図1は積層基板製造装置100の全体斜視図である。また、図2は積層基板製造装置100の上面概略図である。
積層基板製造装置100は、ウエハストッカ10(10−1、10−2)、ウエハプリアライメント装置20、ウエハホルダストッカ30、ウエハホルダプリアライメント装置40、アライナ50、加圧装置70、分離冷却ユニット80、積層基板用ストッカ85、主制御装置90、ウエハローダWLおよびウエハホルダローダWHLを備える。以下、各要素について個別に説明する。
ウエハストッカ10は、積層基板製造装置100の外部に面して着脱可能に装着される。ウエハストッカ10は、貼り合わせの対象となる基板の一方となる第1の半導体ウエハWを収容するウエハストッカ10−1と、貼り合わせの対象となる基板の他方となる第2半導体ウエハWを収容するウエハストッカ10−2とを含む。ウエハストッカ10−1、10−2の各々には複数のウエハが装填され、積層基板製造装置100は、積層基板の製造を連続的に実行できる。
ウエハプリアライメント装置20は、ウエハストッカ10の近傍に配される。ウエハプリアライメント装置20は、個々のウエハWの簡易な位置合わせを実行する。ウエハプリアライメント装置20の詳細な構造と作用については、図4a、図4b、図5a、図5b、図6a、図6bおよび図6cを参照して後述する。
ウエハホルダストッカ30は積層基板製造装置100の内部に配され、複数のウエハホルダWHを収容する。ウエハホルダWHは、ウエハWを吸着して支持する。また、ウエハホルダWHは、積層基板製造装置100の内部で使い回される。
なお、この積層基板製造装置100において、ウエハホルダWHは、第1の半導体ウエハWに対しても、第2半導体ウエハWに対しても共に使用することができる。従って、ウエハホルダストッカ30に収容された複数のウエハホルダWHは全て同じ仕様を有する。しかしながら、複数種類のウエハホルダWHを使い分ける場合もある。
ウエハホルダプリアライメント装置40は、ウエハホルダストッカ30の近傍に配される。ウエハホルダプリアライメント装置40は、ウエハホルダWHを位置合わせするプリアライメントを実行する。ウエハホルダプリアライメント装置40の構造および作用については、図7a、図7b、図8および図9を参照して後述する。
アライナ50は、ウエハストッカ10に対して、積層基板製造装置100の奥側に配される。アライナ50は、それぞれがウエハホルダWHに保持された第1の半導体ウエハおよび第2半導体ウエハを相互に高精度に位置決めした後、両者を貼り合わせる。ここでいう高精度とは、半導体ウエハWに形成された素子の線幅に相当し、サブミクロンオーダになる場合もある。
また、ここでいう位置決めとは、一対の半導体ウエハWを貼り合わせる場合に、一方の半導体ウエハWに形成された素子の接続端子が、他方の半導体ウエハWの接続端子に対して有効な電気的接続が得られるように、両者の位置を一致させることを意味する。アライナ50の構造および作用については、図10および図11を参照して後述する。
加圧装置70は、アライナ50の近傍に配置される。加圧装置70は、アライナ50で貼り合わされた半導体ウエハWを加圧して、貼り合わせを恒久的なものとする。このため、貼り合わされた半導体ウエハWを、加熱しながら加圧する場合もある。加圧装置70の構造および作用については、図12を参照して後述する。
分離冷却ユニット80は、加圧装置70に隣接して配される。分離冷却ユニット80は、張り合わされた半導体ウエハWからウエハホルダWHを取り外すと共に、貼り合わされた半導体ウエハWおよびウエハホルダWHを冷却する。冷却された半導体ウエハWは、積層基板として積層基板用ストッカ85に収容される。冷却されたウエハホルダWHは、ウエハホルダストッカ30に戻される。
積層基板用ストッカ85は、積層基板製造装置100の外部に面して着脱可能に装着される。従って、積層基板用ストッカ85を積層基板製造装置100から取り外すことにより、蓄積された積層基板を一括して収納できる。
ウエハローダWLは、多関節ロボットであり六自由度方向(X,Y,Z,θX,θY,θZ)に変位するアームを有する。また、ウエハローダWLは、レールRAに沿って、図中に矢印Yにより示す方向に大きく移動する。
ウエハローダWHは、半導体ウエハWまたは貼り合わされて積層基板となった半導体ウエハを搭載して移動させることができる。ただし、半導体ウエハWまたは積層基板よりは大幅に大きな質量を有するウエハホルダWHを搬送することはできない。従って、ウエハローダWHは、主にウエハストッカ10およびウエハプリアライメント装置20の間で、半導体ウエハWを搬送する。
ウエハホルダローダWHLも、多関節ロボットであり六自由度方向(X,Y,Z,θX,θY,θZ)に変位するアームを有する。また、ウエハホルダローダWHLは、レールRBに沿って、図中に矢印Xにより示す方向に大きく移動する。
