JP5268491B2 - 転写シートとその製造方法および加飾成形品 - Google Patents

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Description

本発明は、成形品を加飾するために用いる転写シートであって、特に成形品の表面を保護するハードコート層を有する転写シートに関する。
従来より、家電製品、化粧品容器、雑貨品などの表面を装飾する方法として、転写法がある。転写法とは、基体シート上に、剥離層、絵柄層、接着層などからなる転写層を形成した転写シートを用い、加熱加圧して転写層を被転写物に密着させた後、基体シートを剥離して、被転写物面に転写層のみを転移して装飾を行う方法である。また、被転写物が樹脂成形品である場合に、転写法をより合理的に行う方法として、成形同時転写法がある。成形同時転写法とは、転写シートを成形金型内に挟み込み、金型内に樹脂を射出充満させ、冷却して樹脂成形品を得るのと同時に成形品表面に転写シートを蜜着させた後、基体シートを剥離して、被転写物面に転写層を転移して装飾を行う方法である。この方法で用いる転写シートとしては、樹脂成形品の表面を装飾した後、その表面に傷がつきにくいよう、転写後の成形品表面に硬度の高いハードコート層を形成するハードコート転写シートを用いることがある(例えば特許文献1)。
特開平06−135197号
しかし、ハードコート転写シートは、その構成要素であるハードコート層と図柄層との密着性が悪いので、ハードコート転写シートを用いて加飾成形品を作成すると、成形品とハードコート転写シートを一体化する過程で、図柄層とハードコート層の間で層間剥離が生じる。その結果、当該層間に間隙が生じ、作成される加飾成形品の意匠が低下するといった問題や、当該加飾成形品において、図柄層とハードコート層との層間で耐摩耗性、耐衝撃性、耐候性の機能性が低下するといった問題があった。
したがって、本発明は、上記のような問題点を解消し、優れた意匠性を有し、かつ耐摩耗性、耐衝撃性、耐候性に優れた加飾成形品を作成するために、ハードコート層と図柄層との密着性が高いハードコート転写シートを提供することを目的とする。
本発明のハードコート転写シートは上記の目的を達成するために、次のように構成した。
本発明の第1態様によれば、基体シートの上に、ハードコート層、図柄層、接着層が少なくとも順次形成された転写シートにおいて、ハードコート層がセルロースミクロフィブリルを含有することを特徴とする転写シートを提供する。
本発明の第2態様によれば、セルロースミクロフィブリルがハードコート層中に1〜99重量%含まれる第1態様に記載の転写シートを提供する。
本発明の第3態様によれば、ハードコート層が図柄層と直接接する第1〜2のいずれか1つの態様に記載の転写シートを提供する。
本発明の第4態様によれば、ハードコート層の図柄層側の表面の表面粗さが、算術平均粗さで0.01μm〜0.70μmである第3態様に記載の転写シートを提供する。
本発明の第5態様によれば、第1態様〜第4態様に記載の転写シートを射出成形用金型内に配置し、次いで溶融樹脂を射出して成形樹脂と転写シートとを一体化し、次いで転写シートと一体化した成形樹脂を射出成形用金型内から取り出すとともに成形樹脂から基体シートをハードコート層との界面で剥離して加飾成形品を得ることを特徴とする加飾成形品の製造方法を提供する。
本発明の第6態様によれば、成形樹脂の上に接着層、図柄層、ハードコート層が少なくとも順次形成された加飾成形品において、ハードコート層がセルロースミクロフィブリルを含有することを特徴とする加飾成形品を提供する。
本発明の第7態様によれば、ハードコート層中に、セルロースミクロフィブリルが1〜99重量%含まれる第6態様に記載の加飾成形品を提供する。
本発明の第8態様によれば、ハードコート層の図柄層と反対側の面の表面粗さが、術平均粗さで0.70μm以下である第6〜7のいずれか1つの態様に記載の加飾成形品を提供する。
本発明のハードコート転写シートは、基体シートの上にハードコート層、図柄層、接着層が少なくとも順次形成された転写シートにおいて、ハードコート層がセルロースミクロフィブリルを含有するよう形成したので、ハードコート層と図柄層とが高い密着性を有し、当該層間で曇りのない意匠性の高い加飾成形品を得ることができるものである。また、これに加えて本発明のハードコート転写シートは、高い表面硬度、耐磨耗性、耐衝撃性を加飾成形品に付与するものである。
図面を参照しながら本発明の実施の形態について詳しく説明する。
図1は本発明のハードコート転写シートの断面図、図2は本発明のハードコート転写シートを用いて作成した加飾成形品の断面図である。図中、1は基体シート、2はハードコート層、3は図柄層、4は接着層、5は成形樹脂、20はセルロースミクロフィブリル、100はハードコート転写シート、110は加飾成形品である。なお各図において同じ構成部分については同じ符号を付している。
