JP6507563B2 - 反射スクリーン、映像表示システム - Google Patents
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そして、このような短焦点型の映像投射装置によって投射された映像光を良好に表示するために、単位レンズが複数配列されて形成されたリニアフレネルレンズ形状やサーキュラーフレネルレンズ形状を有するレンズ層の表面に反射層を形成した反射スクリーン等が様々に開発されている(例えば、特許文献1参照)。
ここで、レンズ層にリニアフレネルレンズ形状を適用し、巻き取られた基材上にレンズ層を順次成形する、いわゆるロール搬送方式によってレンズ層を形成し、製造効率を向上させ、製造コストを安価にすることも可能であるが、この場合、サーキュラーフレネルレンズ形状に比して反射スクリーンのスクリーン面内の輝度分布が不均一になったり、正面輝度が低下したりしてしまう問題が生じてしまう。
第1の発明は、映像源(LS)から投射された映像光を反射して画面に表示する反射スクリーン(20)であって、レンズ面(232)及び非レンズ面(233)を備え、映像源側とは反対の背面側に凸となる単位レンズ(231)が複数配列されたリニアフレネルレンズを形成するレンズ層(23)と、少なくとも前記レンズ面に形成され、光を反射する反射層(22)と、前記レンズ層の映像源側に設けられ、光を透過する第1光透過部(252)及び第2光透過部(253)を有する光制御層(25)とを備え、前記第1光透過部及び前記第2光透過部は、前記単位レンズの配列方向に延在し、前記光制御層の厚み方向と前記単位レンズの配列方向とに直交する方向に交互に配列されており、前記第2光透過部は(253)、前記光制御層(25)の厚み方向に平行であって、前記第2光透過部の配列方向に平行な断面形状が楔形形状であること、を特徴とする反射スクリーンである。
第2の発明は、第1の発明の反射スクリーン(20)において、前記第2光透過部(253)は、透明に形成されており、前記第2光透過部の屈折率は、前記第1光透過部(252)の屈折率よりも小さいこと、を特徴とする反射スクリーンである。
第3の発明は、第1の発明又は第2の発明の反射スクリーン(20)において、前記第2光透過部(253)は、光の拡散特性を有する部材により形成されていること、を特徴とする反射スクリーンである。
第4の発明は、第3の発明の反射スクリーン(20)において、前記第2光透過部(253)は、ヘイズ値が10〜60%の範囲であること、を特徴とする反射スクリーンである。
第5の発明は、第1の発明から第4の発明までのいずれかの反射スクリーン(20)と、前記反射スクリーンに映像光を投射する映像源(LS)と、を備える映像表示システム(1)である。
なお、図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張している。
また、板、シート等の言葉を使用しているが、これらは、一般的な使い方として、厚さの厚い順に、板、シート、フィルムの順で使用されており、本明細書中でもそれに倣って使用している。しかし、このような使い分けには、技術的な意味は無いので、これらの文言は、適宜置き換えることができるものとする。
さらに、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値及び材料名等は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用してよい。
図1は、本実施形態の映像表示システム1を説明する図である。図1(a)は、映像表示システム1の斜視図であり、図1(b)は、映像表示システム1の側面図である。
映像表示システム1は、反射スクリーン20を備える反射スクリーンユニット10と、映像源LS等とを有している。本実施形態の映像表示システム1は、映像源LSから投影された映像光Lを反射スクリーン20が反射して、その画面上に映像を表示する。
この映像表示システム1は、例えば、映像光Lを映像源LSから投射するフロントプロジェクションテレビシステム等として用いることが可能である。
