JP2008080584A - 部分マットハードコート転写材と部分マットハードコート成形品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 成形品から基体シートを剥離するとき部分マット層が飛散せず、かつ、表面強度の高い成形品を得る。
【解決手段】 部分マットハードコート転写材が、剥離性を有する基体シート上に、活性エネルギー線硬化性樹脂からなるハードコート層、マット剤を分散させた水溶性樹脂からなる微細な凹凸を有する部分マット層、接着層が少なくとも順次積層されている。
【選択図】 図1
【解決手段】 部分マットハードコート転写材が、剥離性を有する基体シート上に、活性エネルギー線硬化性樹脂からなるハードコート層、マット剤を分散させた水溶性樹脂からなる微細な凹凸を有する部分マット層、接着層が少なくとも順次積層されている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、部分的にマット部分を有しかつ表面強度の高い成形品を得ることができる部分マットハードコート転写材と部分マットハードコート成形品の製造方法に関する。
従来より、家電製品、化粧品容器、雑貨品などの表面を装飾する方法として、転写法がある。転写法とは、基体シート上に、剥離層、絵柄層、接着層などからなる転写層を形成した転写材を用い、加熱加圧して転写層を被転写物に密着させた後、基体シートを剥離して、被転写物面に転写層のみを転移して装飾を行う方法である。表面強度の高い装飾成形品を得るための転写材としては、剥離性を有する基体シート上に、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物からなるハードコート層を形成し、さらにその上に絵柄層、接着層などを形成したものがあった。
そして、表面強度が高く、表面が部分的にマット状の装飾成形品を得るための部分マットハードコート転写材として、先に印刷した部分マット層のパターンと後に印刷するハードコート層以降、特に絵柄層のパターンとを一致させるため、部分マット層からハードコート層、絵柄層までを一連の印刷機で印刷するいわゆるインライン印刷で部分マットハードコート転写材を製造する技術が開発された(特許文献1参照)。この技術は、剥離性を有する基体シート上に、マット材を分散させた水溶性樹脂からなる微細な凹凸を有する部分マット層、活性化エネルギー線硬化性樹脂からなるハードコート層、接着層が少なくとも積層されているように転写材を構成し、同転写材を射出成形用金型に挟み込み、キャビティ内に成形樹脂を射出し、射出成形品を得るのと同時にその表面に転写材を接着し、型開きして成形品を取り出し、基体シートを剥離した後、活性エネルギー線を照射し、次いでハードコート層表面に残留した部分マット層の水溶性樹脂を水洗除去するものである。
しかし、特許文献1の部分マットハードコート転写材には、1.特に成形同時加飾法において、金型内で成形品から基体シートを剥離するとき、部分マット層4がいわゆる箔バリとして金型内部で飛散して、その直後に形成された成形品の内部に部分マット層の細かい破片が混入してしまう(図5参照)、また、2.ハードコート層をインライン印刷で形成する際、乾燥速度を早めるためにハードコート層の膜厚が約2μm程度にしか厚くできないため十分な強度を得ることが困難である、という問題がある。
したがって、本発明は、上記のような問題点を解消し、成形品から基体シートを剥離するとき部分マット層が飛散することがなく、ハードコート層に十分な強度を得ることができる、部分マットハードコート転写材と部分マットハードコート成形品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は前記目的を達成するため、以下のように構成している。
本発明の部分マットハードコート転写材は、剥離性を有する基体シート上に、活性エネルギー線硬化性樹脂からなるハードコート層、マット剤を分散させた水溶性樹脂からなる微細な凹凸を有する部分マット層、接着層が少なくとも順次積層されているように構成した。
本発明の部分マットハードコート転写材は、剥離性を有し、活性エネルギー線硬化性樹脂からなるハードコート層を予め塗工してある基体シート上に、マット剤を分散させた水溶性樹脂からなる微細な凹凸を有する部分マット層、接着層が少なくとも積層されているように構成した。
また、上記構成において、水溶性樹脂が、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドンまたはポリビニルアルコールのいずれかであるように構成した。
また、上記各構成において、ハードコート層と接着層、あるいは部分マット層と接着層との間に絵柄層を有するように構成した。
また、上記各構成において、基体シートがヘアライン加工されたように構成した。
