JP2016135110A - 柑橘類の蒸溜酒を含有するアルコール飲料 - Google Patents

柑橘類の蒸溜酒を含有するアルコール飲料 Download PDF

Info

Publication number
JP2016135110A
JP2016135110A JP2015011662A JP2015011662A JP2016135110A JP 2016135110 A JP2016135110 A JP 2016135110A JP 2015011662 A JP2015011662 A JP 2015011662A JP 2015011662 A JP2015011662 A JP 2015011662A JP 2016135110 A JP2016135110 A JP 2016135110A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
beverage
furfural
thymol
limonene
methyl dihydrojasmonate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015011662A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016135110A5 (ja
JP6468858B2 (ja
Inventor
明幸 横山
Akiyuki Yokoyama
明幸 横山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Suntory Holdings Ltd
Original Assignee
Suntory Holdings Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=56512031&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JP2016135110(A) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by Suntory Holdings Ltd filed Critical Suntory Holdings Ltd
Priority to JP2015011662A priority Critical patent/JP6468858B2/ja
Publication of JP2016135110A publication Critical patent/JP2016135110A/ja
Publication of JP2016135110A5 publication Critical patent/JP2016135110A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6468858B2 publication Critical patent/JP6468858B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Abstract

【課題】柑橘類の蒸溜酒を含有するアルコール飲料におけるエグミと加熱臭を緩和する。【解決手段】d−リモネン又はジヒドロジャスモン酸メチルの含有量と、フルフラール又はチモールの含有量との比を特定の範囲とする。【選択図】なし

