JP7060137B2 - 反射スクリーン、映像表示装置 - Google Patents
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また、上述のような透明性を有する反射スクリーンにおいて、一部の映像光が迷光となって所定の方向へ画像がにじむ像ぼけ等が生じる場合があった。
また、上述のような透明性を有する反射スクリーンに対して、外光による映像のコントラスト低下を抑制し、明るく明瞭な映像を表示することも求められている。
しかし、この特許文献1には、スクリーンの透明性の向上や、抜け光による天井への映像の映り込みに対する対策、像ぼけを抑制する対策等に関しては、なんら開示されていない。
第1の発明は、映像源から投射された映像光(L)を反射して映像を表示する反射スクリーンであって、光透過性を有し、映像光が入射する第1の面(521a,621a)と、これに交差する第2の面(521b,621b)とを有する単位光学形状(521,621)が、一方の面に複数配列された第1光学形状層(52,62)と、前記単位光学形状の少なくとも前記第1の面に形成され、入射した光の一部を反射し、その他を透過する半透過型の反射層(13)と、光透過性を有し、前記単位光学形状による凹凸の谷部を充填するように設けられた第2光学形状層(54,64)と、を備え、前記単位光学形状は、その表面に凹凸形状を有し、少なくとも前記反射層の前記単位光学形状側の面は、前記凹凸形状に対応した凹凸形状を有し、前記第1の面と前記第2の面との接続部分は、その接続部分において前記第1の面と前記第2の面との交差により形成される凸形状と同じ方向に凸となる曲面状であること、を特徴とする反射スクリーン(50,60)である。
第2の発明は、第1の発明の反射スクリーンにおいて、前記単位光学形状(622)は、背面側に凸となる形状であり、前記単位光学形状の頂部(622)は、背面側に凸となる曲面状であり、隣り合う前記単位光学形状の間の谷部(623)は、映像源側に凸となる曲面状であり、前記頂部の曲率半径は、前記谷部の曲率半径よりも大きく、前記反射層(13)は、少なくとも、前記第1の面及び前記頂部に形成されていること、を特徴とする反射スクリーン(60)である。
第3の発明は、第2の発明の反射スクリーンにおいて、前記反射層(13)は、前記単位光学形状(521,621)に沿ってその全面に形成されていること、を特徴とする反射スクリーン(50,60)である。
第4の発明は、第1の発明の反射スクリーンにおいて、光を拡散する拡散粒子を含有する光拡散層を備えていないこと、を特徴とする反射スクリーン(50,60)である。
第5の発明は、第1の発明の反射スクリーンにおいて、前記単位光学形状(52,62)の配列方向において、該反射スクリーンの反射光のピーク輝度となる出射角度から輝度が1/2となる出射角度までの角度変化量を+α1,-α2とし、その絶対値の平均値をαとし、前記第1の面がスクリーン面に平行な面となす角度をθ1とするとき、該反射スクリーンの少なくとも一部の領域において、α<arcsin(n×sin(2×(θ1)))という関係を満たすこと、を特徴とする反射スクリーン(50,60)である。
第6の発明は、第1の発明から第5の発明までのいずれかの反射スクリーンにおいて、前記第1の面(521a,621b)上の前記反射層(13)の単位面積当たりに前記凹凸形状が形成されていない鏡面領域が占める割合が5%以下であること、を特徴とする反射スクリーン(50,60)である。
第7の発明は、第1の発明の反射スクリーンにおいて、前記単位光学形状(521)は、背面側に凸となる形状であり、前記第2の面(521b)において最も背面側に位置する点(t)と前記第2の面において最も映像源側に位置する点(v)とを通る平面が、該反射スクリーンのスクリーン面に平行な方向となす角度をθ2とするとき、前記角度θ2は、25°≦θ2≦65°を満たすこと、を特徴とする反射スクリーン(50)である。
第8の発明は、第1の発明から第7の発明までのいずれかの反射スクリーン(50,60)、前記反射スクリーンに映像光を投射する映像源(LS)と、を備える映像表示装置(1)である。
なお、図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張している。
本明細書中において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば、平行や直交等の用語については、厳密に意味するところに加え、同様の光学的機能を奏し、平行や直交と見なせる程度の誤差を有する状態も含むものとする。
本明細書中において、記載する各部材の寸法等の数値及び材料名等は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用してよい。
本明細書中において、板、シート等の言葉を使用している。一般的に、厚さの厚い順に、板、シート、フィルムの順で使用されており、本明細書中でもそれに倣って使用している。しかし、このような使い分けには、技術的な意味は無いので、これらの文言は、適宜置き換えることができるものとする。
本明細書中において、スクリーン面とは、スクリーン全体として見たときにおける、スクリーンの平面方向となる面を示すものであり、スクリーンの画面(表示面)に平行であるとする。
図1は、第1実施形態の映像表示装置1を示す図である。図1(a)では、映像表示装置1の斜視図であり、図1(b)は、映像表示装置1を側面から見た図である。
映像表示装置1は、スクリーン10、映像源LS等を有している。本実施形態のスクリーン10は、映像源LSから投影された映像光Lを反射して、その画面上に映像を表示する反射スクリーンである。このスクリーン10の詳細に関しては、後述する。
また、スクリーン10の正面方向に位置する観察者O1から見て水平方向の右側に向かう方向を+X方向、鉛直方向の上側に向かう方向を+Y方向、厚み方向において背面側(裏面側)から映像源側(観察者側)に向かう方向を+Z方向とする。