本発明の部分マットハードコート成形品の製造方法は、上記部分マットハードコート転写材を成形品表面に接着し、基体シートを剥離した後、部分マット層の水溶性樹脂および部分マット層に接触する部分のハードコート層を水洗除去し、次いで活性エネルギー線を照射するように構成した。
本発明の部分マットハードコート成形品の製造方法は、上記部分マットハードコート転写材を射出成形用金型内に挟み込み、キャビティ内に成形樹脂を射出し、射出成形品を得るのと同時にその表面に転写材を接着し、型開きして成形品を取りだし、基体シートを剥離した後、部分マット層の水溶性樹脂および部分マット層と接触する部分のハードコート層を水洗除去し、次いで活性エネルギー線を照射するように構成した。
本発明の部分マットハードコート成形品の製造方法は、上記部分マットハードコート転写材を成形品表面に接着し、基体シートを剥離した後、活性エネルギー線を照射し、次いで部分マット層の水溶性樹脂および部分マット層に接触する部分のハードコート層を水洗除去するように構成した。
本発明の部分マットハードコート成形品の製造方法は、上記部分マットハードコート転写材を射出成形用金型内に挟み込み、キャビティ内に成形樹脂を射出し、射出成形品を得るのと同時にその表面に転写材を接着し、型開きして成形品を取りだし、基体シートを剥離した後、活性エネルギー線を照射し、次いで部分マット層の水溶性樹脂および部分マット層と接触する部分のハードコート層を水洗除去するように構成した。
本発明の部分マットハードコート転写材と部分マットハードコート成形品の製造方法は、以上のとおりの構成を有するので、次のような優れた効果を有する。
すなわち、本発明の部分マットハードコート転写材は、剥離性を有する基体シート上に、活性エネルギー線硬化性樹脂からなるハードコート層、マット剤を分散させた水溶性樹脂からなる微細な凹凸を有する部分マット層、接着層が少なくとも順次積層されている。したがって、成形品から基体シートを剥離する際、成形品の表面にはハードコート層が部分マット層を覆っているので、部分マット層が箔バリとして飛散することはない。また、ハードコート層、部分マット層、接着層を順次インラインで形成すると、各層を別工程で形成するより工程数が少なくコストの面で有利である。
また、本発明の部分マットハードコート転写材は、剥離性を有し、活性エネルギー線硬化性樹脂からなるハードコート層を予め塗工してある基体シート上に、マット剤を分散させた水溶性樹脂からなる微細な凹凸を有する部分マット層、接着層が少なくとも積層されている。したがって、成形品から基体シートを剥離する際に部分マット層が箔バリとして飛散しない。また、本発明においては、ハードコート層をインライン印刷で形成する場合とは異なり、乾燥速度を早めるためにハードコート層の膜厚が約2μm程度までにしか厚くできないという制約を受けることがないので、ハードコート層を予めオフラインで厚く形成することによってハードコート層に十分な強度を持たせることができる。
また、本発明の部分マットハードコート転写材に絵柄層を備える場合は、部分マット層と絵柄層とをインライン印刷で形成できるので、部分マット層のパターンと絵柄層のパターンとを一致させることができる。
また、本発明の部分マットハードコート転写材の基体シートがヘアライン加工された場合は、基体シートのヘアライン形状の凹凸に部分マット層が吸収されてしまうことがなく、ヘアライン部分とマット部分とを確実に形成することができる。
以下、図面を参照しながら本発明の最良の実施形態を説明する。
図1は本発明の部分マットハードコート転写材の一実施例を示す断面図、図2及び図3は本発明の部分マットハードコート成形品の製造方法の工程の一実施例を示す断面図、図4は本発明の部分マットハードコート成形品の製造方法の一実施例によって得られた成形品を示す断面図、図5は従来技術の部分マットハードコート成形品の製造方法の工程の一実施例を示す断面図、図6は本発明の部分マットハードコート成形品の製造方法の別の実施例によって得られた成形品を示す断面図である。図中、1は部分マットハードコート転写材、2は基体シート、3はハードコート層、4は部分マット層、5は絵柄層、6は接着層、7は離型層、8はアンカー層、9は金属薄膜層、10は成形品をそれぞれ示す。
本発明の部分マットハードコート転写材1は、剥離性を有する基体シート2上に、活性エネルギー線硬化性樹脂からなるハードコート層3、マット剤を分散させた水溶性樹脂からなる微細な凹凸を有する部分マット層4、接着層6が少なくとも積層されているものである(図1参照)。
