JP2005178154A - 高光沢転写材と高光沢成形品の製造方法 - Google Patents

高光沢転写材と高光沢成形品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 樹脂成形品の表面に高光沢の装飾を行うことができる高光沢転写材と高光沢成形品の製造方法を提供する。
【解決手段】 基体シート上に少なくとも剥離層、図柄層、接着層からなる転写層が形成され、基体シートの転写層側表面の算術平均粗さ(Ra)が20nm以下であり、転写層の厚さが3〜30μmであり、転写層中に含まれる残留溶剤量が600mg/m以下であるように構成したので、樹脂成形品の表面に高光沢の装飾を行うことができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、樹脂成形品の表面に高光沢の模様を付与することができる高光沢転写材と高光沢成形品の製造方法に関する。
従来から、被転写物面を装飾する方法として、転写法がある。転写法とは、基体シート上に、剥離層、図柄層、接着層などからなる転写層を形成した転写材を用い、加熱加圧して転写層を被転写物に密着させた後、基体シートを剥離して、被転写物面に転写層のみを転移して装飾を行う方法である。
また、被転写物が樹脂成形品である場合に、転写法をより合理的に行う方法として、成形同時転写法がある。成形同時転写法とは、転写材を成形金型内に挟み込み、金型内に樹脂を射出充満させ、冷却して樹脂成形品を得るのと同時に成形品表面に転写材を接着させた後、基体シートを剥離して、被転写物面に転写層を転移して装飾を行う方法である(たとえば、特許文献1参照)。
特開平1−241415号公報
しかし、従来の転写材によって得られる転写表面は、その光沢の度合いが低いため高級感に欠けるという問題があった。
すなわち、転写材の基体シートとして通常用いられるポリエチレンテレフタレート系樹脂からなるシートは、シリカなどの滑材が添加され、滑り性を付与して巻き取りやすくなるように製造されている。したがって、転写材の基体シート表面は滑材の影響により微細凹凸を有するものであり、転写加工後に基体シートを剥離すると基体シート表面の微細凹凸形状が転写層表面に写し取られ、転写層表面も微細凹凸形状を有するものとなる。
本発明でいう光沢とは艶のことであり、光が物品表面に反射することによって得られる。一般的には、物品表面の平滑性が高いほど高光沢であり、高光沢により高級感を表現することができる。たとえば、物品の表面を塗装仕上げや漆塗り仕上げした場合に現出する乾いた塗膜の厚さが大きい場合に得られる質感(肉もち感ともいう)などである。
なお、物品表面の光沢は、像鮮明度測定装置による像鮮明度で評価することができる。像鮮明度については、日本工業規格(JIS)K7105(プラスチックの光学的特性試験方法)6.6に規定されている。
したがって、本発明は、上記のような問題点を解消し、樹脂成形品の表面に高光沢の装飾を行うことができる高光沢転写材と高光沢成形品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の高光沢転写材と高光沢成形品の製造方法は、以上の目的を達成するために、以下のように構成している。
本発明の第1態様によれば、基体シート上に少なくとも剥離層、図柄層、接着層からなる転写層が形成され、基体シートの転写層側表面の算術平均粗さ(Ra)が20nm以下であり、転写層の厚さが3〜30μmであり、転写層中に含まれる残留溶剤量が600mg/m以下であるように構成された高光沢転写材を提供する。
本発明の第2態様によれば、離型層が形成された基体シートの離型層面上に少なくとも剥離層、図柄層、接着層からなる転写層が形成され、基体シートの離型層側表面の算術平均粗さ(Ra)が20nm以下であり、転写層の厚さが3〜30μmであり、転写層中に含まれる残留溶剤量が600mg/m以下であるように構成された高光沢転写材を提供する。
本発明の第3態様によれば、基体シート上に少なくとも剥離層、図柄層、接着層からなる転写層が形成され、基体シートの転写層側表面の算術平均粗さ(Ra)が20nm以下であり、転写層の厚さが3〜30μmであり、転写層中に含まれる残留溶剤量が600mg/m以下である高光沢転写材を、射出成形用金型内に配置し、型締め後、成形樹脂を射出し、型開き後、基体シートを剥離して成形品表面に転写層が積層された成形品を得るように構成された高光沢成形品の製造方法を提供する。