さらに、以下の説明中において、画面上下方向、画面左右方向、厚み方向とは、特に断りが無い場合、このスクリーン10の使用状態における画面上下方向(鉛直方向)、画面左右方向(水平方向)、厚み方向(奥行き方向)であり、それぞれ、Y方向、X方向、Z方向に平行であるとする。
この映像源LSは、映像表示装置1の使用状態において、スクリーン10の画面(表示領域)を正面方向(スクリーン面の法線方向)から見た場合に、スクリーン10の画面左右方向の中央であって、スクリーン10の画面よりも鉛直方向下方側に位置している。
映像源LSは、奥行き方向(Z方向)において、スクリーン10の表面からの距離が、従来の汎用プロジェクタに比べて大幅に近い位置から斜めに映像光Lを投影できる。したがって、従来の汎用プロジェクタに比べて、映像源LSは、スクリーン10までの投射距離が短く、投射された映像光がスクリーン10に入射する入射角度が大きく、入射角度の変化量(入射角度の最小値から最大値までの変化量)も大きい。
スクリーン10の画面(表示領域)は、使用状態において、観察者O1側から見て長辺方向が画面左右方向となる略矩形状である。
スクリーン10は、その画面サイズが対角40~100インチ程度であり、画面の横縦比が16:9である。なお、これに限らず、スクリーン10は、例えば、画面サイズを40インチ以下の大きさとしてもよく、使用目的や使用環境等に応じて、その大きさや形状は適宜選択できるものとする。
この支持板は、光透過性を有し、剛性が高い平板状の部材であり、アクリル樹脂やPC樹脂等の樹脂製、ガラス製等の板状の部材を用いることができる。
本実施形態の映像表示装置1は、例えば、店舗のショーウィンドウに適用される。このとき、例えば、スクリーン10は、ショーウィンドウのガラスを上述の支持板として固定される形態とすることが好適である。
スクリーン10は、図2に示すように、その映像源側(+Z側)から順に、基材層11、第1光学形状層12、反射層13、第2光学形状層14、保護層15を備えている。
基材層11は、例えば、高い光透過性を有するPET(ポリエチレンテレフタレート)等のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、アクリルスチレン樹脂、PC(ポリカーボネート)樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂、TAC(トリアセチルセルロース)樹脂等により形成される。
この基材層11は、画面サイズ等に応じてその厚さを選択可能である。
単位光学形状121は、スクリーン10の画面左右方向(X方向)に延在し、画面上下方向(Y方向)に沿って複数配列され、第1光学形状層12の背面側にはリニアフレネルレンズ形状が形成されている。
単位光学形状121は、スクリーン10の厚み方向(Z方向)に平行であって単位光学形状121の配列方向(Y方向)に平行な断面での断面形状が、背面側に凸となるプリズム形状である。
第1の面121aがスクリーン面に平行な面となす角度は、θ1である。また、第2の面121bがスクリーン面に平行な面となす角度は、θ2である。この角度θ1,θ2は、θ2>θ1という関係を満たしている。
この単位光学形状121の第1の面121a及び第2の面121bは、微細かつ不規則な凹凸形状を有している。
この場合、第1の面121aがスクリーン面に平行な方向となす角度θ1は、単位光学形状121の配列方向及びスクリーン10の厚み方向に平行な方向におけるスクリーン10の断面において、第1の面121aとなる領域の中点での接線がスクリーン面に平行な方向となす角度とする。
また、この場合、第2の面121bがスクリーン面に平行な方向となす角度θ2は、単位光学形状121の配列方向及びスクリーン10の厚み方向に平行な方向におけるスクリーン10の断面において、第2の面521bとなる領域の最も背面側となる点(即ち、頂点t)と最も映像源側となる点(即ち、谷底となる点v)とを通る平面が、スクリーン面に平行な方向となす角度とする。
本実施形態では、図2に示すように、角度θ1,θ2、配列ピッチP等が一定である例を示している。しかし、これに限らず、これらの角度や寸法は、映像源LSからの映像光の投射角度(スクリーン10への映像光の入射角度)や、映像源LSの画素(ピクセル)の大きさ、スクリーン10の画面サイズ、各層の屈折率等に応じて、適宜設定してよい。例えば、単位光学形状121の配列方向に沿って、これらの角度や寸法が、次第に又は段階的に変化する形態としてもよい。
なお、本実施形態では、第1光学形状層12を形成する樹脂として、紫外線硬化型樹脂を例に挙げて説明するが、これに限らず、例えば、電子線硬化型樹脂等の他の電離放射線硬化型樹脂により形成してもよい。
前述のように、第1の面121a及び第2の面121bは、微細かつ不規則な凹凸形状が形成されており、反射層13は、この微細かつ不規則な凹凸形状に追従して形成されている。また、この反射層13の厚みは、凹凸形状よりも十分に薄い。したがって、反射層13の反射面(第1光学形状層12側の面)と、背面側の面(第2光学形状層14側の面)は、微細かつ不規則な凹凸形状を有するマット面となっている。
反射層13の反射率と透過率の割合は、適宜に設定できるが、映像光を良好に反射させるとともに、映像光以外の光(例えば、太陽光等の外界からの光)を良好に透過させる観点から、透過率が30~80%、反射率が5~60%の範囲であることが望ましい。
本実施形態の反射層13は、反射率が約40%、透過率が約50%のハーフミラー状に形成されている。
したがって、本実施形態の反射層13は、入射した光の一部を反射面の微細かつ不規則な凹凸形状により拡散して反射し、反射しない他の光を拡散しないで透過するという機能を有する。
反射層13は、これに限らず、例えば、光反射性の高い金属をスパッタリングしたり、金属箔を転写したり、金属薄膜を含有した塗料を塗布したりする等により形成されてもよいし、例えば、誘電体多層膜を蒸着する等により形成されてもよい。