基体シート2の材質としては、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などの樹脂シート、アルミニウム箔、銅箔などの金属箔、グラシン紙、コート紙、セロハンなどのセルロース系シート、あるいは以上の各シートの複合体など、通常の転写材の基体シートとして用いるものを使用することができる。また、基体シート2の剥離性を高めるために、基体シート2上に離型層7を形成してもよい。離型層7としては、アミノアルキッド系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、フェノール系樹脂等、あるいはこれらの混合樹脂などを用いることができる。離型層7を形成する方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法、リップコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。また、離型層7を形成する際、基体シート2表面にコロナ処理や易接着処理をすることもできる。
ハードコート層3は通常、基体シート2または離型層7上の一面に形成する。ハードコート層3は、転写後に基体シート2を剥離した際に、基体シート2から剥離して転写層の最上層となる層である。ハードコート層3としては、紫外線や電子線等で硬化する活性エネルギー線硬化性樹脂を用いる。ハードコート層3の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法、リップコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。ハードコート層3の厚みとしては、2〜15μmが好ましい。ハードコート層3の厚みが2μm未満だと、ハードコートの耐擦傷性、耐摩擦性、耐溶剤性の性能に問題が生じ、15μmを超えると後述する部分マット層4を水洗できない問題が生じるからである。また、基体シート2にヘアライン加工を施した後、直接基体シート2にハードコート層3を形成することにより、ハードコート層3にヘアラインの凹凸形状を施してもよい。
部分マット層4は、ハードコート層3上に形成する。部分マット層4は被転写体の表面に微細な凹凸を形成して部分的にマット状にする層であり、基体シート2の剥離後、例えば超音波洗浄などの水洗によって部分マット層4と接触する部分のハードコート層3とともに除去される層である。部分マット層4としては、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールなどの水溶性樹脂に、マット剤を分散させたものを用いる。マット剤としては、酸化珪素、酸化チタン、カーボンブラック、沈降性バリウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、タルク等を成分とする無機顔料や、フタロシアン、ジオキサジン、アントラキノン系などの有機顔料を用いる。部分マット層4は、表現したいマット感に応じてマット剤の量や粒径を調整し、グロス値175未満とする。グロス値が175以上だと目視で艶に見えてマット感を呈さない。
部分マット層4の形成方法としては、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法などの印刷法がある。部分マット層の厚みは0.5μm〜10μmとする。0.5μm未満であれば、二次元や三次元形状に転写したり成形同時転写したりする際に、基体シート2が伸ばされるので、その部分で部分マット層が剪断される可能性があり、マット感を喪失するおそれがある。また、10μmを越えると、二次元や三次元形状に転写したり成形同時転写したりする際に、基体シート2の伸びに追随できず部分マット層自体にクラックを生じてしまう。また、部分マット層4の厚みに応じてマット剤を多量に使用することもあるため、部分マット層4の厚みが厚くなるとコスト高となる。より好ましい部分マット層4の厚みは1〜5μmである。
このように構成することによって、後述の絵柄層5を形成する場合においても、ハードコート層をインライン印刷で部分マット層と同時に形成する必要はない。したがって、ハードコート層を予めオフラインで厚く形成することによりハードコート層に十分な強度を持たせることができる。また、成形品の表面にはハードコート層が部分マット層を覆っているので、成形品から基体シートを剥離する際に部分マット層が箔バリとして飛散してしまうことはない。
また、必要に応じて、ハードコート層3と後述の接着層6との間、あるいは部分マット層4と接着層6との間に絵柄層5を形成してもよい。絵柄層5は、ハードコート層3あるいは部分マット層4の上に、通常は印刷層として形成する。印刷層の材質としては、ポリビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、アルキッド樹脂などの樹脂をバインダーとし、適切な色の顔料または染料を着色剤として含有する着色インキを用いるとよい。また、金属発色させる場合には、アルミニウム、チタン、ブロンズ等の金属粒子やマイカに酸化チタンをコーティングしたパール顔料を用いることもできる。