なお、スクリーン面とは、この反射スクリーン20全体として見たときにおける、反射スクリーン20の平面方向となる面を示すものである。
この映像源LSは、反射スクリーン20の画面に直交する方向(反射スクリーン20の厚み方向)における反射スクリーン20との距離が、従来の汎用プロジェクタに比べて大幅に近い位置から映像光Lを投射できる。即ち、映像源LSは、従来の汎用プロジェクタに比べて、反射スクリーン20までの投射距離が短く、映像光Lの反射スクリーン20のスクリーン面に対する入射角度も大きい。
以下の説明中において、画面上下方向、画面左右方向、厚み方向とは、特に断りが無い場合、この反射スクリーン20の使用状態における画面上下方向(鉛直方向)、画面左右方向(水平方向)、厚み方向(奥行き方向)であるとする。
この反射スクリーン20は、例えば、対角80インチや100インチ、120インチ等の大きな画面(表示領域)を有している。
反射スクリーン20は、薄く、それ単独では平面性を維持するだけの十分な剛性を有していない場合が多い。そのため、反射スクリーン20は、支持板30に一体に接合される形態とすることにより、その画面の平面性を維持している。
図2(a)では、反射スクリーン20の観察画面(表示領域)の幾何学的中心(画面中央)となる点A(図1(a),(b)参照)を通り、画面上下方向に平行であって、スクリーン面に垂直(厚み方向に平行)な断面の一部を拡大して示している。また、図2(b)では、反射スクリーン20の上記点Aを通り、画面左右方向に平行であって、スクリーン面に垂直(厚み方向に平行)な断面の一部を拡大して示している。
反射スクリーン20は、図2に示すように、その厚み方向において、映像源側(観察者側)から順に、表面層26、光制御層25、基材層24、レンズ層23、反射層22、保護層21等を備えている。
基材層24は、レンズ層23を形成する基材となるシート状の部材である。この基材層24の映像源側には、光制御層25が形成され、背面側(裏面側)には、レンズ層23が一体に形成されている。
基材層24は、拡散材を含有する光拡散層241と、顔料や染料等の着色材を含有する着色層242とを有している。本実施形態の基材層24は、光拡散層241と着色層242とが共押出成形されることにより、一体に積層されて形成されている。
本実施形態では、図2に示すように、基材層24において、光拡散層241が背面側であり、着色層242が映像源側に位置する例を示したが、これに限らず、光拡散層241が映像源側に位置し、着色層242が背面側に位置する形態としてもよい。
光拡散層241の母材となる樹脂は、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂や、PC(ポリカーボネート)樹脂、MS(メチルメタクリレート・スチレン)樹脂、MBS(メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン)樹脂、TAC(トリアセチルセルロース)樹脂、PEN(ポリエチレンナフタレート)樹脂、アクリル系樹脂等が好適に用いられる。
光拡散層241の厚さは、反射スクリーン20の画面サイズ等にも依るが、約100〜2000μmとすることが好ましい。光拡散層241は、そのヘイズ値が、85〜99%の範囲であることが望ましい。
着色層242の着色剤としては、グレー系や黒色系等の暗色系の染料や顔料等や、カーボンブラック、グラファイト、黒色酸化鉄等の金属塩等が好適に用いられる。
着色層242の母材となる樹脂は、PET樹脂や、PC樹脂、MS樹脂、MBS樹脂、TAC樹脂、PEN樹脂、アクリル系樹脂等を用いることができる。
着色層242は、反射スクリーン20の画面サイズ等にも依るが、その厚さを約30〜1000μmとすることが好ましい。
図3(a)は、レンズ層23を背面側正面方向から観察した様子を示しており、理解を容易にするために、反射層22や保護層21等は省略して示している。図3(b)は、図2(a)に示す断面の一部をさらに拡大して示し、理解を容易にするために、映像源側に位置する基材層24や、光制御層25、表面層26は省略して示している。
レンズ層23は、基材層24の背面側に設けられた光透過性を有する層であり、図3(a)等に示すように、単位レンズ231がスクリーン面に沿って画面上下方向に複数配列されたリニアフレネルレンズ形状をその背面側の面に有している。