図1を参照して、本発明のハードコート転写シート100は、基体シート1の上に、ハードコート層2、図柄層3、接着層4が少なくとも順次形成された転写シート100において、ハードコート層2がセルロースミクロフィブリル20を含有するように構成されている。図2を参照して、本発明の加飾成形品110は、成形樹脂5の上に接着層4、図柄層3、ハードコート層2が少なくとも順次形成された加飾成形品110において、ハードコート層2がセルロースミクロフィブリル20を含むように構成されている。なお、図1以下のハードコート層2と図柄層3との界面における波線は、セルロースミクロフィブリル20の存在によって、ハードコート層2と図柄層3の接触面積が増大していることを示している。
基体シート1の材質としては、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などの樹脂シート、アルミニウム箔、銅箔などの金属箔、グラシン紙、コート紙、セロハンなどのセルロース系シート、あるいは以上の各シートの複合体など、通常のハードコート転写シート100の基体シート1として離型性を有するものを使用することができる。また、基体シート1の表面が微細な凹凸を有する場合は、転写層に凹凸が写し取られ、艶消しやヘアラインなどの表面形状を表現することができる。
基体シート1の剥離性を向上させるために、基体シート1と剥離層との間に離型層を設けてもよい(図示せず)。離型層は、転写後または成形同時転写後に基体シート1を剥離した際に、基体シート1とともに転写層から離型する層である。離型層の材質としては、メラミン系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース誘導体、尿素系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、パラフィン系樹脂およびこれらの複合物などを用いることができる。離型層の形成方法としては、ロールコート法、スプレーコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法があげられる。
ハードコート層2は、転写後、基体シート1を一体成形品10から剥離したとき、加飾成形品110の最表面に配置される層であり、図柄層3に加飾されたデザインを保護するために一定以上の硬度を有する層である。ハードコート層2の材質としては、シアノアクリレート系やウレタンアクリレートなどの電離放射線硬化性樹脂や、アクリル系やウレタン系などの熱硬化性樹脂が挙げられるが、特に限定されない。
本発明において、セルロースミクロフィブリル20とは、ミクロフィブリル化したセルロース繊維である。ミクロフィブリル化とは、繊維の中のミクロフィブリル(微小繊維)が摩擦によって表面に現れて毛羽立ち、ささくれる現象である。具体的には、セルロース繊維に強力な機械的剪断力を加えてミクロフィブリル化すると、セルロース繊維は数万本に引き裂かれ、繊維径が0.1〜0.01μmの太さにまで細分化される。セルロースミクロフィブリル20の原料としては、セルロース繊維の種類に特に限定はなく、樹木などの植物の他、バクテリア、ホヤの被嚢など微生物や動物由来の繊維であってもよい。
ハードコート層2中に含まれるセルロースミクロフィブリル20の含有量としては、セルロースミクロフィブリル20が乾燥状態で1〜99重量%であることが好ましい。
ハードコート層2がセルロースミクロフィブリル20を1〜99重量%の割合で含むことで、ハードコート層2と図柄層3との界面にセルロースミクロフィブリル20が入り混じって存在するようになる。その結果、当該界面が凹凸形状となり、ハードコート層2と図柄層3との接触面積が増大するので、ハードコート層2と図柄層3との密着性の高いハードコート転写シートが得られる。また、ハードコート層2がセルロースミクロフィブリル20を含むことで、セルロースミクロフィブリル20は、ハードコート層2中で絡み合いによる三次元網目構造を形成するので、当該ハードコート層2は炭素繊維やガラス繊維を含有したときと同程度の機械的強度かつ曲げ特性を有する。そのため、セルロースミクロフィブリル20を含んだハードコート層2は、高強度かつ曲げ特性に優れたものとなる。
さらに、セルロースミクロフィブリル20は、カーボン粒子や金属粒子より透過性が高いので、ハードコート層2がセルロースミクロフィブリル20を含有する場合であっても、ハードコート層2は一定の透明度を保持したまま、ハードコート層2の機械的強度、曲げ強度を向上することができる。
ハードコート層2が含むセルロースミクロフィブリル20の含有量としては、20重量%〜80重量%がより好ましい。
