JP2017140945A - サイドエアバッグ装置を搭載した車両用シート - Google Patents

Abstract

【課題】内バッグ部の乗員拘束性能の向上と、シートフレームへのシートパッドの組付性の向上とを両立する。【解決手段】車両用シート１０は、シートバック１６のサイド部１６Ａ内における外サイドフレーム３０のシート幅方向外側に収納され、サイド部１６Ａのシート前方側へ膨張展開するサイドエアバッグ本体６２と、サイドエアバッグ本体６２から外サイドフレーム３０のシート前方を通って外サイドフレーム３０のシート幅方向内側へ延出され、サイド部１６Ａ内で膨張する内バッグ部６４と、外サイドフレーム３０に固定された固定板部１０２、及び外サイドフレーム３０のシート幅方向内側において内バッグ部６４と外サイドフレーム３０との間に介在し、内バッグ部６４に対して膨張時に反力を付与する反力板部１０４を備え、当該反力板部１０４に内バッグ部６４が係止されている反力部材１００と、を有している。【選択図】図２

Description

本発明は、サイドエアバッグ装置を搭載した車両用シートに関する。

下記特許文献１に記載されたサイドエアバッグ装置は、主エアバッグと補助エアバッグとを備えている。主エアバッグは、シートバックのシートフレームに設けられた外サイドフレームに対するシート前方側かつシート幅方向外側で蛇腹折りにされており、補助エアバッグは、外サイドフレームに対するシート幅方向内側で蛇腹折りにされている。補助エアバッグの基端部は、外サイドフレームのシート前方を通って外サイドフレームのシート幅方向外側に回り込んでおり、主エアバッグの基端部と結合されている。補助エアバッグの基端部には、インフレータが収容されており、当該インフレータのスタッドボルトを用いて補助エアバッグの基端部が外サイドフレームに締結固定されている。この補助エアバッグが主エアバッグに先行してシートバックのサイド部内で膨張展開し、乗員をシート幅方向内側へ移動させることにより、乗員とボディサイド部との間の空間を車両幅方向に広げる。これにより、主エアバッグが乗員とボディサイド部との間に膨張展開し易くなる。

特開２００９−０２３４９４号公報

ところで、サイドエアバッグ装置が搭載される車両用シートの製造時には、エアバッグ及びインフレータがシートフレームに取り付けられた後で、シートパッドがシートフレームに被せられる（組付けられる）場合がある。この点、上記構成のサイドエアバッグ装置では、上記のようなシートパッドの組付けの際に、シートパッドが補助エアバッグと干渉し、補助エアバッグが正規の取り付け位置からずれる可能性がある。このため、当該位置ずれを防止するために、シートパッドの組付け作業が煩雑になる可能性がある。

また、上記構成のサイドエアバッグ装置では、補助エアバッグによる乗員拘束時に、補助エアバッグの一部が外サイドフレーム側（乗員とは反対側）へ逃げることにより、補助エアバッグの乗員拘束性能が低下する可能性がある。

本発明は上記事実を考慮し、シートバックのサイド部のシート前方側へ膨張展開するサイドエアバッグ本体と、上記サイド部内で膨張する内バッグ部とを備えた構成において、内バッグ部の乗員拘束性能の向上と、シートフレームへのシートパッドの組付性の向上とを両立することができるサイドエアバッグ装置を搭載した車両用シートを得ることを目的とする。

請求項１に記載の発明に係るサイドエアバッグ装置を搭載した車両用シートは、シートバックのサイド部内に設けられたサイドフレームを含んで構成され、シートパッドが被せられたシートフレームと、前記サイド部内における前記サイドフレームのシート幅方向外側に収納され、内部に収容したガス発生装置を用いて前記サイドフレームに固定され、前記ガス発生装置からガス供給を受けて前記サイド部のシート前方側へ膨張展開するサイドエアバッグ本体と、前記サイドエアバッグ本体から前記サイドフレームのシート前方を通って前記サイドフレームのシート幅方向内側へ延出され、前記サイドエアバッグ本体内と連通された内部に前記ガス発生装置からのガスが供給されて前記サイド部内で膨張する内バッグ部と、前記サイドフレームに固定された固定部、及び前記サイドフレームのシート幅方向内側において前記内バッグ部と前記サイドフレームとの間に介在し、前記内バッグ部に対して膨張時に反力を付与する反力付与部を備え、当該反力付与部に前記内バッグ部が係止されている反力部材と、を有している。

請求項１に記載の発明は、サイドエアバッグ本体及び内バッグ部を有している。サイドエアバッグ本体は、シートバックのサイド部内におけるサイドフレームのシート幅方向外側に収納されている。また、内バッグ部は、サイドエアバッグ本体からサイドフレームのシート前方を通ってサイドフレームのシート幅方向内側へ延出されており、サイドエアバッグ本体内に内部が連通されている。このサイドエアバッグ本体は、内部に収容したガス発生装置を用いてサイドフレームに固定されている。このガス発生装置は、例えば車両の側面衝突が検知された際に起動される。これにより、サイドエアバッグ本体がガス発生装置からガス供給を受けて上記サイド部のシート前方側へ膨張展開すると共に、サイドエアバッグ本体内に供給されたガスの一部が内バッグ部内に供給され、内バッグ部が上記サイド部内で膨張する。

ここで、上記サイドフレームのシート幅方向内側において内バッグ部とサイドフレームとの間には、反力部材の反力付与部が介在している。この反力部材は、サイドフレームに固定された固定部を備えており、上記の反力付与部が内バッグ部に対して膨張時に反力を付与する。これにより、内バッグ部が乗員拘束時にサイドフレーム側へ逃げることを防止又は抑制できるので、内バッグ部の乗員拘束性能を向上させることができる。また、上記の反力付与部には、内バッグ部が係止されている。これにより、シートフレームにシートパッドを被せる（組付ける）際に内バッグ部が位置ずれすることを防止又は抑制できるので、シートフレームへのシートパッドの組付性を向上させることができる。

請求項２に記載の発明に係るサイドエアバッグ装置を搭載した車両用シートは、請求項１において、前記固定部は、前記サイドフレームのシート幅方向外側に配置されており、前記ガス発生装置を用いて前記サイドフレームに固定されている。

請求項２に記載の発明では、反力部材の固定部は、サイドエアバッグ本体と共にサイドフレームのシート幅方向外側に配置されており、サイドエアバッグ本体と共にガス発生装置を用いてサイドフレームに固定されている。このように構成されているため、例えばサイドエアバッグ装置の製造段階において、内バッグ部が延出されたサイドエアバッグ本体と反力部材の固定部とをガス発生装置を用いて仮止し、上記各構成要素をモジュール化することができる。これにより、例えば上記各構成要素をサイドフレームに取り付ける際の作業性が向上する。

請求項３に記載の発明に係るサイドエアバッグ装置を搭載した車両用シートは、請求項２において、前記固定部と前記反力付与部とが前記サイドフレームのシート前方側で連結されている。

請求項３に記載の発明によれば、反力部材は、サイドフレームのシート幅方向外側に配置された固定部と、サイドフレームのシート幅方向内側において内バッグ部とサイドフレームとの間に介在した反力付与部とが、サイドフレームのシート前方側で連結されている。つまり、反力付与部は、内バッグ部と同様にサイドフレームのシート前方側からサイドフレームのシート幅方向内側へ延出されている。これにより、例えば反力付与部がサイドフレームのシート後方側からサイドフレームのシート幅方向内側へ延出されている構成と比較して、反力付与部の延出長さを短く設定することができる。

請求項４に記載の発明に係るサイドエアバッグ装置を搭載した車両用シートは、請求項１〜請求項３の何れか１項において、前記反力付与部は、シート後方側へ向かうほどシート幅方向内側へ向かうように傾斜している。

請求項４に記載の発明では、反力部材の反力付与部が上記のように傾斜している。ここで、シートバックに凭れる乗員の上体の側面における背中側の部位は、シート後方側へ向かうほどシート幅方向内側へ向かうように湾曲している。つまり、反力付与部は、上記背中側の部位に沿うように傾斜している。これにより、反力付与部から反力を受けて膨張する内バッグ部が上記背中側の部位へ向けて膨張し易くなるので、上記背中側の部位を内バッグ部によって良好に拘束することができる。

請求項５に記載の発明に係るサイドエアバッグ装置を搭載した車両用シートは、請求項１〜請求項４の何れか１項において、前記固定部と前記反力付与部とがインテグラルヒンジを介して連結されており、前記反力付与部における前記インテグラルヒンジとは反対側の端部が前記サイドフレームに係止されている。

