JP6724424B2 - 反射スクリーン、映像表示装置 - Google Patents
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上述の特許文献1には、透過型、反射型の両方に使用することができるスクリーンが提案されており、背面側からの光を透過することが可能である。しかし、この特許文献1には、透明性の向上に関する対策に関してはなんら開示されていない。
第1の発明は、映像源から投射された映像光を反射して映像を表示する半透過型の反射スクリーンであって、入射した光の一部を反射し、その他を透過する半透過型の反射層(13)と、前記反射層の映像源側に少なくとも1層設けられた光透過性を有する映像源側層(11,12,21,26)と、前記反射層の背面側に少なくとも1層設けられた光透過性を有する背面側層(14,15)と、を備え、該反射スクリーンのスクリーン面に映像源側から入射角0°で入射した光について、その総量Spを100%としたとき、背面側へ透過した透過率Tp(%)と、反射層で反射して映像源側へ出射した反射率Rp(%)との和は、90%以下であり、該反射スクリーンによって吸収される光の吸収率Ap(%)は、10%以上であり、該反射スクリーンの厚み方向において、映像源側表面(10a)から前記反射層の背面側の面(13b)までを映像源側領域(Sa)とし、前記反射層の映像源側の面(13a)から背面側表面(10b)までを背面側領域(Sb)とするとき、該反射スクリーンのスクリーン面に映像源側から入射角0°で入射した光に対する前記映像源側領域の光の吸収率は、該反射スクリーンのスクリーン面に背面側から入射角0°で入射した光に対する前記背面側領域の光の吸収率よりも大きく、前記映像源側層は、光透過性を有し、背面側の面に単位光学形状(121)が複数配列された光学形状層(12)を有し、前記単位光学形状は、映像光が入射する第1の面(121a)と、これに交差する第2の面(121b)とを有し、前記反射層は、前記単位光学形状の少なくとも第1の面の一部に形成されており、その表面に微細かつ不規則な凹凸形状が形成されていること、を特徴とする反射スクリーン(10,20)である。
第2の発明は、第1の発明の反射スクリーンにおいて、該反射スクリーンのスクリーン面に入射角0°で入射した光の透過率は、10〜85%であり、該反射スクリーンのスクリーン面に入射角0°で入射した光の吸収率は、10〜30%であること、を特徴とする反射スクリーン(10,20)である。
第3の発明は、第1の発明又は第2の発明の反射スクリーンにおいて、該反射スクリーンのスクリーン面に映像源側から入射角0°で入射した光が前記反射層で反射して映像源側から出射した反射率は、該反射スクリーンのスクリーン面に背面側から入射角0°で入射した光が前記反射層で反射して背面側から出射した反射率よりも小さいこと、を特徴とする反射スクリーン(10,20)である。
第5の発明は、第1の発明から第4の発明までのいずれかの反射スクリーンにおいて、該反射スクリーンの反射光のピーク輝度となる出射角度から輝度が1/2となる出射角度までの角度変化量を+α1,−α2とし、その絶対値の平均値をαとするとき、5°≦α≦45°であること、を特徴とする反射スクリーン(10,20)である。
第6の発明は、第1の発明から第5の発明までのいずれかの反射スクリーンにおいて、前記単位光学形状の配列方向において、該反射スクリーンの反射光のピーク輝度となる出射角度から輝度が1/2となる出射角度までの角度変化量を+α1,−α2とし、その絶対値の平均値をαとし、前記第1の面がスクリーン面に平行な面となす角度をθ1とし、前記光学形状層の屈折率をnとするとき、該反射スクリーンの少なくとも一部の領域において、α<arcsin(n×sin(2×(θ1)))という関係を満たすこと、を特徴とする反射スクリーン(10,20)である。
第7の発明は、第1の発明から第6の発明までのいずれかの反射スクリーンにおいて、前記映像源側層は、背面側の面に、前記単位光学形状(121)が複数配列されてサーキュラーフレネルレンズ形状が形成された光学形状層(12)を有し、前記サーキュラーフレネルレンズ形状の光学的中心(C)は、該反射スクリーンの表示領域外であり、前記反射層(13)は、前記単位光学形状の少なくとも前記第1の面の一部に形成されていること、を特徴とする反射スクリーン(10,20)である。
第9の発明は、第8の発明の映像表示装置において、前記映像源(LS)が投射する映像光(L)の前記反射スクリーンのスクリーン面への入射角度は、0°より大きいこと、を特徴とする映像表示装置(1)である。