単位レンズ231は、背面側に凸であり、レンズ面232と、このレンズ面232と対向する非レンズ面233とを備えている。
本実施形態では、反射スクリーン20の使用状態において、単位レンズ231は、レンズ面232が頂点tを挟んで非レンズ面233よりも鉛直方向上側に位置している。
理解を容易にするために、図2等では、単位レンズ231の配列ピッチP、角度α,βは、単位レンズ231の配列方向において一定であるように示している。しかし、本実施形態の単位レンズ231は、実際には、配列ピッチP等が一定であるが、角度αが画面上下方向の上方へ向かうにつれて次第に大きくなっている。また、それに伴いレンズ高さhも変動する。
なお、これに限らず、配列ピッチPは、単位レンズ231の配列方向に沿って次第に変化する形態等としてもよく、映像光Lを投影する映像源LSの画素(ピクセル)の大きさや、映像源LSの投射角度(反射スクリーン20のスクリーン面への映像光の入射角度)、反射スクリーン20の画面サイズ、各層の屈折率等に応じて、適宜変更可能である。
本実施形態の単位レンズ231は、その配列ピッチPが50〜200μmの範囲で形成され、レンズ高さhが0.5〜60μmの範囲で形成され、レンズ面232の角度αが0.5〜35°の範囲で形成され、非レンズ面233の角度βが45〜90°の範囲で形成されている。
本実施形態の反射層22は、図2(a)や図3(b)に示すように、レンズ面232に形成されているが、非レンズ面233には形成されていない。なお、反射層22は、光を反射しない程度の薄さであれば、非レンズ面233の少なくとも一部に形成された形態としてもよい。
反射層22は、光を反射するために十分な厚さであれば、その材料等に応じて厚さを自由に設定してよい。
この保護層21は、反射スクリーン20の裏面を傷等から保護したり、反射層22を剥離や破損、酸化等の劣化から保護したりする機能を有している。また、保護層21は、光を吸収する作用を有しており、反射スクリーン20への背面側からの外光の入射を防止する機能を有する。さらに、保護層21は、耐熱性、耐寒性等の耐候性を有することがより好ましい。
本実施形態では、保護層21を形成する材料としては、例えば、酸化防止剤等が添加された黒色のエポキシ樹脂等を用いることができる。
光制御層25は、基材部251と、光学形状部254とを備えており、図2(b)に示すように、不図示の接合層を介して基材層24の映像源側に一体に積層されている。
基材部251は、光透過性を有する透明な部材から形成されており、この光制御層25のベースとなる層である。この基材部251は、シート状の部材を用いている。
基材部251を形成する材料としては、PC樹脂や、PET樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂、MS樹脂等が挙げられる。また基材部251の厚みは、75〜200μmのとすることが好ましい。
基材部251は、その屈折率が、光学形状部254の第1光透過部252(後述する)の屈折率と同等である。ここで、屈折率が同等であるとは、基材部251の屈折率と第1光透過部252の屈折率とが等しい場合だけでなく、両者の屈折率の差が0.01以内である場合も含むものをいう。これにより、光制御層25を透過する光が、基材部251及び第1光透過部252との界面で屈折してしまうのを抑制することができる。
第1光透過部252は、光透過性を有する透明な部材により形成されており、図4(b)に示すように、画面上下方向に延在し、基材部251の背面側の面に沿って画面左右方向に複数配列されている。第1光透過部252の配列方向(画面左右方向)に平行であって反射スクリーン20の厚み方向に平行な断面形状は、図4(a)に示すように、背面側を上底とし、映像源側を上底よりも寸法の大きい下底とする略台形形状である。本実施形態の第1光透過部252の断面形状は、等脚台形であり、画面左右方向(第1光透過部252の配列方向)において対称な形状である。
本実施形態の第1光透過部252は、ウレタンアクリレート等の紫外線硬化型樹脂により基材部251の背面側の面に一体に形成されているが、これに限らず、電子線硬化型樹脂等の他の電離放射線硬化型樹脂により形成してもよい。
