JP2014112087A - 荷電粒子線による検査装置及びその検査装置を用いたデバイス製造方法 - Google Patents

荷電粒子線による検査装置及びその検査装置を用いたデバイス製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】基板表面の帯電量のむらを防止すること。
【解決手段】電子線を用いて基板Wを検査する電子線検査装置は、基板Wの被検査領域を照射する電子銃59・6と、基板Wから放出された電子を検出する検出器59・4と、プレチャージユニット59・5とを備える。プレチャージユニット59・5は、電子線を照射する前に、検査領域を含む領域に電子線を照射する手段と、電子線を照射する前に、検査領域を含む領域に導電性膜を塗布する手段と、検査中に基板Wの表面にアルゴン、酸素等の負性ガスを吹き付ける手段と、照射エネルギ3〜5keVの負帯電モードに調整する手段59・21と、照射エネルギ0.5〜3keVで反射電子を検査するよう調整する手段とのうちの少なくとも1つである。
【選択図】図59

Description

本発明は、電子ビームを用いて検査対象の表面に形成されたパターンの欠陥等を検査する検査装置に関し、詳しくは、半導体製造工程におけるウェーハの欠陥を検出する場合のように、電子ビームを検査対象に照射してその表面の性状に応じて変化する二次電子を捕捉して画像データを形成し、その画像データに基づいて検査対象の表面に形成されたパターン等を高いスループットで検査する検査装置、並びにそのような検査装置を用いて歩留まり良くデバイスを製造するデバイス製造方法に関する。より具体的には、面ビームを用いた写像投影方式による検出装置および該装置を用いたデバイス製造方法に関する。
半導体プロセスにおいて、デザインルールは100nmの時代を迎えようとしており、また生産形態はDRAMに代表される少品種大量生産からSOC(Silicon on
chip)のように多品種少量生産へ移行しつつある。それに伴い、製造工程数が増加し、各工程毎の歩留まり向上は必須となり、プロセス起因の欠陥検査が重要になる。本発明は半導体プロセスにおける各工程後のウェーハ等の検査に用いられる装置に関し、電子ビームを用いた検査方法及び装置またはそれを用いたデバイス製造方法に関する。
半導体デバイスの高集積化、パターンの微細化に伴い、高分解能、高スループットの検査装置が要求されている。100nmデザインルールのウェーハ基板の欠陥を調べるためには、100nm以下の線幅を有する配線におけるパターン欠陥やパーティクル・ビアの欠陥及びこれらの電気的欠陥を見る必要があり、したがって100nm以下の分解能が必要であり、デバイスの高集積化による製造工程の増加により、検査量が増大するため、高スループットが要求されている。また、デバイスの多層化が進むにつれて、層間の配線をつなぐビアのコンタクト不良(電気的欠陥)を検出する機能も、検査装置に要求されている。現在は主に光方式の欠陥検査装置が使用されているが、分解能及びコンタクト不良検査の点では、光方式の欠陥検査装置に代わって、電子ビームを用いた欠陥検査装置が今後は検査装置の主流になると予想される。ただし、電子ビーム方式欠陥検査装置にも弱点があり、それはスループットの点で光方式に劣ることである。
このため、高分解能、高スループット、且つ電気的欠陥検出が可能な検査装置の開発が要求されている。光方式での分解能は使用する光の波長の1/2が限界と言われており、実用化されている可視光の例では0.2μm程度である。
一方、電子ビームを使用する方式では、通常、走査型電子ビーム方式(SEM方式)が実用化されており、分解能は0.1μm、検査時間は8時間/枚(200mmウェーハ)である。電子ビーム方式はまた、電気的欠陥(配線の断線、導通不良、ビアの導通不良等)も検査可能であることが大きな特徴であるが、検査速度が非常に遅く、検査速度の速い欠陥検査装置の開発が期待されている。
一般に、検査装置は高価であり、またスループットも他のプロセス装置に比べて低いために、現状では重要な工程の後、例えばエッチング、成膜、又はCMP(化学機械研磨)平坦化処理後等に使用されている。
電子ビームを用いた走査(SEM)方式の検査装置について説明する。SEM方式の検査装置は電子ビームを細く絞って(このビーム径が分解能に相当する)これを走査してラ
イン状に試料を照射する。一方、ステージを電子ビームの走査方向に直角の方向に移動させることにより、平面状に観察領域を電子ビームで照射する。電子ビームの走査幅は一般に数100μmである。前記細く絞られた電子ビーム(一次電子線と呼ぶ)照射により発生した試料からの二次電子を検出器(シンチレータ+フォトマルチプライヤ(光電子増倍管)又は半導体方式の検出器(PINダイオード型)等)で検出する。照射位置の座標と二次電子の量(信号強度)を合成して画像化し、記憶装置に記憶し、あるいはCRT(ブラウン管)上に画像を出力する。以上はSEM(走査型電子顕微鏡)の原理であり、この方式で得られた画像から工程途中の半導体(通常はSi)ウェーハの欠陥を検出する。検査速度(スループットに相当する)は一次電子線の量(電流値)、ビーム径及び検出器の応答速度で決まる。ビーム径0.1μm(分解能と同じと考えてよい)電流値100nA、検出器の応答速度100MHzが現在の最高値で、この場合で検査速度は20cm径のウェーハ一枚あたり約8時間と言われている。この検査速度が光方式に比べてきわめて遅い(1/20以下)ことが大きな問題点となっている。特に、ウェーハ上に作られた100nm以下のデザイン・ルールのデバイス・パターン、即ち、100nm以下の線幅や直径100nm以下のビア等の形状欠陥や電気的欠陥の検出及び100nm以下のゴミの高速の検出が必要となっている。
上で説明したSEM方式の検査装置では、上記の検査速度がほぼ限界と考えられており、更に高速にする、すなわちスループットを上げるためには新しい方式が必要である。
こうした必要に応えるため、本発明は、
行列を成したダイ内に形成されたパターンを有する基板を、電子を用いて検査する方法であって、
前記基板をステージ上に方向を指定して載置するステップと、
位置決めの基準となる基準ダイを選択し、該基準ダイの特徴点の座標を含んだパターンマッチ用テンプレート画像を取得するステップと、
前記基準ダイを含む行又は列にある任意のダイに、前記テンプレート画像を用いてパターンマッチを実行し、前記任意のダイの特徴点の座標を取得するステップと、
前記任意のダイと前記基準ダイとの特徴点座標に基づき、前記基準ダイを含む行又は列と前記電子が前記基板を走査する方向とが成すずれ角を算出するステップと、
前記ずれ角を補正するように前記ステージを移動させて前記基板の位置合わせを行うステップと、
前記電子を前記基板に向けて照射するステップと
を含むことを特徴とする検査方法
を提供する。
前記試料の表面の情報を得た電子は、前記試料より発生する二次電子、反射電子、後方散乱電子のうちの少なくとも1つ、或いは前記試料の表面付近で反射されたミラー電子であることが望ましい。
本発明の検査方法により、100nm以下の線幅の配線を有するウェーハ等の基板の欠陥を検査することが可能となる。
半導体検査装置の全体構成を示す図である。 図1の装置の全体構成を示す図である。 図1の装置の全体構成を機能から見た図である。 図1の装置の検査部の主要構成要素を示す図である。 図1の装置の検査部の主要構成要素を示す図である。 図1の装置の検査部の主要構成要素を示す図である。 図1の装置の検査部の主要構成要素を示す図である。 図1の装置の検査部の主要構成要素を示す図である。 図1の装置の検査部の主要構成要素を示す図である。 図1の装置の検査部の主要構成要素を示す図である。 図1の装置の検査部外装を示す図である。 図1の装置の検査部外装を示す図である。 本発明に係る半導体検査装置の主要構成要素を示す立面図である。 本発明に係る半導体検査装置の主要構成要素を示す正面図である。 本発明に係る半導体検査装置のカセットホルダの構成の一例を示す図である。 本発明に係る半導体検査装置のミニエンバイロメント装置の構成を示す図である。 本発明に係る半導体検査装置のローダーハウジングの構成を示す図である。 本発明に係る半導体検査装置のローダーハウジングの構成を示す図である。 (A)及び(B)は、本発明に係る半導体検査装置に使用される静電チャックを説明する図である。 本発明に係る半導体検査装置に使用される静電チャックを説明する図である。 (A)及び(B)は、本発明に係る半導体検査装置に使用される静電チャックの他の例を説明する図である。 本発明に係る半導体検査装置に使用されるブリッジツールを説明する図である。 本発明に係る半導体検査装置に使用されるブリッジツールの他の例を説明する図である。 図22のロードロック室におけるエレベータ機構の構成と動作手順(A)〜(C)を説明する図である。 図22のロードロック室におけるエレベータ機構の構成と動作手順(D)〜(F)を説明する図である。 本発明に係る半導体検査装置における主ハウジングの支持方法の変形例を示す図である。 本発明に係る半導体検査装置における主ハウジングの支持方法の変形例を示す図である。 本発明に係る半導体検査装置のうちの写像投影型電子線検査装置の電子光学系の構成を示す図である。 本発明に係る半導体検査装置のうちの走査型電子線検査装置の電子光学系の構成を示す図である。 本発明に係る半導体検査装置の検出器回転機構の一例の構成を概略的に示す図である。 本発明に係る半導体検査装置の検出器回転機構の一例の構成を概略的に示す図である。 本発明に係る半導体検査装置の検出器回転機構の一例の構成を概略的に示す図である。 本発明に係る半導体検査装置の第1の実施の形態を示す図である。 (1)〜(5)〜は試料照射ビームの形状を説明する図である。 (1−1)〜(4)は線形ビームの照射形状を説明するための図である。 本発明に係る半導体検査装置における鏡筒からの二次電子の取り出しを説明する図である。 本発明に係る半導体検査装置の第2の実施の形態を示す図である。 本発明に係る半導体検査装置の第3の実施の形態を示す図である。 本発明に係る半導体検査装置の第4の実施の形態を示す図である。 本発明に係る半導体検査装置の第5の実施の形態を示す図である。 観察領域をカバーする照射領域を説明する図である。 照射形状と照射効率を説明する図である。 本発明に係る半導体検査装置の第6の実施の形態を示す図で、リレーレンズを用いた検出系の構成を示す図である。 本発明に係る半導体検査装置の第6の実施の形態を示す図で、FOPを用いた検出系の構成を示す図である。 (A)及び(B)は本発明に係る半導体検査装置の第8の実施の形態を示す図である。 透過率の開口部直径依存性を示すグラフである。 図37の装置における電子検出系の具体的構成例を示す図である。 (A)及び(B)は、図37の装置における電子検出系を3つのモードで動作させるための要件を説明する図である。 本発明に係る半導体検査装置のE×Bユニットの構成を示す図である。 図41の線Aに沿う断面図である。 本発明に係る半導体検査装置の第9の実施の形態を示す図である。 電界分布のシミュレーションを示す図である。 本発明に係る半導体検査装置の電源部の構成を示す図である。 図45に示す電源部の直流電圧を発生する回路方式を示す図である。 図45に示す電源部のスタテック両極性電源の回路構成の一例を示す図である。 図45に示す電源部における特殊電源を示す図である。 図45に示す電源部における特殊電源を示す図である。 図45に示す電源部における特殊電源を示す図である。 図45に示す電源部におけるリターディング・チャック向けの電源回路の一例を示す図である。 図45に示す電源部におけるEO補正用偏向電圧のハードウェア構成の一例を示す図である。 図45に示す電源部におけるオクタポール変換部の回路構成の一例を示す図である。 (A)は図45に示す電源部における高速高圧増幅器の回路構成の一例を示し、(B)は出力は形を示す図である。 図13に示す半導体検査装置のプレチャージユニットの第1の実施の形態を示す図である。 図13に示す半導体検査装置のプレチャージユニットの第2の実施の形態を示す図である。 図13に示す半導体検査装置のプレチャージユニットの第3の実施の形態を示す図である。 図13に示す半導体検査装置のプレチャージユニットの第4の実施の形態を示す図である。 図55〜図58に示すプレチャージユニットを備えた撮像装置を示す図である。 図60の装置の動作を説明する図である。 プレチャージユニットを備えた欠陥検査装置の他の構成例を示す図である。 図61に示す装置における、二次電子画像信号を電気信号へ変換する装置を示す図である。 図61に示す装置の動作を説明するフロー図である。 (a)、(b)、(c)は図63のフロー図における欠陥検出方法を説明する図である。 プレチャージユニットを備えた欠陥検査装置の他の構成例を示す図である。 プレチャージユニットを備えた欠陥検査装置の更に他の構成例を示す図である。 本発明に係る半導体検査装置の制御系の動作を説明する図である。 本発明に係る半導体検査装置の制御系の動作を説明する図である。 本発明に係る半導体検査装置の制御系の動作を説明する図である。 本発明に係る半導体検査装置の制御系の動作を説明する図である。 本発明に係る半導体検査装置の制御系の動作を説明する図である。 本発明に係る半導体検査装置の制御系の動作を説明する図である。 本発明に係る半導体検査装置の制御系の動作を説明する図である。 本発明に係る半導体検査装置におけるアライメント手順を説明する図である。 本発明に係る半導体検査装置におけるアライメント手順を説明する図である。 本発明に係る半導体検査装置におけるアライメント手順を説明する図である。 本発明に係る半導体検査装置における欠陥検査手順を説明する図である。 本発明に係る半導体検査装置における欠陥検査手順を説明する図である。 本発明に係る半導体検査装置における欠陥検査手順を説明する図である。 本発明に係る半導体検査装置における欠陥検査手順を説明する図である。 本発明に係る半導体検査装置における欠陥検査手順を説明する図である。 本発明に係る半導体検査装置における欠陥検査手順を説明する図である。 本発明に係る半導体検査装置における欠陥検査手順を説明する図である。 本発明に係る半導体検査装置における制御系の構成を説明する図である。 本発明に係る半導体検査装置におけるユーザーインターフェースの構成を説明する図である。 本発明に係る半導体検査装置におけるユーザーインターフェースの構成を説明する図である。 本発明に係る半導体検査装置のその他の機能と構成を説明する図である。 本発明に係る半導体検査装置のその他の機能と構成における電極を示す図である。 本発明に係る半導体検査装置のその他の機能と構成における電極を示す図である。 ウェーハと対物レンズとの間の電圧分布を示すグラフである。 本発明に係る半導体検査装置のその他の機能と構成における二次電子検出動作を説明するフロー図である。 図91に示す装置における電位印加機構を示す図である。 (A)及び(B)は、図91に示す装置における電子ビームキャリブレーション方法を説明する図である。 (A)及び(B)は、図91に示す装置におけるアライメント制御方法を説明する図である。 (A)及び(B)は、図91に示す装置におけるEO補正の概念を説明する図である。 図91に示す装置におけるEO補正のための具体的機器構成を説明する図である。 (A)及び(B)は、図91に示す装置におけるEO補正を説明する図である。 図91に示す装置におけるEO補正を説明する図である。 図91に示す装置におけるEO補正を説明する図である。 図91に示す装置におけるEO補正を説明する図である。 TDI転送クロックのアイデアを説明する図である。 TDI転送クロックのアイデアを説明する図である。 図102の回路の動作を説明するタイミングチャートを示す図である。 本発明に係る欠陥検査装置の変形例を示す図である。 図104に示す装置の動作を説明するフロー図である。 図104に示す装置の動作を説明するフロー図である。 図104に示す装置の動作を説明するフロー図である。 図104に示す装置の動作を説明するフロー図である。 図104に示す装置の動作を説明するフロー図である。 本発明に係る半導体デバイス製造方法を説明する図である。 本発明に係る半導体デバイス製造方法を説明する図である。 本発明に係る半導体デバイス製造方法の検査手順を説明する図である。 本発明に係る半導体デバイス製造方法の検査手順の基本的な流れを説明する図である。 検査対象ダイの設定を示す図である。 ダイ内部の検査領域の設定を説明する図である。 本発明に係る半導体デバイス製造方法の検査手順を説明する図である。 (A)及び(B)は、本発明に係る半導体デバイス製造方法の検査手順を説明する図である。 本発明に係る半導体デバイス製造方法の検査手順における、検査ダイが1個の場合の走査例を示す図である。 検査ダイの一例を示す図である。 本発明に係る半導体デバイス製造方法の検査手順における、参照画像の生成方法を説明する図である。 本発明に係る半導体デバイス製造方法の検査手順における隣接ダイ比較方法を説明する図である。 本発明に係る半導体デバイス製造方法の検査手順における隣接ダイ比較方法を説明する図である。 本発明に係る半導体デバイス製造方法の検査手順における基準ダイ比較方法を説明する図である。 本発明に係る半導体デバイス製造方法の検査手順における基準ダイ比較方法を説明する図である。 本発明に係る半導体デバイス製造方法の検査手順における基準ダイ比較方法を説明する図である。 本発明に係る半導体デバイス製造方法の検査手順におけるフォーカスマッピングを説明する図である。 本発明に係る半導体デバイス製造方法の検査手順におけるフォーカスマッピングを説明する図である。 本発明に係る半導体デバイス製造方法の検査手順におけるフォーカスマッピングを説明する図である。 本発明に係る半導体デバイス製造方法の検査手順におけるフォーカスマッピングを説明する図である。 本発明に係る半導体デバイス製造方法の検査手順におけるフォーカスマッピングを説明する図である。 本発明に係る半導体デバイス製造方法の検査手順におけるフォーカスマッピングを説明する図である。 本発明に係る半導体デバイス製造方法の検査手順におけるリソマージン測定を説明する図である。 本発明に係る半導体デバイス製造方法の検査手順におけるリソマージン測定を説明する図である。 本発明に係る半導体デバイス製造方法の検査手順におけるリソマージン測定を説明する図である。 本発明に係る半導体デバイス製造方法の検査手順におけるリソマージン測定を説明する図である。 本発明に係る半導体デバイス製造方法の検査手順におけるリソマージン測定を説明する図である。 本発明に係る半導体デバイス製造方法の検査手順におけるリソマージン測定を説明する図である。 本発明に係る半導体デバイス製造方法の検査手順におけるリソマージン測定を説明する図である。 本発明に係る半導体検査装置におけるステージ装置の一例を示す図である。 本発明に係る半導体検査装置におけるステージ装置の一例を示す図である。 本発明に係る半導体検査装置におけるステージ装置の一例を示す図である。 本発明に係る半導体検査装置におけるステージ装置の他の例を示す図である。 本発明に係る半導体検査装置におけるステージ装置の他の例を示す図である。 本発明に係る半導体検査装置におけるステージ装置の更に他の例を示す図である。 本発明に係る半導体検査装置におけるステージ装置の更に別の例を示す図である。 本発明に係る半導体検査装置におけるステージ装置の別の例を示す図である。 本発明に係る半導体検査装置におけるステージ装置の別の例を示す図である。 本発明に係る半導体検査装置におけるステージ装置の別の例を示す図である。 (A)及び(B)は従来のステージ装置を示す図である。 本発明に係る半導体検査装置における光学系及び検出器を示す図である。 (a)及び(b)は本発明に係る半導体検査装置の他の実施の形態を示す図である。 図150の電子線装置を詳細に示す図である。 本発明に係る半導体検査装置における一次電子照射方法を示す図である。 本発明に係る半導体検査装置の実施の形態を示す図で、絶縁破壊を防止する電極構造を備えている。 図153の装置の動作を説明する表である。 図153の装置における電極の構造を示す図である。 図153の装置における電極の構造を示す図である。 図153の装置における電極の構造を示す図である。 図153の装置における電極の構造を示す図である。 本発明に係る半導体検査装置の実施の形態を示す図で、制振装置を備えている。 (a)〜(c)は図159の装置を説明する図である。 図159の装置を説明する図である。 図159の装置を説明する図である。 図159の装置を説明する図である。 図(a)〜(c)は図159の装置におけるパターンマッチング法を説明する図である。 本発明に係る半導体検査装置におけるウェーハの保持を説明する図である。 本発明に係る半導体検査装置におけるウェーハの保持を説明する図である。 (a)及び(b)は本発明に係る半導体検査装置におけるウェーハの保持を説明する図である。 図166で説明したチャックを備えた電子線装置を示す図である。 図168に示す装置におけるE×B分離器を示す図である。 図168に示す装置におけるE×B分離器を示す図である。 本発明に係る検査装置を製造ラインに接続した実施の形態を示す図である。 (A)は、二次電子と反射電子を切り換えて用いることができる写像投影方式電子線装置の実施の形態を概略的に示す図であり、(B)は、その二次光学系の構成を概略的に示す図である。 図172の(A)における二次電子検出系の具体的構成を示す図である。 (A)及び(B)は、図172の(A)に示す欠陥検査装置の異なる動作モードを説明する図である。 図172の(A)に示す欠陥検査装置の二次光学系のレンズの具体的構成を示す図である。 (A)は、図172の(A)に示す写像投影方式電子線装置の変形例の構成を概略的に示す図であり、(B)は、その走査方法を説明する図である。 (A)は、図172の(A)に示す写像投影方式電子線装置の他の変形例の構成を概略的に示す図であり、(B)は、その走査方法を説明する図である。 図172の(A)に示す写像投影方式電子線装置の真空チャンバ及びXYステージの構造とそのための不活性ガス循環配管系を示す図である。 図178における差動排気機構の一例を示す図である。 検査システム全体の構成を概略的に示す図である。
以下、本発明に係る半導体検査装置の実施の形態を、図面を参照しながら、下記の順番で詳細に説明する。

1. 全体構成
1―1)メインチャンバ、ステージ、真空搬送系外装
1−1−1)アクティブ除振台
1−1−2)メインチャンバ
1−1−3)XYステージ
1−2)レーザ干渉測定系
1−3)検査部外装
2. 実施の形態
2−1)搬送系
2−1−1)カセットホルダ
2−1−2)ミニエンバイロメント装置
2−1−3)主ハウジング
2−1−4)ローダハウジング
2−1−5)ローダー
2−1−6)ステージ装置
2−1−7)ウェーハチャッキング機構
2−1−7−1)静電チャックの基本構造
2−1−7−2)200/300ブリッジツールのためのチャッキング機構
2−1−7−3)ウェーハチャッキング手順
2−1−8)200/300ブリッジツールのための装置構成
2−2)ウェーハの搬送方法
2−3)電子光学系
2−3−1)概要
2−3−2)構成の詳細
2−3−2―1)電子銃(電子線源)
2−3−2−2)一次光学系
2−3−2−3)二次光学系
2−3−3)E×Bユニット(ウィーンフィルタ)
2−3−4)検出器
2−3−5)電源
2−4)プレチャージユニット
2−5)真空排気系
2−6)制御系
2−6−1)構成及び機能
2−6−2)アライメント手順
2−6−3)欠陥検査
2−6−4)制御系構成
2−6−5)ユーザーインターフェース構成
2−7)その他の機能と構成の説明
2−7−1)制御電極
2−7−2)電位印加方法
2−7−3)電子ビームキャリブレーション方法
2−7−4)電極の清掃
2−7−5)アライメント制御方法
2−7−6)EO補正
2−7−7)画像比較方法
2−7−8)デバイス製造方法
2−7−9)検査
2−8)検査方法
2−8−1)概要
2−8−2)検査アルゴリズム
2−8―2−1)アレイ検査
2−8−2―2)ランダム検査
2−8−2−3)フォーカスマッピング
2−8−2−4)リソマージン測定
3. 他の実施の形態
3−1)ステージ装置の変形例
3−2)電子線装置の他の実施の形態
3−2−1)電子銃(電子線源)
3−2−2)電極の構造
3−3)制振装置に関する実施の形態
3−4)ウェーハの保持に関する実施の形態
3−5)E×B分離器の実施の形態
3−6)製造ラインの実施の形態
3−7)他の電子を用いた実施の形態
3−8)二次電子と反射電子を用いる実施の形態。
1 全体構成
まず、該半導体検査装置の全体の構成について説明する。
装置の全体構成を図1を用いて述べる。装置は検査装置本体、電源ラック、制御ラック、画像処理ユニット、成膜装置、エッチング装置等から構成される。ドライポンプ等の粗引きポンプはクリーンルームの外に置かれる。検査装置本体内部の主要部分は、図2に示すように、電子ビーム光学鏡筒、真空搬送系、ステージを収容している主ハウジング、除振台、ターボ分子ポンプ等から構成されている。
制御系には二台のCRTを備え、指示命令入力機能(キーボード等)を備えている。図3は機能からみた構成を示す。電子ビーム鏡筒は主に電子光学系、検出系、光学顕微鏡等から構成されている。電子光学系は電子銃、レンズ等、搬送系は真空搬送ロボット、大気搬送ロボット、カセットローダ、各種位置センサ等から構成されている。
ここでは、成膜装置及びエッチング装置、洗浄装置(図示していない)を検査装置本体近くに並べて設置しているが、これらは検査装置本体に組み込んでも良い。これらは、例えば試料の帯電抑制のために又は試料表面のクリーニングに使用される。スパッタ方式を用いると、一台で制膜及びエッチングの両方の機能を持たせることができる。
図示していないが、使用用途によってはその関連装置を検査装置本体近くに並べて設置するか、それらの関連装置を検査装置本体に組み込んで使用しても良い。或いは、それらの関連装置に検査装置を組み込んでもよい。例えば、化学的機械研磨装置(CMP)と洗浄装置を検査装置本体に組み込んでも良く、或いは、CVD(化学蒸着法:chemical vapor deposition)装置を検査装置に組み込んでもよく、この場合、設置面積や試料搬送の
ためのユニットの数を節約でき、搬送時間を短縮できるなどのメリットが得られる。
同様に、メッキ装置等の成膜装置に検査装置本体に組み込んでも良い。同様にリソグラフィ装置と組み合わせて使用することも可能である。
1―1)メインチャンバ、ステージ、真空搬送系外装
図4、図5、図6において、半導体検査装置の検査部の主要構成要素が示されている。半導体検査装置の検査部は、外部環境からの振動を遮断するためのアクティブ除振台4・1と、検査室であるメインチャンバ4・2と、メインチャンバ上部に設置された電子光学装置4・3と、メインチャンバ内部に搭載されたウェーハスキャン用のXYステージ5・1と、XYステージ動作制御用のレーザ干渉測定系5・2と、メインチャンバに付随する真空搬送系4・4を備え、それらは図4、図5に示されるような位置関係で配置されている。半導体検査装置の検査部は、更に、検査ユニットの環境制御、及びメンテナンスを可能とするための外装6・1を備えており、図6に示されるような位置関係で配置されている。
1−1−1)アクティブ除振台
アクティブ除振台4・1は、アクティブ除振ユニット5・3上に溶接定盤5・4が搭載されており、この溶接定盤上に検査室であるメインチャンバ4・2、メインチャンバ上部に設置された電子光学装置4・3、及びメインチャンバに付随する真空搬送系4・4等を
保持するようになっている。これにより、検査部における外部環境からの振動を抑制できるようになっている。この実施の形態では、固有周波数がX方向5Hz、Y方向5Hz、Z方向7.6Hzに対して±25%以内に収まっており、制御性能は、各軸の伝達特性において、1Hzで0dB以下、7.6Hzで−6.4dB以下、10Hzで−8.6dB以下、20Hzで−17.9dB以下となっている(以上、定盤上無負荷状態)。アクティブ除振台の他の構造では、メインチャンバ、電子光学装置等を吊り下げて保持するようになっている。さらに他の構造では、石定盤を搭載し、メインチャンバ等を保持するようになっている。
1−1−2)メインチャンバ
メインチャンバ4・2は、検査環境である真空度(10−4Pa以下)を実現するためにターボ分子ポンプ7・2を下部に直接保持しており、ウェーハスキャン用の高精度のXYステージ5・1を内部に備え、外部からの磁気を遮蔽できるようになっている。この実施の形態では、高精度XYステージの設置面の平面度を可能な限り良くするために以下の構造となっている。メインチャンバの下板7・3は、溶接定盤上に用意された特に平面度のよい部分7・4(この実施の形態では、平面度5μm以下)に設置、固定されている。さらに、メインチャンバ内部にはステージ設置面として中板を設けている。中板は、メインチャンバの下板に対して3点で支持されており、下板の平面度の影響を直接受けないようになっている。この実施の形態では、支持部分が球面座7・6により構成されている。中板は、自重及びステージ重さを負荷された場合にステージ設置面を平面度5μm以下に達成できるようになっている。また、内部の圧力変化(大気圧より真空度10−4Pa以
下)によるメインチャンバ変形のステージ取付け面に対する影響を抑えるために、下板の中板3点支持部分付近は、溶接定盤に直接固定されている。
XYステージを高精度に制御するためにレーザ干渉計によるステージ位置の測定系が設置されている。干渉計8・1は、測定誤差を抑えるために真空中に配されおり、直接測定誤差となる干渉計自体の振動を限りなくゼロとするために、この実施の形態では剛性の高いチャンバ壁7・7に直接固定されている。また、測定位置と検査位置の誤差を無くすために、干渉計による測定部分の延長線上が検査部分と極力一致するようになっている。また、ステージのXY動作を行なうためのモータ8・2はこの実施の形態ではチャンバ壁7・7により保持されているが、メインチャンバへ及ぼすモータ振動の影響をさらに抑制する必要がある場合には溶接定盤7・1により直接保持し、ベローズ等の振動を伝達しない構造によりメインチャンバに取付けられる。
メインチャンバ4・2は、検査部分に及ぼす外部磁場の影響を遮断するために透磁率の高い材料で構成されている。この実施の形態では、パーマロイとSS400等の鉄に防錆コーティングとしてNiめっきを施したものとなっている。他の実施の形態では、パーメンジェール、スーパーマロイ、電磁軟鉄、純鉄などとなっている。さらに、チャンバ内部の検査部周辺を直接透磁率の高い材料で覆うことも磁気遮蔽効果として有効である。
1−1−3)XYステージ
XYステージ5・1は、真空中でウェーハを高精度にスキャンできるようになっている。XおよびYのストロークは、例えば200mmウェーハ用としてそれぞれ200mm〜300mm、300mmウェーハ用としてそれぞれ300mm〜600mmとなっている。この実施の形態でのXYステージの駆動は、メインチャンバ壁に固定されたXおよびY軸駆動用のモータ8・2と、これらに磁性流体シール8・3を介して取付けられたボールネジ8・5により行われる。XおよびY駆動用のボールネジが、チャンバ壁に対して固定された状態でXY動作を行なえるために、この実施の形態ではステージ構造は、以下のようになっている。
まず下段には、Yステージ7・10が配されており、駆動のためのボールネジ7・8およびクロスローラーガイド7・11が設置されている。Yステージ上部には、X軸駆動用のボールネジ7・14が設置された中間ステージ7・12を介してさらにその上部にXステージ7・13が搭載されている。中間ステージとYステージおよびXステージは、Y軸方向にクロスローラーガイドにより連結されている。これにより、Y軸移動時にはYステージおよび連結部7・14によりXステージが移動し、中間ステージは固定された状態のままとなる。他の実施の形態では、中間ステージは上段軸と並べて配置される二段構造となっている。また、他の実施の形態のXYステージでは、XYステージそのものがリニアモータで駆動されるようになっている。さらに、全ストロークに渡りレーザ干渉計による測定が可能なように高精度ミラー8・4(この実施の形態では、平面度λ/20以下、材質は合成石英にアルミ蒸着)が設置されている。
また、真空中でウェーハアライメントを行なうためにXYステージ上にはθステージ7・15が設置されている。この実施の形態におけるθステージでは、駆動用として2つの超音波モータ、位置制御用としてリニアスケールが配されている。X、Y及びθ動作を行なう可動部に接続された種々のケーブルは、XステージおよびYステージにそれぞれ保持されたケーブルベアによりクランプされ、チャンバ壁に設置されたフィードスルーを介してメインチャンバ外部へと接続されている。
上記の構造による本実施の形態のスペックを表1、表2に示す。
Figure 2014112087
Figure 2014112087
1−2)レーザ干渉測定系
レーザ干渉測定系は、X軸およびY軸に平行で、その延長線上が検査位置に相当する光軸を有するレーザ光学系と、その間に配された干渉計8・1により構成されている。本実施の形態における光学系の配置は、図9、図10に示されるような位置関係で配置されている。溶接定盤上に設置されたレーザ9・1より発射されたレーザ光は、ベンダ9・2により垂直に立ち上げられたのちにベンダ10・1により測定面と平行に曲げられる。さらに、スプリッタ9・4によりX軸測定用とY軸測定用に分配された後に、ベンダ10・3およびベンダ9・6によりそれぞれY軸およびX軸に平行に曲げられ、メインチャンバ内部へと導入される。
上記光学系の立上げ時の調整方法を以下に説明する。まず、レーザより発射されたレーザ光が、ベンダ9・2により垂直に、ベンダ10・1により水平に曲げられるように調整する。その後、ベンダ10・3により曲げられ、Y軸に対して高精度に垂直に設置されたミラー8・4に反射して戻る光軸が入射の光軸に完全に一致するようにベンダ10・3を調整する。光軸の確認を、反射光を妨げないように干渉計を外した状態で、レーザ直後で行なうことにより、精度の高い調整が可能となる。また、X軸の光軸調整は、Y軸の光軸調整を行なった後に、スプリッタ9・4とベンダ9・6により独立に行なうことができる。調整の要領はY軸と同様である。さらに、X軸およびY軸の入射光と反射光の軸を調整した後に、各光軸の交点(ミラーがないと考えた場合)をウェーハ検査位置に一致させる必要がある。このために、ベンダ10・3を固定しているブラケットはY軸に対して垂直に、ベンダ9・6を固定しているブラケットはX軸に対して垂直に入射光と反射光を一致させたまま移動できるようになっている。さらに、ベンダ10・1、スプリッタ9・4、ベンダ10・3、ベンダ9・6はそれぞれの位置関係を保持したまま上下に移動できることが望ましい。
また、立上げ後、運転中の本装置におけるレーザの交換に伴う光軸調整方法を以下に説明する。運転中のメインチャンバ内部が真空に保持されている状態の装置では、干渉計を取り外した光軸等が困難となっている。そこで、メインチャンバ外部の光路に数箇所ターゲット10・2を設置し、立上げ時の光路がメインチャンバ外部のみで判断できる治具が用意されている。レーザ交換後は、レーザ取付け台に備えられた調整機能のみでターゲット10・2に対して光軸を調整することにより、立上げ時に行なった調整を再現できるようになっている。
1−3)検査部外装
検査部外装4・7は、メンテナンス用のフレーム構造としての機能を備えられるようになっている。本実施の形態では、収納可能な両持ちクレーン11・1が上部に搭載されている。クレーン11・1は横行レール11・2に取付けられ、横行レールはさらに走行レール(縦)11・3に設置されている。走行レールは、通常時には図11のように収納状態となっているのに対して、メンテナンス時には図12のように上昇し、クレーンの上下方向のストロークを大きくすることが可能となっている。これにより、メンテナンス時には外装に内蔵されたクレーンにより電子光学装置4・3、メインチャンバ天板、XYステージ5・1を装置背面に脱着可能となっている。外装に内蔵されたクレーンの他の実施の形態では、回転可能な片持ち軸を持つクレーン構造となっている。
また、検査部外装は、環境チャンバとしての機能を兼ね備えることも可能となっている。これは、必要に応じて温度、湿度管理とともに、磁気遮蔽効果を有するようになっている。
2 実施の形態
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態について、検査対象として表面にパターンが形成された基板すなわちウェーハを検査する半導体検査装置として説明する。
2−1)搬送系
図13及び図14は、本発明に係る半導体検査装置の主要構成要素を立面図及び平面図で示している。この半導体検査装置13・1は、複数枚のウェーハを収納したカセットを保持するカセットホルダ13・2と、ミニエンバイロメント装置13・3と、ワーキングチャンバを構成するローダハウジング13・5と、ウェーハをカセットホルダ13・2から主ハウジング13・4内に配置されたステージ装置13・6上に装填するローダー13・7と、真空ハウジングに取り付けられた電子光学装置13・8とを備え、それらは図13及び図14に示されるような位置関係で配置されている。
半導体検査装置13・1は、更に、真空の主ハウジング13・4内に配置されたプレチャージユニット13・9と、ウェーハに電位を印加する電位印加機構と、電子ビームキャリブレーション機構と、ステージ装置上でのウェーハの位置決めを行うためのアライメント制御装置13・10を構成する光学顕微鏡13・11とを備えている。
2−1−1)カセットホルダ
カセットホルダ13・2は、複数枚(例えば25枚)のウェーハが上下方向に平行に並べられた状態で収納されたカセット13・12(例えば、アシスト社製のSMIF、FOUPのようなクローズドカセット)を複数個(この実施の形態では2個)保持するようになっている。このカセットホルダ13・2としては、カセットをロボット等により搬送してきて自動的にカセットホルダ13・2に装填する場合にはそれに適した構造のものを、また人手により装填する場合にはそれに適したオープンカセット構造のものをそれぞれ任意に選択して設置できるようになっている。カセットホルダ13・2は、この実施の形態
では、自動的にカセット13・12が装填される形式であり、例えば昇降テーブル13・13と、その昇降テーブル13・13を上下移動させる昇降機構13・14とを備え、カセット13・12は昇降テーブル13・13上に図14で鎖線で示す状態で自動的にセット可能にされ、セット後、図14で実線で示す状態に自動的に回転されてミニエンバイロメント装置内の第1の搬送ユニットの回動軸線に向けられる。
また、昇降テーブル13・13は図13で鎖線で示す状態に降下される。このように、自動的に装填する場合に使用するカセットホルダ或いは人手により装填する場合に使用するカセットホルダはいずれも公知の構造のものを適宜使用すれば良いので、その構造及び機能の詳細な説明は省略する。
別の実施の形態では、図15に示すように、複数の300mm基板を箱本体15・1の内側に固定した溝型ポケット(記載せず)に収納した状態で収容し、搬送、保管等を行うものである。この基板搬送箱15・2は、角筒状の箱本体15・1と基板搬出入ドア自動開閉装置に連絡されて箱本体15・1の側面の開口部を機械により開閉可能な基板搬出入ドア15・3と、開口部と反対側に位置し、フィルタ類およびファンモータの着脱を行うための開口部を覆う蓋体15・4と、基板W(図13)を保持するための溝型ポケット(図
示せず)、ULPAフィルタ15・5、ケミカルフィルタ15・6、ファンモータ15・
7とから構成されている。この実施の態様では、ローダー13・7のロボット式の第1の搬送ユニット15・7により、基板を出し入れする。
なお、カセット13・12内に収納される基板すなわちウェーハは、検査を受けるウェーハであり、そのような検査は、半導体製造工程中でウェーハを処理するプロセスの後、若しくはプロセスの途中で行われる。具体的には、成膜工程、CMP、イオン注入等を受けた基板すなわちウェーハ、表面に配線パターンが形成されたウェーハ、又は配線パターンが未だに形成されていないウェーハが、カセット内に収納される。カセット12・12内に収容されるウェーハは多数枚上下方向に隔ててかつ平行に並べて配置されているため、任意の位置のウェーハと後述する第1の搬送ユニットで保持できるように、第1の搬送ユニットのアームを上下移動できるようになっている。また、カセットにはプロセス後のウェーハ表面の酸化等の防止のために、カセット内の水分をコントロールするための機能が設けられている。例えば、シリカゲル等の除湿剤がカセットの中に置かれている。この場合、除湿効果があれば、任意のものを利用することができる。
2−1−2)ミニエンバイロメント装置
図13〜図16において、ミニエンバイロメント装置13・3は、雰囲気制御されるようになっているミニエンバイロメント空間16・1を構成するハウジング16・2と、ミニエンバイロメント空間16・1内で清浄空気のような気体を循環して雰囲気制御するための気体循環装置16・3と、ミニエンバイロメント空間16・1内に供給された空気の一部を回収して排出する排出装置16・4と、ミニエンバイロメント空間16・1内に配設されていて検査対象としての基板すなわちウェーハを粗位置決めするプリアライナー16・5とを備えている。
ハウジング16・2は、頂壁16・6、底壁16・7及び四周を囲む周壁16・8を有しており、ミニエンバイロメント空間16・1を外部から遮断する構造になっている。ミニエンバイロメント空間16・1を雰囲気制御するために、気体循環装置16・3は、図16に示されるように、ミニエンバイロメント空間16・1内において、頂壁16・6に取り付けられていて、気体(この実施の形態では空気)を清浄にして一つ又はそれ以上の気体吹き出し口(図示せず)を通して清浄空気を真下に向かって層流状に流す気体供給ユニット16・9と、ミニエンバイロメント空間16・1内において底壁16・7の上に配置されていて、底に向かって流れ下った空気を回収する回収ダクト16・10と、回収ダ
クト16・10と気体供給ユニット16・9とを接続して回収された空気を気体供給ユニット16・9に戻す導管16・11とを備えている。
この実施の形態では、気体供給ユニット16・9は供給する空気の約20%をハウジング16・2の外部から取り入れて清浄にするようになっているが、この外部から取り入れられる気体の割合は任意に選択可能である。気体供給ユニット16・9は、清浄空気を作りだすための公知の構造のHEPA若しくはULPAフィルタを備えている。清浄空気の層流状の下方向の流れすなわちダウンフローは、主に、ミニエンバイロメント空間16・1内に配置された後述する第1の搬送ユニットによる搬送面を通して流れるように供給され、搬送ユニットにより発生する虞のある塵埃がウェーハに付着するのを防止するようになっている。したがって、ダウンフローの噴出口は必ずしも図示のように頂壁に近い位置である必要はなく、搬送ユニットによる搬送面より上側にあればよい。また、ミニエンバイロメント空間16・1全面に亘って流す必要もない。
なお、場合によっては、清浄空気としてイオン風を使用することによって清浄度を確保することができる。また、ミニエンバイロメント空間16・1内には清浄度を観察するためのセンサを設け、清浄度が悪化したときに装置をシャットダウンすることもできる。
ハウジング16・2の周壁16・8のうちカセットホルダ13・2に隣接する部分には出入り口13・15が形成されている。出入り口13・15近傍には公知の構造のシャッタ装置を設けて出入り口13・15をミニエンバイロメント装置側から閉じるようにしてもよい。ウェーハ近傍でつくる層流のダウンフローは、例えば0.3ないし0.4m/secの流速でよい。気体供給ユニット16・9はミニエンバイロメント空間16・1内でなくその外側に設けてもよい。
排出装置16・4は、前記搬送ユニットのウェーハ搬送面より下側の位置で搬送ユニットの下部に配置された吸入ダクト16・12と、ハウジング16・2の外側に配置されたブロワー16・13と、吸入ダクト16・12とブロワー16・13とを接続する導管16・14とを備えている。この排出装置16・4は、搬送ユニットの周囲を流れ下り搬送ユニットにより発生する可能性のある塵埃を含んだ気体を、吸入ダクト16・12により吸引し、導管16・14及びブロワー16・13を介してハウジング16・2の外側に排出する。この場合、ハウジング16・2の近くに引かれた排気管(図示せず)内に排出してもよい。
ミニエンバイロメント空間16・1内に配置されたプリアライナー16・5は、ウェーハに形成されたオリエンテーションフラット(円形のウェーハの外周に形成された平坦部分を言い、以下においてオリフラと呼ぶ)や、ウェーハの外周縁に形成された一つ又はそれ以上のV型の切欠きすなわちノッチを光学的に或いは機械的に検出してウェーハの軸線O−Oの周りの回転方向の位置を約±1度の精度で予め位置決めしておくようになっている。プリアライナー16・5は検査対象の座標を決める機構の一部を構成し、検査対象の粗位置決めを担当する。このプリアライナー16・5自体は公知の構造のものでよいので、その構造、動作の説明は省略する。
なお、図示しないが、プリアライナー16・5の下部にも排出装置用の回収ダクトを設けて、プリアライナー16・5から排出された塵埃を含んだ空気を外部に排出するようにしてもよい。
2−1−3)主ハウジング
図13〜図15において、ワーキングチャンバ13・16を構成する主ハウジング13・4は、ハウジング本体13・17を備え、そのハウジング本体13・17は、台フレー
ム13・18上に配置された振動遮断装置すなわち防振装置13・19の上に載せられたハウジング支持装置13・20によって支持されている。ハウジング支持装置13・20は矩形に組まれたフレーム構造体13・21を備えている。ハウジング本体13・17はフレーム構造体13・21上に配設固定されていて、フレーム構造体上に載せられた底壁13・22と、頂壁13・23と、底壁13・22及び頂壁13・23に接続されて四周を囲む周壁13・24とを備えていてワーキングチャンバ13・16を外部から隔離している。底壁13・22は、この実施の形態では、上に載置されるステージ装置等の機器による加重で歪みの発生しないように比較的肉厚の厚い鋼板で構成されているが、その他の構造にしてもよい。
この実施の形態において、ハウジング本体及びハウジング支持装置13・20は、剛構造に組み立てられていて、台フレーム13・18が設置されている床からの振動がこの剛構造に伝達されるのを防振装置13・19で阻止するようになっている。ハウジング本体13・17の周壁13・24のうち後述するローダハウジングに隣接する周壁にはウェーハ出し入れ用の出入り口14・1が形成されている。
なお、防振装置13・19は、空気バネ、磁気軸受け等を有するアクティブ式のものでも、或いはこれらを有するパッシブ式のもよい。いずれも公知の構造のものでよいので、それ自体の構造及び機能の説明は省略する。ワーキングチャンバ13・16は公知の構造の真空装置(図示せず)により真空雰囲気に保たれるようになっている。台フレーム13・18の下には装置全体の動作を制御する制御装置2が配置されている。主ハウジングの圧力は通常10−4〜10−6Paに保たれている。
2−1−4)ローダハウジング
図13〜図15及び図17において、ローダハウジング13・5は、第1のローディングチャンバ14・2と第2のローディングチャンバ14・3とを構成するハウジング本体14・4を備えている。ハウジング本体14・4は底壁17・1と、頂壁17・2と、四周を囲む周壁17・3と、第1のローディングチャンバ14・2と第2のローディングチャンバ14・3とを仕切る仕切壁14・5とを有していて、両ローディングチャンバを外部から隔離できるようになっている。仕切壁14・5には両ローディングチャンバ間でウェーハのやり取りを行うための開口すなわち出入り口17・4が形成されている。また、周壁17・3のミニエンバイロメント装置及び主ハウジングに隣接した部分には出入り口14・6及び14・7が形成されている。
このローダハウジング13・5のハウジング本体14・4は、ハウジング支持装置13・20のフレーム構造体13・21上に載置されてそれによって支持されている。したがって、このローダハウジング13・5にも床の振動が伝達されないようになっている。ローダハウジング13・5の出入り口14・6とミニエンバイロメント装置13・3のハウジング16・2の出入り口13・25とは整合されていて、そこにはミニエンバイロメント空間16・1と第1のローディングチャンバ14・2との連通を選択的に阻止するシャッタ装置14・8が設けられている。
シャッタ装置14・8は、出入り口13・25及び14・6の周囲を囲んで側壁17・3と密に接触して固定されたシール材13・26、シール材13・26と共動して出入り口を介しての空気の流通を阻止する扉13・27と、その扉を動かす駆動装置13・28とを有している。また、ローダハウジング13・5の出入り口14・7とハウジング本体13・17の出入り口14・1とは整合されていて、そこには第2のローディングチャンバ14・3とワーキンググチャンバ13・16との連通を選択的に密封阻止するシャッタ装置13・29が設けられている。シャッタ装置13・29は、出入り口14・7及び14・1の周囲を囲んで側壁17・3及び13・24と密に接触してそれらに固定されたシ
ール材13・30、シール材13・30と共動して出入り口を介しての空気の流通を阻止する扉14・9と、その扉を動かす駆動装置13・31とを有している。
更に、仕切壁14・5に形成された開口には、扉によりそれを閉じて第1及び第2のローディングチャンバ間の連通を選択的に密封阻止するシャッタ装置14・10が設けられている。これらのシャッタ装置14・8、13・29及び414・10は、閉じ状態にあるとき各チャンバを気密シールできるようになっている。これらのシャッタ装置は公知のものでよいので、その構造及び動作の詳細な説明は省略する。
なお、ミニエンバイロメント装置13・3のハウジング16・2の支持方法とローダハウジングの支持方法が異なり、ミニエンバイロメント装置13・3を介して床からの振動がローダハウジング13・5及び主ハウジング13・4に伝達されるのを防止するために、ハウジング16・2とローダハウジング13・5との間には出入り口の周囲を気密に囲むように防振用のクッション材を配置しておけば良い。
第1のローディングチャンバ14・2内には、複数(この実施の形態では2枚)のウェーハを上下に隔てて水平の状態で支持するウェーハラック14・11が配設されている。ウェーハラック14・11は、図18に示されるように、矩形の基板18・1の四隅に互いに隔てて直立状態で固定された支柱18・2を備え、各支柱18・2にはそれぞれ2段の支持部18・3及び18・4が形成され、その支持部の上にウェーハWの周縁を載せて保持するようになっている。そして後述する第1及び第2の搬送ユニットのアームの先端を隣接する支柱間からウェーハに接近させてアームによりウェーハを把持するようになっている。
ローディングチャンバ14・2及び14・3は、図示しない真空ポンプを含む公知の構造の真空排気装置(図示せず)によって高真空状態(真空度としては10−4〜10−6Pa)に雰囲気制御され得るようになっている。この場合、第1のローディングチャンバ14・2を低真空チャンバとして低真空雰囲気に保ち、第2のローディングチャンバ14・3を高真空チャンバとして高真空雰囲気に保ち、ウェーハの汚染防止を効果的に行うこともできる。このような構造を採用することによってローディングチャンバ内に収容されていて次に欠陥検査されるウェーハをワーキングチャンバ内に遅滞なく搬送することができる。このようなローディングチャンバを採用することによって、後述するマルチビーム型電子装置原理と共に、欠陥検査のスループットを向上させ、更に保管状態が高真空状態であることを要求される電子源周辺の真空度を可能な限り高真空度状態にすることができる。
第1及び第2のローディングチャンバ14・2及び14・3は、それぞれ真空排気配管と不活性ガス(例えば乾燥純窒素)用のベント配管(それぞれ図示せず)が接続されている。これによって、各ローディングチャンバ内の大気圧状態は不活性ガスベント(不活性ガスを注入して不活性ガス以外の酸素ガス等が表面に付着するのを防止する)によって達成される。このような不活性ガスベントを行う装置自体は公知の構造のものでよいので、その詳細な説明は省略する。
なお、電子線を使用する本発明の検査装置において、後述する電子光学系の電子源として使用される代表的な六硼化ランタン(L)等は一度熱電子を放出する程度まで高温状態に加熱された場合には、酸素等に可能な限り接触させないことがその寿命を縮めないために肝要であるが、電子光学系が配置されているワーキングチャンバにウェーハを搬入する前段階で上記のような雰囲気制御を行うことにより、より確実に実行できる。
2−1−5)ローダー
ローダー13・7は、ミニエンバイロメント装置13・3のハウジング16・2内に配置されたロボット式の第1の搬送ユニット16・14と、第2のローディングチャンバ14・3内に配置されたロボット式の第2の搬送ユニット14・12とを備えている。
第1の搬送ユニット16・14は、駆動部16・15に関して軸線O−Oの回りで回転可能になっている多節のアーム16・16を有している。多節のアームとしては任意の構造のものを使用できるが、この実施の形態では、互いに回動可能に取り付けられた三つの部分を有している。
第1の搬送ユニット16・14のアーム16・16の一つの部分すなわち最も駆動部16・15側の第1の部分は、駆動部16・15内に設けられた公知の構造の駆動機構(図示せず)により回転可能な軸16・17に取り付けられている。アーム16・16は、軸16・17により軸線O−Oの回りで回動できると共に、部分間の相対回転により全体として軸線O−Oに関して半径方向に伸縮可能になっている。アーム16・16の軸16・17から最も離れた第3の部分の先端には、公知の構造の機械式チャック又は静電チャック等のウェーハを把持する把持装置14・13が設けられている。駆動部16・15は、公知の構造の昇降機構16・18により上下方向に移動可能になっている。
この第1の搬送ユニット16・14は、アーム16・16がカセットホルダに保持された二つのカセットの内いずれか一方の方向M1又はM2に向かってアームが伸び、カセット内に収容されたウェーハを1枚アームの上に載せ或いはアームの先端に取り付けたチャック(図示せず)により把持して取り出す。その後アームが縮み(図14に示すような状態)、アームがプリアライナー16・5の方向M3に向かって伸長できる位置まで回転してその位置で停止する。するとアームが再び伸びてアームに保持されたウェーハをプリアライナー16・5に載せる。プリアライナー16・5から前記と逆にしてウェーハを受け取った後はアームは更に回転し第2のローディングチャンバ14・2に向かって伸長できる位置(向きM4)で停止し、第2のローディングチャンバ14・2内のウェーハ受けにウェーハを受け渡す。なお、機械的にウェーハを把持する場合にはウェーハの周縁部(周縁から約5mmの範囲)を把持する。これはウェーハには周縁部を除いて全面にデバイス(回路配線)が形成されており、この部分を把持するとデバイスの破壊、欠陥の発生を生じさせるからである。
第2の搬送ユニット14・12も第1の搬送ユニットと構造が基本的に同じであり、ウェーハの搬送をウェーハラックとステージ装置の載置面上との間で行う点でのみ相違するだけであるから、詳細な説明は省略する。
上記ローダー13・7では、第1及び第2の搬送ユニット16・14及び14・12は、カセットホルダに保持されたカセットからワーキングチャンバ13・16内に配置されたステージ装置13・6上への及びその逆のウェーハの搬送をほぼ水平状態に保ったままで行い、搬送ユニットのアームが上下動するのは、単に、ウェーハのカセットからの取り出し及びそれへの挿入、ウェーハのウェーハラックへの載置及びそこからの取り出し及びウェーハのステージ装置への載置及びそこからの取り出しのときるだけである。したがって、大型のウェーハ、例えば直径300mmのウェーハの移動もスムースに行うことができる。
ステージには、ウェーハに逆バイアスをかける機構があるので、アームがステージにウェーハを置きに行く、もしくは取りに行く時に、アームをステージと同じもしくは近い電位、またはアームをフローティング電位にしておくことにより、電位のショートによる放電などの不具合を避ける機構を有している。
2−1−6)ステージ装置
ステージ装置13・6は、主ハウジング13・4の底壁13・22上に配置された固定テーブル13・32と、固定テーブル上でY方向(図1において紙面に垂直の方向)に移動するYテーブル13・33と、Yテーブル上でX方向(図1において左右方向)に移動するXテーブル13・34と、Xテーブル上で回転可能な回転テーブル13・35と、回転テーブル13・35上に配置されたホルダ13・36とを備えている。そのホルダ13・36のウェーハ載置面14・14上にウェーハを解放可能に保持する。ホルダ13・36は、ウェーハを機械的に或いは静電チャック方式で解放可能に把持できる公知の構造のものでよい。ステージ装置13・6は、サーボモータ、エンコーダ及び各種のセンサ(図示せず)を用いて、上記のような複数のテーブルを動作させることにより、載置面14・14上でホルダに保持されたウェーハを電子光学装置から照射される電子ビームに対してX方向、Y方向及びZ方向(図13において上下方向)に、更にウェーハの支持面に鉛直な軸線の回り方向(θ方向)に高い精度で位置決めできるようになっている。
