JP2015152891A - フレネルレンズシート、透過型スクリーン、背面投射型表示装置 - Google Patents

フレネルレンズシート、透過型スクリーン、背面投射型表示装置 Download PDF

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晶子 冨田
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Abstract

【課題】ゴースト等の表示不良を大幅に低減することができ、良好な映像を表示可能なフレネルレンズシート、透過型スクリーン及び背面投射型表示装置を提供する。【解決手段】フレネルレンズシート20は、フレネル基材層21の出光面にフレネルレンズ形状を有したフレネルレンズ層22を備え、フレネルレンズ層22は、光源部70及び光学的中心F間の距離をWとし、光学的中心F及びフレネルレンズ層22の映像光Lの入射位置間の距離をRとし、入射位置におけるフレネル基材層21の出光面の角度をθSとし、空気中、フレネルレンズ層22の光の屈折率をn0、nIとし、レンズ面22bの角度をαとし、非レンズ面22cの角度をβとし、θ0=arctan(R/W)、θ0‘=θ0−θS、θ1=arcsin(n0/nI?sinθ0‘)、θ2=α−θ1、θC=arcsin(n0/nI)としたときに、β≧θC−90+α+θ2を満たす。【選択図】図7

Description

本発明は、フレネルレンズシート、透過型スクリーン、及び、これを備える背面投射型表示装置に関するものである。
従来、映像光をスクリーンの背面側から投射して表示する背面投射型表示装置では、投射された映像光を透過して表示するための透過型スクリーンが広く用いられている。このような透過型スクリーンは、所望する光学特性に合わせて、様々な構成を有するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、近年、透過型スクリーンを備える背面投射型表示装置に関して、その用途によっては、背面投射型表示装置の外形と透過型スクリーンの表面形状との一体感が要求される等、その意匠性が高く要求される場合がある。このような場合には、意匠面におけるシステム全体との調和も必要であり、当然ながら、表示装置としての映像の良好さも要求される。
特開2008−281910号公報
このような背面投射型表示装置は、レンズ面及び非レンズ面を有した単位レンズが複数配列されたフレネルレンズ形状が基材上に形成されたレンズ層を備えており、映像源から投射された映像光が、基材に入射して、レンズ面から出射する。
ここで、基材に入射した映像光の一部は、レンズ面の界面において反射し、その反射した光の一部が、非レンズ面から出射して、隣接する単位レンズのレンズ面に入射し、基材の入光面において再度反射して別の単位レンズの非レンズ面から出射してしまう場合があり、投射された映像光のゴースト(2重像)の原因となり、明瞭な映像表示の妨げとなる場合があった。
本発明の課題は、ゴースト等の表示不良を大幅に低減することができ、良好な映像を表示可能なフレネルレンズシート、透過型スクリーン及びこれを備える背面投射型表示装置を提供することである。
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
請求項1の発明は、映像光(L)の出光側に凸であってレンズ面(22b)と非レンズ面(22c)とを有する単位レンズ(22a)が基材(21)の出光側の面に複数配列されたフレネルレンズ形状を有するレンズ層(22)を備えたフレネルレンズシート(20)であって、前記レンズ層は、前記映像光の光源から前記レンズ層のフレネルレンズ形状の光学的中心までの距離をWとし、前記光学的中心から前記レンズ層の前記映像光の入射位置までの距離をRとし、前記入射位置における前記基材の出光側の面と鉛直方向とのなす角度[°]をθとし、空気中の光の屈折率をnとし、前記レンズ層の光の屈折率をnとし、前記レンズ面と前記基材の出光側の面とがなす角度[°]をαとし、前記非レンズ面と前記基材の出光側の面に垂直な面とがなす角度[°]をβとし、θ=arctan(R/W)とし、θ‘=θ−θとし、θ=arcsin(n/n×sinθ‘)とし、θ=α−θとし、θ=arcsin(n/n)とし、θ、θ‘、θ、θ、θの単位を[°]としたときに、β≧θ−90+α+θを満たすこと、を特徴とするフレネルレンズシートである。
請求項2の発明は、請求項1に記載のフレネルレンズシート(20)において、シート面が曲面をなすような湾曲形状に形成されていること、を特徴とするフレネルレンズシートである。
請求項3の発明は、一方の面側から投射された映像光(L)を他方の面側に透過して映像を表示する透過型スクリーン(10)であって、前記映像光の入光側に設けられた請求項1又は請求項2に記載のフレネルレンズシート(20)と、前記フレネルレンズシートの出光側に設けられ、光を拡散する作用を有する光拡散層(33)と、を備える透過型スクリーンである。
請求項4の発明は、請求項3に記載の透過型スクリーン(10)と、映像光(L)を投射する光源部(70)と、を備える背面投射型表示装置(1)である。
本発明によれば、ゴースト等の表示不良を大幅に低減することができ、良好な映像を表示可能なフレネルレンズシート、透過型スクリーン及びこれを備える背面投射型表示装置をとすることができる。
実施形態の背面投射型表示装置を説明する図である。 実施形態の透過型スクリーンの斜視図である。 実施形態の透過型スクリーンの層構成を説明する図である。 実施形態のフレネルレンズ層を説明する図である。 実施形態の光制御層を説明する図である。 フレネルレンズシートから生じる迷光を説明する図である。 実施形態のフレネルレンズシート及び光源部の配置関係や、単位レンズの形状等を説明する図である。 実施形態のフレネルレンズシートに透過する映像光の軌跡を示す図である。 実施例及び比較例の透過型スクリーンの形状や光源部の配置等を説明する図である。 比較例1及び実施例1のフレネルレンズシートに投射される映像光の軌跡を示す図である。 比較例2及び実施例2のフレネルレンズシートに投射される映像光の軌跡を示す図である。 実施例3のフレネルレンズシートに投射される映像光の軌跡を示す図である。
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張している。
