JP5910177B2 - 透過型スクリーンの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、透過型スクリーンの製造方法に関する。
映像光をスクリーンの背面型から投射して表示する背面投射型表示装置においては、投射された映像光を透過して映像を表示させる透過型スクリーンが用いられている。このような透過型スクリーンとしては、様々な構造のものが提案されており、例えば、フレネルレンズシートを用いたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
一方で、例えば自動車等の分野においては、意匠性が非常に重要視される。現在、このような分野に適用される背面投射型表示装置には、単に映像を表示する機能が期待されているだけでなく、意匠面におけるシステム全体との調和も要求されている。
そして、このような意匠性の観点から、曲面形状を有する透過型スクリーンの開発が望まれている。しかしながら、透過型スクリーンの製造工程において、金型を用いた真空成型によりフレネルレンズシートに曲げ加工を施すと、金型に設けられた、フレネルレンズシートと金型表面との間の空気を吸引するための複数の吸引孔の形状がフレネルレンズシートに転写されてしまうことがある。フレネルレンズシートに、吸引孔の形状が転写されると、透過型スクリーンの外観が損なわれるとともに、表示された映像中に吸引孔の形状が写り込んでしまうという問題がある。
特開2006−316782号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたものである。すなわち、フレネルレンズシートにおける吸引孔の形状の転写を抑制して、外観を向上させることができるとともに表示された映像中に吸引孔の形状が写り込むことが抑止でき、また意匠性を向上させることができる透過型スクリーンの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一の態様によれば、少なくともフレネルレンズシートを備え、映像光源から投射された映像光を透過して観察者側に出射する透過型スクリーンの製造方法であって、フレネルレンズ部を有するフレネルレンズシートと、前記フレネルレンズシートにおける前記フレネルレンズが形成されている面とは反対側の面に貼り付けられた第1のマスキングシートとを備えるマスキングシート付きフレネルレンズシートを用意する工程と、前記マスキングシート付きフレネルレンズシートを加熱して、軟化させる工程と、第1の型面の少なくとも一部が曲面となった第1の型に、前記第1のマスキングシートが前記第1の型面側となるように前記マスキングシート付きフレネルレンズシートを配置し、かつ前記第1の型面に存在する第1の吸引孔から空気を吸引して、前記マスキングシート付きフレネルレンズシートを曲面成形する工程と、を備えることを特徴とする、透過型スクリーンの製造方法が提供される。
本発明の一の態様によれば、フレネルレンズシートにマスキングシートを貼り付けた状態で、フレネルレンズシートを曲面成形しているので、吸引孔の形状はマスキングシートに転写され、その結果、フレネルレンズシートにおける吸引孔の形状の転写を抑制することができる。これにより、外観を向上させることができるとともに表示された映像中に吸引孔の形状が写り込むことが抑止できる。さらに、フレネルレンズシートを曲面成形しているので、意匠性を向上させることができる。
実施形態に係る透過型スクリーンの製造工程を模式的に示した図である。 実施形態に係る透過型スクリーンの製造工程を模式的に示した図である。 実施形態に係る透過型スクリーンの製造工程を模式的に示した図である。 実施形態に係る透過型スクリーンの製造工程を模式的に示した図である。 実施形態に係る透過型スクリーンの製造工程を模式的に示した図である。 実施形態に係るフレネルレンズシートを映像光出射側から見たときのフレネルレンズシートの平面図である。 実施形態に係る他の態様のフレネルレンズシートを示す図である。 実施形態に係る光制御シートの模式的な断面図である。 実施形態に係る光制御シートを映像光出射側から見たときの光制御シートの平面図である。 実施形態に係る背面投射型表示装置の模式的な断面図である。 実施形態に係る透過型スクリーンにおいて映像光が透過する様子を示した図である。
≪透過型スクリーンの製造方法≫
本発明の実施形態に係る透過型スクリーンの製造方法について、図面を参照しながら説明する。図1〜図5は本実施形態に係る透過型スクリーンの製造工程を模式的に示した図である。図6は本実施形態に係るフレネルレンズシートを映像光出射側から見たときのフレネルレンズシートの平面図であり、図7は本実施形態に係る他の態様のフレネルレンズシートを示す図である。図8は本実施形態に係る光制御シートの模式的な断面図であり、図9は本実施形態に係る光制御シートを映像光出射側から見たときの光制御シートの平面図である。
まず、マスキングシート付きフレネルレンズシート10を用意する(図1(A))。マスキングシート付きフレネルレンズシート10は、フレネルレンズシート20と、フレネルレンズシート20に貼り付けられた第1のマスキングシート30とから構成されている。
<フレネルレンズシート>
図1に示されるフレネルレンズシート20は、光透過性基材21と、光透過性基材21の表面に形成されたフレネルレンズ部22を備えている。ここで、本明細書では、フレネルレンズシート20におけるフレネルレンズ部22が形成された面20Aを「フレネルレンズ部形成面」と称し、フレネルレンズシート20におけるフレネルレンズ部形成面20aとは反対側の面20Bを「非フレネルレンズ部形成面」と称する。なお、フレネルレンズシートが屈折型のフレネルレンズシートの場合には、フレネルレンズ部形成面は映像光出射側に位置し、フレネルレンズシートが後述する全反射型のフレネルレンズシートの場合には、フレネルレンズ部形成面は映像光入射側に位置している。
光透過性基材21は、例えば、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体(MBS)樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル−スチレン共重合体樹脂等の透明樹脂から構成されている。フレネルレンズ部22は、例えば、電離放射線硬化型樹脂組成物の硬化物から構成されている。