Description

本発明は、柑橘類の蒸溜酒を含有するアルコール飲料、及びその製造方法に関する。また、本発明は、柑橘類の蒸溜酒を含有するアルコール飲料のエグミや加熱臭を緩和するための方法に関する。
果実や果皮等の香気成分を含有する精油やアルコール水溶液を蒸溜により製造する方法が知られている。例えば、特許文献1には、柑橘類又はリンゴの生の果実の皮をアルコールに浸漬し、減圧蒸溜することを特徴とする蒸溜酒の製造法が記載されている。
特許第4302871号公報
柑橘類の蒸溜酒には、特有の飲みにくさがある。具体的には、エグミと加熱臭である。従って、当該蒸溜酒を含有するアルコール飲料においては、そのようなエグミと加熱臭を緩和することが求められている。
本発明者らは、鋭意検討した結果、柑橘類の蒸溜酒を含有するアルコール飲料に含有されるフルフラール及びチモールがエグミと加熱臭を生じること、d−リモネン又はジヒドロジャスモン酸メチルの含有量と、フルフラール又はチモールの含有量との比が特定の範囲であると、エグミと加熱臭を緩和できることを見出した。
本発明は、以下のものに関するが、これらに限定されない。
1.柑橘類の蒸溜酒を含有するアルコール飲料であって、当該飲料に含有される以下の成分の質量比が以下の条件:
d−リモネン/フルフラール=50〜1300、及び/又は
d−リモネン/チモール=20〜600
を満たす、アルコール飲料。
2.d−リモネンの含有量が4000〜90000ppbである、1に記載のアルコール飲料。
3.フルフラールの含有量が20〜2200ppbであり、及び/又はチモールの含有量が50〜5400ppbである、1又は2に記載のアルコール飲料。
4.柑橘類の蒸溜酒を含有するアルコール飲料であって、当該飲料に含有される以下の成分の質量比が以下の条件:
ジヒドロジャスモン酸メチル/フルフラール=10〜400、及び/又は
ジヒドロジャスモン酸メチル/チモール=4〜150
を満たす、アルコール飲料。
5.ジヒドロジャスモン酸メチルの含有量が600〜40000ppbである、4に記載のアルコール飲料。
6.フルフラールの含有量が20〜2200ppbであり、及び/又はチモールの含有量が50〜5400ppbである、4又は5に記載のアルコール飲料。
7.柑橘類の蒸溜酒を含有するアルコール飲料を製造するための方法であって、当該飲料に含有される以下の成分の質量比が以下の条件:
d−リモネン/フルフラール=50〜1300、及び/又は
d−リモネン/チモール=20〜600
を満たすよう、それらの成分の量を調整することを含む、製造方法。
8.柑橘類の蒸溜酒を含有するアルコール飲料を製造する方法であって、当該飲料に含有される以下の成分の質量比が以下の条件:
ジヒドロジャスモン酸メチル/フルフラール=10〜400、及び/又は
ジヒドロジャスモン酸メチル/チモール=4〜150
を満たすよう、それらの成分の量を調整することを含む、製造方法。
9.柑橘類の蒸溜酒を含有するアルコール飲料のエグミ又は加熱臭を緩和するための方法であって、当該飲料に含有される以下の成分の質量比が以下の条件:
d−リモネン/フルフラール=50〜1300、及び/又は
d−リモネン/チモール=20〜600
を満たすよう、それらの成分の量を調整することを含む、方法。
10.柑橘類の蒸溜酒を含有するアルコール飲料のエグミ又は加熱臭を緩和するための方法であって、当該飲料に含有される以下の成分の質量比が以下の条件:
ジヒドロジャスモン酸メチル/フルフラール=10〜400、及び/又は
ジヒドロジャスモン酸メチル/チモール=4〜150
を満たすよう、それらの成分の量を調整することを含む、方法。
本発明は、柑橘類の蒸溜酒に由来するエグミと加熱臭を緩和することができる。本明細書において柑橘類の蒸溜酒を含有するアルコール飲料に関して用いる「エグミ」とは、柑橘類の蒸溜酒の特徴である爽やかですっきりとした風味を妨げ、口中を不快にさせる不要な味わいのことを意味し、「加熱臭」とは、柑橘類の蒸溜酒のフレッシュな柑橘香の香り立ちを妨げる不要な香りを意味する。この「エグミ」と「加熱臭」が柑橘類の蒸溜酒に含まれると、柑橘類の蒸溜酒のすっきりとした飲みやすさが低下する。
本発明は、一側面では、柑橘類の蒸溜酒を含有するアルコール飲料に関する。本明細書において、「アルコール飲料」とは、アルコールを含有する飲料を意味する。本明細書における「アルコール」とは、特に断らない限り、エタノールを意味する。
(主要な成分)
本発明のアルコール飲料に含有されるd−リモネン、フルフラール、及びチモールの質量比は、以下の条件(1)を満たす。
d−リモネン/フルフラール=50〜1300、及び/又は
d−リモネン/チモール=20〜600
当該d−リモネン/フルフラールの値は、好ましくは50〜900、より好ましくは100〜450、より好ましくは100〜250である。当該d−リモネン/チモールの値は、好ましくは30〜300、より好ましくは40〜150である。
或いは、本発明のアルコール飲料に含有されるジヒドロジャスモン酸メチル、フルフラール、及びチモールの質量比は、以下の条件(2)を満たす。