本発明の第4態様によれば、離型層が形成された基体シートの離型層面上に少なくとも剥離層、図柄層、接着層からなる転写層が形成され、基体シートの離型層側表面の算術平均粗さ(Ra)が20nm以下であり、転写層の厚さが3〜30μmであり、転写層中に含まれる残留溶剤量が600mg/m以下である高光沢転写材を、射出成形用金型内に配置し、型締め後、成形樹脂を射出し、型開き後、基体シートを剥離して成形品表面に転写層が積層された成形品を得るように構成された高光沢成形品の製造方法を提供する。
本発明の第5態様によれば、成形樹脂がアクリロニトリルブダジエンスチレン(ABS)系樹脂、ABS系樹脂を含むアロイ樹脂、ポリプロピレン(PP)系樹脂、または、PP系樹脂を含むアロイ樹脂である第3〜4の態様に記載の高光沢成形品の製造方法を提供する。
本発明の高光沢転写材は、基体シート上に少なくとも剥離層、図柄層、接着層からなる転写層が形成され、基体シートの転写層側表面の算術平均粗さ(Ra)が20nm以下であり、転写層の厚さが3〜30μmであり、転写層中に含まれる残留溶剤量が600mg/m以下であるように構成したので、樹脂成形品の表面に高光沢の装飾を行うことができる。
本発明の高光沢成形品の製造方法は、基体シート上に少なくとも剥離層、図柄層、接着層からなる転写層が形成され、基体シートの転写層側表面の算術平均粗さ(Ra)が20nm以下であり、転写層の厚さが3〜30μmであり、転写層中に含まれる残留溶剤量が600mg/m以下である高光沢転写材を、射出成形用金型内に配置し、型締め後、成形樹脂を射出し、型開き後、基体シートを剥離して成形品表面に転写層が積層された成形品を得るように構成したので、高光沢の装飾がされた成形品を容易に得ることができる。
図面を参照しながら本発明の実施の形態について詳しく説明する。
図1〜2は、は本発明の高光沢転写材の一実施例を示す断面図である。図3〜5は、は本発明の高光沢成形品の製造方法の一工程を示す断面図である。図6は、は本発明の高光沢成形品の製造方法によって得た高光沢成形品の一実施例を示す断面図である。図中、1は高光沢転写材、2は基体シート、3は離型層、4は剥離層、5は図柄層、6は接着層、7は成形用金型、8は成形樹脂、9は高光沢成形品、10は転写層である。
本発明の高光沢転写材1は、基体シート2上に少なくとも剥離層4、図柄層5、接着層6からなる転写層10が形成され、基体シート2の転写層10側表面の算術平均粗さ(Ra)が20nm以下であり、転写層10の厚さが3〜30μmであり、転写層10中に含まれる残留溶剤量が600mg/m以下であるように構成されたものである(図1参照)。
基体シート2の材質としては、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂もしくはポリアミド系樹脂などの合成樹脂フィルム、紙または合成紙などを用いることができる。なかでもポリエチレンテレフタレート系樹脂を用いるのが好ましい。転写時あるいは射出成形時の熱圧によって基体シート2が変形して平滑性が低下するのを避けることができるためである。
基体シート2の厚さとしては通常5〜200μmが好ましく、さらに好ましくは12〜50μmである。厚さが薄すぎると機械的強度が弱くなるおそれがある。また、厚すぎるとロール転写やアップダウン転写における熱が接着層6まで伝わり難いため、転写層10と被転写体との密着が弱くなるおそれがある。
本発明では、基体シート2表面の算術平均粗さ(Ra)が20nm以下であることが特に重要である。
基体シート2は、通常、巻き状態となったポリエチレンテレフタレート系樹脂からなるシートを用いる。基体シート2には、滑り性を付与して巻き取りやすくするためにシリカなどの滑材が添加されるため、その表面は微細凹凸を有するものとなる。したがって、転写材の基体シート2としてこのようなシートを用いると、基体シート2の剥離時に基体シート2表面の微細凹凸が転写層10表面に写し取られ、転写面が粗くなる。転写面は基体シート2の表面状態をそのまま写すので転写面は基体シート2の平滑性以上に平滑にならない。
また、基体シート2として、ポリエチレンテレフタレート系樹脂からなるシート表面に離型層3を積層したものを用いる場合がある。この場合、離型層3は量産性と膜厚を考慮して通常グラビアコート法で形成するが、離型層3を形成しても基体シート2表面の微細凹凸を埋めることはできず、やはり表面に微細凹凸が残るものとなる。したがって、離型層3が形成された基体シート2を用いて転写材を得た場合も、転写面も粗くなる。
表面の算術平均粗さが20nm以下である基体シート2を得るには、基体シート2に添加する滑材の粒子径を小さくしたり、滑材の量を減らすとよい。また、算術平均粗さ(Ra)は走査型プローブ顕微鏡などで測定することができる。