ハードコート層2中のセルロースミクロフィブリル20の乾燥状態での含有量が80重量%を超えると、ハードコート転写シート100を用いて作成される加飾成形品110において、そのハードコート層2部分の透過性が低下し、図柄層3の装飾を鮮明に表現できなくなるといった問題が生じるからである。また、反対にセルロースミクロフィブリル20の乾燥状態での含有量が20重量%未満となると、後述記載のハードコート層2の図柄層3と接する側の表面粗さが小さくなり、ハードコート層2と図柄層3の密着性が悪くなる。その結果、成形同時転写法で加飾成形品110を作成する場合、溶融樹脂9とハードコート転写シート100を一体化させる過程で、ハードコート転写シート100に大きな負荷がかかると、図柄層3とハードコート層2の間で層間剥離が生じてしまい、その結果、作成される加飾成形品110において、当該層間における耐摩耗性、耐衝撃性、耐侯性の機能が低下するといった問題や、当該層間剥離により図柄層3部分が曇って見えてしまい、その加飾成形品110の意匠性が低下するといった問題が生じるためである。
また、ハードコート層2の図柄層3と接する側の表面粗さは、算術平均粗さで0.01μm〜0.70μmであることが好ましい。上記範囲において、ハードコート層2の図柄層3の密着性は強固なものとなり、耐摩耗性、耐衝撃性、耐光性、装飾性に優れた加飾成形品110を作成することができるからである。
さらに、上記の表面粗さのより好ましい態様としては、0.01μm〜0.50μmである。上記表面粗さが0.50μmを超えると、ハードコート転写シート100において、ハードコート層2の上に形成する図柄層3が傷つくほか、図柄層3のデザインの形状が変形してしまうおそれがあり、反対に、上記表面粗さが0.01μm未満になると、ハードコート層2の図柄層3と接する側の表面の形状が平滑となり、ハードコート層2と図柄層3の接着面積が減少するので、ハードコート層2と図柄層3の密着性が悪くなるといった問題が生じるためである。
セルロースミクロフィブリル20を含有するハードコート層2の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法、リップコート法などのコート法、などのコーティング法を用いるとよい。
図柄層3はハードコート層2の上に直接形成される層であって、成形品5を加飾する層である。図柄層3 の材質としては、ポリビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、アルキッド樹脂などの樹脂をバインダーとし、適切な色の顔料または染料を着色剤として含有する着色インキを用いるとよい。また、金属発色させる場合には、アルミニウム、チタン、ブロンズ等の金属粒子やマイカに酸化チタンをコーティングしたパール顔料を用いることもできる。
図柄層3の形成方法としては、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの通常の印刷法などを用いるとよい。特に、多色刷りや階調表現を行うには、オフセット印刷法やグラビア印刷法が適している。また、単色の場合には、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法を採用することもできる。
図柄層3は、金属薄膜からなるもの、あるいは印刷膜と金属薄膜との組み合わせからなるものでもよい。金属薄膜は、真空蒸着法、スパッターリング法、イオンプレーティング法、鍍金法などで形成する。表現したい金属光沢色に応じて、アルミニウム、ニッケル、金、白金、クロム、鉄、銅、スズ、インジウム、銀、チタニウム、鉛、亜鉛などの金属、これらの合金または化合物を使用する。
一部分に金属薄膜を形成する場合の形成方法としてはシーライト法とパスター法が挙げられる。
シーライト法とは金属薄膜を形成する前に水溶性樹脂層を部分的に形成し、蒸着後、水洗により水溶性樹脂層とその上に形成された不要な金属薄膜部位を除去し、部分的に金属薄膜を形成する方法である。ここで水溶性樹脂層の材質としては、たとえば、ポリビニルアルコール、デンプン、アルギド、エポキシ、ポリウレタンなどに代表される水溶性樹脂をバインダーとするインキが挙げられる。また形成方法としては、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法が挙げられる。
パスター法とは金属薄膜を形成した後、部分的に金属薄膜の上に耐アルカリ性樹脂層を形成し、その後のアルカリ洗浄により金属薄膜を部分的に形成する方法である。ここで耐アルカリ性樹脂層の材質としては塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体が挙げられる。耐アルカリ性樹脂層の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。
