JP5817380B2 - 背面透過型ディスプレイ用曲面スクリーンの製造方法 - Google Patents
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Description
そこで、例えば、特許文献1では、液晶表示パネルの表示面自体を曲面化したものを提案している。
また、アミューズメント機器や自動車分野などでは、人間がスクリーンに直接触れることがある為に、表面の傷付きを防止する為に、表面層としてハードコート層が必要である。
また、ハードコート層として表面の傷付き防止性に優れる電離放射線硬化性樹脂を用いた硬質塗膜をスプレー塗装した平板状のスクリーンを曲面に成形すると、ハードコート層に微小なクラックが生じ品質を低下させることがあるという問題が判明した。一方、ハードコート層を、平板状のスクリーンを曲面に成形した後にスプレー塗装すれば、クラックは解消する。
ただ、いずれにしろ、スプレー塗装は、塵が付着し易い上、乾燥時間が必要であり、生産性が悪いという問題があった。
(1)曲面形状を成す積層体を備えた、背面透過型ディスプレイ用曲面スクリーンを製造する方法であって、
前記積層体として、転写箔が積層された平板状の積層体であって、前記転写箔がハードコート層が剥離性支持体上に形成された転写箔である積層体を準備する、積層体準備工程と、
前記積層体準備工程において準備された前記平板状の積層体を、三次元曲面をなすように成形して曲げる、第1の曲面成形工程と、を含み、
前記積層体準備工程におけるハードコート層を構成する電離放射線硬化性樹脂が半硬化状態であり、
前記第1の曲面成形工程の後、前記ハードコート層の電離放射線硬化性樹脂の硬化を進める、硬化進行工程と、
前記硬化進行工程の後、前記転写箔の剥離性支持体を剥離する、支持体剥離工程と、
を含む、背面透過型ディスプレイ用曲面スクリーンの製造方法。
(3)前記積層体が、前記積層体の最も入光面側にフレネルレンズ層を含む、前記(1)又は(2)の背面透過型ディスプレイ用曲面スクリーンの製造方法。
三次元曲面をなすように前記フレネルレンズシートを成形して曲げる、第2の曲面成形工程と、
前記第1の曲面成形工程で三次元曲面をなすように曲げられた前記積層体の入光面側に、前記第2の曲面成形工程で作製した、三次元曲面をなすように曲げられた前記フレネルレンズシートを積層する、積層工程と、
を含み、
前記積層工程の前または後に、前記ハードコート層の硬化進行工程を含む、
前記(1)または(2)の背面透過型ディスプレイ用曲面スクリーンの製造方法。
先ず、図1を参照して、本発明の背面透過型ディスプレイ用曲面スクリーンの製造方法の第1の実施形態を説明する。
本実施形態では、曲面形状を成すと共に出光面側にハードコート層を有する積層体を備えた、出光面側が外側に向かって凸曲面の背面透過型ディスプレイ用曲面スクリーンを製造する。
そこで、本実施形態では、転写箔としてのハードコート層、光拡散層、光線制御層、及びフレネルレンズ層等を有する平板状の積層体を、三次元曲面に成形して、背面透過型ディスプレイ用曲面スクリーンを製造する。
図1(A)に示すように、積層体準備工程では、ハードコート層を有する平板状の積層体10として、転写箔20が積層された平板状の積層体10であって、前記転写箔20が半硬化の電離放射線硬化性樹脂からなる半硬化のハードコート層21Aが剥離性支持体22上に形成された転写箔20である積層体10を準備する。
図1(A)に示す本実施形態の積層体10は、この他さらに、光拡散層11、光線制御層30及びフレネルレンズシート40なども積層されている。
転写箔20は、ハードコート層として半硬化のハードコート層21Aと、この半硬化のハードコート層21Aが積層された剥離性支持体22とから少なくとも構成される。半硬化のハードコート層21Aを構成する主要な樹脂は電離放射線硬化性樹脂である。