基体シート2からの転写層10の剥離性がよい場合には、基体シート2上に転写層10を直接設けるとよい。基体シート2からの転写層10の剥離性を改善するためには、基体シート2上に転写層10を設ける前に、離型層3を全面的に形成するとよい。離型層3は、転写後または成形同時転写後に基体シート2を剥離した際に、基体シート2とともに転写層10から離型する。
離型層3表面の算術平均粗さ(Ra)は、20nm以下となるように構成する。離型層3の材質としては、剥離層4として用いるアクリル系樹脂やビニル系樹脂などと良好な離型性を有するエポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、またはこれらの混合樹脂、または必要に応じてワックス、シリコーンを添加した樹脂を用いることができる。これにより基体シート2と離型層3の固着が良好となり、かつ剥離層4との離型性が良好となる。また、転写層10表面の算術平均粗さ(Ra)が大きくならないようにするため、体質顔料などの微粉末をなるべく入れないようにする。
剥離層4は転写されたときに成形品の最表面となる層である。転写成形品の用途としては工業製品、日用雑貨品などがあり、たとえば、耐薬品性や耐摩耗性などの物性が要求される。また、基体シート2に対する剥離性を有することも必要である。
剥離層4としては、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチルなどのアクリルもしくはメタクリルモノマーの単独共重合体もしくはこれらモノマーを含む共重合体などのアクリル系樹脂、塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルエーテルなどの単独共重合体もしくはこれらモノマーを含む共重合体などのビニル系樹脂、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレンなどのスチレン系樹脂およびスチレン共重合体系樹脂、エチレンセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、またはこれらの混合樹脂などが挙げられる。また、レベリング性などを改善するために、ポリテトラフルオロエチレンワックス、ポリエチレンワックス、シリコン、アルミナなどの体質顔料を添加してもよい。
剥離層4に硬度が必要な場合には、紫外線硬化性樹脂などの光硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂などの放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂などを選定して用いるとよい。剥離層4は、着色したものでも未着色のものでもよい。
図柄層5は被転写体に装飾を行うための層である。図柄層5のパターンは、装飾の目的に応じて、樹脂中に顔料、染料などを添加したインキからなるベタ形態のものや、模様、絵柄などを施した模様層形態のもの、あるいはこれらの組み合わせの形態を有する。
図柄層5は、通常は印刷層として形成する。印刷層の材質としては、ポリビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、アルキド樹脂などの樹脂をバインダーとし、適切な色の顔料または染料を着色剤として含有する着色インキを用いるとよい。印刷層は、表現したい図柄に応じて、全面的または部分的に設ける。
また、図柄層5は、金属薄膜層からなるもの、あるいは印刷層と金属薄膜層との組み合わせからなるものでもよい。金属薄膜層は、図柄層5として金属光沢を表現するためのものであり、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、鍍金法などで形成する。表現したい金属光沢色に応じて、アルミニウム、ニッケル、金、白金、クロム、鉄、銅、スズ、インジウム、銀、チタニウム、鉛、亜鉛などの金属、これらの合金または化合物を使用する。
接着層6は、被転写物面に転写材を接着するために形成する層である。接着層6としては、被転写物の素材に適した感熱性あるいは感圧性の樹脂を適宜使用する。たとえば、被転写物の材質がアクリル系樹脂の場合はアクリル系樹脂を用いるとよい。また、被転写物の材質がポリフェニレンオキシド・ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン共重合体系樹脂、ポリスチレン系ブレンド樹脂の場合は、これらの樹脂と親和性のあるアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂などを使用すればよい。さらに、被転写物の材質がポリプロピレン樹脂の場合は、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、環化ゴム、クマロンインデン樹脂が使用可能である。
