JP2014052554A - 反射スクリーン、映像表示システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】反射スクリーン10は、フレネルレンズ形状を背面側に有するレンズ層13と、レンズ面132に形成され、光を反射する反射層12と、レンズ層13よりも映像源側に配置される等方性拡散層16、第1異方性拡散層15、第2異方性拡散層14を備えるものとした。第1異方性拡散層15は、スクリーン面に平行な第1の方向における第1の角度範囲A1内の入射角で入射した光を拡散して透過し、それ以外の入射角で入射した光を拡散せずに透過し、第2異方性拡散層14は、第1の方向において、スクリーン面の法線H方向を軸として第1の角度範囲A1と対称な第2の角度範囲A2内の入射角で入射した光を拡散して透過し、それ以外の入射角で入射した光を拡散せずに透過するものとした。
【選択図】図2
Description
このような短焦点型の映像投射装置によって投射された映像光を良好に表示するために、単位レンズが複数配列されて形成されたリニアフレネルレンズ形状やサーキュラーフレネルレンズ形状を有するレンズ層の表面に反射層を形成した反射スクリーン等が様々に開発されている(例えば、特許文献1,2)。
一般に、反射スクリーンや各種映像表示装置等においては、画面上下方向の視野角に比べて、画面左右方向の視野角を広くすることが好ましく、また、画面上下方向の視野角はある程度狭い範囲としても映像の視認に大きな影響はない。
これに対して、特定の角度方向から入射した光を拡散し、それ以外の角度から入射する光は透過するという異方性拡散層のみを用いた場合、視野角特性の変化が急峻となり、所定の角度範囲外からは、十分な視野が得られない場合がある。
上述の特許文献1,2には、十分な視野角特性を得るための対策に関してなんら開示されていない。
また、コントラストが高く、かつ、明るい映像を表示することは、反射スクリーンやこれを用いた映像表示システムにおいて、常々求められることである。
請求項1の発明は、映像源(LS)から投影された映像光を反射させて観察可能に表示する反射スクリーン(10,20)であって、レンズ面(132)と非レンズ面(133)とを有し背面側に凸となる単位レンズ(131)が複数配列されたフレネルレンズ形状を背面側に有するレンズ層(13)と、少なくとも前記単位レンズの前記レンズ面に形成され、光を反射する反射層(12,22)と、該反射スクリーンの厚み方向において前記レンズ層よりも映像源側に配置され、光の入射角に依らず光を等方的に拡散して透過する作用を有する等方性拡散層(16)と、該反射スクリーンの厚み方向において前記レンズ層よりも映像源側に配置され、スクリーン面に平行な第1の方向及び前記スクリーン面の法線方向に平行な断面において第1の角度範囲(A1)内の入射角で入射した光を拡散して透過し、前記第1の角度範囲外の入射角で入射した光を拡散せずに透過する作用を有する第1異方性拡散層(15)と、該反射スクリーンの厚み方向において前記レンズ層よりも映像源側に配置され、前記第1の方向及び前記スクリーン面の法線方向に平行な断面において、前記スクリーン面の法線方向を軸として前記第1の角度範囲と対称な第2の角度範囲(A2)内の入射角で入射した光を拡散して透過し、前記第2の角度範囲外の入射角で入射した光を拡散せずに透過する作用を有する第2異方性拡散層(14)と、を備える反射スクリーン(10,20)である。
請求項2の発明は、請求項1に記載の反射スクリーンにおいて、前記第1の方向は、該反射スクリーンの画面左右方向であること、を特徴とする反射スクリーン(10,20)である。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の反射スクリーンにおいて、該反射スクリーンの厚み方向において前記レンズ層よりも映像源側に配置され、該反射スクリーンの剛性を維持し、該反射スクリーンの他の層よりも厚さが厚い基板層(17)を備えること、を特徴とする反射スクリーン(10)である。
請求項4の発明は、請求項3項に記載の反射スクリーンにおいて、前記基板層(17)は、所定の透過率となるように着色されていること、を特徴とする反射スクリーン(10)である。