高屈折率誘電体膜は、例えば、TiO2(二酸化チタン)、Nb2O5(五酸化ニオブ)、Ta2O5(五酸化タンタル)等により形成される。高屈折率誘電体膜の屈折率は、2.0~2.6程度である。
低屈折率誘電体膜は、例えば、SiO2(二酸化ケイ素)、MgF2(フッ化マグネシウム)等により形成される。低屈折率誘電体膜の屈折率は、1.3~1.5程度である。
高屈折率誘電体膜及び低屈折率誘電体膜の膜厚は、約5~100nmであり、これらが交互に2~10層程積層されて誘電体多層膜が形成されており、反射層として形成される誘電体多層膜の総厚は、10~1000nm程度である。
誘電体多層膜により形成された反射層は、アルミニウム等の金属蒸着膜等により形成された反射層に比べて、高い透明性を有し、光の吸収損失が小さいという利点を有する。
このような第2光学形状層14を設けることにより、反射層13を保護することができ、スクリーン10の第1光学形状層12の背面側の面に保護層15等を積層しやすくなり、また、スクリーン10の背面側への支持板等の接合も容易となる。
第2光学形状層14の屈折率は、第1光学形状層22と同等であることが望ましく、第2光学形状層14は、前述の第1光学形状層12と同じ紫外線硬化型樹脂を用いて形成することが好ましい。
本実施形態の第2光学形状層14は、第1光学形状層12と同じ紫外線硬化型樹脂によって形成されており、その屈折率が第1光学形状層12に等しい。
保護層15は、光透過性の高い樹脂製のシート状の部材が用いられる。保護層15は、例えば、前述の基材層11と同様の材料を用いて形成されたシート状の部材を用いてもよい。
上述のように、本実施形態のスクリーン10は、拡散作用を有する粒子等の拡散材を含有した光拡散層を備えておらず、拡散作用を有するのは、反射層13の反射面の微細かつ不規則な凹凸形状のみである。
ここで、第1の面121aから反射層13に入射して拡散反射し、スクリーン10から出射した光(反射光)のピーク輝度の角度Kに対して、単位光学形状121の配列方向(本実施形態では、画面上下方向)において、輝度が1/2となる角度をK1,K2とし、ピーク輝度の角度Kから輝度が1/2となる角度K1,K2までの角度変化量を+α1(ただし、K+α1=K1),-α2(ただし、K-α2=K2)とするとき、ピーク輝度から輝度が1/2になるまでの角度変化量の絶対値の平均値をα(これを以下、1/2角αという)とするとき、この1/2角αは、5°以上45°以下(5°≦α≦45°)とすることが好ましい。
α>45°である場合、視野角は広くなるが映像の明るさが低下したり、映像のぼけが強くなったり、外光のスクリーン10の表面での反射によって映像のコントラストが低下したりするので好ましくない。したがって、1/2角αは、上記範囲が好ましい。
粗面ではない鏡面領域が5%を超えると、拡散されず反射して観察者O1側に到達する映像光の成分により輝線が生じたり、視野角が低下したりするため、好ましくない。
第1の面121aの角度θ1は、映像光をスクリーン10の正面方向に位置する観察者に最も効率よく映像を反射するように、即ち、反射光のピーク輝度となる角度Kが0°となるように、各層の屈折率等に基づいて設計されている。また、-αから+αまでの範囲は、スクリーン正面に位置する観察者が映像を良好に観察することを想定している範囲である。
θ1=1/2×arcsin((sinφ)/n) ・・・(式1)
このような映像源の映り込みを防止するためには、スクリーン10の表面で観察者が主に映像を良好に観察する範囲となる角度範囲(-α~+α)よりも外側に、スクリーンの表面で反射した映像光が進むことが好ましい。入射角-φで入射した映像光Lの一部Lrがスクリーン表面で反射する場合、その反射角は+φである。したがって、映像源の映り込みを防止するために、α<φであることが好ましい。
α<arcsin(n×sin(2×(θ1))) ・・・(式2)
また、映像源の映り込み防止のためには、1/2角αは、第1の面121aの角度θ1に対して、スクリーン10の全域において、上記(式2)を満たすことがさらに好ましい。
角度θ1が1/2角αに対して、上記(式2)を満たす形態とすることにより、スクリーン10への入射時にスクリーン10の表面で反射する光が主に向かう方向(+φの方向)が、反射層13で反射した映像光がスクリーン10から出射して進む範囲(-α~+α)よりも外側となる。これにより、-αから+αまでの範囲において、映像源LSの映り込みを低減し、コントラストの高い良好な映像を表示することができる。
基材層11を用意し、その一方の面に、単位光学形状121を賦形する成形型に紫外線硬化型樹脂を充填した状態で積層し、紫外線を照射して樹脂を硬化させるUV成形法により第1光学形状層12を形成する。このとき、単位光学形状121を賦形する成形型の第1の面121a及び第2の面121bを賦形する面には、微細かつ不規則な凹凸形状が形成されている。この凹凸形状は、成形型の第1の面121a及び第2の面121bを賦形する面に、表面加工を複数回行うことにより形成できる。この表面加工は、例えば、めっき加工や、エッチング加工、ブラスト加工等である。また、この表面加工は、各種条件等を変更して複数回行ってもよい。
第1光学形状層12を、基材層11の一方の面に形成した後、第1の面121a及び第2の面121bに、反射層13を蒸着等により形成する。
基材層11及び保護層15は、枚葉状としてもよいし、ウェブ状としてもよい。基材層11及び保護層15をウェブ状とした場合には、裁断前の状態のスクリーン10を連続して製造することができ、スクリーン10の生産効率を向上させ、生産コストを低減することができる。
スクリーン10の下方に位置する映像源LSから投射され、スクリーン10に入射した映像光L1のうち、一部の映像光L2は、その単位光学形状121の第1の面121aに入射し、反射層13によって拡散反射され、観察者O1側へ出射する。
