溶液(現像液として使用するもの)に対する溶解性がより一層向上する。
多塩基酸無水物は、複数のカルボキシ基を有する多塩基酸のカルボキシ基が脱水縮合して形成された酸無水物基を有していれば、特に限定されない。多塩基酸無水物としては、例えば無水フタル酸、無水コハク酸、オクテニル無水コハク酸、ペンタドデセニル無水コハク酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水ナジック酸、3,6-エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸及び無水トリメリット酸等の二塩基酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、無水ピロメリット酸及びベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等の芳香族四塩基酸二無水物が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、多塩基酸無水物は二塩基酸無水物であることが好ましく、テトラヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸及びヘキサヒドロ無水フタル酸からなる群より選ばれる1種以上であることがより好ましい。この場合、更に良好な形状を有するレジストパターンを形成できるという利点がある。
フェノール性水酸基と多塩基酸無水物との反応は、50~130℃で行うことができる。この反応において、フェノール性水酸基1モルに対して、0.10~0.80モルの多塩基酸無水物を反応させることが好ましく、0.15~0.60モル反応させることがより好ましく、0.20~0.40モル反応させることが更に好ましい。多塩基酸無水物が0.10モル未満では、現像性が低下する傾向にあり、0.80モルを超えると、未露光部の耐アルカリ性が低下する傾向にある。
なお、上記反応には、反応を迅速に行う観点から、必要に応じて、触媒を含有させてもよい。触媒としては、トリエチルアミン等の3級アミン、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、2-エチル-4-メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、トリフェニルホスフィン等のリン化合物が挙げられる。
多塩基酸無水物で更に変性したフェノール樹脂の酸価は、30~200mgKOH/gであることが好ましく、40~170mgKOH/gであることがより好ましく、50~150mgKOH/gであることが更に好ましい。酸価が30mgKOH/g未満であると、酸価が上記範囲にある場合と比較して、アルカリ現像に長時間を要する傾向にあり、200mgKOH/gを超えると、酸価が上記範囲にある場合と比較して、未露光部の耐現像液性が低下する傾向にある。
不飽和炭化水素基含有化合物で変性されたフェノール樹脂の分子量は、アルカリ水溶液に対する溶解性や、感光特性と硬化膜物性とのバランスを考慮すると、重量平均分子量で1000~100000が好ましく、2000~100000がより好ましい。
フェノール樹脂としては、上記一般式(7)で表される繰り返し単位を有するフェノール樹脂、及び上記炭素数4~100の不飽和炭化水素基を有する化合物で変性されたフェノール樹脂から選択される少なくとも1種のフェノール樹脂(以下、(a3)樹脂ともいう)と、ノボラック及びポリヒドロキシスチレンから選択されるフェノール樹脂(以下、(a4)樹脂ともいう)との混合物も好ましい。(a3)樹脂と(a4)樹脂との混合比は、質量比で(a3)/(a4)=5/95~95/5の範囲である。この混合比は、アルカリ水溶液への溶解性、レジストパターンを形成する際の感度と解像性、及び硬化膜の残留応力、リフロー処理適用性の観点から、(a3)/(a4)=5/95~95/5が好ましく、(a3)/(a4)=10/90~90/10であることがより好ましく、(a3)/(a4)=15/85~85/15であることが更に好ましい。上記(a4)樹脂としてのノボラック及びポリヒドロキシスチレンとしては、上記(ノボラック)及び(ポリヒドロキシスチレン)の項に示したものと同様の樹脂を使用できる。
〔(B)成分〕
(B)成分は、本実施形態の感光性樹脂組成物を用いて形成されたレリーフパターンの樹脂膜を着色するために用い、樹脂膜に対して容易にレーザー印字することができる機能を付与するために用いる化合物である。(B)成分は分子構造中に窒素原子を含有する化合物であり、窒素(N)原子の原子質量割合が(B)成分の分子質量に対して5%以上15%以下である。上記の(B)成分を用いることにより、適切な着色度合い、すなわち、レーザー印字性能と、高温保存試験中、ボイドの発生を抑制することができ、Cu層と樹脂層との界面での密着性の低下を抑制することができる性能と、を両立することができる。
(B)成分としての染料は、溶媒(主として水)に溶解する点で、溶媒と作用せずかつ溶媒に溶解しないと定義される「顔料(pigment)」とは異なる。(B)成分としては、波長400~800nm付近に極大吸収波長をもつ有機染料が好ましく挙げられる。
(B)成分として、具体的には、アジン系、アゾメチン系、アントラセン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、ジケトピロロピロール系、アントラピリドン系、イソインドリノン系、インダンスロン系、ペリノン系、ペリレン系、インジゴ系、チオインジゴ系、キノフタロン系、キノリン系、及びトリフェニルメタン系から成る群より選択される少なくとも一つの染料誘導体が挙げられ、分子構造中に窒素原子を含有する化合物である。なかでも、(B)成分の好例としては、アントラセン系染料誘導体が挙げられる。これらの(B)成分は、(A)成分と高い相溶性を示し、良好な着色性能を発現する。
(B)成分は、可視域の波長を好適に吸収すること、(A)成分のようなポリマーとの好適な相溶性を有すること、及び、レーザー光に対する散乱特性が低いこと、の少なくとも一つを満たす有機染料を、複数種の組み合せたものが好ましい。更に、(B)成分は、(A)成分のレーザー光の照射による溶融時の高温に晒されたときに退色し難いこと、優れた耐熱性を有すること、及び、レーザー光の波長を好適に吸収すること、の少なくとも一つを満たす有機染料を有することが好ましい。ここで言う「レーザー光」は、例えば、波長532nmのグリーンレーザーによるレーザー光であってよい。
アジン系染料誘導体としては、C.I.Solvent Black 5、C.I.Solvent Black 7、及び、C.I.Acid Black 2としてカラーインデックスに記載されているような、黒色アジン系縮合混合物が挙げられる。このようなアジン系染料誘導体は、例えば、アニリン、アニリン塩酸塩、及びニトロベンゼンを、塩化鉄の存在下、反応温度160~180℃で酸化、及び脱水縮合することで得ることができる。
アントラセン系染料誘導体としては、下記で示すアントラセン系染料誘導体が、良好な耐熱性を示し、かつ、加熱(キュア)工程前後で膜の着色性の変化が少ないため、特に好ましい。すなわち、アントラセン系染料誘導体としては、アントラセン系油溶性染料が好ましく、具体的には、C.I.Solvent Blue 11、12、13、14、26、35、36、44、45、48、49、58、59、63、68、69、70、78、79、83、87、90、94、97、98、101、102、104、105、122、129、及び132;
C.I.Disperse Blue 14、35、102、及び197; C.I.Solvent Green 3、19、20、23、24、25、26、28、31、33、及び65;
C.I.Solvent Violet 13、14、15、26、30、31、33、34、36、37、38、40、41、42、45、47、48、51、59、及び60のカラーインデックスで市販されている染料が好ましく挙げられる。
なかでも、下式で表される化合物;
から成る群より選択される少なくとも一つのアントラセン系染料誘導体が、より好ましく挙げられる。
本発明の効果を奏し易い観点から、(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.5~50質量部であり、好ましくは1~20質量部であり、より好ましくは1~5質量部である。(B)成分の含有量が上記下限値以上であると、高温保存試験中、ボイドの発生を効果的に抑制することが出来、Cu層と樹脂層との界面での密着性の低下を効果的に抑制することができる。(B)成分の含有量が上記上限値以下であると、ワニスの安定性を向上させることができる。(B)成分は、単独でも2種以上を併用してもよい。
本実施形態における(B)成分では、窒素原子の原子質量割合が(B)成分の分子質量に対して5%以上15%以下である。上記の(B)成分を用いることにより、適切な着色度合い、すなわち、レーザー印字性能と、高温保存試験中、ボイドの発生を抑制することが出来、Cu層と樹脂層との界面での密着性の低下を抑制することができる性能と、を両立することができる。
(B)成分における窒素原子の原子質量割合の好ましい範囲は、(B)成分の分子質量に対して5%以上12%以下であり、よりこのましい範囲は、5%以上10%未満である。
窒素原子の原子質量割合が上記上限値以下(未満)であると、ワニスの安定性を向上させ易い。上記下限値以上であると、高温保存試験中、ボイドの発生を効果的に抑制することが出来、Cu層と樹脂層との界面での密着性の低下を効果的に抑制できる。
ボイド発生の抑制機構について明確な理由は定かではないが、(B)成分の構造中の窒素原子が上記の範囲内であると、(B)成分が樹脂とCu層との間に好適に介在するようになり、そして、該(B)成分がCu表面及び樹脂表面のそれぞれと適度に相互作用することで信頼性試験中の銅の拡散を抑制するためと考えられる。
〔(C)成分〕
(C)成分は、感光性樹脂組成物がネガ型(例えば、(A)成分としてポリイミド前駆体、及び/又はポリアミドを用いる感光性樹脂組成物)であるか、ポジ型((例えば、(A)成分としてポリオキサゾール前駆体、ポリイミド、及びフェノール樹脂から成る群より選択される少なくとも1種を用いる感光性樹脂組成物)であるか、等により異なる。
(C)成分の、感光性樹脂組成物中の配合量は、(A)成分100質量部に対して、1~50質量部が好ましい。上記配合量は、光感度又はパターニング性の観点から1質量部以上であり、感光性樹脂組成物の硬化性又は硬化後の感光性樹脂層の物性の観点から50質量部以下である。
(重合開始剤、及び光酸発生剤)
まず、ネガ型の感光性樹脂組成物を所望する場合について説明する。この場合(C)成分としては光重合開始剤、及び/又は光酸発生剤が用いられる。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤が好ましく、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン等のベンゾフェノン誘導体、2,2’-ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン誘導体、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン等のチオキサントン誘導体、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジル-β-メトキシエチルアセタール等のベンジル誘導体、
ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾイン誘導体、1-フェニル-1,2-ブタンジオン-2-(o-メトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-メトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-ベンゾイル)オキシム、1,3-ジフェニルプロパントリオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-3-エトキシプロパントリオン-2-(o-ベンゾイル)オキシム等のオキシム類、N-フェニルグリシン等のN-アリールグリシン類、ベンゾイルパークロライド等の過酸化物類、芳香族ビイミダゾール類、チタノセン類、α-(n-オクタンスルフォニルオキシイミノ)-4-メトキシベンジルシアニド等の光酸発生剤類等が好ましい。ただし、これらに限定されない。上記の光重合開始剤の中では、特に光感度の観点から、オキシム類がより好ましい。
(C)成分として光酸発生剤を用いる場合は、紫外線のような活性光線の照射によって酸性を呈するとともに、その作用により、後述する架橋剤を(A)成分である樹脂と架橋せしめる、又は架橋剤同士を重合せしめる作用を有する。光酸発生剤の例としては、ジアリールスルホニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、ジアルキルフェナシルスルホニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、アリールジアゾニウム塩、芳香族テトラカルボン酸エステル、芳香族スルホン酸エステル、ニトロベンジルエステル、オキシムスルホン酸エステル、芳香族N-オキシイミドスルフォネート、芳香族スルファミド、ハロアルキル基含有炭化水素系化合物、ハロアルキル基含有ヘテロ環状化合物、ナフトキノンジアジド-4-スルホン酸エステル等が用いられる。このような化合物は必要に応じて2種類以上併用したり、他の増感剤と組合せて使用することができる。上記の光酸発生剤の中では、特に光感度の点で、芳香族オキシムスルホン酸エステル、芳香族N-オキシイミドスルフォネートがより好ましい。
ネガ型の場合の、これらの感光剤の配合量は、(A)成分100質量部に対し、1~50質量部であり、光感度特性の観点から、2~15質量部が好ましい。(C)成分を(A)成分100質量部に対し1質量部以上配合することで光感度に優れ、50質量部以下配合することで厚膜硬化性に優れる。
更に、上述したとおり、一般式(1)で表される(A)成分がイオン結合型の場合、(A)成分の側鎖にイオン結合を介して光重合性基を付与するために、アミノ基を有する(メタ)アクリル化合物が用いられる。この場合には、アミノ基を有する(メタ)アクリル化合物が(C)成分として使用され、前述したように、例えばジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルメタクリレート、ジメチルアミノブチルアクリレート、ジメチルアミノブチルメタクリレート、ジエチルアミノブチルアクリレート、ジエチルアミノブチルメタクリレート、等のジアルキルアミノアルキルアクリレート又はメタクリレートが好ましく、中でも感光特性の観点から、アミノ基上のアルキル基が炭素数1~10、アルキル鎖が炭素数1~10のジアルキルアミノアルキルアクリレート又はメタクリレートが好ましい。
これらのアミノ基を有する(メタ)アクリル化合物の配合量は、(A)成分100質量部に対し、1~20質量部であり、光感度特性の観点から2~15質量部が好ましい。(C)成分として、アミノ基を有する(メタ)アクリル化合物を(A)成分100質量部に対し1質量部以上配合することで光感度に優れ、20質量部以下配合することで厚膜硬化性に優れる。
