JP2013047318A - ポリビニルアルコール系フィルム及びポリビニルアルコール系フィルムの製造方法、並びにそれを用いた熱転写用積層体 - Google Patents

ポリビニルアルコール系フィルム及びポリビニルアルコール系フィルムの製造方法、並びにそれを用いた熱転写用積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】 熱転写用フィルムのベースフィルムに好適に用いることができるような優れた離型性を有するポリビニルアルコール系樹脂フィルム、及び当該ポリビニルアルコール系フィルムの製造方法、並びに当該ポリビニルアルコール系フィルムを用いた熱転写用積層体を提供することを目的とする。
【解決手段】 ポリビニルアルコール系樹脂(A)100重量部に対して、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基を含有するノニオン系界面活性剤(B)を1〜20重量部含有してなることを特徴とするポリビニルアルコール系フィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、離型性に優れたポリビニルアルコール系フィルムに関し、更に詳述すると、熱転写用積層体のベースフィルムとして好適に用いることができる離型性を有するポリビニルアルコール系フィルム、及び当該ポリビニルアルコール系フィルムの製造方法、並びに当該ポリビニルアルコール系フィルムを用いた熱転写用積層体に関するものである。
成形品の加飾方法として、転写用フィルムを用いて、転写用フィルムの転写層を転写する方法がある。転写用フィルムは、ベースフィルム上に転写層が積層されたもので、かかる転写層は、転写後、被転写材の表面を保護する保護層となる樹脂層、さらに、この樹脂層上に、絵柄層、接着層等を含んでいるものもある。
転写法は、液圧転写法、熱転写法に大別される。
液圧転写法とは、液圧転写用フィルムの転写層側の面を上方にして水面に浮かべ、フィルム上方から、成形品等の被転写物を転写層に押し当てることにより、転写層を被転写物に転写し、その後、被転写物を取り出し、水洗してベースフィルムを溶解除去することで、被転写物に絵柄等を転写する方法である。このような液圧転写法では、ベースフィルムとして、水溶性に優れたポリビニルアルコール系フィルムを用いることが知られている(例えば、特許文献1,2)。
一方、熱転写法で用いられる熱転写用フィルムは、熱可塑性樹脂フィルム等からなるベースフィルム上に、剥離可能な状態で転写層を積層した熱転写用フィルムが用いられ、保護層となる樹脂層は、一般に、硬度や耐溶剤性等の表面物性に優れた樹脂組成物で構成される。このような構成を有する転写フィルムを用いる熱転写方法は、転写用フィルムの転写層側の面を被転写物の表面に圧着した後、ベースフィルムを、転写層から剥離除去することにより、被転写物表面に転写層を転写するという方法である。
このような熱転写用フィルムのベースフィルムとしては、従来より、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステル系樹脂フィルムが用いられているが、ポリエステル系樹脂フィルムは一般に転写層との親和性が高いため、メラミン樹脂やシリコーン系、フッ素系などの離型剤層を、転写層とベースフィルムとの間に介在させることにより、離型性を確保している。しかしながら、このような離型剤処理は、環境面及びコスト面から不利であることから、離型剤処理が不要なベースフィルムが求められている。
このような事情下、近年、熱転写用積層体のベースフィルムにも、ポリビニルアルコール系フィルムを適用することが検討されるようになっている。例えば、特許文献3では、透明フィルム(ベースフィルムに該当)の一方の面に装飾層(転写層に該当)を設けた加飾用フィルム(熱転写フィルム)において、透明フィルムとしてポリビニルアルコール系樹脂フィルムが開示されている。また、特許文献4では、ベースフィルムの片面に、剥離層、絵柄層、接着剤層を順次積層した転写箔において、該ベースフィルムとしてポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする樹脂フィルムを用いることが提案されている。
特開2007−152622号公報 特開2011−11540号公報 特開平7−40515号公報 特開平9−277458号公報
ポリビニルアルコール系フィルムは、離型性が優れるフィルムとして知られているものの、離型剤を用いない熱転写用積層フィルムのベースフィルムとして使用する場合、従来よりも、はるかに優れた離型性が求められる。このような高度な離型性は、通常、市販されているポリビニルアルコール系フィルムでは備えていないのが実情であり、液圧転写用フィルムのベースフィルムを、熱転写用フィルムのベースフィルムに転用しても、離型性を満足できない。
更に、近年の離型膜用途への適用や熱転写印刷における加飾品の生産性向上の要求があり、また、高精細な意匠形成性の観点からも優れた離型性が求められるようになっているが、上記特許文献で具体的に用いられているポリビニルアルコール系フィルムでは不十分である。
本発明は、このような背景下において、非常に優れた離型性を有するポリビニルアルコール系フィルム、特に、熱転写法を用いた加飾方法で使用する熱転写用積層体のベースフィルムに好適に用いることができるような優れた離型性を有するポリビニルアルコール系フィルム、及び当該ポリビニルアルコール系フィルムの製造方法、並びに当該ポリビニルアルコール系フィルムを用いた転写用積層体を提供することを目的とするものである。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂(A)100重量部に対して、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基を含有するノニオン系界面活性剤(B)を1〜20重量部含有してなる。
従来より、ポリビニルアルコール系フィルムには、通常、界面活性剤が含有されていることが知られている。界面活性剤は、ポリビニルアルコール系フィルムの製造現場において、製膜時に基板となるドラムやベルト上に製膜されたポリビニルアルコール系フィルムを巻き取る際の基板からの剥がれやすさの確保、さらにフィルム巻取りロールからフィルムを引き出すときの引き出し時のブロッキング防止の観点から、密着性軽減のために添加されている。例えば、上述の特許文献1、2では、界面活性剤として、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンアルキルアミン等が用いられている。
しかしながら、本発明において目的とする、熱転写用フィルムのベースフィルムに求められる離型性は、一旦形成された積層体を構成する層を、離型剤の不在下で容易に剥離できる程度の離型性であり、ポリビニルアルコール系フィルムの製造現場で求められる離型性よりも、はるかに高度である。このため、通常、用いられている界面活性剤(ポリオキシアルキレン基としてポリオキシエチレン基のみを含有するノニオン系界面活性剤)、含有量では、不十分である。
本発明では、ポリビニルアルコール系フィルムの実際の製造においては、通常使用されないオキシプロピレン基をも有するノニオン系界面活性剤を、製膜性改善のために通常使用される界面活性剤の一般的な含有量よりも比較的多めに含有しているところに特徴がある。
本発明は、ポリビニルアルコール系樹脂(A)100重量部に対して、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基を含有するノニオン系界面活性剤(B)を1〜20重量部含有してなるポリビニルアルコール系樹脂水溶液を流延し製膜するポリビニルアルコール系フィルムの製造方法も提供するものである。
更に、本発明は、前記ポリビニルアルコール系フィルムからなるベースフィルム[I]、硬化性樹脂層[II]、印刷層[III]が積層されたことを特徴とする転写用積層体も提供する。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、オキシアルキレン基として、オキシエチレン基だけでなく、オキシプロピレン基をも有する界面活性剤が、従来より添加剤として含有されていた量よりも多く含有されているので、非常に優れた離型性を有する。従って、セパレターや保護膜など、離型性が必要となる用途に有用である。そして、熱転写に用いる転写用積層体のベースフィルムとして、離型剤層を介在させないで用いることができる。
〔ポリビニルアルコール系フィルム〕
はじめに、本発明のポリビニルアルコール系フィルムについて説明する。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂(A)に、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基を含有するノニオン系界面活性剤(B)を含有してなるものである。
(1)ポリビニルアルコール系樹脂(A)
本発明で用いられるポリビニルアルコール系樹脂(A)は、常法に従って、ビニルエステル系化合物を重合し、次いでこれをケン化することにより得られるものである。本発明では、ポリビニルアルコール系樹脂(A)は単独のみならず必要に応じて2種以上混合して用いてもよい。
上記ビニルエステル系化合物としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリル酸ビニル、バーサティック酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられるが、実用上、酢酸ビニルが好適に用いられる。