また、映像源LSから投射された映像光L1うち、一部の映像光L4は、スクリーン10の表面で反射し、スクリーン10上方へ向かう。このとき、映像光L4の反射角は、前述のように、1/2角α以上よりも大きい角度となるので、観察者O1の映像の視認の妨げにはならない。
なお、本実施形態では、映像光L1がスクリーン10の下方から投射され、かつ、角度θ2(図2参照)がスクリーン10の画面上下方向の各点における映像光の入射角度よりも大きいので、映像光が第2の面121bに直接入射することはなく、第2の面121bは、映像光の反射にはほとんど影響しない。
図4に示すように、スクリーン10に上方から入射する外光G1,G5のうち、一部の外光G2,G6は、スクリーン10の表面で反射し、スクリーン下方側へ向かう。また、一部の外光G3,G7は、反射層13で反射し、例えば、外光G3は、スクリーン10の映像源側(+Z側)の表面で全反射してスクリーン10内下方へ向かい、外光G7は、背面側(-Z側)のスクリーン外上方側へ出射する。また、反射層13で反射しなかった他の外光G4,G8は、反射層13を透過して、それぞれ背面側、映像源側へ出射する。このとき、映像源側へ出射する外光G2,G3,G8は、観察者O1には到達しないので、映像のコントラスト低下を抑制できる。
また、スクリーン10に小さな入射角度で入射する他の外光G9,G10は、反射層13を透過して、それぞれ背面側、映像源側へ出射する。スクリーン10は、光を拡散する拡散粒子を含有する光拡散層等を備えていないので、このスクリーン10を透過する外光G9,G10は、拡散されない。したがって、スクリーン10を通して、スクリーン10の向こう側の景色を観察した場合に、スクリーン10の向こう側の景色がぼやけたり、白くにじんだりすることなく、高い透明性を有して観察することができる。
しかし、本実施形態のスクリーン10では、反射層13の反射面(映像源側の面)が粗面になっている以外は、拡散作用を有しないので、映像光は反射時のみ拡散される。また、本実施形態のスクリーン10では、反射層13で反射する光のみが拡散され、透過光は拡散されない。したがって、本実施形態のスクリーン10は、良好な視野角及び解像度を有する映像を表示でき、かつ、スクリーン10の向こう側の景色が白くにじんだり、ぼけたりすることがなく観察者O1に良好に視認され、高い透明性を実現できる。また、本実施形態のスクリーン10では、スクリーン10に映像光が投射された状態においても、観察者O1が、スクリーン10の向こう側(背面側)の景色を一部視認することが可能である。さらに、スクリーン10では、背面側に位置する観察者O2は、映像光の投射の有無に関わらず、スクリーン10越しに映像源側(+Z側)の景色を高い透明性を有して良好に視認することができる。
基材層11は、PET樹脂製であり、厚さ約100μmである。
第1光学形状層12は、ウレタンアクリレート系の紫外線硬化型樹脂(屈折率1.52)である。
単位光学形状121は、配列ピッチPが100μmである。
反射層13は、アルミニウムの蒸着膜により形成され、厚さ約60Å、透過率50%、反射率40%である。
第2光学形状層14は、ウレタンアクリレート系の紫外線硬化型樹脂(屈折率1.52)である。
保護層15は、PET樹脂製であり、厚さ約100μmである。
映像源LSは、スクリーンの画面中央となる点Aにおいて、輝度が最大となるように設置した。
表1は、測定例1~6のスクリーンの評価結果をまとめたものである。
図5は、測定例1~6のスクリーン10の反射光の輝度と拡散角を示すグラフを示す図である。図5に示すグラフにおいて、縦軸は、反射光の輝度(cd/m2)、横軸は、拡散角(°)である。
1/2角αが、45°より大きい測定例5,6のスクリーンでは、視野角は十分に広いが、光が拡散され過ぎ、映像の明るさや解像度が低下して、映像が視認し難かった。
これに対して、1/2角αが5°以上45°以下である測定例2,3,4のスクリーンでは、十分な視野角及び明るさを有する良好な映像が視認された。
図6は、第2実施形態のスクリーン20を説明する図である。図6(a)では、スクリーン20の第1光学形状層22を背面側(-Z側)から見た図であり、理解を容易にするために、反射層13や第2光学形状層14、保護層15等は、省略して示している。図6(b)では、前述の図2に示す第1実施形態のスクリーン10の断面に相当する第2実施形態のスクリーン20の断面の一部を拡大して示している。
第2実施形態に示すスクリーン20は、前述の第1実施形態のスクリーン10と略同様の形態であるが、第1光学形状層22がサーキュラーフレネルレンズ形状を有し、第2光学形状層24がこの第1光学形状層22に対応してその映像源側の面にこのサーキュラーフレネルレンズ形状の逆型となる形状を有している点を特徴とする。したがって、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。なお、第2実施形態及び後述する第3実施形態から第6実施形態についても同様に、第1実施形態との相違点を主に説明する。
第2実施形態のスクリーン20は、前述の第1実施形態の映像表示装置1において、スクリーン10に換えて用いることが可能である。
第1光学形状層22の背面側には、単位光学形状(単位レンズ)221が複数配列されて形成されている。単位光学形状221は、真円の一部形状(円弧状)であり、図6に示すように、スクリーン20の画面(表示領域)外に位置する点Cを中心として、同心円状に複数配列されている。即ち、第1光学形状層22は、背面側に点Cを中心(フレネルセンター)とする所謂オフセット構造のサーキュラーフレネルレンズ形状を有している。
本実施形態では、この点Cは、図6に示すように、スクリーン20の画面(表示領域)の左右方向の中央であって画面下方に位置しており、スクリーン10を正面方向から見た場合、点Cと点Aとは、画面上下方向(Y方向)に平行な同一直線上に位置している。