半硬化のハードコート層21Aは、その硬化を進行させた後にハードコート層21となって、図2(B)に示す如く、背面透過型ディスプレイ用曲面スクリーン100の出光面側Loutの表面層となり、表面の傷付きを防止する層である。
本発明において、「ハードコート」とは、JISK5600−5−4(1994)で規定される鉛筆硬度試験で「HB」以上の硬度を示すことを意味する。
半硬化のハードコート層21A乃至はハードコート層21の厚みは、用途、要求仕様に応じるが、例えば、5〜50μm程度とすることができる。
この樹脂組成物は、これらの重合性化合物に、更に紫外線で硬化させる場合は光重合開始剤を含む。また、この樹脂組成物は、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂などの熱可塑性樹脂、その他安定剤などの各種公知の添加剤を含むことができる。
また、より安定した半硬化状態を成す為には、電離放射線硬化性樹脂中の硬化成分の硬化機構に、2種類の硬化機構を有する樹脂組成物を用いるのが好ましい。具体的には、例えば、ラジカル重合反応を利用した電離放射線による硬化機構と、イソシアネートの付加重合反応を利用した熱による硬化機構との組み合わせである。
こうした電離放射線硬化性樹脂は、ラジカル重合反応成分と付加重合反応成分とを有する樹脂組成物である。例えば、ラジカル重合反応成分として、前記した重合性化合物を用い、付加重合反応成分として、ポリイソシアネート、或いは、ポリイソシアネートと前記重合性化合物とを付加重合させたイソシアネート基含有のラジカル重合性化合物、或いは両方を用いる。
前記ポリイソシアネートは、例えば、トリレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、或いは、これらの3量体などである。
また、ポリイソシアネートと付加重合反応させる反応成分として、ヒドロキシル基、カルボキシル基などの対イソシアナート活性基を有する化合物、例えば、アクリルポリオール、ポリエステルポリオールなどのポリオール化合物、アクリルアクリレート、ウレタンアクリレート等のアクリレート化合物、などのイソシアナート活性化合物を併用することができる。
本実施形態では、このイソシアネートの付加重合反応で半硬化させ、曲面に成型後にラジカル重合反応で硬化進行させる。
剥離性支持体22としては、熱可塑性樹脂フィルム(乃至シート)が用いられる。例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂等である。半硬化のハードコート層21A側の面が、硬化を進行させたハードコート層21とした後に剥離性支持体22を剥離するときに離型性が不足して、剥離性支持体22をハードコート層21から容易に剥離し難い場合は、半硬化のハードコート層21A側の面に離型処理を施しておくのが好ましい。離型処理は、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、アルキド樹脂等の塗膜を形成する。
転写箔20は、塗工機によって、剥離性支持体22上に半硬化のハードコート層21Aと、さらに本実施形態においては、接合層13を順次、ロールコートなどの塗工法で塗布した後、塗膜を加熱乾燥させることで、容易に生産性よく、また塵の付着もなく作製することができる。この際、加熱乾燥と同時に、半硬化のハードコート層21Aとして、層中の電離放射線硬化性樹脂中の熱重合可能な付加重合反応成分の硬化を進めることで半硬化状態に、容易にすることができる。
転写箔20は接合層13を介して光拡散層11に接着される。転写箔20の接着は、転写ローラで転写箔20を光拡散層11の面に押し付けて、接合層13の接着力によって接着する。接合層13については、次に述べる。
ただ、本発明においては、半硬化のハードコート層21Aを転写箔20として光拡散層11に接着し積層するには、半硬化のハードコート層21A自体が、加熱により接着性が発現する熱融着性を有する場合は、接合層13は省略できる。
接合層13は、その両側の層を接合するための層である。接合層13は接合層13の必要性に応じて設けられる。