光透過性基材21の厚みは、1.0mm以上4.0mm以下であることが好ましく、1.5mm以上2.0mm以下であることがより好ましい。光透過性基材の厚みがこの範囲内であれば、強度の観点から問題がなく、また二重像が観察者に認識されるのを抑制できる。
フレネルレンズ部22は、映像光源(図示せず)から発散光束として透過型スクリーンに投射される映像光の進行方向を偏向させる機能を有している。具体的には、フレネルレンズ部22は、発散光束として入射した映像光を、映像光入射側から映像光出射側へ向けて進む平行光束、例えば正面方向へ進む平行光束に変換する。このようにフレネルレンズ部22を用いて映像光をいったん平行光化させておくことにより、観察者に観察される映像、とりわけ、観察者によって斜め方向から観察される映像の明るさの面内ばらつきを効果的に緩和させることができる。
本実施形態では、図6に示すように、フレネルレンズ部22は、いわゆるサーキュラーフレネルレンズとして構成されている。ただし、これに限られず、いわゆるリニアフレネルレンズとして構成されていてもよい。リニアフレネルレンズでは、複数の単位レンズの各々が直線状に延び、かつ、複数の単位レンズがその長手方向と交差する配列方向に配列されるようになる。
フレネルレンズ部22は、図6に示されるようにフレネルレンズシート20のフレネルレンズ部形成面20Aの中心Oに対して偏心した位置に光学中心Oを有することが好ましい。具体的には、フレネルレンズ部22は、光学中心Oを中心とする同心円弧状または同心円状の複数の単位プリズム23から構成されている。
図6に示されるフレネルレンズ部22の光学中心Oは、フレネルレンズシート20から外れた位置に存在する。例えば、映像光源(図示せず)が透過型スクリーンよりも下方に配置される場合には、光学中心Oは、フレネルレンズシート20外であってフレネルレンズ部形成面20Aの中心Oに対して透過型スクリーンの縦方向下側の位置に存在する。なお、上記では、光学中心Oは、フレネルレンズシート20から外れた位置に存在しているが、フレネルレンズシート20内に存在していてもよい。
このように光学中心Oが偏心したフレネルレンズ部22を形成することにより、フレネルレンズシート20と映像光源との距離を短くした場合であっても、映像光を、映像光入射側から映像光出射側へ向けて進む平行光束、例えば正面方向へ進む平行光束に変換することができる。本実施形態では、光学中心Oがフレネルレンズ部形成面20Aの中心Oに対して偏心したフレネルレンズ部22を用いているが、光学中心がフレネルレンズ部形成面の中心に対して偏心していないフレネルレンズ部を用いることも可能である。
フレネルレンズシート20は、例えば以下のようにして得ることができる。すなわち、まず、光透過性基材21と、フレネルレンズ部22と対応する形状の溝を有する金型(図示せず)とを用意する。次いで、光透過性基材21と金型との間に紫外線硬化型樹脂組成物等の電離放射線硬化型樹脂組成物を充填し、電離放射線を照射して電離放射線硬化型樹脂組成物を硬化させる。これにより、光透過性基材21上にフレネルレンズ部22が形成され、フレネルレンズシート20が作製される。ここで、本明細書における「電離放射線」には、紫外線、電子線が含まれる。
また、本実施形態におけるフレネルレンズシート20は、いわゆる屈折型のフレネルレンズであるが、これに限られず、全反射型のフレネルレンズシートを用いることも可能である。
図7に示されるように、全反射型のフレネルレンズシート24は、入射する映像光を屈折させる屈折面25Aと、屈折面25Aで屈折された映像光の少なくとも一部を全反射させて、映像光出射側に向ける全反射面25Bとを有する複数の単位プリズム25を備えたものである。全反射型のフレネルレンズシート24を用いた場合には、さらに映像光源とフレネルレンズシート24との距離を縮めることができるので、より薄型の背面投射型表示装置を提供することができる。
また、フレネルレンズシート20は、光透過性基材21よりも映像光入射側にフレネルレンズシート20を補強するための入射側透明基材(図示せず)を有していてもよい。ここで、フレネルレンズシート20が入射側透明基材を有している場合には、フレネルレンズシート20の非フレネルレンズ部形成面20Bは入射側透明基材の映像光入射面となり、フレネルレンズシート20が入射側透明基材を有していない場合には、フレネルレンズシート20の非フレネルレンズ部形成面20Bは光透過性基材21の映像光入射面となる。入射側透明基材と光透過性基材は、粘着剤や紫外線硬化型接着剤のような接着剤等からなる接合層(図示せず)を介して互いに接合されている。
<第1のマスキングシート>
第1のマスキングシート30は、フレネルレンズシート20の非フレネルレンズ部形成面20Bに粘着剤により貼り付けられている。光透過性基材21を構成する材料の融点(Tm)から第1のマスキングシート30を構成する材料の融点を引いた値が0℃以上10℃以下であることが好ましい。このような材料を用いて第1のマスキングシート30を構成することにより、フレネルレンズシート20に第1のマスキングシート30を貼り付けたとしても、フレネルレンズシート20に第1のマスキングシート30を貼り付けていない場合の加工条件(例えば加熱温度、加熱時間、吸引孔の数等)と同じ条件で、曲面成形することができる。
第1のマスキングシート30を構成する材料の融点および光透過性基材21を構成する材料の融点は170℃以上180℃以下であることが好ましい。例えば、光透過性基材21がメチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体(MBS)樹脂(融点:170℃以上180℃以下)から構成されている場合には、例えばポリプロピレン(融点:170℃)から構成された第1のマスキングシート30を用いることが可能である。なお、第1のマスキングシート30を構成する材料と光透過性基材20を構成する材料は異なっていてもよいが、同じであってもよい。また、フレネルレンズ部22を構成する材料の融点は、光透過性基材21を構成する材料の融点よりも高い。