第2光学形状層24は、第1実施形態の第2光学形状層14と略同様であるが、その映像源側の面に、第1光学形状層22のサーキュラーフレネルレンズ形状の逆型となる光学形状が形成されている。
また、本実施形態によれば、第1光学形状層22は、フレネルセンターとなる点Cが、スクリーン20の表示領域外下方に位置しており、所謂、オフセット構造のサーキュラーフレネルレンズ形状を有しているので、スクリーン20の下方に位置する短焦点型の映像源LSから投射された入射角度の大きい映像光であっても、画面左右方向の映像が暗くなることがなく、明るさの面均一性の高い良好な映像を表示することができる。
第3実施形態のスクリーン30は、第1実施形態に示すスクリーン10と同様の形態であるが、第1光学形状層及び第2光学形状層として、第2実施形態と同様のオフセット構造のサーキュラーフレネルレンズ形状を有する第1光学形状層22及びこれに対応する第2光学形状層24を備える点と、スクリーン30内に、光を吸収してスクリーン30の光の透過率を所定の値とする光吸収層を少なくとも1つ備える点を特徴とする。
本実施形態のスクリーン30は、図7に示すように、厚み方向(Z方向)において、その映像源側(+Z側)から順に、基材層11、第1光学形状層22、反射層33、第2光学形状層24、保護層15等を備えている。このスクリーン30は、前述の第1実施形態に示す映像表示装置1に適用可能である。
Tp+Rp≦95 ・・・(式3)
Ap=Sp-(Tp+Rp)≧5 ・・・(式4)
この吸収率が5%未満となると、映像のコントラストが低下するため好ましくない。また、吸収率が50%よりも大きくなると、反射されて表示される映像の明るさが低下したり、スクリーンとしての透明性が低下したりするため、好ましくない。したがって、吸収率は、上記範囲を満たすことが好ましい。
本実施形態の反射層33は、前述のように光吸収層としての機能を有し、背面側(-Z側)から入射した光の反射時の吸収率が、映像源側(+Z側)から入射した光の反射時の吸収率よりも大きい。
したがって、本実施形態のスクリーン30は、背面側領域Sbの光の吸収率が、映像源側領域Saの光の吸収率よりも大きく、光学的には、スクリーン30が背面側領域Sbに光吸収作用を有する層を備えている形態に相当する。
また、本実施形態では、スクリーン30の背面側領域Sbの光の吸収率が、映像源側領域Saの光の吸収率よりも大きいので、背面側(-Z側)から入射して映像源側(+Z側)へ抜け、観察者O1の映像の視認に悪影響を及ぼす外光等を吸収でき、スクリーンとして高い透過性を有しながらコントラストの高い映像を表示できる。
また、本実施形態によれば、反射層33よりも映像源側、背面側となる領域は、透明であり、その透過率等は同等であるので、スクリーンを映像源側、背面側どちらから見た場合にも高い透明性を実現できる。
例えば、保護層15、第2光学形状層24、基材層11、第1光学形状層22の少なくとも1つが光吸収層としての機能を有していてもよいし、各層の間に不図示の光吸収層が設けられる形態としてもよいし、反射層33の映像源側又は背面側に反射層33と一体に光吸収層が形成されている形態としてもよい。
また、光吸収層は、灰色や黒色等の染料や顔料等の着色材等により、着色が施されている形態としてもよいし、着色されておらず、透明な層であって光吸収作用を有する形態としてもよい。
第4実施形態の映像表示装置は、映像源と、スクリーン40とを備えている。
第4実施形態の映像表示装置は、第1実施形態の映像表示装置1と同様の形態であるが、映像源が所定の偏光を多く含む光を映像光としてスクリーン40へ投射する点を特徴とする。また、第4実施形態のスクリーン40は、第1実施形態のスクリーン10と略同様の形態であるが、第2実施形態と同様のオフセット構造のサーキュラーフレネルレンズ形状を有する第1光学形状層22及びこれに対応する第2光学形状層24を備える点と、その厚み方向において、反射層13を含みスクリーン40の背面側表面までの背面側の領域に、映像光に含まれる所定の偏光を吸収又は反射し、映像光の少なくとも一部がスクリーン40の背面側へ出射することを抑制する抜け光抑制層を備える点とを特徴とする。
本実施形態の映像源は、映像光の投射口に偏光フィルタが配置されたプロジェクタであり、スクリーン40の映像源側表面40a(図8参照)に対して所定の直線偏光(以下、第1の偏光)を多く含む映像光を投射する。
スクリーン40は、厚み方向(Z方向)において映像源側(+Z側)から順に、基材層41、第1光学形状層22、反射層13、第2光学形状層24、抜け光抑制層45等を備えている。
基材層41は、前述の第1実施形態に示す基材層11と略同様であるが、そのリタデーションが約200nm以下とすることが好ましく、100nm以下とすることがより好ましい。
抜け光抑制層45は、第2光学形状層14よりも背面側(-Z側)に設けられた層であり、所定の偏光を透過し、それ以外の光を吸収する機能を有する。このような抜け光抑制層45としては、偏光板を用いることができる。
なお、本実施形態では、抜け光抑制層45がスクリーン40の最も背面側に位置する形態を示したが、これに限らず、抜け光抑制層45の背面側に、さらに、スクリーン40の背面側の表面を保護する不図示の保護層等を設けてもよい。
また、スクリーン40へ小さな入射角度で入射する外光に含まれる第1の偏光は、抜け光抑制層45で吸収され、この外光に含まれる第2の偏光は、抜け光抑制層45を透過する。したがって、この外光の半分程度が拡散されることなくスクリーン40を透過する。
また、本実施形態のスクリーン40では、スクリーン40の背面側上方から入射する外光に含まれる第1の偏光を吸収するので、映像のコントラストを向上させ、良好な映像を表示できる。
以上のことから、本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、高い透明性を有し、良好な映像を表示でき、さらに、映像のコントラストを向上させ、天井等への映像の映り込みを抑制することができる。
