JP2022136561A - 飲料 - Google Patents

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慈 鈴木
Shigeru Suzuki
知輝 高岸
Tomoki Takagishi
哲彦 武邑
Tetsuhiko TAKEMURA
智子 石引
Tomoko ISHIBIKI
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Abstract

【課題】2-アセチルピラジンが一定濃度で含まれていても、異臭が抑制され、嗜好性に優れる飲料を提供すること。【解決手段】本発明は、2-アセチルピラジンを5~50ppbの含有量で含む飲料であって、2-フェニルエチルアルコールを1.1~2000ppb、アセトインを10~2000ppbの割合で含有する。ここで、飲料は、焙煎された穀物の抽出液を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、飲料に関する。
飲料においては、嗜好性を高めるうえですっきりさや止渇性を高めたドリンカビリティーのある設計や、素材本来の味わいや濃さを強化した飲みごたえのある設計が求められることが多い。これらの要求される品質を満たすうえでは、様々な素材の選定や抽出技術によって香味を設計することが不可欠となる。
しかしながら、天然の素材由来の抽出物を含む場合においては、設計の過程で嗜好性を低下させる好ましくない成分が混入してしまうことも少なくない。そのような嗜好性の低下に影響を与える成分の一つとして、2-アセチルピラジン(2-acetylpyrazine)が知られている。2-アセチルピラジンは、飲料中に少量存在するだけでもナッツ臭や油臭といった異臭が感じられ、香味等の嗜好性を低減させる。
したがって、飲料においては、2-アセチルピラジンの混入を防ぐことが嗜好性の改善や向上を目指すうえで重要であるが、2-アセチルピラジンは穀物系の素材をはじめとする多くの素材に含まれているため、混入を防ぐことが容易でない。
ここで、例えば特許文献1では、ピラジン誘導体による臭気の抑制剤の探索方法が提案されている。
国際公開第2013/119312号
現在のところ、飲料において、2-アセチルピラジンによるナッツ臭や油臭といった異臭による香味への悪影響を効率的に緩和させる手段は知られていない。
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、2-アセチルピラジンが一定濃度で含まれていても、異臭が抑制され、嗜好性に優れる飲料を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、例えば天然の素材由来の抽出物に2-アセチルピラジンが含有される飲料において、2-フェニルエチルアルコールとアセトインとをそれぞれ所定の割合で含有させることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
(1)本発明の第1の発明は、2-アセチルピラジンを5~50ppbの含有量で含む飲料であって、2-フェニルエチルアルコールを1.1~2000ppb、アセトインを10~2000ppbの割合で含有する、飲料である。
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記2-フェニルエチルアルコールの含有量が2.0~300ppbである、飲料である。
(3)本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記アセトインの含有量が10~300ppbである、飲料である。
(4)本発明の第4の発明は、第1乃至第3のいずれかの発明において、焙煎された穀物の抽出液を含む、飲料である。
(5)本発明の第5の発明は、2-アセチルピラジンを5~50ppbの含有量で含む飲料に、2-フェニルエチルアルコールをその含有量が1.1~2000ppb、アセトインをその含有量が10~2000ppbとなるように添加する、飲料の異臭を抑制する方法である。
(6)本発明の第6の発明は、2-フェニルエチルアルコールと、アセトインと、を含み、2-アセチルピラジンを5~50ppbの含有量で含む飲料中に、前記2-フェニルエチルアルコールの含有量が1.1~1000ppb、前記アセトインの含有量が10~2000ppbとなるように添加して用いられる、飲料の異臭の抑制剤である。
本発明によれば、2-アセチルピラジンが一定濃度で含まれていても、ナッツ臭や油臭といった異臭が抑制され、嗜好性に優れる飲料を提供することができる。