(キノンジアジド基を有する化合物)
次に、ポジ型の感光性樹脂組成物を所望する場合について説明する。この場合、(C)成分としては光酸発生剤が用いられ、具体的には、ジアゾキノン化合物、オニウム塩、ハロゲン含有化合物、等を用いることができるが、溶媒溶解性及び保存安定性の観点から、ジアゾキノン構造を有する化合物が好ましい。
キノンジアジド基を有する化合物(以下、「キノンジアジド化合物」とも言う)としては、1,2-ベンゾキノンジアジド構造を有する化合物、及び1,2-ナフトキノンジアジド構造を有する化合物を例示でき、米国特許第2,772,972号明細書、米国特許第2,797,213号明細書、及び米国特許第3,669,658号明細書等により公知の物質である。該キノンジアジド化合物は、以降に詳述する特定構造を有するポリヒドロキシ化合物の1,2-ナフトキノンジアジド-4-スルホン酸エステル、及び該ポリヒドロキシ化合物の1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸エステルからなる群から選択される少なくとも一種の化合物(以下、「NQD化合物」ともいう。)であることが好ましい。
該NQD化合物は、常法に従って、ナフトキノンジアジドスルホン酸化合物をクロルスルホン酸又は塩化チオニルでスルホニルクロライドとし、得られたナフトキノンジアジドスルホニルクロライドと、ポリヒドロキシ化合物とを縮合反応させることにより得られる。例えば、ポリヒドロキシ化合物と1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホニルクロリド又は1,2-ナフトキノンジアジド-4-スルホニルクロリドの所定量をジオキサン、アセトン、又はテトラヒドロフラン等の溶媒中において、トリエチルアミン等の塩基性触媒の存在下反応させてエステル化を行い、得られた生成物を水洗、乾燥することにより得ることができる。
本実施形態では、キノンジアジド基を有する化合物は、下記一般式(70)~(74)で表されるヒドロキシ化合物の、1,2-ナフトキノンジアジド-4-スルホン酸エステル及び/又は1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸エステルであることが、レジストパターンを形成する際の感度と解像性の観点から好ましい。
一般式(70)は、
Figure 2024043132000069
{式中、X11及びX12は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~60(好ましくは、炭素数1~30)の1価の有機基を表し、X13及びX14は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~60(好ましくは、炭素数1~30)の1価の有機基を表し、r1、r2、r3及びr4は、それぞれ独立に、0~5の整数であり、r3及びr4の少なくとも1つは、1~5の整数であり、(r1+r3)≦5であり、そして(r2+r4)≦5である。}で表される。
一般式(71)は、
Figure 2024043132000070
{式中、Zは、炭素数1~20の4価の有機基を表し、X15、X16、X17及びX18は、それぞれ独立に、炭素数1~30の1価の有機基を表し、r6は、0又は1の整数であり、r5、r7、r8及びr9は、それぞれ独立に、0~3の整数であり、r10、r11、r12及びr13は、それぞれ独立に、0~2の整数であり、そしてr10、r11、r12及びr13の全てが0になることはない。}で表される。
並びに、一般式(72)は、
Figure 2024043132000071
{式中、r14は、1~5の整数を表し、r15は、3~8の整数を表し、(r14×r15)個のLは、それぞれ独立に、炭素数1~20の1価の有機基を表し、(r15)個のT1及び(r15)個のT2は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~20の1価の有機基を表す。}で表される。
並びに、一般式(73)は、
Figure 2024043132000072
{式中、Aは、脂肪族の3級又は4級炭素を含む2価の有機基を表し、そしてMは、2価の有機基を表し、好ましくは下記化学式:
Figure 2024043132000073
で表される3つの基から選択される2価の基を表す。}で表される。
更に、一般式(74)は、
Figure 2024043132000074
{式中、r17、r18、r19及びr20は、それぞれ独立に、0~2の整数であり、r17、r18、r19及びr20の少なくとも1つは、1又は2であり、X20~X29は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリル基及びアシル基からなる群から選択される1価の基を表し、そしてY10、Y11及びY12は、それぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-SO-、-SO2-、-CO-、-CO2-、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、フェニレン、及び炭素数1~20の2価の有機基からなる群から選択される2価の基を表す。}で表される。
更なる実施形態では、上記一般式(74)において、Y10~Y12は、それぞれ独立に、下記一般式:
Figure 2024043132000075
Figure 2024043132000076
Figure 2024043132000077
{式中、X30及びX31は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、及び置換アリール基から成る群から選択される少なくとも1つの1価の基を表し、X32、X33、X34及びX35は、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表し、r21は、1~5の整数であり、そしてX36、X37、X38及びX39は、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表す。}
で表される3つの2価の有機基から選択されることが好ましい。
上記一般式(70)で表される化合物としては、下記式(75)~(79)で表されるヒドロキシ化合物が挙げられる。
ここで一般式(75)は、
Figure 2024043132000078
{式中、r16は、それぞれ独立に、0~2の整数であり、そしてX40は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~20の1価の有機基を表し、X40が複数で存在する場合には複数のX40は、互いに同一でも又は異なっていてもよく、そしてX40は、下記一般式:
Figure 2024043132000079
(式中、r18は、0~2の整数であり、X41は、水素原子、アルキル基、及びシクロアルキル基からなる群から選択される1価の有機基を表し、そしてr18が2である場合には、2つのX41は、互いに同一でも又は異なっていてもよい。)
で表される1価の有機基であることが好ましい。}であり、
一般式(76)は、
Figure 2024043132000080
{式中、X42は、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基及び炭素数1~20のシクロアルキル基からなる群から選択される1価の有機基を表す。}で表される。
また、一般式(77)は、
Figure 2024043132000081
{式中、r19は、それぞれ独立に、0~2の整数であり、X43は、それぞれ独立に、水素原子又は下記一般式:
Figure 2024043132000082
(式中、r20は、0~2の整数であり、X45は、水素原子、アルキル基及びシクロアルキル基からなる群から選択され、そしてr20が2である場合には、2つのX45は、互いに同一でも又は異なっていてもよい。)で表される1価の有機基を表し、そしてX44は、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、及び炭素数1~20のシクロアルキル基からなる群から選択される。}であり、式(78)及び(79)は、下記のごとく構造である。
Figure 2024043132000083
Figure 2024043132000084
上記一般式(70)で表される化合物としては、下記式(80)~(82)で表されるヒドロキシ化合物が、NQD化物としたときの感度が高く、かつ感光性樹脂組成物中での析出性が低いことから好ましい。
式(80)~(82)の構造は下記のごとくである。
Figure 2024043132000085
Figure 2024043132000086
Figure 2024043132000087
上記一般式(76)で表される化合物としては、下記式(83):
Figure 2024043132000088
で表されるヒドロキシ化合物が、NQD化物としたときの感度が高く、かつ感光性樹脂組成物中での析出性が低いことから好ましい。
上記一般式(77)で表される化合物としては、下記式(84)~(86)で表されるヒドロキシ化合物が、NQD化物としたときの感度が高く、かつ感光性樹脂組成物中での析出性が低いことから好ましい。
式(84)~(86)の構造は以下のごとくである。
Figure 2024043132000089
Figure 2024043132000090
Figure 2024043132000091
上記一般式(71)において、Zは、炭素数1~20の4価の有機基であればよく、特に限定されないが、感度の観点から、下記式:
Figure 2024043132000092
で表される構造を有する4価の基であることが好ましい。
上記一般式(71)で表される化合物の中で、下記式(87)~(90)で表されるヒドロキシ化合物が、NQD化物としたときの感度が高く、かつ感光性樹脂組成物中での析出性が低いことから好ましい。
式(87)~(90)の構造は以下のごとくである。
Figure 2024043132000093
Figure 2024043132000094
Figure 2024043132000095
Figure 2024043132000096
上記一般式(72)で表される化合物としては、下記式(91):
Figure 2024043132000097
{式中、r40は、それぞれ独立に、0~9の整数である。}で表されるヒドロキシ化合物が、NQD化物としたときの感度が高く、かつ感光性樹脂組成物中での析出性が低いことから好ましい。
上記一般式(73)で表される化合物としては、下記式(92)及び(93)で表されるヒドロキシ化合物が、NQD化物としたときの感度が高く、かつ感光性樹脂組成物中での析出性が低いことから好ましい。
式(92)及び(93)の構造は以下のごとくである。
Figure 2024043132000098
Figure 2024043132000099
上記一般式(74)で表される化合物としては、具体的には、下記式(94):
Figure 2024043132000100
で表されるポリヒドロキシ化合物のNQD化物が、感度が高く、かつ感光性樹脂組成物中での析出性が低いことから好ましい。
キノンジアジド基を有する化合物が1,2-ナフトキノンジアジドスルホニル基を有する場合、この基は1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホニル基又は1,2-ナフトキノンジアジド-4-スルホニル基のいずれであってもよい。1,2-ナフトキノンジアジド-4-スルホニル基は、水銀灯のi線領域を吸収することができるので、i線による露光に適している。一方で、1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホニル基は、水銀灯のg線領域さえも吸収することができるので、g線による露光に適している。
本実施形態では、露光する波長に応じて、1,2-ナフトキノンジアジド-4-スルホン酸エステル化合物及び1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸エステル化合物の一方又は双方を選択することが好ましい。また、同一分子中に1,2-ナフトキノンジアジド-4-スルホニル基及び1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホニル基を有する1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物を用いることもできるし、1,2-ナフトキノンジアジド-4-スルホン酸エステル化合物と1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸エステル化合物とを混合して使用することもできる。
キノンジアジド基を有する化合物において、ヒドロキシ化合物のナフトキノンジアジドスルホニルエステルの平均エステル化率は、現像コントラストの観点から、10%~100%であることが好ましく、20%~100%であることが更に好ましい。
感度及び伸度等の硬化膜物性の観点から、好ましいNQD化合物の例としては、例えば、下記一般式群で表されるものが挙げられる。
Figure 2024043132000101
{式中、Qは、水素原子、又は下記式群:
Figure 2024043132000102
のいずれかで表されるナフトキノンジアジドスルホン酸エステル基であるが、全てのQが同時に水素原子であることはない。}で表されるものが挙げられる。
この場合、NQD化合物として、同一分子中に4-ナフトキノンジアジドスルホニル基及び5-ナフトキノンジアジドスルホニル基を有するナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物を用いることもできるし、4-ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物と5-ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物とを混合して使用することもできる。
上記、ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル基の中でも、下記一般式(95):
Figure 2024043132000103
で表されるものが特に好ましい。
上記オニウム塩としては、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホシホニウム塩、ホスホニウム塩、アンモニウム塩、及びジアゾニウム塩等が挙げられ、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、及びトリアルキルスルホニウム塩から成る群から選ばれるオニウム塩が好ましい。
上記ハロゲン含有化合物としては、ハロアルキル基含有炭化水素化合物等が挙げられ、トリクロロメチルトリアジンが好ましい。
ポジ型の場合の、これら光酸発生剤の配合量は、(A)成分100質量部に対し、1~50質量部であり、5~30質量部が好ましい。(C)成分としての光酸発生剤の配合量が1質量部以上であれば感光性樹脂組成物によるパターニング性が良好であり、50質量部以下であれば感光性樹脂組成物の硬化後の膜の引張り伸び率が良好で、かつ露光部の現像残さ(スカム)が少ない。
