以下、図面を参照して、本発明の実施の形態にかかる貼り合わせ基板と、その製造装置について説明する。なお、以下の説明では、本実施の形態にかかる貼り合わせ基板が、液晶表示素子であるとして説明する。もちろん、本実施の形態にかかる貼り合わせ基板は、液晶表示素子に限られるものではない。液晶表示素子以外の表示素子、光学素子、半導体基板などであってもよく、これら以外のものであってもよい。すなわち、第1の基板と第2の基板とが接着材によって貼り合わされた構造を有する貼り合わせ基板に適用することができる。第1の基板と第2の基板の材質は特に限定されるものではない。また、以下の説明では、適宜XYZ3次元直交座標系を用いて説明を行う。XY平面が液晶表示素子と平行な面であり、Z方向は液晶表示素子と垂直方向である。製造装置においては、水平面であるXY平面に沿って液晶表示素子が配置される。
(液晶表示素子の構成)
まず、液晶表示素子の全体構成について、説明する。図1は、液晶表示素子の構成を示す平面図であり、図2はその断面図である。なお、図1、及び図2では、液晶表示素子100の厚さ方向をZ方向とし、矩形の液晶表示素子100の端辺に沿った方向をX方向及びY方向としている。
液晶表示素子100は、第1の基板部である駆動基板1と、第2の基板部である対向基板2と、シール材6と、を備えている。対向配置された駆動基板1と対向基板2とはシール材6によって貼り合わされている。シール材6は矩形枠状に形成されており、その内側が表示領域3となる。表示領域3には、複数の画素3aがアレイ状に配置されている。すなわち、画素3aが配置された領域が表示領域3となる。それぞれの画素3aには、画素回路であるトランジスタが配置されている。したがって、駆動基板1は、アレイ状に配置されたトランジスタアレイ基板となる。
矩形状の表示領域3の外側が、額縁状の周辺領域4となる。周辺領域4には、シフトレジスタ、ビデオスイッチ等の周辺回路が形成されている。周辺領域4において、駆動基板1の一端は対向基板2からはみ出しており、そのはみ出した部分に、外部の制御回路と接続される端子10が形成される。ここでは、複数の端子10がY方向に沿って配列されている。端子10はプリント基板やフレキシブル基板等と接続される。
図2に示すように、駆動基板1と対向基板2とシール材6とで形成された空間には、液晶7が封入されている。駆動基板1と対向基板2には、液晶7を所定の方向に配向するための配向膜9が設けられている。配向膜9は、互いに向かうように配置されている。配向膜9は、SiOなどを斜め蒸着することによって形成することができる。また、シール材6は、シール内スペーサ8を含有している。
駆動基板1は、不透明なシリコンウェハから切り出されたシリコン基板である。そして、それぞれの画素3aには、スイッチング素子であるトランジスタと接続された反射画素電極(不図示)が設けられている。対向基板2は透明なマザーガラス基板から切り出されたガラス基板である。対向基板2の全面には、対向電極5が形成されている。対向電極5は、ITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電膜で形成されている。反射画素電極と対向電極5との間の電圧によって液晶7が駆動する。対向基板2側から光が入射すると、液晶7の状態に応じて、反射画素電極で反射される光の偏光状態が制御される。したがって、各反射画素電極に供給する表示信号を制御することで、表示領域3内に所望の画像を表示することができる。また、対向基板2の表示側の面には、必要に応じて反射防止膜や偏光子等を形成してもよい。
(多面取り)
上記の液晶表示素子100は、多面取りによって製造される。すなわち、駆動基板1と対向基板2と個々に貼り合わせて、液晶表示素子100を製造するのではなく、大型のマザー基板同士を貼り合わせた後に、個々の液晶表示素子100に切断する。このようにすることで、一度に複数の液晶表示素子100を一括して製造することができる。よって、生産性向上、歩留まり向上、製造コストの低減を図ることができる。
例えば、図3に示すように、第1のマザー基板としてシリコンウェハ(半導体基板)12を用意する。第2のマザー基板として透明なガラス基板13を用意する。シリコンウェハ12とガラス基板13は、ほぼ同じ大きさの円形状になっている。なお、図3では、円形のガラス基板13を用いたが、矩形状のガラス基板13を用いてもよい。そして、シリコンウェハ12に画素3a、周辺回路、端子等を形成することで、複数の駆動基板1が形成される。これらの製造工程には、公知の半導体製造工程を用いることができるため、説明を省略する。また、ガラス基板13の全面に透明な対向電極をスパッタ法などで形成する。そして、シリコンウェハ12、及びガラス基板13の表面に配向膜9(図3では図示を省略)を形成する。シリコンウェハ12の表面に接着剤となるシール材6を塗布して、シール材6の内側に、液晶を滴下する。
より具体的には、各表示領域3を枠状に囲むシール材6をシリコンウェハ12上に塗布する。そして、シール材6で形成された矩形枠内に液晶7を供給する。ここでは、ODF(One Drop Fill)法が用いられる。すなわち、液晶7を微量滴下するディスペンサを用いて、シール材6の枠内に液晶7を一定量ずつ滴下する。ここで、滴下する液晶7を除電することにより、滴下する液晶量を一定とすることができる。これによって、表示する画像の再現性を向上させて、画像品質を高めることができる。
液晶を滴下した後、配向膜9が形成された面(以下、配向面とする)が向かい合うように、シリコンウェハ12をガラス基板13と対向配置する。シール材6を介してシリコンウェハ12とガラス基板13を貼り合わせることで、貼り合わせ基板14が形成される。なお、上記の説明では、シール材6をシリコンウェハ12に塗布したが、ガラス基板13に塗布するようにしてもよい。すなわち、シリコンウェハ12とガラス基板13とを上下反対にして、貼り合せを行ってもよい。
シール材6としては、光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂などが用いられている。例えば、紫外線照射によって、シール材6を硬化する。これにより、シリコンウェハ12とガラス基板13とが接合して、固着される。より具体的には、シリコンウェハ12とガラス基板13を真空状態にした状態で、シリコンウェハ12上に設けられたシール材6をガラス基板13と接触させる。これにより、シリコンウェハ12とガラス基板13とが仮接合され、シリコンウェハ12とガラス基板13とシール材6とで形成された空間が封止される。そして、シリコンウェハ12とガラス基板13を大気圧に戻して加圧するとともに、シール材6に紫外線を照射する。これにより、シール材6が硬化して、シリコンウェハ12とガラス基板13が貼り合せられ、貼り合わせ基板14が完成する。このように、真空状態から大気圧状態に戻して加圧することで、ガラス基板13とシリコンウェハ12との間にセルギャップを一定にすることができる。もちろん、UV硬化ではなく、熱硬化を用いてシール材6を硬化してもよく、UV硬化と熱硬化の両方を用いてもよい。