なお、Z方向の位置決めは、例えばホルダ上の載置面の位置をZ方向に微調整可能にしておけばよい。この場合、載置面の基準位置を微細径レーザによる位置測定装置(干渉計の原理を使用したレーザ干渉測距装置)によって検知し、その位置を図示しないフィードバック回路によって制御したり、それと共に或いはそれに代えてウェーハのノッチ或いはオリフラの位置を測定してウェーハの電子ビームに対する平面位置、回転位置を検知し、回転テーブルを微小角度制御可能なステッピングモータなどにより回転させて制御する。
ワーキングチャンバ内での塵埃の発生を極力防止するために、ステージ装置用のサーボモータ14・15、14・16及びエンコーダ14・17、14・18は、主ハウジング13・4の外側に配置されている。なお、ステージ装置13・6は、例えばステッパー等で使用されている公知の構造のもので良いので、その構造及び動作の詳細な説明は省略する。また、上記レーザ干渉測距装置も公知の構造のものでよいので、その構造、動作の詳細な説明は省略する。
電子ビームに対するウェーハの回転位置やX、Y位置を予め後述する信号検出系或いは画像処理系に入力することで得られる信号の基準化を図ることもできる。更に、このホルダに設けられたウェーハチャック機構は、ウェーハをチャックするための電圧を静電チャックの電極に与えられるようになっていて、ウェーハの外周部の3点(好ましくは周方向に等隔に隔てられた)を押さえて位置決めするようになっている。ウェーハチャック機構は、二つの固定位置決めピンと、一つの押圧式クランクピンとを備えている。クランプピンは、自動チャック及び自動リリースを実現できるようになっており、かつ電圧印加の導通箇所を構成している。
なお、この実施の形態では図14で左右方向に移動するテーブルをXテーブルとし、上下方向に移動するテーブルをYテーブルとしたが、同図で左右方向に移動するテーブルをYテーブルとし、上下方向に移動するテーブルをXテーブルとしてもよい。
2−1−7)ウェーハチャッキング機構
2−1−7−1)静電チャックの基本構造
電子光学系の焦点を試料面に正確にかつ短時間で合わせるために、試料面すなわちウェーハ面の凹凸は極力小さくすることが好ましい。そのため、平面度良く(平面度5μm以下が好ましい)製作された静電チャックの表面にウェーハを吸着することが行われる。
静電チャックの電極構造には、単極形と双極形が存在する。単極形はウェーハに予め導通をとり、1つの静電チャック電極との間に高電圧(一般的に数十〜数百V程度)を印可
することによってウェーハを吸着する方法であり、双極形は、ウェーハに導通をとる必要
が無く、2つの静電チャック電極に正負逆の電圧を印可するだけでウェーハを吸着できる。但し、一般的に、安定した吸着条件を得るためには、2つの電極を櫛の歯状に入組ませた形状にする必要があり、電極形状は複雑になる。
一方、試料の検査のためには、電子光学系の結像条件を得るため、あるいは試料面の状態を電子で観察しやすい状態にするために、ウェーハに所定の電圧(リターディング電圧)を印可する必要がある。このリターディング電圧をウェーハに印可すること、およびウェーハ表面の電位を安定させるためには、静電チャックを上記の単極形とすることが必要である。(但し、後述するように導通針でウェーハとの導通をとるまでは、静電チャックを双極形として機能させる必要ある。よって静電チャックは、単極形と双極形の切換可能な構造にしている。)
したがって、ウェーハに機械的に接触して導通をとらなければならない。ところが、ウェーハに対する汚染防止の要求は厳しくなってきており、ウェーハへの機械的接触を極力避けることが求められ、ウェーハのエッジへの接触が許されない場合がある。このような場合は、。ウェーハ裏面にて導通をとらなければならない。
ウェーハ裏面には、シリコン酸化膜が形成されていることが普通であり、そのままでは導通がとれない。そこで、ウェーハ裏面に、2ヵ所以上の針を接触させ、針の間に電圧を印可することによって、酸化膜を局部的に破壊し、ウェーハ母材のシリコンと導通をとることができる。針に印可する電圧は、数百V程度のDC電圧もしくはAC電圧である。また針の材料としては、非磁性で耐摩耗性があり高融点材料であることが求められ、タングステン等が考えられる。またさらに耐久性を持たせるため、あるいはウェーハの汚染防止のために、表面にTiNやダイヤモンドをコーティングすることも有効である。また、ウェーハとの導通がとれたことを確認するために、針の間に電圧を印可し電流を測定することが有効である。
以上のような背景から作られたのが、図19に示すようなチャッキング機構である。静電チャックには、ウェーハWを安定に吸着するために櫛歯状に入り組んだ形状であることが望ましい電極19・1、19・2と、ウェーハ受渡し用の3本のプッシャーピン19・3と、ウェーハ印可用の2つ以上の導通針19・4とが設けられている。また、静電チャックの周囲には補正リング19・5とウェーハ落とし込み機構19・6が配置される。
プッシャーピン19・3は、ウェーハWがロボットハンドによって搬送される際に静電チャック面上から予め突出しており、ロボットハンドの動作によってウェーハWがその上に載置されると、ゆっくりと下降し、ウェーハWを静電チャック上に載せる。ウェーハを静電チャック上から取出す際には逆の動作をしてロボットハンドにウェーハWを渡す役割を果たす。プッシャーピン19・3は、ウェーハ位置がずれたり汚染されることが無いよう表面材料を選ばなければならず、シリコンゴム、フッ素ゴム、SiCやアルミナ等のセラミックス、テフロンやポリイミド等の樹脂などを使用することが望ましい。
プッシャーピン19・3の駆動機構としては幾つか方法がある。一つは、静電チャックの下部に非磁性アクチュエータを設置する方法である。これは、超音波リニアモータによりプッシャピンを直接リニア駆動する方法や、回転形超音波モータとボールネジまたはラック&ピニオンギアの組合わせでプッシャピンの直線駆動を行う等の方法が有り得る。この方法は、静電チャックを搭載するXYステージのテーブル上に、プッシャ機構がコンパクトにまとめられる反面、アクチュエータやリミットセンサ等の配線が非常に多くなってしまう。これらの配線はXY動作するテーブルから試料室(メインチャンバ又は主ハウジング)壁面まで繋がるが、ステージの動作に伴って屈曲するため、大きな曲げRを持たせて配設する必要がありスペースをとってしまう。またパーティクル発生源になったり、配線の定期的な交換も必要になるので、使用数は必要最小限にするのがよい。
そこで別方式として、外部から駆動力を供給する方法もある。ウェーハWを着脱する位置にステージが移動すると、ベローズを介して真空中に突出した軸が、チャンバ外に備えられたエアシリンダで駆動されて、静電チャック下部に設けられたプッシャ駆動機構の軸を押すようになっている。軸はプッシャ駆動機構内部で、ラック・ピニオンまたはリンク機構と繋がっており、軸の往復移動がプッシャピンの上下動と連動するようになっている。ウェーハWをロボットハンドとの間で受け渡しする際には、コントローラで適切な速度に調整してエアシリンダで軸を真空中に押し出すことによって、プッシャーピン19・3を上昇させる。
なお、外部からの軸の駆動源は、エアシリンダに限るものではなく、サーボモータとラック・ピニオンやボールネジの組合わせでも良い。また、外部からの駆動源を回転軸とすることも可能である。その場合、回転軸は磁性流体シール等の真空シール機構を介し、プッシャ駆動機構は回転をプッシャの直線運動に変換する機構を内蔵する。
補正リング19・5は、ウェーハ端部の電界分布を均一に保つ作用を持つもので、基本的にウェーハと同電位を印可する。しかし、ウェーハと補正リング間の微小すきまや、ウェーハと補正リング表面高さの微小な差の影響を打ち消すため、ウェーハ端部電位と若干異なる電位を印可することもある。補正リングは、ウェーハの半径方向10〜30mm程度の幅を持ち、非磁性で導電性の材料、例えば、チタン、りん青銅、TiN又はTiCコーティングしたアルミ等を使用することができる。
導通針19・4はばね19・7で支持されており、ウェーハが静電チャック上に搭載されると、ばね力でウェーハ裏面に軽く押し付けられる。この状態で、上述した様に電圧を印可することによってウェーハWとの電気的導通をとる。
静電チャック本体は、タングステン等の非磁性の平面状電極19・1、19・2と、その上に形成された誘電体から成る。誘電体の材料はアルミナ、窒化アルミ、ポリイミド等が使用できる。一般にアルミナ等のセラミックスは体積抵抗率が1014Ωcm程度の完全な絶縁体なので、材料内部での電荷移動は発生せず、吸着力としてクーロン力が作用する。これに対して、セラミックス組成をわずかに調整することによって体積抵抗率を1010Ωcm程度にすることができ、こうすることによって材料内部で電荷の移動が生じるため、ウェーハ吸着力としてクーロン力より強い所謂ジョンソン・ラーベック力が作用する。吸着力が強ければその分、印可電圧を低くすることができ、絶縁破壊に対するマージンを大きくとることができ、かつ安定した吸着力も得やすい。また、静電チャック表面をたとえばディンプル状に加工することによって、静電チャック表面にパーティクル等が付着しても、パーティクルがディンプルの谷部分に落ちる可能性が生じるのでウェーハの平面度に影響を与える可能性が減少する効果も期待できる。
以上より、静電チャック材料を、体積抵抗率を1010Ωcm程度に調整した窒化アルミやアルミナセラミックスとし、表面にディンプル状などの凹凸を形成し、その凸面の集合で形成される面の平面度を5μm程度に加工したものが実用的である。
2−1−7−2)200/300ブリッジツールのためのチャッキング機構
200mmと300mmの2種類のウェーハを機械的改造無く検査することが装置に求められることがある。その場合、静電チャックは2種類のサイズのウェーハをチャッキングし、かつウェーハ周縁部にウェーハのサイズに合わせた補正リングを載置しなければならない。図19の(A)、(B)及び図20はそのための構造を示している。
図19の(A)は静電チャック上に300mmのウェーハWを搭載した状態を示してい
る。ウェーハWのサイズより僅かに大きい(隙間0.5mm程度)内径を持った補正リング19・1が、静電チャック外周の金属性リング状部品にインローで位置決めされ載置されている。この補正リング19・1には、ウェーハ落し込み機構19・2が3ヵ所設けられている。ウェーハ落し込み機構19・2は、プッシャーピン19・3の駆動機構と連動した上下駆動機構によって駆動され、補正リング19・1に設けられた回転軸周りに回転可能に支持されている。
ウェーハWをロボットハンドから受ける場合、プッシャーピン駆動機構が動作し、プッシャーピン19・3を上に押上げる。それと適切なタイミングをとって補正リング19・1に設けられたウェーハ落し込み機構19・2も、図19の(B)に示すように、駆動力を受けて回転する。するとウェーハ落し込み機構19・2がウェーハWを静電チャック中心にガイドするテーパ面を形成する。次に、押し上げられたプッシャーピン19・3にウェーハWが載せられた後、プッシャーピン19・3を下降させる。ウェーハ落し込み機構19・2に対する駆動力の作用タイミングをプッシャーピン19・3の下降と適切に調整することによって、ウェーハWは落し込み機構19・2のテーパ面によって位置を修正されながら静電チャック上にウェーハWの中心と静電チャックの中心がほぼ一致するように置かれる。
落し込み機構19・2のテーパ面にはテフロン等の低摩擦材、好ましくは導電性のある低摩擦材(例えば、導電性テフロン、導電性ダイヤモンドライクカーボン、TINコーティング)を形成することが望ましい。なお、図の符号A、B、C、D、Eは電圧を印加するための(後述する)端子であり、19・4はウェーハWが静電チャック上に載置されたことを検知するウェーハ導通用針で、バネ19・5によって押し上げられている。
図20は、同じ静電チャックに200mmのウェーハWを搭載した状態を示している。静電チャックよりもウェーハ径が小さいため、静電チャック表面が露出してしまうので、静電チャックを完全に隠す大きさを持った補正リング20・1を搭載している。補正リング20・1の位置決めは300mm用補正リングの場合と同様である。
補正リング20・1の内周部には段差が設けてあり、静電チャック側のリング状溝20・2に収まるようになっている。これは、200mmウェーハを搭載した時に補正リング20・1の内周とウェーハWの外周との間の隙間から静電チャック表面が見えないように導体(補正リング20・1)で隠すための構造である。もし静電チャック表面が見える構造になっていると、電子ビームが照射された際、静電チャック表面に電荷がチャージしてしまい、試料面の電位が乱れてしまうからである。
補正リング20・1の交換は、真空チャンバ内の所定の位置に補正リング交換場所を設けておき、そこから必要な大きさの補正リングをロボットによって搬送して静電チャックに取りつける(インロー部に挿入する)ことによって行う。
200mm用補正リングにも、300mmと同様にウェーハ落し込み機構20・2が設けられている。静電チャック側には、このウェーハ落し込み機構20・2と干渉しないように逃げが形成されている。静電チャック上へのウェーハの搭載方法は300mmの場合とまったく同様である。なお、符号A、B、C、D、Eは電圧を印加するための端子、20・3はプッシュピン19・3と同様のプッシュピン、20・4はウェーハ導通用針19・4と同様のウェーハ導通用針である。
図20−1の(A)及び(B)は、300mmウェーハと200mmウェーハの両方に対応することができる静電チャックの構成を概略的に示した図であり、(A)は300mmウェーハを、(B)は200mmウェーハを載置した状態をそれぞれ示している。図2
0−1の(A)から理解されるとおり、静電チャックは300mmウェーハを載置することができる広さを持ち、図21−2の(B)に示すように、静電チャックの中央の部分は200mmウェーハを載置することができる広さであり、それを囲むように、補正リング20・1の内周部が嵌り込む溝20・6が設けられる。なお、符号A、B、C、D、Eは電圧を印加するための端子である。
図20−1の(A)及び(B)に示す静電チャックの場合、ウェーハが静電チャックに載置されているかどうか、ウェーハが静電チャックに正しく載置されたかどうか、補正リングがあるかどうか等は、光学的に検出される。例えば、静電チャックの上方に光学センサを設置し、その光学センサから発された光がウェーハによって反射されて再び光学センサへ戻ったときの光路長を検出することによって、ウェーハが水平に載置されたか、傾いて載置されたかが検出できる。また、補正リングの有無は、補正リングが載置されるべき場所の中の適宜の点を斜めに照射する光送信機と、補正リングからの反射光を受光する光受信機とを設けることで検出することができる。更に、200mmウェーハ用の補正リングが載置される場所の適宜の点を斜めに照射する光送信機及び該補正リングからの反射光を受光する光受信機の組み合わせと、300mmウェーハ用の補正リングが載置される場所の適宜の点を斜めに照射する光送信機及び該補正リングからの反射光を受光する光受信機の組み合わせとを設け、いずれの光受信機が反射光を受信するかを検知することにより、200mmウェーハ用の補正リングと300mmウェーハ用の補正リングのいずれが静電チャックに載置されたかを検出することができる。
2−1−7−3)ウェーハチャッキング手順
以上説明した構造をもったウェーハチャッキング機構は、以下の手順でウェーハをチャッキングする。
(1)ウェーハサイズに合った補正リングをロボットによって搬送し、静電チャックに搭載する。
(2)ロボットハンドによるウェーハ搬送とプッシャーピンの上下動によって、ウェーハを静電チャック上に載置する。
(3)静電チャックを双極形で印加(端子C、Dに正負逆の電圧を印加)し、ウェーハを吸着する。
(4)導通用針に所定電圧を印加し、ウェーハ裏面の絶縁膜(酸化膜)を破壊する。
(5)端子A、B間の電流を測定し、ウェーハとの導通が取れたかどうか確認する。
(6)静電チャックを単極形吸着に移行する。(端子A、BをGRD、端子C、Dに同一電圧を印加する)
(7)端子A(、B)と端子C(、D)との電位差を保ったまま端子A(、B)の電圧を下げ、ウェーハに所定のリターディング電圧を印加する。
2−1−8)200/300ブリッジツールのための装置構成
200mmウェーハと300mmウェーハのどちらも機械的改造なしに検査できる装置にするための構成を図21及び図22に示す。以下、200mmウェーハもしくは300mmウェーハの専用装置と異なる点を説明する。
200/300mmウェーハ、FOUP、SMIF、オープンカセット等の仕様毎に交換されるウェーハカセットの設置場所21・1には、ユーザー仕様によって決まるウェーハサイズやウェーハカセットの種類に応じたウェーハカセットが設置できるようになっている。大気搬送ロボット21・2は、異なるウェーハサイズに対応できるようなハンドを備え、すわなちウェーハの落し込み部がウェーハサイズに合わせて複数設けられており、
ウェーハサイズにあった箇所でハンドに搭載されるようになっている。大気搬送ロボット21・2はウェーハを設置場所21・1からプリアライナ21・3へ送ってウェーハの向きを整えた後、ウェーハをプリアライナ21・3から取り出して、ロードロック室21・4内へ送る。
ロードロック室21・4の内部のウェーハラックも同様の構造で、ウェーハラックのウェーハ支持部には、ウェーハサイズに合わせた複数の落し込み部が形成されており、大気搬送ロボット21・2のハンドに搭載されたウェーハは、そのサイズに合った落し込み部に搭載されるようにロボットハンドの高さが調整されてウェーハラック内にウェーハが挿入され、その後、ロボットハンドが下降することによってウェーハ支持部の所定の落し込み部にウェーハが載置される。
ロードロック室21・4内のウェーハラックに載置されたウェーハは、次いで、搬送室21・5内に設置された真空搬送ロボット21・6によってロードロック室21・3から取り出されて試料室21・7内のステージ21・8上に搬送される。真空搬送ロボット21・6のハンドも、大気搬送ロボット21・2と同様、ウェーハサイズに合った複数の落し込み部を有している。ロボットハンドの所定の落し込み部に搭載されたウェーハは、ステージ21・8において、予めウェーハサイズに合った補正リング21・9を搭載した静電チャック上に載置され、静電チャックで吸着固定される。補正リング21・9は、搬送室21・5内に設けられた補正リングラック21・10上に載置されている。そこで、真空搬送ロボット21・6はウェーハサイズに合った補正リング21・9を補正リングラック21・10から取り出して静電チャック上に搬送し、静電チャック外周部に形成された位置決め用インロー部に補正リング21・9を嵌め込んでから、ウェーハを静電チャックに載置する。
補正リングを交換する時は、この逆の操作を行う。すなわち、ロボット21・6によって静電チャックから補正リング21・9を外し、搬送室21・5内の補正リングラック21・10に補正リングを戻し、これから検査するウェーハサイズにあった補正リングを補正リングラック21・10から静電チャックまで搬送する。
図21に示す検査装置のおいては、プリアライナ21・3がロードロック室22・4の近くに配置されているので、ウェーハのアライメントが不十分なためにロードロック室で補正リングが装着できない場合にも、ウェーハをプリアライナに戻してアライメントし直すことが容易であり、工程での時間のロスを減らせるという利点がある。
図22は、補正リングの置き場所を変えた例であり、補正リングラック21・10は省略されている。ロードロック室22・1には、ウェーハラックと補正リングラックとが階層的に形成されており、これらはエレベータに設置されて上下動することができる。まず、これから検査するウェーハサイズに合った補正リングを静電チャックに設置するため、真空搬送ロボット21・6が該補正リングを取出せる位置までロードロック室22・1のエレベータを移動する。そして補正リングを真空搬送ロボット21・6で静電チャック上に設置すると、今度は、検査すべきウェーハを搬送できるようにエレベータを操作し、ウェーハを真空搬送ロボット21・6でウェーハラックから取出した後、静電チャックに載置する。この構成の場合、ロードロック室22・1にエレベータが必要になるが、真空の搬送室21・5を小さく形成することができ、装置のフットプリントを小さくする上で有効である。
なお、静電チャック上にウェーハが存在するか否かを検知するセンサは、異なるウェーハサイズのどちらにも対応できる位置に設置されることが望ましいが、それが不可能な場合には、同一の働きをする複数のセンサをウェーハサイズ毎に配置してもよい。
図21に関して述べた検査装置においては、静電チャックの上に補正リングを載置し、その補正リングの内径に当てはまるようにウェーハを位置決めするという手順が取られている。そこで、図22に示す検査装置においては、ロードロック室22・1でウェーハに補正リングを装着し、補正リングが装着されたウェーハを補正リングごと搬送して試料室21・7へ導入し、ステージ上の静電チャックに装着するという手順が取られる。それを実現する機構として、図22−1及び図22−2に示す、エレベータを上下させてウェーハを大気搬送ロボットから真空搬送ロボットへ渡すためのエレベータ機構がある。以下、この機構を用いてウェーハを搬送する手順を説明する。
図22−1の(A)に示すように、ロードロック室の中に設けられたエレベータ機構は上下方向に移動可能に設けられた複数段(図では2段)の補正リング支持台を有する。上段の補正リング支持台22・2と下段の補正リング支持台22・3とは、第1のモータ22・4の回転によって昇降する第1の台22・5に固定され、これによって、第1のモータ22・4の回転により、第1の台22・5及び上下の補正リング支持台22・2、22・3が上方又は下方に移動することになる。
各補正リング支持台にはウェーハのサイズに応じた内径の補正リング22・6が載置されている。補正リング22・6は200mmウェーハ用と300mmウェーハ用との、内径が異なる2種類が用意され、これらの補正リングの外径は同じである。このように、同じ外径の補正リングを用いることにより、相互互換性が生まれ、ロードロック室の中に200mm用と300mm用とを自由な組み合わせで載置しておくことが可能になる。つまり、200mmウェーハと300mmウェーハとが混合して流れてくるラインについては、上段を300mm用、下段を200mm用とし、どちらのウェーハが流れてきても検査を行えるよう柔軟に対応することができる。また、同じサイズのウェーハが流れてくるラインであれば、上下の段を200mm用或いは300mm用とし、上下の段のウェーハを交互に検査することができるので、スループットを向上させることができる。
第1の台22・5には第2のモータ22・7が載置され、第2のモータ22・7には第2の台22・8が昇降可能に取り付けられている。第2の台22・8には上段のウェーハ支持台22・9と下段のウェーハ支持台22・10とが固定されている。これにより、第2のモータ22・7が回転すると、第2の台22・8と上下のウェーハ支持台22・9、22・10とが一体に上方又は下方に移動することになる。
そこで、図22−1の(A)に示すように、ウェーハWを大気搬送ロボット21・2のハンドに載せてロードロック室22・1に搬入し、次いで、(B)に示すように、第2のモータ22・7を第1の方向に回転させてウェーハ支持台22・9、22・10を上方に移動させ、ウェーハWを上段のウェーハ支持台22・9の上に載置させる。これによって、ウェーハWを大気搬送ロボット21・2からウェーハ支持台22・9へ移す。その後、(C)に示すように大気搬送ロボット21・2を後退させ、大気搬送ロボット21・2の後退が完了したところで、(D)に示すように、第2のモータ22・7を第1の方向とは逆の方向に回転させてウェーハ支持台22・9、22・10を下方へ移動させる。これによってウェーハWは上段の補正リング22・6に載置される。
次いで、(E)に示すように、真空搬送ロボット21・6のハンドをロードロック室22・1の中に入れて補正リング22・6の下側で停止させる。この状態で第1のモータ22・4を回転させ、(F)に示すように、第1の台22・5、上下の補正リング支持台22・2、22・3、第2のモータ22・7及び上下のウェーハ支持台22・9、22・10を下方へ移動させ、これによって、上段のウェーハ支持台22・9に載置されていた補正リング21・6及びウェーハWを真空搬送ロボット21・6のハンドに載せ、試料室2
1・7へ搬入することができる。
試料室21・7での検査が終了したウェーハをロードロック室21・4へ戻す動作は、上記とは逆の手順で行われ、補正リングと共に真空搬送ロボットによりウェーハ支持台の上に搬入されたウェーハは、補正リング支持台に、次いでウェーハ支持台に移され、最後に大気搬送ロボットに載置されることになる。なお、図22−1及び図22−2においては、上段におけるウェーハ受け渡し動作を説明したが、大気搬送ロボット21・2及び真空搬送ロボット21・6のハンドの高さを調整することにより、下段においても同様の動作が可能である。このように大気搬送ロボット21・2及び真空搬送ロボット21・6のハンドの高さを適切に切り換えることにより、一方の段から未検査のウェーハを試料室へ搬入し、次いで検査済みのウェーハを試料室から他方の段へ搬出することを交互に行うことができる。
2−2)ウェーハの搬送方法
次に、カセットホルダ13・2に支持されたカセット13・12からワーキングチャンバ13・16内に配置されたステージ装置13・6までへのウェーハの搬送を順を追って説明する(図14〜図16参照)。
カセットホルダ13・2は、前述のように人手によりカセットをセットする場合にはそれに適した構造のものが、また自動的にカセットをセットする場合にはそれに適した構造のものが使用される。この実施の形態において、カセット13・12がカセットホルダ13・2の昇降テーブル13・13の上にセットされると、昇降テーブル13・13は昇降機構13・14によって降下されカセット13・12が出入り口13・15に整合される。カセットが出入り口13・15に整合されると、カセットに設けられたカバー(図示せず)が開き、カセットとミニエンバイロメント装置13・3の出入り口13・15との間には筒状の覆いが配置されてカセット内及びミニエンバイロメント空間内を外部から遮断する。これらの構造は公知のものであるから、その構造及び動作の詳細な説明は省略する。なお、ミニエンバイロメント装置13・3側に出入り口13・15を開閉するシャッタ装置が設けられている場合にはそのシャッタ装置が動作して出入り口13・15を開く。
一方、第1の搬送ユニット16・14のアーム16・16は方向M1又はM2のいずれかに向いた状態(この説明ではM1の方向)で停止しており、出入り口13・15が開くとアームが伸びて先端でカセット内に収容されているウェーハのうち1枚を受け取る。なお、アームと、カセットから取り出されるべきウェーハとの上下方向の位置調整は、この実施の形態では第1の搬送ユニット16・14の駆動部16・15及びアーム16・16の上下移動で行うが、カセットホルダの昇降テーブルの上下動行っても或いはその両者で行ってもよい。
アーム16・16によるウェーハの受け取りが完了すると、アームは縮み、シャッタ装置を動作して出入り口を閉じ(シャッタ装置がある場合)、次にアーム16・16は軸線O−Oの回りで回動して方向M3に向けて伸長できる状態になる。すると、アームは伸びて先端に載せられ或いはチャックで把持されたウェーハをプリアライナー16・5の上に載せ、そのプリアライナー16・5によってウェーハの回転方向の向き(ウェーハ平面に垂直な中心軸線の回りの向き)を所定の範囲内に位置決めする。位置決めが完了すると搬送ユニット16・14はアームの先端にプリアライナー16・5からウェーハを受け取ったのちアームを縮ませ、方向M4に向けてアームを伸長できる姿勢になる。するとシャッタ装置14・8の扉13・27が動いて出入り口13・25及び13・37を開き、アーム16・16が伸びてウェーハを第1のローディングチャンバ14・2内のウェーハラック14・11の上段側又は下段側に載せる。なお、前記のようにシャッタ装置14・8を開いてウェーハラック14・11にウェーハが受け渡される前に、仕切壁14・5に
形成された開口17・4はシャッタ装置14・10の扉14・19により気密状態で閉じられている。
上記第1の搬送ユニット16・14によるウェーハの搬送過程において、ミニエンバイロメント装置13・3のハウジングの上に設けられた気体供給ユニット16・9からは清浄空気が層流状に流れ(ダウンフローとして)、搬送途中で塵埃がウェーハの上面に付着するのを防止する。搬送ユニット周辺の空気の一部(この実施の形態では供給ユニットから供給される空気の約20%で主に汚れた空気)は排出装置16・4の吸入ダクト16・12から吸引されてハウジング外に排出される。残りの空気はハウジングの底部に設けられた回収ダクト16・10を介して回収され再び気体供給ユニット16・9に戻される。
ローダハウジング13・5の第1のローディングチャンバ14・2内のウェーハラック14・11内に第1の搬送ユニット16・14によりウェーハが載せられると、シャッタ装置14・8が閉じて、ローディングチャンバ14・2内を密閉する。すると、第1のローディングチャンバ14・2内には不活性ガスが充填されて空気が追い出された後、その不活性ガスも排出されてそのローディングチャンバ14・2内は真空雰囲気にされる。この第1のローディングチャンバ14・2の真空雰囲気は低真空度でよい。ローディングチャンバ14・2内の真空度がある程度得られると、シャッタ装置14・10が動作して扉14・19で密閉していた出入り口17・4のシャッタ14・5を開き、第2の搬送ユニット14・12のアーム14・20が伸びて先端の把持装置でウェーハ受け14・11から1枚のウェーハを受け取る(先端の上に載せて或いは先端に取り付けられたチャックで把持して)。ウェーハの受け取りが完了するとアームが縮み、シャッタ装置14・10が再び動作して扉14・19で出入り口17・4を閉じる。
なお、シャッタ装置14・10が開く前にアーム14・20は予めウェーハラック14・11の方向N1に向けて伸長できる姿勢になる。また、前記のようにシャッタ装置14・10が開く前にシャッタ装置13・29の扉14・9で出入り口14・7、14・1を閉じていて、第2のローディングチャンバ14・3内とワーキングチャンバ13・16内との連通を気密状態で阻止しており、第2のローディングチャンバ14・3内は真空排気される。
シャッタ装置14・10が出入り口17・4を閉じると、第2のローディングチャンバ14・3内は再度真空排気され、第1のローディングチャンバ14・2内よりも高真空度の真空にされる。その間に、第2の搬送ユニット16・14のアームはワーキングチャンバ13・16内のステージ装置13・6の方向に向いて伸長できる位置に回転される。一方ワーキングチャンバ13・16内のステージ装置13・6では、Yテーブル13・33が、Xテーブル13・34の中心線X−Xが第2の搬送ユニット14・12の回動軸線O−Oを通るX軸線X−Xとほぼ一致する位置まで、図14で上方に移動し、また、Xテーブル13・34は図14で最も左側の位置に接近する位置まで移動し、この状態で待機している。第2のローディングチャンバ14・3がワーキングチャンバ13・16の真空状態と略同じになると、シャッタ装置13・29の扉14・9が動いて出入り口14・7、14・1を開き、アームが伸びてウェーハを保持したアームの先端がワーキングチャンバ13・16内のステージ装置13・6に接近する。そしてステージ装置13・6の載置面14・14上にウェーハを載置する。ウェーハの載置が完了するとアームが縮み、シャッタ装置13・29が出入り口14・7、14・1を閉じる。
ステージには、ウェーハに逆バイアス電位(リターディング電位)をかける機構があるので、アームがステージへウェーハを置きに行くもしくは取りに行く時、アームをステージと同じもしくは近い電位、またはアームをフローティング電位にしておくことにより、電位のショートによる放電などの不具合を避ける機構を有している。また、別の実施の形
態として、ウェーハをステージ装置上に搬送する際にはウェーハへのバイアス電位をオフにしておいてもよい。
バイアス電位を制御する場合には、ウェーハがステージに搬送されるまでは電位をオフにしておき、ステージに搬送され載置されてからオンにしてバイアス電位を印加するようにしてもよい。バイアス電位を印加する時機は、タクトタイムを予め設定しておき、それにしたがって印加してもよいし、ステージの上にウェーハが載置された事をセンサで検出し、その検出信号をトリガとして印加するようにしてもよい。また、シャッタ装置13・29が出入口14・7、14・1を閉じたことを検出して、その検出信号をトリガとして印加してもよい。更に、静電チャックを用いる場合には、静電チャックに吸着されたことを確認し、それをトリガとしてバイアス電位を印加するようにしてもよい。
以上は、カセット13・12内のウェーハをステージ装置上に搬送するまでの動作について説明したが、ステージ装置13・6に載せられて処理が完了したウェーハをステージ装置13・6からカセット13・12内に戻すには前述と逆の動作を行って戻す。また、ウェーハラック14・11に複数のウェーハを載置しておくため、第2の搬送ユニット14・12でウェーハラック14・11とステージ装置13・6との間でウェーハの搬送を行う間に、第1の搬送ユニット16・14でカセットとウェーハラック14・11との間でウェーハの搬送を行うことができ、検査処理を効率良く行うことができる。
具体的には、ウェーハラック14・11に、既に処理済のウェーハAと未処理のウェーハBがある場合、まず、ステージ装置13・6に未処理のウェーハBを移動する。この間に、処理済ウェーハAを、アームによりウェーハラックからカセット13・12に移動し、未処理のウェーハCを同じくアームによりカセット13・12から抜き出し、プリアライナ16・5で位置決めした後、ローディングチャンバ14・2のウェーハラック14・11に移動する。
このようにすることで、ウェーハラック14・11の中は、ウェーハBを処理中に、処理済のウェーハAが未処理のウェーハCに置き換えることができる。また、検査や評価を行うこのような装置の利用の仕方によっては、ステージ装置13・6を複数台並列に置き、それぞれの装置に一つのウェーハラック14・11からウェーハを移動することで、複数枚のウェーハを同じ処理することもできる。
図23は、主ハウジング13・4の支持方法の変形例がで示されている。図23に示された変形例では、ハウジング支持装置23・1を厚肉で矩形の鋼板23・2で構成し、その鋼板の上にハウジング本体23・3が載せられている。したがって、ハウジング本体23・1の底壁23・4は、前記実施の形態の底壁に比較して薄い構造になっている。図24に示された変形例では、ハウジング支持装置24・1のフレーム構造体24・2によりハウジング本体24・3及びローダハウジング24・4を吊り下げて状態で支持するようになっている。
フレーム構造体24・2に固定された複数の縦フレーム24・5の下端は、ハウジング本体24・3の底壁24・6の四隅に固定され、その底壁により周壁及び頂壁を支持するようになっている。そして防振装置24・7は、フレーム構造体24・2と台フレーム24・8との間に配置されている。また、ローダハウジング24・4もフレーム構造体24・2に固定された吊り下げ部材24・9によって吊り下げられている。ハウジング本体24・3のこの図24に示された変形例では、吊り下げ式に支えるので主ハウジング及びその中に設けられた各種機器全体の低重心化が可能である。上記変形例を含めた主ハウジング及びローダハウジングの支持方法では主ハウジング及びローダハウジングに床からの振動が伝わらないようになっている。
図示しない別の変形例では、主ハウジングのハウジング本体のみがハウジング支持装置によって下から支えられ、ローダハウジングは隣接するミニエンバイロメント装置13・3と同じ方法で床上に配置され得る。また、図示しない更に別の変形例では、主ハウジング13・4のハウジング本体のみがフレーム構造体に吊り下げ式で支持され、ローダハウジングは隣接するミニエンバイロメント装置と同じ方法で床上に配置され得る。
上記の実施の形態によれば、次のような効果を奏することが可能である。
(1)電子線を用いた写像投影方式の検査装置の全体構成が得られ、高いスループットで検査対象を処理することができる。
(2)ミニエンバイロメント空間内で検査対象に清浄気体を流して塵埃の付着を防止すると共に清浄度を観察するセンサを設けることによりその空間内の塵埃を監視しながら検査対象の検査を行うことができる。
(3)ローディングチャンバ及びワーキングチャンバを一体的に振動防止装置を介して支持したので外部の環境に影響されずにステージ装置への検査対象の供給及び検査を行うことができる。
2−3)電子光学系
2−3−1)概要
電子光学系13・8は、ハウジング本体13・17に固定された鏡筒13・38の中に設けられた、図25−1に概略的に図示する一次電子光学系(以下、単に一次光学系という)25・1と、二次電子光学系(以下、単に二次光学系という)25・2とを備える電子光学系と、検出系25・3とを備える。一次光学系25・1は、電子線を検査対象であるウェーハWの表面に照射する光学系で、電子線を放出する電子銃25・4と、電子銃25・4から放出された一次電子線を集束する静電レンズからなるレンズ系25・5と、ウイーンフィルタすなわちE×B分離器25・6と、対物レンズ系25・7とを備え、それらは、図25−1に示されるように電子銃25・4を最上部にして順に配置されている。この実施の形態の対物レンズ系25・7を構成するレンズは減速電界型対物レンズである。この実施の形態では、電子銃25・4から放出される一次電子線の光軸は、検査対象であるウェーハWに照射される照射光軸(ウェーハの表面に垂直になっている)に関して斜めになっている。対物レンズ系25・7と検査対象であるウェーハWとの間には電極25・8が配置されている。この電極25・8は一次電子線の照射光軸に関して軸対称の形状になっていて、電源25・9によって電圧制御されるようになっている。
二次光学系25・2は、E×B型偏向器25・6により一次光学系から分離された二次電子を通す静電レンズから成るレンズ系25・10を備えている。このレンズ系25・10は二次電子像を拡大する拡大レンズとして機能する。
検出系25・3は、レンズ系25・10の結像面に配置された検出器25・11及び画像処理部25・12を備えている。
一次ビームの入射方向は通常E×BフィルタのE方向(電界の逆方向)であり、この方向と積算型のラインセンサ(TDI:time delay integration)の積算方向とは同じ方向となっている。TDIの積算方向は一次ビーム方向と異なっていても構わない。
電子ビーム光学系鏡筒は以下の構成要素を備えている。
(1)コラム磁気シールド
鏡筒を構成する部材には望ましくはパーマロイ等のニッケル合金や鉄等の磁性体を用いると良く、磁気的な外乱の影響を抑える効果が期待できる。
(2)検出器回転機構
ステージの走査軸方向と検出器の走査方向とを一致させるために、鏡筒13・38の上
部には、鏡筒13・38の内を真空に保持した状態のままTDI等の検出器25・11を光軸周りに±数度程度回転できるようにして、装置の組立により生じる走査方向のずれを無くす検出器回転機構を有している。この機構においては、回転分解能及び回転位置再現性は5〜40秒程度必要である。これは、検出器において、1フレーム分の画像を走査する間にステージの走査方向と検出器の走査方向とのずれを1ピクセルの1/10程度に収める必要から出てくる。検出器回転機構によれば、ステージの移動方向とTDIの積算方向の角度誤差を10mrad以下、好ましくは1mrad以下、より好ましくは0.2mrad以下に調整することも可能である。
以下、図25−3〜図25−5を用いて、検出器回転機構の構成の一例を説明する。図25−3は、鏡筒13・38の上部に設けられた検出器回転機構の全体の構成を示す図であり、図25−4は、上鏡筒を回転させるための機構の概略図であり、図25−5は、上鏡筒と下鏡筒とをシールするための機構を示している。
図25−3において、鏡筒13・38の上端は、検出器25・11が取り付けられた上鏡筒25・20と、主ハウジング13・4に固定された下鏡筒25・21とからなる。上鏡筒25・20は下鏡筒25・21に対してベアリング25・22を介して支持されて二次光学系の光軸の周りに回転可能であり、また、上鏡筒25・20と下鏡筒25・21との間には、鏡筒13・38の内部を真空に保つためにシール部25・23が設けられる。具体的には、上鏡筒25・20の下端と下鏡筒25・21の上端との間にシール部25・23を設置するとともに、下鏡筒25・21の上端に上鏡筒25・20を取り囲むように鍔部25・24を設け、この鍔部25・24と上鏡筒25・20の側面との間にベアリング25・22を設置する。
上鏡筒25・20と下鏡筒25・21とにはそれぞれ、ベアリング25・22を押さえるためのベアリング押さえ25・25、25・26がネジ止めされる。さらに、上鏡筒25・20を下鏡筒25・21に対して回転させるために、図25−4に示す駆動機構が設けられる。即ち、鍔部25・24の上端に設けられたベアリング押さえ25・26の一部には突起25・27が設けられ、一方、上鏡筒25・20から突設された取り付け部材(ブラケット)25・28にはアクチュエータ25・29が固定される。アクチュエータ25・29の軸25・30は突起25・27と接触し、鍔部25・24とアクチュエータ29・29が固定された取り付け部材(ブラケット)25・28との間には、突起25・27の方へ引く力が与えられた予圧バネ25・31が設けられる。これにより、アクチュエータ25・29を作動させて軸25・30がアクチュエータ25・29から突出する長さを変えることにより、下鏡筒25・21に対して上鏡筒25・20を所望の角度だけ所望の方向に回転させることができる。
前述の回転精度のためには、アクチュエータ25・29の移動分解能は5〜10μm程度であることが望ましい。また、アクチュエータ25・29としては、ピエゾ・アクチュエータやマイクロメータをモータ駆動するものであってよい。また、アクチュエータ25・29を固定するブラケット25・28と突起25・27との相対距離を測定することができるセンサを取り付けて検出器25・11の回転位置を測定することが望ましい。センサには、リニアスケール、ポテンショメータ、レーザ変位計、歪みゲージ等を使用することができる。
シール部25・23は、鏡筒13・38の内部を真空に保つために、図25−5に示すように、下鏡筒25・21の上端の面と上鏡筒25・20の下端の面との間に僅かな隙間25・32(図25−5)が形成されるように設置される。シール部25・23は、中央部に固着された仕切りリング25・33と2個の弾性シール25・34、25・35とを備え、各弾性シール25・34、25・35のリップ部の間には、シール面の面圧を確保
してシール性を高めるためのスプリング25・36、25・37がそれぞれ設けられる。仕切りリング25・33の中央には、下鏡筒25・21に形成された排気路25・38と連なる排気口25・39が設けられる。弾性シール25・34、25・35は摩擦係数が極めて小さく摺動性に優れた材質で作られることが好ましく、例えば、米国ヒューロン社製のオムニシールを用いることができる。
このように、弾性シールを2重に配置し、その中間の空間25・40を真空排気することにより、上鏡筒25・20が回転して若干のリークが大気側の弾性シール25・35に発生しても、リークした空気は排気路25・38で排気され、空間25・40の圧力がさほど上昇しない。そのため、弾性シール25・34から鏡筒内へのリークが発生せず、鏡筒内の真空を劣化させることがない。空間25・40は継続的に真空排気されても良いが、検出器回転機構を作動させたときのみ排気することも可能である。これは、リークが生じやすいのは回転時であり、回転させないときには弾性シール25・34、25・35と上鏡筒25・20の下端との面圧で十分シールできるからである。
弾性シール25・34、25・35と上下の面との面圧を適切に設定することが重要であり、これは隙間25・32の大きさを調整することにより実現できる。隙間25・32の調整は、ベアリング25・22と下鏡筒25・21の上端の面との間にシム25・41を入れることによって行うことができる。ここにシム25・41を入れることにより、下鏡筒25・21に対するベアリング25・22の高さを変えることができる。これに対して、上鏡筒25・20では押さえ25・25、25・26でベアリング25・22を挟み込んでいるので、ベアリング25・22は上鏡筒25・20と共に上下する構造になっており、シム25・41の厚さの分だけ上鏡筒25・20と下鏡筒25・21との間の隙間25・32が変わることになる。
なお、鏡筒の仕様によっては、図25−5に示すように2重のシールを設けずに、1重のシールのみとしてシール間の真空排気を行わなくても十分な場合がある。しかし、2重のシールの方が信頼性が高く、高真空が得られ易い。また、上の説明では弾性シール25・34、25・35の内部にスプリング25・36、25・37を設けるようにしたが、真空と大気圧との差圧で弾性シール25・34、25・25が上下面に十分押しつけられる場合や、弾性シール25・34、25・35自体に十分な反発力がある場合には、スプリング25・36、25・37を省略しても良い。
以上のような構成の回転機構によって検出器とステージとの方向を合わせるには、検出器25・11を微少量回転させ、その都度、検出器25・11の走査撮像を行って、最もシャープな画像が得られたときの角度に検出器25・11の角度を合わせればよい。以下、その具体的な方法を説明する。
検出器回転機構の回転可動範囲において、検出器25・11を微小角度回転させて検出器25・11の走査撮像を行い、得られた画像に対して画像処理を施すことによって、コントラスト等の像質を評価できる数値を求める。これを繰り返すことによって検出器25・11の回転位置と像質との関係求め、最も像質がよいときの検出器25・11の回転位置を求める。そこで、その位置まで検出器25・11を回転させることによって検出器25・11の位置決め作業が完了する。
ステージと検出器25・11との位置ずれの許容値は検出器25・11の1フレーム分の画像を走査する間に、ステージの走査方向と検出器の走査方向とのずれが1ピクセルの1/10程度に収める必要から決まる。したがって、走査方向にピクセルが約500段並んでいる場合の許容角度ずれは約40秒となる。
ステージと検出器との角度のずれを40秒以下に合わせるには、上記した、検出器の位置と像質との関係を多項式近似等の手法によって数値化し、像質が最良になるときの検出器25・11の位置を求める方法や、まず検出器25・11を粗く回転させて撮像を行い、検出器の位置と像質との概略の関係を求め、像質が最良になる検出器の位置の範囲を絞り込み、再度、その範囲内で検出器を微少量ずつ回転させて同様の操作を行い、像質が最良になる検出器位置を精度良く求める方法を用いることができる。こうして、ステージと検出器との角度合わせが完了した後に角度のずれが生じるのを防止するために、ロック機構を設けることが有効である。例えば、ベアリング押さえ25・25、25・26間に板状部品を渡し、この板状部品とベアリング押さえ25・25、25・26とをボルトで固定すればよい。
(3)NA移動機構
NAは光軸方向や光軸に直交する方向に数センチ程度移動できるような機構によって保持されており、倍率の変更に連動して光学的に最適な位置にNAを調整することを可能にしている。NA保持部には複数のNAが取り付けられるようにすることが望ましく、そういう機構を付加することによってNAの劣化や透過率を変更したい場合に鏡筒内を真空に保持したままのNA交換が可能になる。
また、NA保持部には望ましくはヒーター部が設置されておりNAを高温保持することによりNAが劣化しにくくなる効果がある。また、反応性ガスの配管部を設置することも有効であり、鏡筒内を真空に保持したままのNAのクリーニングが可能となる。
(4)アイソレーションバルブ
鏡筒には、望ましくは鏡筒内を複数の空間に分割できるようにするためのバルブが設置されている。具体的にはMCP部や電子銃部の空間をステージ部の空間と切り離せるようにバルブを設置すると有効である。そのような構成にすることで、MCP部や電子銃部を真空に保持したままステージ周辺等のメンテナンスを実施することが可能になる。また、逆にステージ部等を真空に保持したままMCP部や電子銃部のメンテナンスを実施することも可能である。
(5)光軸シールド筒
光軸の周囲はアースに接地された筒状の部材によって囲まれていることが望ましく、そのような構成にすることで電気的な外乱の影響を抑える効果が期待できる。
(6)MCP手前のオリフィス
一連の電子光学系とMCP部の間にはオリフィス状あるいは細長い筒状の部材が設置されており、双方の空間を結ぶ経路のコンダクタンスが小さくなるような構成とすることで、MCP部の圧力を電子光学系の1/5程度、好ましくは1/10程度より好ましくは1/100程度低く保持することが容易になる。
(7)電極一体化、高精度化
電子光学的に同心軸上に数μm以下の精度で配置されることが必要な部品については、望ましくは部材同士の合わせ加工や冷し嵌めといった方法によって組み立てられていると良い。
(8)光学顕微鏡
低倍率での試料像や、光で見た場合の画像を電子ビーム画像と比較参照のために光学顕微鏡を備えている。倍率は電子ビーム画像の1/10〜1/5000程度
好ましくは1/20〜1/1000、より好ましくは1/20〜1/100程度である。試料表面からの光の画像は二次元の固体撮像素子(CCD)で検出し、
CRT上に表示させることができる。又、メモリーに記憶させておくことができる。
(9)同軸イオンポンプ
イオンポンプ等の無振動型の真空排気系を電子銃部やMCP部付近の光軸周りに回転対称状に配置することで、排気系自体による荷電粒子や磁場等の影響を相殺しながら当該箇所を高真空に保持する効果が期待できる。これはイオンポンプを配管で電子銃部などに接続して排気する場合、配管のコンダクタンスが小さくなってしまうのを改善していることによる。
以下、具体的な実施の形態について説明する。
(1)実施の形態1
真空チャンバ、真空排気系、1次光学系、2次光学系、検出器、画像処理器、制御用コンピュータより主に構成されている検査装置の一例である。図26にその一例を示す。
電子ビームを試料に照射するための1次光学系26・1と試料表面から放出された電子
、例えば、2次電子、反射電子、後方散乱電子等を、検出器に導くための、2次光学系26・2がある。2次光学系は、写像投影式光学系である。1次系と2次系を分離する為に、
E×Bなるビーム分離器26・3が使用される。また、検出器26・4によって検出された電子の画像信号は、光信号、または/及び、電気信号に変換され、画像処理器26・5により処理される。また、このとき、検出器に入射する電子数は、1画素相当エリアに、200個以下でも画像を良好に形成できる。もちろん1画素領域中に200個以上の場合も画像を良好に形成できることは言うまでもない。
1次光学系の構成要素である電子銃26・6は、熱フィラメントとして、LaBが用いられ、ウェネルト、引出電極26・7によりカソードからの電子を引き出す。その後、2段のAレンズ(アインツェルレンズ)26・8によりビームをアパーチャ26・9に収束させ、クロスオーバーを形成する。その後、2段のアライナ26・10、アパーチャ26・11、3段の4極子レンズ26・12、3段アライナ26・13を通過してビーム分離器に入射して試料面方向に偏向され、アパーチャ26・14と2次系のPレンズ(対物レンズ)16・16を通過して試料面にほぼ垂直に照射される。
アパーチャ26・9により、クロスオーバでの均一性が高く、且つ、輝度の高いビーム領域を通過させ、アパーチャ26・11により、4極子レンズへのビーム入射角度を規定するアライナ(偏向器)26・10は、アパーチャ26・11及び4極子レンズ26・12の光軸中心にビームを入射させるための調整に使用される。4極子レンズ26・12は、ビームの2方向、例えば、X,Y方向の軌道を変えて、ビームの形状を変形することに利用される。例えば、試料照射ビーム形状において、円形、楕円形、矩形、矩形・楕円のx,y方向の形状の割合変更等を実現できる (図27参照) 。4極子レンズ通過後、アライナ26・14により、アパーチャ26・15、Pレンズ(対物レンズ)26・16の中心を通過するように調整され、試料表面に入射する。このとき、照射ビームの形状は、2軸の少なくとも一つについて、対称的に形状を形成できる。ビーム形状は非対称であっても良い。試料表面に照射されるビームのエネルギ−は、最終的に、カソードと試料表面に電圧差によって決定される。例えば、カソード-5.0kV、試料表面−4kVの時、照射
ビームエネルギは、1keVとなる (図26参照) 。
この場合の電圧の誤差は±10V、エネルギー誤差は±20eVである。また、検出電子として、2次電子を用いる場合、ビーム照射エネルギが1.5keV±10eV〜5keV±10eVで用いるときは、試料が負帯電状態となり、その状態からの2次電子が試料から放出され、2次系により拡大・結像されて検出系に導かれる。照射エネルギが50±10eV〜1500eV±10eVでは、試料表面が正帯電状態になり、放出された2次電子が。検出系に導かれる。正帯電の方が、比較的低ダメージで動作できるが、チャー
ジアップの影響またはチャージアップによる表面電位の不均一による影響は受けやすい。負帯電での動作では、安定して像が得やすく、チャージアップの影響またはチャージアップによる表面電位の不均一による像の歪みが正帯電よりも小さくできる。
また、アパーチャ26・15の場所において、2次系と1次系のクロスオーバの位置をずらして動作することもある。例えば、2次系は2次系光軸中心上に、2次電子のクロスオーバを形成し、1次系のクロスオーバは2次系の光軸中心よりも50〜500μmずれた位置(X、Yどちらでも良い)に形成して動作させる。これにより、アパーチャ26・15での1次系と2次系の2つのクロスオーバが重なることが無くなり、電流密度の緩和ができるため、ビーム電流量が多い場合の空間電荷効果によるボケの拡大を抑制することが可能となる。これは、例えば、1次系照射ビーム電流密度が1×10-3A/cm2以上のときに、有効となる。それより低い電流密度の時は、光軸中心が同一になっても影響は少ない。
試料表面からの放出電子は、2次電子、反射電子、後方散乱電子の1種類以上が利用される。試料表面からの放出エネルギーは、例えば、入射ビームエネルギ1000eV±10eVの時、およそ、各々、0〜10eV、1000eV±10eV、10〜1000eVとなる。また、薄い試料や穴のあいた試料(例えばスランシルマスク)を透過した電子も利用される。この場合、前者の薄い試料では、その厚さの分だけ入射されたエネルギが減少し、穴あき試料では入射エネルギを同じエネルギとなる。
電子ビームの代わりに集束イオンビーム(FIB)を用いても良い。FIB源としては液体金属のGaイオン源が一般的であるが、液化しやすい金属を用いる他の液体金属イオン源や、異なる方式のイオン源、例えば放電を用いるデュオプラズマトロン等が使用できる。
試料としては、10×10mm程度のチップから2,4,6,8,12インチウェーハまで、種々の試料が用いられる。特に、100nm以下の線幅を持つ配線パターンや直径100nm以下のビアの欠陥やゴミの検出に有効であり、また、それらの電気的欠陥を検出するのに都合がよい。試料は、Siウェーハ、Siに加工を施された半導体デバイスウェーハ、マイクロマシン加工がされたウェーハ、液晶ディスプレイ用基板、ハードディスク用ヘッド加工ウェーハ、等が用いられる。
2次系26・2では、試料からの放出電子、例えは、2次電子、反射電子、後方散乱電子及び透過電子を検出系に拡大倍率にて、結像させて、導くための写像投影光学系が用いられる例を述べる。コラムのレンズ構成の例としては、Pレンズ(対物レンズ)26・16、アパーチャ26・15、アライナ26・14、ビーム分離器26・3、Tレンズ(中間レンズ)26・17、アライナ26・18、アパーチャ26・19、Pレンズ(投影レンズ)26・20、アライナ26・21、マイクロチャンネルプレート(MCP)ユニットで構成される。コラムの上部フランジにはハーメチックの石英ガラスが設置されている。その上部にリレーレンズ、二次元の電荷結合素子(2D−CCD)が設置され、蛍光面で形成された像が2D−CCDセンサに結像される。
試料表面からの放出電子は、Pレンズ(対物レンズ)26・16にてアパーチャ26・15でクロスオーバを形成して、ビーム分離器26・3中心で結像する。ビーム分離器中心にて結像する条件で動作すると、ビーム分離器26・3で発生する2次系ビームの収差の影響を小さく押さえることができるので有効となる。これは、例えば、E×Bにおいてビームを通過させるときに、像高により偏向量・収差が異なってくるため、結像することにより、結像成分の被る収差を最小限に抑えることができるからである。このことは、1次系においても同様の事が言えるため、1次系においても、試料上に結像条件を形成する