上記NQD化合物は、単独で使用しても2種類以上混合して使用してもよい。
本実施形態では、感光性樹脂組成物中の(C)キノンジアジド基を有する化合物の配合量は、(A)成分100質量部に対して、0.1質量部~70質量部であり、好ましくは1質量部~40質量部、より好ましくは3質量部~30質量部、更に好ましくは5質量部~30質量部である。この配合量が0.1質量部以上であれば良好な感度が得られ、一方で、70質量部以下であれば硬化膜の機械物性が良好である。
感光性樹脂組成物は、上記(A)~(C)成分以外の成分を更に含有しても
よい。その成分の好ましいものは、(A)成分として例えばポリイミド前駆体等を用いるネガ型かポリオキサゾール前駆体等を用いるポジ型か等によって異なる。
〔(D)成分〕
本実施形態におけるネガ型樹脂組成物、またポジ型感光性樹脂組成物には、これらの樹脂を溶解するため、(D)成分としての溶媒を含むことができる。
(D)成分としては、アミド類、スルホキシド類、ウレア類、ケトン類、エステル類、ラクトン類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類、アルコール類等が挙げられ、例えば、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N-エチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラメチル尿素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル、乳酸エチル、乳酸メチル、乳酸ブチル、γ-ブチロラクトン(GBL)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコール、フェニルグリコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、モルフォリン、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、1,4-ジクロロブタン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン、アニソール、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等を使用することができる。
なかでも、樹脂の溶解性、樹脂組成物の安定性、及び基板への接着性の観点から、NMP、DMSO、テトラメチル尿素、酢酸ブチル、乳酸エチル、GBL、α-アセチル-γ-ブチロラクトン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ベンジルアルコール、フェニルグリコール、及びテトラヒドロフルフリルアルコール、N-シクロヘキシル-2-ピロリドンが好ましい。
(D)成分のなかでも、生成ポリマーを完全に溶解するものが好ましく、例えば、NMP、GBL、DMSO、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、及び乳酸エチル、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、テトラメチル尿素等が挙げられる。
(D)成分の使用量は、(A)成分100質量部に対して、好ましくは100~1000質量部であり、より好ましくは120~700質量部であり、更に好ましくは125~500質量部の範囲である。
感光性樹脂組成物を用いて銅又は銅合金から成る基板上に硬化膜を形成する場合には、銅上の変色を抑制するためにアゾール化合物、プリン誘導体等の含窒素複素環化合物を任意に配合することができる。
アゾール化合物としては、1H-トリアゾール、5-メチル-1H-トリアゾール、5-エチル-1H-トリアゾール、4,5-ジメチル-1H-トリアゾール、5-フェニル-1H-トリアゾール、4-t-ブチル-5-フェニル-1H-トリアゾール、5-ヒドロキシフェニル-1H-トリアゾール、フェニルトリアゾール、p-エトキシフェニルトリアゾール、5-フェニル-1-(2-ジメチルアミノエチル)トリアゾール、5-ベンジル-1H-トリアゾール、ヒドロキシフェニルトリアゾール、1,5-ジメチルトリアゾール、4,5-ジエチル-1H-トリアゾール、1H-ベンゾトリアゾール、2-(5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α,α―ジメチルベンジル)フェニル]-ベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-t-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3-t-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-ベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-t-アミル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、5-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、4-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、4-カルボキシ-1H-ベンゾトリアゾール、5-カルボキシ-1H-ベンゾトリアゾール、1H-テトラゾール、5-メチル-1H-テトラゾール、5-フェニル-1H-テトラゾール、5-アミノ-1H-テトラゾール、1-メチル-1H-テトラゾール等が挙げられる。
特に好ましくは、トリルトリアゾール、5-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、及び4-メチル-1H-ベンゾトリアゾールが挙げられる。また、これらアゾール化合物は、1種で用いても2種以上の混合物で用いても構わない。
プリン誘導体の具体例としては、プリン、アデニン、グアニン、ヒポキサンチン、キサンチン、テオブロミン、カフェイン、尿酸、イソグアニン、2,6-ジアミノプリン、9-メチルアデニン、2-ヒドロキシアデニン、2-メチルアデニン、1-メチルアデニン、N-メチルアデニン、N,N-ジメチルアデニン、2-フルオロアデニン、9-(2-ヒドロキシエチル)アデニン、グアニンオキシム、N-(2-ヒドロキシエチル)アデニン、8-アミノアデニン、6-アミノ‐8-フェニル‐9H-プリン、1-エチルアデニン、6-エチルアミノプリン、1-ベンジルアデニン、N-メチルグアニン、7-(2-ヒドロキシエチル)グアニン、N-(3-クロロフェニル)グアニン、N-(3-エチルフェニル)グアニン、2-アザアデニン、5-アザアデニン、8-アザアデニン、8-アザグアニン、8-アザプリン、8-アザキサンチン、8-アザヒポキサンチン等及びその誘導体が挙げられる。
感光性樹脂組成物が上記アゾール化合物もしくはプリン誘導体を含有する場合の配合量は、(A)成分100質量部に対し、0.1~20質量部である事が好ましく、光感度特性の観点から0.5~5質量部がより好ましい。アゾール化合物の(A)成分100質量部に対する配合量が0.1質量部以上である場合、感光性樹脂組成物を銅又は銅合金の上に形成した場合に、銅又は銅合金表面の変色が抑制され、一方、20質量部以下である場合には光感度に優れる。
また、銅表面上の変色を抑制するためにヒンダードフェノール化合物を任意に配合することができる。ヒンダードフェノール化合物としては、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2,5-ジ-t-ブチル-ハイドロキノン、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネ-ト、イソオクチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4、4’-メチレンビス(2、6-ジ-t-ブチルフェノール)、4,4’-チオ-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2-チオ-ジエチレンビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナマミド)、2,2’-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレン-ビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、
ペンタエリスリチル-テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-イソシアヌレイト、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5-トリス(3-ヒドロキシ-2,6-ジメチル-4-イソプロピルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-s-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス[4-(1-エチルプロピル)-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、
1,3,5-トリス[4-トリエチルメチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(3-ヒドロキシ-2,6-ジメチル-4-フェニルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,5,6-トリメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-5-エチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-6-エチル-3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-6-エチル-3-ヒドロキシ-2,5-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-5,6-ジエチル-3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、
1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,5-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-5‐エチル-3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン等が挙げられるが、これに限定されるものではない。これらの中でも、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン等が特に好ましい。
ヒンダードフェノール化合物の配合量は、(A)成分100質量部に対し、0.1~20質量部であることが好ましく、光感度特性の観点から0.5~10質量部であることがより好ましい。ヒンダードフェノール化合物の(A)成分100質量部に対する配合量が0.1質量部以上である場合、例えば銅又は銅合金の上に感光性樹脂組成物を形成した場合に、銅又は銅合金の変色・腐食が防止され、一方、20質量部以下である場合には光感度に優れる。
感光性樹脂組成物には、有機チタン化合物を含有させてもよい。有機チタン化合物を含有することにより、約250℃という低温で硬化した場合であっても耐薬品性に優れる感光性樹脂層を形成できる。また、特に(B)成分と有機チタン化合物との双方を感光性樹脂組成物中に含有させることにより、キュア後の樹脂層が基板接着性に加えて耐薬品性に優れるという効果を奏する。
使用可能な有機チタン化合物としては、チタン原子に有機化学物質が共有結合又はイオン結合を介して結合しているものが挙げられる。
有機チタン化合物の具体的例を以下のI)~VII)に示す:
I)チタンキレート化合物:中でも、アルコキシ基を2個以上有するチタンキレートが、ネガ型感光性樹脂組成物の保存安定性及び良好なパターンが得られることからより好ましく、具体的な例は、チタニウムビス(トリエタノールアミン)ジイソプロポキサイド、チタニウムジ(n-ブトキサイド)ビス(2,4-ペンタンジオネート、チタニウムジイソプロポキサイドビス(2,4-ペンタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキサイドビス(エチルアセトアセテート)等である。
II)テトラアルコキシチタン化合物:例えば、チタニウムテトラ(n-ブトキサイド)、チタニウムテトラエトキサイド、チタニウムテトラ(2-エチルヘキソキサイド)、チタニウムテトライソブトキサイド、チタニウムテトライソプロポキサイド、チタニウムテトラメトキサイド、チタニウムテトラメトキシプロポキサイド、チタニウムテトラメチルフェノキサイド、チタニウムテトラ(n-ノニロキサイド)、チタニウムテトラ(n-プロポキサイド)、チタニウムテトラステアリロキサイド、チタニウムテトラキス[ビス{2,2-(アリロキシメチル)ブトキサイド}]等である。
III)チタノセン化合物:例えば、ペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウムトリメトキサイド、ビス(η-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)ビス(2,6-ジフルオロフェニル)チタニウム、ビス(η-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)フェニル)チタニウム等である。
IV)モノアルコキシチタン化合物:例えば、チタニウムトリス(ジオクチルホスフェート)イソプロポキサイド、チタニウムトリス(ドデシルベンゼンスルホネート)イソプロポキサイド等である。
V)チタニウムオキサイド化合物:例えば、チタニウムオキサイドビス(ペンタンジオネート)、チタニウムオキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、フタロシアニンチタニウムオキサイド等である。
VI)チタニウムテトラアセチルアセトネート化合物:例えば、チタニウムテトラアセチルアセトネート等である。
VII)チタネートカップリング剤:例えば、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート等である。
中でも、有機チタン化合物が、上記I)チタンキレート化合物、II)テトラアルコキシチタン化合物、及びIII)チタノセン化合物から成る群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが、より良好な耐薬品性を奏するという観点から好ましい。特に、チタニウムジイソプロポキサイドビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムテトラ(n-ブトキサイド)、及びビス(η-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)フェニル)チタニウムが好ましい。