そして、スクライブラインなどに沿って、貼り合わせ基板14を切断する。こうすることで、貼り合わせ基板14から液晶表示素子100の個片を切り出すことができる。このようにして、駆動基板1と対向基板2とが貼り合わせられた液晶表示素子100が製造される。
切り出された液晶表示素子100の端子10に外部の制御装置などをワイヤボンディングや異方性導電膜などによって接続する。これにより、画素電極に供給された電圧に応じて、液晶7が駆動する。外部から対向基板2及び液晶7を通過した光は、画素3aの画素電極で反射される。液晶7の状態に応じて、画素電極で反射されて外部に出射する光の光量が変化する。外部制御装置からの制御信号に応じて所望の画像を表示することができる。このような反射型の液晶表示素子は、画像を投影するプロジェクタに好適であり、さらには、自動車などの乗り物に搭載されるヘッドアップディスプレイに利用することが可能である。
(製造装置)
貼り合わせ工程を行うための製造装置について説明する。貼り合わせ工程では、互いの配向面が向かい合った状態で、シリコンウェハ12とガラス基板13を対向配置する。そして、シリコンウェハ12のシール材6がガラス基板13と接触するように、シリコンウェハ12とガラス基板13を近づけていく。ここで、製造装置は、ガラス基板13とシリコンウェハ12を位置決めした状態で近づけていくダイセットが用いられる。さらに、貼り合せ工程において、シリコンウェハ12を保持する第1のカートリッジと、ガラス基板13を保持する第2のカートリッジを用いている。第1のカートリッジと第2のカートリッジをダイセットに設置している。なお、製造装置において、液晶表示素子100と垂直なZ方向が鉛直方向(上下方向)となっており、XY平面が水平面となっている。
(カートリッジ)
まず、第1のカートリッジ20と第2のカートリッジ30の構成について、図4〜図8を用いて説明する。図4は、第1のカートリッジ20の構成を模式的に示す平面図であり、図6は、第2のカートリッジ30の構成を模式的に示す平面図である。図5は、シリコンウェハ12を保持した状態の第1のカートリッジ20を模式的に示す側面図である。図7は、ガラス基板13を保持した状態の第2のカートリッジ30を模式的に示す側面図である。図8は、第1のカートリッジと第2のカートリッジとを対向配置した状態を模式的に示す側面図である。すなわち、図8では、第2のカートリッジ30を上下反転した状態を示している
なお、図4〜図8では、シリコンウェハ12、及びガラス基板13に形成されたシール材6、配向膜9、及び液晶7などを適宜省略して、図示している。さらに、図4〜図8は、カートリッジを模式的に示す図であり、一部の構成については適宜省略されている。また、図4〜図8は模式図であるため、実際の形状や構成とは一部異なっている。
図4に示すように、第1のカートリッジ20は、ベース部21と当接部22と付勢部23とを備えている。ベース部21は、シリコンウェハ12よりも大きなプレートである。そして、ベース部21の上には、当接部22が配置されている。当接部22は、シリコンウェハ12の側面と当接するように設けられている。図4では、2つの当接部22が設けられている。一方の当接部22は、X方向に沿って設けられ、他方の当接部22は、Y方向に沿って設けられている。付勢部23は、シリコンウェハ12を当接部22に付勢する。すなわち、付勢部23は、板バネ又はスプリングなどの弾性体を有しており、白抜矢印方向に付勢力を発生する。そして、付勢部23の付勢力によってシリコンウェハ12を当接部22に付勢する。すなわち、付勢部23がシリコンウェハ12の側面を当接部22に付き当てる。
このように、当接部22と付勢部23によってシリコンウェハ12をX方向、及びY方向に挟み込むようにして、第1のカートリッジ20がシリコンウェハ12を保持している。これにより、精度よく、シリコンウェハ12を位置決めすることができる。すなわち、当接部22が位置決めの基準となるため、位置精度を向上することができる。また、シリコンウェハ12の端部にはオリフラ12aが設けられている。そして、オリフラ12aが、当接部22と接触する。
図5に示すように、当接部22及び付勢部23は、シリコンウェハ12の上面よりも上側に位置しないように形成されている。すなわち、当接部22と付勢部23は、シリコンウェハ12の配向面12bよりも上側に突出しないようになっている。換言すると、配向面12bを上側にして、シリコンウェハ12を第1のカートリッジ20に設置した状態において、当接部22、及び付勢部23は、シリコンウェハ12の側面の上端よりも下側に配置されている。そのため、側面視において、当接部22と付勢部23は階段状に形成されている。そして、当接部22、及び付勢部23は、シリコンウェハ12の裏面(配向面12bと反対側の面)及び側面のみと接触する。このような構成とすることで、当接部22、及び付勢部23がガラス基板13や第2のカートリッジ30と干渉することなく、貼り合わせを行うことができる。
図6に示すように、第2のカートリッジ30は、第1のカートリッジ20と同様に、ベース部31、当接部32、及び付勢部33を備えている。ベース部31、当接部32、及び付勢部33は、それぞれ、ベース部21、当接部22、及び付勢部23と同様の構成になっている。そして、第2のカートリッジ30も、同様にガラス基板13を保持している。すなわち、当接部32と付勢部33によってガラス基板13をX方向、及びY方向に挟み込むようにして、第2のカートリッジ30がガラス基板13を保持している。ガラス基板13には、直線状の切欠13aが1つ設けられており、この切欠13aに一方の当接部32が接触する。
さらに、第2のカートリッジ30には、2つの脱落防止機構34が設けられている。脱落防止機構34は、ガラス基板13の+X側と−X側にそれぞれ配置されている。すなわち、ガラス基板13の両側に脱落防止機構34が配置されている。