以下、本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」ともいう)について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更が可能である。また、本明細書において「X~Y」(X、Yは任意の数値)との表記は、「X以上Y以下」の意味である。
≪1.飲料≫
本実施の形態に係る飲料は、例えば天然の素材由来の抽出物に5~50ppbの含有量の2-アセチルピラジンを含有する飲料である。この飲料は、2-フェニルエチルアルコール(2-phenylethylalcohol)を1.1~1000ppbの割合で、また、アセトイン(acetoin)を10~2000ppbの割合で含有する。
このように特定の割合で2-フェニルエチルアルコールとアセトインとを含有するよう設計することで、2-アセチルピラジンによるナッツ臭や油臭といった異臭が抑制され、嗜好性に優れる飲料とすることができる。なお、本明細書において、「異臭」とは、2-アセチルピラジンに由来するナッツ臭や油臭といったオフフレーバーを意味する。
ここで、2-フェニルエチルアルコールは、日本酒やワイン等の香気成分である。また、アセトインは、ヨーグルトやバター等の香気成分である。本発明者らによる研究の結果、2-アセチルピラジンを含有する飲料に、2-フェニルエチルアルコールとアセトインとを特定の割合で含有させることで、これらの成分が2-アセチルピラジンに由来するナッツ臭や油臭といった異臭をマスキングして、その異臭を効果的に抑制できることを見出した。
飲料の種類としては、特に限定されるものではない。例えば、焙煎された穀物の抽出液を含む飲料、乳性飲料、コーヒー飲料、機能性飲料、炭酸飲料等が挙げられる。中でも、様々な素材の抽出物を含有させることにより2-アセチルピラジンが混入しやすいという観点から、飲料は焙煎された穀物の抽出液を含むものであることが好ましく、茶飲料であることがより好ましい。
例えば、飲料が焙煎された穀物の抽出液を含むものである場合、ある一種の焙煎された穀物を抽出して得られる抽出物を含む液体だけでなく、その抽出物に他の植物の抽出物を混合して得られる液体、もしくはこれらの液体に添加物を加えて得られる液体、又はこれらの液体を乾燥したものを分散させてなる液体等を含む。
また、飲料が茶飲料である場合、飲料に含まれる抽出物の由来となる植物の品種、産地、摘採時期、摘採方法、栽培方法等は、特に限定されない。植物の種類も特に限定されず、例えば、大麦、ハトムギ、玄米、ハブ茶、トウモロコシ、黒豆、大豆、小豆、芋、びわの葉、チャの葉、昆布、熊笹、ごま、柿の葉、アマチャヅル、桑の葉、霊芝、クコ、みかんの皮、ユズの皮、杜仲葉、シソの葉、ドクダミ、オオバコ、ギムネマ、ルイボス、ラフマ、タンポポ、ペパーミント、モロヘイヤ、陳皮、イチョウ、松葉、蓮、オリーブ、大麦若葉、カワラケツメイ、仙草、明日葉、よもぎ、月見草等を用いることができる。これらの中でも、大麦、ハトムギ、玄米、ハブ茶、トウモロコシ、小豆、びわの葉、ユズの皮、タンポポ、カワラケツメイ等を好ましく用いることができる。なお、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの植物のうち、大麦、ハトムギ、玄米、ハブ茶、トウモロコシ、黒豆、大豆、小豆等の穀物系の素材には、2-アセチルピラジンが含まれていることが多く、これらの穀物成分の抽出物を含む飲料においては、特に有効となる。
[2-アセチルピラジン]
本実施の形態に係る飲料には、2-アセチルピラジンが含まれる。2-アセチルピラジンは、主には飲料を構成する素材に由来する香気成分である。また、飲料中における2-アセチルピラジンの含有量は5~50ppbの範囲である。
上述したように、2-アセチルピラジンは、ナッツ臭や油臭といった異臭を付与する成分であり、飲料の嗜好性を低下させる成分であることから、その含有量は低いことが好ましく、40ppb以下であることがより好ましい。一方、本実施の形態に係る飲料では、詳しくは後述するように、2-フェニルエチルアルコールとアセトインとを特定の割合で含有することから、それら成分が2-アセチルピラジンに由来する異臭を効果的に抑制する。具体的に、飲料中における2-アセチルピラジンの含有量が7ppb以上であっても、10ppb以上であっても、さらには20ppb以上であっても、効果的にその異臭を抑制することができる。
飲料中の2-アセチルピラジンの含有量は、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)を用いて測定することができる。GC-MSの測定は、例えば後述する実施例に示す条件に基づいて行うことができる。また、各原料中における濃度が把握できている場合には計算することもできる。