請求項５に記載の発明によれば、反力部材がサイドフレームに取り付けられる際には、例えば固定部がサイドフレームに固定された後で、反力付与部が固定部に対してインテグラルヒンジ回りに回転される。そして、反力付与部におけるインテグラルヒンジとは反対側の端部がサイドフレームに係止される。これにより、例えば、固定部がサイドフレームに固定される際に、反力付与部が邪魔にならないようにすることができる。

請求項６に記載の発明に係るサイドエアバッグ装置を搭載した車両用シートは、請求項１〜請求項５の何れか１項において、前記反力部材は、前記サイドエアバッグ本体のシート後方に配置され、前記サイドエアバッグ本体に対して膨張展開時に反力を付与する本体反力付与部を備えている。

請求項６に記載の発明では、内バッグ部用の反力付与部を備えた反力部材が、サイドエアバッグ本体に対して膨張展開時に反力を付与する本体反力付与部を備えている。これにより、簡単な構成でサイドエアバッグ本体の展開性能をも向上させることができる。

以上説明したように、本発明に係るサイドエアバッグ装置を搭載した車両用シートでは、シートバックのサイド部のシート前方側へ膨張展開するサイドエアバッグ本体と、上記サイド部内で膨張する内バッグ部とを備えた構成において、内バッグ部の乗員拘束性能の向上と、シートフレームへのシートパッドの組付性の向上とを両立することができる。

本発明の第１実施形態に係るサイドエアバッグ装置を搭載した車両用シートにおいて、サイドエアバッグ本体が膨張展開すると共に内バッグ部が膨張した状態を示す側面図である。 図１のＦ２−Ｆ２線に沿った切断面の要部を拡大して示す断面図である。 サイドエアバッグ本体及び内バッグ部の収納状態を示す図２に対応した断面図である。 サイドエアバッグ本体及び内バッグ部の平面展開図であり、サイドエアバッグ本体と内バッグ部とが結合される前の状態を示す図である。 反力部材としての反力プレート及び内バッグ部の一部を示す斜視図である。 展開状態の反力プレートを示す斜視図である。 反力プレートを含んだエアバッグモジュールが外サイドフレームに締結固定される際の状況を説明するための平断面図である。 外サイドフレームへのエアバッグモジュールの取り付けが完了した状態を示す平断面図である。 比較例を示す図２に対応した断面図である。 本発明の第２実施形態に係るサイドエアバッグ装置を搭載した車両用シートの主要部の構成を示し、反力プレートを含んだエアバッグモジュールが外サイドフレームに取り付けられる前の状態を示す平断面図である。 本発明の第３実施形態に係るサイドエアバッグ装置を搭載した車両用シートの主要部の構成を示す図３の一部に対応した断面図である。 本発明の第４実施形態に係るサイドエアバッグ装置を搭載した車両用シートの主要部の構成を示す図２に対応した断面図である。

＜第１の実施形態＞
以下、図１〜図８を用いて本発明の実施形態に係るサイドエアバッグ装置を搭載した車両用シート１０（以下、「車両用シート１０」と略称する）について説明する。なお、各図に適宜記す矢印ＦＲ、矢印ＵＰ、矢印ＯＵＴは、車両の前方向（進行方向）、上方向、車両幅方向の外側をそれぞれ示している。以下、単に前後、左右、上下の方向を用いて説明する場合は、特に断りのない限り、車両前後方向の前後、車両左右方向（車両幅方向）の左右、車両上下方向の上下を示すものとする。また、各図においては、一部の符号を省略している場合がある。

（構成）
図１に示されるように、本実施形態に係る車両用シート１０は、シート本体１２と、サイドエアバッグ装置１４とによって構成されている。以下、各構成要素について詳細に説明する。

＜シート本体１２の構成＞
シート本体１２は、乗員Ｐが着座するシートクッション１５と、シートクッション１５の後端部に連結されて乗員Ｐの背部を支持するシートバック１６と、シートバック１６の上端部に連結されて乗員Ｐの頭部を支持するヘッドレスト１８と、を有している。

なお、本実施形態では、シート本体１２及びシートバック１６の前後方向、左右方向（幅方向）及び上下方向は、車両の前後方向、左右方向（幅方向）及び上下方向と一致している。また、図１では、実際の乗員の代わりに衝突試験用のダミーＰがシート本体１２に着座している。このダミーＰは、例えば国際統一側面衝突ダミー（Ｗｏｒｌｄ Ｓｉｄｅ Ｉｍｐａｃｔ Ｄｕｍｍｙ：ＷｏｒｌｄＳＩＤ）のＡＭ５０（米国人成人男性の５０パーセンタイル）である。以下、説明をわかり易くするため、ダミーＰを「乗員Ｐ」と称する。

シートバック１６は、図１〜図３に示されるように、骨格部材である金属製のシートバックフレーム２０と、シートバックフレーム２０に被せられたクッション材であるシートバックパッド２６（図３参照：図３以外では図示省略）と、シートバックパッド２６を覆ったシート表皮２８（図３参照：図３以外では図示省略）と、を備えている。上記のシートバックフレーム２０は、本発明に係る「シートフレーム」に相当し、上記のシートバックパッド２６は、本発明に係る「シートパッド」に相当する。

シートバックフレーム２０は、シートバック１６の車両幅方向外側のサイド部１６Ａ内に設けられた外サイドフレーム３０と、シートバック１６の車両幅方向内側のサイド部内に設けられた内サイドフレーム（何れも図示省略）と、を備えている。さらに、シートバックフレーム２０は、外サイドフレーム３０と内サイドフレームとの上端部同士を繋ぐ図示しないアッパフレームと、外サイドフレーム３０と内サイドフレームとの下端部同士をシート幅方向に繋ぐ図示しないロアフレームと、を備えている。上記の外サイドフレーム３０は、本発明に係る「サイドフレーム」に相当する。

外サイドフレーム３０は、図２及び図３に示されるように、側壁部３０Ａと前フランジ部３０Ｂと後フランジ部３０Ｃとを備えており、シートバック１６の平断面視でシート幅方向内側に開口した断面略Ｕ字状をなしている。側壁部３０Ａは、シートバック１６の平断面視でシート前後方向に延びている。前フランジ部３０Ｂは、側壁部３０Ａの前端からシート幅方向内側へ延びており、先端部がシート後方側へ斜めに屈曲している。後フランジ部３０Ｃは、側壁部３０Ａの後端からシート幅方向内側へ延びており、先端部がシート前方側へ斜めに屈曲している。この後フランジ部３０Ｃは、前フランジ部３０Ｂよりもシート幅方向の寸法が大きく設定されており、前フランジ部３０Ｂよりもシート幅方向内側へ延びている。なお、上記の内サイドフレームは、外サイドフレーム３０と左右対称に形成されている以外は同様の構成とされている。

図３に示されるシートバックパッド２６は、ウレタンフォーム等の発泡体からなり、パッド中央部２６Ａと、左右一対のパッドサイド部２６Ｂ（車両幅方向内側のパッドサイド部２６Ｂは図示省略）と、によって構成されている。パッド中央部２６Ａは、シートバック１６の幅方向中央側に配設されており、図示しないシートバックバネによってシート後方側から支持されている。左右のパッドサイド部２６Ｂは、横断面形状が略Ｃ字状に形成され、外サイドフレーム３０及び内サイドフレームを内側に収容している。これらのパッドサイド部２６Ｂは、パッド中央部２６Ａよりもシート前方側へ膨出しており、乗員Ｐに対するサイドサポート性を確保する形状になっている。

図３に示されるシート表皮２８は、パッド中央部２６Ａをシート前方側から覆ったフロント表皮３６と、パッドサイド部２６Ｂをシート前方側から覆ったフロントサイド表皮３８と、パッドサイド部２６Ｂをシート幅方向外側及びシート後方側から覆い、且つパッド中央部２６Ａをシート後方側から覆ったリヤサイド表皮４０と、を備えている。

フロントサイド表皮３８は、縫製部４４においてフロント表皮３６と縫製されると共に、縫製部４６においてリヤサイド表皮４０と縫製されている。フロントサイド表皮３８とリヤサイド表皮４０との縫製部４６は、サイド部１６Ａの前縁部１６Ａ１（所謂カマチ部）の付近に位置している。この縫製部４６は、後述するサイドエアバッグ本体６２が膨張展開する際に、パッドサイド部２６Ｂと共に開裂される構成になっている。

