JP2016220633A - 柑橘系果汁風味を有する低果汁アルコール飲料 - Google Patents

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代 美奈子 神
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橋 慎 司 大
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Abstract

【課題】低果汁であるにもかかわらず柑橘系の果汁感が増強されたアルコール飲料およびその製造方法の提供。【解決手段】柑橘系果汁の濃度が5(w/v)%以下の、柑橘系果汁風味を有するアルコール飲料であって、該アルコール飲料中のナリンジン濃度が3ppm以上である、アルコール飲料。【選択図】なし

Description

本発明は、柑橘系果汁風味を有する低果汁アルコール飲料およびその製造方法に関する。
柑橘系果汁入りアルコール飲料では、グレープフルーツ果汁やレモン果汁を使用することで爽やかな苦味およびキレが実現されているが、果汁を用いたアルコール飲料は、時間が経過するとともに、果汁由来の成分の変質による劣化が生じることや、開栓時の噴きが問題となっていた。
この問題を解決するため、低果汁または無果汁の飲料に果汁感を付与する技術の開発が試みられている。例えば、低果汁や無果汁の飲料において、ゲンチオオリゴ糖やパルミトレイン酸を添加することにより果汁感を付与・増強させる技術が報告されている(特許文献1および2)。また、果実の果汁または搾汁を合成樹脂吸着剤で吸着処理し、その後エタノールで溶出させた画分に、飲食品の酸味・苦味・渋味の抑制効果、エグ味の低減効果に加えて、果汁感の付与効果があることが報告されている(特許文献3)。
一方で、柑橘系果実に多く含まれるナリンジンは、飲料、酒類、食品に柑橘系の果汁様の好ましい苦味風味を付与する成分として知られている。ナリンジンを効果的に利用する飲料の開発は既に試みられており、その過程でいくつかの知見が得られている。例えば、ナリンジンの酵素処理によって得られる3”−α−モノグルコシルナリンジンはナリンジンよりもさらに強い苦味を呈し、飲料に加えた時に好ましい風味となり、ナリンジンと併用した際にはナリンジンの水溶性を高める効果が示唆されている(特許文献4)。また、ナリンジンの酵素処理によって得られる、ナリンジンおよびα−グルコシルプルニンを含有する組成物には、ナリンジンと比べて苦味が少なく、溶解性、体内での吸収性および代謝性、さらに呈味が同時に改善されるという、多面的に優れた特性があることが報告されている(特許文献5)。
しかしながら、アルコール飲料に果汁感を付与するために有効なナリンジン濃度についての知見は得られていない。また、ナリンジン等の苦味成分を豊富に含む柑橘系果実を加工して、ナリンジン等の苦味成分を簡便に入手する方法についての知見も十分に得られていない。それゆえ、低果汁であるにもかかわらず柑橘系の果汁感が増強された安価なアルコール飲料を製造することは困難であった。
特開2011−206030号公報 特開2014−54192号公報 国際公開第2010/26946号 特開2002−199896号公報 特開2007−284393号公報
本発明の目的は、低果汁であるにもかかわらず柑橘系の果汁感が増強されたアルコール飲料およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、アルコール飲料中に特定の濃度のナリンジンを含有させることにより、該アルコール飲料に果汁感を付与できることを見出した。さらに、本発明者らは、ナリンジンを含有する柑橘系果実からナリンジンを高濃度で抽出するための条件を見出した。本発明はこれらの知見に基づくものである。
すなわち、本発明によれば以下の発明が提供される。
(1)柑橘系果汁の濃度が5(w/v)%以下の、柑橘系果汁風味を有するアルコール飲料であって、該アルコール飲料中のナリンジン濃度が3ppm以上である、アルコール飲料。