請求項5の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の反射スクリーンにおいて、少なくとも前記非レンズ面(133)には、光を吸収する光吸収層(11)が形成されていること、を特徴とする反射スクリーン(10)である。
請求項6の発明は、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の反射スクリーン(10,20)と、前記反射スクリーンに映像光を投射する映像源(LS)と、を備える映像表示システム(1)である。
また、板、シート、フィルム等の言葉を使用しているが、これらは、一般的な使い方として、厚さの厚い順に、板、シート、フィルムの順で使用されており、本明細書中でもそれに倣って使用している。しかし、このような使い分けには、技術的な意味は無いので、これらの文言は、適宜置き換えることができるものとする。
さらに、本明細書中において、例えば、平行や直交等の用語については、厳密に意味するところに加え、同様の光学的機能を奏し、平行や直交と見なせる程度の誤差を有する状態も含むものとする。
さらにまた、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値及び材料名等は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用してよい。
図1は、第1実施形態の反射スクリーン10を備える映像表示システム1を説明する図である。図1(a)は、映像表示システム1の斜視図であり、図1(b)は、映像表示システム1の側面図である。
映像表示システム1は、反射スクリーン10、映像源LS等を有している。映像表示システム1は、映像源LSから投影された映像光Lを反射スクリーン10が反射して、その画面上に映像を表示する。
この映像表示システム1は、一般的な映像表示システムとしてもよいし、映像光を映像源LSから投射するフロントプロジェクションテレビシステム等としてもよいし、反射スクリーン10と映像源LSと反射スクリーンの観察画面上の入力部の位置を検出する位置検出部やパーソナルコンピュータ等を備えたインタラクティブボードシステムとしてもよい。
ここで、スクリーン面とは、反射スクリーン10全体として見たときにおける、反射スクリーン10の平面(表示画面)方向となる面を示すものであり、以下の説明中、及び、特許請求の範囲においても同一の定義として用いている。
この映像源LSは、反射スクリーン10の画面に直交する方向(反射スクリーン10の厚み方向)における反射スクリーン10との距離が、従来の汎用プロジェクタに比べて大幅に近い位置から映像光Lを投射できる。即ち、この映像源LSは、従来の汎用プロジェクタに比べて、反射スクリーン10までの投射距離が短く、映像光の投射角度(映像光Lの反射スクリーン10に対する入射角度)が大きい。
なお、以下の説明中において、画面上下方向、画面左右方向、厚み方向とは、特に断りが無い場合、この反射スクリーン10の使用状態における画面上下方向(鉛直方向)、画面左右方向(水平方向)、厚み方向(奥行き方向)であるとする。
また、この反射スクリーン10は、例えば、その周縁部や背面側を保護する枠部材を備えていてもよいし、粘着材層等を介して壁面等に接合される形態としてもよいし、背面にさらに不図示の支持板を接合した状態で壁面に固定されたり、フック等の支持部材で壁面に吊り下げされる形態等としてもよい。
図2では、反射スクリーン10の観察画面(表示領域)の幾何学的中心となる点C(図1参照)を通り、画面上下方向に平行であってスクリーン面に垂直(厚み方向に平行)な断面の一部を拡大して示している。
反射スクリーン10は、その映像源側(観察者側)から順に、表面層18、着色層17、等方性拡散層16、第1異方性拡散層15、第2異方性拡散層14、レンズ層13、反射層12、光吸収層11等を備えている。これらは、適宜不図示の接合層等により接合され、一体に積層されている。
以下に、各層の詳細について説明する。
本実施形態の表面層18は、反射スクリーン10の映像源側表面の傷つきを低減するハードコート機能と、下方から投射される映像光の正反射を抑制して天井への映像の映りこみを低減する機能と、防眩機能とを有している。
表面層18は、映像源側の表面に微細な凹凸形状を有している。この微細な凹凸形状は、例えば、微小凸部が複数不規則に配列されて形成されている。本実施形態の微小凸部は、緩やかな曲面からなる凸形状であり、球面の一部形状等も含まれる。なお、これに限らず、微小凸部は、断面形状が楔状や矩形等となるような形状としてもよい。