＜サイドエアバッグ装置１４の構成＞
図１〜図３に示されるように、サイドエアバッグ装置１４は、サイドエアバッグ５０と、ガス発生装置５１と、反力部材としての反力プレート１００とを備えている。これらのサイドエアバッグ５０、ガス発生装置５１及び反力プレート１００は、通常時には、図３に示されるエアバッグモジュール５４とされ、サイド部１６Ａ内に収納されている。以下、サイドエアバッグ装置１４の上記各構成要素について詳細に説明する。なお、以下の説明において、サイドエアバッグ５０に関して記載する前後上下の方向は、サイドエアバッグ５０が膨張展開した状態での方向を示すものであり、シートバック１６の前後上下の方向と略一致している。

（ガス発生装置の構成）
ガス発生装置５１は、インフレータ５２と、ディフューザ５３（図１では図示省略）とによって構成されている。インフレータ５２は、所謂シリンダータイプのインフレータであり、円柱状に形成されている。このインフレータ５２は、軸線方向がシートバック１６の高さ方向に沿う姿勢で外サイドフレーム３０の側壁部３０Ａのシート幅方向外側（車両幅方向外側）に配設されている。ディフューザ５３は、金属によって筒状に形成され、軸線方向がシートバック１６の高さ方向に沿う姿勢で側壁部３０Ａのシート幅方向外側に配設されており、当該ディフューザ５３の内側にインフレータ５２が挿入されている。このディフューザ５３は、インフレータ５２から発生するガスをシートバック１６の上下方向に振り分ける（整流する）機能を備えている。

インフレータ５２の外周部からは、シート幅方向内側へ向けて上下一対のスタッドボルト５２Ａ（図２及び図３参照）が突出している。これらのスタッドボルト５２Ａは、ディフューザ５３及び側壁部３０Ａを貫通しており、先端側にナット５６が螺合している。これにより、インフレータ５２がディフューザ５３と共に外サイドフレーム３０に締結固定（所謂側面締め）されている。なお、上下のスタッドボルト５２Ａがインフレータ５２に設けられた構成に限らず、ディフューザ５３に設けられた構成にしてもよい。その場合、インフレータ５２が加締め等の手段によってディフューザ５３に固定される構成になる。

インフレータ５２の上端部又は下端部（ここでは下端部）には、インフレータ５２の周方向に並んだ複数のガス噴出口（図示省略）が形成されており、インフレータ５２が起動（作動）した際には、複数のガス噴出口からガスが放射状に噴出される。このインフレータ５２には、図１に示されるように、車両に搭載された側突ＥＣＵ５８が電気的に接続されている。この側突ＥＣＵ５８には、側面衝突を検知する側突センサ６０が電気的に接続されている。側突ＥＣＵ５８は、側突センサ６０からの信号に基づいて側面衝突（の不可避）を検知した際にインフレータ５２を起動させる構成になっている。なお、側突ＥＣＵ５８に側面衝突を予知（予測）する衝突予知センサ（プリクラッシュセンサ）が電気的に接続されている場合には、衝突予知センサからの信号に基づいて側突ＥＣＵ５８が側面衝突を予知した際にインフレータ５２が起動される構成にしてもよい。

（サイドエアバッグの構成）
サイドエアバッグ５０は、サイドエアバッグ本体６２と、内バッグ部６４とによって構成されている。サイドエアバッグ本体６２は、内部に収容したインフレータ５２からガス供給を受けてサイド部１６Ａのシート前方側へ膨張展開し、乗員Ｐと車体側部（ここでは図２に示されるサイドドアのドアトリム６３及びＢピラーガーニッシュ６５）との間に介在する。また、内バッグ部６４は、インフレータ５２からのガスがサイドエアバッグ本体６２を経由して供給され、サイド部１６Ａ内で膨張する。なお、図２以外ではドアトリム６３及びＢピラーガーニッシュ６５の図示を省略している。

上記のサイドエアバッグ本体６２は、外サイドフレーム３０に対してシート幅方向外側に配置されている。このサイドエアバッグ本体６２は、例えばナイロン系又はポリエステル系の布材を略長円形状に切り出して形成された２枚の基布６６、６８が、互いに重ね合わされて外周縁部を縫製部Ｔ１（図２〜図４参照：他図では符号又は図示を省略）において縫製されることにより袋状に形成されている。

なお、サイドエアバッグ本体６２の製造方法は上記に限らず適宜変更可能である。例えば１枚の基布が二つ折りにされて外周縁部を縫製されることによりサイドエアバッグ本体６２が製造される構成にしてもよい。また例えば、自動織機による袋織り工法（所謂ＯＰＷ製法）によってサイドエアバッグ本体６２が製造される構成にしてもよい。この点は、後述する内バッグ部６４においても同様である。

このサイドエアバッグ本体６２は、図２に示されるように、膨張展開状態において一方の基布６６がシート幅方向内側（乗員Ｐ側）を向き、他方の基布６８がシート幅方向外側（ドアトリム６３及びＢピラーガーニッシュ６５側）を向くように配設されている。また、このサイドエアバッグ本体６２は、図１に示されるように膨張展開状態を側方から見た場合に、シートバック１６の高さ方向に沿って長尺な略長円形状を成すように形成されており、乗員Ｐの肩部Ｓ、胸部Ｃ、腹部Ｂ及び腰部Ｌを拘束可能な大きさに形成されている。

このサイドエアバッグ本体６２は、内部に設けられたテザー７０（仕切布：図３、図７、図８では図示省略）によって前バッグ部７２と後バッグ部７４とに仕切られている。このテザー７０は、基布６６、６８と同様の布材によって長尺帯状に形成されており、一方の長辺縁部が縫製部Ｔ２（図２参照。図３では図示省略）において基布６６に縫製され、他方の長辺縁部が縫製部Ｔ３（図２参照：他図では符号又は図示を省略）において基布６８に縫製されている。

このテザー７０は、サイドエアバッグ本体６２の膨張展開状態で、シートバック１６のサイド部１６Ａの前縁部（所謂カマチ部）に沿ってシートバック１６の高さ方向に延びるように設定されている。テザー７０の上端部には、上側インナベントホール７６が形成されており、テザー７０の下端部には、下側インナベントホール７８が形成されている。これらの上側インナベントホール７６及び下側インナベントホール７８を介して前バッグ部７２内と後バッグ部７４内とが相互に連通されている。

図１及び図４に示されるように、後バッグ部７４の上下方向中間部には、上下一対の仕切部８０、８２が設けられている。上下の仕切部８０、８２は、サイドエアバッグ本体６２の基布６６、６８を互いに縫製した縫製部（シーム）によって構成された非膨張部とされており、後バッグ部７４の後端縁から後バッグ部７４の前端側へ延びている。なお、上下の仕切部８０、８２がテザー７０のような仕切布とされた構成にしてもよい。

各仕切部８０、８２の前端部には、それぞれ円形状の縫製によって解れ防止の端末処理が施されている。これらの仕切部８０、８２によって後バッグ部７４が上室８４と上下方向中間室８６と下室８８とに仕切られている。但し、各仕切部８０、８２の前端部は、テザー７０よりも後バッグ部７４の後端側に位置している。これにより、上室８４内と上下方向中間室８６内と下室８８内とが、後バッグ部７４の前部７４Ｆ側において相互に連通されている。詳細には、仕切部８０の前端部とテザー７０との間に形成された連通路９０において、上室８４内と上下方向中間室８６内とが相互に連通されており、仕切部８２の前端部とテザー７０との間に形成された連通路９２において、上下方向中間室８６内と下室８８内とが相互に連通されている。

上室８４は、前述した上側インナベントホール７６を介して前バッグ部７２内と相互に連通されており、下室８８は、前述した下側インナベントホール７８を介して前バッグ部７２内と相互に連通されている。上側インナベントホール７６は、上側の仕切部８０に対してサイドエアバッグ５０の上端側に離れて位置しており、下側インナベントホール７８は、下側の仕切部８２に対してサイドエアバッグ本体６２の下端側に離れて位置している。また、上下方向中間室８６内の後端部には、前述したインフレータ５２が収容されている。インフレータ５２の上下のスタッドボルト５２Ａは、基布６６を貫通しており、サイドエアバッグ本体６２はインフレータ５２を用いて側壁部３０Ａの上下方向中間部に固定（締結固定）されている。

上記構成のサイドエアバッグ本体６２は、通常時には、図３に示されるように、前バッグ部７２を含む前部側の部位がシート幅方向に折り重なる蛇腹折りにされた状態で外サイドフレーム３０のシート幅方向外側に収納される構成になっている。