ジヒドロジャスモン酸メチル/フルフラール=10〜400、及び/又は
ジヒドロジャスモン酸メチル/チモール=4〜150
当該ジヒドロジャスモン酸メチル/フルフラールの値は、好ましくは20〜120、より好ましくは20〜60である。当該ジヒドロジャスモン酸メチル/チモールの値は、好ましくは7〜80、より好ましくは8〜40である。
本発明の飲料は、上記の条件(1)及び(2)を両方満たしてもよい。
アルコール飲料中のd−リモネンの含有量は、含有されるフルフラールやチモールの量に依存して変動し得るが、好ましくは4000〜90000ppb、より好ましくは6000〜60000ppb、より好ましくは8000〜25000ppbである。
アルコール飲料中のジヒドロジャスモン酸メチルの含有量は、含有されるフルフラールやチモールの量に依存して変動し得るが、好ましくは600〜40000ppb、より好ましくは1300〜15000ppb、より好ましくは1500〜7000ppbである。
フルフラールは、熟成香を示すことが知られている。チモール(Thymol)は、柚子に含まれる精油成分である。柑橘類の蒸溜酒を含む本発明のアルコール飲料においては、これらの成分が、エグミをもたらし飲みやすさを低減させることが見出された。アルコール飲料中のフルフラールの含有量は、限定されないが、好ましくは20〜2200ppb、より好ましくは20〜1100ppb、より好ましくは20〜500ppbである。また、アルコール飲料中のチモールの含有量は、限定されないが、好ましくは50〜5400ppbより好ましくは50〜2700ppbである。
本明細書における「ppb」は、mg/Lを意味し、アルコール飲料の容量あたりに含まれる成分の質量を示す。アルコール飲料中のd−リモネン、ジヒドロジャスモン酸メチル、フルフラール、及びチモールの含有量及び量比を測定する手段は限定されず、例えば、GCMS等の公知の方法を用いて測定すればよい。
アルコール飲料中のd−リモネン、ジヒドロジャスモン酸メチル、フルフラール、及びチモールの含有量及び量比を調整するためには、使用する柑橘類の蒸溜酒の量を調整する、それらの成分を添加する等の方法を選択すればよい。柑橘類の蒸溜酒においては、d−リモネン/フルフラール、d−リモネン/チモール、ジヒドロジャスモン酸メチル/フルフラール、ジヒドロジャスモン酸メチル/チモールの値が比較的低い。従って、それらの比の値を本発明の範囲にするためには、d−リモネン及び/又はジヒドロジャスモン酸メチルを添加することが、しばしば求められる。
本明細書における「柑橘類の蒸溜酒」とは、柑橘類原料、エタノール及び水を含む混合物を蒸溜して得られる液体を意味する。当該混合物には、本発明の効果に悪影響を与えない限り、柑橘類原料、エタノール、水に加えて、他の成分が含まれていてもよい。例えば、エタノール及び水を供給するために、エタノール水溶液を用いることができ、それは酒類であってもよい。また、酒類として、発酵もろみを用いることができる。
柑橘類は、特に限定されないが、例えば、オレンジ、みかん、いよかん、なつみかん、はっさく、ポンカン、シイクワシャー、かぼす、柚子、グレープフルーツ、レモン、ライムなどが挙げられる。蒸溜酒の原料として、これらを単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。原料としては、柑橘類の果実及び/又は果皮を用いる。果実の香気成分の多くは果皮とその近傍の果肉に多く存在しているので、果皮を原材料として用いることが好ましい。果皮はそれだけで用いてもよいが、果実や果肉と共に用いてもよい。
柑橘類原料は、蒸溜前に加工処理が施されたものでもよい。例えば、原料を乾燥させてから蒸溜に供してもよいが、乾燥させず生のまま用いることもできる。原料は、好ましくは生のまま用いる。また、原料は、蒸溜前に裁断してもよいし、凍結してもよい。さらに、凍結物を粉砕してもよい。また、原料を搾汁して生成する搾り粕も、原料として用いることができる。それらの加工処理の二種以上を組み合わせて行ってもよい。
柑橘類の蒸溜酒を製造するための蒸溜の方法は、特に限定されない。例えば、減圧蒸溜を行ってもよいし、常圧蒸溜を行ってもよい。
一つの態様では、柑橘類の蒸溜酒は、以下の製造方法によって製造される(この方法は、以下において「一定濃度蒸溜法」とも記載する)。
柑橘類原料と第一のエタノールと第一の水との混合物を蒸溜に付す工程、及び
当該蒸溜中に第二のエタノール及び第二の水を当該混合物に追加する工程
を含む、柑橘類の蒸溜酒の製造方法であって、当該追加後に、溜出液の生成時の当該溜出液のエタノール濃度が10〜50%である、前記製造方法。
当該溜出液のエタノール濃度を調整するためには、例えば、第二のエタノールと第二の水との比率を調整すればよい。