本実施形態では、接合層13は、半硬化のハードコート層21Aと光拡散層11との接合、光拡散層11と光学制御層30との接合、光学制御層30と補強層14との接合、補強層14とフレネルレンズシート40との接合に、使われている。
接合層13は、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂等の熱可塑性樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、電離放射線硬化性樹脂等の硬化性樹脂を用いることができる。
接合層13は、粘着剤層、接着剤層等として用いられ得る。
光拡散層11は、入光面側Linから入射した映像光を、等方拡散して出光面側Loutから出射させて観察者に届ける層である。光拡散層11は公知の材料及び形成法によるものを用いることができる。例えば、光拡散層11は、透明樹脂からなる母材と、この母材中に分散された拡散成分とから構成される。光拡散層11は、母材と拡散成分間の屈折率差、或いは、拡散成分自体が有する反射性、によって、光を等方的に拡散する。
本発明においては、光拡散層11は、光を等方拡散する態様以外に、光を異方拡散する態様もあり得る。例えば、拡散成分の形状や母材中での分布を調整して異方拡散にする。
本発明においては、積層体10は、少なくともこの光拡散層11と半硬化のハードコート層21A及び剥離性支持体22が積層されたものであることが好ましい。
光拡散層11の厚みは、0.1〜2mm、より好ましくは0.2〜1.5mmである。厚みがこの範囲未満では、光拡散層11の光拡散能が不足することがあり、厚みがこの範囲を超えると、背面透過型ディスプレイ用曲面スクリーンが表示する映像の解像性が低下しぼやけることがある。
光学制御層30は、入光面側Linから入射した映像光の光路を制御するとともに、迷光や外光を適切に吸収する機能を有する層である。光学制御層30によって、映像のコントラストを向上させることができる。光学制御層30は、光学制御の必要性に応じて設けられる。光学制御層30は、は公知の材料及び形成法によるものを用いることができる。
光学制御層30は、光を吸収可能に層面に沿って配列された多数の光吸収部31と、前記光吸収部31同士の間に光を透過可能に配列された光透過部32と、を有する。図2の断面図では、光吸収部31は紙面に垂直な方向に延在し、紙面左右方向に一定の周期で配列されている。本実施形態での光吸収部31の断面形状は、同図のように二等辺三角形形状であり、その底面側を出光面側Loutに向けて形成される。また、本実施形態では、同図のように、光吸収部31同士の間のそれぞれの光透過部32は、二等辺三角形形状の光吸収部31の頂点側で相互に連結して形成される。
本発明において、光吸収部31の断面形状及び、光透過部32の断面形状は、これ以外にも、例えば、光線制御仕様に応じて、台形形状など各種形状をとり得る。
また、光吸収部31の屈折率Nbと、光透過部32の屈折率Npとの関係は、要求される光学制御仕様に応じて決定される。通常、屈折率Nbと光透過部32の屈折率Npとの屈折率差は、0より大きく0.06以下である。
光吸収部31は、光吸収粒子と、光吸収粒子を分散させたバインダーから構成されている。光吸収粒子が迷光や外光を吸収するように作用する。光吸収部31は、光吸収粒子をバインダー中に分散させた光吸収部形成組成物によって形成することができる。
こうした光吸収粒子としては、具体的には、カーボンブラック、グラファイト、黒色酸化鉄等の金属塩、染料、顔料等で着色した有機微粒子や着色したガラスビーズ等を挙げることができる。特に、着色した有機微粒子が、コスト面、品質面、入手の容易さ等の観点から好ましい。より具体的には、カーボンブラックを含有したアクリル架橋微粒子や、カーボンブラックを含有したウレタン架橋微粒子等が好ましい。
こうした着色粒子は、通常、上記の光吸収部形成組成物中に3〜30質量%含有させる。着色粒子の平均粒子径は1.0〜20μmが好ましい。