有機チタン化合物を配合する場合の配合量は、(A)成分100質量部に対し、0.05~10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1~2質量部である。該配合量が0.05質量部以上である場合良好な耐熱性及び耐薬品性が発現し、一方10質量部以下である場合保存安定性に優れる。
更に、感光性樹脂組成物を用いて形成される膜と基材との接着性向上のために接着助剤を任意に配合することができる。接着助剤としては、γ-アミノプロピルジメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ジメトキシメチル-3-ピペリジノプロピルシラン、ジエトキシ-3-グリシドキシプロピルメチルシラン、N-(3-ジエトキシメチルシリルプロピル)スクシンイミド、N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]フタルアミド酸、ベンゾフェノン-3,3’-ビス(N-[3-トリエトキシシリル]プロピルアミド)-4,4’-ジカルボン酸、ベンゼン-1,4-ビス(N-[3-トリエトキシシリル]プロピルアミド)-2,5-ジカルボン酸、3-(トリエトキシシリル)プロピルスクシニックアンハイドライド、N-フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3-(トリアルコキシシリル)プロピルスクシン酸無水物等のシランカップリング剤、及びアルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート等のアルミニウム系接着助剤等が挙げられる。
これらの接着助剤のうちでは、接着力の点からシランカップリング剤を用いることがより好ましい。感光性樹脂組成物が接着助剤を含有する場合、接着助剤の配合量は、(A)成分100質量部に対し、0.5~25質量部の範囲が好ましい。
シランカップリング剤としては、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製:商品名 KBM803、チッソ株式会社製:商品名 サイラエースS810)、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SIM6475.0)、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業株式会社製:商品名 LS1375、アズマックス株式会社製:商品名 SIM6474.0)、メルカプトメチルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SIM6473.5C)、メルカプトメチルメチルジメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SIM6473.0)、3-メルカプトプロピルジエトキシメトキシシラン、3-メルカプトプロピルエトキシジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリプロポキシシラン、3-メルカプトプロピルジエトキシプロポキシシラン、3-メルカプトプロピルエトキシジプロポキシシラン、3-メルカプトプロピルジメトキシプロポキシシラン、3-メルカプトプロピルメトキシジプロポキシシラン、2-メルカプトエチルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルジエトキシメトキシシラン、2-メルカプトエチルエトキシジメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリプロポキシシラン、2-メルカプトエチルトリプロポキシシラン、2-メルカプトエチルエトキシジプロポキシシラン、2-メルカプトエチルジメトキシプロポキシシラン、2-メルカプトエチルメトキシジプロポキシシラン、4-メルカプトブチルトリメトキシシラン、4-メルカプトブチルトリエトキシシラン、4-メルカプトブチルトリプロポキシシラン、N-(3-トリエトキシシリルプロピル)ウレア(信越化学工業株式会社製:商品名 LS3610、アズマックス株式会社製:商品名 SIU9055.0)、N-(3-トリメトキシシリルプロピル)ウレア(アズマックス株式会社製:商品名 SIU9058.0)、N-(3-ジエトキシメトキシシリルプロピル)ウレア、N-(3-エトキシジメトキシシリルプロピル)ウレア、N-(3-トリプロポキシシリルプロピル)ウレア、N-(3-ジエトキシプロポキシシリルプロピル)ウレア、N-(3-エトキシジプロポキシシリルプロピル)ウレア、N-(3-ジメトキシプロポキシシリルプロピル)ウレア、N-(3-メトキシジプロポキシシリルプロピル)ウレア、N-(3-トリメトキシシリルエチル)ウレア、N-(3-エトキシジメトキシシリルエチル)ウレア、N-(3-トリプロポキシシリルエチル)ウレア、N-(3-トリプロポキシシリルエチル)ウレア、N-(3-エトキシジプロポキシシリルエチル)ウレア、N-(3-ジメトキシプロポキシシリルエチル)ウレア、N-(3-メトキシジプロポキシシリルエチル)ウレア、N-(3-トリメトキシシリルブチル)ウレア、N-(3-トリエトキシシリルブチル)ウレア、N-(3-トリプロポキシシリルブチル)ウレア、3-(m-アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SLA0598.0)、m-アミノフェニルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SLA0599.0)、p-アミノフェニルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SLA0599.1)アミノフェニルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SLA0599.2)、2-(トリメトキシシリルエチル)ピリジン(アズマックス株式会社製:商品名 SIT8396.0)、2-(トリエトキシシリルエチル)ピリジン、2-(ジメトキシシリルメチルエチル)ピリジン、2-(ジエトキシシリルメチルエチル)ピリジン、(3-トリエトキシシリルプロピル)-t-ブチルカルバメート、(3-グリシドキシプロピル)トリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ-n-プロポキシシラン、テトラ-i-プロポキシシラン、テトラ-n-ブトキシシラン、テトラ-i-ブトキシシラン、テトラ-t-ブトキシシラン、テトラキス(メトキシエトキシシラン)、テトラキス(メトキシ-n-プロポキシシラン)、テトラキス(エトキシエトキシシラン)、テトラキス(メトキシエトキシエトキシシラン)、ビス(トリメトキシシリル)エタン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)エチレン、ビス(トリエトキシシリル)オクタン、ビス(トリエトキシシリル)オクタジエン、ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]ジスルフィド、ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド、ジ-t-ブトキシジアセトキシシラン、ジ-i-ブトキシアルミノキシトリエトキシシラン、ビス(ペンタジオネート)チタン-O,O’-ビス(オキシエチル)-アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルシラントリオール、メチルフェニルシランジオール、エチルフェニルシランジオール、n-プロピルフェニルシランジオール、イソプロピルフェニルシランジオール、n-ブチルシフェニルシランジオール、イソブチルフェニルシランジオール、tert-ブチルフェニルシランジオール、ジフェニルシランジオール、ジメトキシジフェニルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、ジメトキシジ-p-トリルシラン、エチルメチルフェニルシラノール、n-プロピルメチルフェニルシラノール、イソプロピルメチルフェニルシラノール、n-ブチルメチルフェニルシラノール、イソブチルメチルフェニルシラノール、tert-ブチルメチルフェニルシラノール、エチルn-プロピルフェニルシラノール、エチルイソプロピルフェニルシラノール、n-ブチルエチルフェニルシラノール、イソブチルエチルフェニルシラノール、tert-ブチルエチルフェニルシラノール、メチルジフェニルシラノール、エチルジフェニルシラノール、n-プロピルジフェニルシラノール、イソプロピルジフェニルシラノール、n-ブチルジフェニルシラノール、イソブチルジフェニルシラノール、tert-ブチルジフェニルシラノール、トリフェニルシラノール等が挙げられるが、これらに限定されない。これらは単独でも複数組み合わせて用いてもよい。
シランカップリング剤としては、前記したシランカップリング剤の中でも、保存安定性の観点から、フェニルシラントリオール、トリメトキシフェニルシラン、トリメトキシ(p-トリル)シラン、ジフェニルシランジオール、ジメトキシジフェニルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、ジメトキシジ-p-トリルシラン、トリフェニルシラノール、及び下記構造で表されるシランカップリング剤が好ましい。
Figure 2024043132000104
シランカップリング剤を使用する場合の配合量としては、(A)成分100質量部に対して、0.01~20質量部が好ましい。
(A)成分としてポリイミド前駆体又はポリアミド等を用いるネガ型の場合には、光感度を向上させるために増感剤を任意に配合することができる。該増感剤としては、例えば、ミヒラーズケトン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,5-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)シクロペンタン、2,6-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)-4-メチルシクロヘキサノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p-ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p-ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2-(p-ジメチルアミノフェニルビフェニレン)-ベンゾチアゾール、2-(p-ジメチルアミノフェニルビニレン)ベンゾチアゾール、2-(p-ジメチルアミノフェニルビニレン)イソナフトチアゾール、1,3-ビス(4’-ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3’-カルボニル-ビス(7-ジエチルアミノクマリン)、3-アセチル-7-ジメチルアミノクマリン、3-エトキシカルボニル-7-ジメチルアミノクマリン、3-ベンジロキシカルボニル-7-ジメチルアミノクマリン、3-メトキシカルボニル-7-ジエチルアミノクマリン、3-エトキシカルボニル-7-ジエチルアミノクマリン、N-フェニル-N’-エチルエタノールアミン、N-フェニルジエタノールアミン、N-p-トリルジエタノールアミン、N-フェニルエタノールアミン、4-モルホリノベンゾフェノン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、2-メルカプトベンズイミダゾール、1-フェニル-5-メルカプトテトラゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ナフト(1,2-d)チアゾール、2-(p-ジメチルアミノベンゾイル)スチレン等が挙げられる。これらは単独で又は例えば2~5種類の組合せで用いることができる。
光感度を向上させるための増感剤を感光性樹脂組成物が含有する場合の配合量は、(A)成分100質量部に対し、0.1~25質量部であることが好ましい。
また、レリーフパターンの解像性を向上させるために、光重合性の不飽和結合を有するモノマーを任意に配合することができる。このようなモノマーとしては、光重合開始剤によりラジカル重合反応する(メタ)アクリル化合物が好ましく、特に以下に限定するものではないが、ジエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート等の、エチレングリコール又はポリエチレングリコールのモノ又はジアクリレート及びメタクリレート、プロピレングリコール又はポリプロピレングリコールのモノ又はジアクリレート及びメタクリレート、グリセロールのモノ、ジ又はトリアクリレート及びメタクリレート、シクロヘキサンジアクリレート及びジメタクリレート、1,4-ブタンジオールのジアクリレート及びジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールのジアクリレート及びジメタクリレート、ネオペンチルグリコールのジアクリレート及びジメタクリレート、ビスフェノールAのモノ又はジアクリレート及びメタクリレート、ベンゼントリメタクリレート、イソボルニルアクリレート及びメタクリレート、アクリルアミド及びその誘導体、メタクリルアミド及びその誘導体、トリメチロールプロパントリアクリレート及びメタクリレート、グリセロールのジ又はトリアクリレート及びメタクリレート、ペンタエリスリトールのジ、トリ、又はテトラアクリレート及びメタクリレート、並びにこれら化合物のエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物等の化合物を挙げることができる。
レリーフパターンの解像性を向上させるための上記の光重合性の不飽和結合を有するモノマーを感光性樹脂組成物が含有する場合、光重合性の不飽和結合を有するモノマーの配合量は、(A)成分100質量部に対し、1~50質量部であることが好ましい。
また、(A)成分としてポリイミド前駆体又はポリアミド等を用いるネガ型の場合、特に(D)成分を含む溶液の状態での感光性樹脂組成物の場合、粘度及び光感度の安定性を向上させるため、熱重合禁止剤を任意に配合することができる。熱重合禁止剤としては、ヒドロキノン、N-ニトロソジフェニルアミン、p-tert-ブチルカテコール、フェノチアジン、N-フェニルナフチルアミン、エチレンジアミン四酢酸、1,2-シクロヘキサンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、2,6-ジ-tert-ブチル-p-メチルフェノール、5-ニトロソ-8-ヒドロキシキノリン、1-ニトロソ-2-ナフトール、2-ニトロソ-1-ナフトール、2-ニトロソ-5-(N-エチル-N-スルホプロピルアミノ)フェノール、N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩、N-ニトロソ-N(1-ナフチル)ヒドロキシルアミンアンモニウム塩等が用いられる。