表面層18は、ウレタンアクリレート等の紫外線硬化型樹脂を用いて形成されている。なお、紫外線硬化型樹脂に限らず、他の電離放射線硬化型樹脂等を用いてもよい。
この表面層18の厚さは、反射スクリーン10の画面サイズ等にも依るが、1〜25μm程度とすることができる。
ヘイズ値が大きい方が、反射スクリーン10の表面である表面層18の表面で反射する映像光が拡散される作用が大きいので、下方から投射された映像光が上方(天井側)へ正反射することにより生じる天井への映像の映りこみを低減できる。しかし、ヘイズ値を大きくしすぎると、映像光が拡散されて、映像がぼやけたり、白っぽくなってコントラストが低下したりするという問題がある。従って、ヘイズ値は、上述の範囲を満たすことが好ましい。
なお、表面層18は、例えば、フィルム状であって、不図示の粘着材等により着色層17に接合される形態としてもよい。
本実施形態の着色層17は、その映像源側(観察者側)に表面層18が一体に形成され、背面側(裏面側)に等方性拡散層16が一体に積層されて形成されている。
この着色層17は、反射スクリーン10に入射する照明光等の不要な外光を吸収したり、表示される映像の黒輝度を向上させたりして、映像のコントラストを向上させる機能を有する。また、この着色層17は、その厚みが、0.5〜3mm程度であり、反射スクリーン10の剛性を高め、画面の平面性を維持する機能を有している。
この着色層17は、暗色系の染料や顔料等が所定量添加された、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂や、PC(ポリカーボネート)樹脂、MS(メチルメタクリレート・スチレン)樹脂、MBS(メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン)樹脂、アクリル系樹脂、TAC(トリアセチルセルロース)樹脂、PEN(ポリエチレンナフタレート)樹脂等により形成される。
等方性拡散層16の母材となる樹脂は、例えば、PET樹脂や、PC樹脂、MS樹脂、MBS樹脂、アクリル系樹脂、TAC樹脂、PEN樹脂等を用いることができる。
等方性拡散層16の厚さは、100〜200μm程度とすることができる。また、等方性拡散層16に含まれる拡散材としては、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、シリコン系等の樹脂製の粒子や無機粒子等であり、その平均粒径が約1〜50μmであるものを用いることができる。
また、図2では、等方性拡散層16が背面側であり、着色層17が映像源側に位置する例を示したが、これに限らず、等方性拡散層16が映像源側に位置し、着色層17が背面側に位置する形態としてもよい。
第1異方性拡散層15及び第2異方性拡散層14は、所定の角度範囲内の入射角で入射した光については拡散して透過し、それ以外の入射角で入射した光については拡散作用を発することなく透過するという異方性のある拡散作用を有している。
本実施形態の第1異方性拡散層15は、図2に示すように、異方性拡散層151と支持層152とを有している。この支持層152は、異方性拡散層151を支持し、その剛性を高め、製造過程におけるハンドリング等を容易にする作用を有する層であり、光透過性を有している。この支持層152は、光を拡散する作用は有していない。なお、異方性拡散層151が十分な剛性を有しているならば、支持層152を備えない形態としてもよい。
異方性拡散層151は、この第1異方性拡散層15の異方性拡散作用を奏する層である。
この支持層142は、前述の支持層152と同様に、異方性拡散層141を支持し、その剛性を高め、製造過程におけるハンドリング等を容易にする作用を有する層である。この支持層142は、光透過性を有しているが、光を拡散する作用は有していない。なお、異方性拡散層141が十分な剛性を有しているならば、支持層142を備えない形態としてもよい。
異方性拡散層141は、この第2異方性拡散層14の異方性拡散作用を奏する層である。
異方性拡散層151,141は、紫外線硬化型樹脂製であり、その厚さは40〜200μm程度とすることができる。