このサイドエアバッグ本体６２が膨張展開した状態では、図１に示されるように、前バッグ部７２が乗員Ｐの肩部Ｓから腰部Ｌまでの前部側を拘束し、後バッグ部７４が乗員Ｐの肩部Ｓから腰部Ｌまでの後部側を拘束する。また、後バッグ部７４は、少なくとも乗員Ｐのウエスト付近よりも上側の部位がシートバック１６のサイド部１６Ａの前縁部１６Ａ１よりもシート後方側に位置するように構成されている。但し、この後バッグ部７４は、サイドエアバッグ５０の膨張展開状態において、前部７４Ｆが外サイドフレーム３０の前フランジ部３０Ｂ（外サイドフレーム３０の前端部）よりもシート前方側に位置するように構成されている。

このサイドエアバッグ本体６２には、膨張展開状態でシート幅方向内側を向き且つ後バッグ部７４の前部７４Ｆを構成する部位（ここでは基布６６の中央側）に、連通口９４が形成されている。この連通口９４は、サイドエアバッグ本体６２の上下方向を長手とする長尺状（ここでは長円形状）に形成されており、後バッグ部７４の上下方向中間部に位置している。この連通口９４は、サイドエアバッグ本体６２の膨張展開状態を側方から見た場合に、上下方向中間室８６の前部と重なる位置に形成されている。この連通口９４は、内バッグ部６４に対応している。

内バッグ部６４は、基布６６、６８と同様の布材が略長円形状に切り出されて形成された２枚の基布９６、９８が、互いに重ね合わされて外周縁部を縫製部Ｔ４（図２〜図４参照：図１では図示省略）において縫製されることにより長尺な袋状に形成されている。この内バッグ部６４は、図１に示されるように膨張展開状態を側方から見た場合に、シートバック１６の高さ方向に沿って長尺な略長円形状を成すように形成されている。この内バッグ部６４は、サイドエアバッグ本体６２に比べて上下方向寸法及び前後方向寸法が十分に小さく設定されており、サイドエアバッグ本体６２よりも十分に小容量に形成されている。

また、上記の縫製部Ｔ４は、内バッグ部６４の基端部６４Ａ（一方の長辺縁部：前端部）において省略されている。これにより、内バッグ部６４の基端部６４Ａには、開口９９が形成されている。この内バッグ部６４は、開口９９の縁部が図２に示される縫製部Ｔ５において連通口９４の周縁部に縫製（結合）されている。これにより、内バッグ部６４の基端部６４Ａが後バッグ部７４の前部７４Ｆに結合されると共に、後バッグ部７４の前部７４Ｆ内と内バッグ部６４内とが連通口９４を介して相互に連通されている。詳細には、この連通口９４は、後バッグ部７４における上下方向中間室８６の前部内と内バッグ部６４内とを相互に連通しており、上下方向中間室８６内と内バッグ部６４内とが上室８４内及び下室８８内を介さずに相互に連通されている。

この内バッグ部６４は、後バッグ部７４の前部７４Ｆから前フランジ部３０Ｂのシート前方を通って外サイドフレーム３０のシート幅方向内側へ延出されており、外サイドフレーム３０のシート幅方向内側においてシート後方側かつシート幅方向内側へ斜めに延びている。この内バッグ部６４は、図３に示されるように、平面状に広げられた状態でサイド部１６Ａ内に収容される構成になっており、外サイドフレーム３０のシート幅方向内側において後述する反力プレート１００の反力板部１０４とシートバックパッド２６との間に介在している。この内バッグ部６４の先端部６４Ｂ（後端部）には、上下一対の引掛孔１１８が形成されている。これらの引掛孔１１８は、内バッグ部６４の後端部に設けられた非膨張部に形成されており、内バッグ部６４の長手方向を長手とする長孔とされている。なお、内バッグ部６４が一部を折られた状態（例えば、内バッグ部６４が前後方向中間部をＺ折りにされた状態）でサイド部１６Ａ内に収容される構成にしてもよい。

この内バッグ部６４は、図１に示されるシート側面視において、乗員Ｐの胸部Ｃ及び腹部Ｂの後部側（肋骨の後部側を含む背中側の部位）に対してシート幅方向外側から対向するように配設されている。上記構成の内バッグ部６４は、インフレータ５２が後バッグ部７４内で発生させたガスが、連通口９４を通って内部に供給され、サイド部１６Ａ内で膨張する。膨張した内バッグ部６４は、後述する反力プレート１００の反力板部１０４から反力を受けてシート幅方向内側かつシート前方側へ膨張する（図２参照）。これにより、乗員Ｐの胸部Ｃ及び腹部Ｂの後部側が、シートバックパッド２６及びシート表皮２８を介して内バッグ部６４に拘束される構成になっている。なお、内バッグ部６４は、少なくとも胸部Ｃの後部側（肋骨の後部側）を拘束可能なものであればよい。

上記構成のサイドエアバッグ５０では、インフレータ５２がサイドエアバッグ本体６２の後バッグ部７４における上下方向中間室８６内に収容されている。このため、インフレータ５２が起動すると、先ず上下方向中間室８６内にガスが供給される。これにより、上下方向中間室８６が膨張する。次いで、上下方向中間室８６内に供給されたガスの一部が、連通口９４を通って内バッグ部６４内に供給され、内バッグ部６４が膨張する。次いで、上下方向中間室８６内に供給されたガスの一部が、連通路９０、９２を通って後バッグ部７４の上室８４内及び下室８８内に供給され、上室８４及び下室８８が膨張する。次いで、上室８４内及び下室８８内に供給されたガスの一部が、上側インナベントホール７６及び下側インナベントホール７８を通って前バッグ部７２内に供給され、前バッグ部７２が膨張する。なお、上室８４内及び下室８８内にガスが供給されるタイミングは、上下の仕切部８０、８２の前端部の位置の変更により、連通路９０、９２の断面積を変更することで調整可能である。

（反力プレートの構成）
反力プレート１００は、図３、図５、図６等に示されるように、樹脂によって板状に形成されており、エアバッグモジュール５４の一部を構成している。この反力プレート１００は、外サイドフレーム３０に固定された固定部としての固定板部１０２と、内バッグ部６４に対して膨張時に反力を付与する反力付与部としての反力板部１０４とを備えており、固定板部１０２と反力板部１０４とがインテグラルヒンジ１０６を介して一体に連結された構成になっている。この反力プレート１００は、シートバック１６の平断面視において、シート後方側が開放された略Ｖ字状をなしている。

固定板部１０２は、シートバック１６の高さ方向を長手方向とする長尺な矩形の板状に形成されており、厚さ方向がシート幅方向に沿う姿勢で外サイドフレーム３０のシート幅方向外側に配置されている。この固定板部１０２は、外サイドフレーム３０の側壁部３０Ａに対してシート幅方向外側から重ね合わされており、サイドエアバッグ本体６２と側壁部３０Ａとの間に介在している。

この固定板部１０２は、長手方向寸法が内バッグ部６４の長手方向寸法よりも若干長く設定されており、シート側面視で内バッグ部６４と重なる位置に配置されている。また、固定板部１０２は、外サイドフレーム３０よりもシート前後方向に沿った寸法が短く設定されている。固定板部１０２の前端部は、外サイドフレーム３０の前フランジ部３０Ｂよりも僅かにシート前方側へ突出しており、内バッグ部６４の基端部に対してシート後方から近接して対向している。

この固定板部１０２には、上下一対のボルト挿通孔１０８が形成されている。これらのボルト挿通孔１０８には、インフレータ５２の上下のスタッドボルト５２Ａが挿通されており、インフレータ５２を用いて固定板部１０２が側壁部３０Ａに締結固定されている（図２及び図３参照）。なお、ボルト挿通孔１０８に挿通された上下のスタッドボルト５２Ａのうちの少なくとも一方には、抜け止めワッシャ１１０が装着されており、当該抜け止めワッシャ１１０が固定板部１０２と側壁部３０Ａとの間に配置されている。この抜け止めワッシャ１１０は、エアバッグモジュール５４の製造段階で固定板部１０２をインフレータ５２に仮止めするための仮止め部材であり、内周部に形成された複数の内歯（図示省略）がスタッドボルト５２Ａの外周部に引っ掛る構成になっている。