第1のマスキングシート30の厚みは、10μm以上50μm以下であることが好ましい。第1のマスキングシート30の厚みがこの範囲内であると、後述する吸引孔42(図2(A)参照)の直径が0μmを超え10μm未満であるので、第1のマスキングシート30のみに吸引孔42の形状が転写され、フレネルレンズシート20には吸引孔42の形状がより転写されにくくなるとともに、マスキングシート付きフレネルレンズシートの型への追従性の悪化を抑制できる。またマスキングシートの厚みが厚くなると、マスキングシート付きフレネルレンズシートの加熱時間も長くなるおそれがあるが、この範囲の厚みであれば、加熱時間が長くなることを抑制できる。
次に、マスキングシート付きフレネルレンズシート10を加熱して、軟化させる(図1(B))。この加熱は、マスキングシート付きフレネルレンズシート10を加熱するための加熱装置(図示せず)の加熱温度を、第1のマスキングシート30を構成する材料の融点付近の温度、具体的には第1のマスキングシート30を構成する材料の融点から15℃低い温度以上第1のマスキングシート30を構成する材料の融点以下の温度にした状態で、25秒〜27.5秒間行われることが好ましい。例えば、光透過性基材21がメチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体(MBS)樹脂から構成されており、第1のマスキングシート30がポリプロピレンから構成されている場合には、155℃以上170℃以下にマスキングシート付きフレネルレンズシート10を加熱することが好ましい。マスキングシート付きフレネルレンズシート10を加熱するための加熱装置としては、遠赤外線ヒータ等のヒータが挙げられる。加熱装置として、ヒータを用いた場合には、第1のマスキングシート30側にヒータを配置して、第1のマスキングシート30側からマスキングシート付きフレネルレンズシート10を加熱することが好ましい。
マスキングシート付きフレネルレンズシート10が軟化した後、第1の型40の第1の型面41上にマスキングシート付きフレネルレンズシート20を配置し、第1の型面41に存在する少なくとも1以上、好ましくは複数の吸引孔42から空気を吸引して、マスキングシート付きフレネルレンズシート10を曲面成形する(図2(A))。
マスキングシート付きフレネルレンズシート10は、第1の型面41に第1のマスキングシート30が接触するように配置される。第1の型40としては、例えば金型等が挙げられる。第1の型40とマスキングシート付きフレネルレンズシート10との接触させる際には、第1の型面41の温度が、光透過性基材21を構成する材料のガラス転移温度(Tg)付近の温度、具体的には光透過性基材21を構成する材料のガラス転移温度から15℃低い温度以上光透過性基材21を構成する材料のガラス転移温度以下の温度となるように第1の型40を加熱しておくことが好ましい。なお、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体(MBS)樹脂のガラス転移温度は70〜80℃である。
第1の型面41の少なくとも一部は曲面を有している。具体的には、第1の型面41の少なくとも一部は二次元曲面または三次元曲面を有している。好ましくは、第1の型面41は少なくとも一部に三次元曲面を有している。ここで、本明細書において、「二次元曲面」とは単一の軸を中心として二次元的に曲がったもの、或いは、互いに平行な複数の軸を中心として異なる曲率で二次元的に曲がったものを意味し、また「三次元曲面」とは互い対して傾斜した複数の軸をそれぞれ中心として、部分的または全体的に曲がっていることを意味するものとする。このような第1の型面41を備えた第1の型40を用いることにより、二次元曲面または三次元曲面をなすようにマスキングシート付きフレネルレンズシート10を曲げることができる。
曲面成形は、マスキングシート付きフレネルレンズシート10の少なくとも一部が250mm以上2000mm以下、場合によっては250mm以上1500mm以下の曲率半径を有するように行われることが好ましい。
曲面成形中、第1の吸引孔42からの吸引により、マスキングシート付きフレネルレンズシート10と第1の型面41との間の雰囲気が減圧した状態に保たれ、より好ましくは概ね真空状態に保たれる。なお、図2(A)では、フレネルレンズ部22側が凸となるようにマスキングシート付きフレネルレンズシート10を曲面成形しているが、これに限らず、フレネルレンズ部22側が凹となるように、すなわち光透過性基材21側が凸となるようにマスキングシート付きフレネルレンズシート10を曲面成形してもよく、またフレネルレンズ部22側が凸となる部分とフレネルレンズ部22側が凹となる部分とを組み合わせた形状となるようにマスキングシート付きフレネルレンズシート10を曲面成形してもよい。
マスキングシート付きフレネルレンズシート10を曲面成形した後、第1の吸引孔42からの空気の吸込みを停止した後、第1の型40からマスキングシート付きフレネルレンズシート10を取り外す。その後、マスキングシート付きフレネルレンズシート10から第1のマスキングシート30を剥離する(図2(B))。これにより、曲面をなすように曲ったフレネルレンズシート20が得られる。
一方で、マスキングシート付き積層体50を用意する(図3(A))。マスキングシート付き積層体50は、積層体60と、積層体60の映像光入射面60Aに貼り付けられた第2のマスキングシート70とから構成されている。
<積層体>
積層体50は、図3(A)に示されるように、主に、光制御シート61、接合層62、光拡散層63を有している。
光制御シート
光制御シート61は、入射した映像光を透過するとともに二重像の原因となる迷光を吸収するためのものである。
図3(A)、図8および図9に示されるように光制御シート61は、光透過性基材64と、光透過性基材64上に形成された入射した映像光を透過する複数の単位光透過部65と、外光を吸収する複数の単位光吸収部66とを備えている。
光透過性基材64は、図8に示されるように光制御シート61の映像光入射面61Aを構成するものである。単位光透過部65および単位光吸収部66は、図8および図9に示されるようにそれぞれ光制御シート61の映像光出射面61Bを構成するものであり、映像光出射面61Bに沿って配置されている。また、単位光透過部65および単位光吸収部66は、図9に示されるように光制御シート61の横方向に延在しており、光制御シートの61の縦方向に交互に配置されている。
光透過性基材64は、単位光透過部65や単位光吸収部66を形成するためのベースとなる層である。