ここで、第1異方性拡散層15は、図3(a)に示すように、画面左右方向に平行であってスクリーン面の法線H方向に平行な断面において、入射角θが、α1≦θ≦α2(ただし、α2>α1>0)となる角度範囲A1に入射する光L1を拡散して、角度範囲D1内(法線Hに対して角度−α1〜角度−α2の範囲内)へ出射する。また、第1異方性拡散層15は、それ以外の角度範囲B1,C1内の入射角の光L2,L3を拡散せずに、それぞれ、角度範囲D1以外となる角度範囲E1,F1へ透過するという作用を有する。
本実施形態の第2異方性拡散層14は、例えば、第1異方性拡散層15と同一の部材を、その画面左右方向は変えず、画面上下方向が第1異方性拡散層15とは反対となるように、その表裏面を反対にして配置されている。
本実施形態の反射スクリーン10は、このような等方性拡散層16、第1異方性拡散層15、第2異方性拡散層14を備え、画面上下方向における視野角は、主として等方性拡散層16の拡散作用、画面左右方向の視野角の調整は、第1異方性拡散層15及び第2異方性拡散層14の拡散作用により確保されている。
レンズ層13は、背面側に設けられた光透過性を有する層であり、第2異方性拡散層14の背面側に一体に形成されている。このレンズ層13は、図4(a)に示すように、点Fを中心として単位レンズ131が同心円状に複数配列されたサーキュラーフレネルレンズ形状をその背面側に有している。この単位レンズ131が配列されて形成されるサーキュラーフレネルレンズは、その光学的中心(フレネルセンター)である点Fが、反射スクリーン10の画面左右方向中央であって反射スクリーン10の画面(表示領域)の領域外下方に位置している。
なお、本実施形態では、レンズ層13がサーキュラーフレネルレンズ形状を有する例を上げて説明するが、リニアフレネルレンズ形状を有する形態としてもよい。
この単位レンズ131は、背面側に凸であり、レンズ面132と、このレンズ面132と対向する非レンズ面133とを備えている。
反射スクリーン10の使用状態の図4(b)に示す断面において、単位レンズ131は、レンズ面132が単位レンズ131の頂点tを挟んで非レンズ面133よりも鉛直方向上側(画面上下方向上側)に位置している。
また、単位レンズ131の配列ピッチは、Pであり、単位レンズ131のレンズ高さ(スクリーンの厚み方向における頂点tから単位レンズ131間の谷底となる点vまでの寸法)は、hである。
なお、これに限らず、角度β等が一定である形態としてもよいし、配列ピッチPが、単位レンズ131の配列方向に沿って次第に変化する形態としてもよく、映像光を投影する映像源LSの画素(ピクセル)の大きさや、映像源LSの投射角度(反射スクリーン10のスクリーン面への映像光の入射角度)、反射スクリーン10の画面サイズ、各層の屈折率等に応じて、適宜変更可能である。
本実施形態の反射層12は、図2や図3(b)に示すように、レンズ面132に形成されているが、非レンズ面133には形成されていない。
反射層12は、アルミニウムや銀、ニッケル等の金属を蒸着することにより形成される金属蒸着膜である。
光吸収層11は、黒色等の暗色系の塗料や、黒色等の暗色系の顔料や染料及び光吸収作用を有するビーズ等を含有する熱硬化型樹脂もしくは紫外線硬化型樹脂を、反射層12をレンズ面132に形成したレンズ層13の背面側(フレネルレンズ形状側)に塗布して硬化させることにより、形成される。
図5は、第1実施形態の反射スクリーン10の製造方法の一例を説明する図である。
まず、図5(a)に示すように、共押し出し成型等により、着色層17及び等方性拡散層16を一体に形成する。このとき、本実施形態では、着色層17及び等方性拡散層16は、ウェブ状となっている。
次に、図5(b)に示すように、着色層17の等方性拡散層16側とは反対側の面に、表面層18を形成する。表面層18は、ウレタンアクリレート等の紫外線硬化型樹脂を、微細凹凸形状を賦形可能な成形型(金型)に充填し、着色層17の一方の面に押圧して紫外線を照射して硬化させ、離型して形成される。ここで、図5(b)に示すように、表面層18上に、マスキングシートMを積層し、製造過程中において、表面層18等が汚れたり、破損したりすることを防止してもよい。
そして、一体に積層されたウェブ状の表面層18、着色層17、等方性拡散層16、第1異方性拡散層15及び第2異方性拡散層14及び表面層18に積層されたマスキングシートMを所定の大きさに裁断し、枚葉状とする。