また、本発明で用いられるポリビニルアルコール系樹脂(A)としては、通常未変性のポリビニルアルコール樹脂を用いることが好ましいが、部分的に変性された変性ポリビニルアルコール系樹脂を用いてもよい。変性ポリビニルアルコール系樹脂としては、ビニルエステル系化合物に他の単量体を少量共重合させたものが挙げられ、この場合の単量体の割合は本発明の効果を阻害しない範囲であり、例えば10モル%以下、好ましくは7モル%以下である。
上記他の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のオレフィン類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはモノまたはジアルキルエステル等;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル類;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類;エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩、アルキルビニルエーテル類;ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテル等のポリオキシアルキレン(メタ)アリルエーテル;ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリルアミド等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリルアミド;ポリオキシエチレン〔1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル〕エステル、ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテル、ポリオキシエチレンアリルアミン、ポリオキシプロピレンアリルアミン、ポリオキシエチレンビニルアミン、ポリオキシプロピレンビニルアミン、ジアクリルアセトンアミド、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ジメチルアリルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等があげられる。これらの他の単量体は、単独でもしくは2種以上併せて用いてもよい。
なお、本発明において、(メタ)アリルとはアリルあるいはメタリル、(メタ)アクリルとはアクリルあるいはメタクリル、(メタ)アクリレートとはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味する。
そして、上記ビニルエステル系化合物を用いて重合(あるいは共重合)を行うに際しては、特に制限はなく公知の重合方法が用いられるが、通常は、メタノール、エタノールあるいはイソプロピルアルコール等のアルコールを溶媒とする溶液重合が行なわれる。また、溶液重合以外に、乳化重合、懸濁重合も可能である。
また、重合反応は、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化アセチル、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイルなどの公知のラジカル重合触媒を用いて行われ、反応温度は通常35℃〜沸点、より好ましくは50〜80℃程度の範囲から選択される。
つぎに、得られたビニルエステル系重合体をケン化するにあたっては、上記ビニルエステル系重合体をアルコールに溶解してアルカリ触媒の存在下にて行なわれる。上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、ブタノール等があげられ、上記アルコール中のビニルエステル系共重合体の濃度は、20〜50重量%の範囲内にて適宜選択される。
上記ケン化時のアルカリ触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート等のアルカリ金属の水酸化物やアルコラートのようなアルカリ触媒を用いることができる。上記アルカリ触媒の使用量は、ビニルエステル系重合体に対して1〜100ミリモル当量の範囲内にて適宜選択すればよい。なお、場合によっては、酸触媒によりケン化することも可能である。
このようにしてポリビニルアルコール系樹脂(A)が得られる。
また、ポリビニルアルコール系樹脂(A)として、側鎖に1,2−ジオール結合を有するポリビニルアルコール系樹脂を用いることも好ましく、上記側鎖に1,2−ジオール結合を有するポリビニルアルコール系樹脂は、例えば、(i)酢酸ビニルと3,4−ジアセトキシ−1−ブテンとの共重合体をケン化する方法、(ii)酢酸ビニルとビニルエチレンカーボネートとの共重合体をケン化及び脱炭酸する方法、(iii)酢酸ビニルと2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソランとの共重合体をケン化及び脱ケタール化する方法、(iv)酢酸ビニルとグリセリンモノアリルエーテルとの共重合体をケン化する方法、等により得られる。
本発明において、上記ポリビニルアルコール系樹脂(A)の平均ケン化度は、通常70モル%以上であるが、例えば、100℃以上の高温における加工適正を重視する用途では平均ケン化度が70〜90モル%であることが好ましく、一方で、耐熱性を重視する用途では平均ケン化度が90モル%以上であることが好ましい。ただし、加工条件や目的によって平均ケン化度は70モル%以上の範囲内から適宜選択される。なお、ポリビニルアルコール系樹脂(A)の平均ケン化度が低すぎるとフィルム強度が低下するだけでなく、製造時にキャスト面からフィルムを剥離することが困難となる傾向になる。
なお、上記平均ケン化度は、JIS K 6726に準じて測定される。
さらに、ポリビニルアルコール系樹脂(A)の20℃における4重量%水溶液粘度は、5〜70mPa・sの範囲であることが好ましく、より好ましくは15〜60mPa・sの範囲である。4重量%水溶液粘度が低すぎるとフィルムの強度が低下する傾向がある。一方、4重量%水溶液粘度が高すぎると粘度が高く製膜するのに困難となる傾向がある。なお、上記20℃における4重量%水溶液粘度は、JIS K 6726に準じて測定される。
(2)ノニオン系界面活性剤(B)
本発明で用いられるノニオン系界面活性剤(B)は、オキシアルキレン基として、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基の構造単位を含有するものである。一般に、ポリビニルアルコール系フィルムには、製膜時の基材となるドラムやベルトからの剥離、ロール巻取り性の改善のために、界面活性剤が添加されていることが多い。このような目的で配合される界面活性剤は、オキシアルキレン構造単位として、親水性に優れたオキシエチレン基が用いられている。本発明で用いるノニオン系界面活性剤(B)では、親水性部分にオキシエチレン基を含むとともに、疎水性部分にオキシプロピレン基を含むところに特徴がある。通常、疎水性部分としては、長鎖アルキルが含まれ、疎水性の調節は、アルキル鎖の長さ等で調節されるが、本発明においては、使用するノニオン系界面活性剤(B)は、オキシエチレン基とオキシプロピレン基との含有割合により調節される。
オキシエチレン基及びオキシプロピレン基の両方の構造単位を含有するノニオン界面活性剤(B)としては、例えば、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基が付加されたアルキルエーテル(B1)、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基が付加された脂肪酸エステル(B2)、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基が付加された多価アルコールエーテル(B3)、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基が付加されたアルキルフェニルエーテル、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基が付加された多価アルコールエステルなどが挙げられ、これらから選ばれる少なくとも1種を用いる。これらの中でも、離型性効果及び入手の容易さの点で、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基が付加されたアルキルエーテル(B1)、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基が付加された脂肪酸エステル(B2)、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基が付加された多価アルコールエーテル(B3)が好ましく、特にはオキシエチレン基及びオキシプロピレン基が付加されたアルキルエーテル(B1)、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基が付加された多価アルコールエーテル(B3)が好ましい。
上記オキシエチレン基及びオキシプロピレン基が付加されたアルキルエーテル(B1)としては、例えば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類が挙げられ、具体例としては、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンオレイルエーテル等が挙げられる。
上記オキシエチレン基及びオキシプロピレン基が付加された脂肪酸エステル(B2)としては、例えば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエステル類が挙げられ、具体例としては、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウレート等が挙げられる。