光透過性基材64としては、透明樹脂フィルム、透明樹脂板、透明樹脂シートや透明ガラスを用いることができる。透明樹脂フィルムとしては、トリアセテートセルロース(TAC)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系フィルム、ジアセチルセルロースフィルム、アセテートブチレートセルロースフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリアクリル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、(メタ)アクリルロニトリルフィルム等を好適に使用できるが、これらの中でも、ポリカーボネートフィルム、ポリエステル系フィルムが好ましく用いられる。ポリエステル系フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートの他、ポリブチレンテレフタレート、ポリナフタレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等が挙げられる。
単位光透過部65は、光制御シート61の厚さ方向の断面形状が略台形となっているものが好ましい。この台形は、映像光出射面61Bが上底、映像光入射側が上底より長さが長い下底とするものである。
単位光透過部66は、映像光を透過する光透過性樹脂で構成されている。この光透過性樹脂としては、例えばウレタンアクリレート等の電離放射線硬化型樹脂の硬化物が挙げられる。
単位光吸収部66は、単位光吸収部66が隣り合う単位光透過部65により形成される、断面形状がV字状の溝または断面形状が台形状の溝に形成されていることが好ましい。すなわち、断面形状がV字状の溝の場合には、単位光吸収部66は光制御シート61の厚さ方向の断面形状が映像光出射面61Bを底辺とする略三角形となっており、断面形状が台形状の溝の場合には、光制御シート61の映像光入射側を上底としかつ光制御シート61の映像光出射面61Bを下底とするものである。ここで、「下底」の長さは「上底」の長さより長いものとする。
単位光吸収部66は、透明樹脂に光吸収材等を含有させたものから構成することが可能である。透明樹脂は、単位光透過部65を構成する透明樹脂の屈折率より小さい屈折率を有する材料により構成されていることが好ましい。また、透明樹脂として用いられるものも特に限定されることはないが、例えば、電子線、紫外線等の電離放射線により硬化する特徴を有するウレタンアクリレート系、エポキシアクリレート系等のアクリレート系樹脂の電離放射線硬化型樹脂の硬化物が挙げられる。
光吸収材は、可視光である外光や迷光を吸収する機能を有すればよく、光吸収材としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト、黒色酸化鉄等の金属塩等、顔料または染料、顔料または染料で着色された樹脂粒子等が挙げられる。
光吸収材が顔料または染料で着色された樹脂粒子である場合、樹脂粒子としては、メラミンビーズ、アクリルビーズ、アクリル−スチレンビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリエチレンビーズ、ポリスチレンビーズ等のプラスチックビーズが挙げられる、これらの中でもアクリルビーズが好ましい。
光拡散層
光拡散層63は、光制御シート61の映像光出射側(観察者側)に配置されている。光制御シート61から出射した映像光を等方的に拡散させるためのものである。
光拡散層63の厚みは、0.05mm以上2.0mm以下であることが好ましく、0.1mm以上1.5mm以下であることがより好ましい。光拡散層63の厚みがこの範囲内であると、光拡散効果が十分に得られ、かつ透過型スクリーンに映し出される映像がぼやけることがなく、解像性に優れた映像が得られる。
光拡散層63は、光透過性樹脂に光拡散粒子を含有させたものから構成することが可能である。光拡散層63は、例えば、光透過性樹脂と光拡散粒子との間の屈折率差に起因して、または、光拡散粒子自体が有する反射性に起因して、映像光を等方的に拡散する機能を発現する。光拡散層63の光拡散能によって、光制御シートを透過した映像光が拡散され、観察者は、光拡散層63の光拡散能に応じた視野角の範囲内で映像を観察することができる。
光透過性樹脂としては、例えば、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体(MBS)樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等が挙げられる。
光拡散粒子は、光透過性樹脂とは異なる屈折率を有するものである。光拡散粒子としては、シリコンビーズやプラスチックビーズ等が好適であり、特に透明度が高いものが好ましい。プラスチックビーズとしては、メラミンビーズ、アクリルビーズ、アクリル−スチレンビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリエチレンビーズ、ポリスチレンビーズ、塩化ビニルビーズ等が挙げられる。さらに、シリコンビーズとプラスチックビーズ等を併用することも可能である。また、光拡散層を押出し成形により形成する場合、光拡散層の表面が平坦であると、光拡散層が成形ロールに巻き付いてしまうことがあるので、光拡散層の表面に凹凸を付けて、光拡散層が成形ロールに巻き付くことを抑止するために、光拡散粒子よりも粒径が大きく、かつ光透過性樹脂とほぼ同じ屈折率を有するアクリルビーズ等の巻付抑制粒子を光拡散層に添加することが好ましい。
<第2のマスキングシート>
第2のマスキングシート70は、上述したように積層体60の映像光入射面60Aに粘着層により貼り付けられている。光透過性基材64を構成する材料の融点(Tm)から第2のマスキングシート70を構成する材料の融点を引いた値が0℃以上10℃以下であることが好ましい。このような材料を用いて第2のマスキングシート70を構成することにより、積層体60に第2のマスキングシート70を貼り付けたとしても、積層体60に第2のマスキングシート70を貼り付けていない場合の加工条件(例えば加熱温度、加熱時間、吸引孔の数等)と同じ条件で、曲面成形することができる。