また、第1光透過部252は、PET樹脂等の熱可塑性樹脂等を用いて熱溶融押出成形により形成されてもよく、この場合、十分な厚みを有するならば、前述の基材部251を設けない形態としてもよい。
この第2光透過部253は、図4(a)及び図4(b)に示すように、画面上下方向に延在し、光制御層25の背面側の面に沿って第1光透過部252と画面左右方向に交互に配置される形態となっている。本実施形態では、第1光透過部252の背面側の面と第2光透過部253の背面側の面とで光制御層25の背面側の面が形成されている。
また、第2光透過部253は、その配列方向(画面左右方向)に平行であって反射スクリーンの厚み方向に平行な断面における断面形状が楔形形状である。ここでいう楔形形状とは、一方の端部の幅が広く、他方に向けて次第に幅が狭くなる形状をいい、三角形形状や台形形状等を含む。本実施形態では、第2光透過部253は、図4(a)に示すように、その断面形状が、背面側を底辺とする略三角形形状としている。
そのため、反射層22で反射した光のうち、第2光透過部253に入射し、第1光透過部252及び第2光透過部253の界面で第1光透過部252へ入射する光は、前記界面で屈折し、厚み方向に対して画面左右方向に傾いた状態で観察者側に向かうこととなる(図4(a)の光L2参照)。また、反射層22で反射した光のうち、第1光透過部252に入射し、第1光透過部252及び第2光透過部253の界面に入射する光の少なくとも一部は、その界面で全反射し、厚み方向に対して画面左右方向に傾いた状態で観察者側へ向かうこととなる(図4(a)の光L3参照)。これにより、光制御層25は、リニアフレネルレンズ形状から構成されるレンズ層で反射した映像光の一部を画面左右方向に向けて観察者側に出光することができ、正面輝度の低下を抑制するとともに、スクリーン面内の輝度分布を均一にすることができる。
なお、上述の効果をより奏するために、第1光透過部252の屈折率と第2光透過部の屈折率との差は、0.06以上であることが望ましい。
第2光透過部253に用いられる光透過性を有する樹脂は、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等の紫外線硬化型樹脂や電子線硬化型樹脂等の電離放射線硬化型樹脂が好適に使用される。なお、第2光透過部253の屈折率を、第1光透過部252の屈折率よりも小さくするため、第2光透過部253に用いられる光透過性を有する樹脂は、第1光透過部252を形成する樹脂よりも屈折率が小さいものを選択するのが好ましい。
本実施形態では、第1光透過部522にエポキシアクリレート樹脂(DIC社製、RC28−863)を、第2光透過部523にウレタンアクリレート樹脂(DNPファインケミカル社製、G8クリア)を選択し、上述のように屈折率差を設けている。
また、反射スクリーン20の厚み方向における第2光透過部253の寸法は、Hであり、第1光透過部252と第2光透過部253との界面が、反射スクリーン20の厚み方向となす角度は、θである。
本実施形態の表面層26は、ハードコート機能及び防眩機能を有しており、光制御層25の映像源側の表面に、ハードコート機能を有する紫外線硬化型樹脂(例えば、ウレタンアクリレート)等の電離放射線硬化型樹脂を塗膜の膜厚約10〜100μmとなるように塗布し、微細な凹凸形状(マット形状)をその樹脂膜表面に転写する等して硬化させ、表面に微細凹凸形状が賦形されて形成されている。本実施形態では、表面層26は、その表面の表面粗さが0.1〜3μmの範囲であり、ヘイズ値が5〜20%の範囲で形成されている。
また、表面層26は、反射防止機能や紫外線吸収機能、防汚機能や帯電防止機能等を有する層を、表面層26と光制御層25との間に、さらに別層として設けてもよい。
さらに、表面層26は、光制御層25とは別層であって不図示の粘着材等により光制御層25に接合される形態としてもよいし、光制御層25の基材部251側(映像源側)の面に直接形成してもよい。
図2(a)に示すように、映像源LSから投影された大部分の映像光Lは、反射スクリーン20の下方から入射し、表面層26、光制御層25及び基材層24を透過してレンズ層23の単位レンズ231へ入射する。