また、板、シート、フィルム等の言葉を使用しているが、これらは、一般的な使い方として、厚さの厚い順に、板、シート、フィルムの順で使用されており、本明細書中でもそれに倣って使用している。しかし、このような使い分けには、技術的な意味は無いので、特許請求の範囲の記載は、シートという記載で統一して使用した。従って、シート、板、フィルムの文言は、適宜置き換えることができるものとする。
さらに、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値及び材料名等は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用してよい。
(実施形態)
図1は、本実施形態の背面投射型表示装置1を説明する図である。図1では、背面投射型表示装置1の奥行き方向に平行かつ鉛直方向に平行な断面を模式的に示している。
背面投射型表示装置1は、図1に示すように、透過型スクリーン10と、光源部70と、筐体80とを備えている。この背面投射型表示装置1は、光源部70から投射された映像光Lを、透過型スクリーン10の背面側へ投射し、透過型スクリーン10に映像を表示する。
なお、この背面投射型表示装置は、筐体内にミラーを設け、光源部70から投射された映像光Lを、ミラーで反射させて透過型スクリーンの背面側へ投射するようにしてもよい。
本実施形態の背面投射型表示装置1は、太陽光や照明光等といった外光の影響が大きい環境で使用されるものであり、例えば、自動車の内部や船舶の内部(例えば、運転席や機関室等)に配置される車載用や船舶用の背面投射型表示装置である。本実施形態では、背面投射型表示装置1は、その表示画面の画面サイズ(透過型スクリーン10の画面サイズ)が、対角6〜30インチ程度の小型のものを例に挙げて説明する。
なお、これに限らず、本実施形態の背面投射型表示装置1は、室内等のように、外光の影響がそれほど大きくない環境において使用することも可能であり、画面サイズも、上記のものよりも大きなものとしてもよい。
透過型スクリーン10は、図1に示すように、光源側(映像光の入光側)に凸となる湾曲形状を有している。この透過型スクリーン10の詳細に関しては、後述する。
光源部70は、透過型スクリーン10に対して映像光Lを投射する映像源である。本実施形態では、この光源部70は、例えば、LED(Light Emitting Diode)やレーザを利用したピコプロジェクタ等の小型の光源を用いることができる。
本実施形態の光源部70は、図1に示すように、透過型スクリーン10の背面側の下方に配置されている。
筐体80は、透過型スクリーン10を支持し、かつ、その内部に光源部70を配置している。この筐体80は、遮光性を有しており、不要な照明光や太陽光等の外光が透過型スクリーン10の背面側から入射することを防止する。また、迷光等を吸収して低減する観点から、筐体内部は黒色等の暗色系とすることが好ましい。
図2は、本実施形態の透過型スクリーン10の斜視図である。図2では、理解を容易にするために、透過型スクリーン10のみを簡略化して示している。
図2に示すように、透過型スクリーン10は、その全体を見た場合、スクリーン面が三次元曲面をなすような湾曲形状に形成されている。なお、透過型スクリーン10は、スクリーン面が二次元曲面をなすような湾曲形状を有していてもよい。
ここで、スクリーン面とは、この透過型スクリーン10全体として見たときにおける、透過型スクリーン10の画面(表示面)となる面方向である。また、「二次元曲面」とは、単一の軸を中心として二次元的に湾曲しているもの、或いは、互いに平行な複数の軸を中心として異なる曲率で二次元的に湾曲しているものを意味するものとし、「三次元曲面」とは、互いに対して角度をなす複数の軸をそれぞれ中心として、部分的に又は全体的に湾曲しているものを意味するものとする。
本実施形態の透過型スクリーン10は、図2に示すように、正面方向から見た場合の対角線の一方と平行で透過型スクリーン10の観察者側(出光側)に位置する第1の軸A1を中心とした方向B1に光源側(入光側)に凸となるように湾曲し、かつ、他方の対角線と平行で透過型スクリーン10の観察者側に位置する第2の軸A2を中心とした方向B2に光源側に凸となるように湾曲している。
そして、透過型スクリーン10の表示面(出光面)において、その表示領域の幾何学的中心となる点C(透過型スクリーン10の平面形状をなす矩形状の一対の対角線が交わる点)が観察者側から見て最も凹んだ形態となっている。なお、透過型スクリーン10は、観察者側から見て最も凹んだ点が、点Cとは異なる点となる形態としてもよい。
また、透過型スクリーン10は、観察者側の面(出光面)の観察者側から見て最も凹んだ形態となる点Cにおける法線方向Nに直交する平面(即ち、観察者側から見て最も凹んだ点Cでの接面)が、鉛直方向(画面上下方向)に平行となる。
このような透過型スクリーン10において、湾曲形状の曲率半径は、その画面サイズにも依るが、2000mm以下であることが好ましく、250mm以上であり1500mm以下であることがより好ましい。
なお、本実施形態では、透過型スクリーン10は、スクリーン面(表示面)が光源側(入光側)に凸(即ち、観察者側へ凹)となる湾曲形状を有する例を示したが、これに限らず、例えば、観察者側(出光側)に凸となるような湾曲形状を有していてもよい。また、観察者側に凸となる部分と光源側に凸となる部分とを組み合わせた形状としてもよい。
また、湾曲形状の軸となる第1の軸A1、第2の軸A2は、透過型スクリーン10を正面方向から見た場合の画面(表示面)の矩形形状の対角線にそれぞれ平行である例を示したが、これに限られるものでない。例えば、第1の軸A1、第2の軸A2は、透過型スクリーン10を正面方向から見た場合に、観察画面の幾何学的中心となる点Cを通り画面上下方向に平行な方向と、画面左右方向に平行な方向とをそれぞれ第1の軸、第2の軸としてもよい。
図3は、本実施形態の透過型スクリーン10の層構成を説明する図である。
図3では、透過型スクリーン10の点Cを通り画面上下方向及び厚み方向に平行な断面の一部を拡大して示している。
本実施形態の透過型スクリーン10は、図3に示すように、その厚み方向において、光源側(入光側、背面側)に位置するフレネルレンズシート20と、観察者側(出光側)に位置する積層体30とを備えている。
フレネルレンズシート20は、光源部70から投射され、フレネルレンズシート20へ入光側(背面側)から入射した光を、観察者側へ偏向させ、略正面方向Nへ進む光束とする機能を有する。
このフレネルレンズシート20は、その入光側(背面側)から順に、フレネル基材層21(基材)と、フレネルレンズ層22(レンズ層)とを備え、これらが一体に積層されている。