上記オキシエチレン基及びオキシプロピレン基が付加された多価アルコールエーテル(B3)としては、例えば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン多価アルコールエーテル類が挙げられ、具体例としては、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンソルビトールエーテル等が挙げられる。
上記オキシエチレン基及びオキシプロピレン基が付加されたアルキルフェニルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルフェニルエーテル類が挙げられ、具体例としては、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンヘキシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンヘプチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンオクチルフェニルエーテル等が挙げられる。
上記オキシエチレン基及びオキシプロピレン基が付加された多価アルコールエステルとしては、例えば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンソルビタン脂肪酸エステル類が挙げられる。
本発明においては、ノニオン系界面活性剤(B)中のオキシエチレン基の構造単位数は1〜70であることが好ましく、特には2〜60、更には4〜50であることが好ましい。かかる構造単位数が多すぎるとポリビニルアルコール系樹脂水溶液の粘度が高くなる傾向があり、得られるフィルムの平面平滑性が低下する傾向がある。また、ノニオン系界面活性剤(B)中のオキシプロピレン基の構造単位数は1〜70であることが好ましく、特には2〜60、更には4〜50であることが好ましい。かかる構造単位数が多すぎるとポリビニルアルコール系樹脂水溶液の粘度が高くなる傾向があり、得られるフィルムの平面平滑性が低下する傾向がある。更に、オキシエチレン基の構造単位数とオキシプロピレン基の構造単位数の合計は2〜100であることが好ましく、特には4〜85、更には6〜80、殊には20〜80であることが好ましい。かかる構造単位数が多すぎると、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液の粘度が高くなる傾向があり、得られるフィルムの平面平滑性が低下する傾向がある。
界面活性剤(B)が複数のオキシエチレン基及びオキシプロピレン基を含む場合、オキシエチレン単位及びポキシプロピレン単位がブロック共重合されたものでもランダム共重合されたもののいずれでもよいが、界面活性剤として、オキシエチレン基が親水部として作用することができ、オキシプロピレン基が疎水部としての役割を十分果たすこことができるようになるためには、ポリオキシエチレン部とポリオキシプロピレン部として存在することが好ましいことから、ブロック共重合体であることが好ましい。
また、本発明において、ノニオン系界面活性剤(B)中のオキシエチレン基とオキシプロピレン基の含有比率(オキシエチレン基/オキシプロピレン基)(モル比)については、90/10〜10/90であることが離型性増大の点から好ましく、特には80/20〜20/80、更には70/30〜30/70であることが好ましい。オキシエチレン基とオキシプロピレン基の含有比率が小さすぎても、大きすぎても、硬化性樹脂層に対する離型性が低下する傾向がある。
更に、本発明において、ノニオン系界面活性剤(B)の重量平均分子量が100〜10000であることが離型性の増大や粘度適正化の点で好ましく、特には200〜8000であることが好ましい。かかる重量平均分子量が小さすぎると、離型性が低下する傾向があり、大きすぎるとポリビニルアルコール系樹脂水溶液の粘度が高くなってフィルム製造時に支障を来たす傾向がある。
本発明において、ノニオン系界面活性剤(B)のHLBが、離型性の点から、2〜18であることが好ましく、特には2〜15、更には3〜12であることが好ましい。本発明でいうHLB値とは、グリフィン法で算出される値であり、下記式により算出される。
HLB=20×(親水部の分子量/全体の分子量)
ここで、親水部とは、主としてオキシエチレン構造単位の総分子量をいう。従って、界面活性剤(B)の分子全体におけるオキシエチレン構造単位の割合を示すHLB値が上記範囲であることが好ましい。HLB値が上記範囲である界面活性剤(B)とは、水への分散性を損なわない範囲で、適度な疎水性を備えたバランスを有していることを意味する。このようなバランスを有することで、ポリビニルアルコール系樹脂中での良好な分散性を確保するとともに、高められた疎水性で、ポリビニルアルコール系フィルムからブリードしやすい状態になるのではないかと考えられる。ポリビニルアルコール系フィルム表面にブリードした界面活性剤(B)は、1種の離型剤として作用することが可能となることから、熱転写用積層体のベースフィルムとして用いられる場合、転写後に硬化性樹脂層とベースフィルムとの剥離の向上に寄与するのではないかと推測する。
本発明において、上記ノニオン系界面活性剤(B)の含有量は、ポリビニルアルコール系樹脂(A)100重量部に対して、離型性及びフィルム外観の点で1〜20重量部であることが好ましく、更には2〜15重量部、特には3〜10重量部、殊には5〜8重量部であることが好ましい。通常、製膜時の基板となるドラムやベルトとの離型性の改善のために添加される界面活性剤の量は、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して1重量部未満であることから、本発明のポリビニルアルコール系フィルムでは、通常量よりも多いところに特徴がある。これは、本発明で使用するノニオン系界面活性剤(B)について、ノニオン系界面活性剤(B)のブリードによる離型性の増大効果を得るためには、従来、添加剤として含有させていた量では不十分だからである。一方、含有量が多くなりすぎると、表面にブリードしてくるノニオン系界面活性剤(B)量が多くなり、フィルム表面がベタつきやすくなる。その結果、フィルム上に他の樹脂を積層する場合に、他の樹脂をはじいてしまう場合がある。このことは、例えば、熱転写用積層体のベースフィルムとして用いる場合、積層される硬化性樹脂がはじかれやすくなる等の理由により、転写層の表面性が低下し、ひいては、得られた成形品の保護層の表面光沢の低下の原因となり得る。
(3)その他の成分
本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、上記ポリビニルアルコール系樹脂(A)及びノニオン系界面活性剤(B)のみを含む組成物から製造されるポリビニル系アルコールフィルムに限定されない。上記ノニオン系界面活性剤(B)以外の界面活性剤(B′)や可塑剤などを適宜配合して製膜することにより製造することも好ましい。また、本発明の目的を損なわない範囲内で、フィラーを配合することもできる。
(3−1)他の界面化成剤(B’)
上記ノニオン系界面活性剤(B)以外の界面活性剤(以下、「他の界面活性剤(B′)」という)は、ポリビニルアルコール系フィルムの製膜装置であるドラムやベルト等の金属表面と製膜したフィルムとの離型性の向上を目的として配合される。
他の界面活性剤(B′)としては、例えば、ノニオン系界面活性剤として、前述のオキシエチレン基及びオキシプロピレン基を含有するノニオン系界面活性剤以外の界面活性剤、例えば、オキシエチレン基またはオキシプロピレン基の一方しか含有していないポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルエステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンアルキルアミン類、ポリオキシアルキレンアルキルアミド類、ポリプロピレングリコールエーテル類、アセチレングリコール類、アリルフェニルエーテル類等が挙げられる。
また、他の界面活性剤(B’)としては、ノニオン系界面活性剤に限定せず、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤を用いてもよい。アニオン系界面活性剤としては、例えば、ラウリン酸カリウム等のカルボン酸型、オクチルサルフェート等の硫酸エステル型、ドデシルベンゼンスルホネート等のスルホン酸型のアニオン系界面活性剤が好適である。カチオン系界面活性剤としては、例えば、ラウリルアミン塩酸塩等のアミン類、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩類、ラウリルビリジニウムクロライド等のピリジウム塩等が挙げられる。両性界面活性剤としては、例えば、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン等が挙げられる。
他の界面活性剤(B’)は、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
他の界面活性剤(B′)の含有量については、本発明の目的を損なわない程度であればよく、また、ブリードアウトし、例えば表面が白化するなどの表面性が低下することのない程度であればよく、通常はポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して1重量部以下である。
(3−2)可塑剤
上記可塑剤としては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン等のグリセリン類、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジプロピリングリコール等のアルキレングリコール類やトリメチロールプロパン等があげられる。これらは単独であるいは2種以上併せて用いられる。