反力板部１０４は、シートバック１６の高さ方向を長手方向とする長尺な矩形の板状に形成されており、外サイドフレーム３０のシート前方側において固定板部１０２と連結されている。詳細には、固定板部１０２の前端部には前述したインテグラルヒンジ１０６が一体に接続されており、当該インテグラルヒンジ１０６における固定板部１０２とは反対側の端部から反力板部１０４が一体に延出されている。この反力板部１０４は、外サイドフレーム３０のシート前方側から外サイドフレーム３０のシート幅方向内側へ延びており、シート後方側へ向かうほどシート幅方向内側へ向かうように傾斜している。

この反力板部１０４は、長手方向寸法が固定板部１０２の長手方向寸法と同一又は同等に設定されており、シート側面視で内バッグ部６４と重なる位置に配置されている。また、この反力板部１０４は、シート前後方向に沿った長さ寸法が外サイドフレーム３０と同等又は若干長く設定されており、外サイドフレーム３０と内バッグ部６４との間に介在している。そして、シートバック１６の平断面視において、外サイドフレーム３０の開口が反力板部１０４によって塞がれている。

反力板部１０４の基端部（インテグラルヒンジ１０６側の端部：前端部）は、前フランジ部３０Ｂの先端部（シート幅方向内側端部）に対してシート幅方向内側から当接又は近接して対向している。反力板部１０４の先端部（インテグラルヒンジ１０６とは反対側の端部：後端部）は、後フランジ部３０Ｃの先端部（シート幅方向内側端部）に対してシート幅方向内側から当接又は近接して対向している。つまり、この反力板部１０４によって前フランジ部３０Ｂ及び後フランジ部３０Ｃの各先端部がシート幅方向内側から覆われている。これにより、内バッグ部６４が前フランジ部３０Ｂ及び後フランジ部３０Ｃの各先端部と接触しないようになっている。

反力板部１０４の先端部には、一又は複数（ここでは３つ）の係止爪１１２が形成されている。これらの係止爪１１２は、外サイドフレーム３０側（シート幅方向外側）へ突出しており、反力板部１０４の長手方向に並んでいる。これらの係止爪１１２は、シートバック１６の高さ方向から見て断面Ｌ字状をなしており、各係止爪１１２の先端部には、鉤形状の爪部が形成されている。これらの係止爪１１２に対応して後フランジ部３０Ｃの先端部には、一又は複数（ここでは３つ）の係止孔１１４が形成されている。これらの係止孔１１４は、シートバック１６の高さ方向に並んでいる。各係止爪１１２は、各係止孔１１４に挿入され、各係止孔１１４の縁部に引っ掛けられている。これにより、反力板部１０４の先端部が後フランジ部３０Ｃの先端部に係止されている。

なお、外サイドフレーム３０への反力板部１０４の係止方法は上記に限らず適宜変更可能である。例えば、後フランジ部３０Ｃに形成された係止爪が、反力板部１０４に形成された係止孔に挿入されて係止される構成にしてもよい。また、例えば、クリップ止めやビス止めなどの手段によって、反力板部１０４が外サイドフレーム３０に係止される構成にしてもよい。

また、反力板部１０４の先端には、一又は複数（ここでは２つ）の引掛爪１１６が形成されている。これらの引掛爪１１６は、反力板部１０４の長手方向に並んでいる。これらの引掛爪１１６は、反力板部１０４の先端からシート後方側へ突出しており、シート幅方向から見て略Ｔ字状をなしている。これらの引掛爪１１６は、内バッグ部６４の先端部に形成された複数（ここでは２つ）の引掛孔１１８に挿入され、各引掛孔１１８の縁部に引掛けられている。これにより、内バッグ部６４の先端部が反力板部１０４の先端部に係止されている。なお、反力板部１０４への内バッグ部６４の係止方法は、上記に限らず適宜変更可能である。例えば、クリップ止めや縫製などの手段によって内バッグ部６４の先端部が反力板部１０４の先端部に係止される構成にしてもよい。また、内バッグ部６４の先端部が反力板部１０４の先端部に係止される構成に限らず、反力板部１０４に対する内バッグ部６４の係止位置は適宜変更可能である。例えば、内バッグ部６４の上下両端部における前後方向中間部が反力板部１０４の上下両端部における前後方向中間部に係止される構成にしてもよい。

また、反力プレート１００は、反力板部１０４から外サイドフレーム３０の側壁部３０Ａ側へ延出された一又は複数（ここでは５つ）のリブ１２０を備えている。各リブ１２０は、板状に形成され、厚さ方向がシートバック１６の高さ方向に沿う姿勢で前フランジ部３０Ｂと後フランジ部３０Ｃとの間に配置されており、シートバック１６の高さ方向に並んでいる。各リブ１２０は、シートバック１６の平断面視で略台形状に形成されており、シート幅方向外側端部が側壁部３０Ａに沿っている。各リブ１２０のシート幅方向外側端部は、側壁部３０Ａに対して当接又は近接して対向している。これにより、これらのリブ１２０は、反力板部１０４が側壁部３０Ａ側へ撓むことを防止又は抑制する撓み防止部（スペーサ）とされている。なお、反力板部１０４から側壁部３０Ａ側へ延びる撓み防止部の形状は上記に限らず適宜変更可能である。例えば、撓み防止部は、柱状や筒状であってもよいし、側壁部３０Ａ側が開口した箱状であってもよい。

上記構成の反力プレート１００は、図６及び図７に示されるように展開された状態に成形される。この展開状態では、固定板部１０２と反力板部１０４とがインテグラルヒンジ１０６を介して互いに反対側へ延びており、反力プレート１００が略平板状をなしている。そして、この展開状態の反力プレート１００にサイドエアバッグ５０及びインフレータ５２が取り付けられ、エアバッグモジュール５４が製造される。

エアバッグモジュール５４の製造時には、先ずディフューザ５３が装着されたインフレータ５２がサイドエアバッグ本体６２の後バッグ部７４内に収容され、サイドエアバッグ本体６２が折り畳まれる。そして、サイドエアバッグ本体６２の基布６６を貫通したインフレータ５２の上下のスタッドボルト５２Ａが固定板部１０２のボルト挿通孔１０８に差し込まれ、スタッドボルト５２Ａに抜け止めワッシャ１１０が装着される。これにより、インフレータ５２及びサイドエアバッグ本体６２が反力プレート１００に仮止めされる。そして、反力板部１０４の引掛爪１１６が内バッグ部６４の引掛孔１１８に挿入され、内バッグ部６４が反力板部１０４に係止される。これにより、エアバッグモジュール５４が完成する。

また、完成したエアバッグモジュール５４が外サイドフレーム３０に取り付けられる際には、インフレータ５２の上下のスタッドボルト５２Ａが外サイドフレーム３０に形成された図示しないボルト挿通孔に挿通され、上下のスタッドボルト５２Ａにそれぞれナット５６が螺合される（図７参照）。なお、図７においては、ナット５６を締めるための工具であるインパクトレンチに符号１２２を付している。次いで、図８に示されるように、内バッグ部６４が係止された反力板部１０４がインテグラルヒンジ１０６回りにシート幅方向内側へ回転され、複数の係止爪１１２が複数の係止孔１１４に差し込まれる。これにより、インテグラルヒンジ１０６の弾性復帰による反力板部１０４の回転が規制され、外サイドフレーム３０へのエアバッグモジュール５４の取り付けが完了する。

なお、反力プレート１００がインテグラルヒンジ１０６を備えた構成に限らず、反力プレート１００が図２及び図３に示されるような断面略Ｖ字状に成形される構成にしてもよい。但しその場合、反力板部１０４に、インパクトレンチ１２２等の工具を挿通させるための挿通孔を形成する必要がある。また、固定板部１０２を外サイドフレーム３０に固定した後で、内バッグ部６４を反力板部１０４に係止する構成になる。

（作用及び効果）
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。

本実施形態では、側突ＥＣＵ５８が側突センサ６０からの信号によって側面衝突を検知すると、サイドエアバッグ本体６２の後バッグ部７４内に収容されたインフレータ５２が側突ＥＣＵ５８によって起動される。これにより、インフレータ５２からのガスが後バッグ部７４内に供給され、後バッグ部７４が膨張展開すると共に、後バッグ部７４の前部７４Ｆ内に内部が連通された内バッグ部６４が、後バッグ部７４内からガス供給を受けてシートバック１６のサイド部１６Ａ内で膨張する。また、後バッグ部７４内に供給されたガスは、上側インナベントホール７６及び下側インナベントホール７８を通って前バッグ部７２内に供給され、前バッグ部７２が膨張展開する。