当該溜出液のエタノール濃度は、溜出液が、その生成時に有しているエタノール濃度を意味し、これは生成時期に依存して変化する。この濃度は、生成後しばらく経過しても大きく変化しないため、生成直後ではなく、しばらく時間が経過してから測定しても、生成時の濃度を見積もることができる。例えば、溜出液を比較的少量のフラクションに分けて、各フラクションのエタノール濃度を測定すれば、溜出液が生成時に有していたエタノール濃度、又はそれに非常に近い値を求めることができる。
当該製造方法において、好ましくは、当該溜出液のエタノール濃度が10〜50%まで低下してから、第二のエタノール及び第二の水の追加を開始する。また、好ましくは、第一のエタノール及び第一の水の総容量の0.10〜0.75倍の容量の溜出液が生成してから、第二のエタノール及び第二の水の追加を開始する。
本明細書におけるエタノール濃度はv/v%を意味し、公知のいずれの方法によっても測定することができるが、例えば、振動式密度計によって測定することができる。具体的には、エタノール水溶液から、必要に応じて濾過又は超音波によって炭酸ガスを抜いて、試料を調製し、そして、その試料を直火蒸溜し、得られた溜出液の15℃における密度を測定し、国税庁所定分析法(平19国税庁訓令第6号、平成19年6月22日改訂)の付表である「第2表 アルコール分と密度(15℃)及び比重(15/15℃)換算表」を用いて換算して求めることができる。
当該製造方法において、蒸溜は、減圧下で行ってもよいし、常圧で(減圧や加圧のための処理をしないで)蒸溜を行ってもよい。好ましくは、蒸溜は、常圧で加熱をして行う。
得られた溜出液が、本発明における蒸溜酒となる。蒸溜で得られた溜出液のフラクションを全てまとめて利用してもよいが、好ましくない臭いを有するフラクションを排除して、好ましいフラクションだけを集めて利用することもできる。
本発明のアルコール飲料は、一種類の前記蒸溜酒だけを含んでもよいし、二種以上の前記蒸溜酒を含んでもよい。また、本発明のアルコール飲料中の、柑橘類の蒸溜酒の含有量は、特に限定されないが、典型的には、アルコール換算で1〜70v/v%、又は1〜 50v/v%である。ここで、アルコール換算とは、柑橘類の蒸溜酒に由来するアルコールの容量に基づいて含有量を計算することを意味する。例えば、アルコール含有量が50v/v%の蒸溜酒を、飲料に対して3v/v%配合した場合には、当該飲料中の当該蒸溜酒のアルコール換算での含有量は、1.5v/v%である。
(アルコール度数)
本明細書におけるアルコール飲料のアルコール度数は、特に限定されないが、好ましくは1〜45v/v%、より好ましくは1〜20%である。本明細書における「アルコール飲料」はエタノールを含有する飲料を意味し、アルコール度数は、上記で説明したエタノール濃度と同義である。
(他の成分)
本発明におけるアルコール飲料には、本発明の効果を損なわない限り、柑橘類の蒸溜酒に加えて、ニュートラルスピリッツ、ワイン、ウイスキー、ブランデー、焼酎、スピリッツのような他のアルコール性成分や、アルコール飲料に通常配合する添加剤、例えば、糖類、酸味料、苦味量、甘味料、香料、ビタミン、色素類、酸化防止剤、乳化剤、保存料、調味料、pH調整剤、品質安定剤等を配合することができる。また、本発明のアルコール飲料は、炭酸を含有してもよい。
(飲料の製造方法、及びエグミ又は加熱臭を緩和するための方法)
本発明は、別の側面では、柑橘類の蒸溜酒を含有するアルコール飲料を製造する方法である。当該方法は、当該飲料に含有される以下の成分の質量比が以下の条件:
d−リモネン/フルフラール=50〜1300、及び/又は
d−リモネン/チモール=20〜600
を満たすよう、それらの成分の量を調整することを含む。
或いは、当該方法は、当該飲料に含有される以下の成分の質量比が以下の条件:
ジヒドロジャスモン酸メチル/フルフラール=10〜400、及び/又は
ジヒドロジャスモン酸メチル/チモール=4〜150
を満たすよう、それらの成分の量を調整することを含む。
飲料中の各成分の量及び量比、並びにそれらの数値を調整する方法は、当該飲料に関して上記した通りである。そのタイミングも限定されない。最終的に得られた飲料が、上記の条件を満たせばよい。また、各成分の量及び量比、アルコール度数の好ましい範囲は、飲料に関して上記した通りである。また、追加される他の成分の具体例や量も、飲料に関して上記した通りである。
本発明の製造方法は、柑橘類の蒸溜酒を含有するアルコール飲料のエグミ又は加熱臭を緩和することができる。従って、当該製造方法は、別の側面では、柑橘類の蒸溜酒を含有するアルコール飲料のエグミ又は加熱臭を緩和するための方法である。
(容器詰め飲料)
本発明の飲料は、必要に応じて、容器詰めの形態とすることができる。容器の形態には、缶等の金属容器、ペットボトル、紙パック、瓶、パウチなどが含まれるが、これらに限定されない。例えば、本発明の飲料を容器に充填した後にレトルト殺菌等の加熱殺菌を行う方法や、飲料を殺菌して容器に充填する方法を通じて、殺菌された容器詰め製品を製造することができる。
(数値範囲)
明確化のために記載すると、本明細書において下限値と上限値によって表されている数値範囲、即ち「下限値〜上限値」は、それら下限値及び上限値を含む。例えば、「1〜2」により表される範囲は、1及び2を含む。