一方、感光樹脂組成物において、(A)成分としてポリオキサゾール前駆体、可溶性ポリイミド又はフェノール樹脂等を用いるポジ型の場合には、必要に応じて、従来から感光性樹脂組成物の添加剤として用いられている界面活性剤はじめ熱酸発生剤、溶解促進剤、基材との密着性を高めるための接着助剤等を適宜添加することができる。
上記添加剤について更に具体的に述べると、界面活性剤としては、例えば、ポリプロピレングリコール又はポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリグリコール類又はその誘導体から成る非イオン系界面活性剤、例えばフロラード(商品名、住友3M社製)、メガファック(商品名、大日本インキ化学工業社製)又はルミフロン(商品名、旭硝子社製)等のフッ素系界面活性剤、例えばKP341(商品名、信越化学工業社製)、DBE(商品名、チッソ社製)、グラノール(商品名、共栄社化学社製)等の有機シロキサン界面活性剤が挙げられる。接着助剤としては、例えば、アルキルイミダゾリン、酪酸、アルキル酸、ポリヒドロキシスチレン、ポリビニルメチルエーテル、t-ブチルノボラック、エポキシシラン、エポキシポリマー等、及び各種シランカップリング剤が挙げられる。
上記の界面活性剤の配合量としては、(A)成分100質量部に対して、0.1~30質量部が好ましい。
又、硬化温度を下げた場合でも、良好な硬化物の熱物性及び機械的物性を発現させるという観点から、熱酸発生剤を任意に配合することができる。
熱酸発生剤は、硬化温度を下げた場合でも、良好な硬化物の熱物性及び機械的物性を発現させるという観点から、配合することが好ましい。
熱酸発生剤としては、熱により酸を生成する機能を有するオニウム塩等の強酸と塩基とから形成される塩や、イミドスルホナートが挙げられる。
オニウム塩としては、例えば、アリールジアゾニウム塩、ジフェニルヨードニウム塩等のジアリールヨードニウム塩;ジ(t-ブチルフェニル)ヨードニウム塩等のジ(アルキルアリール)ヨードニウム塩;トリメチルスルホニウム塩のようなトリアルキルスルホニウム塩;ジメチルフェニルスルホニウム塩等のジアルキルモノアリールスルホニウム塩;ジフェニルメチルスルホニウム塩等のジアリールモノアルキルヨードニウム塩;トリアリールスルホニウム塩等が挙げられる。
これらの中で、パラトルエンスルホン酸のジ(t-ブチルフェニル)ヨードニウム塩、トリフルオロメタンスルホン酸のジ(t-ブチルフェニル)ヨードニウム塩、トリフルオロメタンスルホン酸のトリメチルスルホニウム塩、トリフルオロメタンスルホン酸のジメチルフェニルスルホニウム塩、トリフルオロメタンスルホン酸のジフェニルメチルスルホニウム塩、ノナフルオロブタンスルホン酸のジ(t-ブチルフェニル)ヨードニウム塩、カンファースルホン酸のジフェニルヨードニウム塩、エタンスルホン酸のジフェニルヨードニウム塩、ベンゼンスルホン酸のジメチルフェニルスルホニウム塩、トルエンスルホン酸のジフェニルメチルスルホニウム塩等が好ましい。
また、強酸と塩基とから形成される塩としては、上述のオニウム塩の他、次のような強酸と塩基とから形成される塩、例えば、ピリジニウム塩を用いることもできる。強酸としては、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸のようなアリールスルホン酸、カンファースルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸のようなパーフルオロアルキルスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ブタンスルホン酸のようなアルキルスルホン酸等が挙げられる。塩基としては、ピリジン、2,4,6-トリメチルピリジンのようなアルキルピリジン、2-クロロ-N-メチルピリジンのようなN-アルキルピリジン、ハロゲン化-N-アルキルピリジン等が挙げられる。
イミドスルホナートとしては、例えば、ナフトイルイミドスルホナート、フタルイミドスルホナート等を用いることができるが、熱により酸が発生する化合物であれば限定されない。
熱酸発生剤を使用する場合の配合量としては、(A)成分100質量部に対し、0.1~30質量部が好ましく、0.5~10質量部がより好ましく、1~5質量部であることが更に好ましい。
ポジ型の感光性樹脂組成物の場合、感光後に不要となった樹脂の除去を促進するために、溶解促進剤を使用することができる。例えば、水酸基又はカルボキシル基を有する化合物が好ましい。水酸基を有する化合物の例としては、前述のナフトキノンジアジド化合物に使用しているバラスト剤、並びにパラクミルフェノール、ビスフェノール類、レゾルシノール類、及びMtrisPC、MtetraPC等の直鎖状フェノール化合物、TrisP-HAP、TrisP-PHBA、TrisP-PA等の非直鎖状フェノール化合物(全て本州化学工業社製)、ジフェニルメタンの2~5個のフェノール置換体、3,3-ジフェニルプロパンの1~5個のフェノール置換体、2,2-ビス-(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンと5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物とをモル比1対2で反応させて得られる化合物、ビス-(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)スルホンと1,2-シクロヘキシルジカルボン酸無水物とをモル比1対2で反応させて得られる化合物、N-ヒドロキシコハク酸イミド、N-ヒドロキシフタル酸イミド、N-ヒドロキシ5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸イミド等が挙げられる。カルボキシル基を有する化合物の例としては、3-フェニル乳酸、4-ヒドロキシフェニル乳酸、4-ヒドロキシマンデル酸、3,4-ジヒドロキシマンデル酸、4-ヒドロキシ-3-メトキシマンデル酸、2-メトキシ-2-(1-ナフチル)プロピオン酸、マンデル酸、アトロラクチン酸、α-メトキシフェニル酢酸、O-アセチルマンデル酸、イタコン酸等を挙げることができる。
溶解促進剤を使用する場合の配合量としては、(A)成分100質量部に対して、0.1~30質量部が好ましい。
[硬化レリーフパターンの製造方法]
本実施形態は、
(1)上述した感光性樹脂組成物を基板上に塗布することによって樹脂層を該基板上に形成する工程と、
(2)該樹脂層を露光する工程と、
(3)該露光後の樹脂層を現像してレリーフパターンを形成する工程と、
(4)該レリーフパターンを加熱処理することによって硬化レリーフパターンを形成する工程と、を含む、硬化レリーフパターンの製造方法である。
このような製造方法を採用することで、その後、
(5)硬化レリーフパターンの表面にレーザー照射を行い、レーザー印字を行う工程、
を実施する段階において、樹脂表面に対して容易に印字することができる。
以下、各工程の典型的な態様について説明する。
〔(1)工程〕
本工程では、感光性樹脂組成物を基材上に塗布し、必要に応じてその後乾燥させて樹脂層を形成する。この工程では、銅又は銅合金から形成されて成る上記基板上に、感光性樹脂組成物を塗布することが好ましい。塗布方法としては、従来から感光性樹脂組成物の塗布に用いられていた方法、例えば、スピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷機等で塗布する方法、スプレーコーターで噴霧塗布する方法等を用いることができる。
感光性樹脂組成物を用いてレリーフパターンを形成する方法として、該感光性樹脂組成物を基板上に塗布して樹脂層を該基板上に形成するだけでなく、該感光性樹脂組成物をフィルムの形態にして感光性樹脂組成物の層を基板上に積層することによって樹脂層を形成してもよい。また、支持基材上に感光性樹脂組成物のフィルムを形成し、該フィルムを使用する際に積層してから支持基材を除去してもよいし、積層する前に除去してもよい。
必要に応じて、感光性樹脂組成物から成る塗膜を乾燥させることができる。乾燥方法としては、風乾、オーブン又はホットプレートによる加熱乾燥、真空乾燥等の方法が用いられる。具体的には、風乾又は加熱乾燥を行う場合、20℃~140℃で1分~1時間の条件で乾燥を行うことができる。以上の通り、基板上に樹脂層を形成できる。
〔(2)工程、及び(3)工程)〕
本工程では、上記で形成した樹脂層を、コンタクトアライナー、ミラープロジェクション、ステッパー等の露光装置を用いて、パターンを有するフォトマスク又はレチクルを介して又は直接に、紫外線光源等により露光する。
この後、光感度の向上等の目的で、必要に応じて、任意の温度及び時間の組合せによる露光後ベーク(PEB)及び/又は現像前ベークを施してもよい。ベーク条件の範囲は、温度は40~120℃であり、そして時間は10秒~240秒であることが好ましいが、感光性樹脂組成物の諸特性を阻害するものでない限り、この範囲に限らない。
本工程においては、露光後の感光性樹脂層の露光部又は未露光部を現像除去する。ネガ型の感光性樹脂組成物を用いる場合(例えば(A)成分としてポリイミド前駆体を用いる場合)には、未露光部が現像除去され、ポジ型の感光性樹脂組成物を用いる場合(例えば(A)成分としてポリオキサゾール前駆体を用いる場合)には、露光部が現像除去される。現像方法としては、従来知られているフォトレジストの現像方法、例えば回転スプレー法、パドル法、超音波処理を伴う浸漬法等の中から任意の方法を選択して使用することができる。また、現像の後、レリーフパターンの形状を調整する等の目的で、必要に応じて任意の温度及び時間の組合せによる現像後ベークを施してもよい。
現像に使用される現像液としては、感光性樹脂組成物に対する良溶媒、又は該良溶媒と貧溶媒との組合せが好ましい。例えばアルカリ水溶液に溶解しない感光性樹脂組成物の場合、良溶媒としては、N-メチルピロリドン、N-シクロヘキシル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、GBL、α-アセチル-γ-ブチロラクトン等が好ましく、貧溶媒としてはトルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、乳酸エチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート及び水等が好ましい。良溶媒と貧溶媒とを混合して用いる場合には、感光性樹脂組成物中のポリマーの溶解性によって良溶媒に対する貧溶媒の割合を調整することが好ましい。また、各溶媒を2種以上、例えば数種類組合せて用いることもできる。
一方、アルカリ水溶液に溶解する感光性樹脂組成物の場合、現像に使用される現像液は、アルカリ水溶液可溶性重合体を溶解除去するものであり、典型的にはアルカリ化合物を溶解したアルカリ性水溶液である。現像液中に溶解されるアルカリ化合物は、無機アルカリ化合物、又は有機アルカリ化合物のいずれであってもよい。
該無機アルカリ化合物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、及びアンモニア等が挙げられる。
また、該有機アルカリ化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n-プロピルアミン、ジ-n-プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、エタノールアミン、及びトリエタノールアミン等が挙げられる。
更に、必要に応じて、上記アルカリ性水溶液に、メタノール、エタノール、プロパノール、又はエチレングリコール等の水溶性有機溶媒、界面活性剤、保存安定剤、及び樹脂の溶解抑止剤等を適量添加することができる。以上のようにしてレリーフパターンを形成できる。
〔(4)工程〕
本工程では、上記現像により得られたレリーフパターンを加熱することによって、硬化レリーフパターンに変換する。加熱硬化の方法としては、ホットプレートによるもの、オーブンを用いるもの、温度プログラムを設定できる昇温式オーブンを用いるもの等種々の方法を選ぶことができる。加熱は、例えば180℃~400℃で30分~5時間の条件で行うことができる。加熱硬化の際の雰囲気気体としては空気を用いてもよく、窒素、アルゴン等の不活性ガスを用いることもできる。
〔(5)工程〕
本工程では、上記硬化レリーフパターンの膜表面にレーザー照射を行うことができる。すなわち、パッシベーション膜、表面保護膜、及び層間絶縁膜等を構成する樹脂の表面に、半導体装置の製品仕様、ロット番号及び製造年月日を刻印することができる。
二酸化炭素レーザー、UVレーザー、グリーンレーザー等の高エネルギー密度を用いたレーザー加工を好ましく用いることができる。なかでも、532nmのグリーンレーザー波長を用いる場合、高スループットを実現し易く、かつ、半導体装置へのダメージを最小限に抑え易いため好ましい。レーザー処理したときに、所望のレリーフパターンを形成でき、また、刻印できるためには、パッシベーション膜、表面保護膜、及び層間絶縁膜等が、レーザー波長に対して吸収を有することが求められる。
上記(1)~(4)、そして、必要により(5)の工程を経て作製されるパッシベーション層、表面保護層、層間絶縁膜は、当該工程を複数回繰り返すことにより、多層のパッシベーション層、表面保護層、層間絶縁膜を作製することができる。感光性樹脂組成物は、上記の工程を繰り返し経て作製されるパッシベーション層、表面保護層、層間絶縁膜のうち、全繰り返し工程に用いてもよいし、特定の繰り返し工程にのみ用いてもよい。好ましい形態としては、繰り返し工程を経て作製されるパッシベーション層、表面保護層、層間絶縁膜のうち、最外層のパッシベーション層、表面保護層、層間絶縁膜に用いるのが好ましい。
[半導体装置]
本実施形態は、上述した硬化レリーフパターンの製造方法により得られる硬化レリーフパターンを含む、半導体装置である。
本実施形態の一態様は、半導体素子である基材と、前記基材上に上述した硬化レリーフパターン製造方法により形成された樹脂の硬化レリーフパターンとを含む半導体装置である。
本実施形態は、基材として半導体素子を用い、上述した硬化レリーフパターンの製造方法を工程の一部として含む半導体装置の製造方法にも適用できる。本実施形態は、上記硬化レリーフパターン製造方法で形成される硬化レリーフパターンを、表面保護膜、層間絶縁膜、再配線用絶縁膜、フリップチップ装置用保護膜、又はバンプ構造を有する半導体装置の保護膜等として形成し、既知の半導体装置の製造方法と組合せることで製造することができる。
感光性樹脂組成物は、上記のような半導体装置への適用の他、多層回路の層間絶縁、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、及び液晶配向膜等の用途にも有用である。
〔構成の概略〕
図1(a)は、半導体装置1の断面模式図であり、図1(b)は、図1における視野aの拡大模式図であり、図2は、半導体装置1の平面模式図である。
半導体装置1は、
半導体チップ2と、
半導体チップ2に接する封止材3と、
半導体チップ2及び封止材3の少なくとも一方面側に配され、かつ、厚さ方向平面視で半導体チップ2よりも面積が大きい再配線層4と、を備えている。
半導体装置1は、ファンナウト(Fan-Out)型、更には、ウェハレベルチップサイズパッケージ(WLCSP)型の装置である。
以下、各構成について順次説明する。
<半導体チップ>