ウエハホルダローダWHLは、ウエハホルダWHの搬送負荷に耐え得ると共に、半導体ウエハWを搬送することもできる。従って、ウエハホルダストッカ30からウエハホルダプリアライメント装置40までの間、または、分離冷却ユニット80からウエハホルダストッカ30までの間でウエハホルダWHを搬送する。また、ウエハホルダプリアライメント装置40からアライナ50までの間、アライナ50から加圧装置70までの間、または、加圧装置70から分離冷却ユニット80までの間において、ウエハホルダWHおよび半導体ウエハWを併せて搬送する。更に、分離冷却ユニット80から積層基板用ストッカ85までの少なくとも一部区間については、積層ウエハを搬送する場合もある。
主制御装置90は、上記のような積層基板製造装置100全体の動作を制御する。即ち、主制御装置90は、ウエハローダWL、ウエハホルダローダWHL、ウエハプリアライメント装置20、およびウエハホルダプリアライメント装置40などの個別の制御装置と信号の受け渡しをして積層基板製造装置100全体を包括的に制御する。また、電源の投入、遮断等の、外部からの操作も受け付ける。
図3は、上記積層基板製造装置100を用いたウエハ貼り合わせ方法の実行手順を示す流れ図である。図示のように、まず、ウエハローダWLにより、ウエハストッカ10から半導体ウエハWを取り出す(ステップS101)。続いて、ウエハローダWLにより、半導体ウエハWをウエハプリアライメント装置20に装填して、半導体ウエハWをプリアライメントする(ステップS102)。
また、ウエハホルダローダWHLにより、ウエハホルダストッカ30からウエハホルダWHを取り出す(ステップS103)。続いて、ウエハホルダローダWHLにより、ウエハホルダWHをウエハホルダプリアライメント装置40に装填して、ウエハホルダWHをプリアライメントする(ステップS104)。なお、ステップS101、102およびステップS103、104は、相互に並行に実行してもよいし、順次実行してもよい。
次に、ウエハローダWHにより、プリアライメントされた半導体ウエハWを、プリアライメントされたウエハホルダWHに搭載する(ステップS105)。これにより、ウエハホルダWHに搭載された半導体ウエハWは、各プリアライメントの精度の範囲で位置合わせされた状態でウエハホルダWHに保持される。これら一連のステップS101〜ステップS105は、第1の半導体ウエハWおよび第2半導体ウエハWについてそれぞれ実行される。
続いて、ウエハホルダWHに保持された第1の半導体ウエハWおよび第2半導体ウエハは、ウエハホルダローダWHLにより、アライナ50に順次装填される(ステップS106)。アライナ50においては、例えば第1半導体ウエハWのアラインメントマークに対して、第2半導体ウエハWのアラインメントマークが直接的または間接的に精密に一致するように、いずれかの半導体ウエハWが位置決めされる(ステップS107)。ここで、「間接的に」とは、例えば、第1半導体ウエハWのフィディシャルマークと第2半導体ウエハWのアラインメントマークとを監視しながら両者を位置決めすることを意味するが、このような作業については、図11を参照して後述する。こうして、相互に位置決めされた第1半導体ウエハWおよび第2半導体ウエハWは、アライナ50において互いに密着して貼り合わされる(ステップS108)。
貼り合わされた半導体ウエハWは、ウエハホルダWHにより挟まれた状態のまま、ウエハホルダローダWHLにより加圧装置70に搬入される(ステップS109)。こうして、半導体ウエハWが恒久的に接合されると、半導体ウエハWおよびウエハホルダWHはウエハホルダローダWHLにより搬出され、分離冷却ユニット80に搬送される。分離冷却ユニット80においては、接合されて積層基板となった半導体ウエハWが、ウエハホルダWHから取り出される(ステップS110)。
ウエハホルダWHから取り出された積層基板は、ウエハローダWLにより、積層基板用ストッカ85に回収される(ステップS111)。また、積層基板から分離されたウエハホルダWHは、ウエハホルダローダWHLにより、ウエハホルダストッカ30に戻される(ステップS112)。
このように、半導体ウエハWのウエハホルダWHへの搭載に先立って、半導体ウエハWおよびウエハホルダWHをそれぞれ個別にプリアライメントすることにより、ウエハホルダWHに搭載された半導体ウエハWの位置ずれを一定の範囲に抑制できる。これにより、高精度な本アラインメントの作業時間を短縮して、積層基板製造等のスループットを向上させることができる。
図4aは、ウエハプリアライメント装置20の上面図である。また、図4bは、ウエハプリアライメント装置20の側面図である。