当接部32及び付勢部33の側面構成は、図7に示すようになっている。当接部32及び付勢部33は、ガラス基板13の上面、すなわち配向面13bよりも上側に位置しないように形成されている。すなわち、当接部32と付勢部33は、ガラス基板13の配向面13bよりも上側に突出しないようになっている。換言すると、配向面13bを上側にして、ガラス基板13を第2のカートリッジ30に設置した状態において、当接部32、及び付勢部33は、ガラス基板13の側面の上端よりも下側に配置されている。そのため、側面視において、当接部32と付勢部33は階段状に形成されている。そして、当接部32、及び付勢部33は、ガラス基板13の裏面(配向面13bと反対側の面)及び側面のみと接触する。このような構成とすることで、当接部32、及び付勢部33がシリコンウェハ12や第1のカートリッジ20と干渉することなく、貼り合わせを行うことができる。
ここで、貼り合わせ工程では、ガラス基板13の配向面13bをシリコンウェハ12の配向面12bと対向配置する必要がある。そのため、ガラス基板13を保持する第2のカートリッジ30を上下反転して、配向面12bを下側に向ける必要がある。当接部32及び付勢部33は、図7に示したように、配向面12b側にはみ出していない。第2のカートリッジ30を上下反転した場合に、第2のカートリッジ30からガラス基板13が脱落してしまう恐れがある。第2のカートリッジ30からガラス基板13が脱落するとガラス基板13が破損してしまう。そこで、本実施の形態では、図6、図7に示すように、第2のカートリッジ30は、脱落防止機構34を有している。脱落防止機構34は、X方向において、ガラス基板13の両側に配置されている。そして、脱落防止機構34は、第2のカートリッジ30を上下反転した際に、ガラス基板13が第2のカートリッジ30から脱落するのを防止する。そのため、脱落防止機構34は、ガラス基板13の配向面13b側にはみ出ている。すなわち、脱落防止機構34がガラス基板13の端部上に配置されている。
第2のカートリッジ30を上下反転して、対向配置したときの側面構成を図8(a)に示す。第2のカートリッジ30を上下反転させると、図8(a)に示すように、配向面13bが下側を向く。このとき、脱落防止機構34の一部は、ガラス基板13の配向面13b側に突出するように配置されている。すなわち、第2のカートリッジ30を上下反転した状態で、脱落防止機構34は、配向面13bの下側に配置される。これにより、当接部32と付勢部33からガラス基板13が脱落した場合、脱落防止機構34の上に、ガラス基板13が載る。これにより、脱落防止機構34がガラス基板13を第2のカートリッジ30から脱落するのを防止することができる。例えば、衝撃などによって付勢部33の付勢力が弱くなって、当接部32と付勢部33からガラス基板13が外れてしまうことがある。当接部32と付勢部33との間からガラス基板13が脱落しても、脱落防止機構34がガラス基板13を保持する。よって、脱落防止機構34は、第2のカートリッジ30からガラス基板13が脱落することができ、ガラス基板13の破損を防ぐことができる。
なお、当接部32と付勢部33とがガラス基板13を保持している状態において、脱落防止機構34は、ガラス基板13と接触しないように配置することが好ましい。すなわち、当接部32と付勢部33とがガラス基板13を保持している状態では、ガラス基板13と脱落防止機構34との間には微小な隙間が形成されている。
なお、脱落防止機構34は、シリコンウェハ12のオリフラ12aよりも外側に位置している。換言すると、平面視において、脱落防止機構34は、ガラス基板13がシリコンウェハ12の外周端からはみ出す位置に配置されている。したがって、貼り合せ工程において、シリコンウェハ12とガラス基板13とをある程度近づけていった場合であっても、脱落防止機構34がシリコンウェハ12や第1のカートリッジ20と干渉することはない。
そして、シリコンウェハ12とガラス基板13とを近づけるように、第1のカートリッジ20及び第2のカートリッジ30の少なくとも一方を移動させる。シリコンウェハ12とガラス基板13とがある一定の距離まで近づいたら、図8(b)に示すように脱落防止機構34を退避させる。すなわち、ガラス基板13の外側に脱落防止機構34を移動させると、脱落防止機構34がシリコンウェハ12とガラス基板13の間から退避する。これにより、当接部22や付勢部23と脱落防止機構34が干渉するのを防ぐことができる。そして、脱落防止機構34を退避位置に移動した後で、第1のカートリッジ20と第2のカートリッジ30をさらに近づける。すると、シリコンウェハ12上のシール材6にガラス基板13が接触して、シリコンウェハ12とガラス基板13が貼り合せられる。
(ダイセット)
上記のように、貼り合せ工程では、第1のカートリッジ20に対して第2のカートリッジ30を近づけている。そのため、貼り合わせ工程のための製造装置では、第1のカートリッジ20及び第2のカートリッジ30がそれぞれダイセットに設置される。そして、ダイセットが第1のカートリッジ20を第2のカートリッジ30に対して相対的に移動している。
ダイセットは、第1のカートリッジ20がシリコンウェハ12を保持した構成と同様の構成で、カートリッジを保持する。製造装置に設置されたダイセットの構成について、図9を用いて、説明する。図9は、ダイセット101の構成を模式的に示す斜視図である。なお、図9では、第1のカートリッジ20の当接部22及び付勢部23、並びに第2のカートリッジ30の当接部32及び付勢部33を省略して、図示している。
ダイセット101は、下側のダイとなるステージ40と、上側のダイとなる保持治具50を備えている。ステージ40と保持治具50は、支柱86を介して取り付けられている。ステージ40の上には第1のカートリッジ20が載置されている。ステージ40は、第1のカートリッジ20を保持する。ステージ40は、ベース部41と、当接部42とを備えている。なお、図9では、図示を省略しているが、ベース部41には、付勢部が設けられている。そして、付勢部が第1のカートリッジ20を当接部42に付勢する。横方向から付勢部と当接部42が第1のカートリッジ20を挟み込むことで、ステージ40が第1のカートリッジ20を保持する。
ステージ40の上方には、保持治具50が設けられている。保持治具50は、第2のカートリッジ30が載置されるステージとなる。このとき、図8に示したように、第2のカートリッジ30は上下反転している。ガラス基板13が下方向、すなわち、シリコンウェハ12側に配置される。保持治具50は、ガラス基板13の配向面13bが下方向を向いた状態で、第2のカートリッジ30を保持する。