次に、図5(d)に示すように、第2異方性拡散層14の第1異方性拡散層15とは反対側の面に、レンズ層13を形成し、積層体10Aとする。レンズ層13は、第2異方性拡散層14の表面に、紫外線硬化型樹脂が充填されたサーキュラーフレネルレンズ形状を賦形する成形型を押圧し、紫外線を照射して硬化させた後に成形型から離型する紫外線成型法等により形成される。
本実施形態のように、着色層17が厚く、十分な剛性を有している場合には、このように湾曲させた状態で蒸着工程を行うことができる。このとき、蒸着源Gは、図5(e)に示すように、複数用いられ、画面左右方向に平行な直線上の所定の位置に配列されている。このような蒸着方法を採用することにより、レンズ面132に効率よく反射層12を形成でき、かつ、非レンズ面133への反射層12の形成を大幅に抑制することができる。
次に、積層体10Aを反射スクリーン10としての所定の大きさに裁断したり、不図示の枠材等を取り付けたり、マスキングシートMを剥離したり等の後工程を行い、反射スクリーン10が完成する。
なお、上述の反射スクリーン10の製造方法は、一例であり、上述の例に限らず、使用する樹脂の特性等に応じて適宜変更してよい。例えば、レンズ層13を熱可塑性樹脂により形成する場合には、押し出し成型や射出成型等により形成してもよい。
図2に示すように、映像源LSから投影された大部分の映像光L7は、反射スクリーン10の下方から入射し、各層を透過してレンズ層13の単位レンズ131へ入射する。
そして、映像光L7は、レンズ面132へ入射して反射層12によって反射され、観察者O側へ向かって反射スクリーン10から出射する。なお、角度γ(図4(b)参照)は、映像光L7が反射スクリーン10の下方から投射され、かつ、反射スクリーン10の画面上下方向の各点における映像光L7の入射角度よりも大きいので、映像光L7が非レンズ面133に直接入射することはなく、非レンズ面133は、映像光L7の反射には影響しない。
なお、映像光L7は、反射スクリーン10へ入射し、反射層12反射され、反射スクリーン10から出射するまでの間に、画面上下方向においては、等方性拡散層16による拡散作用を受け、その視野角を必要な範囲にまで広げられる。
そして、一部の外光G1は、非レンズ面133へ入射して、一部は着色層17に吸収され、一部は光吸収層11によって吸収される。また、一部の外光G2は、レンズ面132で反射して、主として反射スクリーン10の下方側へ向かうので、観察者O側には直接届かず、また、届いた場合にもその光量は、映像光L7に比べて大幅に少ない。さらに、反射スクリーン10に入射した外光の一部(不図示)は、着色層17によって吸収される。従って、反射スクリーン10では、外光G1,G2による映像のコントラスト低下を大幅に抑制できる。
なお、外光G1、G2に関しても、反射スクリーン10内を透過する際に、画面上下方向において、等方性拡散層16の拡散作用を受けるが、前述のように、等方性拡散層16の拡散作用はそれほど大きくはないため、大幅に拡散されることはなく、外光の光吸収層11での吸収を阻害することはなく、また、コントラストの低下を招くことはない。
反射スクリーン10に入射した光は、まず、等方性拡散層16により拡散され、背面側へ透過する。
次に、前述の図3に示すように、角度範囲A1内の入射角で第1異方性拡散層15に入射した光は、角度範囲D1内に拡散されて出射し、第2異方性拡散層14へ入射する。このとき、角度範囲D1と、第2異方性拡散層14が拡散作用を発する角度範囲A2との関係に応じて、光は、適宜拡散されたり、拡散されずに透過したりして背面側へ向かい、レンズ層13に入射して反射層12で反射され、観察者側へ向かう。観察者側へ向かうこのような光は、その進む角度が第1異方性拡散層15及び第2異方性拡散層14の角度範囲D1,D2内であれば適宜拡散され、再び等方性拡散層16により拡散されて、観察者側へ出射する。
なお、第1異方性拡散層15に角度範囲A1の範囲外で入射し、第2異方性拡散層14に角度範囲A2の範囲外の入射角で入射した光は、反射層12で反射された後、その角度が第1異方性拡散層15及び第2異方性拡散層14の角度範囲D1,D2内であれば適宜拡散され、再び等方性拡散層16により拡散されて、観察者側へ出射する。
以上のことから、本実施形態では、反射スクリーン10の画面左右方向において、法線Hに対して、入射角−α1以上+α1以下となる範囲、即ち、画面左右方向の中央及びその近傍となる領域R1に入射する映像光に関しては、画面左右方向において等方性拡散層16により拡散される。