本実施形態では、フレネルレンズシート20の入光面が、透過型スクリーン10の入光面10aとなる。
フレネル基材層21は、最も入光側に設けられた層であり、フレネルレンズシート20の基材となる層である。フレネル基材層21は、光透過性を有する樹脂製のシート状の部材を用いることができる。なお、フレネル基材層21は、厚みが均一であり、入光側の面と、出光側の面とが平行に形成されている。
フレネル基材層21は、例えば、ポリカーネート(PC)樹脂や、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂や、メタクリル酸メチル・ブタジエン・スチレン(MBS)樹脂、メタクリル酸メチル・スチレン(MS)樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂等により形成されたシート状の部材を用いることができる。
またフレネル基材層21の厚みは、透過型スクリーン10の画面サイズにもよるが、1.0〜4.0mmとすることが好ましい。フレネル基材層21の厚みが、1.0mm未満の場合には、剛性が不十分であり、4.0mmを超える場合には、フレネルレンズシート20から出射する映像光とフレネルレンズシート20内で発生する迷光とのずれが大きくなり、2重像が生じやすくなる。従って、上記範囲とすることが好ましい。
このフレネル基材層21は、光を拡散する拡散材を含有していてもよいし、拡散材を含有しない層と拡散材を含有する層を共押し出し成形した形態としてもよい。
フレネルレンズ層22は、フレネル基材層21の出光側(観察者側)に形成され、その出光側の面に単位レンズ22aが複数配列されて形成されたフレネルレンズ形状が形成されている。フレネルレンズ層22は、フレネルレンズシート20に入射した映像光を、略正面方向(点Cにおける接面の法線方向N)へ偏向して出光側へ向かわせる機能を有している。
図4は、本実施形態のフレネルレンズ層22を説明する図である。図4(a)は、図3に示すフレネルレンズシートの断面をさらに拡大して示している。図4(b)は、フレネルレンズ層22を観察者側の正面方向(法線方向N)から見た図である。なお、理解を容易にするために、図4では、フレネルレンズ層22を略平板状として示している。また、図4(a)では、各単位レンズ22aが、入光面側において、隣接する単位レンズ22aとつながっているが、以降に示す図6〜8、図10〜12においては、この各単位レンズ間のつながりは省略して図示している。
単位レンズ22aは、図4(a)に示すように、出光側に凸であり、その断面形状が、略三角形形状であり、レンズ面22bと非レンズ面22cとを有している。
本実施形態のフレネルレンズ層22は、その出光側の面に屈折型のフレネルレンズ形状を有している。図4(b)に示すように、ここでは、フレネルレンズ層22は、単位レンズ22aが点Fを中心として同心円状に配列されたサーキュラーフレネルレンズ形状を有する例を挙げて説明するが、これに限らず、リニアフレネルレンズ形状を有していてもよい。
本実施形態の単位レンズ22aが配列される同心円の中心(即ち、サーキュラーフレネルレンズ形状の光学的な中心、以下、光学的中心という)となる点Fは、図4(b)に示すように、フレネルレンズシート20の正面方向(透過型スクリーン10の点Cにおける接面の法線方向N)から見た場合に、正面方向から見て点Cに対応する出光面側の点C2(フレネルレンズシート20の幾何学的中心)を通る画面上下方向に平行な直線上であって、フレネルレンズシート20の下方に位置している。
なお、これに限らず、点Fは、点C2を通る画面上下方向に平行な直線上であってフレネルレンズシート20上に位置していてもよいし、また、フレネルレンズシート20の幾何学的な中心C2上に位置していてもよく、要求される性能に応じて適宜設定することができる。
フレネルレンズ層22は、ウレタンアクリレートやエポキシアクリレート等の紫外線硬化型樹脂を用いてフレネル基材層21に一体に形成されている。なお、これに限らず、フレネルレンズ層22は、電子線硬化型樹脂等の他の電離放射線硬化型樹脂を用いて形成してもよい。また、リニアフレネルレンズ形状を有する場合には、フレネルレンズ層22及びフレネル基材層21を一体として、熱可塑性樹脂を押し出し成形する等して作製してもよい。
図3に戻って、積層体30の層構成について説明する。
積層体30は、映像光の入光側から順に、光制御層32、接合層36、光拡散層33、着色層34、接合層36、基板層31、出光側機能層35を備えている。
以下、積層体30の各層について説明する。
基板層31は、透過型スクリーン10の剛性を高める機能を有する層である。この基板層としては、光透過性を有する樹脂製等の板状の部材を用いることができる。
本実施形態の基板層31は、出光側機能層35及び着色層34の間に配置される。
この基板層31は、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリエステル樹脂、PC樹脂、アクロニトリル・スチレン(AS)樹脂等を押し出し成形する等により形成された板状の部材を用いることができる。また、この基板層31の厚さは、約1.5〜5.0mmとすることが、スクリーンとしての十分な剛性の確保や、曲面加工の容易性等の観点から好ましい。
図5は、本実施形態の光制御層32を説明する図である。図5(a)は、光制御層32の断面の一部(透過型スクリーン10の画面上下方向に平行であって厚み方向に平行な断面の一部)を拡大して示している。図5(b)は、光制御層32を観察者側(出光側)の正面方向から見た一部を拡大して示している。なお、図5では、理解を容易にするために、光制御層32は、平板状として示している。
光制御層32は、基材部321と、光透過部322と、光吸収部323とを備えている。この光制御層32は、図3に示すように、接合層36を介して光拡散層33の光源側(入光側)に接合されている。
基材部321は、光制御層32のベース(基材)となる層である。
基材部321は、例えば、PC樹脂や、PET樹脂、TAC(トリアセチルセルロース)樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂、MS樹脂等により形成された、厚さが75〜200μmのシート状の部材を用いることができる。
光透過部322は、基材部321の出光側(観察者側)の面に形成されている。
光透過部322は、図5に示すように、出光側に凸となる柱状であり、その柱部が画面左右方向に延在し、基材部321の出光側の面に沿って画面上下方向に複数配列されている。光透過部322は、その配列方向に平行であって透過型スクリーン10の厚み方向に平行な断面における柱部の形状が、図5(a)に示すように、出光側を上底とし、入光側を下底とする略台形形状である。