ここで、反射層22により反射した映像光の一部L1は、図4(a)に示すように、第1光透過部252を透過して、観察者側に出射する。また、映像光の別な一部L2は、第2光透過部253に入射して、第1光透過部252及び第2光透過部253の界面から第1光透過部252へ入射し、観察者側に出射する。更に、映像光の別な一部L3は、第1光透過部252及び第2光透過部253の界面で全反射して、観察者側に出射する。
また、反射層22を反射して光制御層25に入射する映像光は、光制御層25内において吸収されることなく観察者側に出光するので、光制御層25が起因となって反射スクリーン20の正面輝度が低下してしまうのを極力抑えることができる。
なお、映像光L1が反射スクリーン20の下方から投射され、かつ、角度β(図3(b)参照)が反射スクリーン20の画面上下方向の各点における映像光L1の入射角度よりも大きいので、映像光L1が非レンズ面233に直接入射することはなく、非レンズ面233は、映像光Lの反射には影響しない。
そして、一部の外光G1は、非レンズ面233へ入射して、保護層21によって吸収される。また、一部の外光G2は、レンズ面232で反射して、主として反射スクリーン20の下方側へ向かうので、観察者O側には直接届かず、また、届いた場合にもその光量は、映像光Lに比べて大幅に少ない。さらに、一部の外光は、反射スクリーン20に入射して、着色層242に吸収される。従って、反射スクリーン20では、外光G1、G2等による映像のコントラスト低下を抑制できる。
以上のことから、本実施形態の反射スクリーン20によれば、明室環境下であっても、コントラストが高く明るく良好な映像を表示できる。
図5は、本実施形態の反射スクリーン20の製造方法の一例を説明する図である。
図6は、本実施形態の反射スクリーン20の製造方法の一例を説明する図である。
ここで、図5は、反射スクリーンの厚み方向に平行であって、画面上下方向に平行な断面を示し、図6は、反射スクリーンの厚み方向に平行であって、画面左右方向に平行な断面を示す。
具体的には、レンズ層23は、基材層24の光制御層25が形成される面とは反対側の面(本実施形態では、光拡散層241側の面)に、アクリル系の紫外線硬化型樹脂を充填し、リニアフレネルレンズ形状を賦形する金型ロールによって押圧し、紫外線を照射して硬化させた後に剥離ロールによって金型ロールから離型する等により、形成される。
ここで、レンズ層23に形成されるリニアフレネルレンズ形状は、ある一方向(本実施形態では画面上下方向)に単位レンズが複数配列している形状であるため、ロール状に巻き取ることが可能となる。これに対して、サーキュラーフレネルレンズ形状は、フレネルセンターを中心として同心円状に単位レンズが複数形成されるため、ロール状に巻き取ることができない。そのため、本実施形態のレンズ層23は、上述のように、ロール搬送方式によって複数の単位レンズ231を連続的に順次形成することができ、サーキュラーフレネルレンズ形状を形成する場合に比して製造工程を簡易にし、レンズ層23の製造効率を向上させるとともに、製造コストを安価にすることができる。
光反射材料が含有された塗料を塗布することによって形成されるようにしてもよい。
続いて、図5(d)に示すように、反射層22が形成されたレンズ層23の背面側の面に、暗色系材料が含有されたウレタン系樹脂を塗布する等して保護層21を形成する。以上により、基材層24、レンズ層23、反射層22、保護層21が順次積層された積層体S1が完成する。
具体的には、まず、図6(a)に示すように、基材部251の背面側となる面に、エポキシアクリレート系の紫外線硬化型樹脂を充填し、第1光透過部252を賦形する金型ロールを押圧し、紫外線を照射して硬化させた後に剥離ロールによって金型ロールから離型する等により、基材部251上に複数の第1光透過部252を順次形成する。
次に、図6(b)に示すように、基材部251上に形成された第1光透過部252の表面(背面側の面)にウレタンアクリレート系の紫外線硬化型樹脂を充填し、第2光透過部253を形成する。具体的には、第2光透過部253は、隣り合う第1光透過部252間の谷部にドクターブレードによって紫外線硬化型樹脂を充填し、紫外線を照射して硬化させることによって形成される。以上により、光制御層25が形成される。