上記ポリビニルアルコール系樹脂(A)に配合される可塑剤の配合量は、ポリビニルアルコール系樹脂(A)100重量部に対して、30重量部以下であることが好ましく、特に好ましくは20重量部以下である。上記可塑剤の配合量が多すぎると、フィルムの腰がなくなり扱いにくくなる傾向がある。なお、可塑剤の下限値は通常0.5重量部である。
(3−3)フィラー
上記フィラーとしては、例えば、澱粉(各種未加工品だけでなく、エーテル化、酸化、変性品でも良い)やポリメチルメタクリレート等の有機粉末、タルク、雲母、シリカ等の無機粉末等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なかでも、澱粉が好適に用いられる。
上記ポリビニルアルコール系樹脂(A)に配合されるフィラーの配合量は、ポリビニルアルコール系樹脂(A)100重量部に対して、20重量部以下であることが好ましく、特に好ましくは15重量部以下である。上記フィラーの配合量が多すぎると、実用面でフィルム強度が低下する傾向がある。
(3−4)その他の添加剤
さらに、本発明の効果を妨げない範囲で、抗酸化剤(フェノール系、アミン系等)、安定剤(リン酸エステル類等)、着色料、香料、増量剤、消泡剤、防錆剤、紫外線吸収剤、さらには他の水溶性高分子化合物(ポリアクリル酸ソーダ、ポリオキシエチレン、ポリビニルピロリドン、デキストリン、キトサン、キチン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等)等の他の添加剤を適宜配合してもよい。
以上のような構成を有する本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、離型性に優れることから、熱転写用フィルムとした場合に、硬化性樹脂層とポリビニルアルコール系フィルムとの間に、離型剤層を介在させていなくても、熱転写後に、成形品表面に転写された硬化性樹脂層(保護層)とベースフィルムであるポリビニルアルコール系フィルムとを容易に剥離することが可能となる。
なお、本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、上記のように優れた離型性が付与されているにもかかわらず、従来のポリビニルアルコール系フィルムとしての特性、すなわち親水性、水溶性、耐有機溶剤性、ガスバリア性等の優れた特性を保持しているので、熱転写用積層体のベースフィルムに限定せず、液圧転写用積層体のベースフィルムとして用いてもよく、さらに、その他の、ポリビニルアルコール系フィルムの用途として従来より公知の用途にも用いることができる。
〔ポリビニルアルコール系フィルムの製造方法〕
以下に、本発明のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法について説明する。
まず、上記ポリビニルアルコール系樹脂(A)、ノニオン系界面活性剤(B)、必要に応じて他の界面活性剤(B′)、可塑剤、その他の添加剤等を所定の配合量にて配合し、水に溶解して、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を調製する。
ポリビニルアルコール系樹脂水溶液の濃度としては、通常10〜30重量%であることが好ましく、特には15〜25重量%であることが好ましい。かかる濃度が低すぎると膜厚の安定性が低下する傾向があり、高すぎると高粘度となり製膜が困難になる傾向がある。
つぎに、Tダイからポリビニルアルコール系樹脂水溶液を製膜ベルト上または製膜ドラム上に流延させ、乾燥させることによりフィルム状化させ、必要に応じてさらに熱処理することにより製造される。
ここで、上記製膜ベルトとは、一対のロール間に架け渡されて走行する無端ベルトを有し、Tダイから流れ出たポリビニルアルコール系樹脂水溶液を無端ベルト上に流延させるとともに乾燥させるものである。上記無端ベルトは、例えば、ステンレススチールからなり、その外周表面は鏡面仕上げが施されているものが好ましい。
また、上記製膜ドラムとは、回転するドラム型ロールのことであり、Tダイから流れ出たポリビニルアルコール系樹脂水溶液を1個以上の回転ドラム型ロール上に流延し乾燥させるものである。
乾燥温度について、製膜ベルトを用いる場合は、通常、80〜160℃であることが好ましく、特には90〜150℃が好ましい。乾燥温度が低すぎると乾燥不足となりベルトからの剥離が重くなる傾向があり、高すぎると水分率が低くなりすぎ、フィルムが脆くなる傾向がある。
また、製膜ドラムを用いる場合は、製膜第一ドラムが通常、80〜100℃であることが好ましく、特には82〜99℃であることが好ましい。乾燥温度が低すぎると乾燥不足となりドラムからの剥離が重くなる傾向があり、高すぎると水分率が低くなりすぎ、フィルムが脆くなる傾向がある。ここで、上記製膜第一ドラムとは、Tダイから流れ出たポリビニルアルコール系樹脂水溶液が流延される最上流側に位置するドラム型ロールのことである。
上記乾燥の後、必要に応じて熱処理が行われるが、かかる熱処理の方法としては、例えば、熱ロール(カレンダーロールを含む)、熱風、遠赤外線、誘電加熱等の方法があげられる。また、熱処理される面は、製膜ベルトまたは製膜ドラムに接する面と反対側となる面が好ましい。また、熱処理を施すフィルムの水分含有量は、通常、4〜8重量%程度であることが好ましい。さらに、熱処理された後のフィルムの水分含有量は通常、2〜6重量%であることが好ましい。
なお、ポリビニルアルコール系フィルムの水分率は、例えば、カールフィッシャー水分計(京都電子工業社製、「MKS−210」)を用いて測定することができる。
上記熱処理機による熱処理は、通常50〜130℃で行うことが好ましく、より好ましくは60〜120℃である。すなわち、上記熱処理の温度が低すぎると、製膜ベルトあるいは製膜第一ドラムに接する面のカールが生じる傾向があり扱いづらくなり、熱処理の温度が高すぎるとフィルムが柔らかくなるため、皺が入らぬように巻き取ろうと引っ張ると長手方向への配向が強まり、幅が縮まる傾向がみられる。さらに、上記熱処理に要する時間は、熱処理ロールの場合、その表面温度にもよるが、通常0.2〜15秒間、好ましくは0.5〜12秒間とすることが好ましい。上記熱処理は、通常、フィルム乾燥のための乾燥ロール処理に引き続き、別体の熱処理ロールやフローティングドライヤー等により通常行われる。
かくしてポリビニルアルコール系フィルムが得られる。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムの膜厚は15〜100μmであることが好ましく、特には20〜80μmであることが好ましい。
上記で得られたポリビニルアルコール系フィルムの水分率としては、0.5〜8重量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは1〜6重量%である。水分率が低すぎると脆くなる傾向があり、水分率が高すぎるとブロッキングする傾向がある。
上記ポリビニルアルコール系フィルムの水分率の調整方法としては、例えば、下記に示す方法があげられる。すなわち、下記に示す水分率の調整方法に従い、上記範囲内のポリビニルアルコール系フィルムの水分率に設定することが可能となる。
(i)ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を乾燥して製膜する際の乾燥機温度を上下させてポリビニルアルコール系フィルムの加湿・除湿を行う方法により水分率の調整を行う。樹脂水溶液の温度は、その温度により乾燥効率に対して影響を及ぼすため、70〜98℃の範囲内にて調整する。また、乾燥に際しては、好ましくは150〜50℃の間で、より好ましくは145〜60℃の間で温度勾配を有する少なくとも2つ以上の熱風乾燥機中にて行うことが好ましく、さらに1〜12分間、より好ましくは1〜11分間乾燥を行うことが水分調整という観点から好ましい。
上記乾燥温度の勾配範囲が大きすぎたり、乾燥時間が長すぎたりすると、乾燥過多となる傾向があり、逆に乾燥温度の勾配範囲が小さすぎたり、乾燥時間が短すぎたりすると、乾燥不足となる傾向がある。
上記温度勾配は、150〜50℃の間で段階的に乾燥温度を変えていくものであり、通常は、乾燥開始時から温度を徐々に上げていき、所定の含水率になるまで一旦設定した乾燥温度範囲の、最高の乾燥温度に至らせ、つぎに徐々に乾燥温度を低くすることにより最終的に目的とする含水率とすることが効果的である。これは結晶性や離型性、生産性等を制御するために行われるものであり、例えば、120℃−130℃−115℃−100℃、130℃−120℃−110℃、115℃−120℃−110℃−90℃等の温度勾配設定があげられ、適宜選択され実施される。
(ii)ポリビニルアルコール系フィルムの巻き取り前に調湿槽に通過させることによりポリビニルアルコール系フィルムの加湿・除湿を行い、水分率の調整を行う。
(iii)ポリビニルアルコール系フィルムの巻き取り前、もしくは巻き取り後に、熱処理を行うことによりポリビニルアルコール系フィルムの除湿を行い、水分率の調整を行う。
また、本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、必要に応じて、梨地模様やエンボス模様、絹目模様等の凹凸模様を付与してもよく、かかる凹凸模様はエンボスロール等を用いて行うことができる。
また、本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、そのまま未延伸フィルムとして各種用途に用いることもできるし、また、一軸延伸または二軸延伸フィルムとして用いることもできる。