このような形態とした場合には、効率よく映像光を反射して明るい映像が表示でき、かつ、透明性を高く維持できる。さらに、反射層により、映像光に多く含まれる所定の偏光が反射されるので、反射層を透過する光量を大幅に低減でき、背面側の天井への映像の映り込みを大幅に改善できる。
第5実施形態のスクリーン50は、第1実施形態のスクリーン10と略同様の形状であるが、第2実施形態の第1光学形状層22と同様のオフセット構造のサーキュラーフレネルレンズ形状を背面側に有する第1光学形状層52及びこれに対応する第2光学形状層54を備える点と、単位光学形状521の第2の面521bがスクリーン面の法線方向に対して交差する点とを特徴とする。
図10は、第5実施形態のスクリーン50の層構成を説明する図である。図10に示すスクリーン50の断面は、前述の第1実施形態の図2に示すスクリーン10の断面に相当する。
図11は、第5実施形態の単位光学形状521を説明する図である。図11では、図10に示すスクリーン50の断面の一部をさらに拡大して示している。また、図11では、理解を容易にするために、第1光学形状層52、反射層13、第2光学形状層54のみを示している。
第1光学形状層52及び単位光学形状521は、前述の第2実施形態に示した第1光学形状層22及び単位光学形状221と略同様の形態であるが、角度θ2の好ましい範囲が設定されている点を特徴とする。
スクリーン50の透明性を向上させ、外光による映像のコントラスト低下を抑制し、コントラストの高い映像を表示する観点から、第2の面521bは、スクリーン面の法線方向に交差することが好ましく、この角度θ2は、25°≦θ2≦65°を満たすことがさらに好ましい。
本実施形態では、角度θ2は、25°≦θ2≦65°を満たしている。
図12(a)に示すように、角度θ2がθ2=90°である場合(第2の面521bがスクリーン面に平行な方向に対して直交する場合)、映像源側(+Z側)上方や背面側(-Z側)上方から大きな入射角度でスクリーンに入射した一部の外光G517,G518は、第2の面521b上の反射層13で反射しても、映像源側上方へ出射する等し、映像源側の正面方向に位置する観察者O1には届かない。
これにより、映像光の非投射時等において、観察者O1,O2には、スクリーンの向こう側の景色がぼやけたり、白く滲んだりして観察され、スクリーンの透明性が低下する。また、映像光の投射時においては、映像源側へ出射する外光G515により、映像のコントラストの低下が生じてしまう。
したがって、スクリーンの透明性を向上させ、かつ、映像のコントラスト向上を図る観点から、第2の面521bがスクリーン面の法線方向に対して交差する(即ち、角度θ2が90°ではない)ことが好ましい。
また、映像源側から小さい入射角度でスクリーンに入射した一部の外光G523は、第2の面521b上の反射層13で反射する等し、スクリーンの映像源側上方へ出射したり、スクリーン内を上側へ進んだりするため、映像源側の観察者O1に届かない。また、図示しないが、背面側から小さい入射角度でスクリーンに入射した外光は、多くが反射層13を透過し、仮に、第2の面521b上の反射層13で反射しても、スクリーンの背面側下方や上方へ出射する等して、観察者O1等には届かない。
また、この場合、単位光学形状521において、第2の面521bが占める面積が大きくなり過ぎ、映像光を観察者側へ反射する第1の面521aの面積が小さくなる。したがって、観察者O1に届く映像光の光量が減少し、映像が暗く不鮮明となるので好ましくない。
また、単位光学形状521において、映像光を観察者側へ反射する第1の面521aの面積を十分確保でき、また、第2の面521bに入射する映像光を十分に低減できるので、明るく鮮明な画像を表示できる。
以上のことから、角度θ2は、25°≦θ2≦65°を満たすことがより好ましい。
また、本実施形態では、角度θ2が、25°≦θ2≦65°を満たしているので、映像源側上方及び背面側上方からスクリーンに大きな入射角度で入射する外光が、第2の面521b上の反射層13で拡散反射して、映像源側の正面方向に位置する観察者O1に届くことが少ない。また、小さな入射角度で入射する外光が、第2の面521b上の反射層13で拡散反射することによるスクリーン50の透明性の低下を抑制できる。したがって、本実施形態によれば、高い透明性を有し、コントラストが高く明るい映像を表示できる。
図13は、第5実施形態のスクリーン50の他の形態を説明する図である。図13では、図12に示すスクリーン50の断面に相当するスクリーン50の他の形態の断面を示している。
図13に示すように、第5実施形態のスクリーン50の他の形態では、第1の面521a及び第2の面521bの少なくとも一部がなだらかな曲面状であり、隣り合う単位光学形状521間の谷部分(点vを含むその近傍)や単位光学形状521の頂部(頂点tを含むその近傍)も曲面状なっている。また、反射層13は、単位光学形状521の形状に沿って形成されている。
そして、1つの第2の面521bにおいて、角度θ3が、0°≦θ3<25°となる領域の面積と65°<θ3≦90°となる領域の面積との和が、25°≦θ3≦65°である領域の面積よりも小さい。このような形態とすることにより、スクリーン10の透明性を向上させ、映像のコントラストや明瞭さを向上させている。
このような形態とした場合にも、第5実施形態と同様に、透明性が高く、良好な映像を表示でき、さらに、映像のコントラストを高めることができる。
図14は、第6実施形態のスクリーン60の層構成を説明する図である。図14に示すスクリーン60の断面は、前述の図2に示す第1実施形態のスクリーン10の断面に相当する。図14では、理解を容易にするために、反射層13の形状は簡略化して示している。
第6実施形態のスクリーン60は、前述の第1実施形態のスクリーン10と略同様であるが、第2実施形態の第1光学形状層22と同様のオフセット構造のサーキュラーフレネルレンズ形状を有する第1光学形状層62及びこれに対応する第2光学形状層64を備える点と、単位光学形状621の頂部及び隣り合う単位光学形状621の間の谷部623が曲面状である点とを特徴とする。