光透過部32は、前記した光吸収部31を構成する光吸収部形成組成物から、光吸収粒子を除いた成分のバインダーによって、構成することができる。用いるバインダーは光吸収部31と同じでよい。
光吸収部31を形成するは、いわゆるワイピング法によって、着色粒子を含有する光吸収部形成組成物を光透過部32の表面に形成された溝に充填しつつ、ドクターブレードを用いて余剰分の光吸収部形成組成物を掻き取って形成することができる。
光透過部32の溝は、電離放射線硬化性樹脂と成形型を用いたフォトポリマー法(2P法とも言う)によって形成することができる。この時、成形型として円筒形状の型を用い、電離放射線硬化性樹脂を型と基材層12とで挟んだ状態で電離放射線硬化性樹脂を硬化させることによって、基材層12上に連続的に光透過部32を形成することができる。
基材層12は、各種の層を形成するときに基材として利用された層である。本実施形態では、基材層12は、上記光学制御層30に対してと、後述するフレネルレンズ層41に対して使われている。
こうした基材層12は、例えば、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)、シクロオレフィン系樹脂等の透明樹脂を用いることができる。なかでも、ポリカーボネート系樹脂は、入手の容易性、コスト、密着性等の点で好ましい樹脂の一種である。ここで、ポリカーボネート系樹脂は、ポリカーボネートを主ポリマーとする樹脂であり、劣化防止剤、可塑剤、軟化剤等の充填剤を含み得る他、アクリル系樹脂等との複合体でも良い。
基材層12の厚みは、対象とする層に応じて設定され、例えば、25〜200μmである。
補強層14は、製造する背面透過型ディスプレイ用曲面スクリーン100としての機械的強度が不足して、所定の曲面形状を維持できず映像に歪みがでる場合、或いは、製造工程中に積層体10が不本意に変形し取り扱いや品質に支障を来たす場合などにおいて、剛性を増してこれらを解消する為に設ける層である。
補強層14は、こうした剛性が得られる様に、材料及び厚みを設定する。
補強層14の材料としては、透明な樹脂、例えば、ポリカーボネート系樹脂、或いは、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS樹脂)、メチルメタクリレート−スチレン共重合体(MS樹脂)等のアクリル系樹脂を用いることができ、なかでも、耐熱性等の観点からは、ポリカーボネート系樹脂は好ましい樹脂の一種である。
補強層14の厚みは、例えば、3〜5mmとすることができる。厚みが厚過ぎると、映像光の透過率が低下したり、ゴースト(二重像)が発生したり、光学性能が低下することがある。
フレネルレンズシート40は、フレネルレンズ層41を基材層12上に形成したシートである。
基材層12は、フレネルレンズ層41を形成するための基材となる層である。基材層12については、既に述べたので説明は省略する。
フレネルレンズ層41は、複数の単位レンズを備えることによってフレネルレンズを構成する層である。フレネルレンズ層41は、映像光源から発散光束として入光面側Linから入射した映像光を、背面透過型ディスプレイ用曲面スクリーン100の観察者側である出光面側Loutに向けて進む平行光束に変換する。映像光をスクリーン面に略垂直な光束に変換することにより、映像の明るさのムラが抑制される。
フレネルレンズ層41は、単位レンズが同心円状又は円弧状に配列するサーキュラーフレネルレンズでもよいし、直線状に伸びる単位レンズが平行に配列するリニアフレネルレンズでもよい。
フレネルレンズ層41は、透明樹脂から構成される。透明樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル−スチレン共重合体樹脂等を用いることができる。
本発明においては、積層体10は上記した層以外に、適宜、従来公知の背面透過型スクリーンにおける、その他の層を含むことができる。例えば、反射防止層、帯電防止層、着色層などである。