延伸フィルムとして用いる場合において、延伸方法は周知の方法が適用できるが、一般的な方法として、例えば、(1)チャック固定式延伸、(2)ロール式延伸、(3)テンター式延伸などが挙げられる。(1)はバッチ式の延伸フィルムの作製に好適であり、(2)は一軸の延伸に好適である。また装置が大掛りとなるが、(3)は工業的な規模で延伸フィルムを作製するには有効である。(2)と(3)を組み合わせることで逐次二軸延伸を行うこともできる。延伸方法は一軸延伸、逐次二軸延伸、同時二軸延伸のどれを採用しても構わないが、中でも膜厚の均一性の点で(2)と(3)を組み合わせる二軸延伸が好ましい。
かかる延伸フィルムは、フィルムの表面均一性の点で、総延伸倍率が1.5〜16倍であることが好ましく、特には2〜12倍、更には3〜10倍であることが好ましい。または、延伸倍率が縦方向に1.5〜10倍、特には2〜8倍、更には3〜5倍、横方向に1.5〜10倍、特には2〜8倍、更には3〜5倍に延伸されたものがフィルムの表面均一性の点で好ましく適用される。二軸延伸の場合には、縦方向に1.5〜4倍、特には2〜3.5倍、横方向に1.5〜4倍、特には2〜3.5倍に延伸されることがフィルムの表面均一性の点で好ましく、更には縦横ともに同倍率であることがより好ましい。延伸倍率が低すぎる場合は、延伸ムラが残りやすく、延伸倍率が高すぎる場合は、フィルムが破断し易くなる傾向がある。
ポリビニルアルコール系フィルムの保存については、例えば、従来公知の防湿包装の処理を行い、10〜25℃の雰囲気下、宙づり状態にて保存することが好ましい。
〔熱転写用積層体〕
本発明の熱転写用積層体は、ベースフィルム[I]、硬化性樹脂層[II]、印刷層[III]が積層されたものである。
(1)ベースフィルム[I]
ベースフィルム[I]としては、上記本発明のポリビニルアルコール系フィルムが用いられる。かかるポリビニルアルコール系フィルムについては、未延伸フィルムのまま使用することもできるし、また、一軸延伸または二軸延伸フィルムとして使用することもできる。
本発明において、ベースフィルム[I]の厚みは、特に5〜120μmの範囲内に設定することが好ましく、より好ましくは10〜100μmである。
また、本発明において、ベースフィルム[I]の硬化性樹脂層[II]側の表面粗さ(Ra)が1μm以下であることが、表面光沢性の点で好ましく、特には0.001〜0.7μm、更には0.01〜0.5μmであることが好ましい。かかる表面粗さ(Ra)が大きすぎると表面光沢性が低下する傾向がある。なお、かかる表面粗さ(Ra)を0.001μmより小さくしても表面光沢性の改善傾向がほとんど観られなくなる傾向がある。かかるベースフィルム[I]において、硬化性樹脂層[II]側の表面粗さ(Ra)を上記範囲に調整する方法としては、ベースフィルム[I]の製膜時におけるキャスティングベルトの表面粗度を1S以下にしたり、ベースフィルム[I]の製膜時の延伸倍率を少なくとも1.5倍以上としたりする方法や、または両者を組み合わせる方法等が挙げられる。
なお、表面粗さ(Ra)は、株式会社キーエンス社製「カラー3Dレーザー顕微鏡VK−9700」を用い、JIS B 0601−2001に準拠し算術平均粗さ(Ra)を計測したものである。
(2)硬化性樹脂層[II]
かかる硬化性樹脂層[II]は、ベースフィルム[I]の剥離により加飾成形品の最表層となる層であり、ベースフィルム[I]を剥離するまでの間又は剥離後に硬化されて、被転写体の表面を保護するための保護層となる。
硬化性樹脂層[II]を構成する材質としては、例えば、ポリアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、ゴム樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂の熱可塑性樹脂;紫外線硬化性樹脂組成物や電子線硬化性樹脂組成物などの活性エネルギー線硬化性樹脂組成物;熱硬化性樹脂組成物などが挙げられる。保護層として、耐薬品性、耐磨耗性を付与する観点から、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いることが好ましい。
かかる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、例えば、アクリル系樹脂及びウレタン(メタ)アクリレート系化合物を含有してなるものであることが好ましい。
かかるアクリル系樹脂としては、例えば、アクリル酸エステル系モノマーの単独重合体又は共重合体や、その他のエチレン性不飽和モノマーを共重合成分とするアクリル系共重合体などが挙げられる。
アクリル酸エステル系モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられ、中でもアルキル基の炭素数が1〜12のアクリル酸アルキルエステルが好ましく、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが特に好ましく用いられる。
その他のエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の水酸基含不飽和モノマー;グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有不飽和モノマー;2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等のイソシアネート基含有不飽和モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−(n−ブトキシアルキル)アクリルアミド、N−(n−ブトキシアルキル)メタクリルアミド等のアミド基含有不飽和モノマー、アクリルアミド−3−メチルブチルメチルアミン、ジメチルアミノアルキルアクリルアミド、ジメチルアミノアルキルメタクリルアミド等のアミノ基含有不飽和モノマー、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸あるいはその塩等のスルホン酸基含有不飽和モノマー;スチレン、酢酸ビニル、アクリルニトリル、アクリルアミド等が挙げられる。
かかるアクリル酸エステル系モノマー及びその他のエチレン性不飽和モノマーの含有割合(共重合比)は特に限定されないが、例えば、アクリル酸エステル系モノマーを20〜100重量%、その他のエチレン性不飽和モノマーを0〜80重量%とすることが好ましく、特にはアクリル酸エステル系モノマーを40〜100重量%、その他のエチレン性不飽和モノマーを0〜60重量%、更にはアクリル酸エステル系モノマーを80〜100重量%、その他のエチレン性不飽和モノマーを0〜20重量%とすることが好ましい。アクリル酸エステル系モノマーの含有割合が少なすぎると、硬化性樹脂層の硬化物(保護層)の耐水性・耐湿熱性等の耐久性が低下する傾向がある。
上記のアクリル系樹脂は、前記重合成分を有機溶剤中でラジカル共重合させる如き、当業者に周知の方法によって容易に製造される。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に用いるアクリル系樹脂としては、ガラス転移温度(Tg)が20〜130℃であることが好ましく、特に好ましくは30〜120℃、更に好ましくは40〜110℃である。ガラス転移点(Tg)が低すぎると活性エネルギー線硬化性樹脂組成物等の硬化性樹脂層が粘着性を帯びて後加工を施す際に不具合(工程中でも巻き付き・印刷不良等)を生じる原因となる傾向があり、高すぎると活性エネルギー線硬化性樹脂組成物等の硬化性樹脂層を硬化させ保護層としたときに脆くなる傾向がある。
また、アクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)が、10,000〜500,000であることが好ましく、更には20,000〜100,000、特には30,000〜80,000であることが好ましい。
かかるアクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)が小さすぎると硬化前の硬化性樹脂層)が柔軟化および粘着性を帯びてしまうために、この層の上に後加工を施す際に不具合(工程中での巻き付き・印刷不良等)を生じる原因となる傾向があり、大きすぎると硬化性樹脂層の塗工時の膜厚均一性が得難くなると共に乾燥後の塗膜の硬度が必要以上に高くなり後加工を施す際に不具合(塗膜の亀裂が生じる・層間剥離等)を生じる原因となる傾向がある。
ウレタン(メタ)アクリレート系化合物は、分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート系化合物であり、水酸基を含有する(メタ)アクリル系化合物と多価イソシアネート化合物を、更に、必要に応じてポリオールを反応させて製造できる。
上記水酸基を含有する(メタ)アクリル系化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、オキシエチレン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、オキシエチレン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられ、中でも3個以上のアクリロイル基を有する水酸基含有(メタ)アクリル系化合物が好ましく用いられる。また、これらは1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。
上記多価イソシアネート化合物としては、例えば、芳香族系、脂肪族系、脂環式系等のポリイソシアネートが挙げられ、中でもトリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニルメタンポリイソシアネート、変性ジフェニルメタンジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、フェニレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等のポリイソシアネート或いはこれらポリイソシアネートの3量体化合物又は多量体化合物、ビュレット型ポリイソシアネート、水分散型ポリイソシアネート(例えば、日本ポリウレタン工業(株)製の「アクアネート100」、「アクアネート110」、「アクアネート200」、「アクアネート210」等)、又は、これらポリイソシアネートとポリオールの反応生成物等が挙げられる。
かかるポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA、ポリカプロラクトン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ポリトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、グリセリン、ポリグリセリン、ポリテトラメチレングリコール等の多価アルコール;ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、オキシエチレン/オキシプロピレンのブロック又はランダム共重合の少なくとも1種の構造を有するポリエーテルポリオール;該多価アルコール又はポリエーテルポリオールと無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、無水イタコン酸、イタコン酸、アジピン酸、イソフタル酸等の多塩基酸との縮合物であるポリエステルポリオール;カプロラクトン変性ポリテトラメチレンポリオール等のカプロラクトン変性ポリオール;ポリオレフィン系ポリオール;水添ポリブタジエンポリオール等のポリブタジエン系ポリオール等が挙げられる。
更には、かかるポリオールとして、例えば、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸、酒石酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシエチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシプロピル)プロピオン酸、ジヒドロキシメチル酢酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、ホモゲンチジン酸等のカルボキシル基含有ポリオールや、1,4−ブタンジオールスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸基又はスルホン酸塩基含有ポリオール等も挙げられる。
ポリイソシアネートとポリオールの反応生成物を用いる場合は、例えば、上記ポリオールと上記ポリイソシアネートを反応させて得られる末端イソシアネート基含有ポリイソシアネートとして用いればよい。かかるポリイソシアネートとポリオールの反応においては、反応を促進する目的でジブチルスズジラウレートのような金属触媒や、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7のようなアミン系触媒等を用いることも好ましい。
上記ウレタン(メタ)アクリレート系化合物の製造方法としては、例えば、水酸基含有(メタ)アクリル系化合物と多価イソシアネート化合物を不活性ガス雰囲気で混合し、通常、30〜80℃、2〜10時間反応させる方法が挙げられる。この反応では、オクテン酸スズ、ジラウリン酸ジ−n−ブチルスズ、オクチル酸鉛、オクチル酸カリウム、酢酸カリウム、スタナスオクトエート、トリエチレンジアミン等のウレタン化触媒を用いるのが好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレート系化合物の重量平均分子量は、好ましくは300〜4000、更に好ましくは1000〜3500、特に好ましくは1200〜3000である。かかる重量平均分子量が小さすぎると硬化性樹脂層を硬化した後に凝集力不足となる傾向があり、大きすぎると粘度が高くなりすぎ、製造が困難となる傾向がある。
なお、上記の重量平均分子量とは、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量であり、高速液体クロマトグラフィー(昭和電工社製、「Shodex GPC system−11型」)に、カラム:Shodex GPC KF−806L(排除限界分子量:2×10、分離範囲:100〜2×10、理論段数:10,000段/本、充填剤材質:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:10μm)の3本直列を用いることにより測定される。
かくして、アクリル系樹脂とウレタン(メタ)アクリレート系化合物を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が得られるが、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が紫外線硬化性樹脂組成物の場合には、更に光重合開始剤を含有することが好ましい。電子線硬化性樹脂組成物の場合には光重合開始剤は不要である。
かかる光重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンオリゴマー等のアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド等のベンゾフェノン類;2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロリド等のチオキサントン類;2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフォンオキサイド類;などが挙げられる。なお、これらの光重合開始剤は、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
また、これらの助剤として、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4,4′−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等を併用することも可能である。
これらの中でも、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾイルイソプロピルエーテル、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンを用いることが好ましい。
本発明において、硬化性樹脂層[II]の厚みは、耐磨耗性、耐薬品性の点で1〜150μmであることが好ましく、特には2〜120μm、更には2〜100μmであることが好ましい。かかる厚みが薄すぎると耐磨耗性や耐薬品性が低下することとなる傾向があり、厚すぎると転写後の膜切れが悪くなり、バリ等の原因となる傾向がある。
硬化性樹脂層[II]の形成に際しては、上記の原料樹脂又は原料樹脂組成物をグラビアコート法、ロールコート法、バーコート法、コンマコート法、リップコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法により積層すればよい。
上記の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いた場合には、ベースフィルム[I]上に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物からなる層(硬化性樹脂層[II])を積層した後から、被転写体に印刷層[III]が転写され、ベースフィルム[I]が剥離されるまでの間の、任意の段階に活性エネルギー線を照射し硬化させてもよいし、ベースフィルム[I]が剥離された後に、活性エネルギー線を照射し、硬化させて、保護層(ハードコート層)としてもよい。
例えば、(a)ベースフィルム上に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物層を積層した後、活性エネルギー線を照射し硬化;(b)ベースフィルム上に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物層を積層した後、後述の印刷層を形成し、その後ベースフィルム側より活性エネルギー線を照射して硬化;(c)更に後述の接着層まで積層した後にベースフィルム側より活性エネルギー線を照射して硬化;(d)本発明の転写用積層体を被転写体に接着させた後にベースフィルム側より活性エネルギー線を照射して硬化;(e)本発明の転写用積層体を被転写体に接着させた後に、ベースフィルムを剥離し活性エネルギー線を照射して硬化させることにより行うことができる。熱転写時の被転写体への追従性の点から、転写後に硬化させる(d)または(e)の方法が好ましく、特に(e)の方法が好ましい。なお、本発明の転写用積層体は、上記(a)〜(c)のように、硬化性樹脂層が硬化された積層体として供することも可能であるが、上記(d)及び(e)のように、硬化前の硬化性樹脂層を含有する積層体として供することが好ましい。
なお、活性エネルギー線を照射して硬化性樹脂層を硬化させるに際して、活性エネルギー線としては、例えば、遠紫外線、紫外線、近紫外線、赤外線等の光線、X線、γ線等の電磁波の他、電子線、プロトン線、中性子線等が利用できるが、硬化速度、照射装置の入手のし易さ、価格等から紫外線照射による硬化が有利である。
紫外線照射により硬化させる方法としては、150〜450nm波長域の光を発する高圧水銀ランプ、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ等を用いて、0.01〜10J/cm程度照射すればよい。紫外線照射後は、必要に応じて加熱を行って硬化の完全を図ることもできる。
(3)印刷層[III]