以下に実施例に基づいて本発明の説明をするが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
フルフラールがエグミ及び加熱臭に与える影響と、d−リモネンの効果を検討した。
柚子皮110gにアルコール度数26%のアルコール溶液を加えて1000mlにメスアップ後、常圧蒸溜釜にて、アルコール飲料の原料となる柚子の蒸溜酒(アルコール度数48.9v/v%)を製造した。得られた柚子の蒸溜酒を水で希釈して、当該蒸溜酒を3v/v%(アルコール換算で1.467v/v%)含有するアルコール飲料(飲料1)を製造した。その成分を分析した結果を以下の表1に示す。分析はGC−MSで行った。
〔GC−MS分析条件〕
試料となる飲料を以下の条件にて、ガスクロマトグラフィー質量分析(GC−MS)に供した。GCの分析条件は以下のとおり。
GC装置:Agilent Technologies GC−MSD
GCオーブン温度条件:40℃(5分)− 6℃/min − 240℃
質量分析(MS)条件
四重極設定値:150
イオン源設定値:230
面積値算出条件
トータルイオンモード
質量(LOW):35
質量(HIGH):550
カラム:DB−WAXETR 60m、内径320μm、膜厚0.25μm
試料前処理条件:試料80μLと内部標準物質(デカン酸メチルエステル20ppmアルコール水溶液)20μLを20mLスクリューキャップバイアル瓶中で混合
ダイナミックヘッドスペース条件
装置:ゲステル社MPS
吸着剤:TENAX
試料気化温度:80℃
試料気化用ガス供給量:3000ml
試料気化用ガス供給速度:100ml/min
試料気化用ガス種類:窒素
ピーク保持時間:MSの解析によって成分および濃度の同定を行った。
標準物質:フルフラール、チモール、リモネン、ジヒドロジャスモン酸メチル
飲料1をコントロールとする。フルフラールがエグミ及び加熱臭に与える影響を調べるために、飲料1にフルフラールを追加して、飲料a1−0及び飲料a2−0を製造した。さらに、フルフラール量が多い飲料a2−0にd−リモネンを種々の量で添加して、飲料a2−a1からa2−a7を製造した。
訓練されたパネリストにより、各飲料のエグミ及び加熱臭について官能評価を行った。評価基準は以下の通りである。この評価基準は、他の実施例でも用いる。
7:エグミや加熱臭をほとんど感じない。
6:エグミや加熱臭が感じにくい。
5:エグミや加熱臭がやや感じにくい。
4:エグミや加熱臭があり飲み難い。
3:エグミや加熱臭がやや強くあり飲み難い。
2:エグミや加熱臭が強く飲み難い。
1:エグミや加熱臭が非常に強く飲み難い。
結果を以下の表に示す。評価点が5点以上であれば、結果は良好であったものと考えられる。
表2から明らかなとおり、フルフラールの量が増加すると、エグミと加熱臭が強くなった。そして、d−リモネン/フルフラールの値が一定範囲にある場合に、官能評価結果が良好であった。
実施例2
実施例1に続いて、ジヒドロジャスモン酸メチル/フルフラールの値の適切な範囲を確認した。具体的には、実施例1で得られた飲料a2−0にジヒドロジャスモン酸メチルを種々の量で添加して、飲料a2−b1からa2−b7を製造した。実施例1と同様にして、各飲料のエグミ及び加熱臭について官能評価を行った。結果を表3に示す。尚、表3中、ジヒドロジャスモン酸メチルは、「MD」と表される。また、表3中のいずれの飲料でもd−リモネンの含有量は2841ppbであった。
表3から明らかなとおり、ジヒドロジャスモン酸メチル/フルフラールの値が一定範囲にある場合に、官能評価結果が良好であった。
実施例3
実施例1に続いて、チモールがエグミ及び加熱臭に与える影響と、d−リモネンの効果を検討した。
具体的には、実施例1の飲料1にチモールを追加して、飲料b1−0及び飲料b2−0を製造した。さらに、チモール量が多い飲料b2−0にd−リモネンを種々の量で添加して、飲料b2−a1からb2−a7を製造した。実施例1と同様にして、各飲料のエグミ及び加熱臭について官能評価を行った。結果を表4に示す。
表4から明らかなとおり、チモールの量が増加すると、エグミと加熱臭が強くなった。そして、d−リモネン/チモールの値が一定範囲にある場合に、官能評価結果が良好であった。
実施例4
実施例3に続いて、ジヒドロジャスモン酸メチル/チモールの値の適切な範囲を確認した。具体的には、実施例3で得られた飲料b2−0にジヒドロジャスモン酸メチルを種々の量で添加して、飲料b2−b1からb2−b7を製造した。実施例1と同様にして、各飲料のエグミ及び加熱臭について官能評価を行った。結果を表5に示す。尚、表5中、ジヒドロジャスモン酸メチルは、「MD」と表される。また、表5中のいずれの飲料においても、d−リモネンの含有量は2841ppbであった。
表5から明らかなとおり、ジヒドロジャスモン酸メチル/チモールの値が一定範囲にある場合に、官能評価結果が良好であった。