ここで、本実施形態では、内バッグ部６４と外サイドフレーム３０との間には、反力プレート１００の反力板部１０４が介在している。この反力プレート１００は、外サイドフレーム３０に固定された固定板部１０２を備えており、上記の反力板部１０４が内バッグ部６４に対して膨張時に反力を付与する。これにより、内バッグ部６４が乗員拘束時に外サイドフレーム３０側（シート幅方向外側）へ逃げることを防止又は抑制できるので、内バッグ部６４の乗員拘束性能を向上させることができる。また、上記の反力板部１０４には、内バッグ部６４が係止されている。これにより、シートバックフレーム２０にシートバックパッド２６を被せる（組付ける）際に内バッグ部６４が位置ずれすることを防止又は抑制できるので、シートバックフレーム２０へのシートバックパッド２６の組付性を向上させることができる。

また、本実施形態では、外サイドフレーム３０に設けられた前フランジ部３０Ｂ及び後フランジ部３０Ｃの各先端部が、外サイドフレーム３０と内バッグ部６４との間に介在した反力板部１０４によってシート幅方向内側から覆われている。これにより、前フランジ部３０Ｂ及び後フランジ部３０Ｃの各先端部のエッジと内バッグ部６４とが接触しないようにすることができるので、当該接触によって内バッグ部６４が損傷することを防止できる。

上述した効果について、図９に示される比較例２００を用いて補足する。この比較例２００は、本実施形態に係る反力プレート１００を備えていないが、それ以外の構成は本実施形態と同様とされている。この比較例２００では、図９に示されるように、内バッグ部６４が乗員拘束時に外サイドフレーム３０側へ逃げることで、内バッグ部６４の乗員拘束性能が低下する可能性がある。また、この比較例２００では、内バッグ部６４が反力プレート１００に係止されていない。このため、シートバックフレーム２０にシートバックパッド２６を組付ける際に内バッグ部６４が位置ずれする可能性があるので、当該位置ずれを防止するために、シートバックパッド２６の組付け作業が煩雑になる可能性がある。さらに、前フランジ部３０Ｂ及び後フランジ部３０Ｃの各先端部のエッジと内バッグ部６４とが接触することにより、内バッグ部６４が損傷する可能性がある。この点、本実施形態では、上述の如き問題点を解消することができる。

また、本実施形態では、反力プレート１００の固定板部１０２は、サイドエアバッグ本体６２と共に外サイドフレーム３０のシート幅方向外側に配置されており、サイドエアバッグ本体６２と共にインフレータ５２のスタッドボルト５２Ａを用いて外サイドフレーム３０に固定されている。このように構成されているため、例えばサイドエアバッグ装置１４の製造段階において、内バッグ部６４が延出されたサイドエアバッグ本体６２と反力プレート１００の固定板部１０２とをインフレータ５２のスタッドボルト５２Ａを用いて仮止し、上記各構成要素をモジュール化することができる。これにより、例えば上記各構成要素を外サイドフレーム３０に取り付ける際の作業性が向上する。また、反力プレート１００がサイドエアバッグ本体６２やインフレータ５２等と共にモジュール化されない構成と比較して、部品の管理が容易になる。

さらに、本実施形態では、外サイドフレーム３０のシート幅方向外側に配置された固定板部１０２と、外サイドフレーム３０のシート幅方向内側に配置された反力板部１０４とが、外サイドフレーム３０のシート前方側で連結されている。つまり、反力板部１０４は、内バッグ部６４と同様に外サイドフレーム３０のシート前方側から外サイドフレーム３０のシート幅方向内側へ延出されている。これにより、例えば反力板部１０４が外サイドフレーム３０のシート後方側から外サイドフレーム３０のシート幅方向内側へ延出されている構成と比較して、反力板部１０４の延出長さを短くすることができるので、反力プレート１００の小型軽量化に寄与する。

また、本実施形態では、反力板部１０４は、シート後方側へ向かうほどシート幅方向内側へ向かうように傾斜している。ここで、シートバック１６に凭れる乗員Ｐの上体の側面における背中側の部位ＰＢ（図２及び図３参照）は、シート後方側へ向かうほどシート幅方向内側へ向かうように湾曲している。つまり、反力板部１０４は、背中側の部位ＰＢに沿うように傾斜している。これにより、反力板部１０４から反力を受けて膨張する内バッグ部６４が背中側の部位ＰＢへ向けて膨張し易くなるので、背中側の部位ＰＢを内バッグ部６４によって良好に拘束することができる。また、背中側の部位ＰＢと反力板部１０４との間においてシートバックパッド２６の厚みの均一化を図ることができるので、乗員Ｐの乗り心地を良好にすることができる。

また、本実施形態では、反力プレート１００は、固定板部１０２と反力板部１０４とがインテグラルヒンジ１０６を介して一体に連結されている。そして、反力板部１０４におけるインテグラルヒンジ１０６とは反対側の端部に形成された複数の係止爪１１２が、外サイドフレーム３０の後フランジ部３０Ｃに形成された複数の係止孔１１４に挿入されて係止されている。このように構成されているため、エアバッグモジュール５４が外サイドフレーム３０に取り付けられる際には、図７に示されるように反力プレート１００が展開され、固定板部１０２が外サイドフレーム３０に締結固定される。その後、図８に示されるように、内バッグ部６４が係止された反力板部１０４が固定板部１０２に対してインテグラルヒンジ１０６回りに回転され、複数の係止爪１１２が複数の係止孔１１４に挿入係止される。これにより、固定板部１０２が外サイドフレーム３０に締結固定される際に、反力板部１０４及び内バッグ部６４が邪魔にならないようにすることができる。

しかも、反力プレート１００がインテグラルヒンジ１０６を備えているため、反力プレート１００を略平板状の展開状態（図６及び図７図示状態）に成形することができる。これにより、反力プレート１００が断面略Ｖ字状（図２、図３等に示されるような断面形状）に成形される場合と比較して、反力プレート１００の成形が容易になると共に、反力プレート１００の保管や流通が容易になる。また、外サイドフレーム３０への取り付け前のエアバッグモジュール５４が嵩張らないようにすることができるので、エアバッグモジュール５４の保管や流通が容易になる。

また、本実施形態では、反力板部１０４の先端部に形成された複数の引掛爪１１６が、内バッグ部６４の先端部に形成された複数の引掛孔１１８に挿入されることで、内バッグ部６４が反力板部１０４に係止されている。これにより、簡単な構成で内バッグ部６４を反力板部１０４に係止することができる。

さらに、本実施形態では、反力プレート１００は、反力板部１０４から外サイドフレーム３０の側壁部３０Ａ側へ延出された複数のリブ１２０を備えている。これらのリブ１２０が側壁部３０Ａと係合（当接）することにより、反力板部１０４が側壁部３０Ａに支持される。これにより、反力板部１０４が膨張した内バッグ部６４を介して乗員Ｐからの荷重を受けた際に、反力板部１０４を側壁部３０Ａによって良好に支持することができる。その結果、反力板部１０４が乗員Ｐからの荷重によって側壁部３０Ａ側へ撓むことを防止又は抑制できるので、内バッグ部６４の乗員拘束性能を一層向上させることができる。

また、本実施形態では、インフレータ５２がサイドエアバッグ本体６２の後バッグ部７４内に収容されているため、内バッグ部６４内にインフレータ５２が収容された構成と比較して、サイドエアバッグ本体６２へのガス供給を早めることができる。しかも、サイドエアバッグ本体６２が、外サイドフレーム３０のシート幅方向外側に収納される構成であるため、外サイドフレーム３０のシート幅方向内側にサイドエアバッグ本体６２が収納される構成と比較して、サイドエアバッグ本体６２が展開時に乗員Ｐと干渉し難くなる。以上のことから、サイドエアバッグ本体６２の展開性能を向上させることができる。

また、サイドエアバッグ本体６２の後バッグ部７４は、少なくともサイドエアバッグ本体６２の膨張展開状態で前部７４Ｆが外サイドフレーム３０の前フランジ部３０Ｂよりもシート前方側に位置する。そして、内バッグ部６４は、後バッグ部７４の前部７４Ｆ内から外サイドフレーム３０の前フランジ部３０Ｂのシート前方を通って外サイドフレーム３０のシート幅方向内側へ延出されており、内部が後バッグ部７４の前部７４Ｆ内と連通されている。これにより、後バッグ部７４の前部７４Ｆ内から内バッグ部６４内へのガスの供給経路が外サイドフレーム３０のシート前方で大きく曲がらないようにすることができるので、後バッグ部７４の前部７４Ｆ内から内バッグ部６４内に円滑にガスを供給できる。その結果、内バッグ部６４を早期に膨張させることができる。これにより、内バッグ部６４によって乗員Ｐを早期に拘束することができる。