半導体チップ2は、シリコン等の半導体から構成されている。半導体チップ2は複数配されてよく、例えば、図1(a)には、面方向(厚さ方向に対して垂直な方向)に沿って2つの半導体チップ2が並列に配された半導体装置1が図示されている。複数の半導体チップ2、及びそれに付随する各構成は、同一でも異なってもよい。
図1(a)中、半導体チップ2は、一方面2aと、一方面2a側とは反対側の他方面2bと、一方面2a及び他方面2bの間の四方側面2cと、を有する立方体形状で図示されている。一方面2aは、再配線層4に接し、他方面2bは、端子9及び保護層8に接し、四方側面2cは、封止材3に接している。
<保護層>
保護層8は、半導体チップ2の他方面2bと、再配線層4と、の間に配されており、物理的な衝撃から半導体チップ2を保護する役割を果たす。図1(a)では、他方面2bに、再配線層4中の配線5との間の導通を確保する複数の端子9が配されており、保護層8は、これらの端子9の間を埋めるように該他方面2b側に配されている。半導体チップ2を一方面2a側から厚さ方向平面視(図1におけるA矢視)したと仮定した場合、保護層8は、半導体チップ2の陰になり観察されない。
保護層8は、例えば、ポリイミドと、ポリベンゾオキサゾールと、フェノール性水酸基を有するポリマーと、から成る群から選択される少なくとも1つの化合物から構成されることができる。ただし、保護層8の構成は上記に限定されず、保護層8自体も省略可能である。
<封止材>
封止材3は、半導体チップ2の四方側面2cに接しており、本実施形態では、保護層8、及び再配線層4にも接している。封止材3は、絶縁層6に接することが好ましい。封止材に対しては、厚さ方向に配線5が貫通しており、この配線5が、再配線層4における配線5に電気的に接続されている。
封止材3は、例えば、エポキシ樹脂から構成されることができる。ただし、封止材3の構成はこれに限定されない。
<再配線層>
再配線層4は、半導体チップ2に電気的に接続される中間層(例えば、配線5)、及び該中間層に接する絶縁層6を含んで構成されている。図2における、再配線層4の面積S1と、半導体チップ2の面積S2と、の大小関係から理解されるとおり、再配線層4は、厚さ方向平面視(図1(a)におけるA矢視)で、半導体2チップよりも面積が大きい。なお、本実施形態における再配線層4は、プリント配線板を含まない。
再配線層4は、複数層(例えば、3~9層)の層構造を有することが好ましい。図1(b)では、半導体チップ2及び封止材3側から、1層目の絶縁層6-1、2層目の絶縁層、及び3層目の絶縁層6-3を有する、3層構造の再配線層4が示されている。3層目の絶縁層6-3が最外層に相当し、該最外層が領域6aとして構成されている。また、1層目の絶縁層6-1、及び2層目の絶縁層6-2が、他の領域6bとして構成されている。再配線層4の層数は、後述する絶縁層形成工程の回数に相当する。
ここで、半導体装置1では、領域6aが、ひいては、最外層である絶縁層6-3が、本実施形態の一態様である感光性樹脂組成物から構成されている。最外層である絶縁層に、所定の刻印(半導体装置の製品仕様、ロット番号、及び製造年月日等)が施される場合、該刻印の視認性に優れる。
配線5(図1(b)では、配線5-1及び5-2)は、導電性に優れた高い部材が用いられ、本実施形態では、銅が用いられている。このような配線5を含めた、上記再配線層4の膜厚は、3~30μm程度である。
(第1再配線層及び第2再配線層)
半導体装置1は、半導体チップ2を介して対向する、2つの再配線層4を備えている。1つは、半導体チップ2の一方面2a側に配される第1再配線層4Aであり、もう1つは、半導体チップ2の他方面2b側に保護層8を介して配される第2再配線層4Bである。
第1再配線層4A、及び第2再配線層4Bは、それぞれ、半導体チップ2側の面(第1の面4a)と、その第1の面4aとは反対の面(第2の面4b)を有している。第2の面4bは、各種の電子部品が設けられるのに好適である。第1再配線層4Aにおける第2の面4bには、RAM(DRAMを含む。図1では符号Dで示されている。)が設けられてよく、第2再配線層4Bにおける第2の面4bには、外部接続端子7が設けられてよい。
第1再配線層4A、及び第2再配線層4Bの間は、封止材3が配されており、封止材3を貫通する配線5が、第1再配線層4Aにおける配線5と、第2再配線層4Bにおける配線5と、の両方に電気的に接続されている。
本明細書中、第1再配線層4A、及び第2再配線層4Bの両方に採用可能な構成について、単に「再配線層」とも称している。ただ、単に「再配線層」と称して説明した構成が、第1再配線層4Aのみに採用されても、第2再配線層4Bのみに採用されても、第1再配線層4A及び第2再配線層4Bの両方に採用されてもよい。第1再配線層4A、及び第2再配線層4B、及びそれらに付随する構成は、互いに異なってよい。第2再配線層4B、及び半導体チップ2の間に保護層8が配されているのと同様、第1再配線層4A、及び半導体チップ2の間にも、保護層が配されてよい。図1(a)中、第1再配線層4Aについてのみ領域6aが図示されているが、第1再配線層4Bのみが、また、第1再配線層4Bもまた、領域6aに相当する構成を備えてもよい。
(絶縁層)
絶縁層6は、再配線層4において配線5の間に配されており、配線5同士の意図しない導通を防止する役割を果たす。絶縁層6は、本実施形態の一態様である感光性樹脂組成物から構成されることができる。これにより、グリーンレーザーを照射後の、絶縁層6及び中間層の密着性が良好になり易い。
絶縁層6は、再配線層4を断面視したとき、半導体チップ2側から、第Nの絶縁層(Nは1以上の整数)を含んでよい。各絶縁層の組成、特性、及び膜厚等は、同一でも異なってもよい。
絶縁層6において、本実施形態の一態様である感光性樹脂組成物から構成される層は、1層でも多層でもよい。本実施形態の一態様である感光性樹脂組成物から構成される層は、グリーンレーザーによって付される印字の視認性の観点から、再配線層4における第2の面4b側、言い換えれば、最外層側に配されることが好ましい。
絶縁層6は、本実施形態の一態様である感光性樹脂組成物とは異なる樹脂組成物から構成される層(他の層)を有してよい。ここでは、例えば、図1(b)中、1層目の絶縁層6-1、及び2層目の絶縁層6-2が、他の層として構成されている。
<半導体装置の製造方法>
半導体装置1の製造方法は、
半導体チップ2を用意する第1工程と、
厚さ方向平面視で半導体チップ2よりも面積が大きい第1再配線層4Aであって、かつ、半導体チップ2に電気的に接続される中間層(例えば、配線5)、及び該中間層に接する絶縁層6を含む該第1再配線層4Aを、半導体チップ2の一方面2a側に配する第2工程と、
上記半導体チップ2を、該半導体チップ2の他方面2b側が露出するように封止材3で覆う第3工程と、
厚さ方向平面視で半導体チップ2よりも面積が大きい第2再配線層4Bであって、かつ、半導体チップ2に電気的に接続される中間層(例えば、配線5)、及び該中間層に接する絶縁層6を含む該第2再配線層4Bを、半導体チップ2の他方面2b側に配する第4工程と、を含む、
第2工程及び第4工程については、再配線層4を形成した後に該再配線層4に半導体チップ2をマウントしてもよく、また、半導体チップ2を基礎として再配線層4を形成してもよい。
ここで、第2工程で、本実施形態の一態様である感光性樹脂組成物を用いて、再配線層4における絶縁層6を構成することが好ましく、グリーンレーザーによって成される印字の視認性の観点から、該感光性樹脂組成物を用いて、再配線層4の最外層を構成する絶縁層6を構成することがより好ましい。第3工程は、半導体チップ2に保護層8を形成する工程(保護層形成工程)と、保護層8を形成した半導体チップ2を、該保護層8の少なくとも一部が露出するように封止材3で覆う工程(封止構造形成工程)と、を含むことが好ましい。第4工程は、再配線層4を、保護層8側に配する工程(再配線層形成工程)を含むことが好ましい。
本実施形態における半導体装置の製造方法を、図3を用いて説明する。図3は、本実施形態の半導体装置2の製造工程の一例である。以下の説明中、感光性樹脂組成物は、ポジ型でもネガ型でもよい。
(1)第1工程
図3A1では、前工程済みウェハ10を用意する。感光性樹脂組成物(保護層形成用の感光性組成物)をウェハ10に塗布し、露光現像してレリーフパターンを形成する(保護層形成工程)。図3B1では、レリーフパターンを形成したウェハ10をダイシングし、複数の半導体チップ2を形成する。以上より、半導体チップ2を用意する(第1工程)。
(2)第2工程
図3A2では、キャリアCを用意する。キャリアCは、例えばガラス製である。キャリアCには、半導体パッケージを一時的に固定するための接着剤層C1を形成してよい。接着剤層C1上に、感光性樹脂組成物(絶縁層形成用の感光性組成物)を塗布し、露光現像してレリーフパターンを形成する(レリーフパターン形成工程)。感光性樹脂組成物への露光及び現像を経てレリーフパターンを形成し、これを加熱して硬化レリーフパターンを形成する(絶縁層形成工程)。更に、硬化レリーフパターンを形成しない箇所に配線を形成する(配線形成工程)。絶縁層形成工程及び配線形成工程を繰り返すことで、多層の絶縁層を形成する。以上より、厚さ方向平面視で半導体チップ2よりも面積が大きい再配線層4(第1再配線層4A)を、半導体チップ2の一方面側に配する(第2工程)。
図1(b)に示す再配線層を例に挙げて、第2工程の一態様を説明する。
まず、接着剤層C1上の絶縁層(図1(b)に示す3層目の絶縁層6-3)のパターン上に所定の非永久材料を用いた非永久材料パターンを形成する。その後、めっき等により配線5-2を形成する。
非永久材料パターンを除去した後、配線5-2を覆うように感光性樹脂組成物を絶縁層6-3上に塗布する。塗布した感光性樹脂組成物への露光、現像、及び硬化を経て、パターン底部に配線5-2が露出する該パターンを有する、絶縁層(図1(b)に示す2層目の絶縁層6-2)を作製する。
その後、絶縁層6-2のパターン間に配線5-1を形成し、そして、上記を繰り返すことで、本実施形態の一態様である、図1(b)に示す再配線層を製造することができる。なお、非永久材料パターンは、従来既知の感光性樹脂組成物を用いて作製できる。
ここでは、接着剤層C1に接する絶縁層6が、第1再配線層4Aの最外層に相当し、かかる絶縁層6が、本実施形態の一態様である感光性樹脂組成物により構成されている。図中、第1再配線層4Aにおける半導体チップ2側の面に露出する配線は、図示が省略されている。
(3)第3工程
図3Cにて、第1再配線層4Aと、半導体チップ2における保護層を形成していない側と、が接するように、半導体チップ2を所定間隔にて第1再配線層4Aに貼り付ける。続いて、半導体チップ2の高さに相当する程度の高さを有する金属ピラー(配線)を第1再配線層4A上に形成し、その後、半導体チップ2上から第1再配線層4Aにかけてモールド樹脂12を塗布し、図3Dに示すようにモールド封止する。CMP工程等により、半導体チップ2の保護層8、及び金属ピラー(図示せず)が露出する程度まで、モールド樹脂12を研磨する(図3E)。以上より、半導体チップ2を、該半導体チップ2の他方面2bが露出するように封止材3で覆う(第3工程)。
(4)第4工程
その後、半導体チップの保護層8側に感光性樹脂組成物13を塗布し(図3F)、前述と同様の方法で、再配線層4(第2再配線層4B)を形成する。以上より、厚さ方向平面視で半導体チップ2よりも面積が大きい再配線層4(第2再配線層4B)を、半導体チップ2の他方面2b側に配する(第4工程)。
そして、図3Gでは、各半導体チップ2間をダイシングする。その後、キャリアC上に形成した接着剤層C1から剥離する。これにより、図3Hに示すように、半導体装置(半導体IC)1を得ることができる。本実施形態では、図3に示す製造方法により、ファンナウト型の半導体装置1を複数得ることができる。なお、各半導体チップ2間をダイシングする前に、各半導体チップ2に対応する複数の外部接続端子7を再配線層4に設けてよい。
以上、半導体装置1の構成について説明したが、その構成は上記に限定されない。
図4は、半導体装置の、他の態様を示す断面模式図である。図示される半導体装置1Aは、第1再配線層4A及び第2再配線層のうち、第2再配線層4Bを備え、第1再配線層を備えない。封止材3が、半導体チップ2の四方側面2cだけでなく、一方面2aにも接しており、すなわち、封止材3が、半導体チップ2の他方面2b以外の面を覆っている。半導体装置1に加え、このような半導体装置1Aも、本実施形態に含まれる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を説明する。
〔重量平均分子量〕
各樹脂の重量平均分子量(Mw)をGPC法(標準ポリスチレン換算)で測定した。測定に用いたカラムは昭和電工(株)製の商標名「Shodex 805M/806M直列」であり、標準単分散ポリスチレンは、昭和電工(株)製の商標名「Shodex STANDARD SM-105」を選択し、展開溶媒はNMPであり、検出器は昭和電工(株)製の商標名「Shodex RI-930」を使用した。
〔Cu上の硬化レリーフパターンの作製〕
6インチシリコンウェハ(フジミ電子工業株式会社製、厚み625±25μm)上に、スパッタ装置(L-440S-FHL型、キヤノンアネルバ社製)を用いて200nm厚のTi、400nm厚のCuをこの順にスパッタした。続いて、このウェハ上に、後述の方法により調製した感光性樹脂組成物をコーターデベロッパー(D-Spin60A型、SOKUDO社製)を用いて回転塗布し、乾燥することにより10μm厚の塗膜を形成した。この塗膜に、テストパターン付マスクを用いて、平行光マスクアライナー(PLA-501FA型、キヤノン社製)により300mJ/cmのエネルギーを照射した。次いで、この塗膜を、ネガ型の場合はシクロペンタノンを現像液として、また、ポジ型の場合は2.38%TMAHを現像液として用い、コーターデベロッパー(D-Spin60A型、SOKUDO社製)でスプレー現像した。ネガ型の場合はプロピレングリコールメチルエーテルアセテートでリンスし、また、ポジ型の場合は純水でリンスすることにより、Cu上のレリーフパターンを得た。
Cu上に該レリーフパターンを形成したウェハを、昇温プログラム式キュア炉(VF-2000型、光洋リンドバーグ社製)を用いて、窒素雰囲気下、各実施例に記載の温度において2時間加熱処理することにより、Cu上に約6~7μm厚の樹脂からなる硬化レリーフパターンを得た。
〔高温保存試験後における、ボイドの面積割合〕
Cu上に該硬化レリーフパターンを形成したウェハを、昇温プログラム式キュア炉(VF-2000型、光洋リンドバーグ社製)を用いて、空気中、150℃で168時間加熱した。続いて、プラズマ表面処理装置(EXAM型、神港精機社製)を用いて、Cu上の樹脂層を全てプラズマエッチングにより除去した。プラズマエッチング条件は下記のとおりである。
出力:133W
ガス種・流量:O:40ml/分 + CF:1ml/分
ガス圧:50Pa
モード:ハードモード
エッチング時間:1800秒
樹脂層を全て除去したCu表面を、FE-SEM(S-4800型、日立ハイテクノロジーズ社製)によって観察し、画像解析ソフト(A像くん、旭化成社製)を用いて、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を算出した。
〔着色度合い〕