第10の発明は、第9の発明の映像表示装置において、前記映像源(LS)は、P波の映像光を前記反射スクリーン(10,20)のスクリーン面への入射角φとして投射し、前記反射スクリーンへ投射されたP波の映像光の反射率がゼロとなる入射角θbとしたときに、(θb−10)°≦φ≦85°の関係を満たすこと、を特徴とする映像表示装置である。
本明細書中において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば、平行や直交等の用語については、厳密に意味するところに加え、同様の光学的機能を奏し、平行や直交と見なせる程度の誤差を有する状態も含むものとする。
本明細書中において、記載する各部材の寸法等の数値及び材料名等は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用してよい。
本明細書中において、板、シート等の言葉を使用している。一般的に、厚さの厚い順に、板、シート、フィルムの順で使用されており、本明細書中でもそれに倣って使用している。しかし、このような使い分けには、技術的な意味は無いので、これらの文言は、適宜置き換えることができるものとする。
本明細書中において、スクリーン面とは、スクリーン全体として見たときにおける、スクリーンの平面方向となる面を示すものであり、スクリーンの画面(表示面)に平行であるとする。
図1は、第1実施形態の映像表示装置1を示す図である。図1(a)では、映像表示装置1の斜視図であり、図1(b)は、映像表示装置1を側面から見た図である。
映像表示装置1は、スクリーン10、映像源LS等を有している。本実施形態のスクリーン10は、映像源LSから投影された映像光Lを反射して、画面上に映像を表示する反射スクリーンである。このスクリーン10の詳細に関しては、後述する。
本実施形態では、一例として、映像表示装置1は、店舗のショーウィンドウに適用され、スクリーン10がショーウィンドウのガラスに固定される例を挙げて説明する。
また、スクリーン10の映像源側の正面方向に位置する観察者O1から見て水平方向の右側に向かう方向を+X方向、鉛直方向の上側に向かう方向を+Y方向、厚み方向において背面側(裏面側)から映像源側(観察者側)に向かう方向を+Z方向とする。
さらに、以下の説明中において、画面上下方向、画面左右方向、厚み方向とは、特に断りが無い場合、このスクリーン10の使用状態における画面上下方向(鉛直方向)、画面左右方向(水平方向)、厚み方向(奥行き方向)であり、それぞれ、Y方向、X方向、Z方向に平行であるとする。
この映像源LSは、映像表示装置1の使用状態において、スクリーン10の画面(表示領域)を正面方向(スクリーン面の法線方向)から見た場合に、スクリーン10の画面左右方向の中央であって、スクリーン10の画面よりも鉛直方向下方側に位置している。
映像源LSは、奥行き方向(Z方向)において、スクリーン10の表面からの距離が、従来のスクリーンの画面正面方向に位置する汎用プロジェクタに比べて大幅に近い位置から斜めに映像光Lを投影できる。したがって、従来の汎用プロジェクタに比べて、映像源LSは、スクリーン10までの投射距離が短く、投射された映像光がスクリーン10に入射する入射角度が大きい。
スクリーン10の画面(表示領域)は、使用状態において、観察者O1側から見て長辺方向が画面左右方向となる略矩形状である。
スクリーン10は、その画面サイズが対角80〜100インチ程度の大きな画面を有しており、画面の横縦比が16:9である。なお、これに限らず、例えば、40インチ程度やそれ以下の大きさとしてもよく、使用目的や使用環境等に応じて、その大きさや形状は適宜選択できるものとする。
支持板50は、光透過性を有し、剛性が高い平板状の部材であり、アクリル樹脂やPC樹脂等の樹脂製、ガラス製等の板状の部材を用いることができる。
本実施形態では、支持板50は、店舗等のショーウィンドウの窓ガラスである。なお、これに限らず、スクリーン10は、不図示の枠部材等によってその四辺等が支持され、その平面性を維持する形態としてもよい。
図3は、第1実施形態の第1光学形状層12を背面側(−Z側)から見た図である。理解を容易にするために、反射層13や第2光学形状層14、保護層15等を省略して示している。
スクリーン10は、図2に示すように、厚み方向(Z方向)において、その映像源側(+Z側)から順に、基材層11、第1光学形状層12、反射層13、第2光学形状層14、保護層15等を備えている。
また、この基材層11は、灰色や黒色等の染料や顔料等の着色材等により、着色が施され、光吸収性を有する光吸収層である。また、基材層11は、スクリーン10の光の透過率が所定の値となるように、その着色の濃度や層の厚さが設定されている。そして、基材層11は、スクリーン10に入射する照明光等の不要な外光や迷光を吸収したり、表示される映像の黒輝度を低減させたりして映像のコントラストを向上させる機能を有する。