また、反射スクリーン10の画面左右方向において、法線Hに対して、入射角−α1以上−α2以下となる入射角で映像光が入射する領域R3(観察者から見て画面左右方向右側の領域)では、入射した映像光は、主として第2異方性拡散層14によって、画面左右方向に拡散される。なお、このとき、等方性拡散層16の拡散作用も受けている。
一方、反射スクリーン10の画面左右方向において、法線Hに対して、入射角+α1以上+α2以下となる入射角で映像光が入射する領域R2(観察者から見て画面左右方向左側の領域)では、映像光は、主として第1異方性拡散層15によって、画面左右方向に拡散される。なお、このとき、等方性拡散層16の拡散作用も受けている。
さらに、画面上下方向に関しては、画面左右方向における入射角に依らず、主として等方性拡散層16により拡散作用を受ける。
また、第1異方性拡散層15及び第2異方性拡散層14が拡散光を出射する角度範囲D1,D2(反射後は、角度範囲A1、A2)は、その角度範囲によっては、一般的な等方性拡散層に比べて、輝度分布の変化が急峻となる場合がある。そのため、第1異方性拡散層15及び第2異方性拡散層14のみにより画面左右方向における映像光の拡散を実現しようとすると、画面左右方向において、明るい領域とやや暗い領域とが生じ、輝度ムラとなって視認されやすくなる。
しかし、本実施形態の反射スクリーン10は、等方性拡散層16を備えているので、その拡散作用により、上述のような輝度分布変化をなだらかにし、輝度ムラを低減することができる。
従って、画面上下方向の視野角を狭くして正面輝度を上げることが好ましく、反射スクリーン10としての画面上下方向における映像光の輝度分布の半値角(1/2角)が±10°程度あればよい。また、あまりに半値角を広くしすぎた場合には、映像の輝度の低下を招く。その点を鑑みて、等方性拡散層16の拡散作用をの大きさ(即ち、拡散材の粒径や母材となる樹脂との屈折率差、配合量等)を選定することが好ましい。
従って、画面左右方向において所望する視野角(半値角)を得られるように、第1異方性拡散層15及び第2異方性拡散層14の角度範囲A1、A2を設定することが好ましい。
さらに、角度範囲A1、A2の上限となる角度+α2,−α2は、図6に示すように、反射スクリーン10の画面左右方向両端部における画面左右方向の入射角に一致する角度又はそれ以上の角度とすることが、画面左右方向両端部において良好な映像を表示する観点から好ましい。
また、異方性拡散層は一般に高価であるが、その使用枚数を最低限に抑えることができ、コストの大幅な増大を抑制できる。
さらに、第1異方性拡散層15、第2異方性拡散層14のみを用いた場合、視野角特性の変化が急峻となり、所定の角度範囲外からは全く映像が見えなくなる場合があるという問題があるが、等方性拡散層16を備えているので、そのような急峻な輝度変化をなだらかな変化とすることができる。
また、本実施形態によれば、着色層17を厚くすることができ、十分な剛性を有するものとすることができるので、反射スクリーン10の平面性が向上し、かつ、反射スクリーン10がパネル状となるので、その品位も向上する。さらに、外光吸収効果も高まるので、コントラストを向上させることができる。
図7は、第2実施形態の反射スクリーン20の層構成を説明する図である。図7では、反射スクリーン20における図2に示す断面に相当する断面を示している。
この第2実施形態の反射スクリーン20は、前述の第1実施形態の反射スクリーン10に比べて、着色層27の厚みが薄い点や反射層22は非レンズ面133にも形成される点等が異なる以外は、第1実施形態の反射スクリーン10と同様の形態である。従って、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
本実施形態の反射スクリーン20は、前述の第1実施形態に示した反射スクリーン10と同様に、映像表示システム1に用いることができる。
また、このような反射スクリーン20とする場合には、例えば、支持板等を設けず、光吸収層11の背面に不図示の保護シート等を積層する等し、巻き取り可能な反射スクリーンとして使用することも可能である。
さらに、本実施形態の反射スクリーン20は、図7に示すように、反射層22が非レンズ面133にも形成されているものを例に挙げて説明するが、非レンズ面には反射層22が形成されていない形態としてもよい。