Claims (10)

  1. 柑橘類の蒸溜酒を含有するアルコール飲料であって、当該飲料に含有される以下の成分の質量比が以下の条件:
    d−リモネン/フルフラール=50〜1300、及び/又は
    d−リモネン/チモール=20〜600
    を満たす、アルコール飲料。
  2. d−リモネンの含有量が4000〜90000ppbである、請求項1に記載のアルコール飲料。
  3. フルフラールの含有量が20〜2200ppbであり、及び/又はチモールの含有量が50〜5400ppbである、請求項1又は2に記載のアルコール飲料。
  4. 柑橘類の蒸溜酒を含有するアルコール飲料であって、当該飲料に含有される以下の成分の質量比が以下の条件:
    ジヒドロジャスモン酸メチル/フルフラール=10〜400、及び/又は
    ジヒドロジャスモン酸メチル/チモール=4〜150
    を満たす、アルコール飲料。
  5. ジヒドロジャスモン酸メチルの含有量が600〜40000ppbである、請求項4に記載のアルコール飲料。
  6. フルフラールの含有量が20〜2200ppbであり、及び/又はチモールの含有量が50〜5400ppbである、請求項4又は5に記載のアルコール飲料。
  7. 柑橘類の蒸溜酒を含有するアルコール飲料を製造するための方法であって、当該飲料に含有される以下の成分の質量比が以下の条件:
    d−リモネン/フルフラール=50〜1300、及び/又は
    d−リモネン/チモール=20〜600
    を満たすよう、それらの成分の量を調整することを含む、製造方法。
  8. 柑橘類の蒸溜酒を含有するアルコール飲料を製造する方法であって、当該飲料に含有される以下の成分の質量比が以下の条件:
    ジヒドロジャスモン酸メチル/フルフラール=10〜400、及び/又は
    ジヒドロジャスモン酸メチル/チモール=4〜150
    を満たすよう、それらの成分の量を調整することを含む、製造方法。
  9. 柑橘類の蒸溜酒を含有するアルコール飲料のエグミ又は加熱臭を緩和するための方法であって、当該飲料に含有される以下の成分の質量比が以下の条件:
    d−リモネン/フルフラール=50〜1300、及び/又は
    d−リモネン/チモール=20〜600
    を満たすよう、それらの成分の量を調整することを含む、方法。
  10. 柑橘類の蒸溜酒を含有するアルコール飲料のエグミ又は加熱臭を緩和するための方法であって、当該飲料に含有される以下の成分の質量比が以下の条件:
    ジヒドロジャスモン酸メチル/フルフラール=10〜400、及び/又は
    ジヒドロジャスモン酸メチル/チモール=4〜150
    を満たすよう、それらの成分の量を調整することを含む、方法。
JP2015011662A 2015-01-23 2015-01-23 柑橘類の蒸溜酒を含有するアルコール飲料 Active JP6468858B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015011662A JP6468858B2 (ja) 2015-01-23 2015-01-23 柑橘類の蒸溜酒を含有するアルコール飲料