基材層11の着色材としては、グレー系や黒色系等の暗色系の染料や顔料等や、カーボンブラック、グラファイト、黒色酸化鉄等の金属塩等が挙げられる。
基材層11は、スクリーン10の画面サイズや所望する光学性能に応じて、適宜、その厚さや光の透過率、吸収率等を調整してよい。
第1光学形状層12のサーキュラーフレネルレンズ形状は、その点Cを中心(フレネルセンター)とする、いわゆるオフセット構造のサーキュラーフレネルレンズ形状である。そのため、図3に示すように、第1光学形状層12をスクリーン面の法線方向背面側から見たときに、真円の一部形状(円弧状)の単位光学形状(単位レンズ)121が複数配列されているように観察される。この点Cは、図3に示すように、画面左右方向の中央であって画面下方に位置している。したがって、スクリーン10を正面方向から見た場合、点Cと点Aとは同一直線状に位置している。
単位光学形状121は、背面側に凸であり、映像光が入射する第1斜面(レンズ面)121aと、これに対向する第2斜面(非レンズ面)121bとを有している。1つの単位光学形状121において、第1斜面121aは、頂点tを挟んで第2斜面121bの上側(+Y側)に位置している。
第1斜面121aがスクリーン面に平行な面となす角度は、θ1である。第2斜面121bがスクリーン面に平行な面となす角度は、θ2である。角度θ1,θ2は、θ2>θ1という関係を満たしている。
この単位光学形状121の第1斜面121a及び第2斜面121bは、微細かつ不規則な凹凸形状を有している。この微細な凹凸形状は、凸形状と凹形状とが2次元方向に不規則に配列されて形成されており、凸形状及び凹形状は、その大きさや形状、高さ等は不規則である。
理解を容易にするために、図2では、単位光学形状121の配列ピッチP、角度θ1,θ2は、単位光学形状121の配列方向において一定である例を示している。しかし、本実施形態の単位光学形状121は、実際には、配列ピッチPは一定であるが、角度θ1が単位光学形状221の配列方向においてフレネルセンターとなる点Cから離れるにつれて次第に大きくなっている。
また、角度θ1,θ2、配列ピッチP等は、映像源LSからの映像光の投射角度(スクリーン10への映像光の入射角度)や、映像源LSの画素(ピクセル)の大きさ、スクリーン10の画面サイズ、各層の屈折率等に応じて、適宜設定してよい。例えば、単位光学形状121の配列方向に沿って、配列ピッチPが変化し、角度θ1,θ2が変化する形態としてもよい。
なお、本実施形態では、第1光学形状層12を構成する樹脂として、紫外線硬化型樹脂を例に挙げて説明するが、これに限らず、例えば、電子線硬化型樹脂等の他の電離放射線硬化型樹脂により形成してもよい。
前述のように、第1斜面121a及び第2斜面121bは、微細な凹凸形状が形成されており、反射層13は、この微細な凹凸形状に追従して形成されている。また、この反射層13の厚みは、この微細な凹凸形状の凹凸よりも十分に薄い。したがって、反射層13の映像源側の面(第1光学形状層12側の面)と、背面側の面(第2光学形状層14側の面)とは、微細かつ不規則な凹凸形状を有するマット面となっている。
したがって、反射層13は、入射した光の一部を反射面の微細な凹凸形状により拡散して反射し、反射しない他の光を拡散しないで透過するという機能を有する。
反射層13の反射率と透過率の割合は、所望する光学性能に合わせて適宜に設定できる。
粗面ではない鏡面領域が、第1斜面121a上に形成された反射層13の単位面積当たり5%を超えると、拡散されず反射する映像光の成分により輝線が生じたり、視野角が低下したりするため、好ましくない。
なお、反射層13は、これに限らず、例えば、光反射性の高い金属をスパッタリングしたり、金属箔を転写したり、金属薄膜を含有した塗料を塗布したりする等により形成されてもよい。また、反射層13は、誘電体多層膜を蒸着することにより形成されてもよい。
このような第2光学形状層14を設けることにより、反射層13を保護することができ、スクリーン10の背面側の面に保護層15等を積層しやすくなり、また、支持板50等への接合も容易となる。
第2光学形状層14の屈折率は、第1光学形状層22と同等であることが望ましく、第2光学形状層14は、前述の第1光学形状層12と同じ紫外線硬化型樹脂を用いて形成することが好ましい。本実施形態では、第2光学形状層14は、第1光学形状層12と同じ樹脂によって形成されている。
保護層15は、光透過性の高い樹脂製のシート状の部材が用いられる。保護層15は、例えば、前述の基材層11と同様の材料を用いて形成されたシート状の部材を用いてもよい。