のみでなく、ビーム分離器中心付近においても結像点を形成することにより、1次ビームの収差低減を行い、試料上での電流密度ムラを小さく抑えることに有効となる。
その上部にあるPレンズ(中間レンズ)26・17の中心にビームを調整するため、アライナ26・14が使用される。その上流部にあるPレンズ(投影レンズ)26・20の中心にビームを調整するため、アライナ26・18が使用される。その上部にあるMCP中心にビームを調整するために、アライナ26・21がある。Pレンズ(対物レンズ)26・16の倍率は1.5〜3倍、Pレンズ(中間レンズ)26・17の倍率は1.5〜3、Pレンズ(投影レンズ)26・20の倍率は30〜50である。これらの倍率を達成するには、それぞれの倍率に応じた電圧を各々のレンズに印加して調整を行う。また、焦点の微調整を行うには、専用の焦点補正レンズが、Pレンズ(対物レンズ)系の中に組み込まれており、該電極に印加する電圧の微調整により、焦点あわせを実現する。また、アパーチャ26・15とアパーチャ26・19の位置では、双方とも、クロスオーバを形成する場合、アパーチャ26・15はノイズカット用に用いて、アパーチャ26・19は、収差・コントラストを決定する役割を果たすように使用することも可能である。
サイズ゛として例えば、アパーチャ26・15とアパーチャ26・19は、φ30以上φ2000μm以下、好ましくはφ30以上〜φ1000μm、より好ましくはφ30以上〜φ500μmで使用可能である。この時、アパーチャ26・15で収差、透過率、コントラスト特性を主に決める場合には、アパーチャ26・15を例えばφ30〜φ500μm、アパーチャ26・19はφ1000〜φ2000μmで用いる。アパーチャ26・19で収差、透過率、コントラスト特性を主に決める場合には、例えばアパーチャ26・19をφ30〜φ500μm、アパーチャ26・15はφ1000〜φ2000μmで用いる。
また、Pレンズ(中間レンズ)27・17の上下にスティグ電極が設置されて用いることもある。これは、ビーム分離器26・3等によって発生する非点収差を補正するために用いられる。例えば、4、6,8極の電極構成のスティグを用いることが可能である。例えば、8の内それぞれ電極に異なった電圧が印加されて非点収差、球面収差の補正に用いることができる。
また、反射電子像及び後方散乱電子を用いたときのレンズ動作において、最終段のPレンズ(投影レンズ)26・20が、減速レンズ(負電圧印加レンズ)を用いると、2次電子のノイズカットに有効となる。通常、反射電子量の10〜1000倍程度2次電子量の方が多いため、特に、反射電子・後方散乱電子を用いた結像を行う場合は有効となる。例えば、1次系電子源のカソード電圧−4kV、試料電位−3kVの時、試料からの反射電子エネルギ1keV、検出器電圧が設置電位の時に、P電極の部位では、およそ、反射電子と2次電子のエネルギ差は1keVある。この時、Pレンズ(投影レンズ)電極の負電圧レンズ動作において、中心電圧が、反射電子を通過させて、2次電子をカットオフする条件を用いることが可能である。これらの条件は、シミュレーションによって求めることが可能である。
ビーム分離器26・3では、電極と磁極が直行しているE×Bまたは、磁場Bのみで行う分離器が用いられる。E×Bの例では、電界分布を形成するE電極とそれと直交した磁極の面を持ち、直交した方向に磁束密度分布を形成する磁極より構成されている。例えば、2次系の光軸が試料表面より垂直方向であるとき、この2次系の軸に対して、1次系の入射ビームが10〜90度で設定することが可能である。この時、1次系がE×Bにより、
偏向されて試料面に垂直入射でき、また、試料表面からの放出電子が光軸方向つまり試料面から垂直方向にE×Bにて導かれる。これは、E電極に印加する電圧と、B電極に形成される磁束密度により達成される。例えば、一対のE電極に±2kV±1V、一対のB電
極から並行的に磁束密度分布が形成され、例えば、E×Bの中心部において、1〜60G±1Gの磁極方向の磁束密度を発生する(図26参照)。
また、E×Bは1次系と2次系の偏向関係を逆にした場合にも適用可能である。即ち、1次系の入射ビーム源を試料の直上方向に設けるとともに、2次系の検出器を1次系の軸と10〜80度の角度をなした方向に設け、E×Bにより1次系のビームには偏向力を加えずに試料に垂直に入射させ、試料から放出された電子(2次系ビーム)に偏向力を加えて検出器の方向に導くことができる。
検出器26・4では、信号電子がMCP等電子増倍管28・1に導入され、増幅された電子が蛍光面に照射され、蛍光像形成がなされる。蛍光面は石英ガラス等のガラス板28・2の片面に蛍光材がコートされているものである。この蛍光像は、リレーレンズ系28・3と2次元CCD28・4により、撮像される。このリレーレンズ系とCCDはコラムの上部に設置されている。コラムの上部フランジには、ハーメチックガラス28・6が設置され、コラム内の真空環境と外部大気環境とを分離し、かつ、蛍光像を歪・コントラスト劣化を小さくして、CCDに結像して、蛍光像を効率よく撮像できる。
CCDの代わりに、積算型のラインイメージセンサ(TDI−CCD)カメラを用いることも出来る。この場合、試料はステージにて、例えば、E電極方向または、B磁極方向に、ステージ移動を行いながらTDI撮像を行うことが可能となる。例えば、TDIの積算段数が256段、1段当たり2048個の画素数/段、素子サイズ15×15μm、試料面に対するMCP結像倍率が300倍である時、ライン/スペースが0.1/0.1μ
mのとき試料面サイズがMCP面で30/30μmとなる。そして、リレーレンズ倍率1倍のとき、30μmは2つの素子サイズ相当にて撮像される。このとき、1素子相当の試料位置、つまり0.05×0.05μmの試料サイズから放出された電子は、256素子段数分ステージ移動中に積算されて、総合取得光量が増加して撮像できる。これは、ラインレート100kHz〜600kHz対応等、ステージ速度が速いときに特に有効である。これは、ラインレートが早い時に、1素子当たりの取得電子数、つまり、TDIセンサの1素子当たりの取得光強度が小さくなるために、積算を行って最終取得光強度を高くし、コントラストとS/Nを高めることが出来るためである。ラインレートは、0.5kHz〜100MHzが用いられ、好ましくは1kHz〜50MHz、より好ましくは20kHz〜10MHzである。これに対応して、ビデオレートも、1タップ当たり1〜120MHz/タップ好ましくは10〜50MHz/タップ、より好ましくは、10〜40MHz/タップで使用される。また、タップ数は、1以上520以下で、好ましくは4以上256以下、より好ましくは32以上128以下で用いられる(図28、図29参照)。
CCD、TDIセンサ/カメラは、低ノイズ、高感度の特性を有するものが用いられる。例えば、100〜100000DN/(nJ/cm)で設定可能であるが、このうち、1000〜50000DN/(nJ/cm)で使用すると効率がよい。さらに、10000〜50000DN/(nJ/cm)で使用すると、高ラインレート時においても、良好なS/Nで、高品質の画像を得ることができる。
また、CCD又はTDIセンサを用いて画像取得がなされるとき、これらのセンサの画素数×段数の領域が、1次ビームの照射エリアとほぼ一致している状態で使用することができ、効率的であると共に、ノイズの低減になる。ノイズは、画像に使用されるエリア以外の像高の高い部位からの電子もノイズとして、検出器まで到達するものがある。それらを低減するには、有効視野以外の部位のビーム照射を低減することが有効である。CCD、TDIセンサにより取得された像情報は電気信号に変換されて、画像処理器によってデータ処理される。この画像処理により、セル トゥー セル、ダイ トゥー ダイ(Die to Die)ダイ トゥー エニーダイ(Die to Any Die)の像比較が行われ、欠陥検査を行
うことが出来る。例えば、パターン欠陥、パーティクル欠陥、電位コントラスト欠陥(例えば、配線やメッキの電気接続欠陥等)。
ステージ26・22は、X,Y,Z、
Figure 2014112087
移動機構のうち1つ以上の組み合わせにより設置されたステージが用いられる。この様な
電子線検査装置において、上記の各要素として、以下の機器要素を使用できる。
1次系
電子源 Wフィラメント、Lフィラメント、TFE,FE
レンズ 金属又はセラミック製、金属としてリン青銅、Ti、Al
アインツェルレンズ、4重極レンズ
アライナ 4極、6極、8極のレンズ
アパーチャ 材質、Mo、Ta、Ti、リン青銅
2次系
レンズ 金属又はセラミック製、金属としてリン青銅、Ti、Al
セラミック電極はAuメッキ等の処理が施されている
アインツェルレンズ、4極子レンズ
アライナ 4極、6極、8極のレンズ
アパーチャ 材質、MO(モリブデン)、Ta、Ti、リン青銅
電子ビーム分離器
E電極 金属又はセラミック製、金属としてリン青銅、Ti、Al
セラミック電極はAuメッキ等の処理が施されている
B磁極 パーマロイB、パーマロイC等、飽和磁束密度と透磁率の高い材質(例えば、10〜10、好ましくは10〜10、より好ましくは10〜10
試料
Siウェーハ、3-5族化合物半導体ウェーハ、液晶基板、ハードディスクのヘッド加工ウ
ェーハ、
2、4、6、8、12インチのウェーハが用いられる
検出器
MCP/蛍光板/リレーレンズ/CCD
MCP/蛍光板/リレーレンズ/TDI
MCP/蛍光板/FOP(ファイバオプティクプレート)/TDI
ホトマル
マルチホトマル
上記のような組み合わせにより用いることが可能である。MCPは入ってきた電子を増幅させる機能を有し、そこから出てきた電子は蛍光板により光に変換される。入射電子料が充分多くて増倍する必要にない場合には、MCP無しでも操作も可能である。また、蛍光板の代わりにシンチレータを用いることも可能である。この光の信号(あるいは像信号)はリレーレンズの場合には所定の倍率で、また、FOPの場合には1倍(1対1に光信号を伝える)でTDIへ伝える或いは像を形成する。ホトマルは光信号を増幅して電気信号へ変換するものであり、マルチホトマルはホトマルを複数並べたものである
画像処理器
像比較、欠陥検出、欠陥分類、画像データ記録、等の機能を有する。
上述した電子線検査装置において、1次ビームの照射ビーム形状が、X,Y軸に対して、少なくとも1軸以上に対して対称な照射ビーム形状を使用することができる。このことにより、光軸を中心としたビームによる検出器の電子入射面上で、低収差、低歪みの取得像形成が可能となる。
また、検出器としてCCDやTDIを用いる場合では、1画素に対応するエリア、例えば、MCP上において、1画素の形成において、電子の入射量が200個/画素エリア以下にて十分なS/Nを達成でき、画像処理及び欠陥検出に使用できる。これは、例えば、写像投影光学系においては、アパーチャ26・15又は26・19のサイズを規定することにより、ノイズカットと収差低減効果を発生できるため、例えば、径30μm〜1000μmのアパーチャを設置することにより、S/N向上を実現できるので、200電子数/1画素エリアにて、高分解能な良質な画像を取得できる。
TDIはステージの移動方向に付いて段数分の積分を行う。本実施の形態の場合は256段分の積分を行うが、積算段数は114段以上8192段以下、好ましくは114段以上4096段以下、より好ましくは512段以上4096段以下が適当である。積算方向に若干、一次ビームの照度むらがあり、試料からの信号電子にもむらがあったとしても、積分の効果によりそのむらは平均化され、検出される電子情報は一定の安定したものとなる。従って、ステージの移動方向は1次電子ビームの照度むらの生じ易い方向も考慮して、その照度ムラの生じ易い方向がTDIの積分方向に一致するように決めることが出来る。TDIの使用により、連続した画像取得が可能になるが、CCDを使用して、ステップアンドリピート方式でステージを走査し、画像取得を行っても良い。すなわち、特定の場所でステージを停止して画像を取得し、また次の場所へ移動して、そこでステージを停止させて画像取得を行うことを繰り返す。同様のことをTDIを用いて行うこともできる。すなわち、TDIのスチルモード(停止像取得モードで、ステージは停止)を利用するか、又は、TDIの通常の画像取得方法により一定の領域(例えば2048画素×2048画素)の画像を取得した後、次の場所へ移動し(この移動の間は画像を取得しない)、そこで同様に画像取得を行う。したがって、この場合は、ステージ移動は止めないで検査が行われる。
試料表面の様子が電子により拡大されて、検出器に像を結ぶとき、画像の分解能をCCD又はTDIの1画素程度にする場合、二次光学系の収差やぼけ等は1画素以内であることが望ましい。E×Bにおいて信号電子が偏向を受けると、収差やぼけが大きくなるので、本実施の形態では、二次光学系において、二次電子、反射電子、後方散乱電子等の信号電子にはE×Bでは偏向力を与えずに直進させるように設定してある。すなわち、二次光学系の中心軸が試料の視野中心とE×B中心と、検出器の中心を通る直線である構成となっている。
尚、上記の実施の形態以外であっても二次光学系の像にぼけが生じなければ良く、本件発明がそれを含むことは言うまでもない。
(2)実施の形態2
実施の形態1と同様の検査装置において、検出器にTDIセンサ/カメラを用いるとき、画素数/段数が、2048以上4096以下であり、タップ数が32以上128以下、感度10000〜40000DN/(nJ/cm)であると、より、高速で効率の良い画像取得が可能となる。この時、ラインレートが、100〜400kHz、ビデオレートが10mHz〜40MHzで使用できる。この時、8インチSiウェーハ、例えば、LSIデバイスウェーハ、分解能0.1μm/画素にて、1枚当たりの検査時間は、1/8〜2時間で実行可能となる。
この時、分解能0.1μm/画素の時、試料観察及び欠陥検査において、パターン形状が例えば、L/S:0.2/0.2μmにおいても、コントラスト3〜30%を達成し、像観察及び欠陥検出に充分使用可能である。L/S以外の形状の欠陥においても、コントラスト変化による比較により、1画素サイズ以上あれば検出可能である。コントラストについては、5〜30%を実現し、画像処理によって、観察及び欠陥検査が可能となる。また、LSIデバイスウェーハでは、デザインルール以下の欠陥検出も可能である。メモリ
では、配線幅のハーフピッチ、ロジックではゲート長相当の欠陥を検出が可能である。
TDIセンサ/カメラ及び画像処理機構を用いて欠陥検出を行うとき、TDI動作により連続的に画像を形成して、連続的に検査を行うことができる。この時、試料はステージ上に設置されて、同様に連続動作を行って画像を得ることとなる。ステージの速度は基本的には、v=f×Dにて決まる。但し、
v:ステージ速度、
f:ライン周波数、

D:試料上のセンサ画素対応サイズ(投影倍率で決定される)
である。例えば、f:300kHz、D:0.1μmの時、v=30mm/sとなる。
図29は、図28に示される実施の形態1とは異なった構成の検出系の例を示している。この場合は、コラム29・1の真空中にMCP29・2、FOP29・3、TDIセンサ/パッケージ29・4、接続ピン29・5及びフィードスルーフランジ29・6が設けられ、TDIセンサ29・4の出力はフィールドスルーフランジ29・6を介してTDIカメラ29・7により受信される。また、FOP29・3には蛍光材がコートされており、MCP29・2からの電子により蛍光像を形成する。この蛍光像はFOP29・3によってTDIセンサ29・4に伝達される。TDIセンサ29・4の像信号は接続ピン29・5、フィードスルーフランジ29・6を経由してTDIカメラ29・7に伝達される。この時、FOP29・3を使用すると、光信号伝達損失を低減できる。例えば、リレーレンズに比べて、5〜20倍程度透過率が向上する。これは、特に、TDI動作を行うときに有効である。取得光信号強度が高く取れるため、より、高速に作動可能となること、ファイバ形状の信号ムラがTDIの積算により、微小となり無視できる程度になるためである。ここで、TDIセンサ29・4とフィードスルーフランジ29・6のピンを接続するための接続ピン29・5が必要となる。接続ピン29・5は、例えば、片方が羽目合い接触によるによる接続固定(例えば、フィードスルーのピン側)、TDIセンサ/パッケージのピン側には、バネなどの弾性力による接触を行う(図示せず)。
これにより、フィードスルーフランジ29・6のピンとTDIセンサ/パッケージ29・4のピンを低押しつけ力・平行位置、低インピーダンスで設置可能となる。高速動作センサではピン数が多く、例えば、100本を越えるピン数が必要となる。ピン数が多いと、設置圧力(押しつけ力)が高くなり、TDIセンサ/パッケージ29・4が破損することもある。この様な点を克服して、設置できるようになっている。
図28に示すように、CCDまたはTDIの設置場所は通常は大気側でMCPと蛍光板は真空中に設置されるが、CCDまたはTDIを真空中に置くことによりFOP等のリレー光学系を短縮でき、透過効率を上げることができる。
(3)実施の形態3
実施の形態1、2と同様の検査装置において、検出器にEB−CCD、又は、EB−TDIを用いている実施の形態である(図30参照)。EBは電子ビームのことでEB―CCD又はEB―TDIは電子ビームを直接入力し、増幅して電気信号にかえるものである(光信号を検出するのではない)。
EB−TDIセンサ/カメラを用いると、直接電子をセンサの画素部に入射し、チャージを蓄積することが可能である。この事は、通常の検出器で用いられている蛍光板、リレーレンズ系、ハーメチックガラスを用いることは必要なくそれらを省略できる。つまり、電子信号像を一旦光信号像に変換することなく、電子信号から直接電気信号を得ることが可能となるため、それによる損失を大きく低減できる。つまり、蛍光板、ハーメチックガ
ラス、リレーレンズ系による像歪み、コントラスト劣化、倍率変動等の悪影響を、大幅に低減できる。また、構成機器の低減により、小型化、低コスト、高速動作が可能となる。高速動作においては、信号伝達速度損失低減、像形成速度損失を小さくする事が可能となるからである。
図30にEB−TDIのユニットの一例を示す。光学系については実施の形態1を参照のこと。2次系コラムの上部、つまり、Pレンズ(投影レンズ)の上部の結像点にTDIセンサ30・3の面が設置されている。TDIセンサ/パッケ−ジ30・3、接続ピン30・4、フィードスルー30・5、TDIカメラ30・1、画像処理器30・6、コントロールPC30・7から構成されている。試料表面からの放出電子(2次電子、反射電子、後方散乱電子の内のいずれか)が2次系により、結像されてTDIセンサ30・3の面に入射する。電子量に対応してチャージが蓄積されて、TDIカメラ30・1により画像形成の電気信号が形成される。
センサ/パッケージ30・3のピンとフィードスルーフランジ30・5のピンは接続ピン30・4により接続されている。これは実施の形態2と同様である。この時、実施の形態1、2の検出系に比べて、TDIセンサ30・3により直接、電子像信号が直接、電気信号に変換されるので、構成機器・部品が低減・伝達経路の短縮が可能となる。この事により、ノイズ低減によるS/N向上、高速化、小型化、低コスト化が可能となる。
この実施の形態ではEB−TDI30・1を用いたが、同様にEB−CCDでも使用可能である。特に、画素数が多い場合や高速動作を行うために、必要ピン数が100本を越える場合にはこの様な構成が有効となる。フィールドスルーのピンとパッケージの接続ピンが必要となる。この接続ピンは片方(例えばパッケージ側)がバネ材とコンタクト板より構成され、接触幅を低減することができる。接触ピンの本数が100本以上のように多くなると、接続時の押込み力が大きくなり、総力で5kgを越えるとパッケージの破壊の問題が起こる。そのため、バネ力の調整により50〜10g/本の押込み力となる接続ピンを用いている。
なお、EB−CCDまたはEB−TDIを使用するときに入射電子数が不足するときには、電子増陪観であるMCPを使用することも可能である。また、画素数/段数、段数、タップ数、ラインレート及びビデオレートは、実施の形態1、2と同様の条件を使用できる。感度は0.1〜10000DN/電子で使用可能である。
(4)実施の形態4
実施の形態1、2、3と同様の検査装置において、図31に示すように、1次系31・1は同じであるが、2次系31・2の構成が異なる例を示している。より高分解能を達成するために、2段のPレンズ(対物レンズ)31・3、2段のPレンズ(中間レンズ)31・5、2段のPレンズ(投影レンズ)31・8が使用されている。更に、Pレンズ(中間レンズ)はズームレンズになっているのが特徴である。これにより、従来よりも、高分解能、大視野サイズの写像投影形ビーム光学系を実現でき、更に、ズーム範囲において任意の倍率の画像を取得することができる。
2−3−2)構成の詳細
以下、図25−1〜図31に示す電子光学系の電子銃、1次光学系、2次光学系、E×Bユニット、検出器及び電源について詳細に説明する。
2−3−2−1)電子銃(電子線源)
電子線源として熱電子線源を使用する。電子放出(エミッタ)材はLである。高融点(高温での蒸気圧が低い)で仕事関数の小さい材料であれば、他の材料を使用するこ
とが可能である。先端を円錐形状にしたもの又は円錐の先端を切り落とした円錐台形状のものを使用している。円錐台先端の直径は100μm程度である。他の方式としては電界放出型の電子線源あるいは熱電界放出型のものが使用されているが、本発明の場合のように比較的広い領域(例えば100×25〜400×100μm)を大きな電流(1μA程度)で照射する場合にはLを用いた熱電子源が最適である。なお、SEM方式では一般に熱電界電子線源(TFEタイプ)及びショットキータイプが使用されている。熱電子線源は電子放出材を加熱することにより電子を放出する方式であり、熱電界放出電子線源は、電子放出材に高電界をかけることにより電子を放出させ、更に電子線放出部を加熱することにより、電子放出を安定させた方式である。この方式において温度と電界強度を選ぶことによりショットキー条件と呼ばれる、効率よい条件での電子ビーム引き出しが可能になり、最近はこの方式もよく利用される。
2−3−2―2)一次光学系
電子銃より照射される電子ビームを形成し、ウェーハ面上に矩形、円形、楕円形等の二次元的な断面を有する電子ビーム又は線形の電子ビームを照射する部分を一次電子光学系と呼ぶ。一次電子光学系のレンズ条件を制御する事によりビームサイズや電流密度を制御できる。一次/二次電子光学系連結部のE×Bフィルタ(ウィーンフィルタ)により、一次電子ビームはウェーハに垂直に(±5度、好ましくは±3度、より好ましくは±1度で)入射される。
カソードから放出した熱電子を、ウェーネルト、トリプルアノードレンズ又はダブルアノード、シングルアノードでガン絞り上にクロスオーバー像として結像させる。照明視野絞りでレンズへの入射角を適正化した電子ビームを一次系静電レンズを制御することによって、回転非対称の形でNA絞り上に結像させ、その後ウェーハ面上に面照射する。一次系静電レンズの後段は3段4極子(QL)と、1段の開口収差補正用電極で構成されている。4極子レンズはアライメント精度が厳しいといった制約はあるが、回転対称レンズに比べ強い収束作用を持つ特徴があり、回転対称レンズの球面収差に相当する開口収差を開口収差補正電極に適切な電圧を印加するとで補正を行うことができる。これにより、所定の領域に均一な面ビームを照射出来る。また、偏向器により電子ビームをスキャンすることができる。
試料表面上での照射電子ビーム形状及び面積は、試料上でのTDI−CCDの撮像領域形状及び面積に相当する領域を含み、その電子ビーム照射の照射領域内での照度が均一であって照度むらが10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下であることが望ましい。
本実施の形態でのTDI−CCDの形状及び面積は画素数で2048×512であり、画素サイズは16μm×16μmであるので、全体で約32.8mm×8.2mmの長方形である。二次光学系の倍率が160倍のときは試料表面での照射領域は上記32.8mm×8.2mmの1/160となるので、205μm×51.2μmの長方形となる。
したがって、この場合の電子ビームの照射領域は205μm×51.2μmの長方形を含む長方形が望ましいが、上の条件を満足する形状及び面積であれば、図27−1に示すように、角の丸い長方形、楕円、円等でもよい。二次光学系の倍率が320倍のときには、32.8mm×8.2mmの1/320となるので、102.4μm×25.6μmの長方形となり、160倍の1/4の照射面積となる。
このように、本発明では、試料上に、検出器であるTDI−CCDの撮像領域を含む比較的広い面積を有するビームを照射し、その試料上の撮像領域はTDI−CCDの画素にそれぞれ対応し、これら試料上の撮像領域から放出される電子をTDI−CCD上で同時
に結像することにより検出される。
電子ビームの照射形状は線形であってもよく、これを走査して面状のビームと同じ照射領域を確保してもよい。線形ビーム27・1とは、図27−2の(1―1)及び(1−2)に示すように、縦と横の比が1:10以上の形状のビームを意味し、長方形に限らず楕円であってもよい。また、線形ビーム27・1は、図27−2の(2)に示すように、ビームが途中で一部途切れていてもよい。ビームを走査させると、試料上の同じ箇所に連続してビームが照射される時間が短くなるので、試料へのチャージアップの影響が少なくなると言う利点がある。
図27−2の(3)及び(4)は、被検査物27・2の上でのTDI−CCDのマルチピクセル撮像領域27・3と線形ビーム27・1との関係を示している。このうち、図27−2の(3)においては、線形ビーム27・1はTDI−CCDの積分方向27・4又はXYステージの移動方向27・5とほぼ直角(例えば90度±3度、好ましくは90度±1度)に配置され、ビームの走査方向27・6はTDI−CCDの積分方向28・4又はXYステージの移動方向27・5と同一の方向(例えば0度±1度、好ましくは0度±1分、より好ましくは0度±1秒)となっている。
図27−2の(4)は別の例を示しており、線形ビーム27・1はTDI−CCDの積分方向27・4又はXYステージの移動方向とほぼ平行(例えば、90度±1度、好ましくは90度±1分、より好ましくは90度±3秒)となっている。
2−3−2−3)二次光学系
ウェーハ上に照射された電子ビームにより発生する二次元の二次電子画像を、対物レンズに相当する静電レンズ(CL、TL)により視野絞り位置で結像させ後段のレンズ(PL)で拡大投影する。この結像投影光学系を二次電子光学系と呼ぶ。ウェーハにはマイナスのバイアス電圧(減速電界電圧)が印加されている。減速電界は照射ビームに対して減速の効果を持ち、試料のダメージを低減させるとともに、CLとウェーハ間の電位差で試料面上から発生した二次電子を加速させ、色収差を低減させる効果を持つ。CLによって収束した電子はTLでFA上に結像させ、その像をPLで拡大投影し、二次電子検出器(MCP)上に結像させる。本光学系ではCL−TL間にNAを配置し、これを最適化することで軸外収差低減が可能な光学系を構成している。
電子光学系の製造上の誤差や、E×Bフィルタ(ウィーンフィルタ)を通過することによって発生する像の非点収差や異方性倍率を補正するため、静電8極子(STIG)を配置し補正を行い、軸ズレに対しては各レンズ間に配置した偏向器(OP)で補正を行う。これにより視野内における均一な分解能での写像光学系が達成できる。
以下、若干の実施の形態を用いて更に説明する。
(1)実施の形態5
図32は電子光学系を示す。電子銃32・1から放出された一次電子は像形成レンズ32・2を経た後、2段のズームレンズ32・3を通り、さらに3段の四極子レンズ32・4を通って、E×Bフィルタ32・5で35°偏向され、二次光学系32・6の光軸と平行に反対方向に、対物レンズ32・7を通って試料面に照射される。なお、4極子レンズは2以上の多極子でもよく、偶数に限らず、奇数の極を有するものでもよい。また、4極子レンズは3段以上20段以下、好ましくは3段以上10段以下、より好ましくは3段以上5段以下であることが望ましい。
一次電子の照射により試料面から放出される二次電子、反射電子、後方散乱電子は対物レンズ32・7でE×Bフィルタ32・5の中心に結像された後、中間レンズ32・8で
倍率を可変された後、投影レンズ32・9の手前で結像される。中間レンズ32・8で結像された像は、投影レンズ32・9で約30〜50倍に拡大されて検出器表面32・10に結像される。
像形成レンズ32・2は、加速電圧が変わっても、ズームレンズ32・3の手前に像を形成する事を可能にするものであり、図32では1段のレンズで構成されているが、複数段のレンズで構成されてもよい。
一次電子の試料面への照射面積と形状は、一次電子の加速電圧が一定であれば、ズームレンズ32・3の条件と四極子レンズ32・4の条件とによってほぼ決まる。ズームレンズ32・3は、ビーム形状を保ったまま照射面積を可変する。四極子レンズ32・4は、ビームの大きさも可変する事が出来るが、主にビーム形状(楕円の縦横比率)を変えるために用いる。図32では、それぞれ2段のズームレンズ32・3と3段の四極子レンズ32・4で構成されるが、それぞれレンズの段数を増やしても構わない。
以下、検出器の1ピクセルの大きさが16μm四方、検出器のサイズが2048×51
2ピクセルの場合について考察する。二次光学系32・6の倍率が160倍の時、試料上の1ピクセル相当の大きさは、16μm÷160 =0.1μmになり、観察面積は204
.8×51.2μmになる。それをカバーする照射エリアは楕円形状であるため、その長軸と短軸の比率によって様々に変化する。その様子を図33に示す。図33において、横軸は長軸位置、縦軸は短軸位置を示す。最適な照射形状を考えるに当たって、観察領域33・1でない所にはあまりビームを照射したくない、という考え方がある。そのためには、観察領域の面積を照射領域の面積で割った照射効率が最大になる照射形状を探せばよい事になる。
図34は、照射領域の形状の長軸対短軸の比に対する照射効率についてプロットしたものである。これより、照射楕円形状の長軸対短軸の比が、矩形の観察領域の長軸対短軸比に等しい場合が最も照射効率の良い形状である事がわかる。つまり、観察領域204.8×51.2μmをくまなく照射するビーム形状は290×72.5μmとなる。実際は、照射光学系の収差や電子銃の輝度ムラの影響で、照射ビーム形状は若干大きくなる。この照射ビーム形状を達成するためには、四極子レンズ32・4の手前の像が四極子レンズ32・4と対物レンズ32・7を含めた光学系によって試料面上で楕円形状の照射領域を形成するように四極子レンズ32・4を調整すれば良い。この場合、試料面上で、必要な照射領域とその照射領域全面とにわたって十分に平坦な照射電流密度が得られればよく、照射ビームを試料面上に結像させる必要はない。試料面上で所定の照射領域が得られるように、ズームレンズ32・3で四極子レンズ32・4の手前の像の大きさを調節する事になる。
今、例えば、二次電子光学系32・6の倍率を160倍から320倍にする時を考える。この時、試料面上の1ピクセル相当の大きさは16μm÷320=0.05μm四方になり、観察面積は102.4×25.6μmになる。この状態で照射領域が160倍のままだったとすると、検出器の1ピクセルに到達する信号量は面積比に比例するので、160
倍の時の1/4になる。160倍の時に1ピクセル平均400個の電子数に対応する信号量の像を見ていたとすると、その時のショット雑音による揺らぎの標準偏差は√(400)=20個である。よってS/N比は400/20=20となる。320倍の時に同一のS/N比の像を得るためには、同一信号量が1ピクセルに入れば良い。試料上1ピクセル当たりの面積が1/4になっているため、単位面積当たり4倍の二次電子信号量密度があればよい事になる。
一次電子の加速エネルギーと試料面のポテンシャルの差として表わされるランディング
エネルギーが一定であれば、照射電流密度と二次電子信号量密度は概ね比例する。そのため、照射電流密度を4倍にすればよい事がわかる。照射電流密度を4倍にするには、単純には照射電流を4倍にするか、照射面積を1/4にすれば良い。照射面積を1/4にするには、照射サイズを長軸短軸共1/2にすれば良い。観察領域、照射領域共、相似形でそれぞれ1/2に縮小するため、これで十分に観察領域を照射できる。
照射電流密度を増やすための手段として、照射電流を増やしても、照射面積を減らしても構わないが、観察領域でない所にはなるべく照射したくないという考えに基づけば、照射面積を減らすのが望ましい。
表3は、二次光学系倍率が320倍と160倍の時のそれぞれの一次光学系レンズの電圧及び得られた試料上の照射サイズを表わす。これより、二次光学系倍率に十分追随できる照射領域が得られる。表3には示していないが、倍率80倍の照射サイズは620μm×180μmの楕円形、また、倍率480倍では100μm×30μmの楕円形でよい。このように、倍率の変化または切り替えに応じて照射サイズを変化させることが望ましい。
Figure 2014112087
観察領域を電子線で照明する場合、上記のように矩形又は楕円で、観察領域を全て覆う広さの面積を持つ電子ビームで照明する方法のほかに、複数の、ビームの広さが観察エリアより小さい面積をもつ電子ビームを走査して照明する方法も可能である。ビーム数は2本以上1000本以下、好ましくは2本以上100本以下、より好ましくは4本以上40本以下である。二本以上のビームがつながった線状のビームを走査しても良い。この場合は線の長手方向に垂直な方向に走査させることにより、1回の走査でより広い領域を検査することが可能となる。この場合も検出器にはCCD又はTDIを用いて良い。線形のビームを形成するには例えばLaB6の電子源を用い光学系で線形のスリットを経由させるようにすれば良い。また、電子源の先端が鋭利で細長い形状のカソードを用いて線形のビームを形成しても良い。尚ビームの走査中のステージの移動は検査領域全てを網羅するように連続的、または断続的にXY平面の少なくとも1方向に行うようにする。
(2)実施の形態6
図35は、リレーレンズを用いた検出系の構成を示したものである。二次光学系でMCP(マイクロチャンネルプレート)35・1の表面に結像された二次電子は、MCP35・1内のチャンネルを通過しながらその数がMCP35・1の電子入射面と出射面間に印加された電圧に応じて増倍される。MCP35・1の構造や動作については既知であり、ここでは詳述しない。この実施の形態では、MCP35・1上でのピクセルサイズを26
μmとし、横1024ピクセル×縦512ピクセル分の有効エリアでチャンネル径6μm
のものを使用した。MCP35・1内で増倍された電子はMCP35・1の出射面から射出され、対向する厚さ約4mmのガラス板35・2上に塗布された蛍光面35・3に衝突し、電子信号量に応じた強度の蛍光が発生する。ガラス板35・2と蛍光面35・3の間には、薄い透明電極が塗布してあり、MCP出射面との間に2〜3kV程度の電圧が印加されているため、MCPと蛍光面間での電子の広がりが極力抑えられて、そこでの像のボケが極力抑えられると同時に、MCP35・1を出射した電子が適度なエネルギーを持って蛍光面35・3に衝突するため、発光効率が向上する。なお、透明電極と蛍光面35・3を塗布するガラス板35・2の材質は、光を効率良く透過するものであれば何でも良い。
蛍光面35・3で電子信号を変換された光強度信号は、ガラス板35・2を通り、さらに真空と大気を隔絶する光学的に透明な板35・4を通り、蛍光面35・3で発生した光を結像するリレーレンズ35・5を通り、その結像位置に配置したCCDやTDIセンサーの受光面35・6に入射する。本実施の形態では、結像倍率0.5倍、透過率2%のリレーレンズ35・5を使用した。
受光面35・6に入射した光は、CCDやTDIセンサーによって電気信号に変換され、画像の電気信号が取り込み装置に出力される。本実施の形態で用いたTDIセンサーは、ピクセルサイズ13μm、水平方向有効画素数2048ピクセル、積算段数144段、
タップ数8、ラインレートが最大83kHzのものを用いたが、今後のTDIセンサーの技術的な進歩により、さらに水平方向有効画素数や積算段数が大きなものを使用しても構わない。なお、TDIセンサーの構造や動作については既知であり、ここでは詳述しない。
表4において、実施の形態1の欄には、本実施の形態での二次電子放出電流密度、二次光学系結像倍率、TDIラインレートを決定した時に得られるピクセル入射電子数、TDIグレースケール画素階調値及びステージ速度を示している。
Figure 2014112087
ここで述べたグレースケール画素階調値のフルスケールは255DNである。これは、現状のMCPダイナミックレンジが2μA程度しかない事に起因する。MCPダイナミックレンジの画期的な向上は現状望めないので、ある程度の画素階調値を得るためには、TDIレスポンシビティ(Responsivity)を最低200DN/(nJcm)は確保する事が重要になる。
(3)実施の形態7
図36は、FOPを用いた検出系の構成を示したものである。蛍光面36・1までの構造と動作は実施の形態5と同じである。但し、本実施の形態のMCP36・2の有効エリアはピクセルサイズ16μmで横2048×縦512ピクセル分である。実施の形態5と
異なり、蛍光面36・1は、ガラス板に代わり、厚さ約4mmのFOP(ファイバーオプティックプレート)36・3に塗布される。蛍光面36・1で電子信号から変換された光強度信号は、FOP36・3の各ファイバー中を通る。FOP36・3の光出射面には透明電極が塗布してあり、これは接地電位になっている。FOP36・3を出射した光は、隙間を開けずに接した厚さが例えば約3mmの別のFOP36・4を通り、そのFOP36・4の光出射面に透光性接着剤を介して配置されたCCDやTDIセンサー36・5の受光面に入射する。FOPの各ファイバーを越えて光は発散しないので、CCDやTDIセンサー36・5の画素サイズがファイバー径よりも十分大きければ画質に大きな影響はない。
本実施の形態では、FOPのファイバー径は6μm、TDIセンサー36・5のピクセルサイズは16μmである。FOPの入射側と出射側でファイバー径を変える事により、像の倍率を変化させる事ができるが、それによる像の歪やずれが大きくなるので、本実施の形態では等倍である。本実施の形態の透過率は約40%である。
CCD又はTDIセンサー36・5は真空中に配置され、光信号から変換された画像の
電気信号36・6は、大気と真空を隔絶するフィードスルー36・7を介して取り込み装置に出力される。
CCD又はTDIセンサー36・5を大気中に配置し、FOPで大気と真空を隔絶する事も可能であるが、透過率が低減する事と、FOPの厚さの増加に伴って歪が増加する事を加味すると、積極的に採用する必要性は薄い。
本実施の形態で用いたTDIセンサー36・5は、ピクセルサイズ16μm、水平方向有効画素数2048ピクセル、積算段数512段、タップ数32、ラインレートが最大300kHzのものを用いたが、今後のTDIセンサーの技術的な進歩により、さらに水平方向有効画素数や積算段数が大きなものを使用しても構わない。
表4の実施の形態2の欄に、本実施の形態での二次電子放出電流密度、二次光学系結像倍率、TDIラインレートを決定した時に得られるピクセル入射電子数、TDIグレースケール画素階調値及びステージ速度を示す。
(4)実施の形態8
図37の(A)は、写像投影方式の欠陥検査装置EBIの構成を概略的に示す図であり、(B)はこの欠陥検査装置EBIの二次光学系及び検出系の構成を概略的に示している。図37において、電子銃37・1は大電流で動作可能な熱電子放出型のL製カソード37・2を有し、電子銃37・1から第1の方向へ発射された一次電子は数段の四極子レンズ37・3を含む一次光学系を通過してビーム形状を調整されてからウィーンフィルタ37・4を通過する。ウィーンフィルタ37・4によって一次電子の進行方向は、検査対象である試料Wに対して入力するよう第2の方向へ変更される。ウィーンフィルタ37・4を出て第2の方向へ進む一次電子は、NA開口板37・5によってビーム径を絞られ、対物レンズ37・6を通過して試料Wを照射する。
このように、一次光学系においては、電子銃37・1としてL製の高輝度のものを使用しているので、従来の走査型の欠陥検査装置に比較して低エネルギで大電流かつ大面積の一次ビームを得ることができる。電子銃37・1はLaBからなり、形状を円錐台とし、直径が50μm以上で、一次電子の引出電圧が4.5kVで1×10A/cmsr以上1×10A/cmsr以下の輝度で電子を引き出して使用できる。好まし
くは4.5kVで1×10A/cmsr以上1×10A/cmsr以下とする。更に好ましくは10kVで1×10A/cmsr以上1×10A/cmsr以下とする。また、電子銃37・1はショットキー型として、一次電子の引出電圧が4.5kVで1×10A/cmsr以上2×1010A/cmsr以下の輝度で電子を引き
出して使用することもできる。好ましくは10kVで1×10A/cm2sr以上5×10A/cmsr以下とする。また、電子銃37・1にZrOのショットキー型を使用することもできる。
一次電子が試料Wを照射する照射領域の形状が一次電子の光軸を含まない他の直交する二つの軸に対してそれぞれ概ね対称であり、一次電子が試料上を照射する領域の一次電子の照度むらは10%以下であり、好ましくは5%以下であり、より好ましくは3%以下の照度むらとなっており、極めて均一である。この場合、ビーム形状は上記のように一次電子の光軸を含まない他の直交する二つの軸に対してそれぞれ概ね対称で無い場合も使用できる。
この実施の形態においては、試料Wは一次光学系によって断面が例えば200μm×5
0μmの矩形に形成された面ビームによって照射されるので、試料W上の所定の広さの小さな領域を照射することができるようになる。この面ビームで試料Wを走査するために、
試料Wは例えば300mmウェーハ対応の高精度のXYステージ(図示せず)上に載置され、面ビームを固定した状態でXYステージを二次元的に移動させる。また、一次電子をビームスポットに絞り込む必要がないので面ビームは低電流密度であり、試料Wのダメージが少ない。例えば、従来のビーム走査方式の欠陥検査装置においてはビームスポットの電流密度は10A/cm〜10A/cmであるが、図37の欠陥検査装置においては面ビームの電流密度は0.0001A/cm〜0.1A/cmでしかない。好ましくは0.001A/cm〜1A/cmで使用する。より好ましくは0.01A/cm〜1A/cmで使用する。一方、ドーズは、従来のビーム走査方式では1×10−5C/cmであるのに対して、本方式では、1×10−6C/cm〜1×10−1C/cmであり、本方式の方が高感度になっている。好ましくは1×10−4C/cm〜1×10−1C/cm、更に好ましくは1×10−3C/cm〜1×10−1C/cmで使用する。
一次電子ビームの入射方向は基本的にE×B37・4のE方向、すなわち電界の方向からとしており、この方向にTDIの積算方向及びステージ移動方向を合わせる。一次電子ビームの入射方向はB方向、すなわち磁場をかけている方向でもよい。
一次電子によって照射された試料Wの領域からは二次電子、反射電子、後方散乱電子が発生する。まず、二次電子の検出について説明すると、試料Wから放出された二次電子は、前記第2の逆の方向へ進むよう、対物レンズ37・6によって拡大されてNA開口板37・5及びウィーンフィルタ37・4を通過してから、中間レンズ37・7によって再び拡大され、投影レンズ37・8によって更に拡大されて二次電子検出系37・9に入射する。二次電子を導く二次光学系37・9においては対物レンズ37・6、中間レンズ37・7及び投影レンズ37・8はいずれも高精度の静電レンズであり、二次光学系の倍率は可変であるよう構成される。一次電子を試料Wにほぼ垂直に(±5度以下、好ましくは±3度以下、より好ましくは±1度以下で)入射し、二次電子をほぼ垂直に取り出すので、試料Wの表面の凹凸による陰影を生じない。
ウィーンフィルタ37・4はE×Bフィルタとも呼ばれ、電極及び磁石を有し、電界と磁界を直交させた構造を有し、一次電子を例えば35度曲げて試料方向(試料に垂直な方向)に向け、一方、試料からの二次電子、反射電子、後方散乱電子のうち少なくとも一つを直進させる機能を持つ。
投影レンズ37・8からの二次電子を受け取る二次電子検出系37・9は、入射された二次電子を増殖するマイクロチャンネルプレート(MCP)37・10と、MCP37・10から出た電子を光に変換する蛍光スクリーン37・11と、蛍光スクリーン37・11から出た光を電気信号へ変換するセンサユニット37・12を備える。センサユニット37・12は、二次元に配列された多数の固体撮像素子からなる高感度のラインセンサ37・13を有しており、蛍光スクリーン37・11から発せられた蛍光はラインセンサ37・13によって電気信号へ変換されて画像処理部37・14に送られ、並列、多段且つ高速に処理される。
試料Wを移動させて試料W上の個々の領域を順に面ビームで照射して走査していく間に
、画像処理部37・14は、欠陥を含む領域のXY座標と画像とに関するデータを順次蓄積していき、一つの試料について欠陥を含む検査対象の全ての領域の座標と画像とを含む検査結果ファイルを生成する。こうして、検査結果を一括して管理することができる。この検査結果ファイルを読み出すと、画像処理部12のディスプレイ上には当該試料の欠陥分布と欠陥詳細リストとが表示される。
実際には、欠陥検査装置EBIの各種の構成要素のうち、センサユニット37・12は
大気中に配置されるが、その他の構成要素は真空に保たれた鏡筒内に配置されるため、この実施の形態においては、鏡筒の適宜の壁面にライトガイドをもうけ、蛍光スクリーン37・11から出た光をライトガイドを介して大気中に取り出してラインセンサ37・13に中継する。
試料Wから放出される電子を100%としたとき、MCP37・10に到達しうる電子の割合(以下「透過率」)は
透過率(%)=(MCP37・10に到達しうる電子)/(試料Wから放出される電子)×100
で表される。透過率はNA開口板37・5の開口部面積に依存する。例として、透過率とNA開口板の開口部直径の関係を図38に示す。実際には、試料より発生する二次電子、反射電子、後方散乱電子のうち少なくとも一つが電子検出系Dへ到達するのは1画素あたり200個〜1000個程度である。
検出器に拡大投影して結像した画像の中心と静電レンズの中心は共通の軸であり、偏光器と試料との間では電子ビームは共通の軸を光学軸とし、電子ビームの光学軸は試料に対して垂直である。
図39は、図37の欠陥検査装置EBIにおける電子検出系37・9の具体的な構成例を示している。投影レンズ37・8によってMCP37・10の入射面に二次電子像又は反射電子像39・1が形成される。MCP37・10は例えば分解能が6μm、ゲインが10〜10、実行画素が2100×520であり、形成された電子像39・1に対応して電子を増殖して蛍光スクリーン37・11を照射する。これによって蛍光スクリーン37・11の電子で照射された部分から蛍光が発せられ、発せられた蛍光は低歪み(歪みが例えば0.4%)のライトガイド39・2を介して大気中へ放出される。放出された蛍光は光学リレーレンズ39・3を介してラインセンサ37・13に入射される。例えば、光学リレーレンズ39・3は倍率が1/2、透過率が2.3%、歪みが0.4%であり、ラインセンサ37・13は2048×512個の画素を有している。光学リレーレンズ39・3はラインセンサ37・13の入射面に電子像39・1に対応した光学像39・4を形成する。ライトガイド39・2及びリレーレンズ39・3の代わりにFOP(ファイバ・オプティック・プレート)を使うこともでき、この場合の倍率は1倍である。また、1
画素当たりの電指数が500個以上の場合、MCPを省いてもよい。
図37に示す欠陥検査装置EBIは、電子銃37・1の加速電圧及び試料Wに印加され
る試料電圧を調整するとともに電子検出系37・9を使用することにより、二次電子の場合、正帯電モードと負帯電モードのいずれかで動作可能である。更に、電子銃37・1の加速電圧、試料Wに印加される試料電圧及び対物レンズ条件を調整することにより、欠陥検査装置EBIを、一次電子の照射によって試料Wから発せられる高エネルギの反射電子を検出する反射電子撮像モードで動作させることができる。反射電子は、一次電子が試料Wに入射するときのエネルギと同じエネルギを持っており、二次電子に比べてエネルギが高いので、試料表面の帯電等による電位の影響を受けづらいという特徴がある。電子検出系は、二次電子又は反射電子の強度に対応した電気信号を出力する電子衝撃型CCD、電子衝撃型TDI等の電子衝撃型検出器を使用することもできる。この場合は、MCP37・10、蛍光スクリーン37・11、リレーレンズ39・3(又はFOP)を使用せずに結像位置に電子衝撃型検出器を設置して使用する。このような構成にすることにより、欠陥検査装置EBIは検査対象に適したモードで動作することが可能になる。例えば、メタル配線の欠陥、GC配線の欠陥、レジストパターンの欠陥を検出するには、負帯電モード又は反射電子撮像モードを利用すればよいし、ビアの導通不良やエッチング後のビア底の残渣を検出するには反射電子撮像モードを利用すればよい。
図40の(A)は図37の欠陥検査装置EBIを上記3つのモードで動作させるための要件を説明する図である。電子銃37・1の加速電圧をV、試料Wに印加される試料電圧をV、試料を照射するときの一次電子の照射エネルギをEIN、二次電子検出系37・9に入射する二次電子の信号エネルギをEOUTとする。電子銃37・1は加速電圧Vを変えることができるよう構成され、試料Wには適宜の電源(図示せず)から可変の試料電圧Vが印加される。そこで、加速電圧VA及び試料電圧VWを調整し且つ電子検出系37・9を使用すると、欠陥検査装置EBIは、図40の(B)に示すように、二次電子イールドが1よりも大きい範囲では正帯電モード、1よりも小さい範囲では負帯電モードで動作することができる。また、加速電圧V、試料電圧V及び対物レンズ条件を設定することにより、欠陥検査装置EBIは二次電子と反射電子とのエネルギ差を利用して二種類の電子を区別できるので、反射電子のみを検出する反射電子撮像モードで動作することができる。
欠陥検査装置EBIを反射電子撮像モード、負帯電モード及び正帯電モードで動作させるためのVA、V、EIN及びEOUTの値の一例を挙げると、
反射電子撮像モード
=−4.0kV±1度V(好ましくは±0.1度、より好ましくは±0.01度以下)
=−2.5kV±1度V(好ましくは±0.1度、より好ましくは±0.01度以下)
IN=1.5keV±1度V(好ましくは±0.1度、より好ましくは±0.01度以下)
OUT=4keV以下
負帯電モード
=−7.0kV±1V(好ましくは±0.1V、より好ましくは±0.01V以下)
=−4.0kV±1V(好ましくは±0.1V、より好ましくは±0.01V以下)
IN=3.0keV±1V(好ましくは±0.1V、より好ましくは±0.01V以下)
OUT=4keV+α(α:二次電子のエネルギ幅)
正帯電モード
=−4.5kV±1V(好ましくは±0.1V、より好ましくは±0.01V以下)
=−4.0kV±1V(好ましくは±0.1V、より好ましくは±0.01V以下)
IN=0.5keV±1V(好ましくは±0.1V、より好ましくは±0.01V以下)
OUT=4keV+α(α:二次電子のエネルギ幅)
となる。
上記のように、基本的には二次電子モードの時には試料の電位Vは正帯電モードの場合も負帯電モードの場合も、4kV±10V(好ましくは4kV±1V、より好ましくは4kV±0.01V以下)と一定の電位をかける。一方、反射電子モードの場合は加速電位Vを4kV±10V(好ましくは4kV±1V、より好ましくは4kV±0.01V以下)とし、試料電位Vは加速電位4kV以下の任意の電位に設定して使用する。このようにして検出器のMCPには4keV±10eV+α(好ましくは4kV±1V、より好ましくは4kV±0.01V)という最適なエネルギーで、信号となる二次電子または反射電子が入射するよう設定されている。
以上の電位設定は基本的に二次光学系を通す信号電子のエネルギーを4keVとして、試料面の電子像を検出器に結像させる場合であり、このエネルギーを変えることによって上記の二次電子モードと反射電子モードにおける設定電位を変えて試料の種類に応じた最適な電子像を得ることができる。負帯電モードとしては、図40の(B)の正帯電領域より低い電子照射エネルギ(例えば50eV以下)の領域を使うことも可能である。
実際、二次電子と反射電子の検出量は、試料W上の被検査領域の表面組成、パターン形状及び表面電位によって変わってくる。即ち、試料W上の被検査対象の表面組成によって二次電子収率及び反射電子量は異なり、パターンの尖った個所や角では二次電子収率及び反射電子量は平面に比べて大きい。また、試料W上の被検査対象の表面電位が高いと、二次電子放出量が減少する。こうして、検出系37・9によって検出された二次電子及び反射電子から得られる電子信号強度は材料、パターン形状及び表面電位によって変動する。
2−3−3)E×Bユニット(ウィーンフィルタ)
ウィーンフィルタは、電極と磁極を直交方向に配置し、電界と磁界を直交させた電磁プリズム光学系のユニットである。電磁界を選択的に与えると、一方向からその場に入射する電子ビームは偏向させ、その反対方向から入射する電子ビームは、電界から受けるカと磁界から受ける力の影響が相殺される条件(ウィーン条件)を作ることが可能で、これにより一次電子ビームは偏向され、ウェーハ上に垂直に照射し、二次電子ビームは検出器に向け直進することができる。
E×Bユニットの電子ビーム偏向部の詳細な構造について、図41及び同図のA−A線に沿う縦断面を示す図42を用いて説明する。図41に示すように、E×Bユニット41・1の電子ビーム偏向部41・2の場は、写像投影光学部の光軸に垂直な平面内において、電界と磁界とを直交させた構造、即ちE×B構造とする。ここで、電界は凹面状の曲面を持つ電極41・3及び41・4により発生させる。電極41・3及び41・4が発生する電界は、それぞれ制御部41・5及び41・6により制御される。一方、電界発生用の電極41・3及び41・4と直交するように、電磁コイル41・7及び41・8を配置させることにより磁界を発生させている。なお、電界発生用の電極41・3、41・4は点対象であるが同心円でも構わない。
この場合は磁界の均一性を向上させるために、平行平板形状を有するポールピースを持たせて、磁路を形成している。A−A線に沿う縦断面における電子ビームの挙動は、図42に示されるようである。照射された電子ビーム42・1及び42・2は、電極41・3、41・4が発生する電界と、電磁コイル41・7、41・8が発生する磁界とによって偏向された後、試料面上に対して垂直方向に入射する。
ここで、照射電子ビーム42・1、42・2の電子ビーム偏向部41・2への入射位置及び角度は、電子のエネルギーが決定されると一義的に決定される。さらに、二次電子42・3及び42・4が直進するように、電界及び磁界の条件、即ちv×B=Eとなるように電極41・3、41・4が発生する電界と、電磁コイル41・7、41・8が発生する磁界とを、それぞれの制御部41・5、41・6、41・9、41・10が制御することで、二次電子は電子ビーム偏向部41・2を直進して、上記写像投影光学部に入射する。ここで、vは電子の速度(m/s)、Bは磁場(T)、eは電荷量(C)、Eは電界(V/m)である。
ここではE×Bフィルタ41・1を1次電子ビームと二次電子の分離に使用しているが、磁場を用いても可能であることは言うまでもない。また電界だけで1次電子ビームと二
次電子を分離しても良い。更に、一次電子と反射電子の分離に使用できることは当然である。
ここで、実施の形態9として、図43によりE×Bフィルタの変形例を説明する。図43は光軸に垂直な面で切った断面図である。電界を発生させるための4対の電極43・1と43・2、43・3と43・4、43・5と43・6、43・7と43・8は、非磁性導電体で形成され、全体としてほぼ円筒形状であり、絶縁材料で形成された電極支持用円筒43・9の内面にネジ(図示せず)等により固定される。電極支持用円筒43・9の軸及び電極が形成する円筒の軸は、光軸43・10に一致させる。各電極43・1〜43・8の間の電極支持用円筒43・9の内面には、光軸43・10と平行の溝43・11が設けられる。そして、その内面の領域は、導電体43・12でコーティングされ、アース電位に設定される。
電界を発生させる際に、電極43・3、43・5に「cosθ1」、電極43・6、43・4に「−cosθ1」、電極43・1、43・7に「cosθ2」、電極43・8、43・2に「−cosθ2」に比例する電圧を与えると、電極の内径の60%程度の領域でほぼ一様な平行電界が得られる。図44に電界分布のシミュレーション結果を示す。なお、この例では、4対の電極を用いたが、3対でも内径の40%程度の領域で一様な平行電界が得られる。
磁界の発生は、電極支持用円筒43・9の外側に2つの矩形状の白金合金永久磁石43・13、43・14を平行に配置することによって行う。永久磁石43・13、43・14の光軸43・10側の面の周辺には、磁性材料で構成される突起43・16が設けられる。この突起43・16は、光軸43・10側の磁力線が外側に凸に歪むのを補償するものであり。その大きさ及び形状は、シミュレーション解析によって定めることができる。