図1(B)に示すように、第1の曲面成形工程は、前記積層体準備工程で準備した平板状で半硬化状態の半硬化のハードコート層21Aが転写箔20として積層されている積層体10を、成形して三次元曲面をなすように曲げる工程である。
本実施形態では、積層体10は、半硬化のハードコート層21Aを含む転写箔20側(図面上方)が観察者側に向く出光面側Loutであり、この出光面側Loutが凸となる様に三次元曲面に成形する。
本実施形態では、三次元曲面として球体の球面の一部の面の形状に成形する。ただ、本発明においては、三次元曲面とは、球面に限らず、楕円球、断面が放物線を成す曲面など、任意である。三次元曲面の曲面形状は、背面透過型ディスプレイ用曲面スクリーンを適用する用途に応じたものとなる。
本発明における背面透過型ディスプレイ用曲面スクリーン100は、曲率半径が200cm以下、好ましくは25〜150cmの曲面を有するものとすることができる。
成形型Mは、図4(A)で示す型面が凸曲面(オス)のもの、図4(B)で示す凹曲面(メス型)のものどちらでもよい。
ただ、本実施形態の様に、積層体10がフレネルレンズ層41を有する形態では、フレネルレンズ層41が曲面成形時に型面に接触してレンズが変形しない様に、フレネルレンズ層41側の入光面側Linとなる面は型面に接触させない形式で成形するのが好ましい。
したがって、本実施形態では、転写箔20が積層された出光面側Loutを型面に接触させる形態で行う。よって、型面が凹曲面の型を用いる。
本発明においては、積層体10がフレネルレンズ層41を含まないときは、図4(B)で示す凹曲面(メス型)の成形型M、あるいは、図4(C)で示す、機械的圧力を利用して積層体10の両側面に型面を接触させて加圧するプレス成形を利用することもできる。
また、本実施形態では、硬化進行工程において電離放射線を用い、先の半硬化のときに熱硬化を用いるので、曲面成形中の熱で不本意に硬化が進行して、クラックが生じ易くなるなど、製造条件が不安定となることがない。
図1(C)に示すように、硬化進行工程は、前記第1の曲面成形工程の後に、前記半硬化のハードコート層21A中の電離放射線硬化性樹脂の残りの硬化を進める工程である。
本実施形態では、硬化を進めるために電離放射線Eを用いる。ここでは電離放射線Eとして紫外線を用いる。電離放射線Eは、積層体10に対して、半硬化のハードコート層21Aがより表面に近い出光面側Loutから照射するのがエネルギーロスが少ない点で好ましい。
図1(D)に示すように、支持体剥離工程は、前記硬化進行工程の後、前記転写箔20中の剥離性支持体22を剥離する工程である。支持体剥離工程によって、転写箔20の転写が完了する。剥離性支持体22を、硬化進行して形成されたハードコート層21から剥離することによって、前記硬化進行したハードコート層21が表面層となった、目的とする構成の背面透過型ディスプレイ用曲面スクリーン100が製造される。
なお、本発明では、剥離性支持体22の剥離は、硬化進行工程の後に行うが、硬化進行工程の前であって第1の曲面成形工程の後に行うよりは、硬化を更にある程度進行させた後の方が、剥離性支持体22の剥離が容易である点で好ましい。この点で、前記エージングを行う場合は、支持体剥離工程はエージングの後でも良い。
図5を参照して、本発明の背面透過型ディスプレイ用曲面スクリーンの製造方法の第2の実施形態を説明する。図5に示す本実施形態では、前述した図1に示した第1の実施形態に対して、特に異なる点は、積層体10がフレネルレンズシート40を含まないことと、この積層体10とフレネルレンズシート40とを別々に曲面成形した後で、両者を積層すること、及び、図7に示す背面透過型ディスプレイ用曲面スクリーン100の如く、フレネルレンズシート40のフレネルレンズ層41が出光面側Loutを向くこと、である。
図5(A)で示す積層体準備工程で準備する積層体10は、本実施形態では図6(A)に示す様に、フレネルレンズシート40及びこれを積層する為に隣接配置されている接合層13がない点以外は、前記第1の実施形態と同じである。よって、積層体準備工程に関する更なる説明は省略する。