第2のマスキングシート70を構成する材料の融点および光透過性基材64を構成する材料の融点は220℃以上230℃以下であることが好ましい。例えば、光透過性基材64がポリカーボネート樹脂(融点:約230℃)から構成されている場合には、第2のマスキングシート70を例えばポリカーボネート樹脂から構成することが可能である。なお、第2のマスキングシート70を構成する材料と光透過性基材64を構成する材料は異なっていてもよいが、同じであってもよい。また、接合層62、光拡散層63、単位光透過部65、単位光吸収部66を構成する材料の融点は、それぞれ、光透過性基材64を構成する材料の融点よりも高い。
第2のマスキングシート70の厚みは、10μm以上50μm以下であることが好ましい。第2のマスキングシート70の厚みがこの範囲内であると、後述する吸引孔82(図4(A)参照)の直径が0μmを超え10μm未満であるので、第2のマスキングシート70のみに吸引孔82の形状が転写され、積層体60には吸引孔82の形状がより転写されにくくなるとともに、マスキングシート付き積層体50の型への追従性の悪化を抑制できる。またマスキングシートの厚みが厚くなると、マスキングシート付き積層体の加熱時間も長くなるおそれがあるが、この範囲の厚みであれば、加熱時間が長くなることを抑制できる。
次に、マスキングシート付き積層体50を加熱して、軟化させる(図3(B))。この加熱は、マスキングシート付き積層体50を加熱するための加熱装置(図示せず)の加熱温度を、第2のマスキングシート70を構成する材料の融点付近の温度、具体的には第2のマスキングシート70を構成する材料の融点から15℃低い温度以上第2のマスキングシート70を構成する材料の融点以下の温度にした状態で、1分間行われることが好ましい。例えば、光透過性基材64がポリカーボネート樹脂から構成されており、第2のマスキングシート70がポリカーボネート樹脂から構成されている場合には、約220℃にマスキングシート付きフレネルレンズシート50を加熱することが好ましい。マスキングシート付き積層体50を加熱するための加熱装置としては、遠赤外線ヒータ等のヒータが挙げられる。加熱装置として、ヒータを用いた場合には、第2のマスキングシート70側にヒータを配置して、第2のマスキングシート70側からマスキングシート付き積層体50を加熱することが好ましい。
マスキングシート付き積層体50が軟化した後、第2の型80の第2の型面81上にマスキングシート付き積層体50を配置し、第2の型面81に存在する少なくとも1以上、好ましくは複数の吸引孔82から空気を吸引して、マスキングシート付き積層体50を曲面成形する(図4(A))。
マスキングシート付き積層体50は、第2の型面81に第2のマスキングシート70が接触するように配置される。第2の型80としては、例えば金型等が挙げられる。第2の型80とマスキングシート付き積層体50とを接触させる際には、第2の型面81の温度が、光透過性基材64を構成する材料のガラス転移温度(Tg)付近の温度、具体的には光透過性基材64を構成する材料のガラス転移温度から15℃低い温度以上光透過性基材64を構成する材料のガラス転移温度以下の温度となるように第2の型80を加熱しておくことが好ましい。なお、ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度は120℃である。
第2の型面81の少なくとも一部は曲面を有している。具体的には、第2の型面81の少なくとも一部は二次元曲面または三次元曲面を有している。好ましくは、第2の型面81は少なくとも一部に三次元曲面を有している。このような第2の型面81を備える第2の型80を用いることにより、二次元曲面または三次元曲面をなすようにマスキングシート付き積層体50を曲げることができる。
曲面成形は、マスキングシート付き積層体50の少なくとも一部が250mm以上2000mm以下、場合によっては250mm以上1500mm以下の曲率半径を有するように行われることが好ましい。
曲面成形中、第2の吸引孔82からの吸込みにより、マスキングシート付き積層体50と第2の型面81との間の雰囲気が減圧した状態に保たれ、より好ましくは概ね真空状態に保たれる。なお、上記では、光拡散シート63側が凸となるようにマスキングシート付き積層体50を曲面成形しているが、これに限らず、光拡散シート63側が凹となるように、すなわち光透過性基材64側が凸となるようにマスキングシート付き積層体50を曲面成形してもよく、また光拡散シート63側が凸となる部分と光拡散シート63側が凹となる部分とを組み合わせた形状となるようにマスキングシート付き積層体50を曲面成形してもよい。
マスキングシート付き積層体50を曲面成形した後、第2の吸引孔82からの空気の吸込みを停止し、第2の型80からマスキングシート付き積層体50を取り外す。その後、マスキングシート付き積層体50から第2のマスキングシート70を剥離する(図4(B))。これにより、曲面をなすように曲った積層体60が得られる。
積層体60を曲面成形した後、光拡散層63上に表面層90を形成して、積層体100を形成する(図5(A))。表面層90は、光拡散層63より観察面側に設けられる層であり、ハードコート機能、防眩機能、反射防止機能、帯電防止機能、紫外線吸収機能および防汚機能の少なくともいずれかの機能を有する層である。本実施形態では、表面層90は、ハードコート機能を有する層(ハードコート層)となっている。ハードコート層は、透明性を有し、JISK5600−5−4(1994)で規定される鉛筆硬度試験で「HB」以上の硬度を示すものである。
表面層90として、ハードコート層を形成する場合においては、電離放射線硬化型樹脂組成物を含むハードコート層用組成物を塗布し、乾燥させ、紫外線等の電離放射線により硬化させる。これにより、光拡散層63上に表面層90としてのハードコート層が形成される。なお、ハードコート層は、予め半硬化させたハードコート層を形成しておき、このハードコート層を光拡散層上に載せ、その後硬化させて形成することも可能である。また、熱硬化性塗料を塗布し、加熱乾燥し、硬化させてハードコート層を形成することも可能である。
そして、最後に、曲面成形され、かつ表面層90を有する積層体100を、曲面成形されたフレネルレンズシート20の映像光出射側に配置する(図5(B))。なお、この状態においては、光制御シート61がフレネルレンズシート20のフレネルレンズ部22側となっており、表面層90が観察者側となっている。これにより、図5(B)に示される透過型スクリーン110が完成する。