このように、光制御層25は、ウェブ状の基材部251上に、複数の第1光透過部522、第2光透過部523を順次連続して形成することによって作製できるので、光制御層25の製造効率を向上させることができる。
最後に、図6(d)に示すように、積層体S1及び積層体S2を接合し、所定の大きさに裁断することによって反射スクリーン20が完成する(図2参照)。ここで、積層体S1及び積層体S2は、積層体S1の基材層24側の面と、積層体2の光制御層25側の面とを、不図示の接合材等によって接合される。
そのため、光制御層25は、レンズ層23のレンズ面232(反射層22)で反射した光のうち第2光透過部253に入射した光を、第1光透過部252及び第2光透過部253の界面で屈折させて、厚み方向に対して画面左右方向に傾斜して観察者側に出射させることができる。また、反射層22で反射した光のうち、第1光透過部252に入射し、第1光透過部252及び第2光透過部253の界面に入射する光の少なくとも一部を、その界面で全反射させて、厚み方向に対して画面左右方向に傾いた状態で観察者側に出射させることができる。これにより、光制御層25は、リニアフレネルレンズ形状から構成されるレンズ層23で反射した映像光の一部を画面左右方向に向けて観察者側に出光することができ、スクリーン面内の輝度分布を均一にすることができる。
更に、リニアフレネルレンズ形状を有するレンズ層23や、光制御層25をロール搬送方式によって製造することができるため、反射スクリーン20の製造効率を向上させるとともに、製造コストを安価にすることができる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図7は、本実施形態の光制御層の詳細を説明する図であり、図4(a)に対応する図である。
なお、以下の説明及び図面において、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
本実施形態の反射スクリーン20は、光制御層25の第2光透過部253が、入射した光を拡散させて出射させる機能を有している点で、上述の第1実施形態の反射スクリーン20と相違する。
第2光透過部253の母材となる樹脂は、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂や、PC(ポリカーボネート)樹脂、MS(メチルメタクリレート・スチレン)樹脂、MBS(メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン)樹脂、TAC(トリアセチルセルロース)樹脂、PEN(ポリエチレンナフタレート)樹脂、アクリル系樹脂等が好適に用いられる。
ここで、上記ヘイズ値は、第2光透過部を構成する材料を厚み約10μmで塗布したPET樹脂製の透明基材(厚み100μm、東洋紡社製、A4300)を、ヘイズメータ((株)村上色彩技術研究所社製、HR−100)を用いて、C光源2°視野で測定した値である(JIS K7105に準拠)。
また、反射層22を反射して光制御層25に入射する映像光は、光制御層25内において吸収されることなく観察者側に出光するので、光制御層25が起因となって反射スクリーン20の正面輝度が低下してしまうのを極力抑えることができる。
更に、レンズ層23及び光制御層25をロール搬送方式によって製造することができるので、反射スクリーン20の製造効率を向上させるとともに、製造コストを安価にすることができる。
次に、反射スクリーンのサンプルを複数種類(参考例、比較例1〜2、実施例1〜2)製造し、各反射スクリーンの製造コスト、製造効率、輝度分布、正面輝度について評価を行った。ここで、参考例、各比較例、各実施例の反射スクリーンは、対角100インチのスクリーンであり、光制御層、レンズ層の仕様が相違する以外、他の層の構成は上述の実施形態と同様に形成されている。
参考例の反射スクリーンは、レンズ層がサーキュラーフレネルレンズ形状に形成されており、光制御層が設けられていないスクリーンであり、各比較例及び各実施例の反射スクリーンの比較対象である。