(2)前記ナリンジン濃度が10ppm以上である、(1)に記載のアルコール飲料。
(3)蒸留酒を40〜60(v/v)%のアルコール濃度で含んでなる浸漬液中で、20〜40(w/v)%の柑橘系果実を、温度30〜50℃、期間4〜7日の条件で浸漬することにより製造された浸漬原酒を含有する、(1)または(2)に記載のアルコール飲料。
(4)柑橘系の果汁感が増強された低果汁アルコール飲料を製造する方法であって、柑橘系果汁の濃度が5(w/v)%以下のアルコール飲料の製造過程において、ナリンジンの濃度を3ppm以上に調整する工程を含んでなる、方法。
(5)ナリンジンの濃度が10ppm以上に調整される、(4)に記載の方法。
(6)ナリンジンの濃度の調整が、蒸留酒を40〜60(v/v)%のアルコール濃度で含んでなる浸漬液中で、20〜40(w/v)%の柑橘系果実を、温度30〜50℃、期間4〜7日の条件で浸漬することにより製造された浸漬原酒の添加によって行われる、(4)または(5)に記載の方法。
(7)ナリンジンの濃度を3ppm以上に調整する工程を含んでなる、柑橘系果汁の濃度が5(w/v)%以下のアルコール飲料に柑橘系の果汁感を付与する方法。
(8)蒸留酒を40〜60(v/v)%のアルコール濃度で含んでなる浸漬液中で、20〜40(w/v)%の柑橘系果実を、温度30〜50℃、期間4〜7日の条件で浸漬することにより製造される、浸漬原酒。
(9)蒸留酒を40〜60(v/v)%のアルコール濃度で含んでなる浸漬液中で、20〜40(w/v)%の柑橘系果実を、温度30〜50℃、期間4〜7日の条件で浸漬することを特徴とする、浸漬原酒の製造方法。
(10)前記浸漬液が、ミネラルを含有するアルカリイオン水に蒸留酒を溶解して得られたものである、(9)に記載の製造方法。
(11)前記蒸留酒が、醸造アルコール、スピリッツ、ウォッカ、ラム、テキーラ、ジン及び焼酎からなる群から選択されるものである、(9)または(10)に記載の製造方法。
(12)前記柑橘系果実がグレープフルーツである、(9)〜(11)のいずれか一項に記載の製造方法。
本発明のアルコール飲料は、低果汁であるにもかかわらず柑橘系特有の苦味と複雑さを併せ持つ果汁感が増強されている点で有利である。特に、本発明によれば、安価でありながら豊かな柑橘系の果汁感を兼ね備えたアルコール飲料という需要者のニーズに応えることができる点で有利であるといえる。さらに、本発明の浸漬原酒は、ナリンジンを高濃度で含有するため、アルコール飲料に果汁感を付与するために好適に用いることができる。特に、本発明の浸漬原酒は、ナリンジンだけでなく、柑橘系果実から抽出される他の様々な成分を含有するため、アルコール飲料に複雑味を付与することも可能である。
発明の具体的説明
ナリンジンを含有するアルコール飲料
本発明によれば、低果汁アルコール飲料に所定濃度のナリンジンを含有させることにより、低果汁であるにもかかわらず柑橘類風味を有するアルコール飲料が提供される。
ナリンジンは、フラボノイドの一種であり、柑橘類の未熟な果皮に多く含まれる苦味物質である。ナリンジンとしては、化合物としてのナリンジン、または食品添加物等として市販されているナリンジンを適宜利用することができる。ナリンジンとしては、また、後述するように、ナリンジンを含む柑橘系果実を、アルコールを含む浸漬液に浸漬して、ナリンジンを含む柑橘系果実由来の素材成分を抽出した浸漬原酒を利用することもできる。
本発明のアルコール飲料におけるナリンジンの濃度は、3ppm以上とされ、好ましくは10ppm以上とされる。本願明細書において、「1ppm」とは、0.0001重量/容量(weight/volume)%に相当する。ナリンジン濃度の上限値は特に限定されるものではないが、好ましくは30ppm、より好ましくは20ppmとされる。
本発明において、ナリンジンの濃度の測定は、当技術分野において公知の方法、例えば、液体クロマトグラフィー法によって行うことができる。液体クロマトグラフィーは、例えば、カラムとしてカプセルパックC18(資生堂社製)を用い、検出器としてダイオードアレイ(アジレントテクノロジー社製)を用いて行うことができる。また、液体クロマトグラフィー分析に供するためのサンプルとしては、飲料をそのまま用いてもよいし、適宜希釈または濃縮して用いてもよい。