以下の製造例に従って調製した感光性樹脂組成物を、コーターデベロッパー(D-Spin60A型、SOKUDO社製)を用いてスピンコート法により石英板上に塗布し、樹脂組成物の膜を得た。その膜を、110℃で240秒間に亘って乾燥(プリベーク)することにより、石英板上に、10μm厚のプリベーク膜を得た。
プリベーク膜を、昇温プログラム式キュア炉(VF-2000型、光洋リンドバーグ社製)を用いて、230℃で2時間に亘って、窒素雰囲気下で加熱(キュア)することにより、石英板上に、約6~7μm厚のポリイミド膜(硬化レリーフパターン)を得た。紫外可視分光光度計(株式会社島津製作所製、UV-1800)により、上記ポリイミド膜の、532nmにおける10μm膜厚換算のUV透過率を算出した。
着色度合いは以下の基準に基づき評価した。
「優」:UV透過率が50%未満
「良」:UV透過率が70%未満、50%以上
「不可」:UV透過率が70%以上
〔ワニス安定性〕
以下の製造例に従って調製した感光性樹脂組成物を遮光下、室温中で2週間保管した。
保管前後で感光性樹脂組成物の粘度をE型粘度計(RE-85R、東機産業社製)で測定した。
安定性の評価は以下の基準に基づき評価した。
「良」:粘度変化率が±2%未満
「可」:粘度変化率が±2%以上、±10%未満
「不可」:粘度変化率が±10%以上、又はゲル化
〔(A)成分;製造例1~12〕
<製造例1>(ポリイミド前駆体(ポリマーA-1))
4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gを2l容量のセパラブルフラスコに入れ、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)131.2gとGBL400mlを入れて室温下で攪拌し、攪拌しながらピリジン81.5gを加えて反応混合物を得た。反応による発熱の終了後に室温まで放冷し、16時間放置した。
次に、氷冷下において、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)206.3gをGBL180mlに溶解した溶液を攪拌しながら40分かけて反応混合物に加え、続いて4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)93.0gをGBL350mlに懸濁したものを攪拌しながら60分かけて加えた。更に室温で2時間攪拌した後、エチルアルコール30mlを加えて1時間攪拌し、次に、GBL400mlを加えた。反応混合物に生じた沈殿物をろ過により取り除き、反応液を得た。
得られた反応液を3lのエチルアルコールに加えて粗ポリマーから成る沈殿物を生成した。生成した粗ポリマーを濾別し、テトラヒドロフラン1.5lに溶解して粗ポリマー溶液を得た。得られた粗ポリマー溶液を28lの水に滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾別した後、真空乾燥して粉末状のポリマー(ポリマーA-1)を得た。ポリマーA-1の重量平均分子量(Mw)は20,000であった。
なお、各製造例で得られた樹脂の重量平均分子量は、GPCを用い、以下の条件で測定し、標準ポリスチレン換算での重量平均分子量を求めた。
ポンプ:JASCO PU-980
検出器:JASCO RI-930
カラムオーブン:JASCO CO-965 40℃
カラム:Shodex KD-806M 直列に2本
移動相:0.1mol/l LiBr/NMP
流速:1ml/min.
<製造例2>(ポリイミド前駆体(ポリマーA-2))
製造例1の4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gに代えて、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマーA-2を得た。ポリマーA-2の重量平均分子量(Mw)は22,000であった。
<製造例3>(ポリイミド前駆体(ポリマーA-3))
上記製造例1において、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)93.0gに代えて、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)(190.7g)を用いた以外は、製造例1と同様の手法により、ポリマーA-3を得た。ポリマーA-3の重量平均分子量(Mw)は21,000であった。
<製造例4>(ポリイミド前駆体(ポリマーA-4))
上記製造例1において、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)93.0gに代えて、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル(m-TB)(98.6g)を用いた以外は、製造例1と同様の手法により、ポリマーA-4を得た。ポリマーA-4の重量平均分子量(Mw)は、21,000であった。
<製造例5>(ポリイミド前駆体(ポリマーA-5))
上記製造例1において、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)93.0gに代えて、p-フェニレンジアミン(p-PD)(50.2g)を用いた以外は、製造例1と同様の手法により、ポリマーA-5を得た。ポリマーA-5の重量平均分子量(Mw)は、21,000であった。
<製造例6>(ポリイミド前駆体(ポリマーA-6))
上記製造例1において、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)93.0gに代えて、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)160.1gを用いた以外は、製造例1と同様の手法により、ポリマーA-6を得た。ポリマーA-6の重量平均分子量(Mw)は、21,000であった。
<製造例7>(ポリイミド前駆体(ポリマーA-7))
上記製造例1において、4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gに代えて、ピロメリット酸無水物(PMDA)54.5gと4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)77.6gとを用い、また、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)93.0gに代えて、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル(m-TB)98.6gを用いた以外は、製造例1と同様の手法により、ポリマーA-7を得た。ポリマーA-7の重量平均分子量(Mw)は、21,000であった。
<製造例8>(ポリイミド前駆体(ポリマーA-8)の合成)
上記製造例1において、4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gに代えて、4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)77.6gと、3,3’4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)73.6gとを用いた以外は、製造例1と同様の手法により、ポリマーA-8を得た。ポリマーA-8の重量平均分子量(Mw)は、20,000であった。
<製造例9>((A)ポリアミド(ポリマーA-9))
(フタル酸化合物封止体AIPA-MOの合成)
容量5lのセパラブルフラスコに、5-アミノイソフタル酸{以下、AIPAと略す。}543.5g、NMP1700gを投入、混合撹拌し、ウォーターバスで50℃まで加温した。これに、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート512.0g(3.3mol)をGBL500gで希釈したものを滴下ロートで滴下投入し、そのまま50℃で2時間ほど撹拌した。
反応の完了(5-アミノイソフタル酸の消失)を低分子量ゲルパーミエーションクロマトグラフィー{以下、低分子量GPCと記す。}で確認した後、この反応液を15リットルのイオン交換水に投入、撹拌、静置し、反応生成物の結晶化沈殿を待って濾別し、適宜水洗の後、40℃で48時間真空乾燥することにより、5-アミノイソフタル酸のアミノ基と2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネートのイソシアネート基が作用したAIPA-MOを得た。得られたAIPA-MOの低分子量GPC純度は約100%であった。
(ポリマーA-9の合成)
容量2lのセパラブルフラスコに、得られたAIPA-MOを100.89g(0.3mol)、ピリジンを71.2g(0.9mol)、GBLを400g投入、混合し、氷浴で5℃まで冷却した。これに、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)125.0g(0.606mol)をGBL125gに溶解希釈したものを、氷冷下、20分ほどかけて滴下し、続いて4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル{以下、BAPBと記す。}103.16g(0.28mol)をNMP168gに溶解させたものを、20分ほどかけて滴下し、氷浴で5℃未満を維持しつつ3時間、次いで氷浴を外して室温で5時間撹拌した。反応混合物に生じた沈殿物をろ過により取り除き、反応液を得た。
得られた反応液に水840gとイソプロパノール560gの混合液を滴下し、析出する重合体を分離し、NMP650gに再溶解した。得られた粗ポリマー溶液を5lの水に滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾別した後、真空乾燥して粉末状のポリマー(ポリマーA-9)を得た。ポリマーA-9の重量平均分子量(Mw)は34,700であった。
<製造例10>((A)ポリオキサゾール前駆体(ポリマーA-10))
容量3lのセパラブルフラスコ中で、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)-ヘキサフルオロプロパン183.1g、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)640.9g、ピリジン63.3gを室温(25℃)で混合攪拌し、均一溶液とした。これに、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボニルクロリド118.0gをジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)354gに溶解したものを滴下ロートより滴下した。この際、セパラブルフラスコは15~20℃の水浴で冷却した。滴下に要した時間は40分、反応液温は最大で30℃であった。
滴下終了から3時間後反応液に1,2-シクロヘキシルジカルボン酸無水物30.8g(0.2mol)を添加し、室温で15時間撹拌放置し、ポリマー鎖の全アミン末端基の99%をカルボキシシクロヘキシルアミド基で封止した。この際の反応率は投入した1,2-シクロヘキシルジカルボン酸無水物の残量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で追跡することにより容易に算出することができる。その後上記反応液を2Lの水に高速攪拌下で滴下し重合体を分散析出させ、これを回収し、適宜水洗、脱水の後に真空乾燥を施し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定した重量平均分子量9,000(ポリスチレン換算)の粗ポリベンゾオキサゾール前駆体を得た。
上記で得られた粗ポリベンゾオキサゾール前駆体をGBLに再溶解した後、これを陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂にて処理し、それにより得られた溶液をイオン交換水中に投入後、析出したポリマーを濾別、水洗、真空乾燥することにより精製されたポリベンゾオキサゾール前駆体(ポリマーA-10)を得た。
<製造例11>((A)ポリイミド(ポリマーA-11))
テフロン(登録商標)製の碇型攪拌器を取り付けた、ガラス製のセパラブル4つ口フラスコに、ディーンスタークトラップ付き冷却管を取り付けた。窒素ガスを通じながら、上記フラスコをシリコンオイル浴につけて攪拌した。
2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン(クラリアントジャパン社製)(以後BAPという)72.28g(280ミリモル)、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-3-メチル-シクロヘキセン-1,2ジカルボン酸無水物(東京化成工業株式会社製)(以後MCTCという)を70.29g(266ミリモル)、GBL254.6g、トルエン60gを加えて、室温で100rpmで4時間攪拌後、5-ノルボルネン-2,3―ジカルボン酸無水物(東京化成工業株式会社製)4.6g(28ミリモル)を加えて、窒素ガスを通じながらシリコン浴温度50℃で、100rpmで8時間加熱攪拌した。その後、シリコン浴温度180℃に加温し、100rpmで2時間加熱攪拌した。反応中トルエン、水の留出分を除去した。イミド化反応終了後、室温に戻した。
その後上記反応液を3Lの水に高速攪拌下で滴下し重合体を分散析出させ、これを回収し、適宜水洗、脱水の後に真空乾燥を施し、重量平均分子量23,000の粗ポリイミド(ポリマーA-11)を得た。
<製造例12>(フェノール樹脂(ポリマーA-12))
容量1.0Lのディーン・スターク装置付きセパラブルフラスコを窒素置換し、その後、該セパラブルフラスコ中で、レゾルシノール81.3g(0.738mol)、BMMB84.8g(0.35mol)、p-トルエンスルホン酸3.81g(0.02mol)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(以下、PGMEとも言う)116gを50℃で混合攪拌し、固形物を溶解させた。
混合溶液をオイルバスにより120℃に加温し、反応液よりメタノールの発生を確認した。そのまま120℃で反応液を3時間攪拌した。
次に、別の容器で2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-p-クレゾール24.9g(0.150mol)、PGME249gを混合撹拌し、均一溶解させた溶液を、滴下漏斗を用いて、該セパラブルフラスコに1時間で滴下し、滴下後更に2時間撹拌した。
反応終了後は製造例7と同様の処理を行い、レゾルシノール/BMMB/2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-p-クレゾールからなる共重合体(ポリマーA-12)を収率77%で得た。このポリマーA-12のGPC法の重量平均分子量は9,900であった。
〔(B)成分〕
(B)成分の化合物構造を列挙する。
B-1(窒素原子の質量割合が6.6質量%である。)
B-2(窒素原子の質量割合が9.5質量%である。)
B-3(窒素原子の質量割合が10.5質量%である。)
B-4(窒素原子の質量割合が4.5質量%である。)
B-5(窒素原子の質量割合が11.1質量%である。)