なお、これに限らず、反射層22は、白色又は銀色系の塗料や、白色又は銀色系の顔料やビーズ等を含有する紫外線硬化型樹脂又は熱硬化性樹脂、銀やアルミニウム等の金属蒸着膜や金属箔等を粉砕した粒子や微小なフレークを含む塗料等を、スプレーコートや、ダイコート、スクリーン印刷、ワイピングによる溝充填等の各種塗布方法により塗布して硬化させることにより形成してもよい。また、反射層22は、アルミニウムや銀やクロム等の金属をスパッタリングする、又は金属箔を転写する等により形成してもよい。また、マスキング等により、前述のように、非レンズ面133に反射層が形成されない形態としてもよい。
第1実施形態及び第2実施形態の反射スクリーンの実施例と、比較例の反射スクリーンを用意し、その輝度や視野角(1/2角)、コントラストを評価した。
実施例1は、第1実施形態の反射スクリーン10の実施例に相当する。
実施例2は、第2実施形態の反射スクリーン20の実施例に相当する。
実施例1,2の反射スクリーン10,20に関する各部の寸法等は、以下の通りである。
画面サイズ:対角80インチサイズ(1771×996mm)。
等方性拡散層16:拡散材(平均粒径8μm、MBS樹脂製)を含有するMBS樹脂製のシート状の厚さ200μmの拡散シート。この等方性拡散層16のヘイズ値は、約70%である。
第1異方性拡散層15:異方性拡散層151の第1の角度範囲A1は、+5°〜+45°。支持層152は、PET樹脂製の厚さ38μmのシート状の部材。
第2異方性拡散層14:異方性拡散層141の第2の角度範囲A2は、−5°〜−45°。支持層142は、PET樹脂製の厚さ38μmのシート状の部材。
レンズ層13:ウレタンアクリレート樹脂製。
光吸収層11:黒色顔料を含有するMBS樹脂。
実施例2の着色層27:黒色顔料を含有する厚さ200μmのMBS樹脂製のシート状の部材。黒色透明。この着色層27の透過率は、約60%である。
実施例1の反射層12:アルミニウムの蒸着膜。レンズ面132のみに形成。
実施例2の反射層22:アルミニウムの蒸着膜。レンズ面132及び非レンズ面133に形成。
この比較例1の等方性拡散層は、拡散材(平均粒径8μm、MBS樹脂製)を含有するMBS樹脂製の厚さが200μmの拡散シートであり、前述の実施例1,2の等方性拡散層16の部材と同様の部材である。この等方性拡散層のヘイズ値は、約70%である。比較例1の反射スクリーンは、第1異方性拡散層15及び第2異方性拡散層14を備えていない点が異なる以外は実施例1の反射スクリーンと略同様の形態である。
比較例2の反射スクリーンは、黒色の布地層(厚さ約320μm)の観察者側に樹脂層(厚さ約170μm)を備え、その観察者側に銀色の塗料等により形成された反射層(厚さ約30μm)を備える反射スクリーンであり、EASTON社製 BF−3D 100Hを用いている。
図8は、実施例及び比較例の反射スクリーンの評価方法を説明する図である。
まず、暗室環境下において、図8に示すように、映像源LSから白色光を照射し、画面中央となる点Cを通り画面左右方向に平行な面内において、点Cに対してd1=3m離れた位置であって、点Cを通るスクリーン面の法線方向(正面方向)に対して角度φ=0°,±10°,±20°,±30°,±40°をなす方向から、輝度計(コニカミノルタ社製 LS−110)によって点Cにおける輝度を測定した。そして、測定によって得られた画面左右方向の輝度分布から、画面左右方向における1/2角αHを得た。
なお、正面輝度は、上記測定において、画面左右方向の角度φ=0°で測定された輝度から算出されたピークゲインを用いて評価した。
以下の表1は、上述の各評価結果を示す表である。
また、正面輝度は、ピークゲインが0.9以上のものを良(○)とし、0.9未満のものを不可(×)とした。
さらに、視野角に関しては、画面左右方向において、1/2角αH(画面右側及び左側の半値角の絶対値の平均値)が、22°以上を優(◎)とし、20°以上22°未満を良(○)とし、20°未満を不可(×)とした。スクリーンとしては、画面上下方向よりも画面左右方向の視野角が重視されるため、表1では、画面左右方向の1/2角αHを用いて評価している。
また、比較例2及び実施例1,2は、画面左右方向において十分な視野角を有していたが、比較例1は、画面左右方向において視野角が不十分であった。さらに、実施例1,2は、前述の画面左右方向の視野角評価と同様な方法で輝度分布を測定した画面上下方向においても、1/2角が±10°程度であり、十分な視野角を有し、かつ、不要な光の広がりは抑制されていた。