[2-フェニルエチルアルコール]
本実施の形態に係る飲料には、2-フェニルエチルアルコールが含まれる。2-フェニルエチルアルコールは、香気成分であり、後述するアセトインと共に、素材に由来して飲料中に含まれることとなる2-アセチルピラジンによる異臭をマスキングする。
2-フェニルエチルアルコールは、特に限定されないが、化合物の市販品を用いることができ、その市販品を飲料中に配合する。あるいは、2-フェニルエチルアルコールが含まれる天然物やその抽出物等を配合することで、飲料中に配合させることができる。
特に、2-フェニルエチルアルコールは、発酵素材に比較的多く含まれる香気成分である。そのため、飲料としては、発酵した原料を含むものであってもよい。
飲料中の2-フェニルエチルアルコールの含有量は、1.1~2000ppbの範囲である。飲料中の2-フェニルエチルアルコールの含有量をこのような範囲に設定することで、後述するアセトインと共に、2-アセチルピラジンに由来するナッツ臭や油臭といった異臭を効果的にマスキングして低減させることができる。
2-フェニルエチルアルコールの含有量の下限値は、2.0ppb以上であることが好ましく、5.0ppb以上であることがより好ましい。好ましくはこのような範囲で含有することで、異臭の抑制効果をより一層に高めることができる。他方で、2-フェニルエチルアルコールは、アルコール成分であるため、その含有量が多すぎると飲料においていわゆるアルコール感が生じてしまい、飲料のおいしさを損なわせる可能性もある。このような点から、飲料中の2-フェニルエチルアルコールの含有量の上限値は、1000ppb以下であることが好ましく、300ppb以下であることがより好ましく、150ppb以下であることが更に好ましい。
本実施の形態に係る飲料では、2-フェニルエチルアルコールと共にアセトインを含有する。したがって、これら2つの香気成分の相乗効果によって2-アセチルピラジンに由来する異臭をより効果的にマスキングし、異臭抑制効果を発揮させることができる。また、例えば2-フェニルエチルアルコールの含有により生じ得る可能性のあるアルコール感を抑えながら、効果的に異臭を抑制することができる。
飲料中の2-フェニルエチルアルコールの含有量は、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)を用いて測定することができる。GC-MSの測定は、例えば後述する実施例に示す条件に基づいて行うことができる。また、各原料中における濃度が把握できている場合には計算することもできる。
[アセトイン]
本実施の形態に係る飲料では、アセトインが含まれる。アセトインは、香気成分であり、上述した2-フェニルエチルアルコールと共に、素材に由来して飲料中に含まれることとなる2-アセチルピラジンによる異臭をマスキングする。
アセトインは、特に限定されないが、化合物の市販品を用いることができ、その市販品を飲料中に配合する。あるいは、アセトインが含まれる天然物やその抽出物等を配合することで、飲料中に配合させることができる。
特に、アセトインは、2-フェニルエチルアルコールと同様に、発酵素材に比較的多く含まれる香気成分である。そのため、飲料としては、発酵した原料を含むものであってもよい。
飲料中のアセトインの含有量は、10~2000ppbの範囲である。飲料中のアセトインの含有量をこのような範囲に設定することで、上述した2-フェニルエチルアルコールと共に、2-アセチルピラジンに由来するナッツ臭や油臭といった異臭を効果的にマスキングして低減させることができる。
アセトインの含有量の下限値は、15ppb以上であることが好ましく、20ppb以上であることがより好ましい。好ましくはこのような範囲で含有することで、異臭の抑制効果をより一層に高めることができる。他方で、アセトインは、アルコール成分であるため、その含有量が多すぎると飲料においていわゆるアルコール感が生じてしまい、飲料のおいしさを損なわせる可能性もある。このような点から、飲料中のアセトインの含有量の上限値は、1000ppb以下であることが好ましく、300ppb以下であることがより好ましく、150ppb以下であることが更に好ましい。
本実施の形態に係る飲料では、アセトインと共に2-フェニルエチルアルコールを含有する。したがって、これら2つの香気成分の相乗効果によって2-アセチルピラジンに由来する異臭をより効果的にマスキングし、異臭抑制効果を発揮させることができる。また、例えばアセトインの含有により生じ得る可能性のあるアルコール感を抑えながら、効果的に異臭を抑制することができる。