接着層4は、被加飾面に上記の各層を接着するものである。また接着層4は、接着させたい部分に形成する。すなわち、接着させたい部分が全面的なら、接着層4を全面的に形成する。接着層4としては、被加飾の素材に適した感熱性あるいは感圧性の樹脂を適宜使用する。たとえば、被加飾の材質がアクリル系樹脂の場合はアクリル系樹脂を用いるとよい。
また、被加飾の材質がポリフェニレンオキシド・ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン共重合体系樹脂、ポリスチレン系ブレンド樹脂の場合は、これらの樹脂と親和性のあるアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂などを使用すればよい。さらに、被加飾の材質がポリプロピレン樹脂の場合は、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、環化ゴム、クマロンインデン樹脂が使用可能である。接着層4の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。
必要に応じて、図柄層3とハードコート層2との間や、図柄層3と接着層4との間にアンカー層を形成してもよい(図示せず)。アンカー層は上記各層の層間密着性を向上させる層である。アンカー層の材質としては、二液性硬化ウレタン樹脂、熱硬化ウレタン樹脂、メラミン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、塩素含有ゴム系樹脂、塩素含有ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ビニル系共重合体樹脂などを使用するとよい。アンカー層の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。
以上のようにして構成されるハードコート転写シート100を用い、射出成形による成形同時転写法を利用して成形樹脂5に装飾を行う方法について説明する。図3は、本発明のハードコート転写シート100を用いて加飾成形作成する際の製造方法の断面図である。
この製造方法は、図3(a)〜(e)を参照して、ハードコート転写シート100を射出成形金型8に送り込む工程、溶融樹脂9とハードコート転写シート100とを一体化する工程、溶融樹脂9とハードコート転写シート100とが一体となった一体化成形品10を射出成形金型から取出し、一体成形品10から基体シート1を剥離する工程、得られた加飾成形品110に活性エネルギー線11を照射する工程からなる。
まず、ハードコート転写シート100を可動型6と固定型7とからなる射出成形用金型8内に送り込む。この際、枚葉のハードコート転写シート100を1枚づつ送り込んでもよいし、長尺のハードコート転写シート100の必要部分を間欠的に送り込んでもよい。長尺のハードコート転写シート100を使用する場合、位置決め機構を有する送り装置を使用して、ハードコート転写シート100の図柄層3と射出成形用金型8との見当が一致するようにするとよい。また、ハードコート転写シート100を間欠的に送り込む際に、ハードコート転写シート100の位置をセンサーで検出した後にハードコート転写シート100を可動型6と固定型7とで固定するようにすれば、常に同じ位置でハードコート転写シート100を固定することができ、図柄層3の位置ずれが生じないので便利である。
次に、ハードコート転写シート100を可動型6と固定型7とからなる射出成形用金型8内に送り込み射出成形用金型8を閉じた後、可動型6に設けたゲートより溶融樹脂9を金型内に射出充満させ、溶融樹脂9を成形するのと同時にその面にハードコート転写シート100を接着し、溶融樹脂9とハードコート転写シート100を一体化させる。
当該工程では、射出された溶融樹脂9がハードコート転写シート100を射出成形用金型8に無理やり押し付けることによってハードコート転写シート100と溶融樹脂9とが一体化するので、一体化する際にハードコート転写シート100に大きな応力が発生する。その結果、通常のハードコート転写シートでは、当該工程でハードコート転写シートのハードコート層2と図柄層3との間で層間剥離が発生するといった問題や、ハードコート層2内にクラックが発生するといった問題が生じる。しかし、本発明のハードコート転写シート100は、その構成要素であるハードコート層2中にセルロースミクロフィブリル20が含まれていることにより、ハードコート層2と図柄層3は良好に密着し、かつハードコート層2の曲げ強度が大きなものとなっているので、本工程において、ハードコート転写シート100のハードコート層2と図柄層3とは層間剥離しにくく、かつハードコート層2はクラックが生じにくいものとなっている。