印刷層[III]は絵柄等が印刷された層であり、印刷層の材質としては、ポリビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、アルキド樹脂などの樹脂をバインダーとし、適切な色の顔料または染料を着色剤として含有する着色インキを用いるとよい。
印刷層[III]の形成方法としては、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの通常の印刷法などを用いることができる。特に、多色刷りや階調表現を行うには、オフセット印刷法やグラビア印刷法が好適である。
(4)接着層[IV]
本発明の転写用積層体は、上記ベースフィルム[I]、硬化性樹脂層[II]、印刷層[III]が積層されたものであるが、好ましくは印刷層[III]の上層に、接着層[IV]が積層される。
接着層[IV]は、被転写体面に上記の積層体を接着させるものである。印刷層と成形品との接着力が弱い場合に形成するとよい。接着層[IV]の材質としては、被転写体の素材に適した感熱性あるいは感圧性の樹脂を適宜使用すればよく、例えば、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、環化ゴム、クマロンインデン樹脂等が挙げられる。
接着層[IV]の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、バーコート法、コンマコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法が挙げられる。また、上記材質よりなる接着性をもつシートをラミネート法などにより貼り合わせて接着層[IV]とすることも可能である。また、接着層[IV]が、印刷層[III]を兼ねていてもよい。
接着層[IV]の厚みは、被着体への追従性の点で0.5〜50μmであることが好ましく、特には1〜40μm、更には2〜30μmであることが好ましい。かかる厚みが薄すぎると 転写時の被着体への追従性が低下する傾向があり、厚すぎるとコスト高となる傾向があり不経済である。
〔本発明の熱転写用積層体の使用方法:熱転写法〕
本発明の熱転写用積層体を用いた熱転写方法について説明する。
(1)被転写体面に装飾を行う方法
まず、被転写体面に、転写用積層体の転写層(転写層が接着層[IV]を有する場合には接着層[IV]、接着層[IV]を有していない場合には印刷層[III])を密着させる。次に、シリコンラバーなどの耐熱ゴム状弾性体を備えたロール転写機、アップダウン転写機などの転写機を用い、温度80〜270℃程度、圧力490〜1960Pa程度の条件に設定した耐熱ゴム状弾性体を介して、転写用積層体のベースフィルム[I]側から熱と圧力とを加える。こうすることにより、接着層[IV]あるいは印刷層[III]が被転写体表面に接着する。
冷却後に、活性エネルギー線照射等により硬化性樹脂層[II]を硬化させ保護層(ハードコート層)とした後、最後に、ベースフィルム[I]を剥がすと、ベースフィルム[I]と保護層(硬化された硬化性樹脂層[II]:ハードコート層)との境界面で剥離が起こり、転写が完了する。
(2)射出成形による成形同時転写法を利用して被転写体である樹脂成形品の面に装飾を行う方法
次に、本発明の転写用積層体を用い、射出成形による成形同時転写法を利用して被転写体である樹脂成形品の面に装飾を行う方法について説明する。
まず、成形用金型に転写用積層体を、ベースフィルムが固定型(通常、雌型)側となるように送り込む。転写用積層体の送りこみは、枚葉の転写用積層体を1枚づつ送り込んでもよいし、長尺の積層体の必要部分を間欠的に送り込んでもよい。長尺の転写用積層体を使用する場合、位置決め機構を有する送り装置を使用して、転写用積層体の印刷層[III]と成形用金型との見当合わせ(register)するとよい。また、転写用積層体を間欠的に送り込む際に、転写用積層体の位置をセンサーで検出した後に転写用積層体を可動型(雌型)と固定型(雄型)とで固定するようにすれば、常に同じ位置で転写用積層体を固定することができ、印刷層[III]の位置ずれが生じないので便利である。
成形用金型を閉じた後、ゲートから溶融した成形樹脂を金型内に射出充満させ、被転写体を成形する。被転写体の成形と同時に転写用積層体が送りこまれ、被転写体表面に接着することになる。
被転写体の材料となる成形樹脂としては、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、AN樹脂などの汎用樹脂を挙げることができる。また、ポリフェニレンオキシド・ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、超高分子量ポリエチレン樹脂などの汎用エンジニアリング樹脂やポリスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリイミド樹脂、液晶ポリエステル樹脂、ポリアリル系耐熱樹脂などのスーパーエンジニアリング樹脂を使用することもできる。さらに、ガラス繊維や無機フィラーなどの補強材を添加した複合樹脂も使用できる。これらの樹脂からなる被転写体は、透明、半透明、不透明のいずれでもよい。また、被転写体は着色されていても、着色されていなくてもよい。
被転写体である樹脂成形品を冷却した後、成形用金型を開いて樹脂成形品を取り出す。本発明の転写用積層体はベースフィルムと硬化性樹脂層との剥離強度は、被転写体と転写層との剥離強度と比べて大変小さいので、熱転写用積層体が連続的に送り込まれている方法では、成形品の脱型に際して、硬化性樹脂層とベースフィルムの剥離が起こる。熱転写用フィルムが枚葉により送りこまれている場合であっても、取り出した成形品から簡単にベースフィルムだけを剥がすことができる。
このようにして、硬化性樹脂層が最表層となっている成形品が得られる。脱型、取り出しの時点で、硬化性樹脂層の硬化が完了していない場合には、次いで硬化を完了させる。硬化された硬化性樹脂層[II]は、成形品の保護層となる。
このようにして得られる加飾成形品は、表面光沢にも優れている。理由は明らかではないが、光沢性は塗膜表面の微細な凹凸(具体的には1μm以下の凹凸)により得られることに鑑みると、ベースフィルムと硬化性樹脂層との間にブリードした界面活性剤が介在できたことで、ベースフィルムが剥離する際に、硬化が完了していない硬化性樹脂がベースフィルムに引っ張られることが防止されたため、あるいは成形とともに硬化性樹脂が硬化する際にベースフィルムの連れシワが抑制されたためではないかと考えられる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
尚、例中「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
〔測定評価方法〕
(1)ポリビニルアルコール系フィルムの評価方法
(1−1)剥離強度(g/24mm)
ポリビニルアルコールフィルムを23℃、50%RH環境下に24時間放置した後、その環境下にて、幅24mmのセロハンテープ(ニチバン製セロテープ(登録商標)LP−24)を長さ10cmに切り、かかるセロハンテープをポリビニルアルコールフィルムのエアー面に、2kgのロールを1往復させることにより貼り付けた。次に引張試験機を用いて、90度の方向に300mm/秒の速度にて、セロハンテープをフィルム面から引き剥がし、この時の30mm引き剥がした際の平均荷重を剥離強度として測定した。
(1−2)耐ブロッキング性
ポリビニルアルコールフィルムから100mm×100mmのサンプル片を切り出した。2枚のサンプル片を、フィルム製造時のエアー面側の面とキャスト面側の面とを重ね合わせ、23℃×60%RHにて24時間調湿した後、このまま23℃×60%RH環境下で上部より500gの錘を載せ、さらに24時間放置した。その後、重ね合わせた2枚のサンプル片を手で剥がす時の状況により、下記の基準で耐ブロッキング性を評価した。
○:フィルムを剥がそうとしただけで、全体が離れてしまうほど、サンプル片同士の密着が殆ど無い。
△:一方のサンプル片を掴んで持ち上げようととすると、他方のサンプル片が落下する程度の密着性。
×:サンプルへの剥離に力を要するほど、サンプル片同士が密着している。
(2)転写用積層体の評価
<転写用積層体の作製>
ポリビニルアルコールフィルムをベースフィルム[I]として、当該ベースフィルム[I]上に、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を厚さ160μmとなるようにバーコーターにて塗布し、これを80℃で15分間乾燥することで、ベースフィルム[I]上に厚さ80μmの硬化性樹脂層[II]を積層した積層体(α)を作製した。
積層体(α)の硬化性樹脂層[II]面上に、印刷用インキを用いて、格子状の絵柄をグラビア印刷法により形成し、ベールフィルム[I]/硬化性樹脂層[II]/印刷層[III]からなる積層体(β)を得た。
更に、積層体(β)の印刷層[III]面上に、上記の熱圧着接着層用塗布液を厚さ100μmとなるようにバーコーターで塗布し、これを80℃で15分乾燥することで、厚さ20μmの熱圧着接着層[IV]を形成し、ベールフィルム[I]/硬化性樹脂層[II]/印刷層[III]/接着層[IV]からなる積層体(γ)を得た。
積層体(γ)と青板ガラス基板(厚さ2.8mm)とを130℃に暖めた乾燥機内で3分間予熱し、積層体(γ)の熱圧着接着剤を融解させ、この接着層[IV]面を青板ガラス基板にハンドローラーで押しつけて貼合サンプルを作製した。
得られた貼合サンプルに対し、ベースフィルム[I]越しに紫外線を1000mJ照射し、硬化性樹脂層[II]を硬化させて保護層(硬化された硬化性樹脂層:ハードコート層)を形成した。保護層形成後、ベースフィルムを剥離した後の保護層について、下記のように評価した。
<保護層の評価>
(2−1)保護層の表面光沢性