ウエハプリアライメント装置20は第1XYθステージ25、真空チャック23、第1レーザ光波干渉式測長器(以下、第1干渉計と記載する)22、ウエハ用アライメントカメラCA1およびウエハプリアライメント制御装置21を有する。図中の矢印ARRにより示すように、第1XYθステージ25はサーボ制御されて、X方向、Y方向およびθ方向に移動および回転する。
真空チャック23は、図示していない真空ポンプにより半導体ウエハWを吸着し、あるいは、離脱させる。なお、第1XYθステージ25は、図示していないリフトピンを有して、ウエハローダWLと受け渡しする場合に半導体ウエハWを持ち上げる機能を有する。真空チャック23が半導体ウエハWを吸着した場合、半導体ウエハWは、第1XYθステージ25と共に移動または回転する。
ウエハプリアライメント装置20に装填される半導体ウエハWには、数十ショット〜数百ショット程度に半導体チップ領域CHが形成されている。また、その周囲の一部に、半導体ウエハWの結晶方向性を示すノッチNCを有する。更に、半導体ウエハWは、フォトリソグラフィ工程で用いられた複数のアライメントマークAMを有する。アライメントマークAMは、十字形状あるいは円形状に形成される。
ウエハ用アライメントカメラCA1は倍率が約等倍から10倍程度であり、必要に応じてオートフォカス機構を備えてもよい。第1XYθステージ25は、ウエハ用アライメントカメラCA1がアライメントマークAMを観察できるように、すなわちウエハ用アライメントカメラCA1は固定されており、その直下にアライメントマークAMが来るようにXおよびY方向に移動する。これにより、ウエハ用アライメントカメラCA1自体の位置を基準として、半導体ウエハWが位置わ合わせされる。なお、本実施形態では、フォトリソグラフィ工程で使用されたアライメントマークAMを使用して半導体ウエハWのプリアライメントを行うが、別のマークを使用してもよい。
第1干渉計22は、第1XYθステージ25の位置を常時監視する。第1干渉計22により検出された第1XYθステージ25の位置は、ウエハプリアライメント制御装置21に送られる。ウエハ用アライメントカメラCA1が観察したアライメントマークAMの位置信号もまた、ウエハプリアライメント制御装置21に送られる。
これら、第1XYθステージ25の位置およびアライメントマークAMの位置に基づいて、ウエハプリアライメント制御装置21は、半導体ウエハWが所定位置からX方向、Y方向およびθ方向にどれだけの量ずれているかを計算し、そのずれを打ち消すように第1XYθステージ25を移動および回転させる。これによりプリアライメントされた半導体ウエハWは、設計基準値から一定の範囲、例えば30μm程度以下の範囲に位置合わせされる。
位置合わせされた半導体ウエハWは、真空チャック23による真空吸着が解除されリフトピンにより上昇させられる。ウエハローダWLは、この位置合わせされた半導体ウエハWを保持して、ウエハホルダWHに搭載すべく搬送する。
なお、ウエハプリアライメント制御装置21は、ウエハ用アライメントカメラCA1に2以上、例えば10個程度のアライメントマークAMを観察させてもよい。これにより、設計上のアライメントマークAMとウエハ用アライメントカメラCA1によって観察された半導体ウエハW上の実際のアライメントマークAMとの関係において、その重ね合わせ誤差がどの半導体チップ領域CHに関しても平均的に小さくなるように、最小二乗法を用いて設計上の半導体チップ領域CH配列を補正して、実際の半導体チップ領域CHの位置を求めることができる。このような方法の詳細は、特開昭62−44429号公報に開示されている。
ここで、ウエハプリアライメント装置20は、予め決められた位置に固定された第1位置決めポール27を更に有する。以下、図5aおよび図5bを参照して、ウエハローダWLがウエハプリアライメント装置20から半導体ウエハWを搬出する場合の動作について説明する。
図5aは、第1位置決めポール27およびウエハローダWLの作用を示す上面図である。また、図5bは、第1位置決めポール27およびウエハローダWLの作用を示す側面図である。
ウエハローダWLは、フォーク部FOおよびハンドWHAを有する。更に、ハンドWHAには、フォーク部FOおよびハンドWHAを位置決めする位置決めアーム部AAを有する。位置決めアーム部AAは、第1位置決めポール27の直径に合致する凹み部AA1を有し、フォーク部FOに載置された半導体ウエハWと干渉しないように配される。また、位置決めアーム部AAは、凹み部AA1に向かって第1位置決めポール27を誘導するテーパ部AA2を有する。