第1光学形状層62は、前述の第2実施形態の第1光学形状層22と同様に、背面側の面に、真円の一部形状(円弧状)である単位光学形状621がスクリーン60の画面(表示領域)外下方に位置する点(図6(a)に示す点Cに相当する点)を中心として同心円状に配列されたサーキュラーフレネルレンズ形状を有する。単位光学形状621は、背面側(-Z側)に凸であり、第1の面621aと、これに対向する第2の面621bとを有している。
一般的に、第1光学形状層62の単位光学形状621を賦形する成形型の第1の面621a及び第2の面621bを賦形する面に、前述の第1実施形態に示すように凹凸形状を賦形するためにめっきやブラスト、エッチング等の表面加工を行うと、頂部622や谷部623に相当する部分が曲面状となりやすい。
本実施形態では、上述の傾向を利用して、頂部622の曲率半径が、谷部623の曲率半径よりも大きくなるように成形型を作製し、第1光学形状層62を作製している。
図15(b)に示す比較例のスクリーン60Bでは、隣り合う単位光学形状621Bの間の谷部623Bの曲率半径が、頂部622Bの曲率半径よりも大きい。
この映像光Lgは、映像光の光軸方向(投射方向)に沿った方向に映像がにじむような像ぼけを生じさせるため、好ましくない。
また、本実施形態のスクリーン60では、頂部622は、背面側(-Z側)に凸であり、谷部623よりも背面側に位置している。したがって、比較例のスクリーン60Bにおいて谷部623Bに入射する光量に比べて、本実施形態のスクリーン60の頂部622に入射する光の光量の方が、大幅に小さく、頂部622の映像源側に入射して反射層13で反射し、スクリーン60の背面側の表面等で全反射する等して入光点よりもやや上方から映像源側へ出射して像ぼけを招く光は、その光量がわずかである。
以上のことから、本実施形態によれば、像ぼけを引き起こす迷光を大幅に低減できる。
スクリーン60の下方に位置する映像源LSから投射され、スクリーン60に入射した映像光L61のうち、一部の映像光L62は、その単位光学形状621の第1の面621aに入射し、反射層13によって拡散反射され、観察者O1側へ出射する。
また、映像源LSから投射された映像光L61うち、一部の映像光L64は、スクリーン60の表面で反射し、スクリーン60上方へ向かうので、映像源側の観察者O1の映像の視認の妨げにはならない。
また、前述のように、本実施形態では、頂部622に映像源側から入射して反射層13で反射し、スクリーン60表面で全反射する等した後、スクリーン上方から映像源側に出射する映像光は、光量がわずかであり、このような映像光によって生じる映像光の投射方向(光軸方向)に沿った像ぼけを低減でき、映像の鮮明性を向上させることができる。
図16に示すように、スクリーン60に上方から入射する外光G61,G65のうち、一部の外光G62,G66は、スクリーン60の表面で反射し、スクリーン60の下方側へ向かう。
外光G61のうち、一部の外光G63は、反射層13で反射し、一部がスクリーン60の映像源側の表面で全反射してスクリーン60内下方へ向かい、減衰し、一部が図示しないが、スクリーン60下方へ出射する。また、外光G65のうち、一部の外光G67は、反射層13で反射し、背面側のスクリーン60上方側へ出射する。
また、反射層13で反射しなかった他の外光G64,G68は、反射層13を透過して、それぞれスクリーン60の背面側下方、映像源側下方へ出射する。このとき、映像源側へ出射する外光G62,G63,G68は、スクリーン60の下方側へ向かい、正面方向に位置する観察者O1には到達しないので、外光による映像のコントラスト低下を抑制できる。
また、小さな入射角度でスクリーン60に入射する他の外光G69,G70は、反射層13を透過して、それぞれ背面側、映像源側へ出射する。スクリーン60は、光を拡散する拡散粒子等を含有する光拡散層等を備えておらず、反射層13は、透過する光を拡散しないので、このスクリーン60を透過する外光G69,G70は、拡散されない。したがって、スクリーン60を通してスクリーン60の向こう側の景色を観察した場合に、その景色がぼやけたり、白くにじんだりすることなく、高い透明性を有して観察することができる。
また、本実施形態のスクリーン60では、頂部622の曲率半径の方が、谷部623の曲率半径よりも大きいので、像ぼけを低減して映像の鮮明さを向上できる。
以上説明した各実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
(1)各実施形態において、スクリーン10~60の映像源側の面に、傷つき防止を目的としたハードコート層を設けてもよい。ハードコート層は、例えば、スクリーン10~60の映像源側の面(基材層11の映像源側の面)に、ハードコート機能を有する紫外線硬化型樹脂(ウレタンアクリレート等)を塗布して形成する等により、形成される。
また、ハードコート層に限らず、スクリーン10~60の使用環境や使用目的等に応じて、例えば、反射防止機能、紫外線吸収機能、防汚機能、帯電防止機能等、適宜必要な機能を有する層を1つ又は複数選択して設けてもよい。さらに、基材層11の映像源側(観察者側)にタッチパネル層等を設けてもよい。
特に、反射防止層を映像源側の面に設けた場合には、スクリーン10~60への入射光量の増加を図ることができ、さらに、例えば、反射層で反射した映像光が、映像源側の空気との界面で反射して、背面側から出射して背面側に映像が漏れたように表示されることを防止できる。
なお、スクリーン10~60は、その映像源側(+Z側)の面に限らず、背面側の表面にハードコート機能や反射防止機能等を有する層を備えてもよい。
例えば、映像源LSをスクリーンの画面左右方向左側(-X側)の下方に配置する場合、単位光学形状121は、その配列方向及び長手方向が、映像源LSの位置に合わせてそれぞれ画面上下方向(Y方向)及び画面左右方向(X方向)に対して傾斜した形態とすればよい。