保護層(硬化された硬化性樹脂層)の面に蛍光灯を反射させ、目視観察により、蛍光灯の鮮鋭性を、下記の基準により評価した。
○:蛍光灯の輪郭がはっきり見える。
△:蛍光灯の輪郭がぼやけて見える。
×:蛍光灯の輪郭が確認できない。
(2−2)保護層の写像性
保護層(硬化された硬化性樹脂層)の面に対して、スガ試験機の写像性測定装置ICM−1DPを用いて、以下の条件で測定を行い、下記の基準により評価した。
(測定条件)
測定方法 :反射
測定角度 :45°入射、45°受光
スリット :0.03mm
測定孔 :20mm
光学くし幅:2.0mm
写像性 :C=〔(M−m)/(M+m)〕×100(%)
C:光学くし幅(mm)の時の像鮮明度(%)
M:光学くし幅(mm)の時の最高光量
m:光学くし幅幅(mm)の時の最低光量
(評価基準)
S:ランク90%以上
A:ランク70〜90%未満
B:ランク30〜70%未満
C:ランク30%未満
〔ポリビニルアルコールフィルムNo.1−7の作製及び評価〕
表1に示すようなケン化度及び4%水溶液の平均粘度(20℃)を有するポリビニルアルコール(A)100部に、表1に示す特性(オキシエチレン基とオキシプロピレン基の含有比率、重量平均分子量、HLB)を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテルを表1に示す量だけ配合し、さらに、ノニオン系界面活性剤(B′)としてポリオキシアルキルアミノエーテル(B′−1)0.3部、可塑剤としてグリセリン1部を添加し、固形分濃度で18%のポリビニルアルコール系樹脂水溶液(ドープ)を調製した。
このポリビニルアルコール系樹脂溶液を、Tダイより、表面温度が90℃に調整された回転するステンレス製エンドレスベルトに吐出して流延製膜し、表1に示す厚みのポリビニルアルコールフィルムを得た。得られたポリビニルアルコールフィルムについて、上記評価方法に基づき、剥離強度及び耐ブロッキング性を評価した。結果を表1に示す。
〔転写用積層体No.1−7の作製及び評価〕
上記で作製したポリビニルアルコールフィルムNo.1−7をベースフィルム[I]として使用し、上述の転写用積層体の作製方法に基づいて転写用積層体を作製し、上記評価方法に基づいて、表面光沢性、写像性を評価した。結果を併せて表1に示す。
なお、硬化性樹脂層[II]を構成する活性エネルギー線樹脂組成物、印刷層[III]に用いた意匠印刷用インキ、接着層[IV]に用いた接着層用塗布液は、以下のようにして調製した。
(1)活性エネルギー線硬化性樹脂組成物
株式会社カネカ製、ポリメチルメタクリレート「MN」の固形分50部に対し、日本合成化学工業社製、ウレタンアクリレート「UV−3520」の固形分40部および大阪有機化学工業社製、光重合性モノマー「ビスコート#300」10部を、全固形分濃度50%となるように2−ブタノンにより希釈混合した溶液に、光重合開始剤として長瀬産業社製「イルガキュア819」を固形分100部に対し3部となるように混合した。
(2)意匠印刷用インキ
黒色顔料10部、ニトロセルロース5部、アルキッド樹脂15部、トルエン30部、酢酸エチル30部、イソプロピルアルコール10部からなるグラビア印刷用インキを調製した。
(3)接着層用塗布液
日本合成化学工業社製、ポリエスター「SP−185」(ポリエステル樹脂)をトルエンと2−ブタノンの4:1(重量比)の混合溶媒に対して20%となるように加熱環流条件下で撹拌溶解した。
Figure 2013047318
ポリビニルアルコール100質量部に対して、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基を有するノニオン系界面活性剤(B)を1質量部以上含有させた組成物からなるポリビニルアルコール系フィルムNo.1−4の剥離強度は、オキシエチレン基又はオキシプロピレン基のいずれか一方しか有しないノニオン系界面活性剤を1質量部以上配合した組成物からなるポリビニルアルコール系フィルムNo.5,6の剥離強度と比べて、1/10以下であり、離型性に優れることがわかる。また、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基を有するノニオン系界面活性剤(B)を用いた場合であっても、含有量が1質量部未満であるNo.7では、剥離強度の低下は認められなかった。従って、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基を有するノニオン系界面活性剤を、ポリビニルアルコール100質量部に対して、1質量部以上含有させることが、剥離強度の低減に効果的であることがわかる。尚、オキシエチレン単位及びオキシプロピレン単位を有するノニオン系界面活性剤を1質量部以上含有させることは、ポリビニルアルコール系フィルム同士の密着性と関連する耐ブロキング性に対しては、ほとんど影響がなかった。
また、転写積層体に関して、剥離強度が小さい熱転写用フィルムNo.1−4を用いた場合には、表面光沢、写像性が、剥離強度が大きい熱転写用フィルムNo.5−7を用いた場合と比べて、優れていたことがわかった。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、離型性に優れているので、セパレターや転写用フィルムのベースフィルムとして有用である。

Claims (15)

  1. ポリビニルアルコール系樹脂(A)100重量部に対して、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基を含有するノニオン系界面活性剤(B)を1〜20重量部含有してなることを特徴とするポリビニルアルコール系フィルム。
  2. ノニオン系界面活性剤(B)が、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基が付加されたアルキルエーテル(B1)、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基が付加された脂肪酸エステル(B2)及びオキシエチレン基及びオキシプロピレン基が付加された多価アルコールエーテル(B3)からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載のポリビニルアルコール系フィルム。
  3. ノニオン系界面活性剤(B)中のオキシエチレン基の構造単位数が1〜70であり、オキシプロピレン基の構造単位数が1〜70であることを特徴とする請求項1に記載のポリビニルアルコール系フィルム。
  4. ノニオン系界面活性剤(B)中のオキシエチレン基とオキシプロピレン基の含有比率(オキシエチレン基/オキシプロピレン基)(モル比)が10/90〜90/10であることを特徴とする請求項1に記載のポリビニルアルコール系フィルム。
  5. ノニオン系界面活性剤(B)の重量平均分子量が100〜10000であることを特徴とする請求項1に記載のポリビニルアルコール系フィルム。
  6. ノニオン系界面活性剤(B)のHLBが、2〜18であることを特徴とする請求項1に記載のポリビニルアルコール系フィルム。
  7. ポリオキシエチレンブロックを親水部とし、ポリオキシプロピレンブロックを疎水部とする1〜6のいずれかに記載のポリビニルアルコール系フィルム。
  8. ポリビニルアルコール系樹脂(A)のケン化度が70モル%以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポリビニルアルコール系フィルム。
  9. ポリビニルアルコール系樹脂(A)の20℃における4重量%水溶液粘度が5〜70mPa・sであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポリビニルアルコール系フィルム。
  10. ポリビニルアルコール系樹脂(A)100重量部に対して、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基を含有するノニオン系界面活性剤(B)を1〜20重量部含有してなるポリビニルアルコール系フィルムであって、
    前記ノニオン系界面活性剤(B)におけるオキシエチレン基の構造単位数が1〜70で、オキシプロピレン基の構造単位数が1〜70であって、当該オキシエチレン基とオキシプロピレン基の含有比率(オキシエチレン基/オキシプロピレン基)(モル比)が10/90〜90/10であることを特徴とするポリビニルアルコール系フィルム。
  11. 前記ノニオン系界面活性剤(B)は、親水部がポリオキシエチレンブロックであり、疎水部がポリオキシプロピレンブロックであって、HLBが2〜18である請求項10に記載のポリビニルアルコール系フィルム。
  12. ポリビニルアルコール系樹脂(A)100重量部に対して、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基を含有するノニオン系界面活性剤(B)を1〜20重量部含有してなるポリビニルアルコール系樹脂水溶液を流延し製膜することを特徴とするポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
  13. ポリビニルアルコール系樹脂水溶液の濃度が10〜30重量%であることを特徴とする請求項12に記載のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
  14. 請求項1〜11のいずれかに記載のポリビニルアルコール系フィルムからなるベースフィルム[I]、硬化性樹脂層[II]、印刷層[III]が、この順で積層されていることを特徴とする転写用積層体。
  15. ベースフィルム[I]の硬化性樹脂層[II]側の表面粗さ(Ra)が1μm以下であることを特徴とする請求項14記載の転写用積層体。
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