本実施形態の光透過部322は、その柱部の断面形状が等脚台形であり、図5(a)に示すように、画面上下方向(配列方向)において対称な形状である。
この光透過部322は、光透過性を有する樹脂で形成されている。本実施形態の光透過部322は、ウレタンアクリレート等の紫外線硬化型樹脂を用いて紫外線成形法により形成されているが、これに限らず、電子線硬化型樹脂等の他の電離放射線硬化型樹脂により形成してもよい。
また、光透過部322は、PET樹脂等の熱可塑性樹脂等を用いて熱溶融押出成形法により形成されてもよく、光透過部322が十分な厚みや剛性等を有するならば、前述の基材部321を設けない形態としてもよい。
光吸収部323は、図5(a)に示すように、隣り合う光透過部322の柱部間の谷部に形成され、光を吸収する作用を有する部分である。
この光吸収部323は、図5(b)に示すように、画面左右方向に延在し、光制御層32の出光側の面に沿って光透過部322の柱部と画面上下方向に交互に配置される形態となっている。また、光透過部322の出光側の面と光吸収部323の出光側の面とで光制御層32の出光側の面が形成されている。
光吸収部323は、その配列方向に平行であって透過型スクリーン10の厚み方向に平行な断面における断面形状が楔形形状である。
ここで、楔形形状とは、一方の端部の幅が広く、他方に向けて次第に幅が狭くなる形状をいい、三角形形状や台形形状等を含む。従って、光吸収部323は、図5(a)に示すように、その断面形状が、観察者側(出光側)を下底、光源側(入光側)を上底とする略台形形状としてもよいし、光源側を頂点とする略三角形形状としてもよい。
本実施形態の光吸収部323は、黒色ビーズ等の光吸収材を含有した光透過性を有する樹脂を、光透過部322の柱部間の谷部にワイピング(スキージング)して充填し、硬化させる等して形成されている。
光吸収部323に用いられる光透過性を有する樹脂としては、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等の紫外線硬化型樹脂や電子線硬化型樹脂等の電離放射線硬化型樹脂が挙げられる。
光吸収部323に用いられる光吸収材は、可視光領域の光を吸収する機能を有する粒子状等の部材であり、例えば、カーボンブラック、グラファイト、黒色酸化鉄等の金属塩、顔料や染料、顔料や染料で着色された樹脂粒子等である。顔料や染料で着色された樹脂粒子を用いる場合には、その樹脂粒子は、アクリル系樹脂や、PC樹脂、PE(ポリエチレン)樹脂、PS(ポリスチレン)樹脂、MBS樹脂、MS樹脂等により形成されたものを用いることができる。
この光吸収部323の屈折率は、光透過部322の屈折率よりも小さいことが、映像光の光線制御の観点から好ましい。従って、光吸収部323に用いられる光透過性を有する樹脂は、光透過部322を形成する樹脂よりも屈折率が小さいものが好ましい。
なお、光吸収部323の屈折率は、求める光学性能等に応じて、光透過部322の屈折率と同じものとしてもよいし、光透過部322の屈折率よりも大きくしてもよく、適宜設定してよい。
図5(a)に示すように、この光透過部322(光吸収部323)の配列ピッチはP1であり、光透過部322の厚みはD1であり、配列方向における光透過部322の柱部の上底の寸法はW1である。また、配列方向における光吸収部323の下底の寸法はW2であり、上底の寸法はW3であり、厚み方向における光吸収部323の寸法はH1である。さらに、光透過部322と光吸収部323との界面が透過型スクリーン10の厚み方向となす角度はθである。
この光制御層32は、光吸収部323により、観察者側から入射した外光Gを吸収することができ、映像のコントラストを向上させることができる。また、光吸収部323は、スクリーン内で発生した迷光等も吸収することができる。
さらに、光透過部322の屈折率が光吸収部323の屈折率よりも大きい場合には、光透過部322と光吸収部323との界面に臨界角以上の角度で入射する映像光Lは、その界面で全反射して出光側へ向かうので、光制御層32は、映像光を効率よくその出光側の視野角範囲内へ向けることができ、輝度の高い明るい映像を表示できる。
図3に戻り、光拡散層33は、光を拡散する作用を有する層である。光拡散層33は、光制御層32の観察者側(出光側)に接合層36を介して接合されている。本実施形態の光拡散層33は、光を等方的に拡散する作用を有している。
この光拡散層33は、光透過性を有する樹脂に、光を拡散する拡散材を含有させたシート状の部材を用いることができる。
光拡散層33の母材となる光透過性を有する樹脂としては、例えば、MBS樹脂、アクリル樹脂、PC樹脂、PET樹脂等が挙げられる。
また、拡散材としては、プラスチックビーズ等の有機フィラーであり、特に、透明度の高いものが好ましい。このようなプラスチックビーズとしては、メラミン樹脂製、アクリル樹脂製、AS樹脂製、PC樹脂製等の粒子状等のものを適用可能である。また、シリコン系ビーズも拡散材として使用可能である。さらに、所望する拡散性能等に合わせて、これらの光拡散材を適宜選択し、所定の割合で組み合わせる等して使用可能である。このような拡散材は、例えば、その平均粒径が約1〜30μmのものを使用することが好ましい。
光拡散層33の厚さは、0.05〜2.0mmとすることが好ましい。光拡散層33の厚みが、0.05mm未満となると、光拡散効果が不十分となる可能性があり、また、2.0mmを超えると、透過型スクリーン10に表示される映像がぼやけ、解像度が低下する可能性がある。従って、光拡散層33の厚さは、上記の範囲内が好ましい。
着色層34は、光拡散層33よりも出光側(観察者側)に設けられ、所定の色及び濃度で着色されたシート状の部材である。着色層34は、出光側の面が、接合層36を介して基板層31に接合されている。着色層34は、観察者側から透過型スクリーン10に入射する外光を吸収する機能や、透過型スクリーン10内で発生した迷光等を吸収する機能等を有する。
着色層34は、光吸収材や着色剤を含有した透明樹脂により形成されている。この着色層34の母材となる透明樹脂は、MBS樹脂や、アクリル樹脂、PC樹脂、PET樹脂等を用いることができる。また、着色層34に含有される光吸収材は、カーボンブラック、グラファイト、黒色酸化鉄等の金属塩等が用いられ、着色剤としては、グレー系や黒色系等の暗色系の染料や顔料等を用いることができる。