印刷層の形成方法としては、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの通常の印刷法などを用いるとよい。特に、多色刷りや階調表現を行うには、オフセット印刷法やグラビア印刷法が適している。また、単色の場合には、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法を採用することもできる。印刷層は、厚さ0.5〜30μmに形成するとよい。印刷層は、表現したい絵柄に応じて、全面的に設ける場合や部分的に設ける場合もある。また、ハードコート層との密着性を向上させるために、印刷層とハードコート層との間にアンカー層を設けてもよい。アンカー層の材質としては、二液硬化性ウレタン系樹脂、熱硬化ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂やエポキシ系樹脂等の熱硬化性樹脂、塩化ビニル共重合体樹脂等の熱可塑性樹脂を使用するとよい。アンカー層の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。
このように構成することによって、部分マット層4と絵柄層5とをインライン印刷によって連続的に形成することができるので、部分マット層のパターンと絵柄層のパターンとを一致させることができる。
また、絵柄層5は、金属薄膜層9からなるもの、あるいは印刷層と金属薄膜層との組み合わせからなるものでもよい(図1〜図3参照)。金属薄膜層9は、絵柄層5として金属光沢を表現するためのものであり、真空蒸着法、スパッターリング法、イオンプレーティング法、鍍金法などで形成する。また、金属箔を使用してもよい。表現したい金属光沢色に応じて、アルミニウム、ニッケル、金、白金、クロム、鉄、銅、スズ、インジウム、銀、チタニウム、鉛、亜鉛などの金属、これらの合金または化合物を使用する。
また、金属薄膜層9を設ける際に、他の転写層と金属薄膜層9との密着性を向上させるために、前アンカー層や後アンカー層などのアンカー層8を設けてもよい。アンカー層8の材質としては、二液硬化性ウレタン系樹脂、熱硬化ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂やエポキシ系樹脂等の熱硬化性樹脂、塩化ビニル共重合体樹脂等の熱可塑性樹脂を使用するとよい。アンカー層8の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。
接着層6は、成形品表面に上記の各層を接着するものである。接着層6は、接着させたい部分に形成する。すなわち、接着させたい部分が全面的なら、絵柄層5上に接着層6を全面的に形成する。また、接着させたい部分が部分的なら、絵柄層5上に接着層6を部分的に形成する。接着層6としては、成形品の素材に適した感熱圧接着性を有する樹脂を適宜使用する。たとえば、成形品または成形樹脂の材質がアクリル系樹脂の場合はアクリル系樹脂を用いるとよい。また、成形品または成形樹脂の材質がポリフェニレンオキシド・ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン共重合体系樹脂、ポリスチレン系ブレンド樹脂の場合は、これらの樹脂と親和性のあるアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂などを使用すればよい。さらに、成形品または成形樹脂の材質がポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂の場合は、塩素化ポリオレフィン系樹脂、塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、環化ゴム、クマロンインデン樹脂が使用可能である。接着層6の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法などの印刷法がある。
転写層の構成は、上記した態様に限定されるものではなく、たとえば、絵柄層5の材質として成形品との接着性に優れたものを使用する場合には、接着層6を省略することができる。
また、成形品の地模様や透明性を活かしつつ、マット感をもたせた転写品を得る場合には、基体シート2の上に、ハードコート層3、部分マット層4および接着層6を形成して絵柄層5等を省略することもできる。
成形品としては、樹脂成形品、ゴム製品、金属製品、木工品、ガラス製品、陶磁器製品もしくは各種材質からなる複合製品などを挙げることができる。成形品は、透明、半透明、不透明のいずれでもよい。また、成形品は、着色されていても、着色されていなくてもよい。樹脂としては、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、AN樹脂などの汎用樹脂を挙げることができる。また、ポリフェニレンオキシド・ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、超高分子量ポリエチレン樹脂などの汎用エンジニアリング樹脂やポリスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリイミド樹脂、液晶ポリエステル樹脂、ポリアリル系耐熱樹脂などのスーパーエンジニアリング樹脂を使用することもできる。さらに、ガラス繊維や無機フィラーなどの補強材を添加した複合樹脂も使用できる。