このように、本実施形態によれば、サイドエアバッグ本体６２の展開性能と、乗員Ｐの早期拘束性能とを両立できる。しかも、内バッグ部６４によって乗員拘束性能が向上するので、乗員拘束性能の向上のためにサイドエアバッグ本体６２の車両幅方向の膨張厚を増加させずに済む。これにより、ドアトリム６３及びＢピラーガーニッシュ６５と乗員Ｐとの間の狭い隙間へのサイドエアバッグ本体６２の展開性能を良好に確保することができる。

上記の効果について補足すると、本実施形態では、側面衝突の衝撃によって車幅方向内側へ侵入してくるドアトリム６３及びＢピラーガーニッシュ６５からサイドエアバッグ本体６２が反力を受ける前に、内バッグ部６４が反力プレート１００の反力板部１０４から反力を受けて乗員Ｐを早期に拘束する。これにより、乗員Ｐを早いタイミングで拘束することができるので、サイドエアバッグ５０による乗員拘束時間を長くすることができる。その結果、サイドエアバッグ５０の乗員拘束荷重を低くすることができるので、乗員Ｐが受ける負荷を軽減することができる。

なお、乗員拘束性能を向上させる対策としては、サイドエアバッグ本体６２を大型化することや、インフレータ５２の高出力化によってサイドエアバッグ本体６２を高圧に膨張させることが考えられる。しかしながら、そのような対策では、サイドエアバッグ本体６２の膨張展開領域である非適正位置に位置する乗員に対する加害性を低下させる性能（所謂ＯＯＰ性能）を確保することが困難になる。この点、本実施形態に係る内バッグ部６４は、サイド部１６Ａ内で膨張するため、非適正位置の乗員に対する加害性が低い。また、インフレータ５２を高出力化する対策では、インフレータ５２の大型化によってコストが増加するが、本実施形態ではそのようなコストの増加を回避できる。

また、本実施形態では、サイドエアバッグ本体６２において、インフレータ５２を収容した後バッグ部７４が前バッグ部７２よりも早期かつ高圧に膨張展開する。この後バッグ部７４は、膨張展開状態において、乗員Ｐのウエスト付近よりも上側の部位がシートバック１６のサイド部１６Ａの前縁部１６Ａ１よりもシート後方側に位置する。これにより、高圧の後バッグ部７４が非適正位置の乗員に与える影響を少なくすることができる。

さらに、本実施形態では、サイドエアバッグ本体６２の基布６６、６８とは別体の基布９６、９８により形成された内バッグ部６４が、サイドエアバッグ本体６２に結合される。したがって、例えば、前バッグ部と後バッグ部とに仕切られた既存のサイドエアバッグ（所謂前後２チャンバサイドエアバッグ）に対して僅かな変更を加えたもの（連通口９４などを形成したもの）を、サイドエアバッグ本体６２として流用することができる。

また、本実施形態では、後バッグ部７４は、前部７４Ｆ側において相互に連通された上室８４と上下方向中間室８６と下室８８とに仕切られている。そして、上下方向中間室８６内と内バッグ部６４内とが、上室８４内及び下室８８内を介さずに相互に連通されている。このため、上下方向中間室８６内でインフレータ５２から発生するガスが、上室８４内及び下室８８内を経由せずに内バッグ部６４内に供給される。これにより、上記のように後バッグ部７４が仕切られていない場合と比較して内バッグ部６４内に早期にガスを供給できるので、内バッグ部６４の膨張を一層早期化することができる。

さらに、本実施形態では、後バッグ部７４の上室８４内と前バッグ部７２内とが上側インナベントホール７６によって相互に連通されると共に、後バッグ部７４の下室８８内と前バッグ部７２内とが下側インナベントホール７８によって相互に連通されている。そして、後バッグ部７４の上下方向中間室８６内でインフレータ５２から発生するガスが、内バッグ部６４内と上室８４内及び下室８８内とに分配されると共に、上室８４内及び下室８８内に分配されたガスの一部が上側インナベントホール７６及び下側インナベントホール７８を通って前バッグ部７２内に供給される。このように、前バッグ部７２内へのガスの供給経路を長くすることにより、前バッグ部７２内へのガスの供給を遅らせることができるので、その分だけ内バッグ部６４内にガスを優先して供給することが可能になる。したがって、内バッグ部６４の膨張をより一層早期化することができる。

また、本実施形態では、内バッグ部６４が平面状に広げられた状態でサイド部１６Ａ内に収納されている。このため、例えば内バッグ部６４が蛇腹折りにされた状態でサイド部１６Ａ内に収納される場合と比較して、内バッグ部６４を早期に膨張させることができる

次に、本発明の他の実施形態について説明する。なお、前記第１実施形態と基本的に同様の構成及び作用については、前記第１実施形態と同符号を付与しその説明を省略する。

＜第２の実施形態＞
図１０には、本発明の第２の実施形態に係るサイドエアバッグ装置を搭載した車両用シートにおいて、反力部材としての反力プレート１３０を含んで構成されたエアバッグモジュール５４が、外サイドフレーム３０に取り付けられる前の状態が平断面図にて示されている。なお、図１０では、ディフューザ５３の図示を省略している。上記の反力プレート１３０は、例えば金属板が断面略Ｖ字状に曲げ加工されて形成されたものであり、固定板部１０２の前端部から反力板部１０４が一体に延出されている。また、固定板部１０２の後端部からは、シート幅方向外側へ向けて本体反力板部１３２が一体に延出されている。この本体反力板部１３２は、サイドエアバッグ本体６２のシート後方に配置されており、シートバック１６の高さ方向に沿った寸法が固定板部１０２及び反力板部１０４と同等に設定されている。この本体反力板部１３２は、サイドエアバッグ本体６２に対して膨張展開時に反力を付与する構成になっている。なお、本体反力板部１３２が、シートバック１６の高さ方向において固定板部１０２及び反力板部１０４よりも長尺に形成された構成にしてもよい。

また、この実施形態では、インフレータ５２の上下のスタッドボルト５２Ａがシート後方へ向けて突出しており、本体反力板部１３２に形成されたボルト挿通孔１３３に挿通されている。これらのスタッドボルト５２Ａに対応して、外サイドフレーム３０には、取付ブラケット１３４が設けられている。取付ブラケット１３４は、例えば金属板が断面Ｌ字状に曲げ加工されて形成されたものであり、側壁部３０Ａのシート幅方向外側面に結合された結合部１３４Ａと、結合部１３４Ａの後端部からシート幅方向外側へ延びる取付部１３４Ｂとによって構成されている。取付部１３４Ｂには、上下一対のボルト挿通孔１３６が形成されており、これらのボルト挿通孔１３６に挿通された上下のスタッドボルト５２Ａにそれぞれ図示しないナットが螺合される。これにより、エアバッグモジュール５４が外サイドフレーム３０に締結固定（所謂背面締め）される構成になっている。なお、この実施形態では、前記第１実施形態に係る係止爪１１２、係止孔１１４、リブ１２０が省略されている。上記以外の構成は、前記第１実施形態と同様とされている。

この実施形態では、固定板部１０２と反力板部１０４とがインテグラルヒンジ１０６によって連結された構成ではないが、外サイドフレーム３０へのエアバッグモジュール５４の取り付けの際に、反力板部１０４及び内バッグ部６４が邪魔にならない。また、この実施形態では、内バッグ部６４用の反力板部１０４を備えた反力プレート１３０が、サイドエアバッグ本体６２に対して膨張展開時に反力を付与する本体反力板部１３２を備えている。これにより、簡単な構成でサイドエアバッグ本体６２の展開性能をも向上させることができる。

＜第３の実施形態＞
図１１には、本発明の第３実施形態に係るサイドエアバッグ装置を搭載した車両用シートにおける主要部の構成が図３の一部に対応した断面図にて示されている。この実施形態では、反力プレート１００の固定板部１０２が外サイドフレーム３０のシート幅方向内側に配置されている。具体的には、固定板部１０２は、前フランジ部３０Ｂと後フランジ部３０Ｃの間に配置され、側壁部３０Ａのシート幅方向内側面に重ね合わされており、インフレータ５２の上下のスタッドボルト５２Ａ及び上下のナット５６を用いて外サイドフレーム３０に締結固定されている。また、この実施形態では、前記第１実施形態に係る抜け止めワッシャ１１０及びリブ１２０が省略されている。上記以外の構成は、前記第１実施形態と同様とされている。したがって、前記第１実施形態と同様の構成については、前記第１実施形態と同様の作用効果を奏する。