比較例1の反射スクリーンは、レンズ層がリニアフレネルレンズ形状に形成されており、光制御層が設けられていないスクリーンである。
比較例2の反射スクリーンは、レンズ層がリニアフレネルレンズ形状に形成されており、光制御層が設けられているスクリーンである。ただし、比較例2の反射スクリーンの光制御層は、暗色系に着色され、光を吸収する光吸収材を含有した第2光透過部が、第1光透過部間の谷部に形成されている。
実施例2の反射スクリーンは、レンズ層がリニアフレネルレンズ形状に形成されており、光制御層が設けられているスクリーンであり、上述の第2実施形態の反射スクリーン20に基づくものである。そのため、実施例2の光制御層は、第2光透過部が、入射した光を拡散させて出射する光の拡散特性を有し、そのヘイズ値が50%に形成されている。
ここで、表1中の製造コストの評価は、参考例の反射スクリーンに比して安価に反射スクリーンを製造できる場合を「○」とし、それ以外の場合を「−」とした。
また、表1中の製造効率の評価は、参考例の反射スクリーンに比して反射スクリーンの製造工程が簡易で、製造時間が短かった場合を「○」とし、製造工程が複雑で製造時間が長かった場合を「−」とした。
表1中の輝度分布は、各反射スクリーンの画面上下方向の上端部、中央部、下端部における、画面左右方向の左端部、中央部、右端部の計9点の輝度分布をスクリーン面から3.2m離れた位置から目視により比較したものであり、その評価は、参考例の反射スクリーンに比して輝度分布の均一性が同等以上である場合を○とし、同等未満なもの場合を×と評価した。
また、表1中の正面輝度は、各反射スクリーンの幾何学的中心の輝度をスクリーン面から3.2m離れた位置から目視により評価したものであり、その評価は、参考例の反射スクリーンに比して輝度が同等なものを○とし、同等未満なものを×と評価した。
比較例1の反射スクリーンは、レンズ層がリニアフレネルレンズ形状に形成されているため、レンズ層をロール搬送方式によって連続して複数製造することができる。そのため、参考例の反射スクリーンに比して製造コスト、製造効率の評価は、「○」となった。しかし、リニアフレネルレンズ形状を有するレンズ層は、参考例の反射スクリーンに比して、正面輝度が低下し、また、スクリーン面の端部における輝度が低下してしまうため、輝度分布、正面輝度の評価は「×」となった。
また、比較例2の反射スクリーンは、光制御層を備えており、光を吸収する光吸収材を含有した第2光透過部と第1光透過部との界面で、反射層で反射した映像光が全反射することとなり、映像光の一部を画面左右方向に向けて観察者側に出光することができ、輝度分布の評価が「○」となった。
しかし、比較例2の反射スクリーンは、反射層で反射した映像光の一部を、光吸収材を含有した第2光透過部で吸収してしまい、正面輝度が参考例の反射スクリーンに比して低下してしまうので、正面輝度の評価が「×」となった。
また、実施例1の反射スクリーンは、第2透過部を有する光制御層を備え、その第2光透過部の屈折率(1.49)が、第1光透過部の屈折率(1.56)よりも小さいので、リニアフレネルレンズ形状から構成されるレンズ層で反射した映像光の一部を画面左右方向に向けて観察者側に出光することができ、輝度分布の評価が「○」となった。
更に、反射層で反射した映像光は、上述の比較例2の反射スクリーンのように吸収されることなく、第1光透過部、第2光透過部を透過して観察者側に出射するので、反射スクリーンの正面輝度は、参考例の反射スクリーンと同等となり、正面輝度の評価も「○」となった。
また、実施例2の反射スクリーンは、第2透過部を有する光制御層を備え、その第2光透過部が光の拡散特性を有するので、リニアフレネルレンズ形状から構成されるレンズ層で反射した映像光の一部を画面左右方向に向けて観察者側に出光することができ、輝度分布の評価が「○」となった。
更に、反射層で反射した映像光は、上述の比較例2の反射スクリーンのように吸収されることなく、第1光透過部、第2光透過部を透過して観察者側に出射するので、反射スクリーンの正面輝度は、参考例の反射スクリーンと同等となり、正面輝度の評価も「○」となった。