上述のように、本実施形態のスクリーン10は、拡散作用を有する粒子等の拡散材を含有した光拡散層を備えておらず、拡散作用を有するのは、反射層13の反射面の微細凹凸形状のみである。
基材層11を用意し、その一方の面に、単位光学形状121を賦形する成形型に紫外線硬化型樹脂を充填した状態で積層し、紫外線を照射して樹脂を硬化させるUV成形法により第1光学形状層12を形成する。このとき、単位光学形状121を賦形する成形型の第1斜面121a及び第2斜面121bを賦形する面には、微細な凹凸形状が形成されている。この微細な凹凸形状は、成形型の第1斜面121a及び第2斜面121bを賦形する面に、条件の異なるめっきを2回以上繰り返したり、エッチング処理を行ったりすること等によって形成できる。
第1光学形状層12を、基材層11の一方の面に形成した後、第1斜面121a及び第2斜面121bに、反射層13を蒸着等により形成する。
基材層11及び保護層15は、枚葉状としてもよいし、ウェブ状としてもよい。例えば、基材層11及び保護層15をウェブ状とし、第1光学形状層12がリニアフレネルレンズ形状を有する形態とした場合には、裁断前の状態のスクリーン10を連続して製造することができ、スクリーン10の生産効率を向上させ、生産コストを低減することができる。
α>45°である場合、視野角は広くなるが映像の明るさが低下したり、映像のぼけが強くなったり、外光のスクリーン10の表面での反射によって映像のコントラストが低下したりするので好ましくない。したがって、1/2角αは、上記範囲が好ましい。
なお、本実施形態のスクリーン10では、反射層13の凹凸形状が不規則であるので、画面左右方向における1/2角αは、画面上下方向における1/2角αと等しい、もしくは、略等しい。
第1斜面121aの角度θ1は、映像光をスクリーン10の正面方向に位置する観察者に最も効率よく映像を反射するように、即ち、反射光のピーク輝度となる角度Kが0°となるように、各層の屈折率等に基づいて設計されている。また、−αから+αまでの範囲は、スクリーン正面に位置する観察者が映像を良好に観察することを想定している範囲である。
ここで、画面上下方向(点Aを通り単位光学形状121の配列方向に平行な方向)におけるある点において、映像光Lがスクリーン10の下方から入射角−φで入射し、屈折率nの第1光学形状層12を進み、スクリーン面に対して角度θ1をなす第1斜面121aに入射して反射層13で反射し、スクリーン10からスクリーン面に直交する方向(出射角度0°)へ出射するとき、角度θ1は、以下の(式1)で表される。
θ1=1/2×arcsin((sinφ)/n) (式1)
このような映像源の映り込みを防止するためには、スクリーン10の表面で観察者が主に映像を良好に観察する範囲となる角度範囲(−α〜+α)よりも外側に、スクリーンの表面で反射した映像光が進むことが好ましい。入射角−φで入射した映像光Lの一部Lrがスクリーン表面で反射する場合、その反射角は+φである。したがって、映像源の映り込みを防止するために、α<φであることが好ましい。
α<arcsin(n×sin(2×(θ1))) ・・・(式2)
また、映像源の映り込み防止のためには、1/2角αは、第1斜面121aの角度θ1に対して、スクリーン10の全域において上記(式2)を満たすことがさらに好ましい。
角度θ1が1/2角αに対して、上記(式2)を満たす形態とすることにより、スクリーン10への入射時にスクリーン10の表面で反射する光が主に向かう方向(+φの方向)が、反射層13で反射した映像光がスクリーン10から出射して進む範囲(−α〜+α)よりも外側となる。これにより、−αから+αまでの範囲において、映像源LSの映り込みを低減し、コントラストの高い良好な映像を表示することができる。
本実施形態のスクリーン10のスクリーン面に映像源側(+Z側)から入射角0°で入射した光について、その総量Spを100%としたとき、背面側へ透過した透過率(全光線透過率)をTp(%)とし、反射層13で反射して映像源側へ出射した反射率をRp(%)とし、スクリーン10内で吸収される吸収率(総量Spから、透過率Tpと反射率Rpとの和を引いた値)をAp(%)とするとき、透過率Tpと反射率Rpとの和は、90%以下であり、吸収率Apは、10%以上である。即ち、これらは、以下の式を満たしている。
Tp+Rp≦90 ・・・(式3)
Ap=Sp−(Tp+Rp)≧10 ・・・(式4)
また、本実施形態のスクリーン10は、スクリーン面に入射角0°で入射した光の吸収率(前述のApに相当)は、映像源側から入射する場合も背面側から入射する場合も、10〜30%、より好ましくは、10〜20%である。即ち、吸収率Apは、10≦Ap≦30を満たすことが好ましく、10≦Ap≦20を満たすことがより好ましい。