保持治具50は、ベース部51と当接部52を備えている。後述するように保持治具50には、ガラス基板13を下方に向けて配置するための開口部51aが設けられている。なお、図9では、図示を省略するが、保持治具50は、付勢部を備えている。ステージ40が第1のカートリッジ20を保持するのと同様に、保持治具50は、第2のカートリッジ30を保持する。すなわち、付勢部が第2のカートリッジ30を当接部52に付勢することで、保持治具50が第2のカートリッジ30を保持する。
さらに、ステージ40の四隅には、保持治具50を支持する支柱86が設けられている。支柱86は、Z方向に沿って設けられている。保持治具50は支柱86の上端に固定されている。そして、ステージ40が支柱86にガイドされながら、保持治具50に対して相対移動する。例えば、ステージ40の四隅には支柱86を貫通する貫通穴が設けられている。そして、支柱86とステージ40とが直動軸受を介して連結されている。このように、ステージ40は、鉛直移動可能に、支柱86に支持されている。したがって、支柱86は、保持治具50に対するステージ40の相対移動をガイドするガイド機構となる。
このように、ステージ40と保持治具50とは支柱86を介して連結されている。例えば、保持治具50を下降させていくと、シリコンウェハ12とガラス基板13が接近する。そして、シリコンウェハ12に設けられたシール材6がガラス基板13と接触するまで、保持治具50を下降させる。これにより、シリコンウェハ12とガラス基板13を仮接合することができる。
このような構成によって、シリコンウェハ12とガラス基板13を精度よく、位置決めすることができる。シリコンウェハ12は第1のカートリッジ20の当接部22を基準として位置決めされる。さらに、第1のカートリッジ20は、ステージ40の当接部42を基準として位置決めされる。また、ガラス基板13は、第2のカートリッジ30の当接部32を基準として位置決めされる。さらに、第2のカートリッジ30は、保持治具50の当接部52を基準として位置決めされる。
そして、ステージ40が支柱86に沿って、第2のカートリッジ30に接近していく。よって、高い位置精度の位置合わせを簡便に行うことができる。例えば、シリコンウェハ12やガラス基板13に設けたアライメントマークなどをカメラなどで撮像して、位置合わせを行う必要がなくなる。よって、簡便に高い精度の位置合わせを行うことができ、生産性を向上することができる。
さらに、ダイセット101が第1のカートリッジ20及び第2のカートリッジ30を保持している。したがって、シリコンウェハ12、及びガラス基板13を製造装置内に搬入する際に、シリコンウェハ12及びガラス基板13を直接保持する必要がなくなる。これにより、シリコンウェハ12、及びガラス基板13の基板端面でのチッピングや、基板からの発塵を抑制することができる。よって、生産性を向上することができる。
(第1のカートリッジ20)
次に、第1のカートリッジ20の構成について、図10、及び図11を用いて詳細に説明する。図10、及び図11は、第1のカートリッジ20の構成を示す図である。図10は、シリコンウェハ12を保持していない状態、図11は、シリコンウェハ12を保持している状態をそれぞれ示している。さらに、図10(a)、図11(a)は、第1のカートリッジ20の平面図を示し、図10(b)、図11(b)は、第1のカートリッジ20の側面図を示している
上記のように、第1のカートリッジ20は、ベース部21、当接部22、付勢部23を備えている。ベース部21の中央には、開口部21aが形成されている。したがって、ベース部21は枠状になっている。そして、この開口部21aに、シリコンウェハ12が配置される。
ベース部21の+X側の端辺、及び−Y側の端辺には、それぞれ当接部22が設けられている。すなわち、一方の当接部22は、シリコンウェハ12の+X側に配置され、他方の当接部22は、シリコンウェハ12の−Y側に配置される。当接部22は、ボルト22aによって、ベース部21に固定されている。
ベース部21の−X側かつ+Y側の角部には、付勢部23が設けられている。付勢部23は、先端部23a、バネ23b、レバー23c、本体部23dを有している。本体部23dのシリコンウェハ12側には、先端部23aが配置されている。先端部23aはボルト等によって、本体部23dに固定されている。先端部23aは、本体部23dよりもシリコンウェハ12側に突出している。すなわち、先端部23aは開口部21aの上まで延在している。そして、先端部23aがシリコンウェハ12の側面と当接する。さらに、本体部23dはバネ23bを介してベース部21に取り付けられている。バネ23bは、先端部23aを図11(a)の白抜矢印の方向に付勢するための付勢力を発生する。
レバー23cは、付勢部23を退避させるために設けられている。すなわち、レバー23cを、図10(a)の矢印Aの方向に回転することで、先端部23aがシリコンウェハ12の側面から離れる。これにより、シリコンウェハ12の脱着が可能になる。また、レバー23cを矢印Aと反対方向に回転させることで、付勢部23がシリコンウェハ12に近づく。これにより、先端部23aがシリコンウェハ12の側面と接触する。さらに、先端部23aがシリコンウェハ12の側面と接触すると、バネ23bが伸縮する。バネ23bの伸縮によって、シリコンウェハ12を当接部22に押し付けるための弾性力が発生する。付勢部23がシリコンウェハ12を当接部22に付勢する。このようにして、シリコンウェハ12が第1のカートリッジ20に保持される。さらに、レバー23cを矢印Aの方向に回転させることで、シリコンウェハ12が解放される。これにより、シリコンウェハ12を第1のカートリッジ20から搬出することができる。このように、レバー23cを操作することで、付勢部23を退避位置、又は保持位置に切り替えることができる。
付勢部23は、当接部22に対して斜め方向の付勢力を発生する。すなわち、付勢部23は、X方向とY方向との間の方向(図11(a)中の白抜矢印方向)に付勢力を発生する。そして、一方の当接部22がX方向の反力を発生し、他方の当接部22がY方向の反力を発生する。したがって、シリコンウェハ12は、2つの当接部22によって、X方向及びY方向に位置決めされる。