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
例えば、反射スクリーンは、光制御層、表面層を順次形成した後に、光制御層の背面側に基材層、レンズ層、反射層、保護層を順次形成するようにしてもよい。これにより、反射スクリーンの製造工程をより簡略化することができるため、製造効率を更に向上させることができる。
また、光制御層25は、光学形状部254の厚みに応じて基材部251を省略してもよい。基材部251を省略することによって、反射スクリーンの製造コストを更に低減することができる。
また、本実施形態では、反射層22は、アルミニウム等の金属の蒸着膜等である例を示したが、これに限らず、例えば、高反射性を有する白色又は銀色系の顔料や、白色又は銀色系の塗料やビーズ等を含有する紫外線硬化型樹脂又は熱硬化型樹脂、銀やアルミニウム等の金属蒸着膜や金属箔等を粉砕した粒子や微小なフレークを含む塗料等を適宜選択して塗布又は印刷して硬化させて形成してもよい。反射層22をこれらの塗料等により形成する場合には、スプレー塗布や、グラビアリバースコート、スクリーン印刷、インクジェット方式等を用いることができる。
また、本実施形態では、単位レンズ231のレンズ面232及び非レンズ面233は、いずれも1つの面からなる例を示したが、これに限らず、例えば、少なくとも一方の面が、複数の面から構成される形態としてもよい。
さらに、本実施形態では、単位レンズ231は、図2等に示す断面形状が略三角形形状である例を示したが、これに限らず、例えば、断面形状が略台形形状であり、レンズ面と非レンズ面とが、スクリーン面に平行な頂面を挟んで対向する形態としてもよい。このとき、頂面は、映像光の反射に寄与しない領域に形成されることが好ましい。頂面には、反射層を形成してもよいし、保護層で頂面が被覆される形態としてもよい。
また、基材層24は、着色層242のみを備え、着色層242が着色剤に加えてさらに光拡散材を含有する形態としてもよい。
さらに、光拡散層241と着色層242とは、別々に成形された光拡散層241と着色層242とを粘着剤等で接合して基材層24としてもよい。
20 反射スクリーン
21 保護層
22 反射層
23 レンズ層
231 単位レンズ
232 レンズ面
233 非レンズ面
24 基材層
25 光制御層
251 基材部
252 第1光透過部
253 第2光透過部
26 表面層
LS 映像源
Claims (5)
- 映像源から投射された映像光を反射して画面に表示する反射スクリーンであって、
レンズ面及び非レンズ面を備え、映像源側とは反対の背面側に凸となる単位レンズが複数配列されたリニアフレネルレンズを形成するレンズ層と、
少なくとも前記レンズ面に形成され、光を反射する反射層と、
前記レンズ層の映像源側に設けられ、光を透過する第1光透過部及び第2光透過部を有する光制御層とを備え、
前記第1光透過部及び前記第2光透過部は、前記単位レンズの配列方向に延在し、前記光制御層の厚み方向と前記単位レンズの配列方向とに直交する方向に交互に配列されており、
前記第2光透過部は、前記光制御層の厚み方向に平行であって、前記第2光透過部の配列方向に平行な断面形状が楔形形状であること、
を特徴とする反射スクリーン。 - 請求項1に記載の反射スクリーンにおいて、
前記第2光透過部は、透明に形成されており、
前記第2光透過部の屈折率は、前記第1光透過部の屈折率よりも小さいこと、
を特徴とする反射スクリーン。 - 請求項1又は請求項2に記載の反射スクリーンにおいて、
前記第2光透過部は、光の拡散特性を有する部材により形成されていること、
を特徴とする反射スクリーン。 - 請求項3に記載の反射スクリーンにおいて、
前記第2光透過部は、ヘイズ値が10〜60%の範囲であること、
を特徴とする反射スクリーン。 - 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の反射スクリーンと、
前記反射スクリーンに映像光を投射する映像源と、
を備える映像表示システム。
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