なお、上記第３実施形態では、固定部としての固定板部１０２がスタッドボルト５２Ａ及びナット５６を用いて外サイドフレーム３０に締結固定される構成にしたが、これに限らず、固定部の形状や外サイドフレーム３０への固定方法は適宜変更可能である。例えば、反力板部１０４から側壁部３０Ａ側へ向けて複数の柱状の固定部が延出され、当該複数の固定部の先端に形成された爪部が、側壁部３０Ａに形成された複数の孔に挿入されて固定される構成にしてもよい。また例えば、反力板部１０４の基端部（前端部）及び先端部（後端部）からそれぞれ延出された爪状の固定部が、前フランジ部３０Ｂ及び後フランジ部３０Ｃに引っ掛けられて固定される構成にしてもよい。その他、反力板部１０４から延出された固定部が、ビス止めなどの手段によって外サイドフレーム３０の側壁部３０Ａ、前フランジ部３０Ｂ又は後フランジ部３０Ｃに固定される構成にしてもよい。

＜第４の実施形態＞
図１２には、本発明の第４の実施形態に係るサイドエアバッグ装置を搭載した車両用シートにおける主要部の構成が図２に対応した断面図にて示されている。この実施形態では、サイドエアバッグ１４０の構造が前記第１実施形態に係るサイドエアバッグ５０と異なっているが、それ以外の構成は前記第１実施形態と基本的に同様とされている。このサイドエアバッグ１４０は、サイドエアバッグ５０と同様に、サイドエアバッグ本体６２と内バッグ部６４とによって構成されている。

但し、このサイドエアバッグ１４０では、内バッグ部６４は、後バッグ部７４の基布１４２、１４４が後バッグ部７４の前部７４Ｆから延長された延長部１４２Ａ、１４４Ａによって後バッグ部７４と一体に形成されている。この内バッグ部６４は、後バッグ部７４に対して膨張展開状態でシート幅方向内側となる側へ延びている（折られている）。また、前バッグ部７２は、後バッグ部７４の基布１４２、１４４とは別体の基布１４６、１４８により形成されており、後バッグ部７４の前部７４Ｆに結合されている。

具体的には、後バッグ部７４を構成する２枚の基布１４２、１４４は、略Ｔ字状に切り出されることにより、上記の延長部１４２Ａ、１４４Ａを備えている。これらの基布１４２、１４４が互いに重ね合わされて外周縁部を縫製部Ｔ７において縫製（結合）されることにより、後バッグ部７４と内バッグ部６４とが一体の袋体として形成されている。

また、前バッグ部７２は、略矩形状に切り出された２枚の基布１４６、１４８が、互いに重ね合わされて外周縁部の一部を縫製部Ｔ８において縫製（結合）されることにより、長尺な袋状に形成されている。この前バッグ部７２の一方の長辺縁部（後縁部）では、上記の縫製部Ｔ８が省略されている。これにより、前バッグ部７２の後縁部に開口１５０が形成されている。そして、当該前バッグ部７２の後縁部が縫製部Ｔ９において後バッグ部７４の前部７４Ｆに縫製（結合）されている。

後バッグ部７４の基布１４４は、後バッグ部７４の前部７４Ｆを構成する部位がテザー部（仕切布部）１５２とされており、当該テザー部１５２によって前バッグ部７２内と後バッグ部７４内とが仕切られている。テザー部１５２の上端部には上側インナベントホール７６（図１２では図示省略）が形成されており、テザー部１５２の下端部には下側インナベントホール７８が形成されている（図１２では図示省略）。上記以外の構成は、前記第１実施形態と同様とされている。

この第４実施形態では、既存の前後２チャンバサイドエアバッグを流用してサイドエアバッグ１４０を製造することはできないが、それ以外の点では前記第１実施形態と基本的に同様の作用効果を奏する。また、この第４実施形態では、第１実施形態と比較して、後バッグ部７４内のガスをより円滑に内バッグ部６４内に供給することができる。その結果、第１実施形態よりも内バッグ部６４を早期に膨張させることが可能になる。

なお、前記第１、第２、第４実施形態では、固定板部１０２と反力板部１０４とが外サイドフレーム３０のシート前方側で連結された構成にしたが、本発明はこれに限らず、固定板部１０２と反力板部１０４とが外サイドフレーム３０のシート前方側で連結された構成にしてもよい。

また、前記実施形態では、反力板部１０４がシート後方側へ向かうほどシート幅方向内側へ向かうように傾斜した構成にしたが、本発明はこれに限らず、反力板部１０４がシート前後方向に延在した構成にしてもよい。

また、前記各実施形態では、後バッグ部７４が上下の仕切部８０、８２によって上室８４と上下方向中間室８６と下室８８とに仕切られた構成にしたが、本発明はこれに限らず、上下の仕切部８０、８２が省略された構成にしてもよい。

また、前記各実施形態では、テザー７０及びテザー部１５２の上端部に形成された上側インナベントホール７６と、テザー７０及びテザー部１５２の下端部に形成された下側インナベントホール７８とによってインナベントホールが構成されているが、本発明はこれに限るものではない。インナベントホールの数や形成位置は適宜変更可能である。

また、前記各実施形態では、シートバック１６の車両幅方向外側のサイド部１６Ａ内に設けられた外サイドフレーム３０が、本発明に係る「サイドフレーム」とされた構成にしたが、これに限るものではない。本発明に係る「サイドフレーム」は、シートバック１６の車両幅方向内側のサイド部内に設けられた内サイドフレームであってもよい。

その他、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲が上記実施形態に限定されないことは勿論である。

１０ サイドエアバッグ装置を搭載した車両用シート
１６ シートバック
１６Ａ サイド部
２０ シートバックフレーム（シートフレーム）
２６ シートバックパッド（シートパッド）
３０ 外サイドフレーム（サイドフレーム）
３０Ａ 側壁部
３０Ｂ 前フランジ部
３０Ｃ 後フランジ部
５１ ガス発生装置
６２ サイドエアバッグ本体
６４ 内バッグ部
１００ 反力プレート
１０２ 固定板部（固定部）
１０４ 反力板部（反力付与部）
１０６ インテグラルヒンジ
１３０ 反力プレート
１３２ 本体反力板部

Claims (6)

1. シートバックのサイド部内に設けられたサイドフレームを含んで構成され、シートパッドが被せられたシートフレームと、
   前記サイド部内における前記サイドフレームのシート幅方向外側に収納され、内部に収容したガス発生装置を用いて前記サイドフレームに固定され、前記ガス発生装置からガス供給を受けて前記サイド部のシート前方側へ膨張展開するサイドエアバッグ本体と、
   前記サイドエアバッグ本体から前記サイドフレームのシート前方を通って前記サイドフレームのシート幅方向内側へ延出され、前記サイドエアバッグ本体内と連通された内部に前記ガス発生装置からのガスが供給されて前記サイド部内で膨張する内バッグ部と、
   前記サイドフレームに固定された固定部、及び前記サイドフレームのシート幅方向内側において前記内バッグ部と前記サイドフレームとの間に介在し、前記内バッグ部に対して膨張時に反力を付与する反力付与部を備え、当該反力付与部に前記内バッグ部が係止されている反力部材と、
   を有するサイドエアバッグ装置を搭載した車両用シート。
2. 前記固定部は、前記サイドフレームのシート幅方向外側に配置されており、前記ガス発生装置を用いて前記サイドフレームに固定されている請求項１に記載のサイドエアバッグ装置を搭載した車両用シート。
3. 前記固定部と前記反力付与部とが前記サイドフレームのシート前方側で連結されている請求項２に記載のサイドエアバッグ装置を搭載した車両用シート。
4. 前記反力付与部は、シート後方側へ向かうほどシート幅方向内側へ向かうように傾斜している請求項１〜請求項３の何れか１項に記載のサイドエアバッグ装置を搭載した車両用シート。
5. 前記固定部と前記反力付与部とがインテグラルヒンジを介して連結されており、前記反力付与部における前記インテグラルヒンジとは反対側の端部が前記サイドフレームに係止されている請求項１〜請求項４の何れか１項に記載のサイドエアバッグ装置を搭載した車両用シート。
6. 前記反力部材は、前記サイドエアバッグ本体のシート後方に配置され、前記サイドエアバッグ本体に対して膨張展開時に反力を付与する本体反力付与部を備えている請求項１〜請求項５の何れか１項に記載のサイドエアバッグ装置を搭載した車両用シート。

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