本実施形態によれば、フレネルレンズシート20に第1のマスキングシート30を貼り付けた状態で、フレネルレンズシート20を曲面成形しているので、吸引孔42の形状が転写されたとしても、第1のマスキングシート30に転写される。これにより、吸引孔42の形状がフレネルレンズシート20に転写されるのを抑制することができる。なお、第1のマスキングシート30に吸引孔42の形状が転写されたとしても、第1のマスキングシート30は曲面成形後剥離するものであるので、何ら問題がない。また、同様に、積層体60に第2のマスキングシート70を貼り付けた状態で、積層体60を曲面成形しているので、吸引孔82の形状が転写されたとしても、第2のマスキングシート70に転写される。これにより、吸引孔82の形状が積層体60に転写されるのを抑制することができる。
また、吸引孔42の形状が第1のマスキングシート30に明確に転写されていれば、それだけマスキング付きフレネルレンズシート10が第1の型面41に追従した形状となっていると言える。すなわち、第1のマスキングシート30に転写された吸引孔42の形状を確認することにより、曲面成形後のフレネルレンズシート20の形状確認を行うことができる。また、同様に、第2のマスキングシート70に転写された吸引孔82の形状を確認することにより、曲面成形後の積層体60の形状確認を行うことができる。
さらに、マスキングシートを用いない場合において、型面とフレネルレンズシートとの間に異物が存在した場合には、その異物の形状がフレネルレンズシートに転写されてしまうおそれがある。これに対し、本実施形態のようにフレネルレンズシート20に第1のマスキングシート30を貼り付けているので、第1の型面41とフレネルレンズシート20との間に異物が存在したとしても、その異物の形状が第1のマスキングシート30に転写される。これにより、第2の型面81とフレネルレンズシート20との間に異物が存在した場合であっても、異物がフレネルレンズシート20に転写されることを抑制できる。また、同様に、積層体60に第2のマスキングシート70を貼り付けているので、第2の型面81と積層体60との間に異物が存在した場合であっても、異物が積層体60に転写されることを抑制できる。
本実施形態によれば、フレネルレンズシート20および積層体60を曲面成形しているので、意匠性を向上させることができる。
光拡散層上に表面層を形成した状態で、積層体を曲面成形した場合、表面層が割れてしまうおそれがある。これに対し、本実施形態においては積層体60を曲面成形した後に光拡散層63上に表面層90を形成しているので、表面層90の割れを防止することができる。
≪透過型スクリーン≫
図5(B)に示される透過型スクリーン110は、上記の製造方法で得られたものであるので、フレネルレンズシート20と、フレネルレンズシート20の映像光出射側に配置された積層体100とを備えている。
フレネルレンズシート20および積層体100は、二次元曲面または三次元曲面をなすように曲がっている。好ましくは、フレネルレンズシート20および積層体100は、三次元曲面をなすように曲がっている。フレネルレンズシート20および積層体100の全体は、少なくとも一部が250mm以上2000mm以下の曲率半径を有するように曲っていることが好ましい。曲率半径は用途によって適宜選択されるが、フレネルレンズシート20および積層体100の全体は、少なくとも一部が250mm以上1500mm以下の曲率半径を有するように曲っていることもある。
≪背面投射型表示装置≫
透過型スクリーン110は、背面投射型表示装置に組み込んで使用することができる。このような背面投射型表示装置としては、例えば、車載用や船舶用の背面投射型表示装置等が挙げられる。
以下、透過型スクリーン110を組み込んだ背面投射型表示装置について説明する。図10は本実施形態に係る背面投射型表示装置の模式的な断面図であり、図11は本実施形態に係る透過型スクリーンにおいて映像光が透過する様子を示した図である。図10に示されるように背面投射型表示装置120は、例えば、透過型スクリーン110、透過型スクリーン110を支持する例えば筐体のようなスクリーン支持体121、および透過型スクリーン110に映像光を投射する映像光源122を備えている。
映像光源122は、透過型スクリーン110の背面側に配置されている。図10に示される映像光源122は、透過型スクリーン110よりも下方に配置されており、ミラー等を使用せずに透過型スクリーン110に対し映像光を投射するように構成されている。なお、ミラー等を介して透過型スクリーン110に映像光を投射してもよい。
この場合、透過型スクリーン110は、単位光透過部65および単位光吸収部66の延在方向が横方向となり、かつフレネルレンズ部22の光学中心Oがフレネルレンズ部形成面20Aの中心Oより縦方向下側となるように配置されている。
なお、図10においては、映像光源122が透過型スクリーン110より下方に配置されているが、映像光源122は透過型スクリーン110よりも上方に配置されていてもよい。この場合、透過型スクリーン110は、単位光透過部65および単位光吸収部66の延在方向が横方向となり、かつフレネルレンズ部22の光学中心Oがフレネルレンズ部形成面20Aの中心Oより縦方向上側となるように配置される。ここで、本明細書においては、「縦方向」とは、観察者が透過型スクリーン110を正面から見たとき、観察者の上下方向を意味するものとし、また「横方向」とは、観察者が透過型スクリーン110を正面から見たとき、観察者の左右方向を意味するものとする。
映像光源122は、照射領域がしだいに広がっていく発散光束(拡大投影された光束)として透過型スクリーン110の映像光入射面の全域に映像光を照射する。このような映像光源122としては、公知の光源、例えばLEDやレーザを利用したピコプロジェクタ等の小型の光源が挙げられる。