着色層34は、その厚さが、10〜200μmとすることが好ましい。着色層34の厚みが10μm未満であると、外光等を吸収する作用が不十分となる可能性がある。また、着色層34の厚みが200μmを超えると、映像光の透過率が低下することに加え、光源部70の出力を高める必要が生じて消費電力が増大する可能性がある。従って、着色層34の厚さは、上記範囲内とすることが好ましい。
本実施形態の着色層34及び光拡散層33は、共押し出し成形することにより一体に形成されており、着色層34と光拡散層33との間には、接合層等を有していない。しかし、これに限らず、着色層34及び光拡散層33を別々に成形し、不図示の接合層等を介して、この積層体30内に積層される形態等としてもよいし、その積層体30内での位置も適宜変更してよい。
出光側機能層35は、透過型スクリーン10の最も出光側(観察者側)に配置される層であり、本実施形態では、基板層31の出光側に配置される。この出光側機能層35は、ハードコート機能や、反射防止機能、帯電防止機能、紫外線吸収機能、防汚機能等の少なくとも1つの機能を有する層である。
本実施形態の出光側機能層35は、ハードコート機能を有しており、JIS K5600−5−4(1994)で規定される鉛筆硬度試験で「2H」以上の硬度を有している。この出光側機能層35は、例えば、ハードコート機能を有するアクリル系の紫外線硬化型樹脂、又は、アクリル系の熱硬化型樹脂を、基板層31の出光側の面に塗布して、硬化させることにより形成される。
接合層36は、透過型スクリーン10を構成する各層を一体に接合する層である。本実施形態の接合層36は、光制御層32と光拡散層33との間、着色層34と基板層31との間に設けられ、これらの層を一体に接合している。
この接合層36は、例えば、紫外線硬化型のアクリル系樹脂や、圧力により粘着性が顕在化する感圧粘着型のアクリル系樹脂等を用いることができる。
また、接合層36の厚さは、透過型スクリーン10の大きさや使用環境、接合する各層の樹脂の特性、接合層として使用する樹脂の特性等に合わせて、10〜100μmの範囲内で適宜選択できる。
この透過型スクリーン10は、例えば、以下のように形成される。
まず、熱可塑性樹脂を押し出し成形する等により、シート状のフレネル基材層21を作製し、所定の大きさに裁断する。そして、その枚葉状のフレネル基材層21とフレネルレンズ形状を賦形する成形型との間に、紫外線硬化型樹脂を充填した状態で、紫外線を照射してこの紫外線硬化型樹脂を硬化させ、成形型から離型する紫外線成形法等により、フレネル基材層21の片面にフレネルレンズ層22が形成された略平板状のフレネルレンズシートが作製される。
次に、この略平板状のフレネルレンズシートを加熱して軟化させ、フレネル基材層21側が凸となるように、所定の曲面形状を有した不図示の型面に押圧する等して曲面成形する。これにより、曲面形状を有するフレネルレンズシート20が完成する。
一方、積層体30は、まず、基板層31、光制御層32、光拡散層33及び着色層34をそれぞれ個別に形成し、そのそれぞれを、接合層36により接合することによって一体に形成される。
そして、この一体に接合された積層体を、加熱して軟化させ、光制御層32側が凸となるように、上述のような所定の曲面形状を有した不図示の型面に押圧する等して曲面成形し、積層体30が形成される(図3参照)。なお、この曲面成形は、真空成形法を用いることが好ましい。
そして、この曲面成形された積層体30を、曲面成形されたフレネルレンズシート20の観察者側に配置することにより、透過型スクリーン10が完成する。
この透過型スクリーン10における映像光L及び外光Gの様子を説明する。
本実施形態の透過型スクリーン10において、光源部70から投射された映像光Lは、図3に示すように、透過型スクリーン10に入射する。
映像光Lは、まず、フレネルレンズシート20内を透過し、フレネルレンズ層22によって正面方向(前述の点Cにおける接面の法線方向N)へ偏向されて出射され、積層体30へ入射する。
積層体30に入射した映像光Lは、光制御層32に入射し、一部はそのまま正面方向へ出射し、他の一部は光透過部322と光吸収部323との界面で全反射する等して画面上下方向へ拡散される(図5(a)参照)。このとき、角度θは所定の値となっており、画面上下方向への拡散の度合いは小さいので、正面輝度の低下や画面上下方向への必要以上の拡散を招くことはない。
そして、映像光Lは、さらに光拡散層33で等方的に拡散され、着色層34及び出光側機能層35を透過して観察者側へ出射する。
一方、観察者側から透過型スクリーン10へ入射する太陽光や照明光等の外光G(図3,図5参照)は、一部が着色層34で吸収され、一部が光吸収部323で吸収される。従って、照明光等の外光によるコントラストの低下を大幅に改善することができる。
次に、フレネルレンズシートから生じる迷光について説明する。
図6は、フレネルレンズシートから生じる迷光を説明する図である。図6(a)は、フレネルレンズシートに入射した映像光の軌跡を示す図であり、図6(b)は、図6(a)のb部詳細を示す図である。
なお、図6では、理解を容易にするために、フレネルレンズシートは、平板状として示している。また、以下の図6のフレネルレンズシート120の説明において、本実施形態のフレネルレンズシート20と同様の機能を果たす部分には、末尾(下二桁)に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
図6(a)に示すように、フレネルレンズシート120に入射した映像光Lは、その大部分がフレネル基材層121及びフレネルレンズ層122を透過してレンズ面122bから出射する。
このとき、レンズ面122bを出射した映像光Lの一部が、迷光Pとなる。具体的には、図6(b)に示すように、レンズ面122bを出射した映像光Lの一部であって、隣接する単位レンズ122aの非レンズ面122cとの境界に近い位置から出射する映像光L1が、隣接する単位レンズ122aの非レンズ面122cに全反射して迷光p1になったり、隣接する単位レンズ122aの非レンズ面122cに入射して、その単位レンズのレンズ面122bから観察者側に出射して迷光p2になったりする。
また、フレネルレンズシート120に入射した映像光Lの一部が、図6(a)に示すように、単位レンズ122aのレンズ面122bの界面で反射する。この反射光の一部(L2)は、非レンズ面122cから出射して隣接する単位レンズ122aのレンズ面122bに入射し、フレネル基材層121の入光面の界面で反射して、他の単位レンズ122aの非レンズ面122cから迷光Qとなって観察者側に出射する。