射出成形用金型8内に射出する溶融樹脂9としては、透明、半透明、不透明のいずれでもよい。また、上記溶融樹脂9は着色されていても、着色されていなくてもよい。樹脂としては、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、AN樹脂などの汎用樹脂を挙げることができる。また、ポリフェニレンオキシド・ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、超高分子量ポリエチレン樹脂などの汎用エンジニアリング樹脂やポリスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリイミド樹脂、液晶ポリエステル樹脂、ポリアリル系耐熱樹脂などのスーパーエンジニアリング樹脂を使用することもできる。さらに、ガラス繊維や無機フィラーなどの補強材を添加した複合樹脂も使用できる。
溶融樹脂9を成形し冷却した後、射出成形用金型8の可動型6と固定型7を開いて、上記、成形されると同時にハードコート転写シート100と一体になった一体成形品10を取り出し、基体シート1を一体成形品10から剥離することで加飾成形品110を得る。
最後に、一体成形品10に活性エネルギー線11を照射することにより、加飾成形品110に転写されたハードコート層2を完全に架橋硬化させる。なお、活性エネルギー線11を照射する工程を、基体シート1を剥離する工程の前に行なってもよい。活性エネルギー線11としては、電子線、紫外線、γ線などを挙げることができる。照射条件は、活性エネルギー線11硬化性樹脂組成物に応じて定められる。
次に、ハードコート転写シート100を用い、転写法を利用して被転写物12に装飾を行う方法について説明する。図4はハードコート転写シート100を転写法に適用して加飾成形品110を作成するときの断面図である。
この製造方法は、図4(a)〜(c)を参照して、被転写物12にハードコート転写シート100を密着させる工程、耐熱ゴム状弾性体13を用いてハードコート転写シート100と被転写物12と密着させ一体成形品10を得る工程、一体成形品10から基体シート1を剥離して加飾成形品110を得たのち、活性エネルギー線11を加飾成形品110に照射する工程からなる。
まず、被転写物12にハードコート転写シート100の接着層4側を密着させる。被転写物12としては、樹脂成形品7など各種材質からなるものを用いることができる。被転写物12の材質としては、樹脂9と同様のものを用いることができるほか、ガラス繊維や無機フィラーなどの補強材を添加した複合樹脂も被転写物12として使用できる。
次に、シリコンラバーなどの耐熱ゴム状弾性体13を備えたロール転写機、アップダウン転写機などの転写機を用い、温度80〜260℃程度、圧力50〜200kg/m程度の条件に設定した 耐熱ゴム状弾性体13を介してハードコート転写シート100の基体シート1側から熱または/および圧力を加える。このようにすることにより、接着層4が被転写物12表面に接着する。
上記工程では、耐熱ゴム状弾性体13を用い、一定以上の熱と圧力をかけてハードコート転写シート100を被転写物12表面に無理やり押し付けることによってハードコート層2と被転写物12とが一体化するので、一体化する際にハードコート転写シート100に大きな応力が発生する。その結果、通常のハードコート転写シートでは、この工程でハードコート層2と図柄層3との間で層間剥離が生じるといった問題やハードコート層2にクラックが生じるといった問題があるが、本発明のハードコート転写シート100は、その構成要素であるハードコート層2中にセルロースミクロフィブリル20が含まれていることにより、ハードコート層2と図柄層3は良好に密着し、かつハードコート層2の曲げ強度が大きなものとなっているので、本工程において、ハードコート層2と図柄層3が層間剥離しにくく、かつハードコート層2はクラックが生じにくいものとなっている。
冷却後、前記工程で作成された一体成形品10から基体シート1を剥離する。最後に、活性エネルギー線11を照射することにより、被転写物12に転写されたハードコート層2を完全に架橋硬化させる。なお、活性エネルギー線11を照射する工程を、基体シート1を剥離する工程の前に行なってもよい。活性エネルギー線11としては、電子線、紫外線、γ線などを挙げることができる。照射条件は、活性エネルギー線11硬化性樹脂組成物に応じて定められる。
最後に、本発明の加飾成形品110について説明する。図2を参照して、本発明の加飾成形品110は、成形樹脂5の上に接着層4、図柄層3、ハードコート層2が少なくとも順次形成された加飾成形品110において、ハードコート層2がセルロースミクロフィブリル20を含むように構成されている。