永久磁石43・13、43・14の外側は、永久磁石43・13、43・14による磁力線の光軸43・10と反対側の通路が、電極支持用円筒43・9と同軸の円筒となるように、強磁性体材料で構成されるヨーク又は磁気回路43・15が設けられる。
図43に示したようなE×B分離器は、図25−1に示すような写像投影型電子線検査装置だけでなく、走査型電子線検査装置にも適用することができる。
上記走査型電子線検査装置の一例を図25-2に示す。電子銃25・14から電子線が
試料25・15に向かって照射される。1次系電子ビームはE×B25・16を通過するが、入射時には偏向力が加えられずに直進し、対物レンズ25・17で絞られて、試料25・15にほぼ垂直に入射する。試料25・15から出てきた電子は、今度はE×B25・16により偏向力を加えられ、検出器25・18に導かれる。このように、E×B25・16の電界と磁界を調整する事により、1次系と2次系の荷電粒子ビームのいずれか一方を直進させ、他方を任意の方向に直進させることができる。
なお、E×B25・16を用いると、偏向力が加わって変更した方向に収差が生じてしまうため、それを補正するために、1次系光学系の電子銃25・14とE×B25・16との間に、更にE×B偏向器を設けてもよい。また、同じ目的で、2次系の検出器25・18とE×B25・16との間に更にE×B偏向器を設けてもよい。
走査型電子線検査装置若しくは走査型電子顕微鏡においては、1次系の電子ビームで細く絞ることが分解能を上げることにつながるので、1次系電子ビームには余分な偏向力を与えないように、図25-2のように1次系電子ビームを直進させ、2次系ビームを偏向
させるのが一般的である。しかし、逆に、1次系のビームを偏向させ、2次系のビームを直進させる方が好適であれば、そのようにしてもよい。同様に、写像投影型電子線検査装置では、試料上の撮像領域と検出器のCCD上のピクセルの対応をきちんと取るために、2次系ビームには、なるべく収差を生じさせないような偏向力を与えないようにする方が
一般的には好ましい。したがって、図25−1に示すように、1次系のビームを偏向させ、2次系のビームを直進させる構成を取るのが一般的ではあるが、1次系のビームを直進させ、2次系のビームを偏向させる構成を取る方が好適であれば、その様な構成を取ってもよい。
なお、E×Bの電界及び磁界の強さの設定は、2次電子モード、反射電子モードと、モード毎に変化させてもよい。モード毎に最適な画像が得られるように、電界及び磁界の強さを設定することが可能である。設定を変える必要が無いときには、一定の強さのままでよいことは言うまでもない。
以上の説明から明らかなように、本例によれば、光軸の回りに電界、磁界がともに一様な領域を大きくとることができ、1次電子線の照射範囲を広げても、E×B分離器を通した像の収差を問題のない値にすることができる。また、磁界を形成する磁極の周辺部に突起43・16を設けるとともに、この磁極を電界発生用電極の外側に設けたので、一様な磁界が発生できるとともに、磁極による電界の歪を小さくできる。また、永久磁石を用いて磁界を発生させているので、E×B分離器全体を真空中に収めることができる。さらに、電界発生用電極及び磁路形成用磁気回路を、光軸を中心軸とする同軸の円筒形状とすることにより、E×B分離器全体を小型化できる。
2−3−4)検出器
二次光学系で結像されるウェーハからの二次電子画像は、まずマイクロチャンネルプレート(MCP)で増幅されたのち、蛍光スクリーンにあたり光の像に変換される。MCPの原理としては直径1〜100μm、長さ0.2〜10mm、好ましくは直径2〜50μm、長さ02.〜5mm、より好ましくは直径6〜25μm、長さ0.24〜1.0mmという非常に細い導電性のガラスキャピラリを数百万本〜数千万本束ね、薄い板状に整形したもので、所定の電圧印加を行うことで、一本一本のキャピラリが、独立した二次電子増幅器として働き、全体として二次電子増幅器を形成する。この検出器により光に変換された画像は、真空透過窓を介して大気中に置かれたFOP系でTDI−CCD上に1対1で投影される。
ここで、上記構成の電子光学装置の動作について説明する。図25−1に示すように、電子銃25・4から放出された一次電子線は、レンズ系25・5によって集束される。収束された一次電子線はE×B型偏向器25・6に入射され、ウェーハWの表面に垂直に照射されるように偏向され、対物レンズ系25・8によってウェーハWの表面上に結像される。
一次電子線の照射によってウェーハから放出された二次電子は、対物レンズ系25・8によって加速され、E×B型偏向器25・6に入射し、その偏向器を直進して二次光学系のレンズ系25・10を通って検出器25・11に導かれる。そして、その検出器25・11によって検出され、その検出信号が画像処理部25・12に送られる。なお、対物レンズ系25・7は、10ないし20kVの高電圧が印加され、ウェーハは設置されているものとする。
ここで、ウェーハWにビア25・13がある場合に、電極25・8に与える電圧を−200Vとすると、ウェーハの電子線照射面の電界は、0〜−0.1V/mm(−はウェーハW側が高電位であることを示す)となった。この状態で、対物レンズ系25・7とウェーハWとの間に放電は発生せずに、ウェーハWの欠陥検査は行えたが、二次電子の検出効率が若干下がってしまう。したがって、電子線を照射し二次電子を検出する一連の動作を、例えば4回行い、得られた4回分の検出結果を累積加算や平均化等の処理を施して所定の検出感度を得た。
また、ウェーハにビア25・13がない場合に、電極25・8に与える電圧を+350Vとしても、対物レンズ系25・7とウェーハとの間に放電は発生せずに、ウェーハWの欠陥検査は行えた。この場合、電極25・8に与えた電圧によって二次電子が集束され、対物レンズ25・7によっても更に集束されるので、検出器25・11における二次電子の検出効率は向上した。よって、ウェーハ欠陥装置としての処理も高速となり、高いスループットで検査が行えた。
2−3−5)電源
本装置における電源部は主に、電極制御の為の数百程度の出力チャンネルを有する直流高圧精密電源で構成され、電極の役割、位置関係に応じてその供給電圧が異なるが、画像の分解能及び精度の要求から、安定性は設定値に対して、数100ppm以下、好ましくは20ppm以下、より好ましくは数ppmのオーダーが要求され、安定性の阻害要因である電圧の経時変動、温度変動、ノイズ・リップル等を極少にする為、回路方式、部品の選定、実装、に対する工夫がなされている。
電極以外の電源の種類としては、ヒータ加熱用定電流源、一次系のビーム芯出時にアパーチャ電極中心近傍にてビームのセンタリングを確認する為にビームを2次元的に偏向する為の高圧高速増幅器、ヒータ加熱用定電流源、エネルギーフィルタであるE×B用の電磁コイル用定電流源、ウェーハにバイアスを印加する為のリターデリング電源及びウェーハを静電チャックに吸着させる為の電位を発生させる電源、EO補正を行う高圧高速増幅器、電子をホトマルチプライヤーの原理で増幅させるMCP電源等がある。
図45は電源部の全体構成を示している。同図において、鏡筒部45・1の電極に対し図示しないが、電源ラック45・2及び高速高圧増幅器45・3、45・4及び45・5より、接続ケーブルを経由して電源が供給される。高速高圧増幅器45・3〜45・5は広帯域の増幅器であり、扱う信号の周波数も高い(DC−MHz)ことから、ケーブルの静電容量による特性劣化と消費電力の増加を抑える必要性から電極近傍に設置し、ケーブルの静電容量増加を防止する。EO補正45・6より補正信号が出力されオクタポール変換部45・7にて8極子の夫々の電極に対し、ベクトル値に整合した位相と大きさをもった電圧に変換し、高速高圧増幅器45・4に入力し、増幅した後、鏡筒に含まれる電極に供給される。
AP画像取得ブロック45・8は一次系のビーム芯出時にアパーチャ電極中心近傍にてビームのセンタリングを確認する為にAP画像取得ブロック45・8より鋸歯状波を発生させ高圧高速増幅器により鏡筒部45・1の偏向電極に印加、ビームを2次元的に偏向する事によって、アパーチャ電極にて受けたビーム電流の大きさを位置と関連付け、画像表示する事で、ビーム位置を機械的中心位置に調整する補助機能としての役割をもつ。
AF制御46・9からは、事前に測定された最善のフォーカルポイントに相等する電圧をメモリーに記憶し、ステージ位置に応じてこの値を読み出し、D/Aコンバータにてアナログ電圧に変換し、高速高圧増幅器45・5を経て、鏡筒部45・1に含まれる焦点調整電極に印加、最適焦点位置を保ちながら観測する機能を実現している。
電源ラック45・2には、電源群1〜4からなる、電極制御の為の数百程度の出力チャンネルを有する直流高圧精密電源が収納される。電源ラック45・2は、制御通信部45・10により、通信カード45・11や、電気的絶縁性を有して安全性の確保とグランドループの発生を防止してノイズ混入を防げる光ファイバー通信45・12等により制御CPU部45・13からの指令を受信し、また、電源装置の異常等のステータスを送信することが可能なシステムを構成している。UPS45・14は停電、不測の電源断等による
制御異常発生時のシステムの暴走により、装置の破損、異常放電、人体への危険等を防止している。電源45・15は大本の受電部であり、インターロック、電流制限等を含み、欠陥検査装置全体としての安全協調を行える様構成している。
通信カード45・11は制御CPU部45・13のデータバス45・16、アドレスバス45・17に接続され、リアルタイムの処理が行える。
図46は、数百から数十キロVの静的な直流電圧を発生する場合の回路方式についてのスタテック高圧単極性電源(レンズ用)の回路構成の一例を示している。図46において、信号源46・1によりトランス46・2の透磁率が最適になる周波数の交流電圧を発生させ、掛算器46・3を経た後、駆動回路46・4へ導き、トランス46・2により数十倍から数百倍の振幅の電圧を発生させる。コッククラフトウォルトン回路46・5は、整流しながら昇圧を行う回路である。トランス46・2とコッククラフトウォルトン回路46・5との組み合わせにより、所望の直流電圧を得、ローパスフィルタ46・6により、さらなる平滑化を行い、リプル、ノイズを低減する。出力電圧検出抵抗46・7、46・8の抵抗比により高圧出力電圧を分圧し、通常の電子回路で扱える電圧範囲内にする。この抵抗の安定性が電圧精度の大半決定する為、温度安定度、長期変動等が優秀な素子を使用し、特に分圧比が重要になる事から、同一絶縁基板上に薄膜を形成する事や、あるいは抵抗素子を近接させ、温度が異ならない様工夫する等の手段を講じる。
分圧された結果は、演算増幅器46・9により基準電圧発生用D/Aコンバータ46・10の値と比較し、誤差分がある場合には、演算増幅器46・9の出力が増減し、掛算器46・3よりその値に応じた振幅の交流電圧が出力され、負帰還が形成される。図示していないが、演算増幅器46・9の出力は単極性にするか、掛算器46・3の応答の象限を限定し飽和を防止している。演算増幅器46・9は非常に大きな増幅度(120dB以上)が必要で、かつ素子としてはほとんどオープンループで使用される事から、低ノイズのオペアンプを用いる。基準電圧発生用D/Aコンバータ46・10は精度という観点からは、出力電圧検出抵抗46・7、46・8と同等以上に安定度が必要となる。この電圧を発生するには、図示していないがバンドギャップを用いた定電圧ダイオードにヒータを用いた恒温機能を組み合わせたリファレンスICが使用される場合が多いが、ペルチェ素子をヒータの代わりに用い、更なる温度の恒温化を可能としている。また、出力電圧検出抵抗46・7、46・8を恒温化する為にペルチェ素子を単一または多段に用いる場合もある。
図47は、スタテック両極性電源(アライナー等用)の回路構成の一例を示している。基本的な考え方は図46の回路と同等の電源にてV5及びV6を発生させ、この電圧を用いて、47・1〜47・6で構成されるリニアアンプに47・1からの指令値を入力する事で両極性の高圧電源を形成している。一般に、演算増幅器47・2は±12V近辺で動作する為、図示していないが、47・2と47・5、47・6との間にはディスクリート素子による増幅回路が必要で、±数Vを増幅し±数百から数キロVに変換する。47・1〜47・4に要求される諸特性の注意事項は図46の回路で述べた事と同様である。
図48〜図50は特殊電源の回路例を示しており、図48はヒータ及びガン用の回路例で、48・1〜48・4から形成される。バイアス電圧源48・2に電圧源48・1、抵抗48・3及び電源48・4が重畳される。ヒータ用電源48・4は定電流源により構成され、実際に流れる電流の値は抵抗48・3により検出し、図示していないが、一旦ディジタルに置き換えられた後、光ファイバー等によりアイソレーションを行い、値を制御通信部45・10に送る。電圧源48・1の電圧値、電源48・4の電流値等の設定は制御通信部45・10からの値を同様の原理で逆変換し、実際の電源設定部に値を設定している。
図49はMCP用の電源回路の例を示しており、電圧源49・1、49・2、リレー回路49・3、49・4、電流検出回路49・5、49・6、49・7よりなる。端子MCP1はMCPへの電流の流入値の計測で数PAからの測定を行うため、厳重なシールド構造とし、漏れ電流、ノイズの進入を防ぐ必要がある。端子MCP2はMCPによる増幅後の電流計測を含んでおり、抵抗49・6、49・7に流れる電流値の比により増幅度が算定できる。抵抗49・5は蛍光面上の電流を計測する。重畳部分での計測、設定はヒータ及びガンにおけるそれと同様である。
図50は、50・1と50・2により形成される、E×Bの磁界コイル用定電流源の回路例を示しており、一般には数百mAの電流を出力する。エネルギーフィルタとしての磁界の安定度は重要であり、数ppmのオーダの安定度が要求される。
図51は、リターデリング・チャック向けの電源回路の一例を示しており、
51・1〜51・9により形成される。バイアス電源(リターデリング用)51・10の上に図46のスタテック両極性電源(アライナー等用)と同様の電源が重畳された形式である。重畳部分での計測、設定はヒータ及びガン(図48)におけるそれと同様である。
図52は、EO補正用偏向電極のハードウェア構成の一例を示しており、52・1〜5
2・7より構成される。X軸EO補正52・1及びY軸EO補正52・2よりオクタポール変換部52・4に補正信号が入力され、高速アンプ52・5へ変換後の出力を送出する。52・5により数十から数百Vに増幅した後に角度45度毎に設置されたEO補正電極52・6へ電圧を印加する。ΔX補正52・3はミラー曲がり等の微細な補正を行う場合の入力であり、52・4の内部でX信号と加算される。
図53は、オクタポール変換部の回路構成の一例を示しており、X、Y軸以外の45度ずれた角度に設置される電極53・1用に、信号53・2、53・3、53・4、53・5からベクトル演算し、相等の電圧を発生させる。この場合の演算例は53・6、53・7、53・8、53・9に記載されている値を用いている。これは、アナログの抵抗網により、または53・6〜53・9がディジタル信号の場合はROMによるテーブル読み出し等により、実現可能である。
図54は高速高圧増幅器の一例を示しており、54・1〜54・11によって構成される。(B)に矩形波出力時の波形例を示す。この例では米国APEX社製のパワーオペアンプPA85Aを用い増幅器を構成しメガ帯に及ぶ帯域と、約±200Vの出力範囲、約1000V/μS未満のスルーレトを実現でき、高速高圧増幅器に要求される動的特性を
実現した。
2−4)プレチャージユニット
図13に示されるように、プレチャージユニット13・9は、ワーキングチャンバ13・16内で電子光学装置13・8の鏡筒13・38に隣接して配設される。本検査装置では検査対象である基板すなわちウェーハに電子線を照射することによりウェーハ表面に形成されたデバイスパターン等を検査する形式の装置であるから、電子線の照射により生じる二次電子等の情報をウェーハ表面の情報とするが、ウェーハ材料、照射電子のエネルギ等の条件によってウェーハ表面が帯電(チャージアップ)することがある。更に、ウェーハ表面でも強く帯電する箇所、弱い帯電箇所が生じる可能性がある。ウェーハ表面の帯電量にむらがあると二次電子情報もむらを生じ、正確な情報を得ることができない。
そこで、図13の実施の形態では、このむらを防止するために、荷電粒子照射部13・39を有するプレチャージユニット13・9が設けられている。検査するウェーハの所定の箇所に検査電子を照射する前に、帯電むらをなくすためにこのプレチャージユニット1
3・9の荷電粒子照射部13・39から荷電粒子を照射して帯電のむらを無くす。このウェーハ表面のチャージアップは予め検出対称であるウェーハ面の画像を形成し、その画像を評価することで検出し、その検出に基づいてプレチャージユニット13・9を動作させる。また、このプレチャージユニット13・9では一次電子線の焦点をずらせて、すなわちビーム形をぼかして照射してもよい。
図55は、プレチャージユニット13・9の第1の実施の形態の要部を示す。荷電粒子55・1は荷電粒子照射線源55・2から試料基板Wへ、バイアス電源55・3で設定された電圧で加速されて照射される。被検査領域55・4は領域55・5とともに既に前処理の荷電粒子照射を行つた場所を示し、領域55・6は荷電粒子照射を行つている場所を示す。この図では試料基板Wを図の矢印の方向に走査しているが、往復走査を行う場合は、図示点線で示すように、他の荷電粒子線源55・7を一次電子線源の反対側に設置し、試料基板Wの走査方向に同期して交互に荷電粒子線源55・2、55・7をオン、オフすれば良い。この場合、荷電粒子のエネルギーが高すぎると試料基板Wの絶縁部からの二次電子収率が1を超えてしまい、表面が正に帯電し、またそれ以下でも二次電子が生成する
と現象が複雑となり、照射効果が減少するので、二次電子の生成が激減する100eV以下(理想的には0eV以上で30eV以下)のランディング電圧に設定するのが効果的である。
図56は、プレチャージユニット13・9の第2の実施の形態を示す。本図は荷電粒子線として電子線56・1を照射するタイプの照射線源を示す。照射線源は、熱フィラメント56・2、引き出し電極56・3、シールドケース56・4、フィラメント電源56・5、電子引き出し電源56・6から構成されている。引き出し電極56・3は厚さ0.1mmで、幅0.2mm、長さ1.0mmのスリットが設けられており、直径0.1mmのフィラメント(熱電子放出源)56・2との位置関係は3電極電子銃の形態となっている。シールドケース56・4には幅1mmで長さ2mmのスリットが設けられており、引出し電極56・3とは距離1mmの間隔とし、両者のスリットセンターが一致する様に組み上げられている。フィラメントの材質はタングステン(W)で2Aで通電加熱を行い、引き出し電圧20V、バイアス電圧−30Vで数μAの電子電流が得られている。
ここに示した例は一つの例であり、例えば、フィラメント(熱電子放出源)の材質はTa、Ir、Re等の高融点金属や、トリアコートW、酸化物陰極等が使用でき、その材質、線径、長さによりフィラメント電流が変わることは言うまでもない。また、その他の種類の電子銃でも電子線照射領域、電子電流、エネルギ−が適当な値に設定できるものであれば使用する事が可能である。
図57は、プレチャージユニット13・9の第3の実施の形態を示す。荷電粒子線としてイオン57・1を照射するタイプの照射線源を示す。本照射線源はフィラメント57・2、フィラメント電源57・3、放電電源57・4、陽極シールドケース57・5から構成されており、陽極57・6とシールドケース57・5には1mm×2mmの同じサイズのスリットが明けられており、1mm間隔で両スリットの中心が一致する様に組み立てられている。シールドケース57・5内にパイプ57・7を介してArガス57・8を1Pa程度導入し、熱フィラメント57・2によるアーク放電タイプで動作させる。バイアス電圧は正の値に設定する。
図58は、プレチャージユニット13・9の第4の実施の形態であるプラズマ照射方式の場合を示す。構造は図57と同様である。動作も上記と同様、熱フィラメント57・2によるアーク放電タイプで動作させるが、バイアス電位を0Vにすることにより、ガス圧によリプラズマ58・1がスリットからしみだし、試料基板に照射される。プラズマ照射の場合は他の方法に比べて正負両方の電荷を持つ粒子の集団のため試料基板表面の正負ど
ちらの表面電位も0に近づけることが可能となる。
試料基板Wに接近して配置された荷電粒子照射部は、図55ないし図58に示す構造のものであり、試料基板Wの酸化膜や窒化膜の表面構造の違いや、異なる工程毎のそれぞれの試料基板に対して表面電位がゼロになるよう適切な条件により、荷電粒子55・1を照射するようになっており、試料基板に対して最適な照射条件で照射を行つた後、すなわち、試料基板Wの表面の電位を平均化、もしくは荷電粒子により中和させた後に、電子線55・8、55・9により画像を形成し、欠陥を検出するようになっている。
以上説明したとおり、本実施の形態においては、荷電粒子照射による測定の直前処理によって、帯電による測定画像歪みが生じないか、生じてもわずかであるので欠陥を正しく測定できる。また、従来では使用が問題となっていた量の大電流(例えば、1μA以上20μA、好ましくは1μA以上10μA、より好ましくは1μA以上5μA)照射してステージを走査できるので、二次電子も試料またはウェーハ上から大量に放出されるため、S/N比の良い(例えば、2以上1000以下、好ましくは5以上1000以下、より好ましくは10以上100以下の)検出信号が得られ、欠陥検出の信頼性が向上する。また、S/N比が大きいので、より早くステージを走査しても良好な画像データを作製でき、検査のスループットを大きくすることができる。
図59には、本実施の形態によるプレチャージユニットを備えた撮像装置が模式的に示されている。この撮像装置59・1は、一次光学系59・2と、二次光学系59・3と、検出系59・4と、撮像対象に帯電した電荷を均一化若しくは低減化する電荷制御手段59・5とを備えている。一次光学系59・2は、電子線を検査対象(以下対象)Wの表面に照射する光学系で、電子線を放出する電子銃59・6と、電子銃59・6から放出された一次電子ビーム59・7を偏向する静電レンズ59・8と、一次電子ビームをその光軸が対象の面に垂直になるように偏向するウイーンフィルタすなわちE×B偏向器59・9と、電子線を偏向する静電レンズ59・10とを備え、それらは、図59に示されるように電子銃59・6を最上部にして順に、しかも電子銃から放出される一次電子線59・7の光軸が対象Wの表面(試料面)に鉛直な線に対して傾斜して配置されている。E×B偏向器59・9は電極59・11及び電磁石59・12から構成されている。
二次光学系59・3は一次光学系のE×B型偏向器49・9の上側に配置された静電レンズ59・13を備えている。検出系59・4は、二次電子59・14を光信号に変換するシンチレータ及びマイクロチャンネルプレート(MCP)の組み合わせ59・15と、光信号を電気信号に変換するCCD59・16と、画像処理装置59・17とを備えている。上記一次光学系59・2、二次光学系59・3及び検出系59・4の各構成要素の構造及び機能は従来のものと同じであるから、それらについての詳細な説明は省略する。
対象に帯電した電荷を均一化若しくは低減化する電荷制御手段59・5は、この実施の形態では、対象Wとその対象Wに最も近接した一次光学系59・2の静電レンズ59・10との間で対象Wに接近させて配置された電極59・18と、電極59・18に電気的に接続された切換スイッチ59・19と、その切換スイッチ59・19の一方の端子59・20に電気的に接続された電圧発生器59・21と、切換スイッチ59・19の他方の端子59・22に電気的に接続された電荷検出器59・23とを備えている。電荷検出器59・23は高いインピーダンスを有している。電荷低減手段59・5は、更に、一次光学系59・2の電子銃59・6と静電レンズ59・8との間に配置されたグリッド59・24と、グリッド59・24に電気的に接続されている電圧発生器59・25とを備えている。タイミングジェネレータ59・26が、検出系59・4のCCD59・16及び画像処理装置59・17、電荷低減手段59・5の切換スイッチ59・19、電圧発生器59・21並びに電荷検出器59・23及び59・25に動作タイミングを指令するようにな
っている。
次に、上記構成の電子線装置の動作について説明する。電子銃59・6から放出された一次電子ビーム59・7は、一次光学系59・2の静電レンズ59・8を経てE×B偏向器59・9に達し、そのE×B偏向器59・9により対象Wの面に対して垂直になるように偏向され、更に静電レンズ59・10を介して対象Wの表面(対象面)WFを照射する。対象Wの表面WFからは対象の性状に応じて二次電子59・14が放出される。この二次電子59・14は二次光学系59・3の静電レンズ59・13を介して検出系59・4のシンチレータ及びMCPの組み合わせ59・15に送られ、そのシンチレータにより光に変換され、その光はCCD59・16により光電変換され、その変換された電気信号により画像処理装置59・17が二次元画像(階調を有する)を形成する。なお、通常のこの種の検査装置と同様に、対象に照射される一次電子ビームは、一次電子ビームを公知の偏向手段(図示せず)により走査させることによって、又は、対象を支持するテーブルTをX、Yの二次元方向に移動させることにより、或いは、それらの組合せにより、対象面WF上の必要箇所全体を照射させてその対象面のデータを収集できるようになっている。
対象Wに照射された一次電子線59・7により対象Wの表面近傍には電荷が生じ、正に帯電する。その結果、対象Wの表面WFから発生する二次電子59・14は、この電荷とのクーロン力により、電荷の状況に応じて軌道が変化する。その結果、画像処理装置59・17に形成される画像に歪みが発生することになる。対象面WFの帯電は、対象Wの性状により変化するため、対象としてウェーハを用いた場合、同一ウェーハでも必ずしも同一ではないし、時間的にも変化する。従って、ウェーハ上の2カ所のパターンを比較する場合に誤検出が発生するおそれがある。
そこで、本発明によるこの実施の形態では、検出系59・4のCCD59・16が画像を1走査分捕捉した後の空き時間を利用して、高インピーダンスを有する電荷検出器59・23により、対象Wの近傍に配置された電極59・18の帯電量を計測する。そして計測した帯電量に応じた電子を照射させる電圧を電圧発生器59・21で発生させ、計測後に切換スイッチ59・19を動作させて電極59・18を電圧発生器59・21に接続し、電圧発生器により発生された電圧を電極59・18に印加することにより帯電した電荷を相殺する。これにより画像処理装置59・17に形成される画像に歪みが発生しないようになっている。具体的には、電極59・18に通常の電圧が与えられている時は集束した電子線を対象Wに照射するが、電極59・18に別の電圧を与えると合焦条件が大きくずれ、帯電が予想される広い領域に小さい電流密度で照射が行われ、正に帯電した対象の正電荷を中和させることで、帯電が予想される広い領域の電圧を特定の正(負)電圧に均一化したり、均一化かつ低減化することでより低い正(負)電圧(ゼロボルトも含む)にできる。上記のような帯電電荷の相殺の動作は走査毎に実施される。
ウェーネルト電極すなわちグリッド59・24は、空き時間のタイミング中に電子銃59・6から照射される電子ビームを停止させ、帯電量の計測及び帯電の相殺動作を安定に実行する機能を有する。上記動作のタイミングは、タイミングジェネレータ59・26によって指令され、例えば、図60のタイミングチャートに示されるようなタイミングである。なお、帯電量は対象としてウェーハを使用した場合、その位置によって異なるため、CCDの走査方向に電極59・18、切換スイッチ59・19、電圧発生器59・21及び電荷検出器59・23を複数組設けて細分化し、より精度の高い制御を行うことも可能である。
本実施の形態によれば、次のような効果を奏することが可能である。
(1)帯電によって発生する画像の歪みを検査対象の性状によらず低減することができる、
(2)従来の計測タイミングの空き時間を利用して帯電の均一化、相殺を実行するため、スループットに何ら影響を及ぼすことがない、
(3)リアルタイムで処理が可能であるため、事後処理の時間、メモリー等を必要としない、
(4)高速で精度の高い画像の観測、欠陥検出が可能である。
図61は、本発明の他の実施の形態に係るプレチャージユニットを備えた欠陥検査装置の概略構成が示されている。この欠陥検査装置は、一次電子線を放出する電子銃59・6、放出された一次電子線を偏向、成形させる静電レンズ59・8、図示しないポンプにより真空に排気可能な試料室61・1、該試料室内に配置され、半導体ウェーハWなどの試料を載置した状態で水平面内を移動可能なステージ61・2、一次電子線の照射によりウェーハWから放出された二次電子線及び/又は反射電子線を所定の倍率で写像投影して結像させる写像投影系の静電レンズ59・13、結像された像をウェーハの二次電子画像として検出する検出器61・3及び、装置全体を制御すると共に検出器61・3により検出された二次電子画像に基づいてウェーハWの欠陥を検出する処理を実行する制御部61・4を含んで構成される。なお、上記二次電子画像には、二次電子だけでなく反射電子による寄与も含まれているが、ここでは二次電子画像と称することにする。
試料室61・1内には、ウェーハWの上方に、紫外光を含む波長域の光線を発するUVランプ61・5が設置されている。このUVランプ61・5のガラス表面には、UVランプ651・5から放射された光線によって光電効果に起因する光電子eを発する光電子放出材61・6がコーティングされている。このUVランプ61・5は、光電子放出材61・6から光電子を放出させる能力を持つ波長域の光線を放射する光源であれば任意のものから選択することができる。一般には、254nmの紫外線を放射する低圧水銀ランプを用いるのがコスト的に有利である。また、光電子放出材61・6は、光電子を放出させる能力がある限り任意の金属から選択することができ、例えばAuなどが好ましい。
上述した光電子は、一次電子線と異なるエネルギー、即ち一次電子線より低エネルギーである。ここで、低エネルギーとは、数eV〜数十eVのオーダー、好ましくは0〜10eVのことを意味する。本発明は、このような低エネルギーの電子を生成する任意の手段を用いることができる。例えば、UVランプ61・5を代用して図示しない低エネルギー電子銃を備えることでも達成できる。
更に、この電子銃のエネルギを制御する場合には、本実施の形態の欠陥検査装置は、電源61・7を備えている。この電源61・7の負極は光電子放出材61・6に接続され、その正極はステージ61・2に接続されている。従って、光電子放出材61・6は、ステージ61・2即ちウェーハWの電圧に対して負の電圧が加えられた状態となる。この所定電圧によって、低エネルギ電子銃のエネルギを制御することができる。
検出器61・3は、静電レンズ59・13によって結像された二次電子画像を後処理可能な信号に変換することができる限り、任意の構成とすることができる。例えば、図62にその詳細を示すように、検出器61・3は、マイクロチャンネルプレート(MCP)62・1と、蛍光面62・2と、リレー光学系62・3と、多数のCCD素子からなる撮像センサ62・4とを含んで構成することができる。マイクロチャンネルプレート62・1は、プレート内に多数のチャンネルを備えており、静電レンズ59・13によって結像された二次電子又は反射電子が該チャンネル内を通過する間に、更に多数の電子を生成させる。即ち、二次電子を増幅させる。蛍光面62・2は、増幅された二次電子によって蛍光を発することにより二次電子を光に変換する。リレーレンズ62・3がこの蛍光をCCD撮像センサ62・4に導き、CCD撮像センサ62・4は、ウェーハW表面上の二次電子の強度分布を素子毎の電気信号即ちデジタル画像データに変換して制御部61・4に出力
する。
制御部61・4は、図61に例示されたように、汎用的なパーソナルコンピュータ61・8から構成することができる。このコンピュータ61・8は、所定のプログラムに従って各種制御、演算処理を実行する制御部本体61・9と、本体61・9の処理結果を表示するCRT61・10と、オペレータが命令を入力するためのキーボードやマウス等の入力部61・11とを備える、勿論、欠陥検査装置専用のハードウェア、或いは、ワークステーションなどから制御部61・4を構成してもよい。
制御部本体61・9は、図示しないCPU、RAM、ROM、ハードディスク、ビデオ基板等の各種制御基板等から構成される。RAM若しくはハードディスクなどのメモリ上には、検出器61・3から受信した電気信号即ちウェーハWの二次電子画像のデジタル画像データを記憶する二次電子画像記憶領域が割り当てられている。また、ハードディスク上には、欠陥検査装置全体を制御する制御プログラムの他、記憶領域61・12から二次電子画像データを読み出し、該画像データに基づき所定のアルゴリズムに従ってウェーハWの欠陥を自動的に検出する欠陥検出プログラム61・13が格納されている。この欠陥検出プログラム61・13は、例えば、ウェーハWの当該検査箇所と、別の検査箇所とを比較し、他の大部分の箇所のパターンと相違したパターンを欠陥としてオペレータに報告表示する機能を有する。更に、CRT61・10の表示部に二次電子画像61・14を表示し、オペレータの目視によってウェーハWの欠陥を検出するようにしてもよい。
次に、図61に示す実施の形態に係る電子線装置の作用を図63のフローチャートを例にして説明する。先ず、検査対象となるウェーハWをステージ61・2の上にセットする(ステップ63・1)。これは、図示しないローダーに多数格納されたウェーハWを一枚毎に自動的にステージ61・2にセットする形態であってもよい。次に、電子銃59・6から一次電子線を放出し、静電レンズ59・8を通して、セットされたウェーハW表面上の所定の検査領域に照射する(ステップ63・2)。一次電子線が照射されたウェーハWからは二次電子及び/又は反射電子(以下、「二次電子」のみ称する)が放出され、その結果、ウェーハWは正電位にチャージアップする。
次に、発生した二次電子線を拡大投影系の静電レンズ59・13により所定の倍率で検出器61・3に結像させる(ステップ63・3)。このとき、光電子放出材65・1にステージ61・2に対して負の電圧をかけた状態で、UVランプ61・5を発光させる(ステップ63・4)。その結果、UVランプ61・5から発せられた振動数νの紫外線がそのエネルギー量子hν(hはプランク定数)によって光電子放出材65・1から光電子を放出させる。これらの光電子eは、負に帯電した光電子放出材61・6から正にチャージアップしたウェーハWに向かって照射され、当該ウェーハWを電気的に中和させる。かくして、二次電子線は、ウェーハWの正電位により実質的な影響を受けることなく、検出器61・3上に結像される。
このように電気的に中和されたウェーハWから放出された(像障害の軽減された)二次電子線の画像を検出器61・3が検出し、デジタル画像データに変換出力する(ステップ63・5)。次に、制御部61・4が、欠陥検出プログラム61・13に従って、検出された画像データに基づきウェーハWの欠陥検出処理を実行する(ステップ63・6)。この欠陥検出処理では、制御部61・4は、同じダイを多数有するウェーハの場合、前述のように、検出されたダイ同士の検出画像を比較することによって欠陥部分を抽出する。メモリに予め蓄えられていた欠陥の存在しないウェーハの基準二次電子画像と、実際に検出された二次電子線画像とを比較照合して、欠陥部分を自動的に検出してもよい。このとき、検出画像をCRT61・10に表示すると共に欠陥部分と判定された部分をマーク表示してもよく、これによって、オペレータは、ウェーハWが実際に欠陥を持つか否かを最終
的に確認、評価することができる。この欠陥検出方法の具体例については更に後述する。
ステップ63・5の欠陥検出処理の結果、ウェーハWに欠陥有りと判定された場合(ステップ63・7の肯定判定)、オペレータに欠陥の存在を警告する(ステップ63・8)。警告の方法として、例えば、CRT61・10の表示部に欠陥の存在を知らせるメッセージを表示したり、これと同時に欠陥の存在するパターンの拡大画像61・14を表示してもよい。このような欠陥ウェーハを直ちに試料室61・1から取り出し、欠陥の無いウェーハとは別の保管場所に格納してもよい(ステップ63・9)。
ステップ63・6の欠陥検出処理の結果、ウェーハWに欠陥が無いと判定された場合(ステップ63・7の否定判定)、現在検査対象となっているウェーハWについて、検査すべき領域が未だ残っているか否かが判定される(ステップ63・10)。検査すべき領域が残っている場合(ステップ63・10肯定判定)、ステージ61・2を駆動し、これから検査すべき他の領域が一次電子線の照射領域内に入るようにウェーハWを移動させる(ステップ63・11)。その後、ステップ63・2に戻って当該他の検査領域に関して同様の処理を繰り返す。
検査すべき領域が残っていない場合(ステップ63・10否定判定)、或いは、欠陥ウェーハの抜き取り工程(ステップ63・9)の後、現在検査対象となっているウェーハWが、最終のウェーハであるか否か、即ち図示しないローダーに未検査のウェーハが残っていないか否かが判定される(ステップ63・12)。最終のウェーハでない場合(ステップ63・12否定判定)、検査済みウェーハを所定の格納箇所に保管し、その代わりに新しい未検査のウェーハをステージ61・2にセットする(ステップ63・13)。その後、ステップ63・2に戻って当該ウェーハに関して同様の処理を繰り返す。最終のウェーハであった場合(ステップ63・12肯定判定)、検査済みウェーハを所定の格納箇所に保管し、全工程を終了する。各カセットの識別番号、ウェーハの識別番号、例えばロット番号なども記憶して管理される。
UV光電子照射(ステップ63・4)は、ウェーハWの正のチャージアップが回避され、像障害が低減された状態で二次電子画像検出(ステップ63・5)ができれば、任意のタイミング、任意の期間内で行うことができる。図63の処理が継続されている間、常時UVランプ61・5を点灯した状態にしてもよいが、1枚のウェーハ毎に期間を定めて発光、消灯を繰り返してもよい。後者の場合、発光のタイミングとして、図63に示したタイミングの他、二次電子線結像(ステップ63・3)の実行前、更には、一次電子線照射(ステップ63・2)の実行前から開始してもよい。少なくとも二次電子検出の期間内はUV光電子照射を継続することが好ましいが、二次電子画像検出前若しくは検出中であっても十分にウェーハが電気的に中和されれば、UV光電子の照射を停止してもよい。
ステップ63・6の欠陥検出方法の具体例を図64の(a)〜(c)に示す。まず、図64の(a)には、1番目に検出されたダイの画像64・1及び2番目に検出された他のダイの画像64・2が示されている。3番目に検出された別のダイの画像が1番目の画像64・1と同じか又は類似と判断されれば、2番目のダイ画像64・2の64・3の部分が欠陥を有すると判定され、欠陥部分を検出できる。
図64の(b)には、ウェーハ上に形成されたパターンの線幅を測定する例が示されている。ウェーハ上の実際のパターン64・4を64・5の方向に走査したときの実際の二次電子の強度信号が64・6であり、この信号が予め較正して定められたスレッショールドレベル64・7を連続的に超える部分の幅64・8をパターン64・4の線幅として測定することができる。このように測定された線幅が所定の範囲内にない場合、当該パターンが欠陥を有すると判定することができる。
図64の(c)には、ウェーハ上に形成されたパターンの電位コントラストを測定する例が示されている。図61に示す構成において、ウェーハWの上方に軸対称の電極64・9を設け、例えばウェーハ電位0Vに対して−10Vの電位を与えておく。このときの−2Vの等電位面は64・10で示されるような形状とする。ここで、ウェーハに形成されたパターン64・11及び64・12は、夫々−4Vと0Vの電位であるとする。この場合、パターン64・11から放出された二次電子は−2V等電位面64・10で2eVの運動エネルギーに相当する上向きの速度を持っているので、このポテンシャル障壁64・10を越え、軌道64・13に示すように電極64・9から脱出し、検出器61・3で検出される。一方、パターン64・12から放出された二次電子は−2Vの電位障壁を越えられず、軌道64・14に示すようにウェーハ面に追い戻されるので、検出されない。従って、パターン64・11の検出画像は明るく、パターン64・12の検出画像は暗くなる。かくして、電位コントラストが得られる。検出画像の明るさと電位とを予め較正しておけば、検出画像からパターンの電位を測定することができる。そして、この電位分布からパターンの欠陥部分を評価することができる。
また、ダイ内にフローティングしている部分がある場合には、プレチャージユニットにより電荷を付与してそのフローティングしている箇所を帯電させ、電気的に導通して接地している部分との電位差を生じさせることができる。この状態の電位コントラストデータを取得して分析し、フローティング箇所を発見することもできる。キラー欠陥等がある場合の欠陥発見方法として利用することができる。電位コントラストデータを電位コントラスト画像に変換して他のダイのパターンの電位コントラスト画像と比較してもよいし、CAD等の設計データから取得した電位コントラスト画像と比較してもよい。
本発明の他の実施の形態に係るプレチャージユニットを備えた欠陥検査装置の概略構成を図65に示す。なお、図61の実施の形態と同様の構成要素については同一の符号を附して詳細な説明を省略する。この実施の形態では、図65に示すように、UVランプ61・5のガラス表面に光電子放出材がコーティングされていない。その代わりに、光電子放出プレート65・1が試料室61・1内でウェーハWの上方に配置され、UVランプ61・5は、放射した紫外線が光電子放出プレート65・1に照射される位置に配置される。光電子放出プレート65・1には、電源71・7の負極が接続され、ステージ61・2には電源の正極が接続されている。この光電子放出プレート65・1は、Au等の金属で作られ、或いは、そのような金属がコーティングされたプレートとして作られてもよい。
図65の実施の形態の作用は図61の実施の形態と同様である。この図65の実施の形態においても光電子をウェーハWの表面上に適時照射することが可能なので、図61の実施の形態と同様の効果を奏する。
本発明のさらに他の実施の形態に係るプレチャージユニットを備えた欠陥検査装置の概略構成を図66に示す。なお、図61及び図65の実施の形態と同様の構成要素については同一の符号を附して詳細な説明を省略する。図66の実施の形態では、図示のように、試料室61・1の側面壁に透明な窓材66・1を設け、UVランプ61・5から放射された紫外線がこの窓材66・1を通して試料室61・1内でウェーハWの上方に配置された光電子放出プレート65・1に照射されるように、UVランプ61・5が試料室61・2の外部に配置されている。図66の実施の形態では、真空となる試料室61・1の外部にUVランプ61・5を配置したので、UVランプ61・5の耐真空性能を考慮する必要がなくなり、図61及び図65の実施の形態と比較してUVランプ61・5の選択肢を広げることができる。
図66の実施の形態の他の作用は図61及び図65の実施の形態と同様である。図66
の実施の形態においても光電子をウェーハWの表面上に適時照射することが可能なので、図61及び図65の実施の形態と同様の効果を奏する。
以上が上記各実施の形態であるが、本発明によるプレチャージユニットを備えた欠陥検査装置は、上記例にのみ限定されるものではなく本発明の要旨の範囲内で任意好適に変更可能である。例えば、被検査試料として半導体ウェーハWを例に掲げたが、本発明の被検査試料はこれに限定されず、電子線によって欠陥を検出することができる任意のものが選択可能である。例えばウェーハへの露光用パターンが形成されたマスクや透過型のマスク(ステンシルマスク)等を検査対象とすることもできる。また、半導体プロセスに限らず、マイクロマシン関連、液晶関連の検査または評価にも使用できることは言うまでもない。
また、欠陥検査用の電子線装置として、図61乃至図66の構成を示したが、電子光学系等は任意好適に変更可能である。例えば、図示された欠陥検査装置の電子線照射手段(59・6,59・8)は、ウェーハWの表面に対して斜め上方から一次電子線を入射させる形式であるが、静電レンズ59・13の下方に一次電子線の偏向手段を設け、一次電子線をウェーハWの表面に垂直に入射させるようにしてもよい。このような偏向手段として、例えば電場と磁場の直交する場E×Bによって一次電子線を偏向させるウィーンフィルタなどがある。
更に、光電子を放射する手段として、図61乃至図66に示した、UVランプ61・5及び光電子放出部材61・6若しくは光電子放出プレート65・1の組み合わせ以外の任意手段を採用することができることは勿論である。
図63のフローチャートの流れも、これに限定されない。例えば、ステップ63・7で欠陥有りと判定された試料について、他の領域の欠陥検査は行わないことにしたが、全領域を網羅して欠陥を検出するように処理の流れを変更してもよい。また、一次電子線の照射領域を拡大し1回の照射で試料の全検査領域をカバーできれば、ステップ63・10及びステップ6・11を省略することができる。
更に、図63では、ステップ63・7でウェーハに欠陥有りと判定した場合、ステップ63・8で直ちにオペレータに欠陥の存在を警告し事後処理(ステップ63・9)したが、欠陥情報を記録しておいてバッチ処理終了後(ステップ63・12肯定判定の後)、欠陥を持つウェーハの欠陥情報を報告するように処理の流れを変更してもよい。
以上詳細に説明したように、図61ないし図66の実施の形態による欠陥検査装置及び欠陥検査方法によれば、一次電子線と異なるエネルギー、即ち一次電子線より低エネルギーを有する電子を試料に供給するようにしたので、二次電子放出に伴う試料表面の正のチャージアップが低減され、ひいては、チャージアップに伴う二次電子線の像障害を解消することができ、より高精度に試料の欠陥を検査することが可能となる、という優れた効果が得られる。
更に、図61ないし図66の欠陥検査装置をデバイス製造方法に用いたならば、上記のような欠陥検査装置を用いて試料の欠陥検査を行うようにしたので、製品の歩留まりの向上及び欠陥製品の出荷防止が図れる、という優れた効果が得られる。
以上はプレチャージ用電子エネルギーが主に100eV以下の低エネルギーで、試料表面にソフトに照射する場合についてのべたが、2kV以上20kV以下、好ましくは3〜10kV、より好ましくは3〜5kV以下でプレチャージを行った後、正帯電又は負帯電モード、または反射電子モードで像取得を行っても良い。負帯電モードでは、検査の時の
電子ビームのランディングエネルギーと同じエネルギーでプレチャージを行ってもよい。
また、帯電抑制のために、導電性の薄膜を試料表面にコートすることも有効である。このときの膜厚は1〜100mm、好ましくは1〜10mm、より好ましくは1〜3mmが好適である。更に、スパッタエッチング等で試料表面をクリーニングしてから像取得を行うと、よりきれいな像が得られる。導電性薄膜コート及びスパッタエッチングはそれぞれ独立で使用してもよく、プレチャージと併用してもよい。例えば、スパッタエッチング後にプレチャージを行って像取得を行ってもよく、スパッタエッチング後に導電性薄膜をコートしてからプレチャージを行ってもよい。
2−5)真空排気系
真空排気系は、真空ポンプ、真空バルブ、真空ゲージ、真空配管等から構成され、電子光学系、検出器部、試料室、ロードロック室を所定のシーケンスに従い真空排気を行う。各部においては必要な真空度を達成するように真空バルブが制御される。常時、真空度のモニターを行い、異常時には、インターロック機能により隔離バルブ等の緊急制御を行い、真空度の確保をする。真空ポンプとしては主排気にターボ分子ポンプ、粗引き用としてルーツ式のドライポンプを使用する。検査場所(電子線照射部)の圧力は10−3〜10−5Pa、好ましくはその1桁下の10−4〜10−6Paが実用的である。
2−6)制御系
制御系は主にメインコントローラ、制御コントローラ、ステージコントローラから構成されている。メインコントローラにはマン−マシンインターフェースが備えられており、オペレータの操作はここを通して行われる(種々の指示/命令、レシピなどの入力、検査スタートの指示、自動と手動検査モードの切り替え、手動検査モード時のときの必要な全てのコマンドの入カ等)。その他、工場のホストコンピュータとのコミュニケーション、真空排気系の制御、ウェーハ等の試料搬送、位置合わせの制御、他の制御コントローラやステージコントローラヘのコマンドの伝達や情報の受け取り等もメインコントローラで行われる。また、光学顕微鏡からの画像信号の取得、ステージの変動信号を電子光学系にフィードバックさせて像の悪化を補正するステージ振動補正機能、試料観察位置のZ方向(二次光学系の軸方向)の変位を検出して、電子光学系ヘフィードバックし、自動的に焦点を補正する自動焦点補正機能を備えている。電子光学系へのフィードバック信号等の授受、及びステージからの信号の授受は、それぞれ制御コントローラ及びステージコントローラを介して行われる。
制御コントローラは主に電子線光学系の制御(電子銃、レンズ、アライナー、ウィーンフィルタ用などの高精度電源の制御等)を担う。具体的には照射領域に、倍率が変わったときにも常に一定の電子電流が照射されるようにすること、各倍率に対応した各レンズ系やアライナーへの自動電圧設定等の、各オペレーションモードに対応した各レンズ系やアライナーへの自動電圧設定等の制御(連動制御)が行われる。
ステージコントローラは主にステージの移動に関する制御を行い精密なX方向およびY方向のμmオーダーの移動(±5μm以下、好ましくは±1μm以下、より好ましくは±0.5μm以下程度の誤差)を可能にしている。また、本ステージでは誤差精度±10秒程度以内で、好ましくは±1秒以内、より好ましくは±0.3秒以内で回転方向の制御(θ制御)も行われる。以下、制御系の構成について具体的に説明する。
2−6−1)構成及び機能
本装置は、ウェーハの指定位置を電子顕微鏡もしくは光学顕微鏡で撮像し表示する機能と、ウェーハの指定位置を電子顕微鏡で撮像し欠陥検出および欠陥分類する機能と、欠陥が検出された位置を電子顕微鏡もしくは光学顕微鏡で撮像し表示する機能とを提供する。
また、上記機能の実現およびメンテナンスのため、電子光学系制御と、真空系制御とウェーハ搬送制御と、構成機器単体操作と、撮像機能と、自動欠陥検査処理と、装置異常検知と、装置起動/停止処理機能とを有する。
補助機能は以下のとおりである。
(1)電子光学系制御機能
(a)レンズ電圧印加制御
(a−1)連動制御
(a−2)印加関数による電圧印加
(a−3)多極子レンズ連動電圧印加
(a−4)ウォッブル制御
(b)電子ビーム出力調整
(b−1)プレヒート(Gun)
(b−2)ヒートアップ(Gun)
(b−3)エミッション電流制御(BIAS制御)
(2)真空系制御機能
(a)チャンバ個別真空排気/大気開放
(b)指定チャンバ一括真空排気/大気開放
(3)ウェーハ搬送制御機能
下記動作のステップ動作/全自動動作
(a)ウェーハロード
(b)ウェーハアンロード
(4)構成機器単体操作機能
(5)撮像機能。
以下の2つの入力系統を選択し撮像を行う:
(a)CCDカメラ
・光学顕微鏡低倍(ピクセルサイズ:2.75μm/pix)
・光学顕微鏡高倍(ピクセルサイズ:0.25μm/pix)
(b)TDIカメラ
(b−1)TDI−still
(b−2)TDI−scan
EB×80(ピクセルサイズ:0.2μm/pix)
EB×160(ピクセルサイズ:0.1μm/pix)
EB×320(ピクセルサイズ:0.05μm/pix)
EB×480(ピクセルサイズ:0.03μm/pix)。
さらに誤操作などによる事故防止のため、操作する者の技術・知識レベルに応じて操作可能項目を制限する機能としてユーザーモード指定機能がある。このユーザーモードは、GUI(グラフィッカルユーザーインターフェース)起動時に入力するユーザーIDおよびパスワードにて指定される。
ユーザーモードには、メンテナンスモード、レシピ作成モード、オペレータモードがあり、装置設置後の立ち上げ作業およびメンテナンス作業時にはメンテナンスモードにて操作を行い、レシピの作成時にはレシピ作成モードにて必要な操作および手順を支援し、自動欠陥検査時にはオペレータモードにて作成済みのレシピを使用して検査を行う。各ユーザーモードと装置運用形態の関係は図67のようになる。ここで、
メンテナンスモード....構成機器単体操作、ウェーハ搬送、真空系制御、電子光学系制御、観察(光顕撮像、TDI撮像)、欠陥検査、レビュー
レシピ作成モード.....ウェーハ搬送、観察(光顕撮像、TDI撮像)、欠陥検査
、レビュー
オペレータモード.....自動欠陥検査(ウェーハ搬送など必要な機能の自動制御)、レビュー。
本装置には、運用に必要な可変パラメータとして装置定数とレシピが存在する。装置固有の(取付け誤差などの)誤差を吸収するパラメータとして装置定数が規定され、自動で欠陥検査を行うために各種条件を規定するパラメータとしてレシピが規定されている。装置定数は、立ち上げ作業時、メンテナンス作業後に設定され、基本的にその後は変更されることが無い。
レシピは、搬送レシピ、アライメントレシピ、ダイマップレシピ、フォーカスマップレシピ、検査レシピに分類され、これらのレシピに従って欠陥検査が行われるため、設定作業は検査処理実施前に行われ、複数パターンの設定が保存される。
レシピ作成時の手順としては図68のように、ウェーハをステージ上へ搬送(ウェーハロード)するところが最初のステップとなる。ウェーハカセットを装置へ設置後、カセット内の各スロットのウェーハ有無を検出するためのウェーハサーチを行い、検出されたウェーハに対して、ウェーハサイズ、ノッチ/オリフラ種別、(ステージ上にロードされたときの)ノッチ方向を指定し、図69、図70に示される手順でウェーハをロードする。搬送レシピには、これらの条件が保存される。ステージ上にロードされたウェーハのダイの配置方向は、TDIカメラのスキャン方向と必ずしも一致しない(図71)。これを一致させるためにθステージでウェーハを回転させる操作が必要となり、この操作をアライメントと呼ぶ(図72)。アライメントレシピではステージ上にロードされた後のアライメント実行条件が保存される。
なお、アライメント実施時にダイの配列を示すダイマップ(図73)が作成され、ダイマップレシピではダイサイズや(ダイの位置を示す起点となる)原点ダイの位置などが保存される。
2−6−2)アライメント手順
アライメント(位置決め)手順としては、始めに光学顕微鏡の低倍にて粗い位置決めを行い、次いで光学顕微鏡の高倍により、最後にEB像により詳細な位置決めを行う。
A.光学顕微鏡低倍にて撮像
(1)<第1,2,3サーチダイ指定及びテンプレート指定>
(1−1)第1サーチダイ指定及びテンプレート指定
ウェーハ下方に位置するダイの左下隅がカメラ中央付近に位置するようにユーザー操作にてステージを移動し、位置決定後、パターンマッチ用テンプレート画像を取得する。このダイが位置決めの基準となるダイであり、左下隅の座標が特徴点の座標となる。今後、このテンプレート画像でパターンマッチングを行うことにより、基板上の任意のダイの正確な位置座標を測定していく。このテンプレート画像には、サーチ領域内でユニークなパターンとなるような画像を選択しなければならない。
なお、本実施例では、左下隅をパターンマッチング用テンプレート画像取得位置としたが、これに限られるものではなく、ダイ内の任意の位置を特徴点として選択してよい。ただし、一般的には、ダイの内部や辺の上にある点よりも、隅の方が座標を特定し易いので、四隅のいずれかを選択するのが好適である。また同様に、本実施例では、ウェーハ下方に位置するダイについてパターンマッチング用テンプレート画像を取得したが、これもアライメントが行い易いように任意のダイを選択しても構わないのは当然である。
(1−2)第2サーチダイ指定
第1サーチダイの右隣のダイを第2サーチダイとし、第2サーチダイの左下隅がカメラ中央付近に位置するようにユーザー操作にてステージを移動し、位置決定後、上記(1−1)で取得したテンプレート画像を用いて自動でパターンマッチを実行することで第1サーチダイで指定したテンプレート画像と一致する第2サーチダイのパターンの厳密な座標値を取得する。
なお、本実施例では、第1サーチダイの右隣のダイを第2サーチダイとして例を挙げて説明したが、本発明の第2サーチダイはこれに限られるものではないことは勿論である。要は、正確な特徴点の位置座表を把握した基準点からの、行方向のダイの位置関係をパターンマッチングにより正確に把握することができる点を選択すればよいのである。したがって、例えば、第1サーチダイの左隣のダイを第2サーチダイとすることも可能である。
(1−3)第3サーチダイ指定
第2サーチダイの上隣のダイを第3サーチダイとし、第3サーチダイの左下隅がカメラ中央付近に位置するようにユーザー操作にてステージを移動し、位置決定後、上記(1−1)で取得したテンプレート画像を用いて自動でパターンマッチを実行することで第1サーチダイで指定したテンプレート画像と一致する第3サーチダイのパターンの厳密な座標値を取得する。
なお、本実施例では、第2サーチダイの上隣のダイを第3サーチダイとして例を挙げて説明したが、本発明の第3サーチダイはこれに限られるものではないことは言うまでもない。要は、特徴点の正確な座標を把握したダイを基準として、列方向のダイの特定点の座標の距離を含めた位置関係を把握することができればよいのである。したがって、第1サーチダイの上隣のダイも好適に代替適用可能である。