プリアライメントされた半導体ウエハWを受け取るべくウエハプリアライメント装置20にハンドWHAが接近した場合、位置決めアーム部AAを第1位置決めポール27に当接させることにより、ハンドWHAを一定の位置に停止させることができる。ハンドWHAは、半導体ウエハWの位置ずれを補償した第1XYθステージ25から半導体ウエハWを受け取るので、位置合わせされた半導体ウエハWの状態を保持したまま、半導体ウエハWを受け取り、搬送する。第1位置決めポール27がハンドWHAに入るときに、ハンドWHAがXY方向に移動するが、その移動量は小さいので多関節ロボットの関節部分でその移動量は吸収される。
図6aは、他のウエハプリアライメント装置20の構造を示す上面図である。また、図6bは、図6aと同じウエハプリアライメント装置20の構造を示す側面図である。
このウエハプリアライメント装置20は、垂直な軸の周りに回転するθステージ29と、θステージ29の径方向に、θステージ29の回転軸と直交して配されたラインセンサSSとを備える。ウエハローダWLがθステージ29に半導体ウエハWを載置すると、ラインセンサSSが半導体ウエハWの周縁部まで移動して、半導体ウエハWの周縁部をラインセンサSSで観察する。なお、θステージ29も、ウエハ用リフトピンおよび真空チャック等を備えるが図示は省く。
図6cは、図6aおよび図6bに示すウエハプリアライメント装置20の動作を説明する波形図である。半導体ウエハWを保持したθステージ29が回転すると半導体ウエハWの縁部の径方向の位置が連続的に変化するので、ラインセンサSSは図6cの上段に示す波形の信号を出力する。
これに対して、ウエハプリアライメント制御装置21は、上記の信号の一階微分を行い、図6cの下段に示す信号を得る。ここで、一階微分信号が水平に直線状であれば、半導体ウエハWの中心とθステージ29の回転軸とが一致した状態であることが判明する。また、一階微分により、半導体ウエハWのノッチNCの位置が検出されるので、ノッチNCが検出された位置からのθステージ29の回転量により半導体ウエハWの向きを判断する。
これらの処理により、θステージ29の回転軸を基準として、半導体ウエハWがどのような位置に保持されているかが判る。従って、例えば、半導体ウエハWをウエハホルダWHに搭載する場合に、半導体ウエハWの位置ずれを打ち消すようにウエハホルダWHを変位させることにより、半導体ウエハWをウエハホルダWHに位置合わせした状態で搭載することができる。
図7aは、ウエハホルダプリアライメント装置40の上面図である。また、図7bは、図7aと同じウエハホルダプリアライメント装置40の側面図である。
ウエハホルダプリアライメント装置40は、第2XYθステージ45、真空チャック43、第2レーザ光波干渉式測長器(以下、第2干渉計と記載する)42、ウエハホルダ用アライメントカメラCA2およびウエハホルダプリアライメント制御装置41を有する。図中の矢印ARRにより示すように、第2XYθステージ45はサーボ制御されて、X方向、Y方向およびθ方向に移動および回転する。
真空チャック43は、図示していない真空ポンプにより半導体ウエハWを吸着し、あるいは、離脱させる。なお、第2XYθステージ45は、図示していないリフトピンを有して、ウエハホルダローダWHLと受け渡しする場合にウエハホルダWHを持ち上げる機能を有する。更に、第2XYθステージ45は、ウエハホルダWHに形成された3つの孔部を介して半導体ウエハWを受け渡しするためのウエハ用リフトピン46を有している真空チャック43がウエハホルダWHを吸着した場合、ウエハホルダWHは、第2XYθステージ45と共に移動または回転する。
ウエハホルダプリアライメント装置40に装填されるウエハホルダWHは、例えば、絶縁体であるアルミナセラミックにより円盤状に形成され、表面は平滑に研磨される。また、周縁部の一部に切り欠け部NTを有する。
また、ウエハホルダWHの内部には、半導体ウエハWを静電吸着する場合に電圧を印加する印加電極ELが埋設される。第2XYθステージ45は、印加電極ELに印加する直流電圧を発生する直流電源DCが設けられる。印加電極ELに電圧が印加された場合、ウエハホルダWHは、半導体ウエハWを静電吸着して保持する。
更に、ウエハホルダWHは、その周縁部近傍にフィディシャルマークFMを有する。フィディシャルマークFMは、ウエハホルダWHの中心に対して対称に一対設けられ、透明な石英ガラス上に十字形状または円形状のマークとして形成される。ウエハホルダWHのフィディシャルマークFMが設けられた領域は、ウエハホルダWHを貫通する開口部が形成され、ウエハホルダWHの表裏からフィディシャルマークFMを観察できる。