このような迷光P(p1、p2)や、迷光Qは、投射された映像光が2重像になってしまう、いわゆるゴーストの発生要因や、像がぼけて解像度の低下要因になってしまい、投射型スクリーンの明瞭な映像表示の妨げとなっていた。
そこで、本実施形態のフレネルレンズシート20は、単位レンズ22aの形状を以下の方法で特定することにより、上述の迷光P、Qの発生を抑制する。
図7は、本実施形態のフレネルレンズシート及び光源部の配置関係や、単位レンズの形状等を説明する図である。図7(a)は、フレネルレンズシートと光源部との配置関係を示す図であり、図7(b)は、単位レンズの形状と、それに入射する映像光Lとの関係を示す図である。
図8は、本実施形態のフレネルレンズシートに透過する映像光の軌跡を示す図である。なお、図7及び図8では、理解を容易にするために、フレネルレンズシートは、平板状として示している。
(迷光Pの抑制)
フレネルレンズシート20は、図7(b)に示すように、単位レンズ22aのレンズ面22bとフレネル基材層21の出光面とがなす角度[°]をαとし、非レンズ面22cとフレネル基材層21の出光面に垂直な面とがなす角度[°]をβとしたときに、βが以下の式(1)を満たすようにして単位レンズ22aが形成される。
式(1) β≧α−θ
ここで、Wは、図7(a)に示すように、映像光Lの光源部70からフレネルレンズ層22のフレネルレンズ形状の光学的中心Fまでの距離を示し、Rは、光学的中心Fからフレネルレンズ層22の映像光Lの入射位置までの距離を示すものとする。
また、θは、図7(b)に示すように、上記入射位置におけるフレネル基材層21の出光面と鉛直方向(画面上下方向)とのなす角度[°]を示しており、湾曲したフレネルレンズシート20の単位レンズ22aの傾きを示す。
更に、nは、空気中の光の屈折率を示し、nは、フレネルレンズ層22の光の屈折率を示す。
また、θ=arctan(R/W)であり、
θ‘=θ−θであり、
θ=arcsin(n/n×sinθ‘)であり、
θ=α−θであり、
θ=arcsin(n/n×sinθ)である。
また、θ、θ‘、θ〜θの単位は、[°]である。
上述の式(1)を満たすようにして単位レンズ22aを形成することにより、透過型スクリーン10は、図8に示すように、映像光L1が、非レンズ面22cに反射又は入射してしまうのを抑制することができ、上述の迷光P(図6参照)が発生してしまうのを大幅に抑制することができる。これにより、透過型スクリーン10は、迷光Pが起因となるゴーストの発生を抑制することができ、良好な映像を表示することができる。
(迷光Qの抑制)
フレネルレンズシート20は、βが下記式(2)を満たすようにして単位レンズ22aが形成される。
式(2) β≧θ−90+α+θ
ここで、θ=arcsin(n/n)であり、その単位は[°]である。
なお、上記式(2)は、図7(b)に示すθが、θ≧θを満たす必要があることから導かれる。ここで、θ[°]は、図7(b)に示すように、θ=90−α+β−θと導かれる。
上述の式(2)を満たすようにして単位レンズ22aを形成することにより、透過型スクリーン10は、図8に示すように、レンズ面22bの界面で反射した映像光L2を、非レンズ面22cで全反射させ、その反射した光をフレネル基材層21の入光面から光源側へ出射させることができるので、上述の迷光Q(図6参照)が発生してしまうのを大幅に抑制することができる。ここで、フレネル基材層21の光源側に配置される筐体内部が暗色系に着色されているので、このフレネル基材層21の入光面から出射した光は、その筐体内部で吸収されることとなる。これにより、透過型スクリーン10は、迷光Qが起因となるゴーストの発生を抑制することができ、良好な映像を表示することができる。
なお、上述の式(1)に加え、式(2)も満たすようにβを設定することにより、透過型スクリーン10は、迷光Pだけでなく、迷光Qの発生も同時に抑制することができ、迷光P及び迷光Qが起因となるゴーストの発生を抑制することができ、更に良好な映像を表示することができる。
次に、上述の式(2)を満たすようにβを設定した透過型スクリーン10(実施例1〜3)と、比較例の透過型スクリーンとに投射された映像光Lの軌跡のシミュレーション結果を比較評価する。
図9は、実施例及び比較例の透過型スクリーンの形状や光源部の配置等を説明する図である。図9(a)は、平板状の透過型スクリーンの形状等を説明する図であり、図9(b)は、湾曲形状の透過型スクリーンの形状等を説明する図である。
図10は、比較例1及び実施例1のフレネルレンズシートに投射される映像光の軌跡を示す図である。図10(a)は、比較例1のフレネルレンズシートに投射される映像光の軌跡を示し、図10(b)は、実施例1のフレネルレンズシートに投射される映像光の軌跡を示す。
図11は、比較例2及び実施例2のフレネルレンズシートに投射される映像光の軌跡を示す図である。図11(a)は、比較例2のフレネルレンズシートに投射される映像光の軌跡を示し、図11(b)は、実施例2のフレネルレンズシートに投射される映像光の軌跡を示す。
図12は、実施例3のフレネルレンズシートに投射される映像光の軌跡を示す図である。
実施例1、2の透過型スクリーン10は、図9(a)に示すように、上下方向に300mm、画面左右方向に500mmの矩形状のスクリーンである。また、この透過型スクリーン10は、画面左右方向の中心線上(画面左右端部から250mm)であって、上下方向の下端から100mmの位置にフレネルレンズ形状の光学的中心Fが配置されている。
比較例1、2の透過型スクリーンは、上述の実施例1、2の透過型スクリーン10と同様の層構成を有しており、その外形及び光学的中心も、上述の実施例1、2の透過型スクリーン10と同様である。
実施例3の透過型スクリーン10は、図9(b)に示すように、スクリーン面が二次元曲面をなすような湾曲形状に形成されている。この透過型スクリーン10は、上下方向に300mm、画面左右方向に500mmの矩形状のスクリーンを、対角線に平行であって観察者側(出光側)に位置する軸A1、A2を中心として光源側に凸となるように湾曲されており、その湾曲半径は、1000mmである。また、この透過型スクリーン10は、湾曲前の平板状態における光学的中心Fが、画面左右方向の中心線上(画面左右端部から250mm)であって、上下方向の下端から100mmの位置に配置されている。
なお、各実施例、各比較例ともに光源部は、透過型スクリーンの入光面側の光学的中心から400mmの位置に配置される。
(実施例1及び比較例1)