また、必要に応じて、転写層10を構成する各層の密着性を向上させるために、アンカー層を設けてもよい。アンカー層の材質としては、2液性硬化ウレタン樹脂、熱硬化ウレタン樹脂、メラミン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、塩素含有ゴム系樹脂、塩素含有ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ビニル系共重合体樹脂などを使用するとよい。前アンカー層および後アンカー層の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。
上記の各層を形成するには、グラビアコート法、ロールコート方法、カーテンフローコート法、エアーナイフコート法、リバースコート法、キスコート法、ブレードコート法、スムーズコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの方法を用いるとよい。これらの層は、同一の機能を有する層を2層以上重ねて形成してもよい。塗布膜厚は1層当たり乾燥時0.5μm〜5μm程度である。
剥離層4、図柄層5、接着層6などからなる転写層10は、本発明において、その厚さが3〜30μmであることが重要である。転写層10が3μm以上であると、被転写体表面の微細な凹凸形状の影響を受けにくくなり、より平滑ですぐれた光沢を表現することができる。また、30μmを越えると、転写工程において接着層6にまで熱が伝わりにくくなり、転写作業性が低下したり、より高い圧力をかける必要が生じて被転写体が変形したりする不具合が生じる。転写工程が成形同時転写法による場合は、成形樹脂8に低分子量の添加剤などが含まれていることがあり、これが粒子として成形品の表面に出たりガス化して成形品の表面を曇らせたりすることが知られている。転写層10の膜厚を3μm以上とすることでこのような現象を緩和させることができる。30μmを越えると、ゲート部分で転写層10が熱圧で侵されて図柄のパターンが崩れるいわゆるインキ流れが生じる。また、膜厚が大きいと乾燥性が悪く、残留溶剤を低減することが困難となる。
また、本発明では、転写層10中に含まれる残留溶剤量が600mg/m以下とすることが重要である。転写層10中に残留溶剤が多量にあると転写表面が曇りが生じる。これは残留溶剤が射出成形の熱により気化して転写層10と基体シート2の界面に溜まり、微細な凹凸が生じるためと考えられる。したがって、このような現象が生じるのを回避することが必要である。
残留溶剤の測定をするには、たとえば、10cm×5cmの試験片を1000ml容量のフラスコ内に投入し、口を閉じ、80℃環境のオーブンに10分間放置した後、ガス検知管でフラスコ内の溶剤の濃度を測定するとよい。
転写層10中に含まれる残留溶剤は、印刷工程やコーティング工程で用いられる一般的な溶剤であり、たとえば、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、酢酸エチルアルコール、酢酸ブチルアルコール、イソプロピルアルコール(IPA)、エタノール、メタノール、キシレンなどである。
このような構成の高光沢転写材1を用い、樹脂成形品の表面に高光沢の模様を付与することができる。高光沢転写材1を用いて転写を行う方法について説明する。
被転写物としては、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ABS系樹脂、AS系樹脂、AN系樹脂などの汎用樹脂を挙げることができる。また、ポリフェニレンオキシド・ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、超高分子量ポリエチレン樹脂などの汎用エンジニアリング樹脂やポリスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリイミド樹脂、液晶ポリエステル樹脂、ポリアリル系耐熱樹脂などのスーパーエンジニアリング樹脂を使用することもできる。さらに、ガラス繊維や無機フィラーなどの補強材を添加した複合樹脂も使用できる。