所与の位置に固定されたウエハホルダ用アライメントカメラCA2は、倍率が約等倍から10倍程度であり、必要に応じてオートフォカス機構を備えてもよい。第2XYθステージ45は、ウエハホルダ用アライメントカメラCA2がフィディシャルマークFMを観察できるように、すなわちウエハホルダ用アライメントカメラCA2の直下にフィディシャルマークFMが来るように、X方向およびY方向に移動する。これにより、ウエハホルダ用アライメントカメラCA2の位置を基準として、ウエハホルダWHを位置合わせできる。
第2干渉計42は、第2XYθステージ45の位置を常時監視する。第2干渉計42により検出された第2XYθステージ45の位置は、ウエハホルダプリアライメント制御装置41に送られる。ウエハホルダ用アライメントカメラCA2が観察したフィディシャルマークFMの位置信号もまた、ウエハホルダプリアライメント制御装置41に送られる。
これら、第2XYθステージ45の位置およびフィディシャルマークFMの位置に基づいて、ウエハホルダプリアライメント制御装置41は、ウエハホルダWHが所定位置からX方向、Y方向およびθ方向にどれだけの量ずれているかを計算し、そのずれを打ち消すように第2XYθステージ45を移動および回転させる。これによりプリアライメントされたウエハホルダWHは、設計基準値から一定の範囲、例えば30μm程度以下の範囲に位置合わせされる。
所位置合わせされたウエハホルダWHは、その位置で半導体ウエハWが搭載されるまで待機する。既に説明したように、半導体ウエハWは、ウエハプリアライメント装置20において位置合わせされた状態で搬送されるので、位置合わせされたウエハホルダWHに搭載された場合に半導体ウエハWおよびウエハホルダWHの間に生じる位置ずれは一定の範囲、例えば100μm程度以下の範囲に収まる。
ここで、ウエハホルダプリアライメント装置40も、予め決められた位置に固定された第2位置決めポール47を更に有する。図示は省略するが、半導体ウエハWを搬送するウエハローダWLの位置決めアーム部AAを第2位置決めポールに当接させることにより、ウエハローダWLは、所与の位置に停止して半導体ウエハWをウエハホルダWHに搭載する。
図8は、他のウエハホルダプリアライメント装置40の上面図である。このウエハホルダプリアライメント装置40は、ウエハホルダWHを載置するテーブル49と、テーブル49に搭載されたウエハホルダWHに側面から当接する3本の当接ピンAPを有する。
当接ピンAPは、図中に白抜きの矢印で示すように、テーブル49の径方向に個別に移動して、ウエハホルダWHを側端面から押す。これにより、テーブル49の上で、ウエハホルダWHを任意の方向に移動させることができる。
また、テーブル49は、図面の紙面に垂直な軸の周りに回転する。これにより、ウエハホルダWHの中心を合わせるだけでなく、1つの当接ピンAPをウエハホルダWHの切り欠け部NTに入り込ませてもよい。このように少なくとも3本の当接ピンAPをウエハホルダWHに当接することでプリアライメントすることが可能となる。
また更に、上記のような当接ピンAPのうちの1本または2本を予め決められた位置に固定してもよい。これにより、当該固定された当接ピンAPにウエハホルダWHを押しつけることにより、当接ピンAPの位置を基準として、ウエハホルダWHを簡単にプリアライメントすることができる。なお、図示は省いたが、図8に示した当接ピンAPと同様の位置合わせ部材をウエハプリアライメント装置20に設け、半導体ウエハWを位置合わせ部材に当接させることにより、半導体ウエハWのプリアライメントを行うことができる。
また、図示は省いたが、図6a〜図6cに示したウエハプリアライメント装置20と同様に、テーブル49をθステージとすると共にラインセンサSSを設けて、ウエハホルダWHの偏芯量と回転量に基づいて位置ずれを検出することもできる。
図9は、また他のウエハホルダプリアライメント装置の構造を模式的に示す図である。このウエハホルダプリアライメント装置は、ウエハホルダストッカ30に設けられた切欠け用位置決めポール32および縁部用位置決めポール34を含む。切欠け用位置決めポール32および縁部用位置決めポール34は、ウエハホルダストッカ30の内部において、予め決められた位置に固定されている。
従って、ウエハホルダWHをウエハホルダストッカ30に収納する場合に、ウエハホルダWHの切り欠け部NTに切欠け用位置決めポール32が入り込み、ウエハホルダWHの縁部に縁部用位置決めポール34が当接するようにウエハホルダWHを押し込むことにより、切欠け用位置決めポール32および縁部用位置決めポール34の位置を基準として、簡単な構造でウエハホルダWHを一定の精度で位置合わせすることができる。
なお、切欠け用位置決めポール32および縁部用位置決めポール34の配置は、ウエハホルダストッカ30に限られない。例えば、後述するアライナ50のステージ上に切欠け用位置決めポール32および縁部用位置決めポール34を設けてプリアライメントを実行することもできる。