飲料中のアセトインの含有量は、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)を用いて測定することができる。GC-MSの測定は、例えば後述する実施例に示す条件に基づいて行うことができる。また、各原料中における濃度が把握できている場合には計算することもできる。
[その他の成分]
本実施の形態に係る飲料においては、その効果を阻害しない範囲で、一般的な飲料に通常用いられる他の原料や添加剤を適宜配合できる。なお、その配合量は、目的とする効果に応じて適宜調整できる。具体的には、例えば、酸化防止剤、pH調整剤、香料、各種エステル類、有機酸類、有機酸塩類、無機酸類、無機酸塩類、無機塩類、色素類、乳化剤、保存料、調味料、品質安定剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
[容器]
本実施の形態に係る飲料においては、容器に充填することで容器詰飲料とすることができる。容器としては、飲料業界で公知の密封容器であればよく、適宜選択して用いることができ、流通形態や消費者ニーズに応じて適宜決定できる。その具体例としては、ガラス、プラスチック(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等)、紙、アルミ、スチール等の単体、又はこれらの複合材料又は積層材料からなる密封容器が挙げられる。特に、透明(半透明も含む)容器が好ましい。透明容器は全体が透明であっても、一部が透明であってもよい。
≪2.飲料の製造方法≫
本実施の形態に係る飲料は、飲料の製造において採用される任意の条件や方法を用いて製造することができる。例えば、2-アセチルピラジンの含有量が5~50ppbである飲料に、含有量が1.1~2000ppbとなるように2-フェニルエチルアルコールを添加し、また、含有量が10~2000ppbとなるようにアセトインを添加する。さらにその他必要に応じて加えられる成分を添加するなどして飲料を調製する。
飲料中の2-アセチルピラジンの含有量は、任意の適当な方法により調整すればよい。また、2-フェニルエチルアルコールやアセトインを添加する方法についても、常法に従って行うことができる。
飲料の製造においては、例えば、準備されたそれぞれ所定量の成分を含有する抽出液等及び特定量の2-フェニルエチルアルコール及びアセトインを、順次又は同時に添加し、撹拌等により混合する方法が挙げられる。各成分の混合順序等については、特に限定されない。また、例えば茶飲料の場合では、複数の植物を予め混合して抽出処理を行って抽出液を得た後に、得られた抽出液に2-フェニルエチルアルコールとアセトインとを所定濃度となるように添加する方法も挙げられる。
2-フェニルエチルアルコールとアセトインを添加するにあたっては、香料(化学合成された化合物等)として添加する方法や、2-フェニルエチルアルコールやアセトインを含む食品素材の抽出液を添加する方法等が挙げられる。
製造された飲料は、容器に充填して容器詰飲料とすることができ、容器に充填する前又は後に、適宜殺菌処理してもよい。殺菌処理の方法は特に限定されず、通常のプレート式殺菌、チューブラー式殺菌、レトルト殺菌、バッチ殺菌、オートクレーブ殺菌等が挙げられる。
≪3.飲料の異臭を抑制する方法≫
上述したように、本実施の形態に係る飲料によれば、2-アセチルピラジンを含有する場合でも、2-フェニルエチルアルコールを1.1~2000ppbの含有量で、アセトインを10~2000ppbの含有量で配合されていることにより、2-アセチルピラジンによるナッツ臭又は油臭といった異臭が効果的に抑制された飲料となる。
したがって、このことから、2-アセチルピラジンを5~50ppbの含有量で含む飲料において、上述した2つの香気成分を添加することで、飲料の異臭を抑制する方法として定義することができる。すなわち、2-アセチルピラジンを5~50ppbの含有量で含む飲料に、2-フェニルエチルアルコールをその含有量が1.1~2000ppb、アセトインをその含有量が10~2000ppbとなるように添加する飲料の異臭を抑制する方法を定義することができる。
≪4.飲料の異臭の抑制剤≫
また、2-アセチルピラジンを5~50ppbの含有量で含む飲料に添加することで、その2-アセチルピラジンによるナッツ臭又は油臭といった異臭を抑制するための抑制剤として定義することもできる。