本発明のアルコール飲料は、柑橘系果汁の濃度が5(w/v)%以下である、柑橘系果汁風味を有するアルコール飲料である。ここで、「柑橘系果汁」とは、柑橘系果実から得られる果汁そのもの、該果汁から水分の一部を除去するための処理を経て得られる濃縮果汁などを意味するものであり、ナリンジンなどの特定成分を濃縮するための処理(例えば抽出処理)を経て得られる処理物(例えば抽出物)を含まない。一つの好ましい実施態様によれば、上記柑橘系果汁は、後述する本発明の浸漬原酒を除く全ての柑橘系果汁由来材料とされる。また、一つの実施態様では、本発明のアルコール飲料は、柑橘系果汁を実質的に含有しないものとされ、例えば、本発明の浸漬原酒に由来する果汁成分以外の柑橘系果汁成分を実質的に含有しないものとされる。ここで、「実質的に含有しない」とは、前記柑橘系果汁または前記柑橘系果汁成分が、アルコール飲料の果汁感に影響しない程度の濃度で存在するか、または全く存在しないことを意味し、例えば、その濃度が0.00(w/v)%であることを意味する。
本発明のアルコール飲料の種類は特に限定されるものではないが、好ましくは、蒸留酒をベースとした、柑橘系果汁風味を呈する成分を含有する混成酒である。また、本発明のアルコール飲料のジャンルも特に限定されるものではなく、例えば、リキュール類、リキュール(発泡性)、スピリッツ(発泡性)、カクテル、チューハイ、ソフトアルコール飲料等であってよい。さらに、本発明のアルコール飲料は、いわゆるRTD(Ready to Drink)アルコール飲料またはRTS(Ready to Serve)アルコール飲料として提供することができる。
本発明のアルコール飲料のアルコール濃度は特に限定されるものではなく、例えば、1〜10(v/v)%とすることができる。
本発明の低果汁アルコール飲料に含有されるアルコールは、食品製造に適したものであればよいが、好ましくは醸造アルコール、スピリッツ、ウォッカ、ラム、テキーラ、ジン及び焼酎からなる群から選択されるものを用いることができる。
ナリンジンを含有するアルコール飲料の製造方法
本発明のアルコール飲料は、当業者によく知られた通常の低果汁アルコール飲料の製造方法に沿って、その製造過程のいずれかの工程においてナリンジンを添加することにより、製造することができる。この場合、使用するナリンジンは、化合物としてのナリンジン、食品添加物等として市販されているナリンジン(商品名:ゆずポリフェノール、東洋精糖社製)、または後述するような柑橘系果実由来の浸漬原酒に含まれるナリンジン等であってよいが、好ましくは柑橘系果実由来の浸漬原酒に含まれるナリンジンをその浸漬原酒ごと添加して用いることができる。
本発明のアルコール飲料の好ましい実施態様として、蒸留酒をベースとした柑橘系果汁風味を呈する成分を含有する混成酒が挙げられるが、この場合は、ナリンジン、柑橘系果汁風味を呈する成分(果汁、あるいは、果汁を代替する甘味料、酸味料、または香料、もしくはこれらの任意の組合わせからなる)を、蒸留酒、および、必要に応じて水(炭酸水を含む)またはその他副原料と混合して製造することができる。この場合も、使用するナリンジンは、化合物としてのナリンジン、食品添加物等として市販されているナリンジン、または柑橘系果実由来の浸漬原酒に含まれるナリンジン等であってよいが、好ましくは柑橘系果実由来の浸漬原酒に含まれるナリンジンをその浸漬原酒ごと添加して用いることができる。
本発明のアルコール飲料は、さらに、低果汁アルコール飲料の処方設計に用いられる甘味料(液糖、人工甘味料を含む)、酸味料、香料、色素、果汁、食品添加物等の副原料を、必要に応じてさらに含有することができる。
本発明のアルコール飲料のpHは、pH2〜5となるように調整することができる。例えば、アルコール飲料のpHは、果汁や酸味料などを利用して調整することができる。アルコール飲料のpHは市販のpHメーターを使用して容易に測定することができる。