上記のようなプリアライメントは、簡潔な操作により短時間で実行される。従って、プリアライメントを実行することにより、積層基板製造工程全体のスループットが低下することはない。
図10は、半導体ウエハWが載置されたウエハホルダWHを示す上面図である。図示のように、半導体ウエハWにはアラインメントマークが形成されている。また、ウエハホルダWHは、フィディシャルマークFMを備える。
ウエハホルダWHのフィディシャルマークFMに対して半導体ウエハWのアライメントマークAMを所定範囲内に位置決めすることができる。以上によりウエハホルダWH上の半導体ウエハWは、設計基準値からWLの誤差も含めて100μm以下の範囲に位置決めされる。
図11は、図3に示した一連の工程のステップS107に相当する段階を実行して、半導体ウエハを貼り合わせるアライナ50の構造を示す模式図である。アライナ50は、第3レーザ光波干渉式測長器(以下、第3干渉計と記載する)52、第1テーブル54、第2テーブル56および高精度アライメントカメラCA3を有する。
第1テーブル54および第2テーブル56は、互いに対向する水平な保持面を有する。第1テーブル54には、第1半導体ウエハWを保持した第1ウエハホルダWHが固定される。また、第2テーブル56には、第2半導体ウエハWを保持した第2ウエハホルダWHが固定される。
また、第1テーブル54は、第1駆動装置55により支持されて微動する。第2テーブル56は、第2駆動装置53に支持されて、少なくともX、Y方向に移動する。第2テーブル56の移動量は、第3干渉計52により監視される。
高精度アライメントカメラCA3は、第1テーブル54に保持された第1ウエハホルダWHのフィディシャルマークFMが光学系の物面に位置するように調整でき、ウエハホルダWHの裏面から当該フィディシャルマークFMを観察する。また、高精度アライメントカメラCA3は、第2テーブル56に保持された第2ウエハホルダWHのフィディシャルマークFMまたは当該ウエハホルダWHに保持された半導体ウエハWのアライメントマークAMを、それらの表面側から観察する。
なお、高精度アライメントカメラCA3から第1ウエハホルダWHのフィディシャルマークFMまでの距離と第2ウエハホルダWHのフィディシャルマークまでの距離は相互に異なる。従って、両方のフィディシャルマークFMを観察する場合には、高精度アライメントカメラCA3の位置を変位させるか、光学系の焦点位置を変化させる。
また、なお、高精度アライメントカメラCA3は20倍程度の倍率を有するが、高倍率に応じて視野は狭くなる。具体的には、例えば、400μm×400μm程度の視野を有する。しかしながら、ウエハプリアライメント装置20およびウエハホルダプリアライメント装置40により、半導体ウエハWおよびウエハホルダWHはプリアライメントされているので、高精度アライメントカメラCA3の視野内にフィディシャルマークFMまたはアライメントマークAMが確実に入る。
第3干渉計52によって検出された第2テーブル56の位置は、アライナ制御装置51に送られる。また、高精度アライメントカメラCA3が観察したアライメントマークAMおよびフィディシャルマークFMの位置信号もアライナ制御装置51に送られる。アライナ制御装置51はそれらの信号に基づいて、第1駆動装置55または第2駆動装置53に駆動信号を送る。
アライナ50を用いた半導体ウエハWの位置決め工程について以下に説明する。ウエハホルダローダWHLによってアライナ50に搬入された第1のウエハホルダWHは、当初、第2テーブル56に固定される。アライナ50は、高精度アライメントカメラCA3および第3干渉計52を用いて、第1ウエハホルダWH上のフィディシャルマークFMとウエハホルダWHに保持された第1半導体ウエハWの位置関係を求める。
こうして、フィディシャルマークFMおよびアラインメントマークAMの相対的な位置関係を計測された第1のウエハホルダWHおよび第1半導体ウエハWは、ウエハホルダローダWHLにより、第1テーブル54に反転して移される。第1ウエハホルダWHのフィディシャルマークFMおよび第1半導体ウエハWのアラインメントマークの位置関係は既に判っているので、フィディシャルマークFMの位置を第1ウエハホルダWHの裏面から高精度アライメントカメラCA3により検出すれば、第1半導体ウエハWのアラインメントマークの位置が判る。
続いて、ウエハホルダローダWHLは、空いた第2テーブル56に第2半導体ウエハWを保持した第2ウエハホルダWHを搬入して固定する。アライナ制御装置51は第2駆動装置53を動作させて、第3干渉計52により第2テーブル56の位置を計測しながら、高精度アライメントカメラCA3に第2ウエハホルダWHのフィディシャルマークFMを観察させる。そして、アライナ制御装置51は第2半導体ウエハW上のアライメントマークAMを順次、高精度アライメントカメラCA3の視野内に移動させ、第3干渉計52により第2テーブル56の位置を計測する。これによりフィディシャルマークFMまたは各アライメントマークAMの位置関係が決まる。