B-6(窒素原子の質量割合が13.3質量%である。)
B-7(窒素原子の質量割合が9.0質量%である。)
B-8(窒素原子の質量割合が7.1質量%である。)
B-9(窒素原子の質量割合が9.0質量%である。)
B-10(窒素原子の質量割合が8.2質量%である。)
B-11(窒素原子の質量割合が14.2質量%である。)
B-12(窒素原子の質量割合が4.1質量%である。)
B-13(窒素原子の質量割合が0質量%である。)
B-14(窒素原子の質量割合が0質量%である。)
B-15(窒素原子の質量割合が0質量%である。)
B-16(窒素原子の質量割合が46.3質量%である。)
B-17(窒素原子の質量割合が17.9質量%である。)
〔(C)成分〕
実施例で用いた(C)成分を列挙する。
PDO:1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(O-エトキシカルボニル)-オキシム
OXE01:1,2-オクタンジオン、1-{4-(フェニルチオ)-、2-(O-ベンゾイルオキシム)}(イルガキュアOXE01(BASF社製、商品名))
C1:下記式(96):
Figure 2024043132000122
で表される、フェノール性水酸基の77%をナフトキノンジアジド-4-スルホン酸エステル化した感光性ジアゾキノン化合物(東洋合成社製)
〔(D)成分〕
実施例で用いた(D)成分を列挙する。
D-1:NMP
D-2:乳酸エチル
D-3:GBL
D-4:DMSO
D-5:エクアミド
〔実施例1~30及び比較例1~8〕
<実施例1>
ポリマーA-1、A-2を用いて以下の方法でネガ型感光性樹脂組成物を調製し、感光性樹脂組成物の評価を行なった。ポリマーA-1を50gと、ポリマーA-2を50gとを、窒素原子の質量割合が6.6質量%であるB-1を4g、PDOを4g、テトラエチレングリコールジメタクリレートを8g、N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]フタルアミド酸を1.5gとともに、D-1を80gとD-2を20gと、からなる混合溶媒に溶解した。得られた溶液の粘度を、少量の前記混合溶媒を更に加えることによって約3.5Pa・sに調整し、ネガ型感光性樹脂組成物とした。
<実施例2>~<実施例30>
上記実施例1において、(A)~(D)成分の種類、及び含有量を表のとおりに変えた以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
<比較例1>~<比較例8>
実施例1において、(A)~(D)成分の種類、及び含有量を表のとおりに変えた以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行なった。
実施例及び比較例の結果を表1に示す。
表に示されるとおり、実施例の樹脂組成物によれば、グリーンレーザーにより容易に印字でき、高温保存試験後、Cu層の樹脂層に接する界面でのボイド発生を抑制でき、密着性が高い樹脂層を実現できることが確かめられた。
また、実施例の樹脂組成物を用いて、図1に示す半導体装置用の絶縁層を好適に作製することができ、ひいては、図1に示す半導体装置を好適に作製することができた。
本発明の感光性樹脂組成物は、例えば、電子部品の絶縁材料、並びに半導体装置におけるパッシベーション膜、バッファーコート膜、及び層間絶縁膜の形成に用いられる感光性材料として好適である。
また、本発明の感光性樹脂組成物は、例えば、半導体装置、多層配線基板等の電気・電子材料の製造に有用な感光性材料の分野で好適に利用できる。
1,1A 半導体装置
2 半導体チップ
2a 一方面
2b 他方面
2c 四方側面
3 封止材
4 再配線層
4A 第1再配線層
4B 第2再配線層
4a 第1の面
4b 第2の面
5,5-1,5-2 配線
6 絶縁層
6a 領域
6b 他の領域
6-1 1層目の絶縁層
6-2 2層目の絶縁層
6-3 3層目の絶縁層(最外層)
7 外部接続端子
8 保護層
9 端子
10 ウェハ
11 支持体
12 モールド樹脂
13 感光性樹脂組成物
C キャリア
C1 接着剤層
D DRAM

Claims (10)

  1. (A)ポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリアミド酸塩、ポリヒドロキシアミド、ポリアミノアミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、及びフェノール樹脂から成る群から選択される少なくとも一種の樹脂を、100質量部、
    (B)窒素原子を分子構造中に含む染料を、前記(A)樹脂100質量部を基準として0.5~50質量部、並びに、
    (C)感光剤を、前記(A)樹脂100質量部を基準として1~50質量部、
    含む、感光性樹脂組成物であって、
    前記(B)染料における窒素原子の含有割合が、該(B)染料の分子質量に対して5~15質量%である、感光性樹脂組成物。
  2. 前記(A)樹脂は、
    前記ポリアミド酸、前記ポリアミド酸エステル、及び前記ポリアミド酸塩;
    前記ポリアミド;
    前記ポリヒドロキシアミド;
    前記ポリイミド;並びに
    前記フェノール樹脂;
    から成る群から選択される少なくとも一種であり、 前記ポリアミド酸、前記ポリアミド酸エステル、及び前記ポリアミド酸塩は、下記一般式(1):
    Figure 2024043132000126
    {式中、Xは、4価の有機基であり、Yは、2価の有機基であり、nは、2~150の整数であり、そしてR及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~30の飽和脂肪族基、芳香族基、又は下記一般式(2):
    Figure 2024043132000127
    (式中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~3の有機基であり、そしてmは、2~10の整数である。)で表される1価の有機基、又は炭素数1~4の飽和脂肪族基であり、又は、下記一般式(3):
    Figure 2024043132000128
    (式中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~3の有機基であり、そしてmは、2~10の整数である。)で表される一価のアンモニウムイオンである。}
    で表される、ポリイミド前駆体としての構造を有し、
    前記ポリアミドは、下記一般式(4):
    Figure 2024043132000129
    {式中、Xは、炭素数6~15の3価の有機基であり、Yは、炭素数6~35の2価の有機基であり、かつ同一の構造であるか、又は複数の構造を有してよく、Rは、炭素数3~20のラジカル重合性の不飽和結合基を少なくとも一つ有する有機基であり、そしてnは、1~1000の整数である。}で表される構造を有し、
    前記ポリヒドロキシアミドは、下記一般式(5):
    Figure 2024043132000130
    {式中、Yは、炭素原子を有する4価の有機基であり、Y、X及びXは、それぞれ独立に、2個以上の炭素原子を有する2価の有機基であり、nは、1~1000の整数であり、nは、0~500の整数であり、n/(n+n)>0.5であり、そしてX及びYを含むn個のジヒドロキシジアミド単位並びにX及びYを含むn個のジアミド単位の配列順序は問わない。}
    で表される、前記ポリオキサゾール前駆体としての構造を有し、
    前記ポリイミドは、下記一般式(6):
    Figure 2024043132000131
    {式中、Xは、4~14価の有機基であり、Yは、2~12価の有機基であり、R10及びR11は、それぞれ独立に、フェノール性水酸基、スルホン酸基又はチオール基から選ばれる基を少なくとも一つ有する有機基であり、nは、3~200の整数であり、そしてm及びmは、0~10の整数である。}
    で表される構造を有し、
    前記フェノール樹脂は、ノボラック構造、ポリヒドロキシスチレン構造、又は下記一般式(7):
    Figure 2024043132000132
    {式中、aは、1~3の整数であり、bは、0~3の整数であり、1≦(a+b)≦4であり、R12は、炭素数1~20の1価の有機基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1価の置換基を表し、bが2又は3である場合は、複数のRは、互いに同一でも又は異なってよく、Xは、不飽和結合を有してよい炭素数2~10の2価の脂肪族基、炭素数3~20の2価の脂環式基、下記一般式(8):
    Figure 2024043132000133
    (式中、pは、1~10の整数である。)で表される2価のアルキレンオキシド基、及び炭素数6~12の芳香族環を有する2価の有機基からなる群から選択される2価の有機基を表す。}で表される構造を有する、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  3. 前記一般式(7)中のXは、下記一般式(9):
    Figure 2024043132000134
    {式中、R13、R14、R15及びR16は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の1価の脂肪族基、又は水素原子の一部若しくは全部がフッ素原子で置換されてなる炭素数1~10の1価の脂肪族基であり、nは0~4の整数であって、nが1~4の整数である場合のR17は、ハロゲン原子、水酸基、又は炭素数1~12の1価の有機基であり、少なくとも1つのRは水酸基であり、そしてnが2~4の整数である場合の複数のR17は、互いに同一でも又は異なっていてよい。}で表される2価の基、
    下記一般式(10):
    Figure 2024043132000135
    {式中、R18、R19、R20及びR21は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の1価の脂肪族基、又は水素原子の一部若しくは全部がフッ素原子で置換されてなる炭素数1~10の1価の脂肪族基であり、そしてWは、単結合、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1~10の脂肪族基、フッ素原子で置換されてよい炭素数3~20の脂環式基、下記一般式(8):
    Figure 2024043132000136
    (式中、pは、1~10の整数である。)で表される2価のアルキレンオキシド基、及び
    下記式(11):
    Figure 2024043132000137
    で表される2価の基から成る群から選択される2価の基である。}で表される群から選択される2価の有機基である、請求項2に記載の感光性樹脂組成物。
  4. 前記一般式(1)において、前記X1が、下記式(2):
    Figure 2024043132000138
    で表される構造を含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  5. 前記一般式(1)において、前記Y1が、下記式(8):
    Figure 2024043132000139
    及び/又は下記式(9):
    Figure 2024043132000140
    で表される構造を含む、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
  6. 前記(B)染料が、アントラセン系染料である、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
  7. (D)成分として、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、γ-ブチロラクトン(GBL)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、及び乳酸エチルから成る群から選択される少なくとも1つを更に含む、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
  8. (1)請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物を基板上に塗布することによって感光性樹脂層を前記基板上に形成する工程と、
    (2)前記感光性樹脂層を露光する工程と、
    (3)前記露光後の感光性樹脂層を現像してレリーフパターンを形成する工程と、
    (4)前記レリーフパターンを加熱処理することによって硬化レリーフパターンを形成する工程と
    を含む、硬化レリーフパターンの製造方法。
  9. 前記(1)工程では、銅又は銅合金から形成されて成る前記基板上に、前記感光性樹脂組成物を塗布する、請求項8に記載の硬化レリーフパターンの製造方法。
  10. 請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物から得られる硬化レリーフパターンを絶縁層として有する、半導体装置。
JP2022148148A 2022-09-16 2022-09-16 感光性樹脂組成物及び硬化レリーフパターンの製造方法 Pending JP2024043132A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022148148A JP2024043132A (ja) 2022-09-16 2022-09-16 感光性樹脂組成物及び硬化レリーフパターンの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022148148A JP2024043132A (ja) 2022-09-16 2022-09-16 感光性樹脂組成物及び硬化レリーフパターンの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024043132A true JP2024043132A (ja) 2024-03-29

Family

ID=90418241

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022148148A Pending JP2024043132A (ja) 2022-09-16 2022-09-16 感光性樹脂組成物及び硬化レリーフパターンの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2024043132A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7457669B2 (ja) 感光性樹脂組成物、硬化レリーフパターンの製造方法及び半導体装置
JP7293299B2 (ja) 感光性樹脂組成物、硬化レリーフパターンの製造方法及び半導体装置
JP7408599B2 (ja) 感光性樹脂組成物及び硬化レリーフパターンの製造方法
JP6939553B2 (ja) 樹脂組成物
JP2024043132A (ja) 感光性樹脂組成物及び硬化レリーフパターンの製造方法