比較例1の透過型スクリーンのフレネルレンズ層は、下記表1の左欄に示すような光の入射条件及び形状を有しており、単位レンズの非レンズ面とフレネル基材層の出光面に垂直な面とがなす角度βが0°に形成されている。これに対して、実施例1の透過型スクリーン10のフレネルレンズ層22は、表1の右欄に示すような光の入射条件及び形状を有しており、上述の式(2)に基づいて、単位レンズ22aの非レンズ面22cのβが15°に形成されている。
Figure 2015152891
比較例1のフレネルレンズ層122は、図10(a)に示すように、入射した映像光Lの一部が、単位レンズ122aのレンズ面122bの界面で反射する。この反射光の一部(L2)は、非レンズ面122cから出射して隣接する単位レンズ122aのレンズ面122bに入射し、フレネル基材層121の入光面の界面で反射してしまう。そして、その反射光が他の単位レンズ122aの非レンズ面122cから迷光Qとなって観察者側に出射してしまう(図6(a)参照)。
これに対し、実施例1のフレネルレンズ層22は、式(2)に基づいてβを決めているため、図10(b)に示すように、レンズ面22bの界面で反射した映像光L2を、非レンズ面22cで全反射させ、その反射した光をフレネル基材層21の入光面から光源側へ出射させることができる。ここで、フレネル基材層21の光源側に配置される筐体内部が暗色系に着色されているので、このフレネル基材層21の入光面から出射した光は、その筐体内部で吸収されることとなる。
(実施例2及び比較例2)
比較例2の透過型スクリーンのフレネルレンズ層は、下記表2の左欄に示すような光の入射条件及び形状を有しており、単位レンズの非レンズ面とフレネル基材層の出光面に垂直な面とがなす角度βが10.0°に形成されている。これに対して、実施例2の透過型スクリーン10のフレネルレンズ層22は、表2の右欄に示すような光の入射条件及び形状を有しており、上述の式(2)に基づいて、非レンズ面22cのβが23.8°に形成されている。
Figure 2015152891
比較例2のフレネルレンズ層122は、非レンズ面122cとフレネル基材層121の出光面に垂直な面とがなす角度βを10.0°としているが、この場合でも図11(a)に示すように、単位レンズ122aのレンズ面122bの界面で反射した反射光の一部(L2)が、非レンズ面122cから出射して隣接する単位レンズ122aのレンズ面122bに入射し、フレネル基材層121の入光面の界面で反射してしまう。そして、その反射光が他の単位レンズ122aの非レンズ面122cから迷光Qとなって観察者側に出射してしまう(図6(a)参照)。
これに対し、実施例2のフレネルレンズ層22は、式(2)に基づいてβを決めているため、図11(b)に示すように、レンズ面22bの界面で反射した映像光L2を、非レンズ面22cで全反射させ、その反射した光をフレネル基材層21の入光面から光源側へ出射させることができる。ここで、フレネル基材層21の光源側に配置される筐体内部が暗色系に着色されているので、このフレネル基材層21の入光面から出射した光は、その筐体内部で吸収されることとなる。
(実施例3)
実施例3の透過型スクリーン10のフレネルレンズ層22は、上述したように湾曲形状に形成されている。すなわち、実施例3のフレネルレンズ層22は、映像光Lの入射位置におけるフレネル基材層21の出光面が、鉛直方向(画面上下方向)に対して所定の角度θで傾いている。このフレネルレンズ層22は、下記表3に示すような光の入射条件及び形状を有しており、上述の式(2)に基づいて、非レンズ面22cのβが10.0°に形成されている。
Figure 2015152891
実施例3のフレネルレンズ層22は、上述したように湾曲形状に形成されているが、式(2)に基づいてβの値を決めているため、図12に示すように、レンズ面22bの界面で反射した映像光L2を、非レンズ面22cで全反射させ、その反射した光をフレネル基材層21の入光面から光源側へ出射させることができる。ここで、フレネル基材層21の光源側に配置される筐体内部が暗色系に着色されているので、このフレネル基材層21の入光面から出射した光は、その筐体内部で吸収されることとなる。
また、実施例3のフレネルレンズ層22は、θに傾いた湾曲形状にすることによって、上述の比較例2のフレネルレンズ層22に比して、βの値を変化させることなく、レンズ面22bの界面で反射した映像光L2を、非レンズ面22cで全反射させ、その反射した光をフレネル基材層21の入光面から光源側へ出射させることができる。
以上より、上述の式(2)に基づいてβの角度が決定されたフレネルレンズシート20(実施例1〜3)は、平板状に形成される場合だけでなく、湾曲形状に形成される場合においても、レンズ面22bの界面で反射した映像光L2を、非レンズ面22cで全反射させ、その反射した光をフレネル基材層21の入光面から光源側へ出射させることができ、上述の迷光Q(図6参照)の発生を抑制することができることが確認された。これにより、透過型スクリーン10は、迷光Qが起因となるゴーストの発生を抑制することができ、良好な映像を表示することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、後述する変形形態のように種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。なお、前述した実施形態及び後述する変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
(変形形態)
(1)本実施形態では、透過型スクリーン10(フレネルレンズシート20)は、光源側(入光側)に凸となる湾曲形状に形成される例を示したが、これに限定されるものでない。透過型スクリーンは、例えば、平板状に形成されるようにしてもよく、また、観察者側(出光側)に凸となる湾曲形状に形成されるようにしてもよい。さらに、フレネルレンズシートが平板状であって、積層体が若干湾曲し、透過型スクリーン全体としては湾曲形状に形成されるようにしてもよい。
(2)本実施形態において、積層体30は、光源側(入光側)から順に、光制御層32、接合層36、光拡散層33、着色層34、接合層36、基板層31、出光側機能層35を備える例を示したが、これに限らず、その層構成等は、所望する光学性能に応じて適宜変更してよい。
(3)本実施形態において、積層体30は、光制御層32を備える例を示したが、これに限らず、例えば、光制御層32を備えていない形態としてもよい。例えば、積層体30は、基板層31と、光拡散層33と、着色層34と、出光側機能層35とを一体に積層した形態としてもよいし、レンチキュラーレンズ層等の光学形状を有する層を有する形態としてもよい。また、積層体30に替えて、入光側に単位レンズが水平方向に配列され、その単位レンズの表面に、単位レンズの形状に沿って着色層が形成されたレンチキュラーレンズシート等を有する形態としてもよい。