具体的には、飲料の異臭の抑制剤は、2-フェニルエチルアルコールと、アセトインとを含むものであり、2-アセチルピラジンの含有量が5~50ppbである飲料中に、2-フェニルエチルアルコールの含有量が1.1~2000ppbとなるように、アセトインの含有量が10~2000ppbとなるように、添加して用いられる。
飲料の異臭の抑制剤は、本分野において採用される任意の方法や適当な改良を加えた方法によって製造することができる。また、その抑制剤に、2-フェニルエチルアルコール及びアセトイン以外の成分が含まれる場合、その種類及び含量は、得ようとする効果に応じて適宜設計することができる。
以下、本発明の実施例を示してより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
≪試験1:2-アセチルピラジン添加による検証≫
[基準品及び試験サンプルの作製]
焙煎した大麦(L*=41)10gを、90℃、30倍容の水で抽出して抽出液を得た。なお、上記L*値は室温にした試料を、ミルサー(IFM-300,岩谷産業社製)を用いて20秒間粉砕した後に、粉砕後の試料を、分光色差計(SE7700,日本電色工業社製)を用いて反射法にて測定して得られた値である。
得られた抽出液に、L-アスコルビン酸ナトリウム0.3g、L-アスコルビン酸0.1g、炭酸水素ナトリウム0.2gをそれぞれ添加し、純水で1000gに定容し、調合液を得た。得られた調合液をUHT殺菌した後、10倍に希釈して無菌的にPETボトルに充填し、サンプル(基準品1)を得た。
そして、得られた基準品1に、2-アセチルピラジンを3~25ppbの各濃度となるように添加し、評価に用いる試験サンプルを作製した。
[2-アセチルピラジン含有量の分析]
基準品1及び試験サンプル中における2-アセチルピラジンの含有量は、ガスクロマトグラフ質量分析(GC-MS)を用いて下記の条件にて測定した。具体的には、分析対象である飲料100μLをバイアル瓶(容量10mL)に入れ、ゲステル社製MPSを用いるMVM(Multi Volatile Method)法によりGC-MS/MS(アジレント・テクノロジー社製)に導入した。検量線は標準添加法にて作成し、内標としてシクロヘキサノールを用いた。
(GC-MSの分析条件)
・機器 GC:Agilent 7890B GC System(アジレント・テクノロジー社製)
MS:Agilent 7000D GC/MS Triple Quad(アジレント・テクノロジー社製)
捕集管(吸着剤):Tenax TA、Carbopack-B & Carbopack-X
・カラム :DB-WAX UI(20m×0.18mm、膜厚0.30μm)(アジレント・テクノロジー社製)
・注入法 :スプリットレス
・キャリアガス :He(1.0ml/分)
・トランスファーライン :250℃
・昇温プログラム :40℃(3分間保持)→5℃/分→240℃(7分間保持)
・プリカーサーイオン>プロダクトイオン(CE(コリジョンエネルギー))
:2-acetylpyrazine 122>94(5V)
・イオン化方法 :EI
・四重極温度 :150℃
・イオン源温度 :230℃
[官能評価について]
作製した基準品1及び試験サンプルについて、専門パネル5名にて官能評価を行った。官能評価は、具体的には、基準品に対して、「おいしさ」、「香りの良さ」、「ナッツ様の香りの強さ」、「油臭の強さ」について比較評価することで行った。各評価点数は、下記の評価基準に従って各パネルがつけた評価点数の平均値として算出した。かかる評価においては、基準品1の点数を基準値(4点)として評価した。なお、「おいしさ」は「嗜好性の高さ」を、「香りの良さ」は「穀物茶全体の香りの印象」を、「ナッツ様の香りの強さ」は「アーモンド様、ナッティーな香りの強度」を、「油臭の強さ」は「豆様、油っぽい香りの強度」をそれぞれ評価した。
「おいしさ」、「香りの良さ」については、下記評価基準に基づき7段階で評価した。
(評価基準)7点:かなり良い、6点:良い、5点:やや良い、4点:基準品と同等、3点:やや悪い、2点:悪い、1点:かなり悪い
「ナッツ様の香りの強さ」、「油臭の強さ」については、下記評価基準に基づき7段階で評価した。
(評価基準)7点:かなり強い、6点:強い、5点:やや強い、4点:基準品と同等、3点:やや弱い、2点:弱い、1点:かなり弱い
[結果]
下記表1に、基準品1及び試験サンプル中の2-アセチルピラジン濃度及び官能評価結果を示す。評価における「おいしさ」、「香りの良さ」については、上記の評価基準にあるように、点数が大きくなるほど評価が高いことを意味する。また、「ナッツ様の香りの強さ」、「油臭の強さ」については、上記の評価基準にあるように、点数が小さくなるほど感じられにくくなっており、評価が高いことを意味する。