図5(B)で示す第1の曲面成形工程は、本実施形態では積層体10がフレネルレンズシート40を含まないため、フレネルレンズ層41が曲面成形時に型面に接触してレンズが変形しない様に、フレネルレンズ層41側の入光面側Linとなる面は型面に接触させない形式で成形する工夫は必要がない。したがって、本実施形態では、積層体10のどちらの面も型面に接触させてもよく、機械的な熱プレス成形を利用することもできる。
ただ、成形型Mは、図4(A)で示す型面が凸曲面(オス)の方が、図4(B)で示す凹曲面(メス型)の方に比べて、好ましい。その理由は、凸曲面(オス)の場合、積層体10の中央部が最初に凸曲面の頂部に接触するので、この部分の積層体10は変形が他の部分に比べて少なく他の部分よりは薄くならないからである。積層体10が背面透過型ディスプレイ用曲面スクリーン100となったときに、このスクリーンの中心となる部分が薄くなると、映像の明度や視野角に大きな影響を与える虞があるためである。
図5(C)で示す硬化進行工程は、前記第1の実施形態と同じである。よって、更なる説明は省略する。
図5(D)で示すフレネルレンズシート準備工程は、平板状のフレネルレンズシート40を準備する工程である。本工程で準備するフレネルレンズシート40は、第2の曲面成形工程で曲面成形する際の取り扱い性を勘案して、ある程度の剛性を有することが好ましい。
そこで、本実施形態では、フレネルレンズシート40として、図6(B)で示す様に、基材層12上にフレネルレンズ層41が積層されたものに、更に接合層13を介して補強層14を積層して、剛性を増した構成のものを用いる。
本フレネルレンズシート40を構成する各層については、既に述べたので更なる説明は省略する。
本発明においては、フレネルレンズシート準備工程で準備する平板状のフレネルレンズシート40は、適度な剛性があり取り扱い性がよければ良く、基材層12及び補強層14は必須ではない。
図5(E)で示す第2の曲面成形工程は、前記フレネルレンズシート準備工程で準備した平板状のフレネルレンズシート40を、三次元曲面をなすように成形して曲げる工程である。
本実施形態では、フレネルレンズ層41は出光面側Loutとなる様に且つ凸側となる様に曲げられる。このため、補強層14側が成形型の凸曲面の型面に接触する形式で成形される。このため、本実施形態では、本第2の実施形態での第1の曲面成形工程と同様に、中央部の伸び、変形を、凹凸が逆の場合に比べて少なくでき、製造される背面透過型ディスプレイ用曲面スクリーン100中央部の映像の明度や視野角に大きな影響を与えることなく、成形できる。
図5(F)で示す積層工程は、前記第1の曲面成形工程で三次元曲面をなすように曲げられた積層体10と、前記第2の曲面成形工程で三次元曲面をなすように曲げられたフレネルレンズシート40とを、積層する工程である。積層工程より、積層体10とフレネルレンズシート40が積層した三次元曲面をなす積層体10aが作製される。
本実施形態では、硬化進行工程の後に積層工程を実施する。ただ、本発明においては、積層工程の後に硬化進行工程を実施してもよい。
なお、最終的に背面透過型ディスプレイ用曲面スクリーン100となったときの、平面視形状は、背面透過型ディスプレイ用曲面スクリーン100が組み込まれる機器の組み込み部分に応じた形状となり、例えば、矩形、円形、楕円形など任意である。
ただ、フレネルレンズ層41が積層体10と擦れて、積層体10に傷を付ける虞があるため、積層体10のフレネルレンズ層41に接触する面にはシリコーンオイルなどのスリップ剤を塗布しておくことが好ましい。
また、フレネルレンズ層41と積層体10との間の隙間が大きくなると、背面透過型ディスプレイ用曲面スクリーン100において、ゴースト(二重像)が発生する虞があるため、積層体10とフレネルレンズ層41とは接触させておくことが好ましい。