(2)<光顕低倍Y方向パターンマッチング>
(2−1)第2サーチダイのパターンマッチ座標(X2,Y2)と第3サーチダイのパターンマッチ座標(X3,Y3)の関係より、上隣ダイのパターンへの移動量(dX,dY)を算出する。
dX=X3−X2
dY=Y3−Y2
(2−2)算出した移動量(dX,dY)を用い、第1サーチダイの上隣のダイのパターンが存在する(と予想される)座標(XN,YN)へステージを移動。
XN=X1+dX
YN=Y1+dY
※(X1,Y1):第1サーチダイのパターンの座標
(2−3)ステージ移動後、光顕低倍にて撮像し、テンプレート画像を用いてパターンマッチを実行することで、現在観察中のパターンの厳密な座標値(XN,YN)を取得し、さらにダイの検出個数(DN)の初期値として1を設定する。
(2−4)第1サーチダイのパターン座標(X1,Y1)から現在撮像中のパターンの座標(XN,YN)への移動量(dX,dY)を算出する。
dX=XN−X1
dY=YN−Y1
(2−5)算出した移動量(dX,dY)の2倍の移動量(2*dX,2*dY)分だけ第1サーチダイを起点としてステージを移動する。
(2−6)ステージ移動後、光顕低倍にて撮像し、テンプレート画像を用いてパターンマッチを実行することで、現在観察中のパターンの厳密な座標値(XN,YN)を更新し、ダイの検出個数を2倍する。これについては図74参照。
(2−7)予め指定されたY座標値を超えるまでウェーハ上部へ向けて(2−4)〜(2−6)を繰り返し実行する。
なお、本実施例では、精度を高めるため、及び処理回数(繰り返し回数)を低減させ、処理時間を短縮するために、2倍の移動量を繰り返す態様を例にとって説明したが、精度に問題がなく、更に処理時間を短縮させたければ、3倍、4倍というように、2倍以上等の整数倍の高倍率で実行しても構わない。また逆に、問題が無ければ、更に精度を高めるために、固定移動量で移動を繰り返してもよい。これらいずれの場合も、検出個数にもそれを反映させることは言うまでもない。
(3)<光顕低倍θ回転>
(3−1)第1サーチダイのパターン座標(X1,Y1)から最後にサーチしたダイのパターンの厳密な座標値(XN,YN)までの移動量および、それまでに検出したダイの個数(DN)を用い、回転量(θ)およびY方向ダイサイズ(YD)を算出する(図75参照)。
dX=XN−X1
dY=YN−Y1
θ=tan―1(dX/dY)
YD=sqrt((dX)+(dY))/DN
※sqrt(A)=√A
(3−2)算出した回転量(θ)分だけθステージを回転させる。
B.光学顕微鏡高倍にて撮像
(1)光顕低倍の(1)と同様の手順を光顕高倍像を用いて実行する。
(2)光顕低倍の(2)と同様の手順を光顕高倍像を用いて実行する。
(3)光顕低倍の(3)と同様の手順を実行する。
(4)<光顕高倍θ回転後の許容値チェック>
(4−1)[第1サーチダイ、光顕高倍のテンプレート指定]
回転後の第1サーチダイの座標(X’1,Y’1)を回転前座標(X1,Y1)および回転量(θ)から算出し、座標(X’1,Y’1)へステージを移動、位置決定後、パターンマッチ用テンプレート画像を取得。
X’1= x*cosθ−y*sinθ
Y’1=x*sinθ+y*cosθ
(4−2)光顕高倍Y方向パターンマッチング
回転後の第1サーチダイの座標(X’1,Y’1)からdYだけY方向へ移動し、パターンマッチを実行することで現在観察中のパターンの厳密な座標値(XN,YN)を取得する。
(4−3)回転後の第1サーチダイの座標(X’1,Y’1)から現在撮像中のパターンの座標
(XN,YN)への移動量(dX,dY)を算出する。
dX=XN−X’1
dY=YN−Y’1
(4−4)算出した移動量(dX,dY)の2倍の移動量(2*dX,2*dY)分だけ第1サーチダイを起点としてステージを移動する。
(4−5)ステージ移動後、光顕高倍にて撮像し、テンプレート画像を用いてパターンマッチを実行することで、現在観察中のパターンの厳密な座標値(XN,YN)を更新する。
(4−6)予め指定されたY座標値を超えるまでウェーハ上部へ向けて(4−3)〜(4−5)を繰り返し実行する。
(4−7)θの回転量を算出
回転後の第1サーチダイの座標(X’1,Y’1)から最後にサーチしたダイのパターンの厳密な座標値(XN,YN)までの移動量を用い、回転量(θ)を算出する。
dX=XN−X1
dY=YN−Y1
θ=tan―1(dX/dY)
(4−8)光顕高倍θ許容値チェック
(4−7)にて算出した回転量(θ)が既定値以下に収まっていることを確認する。収まっていない場合は、算出した回転量(θ)を用いてθステージ回転後、再度(4−1)〜(4−8)を実行する。ただし、規定回数繰り返して(4−1)〜(4−8)を実行しても許容範囲内に収まらない場合は、エラー扱いとして処理を中断する。
C.EB像によるアライメント
(1)<Yサーチ第1ダイ、EBのテンプレート指定>
光顕高倍の(1)と同様の手順をEB像を用いて実行する。
(2)<EB Y方向パターンマッチング>
光顕高倍の(2)と同様の手順をEB像を用いて実行する。
(3)<EB θ回転>
光顕高倍の(3)と同様の手順をEB像を用いて実行する。
(4)<EB θ回転後の許容値チェック>
光顕高倍の(4)と同様の手順をEB像を用いて実行する。
(5).必要に応じ、高倍率のEB像を用いて(1)〜(4)を実行する
(6)第1サーチダイの座標(X1,Y1)と第2サーチダイの座標(X2,Y2)より、X方向ダイサイズ(XD)の概略値を算出する
dX=X2−X1
dY=Y2−Y1
XD=sqrt((dX)+(dY)
※sqrt(A)=√A
D.ダイマップレシピ作成
(1)<Xサーチ第1ダイ、EBのテンプレート指定>
ウェーハ左端に位置するダイの左下隅がTDIカメラ中央付近に位置するようにユーザー操作にてステージを移動し、位置決定後、パターンマッチ用テンプレート画像を取得。このテンプレート画像には、サーチ領域内でユニークなパターンとなるような画像を選択しなければならない。
(2)<EB X方向パターンマッチング>
(2−1)X方向ダイサイズ概略値(XD)を用い、Xサーチ第1ダイの右隣のダイのパターンが存在する(と予想される)座標(X1+XD,Y1)へステージを移動。
(2−2)ステージ移動後、TDIカメラにてEB像を撮像し、テンプレート画像を用いてパターンマッチを実行することで現在観察中のパターンの厳密な座標値(XN,YN)を取得し、さらにダイの検出個数(DN)の初期値として1を設定する。
(2−3)Xサーチ第1ダイのパターン座標(X1,Y1)から現在撮像中のパターンの座標(XN,YN)への移動量(dX,dY)を算出する。
dX=XN−X1
dY=YN−Y1
(2−4)算出した移動量(dX,dY)の2倍の移動量(2*dX,2*dY)分だけXサーチ第1ダイを起点としてステージを移動する
(2−5)ステージ移動後、TDIカメラにてEB像を撮像し、テンプレート画像を用いてパターンマッチを実行することで、現在観察中のパターンの厳密な座標値(XN,YN)を更新し、ダイの検出個数を2倍する。
(2−6)予め指定されたX座標値を超えるまでウェーハ右方向へ(2−3)〜(2−5)を繰り返し実行する。
(3)<X方向傾きを算出>
Xサーチ第1ダイのパターン座標(X1,Y1)から最後にサーチしたダイのパターンの厳密な座標値(XN,YN)までの移動量および、それまでに検出したダイの個数(DN)を用い、ステージ直行誤差(Φ)およびX方向ダイサイズ(XD)を算出する。
dX=XN−X1
dY=YN−Y1
Φ=tan―1(dY/dX)
XD=sqrt((dX)+(dY))/DN
※sqrt(A)=√A
(4)<ダイマップ作成>
このように、X方向ダイサイズ(XD)を求め、予め回転量(θ)を算出した際に求めたY方向ダイサイズ(YD)と合わせてダイマップ(理想上のダイの配置情報)を作成する。ダイマップにより、ダイの理想上の配置が分かる。一方、異いっさいの基板上のダイは例えばステージの機械的誤差(ガイド等の部品や組み付けの誤差)、干渉計の誤差(例えばミラー等の組み付けの問題による)やチャージアップによる像の歪みの影響を受け、必ずしも利用的な配置には観察することができない場合があるが、この実際のダイの位置とダイマップ上の理想上の配置との誤差を把握し、この誤差を考慮しこれを自動補正しながら、検査を行っていくようにする。
E.フォーカスレシピ作成手順
次に、フォーカスレシピの作成手順について説明する。フォーカスレシピは、基板等の試料の平面上の印にの位置における最適なフォーカス位置、若しくはフォーカス位置に関する諸条件の情報を表等の所定の形式で記憶したものである。フォーカスマップレシピではウェーハ上の指定位置のみフォーカス条件が設定され、指定位置間のフォーカス値は、直線補完される(図76参照)。フォーカスレシピ作成手順は次のとおり。
(1)フォーカス測定対象ダイをダイマップから選択する
(2)ダイ内でのフォーカス測定点を設定する
(3)各測定点へステージを移動させ、画像およびコントラスト値を基に、フォーカス値(CL12電圧)の調整を手動で行う。
アライメント処理にて作成したダイマップは、ウェーハの両端のダイ座標より算出した
理想的な位置情報であり、様々な要因によりダイマップ上のダイ位置と実際のダイ位置には誤差が生じる(。図77参照)この誤差分を吸収するためのパラメータを作成する手順をファインアライメントと呼び、ファインアライメントレシピには、ダイマップ(理想上のダイ配置情報)と実際のダイの位置との誤差情報が保存される。ここで設定された情報は、欠陥検査時に使用される。ファインアライメントレシピではダイマップ上で指定されたダイのみ誤差が測定され、指定ダイ間の誤差は、直線補完される。
F.ファインアライメント手順
(1)ファインアライメント用誤差測定対象ダイをダイマップから指定する
(2)誤差測定対象ダイより基準ダイを選択し、このダイの位置をダイマップとの誤差がゼロの点とする
(3)基準ダイの左下隅をTDIカメラで撮像し、パターンマッチ用テンプレート画像を取得する
※サーチ領域内でユニークなパターンをテンプレート画像として選択
(4)近隣の誤差測定対象ダイの左下の(ダイマップ上での)座標(X0,Y0)を取得し、ステージを移動させる。移動後、TDIカメラで撮像し、(3)のテンプレート画像を用いてパターンマッチを実行することで、厳密な座標値(X,Y)を取得する。
(5)パターンマッチで取得した座標値(X,Y)とダイマップ上の座標値(X0,Y0)の誤差を保存
(6)全ての誤差測定対象ダイについて(4)〜(5)を実行する。
2−6−3)欠陥検査
欠陥検査は、図78に示すように、電子光学系の条件設定(撮像倍率などの設定)を行い、電子ビームを照射しながらステージを移動させることでTDIスキャン撮像(図79)を行い、設定された検査条件(アレイ検査条件、ランダム検査条件、検査エリア)に従い、検査専用処理ユニット(IPE)によりリアルタイムで欠陥検査が行われる。
検査レシピでは、電子光学系の条件、検査対象ダイ、検査エリアおよび検査方法(ランダム/アレイ)などが設定される(図80のA、B)。
なお、欠陥検査用に安定した画像を取得するため、位置ズレや速度ムラなどによる撮像画像のブレを抑制するEO補正、理想的なダイマップ上の配置と実際のダイ位置との誤差を吸収するダイ位置補正、有限の測定点で予め測定したフォーカス値を用いウェーハ全領域のフォーカス値を補完するフォーカス調整がリアルタイムで同時に行われる。
欠陥検査のスキャン動作において、検査対象ダイの全域を検査する(図81)他に、図82に示すように、スキャン方向と直角方向へのステップ移動量を調整することで間引き検査も可能となる(検査時間の短縮)。
検査終了後は、検査結果として欠陥個数、欠陥を含むダイの位置、欠陥サイズ、各ダイ内での欠陥位置、欠陥種別、欠陥画像、比較画像をディスプレイに表示し、これらの情報およびレシピ情報などをファイルへ保存することで過去の検査結果の確認、再現が可能となっている。
自動欠陥検査時には各種レシピを選択指定することで、搬送レシピに従ってウェーハがロードされ、アライメントレシピに従ってステージ上でウェーハのアライメントが行われ、フォーカスマップレシピに従ってフォーカス条件の設定が行われ、検査レシピに従って検査が行われ、搬送レシピに従ってウェーハがアンロードされる(図83のA、B)。
2−6−4)制御系構成
本装置は、図84に示すように複数のコントローラにより構成されている。メインコントローラは、装置(EBI)のGUI部/シーケンス動作を司り、工場ホストコンピュータまたはGUIからの動作指令を受け取り、VMEコントローラやIPEコントローラへ必要な指示を与える。VMEコントローラは、装置(EBI)構成機器の動作を司り、メインコントローラからの指示に従い、ステージコントローラやPLCコントローラへ指示を与える。IPEコントローラは、メインコントローラからの指示によりIPEノードコンピュータからの欠陥検査情報取得、取得した欠陥の分類および画像表示を行う。IPEノードコンピュータは、TDIカメラから出力される画像の取得ならびに欠陥検査を行う。
PLCコントローラは、VMEコントローラからの指示を受け、バルブ等の機器の駆動およびセンサ情報の取得、常時監視が必要な真空度異常などの異常監視を行なう。ステージコントローラは、VMEコントローラからの指示を受け、XY方向への移動およびステージ上に設置されたウェーハの回転を行う。
このような分散制御系を構成することで、末端の装置構成機器が変更された場合に各コントローラ間のインターフェースを同一に保つことで上位コントローラのソフトウェアおよびハードウェアの変更が不要となる。また、シーケンス動作が追加・修正された場合でも上位ソフトウェアおよびハードウェアの変更を最小限にとどめることで構成変更への柔軟な対応が可能となる。
2−6−5)ユーザーインターフェース構成
図85はユーザーインターフェース部の機器構成を示す。
(1)入力部
ユーザーからの入力を受け付ける機器で「キーボード」、「マウス」、「JOYパッド」から構成される。
(2)表示部
ユーザーへの情報を表示する機器で、モニタ2台で構成される。
モニタ1:CCDカメラまたはTDIカメラでの取得画像を表示
モニタ2:GUI表示
座標系について
本装置では、以下3つの座標系を規定する。
(1)ステージ座標系[XS,YS]
ステージ位置制御時の位置指示用の基準座標系
チャンバ左下隅を原点とし、右方向にX座標値が増加し、上方向にY座標値が増加する。
本座標系は、本装置に1つしか存在しない。
ステージ座標系で示される位置(座標値)は、ステージの中心(ウェーハ中心)とする。
つまり、ステージ座標系において座標値[0,0]を指定した場合、ステージ中心(ウェ
ーハ中心)がステージ座標系の原点に重なるように移動する。
単位は[μm]とするが、最小分解能はλ/1024(≒0.618[μm])とする。
※λ:レーザ干渉計で用いられるレーザの波長(λ≒632.991[μm])
(2).ウェーハ座標系[XW,YW]
ウェーハ上の観察(撮像・表示)する位置を指示するための基準座標
ウェーハ中心を原点とし、右方向にX座標値が増加し、上方向にY座標値が増加する。
ウェーハ座標系で示される位置(座標値)は、そのとき選択された撮像機器(CCDカメラ、TDIカメラ)での撮像中心とする。
本座標系は、本装置に一つしか存在しない。
単位は[μm]とするが、最小分解能はλ/1024(≒0.618[μm])とする

※λ:レーザ干渉計で用いられるレーザの波長(λ≒632.991[μm])
(3).ダイ座標系[XD,YD]
各ダイにおける観察(撮像・表示)位置を規定するための基準座標
各ダイの左下隅を原点とし、右方向にX座標値が増加し、上方向にY座標値が増加する。本座標系はダイ毎に存在する。単位は[μm]とするが、最小分解能はλ/1024(≒≒0.618[μm])とする。
※λ:レーザ干渉計で用いられるレーザの波長(λ≒632.991[μm])
なお、ウェーハ上のダイは、番号付け(ナンバリング)され、番号付けの基準となるダイを原点ダイと呼ぶ。デフォルトではウェーハ座標系原点に最も近いダイを原点ダイとするが、ユーザーの指定により原点ダイの位置を選択可能とする。
各座標系における座標値と、観察(表示)される位置の関係は図86のとおり。※ユーザーインターフェースにより指示される座標および、ステージ移動方向の関係は、以下のとおり。
(1)ジョイスティック & GUI矢印ボタン
ジョイスティックおよび、GUI矢印ボタンにより、指示される方向は、オペレータが見たい方向とみなし、ステージを指示方向と逆方向に移動させる
例)
指示方向:右 .... ステージ移動方向:左 (画像が左に移動=視野が右に移動)
指示方向:上 ・・・・ ステージ移動方向:下 (画像が下に移動=視野が上に移動)
(2)GUI上で座標を直接入力
GUI上で直接入力される座標は、ウェーハ座標系上でオペレータが見たい場所とみなし、該当ウェーハ座標が撮像画像中心に表示されるようにステージを移動させる。
2−7)その他の機能と構成の説明
図87に本実施の形態の全体構成図を示す。但し、一部構成を省略して図示している。同図において、検査装置は一次コラム87・1、二次コラム87・2およびチャンバー87・3を有している。一次コラム87・1の内部には、電子銃87・4が設けられており、電子銃87・4から照射される電子ビーム(一次ビーム)の光軸上に一次光学系87・5が配置される。また、チャンバー87・3の内部には、ステージ87・6が設置され、ステージ87・6上には試料Wが載置される。
一方、二次コラム87・2の内部には、試料Wから発生する二次ビームの光軸上に、対物レンズ87・7、ニューメリカルアパーチャ87・8、ウィーンフィルタ87・9、第2レンズ87・10、フィールドアパーチャ87・11、第3レンズ87・12、第4レンズ87・13および検出器87・14が配置される。なお、ニューメリカルアパーチャ
87・12は、開口絞りに相当するもので、円形の穴が開いた金属製(Mo等)の薄板である。そして、開口部が一次ビームの集束位置および対物レンズ87・7の焦点位置になるように配置されている。したがって、対物レンズ87・7とニューメリカルアパーチャ87・8とは、テレセントリックな電子光学系を構成している。
一方、検出器87・14の出力は、コントロールユニット87・15に入力され、コントロールユニット87・15の出力は、CPU87・16に入力される。CPU87・16の制御信号は、一次コラム制御ユニット87・17、二次コラム制御ユニット87・18およびステージ駆動機構87・19に入力される。一次コラム制御ユニット87・17は、一次光学系87・5のレンズ電圧制御を行い、二次コラム制御ユニット87・18は、対物レンズ87・7、第2レンズ87・10〜第4レンズ87・13のレンズ電圧制御およびウィーンフィルタ87・9に印加する電磁界制御を行う。
また、ステージ駆動機構87・19は、ステージの位置情報をCPU87・16に伝達する。さらに、一次コラム87・1、二次コラム87・2、チャンバー87・3は、真空排気系(不図示)と繋がっており、真空排気系のターボ分子ポンプにより排気されて、内部は真空状態を維持している。
(一次ビーム)電子銃87・4からの一次ビームは、一次光学系87・5によってレンズ作用を受けながら、ウィーンフィルタ87・9に入射する。ここでは、電子銃のチップとしては、矩形陰極で大電流を取り出すことができるLaBを用いる。また、一次光学系72は、回転軸非対称の四重極または八重極の静電(または電磁)レンズを使用する。これは、いわゆるシリンドリカルレンズと同様にX軸、Y軸各々で集束と発散とを引き起こすことができる。このレンズを2段、3段又は4段で構成し、各レンズ条件を最適化することによって、照射電子を損失することなく、試料面上のビーム照射領域を、任意の矩形状、または楕円形状に成形することができる。
具体的には、静電型の四重極レンズを用いた場合、4つの円柱ロッドを光軸周りに配置する。対向する電極同士を等電位にし、光軸周りに90度ずれた位相では逆の電圧特性を与える。
なお、四重極レンズとして円柱形ではなく、静電偏向器として通常使用される円形板を4分割した形状のレンズを用いてもよい。この場合レンズの小型化を図ることができる。一次光学系72を通過した一次ビームは、ウィーンフィルタ87・9の偏向作用により軌道が曲げられる。ウィーンフィルタ87・9は、磁界と電界を直交させ、電界をE、磁界をB、荷電粒子の速度をvとした場合、E=vBのウィーン条件を満たす荷電粒子のみを直進させ、それ以外の荷電粒子の軌道を曲げる。一次ビームに対しては、磁界による力FBと電界による力FEとが発生し、ビーム軌道は曲げられる。一方、二次ビームに対しては、力FBと力FEとが逆方向に働くため、互いに相殺されるので二次ビームはそのまま直進する。
一次光学系87・5のレンズ電圧は、一次ビームがニューメリカルアパーチャ87・8の開口部で結像するように、予め設定されている。このニューメリカルアパーチャ87・8は、装置内に散乱する余計な電子ビームが試料面に到達することを阻止し、試料Wのチャージアップや汚染を防いでいる。さらに、ニューメリカルアパーチャ87・8と対物レンズ87・7とはテレセントリックな電子光学系を構成しているので、対物レンズ87・7を透過した一次ビームは平行ビームになり、試料Wに均一かつ一様に照射する。すなわち、光学顕微鏡でいうケーラー照明が実現される。
(二次ビーム)一次ビームが試料に照射されると、試料のビーム照射面からは、二次粒
子として、二次電子、反射電子または後方散乱電子が発生する。
二次粒子は、対物レンズ87・7によるレンズ作用を受けながら、レンズを透過する。ところで、対物レンズ87・7は、3枚の電極で構成されている。一番下の電極は、試料W側の電位との間で、正の電界を形成し、電子(特に、指向性が小さい二次電子)を引き込み、効率よくレンズ内に導くように設計されている。また、レンズ作用は、対物レンズ87・7の1番目、2番目の電極に電圧を印加し、3番目の電極をゼロ電位にすることで行われる。一方、ニューメニカルアパーチャ87・8は、対物レンズ87・7の焦点位置、すなわち試料Wからのバックフォーカス位置に配置されている。したがって、視野中心外(軸外)から出た電子ビームの光束も、平行ビームとなって、このニューメニカルアパーチャ87・8の中心位置を、けられが生じることなく通過する。
なお、ニューメリカルアパーチャ87・8は、二次ビームに対しては、第2レンズ87・10〜第4レンズ87・13のレンズ収差を抑える役割を果たしている。ニューメリカルアパーチャ87・8を通過した二次ビームは、ウィーンフィルタ87・9の偏向作用を受けずに、そのまま直進して通過する。なお、ウィーンフィルタ87・9に印加する電磁界を変えることで、二次ビームから、特定のエネルギーを持つ電子(例えば2次電子、又は反射電子、又は後方散乱電子)のみを検出器87・14に導くことができる。
二次粒子を、対物レンズ87・7のみで結像させると、レンズ作用が強くなり収差が発生しやすい。そこで、第2レンズ87・10と合わせて、1回の結像を行わせる。二次粒子は、対物レンズ87・7および第2レンズ87・10により、フィールドアパーチャ87・11上で中間結像を得る。この場合、通常、二次光学系として必要な拡大倍率が不足することが多いため、中間像を拡大するためのレンズとして、第3レンズ87・12、第4レンズ87・13を加えた構成にする。二次粒子は、第3レンズ87・12、第4レンズ87・13各々により拡大結像し、ここでは、合計3回結像する。なお、第3レンズ87・12と第4レンズ87・13とを合わせて1回(合計2回)結像させてもよい。
また、第2レンズ87・10〜第4レンズ87・13はすべて、ユニポテンシャルレンズまたはアインツェルレンズとよばれる回転軸対称型のレンズである。各レンズは、3枚電極の構成で、通常は外側の2電極をゼロ電位とし、中央の電極に印加する電圧で、レンズ作用を行わせて制御する。また、中間の結像点には、フィールドアパーチャ87・11が配置されている。フィールドアパーチャ87・11は光学顕微鏡の視野絞りと同様に、視野を必要範囲に制限しているが、電子ビームの場合、余計なビームを、後段の第3レンズ87・12および第4レンズ87・13と共に遮断して、検出器87・14のチャージアップや汚染を防いでいる。なお、拡大倍率は、この第3レンズ87・12および第4レンズ87・13のレンズ条件(焦点距離)を変えることで設定される。
二次粒子は、二次光学系により拡大投影され、検出器87・14の検出面に結像する。検出器87・14は、電子を増幅するMCPと、電子を光に変換する蛍光板と、真空系と外部との中継および光学像を伝達させるためのレンズやその他の光学素子と、撮像素子(CCD等)とから構成される。二次粒子は、MCP検出面で結像し、増幅され、蛍光板によって電子は光信号に変換され、撮像素子によって光電信号に変換される。
コントロールユニット87・15は、検出器87・14から試料の画像信号を読み出し、CPU87・16に伝達する。CPU87・16は、画像信号からテンプレートマッチング等によってパターンの欠陥検査を実施する。また、ステージ87・6は、ステージ駆動機構87・19により、XY方向に移動可能となっている。CPU87・16は、ステージ87・6の位置を読み取り、ステージ駆動機構87・19に駆動制御信号を出力し、ステージ87・6を駆動させ、順次画像の検出、検査を行う。
このように、本実施の形態の検査装置では、ニューメリカルアパーチャ87・8と対物レンズ87・7とが、テレセントリックな電子光学系を構成しているので、一次ビームに対しては、ビームを試料に均一に照射させることができる。すなわち、ケーラー照明を容易に実現することができる。
さらに、二次粒子に対しては、試料Wからの全ての主光線が、対物レンズ87・7に垂直(レンズ光軸に平行)に入射し、ニューメリカルアパーチャ87・8を通過するので、周辺光もけられることがなく、試料周辺部の画像輝度が低下することがない。また、電子が有するエネルギーのばらつきによって、結像する位置が異なる、いわゆる倍率色収差が起こる(特に、二次電子は、エネルギーのばらつきが大きいため、倍率色収差が大きい)が、対物レンズ87・7の焦点位置に、ニューメリカルアパーチャ87・8を配置することで、この倍率色収差を抑えることができる。
また、拡大倍率の変更は、ニューメリカルアパーチャ87・8の通過後に行われるので、第3レンズ87・10、第4レンズ87・13のレンズ条件の設定倍率を変えても、検出側での視野全面に均一な像が得られる。なお、本実施の形態では、むらのない均一な像を取得することができるが、通常、拡大倍率を高倍にすると、像の明るさが低下するという問題点が生じた。そこで、これを改善するために、二次光学系のレンズ条件を変えて拡大倍率を変更する際、それに伴って決まる試料面上の有効視野と、試料面上に照射される電子ビームとを、同一の大きさになるように一次光学系のレンズ条件を設定する。
すなわち、倍率を上げていけば、それに伴って視野が狭くなるが、それと同時に電子ビームの照射密度を上げていくことにより、二次光学系で拡大投影されても、検出電子の信号密度は、常に一定に保たれ、像の明るさは低下しない。
また、本実施の形態の検査装置では、一次ビームの軌道を曲げて、二次ビームを直進させるウィーンフィルタ87・9を用いたが、それに限定されず、一次ビームの軌道を直進させ、二次ビームの軌道を曲げるウィーンフィルタを用いた構成の検査装置でもよい。ここではE×Bを用いているが、磁場だけを用いても良い。この時は例えば1次電子入射方向と信号電子の検出器へ向かわせる方向は等しくY字型の構成を取っても良い。
また、本実施の形態では、矩形陰極と四極子レンズとから矩形ビームを形成したが、それに限定されず、例えば円形ビームから矩形ビームや楕円形ビームを作り出してもよいし、円形ビームをスリットに通して矩形ビームを取り出してもよい。また、線形ビームでも複数のビームでもよく、これらをスキャンして用いてもよい。
2−7−1)制御電極
対物レンズ87・7とウェーハWとの間には、電子線の照射光軸に対して略軸対称である形状の電極(図25−1の25・8)が配置されている。この電極の形状の例を図88、図89に示す。図88、図89は電極88・1、89・1の斜視図であり、図88は、電極88・1が軸対称に円筒形状である場合を示す斜視図であり、図89は、電極89・1が軸対称に円盤形状である場合を示す斜視図である。
本実施の形態では、図88に示すように電極88・1が円筒形状として説明するが、電子線の照射光軸に対して略軸対称であれば、図89に示すような円盤形状の電極89・1であってもよい。更に、電極88・1には、対物レンズ87・7(図25−1の25・7)とウェーハWとの間における放電を防止する電界を発生する為に、ウェーハWへの印加電圧(本実施の形態では接地されているので、電位は0V)よりも低い所定の電圧(負電位)が電源25・9によって印加されている。この時のウェーハWと対物レンズ97・7との間の電位分布を図90を参照して説明する。
図90は、ウェーハWと対物レンズ87・7との間の電圧分布を示すグラフである。同図において、電子線の照射光軸における位置を横軸として、ウェーハWから対物レンズ87・7の位置までの電圧分布を示している。電極88・1が無かった従来の電子線装置においては、対物レンズ87・7からウェーハWまでの電圧分布は、対物レンズ87・7に印加した電圧を最大値として、接地しているウェーハWまでなだらかに変化している。(図90の細線)一方、本実施の形態の電子線装置においては、対物レンズ87・7とウェーハWとの間に電極88・1が配置され、且つ電極88・1には、ウェーハWへの印加電圧よりも低い所定の電圧(負電位)が電源25・9によって印加されているので、ウェーハWの電界が弱められる(図90の太線)。よって、本実施の形態の電子線装置においては、ウェーハWにおけるビア25・13(図25−1)近傍に電界が集中せずに高電界とはならない。そして、ビア25・13に電子線が照射されて2次電子が放出されても、この放出された2次電子は、残留ガスをイオン化する程には加速されないので、対物レンズ87・7とウェーハWとの間に起こる放電を防止できる。
また、対物レンズ87・7とビア25・13(図25−1)との間での放電を防止できるので、ウェーハWのパターン等を放電破損することはない。また、上記実施の形態においては、対物レンズ87・7とビア25・13のあるウェーハWとの間の放電が防止できるが、電極88・1に負電位を印加しているので、負電位の大きさによっては、検出器87・14による2次電子の検出感度が低下する場合もある。よって検出感度が低下した場合は、上述したように,電子線を照射し2次電子を検出する一連の動作を複数回に渡って行い、得られた複数の検出結果を累積加算や平均化等の処理を施して所定の検出感度(信号のS/N比)を得るようにすればよい。本実施の形態では、一例として、検出感度を信号対雑音比(S/N比)として説明している。
ここで、上記の2次電子検出動作について、図91を参照して説明する。同図は、電子線装置の2次電子検出動作を示すフローチャートである。まず、検出器87・14によって被検査試料からの2次電子を検出する(ステップ91・1)。次に、信号対雑音比(S/N比)が所定の値以上であるかの判断を行う(ステップ91・2)。ステップ91・2において、信号対雑音比が所定値以上である場合は、検出器87・14による2次電子の検出は十分であるので、2次電子検出動作は完了する。
一方、ステップ91・2において、信号対雑音比が所定値未満である場合は、電子線を照射し2次電子を検出する一連の動作を4N回行い、平均化処理を行う(ステップ91・3)。ここで、Nの初期値は「1」に設定されているので、ステップ91・3において初回は、2次電子の検出動作が4回行われる。
次に、Nに「1」を加算してカウントアップして(ステップ91・4)、ステップ91・2において再度、信号対雑音比が所定の値以上であるかの判断を行う。ここで、信号対雑音比が所定値未満である場合は、再度ステップ91・3に進み、今度は2次電子の検出動作を8回行う。そして、Nをカウントアップして、信号対雑音比が所定値以上となるまで、ステップ91・2〜91・4を繰り返す。
また、本実施の形態では、電極88・1にウェーハWへの印加電圧よりも低い所定の電圧(負電位)を印加することにより、ビア25・13のあるウェーハWに対する放電防止について述べたが、2次電子の検出効率が低下する場合がある。よって、被検査試料がビアの無いウェーハ等、対物レンズ87・7との間で放電が生じにくい種類の被検査試料であった場合は、検出器87・14における2次電子の検出効率が高くなるように、電極88・1に印加する電圧を制御することができる。
具体的には、被試験試料が接地されている場合であっても、電極88・1に印加する電圧を、被試験試料への印加電圧よりも高い所定の電圧にする、例えば、+10Vとする。また、この時、電極88・1と被検査試料との距離は、電極88・1と被検査試料との間に放電が生じない距離に配置する。
この場合、被検査試料への電子線の照射によって発生した2次電子は、電極88・1に印加された電圧によって発生した電界によって、検出器87・14側に加速される。そして、対物レンズ87・7に印加された電圧によって発生した電界によって、更に、検出器87・14側に加速されて収束作用を受けるので、検出器87・14に多くの2次電子が入射し検出効率を高くすることができる。
また更に、電極88・1は軸対称であるので、被検査試料に照射する電子線を収束するレンズ作用も持つ。従って、電極88・1に印加する電圧によって、1次電子線をより細く絞ることもできる。また、電極88・1によって1次電子線を細く絞ることもできるので、対物レンズ87・7との組み合わせにより、より低収差の対物レンズ系を構成することもできる。このようなレンズ作用が可能な程度に、電極88・1は略軸対称であればよい。
上記実施の形態の電子線装置によれば、被検査試料と対物レンズとの間に、電子線の照射軸に対して略軸対称の形状であり、前記被検査試料の前記電子線の照射面における電界強度を制御する電極を備えたので、被検査試料と対物レンズとの間の電界を制御することができる。
被検査試料と対物レンズとの間に、電子線の照射軸に対して略軸対称の形状であり、前記被検査試料の前記電子線の照射面における電界強度を弱くする電極を備えたので、被検査試料と対物レンズとの間の放電を無くすることができる。また、対物レンズへの印加電圧を低下させる等変更していないので、2次電子を効率的に対物レンズを通過させられるので、検出効率を向上させ、S/N比の良い信号を得ることができる。
被検査試料の種類によって、被検査試料の電子線の照射面における電界強度を弱くする為の電圧を制御することができる。例えば、被検査試料が、対物レンズとの間で放電し易い種類の被検査試料である場合は、電極の電圧を変化させ、被検査試料の電子線の照射面における電界強度をより弱くすることで、放電を防止できる。
半導体ウェーハのビアの有無によって、電極に与える電圧を変更する、即ち、半導体ウェーハの電子線の照射面における電界強度を弱くする為の電圧を変更することができる。例えば、被検査試料が、対物レンズとの間で放電し易い種類の被検査試料である場合は、電極による電界を変化させ、被検査試料の電子線の照射面における電界強度をより弱くすることで、特にビアやビア周辺における放電を防止できる。また、ビアと対物レンズとの間での放電が防止できるので、半導体ウェーハのパターン等を放電破損することはない。また、電極に与える電位を被検査試料に与える電荷よりも低くしたので、被検査試料の電子線の照射面における電界強度を弱くすることができ、被検査試料への放電が防止できる。電極に与える電位を負電位とし、被検査試料は接地したので、被検査試料の電子線の照射面における電界強度を弱くすることができ、被検査試料への放電が防止できる。
これまで、主に放電防止を目的とした制御電極の利用法について説明してきたが、制御電極はウェーハから放出される二次電子のエネルギ選別のために用いることができる。即ち、解像度の高い画像を得るために、最も信号検出効率のよい、或る一定レベル以上のエネルギを有する二次電子のみを検出しているような場合には、制御電極に所定の負電圧を印加し、二次電子のエネルギ障壁として用いることができる。制御電極には負電位がかけ
られているため、二次電子を試料の方へ追い戻す力が働く。この電位障壁を越えられない二次電子は試料の方へ戻り、電位障壁を越えた二次電子のみが検出器で検出されることになり、所望の解像度の画像を得ることができる。
2−7−2)電位印加方法
図92において、電位印加機構92・1は、ウェーハから放出される二次電子情報(二次電子発生率)が、ウェーハの電位に依存すると言う事実に基づいて、ウェーハを載置するステージの設置台に±数Vの電位を印加することにより二次電子の発生を制御するものである。また、この電位印加機構は、照射電子が当初有しているエネルギーを減速し、ウェーハに100〜500eV程度の照射電子エネルギーとするための用途も果たす。
電位印加機構92・1は、図92に示されるように、ステージ装置92・2の載置面92・3と電気的に接続された電圧印加装置92・4と、チャージアップ調査及び電圧決定システム(以下調査及び決定システム)92・5とを備えている。調査及び決定システム92・5は、電子光学装置13・8(図13)の検出系の画像形成部92・6に電気的に接続されたモニター92・7と、モニター92・7に接続されたオペレータ92・8と、オペレータ92・84に接続されたCPU92・9とを備えている。CPU92・9は、電圧印加装置92・4に信号を供給するようになっている。
上記電位印加機構は、検査対象であるウェーハが帯電し難い電位を探し、その電位を印加するように設計されている。
検査試料の電気的欠陥を検査する方法としては、本来電気的に絶縁されている部分とその部分が通電状態にある場合では、その部分の電圧が異なることを利用することもできる。
それは、まず、試料に事前に電荷を付与することで、本来電気的に絶縁されている部分の電圧と、本来電気的に絶縁されている部分であるが、何らかの原因で通電状態にある部分の電圧とに電圧差を生じさせ、その後本発明のビームを照射することで、電圧差があるデータを取得し、この取得データを解析して、通電状態となっていることを検出する。
2−7−3)電子ビームキャリブレーション方法
図93において、電子ビームキャリブレーション機構93・1は、回転テーブル93・2上でウェーハの載置面93・3の側部の複数箇所に設置された、ビーム電流測定用のそれぞれ複数のファラデーカップ93・4及び93・5を備えている。ファラデーカップ93・4は細いビーム用(約φ2μm)で、ファラデーカップ93・5は太いビーム用(約φ30μm)である。細いビーム用のファラデーカップ93・4では回転テーブル93・2をステップ送りすることで、ビームプロフィルを測定し。太いビーム用のファラデーカップ93・5ではビームの総電流量を計測する。ファラデーカップ93・4、93・5は、上表面が載置面93・3上に載せられたウェーハWの上表面と同じレベルになるように配置されている。このようにして電子銃から放出される一次電子線を常時監視する。これは、電子銃が常時一定の電子線を放出できるわけでなく、使用しているうちにその放出量が変化するためである
2−7−4)電極の清掃
本発明の電子ビーム装置が作動すると、近接相互作用(表面近くでの粒子の帯電)により標的物質が浮遊して高圧領域に引きつけられるので、電子ビームの形成や偏向に使用される様々な電極には有機物質が堆積する。表面の帯電により徐々に堆積していく絶縁体は電子ビームの形成や偏向機構に悪影響を及ぼすので、堆積した絶縁体は周期的に除去しなければならない。絶縁体の周期的な除去は絶縁体の堆積する領域の近傍の電極を利用して真空中で水素や酸素あるいはフッ素及びそれらを含む化合物HF,O,HO,C等のプラズマを作り出し、空間内のプラズマ電位を電極面にスパッタが生じる電位(数
kV、例えば20V〜5kV)に維持することで、有機物質のみ酸化、水素化、フッ素化
により除去する。また、清浄効果のある期待を流すことにより、電極や絶縁物表面の汚染物質を除去することができる。
2−7−5)アライメント制御方法
図94のアライメント制御装置94・1は、ステージ装置を用いてウェーハWを電子光学装置94・2に対して位置決めさせる装置であって、ウェーハを光学顕微鏡94・3を用いた広視野観察による概略合わせ(電子光学系によるよりも倍率が低い測定)、電子光学装置94・2の電子光学系を用いた高倍率合わせ、焦点調整、検査領域設定、パターンアライメント等の制御を行うようになっている。このように光学系を用いて低倍率でウェーハを検査するのは、ウェーハのパターンの検査を自動的に行うためには、電子線を用いた狭視野でウェーハのパターンを観察してウェーハライメントを行う時に、電子線によりアライメントマークを容易に検出する必要があるからである。
光学顕微鏡94・3は、ハウジングに設けられ(ハウジング内で移動可能な設けられていてもよい)ており、光学顕微鏡を動作させるための光源も図示しないがハウジング内に設けられている。また高倍率の観察を行う電子光学系は電子光学装置94・2の電子光学系(一次光学系及び二次光学系)を共用するものである。その構成を概略図示すれば、図94に示されるようになる。ウェーハ上の被観察点を低倍率で観察するには、ステージ装置のXステージをX方向に動かすことによってウェーハの被観察点を光学顕微鏡の視野内に移動させる。光学顕微鏡94・3で広視野でウェーハを視認してそのウェーハ上の観察すべき位置をCCD94・4を介してモニタ94・5に表示させ、観察位置をおおよそ決定する。この場合光学顕微鏡の倍率を低倍率から高倍率に変化させていってもよい。
次に、ステージ装置を電子光学装置94・2の光軸と光学顕微鏡94・3の光軸との間隔δxに相当する距離だけ移動させて光学顕微鏡で予め決めたウェーハ上の被観察点を電子光学装置の視野位置に移動させる。この場合、電子光学装置の軸線O−Oと光学顕微鏡94・3の光軸O−Oとの間の距離(この実施の形態ではX軸線に沿った方向にのみ両者は位置ずれしているものとするが、Y軸方向及びY軸方向に位置ずれしていてもよい)δxは予めわかっているのでその値δxだけ移動させれば被観察点を視認位置に移動させることができる。電子光学装置の視認位置への被観察点の移動が完了した後、電子光学系により高倍率で被観察点をSEM撮像して画像を記憶したり又はCCD94・6を介してモニタ94・7に表示させる。
このようにして電子光学系による高倍率でウェーハの観察点をモニタに表した表示させた後、公知の方法によりステージ装置の回転テーブルの回転中心に関するウェーハの回転方向の位置ずれ、電子光学系の光軸O−Oに対するウェーハの回転方向のずれδθを検出し、また電子光学装置に関する所定のパターンのX軸及びY軸方向の位置ずれを検出する。そしてその検出値並びに別途得られたウェーハに設けられた検査マークのデータ或いはウェーハのパターンの形状等に関するデータに基づいてステージ装置94・8の動作を制御してウェーハのアライメントを行う。アラインメントの範囲はXY座標において±10画素以内である。好ましくは±5画素以内、より好ましくは±2画素以内である。
2−7−6)EO補正
A.概要
ウェーハ上からのビームをTDIで撮像するにあたり、ウェーハの位置は正確に位置決めされている必要があるが、実際にはウェーハはX−Yステージ上に有り、機械的な位置決めがなされる事から、その精度は数100μから数10nm、応答速度は数秒から数msが現実的な値である。
一方、デザインルールは数10nmに向かって微細化されており、したがって、線幅が数10nmの配線や、直径数10nmのビアを検査し、それらの形状欠陥や電気的欠陥の検出及び直径数10nmのゴミの検出が必要となる。上記機械的な位置決めのみを頼りに撮像する事は応答時間と位置決め精度のオーダがデザインルール及び撮像精度のオーダとかけ離れており正確な像を取得する上で著しい障害となる。
撮像のシーケンスはステップ(x軸)と定速度スキャン(y軸)の組み合わせで実行され、比較的動的な制御を行う(y軸)は、制御残差が一般的に大きく像のボケを防ぐ意味から、より高度な制御を要求される。
これらの項目に鑑み、高精度かつ応答性の優れたX−Yステージを有する事は勿論であるが、更に、ステージでまかなえない、撮像部に対するビームの制御精度、速度を実現するため、EO補正の機能を備えている。
基本的な方式は、ステージ上のウェーハの位置はレーザ゛干渉計システムとx−yの軸上に設置されたバーミラーにより、サブnmのオーダで数マイクロ秒の時間遅れ以内にその位置を正確に認識し、自動制御ループにより機械的アクチェータを駆動し、目標位置に時間的な遅れと残差を伴いながら位置付けられる。この制御によって位置決めされた結果の制御残差は制御装置内部で発生される目標位置とレーザ干渉計システムによって得られた現在位置との差分により求められる。一方、ビームは数々の電極を経た後に、補正用偏向電極を経由して撮像装置に導かれる。補正用偏向電極は、ウェーハ上の距離に換算しておおよそ数百μm以下、好ましくは百μm以下、より好ましくは数十μm以下の偏向が可能な感度を有し、これに電圧を印加する事で、二次元的に任意の位置にビームを偏向する事が可能である。制御残差は演算装置で演算を実行された後、D/Aコンバータによって
電圧に変換され、残差を相殺する向きに補正用偏向電極印加される。以上の構成によりレーザ干渉計の分解能に近い補正を実行する事が可能となる。
他の方式としてX軸(ステップ方向)は上記手段を用い、Y軸(スキャン方向)は撮像素子であるTDIの転送クロックを、ステージの移動速度に同期させ転送する方式も考案した。
図95にEO補正の概念を示す。目標位置への指示95・1が出力され、機械アクチェータを含む制御フィードバックループ95・2に付与される。この部分がステージに該当する。駆動され、位置変位が出た結果は位置検出器95・3によりフィードバックがかかり、駆動系の位置変位は、位置指示からの目標位置に収斂してゆくが、制御系の利得が有限の為、残差が発生する。現在位置を位置出力系95・4(ここではレーザ干渉計を用いる)によりサブnmのオーダで検出し、位置指示装置95・1との差分を残差検出器95・5により検出し、高圧高速増幅器95・6を使用して偏向電極95・7に印加し、残差を相殺する向きに電圧を印加し、本来この機能なき場合には95・8の如く発生する変動分を95・9の様に減ずる機能を有する。
図96に具体的な機器構成を提示する。XYステージ96・1はX軸駆動用のサーボモータ96・2ならびにエンコーダ96・3によりX軸の駆動と大まかな位置、及び速度の検出を行い円滑なサーボ特性を実現する。本例では、サーボモータを用いているが、リニアモータ、超音波モータ等のアクチェータにおいても同様な構成が可能である。96・6・はこのモータを駆動する電力増幅器である。X軸の精密な位置情報はミラー96・7、干渉計96・8、レシーバ96・9、レーザ光源96・10、干渉計ボード96・11の組み合わせによりサブnmの分解能を有する位置検出機能を実現している。
Y軸も直交するX軸と同様の機能であり、サーボモータ96・12、増幅器96・13
、ミラー96・14、干渉形9・5、レシーバ96・16より構成されている。
X−Yステージコントローラ96・17はこれらの機器を統括して制御する事により、ステージの二次元的な動作を可能とし、1000μm〜1nmの精度、好ましくは100μm〜2nmの精度、より好ましくは1μm〜2nmの精度、更に好ましくは0.1μm〜2nmの精度を達成しており、応答速度は数1000ms以下、好ましくは数10ms以下、より好ましくは数ms以下の性能を実現する。一方、X−Yステージコントローラ96・17からはX基準値、Y基準値がEO補正器96・18に出力され、干渉形96・11からの32ビットバイナリー形式で出力される位置情報を高速のバッファボード96・19を経由して現在位置をEO補正器96・18は受け取る。内部で演算を行った後、高圧高速増幅器96・20、96・21により電圧増幅した後、偏向電極96・22に印加し、残差分を補正すべく偏向を行い、位置ズレを極少にした画像情報電子ビームをTDI(撮像素子)96・23へ導く。96・24は後述するが、TDI96・23の転送速度を決定するタイミング信号を発生する部分である。
次に本装置におけるスキャン方向の目標位置の発生機能について述べる。EO補正は目標位置と実際の位置の差分を求め、差分を相殺するように電子ビームを偏向して位置の補正を行う機能であるが、補正範囲はおおよそ数十μmの範囲に限定される。これは電極感度、高圧高速増幅器のダイナミックレンジ、ノイズレベル、D/Aコンバータのビット数
等により決定されている。ところが、スキャン時のステージの実際の位置は、制御ループのゲインが有限であることに起因して停止時と比較し、目標位置に対し、大幅なズレを生じる。20mm/sで走行した場合、目標位置との乖離は約400μm程度となり、その
まま差分を演算して出力しても補正範囲を大幅に超越して系が飽和してしまう。
この現象を防ぐ為に本装置では次のような手段を用い、この問題を回避している。図97にこの概念を図示する。
97・1はステージの目標位置でありスキャン時は等速運動である為、時間とともに直線的に増加する。一方、実際の制御された結果のステージの機械的位置97・2は数ミクロンの機械的振動を含み約400μm程度の定常偏差97・3を有する。この定常偏差を除去する手段としては、フィルタを用いて、実走行時の位置情報を平滑化する事が考えられるが、この場合、フィルタの時定数により必ず、遅れが生じ、リプルを無視出来る程の時定数を持たせると、測定開始エリアが大幅に限定され、全体の計測時間の大幅な増加につながる欠点を有していた。そこで本案では、この定常偏差を検出するために、少なくとも前回にスキャンした時点での現在位置と目標位置との差分を本実施の形態においては少なくとも2の16乗程度積算し、これをサンプル回数で除する事で、目標位置と現在位置との定常偏差の平均値97・4を求め、今回のスキャン時には目標位置97・5から平均値97・4を引いて合成された目標位置97・6として演算を行い、図98の98・1に図示するような、ダイナミックレンジ範囲内でEO補正が可能な構成を実現した。なお、積算数は、目標精度が得られればよいので、この値に限られるものではなく、より少ない積算段数でもよい。
図99にブロック図を図示する。目標値99・1は現在位置99・2と引き算され、99・3のブロック内で前期の積算演算をスキャン時に実行する。一方、99・3には前回同様にして求めた定常偏差の平均値が99・4より出力されている。引き算器99・5により99・1から99・4を引き合成目標位置99・6とし、この値と干渉計からの現在位置99・7とを引き算して、応答の遅れやリプルのないEO補正データを実現している。
図100に図99における99・3のブロック差分平均検出の構造について図示する。100・1、100・2にて積算を実行し、累積カウンタ100・3の値によりデータセレクタ100・4のワードを選択し割り算相等を実行し、定常偏差の平均値を出力する事
を実現している。
図101にTDIの転送クロックのアイデアについて記述する。TDIは光電素子をスキャン方向に多段に接続し、各撮像素子の電荷を後続する素子に伝送する事で感度の向上とランダムノイズの低減を目的とした撮像素子であるが、図101に示す如く、ステージ上の撮像対象と、TDI上の画素が一対一に対応している事が重要でこの関係が崩れると、像のボケを生じる。同期関係にある場合を1−1、1−2、2−1、2−2に示し、同期がずれた場合を3−1、3−2、4−1、4−2に示す。TDIの転送は外部からのパルスに同期して次段への転送が実行されるため、ステージの移動が1画素分移動したとこ
ろで、転送パルスを発生させればこれが実現できる。
しかしながら、現在主流のレーザ干渉計の位置情報出力は32ビットのバイナリー出力を10MHzの自己の内部クロックに同期して出力する形式である為、そのままでは容易に実現できない。また、分解能を数十nmとすると、転送パルスの精度も重要となり、高速高精度なデジタル処理を必要とする。本件で考案した方式を図102に図示する。同図において、干渉計の位置情報及び10MHzの同期信号はバッファ102・1より本回路に導入される。10MHzクロック102・2はPLL102・3により同期した100MHzのクロックを発生し、各回路に供給する。この同期信号102・4の10ステート毎に演算処理を実行する方式をとっている。102・5に今回の位置情報が保持され、102・6に前回の値が保持されている。この両者の差分を102・7で演算し、10ステート毎の位置の差分を102・8から出力する。この差分値をパラレルシリアルコンバータ102・9にパラレル値としてロードし、100MHzのクロックに同期して差分を102・10よりシリアルパルスの個数として出力する。102・11も同様の機能であるが、102・12、102・13、と組み合わせて、10ステート毎に休みなく、動作が可能な様構成してある。結果として10MHz毎に位置差分に応じたシリアルパルスが和回路102・10よりカウンタ102・14に出力される。レーザ干渉計の分解能を0.6nm、1画素を48nm
とすると比較器102・15を80にセットしておけば、カウンタが1画素相等になった
タイミングで19のパルスが出力される。この信号をTDIの外部からの転送パルスとする事で、ステージ速度の変動があった場合でもそれに同期した動作を可能とし、ボケ、ブレの防止を実現できた。
図103にタイミングチャートを図示する。1は干渉計座標(位置)情報で数字は位置を例として示す。2はPLLにより作成された100MHZの同期信号である。バンクAはパラレルシリアルコンバータ102・9の動作タイミングで、バンクBは同じく102・11のそれである。位置情報を記憶するラッチタイミング7の後、差分演算タイミング8を実行しパラレルシリアルコンバータ102・9に値をロードし次の10Mクロック3の1サイクルの時間を利用して4の出力を実行する。バンクBは10Mクロック3の1サイクル遅れたタイミングで同様の動作を実行し無理なく6のパルス発生を実現している。

2−7−7)画像比較方法
図104は、本発明の変形例による欠陥検査装置の概略構成を示す。この欠陥検査装置は、上述した写像投影型の検査装置で、一次電子線を放出する電子銃104・1、放出された一次電子線を偏向、成形させる静電レンズ104・2、成形された一次電子線を電場E及び磁場Bの直交する場で半導体ウェーハWに略垂直に当たるように偏向させるE×B偏向器104・3、偏向された一次電子線をウェーハW上に結像させる対物レンズ104・4、真空に排気可能な図示しない試料室内に設けられ、ウェーハWを載置した状態で水平面内を移動可能なステージ104・5、一次電子線の照射によりウェーハWから放出された二次電子線及び/又は反射電子線を所定の倍率で写像投影して結像させる写像投影系
の静電レンズ104・6、結像された像をウェーハの二次電子画像として検出する検出器104・7、及び、装置全体を制御すると共に、検出器104・7により検出された二次電子画像に基づいてウェーハWの欠陥を検出する処理を実行する制御部104・8を含んで構成される。なお、上記二次電子画像には、二次電子だけでなく散乱電子や反射電子による寄与も含まれているが、ここでは二次電子画像と称することにする。
また、対物レンズ104・4とウェーハWとの間には、一次電子線のウェーハWへの入射角度を電場等によって偏向させる偏向電極104・9が介在されている。この偏向電極104・9には、該偏向電極の電場を制御する偏向制御器104・10が接続されている。この偏向制御器104・10は、制御部104・8に接続され、制御部104・8からの指令に応じた電場が偏向電極104・9で生成されるように該偏向電極を制御する。なお、偏向制御器104・10は、偏向電極104・9に与える電圧を制御する電圧制御装置として構成することができる。
検出器104・7は、静電レンズ104・6によって結像された二次電子画像を後処理可能な信号に変換することができる限り、任意の構成とすることができる。例えば、図62にその詳細を示すように、検出器104・7は、マイクロチャンネルプレート62・1と、蛍光面62・2と、リレー光学系62・3と、多数のCCD素子からなる撮像センサ62・4とを含んで構成することができる。マイクロチャンネルプレート62・1は、プレート内に多数のチャンネルを備えており、静電レンズ104・6によって結像された二次電子が該チャンネル内を通過する間に、更に多数の電子を生成させる。即ち、二次電子を増幅させる。蛍光面62・2は、増幅された二次電子によって蛍光を発することにより二次電子を光に変換する。リレーレンズ62・3がこの蛍光をCCD撮像センサ62・4に導き、CCD撮像センサ62・4は、ウェーハW表面上の二次電子の強度分布を素子毎の電気信号即ちデジタル画像データに変換して制御部104・8に出力する。ここで、マイクロチャンネルプレート62・1を省略してもよく、この場合、マイクロチャンネルプレート62・1から蛍光面の間での拡がりによるぼけを低減することができる。例えば、MTFで0.2の像を0.3〜0.6にアップできる。
制御部104・8は、図104に例示されたように、汎用的なパーソナルコンピュータ等から構成することができる。このコンピュータは、所定のプログラムに従って各種制御、演算処理を実行する制御部本体104・11と、本体104・11の処理結果を表示するCRT104・12と、オペレータが命令を入力するためのキーボードやマウス等の入力部104・13と、を備える、勿論、欠陥検査装置専用のハードウェア、或いは、ワークステーションなどから制御部104・8を構成してもよい。