なお、第2実施形態から第6実施形態のように、第1光学形状層22がサーキュラーフレネルレンズ形状を有する場合には、フレネルセンターとなる点Cの位置をずらすことにより、このような変形形態は適用可能である。
これらのような形態とすることにより、映像源LSの位置等を自由に設定することができる。
また、各実施形態において、単位光学形状121,221,521,621は、3つ以上の複数の面によって形成される多角形形状としてもよい。
また、各実施形態において、反射層13,33は、例えば、第1の面121a,221a,521a,621aの少なくとも一部に形成される形態としてもよい。
また、各実施形態において、例えば、第1の面121a,221a,521a,621aのみ粗面である形態としてもよい。
また、各実施形態において、スクリーン10~60は、基材層11,41及び保護層15の少なくとも一方を、ガラス板等の光透過性を有する板状の部材としてもよい。このとき、粘着剤層等を介して第1光学形状層等がガラス板等に接合される形態としてもよい。
このとき、映像源LSは、映像光が入射角φでスクリーン10~60へ投射されるように位置及び角度が設定されている。この入射角φは、スクリーン10~60へ投射された映像光(P波)の反射率がゼロとなる入射角(ブリュースター角)をθb(°)とした場合、(θb-10)°以上85°以下の範囲に設定される。例えば、スクリーン10~60へ投射された映像光の反射率がゼロとなる入射角θbが60°である場合、映像光の入射角φは、50~85°の範囲に設定される。
なお、角度θb(ブリュースター角)は、映像光が投射されるスクリーン10~60表面の材質により異なる。
また、このような形態の場合、基材層11及び保護層15としては、TAC製のシート状の部材が好適である。
また、各実施形態において、スクリーンの厚み方向において、複数の反射層が存在する形態、即ち、透明性を有するスクリーンを厚み方向に複数枚積層した形態としてもよい。
これらのような形態とすることにより、スクリーンに表示される映像のシンチレーションを低減して画質を向上させたり、映像の視野角を一方向に広げたり、映像の明るさを向上させたりすることができる。
10,20,30,40,50,60 スクリーン
11,41 基材層
12,22,52,62 第1光学形状層
121,221,521,621 単位光学形状
121a,221a,521a,621a 第1の面
121b,221b,521b,621b 第2の面
13,33 反射層
14,24,54,64 第2光学形状層
15 保護層
45 抜け光抑制層
LS 映像源
Claims (8)
- 映像源から投射された映像光を反射して映像を表示する反射スクリーンであって、
光透過性を有し、映像光が入射する第1の面と、これに交差する第2の面とを有する単位光学形状が、一方の面に複数配列された第1光学形状層と、
前記単位光学形状の少なくとも第1の面に形成され、入射した光の一部を反射し、その他を透過する半透過型の反射層と、
光透過性を有し、前記単位光学形状による凹凸の谷部を充填するように設けられた第2光学形状層と、
を備え、
前記単位光学形状は、その表面に凹凸形状を有し、
少なくとも前記反射層の前記単位光学形状側の面は、前記凹凸形状に対応した凹凸形状を有し、
前記第1の面と前記第2の面との接続部分は、その接続部分において前記第1の面と前記第2の面との交差により形成される凸形状と同じ方向に凸となる曲面状であること、
を特徴とする反射スクリーン。 - 請求項1に記載の反射スクリーンにおいて、
前記単位光学形状は、背面側に凸となる形状であり、
前記単位光学形状の頂部は、背面側に凸となる曲面状であり、隣り合う前記単位光学形状の間の谷部は、映像源側に凸となる曲面状であり、
前記頂部の曲率半径は、前記谷部の曲率半径よりも大きく、
前記反射層は、少なくとも、前記第1の面及び前記頂部に形成されていること、
を特徴とする反射スクリーン。 - 請求項2に記載の反射スクリーンにおいて、
前記反射層は、前記単位光学形状に沿ってその全面に形成されていること、
を特徴とする反射スクリーン。 - 請求項1に記載の反射スクリーンにおいて、
光を拡散する拡散粒子を含有する光拡散層を備えていないこと、
を特徴とする反射スクリーン。 - 請求項1に記載の反射スクリーンにおいて、
前記単位光学形状の配列方向において、該反射スクリーンの反射光のピーク輝度となる出射角度から輝度が1/2となる出射角度までの角度変化量を+α1,-α2とし、その絶対値の平均値をαとし、前記第1の面がスクリーン面に平行な面となす角度をθ1とするとき、該反射スクリーンの少なくとも一部の領域において、α<arcsin(n×sin(2×(θ1)))という関係を満たすこと、
を特徴とする反射スクリーン。 - 請求項1に記載の反射スクリーンにおいて、
前記第1の面上の前記反射層の単位面積当たりに前記凹凸形状が形成されていない鏡面領域が占める割合が5%以下であること、
を特徴とする反射スクリーン。 - 請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の反射スクリーンにおいて、
前記単位光学形状は、背面側に凸となる形状であり、
前記第2の面において最も背面側に位置する点と前記第2の面において最も映像源側に位置する点とを通る平面が、該反射スクリーンのスクリーン面に平行な方向となす角度をθ2とするとき、前記角度θ2は、25°≦θ2≦65°を満たすこと、
を特徴とする反射スクリーン。 - 請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の反射スクリーンと、
前記反射スクリーンに映像光を投射する映像源と、
を備える映像表示装置。
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