このような背面投射型表示装置120においては、映像光源122から映像光が発せられると、図10に示されるように映像光は、発散光束として、透過型スクリーン110の映像光入射面110Aの全域に投射される。そして、図11に示されるように透過型スクリーン110の映像光入射面110Aに投射された映像光Lは、フレネルレンズシート20に入射し、フレネルレンズ部22によって、映像光Lは透過型スクリーンの正面方向Nに向く光に変換される。正面方向Nに向く光となった映像光Lは、光制御シート61に入射し、単位光透過部65を介して光制御シート61から出射する。光制御シート61から出射した映像光Lは、光拡散層63で拡散されて、表面層90を介して、透過型スクリーン110の映像光出射面110Bから出射する。このような背面投射型表示装置120においては、映像光Lは、フレネルレンズシート20によっていったん正面方向Nに向く光に変換された後に光拡散層63で拡散されるので、各方向から表示された映像を観察した場合、明るさの面内ばらつきが緩和された高品質の映像を提供できる。
また、映像光Lのみならず、迷光Lもフレネルレンズシート20から出射し、光制御シート61に入射するが、迷光Lは透過型スクリーン110の正面方向Nに向く略平行な光とはなっていないので、迷光Lは単位光吸収部66で吸収される。また、外光Lも、光制御シート61の単位光吸収部66によって、吸収される。
なお、本発明は上記実施の形態の記載内容に限定されるものではなく、構造や材質、各部材の配置等は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。本実施形態では、積層体60に第2のマスキングシート70を貼り付けた状態で曲面成形しているが、フレネルレンズシート20に第1のマスキングシート30を貼り付けた状態で曲面成形していれば、積層体60に第2のマスキングシート70を貼り付けなくともよい。
本発明を詳細に説明するために、以下に実施例を挙げて説明する。
実施例
まず、マスキングシート付きフレネルレンズシートを用意した。フレネルレンズシートの光透過性基材はメチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体(MBS)樹脂から構成されており、光透過性基材の厚みは2.0mmであった。フレネルレンズシートのフレネルレンズ部は、ウレタンアクリレートを含む紫外線硬化型樹脂組成物の硬化物から構成されており、単位プリズムのピッチが105μmのものを使用した。
マスキングシート(第1のマスキングシート)はポリプロピレンから構成されていた。マスキングシートの厚みは50μmであった。マスキングシートはフレネルレンズシートの非フレネルレンズ部形成面に形成されていた。
そして、このマスキングシート付きフレネルレンズシートを、マスキングシート側に配置されたヒータでマスキングシート側から170℃、27.5秒間加熱し、軟化させた。なお、マスキングシートを構成するポリプロピレンの融点は170℃であるので、ヒータの加熱温度である170℃はポリプロピレンの融点から15℃低い温度以上ポリプロピレンの融点以下の温度範囲内にあると言える。また、ポリプロピレンの融点は170℃であるので、上記のように170℃に加熱すると、ポリプロピレンから構成されるマスキングシートが溶融することが懸念されるが、加熱温度は27.5秒と極めて短いので、マスキングシートは溶融しなかった。
軟化させたマスキングシート付きフレネルレンズシートのマスキングシートに、加熱された金型の凸状の型面を接触させた。この型面の温度は80℃であった。なお、MBS樹脂のガラス転移温度は70〜80℃であるので、型面の温度の80℃はMBS樹脂のガラス転移温度から15℃低い温度以上MBS樹脂のガラス転移温度以下の温度範囲内にあると言える。そして、金型の型面に設けられた複数の吸引孔から空気を吸引して、マスキングシート付きフレネルレンズシートを曲面成形した。なお、曲面成形は、曲率半径が1000mmとなるように行われた。
曲面成形した後、吸引孔による空気の吸引を停止させて、金型からマスキングシート付きフレネルレンズシートを取り外した。その後、マスキングシート付きフレネルレンズシートからマスキングシートを剥離して、曲面成形されたフレネルレンズシートを得た。
一方で、光制御シート、および光拡散層をこの順で積層した積層体を用意した。ここで、光制御シートおよび光拡散層を積層する際、光制御シートと光拡散層との間を、紫外線硬化型接着剤により接着されていた。
光制御シートとしては、ポリカーボネート(PC)フィルム上に形成された単位光透過部および単位光吸収部を備え、かつ厚みが0.3mmのものを使用した。
単位光透過部の屈折率は1.550であり、単位光吸収部の屈折率は1.490であった。単位光吸収部の高さは150μmであった。単位光吸収部の幅は映像光出射面において30μmであり、単位光吸収部における映像光入射側の先端部の幅は6μmであり、単位光吸収部における映像光出射側の底部のピッチは60μmであった。さらに、ポリカーボネートフィルムの法線と単位光吸収部とによって形成される角度は4.5°であった。
光制御シートは、具体的には、以下のようにして作製された。まず、単位光透過部の形に対応した形の複数の溝を有する金型にシート状のポリカーボネートフィルムを送り込み、金型とポリカーボネートフィルムとの間に、ウレタンアクリレート等を含む紫外線硬化型樹脂組成物を供給し、ポリカーボネートと金型との間に紫外線硬化型樹脂組成物を充填した。その後、紫外線を照射し、紫外線硬化型樹脂組成物を硬化させて、ポリカーボネート上に光透過性透明樹脂からなる単位光透過部を形成した。単位光透過部を形成した後、単位光透過部を金型から引き抜き、そして、複数の単位光透過部間の溝に、着色粒子を含有するウレタンアクリレート等を含む紫外線硬化型樹脂組成物を塗布し、ドクターブレード等によって充填した。その後、紫外線により紫外線硬化型樹脂組成物を硬化させて、単位光透過部間に着色粒子を含有する樹脂からなる単位光吸収部を形成した。
光拡散層としては、屈折率1.550のメチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体(MBS)樹脂中に、巻付抑制粒子として、屈折率1.550および平均粒径8μmのアクリル系ビーズと、光拡散粒子として、屈折率1.420および平均粒径2μmのシリコン系ビーズとを含有させたものから構成され、かつ厚みが0.23mmのものを使用した。なお、光拡散層の各成分の割合は、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体樹脂50重量%、アクリル系ビーズ40重量%、シリコン系ビーズ10重量%であった。