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015011662A JP6468858B2 (ja) 2015-01-23 2015-01-23 柑橘類の蒸溜酒を含有するアルコール飲料

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2016135110A true JP2016135110A (ja) 2016-07-28
JP2016135110A5 JP2016135110A5 (ja) 2016-09-15
JP6468858B2 JP6468858B2 (ja) 2019-02-13

Family

ID=56512031

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015011662A Active JP6468858B2 (ja) 2015-01-23 2015-01-23 柑橘類の蒸溜酒を含有するアルコール飲料

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6468858B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018050504A (ja) * 2016-09-27 2018-04-05 サントリーホールディングス株式会社 容器詰アルコール飲料
JP2018126115A (ja) * 2017-02-10 2018-08-16 アサヒビール株式会社 アルコール飲料及びその製造方法
JP2019037172A (ja) * 2017-08-24 2019-03-14 キリン株式会社 柑橘の劣化臭が抑制された柑橘系飲料およびその製法
JP2019037171A (ja) * 2017-08-24 2019-03-14 キリン株式会社 柑橘の劣化臭が抑制された柑橘系飲料およびその製法
JP2020099303A (ja) * 2018-12-25 2020-07-02 キリンホールディングス株式会社 アルコールの辛みが低減されたアルコール飲料およびその製造方法
WO2020246184A1 (ja) * 2019-06-07 2020-12-10 サントリーホールディングス株式会社 蒸留酒
WO2022130693A1 (ja) 2020-12-16 2022-06-23 アサヒグループホールディングス株式会社 柑橘風味アルコール飲料

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5959185A (ja) * 1982-09-28 1984-04-04 Kawachichiyou フル−ツ・スピリツツの製造方法
JPS6047672A (ja) * 1983-08-23 1985-03-15 Miyazakiken ゆずの果実を利用した蒸留酒の製造法
JPH01153076A (ja) * 1988-10-21 1989-06-15 Satsuma Syuzo Kk 乙類焼酎の製造法及び製造装置
JP4302871B2 (ja) * 2000-10-26 2009-07-29 ニッカウヰスキー株式会社 新規な蒸留酒とその製造法
JP2012239427A (ja) * 2011-05-19 2012-12-10 Kirin Brewery Co Ltd 柑橘類由来の芳香成分含有アルコール飲料の製造方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5959185A (ja) * 1982-09-28 1984-04-04 Kawachichiyou フル−ツ・スピリツツの製造方法
JPS6047672A (ja) * 1983-08-23 1985-03-15 Miyazakiken ゆずの果実を利用した蒸留酒の製造法
JPH01153076A (ja) * 1988-10-21 1989-06-15 Satsuma Syuzo Kk 乙類焼酎の製造法及び製造装置
JP4302871B2 (ja) * 2000-10-26 2009-07-29 ニッカウヰスキー株式会社 新規な蒸留酒とその製造法
JP2012239427A (ja) * 2011-05-19 2012-12-10 Kirin Brewery Co Ltd 柑橘類由来の芳香成分含有アルコール飲料の製造方法

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
「澄みわたる柚子酒」新発売 2014.12.2 ニュースリリース サントリー、[ONLINE]、2014年12月2日、[2018年, JPN6018020197, ISSN: 0003811097 *
香り選書7 ユズの香り,フレグランスジャーナル社,2008年11月25日発行,第53頁, JPN6018020193, ISSN: 0003811096 *