前記した層構成の部分マットハードコート転写材1を用い、転写法を利用して成形品面に装飾を行う方法について説明する。
まず、成形品表面に、部分マットハードコート転写材1の接着層6側を密着させる。次に、シリコンラバーなどの耐熱ゴム状弾性体を備えたロール転写機、アップダウン転写機、真空プレス転写機などの転写機を用い、温度80〜260℃程度の条件に設定した耐熱ゴム状弾性体を介して転写材の基体シート2側から熱と圧力とを加える。こうすることにより、接着層6が成形品表面10に接着する。
次いで、冷却後に基体シート2を剥がすと、基体シート2または離型層7と、ハードコート層3との境界面で剥離が起こり、転写が完了する(図2参照)。
次いで、部分マット層4の水溶性樹脂および部分マット層4に接触する部分のハードコート層3を水洗除去する(図3参照)。水洗は、水温20〜40℃の水でスプレーもしくはシャワー洗浄を行なった後、スポンジなどの柔軟な洗浄器具を含水させて擦り洗いを行なう方法でもよいし、超音波洗浄を用いてもよい。水洗後、成形品を40〜60℃の乾燥炉で乾燥し、成形品表面の水分を揮発させてもよい。このときの乾燥時間は30秒〜30分である。作業効率を考えると、30〜60秒が望ましい。
最後に、活性エネルギー線を照射してハードコート層3を架橋硬化させることによって部分マットハードコート成形品を得ることができる。活性エネルギー線としては、紫外線などを用い、400〜4000mJ/cm2程度の条件で照射するとよい。
上述のように、ハードコート層3が未硬化のうちに部分マット層4を水洗除去するのが基本であるが、水洗除去の際にハードコート層3が流れてしまってハードコート層3の厚みが薄くなってしまうという問題が起こりうる。そこで、部分マット層4を水洗除去する際の洗浄力とハードコート層3の未硬化時の耐水力とのバランスによっては、ハードコート層3が水洗によって流れてしまわないように活性エネルギー線を照射してハードコート層3を架橋硬化させてから、部分マット層4の水溶性樹脂および部分マット層4に接触する部分のハードコート層3を水洗除去する工程としてもよい。
また、被転写物が樹脂成形品である場合に、転写法をより合理的に行う方法として、成形同時転写法がある。部分マットハードコート転写材1を用い、成形同時転写法を利用して被転写物である樹脂成形品の面に装飾を行う方法について説明する。
まず、可動型と固定型とからなる成形用金型内に部分マットハードコート転写材1を送り込む。その際、枚葉の転写材を1枚ずつ送り込んでもよいし、長尺の転写材の必要部分を間欠的に送り込んでもよい。
成形用金型を閉じた後、ゲートから溶融樹脂を金型内に射出充満させ、成形品を形成するのと同時にその面に転写材を接着させる。冷却固化後、成形用金型を開いて成形品を取り出す。
次いで、冷却後に基体シート2を剥がすと、基体シート2または離型層7と、ハードコート層3との境界面で剥離が起こり、転写が完了する(図2参照)。
次いで、部分マット層4の水溶性樹脂および部分マット層4に接触する部分のハードコート層3を水洗除去する(図3参照)。
最後に、活性エネルギー線を照射してハードコート層3を架橋硬化させることによって、部分マットハードコート成形品を得ることができる。
上述のように、ハードコート層3が未硬化のうちに部分マット層4を水洗除去するのが基本であるが、水洗除去の際にハードコート層3が流れてしまってハードコート層3の厚みが薄くなってしまうという問題が起こりうる。そこで、部分マット層4を水洗除去する際の洗浄力とハードコート層3の未硬化時の耐水力とのバランスによっては、ハードコート層3が水洗によって流れてしまわないように活性エネルギー線を照射してハードコート層3を架橋硬化させてから、部分マット層4の水溶性樹脂および部分マット層4に接触する部分のハードコート層3を水洗除去する工程としてもよい。
厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに離型処理を施したものを基体シートとし、基体シートにオフラインでウレタンアクリレートタイプの紫外線硬化型インキをマイクログラビア印刷でコーティングし、150℃の乾燥フードを通して指触乾燥させて厚さ5μmのハードコート層を形成した。
続いて、次の各層をインライン印刷により連続して形成することにより、携帯電話の窓部パネル用の部分マットハードコート転写材を作製した。