高精度アライメントカメラCA3にはその光軸との位置関係が定まった指標が視野内に配置されている。より具体的には、顕微鏡の像面と共役な位置に配置された指標を備える。これにより、高精度アライメントカメラCA3の視野内の像を観察すると、フィディシャルマークFMと高精度アライメントカメラCA3の光軸の位置関係が求められる。
また、高精度アライメントカメラCA3の指標に対するフィディシャルマークFMの位置よりフィディシャルマークFMの位置が定まる。半導体ウエハW上のアライメントマークAMとウエハホルダWHのフィディシャルマークFMとの位置関係はすでに測定されているので、フィディシャルマークFMを基準として、半導体ウエハW1のアライメントマークAMの位置を決めることができる。
アライナ50は、フィディシャルマークFMを介して検知した第1の半導体ウエハW上のアライメントマークAMの位置と、第2半導体ウエハW上のアライメントマークAMとの位置が検出されると、この第1半導体ウエハWおよび第2半導体ウエハWの重ね合わせ位置を調整する。このとき、アライナ制御装置51は第1半導体ウエハWと第2半導体ウエハWとのアライメントマークAMの位置誤差が最小になるように最小自乗法で計算を行う。この結果に基づいてアライナ制御装置51は第2テーブル56を移動させる。
なお、2枚のウエハW上のアライメントマークAMの位置関係から最適化処理を行ったが、半導体ウエハWを重ね合わせる位置および半導体ウエハWの姿勢を基準座標系にあらかじめ設定し各半導体ウエハWの位置と姿勢を求めて良い。この場合には、アライメントマークAMの位置は2枚の半導体ウエハW間で異なっていても構わない。
更に、高精度アライメントカメラCA3は、第2テーブル56上に固定された半導体ウエハWのアラインメントマークAMを直接に観察できるので、第2ウエハホルダWHに関しては、フィディシャルマークFMを観察することなく位置決めを実行することもできる。また、このような場合は、第2ウエハホルダとして、フィディシャルマークFMの無いウエハホルダWHを用いることもできる。また更に、第2テーブル56の位置は、第3干渉計52により精密に観測されているので、第2ウエハホルダWHのフィディシャルマークを観察するまでもなく、第2半導体ウエハWの位置を知ることができる。
第1、第2半導体ウエハWの位置関係が決められると、アライナ制御装置51は2つの半導体ウエハWを第2駆動装置53により互いに近接させる。このとき、アライナ制御装置51は、移動する第2テーブル56のXY面内の変動を第3干渉計52により測定し、所定のズレの範囲内に収まるように第2駆動装置53にフィードバックをかけながら近接させる。
こうして、第1の半導体ウエハWおよび第2半導体ウエハWが相互に位置決めされた状態で貼り合わされる。ただし、この状態では、第1半導体ウエハWおよび第2半導体ウエハWは接着されているわけではないので、第1ウエハホルダWHと第2ウエハホルダWHとをクランプまたは接着させて、位置決めされた状態を保持する。互いにクランプされた第1ウエハホルダWHおよび第2ウエハホルダWHは、ウエハホルダローダWHLによりアライナ50から加圧装置70に搬送される。
なお、ウエハプリアライメント装置20およびウエハホルダプリアライメント装置40における半導体ウエハWおよびウエハホルダWHのプリアライメントの精度は、アライナ50において最終的に求められる精度よりも低い。しかしながら、各プリアライメントにより、半導体ウエハWおよびウエハホルダWHは、各プリアライメントの精度の範囲内で位置合わせされているので、高精度アライメントカメラCA3の狭い視野内にフィディシャルマークFMまたはアラインメントマークAMが高い確率で現れる。
また、半導体ウエハWおよびウエハホルダWHがそれぞれ個別にプリアライメントされた上で、半導体ウエハWがウエハホルダWHに搭載されるので、第1テーブル54におけるフィディシャルマークFMおよびアラインメントマークAMの検出に多大な時間がかかることが防止される。従って、積層基板製造のスループットを向上させることができる。
また、半導体ウエハWおよびウエハホルダWHがそれぞれ個別にプリアライメントされた上で、半導体ウエハWがウエハホルダWHに搭載されるので、前記したように、半導体ウエハWのアライメントマークAMとウエハホルダWHのフィディシャルマークFMとの相対的な位置ずれの大きさを所定の範囲内に収めることができる。