本発明のアルコール飲料を炭酸飲料として提供する場合は、最終製品において、該飲料におけるガス圧が、20℃において測定した場合、例えば、0.1〜0.35MPaとなるように調整することができる。炭酸ガス圧は、例えば、国税庁所定の分析法に基づく、ビールのガス圧分析法によって測定できる。また、市販の機械式炭酸ガス圧測定器を用いて測定することもできる。
本発明のアルコール飲料は、好ましくは、容器詰飲料として提供される。本発明によるアルコール飲料に使用される容器は、飲料の充填に通常使用される容器であればよく、例えば、金属缶・樽容器、プラスティック製ボトル(PETボトル、カップ)、紙容器、瓶、パウチ容器等が挙げられるが、炭酸飲料として提供する場合は、好ましくは、金属缶・樽容器、プラスティック製ボトル(PETボトル)、瓶である。
浸漬原酒およびその製造方法
本発明の浸漬原酒は、20〜40(w/v)%の柑橘系果実を、蒸留酒を40〜60(v/v)%のアルコール濃度で含んでなる浸漬液中で、温度30〜50℃、期間4〜7日の条件で浸漬することにより製造される。該浸漬原酒中のナリンジンの最終濃度は、好ましくは1800ppm以上とされる。また、該浸漬原酒中のナリンジン濃度の上限値は特に限定されるものではないが、好ましくは2600ppm、より好ましくは2000ppmとされる。
本発明における浸漬原酒の製造のための柑橘系果実としては、グレープフルーツ、レモン、オレンジ、ネーブル、かぼす、シークワーサー、シトロン、ゆず、すだち、ダイダイ、ミカン、夏みかん、はっさく等を用いることができるが、好ましくは、グレープフルーツ、レモン、またはオレンジであり、より好ましくは、グレープフルーツを用いることができる。
本発明の浸漬原酒の製造に使用する柑橘系果実の使用部位は、果実まるごとでもよく、またはナリンジンが豊富に含まれる果皮、果肉、果汁、種子等を適宜選択することができる。また、柑橘系果実は、浸漬中にナリンジンが効率よく抽出されるように、浸漬前に加工してもよく、例えば、果実、果皮、果肉、果汁、種子等を裁断し、またはすり下ろす等の加工を加えることができる。本発明の好ましい実施態様では、果実をまるごとすり潰したピューレを利用する。
本発明の浸漬原酒の製造に使用する蒸留酒は、食品製造に適したものであればよいが、好ましくは醸造アルコール、スピリッツ、ウォッカ、ラム、テキーラ、ジン及び焼酎からなる群から選択される。
本発明の浸漬原酒の製造に使用する水は、食品製造に適したものであればよいが、好ましくはミネラルを含有するpHの高いイオン水であり、例えば、ミネラルを含有するアルカリイオン水を使用することができる。ここで、「アルカリイオン水」とは、アルカリイオン水整水器等の電気分解槽の陰極側で生成されるpH9〜10の飲用アルカリ性電解水である。本発明で使用するアルカリイオン水は、当業者に公知の方法で製造することができる。本発明の好ましい態様では、市場において販売されているアルカリイオン水を利用する。また、「ミネラル」とは、該アルカリイオン水整水器等の電気分解槽において陰極側で生成されるアルカリ金属およびアルカリ土類金属をいう。
本発明の浸漬原酒は、飲用に供したときに不快感を与えない程度の細かい固形分を含んでいてもよいし、あるいは、固形分を除去した後に利用してもよい。
以下の例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
実施例1:グレープフルーツピューレを使用した浸漬液の調製
醸造アルコール(95.3(v/v)%)をメスシリンダーにて計量し、アルカリイオン水(商品名:アルカリイオンの水、キリンビバレッジ株式会社製)、またはイオン交換水(純水)、でメスアップして、所定の濃度(v/v%)の浸漬液を調製した。該浸漬液を1000ml容の蓋付き透明ガラス壜に、全容量の25%まで注ぎ込み、京都電子工業株式会社製清酒メーター(型番:DA−105)で、アルコール濃度を確認した。次いで、市販のグレープフルーツピューレ(商品名:コミュニテッドグレープフルーツ、雄山株式会社製)の所定重量分を投入し、蓋を閉じ、該壜を軽く上下逆さまにして撹拌した。その後、蓋を開け、該浸漬液を5mlサンプリングし、pHを測定した。再び、蓋を閉じて、所定の温度(浸漬温度)のインキュベーター内にて保温静置した。所定の時間(浸漬期間)経過後、濾紙濾過して得られた浸漬液のナリンジン濃度(ppm)を測定した。