制御部本体104・11は、図示しないCPU、RAM、ROM、ハードディスク、ビデオ基板等の各種制御基板等から構成される。RAM若しくはハードディスクなどのメモリ上には、検出器104・7から受信した電気信号即ちウェーハWの二次電子画像のデジタル画像データを記憶するための二次電子画像記憶領域104・14が割り当てられている。また、ハードディスク上には、予め欠陥の存在しないウェーハの基準画像データを記憶しておく基準画像記憶部104・15が存在する。更に、ハードディスク上には、欠陥検査装置全体を制御する制御プログラムの他、記憶領域104・14から二次電子画像データを読み出し、該画像データに基づき所定のアルゴリズムに従ってウェーハWの欠陥を自動的に検出する欠陥検出プログラム104・16が格納されている。この欠陥検出プログラム104・16は、詳細を更に後述するように、基準画像記憶部104・15から読み出した基準画像と、実際に検出された二次電子線画像とをマッチングして、欠陥部分を自動的に検出し、欠陥有りと判定した場合、オペレータに警告表示する機能を有する。このとき、CRT104・12の表示部に二次電子画像104・17を表示するようにしてもよい。
次に、該実施の形態による欠陥検査装置の作用を図105乃至図107のフローチャートを例にして説明する。先ず、図105のメインルーチンの流れに示すように、検査対象となるウェーハWをステージ104・5の上にセットする(ステップ105・1)。これは、前述したようにローダーに多数格納されたウェーハ全てを一枚毎に自動的にステージ104・5にセットする形態であってもよい。
次に、ウェーハW表面のXY平面上で部分的に重なり合いながら互いから変位された複数の被検査領域の画像を各々取得する(ステップ105・2)。これら画像取得すべき複数の被検査領域とは、図108に示すように、例えばウェーハ検査表面108・1上に、参照番号108・2a、108・2b、...、108・2k、...で示す矩形領域のことであり、これらは、ウェーハの検査パターン108・3の回りで、部分的に重なり合いながら位置がずらされていることがわかる。例えば、図109に示されたように、16個の被検査領域の画像109・1(被検査画像)が取得される。ここで、図109に示す画像は、矩形の桝目が1画素(或いは、画素より大きいブロック単位でもよい)に相当し、このうち黒塗りの桝目がウェーハW上のパターンの画像部分に相当する。このステップ105・2の詳細は図106のフローチャートで後述する。
次に、ステップ105・2で取得した複数の被検査領域の画像データを記憶部104・15に記憶された基準画像データと、各々比較照合し(図105のステップ105・3)、上記複数の被検査領域により網羅されるウェーハ検査面に欠陥が有るか否かが判定される。この工程では、いわゆる画像データ同士のマッチング処理を実行するが、その詳細については図107のフローチャートで後述する。
ステップ105・3の比較結果より、上記複数の被検査領域により網羅されるウェーハ検査面に欠陥が有ると判定された場合(ステップ105・4肯定判定)、オペレータに欠陥の存在を警告する(ステップ105・5)。警告の方法として、例えば、CRT104・12の表示部に欠陥の存在を知らせるメッセージを表示したり、これと同時に欠陥の存在するパターンの拡大画像104・17を表示してもよい。このような欠陥ウェーハを直ちに試料室から取り出し、欠陥の無いウェーハとは別の保管場所に格納してもよい(ステップ105・6)。
ステップ105・5の比較処理の結果、ウェーハWに欠陥が無いと判定された場合(ステップ105・4否定判定)、現在検査対象となっているウェーハWについて、検査すべき領域が未だ残っているか否かが判定される(ステップ105・7)。検査すべき領域が残っている場合(ステップ105・7肯定判定)、ステージ104・5を駆動し、これから検査すべき他の領域が一次電子線の照射領域内に入るようにウェーハWを移動させる(ステップ105・8)。その後、ステップ105・2に戻って当該他の検査領域に関して同様の処理を繰り返す。
検査すべき領域が残っていない場合(ステップ105・7否定判定)、或いは、欠陥ウェーハの抜き取り工程(ステップ105・6)の後、現在検査対象となっているウェーハWが、最終のウェーハであるか否か、即ち図示しないローダーに未検査のウェーハが残っていないか否かが判定される(ステップ105・9)。最終のウェーハでない場合(ステップ105・9否定判定)、検査済みウェーハを所定の格納箇所に保管し、その代わりに新しい未検査のウェーハをステージ104・5にセットする(ステップ105・10)。その後、ステップ105・2に戻って当該ウェーハに関して同様の処理を繰り返す。最終のウェーハであった場合(ステップ105・9肯定判定)、検査済みウェーハを所定の格納箇所に保管し、全工程を終了する。ウェーハはカセット毎あるいは各ウェーハに識別番号が決められており、検査しているウェーハは認識され、監視されており、例えばウェー
ハの重複検査などが防止される。
次に、ステップ105・2の処理の流れを図106のフローチャートに従って説明する。同図において、先ず、画像番号iを初期値1にセットする(ステップ106・1)。この画像番号は、複数の被検査領域画像の各々に順次付与された識別番号である。次に、セットされた画像番号iの被検査領域について画像位置(Xi,Yi)を決定する(ステップ106・2)。この画像位置は、被検査領域を画定させるための該領域内の特定位置、例えば該領域内の中心位置として定義される。現時点では、i=1であるから画像位置(X1,Y1)となり、これは例えば図108に示された被検査領域108・2aの中心位置に該当する。全ての被検査画像領域の画像位置は予め定められており、例えば制御部104・8のハードディスク上に記憶され、ステップ106・2で読み出される。
次に、図104の偏向電極104・9を通過する一次電子線がステップ106・2で決定された画像位置(Xi,Yi)の被検査画像領域に照射されるように、偏向制御器104・10が偏向電極104・9に電位を加える(図106のステップ106・3)。
次に、電子銃104・1から一次電子線を放出し、静電レンズ104・2、E×B偏向器104・3、対物レンズ104・4及び偏向電極104・9を通して、セットされたウェーハW表面上に照射する(ステップ106・4)。このとき、一次電子線は、偏向電極104・9の作り出す電場によって偏向され、ウェーハ検査表面108・1上の画像位置(Xi,Yi)の被検査画像領域全体に亘って照射される。画像番号i=1の場合、被検査領域は108・2aとなる。
一次電子線が照射された被検査領域からは二次電子及び/又は反射電子(以下、「二次電子」のみ称する)が放出される。そこで、発生した二次電子線を拡大投影系の静電レンズ104・6により所定の倍率で検出器104・7に結像させる。検出器104・7は、結像された二次電子線を検出し、検出素子毎の電気信号即ちデジタル画像データに変換出力する(ステップ106・5)。そして、検出した画像番号iのデジタル画像データを二次電子画像記憶領域104・14に転送する(ステップ106・6)。
次に、画像番号iを1だけインクリメントし(ステップ106・7)、インクリメントした画像番号(i+1)が一定値iMAXを越えているか否かを判定する(ステップ106
・8)。このiMAXは、取得すべき被検査画像の数であり、図109の上述した例では、
「16」である。
画像番号iが一定値iMAXを越えていない場合(ステップ106・8否定判定)、再び
ステップ106・2に戻り、インクリメントした画像番号(i+1)について画像位置(Xi+1,Yi+1)を再び決定する。この画像位置は、前のルーチンで決定した画像位置(Xi,Yi)からX方向及び/又はY方向に所定距離(ΔXi,ΔYi)だけ移動させた位置である。図108の例では、被検査領域は、(X1,Y1)からY方向にのみ移動した位置(X2,Y2)となり、破線で示した矩形領域108・2bとなる。なお、(ΔXi,ΔYi)(i=1,2,...iMAX)の値は、ウェーハ検査面108・1のパターン108・3
が検出器104・7の視野から実際に経験的にどれだけずれるかというデータと、被検査領域の数及び面積から適宜定めておくことができる。
そして、ステップ106・2乃至106・7の処理をiMAX個の被検査領域について順
次繰り返し実行する。これらの被検査領域は、図108に示すように、k回移動した画像位置(Xk,Yk)では被検査画像領域108・2kとなるように、ウェーハの検査面108・1上で、部分的に重なり合いながら位置がずらされていく。このようにして、図109に例示した16個の被検査画像データが画像記憶領域104・14に取得される。取得
した複数の被検査領域の画像109・1(被検査画像)は、図109に例示されたように、ウェーハ検査面108・1上のパターン108・3の画像109・2を部分的若しくは完全に取り込んでいることがわかる。
インクリメントした画像番号iがiMAXを越えた場合(ステップ106・8肯定判定)
、このサブルーチンをリターンしてメインルーチンの比較工程に移行する。
なお、ステップ106・6でメモリ転送された画像データは、検出器104・7により検出された各画素毎の二次電子の強度値(いわゆるベタデータ)からなるが、後段の比較工程(ステップ105・3)で基準画像とマッチング演算を行うため、様々な演算処理を施した状態で記憶領域104・14に格納しておくことができる。このような演算処理には、例えば、画像データのサイズ及び/又は濃度を基準画像データのサイズ及び/又は濃度に一致させるための正規化処理や、所定画素数以下の孤立した画素群をノイズとして除去する処理などがある。更には、単純なベタデータではなく、高精細パターンの検出精度を低下させない範囲で検出パターンの特徴を抽出した特徴マトリクスにデータ圧縮変換しておいてもよい。このような特徴マトリクスとして、例えば、M×N画素からなる2次元の被検査領域を、m×n(m<M,n<N)ブロックに分割し、各ブロックに含まれる画素の二次電子強度値の総和(若しくはこの総和値を被検査領域全体の総画素数で割った正規化値)を、各マトリックス成分としてなる、m×n特徴マトリックスなどがある。この場合、基準画像データもこれと同じ表現で記憶しておく。本発明の実施の形態でいう画像データとは、単なるべタデータは勿論のこと、このように任意のアルゴリズムで特徴抽出された画像データを包含する。
次に、ステップ105・3の処理の流れを図107のフローチャートに従って説明する。先ず、制御部104・8のCPUは、基準画像記憶部104・15(図104)から基準画像データをRAM等のワーキングメモリ上に読み出す(ステップ107・1)。この基準画像は、図109では参照番号109・3で表される。そして、画像番号iを1にリセットし(ステップ107・2)、記憶領域104・14から画像番号iの被検査画像データをワーキングメモリ上に読み出す(ステップ107・3)。
次に、読み出した基準画像データと、画像iのデータとをマッチングして、両者間の距離値Diを算出する(ステップ107・4)。この距離値Diは、基準画像と、被検査画像iとの間の類似度を表し、距離値が大きいほど基準画像と被検査画像との差異が大きいことを表している。この距離値Diとして類似度を表す量であれば任意のものを採用するこ
とができる。例えば、画像データがM×N画素からなる場合、各画素の二次電子強度(又は特徴量)をM×N次元空間の各位置ベクトル成分とみなし、このM×N次元空間上における基準画像ベクトル及び画像iベクトル間のユークリッド距離又は相関係数を演算してもよい。勿論、ユークリッド距離以外の距離、例えばいわゆる市街地距離等を演算することもできる。更には、画素数が大きい場合、演算量が膨大になるので、上記したようにm×n特徴ベクトルで表した画像データ同士の距離値を演算してもよい。
次に、算出した距離値Diが所定の閾値Thより小さいか否かを判定する(ステップ1
07・5)。この閾値Thは、基準画像と被検査画像との間の十分な一致を判定する際の基準として実験的に求められる。距離値Diが所定の閾値Thより小さい場合(ステップ
107・5肯定判定)、当該ウェーハWの当該検査面1034には「欠陥無し」と判定し(ステップ107・6)、本サブルーチンをリターンする。即ち、被検査画像のうち1つでも基準画像と略一致したものがあれば、「欠陥無し」と判定する。このように全ての被検査画像とのマッチングを行う必要が無いので、高速判定が可能となる。図109の例の場合、3行3列目の被検査画像が、基準画像に対して位置ずれが無く略一致していることがわかる。
距離値Diが所定の閾値Th以上の場合(ステップ107・5否定判定)、画像番号i
を1だけインクリメントし(ステップ107・7)、インクリメントした画像番号(i+1)が一定値iMAXを越えているか否かを判定する(ステップ107・8)。
画像番号iが一定値iMAXを越えていない場合(ステップ107・8否定判定)、再び
ステップ107・3に戻り、インクリメントした画像番号(i+1)について画像データを読み出し、同様の処理を繰り返す。
画像番号iが一定値iMAXを越えた場合(ステップ107・8肯定判定)、当該ウェー
ハWの当該検査面1034には「欠陥有り」と判定し(ステップ107・9)、本サブルーチンをリターンする。即ち、被検査画像の全てが基準画像と略一致していなければ、「欠陥有り」と判定する。
以上がステージ装置の各実施の形態であるが、本発明は、上記例にのみ限定されるものではなく本発明の要旨の範囲内で任意好適に変更可能である。
例えば、被検査試料として半導体ウェーハWを例に掲げたが、本発明の被検査試料はこれに限定されず、電子線によって欠陥を検出することができる任意のものが選択可能である。例えばウェーハへの露光用パターンが形成されたマスク等を検査対象とすることもできる。
また、本発明は、電子以外の荷電粒子線を用いて欠陥検出を行う装置にも適用できるばかりでなく、試料の欠陥を検査可能な画像を取得できる任意の装置にも適用可能である。
更に、偏向電極104・9は、対物レンズ104・4とウェーハWとの間のみならず、一次電子線の照射領域を変更できる限り任意の位置に置くことができる。例えば、E×B偏向器104・3と対物レンズ104・4との間、電子銃104・1とE×B偏向器104・3との間などがある。更には、E×B偏向器104・3が生成する場を制御することによって、その偏向方向を制御するようにしてもよい。即ち、E×B偏向器104・3に偏向電極104・9の機能を兼用させてもよい。
また、上記実施の形態では、画像データ同士のマッチングを行う際に、画素間のマッチング及び特徴ベクトル間のマッチングのいずれかとしたが、両者を組み合わせることもできる。例えば、最初、演算量の少ない特徴ベクトルで高速マッチングを行い、その結果、類似度の高い被検査画像については、より詳細な画素データでマッチングを行うという2段階の処理によって、高速化と精度とを両立させることができる。
また、本発明の実施の形態では、被検査画像の位置ずれを一次電子線の照射領域の位置ずらしのみで対応したが、マッチング処理の前若しくはその間で画像データ上で最適マッチング領域を検索する処理(例えば相関係数の高い領域同士を検出してマッチングさせる)と本発明とを組み合わせることもできる。これによれば、被検査画像の大きな位置ずれを本発明による一次電子線の照射領域の位置ずらしで対応すると共に、比較的小さな位置ずれを後段のデジタル画像処理で吸収することができるので、欠陥検出の精度を向上させることができる。
更に、欠陥検査用の電子線装置として、図104の構成を示したが、電子光学系等は任意好適に変更可能である。例えば、図104に示された欠陥検査装置の電子線照射手段(104・1、104・2、104・3)は、ウェーハWの表面に対して垂直上方から一次電子線を入射させる形式であるが、E×B偏向器104・3を省略し、一次電子線をウェーハWの表面に斜めに入射させるようにしてもよい。
また、図105のフローチャートの流れも、これに限定されない。例えば、ステップ1
05・4で欠陥有りと判定された試料について、他の領域の欠陥検査は行わないことにしたが、全領域を網羅して欠陥を検出するように処理の流れを変更してもよい。また、一次電子線の照射領域を拡大し1回の照射で試料のほぼ全検査領域をカバーできれば、ステップ105・7及びステップ105・8を省略することができる。
以上詳細に説明したように本実施の形態の欠陥検査装置によれば、試料上で部分的に重なり合いながら互いから変位された複数の被検査領域の画像を各々取得し、これらの被検査領域の画像と基準画像とを比較することによって、試料の欠陥を検査するようにしたので、被検査画像と基準画像との位置ずれによる欠陥検査精度の低下を防止できる、という優れた効果が得られる。
更に本発明のデバイス製造方法によれば、上記のような欠陥検査装置を用いて試料の欠陥検査を行うようにしたので、製品の歩留まりの向上及び欠陥製品の出荷防止が図れる、という優れた効果が得られる。
2−7−8)デバイス製造方法
次に、図110及び図111を参照して本発明による半導体デバイスの製造方法の実施の形態を説明する。図110は、本発明による半導体デバイスの製造方法の一実施の形態を示すフローチャートである。この実施の形態の製造工程は以下の主工程を含んでいる。(1)ウェーハを製造するウェーハ製造工程(又はウェーハを準備するウェーハ準備工程)(ステップ110・1)
(2)露光に使用するマスクを製造するマスク製造工程(又はマスクを準備するマスク準備工程)(ステップ110・2)
(3)ウェーハに必要な加工処理を行うウェーハプロセッシング工程(ステップ110・3)
(4)ウェーハ上に形成されたチップを1個ずつ切り出し、動作可能にならしめるチップ組立工程(ステップ1110・4)
(5)できたチップを検査するチップ検査工程(ステップ110・5)。
なお、上記のそれぞれの主工程は更に幾つかのサブ工程からなっている。これらの主工程中の中で、半導体デバイスの性能に決定的な影響を及ぼすのが(3)のウェーハプロセッシング工程である。この工程では、設計された回路パターンをウェーハ上に順次積層し、メモリやMPUとして動作するチップを多数形成する。このウェーハプロセッシング工程は以下の各工程を含んでいる。
(A)絶縁層となる誘電体薄膜や配線部、或いは電極部を形成する金属薄膜等を形成する薄膜形成工程(CVDやスパッタリング等を用いる)
(B)この薄膜層やウェーハ基板を酸化する酸化工程
(C)薄膜層やウェーハ基板等を選択的に加工するためにマスク(レチクル)を用いてレジストパターンを形成するリソグラフィー工程
(D)レジストパターンに従って薄膜層や基板を加工するエッチング工程(例えばドライエッチング技術を用いる)
(E)イオン・不純物注入拡散工程
(F)レジスト剥離工程
(G)加工されたウェーハを検査する工程
なお、ウェーハプロセッシング工程は必要な層数だけ繰り返し行い、設計通り動作する半導体デバイスを製造する。
図111は、図110のウェーハプロセッシング工程の中核をなすリソグラフィー工程を示すフローチャートである。このリソグラフィー工程は以下の各工程を含む。
(a)前段の工程で回路パターンが形成されたウェーハ上にレジストをコートするレジス
ト塗布工程(ステップ111・1)
(b)レジストを露光する工程(ステップ111・2)
(c)露光されたレジストを現像してレジストのパターンを得る現像工程(ステップ111・3)
(d)現像されたレジストパターンを安定化するためのアニール工程(ステップ111・4)
上記の半導体デバイス製造工程、ウェーハプロセッシング工程、リソグラフィー工程については、周知のものでありこれ以上の説明を要しないであろう。
上記(G)の検査工程に本発明に係る欠陥検査方法、欠陥検査装置を用いると、微細なパターンを有する半導体デバイスでも、スループット良く検査できるので、全数検査も可能となり、製品の歩留まりの向上、欠陥製品の出荷防止が可能となる。
2−7−9)検査
上記(G)の検査工程における検査手順について図112を用いて説明する。一般に電子線を用いた欠陥検査装置は高価であり、またスループットも他のプロセス装置に比べて低いために、現状では最も検査が必要と考えられている重要な工程(例えばエッチング、成膜、又はCMP(化学機械研磨)平坦化処理等)の後に、また、配線工程ではより微細な配線工程部分、すなわち配線工程の1から2工程、及び前工程のゲート配線工程等に利用されている。特に、デザイン・ルールが100nm以下、即ち,100nm以下の線幅を有する配線や直径100nm以下のビア・ホール等の形状欠陥や電気的欠陥を見つけ、また、プロセスにフィードバックすることが重要である。
検査されるウェーハは大気搬送系及び真空搬送系を通して、超精密X−Yステージ上に位置合わせ後、静電チャック機構等により固定され、以後、(図112)の手順に従って欠陥検査等が行われる。はじめに光学顕微鏡により、必要に応じて各ダイの位置確認や、各場所の高さ検出が行われ記憶される。光学顕微鏡はこの他に欠陥等の見たい所の光学顕微鏡像を取得し、電子線像との比較等にも使用される。次に電子光学系の条件設定を行い、電子線像を用いて、光学顕微鏡で設定された情報の修正を行い、精度を向上させる。
次いでウェーハの種類(どの工程後か、ウェーハのサイズは200mmか、300mmか等)に応じたレシピの情報を装置に入力し、以下検査場所の指定、電子光学系の設定、検査条件の設定等を行なった後、画像取得を行ないながら通常はリアルタイムで欠陥検査を行なう。セル同士の比較、ダイ比較等が、アルゴリズムを備えた高速の情報処理システムにより検査が行なわれ、必要に応じてCRT等に結果を出力や、メモリーへ記憶を行なう。
欠陥にはパーティクル欠陥、形状異常(パターン欠陥)、及び電気的(配線又はビア等の断線及び導通不良等)欠陥等が有り、これらを区別したり欠陥の大きさや、キラー欠陥(チップの使用が不可能になる重大な欠陥等)の分類を自動的にリアルタイムで行うことも出来る。特に、線幅が100nm以下の配線や直径100nm以下のビア等の前記欠陥を分類するのに有効である。電気的欠陥の検出はコントラスト異状を検出することで達成される。例えば導通不良の場所は電子線照射(500eV程度)により、通常正に帯電し、コントラストが低下するので正常な場所と区別ができる。この場合の電子線照射手段とは、通常検査用の電子線照射手段以外に別途、電位差によるコントラストを際立たせるために設けた低電位(エネルギー)の電子線発生手段(熱電子発生、UV/光電子)をいう。検査対象領域に検査用の電子線を照射する前に、この低電位(エネルギーが例えば100eV以下)の電子線を発生・照射している。検査用の電子線を照射すること自体正に帯電させることができる写像投影方式の場合は、仕様によっては、別途低電位の電子線発生手段を設ける必要はない。また、ウェーハ等の試料に基準電位に対して、正又は負の電位
をかけること等による(素子の順方向又は逆方向により流れ易さが異なるために生じる)コントラストの違いから欠陥検出が出来る。
電位差によるコントラストは、電位コントラストデータを表示するのに有効な信号の画像に変換して表示してもよい。電位今トラスト画像を解析して、期待している値よりも高い又は低い電圧にある構造体、つまり、絶縁不良又は導通不良や欠陥を識別することができる。例えば、ウェーハ上の異なるダイからそれぞれ電位コントラスト画像を取得し、その差異を検出することで、欠陥を認識する。また、CADデータ等の設計データから被検査ダイの電位コントラスト画像と等価な画像データを生成して、この画像データとウェーハ上の被検査ダイから取得した電位コントラスト画像との差異を検出することで欠陥を認識する。
線幅測定装置及び合わせ精度測定にも利用できる。検査されるウェーハの情報、例えばカセットの番号、ウェーハの番号(又はロットナンバ)等は、これらが現在どのような位置や状態にあるか、全て記憶管理されている。したがって、誤って検査を2回以上行ったり、検査をしなかったりするトラブルは発生しない。
2−8)検査方法
2−8−1)概要
検査の基本的流れを、図113に示す。まずアライメント動作113・1を含んだウェーハ搬送の後、検査に関係する条件等を設定したレシピを作成する(113・2)。レシピは被検査ウェーハに最低1種類は必要であるが、複数の検査条件に対応するために、1枚の被検査ウェーハに対して、複数のレシピが存在しても構わない。また同一パターンの被検査ウェーハが複数枚ある場合、一種類のレシピで複数のウェーハを検査しても構わない。図113の経路113・3はこの様に過去に作成されたレシピで検査する場合、検査動作直前にレシピの作成が不要である事を示している。以下、図113において
検査動作113・4は、レシピに記載された条件、シーケンスに従いウェーハの検査を行う。欠陥抽出は、検査動作中に欠陥を発見するごと即時行われ、
a)欠陥分類(113・5)を行い、結果出力ファイルに抽出欠陥情報と欠陥分類情報を追加する動作
b)抽出欠陥画像を画像専用結果出力ファイルもしくはファイルに追加する動作
c)抽出欠陥の位置などの欠陥情報を操作画面上に表示する動作
をほぼ並列に実行する。
被検査ウェーハ単位で検査が終了すると、
a)結果出力ファイルをクローズして保存する動作
b)外部からの通信が検査結果を要求する場合、検査結果を送る動作
c)ウェーハを排出する動作
をほぼ並列に実行する。
連続的にウェーハを検査する設定がなされている場合、次の被検査ウェーハを搬送して、前記一連の動作を繰り返す。
以下、図113フローについて、さらに詳細を述べる。
(1)レシピ作成
レシピとは、検査に関係する条件等の設定ファイルであり保存する事も可能である。検査時もしくは検査前にレシピを使用して装置設定を行うが、レシピに記載された検査に関係する条件とは、
a)検査対象ダイ
b)ダイ内部検査領域
c)検査アルゴリズム
d)検出条件(検査感度等、欠陥抽出に必要な条件)
e)観察条件(倍率、レンズ電圧、ステージ速度、検査順序等、観察に必要な条件)などである。具体的なc)検査アルゴリズムは後述する。
この中で、検査対象ダイの設定は、図114に示される様に、操作画面に表示されたダイマップ画面に対して、検査するダイをオペレータが指定する。図114の例では、ウェーハ端面のダイ1と前工程で明らかに不良と判定されたダイ2をグレイアウトして検査対象から削除し、残りを検査対象ダイとしている。また、ウェーハ端面からの距離や前工程で検出されたダイの良否情報をもとに自動的に検査ダイを指定する機能も有している。
また、ダイ内部の検査領域の設定は、図115に示される様に操作画面に表示されたダイ内部検査領域設定画面に対して、検査領域をオペレータが光学顕微鏡もしくはEB顕微鏡により取得した画像をもとにマウス等の入力機器で指定する。図115の例では、実線で指した領域115・1と破線で指した領域115・2を設定している。
領域115・1は、ダイのほぼ全体を設定領域としている。検査アルゴリズムは隣接ダイ比較法(ダイ−ダイ検査)としこの領域に対する検出条件、観察条件の詳細は、別に設定する。領域115・2は、検査アルゴリズムをアレイ検査(検査)としこの領域に対する検出条件、観察条件の詳細は、別に設定する。すなわち複数の検査領域の設定が可能でかつ、検査領域は、それぞれ独自の検査アルゴリズムや検査感度を条件設定出来る。また検査領域は重ね合わせる事も可能で、同じ領域に対して、異なる検査アルゴリズムを同時に処理することも可能である。
(2)検査動作
検査は、被検査ウェーハに対して図116の様にある走査幅に細分され走査する。走査幅は、ほぼラインセンサの長さで決まるが、ラインセンサの端部が少し重なる様に設定してある。これは検出した欠陥を最終的に統合処理する場合にライン間の連続性を判断する為や比較検査を行う際に画像アライメントするための余裕を確保するためである。その重ね量は2048ドットのラインセンサに対して16ドット程度である。
走査方向およびシーケンスを、模式的に図117に示す。すなわち、検査時間短縮のために双方向動作Aや、機械制限からの単方向動作Bなどが、オペレータより選択出来る構成になっている。
またレシピの検査対象ダイ設定を元に走査量を減らす動作を自動演算して検査する機能も有している。図118−1は検査ダイ118・1が1個の場合の走査例で、不要な走査は行わない。
2−8−2)検査アルゴリズム
本装置で行う検査のアルゴリズムは、大別して
1.アレイ検査(セル検査)
2.ランダム検査(ダイ検査)
の2種類である。図118-2に示すように、ダイは、主にメモリに用いられる周期構造
をしたセル部118・2と、周期構造を取らないランダム部118・3とに分けられる。周期構造をしたセル部118・2は、比較対象が同じダイの中に複数個あるので、同じダイの中のセル同士で比較を行うことによって検査可能である。一方、ランダム部118・3は、同じダイの中に比較対象がないので、ダイ同士の比較を行う必要がある。ランダム検査は比較対象により、さらに以下にように区分される。
a)隣接ダイ比較法(Die-Die検査)
b)基準ダイ比較法(Die-Any Die検査)
c)CADデータ比較法(Cad Data-Any Die検査)
一般にゴールデンテンプレート方式と呼ばれる方式は、前記b)とc)を表しており、基準ダイ比較法においては基準ダイをゴールデンテンプレートとする、CADデータ比較法おいてはCADデータをゴールデンテンプレートとする。
以下、各アルゴリズムの動作を述べる。
2−8−2―1)アレイ検査(セル検査)
アレイ検査は、周期構造の検査に適用される。DRAMセルなどはその一例である。
検査は、基準とする参照画像と被検査画像の比較を行い、その差分を欠陥として抽出する。参照画像と被検査画像は、二値化画像でも検出精度を向上するため多値画像でも構わない。
欠陥は、参照画像と被検査画像の差分そのものでも良いが、検出した差分の差分量や差分のある画素の合計面積などの差分情報を元にして、誤検出を防ぐための2次的な判定を行っても良い。
アレイ検査においては、参照画像と被検査画像の比較は構造周期単位で行われる。すなわちCCDなどで一括取得した画像を読み出しながら1構造周期単位で比較しても良いし、参照画像がn個の構造周期単位であれば、n個の構造周期単位を同時に比較できる。
参照画像の生成方法の一例を図119に示す、ここでは1構造周期単位で比較する例を述べるので1構造周期単位生成を表す。同じ方法で周期数をnにする事も可能である。
前提として図119での検査方向はAである。また周期4を被検査周期とする。周期の大きさはオペレータが画像を見ながら入力するので、図119において周期1から6は容易に認識できる。
参照周期画像は、各画素において被検査周期直前の周期1から3を加算し平均して生成する。1から3いずれかに欠陥が存在しても平均処理されるので影響は少ない。この形成された参照周期画像と被検査周期画像4を比較して欠陥の抽出を行う。
次に被検査周期画像5を検査する場合、周期2から4を加算平均して参照周期画像を生成する。以下同様に被検査周期画像取得以前に得た画像より、被検査周期画像を生成して検査を連続させる。
2−8−2―2)ランダム検査(ダイ検査)
ランダム検査は、ダイの構造に制限されず適用できる。検査は、基準となる参照画像と被検査画像の比較を行い、その差分を欠陥として抽出する。参照画像と被検査画像は、二値化画像でも検出精度を向上するため多値画像でも構わない。欠陥は、参照画像と被検査画像の差分そのものでも良いが、検出した差分の差分量や差分のある画素の合計面積などの差分情報を元にして、誤検出を防ぐため2次的な判定を行っても良い。ランダム検査は参照画像の求め方で分類することが出来る。以下に動作を記す。
A.隣接ダイ比較法(Die-Die検査)
参照画像は、被検査画像と隣接したダイである。被検査画像に隣り合った2つのダイと比較して欠陥を判断する。すなわち図120と図121において、画像処理装置のメモリ121・1とメモリ121・2がカメラ121・3からの経路121・41に接続するようスイッチ121・4、スイッチ121・5を設定した状況で、以下のステップを有する
a)走査方向Sに従いダイ画像1を経路121・41からメモリ121・1に格納するステップ。
b)ダイ画像2を経路121・41からメモリ121・2に格納するステップ。
c)上記b)と同時に経路121・42からダイ画像2を取得しながら、取得したダイ画像2とダイにおける相対位置が同じであるメモリ121・1に格納された画像データを比較して差分を求めるステップ。
d)上記c)の差分を保存するステップ。
e)ダイ画像3を経路121・41からメモリ121・1に格納するステップ。
f)上記e)と同時に経路121・42からダイ画像3を取得しながら、取得したダイ画像3とダイにおける相対位置が同じであるメモリ121・2に格納された画像データを比較して差分を求めるステップ。
g)上記f)の差分を保存するステップ。
h)上記d)とg)で保存された結果より、ダイ画像2の欠陥を判定するステップ。
i)以下連続したダイにおいてa)からh)を繰り返すステップ。
設定によって、上記c)、f)において差分を求める前に、比較する2つの画像の位置アライメント:位置差が無くなる様に補正する。または濃度アライメント:濃度差が無くなる様に補正する。もしくはその両方の処理を行う場合がある。
B.基準ダイ比較法(Die-Any Die検査)
オペレータにより基準ダイを指定する。基準ダイはウェーハ上に存在するダイもしくは、検査以前に保存してあるダイ画像であり、まず基準ダイを走査もしくは転送して画像をメモリに保存、参照画像とする。すなわち図121と図122において、以下のステップを有する。
a)オペレータが基準ダイを、被検査ウェーハのダイより、もしくは検査以前に保存してあるダイ画像より選択するステップ。
b)基準ダイが被検査ウェーハに存在する場合、画像処理装置のメモリ121・1もしくはメモリ121・2の少なくとも一方がカメラ121・3からの経路121・41に接続するようにスイッチ121・4、スイッチ121・5を設定するステップ。
c)基準ダイが検査以前に保存してあるダイ画像の場合、画像処理装置のメモリ121・1もしくはメモリ121・2の少なくとも一方がダイ画像である参照画像を保存してあるメモリ121・6からの経路121・7に接続するようにスイッチ121・4、スイッチ121・5を設定するステップ。
d)基準ダイが被検査ウェーハに存在する場合、基準ダイを走査して、基準ダイ画像である参照画像を画像処理装置のメモリに転送するステップ。
e)基準ダイが検査以前に保存してあるダイ画像の場合、走査を必要とせず、基準ダイ画像である参照画像を画像処理装置のメモリに転送するステップ。
f)被検査画像を順次走査して得られる画像と、基準ダイ画像である参照画像を転送されたメモリの画像と、ダイにおける相対位置が同じである画像データを比較して差分を求めるステップ。
g)上記f)で得られた差分より欠陥を判定するステップ。
h)以下連続して図124で示すように基準ダイの走査位置と被検査ダイのダイ原点に対して同じ部分をウェーハ全体について検査し、ダイ全体を検査するまで基準ダイの走査位置を変更しながら上記d)からg)を繰り返すステップ。
設定によって、上記f)において差分を求める前に、比較する2つの画像の位置アライメント:位置差が無くなる様に補正する。もしくは濃度アライメント:濃度差が無くなる様に補正する。もしくはその両方の処理を行う場合がある。
上記d)もしくはe)において画像処理装置のメモリに蓄えられる基準ダイ画像は、基準ダイ全てでも良いし、基準ダイの一部として更新しながら検査しても良い。
C.CADデータ比較法(CAD Data-Any Die検査)
図123に示した半導体製造の工程において、CADによる半導体パターン設計工程の出力であるCADデータより参照画像を作成し基準画像とする。基準画像はダイ全体もしくは検査部分を含んだ部分的な物でも良い。
またこのCADデータは、通常ベクタデータであり、走査動作によって得られる画像データと等価なラスタデータに変換しないと参照画像として使用出来ない。この様にCADデータ加工作業に関して、以下の変換がなされる。
a)CADデータであるベクタデータをラスタデータに変換する。
b)上記a)は、検査時に被検査ダイを走査して得られる画像走査幅の単位で行う。
c)上記b)は、被検査ダイを走査して得る予定の画像とダイにおける相対位置が同じである画像データを変換する。
d)上記c)は、検査走査と、変換作業をオーバラップして行う。
上記のa)〜d)は高速化のために画像走査幅単位の変換を行う例であるが、変換単位を画像走査幅に固定しなくても検査は可能である。また、ベクタデータをラスタデータに変換する作業に付加機能として、以下の少なくとも1つを有する。
a)ラスタデータの多値化機能。
b)上記a)に関し、多値化の、階調重み、オフセットを検査装置の感度を鑑みて設定する機能。
c)ベクタデータをラスタデータに変換した後で、膨張、収縮など画素を加工する画像処理を行う機能。
図121において、CADデータ比較法による検査ステップを示す。
a)計算機1でCADデータをラスタデータに変換しかつ上記付加機能で参照画像を生成してメモリ121・6に保存するステップ。
b)画像処理装置のメモリ121・1もしくはメモリ121・2の少なくとも一方がメモリ121・6からの経路121・7に接続するようにスイッチ121・4、スイッチ121・5を設定するステップ。
c)メモリ121・6の参照画像を画像処理装置のメモリに転送するステップ。
d)被検査画像を順次走査して得られる画像と、参照画像が転送されたメモリの画像と、ダイにおける相対位置が同じである画像データを比較して差分を求めるステップ。
e)上記d)で得られた差分より欠陥を判定するステップ。
f)以下連続して図124で示すように基準ダイの走査位置を参照画像とし被検査ダイ
の同じ部分をウェーハ全体検査し、ダイ全体を検査するまで基準ダイの走査位置を変更しながら上記a)からe)を繰り返すステップ。
設定によって、上記d)において差分を求める前に、比較する2つの画像の位置アライメント:位置差が無くなる様に補正する。もしくは濃度アライメント:濃度差が無くなる様に補正する。もしくはその両方の処理を行う場合がある。
c)において画像処理装置のメモリに蓄えられる基準ダイ画像は、基準ダイ全てでも良いし、基準ダイの一部として更新しながら検査しても良い。
2−8−2−2’)セル検査とダイ検査を同時に行う方法
これまで、周期構造を検査するアレイ検査(セル検査)とランダム検査とのアルゴリズムを説明してきたが、セル検査とダイ検査を同時に行うことも可能である。つまり、セル部とランダム部をと分けて処理し、セル部ではダイ内でセル同士の比較を行うと同時に、ランダム部では、隣接するダイ、基準ダイ又はCADデータとの比較を行っていく。このようにすると、検査時間を大幅に短縮でき、スループットが向上する。
なお、この場合には、セル部の検査回路は別々に独立して備えるのが好適である。また、同時に検査を行わないのであれば、1つの検査回路を有し、セル検査用とランダム検査用のソフトを切換可能に設定しておき、ソフトの切換で比較検査を実行することも可能である。つまり、パターンの検査を複数の処理のアルゴリズムを適用して処理する場合には、それらのアルゴリズムは別回路を用意して同時に処理してもよいし、それらに対応するアルゴリズムを設けて1つの回路で切り換えて処理するようにしてもよい。いずれにせよ、セル部の類型が複数であり、それらは各々のセル同士で比較を行い更にランダム部についてダイ同士又はダイとCADデータで皮革を行うような場合にも、本発明は適用可能である。
2−8−2−3)フォーカスマッピング
フォーカス機能の基本的流れを、図125に示す。まずアライメント動作を含んだウェーハ搬送の後、検査に関係する条件等を設定したレシピを作成する。このレシピの1つとしてフォーカスマップレシピがあり、ここで設定されたフォーカス情報に従い、検査動作およびレビュー動作時にオートフォーカスが行われる。以下、フォーカスマップレシピの作成手順及びオートフォーカスの動作手順を説明する。
フォーカスマップレシピの作成手順
フォーカスマップレシピは、例においては独立的な入力画面を有しており、オペレータは次のステップを実行してレシピを作成するが、別の目的で設けられた入力画面に付加することもできる。
a)フォーカス値を入力するダイ位置やダイの中のパターン等、フォーカスマップ座標を入力するステップ。図126のスイッチ126・1。
b)フォーカス値を自動測定する場合に必要な、ダイパターンを設定するステップ。このステップはフォーカス値を自動測定しない場合、スキップ出来る。
c)上記a)で決められたフォーカスマップ座標のベストフォーカス値を設定する、ステップ。
この中で、a)のステップではオペレータが任意のダイを指定する事も出来るが、全てのダイの選択や、n個毎のダイの選択などの設定も可能である。また入力画面はウェーハ内のダイ配列を模式的に表現した図でも、実画像を使った画像でもオペレータが選択できる。
この中で、c)のステップではオペレータがマニュアルでフォーカス用電極の電圧値に連動したフォーカススイッチ126・2で設定するモード(図126のスイッチ126・3)。自動的にフォーカス値を求めるモードモード(図126のスイッチ126・4)で選択・設定する。
フォーカス値自動測定手順
上記c)のステップで自動的にフォーカス値を求める手順は、例えば図127において
a)フォーカス位置Z=1の画像を求めそのコントラストを計算する。
b)上記a)をZ=2,3,4でも行う。
c)上記a)、b)で得られたコントラスト値から回帰させコントラスト関数を求める(図127)
d)コントラスト関数の最大値を得るZを計算で求め、これをベストフォーカス値とする。
例えば、フォーカス値を自動測定する場合に必要なダイパターンは図128の様なライン&スペースが選択された場合、良い結果を示すが、コントラストは白黒パターンがあれば形状によらず計測出来る。
a)からd)を行うことで1点のベストフォーカス値が求まる。この時のデータ形式は(X,Y,Z) XY:フォーカスを求めた座標、Z:ベストフォーカス値のセットであり、フォーカスマップレシピで決められたフォーカスマップ座標数(X,Y,Z)が存在することになる。これをフォーカスマップレシピの一部でフォーカスマップファイルと呼ぶ。
オートフォーカスの動作手順
フォーカスマップレシピから、画像を取得する検査動作、レビュー動作時にフォーカスをベストフォーカスに設定する方法は次のステップでなされる。
a)フォーカスマップレシピの作成時に作成されたフォーカスマップファイル1を元に位置情報をさらに細分化して、この時のベストフォーカスを計算で求め細分化したフォーカスマップファイル2を作成する。
b)上記a)の計算は、補間関数で行う。
c)上記b)の補間関数は、リニア補間やスプライン補間等でフォーカスマップレシピの作成時にオペレータにより指定される。
d)ステージのXY位置を監視して、現在のXY位置に適したフォーカスマップファイル2に記載されたフォーカス値にフォーカス用電極の電圧を変更する。
さらに具体的に説明すると、図129において、黒丸がフォーカスマップファイル1のフォーカス値、白丸がフォーカスマップファイル2のフォーカス値であり、
1.フォーカスマップファイルのフォーカス値の間をフォーカスマップファイルのフォーカス値で補間している。
2.走査に従いフォーカス位置Zを変化させベストフォーカスを維持している。この時フォーカスマップファイル(白丸)の間は、次の変更する位置まで値が保持されている。
2−8−2−4)リソマージン測定
以下、リソマージン測定に関する実施の形態を説明する。
(1)実施の形態10(リソマージン測定1)
概要
1.露光機の条件の範囲およびベスト条件を求める。ターゲットはフォーカスである。
2.検査装置の応用方法であって、電子ビーム写像方式や走査方法に限定されない。すなわち、光を用いる方式、電子ビーム方式、及び、これらと写像方式又は走査方式を任意に組み合わせた方式を用いた方法でもよい。
3.基準ダイ比較法(Die-Any Die検査)の応用
図130は、実施の形態1の動作を示したフローである。以下この図を元に説明する。
工程130・1では、例として図131に示すような、フォーカス条件と露光時間条件をパラメータとして条件を変化させ2次元的にウェーハ上に露光した。また、1ショット=1ダイのイメージパターンとした。
多くのステッパー露光機では、一般的にTEST露光と呼ばれる、自動的にパラメータを変化させ露光する機能を有しているので、この機能をそのまま使用しても構わない。
工程130・2では、現像、レジスト剥離、エッチング、CVD、CMP、メッキなどの工程が考えられ、特に電子ビームによる観察では、レジストはチャージして観察しずらいので、本実施の形態では、現像、レジスト剥離、メッキまでの工程を行っている。好ましくは、レジスト観察が望ましい。
工程130・3の詳細を図132により説明する。この工程は、工程130・4を行う検査装置のオペレータによって設定された画像のコントラストを計測する機能を使用して、ダイパターンの最小ライン&スペース部をコントラスト計測するエリアと登録し以下の作業をした。
まず露光時間の上限Dbと下限Daを求めた。Db以上の露光時間とDa以下の露光時間ではコントラスト値が極めて低かったので検査対象外とする。図132でのグレイアウト部分。
次に、フォーカス値の上限Fbと下限Faを求めた。Fb以上のフォーカス値とFa以
下のフォーカス値ではコントラスト値が極めて低かったので検査対象外とする。図133でのグレイアウト部分。
次に、DaとDbの真ん中のダイ列Dsと、FaとFbの真ん中のダイ列Fsの交点であるダイをベスト露光条件ショットと選択した。これらベスト露光条件ショットを選択する工程は、すべて自動で行われる。
工程130・4では、図132の基準ダイを参照画像として、白いダイを被検査画像として、基準ダイ比較法(Die-Any Die検査)により検査する。
工程130・5は、130・4の検査結果を用いて露光条件の判定を行う。すなわち露光条件が不適切であると、例えばダイパターンのライン及びスペースが解像しない事や、パターンのエッジ部が鈍角になる事で、基準画像との差分が発生し結果的に、パターン欠陥として検出される効果を利用している。むろん露光条件起因以外に露光ミスなどを起因としたパターン欠陥やパーティクルが検出される場合もあるが、この場合は再検査している。しかしながら確率的に発生頻度が少ないので問題にはなっていない。
工程130・5の具体的な手順は、
1)フォーカスマージンを求めるのが優先なので、露光時間は図132のDsと固定して、フォーカス値と欠陥個数の関係を求める(図133)
2)この時、フォーカス値の判定基準は、露光条件により欠陥が1つも発生しない条件としてあるので、結論として、露光条件として許されるフォーカス値はF1からF2であ
る。
3)F1とF2が具体的に、どのような露光機表現の数値・単位であるかは、露光機からRs232cもしくはEthernetで接続された通信経路を通して、ダイの位置とその露光条件を転送すれば、簡単に演算できる。本装置では露光条件としての良否判定と共に、露光機にそのまま入力可能な値に変換して表示する機能も有している。
4)また、専用通信経路やSEMI規格等の通信経路を使用すれば、本検査装置の結果を露光機へフィードバックすることも出来る。以上の手順を更に露光条件(露光時間)を変えて行い、フォーカスと露光のマージンを定める。
(2)実施の形態11(リソマージン測定2)
概要
露光機の条件の範囲およびベスト条件を求める。ターゲットはフォーカスである。
1.検査装置の応用方法であって、電子ビーム写像方式や走査方法に限定されない。光方式、電子ビーム方式、及び、これらと写像方式又は走査方式を組み合わせた方式が利用できる。
2.CADデータ比較法(Cad Data-Any Die検査)の応用。
図134は、実施の形態2の動作を示したフローである。以下この図を元に説明する。
工程134・1では、例として図135に示すような、フォーカス条件と露光時間条件をパラメータとして条件を変化させ、2次元的にウェーハ上に露光した。また1ショット=1ダイのイメージパターンとした。
多くのステッパー露光機では、一般的にTEST露光と呼ばれる、自動的にパラメータを変化させ露光する機能を有しているので、この機能をそのまま使用しても構わない。
工程134・2では、現像、レジスト剥離、エッチング、CVD、CMP、メッキなどの工程が考えられ、特に電子ビームによる観察では、レジストはチャージして観察しずらいので、本実施の形態では、現像、レジスト剥離、メッキまでの工程を行っている。好ましくは、レジストの段階の観察ですませるのがよい。
工程143・3ではなるべくベストな状態にしたい基準画像を、露光したショットパターンのCADデータから生成する。この時、画像データであるラスタデータの多値化をしている。図136に示すように、例えばパターンA、パターンB、パターンCというそれぞれ線幅の異なるパターンにおいて、パターンBに比べてパターンCはより細密であるが、経験的にパターンの白のレベルを比較した時、パターンBに比べてパターンCの白のレベルの方がより黒に近づき、パターンの黒のレベルを比較した時、パターンBに比べてパターンCの黒のレベルの方がより白に近づく、従って単純に画像として黒と見える値と白と見える値の2値では無く、パターンの形状や粗密やウェーハ上のパターン位置などを考慮して、画像データの多値化をする。
また同時に観察系の設定条件やチャージアップや磁場等の影響も加味して、実際に観察して得られる画像とCADデータから生成された画像データを比較したさいに疑似欠陥として認識されない様に、CADデータから生成された画像データを画像処理する。
工程134・4では、134・3で生成した画像を参照画像として、ウエア上のダイを被検査画像として、ダイ比較して検査する。
工程134・5は、134・4の検査結果を用いて露光条件の判定を行う。すなわち露光条件が不適切であると、例えばダイパターンのライン&スペースが解像しない事や、パ
ターンのエッジ部が鈍角になる事で、基準画像との差分が発生し結果的に、パターン欠陥として検出される効果を利用している。むろん露光条件起因以外に露光ミスなどを起因としたパターン欠陥やパーティクルが検出される場合もあるが、この場合は再検査している。しかしながら確率的に発生頻度が少ないので問題にはなっていない。
工程134・5の具体的な手順は、
1)フォーカスマージンを求めるのが優先なので、露光時間は経験的に得られている固定値にして、この場合のフォーカス値と欠陥個数の関係を求める(図137)。
2)この時、フォーカス値の判定基準は、露光条件により欠陥が1つも発生しない条件としてあるので、結論として、露光条件として許されるフォーカス値はF1からF2である。
3)F1とF2が具体的に、どのような露光機表現の数値・単位であるかは、露光機からRs232cもしくはEthernetで接続された通信経路を通して、ダイの位置とその露光条件を転送すれば、簡単に演算できる。本装置では露光条件としての良否判定と共に、露光機にそのまま入力可能な値に変換して表示する機能も有している。
4)また専用通信経路やSEMI規格等の通信経路を使用すれば、本検査装置の結果を露光機へフィードバックすることも出来る。
以上、露光条件のリソマージン測定について述べたが、露光用マスクであるレチクル又はステンシルマスクを検査してもよい。この場合には、露光条件決めの検査を簡略化できる。
3 他の実施の形態
3−1)ステージ装置の変形例
図138は,本発明による検出装置におけるステージ装置の一変形例を示す。
ステージ138・1のY方向可動部138・2の上面には+Y方向と−Y方向(図139で左右方向)に大きくほぼ水平に張り出した仕切り板138・4が取り付けられ、X方向可動部138・4の上面との間に常にコンダクタンスが小さい絞り部138・5が構成されるようになっている。また、X方向可動部138・4の上面にも同様の仕切り板138・6が±X方向(図138の(A)で左右方向)に張り出すように構成されており、ステージ台138・7の上面との間に常に絞り部138・8が形成されるようになっている。ステージ台138・7は、ハウジング138・9内において底壁の上に公知の方法で固定されている。
このため、試料台138・10がどの位置に移動しても常に絞り部138・5及び138・8が形成されるので、可動部138・2及び138・4の移動時にガイド面138・11、138・12からガスが放出されても、絞り部138・5及び138・8によって放出ガスの移動が妨げられるため、荷電ビームが照射される試料近傍の空間138・13の圧力上昇を非常に小さく押さえることができる。
ステージの可動部138・2の側面及び下面並びに可動部138・4の下面には、静圧軸受け138・14の周囲に、図140に示されるような差動排気用の溝が形成されていてこの溝によって真空排気されるため、絞り部138・5、138・8が形成されている場合は、ガイド面からの放出ガスはこれらの差動排気部によって主に排気されることになる。このため、ステージ内部の空間138・15や138・16の圧力は、チャンバC内の圧力よりも高い状態になっている。したがって、空間138・15、138・16を、差動排気溝140・1や140・2で排気するだけでなく、真空排気する箇所を別に設け
れば空間138・15、138・16の圧力を下げることができ、試料近傍138・13の圧力上昇を更に小さくすることができる。このための真空排気通路138・17と138・18とが設けられている。排気通路はステージ台138・7及びハウジング138・9を貫通してハウジング138・9の外部に通じている。また、排気通路138・18はX方向可動部138・4に形成され、X方向可動部138・4の下面に開口している。
また、仕切り板138・3、138・6を設置すると、チャンバと仕切り板が干渉しないようにチャンバを大きくする必要が生じるが、仕切り板を伸縮可能な材料や構造にすることによってこの点を改善することが可能である。この実施の形態としては、仕切り板をゴムで構成したり蛇腹状にして、その移動方向の端部を、仕切り板138・3の場合はX方向可動部138・4に、仕切り板138・6の場合はハウジング138・9の内壁にそれぞれ固定する構成とすることが考えられる。なお、138・19は鏡筒である。
図141はステージ装置の第2の変形例を示している。この実施態様では、鏡筒の先端部すなわち荷電ビーム照射部141・1の周囲に、試料Wの上面との間に絞り部ができるように円筒状の仕切り141・2が構成されている。このような構成では、XYステージからガスが放出されてチャンバC内の圧力が上昇しても、仕切りの内部141・3は仕切り141・2で仕切られており真空配管141・4で排気されているので、チャンバC内と仕切りの内部141・3との間に圧力差が生じ、仕切り内部の空間141・3の圧力上昇を低く抑えられる。仕切り141・2と試料面との隙間は、チャンバC内と照射部141・1周辺の圧力をどの程度に維持するかによって変わるが、凡そ数十μmないし数mm程度が適当である。なお、仕切り141・2内と真空配管とは公知の方法により連通されている。
また、荷電ビーム照射装置では、試料Wに数kV程度の高電圧を印加することがあり、導電性の材料を試料の近傍に設置すると放電を起こす恐れがある。この場合には、仕切り141・2の材質をセラミックス等の絶縁物で構成すれば、試料Wと仕切り141・2との間で放電を起こすことがなくなる。
なお、試料W(ウェーハ)の周囲に配置したリング部材141・5は試料台141・6に固定された板状の調整部品であり、ウェーハのような試料の端部に荷電ビームを照射する場合であっても、仕切り141・2の先端部全周に亘って微小隙間141・7が形成されるように、ウェーハと同一の高さに設定されている。これによって、試料Wのどの位置に荷電ビームが照射しても、仕切り141・2の先端部には常に一定の微小隙間952が形成され、鏡筒先端部周囲の空間141・3の圧力を安定に保つことができる。
図142には別の変形例が示されている。鏡筒138・19の荷電ビーム照射部141・2の周囲に差動排気構造を内蔵した仕切り142・1が設けられている。仕切り142・1は円筒状の形状をしており、その内部に円周溝142・2が形成され、その円周溝からは上方に排気通路142・3が延びている。その排気通路は内部空間142・4を経由して真空配管142・5に繋がれている。仕切り142・1の下端は試料Wの上面との間に数十μmないし数mm程度の微小隙間を形成している。
このような構成では、ステージの移動に伴ってステージからガスが放出されてチャンバC内の圧力が上昇し先端部すなわち荷電ビーム照射部141・2にガスが流入しようとしても、仕切り142・1が試料Wとの隙間を絞ってコンダクタンスを非常に小さくしているためガスは流入を邪魔され流入量は減少する。更に、流入したガスは、円周溝142・2から真空配管142・5へ排気されるため、荷電ビーム照射部141・2の周囲の空間141・6へ流入するガスはほとんどなくなり、荷電ビーム照射部141・2の圧力を所望の高真空のまま維持することができる。
図143において、さらに他の変形例が示されている。チャンバCと荷電ビーム照射部141・1の周囲には仕切り143・1が設けられ、荷電ビーム照射部141・1をチャンバCから隔てている。この仕切り143・1は、銅やアルミニュウム等の熱伝導性の良い材料からなる支持部材143・2を介して冷凍機143・3に連結されており、−100℃ないし−200℃程度に冷却されている。部材143・4は冷却されている仕切り143・1と鏡筒138・19の間の熱伝導を阻害するためのものであり、セラミックスや樹脂材等の熱伝導性の悪い材料から成っている。また、部材143・5はセラミックス等の非絶縁体から成り、仕切り143・1の下端に形成され試料Wと仕切り143・1が放電することを防ぐ役割を持っている。