前記した層構成の高光沢転写材1を用い、転写法を利用して被転写物面に装飾を行う方法について説明する。まず、被転写物面に、高光沢転写材1の接着層6側を密着させる。次に、シリコンラバーなどの耐熱ゴム状弾性体を備えたロール転写機、アップダウン転写機などの転写機を用い、温度80〜260℃程度、圧力490〜1960Pa程度の条件に設定した耐熱ゴム状弾性体を介して高光沢転写材1の基体シート2側から熱と圧力とを加える。こうすることにより、接着層6が被転写物表面に接着する。最後に、冷却後に基体シート2を剥がすと、基体シート2と剥離層4との境界面で剥離が起こり、転写が完了する。また、基体シート2上に離型層3を設けた場合は、基体シート2を剥がすと、離型層3と剥離層4との境界面で剥離が起こり、転写が完了する。
次に、前記した高光沢転写材1を用い、射出成形による成形同時転写法を利用して被転写物である樹脂成形品の面に装飾を行う方法について説明する。
まず、可動型と固定型とからなる成形用金型7内に高光沢転写材1を送り込む。その際、枚葉の高光沢転写材1を1枚づつ送り込んでもよいし、長尺の高光沢転写材1の必要部分を間欠的に送り込んでもよい。長尺の高光沢転写材1を使用する場合、位置決め機構を有する送り装置を使用して、高光沢転写材1の図柄層5と成形用金型7との見当が一致するようにするとよい。また、高光沢転写材1を間欠的に送り込む際に、高光沢転写材1の位置をセンサーで検出した後に高光沢転写材1を可動型と固定型とで固定するようにすれば、常に同じ位置で高光沢転写材1を固定することができ、図柄層5の位置ずれが生じないので便利である。
成形用金型7を閉じた後、ゲートから溶融樹脂を金型内に射出充満させ、被転写物を形成するのと同時にその面に高光沢転写材1を接着させる。
本発明において、成形樹脂8として、アクリロニトリルブダジエンスチレン(ABS)系樹脂、ABS系樹脂を含むアロイ樹脂、ポリプロピレン(PP)系樹脂、または、PP系樹脂を含むアロイ樹脂を用いると、特に効果的である。これらの樹脂を用いて射出成形された成形品の表面は、もともと光沢感が乏しいものとなる。これらの樹脂が本来有する性質により、成形品表面が微細凹凸を有するためである。したがって、本発明の高光沢転写材1を用い成形同時転写することによって、成形品の表面は転写層10によって覆われるようになるため、成形品表面の光沢感を向上させることができる。
被転写物である樹脂成形品を冷却した後、成形用金型7を開いて樹脂成形品を取り出す。最後に、基体シート2を剥がすことにより、転写が完了する。
厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを基体シートとし、その上にメラミン樹脂99重量%(バインダー)、マット剤1重量%(ワックス)からなるインキを、リバースコート法で基体シート処理面に塗布し、焼き付け温度200℃、ライン速度5m/分で焼き付け処理を行ない離形層を形成した。なお、離型層の膜厚は約1μmであった。
基体シート表面の算術平均粗さは、Ra=25nm、離型層表面の算術平均粗さはRa=14nmであり、基体シートの離型層側表面の外観は非常に光沢感が増し、平滑な面を有するものが得られた。
基体シートの離型層上に、アクリル樹脂80重量%、塩素化ビニル樹脂15重量%(バインダー)、マット剤5重量%(ワックス)、溶剤からなるインキを用い、グラビア印刷法にて3層ベタで塗布し、剥離層を形成した。剥離層の膜厚は2.5μmであった。
次いで、アクリル樹脂77重量%、塩素化ビニル樹脂8重量%(バインダー)、カーボンブラック15重量%(顔料)、溶剤からなるインキを用い、グラビア印刷法にて図柄層を形成した。図柄層の膜厚は6μmであった。
次いで、塩素化ビニル樹脂99重量%、微粉末シリカ1重量%、溶剤からなるインキを用い、グラビア印刷法にて接着層を形成して高光沢転写材を得た。接着層の膜厚は1.5μmであった。
なお、剥離層、図柄層、接着層は、多色グラビア輪転機により1工程で印刷を行った。また、いずれの層も乾燥温度、ライン速度は80℃、30m/分で乾燥処理を行なった。
以上のようにして得た光沢転写材は、転写層の厚さ10μm、残留溶剤量170mg/mであった。
上記の高光沢転写材を用い、成形同時転写法によって樹脂成形品の表面に装飾を行って高光沢成形品を得た。成形樹脂としてABS系樹脂(電気化学工業株式会社製GT−R)を使用した。成形条件は、樹脂温度250℃、金型温度50℃とした。
このようにして得た高光沢成形品の表面は、算術平均粗さ(Ra)が18nm、反射による像鮮明度が92%と高光沢を有する優れたものであった。
なお、像鮮明度は、写像性測定器(スガ試験機株式会社製ICM−1D)を用い、光学くしの幅:0.5mm、基準面:黒ガラス基準面100%、測定角度:60°の条件で測定した。
比較例