ここで、浸漬液中のナリンジン濃度は、浸漬液を一定濃度に希釈し、液体クロマトグラフィー(検出器:ダイオードアレイ、カラム:カプセルパックC18)を用いて分析した。溶離液としては、水・アセトニトリル・リン酸溶液(72.5/27/0.5v/v%)を用い、溶離液の流速は0.7ml/分とした。
以下に、グレープフルーツピューレのアルコール浸漬条件と浸漬後の浸漬液中のナリンジン濃度を表1に示す。
Figure 2016220633
各浸漬条件(使用した水の種類、アルコール度数、浸漬前pH、浸漬期間、浸漬温度)における浸漬後の各浸漬液中のナリンジン濃度は、1800〜2600ppmの範囲に収まることが示された。
実施例2:ナリンジンを含有する低果汁アルコール飲料の製造
(1)試作品の調製
上記実施例1の試験区4の浸漬条件に従い、浸漬原酒を0.25L調製した。得られた浸漬原酒のアルコール度数は52.8v/v%であり、ナリンジンの濃度は、1998ppmであった。この浸漬原酒および所定の各種使用素材を秤量し、メスシリンダーに注入し、最後にガス水で200mlにメスアップした。これをガラス瓶に移し打栓して、転倒混和後65℃15分間の湯殺菌を行った。その後室温になるまで徐冷し、その後4℃の冷蔵庫で一晩冷蔵保管した。翌日開栓して、試飲評価を実施した。
(2)官能評価
官能評価の評価項目として、香り、甘味、苦味の3つの項目を設定した。以下に、それぞれの評価項目の具体的な評価基準を示す。
a.香り:フルーティで甘い香り。A:十分強く感じられる、B:やや強く感じられる、C:感じられる、D:感じられない、の4段階で評価。
b.甘味:後味に残らない自然な甘味。:A:十分強く感じられる、B:やや強く感じられる、C:感じられる、D:感じられない、の4段階で評価。
c.苦味:後味に残らない柑橘様の苦味。:A:十分強く感じられる、B:やや強く感じられる、C:感じられる、D:感じられない、の4段階で評価。
官能評価は、訓練された4名のパネルによって実施した。
また、これら3項目の結果に基づく総合評価としての柑橘系特有の苦味と複雑さを併せ持つ果汁感が、A:十分強く感じられる、B:やや強く感じられる、C:感じられる、D:感じられない、の4段階で導き出した。
(3)評価結果
ナリンジン抽出浸漬原酒を使用した低果汁アルコール飲料の製造条件および試飲評価結果を以下の表2に示す。
Figure 2016220633
この浸漬原酒を果汁の代わりに使用することにより、添加されている果汁量が市販されている低果汁アルコール飲料の半分量のもの、または、全く添加されていないものであっても、柑橘系の果汁感が付与された低果汁アルコール飲料を製造することができた。
実施例3:ナリンジン濃度およびナリンジンを含有する原材料が低果汁アルコール飲料の香味特徴に与える影響
(1)サンプルの調製
市販されている低果汁アルコール飲料(「氷結ストロンググレープフルーツ」キリンビール株式会社製、アルコール度数:9(v/v)%、果汁含有量:4.2%)をメスシリンダーに200mlずつ分注した。これに、ナリンジンの最終濃度が10、20および30ppmとなるように、上述の浸漬原酒またはゆずポリフェノール(東洋精糖株式会社製)を添加した。各試験区のアルコール濃度を13(v/v)%に揃えるため所定の醸造アルコール(95.3(v/v)%)を添加した。また、各試験区の苦みと甘味のバランスのバランスを取るため、所定の果糖ぶどう糖液糖(フジフラクトH-100:日本食品化工株式会社製)を添加した。このようにして構成した各試験飲料を均一になるまで撹拌した後、冷却し試飲評価を実施した。
(2)官能評価
官能評価の評価項目として、甘味、苦味の2つの項目を設定した。以下に、それぞれの評価項目の具体的な評価基準を示す。
a.甘味:後味に残らない自然な甘味。A:十分強く感じられる、B:やや強く感じられる、C:感じられる、D:感じられない、の4段階で評価。