半導体ウエハWのアライメントマークAMとウエハホルダWHのフィディシャルマークFMとの位置ずれの大きさが例えばアライナ50の第3干渉計52の測定可能範囲を超えた場合、アライナ50で両半導体ウエハWを位置決めすべく第2テーブル56を移動させたとき、第3干渉計52で第2テーブル56の移動量を測定することができなくなる。
また、各半導体ウエハWHのアライメントマークAMがそれぞれ対応する各フィディシャルマークFMに対して同一方向にほぼ同一の量でずれていると、両半導体ウエハWHを貼り合わせるべく対向させた状態ではアライメントマークAM間のずれ量がほぼ2倍になるため、フィディシャルマークFMに対するアライメントマークAMのずれ量が上記したように大きい場合には、両半導体ウエハWのアライメントマークAMを位置決めすべく第2テーブル56を大きく移動させる必要がある。このため、アライナ50での作業が煩雑になり、スループットの低下を招く。
これに対し、本発明によれば、前記したように、位置ずれの大きさを所定の範囲内に収めることができるので、前記所定の範囲を、第2テーブル56の移動量が干渉計52の測定可能範囲を超えないような範囲に設定することにより、干渉計52での測定が不能になることを防止することができる。また、フィディシャルマークFMに対してアライメントマークAMが大きくずれることによるスループットの低下を防止することができる。
また、第1テーブル54におけるフィディシャルマークFMおよびアラインメントマークAMの検出が不調に終わることが防止されるので、材料としての半導体ウエハWに対する積層基板の歩留りも向上される。更に、高精度アライメントカメラCA3として、視野の広い大型顕微鏡を用いることが避けられる。
図12は、加圧装置70の構造を模式的に示す図である。加圧装置70は、一対のプレス部材72と、プレス部材72の各々に設けられた加熱部74を有する。
プレス部材72は、互いに対向する押圧面を接近させることにより、間に挟んだ半導体ウエハWおよびウエハホルダWHを加圧する。加熱部74は、例えば電熱線により発生した熱を、ウエハホルダWHに接したプレス部材72を介して伝えることにより半導体ウエハWを加熱する。これにより、貼り合わされた一対の半導体ウエハWを恒久的に接着させて、多層基板とすることができる。
なお、加圧装置70は、加熱なしに加圧シリンダにより所定の圧力を所定の時間加えることで、半導体ウエハW上の電極であるCuなどの金属バンプ同士を接合する場合もある。また、半導体ウエハWの間に樹脂を注入して接着させる場合もある。例えば、特開2002−64266号公報は、プラズマ、イオンビーム、原子ビーム、ラジカルビーム、またはレーザを用いて半導体ウエハWを加熱することなく金属バンプ同士を結合している。
なお、上記の態様では、ウエハプリアライメント装置20およびウエハホルダプリアライメント装置40を個別に設けたが、例えば、アライナ50の第2テーブル56においてウエハホルダのプリアライメントを実行することもできる。また、同じく第2テーブル56において、ウエハホルダWHに半導体ウエハWを搭載してもよい。
更に、図9を参照して既に説明したように、ウエハホルダストッカ30においてウエハホルダWHのプリアライメントを実行することもできる。このような態様により、積層基板製造装置100の設置面積を縮小することもできる。
また、上記の態様では、アライナ50が第2テーブル56上に固定された半導体ウエハWのアライメントマークAMを観察可能な高精度アライメントカメラCA3を備える例を示したが、これに代えて、第1テーブル54上の半導体ウエハWを観察するためのアライメントカメラ及び第2テーブル56上の半導体ウエハWを観察するためのアライメントカメラをそれぞれ備えるアライナを本発明に適用することができる。この場合、前記各アライメントカメラにより各半導体ウエハWのアライメントマークAMを直接観察することができるので、アライナ50による位置決め時に、フィディシャルマークFMを基準とすることなくアライメントマークAMを基準にして両半導体ウエハWの位置決めを行うことができる。従って、この場合、第1ウエハホルダWH及び第2ウエハホルダWHのフィディシャルマークFMを不要とすることができる。第1ウエハホルダWH及び第2ウエハホルダWHのフィディシャルマークFMを設けない場合、第1ウエハホルダWH及び第2ウエハホルダWHのプリアライメントを例えば図9に示すウエハホルダプリアライメント装置を用いて行うことができる。
また、上記の説明では、積層基板製造装置100を例示したが、この発明の位置決め方法は、半導体装置の製造過程においてフォトリソグラフィに用いられる露光装置における被露光基板およびレチクル等のパターン形成基板の位置決めにも有効である。