加飾成形品110のハードコート層2中に含まれるセルロースミクロフィブリル20の含有量としては、セルロースミクロフィブリル20が乾燥状態で1重量%〜99重量%であることが好ましい。本発明の加飾成形品110において、その要素構成であるハードコート層2がセルロースミクロフィブリル20を1重量%〜99重量%の割合で含むと、ハードコート層2と図柄層3とは良好に密着し、長時間に渡って加飾成形品110を使用しても、ハードコート層2と図柄層3間で、層間剥離が生じず、当該加飾成形品110は優れた意匠性、耐摩耗性、耐衝撃性、耐侯性を有するようになる。
上記態様において、20重量%〜80重量%の割合でハードコート層2中にセルロースミクロフィブリル20が含まれることがより好ましい。
セルロースミクロフィブリル20の乾燥状態での含有量が80重量%を超えると、ハードコート層2中に含まれるセルロースミクロフィブリル20によって、ハードコート層2の透過性が低下するので、加飾成形品110の図柄層3の装飾性がハードコート層2によって妨げられるようになるためである。反対に、セルロースミクロフィブリル20の乾燥状態での含有量が20重量%未満となると、ハードコート層2の図柄層3と接する側の表面粗さが小さくなり、加飾成形品110中のハードコート層2と図柄層3の密着性が悪くなる。その結果、加飾成形品110において一定の時間が経過すると、ハードコート層2と図柄層3との間で、層間剥離が生じ、長時間に渡って高い装飾性を保つことができないようになるからである。
また、ハードコート層2の図柄層3と反対側の面、すなわちハードコート層2の表面の表面粗さは算術表面粗さで0.70μm以下であることが好ましい。
上記表面粗さが0.70μmを超えると、ハードコート層2の表面が粗くなり、加飾成形品110を目で視認した場合に、その表面がくすんで見えてしまい、ハードコート層2の下に形成されている図柄層3の装飾性を低下させてしまうからである。
また、本発明の加飾成形品110は上記態様に限定されない。すなわち、上記各層の層間密着性を向上させるために、必要に応じて、図柄層3とハードコート層2との間や、図柄層3と接着層4との間に形成するとよい(図示せず)。さらに、加飾成形品110において、成形樹脂5がセルロースミクロフィブリル20を含んでいてもよい。成形樹脂5がセルロースミクロフィブリル20を含むことで、成形樹脂5と接着層4の密着性が向上し、この効果を介して、成形樹脂5と接着層4の上に形成されている図柄層3との密着性が向上する。その結果、加飾成形品110を長時間使用しても、成形樹脂5と図柄層3との密着性を保持でき、長時間に渡って高い装飾性を保つことができるようになるからである。
本発明は、携帯電話などの通信機器、自動車外装パーツ、自動車内部の情報機器、家電製品など、各種成形品において好適に用いることができ、産業上有用なものである。
本発明に係るハードコート転写シート100の一実施例を示す断面図である。 本発明に係る加飾成形品110の一実施例を示す断面図である。 本発明に係る加飾成形品110の製造方法の一施例を示す断面図である。
符号の説明
1 基体シート
2 ハードコート層
3 図柄層
4 接着層
5 成形樹脂
6 可動型
7 固定型
8 射出成形用金型
9 溶融樹脂
10 一体成形品
11 活性エネルギー線
12 被転写物
13 耐熱ゴム状弾性体
20 セルロースミクロフィブリル
100 ハードコート転写シート
110 加飾成形品

Claims (4)

  1. 基体シートの上に転写層が形成された転写シートであって、
    前記転写層が、
    前記基体シートの上に形成されるハードコート層と、
    前記ハードコート層と接するよう、前記ハードコート層の上に形成される図柄層と、
    前記図柄層の上に形成される接着層とを含み、
    前記ハードコート層が、ミクロフィブリル化されたセルロース繊維からなり繊維径が0.1〜0.01μmであるセルロースミクロフィブリルを20〜80重量%の割合で含む転写シート。
  2. 前記ハードコート層の前記図柄層側の表面粗さが、算術平均粗さで0.01μm〜0.70μmである請求項1に記載の転写シート。
  3. 請求項1〜2に記載の転写シートを射出成形用金型内に配置し、次いで溶融樹脂を射出して成形樹脂と前記転写シートを一体化し、次いで前記転写シートと一体化した前記成形樹脂を前記射出成形用金型内から取り出すとともに前記成形樹脂から基体シートをハードコート層との界面で剥離して加飾成形品を得ることを特徴とする加飾成形品の製造方法。
  4. 請求項1〜2の転写シートを用いて作成された加飾成形品。
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