まず、アクリル酸ソーダ樹脂にシリカ粒子を添加したインキを用いて部分的にグラビア印刷し、80℃の乾燥フードを通して部分マット層を形成した。
続いて、着色剤を含むアクリル樹脂およびビニル樹脂からなるインキをグラビア印刷し、80℃の乾燥フードを通して絵柄層を形成した。
最後に、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂からなるインキをグラビア印刷し、80℃の乾燥フードを通して接着層を形成した。
このような部分マットハードコート転写材を射出成形用金型に固定し、型締めしてアクリル樹脂を射出した。冷却後、型開きし、部分マットハードコート転写材の基体シートを剥離した。
水温55℃の温水中で15分間超音波洗浄による水洗後、40℃の温風により10分間乾燥したところ、成形品表面の部分マット層および部分マット層に接触する部分のハードコート層がきれいに除去された。
成形品表面に接着した転写層に高圧水銀灯を用いて照射量が1000mJ/cm2となるように照射距離3cmで7秒間紫外線を照射し、ハードコート層を架橋硬化させたところ、表面に部分マットが形成された成形品を得た(図4参照)。成形品を得るまでの途中、成形品から基体シートを剥離する際に部分マット層が飛散することはなかった。
このようにして得られた部分マットハードコート成形品は、表面にマット部分が確実に形成され、かつ、表面の耐擦傷性、耐摩擦性、耐溶剤性に優れたものであった。また、成形品の部分マットと絵柄との位置ずれもなかった。
<比較例>
厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに離型処理を施したものを基体シートとし、次の各層をインライン印刷により連続して形成することにより、携帯電話の窓部パネル用の部分マットハードコート転写材を作製した。
厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに離型処理を施したものを基体シートとし、次の各層をインライン印刷により連続して形成することにより、携帯電話の窓部パネル用の部分マットハードコート転写材を作製した。
まず、アクリル酸ソーダ樹脂にシリカ粒子を添加したインキを用いて部分的にグラビア印刷し、80℃の乾燥フードを通して部分マット層を形成した。
続いて、ウレタンアクリレートタイプの紫外線硬化型インキをグラビア印刷し、80℃の乾燥フードを通して厚さ2μmのハードコート層を形成した。
続いて、着色剤を含むアクリル樹脂およびビニル樹脂からなるインキをグラビア印刷し、80℃の乾燥フードを通して絵柄層を形成した。
最後に、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂からなるインキをグラビア印刷し、80℃の乾燥フードを通して接着層を形成した。
このような部分マットハードコート転写材を射出成形用金型に固定し、型締めしてアクリル樹脂を射出した。冷却後、型開きして基体シートを成形品から剥離する際に部分マット層がいわゆる箔バリとして飛散してしまい、成形作業に支障をきたした(図5参照)。
成形品表面に接着した転写層に高圧水銀灯を用いて照射量が1000mJ/cm2となるように照射距離3cmで7秒間紫外線を照射した。
水温55℃の温水中で15分間超音波洗浄による水洗後、40℃の温風により10分間乾燥したところ、ハードコート層表面に残留した部分マット層がきれいに除去され、部分マットハードコート成形品が得られた。
このようにして得られた部分マットハードコート成形品は、表面にマット部分が確実に形成され、また、成形品の部分マットと絵柄との位置ずれもなかったが、表面の耐擦傷性、耐摩擦性、耐溶剤性については、実施例1の部分マットハードコート成形品ほどの強度は得られなかった。
厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムにヘアライン加工を施したものを基体シートとし、基体シートのヘアライン加工面にオフラインでウレタンアクリレートタイプの紫外線硬化型インキをマイクログラビア印刷でコーティングし、80℃の乾燥フードを通して指触乾燥させて厚さ5μmのハードコート層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、携帯電話の裏面パネル用の部分ヘアライン付き部分マットハードコート転写材を作製した。
このような部分ヘアライン付き部分マットハードコート転写材を用いて実施例1と同様に成形同時加飾法で得られた成形品の部分マット層を水洗した後、ヘアライン加工が施されたハードコート層を架橋硬化させたところ、表面に部分ヘアラインおよび部分マットが形成された成形品を得た(図6参照)。成形品を得るまでの途中、成形品から基体シートを剥離する際に部分マット層が飛散することはなかった。