比較例1として、基体シート上に形成された離型層表面の算術平均粗さ(Ra)33nm、残留溶剤量165mg/mとなるようにした他は、実施例と同様にして転写材を得、実施例と同様にして成形同時転写法によって成形品を得た。
このようにして得た成形品の表面は、算術平均粗さ(Ra)29nm、反射による像鮮明度88%であった。
このように比較例1は、基体シート上に形成された離型層表面の算術平均粗さ(Ra)の他はほぼ同一条件である実施例よりも像鮮明度が小さく、見た目にも光沢感が劣るものであった。
比較例2として、印刷後の乾燥温度を若干低くすることで転写層の残留溶剤量を320mg/mとなるようにした他は、実施例と同様にして転写材を得、実施例と同様にして成形同時転写法によって成形品を得た。
このようにして得た成形品の表面は、算術平均粗さ(Ra)48nm、反射による像鮮明度80%であった。
このように比較例2は、転写層の残留溶剤量の他はほぼ同一条件である実施例よりも像鮮明度が小さく、見た目にも光沢感が劣るものであった。
比較例3として、転写層の厚さ4μm、残留溶剤量150mg/mとなるようにした他は、実施例と同様にして転写材を得、実施例と同様にして成形同時転写法によって成形品を得た。
このようにして得た成形品の表面は、算術平均粗さ(Ra)26nm、反射による像鮮明度88%であった。
このように比較例3は、転写層の厚さの他はほぼ同一条件である実施例よりも像鮮明度が小さく、見た目にも光沢感が劣るものであった。
比較例4として、高光沢転写材を用いず、成形樹脂のみで成形品を得た場合、成形品表面の算術平均粗さはRa=56で、反射による像鮮明度は79%であった。
このように比較例4は、実施例よりも像鮮明度が小さく、見た目にも光沢感に乏しいものであった。
本発明は、塗装や漆塗りで仕上げられた艶、肉もち感などで表現されるような高級感を必要とする樹脂成形品を得る場合などにおいて好適に用いることができ、産業上有用なものである。
本発明の高光沢転写材の一実施例を示す断面図である。 本発明の高光沢転写材の他の実施例を示す断面図である。 本発明の高光沢成形品の製造方法の一工程を示す断面図である。 本発明の高光沢成形品の製造方法の一工程を示す断面図である。 本発明の高光沢成形品の製造方法の一工程を示す断面図である。 本発明の高光沢成形品の製造方法によって得た高光沢成形品の一実施例を示す断面図である。
符号の説明
1 高光沢転写材
2 基体シート
3 離型層
4 剥離層
5 図柄層
6 接着層
7 成形用金型
8 成形樹脂
9 高光沢成形品
10 転写層

Claims (5)

  1. 基体シート上に少なくとも剥離層、図柄層、接着層からなる転写層が形成され、基体シートの転写層側表面の算術平均粗さ(Ra)が20nm以下であり、転写層の厚さが3〜30μmであり、転写層中に含まれる残留溶剤量が600mg/m以下であることを特徴とする高光沢転写材。
  2. 離型層が形成された基体シートの離型層面上に少なくとも剥離層、図柄層、接着層からなる転写層が形成され、基体シートの離型層側表面の算術平均粗さ(Ra)が20nm以下であり、転写層の厚さが3〜30μmであり、転写層中に含まれる残留溶剤量が600mg/m以下であることを特徴とする高光沢転写材。
  3. 基体シート上に少なくとも剥離層、図柄層、接着層からなる転写層が形成され、基体シートの転写層側表面の算術平均粗さ(Ra)が20nm以下であり、転写層の厚さが3〜30μmであり、転写層中に含まれる残留溶剤量が600mg/m以下である高光沢転写材を、射出成形用金型内に配置し、型締め後、成形樹脂を射出し、型開き後、基体シートを剥離して成形品表面に転写層が積層された成形品を得ることを特徴とする高光沢成形品の製造方法。
  4. 離型層が形成された基体シートの離型層面上に少なくとも剥離層、図柄層、接着層からなる転写層が形成され、基体シートの離型層側表面の算術平均粗さ(Ra)が20nm以下であり、転写層の厚さが3〜30μmであり、転写層中に含まれる残留溶剤量が600mg/m以下である高光沢転写材を、射出成形用金型内に配置し、型締め後、成形樹脂を射出し、型開き後、基体シートを剥離して成形品表面に転写層が積層された成形品を得ることを特徴とする高光沢成形品の製造方法。
  5. 成形樹脂がアクリロニトリルブダジエンスチレン(ABS)系樹脂、ABS系樹脂を含むアロイ樹脂、ポリプロピレン(PP)系樹脂、または、PP系樹脂を含むアロイ樹脂である請求項3または4に記載の高光沢成形品の製造方法。
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