そして、この積層体を、220℃に加熱し、軟化させた。軟化させた積層体に、120℃に加熱された金型の凸状の型面を接触させた。そして、金型の型面に設けられた吸引孔から空気を吸引して、積層体を曲面成形した。ここで、この積層体はマスキングシートが貼り付けていないものであった。また、曲面成形は、曲率半径が1000mmとなるように行われた。
曲面成形した後、吸引孔による空気の吸引を停止させて、金型から積層体を取り外した。その後、曲面成形された積層体の表面に、アクリルウレタン系熱硬化塗料を塗布し、加熱により乾燥させた後、ハードコート層を形成した。最後に、積層体をフレネルレンズシートの映像光出射側に配置して、実施例1に係る透過型スクリーンを作製した。
比較例
比較例においては、マスキングシートをフレネルレンズシートに貼り付けていない状態で、フレネルレンズシートを曲面成形した以外、実施例と同様の材料および方法を用いて、透過型スクリーンを作製した。
(フレネルレンズシートの外観観察)
上記において作製した実施例および比較例に係る透過型スクリーンにおけるフレネルレンズシートの非フレネルレンズ部形成面をそれぞれ観察したところ、比較例においては非フレネルレンズ部形成面には吸引孔の形状が転写されていた。これに対し、実施例においては非フレネルレンズ部形成面には吸引孔の形状は転写されていなかった。
この結果から、実施例に係る透過型スクリーンの製造方法によれば、フレネルレンズシートにおける吸引孔の形状の転写を抑制することができることが確認された。
10…マスキングシート付きフレネルレンズシート、20…フレネルレンズシート、20A…フレネルレンズ部形成面、20B…非フレネルレンズ部形成面、21…光透過性基材、22…フレネルレンズ部、30…第1のマスキングシート、40…第1の型、41…第1の型面、42…第1の吸引孔、50…マスキングシート付き積層体、60、100…積層体、61…光制御シート、63…光拡散層、64…光透過性基材、65…単位光透過部、66…単位光吸収部、70…第2のマスキングシート、80…第2の型、81…第2の型面、82…第2の吸引孔、110…透過型スクリーン。

Claims (7)

  1. 少なくともフレネルレンズシートを備え、映像光源から投射された映像光を透過して観察者側に出射する透過型スクリーンの製造方法であって、
    フレネルレンズ部を有するフレネルレンズシートと、前記フレネルレンズシートにおける前記フレネルレンズが形成されている面とは反対側の面に貼り付けられた第1のマスキングシートとを備えるマスキングシート付きフレネルレンズシートを用意する工程と、
    前記マスキングシート付きフレネルレンズシートを加熱して、軟化させる工程と、
    第1の型面の少なくとも一部が曲面となった第1の型に、前記第1のマスキングシートが前記第1の型面側となるように前記マスキングシート付きフレネルレンズシートを配置し、かつ前記第1の型面に存在する第1の吸引孔から空気を吸引して、前記マスキングシート付きフレネルレンズシートを曲面成形する工程と、
    を備えることを特徴とする、透過型スクリーンの製造方法。
  2. 前記フレネルレンズシートが光透過性基材をさらに有し、前記フレネルレンズ部が前記光透過性基材上に形成され、前記光透過性基材を構成する材料の融点から前記第1のマスキングシートを構成する材料の融点を引いた値が0℃以上10℃以下である、請求項1に記載の透過型スクリーンの製造方法。
  3. 前記マスキングシート付きフレネルレンズシートを軟化させる工程は、前記マスキングシート付きフレネルレンズシートを加熱するための加熱装置の加熱温度を、前記マスキングシートを構成する材料の融点から15℃低い温度以上前記マスキングシートを構成する材料の融点以下にした状態で行われる、請求項2に記載の透過型スクリーンの製造方法。
  4. 前記マスキングシート付きフレネルレンズシートを曲面形成する工程は、前記第1の型面の温度を、前記光透過性基材を構成する材料のガラス転移温度から15℃低い温度以上前記ガラス転移温度以下にした状態で行われる、請求項2または3に記載の透過型スクリーンの製造方法。
  5. 前記第1のマスキングシートを構成する材料がポリプロピレンであり、前記光透過性基材を構成する材料がメチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体である、請求項2ないし4のいずれか1項に記載の透過型スクリーンの製造方法。
  6. 前記第1の吸引孔の直径が0μmを超え10μm未満であり、かつ前記第1のマスキングシートの厚みが10μm以上50μm以下である、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の透過型スクリーンの製造方法。
  7. 前記透過型スクリーンが、前記フレネルレンズシートより観察者側に配置され、かつ光制御シートと光拡散層とを有する積層体をさらに備え、
    光制御シートであって、前記光制御シートの映像光出射面の一部を構成する複数の単位光透過部と、前記単位光透過部と交互に配置され、前記光制御シートの映像光出射面の一部を構成する複数の単位光吸収部とを有する光制御シート、および前記光制御シートの映像光出射側に配置された光拡散層とを有する積層体と、前記積層体の映像光入射面に貼り付けられた第2のマスキングシートとを備えるマスキングシート付き積層体を用意する工程と、
    前記マスキングシート付き積層体を加熱して、軟化させる工程と、
    第2の型面の少なくとも一部が曲面となった第2の型に、前記第2のマスキングシートが前記第2の型面側となるように前記マスキングシート付き積層体を配置し、かつ前記第2の型面に存在する第2の吸引孔から空気を吸引して、前記マスキングシート付き積層体を曲面成形する工程と、
    曲面成形された前記マスキングシート付き積層体から前記第2のマスキングシートを剥離する工程と、
    曲面成形された前記積層体を、曲面成形された前記フレネルレンズシートの映像光出射側に配置する工程と
    をさらに備える、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の透過型スクリーンの製造方法。
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