このようにして得られた部分ヘアライン付き部分マットハードコート成形品は、表面にヘアライン部およびマット部分が確実に形成され、かつ、表面の耐擦傷性、耐摩擦性、耐溶剤性に優れたものであった。また、成形品の部分マットと絵柄との位置ずれもなかった。
1 部分マットハードコート転写材
2 基体シート
3 ハードコート層
4 部分マット層
5 絵柄層
6 接着層
7 離型層
8 アンカー層
9 金属薄膜層
10 成形品
2 基体シート
3 ハードコート層
4 部分マット層
5 絵柄層
6 接着層
7 離型層
8 アンカー層
9 金属薄膜層
10 成形品
Claims (9)
- 剥離性を有する基体シート上に、活性エネルギー線硬化性樹脂からなるハードコート層、マット剤を分散させた水溶性樹脂からなる微細な凹凸を有する部分マット層、接着層が少なくとも順次積層されていることを特徴とする部分マットハードコート転写材。
- 剥離性を有し、活性エネルギー線硬化性樹脂からなるハードコート層を予め塗工してある基体シート上に、マット剤を分散させた水溶性樹脂からなる微細な凹凸を有する部分マット層、接着層が少なくとも積層されていることを特徴とする部分マットハードコート転写材。
- 水溶性樹脂が、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドンまたはポリビニルアルコールのいずれかである請求項1または請求項2に記載の部分マットハードコート転写材。
- ハードコート層と接着層、あるいは部分マット層と接着層との間に絵柄層を有する請求項1〜3のいずれかに記載の部分マットハードコート転写材。
- 基体シートがヘアライン加工された請求項1〜4のいずれかに記載の部分マットハードコート転写材。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の部分マットハードコート転写材を成形品表面に接着し、基体シートを剥離した後、部分マット層の水溶性樹脂および部分マット層に接触する部分のハードコート層を水洗除去し、次いで活性エネルギー線を照射することを特徴とする部分マットハードコート成形品の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の部分マットハードコート転写材を射出成形用金型内に挟み込み、キャビティ内に成形樹脂を射出し、射出成形品を得るのと同時にその表面に転写材を接着し、型開きして成形品を取りだし、基体シートを剥離した後、部分マット層の水溶性樹脂および部分マット層と接触する部分のハードコート層を水洗除去し、次いで活性エネルギー線を照射することを特徴とする部分マットハードコート成形品の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の部分マットハードコート転写材を成形品表面に接着し、基体シートを剥離した後、活性エネルギー線を照射し、次いで部分マット層の水溶性樹脂および部分マット層に接触する部分のハードコート層を水洗除去することを特徴とする部分マットハードコート成形品の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の部分マットハードコート転写材を射出成形用金型内に挟み込み、キャビティ内に成形樹脂を射出し、射出成形品を得るのと同時にその表面に転写材を接着し、型開きして成形品を取りだし、基体シートを剥離した後、活性エネルギー線を照射し、次いで部分マット層の水溶性樹脂および部分マット層と接触する部分のハードコート層を水洗除去することを特徴とする部分マットハードコート成形品の製造方法。
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Cited By (3)
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JP2010149383A (ja) * | 2008-12-25 | 2010-07-08 | Nissha Printing Co Ltd | 部分マット転写シートの製造方法 |
JP2014218018A (ja) * | 2013-05-09 | 2014-11-20 | サン・トックス株式会社 | 転写加飾シート |
WO2022014059A1 (ja) * | 2020-07-17 | 2022-01-20 | 昭和電工マテリアルズ株式会社 | マット材、バリアフィルム、波長変換部材、バックライトユニット、画像表示装置及びマット材形成用組成物 |
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2006
- 2006-09-26 JP JP2006261553A patent/JP2008080584A/ja not_active Withdrawn
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