Figure 2022136561000001
表1に示されるとおり、2-アセチルピラジン濃度が高くなると「ナッツ様の香りの強さ」、「油臭の強さ」が強く感じられるようになり、「おいしさ」及び「香りの良さ」が不良であった。したがって、飲料において2-アセチルピラジンが、特に5ppb以上の割合で含まれることで、ナッツ臭や油臭といった異臭が感じられ、飲料の嗜好性を低下させることがわかる。
≪試験2:2-フェニルエチルアルコール及びアセトインの添加による検証≫
<試験2-1:アセトインの濃度を変化させてサンプルを調製>
[基準品及び試験サンプルの作製]
上記で得られた基準品1に2-アセチルピラジンを濃度50ppbとなるように添加して、基準品2を作製した。基準品2の2-フェニルエチルアルコール濃度は0.09ppbであり、アセトイン濃度は9ppbであった。また、得られた基準品2に、2-フェニルエチルアルコール及びアセトインを、下記表2に示す濃度となるように添加し、各試験サンプル(比較例1、実施例1~実施例4、参考例4)を作製した。
基準品2及び各試験サンプル中における2-フェニルエチルアルコール及びアセトインの含有量は、ガスクロマトグラフ質量分析(GC-MS)を用いて下記の条件にて測定した。具体的には、ゲステル社製MPSを用いるMVM(Multi Volatile Method)法によりGC-MS(アジレント・テクノロジー社製)に導入した。検量線は標準添加法にて作成し、内標としてシクロヘキサノールを用いた。
(GC-MSの分析条件)
・機器 GC:7890B(アジレント・テクノロジー社製)
MS:5977B MSD(アジレント・テクノロジー社製)
HS:MPS(ゲステル社製)
TUBE:Tenax TA、CarbopackB/X
・カラム:DB-WAX UI(30m×0.25mm、膜厚0.25μm)
・定量イオン:2-phenylethylalcohol m/z=91
acetoin m/z=88
・温度条件:40℃(2分)~8℃/分→240℃(10分)
・キャリアガス流量:He 1ml/分
・注入法:スプリットレス
・イオン源温度:230℃
[官能評価について]
作製した基準品2及び各試験サンプルについて、専門パネル4名にて官能評価を行った。官能評価は、具体的には、基準品2に対して、「おいしさ」、「香りの良さ」、「後味の良さ」、「ナッツ様の香りの強さ」、「油臭の強さ」、「アルコール感の強さ」について比較評価することで行った。各評価点数は、試験1と同様の評価基準に従って各パネルがつけた評価点数の平均値として算出した。かかる評価においては、基準品2の点数を基準値(4点)として評価した。
なお、「後味の良さ」については、「おいしさ」、「香りの良さ」と同様の評価基準に基づき7段階で評価した。また、「アルコール感の強さ」については、「ナッツ様の香りの強さ」、「油臭の強さ」と同様の評価基準に基づき7段階で評価した。
[結果]
下記表2に、基準品2及び各試験サンプル中の2-アセチルピラジン濃度、2-フェニルエチルアルコール濃度、アセトイン濃度、及び官能評価結果を示す。評価における「おいしさ」、「香りの良さ」については、点数が大きくなるほど評価が高いことを意味する。また、「ナッツ様の香りの強さ」、「油臭の強さ」、「アルコール感の強さ」については、上記の評価基準にあるように、点数が小さくなるほど感じられにくくなっており、評価が高いことを意味する。なお、表中の評価の欄における「-」は、評価不実施であることを示す。
Figure 2022136561000002
表2にあるように、実施例1~4では、比較例1と比べて「ナッツ様の香りの強さ」の評価が高くなり、異臭が抑制されたことを示した。また、実施例1~4では、異臭の抑制効果に加えて、「おいしさ」や「香りの良さ」、「後味の良さ」が向上しており嗜好性に優れるものであった。
ここで、基準品2に2-フェニルエチルアルコールを10ppbの濃度で含有させた試験サンプルである参考例4においても、実施例1~4と同様に異臭を抑えて嗜好性に優れるものであった。実施例1~4では、参考例4のサンプルに含まれる2-フェニルエチルアルコールよりも少ない含有量であるにもかかわらず、その2-フェニルエチルアルコールに加えてアセトインを10ppb以上の割合で含有させることで、その参考例4と同等の効果が表れていることが分かる。このことは、2-フェニルエチルアルコールとアセトインとの相乗効果によって、異臭をより効果的に抑制し、嗜好性に優れる飲料にすることができたためと考えられる。
<試験2-2:2-フェニルエチルアルコールの濃度を変化させてサンプルを調製>
[基準品及び試験サンプルの作製]