このような構成により、チャンバC内から荷電ビーム照射部に流入しようとするガス分子は、仕切り143・1で流入を阻害される上、流入しても仕切り143・1の表面に凍結捕集されてしまうため、荷電ビーム照射部143・6の圧力を低く保つことができる。
なお、冷凍機としては、液体窒素による冷却や、He冷凍機、パルスチューブ式冷凍機等の様様な冷凍機が使用できる。
図144において、さらに他の変形例が示されている。ステージの両可動部には、図138に示したのと同様に仕切り板144・1、144・2が設けられており、試料台144・3が任意の位置に移動しても、これらの仕切りによってステージ内の空間144・4とチャンバC内とが絞り144・5、144・6を介して仕切られる。更に、荷電ビーム照射部141・1の周りには図141に示したのと同様の仕切り144・7が形成されており、チャンバC内と荷電ビーム照射部141・1のある空間が絞り144・8を介して仕切られている。このため、ステージ移動時、ステージに吸着しているガスが空間144・4に放出されてこの部分の圧力を上昇させても、チャンバCの圧力上昇は低く抑えられ、空間144・9の圧力上昇は更に低く抑えられる。これにより、荷電ビーム照射空間144・9の圧力を低い状態に保つことができる。また、仕切り144・7に示したように差動排気機構を内蔵した仕切り142・1としたり、図142に示したように冷凍機で冷却された仕切りとすることによって、空間144・9を更に低い圧力で安定に維持することができるようになる。
これらの実施の形態によれば、次のような効果を奏することが可能である。
(1)ステージ装置が真空内で高精度な位置決め性能を発揮することができ、更に、荷電ビーム照射位置の圧力が上昇しにくい。すなわち、試料に対する荷電ビームによる処理を高精度に行うことができる。
(2)静圧軸受け支持部から放出されたガスが仕切りを通過して荷電ビーム照射領域側に通過することがほとんどできない。これによって荷電ビーム照射位置の真空度を更に安定させることができる。
(3)荷電ビーム照射領域側に放出ガスが通過することが困難になり、荷電ビーム照射領域の真空度を安定に保ち易くなる。
(4)真空チャンバ内が、荷電ビーム照射室、静圧軸受け室及びその中間室の3室に小さいコンダクタンスを介して分割された形になる。そして、それぞれの室の圧力を、低い順に荷電ビーム照射室、中間室、静圧軸受け室となるように真空排気系を構成する。中間室への圧力変動は仕切りによって更に低く抑えられ、荷電ビーム照射室への圧力変動は、もう一段の仕切りによって更に低減され、圧力変動を実質的に問題ないレベルまで低減することが可能となる。
(5)ステージが移動した時の圧力上昇を低く抑えることが可能になる。
(6)ステージが移動した時の圧力上昇を更に低く抑えることが可能である。
(7)ステージの位置決め性能が高精度で、かつ荷電ビームの照射領域の真空度が安定した検査装置を実現することができるので、検査性能が高く、試料を汚染する恐れのない検
査装置を提供することができる。
(8)ステージの位置決め性能が高精度で、かつ荷電ビーム照射領域の真空度が安定した露光装置を実現することができるので、露光精度が高く、試料を汚染する恐れのない露光装置を提供することができる。
(9)ステージの位置決め性能が高精度で、かつ荷電ビーム照射領域の真空度が安定した装置によって半導体を製造することにより、微細な半導体回路を形成できる。
なお、図138〜図144のステージ装置を図13のステージ13・6に適用できることは明らかである。
図145ないし図147を参照して、本発明によるXYステージの他の実施の形態を説明する。なお、図148の従来例及び実施の形態において共通する構成部材を示す参照番号は同じになっている。なお、この明細書中で「真空」とは当該技術分野において呼ばれる真空であって、必ずしも絶対真空を指すものではない。
図145において、XYステージの他の実施態様が示されている。荷電ビームを試料に向かって照射する鏡筒145・1の先端部すなわち荷電ビーム照射部145・2が真空チャンバCを画成するハウジング145・3に取り付けられている。鏡筒145・1の直下には、XYステージ145・4のX方向(図145において左右方向)の可動テーブル上に載置されている試料Wが配置されるようになっている。この試料Wは高精度なXYステージ145・4によって、その試料面上の任意の位置に対して正確に荷電ビームを照射させることができる。
XYステージ145・4の台座145・5はハウジング145・3の底壁に固定され、Y方向(図145において紙面に垂直の方向)に移動するYテーブル145・6が台座145・5の上に載っている。Yテーブル145・6の両側面(図145において左右側面)には、台座145・・5に載置された一対のY方向ガイド145・7及び145・8のYテーブルに面した側に形成された凹溝内に突出する突部が形成されている。その凹溝はY方向ガイドのほぼ全長に亘ってY方向に伸びている。凹溝内に突出する突部の上、下面及び側面には公知の構造の静圧軸受け145・9、145・10、145・11、145・12がそれぞれ設けられ、これらの静圧軸受けを介して高圧ガスを吹き出すことにより、Yテーブル145・6はY方向ガイド145・7、145・8に対して非接触で支持され、Y方向に円滑に往復運動できるようになっている。また、台座145・5とYテーブル145・6との間には、公知の構造のリニアモータ145・13が配置されており、Y方向の駆動をそのリニアモータで行うようになっている。Yテーブルには、高圧ガス供給用のフレキシブル配管145・14によって高圧ガスが供給され、Yテーブル内に形成されたガス通路(図示せず)を通じて上記静圧軸受け145・10ないし145・9及び145・12ないし145・11に対して高圧ガスが供給される。静圧軸受けに供給された高圧ガスは、Y方向ガイドの対向する案内面との間に形成された数ミクロンから数十ミクロンの隙間に噴出してYテーブルを案内面に対してX方向とZ方向(図145において上下方向)に正確に位置決めする役割を果たす。
Yテーブル上にはXテーブル145・14がX方向(図145において左右方向)に移動可能に載置されている。Yテーブル145・6上にはYテーブル用のY方向ガイド145・7、145・8と同じ構造の一対のX方向ガイド145・15(145・16)(145・15のみ図示)がXテーブル145・14を間に挟んで設けられている。X方向ガイドのXテーブルに面した側にも凹溝が形成され、Xテーブルの側部(X方向ガイドに面した側部)には凹溝内に突出する突部が形成されている。その凹溝はX方向ガイドのほぼ全長に亘って伸びている。凹溝内に突出するX方向テーブル145・14の突部の上、下面及び側面には前記静圧軸受け145・9、145・10、145・17、145・11、145・12、145・18と同様の静圧軸受け(図示せず)が同様の配置で設けられ
ている。Yテーブル145・6とXテーブル145・14との間には、公知の構造のリニアモータ145・19が配置されており、XテーブルのX方向の駆動をそのリニアモータで行うようにしている。そして、Xテーブル145・14にはフレキシブル配管145・20によって高圧ガスが供給され、静圧軸受けに高圧ガスを供給するようになっている。この高圧ガスが静圧軸受けからX方向ガイドの案内面に対して噴出されることによって、Xテーブル145・14がY方向ガイドに対して高精度に非接触で支持されている。
真空チャンバCは公知の構造の真空ポンプ等に接続された真空配管145・21、145・22、145・23によって排気されている。配管145・22、145・23の入口側(真空チャンバ内側)は台座145・5を貫通してその上面において、XYステージ145・4から高圧ガスが排出される位置の近くで開口しており、真空チャンバ内の圧力が静圧軸受けから噴出される高圧ガスにより上昇するのを極力防止している。
鏡筒145・1の先端部すなわち荷電ビーム照射部145・2の周囲には、差動排気機構145・24が設けられ、真空チャンバC内の圧力が高くても荷電ビーム照射空間145・25の圧力が十分低くなるようにしてある。すなわち、荷電ビーム照射部145・2周囲に取り付けられた差動排気機構145・24の環状部材145・26は、その下面(試料W側の面)と試料との間で微少隙間(数ミクロンから数百ミクロン)145・27が形成されるように、ハウジング145・3に対して位置決めされており、その下面には環状溝145・28が形成されている。環状溝145・28は排気管145・29により図示しない真空ポンプ等に接続されている。したがって、微少隙間145・27は環状溝145・28及び排気口145・29を介して排気され、真空チャンバCから環状部材145・26によって囲まれた空間145・25内にガス分子が侵入しようとしても、排気されてしまう。これにより、荷電ビーム照射空間145・25内の圧力を低く保つことができ、荷電ビームを問題なく照射することができる。この環状溝は、チャンバ内の圧力、荷電ビーム照射空間145・25内の圧力によっては、二重構造或いは三重構造にしてもよい。
静圧軸受けに供給する高圧ガスは、一般にドライ窒素が使用される。しかしながら、可能ならば、更に高純度の不活性ガスにすることが好ましい。これは、水分や油分等の不純物がガス中に含まれると、これらの不純物分子が真空チャンバを画成するハウジングの内面やステージ構成部品の表面に付着して真空度を悪化させたり、試料表面に付着して荷電ビーム照射空間の真空度を悪化させてしまうからである。なお、以上の説明において、試料Wは通常Xテーブル上に直接載置されるのでなく、試料を取り外し可能に保持したりXYステージ145・4に対して微少な位置変更を行うなどの機能を持たせた試料台の上に載置されているが、試料台の有無及びその構造は本実施の形態の要旨には関係ないので、説明を簡素化するために省略されている。
以上に説明した荷電ビーム装置では、大気中で用いられる静圧軸受けのステージ機構をほぼそのまま使用できるので、露光装置等で用いられる大気用の高精度ステージと同等の高精度のXYステージを、ほぼ同等のコスト及び大きさで荷電ビーム装置用のXYステージに対して実現できる。なお、以上説明した静圧ガイドの構造や配置及びアクチュエータ(リニアモータ)はあくまでも一実施の形態であり、大気中で使用可能な静圧ガイドやアクチュエータならば何でも適用できる。
次に、差動排気機構の環状部材145・26及びそれに形成される環状溝の大きさの数値例を図146に示す。なお、この例では環状溝は146・1及び146・2の二重構造を有しており、それらは半径方向に隔てられている。
静圧軸受けに供給される高圧ガスの流量は、通常おおよそ20L/min(大気圧換算
)程度である。真空チャンバCを、内径50mmで長さ2mの真空配管を介して20000L/minの排気速度を有するドライポンプで排気すると仮定すると、真空チャンバ内の圧力は、約160Pa(約1.2Torr)となる。この時、差動排気機構の環状部材146・3及び環状溝等の寸法を、図146に示されるようにすれば、荷電ビーム照射空間141・1内の圧力を10-4Pa(10-6Torr)にすることができる。
図147において、XYステージの他の実施態様が示されている。ハウジング147・1によって画成された真空チャンバCには、真空配管147・2、147・3を介してドライ真空ポンプ147・4が接続されている。また、差動排気機構147・5の環状溝147・6は排気口147・7に接続された真空配管147・8を介して超高真空ポンプであるターボ分子ポンプ147・9が接続されている。更に、鏡筒147・10の内部は、排気口147・11に接続された真空配管147・12を介して、ターボ分子ポンプ147・13が接続されている。これらのターボ分子ポンプ147・9、147・13は、真空配管147・14、147・15によってドライ真空ポンプ147・4に接続されている。図では、ターボ分子ポンプの粗引きポンプと真空チャンバの真空排気用ポンプを1台のドライ真空ポンプで兼用したが、XYステージの静圧軸受けに供給する高圧ガスの流量、真空チャンバの容積や内表面積、真空配管の内径や長さに応じて、それらを別系統のドライ真空ポンプで排気する場合も考えられる。
XYステージの静圧軸受けには、フレキシブル配管147・16、147・16を通して高純度の不活性ガス(N2ガス、Arガス等)が供給される。静圧軸受けから噴出したこれらのガス分子は真空チャンバ内に拡散し、排気口147・18、147・19、147・20を通してドライ真空ポンプ147・4によって排気される。また、差動排気機構や荷電ビーム照射空間に侵入したこれらのガス分子は環状溝147・6或いは鏡筒147・10の先端部から吸引され、排気口147・7及び147・11を通ってターボ分子ポンプ147・9及び147・13によって排気され、ターボ分子ポンプから排出された後ドライ真空ポンプ147・4よって排気される。このように、静圧軸受けに供給された高純度不活性ガスはドライ真空ポンプに集められて排出される。
一方、ドライ真空ポンプ147・4の排気口は、配管147・21を介して圧縮機147・22に接続され、圧縮機147・22の排気口は配管147・23、147・24、147・25及びレギュレータ147・26、147・27を介してフレキシブル配管147・16、147・17に接続されている。このため、ドライ真空ポンプ147・4から排出された高純度不活性ガスは、圧縮機147・22によって再び加圧されレギュレータ147・26、147・27で適正な圧力に調整された後、再びXYテーブルの静圧軸受けに供給される。
なお、静圧軸受けに供給されるガスは上述したようにできるだけ高純度にし、水分や油分が極力含まれないようにする必要があるため、ターボ分子ポンプ、ドライポンプ及び圧縮機は、ガス流路に水分や油分が混入しないような構造であることが求められる。また、圧縮機の排出側配管147・23の途中にコールドトラップやフィルタ等(147・28)を設け、循環するガス中に混入した水分や油分等の不純物質をトラップして静圧軸受けに供給されないようにすることも有効である。
こうすることによって、高純度不活性ガスを循環させて再利用できるので、高純度不活性ガスを節約でき、また、本装置が設置された部屋に不活性ガスをたれ流さないので、不活性ガスによる窒息等の事故が発生する恐れもなくすことができる。
なお、循環配管系には高純度不活性ガス供給系147・29が接続されており、ガスの循環を始める際に、真空チャンバCや真空配管147・8、147・12、147・14
、147・15、147・2、147・3及び加圧側配管147・21、147・23、147・24、147・25、147・30を含む全ての循環系に高純度不活性ガスを満たす役割と、何らかの原因で循環するガスの流量が減少した際に不足分を供給する役割とを担っている。また、ドライ真空ポンプ147・4に大気圧以上まで圧縮する機能を持たせることによって、ドライ真空ポンプ147・4と圧縮機147・22を1台のポンプで兼ねさせることも可能である。
更に、鏡筒の排気に用いる超高真空ポンプには、ターボ分子ポンプの代わりにイオンポンプやゲッタポンプ等のポンプを使用することも可能である。ただし、これらの溜込み式ポンプを用いた場合は、この部分には循環配管系を構築することはできないことになる。また、ドライ真空ポンプの代わりに、ダイヤフラム式ドライポンプ等、他方式のドライポンプを使用することももちろん可能である。
図149において、本実施の形態による荷電ビーム装置の光学系及び検出器が模式的に示されている。光学系は鏡筒内に設けられているが、この光学系及び検出器はあくまでも例示であり、必要に応じて任意の光学系、検出器を使用できる。荷電ビーム装置の光学系149・1は、荷電ビームをステージ149・2上に載置された試料Wに照射する一次光学系149・3と、試料から放出された二次電子が投入される二次光学系149・4とを備えている。一次光学系149・3は、荷電ビームを放出する電子銃149・5と、電子銃149・5から放出された荷電ビームを集束する2段の静電レンズからなるレンズ系149・6と、偏向器149・7と、荷電ビームをその光軸が対象の面に垂直になるように偏向するウイーンフィルタすなわちE×B分離器149・8と、2段の静電レンズからなるレンズ系149・9とを備え、それらは、図149に示されるように電子銃149・5を最上部にして順に、荷電ビームの光軸が試料Wの表面(試料面)に鉛直な線に対して傾斜して配置されている。E×B偏向器149・8は電極149・10、び磁石149・11を備えている。
二次光学系149・4は試料Wから放出された二次電子が投入される光学系で、一次光学系のE×B型偏向器149・8の上側に配置された2段の静電レンズからなるレンズ系149・12を備えている。検出器149・13は、二次光学系149・4を介して送られた二次電子を検出する。上記光学系149・1及び検出器149・13の各構成要素の構造及び機能は従来のものと同じであるから、それらについての詳細な説明は省略する。
電子銃149・5から放出された荷電ビームは、電子銃の正方形開口で整形され、2段のレンズ系149・6によって縮小され、偏光器149・7で光軸を調整されてE×B偏向器149・8の偏向中心面に一辺が1.925mmの正方形に結像される。E×B偏向器149・8は、試料の法線に垂直な平面内において、電界と磁界とを直交させた構造となっており、電界、磁界、電子のエネルギの関係が一定の条件を満たす時には電子を直進させ、それ以外の時にはこれら電界、磁界及び電界のエネルギの相互の関係により所定方向に偏向されるようになっている。図149においては、電子銃からの荷電ビームを試料Wに垂直に入射させ、また試料から放出された二次電子を検出器149・13の方向に直進させるように設定されている。E×B偏光器で偏向された成形ビームはレンズ系149・9で1/5に縮小されて試料Wに投影される。試料Wから放出されたパターン画像の情報を持った二次電子はレンズ系149・9、149・4で拡大され、検出器149・13で二次電子画像を形成する。この4段の拡大レンズは、レンズ系149・9が対称ダブレットレンズを形成し、レンズ系149・12もやはり対称ダブレットレンズを形成しているので無歪みレンズとなっている。
本実施の形態によれば、次のような効果を奏することが可能である。
(1)大気中で一般に用いられる静圧軸受け式のステージと同様の構造を持ったステージ
(差動排気機構を持たない静圧軸受け支持のステージ)を使用して、ステージ上の試料に対して荷電ビームによる処理を安定に行うことができる。
(2)荷電ビーム照射領域の真空度に対する影響を最小限に抑えることが可能になり、荷電ビームによる試料への処理を安定化させることができる。
(3)ステージの位置決め性能が高精度で、かつ荷電ビームの照射領域の真空度が安定した検査装置を安価に提供することができる。
(4)ステージの位置決め性能が高精度で、かつ荷電ビーム照射領域の真空度が安定した露光装置を安価に提供することができる。
(5)ステージの位置決め性能が高精度で、かつ荷電ビーム照射領域の真空度が安定した装置によって半導体を製造することにより、微細な半導体回路を形成できる。
3−2)電子線装置の他の実施の形態
さらに、この写像投影方式の課題解決を考慮した、もう1つの方式として一次電子線を複数とし、前記複数の電子線を二次元(X−Y方向)に走査しながら(ラスタースキャン)試料表面の観察領域を照射するものであり、二次電子光学系は写像投影方式を採用した方式がある。
この方式は、前述の写像投影方式の利点を持つとともに、この写像方式の課題である、(1)電子線を一括照射するために、試料表面上でチャージアップしやすいこと、(2)本方式で得られる電子線電流に限界が有り(1.6μA程度)検査速度向上の妨げとなっていること、については複数の電子線を走査することにより解決できる。即ち、電子線照射点が移動するので電荷が逃げやすく、チャージアップが減少する。また、複数の電子線の本数を増やすことにより、容易に電流値を増加できる。実施の形態においては4本の電子線を使う場合、一本の電子線電流が500nA(電子線の径10μm)で合計2μAが得られている。16本程度には容易に電子線の数を増やすことが可能であり、この場合で8μAを得ることが原理的に可能である。複数の電子線の走査は複数の電子線による照射量が、照射領域に均一になるように照射されれば良いので、前記のようにラスタスキャンに限らず、リサージュ図形などの他の形状の走査形状でも良い。従って、ステージの走査方向は複数の電子線の走査方向に垂直である必要は無い。
3−2−1)電子銃(電子線源)
この実施の形態で用いられる電子線源として熱電子線源を使用している。電子放出(エミッタ)材はLaB6である。高融点(高温での蒸気圧が低い)で仕事関数の小さい材料であれば、他の材料を使用することが可能である。複数の電子線を得るために、2通りの方法を用いている。一つは一本のエミッタ(突起が一つ)から一本の電子線引き出し、複数の穴のあいた薄板(開ロ板)を通すことにより、複数の電子線を得る方法、もう一つの方法は一本のエミッタに複数の突起を形成してそこから直に複数の電子線を引き出す方法である。いずれの場合も電子線は突起の先端から放出されやすい性質を利用している。他の方式の電子線源例えば熱電界放出型の電子線やショットキータイプも使用可能である。さらに電子銃は矩形、線形のビームを出すものでも良く、その形状を作り出すために、開口形状で行っても良いし、電子源の電子生成部(チップ又はフィラメント等)の形状を矩形又は線状にしても良い。
なお、熱電子線源は電子放出材を加熱することにより電子を放出する方式であり、熱電解放出電子線源とは、電子放出材に高電界をかけることにより電子を放出させ、更に電子線放出部を加熱することにより、電子放出を安定させた方式である。
図150のAは、該他の実施の形態による電子線装置の概略図である。一方、図150のBは、複数の一次電子線で試料を走査する態様を示す概略平面T図である。空間電荷制
限条件で作動可能な電子銃150・1は、図150のBに符号150・2で示すようなマ
ルチビームを形成する。マルチビーム150・2は、円周上に配置された8個の円形ビームである一次電子線150・3から構成される。
電子銃150・1で発生した複数の一次電子線150・3は、レンズ150・5、150・6を用いて集束され、電極150・7および磁石150・8からなるE×B分離器150・9によって試料Wに対して直角に入射するようになされている。これらの要素150・4、150・5、150・6、150・9とレンズ150・10および対物レンズ150・11とを含む一次光学系によって試料W上に集束された複数の一次電磁線150・3からなるマルチビーム150・2は、レンズ150・6の下流側に設けた2段偏向器(図示せず。一次光学系に含まれる)により試料W上の走査に用いられる。
試料Wの走査は、対物レンズ150・11の主面を偏向中心として、x軸方向に行われる。図150のBに示すように、マルチビーム150・2のそれぞれの一次電子線150・3は、円周上に互いに離れて配置されており、走査方向であるx方向に直交するy軸上に投影したとき、互いに隣接する一次電子線150・3間の距離(各一次電子線の中心で計測する。)が等間隔になるように設計されている。このとき、互いに隣接する一次電子線150・3どうしは、離れていても、接していても、一部が重なり合っていてもよい。
重なり合いピッチは100μm以下の任意の値に設定して良く、好ましくは50μm以下、より好ましくは10μm以下に設定して良い。ビーム形のピッチ以下にすることにより、ビーム同士が接触して線状の形状にすることも可能である。また初めから矩形又は線状のビームを形成したものを用いても良い。
図150のBに示すように、マルチビーム150・2を構成するそれぞれの一次電子線150・3が、互いに離れて配置されていることにより、個々の一次電子線150・3の電流密度限界値すなわち試料Wに帯電を生じさせない限界の電流密度値は、単一の円形ビームを使用した場合と同等に維持することができ、それにより、S/N比の低下を防止することができる。また、各一次電子線150・3が互いに離れているので、空間電荷効果も小さい。
その一方で、マルチビーム150・2は、一回の走査で試料Wを視野150・12の全面に亘って一様な密度で走査することができる。これにより、高スループットで画像形成ができ、検査時間の短縮を図ることができる。図150のBにおいて、符号150・2が走査の始点にあるマルチビームを示すとすると、符号150・13は走査の終点にあるマルチビームを示す。
試料Wは試料台(図示せず)に載せられる。この台は、x方向への走査時(例えば200μm幅で走査)に、走査方向xに直交する方向yに沿って連続移動せしめられる。これにより、ラスタ走査が行われる。試料を載せた台を移動させるための駆動装置(図示せず)が設けられる。
走査時に試料Wから発生し色々な方向に放出された二次電子は、対物レンズ150・11で光軸方向に加速され、その結果、各点から色々な方向に放出された二次電子はそれぞれが細く集束され、レンズ150・10、150・11、150・14、150・15で像の間隔が拡大される。これらのレンズ150・10、150・11、150・14、150・15を含む二次光学系を経て形成された二次電子線150・16は、検出器150・17の受光面に投影され、視野の拡大像を結像させる。
光光学系に含まれる検出器150・17は、MCP(マイクロチャンネルプレート)で二次電子線を増倍し、シンチレータで光信号に変換し、CCD検出器で電気信号に変換す
る。CCDからの電気信号により、試料Wの二次元画像を形成することができる。それぞれの一次電子線150・3は、CCD画素の少なくとも2画素以上の寸法を有するものとする。
電子銃150・1を空間電荷制限条件で動作させることにより、一次電子線150・3のショット雑音は、温度制限条件で動作させた場合より約1桁少なくすることができる。したがって、二次電子信号のショット雑音も1桁小さくできるので、S/N比の良い信号を得ることができる。
本実施の形態の電子線装置によれば、試料に帯電を生じさせない一次電子線の電流密度限界値を、単一の円形ビームを使用した場合と同等に維持することによりS/N比の低下を防止しつつ、高スループットで画像形成することにより検査時間を短縮できる。
また本実施の形態によるデバイス製造方法は、かかる電子線装置を用いて各ウェーハプロセスの終了後にウェーハの評価を行うことによって、歩留まり向上をT図ることができ
る。
図151は、図150のAの実施の形態による電子線装置の詳細を示す図である。電子銃151・1から放出された4本の電子線151・2(151・3〜151・6)は開口絞り151・7で整形され、2段のレンズ151・8、151・9でウィーンフィルタ151・10の偏向中心面に10μm×12μmの楕円状に結像され、図の紙面垂直方向に偏向器151・11によりラスタースキャンされ、4本の電子線全体として1mm×0.25mmの矩形領域を均一にカバーするように結像される。E×B151・10で偏向された複数の電子線はNA絞りでクロスオーバーを結び、レンズ151・11で1/5に縮小され試料Wに200μ×50μmをカバーし、かつ試料面に垂直になるように照射、投影される(ケーラー照明と呼ばれる)。試料から放出されたパターン画像(試料像F)の情報を持った4本の2次電子線151・12はレンズ15・11、151・13、151・14で拡大され、MCP151・15上に全体として4本の電子線151・12で合成された矩形画像(拡大投影像F‘)として結像する。この二次電子線151・12による
拡大投影像F’は、MCP151・15で1万倍に増感され、蛍光部により光に変換され、TDI−CCD151・16で試料の連続移動速度に同期された電気信号となり、画像表示部151・17で連続した画像として取得され、CRT等に出力した。
電子線照射部は試料表面をできるだけ均一に、かつ照射むらを少なくして、矩形または楕円状に電子線で照射する必要があり、また、スループットをあげるためにはより大きな電流で照射領域を電子線照射する必要がある。従来の電子線照射むらは±10%程度であり画像のコントラストむらが大きく、また、電子線照射電流は照射領域において500nA程度と少ないために、高いスループットが得られないという問題があった。また、走査型電子線顕微鏡(SEM)方式に比べて、本方式は広い画像観察領域を一括して電子線照射するためにチャージアップによる結像障害が生じやすいという問題があった。
本実施の形態の一次電子線照射方法を図152により示す。一次電子線152・1は4本の電子線152・2〜152・5で構成され、それぞれのビームは2μm×2.4μmの楕円状しており、それぞれ1本当り200μm×12.5μmの矩形領域をラスタースキャンし、それらが重なり合わないように足し合わせて全体として200μ×50μmの矩形領域を照射する。ビーム151・2は151・2’ヘ有限の時間で到達し次にビームスポット径分(10μm)ずれた151・2の直下にほとんど時間損失なしに戻り、再度前記と同じ有限の時間で151・2〜151・2’に平行に151・2’の直下(151・3’方向)に移動し、これを繰り返して図の点線で示す矩形の照射領域の1/4(200μm×12.5μm)を走査した後はじめの点152・1に戻りこれを高速に繰り返す
他の電子線152・3〜152・5も電子線152・2と同様に同じ速度で走査を繰り返し、全体として図の矩形の照射領域(200μ×50μm)を均一に高速に照射する。
均一に照射できれば、前記のラスタースキャンでなくても良い。例えばリサージュ形を描くように走査しても良い。従って、ステージの移動方向は図に示す方向Aである必要は無い。即ち、スキャン方向(図の横方向の高速走査方向)に垂直である必要は無い。
本実施の形態では電子線照射むらは±3%程度で照射できた。照射電流は1本の電子線当たり250nAで試料表面で全体として、4本の電子ビームで1.0μAを得ることができた(従来の2倍)。電子線の本数を増やすことにより、電流を増加でき、高スループットを得ることができる。また、照射点が従来に比べて小さく(面積で約1/80)また移動しているのでチャージアップは従来の1/20以下に抑えることができた。
図中には示していないが、本装置には、レンズの他に、制限視野絞り、電子線の軸調整のための4極またはそれ以上の極数を有する偏向器(アライナー)、非点収差補正器(スティグメータ)、さらにビーム形状を整形する複数の4重極レンズ(4極子レンズ)等電子線の照明、結像に必要なユニットを備えている。
3−2−2)電極の構造
図153は、電子線を試料に照射する静電レンズを用いた電子光学系において絶縁破壊を防止する電極構造を備える電子線装置を示している。
これまで、光学的に検査するだけでは十分な感度や解像度が得られないような微細な試料の表面状態を検査する為に、電子線を利用した高感度、高解像度な電子線装置を用いるための検討がなされている。
このような電子線装置は、電子線源によって電子線を放出し、静電レンズ等の静電光学系によって、この放出された電子線を加速したり収束したりするなどして検査対象である試料に入射させる。次に、電子線の入射によって試料から放出される二次電子線を検出することによって、検出された二次電子線に対応する信号を発生させ、この信号により例えば、試料のデータを形成する。この形成されたデータにより、試料の表面状態を検査する。
こうした電子線装置に用いられる静電レンズ等の静電レンズを用いた電子光学系には、電子線を加速したり収束するための電界を生成する電極が、電子線の光軸方向に多段に配設されている。これら電極には各々所定の電圧が印加され、こうして電極の電位差によって生ずる電界によって、電子線を加速したり、光軸上の所定の点に収束させるようにしている。
従来の電子線装置においては、電子線源から放出した電子線の一部が、静電レンズを用いた電子光学系における電界に係わらず電極に衝突する場合がある。この場合に、電子線が電極に衝突することにより、電極自体から二次電子線が放出される。この電極から放出される二次電子線の量は、電極の材料、又は、電極をコーティングしている材料によって変化する。この電極から放出される二次電子線が多くなると、この二次電子線は電極の電界によって加速され、装置内の残ガスをイオン化し、このイオンが電極に衝突することによって、更に、電極から二次電子線が放出される。したがって、二次電子線が大量に放出されると、電極間において放電が生じ易くなり、電極間で絶縁破壊を起こす確率が増加してしまう。
例えば、電極がアルミニウムでコーティングされている場合と、金でコーティングされている場合とで、絶縁破壊の確率を比較すると、アルミニウムの場負の方が電極間の絶縁破壊の確率が若干高かった。アルミニウムは、仕事関数が4.2[eV]であり、金は、仕事関数は4.9[eV]である。ここで、仕事関数とは、金属にある1個の電子線を真空中に取り出すのに必要な最小のエネルギーである(単位:eV)。
また、電極が金でコーティングされている場合であって、更に、電子線装置の試料が半導体ウェーハである場合は、コーティングした金に電子線が衝突することによって金がスパッタされ、半導体ウェーハの表面に金が付着してしまう場合がある。半導体表面に金が付着すると、後の熱工程で金がシリコン結晶中に拡散されトランジスタの性能を劣化させる。よってこの場合に、電子線装置は半導体ウェーハの検査に適さない。
一方、静電レンズを用いた電子光学系の例えば、静電レンズにおいては、電極間距離を短くすることによって焦点距離の短い静電レンズが得られる。焦点距離が短いと、静電レンズの収差係数は小さくなり低収差となるので、静電レンズは高分解能となり、評価装置の分解能が向上する。
また、静電レンズの電極間に与える電位差を大きくすることによっても、焦点距離の短い静電レンズとすることができる。よって、電極間距離を短くする場合と同様に、静電レンズは低収差で高分解能となり、電子線装置の分解能が向上する。したがって、電極間距離を短くして電極間の電位差を大きくしてやれば、相乗的に静電レンズは低収差で高分解能とすることができる。しかし、電極間距離を短くして電極間の電位差大きくすると、電極間において放電が生じ易くなり、電極間で絶縁破壊を起こす確率が増加してしまうという問題がある。
従来、電極間の絶縁は、電極間に絶縁材料を挿入し、この絶縁材料によって電極を支持することによって、電極間の絶縁を保持していた。また、電極間の絶縁材料の最短沿面距離(絶縁表面長さ)を長くすることによって、絶縁材料表面の絶縁性能を高めていた。例えば、絶縁材料の表面を電極間方向のヒダ形状とすることによって、電極間における最短沿面距離を長くしていた。
しかしながら、一般に、絶縁材料表面の加工は、金属の加工に比べると加工が困難で、加工費用が高価になってしまう。また、絶縁材料表面をヒダ形状等とすると、絶縁材料の表面積が広くなってしまうので、電子線装置内が真空の場合は、絶縁材料からの放出ガスが多くなる場合がある。よって、真空度の劣化を招き、かえって電極間の耐圧が下がってしまう場合が多かった。
図153の実施の形態はこのような問題を解決するために提案されたものであり、以下、この実施の形態に係る、静電光学系の電極間の絶縁破壊を防止し得る電子線装置を、静電光学系を有する写像投影型評価装置に適用した場合について、その写像投影型評価装置の構成、動作および該装置を用いたデバイス製造方法を説明する。
図153において、写像投影型評価装置153・1は、試料を照射する電子線が所定の放射面を持っており、電子線の照射によって試料から放射される二次電子線も所定の放射面を持っている。電子線源153・2からは、二次元領域、例えば矩形の放射面をもつ電子線が放射され、静電レンズ系153・3によって所定倍率に拡大される。拡大された電子線は、斜め上方からE×B型偏向器153・4に入射され、E×B型偏向器153・4の電界と磁界が直交する場により、試料である半導体ウェーハ153・5の方向に偏向される(図153の実線)。
E×B型偏向器153・4によって半導体ウェーハ153・5の方へ偏向された電子線は、静電対物レンス系153・6内の電極に印加された電圧によって発生した電界により減速され、静電対物レンズ系153・6によって半導体ウェーハ153・5に結像される。
次に、半導体ウェーハ153・5への電子線の照射によって発生した二次電子線は、静電対物レンズ系153・6の電界によって検出器153・7の方向に加速され(図153の点線)、E×B型偏向器153・4に入射される。E×B型偏向器153・4は、加速された二次電子線を静電中間レンズ系153・8方向に向かわせ、次に、静電中間レンズ系153・8によって二次電子線を検出器153・7に入射させることによって二次電子線が検出される。検出器153・7によって検出された二次電子線はデータに変換されて表示装置153・9に送信され、表示装置153・9に二次電子線の画像を表示し、半導体ウェーハ153・5のパターンを検査する。
次に、写像投影型評価装置153・1における静電レンズ系153・3、静電対物レンズ系153・6、静電中間レンズ系153・8およびE×B型偏向器153・4の構成について詳細に説明する。電子線が通過する静電レンズ系153・3、静電対物レンズ系153・6や、二次電子線が通過する静電中間レンズ系153・8は、所定の電界を発生させる為の複数の電極を含んでいる。また、これら全ての電極の表面には、白金がコーティングされている。更に、E×B型偏向器153・4の電極153・10の表面も白金でコーティングされている。
ここで、図154を参照して、電極をコーティングする金属別における絶縁破壊発生確率について説明する。尚、絶縁破壊発生率は、金属毎に相対的な大小関係で表している。また、写像投影型評価装置において、電極をコーティングする金属の種類を除く他の検査条件は同一とした。
まず、電極をコーティングした金属がアルミニウムの場合と、金の場合において、絶縁破壊が発生する確率を比較すると、金の場合の方が電極の絶縁破壊の発生確率が若干低かった。よって、金の場合の方が絶縁破壊の防止については効果があった。また更に、電極をコーティングした金属が金の場合と、白金の場合において、絶縁破壊が発生する確率を比較すると、白金の場合の方が電極の絶縁破壊の発生確率が更に低かった。
ここで、各金属の仕事関数は、アルミニウムが4.2[eV〕であり、金が4.9[eV〕、白金は5.3[eV]である。金属の仕事関数とは、金属にある1個の電子線を真空中に取り出すのに必要な最小のエネルギーである(単位:eV)。即ち、仕事関数の値が大きい程、電子線が取り出しにくいことになる。
よって、写像投影型評価装置153・1において、電子線源153・2から放射された電子線が電極に衝突した場合に、仕事関数の値が大きい金属(仕事関数の値が大きい金属を主材料とする合金をも含む)が電極にコーティングされていれば、電極から放出される二次電子線は少なくなるので、電極の絶縁破壊の発生確率も低下する。そのため、仕事関数が大きい金属であれば、或る程度良い。具体的には、電極にコーティングされる金属の仕事関数が5[eV〕であれば、電極の絶縁破壊の発生確率は低く抑えることができる。
また、この実施の形態のように、検査対象となる試料が半導体ウェーハ153・5であり、更に、電極にコーティングされる金属が金の場合であると、電子線が金に衝突することによって、半導体ウェーハ153・5のパターン上に金が付着してしまうことがあった。よって、この実施の形態においては、電極にコーティングされる金属が白金であると、半導体ウェーハ153・5のパターン上に白金が付着することなく、また、白金が付着す
ることがあってもデバイス性能を劣化させることもない。更に、電極の絶縁破壊の発生確率も低くすることができ、より好ましい。
次に、図155と図156を参照して、電極の形状と構成の一例を説明する。図155において、電極155・1とは、静電レンズ系153・3、静電対物レンズ系153・6および静電中間レンズ系153・8に含まれる静電レンズの電極である。
電極155・1は、電子線や二次電子線が通過することができる通過孔が略中央部にある円盤形状になっており、この実施の形態の写像投影型評価装置153・1において、電極155・1には、図示しない電源装置により所定の電圧が印加されている。
図156は電極155・1の表面部の一部断面図である。なお、E×B型偏向器153・4の電極153・10の表面も電極155・1の表面と同等の構成としてもよい。電極155・1の材料は、ケイ素銅(シリコンブロンズ)156・1から構成され、必要な寸法形状に加工されたケイ素銅156・1上にチタン156・2を50nmの厚さになるようにスパッタ・コーティングし、更に、チタン156・2上に白金156・3を200nmの厚さになるようにスパッタ・コーティングを行って電極155・1が形成される。
ここで、図157および図158を参照して、この実施の形態において、電極間の電位差が大きい場合の電極間の絶縁破壊を防止する電極構成について詳細に説明する。図157の電極157・1、157・2は、例えば、静電対物レンズ系153・6に含まれている電極であり、上記のように電極には白金がコーティングされている。また、電極157・1、157・2には、図示しない電源装置により所定の電圧が印加されている。この実施の形態では、半導体ウェーハ153・5側の電極157・2には高電圧、例えば15kVの電圧が印加され、電極157・1には5kVの電圧が印加されている。
電子線や二次電子線が通過する通過孔157・3は、電極157・1、157・2の中央部にあり)通過孔157・3内は電極157・1、157・2の電位差によって電界が形成されている。この電界によって、電子線は減速し、且つ収束されて、半導体ウェーハ153・5に照射される。この時、電極間の電位差が大きいので、静電対物レンズ系153・6は焦点距離の短い静電対物レンズとすることができる。よって、静電対物レンズ系153・6は低収差で高分解能となる。
電極157・1、157・2の間には、絶縁スペーサ157・4が挿入されており、絶縁スペーサ157・4は、電極157・1、157・2を略垂直に支持している。絶縁スペーサ157・4の電極間における最短沿面距離は、支持された電極部分における電極間距離と略同じ長さである。即ち、電極間の絶縁スペーサ157・4の表面は、電極間方向においてヒダ状等になっておらず、ほぼ直線になっている。
電極157・2は電極間において最短距離となっている第1の電極面157・5と、この第1の電極面157・5よりも電極間距離が長い第2の電極面157・6と、第1の電極面157・5と第2の電極面157・6との間にこれら2つの電極間方向の段差157・7(図158)を有している。絶縁スペーサ157・4は電極157・2を第2の電極面157・6で支持している。
電極157・2をこのような形状にしたので、電極間の最短距離を所定の距離に保ちつつ、絶縁スペーサ157・4の表面を電極間方向においてヒダ状等に加工することなく、絶縁スペーサ157・4の最短沿面距離を電極間の最短距離より長くすることが可能となる。また、絶縁スペーサ157・4の表面には、大きい電界が加わらないので、沿面放電も起こり難い構造とすることができる。
したがって、静電対物レンズ系135・6を焦点距離の短い静電対物レンズとし、且つ低収差で高分解能にすることができ、しかも、絶縁スペーサ157・4の電極間の絶縁性能が低下しないので、電極間の絶縁破壊が防止できる。また、金属である電極157・2に段差157・7を設けるように加工したので、絶縁スペーサ157・4を加工するより加工費用が安価になる。加えて、電極間方向における絶縁スペーサ157・4の表面にはほとんど凹凸部分が無く、絶縁スペーサ157・4からの放出ガスが多くなることも無い。更に、電極157・1の通過孔157。3の開口端部157・8と、電極157・2の通過孔157・3の開口端部157・9とのコーナー部に曲率を持たせたので、両コーナー部に電界が集中することがなくなり、電極間の絶縁破壊がより防止できる。また更に、電極157・2の段差157・7の電極間側のコーナー部に曲率を持たせたので、コーナー部に電界が集中することがなく、電極間の絶縁破壊がより防止できる。
なお、この実施の形態では、電極157・2に段差157・7を設けたが、電極157・1にも電極157・2方向に段差を設けるように加工してもよいし、電極157・2に代えて、電極157・1にのみ電極157・2方向に段差を設けるように加工してもよい。また、静電対物レンズ系153・6において、絶縁スペーサ157・4が挿入された電極を説明したが、他の静電レンズ系において、電位差の大きい電極がある場合は、その静電レンズ系に適用することによって、電極間の絶縁破壊を防止することができる。
図153〜図158を用いて説明した実施の形態は、すでに説明したデバイス製造方法における検査工程に用いることによって、静電レンズ系の電極間で絶縁破壊が生じることなく半導体ウェーハの評価を行うことが可能となる。
3−3)制振装置に関する実施の形態
本実施の形態は、電子線を物質の目標位置に照射することにより、当該物質の加工、製造、観測及び検査のうち少なくともいずれかを実行する電子線装置に係り、より詳しくは、電子線を位置決めする機械構造体に生じる不要な機械的振動を減少させた電子線装置、その制振方法および該装置を用いた半導体デバイスの加工、製造、観測及び検査のうち少なくともいずれかを実行する工程を備えた半導体製造プロセスに関する。
一般に、電子線を用いて物質の微細な構造を観測する手法に、ウェーハ等に形成されたパターンの欠陥を検査する検査装置や走査型電子線顕微鏡(SEM)等が有るが、観測分解能がμm〜数十nmであるため、外部からの振動を十分に除振して観測を行う必要がある。また、電子線を用いて露光を行う装置においても、電子線を偏向させ、目標位置に正確にビーム照射するためには、外部からの振動を十分に除振するための除振装置を用い、且つ、鏡筒部分の構造から生じる機械的共振によるふらつきを出来るだけ小さくするために、剛性を上げる必要がある。構造体の剛性を上げるためには、電子光学系による物理的な寸法制約があることから、小型化による剛性の向上は取りづらく、従って鏡筒部分の肉厚化、大型化等により剛性向上が成されることが多かった。しかし、この方法による剛性向上は、装置の重量化、形状制限、除振台の大型化などを含む設計上の自由度の拘束、並びに、経済的な面を含めて不利な面が多々有った。
本実施の形態は、上記事実に鑑み、ビームを位置決めする機械構造体の共振による不要な振動を、必ずしも機械構造体の剛性を向上させなくても、ビームの位置決めを高精度に維持できるよう適切に減衰可能とすることにより、設計上の制約の緩和、装置の小型軽量化、経済性の向上を実現させた電子線装置、および、該装置を半導体デバイスの製造工程に用いて効率良く製造、検査、加工、観測等を可能とする半導体製造プロセスを提供する。
図159は、本実施の形態を、電子線を用いて半導体ウェーハの欠陥の検査を行う電子線検査装置に適用した場合の構成を示す。同図に示す電子線検査装置159・1はいわゆる写像投影型であり、Aブロック及びこのAブロックから斜め上方に突出するBブロックの機械構造体を有する。Bブロック内には一次電子線を照射する一次電子線照射手段が配置され、Aブロック内には二次電子線を写像投影するための写像投影光学系と、二次電子線の強度を検出する撮像手段とが含まれる。Aブロックは、最下の固定台159・2に連結される。
Bブロック内に配置された一次電子線照射手段は、一次電子線を放出、加速するためカソード及びアノードから構成された電子線源159・3、一次電子線を長方形に整形する長方形開口159・4、及び、一次電子線を縮小結像させる4極子レンズ159・5を備える。Aブロックの下部には、縮小された一次電子線を電場E及び磁場Bの直交する場で半導体ウェーハ159・6に略垂直に当たるように偏向させるE×B偏向器159・7、開口アパーチャ(NA)159・8、及び、該開口アパーチャを通過した一次電子線をウェーハ159・6上に結像させる対物レンズ159・9が配置される。
ここで、4極子レンズ159・5によって縮小された一次電子線は、E×B偏向器159・7の偏向主面に例えば500μm×250μmの像を形成すると同時に開口アパーチャ159・8に電子線源159・3のクロスオーバー像を形成し、ケーラー証明条件が満たされるようにしている。対物レンズ159・9によって、ウェーハ159・6上には例えば100μm×50μmの像が形成され、当該領域が照明される。
ウェーハ159・6は、真空に排気可能な図示しない試料室内に配置され、且つ、X−Y水平面内を移動可能なステージ159・10の上に配置されている。ここで、Aブロック及びBブロックと、XYZ直交座標系との関係を図160(a)に示す。X−Y水平面にウェーハ面があり、Z軸は写像投影光学系の光軸に略平行となる。ステージ159・10がウェーハ159・6を載置した状態でX−Y水平面内を移動することによって、ウェーハ159・6の検査面が一次電子線によって順次走査される。なお、ステージ159・10は固定台159・2の上に載置される。
Aブロックの上部に配置された写像投影光学系は、中間静電レンズ159・11及び投影静電レンズ159・12と、これらレンズの中間に配置された絞り159・13と、を備える。一次電子線の照射によりウェーハ159・6から放出された二次電子線、反射電子線及び散乱電子線は、この写像投影光学系によって、所定の倍率(例えば200〜300倍)で拡大投影され、後述するマイクロチャンネルプレート159・14の下面に結像される。
Aブロックの最上部に配置された撮像手段は、マイクロチャンネルプレート159・14と、蛍光スクリーン159・15と、リレーレンズ159・16と、撮像部159・17とを備える。マイクロチャンネルプレート159・14は、プレート内に多数のチャンネルを備えており、静電レンズ159・11及び159・12によって結像された二次電子線が該チャンネル内を通過する間に、更に多数の電子線を生成させる。即ち、二次電子線を増幅させる。蛍光スクリーン159・15は、増幅された二次電子線が照射されることにより、二次電子線の強度に応じた強さの蛍光を発する。即ち、二次電子線の強度が光の強度に変換される。リレーレンズ159・16がこの蛍光を撮像部159・17に導くように配置される。撮像部159・17は、リレーレンズ159・16により導かれた光を電気信号に変換するための多数のCCD撮像素子から構成される。検出信号のS/N比を向上させるため、いわゆるTDI検出器を用いるのが好ましい。なお、一次電子線の照射によって、二次電子線だけでなく散乱電子線や反射電子線も発生するが、ここでは一括して二次電子線と称することにする。
ところで、Aブロック及びこれに連結されたBブロックの機械構造体からなる鏡筒160・1は、通常、一つ又はそれ以上の固有振動モードを有する。各固有振動モードの共振周波数及び共振方向は、形状、質量分布、サイズ、内部の機械の配置形態等によって決定される。例えば、図160(b)に示すように、鏡筒160・1は、固有振動160・2のモード1を少なくとも有する。このモード1において、鏡筒160・1は、例えば略Y方向に沿って150Hzの周波数で揺れる。この場合の鏡筒の伝達関数の一例を図161に示す。図161では、横軸が周波数、縦軸が振動振幅Aの対数である。この伝達関数では、共振周波数150Hzにおいて共振倍率30dB(約30倍)のゲインを有する。従って、外部から微少な振動が加わった場合でも、その振動に150Hz近傍の周波数成分が含まれていると、その周波数成分はこの例では約30倍に増幅されて鏡筒を振動させる。この結果、写像のボケ等の有害な事象を発生させる。
従来技術では、これを防止するため、鏡筒全体を除振台の上に載せて外部からの振動を除振するか、及び/又は、鏡筒の肉厚や構造を見直し、共振倍率を下げる等の大掛かりな対策を行っていた。
本実施の形態では、これを避けるため、図160(c)に示すように、振動160・2を打ち消すように鏡筒に対し圧力振動160・3を加えるアクチュエータ160・4をAブロックの基部に設置する。このアクチュエータ160・4は振動減衰用回路159・18に電気的に接続されている。
アクチュエータ160・4及び振動減衰用回路159・18の概略構成を図162に示す。同図に示すように、アクチュエータ160・4は、圧電効果を有する誘電体162・1を電極162・2、162・3で挟んでなる圧電素子162・4と、該圧電素子を電極162・3側から支持するため固定台159・2に固定された支持台162・5とを有する。圧電素子162・4は、鏡筒160・1のAブロックと支持台162・5との間に挟まれており、電極162・2は、Aブロックの外壁に、電極162・3は支持台162・5に接着されている。これにより、圧電素子162・4は、往復振動160・2により、鏡筒160・1が向かってくるときは正の圧力、鏡筒160・1が遠ざかるときは負の圧力を受ける。圧電素子162・4は、鏡筒160・1の振動160・2を抑制するため効果的な位置に設置される。例えば、振動160・2の方向が、電極162・2及び162・3と直交するように配置されるのが好ましい。
振動減衰用回路159・18は、圧電素子162・4の両電極162・2、162・3の間を直列に接続された可変インダクタンス162・6及び抵抗162・7から構成される。可変インダクタンス162・6はインダクタンスL、抵抗162・7は抵抗値RD
圧電素子162・4は電気容量Cを有するため、直列接続された圧電素子162・4及び振動減衰用回路159・18は、参照番号162・8により示される直列共振回路と等価となる。この直列共振回路の共振周波数f0’は、
fo’=1/{2π(LC)1/2
で表される。本実施の形態では、直列共振回路の共振周波数f0’が鏡筒160・1の共
振周波数f0に略一致するように、各パラメータが設定される。即ち、与えられた圧電素
子162・4の電気容量Cに対して、
fo=1/{2π(LC)1/2
が成立するように、可変インダクタンス162・6のインダクタンスLが調整される。実際には、圧電素子162・4の容量Cは、機械的共振周波数に合わせて共振回路を形成する上では小さく、このため非常に大きなインダクタンスLを必要とする場合が多いが、この場合には演算増幅器等を用いて等価的に大きなインダクタンスを形成することで共振回路を実現することができる。
また、直列共振回路の共振周波数成分のQ値が、図161に示す伝達関数においてピークを持つ共振成分のQ値に略一致するように、抵抗162・7の値RDが選択される。こ
のようにして作られた直列共振回路162・8は、図161の参照番号161・1により示される電気的周波数特性を有する。
図159に示す電子線検査装置159・1は、制御部159・19によって制御・管理される。制御部159・19は、図159に例示されたように、汎用的なパーソナルコンピュータ等から構成することができる。このコンピュータは、所定のプログラムに従って各種制御、演算処理を実行する制御部本体159・20と、本体159・20の処理結果を表示するCRT159・21と、オペレータが命令を入力するためのキーボードやマウス等の入力部159・22とを備える、勿論、電子線検査装置専用のハードウェア、或いは、ワークステーションなどから制御部159・19を構成してもよい。
制御部本体159・20は、図示しないCPU、RAM、ROM、ハードディスク、ビデオ基板等の各種制御基板等から構成される。RAM若しくはハードディスクなどのメモリ上には、撮像部159・17から受信した電気信号即ちウェーハ159・6の二次電子線画像のデジタル画像データを記憶するための二次電子線画像記憶領域159・23が割り当てられている。また、ハードディスク上には、予め欠陥の存在しないウェーハの基準画像データを記憶しておく基準画像記憶部159・24が存在する。更に、ハードディスク上には、電子線検査装置全体を制御する制御プログラムの他、欠陥検出プログラム159・25が格納されている。この欠陥検出プログラム159・25は、ステージ159・10のXY平面内の移動を制御すると共に、この間に撮像部159・17から受信したデジタル画像データに関して加算等の各種演算処理を行い、その結果得られたデータから記憶領域159・23上で二次電子線画像を再構成する機能を有する。更に、この欠陥検出プログラム159・25は、記憶領域159・23上で構成された二次電子線画像データを読み出し、該画像データに基づき所定のアルゴリズムに従ってウェーハ159・6の欠陥を自動的に検出する。
次に、この実施の形態の作用を説明する。電子線源159・3から一次電子線を放出し、長方形開口159・4、4極子レンズ159・5、E×B偏向器159・7及び対物レンズ159・9を通して、セットされたウェーハ159・6表面上に照射する。上述のように、ウェーハ159・6上で例えば100μm×50μmの被検査領域が照明され、二次電子線が放出される。この二次電子線は、中間静電レンズ159・11及び投影静電レンズ159・12によってマルチチャンネルプレート159・14の下面に拡大投影され、撮像部159・17により撮像され、ウェーハ159・6上の投影された領域の二次電子線画像が得られる。ステージ159・10を駆動してウェーハ159・6を所定幅毎にX−Y水平面内で逐次移動して上記手順を実行することにより、検査面全体の画像を得ることができる。
拡大された二次電子線画像を撮像している間に、鏡筒160・1に共振周波数f0(1
50Hz)の振動成分を含む外力が加わると、鏡筒160・1は、その伝達関数で定まる共振倍率(30dB)でこの振動成分を増幅させて固有振動する。この振動160・2は、圧電素子162・4に正負の圧力を印加する。圧電素子162・4は、鏡筒160・1の振動エネルギーを一旦電気エネルギーに変換して出力する。圧電素子162・4の両電極162・2、162・3には、インダクタンス162・6(L)及び抵抗162・7(RD)が直列接続されて共振回路を形成しているため、共振周波数f0において、圧電素子162・4の容量性インピーダンスと、インダクタンス162・6の誘導性インピーダンスLとは相殺され、共振回路のインピーダンスは、事実上、抵抗RDのみとなる。従って