この吸収率が10%未満となると、映像のコントラストが低下するため好ましくない。また、吸収率が30%よりも大きくなると、反射されて表示される映像の明るさが低下したり、スクリーンとしての透明性が低下するため、好ましくない。したがって、吸収率は、上記範囲を満たすことが好ましい。
本実施形態のスクリーン10の映像源側表面10aに入射角0°で入射した光Lbの反射率(以下、映像源側領域Saの反射率という)は、スクリーン10の背面側表面に入射角0°で入射した光Lcの反射率(以下、背面側領域Sbの光の反射率という)よりも小さい。即ち、スクリーン10の映像源側表面10aに入射角0°で入射し、反射層13で反射してスクリーン10から映像源側に出射した光量は、スクリーン10の背面側表面10bに入射角0°で入射し、反射層13で反射してスクリーン10の背面側に出射した光量よりも小さい。
このような形態とすることにより、背面側からスクリーン10の向こう側(映像源側)を見た場合、又は、映像源側からスクリーン10の向こう側(背面側)を見た場合のスクリーン10の透明性を高く維持しながら、映像源側の上方から入射する不要な照明光や太陽光等の外光を吸収し、映像のコントラストを向上することができる。
スクリーン10の下方に位置する映像源LSから投射され、スクリーン10に入射した映像光L1のうち、一部の映像光L2は、その単位光学形状121の第1斜面121aに入射し、反射層13によって拡散反射され、観察者O側へ出射する。このとき、映像光L2の一部は、光吸収性を有する基材層11によって吸収されるが、映像の表示には十分な明るさを有している。
また、映像源LSから投射された映像光L1うち、一部の映像光L4は、スクリーン10の表面で反射し、スクリーン10上方へ向かう。このとき、映像光L4の反射角は、前述のように、1/2角α以上よりも大きい角度となるので、観察者O1の映像の視認の妨げにはならない。
なお、本実施形態では、映像光L1がスクリーン10の下方から投射され、かつ、角度θ2(図2参照)がスクリーン10の画面上下方向の各点における映像光の入射角度よりも大きいので、映像光が第2斜面121bに直接入射することはなく、第2斜面121bは、映像光の反射にはほとんど影響しない。
図6に示すように、スクリーン10に入射する外光G1,G5のうち、一部の外光G2,G6は、スクリーン10の表面で反射し、スクリーン下方側へ向かう。また、外光G1のうち、一部の外光G3は、光吸収性を有する基材層11で一部が吸収されたのち、反射層13で反射し、一部がスクリーン10下方へ出射するが、一部は、スクリーン10の映像源側(+Z側)の表面で全反射してスクリーン10内下方へ向かい、再度基材層11で一部が吸収される等して減衰する。外光G5のうち、一部の外光G7は、反射層13で反射し、背面側(−Z側)のスクリーン外上方側へ出射する。また、反射層13で反射しなかった他の外光G4,G8は、反射層13を透過して、それぞれ背面側、映像源側へ出射する。このとき、映像源側へ出射する外光G2,G3,G8は、観察者O1には到達しないので、映像のコントラスト低下を抑制できる。
また、他の外光G9,G10は、反射層13を透過して、その一部の光が、光吸収性を有する基材層11によって吸収され、その他の光がそれぞれ背面側、映像源側へ出射する。スクリーン10は、拡散粒子を含有する拡散材等を含有していないので、このスクリーン10を透過する外光G9,G10は、拡散されない。したがって、スクリーン10を通して、スクリーン10の向こう側の景色を観察した場合に、スクリーン10の向こう側の景色がぼやけたり、白くにじんだりすることなく、高い透明性を有して観察することができる。
また、本実施形態のスクリーン10では、スクリーン10に映像光が投射された状態においても、観察者O1が、スクリーン10の向こう側(背面側)の景色を一部視認することが可能である。さらに、スクリーン10では、背面側に位置する観察者O2は、映像光の投射の有無に関わらず、スクリーン10越しに映像源側(+Z側)の景色を高い透明性を有して良好に視認することができる。
図7は、第2実施形態のスクリーン20の層構成を説明する図である。図7では、第2実施形態のスクリーン20の断面の一部を拡大して示している。この図7に示すスクリーン20の断面は、図2に示した第1実施形態のスクリーン10の断面に相当する。
第2実施形態のスクリーン20は、厚み方向(Z方向)に沿って、映像源側(+Z側)から順に、基材層21、光吸収層26、第1光学形状層12、反射層13、第2光学形状層14、保護層15を備えている。この第2実施形態のスクリーン20は、前述の第1実施形態のスクリーン10に変えて、映像表示装置1に用いることができる。