さらに、実施例1は、実施例2と比較して、黒輝度(B)が低く、コントラストW/Bの値が大きく、コントラストが良好な映像が表示され、また、不使用時等の反射スクリーンの品位の点でも優れていた。
以上のことから、実施例1,2の反射スクリーンによれば、十分な視野角を有し、明るく、コントラストも高い良好な映像を表示できる。
以上説明した各実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
(1)各実施形態において、第1異方性拡散層15及び第2異方性拡散層14は、画面左右方向において、角度範囲A1,角度範囲A2からの入射光を拡散する例を挙げて示したが、これに限らず、第1異方性拡散層15を、法線Hを軸として画面左右方向に対して角度+δ回転させ、第2異方性拡散層14を、法線Hを軸として画面左右方向に対して角度−δ回転させて配置してもよい。このような形態とした場合には、画面上下方向においても第1異方性拡散層15及び第2異方性拡散層14の異方性を有する拡散作用を発揮することができる。
また、本実施形態において、単位レンズ131は、図2等に示す断面において、レンズ面132及び非レンズ面133が直線状となる例を示したが、これに限らず、この断面において、例えば、レンズ面132や非レンズ面133の一部が曲線状となっていてもよいし、レンズ面132及び非レンズ面133は、少なくとも一方の面が、複数の面から構成される形態としてもよい。
10,20 反射スクリーン
11 光吸収層
12,22 反射層
13 レンズ層
14 第2異方性拡散層
15 第1異方性拡散層
16 等方性拡散層
17,27 着色層
18 表面層
Claims (6)
- 映像源から投影された映像光を反射させて観察可能に表示する反射スクリーンであって、
レンズ面と非レンズ面とを有し背面側に凸となる単位レンズが複数配列されたフレネルレンズ形状を背面側に有するレンズ層と、
少なくとも前記単位レンズの前記レンズ面に形成され、光を反射する反射層と、
該反射スクリーンの厚み方向において前記レンズ層よりも映像源側に配置され、光の入射角に依らず光を等方的に拡散して透過する作用を有する等方性拡散層と、
該反射スクリーンの厚み方向において前記レンズ層よりも映像源側に配置され、スクリーン面に平行な第1の方向及び前記スクリーン面の法線方向に平行な断面において第1の角度範囲内の入射角で入射した光を拡散して透過し、前記第1の角度範囲外の入射角で入射した光を拡散せずに透過する作用を有する第1異方性拡散層と、
該反射スクリーンの厚み方向において前記レンズ層よりも映像源側に配置され、前記第1の方向及び前記スクリーン面の法線方向に平行な断面において、前記スクリーン面の法線方向を軸として前記第1の角度範囲と対称な第2の角度範囲内の入射角で入射した光を拡散して透過し、前記第2の角度範囲外の入射角で入射した光を拡散せずに透過する作用を有する第2異方性拡散層と、
を備える反射スクリーン。 - 請求項1に記載の反射スクリーンにおいて、
前記第1の方向は、該反射スクリーンの画面左右方向であること、
を特徴とする反射スクリーン。 - 請求項1又は請求項2に記載の反射スクリーンにおいて、
該反射スクリーンの厚み方向において前記レンズ層よりも映像源側に配置され、該反射スクリーンの剛性を維持し、該反射スクリーンの他の層よりも厚さが厚い基板層を備えること、
を特徴とする反射スクリーン。 - 請求項3項に記載の反射スクリーンにおいて、
前記基板層は、所定の透過率となるように着色されていること、
を特徴とする反射スクリーン。 - 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の反射スクリーンにおいて、
少なくとも前記非レンズ面には、光を吸収する光吸収層が形成されていること、
を特徴とする反射スクリーン。 - 請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の反射スクリーンと、
前記反射スクリーンに映像光を投射する映像源と、
を備える映像表示システム。
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