上記で得られた基準品2に、2-フェニルエチルアルコール及びアセトインを、下記表3に示す濃度となるように添加し、各試験サンプル(実施例5~実施例9、参考例5)を作製した。
基準品2及び各試験サンプル中における2-フェニルエチルアルコール及びアセトインの含有量は、試験2-1と同様に、ガスクロマトグラフ質量分析(GC-MS)を用いて下記の条件にて測定した。具体的には、ゲステル社製MPSを用いるMVM(Multi Volatile Method)法によりGC-MS(アジレント・テクノロジー社製)に導入した。検量線は標準添加法にて作成し、内標としてシクロヘキサノールを用いた。
[官能評価について]
作製した基準品2及び各試験サンプルについて、専門パネル5名にて官能評価を行った。官能評価は、具体的には、基準品2に対して、「おいしさ」、「香りの良さ」、「後味の良さ」、「ナッツ様の香りの強さ」、「油臭の強さ」、「アルコール感の強さ」について比較評価することで行った。各評価点数は、試験1と同様の評価基準に従って各パネルがつけた評価点数の平均値として算出した。かかる評価においては、基準品2の点数を基準値(4点)として評価した。
なお、「後味の良さ」については、「おいしさ」、「香りの良さ」と同様の評価基準に基づき7段階で評価した。また、「アルコール感の強さ」については、「ナッツ様の香りの強さ」、「油臭の強さ」と同様の評価基準に基づき7段階で評価した。
[結果]
下記表3に、基準品2及び各試験サンプル中の2-アセチルピラジン濃度、2-フェニルエチルアルコール濃度、アセトイン濃度、及び官能評価結果を示す。評価における「おいしさ」、「香りの良さ」については、点数が大きくなるほど評価が高いことを意味する。また、「ナッツ様の香りの強さ」、「油臭の強さ」、「アルコール感の強さ」については、上記の評価基準にあるように、点数が小さくなるほど感じられにくくなっており、評価が高いことを意味する。なお、表中の評価の欄における「-」は、評価不実施であることを示す。
Figure 2022136561000003
表3にあるように、実施例5~9では、「ナッツ様の香りの強さ」、「油臭の強さ」の評価が高くなり、異臭が抑制されたことを示した。また、実施例5~9では、異臭の抑制効果に加えて、「おいしさ」や「香りの良さ」、「後味の良さ」が向上しており嗜好性に優れるものであった。
ここで、基準品2にアセトインを115ppbの濃度で含有させた試験サンプルである参考例5においても、実施例5~9と同様に異臭を抑えて嗜好性に優れるものであった。特に実施例5~8では、参考例5のサンプルと同等量のアセトインを含むが、そのアセトインに加えて2-フェニルエチルアルコールを1.1ppb以上の割合で含有させることで、その参考例5と比べて「ナッツ様の香りの強さ」、「油臭の強さ」の評価が高くなり、異臭の抑制効果が向上しているのが分かる。このことは、アセトインと2-フェニルエチルアルコールとの相乗効果によって、異臭をより効果的に抑制し、嗜好性に優れる飲料にすることができたためと考えられる。

Claims (6)

  1. 2-アセチルピラジンを5~50ppbの含有量で含む飲料であって、
    2-フェニルエチルアルコールを1.1~2000ppb、アセトインを10~2000ppbの割合で含有する、
    飲料。
  2. 前記2-フェニルエチルアルコールの含有量が2.0~300ppbである、
    請求項1に記載の飲料。
  3. 前記アセトインの含有量が10~300ppbである、
    請求項1又は2に記載の飲料。
  4. 焙煎された穀物の抽出液を含む、
    請求項1乃至3のいずれかに記載の飲料。
  5. 2-アセチルピラジンを5~50ppbの含有量で含む飲料に、
    2-フェニルエチルアルコールをその含有量が1.1~2000ppb、アセトインをその含有量が10~2000ppbとなるように添加する、
    飲料の異臭を抑制する方法。
  6. 2-フェニルエチルアルコールと、アセトインと、を含み、
    2-アセチルピラジンを5~50ppbの含有量で含む飲料中に、前記2-フェニルエチルアルコールの含有量が1.1~1000ppb、前記アセトインの含有量が10~2000ppbとなるように添加して用いられる、
    飲料の異臭の抑制剤。
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JP2022168002A (ja) * 2018-02-14 2022-11-04 株式会社三洋物産 遊技機

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