シリコンウェハ12の4方向の端部がオリフラ12aとなっている。すなわち、X方向に沿ったオリフラ12aが2つ設けられ、Y方向に沿ったオリフラ12aが2つ設けられている。当接部22はシリコンウェハ12のオリフラ12aと当接する。XY平面視において、シリコンウェハ12の当接部22と接触する箇所は、直線状に形成されている。XY平面視において、当接部22のシリコンウェハ12と接触する箇所も直線状に形成されている。これにより、X方向、及びY方向に精度よく位置決めすることができる。なお、シリコンウェハ12の付勢部23と接触する箇所は、オリフラ12aとなっていない。したがって、平面視において、先端部23aは、シリコンウェハ12の外形に沿って円弧状になっている。1つの付勢部22でX方向及びY方向に付勢力を発生することができる。
(ステージ40)
次に、第1のカートリッジ20が載置されるステージ40の構成について、詳細に説明する。図12、及び図13は、ステージ40の構成を示す平面図である。なお、図12は、第1のカートリッジ20が設置されていない状態を示し、図13は、第1のカートリッジ20が設置されている状態を示している。なお、図13では、図11に示す第1のカートリッジ20を時計回りに90度回転させた状態で、第1のカートリッジ20が設置されている。
ステージ40は、ベース部41、当接部42、付勢部43を備えている。ベース部41は略矩形状の外形を有している。ベース部41には、2つの当接部42が設けられている。当接部42が第1のカートリッジ20の外周側面と当接することで、第1のカートリッジ20が位置決めされる。当接部42は第1のカートリッジ20の−X側、及び−Y側にそれぞれ配置される。第1のカートリッジ20の−X側の当接部42がX方向の位置を規定し、−Y側の当接部42がY方向の位置を規定する。
なお、第1のカートリッジ20の当接部22は、シリコンウェハ12の−X側、及び−Y側に配置されている。したがって、当接部22と当接部42が近接して配置されている。すなわち、XY平面視において、当接部22が当接部42とシリコンウェハ12との間に配置される。このようにすることで、シリコンウェハ12の位置決めの基準位置と、第1のカートリッジ20の位置決めの基準位置を近づけることができる。これにより、より高い精度で位置決めすることができる。
ステージ40は、4つの付勢部43を備えている。それぞれの付勢部43は同一の構成を備えており、ステージ40における設置位置と設置方向が異なっている。第1のカートリッジ20の+X側に2つの付勢部43が配置され、第1のカートリッジ20の+Y側に2つの付勢部43が配置されている。付勢部43は、先端部43a、バネ43b、レバー43c、本体部43d及び回転軸43eを備えている。本体部43dは、回転軸43e周りに回転可能に、ベース部41に取り付けられている。さらに、本体部43dの先端には、先端部43aが設けられている。そして、先端部43aが第1のカートリッジ20の外周側面と当接する。
また、バネ43bの一端は、本体部43dに取り付けられ、他端はベース部41に取り付けられている。バネ43bは、回転軸43eと先端部43aとの間において、本体部43dに取り付けられている。バネ43bが伸縮することで、本体部43dを回転軸43e周りに回転させる力が発生する。先端部43aが第1のカートリッジ20と接触すると、バネ43bが伸縮する。バネ43bの伸縮によって、第1のカートリッジ20を当接部42に押し付けるための弾性力が発生する。付勢部43が第1のカートリッジ20を当接部42に付勢する。このようにして、第1のカートリッジ20がステージ40に保持される。
本体部43dの先端部43aと反対側の端部には、レバー43cが設けられている。レバー43cは、先端部43aを退避させるために設けられている。レバー43cを操作することで、先端部43aが第1のカートリッジ20の側面から離れる。これにより、ステージ40から第1のカートリッジ20を解放することができ、第1のカートリッジ20の脱着が可能になる。
4つの付勢部43は同様の機構を備えており、それぞれ付勢力を発生する。これにより、第1のカートリッジ20が当接部42に付勢される。すなわち、付勢部43は、第1のカートリッジ20を−X方向、及び−Y方向に付勢する。付勢部43は、第1のカートリッジ20を当接部42に押し付ける。
さらに、ベース部41には、4つの貫通穴45が設けられている。貫通穴45は、第1のカートリッジ20の外側において、対角に配置されている。貫通穴45は、図9で示した支柱86が挿入される。したがって、支柱86が保持治具50に対するステージ40の上下方向への相対移動をガイドする。
(第2のカートリッジ30)
次に、第2のカートリッジ30の構成について、図14、及び図15を用いて詳細に説明する。図14、及び図15は、第2のカートリッジ30の構成を示す図である。図14は、ガラス基板13を保持していない状態、図15は、ガラス基板13を保持している状態をそれぞれ示している。さらに、図14(a)、図15(a)は、第2のカートリッジ30の平面図を示し、図14(b)、図15(b)は、第2のカートリッジ30の側面図を示している。また、図15は、ガラス基板13が上側にある状態、すなわち、上下反転していない状態を示している。なお、第2のカートリッジ30の説明において、第1のカートリッジ20と共通する内容については、適宜説明を省略する。
第2のカートリッジ30はベース部31、当接部32、付勢部33を備えている。ベース部31の中央には、開口部31aが配置されており、ベース部31は枠状になっている。そして、この開口部31aに、ガラス基板13が配置される。
ベース部31の−X側の端辺、及び−Y側の端辺には、それぞれ当接部32が設けられている。すなわち、一方の当接部32は、ガラス基板13の−X側に配置され、他方の当接部32は、ガラス基板13の−Y側に配置される。当接部32は、ボルト32aによって、ベース部31に固定されている。
ベース部21の+X側で+Y側の角部には、付勢部33が設けられている。付勢部33は、先端部33a、バネ33b、レバー33c、本体部33dを有している。付勢部33の構成は、付勢部23と同様であるため、説明を省略する。すなわち、付勢部33の先端部33a、バネ33b、レバー33c、本体部33dがそれぞれ、付勢部23の先端部23a、バネ23b、レバー23c、本体部23dに対応する。そして、レバー33cを操作することで、付勢部33を退避位置、又は保持位置に切り替えることができる。
図15(a)に示すように、ガラス基板13の−Y側の端部には、X方向に沿って切欠13aが形成されている。そして、切欠13aにおいて、ガラス基板13の側面が一方の当接部32と接触する。よって、XY平面視において、一方の当接部32のガラス基板13の側面と接触する箇所は直線状になっている。ガラス基板13において、他方の当接部32と接触する箇所は、円弧状となっている。よって、XY平面視において、他方の当接部32のガラス基板13と接触する箇所は、ガラス基板13の外周に沿うように、円弧状になっている。もちろん、他方の当接部32を直線状にしてもよい。この場合、ガラス基板13の2か所に切欠13aを設ける。