(4)フレネル基材層21の入光側の面又は出光側の面に、反射防止機能や、帯電防止機能、防汚機能等の機能を適宜備えた機能層を設けるようにしてもよい。
(5)本実施形態において、光源部70は、背面投射型表示装置1の使用状態において、透過型スクリーン10に対して、図1に示すように、鉛直方向下側から映像光を投射する例を挙げて説明したが、これに限らず、例えば、透過型スクリーン10に対して鉛直方向上側から映像光を投射する形態としてもよい。この場合、フレネルレンズ形状の光学的中心Fは、フレネルレンズシートの幾何学的中心C2に対して上側に配置される必要がある。
(6)本実施形態において、出光側機能層35を設ける例を示したが、これに限らず、基板層31が十分な耐擦傷性等を有するのであれば、出光側機能層35を設けない形態としてもよい。このような形態とすることにより、生産工程の短縮化、生産コストの低減等の効果を奏することができる。
(7)本実施形態において、着色層34は、光拡散層33と共に共押し出し成形され、光拡散層33の観察者側に配置される例を示したが、これに限らず、例えば、着色層34は、単層で押し出し成形され、光制御層32と基板層31との間や、光拡散層33と光制御層32との間等に設けてもよい。
本実施形態において、光拡散層33と着色層34とを備える例を示したが、これに限らず、光拡散層33に光吸収材や着色剤を含有させた形態とし、着色層34を設けない形態としてもよい。
また、所望する光学特性等によっては、光拡散層33に加えて、着色層34が光拡散材を含有する形態としてもよい。
(8)本実施形態において、光透過部322及び光吸収部323の断面形状は、略等脚台形状である例を示したが、これに限らず、例えば、1つの光透過部322の画面上下方向において、光吸収部323との界面がシートの厚み方向となす角度θにおいて、上側の角度θと下側の角度θとが異なる大きさのもの、即ち、光透過部及び光吸収部が、画面上下方向において非対称な形状のものとしてもよい。
また、角度θは、光透過部322及び光吸収部323の配列方向(画面上下方向)において、変化する形態としてもよい。
さらに、光吸収部323の断面形状は、出光側の幅が入光側の幅よりも小さい楔形形状としてもよい。この場合、光吸収部323及び光透過部322の出光側に基材部321が位置する形態としてもよい。このような形態とした場合には、よりコントラストを向上させることができる。また、光吸収部323の断面形状は、矩形状としてもよい。
さらにまた、光制御層32は、光透過部322及び光吸収部323が画面上下方向に延在し、画面左右方向に交互に配置されるようにしてもよい。
(9)本実施形態において、光制御層32は、1層である例を示したが、これに限らず、例えば、光透過部322及び光吸収部323が画面上下方向に延在し、画面左右方向に配列された第2の光制御層をさらに備える形態としてもよい。
(10)本実施形態において、接合層36は、着色剤や拡散材を含有していない例を挙げて説明したが、これに限らず、所望する光学性能に合わせて、拡散材や着色剤、紫外線吸収剤等を添加してもよい。
なお、本実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。
1 背面投射型表示装置
10 透過型スクリーン
20 フレネルレンズシート
21 フレネル基材層
22 フレネルレンズ層
22a 単位レンズ
22b レンズ面
22c 非レンズ面
30 積層体
31 基板層
32 光制御層
33 光拡散層
34 着色層
35 出光側機能層
70 光源部

Claims (4)

  1. 映像光の出光側に凸であってレンズ面と非レンズ面とを有する単位レンズが基材の出光側の面に複数配列されたフレネルレンズ形状を有するレンズ層を備えたフレネルレンズシートであって、
    前記レンズ層は、
    前記映像光の光源から前記レンズ層のフレネルレンズ形状の光学的中心までの距離をWとし、
    前記光学的中心から前記レンズ層の前記映像光の入射位置までの距離をRとし、
    前記入射位置における前記基材の出光側の面と鉛直方向とのなす角度[°]をθとし、
    空気中の光の屈折率をnとし、
    前記レンズ層の光の屈折率をnとし、
    前記レンズ面と前記基材の出光側の面とがなす角度[°]をαとし、
    前記非レンズ面と前記基材の出光側の面に垂直な面とがなす角度[°]をβとし、
    θ=arctan(R/W)とし、
    θ‘=θ−θとし、
    θ=arcsin(n/n×sinθ‘)とし、
    θ=α−θとし、
    θ=arcsin(n/n)とし、
    θ、θ‘、θ、θ、θの単位を[°]としたときに、
    β≧θ−90+α+θを満たすこと、
    を特徴とするフレネルレンズシート。
  2. 請求項1に記載のフレネルレンズシートにおいて、
    シート面が曲面をなすような湾曲形状に形成されていること、
    を特徴とするフレネルレンズシート。
  3. 一方の面側から投射された映像光を他方の面側に透過して映像を表示する透過型スクリーンであって、
    前記映像光の入光側に設けられた請求項1又は請求項2に記載のフレネルレンズシートと、
    前記フレネルレンズシートの出光側に設けられ、光を拡散する作用を有する光拡散層と、
    を備える透過型スクリーン。
  4. 請求項3に記載の透過型スクリーンと、
    映像光を投射する光源部と、
    を備える背面投射型表示装置。
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JP2019113657A (ja) * 2017-12-22 2019-07-11 日華化学株式会社 光散乱体形成用組成物、光散乱体、シート状積層体、投影スクリーン、及び画像表示システム
CN113885287A (zh) * 2021-11-12 2022-01-04 福州京东方光电科技有限公司 投影装置、显示系统及光源组件的制备方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019113657A (ja) * 2017-12-22 2019-07-11 日華化学株式会社 光散乱体形成用組成物、光散乱体、シート状積層体、投影スクリーン、及び画像表示システム
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