第2実施形態のスクリーン20は、基材層21が着色材を含有しておらず、光吸収層26を備えている点以外は、前述の第1実施形態のスクリーン10と同様の形態である。従って、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
基材層21は、例えば、PET等のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、アクリルスチレン樹脂、PC樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂、TAC樹脂等により形成される。
この基材層21は、前述の第1実施形態の基材層11とは異なり、着色材で着色されていない透明な層である。
この光吸収層26は、スクリーン10に入射する照明光等の不要な外光や迷光を吸収したり、表示される映像の黒輝度を低減させたりして映像のコントラストを向上させる機能を有する。
本実施形態の光吸収層26は、例えば、基材層11と共押し出し成形することにより、一体に積層されて形成できる。
なお、上記の例に限らず、光吸収層26は、基材層21の片面に対して、光吸収作用を有する材料を蒸着することにより形成してもよいし、コーティングすることにより形成してもよい。
また、本実施形態では、光吸収層26は、基材層11の背面側(−Z側)に配置される例を示したが、これに限らず、例えば、基材層11の映像源側(+Z側)に配置される形態としてもよい。
また、スクリーン20は、スクリーン面に入射角0°で入射した光の透過率(前述のTpに相当)は、映像源側から入射する場合も背面側から入射する場合も、10〜85%である。
また、スクリーン20は、スクリーン面に入射角0°で入射した光の吸収率(前述のApに相当)は、映像源側から入射する場合も背面側から入射する場合も、10〜30%、より好ましくは10〜20%である。
このような形態とした場合にも、前述の第1実施形態と同様に、高い透明性を維持しつつ、コントラストの高い映像を表示できるスクリーン20及び映像表示装置1を実現できる。
以上説明した各実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
(1)第1実施形態において、基材層11が着色材を含有し、光吸収作用を有する光吸収層となる例を示したが、これに限らず、例えば、基材層11ではなく第1光学形状層12が着色材を含有し、光吸収作用を有する形態としてもよいし、基材層11及び第1光学形状層12が着色材を含有し、光吸収作用を有する形態としてもよい。
また、第2実施形態において、光吸収層26以外に基材層21や第1光学形状層12の少なくとも1つが着色材により着色され、光吸収作用を有する形態としてもよい。
また、第2実施形態において、スクリーン20が反射層13よりも背面側に、光吸収層26よりも濃度が薄く透過率の高い第2光吸収層を有する形態としてもよい。なお、第1実施形態に関しても同様であり、このような第2光吸収層に相当する光吸収性を有する層を反射層13よりも背面側に備えた形態としてもよい。
また、第2実施形態において、反射層13と単位光学形状121との間に、光吸収層を設けてもよい。この光吸収層は、光吸収作用を有する材料を、単位光学形状121に蒸着する等により形成可能である。
また、各実施形態において、光吸収機能を有する層は、着色されておらず、透明な層であって光吸収作用を有する形態としてもよい。
図8は、変形形態のスクリーン30を説明する図である。図8に示す変形形態のスクリーン30の断面は、前述の第1実施形態の図2に示すスクリーン10の断面に相当する。
この変形形態のスクリーン30の基材層31は、着色材等を含有しておらず、透明な層である。このスクリーン30の基材層31及び第1光学形状層12の光の透過率及び吸収率と、保護層15及び第2光学形状層14の光の透過率及び吸収率とは、等しい。
変形形態の反射層33は、映像源側(+Z側)から入射した光の反射時の吸収率が、背面側(−Z側)から入射した光の反射時の吸収率よりも大きい。また、反射層33は、スクリーン面に映像源側から入射角0°で入射した光に対する反射率と、スクリーン面に背面側から入射角0°で入射した光に対する反射率とが等しい。
反射層33は、例えば、アルミニウムや銀等の金属蒸着膜により形成される。
このような形態とした場合にも、高い透明性を維持しつつ、コントラストの高い映像を表示できるスクリーン及び映像表示装置を実現できる。
また、このような形態とした場合には、反射層33よりも映像源側、背面側の各層は、透明であり、その透過率等は同等であるので、スクリーンを映像源側、背面側どちらから見た場合にも高い透明性を実現できる。