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018050504A (ja) * 2016-09-27 2018-04-05 サントリーホールディングス株式会社 容器詰アルコール飲料
JP7127961B2 (ja) 2017-02-10 2022-08-30 アサヒビール株式会社 アルコール飲料及びその製造方法
JP2018126115A (ja) * 2017-02-10 2018-08-16 アサヒビール株式会社 アルコール飲料及びその製造方法
WO2018147153A1 (ja) * 2017-02-10 2018-08-16 アサヒビール株式会社 アルコール飲料及びその製造方法
JP2019037172A (ja) * 2017-08-24 2019-03-14 キリン株式会社 柑橘の劣化臭が抑制された柑橘系飲料およびその製法
JP2019037171A (ja) * 2017-08-24 2019-03-14 キリン株式会社 柑橘の劣化臭が抑制された柑橘系飲料およびその製法
JP6996907B2 (ja) 2017-08-24 2022-01-17 キリンホールディングス株式会社 柑橘の劣化臭が抑制された柑橘系飲料およびその製法
JP2020099303A (ja) * 2018-12-25 2020-07-02 キリンホールディングス株式会社 アルコールの辛みが低減されたアルコール飲料およびその製造方法
JP7373278B2 (ja) 2018-12-25 2023-11-02 キリンホールディングス株式会社 アルコールの辛みが低減されたアルコール飲料およびその製造方法
WO2020246184A1 (ja) * 2019-06-07 2020-12-10 サントリーホールディングス株式会社 蒸留酒
JP7267844B2 (ja) 2019-06-07 2023-05-02 サントリーホールディングス株式会社 蒸留酒
JP2020198805A (ja) * 2019-06-07 2020-12-17 サントリーホールディングス株式会社 蒸留酒
WO2022130693A1 (ja) 2020-12-16 2022-06-23 アサヒグループホールディングス株式会社 柑橘風味アルコール飲料

Also Published As

Publication number Publication date
JP6468858B2 (ja) 2019-02-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6468858B2 (ja) 柑橘類の蒸溜酒を含有するアルコール飲料
JP6543032B2 (ja) レモン果汁含有飲料
JP2016036319A (ja) 柑橘系果実の香味を有する飲料
AU2020250206B2 (en) A beverage containing wood components
JP6604726B2 (ja) 果汁含有アルコール飲料
JP6991841B2 (ja) リモネンを含有する柑橘系アルコール飲料
JP6942561B2 (ja) 柑橘の劣化臭が抑制された柑橘系飲料およびその製法
JP2022098923A (ja) 柑橘果皮由来成分を含有する飲料
AU2016206336B2 (en) A beverage containing isobutanol and/or isoamyl alcohol
JP2022136561A (ja) 飲料
JP6734974B2 (ja) 果汁含有アルコール飲料
JP6855167B2 (ja) 柑橘の果皮感が増強されたアルコール飲料およびその製造方法
JP6996907B2 (ja) 柑橘の劣化臭が抑制された柑橘系飲料およびその製法
JP2022069581A (ja) アルコール飲料、及びアルコール飲料の香味を改善する方法
WO2018123390A1 (ja) フルーティー香を増強するためのコーヒー豆の焙煎方法及びコーヒー抽出物の製造方法
WO2016052462A1 (ja) エタノール水溶液の製造方法
JP2022102481A (ja) アルコール飲料
JP2020014410A (ja) アルコール飲料用バーニング感抑制剤
JP6638111B1 (ja) 茶飲料
JP7007415B2 (ja) 容器詰飲料及び容器詰飲料の嗜好性改善方法
JP7267844B2 (ja) 蒸留酒
JP2022091625A (ja) 柑橘様の香気を有するアルコール飲料
JP6832070B2 (ja) クロロゲン酸を含有する飲料
JP6739146B2 (ja) 果汁含有アルコール飲料
JP2016220633A (ja) 柑橘系果汁風味を有する低果汁アルコール飲料

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160801

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170724

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180531

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180605

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20181217

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190115

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6468858

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250