、共振時には、圧電素子162・4から出力される電気エネルギーは、抵抗162・7(
D)によりほぼ全部消費される。
かくして、鏡筒160・1から圧電素子162・4に加わる外力を相殺するように圧電素子162・4は力を発生することになり、機械共振により発生する振動160・2を相殺し、共振倍率を下げることができる。二次電子線は拡大写像されるため、振動による写像の揺らぎは更に大きなものとなるが、この実施の形態では、このような揺らぎに起因した写像のぼけを未然に防止することができる。
図163に示すように、機械構造体としての鏡筒160・1の伝達関数161・1(図161に相当)の共振成分は、電気的周波数特性163・1を持った直列共振回路162・8の共振成分により相殺され、鏡筒160・1は、全体として共振倍率の低い総合伝達関数163・2を持つようになる。
以上のように、写像のぼけの無い良好な二次電子線画像が得られると、この実施の形態の電子線検査装置159・1は、当該画像からウェーハ159・6の欠陥を検査する処理を行う。この欠陥検査処理として、いわゆるパターンマッチング法などを用いることができる。この方法では、基準画像記憶部159・24から読み出した基準画像と、実際に検出された二次電子線画像とのマッチングを取って両者の類似度を表す距離値を演算する。この距離値が所定の閾値より小さい場合、類似度が高いと判断して「欠陥無し」と判定する。これに対し、該距離値が所定の閾値以上の場合、類似度が低いと判断して「欠陥有り」と判定する。欠陥有りと判定した場合、オペレータに警告表示してもよい。このとき、CRT159・21の表示部に二次電子線画像159・26を表示するようにしてもよい。なお、二次電子線画像の部分領域毎に上記パターンマッチング法を用いてもよい。
パターンマッチング法以外でも、例えば図164(a)〜(c)に示す欠陥検査方法がある。図164(a)には、1番目に検出されたダイの画像164・1及び2番目に検出された他のダイの画像164・2が示されている。3番目に検出された別のダイの画像が1番目の画像164・1と同じか又は類似と判断されれば、2番目のダイ画像164・2の部分164・3が欠陥を有すると判定され、欠陥部分を検出できる。
図164(b)には、ウェーハ上に形成されたパターンの線幅を測定する例が示されている。ウェーハ上の実際のパターン164・4を方向164・5に走査したときの実際の二次電子線の強度信号が164・6であり、この信号が予め較正して定められたスレッショールドレベル164・7を連続的に超える部分の幅164・8をパターン164・4の線幅として測定することができる。このように測定された線幅が所定の範囲内にない場合、当該パターンが欠陥を有すると判定することができる。
図164(c)には、ウェーハ上に形成されたパターンの電位コントラストを測定する例が示されている。図159に示す構成において、ウェーハ159・6の上方に軸対称の電極164・9を設け、例えばウェーハ電位0Vに対して−10Vの電位を与えておく。このときの−2Vの等電位面は14・10で示されるような形状とする。ここで、ウェーハに形成されたパターン164・11及び164・12は、夫々−4Vと0Vの電位であるとする。この場合、パターン164・11から放出された二次電子線は−2V等電位面164・10で2eVの運動エネルギーに相当する上向きの速度を持っているので、このポテンシャル障壁164。10を越え、軌道164・13に示すように電極164・9から脱出して検出器で検出される。一方、パターン164・12から放出された二次電子線は−2Vの電位障壁を越えられず、軌道164・14に示すようにウェーハ面に追い戻されるので、検出されない。従って、パターン164・11の検出画像は明るく、パターン164・12の検出画像は暗くなる。かくして、電位コントラストが得られる。検出画像の明るさと電位とを予め較正しておけば、検出画像からパターンの電位を測定することが
できる。そして、この電位分布からパターンの欠陥部分を評価することができる。
以上説明したように、本実施の形態により得られた写像ぼけの無い良好な二次電子線画像に対して上記のような各測定を行うことにより、より高精度の欠陥検査が実現できる。
本実施の形態としてこれまで説明した電子線検査装置をデバイス製造方法におけるウェーハ検査工程に用いた場合には、機械構造体の振動による検出画像の劣化を未然に防止できるので、効率良く高精度の検査が可能となり、欠陥製品の出荷防止が実現できる。
なお、本実施の形態は、上で説明したもののみに限定されるものではなく本発明の要旨の範囲内で任意好適に変更可能である。例えば、機械的な共振周波数とモードは、必ずしも一つではなく、一般には複数発生するので、その場合には、必要個数のアクチュエータ160・4を鏡筒の各要所に設置することで対応が可能となる。例えば、図160(b)に示す機械構造体ブロックAがY方向の振動160・2だけではなくX方向の振動を有する場合、別個のアクチュエータをX方向の振動を相殺するように設置することができる。更に、BブロックやDブロックにも独立した固有振動がある場合、これらのブロックにもアクチュエータを設置してもよい。
振動減衰用回路159・18は、直列共振回路162・8と等価である必要はなく、機械的固有振動が同一振動方向に複数の共振周波数を持つ場合、当該回路の電気的周波数特性が複数の共振周波数を持つもので対抗することができる。
アクチュエータの設置箇所は、鏡筒だけではなく、ビーム位置を正確に位置付けるために必要な部品、例えばX−Yステージ159・10、或いは、各種光学器械の光学部品に適用することも可能である。
本実施の形態の電子線検査装置の被検査試料として半導体ウェーハ159・6を例に掲げたが、被検査試料はこれに限定されず、電子線によって欠陥を検出することができる任意のものが選択可能である。例えばウェーハへの露光用パターンが形成されたマスク等をその検査対象とすることもできる。
更に、本実施の形態は、ビームを物質の目標位置に照射する電子線応用装置全般に適用することができる。この場合、当該物質の検査のみならず、その加工、製造及び観測の少なくともいずれかを行う装置にも適用範囲を広げることができる。当然、ここでいう物質の概念は、ウェーハや上記したマスクのみならず、ビームにより、その検査、加工、製造及び観測のうち少なくともいずれかが可能となる任意の対象物である。デバイス製造方法も、同様に、半導体デバイスの製造工程中の検査のみならず、半導体デバイスをビームで製造するプロセス自体にも適用することができる。
なお、本実施の形態の電子線検査装置として、図159に示す構成を示したが、電子光学系等は任意好適に変更可能である。例えば、電子線検査装置159・1の電子線照射手段は、ウェーハ159・6の表面に対して垂直上方から一次電子線を入射させる形式であるが、E×B偏向器159・7を省略し、一次電子線をウェーハ159・6の表面に斜めに入射させるようにしてもよい。
3−4)ウェーハの保持に関する実施の形態
本実施の形態は、電子線装置においてウェーハを静電的に吸着保持する静電チャック、ウェーハと静電チャックとの組合わせ、特に減速電界対物レンズを用いた電子線装置で使用可能な静電チャックとウェーハとの組合わせ、ならびに、静電チャックとウェーハとの組合わせを備える電子線装置を使用するデバイス製造方法に関する。
ウェーハを静電的に吸着固定する公知の静電チャックにおいては、基板に配置される電極層を複数の互いに絶縁された電極により形成し、一方の電極から他方の電極へ向かって順次電圧を印可する電源装置を備える。また減速電界対物レンズを用いる電子線装置が公知である。
プロセス途中のウェーハを減速電界対物レンズを用いる電子線装置で評価する場合、ウェーハに負の高電圧を印加することが必要である。この場合、急激に負の高電圧を印加するとプロセス途中のデバイスが破壊されるおそれがあるので、電圧を徐々に印加することが必要である。
一方、大部分のウェーハは、ウェーハの側面及び裏面にSiO2又は窒化膜等の絶縁膜
を付着されるので、ウェーハに0電位又は低い電位を与えようとするとき、電圧が印加されない問題があった。更に静電チャック側へ中央が凸に歪んだウェーハは、比較的容易に吸着固定できるが、チャック側に中央が凹に歪んだウェーハは、単極の静電チャックでは、周辺部のみがチャックされ、中央部はチャックされないまま保持される問題があった。
本実施の形態は、上記の問題点を解決するため、減速電界対物レンズで使用でき、側面及び裏面が絶縁膜で被覆され、チャック側に向かって中央が凹に歪んだウェーハをチャック可能な静電チャック、ならびにウェーハと静電チャックとの組合わせを提供するとともに、このような静電チャック又はウェーハと静電チャックとの組合わせを用いてプロセス途中のウェーハの評価を行うデバイス製造方法を提供する。
図165は、本実施の形態における静電チャック1410の平面図であり、ウェーハを取り除いて電極板165・1を見たものである。図166は、図165の静電チャックの線M−Mに沿う垂直方向の概略断面図であり、ウェーハが載置され電圧が印加されない状態を示すものである。静電チャック165・2は、図166に示すように、基板166・1、電極板166・2、絶縁層166・3から成る積層構造を有する。電極板166・2は、第1電極165・2及び第2電極165・3を含む。第1電極165・2及び第2電極165・3は、別々に電圧が印加できるように分離され、磁場中で渦電流を発生しないで高速で移動可能であるように、薄膜で形成される。
第1電極165・2は、平面図において円形の電極板166・2の中央部分及び周辺部分の一部から成り、第2電極165・3は、電極板の残りの馬蹄形周辺部分から成る。電極板166・2の上方に絶縁層166・3が配置される。絶縁層166・3は、厚さ1mmのサファイア基板により形成される。サファイアは、アルミナの単結晶であり、アルミナセラミックスの如き小孔が全くないので、絶縁破壊電圧が大きい。例えば、1mm厚のサファイア基板は、104V以上の電位差に十分耐えることができる。
ウェーハ166・4に対する電圧の印加は、ナイフエッジ状の金属部分を有する接触子166・5を介してなされる。図166に示すように、2個の接触子166・5がウェーハ166・4の側面に接触される。2個の接触子166・5を用いる理由は、1個の接触子だけの場合、導通が取れなくなる恐れがあること、及びウェーハ166・4を片側へ押す力が生じるのを嫌ったからである。絶縁層(図示せず)を破壊して導通を取るのであるが、放電する時に粒子を飛散させる恐れがあるので、接触子166・5は,抵抗166・6を介して電源166・7に接続し大きい放電を生じないようにした。この抵抗166・6は、大き過ぎると導通穴が形成されず、小さ過ぎると大きい放電が起り、パーティクルを飛散させるので、絶縁層(図示せず)毎に抵抗の許容値を決めた。これは、ウェーハの履歴により絶縁層の厚さが変わるので、各ウェーハ毎に抵抗の許容値を決める必要があるからである。
図167の(a)は電圧印加のタイムチャートを示す。第1電極には、線Aで示すように、時刻t=0において、4kVが印加される。ウェーハの中央部及び周辺部が共にチャックされた時刻t=t0において、第2電極に、線Bで示すように4kVが印加される。
時刻t=t1でウェーハの電圧Cが少しずつ深くされ(下げられ)、時刻t=t2で−4kVに達するように制御される。第1電極及び第2電極は、時刻t=t1から時刻t=t2において、少しずつ電圧が下げられ、時刻t=t2で、0Vにされる。
チャックに吸着保持されたウェーハの評価が終了した時刻t=t3でウェーハの電圧C
が0Vにされ、ウェーハが外部へ取出される。
静電チャックが4kVの電位差がなくても2kVの電位差でもウェーハを吸着保持する場合には、図167に1点鎖線で示すように、第1電極及び第2電極にそれぞれに2kVの電圧A’、B’が印加される。ウェーハに−4kVが印加されるとき、第1電極及び第2電極にそれぞに、−2kVが印加される。このようにして、電圧印加によって必要以上に電圧を絶縁層2104に印加しないようにできるので、絶縁層の破壊を防止できる。
図168は、上で説明した静電チャックを備える電子線装置を示すブロック図である。電子線源168・1から放出された電子線は、開口アパーチャ(NA)を決めるアノード168・2の開口で不要なビームを除去され、コンデンサレンズ168・7と対物レンズ168・13で縮小され、−4kVを印加されたウェーハ166・4に結像されると共に、偏向器168・8及び168・12によりウェーハ166・4上を走査する。ウェーハ166・4から放出される二次電子線は、対物レンズ168・13で集められ、E×B分離器168・12で35°程度、右側へ曲げられ、二次電子線検出器168・10で検出され、ウェーハ上のSEM像が得られる。図168の電子線装置において、符号168・3、168・5は軸合わせ器具、168・4は非点補正器具、168・6は開口板、168・11はシールド、168・14は電極である。ウェーハ166・4の下方に、図166および図167で説明した静電チャックが配置される。
本実施の形態を、デバイス製造方法における検査工程に用いることにより、微細なパターンを有する半導体デバイスでもスループットよく検査でき、全数検査が可能になり、製品の歩留まり向上、欠陥製品の出荷防止が可能である。
なお、静電チャックに対して印加する電圧の増大又は減少の仕方は、図167の(a)に示すものに限られる訳ではない。例えば、図167の(b)に示すように指数関数的に変化する電圧であっても良い。要は、所定の電圧まで時間内に到達する電圧であれば、どのようなものであってもよい。
以上、本発明の第1の実施の形態〜第12の実施の形態を詳述したが、いずれの実施の形態においても、「所定電圧」という用語は、検査等の測定が行われる電圧を意味するものとする。
また、これまで説明した各種の実施の形態は荷電粒子線として電子線を用いているが、これに限られるものではなく、電子線以外の荷電粒子線や、電荷を持たない中性子線、レーザー光、電磁波等の非荷電粒子線をも使用することが可能である。
なお、本発明に係る荷電粒子線装置が作動すると、近接相互作用(表面近くでの粒子の帯電)により標的物質が浮遊して高圧領域に引きつけられるので、荷電粒子線の形成や偏向に使用される様々な電極には有機物質が堆積する。表面の帯電により徐々に堆積していく有機物質は荷電粒子線の形成や偏向機構に悪影響を及ぼすので、こうした堆積した有機物質は周期的に除去しなければならない。そこで、堆積した有機物質を周期的に除去するため、この有機物質の堆積する領域の近傍の電極を利用して、真空中で水素、酸素または
フッ素及びそれらを含む代替物HF、HO、C等のプラズマを作り出し、空間内のプラズマ電位を電極面にスパッタが生じる電位(数kV、例えば20V〜5kV)に維持することで、有機物質のみを酸化、水素化、フッ素化により除去することが好ましい。
3−5)E×B分離器の実施の形態
図169は、本実施の形態のE×B分離器169・1を示す。E×B分離器169・1は、静電偏向器と電磁偏向器とにより構成されており、図169においては、光軸(図面に垂直な軸:z軸)に直交するx−y平面上の断面図として示されている。x軸方向及びy軸方向も直交している。
静電偏向器は、真空容器中に設けられた一対の電極(静電偏向電極)169・2を備え、x軸方向に電界Eを生成する。これら静電偏向電極169・2は、絶縁スペーサ169・3を介して真空容器の真空壁169・4に取り付けられており、これらの電極間距離Dは、静電偏向電極169・2のy軸方向の長さ2Lよりも小さく設定されている。このような設定により、z軸の周りの形成される電界強度が一様な範囲を比較的大きくすることができるが、理想的には、D<Lであれば、電界強度が一様な範囲をより大きくすることができる。
即ち、電極の端縁からD/2の範囲は、電界強度が一様ではないため、電界強度がほぼ一様な領域は、一様ではない端部領域を除いた中心部の2L−Dの領域となる。このため、電界強度が一様な領域が存在するためには、2L>Dとする必要があり、さらに、L>Dと設定することにより、電界強度が一様な領域がより大きくなる。
真空壁169・4の外側には、y軸方向に磁界Mを生成するための電磁偏向器が設けられている。電磁偏向器は、電磁コイル169・5及び電磁コイル169・6を備え、これらコイルはそれぞれ、x軸方向及びy軸方向に磁界を生成する。なお、コイル169・6だけでもy軸方向の磁界Mを生成できるが、電界Eと磁界Mとの直交度を向上させるために、x軸方向に磁界を生成するコイルを設けている。即ち、コイル169・6によって生成された−x軸方向の磁界成分によって、コイル169・6によって生成された+x軸方向を打ち消すことによって、電界と磁界との直交度を良好にすることができる。
これら磁界生成用のコイル169・5及び168・6は、真空容器の外に設けるため、それぞれを2分割して構成し、真空壁169・4の両側から取り付け、部分169・7においてネジ止め等により締め付けて一体化すればよい。
E×B分離器の最外層169・8は、パーマロイあるいはフェライト製のヨークとして構成する。最外層169・8は、コイル169・5、169、6と同様に、2分割して両側からコイル169・6の外周に取り付けて、部分169・7においてネジ止め等により一体化してもよい。
図170は、本実施の形態のE×B分離器170・1の光軸(z軸)に直交する断面を示す。図170のE×B分離器170・1は、静電偏向電極170・1が6極設けられている点が、図169に示した実施の形態のE×B分離器と相違している。これら静電偏向電極170・1には、それぞれの電極の中央と光軸(z軸)とを結んだ線と電界の方向(x軸方向)との角度をθi(i=0,1,2,3,4,5)としたときに、cosθiに比例する電圧k・cosθi(kは定数)が供給される。ただし、θiは、任意の角度である。
図170に示した実施の形態においても、x軸方向の電界Eしか作れないので、x及びy軸方向の磁界を生成するコイル169・5及び169・6を設け、直交度の修正を行う
。本実施の形態によれば、図169に示した実施の形態に比べて、電界強度が一様な領域をさらに大きくすることができる。
図169及び図170に示した実施の形態のE×B分離器においては、磁界を生成するためのコイルをサドル型に形成しているが、トロイダル型のコイルを用いてもよい。
図169のE×B分離器169・1においては、電界を生成する静電偏向器の一対の電極として、電極間の間隔よりも光軸に直角な方向の大きさが長く形成された平行平板型電極を用いているので、光軸の周りに一様強度で平行な電界が生成される領域が広くなる。
また、図169及び図170のE×B分離器においては、電磁偏向器にサドル型コイルを用い、かつ光軸からコイルを見込む角度を片側で2π/3に設定しているので3θ成分が生成せず、これにより、光軸の周りに一様強度で平行な磁界が生成される領域が広くなる。さらにまた、磁界を電磁コイルによって生成しているので、コイルに偏向電流を重畳することができ、これにより、走査機能を持たせることができる。
図169及び図170のE×B分離器は、静電偏向器と電磁偏向器との組み合わせとして構成されているので、静電偏向器及びレンズ系の収差を計算し、これとは別に電磁偏向器及びレンズ系の収差を計算し、これら収差を合計することにより、光学系の収差を得ることができる。
3−6)製造ラインの実施の形態
図171は、本発明の装置を使用した製造ラインの例を示す。検査装置171・1で検査されるウェーハのロット番号、製造に経由した製造装置履歴等の情報をSMIFまたはFOUP171・2に備えられたメモリから読み出すか、または、そのロット番号を、SMIF、FOUP又はウェーハカセットのID番号を読むことにより認識できるようになっている。ウェーハの搬送中は水分の量をコントロールしてメタル配線の酸化等を防止している。
欠陥検査装置171・1は生産ラインのネットワークシステムと接続することが可能となっており、このネットワークシステム171・3を介して、生産ラインを制御している生産ラインコントロールコンピュータ171・4、各製造装置171・5及び別の検査装置に、被検査物であるウェーハのロット番号などの情報とその検査結果を送ることが出来る。製造装置には、リソグラフィー関連装置例えば露光装置、コーター、キュア装置、デベロッパ等、又は、エッチング装置、スパッタ装置及びCVD装置などの成膜装置、CMP装置、各種計測装置、他の検査装置、レビュー装置等が含まれる。
3−7)他の電子を用いた実施の形態
本発明は、100nm以下の線は簿を有する配線パターンが形成された基板等の試料に電子線を照射し、基板表面の情報を得た電子を検出し、該検出された電子から基板表面の画像を取得し、試料表面の検査を行うことを本質的な目的とする。特に、電子線を試料に照射する際、一定の撮像領域を含む面積を有する電子線を照射し、該基板上の撮像領域から放出された電子をCCD又はCCD−TDI等を用いて検出器上に結像して撮像領域の画像を取得し、更に、得られた画像を、ダイのパターンに応じてセル検査、ダイ比較検査を適宜組み合わせて検査を行うことにより、SEM方式と比較して格段に早いスループットを実現した検査方法及び装置を提案している。即ち、本発明の電子線を用いた検査方法及び検査装置は、光学式検査装置では分解能の低さにより100nm以下の線幅を有する配線のパターン欠陥が十分に検査できず、一方、SEM型検査装置では検査に時間がかかりすぎるために高スループットの要請に応えられないという双方の問題点を解消し、100nm以下の線幅を有する配線パターンを十分な分解能且つ高スループットで検査することを可能にしている。
試料の検査においては、分解能の観点からは、電子線を基板に衝突させ、基板から放出された電子を検出して、基板表面の画像を得ることが望ましい。したがって、本発明の実施例では、主に、基板から放出された二次電子、反射電子、後方散乱電子を中心に例を挙げて説明してきた。しかし、検出される電子は、基板の表面の情報を得ているものであれば何でもよく、例えば、基板付近に逆電界を形成することにより、基板に直接衝突せずに、基板付近で反射するミラー電子(広義には反射電子とも言う)、或いは基板を透過する透過電子等でもよい。特に、ミラー電子を用いた場合には、電子が試料に直接衝突しないので、チャージアップの影響が極めて小さいという利点がある。
ミラー電子を利用する場合には、試料に、加速電圧よりも低い負の電位を印加し、試料付近に逆電界を形成する。この負の電位は、基板の表面付近で殆どの電子線が戻される程度の値に設定するのがよい。具体的には、電子銃の加速電圧よりも0.5〜1.0V以上低い電位に設定すればよい。例えば、本発明の場合、加速電圧が−4kVの場合、試料への印加電圧は−4.000kV〜−4.050kVに設定するのが好ましい。更に望ましくは、−4.0005kV〜−4.020kVがよく、更に好ましくは−4.0005kV〜−4.010kVに設定するのが好適である。
また、透過電子を利用する場合には、加速電圧を−4kVに設定したとき、試料への印加電圧は0〜−4kV、好ましくは0〜−3.9kV、更に好ましくは0〜−3.5kVに設定するのが好適である。
他に、電子線ではないが、X線の利用してよい。本発明の二次系やダイ比較等は十分に適用可能である。
ミラー電子、透過電子のいずれを用いる場合でも、既に説明した電子銃、一次光学系、一次電子線と検出電子線を分離するための偏向器、CCD又はCCD−TDIを用いた検出器、画像処理装置、ダイ比較のための演算器等を用いる。電子線は、楕円等の一定の領域を有するものを用いるが、勿論、SEM型に用いる細く絞った電子線を用いてもよい。電子線は単数でも複数でもよいことは勿論である。一次電子線と検出電子線を分離するための偏向器は、電界と磁界の双方を形成するウィーンフィルタでもよいし、磁界のみの偏向器を用いてもよい。検出器は、撮像領域を検出器上に結像して、迅速な検査を行えるCCD又はCCD−TDIを用いるが、SEM型の電子銃を用いた場合には、これに対応する半導体検出器等を用いることは当然である。基板表面の画像を取得し、ダイの比較検査を行う場合には、ダイのパターンに応じて、周期性のあるパターンに適用するセル検査と、ランダムなパターンに適用するダイ同士の比較検査を適宜利用する。勿論、全てダイ同士の比較検査で処理してもよい。また、ダイ同士の比較検査の場合には、同一基板上のダイ同士で比較してもよいし、異なる基板上のダイ同士を比較してもよいし、ダイとCADデータを比較してもよい。いずれか好適なものを任意に用いればよい。更に、検査の前には、基板の位置あわせを行う。基板の位置ずれを測定し、回転角のずれを補正する。その際、フォーカスマップを作成し、検査時にそれらを考慮して平面上の基板の位置やフォーカスのずれを補正しながら検査を行ってもよい。
また、本発明の装置の製造工程での利用にあたっては、ネットワークシステムに接続し、生産ラインを制御しているコンピュータから検査対象であるウェーハの情報を入手したり、検査結果を送信し、生産ラインの各装置の生産条件に反映させることが望ましい。
3−8)二次電子と反射電子を用いる実施の形態
この実施の形態は、面ビームで検査対象を照射することができ、検査対象に応じて二次電子と反射電子とを切り換えて使用することが可能な高分解能且つ高スループットの写像投影方式電子線装置に関するものである。このように、試料上の1点ではなく少なくとも
一次元方向に広がった視野に電子ビームを照射してその視野の像を形成する方式は「写像投影方式」と呼ばれている。この写像投影方式電子線装置は、空間電荷効果を回避でき、信号対雑音比が高く、並列処理による画像処理速度を向上させた高分解能且つ高スループットな装置である。
以下、この実施の形態の写像投影方式電子線装置を、欠陥検査装置として具体化した場合について、図172〜図181を参照しながら詳述する。なお、これらの図において、同一の参照数字又は参照符号は同じ又は対応する構成要素を指すものとする。
図172の(A)及び(B)において、欠陥検査装置EBIの電子銃EGは大電流で動作可能な熱電子放出型のLaB製カソード1を有し、電子銃EGから第1の方向へ発射
された一次電子は数段の四極子レンズ2を含む一次光学系を通過してビーム形状を調整されてからウィーンフィルタ172・1を通過する。ウィーンフィルタ172・1によって一次電子の進行方向は、検査対象であるウェーハWに対して入力するよう第2の方向へ変更される。ウィーンフィルタ172・1を出て第2の方向へ進む一次電子は、NA開口板172・2によってビーム径が制限され、対物レンズ172・3を通過してウェーハWを照射する。対物レンズ172・3は高精度の静電レンズである。
このように、一次光学系においては、電子銃EGとしてLaB製の高輝度のものを使
用しているので、従来の走査型の欠陥検査装置に比較して低エネルギで大電流且つ大面積の一次ビームを得ることができる。
ウェーハWは一次光学系によって断面が例えば200μm×50μmの矩形に形成された面ビームによって照射されるので、ウェーハW上の所定の広さの小さな領域を照射することができるようになる。この面ビームでウェーハWを走査するために、ウェーハWは例えば300mm対応の高精度のXYステージ(図示せず)上に載置され、面ビームを固定した状態でXYステージを二次元的に移動させる。また、一次電子をビームスポットに絞り込む必要がないので面ビームは低電流密度であり、ウェーハWのダメージが少ない。例えば、従来のビーム走査方式の欠陥検査装置においてはビームスポットの電流密度は10A/cmであるが、図の欠陥検査装置EBIにおいては面ビームの電流密度は0.1A/cm〜0.01A/cmでしかない。一方、ドーズは、従来のビーム走査方式では1×10−5C/cmであるのに対して、本方式では1×10−4C/cm〜3×10−5C/cmであり、本方式の方が高感度になっている。
面ビーム状の一次電子によって照射されたウェーハWの領域からは二次電子と反射電子が出てくる。反射電子については後述するとして、まず二次電子の検出について説明すると、ウェーハWから放出された二次電子は、前記第2の逆の方向へ進むよう、対物レンズ172・3によって拡大されてNA開口板172・2及びウィーンフィルタ172・1を通過してから、中間レンズ172・4によって再び拡大され、投影レンズ172・5によって更に拡大されて二次電子検出系Dに入射する。二次電子を導く二次光学系においては、対物レンズ172・3、中間レンズ172・4及び投影レンズ172・5はいずれも高精度の静電レンズであり、二次光学系の倍率は可変であるよう構成される。一次電子をウェーハWにほぼ垂直に入射し、二次電子をほぼ垂直に取り出すので、ウェーハWの表面の凹凸による陰影が生じない。
投影レンズ172・5からの二次電子を受け取る二次電子検出系Dは、入射された二次電子を増殖するマイクロチャンネルプレート172・6と、マイクロチャンネルプレート172。6から出た電子を光に変換する蛍光スクリーン192・7と、蛍光スクリーン172・6から出た光を電気信号へ変換するセンサユニット172・8とを備える。センサユニット172・8は、二次元に配列された多数の固体撮像素子からなる高感度のライン
センサ172・9を有しており、蛍光スクリーン172・7から発せられた蛍光はラインセンサ172・9によって電気信号へ変換されて画像処理部172・10に送られ、並列、多段且つ高速に処理される。
ウェーハWを移動させてウェーハW上の個々の領域を順に面ビームで照射して走査していく間に、画像処理部172・10は、欠陥を含む領域のXY座標と画像とに関するデータを順次蓄積していき、一つのウェーハについて欠陥を含む検査対象の全ての領域の座標と画像とを含む検査結果ファイルを生成する。こうして、検査結果を一括して管理することができる。この検査結果ファイルを読み出すと、画像処理部172・10のディスプレイ上には当該ウェーハの欠陥分布と欠陥詳細リストとが表示される。
実際には、欠陥検査装置EBIの各種の構成要素のうち、センサユニット172・8は大気中に配置されるが、その他の構成要素は真空に保たれた鏡筒内に配置されるため、この実施の形態においては、鏡筒の適宜の壁面にライトガイドを設け、蛍光スクリーン172・7から出た光をライトガイドを介して大気中に取り出してラインセンサ172・9に中継する。
図173は、図172の欠陥検査装置EBIにおける二次電子検出系Dの具体的な構成例を示している。投影レンズ172・5によってマイクロチャンネルプレート172・6の入射面に二次電子像又は反射電子像173・1が形成される。マイクロチャンネルプレート172・6は例えば分解能が16μm、ゲインが10〜10、実効画素が2100×520であり、形成された電子像173・1に対応して電子を増殖して蛍光スクリーン172・7を照射する。これによって蛍光スクリーン172・7の電子で照射された部分から蛍光が発せられ、発せられた蛍光は低歪み(歪みが例えば0.4%)のライトガイド173・2を介して大気中へ放出される。放出された蛍光は光学リレーレンズ173・3を介してラインセンサ172・9に入射される。例えば、光学リレーレンズ173・3は倍率が1/2、透過率が2.3%、歪みが0.4%であり、ラインセンサ172・9は2048×512個の画素を有している。光学リレーレンズ173・3はラインセンサ172・9の入射面に電子像173・1に対応した光学像173・4を形成する。ライトガイド173・2及びリレーレンズ173・3の代わりにFOP(ファイバ・オプティック・プレート)を使うこともでき、この場合の倍率は1倍である。
図172に示す欠陥検査装置EBIは、電子銃EGの加速電圧及びウェーハWに印加されるウェーハ電圧を調整するとともに電子検出系Dを使用することにより、二次電子の場合、正帯電モードと負帯電モードのいずれかで動作可能である。更に、電子銃EGの加速電圧、ウェーハWに印加されるウェーハ電圧及び対物レンズ条件を調整することにより、欠陥検査装置EBIを、一次電子の照射によってウェーハWから発せられる高エネルギの反射電子を検出する反射電子撮像モードで動作させることができる。反射電子は、一次電子がウェーハW等の試料に入射するときのエネルギと同じエネルギを持っており、二次電子に比べてエネルギが高いので、試料表面の帯電等による電位の影響を受けずらいという特徴がある。電子検出系は、二次電子又は反射電子の強度に対応した電気信号を出力する電子衝撃型CCD、電子衝撃型TDI等の電子衝撃型検出器を使用することもできる。この場合は、マイクロチャンネルプレート172・6、蛍光スクリーン172・7、リレーレンズ173・3(又はEOP)を使用せずに、結像位置に電子衝撃型検出器を設置して使用する。このように構成することにより、欠陥検査装置EBIは検査対象に適したモードで動作することが可能になる。例えば、メタル配線の欠陥、GC配線の欠陥、レジストパターンの欠陥を検出するには、負帯電モード又は反射電子撮像モードを利用すればよいし、ビアの導通不良やエッチング後のビア底の残渣を検出するには反射電子撮像モードを利用すればよい。
図174の(A)は図1の欠陥検査装置EBIを上記の3つのモードで動作させるための要件を説明する図である。電子銃EGの加速電圧をV、ウェーハWに印加されるウェーハ電圧をV、ウェーハWを照射するときの一次電子の照射エネルギをEIN、電子検出系Dに入射する二次電子の信号エネルギをEOUTとする。電子銃EGは加速電圧Vを変えることができるよう構成され、ウェーハWには適宜の電源(図示せず)から可変のウェーハ電圧Vが印加される。そこで、加速電圧V及びウェーハ電圧Vを調整し且つ電子検出系Dを使用すると、欠陥検査装置EBIは、図174の(B)に示すように、二次電子イールドが1よりも大きい範囲では正帯電モード、1よりも小さい範囲では負帯電モードで動作することができる。また、加速電圧V、ウェーハ電圧V及び対物レンズ条件を調整することにより、欠陥検査装置EBIは二次電子と反射電子とのエネルギ差を利用して反射電子撮像モードで動作することができる。なお、図174の(B)において、正帯電領域と負帯電領域との境界における電子照射エネルギーEINの値は、実際には試料によって異なる。
欠陥検査装置EBIを反射電子撮像モード、負帯電モード及び正帯電モードで動作させるためのV、V、EIN及びEOUTの値の一例を挙げると、
反射電子撮像モードでは
=−4.0kV
=−2.5kV
IN=1.5keV
OUT=4keV
負帯電モードでは
=−7.0kV
=−4.0kV
IN=3.0keV
OUT=4keV+α (α=二次電子のエネルギ幅)
正帯電モードでは
=−4.5kV
=−4.0kV
IN=0.5keV
OUT=4keV+α (α=二次電子のエネルギ幅)
となる。
実際、二次電子と反射電子の検出量は、ウェーハW上の被検査領域の表面組成、パターン形状及び表面電位によって変わってくる。即ち、ウェーハW上の被検査対象の表面組成によって二次電子収率及び反射電子量は異なり、パターンの尖った個所や角では二次電子収率及び反射電子量は平面に比べて大きい。また、ウェーハW上の被検査対象の表面電位が高いと、二次電子放出量が減少する。こうして、検出系Dによって検出された二次電子及び反射電子から得られる電子信号強度は材料、パターン形状及び表面電位によって変動する。
図175は、図172に示す欠陥検査装置EBIの電子光学系に使用される静電レンズの各電極の断面形状を示している。図175に示すように、ウェーハWからマイクロチャンネルプレート172・6までの距離は例えば800mmであり、対物レンズ172・3、中間レンズ172・4及び投影レンズ172・5は特殊形状をした複数枚の電極を有する静電レンズである。いま、ウェーハWに−4kVを印加したとすると、対物レンズ172・3のウェーハWに最も近い電極には+20kVが印加され、残りの電極には−1476Vが印加される。同時に、中間レンズ172・4には−2450Vが、投影レンズ172・5には−4120Vが印加される。この結果、二次光学系で得られる倍率は、対物レンズ172・5によって2.4倍、中間レンズ172・4によって2.8倍、投影レンズ
172・5によって37倍となり、合計では260倍となる。なお、図175における参照数字175・1、175・2はビーム径を制限するためのフィールド・アパーチャであり、参照数字175・3は偏光器である。
図176の(A)は、写像投影方式電子線装置の他の実施の形態であるマルチビーム・マルチピクセル型の欠陥検査装置EBIの構成を概略的に示す図である。この欠陥検査装置EBIにおける電子銃EGmはLaB製のカソードを有し、複数本の一次電子ビーム176・1を発射することのできるマルチビーム型の電子銃である。電子銃EGmから発せられた複数本の一次電子ビーム176・1は、各一次電子ビームに対応した位置に小孔が形成された開口板176・2によってビーム径を調整された後、2段の軸対称レンズ176・3、176・4によって各ビームの位置を調整されて第1の方向へ進み、ウィーンフィルタ172・1を通過して進行方向を第1の方向から第2の方向へ変えてウェーハWに入射するよう進行する。その後、それぞれの一次電子ビーム176・1はNA開口板172・2、対物レンズ172・3を通過してウェーハWの所定の領域を照射する。
複数本の一次電子ビーム176・1の照射によってウェーハWから放出された二次電子及び反射電子176・5は、図172の(A)について既に説明したと同様に、第2の方向とは逆の方向へ進行して対物レンズ172・3、NA開口板172・2、ウィーンフィルタ172・1、中間レンズ172・4、投影レンズ172・5を通って検出系Dに入射し、センサユニット172・8によって電気信号化される。
電子銃EGmから見て下流側の軸対称レンズ176・4とウィーンフィルタ172・1との間には、複数本の一次電子ビーム176・1を偏向するための偏向器176・6が配置される。そこで、複数本の一次電子ビーム176・1によってウェーハW上の或る領域Rを走査するため、図176の(B)に示すように、ウェーハWをY軸方向に移動させながら、偏向器176・6によって、複数本の一次電子ビーム176・1をY軸に垂直なX軸方向に同時に偏向させる。これにより、複数本の一次電子ビーム176・1によって、領域Rがラスタ走査されることになる。
図177の(A)は、写像投影方式電子線装置の更に他の実施の形態であるマルチビーム・モノピクセル型の欠陥検査装置EBIの概略的な構成を示している。同図において、電子銃EGmは複数本の一次電子ビーム176・1を発射することができ、発射された複数本の一次電子ビーム176・1は、図176の(A)について説明したと同様に、第1の方向へ進行するよう、開口板176・2、軸対称レンズ176・3、176・4、偏向器176・6、ウィーンフィルタ172・1、対物レンズ172・3によって導かれてウェーハWを照射する。
複数本の一次電子ビーム176・1によって照射されてウェーハWから放出された二次電子又は反射電子176・5は、対物レンズ172・3を通過した後、ウィーンフィルタ172・1によって所定の角度だけ進行方向を変えられた後、中間レンズ172・4、投影レンズ172・5を通過してマルチ検出系D´に入射する。図のマルチ検出系D´は二次電子検出系であって、開口電極176・2に形成されたn個の小孔と同数の孔が形成されたマルチ開口板177・1と、開口板177・1のn個の孔を通過した二次電子を捕捉して該二次電子の強度を表す電気信号へ変換するようマルチ開口板177・1の各孔に対応して設けられたn個の検出器177・2と、各検出器177・2から出力された電気信号を増幅するn個の増幅器177・3と、それぞれの増幅器177・3によって増幅された電気信号をディジタル信号へ変換してウェーハW上の被走査領域Rの画像信号を記憶、表示、比較等を行う画像処理部172・10´とを備える。
図177の(A)に示す欠陥検査装置EBIにおいては、複数本の一次電子ビーム17
6・1による領域Rの走査は、図177の(B)に示すように行われる。即ち、図177の(B)に示すように、領域Rを一次電子ビーム176・1の数だけY軸方向に分割して小領域r1、r2、r3、r4を想定し、それぞれの一次電子ビーム176・1をこれらの小領域r1〜r4のそれぞれに割り当てる。そこで、ウェーハWをY軸方向に移動させながら、偏向器176・6によって、それぞれの一次電子ビーム176・1をX軸方向に同時に偏向させ、各一次電子ビーム176・1にその割り当てられた小領域r1〜r4を走査させる。これにより、複数本の一次電子ビーム176・1によって領域Rが走査されることになる。
なお、マルチビームの一次光学系は、図176に限定されるものではなく、試料上に照射される時点でマルチビームであればよく、例えば、単一の電子銃であってもよい。
これまで説明してきた欠陥検査装置EBIにおいては、ウェーハWをステージ上に載置し、該ステージを真空チャンバ内で精度良く位置決めすることができる機構を使用することが好ましい。かかるステージの高精度の位置決めために、例えば、ステージを静圧軸受けによって非接触支持する構造が採用される。この場合、静圧軸受けから供給される高圧ガスが真空チャンバに排気されないよう、高圧ガスを排気する差動排気機構を静圧軸受けの範囲に形成して真空チャンバの真空度を維持することが望ましい。
図178は、ウェーハWを載置したステージを真空チャンバ内で精度良く位置決めするための機構の構成の一例と不活性ガスの循環配管系を示す図である。図178において、一次電子をウェーハWに向かって照射する鏡筒178・1の先端部すなわち一次電子照射部178・2が真空チャンバCを画成するハウジング178・3に取り付けられる。鏡筒178・1の直下には、高精度なXYステージ178・4のX方向(図178において左右方向)の可動テーブル上に載置されたウェーハWが配置される。XYステージ178・4をX方向及びY方向(図178において紙面に垂直の方向)に移動させることにより、ウェーハWの面上の任意の位置に対して正確に一次電子を照射することができる。
XYステージ178・4の台座178・5はハウジング178・3の底壁に固定され、Y方向に移動するYテーブル178・6が台座178・5の上に載っている。Yテーブル178・6の両側面(図178において左右側面)には突部が形成され、これら突部は台座178・5に設けられた一対のY方向ガイド178・7a及び178・7bに形成された凹溝とそれぞれ嵌合する。各凹溝はY方向ガイド178・7a、178・7bのほぼ全長に亘ってY方向に伸びている。凹溝内に突出する突部の上、下面及び側面には公知の構造の静圧軸受け(図示せず)がそれぞれ設けられる。これらの静圧軸受けを介して高圧且つ高純度の不活性ガス(N2ガス、Arガス等)を吹き出すことにより、Yテーブル178・6はY方向ガイド178・7a、178・7bに対して非接触で支持され、Y方向に円滑に往復運動できる。また、台座178・5とYテーブル178・6との間には、Yテーブル178・6をY方向に駆動するために、公知の構造のリニアモータ178・8が配置される。
Yテーブル178・6の上側にはXテーブル178・9がX方向に移動可能に載置されている。Xテーブル178・9を挟むように、Yテーブル178・6のためのY方向ガイド178・7a、178・7bと同じ構造の一対のX方向ガイド3178・10a、178・10b(図178には178・10aのみ図示されている)が設けられる。これらX方向ガイドのXテーブル178・9に面した側にも凹溝が形成され、Xテーブル178・9のX方向ガイドに面した側部には、上記凹溝内に突出する突部が形成されている。これらの凹溝はX方向ガイドのほぼ全長に亘って伸びている。凹溝内に突出するX方向テーブル178・9の突部の上、下面及び側面には、Yテーブル178・6の非接触支持のための静圧軸受けと同様の静圧軸受け(図示せず)が設けられる。これらの静圧軸受けに高圧且つ高純度の不活性ガスを供給して静圧軸受けからX方向ガイド178・10a、178
・10bの案内面に対して噴出させることにより、Xテーブル178・9はX方向ガイド178・10a、178・10bに対して高精度に非接触で支持される。Yテーブル178・6には、Xテーブル178・9をX方向に駆動するために公知の構造のリニアモータ178・11が配置される。
XYステージ178・4として、大気中で用いられる静圧軸受け付きステージ機構をほぼそのまま使用することが可能なので、露光装置等で用いられる大気用の高精度のステージと同等の精度を有するXYステージを、ほぼ同等のコスト及び大きさで欠陥検査装置用のXYステージとして実現することができる。なお、ウェーハWはXテーブル178・9上に直接載置されるのではなく、ウェーハWを取り外し可能に保持し且つXYステージ178・4に対して微少な位置変更を行なう機能を有する試料台の上に載置されるのが普通である。
上記不活性ガスはフレキシブル配管178・12、178・13及びXYステージ178・4内に形成されたガス通路(図示せず)を介して上記静圧軸受けに供給される。静圧軸受けに供給された高圧の不活性ガスは、Y方向ガイド178・7a、1878・7b及びX方向ガイド178・10a、178・10bの対向する案内面との間に形成された数ミクロンから数十ミクロンの隙間に噴出してYテーブル178・6及びXテーブル178・9を案内面に対してX方向、Y方向及びZ方向(図178において上下方向)に正確に位置決めする。静圧軸受けから噴出した不活性ガスのガス分子は真空チャンバC内に拡散し、排気口178・14、178・15a、178・15b及び真空配管178・16、178・17を通してドライ真空ポンプ178・18によって排気される。排気口178・15a、178・15bの吸い込み口は台座178・5を貫通してその上面に設けられる。これにより、吸い込み口はXYステージ178・4から高圧ガスが排出される位置の近くに開口するので、静圧軸受けから噴出される高圧ガスにより真空チャンバC内の圧力が上昇するのが防止される。
ドライ真空ポンプ178・18の排気口は、配管178・19を介して圧縮機178・20に接続され、圧縮機178・20の排気口は配管178・21、178・22、178・23及びレギュレータ178・24、178・25を介してフレキシブル配管178・12、178・13に接続される。このため、ドライ真空ポンプ178・18から排出された不活性ガスは、圧縮機178・20によって再び加圧されレギュレータ178・24、178・25で適正な圧力に調整された後、再びXYテーブルの静圧軸受けに供給される。こうすることによって、高純度の不活性ガスを循環させて再利用できるので、不活性ガスを節約でき、また、欠陥検査装置EBIから不活性ガスが放出されないので、不活性ガスによる窒息等の事故の発生を防止することができる。なお、圧縮機178・20の排出側の配管178・21の途中にコールドトラップやフィルタ等の除去手段178・26を設け、循環するガス中に混入した水分や油分等の不純物質をトラップして静圧軸受けに供給されないようにすることが好ましい。
鏡筒178・1の先端部すなわち一次電子照射部178・2の周囲には、差動排気機構178・27が設けられる。これは、真空チャンバC内の圧力が高くても一次電子照射空間178・28の圧力が十分低くなるようにするためである。一次電子照射部178・2の周囲に取り付けられた差動排気機構178・27の環状部材178・29は、その下面(ウェーハWと対向する面)とウェーハWとの間に数ミクロンから数百ミクロンの微少な隙間が形成されるようにハウジング178・3に対して位置決めされる。
環状部材178・29の下面には環状溝178・30が形成され、環状溝178・30は排気口178・31に接続される。排気口178・31は真空配管178・32を介して超高真空ポンプであるターボ分子ポンプ178・33に接続される。また、鏡筒178
・1の適所には排気口178・34が設けられ、排気口178・34は真空配管178・35を介してターボ分子ポンプ178・36に接続される。これらのターボ分子ポンプ178・33、178・36は真空配管178・37、178・38によってドライ真空ポンプ178・18に接続される。したがって、差動排気機構178・27や荷電ビーム照射空間178・26に侵入した不活性ガスのガス分子は環状溝178・30、排気口178・31及び真空配管178・32を介してターボ分子ポンプ178・33によって排気されるので、真空チャンバCから環状部材178・29によって囲まれた空間178・28内に侵入したガス分子は排気されてしまう。これにより、一次電子照射空間178・28内の圧力を低く保つことができ、一次電子を問題なく照射することができる。また、鏡筒178・1の先端部から吸引されたガス分子は排気口178・34、真空配管178・35を通ってターボ分子ポンプ178・36によって排気される。ターボ分子ポンプ178・33、178・36から排出されたガス分子はドライ真空ポンプ178・18によって収集されて圧縮機178・20に供給される。
なお、環状溝178・30は、真空チャンバC内の圧力や一次電子照射空間178・28内の圧力によっては、二重或いは三重の構造にしてもよい。また、図178に示す検査装置では、ターボ分子ポンプの粗引きポンプと真空チャンバの真空排気用ポンプを1台のドライ真空ポンプで兼用するようにしているが、XYステージの静圧軸受けに供給する高圧ガスの流量、真空チャンバの容積や内表面積、真空配管の内径や長さ等に応じて、別系統のドライ真空ポンプで排気することも可能である。
XYステージ178・4の静圧軸受けに供給する高圧ガスとして、一般にドライ窒素が使用される。しかしながら、可能ならば、更に高純度の不活性ガスを用いることが好ましい。これは、水分や油分等の不純物がガス中に含まれると、これらの不純物分子が真空チャンバCを画成するハウジング178・3の内面やステージ構成部品の表面に付着して真空度を悪化させたり、ウェーハWの表面に付着して一次電子照射空間178・28の真空度を悪化させてしまうからである。また、水分や油分が極力含まれないようにする必要があるため、ターボ分子ポンプ178・33、178・36、ドライ真空ポンプ178・18及び圧縮機178・20は、ガス流路に水分や油分が混入しないような構造であることが求められる。
なお、図178に示すように、不活性ガスの循環配管系には高純度不活性ガス供給系178・19が接続されており、ガスの循環を始める際に、真空チャンバCや真空配管178・16、178・15、178・32、178・35、178・37及び加圧側配管178・19、178・21、178・22、178・23、178・39を含む全ての循環系に高純度不活性ガスを満たす役割と、何らかの原因で循環するガスの流量が減少した際に不足分を供給する役割とを担っている。また、ドライ真空ポンプ178・18に大気圧以上まで圧縮する機能を持たせることによって、ドライ真空ポンプ178・18に圧縮機178・20の機能を兼用させることも可能である。更に、鏡筒178・1の排気に用いる超高真空ポンプとして、ターボ分子ポンプ178・36の代わりにイオンポンプやゲッタポンプ等のポンプを使用することも可能である。ただし、これらの溜込み式ポンプを用いた場合には、循環配管系を構築することができなくなる。ドライ真空ポンプ178・18の代わりに、ダイヤフラム式ドライポンプ等、他方式のドライポンプを使用することも可能である。
図179は、差動排気機構178・27の環状部材178・29及びそれに形成された環状溝178・30の大きさの数値の例を示している。ここでは、半径方向に隔てられた二重構造の環状溝が用いられている。静圧軸受けに供給される高圧ガスの流量は、通常おおよそ20L/min(大気圧換算)程度である。真空チャンバCを、内径50mmで長さ2mの真空配管を介して20000L/minの排気速度を有するドライポンプで排気
すると仮定すると、真空チャンバ内の圧力は、約160Pa(約1.2Torr)となる。この時、差動排気機構178・27、環状部材178・29及び環状溝178・30等の寸法を図179に示すように設定すると、一次電子照射空間56内の圧力を10−4Pa(10−6Torr)にすることができる。
図180は、これまで図172〜図179によって説明してきた欠陥検査装置EBIを搭載した検査システムの全体的な構成を概略的に示している。図示のとおり、欠陥検査装置EBIの一次光学系からウェーハW、二次光学系を経て検出系Dに至る経路の構成要素は、磁気シールド機能を奏する鏡筒178・1の内部に収容され、鏡筒178・1は、外部からの振動が伝わるのを防止するようにアクティブ除振ユニットにより支持された除振台180・1の上面に設置される。鏡筒178・1の内部は真空排気系180・2によって真空に保たれる。鏡筒178・1の内部の一次光学系及び二次光学系の各構成要素に対しては、制御電源180・3から高圧ケーブル180・4を介して所要の電圧が供給される。
鏡筒178・1の適宜の個所に、光学顕微鏡とオートフォーカス手段とを備えたアライメント機構180・5が設けられ、一次光学系及び二次光学系を構成する各要素を所定の光軸上に適正に配置するとともに電子銃から発射された一次電子がウェーハW上に焦点を自動的に結ぶよう調整される。
除振台180・1の上面には、ウェーハWを載置して固定するためのチャック(図示せず)を備えたXYステージ178・4が設置され、走査期間におけるXYステージ178・4の位置は所定間隔でレーザー干渉計によって検出される。更に、除振台180・1の上面には、検査対象である複数枚のウェーハWを蓄積するためのローダー180・6と、ローダー180・6内のウェーハWを把持して鏡筒178・1内のXYステージ178・4に載置し、検査終了後にウェーハWを鏡筒178・1内から取り出すための搬送ロボット180・7とが設置される。
システム全体の動作は、所要のプログラムがインストールされたメインコントローラ180・8によって制御される。メインコントローラ180・8はディスプレイ180・9を備えており、また、ケーブル180・10を介して検出系Dと接続される。これにより、メインコントローラ180・8は検出系Dからケーブル180・10を介してディジタル画像信号を受け取って画像処理部172・10によって処理し、ウェーハWの走査によって得られた検査結果ファイルの内容やウェーハWの欠陥分布等をディスプレイ180・9に表示させることができる。また、メインコントローラ180・8はシステム全体の動作を制御するためにシステムの動作状態をディスプレイ180・9に表示する。
なお、ウェーハWを載置するステージはXY平面内で移動可能であるとして説明してきたが、これに加えて、ステージは、XY平面に垂直な又はXY平面を通る任意の軸の回りに回転可能であってもよい。また、検査対象はウェーハに限られるものではなく、マスク等の電子線によって検査可能な試料を含むものとする。更に、この実施の形態における写像投影型電子線装置と従来のビーム走査方式の欠陥レビュー装置とサーバとメインコントローラとをLANで相互に結合することにより、分散型の欠陥検査網を構築することができる。
以上の説明から理解されるように、この実施の形態は、
(1)面ビームによって試料を照射するので、スループットを向上させることができ、例
えばウェーハ1枚あたりの欠陥検査時間を従来のビーム走査方式の検査装置に比べてほぼ1/7に短縮することができる、
(2)一次電子をビームスポットに絞る必要が無いので、空間電荷効果を回避することができるうえ、試料を低電流密度で照射するので、試料のダメージが小さい、
(3)面ビームによって試料を照射するので、1ピクセルよりも小さいサイズまで検査することができる、
(4)電子銃の加速電圧及び試料に印加される電圧を選定するとともに、対物レンズを調整することにより、正帯電モード、負帯電モード及び反射電子撮像モードのうちのいずれかの動作モードで動作することができるので、試料における検査部位に応じて適正な検査を実施することができる、
(5)静電レンズを使用することにより、一次光学系及び/又は二次光学系を小型で高精度にすることができる、
等の格別の効果を奏する。

Claims (6)

  1. 二次元的な断面を有する一次電子ビームを用いて基板を検査する電子線検査装置であって、前記基板の被検査領域を前記一次電子ビームで照射する電子銃と、前記基板から放出された二次電子を検出する検出器とを備える電子線検査装置において、
    前記一次電子ビームの照射によって前記基板に生じる帯電量のむらを防止するチャージアップ抑制手段
    を具備することを特徴とする電子線検査装置。
  2. 請求項1に記載の電子線検査装置であって、前記チャージアップ抑制手段が、
    前記一次電子ビームを照射する前に、前記検査領域を含む領域に電子線を照射する手段であることを特徴とする電子線検査装置。
  3. 請求項1に記載の電子線検査装置であって、前記チャージアップ抑制手段が、
    前記一次電子ビームを照射する前に、前記検査領域を含む領域に導電性膜を塗布する手段
    であることを特徴とする電子線検査装置。
  4. 請求項1に記載の電子線検査装置であって、前記チャージアップ抑制手段が、
    検査中に前記基板の表面にアルゴン、酸素等の負性ガスを吹き付ける手段
    であることを特徴とする電子線検査装置。
  5. 請求項1に記載の電子線検査装置であって、前記チャージアップ抑制手段が、
    照射エネルギ3〜5keVの負帯電モードに調整する手段
    であることを特徴とする電子線検査装置。
  6. 請求項1に記載の電子線検査装置であって、前記チャージアップ抑制手段が、
    照射エネルギ0.5〜3keVで反射電子を検査するよう調整する手段
    であることを特徴とする電子線検査装置。
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