また、ハードコート層に限らず、スクリーン10,20の使用環境や使用目的等に応じて、例えば、反射防止機能、紫外線吸収機能、防汚機能、帯電防止機能等、適宜必要な機能を有する層を1つ又は複数選択して設けてもよい。さらに、基材層11の映像源側(観察者側)にタッチパネル層等を設けてもよい。
特に、反射防止層は、例えば、反射層13で反射した映像光が、映像源側の空気との界面で反射して、背面側から出射して背面側に映像が漏れたように表示されることを防止できる。
なお、スクリーン10,20の映像源側(+Z側)の面に限らず、背面側の表面にハードコート機能や反射防止機能等を有する層を備えてもよい。
図9は、変形形態の映像表示装置1Aを示す図である。
図9では、理解を容易にするために、スクリーン10Aの第1光学形状層は、柱状の単位光学形状221Aが背面側に配列され、リニアフレネルレンズ形状を有する例を示したが、これに限らず、前述の各実施形態のようにサーキュラーフレネルレンズ形状を有していてもよしいし、柱状の単位プリズムが複数された形態としてもよい。
図9に示すように、例えば、映像源LSをスクリーン10Aの画面左右方向左側(−X側)の下方に配置する場合、単位光学形状221は、その配列方向及び長手方向が、映像源LSの位置に合わせてそれぞれ画面上下方向(Y方向)及び画面左右方向(X方向)に対して傾斜した形態となっている。このような形態とすることにより、映像源LSの位置等を自由に設定することができる。
なお、前述の各実施形態に示すスクリーン10,20のように、第1光学形状層がサーキュラーフレネルレンズ形状を有する場合にも、映像源LSの位置に合わせて単位光学形状121の配列方向を傾けた形態とすることにより、このような変形形態は適用可能である。
また、各実施形態において、単位光学形状121は、3つ以上の複数の面によって形成される多角形形状としてもよい。
また、各実施形態において、反射層13は、第1斜面121a及び第2斜面121bに形成される例を示したが、これに限らず、例えば、第1斜面121aの少なくとも一部に形成される形態としてもよい。
また、各実施形態において、第1斜面121a及び第2斜面121bは、微細な凹凸形状が形成された粗面である例を示したが、これに限らず、第1斜面121aのみ粗面である形態としてもよい。
また、第1実施形態において、スクリーン10は、第1光学形状層12及び第2光学形状層14が十分な厚みや剛性等を有している場合には、保護層15を備えない形態としてもよい。
また、各実施形態において、スクリーン10,20は、基材層11,21及び保護層15の少なくとも一方を、ガラス板等の光透過性を有する板状の部材としてもよい。このとき、粘着剤層等を介して第1光学形状層12等がガラス板等に接合される形態としてもよい。
このとき、映像源LSは、映像光が入射角φでスクリーン10,20へ投射されるように位置及び角度が設定されている。この入射角φは、スクリーン10,20へ投射された映像光(P波)の反射率がゼロとなる入射角(ブリュースター角)をθb(°)とした場合、(θb−10)°以上85°以下の範囲に設定される。例えば、スクリーン10,20へ投射された映像光の反射率がゼロとなる入射角θbが60°である場合、映像光の入射角φは、50〜85°の範囲に設定される。
このように、P波の偏光成分を有する映像光を投射する映像源LSを用いることにより、スクリーン10,20への入射角φが大きい場合にも、スクリーン10,20の表面における鏡面反射を抑制することができ、映像源LSの設置位置等、投射系の設計の自由度を上げることができる。また、このような映像源LSを用いることにより、スクリーン10,20に入射する際にスクリーン表面での映像光の反射を低減でき、映像の明るさ、鮮明さの向上を図ることができる。
なお、角度θb(ブリュースター角)は、映像光が投射されるスクリーン10,20の表面の材質により異なる。
また、このような形態の場合、基材層11,21及び保護層15としては、TAC製のシート状の部材が好適である。
10,20 スクリーン
11,21 基材層
12 第1光学形状層
13 反射層
14 第2光学形状層
15 保護層
26 光吸収層
LS 映像源
Claims (10)
- 映像源から投射された映像光を反射して映像を表示する半透過型の反射スクリーンであって、
入射した光の一部を反射し、その他を透過する半透過型の反射層と、
前記反射層の映像源側に少なくとも1層設けられた光透過性を有する映像源側層と、
前記反射層の背面側に少なくとも1層設けられた光透過性を有する背面側層と、
を備え、