さらに、ベース部31には、2つの脱落防止機構34が取り付けられている。一方の脱落防止機構34は、ガラス基板13の+X側に配置され、他方の脱落防止機構34はガラス基板13の−X側に配置されている。脱落防止機構34は、先端部34a、バネ34b、レバー34c、本体部34dを備えている。なお、脱落防止機構34の機構は、付勢部33の機構と同様になっているため、説明を省略する。すなわち、脱落防止機構34の先端部34a、バネ34b、レバー34c、本体部34dは、それぞれ、付勢部33の先端部33a、バネ33b、レバー33c、本体部33dに対応する。
そして、先端部34aが配向面13bの上側に延在するように配置されている(図15(b)参照)。また、先端部34aは、ガラス基板13の側面と接触しないようになっている。レバー34cを回転すると、先端部34aが図15(b)の白抜矢印方向に移動する。先端部34aが配向面13bの上側から退避する。すなわち、一対の先端部34aが離れるように移動する。このように、レバー34cを操作することで、脱落防止機構34を退避位置、又は保持位置に切り替えることができる。
脱落防止機構34及び付勢部33を退避位置に移動することで、ガラス基板13を第2のカートリッジ30から脱着することができる。例えば、ガラス基板13を第2のカートリッジ30に脱着する場合、レバー33c、レバー34cを所定の方向に回転させて、先端部33a、先端部34aを退避位置に移動する。これにより、ガラス基板13が搬入及び搬出することできる状態となる。第2のカートリッジ30の上に、ガラス基板13を搬入したら、レバー33c、レバー34cを反対方向に回転させて、先端部33a、先端部34aを保持位置に移動する。すなわち、先端部33aをガラス基板13の側面に当接させる。さらに、一対の先端部34aを近づけて、先端部34aが配向面13bの上方に移動する。ガラス基板13の脱落を防止した状態で、第2のカートリッジ30がガラス基板13を保持することができる。
(保持治具50)
次に、保持治具50の構成について、図16、及び図17を用いて詳細に説明する。保持治具50は、ベース部51、当接部52、及び付勢部53を備えている。なお、保持治具50の基本的な構成は、ステージ40と同様であるため、共通の構成については、適宜説明を省略する。例えば、当接部52と付勢部53の構成は、当接部42と付勢部43と同様であるため、説明を省略する。
ベース部51には、開口部51aが設けられている。この開口部51a内に、第2のカートリッジ30が配置される。なお、第2のカートリッジ30の一部はベース部51の上側に載置されるため、第2のカートリッジ30が保持治具50から落下することはない。当接部52と付勢部53とが第2のカートリッジ30を保持する。すなわち、付勢部53が第2のカートリッジ30を当接部52に付き当てることで、保持治具50が第2のカートリッジ30を保持する。なお、第2のカートリッジ30の−Y側に配置された当接部52は、XY平面視においてコの字型に形成されている。こうすることで、付勢部53が付勢部33と干渉するのを防ぐことができる。すなわち、Y方向の位置を規定する当接部52がX方向に離れた2か所で第2のカートリッジ30と当接し、この間に付勢部33が配置される。
図15に示す状態の第2のカートリッジ30を上下反転すると、ガラス基板13は下側に向く。この状態で、第2のカートリッジ30を保持治具50の上に載置する。すなわち、ガラス基板13の配向面13bが下面となった状態で第2のカートリッジ30を保持治具50に設置する。このとき、ガラス基板13は、開口部51a内に配置される。したがって、配向面12bと配向面13bが向かい合った状態で、ガラス基板13がシリコンウェハ12の上方に配置される。そして、付勢部53が第2のカートリッジ30を当接部52に付勢する。当接部52と付勢部53とによって、第2のカートリッジ30が保持治具50に位置決めされて、保持される。
さらに、保持治具50には、支柱86に固定するために固定穴56が設けられている。支柱86が固定穴56に挿入されることによって、保持治具50が支柱86に固定されて、支持される。固定穴56は、第2のカートリッジ30の外周よりも外側に配置されている。ここでは、4つの固定穴56が対角に配置されている。
なお、第2のカートリッジ30の当接部32は、ガラス基板13の−X側、及び−Y側に配置されている。したがって、当接部32と当接部52が近接して配置されている。すなわち、XY平面視において、当接部32が当接部52とガラス基板13との間に配置される。このようにすることで、ガラス基板13の位置決めの基準位置と、第2のカートリッジ30の位置決めの基準位置を近づけることができる。これにより、より高い精度で位置決めすることができる。
(製造装置)
次に、製造装置の構成とその工程について説明する。図18〜図20は、製造装置102の構成を側面断面図である。図18は、ダイセット101に第1のカートリッジ20を設置する工程を示し、図19は、ダイセット101に第2のカートリッジ30を設置する工程を示している。図20は、シリコンウェハ12とガラス基板13とを近づける工程を示している。
製造装置102は、チャンバ80と、可動支柱81と、ストッパ82と、台座83と、ダイセット101と、駆動機構85と、を備えている。ダイセット101は、上記のように、ステージ40、保持治具50、及び支柱86を備えている。チャンバ80は、可動支柱81、ストッパ82、台座83、ステージ40、及び保持治具50等を収容している。台座83の上には、ダイセット101が配置されている。さらに、図18、図19に示すように、チャンバ80の上方には開口部80aが設けられており、外部空間と連通している。そして、図20に示すように、チャンバ80の上に蓋87を配置して、開口部80aを塞ぐ。これにより、チャンバ80の内部空間が密閉される。チャンバ80は図示しない真空ポンプに接続されており、チャンバ80内を真空状態にすることができる。
チャンバ80の底面には、駆動機構85、及び可動支柱81が設けられている。可動支柱81は、チャンバ80に上下移動可能に保持されている。可動支柱81は、Z方向に沿って設けられ、台座83を支持している。可動支柱81は、台座83の上下移動をガイドするガイド機構となる。駆動機構85は、台座83の底面に取り付けられ、台座83を支持している。駆動機構85は、台座83を上下に移動させる。例えば、駆動機構85は、モータ又はシリンダなどであり、台座83を上下に移動する。これにより、台座83が可動支柱81とともに上下に移動する。