こうした積層体10とフレネルレンズシート40との積層法は特に限定されないが、例えば、フレネルレンズシート40と積層体10とを重ね、それらの周辺部を金属製のクリップによって挟んで固定する方法が挙げられる。
図5(G)で示す支持体剥離工程は、前記積層工程で得られた積層体10aから、転写箔20として形成された部分のうち剥離性支持体22を剥離する工程である。支持体剥離工程によって、転写箔20の転写が完了する。剥離性支持体22を、硬化進行して形成されたハードコート層21から剥離することによって、既に硬化進行しているハードコート層21が表面層となった、目的とする構成の背面透過型ディスプレイ用曲面スクリーン100が製造される。
以上、前記第1の実施形態、及び第2の実施形態により本発明を説明したが、曲面に成形時にハードコート層のクラック発生が生じない程度の緩い曲面であれば、本発明には属さないが、成形時にハードコート層は半硬化に留めておかなくてもよい。こうした製造方法としても、ハードコート層はスプレー塗装によらず転写箔で形成している為に、塵の噛み込みを防げ、乾燥時間も不要で生産性が良い。転写箔の採用により、この場合は、積層体準備工程における転写箔には、ハードコート層が半硬化ではなく硬化完了した樹脂硬化物からなるハードコート層を用い、後工程の硬化進行工程は省略される。ハードコート層の樹脂には前記第1の実施形態で説明した樹脂を用いてもよい。
但し、本発明によれば、スクリーンが曲面であっても、ハードコート層のクラック発生を安定的に防いで製造できる。
10a 積層体
11 光拡散層
12 基材層
13 接合層(粘着剤層、接着剤層など)
14 補強層
20 転写箔
21 ハードコート層
21A 半硬化のハードコート層
22 剥離性支持体
30 光線制御層
31 光吸収部
32 光透過部
40 フレネルレンズシート
41 フレネルレンズ層
100 背面透過型ディスプレイ用曲面スクリーン
E 電離放射線
Lin 入光面側
Lout 出光面側
M 成形型
Claims (4)
- 曲面形状を成す積層体を備えた、背面透過型ディスプレイ用曲面スクリーンを製造する方法であって、
前記積層体として、転写箔が積層された平板状の積層体であって、前記転写箔がハードコート層が剥離性支持体上に形成された転写箔である積層体を準備する、積層体準備工程と、
前記積層体準備工程において準備された前記平板状の積層体を、三次元曲面をなすように成形して曲げる、第1の曲面成形工程と、を含み、
前記積層体準備工程におけるハードコート層を構成する電離放射線硬化性樹脂が半硬化状態であり、
前記第1の曲面成形工程の後、前記ハードコート層の電離放射線硬化性樹脂の硬化を進める、硬化進行工程と、
前記硬化進行工程の後、前記転写箔の剥離性支持体を剥離する、支持体剥離工程と、を含む、背面透過型ディスプレイ用曲面スクリーンの製造方法。 - 前記積層体が、光を吸収可能に層面に沿って配列された光吸収部と、前記光吸収部間に光を透過可能に配列された光透過部と、を有する光線制御層を含む、請求項1に記載の背面透過型ディスプレイ用曲面スクリーンの製造方法。
- 前記積層体が、前記積層体の最も入光面側にフレネルレンズ層を含む、請求項1または2に記載の背面透過型ディスプレイ用曲面スクリーンの製造方法。
- フレネルレンズ層を有するフレネルレンズシートを準備する、フレネルレンズシート準備工程と、
三次元曲面をなすように前記フレネルレンズシートを成形して曲げる、第2の曲面成形工程と、
前記第1の曲面成形工程で三次元曲面をなすように曲げられた前記積層体の入光面側に、前記第2の曲面成形工程で作製した、三次元曲面をなすように曲げられた前記フレネルレンズシートを積層する、積層工程と、を含み、
前記積層工程の前または後に、前記ハードコート層の硬化進行工程を含む、
請求項1または2に記載の背面透過型ディスプレイ用曲面スクリーンの製造方法。
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