該反射スクリーンのスクリーン面に映像源側から入射角0°で入射した光について、その総量Spを100%としたとき、
背面側へ透過した透過率Tp(%)と、反射層で反射して映像源側へ出射した反射率Rp(%)との和は、90%以下であり、
該反射スクリーン内での光の吸収率Ap(%)は、10%以上であり、
該反射スクリーンの厚み方向において、映像源側表面から前記反射層の背面側の面までを映像源側領域とし、前記反射層の映像源側の面から背面側表面までを背面側領域とするとき、該反射スクリーンのスクリーン面に映像源側から入射角0°で入射した光に対する前記映像源側領域の光の吸収率は、該反射スクリーンのスクリーン面に背面側から入射角0°で入射した光に対する前記背面側領域の光の吸収率よりも大きく、
前記映像源側層は、光透過性を有し、背面側の面に単位光学形状が複数配列された光学形状層を有し、
前記単位光学形状は、映像光が入射する第1の面と、これに交差する第2の面とを有し、
前記反射層は、前記単位光学形状の少なくとも第1の面の一部に形成されており、その表面に微細かつ不規則な凹凸形状が形成されていること、
を特徴とする反射スクリーン。 - 請求項1に記載の反射スクリーンにおいて、
該反射スクリーンのスクリーン面に入射角0°で入射した光の透過率は、10〜85%であり、
該反射スクリーンのスクリーン面に入射角0°で入射した光の吸収率は、10〜30%であること、
を特徴とする反射スクリーン。 - 請求項1又は請求項2に記載の反射スクリーンにおいて、
該反射スクリーンのスクリーン面に映像源側から入射角0°で入射した光が前記反射層で反射して映像源側から出射した反射率は、該反射スクリーンのスクリーン面に背面側から入射角0°で入射した光が前記反射層で反射して背面側から出射した反射率よりも小さいこと、
を特徴とする反射スクリーン。 - 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の反射スクリーンにおいて、
該反射スクリーンの厚み方向において、映像源側表面から前記反射層の背面側の面までの映像源側領域に、光を吸収して該反射スクリーンの光の透過率を所定の値とする光吸収層を少なくとも1つ備えること、
を特徴とする反射スクリーン。 - 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の反射スクリーンにおいて、
該反射スクリーンの反射光のピーク輝度となる出射角度から輝度が1/2となる出射角度までの角度変化量を+α1,−α2とし、その絶対値の平均値をαとするとき、5°≦α≦45°であること、
を特徴とする反射スクリーン。 - 請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の反射スクリーンにおいて、
前記単位光学形状の配列方向において、該反射スクリーンの反射光のピーク輝度となる出射角度から輝度が1/2となる出射角度までの角度変化量を+α1,−α2とし、その絶対値の平均値をαとし、前記第1の面がスクリーン面に平行な面となす角度をθ1とし、前記光学形状層の屈折率をnとするとき、該反射スクリーンの少なくとも一部の領域において、α<arcsin(n×sin(2×(θ1)))という関係を満たすこと、
を特徴とする反射スクリーン。 - 請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の反射スクリーンにおいて、
前記映像源側層は、背面側の面に、前記単位光学形状が複数配列されてサーキュラーフレネルレンズ形状が形成された光学形状層を有し、
前記サーキュラーフレネルレンズ形状の光学的中心は、該反射スクリーンの表示領域外であり、
前記反射層は、前記単位光学形状の少なくとも前記第1の面の一部に形成されていること、
を特徴とする反射スクリーン。 - 請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の反射スクリーンと、
前記反射スクリーンに映像光を投射する映像源と、
を備える映像表示装置。 - 請求項8に記載の映像表示装置において、
前記映像源が投射する映像光の前記反射スクリーンのスクリーン面への入射角度は、0°より大きいこと、
を特徴とする映像表示装置。 - 請求項9に記載の映像表示装置において、
前記映像源は、P波の映像光を前記反射スクリーンのスクリーン面への入射角φとして投射し、
前記反射スクリーンへ投射されたP波の映像光の反射率がゼロとなる入射角θbとしたときに、
(θb−10)°≦φ≦85°
の関係を満たすこと、
を特徴とする映像表示装置。
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