台座83の上には、ダイセット101が配置されている。具体的には、台座83には、支柱86がZ方向に沿って設けられている。そして、支柱86は、ステージ40の貫通穴45を通って保持治具50を支持している。さらに、支柱86は、ベアリングなどを介して、ステージ40と連結されている。台座83が上下に移動すると、ステージ40及び保持治具50も上下に移動する。すなわち、台座83に連動して、ステージ40及び保持治具50が上下に移動する。ダイセット101には、シリコンウェハ12を保持した第1のカートリッジ20とガラス基板13を保持した第2のカートリッジ30がセットされる。
さらに、チャンバ80の底面には、ストッパ82がZ方向に沿って設けられている。台座83には、ストッパ82の位置に、貫通穴83aが設けられている。したがって、台座83を所定の位置まで下降すると、ストッパ82が貫通穴83aを貫通して、ステージ40に突き当たる(図20参照)。これにより、ステージ40の下降が停止する。すなわち、ストッパ82は、チャンバ80内での、ステージ40の下限位置を規定している。ステージ40の下降は、ストッパ82によって制限される。
なお、可動支柱81、支柱86、ストッパ82は、対称性を考慮して、対角に配置することが好ましい。すなわち、可動支柱81、支柱86、ストッパ82をそれぞれ4つ設けて、周方向に90度間隔で配置することが好ましい。そして、駆動機構85は、4つの可動支柱81を配置した中心に配置することが好ましい。これにより、シリコンウェハ12、及びガラス基板13が水平を保ったまま、上下に移動する。
(第1のカートリッジ20の搬入)
ステージ40に第1のカートリッジ20を設置すると、図18に示す状態となる。例えば、駆動機構85を駆動して、台座83を最も高い位置まで持ち上げる。こうすることで、ステージ40の上部が、チャンバ80の上端よりも上側になる。これにより、ステージ40上に第1のカートリッジ20を載置することができる。ここでは、第1のカートリッジ20をY方向に移動させて、ステージ40の上に第1のカートリッジ20を載置している。すなわち、ステージ40と保持治具50との間に、横方向から第1のカートリッジ20を搬入している。支柱86の間を通って、第1のカートリッジ20をステージ40上に載置する。第1のカートリッジ20がステージ40に載置されたら、付勢部43を保持位置に移動する。
(第2のカートリッジ30の搬入工程)
次に、保持治具50に第2のカートリッジ30を設置すると、図19に示す状態となる。例えば、駆動機構85を駆動して、図18に示す位置から台座83を下げる。この状態では、保持治具50がチャンバ80の上端よりも上側になる。そして、上下反転した状態のカートリッジ30を保持治具50の上に載置する。ここで、ガラス基板13は、開口部51aに配置される。これにより開口部51aを介して、ガラス基板13とシリコンウェハ12が対向配置される。第2のカートリッジ30が保持治具50に載置されたら、付勢部53を保持位置に移動する。
なお、第1のカートリッジ20と第2のカートリッジ30を搬入する順序は反対であってもよい。例えば、第2のカートリッジ30を保持治具50上に載置した後に、第1のカートリッジ20をステージ40上に載置してもよい。もちろん、第1のカートリッジ20と第2のカートリッジ30をダイセット101に同時に搬入してもよい。
(貼り合せ工程)
次に、シリコンウェハ12とガラス基板13とを貼り合せる工程について説明する。図19に示す状態から駆動機構85を駆動して、台座83を下げていくと、図20に示すようになる。より詳細には、第2のカートリッジ30及び保持治具50がチャンバ80の上端よりも下に位置するように、台座83を下降する。このとき、台座83は、可動支柱81にガイドされながら、下降する。そして、チャンバ80に蓋87を取り付けて、開口部80aを塞ぐ。蓋87とチャンバ80とで形成された空間を真空ポンプによって排気して、真空状態とする。
チャンバ80内の空間が真空状態となったら、可動支柱81に沿って台座83をさらに下げていく。台座83を下げていく途中、ストッパ82が貫通穴83aを通過して、ステージ40に当接する。すると、ステージ40の下降が停止して、台座83とステージ40とが離れていく。支柱86を介して台座83に支持されている保持治具50は、そのまま下降する。ステージ40がストッパ82の位置で停止しても、保持治具50が下降していく。これにより、保持治具50がステージ40に近づいていく。すなわち、ステージ40が支柱86にガイドされながら、保持治具50に対してステージ40が相対的に移動していく。そして、ステージ40が保持治具50に対してある距離まで近づいたら、上記のように脱落防止機構34を退避させる。
脱落防止機構34を退避した後、さらに駆動機構85を駆動して、台座83を下降する。ストッパ82がステージ40の下降を停止しているため、保持治具50がステージ40に近づいていく。ステージ40が支柱86にガイドされながら、保持治具50に接近していく。保持治具50の開口部51a内に第1のカートリッジ20の一部及びシリコンウェハ12が移動する。そして、第2のカートリッジ30の保持されているガラス基板13がシリコンウェハ12上のシール材6(図18〜図20では不図示)と接触する。これにより、シリコンウェハ12とガラス基板13とシール材6とで形成された空間が封止される。
そして、第2のカートリッジ30がガラス基板13の保持を解除する。すなわち、付勢部33を退避位置に移動する。これにより、ガラス基板13が第2のカートリッジ30から第1のカートリッジ20に受け渡される。なお、ガラス基板13の保持の解除は、脱落防止機構34を退避した後であれば、シール材6とガラス基板13が接触する前であってもよい。シール材6とガラス基板13が接触する前に、ガラス基板13の保持を解除する場合、ガラス基板13が第2のカートリッジ30から落下することでシール材6とガラス基板13とが接触する。
その後、チャンバ80をベントして大気圧に戻すとともに、駆動機構85が台座83を上昇させる。この時、大気圧によってシリコンウェハ12とガラス基板13とが加圧される。これにより、仮接合された貼り合わせ基板14が形成される。大気での加圧によって、駆動基板1と対向基板2とが所定のセルギャップとなる。そして、蓋87を外して、ダイセット101から、第1のカートリッジ20と第2のカートリッジ30とを搬出する。これにより、第1のカートリッジ20上に載置された状態で、シリコンウェハ12とガラス基板13とが製造装置102から搬出される。