b.苦味:後味に残らない柑橘様の苦味。A:十分強く感じられる、B:やや強く感じられる、C:感じられる、D:感じられない、の4段階で評価。
官能評価は、訓練された4名のパネルによって実施した。
また、これら2項目の結果に基づく総合評価としての柑橘系特有の苦味と複雑さを併せ持つ果汁感が、A:十分強く感じられる、B:やや強く感じられる、C:感じられる、D:感じられない、の4段階で導き出した。
(3)評価結果
ナリンジン濃度およびナリンジンを含有する原材料が低果汁アルコール飲料の香味特徴に与える影響の検討結果を、以下の表3に示す。
Figure 2016220633
(参考)市販品の分析結果
表4に、国内で市販されている低果汁アルコール飲料中のナリンジン濃度を示す。
Figure 2016220633
ナリンジン濃度は、10〜30ppmで良好な香味特徴を示した(試験区16〜21)。そのうち、同じナリンジン濃度でも、グレープフルーツピューレを使用した浸漬原酒の方が、ゆずポリフェノールと比較して香味特徴にすぐれていた(試験区16、18および20)。また、既存の市販品のナリンジン濃度は3ppmに満たないことがわかった(表4)。これらの結果より、最終のナリンジン濃度を3ppm以上、好ましくは10ppm以上に調整することにより、低果汁アルコール飲料に好ましい果汁感を付与できることが明らかとなった。また、上述の浸漬原酒を用いることにより、低果汁アルコール飲料に複雑味を伴う果汁感を付与することができ、特に、グレープフルーツピューレを用いて調製した浸漬原酒を用いたときに極めて良好な果汁感が得られることが明らかとなった。

Claims (12)

  1. 柑橘系果汁の濃度が5(w/v)%以下の、柑橘系果汁風味を有するアルコール飲料であって、該アルコール飲料中のナリンジン濃度が3ppm以上である、アルコール飲料。
  2. 前記ナリンジン濃度が10ppm以上である、請求項1に記載のアルコール飲料。
  3. 蒸留酒を40〜60(v/v)%のアルコール濃度で含んでなる浸漬液中で、20〜40(w/v)%の柑橘系果実を、温度30〜50℃、期間4〜7日の条件で浸漬することにより製造された浸漬原酒を含有する、請求項1または2に記載のアルコール飲料。
  4. 柑橘系の果汁感が増強された低果汁アルコール飲料を製造する方法であって、柑橘系果汁の濃度が5(w/v)%以下のアルコール飲料の製造過程において、ナリンジンの濃度を3ppm以上に調整する工程を含んでなる、方法。
  5. ナリンジンの濃度が10ppm以上に調整される、請求項4に記載の方法。
  6. ナリンジンの濃度の調整が、蒸留酒を40〜60(v/v)%のアルコール濃度で含んでなる浸漬液中で、20〜40(w/v)%の柑橘系果実を、温度30〜50℃、期間4〜7日の条件で浸漬することにより製造された浸漬原酒の添加によって行われる、請求項4または5に記載の方法。
  7. ナリンジンの濃度を3ppm以上に調整する工程を含んでなる、柑橘系果汁の濃度が5(w/v)%以下のアルコール飲料に柑橘系の果汁感を付与する方法。
  8. 蒸留酒を40〜60(v/v)%のアルコール濃度で含んでなる浸漬液中で、20〜40(w/v)%の柑橘系果実を、温度30〜50℃、期間4〜7日の条件で浸漬することにより製造される、浸漬原酒。
  9. 蒸留酒を40〜60(v/v)%のアルコール濃度で含んでなる浸漬液中で、20〜40(w/v)%の柑橘系果実を、温度30〜50℃、期間4〜7日の条件で浸漬することを特徴とする、浸漬原酒の製造方法。
  10. 前記浸漬液が、ミネラルを含有するアルカリイオン水に蒸留酒を溶解して得られたものである、請求項9に記載の製造方法。
  11. 前記蒸留酒が、醸造アルコール、スピリッツ、ウォッカ、ラム、テキーラ、ジン及び焼酎からなる群から選択されるものである、請求項9または10に記載の製造方法。
  12. 前記柑橘系果実がグレープフルーツである、請求項9〜11のいずれか一項に記載の製造方法。
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