そして、シール材6の硬化のため、ガラス基板13を介して紫外線を照射するとともに、シリコンウェハ12とガラス基板13を加熱する。これにより、シール材6が硬化されて、貼り合わせ基板14が完成する。なお、貼り合わせ基板14を第1のカートリッジ20上にセットした状態で、シール材6の硬化を行ってもよい。こうすることで、基板のチッピングや発塵を防ぐことができる。
上記のように、第1のカートリッジ20、及び第2のカートリッジ30をダイセット101に搬入出するため、ダイセット101を駆動機構85によって、チャンバ80の上方までダイセット101を持ち上げている。ストッパ82を用いているため、駆動機構85の下降動作によってシリコンウェハ12とガラス基板13とを接近させることができる。すなわち、ダイセット101の上下駆動によって、第1のカートリッジ20と第2のカートリッジ30とが接近させることができる。このようにすることで、ステージ40及び保持治具50をカートリッジの搬入位置に移動させる駆動機構85と、シリコンウェハ12とガラス基板13とを近づける駆動機構85とを共通化することができる。これにより、駆動機構の数を減らすことができ、装置構成を簡素化することができる。
もちろん、上記の説明では、駆動機構85が台座83を下降させることで、シリコンウェハ12とガラス基板13とを接近させたが、駆動機構85の上下動作は特に限定されるものではない。すなわち、駆動機構85が台座83を上昇させることで、シリコンウェハ12とガラス基板13とを接近させてもよい。すなわち、駆動機構85が、ステージ40と保持治具50の少なくとも一方を上下に移動させることができればよい。換言すると、ステージ40と保持治具50とを接近させるように、ステージ40又は保持治具50を移動すればよい。もちろん、ステージ40と保持治具50とを別々の駆動機構85で上下移動させてもよい。
なお、製造工程において、第1のカートリッジ20、及び第2のカートリッジ30を用いることで、シリコンウェハ12、及びガラス基板13に直接触れることなく、シリコンウェハ12、及びガラス基板13を搬送することができるようになる。シール材の塗布、液晶の滴下工程において、第1のカートリッジ20を用いるようにしてもよい。すなわち、第1のカートリッジ20にシリコンウェハ12をセットした状態で、シール材6の塗布、及び液晶7の滴下を行うようにしてもよい。これにより、貼り合せ工程前の発塵などを防ぐことができる。よって、セルギャップに異物などが混入することを防ぐことができ、歩留まりを改善することができる。特に、シリコン基板を用いた高精細の反射型液晶表示素子100では、セルギャップが数μm程度と非常に狭くなる。したがって、セルギャップを均一にするためには、異物の混入を確実に防ぐ必要がある。本実施の形態に係る製造装置102を用いることで、高精細画像表示が可能な液晶表示素子100を高い生産性で製造することができる。
さらに、第1のカートリッジ20、及び第2のカートリッジ30が、シリコンウェハ12及びガラス基板13を保持しているため、作業者が直接シリコンウェハ12及びガラス基板13に触れることなくなる。基板をカートリッジに搬入した後は、カートリッジの搬送のみで製造装置102に基板を移載することができる。よって、移載機で搬入、搬出を行うことができる。よって、発塵を防ぐことができる。
また、ストッパ82がシリコンウェハ12やガラス基板13ではなく、ステージ40に当接している。これにより、チッピングを防ぐことができる。よって、歩留まりを改善することができる。なお、第1のカートリッジ20、第2のカートリッジ30、ステージ40、及び保持治具50は金属材料によって形成されている。これにより、精度よく加工することができる。例えば、当接部42、52と当接する第2のカートリッジ30と第1のカートリッジ20の側面を平面にする。こうすることで、より精度よく位置決めすることができる。
また、第1のカートリッジ20及び第2のカートリッジ30の基板と接触する部分、すなわち、当接部22、当接部32、先端部33a、及び先端部23aはチッピングが起こらないように軟質な材料とすることが好ましい。また、シリコンウェハ12、及びガラス基板13には、当接部22、当接部32、先端部33a、及び先端部23a以外、接触していない。これにより、接触面積を小さくすることができ、よりチッピングや発塵を防ぐことができる。
本実施の形態にかかる製造装置は、第1の基板と第2の基板とが貼り合わせられた貼り合わせ基板を製造する製造装置であって、前記第1の基板の側面と当接する第1の当接部と、前記第1当接部に前記第1の基板を付勢する第1の付勢部と、を備え、前記第1の基板を保持する第1のカートリッジと、前記第2の基板の側面と当接する第2の当接部と、前記第2の当接部に前記第2の基板を付勢する第2の付勢部と、を備え、前記第2の基板を保持する第2のカートリッジと、前記第1のカートリッジの側面と当接する第3の当接部と、前記第3の当接部に前記第1のカートリッジを付勢する第3の付勢部と、を備え、前記第1のカートリッジを保持するステージと、前記第2のカートリッジの側面と当接する第4の当接部と、前記第4の当接部に前記第2のカートリッジを付勢する第4の付勢部と、を備え、前記ステージの上方において前記第2のカートリッジを保持する保持治具と、前記第1の基板と前記第2の基板とを接近させるために、前記ステージに対して前記保持治具を相対移動させる駆動機構と、前記駆動機構による相対移動をガイドするガイド機構と、前記ステージ、前記保持治具、及び前記ガイド機構を収容するチャンバと、を備えたものである。
上記の製造装置が、前記ステージの下限位置を規定するストッパをさらに備え、前記駆動機構が、前記保持治具、及び前記ステージを下降させ、前記駆動機構の下降動作中に前記ステージがストッパと当接することで、下降中の前記保持治具が前記ステージに近づいていくようにしてもよい。
上記の製造装置において、前記第2のカートリッジには、前記第2の基板の前記第1の基板側の面側に突出する脱落防止機構が設けられていてもよい。
上記の製造装置において、前記第1のカートリッジの前記第1の当接部及び前記第1の付勢部が、前記第1の基板の表面から突出しない状態で、前記第1の基板を保持するようにしてもよい。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。